環境配慮契約法基本方針検討会 自動車ワーキンググループ(第1回) 議事録

出席委員:
浅川委員、和泉澤委員、笹之内委員、大聖委員(座長)、八谷委員、鈴木氏(水戸部委員代理)、和田委員(五十音順、敬称略)

日時

平成19年9月10日(月) 13時30分~15時15分

場所

経済産業省別館 1014号会議室

1.開会

環境省(笠井課長):それでは時間が過ぎましたので、環境配慮契約法基本方針検討会の第1回自動車WGを始めたいと思います。環境経済課長の笠井でございます。よろしくお願いいたします。(資料確認、趣旨説明、委員紹介等 略)
それでは、以後の進行は、大聖座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

2.議事

大聖座長:それでは、ご指名によりまして、私が座長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

(1)今後の検討の進め方について

大聖座長:早速ですが、議題1となっております「今後の検討の進め方について」事務局から説明をお願いします。

環境省(笠井課長):(資料3について説明 略)。

大聖座長:どうもありがとうございました。スケジュールについてご説明をいただきましたけれども、何かご質問なり、ご意見なりを伺いますが、よろしいでしょうか。一応3回ということですが、うまくまとまると2回ですむ可能性もあるということを伺っております。原則的には3回ということでやらせていただきたいと思います。

八谷委員がいらっしゃいました。

八谷委員:すみません。遅くなりました。

大聖座長:いいえ、お忙しいところどうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

(2)自動車における環境配慮契約法基本方針の方向性について

大聖座長:それでは議題2の「自動車における環境配慮契約基本方針の方向性」につきまして、事務局よりご説明をいただきます。

環境省(中山補佐):(資料4、5、6について説明 略)。

大聖座長:ありがとうございました。それでは、資料4、5、6をご説明いただいたので、少し議論をしてまいりたいと思います。まず資料4で何かご指摘があれば伺います。基本的な考え方、本契約方式のやり方、それから課題といったことが書かれております。

和泉澤委員:全体の枠組みの話を申し上げます。当面の間、自動車の購入契約に適用するというのは、これでよろしいと思います。なお、法律上は物品となっておりますので、当面の間というのが5年で見直すのかどうかわかりませんけれども、スタートするのは、まず明確になっている自動車というところからスタートをして、一定の期間を経て、見直しのところで物品でその他に何かあるのだろうかという辺りも、事務局なり、環境省、関係省庁におかれて出てくるものがあればよろしくご対応願えればと存じます。個人的には、メタンもありませんし、他もないようで、強いて言うと、フロン代替ガスのものを物品で調達するという類のことがあり得るかどうかしかイメージがわかないのですが、当面は自動車ということでよろしいです。当面が一旦過ぎたところで、もう1回サーベイをしていただければありがたいというのが一点目です。
それから自動車の中で燃料種の比較はなかなか難しい議論がございますが、一応原案にあるこのスタイルで進んでよろしいのではないかと思っております。また他の委員からもご意見があると思いますけれども、基本的には国や地方公共団体もそうですが、現場の方がどういう枠組みで、購入する場合にどうやって比較したらいいのかという部分が非常に重要なのだろうと思います。そうした点をどこまで細かく説明、解説ができるかということがあります。調達される方は、契約実務のプロではありますが、こうした環境問題のプロではありません。そうした部分をグリーン購入法等々でされていると思いますが、今回は法律の制定趣旨が契約の仕方まで入っているということでございますので、調達実務をされる方にとってわかりやすくという辺りを念頭においていただければありがたいと思っています。とりあえずは以上です。

大聖座長:ありがとうございました。そうですね。どういうものが環境にいいものかということは、やはりわかるような仕組みが大事だということはポイントとしてあるだろうと思います。それから今、和泉澤先生が燃料種の問題を言及されましたが、2009年以降にディーゼル車が出てくる可能性がないわけではないです。これは燃費と言いましても、リッター当たりでいいますと、実は軽油とガソリンでCO2の排出量が違うものですから、その辺がどういう感じか。ちょっとかかると言いますか。その一方で環境特性をどういうふうに見るか、排出ガス特性をどういうふうに見るかも問題となります。他にいかがでしょうか。何かご意見はございますか。こういう計算のやり方で直線的な棒グラフがいくつかありますけれども、イニシャルコストは少し高くてもランニングコストが安ければ、つまり燃費がよければ、何年かで取り戻せるという計算になると思います。これには税金ももちろん入っています。

笹之内委員:単に勉強不足だけだと思いますが、この1万kmと決めたのは、何かありますか。

環境省(中山補佐):これは単純に、例えばこれでやった場合はこうなりますという仮の計算をしてみただけということでございます。もちろん契約の実態に応じて、ここを何kmにするかということは、場合によって変わってくると思っております。

和田委員:同じく勉強不足かもしれませんが、国等が購入する自動車ということで国等というと、国と地方自治体、独立行政法人ですが。地方ですと、バスやゴミ清掃車などいろいろな車を使っていると思います。それからもう一つ、隙間をつくと、国というと自衛隊も入りますね。軍用車も入れるのですかということになると思いますから、その辺の「どういう車の調達に」というところのイメージ合わせをもうちょっとはっきりしておかないと、議論をしていったときに、先に行って、これ違うのではないかという話にならないように、前提条件として皆さんが共通の理解を得られるようにしたらいかがでしょうか。

環境省(中山補佐):後ろの表が、まさに普通の自動車の場合のみを書いているので、特にそういうふうに言われてしまえばそのとおりだと思います。基本的には発注時の要求性能等に関しては、「行政目的等を適切に勘案し定め」ということでございますので、例えばバスであればバスに必要になってくる性能というものを当然前提条件として、その上で燃料費も含めた総合評価で決める。極端なことを言うと、自衛隊の車両も一応入り得るのですが、ただ自衛隊に関して言うと、目的で性能を当然厳しく決めていきますので、そういうものに対応する車種がそれほどたくさんあるとも思えません。むしろそこで条件を厳しくすればするほど、しかもそちらでの費用、その他が当然かかってきますので、入れようと思えば入れ得るけれども、実態としてはここまでなかなか見ていられないということになるだろうとは思っております。

大聖座長:それに付け加えますと、総重量3.5トン以上の燃費基準がまだないものですから。2015年から始まりますので、そういうデータが重量車に関してはないです。ですからそれはちょっと比較できないので、当面ここでは3.5トン以下の総重量の対象になるのではないでしょうか。

環境省(中山補佐):基本的には、ある程度比較可能なところだけが対象になると思っております。

和泉澤委員:今のお話をお聞きして、例えば大型のバスや大型のトラックといった場合に、グリーン購入法上は、今はどういう整理をされていらっしゃるのか。もしご存知ならば。要するに車種としての一定の資格要件がクオリファイされているならばそれでいいのですが、つまり大型貨物のところでもそういうふうになっているというのであるならば心配はないですが、そこのところはまだグレーだというのであるならば、今回の数値やライフサイクルというのも無理な話です、ないものはできないわけですから。素朴な疑問で申し訳ないですが。

大聖座長:燃費以外の排出ガス規制は確か対象になっているのですよね。ですから燃費だけが今。

和泉澤委員:ありがとうございました。それならば気にしなくていいですね。

環境省(笠井課長):すみません。基本的な至近のところの説明を省いてしまったので補足します。参考2の4という枠を見ていただきたいのですが。法律の対象になるのは、国及び独立行政法人等というのが、閣議決定をする基本方針に沿って、各大臣等の等は独立行政法人、特殊法人、国立大学法人の長ですが、それが基本方針に従って必要な措置を講じ、実績の概要を取りまとめて公表しなければいけないとなっております。地方公共団体のところは努力義務がかかるという構成になっております。これはグリーン購入法と同じです。ですから直接の義務がかかるところは、国及び独立行政人等までということです。あとはグリーン購入法で大型バスやトラックなどをやっているかということについては、

事務局:グリーン購入法上ですと、いわゆる公用車ということになっています。大型車は入っておりません。一般公用車という言い方をしている自動車については、10人以下のものということですので、いわゆる乗用車とか1ボックスカーぐらいの大きさまでということで大きなものは入ってないということになります。

環境省(笠井課長):グリーン購入法というのは、その物品が持つべき最低限の基準を決めるというのが基本的な考え方なので、それを満たすものであれば、それから上は競争入札になります。それは複数の物品があればですが、そのときにどういう形で環境の効果を配慮できるだろうかということで、契約法の議論が出てきているということです。

鈴木委員(水戸部委員代理):ものを購入する場合に環境だけではないわけで、その前に使い方やニーズ、目的があると思います。そうすると我々サイドで見ますと、そのカテゴリーがどう選ばれるのかというのが一つあります。その同一カテゴリーの中で配慮されたものが選ばれるということになります。先ほども大型のバスや軍用車の話が出ましたが、例えば乗用車と見たときに、1リッターから3リッターとあって、環境省の送迎を担当したときに、1.5リッターではだめなのか、3リッターなのか、はたまた使い方によっては軽でもいいということになります。その最初の購入するときのカテゴリー、種類はどういうふうに考えたらいいのかという話です。

環境省(中山補佐):基本的には、物品購入者がそれぞれ物品購入の目的にあわせてカテゴリー分けをしていくというのが一応考え方となっております。従ってこういう使い方だと、1,500ccはいるだろう、3,000cc程度はいるだろうということはあり得ると思います。当然何人以上乗せられることというのは出てくると思います。それから、例えばどのくらいの長さを走ることができる、できないという話ですとか、燃料種もそういう意味では、その中で必要に応じて決めていくということになるのだろうと思っていますので、そこはそれぞれで決めていただければ良いということだろうと思っております。

和田委員:今鈴木さんの仰っていることは、私も賛同する面がかなりあります。自動車というのはいわゆるトランスポート・モビリティというものを運ぶ・移動するという役割と、お客様はもう一つステイタス、趣味の領域が結構あります。4人を運ぶという条件で言えば、軽自動車も1リッターもベンツも全部同じです。ほとんど行動距離も同じです。ところが実際にお役所と交渉するときに、例えばの話ですが、「3ナンバーだと金持ちとみられるから、この車はだめだ。5ナンバーじゃないとだめだ。」とお役所の調達の方はよく仰るわけです。それから、「いや、これは参議院議長から乗るから、5ナンバーじゃだめだよ、3ナンバーじゃないとだめだ。」という話が随所にあるわけです。ですから、例えばグリーン購入法の枠で車種や用途を決めた、そこのところをきっちりやらないと環境の役に立つことが結果的に出てこないと思います。どうやって運用するのかをもうちょっと考えていかないと、ただ単に今までの中でランニングコストだけを考えることが役目であったらそれに徹底しますが、その辺をどうお考えですか。

大聖座長:私が言うことではないかもしれませんが、購入者のカテゴリーについて、これを選びなさいというところまで法律では縛っていないです。ですから行政目的にあわせて車種を選べるという立場で、その車種の中でどういうものが環境にいいですかという選択をするということになります。ですから大臣に、軽に乗れというところまでは謳っていないです。

環境省(中山補佐):今のお話だとまさに法律の枠外になってきます。ただこういった形で契約状況を明らかにしていきましょうという話が出てきますと、そういう意味で、例えば3ナンバーでは困るということであれば、3ナンバーでは困るという契約条件を出すということになりますので、あとはそれが果たして世の中に受け入れられるかどうか。当然会計検査院のチェックも入ってくるわけでございますので、行政目的に照らして適当な条件をちゃんとつけているかどうかということが、そういう意味では会計検査なり、何なり、別の世界で問われるという形になるのかと思います。ここで決めていくべきことは、そういう意味ではランニングコストとイニシャルコストをどう統合していくかというところと、そのときに何を考えておかなくてはいけないのか。今いろいろいただいているご意見なども含めて、それをどう明らかにしていくかということも、場合によってはそれなりに解説資料の中で書いていく必要があるのかということは思っております。

大聖座長:今仰っていただいた、どういう評価の項目があるかといったことのご意見をさらにいただけるとありがたいと思います。いかがでしょうか。

八谷委員:資料4の(2)の[3]の燃料種の考慮ということで、燃料種の異なる自動車は比較しないということが書いてあります。確かにディーゼルとガソリンと一緒に扱わないというのはわかりますが、例えばこれがハイブリッドになると、では一体ガソリンと電気とどうするのかという話、それからフレキシブル・フューエル・ビークル(FFV)、エタノールとガソリンとをどうするのか。あるいは将来、まだ今はないかもしれませんが、水素と電気を組み合わせたとか。技術の発展に伴っていろいろなケースが出てくるのだろうと思います。そういったものをここでは、一応全部ばらばらにして同じ土俵には乗せないという考えでよろしいのでしょうか。そうすると今のガソリン・ハイブリッドというのはガソリンと一緒には比較しない、同じ土俵には乗せないということで理解をしたほうがよろしいでしょうか。プラグイン・ハイブリッドという話も近未来でどんどん出てきていますが、これは燃費の測り方は違うと思いますが、それもまた特殊な話になると思います。実際燃料としては、ガソリンも電気も両方使うということになると思うので非常に難しい問題と私は思います。

環境省(中山補佐):将来的な話として、それこそ水素電池車が入ってきて燃料電池がもっと普及したらどうなるかという話はあると思いますが、現状で申し上げますと、ハイブリッドも結局根本的にはガソリンでエネルギーを生み出しているというところでは、同じでございます。あれにプラグインのハイブリッドが出てきたらどうするかというのは、将来的な課題になり得ると思っておりますけれども、今現在として、こういう形での価格競争がし得る範疇で言うと、ガソリンとハイブリッドであれば同じに扱ってもいいのではないかと思っております。そういう意味ではガソリンとディーゼル車ぐらいなのではないかと思っています。あとは天然ガス辺りが少しあるかもしれませんけれども、そういう意味で今の段階では分けて行うという形で、当面はスタートしています。ただ本当にプラグインが普及して価格競争力を持ち始めたら、それは少しどうするか。それから先ほどの話でいうと、ディーゼルについてもおそらく中期的には課題になってくるのかなと。まさに同じような車が同じように出てきて、かつ排ガスの側面で特段の遜色がなくなってきた場合にどうするのかというのは、多分その段階で考えないといけない課題になっているのではないかと思っております。

和泉澤委員:確認の質問です。現行のハイブリッド車というのは、資料の5というのがありますが、乗用車とするならば、普通か小型かは別にして、今ハイブリッド車と呼ばれていて、公用車として使われているものは、例えばこの資料の乗用車の2BOXとか何とかといったところに概念とすれば入っているという理解でよろしいですか。

環境省(中山補佐):入り得ると思っております。そうですね。ハイブリッドまでは今入れ得るだろうと。いわゆる燃料電池などになると、目的のところで縛って入れますよということにしないと難しいと思います。

大聖座長:行政目的でね。

環境省(中山補佐):行政目的でやらざるを得ないと思います。ものによってはそういうことになる場合もあり得ると思っておりますけれども、そろそろ十分対応できるものも出てきているのではないかと思っております。まさにそこは行政目的によって、ある程度この範囲内でということをハイブリッドも含めた、いわゆる低公害車の中でというような範疇を含むこともありますし、一般のガソリン自動車という範疇の中でハイブリッドがその中に入ってくるということもあります。両方あり得るだろうと思っております。

大聖座長:いかがでしょうか。それから参考5というのがありますが、これはモードが変わるという話と、燃費規制は2010年に続いて、2015年にも施行されるということになります。その資料が添付されております。これも議論の中に加えていただいて結構です。どうぞご意見があればお願いいたします。

和泉澤委員:確認の話です。ここで検討したという証拠というか、議事録に残しておかないと回りから見て正確ではないですから。二点申し上げます。一点目は、特に役所の公用車の調達の場合の、お役所と今日お見えの企業の委員の方へのお願いのお話です。通常、調達は交換差金というスタイルです。全くの新車をゼロから満額で買うということは、ほとんどありません。そうすると基本的にはどの車にどう交換するかというような場合は入札でやるわけですが、ご案内のとおり自動車メーカーさんから直接、お役所が調達するというよりも保守や整備の関係がありますので、そこにワンクッション、ディーラーさんが入ります。たぶん役所の調達の方は自分でも計算するかもしれませんが、オファー、見積もりといったところをそれぞれのブランドのディーラーさんに対して、自分のところの車のこの車種ならば、このくらいのトータルコストになると思いますというオファーを求めることになると思います。そういったときに、私が言いたいのはお役所で試算するベースというものと、それぞれのディーラーさんが試算をするベースがしっかり揃っていないとピンときません。本当は全部お役所の会計担当の方が、ねじりハチマキでやるのが筋だとは思いますが、やはり営業、PRということもございますから、ディーラーさんにおかれて、こういう一定のスタイルに乗ったオファー、見積もりをするということが、この法律が施行されていくと出てくると思います。アンフェアなことはないと思いますけれども、これまでに比べてそうした余計な作業が必要になるので、情報はより透明にして、誰が計算しても同じようにするということが重要だと思います。
二点目は、これもある意味では議事録に残すためだけに言っているのですが、地方公共団体さんの中では、環境会計というのですか、環境にどのくらい良い影響、悪い影響を与えたかというのをお金で換算するという、仮にここでは環境会計と総称しておきますが、そういうモデルケースみたいなものを作って、貨幣単位でやったり、いろいろの構造でやったりもします。そういうふうに、ある意味では進んでいらっしゃる地方自治体さんがいらっしゃるわけです。本日、総務省さんがお見えかどうかわかりませんが、PRをしていって、これに沿ってやってくださいとお願いしていく中で少々コンフリクト(衝突)が起こると思います。その地方公共団体さんにすれば、うちの基準のほうがもっと進んでいるとか、もっとクリアだという点があろうかと思いますので、そこはうまく、特に進んでいる地方公共団体さんにおかれて問題が生じないよう、本法の施行というものとよく調和を取るように、総務省さんにもよろしくPRをお願いしたいと思います。要するにうまく行けばいいわけです。より進んでいるのであったら、その知恵を借りればいいわけですから、そうしたところもご配慮いただければありがたいと思います。以上です。

大聖座長:はい、どうもご指摘をありがとうございました。重要なポイントだと思います。他にいかがでしょうか。

笹之内委員:また私の勉強不足の質問ですけれども。小泉内閣のときに低公害車を中央官庁にというのは、法律ではなかったのでしょうか。もし法律だとしたら、それと制度的に整合が取れているのでしょうかというのをまずお聞きしたいのですが。

環境省(中山補佐):あれは法律ではないです。法律でこうしなさいと言ったわけではなくて、政府の意思として、一定の低公害車、省エネ車を導入しますということにしたわけです。実はそういう意味では政府の行動を自ら縛るという話ですから、そこだけを見ると法律がないといけないかどうかというのは難しいところです。ただ義務付けるという意味でこの法律があるという形になっております。

笹之内委員:そうするとそういう場合は法律でないにしろ、一応整合は取れると。

環境省(中山補佐):はい。そこは整合が取れます。要するにグリーン購入法と同じような発想ですので、一定以上のものを買いましょうという話です。ですからそのクラスの中で一定以上のクラスであることというのを条件とした上で、クラスの中でどう総合評価をしていくというのは当然でき得る法律の形となっております。

笹之内委員:あともう一点は、これは多分二つ目的があると思います。両方かもしれませんが。一つは、いわゆるCO2の排出の少ない車の開発・普及を促進するという面と、実際に行政機関での車の使用に際してのCO2の排出を減らすという意味になるわけですよね。前者の指向が強いのならばいいですが、後者だとすると、本当に減ったのかどうかということをきちっとモニタリングしないといけないですね。それをどういうふうにやられるのか。確かに推計でやるのですが、そういう車を導入していったら、本当に減ったのかどうか。多分今までの役所だと、年度末になって燃料代が余っているからもっと走ろうという発想になりますから、そこはきちんとブレーキをかけるようなことをしないと本当に意味がないと思います。前者もそういう車の開発と普及促進をするというならいいですが、本当に減ったということをモニタリングするということも考えないと、あまり意味がないのかなという気もします。

環境省(笠井課長):その辺は、参考2の5頁の、この法律が出てきたというのは、どういうことからということになります。環境配慮契約法の概要で地球温暖化対策推進法の中に、地球温暖化防止のための政府実行計画があります。自分が出しているCO2の量はしっかりカウントするということになっています。その中に自動車の燃料も入っています。余ったから即座に使えるというものでは全然なくて、こういうことの中から電力の契約をどうしようとか、長期的に使用する物品をどうしようということがでてきております。

笹之内委員:それなら燃料代をカットしたほうが早いですね。

環境省(笠井課長):そこはいろいろな手法があります。実際に政府の実行計画の中で各省が実施計画を作って、その実施計画もここにあるように、政府の実行計画自体が今年の3月に閣議決定をしています。それまではもうちょっと緩い目標で18年までということでしたが、今各省で実施計画をしっかり作ろうということになっています。燃料の予算要求も実績を踏まえて、必要十分なものを要求するようにとなっています。それに加えて、契約の中でも入札の際にも考えてくれというのが、この契約法の位置づけということになっております。

環境省(中山補佐):若干補足いたしますと、自動車にしろ、購入する際に、一応グリーン購入法もありますので、ある程度のラインより上の車での競争には今でもなっております。ただその中でトータルコストの安いもので、燃費の高いコストの低いものを選ぼうと思っても、選ぶ理屈がなかなか立てにくいというのがあります。各省としては燃料も押さえられているので、できるだけ燃費効率のいいものを買いたいという側面もありますが、ある意味、そこを会計的に説明をするための手法を導入しているという側面も正直に言うとございます。そういう意味で、そういう形の契約が取れるように法律化しているという側面もございます。

大聖座長:先ほど和泉澤先生が仰った、ディーラー側が見積もるコストと、こちらの買う方との整合性というのがあるのでしょうが、それはどうでしょうか。例えば年間の走行距離などの条件はこちら側が提示できるわけですから、これをどういうふうに。

環境省(中山補佐):そうですね。基本的にはモードを決めて、カタログ注文になるわけです。 あとは結局走行距離、その他をどれだけ実態に合わせて定められるかというところが肝になってくると思っております。

和泉澤委員:算数的には1台だけ調達しようとする場合には、その走行距離は予測可能でしょうから、1万kmに設定をしなくてもいいわけですね。ただし、一般化された基準という次元においては、1番から6番まで候補の車があって、それぞれディーラーさんが訴えるのは、「うちは燃費がよろしいですから、トータルのところで、CO2、燃料代が少なくてすみます。その代わり車種料金はちょっと高いかもしれませんが、その総合評価をしてください。」というアピールをするわけです。ですから私自身はよくわからないですが、今日いただいた資料5はトータルとしては大変よくできていると思いますが、実務、ご商売から見ると、結局燃費の寄与度の差異がどのくらいアピールできるものなのか、あるいはほとんど変わらないものなのかが、今日はちょっと知識がないので判断できないのですが、その辺が接点というか、そういったセールス、あるいは調達の場合の微妙な差異になってくるのではないかという予感はしております。ただ寄与度がめちゃくちゃ小さければほとんど関係ないですが。

環境省(中山補佐):そうですね。今回資料5で書いておりますイニシャルコストは、いわゆるカタログの値段を一応書いております。実態としてはもう少しランニングコストの比率が高くなるだろう。ここですと、例えば乗用車、3BOXでイニシャルコストの比率が7割になっていますけれども、イニシャルコストが2/3くらいに下がってくると、当然のことながらそれだけ比率も下がっていきますので、ランニングコストの比率も上がってきます。かつ、そういう意味でモードのほうでランニングコストが全体的に高くなれば、比率も高くなってくるかということを考えています。

笹之内委員:比率はそうなりますが、逆にどうもランニングコストがうちは不利だと思ったら、見積もりでガーンと下げるケースも出てくるわけですが、それはどういうふうに防止していくわけですか。

環境省(中山補佐):正直言って、少なくとも今回はそこまでは止められないと言いますか。最低限のところは、ある意味グリーン購入法で一定のレベル以上ではある中で、ランニングコストの差以上に思い切った値下げをしたものまで排除するということは、取り敢えず当面そこまではなかなか踏み込めないかなというのが、今のところの考え方ではあります。

和泉澤委員:ちょっと補足しますと、もちろんダンピングをどう取り締まるかというのは課題ではあると思いますが、これは建物みたいに1個造ったらそれっきりではなくて、消費財ですから、2回目も3回目もずっとダンピングし続けるという固い決意なら別ですが、普通は、いわゆるフェアな競争の中、そこから自分が得られる利益とコストで考えますので問題は生じにくいでしょう。また、変なダンピング競争をして受注獲得するということが環境には結びつかないというのは明らかですから、そこは適正な、いわゆる公正な競争をしていただくということです。それから0円ということはないと思いますが、仮にそういうめちゃくちゃなダンピングがあるなら、単発の案件としてでもいろいろと、調達上の低価格調査の手続きもありますから、手段は用意されていると思います。そういう手段を発動する必要がないくらい、要するに実力相応の売込み、あるいは実力相応の車を選んでいくということだろうと思います。もちろん制度の変わり目のところでは、いろいろな思惑などからオーバーシュートなどが出てくるかもしれませんが、そうしたものも冷静に見ていきますよ、長い目で見ていけば、きちっと正直な商売をしている人が、一番メリットが得られるという姿勢で、大きい面から見ていくという情報を発信しておけば、それで大丈夫ではないかと思います。

八谷委員:そうすると、例えば新しい技術の実証実験的な政府の購入、燃料電池や電気自動車といったものは、一般に言われている車両価格、あるいはコストというのは、かなり膨大なところをかなり割愛してリースしているということをどういうふうに処理していくのか。あるいは実証実験はどういうふうに進めていくのか。

環境省(中山補佐):そこはまさに行政目的でございます。調達の目的がそもそも普通の、単純に移動するということだけではございませんので、そういう意味で調達のところで、「こうこう、こういうものであること。」ということです。あとは価格をどうするかということは、我々のほうの会計もいろいろお願いをしてご迷惑をかけているかと思いますが、そこは正直言って個別の相対で議論をしていく形になるのだろう。そういう意味では須らく同一条件にするわけにはいきませんので、やはり行政目的に応じて、条件を適切に示していくことが必要なのだろうと思っております。

大聖座長:そういう特殊な実験車と言いますか、実証のための車両というのは、ここではあまり想定しなくてよろしいのではないかと思います。一般に普及している車を想定して考えればいいと思います。

八谷委員:仰るとおりで、この法律がそれの妨げにならなければいいという意味です。

大聖座長:それはもちろん行政目的という認識の目当てがありますので大丈夫かと思います。

環境省(中山補佐):そこは解説のところで、できるだけわかりやすく明記をするようにいたしたいと思います。

八谷委員:それからもう一つ、別の視点です。燃料種ごとに利便性が随分違うと思います。今、ガソリンや軽油というのは、簡単に5分くらいの時間で、ほとんどどこの街角でも手に入るという利便性があります。それに比べると電気自動車や水素という話になってくると、もっと至近な例で言えば、LPGやCNGも、いわゆる給油するときの利便性がガソリンに比べてかなり落ちると思います。そういうことをどういうふうにここで配慮をしていくのか。単に燃料コストということだけで比較していくのか。利便性の部分はある程度ポイントづけをして比較していくのか。そういうようなことのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

環境省(中山補佐):基本的にその辺りもありますので、おそらく燃料種というところで、CNGを買うべきであるという場合については、まさにCNGだけで競争していくという形になるかと。少なくとも現段階ではそういうものでスタートするか思いますと。そういう意味で燃料種ごとに、異なるものを同一カテゴリーで競争させるのはなかなか難しいと思っております。

八谷委員:そういうことであると、今度は逆に先ほど私が申し上げた軽油とか、ガソリンとか、ガソリンベースのハイブリッドというのは同じ利便性の中にあるわけです。そうするともうそれが、一つの土俵としてやってもいいのかなあと。要するにクリーンディーゼル乗用車とガソリン自動車を分ける意味は一体どこにあるのだろうと。今クリーンディーゼル乗用車をどんどん出そうねという経産省さんからのイニシアティブもある中で、これがガソリンと同じ土壌で、燃費が2割から3割くらい、いいということを言っている中で、ガソリンとディーゼルとを分けて考える必要は、ひょっとしたらないのかもしれないかなと。利便性は同じなわけですね。

和泉澤委員:今の八谷委員のご発言というのは、ご尤もな面というのと、それから役所の縦割り行政の面といっぱいあると思います。要するにここはたまたま環境配慮契約法のワーキングですから、その使命でやっていけばいいのでしょうが、今のご指摘の点、まさに価格や税制や環境負荷というのは、トータルでいう、いわゆる日本国政府の経済政策としての環境政策についての課題ですね。各省でやっているのは、その部分にかかわる話だろうと思います。余談ですが、私ども学者の仲間でも、ディーゼルのほうが税制面等々からすると現状はこうなっているということを環境対比から計算するわけです。プロの経済学者は。だから悪いというわけではないが、これをどうやって環境負荷軽減に誘導していくかというのは、日本政府というか、オールジャパンの問題として、これはこの場で解決がつく話ではないのかもしれませんけれども、広義の環境政策の中でバランスよく位置づけてやっていく必要がありますねという問題提起になるだろうと私は受け止めております。

大聖座長:ちょっと悩ましいのは、2015年の燃費基準というのは、ディーゼルとガソリンを一緒にしてしまいました。今2010年は軽油とガソリンは別々で、違います。今度は、2015年というのは一緒になりました。ですからディーゼル車を導入することで燃費の基準をうまく達成できれば、それは一つの実行目標になるという考え方です。そういう考え方ですね。ですからここでいう燃料種の異なるというのは、どこまでの範囲なのかというのは議論の余地があるのかもしれません。それでCO2ということと、燃料のコスト、あるいは種類というのが一致しているかというと、実はそうではありません。軽油で燃費が大体3割増だとしますと、CO2は2割減です。だから比例はしないです。軽油のほうが密度が高いものですから。そういう状況もあるので、その辺を少し考え方を整理しておいたほうがいのかと思います。

笹之内委員:そうですか。値段だけでやると、CO2によって違いますものね。

大聖座長:そうですね。値段とリッター当たりのCO2排出量と、それから、

笹之内委員:窒素は、どうですか。NOxは今。

大聖座長:NOxは、ポスト新長期規制が2009年からありまして、それをクリアしていればということで、それ以上求めては。

笹之内委員:大丈夫ということですね。

鈴木委員(水戸部委員代理):この契約法の趣旨が、環境配慮契約法ですから、環境とはどこまでなのか。さっき先生は、排気ガスはもう入れないということを仰っていましたが、今のお話を聞いていますと、値段だけでライフサイクルをやって、CO2でまた違うということですから、こういうのでは、何のためにやっているのかというのを一応オーソライズしておいたほうがいいかと思います。

和泉澤委員:プロセスだと思います。最終的にはセグメントやセクターがなくて、どれが一番優れているかというのが到達目標だと思います。ただ、今の現状からいうとセグメントやセクターを分けて、そのグループの中でどういう調達をするのか。先ほど冒頭で申し上げたとおり、当分の間とか、当面の間というのは未来永劫ではないわけですから、そうした部分をセクター間、グループ間のハザードと言いますか、将来それもまた乗り越えられるのか、どうしていくのかというのも環境政策の展開の中では重要だと思います。先ほど当面の間といったところを強調したのは、予見可能で、今データが揃っていて、それからある意味ではCO2といったところに特化する形でスタートをするというギブン・コンディションの事情があるからです。ですから当面の間という設定の範囲内で、これはきっと八谷委員や皆さんが仰っているようなもっと広い意味でのコンペティションというものが将来起きてくるし、また日本政府として、そうした部分のところも視野には入っているということをいつも意識していただきながらやっていくしかないのではないかと私自身は思っています。

大聖座長:具体的に言いますと悩ましいのは、ポスト新長期規制というのが2009年で始まるのと、2010年の燃費基準というのがすでに達成されてしまっています。日本のメーカーでは。今では10%超過達成したもの、あるいは20%超過達成したものがグリーン税制の対象になっております。それから一方で4つ星というのも条件に入っています。これは低排出ガスです。2010年というのと2015年の燃費規制に対して、前倒し達成をしたものが出てきたときにどうするかということです。またモードが違ったりしますから、かねがね実はすごく複雑ではあります。ただそれは、その年度、その年度で決めていくしかないと思います。今ディーゼルとガソリンの問題というのは、2009年くらいから出てくる可能性がありますので、確かに議論して整理していくべき課題かと思います。

環境省(中山補佐):我々の思うところの大体は仰っていただいたような気はしております。まさにそのガソリンとディーゼルをどう扱うのかというのが、当面課題になってくるところだろうとは思っております。本日ただ今と言いますか、今回の平成20年度に向けてということで言うと、まだ取り敢えず車種、燃料種別でやった上で、そこのガソリンとディーゼルについては、できるだけ早急に比較の方法を検討していくという課題として受け止めさせていただけるとありがたいと思っています。いかがでしょうか。

大聖座長:最初はそれほど出てこないと思っています。

環境省(笠井課長):2015年基準になっておりますが。

大聖座長:いかがですか。前倒しでね。6年くらい前倒しで出てきたのがあります。2010年に対して2004年ぐらいに出てきましたものがあります。

八谷委員:先のグリーン税制がどういうふうに決まるかによって、要するに開発するモチベーションがグリーン税制にはかなりあります。そういう中で都合というのは決まってくるのであろうと思います。今は何も言えません。

大聖座長:今20%超過達成のものは設定されています。ハイブリッドは楽々でしょうが。そういうものが出てくると、もう2015年というのは、2004年に対して23.5%の改善ですから、もう背中が見えていると言ってもいいかもしれません。20%達成の車が出てきたら。そういうことになりますね。

環境省(笠井課長):ちょっと離れますけれども、税制のほうでは、今の2009年の自主規制を来年度でも出してくださるのであればということで税制要求はしております。通るかどうかはちょっとまだこれからでございますが。そういう意味でどういう政策手法をどう使うかというのがあるわけです。繰り返しになりますが、今この段階でディーゼルとガソリンを同じ次元で扱えるかというと、環境基準達成率等がありますので、そこは政府の姿勢としては、やっぱり分けとかざるを得ないかというふうに思っております。

和泉澤委員:今の八谷委員の関係で事実関係だけの質問です。これは地方公共団体のものなのでわからないと思いますが、LPG車の調達の実績などがあるのであれば、データとして、あるいは最後の計算をする場合の会計担当の手持ちとして与えておいてあげないと彼らが困ってしまうと思います。私はLPG車の調達実績は地方自治体ぐらいしか記憶になくて、国はどうかわかりませんが、もし国にそういうのがあるのでしたら、データがあれば、用意できる限り用意してあげたほうが、実務の方が困らなくていいと思います。調達予定がなければ、それは構わないです。

大聖座長:LPガスは全国で1,900箇所ぐらいステーションがあります。27~28万台ぐらい保有されていると思いますけれども、ほとんどがタクシーです。行政、地方自治体も含めて使っているところはありますか。

和泉澤委員:東京都がバスでLNGを使っていますね。

大聖座長:あれは低公害車というカテゴリーの中で使っているはずです。CNGもそうです。

笹之内委員:ゴミ収集車は。

大聖座長:そうです。ディーゼル代替に限ります。トラックもそうです。3万台近く動いています。

笹之内委員:ゴミ収集車みたいに民間に委託したものは、今回は対象にならないのですね。業務を全部移管しているけれども、所有者は民間企業であるという場合はカバーしないと。

環境省(笠井課長):対象は自動車の購入契約ですから、ゴミ収集をどうするかという契約を議論すれば。できていませんので。

大聖座長:それは3.5トンを超えてしまいますから、燃費基準がないです。

笹之内委員:超えちゃいますか。3.5トン。じゃあ、ないですね。

大聖座長:時間に多少余裕がありますから、申し上げておきますと、10・15モードの燃費とJC08モードが併存して移行する期間があります。要するに、JC08で表示したものと併記したものと、10・15だけしかないものがありますので、これをどういうふうに比較するのかというのが悩ましい点かと思います。データ的に言いますと、JC08を0.914でしたか、かければ、大体1割です。そういう統計的なデータは一応ありますので、それでやるのかどうかですね。先ほどのご説明の中にも、より実態に近い燃費でやるということになりますと、JC08のほうがベターかと思います。

八谷委員:先生のお話でさっき思い出しましたけれども、JC08でコストが計算できれば正確な燃費が出ると、どこかの文章に書いてあったと思いますが。

大聖座長:より実態に近いですね。

八谷委員:より実態に近いということですか。正確にというと、いろいろな団体さんがいらっしゃるので。

大聖座長:代表的な作り方ですね。

八谷委員:そこのところは表現に気をつけていただければと思いますが、どうでしょうか。

大聖座長:そうですね。今ちょっと申し上げたのは、燃費測定の移行を踏まえた評価方法というところでもあります。全体を通じて自由にご意見をいただければと思っております。大体出尽くしましたでしょうか。はい、どうぞ。

浅川委員:トータルコストの試算の仕方が出ていますが、一つの試験の問題が作られているような感じがします。この点の差が、実際に一生涯に出すCO2との関係がわかりません。その辺のCO2の排出の実態をどういうふうに評価するかということと、その計算方法との関係をもう少しクリアにしないと、1点、2点の差で評価がされるというのは、ちょっと懸念されます。ある程度の線を引く手法にはなると思いますが、トータルのCO2排出との関係を果たしてこれだけで決めるのかということです。難しさはあると思います。

鈴木委員(水戸部委員代理):難しすぎますね。そこに入ってしまうと。

大聖座長:どれぐらいのアローアンスがあるかということになりますかね。

鈴木委員(水戸部委員代理): 今公になっているデータを元に買うしかないです。例えば一生涯の実用燃費まで考えてしまうと、議論が発散して決められなくなります。今公開されているデータでも、JC08と10・15と2つもあります。もうちょっと込み入ってしまうわけです。こういう方法になるでしょうね。

大聖座長:なりますね。それに、結局購入時ではそういうふうに予想して、将来その車が引き続き同じような使われ方をするという保証は実はないわけです。他のいろいろな幅広く使う目的があるかもしれませんから、国で定めた基準で比較するしか、比較のしようがないと思います。またそれが一番公平だと思います。

環境省(笠井課長):そのイニシャルコストとランニングコストを単純に足すのと、資料5のp.15で、燃料費を2倍において計算するという提案をさせていただいていますが、この辺りはどうでしょうか。

大聖座長:燃料の重み付けを2倍にしたということです。そうすると燃料の価格が倍になったというふうに考えて試算するということです。これはCO2対策的に、少し踏み込んだ評価の方法と考えていいかもしれないですね。

環境省(笠井課長):燃料種は別のままにしておいてという議論をしています。

和泉澤委員:余計な話ですが、将来から今の時点をさかのぼって見たときに、こういう政策的な重み付けというのが吉と出る、すなわち2倍の重み付けをするというのがいい結果になる場合もあるかもしれませんけれども、危なげのない話でいえば、次のようなことではないでしょうか。まず、調達する人が自分の走行距離は1万kmかもしれないし、10万kmかもしれないが、そうした実績を念頭において、一定の計算に基づいてランニングコストはこの車だったら、このくらいかかるという実情に応じて比較しました。それで実際のCO2排出面で一応は優良な選択をしたことになるわけですが、それに加えて更にもうちょっとCO2を減らす、あるいは燃料使用量を減らすというのは、別途の、例のエネルギーCO2換算で7%を減らしていくという政策でやられていますから、結論から言うと2倍の重み付けというのが相応の根拠がある場合には、将来に対するメッセージとしては有効だろうと思いますが、それがCO2の更なるマイナスにどうつながるかのコンセンサスがはっきりしないときは、別途CO2排出減、電力を含めたところの縮減ですね、7%減。政府全体の、各省庁でもやっていますよね。そこのところで別途達成してもらうという発想のほうが穏やかな気がします。

和田委員:結局選定のための基準であって、笹之内さんがおっしゃった結果をモニターするための基準ではないです。燃料価格を2倍にするということをやりますと、実際に何が起こるかといいますと、環境省さんの環境税でも数%で非常に効くような試算になっているわけです。2倍になったら走行量が半減してしまうということも入れてこないと、多分おかしくなると思うので、ですからここはやはりある程度実態に応じたものをやらないと説得性が何か低いです。

大聖座長:これは計算上は、燃料価格が2倍になることに相当するという意味で、燃料価格が2倍になると使用過程で予測してやると、現実と違うではないかという話に必ずなって、2倍にもならないと思います。だからそうではなくて、CO2対策という観点で重みを付けたという行政側の考え方でないとやっぱりまずいと思います。たまたま勘案するということなのでしょうね。それはCO2対策的な観点を踏み込んで入れたという考えです。行政側でそういうふうな立場を取るということに対して合理性があるかどうかということでね。一つは。

和泉澤委員:その場合、ポイントになるのは、車の選定をするときには重み付けをして選定をしました。では走る距離やガソリンならガソリンの使用量節約というのが、どう担保されているのだろうかという話になると思います。ですからこれで選定をした車というのが、国で使っている間でもいいですし、売り渡したあとでもいいですが、それがどう使われるかまで本件ではレギュレートできないですよね。CO2対策として現実の排出量を管理抑制する、レギュレートあるいはコントロールをするというのは、この配慮契約法のみならず、広く他の行政措置や政策メソッドを通じて、少なくとも国の官庁のところでは、減らせという大枠で囲っていって、その中で減っていく、あるいは減らしていく。そういうパッケージだということです。ここに対する期待というのが、本件単体でそれほど高いことを期待されるのは辛いという気が個人的にはしています。

環境省(笠井課長):よろしいですか。和田委員が言われたとおり、これは契約の時点でどう選定するかという基準です。重み付けを2倍においたというのは、大聖委員の言われたとおり、別にそういうことを予測するとか、結果を担保するということではなくて、2倍において契約のときに考えようということです。まさに環境の価値をどれくらいにおくかという思考実験でご提案をさせていただいたということです。2倍におく裏づけがいるのではないかというご指摘もごもっともだと思いますが、そこをどう考えてみるかというところがポイントではないかと思いますが、2倍においた通りに燃料費が削減されるかどうかということを求めているわけではないので、そこはちょっとまた別の議論になるのではないかと思います。

和泉澤委員:細かい話ですが、いろいろなものの見方があってよろしいかと思います。例えば10・15モードから、今度のJC08のところに行きます。今日のペーパーは、走行距離や燃料の使用数量、価格だと書いてありますが、CO2からみれば要は燃費なわけです。同じ走行距離、同じ耐用年数である車を調達しようとするならば、当然そこに燃費というものが現れてくる。それを意図的にもう少し重みを付けるのか、新しいJC08モードといったところの燃費は必ずそれはそれなりに効いているはずですが、燃費の寄与度を2倍効かせるかどうかの話です。私の感覚からすると、今後、各メーカーさんにおかれて低CO2云々といったところは、大きな流れで進んでいくと思います。そういう意味では、JC08モード、ないし昔の10・15モードといった一つの指標は土台にして、重み付けをしないとなかなか進まないということがあるならば、その現実と理由を示して、バシッと、また2年後とかに重み付けをしていく。年度の途中でルールを変えると現場が混乱しますから、事前にアナウンスをしておく。例えば今日の議論で言えば、未来永劫これでいくということではなくて、重み付けをしなければ、適正調達、あるいは環境配慮調達というのが難しいという事態が出てくれば、燃費による重み付けというのも、年度計画は毎年改訂していくわけですから、それはあり得るということはメッセージとして残しておくというのでいかがですか。

笹之内委員:もし2倍にするという理由付けをしないといけないならば、一つのアイディアとして、日本で、全体ではなく平均でいいのですが、1トンのCO2を下げるコストというのが、確かIEAのレポートに出ていたと思います。そこから引いてくる手はありますね。それだったら説明がつきますよね。要するに民間ではなくて、行政機関がやるのですから。その結果、国の削減に公に貢献したところから見ると、1トン当たり削減するコストというのは、日本のいろいろなところで文献が出ていますから、それはトン当たり4,000~5,000円か、もっと高かった気がしますけれども、それから逆算して導入できます。今先生が言われた1リッターと何gの関係があるから、そういうことをしないとなかなか説明しづらいのではないか。

大聖座長:当然ウェイト格差を2倍にしてやりますと、全体としては高い買い物になります。それを短期間で取り戻すという想定でそこの部分を何とかするということですから、そうではない普通の車を買ったときの車両の価格差が、結局はCO2の削減の、笹之内さんが仰った、トンで計算ができてしまいます。シビアにいうと。ただこれは個人的な意見ですが、本当にそこまでシビアに計算する必要があるのかという気がしますけれどもね。例えばメンテ基準、超過達成10%をやっていたら、あとは価格で勝負してくださいという考え方もシンプルにあるのではないかという気がしますけれども。どうでしょう。

大聖座長:燃費基準の、今たまたま超過達成の10%、20%というのが国交省で出ていますので、それをうまく活用すると10%でも20%でもいいです。超過達成をしていたら、そこで1割も担保されているわけですから、あとは価格で勝負するとかね。そういうもっと緩いというか、そちらのほうがわかりやすいかもしれませんね。

和泉澤委員:私は別にウェイト付けを2倍にすることに反対ではないですが、調達制度の実態から言いますと、予決令のところで会計検査院などをクリアして、これはこの範囲で大丈夫だ、それを価格に換算するとこうなるという予定価格や総合評価のガイドを示さないと、会計の調達の人は身動きが取れないのです。何しろ11月に施行しないといけませんから、スタートするときは取り敢えずこれでやっておいて、やはりそれでは不十分だというときの話ではないでしょうか。環境配慮といったところは、今座長からお話がありましたけれども、例えば一つの合格ラインを引いて、それの上の技術水準なら、あとは値段でやってちょうだいというのが一番簡単なのは事実です。しかし、本件は総合評価調達方式になりますから、総合調達方式のコスト、価格としてやらないとだめです、予決令上は。そのためには1ヶ月半ではきついのではないかという気がしています。それで将来の課題という軟弱なことを申し上げております。

和田委員:今大聖先生が10%と過達という話が出てきましたが、ちょっとそこのところは危険ではないかという気がしています。日本の燃費基準はイナーシャ・ウェイトクラスごとに階段状になっています。過達している車という基準で選んでも、燃費の過達している車というのは重い車が多いです。ですから今日本の燃費のトップランナーというのは、RVとか、SUV車です。そこの燃費基準が緩いですから、過達率が高くなります。パラドックスが今起こっております。ですから本当に燃費ということで比較するのでしたら、やっぱり絶対燃費のほうが危険はないのかなあという気がします。ちょっと計算してみないとわからないですが、ある程度いろいろな計算をしてみて、どういう感じになるのかとやってみることが、最初は一つだろうと思います。それからもう一つは、これは確かに評価基準ですが、やった結果、国としてのCO2排出が減ったのかどうかというのは、また別の方法でモニターしないと、これはやることが本当にいいのかどうかというのがわからない。だからその二つの仕組みで抑えるのを考えないとだめなのではないかと思います。

環境省(中山補佐):ただ今のお話で申し上げますと、過達率のほうは、おそらくグリーン購入法の世界で、それぞれのグレードごとに少なくともこれだけというのを必要があれば決めておくということなのかと。その中で少なくとも2倍にしなかった場合に関して言うと、これはコストという意味で申し上げてもそれだけ安くなっているわけですので、会計の問題からしても問題ないというか、むしろ望ましいということになりますので、少なくともそこまでは行きましょうというのが、この法律の出発点です。さらに環境という面について欲を出すかどうかというのが今の話かと思っております。そういう意味で和泉澤先生のお話にもありましたように、とにかくまず出発点でいろいろな欲を出すよりは、とにかくやるべきであると言われていることから進めるのがどうかというのがご意見かと受け止めております。

和泉澤委員:あり得るメッセージとすれば、いわゆる経済学的な計算は、資料5のp.15はそうおかしくはないです。一つの例ですから。出すメッセージとするならば、走行距離、あるいはどのくらいのものを使うかというのを、今までの実績に比べて何%減らした数量で計算をしなさいというほうが余程明確なメッセージになります。ただしそうすると各論に入りすぎるきらいがありますね。それから7年まるまる使わないと思いますよ。7年、目いっぱい使う場合もありますが、通常の霞が関で走っている官用車は使わないです。この車を何年回してどうするのかというところまで組み込むことはいいと思いますが、計算が面倒になると思います。将来的にはそれが美しいと思いますが、先ほど和田さんが仰ったとおり、あまり複雑な設計にするというよりは、問題点は抱えているのを理解しながら、単純な姿でスタートするといったほうが、あとの修正が効きやすいという感じがします。

大聖座長:さっき和田さんが言われた超過達成しているのは重たい車のほうが多いということでしたが、ただ行政側としては選ぶ車種というのは重量で選ぶわけではなくて、その使用目的に合わせて選ぶわけですから、そのカテゴリーの中で10%でなくてもいいですけれども、去年まで超過達成率は5%でしたから。そういう基準の使い方というのもいろいろあります。何年使うかというのは買った時点でも保証の限りではないものですから、わかりやすいほうが、あるいは燃費基準の指定のあり方にも適合するようなものを整理して頂ければと思います。それは私の個人的な意見ですが。ちょっと時間も経過しておりますけれども、今日はなかなか現実的な、非常にリアルと言いますか、生々しい議論も含めてご意見を賜ることができて有意義だったと思いますが、いかがでしょうか。他にご発言は。

環境省(中山補佐):生々しいついでというか、JC08に大体どのくらいで変わってくるのかというところが気になるところではあります。特に燃費達成率の良いほうの、そういう意味では新しいほうの車から変わってくると思いますが、その辺りはどのくらいの、グリーン購入法で。

和田委員:輸入車組合の立場で言いますとちょっと問題がございます。JC08ですが、省エネ法が出たのが7月2日でまだ基準の英文が出ていないもので、我々は全く準備ができておりません。ですから最速でも2009年のポスト新長期の時期が一番早い時期かと思っております。今言ってしまえば、国産車の方々はかなり早い時期にいくかもしれませんが、輸入車はかなり遅いのだということだけをご理解いただければよろしいかと思います。

大聖座長:この前プリウスが、JC08で燃費の発表をされましたけどね。

浅川委員:基本的にはマイナーチェンジでもフルモデルチェンジということで、それくらいになると思うのですが。既存車を同じに使うというのはまずあり得ないです。

大聖座長:排出ガス基準のほうでいきますと、実は2011年にもう一回、コールドスタートが変わりますけれども、皆さんは両方ともJC08でやられるということなのでしょうか。その辺はちょっとどうですか。

和泉澤委員:私が知らないだけなのですが、JC08モードというスタンダードと、インターナショナルスタンダードというのは、ばらばらでないだろうと思いますが、少なくとも整合的に進んでいるというか、そういうイメージで考えればいいのか。今世界中自動車産業は、ばらばらになりつつあるのでちょっと教えていただければありがたいです。

大聖座長:私が言うのもあれかも知れませんけれども、まだまだ統一は取れないと思いますね。乗用車が一番最後になるのではないでしょうか。オフロードビークルなどはそういう標準化が図られつつありまして、モーターサイクルのほうはもっと早いですかね。そういう順番で乗用車は一番最後になるでしょうね。このJC05に私もかかわったのですが、関西、首都圏で車をいろいろ走らせて解析した結果、こういうモードを作りました。国情を反映しているということです。なかなか統一というのは、日米欧米の綱引きがありますので、あるとすれば2015年というお話がありましたけれども、それ以降になるのではないか。それでは、どういたしましょうか。予定的にはちょっとまだ時間が余っておりますので、さらにこういうご意見があれば。議事録の上では論点を整理していただくことが大事だと思います。かなり意見が前後して、飛んだり戻ったりしていますので、この辺も配慮して議事録を整理していただいて、論点整理的なものを箇条書きにして次回までにまとめていただけると、事務局は大変ですがよろしいでしょうか。では事務局に渡します。

(3)その他(次回の日程等)

環境省(笠井課長):どうもいろいろご意見をありがとうございました。契約法ができたのとコストの考え方も変わってきているということも踏まえて議論していただけたと思います。今日のご指摘は、ランニングコストの前提条件をどうするか。また車種別、燃料種の考え方だと思いますが、さらに追加のご意見がございましたら、木曜日までに事務局までご連絡をいただきたいと思います。次回は、9月25日(火)の15時30分から、経済産業省別館、この建物の1012号室ということになっております。

大聖座長:今日はこれで、どうも長時間ありがとうございました。

以上