第51回有明海・八代海等総合調査評価委員会 議事録

開催日時

令和5年3月24日(金)

開催方法

対面方式及びWEB 会議方式を併用して開催

場所

環境省第 12 会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館15 階)

出席者

委員長: 古米弘明委員長
委員 :

大嶋雄治委員、上久保祐志委員、川原逸朗委員、木原久美子委員、清本容子委員、鈴木敏之委員、内藤佳奈子委員、林美鶴委員、藤井直幹委員、皆川朋子委員、矢野真一郎委員、山西博幸委員、山室真澄委員

臨時委員:

小林政広委員、辻本剛三委員

(関係省庁)

農林水産省農村振興局整備部農地資源課 細田課長補佐、橋本係長

林野庁森林整備部治山課 中村課長補佐

水産庁増殖推進部漁場資源課 諸貫課長、吉川課長補佐、田代係長、辻係員

        栽培養殖課 横尾課長補佐、田畑係長、小松係長、鈴木養殖国際専門官

        研究指導課 中村課長補佐

   漁港漁場整備部計画課 篠崎課長補佐、浜辺専門官、伊藤係員

国土交通省水管理・国土保全局河川環境課 赤道課長補佐、寺石係長

              下水道部流域管理官付 工藤課長補佐     

     港湾局海洋・環境課 釘田課長補佐、鷲谷係長

(事務局)

環境省水・大気環境局長、水環境課閉鎖性海域対策室長、水環境課閉鎖性海域対策室室長補佐

議事録

午前9時30分開会

○速水閉鎖性海域対策室室長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから第51回有明海・八代海等総合調査評価委員会を開会いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員会は会場とウェブ会議、両方での開催となっております。ウェブ会議で御参加いただいております委員の皆様には御不便をおかけいたしますが、会議中、音声等が聞き取りにくいところございましたら、事務局まで御連絡いただければというふうに思っております。
 また議事中、マイク機能は会場及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。
 なお、ウェブ会議での御発言の際に、お名前の横にあります挙手ボタンをクリックしてください。青色に変わりますと、挙手した状況になりますので、御発言の意思はこのマークで確認させていただきます。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき、御発言をいただきますようお願いいたします。
 また、ウェブ会議では、通信状況や発言者等の声によっては、不明瞭な箇所が出てくる可能性がありますので、恐れ入りますが、御発言前にお名前をおっしゃっていただきまして、少々ゆっくりと御発言いただければと思います。
 また、会場の委員の皆様においては、マイクには手を触れないようによろしくお願いいたします。
 本委員会は公開の会議となっております。環境省水環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。
 それでは、議事に先立ちまして、環境省水・大気環境局長の秦より御挨拶を申し上げます。
○秦水・大気環境局長 おはようございます。水・大気環境局長の秦でございます。
 本日は御多用のところ、実際にお集まりいただき、またウェブで御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 1月にもこの会を開催させていただいたわけでございますけれども、中間取りまとめを踏まえまして、今後の審議の進め方、あるいは分かりやすい形での公表につきまして、御審議をいただいたところでございます。この審議を踏まえまして、中間取りまとめの内容を含みます令和3年度の所掌事務の遂行状況資料につきまして、2月に当省のホームページにおきましても、公表したところでございます。
 本日の評価委員会では、2月に開催されました小委員会におけます審議内容の御報告ですとか、あるいは令和4年度の関係省庁におけます再生方策の取組状況、こういったものにつきまして御説明をさせていただき、また令和4年度の所掌事務の遂行の状況についても、分かりやすい形での公表資料の内容について、御議論をいただく予定でございます。
 また、今年の冬は、ノリの状況がよろしくないようでございまして、その辺につきましても水産庁さんから御報告いただく予定となっております。
 委員の皆様方におかれましては、本日も御忌憚のない意見を賜りますよう、お願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。本日もどうぞよろしくお願いします。
○速水閉鎖性海域対策室室長補佐 本日の委員の出席状況ですが、欠席の御連絡を灘岡委員よりいただいております。本日は委員17名中16名の委員の方が御出席ですので、評価委員会第6条に基づく会議の定足数を満たしていることを御報告いたします。
 続きまして、本日は再生方策等の取組状況を議題としておりまして、関係省庁よりオンラインにて御出席いただいております。農林水産省からは農村振興局農地資源課、林野庁治山課、水産庁から諸貫漁場資源課長をはじめ、研究指導課、栽培養殖課、計画課から御出席いただいております。
 国交省から水管理・国土保全局河川環境課、港湾局海洋・環境課より御出席いただいております。
 環境省側の出席者も紹介させていただきます。
 先ほど御紹介させていただきました水・大気環境局長の秦でございます。
 閉鎖性海域対策室長の木村でございます。
 同室長補佐の川口でございます。
 同室長補佐の川田でございます。
 私が御紹介遅れましたけれども、同室長補佐の速水でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、資料につきましては、事前に電子データで御案内しておりますが、議事次第に記載の一覧のとおりでございます。
 また、ウェブ会儀では、事務局が画面上に資料を掲載して進行させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議題に入ります。
 これ以降の進行は、古米委員長、どうぞよろしくお願いいたします。
○古米委員長 古米です。おはようございます。それでは、議題に入らせていただきます。限られた時間でございますので、円滑な議事進行に御協力をいただきたいと思います。
 本日の議題に関しましては、先ほど秦局長からお話があったように、第10回小委員会における取組、再生方策の取組状況、そして令和4年度所掌事務の遂行状況に係る分かりやすい形での公表と、その他ということで、四つの議題になっております。
 特に、議題の4については、水産庁より今期のノリ養殖に係る色落ち問題等について御報告いただけることになっております。
 それでは、まず第1番目の議題である、第10回小委員会における取組について、事務局より御説明をお願いしたいと存じます。
○川口閉鎖性海域対策室室長補佐 事務局の川口でございます。私から御説明させていただきます。説明に当たっては、資料2-1、資料2-2、資料2-3を使用しますが、資料2-1に沿って、参考のところも交えながら説明させていただきます。
 それでは初めに、資料2-1を御覧ください。
 令和5年1月12日に開催いたしました、第50回評価委員会におきまして、「今後の審議の進め方」や「水産小委及び海域小委の所掌事務及び作業分担」を決定しました。
 これに基づきまして、2月13日に水産資源再生方策検討作業小委員会及び海域環境再生方策検討作業小委員会の第10回会議を合同開催しましたので、小委員会における検討状況について、事務局から報告させていただきます。
 最初に、1の小委員会の作業方針についてですが、水産小委及び海域小委では、有明海・八代海等で生じている生態系、水産資源を巡る問題点の「ベントス(底生生物)の変化」、「有用二枚貝の減少」、「ノリ養殖の問題」及び「魚類等の変化」の4項目に、これらの項目と関係して、平成28年度委員会報告において再生方策が示されました、「生物の生息環境の確保」を加えた5項目について、関係省庁及び関係県から適宜報告を受けつつ、情報の収集・整理・分析及び再生方策の検討等を行うなど、「小委員会の作業方針」を決定しました。
 こちらが資料2-2になります。
 概要を簡単に説明しますと、資料2-2の2ページ目の2(3)情報の収集・整理・分析の方針としまして、国及び関係県等が今後行う調査・研究開発による結果やこれまでにモニタリング調査等で蓄積されたデータを活用し、環境変化のメカニズムや要因等の解明につながるデータの分析・解析に取り組むこととし、環境変化の状況や相互作用等の事象を再現できる数値モデルの有効活用等、最新の知見を踏まえて、問題点の原因・要因の解析・解明や効果的かつ有効な取組の分析等を行うこととしました。
 また、3の平成28年度委員会報告で示された再生方策につきましては、関係省庁及び関係県から適宜報告を受けつつ、再生方策の実施状況及びその成果を収集・整理・分析することとしました。
 ページを進めまして4ページ、5ページのところですけれども、こちらでは、これらの作業を実施する上での両小委の作業分担を示すとともに、両小委員会への相互参加等による連携強化などが記載されております。
 また、6ページ目、こちらに小委員会での作業を進める際に留意する事項として、(1)関係者による連携強化と情報の発信・共有の推進や、(2)再生目標と再生方策等の関連性と他事業等との連携の強化も挙げておりますが、こちらにつきましては、事務局において関係省庁、関係県とも連絡を密にして、まずはどのように対応できるかを含めて、検討してまいります。
 なお、7ページ目のスケジュールにつきまして、これはあくまでも小委員会での情報収集・整理・分析等の大まかなスケジュールとしての記載であり、委員会報告の取りまとめ作業を踏まえますと、委員会報告に掲載するのは原則として令和6年度実施分までの調査結果が対象となることの認識共有を図ったものでございます。
 なお、令和5年度の予定につきましては、本日の議事の最後に改めて事務局よりお知らせをさせていただきます。
 また、次に資料2-1に戻りまして、2の小委員会における今後の情報の収集・整理・分析等の方向性についてですが、先ほどの1の「小委員会の作業方針について」を踏まえまして、「再生方策等の実施状況等と課題の確認」、「データの蓄積等科学的知見の充実に係る項目の状況確認」、「再生方策等の実施状況等の報告状況の確認」を示した小委員会における今後の情報の収集・整理・分析等の方向性を決定いたしました。
 こちらが資料2-3及び別紙1、別紙2、別紙3となります。
 資料2-3ですけれども、1の再生方策等の実施状況等と課題の確認のところの別紙1が、中間取りまとめ第3章の再生方策等の実施状況等と課題を表にまとめて、小委分担を記載したものになります。
 また、2のデータの蓄積等科学的知見の充実に係る項目の状況確認のところの別紙2が、中間取りまとめ第4章4.1の項目に関して、小委員会の分担を記載したものになります。
 3の再生方策等の実施状況等の報告状況の確認のところの別紙3が、令和3年度中間取りまとめにおいて、実施状況等が報告されていない再生方策等が分かるように整理したものでありまして、これらの事項を踏まえて、次年度に情報の収集・整理・分析等の具体的内容を検討することになります。
 また、資料2-1に戻りまして、こちらの参考として、第10回水産・海域小委員会における指摘事項を添付しております。これらは第10回小委員会においていただきました御意見の概略版として整理したものでございますが、御意見を踏まえて対応を検討し、修正を行ったものが、先ほどの資料2-2、資料2-3、及び別紙1、別紙2、別紙3となります。
 なお、この参考の20番のところで、「小委員会での決定事項を評価委員会に諮って方針を最終決定した後でも、検討を進めながらこれを修正する余地も残しつつ、柔軟に検討・議論を進めるべき。」という御意見がございましたが、こちらの対応としましては、第10回小委員会の決定として、第51回評価委員会に資料2-2、2-3を報告するものの、今後の小委員会、親委員会等の議論によって必要となった場合には、柔軟に修正を図るようにしたいと考えております。
 今回資料に反映したものといたしまして、参考の25番で、「魚類等の変化に関しては、分析の対象が水産資源となる魚種であるのであれば、海域小委と水産小委の両小委員会ではないか。」といった御意見がございましたが、こちらの対応としましては、水産資源となる魚種は両小委に関係する検討事項と考えておりまして、資料2-3の別紙1の4ページ目のところの、「魚類等の変化」の「魚類漁獲量等の状況」の小委分担を海域小委のみと記載していた箇所について、御指摘を踏まえ、同資料の小委分担に水産小委を追加しております。
 また、スケジュールにつきましては、参考の15番で、「主要4項目ごとの連関図の作成には大きな労力を要するため、スケジュールに組み込むこと。」や、16番で、「何をいつまでにどうするのか等のスケジュールを示すこと。」などといった御意見をいただきましたが、まずは令和5年度の予定について、本日の議事の最後に改めて事務局よりお知らせをさせていただきます。
 その他、中間取りまとめで記載が追加された項目に関して、幾つか御意見をいただいておりまして、参考の10番で、「新たに加わった項目、例えばマイクロプラスチック等について、小委員会の作業方針に掲載されていないが、小委員会の作業分担はどうするのか。また、鳥類を専門とする委員が委員会に含まれていない。」といった御意見をいただきましたが、こちらの対応としましては、具体的内容の検討に係る次年度の委員会の議論も踏まえて、対応を考えてまいりたく、鳥類については専門家へのヒアリングも含めた対応を、次年度において検討することで考えており、参考の29番なども含めて、まずは情報収集を進めることとして、今後の海域小委員会の議論も踏まえ、取扱いを検討してまいりたいと考えております。
 今回は時間の都合上、いただいた御意見のうち、一部のみ今後の対応を含めて御紹介させていただく形としました。
 第10回小委員会における取組についての説明は以上です。
○古米委員長 御説明どうもありがとうございました。ただいま事務局より説明がありましたように、第10回の小委員会が合同で開催されて、作業方針と特に情報の収集・整理・分析の方向性等について、御議論いただいたということです。今日の評価委員会では、その議論を踏まえた形で修正した方針であるとか、あるいは方向性という資料を作成いただいて、御説明いただいたということでございます。
 何か委員の方々から御質問、御意見があれば、お受けしたいと思います。いかがでしょうか。挙手をいただければ、指名させていただきます。
 山室委員、お願いいたします。
○山室委員 山室です。聞こえていますでしょうか。
○古米委員長 はい。聞こえております。
○山室委員 御説明ありがとうございました。
 それで、最終的には再生方策の検討が重要になると思いますが、タイムスケジュール的には大体どんな感じになりますでしょうか。
○古米委員長 一通り御質問ある方の御発言を受けた後、事務局より御回答いただきたいと思います。
 それでは続いて、川原委員、お願いいたします。
○川原委員 よろしいでしょうか。
○古米委員長 はい。お願いします。
○川原委員 佐賀県有明水産振興センターの川原です。
 一つ確認をさせていただきたいんですけども、資料2-2再生方策の検討の方針の③、3ページの有用二枚貝の項目ですが、これは平成28年度委員会報告で示された項目でもあると思いますが、参考資料1の3ページを見てみますと、平成28年度委員会報告で整理されているのは、各項目の前にタイラギのとか、アサリのといった言葉が付いているんですね。これを取って、各項目を有用二枚貝で一くくりにしてしまうと、本来の意味が通じなくなってしまうのではと思いました。
 例えば、ここでいう立ち枯れへい死というのは、タイラギで起きる現象を指していて、アサリやサルボウには該当はしないと思います。有用二枚貝全般に係る問題ではないわけです。
 ただ、これはあくまで方針、方向性を示すものだから、問題ないということなのかもしれませんが、この辺りを事務局のお考えはどうかというのをお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○古米委員長 ほかに御質問、御意見ありませんでしょうか。山西委員、お願いいたします。
○山西委員 おはようございます。山西です。
 私からは2点ほど、1点目は以前、意見として挙げていたもので、今回親委員会と小委員会との間のコネクションというか、つながりという意味で参考資料として小委員会の指摘事項等をまとめていただいて、非常に分かりやすかったかなと思いました。それが1点目で、もう1つは資料2-2の7ページ目のスケジュールのところですが、表の下のところに、委員会報告に掲載するのは原則として令和6年度実施分までの調査結果を対象とするとあります。膨大なデータですし、審議会でいろいろもんだりしますので、時間が当然かかるので、こういう文言になろうかと思いますが、一方で現場とのタイムラグが出そうな気がします。これはこれでよしとしますが、どこかのところにそういう現場との温度差みたいなものが出ないように、そういう解消のために速報的な報告だとかいうものも、令和6年度、7年度以降に、そういう問題が生じたときにでも対応できるような何か文言も入れておいたほうがいいかなと、個人的に思いました。以上です。
○古米委員長 どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、3名の委員の御質問に関連して、事務局より御回答をお願いしたいと思います。
○木村閉鎖性海域対策室長 委員の皆様、御意見ありがとうございました。閉鎖性海域対策室長の木村でございます。
 まず山室委員から、再生方策が重要なので、その検討スケジュールはどのように考えているのかというような御質問がございました。今日の資料の2-2の7ページのところは、そういうところまでは書き込めておりません。その辺り、どのぐらいのタイミングでというのは、これから整理していきたいと思います。いずれにしても、委員会報告を取りまとめる令和7年度、令和8年度とか、その辺りで議論していくことなのかなと、今、個人的には考えるところでございます。
 それから川原委員からありました、これは資料の2-2の3ページのところ、有用二枚貝の記述、本来再生方策としてはタイラギとか、アサリとか、そういう貝の種によって違うものであるが書かれていないということもあって、誤解が生じるかもしれないというような御指摘だったか思います。確かにここの記述としては、書いてはいないですが、もちろん具体的な再生方策を講じていくに当たっては、それぞれの貝の種の種ごとの問題点、課題などを考慮した形で、関係省庁では進めていただいていると思いますし、それからこの評価委員会において、今後問題点の原因とか要因を解明していくでありますとか、今後のさらなる再生方策を検討する場合には、個々の貝類、貝の種ごとの違いを考慮した形で進めていくというのは、当然そのように進めるものだと考えております。
 それから山西委員から、資料2-2の7ページのスケジュールのところで、委員会報告に掲載する成果が原則として令和6年度実施分までの調査結果を対象とするというところ、実際報告書が出るのが令和8年度の終わり頃になるということもありまして、その間に現場で状況の変化などが生じて、報告書の内容と現場での状況がずれてくるような、そういう問題が起きたときの対処を考えるべきではないか、ここにも書くべきではないかというような御指摘でございました。
 私どもとしては、この7ページのところ、原則として令和6年度分までの調査結果を対象とすると書いているのは、ひょっとしてそこからどうしても変えるべきところとか、あるいは有用な成果が令和7年度ぐらいに出てきて、そういうものも反映すべきではないかというようなことが出てきた場合には、そういうことも考慮できるようにという意味で、例外もあり得るというような意味合いで書いているつもりでございます。そこについては、この記述でもそのように御理解いただければと考えております。あまりいろいろ書くのも結構難しいかなとも思いますので、このような回答をもって、何とか御理解いただければというのが、事務局としての考え方でございます。
 以上でございます。
○古米委員長 どうもありがとうございます。
 質問された委員の方々、何か追加の御発言があればお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 山室委員、お願いいたします。
○山室委員 山室です。御回答ありがとうございました。
 資料2-3の別紙3に、再生方策等の実施状況等の報告状況というのがありまして、この中にもう既に実施している状況の報告を行ったものが赤太字で、それからケーススタディで報告を行った項目を青太字と書いてあります。なので、黒がまだやっていないか、大幅にやっていないものかと思いますが、それらも含めまして、この有明海・八代海ではさまざまな対策をやっていて、なおかつ自然再生、保全、もしくは漁業の振興に至っていないという現状がある中で、今までやって駄目だったものを繰り返すのではなく、新しい何か対策をするのであれば、タイムスケジュール的にどういう感じになるのかなということを念頭に置いて聞きました。なので、ここに資料2-3の別紙3にないものを、これまでやって駄目だったから考え出すということが、今回のこの会には求められているのか、そうではなくて、これまでいろいろやってきて、こういうこともしなきゃいけないねという、黒字になっているものも含め、これで何とかいけるんじゃないかみたいなことを検討するのかを教えていただきたい。それ次第でやらなきゃいけない作業量がかなり変わります。特に今までにない対策も考えなければいけないとなると、非常に作業量が多くなると思いますので、その辺りのお考えを教えていただければと思います。
 以上です。
○古米委員長 追加の御質問ありがとうございます。基本的に評価委員会では、情報を収集・整理・分析をして、科学的な知見を御提供するというのが基本的な立場ですが、令和8年度の委員会報告の取りまとめの段階では、その分析あるいはその整理した結果として、実施されている再生方策、次はどうすればいいのかというような検討も当然評価委員会の仕事となります。
 ただ、検討結果が出て、再生方策事業自体を途中から大幅に変えるということではなくて、よりいいものにするというサジェスチョン、助言は絶えず評価委員会から各事業実施されている方々にお伝えすることは可能だと思います。
 ただ、再生方策として抜けているものが何なのかという議論をするということ、さらに新規方策やその妥当性をこの評価委員会で検討できるかというと、山室委員も御心配のように、かなり限られた時間の中で行いますので困難かと考えます。きっと小委員会であるとか、実際に実施されている省庁の中で、新しい方策案というものを提案いただいたときに、評価委員会としてその妥当性であるとか、有効性ということに対して、科学的な御意見を申し上げるという形になるのではないかなと、委員長としては考えております。御質問の趣旨に合った回答になっていますでしょうか。
 山室委員、どうぞ。
○山室委員 今までにないものも各省庁さん、もしくは県などから提案いただくという方向性があるのであれば、ずっと同じことしているんじゃないかみたいな批判を受けないで済むと思いますので、ありがたいと思います。ありがとうございました。
○古米委員長 きっと我々の科学的な知見をフィードバックすることによって、実施母体自体がどう再生方策を改善していくのかということを御検討いただけるはずです。御検討いただけるような助言をこちらからは発信するということがとても重要かと思っております。
 どうもありがとうございました。ほかの2名の委員の方々、先ほどの御回答でよろしいでしょうか。
 山西委員、どうぞ。
○山西委員 先ほどは原則としてという意味で、タイムラグに対しての対応は、そのときに応じて対応するということは理解しました。ただこれを見たときに、どうしても令和6年度までのまとめの発表が令和8年になるので、その辺りがさっと読んだら気になります。ただし書みたいな形で何かその後のものに対しても、随時対応ができるような文言が入るといいかなと思った次第です。
 先ほどの木村室長のお話の中で、原則としてということが入っているということで理解しました。
○古米委員長 よろしいでしょうか。私の個人的な考え方かも分かりませんが、先ほど事務局からあったように、6年度まで実施分のデータをしっかりと収集・整理をして、最終的な報告書に反映するけれども、7年度でも重要なことがあれば、随時報告書のほうに取り込めるようにということで、原則が付いていると。山西委員の趣旨の私の理解は、報告書だけにとどまらないで、いろいろ新しい知見が出たり、評価委員会7年度で報告書を作る段階で分かったときには、2年前から法改正で決まったように、分かりやすい形で所掌状況を報告することが求められているので、現場の方々といかに最新の検討状況を報告書とともに、コミュニケーションしていくのかということもとても大事だということかと思います。報告書に載ることだけが重要ではなくて、報告書はデータ整理時点のものである。
 だけれども、報告書以外の形で現場の方々の御苦労であるとか、考えておられることに対して、できるだけ科学的な知見を評価委員会等で助言をしていくということによって、現場と評価委員会とのギャップをできるだけ小さくするという趣旨のように、私は理解できました。この評価委員会の中の運営の中で、そういったギャップを解消できるように努力していくことが重要かなと思っております。
 追加で私の感想を申し上げさせていただきました。
 ほかに委員の方々から御質問、御意見ありますでしょうか。
(なし)
○古米委員長 特に挙手がないようであれば、次の議題に移らせていただきます。
 続きまして、議題の2、再生方策の取組状況についてということで、資料の3-1から3-3に基づいて、各省庁から御説明をいただきます。ただし、今回は各再生方策に係る個票を作っていただいておりますので、こちらについてはまとめて事務局から御説明いただくということで、重要な点だけをこの会議では御紹介いただきます。非常に大部ですので、そのように時間を効果的に使いたいと思っております。
 それではまず、資料3-1、3-2について、事務局から御説明をお願いいたします。
○川田閉鎖性海域対策室室長補佐 事務局から資料3-1有明海・八代海等総合調査評価委員会報告を踏まえた再生方策の実施状況につきまして御説明させていただきます。
 平成28年度報告におきまして、再生報告の作成状況や再生方策の実施状況について、定期的に確認し、再生に係る評価を適切に実施することとされています。このことから、平成29年度以降、毎年度関係省庁から再生方策の取組状況について、御説明しているところです。
 昨年度は中間取りまとめの関係から、本件に係る説明ができませんでしたので、今回2年ぶりの説明を行うことになります。こちらの資料3-1は平成28年度報告に記載されている対象種ごとの再生方策について、関係省庁がどのような取組を行っているかの全体像を整理した表となります。この資料の構成について、まず御説明いたします。
 左から順に見ていきますと、一番左、黒い数字で番号を書いております。こちらは上から順に付けた連番となっております。
 その右隣の対象種等とは、ベントス、有用二枚貝、魚類等、そしてノリ養殖の4項目に生物の生息環境を加えたものとなります。
 そして、その右隣の再生方策と書かれている欄ですが、こちらは平成28年度報告に記載された再生方策です。
 そして、その隣から平成29年度、平成30年度と書いておりますが、こちらは平成29年度から令和5年後までに、各省庁が実施した、または予算案の施策について記載しているものです。
 そして、この資料中で色分けのほうをしておりますが、黄色が農林水産省、緑が環境省、そして水色が国土交通省となります。また、矢印は、事業がこの年はそのまま継続されたということを表しているものです。
 矢印でなく、文字の書いてあるところは事業名であったり、またはその事業の内容が変わったものです。
 こうして全体を見てみますと、事業の終了、例えば白抜きになっているもの、こちらが終了になった事業ですが、こういった終了等で事業の出入りはあるものの、事業は概ね継続して取り組まれているところです。そして、令和4年度、令和5年度では、事業名の変更や事業内容の修正というのもございますが、事業自体は概ね継続されていますので、ここで一つ一つの説明というのは省略させていただきます。
 まず一番上から見ていきますと、ベントスに対して、再生方策がベントス群集・底質のモニタリング及び変化・変動要因の解析調査の実施ということで、こちらは緑の欄になっており、環境省の事業です。閉鎖性海域環境保全推進等調査は後で事業名が変わりますが、底質及びベントスの調査等を行っています。
 その1つ上の欄になりますが、農林水産省の国営干拓環境対策調査等でも底生生物調査が行われています。
 その下の有用二枚貝では、広域的な母貝集団ネットワークの形成に関して、各省庁それぞれ事業を実施しているところです。ここでまた緑の環境省の事業が入っています。こちらを見てみますと、閉鎖性海域環境保全推進事業調査となっており、先ほど見ていただきましたベントスと同じ事業の名前が入っています。このように一つの事業で幾つかのメニューを抱えているものもあり、一つの事業が幾つかの再生方策にまたがって掲載されているというパターンもあります。
 下のほう、黒数字の7番のほうを見ていただきますと、貧酸素水塊の軽減対策となっています。こちらについては、国土交通省にて下水道整備を行っており、農林水産省では農産漁村地域整備交付金等にて、農業集落排水施設、漁業集落排水施設の整備に関する支援を行っています。
 また、次のページにいきますと、先ほどの続きで環境省の循環型社会形成推進交付金が出てまいり、ここで浄化槽の整備に係る支援を行っているということで、海域だけのことではなくて、陸域における汚濁化削減にも取り組んでいます。
 また環境省の関係では、15番を見ていただきますと、漂流・漂着・海底ごみ対策の推進といたしまして、国土交通省にて、海洋環境整備船による漂流ごみの回収や水質調査、底質生物調査を実施しています。
 そして環境省では、海洋ごみの回収、処理等に関する支援を行っています。
 簡単でございますが、こちらが全体像の説明でございます。
 次にそれぞれの事業につきまして、各省庁から、御説明させていただきます。
 まず、環境省から引き続き説明させていただきます。こちらは資料3-2aを御覧下さい。
 こちらの事業内容は、有明海・八代海再生のため、必要な調査や知見の収集、評価委員会の運営を行うものですが、関係する調査を行いまして、再生に係る評価のための科学的知見を解析・整理して、委員会、小委員会に報告するとともに、各省から知見を収集しながら、委員会を実施しているところです。なお、本日開催しております委員会につきましても、この予算で実施しているところです。
 一番上のところ、こちらは黒文字で書いていますが、前年度での課題への対応として、データの蓄積、または底生生物と海洋環境項目との関連性の検討など、今後進めていく必要があることを記載しております。
 次の海岸漂着物等地域対策推進事業は、先ほど資料3-1において、環境省で海洋ごみの回収処理等に対する支援をしていること御説明しましたが、本事業では、海洋ごみの回収処理等の事業を行う都道府県への補助事業となっており、補助率として、地域の実情に合わせて、かさ上げを実施しており、基本10分の7のところ、有明海・八代海におきましては、10%上乗せの10分の8の補助率となっています。また、漁業者等の行うボランティアによって回収された海底ごみ等の処理を行う場合は1,000万を上限とする補助も行われているところです。
 次の循環型社会形成交付金についても、先ほど環境省の事業で浄化槽の整備に係る取組を行っていること説明しましたが、こちらがその事業となっておりまして、市町村が行う浄化槽整備事業に対して、交付金によって支援を行うといった内容となっています。
 環境省の事業に関しまして、説明は以上です。
○古米委員長 どうもありがとうございました。
 続いて、資料の3-2bについて、水産庁漁場資源課の吉川様よりお願いしたいと思います。
○吉川水産庁増殖推進部漁場資源課課長補佐 水産庁の吉川です。よろしくお願いします。
 資料3-2bについて、説明させていただきます。
 黄色の枠の中にあるとおり、農林水産省として、有明海・八代海等の再生に向けて、有明海4県の行政機関、試験研究機関、あと漁業者さんも含めて、協調した取組を行っております。三本柱として取組を進めておりまして、まず一つが海域環境等の調査、二つ目の柱が魚介藻類の増養殖対策、三つ目の柱が漁場改善対策ということで進めております。
 令和5年度の予算案としましては、有明海に特化した事業として17億6,500万円、そのほか全国に関係する事業も行っているところです。
 一つ目の柱、海域環境などの調査ということで、1個目の箱にありますとおり、水質とか底質の環境調査に加えて、一番下にあるような赤潮、貧酸素のモニタリング技術などの開発を行っています。加えて、真ん中にあるように、産卵場とか成育場のネットワーク形成等による資源回復に向けた調査ということで、右のほうの図にアサリの取組を記載しています。アサリはまだ天然資源がある程度あるので、それを増やすという方向での取組を行っています。アサリの浮遊幼生は有明海の中で供給し合っていると。その中で重要な場所を母貝の団地として設定して、アサリの保全とか技術開発といったことを行っております。
 次のページをお願いします。2ページ目の柱が、魚介藻類の増養殖対策ということで、これも4県協調して、効率的な種苗の量産化だとか、効果的な放流手法の開発といったことを行っております。現在14種の対策をしておりまして、その中で注目の高いタイラギについては、天然資源がかなり少ないということもあって、人工種苗の生産技術の開発といったことを行っております。年々生産量は増えておりまして、かなり量産化できるようになっているといったような成果が出ているところです。
 あと、一番下の箱にあるように、後でノリについてお話ししますが、やっぱり高水温が問題になっておりまして、生産できる期間が短くなったり、生産量が減っているといったような問題がありますので、高水温耐性だとか高生長といった優れた品種を作出するという目標に向かって技術開発しており、これも実験室レベルではかなりよいものができております。しかも味がいいということで、何とか現場に落とせるような技術開発を県の水産試験場の方とも協力して進めているところです。
 ページをめくっていただいて、三つ目の柱が漁場改善対策になります。
 一つ目の箱がアサリなどの漁獲量増加に対する技術開発ということで、左の写真でパームって、タワシの繊維になるんですけど、こういうパームやしに種苗がくっつきやすいとか、そういう技術開発が進みつつあると。
 二つ目がタイラギの漁場整備ということで、右の図にあるように凹凸で埋め型漁場を作るとともに、餌生物が増えるような基盤を作ってあげると、タイラギの生誕と成長がよくなるのではないかといったような調査を行っているところです。
 加えて一番下の箱にあるように、覆砂だとか海底耕うんといったような公共事業も併せて利用を実施しているところで、農水省からの説明は以上となります。
○古米委員長 どうもありがとうございました。
 続きまして、資料の3-2cについて、国土交通省の赤道様より御説明をお願いしたいと思います。
○赤道国土交通省水管理・国土保全局河川環境課課長補佐 国土交通省の赤道です。よろしくお願いいたします。
 まず、港湾における取組のご紹介です。こちらのスライドですけれども、海域環境の保全を図るために、海洋環境整備船として「海輝」と「海煌」という2隻の船によりまして、海面に漂流する流木等のごみの回収の実施、またそれに合わせて水質の調査の実施も行っております。真ん中のグラフの図がありますけれども、令和2年度は7月の豪雨災害が発生したことに伴いまして、対前年度比の約12倍相当に当たるごみの量、約1万6,700立米の漂流ごみを回収しておりますけれども、令和3年度につきましては、例年並みの約900立米の漂流ごみを回収したという実績になっているところです。
 今年度につきましては、昨年の10月12日になりますけれども、右下にございます。整備船の「海煌」が漁業者と連携をいたしまして、昨年9月の台風ですとか、大雨に伴って発生した漂流ごみの回収作業を実施しておりまして、その回収量としましては、約208立米程度ということになっているところです。
 次のスライドをお願いできますでしょうか。
 こちらもスライドの上段のほうからになりますけれども、下水道における取組ということで、海域の水質保全のための下水道整備ということに対して支援を行っております。こちらは貧酸素水塊の軽減などに向けまして、汚濁負荷量の削減を推進しているというものでございます。
 支援内容といたしましては、地方公共団体が実施します下水道の整備につきまして、社会資本整備総合交付金などによりまして支援を行っているという状況でございます。
 続きまして、こちらのスライドの下段です。最後になりますけれども、こちらは河川における取組といたしまして、土砂動態の調査を行っております。こちらは河川からの土砂の流出状況を把握するために、河川から海域へ供給される土砂についての調査でしたり、河口域における土砂の挙動の調査、あるいは流域全体の土砂収支の精度向上のための調査というものを行ってきております。
 国土交通省からは以上でございます。
○古米委員長 どうもありがとうございました。
 続きまして、再生方策の取組状況、個票を各事業について作っていただいておりますので、その説明を資料3-3abcということで、事務局よりまとめて御説明をお願いしたいと思います。
○川田閉鎖性海域対策室室長補佐 ありがとうございます。事務局より、資料の3について御説明させていただきます。
 冒頭申し上げましたように、平成28年度におきまして、再生方策の実施状況を定期的に確認することとされておりまして、これまで先ほどの資料3-1、や資料3-2といった資料により、再生方策の取組状況を御報告してきていました。
 そして今回、中間取りまとめを終えたことから、令和8年度に向け、より具体的な内容を確認するため、本年度におきましては、このような個票を事業実施部局において作成いただいたところです。
 なお、この本個票をもって、今回この評価委員の場にて、事業を評価するものではございません。当該委員会において、再生目標に対して、個々の再生方策がどのような目的で実施され、どのような成果が出ているのか等をこの個票によって確認するためのものです。
 それでは、本資料の内容について、御説明させていただきます。時間も限られていますので、主に個票の様式や見方について簡単に御説明させていただきますので、個票の詳細につきましては会議資料で御確認いただければと思います。
 それでは、環境省事業につきまして、説明させていただきます。
 環境省の再生方策では、先ほど御説明させていただきました三つの事業、有明海・八代海等再生評価支援事業、海岸漂着物等地域対策推進事業、循環型社会形成推進交付金について、それぞれ個票を作成しています。まず、これらを見ていきたいと思います。
 2ページを御覧ください。こちらの有明海支援事業の個票を見ていただきますと、Ⅳに背景・目的という欄があり、その下のⅤ事業内容という欄にて、実施されている内容について、記載しています。
 例えば、Ⅴの最初の項目に、底質及びベントスの調査等がございます。こちらについては、再生方策①に対応していることがこのように書かれていますが、資料3-1の赤い丸数字にそれぞれ対応しています。
 このすぐ下の項目、タイラギ浮遊幼生及び着底稚貝に及ぼす水質環境の影響調査では、②③④と複数に関連づけていますが、先ほど資料3-1の御説明のときに一つの事業が複数にまたがっているケースがあることを述べましたが、それがこういったケースとなっています。
 ほかに、この事業ですと、底層溶存酸素量の連続観測が実施されてありますが、これらの施策の成果と課題を次の欄、Ⅵ.実施施策の成果及び課題の欄に記載しています。ここで、本年度においては、中間取りまとめを終えた後のため、中間取りまとめ以降から本日の本委員会までの成果を記述するようにいたしましたが、まだ成果として整理されていないことも多く、中間取りまとめ内容と重なるところもございます。例えば、一番上のものでは、再生方策①の関連として、ベントス群集の変化・変動と底質との明確な関連性が認められないことを記載しています。二つ目には再生方策②③④に関連して、タイラギ浮遊幼生の動向について記載しています。
 ここに成果を掲載していますが、その下に、これら成果を踏まえ、どのような課題があったかということを記載しています。
 このような課題を踏まえ、次年度の見通し・計画として、3ページのⅦ.次年度の見通し・計画にて、現状の取組を継続するとともに、特にその課題1での底生生物と海域環境項目との関連性の検討を進めることとしているところです。
 次、4ページの海岸漂着物等地域対策推進事業は、海洋ごみの回収等に対して支援する事業ですが、こちらのⅤ.事業内容を見ていただきますと、再生方策⑰番に関連しており、先ほどの資料3-1の2ページ目の一番下に記載されていた事業となります。この事業は有明海・八代海等支援事業と異なり、全国を対象として実施されているものですが、有明海・八代海に限り成果を見てみますと、補助件数が23件、回収したごみの量が1,395トンとなっています。
 このような事業は、単年度、また、ある期間のみ実施すれば環境がよくなる、また、解明できるという性質のものではないため、こちらの課題のほうに記載させていただいておりますとおり、継続的に漂着する海洋ごみに対応するため、引き続き実施を行うということとなっています。
 次の事業の循環型社会形成推進交付金は、浄化槽の整備に対して支援する内容ですが、汚水処理施設は政府目標で令和8年度に汚水処理施設整備の概成を目指していることから、今後その整備を加速するということを掲載しています。
 簡単でございますが、環境省の個票について御説明させていただきました。
 次、農林水産省の個票です。先ほどの資料3-1では11の再生方策が記載されており、それらの内容について個々に具体的に書かせていただいたものとなっています。
 例えばこの2ページの国営干拓環境対策調査や、また、その次のページの有明海特産魚介類生息環境調査では、それぞれ再生方策に関連づけられた調査が行われ、例えばこちらの有明海特産魚介類生息環境調査では、有用二枚貝について安定した母貝団地の造成が挙げられていますが、課題として、このような調査には継続して実施が必要ということで、ここに記載されています。
 また、8ページでは、先ほど農林水産省より言及された、地球温暖化に適応したノリ養殖技術の開発において、高水温適応素材を用いた養殖試験や、食害対策手法の開発において成果が出てきているところですが、それぞれ次に検討が必要な課題が、整理されている次第です。
 9ページの有明海のアサリ等の生産性向上実証事業では、これまでに効果が認められた技術を用い、母貝生息地の造成や、基質入り網袋を用いた稚貝育成等について実証事業を行うものです。
 例えば先ほど農林水産省の説明にて言及されました、パームを利用した効率のよい採苗器の開発や、採苗に適した設置高の提示などが成果として記載されており、次の10ページにて、それぞれの課題について整理されているところです。
 次、国土交通省の資料3-3cとなりますが、先ほど資料3-2で国土交通省から言及されたとおり、海洋環境整備船による海洋環境整備事業または下水道関係の整備や土砂動態調査について実施されておりまして、ここに個票としてまとめられているところです。こちらにつきましても、資料3-2と併せてご覧いただければと存じます。
 説明につきましては以上です。
○古米委員長 どうも御説明ありがとうございました。
 資料3-1で全体像があって、17の再生方策が示され、それぞれの省庁、県も行っていますので様々な施策があるということです。個票はあくまでも何を目的として実施されていて、継続される事業が多いんですけれども、どういった課題を踏まえて継続していくのかということを分かりやすく整理いただくという大変な作業をしていただきました。御礼申し上げたいと思います。
 それでは、今の御説明に関しまして、御質問等があればお受けしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、内藤委員、どうぞ。
○内藤委員 県立広島大学の内藤でございます。よろしくお願いいたします。
 農林水産省さんの事業に関しまして、水産庁さんに質問をさせていただきたいと思いますけれども、令和5年度の施策のところで、豊かな漁場環境推進事業というふうに名称が変更されておりますけれども、資料3-2bでの御説明では継続というふうに書かれております。こちらの事業に関しましては、何か豊かな漁業環境推進事業というところで、何か新しい事業対策などに取り組まれるという予定なのか、それともこれまでの漁業環境改善推進事業を継続していくところなのかというところを少し質問させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○古米委員長 御質問いただきましたが、併せてほかの委員から御質問をお聞きして、まとめて御回答いただきたいと思いますが、ほかにいかがでしょうか。
 大嶋委員、お願いいたします。
○大嶋委員 音声、大丈夫でしょうか。
○古米委員長 はい。
○大嶋委員 環境省さんと、農水省も入るかもしれません。環境省さんの個票の4ページのⅥの課題のところですが、海洋ごみへの対策と、多分プラスチックの問題があると思うんですけれども、これは漂着するとなっていますが、有明海の場合は、多分河川から特に最近農地に含まれているプラスチックの流入というのが話題になっていまして、そこの視点が少し足りないんじゃないのかなと個人的に思っています。ですからこれは、農水省さんとの問題でもあるかなと思いますが、これだけ雨が降ると、要は畑に入れられたプラスチックがすごい量あって、それが結構流れてくるという、それで有明海に入ってくるということが多分予想されているものですから、そこを今後のことでちょっと考えていただきたいなというのが私の意見です。
 以上です。
○古米委員長 どうもありがとうございます。ほかの委員、いかがでしょうか。
 特に今挙手がありませんので、2件の御質問について、それぞれ担当の部局より御説明をいただきたいと思います。
 それでは、最初は水産庁お願いいたします。
○吉川水産庁増殖推進部漁場資源課課長補佐 「豊かな漁場環境推進事業」に事業名が変わったことで、何か事業の中身に変化があるかということですけど、結論からすると、大きく変化はないです。まだまだ赤潮や貧酸素については解明できていない部分がたくさんありますので、継続した事業内容となります。事業の切り替わりのタイミングだったので、事業の名称も含めて、これまでのようにきれいな海ではなくて、豊かな海を目指すという意味合いで、こういう事業名にしているところです。
 あとは2点目の被覆材の話も農水省に関係するので、分かる範囲でお答えさせていただくと、基本的には被覆材は畑から出さないということで対策を進めているところですけれども、やむなく出てしまった場合への対応として、今、生分解の素材なんかを開発しているというふうに聞いているところです。
○古米委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、先ほどの海洋プラスチック関連は環境省からお願いいたします。
○木村閉鎖性海域対策室長 担当課室の担当者がいないので、分からないところもありますが、もちろん陸域起源の発生抑制ということは、重視はしているつもりではありますが、今回紹介した事業の中でどこまで対応できるかというところは、今このタイミングでは直接担当していないので、お答えができないところであります。基本は回収処理の支援という事業であると理解しております。課題としては確かに発生抑制対策の推進が必要ということは挙げておりますが、事業としてはそういうものだと理解をしています。
○古米委員長 委員長として認識しているのは、あくまでも海岸漂着物等を対象とした事業展開なのですが、結果としてプラスチックが陸域から出ているということもある程度反映されたものとして事業が行われると思います。特に陸域については、環境総合推進費で発生源がどうなっているのかという研究調査が行われています。そういった動きもこういった事業に反映させる形で、いわゆる調査事業の中身について役割分担等も必要でしょうし、その成果の取りまとめには相互に反映するということがとても大事だと思います。
 日本政府としても、プラスチックごみはG20大阪ブルー・オーシャン・ビジョンで発したように、最終的には海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロに持っていくということですし、私の知る限り、先ほど、農水省のほうからあったように、肥料用のカプセルのプラスチック問題はしっかりと認識されていて、いろいろな研究調査や技術開発がされているということで、いろいろとほかの事業でも行われ、調査研究が行われています。これらをうまく反映した形で令和8年度の報告書で取りまとめるとともに、同時に実施事業においても御留意いただくということが重要かと思っております。
 追加で私から説明させていただきましたが、二人の御質問された委員から、何か追加で御発言があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、ほかの委員から御質問、御意見をいただければと思います。ただ、個票のほうは時間が限られていたので、ポイントだけの説明でしたが。
 林委員、お願いいたします。
○林委員 林でございます。
 各省庁で、今、それぞれの事業をなさっていて、そのときに、例えば海域での調査などもそれぞれになさっていると思いますけれども、そのようなデータは相互に交換をしたり、あるいはどこかに集約されたりということが、もうこれまでなされているのでしょうか。先の議題の中でも科学的知見を集めるというようなお話、相互に情報交換するというようなお話がありましたけれども、既にそういうデータの交換ということはなされているのでしょうか。
○古米委員長 これは、事務局ですかね。例えば、資料3-1の再生方策①のところでは、農林水産省が底生生物調査をしていて、環境省もベントスも含めてやっているというような事例だとか、裏側の再生方策の17番は、国土交通省と農林水産省、環境省ということで、同じ再生方策の中でいろいろと活動されていると。これは調査だけではないですけれども、そういったときに情報共有して、それが総合的に実施され、縦割りの状態ではないことの確認だと思います。どういった状態なのかということが、御質問かと思います。いかがでしょうか。
○川田閉鎖性海域対策室室長補佐 御指摘のとおり、それぞれ調査事業をやっておりますが、こちら相互に情報を必要に応じまして、取り入れているところです。
 またそのデータの集約につきましては、一部実施を試みているところでございますが、まだこれだというところでは、お示しできるものがちょっと出ていないところです。
 以上でございます。
○古米委員長 林委員、今の御回答でよろしいでしょうか。
○林委員 はい、結構です。今後そういう各省庁間の、連携をということも、今後の課題として入っています。その中で進めていくというふうに理解しております。ありがとうございます。
○古米委員長 農林水産省さん、お願いいたします。
○吉川水産庁増殖推進部漁場資源課課長補佐 水質だとかデータはみんなで共有しているところです。「赤潮ネット」とか、「有明海及び八代海等における赤潮・貧酸素水塊に関する調査研究」といった形でインターネットで検索していただければ、共有しているデータが御覧いただけると思いますので、よろしくお願いします。
○古米委員長 追加の御説明ありがとうございます。
 評価委員会としての所掌事務として、やっていることを分かりやすくということが求められていますので、最終的なホームページに取りまとめを載せるとともに、各省庁がどんなことを公表しているのかということを御紹介するというのも重要な役割かなと、今の御発言を聞いて感じました。
 ほかに御質問ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、大嶋委員、続いて矢野委員の順番でお願いしたいと思います。
○大嶋委員 水産庁さんのほうなんですが、ここの項目にはっきりと書いていないですが、いわゆる貝類の減少と、ナルトビエイの減少というのはある程度リンクが貼ってあるんですが、ナルトビエイの捕食者としてのサメとの関係が捉えられているのかというのは、たしかチェサピーク湾ではそういう研究があったかと記憶しておりますけれども、ナルトビエイの天敵との関係というのは、たしか長崎大の山口先生が前も言われていたような気がしますが。そこの視点はいかがかなと少々思ったものですから、お伺いをしたいと思います。今後でも結構なんですけれども。
○古米委員長 続いて矢野委員、お願いいたします。
○矢野委員 矢野です。
 資料3-2aとcに関係するお話ですが、例えば資料3-2aの環境省さんの資料の中で、例えば2枚目と3枚目ですね、何だかここで示されているのは事業の紹介のようなスライドになっていますが、この中で有明海・八代海に関係する部分がどこでというのを、見える化していただいたほうが分かりやすいかなと思ったんですけど、1ページ目の資料は有明海・八代海のことに特化した内容なので、それはそれでいいですが、2ページ、3ページ目とかはもう少し広い事業の中で有明海・八代海のことをやっているというような内容になっているので、この中で有明海・八代海にどの程度のことが行われて、どの程度のことが分かったのかというのが見えるように書いていただくと、この委員会で議論する資料としてありがたいなと思います。
 同じことが国交省さんの3-2cの資料の2ページ目ですね、下水道整備と土砂動態というのがありますけど、この土砂動態は有明海・八代海だけに特化したものなのかどうか、見えないところがありますが、そうであるならそういうふうに書いていただきたいですし、そうでないなら有明海・八代海に関係する部分がどうだったのかというのがもう少し見えるようにしていただきたいなと思います。下水道のほうは全国的な話の中でやっている話かなと見えるんですが、そうであるなら、その中の有明海・八代海の部分がどうだということが見えるようになるように、書き方を工夫していただけたら、より価値的になるかなと思いました。
 以上です。
○古米委員長 どうもありがとうございました。
 ほかの委員からいかがでしょうか。もしなければ、今の2件について御回答をお願いしたいと思います。
 1件目は農林水産省のほうでしょうか。お願いいたします。
○吉川水産庁増殖推進部漁場資源課課長補佐 ナルトビエイの天敵であるサメについてどうなのかという御指摘だったんですけども、すみません、有明海では少なくともナルトビエイの天敵であるサメが問題になっているということは、承知はしておりません。山口先生にも聞いてみたいと思いますが、今ある情報としてはそのような状況です。
 少なくともナルトビエイは、駆除なんかも行っている結果もあってか、資源量はそんなに増えている状況ではないと伺っております。
 以上です。
○古米委員長 どうもありがとうございました。
 それでは続いて環境省の資料の3-2について、ここでの表現方法はポンチ絵だけなので、個票を見ていただくと記載はあると思うんですが、何か御発言をお願いしたいと思います。続いて国土交通省からもお願いしたいと思います。
○木村閉鎖性海域対策室長 今、古米委員長から言っていただいたとおりで、資料3-3の個票には、有明海・八代海 に関係する部分が分かるようには書いております。資料3-2のシリーズのほうはそこまで思いが至らず、書き込まれていませんので、次年度以降工夫ができないかということは考えさせていただきたいと思います。
○古米委員長 それでは国土交通省さんいかがでしょうか。
○赤道国土交通省水管理・国土保全局河川環境課課長補佐 国土交通省の赤道です。
 我々も御指摘いただいたとおり、ポンチ絵の有明海・八代海での取組内容が分かりづらいということで個票のほうには少し補足的に書いておりますけれども、次回以降またこちらのパワーポイントで御説明する際には工夫したいと思います。よろしくお願いします。
○古米委員長 どうもありがとうございました。
 それでは大嶋委員と矢野委員、追加で御発言があればお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○大嶋委員 結構です。ありがとうございました。
○矢野委員 矢野ですけど、今御説明いただいて来年度以降御対応いただけるということで、このパワーポイントになっている資料のほうが、個票よりは見られるものになると思うので、別に宣伝というわけではないですが、より広く見られるものかなと思いますので、指摘させていただきました。ありがとうございます。
○古米委員長 どうもありがとうございます。絶えずよりよいものに仕上げていくということで、貴重な御意見をいただいたものだと思います。
 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
(意見なし)
○古米委員長 特に挙手がないようですね。今回、各関係省庁には追加で様式を見直しした個票について作業いただくなど、いろいろと御努力いただいたことで議論も深まったように思います。本日委員から出た御意見を参考にして、引き続き再生方策に向けた取組を実施いただきたいと思います。本評価委員会において必要なデータを御提供いただきたいというようにお願いしたいと思います。
 事務局におかれましては、小委員会での作業分担に沿って作業が進められるよう、関係省庁及び関係県の取組状況について、引き続き情報収集と整理をしていただくことと思いますので、お願いしたいと思います。
 絶えず最新の情報を評価委員会、あるいは小委員会で吸い上げて、科学的に分析をし、またフィードバックするということがとても重要ですので、速やかなデータ提供ということをお願いしたいと思っております。
 どうもありがとうございました。
 それでは議題の3に移らせていただきます。続いて、議題3は令和4年度所掌事務の遂行の状況に係る分かりやすい形での公表ということで、事務局から御説明をお願いいたします。
○川田閉鎖性海域対策室室長補佐 それでは、令和4年度の所掌事務の遂行の状況につきまして、説明させていただきます。
 こちら1枚めくっていただきまして、上のほうに書いておりますが、毎年所掌事務の遂行状況を分かりやすい形で公表するものとすることが、令和3年4月の改正法施行によって定められているものでございます。そのため令和3年度分の資料につきましては、1月の親委員会で御審議いただきまして、2月に公表いたしたものです。今回はその続きの、令和4年度分について見ていただきたいというものです。
 ただ、こちらの資料、当該年度の所掌事務の遂行状況を記載する性質上、本日の議題内容を含む必要があることから、今回は本素案をもってたたき台として、議論をいただきたいと考えています。
 そして、いただいた御意見を踏まえるとともに、本日の審議内容を踏まえ、改めて委員の皆様にメールにて御意見を伺うことができればと考えております。その御意見への対応をもって、委員長一任とさせていただければと考えるところでございます。
 こちらの資料の構成ですが、内容といたしまして、Ⅰ、Ⅱと書いております。一つ目として所掌事務の遂行の状況、次に主な議論の内容としております。
 1枚めくっていただきまして、こちら先ほど申し上げました所掌事務の遂行の状況について、まとめています。この令和4年度におきましては中間取りまとめが報告されたことから、主に今後の方向性に係る審議内容ということになっています。
 まず開催委員会欄では1月に親委員会、そして2月に小委員会、そして3月24日、今行っているこの委員会です。そのため、この委員会による審議結果は今空白ですが、こちらにつきましても、本日の審議結果を踏まえまして記載させていただきたいと考えています。
 次のページをお願いします。先ほど申し上げました第50回にて御審議いただいた今後の方向性に係る内容について記載しています。例えば、今後の審議の進め方について決定したこと。そして一つ目のポツでは平成28年度報告及び令和3年度中間取りまとめで今後の課題を踏まえ、この水産資源をめぐる問題点、その原因・要因について、既往又は今後の調査・研究の成果等を踏まえて継続して究明を進めるとしています。
 またその二つ目のポツでは、令和8年度報告では、令和8年度以降の再生目標及び再生方策の方向性を示すとしています。
 そして三つ目として、この小委員会において、気候変動の影響、社会変化の影響、鳥類等陸域の生態系などの新たな分野を加え、情報の収集・整理・分析並びに再生方策の検討を進めるとしているところです。
 次のページお願いします。こちらは第50回で御審議いただいた、小委員会の所掌事務の作業分担ということで、このように記載させていただきました。
 次に、こちらも第50回の審議の結果です。所掌事務の遂行の状況に係る資料作成及び公表方法ということで、令和3年度分の分かりやすい資料ということで、審議いただいたものです。最終的にこちらの、一番左下の図でございますように、有明海・八代海等総合調査評価委員会のホームページで掲載させていただいているところです。
 次のページをお願いいたします。こちらは2月に行いました第10回小委員会の作業方針ということで、このように結果を記載させていただいています。
 そして最後のページです。こちら本日の第51回の審議の結果ということで、また、本日の議論を踏まえて掲載し直させていただければと考えているところです。
 簡単でございますが、説明は以上です。
○古米委員長 どうも御説明ありがとうございました。
 それでは委員の方々から御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 それでは山室委員、お願いいたします。
○山室委員 山室です。
 最初にさせていただいた質問とも関連しますけれども、この資料の3枚目のところに三つポチがありまして、二つ目のポチのところでは、委員会報告では再生目標及び再生方策の方向性を示すと書かれていて、具体的なこれまでにない対策、再生方策を出すというふうには読めないので、最初に質問したことに対するお答えと一致していると思います。
 その下のポチにあるのは、最後に、方策の検討等の作業を進めるとありまして、そういう流れからすると、ここにある方策の検討というのは、委員が新しく方策を検討するのではなくて今までに出されている方策の検討をするという理解でよろしかったでしょうか。
○古米委員長 どうもありがとうございました。
 ほかの委員から御質問、御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 もしなければ、山室委員の御質問に対しての御回答をお願いしたいと思います。
○木村閉鎖性海域対策室長 今の資料の3ページのところの二つ目のポツのところは、確かに「再生方策の方向性を示す」とは書いてありますが、平成28年度報告のときも再生方策というものは報告書の中に書いておりますので、令和8年度の報告においても、再生方策というものは書いていくことになると思います。
 そういう意味で言うと、三つ目のポツのところにあるように、小委員会で再生方策の検討の作業もした上で、最終的には親委員会のほうでも審議をして、報告書の中には再生方策というものを書いていくということになると思います。
 ただ、その再生方策を全て委員会の中で立案していかなければいけないということでもなく、それは各省庁さんのほうでいろいろ立案・検討されたものでありますとか、そういうものも含めた形で、委員会の中で検討して、最終的には報告書の中には書いていくということになるものだと思っております。
○古米委員長 山室委員、いかがでしょうか。
 どうぞ。
○山室委員 省庁さんなどが出している、もしくはもう県さんなどが出している、もしくはこれからやろうとすることをこの委員会で検討して、こういう効果が出ているよねとか、こういうデータからこういうことが言えるよねとかいう、そういう検討はすると思いますけれども、一番心配しているのは、これまでもなかなか目に見える再生というようなことがなかった中で、画期的なものを考えなければいけないのかなということを一番恐れていて、それはこの委員会ではとても難しいだろうなと思ったので、この2ポツの再生方策の方向性を示すというのがあるのかなと理解しました。
いろんなデータが画期的な改善を示すというのはちょっと期待できない中で、じゃあどうする方向にするのかなということを探る程度で多分終わるのかなというのを予測しての確認ということです。分かりにくいかもしれませんが。
○古米委員長 どうもありがとうございます。評価委員会がどこまで行うのかということに深く関わっていますけれども、この評価委員会自身は法律等の下で定められた事項があるわけです。
 前回の報告書の中で17の方策を示され、その下でいろいろな施策が省庁と県で行われていると。今回は令和8年度に向けて、方策自体も新たに追加すべきなのか、再考すべきものなのかというのはここで議論せざるを得ないし、現場の調査であるとか再生施策を実施している中から、この方策に対してこの施策をさらに強化すべきだとか、この施策についてはこのような形で変更すればいいかという助言は、評価委員会に求められているように理解しています。
 全く新しいことが出てくるかこないかというのは、ある意味何をもって新しいかどうかは定義が微妙ですけれども、今まで以上に順応的な考え方を入れた方策なり施策を考えるとか、気候変動は無視できないので、この前の九州の豪雨のようなことで、どういう影響を受けるのかといった調査研究であるとか、それを踏まえた施策をやるべきであるとか、貧酸素水塊の取扱いでは、もっと数理的なシミュレーションをベースに解析をすることとか。さらには、アサリの産卵場を考えるときにどう母貝団地を作ればいいのかということ、モデルを活用することが重要であれば、そういったことを前面に出した形のご示唆を出すといったところが、私はあるのではないかなと感じています。
 ただ、有明海が再生をしっかりとしなくてはいけないレベルになっているというのは、言い換えれば、長年の蓄積によってこうなっています。したがって、1年、2年で有明海が変わることはありませんが、この評価委員会としてはやはり5年先、10年先、さらにその先にどういった方向を目指していくのかといった方向性をしっかりと打ち出すと。その具体的な方策のメニューを提示するということが求められているのかなと委員長としては考えております。きっと山室委員と意見はそんなに違わないと思いますけれども、もし山室委員、何かお考えがあれば追加で御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○山室委員 本当に詳しく御紹介していただいてありがとうございました。
 方策の方向性というのは古米先生がおっしゃるとおりのことだろうと思いますけれども、もう一つ少し懸念しているのは、先生も最後のほうにおっしゃった、この有明海はもう長い間の蓄積で変わっていって、何が再生目標なのかが、この前も議論になったと思います。最後の文章は再生目標がこれだよというのを示すというよりは、再生目標の方向性を示すと理解していいのかなというのも、もう一つ気がかりな点です。ありがとうございます。
○古米委員長 どうもありがとうございます。
 山西委員、御発言をお願いいたします。
○山西委員 ありがとうございます、山西です。
 今の古米委員長と山室先生のお話を聞いていて、この委員会で重要なことを思い切って提案というところまでいければもちろんいいんでしょうけど、その点に関しては、私も前回少し言ったかもしれませんが、現場サイドとこの親委員会との関係ですよね。いわゆるステークホルダーとの相互理解というか、そういうのに努めるんだというのが、何か重要な視点かなというふうに思いますし、そういう観点で、資料の何か見える化だとか、より分かりやすいようなものにしていくという議論になっているんだろうと私個人的には理解しています。
 以上です。
○古米委員長 どうもありがとうございます。
 再生のための目標というのは、前回の報告書に二つ示されました。前回の評価委員会でも、それをもう少し具体化するような目標設定をしないと、なかなか評価もしにくいなということでした。したがって、新たな要素を入れた形で、令和8年度にバージョンアップした再生目標として掲げる必要があるねという議論をしました。来年度でこの議論をどうするかというスケジュールが出ると思いますが、評価委員会として必要な作業の一つです。再生目標の方向性というか、次回はこういったところに留意する目標設定をし、先ほど山西委員が言われたように、行政側である評価委員会が掲げた目標ではなくて、その再生目標をもとに現場で事業をされている方、なおかつ産業をされている方にとっても理解いただけるような目標の設定をして、同じ問題意識と目標を共有した上で、それぞれができる役割分担を持った上で、それぞれ作業する、あるいは施策を展開することが求められます。そして、施策のレビューをして、またフィードバックして次よりいいものにしていくということが一体的に行われるような仕組みをどこまでは考えられるかどうか分かりませんが、そういった役目を評価委員会としては担っていると思います。全て、十分にできるかどうかは別として、その意識は我々として持っておく必要があると思っております。
 全く山室委員、山西委員の御発言どおりだと思いますので、可能な範囲内でできるだけやりますし、ぜひそれを省庁あるいは県からサポートいただけるように、我々は逆に御助言を申し上げるということだと思っております。勝手な私の発言ですけれども。
 ほかの委員の方々もぜひ重要な点で、今後令和5年、6、7で作業を進めて8年度には報告書を出します。ただ、報告書を出すことが目的ではなくて、最終的に有明海・八代海がどうすればより早く再生されるのか。今までどおりへの再生なのか、新しい形の再生なのかと、それは最終的には現場の方々が幸せになれるような有明海・八代海になるかどうかということですので、そういった議論になろうかと思います。
 ぜひ委員の方々から、忌憚のない、感想でもいいですし、御質問でもいいですし、御発言いただくと、そういうことがこの評価委員会で重要な役目、役割かと思います。御発言いただければと思います。
 いかがでしょうか。
 まずこの議題はあくまでもこの遂行状況を分かりやすく示すというところなので、その資料としての評価もありますし、その記載内容についてどう理解すればいいかという御質問もあろうかと思います。いかがでしょう。
 すぐに御発言がないときは委員長が発言することが期待されていると思っていますので、私から資料についてまず申し上げます。分かりやすさという点から言うと、やはり文字が多過ぎるので、文字説明を補助するようなものが必要だろうと思います。
 例えば表に書いてある内容が、フローチャート的に書いてあれば、その手順がどうなっているかだとか、行っていることがどうお互いに関連づけられて作業が進められているのかがわかりやすくできる一つ工夫できる点だと思います。今回は方策状況のポンチ絵を作っていただいたので、そのポンチ絵を先ほどの御指摘を踏まえて改善したバージョンで、方策の取組状況を紹介するページに行って、例えばベントスの項目を押すとそのポンチ絵が見えるとか。
 要は、見たいなと思うような公表ができるのがベストで、見ていただいたときに、さらに知りたいなと思ったら詳しい内容があるという形で表示するといいのではないかなと思います。その点では令和3年度の中間取りまとめは、そういった形で整理いただいたこともありますので、ぜひそのノウハウを、今回の令和4年度の所掌事務遂行状況の分かりやすい公表にも生かしていただきたいなというのが私からの意見です。
 ほかにいかがでしょうか。
 清本委員、お願いいたします。
○清本委員 委員会の資料を見ていますと、恐らく事務局として、委員会で委員の方々に説明するためのなるべく詳しい資料を作ろう、という思いで作られているので文章が非常に多くなってしまうのかなと感じています。けれども、今の委員長の御発言のようになるべく分かりやすいもの、それも、一般の方、それからステークホルダーの方に分かりやすいものという意識で作っていただくと、そういうものをこれから令和8年までの間にずっと作ってバージョンアップしてためていくと、多分最終の報告書を作るときに、そういう資料がすごくたたき台として生かせるものになると思います。事務局には非常に、それぞれの委員会で作る資料に対する作業量が増えることにはなってしまうかもしれないですけれども、5年後の報告書という一つのゴールを意識して、各委員会の資料を作るということを意識して作っていただくと、最終の作業量が少し減るのかなと思いますので、ぜひそういうことを意識した資料づくりを心がけていただければいいのかなと思いました。
 これはコメントです。よろしくお願いします。
○古米委員長 どうもありがとうございます。
 大嶋委員、お願いいたします。
○大嶋委員 分かりやすい形での公表ということですが、どういうレベルの人にどういう形で分かってもらうかというのは、やはりある程度何段階か区切ったほうがいいと思うんですね。例えば小中学生にお話をするのか、一般の人たちに話をするのか、業者に話をするかですね。
 やはり、こういうのをまとめるのは事務方さんがすごく能力を発揮するわけですが、分かりやすく伝えるという意味では、そういうふうなプロの人たちがおられると思うので、いかがなんでしょう、そういう人たちを使って分かりやすい形にするというような人を入れたほうが何かより伝わりやすいんじゃないかなと思うんです。特に若い人たちに、小中学生にでも、小中学生は少々無理かもしれませんが、もう少しかみ砕いた分かりやすさを伝えるのはプロが必要じゃないかなと思っていますけども。いかがでしょうか。
○古米委員長 どうもありがとうございます。貴重な御提案だと思いました。
 実は私自身もJSTの研究課題において研究成果を報告書としてまとめた際に、一般の方が分かるような冊子を作りたいということで、追加予算をいただいて、サイエンスライターと契約をして、我々の難しい学術的な中身を一般の方が理解できる形で、30ページの冊子を作った経験があります。
 言い換えると、我々専門家にとって当たり前のことが、一般の方については分かりにくいので、サイエンスライターさんによってそれをいかに分かりやすくするかということです。お金はかかりますけれども、結果としては非常に意味あることになったかと思います。
 ちょうど、昨日か一昨日、厚生労働省の生活水道部会が開かれて、水道事業に関して危機感をお持ちで水道ってこういうものですよという、改めて知る水道とかというタイトルで15ページぐらいのを作った事例を紹介いただきました。ホームページ上にも載っているようです。その種の冊子のデザインを分かっている大学研究室か、あるいは高校だったのかな、と提携をして、あまりお金をかけないで彼らが分かるような絵にしたり数値を表すという工夫をされた事例をたまたま昨日か一昨日見ました。内容をできるだけ一般の方が理解できるように、ある意味翻訳できる方に御協力いただくとよいものと思います。省庁の方だとか県の方々というのは事業をやり、その取りまとめをしなくちゃいけない作業が大変ですので、そこをサポートする必要があるなと私も思います。予算があるかどうかは別として。言い換えれば評価委員会として、そのような予算をとって実施してほしいと提案する。なぜならば、法律で分かりやすく示しなさいと書いてあるので、それを実施する上で必要だというように裏づけを持って発言できるのではないかなと感じたところです。
 ほかの委員の方々、何か追加で御発言があればお受けして、あと事務局から可能性を言っていただくといいかなと思います。
 林委員、どうぞ。
○林委員 林でございます。
 今この議題になっているこの所掌事務の遂行の状況という、この表現自体がちょっと私は違和感というか、その表現であれば確かに今示されている、こういう内容になるのかなと。この所掌事務について、こういう手順でこうやって進めましたという説明になるものなのかなという感じを持ってずっと聞いているんです。
 ただ一方でそれを分かりやすくというときに、これが委員会のサイトのページに載ったときに、その状況の下に、今、今回のこの資料4の6ページ目のところが、この委員会のページだと思いますけれども、その下にも議事録ですとか、そういうものがざっと並んでいて非常に事務手続的なものを説明しているページの中でのこの所掌事務の遂行の状況になっているんですね。
 一方で、分かりやすく、つまり検討内容を分かりやすくしたもの。例えば中間取りまとめとかはまた別のところに、あるいはそれをまとめたポンチ絵は別のところにあって、つまり一般の方が見たときに、とてもこのページのところから何かを調べようという気にはならない感じがするんです。
 ですからどうですかね、非常に事務的なこのページのものと、一般の人に分かりやすくするところのページ、あるいはそのリンクをうまく取っていくということなのかなと思います。
 以上でございます。
○古米委員長 どうもありがとうございました。
 ほかに御発言があればお願いして、なければ、事務局のほうからどんな対応可能かを御回答いただければと思います。よろしいですか、委員の方々。
 それでは事務局のほうで何か。
○木村閉鎖性海域対策室長 いろいろ御指摘いただきまして、どうもありがとうございました。
 ここの部分ですけど、法律上、毎年その所掌事務の遂行の状況分かりやすい形で公表するものとするとなっていて、委員会としてどういうことをやってきたのかというようなことをまずはしっかり公表しなければいけないということもあって、今年度、令和4年度について言いますと、評価委員会2回あり、小委員会1回やり、というような中でやったことというのをまとめると、今日お示ししたような資料にはなってしまうというところがありまして、あとこれをどういかに分かりやすくというところは、何か工夫ができるかどうかは考えてみたいと思います。
 また、サイエンスライターの方をとか、そういう専門家の方を活用してというような話もありました。これは確かにお金もかかることでありまして、すぐにどうこうできるかというのが分からないということと、なかなか毎年それをやっていくというのも結構大変なことであるので、例えば中間取りまとめとか、あるいは報告書が出たようなタイミングでは、何かもう少し分かりやすい形での公表をしていく必要があるかなとは思いますが、毎年度それをやるかどうかというところは、今の時点でやりますとはなかなか申し上げられないですけれども。
 いずれにしても、どういう形でこの分かりやすい所掌事務の遂行の状況を伝えるかというところについては、今日いただいた意見も踏まえて令和4年度分をまずどういうふうにするかということを考えますけれども、その先のことについては、また考えさせていただきたいと思います。
○古米委員長 できることとできないことがあるので、ただ、ここで議論することが大事で、可能性を検討することは大事だと私も思っております。
 ほかに御意見がなければ、私にてまとめると、前回は中間取りまとめがあったのでページ数が非常に多く、絵も写真も入った公表になりました。今年度は令和4年ということで所掌事務としてどういう開催状況なのかということと、どんな議論がなされているのか、今後どう作業を進めるのかということを、事務的なことは示すことは必須だと思います。それに加えてどう分かりやすくするかという工夫するところについては、今年度中に可能な限り進めさせていただくということになろうかと思います。
 ただ、根拠条文の留意事項には、公表に当たっては、有明海及び八代海等における環境等の変化の原因・要因・体制の方策が分かりやすいものとなるようということなので、方策としては7ページに載っているということです。その部分が分かりやすいかどうかは、微妙だと思うので、先ほど申し上げたようなポンチ絵を示して、有明海・八代海に特化した形で整理をいただく。そして、この再生方策がどう実施されて、どんなことが分かったかということもさらに詳しい、見たい方は見ていただけるようにする。それは個票も場合によっては出せるものであれば、見ていただくというような、リンクを貼ることによって、先ほどの林委員が言われたようなところで、事務的な公表資料にプラスして、さらにリンク先にはより分かりやすい形で表示されるというようなことなど、可能な部分もあるのかなと思っております。
 まだほかにお気づきの点があれば、一週間以内、早めにお送りいただきたいと思います。事務局の当初説明のように、委員長一任という御提案がありました。私も仕方ないなと思いますので、了承いたします。御意見があれば伝えていただくということと、私に御一任いただけるかどうかということを確認させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○古米委員長 特に挙手や発言がないようですので、数日中早めにお送りいただくということと、それを踏まえて事務局と私のほうでできるだけ、よりいいものに仕上げていきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
 それでは、次のその他に移らせていただきます。その他では、本年度のノリの色落ち問題について、水産庁から御報告いただきます。
 それでは、水産庁の吉川様より、お願いいたします。
○吉川水産庁増殖推進部漁場資源課課長補佐 水産庁、吉川です。
 委員会限りと記載された資料をご覧ください。今年の漁期、有明海でノリ不作ということで、大きな報道もされたところですので、現在の状況を御説明させていただきます。
 最初のページは、ここ約30年間のノリの生産状況を示したグラフです。青いところが共販の枚数になります。平成12年、2000年のとき、大きくがくっと下がっておりますが、ここはノリの大不作ということで、問題になった年です。それ以降、年による増減はありますけれども、比較的安定した生産状況ということになっております。
 オレンジの金額のほうは、平成26年頃から単価が上がっているということもあって、比較的高い水準で推移しておりまして、令和3年漁期で言うと枚数が39億枚、金額で言うと483億円ということで、全国の生産でいくと6割程度、有明海で担っているという位置づけになっております。
 次のページが、今年漁期のノリの生産状況になります。年に10回、ノリの入札ってあるんですけれども、現在までに8回目までの入札が終わっております。それの結果、枚数としては4県全体で前年と比較して一番下の段になりますが、57%。他方で金額については単価が上がっているということもあって、84%まで回復しているところです。これはただ地域差があって、1月のシケの被害で、一部の地域ではノリ網を上げなきゃいけなくなったようなところもある状況ではあります。
 次のページを映していただけますでしょうか。3ページ目、これが今漁期のノリ不作の要因ということで、水研機構さん、佐賀県の試験場をはじめ、いろんな研究機関の方にお伺いしたところ、雨が少なかったということが大きな要因としてあろうと。これによって川からの栄養塩類の流れ込みが少なかったと。それに加えて赤潮が発生して、栄養塩不足の状況が続いて色落ちが生じたことが原因と言われております。
 言わずもがなですけども、ノリは溶存態窒素を基にアミノ酸を作って光合成色素を作ったり、全窒素からうまみ成分のアミノ酸が作られるといったことで、溶存態窒素が足りなくなると、色素が作られなくなって色落ちをしてしまうということで、今漁期については色落ちが大きな問題になったところです。
 味も、私も食べさせていただいたんですけども、美味しくないんですね。やっぱりうまみ成分がないので、ノリの味がしない、甘味がしないといったようなことでどうしても価格も安くなってしまうという問題があります。
 それをデータで裏づけるものとして左が佐賀市の降水量ですけども、赤いのが平均値、青いのが昨年2022年のデータになりますが、赤い平均の平年値よりも青い折れ線グラフにあるとおり降水量が少なくなっております。
 さらに右側が筑後大堰直下の流量になりますけれども、黄色で書いてある令和3年よりも令和4年については流量が少ないと。さらに左のほうに11月の下旬と12月の下旬にちょっと雨が降ったんですけども、右の流量のところには反映されていなくて、流量の増加はわずかにとどまったということもあり、年明けまで結構厳しい色落ちとなっておりました。
 他方で1月と2月にまとまった雨が降りまして、多くの地域で色落ちが急速に回復してきました。加えて大規模な赤潮ともならなかったので、色落ちが改善して品質が上がったということで、さっきのページにあるような単価状況につながったという状況にあります。
 水産庁としてノリの不作に対しては、経営的な面としては漁業共済と積立ぷらすということで漁業者さんの減収を補填しつつ、今漁期のノリ不作は赤潮が原因であるということで、赤潮に強い養殖生産体制を構築するための支援事業を立ち上げております。まだ事業の中身はこれから県さんや漁業者さんと詰めていくことになりますが、水産庁としては現場の方々と協力して、ノリの生産の安定に対して支援と協力をしていきたいというふうに考えております。
 こちらからの説明は以上になります。
○古米委員長 どうもありがとうございました。
 ただいまノリ不作に関する御報告をいただきましたが、委員の方々から御質問、御意見があればお伺いしたいと思います。どうやら後半では品質がよくなってきているといういいお話を聞けて、少し安心しました。いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 私から一つ、私の知る限りにおいては佐賀県だと思いますけれども、下水道の取組で、能動的な運転管理を通じて適切な栄養塩供給を行う事例あります。この取組は、さきほど整理された総合調査の施策の中に特段取り上げられなくて、国土交通省では下水道の整備、あるいは環境省では浄化槽の設置などがありますが、ある意味、明確に有明海・八代海の再生に関連づけられていない事業や方策についても、可能であれば御紹介いただくと、今後の評価委員会としては貴重な情報提供になろうかと思います。
 下水道部では、瀬戸内海の播磨灘とか有明海で、優先的に能動的な運転管理に取り組んでおり、今後の効果的な実施のあり方や下水道法だとかの法律の中でどう位置付けるのかという議論が並行して進んでいます。その状況も踏まえて御報告いただくと非常にいいかなと思いました。
 どうもありがとうございます。
 それでは、続いて事務局からその他ということで御説明をお願いしたいと思います。
○川田閉鎖性海域対策室室長補佐 令和5年度の審議予定について御報告します。資料5の令和8年度報告に向けた令和5年度の審議予定案を御覧下さい。
 こちらの表については、左側に評価委員会、親委員会、そして右側に小委員会ということで分けて記載しております。一番下に凡例を載せていますが、観念的な仕分けで恐縮ですが、紫の文字が方針等に係る予定といたしました。そして、水色が報告書の構成等に係る予定、橙色の文字が再生の定義や達成状況の評価等に係る予定、赤文字が評価の内容に係る予定と、便宜的に分けさせていただきました。
 上から見ていきますと、参考として、令和4年度を掲載しています。
 一番左上に記載しているのは、1月の第50回の評価委員会です。こちらでは、方針に係る内容として、中間取りまとめを踏まえた今後の審議の予定と小委員会の所掌事務と作業分担について審議いただいたところです。それに合わせまして、今度令和8年度に向けて検討するに当たり、報告書の構成も重要だと考えておりまして、こちらのほうで報告書の構成に係る内容について御審議いただいたものとなっております。
 その次2月に第10回小委員会を合同開催いたしまして、こちらでも小委員会の作業方針、または情報の収集・整理・分析の方向性ということで、方向性に係る予定を審議いただいたことを記載しています。
 そして、その親委員会の下には、本日御審議いただいております小委員会の取組の報告、再生方策の実施状況について掲載しています。これが参考として載せた令和4年度の状況です。
 令和5年度予定につきましては、ここには記載しておりませんが、昨年、この親委員、小委員会でお話しがあり、またアンケートでもいただきました、何をもって再生とするのか、そういった再生の定義や目標というのをざっくばらんに話していただくということで、まずは委員会の前に、そのための非公式会合を開かせていただければと考えています。
 目処としまして、5月、6月頃、できるだけ早めに開催できればということで考えているところです。
 それを踏まえて、令和5年度の委員会を開催ということで、まず最初に小委員会を個別開催し、小委員会における今後の情報の収集・整理・分析等の具体的内容について検討していただきます。先月2月の小委員会で情報の収集・整理・分析の方向性について御審議いただきましたので、今度は具体的内容の検討となっているところです。それと併せて、連関図の検討、こちらもできるだけ早く行うようにと御指摘をいただいており、次年度、最初の小委員会で検討を進めていくことができればということで掲載させていただいております。
 こちら個別開催ですので、その次に水産小委、海域小委を合同開催し、この御審議いただきました具体的内容の情報収集に関する検討について、まとめた御審議をいただければと考えています。こちらにつきまして、立て続けの委員会開催は御負担を御掛けしてしまいますので、まだ案の段階でございますが、この合同開催はオンラインでの開催を考えているところです。
 またこの小委員会で報告書の章立・項目(骨子)の審議を進めていくことができればと考えています。
 そして、次の親委員会にて、この小委員会の取組の報告として、報告の章立・項目(骨子)の御審議を行っていただきたい次第です。
 また非公式会合にて御話し合っていただきました、再生の定義、また再生目標に関する検討をこの辺りから始めていければということを考えています。
 そして、次年度は委員の改選が12月に予定されています。ですので、こちらには記載しておりませんが、委員の改選の後、書面開催を12月中に開催すること考えているところです。
 そして、年が明けてから、まだ合同開催か個別開催とするかはまだ検討中ですが、小委員会いおいて連関図や主要4項目の調査・研究成果に係る現状及び成果の取りまとめを議題としてご審議いただくことを考えています。
 そして、年度末に小委員会の取組の報告、達成状況に係る評価手法の審議、そして再生方策の実施状況について御審議いただければということを考えているところです。
 こちらを具体的にいつ頃やるのかということを記載しておりませんが、目処として申し上げさせていただきますと、12月の委員改選を区切りとして、最初の個別開催の小委員会は8月頃に、合同開催の小委員会を9月頃に、最初の親委員会を11月頃に開催できればと考えているところでございます。
 そして、年明けの1月に小委員会を、2月または3月に親委員会を開催できればと考えております。まだ予定案のため議題項目など今後変更させていただくこともあると思いますが、今のところ以上のように考えています。
 以上でございます。
○古米委員長 どうも御説明ありがとうございました。
 令和5年度の審議予定表案ということで資料5を御説明いただきました。委員の方々から何か御質問、御意見があればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 ここには記載されていませんが、非公式の会合で先ほど少し議論になりました再生目標や再生自体をどう考えるのかという点で評価委員会として共通認識を持てるように、また同時に令和8年度の報告にも反映するという作業も同時並行的に進むということになろうかと思います。
 委員の方々には御協力いただくことが必要になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 特に挙手や発言がないようですので、一応本日の予定の議題は終了いたしますが、委員会全体を通して各委員から何か御発言があればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。全体を通じた御感想なり、あるいはコメント等をお願いできればと思います。
 よろしいでしょうか。
(意見なし)
○古米委員長 特に御発言ないようであれば、進行を事務局にお返ししたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは進行を事務局にお返しいたします。
○速水閉鎖性海域対策室室長補佐 委員長ありがとうございました。また参加いただきました委員の皆様、長時間にわたり御審議いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の議事録ですけれども、後日事務局より確認依頼をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。内容確認後、環境省のホームページで公開させていただきます。
 議事中に大まかな次年度の予定を申し上げましたが、次回の評価委員会、小委員会の日程についても別途日程調整をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして第51回有明海・八代海等総合調査評価委員会を閉会させていただきます。
 本日はどうもありがとうございました。

午前11時55分閉会