平成21年度環境配慮契約法基本方針検討会(第3回)議事録

出席委員:
秋鹿委員、碓井委員、大聖委員、坂本委員、鈴木委員、山本委員(座長)
欠席委員:
乙間委員、千田委員、野城委員、山地委員 (五十音順、敬称略)

日時

平成22年1月21日(木)14時00分~16時00分

場所

中央合同庁舎4号館1階 108会議室

1.開会

事務局: 本日はお忙しいところご参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより、「平成21年度第3回環境配慮契約法基本方針検討会」を開催させていただきたいと思います。

配布資料の確認(省略)。

それでは以後の議事進行につきましては山本座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本座長: 昨日も今日も大変暖かで、私も地下鉄の駅からオーバーコートなしに、今歩いてきたところでございます。昨日は大寒というのに春みたいな陽気でありまして、地球の温暖化を実感しつつあるわけでございます。イギリスの研究センターからは、今年は過去160年の中で最も暑くなるという予想が出ております。最も暑くなるということは、「山高ければ谷深し」で必ず寒いときもあるわけです。つまり平均気温が最高温度に達するということです。そういうことで大変心配していますが、昨年12月にコペンハーゲンでCOP15が開かれまして、34,000人が世界から集まって、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃以下に抑えようという、いわゆる「2℃ターゲット」が合意されました。私は、これは大変画期的なところであると考えております。なぜ画期的かというと、このところが全くメディアで報道されていないわけですが、これから我々が放出できる温室効果ガスが決められてしまうわけです。CO2でいいますと2050年までのあと40年間で人類が放出しうるCO2の総量は、例えば2℃ターゲットを50%の確率で守るためには、1兆2,000億トンのCO2を我々は放出できる。ところがこれを67%の確率で2℃ターゲット以下に守るということになると、7,500億トンまで下げないといけないわけです。さらに75%の確率で守ろうとすると、6,000億トンのCO2の放出で止めなければいけない。そこで7,500億トンを放出できると考えると、大変おもしろい計算がされています。今世界の人口は68億人ですから、7,500億トンを68億人でわると、1人大体110トンです。つまり今生きている人間だけで考えてみると、あと40年間で1人110トンしか排出できないということです。日本人は今1人当たり10トン出しているわけですから、11年で全部使い切ってしまうということです。それ以降のあと30年をどうするのかというと、まさに排出ゼロで暮らすしかない。あるいは排出権をよその国から買ってくるしかないということになるわけです。ですから2℃ターゲットを認めて、それを67%の確率で達成しようとしても、そのくらい厳しい話になるわけです。だから私は科学者の認識と国民の認識の水準があまりにも隔絶していると思います。科学者の方はほとんど絶叫マシンに乗っているような感じで、今絶叫の声を上げ続けているわけです。それを聞こうとしない。これが最大の問題だと私は考えているわけです。環境配慮契約法は、まさにそれを達成するためにあるわけですが、今お話したように、この40年間を人類全体が7,500億トンでどうやってすませるか、その一つの手段としてこの環境配慮契約法があるわけです。人類全体で我々は年間490億トンぐらい出しているわけです。これは、自然科学的に言えば容易ならざる話なのです。従ってこの検討会の先生方にあらん限りの知恵を出していただいて、徹底的にこの法律で排出を削減するという勢いで今日はご議論をいただきたいと思います。

2.議事

(1)国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針及び解説資料について

山本座長: それでは議事に入りたいと思います。議題は「(1)国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針及び解説資料について」ですが、資料に沿って進めたいと思います。
 まず、資料1のパブリックコメントの結果と対応案、資料2の閣議決定される基本方針の改定案、資料3-1の基本方針関連資料の構成案、資料3-2の基本方針解説資料の変更案について、一括してご説明をいただいて、そのあとご議論をいただきたいと思います。
 それでは、事務局から資料1から資料3までの説明をお願いします。

事務局: 資料1、資料2、資料3-1及び資料3-2について説明(省略)。

山本座長: 資料1のパブリックコメントの数が、前にも申し上げたように残念ながら6件しか出てこない。もっと厳しく調達すれば、もっとたくさんの意見が出てくると思います。あるいは環境配慮契約法自体がまだ十分認知されていないために意見が上がってこないのか。この辺のところをもう少し分析して、より多くの意見が出てくるようでなければ、この法律自体も有効ではない。どういうものでしょうか、先生方、コメントが少なすぎるという印象ですが。

坂本委員: そのとおりだと思います。省エネ法絡みの改正をやると山のように出てくる。

山本座長: その他、いかがでしょうか。もうすでにご議論をいただいたことが中心で、今回の資料はそれからの微修正に留まっているわけですが、先生方から何かご意見はありますか。

鈴木委員: 資料2のp.4ですが、自動車購入に関する契約のところで、「必要以上に入札を制限することがないように配慮するものとする。」というのをもっと具体的に言われた方が、発注官庁もはっきりわかるのではないか。そういう感じがしますが、いかがでしょうか。

大聖委員: いろいろな車の使い方がありますので、特殊な用途に対してあまり一般的な要件を科すと厳しくなりますから、そういうことに対する配慮ではないかと思っております。

山本座長: 事務局、そういう理解でよろしいですか。

事務局: こちらは基本方針の本文ですので、あまり詳しく記載していないところですが、解説資料の中で入札を制限することがないようにということをもう少し詳しく書いていきたいです。今後の課題になるかもしれませんが、より具体的にということでは、本文のところではなく、解説資料のほうで対応することになります。ちょっとわかりづらいというご指摘であれば、今年の手続きには間に合いませんが、次回の手続きに間に合うように少し検討していきたいと思います。

山本座長: 最も環境性能の高いものが購入できるようにしなければいけないわけですよね。

大聖委員: そうなのですが、使用目的によってはそういう車種がない場合があります。国にとっては、例えば国立公園の管理などの特殊な用途がいろいろありますので、そういうことに対しての配慮だと理解しております。

鈴木委員: ただ普通車について、昨年度の実績でかなり購入されているにも関わらず、環境配慮契約の対象となったものは同じく昨年度実績で非常に低かったということから述べました。

秋鹿委員: 私はOA機器の担当で大分苦労しているので、p.17の船舶の進め方が一つ参考になるということで質問です。今、環境に配慮した大きい船舶を作ろうとするとき、概略設計で環境に配慮した企画ができて、基本設計の企画競争を実施し、それができたら実際に作る人たちと契約をするということですが、そこで2つ質問です。このやり方というのは、環境にポイントがあるかないかは別にして、現在、国で契約している流れと同じなのかどうかが一つ。つまり環境配慮契約法にしたから新しい流れになったのかどうかということ。もちろん背景には環境に配慮した条件を設定するということはあると思いますが。
 2つ目の質問は、それぞれに対してグリーン購入法との関係です。今私が担当している委員会でもグリーン購入法との関係がよく議論になりますが、例えば設計だから上の2つは関係ないとか、下の方はものを使うから関係あるというお答えで結構です。

事務局: まず一点目、p.17は一つの例ですが、具体的には国の類型の一つであるということです。p.16のように、調達機関の中に技術者がいて調達者で設計をされる例がありますが、この場合は契約という行為が発生しないので技術者が自ら設計をするときに環境に配慮しながら設計をするということになります。p.17も一つの例で、聞いたところによりますと、例えば概略設計がなくていきなり基本設計から入るとか、概略設計までは自分でやって基本設計から外注するとか、いろいろなパターンがあるようですが、基本的に設計業務を出す一番最初の業務のところで規定をしていければよろしいのではないかと思います。これは国の例の一つです。全て同じではないですが、概略設計がなければ基本設計のところでプロポーザルを実施していけばよろしいので、一応そういう形で考えたものです。
 二点目は、グリーン購入法との関係ですが、現在船舶は一部の省庁だけが調達するかなり特別なものということで、今はグリーン購入法の基準がありません。p.20から先に書いてある船舶の推進機関であるエンジンの要件を具体的に決めればグリーン購入法になりますが、現在グリーン購入法でも船舶を調達する省庁も少ないということと、用途があまりにも多様にわたっていて、一律に基準化できないという事情がありますので、現段階ではグリーン購入法では基準化されていないということです。

秋鹿委員: この委員会での新しい取り組みになるということで、参考にさせていただきます。

山本座長: その他はいかがでしょうか。
 私は、資料3-2に具体的に数値を入れていただいたことは良かったと思いますが、政府実行計画で8%削減のうち何%、環境配慮契約法で削減できるのかと質問されたとき、何と答えればよろしいでしょうか。

事務局: まだ具体的に把握はしていないのですが、各省庁に環境配慮契約法の実績の調査を行いますので、その際に自動車の燃費値や車種、あるいは実際に電力の調達が決まった会社の排出係数などを調査して何らかの推計ができればと考えて準備をしているところです。

山本座長: そういう質問は必ずあると思いますので、ぜひご準備をいただきたいと思います。

(2)その他

山本座長: それでは次に資料4です。秋鹿先生からOA機器のワーキンググループの検討状況につきまして、ご説明をお願いしたいと思います。

秋鹿委員: 資料4について説明を申し上げます。OA機器ワーキンググループは平成20年度も開きました。総論賛成、各論複雑ということでまとまらなかったのですが、平成21年度はもう一度振り出しに戻って再検討をしたわけです。その経緯と今年度の結論が、資料4に記されております。「1.」がロードマップと称する部分、「2.」がもう少し具体的になった契約における環境配慮の2つからなっております。
 まず「1.」は、基本的にOA機器について契約をどういうふうに考えていくかということを今年度ここまで決めたという内容であります。どういうことが問題であったか、どうするかということが、(1)に書いてあります。これを細かく見るよりは、p.2の図1で説明をさせていただきます。そもそも複写機を使ってできるだけ環境に配慮した機種を選び、適切な配置もするということも全部含めた契約の方法を作りたかったわけです。それがなかなか難しいということで最終の目標に置くことにしました。それが右上にあります「最適配置やMPS、MPSというのは、全部請け負ってサービスしてもらうという方式ですが、こちらのMPSなど新たなサービスにおける環境負荷低減効果を考慮した契約方式を検討する。」ということですが、これは将来の課題として最終的にはこのようにしないと一番適切なCO2削減にはならないだろうということで目標にしております。
 それからもう一段あがって、それに至る間にしかるべき数字が、業界や国、国民の間でしっかりした数字ができれば、それを使うということで、ライフサイクルでの環境負荷低減効果を考慮した契約方式を検討する。これもライフサイクルアセスメント、特にCO2に特化したものについてかなり進んできてはいますが、まだ複写機についてはしっかりした数字が全部のメーカーに揃っているわけではありませんし、適用する上での考え方も決まっておりません。これを将来の課題にしたいと思います。それでは当面は何を決めようかということですが、何が一番難しかったかと言いますと、オフィスに複写機を最適に配置させて、その最適に配置するためには、こういう機械が良いのではないかという複雑なことを考えているので大変なことになるので、最適配置や台数を決めることと、それから決まった台数について一番適切な環境に配慮した機種を選ぶという2つを分ける。言ってみれば因数分解して2つの項目に分ける。機種を選ぶ方にだけ環境配慮契約法を適用することにして、平成22年度中に何らかの踏み出しをしようという方針に決めたわけです。因数分解して2つにすっぱり分けたということが本年度の結論です。その一番基本になる環境に配慮した契約の対象となるべき調達規模/発注者が提示すべき項目等について例として本年度検討いたしました。それを今回「2.」以下にお話をするということです。大分ブレインストーミング的にいろいろなご意見をたまわって議論を重ねましたが、とにかく平成22年度はこういう考え方を2つに分割して進めようということがOA機器ワーキンググループの結論です。
 さて「2.」の方は、機器を調達する場合に、いろいろな項目の環境配慮をどうすべきかということを議論したものです。(1)は、環境負荷の評価指標ということです。省エネ法で検討しております標準消費電力量、TEC値(Typical Electricity Consumption)。これは国際エネルギースタープログラムで決めたものに整合させて、今決めているものです。あるいはOM方式、これも似たようなスリープ時の消費電力等々のデータです。こういうような確立されている数値を評価手法の一つとして使おうということです。数字としてはこれが今まで使えるわけですが、その他に配慮すべき項目というのは他にも多数ありますので、それが(2)の発注者が提示すべき項目として明示されてあります。表1にありますようにOA機器の導入台数、これはオフィスの方で発注者が決めて利用する種類とその台数を表示する。ただしそれに環境に配慮したもの、あるいは機能に制限をつけたものとして、表にありますようないろいろな性能、解像度、階調、サイズなどたくさんあります。それからフィニッシャー、パンチ機能云々、さらに保守及び消耗品の供給についてもこういうことができるということです。これは一つ重要なことですが、新造機、リユース機の明示もしていただきたい。おそらく調達する方では、何%かはリユース機が入っていくことが望ましい。そういうことにも使う場合があります。それからこれからの予定枚数。これはまだ例ですが、平成22年度を通してきちんと決めようというつもりです。
 それぞれこの項目に対して[1]、[2]の説明文があります。導入台数の箇所は興味がありますので読ませていただきますと、「OA機器に関する専門的な知識や経験を有する者の意見を参考に、必要なサービス性能を確保しながら可能な範囲で調達台数の削減を検討し、提示する。」これが言ってみれば、ある種の最適配置です。本当はこれを非常に大きなものにしたかったのですが、取り敢えずこれは小さなオフィスなら自分たちでする。あるいは大きなオフィスであれば、場合によってはシンクタンク等の業者にやってもらう。こういうふうにして決めるということです。決めることと機器の性能とは切り離すということです。それから会の中で非常に議論を呼んだのは、紙の使用がLCAで一番大きなファクターになるので、これについての情報を仕様書に明記して参考にするということです。これは非常に重要なことになります。それから[3]として資源循環への配慮です。リユース機がどのぐらいあるか。リユースの割合がどのぐらいあるかという情報を提供していただく。このディテールは平成22年度に、また会議を開いて決定したいと思っています。
 契約のスケジュールをどのように考えているかということが、p.5の図2にあります。先ほどの船舶ほど複雑ではないですが、各オフィスで実態調査をして調達台数を決定し、仕様書を作成する。この段階で外部のアドバイスをいただくということもあろうかと思います。予定価格を作成し、評価方法を整理して入札にかけるわけですが、この評価方法の項目について平成22年度のWGで詳細を検討していきたいということです。あとは型どおり入札を進めていくということです。従いまして最適配置として議論したことは上の方の実態調査の実施、台数の設定で考えるという仕組みになっております。以上が、資料4の説明です。

山本座長: はい、ありがとうございました。この調達台数は、例えば1人当たり何台といった適切な台数というのはありますか。

事務局: 1人何台というのは見聞きしたことはないですが、プリンターの稼働率が少なければもう少し多い人数で共有していいのではないかという考え方があるようです。ここでは稼働率だと数字でみただけで、例えば、「平均すれば稼働率はまだ低くてこの台数でもう少し多い人数でも共有できるが、一番使用するときを考えれば、人数的には今ぐらいが限界だ」というようなことも考慮していきたいので、そういう意味で調達前に台数を整理することが行政目的を阻害しないというか、使い勝手までを阻害しないで台数を設定できるのではないかと考えているということです。

山本座長: 秋鹿先生からご紹介いただきました資料4につきまして、何かコメント、ご意見等がありましたら、いかがでしょうか。

碓井委員: p.4のリユース機の場合のライフサイクルでのCO2排出量というのはどこからどこまでを計算されるのですか。

秋鹿委員: リユース機の場合は1回引いているのでしょうね。もしリユース機をそのまま計算すると、前に作ったときと同じになってしまって二重にカウントすることになるので、リサイクル効果として、これを減じて環境負荷の値として計算するつもりです。

山本座長: その他、いかがでしょうか。これは、さらに検討を続けていただいて、来年度は実際に設定しようということですね。

秋鹿委員: できるだけ早く実施したいと思っております。

山本座長: はい、ありがとうございました。それでは、資料5「平成22年度の検討における方針・課題(案)」につきまして事務局からご説明をお願いいたします。

事務局: 資料5について説明(省略)。

山本座長: これは大変重要なテーマですので、先生方からしっかりご議論をいただきたいと思いますが、まず私から。先ほども質問をしましたが、政府実行行動計画で8%減というのは、京都議定書をどう達成するかという段階でチーム・マイナス6%ですから、それを上回る削減目標ということで8%になっていると思います。我々が最初に申し上げたように、そういう段階ではなくて、先進国全体で90年比25~40%削減。これが今世界の大きな流れになっているわけです。2050年には8割以上の削減をするということを麻生前総理はラクイラサミットで賛成されて帰国されています。鳩山・オバマ会談でも日米両国は2050年8割削減ということを声明で出しています。ということは、我々は発想の転換をすべきところに来ているわけです。大幅削減を前提にこの法律の運用を私は考えるべきだと思います。
 ですから私は、この検討課題ですが、資料5に書かれていることはこれで結構だと思いますが、大幅削減のために必要なことをきちんと議論しておくということは重要だと思います。この環境配慮契約の推進について、これも今お話があったと思いますが、地方公共団体や独立行政法人等へもっと早く普及させなければいけないと思います。環境配慮契約の国際的な普及は重要だと思いますが、その前に国際的に環境配慮契約というのがどういう状況になっているのかをきちんと調べておく必要があると思います。

坂本委員: 環境配慮契約法の根本にかかわるようなご発言がいろいろあったと思いますが、抜本的にいろいろなことをやらなくてはならないということはあると思いますが、環境配慮契約法の原文があると思うので、環境配慮契約法によってどのぐらいのCO2削減を期待しているのか。それがないと、契約でCO2削減をどこまでやればいいかが見えてこない。それがあれば、私の担当のESCOにどれぐらい目標が割り当てられて、それを達成するために何年くらいかかって、毎年どのぐらいやればいいのかという計画ができてくるのですが、そういう目標がないものだから立てられません。ESCOも地方公共団体は良いのですが、国の場合は契約上、ちょっと難しいところがあります。今年から考えているのは設備更新型ESCOです。それもESCOの一部だとみなせばESCOかもしれないですが、設備改修とみなすのであれば設備改修になってしまいます。そういうことでどうも目標がちょっと定まらないところが環境配慮契約法の絡みで一番大きな課題ではないかと考えます。ぜひ平成22年度は、目標がどの辺にあるのかというものを示していただきたいと思います。

山本座長: 目標は、長期目標については、2050年、90年比8割減、それから中期目標については、鳩山内閣は2020年、90年比で25%減ということを一応出しているわけですから、これを国際公約にするかどうかは、高度な政治的判断になると思いますが、国内的にはこの目標です。現状から33%ぐらい削減するということです。33%削減のうちESCOでどのぐらいやるか。こうしたシミュレーションをきちんとやっていかないと、環境配慮契約法そのものも、今ご指摘のとおり全く有効ではないのではないかと見られてしまいます。

秋鹿委員: 現在は本当に深刻な事態です。国民が皆考えていかないといけないですが、今日の午前中にJCII(科学技術戦略機構)の企画担当の方と話をしたのですが、私どもはこういう環境配慮契約法をやっているということで、一つ良いことではないかと思って合意したのは、今まで言わばLCAで、この商品はCO2がどのぐらい出ていますよということは比較的一所懸命努力し、表示してきましたが、それを見て本当に商品を買うドライビング・フォースになっているか、何か良い方向に向かっているかというとなかなか普及が難しい。そうだとすると商品の価格と環境配慮の両方とも総合的に含めた評価をすることによって消費者が、あるいは生産者も、真剣にその指標に向かって考えるはずで、企業サイドも価格も含めた総合評価をしたらどうでしょうかと話し合いました。現在この委員会で環境配慮契約法の契約に関する商品だけについてやっていることですが、他のいろいろな商品についても(企業が持っている最終製品についても)企業サイドの研究者がもう少しスタディしたら良いのではないか、それは良いことなので前向きに検討してみたいという話になりました。企業サイドとしても、環境を配慮したものを評価してもらうためにどうしたらいいかということを悩んでいるようです。私たちがそれに一緒になって、良い評価方法を学術的のみならず、現実に消費者が飛びつくような、あるいは一般の公共機関の方もわかるようなものを何とかやっていきたいと思います。ですからこの環境配慮契約法で始めたことは、この契約するというものに限られたものではなくて他のものにもう少し広めていく。それについては産学協力してスタディしていただくことも大事ではないかと感じました。

大聖委員: 確かに国が環境に良いものを契約して購入するということで国としての取組は大事ですが、それによってどのぐらい環境改善に繋がるかというのはそれほど多くないわけです。それよりもむしろ地方公共団体や一般消費者に普及するようなさきがけになる取組をやるべきだというのが基本的にあると思います。私どもが関係している自動車ですと、本年電気自動車が出てきて、それからプラグインが年末に出てきましたが、まだかなり割高です。CO2の削減効果は極めて大きいですが、今度はプラグインハイブリッドを検討するという予定になっています。ですから費用対効果ではかなり厳しい。ただしこれは一種のトリガーになって、コストダウンを図るきっかけになる可能性はあると思います。電気自動車はここ10年ぐらいが勝負ではないかと予想されます。バッテリーのコストダウンというのが一つの重要な課題になっています。そういったときに国がどこまで、税金による購入助成やエコカー減税をセットで考えてどこまでやれるかというのが極めて大事ではないかと思います。他の耐久消費財ですと、それが現実的なコストになってきますが、車に対してコストの差がまだまだ大きいという面が非常に悩ましい。結果的に費用対効果が問われてくるので見通しをどのようにしていくかがかなり難しいのが現状です。

鈴木委員: p.3の地方公共団体のところにありますように、先進的なところがあると思いますが、他方でまだ認知度が低いところもかなりある、そういう意味でマニュアルを作られたのは非常によいと思います。その際、国の排出量は8万トンですが、地方公共団体はどのぐらいかという推計値があれば説明しやすいのではないでしょうか。契約法では第11条で地方公共団体も含めると謳っていますが、この基本方針では一切触れていません。まとめは来年度ですから、基本方針の中に地方公共団体を含めるということを言及したほうがよろしいのではないかと思います。

山本座長: 要するに環境配慮契約法で政府が率先して取り組んで、それを社会に普及させるというのが法律の趣旨だと思いますので、先ほどからご指摘のように費用対効果の問題もありますが、踏み込んで率先垂範をするということが一番大事ですので、やはりもう一段の努力が必要であると感じております。これは課題でありますので、また来年度ご議論をいただきたいと思います。
 それでは資料6「今後のスケジュール等」につきまして説明をお願いします。

事務局: 資料6について説明(省略)。

山本座長: 資料6につきまして、何かご質問等がございましたら。
 それでは参考資料に移りたいと思います。参考1につきましてご紹介をいただきたいと思います。

事務局: 参考1について説明(省略)。

山本座長: これは案ということですので、私からのお願いです。最初の1ページぐらい、世界の状況がわかるようにして欲しいと思います。IPCCの第4次レポートでは、温室効果ガスが世界全体で年間490億トン。その中でCO2がどのぐらい出されているか。それからCO2というのは極めて長寿命である。例えば排出量の20%以上は千年以上実質的に大気中に残留する。それが問題だということを書いて、それで今国際社会は、コペンハーゲン合意で2℃ターゲットを受け入れた。従って2℃ターゲットを受け入れたからには、大幅削減をしないといけないということなのです。もうすでに長期政策目標については、日本の全政党が8割削減を容認しているわけです。鳩山内閣は25%削減を出しているわけですから、その中で我々は、政府及び地方公共団体が率先垂範するということをきちんと書いていただかないと何のためにやるかが全くわからないということになります。それで温室効果ガスについては少し書いてありますが、実はもう一つの問題があります。それは循環型社会を作らないといけない。この天然資源の投入量は莫大な量に到達しているわけです。2020年の段階では全世界で年間800トンが資源消費されると予想されています。日本国内では、今一人15トン使っています。これが問題なのです。これについては、長期削減目標が国際的に全く議論されていないし、合意もされていないわけですが、私は材料科学が専門ですから、材料科学者は、2050年までにできれば一人6トンまで減らしたい。日本の場合は天然資源の使用量が、一人15トンですから6トンまで減らしたい。これは、全く国際合意はありません。いずれにしても資源の消費量を減少させ、CO2の排出量を、温室効果ガスの排出量を減少させる以外に、低炭素、循環型社会の構築はできないわけです。だからそのことを最初の1ページに明確に書いておいていただかないと、先ほどからの議論でどのぐらい頑張ればいいのか、努力すればいいのかという、そこが全くつかめないと思います。数値が必要だということです。このマニュアルは今後どうされるのですか。いつ完成されるのですか。

事務局: 基本方針及び解説資料に関する全国説明会の中で使っていきたいものですから、できれば今月程度で完成させて2月から使っていきたいと思っています。先生方には今日全部はご覧いただけないと思いますので、ぜひご覧いただきまして、1月28日頃までに事務局にメールなどでご意見をいただければと思っております。

山本座長: そういうことですので1月28日までにお目通しいただいてコメントを事務局宛てにお出しいただきたいと思います。
 それでは、参考2をお願いしたいと思います。

事務局: 参考2について説明(省略)。

山本座長: こういう調査票は、本来は入札に応募してくる業者に提出させるべきなのではないですか。そもそも入札に応募してくる業者に書かせて、それで採点して入札で決定するというのであれば、あとで調べるという手間がなくていいと思いますが、いかがですか。

事務局: 元々環境配慮契約の法律の条文にありますが、各省の実績を環境大臣に通知していただくことになっています。原則として入札結果を踏まえて調達者側で作成していただきたいということになります。

山本座長: それからこの環境負荷低減効果ですが、記載された内容の真実性がきちんと担保されないといけないわけです。ぜひ記載された内容の真実性をいかに担保するかを予めお考えいただきたいと思います。先生方から何かありますか。

坂本委員: 私のやっている建築設備関係ですとESCOがあります。例えばESCOは熱源の本体を取りかえるというのは、対象にならないのですが、建築設備の改修工事は該当しますか。

事務局: 建築物につきましては、現段階で規定しているのは設計部分ですので、設備改修であっても新築と同様にプロポーザル方式をやったような場合については、こちらの法律の対象になりますけれども、あくまでも設計部分を対象としているということです。

坂本委員: それはちょっと大きいです。建築設備は周期が短いので20年も使えばすぐ改修ということになって、建物の躯体は触らなくても設備はどうしても改修せざるを得なくなりますが、新しい機械はすごく効率が良い。全部CO2削減に寄与するし、こういう照明だって、今のHf照明はこれからLEDが出ていますから、リプレースするのを取りかえることによってものすごくCO2削減ができるわけです。一方でも、効率の悪い古い設備機器も売っていますので、そこのところはぜひ食い込むべきだと思いますが、それが今だと食い込めないような状況になっているのですか。

事務局: 現段階では、そういう設備類につきましては、例えば照明につきましてもHf方式に変えてしまうのかどうかも含めまして設計者でご検討をいただいた上で、そのあとはグリーン購入法で照明器具のラインを引いていますし、空調設備についても引いております。

坂本委員: グリーン購入法で対象になっているなら、多少良いと思います。わかりました。

山本座長: その他、コメントはございませんか。これは大変難しい問題ですが、必ずやり遂げなければいけない問題ですので、ぜひ環境配慮契約法を実行して、どのくらい環境負荷低減効果があったか。その見積もりをぜひお願いしたいと思います。
 それでは、予定された議題がこれで終了しましたので、最後に石飛課長からご挨拶をいただきたいと思います。

3.閉会

石飛課長: 本日も長時間、ご審議ありがとうございました。今年度はこれで最後の検討会ということになるわけですが、今日の審議の冒頭は、山本座長からの温暖化の深刻な状況のご説明から入りまして、この契約法がどこまで何ができるのかという根本的なご意見、ご議論もあったわけでございます。今政府の中で検討しておりますのは、2020年に25%削減という鳩山内閣が掲げた目標を達成するために国内外でどのような対策を講じていくべきかということでございます。さらに国内でもこういうビルなどの業務部門でどのぐらい、運輸部門でどのぐらい削減が必要であり、そのためにはどのような対策、政策が必要なのかということを検討し、できるだけ早い時期にそれを打ち出したいというのが現状でございますけれども、今日の議論はさらに2050年を見据えて、この契約法でもどのぐらい効果があるのかを打ち出すべきだ、また、さらに深掘りをしてより契約を厳しい方向に持っていくべきだというようなご指摘もありました。これからの2020年、さらに2050年、その頃にこの契約法がどういう形になっているかは予想もつきませんが、少なくとも対策についてはどんどん深掘りをしていかなければいけないという方向は間違いありませんので、やはりそこは政府を挙げて、また独立行政法人が一体となって、どの分野でどのように率先していくべきなのかというところを引き続き、来年以降追求していかなければいけないところだろうと思っております。その点は、2020年の目標の内訳を、具体的に出ればご紹介して、その中で契約法だけで何%削減という数字はなかなか出しにくいにしても、それぞれの部門でこういう契約を取り組むことによって、さらに削減が促進されていくということは間違いないわけでありますので、最後にご紹介したような実績の把握も含めて、今後はより見えやすい形でPRをしていきたいと思っております。確かにまだまだこの契約法はグリーン購入法に比べても知名度は低いということは事実でございます。地方公共団体でもまだ取り組みが十分に浸透していないという状況でありますので、マニュアル等を作って、より多くのPRをしていきたいと思っております。これが先ほど秋鹿委員からご指摘があったように、さらに民間も含めた一般的な契約として当たり前になっていくということを目指していくということは、この法律の制定当初からの目標でもありますので、そういうことにつなげていくような検討、そして実績を上げていくようにしていきたいと思います。
 本年度は、船舶、電力、それからOA機器を中心にご検討をいただきました。秋鹿委員には大変ご尽力をいただきましてありがとうございました。引き続き、また来年もお願いしたいと思っております。また、本日はご欠席でございますけれども、山地委員、それから千田委員にも座長として舵取りをしていただきまして大変感謝しております。もちろんこの検討会の先生方にも今日も含めて、今後我々が考慮すべきことについてご指導をいただきましたことに感謝を申し上げまして、まずは今年度の閣議決定まではもう間近だろうと思いますけれども、今後のプロセスを経て今年は今年の成果をきちんと出して来年に繋げていきたいと思っております。今年度の感謝を申し上げまして、来年度引き続きお願いしたいということで閉会の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

山本座長: どうもありがとうございました。

以上