有明海・八代海等総合調査評価委員会 海域再生対策検討作業小委員会(第4回)

1.日時

平成25年7月8日(月)13:30~15:30

2.場所

イイノホール&カンファレンスセンター RoomB1+2

3.出席者

小委員会委員長 滝川清委員長
委員 有瀧真人委員、小松利光委員
専門委員 白谷栄作委員、橋本晴行委員、古川恵太委員、牧秀明委員、松野健委員
事務局 水環境課長、水環境課閉鎖性海域対策室長、水環境課閉鎖性海域対策室長補佐

午後1時30分 開会

○高山室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから、有明海・八代海等総合調査評価委員会第4回海域再生対策検討作業小委員会を開会いたします。
 最初に、本小委員会は公開の会議となっておりますことを申し上げます。
 本日の委員の出席についてですが、欠席の連絡を山口敦子委員、山口啓子委員、それから清水委員よりいただいておりまして、本日は8名の出席ということでございます。
 本日は、環境省の水・大気環境局長より挨拶をいただく予定でございましたけれども、どうしても抜けられない案件がございまして、局長からは委員の皆様にくれぐれもよろしくということでございました。かわりまして、閉鎖性海域対策室の名倉室長からご挨拶を申し上げます。

○名倉閉鎖性海域対策室長 環境省閉鎖性海域対策室の名倉でございます。委員の皆様には、本日ご多忙のところ、また大変暑い中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 今回、第4回の海域再生対策検討作業小委員会ということでございます。今回の小委員会では、前回第3回の小委員会におきましてご了解いただきました有明海・八代海の環境特性に基づきました海域区分について、その考え方、それから今後の進め方についてご意見をお伺いいたしますとともに、農林水産省のほうから諫早湾干拓事業の潮受堤防の排水門の開門に伴う環境変化を把握するための調査計画についての概要を説明していただくということにしております。
 有明海・八代海、昨年夏にも有明海湾奥西部などの海域でほぼ無酸素に近いような貧酸素状態が確認されておりますし、たしか先週ぐらいにもかなり貧酸素状態が確認されていたかと思いますけれども、こうしたことが二枚貝等に対してどういう影響を与えていくかということが懸念されているところでございます。
 課題の克服のためには、環境悪化の原因・要因の特定、それから再生に向けた再生像の提示といった評価委員会の役割がとても重要になっております。この小委員会では、評価委員会における再生の評価に必要な情報の整理・分析を進めていただくという役割を担っていただいております。委員の皆様には、本日の検討におきましても忌憚のないご意見を賜りたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○高山室長補佐 続きまして、配付資料を確認させていただきます。
 配付資料ですけれども、資料1、委員名簿。それから、資料2、海域再生対策検討作業小委員会今後の進め方について。資料2(1)、収集資料の整理。資料2(2)、環境特性の把握。資料2(3)、海域区分について。資料2(4)、現地調査関連。それから資料3としまして、諫早湾干拓事業の潮受堤防の排水門の開門に伴う環境変化を把握するための調査計画。それから、委員の皆様には、午前中行われました生物・水産資源・水環境問題検討作業小委員会の資料をつけさせていただいております。
 不足の資料がございましたら、事務局までお申しつけください。
 報道関係者の方がいらっしゃいましたら、これ以降のカメラ撮影はお控えいただくようにお願いいたします。
 議題の1でございますけれども、これ以降の進行につきましては滝川委員長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○滝川小委員会委員長 皆様こんにちは。お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。活発なご議論とともに、議事の進行へのご協力、よろしくお願いいたしたいと思います。
 本委員会は、昨年度に設置されまして、3回開催されました。先ほど名倉室長からご説明ありましたが、設置の目的は「有明海・八代海の再生の評価に係る情報の収集・整理・分析を行う」ということでございまして、昨年度はこの目的達成に向けてどういうことを作業するのかという作業の項目、内容あるいはその作業手順等について審議を重ねていただきまして、検討方針の確認を行ってきたところであります。
 これまでの小委員会の中では、海域の環境特性の把握の一環といたしまして、有明海湾奥部における懸濁物の挙動、底質の変化、あるいは有明海の魚類を中心とした生態系の特徴、それから底質分布と底生生物との関係の報告、また再生に向けた取組の事例等のご紹介をさせていただきました。それに基づきまして本小委員会の作業方針の参考とさせていただいたということであります。また、それに加えまして、これらのご報告等をいただいたほか、関係各省庁や関係の自治体が実施した調査報告書等の収集を実施してきているところであります。
 本年度は、この第3回の小委員会で確認された検討方針に沿って、これまで報告・収集されたデータを整理し、海域区分の環境特性の把握と連関図作成を進めることといたしております。まずその検討作業の進め方につきまして、その概要を事務局からご説明お願いいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○名倉閉鎖性海域対策室長 それではまず、資料2に基づきまして、全体的な今後の進め方についてご説明させていただきます。
 資料2をご覧いただきますと、全体的な流れを1ページ目に書いておりまして、そのそれぞれについての内容を2ページ目以降に書いております。まず1ページ目は全体の検討の構成ということでございますけれども、まず平成18年に取りまとめの報告書が出ておりまして、そこで課題等が挙げられておりますけれども、それに対する対応結果の整理を行います。その内容にも絡みまして、2番というところで環境特性の把握を行いまして、下のところに行っていただきまして、有明海・八代海全域または海域別の環境特性の整理を行いましたら、それぞれ環境上の課題の整理をするということになっておりまして、左側でございますけれども、5.としまして、海域別の連関図の検討ということで、連関図について海域別に見ていこうということでございます。それから、その後、全体目標の検討を行いまして、個別目標検討のための課題の整理をしまして、必要な追加調査も行う。それから、その後、個別目標の設定をして、再生技術の検討をし、再生技術の評価を行いまして、再生方策の検討をするといった順序でやっていこうと考えておりまして、5.のところの下に点線が描いてありますけれども、ここまでの作業を本年度作業の目標としているところでございます。
 それぞれの中身については、めくっていただきまして2ページ目以降でございますけれども、2ページ目のところに書いておりますのは、まず平成18年の報告の中で課題とされたことを[1]から[6]まで挙げております。[1]底質環境の改善、[2]沿岸域の環境保全・回復、[3]貧酸素水塊の対策、[4]貝類・魚類等の資源管理及び増養殖、それから[5]持続的なノリ養殖のための施策の推進、それから[6]八代海における持続的な養殖のための施策の推進とございます。こうした平成18年の報告で挙げられた課題に対しまして、既存の情報を収集・整理しているところでございます。その観点としまして○を4つ挙げておりますけれども、底層環境の観点、それから水環境の観点、それから生態系の観点、それからその他といたしまして、その3つの観点以外の例えば気象とか海底地形とか水産業等の観点から情報を整理していくということにしております。
 それから、1.2.2で環境特性の把握ということを書いておりますけれども、有明海・八代海の環境特性、それぞれ湾奥と湾口では大きく環境が異なっているということで、環境特性を把握していくためには海域を区分していく必要があるであろうということで、それぞれデータがそろっている水質とか底質とか底生生物のデータを用いてクラスター解析を行っていく。地形とか流況についても区分する際の参考にするといった観点でやっていく。そうしまして、それぞれの海域ごとの環境特性の整理をするということになっております。
 それから3ページのところにまいりまして、環境上の課題の整理ということで、その平成18年の報告書で記載されております「今後の課題」の対応状況を踏まえまして、それぞれ、問題点と原因・要因との関連の可能性を整理した連関図、これは前回の報告書ではそれぞれの海域に区分せずにやっていたものでございますけれども、それを海域ごとに原因・要因を整理していくということを考えております。そうしたものを、全体目標の達成の観点からも問題点を整理していきまして、定量的、定性的といった観点からも判断して整理していく。原則として現地調査による定量的な結果を最優先として整理するということにしております。
 そういった整理を踏まえまして、海域別に連関図を検討して整理するということにしております。この辺りまでが本年度の作業の目標ということにしております。
 それから、全体目標の検討をしていく。それから、個別目標検討のために課題を整理しまして、追加的な調査の必要なものを実施していくということをしまして、個別目標を設定して、技術について検討・評価して、全体的な再生方策の検討をまとめるということにしております。
 その他の作業ということで、今回以降、[1]、[2]と書いておりますけれども、まず海域区分別の環境特性の把握、連関図の作成のために、海域区分と区分ごとの環境特性の整理とか、問題点、それからその原因・要因の仮説を立てて、仮説を検証する。そして海域区分とか特性を見直して、それぞれの海域区分ごとの連関図を作成するということにしております。また、本日午前中にも行われましたもう一つの生物・水産資源・水環境問題検討作業小委員会から出された要望というか、必要な項目について対応していくということにしております。
 それから、こうした資料の整理につきましては、昨年度末時点で報告書類464冊を収集しておりますけれども、このうち現時点で365冊の内容を確認しております。環境特性を整理するとために活用可能な報告書は107冊ということでございまして、こうしたものから得られたデータを取り込みまして環境特性の一覧に追記して、今後クラスター解析に用いることにしております。
 資料2につきましては以上でございます。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございました。
 ただいま、今年度の本小委員会の検討内容、さらには今後の進め方という点についてご説明いただきました。何かご質問等はございますでしょうか。どうぞ。

○白谷委員 資料2の1ページですけれども、来年度以降の話になろうかと思うんですけれども、8番の追加調査ですけれども、これは、調査の主体はどういったところを想定されているのですか。

○名倉閉鎖性海域対策室長 必要な項目につきまして、当方環境省にてやっていくということにしておりますけれども、先ほど少し追加調査のところで申し上げませんでしたけれども、3ページの1.2.8の追加調査のところを見ていただきますと、追加的な調査の計画策定については、他省庁及び関係自治体の事業・調査との連携を図るということにしておりますので、ほかでやっているもの等につきましては、その情報を得るといった努力をしまして、そうしたものでは扱われていないので調査をする必要があるものについては調査してまいりたいと考えております。

○白谷委員 では、主体は環境省であって、ほかの省庁、県とも連携するということですね。わかりました。

○滝川小委員会委員長 ほかによろしゅうございますでしょうか。それでは、次の議題に移らせていただきたいと思います。時間等の調整もございますが、大体3時までの間にご議論いただいて、3時から農水省さんのご報告がありますので、そちらのほうに時間を割きたいと思います。よろしくご協力ください。
 それでは続きまして、資料2(1)からになるかと思います。資料が4つほどございますが、それについてご説明いただきますが、ここで提案されている資料そのものの内容がかなり多岐に及んでおりますので、一つずつご説明いただいて、その後ご質問等をお伺いするという形で進めさせていただきたいと思います。
 それでは、資料2(1)収集資料の整理ということについてご説明をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○川岸主任研究員 では、お手元に右肩の番号、資料2(1)をご用意ください。
 この資料は、先ほど資料2で説明いたしました収集資料の整理の、作業途中ですけれども、結果でございます。先ほど説明しましたように、昨年度末までで464冊の報告書が皆様のご協力によって集まっております。その中から、その中身をずっと事務局で確認していっている最中ですが、後ほどお話しします環境特性の整理あるいは海域区分、その他の検討をするための基礎的な情報として使える、あるいは参考になりそうだといった報告書を先に事務局のほうで抽出、それから整理の作業をやっております。
 資料2(1)、表紙をめくっていただいて、1ページから5ページまで、ピンクの紙の前までが、私どもで確認して、中身が参考になりそうだ、あるいはデータとして使えそうだといったものだけを抽出しております。ピンクの紙以降につきましては、昨年度末の段階で多分委員の皆様にはCD-ROMの形でお送りさせていただいていると思います。それと同じものを今日は、ちょっと体裁は違うと思いますが、打ち出して入れているだけでございます。細かい内容につきましては、まだ作業途中ということもありますので、一つずつの説明は今日はちょっと割愛させていただこうと思います。
 資料2(1)の説明は以上です。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。
 資料収集の状況ということと、有効、参考になるような資料ということで整理していただいております。このほかにも各委員からその都度、重要な資料等があれば、またご紹介いただければと思います。何かこの点、よろしゅうございますか。現状の収集の方向だということです。どうぞ。

○白谷委員 小委員会の第1回のときに、再生の具体像をイメージするときにはやはり過去数十年の環境変化を知らなければいけないと申し上げました。そして、その中で特に有明海の基本的な環境に与えている流域からの影響、河川の流入、それと負荷の流入、それについて前回の報告書では十分に触れられなかったように私は思う、したがって今回は平成18年以前にも遡ってその部分については収集すべきではないかと申し上げたのですが、ちょっとなかなかそこは現在のところ手薄になっていると言わざるを得ないと思います。やはり、流域からの負荷というのは、1950年から1970年まで、例えば農地で見ると、施肥量が2.5倍ぐらい多くなっているんです。そして1970年から1990年までは横ばい。1990年からずっと下がってきている。この1990年からずっと下がってきている影響がいつ現れるのかというと、これからなんです。だから、そういうところを見据えて将来の再生計画も考えなければいけないということになりますので、ぜひその辺は力を入れて収集をお願いしたいと思います。特に、環境省で面源負荷の原単位調査を水環境学会に委託してやられておりますね。そういったものの反映というのはまずもってすべきではないかと思います。

○川岸主任研究員 ありがとうございます。今ご意見がありましたように、流域からの影響を、申し訳ございませんが、別に過小評価しているわけではないのですが、資料2(1)はちょっと、資料依頼を皆様にお願いして、集まったものを一応淡々と整理しているという作業の結果を説明しただけでございます。実は昨年度、最後の小委員会のほうで、流入負荷の整理については今ここまで終わっているという報告をさせていただいております。その中で、今、白谷委員からお話がありましたように、原単位調査の結果も一応整理して出していますが、その前の部分というのはまだ出しておりません。それについては、また事務局で整理して説明させていただいて、ご意見をいただければありがたいと思います。よろしいでしょうか。

○滝川小委員会委員長 よろしいでしょうか。はい、どうぞ。

○古川委員 海洋政策研究財団の古川です。今、白谷委員からご指摘あった点について、これは今議論しているのが収集資料ということになっていて、そういう資料を収集しなさいというオーダーだと考えると、流域からの負荷がどのように変わってきたのかというのを系統的に示す資料というのは、直接見つかるような気がしないんです。東京湾とか瀬戸内海、また伊勢湾等々で国土技術政策総合研究所で取りまとめをしたときも、個別の負荷源の調査をして、それを足し合わせてきて、流入量の推定を10年単位ぐらいで100年規模の調査にまとめるといった、いわゆる調査をまとめるような仕事をもう一個入れないと、白谷委員からご要望が出ているようなものが手に入らないのではないかという気がいたします。
 重要性はすごくよくわかるので、これが今後の調査という予定の中に組み入れていただけるかどうかわからないですけれども、一次資料を探すという努力と並行して、それをまとめて数字をつくるような作業もあわせてしていただけるようにお願いすることが必要だと思います。私からもそういう取りまとめをぜひ委員会または環境省さんにお願いできればありがたいと思っているということで、コメントとお願いです。

○滝川小委員会委員長 貴重なコメントをありがとうございます。そういうご指摘の方向で多分進んで、データの収集と、それをどう整理していくのかということの中で、当然議論していく方向であろうと思います。また今後ともどうぞよろしくご指導をお願いしたいと思います。ありがとうございます。
 ほかにご意見はございますでしょうか。
 それではこの資料につきましては、そういった方向でまた持続してやっていくということでお願いしたいと思います。
 それでは続きまして、資料2(2)です。今後の進め方の(2)環境特性の把握ということについて、また事務局からご説明をお願いいたします。

○川岸主任研究員 次は資料2(2)環境特性の把握でございます。この資料につきましては、昨年度、事務局から一度提示させてもらっておりますし、後で説明の中でいたしますけれども、国土交通省さんがやられている検討の結果を参考にしましょうといったところも説明はさせていただいております。ただ、なかなか説明の時間あるいは質疑の時間が昨年度の中ではうまくとれなかったのではないかと考えまして、もう一度説明させていただこうということで、重複するようですけれども、この時間をいただきました。
 表紙と1枚をめくっていただいて、3ページ目のフローをご覧ください。これは、滝川先生らが報告された内容を参考に、国土交通省さんのほうで整理されたフローということになっております。後ほどまた細かくお話しいたしますけれども、今回この小委員会で有明海・八代海の再生を考えていく手順をこのフローは示しております。
 作業自体は、どちらかというと、このフローの向かって左側の部分が作業になって、黄色で塗っている枠の部分がアウトプットと見ていただくとわかりやすいかと思います。今の時点は何をやっているかというと、このフローの一番左上の茶色に囲ってある「有明・八代海の現状と変遷」と「有明・八代海の地域特性と課題」、ここの整理をしている最中でございます。これから出てくるアウトプットとしては、右の黄色い四角に書いておりますように、環境特性を把握する。先ほどちょっと資料2の説明の中でも出てきましたけれども、皆様ご存じのように、有明海と八代海は、場所によって随分特性が違いますので、特性を把握するためにも海域を分けて整理すべきだろうということを考えて、海域を分けましょうという話を先ほどからさせていただいております。分けたときに、分けた海域ごとに多分環境上の課題が挙がってくるだろう。それはもちろん、まとめた有明海・八代海全体の課題というのも挙がってくるだろうと考えています。それが次の黄色い枠です。
 これに対応したような形で、これを解決するような姿あるいは解決するための考え方といったものを整理するのが、次の基本理念・基本方針というものだろうと今のところ考えています。この基本理念・基本目標をもとに、海域ごとに個別の目標をつくる必要があるだろうといったことを考えています。この個別目標を海域ごとで達成するためにどういう再生の技術が必要かというのが下の黄色でございます。これは、底質を改善するもの、水質を改善するもの、負荷を削減するもの、いろいろなものが多分あると思います。もちろん全て書き切れてはいないのですけれども。こういう技術を考えて、こういう技術を進めていくことでこの個別目標を達成するようなストーリーをつくりましょうと。それが多分最終的な再生方策というものになるだろうと考えています。
 その技術につきましては、このフローの右側の技術が並んでいる枠と、左下のほうにブルーの枠で書いている部分、これが順応的管理とかという言葉を使っておりますけれども、技術を適用してその効果を評価して、それをよりよくするためにまたフィードバックするといった、ここは評価と改善というか、よりよくする改良・工夫ということがずっとフィードバックで回転するものなのだろうとは考えております。その技術を考える上で、方策につなげる間では、今お話ししましたように、評価というものが多分くっついてくるのだろうと考えています。この辺は、先ほど概略の部分を資料2のフローで示したところです。
 この中の技術のところの下にグリーンの文字で書いておりますけれども、どういう観点でその再生を考えていくのかというところについては、一応事務局の案としては、ここに書いていますように、生物の生息環境を再生していこうと。ですから、水質の観点、あるいは底質の観点、あるいは負荷削減の観点、そういう観点ではなくて、生物の生息環境として有明海・八代海を捉えよう、そこをどうやって評価しようか、それをどうやって改善・再生しようかといった方向で有明・八代海の再生を考えていきたいと考えています。
 そこで、このフローの一番上に実は全体目標というものを入れています。これはもちろん現時点での目標。今から、先ほどフローにありましたように、来年度以降、全体目標を検討するということになっていますが、実際に作業する上で何かしらのイメージが必要だろうということを考えて、ここには、有明・八代海の環境特性に応じた生物多様性のある海域環境というものを仮に目標に置いて、作業を進めていく、あるいは検討を進めていってはどうかといった提案がまず第1点でございます。
 それから1ページめくっていただいて、5ページをお願いいたします。今説明した内容を5ページの下のほうに書いています。ここに書いていますように、生物の生息環境の、その生物というものにつきましては、今のところ事務局では「底生生物の生息環境」の観点から再生方策をまず検討してはどうかと考えています。検討の方針については、先ほどお話ししたとおりです。海域別に特性を把握して、課題を整理しましょう。それから、海域ごとの特性に応じた基本理念・基本方針あるいは個別目標というものをつくる必要があるだろう。その目標を達成するための方策、技術とその技術の評価、そういったものを含めた方策というものを今後検討していこうといった方針を今のところ考えています。
 この環境特性をどのように整理していくかというのは、これも国土交通省さんの整理の例を今回挙げさせてもらいますけれども、次の7ページから、海域区分をして、その区分ごとにどういう情報が今あるのかといった整理を事務局ではどんどん進めています。先ほど収集資料のところでお話ししましたような環境特性の整理といったものはこの枠の中にずっと書き込んでいって、皆さんにおわかりいただけるような形で整理したいと思っております。
 ちなみに、7ページの表をご覧になって、黒文字と赤文字の2種類の文字で表をつくっています。黒文字については、データがあって、事務局で確認できて記載している内容です。赤文字については、実はデータはなくて、シミュレーションの結果あるいはその他のことから推測されるようなこと、あるいはもうどうしてもわからないということを赤文字で示しています。ですので、今収集しました資料でこの赤文字をなるべく減らすという作業を今から事務局でやっていきたいと思っています。
 それから、その材料をもとに海域区分をしますということで、海域区分のやり方についても一応説明させていただきたいと思いますが、それはちょっと実は資料15ページから少しその方法を入れているのですが、この内容については、後ほど資料2(3)で説明させていただきますので、割愛させていただきます。
 それからずっと飛びまして、19ページをお願いいたします。この再生方策については、既に幾つかの機関あるいは省庁さんで先んじて検討が進められております。それを少し事例として紹介させていただきます。19ページには国土交通省さんの検討事例。これは前回の小委員会で報告されたとおりでございます。実際に具体的にどういう作業をやってその再生方策をつくるかということの検討が20ページに入れておりますようなフローで進められております。
 それから、それ以外にも幾つか、再生方策あるいは有明・八代の再生についての検討事例というものがございます。楠田先生が代表的に編集されました「蘇る有明海」という本がございます。この中では有明海の生物生息環境の俯瞰的再生と実証試験についてという事業の結果がまとめられている本でございます。その本の中から少し事例を紹介したいと思って、23ページからその結果を入れております。この本の中では、幾つかの施策を適用して、それがどのような効果があるのかというのをシミュレーションで検討したという事例でございます。技術については、23ページの下の表の3.1をご覧ください。6種類ぐらいの再生策をおのおのメッシュに当てはめて、効果をある程度決めて計算した結果どのような効果があるのかといった検討がこの本の中ではされています。
 結果は、1枚めくっていただいて25ページに整理されています。途中、詳細につきましては、申し訳ございません、本をご覧ください。結果だけここではちょっと示させてもらっています。幾つかの施策の中で、有明海全体の貧酸素化を低減するのに効果があるもの、あるいはアサリ・サルボウ・スズキ、この3種類はこの事業の中では指標種として、生活史の各段階をモデルの中に入れて効果を確認しようという試みがなされているものです。その中で、25ページを見ていただくと、○や△や×の数などを見ていただくと、上からナンバーでいきますと、No.4の覆砂2あるいは7と8のなぎさ線回復というところが、幾つかの方面で効果があるという結果になっておりました。このうち、覆砂は皆さんご存じだと思いますので、なぎさ線というものについては一応参考までに27ページからどういうものかということを入れております。これは、後ほどお時間があるときにでも見ていただければと思います。
 資料2(2)の説明は以上でございます。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございました。
 環境特性の把握ということで、再生の方向性をどう考えていくのか。それから、どのようにその特性をデータを集めて整理していくのかということの整理例等をご紹介いただきまして、さらにそれを前提といいますか、参考としたようなケーススタディーといいますか、参考事例というのを挙げていただきました。この資料につきまして、何かご質問、ご意見等をいただければと思いますが。どうぞよろしくお願いいたします。

○有瀧委員 確認だけさせていただきたいのですけれども、この有明海・八代海等総合調査評価委員会のミッションが再開されて、海域が付加されましたよね。具体的にいえば橘湾とか八代の南ですけれども、この海域についての取り扱いというのは、今回この小委員会の中ではどういう位置づけでいくのでしょうか。データがないのは当然わかっているのですけれども、「等」がついている限りはそこについての言及もある程度必要だとは思うのですが、どのようにしていくのでしょうか。

○高山室長補佐 今のところ、データを収集して、どういう形でできるかという方向で検討しようとは思っているのですけれども、とりあえず余りデータがないので、環境省でも少しずつは調査を行う予定にしているのですけれども、こうこうこういう形でやっていきますというほどのデータと方向性というのですか、例えば橘湾であれば、どういう問題点があるかとか、そういうことの把握がまだなかなか難しい状況でして、それにつきましてはもうちょっと時間がかかるかなと思っております。

○有瀧委員 午前中の生物小委のほうでは、当然赤潮の被害などはそういう海域に及んでいますので、橘湾なども取り扱っていきます。当小委員会でも今おっしゃったようなことで進めていただき、それから、位置づけをしっかりしていただければと思うんです。今の現状はこうだからこうする、こうしていくと明示することが必要かなと感じました。
 以上です。

○高山室長補佐 ありがとうございます。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございました。
 ほかにご意見は。古川委員、どうぞ。

○古川委員 もしかしたら今度の海域区分の後のご説明の中で出てくるのかもしれませんが、3ページのポンチ絵の中で、黄色の箱が大目標の下にあって、大目標は私は大賛成なんですけれども、その下で、特性の理解をして、課題を抽出して、また今度は個別の目標に分かれていくときに、海域に分ける段階では恐らく海域全体の環境全てのスペクトルに振れた(幅広い)評価をすべきなんだと思います。ただ、その中のある海域の課題を抽出したり、ましてやその中の対策を考えるときには、海域区分に分けた中での環境の変動の幅を考慮した精密な評価をしないと、分解能が足りなくなるおそれがあると思って、そこにご注意いただきたいと思っています。
 具体的に、例えば21ページのところに「再生方策の検討」と書かれていて、上から3行目のところでしょうか、これこれの「評価結果及び有明・八代海の環境特性から、高い効果が期待できる再生技術を抽出する」と書いてあります。これだと、読み方によっては、有明・八代海の環境特性全体で見てプラスにならなければといった再生技術の抽出という面に絞られているような気がします。もちろんそこが目的ではあるのですけれども、ローカルに見て効果を最大化するというものと、トータルで見て全体のほうで得をするというのが必ずしも一致しないという可能性もありますので、恐らく具体的に短期的にローカルに再生方策を検討し、また実行していく段階ではその対象地域において、ある程度の成果も見込まれなければいけないということを考えると、常に全体の話に振り返ってしまうと、ローカルでやるべきことが落ちてしまう可能性はなかろうかということを危惧します。
 また、楠田先生の非常に大変なお仕事の例も出されていますけれども、まさにこれは全体での効果を測る物差しでローカルの対策について評価されているということで、この方向もありですけれども、今申し上げたようなローカルの場できちんと評価するということにもぜひ心を砕いていただきたいと思っております。

○川岸主任研究員 ありがとうございます。参考にさせていただきます。ありがとうございます。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。貴重なご指摘、ありがとうございます。ぜひそういう視点は、重々頭に入っているはずだと思いますが、怠ることのないように進めていきたいと思います。ありがとうございます。
 ほかに何か、この資料につきましてご意見等は。どうぞ。

○牧委員 事務局からご説明いただいたこの9ページ、有明でも八代でもそうなんですが、環境特性のまとめで、貧酸素水塊について、まだ整理の作業中だと思うんですけれども、金太郎あめみたいに「空間的な挙動については不明」と書いてあるのですが、これは有明の奥の六角川の河口域沖合周辺等で、国交省と環境省と農水省のご尽力で連続観測でそこは相当測定されているので、水平分布ということになると別かもしれませんけれども、相当貧酸素水塊の時空間分布はわかっているはずですので、西岸のほうもちょっとわからないんですけれども、例えば月1回の観測であっても、DOが××以下、何カ月認められたとか、そういう定量的な評価をいただいて、東京湾と違って均一で貧酸素水塊が発生しているわけではないので、さっき古川さんからもご指摘があったように、もうちょっとローカル的に定量的なご評価をいただいて今後作業していただきたいと思います。
 もう一つ、なぜ気になるかというと、底質の指標として泥の細かい、例えば細砂かシルト・粘土かというのがあると思うんですけれども、多分、必ずしも粒度が細かいからといって貧酸素水塊が卓越しているとは思いませんので、還元的な状態になっているかとか、硫化物の項目がございますけれども、粒度組成だけではなくて、還元的な酸化的な環境かとか、それから直上水の貧酸素水塊の卓越している時間といった情報をもうちょっと定量的に持ち込んでいただきたいと思います。

○滝川小委員会委員長 いかがでしょうか。

○川岸主任研究員 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。底質のところについては、今おっしゃったように、粒径が例えばどうこう、細かいから貧酸素水塊が起きるというわけではないというのは、我々もそのように感じています。もう少し、今これはちょっと整理の例として入れておりますが、具体的に数字が入れられるものについては今から入れていきたいと思っておりますし、おっしゃったように、貧酸素水塊については連続観測が数地点でやられております。それらのデータについては、私どもの作業がなかなか追いつかず、まだ空間的な把握評価というのはできていないので、それは事務局でやらせていただいて、ここでまた枠の中に書き込んでいきたいと思います。よろしくお願いします。

○滝川小委員会委員長 ご指摘、ありがとうございます。
 ほかによろしゅうございますでしょうか。それでは、何かございましたら、後でまたご指摘いただければと思います。
 それでは、次の資料に進ませていただきます。資料2(3)、今後の進め方で、海域区分についてという項目に関しまして、また事務局からご説明をお願いいたします。

○川岸主任研究員 先ほど説明しました資料2(2)の中で、ご意見はございませんでしたが、生物の生息環境の観点から再生方策を考えたいというお話をさせていただきました。生物については、今回はまず底生生物の生息環境について、その再生という方向で作業を進めていきたいというお話をさせていただきました。今のところご意見はなかったので、それは皆さんのご了承をいただいたと考えていいのかなと思っているのですが、もしそうであれば、その方法で海域を区分するということを実は資料2(3)で作業として少しやっておりますし、今後はそういう方向でやっていきたいということで説明させていただければと思います。
 ちょっと表紙の下に目次を入れております。目次をご覧ください。まず海域区分の具体的なやり方を少し説明させていただこうと思っております。先ほどお話ししましたように、底生生物の生息環境という観点で区分をまず考えていこうということを作業としてやっております。そのほかにももちろん区分の方法は幾つもあると思いますが、まず一つ提案させていただこうというのが1章でございます。海域区分をした後に、その区分された海域ごとの環境特性を整理するという話をさせていただきました。それはもちろん、先ほど環境特性の整理の例ということで、水質、底質あるいは流況あるいは赤潮、貧酸素水塊といったことの表の整理の例を出させていただきました。それを少し具体的に、こういう観点でこの海域はこういう環境特性なんだという整理を少し細かくやって、整理の事例として出そうということで、それを2章に入れています。流況と、ここでは一応、底生生物に直接関係あるかないかというのももちろんあるのですが、流況と海底地形、赤潮、貧酸素、それと若干底生生物からは外れますが、これはその先のことをにらんでということも考えて、魚類の生活環境ということから見たときにどうなのかと。これは多分、底生生物の再生を考えた後に出てくるものは多分魚類というお話ではないかということで、その準備をしていこうといった作業の方向を考えています。
 では、中身を説明いたします。表紙をめくっていただいて、1ページ目をご覧ください。先ほど少し説明を飛ばした部分です。底質と底生生物によってまず区分してみようということで、作業した結果を入れています。実際にはどうやったかというと、底生生物の生息環境の主な構成要素というのは多分底質だろうということで、底質と底生生物を、区分の方法、整理の方法にはいろいろな方法がございますが、ここでは一応クラスター解析を使いまして、底質を幾つかのグループに、底生生物を幾つかのグループに分けようということをやっています。1ページ目に書いていますように、底質は今のところ4つのグループに分けられるのか、ベントスについては5つのグループに分けることができるかといったところまで今作業が進んでいます。
 その結果は2ページに入れておりますように、2ページの左上の図が底質による区分、同じ色のところは同じグルーピングです。もう資料が少ないので、デンドログラム等はちょっと省略させていただきましたけれども、湾奥の西側の部分と東側の部分、それと大きくは湾奥の部分のようなところでは、大きく分かれるというのがよく出ているかと思います。同様に底生生物をクラスター解析で分けたものが2ページの右上の絵でございます。これは若干底質とぴったり合わないというところも出てきています。これは恐らく、底生生物の生息環境は底質が主要な構成要素だという話を先ほどしましたけれども、それだけでは多分決まらず、ほかの要素もあるので、底質と底生生物はぴったり合っていないのだろうとは今のところ考えています。これを先ほどからお話ししています収集資料のデータ等を使って、もう少し更新して詳細にデータを加えて、こういう作業をして区分していきたいといったことを今考えています。全く同じ方法で、八代海というものもやっております。これについても4ページに結果を入れておりますけれども、同じような底生生物の区分の図になっております。
 さらに、底生生物に影響を与えるという、あるいは底生生物の生息環境の構成要素としては、水質というものも多分関係すると考えています。これについては、もちろん先ほど牧委員からお話があったように、貧酸素ということもあるのですが、それ以外の水質の情報も一応整理して、同じようにクラスター解析をやって区分してみるとどうなるか。これは、熊本大学で学位を取られた園田さんの学位論文を少し引用させてもらいました。5ページの真ん中にその区分図が入っております。詳細はお時間があるときに中を読んでいただきたいのですが、基本的には筑後川から入ってきた栄養塩が、有明海に最も大量に入ってきます。負荷源としては一番大きいです。そこが一つのグルーピングとして、ここではBと表現されております。それから、反時計回りの平均流に乗って、Aのほうに行き、Dに行き、Eに行き、Fに行くという、この順番でどんどん希釈されていくというパターン。それと、出水のようなときには、BからAではなくて、Cのほうに行きます。そういう区分がクラスター解析で出てきたという報告がこの中ではされています。これも一つ参考として、今回海域区分をするときには考えていこうと。この方法は踏襲させていただいて、収集資料から組み入れられるデータについては入れていきたいということで、少し見直したいと思っています。
 ただ、ここの底質と水質両方とも、今お話ししたように、収集資料を加えて、作業としてはこれからどんどん進めていきたいと考えているのですが、全ての底質調査、全ての底生生物調査あるいは水質調査といったものが、同じ方法、同じタイミング、同じ地点で過去から現在までやられているというわけではございません。特に収集資料は、四百数冊あるのですが、作業としては、おのおの違う目的でやられている結果をかき集めて、使えそうな部分だけ使うというやり方になっていくと思います。ですので、どこかで、例えば経年的にこれを整理していくということは、なるべくなら、できる部分はやっていきたいと思うんですが、なかなかそれは、今お話ししましたように、時空間的にデータが毎年毎年全部きちんとそろっているというわけではないので、事務局では、少し丸めてといいますか、平均的な値をつくって、その平均的な値をクラスター解析で区分していくという考え方でデータの整理あるいは更新ということをやっていきたいと思っています。具体的に何年度はどこでどういうデータがあってというところまではまだちょっと作業が行っていませんので、またそれは出てきたところで皆様に提示して、ここはこういう時空間的なデータの存在なので、こういう具合に整理させてもらいたいという話をさせていただければとは思っています。
 それから、そのように整理して、ある程度区分ができたところで、その区分ごとの海域の特性を整理していこうと考えています。その中で、これと同じようなことをやるということで事例として挙げていますが、7ページからですけれども、底質と水質以外の情報として、今までなかなか有明で実は整理がされていない部分として、流れと海底地形がどのようになっているかというところを少し書き込んでいきたいと考えています。これも実測データがご存じのようにたくさんあるわけではございませんので、少しシミュレーションの結果等も使って整理していくのかなとは考えています。
 それから、赤潮については、8ページと9ページでございますけれども、午前中の生物小委員会でもずっと整理されておりますので、その結果はもちろんこちらで取り込ませていただこうと考えているのですが、海域区分をする以上、水平的にどこでどういう赤潮が発生しているかという整理を少しやってみようと思っています。作業の途中ですが、9ページには、2010年度、2011年度、2012年度で水産庁さんのほうに報告されている赤潮の発生件数を、適当な大きさというか、ある程度の大きさのメッシュで、回数だけ、発生件数だけ落とした図を一応つくっております。こういう整理を属ごとに、年次ごとに、あるいは季節ごとに少し整理していけば、最後に区分された海域の赤潮の発生がどうなのかといった説明が少し具体的に書けるのかなとは考えています。
 それから、発生件数だけではなくて、赤潮の確認日数も少し整理していきたい、この中にあった環境特性として書き込んでいきたいと考えています。その事例は10ページ・11ページに入れております。これもお時間があるときご覧ください。
 それから、貧酸素水塊につきましては、農林水産省、九州農政局さんのほうで、連続観測の結果を使って既に海域区分されています。これについても、最新の情報を提供していただいて、少し見直しのようなことを入れて、これも区分された海域の特性の整理に使わせていただこうと考えています。
 それから、これも前回の小委員会でお話になりましたけれども、国土交通省さんでは、海洋環境整備船で八代海のデータの取得ということをやられております。幾つかの方法でやられているのですが、八代海に定点を1点、連続の観測地点を設けて、そこでどのように水質が変化するかという調査をしております。これもやはり、八代海はご存じのように非常にデータが少ないところなので、こういう海域の環境特性の整理に使わせていただこうということで、参考として入れています。
 それから、昨年度までの環境省さんの事業と、今日はご欠席ですけれども、長崎大学の山口先生の研究では、有明海における魚類の各生活史段階での利用状況といったことが報告されております。これについても今後、まずは先ほどお話ししましたように底生生物で整理していこうということを考えているのですが、その先に多分魚類というのは出てくるだろう。そのための材料として報告を少し引用させていただいて、区分された海域では魚類がどのようにそこを利用しているかといった話を少し書けるものについては書き込んでいきたいということを考えております。
 資料2(3)の説明は以上です。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございました。
 資料2(3)に基づきまして、海域区分の進め方、考え方ということについてご説明ただきました。ここのところの一つの事例というのが、先ほど、一つ前の資料になりますが、資料2(2)の中に、説明の表として、有明海あるいは八代海についての地点の海域とその評価項目が幾つかございます。この中をどのようにして区分分けしてその特性を記述していくのかということとこれを対応してご覧いただけると、今の説明はわかるのかなと思います。そういったところで、まず海域区分については、先ほどご説明があったように、底質と底生生物の観点からの海域を区分してみる。それから、水質によって区分してみる。そういったものと環境情報といいますか、いろいろな物理環境あるいは赤潮、貧酸素の発生状況等を加味して、この中に区分された海域ごとにその特性を把握していこうという話。それと、一番最後に魚類というご説明がありましたが、これにつきましては、もともと底質で海域区分をやった、あるいは底生生物をやったというということと、魚類に対してどういう特性があるのかということで整理していただいている資料が有りまして、魚類にとってどこが産卵の場で、生育の場でといったものの特性も把握しながら、海域ごとの特性をより詳細に整理していこうという流れになっている資料ではあります。何かご質問等、ご指摘があれば。小松先生、どうぞ。

○小松委員 小松です。先ほど川岸さんのご説明の中にも、経年的な変化はできるだけ考えたいというお話だったと思います。ここの海域を分けるという作業で、私はこれは非常に重要だなと思うのは、今の現状から再生ということで、新しい方向に持っていこうというわけですね。だから、今の現状から動かそうというわけなので、そこの今の現状が過去どうだったかというのは極めて重要だと思います。それで、確かにデータがない、過去のデータが少ないというのはよくわかるのですが、それでもいろいろ示唆されるデータというのは幾つかあるんです。クラスター解析は無理でしょうけれども、当然今の海域を分けるときに参考にできるデータというのはありますので、ぜひその辺を重視して作業を進めていただきたいなと思います。

○川岸主任研究員 ありがとうございます。すみません、説明が飛びましたけれども、区分をするのにクラスターという手法を使いますけれども、区分された海域の環境の整理の部分については、今、小松先生からご指摘があったように、経年変化を枠の中に書き込んでいくといったことは、もちろん作業としてきちんとやっていくつもりです。ありがとうございます。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。
 ほかに何かご意見は。どうぞ、松野先生。

○松野委員 海域区分というのは最終的にどういう形をイメージされているのか、ちょっと確認させていただきたいんですけれども、海域といって後ろのほうに出てくるのは、地理的にこの辺りという海域で区分しているように見えますが、一番最初でクラスター分析でやってきたのは、ある特徴を持った海域ということで区分されていますので、その特徴を持った海域というのは、あちこちに点在していても、海域区分にはなるわけです。ですけれど、いろいろな種類、例えばA、B、Cとか、1、2、3とかのが混在しているような海域というのも一つの特徴的な海域かもしれないので、最終的にどんな格好の海域区分なのかをちょっとはっきりさせておいたほうがいいような気がします。

○川岸主任研究員 ありがとうございます。そこは、すみません、まだ考えが至っていなくて説明できなかったものです。申し訳ございません。というのは、今おっしゃったように、資料2(3)の2ページのところで少し説明しましたように、例えば2ページの左側の上の図で、有明湾奥の西部をAという海域に区分しましょうとしたときには、その中では、底生生物から見ると、そこは3つのグループに分かれるというのが右側の図でおわかりいただけると思います。あるいは、それを今度はそれに水質を考えると、といったことを考えたときに、最終的にそういう結果をどうやって重ね合わせて区分の線を引くかというところについては、すみません、実はまだ事務局では模索中です。ただ、少し、まず先ほどから絵をつくってみて、またどうなるのかなということを実はちょっと考えていたので、その時点でまた相談させていただけるとありがたいかなと実は思っているところです。すみません。

○滝川小委員会委員長 ご指摘ありがとうございます。
 恐らく、個々の図を見ても明らかなように、水質だけで見たとき、あるいは底質だけで見たときに、底生生物だけで見たとき、ご指摘のように、必ずしも一致しない。それと同時に使われているデータそのものが非常にばらばらといいますか、一斉に、あるいは継続的に、経年的にというものではなくて、積分されたというんですか、何年かのものを一緒にボンと結果がまとめられているという図になっています。小松先生がご指摘のように、まさに経年変化がわかれば一番いいわけですが、そのデータがあるかないか。そういった意味で注意すべきなのは、クラスターにかけるときに、これは僕の提案も含めてですが、年限を区別して見るというのも一つの手ですね。いつからいつまでのデータを使うとこうなっている、こうなっている。多分、海域区分のやり方は、えいやと一つの方法があるのではなくて、幾つも方法があるので、大変なんだけれども、少しそういったことも考えながら整理していってみる。そして今まで見えなかったものが何か見えてくるかといった方向性も大事なのかなと思いますので、ちょっと作業量は大変なんですが、そういったことをやっていかなければいけない。
 それと、ここにあるデータそのものは一つの事例ですので、もっとほかのところの諸調査のデータ、一番最初にいろいろな資料があるということだったんですが、いろいろなところでいろいろなデータがかなり混在しています。そういったものもできるだけたくさん入れながら、時系列のことも意識しながらやって、どこまで細かくできるかというときには、多分、再生策を考えてときに、どういうスケールで対策をとれるのかということも、その効果の範囲も含めて、多分、海域の区分のあり方そのものがある程度フレキシブルと言ったら語弊がありますが、いろいろな分け方がきっと出てくるんだろうなと考えるんですが、そういったことについて各委員のご意見をいただきながら、この場合にはこういうことだというまとめ方をしていけたらいいかなと個人的には思っております。
 ほかにご質問は。はい。

○牧委員 質問なんですが、8ページ以降の赤潮発生状況で、赤潮の判断基準についてちょっとお教えいただけますか。

○川岸主任研究員 水産庁さんのほうから出されている「九州海域の赤潮」という報告書がございます。その中で赤潮と判断されているものを一応今回取り扱おうと思っています。といいますのは、佐賀県、福岡県、熊本県、長崎県、鹿児島県―八代海も入れると鹿児島県も入るのですが、各県で赤潮の定義、例えばシャットネラだったら何細胞以上というのが統一ではなさそうなんです。ですので、事務局のほうで、例えば今日の午前中のお話にあったように、シャットネラは少なくとも細胞数で漁業被害にはかなり相関があるといったお話がございましたけれども、1細胞でも、5細胞でも、10細胞でもと決めるのはもちろんできるのですが、それよりは、一度決められている、あるいは赤潮と公的に説明をされているところで一応定義して、今回はそれで整理してみようと思っているところです。

○牧委員 想像したとおりだったんですけれども、あともう一つは、細かいことですけれども、冬季、ノリの養殖で栄養塩をどうしても過剰収奪するということで、リゾソレニアとか、冬季に卓越する大型珪藻類の赤潮については、既存の報告書で結構ですけれども、これは何かないんでしょうか。

○川岸主任研究員 同じ九州海域の赤潮には一応冬の分も載っているんです、年間を通して。だから、例えば8ページの左側のグラフは、その情報をもとに水資源保護協会のデータベースのほうにグラフが描かれているものなんですけれども、冬も一応赤潮ということでカウントされている分については報告されていますし、それを、今のところどのくらい細かく事務局の作業で分けられるかどうかわかりませんけれども、なるべく属ごとにカウントして整理してみたいとは思っています。

○滝川小委員会委員長 はい、どうぞ。

○橋本委員 ちょっと質問なんですけれども、2ページの底質の話なんですが、河口のところの地層というんですか、柱状図を見ますと、ある時期は泥分があるけれども、ある時期は砂分があるとか、5層になっていたり、要するに時間的にも変化していますし、場所によっても非常に変化が激しいんです。こういったA、B、Cという区分というのは、安定した底質のところなんでしょうか。

○川岸主任研究員 平均的な値を使う場合と、例えばこれですと、2003年ぐらいから実はデータはあるのですけれども、そこから各年でクラスター解析という、先ほど小松先生がおっしゃったように、経年的なところを押さえられる分は押さえようといったことをやると、安定して泥のところ、それと少し動くところというのは、地点ごとに特性が出てきております。
 ちなみに、この2ページの左上の図でいきますと、Afk-1というのが筑後川の河口のところにございます。ちょっと見づらいのですが、Bの枠の中の上のほうなんですけれども、ここは、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんけれども、船で行くと、おもてとともでは底質の性状が違うようなところです。パッチ状に、ここは砂があったり、ここは粘土が白いようなところがございます。ですので、そういうところは筑後川の取水の影響を受けているのだろうということはもちろん想像はつくのですけれども、かなり変動が大きいといった特性を持っているという整理ができるのではないかと思っています。その辺、経年的にデータがあるところについては整理したいと思います。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。底質のデータ等については、今ご指摘のように、柱状採泥の中のどこをとるのかという話もありますし、あるいは表層の、後でご説明があるかもしれませんが、要するに浮泥のようなものによってもどう変わるか、それとの関連の中でも議論しなければいけないので、この底質区分としていますが、ご指摘のように、何でもって区分したのだ、どういう底質のもので、いつのものでという話になるので、かなりそこのところは慎重な評価といいますか、検討していく上では慎重に対処しなければいけないのかなと思います。またデータがそろい次第、あるいはデータを整理し次第、また皆様のご意見、ご指導をいただきたいと思います。
 ほかに何かよろしいですか。はい、どうぞ。

○白谷委員 来年度の初めに全体目標を、これをベースに設定するわけなんですけれども、ちょっとイメージが湧かないんです。何か、これをベースに全体目標をつくるイメージをちょっとお持ちだったら。そのイメージがないと、海域区分のやり方も意味も持たせられないですし、私もちょっとイメージしにくくて。

○川岸主任研究員 実は、その答えというわけではないのですけれども、先ほど資料2(2)のほうで説明させていただいたときに、3ページのフローのところで、今のところ、こういう目標を置きたいという話をさせていただいた、その生物多様性のある海域環境、要するに、底質だけではないんですが、環境特性によって、まず底生生物で考えているのですが、底生生物というのは、そこの特性に応じた底生生物がすんでいるだろう。その底生生物の生息環境をよりよくするということも必要だろうし、あるいはこの先その検討が進む上で、ここではこういう生物を増やしたいというお話も出てくるのではないかとは思っています、その水面利用の問題もあって。そうすると、そこではどういう環境をつくってあげなければいけないかといったことを積み上げていって、作業からいうと、正確に言うと、多様性がある海域環境を念頭に置いてやっているので、積み上げではなくて分解することになってしまうとは思うのですが、今のところそういう作業のやり方を今年はやろうと思っているんです。そういう作業をやって、うまく区分ができて、うまく整理がつけば、逆に戻ってフィードバックして、この全体目標、こういう生物多様性のある海域環境といった目標でもいけるという逆算をしてみたいなとは思っています。ちょっと、すみません、具体的な話でなくて申し訳ないんですが。

○白谷委員 HEPによる評価をやるというのが前にありましたね。だから、それのパラメータとして、パラメータについて区分するというやり方もありますよね。それで足りるかどうかという、ちょっと私もわからないんですけれども、そういった何か明確なイメージを持ったほうがいいと思うんです。ちょっと私もわからないので、すみません。

○古川委員 関連してというか、このように私は考えていましたというところをお話しして、何か参考になればと思うのです。資料2(3)の2ページのところに2つ図が出ています。底質区分と底生生物の区分図が出ているんですけれども、これは、今は同じように調査をされて、同じようにどっちも区分ができないかといったことで、先ほど松野先生からも、こういうなだらかな分布をとりたいのか、それともパッチ状の分布をとりたいのかというご指摘もありましたけれども、僕はこれは、底質区分のものと底生生物の区分というのは違う視点で集めなければいけないんだろうと思っております。
 先ほど川岸さんのほうから、確認をとられた生物の生息環境としての評価をしていくという大きな方向性があるとすると、結果としての右側の底生生物の区分図が恐らく最終的に評価に用いられるもので、それを評価するための原因の一つが底質区分なので、底質区分は、ある程度外力にのっとったものですから、なだらかな生物よりは分布がわかりやすい、物理的な環境で分布が描けるもの。ただ、底質区分も、いろいろな底質がありますし、また先ほど水深、地形という話もありましたし、流れの強さとか、そういうものを重ねていった結果として、右側の結果としての底生生物の区分図が出てくるのではないかと。
 ですから、方向性として、この底質区分図のような原因側のものは、なるべく滑らかに、すき間なく、全体の分布を描くことに注力してデータをとっていただいて、それのHEPでもいいでしょう、また回帰式でもいいでしょう、何らかの解析でもってこの底生生物なり、ほかの魚類なりといった生物の分布図になるような関連性を、きちんと道筋をつくっていただく。そうしたら、例えば有明の湾奥のところ、底質は大きなAでくくられているけれども、底生生物は[1]、[4]、[5]が入っている。この3パターンが入っているというのが湾奥での一つの目標だと。もしこれが2パターンぐらいに減ってしまうということだと、多様性が少し何らかの原因で低下しているのではないか。だから、この3パターンを維持しましょうというのが、例えばですけれども、目標を区域ごとに考えていくときのイメージなのではないでしょうか。そのときに、では底質だけではなくて、流れの情報、地形の情報を重ねたときに、実はここはもう1区分ぐらい出てきてもいいはずのところだとなっていたら、目標としては、もう1区分増やせるような対策をとって、より生物多様性を上げていく。仮定の話に仮定の話を重ねてしているのでけれども、イメージとしてはそんな議論の進め方をされるのではないかなと思っていたものですから、ご参考になればと。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございます。ありがたいご指摘をいただきました。基本的に、僕らは何をもって環境を評価するかで、まさに古川委員がご指摘なさったように、物理環境と生き物の環境がどう関係あるかということを今調べたいわけです。それが、物理環境のほうが先にあって、生き物がこうくっついていると考えるか、生き物が答えを示してくれると考えて、その物理環境がどうなっているか、多分そこの視点なんだろうなと、私自身はそのように思っています。ですから、生き物が答えを示してくれている。その生き物というのが今度はまた非常に厄介なんですが、門で区別するか、種で区別するかということによって変わってまいります。ですから、そこの点に注意しながら、この生き物はどういう環境で生きるのか、どういうところで生息してきたのかという観点が、まずベースにあるんだろうなと思います。そういった意味での仮と言ったらおかしいんですけれども、いろいろなパターンで海域を区分してみて、そしてその生き物の教えてくれている物理環境、ある種の生き物が増えるためにはこういう物理条件のもとにといった判断をやっていかないと、多分再生のゴールも見つからないしということになるんだろうなと、私はそのように理解してきているんですけれども、まさに古川委員がご指摘の観点かなと思います。
 何かほかにご意見等があればとは思いますが、よろしいでしょうか。そういう方向の中で議論していくという共通のご理解をいただけたらと思います。
 それでは、よろしいでしょうか。またご意見があれば賜っていきたいと思いますが、もう一つ資料が残っております。資料2(4)、今後の進め方ということで、現地調査関連ということでございます。これも事務局のほうからご説明いただきたいと思います。

○川岸主任研究員 資料2(4)でございます。現地調査関連といいますのは、昨年度、小委員会のほうで委員の方々からいろいろご指摘を受けたうち、今年度その指摘の全てに対応できるというわけではありませんので、指摘の中から一つずつ、二つずつ、できることについて少し対応していこうという試みの現地調査でございます。先ほど一番最初の資料2で白谷委員からご質問があった追加調査にもつながっていく部分だろうとは考えています。
 まず、白谷委員からご指摘がありました自重圧密の部分について、少し現地調査をやってみようと思っています。2ページをご覧ください。冬場、ノリひびが入るような地点として、六角川の観測塔の地点、それからノリひびが入らないところでの代表として、地点13、ちょっと水深は違いますが、こういうところでSSのフラックス、それと上にどういうものがたまっていって、それがどのくらいの含水比で変化するかといったものを一応現場で測定してみようということを考えています。
 4ページを見ていただくとおわかりのように、調査は一応2カ月に1回ぐらいのペースでどうかなと今考えているところです。含水比を測定して、どのくらい上にたまって、上から下まで層切りをするのですが、層切り各層で含水比がどう変わっていくかというものを一応見てみようということで、これで、この前ご指摘があったような堆積速度の違い、それから自重圧密の速度の違いがどのくらい出てくるか。確実に出ますというのはなかなか事務局としてはちょっとつらいんですが、一応まずデータをとってみて、また相談させていただければなとは思っているところです。こういう現地調査を今年度一つやってみようと思っています。
 もう一つは、松野委員からご指摘があったように、貧酸素水塊の生成・消滅といったものについては、かなり内部潮汐が影響しているといったご指摘もございましたので、それについて少し現地調査をやろうということで、5ページにあるような2地点、S-3とSt.Fという地点名をつけていますが、そこで上層と下層と、中層も含めてなんですが、はかれる部分については、水温、塩分、それと流向、流速を測定して、ちょっと期間が8月の1カ月間30昼夜強しかデータが今回はできないんですけれども、少しデータをとって整理してみたいとは考えています。これらの整理については、白谷委員と松野委員に相談しながら最終的には整理して、最終の小委員会で一番最後のデータが、特に自重圧密のほうのデータが全部報告できるかどうかわかりませんが、一応整理して、小委員会のほうに報告したいと思います。
 資料2(4)の説明は以上です。

○滝川小委員会委員長 ありがとうございました。
 今年度の現地調査関連ということで、2つの調査についての計画といいますか、ご説明をいただきました。何かご質問等はございますでしょうか。小松委員。

○小松委員 2番目の内部潮汐の調査のほうですけれども、これをやられることは非常に意味があっていいと思うんですが、この2地点、S-3とSt.Fですか、最近の熊本県立大の堤先生などの報告で、この諫早湾の湾口から、ちょっと表現しにくいんだけれども、潮目が常にできているといった報告があるわけなんです。それで、このSt.FとS-3も、どちらかというと、この潮目の境界付近か、もしくは潮目より外側になるので、できたら一つ潮目の内側といいますか、それができると非常にいいデータになるのかなと。このSt.FもS-3もいいと思うんですけれども、南東側にもう1点あると、この2点の計測結果も非常に有意義になるかなという気がするのですが、予算の関係もあってなかなか難しいかと思うんですけれども、例えば測定回数を減らして地点を増やすとか、そういうことも検討していただけるといいかなと思います。

○川岸主任研究員 ありがとうございます。今ここで、はい、やりますと明言するのはなかなかちょっと難しいところもあるので、少し考えさせていただこうかなと思います。よろしくお願いします。

○滝川小委員会委員長 ほかに。はい、どうぞ。

○橋本委員 堆積速度の測定方法の話なんですけれども、何というんですか、このような微細土砂というんですか、それが底面のところでどうなっているかというわけです。要するに、地層と、いわゆる静止して浮泥の状態で存在するという状態とあって、これでもってそういうところの何をはかるのか。コアサンプラーされるのだろうと思うんですが、いわゆる完全に地層の状態で圧密したようなところの部分をはかられるのか、静止状態で、浮泥の状態で地層化していない状態もはかられるのか、ここはものすごくデリケートな話だろうと思うんです。いわゆる砂だったら、すぐ沈降すれば、もう地層面がはっきりしますけれども、こういうシルトとか泥というのは、地層の状態になるまでにまた時間がかかると思うんです。浮泥の状態というか、静止状態からですね。そうすると、何をはかろうとされているのか、これをちょっとクリアにされる必要があるかなという感じを持ちました。

○川岸主任研究員 1ページのところに調査の目的を入れております。前回の小委員会でご指摘を受けたのは、ノリの養殖施設、要するにノリひびなんですが、それが入っている時期には、ノリひびが入っているところでは流速が低下して、ほかのところよりも自重圧密の進行速度が速くなるのではないか。そうすると、その後ノリひびがなくなっても、再懸濁の度合いが、ノリひびが入っている場所と入っていないところでは、同じような粒子がたまっていっても、少し違うのではないかといったご指摘がありました。それを現場で全て実測するというのは非常に難しいので、今回は、ノリひびがあるところとないところで、鉛直的にコア抜きした泥を大体5ミリぐらいの厚さでスライスして、それで含水比がどのように変わっていくのか。要するに、ノリひびがあるところでは含水比の減り具合が速くなる、あるいはノリひびがないところでは含水比がそんなに変わらないといったところで、先ほどの調査目的の直接の答えにはならないんですけれども、間接的な回答ができるのではないかということで、この現地調査のほうを今考えているところです。

○橋本委員 もし調査へ行かれたときに、水は存在するんでしょうか。

○川岸主任研究員 もちろんそうです。

○橋本委員 コアサンプラーでとると、浮泥の状態で存在する部分も一緒にとってしまいますよね。

○川岸主任研究員 そうです。

○橋本委員 両方とられるんですか。

○川岸主任研究員 両方とるんですが、今のところ30層を考えていますので、上から5ミリ間隔で30層といったときに、在来の地層の部分まで行かなかったら、ちょっと層切りを考えなければいけないかなと思うんですけれども、多分浮泥の厚みはそんなに厚くはないのかなとは思っていますけれども、そこは現地合わせの部分が出てくるかもしれません。

○滝川小委員会委員長 浮泥の部分も含めて測定されるということですね。白谷さんのほうからご計画をお持ちなんですか。

○白谷委員 こういった現象というのは、ノリの養殖が始まって何十年、50年もかけてだんだん変化が出てきている現象なんです。それを、この2年間でその変化を捉えようというのは、ちょっと難しいのかもしれないですね。先ほど先生がおっしゃったような何をはかるかという問題もあり。だから、この調査では、どういった現象がそこで起きているのか、水理学的な現象を解明するような調査が必要ではないかと思います。乱れの状態とか、それによって巻き上げられるものにはどういうものがあるのか、そういったところに重点を置く必要があるのではないか。そういった水理学的な現象とかについては、松野先生とか橋本先生といった方の意見も聞きながら、ちょっと綿密な調査計画を組んでいただきたいと思います。

○川岸主任研究員 わかりました。ありがとうございます。今のところ、含水比と、3ページの1.3.2のところに書いておりますように、3次元超音波流速計を下に向けて設置して、そこの再懸濁の状況がどうなのかというSSのフラックスのようなものは一応とってみようとは思っています。それでどこまで今のご指摘に対応できる答えが出せるかというところはありますが、基本的には、この地点での含水比の変化とそこでの巻き上がりがどうなのかというものは、限られた期間ですけれども、調査をやってみたいと思っています。ちょっと今年度の結果を整理してみて、やり方あるいはその結果、もっといい方法、あるいはもう少し長期間でやらなければいけないといったお話については、また次年度の調査を考えるときにご相談をさせていただければと思います。

○滝川小委員会委員長 どうぞ。

○牧委員 2番目の内部潮汐実態解明調査で、貧酸素水塊の解消というのはその成層が破れるということが重要だというのはご指摘であるのですが、ここではDOは測定されないんですか。それとも、私が伺いたいのは、実際はわからないんですが、自動観測点がこの西海区研に結構あるので、そのデータが使えるということであれば、その状態もあわせて、別にほかにデータがあるから、何が何でもここでも測定するという必要はないと思うんですけれども、多分これは超音波流速観測が売りだと思うんですけれども、もしDOがないと、ちょっと画竜点睛を欠くのではないかなと思うんですけれども。

○川岸主任研究員 S-3の近くには、西海区水産研究所さんが連続観測の地点を一つ、DOについては置かれています。St.Fはちょっとないんですけれども、ですので、S-3については、整理のときに、あるときに少し相談させていただきたいと思います。

○松野委員 先ほど小松委員からご意見がありました潮目というのは、確認させていただきたいんですけれども、どこからどこに出ているように、この地図でいくと、St.Fのどちら側になるんですか。

○小松委員 この図2.2.1の図で、右端が33°00'とありますね。その辺からずっと来て、St.Fの辺りぐらいまでで、あと諫早湾の湾口のところに入り込んでいるようなところで。

○松野委員 東西につながっているということですね。

○小松委員 そうです。東西にです。それが、上げ潮、下げ潮で多少前に行ったり後ろに行ったりしているようです。

○滝川小委員会委員長 よろしいでしょうか。詳しいところはまた後のほうで小松先生からお聞きいただければと思いますが。

○松野委員 結構潮目の位置は変わるので、定常的にそこにあるという感じは余りしていないんですけれども。

○小松委員 いや、結構、かなり定常的に計測されるそうです。

○滝川小委員会委員長 よろしいでしょうか。多分いろいろとまた情報をご議論いただいて、ご検討いただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、ちょっと次の予定もありますので、本日のこの資料2に関わる議論はここで終わらせていただきたいと思います。
 各委員の方々からいただきましたご意見、ご指導あるいはコメント等を含めまして、ご確認いただいた方向での内容で作業を進めさせていただきたいと思います。そしてまた加えまして、今後の資料収集、検討ということにつきまして、必要な情報等があれば、またいろいろとご協力等をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、その他の項目に入らせていただきたいと思います。本日は、その他の議題といたしまして、農林水産省のほうから、別途資料がございますが、諫早湾干拓事業の潮受堤防の排水門の開門に伴う環境変化を把握するための調査計画というものがございます。それについてご説明があるということでございますので、農村振興局の安部調査官からご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○安部調査官 農村振興局の安部でございます。資料3について説明させていただきます。座って説明させていただきます。
 資料3のほうは、クリップを外していただくと、2種類ございます。本体と調査地点位置図というものになってございまして、主に本体のほうを説明させていただきます。めくっていただきますと、表紙の裏、目次がついていて、1番の調査の目的から8番の開門直前・開門初期調査という8項目について、それぞれ説明を順次させていただきます。
 ページ番号1でございます。調査の目的でございますけれども、本年12月が期限となってございます潮受堤防排水門の開門に当たりましては、調整池・諫早湾・有明海の環境変化を把握していく必要がございます。このために、開門の前後を通じまして、約100地点において、潮位・潮流、水質、生物・生態系等の調査を行いまして、開門に伴う環境変化を分析・把握することとしてございます。また、この結果については公表する予定でございます。
 この調査に当たりましては、関係者の意見、調査の状況等に応じまして、調査の項目、頻度、方法、地点等について、柔軟に対応していくこととしてございます。1でございました。
 2、調査の工程でございます。開門の期限は、平成25年~平成30年の5カ年とされてございます。
 このため、(2)の調査期間でございますけれども、事前の調査、開門前1年間の調査のステージ。それから、開門時の調査ということで、開門されている5カ年間の調査のステージ。それから、事後調査ということで、閉門後の1年程度の調査のステージ。大きく3つに分かれます。この中で、特にでございますけれども、開門の初期並びに開門の直前におきましては、頻度を高めた調査を考えてございます。それが調査の工程でございます。
 ページをめくっていただきまして、2ページになります。大きな項目3つ目でございます、調査計画の基本的な考え方でございます。
(1)開門による変化と外部要因ということで、開門による変化は、開門による変化そのものと、外部条件による変化が考えられますことから、調整池につきましては、塩水化を中心とした水質変化、生物・生態系の変化等を把握することとしています。また、海域につきましては、潮位・潮流、水質等の変化、貧酸素や赤潮などの変化、さらに生物・漁業生産の変化を把握するということとしてございます。
 その下、(2)の項目の選定でございます。調査項目につきましては、水象、水質、底質、地形変化に加えまして、気象とか、流入する河川を対象としてございます。また、水質に関連するプランクトンのほかに、魚卵・稚仔魚、底生生物、海草類といった水生生物、干陸地周辺の陸生動物や鳥類までを含めて、把握の対象としているところでございます。
 3ページでございます。調査地点の設定でございますけれども、それぞれ、[1]から始まりますが、[1]の調整池につきましては、潮流、水質について、排水門の近辺と潮受堤防中央部付近、それから干陸地及び旧河口部付近、さらに本明川の地点などのデータを取得することによりまして、調整池の縦断的変化、横断的変化、それから河川流入部における変化を把握することとしてございます。
 [2]諫早湾でございますけれども、諫早湾は湾奥部を中心に潮流、水質などの変化が生じることと考えてございます。このために、湾奥部、湾央部、湾口部、湾外直近部などのライン、それと湾の北部、中央、南部といったラインを基本にデータを取得することとしてございます。特にでございますけれども、開門によるアサリの漁場などの干潟部への影響の範囲と程度を把握するために、湾の北部及び南部の干潟に調査地点を設けることとしています。さらに、貧酸素水塊が諫早湾内から拡大する場合には、必要に応じて分布範囲を把握する調査を行うこととしてございます。
 ページをめくっていただきまして、4ページでございます。[3]の有明海でございますけれども、有明海には、アセス等の結果から、基本的に開門による影響、変化はないと予測しておりますが、しかしながら関門による影響変化を確認するために、潮流の調査地点、それから水質・底質の調査地点を配置することとしております。特に「・」の2つ目でございますけれども、潮流調査につきましては、既往の調査の調査地点と同様の地点で行いますけれども、大浦沖のStn20につきましては、海底水道の流動を把握するために新設を考えてございます。
 (4)調査頻度の設定でございます。調査頻度につきましては、項目や調査時期ごとの変化の時間を踏まえて設定を考えてございます。先ほど申しましたけれども、開門の直前や開門初期の頻度は、別途頻度を密にすることとしてございます。
 5ページ、個別でございます。水象(潮位、潮流等)でございますが、潮位につきましては、10分ごとの連続的なデータ取得、潮流につきましては、貧酸素現象や赤潮発生時における夏季において10分ごとに観測するという計画でございます。
 [2]の水質でございます。水質は、毎正時のデータが取得可能な項目、水温、塩分、濁度等でございますけれども、それぞれの連続的なデータ取得を考えてございます。一方、栄養塩類等々の採水分析を要する項目については、月に1回の調査を考えてございます。
 [3]底質、地形変化でございますけれども、底質につきましては、季節別の調査を計画しています。一方、地形変化につきましては、年に1回の調査を計画しているところでございます。
 [4]生物でございます。生物のうち、一般種につきましては、季節別に調査を行うこととしております。ただし、プランクトンについては、月1回の調査を基本としております。
 それから、ページを進みまして6ページでございます。漁業生産の関係でございますけれども、漁業生産につきましては、標本船による調査を基本に、全期間にわたって調査を実施する予定でございます。
 ※は、重複しますけれども、今後、関係者の意見や調査状況等に応じ、本調査計画の調査項目、頻度、方法、地点等については、変更する場合がある。逆に言うと、そういうことまで踏まえて、柔軟な対応を考えているところでございます。
 大きな項目の4番目でございます。7ページでございます。水域の調査。これの水域の調査項目4.1、4.2の頻度、方法、4.3の地点につきましては、資料8ページから18ページに詳細を添付してございますけれども、時間の関係でそこは割愛させていただきまして、ページは飛びますけれども、19ページ、それら調査に基づきます水域の変化の把握方法について説明させていただきたいと思います。
 5.1として、水象、水質等でございます。現地観測データ等の整理といたしましては、開門により取得した現地調査データは、開門の事前、開門時、事後の各期間の変化をもとに、地点別の経時変化や平面分布、鉛直分布等を整理し、また調査項目ごと、時期ごとの状況を把握するとともに、外部条件との関係や調査項目相互の関係について整理する予定でございます。
 加えまして、(2)でございます。モデルによる要因解析でございますが、気象条件や外部条件の影響を含むことから、現地調査データの解析とあわせまして、数値シミュレーションモデルを用いた解析を行うこととしてございます。
 5.2として、干潟、生物、漁業生産等の変化でございます。3つそれぞれでございますけれども、干潟につきましては、干潟の生態系を構成する生物の種類や量などの変化を把握することとしてございます。生物につきましては、一般種につきまして、生物量(種数や固体数)、それから構成種、環境指標種の出現状況について、開門前後の比較を考えてございます。一方、重要種につきましては、生物生息量及び開門前後で比較して、変化の程度を把握することとしてございます。
 大きな3つ目、漁業生産でございますけれども、標本船調査の結果から、漁場の範囲、漁獲量及びCPUE(単位努力量当たり漁獲量)の推移、また漁獲努力量の推移を取りまとめて、開門による漁場の位置、漁獲対象種の生息及び漁獲量、操業等の変化を把握することとしてございます。
 以上が水域の関係でございます。
 21ページをあけていただきますと、今度は陸域の関係でございます。陸域の調査につきましては、調査の項目6.1、調査の方法6.2につきましては、23・24ページに表としてまとめておりますけれども、割愛させていただきます。
 調査地点につきまして、少し詳しく申し上げますと、営農の状況につきましては、調整池の塩水化に伴います影響を把握する必要がありますことから、土地利用、収穫量を把握することしています。また、農業用水の利用量や水質を把握する予定でございます。
 地下水につきましては、主要な井戸において地下水位及び地下水の水質を把握する予定でございます。
 土壌の塩害につきましては、土壌の塩害の影響を把握する必要があることから、地下水の水位・塩化物イオン濃度、それから潮遊池の塩化物イオン濃度をあわせて把握する予定でございます。
 潮風害につきましては、開門のアセス評価書における予測結果を踏まえまして、資料にあります中央干拓地、釜ノ鼻等々に複数の地点を配置して行う予定でございます。
 排水の状況につきましては、排水機場、それから排水の樋門地点に調査地点を配置します。
 またページをめくっていただきまして、22ページでございますけれども、潮受堤防排水門の構造物につきましては、振動を把握する予定で、南北8門に配置を予定してございます。
 それから、代償池への配置、それから、悪臭、景観、触れ合い活動の場につきましては、既往の調査地点への調査地点の配置を考えているところでございます。
 25ページ、これらの陸域の調査地点の結果の変化の把握方法でございますけれども、7.1として、営農につきましては、作付状況と収穫量の変化を把握する予定です。
 地下水については、先ほどの主要井戸の水位の連続観測と、電気伝導度の鉛直観測、水質の定期観測を予定して、変化を把握することとしております。
 7.3、土壌の塩害につきましては、土壌及び土壌間隙水の塩化物イオン濃度の調査をし、前後の比較をする予定です。
 潮風害につきましては、飛来塩分量の調査結果を用いまして、開門前後の比較をする予定でございます。
 7.5、排水状況につきましては、降雨量、潮遊地・排水路の水位とポンプの稼働実績、それから排水樋門稼働実態の調査結果を用いた比較をする予定としております。
 7.6、構造物・施設につきましては、排水門の振動を振動発生時とゲートの操作との関係を整理することによって、その把握に努める予定でございます。
 7.7、代償池につきましては、植物・動物・鳥類等につきまして調査し、代償池の塩分等の水質、代償池や周辺の生息環境との関係を整理することによってその変化を把握する予定としてございます。
 7.8、悪臭等でございます。悪臭につきましては、臭気強度及び臭気指数の調査結果について、魚介類の斃死状況及び回収・処分状況をあわせて整理することによって把握することとしてございます。景観につきましては、開門前後の眺望景観写真について、その比較をすることとしてございます。それから、触れ合いの活動の場については、その利用状況について、開門前後での比較を行うこととしてございます。
 大きな8項目のうち8番目の項目が26ページでございまして、開門直前・開門初期調査として、そこに挙げさせていただいてございます
 8.1、調査項目でございます。詳しくは27ページに挙げてございますけれども、開門直前におきましては、潮流、水質、水生生物の状況把握を予定してございます。開門初期におきましては、水質、底質、水生生物の変化、濁りの拡散状況、それから排水門前面の洗掘・堆積等を把握するために、潮流、水質、底質、地形変化を、観測頻度を密にして把握することとしてございます。
 8.2の調査頻度、調査方法でございます。具体的には28ページに示してございますけれども、開門直前においては、開門前の潮流、水質、水生生物の分布の約1カ月間の調査を予定しております。それから、開門後初期状態、開門直後につきましては、潮流、水質、底質、地形変化、水生生物の分布を約3カ月間調査する予定でございます。
 8.3として、調査地点でございますけれども、潮流、水質、底質、水生生物の調査地点は、調整池、諫早湾及び有明海で行うこととしてございまして、開門による変化が最も大きい可能性がある調整池及び諫早湾で重点的に実施します。地形変化につきましては、開門による変化が最も大きい可能性のある排水門の周辺、流入河川の河口部で調査する予定でございます。
 以上、調査の計画について説明させていただきました。

○滝川小委員会委員長 安部調査官におきましては、簡潔にご説明いただき、どうもありがとうございました。
 どなたかご質問はございますでしょうか。小松先生、どうぞ。

○小松委員 非常にわかりやすい説明をありがとうございました。
 ちょっと3点ほどお聞きしたいんですが、1つは、データは公表するということで、もちろんそれは必要なことなんですが、では評価は誰がどうするのか。というのは、この評価をどうするのかをある程度考えておかないと、それぞれが勝手な評価をすると、その後が非常に混乱すると思うんです。この小委員会は再生ということですので、もちろん関係ないことはないんですが、親委員会のほうは多分関係するだろうと思うんです。オーソライズされたオフィシャルな委員会は親委員会だけですので、親委員会がどうかかわってくるのかというところをちょっと明確にしておかないと、まずいのではないかなと思っています。
 それから2点目なんですが、先ほど影響評価から有明海への影響は余りないとおっしゃったのですが、この開門調査は非常に巨額の国費をかけて実施するので、予断は排してやっていただきたいなと思います。実際、我々は、諫早湾からのフラックスは有明海奥部へ影響すると考えています。もともとシミュレーション等でわからないから開門調査を行うわけなので、大変な労力、費用をかけて行うわけですから、何が起こるかわからないというぐらいの謙虚な態度で、ぜひ行ってほしいなと。そういう意味では、諫早湾内だけではなくて、有明海についても、ある程度力を入れて調査を行っていただきたいと考えています。
 それから3点目ですが、調査の仕方はまだいろいろな意見を聞いて変わる可能性があるということで、それはすごくいいと思うんですが、今農水省のほうで考えられている開門の仕方は3-2だと思うんですけれども、これ自体が変わる可能性はあるのでしょうか。というのは、いろいろな意見を聞いて、これ自体が変わる可能性があるのかどうか。私自身は部分開門でいいと思うんですけれども、せめて調整池の中がよくなるぐらいの部分開門をお願いしたいなと考えているので、調査だけではなくて、開門の仕方自体に対してもどうなのかというところをよろしくお願いします。

○安部調査官 最初の部分につきましては、ちょっと環境省さんの話もあるのですけれども、少なくとも我々が得た知見、データについては、それは広く小委員会、親委員会も含めて、提供、活用を予定しているということは、現時点で確実に言えることだと思います。先生がおっしゃるように、調査自体を予断を持って行うことなく調査を行うということはおっしゃるとおりでございまして、今回の開門に伴う調査とは別に、諫早湾の事業の関係でずっと環境の把握モニタリングを有明海全体を含めてやってきているものについては、当然それをおろそかにすることなく継続的に引き続き行っていくというのは、別途予定されているところでございます。
 それから、開門のやり方につきましては、これは現時点において農水省としてアセスで示されたケース3-2ということで開門し、5年間の調査を行うということで、それを決めて、各方面にもご説明させていただいているところでございまして、いろいろな防災上、農業上の影響等々を考えた場合に、現時点においてはケース3-2を開門の方法として考えているというのが、現時点の当省としての考え方でございます。

○小松委員 1番目の公表についてはもちろんいいんですが、評価はどうされるのかという点についてはいかがでしょうか。

○安部調査官 当省としての評価は、これを行うに当たって環境アセスを当然専門の先生方にご相談いただきながらやってきてございまして、得られたデータにつきましては、専門の先生方に引き続きご相談させていただきながら、評価に努めていきたいと考えてございます。

○滝川小委員会委員長 手短によろしいでしょうか。すみません。

○白谷委員 先ほど農水省さんから説明があったように、アセスでは影響が及ぶとは余り考えられない有明海全域のこれだけの多額の国費をかけた体系的な調査ということで、これから何らかの有明海の環境変化に対する知見が得られればよいとは思っております。その中で多少この調査内容とは違いますが評価のため考慮すべき内容として、例えば毎年のノリの酸処理の投入量と回収量、それに施肥量、そういったものも逐次把握して公表していくようにお願いいたします。これは有明海の水質に冬場は影響ないとは言えませんので、ぜひ農水省として公表していただくようにお願いいたします。

○安部調査官 この場でそういうご意見があったということにつきまして、持ち帰って担当部局にしっかり伝えていきたいと思います。

○滝川小委員会委員長 どうもありがとうございました。今日は農水省さんのほうから開門に関わる調査計画ということでご紹介いただきました。いろいろなご意見はあるかと思いますが、申し訳ございませんが、時間の都合もございますので、また何かございますれば、直接ご質問等をしていただければと思います。
 それでは、時間になりましたので、用意されていた議題はここで終了させていただきたいと思います。
 事務局から何かございましたら、お願いいたしたいと思うんですが。

○高山室長補佐 2点ございまして、次回の小委員会のスケジュールでございますけれども、10月の初旬にもう一つの生物・水産資源・水環境問題検討作業小委員会のほうと連動させて開催したいと思います。日程調整につきましては、また委員の皆さんにお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それと、本日の議事録ができましたら、ご確認のお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○滝川小委員会委員長 どうもありがとうございました。
 ちょっと司会の不手際で5分ほどオーバーいたしましたが、活発なご議論をいただきまして、ありがとうございました。皆様からいただきましたご意見、ご指導等をまた参考にしながら、次に向けてのよりよい展開に持っていけるように努めていきたいと思います。
 それでは、第4回の小委員会をこれで閉会させていただきます。どうもご協力ありがとうございました。

午後3時36分 閉会