第10回 有明海・八代海等総合調査評価委員会 海域環境再生方策検討作業小委員会 議事録

*水産資源再生方策検討作業小委員会(第10回)及び海域環境再生方策検討作業小委員会(第10回)の合同開催

開催日

令和5年2月13 日(月)

場所

対面方式及びWEB会議方式を併用して開催

出席者

 有明海・八代海等総合調査評価委員会委員長:古米弘明委員長

(海域環境再生方策検討作業小委員会)

 小委員会委員長 : 矢野 真一郎委員長

 委員 : 上久保祐志委員、鈴木敏之委員、山室真澄委員

 臨時委員 : 小林政広委員

 専門委員 : 青木美鈴委員、金谷弦委員、桐博英委員、速水祐一委員、東博紀委員、古川恵太委員、山口敦子委員

(水産資源再生方策検討作業小委員会)

 小委員会委員長 : 鈴木敏之委員長

 委員 : 内藤佳奈子委員、藤井直幹委員、矢野 真一郎委員、山西博幸委員

 専門委員 : 青木美鈴委員、岸田光代委員、中村勝行委員、西野博委員、林宗徳委員、堀田英一委員、松山幸彦委員、山口敦子委員、山口啓子委員
(オブザーバー)
 大嶋雄治委員、清本容子委員

(関係省庁・県)

 国土交通省港湾局海洋・環境課 釘田課長補佐、鷲谷係長

 国土交通省水管理・国土保全局河川環境課 赤道課長補佐、寺石係長

 農林水産省農村振興局整備部農地資源課 細田課長補佐、橋本係長

 水産庁増殖推進部研究指導課 中村課長補佐

 水産庁増殖推進部漁場資源課 吉川課長補佐、田代係長、辻係員

 水産庁増殖推進部栽培養殖課 横尾課長補佐、田畑係長、小松係員

 水産庁漁港漁場整備部計画課 篠崎課長補佐、浜辺専門官、伊藤係員

 林野庁森林整備部治山課 中村課長補佐

(事務局)

 環境省水・大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室長、水環境課閉鎖性海域対策室室長補佐、

 水環境課閉鎖性海域対策室主査

議事録

                                           午後1時30分 開会

○速水閉鎖性海域対策室総括 それでは定刻になりましたので、ただいまより有明海・八代海等総合調査評価委員会第10回水産資源再生方策検討作業小委員会及び第10回海域環境再生方策検討作業小委員会を開会いたします。
 本日の小委員会は、御案内のとおり合同で開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の委員会は、会場とウェブ会議両方で開催させていただきます。ウェブ会議で御参加の皆様には、会議中、音声等、聞き取りにくいなどがございましたら事務局までお電話またはチャットでお知らせいただきますようお願いいたします。
 議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。なお、ウェブ会議で御発言の際は、お名前の横にある挙手ボタンをクリックいただきまして、委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除させていただき、御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう御操作をお願いいたします。
 また、ウェブ会議ですが、通信状況あるいは発言者の声の質によりまして不明瞭な箇所が出てくる可能性がございますので、恐れ入りますが、御発言前にお名前を言っていただきまして、少々ゆっくりと御発言いただけますと大変幸いでございます。
 本小委員会は公開の会議となっております。環境省水環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。
 それでは、まず議事に先立ちまして、環境省閉鎖性海域対策室長の木村より御挨拶を申し上げます。
○木村閉鎖性海域対策室長 ただいま御紹介いただきました環境省水大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室長の木村でございます。
 本日、委員の皆様にはお忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 また、水産小委、海域小委は、前回の開催から約1年ぶりの開催でございますけれども、その間に委員の改選を行いました。本小委員会委員に引き続き御参加いただいております委員の皆様、そして、新たに御就任いただきました委員の皆様には小委員会にご参加いただきますことに厚く御礼申し上げます。
 さて、有明海・八代海等では、本年度においても貧酸素水塊の発生が見られたほか、養殖業への赤潮被害やタイラギ漁も休漁が続き、さらには深刻なノリの色落ちが発生しており、有明海・八代海等の再生に向けた取組は引き続き喫緊の課題となってございます。
 有明海・八代海等総合調査評価委員会では、令和4年3月に「中間取りまとめ」を取りまとめました。その後、委員の改選を経て、先月開催された第50回評価委員会で令和8年度報告に向けた審議を再開させたところです。
 本日の合同小委員会では、先月の第50回評価委員会で審議された今後の審議の進め方や小委員会の作業分担などの審議結果を踏まえ、令和8年度報告に向けた小委員会の作業方針及び情報の収集・整理・分析等の方向性について御審議いただきます。
 また、小委員会には各県の水産試験研究機関において、最前線で御活躍されている委員にも参加いただいております。本日の小委員会では、これらの委員の皆様からノリの色落ち等の状況について情報提供いただけることとなってございます。
 中間取りまとめを終えまして、令和8年度に向けた方針を決める本日の小委員会は、先に述べた情報提供と合わせ、非常に重要なものと認識しております。委員の皆様には、ぜひ忌憚のない御意見を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
 御清聴、ありがとうございました。
○速水閉鎖性海域対策室総括 この度、中間取りまとめを終えましたことから、令和4年10月21日付で一部委員の改選がございました。資料1-1と1-2を御覧ください。水産小委員会と海域小委員会の委員の名簿になります。改選等の結果、新たに水産小委員会へ山西委員、青木専門委員、堀田専門委員、山口敦子専門委員、山口啓子専門委員、山本専門委員に入っていただいております。また、海域小委員会へは、山室委員、青木専門委員、金谷専門委員、速水専門委員、山口敦子専門委員、横山専門委員に入っていただいております。
 また、退任されました樽谷元委員に代わりまして鈴木委員が水産小委員長へ、また、同じく退任されました松野元委員に代わって矢野委員が海域小委員長に指名されております。
 本日の委員の出席状況ですが、欠席の御連絡を水産小委の川原委員、山本委員、海域小委の横山委員、弓削委員の4名よりいただいております。本日は、委員26名中22名が御出席ですので、評価委員会令第6条に基づく会議の定足数を満たしていることを御報告いたします。
 本日は評価委員会の古米委員長及びオブザーバーとして、大嶋委員と清本委員のお二人もオンラインにて御参加いただいております。オブザーバー参加の委員におかれましては、御質問や御意見がある場合には、発言を求められましたら挙手をお願いいたします。
 また、農林水産省、国土交通省からもオンラインにて御出席いただいております。
 環境省側の出席者を御紹介させていただきます。
 先ほど紹介させていただきました閉鎖性海域対策室長の木村でございます。同室長補佐の川口でございます。同室長補佐の川田でございます。私、御挨拶が遅れましたが、閉鎖性海域対策室の速水でございます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料については、事前に電子資料データにて御案内しておりますが、議事次第の記載の一覧のとおりでございます。資料に不足等がございましたら事務局までお知らせください。また、ウェブ会議においては、事務局が画面上に資料を掲載して進行させていただきます。
 それでは、議題に入ります。
 本日の合同小委員会の進行につきましては、両小委員長と御相談し、今回は海域小委員会の矢野委員長にお願いしたいと思います。
 それでは、矢野委員長、よろしくお願いいたします。
○矢野委員長 はい。本日の進行を担当させていただきます、九州大学の矢野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 限られた時間の中で円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
 それでは、早速ですが、議事を始めさせていただきます。
 本日の議題は、議題1「小委員会の作業方針について」の一つだけとなっております。その中では、1月12日に開催されました評価委員会で了承された、令和8年度に向けた評価委員会における「今後の審議の進め方」(資料2)と、今回、主に議論いただきたい「小委員会の作業方針について」(資料3)がございます。長くなりますので、これらを分けて審議を進めたいと思います。
 また、本日は、議事2「その他」におきまして、各県の委員より、ノリ養殖等の状況について情報提供いただくこととなっております。
 それでは、まず資料2の評価委員会での今後の審議の進め方等について、事務局に御説明をお願いいたします。
○川田閉鎖性海域対策室長補佐 それでは、資料2の関係につきまして、御説明させていただきます。
 先月、中間取りまとめ後初となる評価委員会において、一つ目として評価委員会での審議の進め方、二つ目として小委員会の所掌事務及び作業分担、そして三つ目として、今後の審議スケジュールが評価委員会において決定されましたので、このことについて御報告いたします。
 資料2-1を御覧ください。まず一つ目の評価委員会での今後の審議の進め方について、御説明いたします。
 1、委員会の経緯等の(1)委員会の経緯では、平成14年の法改正や平成23年の海域の追加等の経緯について記述しております。また、令和3年の法改正で、所掌事務の遂行状況を分かりやすい形で公表することとされております。
 次、(2)委員会報告についてです。これまでに行われた二つの報告、平成18年度報告、そして平成28年度報告、こちらの平成28年度報告につきましては参考資料1とつけておりますので、またご参考いただければと思います。この二つの報告について、こちらに記載しております。
 また、平成28年度報告では、海域全体において目指すべき再生目標として「希有な生態系、生物多様性及び水質浄化機能の保全・回復」及び「二枚貝等の生息環境の保全・回復と持続的な水産資源の確保」を設定したこと、そして4項目の問題点、「ベントスの変化」「有用二枚貝の減少」「ノリ養殖の問題」「魚類等の変化」の確認とその原因・要因の考察を行い、海域全体に係る再生方策や個別海域ごとに目指すべき再生方策を整理したこと、また、その当面の目標時期を概ね10年後としたことを記載しております。
 次に、令和4年に取りまとめた中間取りまとめについて、(3)として記述しております。平成28年度報告では、当面の目標時期を概ね10年後である令和8年度としていましたが、平成30年3月の第42回委員会で目標の中間段階である令和3年度時点において、令和8年度委員会報告に向けて必要となる検討事項について取りまとめを行うこととしております。
 これを踏まえ、令和4年3月に、中間取りまとめが取りまとめられました。中間取りまとめは、平成28年度委員会報告以降に得られたデータを基に、新たな知見が得られているものを中心に記載しております。ここでは新たな課題として、近年の豪雨の増加や気温・水温の上昇など気候変動の影響が示唆されていす。
 次、2.今後の委員会の検討事項等です。
 (1)検討の基本的な考え方では、平成28年度報告及び中間取りまとめに記載された今後の課題を踏まえ、次の三つの事項について検討を行います。
 まず一つ目として、有明海・八代海等で生じている生態系、水産資源をめぐる4項目の問題点とその原因・要因等について、既往または今後の調査・研究の成果を踏まえて継続して究明を進めるというものです。
 そして、二つ目として、再生方策の実施状況及びその成果、再生目標の達成状況等の整理・評価を行うというものです。なお、ここでは評価手法の検討を含むということでございます。
 三つ目として、上記①②を踏まえ、令和8年度以降の再生目標及び再生方策の方向性を示すということです。
 5ページをご覧ください。今後の方針等を検討するに当たり、全ての委員の皆様へ昨年10月にアンケートを実施いたしました。いただいた御回答をこの別紙1に概要としてまとめております。このアンケートでは三つの質問を行っており、まず一つ目は、委員会において検討すべき事項に対して、これまで欠けていた分野や視点。二つ目として、親委員会と小委員会における役割分担で、これまでの運営を踏まえて修正すべき点。そして、三つ目として、これまでの委員会の議事や進行等について、改善すべき点についてお伺いしました。
 そういった質問に対していただいた御回答のうち、主要なものを並べ、類似する内容のものをまとめました。そして、赤字は御回答でいただいた御指摘への事務局の対応案を記載しております。例えば一番上の点線の枠でございます。ここに御回答が並んでおりますが、例えば二つ目、「有明海の再生」とは何を目指すのかや、一番下の何をもって再生されたと定義するのか、といったものに代表される御指摘について、まとめさせていただいております。そして、事務局の対応案では、「今後の委員会の検討事項等」に反映することを述べています。
 ただ、今後、何をもって再生とするのか、何をどこまで達成できればよいか、どのような評価手法があるのかといったところを整理していかなければいけないということで、論点として記載しています。
 その下の点線枠です。こちらでは、例えば一番上の土地利用形態の変化、またはその下の社会科学的な分野、または五つ目の干潟に飛来する野鳥、こういったものを検討に取り入れるべきではないかという御意見をいただいており、「2.今後の委員会の検討事項等」の追加すべき視点や、資料2-2の小委員会の「作業分担」に反映しています。
 論点として、令和8年度委員会報告に向け追加すべき視点で、中間取りまとめ、そして今回のアンケートでの回答で示された事項以外で必要と考えられる項目はないのかを検討する必要があります。この項目は本日、次に審議いただきます資料3の関係にも関係してくるものと考えています。
 次のページをお願いいたします。
 上の点線枠では、温暖化や気候変動について御指摘いただいており、追加すべき視点に反映しています。
 そして、二つ目の点線枠では、改善に向けた順応的プロセスが機能していないことや、委員会での進言に係るフィードバックについて御意見をいただいており、追加すべき視点に反映し、順応的な方法による組織の在り方について検討することとしています。そして再生方策の報告方法や委員会指摘のフィードバックをどうするか、論点としています。
 その下の点線枠では、ステークホルダーへの周知とそのための見える化への取組のアイデアを出す必要があると御指摘をいただいており、科学的な知見の活用方法や地域住民の理解向上等に向けた取組について検討することを考えています。
 次のページをお願いいたします。
 上のほうの点線枠では、ビッグデータや、その他の御意見をいただいており、今後の具体的な課題・要因解明に向けた検討において、反映していく次第です。
 その下の点線枠では、まずは小委員会等において専門的観点から整理した上で、親・小委員会全体で共有すること等について御指摘いただいており、「今後の審議スケジュール」に反映しています。
 次に2ページの2(2)中間取りまとめ等を踏まえ追加すべき視点です。
 まず、一つ目として、問題点とその要因の考察に当たっては、今後継続して行う調査・研究開発による結果に加え、これまでに得られた調査データについても詳細に分析するなど、データの分析・解析に取り組むことが必要である。
 二つ目として、流域を意識した生態系のつながり等の観点も踏まえて検討する必要があるということで記載しています。
 三つ目として、先ほどのアンケートでいただいた御意見ですが、土地利用形態、または社会経済情勢、そして気候変動といった状況を踏まえ検討を行う必要があるということで記載しています。
 次に3ページの一番上です。上記のような新たな視点について、問題点と原因と各再生方策の関連を示した連関図に組み込むとともに、連関図をさらに細分化等、スケールダウンし、これらを基に再生方策の実施状況の整理や再生目標に対する達成状況及び評価に係る検討を進めることを記載しています。
 そして、五つ目では、こちらもアンケートでいただいた御意見ですが、委員会における議論の結果について、各再生方策で反映されるような順応的な方法による取組の在り方について検討する必要があることを記載しています。
 そして、最後の丸では、こちらも御意見でいただいたところですが、地域住民参加・理解向上を促す観点からの取組も検討する必要があることを記載しています。
 11ページの別紙2をご覧ください。こちらは、令和8年度委員会報告の記載項目のイメージ案です。平成28年度委員会報告をベースに新たに追加した項目を赤文字で記載しております。
 まず、1章は、委員会の経緯、位置付け等を、2章では、有明海・八代海の概要を記載します。3章では、有明海・八代海等の環境の変化ですが、平成28年度報告に記載されていた項目を引き継ぐとともに、中間取りまとめでの指摘を踏まえ、新たな視点である「気候変動」や「社会経済情勢」の変化について追加します。そして、藻場・干潟等の項目で鳥類等陸域生態系についても言及したいと考えています。そして、4章で問題点とその原因・要因の考察を行い、
 5章では、再生目標に対する評価として、3章、4章の状況を踏まえ、平成28年度委員会報告に記載された再生目標に対する現状の評価、そして、再生方策の実施状況の整理を行うことを考えています。
 そして、6章の再生への取組として、次期再生目標の設定、次期再生目標を達成するための再生方策の設定について記載することを考えています。
 3ページにお戻りください。3.審議等の体制です。
(1)小委員会の作業内容では、委員会の下に設置している海域と水産の二つの小委員会において、気候変動の影響、社会変化の影響、鳥類等陸域の生態系などの新たな分野を加え、情報の収集・整理・分析並びに再生方策の検討等の作業を進めることとしております。
 資料2-2をご覧ください。こちらでは、水産・海域両小委員会についてそれぞれの所掌事務を示しており、これまでに定められた内容をアンケートの結果などを踏まえて修正しています。
 具体的には次のページ4の作業分担です。中間取りまとめを踏まえ、両小委員会においては気候変動の影響や社会経済情勢の変化の影響などについて考慮するものとする。ここを新しく加え、また下の表、小委員会の作業分担において、海域小委のうち、海域環境では生物生息環境、生態系においては鳥類等を新しく入れています。
 3ページへお戻りください。3.審議等の体制の(2)両小委員会への相互参加による連携強化についてもアンケートでいただいた御指摘ですが、両小委員会でオブザーバー参加などを行うことで、横断的な視野を持てるような開催方法を検討したいと考えています。オブザーバー参加については、両小委員会にとどまることではなく、小委員会に所属されていない評価委員も小委員会にオブザーバー参加いただくことを考えており、本日も2名の委員よりご参加いただいています。開催方法に当たっては、本日のように、情勢に鑑みながら会場とオンラインによるハイブリッド方式を考えています。
 そして、(3)取りまとめに向けた作業体制では、委員長及び御二人の小委員長、そして補佐的委員、事務局から成る編集に係るワーキングを設置し、当該ワーキングから必要に応じて知見を有する委員へ執筆や監修の依頼を行い、ワーキングから依頼を受けた委員は、知見を有する項目について内容や図表の妥当性など、監修、依頼された項目の執筆を行うという体制です。
 そして、令和8年度委員会報告を取りまとめる令和7年度以降において、ワーキングの下、国、県の実務担当者レベルによる取りまとめに向けた議論及び作業を進めます。
 次のページに報告書編集に関する体制のイメージを掲載しています。
 9ページのアンケートに係る資料を御覧ください。こちらは、これまでの委員会の議事や進行について改善すべき点をお伺いし、いただいた御意見です。
 一番上の枠では、小委の取りまとめ責任者も委員長判断で参加を認めることについて、御意見をいただき、両小委相互で委員のオブザーバー参加を可能とし、連携を強化することとしました。
 二つ目の枠で、委員に図表等の妥当性を事前に確認することについて、御意見をいただきましたので、各委員へ執筆・監修依頼を行いたいと考えております。
 三つ目の枠では、データの編集や資料作成について、委員長・小委員長を中心に専門家を入れて議論を重ねておくことといただいており、編集ワーキングを設置することを考えています。
 論点として、平成8年度委員会報告に向けた報告書作成のための作業体制をどうするか、整理していかなければいけないと考えています。
 資料2-3を御覧ください。今後の審議スケジュールについて示しています。
 令和4年度は、令和8年度報告に向けた審議の進め方、そして、小委員会の作業方針を主として検討する内容となっています。1月12日の第50回評価委員会では、今後の検討事項、審議体制、審議スケジュール、所掌事務の遂行状況に係る公表について御審議いただきました。
 本日の第10回合同小委員会では、第50回評価委員会にて決定された今後の審議の進め方等について御報告するとともに、令和8年度委員会報告に向けた小委員会の作業方針、情報収集・整理・分析に係る方向性について御審議いただき、3月下旬の第51回評価委員会により、小委員会の取組、再生方策の実施状況、令和4年度の所掌事務の遂行状況に係る公表について、御検討いただきたいと考えています。
 そして、令和5年度、令和8年度委員会報告に向けた検討として、報告の章立て・項目の審議、各項目の作業方針、現在の状況を反映した連関図案の検討を行っていただきたいと考えております。小委員会では、本日、情報収集に係る方向性を御審議いただきましたので、まずは情報の収集・整理・分析の具体的な内容を御審議いただくこととなります。
 令和6年、7年度では、課題4項目の調査・研究の成果等の取りまとめ(案)の検討を行うとともに、令和8年度委員会報告の取りまとめ(案)の作成を開始し、令和8年度において、委員会報告の取りまとめ(案)の審議に入っていただければと考えています。
 以上です。
○矢野委員長 どうも御説明、ありがとうございます。
 ただいま事務局より、今後の審議の進め方、小委員会での所掌事務及び作業分担、今後の審議スケジュールについて説明がありましたが、何か御意見、御質問等あれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 オンライン参加の方は挙手をしていただければと思います。
 では、速水委員、お願いします。
○速水専門委員 今後の審議スケジュール、資料2-3に関連してちょっとお聞きしたいのですが、今スケジュールだと、令和6、7年度になってから8年度以降の再生目標や課題4項目及び再生方策の検討をするという、そういう予定になっていますが、早めに再生とは何かとか、どのぐらいの時間スケールで考えていくかといったことを議論するほうがいいのではないかと思います。といいますのも、遅くなれば遅くなるほど新しいデータとかデータ解析結果が出てきて、その書き込みについて検討する必要が出てきます。
 そういった必要が出てくる前に、少し余裕がある時期に再生とは何か、再生目標というのを議論しておいたほうが後々のためにいいのではないかと思っています。また、再生を進めるに順応的な方法を取ると書いていますが、順応的な方法を取るためには、この包括的な再生目標以外に具体的な行動計画みたいなものが入ってくる必要があると思います。それに関しても早めに議論しておかないと、後々になって順応的な取組をしたいと考えたときに十分に検討する時間がなくなってくるのではないかと思いますので、その辺も含めて早くに議論したほうがいいのではないかと思う次第です。
 以上です。
○矢野委員長 では、事務局のほうから今の御質問に関連して何かございますか。
○木村閉鎖性海域対策室長 ありがとうございました。委員の皆様に事前に行ったアンケートなどでも、再生というものをどういうふうに定義するか、どういう状態を目指すのかを議論すべきというような御意見がございましたので、そこにつきましては、できるだけ早く議論する機会を作りたいと考えており、令和6、7年度より前にそういう議論をしたいと考えているところです。よろしいでしょうか。
○矢野委員長 よろしいですか。
○速水専門委員 はい、結構です。
○矢野委員長 ありがとうございます。
 それでは、山西委員、どうぞ。
○山西委員 私、今回、小委員会は初めてなので、恐らく、データを扱ったりとかして見るのかなと思って興味を持っていましたが、親委員会の中身を同じような形でやっているようなので少し残念でした。今回のアンケートの中でも答えましたが、親委員会と小委員会の連携が必要かと思いますが、こういうところでうまくかみ合っていないような気がします。つまり、親委員会と同じ資料を使って説明していて、意見が出ているわけです。私自身が発言した際はその議事録をチェックしますが、恐らく、小委員会だけしか出席されていない先生方とか、多くの委員の方はあまり、見られていない可能性があるので、よければそのレビューというか、どのような意見があったというのを言っていただいたほうが、先ほどの速水委員みたいな御意見に対して、もしかしたらほかの委員からの御意見とかぶっているようなところもあるのではないかと個人的には思います。
 だから速水委員が言われるのはごもっともかなと思うので、恐らく、そういう重複的なところがないようにしないと、このアンケートにある親委員会との連携のところが、やはり同じような形になってしまうのかなと思います。是非レビューの形で、親委員会で、この資料に対してどのような意見があったかというのを言っていただけると非常にいいかなと思いました。
○木村閉鎖性海域対策室長 ありがとうございます。そういう意味では、今日は小委員会の初回ということでありましたし、やはり親委員会で御審議されたものをまず御紹介しないといけないというところもありましたので、資料の説明が中心になってしまいました。本当であれば、1月の委員会の御意見などをまとめたようなものを御用意すればよかったのかもしれませんが、そういう形にはならなかったというのは、我々事務局がそこまで気が回らなかったところかもしれません。
 確かに審議の効率などを考えると、親委員会でどういう審議をしたのか、あるいは逆に小委員会でどういう審議をされたというようなことがもうちょっと分かるような形で、それぞれに提示できるような形での資料作りというようなことが必要なのかなというように、御意見を伺っていて感じたところです。今回はそういう形になっていませんが、できるだけそういうことも相互にいろいろな状況が分かるような形の資料作りも心掛けていきたいと思います。
○矢野委員長 先ほどの説明は、前回の評価委員会で取り決められたことを御紹介するという部分だったと思うので、もう一つの後半の議題で、小委員会としてどうしていくかは今から議論を進めていただくという、そういう位置付けかと思っております。
 山室委員、よろしくお願いします。
○山室委員 山室です。
 資料についてちょっと教えていただきたいのですが、資料2-1の5ページのところの下側に、土地利用ですとか人工物質のことなどが前回のアンケートで指摘されていると御紹介されていて、これを資料2-1の「今後の委員会の検討事項」と、それから資料2-2の「作業分担」に反映と書かれています。この資料2-1の検討事項というところが、この資料2-1の下のほうに下って別紙2となっている12ページ目にありますが、その中で、3章のところに「気候変動」「社会経済情勢」、それから「藻場・干潟等」というのが加わっていて、鳥というのはこの藻場・干潟に入るんだよという御説明がございます。では、これらの項目をそれぞれの小委員会でどのように分担するかについては、資料3-1に資料2-2から引用する形で4ページに項目が書かれていますが、先ほど、その資料2-1のいろいろあったマイクロプラスチックですとか、そういうのがこの資料3-1の表1もしくはその下で具体的にそれぞれの小委員会が何をするのかと書かれているところに、どこにあるのかが見えないんですけれども、これは別途、ほかの資料でこの委員会がやるんですよということをまだ整理できていないということでしょうか。
○木村閉鎖性海域対策室長 マイクロプラスチックのこととかをどう扱うかというところにつきましては、この段階では、今日の資料3-1等においては特に入れ込んではいないところであります。そういう御意見もあったという中でどこまでここで扱うかというようなところも小委員会の中で御議論いただければと思っています。
○山室委員 例えば資料3-1の4ページに、小委員会の作業分担というところで、生態系に「鳥類等」と書いてあるんですね。ところが、その下には鳥が出てこないように見えるんですよ。そもそも鳥類担当するのは海域小委員会と書いてありますけれども、海域小委員会に鳥のことが分かる方っていらっしゃいますか。私は少なくともそんなに分からないです。
○木村閉鎖性海域対策室長 はい。ありがとうございます。鳥のことは、新しく入ってきたところもありますので、例えば資料3-1、この資料3-1はまた後で議論できればと思いますけれども、鳥のことは過去の報告の中ではそれほど取り上げられていなかったということもあって、例えば資料3-1の4ページの表2は平成28年度の委員会報告の再生方策に係る作業分担であり、鳥というような話は基本的には出てきません。鳥も扱う必要があるということは令和3年度の中間取りまとめで言われていますので、そういう中でどう扱っていくかということをこれから御議論いただければと思っている次第です。
○山室委員 ということは、今回、資料2-1で委員からのアンケートでこういうことがありましたということは、まだ現時点ではきちんと、どういう形でやるかは事務局のほうで整理できていないという理解でよろしいですか。
○木村閉鎖性海域対策室長 全てについてそこまでできているわけではありませんし、また、この委員会の中でどこまでを扱えるかというところも、まだ見極めがつけ切れていないというところもございます。そういう中で、これから少し御意見なども伺いながら考えていければというのが我々事務局の現在の考えであります。
○山室委員 私、前回の最後の委員会で、資料がどこに何があるか分からない状態なので、そういうことも早めに決めなければいけないですよねというような発言をしたと思います、誰がやるのかとか。このタイムスケジュールで、まだどこがやるか分からないというので、前回、こういうことが必要ですねと言われたことを本当にできるんでしょうかというのが少し疑問に思ったので、委員として責任を持てるかなというのが少し不安に思いました。
○木村閉鎖性海域対策室長 そうですね、今の御質問に対しては、もう既に申し上げたとおりで、事務局の力不足もあるかもしれませんけれども、なかなかまだ方向性が我々としても出せていないような問題もあるということはよく承知していますけれども、そこについては少し委員の方々の御意見も伺いながらこれから考えていきたいというところが残っているのは事実でございます。
○山室委員 はい、分かりました。なるべく早めに、また同じことがこれからしなきゃいけないね、で報告書にならないようにスピード感を持って対応していただけるといいかなと思います。よろしくお願いいたします。
○矢野委員長 今日の委員長としての理解としては、令和8年度報告までに、今、山室委員から御指摘いただいた二つの項目の結論づいたところまで行けるかどうか、時間的な制約とかもあるのかなと思いますが、課題としては上がってきているということは小委員会でも親委員会でも認識はされているのかなと思いますので、これは本当に重要な課題として議論をしていくべきかどうかは今後の小委員会でなるべく早めに議論して、やるべきなら重点的にといいますか、追加していくというような方向もあるのかなと思いますので、今日のところはまだ結論づいたところは出ていないというような、そんな理解かなと思います。よろしいですか。どうもありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。
 古川委員、お願いします。
○古川専門委員 ありがとうございます。海辺つくり研究会の古川です。
 今後の方針についてアンケート等も含め、評価委員会での御議論も含め、大きな方向転換がされ始めているのかなというのを私は感じております。山室委員から御指摘のあった細部が詰まっていないところも、順応的に大きな目標をきちんと決めて進めていく中で、徐々に時間を見ながら議論が進んでいったらいいなと考えています。
 今回、入ってきた新しい評価の視点として、順応的という話もありましたし、あと社会科学的な評価をしていくというようなことがあり、ここら辺、すごく大きな方針転換かなと思ってお聞きしていました。であればこそ、最初に速水委員のほうからのご指摘もありましたとおり、この評価報告書が何を目指しているのか、誰に何を伝えることが必要なのかという、そもそもの議論を早めにすることと、その議論を、例えば小委員会に細かく分けていって、その分野で何をすべきかという話以上に、全体の包括的な話というのが必要なのかなと思っています。
 だから、その部分はきっと小委員会とか評価委員会の枠を超えての各省庁間の関係であったり、また、地元のステークホルダーの人たちとの話合いであったりということだとは思います。そうしたときに資料2-1の4ページのところに書いてある体制は、本当にその委員会の運営の体制ということであって、この報告書を誰に対して発表して、どういうコンセンサスを得ながら最終的な事業に伝えるのかということに関しては、地元のステークホルダーの人たちであったり、また、科学的な研究を、この議論の外でされている方との連携であったりというところが見えていないのかなと思っています。
 これは、この委員会での議論ではないという整理になるかもしれませんけれども、そういうところも含めて、包括的な議論と並行して、それを支える小委員会の役割ということで理解しながらこの委員会に参画させていただきたいなと思っていますので、ぜひその外側での包括的な取組、住民の人への説明がどういうタイミングで、いつ、どういう形でされるのか、また、そこからのフィードバックが僕ら小委員会のメンバーまで伝わってくるのかというようなところを随時教えていただきながら進めていただけたらありがたいと思っています。コメントです。ありがとうございました。
○木村閉鎖性海域対策室長 今のコメントに対してよろしいでしょうか。資料の2-1の3ページの上から二つ目の丸とか三つ目の丸辺り、順応的方法による取組の在り方でありますとか、知見の活用方法とか、それから地域住民参加・理解向上を促す観点からの取組といろいろなことを書いていますので、そういうところをどういうふうにやれるのかということを、委員会の中での議論も必要かもしれませんし、それ以外でも必要かもしれません。そういうことを検討していきたいと考えています。
 以上です。
○矢野委員長 小委員会と親委員会のほう、垣根を越えてオブザーバー参加等できるようにしていますので、かなりフィードバックはかかりやすくなっているのかなというふうには理解しております。
 本日、オブザーバー参加いただいております委員につきましても、もし御発言がありましたら挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。ございませんか。オブザーバーの方もないですか。分かりました。
 それでは、前半の議題についてはここで一回閉じさせていただきます。
 次に、資料3の関係です。小委員会の作業方針等について、まず事務局から御説明をお願いいたします。
○川口閉鎖性海域対策室長補佐 事務局の川口でございます。私のほうから御説明させていただきます。
 先ほど、事務局の川田から説明がございました今後の審議の進め方等を踏まえ、小委員会の作業方針等を見直す必要がありますが、今回新たに委員に選任された方もいらっしゃいますので、具体的な資料の説明に入る前に、従前の方針について改めて御説明をさせていただきます。
 平成29年3月に取りまとめた平成28年度委員会報告では、再生に向けた取組の当面の目標時期を概ね10年後、令和8年度としていましたが、平成30年3月13日に開催しました第42回評価委員会において、平成28年度委員会報告から概ね5年後に中間取りまとめを行うこととし、中間取りまとめに向けた今後の審議の進め方等を決定いたしました。この今後の審議の進め方等を踏まえ、平成30年8月29日に開催した第1回の小委員会、この合同開催におきまして、令和3年度中間取りまとめに向けた小委員会の作業方針を決定いたしました。これには検討対象項目ごとの主な検討事項、両小委員会の作業分担、小委員会におけるデータの分析方針、スケジュールなどが含まれております。
 その後、令和元年8月2日にそれぞれ開催しました水産小委、海域小委におきまして、先に決定した小委員会の作業方針を踏まえまして、令和3年度中間取りまとめに向けた小委員会における今後の情報の収集・整理・分析の方針を決定いたしました。これが今回の参考資料8及び9に該当しますけれども、これには基本的な考え方、各小委員会における情報収集等の方針、検討の方向性、スケジュールが含まれておりまして、検討の方向性には検討項目ごとのデータ整理・分析の具体的な検討内容とか、検討項目に関係する関係省庁・関係県等の取組状況のヒアリング及び関係データの提供内容等も含まれております。これらにつきまして、令和3年度中間取りまとめに向けた内容を、令和8年度委員会報告に向けた内容へまず改訂する必要がございます。
 一つ目の今後の審議の進め方等につきましては、第50回評価委員会等で見直しが了承されましたので、次は小委員会の作業方針の見直しということになります。
 説明に当たりましては、資料3-1と資料3-2を使用しますが、資料3-1の小委員会の作業方針(案)が中間取りまとめ作成において整理された従前の方針を見直すものでございます。
 また、資料3-2の情報の収集・整理・分析等の方向性(案)は、令和3年度中間取りまとめ第3章及び第4章を踏まえて、確認が必要な事項を別紙1から別紙3を含めて整理したものになります。
 初めに、資料3-1のほうを御覧ください。まず1の基本的な考え方でございますが、先ほどの資料2-1の今後の審議の進め方の2の(1)検討の基本的な考え方や3の(1)小委員会の作業内容を基に内容を見直しております。
 なお、従前の方針では、ベントス、有用二枚貝、ノリ養殖、魚類等の4項目を検討対象としまして、それぞれの項目ごとに検討事項を記載しておりましたが、この部分につきましては、こちらのほうに書いておりますとおり、両小委員会では、「ベントスの変化」「有用二枚貝の減少」「ノリ養殖の問題」「魚類等の変化」のこの4項目に加えまして、4項目と関係して、平成28年度委員会報告において再生方策が示されました「生物の生息環境の確保」を加えた5項目につきまして、関係省庁及び関係県から適宜報告を受けつつ、情報の収集・整理・分析及び再生方策の検討等を行うこととしております。
 次に、2の情報の収集・整理・分析の方針でございますが、これは従前の方針のデータの整理・分析についてのところも取り入れ、整理しております。
 まず(1)は、平成28年度委員会報告における情報の収集・整理・分析を記載しております。なお、令和8年度委員会報告においては、先ほどの資料2-1の今後の審議の進め方でもございましたけれども、検討の基本的な考え方や別紙2の項目のイメージ案を基に、令和3年度中間取りまとめでの指摘を踏まえて新たな視点を加えるものの、平成28年度委員会報告をベースに現状を整理することを想定しております。
 (2)では、令和3年度中間取りまとめにおける情報の収集・整理・分析の方針を記載しておりますが、平成28年度委員会報告以降における有明海・八代海等の環境の状況を、平成28年度委員会報告の第3章の構成に沿って整理しております。平成28年度委員会報告以降において、新たなデータや検討が得られた情報を中心に整理を行っておりまして、平成28年度委員会報告と同じデータや知見等については記載を割愛するとともに、経年的に大きな変化が見られていない図表や参考情報となる図表等は資料編に記載したところです。
 (3)の令和8年度委員会報告に向けた小委員会における情報の収集・整理・分析の方針としましては、令和3年度中間取りまとめを踏まえまして、環境変化のメカニズムや要因等の解明につながるデータの分析・解析に取り組むこととし、環境変化の状況や相互作用等の事象を再現できる数値モデルの有効活用等、最新の知見を踏まえて、問題点の原因・要因の解析・解明や効果的かつ有効な取組の分析等を行うこととしております。
 続きまして、3の再生方策の検討の方針でございますが、令和8年度委員会報告に向けては、中間取りまとめの第4章にも記載しておりますように、平成28年度委員会報告に掲げられた再生目標の達成状況や再生方策の実施状況等の確認が必要となりますが、関係省庁などから適宜報告を受けつつ、再生方策の実施状況及びその成果を収集・整理・分析することとしております。ここでは項目ごとに、平成28年度委員会報告において整理された再生方策を記載しております。まず、この再生方策の実施状況の整理をするというのがスタートと考えております。
 ここでは、5項目ごとに、それぞれ平成28年度委員会報告で整理された再生方策を列挙しております。
 次のページ、続きまして、4の水産小委及び海域小委での作業分担、相互参加による連携強化ですが、こちらは第50回評価委員会で示された表1、小委員会の作業分担に基づき作業を進めることとしております。また、先ほどの3の再生方策の検討の方針についても、表2により両小委員会での作業分担を整理しております。
 こちらの表の中で注釈がありますけれども、必要に応じて両小委員会での相互参加などにより議論の共有・連携強化することを想定しておりまして、これは第50回評価委員会で示された相互参加による連携強化を踏まえたものでございます。
 戻りまして、こちらのほうに括弧書きで、両小委員会における連携の取組例ということを書いておりますけれども、両小委員会で分担・連携して情報を収集・整理・分析すること。両小委員会において収集されたデータの共有を行い、各小委員会の分析等に活用すること。両小委員会相互で委員のオブザーバー参加などにより、議論の共有・連携強化を図るといったことを挙げております。
 こちらで項目の再生方策ごとに水産小委、海域小委の基本的な役割分担というものを示しております。
 次のページですけれども、5、その他の留意事項でございますが、先ほどの1から4のほか、委員会の審議事項について、必要に応じて作業を行うことや小委員会での作業を進める際に留意する事項としまして、令和3年度中間取りまとめの第4章の4.2及び4.3を踏まえて、ここの(1)の関係者による連携強化と情報の発信・共有の推進や、(2)の再生目標と再生方策等の関連性と他事業等との連携の強化として、①の連関図の発展、②の「順応的な方法」による取組の在り方、③のその他の連携・関連施策について、先ほどの資料2-1の今後の審議の進め方の中間取りまとめ等を踏まえ追加すべき視点の内容も盛り込みながら整理しております。
 最後に6のスケジュールでございますが、先ほど、資料2-3で今後の審議スケジュールとしまして、令和8年度委員会報告に向けた流れをお示ししましたが、従前の小委員会の作業方針では、平成33年度、これは令和3年度に当たりますが、中間取りまとめを行う場合の年度ごとの大まかなスケジュールが記載されております。まだ大まかなスケジュールではございますが、令和8年度委員会報告までについて、上段に記載しております小委員会での作業として、情報収集・整理・分析、これは継続して実施しますが、令和8年度に委員会報告を行う場合、原則として令和6年度実施分までの調査結果を対象として、収集・整理・分析したものを委員会報告に掲載することになるのではないかということで、矢印がちょっと途中になっていますが、令和7年度の途中で一旦止まっているような形で記載しております。
 先ほど御説明したものを中心に情報収集・整理・分析を進めていきまして、概ね令和6年度のうちから構成案の作成を開始しまして、令和8年度に報告案の審議や委員会報告を公表するというスケジュールを想定しております。ここはまだ、今後の作業の進捗状況等を見ながら、また評価委員会でもスケジュールを決めていくことになると思いますが、大まかにはこのような感じで進めていければということでスケジュールとして記載させていただいたところでございます。
 ここまでが資料3-1でございまして、続きましては資料3-2をご覧ください。
 こちらの資料につきましては、小委員会の作業方針を踏まえ、小委員会における情報の収集・整理・分析等の方向性を示したものになります。
 まず、令和3年度中間取りまとめ第4章の4.4、令和8年度委員会報告に向けた取組というところにおきまして、平成28年度委員会報告以降、有明海及び八代海を取り巻く社会情勢等も大きく変化しており、また、気候変動に伴う気温や水温の上昇、豪雨やそれに伴う大規模出水等による影響も顕在化しているといった状況や、情勢の変化等を踏まえつつ、本中間取りまとめにおいて整理された課題の解決に向けて取り組むことが求められているという状況でございます。
 その課題のまとめというのが第3章の再生方策等の実施状況等と課題の整理の部分と、第4章の再生方策に共通する今後の課題になりまして、これらに係る作業が必要ということになります。
 それを踏まえたときに、まずこちらに載っている1から3のものです。まず一つ目、再生方策等の実施状況等と課題の確認ということと、二つ目、データの蓄積等科学的知見の充実に係る項目の状況確認ということ、三つ目として、再生方策等の実施状況等の報告状況の確認、これらに関して、小委員会における情報の収集・整理・分析が必要な事項ということで考えております。
 これらにつきましては、こちらに書いておりますが、必要に応じて両小委員会で分担・連携して情報収集・整理・分析するとともに、両小委員会において収集されたデータの共有・分析への活用、両小委員会相互で委員のオブザーバー参加などにより情報の共有等を行いまして、連携強化を図ることとしております。
 具体的なところについてですが、まず、1の再生方策等の実施状況等と課題の確認、こちらですが、令和3年度中間取りまとめ第3章において、有明海・八代海等における環境の保全・再生及び水産資源の回復等の観点から、平成28年度委員会報告に示された問題点・課題、中間取りまとめ時点での再生方策等の実施状況等と課題を整理しておりまして、中間取りまとめ第2章に記載された課題等への対応も含め、同第3章において概ね網羅されていると考えております。
 これらを表にまとめて整理したものが別紙1になります。大項目として5項目ごとに、中項目として底質の改善などがあり、あと平成28年度委員会報告による問題点・課題等、中間取りまとめ時点で明らかとなった事項等、あと今後の課題や取組方針等を、こちらの表にまとめ直しまして、それぞれ小委員会での作業分担をこちらで決めさせていただいております。これに基づいて、この小委員会の分担によって情報の収集・整理・分析を進めるということを想定しております。
 右側に書いてあるところが小委員会の分担になります。
 まず、これが一つ目でございます。
 次に、資料3-2に戻りまして、2のデータの蓄積等科学的知見の充実に係る項目の状況確認ということでございますが、こちらは令和3年度中間取りまとめ第4章の4.1において、有明海・八代海等の長期的な変化を把握するため、別紙2に示した項目についてモニタリング調査等の実施・継続、必要な場合には拡充することにより、基礎的なデータの蓄積を図っていくことが必要ということで整理しております。
 別紙2を見ていただければと思いますが、環境データの蓄積として、こういった項目というのが挙げられておりますけれども、先ほど出ましたマイクロプラスチックとかというのは海洋ごみというところになるとは思いますけれども、こういった環境データの蓄積に関するところも、小委の分担というのを当てはめさせていただいておりまして、こちらに基づいて環境データ等の蓄積状況が今どうなっているかというのも含めまして、情報の収集・整理・分析を進めるということで考えております。
 こちらの欄外のところに書いておりますけれども、海域に生息する生物のみならず、流域を意識した生態系のつながりや渡り鳥をはじめとする他の地域と往来する生物にも着目した、自然環境や生態系メカニズムの解明に係る視点も踏まえることが必要ということと、気候変動に伴う気温や水温の上昇傾向による海域環境や生物・生態系への長期的な影響や、マイクロプラスチックを含むプラスチックの海域への流出による懸念とか、近年多発化している豪雨やそれに伴う大規模出水等によるインパクトの大きい海域環境への影響等が生じていることを踏まえ、これらの長期的・短期的影響について調査・研究を推進することが必要というのは、これらの特定のどれかというよりも全体的に関わるものということで整理をしております。基本的に海域小委が関わる部分が多いとは考えております。
 最後に、資料3-2のほうに戻っていただきまして、3の再生方策等の実施状況等の報告状況の確認でございますが、平成28年度委員会報告においては、先ほどから言っています有明海・八代海等における環境の保全・再生及び水産資源の回復等の観点から、再生目標を達成するための「再生方策」ということで整理しております。
 こちらの別紙3を御参照ください。これを踏まえて、当該海域等の再生に向けて関係省庁や関係県等により様々な調査や対策等の事業が実施されておりまして、令和3年度中間取りまとめ第3章において、再生方策等の実施状況等と課題を整理したところです。これが先ほど言いました別紙1のところになります。今回、令和3年度中間取りまとめの144ページの表3-1を基に、中間取りまとめ第3章で実施状況等の報告を行った項目を赤の太文字で、主にケーススタディで実施状況等の報告を行った項目を青の太文字で整理しました。
 これによると、本文にも書いてありますけれども、令和3年度中間取りまとめにおいて、実施状況等がまだ報告されていない再生方策もございまして、これらは別紙1において整理した再生方策等の実施状況等と課題の整理表にも含まれていないものということになります。これらの記載がないものも含めまして、再生方策の実施状況について、令和8年度の委員会報告での取りまとめを予定していることから、特に今後の情報の収集・整理・分析を進めるとともに、再生方策の検討を行うことと考えております。
 最後に、まとめになりますけれども、資料3-1の小委員会の作業方針(案)は、中間取りまとめ作成において整理された従前の方針を見直すものということ。また、資料3-2の情報の収集・整理・分析等の方向性(案)は、この方向性を踏まえて今回の小委員会での御意見等も参考にしながら、次回の小委員会等で、各小委員会それぞれにおける今後の情報の収集・整理・分析方針を整理することを考えておりまして、そのための基礎資料となるように今回整理させていただいたものになります。
 事務局といたしましては、次回以降の小委員会を進めるための情報も得たいということで考えておりまして、例えば小委員会の作業方針(案)については、どの項目から検討を優先的に進めていけばよいかということや、今後、検討を進めるに当たって必要と考える事項ということなど、もう一つの小委員会における今後の情報の収集・整理・分析等の方向性(案)につきましては、今後、最終的により細かい方針をつくっていく中で、情報収集等の方針、検討の方向性としてデータ整理・分析の具体的な検討内容、再生方策の実施状況等の整理や分析、各検討項目に関係する関係省庁・関係県等の取組状況のヒアリング及び関係データの提供内容など、また検討の進め方、これは例えば小委員会での議論の共有・連携のやり方とか、スケジュールなどに係る御意見等も併せていただければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 すみません、長くなりましたが、説明は以上です。
○矢野委員長 どうもありがとうございました。
 ただいま事務局から小委員会の作業方針(案)、それから情報の収集・整理・分析等の方向性について(案)の御説明がございました。それからまた、それぞれにつきまして議論をしていただきたい内容についても最後御紹介いただきましたけど、これらについて今から御意見、御質問等を承りますが、最初に、作業方針(案)について、御意見がある方について承った後、その次に方向性について承りまして、最後、時間があれば両方に関連した内容で承りたいと思います。
 それでは、まず小委員会の作業方針についての案について、御意見、御質問等ございましたらよろしくお願いします。
 古川委員、よろしくお願いします。
○古川専門委員 ありがとうございます。先ほどもコメントをさせていただきました、その方針が資料3-1の6ページのところ、その他の留意事項として出てきています。主に関係するところが(1)と(2)の②に当たるところですけれども、これの語尾が「検討する必要がある」ということで、誰がというところが書かれていません。小委員会では、これに留意はするけれども、この理解促進、理解向上等を促す取組だとかフィードバックの方向だとかの検討はしないでよろしいということと理解しましたけど、それでよろしいでしょうか。
○木村閉鎖性海域対策室長 そのような意味ではなく、小委員会の作業をしていく中で、こういうことにも留意するということですので、主語が書いていないと言われてしまうとそのとおりですが、小委の中でどこまでやるかというところはもちろん決まっているわけでもないですが、これらの点につきましては事務局でももちろん考えていきますし、場合によっては小委で議論いただく点もあるかと思います。そこのところまだ明確に、どういう方針ということも決めてなく、とにかく、まず今の時点では留意しなければいけないということで挙げていると御理解いただければと思います。
○古川専門委員 老婆心から申し上げますけれども、その報告書の中身、もちろん大切で、科学的な議論をすることも大切ですけれども、そこをないがしろにするという意味では全くないですが、その中身とともに、それをどう伝えるかというところの労力というのは、その報告書をまとめるのと同じぐらい、やはりいろいろな労力がかかるところだと思います。事務局のほうでされるということであれば、それは大変な御苦労を背負われるということで申し訳ないとは思いますけれども、やはりこの時点からこの取組、理解を求める取組であるとかフィードバックをどうするかということに対して、誰が事務局をして、どういうタイミングで、どういう人に向かってやるのかということを準備しておかないと、そんなに簡単にはできないことであるということを改めて一言申し上げたいと思って発言しました。
 以上です。ありがとうございます。
○矢野委員長 今の古川委員の御質問とか御意見は、出来上がる報告書のアウトリーチとして、どういった活動をやっていくのかという話になろうかと思いますので、小委員会マターかどうかは少々微妙かなと思いました。
○古川専門委員 それなので、事務局のほうが、それは小委員会マターではないというふうに切り分けて、こういうふうに書かれたのかということを確認させていただく意味で発言いたしました。
○矢野委員長 まだ、あまり、そこのすみ分けはできてないというのが正直なところではないでしょうか。
○木村閉鎖性海域対策室長 今後、検討していくことにしたいと思います。
○矢野委員長 課題として残していただくということで、今年度のところはご了承いただければと思います。
 ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○林専門委員 福岡の林です。
 資料3-1の3ページのところですが、④ノリ養殖のところで、環境負荷の軽減に配慮したというワードが出てきますけど、ノリ養殖に関しては、海水中の窒素など栄養塩と二酸化炭素を吸収して、環境浄化に役立っていると考えておるところですが、この環境負荷の軽減に配慮というのはどのようなイメージでしょうか。
○川田閉鎖性海域対策室長補佐 具体的には施肥の軽減を指します。
○林専門委員 例えば、3ポツ目のところで、酸処理剤等に由来する栄養塩の挙動というのがあるんですけれども、ここに施肥が含まれているのかなと思いました。ここは「等」ではなくて施肥という言葉自体を入れたほうがいいかなという気が私はしましたので、意見として。
○川田閉鎖性海域対策室長補佐 ありがとうございます。検討してみたいと思います。
○矢野委員長 
 はい、どうぞ。
○速水専門委員 今回、6ページのところで連関図の発展というふうに文言が入っています。これ、非常に重要だと思います。この語句が前にあるかなと思って見てみましたが、連関図関係って、資料2-1の12ページで4項目ごとの連関図という言い方が出てきて、3ページで連関図をさらに細分化等発展という記述があります。これは、今までやった全体としての連関図ではなくて、問題点四つに関して、それぞれ連関図を作成していく方向が決まっているのかということが一つ。もう一つは、下のこのスケジュールの中で、こうした連関図の変更というのはどの辺りに持っていくのかという、この2点、教えてください。
○木村閉鎖性海域対策室長 はい、4項目ごとの連関図というのは、今ある連関図より、もう少し詳細に見ていかないといけないのかなということで、こういうものを作成していければというふうに思っています。
 スケジュールについては、資料2-3の中で、令和5年度のところに、「現在の状況を反映した連関図案の検討」ということも入れておりますので、来年度での検討を考えてございます。
○速水専門委員 結構これは大きい作業になると思うので、7ページに掲載されている小委のスケジュールの中に入れ込んだ書いたほうがいいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○矢野委員長 今、速水委員が言われたとおり、連関図は、かなり大変な作業になると思いますので、スケジュール的にはかなり綿密にやる必要があると思いますけど、変えるためには、知見のバックグラウンドも整理する必要があるので、作業量としては、かなり膨大になりそうだなという気はしております。小委員会の中で、毎回もんでいくというようなところは間に合わなくなる可能性もあるのかなと思いますので、作業部会をつくるとか、いろんな方法もありかなと思いますので、その辺りも御検討いただけたらなと思います。ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 山室委員、どうぞ。
○山室委員 はい、先ほどコメントしたことにも関連しますが、古川先生も指摘されたように、本当に主語が分からないんですね。さっきの発言も、例えば、この資料3-1の4ページのところの4番の(両小委員会における連携の取組例)として、両小委員会で分担・連携して情報を収集と書かれているんですね。実際は、これまでの委員会では、その情報は事務局でまとめていて、ある程度整理されたのが委員会に出てきていたと思うんですよ。なので、これを見て、その委員がどこまで、何をするのかというのが、本当に分からなくなったということもあって、先ほどああいうことを申し上げたんですね。ですので、もう少しやはり主語をきちんと書いて、委員は何をやるのかということが分かるようにしていただけるといいのかなと思いました。
 古川先生の言われたことの補足のつもりで発言させていただきました。
○木村閉鎖性海域対策室長 そういうところがなかなか書き切れていないのではないかという御指摘だと思います。今までの委員会では、事務局で案を作成させていただいていますので、主な、最初の情報収集はそういう形だとは思いますが、とはいえ、やはり委員の方にもお願いするような場面もあると思いますので、少しその辺りは、また整理をした上で御相談できるような形にしたいと思っております。今日の時点では、なかなかできていないところもあります。今後、よろしくお願いいたします。
○矢野委員長 山室委員、よろしいでしょうか。
 ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○山西委員 先ほど、林委員からお話もありましたが、3ページの④のノリ養殖のことで、研究者として一言、検討のお願いですが、先ほどの林委員に重ねて言いますと、本日は佐賀県有明水産振興センターの川原委員は来られていませんが、前回の親委員会で発言させていただきましたが、今、佐賀県のノリ養殖は非常に大変な状況です。自然任せのところでの養殖というところもありますが、恐らく、このような委員会で、現場にいろんなサジェスチョンができるいい機会かなとは思います.しかし、この中で、そういうダイレクトに何か国や県が言える、あるいは、サジェスチョンできるようなものが、何か少し物足らないようなところもあるんですね。
 先ほどの話だと、施肥の話で、例えば、酸処理剤に由来するものは、どちらかというとネガティブのほうの話ですが、今、栄養塩が非常に足らないということです。だから、むしろ、後ほどあるのかもしれない、能動的な対応というところでの話だとか、あるいは、いかにすれば、その栄養塩が供給できる、あるいは、そのノリ養殖にとってのよい方向に行けるというような、何か、その方策にダイレクトにつながるようなところを提案いただけるといいかなというのが一つあります。
 それと、⑤の魚類のところで、環境収容力及び歩留まり率を考慮した生産の検討があります。正直、有明海でやっているノリ養殖を、無限にその大きくするというのは非常に問題な話であって、逆に水産関係のそういうコントロールというか、制御ということを少々耳の痛い話ですが、将来的に考えるのであれば、こういう環境収容力だとか、歩留まりだとかいうものを考慮した生産の検討というのを、例えば、今できるかどうかはともかくとして考えていくとか、提案していくとかいうのがあってしかるべきかと思います。
 それは、気候変動の話にもつながり、今後、水温も高くなくなりますし、そのノリ養殖技術の確立ということをやっておられますが、すぐできるかどうかということもありますので、その辺、何かもう少しダイレクトにつながるような方策の検討というものが、項目に入るといいかなと個人的には思います。
 どうしても現場の漁民の皆さんは生活がかかっていますし、研究だと中長期だとかいう話が多いですが、もう少し短いタイムスケールの話にも取り組んでいただけるといいかなと思いました。
 以上です。
○矢野委員長 今のご意見に対して、いかがでしょうか。
○木村閉鎖性海域対策室長 ありがとうございます。現状、有明海においては、ノリ養殖が大変厳しい状況ということは伺っております。そういう中で、今日、後のほうの議題の中では、各県の水産試験研究機関からの委員の方から、状況についてお伺いする時間をいただこうというふうにしたところであります。
 そういうところも踏まえて、じゃあ今後、具体的に現場に役に立つような再生方策の提案というのはできないかというところでありますが、もちろん、それは再生方策を次にまとめていくに当たって、委員会として議論する中で、どういう方策がいいのかというところは、また親委員会、小委員会のほうでも議論していただいて、ご提案できるようにしたいと思います。
 また、どちらかというと環境収容力とかそういうものを考慮してというようなもの、これも過去の再生方策にも、今日お示しした資料の中にも、確かに書いてあります。それを具体的にどう実現するのかというところは、また、事実難しいところだろうと思いますので、いずれにしても、今後の再生方策をまとめていく中で、どういうことが言えるのかということを委員の皆様方と一緒に考えていければと考えております。
 以上です。
○矢野委員長 まだいろいろあろうかと思いますが、ここでオブザーバー参加されている方で、もし御意見があればお受けしますが、よろしいですか。
 藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 福岡県有明海研究所、藤井ですけれども、発言してよろしいでしょうか。
○矢野委員長 はい。
○藤井委員 資料3ページの④のノリ養殖のところですが、これは、資料3-2とも関連性があるところになりますが、まず、ポツ一つ目の珪藻赤潮発生の予察、発生機構の明確化のところですが、休眠期細胞を形成します小型の珪藻類ですが、これらの種類の休眠期細胞の分布状況等について調査結果があれば、それを明らかにするということも大事なのかなと。もしなければ、時間は少ないですが、新たに調査項目に加えることで、この小型珪藻類の赤潮化というところの予察にも関係が出てくるのではないかと思われます。
 それと、ポツの二つ目ですが、適切な漁場利用とありますが、近年、この有明海のノリ養殖、減産傾向にあります。実際のその養殖をする養殖施設の数が、福岡ではもう年々減ってきております。以前は廃業者の漁場を引き継いだ漁業者の方が養殖していましたが、今は、もう漁場余りといいますか、そういう現象になっておりまして、もう柵数が年々減ってきておりますので、このノリの生産の統計なんかをする場合は、実際の統計調査は2年ですから、ノリ養殖は年度をまたいでやるので、その年度ごとの作数、それから生産枚数なんかを今のうちからきっちり押さえておかないと、要は、その環境が駄目で採れなくなっているのか、それとも、そもそももう施設が減っているから採れなくなっている、そこら辺の区別がつかなくなると思いますので、ここはきっちり整理が必要であると思います。
 以上です。
○木村閉鎖性海域対策室長 ありがとうございました。貴重な御提案をいただいたと思いますので、今後の検討の中で整理させていただきたいと思います。
 以上です。
○矢野委員長 ありがとうございます。
 続いては東委員、どうぞ。
○東専門委員 東です。
 資料3について、古川先生や山室先生と同じような印象を受けましたが、これだけ大量な項目の情報の収集・整理・分析を事務局のほうで行っていただき、小委のほうで検討するというような流れだと理解しました。これだけの量のものを、委員会としての場だけでなく、委員の先生方にもいろいろ研究をされることが期待されていると理解しましたが、その研究活動を支援するような枠組みみたいなものを、つくっていただけるとありがたいかなと思います。
 具体的に、研究資金もそうですが、多くの方々が参加できるような共同研究の枠組みとか、何かその提案課題の募集みたいなものを広くやるような、新たな制度があるとありがたいのかなと思いました。
 以上です。
○木村閉鎖性海域対策室長 ありがとうございました。研究支援という意味では、我々の水・大気環境局閉鎖性海域対策室とはまた別の組織の中で、環境研究総合推進費といった仕組みが環境省としてはありますので、そういう中で、取り上げてもらえるようなことを我々、省内でアピールしていくということが、やれることとしてはそういうことになろうかと思いますので、それについてはやっていきたいというふうに考えております。
○矢野委員長 ありがとうございます。
 大分時間が押しておりまして、ほかのことで議論いただきたいこととしては、項目の優先順位ということもございましたが、この部分は、また後に回させていただきます。
 次は、資料3-2の今後の情報の収集・整理・分析等の方向性の案についての部分での御質疑を受けたいと思います。このことについて、御意見等ございましたら、挙手をお願いいたします。
 どうぞ。
○青木専門委員 資料3-2の別紙1について教えていただきたいんですけれども、再生方策等の実施状況と課題の整理ということでまとめられていますが、大項目の下に中項目というのがあります。上から2番目の河川から土砂流入量の把握と、3番目の藻場・干潟の分布状況等の把握というのは、ある意味、ベースとなる情報を把握するという意味だと思います。一方で、一番上に書いてあるのは底質の改善という、要は対策だと思います。これらの性質の異なる情報が混在している状態ですが、中項目はどのようなカテゴリーで分けられているのでしょうか。
○川口閉鎖性海域対策室長補佐 事務局の川口からお答えします。
 こちらにつきましては、令和4年3月の中間取りまとめ第3章の構成として、大きな項目として生物の生息環境の確保や、ベントスの変化などがありまして、生物の生息環境の確保では、その次の項目として、底質の改善、河川からの土砂流入量の把握、藻場・干潟の分布状況等の把握、漂流・漂着・海底ごみの対策というように書いてあるものを、そのまま今回の表として、項目を並べたとご理解いただければと思います。
○青木専門委員 はい、分かりました。ありがとうございます。
○矢野委員長 対策を書いているわけでは。
○川口閉鎖性海域対策室長補佐 再生方策だけではないということですね、はい。
○矢野委員長 それでは、山口啓子委員、お願いします。
○山口(啓)専門委員 ベントスに関する部分ですが、すごくベントスは非常に大事だということは認識していただいていて、いろんなところで書いてありますが、その分析や解析のことの詳しい内容がないんですね。別表とかで見ても、やらなければいけないということは書いてありますが、具体的に何をするかがみえない。その前回の中間取りまとめまでの段階で、ベントスの優占種が何か、個体数がどうなった、種組成がどうなったというのでは変化の特徴が見えないから、クラスター解析をして、個別の群集を認定して、それがどう変わっていったかみたいなのをやり始めていました。これは、恐らくいであさんがやってくれていたと思いますが、それが途中段階で、結局、中間取りまとめでは消えてしまった感じになったんですね。
 あれはもう少し続けてほしかった。ここで生かすとしたら、ただ種組成とか、種の数とか、個体数とか、湿重量とかだけを追っていても恐らく見えないので、ベントスの群集解析をする。そのクラスター解析をかけるとすると、いつからいつまでのデータを使ってやるかというのが結構重要になってくるとおもいます。次の段階になるかもしれませんけど、もう少し具体的に、どういう形で、その群集解析をしていくのかというところまで入れてもらっておいたほうがよいでしょう。タイムスケジュールも恐らく、前に戻ってしまうと本当に時間のロスが大きいので、先に進めるという意味でも、いつからいつまでのデータを使って群集解析をかけて、それで変遷を見るんだということも具体案として入れていくようにしていただきたい。そうしないと、私も10年ぐらい参加させてもらっていますけど、もう全然進まない感じで、一進一退して、また戻っちゃうという感じなので、そこを進めるように、もう少し具体的に書いていただけるようにしたらいいのかなと思います。
○川口閉鎖性海域対策室長補佐 そうですね、今、環境省の請負業務で引き続き、底生生物群集と海域環境項目の変動状況との関連性分析を行っているんですけれども、クラスター解析の方法に関して、どういうやり方をすればいいのかというところを、今、請負業務の検討委員会の委員の皆様にも投げかけをしながら、まだ摸索をしている状況というところで、例えば、本日ご参加いただいている国立環境研究所の金谷委員とか、そういうベントスに詳しい方の御意見を伺いながら、請負業務検討委員会の中で検討を進めていきたいと考えております。
 以上です。
○矢野委員長 よろしいですか。
○山口(啓)専門委員 はい、金谷さんが今度入っていただいたので、金谷さんから、ちょっとアドバイスしてもらって進めれば、多分その部分は進むと思いますので、ぜひお願いします。
○矢野委員長 ありがとうございます。
 次は山口敦子委員、よろしくお願いします。
○山口(敦)専門委員 ここまでご説明を伺ってきて、先ほどの資料2の内容にも関係していますが、まず、親委員会とこの小委員会との関係とか、その役割の違い、そして、この小委員会でも誰が何をやるのかということが、やはり分からないので、より明確にしていただく必要があると思います。今回、親委員会の任期が終わり、小委に専門委員として入っている委員もいるので、なかなかその議論の、親委員会と小委員会の共有もできないですし、小委で作ったものを親委員会に上げて、その後、恐らく修正が入れば、そこで終わりで小委には戻ってこないという理解でよいかと思いますので、なかなか最後まで責任を持ちづらい状況にあると思います。
 小委ではこれまでのように、各省庁から再生事業の報告がされるのだと思いますが、これまでよりも少しまた複雑になるなというのが正直な印象です。時間もとにかくないですし、皆さんおっしゃっているように、これまでの5年間を考えても、さらにそれより過去のことを考えても、その5年間というのはあっという間ですので、せっかく尽くしてきた議論や作業を無駄にしないようにするためにも、小委と親委員会でそれぞれ何をやるのかを、できるだけ明確にしてやっていく必要があると思います。
 一つに、ここでの再生方策が何を指しているのかをわかりやすくすることです。関係省庁が実施している事業=再生方策とみなしているのであれば、そのことを明記すべきではないでしょうか。ただし、これまで言われているように委員会では再生事業の評価を行わない方針ということでよろしいでしょうか。これまでも評価はしないということだったので。そうすると、検討とは、事業の紹介や、取りまとめというような形になるのだと理解しました。
 今の資料3のこの別紙1の内容について、少し細かいですが、課題の整理と書いてあり、ここの資料に出ている内容と、先ほどの資料3-1の表2の具体的な内容とは、一致していないようです。どういう経緯で、どこで議論されて、なぜこれだけが取り上げられ、今ここに上がってきたのかが分かりにくいと思いました。私たちはこれから何を具体的に議論していくのか、既に整理されてはいますけど、はっきりしていない印象です。
 あと、先ほどの資料3-1に戻るんですが、表の1の作業分担、これ自体は以前から決められているものだとは思いますが、水産小委のほうで水産資源とあります。ここでいう水産資源というのは、どちらかというといずれも増養殖に関係するものになってしまっていて、特に私が関わっている魚類でいいますと、従来の一般的に言う水産資源とは違って、天然のものではなく養殖の方の話題が中心になってしまっています。
 海域小委のほうを見ると、生態系の視点からの魚類、ベントス、鳥類にとどまっていて、そうすると魚類資源、天然の資源の話題が、ここでも抜けてしまっているんですよね。この整理をちゃんとしておかないと、前回の中間取りまとめのときも、魚類養殖と、一般的な天然の資源とがごっちゃになってしまっていて大変でした。検討するときには分けて考えるべき内容かと思いますので、ここでしっかりと分けておいたほうがいいと思いました。
 表2もそうですし、それから先ほどの別紙もそうですが、資料を見る限りは、小委での再生方策に係る検討事項の作業分担が、水産小委に非常に偏っていて、水産小委が中心になっているように見えてしまいます。そして、どちらかというと水産小委の方で、増養殖関係のもの、二枚貝、魚類養殖、ノリ養殖などを扱って、海域小委の方ではここにあまり詳しいことは書かれていなくて、生物の生息環境が主になるように見えます。そうすると生態系もありますけれども、増養殖関係以外の生物が抜けてしまいます。この辺りも少しはっきりしないので、今日、もし全てがここで決まってしまい、次回の親委員会に報告ということになると、困ると思いますので、まだ検討の余地はあるのではと思いました。
 以上です。
○矢野委員長 今の御指摘は御質問にもなろうかと思いますけれど、いかがでしょうか。
○木村閉鎖性海域対策室長 ありがとうございました。例えば親委員会と小委員会との関係であるとか、今の直前のお話は水産小委と海域小委の間での分担、それから、親委員会、小委員会というのがありますけれども、事務局というのを先生方との役割分担というところで、いろいろ担い手の作業分担や役割が分かりにくいというところの御意見だったと思います。
 そこにつきまして、我々の中で、いろいろ資料を出させていただいて、または分かりにくいところもあろうかと思いますので、今後も引き続き整理はさせていただきたいと思います。とは言いながら、小委員会の一応の作業分担は、こういうことかなと思っていまして、その中で、一方で、両小委員会の連携というようなことも出させていただいておりまして、最後にいただいたような増養殖の関係の魚類資源と、それから、それ以外の自然の生態系における魚類資源のところを区別することについては、今明確にそこまで言い切っているのかどうかは分かりませんが、そこについては、個別に、また少し考え方を改めて整理したいと思います。
 再生方策ということについての御意見がございました。再生方策については、報告書の中で再生方策ということで書いているものがございまして、それも踏まえながら、各県、あるいは各省庁で様々な事業をやっていただいているところでありまして、完全にイコール、1対1で対応しているということではないと思いますが、報告書に書いた再生方策があり、また、省庁、各県がやられている事業もあるという関係だと理解します。
 それから、各省さんがやっている、あるいは関係県がやっている事業そのものの評価ということは、これまでもしておりません。そういう中で、再生方策として各省庁さん、それから各県さんがどのようなことをやられているのかということはしっかり、この委員会として把握する必要がありますし、それを基に、再生目標がどれだけ達成されたかというような評価でありますとか、その次の再生方策として、どのようなものを作っていくべきなのかというようなことは、この委員会の中で審議、検討させていただきたいと、そういうことでございます。
○矢野委員長 よろしいでしょうか。
○山口(敦)専門委員 はい、ありがとうございました。
○矢野委員長 今、山口委員が最後のほうに言われた、今日この案を取るような段階になりそうにないという感じですが、その場合、この作業方針と一つの方向性のほうですが、協議をもう一回するわけにいかないので、メール審議的な情報収集をしていただいて、これを最終的に修正案として取りまとめる作業をしていただいて、それを我々両委員長のほうで確認をして親委員会に上げるという手順ぐらいしかできないんじゃないかなという気はしているんですが、そういう手続論になりますかね。
○木村閉鎖性海域対策室長 はい、そこは、もちろんそういうことは可能です。
○矢野委員長 恐らく時間的なものもありますので、そういうやり方しかないのかなという気はしていますが、まだ意見は出尽くしているとは言えなさそうな気はしますが、ここの修正案を作っていく方針としては、一度委員のほうに御意見をいただいた後に、それを取りまとめて、我々両小委員長のほうで確認させていただいて、訂正していただくというような方向で御提案したいなとは思うんですが、それについてはいかがですか。何か、その方法ではまずいということがもしあるようでしたら、率直に御意見いただければと思いますが、どうでしょうか。もう一回フィードバックをかけるべきだとかいう意見がもしあればということですが、時間的な制限もございますので、もしそのやり方でお認めいただけるのであれば、そういった形で、各委員の御意見を吸い上げた形で修正案を作らせていただくというような方向かなと思っておりますが、いかがでしょうか。
○山口(敦)専門委員 山口ですけども、よろしいですか。
○矢野委員長 どうぞ。
○山口(敦)専門委員 面倒なことを言ってすみませんが、これまでのやり方ですと、最初にこの方針を決めてしまうと、もう変更ができないということだったと思うので、この短い時間で恐らく事務局の方でまとめるのも大変だったとは思うんですけれども、今日新しい内容もたくさん入っておりますので、それを短い時間で審議して、決定してしまうのはなかなか難しいことかと思います。技術的に可能なのかは分かりませんが、ある程度、再検討もできる余地を残しておけば大丈夫ではないかと思います。これで決定というわけではなくて。柔軟に、ある程度は方向を変えられるようにしておくのが最善かと思いました。
 もちろん、先ほど言っていただいたように小委での意見を吸い上げた後、修正案を委員長に確認していただいてから親委員会に上げるという手順に関しては、異存はありません。お願いいたします。
○矢野委員長 ありがとうございます。
 ひょっとして手続論的な話かもしれないですが。
○木村閉鎖性海域対策室長 今ちょっと、事務局の中でお話をしているのは、まだ意見が出尽くしてないということであれば、1週間ぐらいの間にメールで意見をいただいて、それを基に検討をさせていただいて、それで案をもう一度修正したものを見ていただいて、それも踏まえて次の親委員会に上げるというような形で。
○矢野委員長 その方向性については、今、どなたからも異論は出てないと思いますが、今、最後、山口委員が言われたのが、その出来上がったものに、また修正を加えたりすることができるのかというお話だったと思います。要するに、そこに対して上がってくるいろんな修正を加えていきながら、より改善していくということが、後でもできるのかという御質問だったと思います。
○木村閉鎖性海域対策室長 分かりました。そこも確かに今日は、いろいろまだ事務局の中でも整理できていませんというようなところもございましたので、そこはいろいろやっていく中で、変更しなければいけないような場面が出てくれば、それは検討もさせていただければと、そういう形で進められればと思います。
○矢野委員長 一応案を取る形で次の親委員会にかけますけど、出来上がったものを、今後の小委員会、親委員会等の議論で、当然、重要な案件がもし出てくれば、それに加えていくというようなことが当然あるのかなと思いますので、そういったことは可能だと御理解いただければと思います。
 時間が大分押しておりますが、オブザーバー参加いただいている委員におかれまして、何か御意見ありましたら、ここでお受けしたいですけど、いかがでしょうか。ございませんか。よろしいですかね。
 それでは、意見が出尽くしたかどうかが分からないですが、大分時間も押してまいりましたので、ここで一度切らせていただきまして、本日、御意見いただいた部分について事務局で整理していただきまして、また1週間程度というような意見が出てございましたけど、修正意見を各委員のほうに出していただいて、それを取りまとめて、最終的に事務局で取りまとめていただいたものを、両小委員長のほうで確認いたしまして、親委員会のほうに上げさせていただくというようなやり方でいかせていただきたいと思います。
 先ほど、これに関しては、御異議なしということでしたので、この方針でいかせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 本日の議題については、これで終了いたします。
 それでは、次の議題となりますが、その他に移らせていただきます。第50回の評価委員会にて、地元からの情報の重要性について御意見が出たところですが、委員会へ参加いただいている各県の委員より、状況について情報提供いただくことになっております。
 まず、福岡県の藤井委員から、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 福岡県、藤井です。それでは、報告させていただきます。
 有明海のノリ養殖は、秋芽網生産、冷凍網生産の二期作で行っているところです。福岡県の令和4年の漁期は、種網の育成、秋芽網生産につながる野外採苗は10月26日から開始されましたが、福岡県海域では、採苗に先立ち、10月19日に小型珪藻、キートセロス属の増殖を確認しました。これまでの私どもの知見では、小型珪藻類は、増殖の確認から14日から20日程度の経過で増殖は収束するものでしたから、ノリの栄養要求が小さいこともあり、採苗開始には問題ないと判断していました。
 キートセロス属増殖の収束を確認したのは11月16日でしたが、その後も、一定量のスケレトネマ属が存在し、また、1月に増殖したことから、約3か月間、珪藻類の増殖と、それに伴う無機態窒素量の低い状況が継続しました。珪藻類の増殖に伴って無機態窒素量が低下したことから、11月3日ですが、ノリの葉状体の葉長、大きさが0.3mmと非常に小さかったんですけれども、ノリ葉状体の色調低下が発生しました。このため、我々はノリ網を河口漁場付近に移動するよう情報提供しました。河口漁場というのは、河川水から供給される窒素が多いということがあります。
 無機態窒素量の少ない状態が継続したことと、河口漁場の面積にも限界がありまして、かなりの広範囲でノリ葉状体の色調、成長が低下するなどの問題が発生しました。種網が正常に成長しなかったこと、プランクトンの増殖が収束しても、無機態窒素量が微増にとどまったことから、秋芽網は摘み取り開始が遅れ、生産されたノリは低品質なものが多い状況でした。秋芽生産は枚数、金額ともに、過去5年平均の約半分にとどまる結果となってしまいました。
 続きまして、1月3日から冷凍網の出庫が開始されましたけれども、1月4日に、スケレトネマ属の増殖を確認し、同時に、無機態窒素量が激減していました。新たに張られたノリ網なんですけども、生産開始直前の1月10日には、漁場全体で色調低下を確認しました。1月20日には、スケレトネマ属は収束傾向を示し、ノリの色調は改善傾向を示しまして、1月23日には、ノリの色調はほぼ回復したところです。
 令和4年度の10月、11月に見られた珪藻類の増殖ですが、これに関しては、もうこれまでの私どもの知見と異なる動きを見せました。この要因については、気象条件の中、無機態窒素の動きなど、様々な面から検証する必要があると考えています。
 以上です。
○矢野委員長 ありがとうございます。
 次に、佐賀県の川原委員は、本日、御欠席のため、事務局に御説明をお願いいたします。
○川田閉鎖性海域対策室長補佐 川原委員より資料をお預かりしておりますので、事務局よりお話しさせていただきます。
 佐賀県における令和4年度のノリ養殖の概要についてでございます。佐賀県のノリ養殖は、採苗から2か月ほど生産される秋芽網期と、秋芽網期終了後に冷凍保存していた網に張り替えて、3か月ほど生産される冷凍網期に分かれます。今年度の佐賀県のノリ養殖は、10月26日に採苗が行われましたが、採苗後、晴天が続き、水温がなかなか低下しない中で、1か月以上にわたって続いたキートセロス赤潮や、12月中旬に発生したユーカンピア赤潮等によって漁場の栄養塩が低下したため、秋芽網期に全漁場でノリの色落ち被害が発生しました。
 また、1月に入って開始された冷凍網期においても、スケレトネマ赤潮によって、直後から全漁場の栄養塩が少ない状況となり、ノリの色落ちが発生しましたが、1月中旬に降ったまとまった雨と下旬の寒波によって、スケレトネマの細胞数が減少し、栄養塩が増加したため、大半の漁場でノリの色調に回復が見られ、六角川以東の漁場では、現在、順調な生産が行われています。一方、六角川以西の漁場では、2月に再びスケレトネマとキートセロスが増加して色落ち被害が発生し、一部の漁場では、生産終了を余儀なくされるなど、厳しい生産が続いている状況です。
 従来、佐賀県の秋芽網期は、プランクトンが赤潮化することは少なく、栄養塩も十分あって、生産が安定する時期です。また、六角川以東の漁場では、色落ち被害が発生することは少ない傾向があります。しかしながら、今年度は秋芽網期から冷凍網期を通じて、プランクトンの種類が入れ替わりながら、全漁場で赤潮が発生し、また、県の観測が始まって以来、初めてユーカンピアが12月中旬に赤潮化しました。このように、これまで経験したことがない赤潮の発生状況となって、大きな色落ち被害を受け、現時点で生産量が大きく低下している、今年度はそのような漁期になっています。
 以上でございます。
○矢野委員長 ありがとうございます。
 では、次に熊本県の堀田委員にお願いいたします。
○堀田専門委員 はい、熊本県です。熊本県におきましても、ノリ養殖につきましては、年内の秋芽網、それから、年明けてからの冷凍網の二期作でございます。
 まず、種付け、採苗からでございますが、熊本県の場合、10月25日に採苗を開始しまして、一部しけ等もありましたけれども、30日にはほぼ終了しております。この芽付き自体は、やや厚付きでありましたけれども、水温のほうも22℃から順調に下降していって、採苗としては、順調でした。
 次に、それを冷凍網入庫前に育苗してまいりますが、県下全域で珪藻赤潮が発生しまして、栄養塩が低下し、ノリ芽の縮れ、あるいは色調低下が確認されております。網の展開や成長の遅れから、最大で1週間程度養殖作業に遅れが見られています。
 具体には、11月15日から冷凍網入庫が開始されて、11月下旬には概ね終了しましたが、赤潮等の影響を受け、栄養塩の低いところでは、12月9日まで冷凍網入庫されました。また、冷凍網の健全度を、漁業組合にアンケートしておりますけれども、熊本県の熊本市地先、有明海中南部のほうでは平年並みでしたが、北部の漁場では平年より悪い漁場が見られました。
 次に、秋芽網の生産ですが、珪藻赤潮が断続的に発生し、沖合の漁場で低栄養塩状態が継続する中で、河口沿いの支柱漁場で生産可能なレベルの色調が保たれていたのですが、多くの沖合の漁場、浮き流し漁場では色落ちが継続しました。11月下旬から摘採が始まり、12月24日の一斉撤去まで生産が続けられましたが、秋芽網の生産自体は、生産枚数で前年比の65%程度となっています。
 次に、冷凍網の生産ですが、こちらのほうは、12月27日から冷凍網の出庫が開始されまして、その冷凍網のノリ自体は、概ね良好でございました。しかしながら、12月26日、冷凍網出庫の前日から珪藻赤潮が再度確認されまして、1月4日には大規模化し、それで栄養塩の低下と色落ちが確認されました。1月14日の降水で色調は回復傾向となりましたが、その後1月24日に、新聞報道にもありましたとおり、暴風雪により、支柱の倒壊など、主に支柱漁場で大きな被害が発生しております。2月2日の調査では、色調は回復したものの、赤腐れ病が蔓延し、一部で重症化しています。第5回(1月31日)までの入札の累計枚数で見ますと、前年比で54%というような状況でございます。
 熊本からは以上でございます。
○矢野委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、次に長崎県の中村委員、お願いいたします。
○中村専門委員 長崎県の中村でございます。
 長崎県の諫早湾で行われております今年度のノリ養殖、それからマガキ養殖の概況を口頭で説明させていただきたいと思います。
 長崎県のノリ漁場は、諫早湾の南側の海岸、雲仙市から島原市にかけて広い範囲に点在をいたしておりますが、経営体数は、昨年度9経営体、今年度は、そのうち3経営体が休業ということになりまして、今年度、養殖しているのは6経営体ということになってございます。それぞれ漁場が違うので、生産の状況は少しずつ異なっております。
 年内の生産の状況ですが、過去5か年に比べまして21%ということで、前年度に続いて不作が続いております。前年度より経営体数が減っておりますので、1経営体で見てみますと、大体、過去5か年の4割程度といった状況になってございます。
 養殖の経過でございますが、10月26日からノリの採苗を行いまして、当初、芽付きは良好でございましたが、11月下旬から12月上旬に、生理障害だろうと思われる状況で、ノリの葉が急に短くなったり、欠損や縮みが見られるなどの生育不良が見られました。
 それから、近年には、ノリが伸びる時期に魚や鳥の食害が疑われる事例が見られておりまして、今年度、タイムラプスカメラで情報収集をいたしてみましたところ、12月には、クロダイや鴨が写真に写っているといった状況が見られ、食害の被害も年々増えているというふうに認識をいたしております。それから、12月中旬以降は、ノリの病気も広がりまして、被害が拡大をいたしたところです。
 色落ちにつきましては、1月上旬から、一部の支柱漁場で発生しましたけれども、2月上旬からは回復傾向でございます。浮き流しの漁場では、生育不良や色落ちといった現象はほとんど見られずに、比較的順調に推移しているという情報です。
 それから、次に、諫早湾の主力の漁業となっておりますマガキ養殖ですが、今年度は、最近10か年間の中で最も成績がよいといった状況と見られております。マガキの生き残りが多かったことについては4点考えておりまして、水温の大きな乱高下がなかったこと、それから、集中豪雨等による長期間の低塩分化がなかったこと、それから、台風は来て、一部施設で被害も出ていますが、台風によってマガキが大量に落下するといったようなことが少なかったこと、それから、マガキの成長を阻害するフジツボ等の付着が少なかったことなどが考えられます。収穫はこれから春先までありますので、期待しているところです。10年の平均が300トンぐらいですけれども、それを大きく上回るのではないかなというふうに期待をいたしております。
 長崎県からは以上でございます。
○矢野委員長 どうもありがとうございます。
 最後に、鹿児島県、西野委員、お願いいたします。
○西野専門委員 鹿児島県、水産技術開発センターの西野です。聞こえますでしょうか。
○矢野委員長 はい、どうぞ。
○西野専門委員 鹿児島県では、八代海の出水市のほうでクロノリが生産されております。例年どおり、11月に海上採苗を開始して、冷凍網は12月下旬から展開して、1月中旬から収穫を開始するという流れになっております。近年では、平成30年、令和元年がかなり悪かったですが、2年、3年は普通ぐらいですが、今年は種付けがうまくいってなかったのか、かなり悪いようです。入札の状況を見ますと、2月1日の入札状況では、3割程度しか枚数が上がってないようです。この原因については、種付けがうまくいってなかったと、栄養塩が、栄養塩不足によるものではないかというような話でした。ただ、うちの県のほうでは、珪藻赤潮というのは見られなかったということで、そういうふうに漁業者から聞いております。
 短いですが、以上です。
○矢野委員長 どうもありがとうございます。
 今いただいた情報提供を踏まえて、御意見等あればお願いいたします。また、本日はノリ養殖を主として、各県の委員より情報提供がございました。もし、他の委員におかれましても、ほかに御提供いただける情報がありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
 オブザーバー参加されている委員におかれましても、御質問いただいて結構ですので、もしありましたら挙手ください。ございませんか。
 それでは、情報提供ということで、どうもありがとうございました。
 その他で、事務局から何かございますでしょうか。
○川田閉鎖性海域対策室長補佐 事務局からは、特にございません。
○矢野委員長 はい、ありがとうございます。
 それでは、本日の小委員会全体を通して、各委員から何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 オブザーバー参加の委員におかれましても、もしあれば、古米先生、お願いします。
○古米委員 どうもありがとうございます。
 小委員会の作業方針、あるいは分担等が、より明確な形で整理されるというように理解しました。資料の3-1の一番最後のところに6としてスケジュールという記載があって、各年度にどういうことをやるのかという大まかなことは書いてありますが、令和5年度に評価委員会は2回開催だと思います。一方、小委員会はどれぐらい開かれる予定になっているんでしょうか。
○川田閉鎖性海域対策室長補佐 令和6年、7年に関しては、今時点で申し上げることができずに恐縮ですが、来年度、令和5年におきましては、小委員会2回、親委員会2回ほど開催させていただくこと考えているところです。
○古米委員 ということは、今日いろいろ議論があったように、それぞれの担当する内容が、令和5年度のどの時点で、すなわち第1回目、第2回目で、どういったところまで進まなくちゃいけないのかというところを整理いただくと、小委員会での議論も進むものと思います。それを受けた形で評価委員会に上げていただくと、資料も分かりやすくなるかと思いますので、2回開催で結構ですので、どの時点でどこまで進めるのかというか、何をまとめて評価委員会に出していくのかを具体化して、その中でどう優先順位をつけてやるのかということを、今年度から来年度に向けてご検討いただくといいのではないかなと思います。
 以上です。
○矢野委員長 どうもありがとうございます。
 ほかは、いかがでしょうか。
 今日の小委員会のいろんな議論の中で、スケジュールの話だと、実際、委員が何をするのかという分担のお話、まだ整理できてないところが多々あったのかなと思いますので、そこら辺も、クリアにしていくことが必要かなと感じたところです。我々、両小委員長を含めて事務局と、そこら辺、少し整理してまいりたいなと考えております。
 ほかはいかがですか、よろしいでしょうか。
 それでは、本日、予定されておりました議事については、これで全て終了となります。議事進行への御協力に御礼申し上げます。
 進行を事務局にお返しします。
○速水閉鎖性海域対策室総括 矢野委員長、ありがとうございました。
 また、委員の皆様におかれましては、忌憚のない御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。
 本日の議事録ですけれども、後日、事務局より確認依頼をさせていただきまして、内容を確認後、環境省ホームページで公開という形にさせていただきます。
 今年3月に、親委員会の評価委員会を開催する予定としていまして、その際、今御議論いただきました内容について御報告をさせていただく予定ではございますが、先ほど、委員長からもお話しいただいたとおり、この場では出切れなかった追加の御意見につきましては、事務局から改めてメールを差し上げて、1週間以内を目途に、御意見を再度いただいて、今日の御意見と併せて、反映のほうを検討してまいりたいと思っております。
 また、次回小委員会は次年度という形になりますが、その際の議論についても、また検討した上で、決定していきたいと思っております。
 また、小委員会の開催日についても、御都合をお伺いして、日程調整をさせていただきたいというふうに思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、以上をもちまして、第10回水産資源再生方策検討作業小委員会及び第10回海域環境再生方策検討作業小委員会のほうを閉会させていただきます。
 本日は誠にありがとうございました。

                                           午後3時57分 閉会