平成24年度 環境配慮契約法基本方針検討会(第2回) 議事録

出席委員:
秋鹿委員、碓井委員、乙間委員、田中委員、野城委員、山地委員、山本委員(座長)
欠席委員:
坂本委員、鈴木委員、大聖委員 (五十音順、敬称略)

1.日時

平成24年11月29日(木)13時~14時30分

2.場所

経済産業省別館10階 1014号会議室


事務局: 本日はお忙しいところ、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成24年度第2回「環境配慮契約法基本方針検討会」を開催いたします。
写真撮影等は配付資料の確認までと致しますのでよろしくお願いいたします。会議に先立ちまして、環境省総合環境政策局環境経済課大熊課長よりご挨拶を申し上げます。

環境省(大熊課長): 先生方、本日も大変お忙しい中、環境配慮契約法基本方針検討会第2回にご出席をいただきまして誠にありがとうございます。環境経済課長の大熊でございます。日頃よりお世話になっております先生方が多くいらっしゃいますが、人事異動がしばらく前にありましたので一言だけご挨拶を申し上げます。この委員会の第1回目は7月に開催されたと承知しておりますが、8月に人事異動がございまして環境経済課長に着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。私は10年ほど前に環境経済課におりました。当時はグリーン購入法ができた頃でございましたが、契約に関しては、こういった環境配慮を組み込んでいくという制度はございませんでした。その後、環境配慮契約法が成立し、契約の対象分野ごとに基本方針を策定いただき、契約が広がってきたということで、世界でもあまり例のない先進的な試みが日本で進んできているということでございまして、これもひとえに先生方のご指導のお陰であると考えております。改めて御礼を申し上げます。
本日は後ほどご説明を申し上げますが、主として議題が2つございます。全体としては基本方針についてご覧いただくということでございますが、その中で特に産業廃棄物の処理と電力について改定を要するということで、専門委員会でご議論をいただいてまいりました。産業廃棄物については2年越しの検討の結果、基本方針に追加するということで、専門委員会でおまとめいただきました。電力につきましても最近の制度改正を踏まえまして、必要な見直しを行っていただきました。おまとめいただきました田中先生、山地先生に、また改めて御礼を申し上げます。こういった分野の追加、修正、充実を始めといたしまして基本方針全体として見直し、解説資料を見直しまして、来年度以降の環境配慮契約法の充実、推進にぜひつなげて参りたいと思います。またそのために本日も貴重なご意見、忌憚のないご意見をいただきますようお願いを申し上げてご挨拶に返させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

事務局: 野城先生と碓井先生からは多少遅れるという連絡をいただいております。以後の議事進行は山本座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本座長: 今度の総選挙も原発という言葉が非常に大きな争点のように議論をされているわけでございますが、実は地球温暖化の進行のほうは人類社会を待ってくれていないわけでございます。大変な状況になっております。今週、私へのインタビューが報道されました。9月の北極海氷の劇的減少についてです。北極海氷の9月の堆積が3年間で半分に減ってしまったが、世界の気象にどういう影響を与えるかということです。ラトガース大学のジェニファー・フランシス教授のグループの研究でジェット気流の大蛇行が起きるということが示唆されております。そうなると来年はジェット気流の大蛇行、非常に極端な異常気象が頻発する。そうなるとまたこの数年のように、食糧価格の高騰ということになるわけであります。昨日読んだ論文では、グローバルな食糧価格の指数が210を超えると国際的に暴動が起ると書かれておりました。念のため、インターネットで検索すると、来年の夏にはグローバルな食糧暴動が起こるということを予測している人がたくさんいるので、私もびっくりしているところでございます。そういうことでこの環境配慮契約法は、まさに国の契約を通じて温室効果ガス等の排出の削減に資するということが目標になっているわけでございます。そういうことでは大変重要な法律ということでございます。
それでは早速ですが、議事に入ります前に、事務局から本日の議事予定、配付資料の確認をお願いいたします。

◇本日の議事予定
事務局: 本日の会議は、15時までの2時間の予定しております。

◇配付資料の確認
事務局: 次に配付資料の確認をさせていただきます。

資料1 平成24年度環境配慮契約法基本方針検討会委員名簿
資料2 国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針(案)
資料3-1 電気の供給を受ける契約に関する基本的事項について(案)
資料3-2 自動車の購入及び賃貸借に係る契約に関する基本的事項について(案)
資料3-3 産業廃棄物の処理に係る契約に関する基本的事項について(案)
資料4 平成24年度環境配慮契約法基本方針等検討スケジュール(案)
参考1 環境配慮契約法基本方針検討会電力専門委員会委員名簿
(五十音順 敬称略)
参考2 環境配慮契約法基本方針検討会廃棄物専門委員会委員名簿
(五十音順 敬称略)

 このほか、環境配慮契約法のパンフレット、地方公共団体マニュアル、環境配慮契約法基本方針関連資料の冊子をお配りしております。なお、基本方針関連資料の冊子には法律や基本方針、解説資料が盛り込まれておりますので、適宜ご参照ください。
資料の不足等あれば事務局までお申し付けください。
それから既にご案内のとおりですが、本検討会の資料及び議事録は座長の承認を得た上で環境省のHPで公開いたします。それではよろしくお願いいたします。

3.議題

(1)国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針及び解説資料について

山本座長: それでは早速ですが、議事に入ります。議題は、「(1)国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針及び解説資料について」ですが、資料に沿って進めたいと思います。最初に、資料2の閣議決定される基本方針の案についてご議論をいただいた後、資料3-1、3-2、3-3の解説資料の変更案についてご議論をいただき、最後に資料4の検討スケジュールとそれぞれご議論をいただきたいと思います。まず事務局から資料2の説明をお願いいたします。

事務局: 資料2について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。それでは基本方針の案につきましてご質問、あるいはコメントはいかがでしょうか。

秋鹿委員: 確か、新エネルギーについては定義されていたと思います。例えば太陽熱、風力、未利用資源等も全部入っていたような気がしますが、その定義が少しずつ変わっているということでしょうか。経済産業省の新エネ、省エネ部で新エネルギーを定義していたように思いますが。

山本座長: これは法律で決まっているのですよね。

環境省(峯村課長補佐): 簡単に申し上げますと、ここに書いてある2つの法律、後段の「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」、RPS法での新エネルギーという定義と、前段の「電気事業者における再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」、FIT法での再生可能エネルギーでは若干違いがございます。シンボリックなのは特に水力発電です。RPS法の新エネルギーでは水力のうち出力1,000kW未満の小規模水力のみを対象としておりましたが、これがFIT法の再生可能エネルギーでは30,000kWまで、それから地熱が再生可能エネルギーに含まれるなど、カテゴリーが若干変わってございます。

秋鹿委員: それはどこを参照すればいいでしょうか。ホームページ等などでわかるようになっているのでしょうか。

環境省(峯村課長補佐): 法律の条文には明記されていますが、例えば資源エネルギー庁のホームページに記載がございます。

経済産業省: 資源エネルギー庁にFIT法の特設ページがございます。そこに定義の記載があったかと思います。

秋鹿委員: どうもありがとうございました。

山本座長: その他ご意見はございませんか。今日のもう一つの議題として解説資料の改定がございます。その詳しいご説明を伺った後にご質問をしていただいても結構でございますので、早速、資料の3-1、3-2、3-3に移りたいと思います。資料3-1は電力専門委員会からのご報告であります。座長の山地先生からご説明をお願いいたします。

山地委員: 資料3-1について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。ご質問等は最後にまとめてお受けいたしますので、次に資料3-2の説明を事務局からお願いいたします。

事務局: 資料3-2について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。それでは、資料3-3、廃棄物専門委員会の座長の田中先生よりお願いいたします。

田中委員: 資料3-3について説明(省略)。

事務局: 資料3-3(p.5~)について説明(省略)。

山本座長: 田中先生、よろしいですか。

田中委員: はい。

山本座長: それでは、資料3-1、3-2、3-3のご説明をいただきました。先生方からご質問あるいはご指摘等はございますか。乙間先生はいかがですか。

乙間委員: 電力ですが、情報の開示や提供を入れたのが良かったと思っておりますので、他でも情報の開示を重要視していただきたいと思います。
もう一点は産業廃棄物の件です。裾切り値が60%と書いてありますが、甘くないですか。基本項目の場合の満点が75点とありますが、守るのはそれほど難しくないというのが私の印象ですが、議論はいかがでしたか。

田中委員: 途中で産業廃棄物処理業者に環境配慮への取組に関するアンケート調査を行いました。こういう項目で審査をされた場合に、どのぐらいの業者が60点を取るか、70点を取るかというシミュレーションを行いました。60点を取れば、確か60%ぐらいが合格するというので、まだまだ処理業者が優良認定を取っていない状況の中では、ある程度数を確保して、競争できる状況を作ったほうがいいということで、こういう数字が妥当かと思いました。

乙間委員: 現状だとそういう数字だと思います。この種の政策がお互いにリンクしているとすれば、例えば優良企業を取ることをもっと促進するということも重要だと思うので、60点あれば、新たな取組をしなくても参加できるというよりは、やや厳し目にして、そちらのほうも取っていただくような、政策同士がお互いにシナジーが出るように進めるのが効果的ではないかと思います。

山本座長: 田中先生、いかがですか。

田中委員: 基本的な考え方の最後にありますように、具体的な裾切りのパーセンテージも調達者が設定できるということと、もう一つは資料のp.4にありますように、優良認定業者がどんどん増えてくるような状況になれば、そういう状況も踏まえまして、仰るような考え方で見直しということもあり得ると思います。その時には見直そうと思っております。今の案では例として示すのは適切だと思っております。

山本座長: よろしいですか。それでは野城先生、いかがですか。

野城委員: 私も乙間先生と同じように裾切りをあとから上げていくということについて、制度は1回決めると変えるのがなかなか難しいと思って話を聞いておりました。制度が進化して基準を引き上げるときに、利害関係の方が環境省になぜ上げるのかということがあり得るので、現状はこうだが、将来はそれなりにフレキシブルに変えられる工夫がないかと思って聞いておりました。感想みたいな事で恐縮ですが。

山本座長: この配点は1年、2年経ったら変えられるのですか。

田中委員: これはあくまでも例示ですので、評価項目も評価内容も裾切り評価の点、60%を70%にすることも調達者が設定できます。

山本座長: 野城先生、よろしいですか。

野城委員: 分かりました。

山本座長: 碓井先生はいかがですか。

碓井委員: 中身についての議論ではなくて初歩的なことですが、電力と電気の言葉の使い分けについて教えていただけますか。p.9の算式のところで前年度の電力供給量、上は電気の利用量です。結局、電気の利用量が電力量になるのですか。

山本座長: 専門家の山地先生、いかがですか。

山地先生: 英語で言うと電気はelectricityで電力はpowerと訳すと思います。この場合は何れもエネルギー単位で計ったもので、p.8にkWhと書いてあります。利用量といったときはkWhとなります。電力会社と言ったり、電気事業者と言ったりしますが、概念としてはkWhで計っているので電力量と訳しています。電気量と言うとクーロン単位の電荷量と混同する恐れがあります。慣習に従えば誤解はないと思います。

山本座長: 碓井先生、よろしいですか。

碓井委員: 結構です

山本座長: 秋鹿先生はいかがですか。

秋鹿委員: 産業廃棄物の処理は、データを見ると我が国の排出量の3%弱を占めていて、かなり大きな量になります。まず国の機関や自治体から始めると思いますが、産業界もやらないといけないのでしょうか。対象はどういう産業でしょうか。もし自治体ですと、国や事務所のごみだと思いますが、産業となると、ケースバイケースでいろいろなことが出てくると思って見ていました。ちょっと質問になっていませんが。

田中委員: 私の理解では、そもそもこの契約は国及び独立行政法人に対する契約についての法律ですので、あくまでも国及び独立行政法人の契約です。それで産業廃棄物の処理の契約で一般廃棄物は対象でないです。いわゆる家庭で出てくるごみ、中小企業系のごみは対象ではないです。民間の企業、あるいは自治体が産業廃棄物を出して、その処理を契約する場合は自主的にやっていただくという波及効果を期待しているということで、こういう契約はいいことだと示しているので、積極的に民間企業などが契約に活用していただければいいと思っております。

秋鹿委員: この内容はすばらしく検討されているので何の問題もないと思っていますが、これまでに議論された契約法の他の例では、すでに熱心な自治体や国研が入札としてやっている例があって、その実情を見ながらいろいろ検討していると思います。産業廃棄物については何か先駆的な実施例はあるのでしょうか。

田中委員: 先ほども60点が甘いのではないかというご意見がありましたが、基本的には都道府県や政令市が産廃処理業者に業の許可を出しています。処理業をやっていいという許可を出している業者に対して、締め付けると取られるような裾切りの高い厳しいレベルをするというのも批判される側面もあります。そういう意味である程度の数を確保しながら競争性を担保して、安全安心な適正な処理を確保するという前提ですが、最も経済的な処理をするという意味ではどの制度が一番良いのかは経験をしながら実績を積み重ねて決めるのだと思います。多くの自治体では裾切りをしないで入札して最低価格で決めているのだと思います。民間企業は、私の聞くところによりますと、そういう入札ではなくて、過去のいろいろなお付き合いで業者を選んでいるというのが実態ではないかと思います。

秋鹿委員: なかなかイメージができないで質問をしているのですが、例えば自治体が工業団地を招聘するために、何か関与していろいろな建設、土木建設、その他の工事を行うということがかなり大きな対象になってくると考えてよろしいでしょうか。

田中委員: 市町村が大きな事業をやって出てくる廃棄物は、事業をやる事業者である、例えばゼネコンなどの元請が産廃の排出事業者になります。排出事業者としては自治体が契約するのではなくて、民間の建設会社が産業廃棄物処理業者と契約をして建設に伴う建設廃棄物の処理を委託してやります。それに自治体がある程度は優良業者を選びなさいとか、あるいは注意をすることはできますが、民間の責任で契約を結ぶのが実態です。

秋鹿委員: 実際、国等が直接契約するケースは少ないということでしょうか。こういう考えがどんどん普及して優良な産廃業者を選んでいかなければいけないと思いますが、契約のところでは、むしろ民間対民間のほうが多いというのが実情でしょうか。

田中委員: 産廃全般で言えば4億トンという数字が出ていますが、ここで対象になっている国及び独立行政法人等というのは、イメージ的には国立大学、霞ヶ関の国の環境省や厚生労働省などです。国立病院や国立大学から出てくる医療廃棄物の処理を産廃処理業者に委託する場合にはこれが該当するということです。

山本座長: 国及び独法から産廃はどのぐらい出ていますか。

田中委員: 実態を調べましたが、残念ながら十分把握できない状況にあります。

秋鹿委員: これで効果が少ないと言っているわけではないです。数は多くないかもしれないですが、勝ち取った業者が周知されて、民間にも波及するような道ができるといいと思います。

山本座長: ありがとうございました。たくさんご意見をいただきました。

乙間委員: 文章についてですが、資料3-3のp.1、最終パラグラフの下から3行目、「国際約束である京都議定書~」は、この時期に必要でしょうか。むしろないほうがいいような気がします。抜いても文章は通ると思います。

山本座長: 他はよろしいですか。

碓井委員: 先ほどの産業廃棄物の議論は大変大事なことだと思います。例えば検討対象となる建築物に関する契約は物があるものなので問題ないと思いますが、請負契約を締結するときに相手方の事業者が適合したような契約はまさに効果が大きくて、すそ野を広げると思います。それを今すぐというわけにはいかないですが、将来的には請負契約の契約条項の中に環境配慮契約を入れるといったステップを踏んだ方向というのも検討課題になるのではないかという気がします。

山本座長: 大変重要なご指摘をいただきました。先生方、他にご意見等は、よろしいですか。ありがとうございます。
それでは本日のご意見等を踏まえた基本方針の改定案、解説資料の修正等については、私と各専門委員会の座長にご一任いただくということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

(3)検討スケジュール

山本座長: ありがとうございました。それでは事務局から今後のスケジュールついてご説明をいただきます。

事務局: 資料4について説明(省略)。

(4)その他

山本座長: ただいまの事務局からのご説明につきましてご質問等はございませんか。時間がありますので、何かご発言等はございますか。

田中委員: 経済産業省の方がいらっしゃいますので、廃棄物の未利用エネルギー、再生可能エネルギー、FITの買取制度について質問させてください。FITではプラスチックの割合を計ってその部分だけを除きますが、ごみ発電量からプラスチックの割合の部分だけを引いて残ったものを再生可能なエネルギーとしてカウントして、プラスチックで発電した部分がここでいう未利用エネルギーという理解でよろしいでしょうか。

経済産業省: 確認させていただきます。

田中委員: そうですか。

山本座長: それでは早いですが、本日はこれで終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。