第17回有明海・八代海等総合調査評価委員会水産資源再生方策検討作業小委員会 議事録

開催日

令和7年8月7日(木)

場所

WEB会議システムにより開催(ライブ配信)

出席者

小委員会委員長:持田和彦委員長

委員 :  内藤佳奈子委員、島則久委員、上哲委員、矢野真一郎委員、西博幸委員
専門委員:青木美鈴委員、岸田光代委員、井直幹委員、外城和幸委員、松山幸彦委員、川晃委員、口敦子委員、山口啓子委員、山下武志委員、山本智子委員

(オブザーバー)
大嶋雄治委員、清本容子委員、美鶴委員、速水祐一委員、永育生委員

(関係省庁)
農林水産省 農村振興局 整備部 農地資源課  空調査官、松本事業推進企画官、青木課長補佐、藤吉係長
林野庁 森林整備部 治山課  市川監査官、藤田課長補佐、矢野係長
林野庁 森林整備部 計画課  横山森林計画官
水産庁 増殖推進部 漁場資源課  津山課長補佐、石橋係長、熊本係長、三嶋係長
水産庁 増殖推進部 研究指導課  小田課長補佐、梶原係員
水産庁 増殖推進部 栽培養殖課  清水課長補佐、監物係長、宇都宮係員
水産庁 漁港漁場整備部 計画・海業政策課  三島計画官、藤濱係長
水産庁 漁港漁場整備部 事業課  岩谷専門官、西村係員
国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課  前田企画専門官、木村係長
国土交通省 港湾局 海洋・環境課   佐藤係長
国土交通省 大臣官房参事官(上下水道技術)付  對馬企画専門官
九州地方整備局 河川部  小野建設専門官、德嶋係長

(事務局)
環境省水・大気環境局海洋環境課海域環境管理室長、海洋環境課海域環境管理室海域環境対策推進官、海洋環境課海域環境管理室室長補佐、海洋環境課海域環境管理室主査

議事録

午後1時31分 開会

○清水海域環境対策推進官 環境省の清水でございます。
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから有明海・八代海等総合調査評価委員会、第17回水産資源再生方策検討作業小委員会を開会いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日の小委員会はウェブ会議での開催とさせていただいております。委員の皆様にはご不便をおかけしますが、会議中、音声が聞き取りにくい等、不具合がございましたら事務局までお電話またはウェブ会議システムのチャット機能にてお知らせください。
 なお、ウェブ会議で御発言の際は挙手アイコンをクリックし、委員長からの御指名後、御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は再度、挙手アイコンをクリックして解除してください。
 本委員会は公開の会議となっており、環境省海洋環境課公式動画チャンネルにてライブ配信を行っております。
 委員の出席状況ですが、本日は委員16名中、16名が御出席の予定と伺ってございます。岸田委員におかれては、現在、遅れておりますが御出席されるということで伺っております。有明海・八代海等総合調査評価委員会令第6条に基づく会議の定足数を満たしていることをここに御報告いたします。
 まず初めに、委員の改選についてお知らせいたします。令和7年6月付で一部委員の改選がございました。資料の1をご覧ください。ウェブ上でも共有をさせていただきます。こちらは水産小委員会の委員名簿となります。改選の結果、渕上委員、持田委員、藤井専門委員、森川専門委員、山下専門委員が新たに水産小委員会へ加わっていただくことになりました。また、退任されました鈴木元小委員長に代わり、評価委員長より持田委員が水産小委員長に指名されております。
 また、本日は、オブザーバーとして評価委員会から大嶋委員、清本委員、林委員、海域小委員会から速水委員、吉永委員に御参加いただいております。オブザーバー参加の委員におかれましては、御質問や御意見がある場合には、発言を求められてから挙手をお願いいたします。
 なお、本日は、関係機関として農林水産省農村振興局、水産庁、国土交通省の水管理・国土保全局、港湾局、大臣官房、九州地方整備局から各担当に御参加いただいております。
 次に、事務局を紹介させていただきます。今回、3名が新たに着任しております。海洋環境対策室長の西川です。
○西川室長 西川でございます。本年4月から着任をいたしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○清水海域環境対策推進官 私が海洋環境対策推進官の清水でございます。7月から着任をしております。よろしくお願いいたします。
 また、室長補佐の中村でございます。
○中村室長補佐 中村です。4月に着任いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
○清水海域環境対策推進官 主査の小原です。
○小原主査 小原です。昨年度に引き続き、よろしくお願いいたします。
○清水海域環境対策推進官 続きまして、資料については事前に電子データ等でご案内しておりますが、議事次第に記載の一覧のとおりでございます。資料に不備がございましたら、事務局までお知らせください。
 それでは、議題に入ります。以後の進行につきましては、持田小委員長にお願いしたいと思います。それでは、持田小委員長、よろしくお願いいたします。
○持田委員長 了解いたしました。本日の進行を担当させていただきます水産研究・教育機構の持田でございます。4月から、この小委員長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。限られた時間の中で円滑な議事の進行に、御協力をよろしくお願いいたします。
 早速ですが、議事を始めさせていただきます。
 本日の議題は、令和8年度委員会報告に向けた情報収集、昨年度からの追加報告事項となります。
 それでは、議題の(1)について、後ほど、まとめて御意見を伺いたいと思いますので、資料の2から資料の4までを続けてご発表ください。
 まずは資料2、有明海沿岸4県と国が協調した有明海再生の取組について、農林水産省より説明をいただきます。農水省の青木補佐、よろしくお願いいたします。
○青木課長補佐 農林水産省農村振興局の資源課の青木でございます。
 資料の2について、説明をさせていただきます。
 資料の2ですが、有明海沿岸4県と国が協調した有明海再生の取組について、御説明いたします。重要魚種でございますアサリとタイラギに関する取組を中心に、御説明します。また、今年度から、従来の対策に加えまして有明海再生加速化対策交付金が新設されております。本日は、この交付金の概要など目指すべき姿、成果指標についても御報告いたします。
 まず、昨年度時点の令和6年度の取組報告について御説明いたします。先ほど申し上げました加速化対策交付金については今年度からですので、従来の再生対策における実施内容を御説明いたします。
 こちらがアサリの取組についてです。これまでの浮遊幼生など稚貝の調査に基づきまして解明した浮遊幼生供給ネットワークを踏まえ、母貝団地の造成に加えまして、ほかの母貝団地に大量に浮遊幼生を供給している箇所を重要母貝団地に設定する等の取組を推進してまいりました。また、網袋等を使用した採苗や被覆網による食害防止対策等の資源回復に向けた手法は、これまでに概ね確立しており、令和6年度からは母貝団地の母貝量や有明海全体の推定資源量を把握しつつ、地域の特性を踏まえて近年の気候変動に伴うリスク、大規模出水など高水温等に対応した取組を推進しております。
 令和6年度からの取組紹介です。まず、左上の取組目標でございます。令和5年度までは目標として網袋の設置数等の取組数量を設定しておりましたが、令和6年度からは母貝団地の母貝量を目標として設定しており、令和8年度までに400トン程度を確保することとしております。また、4県における推定資源量を把握することとしております。
 アサリの母貝団地の取組状況と有明海全体の推定資源量について、御説明します。母貝団地におきましては、令和6年度秋の時点で264トンの母貝を確保しております。有明海全体のアサリの資源量は、約2,200トンと推定をしております。
 アサリの浮遊幼生についての資料でございます。春と秋の産卵期に分けて調査を行っており、こちらのページは春の調査の幼生数でございます。右側にグラフが出ております。
 次の6ページ、お願いします。こちらが秋の調査結果となっております。こちらも右側のグラフが幼生数の推移となっており、令和6年の秋は約3万1,000個体を確認しております。
 7ページ以降がタイラギに関する取組の御説明です。タイラギにつきましては、浮遊幼生、成貝の生息調査、種苗生産や母貝団地の造成等を実施しております。
 タイラギに関する取組でございますが、種苗生産、中間育成技術の開発に加え母貝団地の造成を行っております。右側の図が母貝団地造成のエリアを示しておりますが、母貝団地造成に当たっては移植後に生残数のモニタリングを行っており、著しく生残状況が悪い母貝団地につきましては移植を見直すこととしております。
 令和6年度からの取組紹介です。取組目標としまして、左上にありますが、令和8年度までに母貝4万個体、また着底稚貝を年間27万個体、移植用稚貝を年間3万個体、それぞれ確保することとしております。
 母貝量につきましては、令和5年度までは2万個体を目標としておりました。これは、比較的浮遊幼生量が多く、翌年の漁獲量の増加につながったと考えられる平成20年の浮遊幼生量の倍を有明海奥部で供給するために必要な規模ということで設定をしておりました。しかし、安定的なタイラギの再生産サイクルの形成には至っていないということで、有明海全体において広く浮遊幼生が行き渡ることが必要という考えの下に、さらに2倍の浮遊幼生発生量に相当する4万個体ということで母貝確保目標を設定しております。
 令和6年度には、共用母貝団地、バックアップ母貝団地の取組も開始しております。
 タイラギの人工種苗生産・中間育成の状況です。令和6年度は、目標を大きく上回る73万個体の着底稚貝を生産しております。右側の中間育成につきましては、令和7年1月時点で概ね目標どおりの2万7,000個体を生産しております。
 母貝団地の取組状況でございます。令和7年1月時点で約1万9,000個体を確保しております。母貝団地では直植えよりも生残率の高い垂下育成や、かご育成の規模を拡大するなど育成段階ごとの生残率向上を推進しております。
 タイラギの浮遊幼生数についての報告です。調査は6月から9月となっておりますが、令和6年度は158個体を確認しております。
 タイラギの浮遊幼生シミュレーションモデルの検討状況です。令和3年度の評価委員会の中間取りまとめにおきまして、アサリにつきまして流動モデルと浮遊幼生挙動モデルを用いたシミュレーションが報告されておりますが、タイラギについては当時、検討開始後、間がなかったということで報告されておりませんでした。その後、流動モデルと浮遊幼生の挙動モデルを用いましてタイラギの浮遊幼生シミュレーションを行いましたので、その検討結果について御報告します。
 このシミュレーションにつきましては、有明海の流況、水温、塩分を再現した流動モデルと浮遊幼生の産卵場から着底までの挙動を再現した浮遊幼生挙動モデルから成っている点についてはアサリと同様ですが、タイラギの浮遊幼生につきまして鉛直移動など着底条件を組み込み、再現性を高めたものとなっております。
 モデルを用いて産卵場と着底場の推定を行った結果についての御説明です。産卵場につきまして、下側の図の左側にございますが、浮遊幼生調査によりD型幼生を確認したと、実際にD型幼生を確認した地点を基にモデルを使用して産卵場を推定しております。産卵場の推定箇所が母貝団地やその周辺を示しており、モデル上で浮遊幼生の動きを一定程度再現できたものと考えております。
 一方で、右側の着底場については、モデルにより推定された地点を調査した結果、熊本県海域ではタイラギを実際に確認できましたが、福岡県、佐賀県の海域では確認できないという結果でした。こちらの浮遊幼生シミュレーションモデルの精度向上に向けましては、浮遊幼生の生存に関するさらなる研究等が必要と考えております。
 以上がタイラギの浮遊幼生シミュレーションモデルに関する検討状況でございます。
 タイラギの生残率についての御報告です。タイラギの生残率向上に関連しまして、垂下育成、かご育成、直植えの三つの育成方法ごとの生残傾向について御報告します。右側のグラフにありますが、垂下育成では移植後1年経過時点で生残率が約60%から70%ということで、比較的安定しておりますが、直植えでは大幅な減耗が生じており、移植後1年程度で0%となるという結果となっております。次のページ、お願いします。
 こちらが令和6年度以前から実施している有明海再生対策、従来対策と呼んでおります。こちらについて、令和7年度の取組方針を御説明いたします。アサリにつきましては、大規模出水や高水温などの気候変動リスクが課題となっており、これらに対応した取組を拡大してまいります。タイラギにつきましては、中間育成の生残率向上、母貝団地の育成方法の改善が課題となっておりますので、令和7年度につきましては生残率の高い垂下やかごによる育成方法を拡大するなど育成段階ごとの生残率向上に取り組んでまいります。
 17ページ以降、今年度から開始になりました加速化対策交付金について御説明します。
 こちらが有明海再生対策の予算の説明資料ですが、左側の赤枠の部分が加速化対策交付金になっております。こちらが有明海再生の加速化に集中的に取り組む特別の措置としまして令和7年度から開始されております。今後10年間で国費増額100億円を措置しまして、漁場環境の改善や水産資源の確保の取組などに対して支援を行っていくものとなっております。
 加速化対策につきましては評価委員会報告の再生目標・再生方策を基本としており、これまでの知見を活用して取組を進めるとともに、順応的な方法を用いて進めてまいります。
 加速化対策の進め方のイメージですが、二枚貝類の生産性の回復ということを基本としており、これを基本として、まず1番ですが、漁場環境改善や水産資源回復の加速化の取組、こちらを基礎としております。こちらの進捗によって環境や資源の状況が改善されてきたということであれば、そういった状況に応じて、2番ですが、漁業者の経営改善のための取組など新技術導入等の新たな挑戦を進めるという考え方になっております。次のページが加速化対策の検討過程ですが、加速化対策の具体的な内容につきましては、4県と4県の漁業団体と意見を交換させていただき、御要望を伺いながら決定しております。有明海の海域環境につきましては、長期間にわたって変化しているということがございますので、常にモニタリングを行いながら、その結果に基づいて対応を変化させる順応的な手法を用いて対策を進めてまいります。目指すべき姿など手段、根拠を明確にするEBPMと呼ばれております手法を活用して内容の検討を行っております。
 加速化対策により概ね10年後に目指す姿ということで、御説明いたします。現状におきましては、二枚貝類の減少など海域環境の悪化、水産資源の減少、漁業者の高齢化・減少といったことが課題となっております。加えて、社会経済情勢の変化など気候変動に伴う気温や水温の上昇、豪雨や、それに伴う大規模出水といった影響も顕在化しておりますので、こうした状況を踏まえつつ以下の三つを目指すべき姿として決定しております。
 まず、Ⅰ番ですが、二枚貝類の生産性の回復による海域環境の改善、Ⅱ番としまして多種多様な水産資源の持続的・安定的確保、Ⅲ番として持続的な漁業経営モデルの確立・普及ということになっております。これらにつきまして、昨年9月に開催されました有明海漁場環境改善連絡協議会で確認をしております。
 目指すべき姿の実現に向けましては、二枚貝類を減少から増加に転換させて漁場環境改善につながる好循環を生み出すことが重要となっております。本委員会でも検討いただいておりますが、二枚貝類の減少が赤潮の多発など底質の悪化といった環境悪化を招いており、それにより二枚貝類のさらなる減少など水産資源の不安定化につながるという負の循環に陥っていると考えられております。これに対して、二枚貝類を増加させることで、これを正の循環へ転換・定着させていくことを目指してまいります。次のページをお願いします。
 24ページですが、加速化対策ですが、二枚貝類の生産性を回復させることを重要視しており、漁場環境改善等に関しまして評価委員会報告など4県協調の取組の成果等を踏まえまして、一つ目としてアサリの浮遊幼生量と成貝の資源量、二つ目としてカキ礁等の造成の取組面積、これを指標として設定しております。
 このうちアサリにつきましては、これまでの調査など現地実証により浮遊幼生ネットワークが解明されており、再生産サイクルが成立していますので、成果指標の対象魚種としています。アサリについては、資源量の増加に重要と言われています秋の浮遊幼生量と成貝の推定資源量、こちらを成果指標としております。それぞれの成果指標が左下に記載してございますが、浮遊幼生量につきましては令和16年度までに7万個体、成貝の資源量につきましては令和16年度までに4県で5,000トンということにしております。4県の成貝の資源量につきましては令和6年度から把握することとなりましたが、秋の資源量は令和6年時点で、4県で2,200トンでございまして、これを倍増させるという目標になっております。
 また、カキにつきましては、二枚貝類の中でも特に水質浄化能力が高いということで目標として設定しております。平成28年度の評価委員会報告の中でシミュレーションが報告されておりますが、カキ礁の資源量を倍にすることで有明海の広範囲で貧酸素水塊の発生が抑制されるということが示されております。こうした知見を踏まえまして、佐賀県ではカキを再生させるといった取組が進められておりますが、西南部においてカキ礁の生産可能な海域のうち半分に当たる50ヘクタールで取組を行うということを令和16年度の成果目標として設定しております。
 藻場につきましては、有明海の南部と湾口部におきましてマダイやイカ類の産卵場として重要な役割を果たしており、長崎県及び熊本県の意見を受けまして、藻場造成の取組を60ヘクタールで行うということを令和16年度の成果目標として設定しております。
 以上が有明海沿岸4県と国が協調した有明海再生の取組についての御説明でございます。
 以上で、こちらからの説明を終わります。
○持田委員長 青木補佐、どうもありがとうございました。
 では、続いて、資料3のカキ設置によるノリ養殖漁場改善について、中島委員、御説明をお願いします。
○中島委員 佐賀県有明水産振興センターの中島でございます。
 資料3に基づいて説明をさせていただきます。次のページ、お願いいたします。
 カキ設置によるノリの色落ち対策を行った背景でございますが、佐賀県では平成15年から令和3年まで19年連続で養殖ノリの生産量、生産額とも日本一を続けておりましたが、令和4年度の漁期には色落ち被害が秋芽網期に引き続きまして冬場の冷凍網期でも懸念される状況でありましたことなどから、赤潮プランクトンを捕食する効果が高い養殖のカキを県内のノリ漁場全体に設置する緊急対策を実施したところでございます。
 これを令和4年度の漁期、それと翌年の令和5年度の漁期の2か年で実施をしており、右側に写真がありますように網かごに5キロずつ収容しまして、県内に全15支所あるのですが、そこに希望を取りまして、各支所のノリ養殖漁場の任意の場所で表層にこのように浮かせて設置をしております。設置期間にカキのへい死はなく、漁期の終了後は、つるした支柱なども撤去するものですから、各地先のカキ礁付近へ散布放流をしております。
 養殖マガキは同じ県内の玄海側にあります佐賀玄海漁協より購入をしまして、域外からの外来種の移入リスク対応のために、設置前には24時間以上の殺菌海水につけて、表面の付着物を手作業にて除去して、これはいわゆるオイスターバーで生食用の殻つきカキを食べるような状況で持ってきております。
 下の図は、カキの設置によるノリの色落ち軽減効果のイメージでございます。カキを設置しまして、カキが植物プランクトンを食べる。同時に、カキは排せつ物なども放出しますので、その栄養塩をノリが吸収する。それと植物プランクトンが吸収する予定だった分を植物プランクトンをカキが食べることでノリが吸収しますので、ノリの色落ち被害の軽減になるということでございます。次のページ、お願いします。
 すみません。ここのページは飛ばしていただいて、次のページ、また、お願いします。
 結局、効果としましては、4年度の漁期につきましては、カキ設置直前に雨が、ある程度まとまった雨が降りまして、設置直後に非常に寒波、風が強くなって、しけもありまして、一部でプランクトンが減少して全域で栄養塩が回復しております。ただ、これとカキ設置との因果関係というのは、はっきりしておりません。
 令和5年度漁期は、海域環境の明確な改善は確認できておりません。ただ、両年度ともカキのむき身の重量比は増加をしておりますので、確実にプランクトンを食べているということはあったと考えております。
 今回設置した量は、毎年、令和4年に20トン、令和5年に40トンと、佐賀県海域のカキ礁の現存量に比べまして、天然のカキ礁の現存量に比べ僅かな量ですので、海域の環境改善効果は、もう限定的でございます。より効果的なものとするには、漁業者との協働などによります規模拡大が必要だというふうに思っております。
 今回は、カキのむき身の状況も漁業者に直接見ていただきまして、これだけ身が大きくなったということを漁業者に確認をしていただきました。漁業者の皆さんも珪藻赤潮を減らすためには二枚貝を増やすことが必要であるという考えが定着しており、普及啓発面での効果は確実に見られております。
 先ほど御説明いただきましたように、国の加速化対策交付金も佐賀県のほうでも活用させていただいており、漁業者の皆さんによります各種二枚貝の増殖は、カキやサルボウ、アサリなどで佐賀県のほうでも今、行われているところでございます。
 簡単ですが、以上でございます。
○持田委員長 中島委員、どうもありがとうございました。
 では、続きまして、資料4の栄養塩と水産資源の関係性の検討について、山下専門委員からお願いいたします。
○山下専門委員 熊本県水産研究センターの山下と申します。よろしくお願いいたします。
 熊本県では、県議会において平成15年に有明海・八代海再生特別委員会が設置されまして、現在は海の再生及び環境対策特別委員会に名称を変え、有明海・八代海等の再生に加えゼロカーボンや再生エネルギーの取組と、幅広い議論が行われております。次のページ、お願いします。
 今回御説明する資料は、平成28年度にまとめられた有明海・八代海等総合調査評価委員会の報告において、5章の再生への取組の4、今後の調査研究課題で栄養塩や基礎生産量と水産資源量との関係の解明として取り上げられたことが発端になっております。さらに、令和2年2月の定例会において、県議会から有明海・八代海等の再生に係る提言で再生に向けた調査研究の充実が示され、今後の重点的取組の一つとして栄養塩等と水産資源の関係がテーマに取り上げられたことから取りまとめに至った次第でございます。次のページ、お願いします。
 本日は、昨年、令和6年9月27日に特別委員会に報告した内容を一部抜粋・修正し、報告させていただきます。次のページ、お願いします。
 有明海及び八代海の栄養塩等の海洋環境と漁獲量等の長期変動については、これまで当センターの調査結果を基に、両海域の栄養塩と水産物の関係性について比較検討しております。まず、(1)の海洋環境に係る項目については、昭和49年から月1回実施しております有明海での浅海定線調査、八代海での内湾調査の結果を基に、水温、水素イオン指数、透明度、栄養塩であるDIN、DIPを使用しております。(2)の漁獲量等に係る項目については、海面漁業の漁獲量は農林水産統計値を、ノリの養殖生産枚数は熊本県漁連、全国海苔貝類漁連の共同販売枚数を使用しております。次のページをお願いします。
 有明海・八代海における海洋環境の長期変動についてです。海洋環境の調査は左側の図の調査定点において、有明海・八代海ともに11か所の調査結果を用いて、右側のグラフに昭和49年からの有明海・八代海の水温、水素イオン指数、透明度の推移を示しております。また、各グラフは有明海・八代海の海況別に各調査定点の平均値を青線で示しておりますが、季節変化等により変動していることなどから年間の平均値を赤線で示しております。
 まず、水温については50年間で有明海では0.6度、八代海では0.8度上昇しており、県内の河川においても40年間で0.9度上昇しております。水素イオン指数については、有明海・八代海ともに低下傾向にありますが、透明度は上昇傾向にあります。また、これらの海水温の上昇や水素イオン指数の低下傾向は、日本近海の表面海水でも観測されております。次のページをお願いします。
 栄養塩の長期変動についてです。DIN、DIPの調査については、左側の図の調査定点の結果を用いて、右側のグラフに平成8年からの有明海・八代海の推移を示しております。有明海ではDINは2.1から6.3、DIPは0.24から0.53で推移しており、長期的には横ばい傾向にあります。八代海ではDINは0.6から4.8、DIPは0.18から0.40で推移しており、長期的には有明海と同様に横ばい傾向にあります。次のページ、お願いします。
 次は、漁獲量の長期変動についてです。下のグラフは左から熊本県全体、有明海、八代海の平成8年からの海面漁業の漁獲量の推移を示しております。全体の漁獲量は平成8年の3万9,700トンをピークに減少しており、令和4年は約3分の1の1万3,000トンとなっております。また、有明海の漁獲量は平成15年の8,900トンをピークに減少しており、令和4年は1,800トンで、八代海も平成26年までは平均で約9,900トンでしたが、令和4年には4,800トンにまで減少しております。次のページ、お願いします。
 栄養塩とノリ養殖生産量の関係については、これまでの栄養塩の調査結果と有明海の主要な漁業であるノリ養殖生産量との関係について検討しております。下の左側の折れ線グラフは平成8年からの有明海のDIN、右側の棒グラフがノリの養殖生産枚数の推移になっております。DINの年間平均値は、赤線で示しております通り横ばいで推移しております。また、有明海の生産枚数は右側のグラフに青で示しておりますが、平成14年から19年においては12億枚程度の生産でしたが、平成20年以降、漁期中の水温上昇による漁期の短縮や珪藻赤潮の発生などにより、漁期中の漁場環境による影響が大きく10億枚以下に減少しているところでございます。
 7月8日に行った第28回勉強会において海域環境再生方策の小委員会の速水専門委員から、栄養塩についてはノリの漁期中で評価したほうが、より適切との御意見をいただきましたので、検討しております。今回説明させていただいている県議会特別委員会資料ではございませんので、資料としては提供できておりません。ご容赦いただきたいと存じます。
 口頭にはなりますが、整理した結果、年によって大きなばらつきがございました。1漁期中の変動としては、漁期当初に上昇し漁期後半は減少するという傾向があることを確認いたしました。長期的な変動の傾向につきましては、国のほうで他県のデータも含めて評価していただきたいと考えております。次のページ、お願いします。
 八代海の栄養塩と水産物との関係については、これまでの栄養塩の調査結果と海面漁業の漁獲量との関係について検討しております。下の左側のグラフは八代海のDIN、中央が近年の漁獲量の推移です。DINの年間平均値は赤線で示しますように横ばいで推移しておりますが、漁獲量については、令和4年は平成24年と比較して約2分の1に減少しています。また、下の右側の表で示しますとおり、八代海の主要な漁業であるイワシを漁獲するまき網漁業の1日1隻当たりの漁獲量であるCPUEの動向を見ますと、カタクチイワシは減少傾向、マイワシは年変動が大きいなど魚種によって異なっております。
 第28回の勉強会において古米委員長から魚種別に整理されたほうがいいということで御意見をいただきましたので、魚種別の統計データを基に再整理いたしました。今回は、先ほどの有明海の栄養塩と同様に資料の提供はできておりません。整理の方法といたしましては、令和4年までの直近5か年間と平成8年からの5か年間の平均漁獲量について、魚種を浮き魚、底魚、甲殻類などのグループに分けまして、500トン以上減少したものを御紹介します。
 まず、9割強の減少となっていたのは二枚貝類で、主にアサリでございました。次に底魚類で6割強の減少で、特にタチウオとマダイがそれぞれ400トン、230トンの減少でした。一方、浮き魚類では2割の減少で、特にシラスが1,000トン減少しております。また、単純に令和4年と平成8年の漁獲量を比較すると、甲殻類、軟体類や棘皮動物なども7割程度の減少となっていました。次のページ、お願いします。
 まとめになりますが、海洋環境、漁獲量の長期変動については、水温、透明度は上昇傾向、水素イオン指数は低下しており、栄養塩については、長期的には大きな変動はなく横ばい傾向にあります。また、漁獲量は減少傾向で、ノリ生産枚数については高水温や珪藻赤潮の影響等によりピーク時から減少しております。
 評価委員会において、水産資源の減少の要因として藻場、干潟の生息場の減少など様々な可能性があり、栄養塩や基礎生産量と水産資源量との関係の解明について情報を収集していくとされており、栄養塩と水産資源の関係性について、引き続き国の研究機関と連携し調査研究を進めていく必要があると考えております。
 今後の方向性としては、評価委員会の栄養塩や基礎生産量と水産資源量との関係の解明の取組の加速化を国に要望していくとともに、本県の調査データを提供し連携して取り組んでまいりたいと考えております。また、水産資源の適切な管理を行うための漁獲動向の分析と資源評価、下水処理における季別運転の効果や最適な季別運転の方法の探索を行うとともに、水産資源の回復に向け藻場等の漁場整備や漁場環境の改善などの取組を進めてまいります。
 最後に、今回、要因等については明らかにできていない部分も多くあることから今後とも関係者の皆様とともに連携して進めてまいりたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 説明は以上になります。
○持田委員長 山下委員、どうもありがとうございました。
 では、ただいま御説明がありました内容、資料2から4について、御意見、御質問等を賜りたいと思いますが、皆さん、いかがでしょうか。
 山本委員、まず、お願いします。
○山本委員 すみません。資料4からでもよろしいですか。
○持田委員長 はい。全体、どこでもお願いします。
○山本委員 すみません。自明のことなのかもしれませんが、例えば7ページ目の漁獲のデータなど、それまでのデータも平成8年度から始まっていますが、これは水質データがそこから始まっているということでしょうか。漁獲データは、もっと前からありますよね。
○山下専門委員 漁獲データは過去の昭和40年代から、手持ちとして持っております。
○山本委員 観測データは、この形の観測データが平成8年からということでしょうか。
○山下専門委員 はい。おっしゃるとおりでございます。そこで比較しやすい年から比較しているということで取りまとめております。
○山本委員 多分、皆さんの有明海のイメージとしては、例えば70年代などのイメージが非常にあると思うんですよね。特に、漁獲に関しては。これ、平成8年は、もう90年代に入ってしまっているので、もしできれば何らかの形で、同じ形ではなくとも、やはりその頃と比較してどうなのだという議論をしないといけないのではないかと少々感じているのですが。
○山下専門委員 1970年代からですと漁場環境の環境が随分違いますので、その頃と比較すると当然、有明海でも八代海でも、さらにもっと漁獲が多かった時代になりますので、あまりにも差が大き過ぎて比較できないかなと思って、こういう状況にしております。
○山本委員 そうしましたら、今、示していただいている範囲だけに限ったとして、今度は、例えば、漁獲でいうと平成20年と21年の間に熊本有明の漁獲量は物すごくギャップがありますよね。八代海で言うと、やはり同じように平成20年、そうですね、20年代の真ん中ぐらいまではずっと一定なのに、その後、下がりかけているような気がするのですが、そういう部分の、どこにギャップがあるのかなど、何かそういう分析は今、議論がされているとか、今後されるなどという予定はあるのでしょうか。
○山下専門委員 有明海のおっしゃった平成20年程度の熊本有明のブルーのラインがすごく減っていると思いますが、このうち大きくはアサリの生産量が大きく落ち込んだことが影響しているというふうに、そこは分かっております。
 一方、八代海における平成20年代の後半からの減少につきましては、基本的な要因までは分かっておりませんが、魚種的には全体的に下がっているというような状況でございました。
○山本委員 すみません。ありがとうございます。アサリだけでなく魚類なども下がっているのかと思いましたけど、基本、アサリなのですね。この21年度は。
○山下専門委員 有明海においては、基本的にはアサリと考えていただいていいかと思っております。
○山本委員 分かりました。
それから5ページ目のpHや透明度などで、徐々に減少や徐々に上昇などという記載はされているのですが、これは統計検定をされた結果なのかということと、先ほどの漁獲にギャップがあるということは、単に回帰直線を引くということではなく、海域の水質にどこかにギャップがあるなど、そういうことは考えられないのかというか、そういう方向での分析はされているのでしょうか。
○山下専門委員 まず、傾向につきましては、検定までは行っておりませんので、あくまで感触といいますか、そういった感じになります。そのほか詳細な分析については、単県ではなかなか難しいので、国などほかの研究機関の皆様と一緒に検討できたらと考えております。
○山本委員 分かりました。どうもありがとうございます。長々、すみません。
○持田委員長 ありがとうございます。
 では、続きまして、山西委員、お願いします。
○山西委員 佐賀大学、山西です。
 資料2について、二つほどお伺いさせてください。1つはタイラギのシミュレーションの話、もう1つはタイラギ育成実験関係で教えてください。
 以前、アサリの浮遊幼生のシミュレーションを見せていただいて、14頁の結果はその追加としての、タイラギのシミュレーションの成果だと思います。これらの結果は、効率的にタイラギの移植地を決めたり、母貝団地をどこにするかという点で、有用な成果になると思うのですけど、結論としては推定した産卵場など着底場がうまく表せていないところもあるというお話でした。少々分からないのですが、例えば、軌跡というかトラジェクトリーというか、計算では何周期も回すでしょうから、問題としては、移動の途中でタイラギの浮遊幼生にインパクトがあるのか、着底後の問題なのかという点です。例えば、流動モデルは流れと水温と塩分を用いて計算されているのですが、浮遊幼生の場合は鉛直移動も含めたモデルが組み込まれている結果なのですか。つまり、流れ場の中で塩分や水温などと浮遊幼生の相互関係のようなものを考慮されているのかというのをお聞きしたいのです。
 もう一つは、次のページに垂下育成のものと上架カゴ育成とありますよね。上架カゴ育成の場合は、底面のところを囲って、上のところだけが通水性があるような形にされているのか、側面も通水できているような形にしているのかというのを教えていただけますか。
○青木課長補佐 まず、一つ目の御質問ですが、浮遊幼生モデルにおきまして、浮遊幼生の挙動ということで塩分に対する忌避性の移動を組み込んでおります。タイラギは塩分が低いところ、上層を避けて下に幼生が下がるということを確認されておりますので、そういった動きも含めて組み込んでシミュレーションを行っております。
○山西委員 そうすると、うまく再現できなかったというか、なかなかパーフェクトにするのは当然難しいとは思うのですが、移動過程ではなく着底後に問題があると考えればよろしいのですか。
○青木課長補佐 そこは、正直申し上げて、よく分からないという状況です。フルグロン期の幼生がなかなか現地でも見つからないということで、シミュレーションと、どこと乖離があるのかというところが少し分かっていないという状況になっております。
○山西委員 なるほど。
○青木課長補佐 もう一つのかごのほうですが、かごの写真がこちらにありますが、昨年の写真に写っているかごは、下のところは通水性がないかごだったというふうに聞いております。
○山西委員 そうすると、以前も佐賀県だと西南部のところなどは、昔はタイラギがよく獲れていたのでよかったのですが今はほとんど獲れなくなってしまい、非常にご苦労されています。つまり、現状ではそこに直でまいたりした場合は、下の図と同じように、とにかく育たないということになります。ただ、加工して通水性にしたりすると、幾分、いいのか、悪いのかだけが少々気になったのでお聞きしましたけど、その実験自身はやられていないのですかね。
○青木課長補佐 かごについては、されていないのですが、垂下育成の方ではやはり通水性のあるかごを使っていて、そちらでは、いいというふうに聞いていますので、通水性はあったほうがいいのだろうなとは思っております。
○山西委員 もう一点だけ、いいですか。同じ資料2の21ページ、右側のほうのEBPMは、不勉強で、よく分からないのですが、僕らでよく使うPDCAサイクルのような、そういうイメージなのですか。それとも、経済的なものを入れたサーキュラーエコノミーのような、そういう考え方なのですか。
○青木課長補佐 いえ、おっしゃったようにPDCAに近いような形のやり方でやっており、目指すべき姿とその手段ということで検討していくということになっております。下のEBPMによる検討手順ということで、1、2、3、4、5となっておりますが、現状と課題の設定をしまして、目指すべき姿ということで、それに向かっていくためのロジックと根拠を収集しまして指標を検討していくということになっております。進めていく中では、おっしゃったように、PDCAの概念も含めて順次修正をしながらやっていくということになってまいります。
○山西委員 分かりました。どこかに新しい考え方が取り入れられているのかなと思いました。
○青木課長補佐 そうですね。ここにはページの関係もあり載せていないのですが、検討の段階では、もう少し詳しい予算や、どれほどの事業量が必要になるのかなどそういったことも検討されております。
○山西委員 費用対効果なども含めて、B/Cなどそういうことも含めてなのかということですかね。
○青木課長補佐 はい。
○山西委員 分かりました。ありがとうございます。
○青木課長補佐 B/Cは、すみません、入っていたかどうか分からないのですが、目指すべき姿、インパクトを実現するためには、どれぐらいの事業量が必要となるのか、そういったような考え方になっております。
○山西委員 分かりました。ありがとうございます。
○持田委員長 ありがとうございます。
○西川室長 事務局です。大変失礼いたします。
 すみません。あと4分で次の会議が始まってしまいます関係から、大変恐縮ですが、残りの質問の受け答えを端的にお願いできれば幸いです。大変申し訳ありません。
○持田委員長 それでは山口委員、お願いします。
○山口(啓)委員 山口です。
 では、手短にですが、資料の4で最後のほうなのですが、栄養塩が横ばいで透明度が上がっておりpHが下がっているということで、多分、植物生産が減っていると考えていると思ってよろしいですか。
○山下専門委員 すみません。何生産が減っているとおっしゃったのか、もう一度お願いします。
○山口(啓)委員 植物プランクトンの生産が下がっていると考えておられるのですか。そこを言われなかったような気がするのですが、つまり、栄養塩的にはトータルでは下がっているということを、これは示しているのでしょうか。
○山下専門委員 栄養塩は横ばいということで、減っているという……。
○山口(啓)委員 無機溶存態の栄養塩は横ばいですが、トータルの窒素やリンは、植物プランクトンがもし減っているのであればトータルは下がっている。つまり、栄養が減っている、供給される栄養が減っている、いわゆる貧栄養に向かっているという、そういう意味をここでは示されているのか、それとは全く別なことなのでしょうか。
○山下専門委員 全く別なことで、植物プランクトンが減っているというふうには申し上げておりませんので。基本的には、調査した結果では栄養塩的には横ばいで、いわゆる瀬戸内海で言われているような栄養の低下というのは見られていないという御説明をしたつもりでございました。
○山口(啓)委員 透明度の上昇というのは、無機懸濁物の減少が見られるということでしょうか。
○山下専門委員 透明度の上がった理由については、濁りであったり、底質の変化であったり、河川からの流入が減ったりということがいろいろありますので、我々だけでは難しいかなと思っております。
○山口(啓)委員 また、pHの低下も植物プランクトンの生産とは関係なく、どちらかというと海洋酸性化のほうを可能性が高いというふうに考えておられるということでしょうか。
○山下専門委員 可能性としてはあるかもしれませんが、まだそこまで我々も判断できていない状況でございます。
○山口(啓)委員 供給される栄養塩、陸源から供給される栄養塩が全体的に低下しているということは、ないと。
○山下専門委員 はい。今のところ、全体的に減少しているというふうには考えておりません。
○山口(啓)委員 分かりました。ありがとうございます。
○持田委員長 では藤井委員、手短にお願いします。
○藤井委員 福岡県、藤井です。
 資料4についてですが、山下委員、説明、ありがとうございます。今後の方向性というところで、栄養塩、基礎生産等々について、連携した、それから大きなところへの解析が必要だなというところでは私も共通認識でありまして、栄養塩というのが、藻類であったり同じ藻類の植物プランクトンが消費した残りというのを我々は分析しているんです。調査のタイミングがずれれば、赤潮状態であったり、もしくは全く赤潮状態ではないという、そういうことがありますので。
 これに関して、河川からの供給、それから近年、下水処理場、下水処理の稼働率というか、参加するというところの下水の処理の率が上がってきているというところ、それから季別運転などもされて数値は明らかにできると思いますので、河川、それから下水処理場から流れ込む窒素、リン、そこら辺をしっかり出していかないと、漁場調査の数値だけでは見えにくい部分もあるのかなというのがありますので、しっかりと。ここはいろんな関係者の方がおられますので、事務局の方に栄養塩の供給と、それから消費というところについて、しっかりとやっていただきたいなというところがあります。
 有明海湾奥は3年連続で珪藻プランクトンの増殖によってノリが不作なのですが、これは見方を変えれば非常に生産力が高い海というところがありまして、珪藻プランクトンの出るタイミングがずれた結果、このような不作になっていると。ではなぜそうなったのかというところも含めて解明が必要と思っております。
 以上です。
○持田委員長 どうもありがとうございました。
 では、時間となってしまいましたので、本日の水産資源再生方策検討作業小委員会は、これで閉会したいと思います。
 議事進行への御協力、ありがとうございました。また、進行が悪くて時間を超過してしまい申し訳ありません。進行を事務所にお返しします。
○清水海域環境対策推進官 ありがとうございます。コメントで御質問いただいていた件につきましては、後日、改めて回答とさせていただければと思います。
それでは、以上をもちまして水産資源再生方策検討作業小委員会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午後2時33分 閉会