平成25年度 環境配慮契約法基本方針検討会(第2回) 議事録

出席委員:
秋鹿委員、乙間委員、坂本委員、鈴木委員、大聖委員、田中委員、山地委員、山本委員(座長)
欠席委員:
野城委員 (五十音順、敬称略)

1.日時

平成25年10月31日(木) 10時~11時40分

2.場所

中央合同庁舎第5号館22階 環境省第1会議室


事務局: 本日はお忙しいところ、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成25年度第2回「環境配慮契約法基本方針検討会」を開催いたします。
山地委員は、本日ご都合により20分ほど遅れてのご出席となります。写真撮影等は配布資料の確認までといたします。
それでは、早速ですが、以後の議事進行は山本座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本座長: 皆さん、おはようございます。山本でございます。それでは、早速議事に入りたいと思いますが、まず事務局から本日の議事予定、配付資料の確認をお願いいたします。

◇本日の議事予定
事務局: 本日の会議は、12時までの2時間の予定となっております。

◇配付資料の確認
事務局: それでは、資料の確認をさせていただきます。

配付資料
資料1 平成25年度環境配慮契約法基本方針検討会委員名簿
資料2 国及び独立行政法人等における環境配慮契約の締結実績及び取組状況について
資料3 ESCO専門委員会における検討状況について
資料4 国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針(案)
資料5 産業廃棄物の処理に係る契約に関する基本的事項について(案)
資料6 地方公共団体普及促進専門委員会における検討状況について
資料7 平成25年度環境配慮契約法基本方針等検討スケジュール(案)
参考1 環境配慮契約法基本方針検討会専門委員会委員名簿
参考2 平成24年度における国及び独立行政法人等の環境配慮契約の締結実績

 このほか、環境配慮契約法基本方針関連資料の冊子をお配りしております。基本方針関連資料の冊子には法律や基本方針、解説資料が盛り込まれていますので、適宜ご参照ください。
資料の不足等あれば事務局までお申し付けください。

山本座長: まず大事なことは、グリーン契約法の取組状況についてある程度詳しくご説明をいただいて、先生方に法律の実施状況についてご意見をいただきたいと思います。専門委員会でESCOについては改定案が出ております。それをご審議いただきまして、閣議決定する基本方針案をご了承いただきたいと思います。これはパブリックコメントにかけるものです。その上で産業廃棄物の処理に係る契約は若干変更するところがございます。
もう一つ今日重要だと思うのは、地方公共団体等にどうやって普及させるかということです。その専門委員会における検討状況についてご紹介をいただきます。それらが今日のメインイベントであると思います。
それではまず資料2について、取組がどのくらい進捗しているか。進捗していなければ何が問題か。事務局より、要点をきちんと押さえた簡潔なるご説明をお願いしたいと思います。

3.議題

(1)国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針及び解説資料について

事務局: 資料2について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。このグラフを見るとちょっと気になります。契約電力量も環境配慮契約の実施割合は何となく右肩下がりのような感じもするし、自動車の購入も若干下がるように思います。ただ、自動車の賃貸借は急激に上がっています。それからESCOはESCOとして、最後の建築物設計もガクンと下がっているような気がします。
まずは、この取組状況をどうみるかについて、全員の先生からご意見を伺いたいと思います。あとで議論になると思いますので、秋鹿先生からご意見をお願いいたします。

秋鹿委員: 事務局からの最後の評価と課題にもありましたが、プロポーザル方式の実施にあたって、評価・判定等のノウハウや専門知識の欠如は当然課題ではないかと思います。しかしこういうやり方をもう少しクリアにというか、かつアトラクティブにすると言いますか、私はJSTのある会に関係しているものですから、新エネルギーからもありますが、いろいろなところの省庁で出している数値や意義を宣伝していただきたいと思います。例えば環境省だったら温暖化物質の係数、1tでいくらといったCO2換算を出しています。それがどういう使い方をしたらどうなるかということが一般の人には入ってこないので、そういう活用を世間でよく知ってもらうということと、新エネルギー、例えば燃料電池自動車、電気自動車などはまだ基準に載ってきていないと思います。それはおそらくこれからしっかりとした対応を作るのでしょうが、技術によって刻々値が違ってくるわけです。例えば民間であれば、うちの企業はこういった燃料電池自動車を使ったらこれぐらいの排出量であるということを自分たちで計算して公表するのかもしれませんし、我が社が環境に配慮しているといった宣伝に使うのかもしれませんが、確固たるデータを出すとともに予備的なデータも出すと言いますか。私、実は9月の末にカリフォルニア州で行われた世界アンモニア会議に行ってきました。カリフォルニア州では燃料に対するカーボンインテンシティを決めて報告しています。スタンダードにして使おうとしています。例えば新しい燃料で高温エタノール、バイオマスディーゼルは幅があります。幅があるということはまだ決まっていないわけですが、どうだったらどうなのか、あるいは自分で計算しなさいというのかはわかりませんが、まだこれからのものについてもキャンペーンをかなりしています。そういうものを使うことによって州全体のCO2が減るということで、2010年から2020年の間に15%減らすということで、燃料についてはクレジットのインセンティブをつけようとしています。

山本座長: 秋鹿先生、カリフォルニア州の話はおもしろいと思いますので、次回にどのようにデータの公表をすればいいかといった見本をお願いします。では乙間先生、お願いします。

乙間委員: 特に電気と自動車に見られますが、環境配慮契約をしない理由に、やっても効果が上がらない、あるいはやっても入札者がいないとあります。これはやらない理由として妥当かどうか非常に疑問です。やった結果、どうだというならばわかりますが。70%、80%の実施率からさらに上げようとするのであれば、もう少しディープなヒアリングをして把握しないと更なる向上は見込めないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

山本座長: 事務局お願いします。

事務局: 先生がおっしゃったとおりのところがございます。例えば電力の場合で実施できなかった、あるいは入札の参加者がいなかったということですが、調達者の方は事前に新電力の方々にお声を掛けて、「入札に参加していただけますか。」と聞かれているケースがございます。独法などは結構聞いているようです。ただ結果的には、「入札には参加できません。」というお答えをいただいて、集まらないということでやらなかったというケースもかなりあったということをうかがっています。24年度は電力供給のところでこういった事情があったと、23年度も同様で、大震災後の23年度以降はそういうケースが結構多くなっているというところがございます。

乙間委員: 多分そういうことであろうと想像しておりますが、その場合でも、手間がかかるのかよくわかりませんが、実施して門戸を開くべきだと思います。その年はそうでなくても、次年度に対する企業側の準備やいろいろな情報提供もあります。実施した結果、そうだというならいいですが、前もって下調査した結果、実施しないというのが理由になって、それが正当化されると、70%、80%からさらに上げるということは難しい状況になるのではないかと思いますので、今後の改善の可能性はいかがでしょうか。

環境省(野崎補佐): なかなか難しいところでございます。国の調達ということなので競争性の確保というのを発注者は気にされます。入札は一般競争でやればいいではないかといった話だと思いますが、そこで手を挙げていただく企業が1社2社だとちょっとおかしいという話もでるのだと思います。そういったことを心配されて、それで事前に確認して入札参加者がいないというので断念されているのだと思います。考え方の部分もありますので今後調整していきたいと思いますが、電力供給会社の数が整ってくれば、一般競争でやっていくことはできますので、その辺は大丈夫だと思います。
それからもう一点、効果が見えないということは我々のPR不足ですので、改善していきたいと思っております。

山本座長: 未実施なのか、サボタージュなのか、サボタージュなら止めさせないといけないからよろしくお願いいたします。

坂本委員: 私の担当のESCOについては、あとで出てきたときにお話しすることとして、全般的な話をします。昨日も野城先生と一緒に環境不動産のシンポジウムに出ておりました。環境に配慮した建物を含めた不動産にもっと投資をしてもらって、高く売買できるようにしようといった趣旨のシンポジウムでした。全てのもので同じでございまして、物を買う人がいて、取り引きする人がいます。この法律は、国や独立行政法人が義務の対象ですが、そういった人たちが物を購入するときに、環境にいいものを買いましょうという趣旨の法律です。結局それがなかなかうまく行っていない、そう簡単ではないといった状況が、これでわかったということだと思います。環境にいい物は少し高いのかもしれませんが、購入する側が、何故買わないかというヒアリングを丁寧にやるべきだと思います。購入する品目によってもいろいろ違うし、購入される人の歴史的背景や経緯があるでしょうから、それによっても判断が違います。物を購入するときに環境の性能だけで判断しているわけではないです。だから環境に良くても買わない、他の理由で他の物を買うという話になってしまうのです。その辺りのことというのはマーケティングの専門の人たちが詳しいはずだと思います。やはりマーケティングの専門の人たちにこの実状を一度見せて、どうして環境に配慮された物があまり人気がないのかといった正確な分析を行わないと対策も立てられないのではないかというのが印象でございます。別に質問ではないので、何かコメントがあればお願いします。

山本座長: マーケティングは考えたことがなかったテーマですが、事務局いかがですか。

事務局: 検討させていただきます。

坂本委員: わかりました。

山本座長: 鈴木委員、いかがでしょうか。

鈴木委員: 私も先ほど乙間委員の言われたことと同じ意見です。とりわけ地方公共団体との関連で申し上げますと、一番関連のあるのは電力、あるいは自動車についてです。地方公共団体普及促進委員のメンバーに入っておりますので、その関係から申します。地方自治体は国に比べて規模が小さいですし、とりえる手段も限られています。国の機関の実施率は7割、8割と数字は高いのですが、義務付けされている国の機関でさえ70~80%にとどまっているのですから地方自治体の場合、実施率が低くてもやむを得ないと言われかねないのではないかと思います。このため、国の機関の実施率をもっと引き上げるようにご努力をお願いします。
それから自動車についてです。実施率は高いのですが、なぜ24年度は下がっているのでしょうか。

山本座長: 事務局、いかがですか。

事務局: 全体として24年度に自動車の購入が下がっていますので、要因の一つはわかっております。例年大量に購入される機関がございます。その機関の調達台数が減ったので分母分子が減ったため、結果として環境配慮契約の割合が下がったということです。各機関の取組が悪くなったわけではなく、調達量が減ったということで全体の割合が下がったということでございます。

山本座長: 大聖先生、お願いします。

大聖委員: 私の担当の自動車は他にところに比べますと、比較的状況がいいということですが、その理由を考えてみますと、総合評価落札方式で数字としてやりやすくなっております。マニュアルも整備されているのでやりやすいという点で普及率が高くなっているのだと思っております。もちろんあとの10%、20%の積み上げもぜひお願いしたいと思います。
それからリースの場合はいろいろな事情があって、期間が短いとか効果が見えないなどで進まないのではないかと思いますので、致し方ない面があるかと思っております。それから国と独立行政法人から、さらに地方自治体まで展開していくステップを自動車はやりやすいと思うので、将来は期待したいと思っております。

山本座長: 田中先生はいかがでしょうか。

田中委員: 産業廃棄物の処理を考えておりました。他の環境配慮契約率が2割、3割であるという話でしたが、産業廃棄物処理ではあり得ないのではないかと思って聞いておりました。産業廃棄物処理の契約では、基本方針に沿って契約することは義務付けられたので、例えば来年の一年のうちの調査においては、25年度の契約はすでに24年度の末にやっているので契約率は低い可能性はあります。26年度をやった場合には26年の実績としては100%環境配慮契約法に基づいた契約になっていると思っています。産業廃棄物処理の契約が前の年の年度の末に、次年度は一括して年間に排出される産業廃棄物の処理をする会社を決めてしまう場合がほとんどだと思います。スポット的に想定外の産業廃棄物が排出されて、それをまたスポット的に契約するということも起こるので、そういったスポット的なものとか、量が非常に少ないとか、あるいは環境配慮契約をするのには時間がないなどの理由をつけて環境配慮契約法に基づかない契約がどんどん増えるということを懸念しております。他の分野も一応法律に基づいて100%やっているが、たとえ環境配慮契約法に基づかない場合も結果的には環境やコストからみて合理的な契約になっているといった解析になるとわかりやすいです。環境配慮契約法の基づかない契約があるということが、産業廃棄物処理の分野に与える影響があるかもしれない。これは義務ではないととらえられるのではないかと心配になります。

山本座長: これは義務ですから未実施はとんでもないです。事務局いかがですか。

環境省(野崎補佐) 廃棄物は今年度から追加になっております。実際には、今年度の廃棄物処理の業務の委託の手続きは前年度からスタートするということで、今年度の実施分はないという状況になるかもしれません。ただ本格的には来年度からスタートするということで、事務局としては解説資料の改定案もありますが、必ずやっていただきたいということで補足資料等の周知を各省庁に図っているところでございます。

山本座長: それでは山地先生、お願いします。

山地委員: 今日は遅れてきて申し訳ありません。資料1の説明は最後の部分しか聞けませんでしたが、目は通させていただきました。電力のところですが、今は電力激変期ですので、ここに書いてあることにほぼ同感です。私なりに整理していうと、震災後、原子力の稼働率が非常に低下して、一般電気事業者の電力供給不足が起こっているわけです。従って一般電気事業者が外部の電源をかなり調達しておりますから、新電力の供給量も不足しておりますので、入札不可能といったケースが起こっているのだと思います。それから需要も下がっていますが、その中で一般電気事業者が料金を値上げしています。それは追い風になっていますが、その分民間からの要求が強くなってきますから、推察ですが、多分国の機関、独法へ入札する余力も減っているのではないかという気がしております。こういうことで、今のところ特殊要因があるので、入札可能な対象が減っています。その中で環境配慮契約法を実施したものを見ると減っています。ここはちょっと頑張ってほしいというところがあります。ただし絶対量の減少よりは、比率の減少のほうが若干緩やかですので、状況を考えると仕方ないという気がしております。今電力システム改革が進行中です。6月までの通常国会では流れましたが、電気事業法改正は臨時国会で成立するでしょうから、それに基づいて全面自由化も起こってきます。50kW以下も競争になるでしょう。そもそも電力システム改革で競争性が増すということですから、その中でこの環境配慮契約法を有効に活用していくということで、今後は新しい展開が期待できると考えております。特に質問ではなく、コメントです。

山本座長: この実績を詳しく伺って、それに対する先生方のご意見も伺いましたので、大体現状は把握できたのではないかと思います。いただきましたご意見の中では宣伝をもっとしっかりやりなさい。あるいはディープヒアリングをして、未実施をなるべく下げていく。他にマーケティング的な観点ももっと必要なのではないか。廃棄物の契約は、本来は環境配慮契約は100%であるべきである。現在電力につきましては、電力システムの改革、あるいは電力供給不足があるから経過観察があるので仕方ないというところだと思います。
今日はご承認をいただく案件があります。それが次のESCOです。ESCOは基本方針の改定案、それから国庫債務負担年限は延長を行わず、現行の10ヵ年とする。それから省エネルギー改修事業、定義の変更に関することをやるとESCOではなくなる可能性があるから変更は行わないということです。それを今日、ご承認をいただく必要があります。これは専門委員会で十分ご議論をいただいた上の話ですが、事務局から簡潔に結論だけを言ってください。そのあと坂本先生から先生方のご意見をいただきたいと思います。

事務局: 資料3説明

山本座長: はい、ありがとうございました。それでは、坂本先生、委員長としていかがでしょうか。

坂本委員: 事務局の説明とおりでございます。いくつか検討事項がございました。一つは、p.3、4にありますように、フィージビリティ・スタディを事前に必ずやるようにと以前は読めていましたが、少し軽くしたいということで、国だけはフィージビリティ・スタディをしますが、独法はしなくていいという仕組です。そうなるとフィージビリティ・スタディを義務のように書く表現は止めようということで改正を行うことになりました。
それから国庫債務負担年限も理論的には長くしたほうが簡単になってESCO事業者等にとってはやりやすくなるでしょうが、実態をみると10年で短すぎるために、ESCOが不成立だったというのは1/16でしたので、それならば長くしてもESCOが増えることはないから変える必要はないと考えています。ESCOが行われない原因はもっと他にあるという判断をしたということです。
それからp.7の定義については従前どおりで大きな問題はないということです。現行の基本方針の変更の方針だけを出すということで、ご承認いただきたいということです。

山本座長: 専門委員会で充分ご議論をいただいた件で、詳しいご説明をいただきました。特にご異議がないようでしたら基本方針はご提案どおりということにさせていただきます。
それでは資料4です。この基本方針を変更してパブコメにかけると思いますが、変更点だけを事務局からご説明ください。

事務局: 資料4について説明(省略)。

山本座長: 資料4の基本方針案はパブリックコメントにかけるための案ですね。第3回の委員会で最終的には決するわけですね。何かコメントがございましたらどうぞ。この案は今後パブコメにかけるために修正の必要があれば、改定に関わる委員会の座長の坂本先生、あるいは山地先生、そして最終的には座長である私に、この案のとりまとめをご一任いただきたいと思いますが、ご一任をいただけますでしょうか。
よろしいでしょうか。(一同承認)
はい、ありがとうございました。それでは、次に産業廃棄物の処理に係る契約について、一部運用を見直すため変更が発生しております。変更箇所を中心に資料5のご説明をお願いしたいと思います。

事務局: 資料5について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございます。田中先生いかがですか。私もこの方法がいいと思いますが。

田中委員: 入札参加資格適合証明書を出しておきながら、入札後に不適格になるといったことが起こらなくなるのでいいと思います。

山本座長: 専門委員会でこのように変えたいということですので、ご承認をいただきたいと思います。(一同承認)
ありがとうございます。
今日はもう一つ重要な案件がございます。資料6の地方公共団体普及促進専門委員会。鈴木先生にまとめていただいているわけでございますが、資料6を事務局より簡潔にご説明をいただき、そのあとに先生方のご意見をいただきたいと思います。

事務局: 資料6について説明(省略)。

山本座長: それでは、鈴木先生、現状につきましていかがでしょうか。

鈴木委員: 事務局のご報告を若干補足させていただきます。資料にありますように地方公共団体普及促進専門委員会は地方公共団体における環境配慮契約の促進策を検討することがその目的でございます。このため、ただ今ご報告にありましたとおり、地方公共団体に対するアンケート調査を実施し、さらに追加調査を実施する予定です。とりわけ環境配慮契約に取り組んでいる地方団体について、どういう形で取り組めたのか、あるいはその効果とか、逆にどういう理由でやらないのか、そういった実態を把握することを事務局でやっていただいております。
この資料のp.3の普及策の内容についてですが、環境配慮契約全般・契約類型、情報提供・フィードバックの大枠は事務局のアイディア、専門委員会のメンバーからは個別具体的なものが出されています。環境配慮契約全般・契約類型別に理解度の向上方策とありますが、これは、例えば、環境配慮契約法をなぜやるのか、グリーン購入をやっているのだから充分ではないか、という意見に対してどうするか。策定支援方策、普及方策マニュアルなどいろいろありますが、例えば自動車の場合の総合評価落札方式ですが、実際には総合評価落札方式の手続きは非常に手数が掛かり、それがネックになっている場合もあるらしいのです。このため、地方自治法や施行令の枠の中でもっと簡素化ができないかということを一つの例として考えております。
ただ、全体として、アメとムチといった言葉は適当ではないかもしれませんが、例えばこういうアメがあるといったインセンティについてのアイディアが今のところない状況です。
何れにしても11月いっぱい事務局でヒアリング調査を行っていただいて、その上で12月の専門委員会で、より具体的な案をとりまとめ、次回のこの検討会にご報告ができるのではないかと考えているところです。

山本座長: ありがとうございます。アメがないという話がございましたが、それでは先生方からこの普及促進に向けての委員会に対するご助言をお願いしたいと思います。今回は山地先生のほうから簡潔にいただければと思います。

山地委員: 地方公共団体は大きさもいろいろありますから、それぞれ事情があると思いますのでターゲットを絞っていったほうが戦略的にいいと思います。全般的にカバーしようとするといろいろと条件が違いますので、オープンにしていく必要はないかもしれませんが、例えば、東京都のような大口にターゲットを少し絞っていったほうがいいと思います。

山本座長: 田中先生。廃棄物は100%とのことですが。

田中委員: それは国のほうであって、地方公共団体には、できればということですから、これからPRをやるべきではないかと思います。今回のアンケートには産業廃棄物処理が入っておりませんので、来年やるとすれば対象になると思います。

山本座長: PRは先ほど秋鹿先生も強調されました。大聖先生、いかがでしょうか。

大聖委員: 車は総合評価落札方式で、これでも面倒であるというわけなのでしょうか。国の達成率は非常に高いわけなので、地方自治体でできないわけがないと思います。もう少しわかりやすくするとか、ネットを使ってチェックを入れればうまく出てくるといった工夫をされるようなことも一案としてあるのではないかと思います。
それから山地先生もおっしゃったように、やはり大きいところを狙って行くのは大事だと思います。東京都、首都圏ですと、九都県市低公害車指定制度というのがあります。関西にもありますが、まずはそういったところを狙って公表していくと言いますか、達成率のいいところは褒めてあげるということをされていくということだと思います。

山本座長: 坂本先生、いかがでしょうか。

坂本委員: 私の担当のESCOについては地方公共団体のほうが進んでいるといった一般的な認識があります。理由は補助金です。今は出していないかもしれないですが、以前経済産業省がそういったインセンティブを出していて、随分地方公共団体がESCOをやったということは伺っております。
それから質問というか、ちょっと問題だと思ったのは、p.2の表1の回収結果を見ますと、回答していないところが、特に町村の場合は20%以上あります。24年度も町村の回収率は低いわけですが、同じところが去年も今年も回答していないのであれば、アンケートの送り先が悪いのか、それともこういった市町村は全然機能していないのか。その辺りをきちんと調べてみるほうがいいと思います。回答していて、どうしてうちはやらないのかという返事があるのは非常にまともだと思いますが、音沙汰がないのが一番問題なので、そこをフォローするようなことをされたほうがいいと思いました。

山本座長: これは事務局、どうですか。

事務局: ご指摘をありがとうございます。これは国の統計調査ではなくて任意の調査になりますので、回収率80%ということはかなりご協力をいただいていると、私どもとしては認識しております。送付先等につきまして、環境配慮契約法については会計課に送ってくださいとか、いろいろご意見をいただいております。そこは団体によって違ってくるということで、前年度にご意見をいただいたところに送付先を変えるような対応を取って、何とか回収率を高めるようにしております。それから音沙汰がないところへのアクションは実は取っておりませんので、どこまでやるかというところは今後の課題として考えたいと思います。

山本座長: それでは乙間先生、お願いします。

乙間委員: 私たちも時々地元の市町村にアンケートを取っておりますが、この数字を見て驚いています。通常、市町村のアンケートの回収率は50%を超えません。さすが、環境省だという感想です。情報量は凄い量で、ある意味私たちにとっては宝の山ですが、この情報をどう使うかということに非常に興味があります。これから委員会で検討していただけるということですが、この情報をどのようにフィードバックして提供するかが最も重要ではないかという気がしております。p.3の最後に書かれていることですが、インセンティブになるような情報の提供の仕方を積極的に検討していただけたら非常にいいと感じました。

山本座長: これは前回も出たと思いますが、都道府県会館のようなところに貼り出したらどうですか。そうするとやる気になるのではないでしょうか。秋鹿先生、いかがですか。アメをどうするかですが。

秋鹿委員: あまり鈴木先生の委員会にご負担をかけたくないと思いますが、山地先生もおっしゃったように、地方公共団体は持っている産業によって随分性質が違います。ですからある程度カテゴライズしてピックアップして、典型的なところを、答えは大体想定できるのかもしれませんが、そういうところから情報を出してどういう問題があるかを調べると整理しやすいのではないかと思います。産業との関係で言いますと、北九州市、川崎市は産業と非常に密接に結びついています。それこそ経済産業省からいろいろなプロジェクトで補助金をもらって、ある時期、非常に積極的に環境行政が進んでおります。最近ですと川崎市は、石油化学縮小によりリファイナリーで余った水素を地域に供給するという協定を結んでいます。これも経済産業省の補助金をもらっていますが、そうすると水素を主体とした新しい街づくりとしてかなり積極的にCO2を減らすような事業をするかもしれないです。そういうのは特殊事情ですが、そういうカテゴライズした中でのアンケートでないと、本質は見えてこないのではないかと思います。

山本座長: はい、ありがとうございました。鈴木先生の委員会でぜひよろしくお願いしたいと思います。

(2)検討スケジュールについて

山本座長: それでは、今後のスケジュールについて事務局からご説明ください。

事務局: 資料7について説明(省略)。

山本座長: スケジュールに何かご質問、コメント等はありますか。よろしいですか。
それでは全般に渡ってご意見をお願いします。
まず、田中先生からお願いします。

田中委員: 確認です。資料5の変更の部分がp.16にありまして、変わったところは関連資料のp.160にありますが、入札項目の参加資格の審査のところに、前は適合証明書を出していました。今はそれがなくなって契約し、入札後に開札をしての根拠資料の確認に基づいてする審査がなくなりすっきりしていますが、根拠資料の確認という言葉がどこかにあったほうがいいと思いました。
それから適合証明書を出すのか出さないのかということが変更点としてあったほうがいいと思います。今後の説明会でもいいと思いますが。

環境省(野崎補佐): 現行のp.160の入札参加資格の審査については、適合証明書だけで確認するという意味合いでわざわざ括弧書きで書いております。改定案は入札参加資格審査に全部資料を提出していただいて審査して確認するという趣旨でございますので充分伝わるかと思っております。

田中委員: 適合証明書を出すためには何も審査しないで出すということですか。

環境省(野崎補佐): 適合証明書をなぜ出してもらっていたのかというと、根拠資料の提出はしなくていいのだけれども、参加する事業者は証明書として一枚紙を出してくださいという意味合いで出していただいていたので、今回の改定案は入札参加にあたって、全て根拠資料を提出していただきますので、証明書は必要ないということでございます。

山本座長: 委員長がすぐにわかるように作っていただかないと、一般事業者は全くわからなくなってしまいますのでお願いします。
それでは秋鹿先生、お願いします。

秋鹿委員: 冒頭に座長は何も話されなかったのですが、山本座長はおそらくこの一年間の異常気象をみていたら大分血圧も上がったのではないかと思います。今日も新聞で温室効果ガス削減の新たな数値目標が3.8%減と出ましたが、CO2削減、あるいは温室効果ガスの排出抑制に向かっていくためには、国で経済的な仕掛けをしないといけないわけです。そのためには、この環境配慮契約法は一部かもしれませんが、元になる、いろいろ決めているところとリンクして、省庁間の情報も交換しながら、そこで決まったものを環境配慮契約法で施策を作っていくということももちろん大事ですが、それだけではなくもう少し先を見据えて、例えば再生可能エネルギーを導入するためのシナリオがあるので、そのために国でいろいろなものを買ったり、作ったりするならば、どういう影響があるのかということをどこかで考えないといけないと思います。そうしないと後手になります。どこかで決まったことをやるということは国がしっかりしているからいいのかもしれないですが、今の世界の情勢や温暖化の進み方に対する回答としては、アクションとしてはちょっと遅いというような気がします。ただそれをどうしたらいいかということはすぐにはわかりません。この会でどうこうするつもりはありませんが、もう少し勉強して事務局にいろいろ資料をいただいて、どうしたらいいのかを私なりに考えればいいと思いますが、一つは省庁間の持っているデータをどう共有しているのか。例えば排出ガスのいろいろなデータは経済産業省なのか環境省なのかどこで取っているのかはわかりませんが、将来に向けた施策の中で早く情報交換をしながらやっていくということが大事だと思います。例えば他国の安い再生可能エネルギーをエネルギーにして運ぶというプロジェクトを最近作っていますが、そういったものを実現するために社会のアクセプタンスも必要ですし、そういうものを使えるような社会にしないといけないです。ですから社会を動かすようなことに、これもリンクしてほしいと思います。なかなか難しいです。

山本座長: 先生、是非、それを紙一枚にまとめて出していただきたいと思います。グリーン契約法で扱えるようなものであるならば、次回にでも検討していただきたいと思います。
それでは長時間に渡り、ありがとうございました。本日は課長がいらっしゃいますので、課長にご挨拶をいただいて、温暖化と戦う決意を表明していただきたいと思います。

(3)その他

環境省(大熊課長): 先生方どうもありがとうございました。今日は2回目でしたので、特段挨拶も何も考えておりませんが、今、山本先生がおっしゃられた危機感はぜひ共有してがんばってまいりたいと思います。第3回に向けていろいろ準備をしてまいります。よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

山本座長: どうもありがとうございました。