平成24年度環境配慮契約法基本方針検討会 法附則第2項に基づく専門委員会(第1回) 議事録

出席委員:
石井委員、蔵品委員、鈴木委員(座長)、鈴木委員、永野委員(五十音順、敬称略)

1.日時

平成24年10月19日(金)10時00分~12時00分

2.場所

経済産業省別館11階1111号会議室

事務局: 本日はお忙しいところ、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成24年度「第1回環境配慮契約法基本方針検討会法附則第2項に基づく専門委員会」を開催いたします。
会議に先立ちまして、環境省総合環境政策局環境経済課峯村課長補佐よりご挨拶申し上げます。

環境省(峯村課長補佐): おはようございます。ただいまご紹介いただきました環境省環境経済課でグリーン購入法とこの環境配慮契約法を担当しております課長補佐の峯村と申します。本日はお忙しいところ、本専門委員会にご参画いただきまして誠にありがとうございます。また日頃より環境行政の推進に関しまして多大なるご協力をいただいておりますことをこの場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げます。法律の概要につきましては、後ほど担当よりご説明を差し上げますが、本委員会の設置目的というところではお席にお配りしております環境配慮契約法基本方針関連資料のp.166に法令がございます。中段の附則第2項で法施行後5年を経過した場合において、この法律の施行状況等の検討を加えるということになっていまして、その第一段階が本日の専門委員会ということでございます。ちなみにこの法律の施行は、p.166下段にございますが、平成19年11月22日となっておりますので、あと1カ月で丸5年を迎えるところでございます。私ども事務局が、5年目検討委員会と通称呼ばせていただいております法附則第2項に基づく専門委員会につきましては、今年度は、本日ともう一回の計2回の専門委員会を開催させていただきまして、次年度の本格的な検討に向けた準備会という位置づけでさせていただきたいと思っております。本日、この委員会にご参集の委員の皆様におかれましては、幅広いご意見、ご見識を賜りますようお願い申し上げまして、甚だ簡単ではございますが、開会のご挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願い致します。

事務局: まず本専門委員会にご参集いただいた委員の皆様をご紹介いたします。委員名簿は、資料2としてお手元に配布しておりますので適宜ご参照ください。
資料2について説明(省略)。
次に、本専門委員会の公開等についてご説明いたします。お手元の資料1の検討会開催要領「4.公開等」にあるとおり、専門委員会の公開等は、検討会に準ずることとなっており、原則公開で、資料・議事録については、会議の終了後、座長の承認の上、ホームページ等により公表することとしております。また3.(6)に書いてありますとおり、「専門委員会の座長は検討会の委員をもって当てることとし、専門委員会の運営は検討会に準ずる。」としております。
それでは以後の議事進行につきましては、鈴木座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

鈴木座長: 鈴木でございます。この委員会は、ただいま事務局からご紹介をいただきましたとおり、環境配慮契約法の施行後の運用状況につきまして検討するために設置されたものであります。どのような法律でもそうですが、法律を作るときは非常に注目されますが、問題なのは作った後に、それがうまくワークしているかどうか、あるいは問題点は何かということが大事です。これは実は地道ですが、重要だと思っています。その意味で環境省が今回、法律施行後5年ということでその状況につきまして検討するために、こうした委員会を立ち上げたことは非常に有意義なことだと考えております。ただ検討するに当たりましては、いろいろな問題が出て来ることが予想されます。このため、この委員会での検討が実りある結果となりますように委員の皆様のご協力をぜひともよろしくお願いいたします。
それでは、本日の審議に入ります前に、事務局から本日の議事予定、配布資料の確認をお願いします。

◇本日の議事予定

事務局: 本日の会議は12時までを予定しております。

◇配布資料の確認

配布資料

資料1 平成24年度環境配慮契約法基本方針検討会開催要領
資料2 平成24年度環境配慮契約法基本方針検討会法附則第2項に基づく専門委員会委員名簿
資料3 環境配慮契約法及び基本方針の概要について
資料4 法附則第2項に基づく専門委員会における検討事項等について(案)
資料5 国及び独立行政法人等における環境配慮契約の取組状況について
資料6 地方公共団体の環境配慮契約に関する取組状況及び課題等について
資料7 平成24年度環境配慮契約法基本方針検討スケジュール(案)
参考1 平成23年度における国及び独立行政法人等の環境配慮契約の締結実績
【暫定版】
参考2 地方公共団体における環境配慮契約に関するアンケート調査結果について
【概要】
参考3 環境配慮契約法の施行状況等に関する提案内容と検討の進め方(案)
【第1回基本方針検討会資料】

 このほか、環境配慮契約法基本方針関連資料及び地方公共団体のための環境配慮契約導入マニュアルの冊子、環境配慮契約法パンフレットをお配りしております。また川崎メカニズムの構築に向けた取組も配布されております。なお、基本方針関連資料には法律や基本方針、解説資料が盛り込まれていますので、適宜御参照ください。
資料の不足等あれば事務局までお申し付けください。

3.議題

(1)環境配慮契約法及び基本方針の概要について

鈴木座長: それでは議事に入らせていただきます。今ご紹介がありました議事次第に従いまして、

  1. (1)環境配慮契約法及び基本方針の概要について
  2. (2)法附則第2項に基づく専門委員会における検討事項等について
  3. (3)国及び独立行政法人等における環境配慮契約の取組状況について
  4. (4)地方公共団体における環境配慮契約の取組状況について
  5. (5)検討スケジュールについて

これにつきまして、それぞれ順を追って議論していただく予定です。
それでは、最初の「環境配慮契約法及び基本方針の概要について」のご説明をお願い致します。

事務局: 資料3について説明(省略)。

鈴木座長: ありがとうございました。ただいま、「環境配慮契約法及び基本方針の概要について」、ご説明をいただいたわけですが、これにつきましてご質問等はございますか。
次に2つ目の議題、「法附則第2項に基づく専門委員会における検討事項等について」、資料4についてご説明をお願いします。

(2)法附則第2項に基づく専門委員会における検討事項等について

事務局: 資料4、併せて参考3について説明(省略)。

鈴木座長: ありがとうございました。この委員会で検討する必要がある事項についてご提案がございましたら、お願いします。電力関係は、電力専門委員会でも検討されていることですが、事業者からの提案についての事務局の考え方が提示されました。今の報告につきましてご意見、コメント等はございますか。

永野委員: 事業者等を対象とした調査のところで質問があります。ESCO事業者への調査もされたのですか。

事務局: この調査自体は、環境省で6月の頭から広くご提案いただく形で1ヵ月間行いました。特段ESCOの方々にということではなく、HP等で公表したところに対して、いただいたということです。

永野委員: わかりました。

事務局: 資料7にスケジュールがございます。一番上に、提案募集、6月5日から7月4日と書いてあるところでございますが、HPでご意見を集めたということに対してご提案があったのは、電気3件ということでございます。

石井委員: 確認ですが、今回の専門委員会での検討事項は、例えば、今5つの契約類型プラス1がありますが、新しい契約類型の必要性等々の問題点をということではなく、今動いているものの実績の確認や課題を解決していくところに焦点をあてるということでよろしいですか。

事務局: はい、今仰ったとおりでございます。新しい類型等につきましては、基本方針の策定を新しく入れるためには、別途専門委員会を設置していただき、そちらでご検討をいただくということになってございます。

鈴木座長: よろしいですか。どうもありがとうございました。

(3)国及び独立行政法人等における環境配慮契約の取組状況について

鈴木座長: それでは3つ目の議題です。これが本日のメインです。資料5「国及び独立行政法人等における環境配慮契約の取組状況について」ご説明をお願いします。

事務局: 資料5について説明(省略)。

鈴木座長: ありがとうございました。国等の環境配慮契約の締結実績、それから現在調査を行っております類型ごとの調査対象機関についてご説明、ご報告がありました。これにつきましてご意見やご質問はございますか。

永野委員: ESCOの調査対象のところで、ESCOが実質0の状況で、それに対してフィージビリティ・スタディを実施したことのある機関、ESCO事業を実施したことのある機関を調査対象として選別すると書かれていますが、検討したところではなくて、検討しなかったところに、なぜ検討していないのかの調査をするべきでないでしょうか。独立行政法人の場合は実績が上がっていますが、国の機関は0です。参考資料1で自動車や環境配慮契約を実施しなかった主な理由というのは書いてありますが、ESCOはなぜ0なのかという理由がないです。実績が1件もないのに、その理由を問われて、理由も説明できていないということですか。だからそこを調査するべきであって、やったところに聞いても意味がないと思います。

鈴木座長: ただ今の永野委員のご質問について、事務局からお願いいたします。

事務局: 今仰っていることはご尤もだと思います。なぜできなかったのか。そもそも検討したのかという全部のところからお伺いすると、例えば特に国の機関は全然行われていないという状況もありますので、検討したことがあるのかということについては追加で確認することを検討したいと思います。やらない理由については、先ほどのフィージビリティ・スタディの話で申しますと、平成20年度に国でも14件ぐらいフィージビリティ・スタディを行っております。ご存知のとおり、平成19年3月に、地球温暖化対策推進法に基づきます政府の実行計画で、5,000㎡以上の建物はフィージビリティ・スタディをやりなさいという話が決められまして、それに基づいて、おそらく20年度にそれなりに行なわれたのではないかと思われますが、その結果ESCOに向かないということでその先に進まなかったと考えられます。その辺も含めて、対象としてはフィージビリティ・スタディを行ったところということで考えさせていただいたところでございます。

永野委員: 国の機関の総数はいくつですか。それに対して16ですか。フィージビリティ・スタディをやらなければいけないと言ったので14件出てきて、次の年に2件になっていると思うのですが、総数がわからないです。もっと多いような気がします。

事務局: もちろんこれは少ない数字です。分母としては14件に2件を合わせて16件です。16というのは施設数になりますので、数としては少ないということでございます。

永野委員: そうすると、フィージビリティ・スタディをやりなさいと言っているにも係らずやらなかったところがたくさんあるということですね。やってくれていなかったところへの質問ではなくて、「なぜフィージビリティ・スタディすらやっていないのですか。」という質問をするのが普通ではないでしょうか。
あともう一つ言いますと、先ほどESCO事業者に対する調査ということを仰っていましたが、HPで公表して応募してくるのを待っているのを調査とは言わないです。調査する気があるのであれば、こういうところに皆さんが進まない理由を書いて下さいとESCO推進協議会に一言、メール一本で済むと思います。5年間、数字が0なのは民間企業では普通は考えられなくて、通常PDCAを回しますので、なぜうまく進まないのかということを調査して、チェックしてアクションに出ると思います。PDCAのCが、この環境配慮契約法が5年周期になっているみたいにしか、私には写らないです。ここのところをもう少し力を入れてやっていただければと思います。

鈴木座長: ESCO事業全体について毎年、どれだけの件数があるのかということはわかるのでしょうか。

永野委員: ESCOですか。ESCO推進協議会で民間については取っています。

鈴木座長: 公表していますか。

永野委員: 公表しています。細かな内容まではデリケートな部分なので、どういうお客さんが入れたのかということは公表していないですが、一般的に公共施設の場合は公表しています。ほとんどが地方自治体です。国立大学法人は非常に一所懸命にやってくれているほうです。先ほど環境配慮契約法に沿った行動は、国がやっているのに、地方自治体に普及していないと書いてありましたが、ESCOに関しては逆です。地方自治体は一所懸命ESCOの発注を仕掛けてくれるし、国立大学法人もしてくれますが、なぜか国の機関はやっていないです。経済産業省が法施行前に1件されたと思いますが、この施行以降0の原因を普通はチェックして途中で見直すものかと思いますが。

鈴木座長:  ESCO事業そのものについては、トータルとしては公表されているということらしいです。それならばそれを調査すればいいのではないかと思うのですが、事務局、どうですか。

事務局: トータルというのは、ESCO推進協議会で出している数字ですか。

永野委員: そうです。報告書を出しています。それは全てのESCOとは言い切れないですが、ESCO推進協議会の会員がやっている事業です。たださっき申し上げたように国の実績は0だと思いますので、その総数を見ているよりも、国の機関がいっぱいあるのに16件のフィージビリティ・スタディをやって終わって、実績0というところがなぜなのかということが一番の課題であって、契約期間の10年を15年にするというのは確かに良いアイディアだとは思いますが、それ以前の問題が何かあると思います。ここを我々では調査できないのでぜひお願いしたいです。

鈴木座長: それに関連することかどうかはわからないですが、先ほど資料4で、ESCOに関しては債務負担年限を10年から15年にするとありましたが、今は10年だからやっていないのですか。

永野委員: 10年を15年にしていただくのはありがたいですが、そもそもそこに問題点はないと思います。違うところに理由があって検討すらしていない状態が問題なのです。10年では成り立たないから15年にしてほしいというのは、検討したあとです。ですからここでしていただいても、そもそも進まない理由が明確になっていない状況で、いくら制度を変えたところで進まないものは進まないと思います。

鈴木座長: 事務局からお願いします。

事務局: 調査対象も含めてESCO事業についてはまだ調査が始まっておりませんので、検討し直したいと思います。

石井委員: 同じような話で、資料5ですが、分母が何なのかということがはっきりしないです。電力、自動車、船舶は明らかですが、ESCO、建築物については、国の施設は全部でどのぐらいあって、その中で毎年どの程度が対象となりうるのかが分かりません。特に(5)は、新築については、設計総数と環境配慮型の比率が分かりますが、大規模改修については、そもそも大規模改修はどのぐらい行われているのかが分かりません。わからなければわからなくてもいいですが、全体に進んでいるかどうかという意味では、わかる範囲でいいので分母となる数値を示していただけるとよいと思います。

鈴木座長: ESCO関係、建築物の母数をということでございます。母数がどのぐらいわかるかということもありますが、事務局でこれからヒアリング等を行っていくということですが、今のお話に追加という形、あるいは対象を増やすということの検討をいただければと思います。
それからあと一つは船舶です。今、母数がわかったと言いますが、発生件数が3件とあります。これは日本全国で3件でしょうか。あるいは適用除外されなかったのが3件なのでしょうか。

事務局: 船舶の場合は母数に防衛省は入っていないです。これは設計を委託されたケースということで上がってきた数字ということになりますので、そういう意味で言うと、調査の結果は国のほうになります。

鈴木座長: 国というのは、この場合は海上保安庁ですか。

事務局: 海上保安庁の場合は、自分たちで設計されます。

鈴木座長: 最初から外れているのですか。

事務局: 当然環境配慮していただく形になりますが、母数には含まれないです。

鈴木委員: 電気の供給と自動車で一件ずつお願いします。電気は、小平市におきましては、昨年度、電力の自由化が認められた高圧電力の施設は全て入札でPPSに変えたところではありますが、p.2の表2を見ますと国の施設の中でも入札可能であったが未実施の施設が10%あるということで、その辺の行われない理由をどのようにお考えになっているのかを教えていただければと思います。最近のPPSの状況として入札の不調なるケースが自治体でも出てきておりますので、その辺の影響があるのか、ないのかも含めてご見解を教えていただければと思います。
それからもう一件、自動車の購入についてです。p.3の表3を見ますと、23年度に国や独立行政法人は80%前後を総合評価落札方式でやったというすばらしい結果になっていますが、このときの発注形態について、1台ずつ行っていたのか、10台ずつまとめたのか、もしおわかりになれば教えていただきたいと思います。自治体レベルですと、自動車の購入は年間3台、4台と極少数に限られています。その中で総合評価落札方式の実施ができるのかどうかが自治体の課題になっておりますので、国の形態を教えていただきたいと思います。

事務局: まず電気でございますが、参入されている場合でも未実施であったケースは、料金体系の問題も実はあります。施設によっては、特に研究機関は一般電気事業者が安い電力で供給されるケースがあって、現状ではコスト的に安いので選んでいるというケースも若干あります。先ほど申しましたとおり、入札されたが不調になって随意契約になるケースも相当数あると伺っております。
それから自動車につきましては、契約台数によって違ってきます。1台の場合もあれば、何台かというケースもありまして、一概には何とも言えない状況にあります。例えば3台発注される場合は3台ともやっていただくという形で対応していただきます。仰るとおり年間に何台かしか購入しないようなケースなので、その場合は、総合評価落札方式はそれなりに手続きがかかる、手間がかかるということなので回避されるケース、これは後ほど地方公共団体のアンケート結果からも出てきておりますので、その辺でもご説明をさせていただきます。国の場合でも基本的に入札に付する場合はやっていただくということが閣議決定されていますので、それに従ってやっていただいているというところだと思います。

蔵品委員: 中身というよりは、議事の進め方の確認をさせてください。今、国の関係の調査の報告をいただきましたが、ここで議論するのは、国の調査の報告を聞いて、次に自治体のアンケート調査のご報告を全部聞いてからトータルで議論したほうが中身は見えると思います。

鈴木座長: 国と地方とは義務付けも違いますので、今日のところはこのまま続けてよろしいのではないかと思います。

蔵品委員: トータルで見てからのほうがいいかと思いましたが、わかりました。国のところで言わせていただきますと、まず電力については鈴木委員も仰っていましたが、基本的にはPPSでの電力需給契約になると思います。エネルギー係数で見ると、東京電力と比べてPPSのエネルギー係数はそれほど低くないのが実情です。それでもPPSと契約することが環境配慮として重要なことなのか。そういう課題が一つあると思います。CO2排出量がそれほど変わらないPPSに契約することだけが目的になると、環境対策ではなくて、ただの行政改革、言わば経費の節減を目的とした契約になる懸念があると思います。電力入札の必要性はもう少し整理していくべきと思います。今、電力入札が不調になるというケースが多くなっています。やはりPPSの引き合いが震災以降かなり多いので、契約がなかなか難しくなっているという現状があります。私どもの自治体でもそこが課題になっていますが、そういったところを打開するような策を検討すべきかと思います。
それからESCOについて先ほどご意見がございましたが、いろいろなやり方があります。今後推進していくべきESCOとはこういうものだという定義が今後は必要だと思います。例えばESCOはいわゆる事業者が電気料金の削減分を設けるという仕組みになります。今のやり方ですとBEMSを建物に設置してエネルギーの見える化をして分析をして改善をするといった一連の工程があるわけです。それの何れかはスマートグリッド、いわゆる地域間の電力融通にまで発展させるというビジョンがないと、効果的なESCO事業はできなくなってきている時代です。つまり、ESCO事業による建物のエネルギーセキュリティの向上と将来的な面的利用の検討は、これから是非必要な取組になっていくのではないでしょうか。
あともう一つは、同じことが環境配慮の建築の面でも言えると思います。我が国の温室効果ガスは約43%が建築物の施工建築、それから運用に由来していると言われていますから、建築物の環境配慮はものすごく重要ですが、国や自治体では財政セクションがその重要性を認識しているかというと、LCA等専門的な知識が必要ですから、そういった知見はなかなかありません。その結果、環境セクションが頑張っても予算取りができないという状況があります。国でも自治体でも環境配慮建築の取組は重要と認識はしていますが、投資対効果、つまり費用便益比率、B/Cが見えないということもあって、厳しい財政状況の中でどこから予算が削られるかというと、こういった費用便益比率が見えないところです。私も財政セクションで長年査定をやっていましたので、財政サイドの意見を理解しているつもりですが、自治体で言いますと生活保護の問題、待機児童の問題、高齢者の問題といった直近の課題にお金を回さないといけないということもあって、こういったところは最後に回されてしまうという側面も多々あると思います。
何が言いたいかと言いますと、環境配慮建築は、建築物の施工、運用、改修の様々な局面で、どのようなことを実施していけば効果が高いのか、ガイドライン的なものがあれば良いと常々思います。先ほど、「わからない」という記載もありましたが、何をやっていいのかわからないと言う意味もあるのではないかと思いました。数字的には、後ほど自治体の数字が出てくると思いますが、国レベルではESCOを除いては数字的にはそれほど悪くないと思いますが、先ほど永野委員が言われたように、数字だけ追いかけても改善点は見えてこないという感想は持ちました。

鈴木座長: ご質問、ご意見等、盛りだくさんですが、事務局はどうでしょうか。ESCOそのものについての定義とか、自治体の問題もあります。審議の関係上、自治体は自治体のところで一緒に話をいただきまして、国に関するところだけをお願いします。

事務局: 先ほど仰ったようにまとめてご議論をいただいても結構だと思いますが、ESCOの定義は、実は法律では定められているとなっております。確かにわかりづらいですが、p.164の第5条の第2項第3号ですが、省エネルギー対象事業で括弧書きで書いてございますが、これがESCOの法律上の定義になっております。「省エネルギーを目的として、庁舎の供用に伴う電気、燃料等に係る費用について当該建築物の構造、設備等の改修に費用の係る設計、施工、維持保全等に要する費用の額以上の額の削減を保証して、当該設計等を包括的に行う事業をいう。」、定義としては、こういう形です。いわゆる一般に言われているESCO事業は、当該光熱費を今使っているものから減らして、その分で賄うというのがESCOの定義になっております。確かに法律上はこうなっておりますが、これにはいろいろなパターンがありますのでその辺については解説資料に書かせていただいています。それから環境配慮プロポーザル、建築設計の話でございますが、建築設計につきましても、どういうものを環境配慮プロポーザルと言っているかということにつきましても、この解説資料のp.128から少し書かせていただいております。適用範囲やプロポーザル方式の趣旨を記載させていただいております。ちょっと時間がないので、また後ほどご質問があればまとめてお答えさせていただきます。

鈴木座長: 時間の関係で申し訳ないのですが、もう一つのメインである、地方公共団体の実施状況がありますので、それについてご審議いただき、必要ならそのあとに国のほうに戻るということでお願いします。
それでは、資料6の説明をお願いします。

(4)地方公共団体における環境配慮契約の取組状況について

事務局: 資料6について説明(省略)。

鈴木座長: ありがとうございました。地方公共団体の取組状況について、資料6に基づきましてご説明をいただきました。この調査、回収率76%というのは、私の経験から言いますと、この種の調査では驚異的な数字だと思います。ご担当の方は非常に努力されたのではないかと思います。この調査結果によりますと規模の大きい地方公共団体と小さいところでは取組の状況が明らかに違っている感じがします。これにつきましてご意見、ご質問をお願いします。

永野委員: 蔵品委員と同じ質問ですが、省エネチューニングの定義です。今我々がいるような建物の省エネチューニングは自分でもできますが、今回この環境配慮契約法で定義されているのはESCOみたいに第三者に事業として、サービスとしてさせる意味合いだと思います。そう捉えた上の質問ですか。

事務局: ここはどちらかと言いますと、ハード面のESCO事業とソフト面での運用改善での省エネチューニングという説明を付記した上での説明となっておりまして、それを発注するか、しないか、内作するかというのはまた別です。そこは説明しておりません。「ソフト面の運用改善もあります。そういったところでの省エネチューニングはご存知ですか。」といった質問の仕方にしております。

永野委員: なるほど、わかりました。

蔵品委員: 自治体のアンケートは有意義な資料であると感じます。p.3でいきますと、都道府県や指定都市は理解が一定程度進んでいます。ただ先ほども申しましたが、環境配慮は全ての自治体がやればいいのでしょうが、やっぱり地球のCO2が減ればいいわけですので、例えば人口割りで進捗を分析するというのもいいと思います。例えば山間部の小さい町や村は、環境配慮をやっても効果はどうなのか。例えば人口割などといった分析の仕方をすると、日本国内でCO2排出が多いところ、少ないところというのはあるわけです。それはある程度、人口、産業や交通に比例してくると思うので、そういった視点も重要かと思いました。
それからもう一つESCO事業は、永野委員に聞いたほうがよろしいでしょうか。セービングス契約では、ギャランディードとシェアードがありますが、自治体の場合はやはりシェアードのほうが多いでしょうか。

永野委員: 圧倒的にシェアードのほうが多いです。理由は、ここのアンケートにも出てきているところがありますが、大規模な改修の予算が取れなくて、それに対してESCOの発注にすれば一緒にやってくれるからというニーズがすごく多いです。もう一つ付け加えさせていただくと、アンケートの中で多額の初期投資を予算化することが難しいからESCO事業を進めていないのだというので、そちらのほうからESCOに対する理解が低いのではないかと仰いましたが、確かに理解していないでこの回答をしている方がいらっしゃいますが、自治体によっては、光熱費を払っている部署と施設管理の部署の方々が違っています。全体でいけばESCOをやれば光熱費が減って、その減った光熱費の中から返済すれば、普通はOKだという発想になりますが、部署が違うことによって光熱費を払っている部署の負担は減るだけで、施設管理の部署のほうは予算が出て行くだけになってしまう。それが障害になって進んでいない市町村の話は何度も聞いたことがあります。ここで多額の初期投資を予算することが難しいから、その理解が足りないというのは必ずしもイコールではないです。それは国の場合も実は5年前の委員会のときにも指摘されたところではあります。単年度の予算になるので、光熱費の予算と施設の予算が別々なものですから、ローンのようにシェアードセイビングしてあげれば何年間かに分けて払うのでしょうが、それ自体は持ち出しだということをお聞きしましたので、調査してほしいと言ったのは、それが一つの障害だとは思っていますが、それも含めて他にも障害があるのではないかと思っています。50%の都道府県が導入していただいているというのは、その辺りをクリアされてやられているので、そのやり方を他の区・市町村の方々にぜひ教えていただけると普及するのではないかと思います。

鈴木座長: 今のアドバイス以外にありますか。

鈴木委員:  ESCO事業の関係です。小平市もエネルギー使用量が多い施設につきまして、診断を行って募集をかけましたが引き合いがなかったという過去の経緯があったところです。実際に行いたくても効果が出るのかどうかが不明というところがあります。市レベルでは大きな施設がありませんので、例えばどの程度の規模の施設だとESCO事業としての効果が生み出せるのか。例えば一つの施設ではなくて、複数の小規模の施設を合体させてもいいという基本的なことを自治体に教えていただければ、導入に向けての一つの基準になるのではないかと思っております。

鈴木座長: どのぐらいの規模だったらESCOとして効果がありますか。

永野委員:  ESCOの質問が多くてすみません。仰るとおり、区や町村のレベルになりますと施設がそれほど大きくないので、発注されてもESCOの応募者が少なくて断念されるケースが実際にございます。横浜市など、ESCOの発注をかなりかけてしまった自治体は、目ぼしいところが残っていなかったりしますが、どうやって苦労されているかというと、3つ4つまとめて発注をかけてESCOに持っていくケースが一つあります。
もう一つぜひ申し上げたいのは省エネチューニングです。これはまだあまり知られていないですが、小規模な施設においては省エネチューニングを一つだけではなくて、何箇所かで一緒にやらせるということは一つのアイディアだと思いますので、もうちょっとこの省エネチューニングが普及していくと、このESCOの発注の区・市町村というところは実績が右のほうに増えていくと思います。。

蔵品委員: 今、永野委員が仰いましたが、大規模自治体は横浜市の事例が非常に参考になります。大都市では結構お手本にしています。通常の市町村レベルですと、流山市のバルクセールです。単体では絶対に契約してくれないような施設でも、バルクセールをまとめてやったら大成功した事例で、各自治体が模範にしている事例です。

鈴木座長: 石井委員は何かありますか。

石井委員: 次回の第2回までに、資料6のp.16の5番を詰めるということでしょうか。

事務局: 国のESCOの話もメインだと思いますが、地方自治体の場合は普及方策で具体的に、毎年度、全国説明会をやって、ESCOのこういう一定規模以上の施設なら効果がある例が多いという情報発信をしているのですが、先ほどの流山市の例や、人口規模別集計なども生かしたいとは思っております。自治体もそういう意味では全体の中での例ということです。

石井委員:  国の場合は義務なので実効性が高まっているかどうかが重要だと思います。ただ、契約の形態の中身までの話になってくるので検討は難しいと思います。自治体についてはこれを見ている限りでは周知が進んでいないので、カバー率を上げていく取組がまず先だという気がしています。大規模なところと中小規模のところは分けて考えてもいいと思います。
ちょっと一点気になったのが、いわゆる阻害要因の回答です。都道府県では「その他」という回答が他に比べると出てくるケースが多いです。その具体的内容がわかるのであれば、それに一定の傾向があるのか、完全にバラバラなのかぐらいはあとで分析してほしいと思います。
また、国の環境負荷削減ということですと、大規模な自治体が重要だとは思いますが、関連事業者を持続可能な社会のほうに引っ張って行くという意味では、地方では自治体は大きな契約主体になり得るので、中小規模も含めた自治体に周知徹底していくことも大事だと思います。

(5)検討スケジュール

鈴木座長:時間が押して申し訳ないのですが、最後の検討スケジュールのご説明をお願いします。

事務局: 資料7について説明(省略)。

(6)その他

鈴木座長:次回は事務局が行う国に対する調査についての状況報告、必要に応じ、地方公共団体関連の追加資料といったものを主としてお願いします。できれば課題、対策の案としてお示しいただければと思います。その際、本日、委員から出ました、例えばESCOだけではなく実績の母数について可能な契約については追加という形で、あるいは実施していない理由について、さらにその分析についてもご検討いただくことをお願いします。以上ですが、よろしいですか。
本日は、司会の不手際で時間が5分ほど超過して申し訳ございません。委員の方々で他にご意見やアドバイスがございましたら、事務局までご連絡をいただければと思います。それでは、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。