平成25年度 環境配慮契約法基本方針検討会(第1回) 議事録

出席委員:
秋鹿委員、乙間委員、坂本委員、鈴木委員、大聖委員、山本委員(座長)
欠席委員:
欠席委員:田中委員、野城委員、 山地委員     (五十音順、敬称略)

1.日時

平成25年7月26日(木)14時~16時

2.場所

中央合同庁舎第5号館22階 環境省第1会議室


事務局: 本日はお忙しいところ、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成25年度第1回「環境配慮契約法基本方針検討会」を開催いたします。
会議に先立ちまして、環境省総合環境政策局総務課坂口調査官よりご挨拶申し上げます。
なお、カメラ撮りは配布資料の確認までといたします。

環境省(坂口調査官): 皆様、本日はお暑い中、また、ご多忙の折、環境配慮契約法基本方針検討会にご参集いただき誠にありがとうございます。
環境配慮契約法は平成19年度に施行されまして、昨年度は新たな契約類型として産業廃棄物に係る契約を追加するなど、継続的に改善を図ってきたところです。また、昨年度は法の施行後5年を経過したことから見直しについても検討しております。
今年度は普及が進んでいないESCO事業に関してや環境配慮契約法の地方公共団体への普及策などの検討を予定しております。引き続きご指導等賜りますようどうぞよろしくお願いいたします。

事務局: まず、本検討会に御参画いただいた委員の皆様をご紹介いたします。
委員名簿は資料2としてお手元に配布しておりますので、適宜ご参照ください。
資料2について説明(省略)。

事務局: 次にお手元に配布しました資料1「検討会開催要領」をご覧ください。中段の「3.組織等の(2)」の規定により、本検討会の座長を委員の皆様の互選で選出していただくことになっておりますが、僭越ながら事務局からご提案させていただきます。本検討会が設置されて以降、座長を務められ、環境配慮製品・環境配慮契約にお詳しい山本先生にお願いしてはいかがかと思います。皆様いかがでしょうか。
(異議なし)

 それでは本検討会の座長は引き続き山本先生にお願いすることとし、今後の議事進行につきましては、山本座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本座長: 山本でございます。それでは、ご指名でございますので座長を務めさせていただきます。
今朝、テレビのニュースを聞いておりましたら、中国の重慶では最高気温が44.5℃という話で、つい最近もアメリカのアリゾナ州で50数℃を記録したということです。日本も猛暑ですが、全世界的に熱波や洪水などいろいろな異常気象が発生しております。私は間違いなく地球温暖化の影響が出始めていると感じているわけです。日本でも熱中症の死亡者が100名ぐらいになって救急車で搬送された方の数はおそらく1万人を突破していると思いますが、この環境省に危機感が全然みなぎっていないということはどういうことなのか。これはもう環境大臣が非常事態宣言をしてもおかしくないような状況に入りつつあると思います。京都議定書の日本の目標は、排出権を入れて達成できそうだというお話を伺っておりますが、京都の目標は6%の削減を15年ぐらいかけてやってきて、しかも十分に削減できなくてクレジットで処理するという状況です。今国際社会は、地球の平均気温の上昇を2℃以下に抑制しようとしているわけですが、これは多くの研究によって、年間、全世界で5%ぐらいずつ削減していかないと2℃以下には抑えることができないと考えられているわけです。「Target 2℃」を守るということは極めて厳しい状況に今なりつつあります。2℃が突破されてしまうと、次は4℃ぐらいになってしまうのではないかということです。私もこの席で何遍もご紹介しておりますけれども、欧米では早ければ2060年ぐらいに4℃を突破するのではないか。4℃を突破すると多くの農業が崩壊しますから大量の環境難民が発生して、国境を越えれば戦争になります。文明の崩壊、国連システムの崩壊だと議論されているわけです。そういう点でIPCCの第5次報告書が続々と出てくるでしょうから、環境省におかれましては、来年度にかけて本格的に地球温暖化対応策を策定するというプランだそうですが、このグリーン契約法の趣旨は政府及び地方公共団体が率先して温室効果ガスの削減に当たる、要するに軽減策なわけです。我々は適応策を真剣に考える段階に来ているわけですが、やはり基本は軽減策をもっと徹底的に実行するということが大事であると私は考えております。そういうことでこの検討会は、もっと徹底的にグリーン契約法の趣旨を日本の社会に徹底させていくという重要な使命を帯びていると思っております。
それでは、議事に入ります前に、事務局から本日の議事予定、配布資料の確認、検討会及び議事録の公開等のご説明をお願いいたします。

◇本日の議事予定
事務局: 本日の会議は、16時までの2時間の予定しております。

◇配付資料の確認
事務局: 次に配付資料の確認をお願い致します。

【配付資料】
資料1 環境配慮契約法基本方針検討会開催要領
資料2 平成25年度環境配慮契約法基本方針検討会委員名簿
資料3 平成25年度環境配慮契約法基本方針等の検討方針等(案)
資料4 地方公共団体における環境配慮契約に関するアンケート調査について(案)
資料5 平成25年度環境配慮契約法基本方針検討スケジュール(案)
参考1 国及び独立行政法人等における環境配慮契約の課題及び今後の対応等について【平成24年度検討会参考資料】
参考2 地方公共団体における環境配慮契約に関するアンケート調査結果について(概要)【平成24年度検討会参考資料】
参考3 都道府県別の環境配慮契約に関する取組状況等について

 資料の不足等あれば事務局までお申し付けください。
引き続き資料1の「4.公開等の(1)~(3)」に則して検討会及び専門委員会の公開等についてご説明いたします。
(1)本検討会は、原則として公開となっております。ただし公開することにより個人情報の保護に支障を及ぼす場合、または個人もしくは団体の権利利益が侵害される恐れがある場合には検討会は原則として公開とします。ただし、公開することにより、個人情報の保護に支障を及ぼすおそれがある場合又は個人若しくは団体の権利利益が侵害されるおそれがある場合には、座長が会議を非公開とすることができます。
(2)検討会の資料及び議事録については、会議の終了後、ホームページ等により公表します。ただし、会議を非公開とした場合には、資料及び議事録の全部又は一部を非公開とすることができます。開示範囲については、事務局が案を作成して、座長の承認を得るものとします。
(3)専門委員会の公開等については、検討会に準ずることになっております。
それでは、山本座長、よろしくお願いいたします。

山本座長: 今日の議事は公開ということでよろしいですね(承認)。それでは今日の議事は公開とします。

3.議題

(1)環境配慮契約法基本方針の検討の進め方及び専門委員会の設置について

山本座長: それでは早速議事に入らせていただきます。本日は、議事次第にあるとおり、3件の議題があります。
(1)環境配慮契約法基本方針の検討の進め方及び専門委員会の設置について
(2)地方公共団体の環境配慮契約に関するアンケート調査について
(3)検討スケジュールについて
それでは、議題の「(1)環境配慮契約法基本方針の検討の進め方及び専門委員会の設置について」、資料3をもとに事務局よりご説明をお願いします。

事務局: 資料3、参考3について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。参考資料3の都道府県の実施状況のグラフは、改めて見て私もびっくりしました。p.3の電気の供給を受ける契約の実施状況を見ると、随分多くの都道府県で実施の検討なしということです。四国に至っては全県が拒否しているような感じですが。

事務局: 例えば、四国は、四国電力以外の電気事業者は参入されていない状況です。新しく今年度から参入されたという話も聞いておりますが、昨年度の段階では、まだ3者以上は参入されていません。また、沖縄電力や北陸電力の管内もそうです。電力の購入に当たって、環境配慮契約にそもそも取り組めない地域もございますので、その点を考慮の上、資料をご覧いただきたいと思います。

山本座長: 次のページの自動車も芳しくない結果になっています。新潟県、京都府、広島県、愛媛県もエコカーを購入していないのではないですか。大聖先生、これはどう考えればよいでしょうか。愛媛県は90.5%が実施予定なしです。新潟県も87.1%です。ただし、新潟県は佐渡島で電気自動車を普及させると言っているのではなかったですか。

事務局: 低公害車や低燃費車を買わないあるいは買っていない訳ではなく、環境配慮契約の形で、大聖先生にお願いしました総合評価落札方式で購入していない、購入する予定がないということです。繰り返しになりますが、低公害車、低燃費車を購入しないというご回答ではありません。環境配慮契約は実施していないが、グリーン購入法に基づいて購入されているところが多々ございますので、今のところ、環境配慮契約については考えていないということだと推察されます。

山本座長: 京都府は京都議定書発祥の地ということで相当取り組んでいるはずなのに、なぜ環境配慮契約を行わないのですか。
問題が相当見えてきた感じがします。ただいまの事務局からの提案、2つの専門委員会を設置したいということでございますが、先生方のご意見をいただきたいと思います。坂本先生、ESCO事業はいかがですか。

坂本委員: ESCOは前々から実施例が少ないと伺っております。ESCOを検討しなければいけないと思っておりましたが、参考資料3を見て少し安心をしたというか、他の契約もESCOと状況はそれほど変わらないということで少し気が楽になりました。電気の場合は毎年電力会社と契約するとか、車の場合は寿命がきたら買い換えるというポイントがあると思います。そのときに環境配慮契約法に則って購入するということが検討されるのでしょうが、ESCOの場合は元々日本にはなかった事業ですから少しハードルが高い面があるかと思います。一般に設備は10数年で改修時期を迎えることになるので、設備の改修は公共の建築物では頻繁に行われております。それから今、独立行政法人の長をやっておりますが、私どもでも照明を換えたという話は時々あります。しかし、そのような取り換えを環境配慮契約の中のESCO事業としてカウントしようとしてもそれはESCOには該当しないというのが環境配慮契約の中の判断です。設備も昔に比べてかなり性能が良くなっていますから、もちろんいろいろなケースはありますが、必ずCO2削減に寄与するような方法で実際には設備改修が行われているはずです。こうした点から考えると、ESCOということでフィージビリティ・スタディ(FS)を事前にやって、事業の見通しをつけて、ペイするようにしなければいけないということも重要ですが、単に設備改修ということで、先ほども省エネサービスということで提案が出されておりましたが、設備改修でも環境配慮契約の中で認めるという方向で、枠を広げていければCO2削減に取り組んでいることが目に見えるようになると思います。本年度はESCOの専門委員会が開かれますので、皆さんの意見を聞きながら方向性を検討していきたいと思います。

山本座長: ありがとうございます。それではもう一つの委員会の鈴木先生はいかがでしょうか。

鈴木委員: 地方公共団体普及促進専門委員会は、地方公共団体における環境配慮契約の取組を進めることが目的です。ただ、地方によっても事情が違いますので、状況を把握しながら契約類型別にインセンティブや上手い支援ができるものを考えていきたいと思いますが、正直言って中々厳しいかとも思います。

山本座長: 埼玉県は地球温暖化適応策を一番熱心にやっている県だと思います。熊谷は猛暑にやられているので適応策を色々考えているはずですが、電気の供給のところを見ますと、64.1%が実施予定なしと答えています。これはもうわからないです。40℃近い熱でやられているわけではないでしょう。猛暑でどうかなってしまったのでしょうか。秋鹿先生、いかがでしょうか。放送大学でそういうところを教育してもらいたいですね。

秋鹿委員: ご指摘のように、放送大学は放送大学の学生だけが相手ではなく、一般の成人の方の成人教育や生涯教育が大事だ、ということを組織の一人になったときから思いました。キャンペーンというか、サイエンスを皆で議論できるような市民社会と言いますか、そういうものをどうしたら作れるかということです。私はよく放送大学の授業やテレビ授業の中でも言いますが、欧米の方々は割と真剣に、気楽に、生活の中で議論をしています。例えばデンマークの風力発電を最初に取り組んだ島では、農民の方が自主的に始めました。もちろんその中にリーダーとなるような技術者がいたという話ですが、それは別に政府が介入したわけではなくて自主的にやっています。私がかなり前にデンマークの企業の研究所を訪れた際、職員の方々は昼休みに生活や環境や政治のことなど、いろいろなことを議論していました。日本もそういうきっかけが必要ではないかと思います。
2つの委員会をぜひ立ち上げていただいて、必要であれば、少し元に戻った議論からしていただいて、今までの延長だけではなく、幅広く、基礎的なことを取り上げながら対応していったらいいのではないかと思います。特にESCO事業の間口を広げて考えるとか、キャンペーンを行うとか、いろいろなやり方があるのではないかと思います。

山本座長: 九州を見ると、乙間先生は福岡県ですが、30.1%が実施できていない状況です。佐賀県も47.6%、長崎県が54.5%です。九州は毎年のように豪雨でやられているはずですが、地球温暖化の影響ではないと考えているのでしょうか。

乙間委員: アンケートの結果を想像はしていましたが、実際に見て愕然としました。国の法律で施行されてから5年が経っているのに、法の内容を理解している団体は1/3以下、少ない県はそれ以下です。大半は聞いたことがあるが理解していない、あるいは知らないという状況です。地方自治体では実際に温暖化対策を要請しているにもかかわらず、これで本当に良いのでしょうか。法文の理解ですらこうなのですから、実際に電気や車の契約でやれるわけがないと思います。今回、委員会を作られるということなので、地方公共団体に普及促進を単にやりなさいということではなくて、何らかの促進メカニズムを導入してやるということを考えてほしいと思います。法律で強制するのも一つの手ではありますが、他に賢いメカニズムを導入してやって欲しいと思います。

山本座長: 地球の温暖化の恐ろしさがわからない意識の低さランキングなどといった指標をぜひ鈴木委員会で作ってもらえばいいと思います。

乙間委員: 参考資料3は公開しますか。間違っていたらすみませんが、県の名前が具体的に資料として表に出てきたのは初めてではないかと思います。ぜひ公開して、なおかつ皆が見るように奨励していただければいいと思っています。

環境省(野崎補佐): 資料は公開です。ただ誤解のないようにと思いますが、都道府県自体の取組ではなく、都道府県内の市町村を含めた取組の割合になっております。

乙間委員: 誤解があっても、ある意味議論のネタにしてもらえればいいと思います。事実を記しているので、ぜひそうしていただきたいと思います。

山本座長: 大聖先生、これをご覧になっていかがですか。

大聖委員: 先ほど事務局よりご説明があったとおり、エコカーは選択されているのですが、p.24(参考2)の自由回答を見るとやはり、契約のやり方自体が煩雑だったり、各部署の連携がうまく取れていないということが原因だと思います。このような状況を克服していかないといけないのではないかと思います。周知を徹底することも大事です。最近の乗用車はほとんど超低排出ガス車で4つ星マークになっています。2015年度の燃費基準も超過達成している車が多く出ています。そうした車が選ばれているのですが、契約法に則っていないということがあるのではないかと思います。

山本座長: トヨタのお膝元の愛知県も76.4%が実施なしですからね。

乙間委員: もう私には理解できないですね。

山本座長: 大体現状はわかりました。事務局からの提案もわかりましたので、この2つの委員会を発足させることはご了承いただいたということでよろしいでしょうか(了承)。
ありがとうございます。それでは、次の議題に移りたいと思います。

(2)地方公共団体の環境配慮契約に関するアンケート調査について

山本座長: 資料3についてご説明がありましたが、今年度も引き続き、「地方公共団体の環境配慮契約に関するアンケート調査」を実施する予定です。資料4のご説明を事務局よりお願いします。

事務局: 資料4、参考資料2について説明(省略)。

山本座長: ありがとうございました。それでは先生方からアンケートをどう進めるかにつきまして、大所高所からご意見を伺いたいと思います。秋鹿先生からよろしくお願いいたします。

秋鹿委員: 契約法と一緒に経産省の省エネ法の委員もやってきています。いろいろ考えてみますと、何かメリットがある、例えば企業等や住民にインセンティブもあり、利益もある流れになるのが一番良いと思います。トップランナー方式の省エネの基準が進んだ理由は企業が商品の性能をアピールすることもできると同時に、社会のためにもなっています。それから買う人は省エネの商品を選ぶこともできています。そういう意味でwin‐winの関係で比較的進んでいます。そういうことを考えてこの環境配慮契約を自治体、あるいは全国に広めるためには、アイテム毎の契約の基準を作って、それに従うのではなく、自主的にできるようなことを推奨するような仕組み、例えば都市計画をある町でやるときに、少し長期的に考えて環境配慮するような企業と一緒に行うなど、この環境配慮契約法の基本方針の枠では今まで取られなかったような枠組みを作って裏から支えるにはどうしたらいいかということをふっと思いました。
乙間先生は北九州市ですが、北九州市の環境課長と取材で対談したことがありますが、エコプロダクツ展でもいつも元気にやっているし、エコタウン構想でいつも一番になっています。国際環境都市としても表明しています。敢えてご質問をさせていただいたときに、北九州市は幸いにも企業と自治体と住民とがバランスよく協力してきたということがあります。あそこはもちろん洞海湾が真っ黒だから最初に住民が騒ぎました。企業もいろいろエネルギー転換で困りました。町も再開発をしなければいけないということがありますが、企業がかなり力を持って町づくりや制度づくり、一番近いところでは携帯電話の回収でソニーを中心にコンビニでも協力するというように、いろいろな仕掛けを企業が自治体と一緒になってやっています。生活の中で進歩があるというのが見えて、それが自分たちの生活の糧にもなるというような仕掛けができるようなことをこの条件の中ではなかなか難しいと思いますが、それをサポートするようなものがないかと思っています。大変無責任ですが、発言させていただきました。

山本座長: アワード、表彰することはいかがですか。

秋鹿委員: それは非常にいいと思います。

山本座長: 課長に特別に予算を確保していただいて、トップの自治体には10億円を差し上げるというのはいかがですか。

秋鹿委員: エコプロダクツ展などで山本先生もいろいろな表彰をやっていますが、エコプロダクツ展は三日間で18万人が来るわけですから、ここでアピールする仕掛けがあれば、非常に効果は大きいと思います。他にも、数日前には再生可能エネルギー展で非常に大勢の方が集まっているので、企業活動のみならず市民活動にも資するようなことをぜひ考えたらいいと思いますね。それは山本先生のお得意なところではないですか。

山本座長: 環境省が本気になれば何でもできるのではないかと思います。乙間先生はいかがでしょうか。

乙間委員: アンケートを実施するということは回答者から情報をもらうだけではなくて、こちらから啓蒙するというか、情報を提供する一つの手段でもあるので、是非毎年継続的にやっていただきたいと思います。特に地方公共団体に関する情報を提供するということになったようですので、是非やっていただきたいと思います。アンケートの結果をフィードバックすることはないのでしょうか。例えば「あなたの自治体はこの辺に位置しています。」というように、相当な情報量なので全項目やるのは大変かもしれないですが、アンケートの結果を使いながら、広く皆さんに知ってもらって協力してもらうことも一つの方法かと思います。
もう一つはアンケートのデータをこれだけに使うのはもったいないと思います。何かに使える道はあると思います。研究論文のネタだけではなくて、グラフ化などしてエコプロダクツ展のブースで展示するなど、よその県からも来ますので結構良い普及啓発の手段になると思います。アンケートを最大限に活用する方法を考えて欲しいと思います。

山本座長: 少なくとも全国自治会に回して、意識度低さランキングでやらないとダメかもしれません。坂本先生はいかがですか。

坂本委員: アンケートに関しては特にありません。別の話題になりますが、5年目の見直しということなので、法律の原点に戻って皆で考え直すことも大事だと思います。CO2・温室効果ガスを減らすことが一番大きな問題だと思います。そういうことで地方公共団体や、うちも独立行政法人ですが、やれることを考えます。物を買うときにCO2削減に寄与するものです。年数が来て10年に1回買う物、それから消耗品として毎年買う物など、いろいろあるわけです。地方公共団体や独立行政法人が業務として普段やっている中で、どうしたら温室効果ガスの削減に貢献できるのかということを特に物品等の購入において、会計の担当者が参考にできるようなマニュアルみたいなものがあればよいのではないかと考えています。年度計画でどういうことを注意すればいいのか、それから一つ一つの物品契約でどういうことを注意していけばいいのか。それほどいっぱいある話ではなくて、重要なポイントをいくつかにまとめられると思います。それを実施するということで、法律の目的としているところをかなりカバーできると思っています。
それから環境関係や省エネ関係の法律はやや多すぎると思います。環境省に対しては言いづらい面もありますが、私の関係では昨年「エコまち法」というのができました。都市計画等におけるエコロジーを進める法律です。この法律では建物も温暖化防止対策を講じるとインセンティブがあたえられます。しかし、こうやって新たな法律が作られたりすると、実施する側である地方公共団体にとっては何が何だか、いっぱいありすぎてわからないという状況もあるのではないかと思うのです。うまく整理してポイントがどこかを示すことも必要だと思います。また、民間にも温暖化防止行動計画というものがあります。経団連にも随分お願いしてやっています。私は医師会の温暖化防止行動計画の世話をしましたが、実はいろいろなところで温暖化防止行動計画は取り組まれているのです。ですから、環境配慮契約をいろいろな公共的な団体の温暖化防止計画を推進する法律とすればスッキリするのではないでしょうか。実際にエコカーを買うといった大聖先生のお話もあるし、照明もLEDに取り換えるというように、多くの皆さんには省エネの意識があります。3.11があったせいもありますが、エコロジーはこのように皆の頭の中にあるはずですから、そのような意識がアンケートの数字にどう表れるかというところだと思います。アンケートにおいてもエコロジーに取り組んでいるという結果が出るような質問を作るといいと思います。

山本座長: はい、ありがとうございます。今の坂本先生のご発言の中で、アンケートに提言または提案をさせてはどうかというのがあったと思います。5年目見直しですから法律をどう運用するかという意見だけではなくて、この法律そのものをどうするかを含めた積極的な提言をさせるということは一つの案かもしれません。鈴木先生の委員会でご意見をいただきたいと思います。

鈴木委員: 国の機関と違いまして地方公共団体はトップの意向や意識もかなり反映されるのではないかと思います。従って今回の調査票でできるかどうかわかりませんが、トップの意向や意識が把握できるようなものが工夫できないかお願いしたいところです。

山本座長: 事務局、いかがですか。トップの意向が重要だというご指摘ですが。

事務局: 確かに地方公共団体は、例えば電気の場合でもトップダウンで契約が決まるように伺っておりますので、検討しまして、第1回目の専門委員会には可能な範囲でその内容を折り込んだ形で資料をお出しできるようにしたいと思います。

山本座長: 鈴木先生、よろしくお願いいたします。ぜひトップの意見を聞かないと。
大聖先生、いかがですか。

大聖委員: 車の販売というのは、バリューチェーンといって売ったあとのメンテナンスやサービスも付加されています。多分そういった商慣行というのがあると思います。販売店が近い、サービスが良い、車検のときには取りに来てくれるといったことが、ここの数字では見えない選択の動機になる可能性があるという気がします。これだけでやるとドライに数字が出て順位が決まってしまうので、それに従った選択になりますが、実際に車を購入する場合はそれだけでは決まらないケースもある訳です。我々、一般消費者もそういった面があるのではないかと思います。購入後のサービスなど様々な要因も働いているのではないかという気がします。ただし、やはり予算を使って購入することなので、最も費用対効果の高いものが一番ポイントが高くなるわけですから、予算の使い方、合理性から言えば、確かにそのような方法で購入されなければいけないと思います。つまり地方公共団体には、どこまで環境配慮契約を徹底してやってもらえるのかということがポイントだと思います。
もう一つ考える必要があるのは、保有台数のうち、その年に何台ぐらい買い換えたかという点ですが、そのような数値はわかりますか。つまり10台持っていて1台ぐらい買い替えるのであれば、環境配慮契約は面倒ということが実際にあるかもしれません。それから車の買い替えるタイミングの一つに車検があります。手続きの煩雑さもあります。総合評価では、ポイントを計算しますが、計算が面倒であるとの考えがあるのではないでしょうか。計算自体は、それほど難しい計算ではありませんが、そういった煩雑さもあって、積極的に取り組めないという背景があるのではないかと思います。

山本座長: 大聖先生のお話で思い出したのは、韓国ではもっと厳しいグリーン調達をやっていると思います。大量に発注するような話が持ち上がると、グリーン調達の部門が全て選びます。日本は地方自治体に全部任せていますが、どういったやり方がいいのか。韓国方式のようにトップダウンで全部決めてしまうのがいいのか。それはいろいろなご意見があると思いますが、先生の仰るとおり小さな自治体で、車が1台2台では煩雑で、あまりメリットが感じられないというところはあるかもしれません。

事務局: 大聖先生からお尋ねの部分ですが、年間の購入や契約については数字を取らせていただいております。その結果を分析しまして、多く購入されているにもかかわらず、環境配慮契約をやっていないところはもう少し考えたいと思います。数字は取る予定でございますので、結果の分析については、そういう観点で対応したいと思います。

大聖委員: 多く購入されているところについては、相応の対応が必要と思います。

秋鹿委員: 昔、私たちが若い頃、戦後ですが、各地方に農業改良指導員(現在、農業普及指導員がいて農業の技術を普及させたということがあります。現在、エコピープルというのもありますが、環境のことを良くわかった環境省公認の人がいて自治体や企業にアドバイスできることも一つです。私が省エネ対策法に関係していたときに、星マークを作ったきっかけになったのは、全国に2,000ぐらいあるNPOの動きです。NPOの省エネ活動をやっている人がいて、その人たちが自治体に働きかけて、経産省が省エネ基準を作っているから、この商品にはどのぐらい電気を使うのかということを表示するという活動を京都府と東京都などのNPOの人たちがしました。そのために東京都が最初に経産省の基準を使って、小売店にどのぐらい電気を使うのかという表を計算してあっという間に作りましたが、その元になる数字の計算や審査をしているのは、大聖先生と私たちです。それは言ってみれば非常に危うい数字でした。ある仮定の元に作った数字なので一人歩きされると非常に困ります。エアコンを4人家族で使うなら何時間でいくらということがあるのに、いきなり商品に、10年間使ったら電気代がいくらで元がいくらで、その合計を表示しなさいということを東京都がしました。これは非常に乱暴な話で電気会社はじめ有識者がびっくりしました。その勢いがすごくて、東京都がそれを元にトリプルA~Dまで作りました。半年ぐらい動き出してもたもたしていたものですから、国がこれは大変だというので東京都に謝って、「きちんとしたものを作ります。」ということでAではなく星のマークを作りました。私はたまたま委員長をしていたのですが、そのときは東京都の環境課長が新聞の一面を広げて、これは経産省の広告である。経産省は耐久消費財を10年間使いなさいと言っているでしょう。そうすると10年間使えばこれだけ安くCO2が減るでしょうと言っているにもかかわらず、10年間で計算したものを否定するとは何事だ。この新聞代の記事は、4,000万円~1億円するでしょうと大見栄を切りました。私たちはそこまで言える数字ではない。実はこうだということを言って認めていただき、2回ぐらいの委員会で何とか今の規則を作りました。それは結果として瓢箪から独楽で今非常に有効な施策として動き出しています。その一番元になったのはNPOの人たちです。実はNPOの人たちはそれほど専門家ではないですが、意識があるので、そういう力を活用して皆でCO2を減らしていく仕組みができたらいいと一方では思います。
もう一方は、山本先生はじめエコプロダクツ展でカーボンフットプリントを、商品に生涯CO2消費量を表示して、それを買えばCO2をいくら使ったものになるでしょうとわかるようにしています。もし全部の商品が、自動車はじめ、そうなれば、CO2消費量の少ないものを買って、CO2削減を示すグリーン切符やグリーンマネーか何かで価値を付けて、それを持って歩いて、表彰を受ける、あるいは換金できるとかできるとよいのですが、なかなか普及しないようです。そういうものがきちんと普及して全商品で行うようになれば誰でも参加できます。しかし、環境の基準というのは人によって随分違いますので、実現するのはなかなか難しいです。例えばLCDの例ですが、生まれてから死ぬまでという(LCAの基準に従う)と白熱灯電球はあっという間に切れて死んでしまうからCO2は出さないことになります。ところがLEDは3万時間ももつから、それよりCO2排出が多いことになります。ですからまともにカーボンフットプリントでやるとLEDのほうが排出CO2が多くなってしまいます。それでは困るので事務局では1時間当たりのCO2消費に直しているようです。商品によって生涯の値であったり、1時間当たりの値であったり、いろいろな問題がたくさん出てきます。ですから判断は難しいですが、皆さんの生活の中で何をやったらCO2をいくら出すのだということが馴染んでくれば、それで切符をもらったり、投資をしたり、何かするという習慣が自然に出てくるのではないかといった遠大な計画をときどき考えます。エコピープルという人たちに活躍してもらったらどうか。環境省が後押しするようなものを作ってほしいと思います。

山本座長: はい、ありがとうございました。様々な意見が出されましたので、鈴木委員会で最終のアンケートのプランをお決めいただきたいと思います。

(3)検討スケジュールについて

山本座長: それでは、資料5「検討スケジュール」につきまして事務局からご説明をお願いいたします。

事務局: 資料5について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。何かご質問・ご意見等がございましたらお願いいたします。よろしいですか。
それでは議題はこれで全て終わったわけでございますが、その他、先生方からこの際ご意見等がございましたらお願いいたします。今日はご欠席の方もいらっしゃいますが、これは事務局から伺ってください。
それでは、課長がお見えになりましたのでご挨拶をいただきたいと思います。

(4)その他

環境省(大熊課長): 遅れてまいりまして、本日は誠に申し訳ございませんでした。先生方には、お忙しい中、暑い中をお越しいただきまして、私が着席してからも様々なご意見をいただきまして誠にありがとうございました。私が伺った範囲でも環境配慮契約法を全国に広げていくためにどうしたらいいのかということで、非常に根本的なご議論をたまわったと思います。ご指摘のとおり初心に還って検討していく、それから基本はわかりやすく自治体に伝えていくということで、普及というお話もございましたが、そういう努力を続けながら制度を考えていくということが必要かと思います。 長くなりましたが、今日いただいたご意見をしっかり踏まえながら、専門委員会でまたご議論いただいて、今申し上げたようなスケジュールで秋にということで検討を進め、制度を着実に成立させていただきたいと思っておりますので、引き続きご指導いただきますようによろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

山本座長: それではありがとうございました。これで散会いいたします。