平成25年度 環境配慮契約法基本方針検討会(第3回) 議事録

出席委員:
乙間委員、坂本委員、鈴木委員、大聖委員、田中委員、野城委員、山地委員、山本委員(座長)
欠席委員:
秋鹿委員 (五十音順、敬称略)

1.日時

平成25年12月19日(木) 15時~17時

2.場所

経済産業省別館312号会議室


事務局: 本日はお足もとの悪い中、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成25年度第3回「環境配慮契約法基本方針検討会」を開催いたします。
会議に先立ちまして、環境省総合環境政策局環境経済課大熊課長よりご挨拶申し上げます。
なお、カメラ撮りは配付資料の確認までといたします。

環境省(大熊課長): 先生方、こんにちは。本日は雨がしとしと降って足元の悪い中、それから年末も段々押し迫ってまいりまして大変お忙しい中かと存じますが、お越しくださいまして誠にありがとうございます。環境配慮契約法基本方針検討会の第3回で本年度最終回ということでございます。恒例ではございますが、基本方針の改定の案についてパブリックコメントもさせていただきましたので、その結果を踏まえて改定する内容についてご議論、ご検討をたまわれればと考えております。
加えまして本年度はESCOについての専門委員会、それから地方公共団体の普及促進の方策についての専門委員会ということで2つ専門委員会を設置してご議論をいただいて参りました。これらの委員会について、坂本先生、鈴木先生に座長ということで議論のおまとめをいただきました。重ねてこの場を借りて御礼を申し上げたいと思います。これらの専門委員会でご検討をいただいた内容を含めまして、環境配慮契約法の現状の総括をして今後の方向について検討していくということについても、本日ご議論、ご意見をお願いできればと考えております。この法律は5年目ということで節目を迎えております。この取組をさらに広げていく上で非常に重要な時期にあると考えておりますので、取組を地方に、あるいはそれぞれの分野についての取組をさらに広げていく上でどうしていったらいいか、幅広い観点から忌憚のないご意見をぜひいただきたいと思います。本日のご議論をお願いたしまして冒頭のご挨拶に代えさせていただきます。

事務局: それでは、以後の議事進行を山本座長にお願いいたします。
山本座長: 私も今日は雪という予報で幸い雨に変わりまして、会議が予定どおり開催できるということで大変ホッとしております。それでは今日はたくさん議題がありますので、早速議事に入りたいと思います。まず事務局から本日の議事予定、配付資料の確認をお願いいたします。

◇本日の議事予定
事務局: 本日の会議は、17時までの2時間の予定となっております。

◇配付資料の確認
事務局: それでは、資料の確認をさせていただきます。。

配付資料
資料1 平成25年度環境配慮契約法基本方針検討会委員名簿
資料2 「国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針」の改正案に対する意見募集結果及び対応(案)
資料3 国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針(案)
資料4 省エネルギー改修事業に係る契約に関する基本的事項について【基本方針解説資料改定案】
資料5 ESCO事業の普及促進方策(報告)
資料6 国及び独立行政法人等における環境配慮契約法の取組状況等
資料7 地方公共団体普及促進専門委員会における検討結果
資料8 環境配慮契約法の施行状況等について(案)
資料9 環境配慮契約による環境負荷低減効果の試算(案)
資料10 平成25年度環境配慮契約基本方針等検討スケジュール(案)
参考1 ESCO専門委員会の委員名簿
地方公共団体普及促進専門委員会委員名簿
参考2 地方公共団体における環境配慮契約に関するアンケート調査結果について

このほか、環境配慮契約法基本方針関連資料の冊子をお配りしております。資料の不足等があれば事務局までお申し付けください。

また、既にご案内のとおりですが、本検討会の資料及び議事録は、座長の承認を得た上で環境省のホームページで公開いたします。

山本座長: それでは早速ですが議事に入ります。本日の議題は、
(1)環境配慮契約法の基本方針及び解説資料について
(2)国及び独立行政法人等における環境配慮契約法の取組状況等について
(3)地方公共団体への普及促進方策について
(4)環境配慮契約法の施行状況等について
ですが、議事次第に沿って進めたいと思います。

最初の議題の「(1)環境配慮契約法の基本方針及び解説資料について」は、まず、資料2の基本方針改定案に関するパブリックコメントの結果及び対応方針についてご説明をいただき、その結果を踏まえた基本方針の改定案の資料3についてご説明いただきます。

それでは、まず資料2のパブリックコメントの結果及び対応と資料3の基本方針の改定案のご説明を事務局からお願いいたします。

3.議題

(1)環境配慮契約法の基本方針及び解説資料について

事務局: 資料2及び資料3について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。パブリックコメントの対応と基本方針の改定案と2つございますが、ご質問、ご意見等はいかがでしょうか。
私は、内容に対応されていると思っておりますので、事務局からご提案のとおり御了承いただいたということでよろしいでしょうか。

大聖委員: p.5の「ESCO事業の導入可能性判断を行い」というのは、日本語としておかしいと思います。例えば、「ESCO事業導入可能性について判断」というようにしていただけないでしょうか。「ESCO事業の導入可能性判断」と漢字が長く続くのは良くないと思います。表現の問題です。

山本座長: 「事業導入可能性の判断」ではどうですか。

大聖委員: そうですね。

山本座長: それでは、「の」を入れて「事業導入可能性の判断」にしてください。
次に資料4の解説資料の改定案と資料5のESCO事業の普及促進方策についてご説明いただきます。
解説資料へ記載する内容の大枠については第2回検討会においてご了承をいただいたところです。また、基本方針の改定案を踏まえて、ESCO専門委員会において基本方針解説資料及び普及促進方策についてご検討いただきました。
それでは、資料4の解説資料の変更箇所及び資料5のESCO事業の普及促進方策について、事務局からご説明をお願いいたします。

事務局: 資料4及び資料5について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。それでは、ESCO専門委員会の座長であります坂本先生から補足のご説明をお願いいたします。

坂本委員: 解説の資料の改定の基本的な部分については、この前の委員会でご了承いただいているということでその方針に従って改定したということです。表現の問題が中心です。赤字がいっぱいあるので大きく改定されたように見えますが、中身についてフィージビリティ・スタディの扱いが少し柔らかくなったような気がします。以前は必ずやらないといけないように書いてありましたが、その辺の表現が柔らかくなったという実態でございます。今回のESCOの専門委員会を3回やった成果が資料5と考えています。こちらに専門委員会をやった意味があると考えております。私は独法の長ですが、実験研究施設を持っています。エネルギーを非常に多く使っている実験施設もあります。施設ができてから30年以上経っていますが、設備更新を毎年やっています。補正予算で設備更新が今年は前倒しで、受変電設備を1億円か、2億円行うはずです。そういったときに設備更新型のESCOができるはずですが、担当者はESCOについてよく知らない状況です。設備更新型ESCOは可能ではないかと伝えましたら、検討するとは言っていますが、どういう答えが返ってくるかは分かりません。
資料4のp.15ですが、左の図を右の図にするということです。縦軸がESCO事業の経費です。左から2列目に伸びているところが設備更新費です。ここを頭金などの呼び水にしてESCOをやりましょうということです。独法の予算を考えた場合、ESCO事業費の経費と書いてある黒い部分ですが、自分のところで予算化しないといけないことになっています。縦棒の設備更新費は国のほうからくれるので、うちとしては何もしなくていいわけですが、経費のところを独法自身が自分の予算支出の中で何とか予算化しなくてはならないことにかかっております。こういうスキームがあること自体、施設の担当者でも知らない人が多いのではと思います。私は自分のところにはやるように言いますが、環境省やESCOの事業者からも、私の研究所の担当者に働きかけてくれるとありがたいと思います。資料5の裏にブロック別説明会とありますが、人を集めて説明会をするだけでは伝わらない場合もあります。予算がついたということはわかるわけですから、具体的にまめに働きかけることをやらないと浸透していかないと思っています。ただし、言うは易く、やるのはすごく難しいと思います。今回の改定で表現がよくなりましたのでこれまでに比べ、少しはわかりやすい資料になったかと思います。

山本座長: 設備の費用には運転費用はついてくるのですか。

坂本委員: 運転費用は、自分のところで毎年組む予算の中に予め計上しておくわけです。

山本座長: ではESCOの導入ができるわけですね。

坂本委員: ESCOのためには先ほどの資料の黒いところの経費が必要です。自分の研究所で事業化することが必要です。それには予算がギリギリなので工夫、努力が必要だということになります。

山本座長: はい、ありがとうございました。先生方から何かご質問、ご提言がございましたらお願いいたします。はい、どうぞ野城先生。

野城委員: 今の坂本先生の件で、先日、情報提供をいただきました。大阪大学がESCOを積極的にやっていらっしゃっていますので、そういったベストプラクティスを収集すると、ご苦労されている点のヒントがあると思います。参考の資料としてp.50にチューニングのESCOと書いてありますが、これはあまり設備投資をせずにチューニングするのも枠組みに入るということでしょうか。その場合ですと、坂本先生のお悩みの、設備更新はできないですが、初期費用を用意しなくても年間の光熱費の5%ぐらいを割り当てて、初期の計測やソフトウェアぐらいの投資も含めて、運用改善による省エネの推進でチューニング型ESCOの事例があれば積極的に紹介されるといいと思います。

山本座長: 今の大阪大学のことについて何かありますか。

坂本委員: いろいろな大学でやっていることは知っています。東大にいたときは野城先生と一緒にTSCPをやりました。これにはかなりESCOが入っています。学会でもそういうものを集めて、各大学のESCOがどうなっているかといったシンポジウムも開きましたのでいろいろな大学の状況は理解しています。しかし普通の人は普段の仕事に追われて特別なことを勉強して実際やるということはなかなかできない状況です。積極的にトライしてみるということが一番重要です。外からの働きかけがあるとうまくいく可能性もあると思っています。

山本座長: ESCOの委員長のお膝元も動かない。トップの命令では動かない。外圧が必要だということです。これは重要な問題だと思いますので運営上ご考慮いただきたいと思います。それではよろしいですか。資料4及び資料5につきましてはご了承いただいたということにさせていただきます。
次に、「(2)国及び独立行政法人等における環境配慮契約法の取組状況等について」資料6につきまして事務局よりご説明をいただきたいと思います。

(2)国及び独立行政法人等における環境配慮契約法の取組状況等について

事務局: 資料6について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。資料6はいかがでしょうか。当然宮内庁や防衛庁もやっているわけですよね。大聖先生、天皇、皇后両陛下はどういう車に乗られているのでしょうか。

大聖委員: その辺まで詳しく承知しておりませんが、自動車は高い割合で実施されていますので非常に結構だと思います。リースやレンタカーのような短期間のものはなかなか難しいかと思います。レンタカーはこれとは直接関係ないですが、燃費を超過達成している車はどんどん出てきていますので、そういう車をなるべく使うように奨励してはいかがかと思います。

山本座長: 今大聖先生に敢えてお尋ねしたのは、先週、エコプロダクツ展示会が東京ビッグサイトで開催されました。初日12月12日の夕刻に両陛下が行幸啓されました。私が実行委員長で先導役を務めさせていただきましてお出迎えをさせていただきましたが、ガソリンを大量に使うように見えない車にお乗りになられておりましたので宮内庁も実施していただいていると考えたわけでございます。野城先生、建築のほうはどうですか。

野城委員: 報告書の記述としてはこのとおりだと思いますが、今のご説明でもありましたが少し気になる点が2点ございます。先ほどのご説明で環境配慮契約の未実施の理由です。「設計業務発注前に多くの項目について意思決定がなされ優先されるべき事項が決定している事業」とあるが、用意された選択肢としてあるのであればいいですが、これですと稟議を上げるときにいくらでも理由づけにサボることができます。そこは選択肢として選ばれたということならいいです。そういう意味では坂本先生や私がお手伝いをしているCASBEEというリーディングシステムがございますが、そこで興味深い結果が出ております。最高ランクがSでその下のランクはAです。Sはさすがに工事費に響くような投資をしないとなかなかSは取れないですが、Aは設計上の可能性は十分にいくということは書いてございますので、どういう制約条件でも設計上の余地はありますので、CASBEEを進められていらっしゃるようなところも資料を取り寄せられて、設計上の工夫で工費も上げずにそれなりのパフォーマンスを出せるというメッセージを出していけば、この辺りの誤解がとけてもう少しスッキリします。もう一度リバウンドして上昇傾向していくことを期待したいと思います。

山本座長: 乙間先生、いかがですか。

乙間委員: ちょっと表現でわからないところがあったのでお聞きします。例えば図1に契約電力量があります。その中身の表現が、「実施可能であったが未実施」、もう一つが、「環境配慮契約を実施」ということですが、この統計に入っていない契約電力もあるのですか。元々この統計にに入っていないものもありますか。

事務局: 時間の関係で省略した部分があります。環境配慮が実際にできないというケースも当然ございます。p.1の脚注の2番に6つ並べてあります。50kW未満の契約は電力需要家の対象外ですのでできないとか、あるいは賃貸ビルに入っていて、大家さんの意向で対応せざるを得ないというケースもあるということなので、こういったものを除いたものがこの数字ということになります。

乙間委員: そうだとすると気になることがあります。22年、23年、24年から統計に出てくる全体量がかなり減っています。統計に乗る前にはじかれているものが増えていっているということですか。もしそのような量が厳密にされてなくて、単に報告された量だけの統計であるならばこの統計自身が問題です。それが組み込まれてくれば、24年度当たりは未実施の割合が相当増えることになると思ったのが一点です。
それからもう一点、自動車も同じことが言えます。図2に実施しなかった理由が書かれていますが、サンプル数はどのぐらいですか。サンプルが少ない場合に割合で示すと、数字の揺れが大きくなる場合があるので、こういうものを出されるのであればサンプル数を書いておかれたほうがいいと思います。質問は1つ目のほうです。

山本座長: 節電を相当やっているわけではないというご指摘ですか。

乙間委員: そうです。節電で減っている量にしては多すぎます。

山本座長: 山地先生はどういうご見解でしょうか。

山地委員: きちんと調べているわけではないので事務局のほうがよくわかっているかもしれませんが、節電の影響は確かにあります。文章を読むと、平成22年度から総使用電力量とありますが、23年度は減っています。23年度と24年度では総使用電力量は少し増えています。その中での環境配慮契約が不可能であった場合というのがまた書いてあって、これが若干増え気味です。これが何の理由によるのか。50kW未満契約に移ったというわけではないと思いますが、そこは把握できておりません。事務局はわかりますか。

環境省(野崎補佐): 脚注の①~⑥がございますが、契約ごとにどの理由により不可能であったかの分析はできておりません。ただ1社入札がかなり多い実態があります。例えば23年で申しますと4割ぐらいが環境配慮契約で一般競争をやったが、1社入札で終わっている。24年度になりますと、6割ぐらいのものが1社入札です。これは供給量の不足という状況があるのだと考えられます。そういった状況を見ますと脚注⑥の理由が増えているのではないかということが想定されます。

山地委員: 確か前回も申し上げたと思いますが、このところ電源供給量不足です。だから電力会社が持っている以外の電源を調達しておりますので、新電力になかなか供給余力がないということがあって、それで今言ったように入札したくてもできない状況が生まれているのではないかと思います。一般電気事業者が料金値上げをしましたので、総体的な競争力、価格的な競争力が新電力自体にあると思います。もう少し様子を見たほうがいいと思います。

乙間委員: 全く同じ理由でもっと減りが多いのが自動車です。p.7の賃貸借契約ですが、トータル量が6割ぐらいに減っています。ここに出てきているのは同じような理由なのか気になります。

山本座長: 図4はリースですよね。

環境省(野崎補佐): 台数総調達量を示しています。分母は全て対象に入っています。調達量が減っているということで、その理由は把握しきれていません。

坂本委員: うちも3台あった車が2台にしています。経費節減のためにやらされているという実態です。

大聖委員: 図3を見ますと、20年度と21年度は結構多いですが、22年度からは大幅にトータルが下がっています。これはそういう節減の背景があるという気がします。

山本座長: 私のコメントは、2013年12月5日にアメリカのオバマ大統領が発表された内容が気になっています。Memorandum for the Heads of Executive Departments and Agencies. Federal Leadership Energy Management.アメリカ連邦政府は2020年までに連邦機関の電力の20%を再生可能エネルギーにするという目標を発表しました。これは大変なことではないか。日本もグリーン契約法で頑張らなければいけないと思いました。山地先生はご専門の立場からいかがですか。

山地委員: 日本の場合ですと、新電力にしろ、一般電気事業者にしろ、電力会社は選べますが、例えば新電力の中には再生可能のグリーン電力を供給することをやっているところがすごく少なくて、規模も小さいですから、なかなか難しいのではないかと思います。今のところは電源を特定して調達することは消費者ができるわけではないです。新電力も含めて電力会社を選ぶことしかできない状況です。それに応えられる供給体制がないと私は解釈します。

山本座長: 日本の場合は難しいということですね。このグリーン契約法の枠組みでは難しいということです。我々は再生可能エネルギーが混ざった電気を買っているわけです。だから排出係数でやっているわけですね。
それでは次の議題に移りたいと思います。資料7「地方公共団体の普及促進方策」について事務局から簡潔に説明をお願いいたします。

(3)地方公共団体への普及促進方策について

事務局: 資料7、参考2について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。たくさんの内容があります。まず鈴木委員はいかがでしょうか。

鈴木委員: ただいまの事務局の説明に若干補足させていただきます。この環境配慮契約法は国の機関は義務づけとなっていますが、ご案内のとおり地方公共団体は義務づけではなく努力義務です。そういう義務づけではないところに対する促進策としてどのようなものが考えられるかということがこの専門委員会の目的です。ただ地方公共団体の場合、一番関係のあるのは電力、それから自動車でございます。
まず電力につきましては以前に比べて新規参入者が増えたとはいえ、まだその規模は小さいところが多い状況です。その上で、いくつかの自治体では新規参入しやすいように施設をグループ分けしたり、あるいは入札に当たって変動部分と固定部分を分けて入札するというようにいろいろ工夫されておりますので、そういった工夫をいろいろな団体に対して情報提供すること、それによって電力分野における新規参入を増やして環境配慮契約の取組みを促進しようということでございます。
それから自動車につきましては6分野の中で唯一、入札において総合評価落札方式を取り入れていますが、これが自治体にとってはネックになっているという声が強い状況です。そのため自治体が入札をしやすいように、例えば裾切り方式を導入し、それを各自治体に紹介しようということです。
その上で、各自治体の環境配慮契約の取組み状況を公表することによって、自治体同士が競争をしていただくという競争原理を導入することにより環境配慮契約の取組みが進むように図っていこうとするもの、これらが、地方公共団体への普及を促進する主な方策の概要です。

山本座長: p.7の表はネットに掲載するのですか。あるいは都道府県会館に張り出すのでしょうか。どういうふうにフィードバックされますか。

環境省(野崎補佐): これまでも実施状況につきましてはHPに出していました。このように並べるような形にはなっていないので、今回は並べて、他の隣の町や市がどうしているのかをわかりやすい形にして直接相手に返し、それを見て気にしてもらうといった取組をしていこうと思っています。

山本座長: 大聖先生、この総合評価についてはいかがですか。

大聖委員: 図1で誤解されそうだと思ったのは、総合評価落札方式の場合の縦軸は燃費ではなくて評価点、環境の性能です。車両価格で割っているわけですから、結局コストパフォーマンスを評価しているわけです。つまり燃費がよくて安い車は得点が高いようになっています。燃費はいいが、車両価格が高いというのはコストパフォーマンス的には低くなるわけです。その点にご注意いただきたいと思います。

山本座長: 縦軸は修正が必要となるわけですね。燃費ではなくて。

大聖委員: そうですね。

環境省(野崎補佐): 修正させていただきます。

山本座長: その他はどうですか。

大聖委員: 裾切りの効果は本当にどうなのかと思います。要するに落札ですからいろいろな提案があると思いますが、その前にカットしてしまうということすね。そうすれば比較の対象が絞られるということになるわけで効果があるという意味でしょうか。

環境省(野崎補佐): 車については元々グリーン購入法で基準を設定しています。更により良いものということで総合評価落札方式を導入しているところです。同じ意味でいきますと、地方公共団体においても、グリーン購入の基準があります。総合評価の実施が難しいのであれば、さらに環境に良いものということで裾切り方式というやり方もあるのではないかということで、そういったものも提案していきたいと思っております。

山本座長: はい、ありがとうございます。その他にいかがですか。野城先生。

野城委員: 資料の参考2で私が係っている問8の答えを見るとかなり絶望的な状況です。建築の数字が低い状況です。参考情報として聞いていただいてご検討をいただければと思います。ISOで日本が議長国になりました。建物のカーボンメトリックということの国際規格がようやくFDIの寸前まで行っています。単純に言えば建物からどれだけカーボンが出ているかということで、これはエネルギー供給会社からの請求書があれば誰でも計算できるような簡易な内容です。自治体が持っていらっしゃる公共施設のインベントリで簡単に光熱費換算すれば、自治体の建物がどれくらいCO2が出しているか、地球温暖化ガスを出しているかが計算できるようなものです。できればそういったインベントリ調査や情報を出していただければ、自分たちの公共施設がどのくらい温暖化ガスを出しているかというボリュームを認識していただきますと、ESCOや環境配慮設計を真面目に考える動機づけになるのではないかと思います。資料に書いてありますテクニカルがわからないということもありますが、カーボンメトリックの考え方を入れていただいたほうがジワーッと効いてくるかと思いますのでご検討をいただければと思います。情報も提供いたします。ちなみに日本が提案した企画がそろそろFDIからみて、中国のほうから改修をした前後での削減量をベンチマークするための規格を作りたいという提案がきています。日本としては賛成して支援していこうと思っています。今日のESCOのベンチマークにも関係していきますので、日本式のベンチマークを入れ込んでいくことも考えられますので、それも併せて情報提供していきたいと思います。

山本座長: 乙間先生はいかがですか。

乙間委員: 特にありません。

山本座長: 田中先生はいかがですか。

田中委員: 今回の調査には産廃の処理は入っていないですが、25年度に発注する廃棄物の契約については24年度の最後にされたということですから、26年度の調査では、25年度中に契約したものが調査の対象になるわけです。これから産廃処理の環境配慮契約が進むわけですが、それに必要ないろいろな情報を準備したほうがいいと思います。メリットや有効性について、できるだけ情報を提供する。それから温室効果ガスの削減の調査を求められるわけですから、どのように計算するかというツールが必要です。産廃のほうは温室効果ガスのことよりも不法投棄の防止の期待を契約する側は持っているのではないかと思います。この環境配慮契約に基づく発注する側の期待も調査していただければと思います。それから年度末に次の年度の一年間の廃棄物の排出の契約をするのが習慣なのか。あるいは途中で予期せぬ産廃が排出したり、予期せぬ時期に排出したりするのでその契約もあるのではないかと思うので、その辺も調べていただきたいと思います。

山本座長: 来年度に向けて重要なご提案だと思います。先ほどの野城委員先生のご提案と同様によろしくお願いしたいと思います。
それでは時間でございますので、資料7「地方公共団体普及促進専門委員会における検討結果」、その普及促進策はご了承していただいたものとさせていただきます。ありがとうございました。
次に、資料8と資料9をまとめてご説明をお願いいたします。

(4)環境配慮契約法の施行状況等について

事務局: 資料8及び資料9について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。政府の事務・事業に伴う温室効果ガスの排出量の削減量の中の何%かは独法が入っているから正確にはいえないわけですね。しかしかなり大きく占めていると事務局はお考えのわけですね。まず鈴木先生、いかがですか。

鈴木委員: 地方を含めてこれらの方策によって全体がどのぐらいになるのかがわからないので、評価の仕方が難しいのではないかと思います

山本座長: 乙間先生はいかがですか。

乙間委員: 今、ご説明を伺いましたが全体像をよく把握できていないので、評価が難しいです。ただ我々がやっている環境配慮契約法の効果が全体のどのぐらいを占めるものかがよく見えなかったのですが、その辺の計算はどうですか。

山本座長: 23年度の政府全体の温室効果ガス排出量は50万tぐらい減っているわけです。24年度の環境配慮契約による削減量が約38万tです。しかしこれは独法も入っているということです。

環境省(野崎補佐): 独法が入っているのと、あくまで試算という形で、環境配慮契約をやらなかった場合との比較で出していますので、ここの数字が占める割合がすぐ出るかというと出ないです。本当はそこまでできればいいですが。

乙間委員: 母集団、分母や分子がクリアにわからないということですね。

環境省(野崎補佐): 参考として排出の状況と環境配慮契約をやった場合の効果ということで入れさせていただいたというものです。

山本座長: グリーン購入法による効果もあるのですよね。グリーン契約だけでなくて。

環境省(野崎補佐): はい。

事務局: 例えば自動車でも同じだと思いますが、いろいろな政策が実施されていますのでダブルカウント、トリプルカウントで積み上がっているところもあります。もちろん、先生がおっしゃったようにグリーン契約法もそうですし、グリーン購入法の効果というところも当然あるだろうということです。そこは切り分けて評価することは難しいということです。

山本座長: ここはグリーン契約法の委員会ですから、大変な成果があったと総括したいと思います。そういうことで資料8、資料9の結論はかなりの成果は上がっている。従って現段階において環境配慮契約法の改正は必要ないということですが、よろしいですか。

(了承)

山本座長: はい、ありがとうございました。
それでは、資料10の今後のスケジュールについてご説明をお願いします。

(5)検討スケジュールについて

事務局: 資料10について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。最後に言い残したことがございましたらお願いします。

坂本委員: 専門委員会でも言ったと思いますが、財務省から経費節減のアンケートが独法の経理や国の担当者に毎年1回来ます。その中に、ESCOをやりますか、計画をしていますかという項目があります。このことから分かるように、財務省もESCOのことを知っています。環境配慮契約法の中のいろいろな項目、自動車も電気もそうなのですが、ESCOと同じように、イニシャルコストがかかるかもしれないが、ランニングコストは安くなるというものがほとんどなので、財務省ともっとタッグを組むとか、あるいはこの委員会にも財務省の人を入れるという工夫があってもいいと思います。財務省はお金の削減で、こちらはCO2の削減ですから、きれいにイコールにはならないのですが、両者が関連し合うようなところがすごく多いので、委員が一人ぐらいいてもいいと思ったところです。

4.閉会

山本座長: 最後に素晴らしいご提案をいただきましたので、これは大熊課長にお伝え願って、来年度は真剣にご検討をお願いしたいと思います。

それでは本年もありがとうございました。良いお年をお迎えください。これで閉会と致します。