第8回 有明海・八代海等総合調査評価委員会 海域環境再生方策検討作業小委員会 議事録

*水産資源再生方策検討作業小委員会(第8回)及び海域環境再生方策検討作業小委員会(第8回)の合同開催

開催日

令和3年11月15 日(月)

場所

WEB会議システムにより開催

出席者

 有明海・八代海等総合調査評価委員会委員長:古米弘明委員長

(海域環境再生方策検討作業小委員会)

 小委員会委員長 : 松野健委員長

 委員 : 上久保祐志委員、 樽谷賢治委員、矢野真一郎委員、山口敦子委員

 臨時委員 : 小林政広委員

 専門委員 : 桐博英委員、橋本晴行委員、東博紀委員、古川恵太委員、弓削こずえ委員

(水産資源再生方策検討作業小委員会)

 小委員会委員長 : 樽谷賢治委員長

 委員 : 古賀秀昭委員、内藤佳奈子委員、 速水祐一委員、藤井直幹委員、松野健委員、山室真澄委員、

山本智子委員

 専門委員 : 川原逸郎委員、岸田光代委員、中村康智委員、西野博委員、林宗徳委員、松山幸彦委員

(関係省庁・県)

 国土交通省港湾局海洋・環境課 菊池課長補佐、浜口係長

 国土交通省水管理・国土保全局河川環境課 大角課長補佐、寺石係長

 国土交通省九州地方整備局河川部河川環境課 林建設専門官

 農林水産省農村振興局整備部農地資源課 細田課長補佐

 水産庁増殖推進部研究指導課 楠課長補佐

 水産庁増殖推進部漁場資源課 吉川課長補佐

 水産庁増殖推進部栽培養殖課 石川課長補佐、田畑係長、中西課長補佐、鏑木係長

 水産庁漁港漁場整備部計画課 本宮計画官、篠崎課長補佐、伊藤係員

 林野庁森林整備部治山課 中村課長補佐

(事務局)

 環境省水・大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室長、水環境課閉鎖性海域対策室長補佐、

 水環境課閉鎖性海域対策室主査

議事録

午後1時00分 開会

○冨永閉鎖性海域対策室主査 それでは、定刻となりましたので、ただいまから有明海・八代海等総合調査評価委員会第8回水産資源再生方策検討作業小委員会及び第8回海域環境再生方策検討作業小委員会を開会いたします。

 本日の小委員会は、御案内のとおり、合同で開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。

 本日は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からWEB会議での開催とさせていただいております。委員の皆様には、御不便をおかけしますが、会議中、音声が聞き取りにくいなど、不具合がございましたら事務局までお電話、またはWEB会議システムのチャット機能にてお知らせください。

 議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。なお、御発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと、挙手した状態になりますので、御発言の意思はこのマークで確認いたします。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき、御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は、挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作をお願いします。挙手アイコンは、事務局でオンオフを操作できないため御協力をよろしくお願いいたします。

 本小委員会は、公開の会議となっており、環境省水環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。

 この度新たな委員の方が加わりましたので、改めて委員の皆様の御紹介をさせていただきます。

 それでは、資料1-1を御覧ください。

 有明海・八代海等総合調査評価委員会の水産資源再生方策検討作業小委員会の委員の皆様を名簿順に御紹介させていただきます。

 まず、元佐賀県有明水産振興センター所長の古賀委員です。

 続きまして、国立研究開発法人水産研究・教育機構水産技術研究所廿日市拠点長の樽谷小委員長です。

 続きまして、県立広島大学生物資源科学部生命環境学科准教授の内藤委員です。

 続きまして、佐賀大学教育研究院自然科学域農学系准教授の速水委員です。

 続きまして、福岡県水産海洋技術センター有明海研究所のり養殖課長の藤井委員です。

 続きまして、九州大学名誉教授の松野委員です。

 続きまして、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授の山室委員です。

 続きまして、鹿児島大学水産学部教授の山本委員です。

 続きまして、佐賀県有明水産振興センター所長の川原委員です。

 続きまして、熊本大学大学院先端科学研究部教授の岸田委員です。

 続きまして、熊本県水産研究センター所長の中原委員です。

 続きまして、長崎県総合水産試験場場長の中村委員です。

 続きまして、鹿児島県水産技術開発センター所長の西野委員です。

 続きまして、福岡県水産海洋技術センター有明海研究所所長の林委員です。

 続きまして、国立研究開発法人水産研究・教育機構水産技術研究所主幹研究員の松山委員です。

 続きまして、資料1-2を御覧ください。

 有明海・八代海等総合調査評価委員会の海域環境再生方策検討作業小委員会の委員の皆様を名簿順に御紹介させていただきます。

 まずは、熊本高等専門学校企画運営部教授の上久保委員です。

 続きまして、国立研究開発法人水産研究・教育機構水産技術研究所拠点長の樽谷委員です。

 続きまして、九州大学名誉教授の松野小委員長です。

 続きまして、九州大学大学院工学研究院教授の矢野委員です。

 続きまして、長崎大学総合生産科学域教授の山口委員です。

 続きまして、島根大学学術研究院環境システム科学系教授の山口委員です。

 続きまして、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所土壌特性研究室長の小林委員です。

 続きまして、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構水利工学研究領域長の桐委員です。

 続きまして、元九州大学大学院工学研究院教授の橋本委員です。

 続きまして、国立研究開発法人国立環境研究所主幹研究員の東委員です。

 続きまして、NPO法人海辺つくり研究会理事長の古川委員です。

 続きまして、佐賀大学農学部准教授の弓削委員です。

 委員の皆様につきましては、以上でございます。

 本日の委員の出席状況ですが、欠席の連絡を水産小委の中村委員、海域小委の山口啓子委員よりいただいております。本日は、委員25名中23名が御出席ですので、有明海・八代海等総合調査評価委員会令第6条に基づく会議の定足数を満たしていることを御報告いたします。

 また、本日は評価委員会の古米委員長にも御出席をいただいております。

 続きまして、本日は有明海・八代海等総合調査評価委員会の中間取りまとめに向けた作業を議題としており、関係省庁より御出席いただいておりますので御紹介いたします。

 まず、水産庁の研究指導課の楠補佐、漁場資源課の吉川補佐、栽培養殖課の石川補佐、田畑係長、中西補佐、鏑木係長、計画課の本宮計画官、篠﨑補佐、伊藤係員でございます。

 続きまして、農林水産省農村振興局農地資源課の細田補佐でございます。

 続きまして、林野庁治山課の中村補佐でございます。

 続きまして、国土交通省港湾局海洋・環境課の菊池補佐、浜口係長、水管理・国土保全局河川環境課の大角専門官、寺石係長、九州地方整備局河川部河川環境課の林専門官でございます。

 環境省側の出席者も紹介させていただきます。

 閉鎖性海域対策室長の行木でございます。

 同室長補佐の浜名でございます。

 同室長補佐の横内でございます。

 私が、閉鎖性海域対策室の冨永でございます。

 続きまして、資料につきましては、事前に電子データやホームページで御案内しておりますが、議事次第に記載の一覧のとおりでございます。

 なお、資料は、事務局が画面上に掲載して進行をさせていただきます。

 それでは、議題に入ります。今回の進行は、海域小委の松野委員長にお願いしております。

 これ以降の進行は松野委員長、よろしくお願いいたします。

○松野委員長 松野です。本日の進行を務めさせていただきます。

 本日は、議題としては、議題1の有明海・八代海等総合調査評価委員会の中間取りまとめに向けた作業についての一つだけですが、この中では、中間取りまとめの目次、第1章から第4章までの案、さらに、水産庁からのノリの養殖技術開発の報告をいただきます。盛りだくさんになっておりまして、少し長いですがよろしくお願いいたします。

 それでは、まず、このうちの中間取りまとめ目次案、それから中間取りまとめの第1章案及び第2章案について、議論に入りたいと思います。なお、第2章はかなり長いので、3分割して説明及び質疑応答を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず目次案、それから第1章、第2章の1~5について議論したいと思います。

 それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 環境省の横内です。

 そうしましたら、資料を説明したいと思います。

 参考資料3です。3月の第46回評価委員会において、小委員会の状況を報告しておりまして、目次について報告したところ、委員の方から御意見をいただきました。第2章の再生方策の実施状況・成果等と第3章の再生方策の実施状況・成果等のまとめは、何か重複しているようなところが見えるということや、28年度報告には、主要4項目以外の河川流量や負荷量、流れ、底質などの項目が入っていないので記述を追加したほうがよいという御意見をいただきました。

 資料2は中間取りまとめの目次案です。評価委員会でいただいた意見を踏まえた目次案になっております。

 第1章については変わりありませんが、第2章以降を変更しております。第2章は、もともとは主要4項目で分けて、既存データの更新や再生方策の実施状況を記載することとしておりましたが、第2章では、有明海・八代海等の環境等の状況として、平成28年度委員会報告の第3章、有明海・八代海等の環境等の変化の項目を踏まえ、「2.1汚濁負荷」から「2.9生物」の項目としております。内容としては、既存データの更新など、現状の事実関係のみを記載していきます。主要4項目のベントス、有用二枚貝、魚類等については「2.9生物」の中に記載し、ノリ養殖については「2.8赤潮」に記載しています。

 また、第2章は、もともとは関係省庁等の再生方策についても記載することとしておりましたが、第3章の再生方策等の実施状況等と課題の整理との重複感をなくすために、資料編に記載することとします。

 それから、第3章、第4章についてですが、もともとは第3章では再生方策の実施状況・成果等のまとめ、第4章では今後の課題としておりましたが、御意見を踏まえ、重複感が生じないように、第3章では再生方策等の実施状況等と課題の整理、それから、第4章では再生方策に共通する今後の課題をまとめることといたしました。

 資料編では、汚濁負荷量等のデータを更新したグラフや、関係省庁等からの取組をケーススタディとして掲載します。

 目次案については、3月の評価委員会で報告した目次案から変更しておりますので、今後、評価委員会に諮る予定です。

 目次案については以上になります。

 続きまして、資料3、中間取りまとめの第1章案です。内容としては、第7回小委で御報告した項目から変更はありませんが、全体的な分かりやすさの観点から、平成28年度委員会報告に提示された有明海・八代海等の再生に向けた方策の表については、第3章の再生方策等の実施状況等と課題の整理部分に移すこととして、表現の微修正のみを行っております。

 項目だけ読み上げますと、1.1では有明海・八代海等総合調査評価委員会の経緯。この部分は、今年の4月の法律改正について、最後に追記をしております。1.2では有明海・八代海等総合調査評価委員会報告について。次のページ行きまして、1.3では平成28年度委員会報告における基本的な考え方と再生目標。4ページには、有明海における問題点と原因・要因との関連の可能性の図。次のページには、八代海の図を掲載しております。次のページは、有明海・八代海の区分図を載せております。それから、次のページでは1.4水産資源再生方策検討作業小委員会及び海域環境再生方策検討作業小委員会の設置について。1.5では中間取りまとめの位置づけです。位置づけとしては、平成28年度委員会報告に掲げられた再生目標や再生方策等と照らし合わせ、その進捗状況や課題等について整理を行い、令和8年度委員会報告に向けて必要となる検討事項等について取りまとめたものであることを記載しております。次のページでは、1.6で中間取りまとめ作成の経緯について、今後の委員会等の検討内容を追加していく予定です。

 第1章については以上です。

 続きまして、資料4、中間取りまとめの第2章の案です。第2章の有明海・八代海等の環境等の状況について。第2章では、平成28年度委員会報告以降における有明海・八代海等の環境の状況を整理するとともに、生態系の構成要素または水産資源として重要と考えられる生物に係る4項目について、ベントス、有用二枚貝、魚類等は「2.9生物」に、ノリ養殖は「2.8赤潮」にその状況等を整理しました。

 なお、環境状況の整理に際しては、平成28年度委員会報告以降の新たなデータや知見等が得られた情報を中心に整理し、平成28年度委員会報告と同じデータや知見等については記述を割愛するとともに、経年的に大きな変化傾向が見られていない図表等は資料編に記載します。

 下に第2章の構成と記載事項についての表を載せております。先ほど、目次のところで説明したところですが、この項目については、平成28年度委員会報告の第3章に有明海・八代海等の環境等の変化の項目を踏まえたものとなっております。第2章は、「2.1汚濁負荷」、「2.2河川からの土砂流入」、「2.3潮汐・潮流」、「2.4水質」、「2.5底質」、「2.6貧酸素水塊」、「2.7藻場・干潟等」、「2.8赤潮」、「2.9生物」となります。分量も多いことから、説明は三つに分けて行いたいと思います。

 まずは「2.1汚濁負荷」から「2.5底質」までを御説明します。

 「2.1汚濁負荷」です。有明海・八代海へのCOD、T-N及びT-Pの汚濁負荷量を算定し、経年変化について整理していますが、直近5年において大きな変化傾向は見られないため、グラフ等は資料編に記載します。今回の小委では資料編は挙げておりませんが、資料編の中に記載していきます。

 次のページ、「2.2河川からの土砂流入」です。平成28年度委員会報告以降、平成27年7月から平成29年7月の九州北部豪雨等の豪雨が頻発しており、これら豪雨に伴う河道内への土砂移動や土砂堆積についての調査結果を整理しております。なお、平常時における土砂流入に関する知見等については、令和8年度委員会報告で取りまとめる予定です。

 「2.2.1平成29年7月九州北部豪雨の発生土砂量」についてですが、(1)斜面崩壊の状況では、筑後川流域における斜面崩壊の状況や斜面崩壊の位置図を掲載しております。

 (2)発生土砂量では、筑後川の河川別の崩壊面積率や筑後川の発生土砂量の図、筑後川の流出土砂量の表を載せております。

 4ページ目には、「2.2.2平成29年7月九州北部豪雨後の河川の状況」についてですが、筑後川の河道横断形状の変化や河床高の変化などの図を載せております。

 7ページ目では「2.2.3まとめ」として、平成24年や平成29年の豪雨による山地部崩壊等で大量の土砂が発生し、その多くがいまだ山地部に残存していることが推定される、これらの大量の土砂が、今後、降雨により筑後川へ流出してくると想定されていることなどを記載しております。

 次のページ、「2.3潮汐・潮流」についてです。28年度報告以降、新たな知見が得られていないため、記載については割愛しております。

 それから、9ページ目、「2.4水質」です。「2.4.1水質環境基準達成率の推移」として、有明海、八代海、橘湾のCODの図、次のページ以降に有明海、八代海の全窒素及び全燐の図、全窒素の図、全燐の図を載せております。

 それから、12ページ「2.4.2水質」についてです。1970年頃から現在までの水質の経年変化について、公共用水域水質測定結果、浅海定線調査結果から整理した有明海における水質の主な変動傾向の表、次のページ以降に、八代海、橘湾、牛深町周辺の表を載せております。有明海及び八代海における公共用水域水質測定地点の類型及び基準値、各地点における水質の経年変化は資料編に記載します。

 15ページに公共用水域水質測定調査結果の整理を行った地点図、16ページには浅海定線調査結果の整理を行った地点の図を載せております。

 1719ページには、有明海、八代海、橘湾、牛深町周辺の海面のCOD、T-N、T-Pなどの回帰分析結果の表を載せております。

 20ページには「2.4.3まとめ」として、1970年頃から現在までの水質環境基準達成率及び水質の主な経年変化について、有明海、八代海、橘湾、牛深町周辺の海面ごとに記載をしております。

 23ページ、「2.5底質」です。「2.5.1有明海の底質の分布状況」として、(1)底質の分布状況には、有明海の底質特性別海域区分図を載せております。

 次のページには「2.5.2有明海・八代海の底質分布と経年変化」として、(1)底質分布と経年変化、(2)令和元年8月の前線に伴う大雨の影響について記載し、底質の粒度組成、COD、T-N、T-Pの水平分布の図や降水量の経時的変化の図や筑後川の瀬ノ下地点の日平均流量の比較図を載せております。

 30ページ目には(3)底質の変動傾向について、有明海、八代海、橘湾における底質の調査地点、有明海・八代海における底質の変動傾向の表を載せております。水質と底質の変動要因については、現時点では分かっておりません。

 それから、33ページ、「2.5.3その他の海域の底質及び底質中の重金属・有害化学物質」について記載しております。

 「2.5.4まとめ」として、有明海の底質と八代海の底質について記載しております。

 第2章の「2.1汚濁負荷」から「2.5底質」の説明については以上になります。

○松野委員長 ありがとうございました。

 ただいま事務局から、目次案、第1章、第2章の1~5について説明がありました。目次案については、今回、前回と変わっておりますが、御意見等、全体の説明が終わってからのほうがいいかもしれません。特に、この時間では、第2章案について1~5まで、新しく提示したものもございますので、第2章中心に御議論いただけたらと思います。

 何か御意見、コメント等ありましたら承りたいと思います。よろしくお願いします。ございませんでしょうか。

 山口敦子先生、お願いします。

○山口(敦)委員 では、よろしいでしょうか。

 資料の4の1ページに、まず表の2-1、第2章の構成と記載事項というのがあって、そこの2.2のところに、河川からの土砂の流入があります。ここで海域への土砂の流入の話かと思ったのですが、そのような内容になっていないようです。資料4の2ページから見せていただきますと、ちょうど平成29年ですか、九州北部豪雨の発生土砂量の記述から始まって、めくっていきますと、7ページの2.3のまとめまで。ここをざっと見ますと、筑後川の中での河道内に限っての土砂堆積の事例を詳しく説明、整理されていますが、海域に関しての記述がありません。直近で多発している豪雨があるわけですが、海域環境への土砂流入とか、ごみの影響、水質の影響、そういったものと、それから、さらに難しくなるかもしれませんが、豪雨による生物への影響、ベントス等、魚類等への影響を評価するというところがここでは重要になるかと思います。

 あともう一つ、八代海のほうでも同様に、球磨川などでも同じような豪雨被害があると思いますが、それが全然記載されていないので、もう一度バランスよく全てが含まれるようにした上で、多少詳しく調べられたところを中心に書かれてもよいかと思います。ただ、海域への流入の観点がないという点で、修正の必要があるかと思いました。

 あと、底質について。豪雨の影響がこの後出てきていましたが、それぞれ違う豪雨の話がちょこちょこと出てくると、少し分かりにくいというか、誤解を招きやすいように思いますので、もう少し整理されてはどうかと思います。

 あと、後ろの3章、4章のほうにもこの話題があると思いますので、全体の整合性というのを、再度修正される際に、もう一度御確認いただければと思いました。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございます。

 河川からの海域への流入については、以前の委員会でも御意見が出ていたところですが、ただいまの御意見に対して事務局から回答ありますでしょうか。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 海域への土砂の流入の関係ですが、そういった情報がたしかなかったかと思うのですが。

○松野委員長 行木室長、お願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 環境省閉鎖性海域対策室長の行木です。

 山口先生、御意見ありがとうございました。

 ここの部分に関しては、河川からの流入として記述があるわけですが、この2章の中、あるいは3章、4章全体を照らして海域への流入といった視点などですとか、あるいはほか、ごみの流入ですとか、そういったことや生物への影響などほかともリンクがあるはずで、それについての言及といったこと。全体でバランスを取るべく見直して考えてほしいということで、御意見賜りました。

 データが今欠けているという場合には、この先の課題として、「こういうことが大事だがそのためにはこれが欠けている」、といったようなことを3章、4章などの課題の部分に書いていくこともあろうかと思いますが、御指摘を踏まえて事務局で検討させていただきます。ありがとうございました。

○松野委員長 ありがとうございます。

 山口委員、お願いします。

○山口(敦)委員 バランスを取っていただくということ、一部だけ詳細に触れているというところに気を付けて、あと全体に関わることで、やはり海域への流入に関して、分かる範囲でいいと思いますので、うまくつなげていくということが必要だと思います。

 あと、豪雨のイベントについては、どこかに出てくるのか分かりませんが、この5年間起こったイベント、いつどういうことがあった、というのを少しまとめておくのも一案ではないかと思いました。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございます。

 確かに後ろのほうで、ごみのところなどで令和2年の記述もありますので、その辺りがそれぞれリンクしたような書き方ができればいいのではないかという気はします。ありがとうございました。

 古川委員、お願いいたします。

○古川委員 古川です。

 私はもう少し単純な質問というか御指摘です。資料4の17ページから、水質のデータについて回帰分析結果を分かりやすく一覧表にまとめていただいていると思います。こういうまとめ方、データの細かいところまで見られない方々にもとても分かりやすく、いいなと思いました。ピンクと青に色分けをされていますが、これは何か意味があるのか、有意な差があったときに塗っていますということですが、水質によって増えたほうがいいのか、減ったほうがいいのか。このページには出てきませんが、次のページ、透明度や何かだとプラスで赤になっていたりしますよね。そうしたときに、ぱっと見たときに印象としてどうしても、赤というのは危険側、青というのが安全側みたいに見えてしまったりするので、何か注釈を書くか、有意差がありました、ということを表示する方法を工夫されてはいかがかなと思いました。

 私からは以上です。

○松野委員長 ありがとうございます。事務局から回答ありますか。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 御意見踏まえて、検討したいと思います。ありがとうございます。

○松野委員長 表示の仕方について、また、説明の仕方について検討するということで対応させていただきたいと思います。

 東委員、お願いできますでしょうか。

○東委員 国立環境研究所の東です。

 資料4の目次ですが、最初が汚濁負荷で、河川からの土砂流入と続きます。まず、河川流量については、何か近年の変化というものを文章で書かないのかなというのが気になりました。とにかく汚濁負荷も土砂流入も、河川流量によって大きく異なりますので、その辺を少しまとめられたほうがよいのではないかと思いました。

 あと、もう一つ、最後に先ほどの災害のところの件、こちらは海域内のインパクトが非常に重要だということで、私自身も同じような認識ではおりますが、これまでの汚濁負荷などと少し違っていて、長期的な観点とすごく短期的なものが同じところに混在していて、これがそれぞれに対してどういう位置づけにあるのか、もう少し丁寧に説明したほうがよいのではないかなと感じました。

 以上でございます。

○松野委員長 ありがとうございます。

 長期的な影響と短期的な影響を分けて議論したほうがいいということでしょうか。

○東委員 そうですね。汚濁負荷は今見た感じだと、長期的にどういう変化をしてきたかという書きぶりをしていて、一方で、土砂災害に入った瞬間に、急に豪雨災害だけが書いてある感じになっています。有明海を今後どういう管理をしていくのか、あとの章を読んでみないと分からないところがありますが、長期的な観点と短期的な観点では対策もいろいろ違ってくるのではないかなと思われますので、それぞれの観点での対策が読み取れるように、少し整理して書いたほうがよいのではないかなとは思ったところでございます。

○松野委員長 ありがとうございます。

 この御指摘に関して、事務局から回答ありますでしょうか。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 御意見ありがとうございます。

 こちらのほうも検討したいと思います。

○松野委員長 具体的にはどうするというのは、今すぐにはお返事できないと思いますが。

 行木室長、お願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 今、松野先生仰ってくださったとおり、具体的に、今ここで回答がすぐ出るわけではございませんが、いただいた御指摘、大変大事なところだと思います。

 それから、先ほど山口先生から御指摘があったところとも関連してくるような話でもあると思います。少し工夫をしてみたいと思います。

 河川からの土砂流入のところ、今、一つの豪雨イベントを中心に書いてあるわけですが、その前に、2.12.2に共通する話として河川流量の変化について書くことを検討いたします。汚濁負荷は、長期的な視点が今のところは中心になるわけですが、気候変動に関連し、雨の降り方も、河川の流量も変化してくるという御指摘を過去の小委員会でもいただいてきました。そうすると、関連して汚濁負荷や土砂の流入してくる量というのも変わってくるという話があります。その中で、ここでは、中間取りまとめの段階で、記載できる土砂流入について、一つの事例を取り上げて書いているわけですが、豪雨イベントについて整理した表もつけるなど、何か全体がつながっているものとして理解できるような工夫をして整理できるように、少し工夫をしてみたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○松野委員長 東委員、いかがでしょうか。

○東委員 ぜひ御検討ください。理想を言えば両方、短期と長期があればいいかなと思いました。例えば、今、汚濁負荷では豪雨災害のときの負荷が出ていないわけですが、恐らくまだそのような知見が得られていないのだろうとは思っております。そういうことを課題として書いておくとか、長期と短期が両方並べて比較できるような書き方だったらよいのではないかなと思いました。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございます。

 最初に御意見いただきました河川流量の時系列については、比較的簡単に手に入ることだと思います。河川流量の時系列があれば、長期的な変動とか、短期的にどれぐらいのイベントがあるのかというのが一目で見えるかもしれないので、そういう情報が記載されているのはいいかもしれません。検討していただけますでしょうか。よろしくお願いします。

 ほかに御意見ありますでしょうか。

 ないようでしたら、まだたくさんありますので、先に進めたいと思います。

 次は、第2章の6~8について、事務局から御説明をお願いいたします。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 そうしましたら、第2章の「2.6貧酸素水塊」から「2.8赤潮」について説明したいと思います。

 34ページ、「2.6貧酸素水塊」、「2.6.1有明海の底層溶存酸素量の状況」についてです。有明海における底層溶存酸素量の経年変化について、浅海定線調査等の結果を整理しており、回帰分析結果の表を載せております。

 それから35ページには、底層溶存酸素量の結果整理を行った地点図を載せております。

 37ページでは、有明海の湾奥部、諫早湾で調査されている結果を基に、底層溶存酸素量の日平均値が2.0mg/L未満、3.0mg/L未満、4.0mg/L未満の日数を整理しており、それぞれの図を載せております。全国的には底層のDOの環境基準類型指定が進められておりますが、有明海、八代海ではまだ類型指定がされていないため、3種類のグラフを載せております。

 40ページでは、「2.6.2貧酸素水塊の発生状況」として、九州北部地方で豪雨が記録された2020年7月から8月に表層塩分が低下し、大規模な貧酸素水塊の発生について記載しており、有明海・八代海の表層塩分と底層溶存酸素濃度の分布図を載せております。

 また、干潟縁辺部においては貧酸素水塊の移流が大きく、沖合域は小さいことなど、新たな知見を踏まえ、有明海北部における貧酸素水塊発生の模式図を載せております。

 42ページの「2.6.3貧酸素に関わる酸素消費特性」では、貧酸素を引き起こす生物学的酸素消費と化学的酸素消費は多様であることが判明してきていることなどを記載しております。

 それから、「2.6.4貧酸素の経年変化特性」については、干潟縁辺域における下記の底層溶存酸素濃度3mg/L未満の累積時間と底層潮流振幅の3乗とは相関が見られることなどを記載しております。

 次のページには、干潟縁辺域における底層潮流振幅の3乗とDO3mg/Lの累積時間の関係の図と沖合域の図を載せております。

 44ページの「2.6.5気候変動が底層溶存酸素に与える影響」には、有明海を対象として類似の温暖化実験を行い、気候変動による溶存酸素濃度分布への影響評価の結果として、温暖化により気温上昇が進んだ場合、底層の貧酸素水塊の発達が助長されることが示唆されることなどを記載しております。

 下に温暖化実験によるDO変化率の計算結果を載せております。

 45ページには、「2.6.6まとめ」として、2.6.1から2.6.5のまとめを記載しております。有明海における底層溶存酸素量の経年的傾向について、浅海定線調査によると、データのある1972年度以降、6地点のうち、佐賀県の4地点で有意に減少する傾向が見られたことや、九州北部地方で豪雨が記録された2020年には、1か月程度の長期にわたって表層塩分が低下し、大規模な貧酸素水塊が発生したことなどを記載しております。

 47ページの「2.7藻場・干潟等」、「2.7.1有明海・八代海の藻場・干潟」には、衛星画像解析手法を用いて、藻場・干潟の定量的な把握を行ったことなどを記載し、藻場・干潟の分布図や藻場・干潟の面積の表などを載せております。

 「2.7.2海洋ごみ」については、有明海・八代海における海洋環境整備船による有明海・八代海における海面清掃について記載しており、海洋環境整備船によるごみの回収量の推移の図を載せております。

 「2.7.3まとめ」では、藻場・干潟と海洋ごみについての記載をまとめております。

 51ページの「2.8赤潮」、「2.8.1赤潮の発生状況」には、有明海では1998年頃から、八代海では19982000年頃から赤潮の発生件数が増加しており、20002020年までの平均発生件数は19701980年代のおよそ2倍になっていることなどを記載しております。

 次のページに、有明海、八代海、橘湾の赤潮の発生件数の推移の図を載せております。

 53ページの「2.8.2赤潮の特性」には、有明海・八代海等で発生する赤潮生物の例の図を載せております。(1)構成種の推移については、次のページに、有明海、八代海及び橘湾における赤潮の構成種数の推移の図を載せております。

 次のページに「2.8.3赤潮による漁業被害」、(1)有明海における赤潮被害発生状況には、有明海において漁業被害をもたらした赤潮発生件数の推移の図などを載せております。

 ア)有明海における夏期の赤潮については、有明海における赤潮被害発生件数は20112020年まで海域ごとのデータを整理すると、赤潮はA1海域で最も多く発生していることや、夏期は珪藻のみならず、渦鞭毛藻、ラフィド藻による赤潮発生が多いこと、Chattonellaと珪藻の出現特性の把握を行い、両者の間に競合と考えられる関係が確認されたことなどを記載しております。

 次のページには海域区分別赤潮発生件数の図、その次のページには、有明海における2種有害赤潮生物の赤潮発生規模の推移の図、59ページには、有明海奥部及び諫早湾におけるChattonellaと珪藻類の出現特性の図を載せております。

 60ページには、イ)赤潮によるノリ養殖被害、①ノリの生産量については、有明海の福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県海域における1980年代以降のノリ養殖の生産枚数、生産額の推移の図を載せております。

 次のページに、②ノリの色落ち、秋から冬の有明海湾奥部における海水中の栄養塩濃度の低下をもたらす要因の一つとして、珪藻類による赤潮の発生が挙げられることなどを記載しております。

 下に有明海における秋から冬の珪藻赤潮の発生件数の図、次のページには、有明海福岡県海域におけるノリの色落ちの発生期間と珪藻赤潮の発生期間の図を載せております。

 ③原因となる珪藻類、これまでに有明海でノリの色落ち被害を引き起こした主要3種の珪藻類について、それぞれの種の有明海における赤潮の発生状況と発生機構について記載しております。

 次のページに、ノリの色落ちの原因となる主な珪藻類の図を載せております。(ⅰ)Eucampia zodiacusでは、次のページに有明海の福岡、佐賀、熊本の海域におけるEucampia zodiacusの最高細胞密度の経年変化の図や出現状況の変化の図を載せております。

 次のページ、お願いします。(ⅱ)Asteroplanus karianusでは、最高細胞密度の変動の図や、次のページに赤潮発生機構の概念図などを載せております。

 Skeletonema属では、次のページに河口域の満潮時及び干潮時における水塊と珪藻の挙動に関する模式図などを載せております。

 69ページには(2)八代海における赤潮被害発生状況について、八代海において漁業被害をもたらした赤潮発生件数の推移の図を載せております。

 ア)八代海における夏期の赤潮については、八代海におけるChattonella属等の赤潮発生について、熊本県、鹿児島県の海域の発生日数、最大細胞密度の図を71ページに載せております。

 その次のページに、八代海における有害赤潮発生規模の推移の図を載せております。

 イ)赤潮による魚類養殖被害、①魚類養殖の状況として、次のページに八代海におけるブリ類の生産量の経年推移の図と八代海におけるタイ類生産量の経年推移の図を載せております。

 次のページ、②赤潮被害の発生状況については、八代海における養殖業の中心のA5、A4、A3海域へ500cells/ml以上のChattonellaが出現した場合には、被害が生じる傾向が見られることなどを記載しております。

 次のページには、20142019年夏季の八代海におけるChattonella赤潮発生分布状況と漁業被害の図を載せております。

 次のページ、(3)橘湾における赤潮被害発生状況については、橘湾において漁業被害をもたらした赤潮発生件数の推移の図を載せております。

 「2.8.4まとめ」で、有明海、八代海、橘湾の赤潮の発生状況について記載しております。

 第2章の「2.6貧酸素水塊」から「2.8赤潮」の説明は以上になります。

○松野委員長 ありがとうございました。

 ただいま事務局から、貧酸素水塊、藻場・干潟及び赤潮についての説明がありました。御質問、御意見を承りたいと思います。お願いいたします。

 矢野委員、お願いいたします。

○矢野委員 ありがとうございます。九州大学の矢野です。

 今の48ページ、干潟の面積の経年変化というお話がありました。この中で、有明海も八代海も干潟の面積は増えているという結果になっています。そもそもこの結果というのはヒアリング調査の比較ということなので、定量的な評価に堪えられるのかどうかという部分と、何となくこれを出してしまうと、有明海・八代海で干潟が増えていっているという、いい方向に行っているという、何か誤った、誤っているのかどうか分かりませんが、もしかしたら不正確かもしれないメッセージを出してしまうような気がしたのですが、その点、いかがでしょうか。

○松野委員長 ありがとうございます。

 これについてはいかがでしょうか。

 第3章で、この部分をまとめたところで、干潟・藻場は増えているが、その理由はよく分からないと書かれています。一方で、その前に、前回の報告書では減っていると書いてありますので、今回、新たに出すデータでこれらが増えていると記載するのであれば、その違いについて説明するか、書き方を検討していただいたほうがいいのではないかと思いますが、矢野委員、いかがでしょうか。

○矢野委員 今、委員長が言われたので結構だと思います。埋立てなどはほとんど、この平成9年以降、行われてないのかなと思うので、そんなに減る方向にはなっていないとは思います。増えているということになると、一つの可能性として潮汐のfの影響があり、瞬間値的に見たときには潮汐が大きくなっている時期がありますので、その時期をヒアリング対象にしてしまったのであれば、短期的に増えていたという状況もあってもおかしくないのかなと思います。5%も増えているということなので、それにしては増え過ぎかなという気はしますので、何か理由が分かるのであれば、しっかり書いていただく必要があるかなとは思います。

 ありがとうございます。

○松野委員長 理由が恐らく分からないと思いますが、どのように書くか、少し検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。

 では速水委員、お願いします。

○速水委員 44ページのところの記述です。気候変動が底層溶存酸素濃度に与える影響ですが、このモデルの条件が、「温暖化により気温上昇が進んだ場合」としか書かれていません。これは、あまりにも少し、情報として乱暴な感じがするので、もう少し具体的に、どのような条件を与えた場合の計算結果なのかという点を書き込まれたほうがいいと思います。

○松野委員長 ありがとうございます。

 これはこのモデルの内容をもう少し詳しく示したほうがいいということでしょうか。

 行木室長、お願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 御指摘ありがとうございます。

 確認をいたしまして、ここで記載してありますものにつきまして、どのような気温上昇を仮定した場合のモデルなのかということが分かるように追記を検討したいと思います。ありがとうございました。

 図の中では、「CaseⅢは、4℃上昇した場合を想定」といったような記載があったりいたしますが、これに限らず、もう少し条件の記述を加えるよう検討させていただきます。

 ありがとうございます。

○松野委員長 はい、ありがとうございます。

 速水委員、よろしいでしょうか。

○速水委員 はい、それで結構です。

○松野委員長 ありがとうございます。

 それでは、ほかに。

○川原委員 佐賀県有明水産振興センター、川原ですが、よろしいでしょうか。

○松野委員長 川原委員、お願いいたします。

○川原委員 48ページの海洋ごみの項目です。ここに記載されています回収実績ですが、これは環境省とか国交省が主体となって実施されたものが記載されているようで、県が実施している分が書かれてないように思います。実は、佐賀県でも毎年、漁協と連携して、漂流ごみですとか漂着ごみの回収処分を行っていまして、ちなみに昨年の令和2年7月豪雨後に回収した流木等のごみの量は、漂流・漂着ごみを合わせると約1万5,000m3ほど、海洋環境調査船で回収されたごみと同じぐらいの量を回収して処分しています。恐らく、ほかの県でもごみの回収処分は行われていると思いますので、県の実績も掲載されたらどうかと思いましたが、いかがでしょうか。

○松野委員長 ありがとうございます。

 この点に関しましては事務局、データの収集関係ですが、いかがでしょうか。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 事務局です。今はそのような情報がありませんので、そういった情報も踏まえて、追記していけたらと思いますが。

○松野委員長 今、その情報を持っていないということですが、川原委員、それはこの令和2年のときだけでしょうか、毎年でしょうか。

○川原委員 毎年、県と漁協が連携いたしまして、漂着ごみを中心に回収していますので、数年間のデータは県にあるかと思いますし、ほかの県さんも実施されているのではないかと思いますので、聞き取り等をされれば、データは収集できるのではないかと思います。

○松野委員長 はい、ありがとうございます。

 今からデータを集めるのが、この中間取りまとめの期限までに間に合うかどうか分かりませんが、関連するデータがほかにもあるので、ここでは、少なくとも、ほかにもデータがあるということを記載したほうがいいということでしょうか。

○川原委員 はい。

○松野委員長 そういう形になるかもしれませんが、それでよろしいでしょうか。

○川原委員 はい、よろしくお願いします。

○松野委員長 ありがとうございます。

 そうしましたら、次、山本委員、お願いします。

○山本委員 はい、鹿児島大学の山本です。

 75ページ、赤潮のところについて、特に、図の2.8.324ですね。これ、年単位でまとめてしまっていますが、漁業被害と赤潮のcellsの数という話をするのであれば、イベントごとの議論をしないといけないと思います。実際、この一連の17から後のいろんな図は、日数とか、(イベントごとというと日数1日だけとは限りませんが)、いろんな(単位で)データが示されています。漁業被害の議論をするためにどういう単位がいいかは少し分かりませんが、少なくとも、これは年ごとの表記ではないほうがいいような気がします。

○松野委員長 24の図のポイントが打ってあるのを、イベントごとの表記があったほうがいいという意味でしょうか。

○山本委員 はい、そう思います。そもそもどういう集計でこうなっているのかというところからですが。

○松野委員長 はい、行木室長、お願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 御指摘ありがとうございました。

 そういたしましたらここの文脈では、少なくともイベントごとのもののほうが適当ということで、それに値するデータ等が今あるかどうか、事務局で確認をさせていただきます。もし代替できる図があれば、入れ替えさせていただきます。もしそれがない場合には、この図の掲載ではなくて、文章で表現するということも含めて検討させていただきたいと思います。

 御指摘ありがとうございました。

○山本委員 よろしくお願いします。

○松野委員長 ありがとうございました。

 それでは、中原委員、お願いします。

○中原委員 熊本県水産研究センターの中原です。2点あります。

 1点目は、先ほど川原委員からありました流木の件で、熊本県でも相当数量回収をしています。それは行政のほうに聞いていただくと、オープンになっているデータがあると思いますので、それはよろしくお願いしたいと思います。

 それから、74ページですが、大した話じゃないというか、ここは八代海の話なので、海域が「A4」じゃなくて「Y5、Y4、Y3」、単純な間違いだと思いますので。

○松野委員長 間違っていますね、ありがとうございます。

○中原委員 はい、これは指摘しておきたいと思います。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございます。

 ごみの回収のほうは熊本県でもデータがあるということですね、ありがとうございます。

 それでは、古川委員、お願いします。

○古川委員 古川です。よろしくお願いします。

 この水質の環境の関係の中で、赤潮の中にノリ養殖を入れましたという目次の御説明があって、60ページから実際に記載が入っていますが、この二つの小委員会の中で、環境の話と漁業の話を併せて検討してきたということを考えると、少しその赤潮の中にノリの養殖の生産量の話だとか、ほかの色落ちの話だとかが入れ子になっているというのか、中に埋め込まれていて、目次からは明示的にノリ養殖についての検討項目が出ていないというのは、やはり中を拝見した上で不自然な感じがしました。中身の記載についての具体的な示唆は私からはありませんが、この60ページのイ)の項目になるのでしょうか。「赤潮によるノリ養殖被害」というのは、ノリの生産の環境のことということで、もう1個上の目次構成の中で、別途記載してはいかがかなと思いました。

 私からは以上です。

○松野委員長 ありがとうございます。

 これに対して、事務局からコメントはありますでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室長、行木です。

 御指摘ありがとうございました。

 そうですね、今の御指摘、今ここで、どのようにするとよいのかということをすぐには回答はできませんが、その目次を見たところで、そのノリ養殖がどこにあるのかというところは明らかにしたいと思いますし、少し検討させていただきたいと思います。どうするのがよいか少し検討いたしますが、ノリの養殖に関する部分の、その生産量などといったようなところに関しては、少し項目を立てて別のところに移すこともあるかと思います。例えば、その2.9の生物の最後に漁業で養殖をしているということですので、それが明確にわかるように項目をたて、その中に生産量のところだけを入れるとか、少し事務局で検討してみたいと思います。

 御指摘ありがとうございました。

○松野委員長 はい、ありがとうございます。

 このノリについては、前回の目次では、この環境状況の中ではなくて別項目として、主要4項目の中にノリというのは入っていたのですが、その中で、多くがノリの生産量に影響を与えるものとして、色落ちも含めてですが、赤潮が重要だということなので、赤潮がどのようになっているかというところの中に、それがノリ養殖にどういう影響を与えているかということもあるので、こっちのほうに持ってときたという経緯があります。

 ただ、そういうことによって、ノリ自体が目次から、第2章に関しては見えなくなっているというところもあるので、今、事務局から回答がありましたように、事務局で検討していただくということにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、ほかにございませんでしょうか。

 ないようでしたら、第2章の最後の項目、生物のほうに移らせていただきたいと思います。

 では、事務局から、第2章の9について、説明をお願いいたします。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 そうしましたら、第2章の9、生物の説明をしたいと思います。

 79ページの「2.9生物」、「2.9.1有明海・八代海等の固有種、希少種等」について、有明海・八代海等に特有の希少生物の一覧の表などを載せております。

 次のページの「2.9.2ベントス(底生生物)」、(1)ベントスの経年変化について、ここでは2005年以降の変動傾向を整理しております。

 ア)有明海で、有明海の種類数の変動傾向については、総種類数が3地点で減少傾向が近年の傾向と考えられること、総個体数については、平成28年度委員会報告以降に2地点で減少していることなどを記載しております。

 それからイ)八代海について、種類数の変動傾向については、総種類数は2地点で減少、平成28年度委員会報告後も減少していることから、近年もその傾向が継続しているものと考えられる。それから、総個体数は1地点で減少傾向であり、平成28年度委員会報告も減少しており、近年もその傾向が継続しているものと考えられることなどを記載しております。

 次のページ以降に、2005年度~2020年度までのベントスの種類数、個体数、湿重量の経年変化の図、また、ベントスの種類数及び個体数の経年的な変動傾向の表を載せております。

 それから85ページには、平成30年度~令和2年度におけるベントスの種類数、個体数、湿重量の水平分布状況の図を載せております。有明海においては、種類数は湾央部から湾口部寄りで多く、個体数は湾奥部寄りで多い傾向であったこと、八代海では、種類数と個体数は湾奥部や湾口部寄りで多い傾向であったことなどについて記載しております。

 88ページの「2.9.3有用二枚貝」、(1)タイラギ、ア)漁獲量について、有明海におけるタイラギの漁獲量の水位の図を載せております。

 次のページのイ)タイラギ成貝・稚貝の生息状況については、タイラギ成貝の生息量調査および稚貝の生息量調査によると、1992年以降タイラギ生息域はA2海域に分布が偏る傾向がみられる。漁獲量の減少が顕在化しはじめた1990年代以降の調査結果によれば、この海域では着底稚貝の資源への加入が極めて少なく、局所的に発生した稚貝も主に春から夏にかけて立ち枯れへい死等により大量減耗し、成貝まで到達していないことなどを記載しております。

 次のページに、タイラギ成貝の分布の推移、その次のページにはタイラギ稚貝の分布の推移の図を載せております。

 92ページのウ)タイラギ浮遊幼生の出現状況については、タイラギなど有用二枚貝は、受精卵から発生した浮遊幼生が潮汐や潮流に乗り、海域区分を越えて広域に浮遊・分散するため、有用二枚貝浮遊幼生の出現状況、稚貝の着底状況に関しては、有明海全域で論議する必要があることなどを記載しております。

 タイラギの生活史の図をその下に載せています。

 それから、2016年度以降も同一調査定点で継続して調査が行われているA6の海域における出現状況について、A6海域の2008年以降の浮遊幼生の出現状況の経年変化をみると、2008年及び2010年の120個体/m3程度の出現があったが、20122015年までは10個体/m3を超えることがない状況、20162020年までの調査結果では、ほとんどの年で10個体/m3以下の出現が続いていること、近年のタイラギ稚貝の発生状況と浮遊幼生の発生状況がほぼ一致しており、2012年以降、引き続き、親貝資源が減少し、浮遊幼生の発生量と着底稚貝の減少という、資源の再生産に大きな支障が生じていることが示唆されることなどを記載しています。

 それから、93ページにはA6海域のタイラギの浮遊幼生の出現状況の図を載せております。

 図の下の説明ですが、有明海におけるタイラギ浮遊幼生の広域調査の調査結果について記載しております。この調査結果については、次のページに掲載している図の2.9.3-7の内容を反映した記載となっていないため、この記載部分については修正したいと思います。

 それから94ページに、タイラギの浮遊幼生の出現広域調査の地点図、タイラギ浮遊幼生の水平出現特性の図を載せております。

 下の図に一部修正があります。注釈の括弧書きの部分、平成27年度~29年度の調査地点は、平成30年度の調査地点数11地点に合わせて記載との記述がありますが、この部分について削除をお願いします。

 なお、環境省のウエブサイトに掲載している資料については、この部分を修正して掲載しております。

 95ページに、タイラギの浮遊幼生の各年度、県別の経時的出現状況の図を載せております。平成28年度以降の発生のピークは、概ね7~8月に1~2回見られることなどを記載しております。

 図の出展について、恐れ入りますが修正をお願いします。先ほどの94ページの下の図の出展と同じになりますが、出展が環境省(2020)「有明海・八代海等総合調査評価委員会第5回水産資源再生方策検討作業小委員会資料」になります。この部分についても、環境省のウエブサイトの資料では修正を反映しております。

 次のページに(2)サルボウについて、有明海におけるサルボウの漁獲量の推移の図を載せております。

 97ページに(3)アサリ、ア)漁獲量について、有明海におけるアサリの漁獲量の推移の図を載せております。

 次のページに、八代海におけるアサリの漁獲量の推移図を載せております。

 イ)アサリ浮遊幼生の出現状況については、アサリも他の有用二枚貝同様、浮遊幼生が潮流に乗り、区分を越えて広域に浮遊・分散するため、有用二枚貝浮遊幼生の出現状況、稚貝の着底状況に関しては、有明海全域で論議する必要があることなどを記載しております。

 そして、その下にアサリの生活史の図を載せております。

 99ページに、アサリの浮遊幼生の広域調査結果等について記載しております。上から2パラ目になりますが、101ページの図の2.9.3-14の浮遊幼生の出現状況の27年度から30年度の経時変化の図の説明になりますが、この部分につきましても、図の内容を反映した記載となっていないため、この部分については修正したいと思います。

 それから、99ページ目、4パラ目には、春と秋における浮遊幼生の旬別の変化について記載しています。5パラ目には、日本の主要なアサリ漁場である東京湾、三河湾、伊勢湾のアサリ浮遊幼生発生量を文献値と比較した結果について記載しております。

 それから101ページに、アサリの浮遊幼生の出現状況の図を載せております。

 102ページには、アサリの浮遊幼生の出現状況の春の図、それから103ページには、アサリの浮遊幼生出現状況の秋の図を載せております。

 この二つの出展について、こちらも修正をお願いします。出展名が、環境省(2020)「有明海・八代海等総合調査評価委員会第6回水産資源再生方策検討作業小委員会資料」となります。なお、この出展の修正につきましては、環境省ウエブサイトの資料でも修正を反映したものを載せております。

 次のページに「2.9.4魚類」、(1)有明海・八代海の魚類漁獲量、ア)魚類漁獲量、有明海の魚類漁獲量が、1970年をピークに減少傾向、2018年の魚類漁獲量は過去最低となる2,455tとなったが、ここ数年間は横ばい傾向、漁獲量では底生魚類の占める割合が高く、それらの減少程度が大きいことなどを記載しております。

 下に、有明海の魚類漁獲量の経年変化の図を載せております。

 それから、八代海の魚類漁獲量については、長期的には顕著な減少傾向はみられていないというようなことを記載しております。

 次のページに、八代海の魚類漁獲量の経年変化の図を載せております。

 イ)が、魚種別組成別漁獲量については、八代海の魚種組成は、浮魚類、ニシン目の魚類の占める割合が高いこと。八代海、有明海ともに、コノシロの漁獲量割合が最も多かったことなどを記載しております。

 下に、有明海と八代海の魚種別組成別漁獲量の図を載せております。

 次のページに、2020年1月に八代海の奥部で羽瀬網による魚類相調査の調査結果の図を載せております。調査の結果、個体数、湿重量ともにコノシロが多かったことや、有明海、八代海においてコノシロの分布と生活史を明らかにする必要があることなどを記載しております。

 (2)有明海・八代海の魚類相、ア)魚類相について、長崎大学・山口による魚類相に関する2020年までの調査結果によれば、有明海奥部に出現した魚類の種数は115種、八代海奥部では85種であった。今後、さらに両海域の環境や海洋構造の違いなどを含めて魚類生態系構造と機能の解明、生態系構造がそれぞれ異なる要因の解明を図ることで、両海域固有の再生方策の検討に役立てられると考えられることなどを記載しております。

 イ)魚類等の生態系構造の特徴、有明海では、栄養段階の高い生物から成る生態系構造であることが分かってきた。有明海・八代海で明らかとなった生態系構造に関するトピックとしては、ナルトビエイなど多くのサメ、エイ類が両海域を繁殖・摂餌の場として季節的に利用していることであり、特に有明海については、アカシュモクザメなど数種のサメ・エイ類にとっては、世界有数の繁殖・成育場として機能している特別な海域であることが分かってきたことなどを記載しております。

 下に、有明海における魚類等の生態系構造の図を載せております。

 次のページ、(3)有明海・八代海の奥部の仔稚魚分布と生息密度については、有明海・八代海奥部の成育の場としての機能を評価するために、仔稚魚の分布と生息密度の調査について記載しております。

 図は、調査地点の図になります。

 有明海奥部は仔稚魚の分布密度が高く、仔稚魚の重要な成育の場、生息の場であることが示唆される一方で、八代海奥部では仔稚魚の分布密度は、有明海に比べて低い傾向にあった。また、出現する仔稚魚の種組成は有明海と八代海では異なり、有明海の優占種であるニベ科のシログチやウシノシタ科のデンベエシタビラメなどの仔稚魚は、八代海奥部では採取されなかった。今後、八代海において、有明海奥部に相当する重要な成育場の有無について明らかにする必要がある。

 次のページに、2012年と2013年における有明海・八代海における全仔稚魚の分布密度図と、2013年以降の八代海における仔稚魚の分布密度の図を載せております。

 それから調査地点図、次のページには有明海・八代海における全仔稚魚の分布密度の図、八代海における仔稚魚の分布密度の図を載せております。

 次のページ、「2.9.5漁業・養殖業生産量」、(1)有明海の漁業・養殖業生産量の推移について、有明海の漁業・養殖業生産量は増減を繰り返しながら2000年以降は15万~20万t程度で推移している。有明海では漁獲量に占める貝類の割合が高いが、その漁獲量は、1980年頃から急速に減少していることなどを記載しております。

 下に、有明海の漁業・養殖業生産量の図を載せております。

 次のページ、(2)八代海の漁業・養殖業生産量の推移について、八代海の漁業・養殖業生産量は、1994年頃までは増加傾向にあったが、その後は増減があるものの、4万3,000~5万4,000t程度で推移していることなどを記載しております。

 下に、八代海の漁業・養殖業生産量の図を載せております。

 第2章の9の生物の説明については以上になります。

○松野委員長 ありがとうございました。第2章の生物の項目の説明でした。

 ただいまの御説明に対して、御意見、御質問を承りたいと思います。よろしくお願いします。

 山本委員、お願いします。

○山本委員 山本です。

 最初のベントスのところです。総個体数とか総種数とかいう形でデータが示されて議論が進められますが、実際には、その種数とか個体数が同じでも種の入れ替わりというものがあったりすると思います。ここでのベントスの位置づけというのが水産有用種の餌であったり、底質を反映するものであったり、あるいは底質に影響を与えるものなので、種の入れ替わりというのはそこに関係してくるはずだと思います。

 確かにその具体的な種の入れ替わりというか、中身を議論するのは難しいのですが、データベースとしては、資料編に種を単位にした情報は、やはり入れられないかなと少し思いまして、前回の報告書のときはトップ何位までの種の個体数の入れ替わり、個体数の変動とか、そういうデータも入れていますので、どういう形がいいかは分かりませんが、資料編に種ごとの個体数というか、現存量も含めたようなデータを入れられないか、御検討いただけると幸いなのですが。

○松野委員長 ありがとうございます。

 この種ごとのデータについては、事務局、いかがでしょうか。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 御意見ありがとうございます。

 種ごとのデータ、資料編のほうに入れる方向で検討したいと思います。

○松野委員長 それはどういう種が、種ごとの全部の表・リストではなくて、先ほど山本委員からありましたように上位何種とか、そういう整理が可能でしょうか。

 室長、何かありますか。

○行木閉鎖性海域対策室長 御指摘ありがとうございます。

 今、松野委員長からお話がありましたが、全てを網羅するということは、恐らく難しいと思いますので、どのようなデータが手に入るのか、確認をした上で検討したいとは思います。恐らく上位幾つかの種についてというような形になろうかとは思いますが、御指摘を踏まえて検討させていただきます。

○松野委員長 ありがとうございます。

 山本委員、よろしいでしょうか。

○山本委員 はい、ありがとうございます。

 前回、たしか上位3位までというので表を出しているのですが、それ以外にも、前回のグラフもたくさん出しているので、それがないので、できれば上位5位ぐらいまでは扱ってもいいかなとは思います。感触ですが。

○松野委員長 よろしいでしょうか。

 事務局で検討していただくということで、対応していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 では、山室委員、お願いします。

○山室委員 はい。私も同じことを考えていて、例えば80ページのところで、ア)有明海では、その湿重量は、サルボウガイやホトトギスガイによる変動だったというように種名が出てきているのに、そのデータがないので、これはあったほうがいいなと。

 それで、今、上位という話がありましたが、上位というのは個体数と湿重量の両方でそれぞれ10個を取っていただくと、種類によっては、個体数が非常に多いのは定着直後で非常に小さいものがたくさんいる場合があります。その場合は、当然ながら湿重量は少なくなりますから、上位10種というのを、できれば個体数と湿重量の両方の上位10種で上げていただくと、何が起こっているのかというのがデータを見た人が分かるのでよいかと思います。

 それに関連して、あと二つ、この80ページで質問させていただきたいのですが、それまで、その方法が異なっていたので統一したと書かれていますが、どのような方法に統一したかが、少なくとも私がこの報告書を見た範囲ではなかったので、いつ、どのような方法で行ったかというのをきちんと書いていただくといいかと思います。例えば、採泥器何回分を何mmのメッシュで篩ったとか、その方法によって全く結果が変わってきますから、ほかの人が、今後これを参考にして調査するときに再現できるように、方法をきちんと書いていただければと思います。

 それから、恐らく年2回されているというのはグラフとかを見て分かりますが、夏、冬と書かれています。ただ夏とはいつなのか、冬とはいつなのかというのも分からず、必ず何月にしたのか、それとも、最初に水温が何度を超えたときとされたのかとか、そういうこともないので、年2回の2回をどのような基準で決めたのかということも、例えば、夏というのは8月1日と決めたとか、冬というのは12月1日と決めたとか、そういうこともきちんと書いていただくと、再現性とか、後でそのデータを見返したときに、何が起こっていたかということを推定するのに役立とうか思います。

 それから、この80ページで増減というお話が出てきておりますが、その増減というのは具体的には、何ページでしたか、表が出ていますが、この表のところの説明で、どういう統計を使ってやったかというのを書いています。「一次回帰式の決定係数が0.2以上であり、かつ、回帰直線」と書かれていて、少し普通の傾向分析ではない、傾向推定にやるような統計的手法ではないように読めましたので、一体どのような統計を使って、この傾向推定をされたのかということも教えてください。

 以上です。

○松野委員長 はい、ありがとうございます。

 詳しい手法等については資料編に回されていると思いますが、その資料編とのリンクがまだ、この段階ではきちんとできてないので、分かりにくいところがあるかと思います。その手法等について、ただいまの御指摘に対して事務局から、室長、お願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 はい、御指摘ありがとうございました。

 松野小委員長からも御指摘がございましたとおり、資料編でより詳細な図表や説明を盛り込むという方針で作業をしておりますが、この段階で資料編を、お示しできる準備が整っていないという状況でございます。御指摘がありましたとおり、統一したとあるが、その方法はどのようなものだったのか、夏、冬とあるが、そのどういう定義で決めたのか、どのような基準でやったのかということや、傾向推定につきまして、どのような手法で行ったのかといったことを、資料編に明記をするのか、本文に注釈をするのか、あるいは、その辺りを明らかにすることを課題とするということになるのか、事実関係を確認いたしまして、その辺り、きちんとお答えできるように整理をさせていただきたいと思います。

 それから、湿重量と個体数でデータが違うので、というところの御指摘もありがとうございました。トップ10でやれるかどうかという辺り、どれぐらいデータがあるのかというところも確認をさせていただきたいと思いますので、その上位幾つというところまで、ここでお約束はできませんが、御指摘を踏まえまして検討させていただきます。

 どうもありがとうございました。

○松野委員長 山室委員、よろしいでしょうか。

○山室委員 はい。増減の統計については、この84ページのところの表のところに、注というのがあって、1、2というのでかなり詳しく書いています。この内容を見て、私はおかしいなと思いました。普通はこの表の下にこれぐらいで書くのですが、この書いてある内容が、少し普通の傾向分析ではありません。なので、これは恐らく、請け負ったコンサルさんがそういうことを知っている人かどうかで、傾向分析ってノンパラメトリックの統計ですが、それできちんとやったかどうかというところから、まず調べたほうがいいような気がいたしました。

 はい、以上です。

○松野委員長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。確認して、検討していただくということです。

 では古川委員、よろしいでしょうか。

○古川委員 古川です。

 先ほど赤潮のところで御指摘させていただいたことと少し重複しますが、やはり、この第2章の御説明を最後までお聞きすると、環境の要素の話、水質、底質、生物の細かい分類など、こういう基礎になる話と、その現象として、赤潮がありましたとか、河川からの土砂流入がありましたと、その結果として、それぞれの場が、藻場・干潟としてどうなっていて、その場で行われている漁業だとかがどうなっているというような、その大きなくくりがどうも行ったり来たりしていて、分かりにくくなっているのかなと。それをさらに、その赤潮の中にノリが入っていたり、生物の中に漁業の生産量の推移の話が入っていたりというところに、何かすっきりしない形があるなと。中身の個別の記述の御指摘ということではありませんが、全体の第2章の細かい話をお聞きした上で、やはり、その目次の再構成がもしかしたら必要ではないでしょうか。

 この時点で申し上げるのは申し訳ないのですが、少し、何故この順序で出てくるのか説明できるような形に直すと、先ほど申し上げたノリのところも、もしかしたら、この2.9.5のところで出てくる漁業・養殖業の中で、しっかりとそういう影響のことも書くというような、そういう方法もあろうかと思いましたので、発言させていただきました。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございます。

 室長、お願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 環境省、行木でございます。御指摘ありがとうございました。

 なかなか、有明海では様々な要素が様々に絡み合っていて、おっしゃるとおり非常に複雑だと思っております。前回の報告書の中でも、連関図ということで、関係を整理しておりますが、それにつきましても、まだ全てが解明できているわけではなくて、その時点での知見で書かれたものだと承知をしております。御指摘のところを、もし、その目次を整理するということでクリアにできれば、それはそのほうが望ましいと私としても思うところではありますが、今の段階の事務局といたしましては、ここで目次を整理するというと、これはなかなか、すっきり解決は正直できないのではないかと思っております。

 一方で、御指摘いただきました点、非常に重要なところと思います。例えば、やり方といたしましては、先ほどの赤潮とノリの関連のところでは、現象としての赤潮の話と、それから漁業という切り口で見た場合、ノリとの関わりというところと、確かにそこは切り分けて、整理を別のところに置きつつ、相互に関係があるのだということを、その文中で明らかにするような工夫を検討したいと思います。例えば2.8の赤潮のところであれば、生産量等の関連の記述を2.9のところに書くとしたら、該当部分で、この珪藻の赤潮が特に重要であるが、これらの珪藻の発生状況についてはこうだといった関連して他の部分で書いてあることを注釈に入れるなり、文中に入れるなりして、2.8に入れる記述と関連があるのだということを分かるような工夫を検討させていただきたいと思います。

 御指摘ありがとうございました。

○松野委員長 はい、ありがとうございました。

 古川委員、そういう対応でよろしいでしょうか。

○古川委員 はい。そういう方法でよろしいかと思いますが、一つだけ強調させてください。一つは、その有明・八代海の環境の状況を見るといったときに、いわゆる自然科学的な、その水質、底質、地形がどうなっていますかということ以上に、また、それと並び称して社会的な環境の変化というものをきちんと捉えていますというメッセージが大変必要だと、また重要だと私は思っています。ですから、そのノリ養殖だとか、また漁業といったような言葉がきちんと報告書の目次の中に見えるようになっているとうれしいなと思ったので、大きなその大手術をしてくださいということは申し上げませんが、今、行木室長から御提案があったような再考を、ぜひ具体的にしていただけることを期待しております。

 ありがとうございました。

○松野委員長 よろしいでしょうか。室長、どうぞ。

○行木閉鎖性海域対策室長 環境省、行木でございます。

 御趣旨よく分かりました。その御指摘を踏まえて検討させていただきます。どうもありがとうございました。

○松野委員長 ありがとうございました。

 それでは、山口敦子委員、お願いします。

○山口(敦)委員 長崎大の山口です。

 まず、79ページです。「2.9.1の有明海・八代海等の固有種、希少種等」と、表2.9.1-1の有明海・八代海等に特有の希少生物の一覧がありますが、この二つは同じものを意味しているのでしょうか。ここで言う希少種の定義を教えていただきたいと思います。何をもって希少種とされているのか、統一されていないようなので、お尋ねしました。

 それから、104ページからの魚類の部分です。今の古川委員の御指摘もあったので、魚類等も含めて、ここの漁獲量の記載については、その他の記載も含めて、魚類と養殖業を分けたほうがいいと思います。漁業としての記載、漁業の漁獲量の推移がどうなっているかという記載がどこかにまとめて出てくることもあり得るのかなと思いつつご説明を聞いていました。また、整理をされるのだろうとは思いますが、魚類の104ページからの記述は、私が以前に小委で発表したときの資料か、発表したときの議事録を基に作られているのかもしれませんが、少し正確性に欠ける記載部分があるのと、流れがおかしいところがあるので、今後、修正をしていただきたいと思います。

 また、同じように105ページからは特にそうですが、私が発表の中でほかの方の文献を引用する以外は、自分の研究成果を中心に特に引用することなく話していたため、それをそのまま文字に起こして書かれたことで、文章がおかしくなっています。この報告書の記載文の主語は私ではないため、そこは、山口によれば、などと書くなど、そういったところも含めて同じく修正をお願いしたいと思います。

 それから、前回の委員会報告まで書いてきた硬骨魚類の部分の記載が、今のところはなくなってしまっていますが、104ページで言われましたように、魚類、特に底生魚類の減少は続いていますので、新しい記述、新しい知見だけに限るのであれば、それでもいいと思うので、全く記述しないわけではなく、少し書き方を工夫して触れておいたほうがいいと思いました。全体のバランスが悪い感じがしました。

 あと、108ページからの仔稚魚の分布密度の記載です。こちらは過去との積み上げで、もっと前の委員会で発表してきたようなものを含められています。ここまでのベントスや赤潮のところもそうだと思いますが、項目によって過去のデータの含み方が違っているのは良くないため、少なくとも何か方針をつくって統一したほうがいいのではないかと思いました。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございます。

 幾つかコメントがありましたが、最初の希少種の定義について何かありますか。

○濱名閉鎖性海域対策室長補佐 環境省、浜名でございます。

 まず希少種等のところでございます。タイトルの「固有種、希少種等」と、それから表の「希少生物の一覧」というのとの整合については、少し考えなくてはいけないかもしれないなというのは、お話を伺いながら思ったところです。我々としては、ここに書かせていただくものというのは、その文章の1行、2行のところにございますような「本海域を中心に生息する生物」ということで、特にその注目すべき種を書こうと思っていまして、その中には希少種と言われる、いわゆるレッドリストに載っているものというのもかなり多いということを書かせていただこうと思っております。希少種だけを抽出しようという意図はなかったのですが、先生におっしゃっていただいた内容で、特にこういった種は欠けているのではないか、逆に、この種は何か違うのではないかというものがあれば、この際、伺えると大変有り難いのですが。いかがでしょうか。

○山口(敦)委員 分かりました。

 私も、このレッドリストの評価に関わっていたので、特に魚類のところ等を拝見していまして「おや」と思ったのが、例えば固有種であれば固有種だけでもいいのですが、デンベエシタビラメとかそうでないものも入っていて、絶滅危惧種を入れたのかなと思うとコイチが入っています。絶滅危惧種に統一して入れてもいいと思いますし、固有種、日本で有明海にしかいないという生物は注目しておいたほうがいいでしょう。恐らく、ここにある種はほとんど何らかの絶滅危惧の評価がついていると思うので。それらはもちろん含めていいと思いますけど、何を希少種とするのかなど、はっきりしておいたほうがいいと思います。

 もし絶滅危惧種を入れるのであれば、他にもいます。そうすると、DD、データ不足を入れるかどうかということと、もしかしたら枠外に書くのかどうかということと、少し整理が必要かなと思います。ただ、コイチは今回の新しいレッドリストの評価では、絶滅のおそれが魚類の中ではかなり高く評価されていますので、しかも、これは準特産種ですので、入れるべきかなと思います。

 あと、デンベエシタビラメがCRになっていますが、デンベエシタビラメは、これは環境省でしたか?後で確認をします。

○松野委員長 デンベイシタビラメには区分は今ついてないですね。

○山口(敦)委員 ついてないということですね。続きではなくて、別ですね。そうしたら入ってないものもここに書いてあるということですね。分かりました。

 やはり分かりやすく整理をしたほうがいいかもしれないですね。

○松野委員長 細かいところをまた専門的な御意見を伺って調整していただければと思います。よろしくお願いします。

○山口(敦)委員 はい。

○松野委員長 それから、後ろのほうの魚類のところについては、修正等があるかと思いますので、こちらも事務局からお願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 はい、御指摘をありがとうございました。

 140ページ以降のところの、例えば硬骨魚類の記載がない点や、底生魚類の減少の関連の部分、あとこの辺り、いろいろ御指摘を頂戴いたしましたが、先生が小委員会で発表いただいた資料も使って書いたところで、私どもの理解と書き方が十分でないところが多々あろうかと思いますので、御指摘を踏まえまして、先生と個別にやり取りもさせていただきながら修正できればと思っております。

 そのほかですと、魚類と養殖魚を分けたほうがいいという点、これは先ほどの古川委員からの御指摘とも共通する話と思いますが、それも併せて検討させていただきたいと思います。

 それから、新たなデータの追加の仕方ですね。私ども事務局としましては、基本的な平成28年度報告から、その後、新たに更新されたデータは更新をしていて、その中で傾向が変わらないような場合であれば、今回のこの中間取りまとめの本文には特に書かず、資料編のほうに入れるといったような考え方にしておりまして、特筆すべき変化があるとか、例えば文献などで新しい知見があったとかいう場合を中心に中間取りまとめの本文はまとめようと、そのように考えていたところでございました。

 ただ、今お示ししている案で、その辺りの統一が必ずしも取れてないところがあるかもしれないと、御発言を伺い、思いましたので、事務局で再度確認をいたしまして、統一ができるように工夫をしたいと思います。

 ありがとうございました。

○松野委員長 ありがとうございました。

 よろしいでしょうか。

○山口(敦)委員 はい、ありがとうございました。

○松野委員長 ありがとうございました。

 では、ほかにございませんようでしたら、ここで5分ほど休憩を取りたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

(休憩)

○松野委員長 予定の時間になりましたので、再開させていただきたいと思います。

 では、続きまして、第3章及び第4章案について事務局から説明をお願いいたします。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 続きまして、資料の5をお願いします。中間取りまとめの第3章、第4章の案です。

 目次案でも紹介したように、第3章では、再生方策の実施状況と課題をまとめ、第4章では、再生方策に共通する今後の課題を整理しております。

 第3章、再生方策等の実施状況等と課題の整理、第2章では、28年度委員会報告以降の環境の状況を整理し、生態系の構成要素又は水産資源として重要と考えられる生物4項目の状況等を整理しており、第3章では、有明海・八代海等における環境の保全・再生及び水産資源の回復等の観点から、再生方策等の実施状況等と課題を整理しております。

 平成28年度委員会報告で盛り込まれました再生目標は、希有な生態系、生物多様性及び水質浄化機能の保全・回復。

 二枚貝等の生息環境の保全・回復と持続的な水産資源の確保となっております。

 これらの目標は、独立しているものではなく、希有な生態系、生物多様性の保全・再生、水産資源等の回復及び持続的かつ安定的な確保は、共に達成されるべきものとして、各種再生方策等が盛り込まれているとされています。

 次のページに、平成28年度委員会報告において示された有明海・八代海等の再生に向けた方策等の表を載せております。第3章の再生方策等の実施状況等と課題の整理に当たっては、図の1の有明海・八代海における問題点と原因・要因との関連の可能性を示した関連図と各事業等との関係を整理した図を踏まえた上で、再生方策等に関して得られた主要な知見や特筆すべき知見等を記載しております。

 なお、この図1は有明海のもののみですが、今後、八代海についても追加する予定としております。

 これ以降3章の中では、平成28年度委員会報告により記載された問題点を記載し、続いて再生方策の実施状況や、それにより明らかになったことなどと課題を記載しています。

 再生方策等の実施状況等と課題の部分を中心に説明したいと思います。

 次のページ、「3.1生物生息環境の確保」、「3.1.1底質の改善、河川からの土砂流入量の把握」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 底質の有機物・硫化物等に関する調査、底質改善の取組等が実施された。

 底質の改善は、局所的な対策となるため、有明海・八代海全体の生物生息環境の対策としては適用が難しいことに留意して進める必要がある。

 それから、河川の土砂流出状況の把握、森林との関わりに関する調査等が実施された。

 平成29年7月の九州北部豪雨において、大量の土砂が河川へ流出したと推定された。

 被災後の河道状況を注視し、河道内の土砂堆積状況を確認するため、定期横断測量等の調査を実施し、土砂流出との関連性について確認することが重要である。

 また、海域と森林との関わりについて、森林の持つ水源涵養機能などの観点から、引き続き調査・検討が必要である。

 「3.1.2藻場・干潟の分布状況等の把握、漂流・漂着・海底ごみ対策」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 藻場・干潟の分布状況の調査、保全活動への支援が実施された。

 衛星画像解析手法を用いた有明海・八代海における藻場・干潟の面積は、有明海においては、藻場が1,456.8ha、干潟が18,799.3ha、八代海においては藻場が2,385.0ha、干潟が4,992.4haであった。

 今後、衛星画像解析手法等の最新技術を用いた定期的な藻場・干潟の分布状況の把握と要因分析が必要である。

 漂流・漂着・海底ごみの回収や処理等の支援が実施された。

 国、地方公共団体、関係者が連携し、流木等の海洋ごみの回収・処理等が行われている。

 令和2年7月豪雨による有明海・八代海への漂流物流入を受けて、海洋環境整備船3隻のほか、災害協定団体や漁業者と連携し、漂流物の回収につながった。航行船舶の安全確保及び海洋環境保全のために、引き続き連携した取組が必要である。

 「3.1.3水質(貧酸素水塊の軽減対策、赤潮対策)」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 下水道、農業・漁業集落排水施設、浄化槽等の整備への支援や、貧酸素水塊のモニタリングが実施された。

 下水道、農業・漁業集落排水施設、浄化槽等の整備への支援や、赤潮の発生状況の調査、赤潮被害防止対策技術の開発等が実施された。

 赤潮対策としては、有明海と八代海でのChattonella属やCochlodinium属による赤潮発生について、両海域の双方向からの赤潮の移入状況を把握することが重要である。

 また、赤潮が発生する要因の解析を進め、発生機構の明確化と発生予察技術の開発が必要である。

 「3.2ベントスの変化」、「3.2.1ベントス群集・底質の継続的なモニタリング」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 各海域のベントス群集(種類数、種組成、個体数等)及び底質の継続的なモニタリングが実施された。

 ベントス群集の種組成や個体数の顕著な変化がみられる場合、生物豊かな水環境や持続可能性が損なわれている可能性があることから、今後もベントス群集及び底質について継続的なモニタリングを行うことが必要である。

 「3.2.2ベントス群集の変化・変動要因の解析」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 ベントス群集と底質との関連性について解析が実施された。

 2005年頃から2020年度におけるベントス群集と底質との関連性を解析した結果、ベントス指標種が増減した際の底質変化との明確な関連性は認められなかったことから、底質以外の要因である貧酸素化、長期的な水温上昇等との関連性についても解析を進める必要がある。

 平成28年度委員会報告では2006年と1989年のベントス個体数を比べて減少したことが報告されているが、今後、2005年以前のベントスデータ等を用いて長期的な変動解析を実施することが必要である。

 「3.3有用二枚貝の減少」、「3.3.1タイラギの生息状況や浮遊幼生の出現状況」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 タイラギの稚貝・成貝の生息調査等が実施された。

 A2の海域では、2000年以降、タイラギの着底稚貝は認められるものの、着底後の初夏から晩秋にかけて、立ち枯れへい死による減耗が問題となっており、2011年以降は資源量の急減により、2012年から2020年にかけて9年連続の休漁となっている。

 タイラギの浮遊幼生調査等が実施された。

 タイラギの浮遊幼生は、有明海奥部や中央東部で多く出現する傾向にあったが、全体的に出現密度は低位で横ばいかやや増加傾向にあると考えられる。

 タイラギの浮遊幼生の出現状況については、調査で確認される浮遊幼生の密度が低いため非検出地点が多く、今後も浮遊幼生調査を引き続き行うことが必要である。

 「3.3.2タイラギの立ち枯れへい死の原因解明」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 移植によるタイラギ減耗要因解明試験、タイラギに影響を及ぼす可能性が考えられる浮泥の調査等が実施されている。

 タイラギの立ち枯れへい死については、貧酸素水塊などの懸念が示されているが、原因の特定には至っていない。海底近傍の環境が立ち枯れへい死に影響する可能性、汚泥層厚と餌料環境との関係が示唆されており、引き続きその原因解明に向けた室内実験等での検証が必要である。

 「3.3.3タイラギ母貝団地の造成と移植、種苗生産等の増養殖技術と種苗放流・移植」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 タイラギの母貝団地の造成、稚貝育成・移植等が実施された。

 母貝団地で移植したタイラギの生残率を高めるため、エイ類等の食害防止策、低塩分や貧酸素等のへい死リスクを踏まえ、数値モデル等を活用した適地選定、生息に適した底質の改善、広域的な浮遊幼生供給ネットワークの形成に向けた母貝団地の造成場所や方法に関する評価等を継続的に実施する必要がある。

 それから、タイラギの種苗生産・放流・移植技術の開発等が実施された。

 タイラギの人工種苗生産として、平成29年に改良型の飼育装置を用いて初めて着底稚貝の大量生産に成功し、基礎的な種苗生産技術が確立された。

 福岡県、佐賀県、長崎県では着底稚貝の安定的な量産に向けた取組が行われているが、大量死の発生や水質変化等を要因として、浮遊幼生が突然摂餌を停止するなどの問題も発生しやすいことから、今後も技術開発を続ける必要がある。

 「3.3.4アサリ浮遊幼生の出現状況」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 アサリ浮遊幼生調査及びアサリの浮遊幼生の挙動を推定するシミュレーションモデルの構築等が実施された。

 アサリの浮遊幼生は、春期、秋期ともに有明海全域で確認され、特に、有明海湾奥部の福岡県沖、有明海中央東部の熊本県沖で多かった。

 「3.3.5アサリの資源再生、母貝生息適地の保全・再生」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 アサリの母貝生息地の造成、稚貝育成・移植等が実施された。

 各県のアサリ漁場において、移植放流や、被覆網・基質入りの網袋の設置等、資源再生・生産性向上に向けた取組が行われている。これらの取組の有効性、効率性の向上につながる技術などについて、引き続き検討する必要がある。

 「3.3.6エイ類等の食害生物の駆除・食害防止策」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 ナルトビエイの状況調査、生態把握調査、駆除・食害防止策等が実施された。

 有明海においては、ナルトビエイの駆除事業が実施されており、胃内容物組成から、アサリ、サルボウ、タイラギなどの有用二枚貝に一定の被害を及ぼしていることが確認できた。

 イシガニ、ガザミ、イイダコ、マダコ、アカニシ等の小型捕食者による捕食も確認されている。

 小型捕食者を含めたエイ類等による食害は、資源の状態が低位にある近年のタイラギの減少要因の一つと考えられ、引き続きその影響等について、調査等によって定量的に解明していく必要がある。

 「3.4ノリ養殖の問題」、「3.4.1ノリの色落ち」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 栄養塩のモニタリング調査、赤潮の発生状況調査、赤潮被害防止対策技術の開発が実施された。

 ノリの色落ちのメカニズムについて、海水中の栄養塩濃度の低下が大きな影響を及ぼしていると考えられるが、その詳細は明らかになっていない。

 ノリの色落ち原因となる赤潮の発生及び増殖の予察技術の開発が必要である。

 「3.4.2環境負荷の軽減に配慮したノリ養殖技術の確立」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 二枚貝等の増養殖を組み合わせたノリの色落ち軽減技術の開発等が実施された。

 これまでの二枚貝等生物の機能を活用した珪藻発生の抑制、栄養塩回帰効能の向上等によるノリ色落ち軽減技術の開発により、二枚貝による色落ち原因プランクトンの除去量とノリの品質向上効果との関連性について定量的な評価を行う必要がある。

 「3.4.3水温上昇等に対応したノリ養殖技術の開発」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 水温上昇等に対応したノリ養殖技術の開発、適切な漁場利用によるノリ漁場環境の改善等が実施された。

 気候変動に伴う影響を軽減するための適応策として、水温上昇等に対応したノリ養殖技術の開発が必要である。

 「3.5魚類等の変化」、「3.5.1魚類漁獲量の状況」について、再生方策等の実施状況等と課題です。

 魚類等の資源量や再生産機構、仔稚魚の成育場等に関する調査・研究が実施された。

 有明海の魚類漁獲量は、1987年をピークに、2000年以降減少傾向にあり、2018年の魚類漁獲量は過去最低となる2,455tとなったが、ここ数年間は横ばいである。有明海に生息する主要な魚種の大半は底生種であり、そうした種の漁獲量は減少している。八代海の魚類漁獲量は、長期的には顕著な減少はみられていない。

 有明海・八代海とも、水産上重要な種であるコノシロの分布と生活史を明らかにする必要がある。有明海・八代海の環境や海洋構造の違いを含めて、魚類生態系構造と機能の解明、生態系構造がそれぞれ異なる要因を解明することか必要である。

 干潟がアカエイ等の高次捕食者を含めた生物生産を支えていることを踏まえ、干潟の有する摂餌、繁殖、成育場としての機能を明らかにする必要がある。また、残された干潟をその環境・生物とセットで守ることの重要性を再認識し、生態系全体を俯瞰的に捉えた視点での今後の取組が必要である。

 八代海奥部における魚類の成育場の有無を調査するとともに、その成育機構を明らかにする必要がある。

 第3章の案については、以上です。

 続きまして、第4章、再生方策に共通する今後の課題についてです。

 本章では、前章での有明海・八代海等における再生方策等の実施状況等と課題の整理の結果を踏まえ、今後、適切かつ効率的な再生方策等を進めるための再生方策等に共通する課題を整理しております。

 「4.1データの蓄積等科学的知見の充実」に、平成28年度委員会報告では、データ蓄積のみとなっていたところを、科学的知見の充実も加えています。

 有明海・八代海の長期的な変化を把握するため、以下の項目について関係機関及び関係者によるモニタリング調査等を実施・継続することにより、基礎的なデータの蓄積を行っていく必要がある。

 環境データ等の蓄積。ベントス群集の状況。有用二枚貝、魚類等の資源量、漁獲量等。有用二枚貝の浮遊幼生や着底稚貝の分布状況。魚類等の再生産や生息の場の分布状況等。

 また、ここまでデータはある程度蓄積されているところですが、今後は、データの蓄積とともに、自然環境や生態系のメカニズムを理解した上で、環境変化の状況や相互作用等の事象を再現できるモデルの構築を図ることにより、問題点の原因・要因の解析・解明や効果的かつ有効な取組の検討等に役立てていくことが重要と考えます。

 「4.2関係者による連携強化と情報の発信・共有の推進」に、関係行政機関のみならず、有識者、教育・研究機関やNPO、漁業者、企業等の多様な主体が有機的に連携し、取り組むことや、生物や水環境、再生方策等の情報を発信・共有が求められること等を記載しております。

 「4.3再生目標と再生事業等との関連性の明確化と他事業等の連携強化」に、今後とも、連関図と各事業等の関係の図1に示された再生目標と各事業等の関係に基づき、適切かつ効果的な再生事業等の推進と、他事業等との効果的な連携を強化していくことが重要であることを記載しております。

 「4.4令和8年度委員会報告に向けた検討」に、有明海及び八代海等の環境の状況や、それを取り巻く社会経済情勢等も大きく変化しており、令和8年度委員会報告に向けては、このような状況を踏まえ再生方策について検討を進めることが必要であることを記載しております。

 第3章、第4章の案の説明は以上です。

○松野委員長 ありがとうございました。

 今、第3章、第4章の説明をしていただきましたが、これについて御意見、御質問等よろしくお願いいたします。

 速水委員、ありますでしょうか

○速水委員 速水です。大きく二つコメントがあります。

 一つ目は、連関図に関するコメントです。この連関図ですが、ここに各省庁が行われた事業を書き込み、分かりやすく一覧にされたということで、これは非常にいい取組だと思います。一方でこの連関図は、もともと関係がありそうなものは取りあえず結んでいこうというような感じを持ってつくられていて、非常にこれ、線が多くて分かりにくいです。前の報告書の時点から、例えば関連の強い部分は太い線にして、そうでない部分は細い線にする、あるいは場合によっては線を取ってしまう、あるいは新たにつく線もあるかもしれませんが、そういった改訂をどんどんしていくということが前提の図だったと思います。

 ですから、もう少し今つけられている連関図が絶対これが正しいというようなものではなくて、これを改訂していくようなことをしていっていただきたいと思います。

 特に、二枚貝に関する連関図、二枚貝の中でもアサリ、タイラギ、サルボウ、それぞれが別々の図とか、それから、ベントスについても連関図というようにすると、よりすっきりとした図になるかと思いますので、そうした図を使うことで、より問題点とそれに対する対策がどのようになされたのかということを分かりやすく図示していただければと思います。

 取りあえず、ここまででお願いします。

○松野委員長 はい、分かりました。連関図の更新に向けてパーツごとにやってみるというのもよいではないかというコメントかと思いますが、これについて事務局、お願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 環境省閉鎖性海域対策室、行木です。

 御指摘ありがとうございました。

 仰せのとおり、連関図につきましては、随時交渉していくものとして作られたものと承知をしております。

 一方で、大変恐縮ながら、中間取りまとめの中で変えた図をつくるということは、申し訳ないのですが、事務局の作業キャパシティー上、残念ながら実現が困難でございまして、今の御指摘、大変重要と思いますので、この連関図はそういうものであるので、この先、例えば御指摘のありましたとおり、有用二枚貝の一部をターゲットにしたものをつくってみるとか、そういったことも含めて、今後、別の枠、別の切り口でも検討してみるというようなことを課題にさせていただくということでお願いできればと思います。そのように検討させていただければと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○速水委員 分かりました。キャパシティー的に無理だということであれば、無理は申しませんので。

○松野委員長 同じことを古米委員長からも以前から出されていまして、そういう検討はしているのはしているのですが、中間取りまとめでは、今事務局から説明があったように、間に合わないということのようです。

 もう一点、どうぞ。

○速水委員 3.2以下についてですが、問題点ではなくて、多くのところで事実が書かれています。全体に網羅的に書かれていて、それで、何が重要なポイントなのかということが非常に分かりにくい書き方になっています。どこかでこういった問題点のうち、主眼になるような大きい問題点が何なのか、それに対してどのように改善していくのか。例えば瀬戸内の場合だと、陸域からの負荷量の流入増大があって、それに対して総量規制を行ったということで、大きな環境改善につながったわけですが、今、有明でそこまで分かっていないということはよく分かってはいますが、何とか今後、そういう柱になるような問題認識とそれから対策が立てられるような、そういった方向を示すような書き方にできないだろうかとのことのお願いです。

○松野委員長 はい、ありがとうございます。

 この点につきましては、事務局、コメントありますでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 環境省、行木でございます。

 御指摘ありがとうございます。ポイントが分かりにくいということで、御意見を賜りました。まず、事務局でもう少しめりはりがつくように工夫を検討してみたいと思います。

 一方で、もしこの点が特に重要なので、ここを強調すべきとか、逆にここは単なるファクトなので、より記述をあっさり、あるいはここでは触れなくてもいいのではないかというような点がありましたら、そこを御指摘いただけると非常に有り難いところでございます。今この場での御発言をお願いするのは難しいかもしれませんが、この会議の後でも、もしお気づきの点がありましたら、ぜひ、その辺り、御助言をいただきますと大変有難いです。よろしくお願い申し上げます。

○速水委員 分かりました。会議後にメールででもお知らせしたいと思います。

○松野委員長 後で申し上げますが、この会議だけでは、十分意見をいただけないと思いますので、期間を区切って、後で御意見をいただくようにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 古川委員、お願いします。

○古川委員 古川です。

 今の点も含めて、3点ほど短めにコメントさせていただきたいと思います。

 一つは、3章のところで重点を置くべきというお話がありました。4ページ目のところの「3.1.2の藻場・干潟の分布状況」の話です。最初のほうでも増えたのか、減ったのかというような話がありました。この再生方策のところで「保全活動への支援が実施された」と書いてある。これがもし干潟や藻場の造成につながっているのであれば、とても重要な点なのではないかなと思います。それが残念ながら、下の小さいポツのところでは書かれていなくて、現状の紹介だけなので、ここは具体例があるはずですから、書いていただいたらよろしいのではないかなと思いました。

 残り2点は、4章についての指摘です。

 4章の4.1のところの最後のパラグラフで、こういうメカニズムを理解して、モデルを構築して、検討に役立てていくという方針が書かれています。そのとおりだと思いますが、少し危惧するのは、速水先生からの御指摘にも似ていると思いますが、現象の再現のところだとか、モデルの構築といったものが重点を置かれ過ぎて、それをつくるのに時間がかかって、肝心のその後の検討に役立てるという部分が省略されてしまっては本末転倒ですから、モデルの構築を大前提とせずに、今、分かっている現象の中からできるだけ問題点を抽出し、有効な取組の検討につなげるという方向での御検討をぜひお願いしたいと思います。

 最後が4.2、その下に書いてございますが、関係者との連携強化。今日の小委員会の中でも、こういう情報、うちのところにあるのに載っていないというような御指摘をいただきました。やはりみんなが集まって情報を共有することで見落としだとかを防げる、発掘できるデータが発掘されるというようなことが、とても大きいと思いますので、ここはコメントというか、要望ですが、こういう情報を発信・共有していくことが、引き続き求められているということに鑑み、例えば今後そういう情報交換をするような場を定期的に持っていくとかいうようなことが、一歩踏み込んで書けないかなと。中間評価のところで書くというのは難しいということではあっても、こういう議事録を残していただいて、情報共有だとか、意見交換ができる場というのを、こういう検討の下に設置・開催していただくことを御検討いただきたいなと思いました。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございます。

 今の御意見について、行木室長、お願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 はい、御指摘ありがとうございました。

 まず、最後の点ですが、この中間取りまとめの中でどう書けるかというところは、検討させていただきますが、限界はあるかもしれません。ですが、今の御発言、議事録には確実に載りますので、その点は御安心をいただければと思います。

 それから、幾つか御指摘をいただいておりますが、4.1のモデルの部分、仰せのとおり、モデルが大前提になってしまって、それ以外のことが進まないというようなことになるのは、意図しておりませんので、表現としては、どのようなことができるかは検討させていただきます。今分かっていることの中から問題点の抽出を行って、有効な対策を取っていくということも重要だということをどのように表現できるか、御指摘を踏まえて検討をさせていただきたいと思います。

 あと、3章の御指摘の点、御指摘を踏まえまして、藻場・干潟の支援の関連のところですとか、具体例が追記できないかというところ、検討させていただきます。ありがとうございました。

○松野委員長 古川委員、よろしいでしょうか。

○古川委員 はい、結構です。ありがとうございました。

○松野委員長 ありがとうございました。

 それでは、藤井委員お願いします。

○藤井委員 福岡県有明海研究所、藤井です。

 資料の11ページ、3.4.2です。まず1点目ですが、「28年度委員会報告による問題点」というところで、「環境負荷の軽減に配慮したノリ養殖技術の確立が求められている」と書いてありますが、ノリ養殖というのは、海域の窒素・リンを取り上げる、環境負荷とは逆で、環境面では、非常によい藻類養殖だと思いますが、こう書かれた意図というのは何なのかというのがまず1点目。

 それともう一つが、その下にある3.4.3、「水温上昇や栄養塩の早期枯渇による漁期の短縮等によって、安定生産の阻害や生産枚数の減少がみられる」と書いてありますが、確かに水温上昇というのは若干ありますが、ノリの生産を阻害されるような水温上昇というのはみられていないということと、実際のところ、生産枚数に関しては減少せず、安定しているというところがありますので、ここは少し事実と違うなと感じております。よろしくお願いします。

○松野委員長 はい、ありがとうございます。

 今の御質問に対して、事務局、お願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 環境省、行木でございます。

 御指摘ありがとうございました。

 今、御指摘いただきました点、どちらも平成28年度委員会報告でどのように書かれている、記載されていることのポイントを事務局としてまとめたつもりでおります。御指摘をいただきましたので、この辺り、きちんと抽出すべきところを抽出できていたかどうか、事務局で検討させていただきます。御指摘をありがとうございました。

○松野委員長 28年度報告からの抽出が、少し言葉足らずになっているのかもしれませんので、検討確認して、必要であれば修正していただきたいと思います。

 よろしいでしょうか。

○藤井委員 はい、ありがとうございます。

○松野委員長 ありがとうございました。

 それでは、林委員、お願いします。

○林委員 福岡県有明海研究所、林です。

 8ページのタイラギのところです。「3.3.2タイラギの立ち枯れへい死の原因解明」のところの再生方策の実施状況と課題の最後のところですが、「引き続きその原因解明に向けた室内試験等での検証が必要である」ということで結ばれています。まだ原因の特定に至っていない状況にあっては、フィールドでの追跡調査、例えば天然稚貝の追跡であるとか、移植の追跡、それから母貝団地の造成をしているところの追跡、こういったところのフィールドでの調査というのもかなり重要な側面になるかと思います。そこら辺の意図というのは何かございますか。

○松野委員長 ありがとうございます。

 何か意図があるかということですが、事務局、いかがでしょう。

 行木室長、お願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 環境省、行木でございます。御指摘ありがとうございました。

 このところは、事務局で素案を用意しておりますが、ここまでの小委員会の議論の中で得られたことを端的にまとめたつもりでいたところではございますが、御指摘も踏まえまして、フィールドでのデータの重要性など個々の表現につきましては、改めて検討させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○松野委員長 林委員、これは室内実験に持ち込むところまでまだ要因が絞れてないので、フィールドで追跡したほうをもっと中心的に考えたほうがいいのではという御意見でしょうか。

○林委員 そうですね。ある程度、目星のついたものは、室内試験等にも移行できると思いますが、併せてやはりベースとなるのは、フィールドの調査かなと思っています。

 ありがとうございます。

○松野委員長 はい、分かりました。ありがとうございます。

 それでは、東委員、お願いします。

○東委員 東です。ありがとうございます。

 第4章の今後の課題のところについての質問です。今日のいろいろな報告を見ている限り、気候変動、特に水温上昇と雨の降り方の変化というものがかなり重要な要素になっているように感じました。最後のページの14ページ目に、少し気候変動の課題が触れられてはいますが、もう少し強く表に出して記載してもよいのかなと感じました。

 特に九州では、豪雨の変化というものが、恐らくここ数年は特に顕著になっていると感じております。それに対して、実際、海のほうにはどのような影響があるか、今回に関しては、土砂流出についてはかなり詳細に書かれておりますが、その海へのインパクトが長期に及ぶものなのか、果たして短期的なもので済んでいるのか、というような調査研究がもっと必要ですので、その辺を盛り込んでいただけたらなと思っております。

 あともう一つ。関連しまして、3章のほうの4ページまで戻っていただきますと、ここで同じく再生方策で土砂のところで河川関係のことが実施状況と課題と書いてありますが、河川関係の対策ばかりが書いてあって、海側の対策があまり書いてないという状況になっております。実際、インパクトがまだ分かっていないから書けないのだろうと想像はしておりますが、それが課題ということも含めて、きちんと明記しておいていただければよいのではないかと思いました。

 以上でございます。

○松野委員長 ありがとうございます。

 後半のほうは、第2章のところでも御意見が出ていましたように、海への影響のことをここでもきちんと書いておくべきだという御意見は、そのとおりだと思いますので、検討していただきたいと思います。

 それから前半のほうにつきまして、気候変動に関する内容ですが、事務局から何かありますか。

○行木閉鎖性海域対策室長 はい、ありがとうございます。

 気候変動に関連しましても、2章でも御指摘があった、最近の雨の降り方の変化といったところも載せるべきといったことにも関連してくるところかと思います。御指摘のとおり、かなり重要な状況の変化だと思いますので、気候変動に関連する記述を課題としてもう少し前に立てて書けるよう、検討させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○松野委員長 東委員、よろしいでしょうか。

○東委員 はい、ありがとうございました。

○松野委員長 ありがとうございました。

 ほかにございませんでしょうか。

 少しお待ちください。行木室長からコメントがあります。

○行木閉鎖性海域対策室長 環境省、行木でございます。

 3章、4章の関連で古米先生から、チャットで御意見が入っておりましたので、紹介させていただきます。

 アサリ浮遊幼生の出現状況に関する記述のところ、9ページです。ここに関しての御指摘ですが、「この部分は、状況のみの記載になっていて、課題が整理されていないので、今後、検討すべき課題を追記載すべき」ということでございます。この御指摘も踏まえて、事務局でも検討させていただきたいと思います。

 以上です。

○松野委員長 ありがとうございました。今のコメントは、第3章に関するところです。

 そうしましたら、ノリ養殖の状況、情報収集について新しい情報がありましたので、水産庁から環境変化に適用したノリ養殖技術の開発について説明をお願いいたします。

 よろしくお願いいたします。

○中西水産庁栽培養殖課課長補佐 水産庁栽培養殖課の中西と申します。よろしくお願いいたします。

 資料6を御覧いただければと思います。

 環境変化に適応したノリ養殖技術の開発について御説明させていただきます。

 環境変化に適応したノリ養殖技術の開発といたしまして、先ほども少し出ていたと思いますが、背景としては、近年漁場環境の変化がかなり出てきまして、生産量の減少でありますとか、また、ノリの品質低下のリスクが上がってきているという状況でございます。養殖経営や、ひいては、地域経済の不安定化にもつながりかねないという状況になっていると認識しております。

 左側にノリ養殖の生産サイクルについて記載しております。詳細は割愛いたしますが、ノリの養殖につきましては、秋口、水温が下がってきたとき、概ね23℃と書いておりますが、23℃頃に水温が下がってくるときからノリの養殖は始まるということになっておりますが、このページ右側にあるとおり、この右のグラフは、福岡県有明におけるノリ養殖の採苗が始まった日の推移でございます。近年、秋口の降水温によって採苗の不調ですとか、幼芽の障害の原因になっているということで、近年水温が下がってくるのを待ってということで、採苗日が遅れているという状況にあるという状況でございます。

 右下にありますとおり、今後、さらなる水温上昇が進んでいくということになった場合には、漁期が大幅に短くなったり、ノリ芽の不調による生産量が下がっていくというようなことが懸念をされているということでございます。

 また、養殖のノリ養殖業者の生産者のニーズとしては、養殖を早く始めたい、ひいては、生産量を確保したいという状況があるということが一つ背景になってございます。

 次のページを御覧ください。

 ただいま御説明したような背景を下に、一つ目的としては、養殖初期に高水温耐性のあるノリ養殖品種の作出と実用化を目指して事業を実施してございます。コンセプトとしては、24℃で2週間耐えられるということでございます。具体的には、平成29年度まで実施をいたしました既往事業におきまして、水研機構が作出したノリの高水温の適応育種素材を用いまして、各県の地先での再選抜を行った上で、それぞれの海洋環境・養殖手法に適した新品種を育成するということでございます。

 育種素材としては、既往事業において4C、6Cという二つの育種素材を作出しておりますので、こちらを基に新たな高水温適応品種の作出ということで事業を実施しております。

 次のページで、これまでの経過と成果について簡単に御説明をさせていただきます。

 有明海で写真のとおり、採苗・育苗試験をした結果につきましては、右上のグラフがございますが、高水温が25℃で採苗した際に、ノリ網への芽の付着数などは、従来の品種でありますとか、元の品種に比べましても、育種素材、特に6Cのほうが付着や生残がよいという結果が出ております。

 また、左下のグラフにあるとおり、生残した幼芽を高水温で一定期間育成をしたという状況につきましても、6C株は標準品種よりも生長がいいという結果が出ております。

 それから遊離アミノ酸ですね、右下のグラフを御覧いただければと思います。

 ノリの遊離アミノ酸の含量について調査をした結果、育種をされた4Cや6C、特に6Cにつきましても、既往の品質と遜色のない遊離アミノ酸含量があるということが明らかになってございます。これらを踏まえまして、従来の標準品種であるU-51などと比べましても、6Cの株については高温耐性に強いということが明らかになってございます。

 今後、この現地の養殖試験などを通じて、今度6Cから、さらに高生残で、また高生長の個体をさらに選抜をいたしまして、これらの特性評価を通じまして、高温耐性品種としての実用を目指していくということで、現在事業を実施しているところでございます。

 説明は以上でございます。ありがとうございました。

○松野委員長 ありがとうございました。

 では、ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。

 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

 では、これで今日予定しておりました議題は一応終了いたしました。

 事務局におかれましては、本日いただいた意見等を基に中間取りまとめの作業を進めていただきますようお願いいたします。

 それから、委員の皆様におかれましては、本日は資料も大変多くて、全部対応できない部分もあったかと思いますので、御意見等ございましたら、19日までに事務局にメールで御意見をお寄せください。その後のそれに対する資料の修正内容につきましては、両小委員長と事務局に御一任いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。

 では、よろしくお願いいたします。

 では、最後の議題で、その他ですが、事務局から何かありますでしょうか。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 事務局です。特にございません。

○松野委員長 はい、分かりました。

 では、本日の小委員会全体を通して、各委員から何か御意見等ございますか。

 ございませんか。よろしいでしょうか。

 それでは、本日予定されておりました議事については、終了いたしました。

 議事進行、御協力、どうもありがとうございました。

 では、進行を事務局にお返しします。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 では、松野委員長、ありがとうございました。

 事務局から御連絡です。先ほど小委員長から、資料への追加の意見は、19日中までにということでお話がありました。それに従いまして、19日中までに事務局まで御意見を御提出いただければと思います。また、本日の議事録ですが、後日、事務局より確認依頼を行いますので、よろしくお願いいたします。

 内容確認後、議事録は、環境省ホームページで公開をさせていただきます。次回の小委員会も合同開催とする予定です。開催日につきましては、後日、日程調整等をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、以上をもちまして、第8回水産資源再生方策検討作業小委員会及び第8回海域環境再生方策検討作業小委員会を閉会とさせていただきます。本日は、どうもありがとうございました。

午後3時59分 閉会