環境配慮契約法基本方針検討会(第3回) 議事録

出席委員:
碓井委員、鈴木委員、大聖委員、野城委員、山本委員(座長)
欠席委員:
郡嶌委員、坂本委員、山地委員     (五十音順、敬称略)

日時

平成19年11月20日(火)16時00分~17時15分

場所

中央合同庁舎5号館22階 環境省第1会議室

1.開会

環境省(笠井課長): 委員の皆様には、ご多忙の中お集まりいただき、ありがとうございました。お手元の議事次第に、資料の一覧がございます。本日は、パブリックコメントの結果を受けて基本方針の案をとりまとめていただく会でございます。

配付資料
資料1 「国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針案」に対する意見の提出状況について
資料2 国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針(案)について
資料3 国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する解説資料(案)について
参考資料1 PFI推進委員会報告―真の意味の官民のパートナーシップ(官民連携)実現に向けて―(平成19年11月15日)

 以上ですが、ありますでしょうか。
 前回10月15日に、基本方針の素案をとりまとめていただきまして、11月13日までパブリックコメントを実施いたしました。本日の会議は公開で行っております。環境配慮契約法の施行期日が明後日で、11月22日となっておりますので、本日のご議論を踏まえて、それを元に基本方針を作成し、法施行後、直ちに関係省庁と法律に基づく協議を行って、11月末から12月上旬に閣議決定をしたいと考えております。閣議決定後は、全国、47都道府県において説明会を開催する予定です。
 なお、本日は、郡嶌先生、坂本先生、山地先生はご欠席との連絡をいただいております。
 それでは最初に、総合環境政策局長の西尾からご挨拶を申し上げます。

環境省(西尾局長): 委員の皆様方には、大変お忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。また、関係省庁のオブザーバーの方にも大変ご苦心をかけております。この際、感謝を申し上げます。本日、先ほど笠井からご説明をいたしましたように、パブリックコメントの結果を踏まえまして、検討会としての基本方針の案を手際よくとりまとめていただきたいということでお願いをする次第でございます。この法律ができましてから半年ということで、11月22日に施行であります。その短い期間にこれをまとめていく。実は法律のときからもいろいろな難しい案件がございました。あるいはこの検討を始めていきましたらば、実際、その事業の進め方と発注の間でいろいろな手順の前後をうまく揃えていかなければいけないといった難しい問題がございました。その辺りにつきまして委員の先生方、あるいは各ワーキンググループの先生方のご苦心で一つ一つ解決し、パブリックコメントをし、またこの議論ができることに至ったということで大変感謝している次第でございます。
 ただ来年は京都議定書の開始年でもございます。グリーン契約をやっていく、非常に大事なことでございます。法律が施行されますれば、できるだけ基本方針の閣議決定等々をいたしまして、関係省庁、関係独立行政法人等にもできるだけ早く対応していただき、一緒になってやっていくということができるように努力していきたいと思っている次第でございますので、そういう意味合いにおきまして本日のご審議をよろしく申し上げまして、その結果に基づきまして、あとは手配りをきちんとやっていきたいと思っておりますので、一つよろしくお願いを申し上げまして挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

環境省(笠井課長): それでは以後の進行は、山本先生にお願いします。よろしくお願いいたします。

山本座長: はい。今日は、たくさんの内容を短時間で議論しなければいけませんので、さっそく議事に入りたいと思います。今日の課題は、基本方針と解説資料の2つに分けてご議論をいただきたいと思います。それではまず基本方針でございますが、事務局から20分ほどで簡潔にご説明をお願いしたいと思います。

2.議事

(1)国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針及び解説資料について

環境省(中山補佐): 資料1、資料2について説明(省略)。

環境省(原田補佐): PFI(資料1の意見18)について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。これだけありますと、私は呑み込みが悪いほうなのですぐには呑み込めないのですが、要はご意見をいただいた36件の中で、基本的には基本方針を支持する意見がほとんどであったということですね。それでPFIについては、そのPFIも非常に大きなことだと思いますが、これはPFIの中に環境配慮が盛り込まれているので、今回はPFIは検討課題として基本方針のほうには入れないという体裁ですね。それからあとは、今回の環境配慮契約法のカバーするところで、政府関連の温室効果ガスの60%程度に関係していると。それから8%削減するという、その2つがポイントですかね。

環境省(中山補佐): はい、そうでございます。

山本座長: ただいま事務局からご紹介いただいたわけでございますが、パブリックコメントのご意見、それに対する対応方針、さらに資料2に示された基本方針の一部修正につきましてご議論をいただきたいと思います。いかがでしょうか。委員の先生方、野城先生。

野城委員: もうすでに事務局の説明があった内容で私は賛成ですが、意見の内容を私なりに解釈して申しますと、PFIの件ですが、この政府調達の中で建築に関する調達については、今年度はESCOと建築設計という範囲がそれぞれ検討されたと理解しております。プロセスとしては、建築を設計し、施工し、そしてオペレーションして、その中で調達できた一連のプロセスで、それをどういうパッケージで調達するかというのは、決して一様ではないと思っておりますので、必要があれば、また今仰られた異なるパッケージで調達する場合にはどうしたらいいかということを、今改めてこういった方針を作るものであるというように理解します。ただし今年作りました方針と方向性に矛盾があってはなりませんから、基本的には今年それぞれのパッケージで作った方針を準用していくという理解はしておりますけれども、政府としては、今年の傾向を前提としてパッケージの境界条件というのをここで土壇場で変えるのは少しいろいろと無理があるだろうと思いますので、今日のこの基本方針は、ESCOはESCO、建築設計は設計で、その他の設計と施工を一環としたようなものがデータの中で一般的に行われたりしていますが、そういったものが必要があれば、また来年以降にするというように理解いたします。理解したことを一応確認させていただきます。

山本座長: 鈴木先生。

鈴木委員: パブリックコメントでは地方公共団体に対する要望が多く見られます。また、この報告書でも、建築につきましては地方公共団体に対する事項が明記されています。また、パブリックコメントに対する環境省の回答も、地方公共団体に対して周知徹底を図るということです。そうだとするならば、「基本方針」の中に、この法律自体、国が地方公共団体に指示することはできないことはわかるのですが、地方公共団体に対する支援とか、周知徹底とかの取り組みを図るということを入れられないのでしょうか。

山本座長: ただいまの点につきまして事務局、いかがでございますか。

環境省(中山補佐): もちろん広報ツールを含めて、こちらから地方公共団体も含めて、いろいろ話をしていくということになるだろうということでございますけれども、ちょっと書けるかどうか、もし書くとしたらどうすればいいのかということについては、少し検討させていただければと思います。ただちょっと基本方針そのものとして書くとなりますと、本来は対象が国及び独立行政法人等ということもございます。こっちに書くのが望ましいのか、それとも解説資料なり、含めて書いていくのが良いかというところなども少し考えないといけないと思っております。

山本座長: 環境配慮契約法の中には地方公共団体については何も言及されていないのですか。
 環境省(中山補佐): 地方公共団体については、「地方公共団体及び地方独立行政法人は、その温室効果ガス等の排出を図るため、エネルギーの合理的かつ適切な使用等に努めるとともに、地方公共団体にあってはその区域の自然的社会的条件に応じて、地方独立行政法人にあってはその事務及び事業に応じて、経済性に留意しつつ価格以外の多様な要素をも考慮して、当該地方公共団体及び地方独立行政法人における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に努めるものとする。」とあります。実は基本方針そのものについては、「国は、国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針を定めなめればならない。」となっておりまして、基本的には、国及び国の独立行政法人についての指針ということになっておりまして、その上で「地方公共団体及び独立行政法人は、当該地方公共団体及び地方独立行政法人における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する方針を作成するよう努めるものとする。」そういう形になっています。

鈴木委員: わかりますけれども。私が言っているのは地方公共団体をサポートすることは国の方針としてできるわけでしょう。

環境省(中山補佐): そうですね。はい。

鈴木委員: 私が申し上げているのはそれらを「基本方針」に書き込むことはできないのでしょうかということなのです。その方がオールジャパンとして取り組んでいるということをアナウンスできるのではないでしょうか。

環境省(中山補佐): オールジャパンとして、そうですね。情報の整理・提供というところがございますので、そこでそういったことにも触れる形を考えたいと思います。国は、国等及びそれ以外の国民における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の促進に資するように、国の状況などについて情報を整理して提供しますということが、資料2のp.6の「5.(5)情報の整理等」に書いてございます。広くはここで読めると思っていますけれども、ここで少し、こういう地方公共団体と、国は国等及び地方公共団体等のそれ以外の国民、地方公共団体その他、それ以外の国民におけるというような書き方ができないかというところで。そういった形では書けるのですけれども。

山本座長: p.6の(5)の情報の整理等のところに、もし入れられれば、法律的に問題がなければ、ぜひ鈴木先生のご提案のような趣旨を盛り込んでいただくとよろしいと思います。

環境省(笠井課長): 先生、ちょっと追加です。

山本座長: はい、笠井課長。

環境省(笠井課長): 追加ですけれども、解説資料のp.92です。建築の関係で自治体と国の契約方式が違うということでいろいろな議論があったりしましたが、環境配慮型プロポーザル方式の推進の最後のところに、地方公共団体等への支援ということで、国からの情報提供などでは、その際の官民協働体制づくりを検討する必要があるというようなことを書いたりもしてありますので、かなりのことができないかなと思います。

山本座長: それは、一つご検討をよろしくお願いしたいと思います。では、大聖先生。

大聖委員: パブリックコメントでは、自動車に関しては特にコメントがなかったというように理解しております。今のご議論の中で地方公共団体ですとか、あるいは独立行政法人等への普及というのが実質的には、自動車の分野では大きな効果があると思いますので、基本方針の解説資料の考え方を普及するようにぜひご努力をお願いして、その需要を管理していただきたいと思います。以上です。

山本座長: はい、それでは碓井委員。

碓井委員: 内容的には特にありません。全く恥ずかしいですが、形式的なことです。この数字を掲げて、例えば、「2.」、「4.」などを本文中で扱っておられます。私は口頭で議論するときに使いますが、これは大体定着している方式なのでしょうか。例えばどこでもいいですが、資料2のp.5の4とか5のところで、「上記2.及び3.」、5のところでも「上記2.から4.」。私たちは論文を書くときにあまり「.」をつけないで書くものですから、役所の文章はこれが当然されているのかどうか。

環境省(中山補佐): 比較的役所の文章ですと、そういう書き方を使ったりもしております。

碓井委員: それは基本方針になっても大丈夫ですか。

環境省(中山補佐): そこは大丈夫だと考えております。

山本座長: よろしいですか。碓井先生、その「.」だけで。 はい、それでは、基本方針につきましては、一応ご議論をいただきまして、若干、地方公共団体等への情報の普及、サポート等についてご検討をお願いするということで、このところの議論は、一応これで終わりにさせていただきたいと思いますけれども、またこの時間中に何かお気づきの点がございましたら、ご発言をいただきたいと思います。
それでは次には、基本方針の次の解説資料です。これにつきましてもパブリックコメントの直接の対象ではございませんでしたけれども、意見が提出されたそうでございますので、事務局から説明をお願いしたいと思います。また併せて前回までに案の作成が間に合わなかった総論部分についての説明をお願いしたいと思います。

環境省(中山補佐): 資料1のうち、解説資料部分について説明(省略)。
資料3について説明(省略)。

山本座長: はい、ありがとうございました。時間が十分ございますので、資料2の基本方針と資料3の解説資料を全部併せましてご議論をいただきたいと思います。
 私のほうから、資料2の基本方針にちょっと戻って。これはよく読むと、文章がちょっとくどい感じもするのですが。前回申し上げましたように、もっとも大事なのは、いかに環境配慮契約法によって環境負荷の改善、温室効果ガスの削減が進むかという一点に尽きると思うのですが、この政府の温室効果ガス総排出量の6割程度に関係しているということですが、これは総量はどれぐらいと見積もられているのでしたか。

環境省(笠井課長): 200万トンくらいです。

山本座長: 200万トンぐらいですか。それを入れておいたほうがいいと思うのですけれども。

環境省(笠井課長): 政府の報道だけではなくて、政府がそういうことをすることで、地方公共団体や民間に影響してくるというのは当然あると思いますが。

山本座長: それは推測はできないのですか。例えば200万トンの6割を全力を挙げて推進すると、その地方公共団体等に波及して、どのぐらいの波及効果が見込めるかというような数字はないのですか。

環境省(中山補佐): 正直言って、環境配慮契約法について、各地方公共団体がどのぐらいのスピードでどのぐらい同じようなことを取り組んでいただけるかということについて、現段階ではなかなか推測のしようがないところがございます。これで基本方針が定まったところで、ここから始めていくわけで、その中で公共団体の状況などについても、我々としても追いかけていきたいと思っておりますので、そういう意味では来年度以降、そこのところを修正する際にそういったことについて、もう少しある意味で迫力のある推計数字が入れればいいということは思っております。なかなか今の段階でどうというのは難しいというのが現状でございます。

山本座長: なぜそういうことを申し上げるかというと、前からお話をしているように、IPCCとアル・ゴアさんがノーベル平和賞を取られたことは大変いいことなのだけれども、実は北極の海の氷の劇的な減少が、IPCCに採用された16本のコンピューター・シミュレーションの結果を大幅に上回っているわけですね。端的に言えばIPCCの予測を外れているわけね。予測を大幅に上回って、413万km2まで減って、それでこの1ヶ月、2ヶ月、世界はもう蜂の巣を突っついたように、なぜ予測が外れているかという議論をしています。温暖化はなぜそれほど早く進んでいるか。それで私が今心配しているのは、先週、カナダのリーディングサイエンティスト、北極海氷や北極圏の物理、フィジックスのフォーティエという研究者がいて、ある国際会議で、このまま行くと2010年から2015年の間に北極海氷が夏は完全に消滅する可能性があるということを言い出しているわけですよ。NASAのセレーズ博士は、この前まで2030年夏と言っていたのだけれども、カナダのフォーティエがそういうことを言い出したので、もっと早くこの北極海氷完全消滅、サマーシーズンが来るかもしれないと。それで北極海氷が失われたときにどういう気候影響があるかということも、いくつかの研究がされていて、その一つは、例えばカリフォルニアやアメリカの西部は、従来よりも30%ぐらい降水量が減るという予測がされています。だから今にもまして、例えばアメリカの西部は大変な旱魃に見舞われる。特に西部は。もちろん日本も無傷ではなくて、中緯度地方の気候は激変するというふうに、今予測されています。だから私はこのまま行くと、来年の夏くらいには、もう北極海氷がさらに100万km2縮小したなどと言ったらパニックになるに決まっているので、今のうちから相当対策を考えておかなければいけない。ですからこの環境配慮契約法も、ぜひこの法律が通って、実行して良かったというふうにならないと何のためにこういうことをやっているのか、わけがわからないことになりますので、ぜひ明確に、明確にというか、数字をちゃんと書いて、どのくらい波及効果がありそうかもちょっと計算していただいて、参考資料かどこかに書き入れられれば、私は大変いいかなという感じが今致しました。
 それでは先生方から、資料2、資料3、本日のこの基本方針、解説資料、それから様々なパブリックコメントでいただいた意見に対する、この対処の仕方につきまして、大所高所からご意見をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。大聖先生、自動車は全然ないですが。

大聖委員: こういう法律に則っていろいろ制度を進めていくわけで、それによってどういう効果が発生したかというフォローアップがすごく大事だと思います。そういう燃費のいい車が選択されることでどれぐらい削減がされたか。今山本先生が仰ったような。逆に、これが1年、2年経ったときに見直しをすることで、それがマクロにどういう効果があるかということに絡んでくる気が致します。もう国だけではなくて、やっぱり地方公共団体などの地方の取り組みで、さらに大きな効果も持つわけですから、それを今なかなかそろばんを弾けないと思いますので、基本方針の末尾のp.7の(7)に、国は、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進の資するように、情報等を踏まえつつとあります。必要に応じて基本方針の見直しをやるということですが、やはりどういう効果があったかということをフォローアップしていただくことが非常に重要なのではないかと思います。
 それからもう一つ悩ましいのは、(6)のところです。他の政策との連携ということもあるわけで、相乗効果でどれだけ減ったかということになるのかもしれないですね。これだけが一人歩きしてCO2削減に資するというようなものでもないわけです。それは併せ技と言いますか、そういう効果でよろしいと思いますので、その辺をちゃんと何か量的な判断、量的な把握がフォローアップにも出てくるように、ぜひしていただきたいと思います。

環境省(中山補佐): はい、ありがとうございます。少なくとも地方公共団体までは出せるだろうし、出すように我々としても努力したい。おそらく任意提出になりますので、地方公共団体に拒否されればそれまでですが、こういったことですのでそれなりに情報を提出していただけると思っております。そういったところを押さえていってどこまで、少なくともパブリックセクターではこれだけは削減しています。プライベートセクターの場合、何が効いているのかがなかなかわかりにくいところがございますけれども、その辺りもわかる範囲で追いかけつつ、そこに対してその影響力ということも踏まえながら、見直して基本方針の改定作業なども、関係の方と相談していきたいと思っております。

野城委員: まず、先ほどの山本先生の仰った予測についてです。建築に関するエネルギーに関する限り、私はどのぐらい削減できるかがわからないところがあります。というのは現状の建物が雑巾としてどのぐらい緩々かというところがわからない。ですから私のほうもエネルギーの使用量をモニタリングして、その運用加減だけで削減するお手伝いを間接的にしますけれども、緩々の建物、じゃぶじゃぶ使っている建物でいくらでもあるところ、30%ぐらい、その運用だけでいく例もあります。でももうすでにそれなりに、雑巾を絞っている建物ですと、これはもう30%、それはまゆつば物の風呂敷を広げてしまうことになるので、現状として対象としている官庁の建物、公共団体の建物が、どのくらい雑巾の絞りがいがあるかという条件がわからないので、ある程度予測は立つとしても、その雑巾の差が、仮定条件として、このぐらい現状が緩かったりするとこのぐらい。もうすでにある程度雑巾を絞りかけているとすると、これだけ減るというほうが、むしろ信頼性のある予測になるのではないかと思います。ただこの制約を政府調達で行うということは、建築全体のマーケットにおける政府調達の量、あるいは公共団体を含めた状況というのは量的なインパクトはないですが、こういうことを政府、公共団体がしているということに関する間接的インパクトに大変大きいものがございます。ですから今日ここで議論の対象となっている基本方針の解説資料に載せる必要は全くないと思いますが、これはおそらく足していく際には、例えばESCO事業では、すでに先行している民間の例では、ESCOで30%減らした例がありますとか、あるいは建築設計の工夫でこれぐらい減らした例がありますということはどんどんいっていただいて、実際に、一つは公共セクターで発注される方々も相場としては、最大これぐらい行ける可能性があるということの相場観みたいなものを示す必要もありますし、また民間セクターのほうもそういうことを感受されているのであれば、自分のところでもやはり直接的には経費の削減にもなりますので、こういったESCO方式なり、建築設計を入れてみようかという意味では、波及効果というものは期待できるのではないかと思います。
 それからもう一つ申し上げたいのは、そうなってきた場合に、残念ながら算定方法というのはかなりデリケートになってくるように思います。今日のパブリックコメントを拝見しますと、非常に長い議論のあった、どのエネルギー源を選ぶかということに関して、大変フレキシブルに考えていらっしゃる方々がいるように思いますが、もちろんそうしたエネルギーの選択によってこの効果を出していこうという努力は、ここで想定している努力の一つのメニューであると思いますけれども、多分それはワンオブゼムであって、ここで狙っている部分というのは、建築の設計であれば、何度も申し上げますようにできるだけエネルギーを使わずに環境調整ができるとか、熱負荷をできるだけ持たないとか、そういった基本性能のアナウンスを狙ったものであるということを、これも解決資料というよりは、さらにこれを刷り物にしてどうこう宣伝されるときにぜひ言っていただきたいのですね。そうしないとまた誤解されてしまうことがあります。
 それともう一つは実務的にデリケートになってきますので、今日パッと見た限りでは矛盾はないですが、例えば電力調達、ESCO、建築設計におけるCO2の排出量の削減のベースラインの算定方法が整合していないと混乱がありますので、もう一度解説資料の段階で矛盾がないかをチェックするとともに、場合によってはこれが出たあと、指導的な原則が書いてあるとすれば、そのまたフォローアップとしては、算定方法については、少なくともガイドラインを作っていただきたいと思います。これ自身はもうこれで間髪をおかず出していくべきだと思いますが、今申し上げたようにフォローアップがさらに必要だろうと思います。

山本座長: これは、200万トンという推定になるということは、データの計算方法はできているわけですね、そういうことですね。

環境省(中山補佐): はい。

山本座長: 今、野城先生からのご提言で大変すばらしいと思うのはアナウンスメント効果です。ですからぜひ環境配慮契約法が主導して、公共調達、特にこのエネルギー関連で温室効果ガス削減のための環境配慮契約法が施行されたとか、大きな影響を及ぼすとか、そういうアナウンスメント効果を呼ぶようなちらしやパンフなどの宣伝方法を考える必要がある。これは大変傾聴に値するご意見だと思います。
 はい、どうぞ経済産業省。

経済産業省: オブザーバーとしてちょっと一点だけ申し上げたいのは、環境配慮契約法で温室効果ガスの削減といった場合に、電気の場合だけ、他と違います。電気以外は全部、いわば需要家としての国、あるいは独立行政法人がエネルギーを節約することによって温室効果ガスを減らすということ。電気については、間接的に供給サイドに影響を与えることによって変えていこうということでございます。ご案内のとおり電気の供給というのは、電源構成で、すぐ右から左に変わるものではございませんので、短期的には本当にそれで減るかどうかというのは定かではありません。オールジャパン。ただ中長期的には明らかにその電気事業者のほうもそういう電源構成をどういうふうにしていくのかというのを考えざるを得なくなっていくという意味で、非常に意味のあることだというふうに思っておりますので、削減量といったときに電気の場合ではなかなか難しいところがあるというのだけは、ちょっとご留意をいただければということでございます。すみません、オブザーバーが発言を致しまして。

山本座長: はい。国土交通省から。

国土交通省: 申し訳ありません。オブザーバーですが、一言。PRの効果というのは非常にすばらしいと思いますので、ぜひおやりいただきたいと思いますし、我々も協力をすべきところはしたいと思っております。先ほど野城委員からお話がありましたように、比較するベースが何か、そこからどの程度努力しているかというのが重要なところであります。ですから単に前後の比較をして何%削減みたいな数値だけで、事例がパッと出てきたときに、緩々のところをベースにして何%、何十%削減した、ということでは、正確に情報が伝わらない可能性がありますので、そこは工夫をしていただく必要があるのではないかと考えます。標準的な㎡当たり原単位が何々というのに対して、どれぐらいの変化があったのかということをきちんと発信していかないと、削減率だけが一人歩きすると、却って間違った情報を発信する可能性があると思います。その辺はぜひご留意いただければと思います。

山本座長: 鈴木先生、碓井先生、何か。それでは、碓井先生。

碓井先生: いつも中身にかかわらない形式的なことで恥ずかしいですが、多少中身も関係します。この基本方針、それから解説資料も国及び独立行政法人等というのと、国等というのを慎重に使い分けされていて、それはおそらく精査されて使っていますね。ただ基本方針は言わば固いものですから、私どもはすぐに解説資料に飛びつきます。そうすると1ページの「はじめに」、冒頭のところで1行目では、「国及び独立行政法人等」という言葉が登場し、4行目では「国等」が。普通の人が読むと、これは当然上のほうを指していると思いきや、これは基本方針で定義されているように、「国等」は、国、独立行政法人と地方公共団体、地方独立行政法人の全てを多分含むものという定義づけになるわけです。これは何項によるとかを入れると却ってわかりにくくなるものですから、私はせめてわかりやすくする意味で4行目の「国等」のあとに、括弧を入れて、(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人)など、表現はどうでもいいですが、そういう簡単な定義を入れていただいたほうが誤解を招かないのではないかと思います。素人が判断をするとひょっとして国とは、上の「国及び独立行政法人等」を指しているのではないか思ってしまいます。実はそのこととの関係で先ほども冒頭で議論されました情報の整理等も、こちらの解説資料で行くとp.5の(5)です。これは慎重な配慮の結果、こうなっているのかもしれませんが、要するにこの趣旨は、契約の締結に関する状況等についての整理及び分析を行うその対象は、「国及び独立行政法人等」であるだけです。それを踏まえて「国等」ということは、さっきも言った地方公共団体、地方独立行政法人を含む。その上の「国等」だけではなくて、そこに引っ掛けているわけですね。慎重な検討の結果かもしれませんが、せめて契約の締結状況に関する状況等の整理というのは、地方公共団体を含めることができるのではないかと思います。これはやはり地方分権の推進のときに、こういうところに入れると余計な仕事を付け加えるものであるという慎重論があって、こういう結果になっているのでしょうか。何か発言できない事情もあるのかもしれませんが、可能であったら教えていただきたいと思います。

環境省(中山補佐): ここは正直言うと法律上が、国及び独立行政法人等の状況を整理するということになっているものですから、それを引っ張ってきているというような実態です。

碓井先生: わかりました。そういう単純な理由ですか、なるほど。

山本座長: はい、大事なご指摘をありがとうございました。

鈴木委員: 今、他の委員からありましたようにフォローアップの問題があります。新しい制度を作るということは非常に重要だし、大変な労力だと思います。同時に導入された制度を適正に運用するということは、またそれ以上に重要だし、大変な労力を要することだと思います。そしてそれを支えるのが公表制度だと思います。この基本方針の最後のページp.6に公表というのがございます。公表のやり方、方法をどのような形にするか、いろいろありますが、それを明示することだと思います。環境省はどのような形をお考えなのでしょうか。各省との調整があるので文章にするのは難しいとは思いますが、環境省として、内容は不十分でも半年に1回定期的に行うんだという方針を作り、明示しておいたほうがよろしいのではないかと思います。いわゆる工程表というのでしょうか。そういったものはぜひお願いしたい。

環境省(中山補佐): 法律上、状況については、毎会計年度、または毎事業年度の終了後遅滞なくということですので、どんなに長くても半年後ぐらいには出すということだろうと思っております。おそらく大体夏ぐらいに実行計画の状況とか、報告しているのと同時期には出せるようにしないといけないだろうと思っております。

山本座長: ありがとうございました。その他何かご意見とか。どうぞ。

国土交通省: 度々オブザーバーからの発言ですみません。一点だけ質問します。p.84の上の表に太枠があります。これは特に説明も何もないですが、どういうことなのかをちょっと教えていただきたいのですが。

環境省(原田補佐): この部分は、p.83の最初のタイトルの部分に関係があります。建築の設計におけるプロポーザル方式ということで規定をしておりますので、国土交通省全体のものから表自体を引っ張ってきていて、(5)の規定を使って建築の部分は整備されているということをお聞きしておりましたので太枠で括ってございます。

国土交通省: 旧建設省のツール、資料を引っ張っていただいているということですが、ただ実態としては(5)を使う例が多いですが、(5)に限ってプロポーザルを適用しているわけでもないので、そういう意味では太枠は消されたほうがよろしいのではないかと思います。

山本座長: 太枠は必ずしもいらないということで。その他、何かご意見等がございましたら。 環境配慮契約法の趣旨と同じような海外の法律というのはありますか。

環境省(中山補佐): 少なくとも我々が把握している範囲ではございません。中のルールとしてやっているのはどうか別ですが、法律としてこういうものを持っているというところの把握はしておりません。

山本座長: では、アナウンスメントのところに、何か強調したほうがいいですね。

環境省(中山補佐): はい。環境配慮契約法やグリーン購入法などについては、結構各国でそれなりに評価をいただいているというふうには聞いております。

山本座長: はい、その他、委員の先生方から何かご意見等がございましたら。よろしいでしょうか。はい、それでは今日をもって、この案を閣議にかけるわけですね。

環境省(中山補佐): はい。これで先ほどご指摘のありました情報の整理の「等」につきまして、地方公共団体その他のとなり、何なり、そういったようなことをおそらく、「それ以外の国民」という前につけるのかなと思っております。地方公共団体を特出しするところについて、少し政府部内で調整をする必要があると思っていますけれども、今日、これで基本的にご了解をいただければ、それを持ちまして、そのご意見をいただいて環境省で各省と最終的な協議なりの手続きを行いまして、閣議決定に持っていくという形になると考えております。

山本座長: はい。それではご議論をいただいて適切にご修正いただくということで、委員の先生方、よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。 それでは事務局からその他何かございましたら。

環境省(原田補佐): 今日は、各省の皆さんも傍聴されておりますが。事務局から今後の進め方についてですが、今閣議決定をするプロセスはお話をしましたが、これを受けて運用していくに当たって、まだ若干作業しなければいけない部分がございますので、その説明とご報告もしたいと思います。大きな点は会計法との調整をする必要がある分野がございますので、その報告をさせていただきます。
 電力についてはこれまで各省庁が実施をしている方式と大きな差がございませんので、速やかに進めていただけると考えております。
 それから自動車につきましては、総合評価落札方式になるわけですが、これは財務省と個別もしくは包括の協議が必要となりますので、当省が率先して協議を行い、できるだけ早期に適用できるような環境を作っていきたいと考えております。 それから3点目のESCO事業につきましては、当面は個別事業での対応になるかと思います。各省で予算要求時にきちんと整理をしていただく必要性があろうかと思いますが、関係省庁とのご協力を得ながら当省もできるだけ、導入推進を図れるように支援をしていきたいと考えております。
 最後に建築でございますが、今回規定をしました環境配慮型プロポーザル方式については、従前から国土交通省さんが取り組まれているプロポーザル方式、これは会計法の第29条3の第4項を使って、契約の性質または目的が競争を許さない場合の要件をきちんと整理をされて、実施をされているものでございますが、この範囲をきちんと守れる形を今回も踏襲してございます。財務省さんとも、そのご相談をしている最中でございますが、きちんと従前から国土交通省さんがやられている仕組みをうまく達成をして、積極的に推進をしていけるように整理をしていきたいと思っております。
 ですから大きく2点、物品の部分とそれからESCO事業については財務省さんと協議をし、きちんと形を作っていく必要性がございますので、多少時間がかかりますが、早急に対応したいと考えております。ご報告は以上でございます。

山本座長: はい、ありがとうございました。

(2)その他

山本座長: それでは最後に、小林官房長から一言お願いしたいと思います。

環境省(小林官房長): 長い間のご審議をありがとうございました。また、西尾総政局長から、所管でございますのでご挨拶をするべきというふうに思いますが、所用で出ましたので、私、環境省の契約担当ということでこの法律が施行されますと、これに則って契約をするという立場になりますので、代わりましてご挨拶をさせていただきます。この法律はご案内のとおりでございますけれども、先ほどもご議論ありましたが、直接、間接に消費者パワーを使って経済社会を変えていこう。それから環境を守るための取組にはきちっと費用を払うという、大変ユニークな内容の法律でございます。ただその施行のためにはいろいろな要領・マニュアルといったものを作らなければいけないということで、今回ご議論をしていただいたわけでございます。その間、各委員の皆さんはもちろん、そして各省のオブザーバーの方々、またこの検討会の元におかれました分科会でご議論を賜りました業界の専門家の方々を含めまして、本当に短い期間の中で精力的なご審議をいただいたということで、まず頂戴いたしました多大なご協力に対しまして厚く御礼を申し上げたいと思います。また本日も最後の機会ではございましたけれども、地方公共団体への支援の話や、本法の効果の把握、あるいは見直しといったようなことにつきましてご議論をいただきました。本当にありがとうございました。先ほど原田のほうから申し上げましたように、できるだけ早く基本方針を閣議決定したいというふうに考えてございますし、さらにそのあとはその方針を受けまして、各省が一丸となって、この温室効果ガス等の排出の削減の配慮した契約を進めるということで働きかけてまいりたいと思います。また地方公共団体につきましても、あるいはその先の民間につきましても、この成果を広げていくように、今日の議論を踏まえて興していきたいというふうに考えてございます。
来年は京都議定書のいよいよ第一約束期間が始まるということでございます。来年以降、この環境配慮契約法の経過を踏まえてステップアップしていかなければいけないというふうに考えてございます。今日もPFIの議論等がありましたけれども、そうした見直しの際にはまた、皆様方のご尽力を賜るということにもなろうかと思います。そのときにはどうぞよろしくお願いを致します。今日は大変ご多忙の中ご審議いただきまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

山本座長: どうもありがとうございました。
それでは、これで本日は散会いたします。ありがとうございました。

以上