第3回 有明海・八代海等総合調査評価委員会 海域環境再生方策検討作業小委員会 議事録

開催日

令和元年8月2日(金)

場所

三田共用会議所第3特別会議室(東京都港区三田2-1-8)

出席者

 小委員会委員長 : 滝川清委員長

 委員 : 小松利光委員、樽谷賢治委員、古米弘明委員、松野健委員、山口敦子委員

 臨時委員:小林政広委員

 専門委員 : 橋本晴行委員、東博紀委員、古川恵太委員、吉永育生委員

(関係省庁)

農林水産省農村振興局農地資源課 松宮課長補佐

水産庁増殖推進部漁場資源課 山本課長補佐

(事務局)

  環境省水・大気環境局総務課長、
  水環境課閉鎖性海域対策室長、水環境課閉鎖性海域対策室長補佐、水環境課閉鎖性海域対策室主査

議事録

午後1時31分開会

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから有明海・八代海等総合調査評価委員会第3回海域環境再生方策検討作業小委員会を開会いたします。

 最初に、本小委員会は公開の会議となっておりますことを申し上げます。

 それでは、まず、議事に先立ちまして、環境省水・大気境局総務課長の関谷より、御挨拶を申し上げます。

○関谷水・大気環境局総務課長 皆様、お暑い中、本当に今日はありがとうございます。私、先週の7月22日付で環境省水・大気環境局総務課長を拝命しました関谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日、本来ですと、局長の小野が御挨拶申し上げるところでございますけれども、用務がございまして、本日出席がかないませんので、代理として御挨拶させていただきます。

 今日は第3回の海域環境再生方策検討作業小委員会ということで、大変、お暑い中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、本日、1名、新しい委員の方に御就任いただきましたので、その点も含めましてよろしくお願いいたします。

 有明海・八代海等におきましては、アサリの資源回復の兆しが見られるということでございますが、その一方で、貧酸素水塊の発生やタイラギ漁の休漁が続くなど、再生に向けた取組は引き続きまだ喫緊の課題となっているというふうに認識してございます。

 こうした課題に対応していくための検討として、第1回の小委員会におきましては、令和3年度を目途としました中間取りまとめに向けて、この作業小委員会の作業方針が決定されたということでございます。また、第2回の小委員会においては、平成28年度の委員会報告以降に、国や関係県が実施した再生方策、あるいは調査・研究開発の成果などの把握ということが行われたと承知をしてございます。

 本小委員会におきましては、有明海・八代海等の水質や底質などの海域環境の変化状況等について検討を行うこととしております。

 もう一方の「水産資源再生方策検討作業小委員会」におきましては、海域環境の検討に当たって必要な有用二枚貝、あるいは魚類養殖等の水産資源の特性でございますとか、あるいは漁場環境等について検討を行うこととしておりまして、この2つの小委員会で相互に補完することで効率的に再生方策、あるいは減少要因などの検討を進めるということとしてございます。

 本日は、関係省庁、あるいは関係県から御報告いただいた再生方策、そして調査・研究の成果、これまでに得られましたデータを活用しまして、多角的な観点から整理・分析が行われますように、本小委員会における今後の具体的な情報収集・整理・分析内容を御審議いただきたいというふうに考えてございます。

 この機会に委員の皆様には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をいただきたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 続きまして、本日の委員の出席状況ですが、欠席の連絡を山口啓子委員よりいただいております。

 また、所属機関の人事異動により、新たに本小委員会の委員に就任された方を御紹介します。

 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究部門水利工学研究領域沿岸域水理ユニット長の吉永委員でございます。

○吉永委員 吉永でございます。前任の桐にかわりまして、この度、委員となりました。よろしくお願いいたします。

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 なお、本日は、関係省庁も出席しておりますので、御紹介いたします。

 まず、水産庁漁場資源課の山本課長補佐でございます。

○山本漁場資源課課長補佐(水産庁) 山本でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 続きまして、農林水産省農村振興局農地資源課の松宮課長補佐でございます。

○松宮農地資源課課長補佐(農林水産省) 松宮でございます。よろしくお願いいたします。

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 また、前回の小委員会開催後に事務局の異動がございましたので、御紹介いたします。

 まず、先ほど、御挨拶申し上げました水・大気環境局総務課長の関谷でございます、

○関谷水・大気環境局総務課長 関谷です。よろしくお願いします。

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 委員の皆様から向かって関谷の右隣が5月に着任いたしました閉鎖性海域対策室長の中野でございます。

○中野閉鎖性海域対策室長 中野です。よろしくお願いいたします。

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 関谷の左隣が7月に着任いたしました閉鎖性海域対策室室長補佐の濵名でございます。

○濵名閉鎖性海域対策室室長補佐 濵名です。よろしくお願いします。

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 続きまして、資料につきましては、本日の小委員会はペーパーレスでの開催とし、お手元のタブレット端末に収録しておりますので、確認は省略をさせていただきます。

 それでは議題に入ります。以後の進行につきまして、滝川小委員長、よろしくお願いいたします。

○滝川小委員会委員長 かしこまりました。本委員会の議事進行役を仰せつかっております滝川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。議事の円滑な進行に御協力くださいますように、皆様にはよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、早速ですが、議事を始めさせていただきます。

 まず、本日の議題(1)ですが、小委員会における今後の情報の収集・整理・分析としております。

 それでは、事務局より御説明をお願いいたします。

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 それでは、私のほうから説明いたします。今回、吉永委員が初めて御出席されるということでございますので、議題(1)の内容になります資料2の説明に入ります前に、平成28年度委員会報告から、これまでの内容につきまして簡単に御説明させていただきまして、その後に資料2の説明をさせていただきます。まず御覧になっていただきたいのが参考資料3でございます。そちらを画面に表示をお願いいたします。

 こちらの参考資料3につきましては、平成30年3月13日に開催いたしました第42回評価委員会の資料でございます。こちらが平成29年3月に委員会報告が出まして、その後、初めて開催されました評価委員会で審議されまして決定したものでございます。今後の審議の進め方ということで、まず示されたもので、こちらの内容から簡単に御説明をします。

 冒頭の委員会の経緯等がございますが、この部分につきましては説明を省略させていただきまして、2ページのほうを表示していただきたいんですけれども、ここの2ページの(2)のところに、検討対象項目というものがございます。この中で今後検討していくものといたしまして、2段落目のところに、有明海・八代海等では、湾奥部浅海域において独特の生態系が発達するなど多様な生態系を有しており、その保全・回復を図るため、生態系の基盤として重要な「ベントス」を検討対象とする。また、採貝をはじめとする海面漁業及びノリをはじめとする養殖業が持続的に行われるため、漁獲量が低迷しているアサリや6年連続で休漁となったタイラギ等の「有用二枚貝」、生産量が不安定な「ノリ養殖」、漁獲量が変動する海面漁業や赤潮被害が生じる魚類養殖等の「魚類等」を検討対象とするということで、こちらの4項目を検討対象とするとしております。

 また、その下の(3)の検討に当たっての留意点といたしまして、問題点とその原因・要因の考察に当たっては、国及び関係県等が今後行う調査・研究開発による結果に加え、これまでに得られた調査データ等についても時間的・空間的観点からより詳細に分析することにより、多角的な観点から整理・分析を行う必要があることとされております。

 また、3番の審議体制でございますけれども、委員会は上記の審議を機動的かつ効率的に行うため、下部組織として2つの小委員会を設置し、役割を分担しつつ、情報の収集・整理・分析等の作業を進めるということで、本日、開催しております海域環境再生方策検討作業小委員会、また、午前中に開催いたしました水産資源再生方策検討作業小委員会の2つの小委員会が設置されたところでございます。

 4番の審議スケジュールということで、この2段落目のところから御覧になっていただきたいんですけれども、平成28年度委員会報告において、再生に向けた取組の当面の目標とする時期は概ね10年後としており、また、再生方策や調査・研究開発の成果等の蓄積にも一定程度の時間を要すると考えられるが、一方で、継続的な評価が求められている。このことから、毎年度、以下の①~③について小委員会で作業し、その結果を委員会で審議するとともに、平成28年度委員会報告から概ね5年を目途に、再生方策や調査・研究開発の実施状況及びその成果等について中間的な取りまとめ(中間報告)を目指すこととしたところでございます。

 こちらの資料につきましては、以上でございまして、画面のほうを押していただいて、左上の戻るを押していただきまして、その次に参考資料2の表示をお願いいたします。

 こちらの参考資料2、小委員会の作業方針についてとございますが、昨年3月の評価委員会を受けまして、2つの小委員会が設置されまして、その後、両小委員会の委員の方々を任命し、最初に第1回の小委員会を開催したのが昨年8月でございますけれども、その小委員会において御審議いただいた内容がこの小委員会の作業方針についてでございます。

 ここの中の真ん中辺りの「○検討対象項目ごとの主な検討事項」と書いておりますが、先ほど、①~④にあります4項目が検討対象項目ということで御説明をいたしましたが、さらにそれぞれの検討事項について、こちらに記載したものでございます。

 また、一番下のところに印がついておりまして、4項目全体に係る海域環境に関連する事項(水質汚濁、底質等に関する変化状況や挙動の解明、気候変動が生態系等に及ぼす影響の評価)についても検討するということとしておりまして、こちらにつきましては、ただいま開催しております海域環境再生方策検討作業小委員会で検討することとしております。

 続きまして2ページに行っていただきまして、2つ表が記載されておりますけれども、この上の部分が第42回の評価委員会の資料3のものを抜粋したものでございまして、それぞれの小委員会の作業分担を書いたものでございます。

 また、下の表につきましては、その4項目のさらに検討事項を先ほどお示ししましたけれども、それぞれの役割分担、個々の小委で検討するもの、または横断的に検討するもの。あと、下に先ほど御説明しましたが、印がついている部分につきましては、海域小委で作業を行うということとしております。

 続きまして、3ページのほうを御覧ください。データの整理・分析についてということで、(1)のほうが平成28年度委員会報告におけるデータ整理・分析でございまして、まず、平成28年度委員会報告では、1970年頃の有明海及び八代海の環境は生物・水産資源が豊かだったと言われることを踏まえ、基本として、1970頃から現在までの有明海・八代海等の環境等の変化を対象として整理することとし、1970年頃からの長期データが存在するものを中心に分析をしております。

 有明海・八代海等の環境等の変化としては、汚濁負荷、河川からの土砂流入、潮汐・潮流、水質、底質、貧酸素水塊、藻場・干潟等、赤潮及び生物を対象として、経年的な長期変動を整理しております。

 また、問題点とその原因・要因の分析では、有明海・八代海等を海域区分毎に分けて実施しております。

 (2)が今回の小委員会におけるデータの分析方針でございます。

 国及び関係県等が今後行う調査・研究開発による結果やこれまでに得られた調査データも活用し、対象とする生物の特性や課題となっている事象(貧酸素水塊や赤潮等)に応じて発生する場所が異なることから、それを踏まえ解析対象となる範囲を定め、月別や季節別のデータ等の時間的な観点、鉛直・水平方向のデータ等の空間的観点からより詳細に分析するほか、数値シミュレーションモデルの活用もしつつ、多角的な観点から整理・分析を行うとしております。

 また、2番のスケジュールでございますが、平成33年度、令和3年度ですが、中間取りまとめを行うとした場合の年度ごとの大まかなスケジュールは以下のとおりということで、現在、31年度、令和元年度に入っておりますが、4項目を中心に情報収集・整理・分析を来年度ぐらいまで実施いたしまして、2年度からは中間報告の構成案の作成、3年度に中間取りまとめの公表といったようなスケジュールというので、こちらのほうが小委員会の作業方針として決定しているものでございます。

 以上のこれまでの流れを踏まえまして、資料2のほうを御覧ください。こちらが小委員会における今後の情報の収集・整理・分析について(案)(海域環境再生方策検討作業小委員会)のものでございます。

 まず、基本的な考え方といたしまして、ただいま御説明いたしました平成30年8月29日に開催された第1回の小委員会、こちらは2つの小委員会を合同で開催しておりますけれども、その中で検討対象項目ごとの主な検討事項につきまして、①として、これまでに収集されたデータも含めた詳細なデータ整理、2点目といたしまして、関係省庁・関係県からのヒアリング・データ提供、3点目といたしまして、平成28年度委員会報告以降の新たな論文収集等により情報の収集・整理・分析(情報収集等)を実施することといたします。

 作業は、主に上記①、②により実施するものとし、必要となる知見や新たな分野の情報収集が必要となった場合は上記③の新たな論文収集等により補足するものといたします。

 下の点線で囲っている部分は、先ほど御説明しました小委員会の作業方針、それから4項目と、あと4項目に係る海域環境に関連する事項と、さらにそれぞれの検討事項ということで、こちらにも抜粋をしております。

 続きまして、2ページのほうを御覧ください。まず、1点目の多角的な整理・分析を進めるに当たっては、複数機関で得られたデータを統合して検討することも想定されることから、専門分野の委員からデータ精度の管理も含めて適宜御確認いただくと記載しております。これは昨年度開催した小委員会の中で委員の方から過去の平成28年度委員会報告をまとめるに当たっても、このようなことをやっていたということですので、その内容についてこちらのほうに記載をしております。

 また、2点目の次期委員会報告(令和8年度目途)でございますけれども、そちらに向けて今後必要となる調査研究・課題(観測データの充実及びシミュレーションを含む)を併せて整理し、中間報告に取りまとめることとしたいと考えております。

 こちらの作業方針も先ほど御説明したものの抜粋でございます。

 2番の海域小委における情報収集等でございますが、1点目といたしまして、作業方針では、中間報告に向けて、海域小委と水産小委において情報収集等を行う主な検討事項の作業分担が整理されており、これに基づいて作業を進めてまいります。

 また、2点目といたしまして、海域小委における情報収集等としては、主にベントスや魚類等、有用二枚貝の生息環境の観点からデータ解析等が必要となる海域環境項目・期間・場所のデータ整理を行い、再生方策や減少要因等を検討することとしております。

 なお、両小委で横断的に検討を行う事項について、海域小委では、水産小委で整理される水産資源の生活史等を踏まえて、海域環境に関するデータ解析等が必要となることから、両小委で、適宜、意見等を求めながら検討を行うとしております。

 続きまして、3ページを御覧ください。こちらは先ほどお示ししましたそれぞれの小委員会の作業分担でございまして、上のほうが第42回評価委員会資料3(参考)抜粋をもとに作成したものでございまして、下が先ほどお示しした小委員会の作業方針の小委員会ごとの主な検討事項の作業分担というものを抜粋したものでございます。

 続きまして、4ページを御覧ください。海域小委における検討の方向性ということで、それぞれの項目について御説明いたします。

 まず、ベントスですが、ベントス群集(種類数、種組成、個体数)及び関連する海域環境項目のモニタリングによるデータ蓄積を継続するとともに、ベントスの生息環境に関連する海域環境項目に着目し、データ整理等を実施いたします。

 こちらの作業方針に記載されております2点につきましてですが、まず、1点目のベントス群集(種類数、種組成、個体数)及び底質の継続的なモニタリングとベントス群集の変動要因の解析につきましては、継続的なモニタリングで得られたベントス群集及び海域環境項目について、地点・海域ごとの変動状況等を整理すると。併せて、長期変動(気温・水温等)や短期変動の降雨量や台風等に関する要因の状況を整理して、地点・海域ごとの変動状況等への影響を確認する。これらを踏まえまして、地点・海域ごとのベントス群集と海域環境項目の変動状況との関連性に関するデータ分析を行うこととしております。

 2点目の本検討事項に関係する関係省庁・関係県の取組状況のヒアリング・関係データの提供でございますけれども、ただいま①で御説明しました観点を補足できる取組に係る情報収集等を行うこととしております。

 また、第2回小委員会で発表された取組以外の関連の取組といたしまして、まず、環境省のほうで有明海・八代海等再生評価支援事業で底質、ベントスの調査を行っております。また、農林水産省農村振興局におきましても、国営干拓環境対策調査等で底生生物調査を実施しているということでございます。

 続きまして、有用二枚貝でございますが、中間報告に向けまして、関係省庁等において集中的に調査・研究が実施されている「タイラギ」、「アサリ」を中心に検討を行いたいと考えております。

 続きまして、5ページを御覧ください。作業方針の抜粋に記載されている中で、海域小委に関係するものとして、この2点でございますけれども、まず、1点目のデータ整理・分析といたしまして、「広域的な母貝集団ネットワーク形成に関する検討」につきましては、水産小委で整理される有用二枚貝の生活史等を踏まえて、分析する海域・時期等を検討し、海域環境項目の変動状況等の関係性についての分析を行う。

 また、「浮遊幼生期及び着底後の貧酸素水塊の軽減対策の検討」につきましては、貧酸素の影響度合いが大きい生活史段階に着目いたしまして、その時期や海域における貧酸素水塊の状況の分析・評価をすることとしております。

 また、本検討事項に関係する関係省庁・関係県の取組状況のヒアリング・関係データの提供でございますけれども、関係省庁・関係県の取組の中で得られた有用二枚貝と海域環境項目の関係性に関する知見についての情報収集等を行うこととしております。

 続きまして、ノリ養殖です。ノリ養殖につきましては、養殖期間である秋季から春季を検討の対象時期として設定をしまして、水質の状況や競合する赤潮等に関する情報収集等を行います。

 この作業方針に記載されておりますノリ養殖の検討事項でございます「赤潮の発生と増殖に係る各種要因の解明と予察技術の検討」につきましては、水産小委において整理されますノリ養殖に影響する赤潮の発生状況等を踏まえまして、その解析に必要な海域環境項目に関するデータ整理を行うということとしております。

 また、本検討事項に関係する関係省庁・関係県の取組状況のヒアリング・関係データの提供でございますが、これらの観点を補足できる取組に係る情報収集等を行うこととしております。

 続きまして、6ページを御覧ください。続きまして魚類等でございます。

 魚類等につきまして、生活史に関する情報収集等を踏まえ、対象とする海域における海域環境項目の状況を整理することとしております。

 また、次の作業方針に記載されています主な検討事項でございますが、まず、1点目のデータ整理・分析で「魚類等の再生産機構及び資源量の変動要因の解明」につきましては、海域環境特性や魚類等の生活史等について十分に把握できていない八代海における情報収集等を中心に行う。

 また、2点目の「貧酸素水塊の軽減対策の検討」につきましては、魚類等の生活史等を踏まえた変動要因の解明の一要因として実施する。

 3点目の「栄養塩や基礎生産量と水産資源量との関係の解明」につきましては、有明海において、近年資源量の減少が著しいシログチ、デンベエシタビラメ等の底魚魚類の仔稚魚の生育場である湾奥部の底質を含めた環境が極めて重要であるということから、魚類資源と湾奥部環境特性に関するデータ等との関連性についてデータ整理・分析を行う。

 続きまして、「赤潮の発生と増殖に係る各種要因の解明と予察技術の検討」につきましては、水産小委において整理される魚類養殖に影響する赤潮の発生状況等を踏まえ、その解析に必要な流況等の海域環境項目に関するデータ整理を行うとしております。

 また、「藻場・干潟の分布状況の把握」につきましては、藻場・干潟の分布状況を把握し、過去の調査結果からの変化状況を整理するとともに、魚類等の生息環境への影響等を確認するということとしております。

 続きまして、7ページを御覧ください。本検討事項に関係する関係省庁・関係県の取組状況のヒアリング・関係データの提供につきましては、①の観点を補足できる取組に係る情報収集等を行うこととしております。

 次に書いております、これまでに魚類の関係で情報収集等された知見でございますけれども、それぞれ本小委員会の山口敦子委員のほうから第2回の小委員会で発表してもらった内容でございますけれども、まず、有明海はサメ・エイ類を含む高次捕食者が豊富に存在する海域である。有明海奥部の干潟・河口・浅海域は、多くの魚類の産卵・生育場として、また、特産魚種の生息場として重要な機能を担っていると。有明海と八代海で魚類の往来は認められず、両海域の環境と生態系構造及び機能は明確に異なるということを御報告いただいております。

 また、第2回の小委員会で発表された取組以外の関連の取組といたしまして、農林水産省農村振興局、国営干拓環境対策調査の中で魚卵・稚仔魚調査がなされているということです。

 続きまして、海域環境に関連する事項でございます。作業方針のほうでも、先ほどから御説明しておりますように、4項目全体に係る海域環境に関連する事項についても検討するということで、こちらについてのデータ整理・分析といたしましては、海域環境項目のモニタリング情報等を整理するとともに、平成28年度委員会報告における連関図、この資料の後ろのほうに添付しておりますけれども、そちらも参考にし、各小委員会での審議内容を考慮しつつ、4項目の解析等に必要な海域環境項目を中心に情報収集等を実施することとしております。

 また、本検討事項に関係する関係省庁・関係県の取組状況のヒアリング・関係データの提供につきましては、①の観点を補足できる取組に係る情報収集等を行うこととしております。

 続きまして、8ページを御覧ください。第2回の小委員会で発表された取組以外の関連の取組といたしまして、まず、水産庁の水産多面的機能発揮対策事業、こちらで漁業者等が行う藻場や干潟等の保全に対しての支援、また、国土交通省の河川における土砂動態調査、河川からの土砂流出状況の把握、ダム堆砂量調査等、また、同じく国土交通省の海洋環境整備事業といたしまして、海洋環境整備船で有明海・八代海等を巡回し、漂流ゴミの回収にあわせて、「水質・流況調査」、「底質・底生生物調査」等を実施しているというものがございます。

 4番の今後のスケジュールですが、下のほうに示しております作業方針、先ほど御説明したところですが、こちらの内容も踏まえまして、まず、小委員会における情報の収集・整理・分析については、まず、本日、第3回の小委員会、8月に開催しておりまして、小委員会における情報の収集・整理・分析の審議をいたしまして、その後、第4回、第5回、第6回と3回の小委員会でそれぞれ情報の収集・整理・分析状況の報告ということで今後進めていきたいというふうに考えております。

 続きまして、5番の委員会におけるこれまでの主な指摘・意見でございますが、情報収集等の進め方に関しまして、これまでの委員からの御指摘・御意見は、次のとおりでありまして、これらにも留意の上、情報収集等を行いたいと考えております。

 まず、5-1のデータの分析等に係る委員からの主な指摘事項でございますけれども、有明海・八代海等の再生方策の検討には、水温上昇や降雨量増加等も考慮すべきということで、第42回の評価委員会で大嶋委員からの御指摘でございます。

 また、続きまして、各漁場で実施されている水産資源の再生方策と海域環境との関係性についても検討すべきということで、第2回の小委員会で小松委員からの御指摘でございます。

 続きまして、9ページを御覧ください。まず、一番上の魚類資源の検討には、有明海・八代海の流況や生育場である湾奥部の干潟等の環境特性も解明すべきということで、第43回の評価委員会におきまして山口敦子委員からの御指摘でございます。

 続きまして、覆砂によるアサリ漁場の改善効果を確認するためには、有機物に関する指標だけでなく各種環境要因も併せて整理すべきということで、第43回評価委員会での小松委員からの御指摘でございます。

 続きまして、アサリの生息状況と実証試験場の環境特性との関係性の検討については、底質だけでなく、水質、特に溶存酸素との関係性も確認すべきということで、第2回の小委員会におきまして古川専門委員からの御指摘でございます。

 また、続きまして、5-2、評価委員会へのデータ提供等に係る委員からの主な指摘事項でございます。

 まず、アサリの浮遊幼生ネットワークに関する浮遊幼生調査及びシミュレーションについては、浮遊幼生の供給源・供給先の量等が把握できるように示してほしい。シミュレーションの前提となる、底質の状況や着底条件等について詳細を示してほしいと。こちらは第2回小委員会での古川専門委員からの御指摘でございます。

 また、ノリ色落ち対策として、アサリ、カキ等の二枚貝の増養殖と組み合わせたノリ養殖について、栄養塩類、珪藻、ノリ色落ち、二枚貝養殖の関連性の知見の詳細を示してほしいということで、第43回評価委員会における西村委員からの御指摘でございます。

 続きまして、国土交通省の土砂の流出状況の把握と適切な土砂管理について、取組内容を報告してほしいということで、第43回評価委員会での皆川委員からの御指摘がございましたので、これらも踏まえた上で、情報の収集等を行っていきたいと考えているところでございます。

 以下のページにつきましては、先ほど、資料の中にも記載しておりましたが、平成28年度委員会報告における連関図ということで、こちらのほうも参考につけているものでございます。

 まず、私のほうからの説明は以上でございます。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございました。

 ただいま事務局のほうから資料2に基づきまして、本小委員会における今後の情報の収集・整理・分析についてご説明いただきました。何か皆様のほうから御意見、御質問等があれば承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。

 古川委員。

○古川委員 御説明ありがとうございました。古川です。

 資料2の基本的な考え方について2点指摘をさせていただきたいということと、調査内容の詳細について参考までに意見を、これもまた2点ほど述べさせていただきたいと思います。

 1点目は、資料2の1ページ目、基本的な考え方ということで、①~③まで出されています。①のところで、これまでに収集されたデータも含めた詳細なデータ整理というふうに書かれていますけれども、詳細に見ていただくことと同時に、今までの小委員会でも御指摘させていただいたように、いろんな角度で、一体何が起こっているのかというのを調べることが大切でしょうから、例えば、「かつ、包括的な」とか、何か視点を広げるような言葉を追加していただいてはいかがかなと思います。

 2点目の基本的な考え方についての指摘は、2つ目の丸のところ、基本的に①、②によりデータを集めて、その後、新たな情報収集が必要になった場合には、補足すると書いているんですけれども、この計画が10年間これから続く取組の大きな指針になっているということを考え、また、最近の大型の研究プロジェクト、例えば、JSTの海洋のCRESTですとか、地球環境研究総合推進費のもの、また、農林水産関係であれば、農林水産技術会議のプロジェクト等々で新たな手法なり、解析方法なり、観測手法というのがどんどん出てきていることを考慮すると、問題が出たものに対して答えを探す以前に、研究者側が提供してくれている新たな手法が、こちらの有明・八代の問題に適用できないかというふうに積極的に集めていく必要があるのではなかろうかと思います。

 ですから、全部を、また、毎年毎年レビューをしながらというのは大変なことですけれども、少なくとも大型の研究プロジェクトの成果について、その概要と我々が検討しなきゃいけない課題についての適用性というのは、問題が起こったものに対しての調査ということではなくて、①、②と並行しての作業というのをされてはいかがかなというふうに思います。

 そういったものについての具体的なということの1点目のコメントです。5ページ目のところに、有用二枚貝の調査計画が詳細に書かれています。例えばですが、ここで広域的な母貝集団ネットワークの形成についてというところが書いてありますけれども、これも海域環境項目の変動状況との関連性についての分析を行うと書いております。この後、資料がついていて御説明があるのかもしれませんけれども、例えば、藻場・干潟の分布状況等々のような生息場の空間配置と環境の変動ということで総合的に見る必要があろうかというふうに思います。2点目のコメントは、その下の浮遊幼生期の貧酸素水塊の軽減対策についてです。そのとき、貧酸素水塊がどうでしたかということを見るだけでは、例えば、カキの養殖場の側でアマモを再生したらば、カキが元気になったので、高水温だとか貧酸素水塊の襲来に対して耐性を持ったというような、そういうようなお話もあるわけですから、貧酸素水塊の軽減対策の検討で、貧酸素水塊の状況だけを分析・評価するように書かれているというのは、もしかすると、重要なことを見落とすかもしれない。ですから、ここも貧酸素水塊のものだけではなくて、総合的な分析・評価を行うというような、総合的な視点というのを入れる、例えばですけれども、そういったことを考えてみられてはどうかなと思います。

 戻りますけれども、そういう視点で、個々のデータ整理・分析を進めていただくとすると、最初に申し上げた方針についての記述を充実させていただくのはいかがかなというふうに考えた次第です。

 すみません、以上です。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。

 幾つか御指摘いただきましたけれども、事務局のほうからお答えいただけますでしょうか。

○中野閉鎖性海域対策室長 意味合いから申しますと、今、古川委員から御指摘があった趣旨というのは非常に大事で、もともとこれは2つの小委員会に分かれておりますから、もう一つの小委員会と全く線で区切って違う分野をやっているわけではなく、どちらも同じものを見方を変えてやっていて、これは実は午前の小委員会でも同じような議論になりまして、そうしたコンセプトでやっていただくというようなイメージ合わせをさせていただいたところでして、多分、そうしたところの基本的な示唆的な部分を古川委員には御指摘いただいたのかなと思っております。

 実は御指摘いただいた内容は、我々も重々承知の上で書いたつもりではいるんですけれども、中身について御示唆いただいた部分、特に書き方について、そちらについては検討させていただきたいと思いますが、基本的に、例えば1ページのこれまで収集しデータも含めた詳細なデータ整理と、字面ではそう書いていますけれども、これはいわゆる28年度の報告書のときは、長期的な変動を捉えるようなデータをどちらかと言うと選択的に使ってまとめていったところで、その際に、削げ落ちていった、もっとほかのデータも当時あったはずで、それも含めながら、全体を見ていくという意味では、考え方としては、包括的にやろうとは思っておりますので、そうした表現がないとわからないかどうかも含めて、御示唆いただいたところは検討したいと思います。

 それから、例えば、さらに1ページ目の③番の新たな論文収集についてはというのが、まさにそれは作業について必要となった場合というところですけれども、それは問題があったというわけだけではなくて、今、御示唆いただいたとおり、この検討にある程度の影響度合いの大きな研究が取りまとまったというのは、それは1つ、必要な場合だと思っておりますので、それはこの中でおっしゃっている意味合いがうまく入っているのではないかなというふうに思っております。

 ですので、包括的というところをあえて詳細なデータ整理ですとか、ほかの全体の部分で新たに加えるべきかについては、スピリットはもう入っているつもりでいたものですから、検討させていただければと思います。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。

 古川委員、よろしいでしょうか。

○古川委員 文言についてはお任せいたします。

○滝川小委員会委員長 多分、古川委員がおっしゃっているのは、全体的にいろんな複雑な要因があるんだから、総合的な視点に立たないとだめでしょうと、御指摘だろうと。今、お答えのように、重々おわかりだと思いますので、それを文言に入れるかどうかも含めて、また、前向きに御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

 ほかに御質問は。

 小松先生。

○小松委員 小松です。

 資料2の1ページ目で、作業方針の抜粋とあるんですが、①、②、③、④とあって、ベントス、有用二枚貝、ノリ養殖、魚類等、全て生き物的なものですね。最後の2行に4項目全体にわたる海域環境に関連する事項ということで、水質汚濁と底質等、それから気候変動が挙げられているんですが、この小委員会は、海域環境再生方策検討作業小委員会なのに、物理的な面がほとんど表の形で出てきていない。例えば、流れとか、物質輸送とかですね。環境をつくるのはむしろ流れや物質輸送なので、それをもうちょっと表に出してほしいなと。

 3ページ目の作業方針の抜粋の、上のほうの海域小委のところで、海域環境、括弧で、とんとんと行って、潮汐・潮流等と、ここは入っているんですね。ところが、今度の新しいところは一切そういう物理的な流れ、流動、物質輸送みたいな項目が全く表に出てきていない。これはぜひ入れてほしいなというふうに思います。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。

 いかがでしょう。

○中野閉鎖性海域対策室長 それも検討させていただきたいと思います。当然のことだと思いますので、検討させていただきます。

○滝川小委員会委員長 その点に関しましては、今までもかなり長い間、議論されてきていることでございますので、ぜひ前向きに記述していたほうがいいのではないかと、私も思っているんですが、また、いろいろ諸事情がおありかもしれません。ぜひ前向きに御検討いただきたいなと思います。

 ありがとうございました。

 ほかにございませんでしょうか。

橋本委員。

○橋本委員 今の御質問に関連するんですが、例えば、4ページのところの①のデータ整理・分析のところの真下のところの部分で、例えば、河川からの流入流量は决定的に底質に影響を与えると思うんです。そういう河川からの流量に関する情報も必ず要因として必要だと思うんです。そこら辺のところの記述をぜひ入れていただきたいと思います。流量というのは年間の流量から日平均流量までいろいろありますので、どういう形で入れるかという問題はあると思うんですが、いずれにしても、流量の情報は必要だと思います。

○滝川小委員会委員長 今の御質問については。

○中野閉鎖性海域対策室長 御質問というか、恐らく、皆さん、御意見で、特に流量などについて、物理的指標全般的にそうですけれども、検討に当たっての期間をどう捉えるかといったこともありますので、その辺は慎重に考えつつ、ただ、必要なパラメータとしての御意見と承りましたので、それは受け止めて、記載も含めて、あるいは調査の中身も含めて考えたいと思います。

○滝川小委員会委員長 よろしく御検討ください。

 ほかに御意見はございませんでしょうか。

 松野先生。

○松野委員 たくさんのデータがいろいろな機関で取得されていますが、どういうデータが、どれぐらいの時間的・空間的解像度であるのかということのメタデータのデータセットみたいなのは、どこかにあるんでしょうか。つまり、先ほど、古川委員からの御意見にあったように、総合的に判断しようとしたときに、どういうデータをサーベイすればいいのかというのが、すぐわかるようなもの、どういう形にすればいいかというのは、具体的なイメージはないんですけど、物理要素だけでも複雑な条件がたくさんあって、どのポイントで、どれぐらいのレゾリューションで、どのぐらいの期間、データがあるのかということがわかれば、これとこれとを組み合わせて議論しようということができるかと思います。例えば、自分の知っているデータだけを使って分析しようとしたとき、実はすぐ隣にこういうデータがあるということがわかるようになっていれば、そのデータベースにアクセスして、それを使う、そうすればより多くの情報を使った解析ができると思います。非常にたくさんの機関が、それぞれの予算でデータをとられていて、一覧表としては、こういうふうな調査がされているというのは、今まで資料で出てきているんですけれども、もうちょっとデータの内容まで含まれたデータベースがつくられていると、検討しやすくなるのではないかと思うんですけれども、いかがでしょう。

○滝川小委員会委員長 事務局のほうからお答えはございますでしょうか。

○和田閉鎖性海域対策室主査 おそらく現在あるデータとしては、環境省の業務の中で測定しているデータ、今、ここにありますけれども、農林水産省であるとか、国土交通省の海洋環境整備船のデータであるとかというところにつきましては、たしか前回の評価委員会の中でも古米委員のほうから御指摘いただいているかと思いますので、まず、関係省庁の分については整理したいと思っているところでございまして、加えて、公共用水域水質調査であるとか、浅海定線調査などがあるかとは存じますけれども、やはり、さまざまな環境データのセットがあって、まとめ方がなかなか難しいという部分がありますので、その点、検討したいというふうに思っているところでございます。

 もしかしたら、樽谷委員のところで、西海区水産研究所のほうでもデータをまとめられているか、データ発信されているかという認識があったんですけれども、そういったデータはありましたでしょうか。

○樽谷委員 メタデータの整理という観点ですよね。具体的に一部の観測データについては収集等をしていますけれども、さまざまな機関でどういうデータをとっているといったようなメタ情報をきちんと整理したものは、まだ作成できていないという状況です。

○和田閉鎖性海域対策室主査 おそらく検討に当たっての基礎となると思いますので、どのようにまとめられるか、整理はしてみたいと思っております。

○滝川小委員会委員長 今の問題ですけれども、これもかなり以前からそういうデータ、連続したデータ、あるいはまとまった評価できるような項目、官同士のデータの整理をしなきゃと、いろんな省庁さんがそれぞれにデータを持っておられて、それを1つのメタデータとおっしゃいましたが、そういったものにしっかりまとめて整理すべきだという話は、こういう問題が起こって以来、ずっと続いてきているような気が私はして、そういった足並みがそろわないということはもちろんあるんですが、なぜそろわないかというと、多分、どういうふうにまとめていいかわからないと、要するに、ターゲットを何に絞るかということでもって、どういうデータが必要だということが、まず、交通整理されていない。ですから、今の松野先生の御意見は、そういったことも含めて、どういうデータをとれば、どういう評価ができるのか、そこを我々といいますか、小委員会の中でも議論しながら、絞り込んでいかないと、これは延々同じようなことにしかならない。ですから、そういったことに対しての皆様方のお考えとか、アドバイスとかというのを、私、小委員長としたら、そういう場をつくっていただくか、議論を交わさなきゃいけないなと。何と何と何を調べれば、今、おっしゃったように、物理環境と生物の関係がわかるよというところがわかっていないから、そうなっているのかなと。そういったことを含めて、はい。

○松野委員 いや、むしろ多分、そういうふうにやられてきたので、あるターゲットを絞ってデータを集めてやられてきたので、その目的に沿った議論はある程度はできるんですけど、これだけ集まってくると、先ほど言われたように、総合的に、総括的に何か判断しようとしたときに、今までと違う目的でとられたデータも、こんなデータがあるということがわかって、それが使えると思います。ですから、目的を絞った収集じゃなくて、客観的にこんなデータが、主観を入れずに集めることができるかどうかですが、これは結構難しい、実際どうやるかというのは難しいと思うんですけど、例えば水温、あるいは流速があるといっても、どんな流速が、どれぐらいの時間間隔、あるいは空間間隔、あるいはどのぐらいの期間あるかということによって、その使い方は違ってくるわけです。そういう情報ぐらいまでは入ったメタデータを、それのデータセットをつくるということを考えてもいいのではないかなという気がします。

○滝川小委員会委員長 よろしいでしょうか。

○中野閉鎖性海域対策室長 ちょっと全体的なお話になりますけど、今般、28年度の報告書をつくってから、向こう10年、令和8年度に、前回の報告書で再生目標と再生方策を12の区域に分けて整理いただいたわけでございまして、その再生方策、再生目標が達成できたかどうかを10年後の令和8年度に取りまとめる、評価をするという大きなスケジュールの中で、その間の5年間で中間取りまとめをさせていただく、令和3年度にというところなんですが、まさに令和8年度に再生の施策がちゃんと行っていたのか、目標に到達したのかというところの中間年度として、今回、中間取りまとめをするに当たっては、まさにその時点の進捗というのもありますが、この先、令和3年度から8年までの5年間でどういうデータが必要なのかですとか、どういう施策が足りないのかですとか、そうしたところも中間取りまとめの中で可能な限り議論できればと思っておりますので、場合によっては松野委員がおっしゃっていることが、こういうところが足りないとか、こういうデータをもっと広くとるようなというところは、向こう5年間にそれに向かっていけるような中間取りまとめの中の整理に、ひょっとしたら落ちるかもしれないです。この2年間でそのデータを集められるというよりは、場合によっては足りない部分がはっきりしているので、これをもう少し補完するような取組をすべきではないかといったところが、中間取りまとめの中に入ってもいいのかなというふうに思った次第でございます。

○滝川小委員会委員長 よろしいでしょうか。多分、この点に関しては、非常に大きな方向がかかってくると思いますので、引き続き御検討いただきながら、適宜、ある程度のレベルまで答えが出せるような再生に向けての方策が取りまとめに向かうように、また引き続き御意見いただければというふうに思います。多分、非常に難しいんですが、よろしく、次の課題としてお願いいたします。

 ほかに御意見はありませんでしょうか。よろしいですか。

 非常に海域再生の小委というのは、いろんな問題を含んでいて、いつも進行役をやりながら、これといった方向がなかなか見出せないというのがあります。そういった中で責任は非常に大きいと思っているんですが、そういった意味では、水産小委との関係をベースに、それの根拠を1つずつつけていくということもやっていかなきゃいけないかなというふうに思いますので、皆様方の今後のますますの御指導をいただきたいというふうに思います。

 ほかに御意見がないようでございますので、次に進めさせていただきたいと思います。

 本日いただきました御意見ということにつきましては、幾つかございましたが、事務局のほうでまた整理していただくということと同時に、必要であれば、委員の皆様方に御連絡して、御確認いただきたいというふうに思います。それを踏まえまして、最終的には小委員長のほうに御一任いただいて、本日の意見のまとめということにしたいと思いますので、それでよろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。それでは、そういうふうな方向で進めさせていただきたいと思います。

 それでは、本日の議題(2)でございます。関係省庁の調査等報告ということでございます。

 本日は環境省のほうから有明海北部海域における藻場・干潟分布状況調査の結果について、また、水産庁からは、二枚貝及びノリの生産状況等についてという2つの御報告をいただきます。

 質疑応答につきましては、2つの報告をお聞きになった後、まとめて時間をとりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず、初めに、環境省のほうからお願いいたします。

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 それでは資料3-1を御覧ください。有明海北部海域における藻場・干潟分布状況調査の結果についてでございます。

 まず、藻場・干潟につきましては、水質浄化でありますとか、生物多様性、生物生産性などの多様な機能を有しまして、良好な水環境を維持する上で重要な役割を果たしていると。そのようなことから、藻場・干潟の分布状況把握を進めつつ、藻場・干潟の保全・再生・創出を推進することが必要であるとされているところでございます。

 有明海・八代海等におきましては、有明海・八代海等総合調査委員会が平成29年3月に取りまとめた報告におきまして、藻場・干潟等の分布状況の把握及びその保全再生を進める必要があるとされたことを受けまして、平成30年9月に変更いたしました有明海・八代海の再生に関する基本方針におきましても、藻場・干潟の分布状況の把握が位置づけられたというところでございます。

 有明海・八代海等におけます藻場・干潟の分布状況につきましては、平成10年度以降把握されていないということで、約20年ぶりに環境省におきまして広範囲を効率よくかつ定量的に把握できる衛星画像の解析の手法を用いまして、藻場・干潟の有無を分析することによって、有明海北部海域における藻場・干潟の分布状況調査を実施したところでございます。

 この資料の表紙の次の1ページを御覧ください。

 まず、左側の図が、有明海・八代海等再生特別措置法に定められました海域でございまして、そのうち今回は有明海北部海域を調査しましたということで、実際の対象海域というのが右側に示してある図の対象海域として示している部分でございまして、長崎県雲仙市国見町の多比良港と熊本県玉名郡長洲町の長洲港を直線で結んだ部分と、陸岸によって囲まれた海面を対象としておりまして、昨年度、平成30年度に調査をいたしたところでございます。調査内容といたしましては、藻場・干潟の分布域及び面積ということでございます。

 続きまして、2ページを御覧ください。

 調査方法ですけれども、今回用いました方法が、まず広範囲を効率的かつ定量的に調査を行うことができる衛星画像による解析手法を用いて調査を実施しております。

 本調査では、画素(3m×3m)ごとに藻場・干潟の有無を分析するというもので、従来の手法であるヒアリングと比較しまして、より詳細に分布域を抽出することが可能となっております。

 こちらの右側に書いておりますヒアリング調査の特徴(既往調査)といたしまして、漁業関係者、学識経験者等にヒアリング等を行い、地図上に藻場・干潟の分布域を描画するというもので、ヒアリングによる分布域と書いておりますが、この緑色で示している部分が実際に把握された、このようなイメージになっております。

 今回の衛星画像のほうが、左側に示しておりますように、現地調査データも活用しながら画素(3m×3m)ごとに藻場・干潟の有無を分布ということで、詳細なデータが得られるということになっております。

 続きまして、3ページですが、今、衛星画像を用いるということで、さらに実際に現地調査も行っておりまして、また、今回、有明海北部海域につきましては、福岡、佐賀、長崎、熊本、4県が関係しているということで、それぞれの水産試験場から藻場・干潟に精通されている職員の方をワーキンググループの委員にも選出いたしまして、そちらの方々も一緒に議論しながら、いろいろと御意見を伺いながら取りまとめたもので、さらにそれぞれの漁連なり漁協のほうにも回りましてそれぞれヒアリング等をして、最終的に取りまとめた結果が、こちらのものになっております。

 実際の結果として、右側につけております衛星画像の茶色に表示している部分が干潟の部分でございまして、今回この調査の結果としまして、この海域においては藻場のほうは確認されなかったということで、後ほどまたお示ししますが、既往知見である20年前のときにも、ここの部分については、藻場は存在しなかったということで、干潟の実際の面積といたしましては、こちらにそれぞれ書いておりますように、佐賀県が8,261ha、長崎県が843ha、福岡県が2,829ha、熊本県が1,655ha、合計が13,112haということで、下に注意書きがありますが、この合計といたしまして、農林水産大臣管轄漁場というのがこの中には含まれておりまして、そこに存在する干潟の面積は475haでございますけれども、これはそれぞれ佐賀県と福岡県のほうに計上されているという関係で、合計の段階ではその面積を除しているということで、実際に左側に図を描いておりますが、三角で囲われている中の上のほうに薄い緑色といいますか、その部分が農林水産大臣管轄漁場というもので、その部分が両方に計上されている関係で、合計からは除しているということになっております。

 続きまして、4ページを御覧ください。

 ただいま御説明したものが、衛星画像を用いた手法による調査結果でございますけれども、また変化状況についても取りまとめるというようなことでございまして、その既往知見である直近の第5回自然環境保全基礎調査、この当時は最初に御説明したヒアリングによる分布状況調査ということでございましたので、同様の手法を用いまして対比するということで、今回の範囲につきましても同様にヒアリングによるものも別途行いまして、それぞれの対比をしたものでございます。

 左側の衛星画像のところに青く表示しているものが、今回干潟の増加した範囲ということで、合計といたしましては約6%の増加で、要因といたしましては、自然堆積等によるものとなっております。

 続きまして、5ページ以降は、今回の衛星画像による調査方法のものを参考に御説明いたします。

 まず6ページですけれども、調査方法の全体フローですが、まず、衛星画像のほうを取得ということで、干潟のほうの把握等もありますので、なるべく低潮時、なおかつ低雲量の衛星画像を取得とそこから放射量補正ということで、大気中や水中の光の散乱でありますとか減衰等の影響を取り除き、解析に適した画像に補正と、そこに現地調査を加えまして、海藻藻類の有無及び水深を確認と、それらをあわせまして、画像解析として、現地調査データと衛星画像の情報を比較して、藻場・干潟分布域を抽出というのが、大きな流れとなっております。

 続きまして、7ページですが、衛星画像の取得といたしまして、まず取得衛星画像はPlanetというもので解像度が3m×3mと。実際に、先ほど御説明しましたように、低潮位で雲の少ない画像を選んでおりまして、今回取得したものがこちらに表示しているようなものでございます。

 続きまして、8ページの放射量補正ということで、それぞれ、どうしても、水や大気の影響というものが衛星画像に含まれていると。これらの影響を取り除くような補正というものを実施して、それぞれ藻場でありますとか干潟を把握しているということでございます。

 続きまして9ページですが、現地調査のほうも実施しておりまして、まず今回の有明海北部海域につきましては、8地域に区分して、それぞれ現地調査を実施しております。

 続きまして10ページですが、その調査に当たりまして、また2つの調査、手法を用いておりまして、まず、画像解析に必要な基礎情報を得るために、海藻草類の有無及び水深を現地で確認しております。実施時期といたしまして、昨年7月13日~8月26日のうち延べ17日間。地形や藻場の分布状況に応じて、ライン調査とスポット調査というものを併用しております。

 まず、ライン調査といたしましては、61の測線、総延長として285kmで実施しておりまして、低速で進みながらデータを取得ということで、サイドスキャンソナーであります音響測深器を用いまして、実施しております。

 また、スポット調査を169地点で実施ということで、実際これは停止した状態で、ケーブル水中ビデオカメラ等でデータを取得しておるというところでございます。

 調査手法の画像解析(干潟)でございますけれども、現地調査データと衛星画像情報を比較して画像解析を行い、干潟に該当する輝度、明るさですけども、画素を干潟として分類する方法を用いております。

 干潟の抽出条件といたしましては、高潮線(満潮時の海岸線)と低潮線(干潮時の海岸線)に囲まれた干出域が1ha以上で、移動しやすい底質(砂、礫、砂泥、泥)である地形。ただし、河口干潟については、河口から第1橋までを対象としております。

 干潟に係る画像解析といたしまして、高潮線のところにつきましては、近赤外バンドという衛星画像解析で、こちらのバンドにつきましては水分の有無がわかるというもので、一番潮が満ちているところの場所を判別するに当たっては近赤外バンドというものから分類をしております。また、低潮線につきましては、水深と輝度(光の明るさ)の関係から、低潮線の輝度を算定して、その間を干潟として分類しているということでございます。

 12ページが、さらに、それぞれ衛星画像で汀線というものを抽出して水深を、あと実際の現地調査による水深をプロットいたしまして、年の最低低潮線の位置を求めて、高潮線と、その間のところを干潟として把握をしているというところでございます。

 13ページが、藻場の部分の画像解析ということで、今回特にこの有明海北部海域のほうにつきましては、藻場の分布が確認されていないということで、参考で記載しておりますけれども、こちらについては説明を省略させていただきます。

 最後に、参考として衛星画像解析の精度でございますけれども、本調査における衛星画像解析精度を検証するために、現地調査結果との比較によって精度を検証しております。

 それぞれ、衛星画像解析の結果による干潟と干潟以外、また現地調査結果による干潟と干潟以外のものをもとに、解析結果の精度を求めましたところ、97.9%と良好な結果となっております。

 平成30年度には、有明海北部海域のほうの藻場・干潟の分布状況調査を実施したところでございますけれども、今年度、有明海の南部と八代海を現在調査しているところでございます。こちらの結果についても、まとまりましたら、また来年の小委員会になると思いますが、御報告をさせていただきたいと考えております。

 私のほうからは以上です。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございました。質問のほうはまた後でお伺いしたいと思います。

 それでは続きまして、水産庁の山本補佐よりお願いいたします。

○山本漁場資源課課長補佐(水産庁) 資料3-2を用いまして、私のほうからアサリ、タイラギなどの二枚貝の漁獲状況、資源回復の取組、またノリの生産状況等につきまして、御説明をさせていただきます。

 資料3-2、最初は縦の資料で、アサリが終わりますと横の資料になっております。

 2ページ目、有明海・八代海のアサリの状況でございます。

 中央に資源の状況という表を載せさせていただいておりますが、まず、有明海のアサリにつきましては、主に福岡県と熊本県で漁獲され、長崎県では地まき養殖が主体となっております。

 アサリの天然稚貝は、春生まれと秋生まれの2つがございまして、その発生状況につきましては、有明海では平成30年の春生まれ群は、福岡県から熊本県、有明海というところを見ていただきたいんですが、少なめからやや良好で、秋生まれ群は、佐賀県及び長崎県でやや良好から良好となっております。

 熊本県の八代海、一番下のカラムでございますが、28年秋生まれ群、29年春生まれ群は良好でしたが、29年秋生まれ群は少なめであり、30年についてはただいま分析中となっております。

 その下が、アサリの漁獲の状況でございます。こちらも主たる漁獲している県として福岡県、熊本県について確認してみますと、福岡県につきましては、28年に511トン、29年に約1,500トンということで、30年はまだ未確定ではございますが、比較的高い水準になるというふうに、聞いております。また、熊本県(有明海)につきましては、29年は640トンということで、回復傾向にあり、八代海においても、29年15トン、30年56トンということで、増加傾向にあります。

 続いてのページが、ただいま申し上げた内容につきましてグラフで図示させていただいたものでございます。真ん中に主要のアサリ漁場の図がございますが、有明海や八代海の東部が主要なアサリの漁場となっておりまして、福岡県や熊本県での漁獲が多いという状況になっております。

 続いてのページが、アサリの着底箇所及び資源保護対策ということで、一番下に事業名について書かせていただいておりますが、各漁協、各地域で袋網による天然採苗、被覆網による保護などさまざまな取組につきましては、事業等を活用しながら水資源保護対策等の取組を行っているところでございます。

 続いてのページは、タイラギ再生に向けての取組ということで、ここからは、横長の資料となります。

 タイラギの潜水器漁につきましては、7期連続で休漁となっており、天然の成貝がほとんど見られない現状となっております。このように、タイラギ資源が非常に少ないことから、浮遊幼生量も少なく、資源の回復に向けては、母貝の安定生産、母貝団地造成により、浮遊幼生量を増大させて、再生産サイクルを回復させていくことが重要と考えております。

 そこで、水産研究教育機構及び長崎県では、人工種苗生産の技術開発に平成18年から取り組み、表の右側に種苗生産装置としてシャワー式飼育ということで写真を載せておりますが、この種苗生産装置の工夫を重ね、近年では10万個オーダーでの量産に成功しております。

 昨年度からは、福岡県と佐賀県も種苗生産に取り組んでおりますが、生産の安定が課題となっておりまして、今年度も安定生産に向けて努力をしているところでございます。

 続きまして6ページ目、母貝団地の造成になります。

 先ほども申し上げたとおり、タイラギ資源の回復に向けては、まず浮遊幼生の増大が重要となっております。そこで、昨年度より、4県が協調してタイラギの母貝団地の造成に取り組んでおり、各県で海域の状況に応じて、下の写真で母貝団地造成方式の例ということで載せておりますが、海中育成ネット式や直植え式、垂下式等の方法によって、母貝団地を造成しております。

 今年7月現在の母貝団地の造成につきましては、真ん中の表にまとめておりますが、平成29年度に生産した母貝は、4県合わせて、この生残数という数字を4県分を足し上げますと、650個が生残しております。また、平成30年度のものにつきましては、同様に生残数を足し上げますと、1万個が生残しております。このほか、この資料の上から2番の丸に書かせていただいておりますが、平成30年度に佐賀県沖合において大量発生した天然稚貝を、冬と4月を合計しまして約6万個を母貝団地に移植しております。

 このように、引き続きタイラギ資源の回復に向けて、4県と国が協調した取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

 続きましてのページは、アゲマキの種苗放流・漁獲の現況になります。

 アゲマキは、中央左側のグラフのとおり、平成の初期におきまして漁獲量が急激に減少したことから、佐賀県では、平成8年度から種苗生産の技術開発に着手し、27年度からは年間100万個規模の稚貝の放流に取り組んでまいりました。その結果、右のグラフでお示ししているとおり、天然の稚貝が増え始め、昨年は生息状況調査で、高い密度のアゲマキが確認されたことから、22年ぶりとなるアゲマキ漁が佐賀県の鹿島市で一部再開されたところでございますが、その後の少雨による高塩分化が原因と見られるアゲマキのへい死が見られたことから、今年については、残念ながらアゲマキ漁は見送りとなりました。

 こういった状況を受けまして、佐賀県においては、今回のへい死を受けて、資源回復のため、高密度生息域から間引き移植を実施予定としております。

 また、福岡県でも、昨年度からアゲマキの母貝団地の造成に着手したところでございまして、今後、複数県での取組により一層の資源回復を進めてまいりたいというふうに考えております。

 最後のページが、有明海におけるノリの生産量・金額の推移となっております。

 平成30年度のノリの生産は、高水温の影響がございまして、漁獲量、生産額とともに前年よりも減少しましたが、単価が比較的高かったことから、生産金額としては500億円弱にとどまる形で、漁期を終了しております。

 以上で水産庁からの説明を終わらせていただきます。ありがとうございます。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございました。

 ただいま、環境省、水産庁のほうから御説明いただきましたけれども、何か御質問等があればお伺いしたいと思います。いかがでございましょうか。

 古川委員。

○古川委員 詳細なデータの開示と御説明、ありがとうございました。

 最初に、資料3-1のほうで御説明いただいた藻場・干潟面積のことについてお伺いしたいんですけれども、1つは、事実確認です。3ページ目のところの右側に、干潟分布図として出されているこの茶色で塗られているところが今回の成果物、最終成果物ということでよろしいんでしょうか。そうだとすると、4ページ目のところで、その差分、前回の第5回自然環境保全基礎調査との差分の絵を見ているときに、筑後川とその支線であります早津江川の河口というか、地先のところの干潟が減っているように見えるんですけれども、それは赤く表示されていなくて、その減少群として出ていないというのはどういうことなのか、何かまた別の判断があるのかどうか確認をさせていただきたいと思います。

 もう一点は、指摘ですけれども、先ほど1つ前の議論のところで、こういったデータを包括的にという話が出ていました。ご存じのとおり、海洋基本計画が2018年に改訂になって、その中で海洋状況のしっかりとした共有をしていくというような取組が、政府のほうでは進められている。沿岸域のこういった地形情報についても、海上保安庁さんのほうでされている「海しる」という新しいデータプラットフォームも出ていて、そのデータを見ますと、この第5回の自然環境保全基礎調査のデータが載っていると。こういうところに、きっとこういう結果も随時アップデートして共有されていくようになると、こちらの有明海・八代海のほうでの情報共有とともに、ほかのデータベースにちゃんとこういう新しい大切なデータが出てきたときに、共有を進めていただくというのも、とても大切なことではないかと思うので、指摘を1点させていただきたいと思います。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。

 事務局のほうからお願いします。

○和田閉鎖性海域対策室主査 まず、3ページの結果につきましては、今回初めて実施した衛星画像での結果となりまして、衛星画像の調査につきましては、先ほど説明いたしましたとおり、最低水面から高潮面までの範囲を科学的に分析した結果になります。一方で、4ページというのが、前回ですと平成9年度に取りまとめられたこの結果については、ヒアリングで当時漁業関係の方とか地元の方に聞いた結果になりまして、ここの面積の差というのが解析手法の差によって出てくる部分でございます。当初、衛星画像だけを解析するところだったんですけれども、増減要因等を把握することという御意見をいただきましたので、ヒアリングで追加的に前回との差というのを今回比較したというのが経過でございますので、手法差によって、干潟であるかどうかというのが、やはり、ヒアリングだとここは干潟だろうなという形で書かれるんですけれども、衛星画像で科学的にやると、そこは干潟として認識されなかったというところで、整理がなされているところでございます。

 もう一点の御指摘のところなんですけれども、今回、こういう成果物につきましては、GISで使えるファイルで成果品としては持っておりますので、関係機関とまた調整しながら、なるべく積極的に公表できるように検討したいというふうに思っているところでございます。

 以上でございます。

○滝川小委員会委員長 よろしいでしょうか。

○古川委員 すみません。結果として、3ページでは減っているように見えているけれども、環境省さんとしてはここの干潟は減っていないと、変化していないというご見解ということでよろしいんですか。

○中野閉鎖性海域対策室長 3ページは、増減を比較している成果物ではないので、4ページで第5回の既往知見のアンケート調査と、今回新たに3ページの成果とは全然別で、ヒアリング調査をして出した干潟の大きさを単純比較したときの増減を4ページは見ているので、多分増減は単純に前回も今回もアンケート調査をして、増えたとか減ったところを整理していますが、3ページの成果のほうは単純にこれだけが成果で、増減を比較分析しているわけではない形になります。

 それで、それぞれ結局衛星画像で分析するものと、アンケートで分析するものですが、これはちょっと語弊があるかもしれませんが、これまでアンケートで行ってきたのは、どちらかというと、海に毎日携わっているプロの方が若干主観的な価値も伴って整理されてきたデータになるわけで、それはやり方の物差しを合わせて4ページで比較させていただきましたが、今回の衛星画像の評価については、どちらかというと客観的に近いようなデータ整理をしてみたところの分析になりまして、今後、同じような分析方法をとれば、この3ページの図がどう変わっていったかというのを、ある程度客観的な立ち位置で評価できるのかと思っています。

 ですので、3ページの干潟の結果が、以前と比べてどうだったかというと、厳密にはお話はできないんですけれども、少なくても主観的な部分が入る調査で比較をしてみると、若干増加をしたと。その増加の部分が、4ページの青い色を塗っている部分というような形になるということでございます。

○滝川小委員会委員長 よろしいですか。

○古川委員 わかりました。現場ではよくあることで、地元の方がここは干潟だよ、これぐらい高いよと言ったのが、実際にはかってみるとちょっと違うというようなことが、客観的にこういうふうにデータで示されている。ですから、この後、どちらのデータを信用してモニタリングしていくのか、今までの成果をどのように使っていくのかということでは、非常に示唆的な3ページと4ページの図ではないかと思いました。

 御説明はよくわかりました。ありがとうございました。

○滝川小委員会委員長 ほかに。

 小松先生。

○小松委員 環境省のほうの分です。衛星画像で干潟、干潟というのは非常に大事なんですが、干潟の変化が割と客観的なデータとしてわかるというのは、すごくいいなと思うんですね。6%も増加していたというのも、ちょっと意外だなという気がします。

 それで、ついでにと言ったらあれなんですが、この増えているところと川との位置関係とか、それからあと増えているところの底質がほかの既存の干潟の底質と差があるのかどうか。だから、その辺までちょっと調べていただけると、いろんな知見が得られるというふうに思います。新しく干潟化したところというのは、やっぱり新しい底質がたまってできたんだろうと思うので、差があるのかどうか、ほかとですね。そういう調査もしていただけると、ありがたいというふうに思います。

 それから、あともう一つ、調査範囲を川の第1橋までというお話だったんですが、この第1橋というのは、何か意味があるんですか。

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 平成27年度から29年度にかけまして、3カ年で、同じく衛星画像を用いて瀬戸内海のほうで干潟等の分布状況調査をやったのですが、そのときその手法を用いておりまして、それと同様というところでございます。

○小松委員 今のは第1橋のお話ですか。

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 そうです。第1橋の話です。

○滝川小委員会委員長 最初のほうの御質問については、いかがでしょう。

○中野閉鎖性海域対策室長 実は、午前中にもう一つの小委員会もございましたが、こうした藻場・干潟の分布、面積だけの調査ではなくて、もう少し現場のクオリティといいますか、底質がどういうもので構成されているのかといったところも分析できるとよいというような御示唆も賜りまして、今ちょっと、この時点でこの調査の中でそこまで盛り込めなかったですし、すぐにできるかどうかというところもあるんですが、今後、これがより我々がこの有明海・八代海全体で求めるべきは、生物多様性ですとか、あるいは水産資源がどれぐらい変化していたときの、そのときの生育の場というのがどういう状況だったのかという紐づけをすることで、その状況の再現性ですとか、そうしたものを高めていく中では、今小松先生からおっしゃっていただいたようなデータも、いずれも必要になってくるものではないかと思っておりますので、そのできる、できないというところの可能性はありますが、そうした御指摘も踏まえた今後の調査の設計は考えてみたいと思います。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

 藻場・干潟調査の最終的な目的といいますか、そういったところを見据えながらというお話だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ほかに御質問はございませんでしょうか。

 古米先生。

○古米委員 環境省からの藻場・干潟の話についての質問です。7ページ目に、衛星画像の取得ということで、右側に①、②、③とあります。8月7日と8日と9月5日での画像の輝度が違うので別の日の情報を重ね合わせていることをしめしたいのかなと見ていたら、左側には1月27日で全体が表示されています。この衛星画像のスライドは何の説明のためにあるんですか。一遍に全体画像が取得できるんだったら一度に取得すればいいのに、わざわざ右側に①、②、③と重ね合わせた画像があるのは、どういうことなのかと。衛星画像の取得について基本的な理解ができていないので、ちゃんとやられていることはわかるんですけれども、どうなっているのかがわからないままです。もう一点は、最後のスライドで、97%ぐらいの精度で正しかったですよという結果が出ています。衛星画像で解析した結果は非常によくわかって、3m×3mグリッドで輝度から干潟面積を出しましたと。現地調査というのは、その前のスライドのところで、10ページに書いてある船に乗って海中を見ているので、これは藻場の調査をしているように思うんですよね。干潟の現場調査はどうやって実施していて、干潟全体で40万点あるんだけど、無作為に7,000弱の点を抽出して、それらが干潟に対応するかどうかを確認されたわけですよね。解析結果は出ているんだけれども、どう精度の検証を実施しているのかがよくわかりません。精度が97とか98%とか言われても、どのように精度が高かったのかというのが、現場調査の結果との関連づけでは理解できません。それが2つ目の質問です。

○和田閉鎖性海域対策室主査 まず、1つ目の御質問にお答えしたいと思うんですけれども、有明海北部海域については、皆様ご存じのとおり濁りがすごく強いということで、瀬戸内海であれば衛星画像を1枚撮って、その輝度から分析するということをしたんですけれども、なかなか濁りが強いということなので、この衛星画像の結果と現地調査の結果で水深ゼロメートルというのを判別したというところもございますけれども、さらにその精度を上げようという形で、衛星画像を2枚撮って、2つの潮位と現地調査の結果からも、外挿と内挿を組み合わせた形でゼロメートルのところを判別したという形でありまして、1枚でいいんですけれども精度を高めるために、まず2枚を使ったということになります。

 加えて、なぜこんなに3つのものが組み合わさっているんだという話なんですけれども、本当は2枚、同じように1枚のものを撮りたかったんですけれど、雲がかかっていた関係でうまく撮れなかったという結果がございまして、でも精度を高めるために2つの潮位線が欲しいという形で、何とか近いところで組み合わせて、より低い潮位のものを使ったというのが、1つ目の質問の経緯でございます。

 2つ目については、詳細はまた後日、何かしらでお答えしたいというふうには思ってはいるんですけれども、ライン調査であれスポット調査であれ、GPSで地点の位置をとりながら進めておりまして、サイドスキャンソナーでありましたら、音響でその下の状態というのもわかるということでございまして、そういったものの結果を、ライン調査をしながらと、スポット調査をしながら、点のデータをとりながらしていたと思うんですが、少し技術的なところがありますので、また後日、何かしらの形で御回答させていただけたらと思っております。

○古米委員 私が今理解したのは、スライドの10番に書いてある現場調査というのは、干潟が出ていないある程度潮位が高いときに船を出して、干潟がありそうなところも一緒に航行して、ソナーにより干潟だなという確認をしたデータを取得した。また、同時に藻場があるかどうかも調査したということですね。

○和田閉鎖性海域対策室主査 そうです。

○古米委員 わかりました。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございました。

ほかにご質問はないでしょうか。

 1点だけ確認ですが、3ページに、有明海側のところの藻場は分類できませんでしたと書いてあるのは、分類できなかったのか、藻場が本当になかったのか、どちらなんでしょうか。

○和田閉鎖性海域対策室主査 まず、前提となる第5回の自然環境保全基礎調査でも観測はされていませんで、今回の結果でも、衛星画像の結果もなく、現地の水産試験場の方にお話を聞いてもないという形で確認できなかったということです。

○滝川小委員会委員長 なかったけど分析したということですか。藻場の絵までたくさん描いて、藻場の測定方法までたくさん書いてあるから、それは実際にやってみて確認できなかったのか、本当にないのをわかってやったのかなと思って。

○和田閉鎖性海域対策室主査 当然ながら、現地調査でも確認できませんでした。衛星画像との組み合わせの現地結果で合わせる教師データというのも得られなかったのもありますし、もちろん衛星画像からも見られなかったというのが、経過でございます。

○滝川小委員会委員長 今からほかの海域もなさるでしょうから、そちらのほうで再確認というのですか、精度等を含めて御報告いただけるものと期待しております。よろしくお願いします。ありがとうございました。

 ほかに御質問はございませんでしょうか。

 はい、どうぞ。

○東委員 水産庁のほうの話です。2ページ目ですか、そこに、一番下のほうの表で、アサリの漁獲の平成26年から30年の推移があるんですが、福岡県の極端な変動について、原因を少し教えていただければと。これは、29年が高いのか、26、27が極端に低い特別原因があるんでしょうか。

○山本漁場資源課課長補佐(水産庁) 具体的な要因ということですけれども、かつては福岡では、昔のデータを見ますと、現在と比較はならないぐらいの漁獲量を有していまして、稚貝や浮遊幼生が生き残らないといったような、さまざまな要因がございまして、漁獲量や資源量が減少していたところでございますが、福岡県では、春生まれが、稚貝の発生状況が、大量であったり良好ということで、少しずつ資源回復の兆しが見えてきておりまして、平成28年、29年ぐらいから大きく漁獲量が伸びているといった状況になっております。

○東委員 26年、27年が低迷した理由というのが、何か、明らかになっている、もしくはこれは不明のままなんですか。

○山本漁場資源課課長補佐(水産庁) ほかの、低迷した理由、全県的というよりは……。

○東委員 明らかにここだけ。

○山本漁場資源課課長補佐(水産庁) ここだけ、低いんですけども、これよりも前の年の段階でもかなり低い状況でございまして……。

○滝川小委員会委員長 今、即答をなさるのが難しいようであれば、また急な御指摘かとも思いますので。

○山本漁場資源課課長補佐(水産庁) そうですね。ここの原因を即答させていただくのは、なかなか難しい状況でございます。

○滝川小委員会委員長 少し御検討いただいて御回答いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○山本漁場資源課課長補佐(水産庁) はい、わかりました。

○滝川小委員会委員長 それでは、時間がまいりましたけど、ほかには。

 はい、どうぞ。

○古米委員 今のアサリの漁獲の状況についてのコメントです。各県で漁獲量をまとめられておられますけれども、その次のスライドでは、各漁協でアサリを捕られている範囲が示されています。漁協レベルでそれぞれ漁獲量があるとすると、県単位の合計量ではなくて、どの地域でどう捕られてきたというのを経年的に見ると、干潟なりそういった漁場の状況が、その生物量との関係で整理できるのではないかと思います。

 平成28年度の報告書には、ずっと昔からのデータが整理されています。今日は比較的新しい5年分を見せていただきましたけれども、過去に遡って長期的にもう一度漁協レベルで整理をいただくと、漁場ごとで漁獲量がどう変化してきたかということがわかり、今後の現場を評価する上で非常に貴重な情報が得られるかもしれません。もし可能であれば、そんなデータ再整理も御検討いただくといいかと思います。

○山本漁場資源課課長補佐(水産庁) わかりました。ありがとうございます。

○滝川小委員会委員長 よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

 それでは、以上で議題(2)のほうの関係省庁の調査等報告を終了させていただきたいと思います。環境省さんと水産庁さん、どうもありがとうございました。

 それでは、最後の議題ですが、その他でございます。

 事務局のほうから何かございますでしょうか。

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 特にございません。

○滝川小委員会委員長 それでは、本日の委員会全体を通しまして、各委員のほうから何かご発言はございますでしょうか。よろしゅうございますか。

 特に御発言はないようでございます。

 それでは、本日予定されておりました議事につきましては、全て終了いたしました。議事進行への御協力、ありがとうございました。お礼申し上げます。

進行につきましては、事務局のほうにお返しいたします。

○権藤閉鎖性海域対策室室長補佐 滝川委員長、ありがとうございました。

 事務局から2点連絡がございます。

本日の議事録ですが、後日、事務局より確認依頼を行いますので、よろしくお願いいたします。内容確認後、議事録は環境省ホームページで公開させていただきます。

 次回の小委員会ですが、令和元年11月ごろの開催を予定しています。小委員会の開催日につきましては、委員の皆様の御都合を伺い、滝川委員長とも相談の上、日程調整をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、以上をもちまして、第3回海域環境再生方策検討作業小委員会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午後3時17分閉会