有明海・八代海等総合調査評価委員会 海域再生対策検討作業小委員会(第5回)会議録

1.日時

平成25年10月28日(月)13:30~15:30

2.場所

アクロス福岡606会議室

3.出席者

小委員会委員長 滝川清委員長
委員 有瀧真人委員、小松利光委員、山口敦子委員
臨時委員 清水晃委員
専門委員 橋本晴行委員、牧秀明委員
事務局 水環境課長、水環境課閉鎖性海域対策室長補佐

午後1時30分 開会

○高山室長補佐 ただいまから有明海・八代海等総合調査評価委員会第5回海域再生対策検討作業小委員会を開催いたします。
 最初に、本小委員会は公開の会議となっておりますことを申し上げます。
 本日の委員の出席状況ですが、欠席のご連絡を山口啓子委員、白谷委員、古川委員、松野委員よりいただいておりまして、本日は7名ご出席ということでございます。
 続きまして、環境省水・大気環境局水環境課長の宮崎よりご挨拶申し上げます。

○宮崎水環境課長 環境省の水環境課長の宮崎でございます。有明海・八代海等総合調査評価委員会の第5回の海域再生対策検討作業小委員会の開催に当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。
 本日は、有明海・八代海等総合調査評価委員会の岡田委員長をはじめ、本小委員会の滝川委員長、有瀧委員長、そのほか委員の皆様方にお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 有明海・八代海の再生につきましては、有明海・八代海等を再生するための特別措置法に基づきまして基本方針を定め、関係各県はこの県計画に基づきまして各種対策を実施しているところですが、本日午前に行われました生物小委員会でもございましたように、現状ではなお赤潮の発生、有明海の湾奥西部で貧酸素状態が確認されており、まだまだ有明海再生へは道半ばと考えておるところでございます。
 本日の小委員会では、有明海・八代海の海域ごとの環境特性に沿った形での再生方策策定のため、ご意見をいただくこととしております。有明海・八代海の課題の克服には、環境悪化の原因要因の特定と、再生へ向けた再生像やその再生手順の提示といった、この評価委員会の役割がとても重要だと考えておるところであります。
 皆様方には、本日の検討におきましても、忌憚のないご意見をいただきますよう、お願い申し上げて、私のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○高山室長補佐 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
 まず、議事次第がございまして、次に資料1としまして委員名簿、資料2(1)「検討の進め方」、資料2(2)「有明海・八代海の環境」、資料2(3)「海域ごとの環境特性について」、資料2(4)「再生方策検討のための環境特性把握」でございます。それから委員のみの配付とさせていただいておりますけれども、参考資料1として、本日午前中に開催された生物・水産資源・水環境問題検討作業小委員会の資料を添付させていただいております。資料の不足等がございましたら、事務局のほうまでお申しつけください。
 報道取材の皆様は、これ以降のカメラ撮影はお控えいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 これ以降の進行は、滝川委員長によろしくお願いいたします。

○滝川小委員会委員長 承知いたしました。滝川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 各委員におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、ほんとうにありがとうございます。
 ご承知のように、前回まで4回の小委員会が開催され、その中で各委員にはご了解、ご確認いただいていると思いますけれども、今年度の検討項目といたしまして、これまで報告、収集されたデータを整理し、海域の特徴を海域区分ごとに把握してみましょう、それに基づきまして、要因、原因の連関図の見直し、あるいはその作業を進めたいということといたしております。
 本日は海域区分と環境特性についてということで、議事次第の最初に項目が挙げてあります。具体的には裏のほうを見ていただきますと、配付資料にありますように、資料2(1)では、そのための検討の進め方、それから資料2(2)で有明海・八代海の環境、資料2(3)で海域ごとの環境特性について、資料2(4)で再生方策の検討のための環境特性把握ということで、その四つの観点から、どういう考え方で進めるかを含めまして、ご検討いただくことになっております。約2時間を予定しておりますが、項目が四つでございますので、説明を15分程度、それから質疑応答を10分程度ということで進めていく必要があるかなと思います。議事進行へのご協力をよろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは早速、始めさせていただきたいと思います。まず資料2(1)、検討の進め方につきまして事務局よりご説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○川岸主任研究員 では、お手元に資料2(1)「環境特性の把握(1)―検討の進め方―」をお願いいたします。
 まず、この資料の中身ですが、表紙に目次を入れておりますように、再生方策の検討、それと環境特性の解析手法についてという資料で構成しております。このうちの「1.再生方策の検討」につきましては、小委員会の中で最初からずっとお話をさせていただいた資料を再掲しております。といいますのは、今から先、作業を進めていく上で、いつも戻って正しい進め方をしているかどうかという確認をしようということで、毎回の小委員会では出させていただこうと思っておるためでございます。ですから、3ページのフローが一応ベースということで、これも前回の小委員会で中身は説明させていただきましたので省略いたしますけれども、いつもこれに立ち戻って、正しいやり方というか、このフローに沿った進め方をしているかどうかチェックするために、これを入れているとご理解ください。ですので、説明につきましては飛ばさせていただいて、6ページからさせていただきます。
 今、委員長から、今回は有明海・八代海の環境がどうなっているのか、その特性を把握するために、海域区分をしてというお話がございました。
 その前にまず、これは実は前回の小委員会で少しお話をさせていただいたんですけれども、どういう手法で解析をやっていくのかというベースとなるところについて、もちろん皆さんご存じだと思うんですが、復習というか説明のために、今回使っております解析手法、クラスター分析についての説明資料を6ページから8ページまで入れております。
 ここも細かい話はもちろん省略させていただきますけれども、いろいろな情報――要するに、具体的に言いますと、流動もあれば、水質もあれば、底質もあれば、生物の情報もある、いろいろな情報があって、その情報をどのように使って海域を区分して、その特性を把握するかということで、その区分の一つの手法として、今回、クラスター分析を取り上げております。
 その具体的なところについては、1枚めくっていただいて、次の9ページから、底質を参考に、実際にクラスターの解析をやった結果を事例として挙げておりますので、こちらで少し細かく説明をさせていただければと思います。
 9ページには、表の真ん中にありますように、対象データを載せております。これは、このときの作業に使った対象データでございます。平成16年度から20年度までのデータを使っています。通常ですと、平成16年から20年まで全てのデータがそろっているものでやるのが基本だと理解はしているんですが、有明海の場合、なかなか同じ項目で長期間にわたって同じ地点でずっとデータがとられているという項目がすごく少ないのが現状です。ですので、ここにもありますように、平成19年度のCODは5月しかデータがないといった、あったりなかったりというデータを使ってどのようにやっていくか、これも後の資料でもう少し詳しくお話ししますが、そういうことも一応、事務局で考えた上で、こういう方法でやってみてはどうかと考えています。
 しかも、9ページ下の調査地点を見ていただければわかるように、地点も年度によって違います。こういったものをどうやって整理していくか、この委員会で皆様からご意見をいただければ、それで少し修正をかけて、なるべく精度のいい、いい方法にしていきたいと思っています。
 解析した結果の一つの事例として、見開きになりますが、1枚めくって11ページをごらんください。このときには、もちろん海域区分をするという目的でやってみたんですけれども、項目としては16年度、17年度、18年度、19年度、20年度の中では、19年度だけがCODがないという状況ですが、ある項目で各年でクラスター解析をやってみて、どのように分類できるかということをやってみました。
 結果はレーダーチャートの形で図の下に入れていますけれども、大体、毎年三つの区分に分けたときには、ここで書いていますとおり、海域のaというところは、シルト・粘土分、含水率、硫化物、CODが相対的に最も高い海域、それから中くらいの海域b、それからCODが最も減りますけれどもという海域cということになるんだと。その三つについては、19年は少し形が違いますが、16年も17年も18年も大体同じような形になります。実は裏面にもう1年、平成20年がございますが、平成20年も大体同じ形になるということで、後ほどもう少し詳しくは説明いたしますけれども、一応こういうやり方も、ある程度海域の特性が把握できる手法の一つとして採用できるんじゃないかと考えております。
 12ページの一番右下は、16~20年度まで、全てのデータを使ったものです。これでいきますと、さすがにちょっとa、b、cの区分が、先ほどの単年度よりも少し、特に海域cと区分したところでの硫化物の量なんかが、若干形が変わるところがございますけれども、aについてはやはりシルト・粘土、含水率、硫化物が非常に多い、bは真ん中、cは少ないという、ある程度の区分ができるだろうと考えています。ということで、こういう手法でやっていきたいと考えております。
 さまざまな具体的に項目を使ったクラスター解析の結果については、後ほど資料2(3)で、もう少し詳細に説明をさせていただきたいと思っております。
 資料2(1)については以上でございます。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございました。
 海域環境の特性を整理していく上で、収集されたデータをどう活用していくのかです。とられているデータの内容や、あるいは年度によって調査の地点、項目も多少変わっているといったことも含めて、海域の特性をどう把握するのかというときに、ある統計学的な手法であるクラスター解析を使った検討という、そういうご紹介といいますか、ご説明でございました。
 何か委員のほうからご意見、ご質問等あればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。最後の図は、軸が三つになったり四つになったり各年度で異なっております。これは多分、全海域を通じて共通の項目だと三つぐらいしかないから、軸が三つになってしまっているからでしょう。軸が違うので、形がかなり異なっているように見えます。そういった注意が必要なのかなと思いますが。まあ、イグザンプルということでございますので。
 よろしいでしょうか。特にご意見がなければ、また後のほうで同じような図面等が出てまいりますので、ご質問があればお伺いしたいと思います。
 それでは、次のご説明をしていただきたいと思います。資料2(2)の海域環境の把握ということで、有明海・八代海の環境につきまして、事務局よりご説明をお願いいたします。

○川岸主任研究員 では、お手元の資料2(2)「有明海・八代海の環境」をお願いいたします。
 この資料では、表紙の目次に書いておりますように、1章には、有明海・八代海の環境の概況ということで、後ほど説明いたしますが、評価委員会の委員会報告より、有明海・八代海がどういうものなのかという簡単な概要を入れています。それから、委員会報告にやはりまとめられています、先ほど滝川委員長からもお話がありました連関図についても、ここに再掲して、もう一度確認をさせていただきたいと考えています。それをもとに、3章で、少し詳細な有明海・八代海の環境特性を整理していますので、説明させていただきたいと思います。
 表紙をめくっていただいて、1ページ目をごらんください。有明海・八代海の環境の概況ということで、これは評価委員会の委員会報告から丸々引用ですので、皆さんご存じだと思います。有明海・八代海の諸元について、1ページには文章が、2ページには図面がございます。それから、3ページ目には、有明海・八代海以外の、東京湾、伊勢湾、大阪湾との諸元の比較表もありますので、ご興味のある方はごらんになられればと思います。
 この委員会報告の中で、有明海と八代海の水質・底質について、整理されております。その内容を少しだけ紹介したいと思います。
 4ページをごらんください。公共用水域の水質測定結果を長期的に整理してみて、変化傾向がどうなのかというものを少し整理しております。長期的にということなので、全部のデータを使って1次回帰をとってみて、その傾きがプラスなのかマイナスなのか、まず大まかなつかみをしようということでの整理でございます。
 4ページ目の下の表、それから5ページの上の表を見ていただくと、赤いマスのところでは右上がりの傾向、それからブルーのところは右下がりの傾向、それからグレーあるいはバーのところはデータがない、あるいはプラマイの傾向が見られなかったところでございます。
 実際にこれでいきますと、水温、塩分、CODについては、場所によってはプラスのところもあるしマイナスのところもあります。TN、TP、SSについては、マイナスのところもあれば、そうじゃないところもあります。それから、5ページのほうをごらんになると、データの期間が実は4ページの表と少し違うんですけれども、ここでもやはり場所によって若干傾向が違うことがご理解いただけるかと思います。ですので、有明海全域が同じような形で変化をしているというわけではないことを再確認するために、ここでご説明させていただきました。
 その地点図、それからデータにつきましては、次の6ページ、7ページに入れております。このときは、大体、有明の全域をカバーするような地点のデータでの整理をやっております。
 それから、同じように報告書には、透明度の12カ月の移動平均がどうなっているかというものを載せております。8ページの一番上のグラフでございます。ちょっと注釈が切れていて申しわけございません。これも実は場所が若干違います。ちょっと注釈が切れているんで、私のほうで読み上げますが、Aは福岡県の沖です。Aはピンクですね。それから黄色のA´は佐賀県の沖合です。それからCは諫早湾沖から対岸に至る範囲です。Cは水色です。それから紫色のDは長洲から三角の間の熊本県沖です。それからEが有明町から布津町に至る島原沖、そしてFが湾口部ということで、場所によって透明度の移動平均が整理されているんですが、上のグラフを見ていただければおわかりのように、各場所によってもともとの値が全然違うというか、変化の傾向はある程度同じところもあるんですけれども、やはり違うというところをご理解いただければと思います。
 同じようなことを実は八代海でもされていまして、その結果は9ページの上にございます。水温、COD、TN、TP、SS、透明度と、各項目を見ていただければわかるように、地点ごとでやはりどうも傾向が違うというのは、八代海でも同様です。地点図は下、それから今の根拠となるようなグラフについては、次の10ページに入っています。水質については、もちろんかなり大きく動く部分なので、地点によって違うということです。
 次は底質です。11ページからですが、まず有明海の底質の分布ということで、真ん中に大きな図があります。皆さんもご存じのように、湾奥、湾央、熊本県の地先、それから島原の沖合から湾口にかけてで底質の性状が随分違います。中央粒径の値だけ、経年変化も報告書に少し載っておりましたので下のほうに引用していますが、年によって少し分布が変わってきているということはもちろんありますけれども、やはり全部一様に変わってきているというわけではないと考えています。
 同じように八代海の底質の性状が12ページに参考として挙がっているんですが、これもさまざまな色で塗られているということは、やはり場所によって底質の性状は全然違うということを示しているということで、先ほど来お話ししていますように、今回、小委員会のほうでは、有明海・八代海の環境を把握するためにはやはり区分しないといけない、場所によって随分違うということを重視して、作業を進めていきたいと考えています。
 評価委員会の報告には、問題点と原因の要因の関連の可能性ということで、通称、連関図と私ども呼ばせていただいている図面を載せておりました。それが14ページと15ページに入っております。これは、当時集まってきたデータをもとにつくられたものです。ちょっと13ページに戻っていただきたいんですけれども、13ページの③に、報告書に記載されている内容を引用していますけれども、この相関図には定量的に明らかなもの、定性的に明らかなもの、可能性は指摘されているものの根拠となるデータ等が明確でないもの、こういったものが混在していますと。これを出発点として、今後、検討を進めていきたいと明記されております。
 ここの小委員会でも、この相関図はもちろんスタートなんですけれども、これをもとに、先ほどお話ししましたように、環境が場所によって違うということで、同じ環境のところ――要するに海域区分をして、区分された海域ごとにこういう連関図をつくっていく必要があるだろうと考えて、作業を進めていきたいと考えております。
 実際に海域によってどのぐらい特性が違うかの例として、次の16ページから、少し細かく区分したものを入れております。この区分につきましては、区分の仕方はいろいろございます。ここでは一応、底質と底生生物をクラスター解析にかけ、同じような組み合わせになるようなところということで区分したものです。最終的な区分はどうなるかは、次の資料でまたお話ししますが、区分の仕方は、また形が変わるかもしれません。ここでは一応、こういう区分をしても環境が随分違うよというところを紹介したいということで入れております。
 17ページで説明をいたしますが、有明海を大きく底質の区分で整理しますと、四つに分かれます。17ページの表の一番左側の欄でございます。底生生物は、有明海の中では、クラスターで解析したときには3区分でできるということで、おのおの組み合わせができます。ですから、17ページの上のほうではA-II、A-III、それから真ん中でB-II、CはIとII、それからDもIとIIという底質と底生生物の組み合わせで区分をすると、こういう組み合わせができるということです。
 そうすると、そこの底質はどうかというと、Aですと、クラスターの解析の事例として最初にお出ししたものと大体一緒なんですが、有機物、栄養塩の堆積量が非常に多い泥のところです。それからBのところになると、少し泥分が減ってきます。それからCのところになると、少し砂がまじってきて、Dのところというのは、かなり砂のところという、大きくはそういう区分になります。ベントスについては、種類数、個体数は少ない、湿重量も少ないと。整理の観点を種類数、個体数、湿重量に置いてやったということもあるんですが、そういうことである程度の組み合わせができます。
 その中の優占種をここにずっと入れていますが、ごらんになっておわかりのように、どこも同じものがなかなかいません。やはり有明海は場所によって、すんでいる生物が随分違うことをご理解いただけると思います。
 それから横のほうには、もちろん水質、負荷ということで、これはわかっている情報を、データでわかっているものについては黒文字で、それ以外の情報、例えばシミュレーションの結果、あるいはヒアリングの結果といったもの、あるいは定性的な情報については赤で、この表の中では表記していますので、そういうふうにごらんいただければと思います。
 それから、裏側18ページには、同じ区分の項目がまだ少し続いております。懸濁物の挙動、それから水塊構造、赤潮がどうなのか、貧酸素水塊がどうなっているのかという情報を一応整理したものですが、水質については、ある程度似通うところが出てくるんですけれども、それでもやはり、場所によってある程度、環境が違ってくるというのが、この表での整理かなと思っています。
 19ページには、同じようなやり方で、八代海も整理をしてみました。ただ、八代海につきましては、ほとんどデータがございませんので、底質と底生生物以外のデータは、今のところ、ごらんになっておわかりのように、ほとんど赤文字です。ですので、八代海については、今から少しデータをとってこれを黒く――定量的に評価していくことが必要なのかなとは思います。
 八代海は同じように、底質は4区分、底生生物は4区分で、その組み合わせで分かれています。これもやはり19ページの真ん中あたり、色を塗っている欄のところを見ていただくとわかるんですけれども、同じような底質性状で同じような種がある程度重なるところがございますが、優占種①、②、③全ての組み合わせが同じところはないということで、八代海も、場所が違うと、すんでいる生物は全然違っていて、ということは、やはり違うところは違うというような環境の把握の仕方をやっていかなければいけないだろうと考えているところです。
 資料2(2)については、以上でございます。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま説明いただきました資料2(2)、有明・八代海の環境ということで、従来の評価委員会で議論されてきたものをベースに、こういう環境になっているというところを詳しく見ていくと、どうも一概に一くくりでするのは難しいよねということで、水質、底質、あるいは底生生物との関係を詳しく見る必要があるという意味合いでのケーススタディーといいますか、今までのデータからのご説明でありました。
 これに関しまして、各委員のほうから、何かご質問、ご意見等ございませんでしょうか。

○牧委員 細かいことなんですけれども、一つは1.2の水質ですが、COD、TN、TP、SSに関して――まあ透明度も含めて、年平均値というやり方でいいと思いますけれども、水温、塩分の場合は、季節変動と降水、淡水流入の影響がありまして、相当、季節成分を含んでいるので、1年間丸めて平均値というのは如何かなと思います。「浅海定線調査を分析した文献等の概要」のところに「冬季の水温に上昇傾向」とかありますので、できれば季節を分けてご検討頂きたい。特に塩分は、冬季に淡水流入の問題があって、成層強化と栄養塩の付加等、結局、珪藻赤潮が出るか出ないかという非常に大きな要因になりますので、年間の値を丸められるよりは、季節毎にくくっていただいたほうが、より特性が浮かび上がるんではないかという気がしますので、ご検討いただければと思います。
 それから、ちょっと説明をお願いしたいんですけれども、12ページで、これは多分、既に環境省の報告書になっているものだと思うんですけれども、図1.9はどういうふうにゾーンを見ればいいんですか。例えばシルト、細砂分となって、それが優勢だというふうに考えたらいいんですか。

○川岸主任研究員 ご意見ありがとうございます。
 水質の整理につきましては、今日ご説明させていただいたのは、報告書に載っているものですので、今後また水質の整理をやりますが、その際には留意して、年平均値みたいな形の整理ではなく、季節変動を考慮した整理は考えていきたいと思います。
 それから、12ページの表層の堆積物の粒度の整理については、別に、泥が多い、砂が多いということを言うつもりで掲載しているのではなくて、場所によって随分粒度が違うことをご理解いただければというつもりで入れているだけでございます。なので、これは経年変化でも何でもないです。例えば、八代の向かって右上が湾奥になりますけれども、湾奥のほうでは青い部分があるが、球磨川から南側のほうでも少し青いところがあるしという、いろいろなところにシルト分が広がっている、あるいは細砂分も随分あっちこっちに広がっていることを紹介したかったという意味です。

○牧委員 大体わかりました。(2)は、経時的な変化ではなくて、例えば青いところは、シルトが優勢だと考えればいいのね。シルト分が多いところだと。

○川岸主任研究員 ここはシルト分が多いところです。そういう意味ですね。失礼しました。

○牧委員 あと、これは前回、夏の7月のときもお見せいただいた3.1の17ページの有明海の環境特性を整理した表ですが、水質・負荷についてやはりちょっと気になるんです。例えば、「PO4は中間程度」「その他の項目が中間程度」という判断の目安をお願いしたいんですけれども。

○川岸主任研究員 作業途中の表で、申しわけございません。
 先ほどお話ししましたように、ここは底質と底生生物で区分して、区分した海域ごとの比較ということで文章をつくってしまっているところがありますので、全体の中での中間とか、つくっているものでございます。
 これは後でお話ししますけれども、今からまた、新しいデータをこれに追加して、海域区分をどういう形でやるかが最終的に決まって、その区分ごとの環境特性の中では、先ほどお話しになりましたような年平均値ではなくて、季節変動も含めた定量的な評価をこの中に入れていく、そして、この表が最終的に、この区分のままかどうかは別にしても、完成すると考えております。

○牧委員 じゃあ、現時点ではイメージ的なものだと。はい、わかりました。

○川岸主任研究員 そのようにご理解ください。

○滝川小委員会委員長 ほかに何かございますか。
 底質、底生生物、水質、あるいは流況等、こういったもののここでの事例は、過去集められているデータですから、結果的には、今おっしゃるように年の平均値、あるいはずっと積分されたものが今入っているということです。ですから、当然、時系列を考えなければいけない事態になるかと思いますし、どうやって時系列を検討していくのか、そういうデータを新たにとり始めなければいけないところもございます。そういう観点からご指摘いただければと思います。
 ほかによろしいでしょうか。ございますか。
 今までの海域環境の捉え方をもう少し掘り下げて、条件等々がそれぞれ異なるので、海域別といいますか、地点別の捉え方をする必要があるという共通認識を持っていただければという説明といいますか資料だとご理解いただきまして、今から先の本題、どうやって海域区分して、環境特性を理解して、評価しながら再生のあり方につなげていくのかというところが重要かと思います。そういったことを踏まえまして、ご意見がなければ、次のところに進ませていただいて、十分なご議論をいただければと思います。
 それでは、資料2(3)の海域ごとの環境特性についてというところで、ご説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○川岸主任研究員 お手元に資料2(3)をご用意ください。
 ここでは今お話ししましたように、環境特性を把握するため、幾つかの区分をしましょう、その区分の仕方でクラスターを使うというお話をさせていただきましたが、その結果の事例を幾つか入れています。ここは少し細かく説明をさせていただきたいと思います。表紙をめくっていただいて、1ページ目をお願いいたします。
 有明海・八代海で現在、同じ手法で同じ地点で、1ページ目の表1.1にございますように、途中抜けたりがございますけれども、2003年から2011年までモニタリングをされている結果は、環境省さんのデータと国土交通省さんのデータと二つございます。これより前はもちろんあるんですけれども、同じ手法でずっとやってきているというところで、このデータが一番、経年的な変化を踏まえたものと今のところ私どもは考えていまして、この有明海・八代海のデータをベースに、いろいろなことをやっていこうと考えているものでございます。
 その中で、上の文章のところに書いておりますけれども、底生生物については、通常、海域ではスミス・マッキンタイヤー型採泥器を用いて採泥をします。従来ですと、大体3回採泥して、その結果で底生生物の同定をやってきているんですけれども、有明海・八代海の場合、別途の調査結果でわかっているんですが、採泥回数が3回ではやはり足りないと。少し整理してみますと、最低でも7回、8回ぐらいまでやらないとということもございまして、今のところ採泥回数を10回ということで統一したデータを使っていこうと。その条件に合うものは、ここに書いていますように、環境省ですと2005年以降、国土交通省ですと2004年以降となります。ですので、そのデータを使って整理をしよう、これをベースとしようと考えています。
 地点は、1ページの下の地点図にあるような地点でございます。両方とも、ごらんになっておわかりのように、乾湿する部分、要するに干潟部分のデータが、実はここの中には含まれておりません。ですので、それについてはまた別途の調査結果を追加していくんだろうなと思っているんですが、とりあえず今のところ、今お話ししたような条件に合うということで、これらの地点のデータ――ですから乾湿しないところ、どちらかというと有明でも八代でも深いところのデータを使ったことを踏まえられて、今からの結果を見ていただければと思います。
 では、次の2ページをお願いいたします。これはまず、先ほどお話ししたような手法でございます。有明海の底質のクラスター解析、それから底生生物のクラスター解析をやって、その組み合わせでどういう区分ができるかというものをやったものです。
 結果については、まず3ページの絵をごらんください。左側は底質の区分で、右側は底生生物の区分ですけれども、丸の囲み方によって随分形は変わりますよねというご意見はもちろんあると思います。ですから、どちらかというと、囲み方というよりも、各地点の丸に結果の色を塗っておりますので、それをご確認ください。
 湾奥のほうをごらんになると、底質の区分ですと、Aという赤丸が非常に多いです。それから諫早湾の中でもAという区分があります。これは、下のレーダーチャートをごらんいただくと、一番外側です。レーダーチャートのおのおのの項目に数字が入っています。シルト・粘土分ですと94.6、含水率ですと67.5ですが、これは全データの中の最大値を示しています。このレーダーチャートは、全部のデータを0~1までに正規化して表現したものだというふうにごらんください。
 ですから、全ての項目で最大値を示すところがAだと見ていただければいいかと思いますが、そのAの中で、右側の地図の底生生物――どういう区分でクラスターにかけるかというのはあるんですが、ここでは一応、軟体動物門、環形動物門、節足動物門、その他ということで動物門で分けています。そのように分けていいのかというところは、下のグラフをごらんください。そうしますと、①のグループはどちらかというと環形動物が多く、次いで節足動物が多い、②というグループですと節足動物が非常に多い、③は、①よりもさらに環形動物が多い、それから④は三つ大体同じぐらい、⑤は軟体動物が多いと、そういったそれなりに特徴が出ているのではないかと考えて、ここでは一応、門ごとの個体数の組成比でクラスター解析を行っています。
 上の図をごらんいただくと、左側の底質のAという、要するにシルト・粘土も多い、含水率も高い、強熱減量もCODも硫化物まで全ての項目が多いところでも、底生生物の門別個体数の組成を見ると、地点によって違うことが見てとれるかと思います。
 もちろん主流なところは、底生生物でいうところの④、要するに軟体動物も環形動物も節足動物も大体同じぐらい――ちょっと節足動物が少ないんですが、そのようなところ、でも、その中では場所によっては、①というふうに環形動物が非常に多いところ、あるいは軟体動物が非常に多い⑤というところもあるのがご理解いただけるかと思います。
 これはやはり、今から海域区分をして環境特性を把握しようとするときには、非常に重要な点だろうと考えています。底質だけでは、海域区分はしても、なかなか難しいです。というのは、同じ底質のように見えても、すんでいる生物が違うためでして、その点をやはり留意すべきだろうと考えています。
 同じように、底質の区分でいうと、Bのところを見ていただければ、Bと、例えば底生生物のところの③というのは非常にぴったり合うんですけれども、熊本沖合のほうでは同じような底質の性状Bのところでは、底生生物でいけば④があったり⑤があったりというぐあいで、どうも底質のクラスターの解析の結果と底生生物の解析の結果はぴったり合うというわけではないのが、ここでの結果の一つだろうと思います。ですから、少なくとも、海域区分を考えていくときは、底質だけでオーケー、底生生物だけでオーケーということではないだろうと考えています。
 実は同じようなことを八代海でもやりました。それが4ページと5ページでございます。5ページに先ほどの有明海と同じような図面を入れていますが、ここでもやはり有明海と同じです。クラスターでかけると何か同じような底質区分になるんだけれども、すんでいる生物が随分違うという結果が見えるかと思います。やはりこれも有明と同じように、底質だけではだめだし、逆に底生生物だけでもだめだろう、両方、少なくともセットで考えて、海域区分、あるいは環境特性を把握することが必要だろうと事務局ではこれをもとに考えています。
 次に、底質、底生生物以外のクラスター解析の事例の紹介をさせていただきますが、水質についてもクラスター解析をやられている事例がございますので、紹介したいと思います。6ページをごらんください。浅海定線のデータのうち、水温、塩分、透明度、DO、COD、DIN、PO4-Pの7項目を使い、データは5メートル層のものを使って、クラスター解析をしたときにどのようになるかという結果でございます。地点が6ページに入っています。それから7ページでは、どこで切ったかというデンドログラムを入れております。
 それで区分したなら、どのような結果になったかというのが、8ページでございます。この8ページの区分の図は実は前回の小委員会でも出しましたが、あまり詳しく説明しなかったので、少し説明をさせていただければと思います。
 8ページの左下にあるような水質のデータでクラスター解析をすると、分かれそうだというところが見えています。この結果は、各区分がどういう関係にあるのかが右側の不等号の式で表現されています。特にこれで見ていただきたいのは、下から二つ目のDINです。当たり前といえば当たり前なんですが、先ほど牧委員からありましたように、DINは流入河川の影響をかなり受ける部分なので、河口で非常に高く、河口から遠ざかるに従って低くなるという結果がよく出ています。特にB――筑後川ですので有明海では最大の流入負荷源です――そこから入って、それがAのほうに行く、あるいはCのほうに行く、Dのほうに行く、それからEに行く、Fに行くというのをこの不等号が示しているのだろうなと考えております。
 それから、各区分がどのような年間変動をしているかというグラフを9ページに入れています。縦軸をどうとるかによって、グラフがくっついたり離れたりするのは当たり前の話ではあるんですけれども、それなりに傾向が出ています。特に、先ほど評価委員会の委員会報告でもお話ししたようなところでは、左側の上から二つ目の透明度は、やはり各海域ごとに全然値が違います。それから水温、塩分は、河川水の影響もあるので、河川水の影響が大きいところがあり、それ以外の河川水の影響が少ないところではちょっとくっついたように見えるのは仕方ないかなと思いますが、透明度の下のCOD、それから右側のDIN、左下のPO4-Pについて、見ていただくとおわかりのように、あまりグラフは重なっていません。ということは、水質は多分つながっている、底質よりも移流拡散しやすいんで同じになりやすいと思われがちですけれども、実は水質でも海域区分をしてみると、それなりに区分ごとに環境が違うことがおわかりいただけるかと思います。
 次のページをお願いいたします。ここからは、水質とか底質ではなく、生物から見た環境特性ということで、二つ事例を紹介しようと思います。
 実はもう一つ、今お手元に配付している資料の中で、有明海の海域区分に関する資料があるかと思います。これは実は、生物・水産資源・水環境問題検討作業小委員会で議論された結果でございますので、申しわけございません、これは有瀧委員から紹介していただければと思います。お願いいたします。

○滝川小委員会委員長 よろしくお願いいたします。

○有瀧委員 有瀧でございます。お手元の資料をごらんください。
 我々、生物小委では、二枚貝類、それから赤潮、貧酸素について現在進行形で検討中でございますが、ここにあります資料は、本委員会に既に発表したものも含んでおります。
 3ページの下にタイラギ、それから4ページにサルボウ、アサリの海域区分がございます。これは二枚貝の検討をしたときに、それぞれの魚種については、やはり海域を区分して、いろいろな問題を整理し、出てきた結果からどういうものを導き出していくかを構成委員の中で検討した結果でございます。
 まず、タイラギのほうをごらんください。タイラギは、有明海の干潟域、西部海域、東部海域、諫早湾と4海域に区分ができるとしたものです。
 それから、めくっていただきまして、サルボウです。サルボウの場合、ざっくりと大きく有明の西部と東部と海域を分けて考えるのがよろしいでしょうということです。
 それから、アサリについては、生息域が沿岸域に偏っておりますので、沿岸域を諫早湾と有明海の干潟域、それから中南部海域と3海域に区分して考えるのがよかろうということで分けました。
 前に戻っていただきまして、1ページ、2ページにかけて関連したデータを出しています。
 まず1ページは、浅海定線の地点と項目、それから2ページには、過去40年近くずっと継続してきた浅海定線のデータをデンドログラムにかけて分析したクラスター解析の結果から、この論文では海域をこういうふうに分けたということです。(B)を見ていただきますと、有明の奥部のほうはざっくりと右と左に分かれる、それから中部海域では熊本県側と中央部に分かれるというような大きな区分になっております。
 それから、その下は、佐賀大の速水先生が、海域区分を大区分と細区分に分けられているものです。下のほうの細区分を見ていただきますと、速水先生のほうで、有明海の中央部、奥部、諫早湾、それから熊本の沖合の浅海域というふうに分けておられます。
 それと、3ページ、これが我々の二枚貝における海域区分の大きな要因になりました。午前中、生物小委でも議論した夏場に発生する貧酸素水塊についてです。夏場8月から9月ぐらいにかけて貧酸素水塊が発生するんですが、発生海域を見ると、有明の西部海域を中心としたもの、それから諫早湾を中心としたものに分かれます。これを基に、海域を分けていくと、貧酸素の影響が強いところ、それと弱いところ、それから諫早湾に分けられると判断されました。ということで、有明海で生じる二枚貝類の問題を検討した海域区分に合致していくデータもあるということでございます。
 以上です。

○川岸主任研究員 ありがとうございます。続けさせてもらいます。
 最後、11ページでございます。今日ご出席されている山口敦子先生の研究結果を、有明海に生息する魚類から見たときに海域区分ができないだろうかということで、引用させていただいたものです。
 ここでは、主要な水産対象魚種であるシログチ、シタビラメ、フグの3種類を挙げておりますけれども、シログチにつきましては、島原沖合が産卵場になるし、そこから湾奥までは輸送される輸送経路になるし、湾奥が生育場になるというふうに、シログチの生活史から見たときには、多分大きくこういう区分ができるんだろうということです。それから、シタビラメで見ると、湾奥部で生活史が完結するのであれば、そこがシタビラメの生活環境だと。あるいは、フグにつきましては、産卵場がシログチより少し湾口に寄るようですけれども、やはり湾口部が産卵場で、それからずっと輸送されて湾奥で生育するという区分ができるだろうと。そういうことをこの図をもとに考えていきたいとは考えています。
 ただ、ちょっとここで、これも前回少しお話をさせていただいたと思うんですが、有明海・八代海の海域区分をする際に、もちろん海図上での有明海、あるいは特措法の基準である境界線の有明海を、まずはベースとして考えてはいくんですが、11ページに出ているシログチ、フグの絵を見ていただければおわかりのように、特に魚類という移動性の非常に強い生物を対象として、そこの海域環境を考える、特性を整理しようとするときには、人間が決めた有明海という区分、あるいは橘湾という区分に、もちろんシログチもフグも従っているわけではございません。ですから、生物から見た海域区分、特に魚類から見た海域区分をして環境特性を把握しようというときには、橘湾あるいは外海とのつながりというところも少し考えた上で区分を考えていきたいと思います。そうしないと多分、シログチ、あるいはフグの生活の確認、あるいは把握は難しいだろうと考えています。もちろん、今まで紹介した図などは、戻っていってぱっと見ていただければわかるんですが、海図上の有明海・八代海の区分でずっと区切られた範囲です。ただ、それは水質、底質という観点から見たときの特性の把握の仕方であって、魚類から見たときには、少し幅を広げて考えていかなければいけないと考えています。
 資料2(3)は以上でございます。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございました。
 ただいまのご説明では、先ほどイグザンプルがあったんですが、海域区分を考える上で、底質、底生生物、あるいは水質、さらには生物――特に二枚貝、魚類というふうに、いろいろなサイドから海域を区分してみたらという事例をお話しいただきました。それで、海域のそれぞれの特徴が非常に複雑だよねという報告になっているんですが、何かこれに関しまして、各委員からご質問、ご意見あれば。はい、小松先生。

○小松委員 有瀧委員にお聞きしたいんですが、この生物・水産資源の小委員会の提出資料の3ページ目でタイラギ、サルボウ、アサリと色分けしていますよね。この色の意味について説明がなかったんですけれども、教えていただけないでしょうか。

○有瀧委員 意味は特別ございません。その図、その図でわかるように分けています。

○小松委員 いやいや、意味があるから分けられるんじゃないんですか。

○有瀧委員 色自体には意味はござません。

○小松委員 だから、例えばタイラギだったら、赤のところはどういう意味合いで分けているのか。赤と黄色では何が違うのかという意味です。

○有瀧委員 理解いたしました。我々はそれぞれの生物を検討し、へい死の要因であるとか、様々な問題に横串を刺していきました。そうすると、例えばタイラギでは、黄色いところは貧酸素の影響を非常に受けるところ、緑色のところは貧酸素の影響は受けないけれども、立ち枯れへい死と呼ばれるようなものが起こっている、それから、諫早湾のところは、個別の要因で資源が少なくなっている、それから干潟域については、貧酸素の影響を受けにくいので、現状ではある程度資源が残っていることが明らかになってきました。従って同じ有明海のタイラギでも、それぞれの海域で分けて現状を整理して問題の要点を抽出していこうと判断したわけです。

○滝川小委員会委員長 よろしいでしょうか。

○小松委員 はい。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。今、何でこういう色分けをしたのかという図の具体的なご説明の文章がありませんので、理由といったらおかしいんですけれども、なぜというところの情報をいただきながら、我々としてはぜひ整理していく必要があると思います。

○有瀧委員 済みません、各種対象における海域区分の理由は、本委員会の資料についています。

○滝川小委員会委員長 そうですか。じゃあ、改めまして、そこをまた整理していただき、ここで使えるようなデータとして活用していきたいと思います。
 ほかに何かご質問等ございませんでしょうか。はい、どうぞ。

○牧委員 クラスター解析、これは前回から引き続き推し進めていただいているという理解しています。データがたくさんあると、確かにTPとかTNとかCODとかも含めてやるんですけれども、多分本質的に、底質の場合、シルト・粘土分、粒度組成、それから含水率、強熱減量、硫化物のご三家か四家ぐらいでいいと思うんですよ。だから、窒素、リンは、クラスター解析のとき相関的にあまり引っ張ることはないと思うんですけれども、「あるからこれを含めてしまう」というよりは、作業的には増えてしまうかもしれませんけれども、TN、TPというあまり本質的でないものを消してしまってというか、基本的な3項目、4項目に絞ったときにどうなるかというものを、よければご検討いただきたいなと思います。
 それから、最初、川岸さんからご説明があったときに、非常にひっかかったんですけれども、スミキンの採泥を7、8回から10回ぐらいおろさないと、結局、底生生物があまり確保できないという理解なんですか。要するに、あまり(底生生物が)いなくて、データとして十分得られないので、7、8回で回数を稼いで、底生生物を十分確保するということなのでしょうか。それで私の理解が正しければ、1平米当たりの現存量の単位はどのぐらいになっているのか教えていただきたいんですが。

○川岸主任研究員 まず、底質のクラスター解析に使った項目につきましては、ここでは載せていませんが、項目ごとの単相関がどうなっているのかは確認しております。相関が強いのは、どちらかで代表できるという考え方も、統計上当たり前ですけれども、こういう区分をするのは初めての試みですので、まずは全体をやってみようということで今回出させていただいております。最終的には、項目はこれより少し絞られてクラスターをかけてもいいんじゃないかなと考えています。
 それから、底生生物の件は、別に生物が少ないから最大回数を10回にしているというわけではございません。これについては、別途の報告がございますので、ご興味があれば、牧先生にはもちろんお渡ししますし、ほかの方にも、よろしければ文献を私のほうから送らせていただきたいと思います。

○牧委員 わかりました。
 あと、細かいことですけれども、おそらくこれは単純ミスだと思うんですが、8ページから9ページのμmolについて、栄養塩はμmolで正しいんかもわからないけれども、あとは全部、多分ミリグラムリットルじゃないかと思うので、ここは確認して、修正願います。

○川岸主任研究員 わかりました。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。
 ほかに何かご質問、よろしいでしょうか。
 底質なり水質なり、あるいは底生生物、魚類という見方をしていくと、きちんと領域がある程度分けられるものと、特に最後の11ページの魚類のように、海域区分では魚種別に見ていく必要があるものとがあるということです。そういったことも含めまして、今後、この海域区分をどうした場合に、どのようにそこの環境の特性を考えていくのか、あるいは再生に結びつけていくのか、そこが非常に重要なポイントになるかと思います。ぜひ先生方のご指導を仰ぎたいと思いますので、そこにご留意いただければと思います。
 ほかによろしいでしょうか。特にないようであれば、今後のまとめ方ということで、非常に重要な話題になるかと思いますが、次の資料2(4)、「再生方策検討のための環境特性把握」ということで、それぞれの考え方、あるいは今申し上げたように、どんなふうにこの海域環境を整理していくのかについてご説明をしていただき、ご意見を伺いたいと思います。
 それでは、事務局のほうからご説明をよろしくお願いいたします。

○川岸主任研究員 では、資料2(4)をお願いいたします。
 ここでは、副題にありますように、再生方策を検討するために、どうやって環境特性を把握していこうかということを考えている内容を資料としてまとめています。
 表紙をめくって1ページ目、一番最初の再生方策検討の視点というところをごらんください。まず、一番最初に説明いたしました資料2(1)で、フローをお見せいたしました。これもずっとお話をしてきていることなので、ご理解いただいているかと思うんですが、フローのところには、今のところ全体の目標はもちろんないんですが、ここの作業では、生物多様性を考えること、有明海・八代海はいろいろな環境特性を持っているので、その個々の環境特性に応じた生物多様性のある海域環境を目指すこと、これを目標として、作業を進めていこうということにしております。
 その中で、具体的な再生方策をどうやって考えましょうかというところでは、今までお話をさせていただいてきたと思うんですが、生物の生息環境という観点から、再生技術、再生方策を考えることを基本方針として掲げていこうと思っております。
 この再生技術の検討、方策の検討について、どのように考えるかを下に書いております。生物の生息環境という観点から考えようということですので、生物の生息環境を構成する底質環境、水質環境、流動環境、それから地形環境――全部、環境という言葉をつけさせていただいたんですけれども、そういういろいろな条件を生物生息環境という観点から評価して、適切な再生技術を推し進めるための方策を考えていくことが重要だろうと思っています。なので、まず、そういうことを念頭に置いた上で、底質、水質、流動、地形、生物の生息環境の特性把握を今回考えていこうと。それらを把握して、今度は生物の生息環境という観点からの評価をどうやるか、それについて今から説明させていただいて、ご意見をいただきたいと考えています。
 「なお」以降に書いていますけれども、評価の結果、それから技術の検討につきましては、次回以降の小委員会でまた紹介させていただければと思います。今回は一応、特性の把握、それから評価の手法を中心に説明をしたいと思います。
 では、その生物生息環境の構成要素の把握というところですが、これも考え方を少し整理してみました。生物生息環境が、先ほどお話ししましたように、いろいろな要素で構成されているという見方をしたときには、底質、水質、流動、地形、そういったものが考えられますというお話をさせていただきました。
 これはしかし、よく考えてみると当たり前ですが、おのおのが長期的にも短期的にも関係し合った上で、その相互作用の結果が現状の環境だと考えるという見方ができるだろうと思っています。
 そう考えると、例えばここに書いていますように、先ほどちょっと議論になりましたけれども、底質の性状を考えたときには――性状とは基本的には粒径だと考えてもらっていいですが、粒径はそこの地形――これは水深、勾配の両方を含むとご理解をしていただければと思うんですが、そういうものと、そこでの流動で基本的には決まるだろうと考えられます。もちろん有明の場合、水質からの影響が場合によってあります。例えば赤潮が局所的にがーっと発生して、それが沈降するという、上層部からの負荷みたいなものももちろんあるとは思います。ただ、基本的には、地形と流動で規定されるのが底質だろうと考えます。そして、地形もよく考えてみると、多分、流動で規定されている、バランスがとれた形になっているんだろうなと。
 そう考えると、もちろん変動はしますけれども、底質とは、流動とか地形の長期的、短期的な影響が積分された結果だろうと。その間ももちろん、赤潮の沈降、あるいは流入負荷があって、そういったものをもちろん含んだ上で、そういうものが積分されたものだという見方をしていいのかなと今のところ考えています。そういうこともあって、先ほど以来、事例を紹介するときには、底質が最初に来ているということでございます。
 もちろんご存じのように、有明、八代ともに潮汐差が非常に大きく、しかも、両方とも河川からの出水の影響も非常に大きいです。その結果、底質がすごく変動することももちろんわかっています。特に短期的には非常に大きいです。これは後ほど資料編で少し紹介いたしますけれども。しかし、どうもいろいろ調べてみると、これは有明海の一部の海域だけですが、湾奥の西部では、長期的に一方向へずっと変化しているのではないというデータもございます。これも後ほど資料編で説明をさせていただきます。同じように、他の海域も多分そうだろうと今のところ考えています。
 ですので、ここではまず、底質環境が一様に、例えばずっと粒径が大きくなっていく、あるいは粒径が小さくなっていくという変化がないのであれば、底質環境、特に底質のデータをベースに、まず環境特性を把握していく、評価していくことを考えていいのかなと考えています。その上で、そこの区分された海域の水質がどうなんだ、流動がどうなんだという整理をして、その区分が妥当かどうかという確認をしていく、そのような整理の仕方をしていきたいと考えています。
 それから、今、話しませんでした生物の生息環境についても、環境特性を把握するベースを底質と考えたら、当たり前ですけれども、そこにすんでいる底生生物が一番扱いやすいというか、データもありますし、最初に取り扱う生物としては非常にいいのではないかと考えています。特に移動力が小さいということもあって、河川では、環境変遷の積分された結果という見方もよくされていますし、海域でも同じような見方をしていいだろうと考えています。ですから、まずは底質、それから生物の生息環境については底生生物を取り上げて整理をしていきたいと考えています。
 ただし、その後に、二枚貝、あるいは先ほどお話しした魚類についても、もちろん検討を進めていくことを考えています。それ以外にも、もちろん一番最初に課長からご説明がありましたように、赤潮、貧酸素といった社会的な問題への影響の整理も、もちろんやっていこうと思っております。
 先ほど有瀧委員にご説明をしていただいたように、二枚貝類、あるいは赤潮、貧酸素といったものについては、生物の小委員会でも整理されておられます。その結果についてももちろん取り込んで、この中の作業としてやっていこうと考えております。
 では、具体的な話を進めていきます。次の2ページ、3ページをごらんください。先ほど説明しましたので、ここは結果については説明を省略して、先ほどお見せしました事例のうち、底質の部分だけ、有明と八代海の分をここに出しています。先ほどお話ししましたように、ここは、データの項目の問題、地点の問題などいろいろ実は問題があるんですが、やり方の事例、この結果を使った方法の紹介ということでご理解ください。それから次に、4ページ、5ページには、底生生物のものを入れているという、先ほどと同じ結果でございます。
 それを組み合わせたらどうなるかということで、先ほどお話ししましたような重ね合わせをすると6ページのような図になります。これも実は先ほどちょっとありました。有明海の分だけ、もう一度再掲をしています。底質が同じでも底生生物が違うということを考えると、湾奥のほうではAという底質の区分ではA1、A2、A3と大きく3つに分けられます。それから、Bについては、先ほどお話ししましたように、湾奥のBでは、底生生物と非常に範囲がぴったり合うんだけれども、熊本市先では違うということで、Bも三つに分かれます。小区分――細かく細区分ができるという言い方ですかね。
 それからCについては、生物と底質の区分はぴったり合っていまして、ここにあるようにCという区分は一つです。それからDもやはり分かれるということで、1、2というふうなことで分かれています。
 先ほどちょっとお話ししましたように、こういう絵を描くときは、グルーピングの外側の円をどう描くかで随分イメージは変わります。これはそれを避けるために、なるべき小さくした絵を描いたつもりですが、見ておわかりのように、非常に地点が疎なんです。要するにデータがないということです。ですので、これを先ほどお話ししましたようにベースにしたいんですが、あまりに地点が少ないということで、今後、これにいろいろなデータを足していこう、なるべく詳しくしていこう、精度を上げていこうと考えています。
 それで、これ以外のデータで同じようなことをやって、もう少し点が多いものを少し紹介させていただければと思います。次の7ページをごらんください。この研究では、真ん中にあるような地点の底質のデータが使われています。左側の図と比べていただければおわかりのように、はるかに地点数が多いです。そういう意味では、データベースとしては非常にいいデータです。
 ところが、下の表をごらんください。ちょっと表が見にくいんですが、まず表の説明をします。左側の記号は上の地点図の記号ですが、調査期間によって色分けしています。赤と青です。これは何が違うというと、横の項目、それと調査年をごらんください。赤は2004年~2007年の4年分、それから青は実は単年度のデータなんです。しかも、横軸の項目をごらんいただくとおわかりのように、実は4年分の赤は硫化物がないんですが、それ以外はあります。それから青は、随分歯抜けということになっています。
 戻りますが、6ページのデータを全部セットがそろうというお話をさせていただきました。ですからこれをベースにしたいんだけれども、絵を見ておわかりのように、地点が少ないです。しかし、これにいろいろな地点を足していくと、どうしても歯抜けになります。それをどう処理していくか、どう考えていくかという事例がこの7ページです。ここでは一番調査年が長く、項目が多い、赤の九州農政局さんのデータをベースとしよう、それ以外の単年度のデータに「個々のデータ」という名称をつけて、扱い方を少し考えようということがされています。
 それをどのように扱ったかが、次の8ページにございます。上の図をごらんください。まずベースデータはベースデータだけでクラスター分析をかけて、海域区分をしようと。それからもう一つ、個々のデータ、単年度のデータ、項目がいろいろ歯抜けのデータがございました。これは、個々のデータだけでやってもなかなか項目も足りないので、ベースのデータ足す個々のデータ、要するに全部を足し算したクラスター分析をしようと。そうすると、おのおの海域区分が出ます。その海域区分をここでは重ね合わせてみようという試みです。
 その結果が、真ん中の図であらわされています。左側の図の色分けが、まず最初に出てきた海域区分です。右側の図は、ベースとなったベースデータの区分と、ベースデータと個々のデータを足したものがどういう色分けになるかを示しています。
 ここでは、これをもう少し細かく見るという作業までされていて、それが9ページの上のグラフになります。左側の、8ページの各区分ごとに含泥率と強熱減量、それと含泥率と硫化物の相関の関係の絵が描かれています。そうすると、全部でA、B、C、Dの四つに区分されたんですけれども、その区分はこういう関係にあると。含泥率と強熱減量なんで、全体A、B、C、D全部足し算して一次直線を引くと、右上がりの直線ができるし、いい相関があるなという整理になるところですが、実は区分ごとに見ると、こういう区分をしているということです。
 ここで注意して見ていただきたいことがあります。Bのグループは、含泥率が20から40ちょっとまでの間で、強熱減量はかなり幅があります。でも、硫化物は幅が小さいです。同じく、Dグループをごらんください。含泥率は70後半から100ぐらいまでの間ですよね。強熱減量は幅が狭いんだけれども、硫化物を見ると幅が広いです。そのように、各グループの中でも、四つにクラスターで分けられたんだけれども、もう少し項目ごとに確認をすると、もう少し分けなければいけないということです。
 ということで、実際に細区分された結果が9ページの下の図です。かなり細かく分かれるなということですが。クラスターで解析した結果だけですと、四つのグループで分けられるんですけれども、各グループの中のおのおの項目を見ていくと、やはりもう少し分けなければいけないなという結果が出てくるんだと。これは、今から海域区分をやっていく上で、注意しなければいけない点だろうということで、ここで紹介しております。
 先ほど牧委員からあったように、最初にクラスターをかけるときに、どの項目を選ぶかというときにも、もちろんすごく単相関を見なければいけないんですが、できた後、クラスター解析の結果についても、やはりこういう形で確認していく作業が必要だろうと思います。
 それから、先ほどお話ししましたように、実はそれらの細区分ごとに、底質と底生生物を見ましょうということで、そこの中の底生生物がどのような状況になっているかということを確認をしようということがなされています。それについては、文章と表はあるんですが、わかりやすいように、12ページまで飛んでいただけますか、12ページにその結果の絵が入っています。これもレーダーチャート形式で書いておられて、上のFA1から右回りにぐるっと回るのが、先ほどの底質の細区分です。その細区分の含泥率の値をレーダーチャートで示したものが一番左上のブルーのグラフですね。例えばFA1からB8ぐらいまでは、含泥率が少ないところ。それから、そこからどんどん含泥率が増えていくという形で、ここは配置されています。
 そういう底質性状のところで、下の先ほどの出したもので一番近いところでいくと、ここでは、軟体動物、環形動物、節足動物、棘皮動物の四つ分けられているんですけれども、その門の種数がどのぐらい違うかというものが、右側の(d)とついている4門種数という結果です。
 これを見ると、左側の含泥率と非常に対照的な形になっているのが、おわかりいただけるかと思います。含泥率が低いところでは、各動物門の種数が、どちからかというと多いです。これは正規化されたデータで書かれていますので、相対的な結果になりますので、「どちらかといえば」という表現にはなりますけれども。そして、含泥率が相対的に増えていくと種類数が減っていきます。このような非常にわかりやすい結果というのは、逆に言うと、最初に戻りますけれども、底質のベースとなるデータ――全てがそろっているデータに、個々の歯抜けの単年度のデータを足し算して、解析して、海域を区分して、その区分ごとの底生生物の生息状況を見たら非常にわかりやすい結果になる、ということは、やはりこの海域区分のやり方はそう間違っていないんじゃないかと。そういったことが言えるのかなと考えています。
 もう少し加えますけれども、左下の門別の種類数を見ていただけますでしょうか。今の話の傾向が非常にわかりやすいのは、多分この絵からいくと環形動物です。上の含泥率のグラフを見ていただくと、赤枠ですので、おわかりいただけるかと思うんですが、環形動物が非常に敏感に反応するというのがおわかりいただけるかと思います。
 その中の主要な個体数をグラフにしたものが右下です。そうするとこれは、上の種数と同じような傾向、含泥率と逆のパターンという、非常にわかりやすい区分ができたなと。ということは、何度も申し上げるようで恐縮ですが、底質をベースにする、なおかつ、私が最初に申し上げましたように、全てデータがそろっているものだけでなくても、いろいろな底質のデータを足し算する――足し算というと表現が悪いんですが、加味して、海域区分を行うという手法の一つの事例として、こういうことを挙げさせていただいたんですが、これは非常に有効な手法だと今のところ考えています。
 ですので、今からいろいろなデータを追加していって、底質について区分をしていって、底生生物の整理をしていこうと考えていますが、基本的には今お話ししたような扱い方でと。単年度のデータにしても、ひょっとしたら地点が少ない、あるいは項目も1項目しかないかもしれないけれども、使えそうだということであれば、なるべくなら入れて、こういうやり方で整理をしていこうと今考えています。
 それから、そういう区分をした後の、今、底生生物の話をさせていただきましたけれども、水質についてもやはり整理がされております。14ページをごらんください。ちょっと写りが悪くて申しわけございません。14ページの上の絵の左側は、先ほどお示しした図です。それをもう少し細区分したのが右側の絵で、ちょっと細かく分かれています。
 このデータをもとに、貧酸素水塊の情報をこれに少し加味しようということがされています。貧酸素水塊で海域区分をするとどうなるかというのは、15ページに書いていますように、27回の評価委員会の資料として、農政局さんのほうから紹介されたデータをそのままここには記載しております。こういう報告がございました。
 こういうものを一応、全部足し算したらどうなるか。これは単純に重ね合わせの作業の事例の一つです。16ページには、一番最初に説明させていただいた底質と底生生物で海域区分したもの、地点数が非常に少ないものでしたが、これを水質特性に重ね合わせると、具体的にどうなるのかというと下に描いたような図になります。そうすると、水質とぴったり合わないところがある、まあ当たり前の話といえば当たり前ですけれども、合うところもあるというところで、どうやってここをさらに細かく分けるのかというのが、今からの議論だろうと実は思っています。
 これにまた貧酸素水塊を重ね合わせると、最終的に湾奥は、17ページの下のような、かなり複雑な形になります。これを実際にどうやって細かく分けていくのかについては今からまた作業しなければいけないし、いいお考えをいただければありがたいなと思っているものの一つです。
 それから、もう少し高度な重ね合わせの事例が、18ページからでございます。18ページの上の図をごらんください。これは実は、先ほど来、示してきました14ページの図がベースになっている海域区分です。それから、それと同じような手法で、八代海をやはり海域区分したものがあります。それらをつなげて整理をされた例です。そうしますと、有明海では6個のグループ、それから八代海では5個のグループに分かれています。こういう水質でやった海域区分で、どのぐらい整理ができるかが、ここでされている内容です。
 ちなみに、この中で、後ほど出てくるんで地点のところの確認をしていただけるといいんですが、18ページの図の右側の凡例のところの×と●は両方とも水質の調査地点です。それから□と○は、底質、底生生物のデータがあるところです。ですから、後でお話ししますが、○の例えば、A6の中で底質、ベントスのデータの整理がされて、その関係を見るときには、A6の中のP8、P9、P12のデータを使ったというふうにごらんください。
 その結果の事例です。19ページは、この海域区分をしたときの水温がどうなっているのかが整理をされた例です。前にお示ししたのは、生のデータでわかりにくかったんで、ここでは5カ年の移動平均で書かれています。そうしますと、各グループで、水温が非常に違うというか全然違います。だからこういうグループ分けが、これだけで正しいというのはなかなか難しいんですが、一応特性をつかむためには、やはりこういう分け方をしなければいけないんだと。その分け方の一つとして、水質の浅海定線のデータのクラスター解析でも、このようにクリアに見えると、そのように見ていただければと思います。
 19ページ、上は有明海です。下のグラフは実は違っていて、八代海です。両方とも実は違います。有明海のほうをごらんいただくと、1998年の春と夏のところに縦の点線を入れています。これは後ほど説明いたしますが、ここで1回どうもピークがあったようです。それからまた変化量が少し変わるというところで、冬と秋については、ほんとうに各グループごとに重なることなく変化していますし、秋なんかは、どちらかというと上昇傾向があるように見受けられます。
 同じように、八代海も、1998年を境に少し変わっている、特に夏なんかは変わっているというのが、おわかりいただけるかと思います。秋はやはり同じように上がっていっています。ということで、水温から見ると、各グループが非常によくわかりやすく、整理ができたんだということの証明だと考えています。
 それから、20ページには、同じ水質でも、赤潮について少し整理された報告がありますので、これも紹介します。八代は、先ほどお話ししましたように五つのクラスターで分けられたんですが、そのうち大きく三つにの海域に分けて、その三つの海域での発生状況を整理した絵です。そうしますと、実は微妙なところではあるということかもしれませんが、C1の湾奥、C2の湾央、C3の湾口それから西部の海域で分けると、後半の1999年ぐらいから、だんだん赤潮が増えるように見えているんですが、実はC1とC2とC3とでは、若干増加のタイミングが違います。しかも、構成種が違います。ということで、それなりに水質のデータで区分という作業も、生物、特に赤潮ということを解析していこうというときには、いいツールになるということかなと思います。
 次に、先ほどお話ししましたように、底生生物についても確認されています。これは先ほどの水温と関連するところで、実はそのほかの項目を使って、多変量の解析がされたときの結果だけをここは紹介しているんですが、それを見ると、上の地点は結局、上のマークをつけているところで見ていくと、底生生物は種類によっては、泥温と正の関係があるものと、負の関係があるものが非常にきれいに分かれるということが、どうも出ています。それは下のグラフで、赤が泥温、ブルーが各生物なので、それがぴったりパラで動いているのか、ちょうど逆に動いているのかを見ていただければ、おわかりいただけるかと思います。
 このように、水質で区分してクラスター解析をかけても、ある程度、水温、生物との関係が見えるというところまでは、やはり妥当性があるのかなということで、底質をベースに海域区分をする、それから底生生物で確認をとる、あるいはそれに水質で区分をしたものを重ね合わせるという作業を今後進めていきたいということで、紹介させていただきました。
 それから、資料編以降を少し簡単に説明をいたします。皆さんご存じだと思うんですが、有明海の底質の変動がどのようなものか、先ほどお話ししましたように、かなり大きいときもあります。小さいときもあるということで、その紹介の一つです。
 資料編の表紙をめくっていただいて、(1)ページをごらんください。これは佐賀県さんがとられたデータと環境省のデータとを足して描いたものです。上のほうは、中央粒径と粘土・シルト分の含有率の1989年と2000年の差分を絵であらわしています。赤が塗られているところについては細粒化が進んだとき、ブルーのところは粗粒化、粒径が大きくなったということです。そうすると、1989年と2000年は、中央粒径で見ても、粘土・シルトの含有率で見ても、赤色が多いです。だから、細粒化が進んだという判断ができるということです。しかし、2000年から2009年は、下にグラフで同じように絵で描いているんですが、どちらかというと、やはり赤よりも青が多いです。だから、同じような判断をするんであれば、粗粒化が進んでいるということになります。これは、先ほどお話ししましたように、細粒化に一方的に進んでいる、粗粒化に一方的に進んでいるわけではないようだなということの一つの傍証かなと考えています。
 それからもう一つ、これはもうほんとうに資料編なんですが、赤潮についても、先ほど水質の区分とぴったり合いました、大体合いますね、というお話をさせていただきました。今後、有明海についても同じようなことをやっていくんですけれども、その中で、各種類でどのぐらい確認されたかを1分メッシュぐらいで落とした図を入れていますので、ご興味がある方は後でごらんなられればと思います。
 以上が資料2(4)です。

○滝川小委員会委員長 どうもありがとうございました。
 大変に内容が込み入っている状況になっております。この資料の一番最初の目次をごらんいただけると、今のお話のストーリーがご理解いただけるかなと思います。当初は再生に向けてどういう視点でということ。それと同時に、第2章以降は、生物生息環境を縦軸といいますか中心に考えて、それに底質、水質、底生生物、あるいは貧酸素だとかがどういうふうに関連しているのかという、個々の事象を整理した例をご紹介いただいて、ではそういったものをベースに、再生に向けての有明海あるいは八代海の海域区分をどういうふうに取り扱っていくのかという一つの事例をご紹介いただきながら、ご説明いただきました。
 ただし、ここにありますのは、あくまでも限られたデータでして、今、環境省中心に集めていただいているデータそのものが全て含まれているわけではございません。今後、こういったものを加えながら検討していかなければならないんですが、こういった方向で進めていくという事務局のご説明であります。
 それに関しまして、各委員のほうからご質問、ご意見等、賜りたいと思いますが、いかがでございましょうか。

○有瀧委員 有瀧です。大変データが限られた中で、海域区分まで持っていかれて、非常にご苦労もあったと思います。
 今後の話になるんですが、評価をしていかなければいけないというお話でしたよね。その評価の中で、私は生物小委のほうに携わらせていただいて、生物、特に水産資源は随分と変わってきたという視点で評価というか検討しているんです。しかし、今日のデータの取りまとめというのは、ある一定期間のものをまとめて、それを平均化しながら、いろいろな類似性で海域を区分されるという作業ですよね。ということは、前例としてあまり変わらないという視点で評価されたというか、あらわされた区間は変わってきていないという条件のもとにやられているんですかね。それが1点です。
 それから、例えば、そういうある一定区間の海域と、例えばその前とを――私の頭には変わってきたという前提があるんですけれども、どういうふうに変わってきたかを比較評価していく手法というのは。当然、データは全部そろわないですから、何か抽出しながらこれを比較するとかですね。それから、その海域にしても、海域区分の大きさが変化するとか、一つの事例としてあると思うんですが、そういうものをどうすくい取っていけばいいのでしょう。私に答えがあるわけじゃないんですけれども、今後、評価する場合、非常に重要な点になるんじゃないかとは思うんですが、いかがでしょうか。

○川岸主任研究員 まず、今のお話に対する現時点での考え方で答えさせていただきます。というのは、今回、底生生物をまず最初に扱っていきますよというお話をさせていただきました。その底生生物が時間とともに、例えば出現種が変わってくる、あるいは個体数が変わってくることは、もちろんあると思いますが、おのおの採泥したサンプルの底質、底生生物というセットについては、サンプルをとったときまでの全ての影響を受けてきた結果としての底質、結果としての底生生物であって、そのセットが得られていると考えております。ですので、「変化していない」ではなくて、とったとき、とったときで、それまでの環境の変遷、あるいは生物種間競争とか全てひっくるめた種の変遷も、それに積分されているんだと。そしてその結果がその時々のデータなんだという捉え方をしようと思っています。

○滝川小委員会委員長 私の理解でご説明させていただきたいんですが、よろしいですか。
 今、最初に有瀧委員がおっしゃった、底生生物等がいろいろ変わるよということについてですが、ここでは確かに、今、整理されているイグザンプルとして、4門、種ですね、という底生生物は区別してやっています。だから、その目的に応じて、どういう種類を選ぶかは、当然、今後考えていかなければいけないというのがございます。それは目的に応じてまた議論していきたいと思います。
 それと同時にもう一つ、ここでは、とにかく底質と底生生物を中心に考えていくと、時間軸を抜きにして、積分されたものがそこにあるという強引な整理の仕方を現在のところやっているんだと。それを解決するためには、ずっと同じ地点で延々と連続したデータが必要なわけですが、そういったものがとられているところがほとんどないのが現状です。
 それから、ご指摘のように、これをどう整理していくのかが大きな課題になっています。その中で、7ページでご紹介すると、グリーンのところと、ちょっと干潟の付近の熊本県のところにあるんですが、県のデータとか細かいところのデータを見ると、ある10何年間ぐらいで同じ地点で連続したデータがとられているところもありますので、有明海全体ではないんですが、そういった限られた場所での時系列的なデータベースに、今のご指摘みたいに、時間的な変動がどの程度出てきているのかは、そういったものを中心に考えていかざるを得ないと今のところ考えています。一番いいのは、こういったところで全部はかってくださいということでしょうから、そのように申し上げたいんですが、そういう状況にないので、四苦八苦しながら、場合によっては追加データ、追加地点をお考えおきいただき、より精度の高いものをというふうに考えております。

○有瀧委員 済みません、ありがとうございました。私も言いながら、非常に無理難題を言っているなというのは十分わかっているんですけれども、おそらく将来的には、生物小委と環境再生小委と二つがそれぞれの立場でやりながら、最終的には一つにまとまって、本委員会に再生の姿を提示していかなければいけないわけですよね。先ほど言ったんですけれども、おそらく生物小委のほうでは、生物はやはり随分と変わってきましたよ、特に水産資源は今のところ非常に激変していますよということを提示します。そのときに、過去の経緯からなぜそうなったかを、やはり環境面から当然サポートするというか、裏づけのデータが必要とされると思います。ですから、今後とも、二つの小委員会が連携しながら、そこを落としどころにといいますか。今、滝川先生がおっしゃったように、現時点でこういう指標で切るということは十分承知しているんですけれども、将来的にはそういうことも想定される中でやっていかなければいけないので、お互い、よろしくお願いいたします。

○滝川小委員会委員長 どうもありがとうございます。
 ちょっと参考までに、12ページの図をごらんいただきたいと思います。一番最後の(d)に4門個体数と書いてあります。この個体数の中身を見てみると、門別では、違うようなところにぴっと非常に大きなものがあります。時系列的になぜこんなところがピークになるんだろうと、種類とか中身を見ていきますと、とんでもない貧酸素が発生して、これが異常発生しているとか、そういったものが見えてまいります。ですから、こういったものを整理しながら、なぜこれはという議論も当然やっていかなければいけないと今のところ考えて、整理していきたいと考えます。今出てきているのは、あまり中身まで詳しく見ていませんが、一つのやり方として、こんなやり方で今後議論していきたいと思っているところであります。
 はい、ありがとうございます。ほかに何かご質問、ご指摘等いただければと思います。

○橋本委員 底質分布についてなんですが、礫の最大値などがあるんでしょうか。例えば、(2)の11ページ、それから12ページですか。12ページは礫の最大が2ミリぐらいですか。11ページはちょっと書いてないんですが。粒径の最大値とかいうのがあるもんなんでしょうか。それが一つですね。
 それと、もう一つは、前も質問したことがあるんですが、例えば河口のところは、柱状図を見たら、ものすごく変化が激しいんですね。そういったところでも、こういった成分が柱状図を見ればあるものなのでしょうか。そこら辺を教えてください。

○川岸主任研究員 まず、最大粒径ということですが、少なくとも12ページは、シルトから粗粒砂までの間、要するに「2ミリまでの間でどうなのか」というふうに書かれている図面であって、2ミリが最大というわけではございません。もう少し大きいのがあるのはわかります。ただ、じゃあ最大どのぐらいなのかと言われると、済みません、ちょっと今、数字が出てきませんので、今までのデータで確認して、後日連絡をさせていただければと思いますが。

○橋本委員 有明海のほうは。

○川岸主任研究員 有明のほうは、後ほど連絡でいいですか。済みません、ちょっとわからないです。
 それから、柱状図というのは、有明海、あるいは八代海のいろいろな地点での、コア抜きをしたときの柱状図がないかというご質問でしょうか。

○橋本委員 例えば湾奥のほうでは礫とかがありますよね。一方で、河口のほうでは、こちらで見たら、例えば表層はシルト成分が多いと思うんですが、例えば柱状図を見れば、下のほうの海底は礫とかもあるんじゃないかと思うんですよね。河口のほうの柱状図を見ると、例えば表層はシルト成分が多くても、下は礫成分とかがありますよね。

○川岸主任研究員 下に砂があったり。

○橋本委員 そういった成分と共通のものなのかどうかとか、ひょっとしたら粒径からわかるんじゃないかと思って、質問したんですが。

○川岸主任研究員 わかりました。幾つかというか、かなりの数になると思うんですが、海域内で柱状をとられた結果がございます。それで、今お話になられたような、どのような性状の鉛直的な構成になっているかという整理は少しやってみます。
 ただ、先ほど言ったことと少し矛盾するかもしれませんけれども、例えば、わかりやすく言うと、台風なんかが来ると、有明の場合、表層の泥が結構飛ばされて、水深が結構変わるんですね。だから実は、コア抜きをしたときの泥の面がいつも同じ高さというわけではないので、なかなか比較が難しいかもしれませんが。結果は幾つかございますので、少し整理して、また報告させていただきたいと思います。

○滝川小委員会委員長 そういった点でのコメントを申し上げてよろしいでしょうか。今ご指摘の柱状採泥は、結構というか、かなり限られています。また、有明海の場合、特に干潟なものですからバイオターベーションがあって、表面から数センチ、数十センチの間は、ほんとうに堆積したものがそのままあるのかというと、かなり厳しいです。
 逆にどういったところでコアサンプルをとるかといったら、バイオターベーションが少ないところ、あるいは台風が来てもあまりディスターブされないようなところです。そういったところを中心にしないと、河口の変遷というのは非常に難しいだろうということで、実は私どもが調べたところでは、熊本の沖の白川河口です。そのようなディスターブされないところを中心にしますと、河口の変遷がかなりよく見えてきます。あるいは赤潮シストの遍歴もわかる、年齢測定もわかるということで、河口は堆積傾向が数百年のうちにどう変わってきているかも、ある程度は予測できています。しかし、そういったデータはかなり限られているということでございます。そういったことも含めて、事務局のほうから、追加資料として調べていただければと思います。
 ほかに。山口先生。

○山口(敦)委員 生物多様性のある海域環境をつくり出すということで、希少種の視点、特産種という視点で考えたときに、日本で有明海にしかいない生物が生息しているということで、その生息環境を守ることも一つすごく重要になるのかなと思うんです。特産種は、おそらく、ごくごく限られた環境にしかすめないと思いますので、その環境を守るのは、絶対的にというか個別に考えないといけない重要なポイントになるのかなと思います。その視点をこの中でどう考えるのか、そして、その視点をこの中にどう入れていくのかです。多分、どこまで含めるのかというのもあるかもしれないんですけれども、例えば河川の河口域とか、今ですと、データのある部分というところもあるのかもしれないんですけれども、境界の領域のようなところがなかなか難しいのかなと思うんですが、そこをどういうふうに入れていくかを含めて、そういう希少種、特産種の視点も一つ入れないといけないのではないでしょうか。
 あと、今の資料の18ページで、図の2.17あたりでは、一つの例として、海域区分のA6が挙げられていますが、多分、ベントスのデータなんかも、ごくごく深い場所のデータがないのかもしれないんですけれども、ちょうどこの中に、水深100メートル超えるような、200メートルといったかなり深い海が含まれていて、ここをどう考えるのでしょうか。ここから湾口にかけて少し深い海域があって、これは多分データが少ないだろうと思います。ないんですか。

○川岸主任研究員 ないです。

○山口(敦)委員 ないのかもしれないんですけれども、おそらくここも、有明海全体として考えたときに、すごく重要な位置にあると思うんですよね。ちょっとわからないですけれども、ここをどう考えるのか、その視点も入れないといけないのかなと。そう考えると、一つは水深を項目に入れたらどうでしょうか。
 以上です。

○川岸主任研究員 ありがとうございます。
 まず、最初のご指摘ですが、希少種等については、先ほどお話しさせていただいたように、底生生物で作業をやらせていただきたいという、それが最初の答えになってしまいます。その後は、お話ししましたように、生物小委で検討されているということもございますし、いろいろ社会的な問題になっていますので、二枚貝あるいは魚類がやはり優先順位としては高いのかな、そういう順番で検討を進めようということです。検討の順番はそういうぐあいで進めていくのが妥当かなと今のところは考えています。かといって無視するつもりでは、もちろん全くありません。
 もう一つは、今のこのやり方でいきますと、底質と底生生物はセットでデータがないとなかなか扱いにくいということはある。ですので、希少種がすんでいるところ、環境で、一つの例で――揚げ足を取るわけじゃないんですけれども、例えば100、少なくとも七、八十ぐらいのところがありますよね。そこの底質のデータなんかないし、そこのベントスのデータもない、データセットがきちっとあるかどうかです。私どもでも確認をさせていただきますが。先ほどお話ししましたように、データがなかなかないんで、使えるものは全てどんどん使っていこうという姿勢です。どちらかしかないというのは、なかなか扱いにくいかなと今のところ考えています。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。
 それでは、時間もあれですけれども。小松先生、どうぞ。

○小松委員 (4)の(1)の資料編のところですけれども、「底質の変動:経年変化」ということで資料編を書いていただいているんですが、こういう粗粒化、細粒化の問題は非常に大事で、ここでは結局よくわかんないというのが結論だと思うんですけれども、「資料編」と銘打つぐらいであれば、もう少し詳細なデータをお願いしたいなと思います。
 例えば付図の1(1)、付図1(2)は、中央粒径の1989年~2000年の差と、2000年~2009年の差ということで、これを見てみると何か対照になっているみたいな感じですよね。そうすると、1989年~2009年を見たらほとんど変わっていないのかとかですね。結局、長期的に見たら変わっていないのかです。
 それと、いわゆる粗粒化、細粒化だけじゃなくて――多分これはコンターがそうだと思うんだけれども、コンターも非常にわかりにくいんですよね――もとの粒径分布の図なんかも一緒につけていただくと、我々のほうでまたいろいろ考えやすいし、料理しやすいんですね。
 ですから、「資料編」と名づけるんだったら、ぜひもう少し詳細なデータをお願いしたいです。結局、ここでは、あっち行ったりこっち行ったりしているよというのが結論なんだけれども、我々は、もうちょっと詳細にいろいろ見たいもんですからね。そういうものが見られるようなデータにしていただきたいということです。

○川岸主任研究員 わかりました。失礼いたしました。次回から、資料編には、そういう確認ができるようなデータを入れていきたいと思います。

○滝川小委員会委員長 どうもご指摘ありがとうございました。
 ほかにご質問等よろしいでしょうか。清水先生。

○清水委員 生物多様性のことですけれども、先ほど委員が言われたように、希少種の話は、実際どのように対応するかということは別にして、必ず何らかの形で考慮する必要があると思います。希少種の視点は入れないと、全体構成上整合性に欠けるとは思います。
 それで、資源に関する多様性調査についてですけれども、種数と個体数を両方とも多分調査されることになると思うんですが、底生生物の種数と個体数の資料をある程度分析した上で、二枚貝から魚類に持っていくという流れを何らかの形で想定しておかないと、底生生物だけは多様性が豊かになったけれども、じゃあその先はどうなんだというような、底生生物とその環境に続いていく部分の視点が、一般的な底生生物全部でいいのか、指標になるような特定のものがあって、それに絞り込んで見ていくのか、明確な方向性を入れておかないと、最後の評価にあたって問題が出てくる可能性があると思います。

○川岸主任研究員 ありがとうございます。今後の検討の中でのお話だと思いますけれども、参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○滝川小委員会委員長 どうもありがとうございました。
 まだ多々ご意見あるかと思いますが、ご承知おきのように、次期の評価委員会が11月末ぐらいに予定されています。それまでに、今日ご発言できなかったご意見等も含めて、また事務局のほうまでご連絡いただければと思います。時間が参りましたので、本日の議題はここで終わらせていただきたいと思います。
 本委員会におきましては、今日ご議論いただいたご意見等を含めながら、こういった方向で、さらに最新のデータが整理されれば、そういったものをまとめて提出させていただきたいと思っていますので、どうぞご了承いただきたいと思います。
 それでは、今日予定されておりました議題は全て終了いたしましたので、事務局にお返しいたします。よろしくお願いします。

○高山室長補佐 事務局から、三つご報告があります。
 有明海・八代海等総合調査評価委員会の日程ですけれども、11月27日午後に環境省の第1会議室での開催を予定しております。
 それと、小委員会の次期スケジュールですけれども、2月ごろに、もう一つの小委員会と日程を連動させて開催したいと考えております。後日、日程等のスケジュール調整をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、本日の議事録の確認を後日お願いいたしますので、その点についても、よろしくお願いいたします。
 それでは、これにて第5回海域再生対策検討小委員会を閉会いたしたいと思います。議事進行へのご協力、ありがとうございました。

午後3時30分 開会