第14回 有明海・八代海等総合調査評価委員会 海域環境再生方策検討作業小委員会 議事録
開催日
令和6年8月6日(火)
場所
対面方式及びWEB会議方式を併用して開催
出席者
小委員会委員長:矢野真一郎委員長
委員 : 上久保祐志委員、鈴木敏之委員
臨時委員:小林政広委員
専門委員:金谷弦委員、桐博英委員、清水園子委員、速水祐一委員、東博紀委員、山口敦子委員、弓削こずえ委員、横山勝英委員、脇田和美委員
(オブザーバー)
清本容子委員、山西博幸委員、森野晃司委員、山口啓子委員
(関係省庁)
農林水産省農村振興局整備部農地資源課 佐田課長補佐、藤吉係長
水産庁増殖推進部漁場資源課 津山課長補佐、贄田課長補佐、石橋係長、熱海係長、熊本係員、野田係員
水産庁増殖推進部研究指導課 中村課長補佐、天野係員
水産庁 増殖推進部 栽培養殖課 監物係長、伊藤係員
水産庁漁港漁場整備部計画課 中村計画官、松﨑課長補佐、藤濱係長、山内係員
国土交通省水管理・国土保全局河川環境課 阿河課長補佐、木村係長
国土交通省港湾局海洋・環境課 三谷課長補佐、末廣係長
国土交通省九州地方整備局河川部 佐藤広域水管理官、原田河川環境課長、古川建設専門官
(事務局)
環境省水・大気環境局海洋環境課長、海洋環境課海域環境管理室海域環境対策推進官、海洋環境課海域環境管理室室長補佐、海洋環境課海洋プラスチック汚染対策室室長補佐
議事録
午後1時30分 開会
○工藤海域環境管理室海域環境対策推進官 それでは定刻となりましたので、ただいまから有明海・八代海等総合調査評価委員会第14回海域環境再生方策検討作業小委員会を開会いたします。なお、第14回水産資源再生方策検討作業小委員会につきましては、先週2日に開催をいたしました。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席をいただきありがとうございます。また、本日の委員会は、会場とウェブ会議、両方での開催とさせていただいております。ウェブ会議で御参加いただいております委員の皆様については、会議中、音声が聞き取りにくい等、不具合がございましたら、事務局までお電話、またはウェブ会議のシステムのチャット機能にてお知らせをお願いできればと思います。また、議事中、マイク機能は会場及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。なお、ウェブ会議で御発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと挙手した状態になりますので、御発言の意志はこのマークで確認いたします。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき、御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるように操作をお願いいたします。挙手アイコンは事務局でオン・オフを操作できないため、御協力をよろしくお願いします。通信状況や御発言者様の声質によって、不明瞭な箇所が出てくる可能性がございますので、御発言の前にはお名前をおっしゃっていただいて、少しゆっくりめで、大きめに御発言をいただければ幸いです。また、会場で御参加いただいている皆様におかれましては、マイク真ん中のオン・オフのスイッチにお手を触れないようにお願いをいたします。本委員会は公開の会議となっておりまして、環境省海洋環境課公式動画チャンネルライブで配信を行っております。次に、出席状況等についてでございます。まず、委員の改選につきまして、令和6年6月付で一部委員の改選がございました。資料1を御覧いただければと思います。本小委員会の委員名簿ですが、改選の結果、清水専門委員、仲専門委員、脇田専門委員が新たに海域小委員会に加わられました。また、本日の出席状況についてですが、御欠席の御連絡を山室委員、青木委員、仲委員、古川委員よりいただいております。委員17名中13名が御出席いただいておりますので、本会議の定足数を満たしていることを御報告いたします。また、本日は、オブザーバーとして評価委員会から清本委員と山西委員、水産小委から森野委員、山口啓子委員に御参加いただいております。オブザーバー参加の委員の方におかれましては、御質問や御意見がある場合には、発言を求められてから挙手をお願いできればと思います。なお、本日は、関係省庁の方にも御出席をいただいております。まず、農林水産省農村振興局農地資源課の佐田課長補佐でございます。
○佐田農地資源課課長補佐 農林水産省の佐田です。よろしくお願いします。
○工藤海域環境管理室海域環境対策推進官 続きまして、国土交通省水管理・国土保全局河川環境課の阿河課長補佐でございます。
○阿河河川環境課課長補佐 阿河でございます。よろしくお願いします。
○工藤海域環境管理室海域環境対策推進官 また、国土交通省港湾局海洋・環境課の三谷課長補佐でございます。
○三谷海洋・環境課課長補佐 三谷でございます。よろしくお願いします。
○工藤海域環境管理室海域環境対策推進官 ほかにも、水産庁及び国土交通省の御担当の方にもオンラインなどで御出席をいただいているところです。また、事務局の御紹介もさせていただきます。海域環境管理室長として7月1日付で水谷が着任をしております。本日は所用のため、後半よりオンラインにて参加をさせていただく予定です。また、私が海域環境対策推進官の工藤と申します。その右隣に室長補佐の川田、主査の小原でございます。よろしくお願いいたします。続きまして、資料についてです。事前に、皆様には電子データ等で御案内をしておりますが、議事次第に記載の一覧のとおりでございます。資料に不足や不備がございましたら事務局までお知らせいただければと思います。それでは、これより議題に入りたいと思います。以降の進行につきましては、矢野委員長、よろしくお願いいたします。
○矢野委員長 委員長の矢野でございます。限られた時間の中で、円滑な議事の進行に御協力をお願いいたします。早速ですけど、議事を始めさせていただきます。本日の議題は、生物の生育環境、有用二枚貝、ベントスに関する情報収集等となります。それではまず、議題1のうち、資料2-1の「土砂に関する知見の蓄積」に関する報告について、国土交通省九州地方整備局より御説明をお願いいたします。
○原田河川環境課長 九州地方整備局河川部河川環境課、原田と申します。「土砂に関する知見の蓄積」に関する報告について、御説明させていただきます。1ページをお願いいたします。調査の背景と経緯について整理させていただいております。有明海及び八代海の再生に関する基本方針において、河川における土砂の適正な管理に基づき、土砂移動の状況等を必要に応じて把握するとされております。平成18年の有明海・八代海総合調査委員会報告においては、「底質の泥化」の要因の一つとして「河川を通じた陸域からの土砂供給の減少」が指摘されており、河川に蓄積、堆積と呼んでおりますが、堆積する土砂の量と質、海域に流入する土砂の量と質を把握するための調査検討を行い、平成24年に調査結果概要として次の3点を報告しております。1番目に筑後大堰の通過土砂量が年間約13万m3と推計したこと。二番目として、筑後川下流域の土砂の分布、移動を確認したということ。3番目としまして、筑後川下流域の河床変動解析により、平成21年に年間10万m3を超える土砂が流出したと推計したということになります。
次のページをお願いいたします。先ほど御説明しましたが、筑後川の模式図にその数値を示したものになります。
次、お願いいたします。ここにおきましては、今回の調査の目的と概要について整理しております。筑後川流域におきましては、平成24年、平成29年、九州北部豪雨等の豪雨が頻発しております。河川内のことを河道と呼んでおりますが、土砂堆積や土砂移動について調査を実施いたしまして、土砂の適正な管理を図るものとしております。調査の項目と概要については以下のとおりでございまして、特に土砂災害による被害が大きかった筑後川中流域の赤谷川における土砂流出状況、それから近年の豪雨災害後の筑後川の河川の状況、そして筑後川下流域での洪水時の土砂移動について調査を実施しております。
次、お願いいたします。平成に入ってからの筑後川における洪水の概要になります。右の図に地図、小さくて恐縮ですが、筑後川流域図をつけさせていただいております。赤い三角印のところが福岡県久留米市にあります瀬の下地点ですが、ここに着目しまして、左側に、年最大流量をグラフ化したものを左側に棒グラフで整理しております。縦軸が流量となります。赤い横の点線が、平成元年から令和4年までの年最大流量を平均した流量となっております。経年的な変化を見ますと、平成24年が大きく、その後、平成29年以降は毎年のように大きな洪水が発生していることが分かります。参考に、右側のほうに平成24年、平成29年、令和2年の筑後川の状況写真をつけさせていただいております。
次、お願いいたします。大規模災害の発生状況についてです。平成24年7月の九州北部豪雨では、大分県日田市において複数の堤防決壊や越水等が発生し、大規模な家屋浸水被害が発生いたしました。また、筑後川中流域では山地部の崩壊も多数発生し、崖崩れによる人的被害も発生しております。平成29年7月の九州北部豪雨では、筑後川中流右岸域を中心に、浸水と合わせて、大量の土砂や流木の発生・流下により、甚大な人的被害や家屋被害が発生いたしました。右下に、福岡県朝倉市にある赤谷川、白木谷川の被害状況写真をつけさせていただいております。
次、お願いいたします。平成29年以降の崩壊土砂の流出状況について整理しております。赤谷川では、崩壊土砂のモニタリング調査を行っております。右の図は、令和元年から令和2年の、航空レーザー測量の差分により、土砂が移動したであろう範囲を想定したものを地図上にオレンジ色で整理したものでございます。広範囲にわたっているのが分かるかと思います。また、定点の撮影ポイントの写真を見ましても、崩壊土砂が流出していると推察しております。
次、お願いいたします。主要ダムの堆砂状況について整理しております。左中央に、筑後川流域の地図と主要ダムの位置図をつけさせていただいております。筑後川中流右岸に位置する寺内ダム、記号で言いますと③ですが、平成29年の堆砂が大きいことが分かります。ほかのダムにおいては、大きな変化は見られない状況でございます。
次、お願いいたします。平成24年以降の河川の状況として、平均河床高の変化を整理しております。左側に平均河床高の縦断図をつけさせていただいております。下の数値は河口からの距離を示しております。また、平成29年7月豪雨で、土砂の発生や流下が多かった区間についても青印で旗揚げさせていただいております。右側の棒グラフは、平均河床高の変動量を比較・整理しておりまして、プラス側が堆積、マイナス側が洗掘を表しております。1のグラフで、平成24年測量データと平成30年の測量データの差分を見ますと、佐田川から上流区間で平均河床高が上昇し、堆積傾向であることが分かります。2のグラフで、平成30年と令和2年の測量データの差分を見ますと、上段の変動量の結果と見比べると、佐田川上流側は洗掘傾向となっておりますが、下流側においては堆積傾向にあるため、土砂が下流へ移動したと推察しております。3のグラフは、平成24年の測量データと令和2年の測量データの差分です。全体的に河床が上昇している、堆積していることが分かります。
次をお願いいたします。続きまして、最深河床高の変化です。同じように、左側に最深河床高の縦断図をつけさせていただいております。右側のほうを御覧ください。1のグラフで、平成24年の測量データと平成30年の測量データの差分を見ますと、最深河床高が堆積していることが分かります。2のグラフで、平成30年と令和2年の測量データを比較しますと、堆積と洗掘が著しく変化しているところではございますが、佐田川下流側の河床が堆積している範囲が増えております。3のグラフで、平成24年測量データと令和2年の測量データを比較しておりますが、河床高が堆積している範囲が増えている傾向にあることが分かります。
次、お願いいたします。次は、河川の横断形状の変化です。左側に、小さくて恐縮ですが、筑後川流域図を掲載しております。堆積と洗掘が特徴的な3地点をピックアップさせていただいております。右側に横断図を掲載しておりまして、図の赤色の線が平成24年のもの、それから紫色の線が平成30年、令和2年が橙色の線に測量した横断形状を重ねて整理しております。下流側①39km付近は堆積傾向にあります。②の46km及び③の52km600付近の横断図につきましては、平成30年は堆積し、令和2年は洗掘に変化したことが分かります。
次、お願いいたします。筑後川中流部の航空写真から見た河川状況の変化です。46km付近、右側のほうになりますが、砂州が消失していることが確認できます。下流側の砂州の位置に明確な変化は確認できておりません。
次、お願いいたします。先ほどの上流側の航空写真になります。堆積土砂の掘削工事を行っている箇所がございますが、砂州の位置や形状の変化は確認されません。また、瀬や淵などの著しい変化も特段生じていないように見えます。
次、お願いいたします。続きまして、河床材料の変化でございます。上段のグラフは、先ほども御説明しました平均河床高の変動量を整理したものになっております。佐田川より上流側においては、河床材料の代表粒径にばらつきが大きい傾向にあります。佐田川から下流を見ますと、堆積箇所の河床材料が小さくなっている箇所もあり、砂の粒径が1mm前後の砂となっております。
次、お願いいたします。感潮区間においての情報でございます。河口から23kmの位置に筑後大堰がありまして、ここまでは感潮区間となっております。筑後川の特徴といたしまして、潮汐や洪水による影響により、ガタ土の堆積・移動があり、河床が洗掘・堆積を繰り返しております。特に、17km付近にある坂口床固から河口10kmまでの区間が顕著に表れております。
次、お願いいたします。筑後川下流域の土砂動態について整理しております。令和5年に実施しました河口から4km付近の河床に砂が分布している場所におきまして、中央に横断図をつけておりますけども、出水前後の変化図を見ますと、デレーケ導流堤に対しまして、左側が、河床が出水後洗掘されておりますが、出水後も河床に砂が分布しておりまして、洪水時には砂が下流に移動しているものと思われる結果が得られております。
次、お願いいたします。今年度の調査予定です。基本方針としましては、定期的な基礎調査を実施し、崩壊土砂の流出、河道内の土砂堆積と流下、生物環境への影響について継続的にモニタリングすることとしております。令和6年度につきましては、崩壊土砂の流出、河道内土砂量の精査・検討、近年の土砂流出増大による生物環境への変化の確認を行い、下流域の洪水前後の土砂動態調査を実施していきたいと考えております。
以上で報告を終わらせていただきます。
○矢野委員長 御説明ありがとうございます。ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。御質問等がありましたら、挙手ボタンでお願いします。速水委員、お願いいたします。
○速水専門委員 速水ですけれども、1点教えてください。筑後川の感潮域における河床高の変動が非常に大きいという御報告を受けましたが、土砂の輸送量について、上流からの分に関しては数字が出ていましたが、下流域、筑後川感潮域から河口を通って海に出ていく量というのは、量として把握されていますでしょうか。
○原田河川環境課長 九州地整、原田です。御質問ありがとうございます。今の感潮区間の土砂の量については、まだ観測はしておりません。以上でございます。
○速水専門委員 分かりました。大事な情報ですので、できれば今後の調査項目の中に入れていただけたらと思います。
○原田河川環境課長 ありがとうございます。
○矢野委員長 どうもありがとうございました。今の御指摘、非常に重要なところですので、ぜひ調査項目に加えていただけると幸いと思います。ほかにいかがでしょうか。ございませんでしょうか。
○横山専門委員 よろしいでしょうか。
○矢野委員長 どうぞ。
○横山専門委員 都立大の横山です。どうもありがとうございます。30kmぐらい、小森野の床固より上流に赤谷川とかの土砂が集積しつつあるのではないかというところで、大変興味深く拝見しました。恐らくそこの部分について、上流から徐々に下流に移動してきているのだろうなというのは、私もそのように考えているところです。その後、この筑後大堰から下流の動態が、なかなか分からないところが多いですが、ガタ土堆積区間なので何とも言えませんが、経年的にはまだ下がっていっているようなところがあって、緑色のラインが、特にガタ土の堆積が激しい区間というか、緑のラインが少しずつ低下していて、私も自分で、場所はこんなにたくさんではないですが、測ってみると、やはりどんどん低下していっているので、上流から来た土砂が、ここのガタ土の区間にたまっているということではなさそうで、どうもそのガタ土堆積区間と言われている10kmから18kmぐらいの河床が削れることで、この図面の左側のマイナス1kmから3kmぐらい、逆に上昇していっているので、海に出ていっている砂が、果たして上流から供給された土砂かどうかというのは分からないなと思っておりまして、現時点では、感潮区間の10kmから17kmぐらいの砂が削れて、それで自分の身を削りながら沖合に流れていっているのではないかと。九州北部豪雨災害の土砂は30km付近まで到達しているけども、まだ感潮区間には到達していなくて、感潮区間自身は、最近の大きな流量によって、自分の身を削って海域に土砂を供給していると、こんなシナリオかなというように見ました。計算等は何もしていなくて、図面から見た印象ですので、はっきりしたことは言えませんが、海に砂が出ているのは恐らく確からしいと思いますが、それが上流とリンクしているかというと、まだそこまでは断言できないのかなという印象です。ありがとうございます。
○矢野委員長 今のは、コメントに近いものかと思いますが、何かございますか。
○原田河川環境課長 ありがとうございます。先生御指摘のとおりではないかと我々も思っているところです。かなりの量が下流に流れていっているのは間違いないけれども、それが本当に河口、この感潮域まで流れてきているのかというのは、ちょっとまだ分からない状況というのは、御指摘どおりかなと思います。
ただ一方で、マイナス1kmから4kmというのは河床が上がってきているという傾向がございますので、土砂が移動しているのは間違いがないかなと思っております。ありがとうございます。
○矢野委員長 どうもありがとうございます。今の議論も非常に大事なところだと思いますの、今後、九州地方整備局のほうで、そこら辺がクリアになるような調査を何かやっていただければ本当は一番いいかなと思います。横山先生はここら辺の御専門でもありますので、相談していただいて、バージョンアップしていただければなと思った次第です。ありがとうございます。
○横山専門委員 そうですね。災害の土砂が海まで行くというのは、土砂の観点から言えばプラスの面もありますので、30kmまで到達しているというのは、ある種喜ばしいところでもありますので、それが引き続き下流にどう移動していくかというのは注意深く見守っていけたらなと思いますので、ぜひ調査の継続をよろしくお願いいたします。
○矢野委員長 はい、どうもありがとうございました。
○原田河川環境課長 ありがとうございます。
○矢野委員長 ほか、いかがでしょうか。ないようでしたら、オブザーバーの先生方で、もし御発言がありましたら挙手いただきたいですが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、次の資料のほうに移ってまいります。後ほど、まとめて御意見を伺いたいと思いますが、資料2-2の「有明海・八代海における海洋環境整備事業」と、資料2-3の「海洋ごみの回収、処理等に関する支援」について、続けて御発表ください。では、まず資料2-2について、国交省港湾局より御説明をお願いいたします。
○三谷海洋・環境課課長補佐 それでは、国交省港湾局海洋・環境課から御説明させていただきます。1ページを御覧ください。海洋環境整備船による漂流ごみや油の回収ということで、航行船舶の安全を確保するためにというのと、海域環境保全を図るため、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、有明・八代海の閉鎖性海域において、12隻の海洋環境整備船を配備してございます。それで、海面に漂流する流木等のごみの回収だったり、また船舶等の事故による油流出にも対応してございます。
左上の図のほうが、船の配備の状況と、南部海域、閉鎖性海域のところをお示ししております。
右の写真のほうが、漂流ごみ回収の状況でございます。
左の下の段になりまして、こちらは浮遊油の回収状況でございます。
右の下の段につきましては、漂流ごみの回収状況ということで、年度ごとの回収量を載せております。
2ページをお願いします。海洋環境整備船による漂流ごみの回収ということで、各船の回収状況を記載してございます。詳細は、また御覧いただければと思います。
3ページをお願いします。今度は、有明海・八代海の海洋環境整備事業について御説明します。有明海・八代海・橘湾を管轄区域に海洋環境整備船の「海輝」と「海煌」の2隻を配備して、海上の漂流ごみの回収及び水質・底質調査、潮流観測等の調査を実施しております。
管轄区域図は図に示すとおりでございます。
右側は「海輝」と「海煌」の漂流ごみの回収状況だったり、水質・底質調査の状況を示しております。
4ページを御覧ください。漂流ごみ回収作業の概要ということでございます。「海輝」と「海煌」は、「スキッパー」というものを装備してございます。これでごみをすくい上げて回収するというものです。また、「多関節クレーン」を用いて流木などをつかみ取るというようなところでございます。
右下のほう、漂流ごみの回収実績をお示ししております。平成30年、令和元年のほうを四角囲みしてございますが、年間の大体約1,400m3ぐらいの回収量のうち、7月から9月という時期に1,100とか、それぐらい、1,100から1,200ということで、ほとんどの量が、この夏場の時期に出ているということでございます。
5ページを御覧ください。こちらは海域別の漂流ごみの回収状況をお示ししてございます。詳細はこちらにお示ししているとおりでございます。
6ページをお願いします。令和2年7月豪雨における流木回収の概要ということでございます。7月3日から4日の2日間の雨量が、7月平均雨量に匹敵するような豪雨となりました。主に八代海において、流木をはじめとした大量の漂流物及び漂着物が確認されたということで、海洋環境整備船の「海輝」「海煌」及び災害協定団体の作業船など、最大10隻体制で7月31日までごみの回収を行ったというところで、その漂流ごみの漂流状況だったり、一番右の三つの写真は、それぞれの船での回収状況の写真でございます。
7ページをお願いします。環境調査の実施概要でございます。海洋環境整備船は様々な機械を有しておりまして、これらを使って環境調査を実施してございます。調査は主に三つしてございまして、水塊構造調査ということで、水温・塩分等の水質の鉛直断面特性から水塊構造の季節変化や経年変化を把握するというもの。それから、底質・底生生物調査ということで、底質・底生生物の分布及び経年変化を把握するというもの。それから、八代海定点連続水質調査ということで、水質の時間的変動を把握するというような調査でございます。調査内容、時期は記載のとおりでございます。
水塊構造調査、底質・底生生物調査、八代海定点連続水質調査というのは、調査地点が決まってございまして、こちら、下の段に示しているとおりでございます。
8ページをお願いします。調査結果でございます。水塊構造調査結果ということで、水温と塩分をお示ししてございます。令和4年8月の調査では、湾奥から湾央の広い範囲で上層が高水温、低塩分となる成層構造が確認され、これらの傾向は過年度と同様でございました。
9ページをお願いします。水塊構造調査結果でございます。有明海のクロロフィルaは、令和4年8月中旬においては湾奥から湾央の表層付近で高い値が確認された。八代海においても、令和4年8月中旬に八代中央ライン湾央を中心としてやや高い値が認められたという状況でございます。
10ページをお願いします。続きまして、溶存酸素量でございます。同様に、令和4年8月ですが、有明中央ラインの湾奥から湾央の下層を中心として酸素濃度がやや低い状態が確認されてございます。八代中央ラインのほうも同じように、やや低い値が見られてございます。有明海・八代海とも、夏季を中心に水温の上昇、河川流量の増加等により成層度が高くなり、下層のDOの低下が認められてございます。これらの傾向は過年度と同様でございました。
11ページをお願いします。今度は 植物・動物プランクトンの調査結果でございます。細胞数の分布状況は調査時ごとに異なる傾向が見られたというようなことでございます。分類群には有明海では渦鞭毛藻綱が見られたが、令和4年11月には珪藻綱が多くなっていたという状況です。八代海では、8月、11月共に湾奥部で珪藻が多く見られたということです。動物プランクトンにつきましては、有明海では、令和4年8月、概ね湾奥部で多く、湾口部で少ない傾向でした。八代海では、個体数、種類数共に顕著な分布の傾向は見られなかったという状況です。あと、総じて甲殻類の占める割合が多かったという結果でございます。
12ページをお願いします。こちら、有明海では湾奥一部の地点(No.4)において過去、シルト・粘土分の割合に大きな変動が見られ、現在もシルト分の割合の高い状態が続いてございます。
13ページをお願いします。八代海定点連続水質調査結果でございます。こちらにつきましては、水質鉛直分布の経時変化に特に大きな特徴は見られなかったというような調査結果でございます。報告のほうは以上になります。
○矢野委員長 ありがとうございます。次に、資料2-3について、環境省より御説明をお願いします。
○小原海域環境管理室主査 環境省の小原と申します。私のほうから、資料2-3、海洋ごみの回収、処理等に関する支援について御説明させていただきます。初めに、環境省が実施しております海岸漂着物等地域対策推進事業について御説明します。まず、海洋ごみの及ぼす様々な影響ということで、左上に書いておりますように、毎年多くのごみが生物の生息環境を含めた日本の沿岸域に漂着してございまして、海岸漂着ごみなどの、いわゆる海洋ごみによる海岸機能の低下でありますとか、あるいは生態系を含めた環境・景観の悪化、さらに船舶の安全航行の妨げであったり、漁業の被害などが懸念されております。また、この海洋ごみにつきましては、国内外問わず様々な地域から漂着するため、漂着地のみの対応では解決が困難であることから、地方公共団体が実施する海洋ごみの回収・処理、発生抑制対策に関する事業等に対しまして、海岸漂着物処理推進法第29条に基づきまして、補助金による支援を実施しております。補助金交付等の流れにつきましては、左下の図のとおりですが、補助率につきましては、有明海・八代海等に関しましては、通常10分の7のところ、有八特措法指定地域につきましては10分の8にかさ上げが実施されているところでございまして、さらに地方負担額に対しまして80%を特別交付税措置しております。そのため、地元自治体の負担といいますのは、実質全体の4%となってございます。こちらが有明海・八代海における活用状況ということでスライドにまとめてございます。有明海・八代海等におきましても、本事業を活用して毎年多くの海洋ごみを継続的に回収・処理することで、海岸機能の低下等の防止が図られております。特に大雨の直後等には多くの流木、漂着ごみなどが確認される状況にございますが、これらの回収・処理等にも活用されております。下に、有明海・八代海における海洋ごみの回収量の推移を棒グラフで示してございますが、直近の2023年度におきましては、この補助金を活用して、有明海で約516t、八代海で約285tの海洋ごみの回収・処理が行われております。なお、最も回収が多かった2020年度、グラフの中央付近にありますが、九州地域で発生した記録的な大雨による影響等があった年度でございまして、約2,700tの海洋ごみの回収・処理が行われております。
残りのスライドにつきましては、海洋ごみの回収が行われた現場の状況を示した写真を掲載してございます。多くは左側の写真のとおり、民間業者による回収が行われている状況ですが、一部は右側の写真のとおり、ボランティア活動で回収される事業もございます。こちらも、ボランティアによる清掃活動の写真でございます。環境省からの御報告を終わらせていただきます。
○矢野委員長 どうもありがとうございます。
ただいま御説明がありました二つの資料の内容について、御意見、御質問等がございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○矢野委員長 東委員、よろしくお願いします。
○東専門委員 資料2-2、国土交通省港湾局様の御説明について、7枚目の環境調査、この表を見る限りでは、もうすでに20年ぐらいデータが集まっているような状況だと思いますが、これの長期変動等の統計的な解析など、そういう取り纏めはやられておりますでしょうかということが1点。あと、このデータについては誰でも入手可能とか、公開されているという状況でしょうか。その2点について質問させてください。お願いします。
○三谷海洋・環境課課長補佐 ありがとうございます。今、御質問いただきました両方とも、長期分析については、私は見たことはないのですが、一応、確認をさせていただけたらと思います。もしかしたら事務所なりでやっているかもしれませんので、確認させてください。ただ、見たことはないなというところで、やっていない可能性も高いかなと思います。
このデータが誰でも見られるのかというのは、これも、申し訳ないですが、現場のほうに確認させていただけたらなと思います。よろしくお願いします。
○東専門委員 大変貴重なデータだと思います。対策などの検討に非常に有益だと思っておりますので、ぜひ解析や研究者への公開とかも御検討いただければと思います。
○三谷海洋・環境課課長補佐 はい、分かりました。
○矢野委員長 どうもありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。ないようでしたら、私から質問させていただきたいのですが、今の資料2-2の5ページですね。ここに橘湾の数値が書いてあって、全てゼロとなっているのですが、この意味を教えていただきたいです。これは、有明海の中に流出してきたものは有明海の中でほぼ全て回収されているのでゼロという意味なのか、橘湾は半分外海みたいな状況なので、例えば漁船等による目撃情報みたいなものがあったとしても、それを回収できなくて、実際は有明海から流出してきているにもかかわらず、回収はできていないというような意味なのか、何かその辺り、もし情報があれば教えてください。
○三谷海洋・環境課課長補佐 橘湾につきましては、こちらも現地のほうに一度確認させていただけたらと思います。
○矢野委員長 はい、分かりました。少々細かい質問でしたので恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
ほか、いかがでしょうか。ないようでしたら、オブザーバーの委員の方からも御質問、御意見等をお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。ございませんか。
○矢野委員長 では、私から、もう一つの資料の2-3のほうについて少しお伺いしたいんですが、ここで、例えば2ページにあった海洋ごみの回収というのは、これは海岸線で、さっきの、この後にあるようなボランティアですとか重機を使ったような回収作業によって回収された量の総量で、浮遊しているものは入っていないという理解でいいのかということと、実際、どの河川から入ってきているのか。八代海は、基本的には球磨川が一番大きい川で、ほかは小さいので、量的には球磨川が支配的だとは思うのですが、有明海に関しても、筑後川が一番大きいので筑後川が支配的とは思うのですが、ほかもそこそこの一級水系がありますので、何かそこら辺の情報というのは、恐らく分からないのかなとは思うのですが、もし何か見解とかがあれば教えてください。
○小原海域環境管理室主査 ありがとうございます。海洋プラスチック汚染対策室の竹田様、つながっていますでしょうか。その辺り、御意見をいただければと思います。
○竹田海洋プラスチック汚染対策室室長補佐 はい。環境省の海洋環境課の竹田でございます。お世話になっております。今、1点目の質問ですが、海岸漂着物の数量が浮遊物も含まれているかという話につきましては、我々のほうの補助事業は、海岸漂着物等ということで海岸漂着物と漂流ごみ、海底ごみについて行っておりまして、それらの総量の合計であると認識しておりますが、細かな、その内訳として、どういうものかというのは今、現段階では持っているところではございません。また、どの河川からというのは、今、手元にデータとしてあるものはございませんので、これについても、県とも確認してみたいと思っております。以上です。
○矢野委員長 どうもありがとうございました。最近、例えば福岡県なんかは二級水系で流出ごみの観測とかもやられているようですので、何かほかの県で、もしそういったものもあれば、ある程度、それは二級水系の話なので大きい川は入っていないですが、これをいかに防ぐかという観点からすると、ソースがどこにあるのかを押さえておくべきことにはなろうかと思いますので、なかなか調査するのは難しいとは思いますが、御検討いただけたらありがたいなと感じました。ありがとうございます。
○竹田海洋プラスチック汚染対策室室長補佐 ありがとうございます。
○矢野委員長 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、ないようですので、次の議題に移ってまいります。次は議題2、有用二枚貝に関わる情報収集について、資料3のタイラギの生息状況と海域環境項目の変動状況等との関連性の御説明を環境省よりお願いいたします。
○川田海域環境管理室室長補佐 資料3を御覧ください。タイラギの生息状況と海域環境項目の変動状況等との関連性につきまして、御説明いたします。
では、3ページをお願いいたします。第12回小委員会にて決定いたしました小委員会の今後の情報収集等の具体的内容にて、有用二枚貝については、海域小委員会では、この下の赤文字で書いておりますが、①海域区分ごとのタイラギが減少・へい死した事例情報とその際の海域環境データとその関連性、そして②タイラギ着底後の生息環境評価について情報収集することとされております。今回の報告では、この二つについて御報告いたします。
次に、4ページをお願いいたします。こちらの表は、先ほど①の海域区分ごとのタイラギが減少・へい死した事例情報と、その際の海域環境データとその関連性について、関係県、そして関係省庁による調査報告書から整理した内容となっております。なお、こちらの表は、この資料の本体の16ページ以降に参考資料として添付しております整理資料をさらに要約したものとなっております。また後ほど、その16ページ以降、また御確認いただければと思います。この整理内容から、タイラギの減少等、海域環境の関連性については複合的な影響が多く、また、佐賀県が1975年から実施しているタイラギ資源の調査の結果では、資源は一様に減少していないことから、こちらの下のほうに赤文字で書いておりますが、複合的な環境を評価できる生息環境適正指数(HSI)による評価手法を検討いたしました。
次、5ページをお願いいたします。こちらのスライドは、生息環境適正指数、このHSIについて説明したものとなっておりますが、このHSIは対象生物の調査対象範囲のHabitatの状態を示し、対象生物にとって全く不適切な条件のときにはゼロを、最適な条件のときには1と定量的に評価いたします。このHSIは、対象生物の生息環境を規定する個々の環境要因SIモデルから算出されることとなります。今回の報告では、このHSIを検討するに当たり、佐賀県が1975年から実施しているタイラギ資源の調査結果等を使用して、タイラギ成貝、稚貝に係る各要因のSIモデルから、令和8年度報告に向けた今後の課題を整理するものです。
次のページをお願いいたします。こちらは、この検討に用いたデータとなります。先ほど申し上げた佐賀県の調査結果から、タイラギ、成貝、稚貝のそれぞれの個体数、タイラギ調査と同時に行われた底質の泥分率、中央粒径、酸揮発性硫化物、強熱減量と、数値シミュレーションから算出した各タイラギ調査地点の最下層の平均流速を用いて検討いたしました。
次のページをお願いいたします。上の表は、成貝、稚貝別の各項目の統計量となっております。これは、調査年によっては調査されていない項目もございましたので、項目によってデータの個数が異なっている状態でございます。下の表では、調査で確認されたタイラギ個体数とデータの個数の関係を示したものとなっております。水色の枠の中に記載しておりますが、成貝、稚貝共にほぼ全地点で個体数200個以下となっております。データ解析の関係から、本検討では、このデータ個数の99%を占める200個体以下の地区のデータを使用して解析をいたしました。
次のページをお願いいたします。こちらは成貝、稚貝ごとに各項目の相関関係を見たものですが、底質項目、物理的項目と化学的項目については強い相関が認められたものの、成貝、稚貝と各項目には相関は見られませんでした。このことから、成貝、稚貝の生息環境は底質の一つの項目で規定されていないということが言えます。
次のページをお願いいたします。タイラギと生息環境との関係については、これまでに泥分率、中央粒径、強熱減量等との関係に係る報告が福岡県にて出されております。例えば、この上のほうの泥分率ですと30%未満が生息環境として適しており、30%から50%では生息可能、50%以上だと適していないということが報告されております。
次のページをお願いいたします。こちらは佐賀県のデータを基に、泥分率、中央粒径、それぞれに対応した分布状況を示したグラフです。この背景の色ですが、先ほどの福岡県の報告による好適・不適等の色を参考情報として入れております。水色が適している、黄色が生息可能、赤が適していないということが、先ほどの福岡県からの報告から出ていた結果でございました。このグラフでは、タイラギ成貝、稚貝共に、この福岡県の報告のときには適していないと報告された範囲に個体数のピークや分布というものが見られております。
次のページをお願いいたします。こちらは酸揮発性硫化物(AVS)、強熱減量(IL)、そして最下層平均流速について分布を見たものです。AVSですと、高濃度になるに従い成貝、稚貝共に個体数が減少しております。そしてILでは、先ほどの福岡県の報告とは分布範囲が異なるものの、ある一定の範囲内に収まる結果となっております。
このことは、この緑の枠のところでも記載しておりますが、毒性物質であるAVSと餌料環境であるILは指標となり得ることを支持する結果が得られたものと考えております。
次、12ページでございます。こちらは先ほどの結果をSIモデル化したものでございます。グラフの中の枠線内はモデルによる生息可能範囲を示したものとなりますが、特に成貝においては、ほとんどの範囲が生息可能となり、今回用いたデータでは、泥分率と中央粒径についてはSIモデルの有効性が低いことが示唆されました。
次、13ページでございます。こちらは、やはり酸揮発性硫化物(AVS)と強熱減量(IL)、最下層平均流速についてSIモデルで生息可能範囲を見たものですが、先ほどの泥分率、中央粒径と異なり、生息可能範囲が成貝、稚貝共にある一定範囲にあり、成貝、稚貝共に概ね同じ最適範囲となっております。
次、14ページでございます。以上から、今回検討した底質の泥分率、中央粒径は生息環境の適正指数として有効性が低く、AVSやILは有効性が高いことが示されました。
一方で、こちらの下側のほうに記載してございますが、タイラギにとって底質の物理的項目は、姿勢保持材の観点から、例えば海底地盤の強度など、硬さの指標として必要だと推定されます。
最後にまとめでございます。HSIを構成するためのSIモデルにつきましては、今回検討した底質の泥分率、中央粒径は生息環境の指標として有効性が低い一方で、AVSやILは有効性が高いことが示唆されました。このことを踏まえ、底質の物理的項目を姿勢保持の指標となり得る項目や底層の水質等の新規項目を含めた追加データの解析を検討いたしたいと思っております。このHSIにつきましては、今後、各SIモデルを確定させ、タイラギ実測個体数との比較や平面図への整理によって再現性等を確認いたします。また、複数の方法で試算したHSIの妥当性を、各地点の海域特性をクラスター分析等で整理し、どの項目が有効か検討いたします。
そして、最終的には、確定したHSIに基づき、最もタイラギの個体数変動に影響を与える項目を検討することで、再生方策の効果を提示できるようにいたしたいと考えております。令和8年度報告までの検討内容といたしましては、HSI等を活用したタイラギの減少等の要因解析及び再生に資する方策等の検討を行います。また、底質の物理的項目として、新たな項目の必要性について検討を進めたいと考えております。御報告は以上です。
○矢野委員長 どうもありがとうございました。ただいま環境省から御説明がありました資料3について、御意見、御質問等を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○矢野委員長 東委員、お願いします。
○東専門委員 ありがとうございます。まず、図の見方の確認ですが、10ページ、11ページとか12ページ、こちらのバックグラウンドの、水色、黄色、赤というのは、過去の分析時に得られたもので、今回の結果には必ずしも当てはまらないということを示したということですか。
○川田海域環境管理室室長補佐 そうです。参考として別の分析結果を示したものです。
○東専門委員 ある程度は説明にありましたが、値が近いところというか、何か区間内にピークがあると、SIとしては適しているという見方、何か使えそうだというような見方で相違ありませんでしょうか。
○川田海域環境管理室室長補佐 はい、さようでございます。
○東専門委員 そういう意味で、AVSとかILというのは、区間内にピークがあるので、これがSIとしては適しているということですか。
○川田海域環境管理室室長補佐 はい。
○東専門委員 分かりました。これを見ると、AVSが少ないということは酸素がある程度はあって、ILは有機物、餌となるものがあると解釈されると思います。唯一気になったのは、底質のスライド14のところです。泥分率とあまり関係はなく、中央粒径とも、有効性はないというところで、下に書かれているように、石か礫かがあればよいということでしょうか。
○川田海域環境管理室室長補佐 少なくともタイラギの姿勢保持の観点から、例えば海底の硬さ等が関係はしてくるだろうと考えております。
○東専門委員 今までの底質の分析だと対応できない、何かそういう礫の存在とかをきちんと調べないといけないということですか。
○川田海域環境管理室室長補佐 はい。
○東専門委員 分かりました。ありがとうございました。
○矢野委員長 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。速水委員と金谷委員から手が挙がっていますので、速水委員、金谷委員の順番でお願いします。速水委員、お願いします。
○速水専門委員 佐賀大の速水ですが、非常に興味深い解析の結果、ありがとうございました。ILが、これが餌料環境を表すんじゃないかということを書かれていたんですけども、その理由を教えてください。
○川田海域環境管理室室長補佐 懸濁の中に餌料が含まれるのではないかというところで、必ずしも全くイコールにならないかもしれないですが、餌料環境に近いものであろうということで、このような表現といたしました。
○速水専門委員 ILは、基本的には底泥中の有機物の指標で、それでタイラギが餌料にしているのは、これは水中の懸濁物質ですから必ずしもイコールにならないのと、ILとAVSの相関が非常に高いですよね。相関係数が0.7程度出ているので、ILイコール餌料環境としてしまうことには疑問があるのですけれども。
○川田海域環境管理室室長補佐 ありがとうございます。表現につきまして見直したいと思います。
○速水専門委員 はい。以上です。
○矢野委員長 どうもありがとうございました。次、金谷委員、お願いいたします。
○金谷専門委員 金谷です。速水先生の御質問、御意見とかなり同じことではあるのですけど、私もILは底質の有機汚濁の指標と捉えていて、ですので、ILが増える場所ではAVSが増えて、恐らく有機汚濁があるレンジを超えた瞬間にAVSがたくさん出てきて、それで貝が死ぬということにつながっているのかなと思いますので、「餌料環境」という表現を使うと誤解があるかなと思いました。それで、もう一つ興味深いと思ったのは、普通、粒度組成とILとか、泥分とAVS含量とかというのは、通常の海域だとかなりいい正の相関が出たりして、有明海で解析したら泥分とか中央粒径ではあまり説明できなくて、それらと相関しているはずのAVSとILで説明できてしまったというのが、何か非常に興味深いことなのかもしれないと思いました。それで、もう一つ、懸濁物食者の餌料環境を考えると、その餌が、懸濁物が薄くても流速がかかると単位時間当たりに取れる、供給される餌というのは海水の動きによって上がると思うので、潮汐なりなんなりの流れと粒径と有機物量とか貝の生残率とか、そういった関係性というのが、特に有明海のような潮汐の大きい場所では効いているのかもしれないなと思ったというコメントです。以上です。
○川田海域環境管理室室長補佐 ありがとうございます。今後の方向性として参考とさせていただければと思います。特に、先ほど速水委員からも御指摘がございましたILの表現につきまして気をつけたいと思います。
○矢野委員長 どうもありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。ないようでしたら、オブザーバーの委員の方も含めて御意見を頂戴できればと。山西委員、お願いします。
○山西委員 佐賀大の山西です。
スライドの5ページをお示しいただきたいのですが、HSIの定義の中でSIを使いましたけど、いわゆる選好曲線の話です。自分の経験からしますと、私自身はアゲマキで生息実験を行いましたが、多分、パラメータはそれだけ変えてほかの条件は変えずに、SIの選好曲線を作るんですよね。その後、HSIとして、そのSIの値、選好曲線の値を足し算にするのか、掛け算にしているのか、分かりませんけど、それぞれ独立のパラメータの結果を掛け算なり足し算なりしてHSIを算出するものだと思います。しかし、ここでお示しいただいたSIのグラフは、現場のデータを全部使われているので、恐らくそのSI中に、既にほかのパラメータが入ってきているから、HISを算出する際にダブルカウントというか、表に見えていないところも出てきてはないかなというのが気になりました。その辺り、いかがですか。
○川田海域環境管理室室長補佐 ありがとうございます。今後検討する上で、その辺も考慮、また参考とさせていただきながら進めていきたいと思います。ありがとうございます。
○山西委員 水産のところでいろんな何かデータがありましたよね。例えば塩分濃度がどのくらいのところが律速になっているだとか、泥温が例えばどのぐらいで律速になっているとか、ああいうデータとかを何かうまく反映できるようなパラメータの取り方も、ぜひ御検討いただいたほうがいいかなとは思いました。以上です。
○川田海域環境管理室室長補佐 ありがとうございます。
○矢野委員長 どうもありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。ないようでしたら、私から一つお伺いしたいのですが、最後の15ページの今後についてですが、今後の予定で「各SIモデルを確定させ」云々ということが書いてあるのですが、これはデータを増やすことで行うという意味だとは思うのですが、取りあえず令和8年度報告までという期間を限定すると、あと一、二年分のデータが使えるか使えないかというような状況なので、この「確定させ」というところが、かなり難しい部分かなという印象があるのですが、このHSIを使うこと以外にも何か少し工夫が必要なのではないかなという気がするのですが、その辺りについてはいかがでしょうか。
○川田海域環境管理室室長補佐 御指摘とおり令和8年までを考えますと、残り少ない期間となり、これから探して、うまく当てはめることができるようなデータが見つかれば、完成に近づけるかなと思っているのですが、足りないところはこれからデータを取っていかないといけないということになりますので、そうなったときに、令和8年度までは厳しいかという見込みでございます。
○矢野委員長 どうもありがとうございました。なかなか、データを新しく取るといっても期限の問題もありますし、過去のデータを探すというのもなかなか難しいと思いますし、この佐賀県のデータはかなり、ボリューム的には非常にたくさんあるという印象があるので、これ以上のものをそもそも探すのはなかなか難しいのかなという印象もあります。あとは、やはりあるデータで最大限できることは何かという意味での検討をするということも、もう一つあるのかなと思いましたので、検討いただければと思います。どうもありがとうございました。
○川田海域環境管理室室長補佐 ありがとうございます。
○矢野委員長 ほか、いかがでしょうか。ございませんでしょうか。会場もございませんかね。
どうもありがとうございました。それでは、次の議題に移りたいと思います。議題3です。ベントスに関する情報収集等について、資料4-1の海域区分図の活用について、農林水産省農村振興局より御説明をお願いいたします。
○佐田農地資源課課長補佐 農林水産省農村振興局です。よろしくお願いいたします。本日お話させていただく海域区分図の活用については、具体の事業の取組内容や結果の報告ではなく、データベースを用いた海域区分図の活用事例として、現在、有明4県と相談している内容を御紹介させていただきます。まだ検討段階でありますことをあらかじめ御了承ください。有明沿岸4県や九州農政局では、これまで有明海域において、例えば底質調査、覆砂、海底攪拌など様々な事業を行ってきました。今年度、4県協調として、これまでの取組状況を収集し、データベースに取りまとめ、過去の取組状況が分かるような位置図を作成し、今後の有明再生に向けた効率的な取組を行えないかということで考えているところです。
1ページ目を御覧ください。九州農政局では、有明沿岸4県が実施した底質調査結果を基に、平成20年度から底質特性別の海域区分図を作成しています。底質の区分は以下のとおりで、中央粒径や含泥率など8項目の底質特性を用いて、A砂、B泥混じり砂、C砂混じり泥、D泥の四つの区分に分類しているところです。
次のページを御覧ください。2ページ目の左側に、平成20年度に作成しました海域区分図、同じく右側に、5年後の平成25年度に作成しました時点を載せております。色分けしたAからDの四つの区分は、先ほど1ページ目で紹介した四つの分類になります。ここでは細かい分布状況には触れませんが、例えば左側、有明海の湾口部から中央部にかけては青色のAの区分となっておりますが、ここが砂分の区分となっていると見ていただければと思います。各県や農政局で行われた提出結果を基に、毎年度、海域区分図を更新しておりまして、2ページ目に平成20年度、平成25年度、次の3ページ目に、左側に令和元年、右側に令和5年と、5年ごとの区分図を4枚掲載させていただいております。3ページ目の右側の令和5年度の図と、2ページ目の左側の平成20年度を比べますと、調査地点が増えており、AからDの区分図の範囲が広がっているかと思いますが、この15年間で底質が大きく変わってはいないことが見てとれると思います。
続いて、4ページ目を御覧ください。ここからが、本日御紹介させていただきたい内容になります。今年度より、九州農政局と有明4県は、4県協調の取組として、データベースによる見える化の取組を行いまして、今後、効果的・効率的な調査に活用できないかというのを今、検討しているところであります。皆様御案内のとおり、GISソフトには様々なものがあります。例えばArcGIS、QGIS、Google Earthなどです。中でも、今回試験的に取り組んでいるのはQGISを用いた取組です。これは無償のフリーソフトで、県や国の機関でも広く普及・活用されておりまして、例えば農林水産省の統計データでも活用されているところです。また、ArcGISとも遜色のない機能を持っているというところも特徴としてあると考えます。基本的な共通フォーマットを、4県の担当者の皆さんがなじみのあるExcelシートで作成しまして、毎年、年度ごと、また調査項目とか調査地点などを入力してもらうこととしております。現時点では、写真の左側にありますように、例えば海底攪拌、覆砂事業、あとは底質調査やナルトビエイの捕獲調査など、年度や位置などのデータの入力を進めているところです。
最後に、5ページ目を御覧ください。データベースを用いて、海域区分図や、過去に底質改善、底質攪拌などを行った場所を見える化することで、今後の底質改善対策の工法や場所の検討をより効果的に行えるように、関係各県とも協力したいと考えているところです。例えば下にイメージ図を載せております。青、オレンジ、緑、ピンクは先ほど紹介しました海域区分図の四つの色分けで、黒の網かけが海底攪拌、黄色の網かけが覆砂をそれぞれ実施した場所を示しています。例えば左上のエリアです。有明湾奥部・西部辺りでは、ピンク色の泥のエリアで覆砂や海底攪拌を行った範囲が重なっているという様子が見えますでしょうか。役所の予算も限られており、その予算を有効活用するため、過去に蓄積されたデータを活用し、例えば来年度はどこどこで何の事業を行うかをより効果的に検討し、今後の取組をサポートできるように4県とも協力していきたいと考えているところです。まだ検討段階でありますので、今回のテーマでは、ここまでの紹介とさせていただきました。説明は以上です。ありがとうございます。
○矢野委員長 どうもありがとうございました。
ただいま農林水産省からご説明がありました内容について、御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。ございませんか。では、私から一つ伺いたいのですが、QGISというGISソフトウエア上でデータは全て管理されているということで、使いやすいフォーマットを使用していただいているようなので非常にすばらしいなと思ったのですが、これは公開する予定はあるのでしょうか。その4県と農政局だけの中のクローズした情報なのか、ある程度まとまった段階でオープン化する予定なのか、そこはいかがでしょうか。
○佐田農地資源課課長補佐 矢野先生、御質問ありがとうございます。データの取扱いについては、今、試験的に作成しているところで、現時点では決まっておりません。4県と相談していきたいと考えているところです。
○矢野委員長 ありがとうございます。かなり重要なデータだと思うので、研究者としても、この絵だけを見て解析に使うといってもなかなか触りにくいところもありますので、できればデジタル化された情報でオープンにしてもらえると、いろんな解析に使えることになるので、ぜひそちらの方向で検討いただければありがたいなと思いました。ありがとうございます。
○佐田農地資源課課長補佐 ありがとうございます。
○矢野委員長 はい。ほか、いかがでしょうか。特にないようでしたら、オブザーバーの委員の方も。
○矢野委員長 東委員、お願いします。
○東専門委員 東です。この分類方法ですが、1ページ目、いわゆる鉱物の土砂流出の粒径と、あと、いわゆる有機物含量がミックスしている状況で、この中で、例えば泥ではあるが有機物が少ない、きれいな泥というのはないのかというのが気になったところです。あと、もう一つ、こちらはコメントになりますが、2枚目、3枚目で見られている、底質にあまり変化がないというところ、確かにこの絵を見ると変化がないように見えるけれど、これと最初、今日の議題1であった底質の泥化が進んでいるというのが矛盾しているというか、あまり整合が取れてない状況なので、こちらはどういう状況なのか、その辺り、一度事務局で整理された方がよいと思いました。
○佐田農地資源課課長補佐 東委員、コメントありがとうございます。1点目、四つの区分の分類において、泥分だが有機物の量が違うという御質問があったかと思います。4県でかなり多くの調査をやっておりまして、一番共通しておりますのが含泥率でありましたので、今回この含泥率のパーセントで四つに分類させていただいているところです。その上で、有機物についても、このような特徴があるところは右側に書いたところです。主には、この、砂や砂混じり泥などの分類として見ていただければと思います。
○東専門委員 基本的に、左側だけということですね。
○佐田農地資源課課長補佐 はい、基本的には左側です。4県共通の項目としてクラスター分析をしたところです。
○東専門委員 分かりました。ありがとうございました。
続いてもう一件、これを水質のほうでもやるということはないのですか。
○佐田農地資源課課長補佐 これも4県との話合いになると思われることや、役所が自力で入力しているところですので、なかなかすぐにはできないことをお答えさせていただきます。
○東専門委員 ぜひ御検討ください。
○川田海域環境管理室室長補佐 コメントでいただいた議題間の整合性についてですが、令和6年度の小委員会では、現在の有明海・八代海の状況等ということで情報収集のほうをメインに進めさせていただきまして、今後、得た情報等を報告書に、どのように反映させていくかというところで整理いたしまして、その段階で、このような取りまとめ方ということで御相談させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○矢野委員長 どうもありがとうございました。では、改めまして、オブザーバーの委員の方も含めて、御意見、御質問等、もしございましたらよろしくお願いします。いかがでしょうか。ございませんでしょうか。よろしいですか。では、特にないようですので、ここまでとさせていただきます。どうもありがとうございます。それでは、次の資料に移りたいと思います。資料4-2の、ベントス群集と海域環境項目の変動状況との関連性について、環境省より御説明をお願いいたします。
○小原海域環境管理室主査 環境省の小原です。それでは、資料4-2、ベントス群集と海域環境項目の変動状況との関連性について、御報告させていただきたいと思います。
まず、目次です。4のまとめ以降、具体的にはスライド34以降につきましては、資料編として、今回の御説明では省略させていただきますが、実施した解析結果等についてはこちらに掲載してございますので、必要に応じて資料編についても御確認下さい。それでは早速、資料1.今回の報告内容について御説明させていただきたいと思います。
こちら、ベントス・底質データの目的等について御紹介しているスライドですが、まずベントスにつきましては、平成28年度の委員会報告におきまして、海域の生物生産を支える機能を有し、海域の環境を評価する指標になり得る重要な項目として位置づけられておりますが、令和4年3月の中間取りまとめ時点におきまして、こちらの現状・課題に記載しておりますとおり、このベントスの変動傾向等の明確な特定には至っておらず、また、底質や貧酸素化等との明確な関係性についても解析を進める必要があります。そのため今回の報告では、こちらの目的で記載しておりますとおり、①ですが、まずベントス及び底質の変動状況を客観的に把握するために、データの類似性から、ベントス・底質それぞれをグループ化しまして、そのグループの経年変化から変動状況を確認しております。また、②で記載しておりますが、ベントスの変動状況に着目しまして、底質の変化や、あるいは出水、貧酸素化との関連性について解析した結果の御報告をさせていただきます。
それでは、2に移らせていただきます。まず、今回御報告に使用しますベントス及び底質調査の概要について御説明させていただきます。
こちらは、環境省が実施しております定点調査の概要についてお示ししております。今回、この調査で得られましたデータのうち、調査方法を統一しました2005年度以降のデータから、直近では2020年までのデータを使用しております。また、調査地点におきましては、今回、有明海12地点、八代海10地点の合計22地点のベントス及び底質データを解析対象として使用しております。
それでは、解析方法について御説明させていただきます。まず1番目ですが、グループ化ということで記載しておりますが、互いに似た性質のものをまとめるために、統計解析手法であるクラスター解析を使用して、有明海と八代海ごと、さらにそれぞれの海域の夏期、冬期分けてグループ分けを実施しております。項目につきましては、ベントスは、種別ごとの個体数を使用し、底質項目につきましては、昨年度までの予備解析の結果を踏まえまして、生物の生息環境に密接に関係する4項目を採用しております。
ベントスのグループについては、以降、生物グループと説明させていただきますが、今回は右上の表のとおり、緑色と赤色で記載したベントス・底質それぞれ4パターンずつの合計8パターンごとに、○、△等の記号で記載した複数の種類のグループ化を行っております。
結論から申し上げますと、今回のクラスター分析の結果ではそれぞれ4から6種類のグループに分かれましたので、それぞれのグループで4から6種類に分けられております。詳細については、後ほどまた御説明したいと思います。
次に、(2)のグループの経年的な変化の確認ですが、平面分布の状況を確認するとともに、地点ごとのグループの経年変化を確認しております。
こちら、参考例を記載しておりますが、赤枠で記載した地点2につきましては、2019年と2020年におきまして、2018年にグループ1であったものが2019年に2に変わりまして、2020年から2021年において、グループ2がグループ1に変わっております。
実際にベントスの変化があった箇所について、地点と年度を確認しながら、3の変動要因の解析というのを進めております。
ここでは、例として地点2が2019年2020年にグループが1から2、2から1と変化しておりますので、3番目の解析により、変化した地点や年度において、大雨などどのようなイベントがあったのか、イベントがあった場合にその前後でグループ化する前の個別データがどのように変化したか確認を行うことで変動要因を考察しました。
クラスター解析については、グループの全体的な特徴をつかむことには適しておりますが、大雨などのイベントとの直接的な関係については、個別データを見ることが重要ですので、変動要因の解析では、地点の個別項目を確認しております。
それでは、3の御報告に移りたいと思います。まず有明海の夏期におけるグループ化の結果を示します。以降、同様のスライドが3つ続きますので、このスライドにおいて、表の見方及び各グループの特徴の整理方法について説明させていただきます。
左側が生物グループ、右側が底質グループのクラスター分析の結果を示してございまして、有明海の夏期におきましては、両グループ共に6グループに分かれております。
先ほどご説明したとおり、生物・底質それぞれグループ分けしており、同じグループ番号において今回の解析では直接的な関係性はないため、両者のグループを区別するために、アラビア数字とローマ数字で分けて示しております。
表の見方としまして、生物グループ1を例に見ますと、種類数が25、個体数が1,829、多様度が2.34と記載されておりますが、これは、生物グループ1で分類された12の調査地点の平均値を示しております。なお、それぞれの( )内の値は、標準偏差を示しております。
次に各セルの背景色についてですが、この平均値をグループ間で比較した際、いわゆるこの表を縦に見た際に、5段階のパターンの濃淡で示すことで視覚的に分かりやすいようにしております。具体的には、底質の中央粒径と生物グループの各生物項目は小さい順に濃く、それ以外の底質の項目は大きい順にセルの背景色を濃く表示しています。
また、各グループの特徴付けを指標種の観点からも検討するために、生物グループについては、優位に高い値を示す上位3種を各グループの指標種として表示し、右下には、参考情報としてレーダーチャートについても掲載しております。
こちらが有明海冬期の結果です。こちらは生物グループ6、底質グループについては5グループです。
続きまして、八代海の夏期の結果ですが、こちらも生物グループ6、底質については5グループです。
最後に、八代海の冬期ですが、こちらは生物グループ6、底質グループについては4グループでした。こちらの結果等につきましては、後ほどの考察において、適宜示しながら御説明させていただきたいと思います。
それでは、スライド12ページ目ですが、有明海・八代海における夏期、冬期それぞれの生物グループの平面分布の結果をお示ししております。ここでは対象期間の最初の年度と最後の年度、2005年と2022年の結果のみを示しておりますので、経年的な変化については後ほどの表で確認していきたいと思いますが、まず2か年の平面分布を示しております。
先ほど説明しました各グループの特徴を交えながら見てみますと、湾奥部周辺、有明海の湾奥部周辺につきましては、こちら左上の図ですが、こちらの湾奥部周辺につきましては、生物グループ2という、先ほどのクラスター分析の結果から言いますと、比較的種類が少なく、多様度も低いグループというものが多く分布しておりまして、湾央部、あるいは湾口部周辺におきましては、生物グループ3から5という、比較的種類数が多く、多様度も高いグループが多く分布している傾向でした。
こちらで、赤丸と青丸で記載しておりますが、最初に説明しました湾奥部周辺につきましては主に赤丸で示しておりまして、後半の湾奥部や湾口部周辺というのは青丸で示しております。
右側のスライドに示しました冬期についてですが、湾央部周辺につきましては生物グループ1から4ということで、こちらも比較的種類数が少なく、多様度も低いグループというものが多く分布している傾向でして、湾央部・湾口部周辺については、生物グループ4から6ということで、比較的種類数が多くて多様度が高いグループが多く分布している傾向でした。
同じく、八代海についても、右下に記載したとおり、有明海と同様の傾向でした。ただし、あくまでも2か年の比較のみの結果ではあることに留意する必要がありますが、一部の地点では年度によってグループが変化していることから、2か年の比較だけでなく、経年的な変動状況を確認することが必要であることが分かりました。
次にこちらは、底質グループの平面分布の結果を示しております。湾奥部周辺では、比較的粒径が小さい底質グループ、湾央部・湾口部周辺では、比較的粒径が大きい底質グループが比較的多く分布している傾向でありました。そのため、生物グループと同様に湾奥部周辺とそれ以外でグループの特徴が概ね分かれていることや、両海域ともに一部の地点ではグループの変動が見られたことから、生物・底質両グループともに地点や地域ごとの違いも考慮しながら、経年的な変動状況を確認することが必要であることが分かりました。
そのような状況も踏まえまして、次の経年的な表を確認しておりますが、まず初めに、有明海における生物グループの2005年から2022年度までの経年的な推移についてお示ししております。上段の表が夏期と、下段の表が冬期です。以降のスライドも同様の記載です。
次のスライドにも関係してきますが、こちらの生物グループの経年変化を見ますと、生物グループは、底質グループと比較して、経年的に変化したケースというものはあまり多くないといった傾向が見られました。また、変化した場合についても、夏期・冬期ともに、翌年には元に戻る傾向というものが多く見られました。その他、着目した点としまして、こちらに赤枠、黄色枠、紫枠で示しておりますが、赤で囲ったのAsg-2では、生物グループ1が継続してきたのが2020年夏ではグループ2に変化しました。他の地点ですと、変化がない、もしくは黄色囲みのAfk-1では2020年夏に一度1になりましたが、翌年は2に戻っております。また、紫囲みのAsg-4につきましても、2019年度にグループ2に変わっておりますが、そのまま、グループ2のまま推移している状況です。こちらのAsg-2と4の位置関係を示しておりますが、これらは塩田川、鹿島川の流出先及びその沖合に位置しておりまして、位置関係についてもほかの地点と比べて近いことが確認されました。
次に有明海における底質グループの(2005年から2022年までの)経年的な推移についてお示しします。全体的に、生物グループと比べて小刻みな変化が多く見られたため、ここでは、先ほど生物グループの変化があったAsg-2、Asg-4の地点に着目し、同じように底質の変動が見られているか確認したところ、ほぼ同時期に底質グループの変化も見られておりました。また、Afk-1についても併せて確認したところ、生物グループが変動した年度について、底質も一時的に変化があったことが確認されましたので、有明海の部分につきましては、これらの3地点の夏期の変化について、変動要因の考察を後半のスライドで考察しております。
まず、Asg-2の結果です。地点ごとに同様の解析を行っておりますので、初めにスライドの構成について御説明します。一番上には、Asg-2のみを抜粋した両グループの経年変化の結果を掲載しております。上段が生物、下が底質グループの結果を示しております。その下に、スライド8、9で示したグループごとの特徴に関するデータについて、該当する情報のみを抜粋しております。最後に、一番下には生物グループの指標種における個体数の推移を示しております。
Asg-2につきましては、2019年夏から2020年夏に生物グループが1から2に変化しておりまして、底質グループにつきましては、一足早く2018年から2019年にグループがⅡからⅠに変化しております。グループ変化に1年のずれがありますので、両者に直接的な関係があるかについては慎重に判断する必要がある考えておりますが、一番下の指標種の個体数の推移を見てみますと、緑枠で囲った2019年夏から2020年夏について、例えば汽水域で見られるような指標種などが見られなくなっておりますので、こちらの指標種の変化等を考慮すると、出水等の影響の可能性というのも示唆されました。
次に、こちらもAsg-2の結果ですが、こちらのスライドにおきましては、一番上に調査日を追加しており、下の部分についてはAsg-2の個別の底質データの結果、一番下におきましてはアメダスの白石、一番近い地点のアメダスの日降水量の結果を示しております。さらに、こちらのアメダスの結果を基に、出水後1か月以内に調査を実施した年度につきましては、この調査実施日を赤色で示すことで、例えば2019年9月1日については大雨の出水が起きた1か月以内に起きているといったことで、赤色の表示をしております。真ん中には、地点ごとの底質結果の推移を掲載しておりますが、こちらによりますと、赤矢印や青○で示しておりますとおり、2018年夏から2019年夏、2019年夏から2020年夏にかけまして底質のCODの上昇、それからT-Sの減少等との変化が見られまして、その時に底質グループの1への変化や、生物グループの2への変化が見られております。なお、緑○で示した箇所については、T-Sが上昇した際に生物グループが2から1へと逆のパターンで変化したことから、他の地点でもT-Sの変化と生物グループの関係性が伺えたところではありますが、より詳細な解析が必要と考えられました。また、2019年夏と2020年夏につきましては、アメダスの結果から、大雨の後、2週間程度後に調査を実施しているといったところが分かっておりまして、出水が底質の変化の要因の1つとして考えられました。
続いて、Asg-4の結果です。Asg-4につきましては、生物グループが2018年から2019年に3から2に変化しておりまして、底質グループにつきましては、2019年夏から2020年夏にⅢからⅠに変化しております。Asg-2と同様に、生物と底質グループの間で1年のずれがございますので、両者の関係性については慎重に判断する必要があると考えております。指標種の個体数の推移を見ますと、緑丸で囲った2019年夏から2020年夏については、Asg-2と同様に、汽水域で見られることが多い指標種が見られなくなってきているところから、Asg-4について、沖合ではあるものの、流入河川等の出水の影響が考えられました。
こちらも、Asg-4の結果でして、底質の個別データとアメダスの降水量の結果を併せて示しております。生物グループにつきましては、2018年から2019年にかけて3から2に変化、あるいは底質データにつきましては、赤丸で囲った底質CODについて、前年度より一定の増加が見られております。また、先ほど生物グループとの関連が示唆されましたT-Sについて見ますと、こちらは大きな変動はありませんが、底質のT-S及びCODは、赤○で囲った2015年であり、Asg-4の生物グループが2に変化したときと近い状態を示しており、底質のT-S及びCODが生物グループの変化に影響していることが示唆されました。Asg-4につきましては、右下に位置関係を示しておりますが、Asg-2より沖合ではありますが、塩田川等の流出先であることや、生物と底質の出水が起きた後のグループの変化が、Asg-2とAsg-4で同様のグループに変化しておりますので、Asg-4も、出水の影響を受けている可能性が示唆されました。
Asg-4につきましては貧酸素化が起きやすい地点ですので、環境省の別の調査結果を基に、貧酸素との関連を併せて確認しております。真ん中の二つの折れ線グラフにつきましては、Asg-4における生物種の種類数と個体数をそれぞれ示しております。一番下のグラフにつきましては、Asg-4近傍のP6地点、右上に調査地点を載せておりますが、こちらP6地点において、底層DOの日平均値が2mg/L未満になった日数を示しておりまして、併せて、その年最初に2未満になった日付と最後に2未満になった日付を記載しております。結論から申し上げますと、生物・底質のグループの変化との関連につきましては、このスライドでお示しした結果の中ではあまり見られませんでしたが、Asg-4近傍のP6地点におきましては、2020年夏以降、底層DO:2mg/L未満となった日数が多く確認されており、生物種の種類数も減少していることから、貧酸素による生物相への影響が考えられました。ただし、2020年夏、2021年夏につきましては大規模な出水が起きておりますので、こちらの生物相の変化というものが、出水の直接的な影響を受けたものであるのか、あるいは貧酸素の影響を受けたものであるかについては、より詳細な解析が必要と考えられます。
次に、Afk-1の夏期の結果をお示しします。Afk-1につきましては、筑後川河口の地点ですが、2020年夏に生物グループが2から1に変化しております。こちらの箇所に着目しますと、僅かですが、一番下の生物グループ1の指標種が一時的に優占している状況です。底質グループにつきましては、ⅠからⅢと変化をしておりますが、こちらの両者の関係性については、この結果からは明らかになっておりません。
引き続きこちらのスライドでは、Afk-1の夏期の結果として、底質の個別データ及び筑後川の日平均流量の結果を示します。流量の結果を見ますと、2019年夏、それから2020年夏には比較的大きな出水が確認されておりまして、生物・底質グループの変化につきましては、2020年夏のみの変化となっております。また、赤矢印のとおり底質のCODにつきましては、2019年夏に上昇しているものの、2020年夏には低下しておりまして、T-Sにつきましては青矢印のとおり、2020年度も緩やかに上昇しておりました。出水との関連性や生物グループの変化との関係性は不明であることや、先ほどのAsg-2、Asg-4の傾向と異なることから、流入河川の違いも含めより詳細な解析が必要と考えられました。ここまで、ベントスの個体数や種類数を中心に確認しておりましたが、湿重量も経年的なデータを蓄積しております。
多くの結果は資料編に掲載しておりますが、今回の報告において中心に確認してきたAsg-2、Afk-1などのA1海域について見てみると、スライドで言いますと最も右上のグラフですが、佐賀県六角川河口のAsg-3では2011年頃までサルボウガイによって高い値を示しておりましたが、近年はサルボウガイの減少により、湿重量が低下しております。これは福岡県筑後川河口のAfk-1、塩田川河口のAsg-2についても低い状態が続いており、アサリやタイラギの減少と同様の傾向が見られております。ベントス調査で採捕されるサルボウやホトトギスガイなどの二枚貝がこの変化に影響した可能性があり、湿重量の変化も個体数と種類数と併せて確認していくことが重要であることが示唆されました。
それではこちらからは、八代海の結果を御報告させていただきたいと思います。こちら、八代海夏期と冬期における生物グループの経年的な推移についてお示ししております。まず夏期について見ますと、湾奥部での変化というものは下の部分ですが全く変化が見られていないという状況でした。湾奥部や球磨川の河口部、こちらでは、枠囲みしておりますYkm-3、Ykm-4については、小刻みな変動が見られているとともに、2021年以降につきましては、これらの地点以外でも、解析時点で全て生物グループが1に変化している状況です。冬期につきましては、一時的な生物グループの変化が生じた場合にも、有明海と同様に多くの地点では元に戻るといった傾向が見られている状況です。
こちらは底質グループの結果をお示ししております。全般的に、有明海と同様に、生物グループと比べて小刻みな変化が多く見られることが分かっておりまして、ただ、変化が見られた場合にも、後に元に戻るといった傾向が見られております。また、生物グループで変化が見られた球磨川河口部、湾央部では、ほぼ同時期に底質グループの変化が見られたことから、球磨川河口部であるYkm-3、球磨川の湾央部であるYkm-4について、以降のスライドで変動要因の解析を行いました。
まず、Ykm-3の夏期の結果ですが、Ykm-3では、2019年夏まで生物グループ3が継続しておりましたが、2020年夏にグループ2に、2021年夏以降にグループ1に変化しました。各グループの特徴を見ますと、生物グループの種類数の大きな変化はありませんが、生物グループ1に変化した際には、こちらの青丸で囲ったとおり、生物グループ1の指標種がやや優先して出現しているといった傾向が見られました。
引き続き、こちらもYkm-3の夏期の結果ですが、底質の個別データ及び球磨川の日平均流量の結果をこちらにお示ししております。
2020年の夏に生物グループが3から2に変化した際には、底質グループがⅣからⅢに変化しておりますが、赤矢印で示しているとおり、底質のCODの増加と細粒化が見られております。調査日を考慮しますと、その1か月ほど前に球磨川では大出水が発生しておりますので、出水の影響が底質や生物グループの変化に関係している可能性が考えられました。また、2021年夏には生物グループ1に変化しましたが、図中の紫矢印で示したとおり、T-N、COD、T-S、中央粒径には大きな変化はみられておりません。出水により変化した底質を好む生物相の変化が進んだ可能性も考えられますが、より詳細な解析が必要と考えられます。
次に、Ykm-4の夏期の結果をお示ししております。2014年度夏以降、生物グループ1、2、3が小刻みに変化している状況でございまして、2021年度夏以降はグループ1となっております。底質グループは、生物グループと同様に、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの小刻みな変化を繰り返しており、こちらのYkm-4については、生物・底質ともに変動しやすい地点でありました。生物グループ1に変化した際には、図中の青丸で示したとおり、グループ1の指標種が優先しておりまして、先ほどお示ししましたYkm-3と同じ傾向であったところです。
こちらのスライドでは、引き続きYkm-4の夏期の結果として、底質の個別データ及び球磨川の日平均流量の結果を示します。2014年夏以降、生物グループは2から3、あるいは1に変化しておりますが、図中の黄色囲みである2019年夏と2020年夏の底質のCOD以外は、底質に大きな変化は見られておらず、生物と底質グループの関係性については現時点で不明です。
2020年夏の調査実施日につきましては、球磨川の大規模の出水後であり、球磨川河口部から離れているものの、CODの増加に一定の影響を及ぼした可能性が考えられますが、紫丸で示しているとおり、その他の項目については大きな変化が見られておりませんので、出水から1か月経過している状況や、河口部から離れた状況を踏まえると、出水との関係性については慎重に考える必要があります。以上、まとめですが、今回の解析におきましては、有明海・八代海の夏期と冬期について、クラスター分析を行ってグループ化した上で、グループの経年変化から変動状況を確認しました。結果としまして、多くの地点で変化後、元に戻る傾向が見られましたが、夏期に湾奥部の一部などにおきまして、複数年度にわたるグループの変化が確認されました。また、この変動要因につきまして、底質グループの変化やベントスの種組成、指標種、あるいは出水の影響等の関係性について確認しましたが、一部地点におきましては、出水の影響を受けている可能性が示唆されましたが、要因解明につきましては、その他の影響、貧酸素は今回Asg-4でご報告させていただきましたが、そういった貧酸素等のその他の影響も含めて、より詳細な解析が必要ではないかと考えております。そういった状況を踏まえまして、今後の解析、検討課題としましては二つ記載しておりますが、今回は2022年度までの結果でございましたので、それ以降のデータも含めて同じ傾向であるか等を確認し、要因解明を進めるためのベントスの長期変動や短期変動、あるいは湿重量等を含めた二枚貝との関連性に関する解析などを進めていきたいと考えております。最終的には、令和8年度の取りまとめに向けて、ベントスの変動要因や影響を受けやすい地点等を把握することで、再生方策を検討する上での基礎データにつなげていきたいと考えております。環境省からの報告は以上です。
○矢野委員長 どうも御説明ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等がございましたら、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
○矢野委員長 では、東委員、先にしていただいて、その後、速水委員、お願いいたします。
○東専門委員 ありがとうございます。非常に、かなり有意義なデータ結果解析ができたのかなと思っていたところです。一つ気になったのは、全体的に有明海・八代海の湾奥部の1番から2番というようなグループの変化は、これが一体何を意味するのか、全体的にどちらも貧酸素や有機汚濁に強い種がでておりますが、その中で、グループが変わったことについて、底質が改善しているのか、あるいは生物がよくなっているのか、そういう方向性というのがちょっとでも見えてきているかどうか、分かっている範囲で御説明をお願いします。
○小原海域環境管理室主査 ありがとうございます。今回の報告では、まずはベントスが変化した年度や地点を確認した結果、湾奥部を中心に グループの変化が確認されました。そのグループの特徴から、やや粒径が細かい変化や、指標種が小さいグループに変化した傾向が確認されましたが、各地点でどういった変化が起きているかについては、個別データを確認していく必要があります。今回の結果では、出水等の影響の明確な結果までは突き詰められていない状況ですので、今後その個別データの確認や水質、例えば底層DOや塩分などの解析を令和8年度のとりまとめに向けて検討して参ります。
○東専門委員 ありがとうございます。
○矢野委員長 ありがとうございます。それでは、速水委員、お願いします。
○速水専門委員 佐賀大の速水ですが、非常に詳しい報告をありがとうございました。貴重な調査だと思います。3点あるのですが、個別にお話をしたいと思います。
まず一つ目ですが、底質のクラスター解析に使ったのが、これが4項目だけなのですが、実際には14項目調査されているのに、なぜこの4項目だけを使われたのかということを教えてください。
○小原海域環境管理室主査 ありがとうございます。スライドの6に記載しておりますが、ベントスの生息環境に密接に関係する項目として、この4項目を選択しております。
残りの10項目については、例えば、今回ベントスの変化があった地点や年度前後を個別データとして確認するといったことも、一つ方法として考えられます。クラスター分析に含めるかの検討もありますが、まずは、要因解明では個別データの確認が重要ですので、クラスター分析についてはこの4項目を中心に解析しながら、変動要因の解析の中で、その他の項目についても確認したいと考えております。
○速水専門委員 ただ、そのクラスター分析をするに当たって、例えばCODを使うよりも、底泥中の有機炭素をきちんと測っているTOCのデータなどがあれば、そのほうがより代表性としては高いし、ORPなども生物に関しては非常に影響を与えるということが知られている項目ですから、せっかく14項目もあるんですから、もう少し多くの項目を使ってクラスター分析されたほうが、より適切なクラスター分けができるように思います。
○小原海域環境管理室主査 ありがとうございます。これまでの予備解析の結果等から4項目に絞っておりますが、速水委員からの御指摘も踏まえて、引き続き項目も検討して参ります。
○速水専門委員 分かりました。
あと2項目ですが、一つが貧酸素化との関係ですが、有明海奥部のベントス群集の場合、恐らく既に貧酸素化が常在化する状態になってからの群集を見ているんですね。これ、データが2005年以降ですから。だから、なかなか、貧酸素化がその後、顕著に進んでいるわけではないから、年々のデータだけを見ていても、クリアには見えないと思うんですよ。ですから、もしその貧酸素化との対応をきちんとデータとして捉えたいというのであれば、この季節変化を押さえられるような、そういう時間スケールの調査を組んで、それで、夏場になると、貧酸素に伴って、今、ただでさえプアなベントス群集がさらにプアになるという、そういったことを観測するほうが、より手っ取り早く検証できるのではないかと思います。
○小原海域環境管理室主査 ありがとうございます。先生の御指摘というのは、例えば季節変化ということでしたので、年間を通じたベントスの変化と貧酸素との関係を見ていくということでしょうか。
○速水専門委員 そうです。季節変化という形でもって、貧酸素に伴ってベントス群集がプアになるというのは論文でも海域は限られますが有明海でも出ていますので、そういう関係が、貧酸素化が出るところで、恐らく普遍的に見られると思います。
○小原海域環境管理室主査 ありがとうございます。今回御報告したベントスの調査は年2回ですが、別の調査におきまして、貧酸素が一般に起こる夏場に2週間に1回の頻度で行っております。年間を通じた季節変化までは捉えられませんが、2週間単位での貧酸素の影響を確認することができました。併せて出水による塩分の低下等も確認することができますので、そういった結果も今後、解析として考えておりますので、先生の御指摘も含めて、今後検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○速水専門委員 ぜひ進めてください。それと、最後に、このモニタリングのデータは非常に貴重ですが、2005年以降しかないんですね。全く同じ形式のデータはなくても、より古いデータとの比較ができれば欲しいと思いました。文献等の調査をして、それでより古いベントス群集との比較をするような、そういう考察を今後ぜひ入れていっていただけたらと思います。
○小原海域環境管理室主査 ありがとうございます。文献収集等が必要な場合には、先生にも、また御相談させていただくこともあるかと思いますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○速水専門委員 こちらこそ、よろしくお願いいたします。
○矢野委員長 どうもありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。オブザーバーの委員の方も含めて、もし御質問等がございましたらお受けしますが、いかがでしょうか。それでは、ないようですので、ここまでとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。それでは、次に移ってまいります。次の議題はその他ですが、事務局から何かございますでしょうか。
○川田海域環境管理室室長補佐 ありがとうございます。小委員会のスケジュールにつきまして、御報告させていただきます。資料5を御覧ください。本年2月の第13回小委員から、情報収集ということで、各項目の御審議を行っていただいておりますが、その第13回小委員会でお示ししたスケジュールについて変更がございましたので、御報告いたします。資料の上側が水産小委員会、下側が海域小委員会のスケジュールになっております。この第14回の次の回となります、現在日程調整させていただいています第15回小委員会を、合同小委員会での開催とすることといたしました関係から、赤文字の項目について御審議いただく時期を移動しております。変更は、この項目の移動のみで、項目を減らした等は行ってございません。具体的には、水産小委員会では第15回で扱う予定だったノリ養殖を第16回に移動したり、海域小委員会では、干潟生態系を第16回から第15回に移動したりしております。ここで、第16回につきましては個別開催を考えておりますが、海域小委員会で取り扱います環境研究総合推進費での取組内容については、貧酸素水塊の発生と気候変動の関係や、トップ・プレデターと生態系の関係などの解明に向けた取組となりますので、海域小委員会のみならず、水産小委員会にも深く関係のある内容となっております。そのため、第16回海域小委員会につきましては、水産小委員会の委員の先生方にも御参加いただきたいと思っておりますので、時期が参りましたら、両小委員会の委員の皆様を対象として日程調整を図らせていただきます。また、現在日程調整させていただいております次の第15回小委員会につきましては、日程が決まり次第、御連絡させていただきたいと思っております。以上です。
○矢野委員長 どうもありがとうございます。私から一つ確認ですけど、第16回と第17回というのは今年度ですか。それとも来年度。まだ、未定ですか。
○川田海域環境管理室室長補佐 可能であれば、第16回は年内の開催ということを考えておりますが、現在のところ、まだ、未定というところです。
○矢野委員長 分かりました。ありがとうございます。それでは、今の御説明も含めて、本日の全体につきまして、何か御意見等ございましたら、よろしくお願いします。いかがでしょうか。脇田委員、お願いします。
○脇田専門委員 脇田です。直接関係なくて恐縮ですが、本日、参考資料1の6ページ5のところに、関係者による連携強化と情報の発信・共有の推進に関してという項目があります。本日、すばらしいデータや解析結果が御報告されたのですが、地域への共有はどのようにされていますか。あるいは、今後の予定などがありましたらお教えください。なお、これに関して補足ですが、本日、農水省農村振興局様から海域区分図の共有の取組の御報告がありました。こちらも国と県が連携したすばらしい取組で、今後データが公開されると、情報や知識の幅広い共有といった意味でも意義がとてもあると考えています。海上保安庁海洋情報部が運営する「海しる」へのデータの連携も視野に入れて取り組まれると、さらによいかなと拝察しました。 後半はコメントです。以上です。
○矢野委員長 どうもありがとうございます。事務局から何か回答はありますか。
○川田海域環境管理室室長補佐 ありがとうございます。関係機関の連携につきましては、例えば、農村振興局の事業では、関係4県が協調されて、二枚貝の再生に向けた取組等を進められておられたりしております。また、この情報共有の観点につきましては、この評価委員会の取組について、委員会で御審議いただいた内容を、評価委員会のホームページにて公表しております。また、現地への御説明について、進めてまいりたいと考えております。以上です。
○矢野委員長 よろしいですか。
○脇田専門委員 はい、ありがとうございました。
○矢野委員長 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。
○佐田農地資源課課長補佐 脇田委員、ありがとうございます。本日、試験的な取組として、御紹介させていただいたところです。委員の方から、いろいろな御意見、コメントをいただきましたので、また関係各県とも協力しながら、構築に向けていけたらと考えております。ありがとうございます。
○脇田専門委員 ありがとうございました。
○矢野委員長 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。私から、別にまとめという意味ではないのですが、今の議論の中であった、最終的にデータを公開していただくというのが非常に重要だと思うのですが、一応、この委員会の親委員会のほうで、令和8年に、最終取りまとめというか報告書が出るわけですけど、そこに情報をインプットするためには、あと1年ぐらい、長くても2年以内にはアウトプットを出さないと、それへの反映ができないという状況もございます。オープンにしていただくにしても、やはりなるべく早くオープンにしていただくと、今、有明海と八代海をやっている研究者というのは非常に少なくなってきている状況ではありますけど、まだある程度、研究フィールドとされている方もいらっしゃいますので、そういった研究をしていただいて、それを論文化して、いろいろな解析をして結果を出していただくということで、また報告書がよりよいものになるという、そういう流れができると非常にいいかなと感じております。ぜひ関係省庁、それから県におかれましても、前向きに検討していただきたいなと考えます。よろしくお願いします。それでは、ほか、ございますか。よろしいですか。それでは、本日予定されていた議事については全て終了いたしました。議事進行への御協力に感謝申し上げます。進行を事務局にお返しします。
○工藤海域環境管理室海域環境対策推進官 矢野委員長、ありがとうございました。ここで、最後となりましたが、環境省海洋環境課長の水谷より、御挨拶をさせていただければと思います。水谷課長、よろしくお願いします。
○水谷海洋環境課長 環境省の水谷です。本日の海域小委員会では、生物の生息環境や有用二枚貝、ベントスについて御審議いただいたところです。また、最後に情報公開というような御意見もいただいたところですが、そういった御意見を踏まえて、今後の情報の整理やアウトプットの方法についても検討を進めてまいりたいと思います。また、委員の皆様へは、先週開催されました水産小委員会の資料もお送りさせていただいております。そちらでは、有用二枚貝や赤潮に関する関係県を含む関係機関の取組について取りまとめておりますので、今後の審議、検討の参考にしていただければと思います。有明海・八代海等では、ノリの色落ち、タイラギ漁の休漁が続いており、さらには深刻な赤潮の被害が近年続き、今年も発生していること承知しておりますので、やはり再生に向けた取組が喫緊の課題だと認識しております。委員の皆様におかれましては、引き続き、具体的な情報の収集・整理・分析等の進め方や、問題点の原因・要因の解明に向けまして、忌憚のない御意見等をいただければと思っております。本日は、お忙しい中、委員会に御参加いただきまして、ありがとうございました。以上です。
○工藤海域環境管理室海域環境対策推進官 ありがとうございました。また、本日の議事録については、委員の皆様に御確認をしていただいた後、環境省のホームページで公開予定としております。それでは、以上をもちまして、第14回海域環境再生方策検討作業小委員会を閉会させていただきます。本日はどうもありがとうございました。
午後3時56分 閉会