第49回有明海・八代海等総合調査評価委員会 議事録

開催日時

令和4年3月24日(木)

場所

WEB会議システムにより開催

出席者

委員長: 古米弘明委員長
委員 :

大嶋雄治委員、上久保祐志委員、川原逸郎委員、木原久美子委員、清本容子委員、灘岡和夫委員、林美鶴委員、藤井直幹委員、皆川朋子委員、矢野真一郎委員、山西博幸委員、山室真澄委員

臨時委員:

小林政広委員、鈴木敏之委員、清野聡子委員、樽谷賢治委員、辻本剛三委員、中田薰委員、中村由行委員、西村修委員、速水祐一委員、松野健委員、山口敦子委員、山口啓子委員、山本智子委員

(関係省庁)

農林水産省農村振興局整備部農地資源課 細田課長補佐

林野庁森林整備部治山課 中村課長補佐

水産庁増殖推進部研究指導課 楠課長補佐

        漁場資源課 吉川課長補佐
        栽培養殖課 石川課長補佐、田畑係長、鏑木係長、鈴木専門官

   漁港漁場整備部計画課 伊藤係員
国土交通省水管理・国土保全局河川環境課 大角課長補佐、寺石係長

              下水道部流域管理官付 松澤課長補佐、森川係長
     港湾局海洋・環境課 菊池課長補佐、浜口係長

(事務局)

環境省水・大気環境局長、大臣官房審議官、水・大気環境局総務課長、水・大気環境局水環境課長、
水環境課閉鎖性海域対策室長、水環境課閉鎖性海域対策室長補佐、水環境課閉鎖性海域対策室主査

議事録

午後3時00分開会

○冨永主査 定刻となりましたので、ただいまから第49回有明海・八代海等総合調査評価委員会を開会いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございます。

 本日は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、ウェブ会議での開催とさせていただいております。委員の皆様には御不便をおかけしますが、会議中、音声が聞き取りにくいなど不具合がございましたら、事務局までお電話、またはウェブ会議システムのチャット機能にてお知らせください。

 議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。

 なお、御発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと挙手した状態になりますので、御発言の意思はこのマークで確認します。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき、御発言いただきますようお願いいたします。

 御発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作願います。挙手アイコンは事務局でオンオフを操作できないため、御協力よろしくお願いいたします。

 本委員会は公開の会議となっておりますことを申し上げます。

 本日の委員の出席状況ですが、欠席の連絡を内藤委員よりいただいております。

 本日は、委員27名中26名が御出席ですので、有明海・八代海等総合調査評価委員会令第6条に基づく会議の定足数を満たしていることを報告いたします。

 続きまして、本日は、有明海・八代海等総合調査評価委員会の中間取りまとめ案について、を議題としており、関係省庁から御出席いただいております。

 農林水産省の農村振興局の農地資源課、林野庁の治山課、水産庁の研究指導課、漁場資源課、栽培養殖課、計画課。

 国土交通省の水管理・国土保全局の河川環境課、流域管理官付、港湾局の海洋・環境課から御出席いただいております。

 環境省側の出席者も紹介させていただきます。

 水・大気環境局長の松澤でございます。

 担当審議官の森光でございます。

 総務課長の飯田でございます。

 水環境課長の川又でございます。

 閉鎖性海域対策室長の行木でございます。

 同室長補佐の濵名でございます。

 同室長補佐の横内でございます。

 私が、閉鎖性海域対策室の冨永でございます。

 続きまして、資料につきましては、事前に電子データやホームページで御案内しておりますが、議事次第に記載の一覧のとおりでございます。

 なお、資料は、事務局が画面上に掲載して進行させていただきます。

 現在、御審議をいただいております中間取りまとめにつきましては、今年度内を目処に取りまとめることとしており、今回の評価委員会では2月11日から20日間実施したパブリックコメントの結果を踏まえた修正案について御審議いただきたいと考えております。

 それでは、議題に入ります。

 これ以降の進行は古米委員長、よろしくお願いいたします。

○古米委員長 はい。本日は、議題として、議題の1、有明海・八代海等総合調査評価委員会の中間取りまとめ案についてとなります。

 中間取りまとめについては、令和3年度を目処に取りまとめることとしておりまして、第42回評価委員会から議論を重ねてまいりました。

 本日はパブリックコメントの結果とその対応について御確認いただくということで、取りまとめの議論ということになります。よろしくお願い申し上げます。

 まず、事務局からパブリックコメントの結果とそれに対応した中間取りまとめ案について説明し、質疑応答については、分量も多いことから2回に分けて行いたいと思います。

 それでは、事務局より御説明をお願いしたいと思います。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 それでは、有明海・八代海等総合調査評価委員会中間取りまとめ案についてです。

 2月9日に開催いたしました第48回の評価委員会において、中間取りまとめ(案)について御審議いただきました。

 その後、いただきました御意見等を踏まえた修正を行い、2月17日木曜から3月8日火曜までの期間、パブリックコメントにかけました。

 資料2が、パブリックコメントでいただいた御意見を踏まえた中間取りまとめの案。

 資料3が、パブリックコメントでいただいた御意見と、これに対する対応方針を整理したもの。

 また、パブリックコメントを踏まえた修正箇所を中心に御説明するため、説明に当たっては資料3と参考資料4の中間取りまとめ案の見え消し版を用います。

 そして、今回、資料編として参考資料5-1のデータ集と参考資料5-2のケーススタディの本日時点版をご用意しています。

 パブリックコメントでいただいた御意見への対応の中でも資料編に記載しているものもございますので、適宜、御参照いただければと思います。

 資料編は今後、事実関係の確認等により微修正を行う可能性がありますが、データ集については中間取りまとめ本文の変更情報となる図表等を整理したもの、また、ケーススタディについては評価委員会に報告された関係省庁等の事業の実施状況等を整理したもので、事業報告をした省庁等が取りまとめております。

 資料3、1ページ目を御覧ください。

 意見の募集期間ですが、令和4年2月17日木曜日から令和4年3月8日金曜日となっておりますが、火曜日の誤りです。火曜日に修正をお願いします。

 それから、パブリックコメントで提出のあった御意見についてですが、21通ありまして、内訳といたしましては、地方公共団体から2通、個人から15通、その他団体から4通です。1通の中で複数の御意見を記載しているものもあり、御意見の総数については68件と整理いたしました。

 また、この中では、今回の意見募集の対象である中間取りまとめ案に対する御意見でないものが1件ありました。この68引く1の67の御意見、その中で類似したものを一つの御意見として扱うといった作業を行い、計63件の御意見についての対応案について、次のページ以降で整理いたしました。

 では、ページをおめくりいただきまして、2ページ目、まず、中間取りまとめの、第1章、はじめにに係る御意見についてです。

 No.1から5ページのNo.6までの6件がこの部分に対する御意見になります。

 No.1は、参考資料4の1ページ7行目と10行目の字句の同一と、4ページの最後の行の取りまとめの表記についての御意見です。

 御指摘を踏まえ、御指摘の箇所以外についても字句を「という」に統一をし、漢字の「取りまとめた」に修正いたします。

 No.2は参考資料4の1ページ、1.2有明海・八代海等総合調査評価委員会報告について、有明海西南部の養殖ノリの不作、漁船漁業の不振は、諫早湾干拓の閉め切りに端を発していることを基礎において、有明海を豊かな海に再生していくために取り組んでいただきたいとの御意見です。

 いただいた御意見については、今後の参考とさせていただきます。

 なお、中間取りまとめの3章に、再生方策等の実施状況等と課題をまとめておりますが、再生に係る取組を進めるのは関係機関等であることを踏まえ、今後、有明海・八代海等の再生に向け、関係機関等による取組が進められることを期待する旨、記載しております。

 続きまして、資料3の3ページ、No.3から5ページのNo.5は、参考資料4の2ページ、青囲みの基本的な考え方の3パラグラフ目の「こうした原因・要因の考察については、その特定自体は目的ではなく、有明海及び八代海の再生に向けた措置に資するとの観点から、評価委員会としての見解を示すものである」についての御意見です。

 No.3は、平成28年度報告にあった問題点とその原因・要因の考察がなく、いきなり再生策になっていることが大きな問題との御意見です。

 本中間取りまとめ案は平成28年度報告以降の新たな情報を中心に整理を行い、平成28年度報告と同じ知見等については割愛しております。また、中間取りまとめは令和8年度報告に向けて必要となる検討事項等について取りまとめたものという位置づけですので、令和8年度報告においては、御指摘の原因・要因についても含めた考察を行いたいと考えております。その旨を記載しております。

 No.4は、なぜ問題点の原因の特定をしないのかという御意見です。

 御指摘の基本的な考え方の部分は、平成28年度委員会報告を引用しており、当該報告では問題点、原因・要因は何か、どのような再生方策が必要かというアプローチで考察しています。後段については、No.3と同様の記載をしております。

 資料3の5ページ目、No.5は、基本的な考え方の3行を削除し、これまでの研究者の見解を精査し、評価委員会の見解を表明すべきとの御意見です。

 本中間取りまとめ案は、平成28年度報告以降の新たな情報を中心に整理を行っています。

 そのほか、基本的な考え方の部分やその先の令和8年度報告に係る記述は、先ほどのNo.4と同様です。

 それから、No.6は、参考資料4の4ページ、図1.3-1の平成28年度委員会報告の際の海域の区分について、例えば、A1海域について近年のノリ養殖の状況など、同じA1海域の中でも場所により状況が大きく異なるため、さらに詳細に区分して分析しなければ現実の漁業被害など実像に迫れないという御意見です。

 いただいた御意見については、今後の検討の進め方を考える上で参考とさせていただきたいと考えます。

 続きまして、資料3の6ページ目、ここからが中間取りまとめの第2章、有明海・八代海等の環境等の状況に係る御意見についてです。No.7から20ページのNo.40までの34件が、この部分に係る御意見です。

 No.7は、参考資料4の8ページから9ページの2-1汚濁負荷、2.1.2-1有明海への流入負荷量の経年変化の図について、緑色の本明川のCOD、T-Pの負荷量が、1997年以降増加したままの状態が続いていることは特徴的で、本文にそれを明記すべきとの御意見です。

 これらについては、有明海の流入負荷量については、2.1.2、8ページ目に平成28年度報告以前の傾向と同様である旨を記載しているところです。

 No.8は、参考資料4の21ページ、2.2.4まとめのところで、図2.2.2-1日平均流量の図から、大規模な出水が増加していると読み取れない。また、土砂流入の経年変化の図がないが、参考資料4の21ページ、2.2.4、まとめの2パラ目に、「本文に大量の土砂が」とまとめられているのは強引ではとの御意見です。

 まず、前半についてですが、参考資料4の3ページの図2.2.1-2に、1時間降水量50mm以上の経年変化の図を載せており、この図を踏まえ、14ページの2.2.2河川流量の状況の最後のほうに、洪水の発生頻度も増加傾向にあることを説明することとしています。

 また、本中間取りまとめ案では、平成28年度報告と同じデータ等は割愛し、経年的に大きな変化が見られない図表等は、冒頭で紹介した資料編に記載しています。

 後半については、2.2.3近年の豪雨による土砂の発生では、平成29年九州北部豪雨で大量の土砂が発生しており、今後の降雨等で、これらの土砂が河川及び海域へ流出することが想定されることを記載しております。

 No.9は、参考資料4の24ページ、2.3.2流量の状況の、1行目から2行目の「平成28年度報告以降、平常時における潮流の状況に関する新たな知見は得られていない」という記述について、堤氏の文献において「有明海湾奥部の東西の潮流を比較した研究成果が発表されており、新たな知見を取り入れた検討を行うべき。また、過去のデータと比較した潮流の変化について、十分な検討を行うべき」との御意見です。同様の御意見が3件ありました。

 これについては、過去のデータと比較した潮流の変化については、平成28年度報告で、1970年代と2001年の潮流の比較を行っていること、また、文献における東西の潮流の比較は、既往知見を基に述べられており、新たな知見には当たらないとの考えを記載しています。

 No.10は、参考資料4の24ページ、2.3.2潮流の状況のところです。

 有明海湾奥部のP1、P6地点について、豪雨前後の潮流の状況を整理していますが、ここについて有明海の潮流・潮汐の変化は、有明海奥部の東側と西側で変化の度合いが違うとの指摘があり、P1、P6地点だけでなく、東側の潮流変化についても分析すべきとの御意見です。

 まず、P1、P6地点は連続観測データのあることを説明し、いただいた御意見は今後の参考とさせていただく旨を記載しています。

 No.11は、参考資料4の29ページ目、2パラ目のところ、平成28年度報告のパブリックコメントを踏まえ、経年変化の整理だけでなく、窒素の形態別の割合の変化についても示すべきとの御意見です。

 御意見を踏まえ、資料編のデータ集33ページに、平成29年度以降の形態別の窒素データを掲載することといたします。

 No.12は、参考資料4の41ページ、(1)底質分布と経年の変化の5行目、底質に関して、有明海湾奥部A1海域でCOD、T-Pが増加傾向であったとしているところについて、図2.5.2-2、参考資料4の43ページによれば、A1海域と同様、A3、A6海域もCODが増加傾向であり、そのように記述すべきとのご意見です。

 まず、ここで言う増加傾向について説明し、記載し、その上で、御意見を踏まえ、湾奥西部A3海域でCODが増加傾向であったと追記することといたしました。

 また、A6海域のCODについては、ここで言う増加傾向には当たらない旨を記載しています。

 No.13は、参考資料4の50ページ、底質の2.5.4まとめについて、堤氏等の文献を基に、1989年頃は東西対称だった底質が、2000年以降は南北対称となり、湾奥部の泥化が進行していることを追記すべきとの御意見です。

 まず、御指摘の文献の底質に関する部分は2015年の研究であり、新たな知見には当たらないとの考えを記載しています。また、平成28年度報告の246ページから251ページの部分では、経年的に湾奥全域で泥化が進んでいないことを明らかにしています。

 提示された堤氏等の文献は、底質の泥化が促進されているが、これは潮流が減速したことが前提となっており、この点に誤りがあることを併せて指摘させていただきます。

 なお、昨日、委員の皆様にお送りしました資料の3の9ページ、当該箇所で2005年を括弧書きで平成17年としておりますが、これは平成27年の誤りです。本日インターネットで公表いたしました正式版では修正済みとなっております。

 No.14は、参考資料4の51ページ目の2.6貧酸素水塊について、諫早湾の堤防閉め切りによって有明海奥部の貧酸素化が進行した可能性を示す文献が提示されており、この内容を貧酸素水塊発生メカニズムの新たな知見として記載すべきとの御意見です。

 指摘された文献は、数値生態系モデルを用いて諫早湾の堤防建設による溶存酸素濃度への影響を分析したものであり、従来よりも広い範囲で夏期の溶存酸素濃度に影響が及ぶ可能性があることが示唆されているところですが、一方で、文献中で「モデルの限界」についても記述されているとおり、夏の平均的な条件での潮汐のみの変動を対象としており、河川の流量変動や日射、大雨を初めとする気象条件等の影響が考慮されていないものとなっています。

 貧酸素化については、潮汐、河川流入や気象条件、二枚貝の生息状況等、様々な要因が関連し、3.1.3に記すとおり、継続的なモニタリングと定量的な評価が必要ですので、更なる知見の収集・分析に努め、評価委員会で御議論いただき、令和8年度委員会報告において考察を行うことが適当と考えます。

 No.15は、参考資料4の63ページ、2.6.6の貧酸素水塊のまとめのところです。

 有明海奥部は、主に筑後川、諫早湾は調整池(本明川)からの出水と考えられるので、そこまで突っ込んで記述すべきとの御意見です。

 有明海の貧酸素水塊の発生については、奥部と諫早湾を含め、全体的に筑後川や緑川、菊池川のような流量の大きい河川の影響が大きく、本明川を記述するのは適当ではないため、原案のままとします。

 No.16は、参考資料4の65ページから67ページの、藻場、干潟等のところで、磯焼けについても言及してはどうか、また、分かる範囲で海藻の種類の構成についても整理してはどうかとの御意見です。

 2.7.1有明海・八代海の藻場・干潟において、変動の要因としては、一部で食害等の磯焼けの影響が見られる状況であり、記載箇所を紹介するとともに藻場の組成変化については今後の課題の一つである旨を記載しています。

 No.17とNo.18は、参考資料4の67ページの表2.7.1-2藻場・干潟の面積に係る調査結果についてです。

 既往知見の干潟・藻場の面積が平成28年度報告と異なる、その理由などの詳細を明記すべきとの御意見です。

 ここでは、表2.7.1-2に記載しているヒアリング調査や、第2回から第5回の基礎調査の性格などを記載し、平成28年度報告と異なる理由を説明しています。

 また、御指摘を踏まえ、注釈を追記し、ヒアリング調査の範囲の詳細については資料編のデータ集に追記するとしております。

 No.19からNo.22については、参考資料4の70ページ、3パラグラフ目、1998年以降は着色を伴わない赤潮であっても、被害に応じて赤潮発生と扱われており、過去と比較する場合は留意する必要があることについて、記載の意味が分からない、あるいは、誤った理解に基づく御指摘、着色を伴わない赤潮というものについての御質問ということですので、説明するとともに、ここまでの小委員会での報告等を踏まえ、背景の追記、表現の適正化を行うこととしました。

 具体的には、赤潮発生は原則として海域における着色現象を集計したものであるが、1998年から2000年以降、着色現象の程度によらず、ノリの色落ちなどの漁業被害が報告されるようになり、これらの現象も赤潮発生として扱われている。

 また、併せて赤潮の調査に係る体制の強化や、頻度の増加、原因となる珪藻類の優占種ごとに発生件数をカウントするなど、報告の精緻化が図られている。このため、同じ微細藻類の出現状況であっても発生件数が多く計上されている可能性があることから、この数値と単純比較できない点に留意する必要があるといたしました。

 No.23も、着色を伴わない赤潮についてのご意見で、第39回評価委員会で着色を伴わない赤潮の発生回数についてチェックするよう指摘があったことを踏まえ、留意事項は削除すべきというものです。

 第39回の評価委員会は平成28年度報告をまとめる際のものであり、今回のパブリックコメントの対象ではない旨、また、先ほどの修正を行う旨を記載しています。

 No.24も、同じく着色を伴わない赤潮についての御意見です。

 先ほどのNo.19からNo.22の回答に示した本文の修正と併せて、従前は赤潮発生とみなしていなかった僅かな着色であっても、被害に応じて赤潮の例として含まれるようになってきていることを意図しており、海水の着色を全く伴わないことを意図したものでないということを説明しております。

 なお、ノリの色落ちを引き起こす原因プランクトンについて、本文中の記述を紹介しています。

 No.25は、参考資料4の70ページ、2.8.1赤潮の発生状況の4パラグラフ等の記述に絡め、赤潮の頻発のメカニズムについての評価委員会の見解はという御意見です。

 赤潮の発生状況と発生機構についての本中間取りまとめ案の中での記載箇所を紹介するとともに、有明海でノリの色落ち被害を引き起こしたEucampia zodiacusは、瀬戸内海においても重要なノリの色落ちの原因種として位置づけられていることなどを紹介しています。

 No.26が、参考資料4の73ページ、(1)構成種の推移、下から8行目以降について、74ページの図2.8.2-2赤潮構成種数の推移と、76ページの図2.8.3-3赤潮発生規模の推移から、1998年以降、ラフィド藻による赤潮が特に長崎で急増している、1997年の諫早湾の堤防閉め切りとの関連の可能性について言及すべきとの御意見ですが、ラフィド層による赤潮は1984年以降、有明海全体で増加している旨を記載しています。

 No.27は、参考資料4の83ページ、図2.8.3-9のEucampiaの最高細胞密度の経年変化の図から、有明海におけるEucampia zodiacusの赤潮は、特に1998年以降に多発するようになった傾向が見てとれる、諫早湾の堤防閉め切りとの関連の可能性について言及すべきとの御意見ですが、Eucampia zodiacusによる赤潮は、1980年代より出現が確認されて、1980年代後半や2000年前後に比較的高密度で出現している旨を記載しています。

 併せて、瀬戸内海の播磨灘においても、2000年代以降、冬季におけるEucampia属による赤潮の発生件数が増加していること、また、これを要因とする養殖ノリの色落ちが起きていることを追記しています。

 No.28は、参考資料4の96ページ、(1)ベントスの経年変化に関連し、追加的な調査結果があること、また、これも踏まえ、その後も定点調査を継続している佐藤氏らのベントス研究の最新データを掲載すべきとの御意見です。

 まず、今後の参考とさせていただきます。

 なお、令和8年度の報告の際には、本件を含むその時点までの新たな知見を踏まえ、検討を行いたいと考えています。

 No.29は、参考資料4の96ページ、ア)有明海の3パラグラフ目です。表現が曖昧である、調査開始以降、総じて減少傾向にあるとまとめたほうが適切ではないか、との御意見です。

 参考資料4の103ページ、表2.9.2-1に、ベントスの変動傾向の検定結果を記載しているとおり、ベントス総個体数は4地点のみ有意に減少傾向であり、総じて減少傾向とすることは適切でない旨を記載しております。

 No.30は、参考資料4の98ページ、図2.9.2-2有明海のベントスの個体数の経年変化のグラフについてです。

 縦軸を個体数密度の対数表示としているところですが、対数表示では1平方メートル当たり1個体から100個体までの個体数密度の経年変化は強調されるため、線形表示に変更すべきではないかとの御意見です。

 これは、対数表示とするメリットを記載しつつ、いただいた御意見を踏まえ、線形表示のグラフも資料編のデータ集に掲載することといたしました。

 No.31は、参考資料4の99ページ、図2.9.2-3ベントスの湿重量の経年変化です。A5海域における2005年の湿重量の急変は特徴的であり、その内容を本文に記載すべきとの御意見です。

 これについては、ベントスの湿重量は、ほかの海域においても年変動が大きいことから、原案のままが適当としています。

 No.32は、参考資料4の108ページ、(1)ア)、3行目から5行目、タイラギの漁獲量に関して文章が分かりにくいとの御意見です。

 御意見を踏まえ、佐賀県、福岡県では、2000年頃から漁獲量が減少し、一時は有明海全域で漁獲のない状態にまで低迷したと修正しています。

 No.33は、参考資料4の116ページ、(2)サルボウの漁獲量は、1998年以降の減少傾向がより鮮明、諫早湾の堤防閉め切りやそれ以降の赤潮の増加などとの関連の可能性について言及すべきとの御意見です。

 サルボウの漁獲量は、図2.9.3-9に示すとおり、1970年代から1980年代にかけても大きく減少していることから、原案のままが適当と記載しています。

 No.34は、参考資料4の124ページ、図2.9.4-1有明海の魚類漁獲量の経年変化、その他の漁獲量のグラフから、1990年代以降の減少傾向が明らか、諫早湾干拓の影響を検証すべきとの御意見です。

 2.9.4魚類の3パラグラフ目に、いまだ有明海全体の魚類資源や魚類の多様性を包括的に把握するには十分ではないことを記載しており、引き続き、知見の蓄積が重要である旨を記載しております。

 No.35も似たような内容で、参考資料4の125ページ、図2.9.4-2有明海のニベ・グチ類、ウシノシタ類の漁獲量は1999年以降の急激な落ち込みがより鮮明、1997年の諫早湾の堤防閉め切りや、それ以降の赤潮の増加などとの関連の可能性について言及すべきとの御意見です。

 ただ、この御指摘の点は、新たな知見等には当たらず、原案のままが適当としています。

 なお、令和8年度報告において、原因・要因についても含めた考察を行いたいと考えます。

 また、No.34で触れたとおり、魚類については、いまだ有明海全体の魚類資源や魚類の多様性を包括的に把握するには十分ではないと記載しているところです。

 No.36は、参考資料4の126ページ、ア)1行目から3行目に関連し、平成28年度報告での表記との比較で、餌料生物の影響という記述が分かりにくい、干潮域等の仔稚魚生育場の環境変化などと記載してはどうかという御意見です。

 ただし、平成28年度報告において、餌環境も初期発達段階の稚魚の生残に関わる重要な事項である、同所に生息するものでも種によって餌の選択性には違いがあることが分かったと餌料生物が重要である旨を記載されているところです。

 これを踏まえ、本中間取りまとめ案では、餌料生物(動物プランクトン)の影響と記載しており、原案のままが適当としております。

 No.37は、参考資料4の126ページ、(2)有明海の距離の変動要因についてです。

 ナルトビエイは、地球温暖化と同期して有明海に増加と記載しているが、それと同じ程度の確からしさで、諫早湾干拓の潮受堤防工事と同期して、長崎県の漁獲量が減少したと明記すべき。タイラギの減少は、潮受堤防工事による濁りが影響したことは明らかである。これらのことを検証するためにも、開門調査の実施が望まれるという御意見です。

 ナルトビエイは水温の高い南方に生息する魚類であることから、地球温暖化に伴う水温上昇により有明海に増加したと考えます。

 なお、従前と同様ですが、本評価委員会では特別措置法において国及び関係県が行う総合的な調査の結果に基づき、有明海及び八代海等の再生に係る評価を行うことと規定されており、潮受堤防排水門の開門の是非の評価は行わないこととしています。ここを改めて記載しております。

 No.38は、参考資料4の126ページ、ウ)ナルトビエイの生態的知見の充実の1パラグラフ目についてです。

 ナルトビエイが希少性の高い東アジアの固有種であることから、ナルトビエイの駆除事業の見直しを検討課題として記述すべきとの御意見です。

 ナルトビエイは、依然として有用二枚貝類への影響が考えられるため、原案のとおり「二枚貝類漁獲量への影響を明らかにするための捕食・被食関係を含め、引き続きナルトビエイの生態について定量的な評価等科学的知見を充実する必要がある」とするのが適当としています。

 No.39は、参考資料4の134ページ、(1)有明海の漁業・養殖業生産量の推移の漁獲量、養殖業生産量とも、2002年以降は年変動があるものの横ばい傾向で推移の記述について、漁獲量については有用二枚貝、魚類の項で、いずれも減少傾向と記載していて矛盾するとの御意見です。

 御意見を踏まえ、整合が取れるように、海面漁獲量は1990年代前半以降、なだらかな減少傾向で推移していると修正しています。

 No.40は、参考資料4の138ページ、(4)魚類の1、2行目の有明海の漁獲量の記載で、「ここ数年間は横ばい傾向である」で終わっているが、2018年はさらに減少して、全般的な傾向について誤解を招く恐れがあるとの御意見です。

 124ページの6行目から7行目と同様に、「2015年以降の数年間は低位のままほぼ横ばい傾向を保ったものの、2018年には最低となった」と記述してはどうかということで、御意見のとおり修正することとしております。

 続きまして、資料3の21ページ目、ここからが中間取りまとめの第3章、再生方策等の実施状況等と課題の整理に係る御意見についてです。

 No.41から26ページのNo.54までの14件が、この部分に対する御意見です。

 No.41は、参考資料4の141ページから157ページの第3章について、平成28年度報告で掲げた再生方策について、どの程度、目標が達成されたのか、具体的な検証がないとの御意見です。

 今般、個々の再生方策の実施について、詳細は資料編のケーススタディに記載しています。また、本中間取りまとめ案は、令和8年度報告に向けて必要となる検討事項等についてまとめたものである旨を記載しています。

 No.42からNo.45は、参考資料4の148ページ、3.1.1底質の改善、河川からの土砂流入量の把握についての御意見です。

 No.42は、「覆砂等の底質改善の取組が実施されている」とあるが、実施状況や成果についての報告が記載されていない、また覆砂については悪影響も考えられるのではないかとの御意見です。

 ここについては、アサリ等二枚貝増殖のために覆砂等底質改善が行われており、資料編のケーススタディ9と10に記載しています。

 No.43は、再生方策の表に示された適切な土砂管理、ダム堆砂及び河道掘削等について、実施状況と課題を明記すべき、No.44は、「河川からの土砂流入の減少が泥化の要因の可能性」との指摘に対する調査が必要なことを明記すべきとの御意見です。

 いずれについても、平常時における河川からの土砂流入に関する知見は、2.2河川からの土砂流入において、令和8年度報告で取りまとめる旨を記載しています。

 なお、調査については146ページの図3-2、(1)において、国交省により河川からの土砂流出状況の把握、ダム堆砂量調査等が実施されている旨を示しています。

 No.45は、有明海・八代海の再生に当たり、泥土除去やその処分方法の確立など、抜本的な底質改善対策が不可欠であるが、148ページの「再生方策の実施状況と課題」の中では、その対応について読み取ることができないとの御意見です。

 御意見を踏まえ、中間取りまとめ案の3.1.1再生方策等の実施状況等と課題に、泥土等が堆積している海域においては、覆土や浚渫による底質の改善が有効な場合もある旨、記述を追加しております。

 No.46は、参考資料4の149ページ、5行目から6行目に、藻場・干潟の保全等の取組の具体的な実施状況や成果が記載されていないとの御意見です。

 参考資料4の146ページ、147ページの図3.2、(1)と(2)において、農林水産省より藻場・干潟保全の支援が実施されている旨を示しております。

 No.47とNo.48は、参考資料4の149ページ、3.1.3水質の有明海の湾奥部や諫早湾では、夏期に貧酸素水塊が発生しているが、その発生・消滅メカニズムは明らかになっていない点についての御意見です。

 No.47は、開門調査を実施することを検討対象として明記すべきという御意見です。

 2015年9月の福岡高裁判決に関する引用がなされており、判決関連のところを要約せず掲載しているため、ほかに比べ長い記述となっております。

 なお、この判決では、開門調査の実施は再生方策に盛り込まれていないということが書かれていますが、評価委員会として、開門調査が有効かどうかを検討することの是非について述べられているわけではないと考えます。

 No.48は、諫早湾の貧酸素水塊対策としては、潮受堤防排水門の開放を行うことで密度成層の軽減につながることが期待されているのだから、実際に行うかどうかは別として、科学的な立場として潮受堤防排水門の開放について提言すべきという御意見です。

 対応としては、先ほどNo.37で御説明しましたとおり、特別措置法における評価委員会の規定の説明と併せ、潮受堤防排水門の開門の是非の評価は行わない旨を記載しています。

 No.49は、参考資料4の149ページから150ページ、3.1.3水質についてです。

 求められているのは一般的な貧酸素や赤潮の発生メカニズムではなく、特に有明海での1990年代後半からの赤潮や貧酸素水塊の増加、大規模化のメカニズムを解明することであり、課題としてそのように記述すべきではないかとの御意見です。

 まず、3.1.3では、一般的な視点ではなく、有明海・八代海における事象の解明を意図していることを記載しています。また、赤潮や貧酸素水塊の発生メカニズムの解明を進めることで、発生頻度の増加、大規模化のメカニズムの解明にもつながるものと考えます。

 No.50は、参考資料4の150ページ、3パラグラフ目に、「貧酸素や赤潮の発生と負荷量変動との間に明瞭な関係性は見られない」、「汚濁負荷量は、平成28年度以降横ばいか減少」となっているところについて、汚濁負荷削減対策を引き続き進めることが必要としているが、予防的措置という観点が妥当なのか検証されていない。汚濁負荷削減対策の継続の必要性自体を課題として挙げるべきというご意見です。

 ここについては、一般的に、汚濁負荷量が増えると海域の富栄養化につながり、赤潮や貧酸素水塊の原因になると考えられているので、ここでは予防的措置と記載しております。

 また、赤潮や貧酸素水塊の発生メカニズムの解明もいまだ十分でないことから、汚濁負荷削減対策は必要と考えます。

 No.51は、参考資料4の151ページ、3.2.2ベントス群集の変化・変動要因の解析の最後のパラグラフの、「今後、2005年以前のベントスデータ等を用いて長期的な変動解析を実施することが必要」という記述についてです。

 平成28年度報告の記述と比較し、長期的なベントスの変動解析に使える調査データは存在するのかとの御指摘です。

 まず、2005年以前のベントスデータ等は、十分な精査の上、今後解析を行うことが重要との考えを記載しています。

 その上で、御指摘を踏まえ、参考資料4の96ページの中間取りまとめ案の2.9.2(1)ベントスの経年変化の表現を修正し、調査地点や調査方法がそれぞれ異なることから、ベントスの経年変化を比較・把握するには調査データの十分な精査が必要と修正いたします。開門調査の関連では、先ほど来と同様の記述をしております。

 No.52は、参考資料4の151ページから153ページの3.3.1タイラギの生息状況や浮遊幼生の出現状況の部分に関連し、有明海の再生を何年後に想定しているのかという御意見です。

 ここでは、まず、特別措置法の規定を紹介しています。その上で、気候変動や降雨の極端化など、新たな問題も出てきていることから、最新の知見も取り入れながら引き続き検討を進めていく必要について記載しています。

 No.53は、参考資料4の154ページ、3.3.6エイ類等の食害生物の駆除・食害防止についてです。ナルトビエイによる食害を資源の状態が低位にある近年のタイラギの減少要因の一つとして考えることは不適当であり、記述を変更すべきとの御意見です。

 しかし、タイラギの生息数が少ないと考えられる今の状況では、ナルトビエイの胃内容物調査でタイラギの確認がごくまれであることに特に違和感はないため、その旨を記載しています。

 No.54は、参考資料4の155ページ、3.4.1ノリの色落ちについてです。佐賀県西南部で毎年のように色落ち被害が深刻に、となっているが、これに対する考察と対策が何も記載されていないとの御意見です。

 ノリの色落ち対策としては、3.4.1ノリの色落ちの再生方策等の実施状況と課題において、下水処理場の季節別運転管理の取組を記載しています。

 また、平成28年度報告と本中間取りまとめ、2.8赤潮において、ノリの色落ち原因となる赤潮の発生メカニズムなど、これまでに得られた知見を記載しており、今後の課題として赤潮の発生・増殖の予測技術の開発が必要と記載しています。

 続きまして、資料3の29ページ目です。

 ここからが中間取りまとめの第4章、再生方策等の実施状況等と課題の整理に係る御意見についてです。No.55から28ページのNo.59までの5件が、この部分に対する御意見です。

 No.55は、参考資料4の158ページ、4-1データの蓄積等科学的知見の充実についてです。

 データの蓄積等科学的知見の充実に係る記述において、諫早湾の開門調査を明記して、今後の指針としていただきたいとの御意見です。

 先般のとおり、評価委員会は潮受堤防排水門の開門の是非の評価は行わない旨を記載しています。

 No.56からNo.58は、参考資料4の159ページの4.2関係者による連携強化と情報発信、共有の推進のところについての御意見です。

 No.56は、情報のオープンデータ化に取り組み、発信・共有を進めながらのところです。

 直ちに具体的に取り組まれることを希望するとのことで、具体的には地域での「住民たちとの対話集会の開催」であるという御意見です。

 いただいた御意見は、今後の参考とさせていただきます。

 なお、No.2と同じですが、同様に、再生に係る取組を進めるのは関係機関等であることを踏まえ、ここでは今後の関係機関等による各種取組が進められることを期待する旨を記載しております。

 No.57は、関係者による連携強化と情報発信、共有の推進について、具体的な報告や成果を記載すべきという御意見です。

 ここでは、最近の事例として、タイラギ、アサリの母貝団地造成を国と各県で連携し、漁業者の協力も得て行っている取組に触れて、当該事例を資料編のケーススタディ7と9で記載しています。

 No.58は、研究者の養成に係る記述について、ぜひ強力に推し進めてもらいたい、将来を担う研究員として育成することを切に願うという御意見です。

 関係機関と連携して取り組んでまいりますとしています。

 No.59は、参考資料4の159ページ、4.4、「令和8年度委員会報告に向けた取組の平成28年度報告以降、有明海・八代海等を取り巻く社会経済情勢等も大きく変化しており、」のところです。社会情勢の何がどのように大きく変化したのか、具体的に記述すべきとの御意見です。

 ここでは社会情勢の変化としては、例えば人口の減少、災害の多発、デジタル化の進行などが挙げられるとしています。

 続きまして、資料3の31ページ目、ここからが中間取りまとめの第1章から第4章以外のその他の御意見についてです。No.60から31ページのNo.63までの4件が、この部分に対する御意見です。

 No.60は、諫早湾調整池によって失われた浅海域と、年間数億トンを排水している調整池の影響について検討が必要ではないかとの御意見です。

 初めのほうのNo.2とNo.3と同様になりますが、本中間取りまとめ案では令和8年度報告に向けて必要となる検討事項等についてまとめたものであり、平成28年度報告以降の新たな情報を中心に整理を行っているという本件の性格について記載しています。

 その上で、令和8年度委員会報告においてその時点での新たな知見等を踏まえ、有明海・八代海等の再生に係る評価を行いたいとの考えを記載しています。

 No.61は、調整池で発生する有毒シアノバクテリアが産生するミクロシスチン類について、実際のデータに基づく検討が必要。調整池で発生する有毒と思われるシアノバクテリアは、ミクロシスチン類に限らず、アナトキシン類等についても本格的に調査をする必要との御意見です。

 いただいた御意見は、今後の参考とさせていただきます。

 No.62は、有明海・八代海等総合調査評価委員会及び、その報告書に必要なのは諫干アセスの甘さに対する反省である、それが全く欠落していることが評価委員会の重大な問題であるとの御意見です。

 ここでは、先ほど御紹介いたしました中間取りまとめ案の性格、令和8年度報告についての考え方を説明しております。

 No.63は、これまで様々な研究・取組が行われてきたが、漁業被害はますます深刻になっているとして、対症療法ではなく、根本的な解決のため開門調査による環境回復の検証を含めた再生事業が喫緊の課題との御意見です。

 これも先般のとおり、評価委員会は潮受堤防排水門の開門の是非の評価は行わない旨を記載しています。

 説明は以上になります。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 ただいま事務局から、パブリックコメントの結果と中間取りまとめ案について御説明いただきました。

 まず、この資料3のパブリックコメントの結果のうち、1番から27番まで、対応しますのは中間取りまとめの第1章から第2章の2.8について、御意見、御質問を受けたいと思います。

 なお、冒頭に御説明があったとおり、中間取りまとめは年度内に出すこととしております。

 非常に限られた時間でございますので、本日の審議事項である中間取りまとめ案、あるいは、パブコメ回答案については、本日の委員会後、追加の御意見を受け付けることが非常に困難でございます。ぜひ、しっかりとこの委員会の中で御発言いただければと考えております。

 それでは、先ほど申し上げたように、1から27のコメントに対応する取りまとめの部分について、御質問、御意見を受けたいと思います。

 それでは、山室委員、お願いいたします。

○山室委員 はい。ありがとうございます。

 まず、No.6とNo.16です。No.6は海域区分の変更を御提案していて、それから、No.16は海藻の種組成変化も書くべきではないかと言っています。

 これについて検討しますという趣旨の御回答をされていますが、4年後までに本当にこれを対応できるのか、委員として確認しておきたいと思いました。

 それから、6ページのNo.7とNo.8です。

 No.7は、参考資料9ページの図2.1.2-1を参照して、それでこの緑色の部分、本明川が1997年以降増加しているということを指摘していて、実際、本当に、今確認したところ、私は委員会では気づかなかったのですが、確かにここは増加しています。

 なので、この増加しているという御指摘について、意見に対する考え方で、「何々の傾向と同様である旨を記載しています」というのは、回答になっていない気がいたします。

 それから、同じく下のNo.8です。これは参考資料14ページの図2.2.2-1を指して、この図を見る限り、近年、総流量が増えてというか、出水によって流量が増加しているようには見えていないということを指摘しているのに対して、この回答は、回答になっていない気がいたしました。

 以上です。

○古米委員長 はい。どうもありがとうございました。

 事務局、いかがでしょうか。

 まず、最初は、No.6とNo.16ということだったと思いますが、海域区分については、現在も底質層のデータを収集していますし、類型化等の検討もされていますが、現段階では、今の有明海の平成28年度のままで解析というか評価をしていますが、あと4年間ということですが、あとは藻類の種類は同じだったと思います。

 いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室の行木です。

 御質問ありがとうございました。

 まず、御指摘の、No.6と、それからNo.16についてでございます。

 今後、令和8年度の委員会報告を検討していく上で、評価委員会、あるいは小委員会といった場を使いまして、ここに書いているような視点につきましても考慮していきたいと思っております。

 具体的に、どの海域を、どのように区分してといったようなこと、それから、No.16の関連で言うと、藻場の組成変化の辺りの話でございますね。その辺りに関しまして、具体的にどのように進めていくかということを、この段階でつまびらかにお伝えすることはまだできない状況ではございますが、委員の先生方とも御相談しながら、取り組みます。それぞれの海域の中での特徴や、それから、藻場の組成変化といった辺りについて、おっしゃるとおり期間が限られているので、この期間の中で、全て解決できるような知見が得られるかどうかということは難しいところもあるかもしれませんが、まずは、考えていかなければいけない視点として踏まえつつ、委員の先生方と御相談しながら進めていきたいと思います。

 それから、後段の御質問が、No.7とNo.8に関する記載でございました。

 まず、No.7の御趣旨に関しては、昔から、先生が御指摘のとおり、負荷量の増加が、97年以降増加したままというところの言及があるのですが、ここのところで求められているところは、流入負荷の解明も課題として詳細な分析を求めているというところでございます。

 まず、流入負荷量、全体の変化ということでは、こちらに記載しておりますように、平成28年度の委員会報告以前の傾向と同様であるということで、そのように回答しているわけでございますが、今の山室先生の御指摘も踏まえまして、ここの意見に対する考え方のところで、有明海に関する流入負荷量に関する点につきましても、令和8年度委員会報告に向けて、その辺りも含めた考察を行いたいということを考えまして、その旨、意見に対する考え方、このNo.7のところに追記をしたいと思いました。

 それから、No.8のところで、先生の御指摘は、図2.2の。

○山室委員 図を見る限り、実際に流入している一級河川の合計値は、近年増加しているように見えていません。雨は確かに増えているかもしれないのですが、流入量は増加しているように見えていません。

 なので、雨が降っているから流入量も増加しているに違いないという推測だけで、この図を示しながら回答するのはどうかという気がいたしました。

○古米委員長 回答の内容としては、雨の降り方の話と、河川流量の状況と、豪雨の回数が増えているので、洪水の発生頻度が増加傾向ということなので、一般的な全体の流量という要件になっていないように思いますが。

○山室委員 ですから、これは日平均流量だから、洪水の変化は反映していないというように回答したほうが、それなら分かりやすいと思いますが。

○古米委員長 質問に対する回答ということですかね。

○山室委員 そうです。質問に対する回答として、この書き方だと分かりにくいのではないかと。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室の行木です。

 先生の御意見の趣旨はよく分かりました。

 そういたしましたら、No.8のところで、「図2.2.2-1についてはこのように考えるが、ここ全体の記載としては、図2.2.1-2の1時間降水量ですとか、ここに当たるようなほかのこと全体を踏まえて書いている」というような点が分かるように表現を改めたいと思います。

 御指摘ありがとうございました。

○山室委員 ありがとうございます。

 今のNo.6に対する御回答ですが、これは、どう区分するかですごく難しいことになると思います。それで、そこで区分したものに、過去にも遡って解析しなければいけないとなると、区分を早く決めなければならないと思いましたので、その点は早めの作業が必要かと思いました。

 それから、No.16の海藻の種組成変化です。過去に調べていなかったら、もう調べようがないので、次の令和8年度の報告のときに、「調べたがデータがなかった」みたいなことをきちんと書いておかないと、何で前回のときのパブコメにはこうあったのに、また書いていないのかといったパブコメがまた来るかもしれないので、留意したほうが良いかなと思いました。

 以上です。

○古米委員長 No.16の記載表現については追加があるということで。御指摘のとおり、海域区分については時間的に限られていますが、最善の努力をしながら可能な限り解析を進めていただき、早急に方向性を出す。

 解析結果として類似の海域区分が出てくる可能性もあります。また、部分的に海域区分が変わる可能性もあるとしても、考察は遡っても可能かなと個人的には考えますが、ぜひ、何か事務局から追加回答をお願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 ありがとうございます。今、委員長の御発言のとおり、最善を尽くしたいと思います。

 なお、海域区分ですが、ここは平成28年度報告などとの比較といった継続性の観点もあろうかと思いますので、区分をここで大きく改めるということも一つの選択かもしれませんが、それよりも、各海域区分の中での考察において、その域内の特徴的な水域があるのであれば、その違いも含めた考察をするといったアプローチもあろうかと思います。

 この中間取りまとめが終わった後、その次の作業を進める中で、御指摘を踏まえて、先生方に御相談しつつ、検討させていただきたいと思います。

 以上です。

○古米委員長 山室委員、よろしいでしょうか。

○山室委員 はい、ありがとうございました。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、ほかに御質問、御意見、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。はい、どうもありがとうございました。

 それでは、引き続いて、パブリックコメントのNo.28からNo.63、中間取りまとめで申し上げると、第2章の2.9の生物から、第3章、第4章、あとその他も含めますが、それについて、御意見、御質問をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

 はい、山本委員、お願いいたします。

○山本臨時委員 山本です。

 No.30とNo.31についてです。

 まず、No.30のパブコメは段落が二つあって、項目としては三つおっしゃっているように思います。

 そのうちの一番下、段落が変わって、2005年以前のデータが欠けている云々というところについて、右側の対応する考え方というところには特に対応が書いていないので、この項目は、要するにお返事ができていないということになると思いますが、これは、No.51でおっしゃっていることに割と近くて、要するに、もっと前のデータからずっと比較していかないと、つまり、環境が悪化する前からの比較が必要だろうというコメントです。No.51もそうですが、それに対して、調査はあるが、すぐに比べられる状態にないというのが、この中でも何回か議論した中の結論だと思うので、その御説明を取りあえずはするべきではないかと思いました。

 まず1点目。

○古米委員長 はい。

○山本臨時委員 あと、もう1点、よろしいですか。

○古米委員長 どうぞ。

○山本臨時委員 次、No.31です。ベントスの湿重量の増減について触れるべきであるということに対して、湿重量の増減は他の海域でもよくあることであるというか、かなり激しいというお返事ですが、これはコメントした方も、恐らく、頭に置いておられると思いますが、なぜ湿重量の増減が激しいかというと、種の入れ替わりに起因します。つまり、大型の種が減ると、個体数はいるのに湿重量が下がります。

 このNo.31に対してお返事をするのであれば、まず、種の入れ替わりがあったということについては把握しているが、そこを細かく精査するということは、今回はしていないので、データとしては、資料には上げているというようなお返事なのかなと思いました。

 今回は、「まだ分析できていません」みたいなことは書けないのかもしれませんが。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 No.30、No.31です。いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。ありがとうございました。

 まず、No.30です。御指摘のとおり、No.51にあるとおり、過去に遡って、今後、解析を行うという回答とおっしゃるとおり共通のところがございまして、その部分に対して、今、回答がございませんので、No.30の考え方のところの過去のデータに関してということについて、No.51の回答で書いてあるようなことと同様に、「2005年以前のベントスデータ等は十分な精査の上、今後、解析を行うことが重要と考えている」といったようなことを、ここに合うように表現を工夫して入れたいと思います。

 それから、No.31の湿重量に関してです。まず、湿重量が変化したということに関して、その辺りの種の入れ替えがあったということは把握をしています。その関連のデータは、データ集に入れておりますので、今いただきました御示唆を踏まえまして、その点に触れる回答を加えさせていただきたいと思います。

 御指摘どうもありがとうございました。

○古米委員長 山本委員、いかがでしょうか。

○山本臨時委員 ありがとうございます。

 どちらもですが、結局、これからやらないといけないことだと思いますので、このお答えだけではなく、今後もよろしくお願いします。

○古米委員長 質問者の趣旨をしっかりと捉えて、追加の記述をいただくということにしたいと思います。

 ほかに御質問、御意見、いかがでしょうか。

 それでは、まず、林委員、その後、山室委員、そして、速水委員という順番で、最初に、林委員からお願いしたいと思います。

○林委員 神戸大学の林でございます。

 私も、その次の令和8年の報告でやりますと書いてあるところが気になっているところです。

 その中でも、最後のその他の御意見とあるところは、今回出すものに、データとして示していないような、あるいは言及していないようなところについての御意見だと思います。

 パブリックコメントのNo.60は、令和8年度の御報告で評価を行いたいと。調整池についてのことですが、今回のものには、この調整池に関して指摘されているような、消滅したこと、あるいは現存する調整池の影響というのを評価できるようなデータがきちんとあるのかどうかというところが一つ気になるところです。

 続けて言いますと、No.61の、参考とさせていただきますということですが、この方が指摘しておられるように、かなり詳しく自分で研究をなさっている方なので、いっそ、この委員会に入っていただいたら良いのではないのかなと、これは感想ですが。

 その次のNo.62です。ここも次の報告書でということに書いてありますが、No.62に関しては、最終的に、アセスの甘さということに対しての反省だとか、そういう中で評価委員会の問題点を指摘されているのに対して、今回の回答というのが適切なのかどうかというのが気になるという、三点です。

 No.60、No.61、No.62、少しずつ違う私の意見ですが、まとめて申し上げましたが、いかがでしょうか。

○古米委員長 はい、どうもありがとうございました。

○行木閉鎖性海域対策室長 それでは、閉鎖性海域対策室、行木でございます。御意見どうもありがとうございます。

 まず、No.60でございます。

 No.60に関して、今いただいた御質問といたしましては、今般、調整池に関する影響について、新たな、中間取りまとめに盛り込むべきような知見があったのかというものと理解いたしました。

 今般、この中間取りまとめの中では、平成28年度以降に得られた新たなデータや知見について中心に整理を行っているところでございます。

 このNo.60の意見で挙がっているものにつきましては、堤さんのものは2021年ということで新しいのでございますが、それ以外に関しましては、そもそも少し前のものです。

 また、堤さんの御紹介されている論文に関しましては、既往の知見を基に整理されているものを取り上げておりまして、その意味で、今般、盛り込むべき新しい知見ということではないと考えております。

 令和8年度報告に向けましては、引き続き、知見も集めてまいります。新たな知見等もしっかり踏まえた上で、今回は中間取りまとめですので検討課題を整理するというところが大きな目的に位置づけてございますが、令和8年度では次の評価報告書ということとなりますので、全般的な再生に関する評価を行っていきたいと考えております。

 No.61のところでございます。

 ここの部分に関しましては、現段階で、私どもといたしまして、今後、令和8年でまとめていくときに考えていかなければいけない考察ということで考えているところでございます。

 今の段階で書ける考え方といたしましても、今後の参考とさせていただくということでございますが、この次、令和8年度の報告書をまとめていくに当たりましては、ここで御指摘のような、有毒シアノバクテリアによる影響といったことに関して、ここの御指摘、あるいは関連してほかの知見もあると思いますので、令和8年度の時点までに得られる新たな知見も踏まえて全般的な考察もしていきたいと思っているところでございます。

 No.62のところでございます。

 ここは、課題として指摘されているところは、かなり前の時点の環境アセスメントについての御意見でございます。中間取りまとめに関するパブリックコメントの回答と、その意見の考え方としましては、事務局としては、ここに書かせていただいているように中間取りまとめの位置づけを書き、それから、令和8年度委員会報告において、その時点での取り込める新たな知見も踏まえて有明海・八代海の再生に係る評価を行いたいというところに尽きるかなと思っております。

 御指摘のところは、しっかり評価をしていくべきというところが、ここで挙げられているNo.62の意見の御趣旨と思いますので、そちらも踏まえつつ、しっかり、令和8年度委員会において、その時点までの取組の検証、新たな知見も踏まえて、全般的な考察を行い、再生にかかる評価を行いたいと考えているところでございます。

 私からは以上です。

○古米委員長 林委員、いかがでしょうか。

○林委員 No.60については、きちんと、これまでも取り組んでいたが、新しい知見がないので、今回の報告書には言及していないということですね。

 No.61は、これまでにも、ここに関しては取り組んでいないので、参考という形で記述したというように理解して、分かりました。

 No.62は、結局、我々の委員会の姿勢のようなことを御指摘だと思います。それに対しての回答として、ほかの回答にも書いてあるのと同じ文面を繰り返していると、印象が悪い気がします。

 今後きちんと評価をしますということよりも、こういう姿勢に対して、こちら側の考え方としては、今後きちんと評価を行いたいという、そういう回答なのは分かりますが、今言ったように、同じ文面の繰り返しというところが、御意見くださった方が御納得いただけるかは、少し気になるところではあります。

 以上です。

○古米委員長 御指摘のとおり、No.62の質問に対して、紋切り型というか、ワンパターンの回答形式ではないほうが良いのではないかという御指摘で、もしあるとするならば、基本的な有明海と八代海の中で、諫早湾というのは一部であり、それも踏まえる必要があるというような1行を入れながら、しっかりと最新の知見を整理しますという回答とする。このNo.62の御質問のキーワードが回答の一部に反映できれば、そういった対応も考えられるかなと思いますが、そんな林委員の御趣旨でしょうか。

○林委員 それで結構でございます。ありがとうございます。

○古米委員長 事務局、いかがでしょうか。なかなか微妙な問題なので、上手に書かないと、逆に回答で誤解を生む可能性があるので。その表現ぶりをどこまで精査できるか、事務局の方、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 ありがとうございます。閉鎖性海域対策室、行木です。

 No.62の御趣旨は、よく理解いたしました。

 同じ言葉の繰り返しということではなく姿勢を示していくということで、表現を検討させていただきまして、また、委員長と御相談させていただければと思います。御趣旨はよく理解いたしました。

 それからNo.61のところですが、基本的に、先ほど申し上げたとおりでございますが、一つだけ付言をしたいと思っているところでございますが、平成28年度委員会のときのやり取りというのは、この記載の中で、パブリックコメントのときに質問があって、こう回答したというところでございます。

 この辺りに関しまして、平成28年度報告の時点で何もしていないということではなく、平成28年度報告のときには、その時点の知見としては、淡水の中で増えたものが海水に流れたときには、「速やかに死滅分解をする」という知見があるため、このように評価するというように回答させていただいております。

 令和8年度委員会の報告に向けましては、それとは違う知見が出てきているという御示唆でございますので、関連する知見も集めていき、全般的に考察いたしまして、このNo.61に関連することも評価していきたいと思っております。

 一つ付言をさせていただきました。以上でございます。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、続いて、速水委員、お願いいたします。

○速水臨時委員 速水です。

 2点あります。一つがNo.50で、二つ目がNo.52です。いずれも報告書本文に関するものではなくて、パブコメの意見に対する考え方に関しての意見です。

 一つずついきます。まず、No.50です。ここでは、汚濁負荷削減対策に関して、継続の必要性自体を課題として挙げるべきではないかという、こういう意見に対して、回答では、汚濁負荷削減対策は必要と考えますと、言い切っています。その背景として、一般的に汚濁負荷量が増えると海域の富栄養化につながるというのがありますが、内湾によっては、汚濁負荷量が増えると海域の富栄養化に必ずしもつながらないという、むしろ、光環境の変化のほうが富栄養化に関係している場合もあるという、1999年にアメリカのジェームズ・クローンという人の有名な論文が出ているので、必ずしも、ここに書かれている一般的と言えるほどのことではありません。

 それに加えて、瀬戸内海の場合だと、総量規制をずっと行ってきた結果、海域の栄養塩がむしろ下がり過ぎてしまって、貧栄養価が起きて、ノリの養殖なんかに悪影響が出ているのではないかと言われている状況もあるので、もし、有明の場合、汚濁負荷の削減を続けた結果、そうなる可能性がないわけでもない。というのも有明では、瀬戸内や、それから東京湾と違って、長期的な汚濁負荷の増加は起きていないわけですから。

 ですから、ここはもう少し意見を出された方の考えを酌み取って、汚濁負荷源の対策の継続の必要性自体を課題として挙げるということを次の報告書では検討したいというようなことに加えられてはどうかと、これが1点目です。

○古米委員長 では、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。御指摘ありがとうございました。

 先生が、まさに仰せのとおりに、瀬戸内海などでは、温暖化による水温上昇なども相まって、これまでとは異なるような赤潮の発生なども起きているところでございます。

 私ども事務局といたしましても、そこを意識してここで一般的にという表記をつけさせていただいたところですが、確かに、新たなそういった動きも出てきているところもありますので、先生の御指摘を踏まえまして、現段階では、私どもは汚濁負荷対策が必要と考えておりますが、その辺りの変化も踏まえつつ、令和8年度報告に向けては考察をして、再生方策について検討していくべきといったことを、ここに追記させていただきたいと思います。

 御指摘ありがとうございました。

○速水臨時委員 分かりました。

 もう1点、No.52です。結構重たい意見でして、有明海の再生を何年後に想定しているのかという、こういう御意見をいただいていて、これに対する答えに関しては、実は、直接この質問に答えている内容ではありません。この意見というのは非常に答えにくい意見ではありますが、例えば、東京湾や、それから瀬戸内海、伊勢湾なんかも、根本的な再生策の実施、つまり総量規制が行われてから環境が比較的回復傾向になるまで二、三十年かかっているという例などを考えても、有明海の場合でも、恐らく根本的な再生策を実施し始めてから二、三十年はかかるだろうと。それくらいのタイムスケールで考える必要があるのではないかと私などは考えるわけですね。

 それから、それだけの時間がかかるのであれば、とても漁業者は待てないだろうから、その分は対症療法な方策でもって漁業を何とか維持していく必要があるだろうと、そういった考え方ができるわけです。

 したがって、これに関しても、No.50に関する意見と同じように、次の報告書までのところで委員会で議論をして、どのくらいのタイムスケールでもって再生することを考えているのか。別のタイムスケールを考えたときに、どういった再生方策の組み合わせになるのかというようなところを議論するということがあっても良いのではないかと。

 それが、より一般市民に分かりやすい報告書を作っていくことにつながるのではないかと思います。

○古米委員長 いかがでしょうか。これはなかなか答えにくい質問ですが、ある程度、御質問の方にメッセージというか、対応は必要だと私も思います。いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。御指摘ありがとうございます。

 非常に難しい部分でございますが、今の御指摘を伺いまして、まず、この考え方の中で、平成28年度報告の中では、当面の目標として10年とされていることに触れ、次の令和8年度報告書の中では、当面の目標とする年度にしてどうするのかということも踏まえて検討していくということを追記するような変更をさせていただきたいと思います。

 御指摘ありがとうございました。

○古米委員長 速水委員、いかがでしょうか。もっと具体的に書くことを御指摘でしょうか。

○速水臨時委員 そうですね。報告書の年度というのは、10年という区切りのよいところで刻んで、それで、その間に行われた措置などの評価をしていくということが報告書の位置づけになるとは思いますが、10年でもって本当に再生できるのかと言われると、研究者の中でも、それに賛同できる人は少ないと思います。

 したがって、もう少し長期のプランを持ちながら、その途中、途中を報告書で区切って、チェックして、足りないところがあれば再検討してという、そういうサイクルを繰り返しながら進めていくというのが理想ではないかと思いますが。

○古米委員長 有明海の再生というもの自体が非常に定性的な表現であって、何をもって回復したのかとか、あるいは再生したのかが難しい。

 そうすると、その再生の段階に応じて、そこに至る年度というのは、非常に想定もなかなか難しいのですが、少なくとも10年、20年、30年というオーダーで考えて、長期的な対策が必要であるとか、時間スパンの表現が回答の中に入るべきだと考えます。同時に、非常に回答が難しい問題であるということも素直に記載するというのは、一つ、質問者に対する回答になるのかなと思います。書き方としては、評価委員会としての立場もありましょうし、そこら辺、何か室長、追加で書けそうな内容は。御発言いただけますか。

○山室委員 すみません、委員長。私も、実は、このNo.52で質問しようとしていたので。

○古米委員長 では、併せて御発言ください。

○山室委員 このコメントの人もそうですが、ほかにも幾つか、過去の漁獲量との比較で再生というのを捉えられているイメージがあると思います。

 実際に特別措置の法案ができた背景が、いわゆる有明異変ですから、こういうコメントをする方というのは、有明異変前の水産環境にするということが再生だと恐らく思われていて、その環境というものの中にあるのが、例えばタイラギなりアサリなりが、有明異変前、もしくは、諫早の工事前に戻ることが再生だ、みたいな、そういうイメージがあります。

 一方で、それに対する環境省のコメントでは、検討を始めた当初と比べると気候変動や降雨といった、有明だけではなくて、東京湾でも、今、ノリが採れなくなっているとか、マダコが獲れなくなっているとか、温暖化によって絶対再生にはいかない方向のことも起こっているわけです。

 恐らく委員の皆様も、再生というのは、有明異変前に近づけることではなくて、有明湾、有明と八代でどういう変動が起こっていて、例えば水産の事業者の方々にとって、よりよい対処になるようにするにはどうすれば良いかという、区切ることができない作業を、私は少なくとも行っていると思っています。

 ですので、せっかく、この後のほうに環境省のコメントに、気候変動や降雨といった有明に限らないことも水産生物には関わっているんだ、ということをきちんと書いてあるので、再生というのを、元に戻すものではないんだみたいなことも分かるような書き方にしてはどうかなと思いました。

 以上です。

○古米委員長 回答の中にもあるように、水産資源の回復等に、ということも書いておりますが、私の知る限りにおいては、再生というのは、生まれ変わるわけなので、復元であったり、全く同じものに戻すという意味の言葉ではないと思います。その時代、時代というのか、山室委員の御指摘のように、目指すべき再生というものはこういうものですよというニュアンスがある程度回答に出たほうが、今回のパブリックコメントに対する、環境省や我々が考えている検討の方向性をちょうどお知らせする良い機会にもなるのかなと思います。

 ただ、表現をどうするかというのは非常に難しゅうございますが、今の表現よりはもう少し突っ込んだ形でイメージしている再生であるとか、従来の元に戻すことが目標ではない、近づけるということはあるのでしょうが。そういった文言が回答に入るのは、私は非常に有効かなと思いますし、きっと、速水委員の御意見にも、ある程度、対応できるのかなと思いますが、室長、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木でございます。御意見、どうもありがとうございました。

 今般、話題になっております点、非常に重要な、評価委員会の根源的に大事な点だと思っております。

 目標をどのタイムスパンで検討していくのか、再生を達成するための再生方策をどのような期間で考えていくべきなのか。それから、再生としてそもそも目指すべきものというのは何なのかという点、非常に重要なところと思います。

 ここに関しましては、ここに御参加の先生方の中でも、恐らくいろいろな視点があるのではないかと思っているところでございます。

 本日いただきました御意見は、いつもと同様に、詳細な議事録として公表されますところでもございますし、私ども事務局として、いただいた御意見をしっかり踏まえながら、この先、令和8年度報告に向けても取り組んでいきたいと思っているところでございます。

 パブリックコメントにおける考え方の部分に関しましては、ここまでの御指摘を踏まえまして、No.52の辺りの回答といたしまして、次の令和8年度報告におきましては、目標とすべきタイムスケール、あるいは、再生方策として考えるべきタイムスパンといったようなこと、それから、そもそも目指すべき再生といったようなことは何なのかということも、その時点の知見を踏まえ、評価委員の先生方にしっかり御議論いただき、全般的な考察をして、評価報告書に盛り込んでいただきたいと思いますので、そのようなことを盛り込みたいということを、明記させていただくということとさせていただきたいと思います。

 私からは以上でございます。

○古米委員長 速水委員、山室委員、いかがでしょうか。

○速水臨時委員 それで結構です。どうもありがとうございます。

○古米委員長 はい、どうもありがとうございました。

○山室委員 私も、それでお願いいたします。ありがとうございました。

○古米委員長 はい。それでは、山西委員、お願いいたします。

○山西委員 山西です。

 私からは、二つお聞きかせください。

 No.54のところがまず一つです。

 質問されている方は、恐らく地元の方で、漁民の方なのかなと思ったりします。地元では、佐賀県西南部のノリの不作が非常にクローズアップされていまして、その点を指摘されているように思います。事務局や小委員会で大変な作業をされて作られた回答だと思いますし、これまで記述の無かった対応策の一つとして下水処理場の季別運転の話を入れていただいたのはよかったと思いました。

 ただ、私が、ちょうどこれに関連する研究をする中で、その結果として、西南部のところの下水処理場自身は、放流量が非常に少ないものですから、正直、ノリの養殖の栄養塩供給には、現時点ではほとんどが効いていません。

 なので、その下の、「また」というところの話を上に持っていっていただいて、例えば、そういう赤潮だとか、いろいろな色落ちの問題などの原因を基に対策をしていきますが、例えば、こういうことをしているというような書き方にしていただいたほうが良いと思います。なぜなら、地元の方が、季別運転は良いんだということで、じゃあ、どんどん放流水を流せみたいなことになって、現状はほとんど効いていませんが、ただ、やみくもに増やすことが良いのかどうかということは、もう少し考える必要があるかなと思っていますので、そこは考慮していただきたいというのが1点目です。

 もう1点がNo.59です。

 御質問の中で、有明海及び八代海等を取り巻く社会経済情勢等の具体的なことを書いてくださいということですが、回答が人口減少、災害多発、デジタル化の進行が記載され、確かにそうですが、本文の続きでいきますと、気候変動だとかいう話になっているのと、そもそも、この質問自身は、有明海のそういう環境異変に関わることについて聞いているのだろうと思いますので、人口減少、災害の多発、あるいは土地利用の変化はあっても、デジタル化の進行は何だろうなと思うとともに、この部分が質問者の知りたいことにダイレクトにつながってないように思いましたが、その点、いかがでしょうか。

○古米委員長 それでは、二つ御指摘です。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。御指摘、どうもありがとうございます。

 まず、No.54の点はありがとうございます。

 それでは、御示唆を踏まえて、順番を改めて表現を工夫させていただきたいと思います。私どもも、報道なども通じて、今般、佐賀県西南部のところで大変な凶作が起きているということは聞いておりまして、胸を痛めているところでございます。

 先生の御指摘のとおり、対策に関しましても、その海域ごとの状況で、位置関係や、深さ等、様々な条件で変わってくるところではございます。今の御指摘、御趣旨も踏まえまして、表現を工夫させていただきたいと思います。

 それから、No.59のところでございます。

 まず、なぜ、デジタル化の進行といったことが書いてあるのかということでございますが、このデジタル化の進行の辺りは、再生方策の関連の技術開発のところには非常に重要だと思っておりまして、例えば、赤潮だけではないでしょうが、様々な予測をして、必要な対策を検討していくといったようなこと、現状を速やかに把握するといったようなところに、このデジタル化の進行というところは非常に大事な要素と思っておりまして、そういった趣旨で挙げているところでございます。

 説明としては以上ですが、先生、ここは、No.59の考え方のところについては、今の案は。社会情勢の変化としてはこういったことがありますという説明だけでとどまっていますが、御意見を出している方が、大きな環境の変化にも関することがそもそも御懸念で、それに応えるということでは、その後に続けて、本文中他の部分である気候変動のことですとか、災害の増加ですとか社会情勢の変化と気候などの変化と、そういったことも含めて、ここに書いたほうがよりよいと、そういう御趣旨でしょうか。一つ、確認をさせていただければと思いました。

 以上です。

○山西委員 ありがとうございます。

 先のNo.54は、行木室長の言われたような形でお願いしたいと思います。

 No.59は、単純にデジタル化の進行が有明海の環境問題とダイレクトにつながらなかったので、質問しました。つまり、社会経済情勢というよりも、むしろ社会環境の変化という文言のほうが正しいのかなと思ったということだけです。

 ですから、むしろ、有明海にダイレクトにそういうものが関わってくるような話として、人口の減少で負荷が変わるだとか、災害多発や洪水で淡水化域が増えるだとか、土地利用の変化も含めてというのであったら、少し分かるかなと思いました。デジタル化が気になりましたが、今の御説明で分かりました。

○古米委員長 きっと、デジタル化というのは、別に有明海・八代海だけに関わらなくて、全世界、日本全体の話なので、例としては、有明海・八代海に関わることとして、人口減少であるとか、災害が多発していること、あるいは事業等で土地利用が変わっていることでしょうか、そういったのを受けたものとお答えして、一方で、全体の方向性では、デジタル化を踏まえながら精査していくというような表現だと良いのかなと思いましたが、山西委員、今のような対応でよろしいでしょうか。

○山西委員 はい、それで結構です。

○古米委員長 はい、どうもありがとうございました。

 続いて、清野委員、その後、山口委員の順番でお願いしたいと思います。

 まず、清野委員、お願いします。

○清野臨時委員 はい、ありがとうございます。九州大学の清野でございます。

 大変な整理の作業をありがとうございました。委員の方々の御発言、そして行政の皆様からの御回答も見まして、二つほどあります。

 一つは、行政的な文脈で議論されている文書についての内容なので、科学のみでの表現ではないということも十分分かりますが、その上であえて申し上げたいと思います。

 まず、No.46が良い例だと思いますが、干潟や藻場について、どのように取り組んでいるのかということについての御回答があります。それで、行政からの御回答の文章も少し分析的に読んでみますと、実施状況ということで、行政として、対策のために事業を起こして、予算を取って実施したということに関しては、水産庁事業等の表現があって、藻場や干潟に対して、漁業者を中心とする再生の事業が行われているということは御回答がありました。

 一方で、成果については特に書いてありません。この文章の特徴というのは、ほかのところにもありまして、パブコメをくださった方がもう少し知りたいというところに対して、結果的にはぐらかしたかのように読めるような文章になってしまうということです。

 別に、これは有明海等の本件のみに限りませんが、こういうことが繰り返されるとやはり良い議論ができないのと、せっかく各省庁で予算を取っていただいても、それが最終的な成果が出ないということがあると思います。

 私も、この有明海の問題に、恐らく、委員としては一番長く関わらせていただいている中で、こういう状況になっていて、反省するところが大きくあります。

 つまり、多くの予算を取って、多くの方々の御協力をいただいたにも関わらず、成果が見えないとか、膠着状態の案件があるというのは何かというのを考えてみますと、せっかく取ったデータや予算が良い議論に付されたり、失敗だったら、それを糧に、次の成功に向けて関係者が挑むという体制になっていないのだと思います。

 これは、委員会に対する批判の御意見について、No.60などでもありますが、議論のやり方を変えていかなければいけないのではないかと思います。

 私としても、環境省の皆様や、あるいは、委員長先生へのお願いといたしましては、そういう引いた目で見て、パブリックコメントをせっかく書いてくださった方が、がっかりしたり、あるいは、そのときに怒りを覚えたりするようなことにせずに、それをきちんと受け止めて、今回の中間取りまとめでは、そういったところがまだできてないが、そういう多くの御意見を得て、評価委員会の委員の科学者の人たちも、そういう意見も持った中で、次のステップに踏み出したいというようなことを、どこかに書いていただいても良いのではないかと思います。

 ですから、20年近く、ずっとこういう膠着状態が続いてきたのは、恐らくこのようなまとめ方と、委員の姿勢にあったと思います。

 今日の委員会での重要なところは、専門家委員の方が、そういった点について多く御意見をお伝えになったところだと思います。

 恐らく、こういった状況の中で世の中も変わってきて、産官学民、あるいは政治の中で、本当のことを議論して、良い方向に持っていこうというように、ある意味、柔らかくなってきていると思います。ですから、私も裁判とか政治的なこととかは、どのようにあるかということは十分承知した上でこういう発言をしておりますが、ぜひ、いろんな反省を含めて、次の中間取りまとめの中で不十分だと御指摘のあった部分に関しては、何が不十分だったのかの解析も含めて、次のステップに進んでいくということを書いていただいても良いのではないかなと思っております。

 これは行政の方のみにお願いするのではなくて、科学者コミュニティーとしても、この問題を膠着させたままにいるということの問題でもあると思いますので、ぜひ、可能な限りの表現で、はぐらかさない形で真摯に受け止めて、パブコメをくださった方と一緒に考えようというような姿勢の文言を期待したいと思っております。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございます。

 なかなか難しゅうございますが、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。大変重要な御指摘をありがとうございました。

 No.46をはじめ、ここだけに限る御指摘ではないということも理解しておりますので、御質問を出された方の御趣旨も踏まえつつ、次の評価というのが、成果報告というよりも、そこまでの取組を受けてどうだったのかということが、次の令和8年度に出される評価報告書の効果的な作業ということでございますので、No.46のところ、今はこういうことが書かれていますということのほか、干潟の保全の取組に向けて関連する取組状況の確認・精査、それから、そこの評価といったことを令和8年度報告でやっていくということを、今後やっていくということが伝わるような書き方に、工夫、検討させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

○古米委員長 清野委員、いかがでしょうか。

○清野臨時委員 ありがとうございます。今のような形で、この委員会に関わるみんなが、そういった問題があることを意識して、これから取り組むのだということが一言でも書いてあるだけで随分と希望が見えてくると思いますし、それが、解決なり、解明に向かうところになると思います。

 ついでに言うと、有明海問題は、社会科学者であるとか、あるいは、若い人たちの研究でテキストマイニングがなされていて、どのように、何が対応してないのかとか、何がはぐらかしになってきてしまったのかということも見られています。

 いろんな文書が公開されている中で、そういった部分の、委員会に関わる以外の、自然科学以外のいろんな方々が心配している中で、多くの研究が出ているようですので、今後、そういった部分での対応も含めて、次のステップの中で少し学問分野を広げて、自然科学だけでない、そういった分野も含めて入れていけると良いのではないかと思いました。

 室長様の前向きの御回答に感謝いたします。以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 私自身も、根本的なところだと考えますので、可能かどうかは事務局とも相談させていただきたいと思います。それぞれの質問に対する回答は、可能な限り一つ一つに対応しますが、それぞれ入れ込むというよりは、今回、パブリックコメントした全体を受けて、最後にまとめた形で、こういうことが全体として御意見がございました、それについてはこういった部分を反省し、なおかつ、御指摘いただいた課題が令和8年の報告書に反映するように最新の情報を云々というようなことを書く。それこそ可能であれば、社会科学的な研究分野へも評価を広げながら、問題解決に対する評価委員会の方向性も追加する。

 どこまで書けるか分かりませんが、総括的な回答、方向性というか、その中に、ここで扱おうとしている再生というのを、どう考えるべきか、というのも議論していきますというように、こちらからメッセージを出して、皆さんに少しでも希望を持っていただけるような文章を追加したらどうかなと思います。できるかどうかは相談したいと思いますが、きっとそれで清野委員の御指摘を広くカバーできるのかなと思いますので、検討させていただきたいと思います。

 それでは、山口敦子委員、その後、大嶋委員の順番でお願いしたいと思います。

 まず、山口敦子委員、お願いします。

○山口(敦)臨時委員 私は、No.36とNo.37についてですが、まず、No.36についてです。

 ここで、126ページのア)の1行目から3行目ほか、ここは、138ページにも同じ記述が2か所出てくるので、「ほか」とあるのだと思いますが、「平成28年度委員会報告で、ニベ・グチ類やウシノシタ類等で初期減耗が大きくなる要因として、溶存酸素の影響、餌料生物の影響等が挙げられた」とあるが、というところです。

 この中の餌料生物の影響という記述が分かりにくいのではないかという御意見に対しての回答についてです。餌料生物であるプランクトンに対する選択性とか嗜好性、好みについて答えていますが、これは餌の選択性のことを聞いているわけではないので、指摘されていることとは、ずれた回答になっていると思います。

 実際、このパブコメについては御指摘どおりだと思います。指摘されている部分の記述について、今、読み上げました平成28年度委員会報告でという、ここの部分については、そもそも正確性に欠いているので、修正をしたほうが良いと思いました。

 まず、平成28年度委員会報告では、初期減耗の要因については特定できないと言っています。そして、この記述で、餌料生物とともに挙げられたうちのもう一つの要因ですが、溶存酸素の影響です。これについては、貧酸素と言われる溶存酸素量よりも少ない酸素量のところまでも魚の生存が確認されているので、種によって、種ごとに溶存酸素量の閾値を調べる必要があるというように書いています。

 つまり、ここで書いている二つとも、本質的な要因として挙げられたものではないということです。それが切り取られてここに書いてあるので、そこは修正したほうが良いというところです。

 実際に挙げたものとしては、生育上の環境変化です。恐らくこの中に、一部に餌料環境のことが入ってくるのですが、生育場の環境変化とか、卵仔魚の輸送に関わる流れの変化、それから生育場の縮小、これらが初期減耗を高めている可能性があるというように書いていますので、その記述に書き換えた方が良いと思います。

 もう一つは、「現時点では要因は特定できていないが」と委員会報告に書いてあったことを付け足したほうが良いと思いますので、「平成28年度委員会報告では、現時点では要因は特定できていないが、生活史から減耗要因を考察すると、生育場の環境変化や、卵仔魚の輸送に関わる流れの変化、生育場の縮小などが初期減耗を高めている可能性があるとされており、その後の知見の更新はなされていない。」というような形に書き換えたほうが良いのではないかと思いました。

 これは、よければ後で、またメールで修正文をお送りしたいと思います。

 同じく138ページの魚類のところも、1か所同じような部分が出てきますので、両方とも書き換えたほうが良いと思いました。

 それから、二つ目です。No.37のパブコメに対しての回答で、「ナルトビエイは、水温の高い南方に生息する魚種であることから、地球温暖化に伴う水温上昇により有明海に増加したと考えます。」という記述は間違いですので、修正したほうが良いと思います。

 中間取りまとめの本文にわざわざ、「地球温暖化と同期して増加した」と書いてあるのは、温暖化との関係が分からないからです。問題は単純ではなくて、温暖化で水温が上昇したから有明海に増えたわけではないということを今まで言ってきているのに、いきなりここで、このように単純に書かれてしまうのは少し残念に思いましたし、もともと、水温の高い南方に生息する魚種でもないということも書いてきたと思います。今までずっと議論をしてきたことですので、委員会での議論を踏まえて丁寧に回答をしていただきたいと思いました。

 以上の2点です。先ほどから何回か委員の方々からも出ていますが、パブコメに対する回答は、全体的に繰り返し同じ記述を使ったりとか、少しずれていたりとか、それから、誠意に欠くような答え方の部分とか、そういうところが見られます。せっかく多くのコメントをいただいているので、できるだけ誠意のある回答を、最低でも、していると思っていただけるような回答を、時間が短い中でとても大変だと思いますが、できる範囲でしていただけたら良いのではないかと思いました。

 以上です。

○古米委員長 前半部分は山口敦子委員からの正しい表現をいただけるそうですので、それを反映して直していくということとしたいと思います。

 追加で、最後の部分はいかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。

 先生、御指摘どうもありがとうございました。

 No.37の点の最初の3行のところも、先生の御指摘を踏まえて表現を修正させていただきたいと思います。委員会後、個別に、どのように修正するのが正しいのか御相談させていただき、委員長と御相談させていただければと思います。

○山口(敦)臨時委員 分かりました。

○古米委員長 あとは、先ほどの御指摘のように、回答が、行政的という表現は微妙かも分かりませんが、質問者に対して、個別、個別で誠意を感じられるような表現を書きにくいので、別のところでまとめて書いていただくということにしたいと思います。改めて、こうやっていますよということだけはなくて、さらにポジティブに、質問者に御理解いただけるような文章が追加できそうであれば、それは個別にも追加するというようなことを検討したいと思います。

 山口敦子委員、それでよろしいでしょうか。

○山口(敦)臨時委員 はい、大丈夫です。

 もう一度全体を見直していただいて、それで修正できるところはしていただくということで大丈夫だと思います。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

○山口(敦)臨時委員 お願いいたします。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。

 御指摘を踏まえて、検討させていただきたいと思います。

 一つだけ、これも行政的な手続の一環ではあるものでございますので、この手続の世界の中で、ある表現といったようなものをどうしても使わざるを得ないような場面もあろうかと思います。

 ただ、ここまでの御意見、御趣旨を踏まえて、できる修正を検討させていただきたいと思います。若干、時間的なところもあり、手続という性格もあり、御期待に100%応えられるようなものにならない可能性があることは御理解賜れば幸いでございます。

 以上です。

○山口(敦)臨時委員 私も時間がないことは十分に理解しています。

 そういう印象を、恐らく皆さんお持ちだと思うので、できるだけそうならないように、せっかく皆さんが時間をかけてやられているので、少し言葉尻を変えるだけでも違うのかなという部分もありました。可能な範囲で大丈夫だと思います。

 よろしくお願いいたします。

○古米委員長 しっかりと確認させていただきたいと思います。

 それでは、大嶋委員、お願いいたします。

○大嶋委員 皆さん御意見を書いたわけですが、例年、このように書かれているのかもしれませんが、返答の仕方が、いきなり意見を言うというのはどうなのでしょうか。普通、我々は論文を書いても、査読者に対しては「ありがとうございました」と言ってから書くのが普通で、全て同じような文面で書くのは非常に冗長かもしれませんが、出した人は自分のところを見るわけですから、そこがいきなり「評価委員会は」と始まるのは、非常に感じとしてよくありません。

 それと、意見の概要に対して、意見に対する考え方という項目で書かれていますが、これもどうなのでしょうか。考え方を今回示すのでしょうか。ある程度の答えという意味ではなかったのかなと私は思いましたが。

 それと、もう一つ。ついでに言うと、開門問題の是非のことがあって、それも「是非の評価を行わないこととしています」と冷たく突っ張られているのは、どうなのかなと。もう少し丁寧に述べる必要はないのかなというようには思いました。

 意見です。以上です。

○古米委員長 表現のことと、あとは、意見に対する考え方という、表現とも関わると思いますが、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。御指摘どうもありがとうございました。

 これも法律に基づく手続の一つとしてやってきているというところもございまして、まず、表現の仕方につきましては、ここまで御議論もあったとおり、できるだけ工夫を検討させていただきたいと思います。

 一方で、意見に対する考え方といった、タイトルや、そういうところは、これは手続として、ほかでも行っているパブリックコメントとそろえてやっていかなければいけないというような枠組みもございます。こういう性格の作業でございますので、論文の整理と対応の性格が異なってしまうのは、申し訳ございません。先生の御趣旨は非常によく理解いたしました。ただ、行政的なこととしては、書き方に一定の制限があるということは御理解いただきたいと思います。

 以上でございます。

○古米委員長 最後の開門関連のところは、調査評価委員会では扱わないというのが基本スタンスなので、なかなか、今のスタイルを大きく変えることは不可能ですが、先ほど少し私が発言したように、諫早湾は、有明海の一部としてある程度重要なのでという文言が回答の中に入るか、入らないかは大分違うのかなと思います。そのような記載はなかなか難しい話なのでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 ありがとうございます。それは、恐らく、全体に対してではないことですね。どの意見に対する、どういう答えなのかというところを一つ一つ見ながら、もしそれが適切な文章であれば、検討させていただきたいと思います。

 ただ、基本的スタンスとしましたのは平成28年度報告ですから、そもそも、法律に基づく委員会の立場として変わらないところではございます。個々の意見を見ながら、御指摘を踏まえて検討させていただきます。

○古米委員長 私も、それは十分理解していますが、質問されている方々にとっては、諫早問題が非常に大きくて、それとどうしても関連づけて有明海や八代海を見ておられる。有明海や八代海の評価を実施している本委員会では、将来の再生に向けて、どうしても全体を見ている。その方々にとっては非常に重要な課題なので、そのような方々が質問されているときに、この委員会としての立場であるとか、法律上の体制であるとかもあるのでしょうが、個別の問題は全く関係ありませんよというようなイメージで回答してしまうと、個別に取り扱わないということは事実としてはあるのでしょうが、そこが重要であるという認識は、評価委員会としてはあるということは、どこかで記載して良いかなと思っています。書き方の工夫が必要だと思いますが、御検討いただければと思います。

 大嶋委員、よろしいでしょうか。

○大嶋委員 分かりました。どうもありがとうございます。

○古米委員長 ほかにいかがでしょうか。

 全般的には、表現ぶりを工夫するということと、あと、可能であれば、全体に対するまとめの追加ができそうであれば追加いただくというところが大きな修正で、個別については、それぞれ追加記載をする、あるいは、専門的な情報を頂戴して修正するというような内容だったと思いますが、よろしいでしょうか。

 特に挙手がございませんので、それでは、本日の議論を踏まえた対応は、一通り私もしっかりと理解させていただきましたので、事務局と相談しながら、最終的に私に御一任いただくということとさせていただきたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。

 どうもありがとうございます。

 それでは、関係省庁におかれましては、本日いただいた意見等を含め、中間取りまとめを参考に再生に向けた取組を進めていただき、特に、評価に必要なデータ等の御提供をお願いします。

 今後、オープンデータ化ということも今回記載しましたので、御協力をいただきたいと思います。

 それでは、事務局におかれましては、本日いただいた意見等を基に作業を進めるようお願いしたいと思いますし、私も最大限、御協力させていただきたいと考えております。

 どうもありがとうございました。

 それでは、議題2ということで、最後の議題、その他ですが、事務局から何かありますでしょうか。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省の横内です。

 今後のスケジュールについてお知らせします。

 本日の評価委員会でいただいた意見を踏まえて、誤字、脱字等の訂正も含め、中間取りまとめ案を修正いたします。

 それから、委員長に御判断いただき、まとまり次第、委員長名で関係主務大臣と関係県知事宛に中間取りまとめを提出・送付することとしております。

 併せて、プレスリリースをして、環境省のホームページにも掲載することとしております。

 よろしくお願いします。

○古米委員長 今、今後の予定をお話しいただきました。

 それでは、本日の評価委員会全体を通して、各委員から何かあれば御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。

 よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 本日、予定されていた議事については全て終了いたしました。議事進行への御協力、御礼申し上げます。

 また、中間取りまとめに関する議論としては、今回で終わりとなりました。

 今後は、これまでの議論を踏まえつつ、令和8年度、5年後ですが、その報告に向けて検討を進めていくということになります。引き続き、御協力をどうぞよろしくお願い申し上げたいと存じます。

 また、一部の委員の方については、今回が任期の最後という方もおられます。委員の皆様には、中間取りまとめに関するこれまでの長期にわたる御尽力に感謝を申し上げます。

 それでは、進行を事務局にお返ししたいと思います。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 古米委員長、ありがとうございました。

 それでは、最後に、環境省、水・大気環境局長の松澤より御挨拶を申し上げます。

○松澤水・大気環境局長 水・大気環境局長の松澤でございます。

 このたびも非常に丁寧に御審議いただきましてありがとうございました。

 本日は、科学的な観点からの御指摘にとどまらず、評価委員会の令和8年度の取りまとめに向けたいろいろな課題、方向性についても御意見を賜り、誠にありがとうございました。

 また、パブリックコメントの内容は、先生方にも、本日、入念に御議論いただきましたが、非常に地元密着で、詳しい御意見、中間取りまとめ案を読み込んでいただいている御意見を多数頂戴したのではないかと思います。パブリックコメントをいただいた多くの皆様方に、事務局を代表しまして御礼申し上げたいと思います。

 平成28年度の評価委員会報告以降、平成30年の評価委員から8回にわたって御審議をいただいてまいりました。長きにわたるご審議について、毎回、非常に厳密に目を通していただいて、丁寧な御意見を頂戴しておりまして、本当にありがとうございました。

 中間取りまとめにつきまして、それから、パブリックコメントの結果につきましては、本日の御議論を踏まえて必要な修正を行った上で、年度内に、特別措置法に基づいて、評価委員会委員長から関係大臣、関係県知事へ、提言として送付すると、こういう予定になっております。

 また、同時に、環境省ホームページでも公表させていただきたいと思います。

 有明海・八代海の再生に向けて、今回の中間取りまとめの中で、再生方策などの実施状況と課題をまとめていただきました。今後は、これを踏まえて、関係の皆様と取組を進めていくことが重要だと考えております。

 評価委員会におかれましては、取組の進捗状況を確認・検証して、そこまでの新たな知見も踏まえて、全体的に考察・評価をしていただいて、令和8年度の評価委員会報告をまとめていただくことになります。委員の皆様におかれましては、引き続き、お力添えをお願い申し上げたいと思います。

 この委員会の中で、水産小委と海域小委を設置して審議を進めていただきました小委員長の樽谷先生、松野先生、誠にありがとうございました。御礼申し上げたいと思います。

 これまでの8回にわたる御審議に対し、改めて御礼申し上げまして、閉会の挨拶とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 松澤局長、ありがとうございました。

 最後に、事務局から御連絡です。

 本日の議事録ですが、後日、事務局より確認依頼を行いますので、よろしくお願いいたします。内容を確認後、議事録は環境省ホームページで公開させていただきます。

 次回の評価委員会につきましては、令和4年度中になるかと思われますが、委員長とも御相談の上、日程調整をさせていただく予定です。よろしくお願いいたします。

 それでは、以上をもちまして、第49回有明海・八代海等総合調査評価委員会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午後5時21分閉会