第6回有明海・八代海総合調査評価委員会小委員会 会議録

日時

平成17年6月24日(金)15:00~16:15

場所

中央合同庁舎第5号館5階 共用第7会議室

出席者

小委員会委員長 荒牧軍治委員長
委員 須藤隆一委員
専門委員 荒木宏之委員、内場澄夫委員、川野田實夫委員、古賀吾一委員、小坂安廣委員、中村武弘委員、野口敏春委員、弘田禮一郎委員
事務局 環境省環境管理局水環境部長、水環境部閉鎖性海域対策室長、閉鎖性海域対策室長補佐

議事

午後3時01分開会

○坂川室長 定刻となりましたので、ただいまから第6回有明海・八代海総合調査評価委員会小委員会を開会いたします。
 本日は、お忙しい中ご出席いただきまして大変ありがとうございます。本日は小委員会の委員12名中、現在9名の委員の方々にご出席いただいております。須藤委員は少し遅れてこちらに来られるという連絡をいただいております。
 まず最初に配付資料の確認をさせていただきます。今日の資料は議事次第がございまして、その後ろに配付資料一覧の紙がございます。資料1が小委員会委員の名簿でございます。資料2が「有明海・八代海の環境等に関する問題点とその原因・要因として指摘されている事項」でございますが、これは昨年度、この小委員会で特に重要であると判断された文献だけを整理したものでございまして、また後ほどご説明いたしますが、これを評価委員会のほうでまとめている資料のほうに入れ込むこととしているものでございます。
 資料3が「平成17年度の作業の進め方及び対象文献一覧」でございます。本日の資料は以上でございますので、もし不足等がございましたらお申し付けいただくようお願いいたします。
それでは、荒牧委員長に議事進行をお願いします。

○荒牧委員長 それでは、始めたいと思います。本日はお忙しい中をご参加いただきまして、本当にありがとうございました。それでは、早速議事に入らせていただきます。
 議事次第にもありますように第1番目の議題が平成16年度の作業、我々この小委員会が行った作業の評価委員会への反映についてということで議論をお願いしたいと思います。
 評価委員会、いわゆる本委員会の委員の方々が有明海・八代海の再生に係る評価ということを行うのが主任務ですけれども、それを行うに当たって、特に大学研究機関等の、行政が担当している調査研究以外の分野の成果をどのように本委員会に上げるかということがこの小委員会の重要な役割となっています。
 そこで、皆さん方、委員の方々に平成16年度、非常にお忙しい中を作業していただきまして、リストアップしていただきました。それをどういうふうに具体的に表記するかということが問題になると思います。その具体的な方法、皆さん方からいただいた評価の内容を評価書として挙げていくための具体的な方法について事務局のほうからご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○和田補佐 昨年度は平成15年4月から平成16年6月までに発表された文献について、委員の方々にご尽力いただき、46の文献を対象に平成16年度版文献シートというものを作成いたしました。その16年度版文献シートに掲載されている文献のうち、判定基準1とされた文献、これの内容を問題とその原因・要因として指摘されている事項を整理した評価委員会の資料にどのように反映させるか。その記載ぶりについて事務局のほうで案をつくらせていただいて、あらかじめ各委員にお送りして、内容の確認をいただいたところです。それが今日の配付資料の2ということになります。
 すでにごらんになっていただいているとは思うのですが、若干中身の説明をさせていただきます。
 1枚めくっていただいて1ページから始まります。最初は水質の変化ということで、赤潮が増加しているという問題点に対して、右のほうを見ていただくと追加とありまして、○があって、それで諫早湾の底質が悪化して、窒素やリンの負荷が増加して赤潮が多発するようになったという研究結果が掲載されています。
 このIIIの原因・要因として指摘されている事項の欄で、追加に○と☆とがあると思うのですが、○が原因・要因であることを示唆する情報ということで追加しております。
 下のほうにいくと☆がありますが、☆は問題点の状況を補足するための情報を追加して記載いたしました。
 赤潮の増加のうち、赤潮の規模について追加したものが1件ありまして、それはIIの状況として2002年7月、それから10月に600?を超える面積の大規模な赤潮が佐賀県から福岡県、熊本県の沿岸で発生したという状況が記載されている文献があったということで、ここに追加いたしました。
 それから、☆については先ほども言いましたように補足情報ですので、ここでの説明は省略させていただきます。
 2ページには☆が4つあります。3ページにいっていただくと問題としての水質の変化の中で貧酸素水塊の発生に関して指摘されている事項が幾つか並んでいます。1つ目は潮受堤防の影響が大きい諫早湾では潮流が停滞して、水質が悪化し、貧酸素水塊が形成され、それが湾外へ広がっている。
 次は、貧酸素水塊は赤潮の数日後に発生することから、鉛直混合の弱まりや有機物分解による酸素消費が原因である。2001年7月31日前後の貧酸素化は、そういった発生過程とは異なって赤潮は見られなかったけれども貧酸素水塊が発生した。この原因としては風に伴う海水の移流により、別の場所で形成された貧酸素水塊が運び込まれた可能性があるという指摘です。
 次が海底面付近の濁度とDO濃度の間に負の相関関係がある。そういうことで海底面上の有機物が巻き上げられて海水中のDOを消費する可能性が確認されたという結果が掲載されています。
 その次が酸素消費実験を行ったところ、底層5m内のSSの酸素消費速度がこの程度でありました。それから、水柱5m以内の底泥の酸素消費速度と比較すると5~13倍の値になっていますということで、SSが海域の貧酸素化に大きく寄与している可能性があるという結果が載っています。
 その次の結果が海底の溶存酸素濃度がクロロフィルaの増加から数日遅れて減少している。増殖したプランクトンが沈降して酸化分解されるときに酸素を消費するので貧酸素水塊が発生するという研究結果です。
 その次が、植物プランクトンの増殖があったにも係わらず貧酸素化しなかった。その理由が大潮で潮流が大きかったので形成抑制に働いたという結果が載っております。
 次は植物プランクトンの増加が見られないときに貧酸素化した。このときは風が吹いたので、有明海中央で形成された貧酸素水塊が諫早湾に流入したという記述です。
 それから、次に水質の変化という問題点の中で塩分の状況についての追加掲載があります。これは島原湾で2002年~2003年の春に熊本の白川沖から緑川沖に表層から水深10mまでの南北の水塊の境界が存在した。その境界を挟んで同一の水深の塩分は常に熊本県側が低い。これは河川水の影響ではないか。
 それから、島原半島の有明沖に分布する低塩分の水塊は、その近くには河川がないので付近の海底からの湧水で淡水が供給されている可能性があるという状況が追加されました。
 同じく水質の変化の問題点の中で透明度に関する指摘事項です。最近、有明海で透明度が増加しているが、それは浮泥の巻き上がりの低下の影響が大きい。その原因としては潮差の減少による流速の減少、それから平均潮差の増加が原因として考えられるという研究結果が掲載されております。
 次は6ページになりますが、底質の変化という問題点です。底質の変化には、その中で底質が細粒化しているという問題と、性状が変化してきているという問題と2つありますが、細粒化の方の事実関係として2つほど追加いたしました。中央粒径のMdφの話が載っております。湾口部が粗い。それから中央部になると中粒砂ですね。それから、諫早湾と湾奥はMdφが9以上の粘土になる。これは1967年に鎌田らの調査によって発表されている数字よりも細かい値となっているという研究結果を事実関係として掲載いたしました。
 同じく鎌田、1967年の方法との比較です。砂の性質によって海域が分類され、区分されておりますが、1967年の結果と比べると97年、平成9年の調査結果は湾口部V型、ですから粗い砂の区分が狭くなって、湾奥ではIIIa、IIIbですからMdφ5以上もしくはそれ以下ぐらいのところですけれども、それが広くなり、湾奥部ではさらに粘土状になっているという研究結果を事実関係として載せております。
 次が底質の性状の変化に関する事実関係ですが、3つほどありまして、湾口部が砂礫、それから湾奥が中粗粒から極粗砂が分布する。それから、諫早湾奥、熊本県の白川、緑川沖が泥が分布している。一部では硫化水素臭を有するということです。細粒化とも若干重複していますが、硫化水素臭がするということで性状の変化というほうに分類いたしました。
 次がC、N量はともに泥質堆積物が多くて、C/N比は粗粒な堆積物で小さく、細粒な堆積物では大きいという性状の変化を載せております。
 次が島原湾における2002年、2003年の春、これは先ほども同じようなのが出てきましたが、河川水の影響が考えられるということでした。それは水質の変化のところで述べました。その境界の直下の堆積物に大量の有機物が凝集していると考えられるという記載がありましたので、底質のほうにも同じ文献から似たような記載を掲載しております。
次に3番の潮位・潮流の変化のところにまいります。7ページをごらんください。3.1で潮位に関する事実関係が新たに3件ほど追加されております。1つ目が22年分の潮位データを分析した結果です。そうしたところ、最大波高が有明海内外で長期的な減少傾向にあることがわかったということでした。50分の1の最大波高は大潮期の潮位差を客観的に表す指標であるけれども、干拓工事開始年以降に湾奥の最大波高が大きく減少したという傾向は見られなかったという事実関係を掲載しております。
 次が潮汐の観測値に基づく有明海の潮汐振幅の内部要因は場所によって異なっており、大浦では減少、三角では±0です。口之津では増加となっているということです。
 その次がM分潮の振幅率の経年変化を見たところ、諫早湾干拓事業開始と堤防締切りの間で振幅が減少している。干拓事業に伴う地形変化が潮汐に及ぼす効果は明瞭であるという研究結果が状況として載っております。
 それから、潮位のほうでの指摘事項です。新たに5つほど載せました。1つ目が二次元の数値流動解析の結果です。潮位応答には明瞭な振幅依存性があり、外海の潮位振幅が増加すると湾奥の応答振幅比は減少する。この特性があることから堤防の影響は大潮期の潮位差にほとんど現れない。この結果は観測事実とも符号しているという指摘です。
 次がこれまでの議論を整理して、有明海の潮汐の振幅現象の要因を海水面積の減少、それから平均水位の減少、外洋潮汐振幅の減少の3つに整理された結果が載っております。
 次が潮汐の減少に干拓事業に伴う地形変化という内部効果のほかに外部効果と水深効果という3つの効果があって、これによって潮汐が減少している。それぞれの寄与率は内部効果が50%、外部効果が40%、水深効果が10%という結果が得られたということです。この効果については幾つかの数値計算によって比較されているが、いずれにしても干拓事業が有明海の潮汐に及ぼす影響は無視できる大きさではないという指摘です。
 次は湾奥の大浦でのf値ですが、97年に最大値をとって、それ以降減少している。一方、M2周期の海面変動振幅は96年に最大値をとり、それ以降減少している。f値とM2周期の減少のずれ、これは湾口に近いほど小さくなっている。さらに、S2の分潮振幅については近年やや減少気味であるが、M2ほど顕著ではない。K1及びO1の分潮海面変動振幅は顕著な経年変動は見られないという研究結果を掲載しております。
 次は●ですが、これは6に対してと書いてありますが、4の間違いです。上記の研究結果に対して反対の意見が述べられているので、●としてここに掲載いたしました。内容は有明海におけるM2潮汐振幅の減少が近年の環境問題との関係が注目されているが、実際の潮汐の振幅は月軌道の昇交点の変動、18年周期による係数のfの増加でむしろ増加しているという、こちらは上と反対の指摘事項です。それから、大浦の年平均潮差の変動はM2のfの変動と、M2潮汐振幅自体の変動でほぼ説明できると記載されております。
 以上が潮位です。
 次に潮流に関して新たな事実関係を4つほど載せました。一つ目が潮受堤防の建設前後、93年と2003年の潮流観測をしたところ、潮受堤防建設による潮流の減少率は21から27%である。この期間の潮位変動の変化が2.4%であったにも係わらず、流速は大幅に減少したという研究結果です。
 次が流速の調和解析結果として、M2分潮の潮流楕円の長軸が南北方向にずれ、潮流の流向は変化し、長軸長が約10~28%減少したという研究結果を載せております。
 次が干拓事業による潮汐への影響について、M2分潮の振幅率は干拓事業開始以降、減少を続けているという研究結果を載せました。
 それから、次が潮受堤防締切り前後の大潮の最大流速の変化率を求めたところ、防波堤前面、ここで80から90%の顕著な流速減少が生じ、諫早湾の湾口でも10から30%ほど減少している。こういうことから堤防締切りの効果は顕著であるという研究結果を掲載しております。
 そういったことの原因・要因として指摘されている事項としては3つほどありまして、潮流の流速減少率は堤防締切りにより減少した面積が5%を占める有明-長洲ライン以北においては非常に大きいということで、諫早湾への水塊の流出入が島原半島沿岸で集中的に生じていることが示唆されるとの指摘事項を掲載いたしております。
 次が水理模型実験をやったところ、諫早湾潮受堤防は湾内の流動を大きく抑制している。これによって湾内外の海水交換を悪化させていることがわかるという模型実験の結果をもとに指摘されている事項を掲載いたしました。
 次は二次元の数値流動解析で湾奥の海水の滞留時間を求めたところ、水平渦拡散係数に強く依存している。沖波高への依存性は弱い。それから、沖波片振幅1.4m、渦拡散係数0から50m2/sの場合の滞留時間は50日から279日となる。これは実際の拡散係数の場合、堤防が滞留時間にほとんど影響を与えないという指摘事項を掲載いたしました。
 次が二枚貝の減少について。アサリが減少していることについて、状況としてどのようなことがあるか、新たに3つの掲載があります。熊本県の2つの干潟、緑川河口干潟と荒尾市の干潟でマンガン濃度が高いレベルに達していて、マンガン濃度が1000mg/kgを超える地域ではアサリは高密度には生息していないという研究結果が掲載されております。
 次はアサリの漁獲量の減少に関して、熊本県の緑川、菊池川、荒尾の各干潟と、それから韓国の干潟の堆積物の重金属類について調査した結果が載せられています。分析した5種類の重金属それぞれのうち、マンガンの含有量が最も高い。中でも荒尾は高くて、その次が緑川、菊池川、それから韓国の干潟という順番になっている。一方、アサリの生息密度はマンガンの含有量が3つの干潟の中では少ないほうの菊池川の河口で高いということが研究結果として掲載されております。
 次はごくごく事実関係の記載ですが、昭和51年をピークに漁獲量が減少しているということが掲載されております。
 その原因・要因として指摘されている事項として2つほど新たに追加掲載をいたしておりまして、1つ目が白川干潟においてニホンスナモグリの研究を行ったところ、ニホンスナモグリが全域に分布しており、以前は高密度に生息していたアサリが低潮部においやられていることから、アサリに対するニホンスナモグリの加害作用が示唆されたという研究結果を載せております。
 次がアサリの減少の原因について、5つほど整理されておりまして、1番目が1970年代にアサリの個体群が急増している。この時期の漁獲量の増大が食物条件に恵まれて起こった異常発生であって、そこと現状を比較して、あのころに戻せということではないのではないかというような記載でした。
 次が2番目として、1970年代にアサリの個体群が爆発的に増大したために、低潮帯にあった生息地が中潮帯から高潮帯に広がった。そこでアナジャコとかニホンスナモグリの加害種によって排除されているという指摘です。
 3番目が、アサリがいなくなった後、シオフキが優勢となっている。アサリが優勢になる前はハマグリが優占していた。現状は優占種交替現象の一種と見るべきかもしれないという指摘がなされています。
 4番目として水産有用種のみで有明海の生態系像をつくるのは危険であるという指摘です。
 5番目が砂質干潟の泥化が稚貝が砂に潜る行動を阻害したり、窒息させる可能性があるという指摘がなされております。
 最後10ページになりますが、今度はタイラギの減少の状況として1つ新たに追加いたしました。有明海においてタイラギの死滅の現状と養殖試験をやったその結果です。タイラギの死亡率は浅海域の水深5mで最も高く、次いで干潟、それから浅海域の最上部となっていて、これら浅海域の最上部や干潟ではほとんど死亡個体は確認できていない。また、地点間の成長を比較すると、殻長の平均は浅海域水深5m、ですから最も死亡率が高かったところ、それから次いで干潟、浅海域最上部の順に大きくなっている。さらに、生殖腺重量も浅海域の水深5mのところが最低であったということから、こういったところは他の地点に比べて環境が悪化しているのではないかということが示唆されております。
 原因・要因を指摘した事項として2つほどありまして、諫早湾とその佐賀県側では干拓事業によってタイラギ漁場が悪化して、漁獲量が減少した。諫早湾の締切りは貧酸素など、何らかの要因を介して福岡県のタイラギ漁場へも影響を与えている可能性があるという研究結果を掲載しております。
 続いて、タイラギの生息環境悪化の原因として有害物質の堆積の影響が考えられる。さらに夏に死亡が起こるが、これは酸欠が原因ではないかと考えられる。これらの環境の悪化は潮流が弱まったことに原因がある。これを解決することがタイラギの保全に不可欠であるということが掲載されております。
 最後になりますが、水産資源以外の生物の減少のことで原因・要因として指摘されている事項が1つありまして、諫早湾の北側の底泥の有機物含量が増加しており、これが貧酸素の原因となって底生生物が減少したという指摘がなされております。
 長くなりましたが、以上、昨年度の作業の結果として評価委員会の資料にこのような形で反映させたいと事務局としては考えております。

○荒牧委員長 どうもありがとうございました。この資料はあらかじめ委員の皆様にはお配りになっておられますよね。そして、それについて特に意見があったとの紹介はありませんね。
 それでは、改めて今日また事務局のほうから説明がありました。それと、それぞれの先生方は原本を読んでおられるわけですから、その記載とこの記載との間に何かおかしな点があるとか、少し違和感があるということがありましたらご指摘をいただきたいし、あるいはご質問でもかまいませんので何かありましたらお願いをいたします。

○小坂委員 あらかじめいただいておりましたので、私どもの長崎の水産試験場の内部の研究員で読み合わせをしてまいりました。時間の関係上、提出が遅れておりまして、まだ届いていないかと思いますが、この辺はどうなんでしょうか。後ほど提出ということで、幾つかあるんですが、今日発言したほうがよろしゅうございますか。それとも、後ほど……。

○坂川室長 今日、せっかく皆さんお集まりですので、できるだけこの場で言っていただきたいと思います。ただ、今日結論が出ないようなところは後ほどでもかまわないと思っております。

○小坂委員 わかりました。細かい点は除きまして、幾つか重要な点だけご披露して、もしご意見があればまたお聞きして、持ち帰りたいと思います。
 9ページのアサリのところの右側の原因・要因のところですが、スナモグリとアサリの関係が記述されているのですが、実際に著者の先生の論文も読ませていただいているのですが、一番上の○は特定の白川干潟での例をここに記載してございますので、一番上の○はいいんですが、2番目のところが一般的な記載で、有明海のアサリの漁獲全体が1)2)3)、この辺で述べられているようなので、この辺の記述にも実際に先生がやられたところは白川干潟、それから天草、それから長崎県の島原半島の南部ということで、いわゆる有明海の南部海域の砂質干潟での実験結果でございますので、この2つ目の○のどこかに場所を記載するようなことをやっていただければ、先生の論文が明確になるのではないかと思います。
 それから、最後のページの10ページのところですが、タイラギの記載のところで左側の状況のところで有明海におけるタイラギの死滅の現状と養殖結果、これも有明海におけるという、いわゆるタイラギが生息しているところは熊本、福岡、佐賀、長崎とあるわけですが、この辺が全般的に言えるのかどうかというところは、現在の調査結果では明確になっていないので、この先生のやられた場所を、ここにも有明海のどこどこにおいてという記載をしていただいたほうが、より正確になるのではないかと思います。
 それから、もう1点は右側のほうの原因・要因のところですが、追加のところの上のほう、漁業のうち、少なくとも諫早湾とその佐賀県側では干拓工事によってタイラギ漁場が悪化して漁獲量が減少した、こういう断定と、それから諫早湾の締切りは貧酸素など何らかの原因を介して福岡県のタイラギ漁場へ影響を与える可能性がある。実際、先生は可能性があるという論文記載をしてございますが、ただ先生の論文の中にはその辺の明確な根拠といいますか、データがこの論文にはないんですね。それで、今、4県と西海区水研とここずっとタイラギの調査をやっているのですが、まず貧酸素については一昨年、昨年と調査をしてきて、今年の海洋学会で西海区水研の木元先生がチーフとなって4県の担当者連名で論文を出しています。貧酸素の挙動ということで、春の海洋学会で論文が出ています。それではいわゆる諫早湾と佐賀県沖合の貧酸素の発生状況、移動状況、これがそれぞれに発生をして、時系列的にも発生をして、それぞれに貧酸素の状態になった。若干、それぞれの漁場で沖へ移動したり、沿岸へ移動したり、こういう論文が今度出ております。
 これは2か年で4県と西海区水研で調査をした結果のデータも踏まえた論文でございますが、論文というか海洋学会での報告ですね。その辺がありますので、それならば●で次の機会に入れるかなという議論もございますでしょうが、ただこの辺のところの論文からの持って行き方がこの先生の論文の記載は根拠が明確ではないという面も我々読んだ限りでは若干しましたので、その辺のところはこの委員会でどう取り扱うかご議論願って、それでもいいよということであれば結構でございますが、私たちとしては読んだ限りではここまで明確に記載して親委員会のほうに報告するのはいかがかなという意見でございます。以上でございます。

○荒牧委員長 今の意見は実際に論文を読まれて、読まれた後の、結論としてはこう書いてあるが、そのことの根拠が読んだ側としては必ずしも明確ではない。前回、実はそれと同じことが起こっているわけで、それは一応記載はしていただいたのですが、そのことが原因・要因としてこの委員会が承認したということではないということを前提に、ここに須藤委員長がおられますが、そのことを前提にしてくださいということは申し上げたわけです。
 特に貧酸素がタイラギの死滅に直接的に影響を及ぼすかどうかということについては、反論するデータも上がっているというのが、この資料の全体版の中のどこかにあったと思うんです。実はこれは膨大な量の厚さがあって、その中に付加する項目として出ているんですが、貧酸素が必ずしもタイラギの斃死に影響を与えないというのが黒丸でついていたところがあるんです。ですから、そこが並んで出てくると黒丸がちゃんと目立つような仕掛けになっているという可能性はあるわけですね。
 ですから、大学の先生方が書かれたに違いない論文にはそう記載してあるけれども、例えば水産センターの実験ではそうではないデータもあるというふうに出ていたのを記憶していますので、これはこういうことだけれども、全体としては黒がつく可能性がある、黒丸のついた反証が挙げられているということが可能性としてあると理解しています。
 実は、事務局の和田さんのほうに、この資料2はこれでいいんだけれども、これだけだと今小坂委員がおっしゃったように、これとこれは必ずしも合わないのではないかということが出てくる可能性があるので、できたらこれ全部が1冊になったものを用意できますかと申し上げたんです。そうしたら、それは今すぐは……。実は申し上げたのが3日ぐらい前だったので、誠に申し訳なかったんですが、もしできれば今回の話と前のほうの水産センター等のところで発表されたものが親委員会に出ていて、その分がこれだけたまっているわけです。その分のところに記載してあると思いますということを申し上げたんです。
 ですから、あくまでもこの小委員会がこの原因を承認して上げるわけではないということと、対立軸があり得るということを前回も確認したと思いますので、それでよければこれをそういう視点で上げるということでご承諾いただければ。
これはこの小委員会の根幹に係わる話ですので、ここははっきりさせておかないと、何度でもはっきりさせておかないといけないと思いますが、それでよろしいですか。
 ですから、これも事務局にお願いですが、作業としてもし大変になるんだったら勘弁していただきたいのですが、この作業が全体の中にどういうふうに入っているかがわかるような資料をまた改めて送っていただけると助かるかなという感じがしますが、いかがでしょうか。
 私もこれを読ませていただいたとき、小坂委員と同じようなことを。前回もそういう議論になった、そのときに全体の中に位置づけないと、これだけを独立して議論するとおかしなことになってしまうというのは感じたものですから、事務局にそういう資料は準備できませんかと申し上げたんです。すぐにはということでしたので、今回、終わってからでもかまいませんので、作業をしていただけるのでしたら、これがどこの位置に入ったのかがわかるような形で出していただけるとありがたいという気がします。
 それで委員さん、よろしいですか。

○小坂委員 はい。

○荒牧委員長 では、ほかにお願いいたします。
 先ほどから申し上げておりますように、事実として指摘されている事柄についても、今おっしゃっていただいたようにどの場所かによって、事実の書き方、とり方が違うということがありますので、この作業はどこの測定点についてかの記述は結構大事な要因のようですから、これから作業をなさるとき、そのことを注意して表現していただけるよう、作業をなさる方にお伝え願いたいと思います。
 ほかにお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、見ていただきましたので、ないようでしたらこの資料2の記載については本委員会に上げることを了承していただきたいと思います。
 先ほど申し上げたことについて、今、小坂委員から指摘のあった事柄については私のほうから委員会のほうに申し上げて、そういう趣旨であるということを申し上げたいと思いますので、ご了承いただきたいと思います。
 それでは、次の議題に入ってよろしいでしょうか。2番目の議題、平成17年度の作業の進め方についてです。今年度もこれまでと同様……、今年度まではということになるかもしれません。今年度は少なくとも昨年度と同様の作業手順となるということになると思いますので、平成16年7月以降に発表された文献について、文献概要リスト一覧表を作成して、各文献の評価を行って、文献シートを作成する。これまでに行ってきた作業と同一の作業ということになると思います。その作業について事務局のほうからご説明をお願いいたします。

○和田補佐 それでは、資料3に基づいて説明いたします。
 今、荒牧委員長からもありましたように、17年度の作業の進め方は原則的に16年度同様の手順を踏んでいくことになります。先ほど資料2のときに説明しましたが、16年度版の文献シートが平成16年6月までの文献を対象に作成されておりますので、その後、平成16年7月から平成17年の、一応今回5月末で一度整理させていただいて、5月末までに発表された研究論文、それから報告書を収集いたしました。
 それらの対象文献について概要リスト、それから文献シートというふうに作成していただくことになります。
 資料3の1ページ目を見ていただくと、昨年7月から今年5月までに発表された研究報告等が、この小委員会での分類項目の[1]から[8]についてどの程度あるかというのを表にまとめております。トータルとして107文献ありました。それらがこういった形で[1]から[8]まで分かれております。若干、項目によって多い少ないはありますが、こういうような形になりました。
 1枚めくっていただくと、これは何度も資料に掲載させていただいたフロー図ですが、今の107の対象文献を文献概要リスト一覧表というのに整理いたします。その整理を行った上で文献を区分していただく作業をしていただきます。
 ここに書いてありますように、1、2、3、4の4つの区分にそれぞれの文献を分類していただいて、その基準の1と2に区分された文献については文献シートという文献の概要を表や図を含めて1枚から2枚程度に整理したシートにまとめたものを作成します。
 これらの一連の作業で得られた知見を評価委員会のほうに反映するために、評価委員会の資料に掲載するという作業手順で進めていきたいと考えております。
 次のページからがそれぞれの分類項目別に、今回どのような文献が出てきたかをタイトルと著者と出典だけをピックアップして一覧表をつくりました。
 改めて1つひとつ説明はいたしませんが、見ていただきますとわかりますように、干潟に関する[1]というのが5ページ目まであって、21文献あります。今回、特徴的だったのはこの干潟に関する文献がずいぶん多かったなと思っております。
 6ページ目からが[2]の潮流・潮汐に関する文献ですが、これが14ほど発表されております。
 その次が[3]の汚濁負荷量についてが8ページに7件。それから河川の流況に関するものが[4]として9ページに6件。それから、土砂採取が1件ありました。
 10ページ目からが赤潮、貧酸素水塊に関する研究発表ですが、これが14件です。それから、水産資源に関してがやはりかなり多くて、12ページから15ページにわたって32件ほどあります。これら[1]から[7]の分類にどうしても分類できなかったので[8]のその他として区分させていただいたものが12件、トータル107件になります。
 17ページに今現在、事務局のほうで考えている今後の作業スケジュールを簡単に整理してみました。6月下旬、今日が24日ですので、この委員会が終わったら直ちに今説明いたしました文献そのものを委員の方々にそれぞれお送りさせていただきます。7月上旬には事務局のほうで文献概要リスト案をつくりまして、それも担当分類ごとに区分して委員の方々へ送ります。
 7月から8月にかけて委員の方々に7月の上旬に送った文献概要リストに書かれている記載事項が実際の文献をきちんと反映しているかどうか内容を確認いただいて、8月末ぐらいまでにコメントなり意見をいただきたいと思っております。
 それで、8月末に文献概要リストを確定させて、その中で判断基準が1または2というふうに区分されものについて文献シートを作成し始める。10月上旬にはそのシート案を委員へ送り、1か月から2か月かけてそのシートの内容を確認していただく。年末までには17年度版の文献シートを完成させて評価委員会へ報告したいと考えております。
 評価委員会のほうは平成17年中に中間取りまとめを行う予定でおります。ですから、それまでに17年度の小委員会の作業の結果を反映させたいと考えておりますので、最後のタイムリミットというか、12月末には文献シートを完成させたいと事務局側では考えました。
 それから、今回の107文献は先ほど言いましたように5月末でいったん整理しておりますので、それ以降に発表される研究報告が多分出てくるものと思います。17年度の文献シートの最終取りまとめをどこをタイムリミットにするかは発表状況を見ながら適宜考えていきたいと思いますが、6月以降に発表されたものについても収集整理して、追加の作業としてお願いをするということをご承知おきください。
 17年度の作業の進め方と今後のスケジュールについては以上です。

○荒牧委員長 どうもありがとうございました。今の事務局の説明に対してご質問はありませんでしょうか。ちょっとわかりにくかったかもしれませんが、今後のスケジュールのことが大体わかると思います。今年度はこれでいいというのはわかるんですが、来年度以降の論文は一体どうなるのだろうと皆さんお考えかもしれませんが、本委員会の作業とこの小委員会の作業、今わかる範囲でかまいませんが、17年度で中間取りまとめをやるというところにこの小委員会の文献が反映されるということになりますよね。それ以降のことはまだわからないということでいいですかね。

○坂川室長 評価委員会のスケジュールは先ほど申し上げましたように17年中に中間報告をつくろうということで今考えています。そして、来年、18年中に最終報告をまとめていただければと思っております。
 そういうわけで、まず今ご説明しました17年度の作業については評価委員会のほうに何らかの形で反映できるだろうと考えていますので、こういうことでお願いしたい。
 その後、来年度の作業については、評価委員会への反映の仕方がちょっと難しくなりますので、ですから今年度と同じようなやり方というのはちょっとまずいかなと思っています。ですから、今年度のようにたくさんの文献を全部お読みいただくというようなことをやっていても、なかなか評価委員会のほうに反映できませんから、もっと対象を絞るなりして、今までのいろいろな文献の結論を覆すような重大な発見があったとか、そういうものを反映させていかなくてはいけないと思いますが、その辺は作業もかなり範囲を絞るなりしてやっていったほうがいいのではないかと考えています。具体的なやり方まではまだ決めておりませんが、その辺は荒牧先生、須藤先生ともご相談をしたいと思っております。

○荒牧委員長 いずれにしろ平成18年度で最終まとめをやるということが決まっていますので、そこに向けて特に大学系といいますか、大学、研究機関等の成果物をどう反映させていくかという作業がこの小委員会の目的ですので、来年度になるとそこで発表されたものをまた読んで、作業をして8月、9月にということではもう間に合わなくなるわけです。だから、今年できるだけたくさん作業としてきっちりやっておいて、そして本委員会に上げるということになる。最後になる可能性があるということがありますので、それから論文が結構たくさん出始めたと先ほどおっしゃっていましたが、幾つかそういう分野ごとにそれぞれ論文がたくさん出始めましたので、それが反映できるように今年の作業が、もしかしたら最後のチャンスになるかもしれないということを考えておいていただければ。
 先ほど打ち合わせをしたとき、そういうことを事務局の方がおっしゃっていましたので、そのことも頭の中に描いた上で今年の作業をやっていただきたいと思います。
 何かご質問はありませんか。

○須藤委員 質問というよりは、まずは感謝の言葉を申し上げなくてはいけないわけでありますが、本年度というか17年度も今107上げられている文献でございますが、これを精査していただいて、最終的には本日のような資料をつくっていただくということで、重ね重ね大変なご苦労をいただくことをまずは感謝申し上げたいと思います。
 いただいたものについては当然でございますが、本委員会の貴重な資料として使わせていただくのはもちろんでございます。そういう前提があるわけですが、それ以降の問題についてどうするかというのは、もちろん事務局も今のようなことでございますし、私もこういう研究成果を、この問題は科学的根拠に基づいてすべて評価をしなくてはいけないので、なるべく最近のデータまでどう取り込んでいくかが大事なことなので、どういうふうにやっていくかは先ほどの坂川室長のようなお考えもあるでしょうし、なるべく重要な情報は逃したくないなと思っております。
 ただ、都合のいいところだけつまむというのもよろしくないと思うので、これ以降のことについては少し様子を見ながらご相談させていただきたいというのが1つでございます。
 2つ目は、これは私の感じでございますが、有明海・八代海については調査研究が最近ますます盛んになっているのではないかと感じています。先ほどのご発言の中にも増えているということがございました。研究論文になるために数年はかかる場合があって、どんなに少なくても1年で書けるはずはなかろうと思いますと、今盛んに研究をやっている成果はずっと後になって出てくるのかなという気もしなくはないのですが、感じとして委員の先生に伺いたかったのは、年々取り組みが多くなってきて、研究成果も多くなってきていると言われていますが、私はよくわからないのですが、委員長がこんなことを言ってもいけないのですが、いかがでございましょうか。

○荒牧委員長 おっしゃるとおり増えているし、今後、ここ数年で増えるのではないかと私は予想しています。
 というのは、うちの佐賀大学もそうですが、大きな研究経費が落ちていますというか来ておりまして、成果は当然出さないといけないという状況もありますし、学問分野からいけば今までの知見が研究調査の効率を上げるといいますか、精度を上げたりするところにようやくきつつあるかなと私自身は感じておりますので、いわゆる質のいい成果が出てくると考えるほうが正しいのではないかと思っています。

○須藤委員 私もどういう努力をするかはなかなか申し上げにくいけれども、有明海・八代海に係わるところの研究予算が増大するよう、それなりに努力をしているつもりですが、特に連携して大型の研究が進むということは、それなりにきちっとした大事な成果が出てくるだろうと思うんです。特に今日ここに上げてあるものの他に。それを速報的にでもいいから上げてほしい。要するに18年度に最終とりまとめをやらなくてはいけない。これは法律ですから、あるところで何かまとめなくてはいけないんだけれども、要するに重点的に大学でやっているような大型の研究は報告書にならないまでも、学会発表したとか何かのところでもできれば……。あんまり独り歩きするのは具合が悪いけれども、取り上げていただきたいというのが本心でございますので、今、荒牧先生にもおっしゃっていただいたのですが、私もそういうこと多少承知しているので、ぜひご考慮いただければと思います。

○荒牧委員長 幾つかの研究プロジェクトが動いていますし、それの責任者の方々が本委員会のほうにおられます。須藤委員長からそういう指示を出していただければ、その指示に従って私も佐賀大学の総合研究プロジェクトのプロジェクト長を務めていますし、荒木先生は違う分野で研究チームとして動いておられます。そのチーフの方がおられますので、その方におっしゃっていただければ多分そういう取りまとめが可能ではないかということで、私もほうからも申し上げておきたいと思います。
 ほかにどうぞ。

○川野委員 基本的に今のお話でいいと思うんですが、本委員会の中間まとめ、そして最終報告というのはやはり時間がありますね。だから、私たちの認識としては中間報告はほとんど最終報告と同じようなものができると思うんです。大概の諮問会議の中間報告は最終報告と同じです。そうしますと私たちの認識としては今年度で1つの、もちろん有明海の問題解決にはずっと時間がかかるわけですが、小委員会の認識はそういう将来の展望を持ちながらも今年度で決着をつけるという理解でよろしいでしょうか。とりあえずの。

○坂川室長 このようなやり方でやるのは今年度までかなと思っていまして、来年度はどういう形で続けていくか。そこは我々としても考えなくてはいけないと思っています。
 先ほど言いましたように評価委員会への評価の反映の仕方が難しくなってきますので。
 同時に須藤先生もおっしゃったように、そうは言っても研究はどんどん進んでいて、大事な結果が出てくるかもしれない。そこをどううまく捕まえていくかということだと思いますから、いずれにしろやり方は来年度は変えたいと思っています。

○須藤委員 この方式の作業は一応一区切りということでよろしいのではないでしょうか。ただ、この小委員会を解散したいとおっしゃられると私は困るんです。委員会としては継続していただいて、今後の作業の仕方は工夫いただくというのが私のお願いでございます。よろしゅうございますか。

○荒牧委員長 それでよろしいでしょうか。今、川野委員におっしゃっていただいたように、先ほどから確認したかったのは多分、この作業がと言われたので、このスタイルの作業はやっても上のほうに反映できるということがなければ成果が上がりませんので、この手の作業、このタイプの作業は今年で最後ですが、いろいろな現場の若い先生たちも張り切って研究をスタートさせていますし、今年は何らかの形でその成果が表れると思いますので、それを全体のほうに反映できるように見ていただいて、これはと思うものがありましたらどんどん上げていただくようにお願いしたいと思います。私のところの若い研究者たちには絶対上げてもらうよう努力しろと指令を発しますので。
 よろしいですか。
 ほかにご質問がありましたらどうぞ。

○小坂委員 須藤委員長がおいでですので本委員会のことも含めて。ここの委員会で実際に読むのは県の報告書ではなくて、大学の先生の論文なんです。そうすると、それぞれ感じておられると思いますが、先生方の論文は有明海でも部分的な研究が多いんです。我々は4県と西海区水研に有明センターがありますから、そこを核にして4県が連携して、全域的な調査でそれぞれタイラギなりアサリなりについて担当者が年に何回か集まってディスカッションをして、全域的な評価といいますか、その辺の議論をしています。それで報告書も整理していく、そういうやり方をしています。
 この小委員会でやっていることは我々の仕事とちょっと違うんです。そのかわり本委員会のほうで我々各県報告させていただいて、県のほうの調査なり国のほうの調査は本委員会で報告して、委員の先生方に理解してもらうという2本立てでやっています。
 その辺、我々県の委員としてはむしろ向こうのほうで活躍する場があるのに、ここでは論文という狭い範囲で、しかも我々が書いたやつはあまり出てこないものですから、その辺でジレンマを感じております。
 したがって本委員会のほうで我々の調査結果なりデータなりを聞く機会をぜひつくっていただいて、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

○須藤委員 ご意見ありがとうございます。小坂委員がおっしゃるとおりでございまして、日ごろのお仕事は有明全体として今の問題がどうなっているかということを評価していただいたり、研究、調査されているというのはよく承知しております。本来ですと、そういう中での議論にお加わりいただきたいというのは当然なのでございますが、今回、ここに小委員会を設置し、それぞれ検討いただきました。こういうところの問題は、アカデミックな点を取り出していただくということではないんです。皆さんの日ごろの水産なり生物なり環境なりに係わる視点でこれを取り上げていただいていると私どもは理解しています。とりあえずここまで来ましたので、何となく違和感があるとおっしゃるのはわからないわけではないのですが、続けていただいて、先ほど来年度からどういう作業を進めるかという問題があったのですが、今思いつきですが考えがなくはないんです。事務局より先に私が言ってしまうとよろしくないんですが、そういう全体的なことを含めてワーキンググループで討論する。水産なら水産について討論していただくとか、あるいは環境について討論していただく。そういうことで日ごろの研究とこの論文を併せて、皆さんの日ごろの知見が表れるようにしていったらいかがかと思っております。
 ですから、作業の仕方を少し変えていけばそれでよろしいかなと思うのですが、いかがですか。あんまり私が言い過ぎると事務局が困るでしょうから、どうぞ。

○坂川室長 別に困りはしないんですが、小坂委員がおっしゃった各県の調査の成果ですね。それから関係省庁でもいろいろ調査していますし、評価委員会での評価に当たって大変役に立つ情報もそこでたくさん生み出されていると思いますから、各県のご希望によって評価委員会でご説明いただける場をつくっていきたいと思います。
 今までもそうしてきましたが、今までは年度の初めのところで我々お願いしていましたが、その時期に限るわけではございませんので、いつでも結構ですから事務局のほうに言っていただければ、そこでご相談したいと思います。

○須藤委員 ですから、今までは何々県の報告というので、わりと短時間でやっているけれども、タイラギならタイラギ、アサリならアサリの減少について知見がまとまっているから報告したいとおっしゃれば、あの場でいいですよね。
 ということで、ぜひ遠慮なくお申し出いただければ。多過ぎると委員会の回数を増やさなければいけないかもしれないけれど、それは事務局で調整するでしょうから、ぜひそういう形で。
 あるいは、別にここでやっていただいてもいいかなと思います。私のさっきの考えはここでやっていただいてもいいかなと思っているわけでございます。

○荒牧委員長 最低限というか、17年度に関しては本委員会にそのまま上げたほうが直接反映されますのでよろしいのではないかという気がします。前回、発表していただいた生物についての基礎資料はほとんどすべてが佐賀県の有明水産振興センターのデータを使って1985年と2000年の分布の違いをあげられておられましたが、ああいう生物系の調査は水産センターのデータのほうが基礎的な資料としては一番そろっていると思いますので、今までの蓄積をまとめて発表されたほうが直接反映しやすいのではないかという気がしますので、小坂委員、もしできましたら取りまとめてどこかで発表されるチャンスを本委員会のほうに言われたらよろしいのではないかという気がします。ぜひお願いいたします。
 ほかに、どうぞよろしくお願いいたします。質問、意見ありませんでしょうか。
 特にないようでしたら、今日はこの2つの作業を確認するというのがこの小委員会の作業です。そして、前回も申し上げましたようにそれぞれの専門の分野の方々の中でこれは本委員会に報告しておいたほうがいいというものを探していただいて、そして上に上げていくという作業です。
 そのときに先ほど確認しましたように、必ずしもこの小委員会が認めるということにはならないかもしれませんが、ぜひそういうふうに発言して、私と意見は違うということをはっきりおっしゃっていただいてかまいませんので、そのことを申し上げたうえで上げるという作業にしたいと思います。
 黙っていて意見が違うんだけどなと思われながら上げていくと、この小委員会の役割があまりないような気がしますので、これは私の意見と明確に違うとか、私たちのこれまで蓄積した知見とは必ずしも合わない。対立してもよければ上げてみますということで、そういうコメントをつけて上げていただいたほうが役に立つのではないかと思いますので、ぜひそういうふうにお願いしたいと思います。
 この作業は大学の研究者にとってみると結構励みになる委員会でして、ここのところに有明海というキーワードを載せておくと、何かの形で文献検索にかかって、現場で活躍されている方々にもう一度読んでいただける、これは非常に嬉しいというか、大変かもしれませんけれども二度評価を受けられますので、ぜひ皆さん方のほうで読んでいただきたい。若い研究者にはこの委員会で採択されるような、有明海研究の基本になるようなものを書いてくれと督励したいと思いますので、よろしく作業を進めていただきたいと思います。
 特にないようでしたら事務局にお返ししますが、よろしいでしょうか。

○和田補佐 それでは、ご了承いただきましたので、早速委員の方々に担当分類項目ごとの文献をお送りする準備を始めたいと思います。
 改めてご説明しますが、各委員の担当分野は昨年と同じ割り振りにさせていただきます。ですから、干潟と潮流・潮汐については荒木委員、中村委員。汚濁負荷量・河川流況・土砂採取については川野委員。赤潮・貧酸素水塊については弘田委員、本城委員。水産資源とその他の項目については内場委員、古賀委員、小坂委員、堤委員、野口委員の5名でお願いしたいと思っております。
 事務局からはそれぞれの分類項目ごとの文献をすべてそれぞれの分野の担当の委員にお送りしますので、その中での割り振りについてはお二方なり5名の方々それぞれでご相談いただいて割り振りを決めていただきたいと思っております。
 それから、先ほど説明しましたが文献概要リストについても早々に事務局で案をつくりまして先生方にお送りしたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
 資料2については先ほど荒牧委員長からもご指示がありましたので、これについては評価委員会のほうの取りまとめを担当していただいている岡田委員とも相談した上で、資料2の内容を反映させた全体版を作成して、皆さんにお送りしたいと考えておりますので、ご了承ください。
次回、第7回の小委員会は今日ご説明したようなスケジュールで作業を進めていって、その進捗状況を見極めつつ、改めて委員の皆さんと日程調整させていただいたうえで、次回の開催を決めたいと思っておりますので、その点もよろしくお願いいたします。

○荒牧委員長 1つだけ質問してよろしいですか。これまで評価委員会本委員会とこの小委員会が作業をした文献はどの程度の公開といいますか、どういう方法でオープンにしていくか、教えていただけませんか。というのは、私のチームでいろいろ勉強しているわけですが、私が蓄えた文献は全部ファイルしてあるんですが、例えばそれが電子化されているもので配っていただけるとか、リストがPDFのファイルに焼いてあるから送ってもいいですよとか、何か公開の方法があれば教えていただきたいんですが、何かありますか。それとも私たちのほうで焼いてコピーして皆さんに渡すぐらいだったらいいのか。
 資料は全部公開にはなっているんですよね。公開にはなっているけれども、特にそういう形で何かPDFのファイルにどこかが束ねている。必要があれば買えるないしは送ってもらえるということがありますでしょうか。
 新しく有明海研究に参画してきたたくさんの若者たちがいるので、その人たちにこの成果物を渡そうとすると、全部コピーして渡すことになるのか、それともそういう作業が可能かどうか。もしやっていただければ非常に助かるんですが。文献のリストだけでも膨大な量がありますよね。まず基礎資料となった文献のリストだけでも、私のところの若い研究者は全部コピーして持ってきましたが、そういうことのサービスと言ったら言い過ぎたかもしれませんが可能かどうか、検討しておいていただけると助かります。PDFのファイルに焼いてしまえば相当量のものがCD1枚に入ってしまうということであれば我々のところで、それをそのままコピーするかどうかは別にして。論文そのものではなくて抄録版にしてありますので、著作権は少し薄まっていると思いますので、そういうことまで含めて検討しておいていただけると我々としては非常に助かるということを申し上げておきます。これは要望です。一研究機関の長としてお願いしたいと思います。
 それでは、これをもちましてこの小委員会を終わりにさせていただきたいと思います。
 皆さん、お忙しい中、また作業をお願いすることになりますけれども、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

午後4時18分閉会