平成25年度 環境配慮契約法基本方針検討会 ESCO専門委員会(第1回)議事録

出席委員:
石井委員、大森委員、倉田委員、栗山委員、坂本委員(座長)、時田委員、永野委員
(五十音順、敬称略)

1.日時

平成25年8月26日(月)14:30~16:30

2.場所

三番町共有会議室 大会議室


事務局: 本日はお忙しいところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成25年度第1回環境配慮契約法 基本方針検討会 ESCO専門委員会を開催いたします。会議に先立ちまして、環境省総合環境政策局総務課坂口調査官よりご挨拶申し上げます。なおカメラ撮りは配布資料の確認までと致します。

坂口調査官: 専門委員会の委員の皆さま方におかれましては、大変お暑い中、本日の第1回環境配慮契約法ESCO専門委員会にご参加いただきまして、ありがとうございます。また日頃より、環境行政の推進にあたり多大なご理解、ご協力をいただいておりますことについても感謝申し上げます。環境配慮契約法は、国等の機関が契約を結ぶ際に価格に加えて環境性能を加えた内容を総合的に評価して、もっとも優れたサービスや製品を供給するものと契約するというものでございまして、平成19年に施行されました。法の施行から5年を経過した現在、これまで取り組んできた中でも特にESCOに対する取り組みがなかなか進んでいないことが現状でございまして、本年度はESCOの普及促進の阻害要因に関して分析して、適切な普及促進策を検討していただくことが重要と考えております。また、先日行われました環境配慮契約法の基本方針検討会においては、環境配慮契約法のESCOの枠に留まらず、改修工事等に基づく省エネ効果等への取り組みを評価した方がよいのではないか、という意見もいただいておりまして、これらを踏まえて普及促進策を検討していただきたく考えてございます。本委員会は今年度3回の開催を予定しております。委員の皆さま方におかれましては幅広いご見識を賜りますようお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。

事務局: まず、本専門委員会にご参画いただいた委員の皆様をご紹介いたします。
委員名簿は資料2としてお手元に配布しておりますので、適宜ご参照下さい。
資料2について説明(省略)

事務局: 次に本専門委員会の公開等についてご説明いたします。お手元の資料1「検討会開催要領 4.公開等」にあるとおり、本専門委員会の公開等は、環境配慮契約基本方針検討会に準ずることとなっており、原則公開で資料、議事録については会議の終了後、座長の承認の上、ホームページ等により公表することとしております。また「3.組織(6)」のとおり、本専門委員会の座長は、基本方針検討会の委員を務められている坂本委員にお願いしております。
 それでは、以後の議事進行につきましては、坂本座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

坂本座長: 座長を務めさせていただきます。ESCOの関係の話でございますが、環境配慮契約としてESCOを行って省エネ、省CO2に寄与しなければならないことになっているのですが、坂口調査官のご挨拶にもございましたとおり、なかなかESCOそのものが契約として表面に出てこないことで、非常に進んでいないように見られている感じがあるわけです。ESCOというのはアメリカなどで発展したものですから、日本人のマインドとか日本の制度になじまないようなところがあるのかと思ってもおります。その一方で、日本はエネルギーがない国でございますから、省エネルギーということについて、3.11のこともございますけれども、実際には皆さま熱心に取り組んでいるというのが、省エネを専門としてきた者として実感として日々感じています。そのあたりの実態を上手く表現するということが、上手くこの環境配慮契約という枠組みの中で表現できれば、皆さまそれぞれ責任を果たすということになるのではないかというふうに考えている次第です。委員の皆さまについては、大体私が存じ上げている方でもございますので、本音ベースでご意見をお聞かせ願って、上手く3回でまとめて上の検討会に提案できればと考えております。ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。簡単にご挨拶ということでお話させていただきました。これから議事に入りたいと思います。まず事務局から、本日の議事予定、配布資料等の確認をお願いします。

◇本日の議事予定

事務局: 本日の会議は、16時半までの2時間の予定となっております。

◇配付資料の確認

事務局: 次に配付資料の確認を致します。

 この他、環境配慮契約法の基本方針関連資料冊子をお配りしております。
 なお、基本方針関連資料には、法律や基本方針、解説資料が盛り込まれておりますので適宜ご参照ください。

 資料の不足等あれば事務局までお申し付けください。

3.議題

(1)ESCO専門委員会における検討事項等について

坂本座長: それでは議事に入りたいと思います。議事次第にあるとおり、本日は3つの課題がございます。1つ目がESCO専門委員会における検討事項等について、2番目がESCO事業の導入事例の整理・分析について、3番目が検討スケジュールでございます。本日ご参加していただいている皆さまはすでにご存じのとおりと思いますので、お配りしております資料3、環境配慮契約法及び基本方針の概要については割愛したいと思いますので、よろしいでしょうか。それでは本日の最初の議題でありますESCO専門委員会における検討事項等について、資料4および参考資料1、参考資料3を基に事務局よりご説明をお願いします。

事務局: 資料4、参考資料1について説明(省略)

坂本座長: ありがとうございました。この専門委員会のミッションについてご説明があったと思いますので、ご質問、ご意見等があれば、ご自由にご発言願います。

永野委員: 資料4 2.(1)の調査にあたっては、ESCOに限定せず省エネ機器設備更新の実施状況についても調査を実施するというところなのですが、やっていただくのは構わないのですが、ここでESCO以外に省エネとか設備更新をやっているので、ESCOはやらなかったけれどもいいでしょうというような結論に導くのは止めていただきたい。そういうことはないと思いますけれども。同2.(3)の方であくまでESCOについて、改めてどういうところがいいのかと調査を想定されているのでいいとは思うのですが、一応これを何故調査するのかということも含めて意見として聞いていただきたいと思います。あと、寄せられた提案について、同3.(2)の方で、法律の変更が必要になるのでそれは難しいというお話をされたと思いますが、5年前の委員会の時に頭金方式を認めていただいたかと思います。どのみち熱源を更新するので、頭金は国が払うという仕組みを描いていただいたのですが、あれが法改正なくできた理由は何でしょうか。

野崎補佐: 設備更新型ESCOについてのご質問かと思いますけれども、更新の部分とESCOとして扱う部分というかたちに切り分けまして、更新の部分は5年かからないところで負担して、他の部分は10年まで認めるということです。

永野委員: そうであれば、ここで指摘されている方はそれをご存じなくご提案されていると思うので、いいのではないかと思います。3ページの下の方に、なお提案ではないものの、上記の他にESCOの活性化を図るため云々と書いてありますが、これに対しては特にフィードバックをされるご予定はないのでしょうか。

野崎補佐: なお提案ではないものの、と書いてございますのは、今後普及するにあたってこういった取り組みをした方がいいのはないかということで、ご意見というかたちでいただいており、今後第2回、第3回の時に普及策を検討していく際にフィードバックできればいいかと思っております。

永野委員: わかりました。是非そうして下さい。もう一件だけお願いします。参考1ですが、これはまだ暫定版だと思うのですが、分母を教えてください。6件とか9件とか書いていただいていますが、どれだけの施設にヒアリングをされた結果なのか。3の方を見ると2,463件とあるので、少なくとも2,463以上は聞いたということですか。

事務局: これは基本的には国の機関、裁判所とか国会、地方の出先も入ります。それから独立行政法人の出先も入りますし、国立大学法人も入る、特殊法人も要件によっては入ってくるということで、分母としてはかなりの数になります。細かい数字までは今は手元にございません。

永野委員: 大体でいいです。100件の9件と3,000件の9件では違うので。

事務局: 少なくとも数千にはなります。

永野委員: それがわかれば結構です。ありがとうございます。

坂本座長: 他に何かございませんか。

栗山委員: 今のご質問に関連するのですが、この冊子の70ページにESCO事業の枠組みの図が載っているのですが、そもそもESCO事業というのは、かけた工事費を光熱費の削減額で年月をかけて回収するというのが枠組みですね。今お話にあったように、国には頭金を出すという方式があるとことは、実際の方々はご存じなのでしょうか。

野崎補佐: 基本方針及び解説資料については、毎年全国説明会を行っておりまして、国、地方自治体、民間業者向けの説明会ですが、そちらで説明させていただいております。

栗山委員: それが本当にしっかり浸透しているかどうかです。

野崎補佐: ESCOとなると、専門知識を持たれた方でないとなかなか理解されないというところはあるのではないかと思っています。

栗山委員: 民間や自治体の場合は、エネルギー使用が多い施設ですとESCOが成り立つ施設も多いのですが、後で議論の対象になると思いますが、国の場合はエネルギー消費量がかなり少ない。そうすると同じ工事費をかけても、民間や自治体のように期待できる削減量を得られない場合が多いと思います。そうすると民間のESCO事業と同じような仕組みは成り立たないですね。国の施設では頭金を乗せていただかないとESCO事業が成り立たない。その辺をしっかり認識しておかないといけない。これがひとつのネックだと思っています。同じ工事費をかけて、同じ規模の建物で5,000m2の民間の建物と、官庁の建てたものとでは、エネルギー消費量は全然違います。そうすると同じ率で削減しても、官庁の場合はESCO事業が成り立たない。そうなると頭金を積まなくてはならないという話になる。それが認識されているかどうかなのです。せっかく頭金という制度を作っておられるのに、それが普及していないということであれば問題だと思うので、あえて申し上げました。

野崎補佐: おっしゃられていることはそのとおりだと思っていまして、普及に努めていきたいと思っているところです。

坂本座長: そういうアンケート結果はなかったですか。なぜESCOをしないのかという理由が分かるような結果があったと思います。資料に出ていませんでしたか。

野崎補佐: 参考1を見ていただくと、なぜ実施できないのかということでアンケート調査を実施したところです。やはり大規模施設がないとか、効果が期待できるほどの施設がないというのが多いという結果になっております。

坂本座長: これに答えている人は、頭金を出すという方式での設備改修のことは知っているだろうと思ったのですが、必ずしもそうではないのですか。

野崎補佐: これまで紹介はしているので知っているとは思いますが、それが深く理解されているかというのは微妙なところがあるのではないかと思います。専門知識を持たれている方でないと、なかなかESCO事業を進める上で計画を立てるのが難しい面があるのではないかと思っております。

永野委員: もう一度確認なのですが、参考1の4、平成19年度以降の累計実績がない場合の理由を回答されている方は、数千の施設の中の29件なのですか。

事務局: 分母は施設ではなくて各機関になりますので、独立行政法人で100程度、あとは各省と国立大学法人ということになります。

永野委員: せっかくまとめていただくのであれば分母がわからないと、世の趨勢なのか一部の意見なのかがわからない。その辺を反映していただけるといいと思います。

坂本座長: 他にございませんか。

時田委員: 設備更新型で、国のお金を頭金として出せるというお話でしたが、どういう考え方で出せるのですか。

坂本座長: 時田委員が心配されているのはどういうことですか。

時田委員: 要は国のお金を使うわけですから税金です。これをESCOというビジネスの頭金として出すわけですが、その頭金がどういう算定で出せるかというあたりは皆さまご理解されているということでよろしいでしょうか。

坂本座長: ある時期が来たら設備を更新しなくてはならないということはあらかじめわかっているわけです。それで予算を組みます。そこで、来年度はこの設備を改修できそうだという時に、他の省エネになりそうなことも含めてESCO事業とします。例えば熱源だけ更新するというのが一番多いようです。それに付随してもっと省エネになりそうなこともESCOで年数をかけてやるなど、そういうパターンが一般的だと記憶しております。

時田委員: ちょっと感じたのは、ESCOの事業期間は10年という話でしたが、熱源機、冷凍機、空調機の寿命は20年ぐらいになります。その辺がどういう算定で出せるのかという疑問を感じました。この場でなくても、また次回以降にお答えいただければいいと思います。

野崎補佐: 次回お答えいたします。

坂本座長: 他によろしいですか。では先に進めさせていただきます。2つ目の議題、ESCO事業の導入事例の整理、分析について、資料5などを使って、事務局よりご説明をお願いします。

(2)ESCO事業の導入事例の整理・分析について

事務局: 資料5、資料5別紙について説明(省略)

坂本座長: ありがとうございました。ご質問、ご意見をお願いします。

時田委員: 庁舎の場合は非常にエネルギー消費量が抑えられているというご説明がありました。資料5の別紙1の1枚目に円グラフがありますね。この円グラフで、オフィスと庁舎等で19.2%を占めていますが、この中で庁舎はどれくらいを占めているのですか。

事務局: もとの資料で確認いたします。後ほどお答えさせていただいてもよろしいですか。

時田委員: わかりました。

永野委員: よくデータを集めていただき、ありがとうございます。ESCO推進協議会に聞いてみたのですが、ESCO推進協議会は毎年緻密にデータを取っています。累計で2,352件データがあります。その中には当然工場も入っていますが細かく分けてあるので、もう少し調査をされるご希望があるのでしたら、推進協議会からデータでお渡しできると思いますので、それを分析していただければと思います。ただ、著作権がどこにあるかは存じ上げないのでそこはご確認いただきたい。あとは、参考1にこだわって申し訳ないのですが、資料5の6ページ、国の機関の建築物の現況についてということで、このデータを拝見していて、1の用途別施設数の中に建築後30年以上経過した建物が54.7%とか55.3%という非常に大きなパーセンテージが書いてあるにもかかわらず、参考1の4、なぜやらないのですかという質問の中に、イ)ESCO事業の効果が期待できるほどの古い施設がない、が47件もあります。何度も申し上げますが、分母がないので、一部の方が書かれている意見なのか、全員がそう言っているのか、普通に見比べたら整合性が取れていないので、せっかく調査されているのにもったいない。2つのデータから類推できるような調べ方をしていただいた方がいいのではないかと思います。もう一つ申し上げると、非常に細かく分析していただいてありがたいのですが、ESCOをやっている我々からすると、実は建物が古いとか、原単位などはあまり関係がなく、一番重要視しているのは稼働時間です。これが最大のポイントです。大きい方がいいのですが、小さいからできないということではなくて、24時間365日使っているようなホテルや病院などは、同じ値段の機器を投入しても投資回収が早いです。ですので、もしまだ調査されるご予定があるのであれば、稼働時間に絞っていただいて調査をお願いしたい。何m2とか築年数ではなくて、稼働時間にスポットライトを当てていただくと、国の施設の中でも研究所や病院、こういうところが多いというのは稼働時間なのかなという姿が見えてくると思います。ESCO推進協議会で取っているデータがどこまで稼働時間を把握しているかはわかりませんが、請け負っている我々からすると一番気になるのは稼働時間です。これは工場であろうとビルであろうと、共通して一番最初に考えるところです。

坂本座長: 今のご発言についてなにかコメントはございますか。

事務局: 事業者に対する調査ということもありますので、それも含めてご相談させていただければと思います。永野委員にご相談させていただくというかたちでよろしいでしょうか。

永野委員: 私は事業企画委員会の委員長を務めていますが、代表理事である中上理事にお話しいただければ、それが各委員会に下りてくるというかたちになると思います。

坂本座長: 他にはいかがですか。

石井委員: 質問なのですが、資料5別紙のスライドの6、黄色がオフィス、庁舎と書いてあるのですが、他の色で契約期間がけっこうきれいに分かれている。色の区別はどうなっておりますか。

事務局: これは5年、10年、15年で切っているというだけの話でございまして、なぜかと申しますと、この専門委員会でご検討いただきたい内容のところで、5年というのが今までの一般的な会計法の上限、それから5年から10年というのが環境配慮契約法で延長になった分、さらにそれ以上やった場合にどのくらい増えるか、ということを見ていただこうという意図で色分けをいたしました。説明不足で申し訳ございません。

石井委員: 色分けで用途別にしているのは黄色だけで、他は用途別ではなくて契約期間別で切っているということですね。グラフとしてはわかりにくいかなという気はしますが、意味はわかりました。あとは、永野さんのおっしゃったことと同じになってしまいますが、分母の話です。資料5の6ページで国の機関の建築物の現況についてというかたちで見せていただいているのですが、これは独立行政法人が入っていないデータかと思います。また、分母の単位が、機関の数なのか、施設の数なのか、それとも棟数なのかというのも重要です。参考1で他が9件、10件というところに対して2,500件というような省エネ改修の件数があったと思うのですが、それは分母が施設数とか棟数とか、下手をすると一棟あたりでも何件もあるようなデータではないかなという気もしますので、そのあたりがどういうバランスなのかというところが次回見えるといいと思います。施設の更新が10年に1回か20年に1回発生しているとすると、全体の総分母が1万なのか10万なのかで、その中で2,000件という数が多いのか少ないのかということが判断できると思います。実際には、ESCOが導入されたかということよりは、省エネの改修を検討したかどうか、検討した時に各担当者がESCOを選択肢に入れていたかどうかが大事だと思うのです。選択肢に入れながら、理由があって外したのならいいと思いますが、選択肢にあることを知らないで過ぎてしまったのだとすると、今後の普及政策方針が違ってくると思いますので、そのあたりがわかるようなデータの取り方、分析の仕方をしていただけるとありがたいと思います。

時田委員: 今日は永野委員や倉田委員がおられるので教えていただきたいのですが、聞くところによると2008年、2009年に官公民を問わずESCO事業そのものがかなり衰退したが、昨今またカムバックしてきているということですが、どの辺をターゲットにカムバックしてきているのかということをお聞きしたいです。

倉田委員: 実は施工会社にとってESCO事業はリスクの割に利益がでない。非常にリスキーな事業で、我々工事業者は単年度決算ですから、工事をして物を納めていくらというところで事業をしている者にとってみると、やはり5年、10年債務を抱えるというのは嫌がります。経営者にとってはリスクです。我々がなぜやっているかというと、CSRの観点で、お客様が要望されれば当然それにお応えしようとします。けれども、保証するというのはアフターサービス、無償に近い状態ですね。ですから、そういったものを抱えるというのはやはりなかなか進みにくいというのがあります。ただそうは言っても、やはりお客様にとっては、病院とかホテルとか稼働時間が長くて、エネルギーを多消費するところにとってみると、運営や維持管理にかける費用というのは相当ありますので、それを含めたかたちでエンジニアリングして欲しいという要望は当然多くなっています。そういった違うかたちでやっているということはあろうかと思います。

時田委員: それはビジネスとして成り立つターゲットを明確にしてきているという感じですか。

倉田委員: おっしゃるとおりです。ビジネスとして成り立つものを我々は推進しているということが言えるかなと思います。

時田委員: ありがとうございました。

永野委員: 2008年に急に落ち込んだのはリーマンショックです。間違いございません。落ち込んだのは製造業です。製造業の方が、工場の閉鎖、海外移転も含めて、中長期的な視点で設備投資ができなくなりました。それが最大の落ち込みの原因です。ということは、逆に申し上げますと、ビル系の案件は減りはしましたが、工場ほどは減らなかったです。最近仕事が増えてきた理由は、電力代が上がったからです。両方に共通して言えるのは、お金次第で人の行動は変わるということを、私は15年この事業をやっておりますけれども、痛切に感じます。

事務局: 先ほどご質問があったところでございますけれども、オフィス・庁舎の分母としましては37でございまして、うち公的な部門の庁舎と思われるものが18、約半分でございます。先ほどの円グラフで19.2%にあたるものが37でございます。繰り返しになりますが、そのうち公的部門の庁舎と思われるものは18でございます。市役所とか合同庁舎ということでございます。

栗山委員: 資料5別紙の契約期間の話。10年を延ばすという話ですけれども、事業者としては延ばす必要はないと考えます。10年以上の事業なんてやりたくないです。9年、10年のところに集まっているのはそういうことです。民間でも10年以上の事業はやりたくないので、ここに収まるようなESCO事業をやっていくからここに集まっています。それから稼働率の話は、調査されている物件で年間の電力消費量と最大電力がわかっていますので、それを割れば稼働時間は大体の傾向が出てくると思います。正確ではありませんが傾向は出てくるはずです。それから調査でお願いしたいと思っているのは、ESCO事業の手法というのは大きく分けると3つありまして、ひとつは本体を取り換えて省エネになる手法。本体の費用が安い照明器具などです。2つ目が本体は取り換えずに追加機器、自動制御等で省エネするものです。例えばインバーターとか、専門的な話になりますが室内のCO2濃度制御とか、そういうものが2つ目です。それで本体も取り換えるがなかなかESCO事業にはなりぬくいというのが熱源。大きくその3つの分類に分けられると思いますが、今までの国でやられたESCO事業とか地方自治体、民間でもいいのですが、それを少し分析された方がいいと思います。先ほどの頭金の話ですが、熱源などは絶対に頭金を入れないとESCO事業にならない、というような傾向がわかると思います。大きく3つの分類で調べられたらはっきりしてくると思うので、そういう調査を追加的にお願いしたいかなと思います。工事費用以外に機器のメンテナンス費用、維持費用、これを事業者が負担するのか、発注者側が負担するのかによって、かなり大きく事業性が影響してくるので、最近は保守費用に関しては発注者側が負担するというような流れも出てきています。そういうESCO事業の枠組みの中のことも、少し変更をお願いしたいなと思います。例えば今までボイラーが設置されていて、ボイラーをなくした時に、ボイラーに今まで100万円の費用がかかってきたと、それをESCO事業者にあげるという枠組みになってきています。国はそれをどうされているかという話なのですが、その辺を含めて、工事費と光熱費以外の項目が経費としてかかってきますので、その辺の枠組みが事業者に有利になるような枠組みにしていただければESCO事業も普及しだす可能性もありますので、そういうこともお考えいただきたいなと思います。

坂本座長: ありがとうございました。次のメンテナンスがどうなるのかという話は国の施設であれば決まっているのではないですか。庁舎側が持つというか。

野崎補佐: メンテナンス費用はESCO事業で支払う事業費で賄われているということになります。ESCOが成立するかしないかのフィジビリティスタディの時に、元々かかっている保守、メンテナンス費用の考え方をどう扱っているのかというご質問だと思います。それは今後詳細な調査でフィジビリティスタディの調査結果とか、あとヒアリングもしていきますので、どういう扱いになっているのかということを確認したいと思います。

栗山委員: 当初、7,8年前までは、今までかかっていたボイラーの100万円を発注者側が取り上げてしまっていたんです。ESCO事業者のメリットにならなかったんです。それが何年か前からは、ESCO事業者に入りますというようなことに変わってきています。ところがそれが国の枠組みとしていけるのかどうか。

野崎補佐: それはなかなか難しく、ESCO事業者にあげるという考え方はないと思います。

坂本座長: でも新しい更新した機械にメンテナンスがかかるでしょう。

栗山委員: それは事業者が持っていた。古いいらなくなったものは発注者側が取り上げるというような制度だったんです。

永野委員: 今の議論は平成19年の第2回の時に議論されて、国の方が考えてくれて、この本(環境配慮契約法の基本方針関連資料冊子)の80ページに出ている。改修前と改修後、光熱水費プラス維持、保全にかかる費用というふうにしてくれたので、そこは見てくれたはずです。

栗山委員: これは新しい機器の維持、保全にかかる費用ですよね。廃棄したものの補修費はどこに行っているのかなという。

永野委員: 検討してくれた記憶があったのですが、されなかったですか。

野崎補佐: 確認をしたいと思います。

栗山委員: 資料5の6ページ。合計で898MJ/m2ですね。宿舎が4割くらいもあるのになぜこんなに少ないのかというのが疑問なのですが。

事務局: これは宿舎以外です。

永野委員: 先ほど栗山先生が15年は必要ないとおっしゃいましたが、あえて申し上げますが、それは立場が違うと違ってくると思います。実際の公募で15年の契約もあり、何かというとコジェネが絡むものです。ガス会社とか石油会社とかエンジニアリング会社、こういうところは、庁舎だったり病院だったりそういうところにコジェネを絡めた提案をされるのが常、常と言うか提案される傾向があるのですが、それだと10年ではなかなか成り立たないので、彼らの道を閉ざさないように、もし15年に延長を検討していただけるのであれば、していただけたらありがたいなと思います。第三者的立場で申し上げました。よろしくお願いします。

倉田委員: フィジビリティスタディでも0件、原単位でみても900MJ/m2程度しかなくて、要するに現行のやり方だと絶対に進まないですよね。何か変えるかしないとだめだというのは明確だと思います。これはひとつ提案ですけれども、民間がやっている、あるいは地方公共団体でやっている今のESCO事業ではなくて、国なんだから、この800を半減、400にするためには画期的は何か新しい技術を入れる。そのかわり費用はかかるというかたちで、その分を何とかしていただくと、我々民間としても何とかなるのではないか。同じようなかたちでやると、10年15年かけても改修して利益を上げるなんていうことは不可能ですから。その辺は考え方を一掃していただいて、国なんだから新しい省エネルギーの手法を積極的に入れましょうというかたちを何とかとっていただけないものか。これは私の希望です。

坂本座長: 環境配慮契約法の中では無理だと思いますよ。

時田委員: せっかくの機会なので、よく聞く話をお話します。公的機関のESCO事業の場合には、応募手続き、提案書の作成等に非常に労力がかかること、それからビジネスとして魅力のある案件が少ないこと、長期のリスクが取れないこと、結果として思ったような利益が出ないこと、そのような話を聞きます。もうひとつ検証の仕方を簡略化できないか、あるいは短期間でできないか、という話を聞きます。倉田委員のところは霞が関の案件をやられたことがあると思いますが、参考になるような話があれば、披露していただきたいと思います。

倉田委員: 経済産業省ですか。経済産業省のESCO事業も画期的なことはやっておりません。検証の手法は、国土交通省の方とひたすら議論をして、それで固めていったというやり方でした。期間は3年で、予算は経済産業省が出すという手法なので、特に変わった取組ではありません。

時田委員: ほどほどに儲かったという感じですか。

倉田委員: 本音を言いますと、儲かっていません。我々のCSR上の意地でやらせていただきました。

坂本座長: 私の印象を申し上げますと、今年やろうとしている調査については栗山委員から有益な助言があったと思います。今年またアンケートをやりますよね。

野崎補佐: アンケート自体はすでに実施していますので、今日いただいた意見は、詳細の個別調査の中で反映させていただき、分析していきたいと思っています。

坂本座長: 反映していただければと思います。対象は庁舎が多いのでしょうが、オフィスや庁舎は消費量が少ないので苦戦するということがあるので、そこのところはどうしたらいいだろうか。どう考えればいいか。こういう少ないエネルギー消費のところにもESCOをやれということでしょうか。

大森委員: 今の先生のご発言に関連してですが、資料5の1ページに、年間5,000万円の規模のものが概ね20,000m2と書いてありますね。ところが6ページの表には20,000m2以上という一番大事なところの率が何も出ていないのですが。逆に言うと20,000m2以下はフィジビリティスタディの対象にならずESCOには関係ないと言っているのに、小さいところをやるというのは本末転倒のようにも見えます。また、データとしては20,000m2以上がどれくらいあるのかというのがないと、判断のしようがないと感じています。

野崎補佐: 申し訳ございません。資料5の趣旨としましては、今までなかなか進められなかったのが、漠然とやりましょうと言っているかたちだとなかなか進められなくて、やはりターゲットを絞っていくという意味で資料の分析をさせていただきました。やなり大規模の施設が対象になっていくのだろうなと思っているところです。国の施設で何万m2の建物がどのくらいあるのかというのは、もう少し詳細なデータが入手できるか、検討したいと思います。

坂本座長: 次回にもう少し詳しいことがわかるようになったら、情報を開示していただけると参考になるのではないかと思います。

栗山委員: 年間5,000万円以上がESCOの対象になるという話は、逆に言うと5,000万円以下であれば経費倒れになってしまってESCO事業にならないんですよね。だから施工者からすれば5,000万円以上の工事費がないと取り組みにくい。年間光熱費が5,000万円ということは、工事費も5,000万円ということです。10年で償却できるということは、5,000万円以上の工事費がないとなかなかESCO事業にならないです。そうすると20,000m2以上という話ですので、これは大阪市などではもっと小さい規模の施設を4つ、5つ集めて1つのESCO事業として発注されている例もあります。近くのものを一緒に集めて、経費をできるだけ少なくして、床面積を大きくしてESCO事業にするという発注もありますので、その辺も考慮していただければと思います。

坂本座長: 非常に参考になりますね。

永野委員: 今議論すべきポイントは、なぜESCOの実績が5年間で0であったのかであって、まずは検討させるところが重要だと思います。例えば今の、年間5,000万円未満の施設が対象にならないかというと、決してそんなことはなくて、設備投資をしなくてチューニングでESCOをやっている事業者もいらっしゃいます。そういう人たちからすれば、もっと小さい規模でも十分ビジネスが成り立つんですね。5年前の委員会でもチューニングをやったらどうかというお話をさせていただきました。チューニングが重要なのではなくて、検討する国の方が全然検討していないように見えるんですよ。それがなぜなのか。5年前の委員会の議事録を読み返していたのですが、そこでもいろいろな議論があったので、ぜひみなさんお読みいただきたいと思います。そこで議論されたこととも違う、何かがあるはずです。法律であるにも関わらず検討した気配がないと感じます。一番重要なのはそこだと思います。

時田委員: 今の話は非常に貴重だと思いますが、もっと具体的に説明していただけるとわかりやすいと思います。

永野委員: 環境配慮契約法でESCOが施行された翌年ですが、某テレビ番組でESCOが0件しかないと放送されたことがあります。その時に、関連省庁の方に呼ばれて、なぜ進まないのかと逆に私が質問を受けたのですが、よく言われる縦割りというものが存在してそれが邪魔をしているのか、そうではなくて現場の施設のモチベーションの問題なのか、どこに問題があるかというのは、我々民間からはよく見えません。それは環境省が主体になって調査していただきたいと思う次第です。

大森委員: フィジビリティスタディをする基準は、関連資料の75ページだと、エネルギー消費量が一定の割合以上、ふさわしい事業規模、というふうに書いてあるのですが、資料5では5,000万円とか1500MJ/m2とか数字が出てくるのですが、これはもうすでにあるのですか。そういう基準値が。

事務局: 74ページの(1)に目安としては数値を出させていただいております。

大森委員: だとすると、これ以下だとやらないというのは当たり前のような気がしました。それでいいのかどうかということから始めないと、ほとんどは20,000m2以上ないので、ESCO事業を沢山やろうということ自体が意味がなくなってしまい、本末転倒のような気がします。そうではなくて、ESCO事業が、もっと小さいところでも国民にとってもいいし、国にとってもいいというところがあるのであれば、ここの基準を見直さないと議論がよくわからない方向にいってしまう気がしています。もし違っていたら、すみません。

坂本座長: そうですね。74ページの基準値というか目安、これはどういう経緯できたか、私も覚えていませんが。

永野委員: 申し訳ないですが、たぶん民間の都合でこの数字になったと思います。ESCO事業者の都合だったと思います。相手が国だとしても大きいものの方がビジネス的には成り立ちやすいので、こういうふうにされたと思うのですが、実際この5年間でチューニングのビジネスとかアグリゲーターとか、けっこう小規模なビジネスモデルが出てきています。何度も申し上げますが、発注さえかければそこにビジネスが生まれます。例えば、先ほどおっしゃったように、小さな施設を10個まとめて公募をかけたとすると、施設改修は難しいけれども、少しずつ計測器で計りながらチューニングするビジネスだったら十分成り立つ、と応募してくる人もいると思います。市場が開放されれば民間が頑張ります。公募をかけてもらわないと何も始まらないので、なぜ公募をかけてくれないのかという調査をして欲しいと申し上げている次第でございます。

時田委員: 公募をかけても応募者がゼロというケースが想定されますね。それでもなおかつそういう公募を出して欲しいという意味なのですか。

永野委員: そのとおりです。一度公募をかけて、なかったからと挫けるのではなくて、国がそういう動きをしている、した、という事実が大事であって、民間はちゃんと市場に合わせてビジネスをします。そこはご心配いらないと思います。

坂本座長: 小規模でもやれる土壌、雰囲気みたいなものがあるということなので、74ページの基準は考え直した方がいいのかなと思いました。次回までに検討して、ご回答願えればと思います。他にご発言はございますか。

倉田委員: フィジビリティスタディが0ということが大問題で、設備更新型ESCO事業、せっかくこういうアイデアがあるのだから、それを念頭にしてフィジビリティスタディをやったのかどうか。そこが一番気になるところです。要するに、これだけ設備更新にお金をかければ成り立つのにというのが、あるのか、ないのか。それだと思います。もしそれがあれば、公募かかるはずなんですけれどもね。可能性のある順番を付ければよいのではないか、と思います。

野崎補佐: 参考2の8ページ。昨年度の検討委員会の資料なのですが、表6に省エネ診断及び省エネ改修事業の実施状況があります。その表の下の青いところに簡易ESCO診断の実施をしていますということで、これは政府の実行計画に基づいて、5,000m2以上の建物かつ建築年数10年以上経過している建物を対象に簡易ESCO診断を実施するということで、21年度は223件、22年度は201件の実施をしてきています。これでESCOの可能性を確認をして、確認ができたものについてフィジビリティスタディにいこうということをやってきました。今まで何もやらなくて、フィジビリティスタディも全然やっていないというわけではないので、その辺はご理解いただければということで、紹介させていただきました。

永野委員: これは去年の委員会で指摘したのですが、ここで言うところの簡易ESCO診断というのは、ご自身でESCOの診断をされた数字だと思われます。というのは、ESCO推進協議会の中で確認したのですが、こんなに問い合わせが来たことがないのです。ご自身でそういうことを考えていただいてもかまわないのですが、一応ESCO事業者は省エネのプロです。その時に料理の説明をしたのですが、同じ食材で、普通の方が作られるのと、経験を積んで訓練をしたプロの方が作られるのでは出来上がりが違ってくると思うんですね。自分で料理してみて、これは美味しくならないからというのではなくて、本来簡易ESCO診断というのは、簡易ではあってもプロに素材の味見をさせる仕事なので、自分でやっていただいてこれはだめだというのはちょっと違うのではないかと思っています。

野崎補佐: そういう意味の簡易ESCO診断というわけではなく、可能性調査という意味もあるのだと思います。永野委員のおっしゃる小さいものというのもあると思いますが、まずは通常のESCO事業に乗るかどうかを考えて、可能性が高いものについてフィジビリティスタディで専門家の方に委託をしてやっていく、事業として成立させていく、というようなことなのかなと思っています。

永野委員: ということはESCO事業者に持っていく前の段階とおっしゃっているのですか。そこは去年の委員会でのご回答ではちょっと違ったと思いますので、確認しておいて下さい。

野崎補佐: 確認をさせて下さい。

坂本座長: いろいろ宿題が出ていると思います。よろしいでしょうか。非常に有意義な意見が沢山出ましたので。最後に検討スケジュールのご説明願います。

(3)検討スケジュール

事務局: 資料6について説明(省略)
第2回ですが、今、先生方のスケジュールを見ましたところ、10月2日13:30~15:30でお願いしたいと思います。

坂本座長: 何かご質問はございますか。第2回と第3回の間隔がないのですが、どうなのですか。タイミングとして。第2回と第3回の間に何か作業が入るということはありますか。

事務局: 閣議決定に関わるようなところは基本方針検討会にご報告する必要があるので、その部分は10月中にやらなければなりません。積み残しの話があれば、第3回を少し後ろにずらして検討いただくことは可能です。

坂本座長: 第2回の基本方針検討会の後にずらすことはできるのですか。

野崎補佐: 基本方針に関わらないことであれば第2回検討会の時期に縛られることはないので、今後どういう方策をしていくかという議論については後ろにずらすことができると思います。

坂本座長: では、次のこの委員会で基本方針、重要なところはきちんとやった方がいいわけですね。

野崎補佐: そうです。

坂本座長: それでは次回はすごく重要な委員会になると思います。第3回のESCO専門委員会はまだ決められませんね。

事務局: はい。

坂本座長: わかりました。それではこのあたりで終了させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。もし、ご発言や新たな疑問、提案がございましたら、事務局まで申し出て下さい。それでは本日の環境配慮契約法基本方針検討委員会 ESCO専門委員会はこれで終了させていただきます。どうもお疲れさまでした。