平成30年度環境配慮契約法基本方針検討会(第2回) 議事録

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平成30年度環境配慮契約法基本方針検討会(第2回) 議事録[PDF 264KB]

日時

平成301029日(月) 13:0015:00

場所

中央合同庁舎第5号館22階 第1会議室

東京都千代田区霞が関1-2-2

出席者

出席委員:赤司委員、大聖委員、原委員、野城委員、山地委員、山本委員(座長)

欠席委員:秋鹿委員、田中委員、藤野委員          (五十音順、敬称略)

議事録

事務局: 本日はお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、これより平成30年度第2回環境配慮契約法基本方針検討会を開催いたします。写真撮影は、配布資料の確認までといたします。早速ですが、以後の議事進行は山本座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

山本座長: まず、西村課長より御挨拶を頂ければと思います。

西村課長: 大変お忙しいところ、御参集いただきまして誠にありがとうございます。環境経済課長の西村でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。第1回の時には、私はまだ着任していなかったのですが、電力と建築物維持管理とそれぞれ専門委員会で御検討を進めていただきまして、今日はその御報告ということでございます。何とぞ御審議のほどをよろしくお願いいたします。

山本座長: 座長挨拶の時間を頂いておりますので、私の方から2、3、最近の情勢を御紹介させていただきます。先週、横浜で環境省が主導されているサーキュラーエコノミーの国際会議がございまして、私も出席させていただきました。その時、フィンランドの方からマテリアルエコノミクスというレポートが6月に出たということで、早速読んでみたのですが、循環経済はCO2排出の削減に非常に有効であるという結論で、EU全体では2050年までに循環経済推進によって年間約3億トン削減できると。これは、鉄、プラスチック、アルミニウム、セメント、この4つの材料と乗用車と建物について循環経済を推し進めることによって、EUは年間3億トン程度、これは全世界では年間36億トン削減できるとしています。皆さん、この36億トンというのを頭に入れておいていただきたいのですが、皆さんも御存知のように、この9月、10月で劇的に世界情勢は変わりました。それはどうしてかと言うと、10月8日に待ち望んでいたIPCCの1.5℃特別報告書が公表されました。この結論は、2℃ではもう駄目だと。1.5℃をターゲットにしなければいけないということが基調でありまして、そうすると2010年の水準から2030年までに世界の排出量を45%削減して、2050年には正味ゼロとしなくてはいけないとされています。そのためには、エネルギー、土地、都市、インフラ、産業システムを劇的に変えないといけないということで、これも皆さんよく御存知のように、2℃シナリオでも1.5℃シナリオでも、エネルギー効率の改善とエネルギーや電力のゼロカーボン転換では不足しているということがあるんですね。それで、ネガティブエミッションテクノロジーを使わざるを得ないということで、これがどうなることかなと思っていたところ、9月23日に、英国王立協会と王立工学アカデミーが報告書を出したわけですね。これが「Greenhouse Gas Removal」という報告書で、結局英国は2050年に正味ゼロにするためには、最大限の努力をしても年間1億3,000万トン残ってしまう。この残った1億3,000万トンをゼロにするためには、先ほどの温室効果ガスの除去技術を使わなければいけない。そのためには植林や生息地の回復、土壌にカーボンを貯留する、バイオマス建築、低炭素コンクリートなど、いろいろなことを総動員するわけですが、このイギリスのレポートを見ると、1.5℃ターゲットを我々が世界的に実行するとして、2100年までに全世界でネガティブエミッションテクノロジー、グリーンハウスガスリムーバルでキャンセルにするべきCO2の量は8,100億トンだと言うわけですよ。これは2050年までは世界で年間100億トンくらい。2050年を過ぎて21世紀の末までには、年間200億トンをネガティブエミッションテクノロジーでしなければいけないと。これは大変なことだなというふうに思っていたら、先週、10月25日に全米アカデミーの報告書が出たわけですね。「ネガティブエミッションテクノロジーと信頼できる貯留法」という報告書が出て、その結論は、年間100億トンくらいならば現行の技術及びそのスケールアップで対応できると。しかし2050年を過ぎて年間200億トン規模のCO2の貯留ということになると、もっと研究しなければいけませんねという結論なんですよ。今年は5月にスウェーデンのイエテボリのチャルマース工科大学で、世界で初めてのネガティブエミッションテクノロジーの国際会議が開催されたわけです。実は明日から2日間、オーストラリアのキャンベラで、やはりネガティブエミッションテクノロジーの国際会議が開催されるという状況になってきて、では日本はどうなっているのかということが問題になるわけですが、先々週、経済産業省がICEFという国際会議があり、私も出席させていただいて、その場でICEFのCCSのロードマップ2018というのが公表されたわけですね。先ほど言ったように、循環経済を全世界で推し進めても、これは推し進めなくてはいけませんが、削減量の見積りは36億トンだと。それに比べて、ネガティブエミッションテクノロジーの方は年間100億トンをそれ以外にしないといけない。こういう情勢でありますから、この委員会でしていることは何かというと、グリーン契約法によって公共調達における電力を適切にグリーンな電力を調達することによって、CO2の排出量を下げようという話で、何度も私はこの場で言っているわけですが、政府全体で排出する何百万トンくらいの量を今まで最大40万トンくらい削減できて、嬉しいと言っていたわけですが。気候変動イニシアティブができて、260団体が参加して、リコー、ソニー、富士通、イオンなど、大きな企業も2050年カーボンゼロを目標にし始めました。大変良い方向には動いているのだけれども、イギリスの王立協会の報告書、全米アカデミーの報告書を読むと、こんなことでは、この委員会を含め我々学者は国民に対して顔向けができない。問題の深刻さに正面から我々が対峙して、解決策を提示しなければいけない。一番詳しいのは全米アカデミーの報告書で、コストの分析、さまざまな倫理的、それからトレードオフの問題も分析しているわけです。だから我々もそれをしなくてはいけない。もちろんこの委員会のテーマではありませんけれども、そういうことを念頭に置いていきたい。前中川環境大臣は、環境省は自然エネルギー100%を目指すということで、それはそれで大きな決断だと思うのですが、それを具体的にいつまでにどうやるのかというところも問われているわけですね。少し余計なことを申し上げましたが、私もせっかくサーキュラーエコノミー会議に出させていただいたので、最近の情勢を皆さんに御紹介しました。それでは事務局の方から、本日の議事予定、配布資料について、簡潔に御説明をお願いします。

事務局: 本日の会議は、15時までの2時間を予定しております。

<配布資料確認>

議  事

(1)電力について

山本座長: ありがとうございました。今日は3つの議題について御議論いただくことになっております。2つの専門委員会の内容を事務局から説明していただき、その後それぞれの専門委員会の座長から補足していただきたいと思います。最初に電力専門委員会の取りまとめにつきまして、事務局から簡潔に説明をお願いします。

環境省: 資料2-1、2-2について説明(省略)

山本座長: ありがとうございました。山地委員、補足の説明はいかがでしょうか。

山地委員: 今御説明いただいたとおりなのですが、重要なポイントをレビューしてみたいと思います。電力専門委員会は、このところ毎年度開いておりまして、今回6項目を検討して、その中で3項目程度は具体的なアクションを提案することができたと思っています。1つ目は、資料2-1の14ページですが、環境配慮契約の更なる実施に向けた継続的な対応、つまり未実施機関に何とか実施させたいというところで、ここにも書いてありますが、未実施機関を公表したらいいのではないかという意見もありました。今後は少し周知期間を設けて、改善が見られない場合には公表も視野に入れた対応というのを考えました。しかし現在の対応としては、今までもいろいろ情報提供を行っているわけですが、全国説明会や省庁連絡会議、特に独立行政法人で未実施が多いものですから、独立行政法人に対して所轄官庁を通じた情報提供を別途実施すると。それから、考えているけれども組織替え等でできないというところがあるので、未実施機関に対して、どういう状況なのかフォローアップの調査をする。これが今年度のアクションの提示です。それからもう一つは、裾切りのグループ化。これはずっと重ねて検討してきたのですが、今回、いわゆる中央3社、東京、中部、関西と、九州、この4つの地域についてはグループ化しましょうということで専門委員会の結論を得ました。それと同時に、こちらの方がなかなか大変だということがわかったわけですけれども、21ページに示されているように、要するに環境配慮契約を未実施の方が排出係数が低いというところが、先ほどグループ化を提案した4地域と四国電力で起こっていまして、これは非常に問題で、むしろこちらの方が深刻だと受け止めて、したがって、この5つの地域については配点表をより厳しめに1段階強化しようということで、専門委員会では合意しました。残りの提案は継続審議なのですが、もう一つ具体的な対応が決まったのは非化石証書。非化石証書は、今年度からFITの再生可能エネルギーの非化石証書が取り引きされるようになったので、それについてはあまり揉めることはなく、36ページのように、今までも再生可能エネルギーの導入状況という項目ではポイントが付いていたのですが、その中の導入のところに一つ加えると。36ページで言うと⑤ですね。今後、非FITの再生可能エネルギーの非化石証書や、いずれ原子力、そういう話になっていくのですが、順次対応していく必要があろうと思っております。

山本座長: ありがとうございました。先ほど、最近の情勢について御紹介した時に忘れてしまったのですが、トランプ大統領が今年の2月に、二酸化炭素を1トン貯留すると50ドルの税額控除をするという法律を議会で通したということで、それがネガティブエミッションテクノロジーの追い風になっているという話を聞いたのですが、この環境配慮契約も何かインセンティブがあるともっと動くのかなという気がするのですが、そういう経済的なインセンティブはないんですよね。

環境省: あくまで国としての実施ということになりますので、いわゆる補助金などの形はなく、まずは法律があって、この方式で行っていただくということに尽きると思っているところでございます。

山本座長: 山地委員の説明で納得したのですが、皆様いかがでしょうか。赤司委員から順番に御意見をお願いしたいと思います。

赤司委員: 報告をお聞きして少し理解できたように思います。先ほどのインセンティブという話ですが、2ページの目的達成の方法のところに「経済性に留意しつつ」とあるのですが、これはどの程度考えるのでしょうか。損をするのであれば止めておこうという話になってしまうのでしょうか。むしろ国が行うことなので、民間に対して範を垂れる意味では、あまりそういうところにウエイトをかけるのではなくて、積極的にCO2排出を削減するような契約を行うというようなことだと思うのですが、こういう文言が入っていることによって後ろに引っ張られるということはないのでしょうか。

環境省: それは法律の中に入っている文言でございまして、そもそも国としての入札といたしましては、会計法上の話であったり、価格といったところが大前提でありますので、その上で環境に配慮した契約を進めていくことが前提になっているのはやはり覆せないと言いますか、一般的な事項の上で行っていくことになっているところでございます。ただ、その中で裾切り方式や、今回の電力の話で言いますと、総合評価落札方式の導入について検討ということでございますけれども、そういう認められている部分もございますので、工夫をしながら、できるところから少しでも進めていくというのが回答でございます。

赤司委員: 最初の山本座長の話を踏まえると、全然スピード感が足りないような気がするのですが、わかりました。

大聖委員: 資料2-1の1ページ目の基本的なところですけれども、2030年までパリ協定に対応するために再生可能エネルギーの電力を22%~24%、それから原子力を20%~22%というのがありますよね。これは、それを織り込んだ数字なんですね。それで政府全体で40%ということですよね。

環境省: はい。

大聖委員: それはこの0.37にしただけで達成できるものなのですか。足りないですよね。

環境省: そこまではなかなか難しいと思っております。

大聖委員:その足りない分はどうやって努力していくのですか。

環境省: その部分については政府実行計画上の話ということでございまして、まずは今行うことについてこちらに並べているものになります。

大聖委員: もう一つは、独立行政法人の実施率があまり良くないということなのですが、これは、例えば私は自動車の方を担当していますけれども、そちらも独立行政法人は悪いですよね。そこはテコ入れがやはり必要ではないかと思うのですけれども。

環境省: 確かにそういう話がございまして、段階に応じて、確かに今まで情報提供しているところでございます。ただ、先ほども申しましたけれども、組織再編でといったところも、今度の31年度から行うといったところも、実質的な形で行っていかないと、ただ強制だけでも、ということがございます。さすがに何回も情報提供をしていて実施しないところは公表も視野にという御意見も踏まえ、そういったところが大分近くなってきているのかなというふうに思っております。

山本座長: 私から質問は変なのですが、32ページのメニューの中には排出係数が0のものもあるのですが、これとどれくらいの価格の差があるのですか。

環境省: 申し訳ないのですが、そこはなかなか調べきれていないところがございます。ただ一般的な話としては、当然価格は上がるということで、具体のメニューを聞いて、やはり条件によって価格が変わってくるというところがございます。一律にこのくらいというところが出てくる感じでもなく、相対に契約する際に価格が決まってくるということもあるので、申し訳ないですが、一概にどれだけ上がるかというところは言えない状況でございます。ただ一般的には上がる可能性が高いと思っています。

野城委員: 皆さんと大体同じですが、非化石証書による再生可能エネルギーの評価というところがございますけれども、この見通しについては来年度以降で、今年度は入っていないわけですよね。

環境省: 今まさに行っているところで、来年度出てくるかどうかだったと思います。

野城委員: これはネクストバージョンで、今回は、一区切り仕事はしたけれども視野に入っているという意味ですか。

環境省: 今後の進み具合によって、どう入れていくかとかそういったところはもちろん検討していきます。

野城委員: はい。わかりました。

原委員: 質問が2点ほどございます。一つは、裾切り基準のグループ化というところがあったと思うのですが、この4地域をグループ化するということでどういった効果なり影響が出るのか。単に基準がそろうというだけの話なのか、それによって何か影響が出るのかどうなのか、というところをお聞かせいただければと思います。

環境省: グループ化の際の影響ということでございますけれども、実際の行為としては基準を合わせる形になります。それ以外の影響はあまりないかなと思っております。

原委員: 基準が単純になるということですか。

環境省: できる限り近いところで寄せていって、全体的に上げていく中での一形態と考えております。

原委員: 排出係数の逆転現象が起きている地域があるということなのですが、基準が甘いからそうなっているということなのでしょうか。どういった原因が考えられるのか。

環境省: 原因といたしましては、比較対象を、環境配慮契約を行った場合と行っていない場合のそれぞれの係数を出して比較しているということでございまして、実際に環境配慮契約を行った際に構成している小売電気事業者の係数が、昨年度と比べて結果的に悪くなっている。そういう状況で差が縮まってきて、地域によっては逆転をしてしまっていると考えているところでございます。

原委員: わかりました。

山本座長: 山地委員、最後に何かございますか。

山地委員: いえ。先ほど申し上げましたので。

山本座長: 逆転はあってはいけないですよね。どうしてそういうことが起こり得るのか今一つ。

環境省: 裾切りは最低限を切っていくという制度になりますので、すごく良いところとぎりぎりのところ、そこのところは最終的には同じ土俵で価格で評価していくという形になるので、本当に最低限の裾切りという意味では効果がある方式だと思っています。ただ、環境配慮契約に基づく入札で実際に足切りしない形だったとしても、たまたま良いところが入ったりするという可能性もあります。そういったところでの比較の中では、本来であれば環境配慮契約を行って、悪いところをどんどん切っていけば、比較的全体としては効果が上がるということを想定していたのですが、今回の結果といたしまして、最低限の裾切りの中では効果が出なかったということがあるので、まずは裾切りの段階を少し上げることによって、より効果が出るのではないかということで、裾切りの段階を1段階強化と提案させていただきました。

山本座長: これは石炭火力発電を安売りしているということではないわけですね。

環境省: そういうことではないと思います。

山本座長: ありがとうございました。では、今の委員方の御意見を踏まえて、特に御反対はなかったと思いますので認めていただいたということにさせていただきます。

(2)建築物維持管理について

山本座長: 建築物維持管理専門委員会の取りまとめにつきまして、まず事務局より御説明をお願いして、その後、専門委員会の座長の野城委員から補足の説明をお願いいたします。

環境省: 資料3-1~ 3-3について説明(省略)

山本座長: ありがとうございました。それでは野城委員から補足をお願いします。

野城委員: 建築の専門委員会の座長をさせていただきました野城です。原委員、赤司委員、ありがとうございました。23ページを御覧いただきたいのですが、ヒアリングなど追加調査、専門委員会における議論を踏まえた留意事項などと書いた、黄色に黒と赤のテキストで書きましたポイントがございます。これが私どもの委員会で出てきた意見を集約していただいているということでございます。これと、御説明の後半の方でございました資料3-2の基本的事項や、あるいは解説を御覧になると、ちょっと差分といいましょうか、トーンが少し違うかなという感じをされているかもしれません。つまり23ページに書いたことは、冒頭の座長のお言葉からすればすぐにでも入れるべきことなのですけれども、制度的にすぐに入れるにはいろいろとまだ段取りが必要だということがございまして、だからといって階段を1歩も上がらないということではなく1段上がって、この23ページにある方向でさらに階段を上がっていこうということでございます。まとめた内容は、どちらかと言うとまず根本的な制度を変えなくてもできることを事務局の方でスクリーニングしてまとめていただいたものが、後半の方の基本的事項及び解説ということになります。ですので、まずは、できましたら資料3-2、資料3-3の内容についてお認めいただくとともに、この23ページの内容をどう展開していくかということは、専門委員会の場でも継続的に議論を進めていただけたらというのが私どもの委員会の認識でございます。

山本座長: ありがとうございます。それでは山地委員の方から。

山地委員: 建物の維持管理に関する契約に対応していくのは非常に重要なことで、内容的にも結構だと思っています。今、ステップバイステップという話もありましたけれども、この関係で、資料3-2の基本方針のところに基本的事項と書いて、これをこのまま読むと、最低価格入札の場合にも温室効果ガス等の排出の削減に配慮した内容を契約文書に記載するよう努めると書いてあるだけで、努めて書いたとしても、入札に参加してくると価格が安ければそれが落札してしまうことになってしまうのですけれども、データを求めるだけなのですか。データが記載された内容で入札資格をある程度縛るとか、そういうことは考えておられないのでしょうか。それとも、最初のステップとしてはそこまで踏み込めないという判断なのでしょうか。

野城委員: 踏み込めないということであります。と言うのは、今おっしゃったことを行っていくとしても、全国の全ての公共建物で導入するというよりも、現状を考えるとパイロット的にまず行っていかないと変えられないのではないかという認識がございました。裾切りをするにしても、実は今、エネルギーなりCO2のものさし、単純に定量化されて、こういうインディケーターでこれより実現しないとだめだということができれば、山地委員がおっしゃったことが実行できるのですが、そもそも皆さんの合意したグリーンハウスガスの排出量なり、エネルギーの排出量についての合意されたインディケーターすらないと。そうすると、今年の間にどういうインディケーターがいいかということを考えて、盛り込んでいくというのは時間がないので、まずはこれを立ち上げてみて、どのものさしを使えばいいかということを議論していく必要があるだろうということでございます。

環境省: 御説明いただきありがとうございます。今お話があったとおりでございまして、まず建築物維持管理のところでそもそも全体的な悉皆調査がされていなかったところから、今回スタートしたところがございます。急に必ずしなければいけないといったところになった場合に、入札自体に来なくなるといった影響を考えなければいけないというところで、まずはステップバイステップでこういった形を入れ込んで、実態を今後調査していきながら、次にどうしていくかを検討することが必要ということで、このような案にさせていただいたところでございます。

山本座長: よろしいですか。では、原委員お願いします。

原委員: 専門委員会に参加させていただきまして、こういう議論に参加できたことを大変感謝しております。第一歩ということで、こういうようなことを実施するということは有意義なものだと思っております。ただ、それぞれの機関がどういうふうに実施していくのか。努めるということですが、実際に実施する機関はあると思いますし、努めるということだから最初から考慮しないというようなところもあるのかもしれません。実施状況をフォローしていくということと、実施ができなかったところはどういう理由なのかというところを調べ、将来的には、義務化を目指していくことが重要と思っています。

大聖委員: 国が保有する建築物のエネルギーの消費の状況や建物の特性、そういうものというのはどの程度把握されているのでしょうか。

環境省: 今回、維持管理という観点では、11、12ページにございまして、今回の調査の中で、施設の中で実際に電力を使っているのかというところから原単位を出させてもらったので、総量というところでは出していないのですが、平均的なところにつきましてはこちらの方で把握しているところでございます。

大聖委員: そうすると優先度みたいなものが付けられないのかなという気がするのですけれども。要するに、排出量の多いところからまず実施していくということが必要という気がするのですが。それは決まってしまうのではないかと思います。こういう建物はもうESCOなりBEMSを入れないとだめだというのがわかるのではないかという気がします。冷暖房設備、建物自体の機密性、断熱性など、悪い所はわかるわけですよね。

環境省: 今回まず悉皆的に調査をしてから全体的にかけていくという方針で実施させていただいたところがありましたので、その中で特にどういう状況かといったところまで掘り下げられなかったところがありますが、単純に値としては大きいというところはあります。悉皆的に全体的な形で取りまとめさせていただきましたが、実際にピンポイントでといったところ、それこそ国や独立行政法人でという話が電力のところでもありましたが、そういった視点は今回入っておりません。今後そういったところの分析も含めることができないか、実施した際の調査に当たっての方針を決めるに当たっては検討していきたいと思っております。

赤司委員: 私も委員で参加させていただきまして、23ページの留意事項は非常に良い内容でまとまったのではないかなと思っております。これはきちんとした統計データがあるわけではないのですが、これまでに関係している皆さんの意見、私自身もいろいろと経験している中で感じるのは、運用段階で大体10%から20%くらいは削減できると思っています。改修が入ると大きい方の倍、40%くらいは改善すると思います。なので、この辺をしっかり進めれば相応のインパクトがあると思うのですが、やはり管理業務の管理という言葉の中身を、従来の管理というのではなくて、実際の省エネにつなげるような管理というように啓発していくことが大事なのではないかと思います。管理する方々はその管理の意味や行うべきことなどの理解を深めていただかなければいけないと思っています。最後に将来的には性能発注を目指すと書いてあるので、ものさしというお話がありましたけれども、現状がどれだけ悪くなっているのか、現状からどれくらい改善できそうなのか、ということを日常の管理業務の中で把握できるような、そういう方向に持っていけたら良いと思っています。

山本座長: ありがとうございました。運用の観点からして、省エネルギーにして、できればエネルギーのゼロカーボンへの転換もあれば大変良いと思うのですが、先ほど御紹介したようなバイオマス建築で建物にカーボンを貯留するという発想がこれから出てくるわけです。それも将来は議論していただきたいと思います。皆様の御意見を頂きましたので、まず確認したいのは、資料3-2に提案されている基本方針の改定案をパブリックコメントにかけることで御異議はありませんか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。それでは御提案どおり、資料3-2の建築物の維持管理に係る契約に関する基本的事項をパブリックコメントにかけていただきたいと思います。ありがとうございました。

(3)環境配慮契約締結実績について

山本座長: それでは資料4について、簡潔に御説明をお願いします。

環境省: 資料4について説明(省略)

山本座長: ありがとうございました。今の資料4、速報値につきましてコメント、御意見がありましたら。皆様よろしゅうございますか。

大聖委員: 車のところで、6ページなどを見ますと購入台数が減ってきていますよね。これはどういう傾向なのかなというのは把握されているのでしょうか。

環境省: 申し訳ありません。そこはなかなか分析できないところがございます。実際に減っているのは減っているのですが。

大聖委員: 一部ではシェアリングを行って、無駄な保有を減らそうという動きもあるのかもしれないと思っているのですけれども。これは自治体などで見られる傾向なのですが、そういうことなのかなという。台数が減っているというのは良いことではないと思いますが。

環境省: 総台数としても、全体的な傾向としてそこがうまく出てこないところがあって、確かにおっしゃるようにそういったことがあると思っておりますが、なかなかそこのところは上手く分析ができていないので、申し訳ございません。

赤司委員: 省エネ改修のところなのですが、国の機関がフィージビリティスタディも実施せず、当然ESCO事業も実施していないというような状況が、今年度だけではなくてずっと続いているのですけれども、この理由は何でしょうか。例えば、省エネ改修をすべきだとか、現状のままだとエネルギー効率が悪く、ある種、社会に迷惑をかけている、というような判断は誰がどのようにしているのでしょうか。締結実績うんぬんの前に根本的な問題として、国の機関の実態に基づいて、これは省エネ改修するべきだ、という議論がこの前にあるはずだと思います。質問で恐縮ですが、いかがでしょうか。

環境省: 過去の段階、21年度に、フィージビリティスタディまで行って、実際には契約が成り立っていないという形になっています。実際にフィージビリティスタディも20年に14件実施してゼロであったということで、現状として、実際にフィージビリティスタディは可能性のあるところから選んでいくと思っていますが、確かにずっとないということになっています。

赤司委員: 20年に14件実施してその後ずっとゼロですよね。ESCOというのは、ESCO事業者のビジネスが成り立たないとできないので、そういう可能性がないと判断されたのかもしれないですが、それをそのまま放っておいていいという状況ではないと思います。省エネでは何年で元が取れるという話をしがちなのですが、今はそんなことを言っている状況ではなくて、必要であれば行わなければならない、というように考え方を変えなければいけないと思うのですが、いかがでしょうか。

環境省: 先ほどの維持管理の時に原単位を調べた中では、実際には国と独立行政法人の比較という形にはなるので厳密な答えになってはいないのですが、施設用途別の中ではやはり国の方が原単位としては低いという状況は出ています。単純に国と独立行政法人を比較した時に、概ね国の方が低く、独立行政法人の方でESCOなどが進んでいるという比較にはなっている。これは統計上のデータなので、必ずしも国で行わなければいけないのに行っていないといったところが含まれているということを言うつもりはないのですが、今あるデータの中での話としてはそういうところかというところと、延床面積別のところでは確かに独立行政法人との逆転現象ということがあると。ESCOとなるとどうしても大規模な建物になるため、面積別に見たときには、2~5万㎡、5万㎡以上を見ると、これは独立行政法人との相対的な全データではないので、必ずしもそうではないということはわかりつつも、そういうところは、原単位上で低いといったところで、あくまでも、余地がないように見えるということです。手元に明確なデータがなくお答えできず恐縮です。

赤司委員: 独立行政法人との比較でどうこうではなくて、やはりきちんとしたデータに基づいて合理的な科学的な判断をすべきだと思います。その辺を考えていただいた方がいいと思います。

野城委員: 今のことと専門委員会のことも絡むのですが、建築関係の実際の動きは非常に鈍いので、しかしそこで行われることは相当大きなグリーンハウスガスの削減ができるわけですけれども、ベースとして基本認識をする統計データがないということで、国の建物のオーナーシップは、財務省の理財局が持っていて、技術的な指導は国土交通省が行っていて、環境省がCO2を減らそうということを行っている。各省庁がそれぞれの交差点のところに立っているので、それを単一主体で行うところがないところに問題があるのですが、単純に言えば、カーボンインテンシティやカーボンメトリックと言いましょうか、要はその建物で1年間にどれだけグリーンハウスガスを出しているかという絶対量なり、あるいは延床㎡なりを出して、ベンチマークをするだけでも随分意識は違うと思います。例えば、霞が関でもそれを出してみると、でこぼこがあったりすると、同じ場所にあって、同じ用途なのになぜ我々だけ悪いのかとなると、そこで初めて赤司委員がおっしゃったような、何かおかしいのではないかという調査が始まって、私どもの専門委員会で議論したように、維持管理契約の中にまずはハードウェアのESCOの前に運用改善のためのESCO的な物を入れていこうかという流れになっていくのですが、最初のモチベーションを与える統計データがないので、できましたら根の部分としてはやはりベンチマークをしていく。あまり事務的な手間がかかるといけないのですが、ISO16745でカーボンメトリックというのは、ガス会社と電力会社からの請求書があれば、それを基に簡単にCO2の排出量なりインテンシティを計算できるルール付けになっていますので、そういうものを使っていただければ比較的悉皆的にできるのではないかと思います。以前、10個くらいの保育園を調査して、全てカーボンインテンシティを測ってみたらでこぼこがあったのですが、そうすると非常にパフォーマンスの悪い保育園の園長先生のスイッチが入るという効果があったようです。そういうことをしてみるといいのではないかなと申し上げたいと思います。

山本座長: そういうことで進めていただきたいと思います。

(4)検討スケジュールについて

山本座長: 資料5の説明をお願いいたします。

環境省: 資料5について説明(省略)

山本座長: ありがとうございました。何か御質問がございますか。よろしゅうございますか。それでは議題は尽きましたので、もうそろそろ時間でございますので、これで閉会としたいと思いますが、事務局の方から最後に何かございますか。

環境省: 事務局からは特段ございません。

4.閉  会

環境省: それではこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

                                               以上