第7回 有明海・八代海等総合調査評価委員会 水産資源再生方策検討作業小委員会 議事録

*水産資源再生方策検討作業小委員会(第7回)及び海域環境再生方策検討作業小委員会(第7回)の合同開催

開催日

令和3年2月22 日(月)

場所

WEB会議システムにより開催

出席者

 有明海・八代海等総合調査評価委員会委員長:古米弘明委員長

(水産資源再生方策検討作業小委員会)

 小委員会委員長 : 樽谷賢治委員長

 委員 : 岩渕光伸委員、古賀秀昭委員、内藤佳奈子委員、 速水祐一委員、松野健委員、山室真澄委員、

山本智子委員

 専門委員 : 川原逸郎委員、中村勝行委員、松山幸彦委員、矢野浩一委員、吉田雄一委員

(海域環境再生方策検討作業小委員会)

 小委員会委員長 : 松野健委員長

 委員 : 上久保祐志委員、 樽谷賢治委員、矢野真一郎委員、山口敦子委員、山口啓子委員

 臨時委員 : 小林政広委員

 専門委員 : 橋本晴行委員、東博紀委員、古川恵太委員、吉永育生委員

(関係省庁・県)

 国都交通省水管理・国土保全局河川環境課 天野企画専門官

 国土交通省港湾局海洋・環境課 小野課長補佐

 農林水産省農村振興局整備部農地資源課 松宮課長補佐

 水産庁増殖推進部研究指導課 楠課長補佐

 水産庁増殖推進部漁場資源課 山本課長補佐

 水産庁増殖推進部栽培養殖課 石川課長補佐、鏑木係長

 林野庁森林整備部治山課 石飛課長補佐

(事務局)

 環境省水・大気環境局水環境課閉鎖性海域対策室長、水環境課閉鎖性海域対策室長補佐、

 水環境課閉鎖性海域対策室主査

議事録

午後3時00分 開会

○冨永閉鎖性海域対策室主査 定刻となりましたので、ただいまから有明海・八代海等総合調査評価委員会第7回水産資源再生方策検討作業小委員会及び第7回海域環境再生方策検討作業小委員会を開会いたします。

 本日の小委員会は、御案内のとおり、合同で開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。

 本日は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からWEB会議での開催とさせていただいております。委員の皆様には、御不便をおかけしますが、会議中、音声が聞き取りにくいなど、不具合がございましたら事務局までお電話、またはWEB会議システムのチャット機能にてお知らせください。

 議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。なお、御発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと、挙手した状態になりますので、御発言の意思はこのマークで確認いたします。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき、御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は、挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作願います。挙手アイコンは、事務局でオンオフを操作できないため、御協力よろしくお願いいたします。

 本小委員会は、公開の会議となっており、環境省水環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。

 本日の委員の出席状況ですが、本日は委員22名、全委員が御出席ですので、有明海・八代海等総合調査評価委員会令第6条に基づく会議の定足数を満たしていることを報告いたします。

 続きまして、本日は有明海・八代海等合同調査評価委員会の中間取りまとめに向けた作業を議題としており、関係省庁より御出席いただいておりますので御紹介いたします。

 まず、水産庁漁場資源課の山本補佐、研究指導課の楠補佐、栽培養殖課の石川補佐、鏑木係長でございます。

 続きまして、農林水産省農村振興局の農地資源課の松宮課長補佐でございます。

 続きまして、林野庁の治山課の石飛補佐でございます。

 続きまして、国土交通省水管理国土保全局の河川環境課の天野専門官、港湾局海洋・環境課の小野補佐でございます。

 環境省側の出席者も紹介させていただきます。

 閉鎖性海域対策室長の行木でございます。

 同室長補佐の濱名でございます。

 同室長補佐の横内でございます。

 私が、閉鎖性海域対策室の冨永でございます。

 続きまして、資料につきましては、事前に電子データやホームページでご案内しておりますが、議事次第に記載の一覧のとおりでございます。

 なお、資料は、事務局が画面上に掲載して進行させていただきます。

 それでは、議題に入ります。今回の進行は水産小委の樽谷委員長にお願いしております。

 これ以降の進行を樽谷委員長、よろしくお願いいたします。

○樽谷委員長 はい、かしこまりました。本日の議事進行を担当します樽谷でございます。

 本日も多数の資料がございますが、議事の進行に御協力いただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、早速議事を始めさせていただきます。

 本日の議題の1番、有明海・八代海等総合調査評価委員会の中間取りまとめに向けた作業についてのうち、中間取りまとめの目次案と中間取りまとめ第1章及び第2章の構成につきまして、まず、事務局から御説明をお願いいたします。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省です。

 資料2、中間取りまとめの目次案です。第1章は、はじめにについて、1.1は評価委員会の経緯、1.2は評価委員会の報告について、1.3は平成28年度報告における基本的な考え方と再生目標、1.4は水産小委、海域小委の設置について、1.5では中間報告の位置づけとしております。

 第2章、再生方策・調査・研究開発の実施状況の整理については、1.2は主要4項目に関する現況の把握として、2.1.1にベントスの変化、2.1.2に有用二枚貝の減少、2.1.3にノリ養殖の問題、2.1.4に魚類等の変化としております。主要4項目に関連する既存データの更新をしていきます。

 2.2につきましては、主要4項目に関する再生方策の実施状況・成果等として、2.1と同様のタイトルとして、関係機関等からの報告事項からまとめていきます。

 それから、2.3の海域環境に関する事項等の調査・研究開発の成果等の整理については、2.3.1にデータの蓄積、2.3.2に海域環境としており、これについても関係機関等からの報告事項からまとめていきます。

 第3章は再生方策等の実施状況・成果等のまとめとして、2.2の主要4項目に関する実施状況・成果等と2.3の海域環境に関する事項等の調査・研究開発の成果などの整理からまとめていきます。

 第4章は今後の課題となります。課題のほかに関係省庁等の個々の取組をケーススタディとして、併せて掲載していきます。

 以上が資料2になります。

 続きまして、資料3の中間取りまとめ第1章と第2章の構成についてです。

 第1章につきましては、はじめにとして、1.1の評価委員会の経緯として、有明海及び八代海の特措法の制定や評価委員会の位置づけ、所掌事務などについて記載しております。

 1.2の評価委員会の報告についてですが、18年と29年に報告書を取りまとめていることや、28年度報告の内容として、豊かな海を再生することを目的として、再生目標を設定し、ベントスや有用二枚貝など4項目の問題点の確認や考察を行い、海域全体、個別海域ごとに再生方策を整理、当面の目標時期をおおむね10年後としていることや、今後の調査・研究の課題などを記載しております。

 次に、1.3の平成28年度委員会報告における基本的な考え方と再生目標についてです。枠囲みのところに、28年度報告の基本的な考え方と再生目標を抜粋して記載しております。この部分につきましては、前回の小委員会で、古川委員からチャットにて、「この中間報告が単独で読まれることを想定して、1.2の中で説明されている有明海・八代海等の海域全体で設定された再生目標については本調査報告の大切な前提ですので、小項目として独立させ、①希有な生態系、生物多様性及び水質浄化機能の保全・回復、②二枚貝等の生息環境の保全・回復と持続的な水産資源の確保について、明示していただいたほうがよいと思います」という御意見がございましたので、この御意見を踏まえて記述を加えております。上の枠囲みが基本的な考え方に、下の枠囲みが再生目標についての28年度報告からの抜粋になります。

 上記の目標を踏まえて、28年度報告ではベントスなど4項目を取り上げることとしたことや、問題点の確認、原因の考察などをして、有明海と八代海のそれぞれの連関図を整理しております。28年度報告から、有明海の連関図を掲載しており、次のページに八代海の連関図を載せております。

 6ページ目の平成28年度報告においては、図3に示すとおり、有明海を7区分、八代海を5区分に分けて、それぞれの問題点とその原因・要因が整理され、個別海域ごとの再生目標と再生方策が検討されております。

 下に有明海と八代海の海域区分図を載せております。

 各海域の再生方策の表を、表1を載せております。平成28年度以降、関係省庁、関係県等の関係機関がこれらの再生目標に向けて再生方策を行ってきております。それらの再生方策や実施状況・成果については、次節の2.2、2.3で示していくこととします。

 8ページ目、1.4、水産小委・海域小委の設置についてです。委員会の下に水産小委と海域小委を設置し、水産小委では水産資源にめぐる問題点及び漁場環境の特性に係る情報の収集など、海域小委では海域環境及び生態系の特性に係る情報の収集などを行ったということを記載しております。

 それから、1.5、中間報告の位置づけについてですが、「当該中間報告は目標の中間段階である令和3年度時点での各関係機関等の再生方策の実施状況や成果、調査・研究と結果等の情報収集・整理を行い、平成28年度の委員会報告に掲げられた目標や再生方策と照らし合わせ、進捗状況等について整理を行うものである。また、令和8年度の目標達成に向けて、必要な再生方策、知見として蓄積すべきデータ、調査・研究等について取りまとめたものである」と記述しております。この辺りは中間報告の位置づけということですので、また後ほど何か御意見等あれば頂けたらと思います。

 続きまして9ページ目、中間報告作成の経緯についてです。中間報告に向けた検討状況の一覧表を載せております。42回の評価委員会で今後の審議の進め方を決定し、令和3年度に中間報告を行うこととしており、それ以降に評価委員会、小委員会を開催しておりますが、その検討内容について記載しております。

 また、赤枠で囲んでおりますが、今後の委員会や小委員会の検討内容についても記載を追加していく予定です。

 続きまして10ページ目、2.再生方策・調査・研究開発の実施状況の整理に、ここからは第2章の構成案になります。

 2.1に主要4項目に関連する現況の把握として、以下の4項目の28年度報告以降に得られたデータを追加し、現況を整理していきます。

 2.1.1ではベントスの変化についてです。底生生物の種類数、個体数、湿重量の経年変化について、図4に載せております。

 赤枠のところですが、図から読み取れることを2、3行程度で記載することとしております。

 次のページは底生生物の経年変化の種類数になります。

 それから、次のページが底生生物の経年変化の個体数です。

 さらに、次のページが底生生物の経年変化の湿重量の図です。

 14ページ、2.1.2有用二枚貝の減少についてです。タイラギ、アサリ、サルボウの3種の漁獲量の推移を整理しています。有明海のタイラギの漁獲量は図5に、有明海のアサリの漁獲量は図6に、八代海のアサリの漁獲量は図7に、有明海のサルボウの漁獲量は図8に載せております。

 ここも先ほどと同様、図から読み取れることを2、3行程度記載していく予定としております。

 下にタイラギとアサリの漁獲量の図を載せております。

 それから、次のページに八代海のアサリの漁獲量と有明海のサルボウの漁獲量の図を載せております。

 16ページ目、有用二枚貝の推移に影響を及ぼす要因に貧酸素水塊の発生状況が挙げられており、貧酸素水塊の発生状況について、有明海湾奥で実施されている水質連続観測の結果において、日平均値が2.0ミリグラム/リットル、または3.0ミリグラム/リットルを下回る日数の推移を図10と図11に載せております。赤枠のところは先ほどと同様、図から読み取れることを2、3行程度記載することとしております。図9に水質連続観測地点の図を載せております。

 17ページ、図10は底層溶存酸素量の2.0ミリグラム/リットル未満の日数の図になります。上から定点T13、T14の図、その下が定点のP1、P6の図、その下が定点B3の図、一番下が定点T14、P1、P6の3地点の平均の図になります。

 続きまして、次のページ、図11は底層溶存酸素量3.0ミリグラム/リットル未満の日数の図になります。

 ここまでが二枚貝の減少の関係になります。

 続きまして、19ページ、2.1.3ノリ養殖の問題についてです。有明海の漁業・養殖業生産量の推移を図12に、八代海の漁業・養殖業生産量の推移を図13に載せております。

 それから、有明海・八代海における栄養塩と水温に関して、水質としてT-N、T-P、水温の状況をそれぞれ図14、15に載せております。

 赤枠のところですが、図から読み取れることを2、3行程度で記載することとしております。

 次のページ、図12に有明海の漁業・養殖業生産量の推移、図13に八代海の漁業・養殖業生産量の推移を載せております。

 21~23ページにかけては有明海の水質の経年変化として、T-Nの経年変化の図、次のページにT-Pの経年変化の図、それから水温の図を載せております。

 24~25ページには八代海の水質の経年変化として、T-N、T-P、水温の図を載せております。

 ここまでが2.1.3ノリ養殖の問題になります。

 続きまして、26ページ目、2.1.4、魚類等の変化についてです。有明海、八代海、橘湾の赤潮の発生件数の推移を図16、赤潮被害発生件数の推移を図17に載せております。

 ここも赤枠のところですが、図から読み取れることを3行程度記載することとしております。

 27ページには赤潮の発生件数の図を載せております。

 28ページには赤潮の被害発生件数の図を載せております。

 あとは、赤枠のところですが、ベントス、二枚貝、ノリ養殖、魚類の検討に必要な事項として、その他の図表・記述を追加する予定としております。

 2.1の主要4項目に関する現況の把握についてはここまでですが、こういった図でよいのか、このような図を掲載することでよいのかなど、後で御意見いただけたらと思います。

 続きまして29ページ、2.2主要4項目に関する再生方策の実施状況・成果等になります。再生方策の実施状況・成果を水産小委、海域小委で関係省庁等から報告された事項を基に整理します。

 表3には関係省庁の報告事項を主要4項目のテーマごとにまとめた表を載せております。ベントス、二枚貝、ノリ養殖、魚類の主要4項目に分けて、テーマ、タイトル、発表者、小委員会での資料番号を載せております。上からベントスの変化、有用二枚貝の減少、次のページに行きまして、ノリ養殖の問題、魚類等としております。

 2.2.1ではベントスの変化、2.2.2には有用二枚貝の減少、2.2.3にはノリ養殖の問題、2.2.4には魚類等の変化についての記述になります。この記述については、再生方策の実施状況・成果等について、各小委員会資料等を基にまとめの記載を加えることとしております。表3に記載している資料をそのまま羅列して載せるものではありません。

 それから、2.3海域環境の関連する事項等の調査・研究開発の成果等の整理についてです。ここでは主要4項目に関連する海域環境等の調査・研究開発の状況とその成果を整理します。

 表4に主要4項目に関連する海域環境調査等の調査・研究開発の実施状況の一覧表を載せております。海域環境という項目でそれぞれのテーマごとにまとめております。海域環境等の調査・研究開発の実施状況についても、再生方策の実施状況・成果等について、各小委員会資料を基にまとめの記載を加えていくこととしております。

 ここまでが2.2の主要4項目に関する再生方策の実施状況の成果等になります。

 資料3の中間取りまとめ、第1章、第2章の構成の説明については以上になります。

○樽谷委員長 ありがとうございました。ただいま、事務局から中間取りまとめの目次案と中間取りまとめの第1章と第2章の構成について御説明をいただきました。ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。

 岩渕委員、お願いします。

○岩渕委員 岩渕です。

 今の御説明で、ノリ養殖に関して、21ページ。ちょっと違和感を感じるのが、ノリに関して論じるのにT-Nを使っておられるので、どちらかというとDIN無機態窒素のほうがノリ養殖について議論するのに適しているのではないかなと思うのですが、そこら辺どうなのでしょうか。

○樽谷委員長 ありがとうございました。私もここはT-N、T-PよりもDINやDIPでの議論というか、それを掲載したほうがよいように思います。

 事務局から何か御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省です。

 DINとDIPのほうがよいのではないかということですが、データがあるのかないのか確認しまして、検討したいと思います。ありがとうございます。

○樽谷委員長 岩渕委員、よろしいでしょうか。

○岩渕委員 はい。そうですね、できればノリですので、DINのデータを使えるようにしていただければと思います。

 以上です。

○樽谷委員長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、古川委員お願いいたします。

○古川委員 古川です。よろしくお願いします。

 資料2のアサリの部分で貧酸素水塊のデータが出ています。場所としては17、18ページになろうかと思いますが、閾値が2.0ミリグラムのものと3.0ミリグラムのものが併記されていて、貴重な連続記録からこういうデータを作っていただくこと大変有難いと思うのですが、これが二つ示されていることの意味があまりよく明確に分からなかったなという気がいたします。アサリが2.0ミリと3.0ミリですごく大きく耐性が変わる、大きな収穫量の変化があるということであれば、仮説に基づいてこのような整理を、またデータの提示をしていただくことは有用かなと思いますが、ぱっとその図を二つ見ますと、そんなに大きく傾向が変わるものではないので、何かその貧酸素水塊の影響ということであれば、どちらか一つを代表としてお示しされるのでもよろしいんじゃないか。それ以上に例えば貧酸素水塊の継続日数だとか、逆に極端なゼロになってしまうような無酸素状態の発生日数だとかいったような、生物反応に対して何か新しい説明を付け加えられるような視点でのデータ整理をされてはどうかと思いました。

 コメントです。ありがとうございます。

○樽谷委員長 ありがとうございました。貴重なコメントだと思いますので、事務局でもぜひ御検討いただければと思います。

 何か事務局からございますか。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 頂きました御意見を踏まえ、検討したいと思います。ありがとうございます。

○樽谷委員長 ほかに御質問、御意見等ございませんでしょうか。

 特に第1章のところで、記載案が示されました中間報告の位置づけ、8ページ、この辺りもよろしいでしょうか。こういう位置づけで進めていきましょうという方針が示されていますが。

 山口敦子委員、よろしくお願いします。

○山口(敦)委員 この後また資料の中身の説明があると思うので、そちらを聞いてからのほうがいいのかもしれませんが、資料2の目次案とその辺り、それから資料3の2ページのもともとの全体目標、再生目標とか基本的な考え方とかが書かれています。そこに、希有な生態系の保全・回復と、二枚貝の生息環境の保全・回復というどちらも達成すべき再生目標ということで掲げられていますが、全体的に特に生態系のほうに関しての記載がすごく少ないようですので、全体的なバランスを考えられたほうがいいのではないかと思います。

 あと、中間報告の位置づけについては後で説明伺ってから意見をさせていただいたほうがいいかもしれませんが、特に「令和8年度の目標達成に向けて、必要な再生方策、知見として蓄積すべきデータ、調査・研究等について取りまとめたものである」という位置づけに沿った取りまとめ内容になっているのか、今のところでは違和感を感じます。

 それから、資料の11ページ目から現状の整理がなされているということでしたが、11、12、13ページとベントスの説明があり、14ページに漁獲量の推移が出てきます。ここの出典が水産技術研究所作成となっていますが、データ自体は農林水産統計年報を引用しているのではないでしょうか。その後の20ページのデータ、こちらは農林水産統計を基に作成とあります。同じところからのデータを使われているのであれば、統一していただいたほうがいいと思いますし、このほかにも統計データと調査データとが入り交じって書かれているところがあるので、出典が分かりにくい資料になってしまっているところが気になりました。

 取りあえず以上です。

○樽谷委員長 ありがとうございました。それでは、前半の中間報告の位置づけにつきましては、改めて本日の全体の議事を聞いていただいてから、また御質問やコメント等をいただければと思います。

 後半に頂きました図の出典の部分、恐らくアサリの漁獲量やタイラギの漁獲量等のところは農林水産統計から作成されたものだと思われます。事務局、そういう理解でよろしいでしょうか。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 はい。そのような理解でよろしいかと思います。ここに出典元の農林水産統計などを追加していく方向で検討したいと思います。

○樽谷委員長 ほかに何かございませんでしょうか。

 それでは、中間取りまとめの目次案と中間取りまとめの第1章、2章、さらに1章で記載されていました中間取りまとめの位置づけ等につきましても、本日更に議事を進めて、最後にまた改めて御意見等を伺えればと思います。

 それでは、続きまして、中間取りまとめの第2章のうち、有用二枚貝の10の案件につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省です。

 資料4-1を御覧ください。今回提示する資料を一覧にまとめたものになります。一番右の欄に関係する資料番号を記載しております。赤いところが今回初めて提示した資料になります。青字のところは前回の小委員会で御意見いただきましたものを修正したものになります。黒字のところは第6回小委で説明した資料になります。今回の小委では赤字の資料と青字の資料について御説明します。

 先ほど第1章と第2章の構成について御説明しましたが、資料の右の、資料3の上から一つ目と二つ目が先ほどの資料になります。

 それからその下以降の資料については、こらから御説明する資料の第2章の2になります。赤字のものは5-1~5-16までになります。それから、青字のものが6-1~6-4になります。先ほどの目次案では関係省庁等の取組については、ケーススタディとして第4章の今後の課題のところに併せて入れるとしておりましたが、ここでは関係省庁の取組が分かるように、該当するテーマのところに関係省庁の取組の資料番号を入れております。今回提示する資料がそのまま第2章に入るのではなく、今回提示した資料を基に第2章のところは作成していくことになります。

 それでは、資料の4-2再生方策等の実施状況・成果の概要についてです。今回小委員会で提示する関係省庁等の取組の資料5-1~5-16については資料数も多いことから、説明用にエッセンスをまとめた概要ペーパーになります。この資料を基に資料の5-1~5-16について説明したいと思います。

 第6回小委の資料も併せて載せておりますが、委員からの御指摘があった報告について、現在確認作業等を進めているものもありますので、内容には変更がございます。

 まずは、有用二枚貝について説明します。資料4-2の第7回資料の5-3、5-11までになります。

 それから、第6回小委で御指摘を踏まえて修正したアゲマキ、ウミタケの資料6-1になります。

 それでは、4-2の資料の1ページ目の一番下の行を御覧ください。項目といたしましては、有用二枚貝の減少、タイラギになります。テーマとしては、着底機構、着底後の減耗要因、再生産機構の解明です。タイトルは二枚貝に関する資料収集の整理・分析の状況(タイラギ)になります。発表者は福岡県、佐賀県、水産技術研究所になります。実施年度は平成27~30年度。

 概要としては、タイラギ稚貝の減耗要因を把握するため、実海域での稚貝の移植試験を実施し、以下の成果が得られたことで、現地海底に直植えした場合、春期~秋期にかけて食害等によって、短期間に移植貝が減耗する。

 食害防止のため、ネットや籠で保護すると減耗が緩やかになるが、夏期から春期に穏やかながら、大量死が発生する(立ち枯れへい死)。

 食害防止を行った上で、海底から切り離して、海底直上に移植貝を静置すると立ち枯れへい死の発生がほとんど見られなくなる。

 海底直上は海底からマイナス1メートルよりも濁度が高いことから、これにより何らかの摂餌障害を受けている可能性が示唆された。

 対象海域としては、有明海の奥部。

 成果としては実海域での移植試験により、タイラギ稚貝の減耗要因として、食害や、濁度による摂餌障害の可能性が示唆された。

 主な課題としては、エイ以外の食害生物の長期的な資源量変動が不明瞭。着底前後の底質や水質に関する影響評価が定量的でない。濁度の評価が不十分である。摂餌環境の評価に関して、クロロフィル量による評価以外の検討方法が必要。経年的な環境の変動傾向の検証が必要。

 主な今後の方針・計画については、現場の食害生物や生息環境データの収集・解析の継続。環境が安定し育成管理が容易な干潟縁辺部における育成方法の検討。長期的な環境変化の解析。

 小委員会の資料番号としては5-3になります。

 続きまして、次のページです。

 項目はタイラギ。テーマは着底機構、着底後の減耗要因、再生産機構解明。

タイトルはタイラギ減少・へい死要因と海域環境との関連性の検討です。発表者は環境省になります。実施年度は令和元年度から。

 概要としては、タイラギに関する実証試験等の調査・研究により得られた知見などが海域環境の状況等も収集・整理し、タイラギの減少・へい死要因を解析した。その結果、A1海域では大量の降雨による低塩分や底層貧酸素化、食害、高濁度等による影響、A2海域では低塩分、貧酸素、硫化物の長期暴露、食害、高濁度、A3海域では低塩分、貧酸素、食害、A4海域では硫化水素、A5、A6、A7海域では食害による影響が考えられた。

 対象海域としては有明海になります。

 成果としては、タイラギの減少・へい死要因に関する考察について、海域別に整理した。

 主な今後の方針・計画としては、シミュレーションによる環境データの再現。立ち枯れへい死による大量死の死因検討。それから、海域環境の比較による要因の検討。複合的な要因の解明。要因相互の関係解析。貧酸素との関係性の検討。硫化物による影響の把握。タイラギに関する情報収集・整理。タイラギの漁獲量があった時期の環境データの整理。

 小委員会の資料番号としては5-4になります。

 続きまして、一つ下の行になりますが、タイトルは有明海におけるタイラギの生残・成長要因の検討結果(浮泥に関する検討)。発表者は水産技術研究所になります。実施年度は平成26年度~令和元年度。

 概要としては、有明海奥部8地点で平成26年~令和元年の夏季小潮時において、浮泥、餌料環境を調査した。その結果、タイラギ着底稚貝の生息に適すると考えられる地点として、浮泥層厚、餌料環境の双方の観点から、餌料環境は平均的であるが浮泥層厚が5ミリ前後で安定している奥部と東側の測点T5(旧タイラギ漁場)が最適であり、次に浮泥層厚が8ミリを超える頻度が低く、餌料環境も比較的良好な西側の測点P6、中央測点SU-Hがこれに続くと考えられた。

 対象海域としては、A1とA2、A3になります。

 成果としては、有明海奥部での現地調査により、タイラギ稚貝の着底、成長に適した海域として、湾奥部東部、東側の旧タイラギ漁場が挙げられます。

 主な課題としては餌料の指標として用いたクロロフィルa及び海起源の有機炭素について、タイラギの成長・生残のための必要量を室内実験等で把握し、餌料環境を評価する際の基準を決める必要がある。また、現在も着底稚貝が頻度高く観測されている海域において、浮泥の特性と着底稚貝の成長・生残との関係を検討する必要がある。さらに、これまでの静的な浮泥だけでなく、動的な浮泥がタイラギの生活史ステージ別の生残・成長等に及ぼす影響も検討する必要がある。

 主な今後の方針・計画としては、室内実験等でタイラギの成長・生残に必要なクロロフィルaや海起源の有機炭素量を把握する。また、既存調査を参考にタイラギ着底稚貝が現在も分布する海域に設定して調査を実施する。さらに、浮泥の動態状態の特性をタイラギの生息に適すると考えられる海域において、海洋観測等を実施して把握する。

 小委員会の資料番号としては、5-5になります。

 続きまして、一つ下の行になりますが、タイトルは有明海におけるタイラギの生残・成長要因の検討結果(タイラギ移植実験に関する検討)になります。発表者は水産技術研究所です。 実施年度は平成29~30年度。

 概要としては、ナルトビエイよりも小型の動物の捕食によるタイラギ移植個体の生残率減少の状況、及びその対策について検討することを目的として、有明海の5地点において、目開きの異なる保護ケージを用いたタイラギ移植個体の生残率の変化について試験を行った。その結果、移植地点により傾向が異なるものの、目開きの大きなケージではタイラギの生残率が低下したことから、小型捕食者による食害の影響が示唆された。

 対象海域は有明海。

 成果としては、有明海において保護ケージを用いたタイラギ移植個体の生残率の試験を行った結果、移植個体の減耗はナルトビエイ以外の小型捕食者による食害の影響が示唆された。

 課題としては、タイラギ移植個体を捕食する動物の確認、及びタイラギ移植個体のサイズに合わせた有効な保護法の検討が挙げられる。

 小委員会の資料番号としては、5-6になります。

 続きまして、一つ下の行になりますが、タイトルは有用二枚貝に関する調査の情報収集等(有明海奥部におけるCODによる餌料環境とその長期変動の推定)になります。発表者は環境省になります。実施年度は平成29年度~令和元年度。

 概要としては、有明海奥部海域におけるタイラギの餌料環境の長期変動を把握することを目的として、ボックスモデル解析による検討を実施した。その結果、CODとクロロフィルa、POCの間には弱いながらも有意な正の相関があり、CODを餌料環境の指標と仮定し、タイラギ生残率との関係を解析したところ、1998年以降のタイラギ生残率は秋~冬季のCODと正の相関があり、餌料環境の悪化がタイラギの生残率減少の要因の一つである可能性が示唆された。

 対象海域はA1、A2、A3になります。

 成果としては、有明海奥部におけるCODによるタイラギ餌料環境とその長期変動をボックスモデル解析により検討した結果、餌料環境の悪化がタイラギの生残率減少の要因の一つである可能性が示唆された。

 主な課題としては、有明海奥部での経年的なCODの変化要因が不明である。また、今回の

解析ではボックス平均した値の解析を行ったが、表層で生産された植物プランクトンから実際にタイラギが摂餌している物質に至るまでの輸送過程や懸濁物質の組成の変化について、今後検討する必要がある。

 主な今後の方針・計画では、夏季のCOD内部生産増加、秋冬季、春季のCOD内部生産減少については、3次元生態系数値シミュレーションとデータ解析を組み合わせることで、その要因の検討を進める。また、秋冬季の有機物生産量を回復させるなどの方策の有効性についてもシミュレーションモデルを用いて検討する。

 小委員会の資料番号は5-7になります。

 次のページ、一番下の行ですが、項目はアサリ、テーマは着底機構、着底後の減耗要因、再生機構解明になります。タイトルは有用二枚貝に関する資料の収集・整理・分析状況(アサリ)になります。発表者は福岡県、長崎県、熊本県水産技術研究所になります。実施年度は平成25~31年度。

 概要としては、既存のデータを用いて、アサリの資源の状況について整理を行った。2009年以降のアサリ漁獲量は過去最低レベルで推移していたが、2017年には福岡県海域を中心に1,475トンと回復現象が見られた。また、熊本県海域での不漁要因としては、近年緑川河口・菊池川河口のいずれも稚貝の発生量の低下が示唆され、稚貝の発生量と成貝資源量とは正の相関が見られた。さらに、長崎県海域では地まきにて漁場へ稚貝を投入しているものの、生産は低迷しており、その要因は複数想定されるが、年によって低塩分によるへい死や疲弊によるものと推定された。

 対象海域は有明海になります。

 成果としては、既存のデータを用いてアサリ資源の現状について整理をした結果、福岡県海域ではアサリ漁獲量の回復現象がある一方、熊本県海域では稚貝発生量の低下、長崎県海域では低塩分等による生産の低迷が見られた。

 主な課題としては、アサリ漁場における近年の底質の泥化などは見られず、資源の減少要因は不明。ただし、着底前後の影響については十分に評価できない。また、稚貝・浮遊幼生の発生量低下の要因としては今後の検討課題である。なお、水温及び平均潮位の長期的な上昇などの影響については、十分に評価できていない。

 主な今後の方針・計画としては、覆砂による稚貝着底効果、及び着底稚貝の生残を高めるため、砂利袋等の気質や被覆網の設置や漁場のメンテナンスを実施。出水に強くアサリ稚貝の生残率の高い移植先の選定。着底直後の稚貝の移植技術の開発。浮遊幼生調査及び資源量調査を継続して実施し、浮遊幼生ネットワークを維持するのに必要な親貝資源量の策定に必要なデータ収集。豪雨による土砂堆積に強いパーム袋を用いた稚貝の効率的な確保。砂利袋を用いた母貝確保による母貝造成。

 小委員会の資料番号としては、5-8になります。

 続きまして、アサリの着底機構、着底後の減耗要因、再生機構解明について、タイトルは有用二枚貝に関する資料の情報収集・整理・分析状況(アサリ資源の再生に関する取組)になります。発表者は福岡県、長崎県、水産技術研究所になります。実施年度は平成25~31年度。

 概要としては、福岡県海域及び長崎県海域において、アサリ天然発生稚貝の保護や移植による資源増大策を実施した結果、覆砂実施漁場における大量の稚貝の発生や稚貝の移植放流による稚貝の成長・生残の向上、埋没対策を施した砂利袋による効率的な稚貝の確保、母貝の育成、被覆網を用いて放流した母貝の生残の向上が確認できた。

 対象海域は有明海になります。

 成果としては、福岡県海域及び長崎県海域において、アサリ天然発生稚貝の保護や移植による資源増大策を実施したところ、稚貝の生産の向上等の効果が見られた。

 主な課題としては、覆砂による効果は近年頻発する豪雨災害等で年変動や海域差が大きいことから、稚貝着底基質設置など改善策が求められる。

 移植については、移植先の選定や保護に関して統一的な手法がまだ確立されていない。

 網袋や被覆網の効果について、そのメカニズムが完全に解明されていない。

 浮遊幼生ネットワークを維持するのに必要となる親貝資源量の算定や資源管理策が行われていない。

 主な今後の方針・計画等につきましては、先ほど説明した資料の5-8と同じですので、省略いたします。

 小委員会の資料番号としては、5-9になりました。

 続きまして、1行下になりますが、タイトルは各地域の特性に応じた有明海の漁場環境改善実証事業。発表者は水産庁になります。実施年度は平成25~29年度。

 概要としては、アサリを対象種に有明海沿岸各地の様々な特性に対応し、漁業者等が漁船や漁具等も活用して実施することのできる効率的な漁場環境の維持・改善のための技術開発・実証を行うことを目的として、平成25年度以降、18地点、25漁場の干潟域において実証実験を実施した。その結果、シルト・粘土分の多い部分で、離底型籠飼育によるアサリの母貝保護育成や稚貝移植時の被覆網、基質入り網袋等の併用により、生残率向上等の有効性を確認した。また、環境調査結果の解析ではHSI等により、実証漁場でのアサリの生息環境が評価できた。また、シルト・粘土分の多い場所ではアサリの稚貝・成貝ともに個体数が少なくなること、平均個体数が多い漁場や濁度の高い漁場では成長が遅くなる傾向があることが確認された。

 対象海域は有明海になります。

 成果としては、アサリは対象種として効率的な漁業環境の維持・改善のための実証実験を実施し、離底型籠飼育による母貝の保護・育成等の有効性を確認した。またHSIによる実証漁場でのアサリの生息環境の評価を行った。

 課題・今後の計画等としては、実証事業についてはこれまでに特に効果が認められた技術を用い、漁場の生産力向上を図ることを目的として、(1)~(4)の課題に取り組んでいる。(1)高地盤の覆砂域の造成等による母貝生育適地の造成、(2)基質入り網袋、籠を用いた稚貝育成、(3)アサリの稚貝の高密度着生・集積域からの移植、(4)カキ礁の造成による貧酸素水塊の軽減。

 小委員会の資料番号は5-10になります。

 続きまして、一番下の行になります。テーマはナルトビエイの摂餌による二枚貝類への影響を把握。タイトルは二枚貝類等生息環境調査(ナルトビエイによる水産有用二枚貝類への影響)。発表者は農村振興局になります。実施年度は平成18年度から。

 概要としては、平成18年度以降、水産有用二枚貝類等を捕食するナルトビエイの来遊量、摂餌状況等の調査を実施した結果、ナルトビエイ来遊量は平成20~22年度は40~50万個体。23年度以降は減少し、24年度以降はおおむね10~20万個体で推移しているものと推定された。また、ナルトビエイの胃内容物調査では、アサリ、サルボウ、タイラギなどが確認でき、水産有用二枚貝類の摂餌量は平成20~22年度の2,000~2,500トン、平成24年は200トン以下に減少したが、25年度以降は1,000トン程度で横ばいの状況にあると推定された。

 対象海域は有明海の全域となります。

 成果としては、ナルトビエイの来遊状況・摂餌状況を調査した結果、来遊状況は平成24年度以降おおむね10~20万個体で推移、水産有用二枚貝類の摂餌量は平成25年度以降1,000トン程度で横ばい状況にあると推定された。

 小委員会の資料番号は5-11になります。

 資料4-2の有用二枚貝関係の説明はここまでです。

 続きまして、資料6-1を御覧ください。

 前回の小委で御意見を踏まえて修正したものです。中間取りまとめ(第2章)案 アゲマキ、ウミタケの取組についてですが、前回の小委員会で川原委員から、記載内容に誤解を招くおそれがあるという御意見をいただきまして、修正したものです。修正箇所につきましては、1、4、5ページになりますが、赤字の部分について修正をしております。

 有用二枚貝の資料の説明につきましては、以上になります。

○樽谷委員長 ありがとうございました。ただいま事務局から中間取りまとめの第2章、再生方策等の実施状況・成果等のうち、有用二枚貝類の減少の部分について、これまでに報告されていただいている内容を概要として整理したものを説明していただきました。ここでは、この内容の再確認をしていただきますとともに、御質問、御意見等があれば承りたいと思います。

 なお、関係省庁からの御出席者におかれましては、発言される前に御所属とお名前を述べていただいてから、御発言をお願いいたします。

 それでは、何かございましたらよろしくお願いいたします。

 速水委員、よろしくお願いいたします。

○速水委員 速水です。

 確認ですが、実際の報告書になったときには、資料4-2のようなものがどこかに入るのではなくて、資料5のシリーズとか資料6のシリーズとして、資料として配布されたものが載るという理解でよろしいでしょうか。まず、それを確認させてください。

○樽谷委員長 事務局から御回答をお願いできますでしょうか。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省です。

 先ほど御説明しました資料4-2の資料につきましては、今回資料5がたくさんあるため説明用に概要をまとめたものになります。中間まとめの中には今のところ入れる予定はありません。そして、目次案のところで御説明しましたが、資料2の目次案の第4章に今後の課題と併せて参考として環境省等の取組をケーススタディとして掲載することとしております。資料5と資料6については、この部分に載せていくイメージになります。

 以上です。

○速水委員 分かりました。ということは、資料2にある第2章の内容というのは、あくまでもデータの追加をしたような部分だけで、この四つある大目的に対して、前回の報告書では分かってなくて、今回どこまで分かったかとか、今回新たに発生した課題はとか、そういったところは今後の課題というところにまとめて書き込むという形になるわけですね。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省です。

 そうです。第2章において、それぞれの関係省庁等の取組をまとめた上で、第3章で成果等を取りまとめ、第4章で全体を通じて今後の課題をまとめていくようなイメージになるかと思います。

○速水委員 その場合、こういう資料が五月雨式に続くのではなくて、どこかで四つの大きい問題それぞれについて、何が問題なのかということ、それからどこまで分かっていて、どこが分かってないのかという、それを論じた上で分かっていたことに関しては環境省ほか省庁等よりこういう対策をしたと。それで、そこから分かったことや分からないこと、新たな課題は何であるということが、そういうまとめがどこかに入ったほうがいいと思いました。

 コメントです。

○樽谷委員長 ありがとうございました。今、速水委員から御指摘いただいたコメントの部分につきましては、恐らく今回の資料5でありますとか、資料6の内容を基に第2章の2番の実施状況・成果等でありますとか、第3章の実施状況・成果等のまとめのところで整理をして記載をしていくと理解をしていますが、このような理解でよろしいでしょうか。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省です。

 はい。そのような理解です。

○樽谷委員長 ありがとうございました。

 ほかに何か御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。

 古川委員、よろしくお願いいたします。

○古川委員 度々すみません。詳細な御報告いただいて、資料も頂いているので、大変なまとめで、要領よくまとめてくださいというのはお願いしたいところですが。ちょっと注目させていただきたいと思ったのは、タイラギの成長の影響評価等々を行った資料等の中で、濁度が効いているのではないか。それが餌料なのか、餌料環境を阻害する要因としてなのかというのが基の資料を拝見しても僕はよく分からなかったのですが。ただ、濁度というのはこの委員会の初めの前提である有明海の連関図みたいなものの中にはあまり明示的に書かれていなくて、特に有用二枚貝のところに直結している矢印を一生懸命辿っていっても、なかなか濁度のところに届いていない。きっとこれは今回おまとめいただいた資料の中で、とても大きな、新しい、大きいかどうか分かりません。新しい発見なのかなというように受け止めました。そんなことが含まれていますから、先ほど山口委員からも、全体のこの中間評価でどこまでやるのかということに対しては、結果を見てからということでしたが、少なくとも今の情報を聞いただけでも、連関図をもう一回見直す必要がある。それが濁度のような海域環境の変化、また山、陸側からの出水の影響というのが非常に大きく左右するパラメータが入ってくるということですから、この中間評価の段階においても連関図の見直しとそれに伴う対策の再検討というものも視野に入れて、この後整理を進めていかなければいけないのではないかなと思いました。

 以上です。

○樽谷委員長 ありがとうございました。今、御指摘いただいた点、特に28年度委員会報告で作成された連関図につきましても、もちろん新たな知見等を基にこれを修正なり、更新なりしていく必要があるかと私も感じています。

 事務局、そういう方向で進めていくということでよろしいでしょうか。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 はい。そのような方向で進めたいと思います。

○樽谷委員長 古川委員、ありがとうございました。

 ほかに御質問や御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。何かございませんでしょうか。よろしいですか。それでは、ありがとうございました。

 それでは続きまして、中間取りまとめの第2章のうち、残りのベントス、魚類、ノリ養殖、海域環境につきまして、まとめて事務局から御説明をお願いいたします。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省です。

 それでは資料4-2、1ページ目の一番上の行になります。

 項目につきましてはベントスの変化。テーマはモニタリング調査の実施・データの蓄積、ベントス群集の変化・変動要因の解析。タイトルは海域全体の底生生物の状況と変動要因の検討。発表者は環境省になります。実施年度は令和元年度。

 概要としては、ベントスの経年変化からベントス群集の種組成や個体数の顕著な変化等について確認するとともに、個体数が顕著に増加した海域を対象に、長期変動や短期変動に関する要因分析を実施した。その結果、底生生物の変動が著しい海域であれば、変動が小さい海域もあり、海域ごとに状況が異なっていた。特に個体数ではAfk-2ではホトトギスガイ、Asg-4ではダルマゴカイ、Ang-2ではカイムシ目やシズクガイ、Ykm-1ではホトトギスガイやダルマゴカイ、Ykm-3ではシズクガイなどが挙げられた。A2海域を対象にベントス群集の変化の要因分析を試行的に実施したが、今回の解析の範囲では明確な傾向は得られなかった。

 対象海域は有明海、八代海。

 成果としては、底生生物の変動が著しい海域もあれば、変動が小さい海域もあり、海域ごとに状況が異なっていることが確認できた。

 主な課題としては、底生生物の種や季節別の変化状況等に着目したデータの整理や、底生生物に影響を与える要因を整理して、底生生物と環境要因との関連性を確認する必要がある。

 主な今後の方針・計画としては、生息環境が限られた種に着目し、地点ごとの指標種として変動状況を評価。優占種個体数、門別組成比、多様度指数等と底質の変化状況との関係を地点別・時系列的に解析。ベントス群集の変動に影響を与える要因を整理し、地点別にその関連性を解析。

 小委員会の資料番号は5-1になります。

 続きまして、1行下の行になります。

 タイトルはベントス群集の変化・変動要因の解析。発表者は環境省になります。実施年度は令和元年度から。

 概要としては、海域環境をベントスの生息場所として捉え、各海域に生息する生物種の分布特性に基づいた解析を行い、生物種の出現パターンから各調査点の底質を中心とした海域環境の変動状況を把握した。その結果、有明海ではAsg-4は底質グループが経年的に移行し、Ang-2、Akm-1は底質環境が変化しやすい場所であり、Afk-1、Asg-4、Akm-2では底質と生物の変動に一致が見られず、底質以外の環境要因が影響している可能性が考えられた。

 八代海ではYkm-1、Ykm-6は底質グループの経年的な移行が見られ、Ykm-3、Ykm-5では生物グループの経年的な移行が見られ、Ykg-2は底質と生物の変動に一致が見られず、底質以外の環境要因が影響している可能性が考えられた。

 対象海域は有明海と八代海になります。

 成果としては、底質グループと生物グループに大きな変動が見られず、経年的に同様の状況を維持していると考えられる調査点が多かったものの、一部の地点では底質や生物グループの移行や底質以外の環境要因が生物の移行に影響している可能性が考えられた。

 主な今後の方針・計画としては、経年的に底質グループが変動している調査点では指標種と底質の比較を行い、要因を解析。

 底質と指標種の変動状況に関連性が見られない場合には、大雨等による大規模出水といった外的要因との関連性を検討し、影響の有無や程度等を整理・解析。

 沿岸部から離れている調査点等、出水等の影響が小さいと考えられる調査点は近傍の水質データ等と指標種との関連性を解析。

 小委員会の資料番号は5-2になります。

 続きまして、5ページ、3行目になります。

 項目は魚類等、テーマは貧酸素の軽減対策の検討。タイトルは二枚貝に関する資料の収集・整理・分析状況(貧酸素水塊の発生状況と予察の取組に係る整理と検討)。発表者は水産技術研究所、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県になります。実施年度は平成29年度。

 概要としては、有明海奥部の定点における継続的な貧酸素モニタリング結果を用いて、貧酸素の経年変化要因を物理的な観点から解析した。その結果、干潟縁辺域の貧酸素の経年変化は河川出水とそれに伴う密度成層の形成による底層潮流振幅の変化に依存する可能性があること、また、沖合域の貧酸素の経年変化は月の昇交点運動を考慮した潮汐振幅の変動で説明できる可能性があることが明らかになった。

 対象海域は有明海の奥部となります。

 成果としては、有明海奥部における貧酸素の経年変化要因を解析した結果、干潟縁辺域は河川出水とそれに伴う密度成層の形成による底層潮流振幅の変化に、沖合域は潮汐振幅の変動で説明できる可能性があることが明らかになった。

 課題・今後の計画等としては、今後においても、継続的な貧酸素水塊のモニタリングを行い、貧酸素の経年変化が月の昇交点運動を考慮した潮汐振幅の変動で説明できるかを解析し、解析結果から貧酸素水塊対策の方向性をまとめる予定。

 小委員会の資料番号は5-12になります。

 続きまして、1行下の行になります。

 テーマは赤潮の発生と増殖に係る各種要因の解明と予察技術の検討。タイトルは魚類に関する資料の収集・整理・分析状況(有明海・八代海における鞭毛藻赤潮に係る整理と検討)。発表者は水産技術研究所になります。実施年度は平成28年度~令和元年度。

 概要としては、赤潮発生状況や各種要因のデータを整理し、赤潮形成の予察技術の向上に向けた分析・検討を行った。その主な結果として、有明海はChattonella赤潮の発生は珪藻類が衰退した隙間で発生している可能性が示唆され、種間競合のモデル構築のための実測データ蓄積ができた。また、八代海では2~4月の気温と梅雨入りの日の2変量からの夏のChattonella赤潮の発生規模について、大まかな見通しを立てることができるようになった。

 対象海域は有明海・八代海となります。

 成果としては、赤潮発生状況や各種要因のデータを整理し、赤潮形成の予察技術向上に向けた分析・検討の結果、有明海ではChattonella赤潮に関する種間競合モデル構築のためのデータ蓄積ができた。八代海ではChattonella赤潮の発生予察技術が提案できた。

 主な課題としては、有明海における課題としては有害鞭毛藻赤潮の大規模化の発生機構・予察についての知見は少ないこと、また、有明海と八代海の赤潮発生の相互関係について検証が十分なされていないことが挙げられる。八代海の主な課題としては、Chattonella赤潮の衰退過程について不明な点が多いこと、現場で漁業被害を軽減するためには現状より精緻な手法が期待されること。Chattonella以外の有害種に関する知見は少ないことなどが挙げられる。

 主な今後の方針・計画としては、有明海では鞭毛藻赤潮の発生・大規模化の予察のための現場調査、室内実験のデータを集約し、統計的手法を用いて解析を実施する。また、鞭毛藻赤潮の発生について、有明海と八代海の相互関係を解明するために必要な観測・実験等を適宜実施する。また、八代海においては、関係機関によって蓄積されている現場調査や室内実験のデータを集約、整理後、適宜統計手法等を用いて解析を実施する。また、Chattonella以外の有害種に関する知見の収集を進めることが挙げられる。

 小委員会の資料番号は5-13になります。

 続きまして、次のページです。

 項目はノリ養殖の問題。テーマは赤潮の発生と増殖に係る各種要因の解明と予察技術の検討。水質の状況の把握。タイトルはノリ養殖に関する資料の収集・整理・分析状況(有明海におけるノリの色落ちにかかる整理と検討)。発表者は水産技術研究所になります。実施年度は平成25年度から。

 概要としては、有明海奥部における8地点及び中央部における8地点で水質、植物プランクトンの定期観測、一部地点で水質の連続観測を行った。それらの結果を踏まえ、ノリ養殖の養殖期間である秋季から春季における水質の状況や競合する赤潮に関する情報整理を行った。その結果、Eucampia zodiacusについては広域モニタリングから出現特性を把握し、その上で長期予察のため、赤潮発生年/非発生年について秋季の増殖メカニズムの仮説を検討した。また、冬季の赤潮化のメカニズムについて整理した。Skeletonema spp.については、生産維持の場として感潮域の重要性であること、増殖時期の環境特性について整理できた。Asteroplanus karianusについては、生理学的特性の解明、ブルーム発生時期の予察等について整理した。

 対象海域は有明海の奥部となります。

 成果としては、有明海奥部水質、植物プランクトンの定期観測等を行い、それらの結果を踏まえ、ノリ養殖の養殖期間である秋季から春季における水質の状況を競合する赤潮等に関する情報整理を行った。

 主な課題としては、ノリ養殖に最も影響の大きいEucampia zodiacusの初期発生期の動態について、更なる知見の蓄積が必要であること、赤潮発生時にノリ生産を継続するか、終了すべきかの判断材料が必要であることが挙げられる。また、環境項目などの連続観測と情報提供モニタリングの重要性、珪藻類を恒常的に摂餌する二枚貝資源の回復などの色落ち対策の必要性なども挙げられる。

 主な今後の方針・計画としては、モニタリングによる赤潮プランクトンの出現動態及び水質環境の把握を継続する。

 小委員会の資料番号は5-14になります。

 続きまして、1行下になります。

 タイトルは環境変化に適応したノリ養殖技術の開発(二枚貝類養殖等を併用したノリ色落ち軽減技術の開発)。発表者は水産庁になります。実施年度は平成27~30年度。

 概要としては、有明海及び八代海のノリ養殖施設周辺で二枚貝(アサリ、マガキ)とノリとの複合増養殖試験を行った。その結果、二枚貝の摂餌による植物プランクトンの除去効果や内外の排泄による栄養塩の添加効果を確認した。ただし、色落ちの軽減を図るためには非現実的な量の二枚貝を養殖する必要があることも示唆された。また、これまでに得られた知見を基に有明海福岡県海域を対象にアサリやサルボウなどの二枚貝による色落ち軽減効果を試算したところ、二枚貝資源の増加がより安定的な生産に貢献する可能性が示唆された。

 対象海域は有明海、八代海となります。

 成果としては、有明海及び八代海において、二枚貝とノリとの複合増養殖試験を行ったところ、二枚貝の摂餌による植物プランクトンの除去効果や二枚貝の排泄による栄養塩の添加効果が確認でき、二枚貝資源の増加がノリの安定的な生産に貢献する可能性が示唆された。

 課題・今後の計画等としては、二枚貝の摂餌による色落ち原因プランクトンの除去や排泄に伴う栄養塩供給によるノリの品質向上効果について定量的な評価を進めるとともに、二枚貝の増養殖と組み合わせることにより、相乗的な色落ち軽減効果が期待できる技術開発にも取り組むことで、効率的かつ実用的なノリの色落ち対策の提言を目指す予定である。

 また、気候変動に伴う海水温の上昇もノリ養殖の安定した生産を阻害する要因の一つであることから、高水温に適応したノリ育種素材の養殖試験を行うことにより、高水温に適応した品種の実用化についても取組を進めている。

 小委員会の資料番号は5-15になります。

 続きまして、7ページ目、一番下の行になります。

 項目は上記4項目の間接的に関連する海域環境等の再生方策の実施状況、及びその成果等の把握。テーマは気候変動による影響(出水頻度・規模増大に伴う物質挙動の変化等)。

タイトルは令和元年8月の前線に伴う大雨の影響。発表者は環境省になります。実施年度は令和元年度。

 概要としては、令和元年8月26日から29日の「令和元年8月の前線に伴う大雨」による有明海の底質への影響について検討を行った結果、大雨直後に湾奥部の測定地点のCODが顕著に高い値を示したが、湾中央や湾口の測定地点は大きな変動は見られず、大雨は有明海湾奥に流入する六角川・嘉瀬川流域が中心であったため、高いCOD値は大雨による影響の可能性が考えられた。また、その後の調査結果では多くの地点で引き続きCODが高い状況が継続しており、2019年の大雨による底質への影響が何らかの形で継続している可能性が示唆された。

 なお、底生生物については2019年の大雨直後において、例年と同様な個体数であった地点が多かった。Asg-4のみは例年と比べて個体数が大きく増加したが、2020年度夏季には例年と同様に少ない個体数に戻ったため、底生生物の個体数に対する2019年の大雨の影響はほとんどなかったものと考えられる。

 対象海域は有明海になります。

 成果としては、有明海の湾奥部において2019年の大雨による底質の影響が継続している可能性が示唆された。

 課題・今後の計画等としては、現時点では筑後川以外の有明海に流入した河川流量や淡水の影響範囲、底質以外の水質や流動等のデータから検証がなされていることなどの理由から詳細な要因解析に当たっては引き続き検討が必要である。

 また、2020年7月には「令和2年7月豪雨」が発生しており、筑後川をはじめとする八代海に流入する球磨川もかなりの流量を記録したことが想定され、2020年度夏季調査はその豪雨後に実施したものであることから、八代海においても当該豪雨による底質、底生生物への影響について検討することが考えられる。

 小委員会の資料番号は5-16になります。

 続きまして、資料の6-2を御覧ください。

 前回の小委員会で御意見を踏まえて修正したものになります。

 中間取りまとめ(第2章)案 藻場・干潟分布調査については前回の小委員会で古川委員のほうから全体の推定精度が高いように見えるとの御意見をいただきました。

 資料の5ページ目です。赤字のところを修正しております。全体精度のほかに作成者精度と使用者精度を計算しております。

 6ページ目です。表3の藻場解析精度について、一番下の行に作成者精度の計算結果を載せております。現地の調査の結果のうち何割が画像解析により正しく分析されたかを示しております。藻場であれば、現地調査結果の藻場は1万2,044地点あり、そのうち画像解析で藻場と判定したものは8,445地点となり、70.1%となります。

 一番右の列には使用者精度の計算結果を載せております。これは画像解析結果で分析し、分類した結果のうち何割が正しく分類されているかを示しております。藻場であれば、画像解析結果で1万2,044地点のうち8,445地点が正しく分類されており、70.1%となります。同様に干潟でも作成者精度、使用者精度の計算結果を載せております。

 続きまして、資料の6-3「中間取りまとめ案 海洋環境整備事業について」です。

 4ページ目です。前回の小委員会で矢野委員から図3の海洋環境整備船等による漂流ごみの回収実績の図に有明海と八代海の表示をしてほしいと御意見があり、図を修正しております。

 9ページ目です。内藤委員からチャットにて植物プランクトンのところで細胞数ではなく、細胞密度と表記したほうがよいという御意見がありまして、赤字のところを修正しております。

 続きまして、資料の6-4です。林野庁の実施する「有明海等の閉鎖性海域と森林に関する調査」についてです。前回三つの御指摘をいただきました。まずは松野委員からシミュレーションの結果、森林は経年により土砂の流出を減らしたという点と豪雨時に多く流出しているという記述の関係性が誤解なく伝わるようにしたほうがよいという旨の御指摘をいただきました。これについて、本調査においては、山地崩壊を含まない降雨による表面浸食量を推定していることを明記するとともに、森林は流出を抑える面もあるものの、豪雨時には多く流出する旨について、関連づけて記載をしております。

 それから2点目、橋本委員から土砂に係る数値について、流出・生産・発生のいずれの数値なのか明確化すべき旨、御指摘をいただきました。これを踏まえ、土砂について研究する箇所を基にどういう性質かが分かるように明記しました。基本的には流出量を述べている内容としております。

 それから3点目として、吉永先生から農地からの栄養塩の排出について、リンの流出が水田からのほうが畑からより多いのは検証が必要との御意見があり、その後、参考資料の御提供などもいただいており、現在頂いた情報を基にモデルの精緻化を図っているところです。まだ適切な結果が出ておりません。このため、現時点では今後の課題として分かるように記述をしております。

 修正箇所につきましては、赤字で修正しており、資料の1、4、5、8~10、12、14ページ目になります。

 ベントス、ノリ養殖、魚類、海域環境の説明は以上になります。

○樽谷委員長 ありがとうございました。ただいま、事務局からベントスの変化、ノリ養殖の問題、魚類等の変化、それと海域環境に関する事項等について、これまで関係機関から報告いただいていた内容を整理して概要という形で御説明をいただきました。また、前回の小委員会で御指摘いただいた点についても修正案を説明していただきました。

 ただいまの御説明につきまして、質問、コメント等ございましたらよろしくお願いいたします。

 まず、山本委員よろしくお願いします。

○山本委員 すみません。資料5-1と5-2で示されたベントスの変化のところです。ちょっと私も混乱しているのですが、この二つの内容はかなり重複していて、異なる小委員会で多分報告されてきたものがそのまま来てしまっているので、ちょっと何か整理がまだできてないように思えるのですが、何か海域の特性を分けたいという部分と、ベントスと底質環境との関連づけっていうところに重きを置いて書いてはあるように思うのですが、どちらかというと資料5-2のほうでかなりの部分がカバーできてしまっていて、これ二つの項目に分けたほうがいいのかなあとか、分ける意味があるのかなあとか思ってみたりもするのですが。もうちょっと意図されている役割というか、私が勘違いしていたら教えていただきたいのですが。

○樽谷委員長 ありがとうございました。資料5-1で記載されている内容と、資料5-2で記載されている内容の仕分といいますか、役割分担に関する御質問だと思います。

 事務局からご回答いただけますか。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 はい。環境省です。

 今、資料の整理といたしましては、それぞれの小委員会で報告したものを個々にまとめたという状況ですので、内容が確かに重複しているようなところもあるかと思います。まとめる方向で検討したいと思います。

○山本委員 ありがとうございます。何て言ったらいいのか、これまでの議論の成り立ちから、海域ごとに特性をはっきりさせて、それぞれの海域ごとに対策が打てるようにしようということで、海域を分けるという作業を最初にしているのですが、そこにあんまりとらわれると、多分うまく説明ができないかもしれなくて、海域に分けて説明したほうがしやすければもうかっちり分けてしまって、それぞれの海域の変化とその要因というものの御説明をされていけばいいと思うのですが。多分変化がうまく見えるような形で整理をして、それの要因を追求していくという形で整理されたほうが分かりやすいかなあと思います。私ももう一回見直してみます。

○樽谷委員長 ありがとうございました。事務局でも、ただいま頂いたコメント等も参考にしていただいて、ベントスの変化の部分についての整理については再度御検討いただければと思います。

 それでは続きまして、矢野委員、お願いいたします。

○矢野委員 九州大学の矢野です。

 最初に御説明いただいた資料4-2の7ページ目ですが、そこの一番最後に書かれている「令和元年8月の前線に伴う大雨」の影響っていうことですが、そのタイトルのテーマが気候変動による影響になっているのですが、この雨が気候変動の影響を受けて生じたかどうかというのがまだ多分気象学的にはっきり言われてないと思います。ちょっとそれ確認していただきたいです。少なくとも気象庁とかから気候変動の影響を受けたというようなことの発表はあってないように思いますが、気象庁からでなくても例えば気象関係の研究者の論文等で影響があるというような発表があってあるのであればそれを根拠に言っていいと思いますが、そういうものなしに気候変動による影響と言ってしまうのはちょっと問題があるのではないかなと思いますので、御検討いただきたいということです。よろしくお願いいたします。

○樽谷委員長 ありがとうございました。

 根拠等について再度確認をしていただくとともに、根拠がなければテーマを変えるなり、検討していただくという趣旨だと思います。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省です。

 御意見ありがとうございます。確認したいと思います。

○樽谷委員長 それでは、橋本委員お願いいたします。

○橋本委員 資料6-4についてです。この中で例えば11ページの図11などに土砂流出量という表現があります。他にも随所に土砂流出量という表現があります。この表現だけから見ますと、あたかも、砂や礫が流出したように読み取れます。しかし、よく見ますと、3ページの下から2行目などにはSSとか濁度を測定しているというような表現があります。要は、テクニカルタームの使い方に注意が必要だと思います。土砂流出じゃなくてSSの流出、あるいは微細土砂の流出、あるいはサスペンディッドソリッドですから、浮流の形態で流出した土砂の流出量とか、そのように表現しないと、極めて誤解を与える表現になっていると思います。ぜひともそこら辺、説明なり何なりをこのレポートの中に加えていただきたいと思います。

 以上です。

○樽谷委員長 ありがとうございました。こちらは林野庁さんになるかと思いますが、今の橋本委員からのコメントにつきまして、そういった方向で再度用語の使い方について検討していただくということでよろしいでしょうか。

 林野庁さんはまだご出席されていないのでしょうか。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省です。

 まだ入っていないようですので、また林野庁さんと相談したいと思います。

○橋本委員 よろしくお願いします。

○樽谷委員長 それでは、山室委員よろしくお願いいたします。

○山室委員 はい。資料5-13と5-15について教えていただきたいです。

 まず5-13の図3で2014年というところに緑色のダッシュが入っていて、晩期化っていう緑の矢印が入っていますが、これが2013年と14年の境のところにデータが1個しかなくて、それが7月と6月に赤潮が発生していて、以後は6月に発生してないから晩期化と書いたのかもしれませんが、2014年以前のデータが1個しかないのに、晩期化というのはちょっとどうかというのが一つです。実際のところ、2018年に7月の5日に既に始まっているのがあるので、7月の5日っていうのはもう6月下旬とそんなに誤差の範囲だと思いますので、わざわざ晩期化って明言したところがちょっとよく分からなかったというのが1点。

 それから、Chattonellaの赤潮は漁業被害があるかないかというのが非常に重要だと思いますが、この表を見ていると最高細胞数と漁業被害にはある程度細胞数が高いものは確実に漁業被害があるのですが、最高細胞数が2,000超えていても漁業被害がないとか、なぜ漁業被害があるのか、ないのかっていうことがこの表からは分からないんですね。なので、別にChattonellaが発生しても漁業被害が起こらないのであれば問題にはならないと思いますので、もうちょっとどういう漁業被害がどこで起こったのかというのが分かるような表現をしていただいたほうが今後につながるのかなと思いました。それが資料の5-13です。その緑の晩期化というところと、それから漁業被害の有無っていうのが恐らく丸が被害があったっていうことですよね。そうすると、何か、一番上1,350最高細胞数があるのに被害がなくて、下側では510しかないのに被害があるっていうことがあるので、どうも被害がある、ないっていうのは単に細胞数だけではないようなことがここから読み取れるということです。なので、もうちょっとどういうところで被害があって、そこでの細胞数がどうかとか、そういうことが分からないと、この表は何を言いたいのか分からないのではないのかと思いました。

 もう一つは資料5-15ですが、この資料全体でアサリによる植物プランクトンの取り込みと、それから栄養塩の添加が色落ちを防ぐのに役立つというようなことを言われていて、私これ前回の委員会でアサリの色落ちが発生するような時期には非常に低水温だから、その水温で実験しないと意味がないのではないかということをコメントさせていただいたと思いますが、そのコメントについては全く何か修正とか追加の記載とかがないので、その点について再度、どうお考えなのかを教えていただきたいと思います。

 以上の2点です。

○樽谷委員長 ありがとうございました。まず1点目が資料5-13、有害赤潮のところの図3の記載ぶりといいますか、最高細胞数と漁業被害との関係でありますとか、晩期化という表記について、もう少し分かるような記載が必要なのではないかという御指摘だったと思います。

 この点につきまして、事務局から何らかの回答できますか。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省です。

 水研さんから何か頂けたらと思いますが。

○樽谷委員長 熊本県さん、松山委員よろしくお願いします。

○松山委員 今、画面に表示いただいているのが先ほど山室先生のほうから御指摘がありました図3の一つ前の図になりまして、1989~2019年までのChattonellaの赤潮の4~10月までの発生時期をカレンダーのように表示した図になっておりまして、これを見てもらいますと2014年より前の年の発生パターンも読み取れるかと思います。やはり6月の末から7月いっぱいに過去よく出ていた部分が最近8月のお盆過ぎぐらいに集中するようになっているということで、ここである程度晩期化しているところが読み取れるのではないかなと。図3はそれをもう少し細かく表示したということになっている状況です。よろしいでしょうか。

○山室委員 すみません。私もこれを見ていたので、89年とか、あとそれからもっと言うと、2009年とか9月までいっていますよね。この色がよく分からないのですが、漁業被害なしも入れたら、2009年とかも9月の末までいっていますので、この図をもって晩期化したっていうのはちょっとどうかなっていう気もしたのですが。

○松山委員 そうですね、厳密に統計的な処理をかけているわけではないですが、現場の公的試験研究機関あるいは鹿児島県さんの漁業者団体で調査に携わっている方々の印象としては2015年ぐらいから赤潮の発生がかなり遅れぎみになってきているという、まあそういうような御指摘もありまして、資料が整理されているというような状況です。ちょっと統計的なところは私も正直分からない状況です。

○山室委員 ありがとうございます。その晩期化ということが、漁業被害ですとか密度とかそういうのにも関わってきて、明らかに例えば水温が後のほうまで上がるとかそういうことで説明できるのであればいいのですが、まずこれ本当に晩期化なのかということがよく分からなくて、なおかつそのメカニズムも分からない状態で、晩期化という言葉をわざわざ緑で強調して入れるのはどうかという気がいたします。少なくとも私はこれを見ただけでは晩期化しているとは納得できないです。

 以上です。

○樽谷委員長 ありがとうございました。もう1点が資料5-15について、アサリによる植物プランクトンの除去効果等について、ノリ養殖が行われているような低水温時に果たしてこのような効果が有効に発揮できているのかどうか、その点も含めて検証しているのかどうかという御質問だったと思います。

 こちらにつきましては、まずは水産庁さんから御回答等できますでしょうか。

○鏑木水産庁栽培養殖課係長 水産庁栽培養殖課の鏑木でございます。

 本件について、前回も御指摘を受けていたというお話でございましたが、私のほうですぐこの場でアサリの具体的な現場での効果について、明確な考察がということに答えを申し上げられる情報とか持ち合わせてなくて、もし座長から補足していただければお願いしたいと思うのですが、よろしくお願いします。

○樽谷委員長 小委員長の樽谷でございます。

 私も少しこの取組には関連をしていますので、補足させていただきます。

 アサリの効果につきましては、基本的に現場での実証試験はノリ養殖時に行っています。それと植物プランクトンの除去効果につきましても、アサリのろ水量等の試算は水温の関数として、低水温時のろ水量等を考慮して、試算はしております。これで御回答になってますでしょうか。

○山室委員 それでしたら、実験をしたときの水温ですとか、そういうことちゃんと明記しておいたほうがいいと思います。

○樽谷委員長 はい。分かりました。そういったところはしっかり資料等に記載するようにしていきたいと思います。

 ほか松山委員は何かございますか。

○松山委員 先ほどの赤潮に戻るのですが、赤潮の発生規模と漁業被害との関係が必ずしも一致しないというところに関しましては、発生した赤潮のうち魚をへい死させるような水塊が養殖漁場に流入するかしないかというところの流れ込みの微妙な違いとか、あるいはそのタイミングにおいて、漁業者さんが餌止めとか、いわゆる赤潮の被害を軽減させるための取組をどれだけ徹底して行うかと、そういったとこの人間の側の対策によって被害が大きく変わってきますので、必ずしも赤潮の発生規模と被害が1対1で一致するというわけではないということは御理解いただけたらと思っております。

○山室委員 ありがとうございます。であるならば、対策として既に赤潮被害を軽減する手法が漁業者さんはお持ちということなので、そういうのをいかに効率よくできるようにするかということこそ、どこかに書かれているといいのではないかと思いました。ありがとうございました。

○松山委員 ありがとうございます。恐らくこの後の小委、第3章、第4章が取りまとめられていく中で、今先生のおっしゃったようなところの取組というところが紹介されていくのではないかなと考えております。ありがとうございます。

○樽谷委員長 ほかに御質問や御意見、コメント等ございませんでしょうか。

 松野委員長よろしくお願いいたします。

○松野委員長 貧酸素水塊の発生状況に関して、一つだけ。月の昇交点運動との関連についてコメントをさせていただきたいと思います。

 資料5-12の図8のところにも出ていますが、潮汐振幅と潮流振幅の2010年ぐらいから16年ぐらいまでの増加状況が非常によく合っているように見えるので、その関連を追っていく、示唆するということだと思いますが、18.6年周期の変動について、6年間ぐらいの変化を取り出して議論するのはちょっと強引なのではないかなということと、もう一つ潮汐振幅については、この増加分、例えば2010年から11年くらいから2016年くらいまでの増加量が全体の4%くらいです。それに対して潮流振幅は60%くらい増えています。潮位とか潮流は、単純に考えれば、同じくらいの比率で変動すると思われますので、振幅が数パーセント増えたときに潮流が数十パーセント増える理由はこれだけではちょっと説明がつかなくて、何かほかのことを考えなきゃいけないのではないかという気がします。ですので、このデータだけから18.6年周期の影響を取り出すのはこの時点ではちょっとまだ無理があるのでもう少し検討が必要ではないかという気がします。

 以上です。

○樽谷委員長 松野委員長から頂いたコメントにつきましては、以前もコメントをいただいていたところです。水産技術研究所の担当者も含めて改めて相談等をさせていただいて、対応について検討させていただければと考えていますが、そのような対応をさせていただいてよろしいでしょうか。

○松野委員長 ありがとうございます。よろしくお願いします。

○樽谷委員長 はい。こちらこそよろしくお願いいたします。

 ほかに御質問、コメント等ございませんでしょうか。

 山口敦子委員お願いいたします。

○山口(敦)委員 度々すみません。

 全体的なところでコメントと確認をしたいのですが、今回のこの中間取りまとめはこれまでの委員会報告とは違う方向性になっていて、まとめ方も違うように思います。前回までは比較的全体的なことについての議論が交わされてきたのですが、先ほども言いましたように、今回は幾つかに集中した内容になっているかと思います。全体を俯瞰的に見るような視点が欠けているような印象も与えてしまいますし、生態系としての視点に基づく内容もそれに比べて少ないと思います。以前にも何度かこの議論の偏りについては指摘されてきたと思いますが、その傾向が目立っているようですし、改善されていないので、最低でも今後の検討事項として抜けているところを十分な存在感を持たせて加えておいたほうがいいのではないかと思いました。今まで議論に挙がってきたのに、今回の中間取りまとめからは触れられなくなってしまうと、もうそれは必要ないというメッセージになるような気がしています。

 あと、前回の委員会報告以降に行われた様々な研究報告の取りまとめをされるというよりは、今回は各県や国が行っている事業を集めて、それを取りまとめるという方向性だと理解したのですが、そういう理解でよろしかったでしょうか。先ほどの中間報告の位置づけも関係機関等の再生方策の実施状況や成果等をまとめて整理を行ったもの、という説明でした。だとすると、今回の中間取りまとめでは、今までの小委での発表資料を、いずれもそのまま一つずつまとめて掲載する形になっていますので、中間報告の位置づけ、として冒頭で書かれた内容とは一致しませんし、指摘されてきましたように、私も指摘しましたが、様々なレベルのデータや結果の精査、議論の積み上げのようなことがあまりされないまま、掲載されることになるのかと思います。

 それから、先ほどから幾つかデータ等についての指摘もあったと思いますが、もう1点気になるところがあります。資料5-1から各県などによる事業が各々まとめられていますが、前回の委員会報告以降のものに絞られているものと、それ以前のデータの長い時間軸でまとめられているテーマもありまして、統一されていません。これまではこのように個別の事業を一つずつ列挙して掲載するようなスタイルではなかったので、このままでは、どのような積み上げがあり、それぞれにどのような関連性があって、何が新しい成果なのかを見いだすことが非常に難しいのではないかと思います。なので、やはり取りまとめ方に工夫をする必要があると思いました。

 先ほど古川委員も言われましたが、委員会の当初から議論してまとめてきた知見があって、それからさらに知見の更新ができたところもあるはずだと思います。それをきちんと一旦整理して、これから何が必要なのかをここでまとめておく必要があるのではないでしょうか。短い時間なので、この小委員会の中だけで議論を尽くすことは到底できないでしょうが、どこかでしっかりと議論したものを中間取りまとめとして公表する必要があるかと思います。これが全て委員会でオーソライズされたものとして出ていくことになりますので、その点注意が必要です。

 以上です。

○樽谷委員長 ありがとうございました。前半については、特に生態系の部分について記載等も少ないし、バランスという点でも少し欠けているのではないかという御指摘だったと思います。そちらについても今後の課題も含めて、しっかり記載していく必要があるという御指摘だったと思います。

 2点目については、それこそこの中間報告の取りまとめをどうしていくか。特に2章、3章の記載を具体的にどのようにしていくかというところに関する御意見だったと理解をしています。

 現時点で事務局から、今後の方針も含めて御回答いただくことは可能でしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室行木です。御指摘ありがとうございます。

 2章に関しまして、本日までのところでは個別の資料5、資料6の関係でかなり大量の個別の紹介させていただいておりまして、冒頭の議題の1辺りで御説明させていただきましたとおり、2章、3章、4章とまとめていくときにはただケーススタディとしてまとめるということだけではなくて、ここから見えてくるものを整理していこうと思っております。これまでの議論も平成15年からの知見もしっかり踏まえたうえで新たになっているところが何なのかということなどもきちんと整理していくべきという御指摘をいただきましたので、それも踏まえて、この先中間取りまとめをまとめる際に参考にさせていただきながら検討していきたいと思います。非常に大変重要な御意見だと思います。また先生方と御相談をしながら、この先取りまとめ作業に向けて進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○樽谷委員長 山口委員、よろしいでしょうか。

○山口(敦)委員 はい。ありがとうございます。大変な作業だとは思いますが、できるだけ多くの方が関わって、様々な調査・研究等やられてきていますので、よりよいものができるように、よろしくお願いいたします。

 あと、恐らくその後の委員会報告を作る際にもこの中間取りまとめの方向性が非常に大事になってきますので、その先を見据えながら作成することが重要だと思っています。

 以上です。どうもありがとうございます。

○樽谷委員長 ありがとうございました。ほか何かよろしいでしょうか。

 古賀委員お願いします。

○古賀委員 はい。資料4-2の1ページ目の一番下の欄です。タイラギの分ですが、概要の一番下、「海底直上は海底マイナス1メートルよりも濁度が高いことから、これにより何らかの摂餌障害を受けている可能性が示唆された」と書いてあります。この基になる資料5-3を見てみますと、11ページですね。この濁度が高いことが摂餌障害につながるというような根拠というか、そういうのが全く書いてありません。基本的には確かに海底直上というのは、濁りは高いと思いますが、海底から切り離したら生き残りが良いということは、濁りそのものや底質の元々の何らかの成分というか、そういう部分の影響がなくなったこともあろうかと思うんですね。この濁りについては28年度報告を作る際にいろんな議論をしてきていますので、濁りが摂餌障害につながるような根拠があれば、そういったことも示しながら書いていただければなと思います。この資料4-2の成果の欄に濁度による摂餌障害の可能性という表現がされていますが、何と言いますか、あまりにも短絡的な表現ではないかなと思った次第です。

 以上です。

○樽谷委員長 ありがとうございました。こちらについては、松山委員から何かコメントできますか。

○松山委員 はい。ちょっと明確に濁りの影響を現場の観測データのみから拾っていくというのはなかなか難しいのではないかというところが正直ありまして、古賀委員の御指摘のとおりだと思っております。

 一方で福岡県さんが行われた試験を見ますと、海底に直接植えて食害を完全に防止した籠でもやはり2割とかへい死をするわけですが、そこから1メートル上げた、同じ泥を入れてこんな1メートル海底から上げたものはほとんど死亡が見られないということ。この差がもしや濁度の違いによって説明できるのではないか、そういった示唆をしているところですので、やはり現段階でこの海底の濁りがタイラギのへい死にかなり大きく影響しているかどうかというところは少し議論が必要なのかな、もう少し室内実験などでどのぐらいの濁り、実際に有明海で観測される濁りでどの程度の疲弊が見られるのかという、そのような直接的なデータが揃ってくればここの辺りが少し明らかになるのではないかと考えている状況です。

○樽谷委員長 ありがとうございました。古賀委員よろしいでしょうか。

○古賀委員 はい。濁りが摂餌障害に直接つながるかどうかですね。そういう部分もちょっと検討していただければなと思います。

○樽谷委員長 ありがとうございました。ほかよろしいでしょうか。

 それでは、関係機関におかれましては、本日頂いた意見等を参考に引き続き資料の修正等について取り組んでいただければと思います。また、事務局におかれましても、本日頂いた意見等を基に中間取りまとめに向けた作業を進めていただきますようお願いいたします。

○古米委員長 すみません。樽谷委員長、古米です。私は委員ではなく、オブザーバーとして参加させていただきましたが、事務局に問合せたら、発言もいいですよということだったので、大体最後になったので、一言発言させていただきたいと思います。

○樽谷委員長 はい、分かりました。

○古米委員長 よい機会なので、今、平成28年度の取りまとめの一覧表と今回の中間報告との関係を見ていました。今回作成するのは中間報告なので、これら全てを網羅する必要はないのですが、ある程度関連づけて整理することは必要だと思いました。

 ここに表示したのが調査委員会報告の目次ですが、ここら辺の話は今回も書いてあって、こっちの話は中間報告なので要らないのですが、後ろにある再生取組でどのようなことをやったかということは必要です。この最初のところに、有明海・八代海がどういう状況なのかという環境変化のところについて、今回の場合にはベントスと有用二枚貝とノリ養殖と魚類っていうのが重要なので、それをまず示されています。そして、それに主に関係するような底層のDOの話だとか、栄養塩の話だとか、水質のところが出てはいます。今回の中間取りまとめとしてはよいのかも分かりませんが、ある程度これらの状況に関連するような環境が最近、昔からどう変わったのかというようなところを、第2章の頭の辺りに入れ込む可能性はあるのかも分からないように感じました。これが一つです。

 もう一つは全体の中で、やはり評価委員の皆さんも思っておられると思いますが、評価委員会はしっかりとした調査データを評価しないといけないと。中間取りまとめとはいえ、ある程度しっかりとしたまとめをしたいという気持ちをお持ちの方おられるのでしょう。しかし、実際上、議論する時間が非常に限られているのに対して、非常に大量のデータがあって、なおかつ一個一個のデータがほかのものとも深く関わっているので、なかなか精査するのが大変であるというところです。令和8年の最終とりまとめまでにはそうしないといけないのでしょうが、中間取りまとめ、とにかく来年度中ということですので、5-1という中間報告の位置づけということで収集・整理をして進捗状況を整理するということで、取りまとめに向けて評価を継続して行い、最終的な令和8年に向けて取りまとめますと書いてあります。ある意味最終目標はこうだと書いた上で、今回は中間報告なので、最終的な評価については最後に委ねていくというような言葉がここにしっかりと書いておくことが必要かもしれません。やはり中間とは言え、報告という言葉で出ることから、皆さんちょっと心配をされているように私も感じました。先ほどの資料5のシリーズだとか、資料6のシリーズの最後のところでこんなことが分かった、あるいはこういうことがまだ課題として残っているということを書く場所がありました。言い換えると、そこをそれぞれについて、中間報告書作成までに、その成果について信頼度を持ったデータなのか、確実なデータなのかという評価を書くところでやっていただくとか、この課題は非常に緊急度が高いものなのかどうなのかというようなことを、それぞれの資料の最後のところに追加いただくとよいのではと思います。先ほどのようにまだまだ精査しないといけない部分があるとか、ある程度皆さんが納得いただいているものだとかというのがわかるとよいかと思います。中間報告書には、資料や参考資料としてたくさん並ぶと思いますので、それぞれについて信頼度、確実度、緊急度なども併せて整理ができるとよいのではないかというように思いました。まだ1年あるので、そこら辺の参考資料のところにそういった情報を追加することによって、概要の取りまとめというところも意味づけがしっかりできるのではないかなと感じました。

 次に、最後の三つ目です。今回の場合に、先ほど山口委員も言われたように、有明海と八代海があり、例えばA1からA7とかに分けて、個別水塊、海域に対して再生方策も書いているし、海域全体についても書いています。今回は個別ではなくて、全体的な位置づけの中でそれに共通的に関わるような調査のことが、個別の海域で行われたものとして整理されてしまうと、どこかで今回の研究成果調査は、全体の中でどこで行われた研究調査であり、それはその個別海域にとって非常に重要なものなのか、あるいは、別の海域にとっても大事で役立つのかがわかるようにすべきです。したがって、個別海域の話なのか、全体としての役立つ話なのかという点を明確にする必要がありそうです。したがって、調査の成果の特徴について、何かマトリックスみたいなものでのまとめが来年度中にできると、それぞれの個別水塊の調査結果として意味があるのか、全体としての成果としての取りまとめなのか、どういう位置づけの成果なのかが分かりやすくなるのではないかと思いました。

 大きく三つ分けて言いましたが、平成28年度のときの項目に対して中間取りまとめはどういうところをカバーしているのかということを明確にして、その上で中間報告の1の5の中間報告の位置づけをしっかり書き込むことが必要であろうということと、それぞれの調査結果についてはまだ精査すべき点があるものと、ある程度皆さん納得いただけるものがあるので、それぞれの各省庁あるいは県やっている内容の確実性というか信頼度みたいなものについて言及いただいた資料を参考としてつけていただくことがとても大事だろうということと、最後は個別の海域に役立つ話と全体に役立つ話ということをうまく整理したマトリックス表みたいなものを来年度中には作っていただくといいかなと思いました。

 来年度の取りまとめに向けて気になった点を発言させていただきました。

○樽谷委員長 古米委員長、貴重なコメントありがとうございました。今後の中間取りまとめを作成するに当たっての進め方も含めて事務局とも相談をしながら、しっかり方針を固めて進めていきたいと思います。

 事務局もそういう方向でよろしいでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 はい。閉鎖性海域対策室です。そのように進めさせていただきたいと思います。貴重な御指摘ありがとうございました。

○樽谷委員長 それでは、ありがとうございました。

 本日ご存じのように、大量の資料を配付させていただいています。委員の皆様におかれましては、ほかにも御意見等があるかもしれません。その場合、本日から1週間を目途に御意見や御質問等ございましたら、事務局にメール等でお寄せいただくことにさせていただきたいと思います。なお、その後の修正内容等につきましては両小委員長に御一任させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、そのように進めさせていただきます。

 続きまして最後の議題、その他ですが、事務局から何かございますか。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐  事務局からは特にございません。

○樽谷委員長 本日の小委員会全体を通して何か各委員からございますか。よろしいでしょうか。

 それでは、本日予定されていた議事につきましては全て終了いたしました。若干終了時間が過ぎてしまいましたが、議事進行への御協力に御礼申し上げます。

 それでは、進行を事務局にお返しします。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 樽谷委員長、ありがとうございました。

 事務局からの連絡です。本日の議事録ですが、後日事務局より確認依頼を行いますのでよろしくお願いいたします。内容確認後、議事録は環境省ホームページで公開させていただきます。

 次回の小委員会も合同開催とする予定です。開催日につきましては、後日、日程調整等させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは以上をもちまして、第7回水産資源再生方策検討作業小委員会及び第7回海域環境再生方策検討作業小委員会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午後5時37分 閉会