第48回有明海・八代海等総合調査評価委員会 議事録

開催日時

令和4年2月日(水)

場所

WEB会議システムにより開催

出席者

委員長: 古米弘明委員長
委員 :

大嶋雄治委員、上久保祐志委員、川原逸郎委員、木原久美子委員、清本容子委員、灘岡和夫委員、林美鶴委員、藤井直幹委員、皆川朋子委員、矢野真一郎委員、山西博幸委員、山室真澄委員

臨時委員:

小林政広委員、鈴木敏之委員、清野聡子委員、樽谷賢治委員、辻本剛三委員、中田薰委員、中村由行委員、西村修委員、速水祐一委員、松野健委員、山口敦子委員、山口啓子委員、山本智子委員

(関係省庁)

農林水産省農村振興局整備部農地資源課 細田課長補佐

林野庁森林整備部治山課 中村課長補佐

水産庁増殖推進部研究指導課 楠課長補佐

        漁場資源課 吉川課長補佐
        栽培養殖課 石川課長補佐、田畑係長、鏑木係長、鈴木専門官

   漁港漁場整備部計画課 篠崎課長補佐、伊藤係員
国土交通省水管理・国土保全局下水道部流域管理官付 松澤課長補佐
     港湾局海洋・環境課 菊池課長補佐、浜口係長

(事務局)

環境省水・大気環境局長、大臣官房審議官、水・大気環境局総務課長、水・大気環境局水環境課長、
水環境課閉鎖性海域対策室長、水環境課閉鎖性海域対策室長補佐、水環境課閉鎖性海域対策室主査

議事録

午前9時00分開会

○冨永閉鎖性海域対策室主査 定刻となりましたので、ただいまから第48回有明海・八代海等総合調査評価委員会を開会いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございます。

 本日は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、ウェブ会議での開催とさせていただいております。委員の皆様には御不便をおかけしますが、会議中、音声が聞き取りにくいなど不具合がございましたら、事務局までお電話、またはウェブ会議システムのチャット機能にてお知らせください。議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。なお、御発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと挙手した状態になりますので、御発言の意思はこのマークで確認します。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき、御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作願います。挙手アイコンは事務局でオンオフを操作できないため、御協力よろしくお願いいたします。

 本委員会は公開の会議となっておりますことを申し上げます。

 本日の委員の出席状況ですが、欠席の連絡を内藤委員よりいただいております。本日は、委員27名中26名が御出席ですので、有明海・八代海等総合調査評価委員会令第6条に基づく会議の定足数を満たしていることを報告いたします。

 続きまして、本日は、有明海・八代海等総合調査評価委員会の中間取りまとめ案について、を議題としており、関係省庁から御出席いただいております。

 まず、農林水産省農村振興局の農地資源課、林野庁の治山課、水産庁の研究指導課、漁場資源課、栽培養殖課、計画課。国土交通省の水管理・国土保全局の流域管理官付、港湾局の海洋・環境課から御出席いただいております。

 環境省側の出席者も紹介させていただきます。

 水・大気環境局長の松澤でございます。

 担当審議官の森光でございます。

 総務課長の飯田でございます。

 水環境課長の川又でございます。

 閉鎖性海域対策室長の行木でございます。

 同室長補佐の浜名でございます。

 同室長補佐の横内でございます。

 私が、閉鎖性海域対策室の冨永でございます。

 続きまして、資料につきましては、事前に電子データやホームページで御案内しておりますが、議事次第に記載の一覧のとおりでございます。

 なお、資料は、事務局が画面上に掲載して進行させていただきます。

 現在、御審議いただいている中間取りまとめについては、今年度内を目処に取りまとめることとしており、今回の評価委員会で審議の上、パブリックコメントを実施し、3月末の評価委員会で取りまとめの御審議をお願いしたいと考えております。

 それでは、議題に入ります。これ以降の進行は古米委員長、よろしくお願いいたします。

○古米委員長 古米です。おはようございます。

 本日は、議題として、有明海・八代海等総合調査評価委員会の中間取りまとめ案についての一つしかございませんが、中間取りまとめの中の目次には、第1章から第4章まで案があります。

 それでは、まず、このうちの目次案、第1章、第2章案について、議論に入りたいと思います。

 なお、第2章はかなり長い内容でございますので、3分割にして説明・質疑するということです。

 それでは、まず、目次案、第1章、第2章の1~5について議論したいと思います。それでは、事務局より御説明をお願いしたいと思います。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 それでは、事務局の冨永より御説明いたします。

 資料の内容につきましては、まず、資料の2を御覧ください。資料の内容につきましては、12月の評価委員会からの変更点、修正点を中心に説明をさせていただきます。

 まず、資料2の中間取りまとめ、目次案につきまして、前回からの変更点としまして、第1章の最後に1.7節を加え、中間取りまとめの構成として、各章の位置づけを説明する記述を追加いたしました。内容は、資料3で御説明します。

 また、参考資料4は、資料編に掲載するケーススタディ一覧のイメージとなります。資料編につきましては、現在、作業段階でして、実際、取組を進めている関係省庁等と作成を進めていきます。

 12月の評価委員会時点では、第2章のみ小項目まで記載をしておりましたが、第3章についても小項目までを目次として記載することとしました。

 目次案については以上になります。

 続きまして、資料3を御覧ください。中間取りまとめの第1章案になります。

 全体的な修正点として、図表の、図表番号のつけ方が、第2章とそれ以外の章で異なっておりましたので統一化を図っております。また、後ほど、第3章、第4章のところで説明いたしますが、1.3に掲載をしておりました連関図を第3章に移動しております。

 第1章の大きな変更点として、目次のところでも触れましたが、1.7中間取りまとめの構成を追記しております。1月の小委員会において、松野小委員長より、1章の最後に各章で何を書いているかを示すべきとの御意見、また、山口敦子委員より、過去の委員会報告での議論が消えてしまわないようにしてほしいとの御意見をいただいており、それらを踏まえまして、1.7では、各章の記載内容を示すとともに、今般の中間取りまとめでは新たな知見が得られているものを中心として記載しているため、有明海・八代海等の再生に関する全体的な理解のためには、平成28年度委員会報告を併せて参照することが必要である旨を記載しております。

 第1章については以上になります。

 続きまして、資料4を御覧ください。中間取りまとめの第2章案になります。

 まず、1ページ目ですが、第2章の構成と記載事項についての表を載せております。一部、本文の記載内容に合わせ追記・修正を行っております。第2章は、2.1の汚濁負荷から、2.9生物までとなります。図表が多いことから説明は三つに分けて行いたいと思います。

 まずは、2.1汚濁負荷から2.5底質まで説明いたします。

 まず、全体的な点としまして、12月の評価委員会の折に、山室委員から、図表の中に文献から取ってきたままのものがあり、軸が見えない、説明がないなど分かりづらいという御指摘がありました。その点の修正を行っております。また、西暦、和暦がばらばらであるという点の御指摘をいただき、記載を西暦(和暦)に統一をしております。1月小委員会でも、川原委員より、豪雨イベントの名称は正確に記載すべきと御指摘をいただいておりまして、全体的に見直し、修正を行っております。

 2ページ目を御覧ください。

 2.1汚濁負荷につきましては、12月の評価委員会からの修正等はございません。

 6ページ目を御覧ください。

 2.2河川からの土砂流入の2.2.1の(2)降水量の状況につきまして、1月の小委員会で樽谷小委員長より、図2.2.1-1の横軸が、月までと日までが混在しており、分かりづらいとの趣旨の御指摘をいただきました。御指摘を踏まえまして、横軸の表記を年までに修正しております。

 8ページを御覧ください。

 2.2.2河川流量の状況ですが、1月の小委員会において橋本委員より、河川から海域への土砂流入量を表現するなら月平均流量よりも日平均流量が適切であるとの御指摘をいただきました。御指摘を踏まえまして、図2.2.2-1と2に、有明海・八代海に流入する一級河川の日平均流量の図を追加しております。月平均流量についても、図2.2.2-3と4に残しております。

 関連しまして、12月評価委員会において中村委員から、気象と海況の状況、気象と海況の記載を充実すべきであり、気象データ等を資料編に記載すべきという御指摘をいただいており、資料編に追記をさせていただく予定です。

 10ページを御覧ください。

 2.2.3近年の豪雨による土砂の発生では、平成29年7月九州北部豪雨における土砂発生量や豪雨後の河川の状況について記載をしております。12月評価委員会時点では、一つの豪雨イベントを一つの項目とし、二つの節に分けて記載をしていたところですが、要点をまとめる観点から一つの節にまとめ、分量を調整する観点で、一部の図を資料編に移すこととして、整理を行いました。この点、資料2の目次における変更点となっております。

 なお、12月評価委員会時点では、令和2年7月豪雨における球磨川についても同様の整理を行うことを検討しましたが、現段階では、同様に整理されたデータが得られていないことが分かりました。その代わりに、2.2.1大雨等の状況や、2.2.4まとめにおいて、直近の豪雨イベントとして、球磨川において、令和2年7月豪雨により大規模な出水が発生していることを記載しております。この節では、先ほども申し上げましたように、図表の見やすさ、分かりやすさの観点から、12月評価委員会時点のものに修正、注釈の追記などを行っております。

 12ページの図2.2.3-3、13ページの表2.2.3-1については、図表タイトルが「筑後川の発生土砂量、流出土砂量」となっていたところ、1月小委員会におきまして、橋本委員より、筑後川中流域の支川より発生した土砂である旨、御指摘を受けまして、修正を行っております。

 15ページを御覧ください。

 2.2.4、まとめです。1月小委での本文と整合が取れるよう、まとめにおいても発生土砂量等を記載すべきとの橋本委員の御指摘を踏まえ、表現の修正を行っております。

 なお、12月の評価委員会において、灘岡委員より、土砂流入について、海域で大事なのは比較的微細な成分ではないかとの御意見をいただいておりましたが、微細な成分のデータ等は現時点では得られておりませんので、今後の課題として、第3章に記載をしております。

 16ページを御覧ください。

 潮汐・潮流について、12月評価委員会時点では、観測結果の整理中として、検討の途中段階でございました。データのアップデート等を行い、潮位の推移や豪雨前後の潮流の変化について記載をしております。

 2.3.1潮位の状況については、図2.3.1-1にM2分潮振幅の経年変化、図2.3.1-2に平均潮位の推移を示しております。これらの図は、平成28年度委員会報告からの更新を行っております。平成28年度委員会報告では、M2分潮振幅の長期変化の要因について、影響度合いに関する異なる見解があることを記載しておりますが、現段階では、関連する新たな知見は得られておりません。

 2.3.2潮流の状況では、平常時における潮流の状況については、新たな知見は得られておりませんが、近年、豪雨が多発していることを踏まえまして、豪雨前後の潮流の状況を把握するための整理を行っております。

 図2.3.2-1において、海面下1.5mにおける潮流楕円のS2分潮にて豪雨前後で違いが見られましたが、現時点では、その要因は明らかになっておらず、今後の継続的な観測が必要であることを記載しております。

 なお、この図2.3.2-1は1月小委時点で、海面下1.5mのもののみを示しておりましたが、中層、底層についても、データがあれば示すべきとの御指摘を踏まえまして、海面下5mと10mのものを追加しております。

 20ページを御覧ください。

 2.4水質については、特段の修正等はありません。

 23ページの表2.4.2-1の水温については、12月評価委員会において、灘岡委員より、水温の上昇傾向を前提とした記述が見られるが、この5年間の有明海の水温の傾向を見ると、上昇傾向であるとは言えないのではないか、より長期の傾向について精査をすべきと御意見をいただいておりました。水温の上昇傾向につきましては、平成18年度、平成28年度委員会報告において長期的な水温上昇の議論を行っており、この中間取りまとめにおいて、水温の上昇傾向を前提とした記述は、過去の委員会報告の議論を基に記載を行っております。また、地点ごとの水温のデータにつきましては、資料編に掲載することとしております。

 34ページを御覧ください。

 2.5底質についても、12月評価委員会のものから特段の修正等はございません。

 なお、水質、底質等の解析につきましては、平成28年度報告では項目ごとに経年的な単調な増減に関する評価にとどまり、ほかの項目との関係性や季節別、空間的観点からの解析、評価を行うということが課題となっておりました。また現在、変動傾向の解析結果を示しておりますが、山室委員より、ベントスのデータ整理に関連して傾向分析の解析手法の精査をすべきという御指摘をいただいており、水質等についても同様の精査を検討すべきと考えております。

 しかしながら、確認をしましたところ、精査をし、必要なデータ整理・解析を行うには、ここまでは解析に使用してこなかった2010年以降得られたデータの取扱い等もあり、この中間取りまとめの中では時間が足りないということが判明しました。この中間取りまとめでは、今後の課題として記載することとさせていただきたいと考えております。

 なお、今回掲載している水質、底質のデータ整理は、平成28年度報告と同様となっており、前回からの変化を見る上では意味のあるものと考えております。

 第2章、2.1汚濁負荷から2.5底質の説明は以上になります。

○古米委員長 どうも御説明ありがとうございました。

 それでは、ただいまの目次案、第1章、第2章、1から5についての御説明につきまして、何か御意見、御質問があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。

 それでは、清本委員、お願いします。

○清本委員 図2.2.2-1について、前回の議論の中で、今回この図を追加いただいたものと思いますが、紫色が非常に目立つような色合いになっていると思います。ファイルを拡大して見ましたが、恐らく積み上げのときの使用されている線の太さが、緑川だけ太いのではないかと思われました。少しその辺りを確認していただいき、紫がここまで目立つというのは少しおかしいので、その辺の確認をお願いしたいと思います。

 それと、1年間の中に恐らく365本、線が入っていると思いますが、その線の太さも、恐らくこれ赤が一番手前ですが、赤が途中だけしか表示されてないところがあり、恐らく隣のデータに隠れて消えてしまっているところがあるのかなと思いました。そして、この図で各河川のデータを全て色分けして入れるというのは、図のスケールとして少し厳しいと思いますので、ここでは、総流量だけにして色分けを取ってしまうか、入れるのであれば、筑後川とそれ以外の河川ぐらいの表記にしたほうが見やすいのかなと思いました。その辺も、時間があれば確認と検討をお願いしたいと思います。

 以上です。

○古米委員長 はい、どうもありがとうございました。

 それでは事務局、いかがでしょうか。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 事務局の冨永です。

 御指摘の点を踏まえまして、図の修正を検討させていただきたいと思います。

 以上です。

○古米委員長 それでは続いて灘岡委員、お願いいたします。

○灘岡委員 2.2.3について、近年の豪雨による土砂の発生ということで、今後、豪雨が増えていくだろうということを背景として、この節の記述があるのだろうと理解しています。豪雨という流域への入力条件が将来的に増えていくのではないか、あるいは、もう増えつつあるので、その観点からの検討が必要であるということと理解するのですが、流域そのものの特性の変化ということも重要です。つまり同じ量のインプット、同じ降雨に対しても流域の特性がだんだん変化していけば、例えば森林伐採が進むとか、いろんな土地利用条件とか、流域全体の植生被覆や土地利用の変化という、受け皿としての流域のシステムの特性が変われば、当然結果としてのアウトプット、つまり土砂の流出量は変わってくるわけで、それは量だけではなく、前回言いましたように、粗粒分、細粒分という、その割合も変化していく可能性があります。そのような受皿としての流域の特性の変化というのも、一応ケアしておかなければいけないということはないですか。

 今から、ゼロから調べ上げるというのはとても無理だと思いますので、何か関連するような資料があれば、少なくとも今までの植生被覆、土地利用の変化の形態というのはこうだったというのを簡単に触れていただいて、関連する文献もリファーしていただいて、この延長でいくと、将来どういうことが、受皿の特性としてもどう変わりそうだということも触れていただいたほうがいいような気がします。これは栄養塩についても当然言えることですが、土砂だけではなく。

○古米委員長 どうもありがとうございます。私の記憶では、林野庁で菊池川流域の森林絡みの研究調査があって、その成果は資料編に入る予定になっているかと思います。ある意味、単純に河川、あるいは土砂量ということではなくて、流域の観点が必要だというような内容もできるだけ入れたほうが、流域管理という方向性が出ていますので、私も非常に重要な御指摘かと思います。

○灘岡委員 「河川管理」という言葉は入っていますが、「流域管理」ということが見当たりません。

○古米委員長 そうですね。

 事務局、きっとそういう対応が可能だと思いますが、何かありますでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。

 貴重な御指摘ありがとうございました。

確かに仰せのとおり、河川管理ということだけにとどまらず、降ってくる雨を受け止める受け手側、流域管理の視点も非常に重要だと思います。関連する知見や取組につきましても、資料編や、ここまでの取組の中にも、3章に書かれるようなところにもございますが、確かに、ここに記載の2章の部分などに、その観点が入っておりませんでした。2章の部分、あるいは3章、4章の課題の部分に、今後、効果的な取組を考えていく上で、その流域がどのように変わってきているのかという視点も重要だという点を記載させていただきたいと思います。関連する事項につきましては、ここまでの中でどのようなことが記載されているのか、一度、事務局で確認をさせていただきまして、本文、あるいは資料編などへの追記を検討させていただきたいと思います。

 御指摘ありがとうございました。

○古米委員長 灘岡委員、よろしいでしょうか。

○灘岡委員 はい、ありがとうございます。

○古米委員長 それでは中村委員、お願いいたします。

○中村委員 今回、潮汐・潮流を加えていただいて、全体の見通しが2章でつきましたが、潮汐・潮流からその後の水質・底質まで、これを一つのまとまりとしてみると、密接に関連する項目として、有明海の特徴というのは常に懸濁している粒子が存在し、濁りが生じているという極めて特徴的な海域だと思いますが、そういった巻き上げを含む懸濁物輸送というような観点の記述がこの全体を通して見当たらないような気がいたしました。この間、どういう新しい知見が得られたのか、私はよく分かりませんが、この2章の中の水質、底質、それから潮流、これらと関連をする項目ですので、どこに入れれば一番いいのかよく分かりませんが、この有明海の特質という観点からの巻き上げと懸濁物輸送、この後の水質、生態系、貧酸素水塊にも関わるところですので、どこかに記述が必要ではないかと思いました。

 以上です。

○古米委員長 事務局、いかがでしょうか。灘岡委員の御指摘で細かい粒子の件が先ほど御発言がありましたが、改めて、他の海域に比べて有明海においては、シルト分であるとか、粘土分の動きというのは非常に特徴でありますので、そういった内容が反映された形の取りまとめが大事かと思いますが、何か事務局でお考えがあれば、お願いしたいと思います。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木でございます。

 御指摘ありがとうございました。仰せのとおり、有明海・八代海の大きな特徴といたしましては、干満の差が非常に激しいということと、関連して濁りが大きいというところがあろうかと思います。その辺り、過去の報告書にも関連の記載があるところでありまして、今般のこの中間取りまとめの中では3章で後ほど説明させていただきますが、3章の3.1.1の辺りに底質の改善や、土砂流入量の把握のところがございますが、今の御指摘のところに関しましては、現状で水質や底質のリンケージなどが十分検討できている段階ではございません。課題といたしまして、この3章の部分のところに河川下流や海域への土砂、細粒分を含む土砂の流出や、底質、生物の関連性につきまして検討していくことが大事だというところが記されているところでございます。有明海・八代海の環境を考える上で非常に大事な視点だと思いますので、御指摘も踏まえて、しっかり課題として取り上げて、次の評価委員会報告に向けて、研究を進めてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

○古米委員長 中村委員、よろしいでしょうか。

○中村委員 ぜひよろしくお願いします。

○古米委員長 はい、ありがとうございました。

 それでは、ほかに御質問、御意見をお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 特に挙手がございませんので、次の第2章の6から8ということで、貧酸素水塊から赤潮について、事務局より御説明をいただきたいと思います。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 引き続き、事務局の冨永より説明いたします。

 第2章、2.6貧酸素水塊から2.8まで御説明いたします。

 まず、2.6貧酸素水塊について、48ページを御覧ください。

 図2.6.1-2について、これらのグラフは、12月評価委員会時点では、2019年度までのデータを記載しておりましたが、12月評価委員会において、矢野委員から、できるだけ最新のデータを加えるべきと御意見をいただきまして、2020年度のデータを追加しております。

 50ページを御覧ください。

 2.6.2貧酸素水塊の発生状況について、12月の評価委員会において矢野委員より、貧酸素水塊の発生状況について、モデルを用いて近年の出水状況等で違いを比較した論文があるので、参照していただきたいとの御意見をいただきました。それを踏まえまして、文献の内容を50ページの2段落目に追記しております。流体力学モデルと低次生態系モデルを用いた解析によって、大規模出水の総流量が多いと貧酸素水塊の継続日数が長くなること等が示唆されたという知見を追加しております。

 53ページを御覧ください。

 2.6.4では、貧酸素の経年変化特性として、底層潮流振幅と貧酸素累積時間の関係を記載していたところです。12月評価委員会において、大嶋委員や松野小委員長より、貧酸素水塊と潮流振幅には関係があるそうである、なぜこのような関係になるのか、きちんと説明することが重要であるが、その要因については現段階では分からないので、その旨、明記すべきと御指摘をいただいております。この御指摘に対しましては、今後の課題として、第4章に記載をしております。

 59ページを御覧ください。

 2.7藻場・干潟等です。冒頭の文章につきまして、12月評価委員会において、清野委員より、生態系として有用希少生物や、ラムサール湿地登録干潟等の記載もあるとよいとの御指摘、1月小委において、矢野委員より、藻場・干潟のブルーカーボンとしての機能についても触れてあるよいとの御指摘をいただき、それを踏まえた追記を行っております。

 61ページを御覧ください。

 ヒアリング調査による藻場・干潟面積の経年変化を表2.7.1-2に示しております。この表2.7.1-2について、12月評価委員会時点では、第5回環境保全基礎調査との比較のみを示しておりましたが、古米委員長より、環境が良好だった時期からの推移が分かるように過去に行われた環境保全基礎調査のデータも加えてはどうかとの提案をいただき、第2回、第4回環境保全基礎調査の結果を含めた推移も整理しております。また、このページの下の部分では、新たに外来種についての記載を追加しております。12月の評価委員会において、皆川委員より御意見をいただき、追記を行ったところです。

 次のページを御覧ください。

 2.7.2海洋ごみについては、12月の評価委員会において川原委員より、県の土木部署においても港湾施設等の管理の目的でごみの回収処分が行われており、実態だけでも記載すべきとの御意見をいただきました。事実関係を踏まえ、港湾・漁港施設や海岸保全施設の適正な管理の観点等を追記しております。

 64ページを御覧ください。

 2.8赤潮についてです。赤潮の項目全体としまして、12月の評価委員会において、辻本委員より、比較して見るべきグラフのスケールがそろっていないとの御指摘があり、例えば図2.8.1-1などグラフの整理を行っております。

 66ページを御覧ください。

 図2.8.2-1、赤潮プランクトンの顕微鏡写真の図につきまして、12月評価委員会において、鈴木委員より出典を記載すべきとの御指摘をいただき、出典を記載しております。

 74ページの図2.8.3-8の出典が抜けておりましたので、同様に出典を記載しております。

 また、Chattonella属の学名につきまして、12月評価委員会で内藤委員より、現在は名前が変更されているとの御指摘をいただきました。検討させていただきまして、過去からの分かりやすさの観点などから、この中間取りまとめでは、これまでどおりの表記に加えて、名称を変更する文献があることを、図2.8.2-1に注釈として記載をしております。

 66ページの(1)構成種の推移について、1パラ3行目の「有明海では全期間を通じて」の文章ですが、1月小委の時点では「有明海側では」となっておりました。1月小委の川原委員からの御指摘を踏まえ、修正を行っております。

 68ページを御覧ください。

 2.8.3有明海における赤潮による漁業被害(ノリ養殖等)について、12月の評価委員会において、内藤委員より、記載順の整理に関し、「ノリの色落ち」という単語だけが先に出て、その説明は後に出てきており順序が異なるのではないかとの御指摘をいただきました。御指摘を踏まえまして、2.8.3の冒頭では、ノリの色落ちのみならず、天然漁類のへい死についても記載をし、どのような被害が起こっているのかを全体的に述べるという記載と位置づけ直しました。その後、ノリの色落ちについての詳細な記述があり、八代海での魚類養殖への被害の記述が来るという構成となっております。

 73ページを御覧ください。

 ノリの色落ちについて、1パラ2行目の文献番号が、参考文献のリストと一致していないとの御指摘を1月小委において川原委員よりいただきました。この点、修正するとともに、全体的に見直しを行っております。

 また、ノリの色落ちのメカニズムに関する記述が87ページのまとめの記述とトーンが異なっていることを、1月小委にて川原委員より御指摘をいただいております。御指摘を踏まえ、表現の修正を行っております。

 以上が、第2章、2.6貧酸素水塊から2.8赤潮の説明になります。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に対しまして、御意見・御質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。

 はい、それでは、清本委員、速水委員の順番でお願いしたいと思います。

 まず、清本委員、お願いします。

○清本委員 82ページの図2.8.4-2についてですが、この図について、本文中に説明が出てきていないように思います。これまでの会議での議論の中で説明が削除されたのかなとも思いますが、図を掲載されるのであれば、68ページの有明海の記載のようにざっくりでも記載を書かれるか、もうそれが不要と判断して説明が除かれたのであれば、図も除くという対応をお願いしたいと思います。

 そして、この図と69ページのものが有明海の図だと思いますが、少なくとも69ページのほうを残されるのであれば、海域別の赤潮発生件数の、このデータを解析された期間の年平均なのか、それとも積算なのかを記載したほうが良いのではないかと思いました。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 事務局、本文に海域別の赤潮発生件数というタイトルで追記いただくことでよろしいかと思いますが、記載を精査させていただきたいと思います。

 それでは、続いて速水委員、お願いします。

○速水委員 速水です。

まず、2点あります。

 細かい点ですが、57ページの上から3段落目の3行目のところに、「渦鞭毛層の呼吸も」というところがりますが、これの「層」が違っています。

 それから、先ほどの前半部分の説明に関することですが、28ページからの部分に、回帰分析の結果が載っています。

 それから、45ページのところにも、同じような図が載っています。それに対して、43ページの辺りに、底質に関する同じようなトレンドに関する解析の結果が書いてありますが、この43ページの記述では、「近似一次回帰式の決定係数が0.2以上であり」というような基準が示してあり、プラスが一つ、マイナスが一つの場合には、全データの算術平均の5%以上、10%未満の増加、減少がある場合というように書いてありますが、これが、28ページや45ページの、この表の場合はプラス、マイナスが一つずつの場合が、単にそれに満たない場合だけになっています。それから、決定係数についての記述もありません。これは、恐らくミスだと思いますので、全体を統一されたほうがいいと思います。

○古米委員長 はい、分かりました。1点目は誤字ですので直させていただいて、2点目は、水質のその統計的な評価と、底質の統計的な評価の説明に整合性がないという御指摘だと思います。

 事務局、きっと出典等で何か違いがあるのかと思いましたが、同じ公共用水域のデータを基にしたものと、浅海定線調査結果などで、もともとの報告の記載を踏襲しているのか、あるいは、統一可能かということを御検討いただくことがいいのかなと思いますが、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。

 御指摘のとおり、この三つの表につきまして確認はいたしまして、もし統一が可能であれば統一をさせていただきますし、もし原典の整理が異なるというような、統一が適当でないという場合には、その辺り、分かるような注釈を伝えるなどさせていただきたいと思います。

 御指摘ありがとうございました。

○古米委員長 速水委員、よろしいでしょうか。

○速水委員 どうもありがとうございます。

○古米委員長 それでは、続いて、大嶋委員からお願いします。

○大嶋委員 61ページの表2.7.1-2ですが、まず、そのカラムで最後に、第5回と比較をされて藻場・干潟が若干増えているということですが、なぜ第5回と比較をされているのでしょうか。普通だと最初と比較するほうが適当なような気がします。それと、干潟が増えているように見えますが、何か水面上昇がはっきりしているのに、何か干潟が増えているというのは、やはり説明がつかなくて、ここで干潟が増えていることを出されるのは、少しどうなのかなと思いました。その2点です。

○古米委員長 御指摘ありがとうございます。第2回という古い調査データが入って、長期の傾向を見ていただくために前回からの追記がなされましたが、表の整理は、もともとは第5回調査と今回の調査の比較だったので、それが残ったままです。比較としては第2回を基準にするほうが現状の評価としては正しいと思いますので、それに変更することと、御指摘の海面上昇との関連について、分かることがあれば記載いただくということで対応可能かと思いますが、事務局、どうでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。

 ただいま古米委員長からの御発言がありましたとおり、大嶋先生の御指摘を踏まえまして、この表2.7.1-2につきまして精査をいたしたいと思います。確かに御指摘のとおり、増減率を書くなら第2回を使ったほうがよろしいと思いますが、表を修正していく経緯の中で、5回との比較が残っておりました。その辺り確認をさせていただいて、修正を検討させていただきたいと思います。干潟の海面上昇との関連につきましても、もし知見として、今回、書けるものがあるようであれば、追記も検討させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古米委員長 今気づきましたが、もしかすると、第5回と今回のヒアリング調査等の結果は、水深が10mまでということで、同じ水深までの評価の比率を書いていたのかもしれません。今回のヒアリングの結果で、第2回と同じ20mまでの情報があれば、それらを比較した形で比率を書くことができるのではと思いました。もともとのデータの内容を精査していただいて、可能であればそうお願いします。ただし、調査対象が水深20mと10mと異なる場合は、比較の扱いは難しいはずです。しかし、第5回から今回が単純に増加しているという内容ではなくて、誤解がないように長期的な変動でどうなっているのかということが分かるような表現に変えていただきたいと思います。

 大嶋委員、そのような対応でよろしいでしょうか。

○大嶋委員 結構です。よろしくお願いします。

○古米委員長 それでは、ほかに御意見、御質問がありましたらお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

 はい、特に挙手がございませんので、続いて2章の9、生物について、事務局より御説明いただきたいと思います。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 引き続き、事務局、冨永より説明いたします。

 第2章、9、生物の説明となります。

 89ページを御覧ください。

 2.9.1有明海・八代海等を中心に生息する生物(固有種、希少種等)については、12月評価委員会からの修正等はありません。

 次のページを御覧ください。

 2.9.2ベントスにつきましては、12月評価委員会と1月小委員会で多くの御指摘をいただいております。

 まず、山本委員より、資料編に種ごとの個体数や、湿重量のデータや、具体的な調査方法を記載すべきとの御指摘につきましては、御指摘のとおり、資料編への記載をすることとしております。

 また、1月小委において、山本委員より、2005年以前のベントスの調査に関する文献を示すのがよいとの御指摘をいただき、山本委員より御紹介いただいた文献を参考文献として追加しております。

 それから、ベントスの種類数、個体数、湿重量のグラフや変動傾向に関する御指摘を山口啓子委員、山本委員、山室委員よりいただいておりました。御指摘を踏まえ、90ページから95ページが該当しますが、種類数、個体数、湿重量のグラフについて、12月評価委員会時点では、有明海と八代海を一つの図としていたところを分けたほか、本文中でベントスの季節変化及び種の変遷についての記述を行っております。

 また、96ページ、97ページの(2)ベントスの変動傾向については、12月評価委員会時点では、近似一次回帰試験による増減の解析結果を示していたところ、山室委員の御助言をいただき、Mann-Kendall検定による傾向解析の結果を掲載しております。なお、解析手法は変更しましたが、大きな傾向としては、結果は変わっておりません。

 98ページの(3)ベントスの空間分布と変化については、12月評価委員会の山本委員の御意見を踏まえ、特に、A2からA4海域における種の変遷について記述をしております。

 山口啓子委員より、12月評価委員会で御意見のありましたベントスのクラスター解析については、詳細は資料編のケーススタディに記載することとしており、その解析に関する概要は、第3章で示すこととしております。追って、3章の部分で御説明をいたします。

 102ページを御覧ください。

 2.9.3有用二枚貝の(1)のア)タイラギの漁獲量について、1月小委において、図2.9.3-1に関し、川原委員より、佐賀県のデータと農林水産統計では、年度と暦年で集計の仕方が異なるが、集計のし直しはされているのかといった御指摘をいただきました。データの確認をしたところ、再集計はなされていないことが分かりました。このことを受けて、図の注釈に、2007年以降の佐賀県の漁獲量は年度での漁獲量となっている旨、追記を行っております。

 104ページ、105ページの図2.9.3-2と3については、1月小委員会で2020年のデータを追加しておりましたが、図のタイトルは修正されておりませんでした。川原委員より御指摘をいただき、修正を行っております。

 107ページを御覧ください。

 有明海におけるタイラギ浮遊幼生の水平出現の広域調査について記述しております。広域調査の結果については、次ページにある図2.9.3-7タイラギ浮遊幼生の水平出現特性の図から記載しております。松野小委員長の御指摘を踏まえ、12月の評価委員会の時点から、図の注釈について表現を修正しております。

 また、タイラギ資源の減少について、12月の評価委員会において、大嶋委員より、海底から切り離すことでよい評価が出ることなど、取組によって得られた情報についても記載すべきとの御意見をいただいております。この御指摘につきましては、第3章で記載することとしております。

 110ページを御覧ください。

 サルボウの漁獲量について、1月小委において川原委員より、平成28年度以降の状況を記述すべきとの御指摘をいただきました。御指摘を踏まえ、2012年以降は減少傾向にある旨、追記をしております。

 111ページを御覧ください。

 アサリの漁獲量を示しております。アサリの産地偽装について報道がなされているところですが、図2.9.3-10、11に示している漁獲量は、農林水産統計の海面漁業、アサリ類のデータを用いており、こちら農水省に確認をしたところ、外国等から持ってきて畜養されるアサリは統計上別扱い、その他貝類ということで、このグラフのデータには含まれていないと伺っております。

 112ページを御覧ください。

 有明海のアサリ浮遊幼生出現状況の広域調査が実施されていることなどを記載しております。タイラギのパートと同様、12月の評価委員会時点から図の注釈の表現を修正しております。

 117ページを御覧ください。

 2.9.4魚類について、12月評価委員会時点では知見の整理中で修正予定としておりました。全体的に山口敦子委員の御協力を得て、12月、1月小委の議論も踏まえて修正を行っておりますので、内容について御説明します。

 まず、(1)有明海の魚類について、ア)魚類漁獲量では、有明海の魚類漁獲量、海面漁業の経年変化の図を載せております。1987年をピークに減少傾向であること、2018年には漁獲量が過去最低の2,455tとなったことを記述しております。一番下の段落では、有明海の魚類漁獲量は底生魚類の占める割合が多いこと、代表的な底生魚類であるニベ・グチ類とウシノシタ類の魚種別漁獲量について減少傾向であることを示しています。

 次の119ページに、底生魚類での漁獲量の推移について図を掲載しております。

 120ページを御覧ください。

 (2)有明海の魚類の変動要因についてです。ア)初期減耗の増大については、平成28年度委員会報告において、ニベ・グチ類やウシノシタ類等で初期減耗が大きくなると要因が挙げられたものの、その後の知見の更新はなされていないことを記載しております。

 イ)生態系構造の変化の可能性について、ここでは、近年、有明海はサメ・エイ類を含め豊富な高次捕食者から成る生態系構造であること、有明海は、数種のサメ・エイ類にとって、世界有数の繁殖・成育場としての機能を併せ持つ特別な海域であることも明らかになりつつあることを記述しております。また、高次捕食者が生態系構造に与える影響や、繁殖・成育場としての環境条件等については未解明であり、今後研究を進める必要があることも記述しております。

 ウ)ナルトビエイの生態的知見の充実について、ここでは、ナルトビエイに関する知見をまとめております。内容としましては、ナルトビエイは熱帯性の種ではなく、新種で、日本の南西部を主な生息場とする希少性の高い東アジアの固有種であること、有明海がナルトビエイの主要な繁殖地かつ成育場としての機能を担っており、生存に必要な条件を満たす限られた生息地の一つであることが明らかにされていることを記述しております。また、二枚貝類漁獲量への影響を明らかにするための捕食・被食関係を含め、引き続き、ナルトビエイの生態について、科学的知見を充実する必要があることも記述しております。

 121ページを御覧ください。

 (3)八代海の魚類について、図2.9.4-3に八代海の魚類漁獲量の経年変化を示しております。1月の小委員会での中原委員の指摘を踏まえまして、八代海の魚類漁獲量は浮魚類の占める割合が全体の8割以上であることを記載したほか、浮魚類の変化に大きく影響されること、2016年には漁獲量が約21,000tであったこと、その後の2017年、2018年には減少したことを記述しております。

 また、八代海の魚類の分布や生息環境に関する知見については、有明海よりも少なく、調査により北部で85種が確認され、コノシロの出現割合が多いことも明らかにされているものの、海域ごとの環境と魚類の出現状況の特徴は把握されていないこと、八代海と有明海では、魚類生態系構造が大きく異なる可能性があることなどを記述しております。

 122ページを御覧ください。

 (4)八代海の魚類の変動要因について、ここでは、八代海の生態系構造に係る知見が乏しいこと、基礎情報が不足していることから、サメ・エイ類をはじめとした魚類の生息状況や生態、各種魚類の動向が生態系の構造や機能に及ぼす影響などについて研究を継続する必要があることなどを記述しております。

 123ページを御覧ください。

 2.9.5養殖業生産量になります。12月評価委員会時点では、漁業養殖業生産量として、平成28年度委員会報告からのグラフの更新を行っておりましたが、山口敦子委員より、データが何を示しているのかが分かりづらいといった趣旨の御指摘や、漁業と養殖を分けたほうがいいのではないかという御指摘をいただきました。御指摘を踏まえまして、この項目では養殖業についての記載を行い、次の2.9.6では、漁業養殖業生産量としてトータルの生産量を取り扱うこととしました。

 図2.9.5-1では、有明海の養殖業生産量のグラフを示しております。有明海における養殖業生産量の大部分はノリ養殖によるものであることを記述しております。

 124ページを御覧ください。

 ノリ養殖の生産枚数のグラフを図2.9.5-2に示しております。注釈の1について、1996年度と誤った年度を記載しておりましたので、清本委員の御指摘を踏まえまして、修正を行っております。

 125ページを御覧ください。

 図2.9.5-3に、八代海の養殖業生産量のグラフを掲載しております。魚類の養殖業生産量は、1994年までは増加していたものの、その後は2.6万~3.9万t程度で推移していること、ノリの収穫量については、2004年以降、約2千t以下で減少傾向にあることを記述しております。

 次のページを御覧ください。

 ブリ類生産量、タイ類生産量の推移について、図2.9.5-4と5に示しております。

 128ページを御覧ください。

 2.9.6漁業・養殖業生産量について、先ほども述べましたとおり、図2.9.6-1に有明海の、図2.9.6-2に八代海のトータルの生産量のグラフを示しております。1月小委員会における山口敦子委員の御指摘を踏まえまして、海面漁業と養殖業でグラフの色分けを行っております。有明海においては、増減を繰り返しながら2000年以降15万~20万t程度で推移していること、八代海においては、増減があるものの、4.2万~5.4万t程度で推移していることを記述しております。

 130ページを御覧ください。

 2.9.7がまとめとなっております。(2)のベントスについて、1月の小委員会において、ベントスのまとめが第2章本文の繰り返しになっている旨の御指摘を山本委員よりいただいており、本文の内容を要約した記載に修正をしております。

 また、(3)有用二枚貝の2パラ4行目、「成貝の分布状況の変化によれば」としておりますが、1月小委員会に川原委員より、「漁獲量については」となっているが、記載の内容と整合していない旨の御指摘をいただき、修正をしております。

 第2章の9生物の説明は以上になります。

○古米委員長 ただいまの2.9生物について、御意見、御質問があればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

 それでは、清本委員、その後、大嶋委員の順番でお願いしたいと思います。

 まずは清本委員、お願いします。

○清本委員 清本です。

 細かい点ばかりで申し訳ありません。

 119ページ、今回、追加いただいた図だと思いますが、下の図のタイトルが消えているので、追加をお願いします。

 それ以外に、図の凡例とか引用文献の書きぶりなどで何か所か気になった点がありますが、いずれも内容に関わらない部分だと思いますので、それは別途、事務局に連絡させていただきたいと思います。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございます。それは修正をさせていただきたいと思います。

 それでは大嶋委員、その後、清野委員、お願いしたいと思います。

 まず、大嶋委員。

○大嶋委員 もう少し早く気がつくべきだったと思いますが、カキについて、どこかに記述があるでしょうか。カキは養殖もされており、生産量としても結構、昔ありました。カキ礁も非常に大事だと思いますが、記述が見当たらないのですが、いかがですか。

○古米委員長 水産の漁獲量等の中に入っているかどうかかと思いますが、事務局、今の段階で何かお分かりでしょうか。

 養殖でしょうか、カキですから。養殖業生産量の中に、ノリと書いてあります。ほとんどノリだということなので、カキが入っているのかどうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木でございます。

 今、その確認ができませんので、掲載している資料の中にカキがあるかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

 もしも、入っていない場合、この段階で追加できる養殖量等のデータがありましたら、本文あるいは資料編などの追記を検討させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○大嶋委員 カキは大変重要なのに、なぜないのかというのは、非常に気になるところです。今、カキ礁でいろいろ研究もなされていますので、そういう意味でも、いろんなところでカキは本来出てくるべきではないかと思います。今後に向けての意見です。よろしくお願いします。

○古米委員長 ぜひカキの養殖量等の情報を入れていただく、あるいは、ない場合には、カキの養殖が行われているというような記載を最低限入れていただく対応をいただければと思います。

 それでは、清野委員、お願いいたします。

○清野委員 それでは、希少種についての意見を申し上げます。89ページに希少種についてのリストがございます。リストしていただいたら文献も追加していただいたというのはありますが、ベントスとして、それから生物多様性として、生態系指標種としても、あるいは、その環境アセスメントについても、非常にこの希少種というのは、環境行政上も、いろんな研究上も重要なものだと思います。

 ここについて、130ページにこういうものがいますというところまでは書いてありますが、書きぶりがほかの水産有用種の特定のものについて、物すごく細かい一方で、有明海全体に、やはり海洋生態系の研究など、実務の港湾河川の現場でも、いろんな研究も調査も行われていますが、なぜこのように少ないのかというのを伺いたいというのが、まず1点です。

 2点目が、鳥類について、有明海にはラムサール湿地もあります。それから、条約に登録されているということは、国際的にも鳥類の動態というのを報告されたりされているわけです。それにもかかわらず、その有明海の生態系を考える上で、高次捕食者としても重要な動物群ですが、記述が、この生物の中で少ないこと、また、後に来る今後の方策としても記述がないということがございます。

 この2点について、希少種及び鳥類についてのお考えと方針について御回答いただけたらと思います。

 以上です。

○古米委員長 ありがとうございました。

 事務局、いかがでしょうか。とても重要な御指摘だと思いますが。

○浜名閉鎖性海域対策室室長補佐 ありがとうございます。今の御指摘につきまして、満足ではないかもしれませんが、ひととおりお答えさせていただこうと思います。

 まず、特に海の生き物について記述を、89ページのほうに書いていまして、陸域の方、あるいは渡り鳥といったものが抜けているのは御指摘のとおりでございます。これまで、この形式でずっと説明してまいりましたので、パブコメを控えているこのタイミングで鳥類のことをどこまで書き込めるかというのは、何とも言えないところではありますが、重要な御指摘として受け止めたいと思います。

 また、まとめのところですが、こちらについては事実関係に即して、もう少し書き込める部分はあるのではないかと思っております。いずれにしても、海の環境と、そこを中心に生息する生物ということでまとめてきておりまして、鳥類など、生息・生育上、ほかの要因もかなり大きく絡みながらも、この有明海全体に関わっている生き物について、記載が少なくなっていた点は御指摘のとおりかと思っております。

 ラムサール湿地の関係でございますが、確かにこの海域には3か所のラムサール湿地がございまして、いずれも、ここの生態系を考える上で重要なのはそのとおりでございます。ラムサール湿地の関係とかについては、ここの生物というよりは、藻場・干潟の方で取り上げたほうがよいのではないかという気がしています。

 以上でございます。

○古米委員長 ベントスの希少種についてはいかがでしょうか。清野委員から御質問で、ベントスの項目の底生生物についての情報はありますが、希少種についても重要な内容なので、他の魚類に比べてどうでしょうかという御指摘があったかと思いますが、いかがでしょうか。

○浜名閉鎖性海域対策室室長補佐 すみません、回答漏れでございました。ベントスの希少種につきましては、この後、資料を整理・確認いたしまして、記載できるものは記載していきたいと考えております。

 以上でございます。

○行木閉鎖性海域対策室長 すみません、1点補足でございます。

 今、浜名からお答えいたしましたとおり、まず、中間取りまとめに書けるところを、しっかり充実できるように、書けるかどうかも検討し、対応させていただきたいと思います。

 現段階で、中間取りまとめの段階で記載に間に合うような記載が難しい場合には、その点も重要な視点ということで、今後の課題のところにしっかり書くということも検討させていただきたいと思います。

○古米委員長 清野委員、いかがでしょうか。

○清野委員 御回答どうもありがとうございます。満足ではないかもしれませんが、と言われると満足ではありません。

 なぜかというと環境省の中の野生生物や生物多様性については、自然環境保全基礎調査をネットで当たってもそれぐらいの情報というのは、今、学生のレベルとか市民のレベルでも整理をしようと思ったらできるわけです。お忙しいとは思いますが、やはり、その環境省の中で、そういった部局にも汗をかいていただいて、情報を出していただくということが重要になります。

 それから、干潟の問題を検討するときに、鳥類に対してさほどの見解を示された場合、恐らく、その内湾や干潟についての、国としての理解というか、生態系の理解というものが偏ったものがあるのではないかと指摘があるのを懸念しております。

 そして、もう一つは、これは私が、その学術セクターとして申し上げるかどうかは分かりませんが、今日の資料を拝見しましても、例えば土砂にしても、その山のほうからの情報をいただいており、別に、その水没しているものだけを閉鎖性水域として、定義して情報を集めているわけではありません。そうなった場合に、水中にいる生物というだけではなくて、やはりその流域、あるいは、その有明海に関係すると言われるようなものについての基本的なその生態学的、生物学的な認識が必要と思われるわけです。

 これは、御担当の部局の中だけではなくて、本当に他省だとか、場合によっては市町村のレベルまでこの委員会のための資料を集めるということで、多くの方が奔走されています。忙しい中、数字を電子化したりとか、電話をかけたりしているわけです。ですから、もう本当、これはあえて苦言を申し上げますが、この希少種と鳥類について、記述が少ないということであれば、その理由をやはり明確にしていただいて、対応については、今申し上げたように公開されているものであるとか、関係部局の協力、それから、本当に多くの人たちが論文も情報も出していますので、それの収集に積極的に当たっていただきたいと思います。

 現在は、あえて書かないということが物すごく意味を持ってしまっているということになります。本来書いているべきものが書かれていないということになると、それはすごく、その政治的な理由であるとか、価値観であるとか、利害であるとか、そういうことによって影響されているのではないかと邪推を呼んでしまいます。やはり、この委員会が科学性に基づいてということを白書に書いているからには、やはりその辺りは深刻に受け止めていただけるほうが良いと思っております。お忙しいのは重々承知しておりますが、重ねてこれは申し上げたいと思います。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木でございます。

 先生、貴重な御指摘、大変ありがとうございました。仰せのとおり、重要なところが抜けていたと思います。もちろん、今回の部分に関しましては、あえて書かないということでは決してありません。御指摘を踏まえまして、省内関係部署などとも上手に連携いたしまして、対応を検討させていただきたいと思います。山、海は川ですとか森、山ですとか、環境は続いているわけですし、それにつながる生物も、それぞれ関わりを持って、リンクがあるということ、本当に仰せのとおりだと思います。御指摘を踏まえて、対応を検討させていただきます。

 どうもありがとうございました。

○清野委員 ありがとうございました。閉鎖性水域対策室に関しては、本当に流域管理ということまでを含めまして、所掌範囲と承知しておりますので、ぜひとも積極的な御対応を今の発言のように期待しております。また情報が少ないとか、そういうときは、もう本当に研究者も市民の方々も情報提供してくださると思います。自治体も熱心に取り組んでおりますので、ぜひ、号令をかけていただけたらと思います。

 以上、発言の機会をありがとうございました。

○古米委員長 どうもありがとうございます。確かに、再生という方向性の中で、生態系をしっかりと意識して臨んでいくことが大事ですので、調査報告書、きっと平成28年度の段階では、今の項目があったという経緯があります。御指摘を踏まえて、生態系の中の鳥類も含め、いろいろな観点で重要性が増しているということや、今回の場合では、第4章の今後の課題のところでもデータを収集するということと、いろいろな利害関係者が連携して、その情報共有するという課題が記載されております。そういったところにも、従来、検討が十分には及んでいなかった点を記載することによって、今後の方向性も出せるのではないかと私としては感じておりますので、事務局に少し追記をお願いしたいと考えております。

 どうもありがとうございました。

 続いて、お二人手が挙がっておりまして、まず、最初は藤井委員からお願いして、その後、中田委員にお願いしたいと思います。

○藤井委員 資料の124ページについてですが、各県のノリの生産について、県単位で書かれておりますが、福岡県、恐らくほかの県もそうでしょうが、かなり空き漁場が増加している。要は、もう減作がかなり進んでいる。恐らく数年後には、明らかにもう生産が右肩下がりになるだろうというところが予見されますので、データが取れるうち、現段階からですが、生産を柵当たり、要は、その網を張ることができる場所を柵と言いますが、柵当たりのデータを取りながら、この生産のほうをまとめていく時期がもう来ていると思います。

 過去においては、もう漁場全体に網が張ってありましたが、かなり網を張らない場所というのが目立ってきております。恐らく、もう数字が下がっていくというところであり、これが何を原因として数字が下がっていったのかというところを押さえるためにも、今のうちから、そういう柵当たりのデータというようなものを漁連や漁協から集め始めることが大事というところを発言させていただきました。

 以上です。

○古米委員長 いかがでしょうか。もう少し柵ベースでも、丁寧な、詳細なデータを集めていく、今後必要だということ、あるいは、もしデータがあるのであれば、その内容をということだと思いますが、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。

 御指摘を踏まえまして、関連するデータが現時点であるかどうかを、まず確認させていただきたいと思います。それを踏まえて、もしある場合はその観点での記載の追記、あるいはそれがない場合は、そういった視点でも分析をしていくことが大事ということを追加することを検討させていただきます。ありがとうございました。

○藤井委員 お願いいたします。

○古米委員長 続きまして、中田委員、お願いいたします。

○中田委員 そもそも論で言うと、この委員会というのは多様性の保全、それから豊かな海の再生、両方目指していくということだったと思います。そういう観点からいくと、例えばナルトビエイみたいな希少種の重要性というのは近年、注目されているというような記載が随所にありますが、これは比較的近年見られてきた現象だが重要。そういう現象と、魚介類みたいに昔の豊かな状態に戻したいという、トレードオフがあるようなものが並列しています。その両方を書き込むというのは非常に重要ですが、それぞれ調査において、この目的のためにこういうことが重要だということを一言書き加えていただくと、単に束ねただけというものではなくて、出口を見据えながらやっているということが明確になると思いました。例えば122ページに、ナルトビエイの基礎的知見を集める、蓄積するような記述がありますが、具体的に、特にどこに重きを置いてやるのか、そういうことをさらに書き加えると、より具体性を持った、あるいは政策に直結するような書きぶりになると思います。もう終盤にこういう意見を言うのは少し今さらのところもありますが、できることはそういう追加をしていただければ良いと思いました。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございます。いかがでしょうか。第2章の記述と第3章への反映という、ちょうど中間的な感じを今、私は受けましたが、事務局でそのような対応が可能か、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。

 御指摘ありがとうございました。大変重要な点と思います。どのように追記をさせていただくか、今この時点では、すぐ具体的には申し上げられません。御指摘を踏まえまして、例えばナルトビエイなどは2000年頃から水温の上昇に伴って有明海で増えてきております。そういった環境の変化なども踏まえて、調査において、昔からいるものの把握、それから新たな環境変化で変わってきたものの把握など、例えば書けるところに目的などを追記する等、工夫を検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。

○古米委員長 中田委員、いかがでしょうか。

○中田委員 ありがとうございます。それで結構です。

○古米委員長 今、気づいた範囲内では、120ページのイ)の辺りに生態系構造の変化の可能性というようなところがあります。そこら辺も少し、中田委員に読んでいただいて、もし追記ができるところがあれば。要は生態系の健全性を確保する、あるいは多様性を確保するという観点から、どういう意味があって、だからこういう調査をしているというような文言が入るとよいかと。この部分は調査結果の取りまとめですので、そういったところを示しながら結果を出すということにしたいと思います。もしお気づきの点があれば事務局にお知らせいただければと思います。

○中田委員 はい、分かりました。

○古米委員長 続きまして、林委員からお願いしたいと思います。

○林委員 林でございます。グラフの見た目だけの話です。112ページの図2.9.3-11ですが、これは本文にもあるとおり熊本県だけのデータで、一つ上のグラフで、その紫が熊本県ということで凡例がないと思いますが、できたらここにも凡例を入れていただければと思います。

 それからその下に同じ八代海に関して、121ページのところでは熊本県と鹿児島県と二県が表記されているので、上の図では熊本県だけということなので凡例がないと思いますが、通して見たときに、ここ鹿児島県はと思ってしまうということなので、紫が熊本県だということを一応、凡例は入れていただきたいと思います。

 また、今の県ごとの積み上げグラフがたくさん出ており、今回はもうこれで凡例も載っているので良いかと思いますが、今後、県の色を決め込んで、章とか節が変わっても同じ色の表記で積み上げグラフを、5県の色を決めて描いていただくほうが通して見ている者としては見やすいように思いました。

 以上でございます。

○古米委員長 どうもありがとうございます。2点目の件は私もそう思いましたので、ぜひ色の統一は、読む側にとって非常に助かりますので、そのようにしていただくことと、112ページの八代海については、鹿児島県のデータがないとすれば、それのままで結構です。熊本県の紫色をつけた形で描くということで対応していただければと思いますが、追加で何かありますでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 いえ、特に追加はございません。適切な凡例の追加など、御指摘を踏まえて対応させていただきたいと思います。ありがとうございました。

○古米委員長 どうもありがとうございました。やはり多くの方に見ていただいて、分かりやすくするというのは、この評価書の重要な点ですので、いろいろとお気づきの点があればお知らせいただければと思います。林委員、どうもありがとうございました。

 ほかに御質問、御意見、いかがでしょうか。

 特にお手が挙がっておりませんので、次に進ませていただきます。

 続いて、中間取りまとめ第3章案と第4章案について、事務局より御説明をお願いしたいと思います。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省の横内です。

 中間取りまとめの第3章、第4章案になります。

 参考資料5については、中間取りまとめの第1章から第4章をまとめた概要版になります。この資料は、今後、環境省がこの資料を使って中間取りまとめの説明等に活用することを前提に作成しております。

 昨年、有明海及び八代海等を再生するための特別措置法が改正され、評価委員会の所掌事務の執行状況を分かりやすい形で公表することが明記されましたが、その説明にも寄与するものと考えております。分かりやすさの観点では、今後、写真や図を加え、太字や下線などを使って読みやすくする工夫も行う予定です。

 また、この参考資料5の内容については、本日、中間取りまとめ案について御審議いただいた内容を踏まえ、この内容についても修正したいと考えております。

 それでは、資料5を御覧ください。

 第2章では、有明海・八代海等の環境の状況として、新たなデータや知見が得られた情報を中心に整理を行っております。第3章では、再生方策等の実施状況等と課題を整理しております。続く第4章では、再生方策に共通する今後の課題を整理しています。

 第3章の構成について、12月の評価委員会において、松野委員、林委員等から、再生方策の表や関連事業を加えた連関図とその後の第3章の記載内容とのつながりを丁寧に記載してはどうかとの御意見をいただきました。

 また前回は、連関図は第1章に置き、第3章では連関図と各事業の大まかな関係を整理した図をつけていたところですが、山口敦子委員から、評価委員会で個々の主体の事業の評価を行うわけではないが、誤解を招くのではという趣旨の御指摘をいただきました。

 さらに、1月の小委員会において松野委員から、4ページに掲載の再生方策の一覧について、順番を変えた理由や、第3章をどのような流れで記載しているかを明記したほうがよいとの御意見をいただきました。これを受けて、1ページ目の5パラ目になりますが、説明や注釈の追加と図の変更を行っております。

 1ページでは、平成28年度報告において、再生目標として、自然環境としての豊かな海の保全がまず挙げられ、それに伴って、そこで育まれる水産資源の保全、あるいは再生を目指すという二つの目標が位置づけられ、それを踏まえて生物の生息環境の確保を図りつつ、水産資源として重要と考えられる主要4項目を取り上げることとされたこと、これら4項目の変化に着目して問題点と、問題点に関連する可能性が指摘されている原因・要因が図1の連関図として示されていること、再生目標を達成するための再生方策が整備されていることを述べ、これらを踏まえて関係省庁、県により様々な調査や対策等の事業が実施されていることをまず説明しています。その上で、この章でこの後記載している事項について、どのように整理していくかについて説明しています。具体的には、これ以降で述べる再生方策等の実施状況等と課題の整理に当たっては、表1に示す再生方策を対象に、図1の問題点と原因・要因の関連、それから、各事業を踏まえた上で、今般得られた主要な知見や特筆すべき知見を記載するとともに、その課題について整理したことを述べております。

 それから、注意書きで再生方策の一覧は、再生目標の順番を踏まえ、記載の順番を変えたことや、3.1以降の項目についても同様の記載の順を原則とし、便宜上適切な場合は、関連する取組をまとめて記載していることを追記しております。

 関連し、2ページ目、3ページ目には、第1章から有明海・八代海の問題点と原因・要因の関連を整理した連関図を載せております。

 1月の小委員会で清本委員から、気象、海象の凡例の色が図中と違うとの御意見をいただき、修正しております。

 4ページ目、表1、再生方策の一覧になります。前回提示した一覧は28年度報告の概要をまとめた資料から抜粋したもので、二つに分かれておりました。12月の評価委員会で山室委員から、表が分かれていることと後述の記述との順番について御指摘をいただき、表は一つにまとめ、項目の順番を、再生目標の順番を念頭に置いて、まず環境要素について整理し、続いて資源回復に取り組むという流れで修正しております。また関連し、これ以降の記載の順についても同じ順序としております。

 5ページ目を御覧ください。

 これ以降は、関連した参考情報や補足の説明となります。1パラグラフ目では、次ページの図3-2が前回評価委員会で示したもので、関係省庁・県により多数進められている事業の大まかな全体像や再生目標のどの部分に関連しているかを分かりやすく示すため、関係省庁等の事業と連関図を整理したものです。

 また、2パラグラフ目には、11月の小委員会で速水委員から、連関図の関係で線が多く分かりにくい、関連があることが確かなものは線を太くしたりしてはとの御意見をいただきました。御指摘は連関図の内容自体の見直しになりますので、中間取りまとめの段階では対応が難しく、今後、精査等が必要である旨を記載しております。

 また、12月の評価委員会で山室委員から、再生方策に記載されているが、第3章に記載のないものがあるとの御意見をいただき、今は実施状況が報告されていないものがありますが、その点は令和8年度報告での取りまとめの予定である旨、記載を追加しております。

 6ページ目、7ページ目には、先ほど説明した連関図と主な事業等との関連の図を載せております。なお、7ページ目の八代海の図については、前回評価委員会から追加をした図になります。

 8ページ目を御覧ください。

 これ以降、3章の中では、まず平成28年度委員会報告により記載された問題点等のポイントを記載し、続いて、再生方策の実施状況や、それにより明らかになったことなどと課題を記載しております。前回評価委員会では、箇条書で記載しておりましたが、11月の小委員会において、速水委員から、箇条書では論理構成が分かりにくいと御意見をいただき、箇条書から文章の形へ変えております。

 また、灘岡委員から、どこまで、何が分かり、何が未解明の点として課題となっているかを端的に述べること、平成28年度報告で整理された問題点や課題と取組との関連性についても触れるべきとの御指摘をいただきました。これに関して、第3章でできるだけ記述の具体化を試みたところです。

 また、第3章の記述について、12月の評価委員会で山西委員から、第3章の説明が第2章のどことリンクしているのか分かりにくいとの御意見をいただきました。まだ第2章や資料編につきましても作業を行っているところですので、現段階ではできておりませんが、最終的には中間取りまとめを公表するまでには、第3章の記述に関連する第2章の項目番号などを追記し、リンクを分かりやすく示したいと考えております。

 それでは、再生方策等の実施状況等と課題について、主な修正点等をざっと御説明したいと思います。

 3.1生物の生息環境の確保、3.1.1底質の改善、河川からの土砂流入量の把握です。再生方策の実施状況等と課題の2パラグラフ目のところですが、1月の小委員会において樽谷委員から、底質についての調査の結果、分かったことの記載を加えるべきとの御意見をいただき、底質調査の結果、大雨の後、底質の濃度が上昇し、長期にわたりその状況が継続していることなどを追記しております。

 3.1.2藻場・干潟の分布状況等の把握、漂流・漂着・海底ごみ対策です。

 9ページを御覧ください。

 3パラグラフ目に、第2章での記載を踏まえ、港湾・漁港・海岸保全施設の適正な管理の記述を追加しております。

 3.1.3水質(貧酸素水塊の軽減対策、赤潮対策)。再生方策等の実施状況と課題の1パラグラフ目ですが、1月の小委員会で速水委員、古川委員から、貧酸素水塊について分かってきたことを記載すべきとの御意見をいただき、有明海湾奥部の干潟縁辺域とその沖合域で貧酸素の変動の様相が異なることなどを記述しております。

 それから、10ページを御覧ください。

 1月の小委員会で樽谷委員から、赤潮について何が明らかになったかなど記載が必要ではとの御意見をいただき、2パラグラフ目の最後部分に、より高精度の赤潮発生予察のため、両海域の双方から赤潮の移入状況を把握することが必要であることを追記しております。

 また、速水委員から、下水道の整備の記述があるが、有明海では陸域の負荷はそれほど大きくないことを踏まえ、丁寧に記載すべきとの御意見をいただき、有明海・八代海では汚濁負荷量は、平成28年度以降、横ばいか減少傾向になっていることなどを記載しております。

 3.2ベントスの変化、3.2.1ベントス群集・底質の継続的なモニタリングです。再生方策等の実施状況等と課題の1パラグラフ目については有明海のベントスについて、2パラグラフ目については八代海のベントスについて記載しております。第2章の記載を踏まえ、種の変遷、象徴などの記述の追加をしております。

 1月の小委員会において、山本委員から、第2章の記述とほぼ同じではないかとの御意見をいただき、記載の修正をしております。また、山本委員から、継続的なモニタリングに加え、様々な研究主体とのデータの共有の必要性を記載すべきとの御意見をいただき、最後の行に記載を追加しております。

 11ページ目を御覧ください。

 3.2.2ベントス群集の変化・変動要因の解析です。再生方策等の実施状況等と課題の1パラグラフ目については、12月の評価委員会で山口啓子委員から、クラスター解析の結果を載せるべきとの御意見をいただき、クラスター解析の結果の概要を記載しております。なお、詳細につきましては資料編に記載する予定です。解析を行ったところ、ベントス指標種の個体数の一時的な増加と底質の変化に関連があることが示唆されたものの、その後、この個体数の変化は一時的な現象である可能性が高いことが分かり、ベントス群集の変化と底質との明確な関係性は認められなかったという結果となっております。

 また、1月の小委員会において山口啓子委員から、今後、個体数では把握できない変化を見るため、種組成を把握していくことが重要といった課題を記載すべきとの御意見をいただき、種組成に着目した検討が必要であることを記載しております。

 3.3有用二枚貝の減少です。タイラギ、アサリについては、浮遊幼生の調査、母貝団地の造成、稚貝育成・移植等の資源再生の取組が行われております。タイラギでは、特に立ち枯れへい死の原因調査等の実施、アサリでは、浮遊幼生の挙動を推定するシミュレーションモデルの構築が実施されたことを記載しております。

 12ページ目を御覧ください。

 3.3.1では、タイラギの生息状況や浮遊幼生の出現状況。平成28年度委員会報告による問題点等について、2行目のところで、もともとは「着底後に『立ち枯れへい死』」と呼ばれる」と記載しておりましたが、1月の小委員会において、川原委員から、分かりにくいので「着底後、翌年に発生する『立ち枯れへい死』」と表現ぶりを修正してはとの御意見をいただき、修正しております。

 再生方策等の実施状況等と課題については、小委員会の松山委員からの御意見を踏まえ、最後の部分に浮遊幼生のソースとなる親貝の分布状況把握や着底直前の浮遊幼生の動態把握が不十分であることを追記しております。

 3.3.2では、タイラギの立ち枯れへい死の原因解明の平成28年度委員会報告による問題点等について、もともとは9年連続で休漁しているとの記載がありましたが、1月の小委員会において川原委員から、3.3.1でも「9年連続休漁」の記載があるので削除してもよいのではとの御意見をいただき、「休漁状態が続いている」と表現ぶりを修正しております。

 再生方策等の実施状況等と課題については、12月の評価委員会で川原委員から、タイラギの立ち枯れへい死について、「冬から春」との記載があるが、第2章では「春から夏」と記載があり、整合していないと御意見をいただき、「多くは春から秋にかけて発生する」と記載を修正しております。

 また、12月の評価委員会において大嶋委員から、海底から切り離すことがよい成果が出ていることなど、取組についても記載すべきという指摘をいただいておりますが、3.3.2のところで、「浮泥層厚と餌料環境との関係が示唆されるとともに、海底から1m程度切り離すことで立ち枯れへい死が見られなくなったことから、海底近傍の環境が立ち枯れへい死に影響する可能性が考えられた」と記載をしております。

 13ページ目を御覧ください。

 3.3.3タイラギ母貝団地の造成と移植のところは、灘岡委員から、平成28年度報告前の成果が記載されている点について、報告以降の新たな知見を整理するということと逸脱しているのではないかと御指摘をいただきました。この記載の部分については、前回の報告書の中で記載されていなかった情報について関連した取組を説明するための背景として記載を行っております。

 再生方策等の実施状況等と課題については、小委員会の松山委員からの御意見を踏まえ、最後のパラグラフのところに「生産されたタイラギ人工種苗を母貝として移植するためには、リスクの低い海域で効率的な中間育成を行うことが効果的」のところですが、複数機関が連携した取組が必要であることを追記しております。

 3.3.4アサリ浮遊幼生の出現状況では、再生方策等の実施状況等と課題については、1月の小委員会で速水委員から、3.3.4と3.3.5で「母貝団地」という言葉と「母貝生息地」という言葉が使われているとの御意見をいただき、「母貝団地」に用語を統一しております。

 また、小委員会の松山委員からの御意見を踏まえ、浮遊期間中のアサリの生残率などは考慮されていないものの、数値モデルによる評価の結果、有明海では広域的なアサリの浮遊幼生供給関係があることが推定されたことを追記しております。

 14ページ目を御覧ください。

 3.3.5アサリの資源再生、母貝生息適地の保全・再生では、再生方策等の実施状況等と課題について、小委員会の松山委員からの御意見を踏まえ、2パラグラフ目の安定的な再生産サイクル形成に必要な産卵母貝量の把握や、母貝の育成、稚貝の育成・移植等における技術的課題に係る技術開発や実証事業などに取り組むことを追記しております。

 3.3.6エイ類等の食害生物の駆除・食害防止策では、再生方策等の実施状況等と課題について、ナルトビエイの来遊量及び摂餌量の調査、生態把握調査、駆除・食害防止策等が実施されたことなどを記載しております。

 15ページ目を御覧ください。

 3パラグラフ目のナルトビエイの記載については、もともとは3.5.1の魚類漁獲量等の状況のところで記載しておりましたが、ナルトビエイによる二枚貝類漁獲量への影響についての記載のため整理し、この項目に移しております。内容としては、第2章の記載を踏まえ、ナルトビエイは近年、生態的知見が蓄積され、希少性の高い種であることが明らかになったこと、二枚貝類漁獲量への影響も引き続き考えられることから、捕食・被食関係を含め、ナルトビエイの生態について、科学的知見を充実する必要がある旨を記載しております。

 16ページ目を御覧ください。

 3.5魚類等の変化、3.5.1魚類漁獲量等の状況です。再生方策等の実施状況等と課題では、有明海の魚類漁獲量は1987年をピークに減少傾向であり、底生魚類の減少程度が大きいものと考えられること、また、有明海では、近年、豊富な高次捕食者から成る生態系構造であることが分かってきたことや、八代海の魚類資源の動向を評価するに十分な情報がないことなどについて記載しております。

 1月の小委員会では、ナルトビエイの生息数は減少したにもかかわらず、貝類漁獲量は増加していないことや、一方でナルトビエイによる水産有用二枚貝類の摂餌の影響は小さくないことも報告されており、ナルトビエイと二枚貝漁獲量の減少の関係に係る調査・研究を進め、科学的知見を充実する必要があるとの記載をしておりましたが、内容は二枚貝類漁獲量への影響についての記述であるため、3.3.6のエイ類等の食害生物の駆除・食害防止策に記述を移しております。

 第3章案については以上になります。

 続きまして、第4章になります。第4章の1ページ目を御覧ください。

 第4章、再生方策に共通する今後の課題です。ここでは今後、関係機関が適切かつ効果的な再生方策等を進めるための共通する課題を整理しております。

 4.1では、平成28年度委員会報告のデータの蓄積に関する記述を踏まえつつ、蓄積したデータを活用し、データの分析・解析や、数値モデルの有効活用により原因・要因の解明や有効な取組の検討に役立てることが重要である点や、気候変動等による長期的・短期的な影響について調査・研究が重要である点を記載しております。2章で御説明した水質・底質の解析、評価に関する事項もここで記載しております。

 1月の小委員会で速水委員からの御意見を踏まえ、環境データ等の蓄積の2番目の河川流量から土砂等の流入物質のところの表現を修正しております。

 また、1月の小委員会で古川委員から、藻場・干潟における生態系の機能の解明にはブルーカーボン関連の視点もあるとの御意見を踏まえ、炭素貯留機能を追加しております。

 また、12月の評価委員会において山口啓子委員から、ベントス群集のところは、第3章で種組成となっているが、4章で「種類数」となっており、「種組成」に統一してほしいとの御意見を踏まえ、修正しております。

 また、最後のパラグラフの「加えて、気候変動に伴う気温や水温の上昇傾向による海域環境」という文章については、もともとは1パラ目の後段に記載されておりましたが、1月の小委員会において速水委員から、最後のパラグラフに移したほうがよいとの御意見をいただき、文章を移動しております。

 また、12月の評価委員会において、大嶋委員から、マイクロプラスチックについても今後、流入量が増える可能性があり、課題に挙げてほしいとの御意見を踏まえ、この部分に追記しております。

 4.2では、関係者による連携強化と情報の発信・共有の推進として、多様な主体が連携して取り組むことや、海域・地域を越えた関係者の連携や合意形成を図りつつ、普及啓発を充実されることなどについて述べております。関係者の養成の重要性についても記載しております。

 1月の小委員会において、速水委員から、積極的なデータの公開・公表を進めるような記述を記載してはどうかという御意見をいただき、オープンデータ化に取組の記述を追加しております。

 次のページを御覧ください。

 4.3、再生目標と再生事業等との関連性の明確化と他事業等との連携強化では、12月の評価委員会において、灘岡委員から、順応的管理の考え方が明示的に取り入れられていないとの御意見を踏まえ、3パラグラフ目の最後の部分に、科学的に評価した結果をフィードバックしていくことが重要であることを記載しております。

 また、12月の評価委員会で西村委員から、今後、脱炭素が重要になると思うので、キーワードとして加えてほしいとの御意見を踏まえ、脱炭素社会の実現などの記述をしております。

 4.4では、今回は中間取りまとめですが、令和8年度に行う予定である次の評価委員会報告に向けた取組について記載しています。今般の中間取りまとめでは、気温・水温の上昇や大雨等に伴う大規模出水による影響の顕在化が述べられていますが、このような状況・情勢の変化を踏まえ、今回整理された課題の解決に取り組むことが求められていることなどを記載されております。

 1月の小委員会で矢野委員から、当面の目標時期に関する記載について、表現を改めるべきと御指摘をいただき、表現ぶりを修正しております。

 第3章案及び第4章案の説明は以上になります。

○古米委員長 どうも御説明ありがとうございました。

 それでは、第3章、第4章につきまして、何か委員の方々から御意見、御質問があればお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

 それでは、藤井委員、お願いいたします。

○藤井委員 藤井です。

 今さら感というのがありますが、資料5の2ページの図3-1について、右下の緑の枠に有用二枚貝の減少というところがあり、そこが食害もしくは底質の悪化、有機物の増加という環境の悪化というところにつながっていますが、有用二枚貝の餌料環境というところに関しては一切ないというところ。

 当然その有機物の流入、栄養塩の流入というところ、それが餌料、プランクトン類の増殖につながりますが、それがまた餌料になるというところが、欠落しているようです。時間がないというところもありますが、今後につながるというところでの発言です。そのベースとして、資料4の3ページに環境負荷の減少というところがありまして、昔に比べかなり環境負荷が減っているということ、あと、その後の128ページ、かなり海面漁獲量、養殖業生産量を含めたところの有明海の生産は減っています。関係性も見えてくるというところもありますが、やはり基礎生産が減少しているから生物が減少しているという考え方というのが存在しないというところです。全てをその環境などの悪化という、有機物の増加などにつなげており、その餌料環境がどうなっているかというところはこれでは見えてこないので、これは今回の中間取りまとめとかの関係ではなく、そういう視点も大事ではないのかなというところでの発言です。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございました。この連関図はさらに見直しをして、バージョンアップしていくということになろうかと思います。重要な御指摘だと思います。

 事務局から何かありますでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木でございます。

 ここで載せております3-1の(1)、それから(2)につきましては、冒頭、横内からも説明させていただきましたが、前回の28年度報告の折にこのようにまとめられていたということの紹介でございます。

 今、御指摘いただきました点、その後、有明海・八代海につきまして、知見が集まってきた中でも非常に重要な点の一つだと思っております。ここの資料5の5ページのところに、今後、令和8年度報告に向けまして、精査をしていくべきものとして、この図3-1の説明がございますが、今いただきました視点も大変重要な点と思いますので、今後、しっかり精査をして、この連関図にも反映ができるように、しっかり作業を進めていきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○藤井委員 お願いいたします。

○古米委員長 それでは、今4人、手が挙がっておりまして、山本委員、矢野委員、皆川委員、清野委員ということで、最初に、山本委員からお願いしたいと思います。

○山本委員 16ページについてですが、先ほど2章のところでカキについて御指摘がありましたが、この16ページの最初の段落の色落ちのところ、真ん中辺りですが、「二枚貝による色落ち原因プランクトンの除去」という、恐らくここの二枚貝というのは、もともとはカキを想定して西海区水研でもいろいろテストをされてきていると思いますが、ここでもう少し具体的なことが言及できるのではないかと思いました。

 以上です。

○古米委員長 はい、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。

 御指摘ありがとうございました。この部分で上がっておりますノリの養殖を二枚貝の養殖と併せて実施する試みの検討は、確かにカキにつきましても対象となっていたと承知をしております。御指摘も踏まえまして、その辺り例示を入れるなど、追記につきまして検討させていただきます。ありがとうございました。

○古米委員長 それでは続きまして、矢野委員、お願いします。

○矢野委員 第4章の4.1についてですが、最初の3行のところの書きぶりについて、書かれていることは必要なデータを蓄積していくということで、それ自体は問題ありませんが、ここを読むと、モニタリング調査等を実施・継続することにより蓄積を図っていくということで、今のモニタリング体制をそのまま継続してデータをためていくというようなことだけが書かれているように少し読めます。下のほうの段落で新しい問題も出てきているとかとも書かれていながら、実際のモニタリングは現状維持みたいな雰囲気にも読めるので、例えば「モニタリング調査等を必要に応じて拡充する」とか、そのような文言を加えられないというお願いです。新しい課題というのが出てきているわけですから、新しいモニタリングというのも必要ではないかと思います。これが令和8年までに間に合うかどうかというのは確かにありますが、この中間報告段階で見えてきていることがあるのであれば、やはりそれに対応していくという方向性を示すというのは大事と思いました。

 以上です。

○古米委員長 事務局、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木でございます。

 御指摘、ありがとうございました。ここまでの議論の中でも、例えば気温や水温の変化に伴って雨の降り方が変わっているなど、新たな知見としてデータの充実も含めて大事な点、御指摘いろいろいただいていると思います。御指摘を踏まえまして、ここの部分、必要な場合のモニタリングの拡充も追記をするように検討させていただきます。どうもありがとうございました。

○古米委員長 それでは続いて、皆川委員、お願いします。

○皆川委員 熊本大学の皆川です。

 先ほど委員から御指摘ありましたとおり、恐らく流入負荷が減少していることによっての影響というのも、例えば、特にノリにつきましては大きな関連を持っていると思います。4.1につきましては、環境データの蓄積というところで河川からのすなわち栄養塩の負荷の問題になります。その点の記載が、窒素、リンの物質循環という記載はありますが、流域という視点からの負荷というようなことが軽減されることによってのコントロールというのも恐らく大きな、養殖においても、特に有明海においては大きなウエートを占めるとも思いますので、4.1についてはそこが分かるような記載に、例えば環境データの蓄積や海面の部分で今後の方策が分かるように加えていただけると良いと思いました。窒素、リンの物質循環でも分かりますが、やはり流域からの負荷という観点が分かるように、ノリのところは赤潮のところが主に対策として書かれていましたが、その辺、コントロールはもうダムでも結構やられているという事実もありますので、分かるような記載が良いのではないか思いました。コメントです。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございました。先ほどありましたような流域管理の重要性、また、生態系の多様性の観点からすると希少種がどうなっているかという点など、いろいろと追記すべき点あります。この種のデータ蓄積とともに、先ほど御指摘にあったように、もう少し拡充すべきモニタリング項目があるのかどうかも大事です。現在のデータの取りまとめは、現状の水環境がどうなっているかというものですが、例えば、社会側、人間側で廃水処理して排水しているものがどう環境側に影響しているか、あるいは流域の管理の中でどのようなインパクトがあるのかという環境全般のデータは十分には反映されていない状況です。環境に与える要因のデータ整理というのも含めた形で表記することも考えられます。そして、その次の段階でデータ解析などもありますので、そういったところに反映することも必要なのかと私はお聞きして感じました。事務局で考えられる範囲内で意見への対応や反映できるようにしていただければと思いますが、何か御発言あるでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。

 今の皆川委員の御指摘、それから座長からの御指摘を踏まえまして、修正について検討させていただきたいと思います。特に皆川委員からの御指摘は、その流域から入ってくる負荷量が変化したことによる環境の変化を捉えられるような科学的知見の充実につながることをもう少し明らかに、明確に書くようにという御指摘だと思いますので、その点も踏まえて検討させていただきます。ありがとうございました。

○古米委員長 皆川委員、よろしいでしょうか。

○皆川委員 はい、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

○古米委員長 それでは続いて、清野委員、山西委員の順番で、まず清野委員、お願いいたします。

○清野委員 委員長、先生も含めて御議論いただいた部分に関係しますが、これだけ、やはりデータの蓄積やモニタリングをされていますので、それを関連する、やはり施策というかオペレーションにどのようにフィードバックしているかということをもう少し具体的に書いていただくと良いのではないかと思います。今までは、やはりこの有明海・八代海の特別措置法によりまして、ダムの海域への放水など、弾力的運用というのが様々な制度などを見直しながら進められてきた。あるいは下水道の放流の見直しなど、そのメカニカルなところも含めての開発や干潟の再生など各部局、かなり具体的な施策をされてきたと思います。それが、もっと見えるようにというか、各部局の中での経験値になっていて、ほかでも活用し得るような制度であるとか考え方、そして、そのデータを見ながら管理していくという試行錯誤のプロセスが今の委員会の資料など今回のまとめでは少し希薄になっているように思います。何のために調査をしているのかというのは、やはり納税者の方や地元の方にとっても、その調査・研究のためだけと受け止められてしまうことも正直あるので、どのように貴重なデータを各自治体、事業者、管理者にフィードバックしていくかをよりイメージした記述法があるかと思います。それについては、やはり今、画面に出てくるところの記述でも、項目はありますが、あとは先方で考えてくださいという感じに見えてしまうので、そこを国として制度、技術、それから、その合意形成や事業間調整のために何が必要かを、その部分をもっと留意して書き込んでいただかないと、ずっと調査が続くだけになるので、ぜひそこは加筆をお願いしたいと思います。

 閉鎖性水域の室長様に伺いたいのは、やはりこの膨大なデータをどうやって情報提供いただいた行政部局にもフィードバックしていて、実際の水域管理につなげるかという、そのビジョンや、方策、プロセスについて、もしお考え等ありましたら教えていただけたらと思います。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございました。後で室長からお答えがあるかと思いますが、私も聞いていて、何となくデータ、情報を集めて蓄積して解析するところに留まっている表現になっているようです。要はデータを取る、情報を取る、新しい知見を得た後、それをどう皆さんにお伝えするのかということと、その出てきた情報をどう次に生かしていくのかというイメージが少しこの文章だと弱そうです。後半で情報を共有しましょうというところで、オープンデータ化という言葉も入って、出し方については少し記載がありますが、では、今回の今実施されている再生方策自体が本当に効果的なのかどうかと、次を見据える上にどれだけになっているのかというように、現場の事業等に生かすという使い方についてももっと強く意識していくべきだろうと思います。4.2なのか3なのか分かりませんが、モニタリングの4.1も含めて、三つを含めて、どう書きぶりを変えるとそれが伝わるかというのは大事な感じだと私も思いました。

 それでは、今後の大量なデータをどう使っていくかというところについて、何か室長からあればお願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木でございます。

 貴重な御指摘、大変ありがとうございました。今いただきました点は、第4章全般に関する大変重要な点だと思っております。資料の説明のときに少し言葉が足りなかったかなと思っておりますが、今いただいた御指摘、4.1から4.4までそれぞれに関連する記述を過去の評価委員会から私どもとしては充実をさせたつもりでおりまして、まず4.1のところにつきましては、今映っているところの下の部分ですね、「また」のところで、データを集めた後、それを踏まえてデータの分析・解析に取り組んでいき、最新の知見を踏まえて、問題点、原因・要因の解析・解明や効果的・有効な取組に役立てていくことが大事ということをここまでの修正の中で新たに加えております。

 それから、4.2のところでは、御指摘のとおり、情報を共有していくことは大変重要だと思いますので、2ページの上のところで、海域・地域を越えて関係者の連携や合意形成を図りつつ、有明海や八代海等の生物や水環境、再生方策等の取組状況などの情報のオープンデータ化に取り組み、発信・共有を進めながら対応していくということを記載しております。

 それから、4.3のところ、これも過去の案ではありませんでしたが、3パラグラフ目のところで、フィードバックの観点を新たに盛り込みました。いろんな取組がなされているわけですが、相互に関係もありますし、いろいろ影響の大小もあるということもございますので、そういったところについても最新の知見とともに整理をしていき、適切・効果的な事業などの推進と、ほかの事業との効果的な連携を強化できるように得られた知見をフィードバックしていくことが重要ということを今回盛り込んでおります。

 それから最後、4.4のところです。今回、中間でございますので、次の令和8年度報告に向けた取組ということが大変重要になってまいります。4.4の5行目のところから、令和8年度委員会報告に向けては、このような状況や情勢の変化も踏まえつつ、ここで整理された課題の解決に向けて取り組むことが重要。このため、再生目標の達成状況や実施状況の定期的な確認とともに取組について検証して、これを踏まえて再生に係る評価を適切に実施するということを加えまして、我々としましては、先生から今いただきました御指摘、大変重要な点と思いまして、第4章、ここ全般的にバージョンアップして、その追記を実施させていただいたつもりでおります。今回いただきました御指摘も踏まえまして、いま一度、ここ第4章それぞれのところに関連する事項、記載がございますが、もう少し明確になるような工夫ができないかということを検討させていただきたいと思います。貴重な御指摘ありがとうございました。

○古米委員長 清野委員、いかがでしょうか。なかなか大量のデータや情報をどうフィードバックするかという方法論は難しいですが、課題認識はされていますので、さらに共有できるかという、もしアイデアがあれば、ぜひ御提供いただければと。

○清野委員 今の室長様のお考えも拝聴しまして、また文章も拝見して、恐らくそういうお気持ちで書かれているのかなと思っておりました。

 一方で、私も県とか市町村とかのいろんな水関係の技術的な支援というのをしていると、もう大量なデータが公開されましたというので、あと見ておいてくださいというような感じで、さてこれをどうするのかというのは、本当にそこのところが人が足りていない。現場を回していくだけで皆さん、日々追われている中で、そういう部分を日本社会の中で誰が生かしていくのかというのは、大きな隙間をどうするかという全般的な問題にも関わってきます。それで、熱心なやはり市町村などもありますので、ぜひその公開されたデータをどうやって現場が使っていくかという、そのモニター的なものなど、忌憚ない御意見を現場からいただきながら提供の仕方を一緒に考えていくというような、そういうことができると良いのではないかなというように思っております。今回、この委員会資料を作るのに本当にたくさんの方がデータを取って提供してくれていて、それをフィードバックされる、フィードバックのときにこのPDFでどさっと来る、あるいはサイトを見てくださいというのではなく、何かサービスがという話も実際ありましたので、研究者も含めて、そのような技術、環境政策というのを進めていくための政府なり、そういうところでの御検討を進めていただけたらなと、切に思いました。室長のお気持ちも文章の読み込み方も十分に分かりましたが、客観的に見て、もう少しその具体性が上がったということになるように期待しております。どうも御対応ありがとうございます。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございます。大きな課題ですが、確かに、改正されて分かりやすい形で公表するということですので、まさにそれに沿った形で従前よりは一歩一歩でもいいので、進歩をしていくというか、改善していく必要があるかと思います。どうもありがとうございました。

 先ほど、山西委員、手が挙がっておりましたが、類似の御意見でしたでしょうか。

○山西委員 はい、もう清野委員と古米委員長含めた総括していただいたような形だったので、特にいいかなと思って下ろしました。とにかく私からは、地元のほう、特に有明海の湾奥の西部水域のところは、かなりノリの養殖を含めて死活的な問題が生じているので、恐らくまとめの3、4章のところが一番肝のところなので、その中で具体的にこういうことが次につなげる一歩ですというようなことがアピールできるようなことを入れていただきたいと思いました。ただ、今のお話の中で、そういうものを網羅するような形で何とか入れようというお話でしたので、あえて言うのであれば、例えばそういう中で、前回のときも大嶋委員からも少しありましたし、私自身も調査したりしていますが、いわゆる季別運転で栄養塩を供給してというような話がありますが、そういう若干具体的な話も入れていただけると、これを読んだときに、その効果も含めて分かりやすいのかなと少し言いたかったというころであります。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございました。いわゆる文字でまとめた内容を分かりやすい形で示すときにグッドプラクティス的なものを入れながら、今後の展開や、さらに拡充することへつなげるように考えて、専門家や、あるいは行政の方向けの資料ではなく、もう少し現場の方や市町村の担当者の方が住民の方に説明できるような資料にすること。難しい作業ですが、いかに本質を失わないで分かりやすくするかというのはいつも悩むところです。しかし、そちらに目指していく必要があるというようなことだと思いますので、各委員からもぜひ良いアイデアがあれば事務局にお出しいただければと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、中村委員、そして、大嶋委員の順番で御発言いただきたいと思います。

 まず、中村委員、お願いします。

○中村委員 中村です。 今議論されていたことで屋上屋を重ねることになるかもしれませんが、この4章で挙げられた項目がそれぞれお互いに関連をしていると思います。それから、その中で4.1自体も実はその中の項目が互いに関連し合っているところが文章で記述されております。私の提案は、その相互の関連を一つの連関図のような図にしていただきたいという点です。まず、4.1だけを取り出しますと、これは科学的な知見をさらに拡充するということだと思いますが、内容的には三つに分かれると思います。一つは、これまで取られてきたデータ、あるいはそのほかの知見を踏まえてデータを拡充する。2番目は、いろんな項目の相互の連関を分析・解析をするというところ。それから三つ目が新たな課題、例えば気候変動であるとかマイクロプラスチックや、場合によっては栄養塩管理というようなところ、それに対する対応をどうするか。実はそれぞれがお互いに関連をしていて、例えばですが、モデル解析の中に集約をして、モデル解析が出てきた結果が、これはまた新たなモニタリングの手法、あるいは分析項目というところにフィードバックをされていると、お互いに関連をしていると整理できますので、それぞれが循環しているというところを示す図が一つできる。これは今、4.1で提案をしたところですが、これがさらに4.2節、4.3節、4.4節、これを含めた大きな連関図がまたさらにその外側にできると思います。これはそんなに難しい作業ではないと思いますので、ぜひ御検討いただければというように思いました。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございました。お聞きしていて、私もよく話で出すように、モニタリングをして現状把握するが、それをやはり分かりやすく理解するためには、概念を整理してモデル化して、それを整理し、その結果から、さらに重要な視点を見つけてモニタリングを拡充する。その両方がうまくいったときに、三つ目のMになるマネジメントに使っていくというのを私は以前から考えています。まさにそんな絵を描ければ良いいですが。中村委員、簡単だと言われましたが、結構大変かと思います。ぜひ中心部分と周りの4.2、4.3、4.4のところをどうつなげながら書くかというところについて、まずはたたき台を事務局で考えていただき、我々評価委員でさらに精査をするということは、とても重要な課題と私も感じました。各委員、少し頭の中で考えていただき、たたき案が出てきたときに御意見いただければと思います。中村委員もぜひ御協力いただければと思います。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木でございます。

 御指摘ありがとうございました。この4章、四つ項目がございますが、それぞれの関連もあります。その辺りを広く分かりやすく伝えるということがとても大事ということ、今の御指摘を伺っていて改めて感じました。

 今回の中間取りまとめにつきましては、近くパブリックコメントをさせていただきたいと思っております。今の御指摘に関しましては、この中間取りまとめでまとまったものをどう分かりやすく伝えていくかということに関する御指摘だと思いますので、中間取りまとめの段階では、大変恐縮ですが、恐らく作業的に間に合わないかなというところもございます。中間取りまとめを公表し、それを分かりやすく伝えていく、その次の段階でぜひ先生方のお知恵もいただきつつ工夫をして、図なども活用しながら広く関連の方々に情報を発信できるように努めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、大嶋委員、お願いします。

○大嶋委員 最後というか、4.4の8年後を見据えての話ですが、要は8年後にどれだけこれが進んでいるかということを考えたときに、恐らく、今、有明海を題材にして研究をやっている人たちが非常に減っています。というのも、研究費がほとんど出ていない。そして、環境省の推進費でも、今年のも見ると、有明海の名前が恐らくありません。数年前まではありましたが。やはりこういうことを進めるには新規研究者による研究が必要だと思います。ですから、そこのところ、対策室からも内部で提案されたり、何かされていると思いますが、研究の拡充をやはり進めないといけないということと、研究費をどこかで出していくということがどこかで押さないと進まない。8年後には、何かこのまま行った状態のものしか出てこないのではないかと少し思います。何かどこかで、若い人たちが有明海の研究を始めてもらえるようなシーズの研究費を出すきっかけの言葉がここに入ると、予算獲得などでできるのではないか思って、少しお話をしました。具体的な提案ではございませんがよろしくお願いします。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございます。実はこの会議の前に室長と私、雑談をしておりました。しっかりとした研究が個別ではなくて、体系立った形で行えるような枠組みを考えたほうが良いですねというお話をちょうどしておりました。室長、少しお考えなので、何か御発言いただけるものと思います。いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木でございます。

 御指摘の点、科学的知見を充実していく上で研究をいろいろな方に進めていただくというところは、クリティカルに重要なことだと思っております。環境省の研究費といたしましては推進費という枠組みがございます。今、その中で有明海に関する事項がなかなか見えないという御指摘がありました。担当課室としては大事な点として、ここ数年もずっと手を挙げているところですが、そのときそのときの全般的なプライオリティーの中で必ずしも我々の希望が通るというわけでもない状況ではあるようではございます。が、ちょうどここで中間取りまとめもまとまります。次の報告も、もう令和8年度ということですと、あと、5年しかないわけでございますが、そこに向けましては、やはり御指摘いただきましたとおり、研究をしっかり進められるような工夫をしていくということも大変重要だと思います。御指摘を踏まえ、中間取りまとめが今年度を目途にまとめられるということも含めまして、研究費を担当している部局ともよく相談をし、研究が進められるような努力をしっかり進めていきたいと思います。どうもありがとうございました。

○古米委員長 大嶋委員、よろしいでしょうか。

○大嶋委員 もちろん保全室長さん、皆さん、内部では苦労されているというのは分かっているつもりですから、ここの委員会としても、やはりそういう保全対策室をプッシュするような、より研究の拡充が必要だとかいうのを、何かこの4.4にでも少し入れ込むと、どうでしょうか。対策室としても予算が通りやすいとか、そういうことがあれば、何かそういう文言が書けないかと少し思った次第です。どうでしょうか。ほかの委員の皆さんもどうお考えか分かりませんが。

○古米委員長 ぜひ可能なこと、研究の重要性ということを踏まえて、どういう形で書けるかを考えていただきたいと思います。この有明海・八代海の問題は、環境省が今、事務局担当ですが、実は農林水産省も関わっています。林野庁、水産庁もおられます。国土交通省もおられるので、先ほど会議の前のお話のときには、実は環境総合推進費という環境省のお金を軸にしながらも、ほかの省庁も少しずつ出していただいて、省庁を超えたようなプロジェクトとして、いろいろな分野の先生方が集まって取りまとめを行うような新しい研究プロジェクトチームみたいなものを考えていただく。少し夢物語的ですが、良いのではないか。そうすると、それぞれの専門分野を持っている方々が、その研究のプラットフォームやプロジェクトチームの中で、他の省庁で御苦労されていることも御理解いただきながら、研究の重要性であるとか、どこが不足しているのかという議論ができるような場ができるような気がします。可能かどうかは別として、そういった従来の枠を超えたような研究が将来的にできないと、有明海・八代海という大きい生態系の多様性であるとか、複雑に人為的な影響を受けているとか、水産資源もあるし、いわゆる赤潮の問題だとか、あまりにも取り扱うべき内容の幅が広くて、一人や小さなチームではなかなか難しいと思います。一方で、リーダーシップを取ってやっていただける方が誰かいないと、またそのプロジェクトチームがうまく動かないという懸念もあります。この調査評価委員会のメンバーでそういった研究のあり方も考えて、どういう方向性があるのかという提言を委員会として出せるとよいと思います。大嶋委員に限らず、ほかの委員の方々からもいい御提案だとかアイデアがあればいただきたいと。今日は結構ですが、今後いただければと思います。

 何か追加で。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。

 ここまでの御議論を踏まえて研究が進められるようにどのようなことができるかしっかり検討してまいりたいと思います。

 また、この4章の部分で、令和8年度報告に向けて調査・研究をしっかり進めていくことが大事という点、追加を検討させていただきたいと思います。どうも御指摘ありがとうございました。

○古米委員長 ほかにいかがでしょうか。特に今、手は挙がっておりませんが、よろしいでしょうか。

 それでは、本日いろいろと御意見をいただきました。各関係省庁におかれましては、その意見を参考に再生に向けた取組、あるいは評価に必要なデータ等の提供をお願いしたいと思いますし、私、先ほど申し上げたように、それぞれの省庁でやられている情報をいかに共有していくのかといったことも考えていただけたらと思います。

 事務局におかれましては、本日いただいた意見を基に中間取りまとめの作業を進めるようにお願いしたいと思います。できるだけ分かりやすい形にしていただきたいと思います。

 委員の皆様におかれましては、本日は資料も大変多く、御意見の追加がございましたら、2月10日、朝10時まで事務局にお寄せいただくことにしたいと思います。きっと思いつきのような内容もあるかも分かりませんが、多くの情報をいただきながら、よりいい中間取りまとめにしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 最終的な修正内容につきましては、私、委員長に御一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 特になければ、お任せいただければと思います。ありがとうございました。

 それでは、議題の2、その他ということで、事務局から何かありましたらお願いしたいと思います。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 環境省の横内です。

 今後のスケジュールについてお知らせします。本日の評価委員会でいただいた御意見を踏まえて、中間取りまとめ案を修正し、パブリックコメントを実施します。それから、3月24日となる予定ですが、第49回評価委員会を開催し、パブリックコメントの結果を報告し、いただいた意見を踏まえ、中間取りまとめ案を審議いただきたいと考えております。中間取りまとめについては、その後、事務的な手続を経て、公表を予定しております。

 以上です。よろしくお願いします。

○古米委員長 どうもありがとうございました。今後の予定と次回の評価委員会の予定もお知らせいただきました。

 それでは、せっかくの機会ですので、全体を通して委員から御発言があればお受けしたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、本日予定されておりました議事は全て終了いたしました。議事進行につきましては、御協力いただきまして深く御礼申し上げます。

 それでは、進行を事務局にお返ししたいと思います。

○松澤水・大気環境局長 水・大気環境局長の松澤でございます。

 最後に一言御礼申し上げたいと思います。本日も朝9時から熱心に御議論いただきまして、また、大変多い資料も読み込んでいただきまして、ありがとうございました。中間取りまとめに関しましては、平成30年3月、42回評価委員会から6回にわたる御審議をいただき、今回、パブリックコメントにかける案、こういったところに到達したということでございますが、本当に長きにわたる御審議に御礼申し上げたいと思います。

 また、今回の取りまとめ案作成の基になるデータ、あるいは調査・研究、あるいはこのレポートの作成に携わられました大学、研究機関、事業者、行政の皆様にこの場で深く感謝いたしたいと思います。

 これまで、この評価委員会では、小委員会も含めましてデータの分析、それから図表などの表記、こういった基礎的な部分も含めまして御教授いただきましたが、さらに気候変動、水温、海水準、豪雨の影響、こういったこと、それから干潟の生態系など、新たな観点の御指摘も含めて、環境と水産資源の関係について科学的な御意見、御助言を多岐にわたっていただきました。

 本日も流域管理の考え方、生態系に関して、鳥類、ラムサール湿地といった主要なポイントについて、また、水産資源の観点からも、カキ礁、柵当たりノリ生産量データといった重要なポイントを御指摘いただきました。膨大なデータ、複雑なメカニズムに関する調査・研究、これらを統合してメタ分析するというのが理想でございますが、私どもの手が十分回ってないということは改めて反省したいと思います。いずれにしろ、この評価委員会の御議論で中間取りまとめのパブリックコメントの案、この内容をより充実したものにしていただけたのではないかと思います。私どもで最終的な作業を進めまして、パブリックコメントをさせていただき、次回、第49回、この場でまた中間取りまとめ案を御審議いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 本日はどうもありがとうございました。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 古米委員長、御進行ありがとうございました。

 また、松澤局長、最後の御挨拶ありがとうございました。

 事務局からの御連絡です。先ほど委員長からもお話がありましたが、資料への追加の意見は2月10日、10時までに事務局まで御提出をいただきたいと思います。

 本日の議事録ですが、後日、事務局より確認依頼を行いますので、よろしくお願いいたします。内容を確認後、議事録は環境省ホームページで公開をさせていただきます。

 次回の評価委員会につきましては、3月24日を予定しております。引き続き、よろしくお願いいたします。

 それでは、以上をもちまして、第48回有明海・八代海等総合調査評価委員会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午前11時41分閉会