環境配慮契約法基本方針検討会 電力ワーキンググループ(第2回) 議事録
- 出席委員:
- 小川委員、酒井委員、鶴田委員、中村委員、山地委員(座長)、渡邊委員【五十音順、敬称略】
日時
平成19年9月12日(水) 15時30分~17時30分
場所
環境省第1会議室
1.開会
環境省(笠井課長):それでは定刻になりましたので、ただ今から第2回環境配慮契約法電力ワーキンググループを開催いたします。本日はご多忙にかかわらずありがとうございます。お手元の資料等を確認させていただきます。(資料確認 略)それでは事務局オブザーバーは前回のメンバーと同じですので紹介は省略致しまして、以後の進行は山地先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
2.議事
山地座長:それでは第2回電力ワーキンググループを始めさせていただきます。今資料の説明がありましたように、前回は1回目ということでいろいろな論点を出していただいて、その後も追加意見があればということで、そのあたりは資料1や参考に反映しております。今日はメインの議題ということでは、電力供給方法ということですので、まずそれについてご議論いただきたいと思います。それから最終的に親の検討会に送ることになる配布資料の骨子というか目次みたいなもの、これを次の議題にしてご議論いただきたいと思います。資料の順番が逆になっていますが、資料3を使った裾切り方法についての案の議論から始めたいと思います。事務局から説明をお願いします。
(1)電力の購入に係る裾切りの方法について
環境省(中山補佐):(資料説明 略)
山地座長:ありがとうございます。では今説明がありました裾切り方法の案につきまして、資料3、参考4、5を用いてご説明いただきましたが、ご質問、ご意見等いただきたいと思います。いかがでしょうか。前回いろいろ議論していただいて、それを踏まえての案にまとめていただいてはいるのですが。
環境省(笠井課長):補足です。前回の議論で山地先生にうまく整理していただきましたが、算定公表制度に使う係数と、環境配慮契約法の入札条件の中で、いわゆる排出係数というものを温対法の算定公表制度の数字を引いてくるとしても、それをどれくらいに使うかというのは別の議論で、入札の時にどういう電力を供給してきたかという実績をどうみるかということが今回の検討会の課題になっておりまして、そのあと算定公表の際に排出量の公表にあたってどういう事項を考えるかというところは、今現在地球環境局で温対法の改正も視野に入れて検討中でございますので、それで環境配慮契約法の方は、早ければ20年1月頃に入札を行う人たちがどういう考え方で実施すべきかを議論していただくということでございますので、念のため申し上げておきます。
山地座長:これは環境配慮契約法という制度が、排出係数の算定公表のところは温対法にからんでおり、新エネルギー活用状況というポイントのところではRPS法に関連し、さらに民間でやっているグリーン電力証書制度にも関連するということで、それぞれズレがあるわけですね。そこをうまく矛盾なく調和させようということです。誤解があるのはよろしくないと思いますので、そのあたり確認でもけっこうですので何かご質問等ありましたら。
小川委員:いくつかありますので順番に話していこうと思います。一点目は今も少し議論になっていましたけれども、1ページの(1)の下の方の「なお」以下の[2]に「直近の排出係数や数年間の平均値等を参考とする」というようなことが出ていて、その上のあたりには「入札実施主体がそれぞれ、以下の観点から判断の上、設定する」となっていたので、そういう意味だと排出係数をどういうものを選ぶかとかいうこともある程度自由に設定するのかと最初は読んでしまいました。しかし、(2)の[1]のところへいくと温対法の排出係数を使用するということで、ある意味では排出係数については一意に定まるような仕組みになっています。(2)はそういうふうにするという話なのか、例えばこういう形で排出係数を使用できるという例示の意味なのか、そういった点で少し混乱が起こりました。実際に全体を他の資料も見ながら考えると、結局(1)は排出係数を自由に設定できるという話ではなくて、裾切りの条件を決める評点の設定方法を実施主体が選んで、自分の判断で選択できるということを言っており、その要素となる排出係数はどうやら温対法の排出係数を使うと言っていると思います。最終的にはそういう読み方ができたので、じっくり考えて読めば落ち着くということだと思いますが、おそらくそういう混乱をする人が出る可能性がありますので、その辺の混乱が起こらないように文章を工夫してまとめていただければと思います。
二点目は、新エネルギーの利用状況という表現についてです。この表現も前後関係を見るとRPS法の履行義務を達成しているかどうかということが出てきますので、RPS法の履行に関する部分だけを対象にしているということがわかります。しかし、1ページ目の[3]新エネルギーの利用状況といった形でゼネラルに言われると、山地先生がご指摘になったグリーン電力とかも含めて新エネルギー全体でゼネラルにやっている活動すべてを評点に入れるという意味合いで捉えてしまう恐れがあると思います。たとえば2ページの[3]のところではRPS法で決められている数量を使って計算をしましょうということを明らかに書いていますので、この項で扱おうとしているのはRPS法の履行義務についてだとはっきりわかる表現にした方がいいのではないかと思いました。
三点目は、前回も少しお話がありましたが、グリーン電力証書の制度については山地先生が委員長を務められ、私も事務局長を過去やっており現在も委員を務めておりますので、いくつかグリーン電力に関する誤解が発生しているかなという点を指摘したいと思います。最初は3ページの[1]i)で、「二酸化炭素の削減量を保証した証書ではない」と書かれていて、二酸化炭素の削減量をちゃんと決められないというイメージで捉えられる文章になっています。この文章はどこから出てきたのか。グリーン電力認証機構のHPを見たのですが、基準とかそういうところには出ておらず、「しばしばある質問」という項目の中にこれに関係した文章が出てきます。資料の[1]i)の記述文章は舌足らずになっていて、実際の文章では二酸化炭素の削減量の計算方法について保証したものではないという意味合いのことが書いてあります。グリーン電力の認証機構が認めているグリーン電力の価値は、二酸化炭素の削減だけでなく、例えば大気汚染物質が出ないこともひとつの価値を持っていると考えています。また、化石燃料を減らす、すなわち安定供給にも価値を認めています。認める価値の範囲は広くなっていますが、二酸化炭素の削減に関しても、ある意味できちっとしたチェックを行って、グリーン電力で認証されたkWhの数字はその部分がCO2の排出がゼロと認めることができるkWhの数字に絞って、間違いありませんということで認証しているわけです。そういう意味でkWhで表現されたグリーン電力の数字に関してはCO2の排出をゼロとカウントできることがちゃんとチェックされた内容になっていると思います。グリーン電力の「しばしばある質問」で上述の説明を出す理由がどこにあったかというと、グリーン電力で認証したkWhの数字を、そのまま出してもなかなか持つ価値をイメージとしては直接伝えることができないからです。したがって、今一番関心のあるCO2の削減量に直して、絶対値でいくら減らしましたよということがアピールできる方法があれば非常にわかりやすいということになるわけですね。ところがCO2の削減量という絶対量に直すときに、過去の議論になるのかもしれませんが、全電源平均の排出係数を使うのか、火力平均の排出係数を使うのかということでいろいろ揉めていました。グリーン電力認証機構としてはどちらかの立場を押してこういう考え方でCO2削減量を計算しますとは言うことができなかったんですね。したがって、二酸化炭素の削減量の計算方法はどれがよいと保証できないけれども、CO2削減量に直してグリーン電力の数字を使う場合にははっきりと計算方法を明記して数字を提示して下さいということです。そういう意味でグリーン電力の「しばしばある質問」では「保証していない」という言葉を使っていますので、それをこの説明資料でこういうふうに抜き出されると極端な誤解を招く恐れが出てくると思います。
次に、グリーン電力の[1]ii)の部分の問題は、私も必ずしもこれまで気付いていない内容を含んでいます。グリーン電力の活動は、再生可能エネルギーで発電した電力からグリーンの価値の部分を分離して、最終的に欲しいという人にきちっとした商品として受け渡す活動をしています。日本自然エネルギーのような間に立つ会社が出てきますが、グリーンの価値はお金を出してグリーン証書を最終的に必要とする需要家へ間違いなく移転することをはっきり担保する必要がありますので、仲介会社は発電事業者との間で契約を結んで、契約上でグリーンの価値を放棄することを謳っています。グリーン電力認証機構は、発電事業者がグリーンの価値を放棄していることをきちっと情報として出してもらって、その上で認証を与えています。したがって、グリーン電力の発電事業者はグリーンの価値を放棄した形になっているので、その供給電力に関しては例えばその地域の電力会社の全電源平均の排出係数でCO2排出を評価する必要があります。そうすれば、グリーンの価値を放棄したという事態と整合性が取れると思います。実際に、グリーン電力の電力自身はその地域の電力会社へ渡って使われていますが、受け取った電力会社は、これは例えば風力で発電したものだからゼロでカウントしましょうという形で温対法上は評価してしまっているという問題が発生しています。この点に関しては、グリーン電力の取引過程でグリーンの価値が移転しているということをもっとはっきりさせていかなければいけないという課題が出て来ると思います。実際の発電事業者も電力会社がそういう取り扱いをしているとは必ずしも周知していない状態だと思いますので、知らない間に不可抗力的にダブルカウントが発生していると認識する必要がある問題だと思います。
グリーン電力に関しては、上述の形で実施される取引は、実はRPS法が入ってきたことによってなかなか伸びない状況になっており、むしろ自家消費にあたる部分でグリーンの価値を移転させる取引が多くなってきています。自家消費の部分は、電力がいくら入ってCO2がいくら出たという情報が電力会社には入らないので大丈夫だろうと思ったのですが、そういう自家消費でグリーン電力の取引を行っている人すなわち発電業者が温対法の対象になっている場合、温対法上でどういう報告をしているかというところで実は問題にぶつかる可能性があります。グリーンの価値を放棄した事業者が、自らグリーンの価値はあるという報告を温対法上でしてしまっていると、それは大変まずい事態になると思います。この問題は回避をしっかり考えないといけないと思います。
次に、[2]のii)で「本来、需要家が自らの意思及び負担で購入するもの」と限定をしてしまっている点です。グリーン電力証書は、電力を使っている需要家がそういった活動にボランタリーに参加するということがスタートになって始まっていることは事実ですが、だからといって電力を使う最終需要家だけがグリーン電力証書を利用できると限定する必要はないと思います。そういう仕組みを利用したいと考える事業者がいるのだったら、ある一定のルールを使って使えるようにすればいい話だろうと思います。ここまで限定して、そういう枠内だからと考える必要は必ずしもないのではないかと思います。
次に、[2]のiv)およびv)に関連しますが、入札というかこの調達に参加するために、まだ電力を供給するのに選ばれるかどうかもわからない時点からグリーン電力証書を持ってなければいけないという構造になるのは行き過ぎだと思いますので、そこはなんらかの配慮した方法を考える必要があると思います。
最後に、グリーン電力の取り扱いについて、排出係数で評価するように、前回の委員会でも少し申し上げ、追加意見でも出しましたが、先ほど触れたダブルカウントの問題もありますので、今回参考資料で出されているような付加的な方法を採用することによって何がしかの形でグリーン電力に対するインセンティブを少し工夫する必要があるのではないかと思います。参考資料に出されている最初の方法はひとつの考え方かなと思っています。
山地座長:少し整理した方がいいと思います。まず前半の方ですね。資料3は少し構成がわかりにくいところがある。資料3の「1.裾切り方式において考慮すべき要素」というところに、これが最終案というように要素を具体的に書いてあるけれども、これは基本的なことだと思います。それに対して「2.考慮を検討すべき要素」というのがあって、京都メカニズムとグリーン電力証書の2つがありますが、これらの関係が明示されていない。だから1のところで必須要素と書いているのは今はCO2排出係数と未利用エネルギーの活用状況、新エネルギーの活用状況だけれども、提案では今後考慮を検討すべき要素のなかに、これにプラスしてグリーン電力証書という要素をどう考えるかということが本来あるんですね。[4]が。必須ではないかもしれませんが。それから「1.(2)上記の要素に係る具体的指標」の[1]CO2排出係数のところで、ここでいきなり「温対法に基づく」とぼんと出て来るのと、考慮すべき要素のところで最初のところの反映のところで温対法との関係が微妙であるということを書いているわけですね。タイミングとの関係で。ですからここでここまで書いてしまうと、温対法の改正が間に合わなくてクレジットが反映できなかったら環境配慮契約法のところにできないのかと思うが、3ページを読むと違うことが書いてあるというふうに捉えられてしまう。ここはもう少し整理して書けば、おそらく誤解はあまりない。
もうひとつグリーン電力証書の扱いというのは、もちろん重要だと思いますが、これは少し議論を分けた方が混乱が少なくなると思います。これに関しては参考5、方法の具体的な提案というのがありますから、これを見ながら議論を進めていただければと思います。しかし途中でわかりにくいところがあれば確認は必要だと思います。ひとつだけわかりやすく言っておくと、グリーン電力証書というのはRPS法のことは随分頭におきながら議論をしているのですが、温対法の排出係数との整合性というのは確かにまずいところがあるわけですね。温対法の中ではクレジットは今から考えようということなので、電気の取引をベースに算定してしまうんですね。そうすると、例えばRPS価値がない電力、つまりグリーン電力証書としてグリーン価値を売ってしまったからRPS価値のない風力などの電力も、温対法の算定上はそれを電気事業者が買うと排出係数の中にCO2を排出しないものとしてカウントされてしまう。そこが整合性が取れていないのです。ここはちょっとこのワーキンググループで片付けるのは難しいと思います。排出係数の算定のところでクレジットをどう扱うかというのを、京都メカニズムだけではなくてRPS法における相当量だけの取引とかグリーン電力証書、これも含めて考えなくては多分整合性はとれないと思います。ただその全体をここで議論するのはちょっと境界を越えていると思います。環境配慮契約法のなかでグリーン電力証書をどう考慮するか、その具体的な方法に絞って議論をしていただきたいと思います。
鶴田委員:グリーン電力証書の件ですが、誤解があるかもしれないとおっしゃっていましたが、私は誤解している最たるものかもしれません。資料3の3ページのところで「グリーン電力証書について、電気の入札における参加者の裾切りの要件として位置付ける方法」、それが参考5の1ページに記載されていますが、この参考5はどういう意味でしょうか。[1]~[3]までが100点とあって[4]が最大10点ですから、[1]~[3]までの点が70点いかないと取引は不能でしょうか。そうするとグリーン電力証書の発注者への譲渡予定量等、最大10点とありますが、これと足し合わせて70点という意味でしょうか。
環境省(中山補佐):基本的にはそういう考え方です。
鶴田委員:そうするとグリーン電力というのは新エネ相当ですけれども、RPS法でも強制力を与える形でグリーン電力を電力会社は買わなければいけません。将来目標まで決まっています。そういう意味でサプライサイドにグリーン電力が織り込まれるということはRPSの場合は理解できる。サプライサイドにおいてはグリーン電力を排出係数にきっちり反映できるような仕組みは必要だと思いますが、グリーン電力証書というのはそれほどの重さを持っているかどうか。私の誤解かもしれませんが、グリーン電力証書は非公式的なものです。私の理解によれば、需要家は月々電気料金を払います。この電気料金にプラスエクストラチャージとしてグリーン電力供給を支払います。それを払うことによって全体の発電量からいうと、従来の電力プラス新エネの料金を払うことによって全体の電力需要が擬似的に新エネの方にシフトする。そのことが環境対策になりますよと。こういうふうに僕は理解しています。そういうふうに理解するとグリーン電力証書をサプライサイドに負担させるというのは無理がある。むしろRPSでそこは十分カバーしていると私は思います。むしろ参考1にある東京都方式というか、これのように入手実施主体が、需要家の方でグリーン電力証書を位置付けていくという方が正解ではないかと思います。グリーン電力証書に対する理解が小川さんと僕は違うかもしれませんけれども、私はRPSが導入された時に審議会の委員をやっていた時に、その時にグリーン電力証書が導入されたと記憶しております。その古い記憶をたどってみると、このペーパーに書いているような位置付けだとややグリーン電力証書に対して誤解するかもしれない。そういうふうに私は懸念します。だからグリーン電力証書の位置付けが、私と小川さんでは基本的に違ってくるという気がするのですがいかがでしょうか。
山地座長:小川さんが、CO2削減量を保証した証書ではないという時になぜかという話をして、kWhで出てきてそれをCO2に換算するというのもそうなのですが、もうひとつはグリーン電力証書は民間でやっているものなので国が保証できるものではない。そういうものを持ってきてどうなるか。そこの問題がもうひとつ重要だと思います。今鶴田先生がおっしゃったことに関して言えば、小川さんもちょっとおっしゃったのですが、RPSは小売りをする電気、事業として電気を売る、販売する事業者に対して課せられた義務なわけです。グリーン電力証書はそこのところがもっとフレキシブルで、例えば自家消費、再生可能エネルギーの電気で発電したものを自家消費する分も証書化できる。そういう意味では単にRPSで済むというものではない、プラスα部分を持っております。環境契約配慮法の中の、これは裾切りですから、CO2削減保証というところまでいかなくて済むと思っていますが、この中でグリーン電力証書の考慮をするという時に参考5の1と2はやはり大きく違いますね。サプライサイドの方にいくか、電気を使う方にいくかは大きな方法の違いだと思います。ただここは裾切りの議論をしているわけですから、やはり電気を買う方ではなくて電気を売りたい方をどうするかという議論に焦点があるので、もしこの2番目の方でやるのであれば電力ワーキンググループではないところではないかなと思います。参考5の中で1と2というのは、オプションというよりも違うアプローチです。ここのテーマは裾切り方式ですから、裾切り方式の中でグリーン電力証書をどう加味するか。そういう議論にした方がよいと考えます。
鶴田委員:裾切り方式に入れるべきではないというのが僕の発想です。RPSのみならばそれを裾切りの[3]の新エネルギーの導入状況で考慮するのはいいと思います。ただグリーン電力証書はそこまでフォーマルなものになってないし、そもそもは国全体の電力の新エネルギーをどの程度活用するかといった場合、私はデマンドサイドだと思うのですが、デマンドサイドが証書を買うことによって擬似的に既存の電力から新エネの方に全体の供給をシフトする。そういう意味では、電力の供給構造にデマンドサイドからわずかだと思いますが影響を与えている。そういう位置付けだと私は思います。従って裾切り要件に入れること自体が議論を混乱させる可能性があるので、賛成はできないなというのが基本的な考えです。これは私見ですから、みなさんのご意見によってこれがいいということになればそれは仕方ないと思いますが、サプライサイドのところではまさにRPSで義務付けられていますので、それを電力会社が買うことによってそしてお客様に電力を販売する。従ってRPSをどれくらい活用しているかというのは、入札する時に活用されるのは私は賛成ですが、グリーン証書についてはどうも疑問が残ります。
山地座長:RPSに関しては義務を履行しているというのはまず参入要件ですね。ここの新エネルギーの活用状況の中には、それを上回って活用した時にたぶん加点がくる。だけどその部分はRPS制度に基づいて調達しなければいけない。しかしそれだけでは裾切りにあってしまう電気事業者が有り得るわけです。それを救済する時に、グリーン電力証書を購入することによって加点をさせて、裾切りをクリアさせる。そうするとどうなるかというとグリーン電力証書のデマンドが増えるわけです。それは、自家消費も込みですけれども、我が国における再生可能エネルギーの伸びにつながる。そういうことです。元々は電力調達者であるところの国等の事業者がグリーン電力を調達したいというところからきていますから、グリーン電力証書を加味することに意義はあると考えます。
鶴田委員:こういう理解でよろしいでしょうか。ある電力会社が入札に応札した場合に、参考5の[1]から[3]までで70点に届かない企業がおられた場合に、それはある意味では新エネルギーの導入状況が低いかもしれない。そうするとその企業は新エネルギーに対する活用の仕方が低くなりますから、従って救済措置としてグリーン電力証書を購入する、新エネを使ったことと見なす。というように極めて限定的ですよね。グリーン電力証書の扱いついて、ペーパーにこれだけ大きく書かれると極めて重要な位置を占めているのかと思っていたのですが、そうではなくてもっと小さな、極めて限定的な位置付けですね。
小川委員:鶴田先生のおっしゃっていることはよくわかりますし、グリーン電力証書というものがRPS法と比べて公的なものではなくて、あくまで民間が自主的にやっているものであるという位置付けもおっしゃるとおりだと思います。RPS法の取り扱いと同じような重さでもって、この環境配慮法の中でグリーン電力を取り扱うべきだという主張はしているつもりはまったくありません。こういう議論をここでやるのは必ずしもふさわしくないかもしれないので簡潔にしたいと思いますが、RPS法で実施する新エネルギーの推進のさせ方は強制義務を持たせる方向ですから、そういった方法を未来永劫続けていくというのもおかしい話で、最後は市場で自由に競争できるエネルギーになってもらわないといけないわけです。そういう意味では強制義務でやるような構造のものと、ボランタリーな意思で動く民間の活動のようなものがあって、両方の制度で新エネルギーの導入を推進し、最後は裸で競争をしますという世界に入っていくという段階的なステップをたどる必要があると思います。このように、いろいろな仕組みがあって、全体として新エネルギーをサポートできるという構造があるのが、私は望ましい話だと思います。そういう意味で、グリーン電力証書の制度は、RPS法ほどの強さはないけれども、別の効果を持てる仕組みとしては重要だろうと思っています。特に、別の効果という意味では、RPS法は義務を達成すればそれでおしまいになってしまうので、それを使った行動というのは何も行われないわけですが、グリーン電力証書の場合は最終で入手した需要家がそれを使っていろいろなアピールをすることで、新エネルギーの重要性を国民に広く訴えかけてくれるという役割があります。こういう役割は、RPS法ではできない部分として相当大きなものを持っていると思いますので、その点も加味して、必ずしも同じ重さではないけれども、グリーン電力証書制度にも新エネルギーの推進を図る一定の活動をしているという意味で何らかのインセンティブを工夫する必要があると思います。この資料では大量の分量でグリーン電力が書かれているので、すごく重い位置付けを持たせているという印象を持つ部分はあると思いますが、そういうことではなく、RPS法と当然取り扱いの差があってよく、でも何らかの工夫でグリーン電力制度にも一定のインセンティブをつけて、前向きに持っていくことができるのであればそうした方がいいのではないかと思います。参考5に出ている1の取り扱いは、何かの条件が整わない時にプラスαで考慮できるという仕組みですが、そういう付加的な形でも、インセンティブとして付くのであれば、それはそれでひとつの方策ではないかと思います。
鶴田委員:小川委員の話を私の言葉で表現すると、グリーン電力証書はある意味でデモンストレーション効果としての意味を持っている。そういう意味ですね。要するにそれ以外でもないし。環境対策という点から言うならば、基本のひとつは排出係数だし、あるいは新エネの導入、そういうことが基本である。排出係数に関して言えば、やはり京都メカニズムを中心にきちっと据えて考えていくというのが基本だと理解していいですね。従ってグリーン電力証書は、あくまでもデモンストレーション効果としてここに入れている。
小川委員:そういう意味と、RPSは非常に強制的な強い力でもって市場に導入させるということをさせているのに対して、最後は裸でエネルギー間競争をする新エネルギーにならなくてはいけないという命題の間をつなぐ機能、役割というのも、グリーン電力の制度にはある程度あるのではないかと思っています。
山地座長:排出係数のところで京都メカニズムだけを考えればいいという鶴田先生のご意見には私は必ずしも賛成ではない。RPS相当量だけが電気事業者間で動いた場合に、これが排出係数に反映されないというのは、これは国全体としては同じなのですが、電気事業者間では差を生みますので、それが排出係数の考慮の範囲にならないのはおかしいと思っています。それから先ほどの繰り返しですが、グリーン電力証書の方に環境価値を渡してRPSの中に入っていない再生可能エネルギー発電、例えば風力発電でもその電気を買うと排出係数に反映されるのが現在の温対法の排出係数ですが、これもやはり問題だと思います。ですから排出係数の議論をしだすとものすごくいろんなことを議論しなければいけない。ここはもう少し限定したいというのが私の考えです。
鶴田委員:1ページの「地球温暖化対策推進法に基づく」という「基づく」とはどういうことですか。
環境省(中山補佐):基本的には温対法で係数を公表してもらう方向になると思っていますが、その数値を使うことになるということを書いているものでございます。
鶴田委員:「基づく」というのはいろいろな意味に取れますので、あまりいい表現ではないと思います。例えばひとつのケースは、いくつかの電気事業者については、まさに地球温暖化対策推進法に基づく算定ルールに従って算定した係数が公表されていますね。公表されていない企業もあります。その公表されていない企業は未公表になりますね。その企業はどうなるのですか。
環境省(中山補佐):実はそこはどうするかというのは議論になるのだろうと思っています。
鶴田委員:議論になるのだろうではなくて、やはりそこははっきりさせないといけないので。例えば公表されていない電力会社であっても、自分のホームページでは開示しています。これを公表とみるのかみないのか。その辺を曖昧にしておくとホームページで開示している企業が入札に参加できなくなる。
環境省(笠井課長):本日はお配りしていないのですが、前回、算定公表の時に係数をどう使うかということでお配りした資料の中で、排出係数の告示で公表しているものを使う、または東京都など地方自治体が公表しているもの等を排出量の算定の時に使っていいというふうになっていますし、それがなければデフォルト値を使ってやるということになっています。それは排出量を出す時の算定公表制度の中での係数の使い方ですけれども、ここで言っているのは数字を持ってくるということを言っているので、契約の入札資格として考える時にどうするかというのはまさに議論をしていただきたいところです。告示で排出係数を公表していない企業がどうなるかというのは2つあって、デフォルト値を使うというのと、ホームページに出していればその数字を使うことになりますと。
鶴田委員:ということはホームページで出している企業は、国が公表したものと同じように公表していると位置付けていいのですか。
環境省(地球環境局):算定・報告・公表制度上は、そもそも算定をされる特定排出者の方が、自らの責任で、実測の係数として確からしいものだということで、国の方で定めているデフォルト値0.555以外を使う場合、その使う係数の内容も含めて書いていただくことで使えるかたちにはなっています。ただ契約法の議論なので別だと思いますけれども、単純に国によって公表されていない業者が、おそらくそれは0.555以上だと思うのですが、だからといって契約法の裾切りで0.555を使ってしまうということになると、今回の契約法を作られた趣旨からみていかがなものかと。
鶴田委員:国が公表した制度ではなく、国の算定ルールに従ってホームページで公表しているところは応札できるのか。
環境省(笠井課長):実態を言いますと、そういう数字とどういうデータだったかという根拠を持ってきて入札に参加していると聞いています。
鶴田委員:もうひとつは例えば算定ルールが、まさに地球温暖化対策推進法に基づく算定ルールがある、それを国が算定ルールに基づいて係数を計算しているケースと、それからその算定に基づいて各事業者が算定する場合があります。ですからこの基づくというのがどういうふうに理解していいかかよくわからない。ですからペーパーに書く時には基づくではなくて、もう少し具体的なケースを念頭に置きながら第三者にはっきりわかるように文章を書いて欲しいと思います。抽象的ではなくて具体的な問題ですから、応札可能かどうかということは事業者にとっては死活問題になりますから。
山地座長:私も非常に似た意見を持っている。ただし係数をポイント化するわけですね。そこの関係のところであまりぎりぎりした話にはならないというところはあると思います。たとえば、デフォルト値を超えた場合に差がつかないようにして点をつけてしまえばあまり関係のない話になりますけれども、そういう具体的な提案がない限り、今のようなコメントは必ず出るのです。だからそういうことを書いた方がよくて、その矛盾というのが本当になんだかよくわからない。もちろん課題になっている表現という話もありますけれども、そこはもう少しきちんと最終的に検討会に上げる場合には議論したい。その時にある程度ポイントと係数との関係というのも、無駄な議論とは言わないけれども、裾切りに使うというところの配慮の中での議論はより効率的に行えばいいのではないかなというふうに思っております。
今まで、まずグリーン電力証書の扱いについて結論はある程度収束してきたと私は思っております。それも含めて今前段の方の排出係数の云々ということについて、他の委員のみなさんいかがでしょうか。
中村委員:気になったのはPPSとして先ほど議論になっていました裾切りで使うCO2の排出係数のところです。ここでは温対法に準ずると書いておりますけれども、温対法の公表されている排出係数を使うということは全国ベースで一つの値で、全国どの庁舎においても裾切りで考慮する排出係数として利用できるという意味では非常にシンプルである。ただ先ほど言ったようにデフォルト値0.555以上の事業者をどう評価するかというのは課題に残っているという認識をしております。ただPPSをとってみると、東京都の場合、全国エリアフリーで事業しているPPSの場合は、各電力会社エリア単位で供給する電気に関わる排出係数を算定することも可能となっています。現在でも東京都のエネルギー環境計画制度においては、係数の算定ルールについては温対法と整合を取った上で東京電力エリア管内に供給する電気の排出係数が、前回の資料でも東京都の場合のケースもグラフで示されて出ている部分がありましたけれども、東京都のエビデンスの確認の下に公表されている、そういったところでございます。温対法の報告制度のマニュアルでも、需要家が使用する電気の排出係数についてはできるだけ実態に即した係数を用いることが望ましいと書かれていることを踏まえると、裾切りで考慮する排出係数については、当該電力エリア管内に供給する電気の排出係数とするのがPPSから見れば、より実態に即した係数と言えるのではないかと思います。しかし各電力会社エリアに供給する電力の排出係数を個々に作るというのは大変なことですし、現在は公表値としては東京エリアにしかない。こういったことを踏まえると、個々に地域ごとにこのために係数を作るかといったところは生産的ではないというふうに考えています。従いまして先ほど議論されているように2つのいいとこ取りというのではありませんが、公約数といたしまして、裾切りで考慮する排出係数については温対法で公表されている排出係数を利用することを基本として、例えば東京都のように都の方がそれぞれの事業会社の報告に基づいて、温対法の算定ルールに基づいて、排出係数を確認したものも使えるような形でそういった趣旨をぜひ解説資料とかそういったところに盛り込むような形で、最終的にはそれぞれの入札の主体がそういうことを判断して運用するというようにしていただけるのが適正ではないかと思います。
山地座長:参考3のところにマトリックスみたいになっていますけれども、PPSさんの中にはいくつかの供給地域があり、この時に事業者としては1本の排出係数、温対法に基づくものだけれども、それを下回れる地域があって、それを明確にできる場合にはそれを使えるような制度にした方がいい、そういうご意見ですね。
中村委員:参考資料は温対法の数値を持ってきていて、全国の平均数値でやられているのですが、東京都の場合で言うと託送によってどういう電気が流れてくるかといったところをちゃんとPPS側が出して、管内における排出係数ということを確認していただいて。当然そこでの算出方法については温対法の算定ルールに基づくような形で確認していただいて、そこでひとつの排出係数ということで。そういう面もあるので、そういうことも少しできるようなかたちでやっていくと、デフォルト値0.555の議論がありましても、やはり0.555以上の数値に対して単純にホームページにあげているものでいいのかどうかといったところを第三者がどう認証するのかということを考えると、自治体なり入札主体が温対法の算定ルールという枠組みの中である考え方の中で出してもらって確認して入札をするといったことも可能となるので、そういったところを考慮していただければと思います。
鶴田委員:今非常に不幸な状況にありまして、京都メカニズムクレジットに関する経済的な評価を排出係数に反映する仕組みがないということです。果たして係数がどれくらいの経済価値を持つのかということも全く不透明です。そういう意味では制度が非常に未成熟な段階ですね。ある意味で過渡期。そういう過渡期にあって今おっしゃったような割り切り方をしたら、例えば参考3で具体的に数字が載っていますからわかるのですが、例えばデフォルト値を超えている中国電力0.66、今の議論だったらこの中国電力は応札できないということになりますね。もし0.66であっても、この企業自身が努力する時に、例えばクレジットを上手く活用することによってこの係数を下げられるというふうな状態にあれば、おっしゃるような議論は成立すると思うが、やっぱり今の段階ではそこまで言うのは言い過ぎではないかという印象です。
山地座長:具体例が出たのですが、前回の議論で地域別に最終保証義務という話があって、それには当該地域の一般電気事業者が絡むというので、今先生が言った例のようにはならないのではないかと思います。ただ、これとクレジットの話はまた別の話。
中村委員:排出係数で裾を切るというよりも、どういう係数で、これからポイント評価をする時に地域別の評価を作る時の係数として、先ほど言ったように温対法の全電源の全国一律の値というよりも個々の自治体で温対法の算定ルールに基づいた形で出したものであると確認できれば、それに基づいて。あとどこで切るかは、先ほど山地先生も言われているように、最終供給保証を持たれているそれぞれの一般電気事業者のところも加味しないと、PPSが中国エリアで供給力がどれだけあるかということもございますので、そういった競争の観点、諸々含めながら点数のポイントとかそれはされると思うので、まずは私が言いたかったのは排出係数の算定のところを少し幅を持たせるようなかたちにするのが、先ほどの0.555を含めたところの排出係数の扱いでいいのではないかということです。
環境省(地球環境局):係数について、10電力会社の管内などでみて、それぞれ数字を作るような話です。算定・報告・公表制度と契約法で裾切りの数字を作るという話はけっこう同じような話ではないかと思いますが、ただ、算定・報告・公表制度の数字というのは全国一律で、しかも環境省と経済産業省の方で中身をしっかり確認して、1ヶ月くらいやり取りしていまして、そういった作業がある中で出せている数字ですので、あまり管内で分けて数字を出して、しかも契約法だけ先行して京都メカニズムクレジットを反映するというのはかなり混乱を招くのではないかと。
中村委員:基本はそこに置いておきながら、個々に作るのは非常に非効率だということですから、基本はやはり温対法でそれぞれ確認させていただいていたんです。ただ東京都の場合も同じくらいの労力を使って、どれだけの排出係数かということをルールに基づいてしっかり取り組まれていますので、そういったことも指標のひとつとしてやっていただけるようなかたちでのマニュアルにしていただければと思います。個々に作るということを主張しているのではないということだけは。
環境省(地球環境局):東京都の数字の計算の仕方も、確かに算定・報告・公表制度の計算方法とかなり似ているとは思いますが、例えば電力取引所の数字など違っているところもございます。東京都はかなり確認をされていると思いますが、東京都だけで確認されているものでありますので、国等の入札に定める係数でございますので、そこはまさに算定・報告・公表制度の係数で裾切りされるということでいいのではないかと。
渡邊委員:全体についてご意見させていただきたいと思います。一つ目はこれは我々の確認という意味も含めてですが、資料3のところで1.裾切り方式において考慮すべき要素の(1)裾切りで考慮する必須要素ということで3つ挙げられています。これは現在実施されている方法と連続性があるということから適切と考えております。この中で真ん中あたりにあるなお書きのところ、「各要素の区分値・配点および裾切り下限点について」というところ、これは入札実施主体がそれぞれ判断することが安定供給の観点からも的確であると考えておりまして、ということからするとその下に続く[1][2][3]のところで書かれているのですが、前回の1回目のワーキングの資料でもちょっと話があった、一般電気事業者に対して最終保証義務が課せられていることとそれから安定供給の確保の観点からも、地域ごとに裾切り方式を設定というふうにされておりましたので、この点については概ね了承されているのではないかということ。あえてここに書いていないのですが、共通の理解のためにあえて発言させていただいております。実際の解説書へ具体的にブレイクダウンされるにあたっては、入札実施者が法の作成経緯も含めて丁寧に記述していただいて入札実務に資するような点については、しっかり記述していただく必要があるのではないかと考えております。
それからその下の(2)の[1]のCO2の排出係数、今もちょっと話題になっておりましたけれども、この排出係数については温対法のCO2排出係数を使用すべきというふうに考えております。これは異なる排出係数が沢山出てくるというのはやはり混乱を招くということと、もうひとつ先ほど出たように温対法でお客様が排出量を報告するのですが、この場合は入札の実施者ですが、この人たちが報告する際にもその係数を使うということからすると、この係数を使うべきだと。ですので、地域ごとに係数を作るということはやはり問題ではないかと。やはり法律に基づいて設定された排出係数を使うべきではないかというふうに考えております。
それから3ページの(1)京都メカニズムクレジットの話ですが、元々京都クレジットは国の削減目標のために買っているということもありますので、温対法の排出係数に早期に反映していただきたいと考えております。ここでの議論ではないと思いますが、そのような「べき論」も言うべきではないかということもありますのでちょっと言わせていただきます。ただ前回の時に、例えば京都クレジットを特定の顧客の条件に使う、ポイントにするのか排出係数で抜くのか、そんな方法があるとは思っていなかったのですがそういう方法が指摘されましたので。やはりこれは国の削減のために全体に使っているわけですから、全体の排出係数から削減すべきものであろうと思っております。
それからグリーン電力証書の扱いでございますが、いろいろな観点がありますが、この中の[1]のグリーン電力証書の排出係数への反映というところ。グリーン電力証書がCO2の保証云々というのを議論するのではなくて、やはり温対法上そういうふうにCO2を動かしているわけではないということからすると、温対法の排出係数に反映するのは難しいというふうに考えておりますし、小川先生から前回提案があったように特定の顧客の排出係数に使ったらどうだという意見がございましたけれども、やはり排出係数がいたずらに複数出て来るというのは複雑化しますので、温対法の排出係数で一本化するのが望ましいと考えています。もうひとつは「[2]グリーン電力証書の譲渡を裾切りの条件の中で考慮すること」というところで考えると、ある一定量の証書を入札実施者に提供するということになろうとは思うのですが、これについては小川委員先生が言われたように、電力の購入契約を結ぶ際の話であって、入札の参加資格の部分ではないのではないかというふうに考えております。グリーン電力証書が需要家のためなのか供給者側というのはいろいろあろうかと思いますけれども、やはりRPS法を守ることによって新エネを推進していく、これは供給者側の責任であります。個々のグリーン電力証書は需要家が自身、ここにも書いてありますが、自ら保有することが困難な企業、自治体等が環境対策に貢献するための手段だということもあって、やはり需要家が保有すべき証書ではないかなと思っております。ただグリーン電力証書について、我々は決してネガティブな印象を持っているわけではなくて、やはり新エネはいろいろな団体が支えるべきものだと思っておりますので、国民全体が支えるものの1つとしてグリーン電力証書を使うべきではないかというふうに考えております。ただ参考5で書いているようなセカンドチャンスみたいな使い方についてはそういう方法もあろうかと思います。いわゆる敗者復活を与えるという点ではいいのかと思いますけれども、ただこういう方式を仮に導入するにしても、すべての入札実施者がこれを採用しなければならないということではなくて、あくまで資料3に書いているような3つの観点で評点をして、その中での入札実施者、地域の事情に応じて、採用できるという、そういう意味でいくとオプション的な位置付けなんだろうなと考えております。それから参考5の下の方に書いてあります2番目の「入札実施主体側でグリーン電力証書を調達する方式」ということ。これは東京都の例を書かれているとは思いますが、これはあくまでやはり裾切りとは関係なく調達者がどうするかというだけの話ですので、ここで議論すべき話ではないのではないかと感じております。
以上申し上げましたが、資料3の「1.の裾切り方式」の部分については今回3つの観点については賛成させていただきたいと思います。資料3の中に基本方針の解説資料に複数の例を例示すると書いてございますけれども、往々にして例示が一人歩きするということもございますのでなるべく多くの例示を出していただいて、「これまでの当該地域で採用されているような裾切り基準を参考にしながら」というような文言も入れながらガイドラインにしていただければありがたいと考えています。
鶴田委員:資料3の1ページですが、裾切り方式について具体的な方法が出ている。しかもそれは第1回のワーキンググループの議論を踏まえ、となっている。従って1.の(1)の上の段に要件が書かれていて、その下の段に入札実施主体が以下の観点から判断の上設定する、とありますが、供給義務の話も継続性があるから書いてなくてもいいというご判断だと思いますが、やはりここにきっちり書く。それからグリーン電力証書についても非常に限定的に使うということを書いておく。そういうかたちの方が誤解を招かないと思います。
経済産業省(片山課長):渡邊委員から最終保証義務云々という話がありましたが、電力自由化を担当している課長としてはアンビバレントなところがありまして、本来そんなことを言わなくても自由化範囲なのでどんどん電力間競争もあり、入札を実施する主体から見ると入札不調になることは絶対ないと安心できるような競争環境ができていることが私の職責なものですから、今の競争状況を踏まえるとやむを得ず最終保証義務といったことも意識をして入札条件を設定せざるを得ないということなのかなと。現実を踏まえると、政府がやる入札でございますのでいたずらに入札不調にはできないという制約の下でやらざるを得ないということだなと受け止めております。
それから、事務局に質問というか、温対法上の解釈として、特定排出者が自ら説明ができれば国が公表した数値あるいはデフォルト値以外のものが使えるというご説明があったと思うのですが、仮に温対法の算定ルールに則って公表された数字をベースに自分の判断で、例えば自主行動計画を達成するために政府の口座に償却したクレジットの分を差っ引いて、差っ引くとうちの原単位はこうですということを公表したとします。それは口座に移転されているので正規の手続きとしてそうなっているというようなものが公表されていたとして、特定排出者がその数字を使った場合に温対法違反になるのかどうかというのがあって、これはかなりきわどいことを言っているとは思いますが、要は温対法に基づく排出係数にクレジットの反映というのがかなり慎重に法的に検討しなくてはいけなくて時間がかかる。ただ一方で、笠井課長からもあったように、実際の入札はもっと足元から始まってしまう。そこの間を取り次ぐものとして、私の言っていることがあまりにも脱法行為だというのであればあれなんですけど、何か道を探すとした場合にそういう考え方が有り得るのか有り得ないのか。仮に特定排出者の公表のところでそういうことが有り得るのだとすると、入札資格のところでそういうことを考えることもそれほどおかしくないという気もしています。そこのところはやはり温対法上の扱いというのは慎重に考えなくてはいけなくて、そんなにすぐにできるものではないという前提に、では環境配慮契約法上どういうふうに考えますかというところを、今日結論が出なくても考えなければいけないところだと思います。グリーン電力証書の位置付けはかなりご議論いただいて明確になってきたとは思いますが、どれだけやれば何点あげるというのはどういうふうに基準を作るのか、これは極めて難問ではないかと思っていまして、実はRPS法に基づくRPS価値のところは法的義務は最低、要するにボローリングは2割しかできないというところに着目して、法律違反ではないけれどもその年の義務量までの間というところよりも義務量を超えてバンディングした人にはさらに加点してあげましょうというような配点の考え方をとっているのですが、グリーン電力証書の価値というのは何をものさしにして考えればいいのだろうというところが非常に難しくて、セカンドチャンスという趣旨を反映したやり方というのは具体的にどういうものかイメージがわかないなというところがあります。以上です。
公正取引委員会(神宮司課長):最終保証義務というものが出て来るというのは、最終保証という言葉にあるとおりラストリゾートということになるかと思います。従いましてそういう用語が前提としている状況というのは、ある程度異常な事態が起こった時などを想定して使われている部分があると思います。現在ここで問題になっている、この基本方針で決めるべきことというのは、平常時における一般的な意味での制度の枠組みを決めるということでございますので、一般的な制度の適用をするという時においてはそういう一般的な状況を想定した制度設計があるべきだろうと考えております。もうひとつ気をつけなければならないのは、最終保証義務というのは当然のことながら一般的事業者ということと結びついた用語ということになります。背景としてそういうものがどの程度存在するかというのは別の問題として、そういった用語を用いるということが、複数の電気事業者の参入を確保するといった時の、複数の電気事業者にいずれかに対して不経済を与えるといった意味のメッセージとして受け取られるということはかなり用心しなければならないことだと。そういう部分というのは、競争の場における公平を確保という意味においては問題が出て来るかと思います。従ってそういうことを用いていくということによって誤ったメッセージを与えることのないようにというのが、現時点での考え方ということで、結果としてできましたこの資料3における1.(1)の下の方の[1][2][3]については、その点においては一応配慮した上でこのように書かれているものだというふうに理解しています。
酒井委員:裾切り方式で入札に参加できる人を絞るということですから、入札というのが公正に行わなくてはいけないということを私は気にします。そういった意味で項目がここに示されているのですが、その具体的な内容が明確に記載されてこないとイメージとしてはわいてこないので、この段階ではこれ以上のコメントはできない感じがします。ここでいうことはないかもしれませんが、東京都の入札監視委員会の委員もしているのですが、入札する時に総合評価方式みたいなものをとる時に、価格の要素、それから事業者の提供するサービスの品質の要素とかそういうのを加味してやるやり方というのをいろいろ検討して、実行しつつあるんですよね。ただ一応これ入札ということになると、価格の要素とそれ以外の要素をどういうふうにバランスさせるかみたいなことももしかしたら必要なのではないかという感じがします。もちろん環境政策のためにやろうとしているので、そこの部分については行おうとする基準というのが環境政策の遂行のためにどれだけ効果があるかということをきちっと評価した上でいろいろ基準を決めていかなくてはいけないのだろうと思います。だから私が気にするのは2点です。入札をする時に公正に行い得るような明確な基準になっていて、もし明確さがなくていずれかの業者が不当に不利に扱われてしまうことがあってはいけないということと、それから制度の趣旨ということですね。環境政策の要請というのと電力業者間の競争を促進するという意味もあるので、環境政策の政策目標を他の政策目標をどのようにバランスさせるのか。そういった基本的なものの考え方というのが示されている必要があるのではないか。今日初めて参加したので、もしかしたら前回そういう議論をされているかもしれませんが、今日聞いた限りでの感想を述べますと以上です。
山地座長:ありがとうございました。2点目の議論はこの上にある検討会、それから前回のワーキンググループでも議論されたところで、電力はひとつのワーキンググループでそれ以外にもあって、その中で政策の議論がされるということ。電力については立法過程でのいきさつもあったようですが、当面裾切り方式ということなので、そのバウンダリーの中で我々は検討している。ご指摘は非常に理解できることなのでそういう議論を行いたい。
中村委員:競争という視点の中で、参考5の中で先ほどのようにグリーン電力証書についてはセカンドチャンスといったようなかたちでオプション的に扱うという意見をされていると思いますが、ぜひそこは解説とかで実際に作る方にわかるような形で伝えていただきたいというのが一点。
もう一点は配点のところの議論はここではあまり議論されていないと思いますが、ひとつは配点、例えばCO2の排出係数のところと未利用、新エネルギーの配点のバランスになるかと思うのですが、そこの付け方によってはあたかも排出係数によって事業者を絞り込むというようなことがないような形で、考え方とかを示していただければと思います。新規参入者のPPSから見ると、需要家が温対法の中で報告に使っているデフォルト値0.555よりも低いPPSについてある程度参入のチャンスが得られるような形での条件、こういったことを少しイメージしながら、複数の事例を提示するということなので、絶対的なことは示せないと思いますが、ぜひ環境と競争と両立といった中で配点のところの考慮をお願いしたいということです。
環境省(笠井課長):配点のところは、排出係数を70点におかれているものと60点におかれているものと、現行はそれでやられていて、配点のところまで踏み込んで基本方針を決めてしまうか各省に任せるかというところは悩みどころなのですが、もう一度資料を用意する必要はあるかなと思っております。それから、入札で提示された係数がそのまま算定報告の時に同じ係数なのかどうかというのは、入札した時期にもよって大体年度がずれて係数が変わってしまうというようなこともありますので、そこは必ずしもイコールなものではないと思います。入札にあたってどうするかというところについては、実際にはホームページに公表されているものだとか、東京都の数字だとかを、さらには材料を持ってきてこんな係数でやるという方法で、現状はやられていると聞いています。
環境省(中山補佐):先ほど複数の係数がいろいろ出ることのないようにというお話もあったところですが、クレジットのところで現在の書き方ですと実は複数出得る書き方になっているものですから、ここをある意味、基本的に温対法の議論が終わった後についてはそこに任せるような書き方にしておいた方が、戻した方がよろしい。戻した上でどういった形が出来るのかはともかくとして、検討会の検討の外ではありますので、どういった形ができるのかというのはできるかどうかも含めて議論が必要だと思いますけれども、温対法に対してのコメントにして留めおいて、温対法の議論が終わった後についてはそれに任せるという書き方にしておいた方がよいのかどうなのか。もうひとつは温対法の改正前について別途検討する必要があるのかどうか。次回に向けて資料を作る立場としましてはそこのところがかなり、どういった形で作ればいいのかということについて皆様方にご意見をいただければと。
山地座長:この議論はこの場だけでなくておそらくいろいろなところでやっており、次の議題もあるので、ここではこれ以上そんなに時間をかけたくない。今までの議論を少し整理しますので、その次の議題に行く前に発言の希望があれば聞きたいと思います。資料3に沿っていくと、まず必須要素。(1)のところ。これは確かに基本だけれども、ここに従って加点方式というやり方がグリーン電力証書の扱いとして大方の皆さんの合意が取れていると思います。必須ではなく補完的なもの、敗者復活というような言い方が出てきましたが、そういう位置づけでグリーン電力証書を加味したらどうか。ただ具体化する時になかなかそれは難問ですよというご指摘もあってそれはそのとおりですが、未利用エネルギーの加点方式のところでいろいろな方式が既に行われていますから、それを参考にしていけば案は作れると私は見通しております。それから(2)ですが、これは温対法に基づくわけですが、公正な競争を促す透明感がある客観的なものでなくてはならないところを十分注意していただきたい。この中で難問というか議論が集中しましたのは、グリーン電力証書は係数ではなくて得点にするということですが、京都メカニズムのクレジットのあつかいです。これは係数に反映した方がいいというのがほとんどのご意見ですね。それと温対法の改正との関係をどう処理したらいいか。先ほど片山課長がアイデアをお出しになったようでもありますから、ぜひ知恵を出していただければと思っております。あとは表現上の、最終保障義務の表現ぶりというのはなかなか慎重を要することだろうという気がしました。それと中村委員のご指摘の全国的に展開しているPPSの問題ですね。これはなかなか現実には難しいかなというのは私の個人的感想です。先ほど言った公正なというところをできるだけ考慮していただきたい。会社を分割するという手もあるかと思ったりしますが。そもそも電力の排出係数というのはいろいろ難しい問題を抱えていますので、裾切りですからそこまで考えなくてもすむような制度になればいいのではないかと思っております。最後に議論にはなかったのですが時間差の話。いろいろな時間差があるのですが、特にご意見もなかったというのはここに書かれているようなものかなというのが私の現時点の考え方です。
鶴田委員:この制度はシンプルであることが望ましいと思います。私は入札時の排出係数でいいと思います。実排出係数となると、例えばいろんな条件が変わってきます。それを追いかけて実排出係数はこうですよとやることがいいかもしれませんが大変煩わしいと思います。私は入札時の排出係数でいいのだと思います。シンプルイズベストです。
山地座長:ありがとうございます。拙いまとめでしたが最初の議題について何か追加する発言はございますか。
中村委員:排出係数の算出のところはぜひ透明性と競争といったところの中でどういうかたちを。先ほどの温対法の中でも個別でといった部分が残されているということなのですが、ぜひそういった視点の中で。我々排出係数でポイントで評点をするわけですけれども、それが最終的には入札要件に関わってくるので、ぜひ透明性といったことの中で、CSRで報告している数字がいいとかそういうことではなくて、ある程度しっかりした認証の下での扱い。それがひとつは温対法上の排出係数なのでしょうけれども、そういったところをお願いしたいと思います。
(2)電気の供給を受ける契約の解説資料の骨子について
山地座長:時間も迫っていますので次の議題に進ませていただけますでしょうか。解説資料の骨子案について説明をお願いします。
環境省(中山補佐):(資料説明 略)
山地座長:ありがとうございました。ご質問あるいはコメントがありましたらお願いします。
小川委員:内容的にはこういう全体像でまとめるということで結構だと思います。一点だけ確認したいのは、9月27日に第3回委員会があってそれが最終ということになると思いますが、その時にどういう検討資料が出されるかという点です。第3回の委員会では骨子で書かれている内容がきちっと文章化された資料が出てきて、これでいいですかという検討になると思います。ある程度長い材料が入ってくるところは、この骨子に第1回ワーキング資料4が基本とか詳細は資料3を参照して下さいということで示されており、それ以外の部分はそんなに長い内容のものではなく、骨子で簡潔にまとめられたものが文章化して多少膨らむ構造だと思います。ところで、この委員会の事前に配られた資料の中では、裾切り方式による仕様のところに、「仕様書の作成方法について」という材料の引用が入っていたのですが、そういった意味で確認したいのは今日までに議論してきたような資料が全く新しい形で第3回の委員会で出て、初見の結構長い資料を検討しなくてはいけないという事態に第3回ではならないと考えてよろしいねという点です。
環境省(中山補佐):基本的な要素は今日までの議論でポイントは揃っているのだろうと。まだ最終的な結論が出ていないところもございますので、そのあたりについては案を提示するという部分も出て来るだろうと思っておりますが、そういう形になるかと思っております。
山地座長:最終案なので少し事前に勉強して本番に望みたい。大変だとは思いますけれども準備していただきたいと思います。他にいかがでしょうか。
経済産業省(片山課長):第1回のワーキング、検討会でもそうだったと思いますが、最初に検討しなくてはいけないところで、基本方針として閣議決定している部分、四角囲いの部分と解説におこす部分というのがあったのですが、あの時も議論してきてかなり入札方式としての骨格になるようなところは全て解説資料におこすのか、閣議決定の方に引き上げるのか。これはたぶん他のワーキングとの横並びとか全体の調整も当然あると思いますが、若干基本方針のところに書いてあったのが法律の条文そのまま書いたようなところがあったので、どういう基本方針を全体としてまとめるのかという中で考えていったらいいのではないかと思います。
環境省(中山補佐):ありがとうございます。
山地座長:多少時間がありますが、全体を通して今言っておきたいということがあればお願いします。
環境省(地球環境局):時間がないのであまり細かいことは申しませんが、先ほどの温対法で自主行動計画の関係で国に償却したような場合に、係数がよくなったものを算定報告公表制度上使えますかという質問なのですが、基本的に実測等に基づくものでやるということになっておりますので、今まで個別に照会されたことはないのですが、現行法では難しいと思っています。それはこれからの見直しの中で十分に慎重に議論していくことになりますので、また次回以降の検討だと思いますが、環境配慮契約法で独自に反映するようなことは慎重にすべきかと思います。
山地座長:実測とクレジットは一緒にできないということですか。
経済産業省(片山課長):私が申し上げたのは、そういう解釈も含めて非常に難しいところがあるので、ただ一方で温対法の持つ公表制度というのはかなり柔軟に特定排出者が自らの説明責任の下で報告する係数を選べるという仕組みになっているので、仮にある電気事業者がうちはこうだというのを出した時にそれを使うと特定排出者は温対法上脱法行為になるのかということをお伺いしたということで、やはりそれは温対法上問題だというご見解であるとすると、環境配慮契約の入札の方が先に先行するとした場合に事実上温対法の趣旨に照らして止めた方がいいという結論にならざるを得ないということだと思います。できるのであれば考えればいいということだと思いますし。そこがまず有権解釈権を持っておられるところに答えを出していただかないと、おそらくこのワーキングとして工夫のしがいがあるのか、しがいがないのかがはっきりするのではないかという質問をさせていただいたということです。
環境省(笠井課長):今片山課長が言われましたのは、前回出しました資料6で排出算定のマニュアルということで、デフォルト値以外に温対法に基づき個別に公表された電気事業者が供給を受ける場合には、公表された排出係数または電気の使用者に向け把握できる係数(各電気事業者がホームページで公表しているもの。地方公共団体やその地域に 公表しているもの等)として、適切と認められたものを用いて算定を行い、となっているので、ここにあるホームページで公表しているものと言っているものもあるので、これで良いのか否かというご質問をされているのですね。それは私の立場からすると、来年の1月、2月にも入札があるかもしれないので、その時にどういう考え方でやるのかというのは契約法で考えなければいけなくて、仮に算定公表制度の考え方は今のままで変えないということであったとしても、タイムラグがありますから、20年の最初に契約したものを見る時に20年度が終わって、1年終わって係数が出て来るずれとかもあるので、公表の話とは切り離して考えることはできることはできるのではないかという思いは持っております。
経済産業省(片山課長):私が言うことではないかと思いますが、そこはよくご議論していただければところじゃないかと思います。
渡邊委員:京都メカニズムのクレジットの排出係数の反映の話。このワーキングの課題ではないというお話がありましたけれども、やはりメッセージとしてぜひそれは入れていただきたいと思っております。もう一つは、実際は京都クレジットをいつ使うかというと第一約束期間以降ですので、平成20年の当初に使うことはできないんですね。2008年の年度がスタートした後。たぶんその年度のどこかで国へ無償譲渡するという形になるので、そういう意味でいくと2008年度の係数が出るときにどうかということだろうと思っております。ただ早期に温対法に基づく制度にぜひ組み入れていただきたいと思います。
公正取引委員会(神宮司課長):今日はグリーン電力証書の問題についてかなり細かな意見がありましたので、少しコメントさせていただきます。鶴田先生からご指摘がありましたように、私的な団体あるいは事業者の集まりというものが行う認証というものについては民間での認証ということになるわけですね。それが民間での認証に止まっている場合だけであればともかくとして、国の制度に、そういう民間の事業者団体、事業者の集まり、事業者が関与した形で行われている認証が国の制度の中に何らかの効力を持つ場合には、競争政策的にはやや懐疑的に見なければならない部分というのがあります。ちょっと抽象的な言い方で申し上げますけれども、参考4のこの図ですけれども、この一番右側のところについて電力事業者の一部になるわけですね。ですので、そういう形で事業者というものが仕組みの中に関わっているものに出て来るところの認証というものが入札における条件として考慮されることについては、競争政策的には留意しなくてはならない面があると思います。ただ他方、比較考慮の問題にはなると思うのですけれども、ここは我々素朴に考えた時には、入札における加点、点を加える要素が多い方がより多様な事業者の参入が促進される側面もあるとは思っています。ですから一般的に制度設計する場合には、なるべく競争的にポジティブな制度を作っていくといえば、結局業者の比較衡量の問題になるというふうに考えてみました。ただその点において、こういうことを加点する要素にすることで、もしそれが必ずしも新規参入の促進にならない、あるいは多様な事業者の参入を促進することにならないということであれば、最初の申し上げた問題点が出て来る部分がある。この問題が多様な事業者の参入ということを促進する上でどっちの評価なのかということについては、ご検討いただいた方がよろしいのかなという部分は残っております。
山地座長:ありがとうございます。最後に事務局から何か。
(3)その他(次回の日程等)
環境省(笠井課長):次回ワーキンググループ以降の日程でございますけれども、第3回につきましては9月27日木曜日の9時30分から経済産業省別館1020会議室で行う予定です。また正式に案内をお出しします。
環境省(笠井課長):追加意見がありましたら金曜日中にいたければ。よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
山地座長:それでは第2回のワーキンググループを終わります。どうもありがとうございました。以上