第47回有明海・八代海等総合調査評価委員会 議事録

開催日時

令和3年12月24日(金)

場所

WEB会議システムにより開催

出席者

委員長: 古米弘明委員長
委員 :

大嶋雄治委員、上久保祐志委員、川原逸郎委員、木原久美子委員、清本容子委員、内藤佳奈子委員、灘岡和夫委員、林美鶴委員、藤井直幹委員、皆川朋子委員、矢野真一郎委員、山西博幸委員、山室真澄委員

臨時委員:

鈴木敏之委員、清野聡子委員、樽谷賢治委員、辻本剛三委員、中田薰委員、中村由行委員、西村修委員、速水祐一委員、松野健委員、山口敦子委員、山口啓子委員、山本智子委員

(関係省庁)

農林水産省農村振興局整備部農地資源課 細田課長補佐

林野庁森林整備部治山課 中村課長補佐

水産庁増殖推進部研究指導課 楠課長補佐

        漁場資源課 吉川課長補佐
        栽培養殖課 石川課長補佐、田畑係長、鏑木係長

   漁港漁場整備部計画課 本宮計画官、篠崎課長補佐、伊藤係員
国土交通省水管理・国土保全局河川環境課 大角課長補佐、寺石係長
              下水道部流域管理官付 松澤課長補佐
     港湾局海洋・環境課 菊池課長補佐、浜口係長

(事務局)

環境省水・大気環境局長、大臣官房審議官、水・大気環境局総務課長、水・大気環境局水環境課長、
水環境課閉鎖性海域対策室長、水環境課閉鎖性海域対策室長補佐、水環境課閉鎖性海域対策室主査

議事録

午前9時00分開会

○冨永閉鎖性海域対策室主査 定刻となりましたので、ただいまから第47回有明海・八代海等総合調査評価委員会を開会いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございます。

 本日は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、ウェブ会議の開催とさせていただいております。委員の皆様には御不便をおかけしますが、会議中、音声が聞き取りにくいなど、不具合がございましたら、事務局までお電話、またはウェブ会議システムのチャット機能にてお知らせください。議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。

 なお、御発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと挙手した状態になりますので、御発言の意志はこのマークで確認します。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき、御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作願います。挙手アイコンは事務局でオンオフを操作できないため、御協力よろしくお願いいたします。

 本委員会は、公開の会議となっておりますことを申し上げます。

 それでは、まず議事に先立ちまして、環境省水・大気環境局長の松澤より御挨拶を申し上げます。

○松澤水・大気環境局長 皆さま、おはようございます。本日は朝から評価委員会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。

 今回の評価委員会は、12月15日に委員の改選が行われまして、新しい委員の皆様も加わっていただきました。本日は、この新しい体制での初めての会合ということになります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 有明海・八代海の特別措置法、こちらについては、御案内のとおり今年の通常国会で、議員立法で改正法が成立しまして、その施行がこの4月から始まっておるところでございます。それを踏まえまして、この評価委員会では、中間取りまとめに向けてご審議を開始していただいているところです。去る11月15日には、第8回の水産海域合同小委員会が行われて、そこでこれまでの検討・調査の状況を事務局から御報告も行いまして議論を進めていただきました。

 本日は、これまで進めてきました中間取りまとめに向けた整理について、評価委員会の先生方に御審議をいただく予定です。委員の皆様には忌憚のない御意見をお願いしたいと思います。

 また、今回の法律改正では、評価委員会のこの業務の遂行状況、所掌事務の遂行状況について分かりやすい形で公表するというような体制も行われておりますので、それも踏まえまして、今後、どういう形でこの膨大な中間取りまとめの内容も含めまして地元の皆さんに公表していくのかといったことについては、評価委員会の先生方とも御相談しながら考えていきたいというように思います。

 本日はどうぞよろしくお願いいたします。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 ありがとうございました。

 この度、委員の任期に伴い、令和3年12月15日付で委員の改選がございました。

 資料1を御覧ください。有明海・八代海等総合調査評価委員会の委員名簿になります。時間の都合上、この名簿をもって委員の方の御紹介とさせていただきます。

 本日の委員の出席状況ですが、欠席の連絡を小林委員より頂いております。本日は委員27名中26名が御出席ですので、有明海・八代海等総合調査評価委員会令第6条に基づく会議の定足数を満たしていることを報告いたします。

 続きまして、本日は、有明海・八代海等総合調査評価委員会の中間取りまとめに向けた作業を議題としており、関係省庁からも御出席をいただいております。

 農林水産省の農村振興局農地資源課、林野庁の治山課、水産庁の研究指導課、漁業資源課、栽培養殖課、計画課。

 国土交通省の港湾局海洋・環境課、水管理・国土保全局の河川環境課、九州地方整備局の河川部河川環境課から御出席をいただいております。

 環境省側の出席者も紹介させていただきます。

 先ほど御紹介をさせていただきました水・大気環境局長の松澤でございます。

 担当審議官の森光でございます。

 総務課長の飯田でございます。

 水環境課長の川又でございます。

 閉鎖性海域対策室の行木でございます。

 同室長補佐の濱名でございます。

 同室長補佐の横内でございます。

 私が、閉鎖性海域対策室の冨永でございます。

 続きまして、資料については、事前に電子データやホームページでご案内しておりますが、議事次第に記載の一覧のとおりでございます。

 なお、資料は、事務局が画面上に掲載して進行をさせていただきます。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 閉鎖性海域対策室の横内です。

 本日は、委員の新たな任命後、最初の委員会となりますので、委員長が選任されるまでの間、事務局で議事を進めさせていただきますので、御了承願います。

 それでは議題の1、委員長の選任等に入りたいと思います。

 委員会令第3条により、委員長は委員の互選により選任されることとされております。つきましては、委員の互選に入りたいと思いますが、委員長の候補者について、どなたか御意見のある方がいらっしゃいましたら、お名前の横にある挙手アイコンをクリックして挙手をお願いいたします。

 樽谷委員、どうぞ。

○樽谷臨時委員 はい、ありがとうございます。

 現在、委員会報告の中間取りまとめに関する審議が大詰めを迎えていることもありますので、これまで委員長を務めていただいています古米委員に引き続き委員長をお願いしてはいかがでしょうか。

 提案させていただきます。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 ありがとうございます。

 ほかに御意見等ございませんでしょうか。

 それでは、ただいま樽谷委員から古米委員を委員長とする意見がありましたが、委員の皆様方、古米委員に委員長をお願いすることでよろしいでしょうか。賛同いただける方はお名前横の挙手アイコンをクリックして挙手をしてください。

(異議なし)

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 では、御異議ございませんでしたので、古米委員が委員長に選任されました。挙手アイコンをクリックして手を下ろしていただく操作をお願いします。

 それでは、古米委員長から御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いします。

○古米委員長 おはようございます。古米です。委員長をしっかりと務めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 先ほど局長からお話があったように、平成28年度の報告を受けて10年後に次の報告ということですから、令和8年度の報告に向けて、その中間取りまとめ、今年が中間の令和3年ですから、その取りまとめをしているということです。今回の取りまとめは、あくまでも分かったこと、さらに明らかにしなくてはいけない点ということを明確にするということと、それをやはり多くの方々に知っていただいて、より議論を深めていくということがとても大事です。様々な分野からの委員の方々から忌憚のない御意見あるいは御示唆をいただくということがとても大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 ありがとうございました。

 それでは、以後の進行は古米委員長にお願い申し上げます。

○古米委員長 それでは、お手元の議事次第に沿って進めていきたいと思います。

 その前に、委員長職務代理を指名したいと思います。

 評価委員会令第3条に、委員長に事故あるときは、あらかじめその指名する委員がその職務を代理するという規定がございます。私としては、これまでも委員長代理を務めていただいております松野委員に引き続きお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 松野委員、いかがでしょうか。

○松野臨時委員 はい、松野です。

 よろしければ承ります。よろしくお願いいたします。

○古米委員長 どうもありがとうございました。それでは、よろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、議事を続けさせていただきます。

 本日の議題については、議事次第にありますように四つの議題がありますが、一つ目の議題は終わりましたので、残り2、3、4について審議したいと思います。時間も限られておりますので、議事進行に御協力いただきますようお願いしたいと思います。

 それでは、(2)第8回の小委員会における取組についてということで、事務局より御説明をお願いしたいと思います。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 閉鎖性海域対策室の横内です。

 それでは、第8回の小委員会における取組ということで、資料2を御覧ください。

 第42回の委員会では、「今後の審議の進め方」及び「小委員会の設置」を決定し、これに基づき、水産小委、海域小委を設置しました。

 前回の第46回委員会開催後には、水産小委及び海域小委の合同会議を1回開催しております。

 1.これまでの検討状況についてです。第1回小委では、小委員会の作業方針について審議され、第2回小委では、関係省庁や関係県等が実施した調査結果等のヒアリングを行い、第3回小委では、「小委員会における今後の情報の収集・整理・分析について」を決定、第4回~第6回の小委において、関係省庁や関係県等が実施した情報の収集・整理・分析状況が報告されました。

 また、第6回、第7回の小委では、事務局より「中間的な取りまとめ」に向けた作業の進捗状況について報告しました。

 なお、中間取りまとめとは、28年度の評価委員会報告から概ね5年を目処にした再生方策や調査・研究開発の実施状況及びその成果等について、中間的に取りまとめたものになります。その後、本年3月30日に前回の第46回委員会が開催されており、さらにその後、11月15日に第8回の水産・海域小委が開催されています。

 1.1第8回の水産・海域小委の検討状況についてです。第8回の小委では、中間取りまとめに向けた検討として、中間取りまとめの目次案及び各章の文案等に審議しました。また、水産庁から「環境変化に適応したノリ養殖技術の開発」について報告を受けております。

 (1)中間取りまとめに向けた作業についてです。①中間取りまとめの目次案、中間取りまとめの全体構成を示す目次案として、事務局より構成を提示しました。

 構成としては、次のようになっております。第1章はじめに、第2章有明海・八代海等の環境等の状況、第3章再生方策等の実施状況等と課題の整理、第4章再生方策に共通する今後の課題、以上が本編で、次に資料編がつく形です。

 ②中間取りまとめ第1章案についてでは、第1章案「はじめに」として、事務局より評価委員会の経緯、平成28年度委員会報告における基本的な考え方と再生目標、中間取りまとめの位置づけなどを整理した文案を提示しました。

 ③中間取りまとめ第2章案についてでは、「有明海・八代海等の環境等の状況」として、事務局より平成28年度委員会報告以降の環境等の状況について、以下に示す項目ごとに整理した文案を提示しました。

 ④中間取りまとめ第3章及び第4章案についてでは、第3章案「再生方策等の実施状況等と課題の整理」及び第4章案「再生方策に共通する今後の課題」として、事務局より再生方策等の実施状況等と課題を整理するとともに、今後、再生方策等を進めるための共通する課題等について文案を提示しました。事務局から提示した案を基に、中間取りまとめに向けて御議論いただいております。

 (2)水産庁からの報告については、「環境変化に適応したノリ養殖技術の開発」として、高水温耐性のあるノリ養殖品種の作出と実用化技術の開発状況について、水産庁から報告がありました。参考までに、第8回小委で使用された資料のURLを掲載しております。

 資料2については以上になります。

○古米委員長 どうも御説明ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に対しまして、何か委員の方々から御意見、御質問があれば承りたいと思います。お名前横の挙手ボタンを御活用いただければと思います。

 よろしいでしょうか。はい。次に具体的な内容が出てまいりますので、特に御質問、御意見がないということですので、次の議題に移らせていただきます。

 議題3ということで、中間取りまとめに向けた作業についてですが、資料にありますように、第2章はかなり長い内容ですので、三つに分けて説明、質疑するという形で行いたいと思います。

 まず、最初に目次案、第1章、第2章の1~5について議論したいと思います。

 それでは、事務局より御説明をお願いしたいと思います。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 では、資料3-1をお願いします。中間取りまとめの目次案です。

 各章でボリューム感が分かるように、一番右の欄にページ数を加えております。資料編については、想定の枚数になります。章の構成については、先ほど、資料の2で触れたものと同じとなっております。各章の下の項目については、これまでに3月の第46回評価委員会において、山西委員から、第2章の再生方策の実施状況・成果等と第3章の再生方策の実施状況・成果等のまとめは重複しないように整理すべきという御指摘や、速水委員から、28年度報告書に合わせて、主要4項目以外にも汚濁負荷、河川からの流入、底質等の項目も追加したほうがよいというような御意見。また、11月の小委員会において、古川委員などから、ノリ養殖等のキーワードが目次の中にも示されることが重要との御意見や、赤潮に関する記述の整理上の課題を指摘いただきました。これらの意見を踏まえた目次案等を修正しております。

 具体的に申し上げます。第2章は、もともとは主要4項目のベントス、有用二枚貝、ノリ養殖、魚類等に着目して、既存データの更新と再生方策の実施状況を記載していましたが、有明海・八代海等の環境等の状況と位置づけを整理し直し、平成28年度委員会報告書の第3章、有明海・八代海等の環境等の変化の項目を踏まえ、2.1汚濁負荷から2.9生物の項目としております。内容としては、既存データの更新など、現状の事実関係のみを記載することとし、再生方策の実施状況等は3章にまとめることといたしました。主要4項目については、2.9生物の中に記載しております。なお、ノリ養殖の赤潮による被害については、2.8赤潮に記載しております。

 第3章、第4章については、もともとは第3章では再生方策の実施状況・成果等のまとめ、第4章では今後の課題としておりましたが、重複感が生じないように、第3章では再生方策等の実施状況等と課題の整理、第4章では再生方策に共通する今後の課題をまとめることといたしました。

 なお、この中間取りまとめは、ボリュームを抑えるため、平成28年度報告以降において新たに知見が得られた情報などを中心に整理を行っております。データの更新は行いましたが、経年的に大きな変化、傾向が見られていない図表や参考情報となる図表等は本編とは分けて、資料編にまとめることとしております。

 関係省庁等による取組の詳細につきましても、ケーススタディとして整理し、資料編に掲載いたします。

 目次案については以上となります。

 続きまして、資料3-2を御覧ください。中間取りまとめの第1章案です。

 内容としては、前回の46回評価委員会でご報告した案から大きな変更はありません。全体的な分かりやすさの観点から、平成28年度委員会報告に示された有明海・八代海等の再生に向けた方策の表については、第3章の再生方策等の実施状況等と課題の整理部分に移すこととし、その他、表現の微修正等を行っております。

 項目だけを読み上げますと、1.1は有明海・八代海等の総合調査評価委員会の経緯です。この部分は今年の4月の法改正について最後に追記をしております。

 1.2は有明海・八代海等総合調査評価委員会報告書についてです。

 次のページへ行きまして、1.3では、平成28年度委員会報告における基本的な考え方と再生目標、4ページから、有明海と八代海における問題点と原因・要因との関連性の可能性の図、6ページでは、有明海・八代海の区分の図を載せております。

 7ページでは、1.4水産資源再生方策検討作業小委員会及び海域環境再生方策検討作業小委員会の設置について記述しております。

 1.5は中間取りまとめの位置づけです。平成28年度委員会報告に掲げられた再生目標や再生方策等と照らし合わせ、その進捗状況や課題等について整理を行い、令和8年度委員会報告に向けて必要となる検討事項等について取りまとめたものであることを記載しております。

 8ページでは、1.6中間取りまとめ作成の経緯について整理しています。今後の委員会等の検討内容も追加していく予定です。

 第1章については以上となります。

 続きまして、資料3-3を御覧ください。中間取りまとめの第2章の案です。

 第2章、有明海・八代海等の環境等の状況について、です。

 第2章では、28年度報告以降の有明海・八代海等の環境の状況を、28年度報告の第3章の構成に沿って整理をしております。28年度報告では、再生目標を踏まえ、生態系の構成要素または水産資源として重要と考えられる生物について4項目を取り上げることとしましたが、その後、ノリ養殖の赤潮による被害は2.8の赤潮に、ベントス、有用二枚貝、ノリ養殖の生産量、魚類等は2.9の生物にその状況等を整理しております。

 28年度報告以降の新たなデータや知見等の情報を中心に整理を行っており、28年度報告と同じデータや知見等は記載を割愛し、経年的に大きな変化が見られていない図表等は資料編に記載しております。

 下に第2章の構成と記載事項についての表を載せております。第2章は、2.1汚濁負荷から2.9生物までとなります。分量も多いことから、説明は三つに分けて行いたいと思います。まず、2.1の汚濁負荷から2.5の底質までを説明します。

 2ページを御覧ください。2.1汚濁負荷の部分では、有明海・八代海に流入する汚濁物質の負荷量についてまとめています。全般的には、データの更新の結果、大きく傾向の変更は見られておりません。なお、この部分については、11月の小委時点では、変化傾向が見られないとして、資料編での図表の掲載のみとし、本編の記載を省略しておりましたが、古賀委員により、資料編ではなく、図を掲載すべきとの御意見がありました。また、関連して、後述する降雨の影響、河川流量や河川からの土砂流入について、委員から気候変動の影響があり、降雨の頻度が上がり、結果として流入する負荷にも影響する可能性等について御指摘があったことを踏まえて、3ページと4ページ、流入負荷量の経年変化について、図2.1.2を掲載しております。

 5ページを御覧ください。2.2河川からの土砂流入では、28年度報告では、有明海・八代海に流入する代表的な河川について、流況や流入する土砂量について整理を行いました。土砂の流入の変化は底質の泥化にも関連することが懸念されております。28年度報告以降に、29年度7月の九州北部豪雨や、令和2年7月の豪雨等の大雨が頻発しております。11月の小委の議論を踏まえ、大雨等の発生状況や河川流量の状況等を記載しております。

 2.2.1大雨等の状況です。(1)大雨等が発生した主な気象事例では、九州北部地方を中心に大雨等が発生した気象事例について表を載せております。11月の小委員会において、山口敦子委員から、降雨のイベント情報を整理すべきとの御意見を頂き、豪雨のイベントの表や、次のページ以降に降水量の状況、1時間降水量50mm以上の年間発生回数の経年変化について記載しております。

 8ページを御覧ください。2.2.2河川流量についてでは、11月の小委員会において、東委員から、河川流量については汚濁負荷にも土砂流入にも影響するので、近年の変化を文章で説明を加えたほうがよいとの御意見を頂き、一級河川の平均流量について記載をしております。

 9ページ御覧ください。2.2.3と2.2.4では、豪雨による影響として、現段階では平成29年7月、九州北部豪雨における土砂発生量や豪雨後の河川の状況について記載しています。

 なお、11月の小委員会では、山口敦子委員から、八代海の球磨川では豪雨災害があったが、記述がないとの御意見を頂いており、それを受け、令和2年7月豪雨による球磨川についても同様の整理を行い、記載を追加する予定です。その際、今は2.2.3と2.2.4で、平成29年7月豪雨についてのみ記載しておりますが、まとめて整理をし、分量が過大になり過ぎないようバランスを見て現在掲載している図の一部を資料編に移すことも検討しております。次回のこの委員会では整理したものを提示する予定です。

 16ページを御覧ください。2.3潮汐・潮流では、新たに得られたデータ量を踏まえると、大きな経年的な変化は見られていない状況です。以前は本編での記載を省略する案としておりましたが、御意見を踏まえ、潮位の推移や豪雨前後の潮流の変化について掲載する予定であり、1月の第9回の小委に向けてデータ整理を行っているところです。

 17ページを御覧ください。2.4水質では、データの更新に伴う変動傾向の整理を行っています。データ量の多い公共用水域、水質調査、浅海定線調査による水質の経年変化のグラフは資料編としました。

 31ページを御覧ください。2.5底質についても、データの更新に伴う変動傾向の整理を主に行っております。図の2.5.2-1から2-4の底質の水平分布については、平成30年度から令和2年度のみ本編に掲載し、それ以前については資料編としております。

 32ページを御覧ください。2.5.2の(2)では、令和元年8月豪雨後に底質調査を行っており、大雨の影響について記述をしております。

 第2章の2.1汚濁負荷から2.5底質の説明は以上となります。

○古米委員長 どうも御説明ありがとうございました。大量の資料を非常に簡潔に重要な点だけ御説明いただいたと思います。

 それでは、今の目次案、1章、第2章の1~5について、特に第2章が軸になろうかと思いますので、第2章を中心に皆様から御意見、御質問を受けて議論したいと思います。

 それでは、中田委員、お願いいたします。

○中田委員 御説明、どうもありがとうございました。1点、確認させてください。この中間報告書では、事実確認について記載するというお話でした。一方、今回、今まで説明していただいた内容では、例えば近年の豪雨の発生の仕方、あるいはそれに伴う土砂の流入等々、よく気候変動の影響と関連すると思われるような事象が出てきます。確認したいのは、ここでは、今後その影響というのはさらに大きくなる可能性があるわけですが、あまりそこには踏み込まないというような理解でよろしいでしょうか。

 以上、お願いいたします。

○古米委員長 今の御指摘、今まで観測できている内容を事実として中間とりまとめに記載するものの、こういった問題を扱うときに気候変動という将来どういうことになるのかという予測も考える必要があると。そういったことの取り込み方ですかね、これに関わる御質問かと思います。事務局、お考えがあればお願いいたします。

○行木閉鎖性海域対策室長 環境省閉鎖性海域対策室の行木と申します。

 中田先生、御意見ありがとうございました。ここの中間取りまとめにおきまして、記述をどのようにまとめていくかという点でございます。

 第2章に関しましては、基本的にはここまでの中で、平成28年報告から以降の期間として、新たに得られましたデータの知見、それから研究なども進んでおりますので、そういった文献なども踏まえまして、新たな知見も小委員会でも、この評価委員会でも御議論をいただきまして、事実と、それからここまで得られた科学的知見から、この中間取りまとめに載せることが適当と先生方に御判断いただいたものについて記載していくということで御検討いただければと考えております。

 予測に関する部分ですと、様々な仮定もありますでしょうし、得られた結果に関して、幅があるとか、様々な条件等考慮しなければならないこともあろうかと思います。そこに関しましては、『こういった知見があり、この結果を理解し、議論するためには、こういう条件から得られたものや、こういうことが仮定としてベースとなっている』ということなども踏まえた記述にしていただいているというように理解をしております。ちょうどこの後、例えば2.6のところで気候変動がとりあげられており、2.6.5などでは気候変動が溶存酸素濃度に与える影響についての記載がございます。この後で事務局からも説明をさせていただくパートでございますが、その中では、文献で得られた知見としてこういうことが分かったと記載されています。ただし、得られた知見の中で、こういう仮定があるとか、こういうことが考慮されていないため、今後、更なる検討が必要だということも合わせて書かれた案となっております。

 それからこの後、3章では、ここまでの状況の整理と、そこから見られた課題が書かれております。それで、例えば気候変動などについては、『ここまでの状況を踏まえると、こういう知見が足りない』とか、『こういう調査が足りない』とか、そういうことがありましたら、そういったことは課題として書かれていくべきものと考えております。

 以上、御回答させていただきました。

○中田委員 どうもありがとうございました。よく分かりました。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 ほかに山室委員、続いて灘岡委員、清本委員の順番で、まず山室委員からお願いいたします。

○山室委員 山室です。恐らくこの資料だけではなく、ほかの資料にも共通するのですが、この資料は一般の方も見るということが前提で編集されていると理解しております。しかし、図が全般に、どこかいろんなところから持ってきたものをそのままコピペしていて、理解してもらうための図という観点が少し足りないと思われるものがまま見られます。典型的なものを少し、四つほどありますので御説明させてください。

 まず、10ページの図です。10ページの右上に写真と地図の図があります。この右上にいろんな説明があって、それから、図のところにもいろんな字が書いてあって、字のほうは川だろうなというのは分かります。しかしこの右上の灰色の四角に入っているところと白抜きの四角に入っているところは、ディスプレーで150%まで拡大したら読めますが、恐らく紙の上では読みにくいです。あと、色弱の人はこのグレーの中のものは読みにくいと思いますので、もう少し一般の方が読みやすいという観点から図は直したほうがよいと思います。

 二つ目の例が13ページの上側の図です。大きい字で、ピンク色で①②③とか書いてありますが、例えば①の右側にある「25k○」の説明が全くありません。

 次の典型が79ページです。横軸が年を表す図は数多く掲載されていて、これが一番典型かなと思います。この横軸は小過ぎて読めないと思います。ほかの図ではもう少し間引きしてフォントを大きくしたのがありました。79ページの図はExcelで出てきた図をただ貼り付けただけに見えます。こういう作業はやめたほうがいいかなという気がします。

 それから、113ページです。これは山口委員の図ですが、この図は著者がこう描いたから仕方がないというのがあるのかもしれませんが、まず字も読めません。この図で一体何を言いたいのかというのが、その上側に説明はしていますが。例えばシュモクザメは形で分かりますが、ほかのものは生物の名前が全然分からないし、この色分けが何かも全く書かれてないので、こういう示し方をされても一般の方は分からないと思います。ほかの資料も恐らくこういう感じの図がたくさんあると思うので、今から大変だとは思いますが、出すからにはやはり読んで分かるように、図というのが一番印象的に分かると思いますので、もう少し配慮していただきたいなと思いました。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございます。確かに分かりやすく示すということがとても求められておりますので、その図表の解像度であるとか、文字のフォントサイズ等も含めて精査していくということが必要だと私も思います。特に事務局からなければ、はい。

○行木閉鎖性海域対策室長 では、一言だけ。閉鎖性海域対策室、行木です。

 先生、御指摘のとおりでございまして、分かりにくいと思いますので、最終的に中間取りまとめがまとまるところまでにきれいに直していきたいと思っております。潰れていて読めないようなところがないか、色が分かりにくくないか、それから、その図表の中に説明が必要なもの、特に説明がない地点名とか、あと分かりやすく注記を入れるなどの工夫をするとか、縦軸・横軸がきちんと読めるようにするとか、図中の文字を読みやすくするとか、ご指摘を踏まえ、そのような工夫をさせていただきたいと思います。

 なお、113ページの魚類のところですが、後ほどこの部分のパートのところで御説明を予定しておりましたが、ここは事務局が案を用意しているところなのですが、調査を担当された山口敦子先生から、この部分について事務局の記述が十分ではなくて、修正が必要という御指摘をいただいている作業中なものでございます。ですので、ここはひとえに事務局の準備不足が原因でございますので、山口先生とこの辺り、記述を適切に直す中で、図表についても御相談をして修正していきたいと思っております。

 以上です。

○古米委員長 ありがとうございました。

 それでは、灘岡委員、お願いいたします。

○灘岡委員 私からは、陸域からの流入負荷のテーマでのセクションを見て質問させていただきたいのですが、例えば7ページに、1時間降雨50mm以上の非常に激しい雨のイベントの年間発生回数が明瞭に右上がりに増えてきているという話があります。ひょっとしたら地球温暖化関連も影響しているかもしれないのですが、いずれにしても、このイベント型の、パルス型の流入負荷というのは結構重要な役割を演じている可能性があるのですが、それに関連して後ろのほうで発生源の、例えば斜面の土砂崩壊といったところまで踏み込んで記述されているのはいいと思いますが、一方で、例えば土砂流入について言いますと、記述をざっと見たところ、いわゆる河床構成材料、つまり比較的粗い粒径集団の土砂については記述されているように思うのですが、海域の側で結構重要なのは微細な成分ですね、それが結構重要になるかと思います。例えばリンのキャリアになったりするわけで、そういう微細な成分の記述が見られなかったかなと。だから、その主要な粒径集団ごとの土砂流入負荷という観点から、もう少し包括的な評価をしていただければ有り難いなと思います。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございます。確かに河川の話ではなくて、最終的に有明海・八代海に入ってきた場合に、いわゆるシルト分であるとか細かい粒子というのはそこの水質にも大きく影響します。また、ハビタットとしても重要な要素になりますので、確かにその点を追加記載するということも大事だと思いますが、きっとそういった論文であるとか、あるいはしっかりとした報告書があるかどうかというのも含めて御検討いただく必要があると思いましたが、何か事務局、追加の説明があればお願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 御指摘いただき、ありがとうございました。仰せのとおり、確かに28年報告でもその泥化に関して河川からの流入の影響がということの指摘があったところでございます。現段階では、その辺り、粒径集団ごとの地形というのは含められておりませんが、この段階で追記できるような知見があるかどうかを確認いたしまして、もしあれば追記を検討させていただきます。もしそれが現段階でない場合には、その知見を得る必要があるということを課題として記載することを検討させていただきます。ありがとうございました。

○古米委員長 今の関連で言うと、土砂流入の2.2ですかね、2.1かな。2.5のところの底質のところでは海域中心部の情報ですが、河口付近の底質情報がもしあるようであれば、そういった土砂流入の影響が現れているという調査結果もあるとすれば、各章の中の節がばらばらではなくて、うまくリンクした形で整理されると理解が深まるかなと思いました。これも併せて御検討いただければと思います。

○行木閉鎖性海域対策室長 承知しました。

○古米委員長 それでは、次に、清本委員、そして大嶋委員の順番で、清本委員、お願いいたします。

○清本委員 水研機構の清本です。今回から初めて委員会に出席させていただきます。よろしくお願いします。

 会議に出席する前に、45回の委員会の議事録を読ませていただいたのですが、その中で、中間報告の見直しが必要な点の三つ目として、水質解析については他の項目との関係性や、季節別等の時空間解析を今後進めますと書いてありますが、今現在の進捗として、こういう解析を実際に進められたのかどうかということと、本文の中では触れられていないようですが、資料編にそういう解析結果を掲載される予定なのかどうか、その辺りの進捗を教えていただけますでしょうか。

○古米委員長 事務局、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 清本委員、御指摘ありがとうございます。大変恐縮ですが、この段階では、その季節別、ほかの時空間を含めた解析というのは、事務局のキャパシティーの問題でまだ出来上がっておりませんで、その点、課題として明記をしたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○古米委員長 重要な御指摘で、私の記憶で言うと、水質のところでもありましたが、ベントスに関しても長期的なデータがたまってきていると。そのとき、冬と夏の季節というように、季節でどう変化しているのかという形の検討は別途行われています。それはまた水質とも関わってくるでしょうし、あるいはノリ養殖だとか、そういった水産資源とその栄養塩の関係といったことも今後必要であるという課題だと思います。中間取りまとめ段階でどこまで理解が進んでおって、今後、さらにこういった観点が重要だということが示されることはとても大事です。もし清本委員、お気づきの点があれば、ぜひ御発言いただいて、中間取りまとめの課題として整理していくということにしたいと思います。

 清本委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○清本委員 はい、問題点として挙げていただくということで了解しました。一言で季節変動といっても、代表月を選ぶのか、それとも何か月かを区切るのか、そこの判断もいろいろ考えてやる必要があると思いますので、少し時間をかけて考えてから解析を進めるということで異論はありませんが、今後、取り組むべき事項として記載いただければと思います。よろしくお願いします。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、大嶋委員、お願いいたします。

○大嶋委員 ごみの問題ですが、2点あります。一つは、最近の集中豪雨とかで大量のごみが流れてきていて、このときに結構、漁業被害というか、その場で結構、漁民が出て海ごみを拾っていたりなんなりというのが結構ありますので、そういう視点のデータの取り方も今後増えてくるので必要ではないかと少し思っております。

 もう一つは、そのときに出てくる、土砂の中に出てくる、いわゆるマイクロプラスチックの問題です。これ、大きなごみもありますが、実は肥料とかに使われているカプセルのコーティング材のプラスチックとかも結構ありまして、これが、これからの調査だと思いますが、結構懸念され、さらに流入が懸念されますので、こういうところの視点を今後入れていただけないかなと。どちらかというと今後ということになりますが、すみませんが、現状、そういうところのデータがあるのかということと、今後、どうされるのかということを少しお伺いしたいと思います。

○古米委員長 どうもありがとうございました。私の記憶ですと、先ほどの土砂流入のところで取り上げられた九州北部豪雨の後、いわゆる木材とか、そういったものも流出していて、国土交通省のほうでそれを回収するというようなデータも小委員会のほうですか、報告を頂いています。ただ、そこの中身が必ずしもそこに含まれてなくて、資料編のほうには出てきているのかなと思います。もし重要であれば、漂流物のことについて、さらには今、課題になっているプラスチックごみ関係、さらにはマイクロプラスチックというようなことも一部、もう少し分かりやすい形で記載する。項目立てをするかどうかは別として。ちょうど今表示されている58ページのところに、そういった整備船によって回収作業をしているということも書いてありますので、そこら辺にキーワードとしてプラスチックごみも含めて書くかどうかは少し検討の余地はあるかと思います。

 それでは、事務局、追加があればお願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 今、古米委員長からも御紹介ありましたが、御指摘のごみの関係、大変重要だと思っております。この後、御紹介を予定しておりました2.7.2のところで海洋ごみの記述がございまして、58ページの下のところで、令和2年7月豪雨の際の回収に関する記述なども盛り込んでいるところでございます。ただ、御指摘のありましたマイクロプラスチックに関しましては、現段階では記載はされていない状況でございました。マイクロプラスチックですとか、プラスチックごみに関しましては、環境省内へのほかの部局でも様々な調査がなされているところでございますので、確認をいたしまして、この地域で、記載できる情報があれば追記を検討させていただきたいと思います。もし、その知見が今記載できるものがないということであれば、今後、知見を充実させる必要のある課題として明記をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○古米委員長 大嶋委員、よろしいでしょうか。

○大嶋委員 どうもありがとうございました。

○古米委員長 ほかに、委員から御質問、御意見があればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。はい。

 それでは、次の第2章の6~8というところについて、事務局から御説明いただきたいと思います。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 続きまして、第2章の2.6の貧酸素水塊から2.8の赤潮までを説明します。

 42ページを御覧ください。2.6貧酸素水塊についてです。

 まず、2.6.1有明海の底層溶存酸素量の状況についてでは、その後、追加されたデータも踏まえて、変動傾向の整理を行っております。なお、各地点の底層溶存酸素量の経年変化のグラフについては資料編に入れる予定としております。

 有明海における底層溶存酸素量の経年的傾向について、浅海定線調査によると、データのある1972年度以降、2019年までの年間最低値について整理したところ、6地点のうち、佐賀県の4地点で有意に減少する傾向が見られたことや、長崎の有明海諫早湾で2002年以降に行われている調査の2019年までの結果から年間最低値を整理したところ、有意な変化は見られなかったことなどを整理しております。

 45ページを御覧ください。有明海の湾奥部、諫早湾で調査されている結果を基に、底層溶存酸素量の日平均値が2mg/L未満、3mg/L未満、4mg/L未満の日数を整理しており、それぞれの図を載せております。全国的に底層DOの環境基準類型指定が進められておりますが、有明海・八代海では、まだ類型指定がなされていない状況のため、3種類のグラフを載せております。

 48ページを御覧ください。2.6.2貧酸素水塊の発生状況では、図2.6.2-1貧酸素水塊発生の模式図について、平成28年度委員会報告から得られた知見を踏まえ、干潟縁辺域と沖合域に分けて追加を行っております。

 また、九州北部地方で豪雨が記録された令和2年、つまり2020年には、1か月程度の長期間にわたって表層塩分は低下し、大規模な貧酸素水塊が発生したことなどを記載しております。

 7月豪雨後の貧酸素水塊発生状況として、49ページに図6.2.2-2に、表層塩分と底層DOの分布を示しております。

 50ページを御覧ください。2.6.3と2.6.4では、文献による知見の更新を行っております。

 2.6.3貧酸素に関わる酸素消費特性では、貧酸素を引き起こす生物学的酸素消費と化学的酸素消費は多様であることが判明してきていることなどを記載しております。

 2.6.4貧酸素の経年変化特性では、潮流振幅と貧酸素水塊の累積時間との関係について、干潟縁辺域と沖合域についてそれぞれ記載しております。

 52ページを御覧ください。2.6.5では、気候変動の影響について、文献からモデルによる計算を行った結果、新た知見として気温上昇が進んだ場合には、底層の貧酸素水塊の発達が助長されることが示唆されていることなどを記載しております。

 55ページを御覧ください。2.7藻場・干潟等です。

 まず、2.7.1有明海・八代海の藻場・干潟については、平成28年度委員会報告以降に行われた調査結果として、衛星画像解析による藻場・干潟の分布状況を記載するとともに、ヒアリング調査による藻場・干潟面積の経年変化を、57ページの表2.7.1-2に示しております。この表2.7.1-2については、11月の小委員会において、矢野委員をはじめ、多くの委員から意見を頂いており、一部エリアの結果である点など、留意が必要な旨を追記しております。

 また、環境の良好だった時期からの推移が分かるように、今後、過去、環境省において行われた自然環境保全基礎調査のデータも加えることを検討しているところです。

 57ページを御覧ください。2.7.2海洋ごみでは、有明海・八代海において、国、地方公共団体、関係者が連携し、流木等の海洋ごみの回収・処理等が行われていることなどを記載しており、ごみの回収量の推移の図や海洋環境整備船によるごみ回収量の推移の図などを載せております。11月の小委員会で、川原委員、中原委員から海洋ごみの回収について、県で行われている取組の記載が抜けているのではとの御意見を頂きました。確認したところ、各県においては、独自での取組ではなく、環境省や水産庁等の事業を活用し、海ごみの回収・処理を行っていることが分かりました。事実関係を踏まえ、表現を少し修正しております。

 60ページを御覧ください。2.8赤潮については、平成28年度委員会報告の第3章と第4章をベースに、データや知見等の整理を主に行っております。赤潮の発生状況、漁業被害等の詳細については、情報量が膨大であるため、資料編に入れる予定としております。

 2.8.1赤潮の発生状況では、61ページに有明海・八代海・橘湾の赤潮の発生件数の推移の図を載せております。

 62ページを御覧ください。2.8.2赤潮(種類別)の特徴では、赤潮を種類別に特徴を整理しており、有明海・八代海等で発生する赤潮プランクトンの写真や構成種の推移などを載せております。

 64ページを御覧ください。2.8.3有明海における赤潮による漁業被害(ノリ養殖等)では、有明海において漁業被害をもたらした赤潮の発生件数の推移や、有明海におけるノリの色落ちの原因になる珪藻類の発生機構について記述をしています。

 (1)有明海における夏期の赤潮では、65ページに海域区分別赤潮発生件数の図、66ページには有明海における2種有害赤潮生物の赤潮発生規模の推移の図、68ページには有明海奥部及び諫早湾におけるChattonellaと珪藻類の出現特性の図を載せております。

 69ページを御覧ください。(2)赤潮によるノリ養殖被害です。

 ア)珪藻類の赤潮の発生状況と発生機構。①ノリの「色落ち」では、有明海における秋~冬の珪藻赤潮の発生件数の図、70ページには有明海福岡県海域におけるノリの色落ちの発生期間と珪藻赤潮の発生期間の図を載せております。

 ②原因となる珪藻類では、71ページにノリの色落ちの原因となる主な珪藻類の図を載せております。

 Eucampia zodiacusでは、72ページに有明海の福岡、佐賀、熊本の海域におけるEucampia zodiacusの最高細胞密度の経年変化の図や、出現状況の変化の図などを載せております。

 73ページを御覧ください。Asteroplanus karianusでは、最高細胞密度の変動の図や、74ページに赤潮発生機構の概念図などを載せております。

 74ページのSkeletonema属については、平成28年度委員会報告以降、新たに追加された知見であり、文献を基に整理しています。有明海では、Skeletonema属による赤潮の発生機構については十分に解明されておらず、知見も一部の海域に限られていること、奥部海域では、冬季に発生する赤潮は、奥西部の河口域が初期増殖域となっていること、河川から栄養塩が供給される河口感潮域が増殖に重要であることなどを記載しております。

 77ページを御覧ください。2.8.4では、八代海における赤潮による漁業被害(魚類養殖等)では、八代海における赤潮被害発生状況等について整備を行っております。

 (1)八代海における夏期の赤潮では、78ページに八代海における海域別赤潮発生件数の図、79ページには八代海の熊本県海域と鹿児島県海域におけるChattonella属とCochlodinium属の発生日数、最大細胞密度の経年変化の図、80ページには八代海における有害赤潮発生規模の推移の図を載せております。

 (2)赤潮による魚類養殖被害では、81ページに八代海におけるChattonella属赤潮による漁業被害が発生した期間のChattonellaの発生分布状況の図を、図2.8.4-6として載せております。この図は、11月の小委員会時点では、年単位でのChattonella赤潮の発生分布状況を示していましたが、山本委員から、漁業被害との関係であれば、イベントごとの議論が必要との御意見がありましたので、図の差し替えを行っております。

 82ページを御覧ください。2.8.5橘湾における赤潮による漁業被害では、橘湾において漁業被害をもたらした赤潮について整理をしています。

 以上が第2章、2.6貧酸素水塊~2.8赤潮の説明になります。

○古米委員長 御説明どうもありがとうございました。

 先ほどと同様に、この2章の6~8に関しまして、委員の方々から御質問、御意見をいただきたいと思います。

 それでは、矢野委員、お願いいたします。

○矢野委員 九州大学の矢野です。

 今の貧酸素のところですが、45ページ、46ページの時系列のグラフを作成していただいています。この後、2020年の話が、47ページもありますが、48ページ以降、2020年の平面的な図面とかが描かれていますが、データがあるということだと思うので、せっかくなら、45ページから47ページまでの時系列で、2020年もプロットしていただきたいというのが少しお願いです。2020年が非常に大量の淡水が入ってきたというのは書かれていることですが、このグラフの中で、2020年が恐らく極端に上がる可能性が高いと思うので、それを、せっかくであれば、示していただきたいというのが一つ目です。

 もう一つが、2020年の貧酸素水塊の発生状況については、観測も、もちろんありますが、モデルで計算して、近年の出水状況とかで、どのように違いがあったかという比較をした論文が、今年、海岸工学講演会、論文集のほうで出ていますので、それも参照していただきたいなというのが二つ目です。

 以上です。

○古米委員長 それでは、事務局、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 御指摘ありがとうございました。

 図2.6.1-2辺り、45から47の辺りの点でございます。どうも地点によってデータがそろっていないところがあるかもしれないということでございますが、確認をいたしまして、可能であれば、御指摘のとおり最新のデータを追記するのは大事な点だと思いますので、必要な修正をさせていただきます。

 それから、モデル計算に関する文献の情報もありがとうございました。事務局で確認をさせていただき、必要な検討をさせていただきたいと思います。場合によりますと、論文の、より詳しい情報について、先生に個別に御相談をさせていただくかもしれませんが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、続いて林委員、そして鈴木委員、皆川委員の順番で御質問いただきたいと思います。

 それでは、林委員、お願いします。

○林委員 神戸大学の林でございます。今回から参加をさせていただきました。

 たくさんの資料があって、まだ十分に目が通せていない中で質問をさせていただくのは大変恐縮です。これまでの経年変化のデータがたくさんあるわけですが、やはり自然環境がどんどん変化をしてきて、そのために、最近の出水のデータですとか、そういうのが追加はされてきていると思いますが、その年代ごとによって、何が支配的かという状況がどんどん変わってきていると思います。それで、これまでの報告の中で、ある時期まではこういうものが影響しているという、そういう、これまでのまとめがあったと思うのですが、それ以降、現在はそこからこう変化しているとか、そういう傾向が見られるとか、そういう支配要因というか、影響している要因の違いというようなことは、どこかで言及をされているのかどうかということと、それと、その中でも、その年の特異的な状況がイレギュラーに、経年的な変化からちょっとイレギュラーに、その年だけなっているというようなところもあると思うのですが、そういう長期的な変化とイレギュラーなものの、そこの仕分けというか、認識、エクスキューズということも言及をされているのかと。その2点、教えていただきたいと思います。

○古米委員長 事務局、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 先生、御指摘ありがとうございました。

 様々な項目が第2章の中では記載されておりまして、項目によって、年代ごとに整理をし、場合によっては、状況だけになり、要因については、必ずしも記載がされてはいないところもございますが、年代ごとに、ある程度大きな傾向について記載をされているようなところもございます。

 御指摘を踏まえまして、何が支配要因なのかということにつきまして、経年的なこと、それからイベントでのことに関して、記載ができるところがありましたら、大変大事な視点だと思いますので、その辺りの追記も検討させていただきたいと思います。

 特にイベントに関しましては、代表的なものと申しますと、最近の短期間での非常に強い雨の発生ということかと思います。これに関しましては、頻度が上がってきているといったようなことは少しずつ見えつつあるところですが、それが土砂の流入量がどう変わってきているのか、また、先ほど御指摘もありましたとおり、土砂の中でも粒度の小さいものが栄養塩の供給についてのところでは大事になるのですが、そういったところが、どうイベントによってインパクトを受けているのかといったような辺り、私ども、事務局が今この段階で把握できている中でも、まだ明らかになっていない事項が多々あろうかと思います。御指摘を踏まえて、私どもで、改めて御指摘の観点から記載ができるかどうか確認をさせていただきますが、恐らくイベントに関連することとしましては、今後の課題の大事なポイントということになっていくのではないかと思います。御指摘を踏まえて、その辺りも分かっていること、あるいは課題として提起できるように検討させていただきたいと思います。

 以上です。

○古米委員長 林委員、いかがでしょうか。

○林委員 はい、ありがとうございました。

○古米委員長 今、お話を聞いていて、前回の報告書の中で、有明海と八代海における問題点と原因と要因の関連性ということで図を描いていますが、ある意味、長期的なトレンドの中で影響するような矢印もあり、気象だとか海象というのは、ある大きな豪雨イベントによって影響を受けるというようなこともあります。改めて、非常に大きなスケールの現象として扱うものであったとしても、イベントベースでの影響を受けて貧酸素水塊が発生するとか、あるいは、そういったハビタットに影響が出ている可能性もあると。それが徐々に、また水質が変わるなり、気温が上がるなりという、長期的な変動の中で、その作用がどう現れているのかというのは、簡単には分からないと思います。それを意識しながら、調査結果であるとかを見ていくということは、改めて大事かなと。要は意識しながら、解釈が難しいとしても考えていくというのは大事かなと思いました。私からの個人的な意見です。

 それでは、鈴木委員、手が挙がっておりますので、お願いいたします。

○鈴木委員 水産研究・教育機構の鈴木です。

 62ページの赤潮プランクトンの写真ですが、出典とか、写真の提供者の記載がないので、もし事務局で独自にお撮りになった写真でない場合には、こうした出典のようなものは記載したほうが望ましいと思います。よろしくお願いします。

○古米委員長 では、出典は確認いただいて、入れていただくということにしたいと思います。

 それでは、続いて手が挙がっているのは、清野委員、お願いいたします。

○清野委員 九州大学の清野でございます。

 干潟に関しての記述ですが、その関係で生態系に関しての様々な情報、例えばラムサール湿地に登録されている干潟もございますし、渡り鳥、それから希少生物、それから固有種などがあるかと思いますが、有明海・八代海については、水鳥であるとか、あるいは希少生物という点でも、多くの研究が行われております。それがもう少し見えるような記述になっているといいのかなと思っております。どうしても議論のフォーカスが漁業を中心に始まってきたこともあって、分かりますが、干潟や藻場に関しても、様々な社会への発信などもありまして、前向きの話題といいますか、生態系として非常に価値がある場所というのが出てきておりますので、そこを御検討いただきたいというのが1点です。

 それからもう一つは、干潟や藻場についての面積という単位で見ていくというのは、もっともですが、この委員会の中でずっと議論になってきたのは、マクロな視点で見るというだけでなくて、もっとハビタットレベルで見ていくということが重要ではないかということになります。それぞれの干潟、河口域の特徴などもありますし、様々なナチュラルヒストリーの調査というのもされておりますので、そこを検討いただきたいという点で、まずは以上です。

○古米委員長 ありがとうございました。

 事務局、いかがでしょうか。

○濵名閉鎖性海域対策室長補佐 室長補佐の濵名でございます。

 今いただきました御指摘についてですが、我々、内部で検討し、環境省内の自然環境局とも相談いたしまして、書きぶりをより工夫してまいりたいと思います。ありがとうございます。

○古米委員長 よろしいでしょうか。

 それでは、大嶋委員、そして、続いて川原委員にお願いしたいと思います。

○大嶋委員 専門ではありませんが、図2.6.4のところです。貧酸素水塊とM2分潮の関係がどうも明確にありそうなのですが、M2分潮の異常というのがなぜ引き起こされたかとか、そこが今後どうなるかというのが、何か今後皆さんの関心になるのではないかと思いますが、そこの辺りのお考えとか、記述はどうなのでしょうか。私も専門ではないのですが、非常に、ここは今後を考える上で大事なのではないかなと思ったので、お尋ねします。

 以上です。

○古米委員長 いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 御指摘ありがとうございました。

 確かに仰せのとおり、非常に大事なポイントかと思います。私どものところで、今、その点に関して分かっているところはございませんので、その辺り、課題として記載すべきということかなと思います。この後1月にまた小委員会がございますが、その中で海域の専門の先生方とも御相談をして、検討させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○古米委員長 よろしいでしょうか。

○大嶋委員 はい。ありがとうございます。

○古米委員長 それでは、川原委員、そして辻本委員の順番でお願いしたいと思います。まず、川原委員、お願いします。

○川原委員 佐賀県有明水産振興センターの川原です。

 58ページの海洋ごみのことで質問です。佐賀県の海洋ごみの状況を少しご説明いたしますと、県では環境省さんから補助をいただいて、水産サイドで回収処分をしているごみのほかに、報告書には記載のない県の土木サイドが海岸の構造物を守るために回収処分をしているごみがありまして、こちらの回収ごみの割合が多かったので、先月の小委員会では、再度、県に聞き取りをしてはどうかというようなお話をさせていただきました。

 ただ、私が一番お伝えしたかったのは、有明海は毎年のように、大雨の後に流木や葦くず等の大量のごみが河川から流入いたしまして、場合によっては、これらのごみが干潟を埋め尽くすような状況になって、干潟の生物に大きな負荷を与えているということ、それから、先ほど申しましたように、国交省さんのごみの回収船とか、環境省さんの支援を受けて地方自治体が回収しているごみよりも、目的は違いますが、もっと多くのごみの回収処分が行われているということでありますので、ここは具体的な数字ではなくとも、こうした実態をもう少し記載していただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○古米委員長 ありがとうございました。

 きっと追加の記載をしていただけると思います。よろしいですか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。

 御指摘ありがとうございました。前回、御指摘を踏まえまして、私ども全ての県に確認をさせていただいたところですが、目的の違う形で収集されているというごみが必ずしも拾えていなかったということかと思います。御指摘を踏まえまして、記載の仕方を検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○古米委員長 それでは、辻本委員、そして内藤委員の順番で、まず辻本委員、お願いいたします。

○辻本委員 熊本大学、辻本でございます。2点質問がありますが、極めて同じような内容の質問です。

 63ページの2.8.2の棒グラフと、68ページの2.8.3の折れ線グラフですが、要は縦軸が、有明・八代・橘湾なので、基本的にはスケールが異なっているのですが、これは場所が違うということで、特徴を出すということで、このような縦軸のスケールを変えておられるのかということ。あと、68ページのところはトレンドを見るということですが、これは全くスケールが、かなり異なる現象のところがこう描かれているので、トレンドがよく分かりにくいという感じです。できましたら、縦軸のスケールを合わす必要があるほうが理解しやすいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。よろしくお願いします。

○古米委員長 いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 御指摘ありがとうございました。

 例えば63ページでは、中身をより詳しく見せたいという担当の気持ちが、あったかなと思いますが、御指摘のとおり、確かに比較をする上では、縦軸のスケールがそろっていないと分かりにくいというところもあろうかと存じます。資料編もございますので、御指摘も踏まえて、縦軸、スケールをそろえることも検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。

○古米委員長 よろしいですか、辻本委員。

○辻本委員 結構でございます。

○古米委員長 それでは、内藤委員、お願いいたします。

○内藤委員 よろしくお願いいたします。私からは、赤潮の項目のところで2点確認をさせていただきたいと思います。

 62ページの図2.8.2-1の顕微鏡写真でございます。Skeletonemaと同じように、Chattonella antiquaに関しましても、分類学上は名称が変更されていますが、これは分かりやすいようにということで、過去の名称を引き続きこれからも使っていくのかなというところが1点、確認をまずさせていただきたいと思っています。

○古米委員長 いかがでしょうか。

 私もその名前は知っていますが、御指摘は、新しい名前が学術分野では出てきているということでしょうか。

○内藤委員 さようでございます。antiquaという名称で統一していくほうが、過去の被害とか、そういったところで、有明海・八代海で分かりやすいというところで、この写真のところには載せているのかなと理解しているのですが、文章中はそういったところを考慮されていて、Chattonella属と書かれていると思いますのですが、そこら辺のところは、水産庁の方とも協議された上で、この名称を使われているのかというところを確認させてください。

○古米委員長 そこら辺は、誤解のない形と継続性みたいなもののバランスを考える必要があらいそうです。ただ、最新の情報の正しい名称というものは、やはり示すべきだと思います。その表現ぶりを御検討いただきたいと思います。よろしいでしょうか。

○内藤委員 もう1点、よろしいでしょうか。

○古米委員長 どうぞ、続けてください。

○内藤委員 確認です。新しい知見なども加えていただいて、赤潮の項目、大変分かりやすく改訂されていると思うのですが、2.8.3の有明海における赤潮による漁業被害(ノリ養殖等)というのが64ページに記載されておりまして、その後に、後から加えているので致し方ないのかもしれないのですが、69ページにノリの色落ちとはという説明がございまして、少し順序というか、初めに有明海のノリの色落ちが示されていて、後のページでノリの色落ちとは、の説明が入ってくるので、そこら辺の資料の分かりやすさといいますか、そういったところはなかなか難しいかもしれませんが、工夫されるといいかなというようなところで、その辺り、今後、工夫改訂していく余地があるのかという確認でございます。

○古米委員長 いかがですか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木でございます。

 ありがとうございます。確かに御指摘のとおり、見ていただいたときに分かりやすくなるように、記載を工夫させていただきたいと思います。ノリの色落ちの説明を前に移すか、あるいは、詳細についてはこの項目に記載するが、というような追記を入れるか、いずれかで検討させていただきます。ありがとうございました。

○古米委員長 どうもありがとうございます。きっといろいろな項目が立っていますが、相互に関連していますので、リンクづけを少し意識的にして、詳しくは後半で、あるいは前に書いてあることをさらに詳しく書きますというように記載してはと思います。各節を読んだ人が、実は別の節も読まないといけないというような、ガイド的な取りまとめになるといいかなと私も思います。大変かも分かりませんが、精査していただければと思います。

 内藤委員、よろしいでしょうか。

○内藤委員 分かりました。ありがとうございました。

○古米委員長 山西委員、お願いいたします。

○山西委員 山西です。目次のほう、前回から随分改善いただいて、ありがとうございます。分かりやすくなったと思います。

 第2章の今までの説明、次の生物のところまで、聞いて言ったほうがいいかなと思いましたが、各項目のところで、今後の課題みたいなものが多く書かれていると思いましたので、もしよければ、先ほどの大嶋先生の御意見とか、あるいは灘岡先生も言われていましたイベントの影響だとかというような、各項目の新たな課題も出ています.新たにこれらを、現状のところにまとめる中で出てきた課題を入れるのは多分あるのだろうと思います。そうすると、この2章のところで、そこを一括して見えるようなところがないので、もし可能なら、2.10か何かで、現状の整理をするという意味で見つかった新たな課題だとか、あるいは各項目のまとめみたいなものを一覧で見ることができるようなところがあると、分かりやすいかなと思いましたが、いかがでしょうか。

○古米委員長 一応、2章としては、環境等の状況ということで、状況で新たに分かった知見を提示すると。その整理の中で今後さらにこういった定量的な評価が必要であるという文章が入っていますが、第2章の最後に全体を取りまとめて課題整理をすることも考えられます。一方で、第3章は再生方策というキーワードが入っていますので、そうした研究の取りまとめ、あるいは調査の在り方ということなどの課題を書き込めます。3章でうまく取り込むのか、2章の最後に入れて3章でさらに受けるほうが効果的なのか、私もどちらか分かりません。もし、事務局、今の段階で検討できそうなことがあればお願いいたします。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。

 事務局といたしましては、この後、御紹介をさせていただきます3章と4章のところで、今後の課題というところを整理させていただいているところでして、そこに全般的にまとめたほうがよいのかなという気持ちでおります。全般を見ていただきまして、また先生方の御意見もいただければと思っているところでございます。

○古米委員長 山西委員、よろしいでしょうか。

○山西委員 はい、分かりました。

 要は第2章のところが、既に項目として挙げられているものでまとめられています。例えば気候変動の話だとか、あるいは山室先生とか、新たな化学物質の話だとか、いろんなものがまた、今挙げられている以外のものが出てきているように思うので、そういうのをどこかで少し書いておく必要があるかなと思いました。第3章、第4章は、むしろ第2章で挙げられた項目に対しての対応ということの整理かなと思ったので、新たな項目というようなものでの話があれば、という意見です。ただ、第4章のところは、確かにそのような形になるだろうと思いますので、事務局の言われた方向で結構だと思います。

○古米委員長 はい。私、今理解したこととしては、第2章の環境の状況ということで、前回の報告書の項目に対応して、ある程度整理をしたということだと思います。改めて、その他ということではないですが、全体を通じて現況をどう把握すればいいかというような切り口で言うと、温暖化の関連のことであるとか、大きな大雨が降ったときにどうなるのかといったことだとか、今まで着眼されていなかった化学物質の問題であるというように、新たに分かってきたことみたいなものを節として、最後に追加することもできます。取りまとめができるのであればそうすることも可能ですが、今の段階では、やはり個人的には難しそうなので、御意見はきちんと記録に残させていただいて、今後、そういった形で取りまとめや取り込みができるようであれば、考えていただくのがいいかなと思います。山西委員、御理解いただきたいと思います。

○山西委員 それで結構です。

○古米委員長 それでは、続いて皆川委員、お願いします。

○皆川委員 熊本大学の皆川です。

 1点、先ほど清野先生からも干潟の記述について御指摘があったと思います。今回、海域等がメインということにはなると思いますが、現在、Spartina、干潟アシの生育、確認が有明海等々で出ています。今後、かなり外来種が拡大してしまうと、除去も大変になりますので、記述で、干潟のところに少しでもその記載があると、注意喚起にもつながると思います。ぜひ言葉だけでも入れておいていただければと思いました。

 以上です。

○古米委員長 ぜひ科学的な知見、論文等の内容を御連絡いただければ、それを踏まえた形で追記するということにするべきかと思います。情報提供をよろしくお願いいたします。

 事務局、よろしいですか。

○行木閉鎖性海域対策室長 はい。

○古米委員長 はい。ということです。

 ほかに御質問、御意見いかがでしょうか。

 特に挙手がないように思います。それでは、ここで一度休憩を取らせていただきたいと思います。今、時間が37分ぐらいですので約5分間ということで、45分にしましょうか。

 それでは、45分より前にはお戻りいただいて、再開したいと思います。それでは、休憩とさせていただきます。

(休憩)

○古米委員長 それでは、休憩を終えて、次に進みたいと思います。中間取りまとめの第2章9、生物というところの御説明を事務局からお願いしたいと思います。

○横内閉鎖性海域対策室長補佐 続きまして第2章の9生物の説明をします。

 85ページを御覧ください。2.9生物、2.9.1有明海・八代海等を中心に生息する生物(固有種、希少種等)では、有明海・八代海等を中心に生息する主な生物について整理をしております。有明海・八代海では、国内でのこの海域固有、あるいは国内ではこの海域のみを主な分布域とする種が数多く確認されております。それらの中には、環境省レッドリスト等に掲載されている希少種もあります。この部分については、11月の小委で、山口委員から表の整理の仕方が十分でない旨、御指摘をいただいており、それを踏まえて、有明海・八代海等を中心に生息する主な生物として修正を行っております。

 86ページを御覧ください。2.9.2ベントス(底生生物)です。(1)ベントスの経年変化については、87ページ以降には、図2.9.2-1~3にベントスの種類数、個体数、湿重量の経年変化を示し、種類数と個体数については、変動傾向の整理を行っております。90ページには、有明海と八代海のベントスの種類数及び個体数の経年的な変動傾向の表を載せております。

 91ページを御覧ください。2018年度から2020年度のベントスの種類数、個体数、湿重量の水平分布を示しております。2017年度以前の水平分布については、資料編に記載しております。有明海におけるベントスの種類数の経年変化については、海域で様々で、A1海域で変動傾向は小さく、低い値で推移し、それ以外の海域は概ね横ばいで推移しているが、変動幅が比較的大きいこと、総個体数の変動傾向については、平成28年度委員会報告以降に2地点において減少傾向で、特に環形動物門によるものと推察されることなどが記載されております。八代海については、総個体数などで、平成28年度委員会報告で減少傾向であったが、近年もその傾向は継続しているものと考えられることなどが記載されております。

 94ページを御覧ください。2.9.3有用二枚貝については、(1)にタイラギ、(2)にサルボウ、(3)にアサリとして、それぞれの漁獲量の推移を整理しております。また、タイラギについては成貝・稚貝の分布状況、浮遊幼生の出現状況についても整理を行っており、アサリについても、浮遊幼生の出現状況を整理しております。

 95ページを御覧ください。イ)タイラギ成貝・稚貝の生息状況では、96ページにタイラギの成貝の分布の推移、97ページにタイラギ稚貝の分布の推移の図を載せております。

 98ページを御覧ください。ウ)タイラギの浮遊幼生の出現状況では、タイラギの生活史の図を載せております。

 次のページには、有明海のA6海域のタイラギ浮遊幼生の出現状況の図を載せております。図の下の記述になりますが、有明海におけるタイラギ浮遊幼生出現の広域調査について記載しております。

 広域調査の結果については、100ページにある図2.9.3-7、タイラギ浮遊幼生の水平出現特性の図から記載しております。11月の小委員会の時点では、次ページの図を反映した記載内容となっておりませんでしたので、その点を修正しております。100ページには、タイラギ浮遊幼生出現広域調査地点図、タイラギ浮遊幼生の水平出現特性の図を載せております。

 101ページを御覧ください。タイラギ浮遊幼生の各年度、県別の経時的出現状況の図を載せております。有明海のタイラギは、2012年より休漁となっております。有明海での浮遊幼生調査結果によると、平成27年度は有明海湾奥部で浮遊幼生が確認され、平成28年度から平成30年度は概ね全域で浮遊幼生が確認されたが、平成28年度委員会報告で示された過去の調査結果を踏まえると、出現密度は、平成27年から平成30年度のように増加の兆しは見られるものの、2012年以前と比較すると、全体的に低位で横ばいであることが考えられることなどを記載しております。

 102ページを御覧ください。(2)サルボウでは、有明海におけるサルボウの漁獲量の推移の図を載せています。サルボウの漁獲量は、1998年以降減少傾向となり、2006年以降の生産量は5,000t以下の年が多く、変動幅も1,000t~3,000tと大きいことなどを記載しています。

 103ページを御覧ください。(3)アサリ、ア)漁獲量について、有明海におけるアサリ漁獲量の推移の図を載せています。

 104ページを御覧ください。八代海におけるアサリ類漁獲量の推移の図を載せています。(2)アサリ浮遊幼生の出現状況では、アサリの生活史の図を載せております。

 105ページを御覧ください。有明海のアサリ浮遊幼生出現状況の広域調査が実施されていることなどを記載しております。2パラグラフ目から6パラグラフ目には、図2.9.3-14、アサリ浮遊幼生の出現状況の説明を記載しております。11月の小委員会では、図を反映した記載となっておりませんでしたので、記載を修正しています。

 106ページを御覧ください。アサリ浮遊幼生出現広域調査地点図を載せております。

 107ページを御覧ください。アサリの浮遊幼生の出現状況の春と秋の図を載せています。

 108ページにはアサリの浮遊幼生の出現状況の春の図、109ページにはアサリ浮遊幼生の出現状況の秋の図を載せております。

 有明海のアサリ浮遊幼生出現状況については、4年間の春と秋の調査のうち、最も浮遊幼生が多く観測された地点は、平成29年度の福-2であり、一方、平成29年度の佐-4が一番少なかったことなどが記載されております。

 110ページを御覧ください。2.9.4魚類です。(1)有明海・八代海の魚類漁獲量です。ア)魚類漁獲量では、有明海の魚類漁獲量の経年変化の図を載せております。

 111ページに、八代海の魚類漁獲量の経年変化の図を載せています。イ)魚種別組成別漁獲量では、有明海と八代海の魚種別組成別漁獲量の図を載せております。

 112ページを御覧ください。イ)2020年1月に、八代海奥部で羽瀬網による魚類相調査の調査結果の図を載せております。

 2.9.4の、これ以降については、(2)では魚類相、(3)では仔稚魚分布と生息密度について記載しておりますが、これらの記載については、今後修正を予定しておりまして、次回、修正案を提示させていただき、御議論いただければと考えています。詳細を説明しますと、現在お示ししている(2)と(3)は、11月の小委員会の時点の事務局の案となっております。11月の小委員会において、調査を行った山口敦子委員より、魚類に関しては内容や流れが正確でないとの御意見をいただいており、現在、ご意見を踏まえ、山口敦子委員と個別に相談しつつ、知見の整理を進めているところです。(2)、(3)については、今後、修正した案をお示ししたところで、改めて御議論をお願いしたいと考えております。

 116ページを御覧ください。2.9.5漁業・養殖業生産量では、有明海・八代海における漁業・養殖生産量について整理をしております。このうち、図2.9.5-2と図2.9.5-4、5については、11月の小委員会時点では、2.8の赤潮に記載していたところ、古川委員をはじめ、何人かの委員から、赤潮の中にノリ養殖や魚類養殖の生産量が含まれていると分かりづらいとの御意見があったため、こちらのパートに移し、漁業・養殖生産量として整理をしております。(1)有明海の漁業・養殖業生産量の推移では、有明海の漁業・養殖生産量の図を載せております。

 117ページを御覧ください。ア)ノリの生産量では、有明海の福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県海域におけるノリ養殖の生産枚数及び生産額の推移の図を載せております。有明海のノリの収穫量は、1994年までは増減を繰り返しつつ増加傾向にあったが、その後は、10万~20万tの間で推移していることなどを記載しております。

 118ページを御覧ください。(2)八代海の漁業・養殖業生産量の推移では、八代海の漁業・養殖業生産量の図を載せております。

 119ページを御覧ください。ア)魚類養殖の状況。八代海におけるブリ類生産量の経年推移の図、次のページには、八代海におけるタイ類の生産量の経年推移の図を載せております。ここも11月の小委員会では2.8の赤潮の報告に入れていたものを、この項目に移しております。八代海の海面漁獲量は、2003年頃まで減少が続いていたが、以降は増加傾向に転じていること、魚類の養殖生産量は1994年までは増加していたが、その後は2万6,000t~3万9,000t程度で推移していること、八代海のノリ収穫量は、2002年まではやや増加傾向が見られているが、2004年からおよそ2,000t以下となっており、不作が続いていることなどを記載しております。2.9.6がまとめとなっております。

 第2章9の生物の説明については以上になります。

○古米委員長 どうも御説明ありがとうございました。

 2.9生物ということで御説明をいただきましたが、委員の方々から、御質問があればお願いしたいと思います。

 それでは、山口委員、お願いいたします。

○山口(啓)委員 島根大学の山口です。

 ベントスのところですが、個体数とか種数とかで表現するとなかなか分からないということは、ずっと前から言われていたと思います。たしか、少し前の小委員会では、クラスター分析の結果が出てきて、何かそういう方向で解析をされるのかと思っていたら、今回のものには、それは載っていないみたいですが、これはなぜそういう解析結果は載せられないのか。ベントス群集として載せられたほうが、より分かりやすいのではないかということです。

 あと、第3章には、ベントス群集という言葉が出てくるので、ベントス群集と底質との関係を検討したということだと思いますが、その結果がここに記載されていないようですが、それはなぜでしょうか。記載はされないのでしょうか。

○古米委員長 事務局、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木でございます。御指摘ありがとうございました。

 ベントスのクラスター解析の部分、確かに進めておりまして、今のところ、それに関しましては、資料編で整理する方向で作業をしていたところでございました。御指摘がございましたので、その中から、エッセンスを本編のほうに記載することも検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○古米委員長 山口委員、よろしいでしょうか。

○山口(啓)委員 はい、分かりました。ありがとうございます。よろしくお願いします。

○古米委員長 続いて大嶋委員、お願いいたします。

○大嶋委員 2点ありまして、一つはタイラギのことです。タイラギの資源減少ですが、ある程度、底層が悪いというのは、もうはっきりしていると思います。底層から上に少し上げるとタイラギは育つというのは、これは分かっていると思いますので、やはり何か少し、ここまでは分かったというのが何かあったほうがいいのではないかなと思います。どこで取りまとめるかは分かりませんが、それとタイラギをまとめられている方たちの意見の合意が得られるかわかりませんが、私は、いろいろ聞いていると、ある程度、底層から離すとタイラギはきちんと育つことができるというふうには聞いておりますので、そこは少し成果として挙げられるのではないかなと思います。それが1点です。

 もう1点はノリのほうです。これも漁業者さんとのというか、行政との関係もあると思いますが、ノリの生産で、御存じかと思いますが、佐賀県は栄養塩が落ちたときに窒素を撒いています。ただ、それは決して悪いことではなくて、当然、取上げ量に匹敵する分以下で、窒素分で栄養塩が非常に落ちるときに添加するということをやっているわけです。これはもう瀬戸内海でも、そのように栄養塩が落ちてきたということで、栄養塩を積極的に付加しようという動きもありますし、これはそんなに悪いことではないし、今後もそういうことがあるかなと思います。ますます、何か栄養塩が落ちてきています。ですから、このように積極的に生産をやろうとしているというスタンスがありますので、少し、どこの部分で合意が得られるか分かりませんが、ある程度、書いていけるのではないかと思っております。御検討ください。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございます。

 今のまとめ方としては、環境の現状がどうなっているのかだとか、生物が生息しているのかどうかということでまとめています。一方、各省庁の再生方策の成果として、方策を複合することによって改善する効果があることとか、先ほどのノリ養殖で窒素を十分に提供するという取組なども整理されています。今のとりまとめ状態では、資料編のほうでケーススタディとして掲載するという案になっています。大嶋委員としては、そういった内容も、ここの2章の生物のところに絡めて書いたほうがいいというようなお考えで御発言でしょうか。

○大嶋委員 はい、そうです。資料編で細かく書いていただいて結構ですが、そのように積極的な取組というか、改善・対応を積極的にやっているというところが、一般の人に対しては説明が、成果として、皆さん苦労されて、いろいろされていますので、出されたほうがいいと思います。

○古米委員長 事務局、どうでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 御指摘ありがとうございました。

 今のタイラギを底層からこのように持ち上げるという話、それからノリの色落ちに関連する窒素の添加の話、取組としてなされていることとして2章に記載、あるいは3章の再生方策の実施状況の関連で記載をすることなど、いろいろ考えられると思いますので、事務局として、関係してお取組をされている関係者の方、関係機関の方々とも御相談をしながら、検討させていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、清本委員、お願いいたします。

○清本委員 水研機構の清本です。

 内容に関わることではなくて、書きぶりに関するコメントのみ1点です。浮遊幼生のところだけ、図とか記載が和暦で書かれているようですが、報告書として、全体を通して、もう西暦で通すのであれば、ここも西暦に図の記載を直すほうが分かりやすいかなと思いましたので、その点、検討いただければと思いました。

 以上です。

○古米委員長 これは記載統一ということで、対応していただきたいと思います。

 続いて林委員、お願いします。

○林委員 林でございます。

 先ほどの大嶋委員のお話と少し、それから私の先ほどの質問とも少し関連するのですが、今回の生物のまとめのところ、結局この委員会は、やはり生物を、資源を回復するというのが恐らく一番大きな目的で、ここでの生物として挙げられている結果、まとめのところは、現段階では、そういう変化、どういう傾向があったかしか書いていないわけですが、先ほど大嶋委員にもありましたが、少なくとも今回の中間取りまとめ以前に、既に何度か取りまとめが行われていて、その中では、減少の原因がこういうものだったということが、ある程度結論が出ているのかどうか存じ上げないのですが、そういうものがあれば、少なくとも、それは過去の報告書でも記載されていることなので、書けると思います。今、ここのまとめのところには、かなり昔の傾向から書いてありますから、いついつの時点では、この傾向はこういうことが原因だったというようなことは、昔の報告書を引用する形でも書けるのではないかなと。これを今、このまとめを拝見すると、どういう傾向があったということばかりで、なぜなのかということが、ここでは少し見えてこないので、もう既にある程度結論づけられているものがあれば、それを記載していただくほうがいいのかなと思いました。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、事務局、どのように対応されるか、御発言をお願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 御指摘ありがとうございました。

 ここの中間取りまとめの中では、平成28年度報告以降、新たに分かったところを中心に、ここまでまとめているところでございました。それは、平成28年度報告は、600ページにわたる大変分量の多いものでございますので、そこからの進捗状況を端的にという趣旨で、そのように考えていたところでございます。

 御指摘のあったところでございますが、例えば次に御紹介をする3章の中では、構成といたしまして、まず、平成28年度報告で問題点としてこういうところがあったと、その次に、それに関連して、こういうことを実施してきていて、課題はどうだという形で整理をしているところでございます。今の話のところは、平成28年度委員会報告による問題点等としてまとめているところに、ここまでのところで分かっている原因ですとか、問題点などがあれば、そこを記載して整理をするというのが、一番分かりやすいのではないかと思います。今の段階での3章で、先生御指摘の生物の部分、そこが十分反映できているかどうか、もしかすると足りない部分があるかもしれませんが、御指摘を踏まえまして、3章のここまでの報告でまとめられていること、問題点として整理されているところで反映できるように、確認をして、修正を検討させていただきたいと思います。

○古米委員長 林委員、いかがですか。

○林委員 今回の中間報告に関しての期間だけということを、私、勘違いしておりました。失礼しました。今の御説明で結構でございます。よろしくお願いいたします。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 ほかの委員の方々から、御質問、御意見、特に、一応、今2.9ということで御説明いただきましたが、1~8の部分も合わせて、2章全体を通じて何か御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。

 それでは、山室委員、そして山口敦子委員の順番で、まず山室委員からお願いいたします。

○山室委員 山室です。

 前回指摘したところがまだ直っていないのは、時間が間に合わなかったのか、それとも検討した上でこのままなのか、教えてください。幾つかのデータについて、回帰分析によって増減があった、ないというのを示した表があります。前回か前々回だったか、私が、経年的な変化を調べるのは1次回帰で、決定係数がいくつで、有意水準がいくつでという、そういう解析ではなく、経年的に有意差があるかどうかというのを専門にした解析法があるという指摘をしたつもりだったのですが、今回、また同じような1次近似して、決定係数が幾らでというようなことをまだ書かれているので、それについて教えてください。

○古米委員長 事務局、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 先生、御指摘ありがとうございました。閉鎖性海域対策室の行木でございます。

 事務局からの説明のところで、言及が漏れていて、大変失礼いたしました。一言で申しますと、今、確認の作業中という状況でございます。先生の御指摘を踏まえて確認をいたしまして、今使っている方法は、平成28年度報告のときにも用いられていた方法であるということは確認をいたしました。それがどういう経緯で、そのときにその方法が適切と考えられたのかというところなど、まだ十分確認できておりませんで、その結果、今回どうすべきか、というところまで作業が至っていない状況でございました。御指摘を踏まえまして、作業を進め、場合によって、先生と個別にご相談をさせていただき、その結果をまた委員会に報告するというようなこともさせていただきたいと思います。事務局からの説明が抜けておりまして、大変失礼いたしました。

○古米委員長 ということでございます。山室委員、よろしいでしょうか。

○山室委員 統計が分かる方がこれを見ると、「あれっ」と思いますので、ぜひ、御検討をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○古米委員長 それでは、山口敦子委員、お願いいたします。

○山口(敦)委員 山口です。

 116ページの2.9.5漁業・養殖業生産量のところです。ここは漁業・養殖生産量の推移ということでまとめられていますが、この漁業の中には、前のページまでのところで個別に出てくる漁獲量、魚類等の漁獲量など、全て含めたものになっているのかどうか、ここの養殖のほうは書かれていますが、海面の漁獲量の方が何を指しているのかというのが書かれていない、明記されていないようです。この海面漁獲量は貝と魚を足したものなのでしょうか。貝が入っているのかと思いますが。それと別に、貝のみというのも出てきますので、少し整理をし直したほうがいいのではないでしょうか。混乱します。前のページにも出てくるので、それも併せて、少し整理をされたほうがいいのかなと思います。

 ここの記述のところで、貝の減少に伴いノリの収穫量の割合が増えているという書きぶりになっていますが、これは特段意図があるようでしたら、それでいいのかもしれませんが、少し書き方を注意したほうがよいと思いました。貝の減少に伴い、ノリの収穫量の割合が増えているというわけではないですよね。

 118ページの八代海のところからも、同じくです。前のほうで貝の話と魚の話と出てくるのですが、それと養殖の関係と、それから海面漁業との関係が、不明確だと思いました。

 120ページからの2.9.6、まとめです。ここの(5)の漁業・養殖業生産量のところですが、ここも恐らく、このすぐ上の(3)や(4)で述べられている二枚貝の漁獲量とか魚類の漁獲量のことが、ごちゃ混ぜになって書かれているというか、捉えられているようです。例えば魚類の話だと、既に(4)のところにありますが、また、もう一度123ページに魚類の漁獲量のことが出てくるので、ここは恐らく養殖であれば養殖の生産量ということで、分けて書いたほうがいいと思いました。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございました。それでは、事務局、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 御指摘ありがとうございました。御指摘を踏まえまして、(3)~(5)、交通整理をいたしまして、記載の修正を検討させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○古米委員長 凡例の説明が十分ではないのかもしれませんし、常識として理解いただける感じもしますが、やはり私自身も少しどうなのかなと思います。例えば、片方は貝類のみの漁獲量が出たり、もう一方はそれがなくて養殖業の生産量というように記載されています。八代海と有明海で違うというところは、統一する必要はありませんが、読んでいる人にとっては気になる点なので、そういったところも分かるように書いていただくといいかなと思いました。

 それでは、中村委員、お願いします。

○中村委員 中村です。

 2章に共通、全体に共通することとして、気象と海象についての記述が不十分かなと思いました。気象については、2.2の河川からの土砂流入に関連して、降雨量であるとか、あるいは、その結果としての河川流量の変化が示されております。それから、海象については、今回は原稿に記載されていないのですが、恐らく2.3節で述べられるのだろうと思います。そうすると、抜けているのが、気象のうち日射量であるとか風、その他のデータ、気象台等で出されている基本的なデータが出されていないと思います。2章の中に改めて項目立てをして、それを出すのは、なかなか大変だと思いますので、もし、これまで検討されてなければ、ぜひ資料編に、このベースになる気象データのものを、できれば、あまり加工しない形で載せていただく。そうすると、それぞれの、例えば赤潮であるとか貧酸素であるとかいう項目の状況を考える上での基礎データになって、参照しやすいのではと思いました。ぜひ御検討ください。

○古米委員長 どうもありがとうございます。きっと気候変動絡みを意識すると、そういった基本的な情報が報告書のどこかに記載されている必要があるかなと思いました。実は私も、水質のところに水温は結構重要な項目として、長期的なデータを示しておくということは大事と感じました。個々に入れる必要はないのかも分かりませんが、やはり温暖化を意識しているということを示すことになりますので、御提案のように資料編のほうに入れるというようなことが一番簡単に対応できると思います。事務局、何かあればお願いします。

○行木閉鎖性海域対策室長 御指摘ありがとうございました。仰せのとおり大変大事な点と思いますので、資料編に記載できるように、追記をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

○古米委員長 中村委員、よろしいでしょうか。

○中村委員 はい、ぜひお願いいたします。

○古米委員長 ありがとうございました。

 ほかに御意見、御質問があればお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 特に手が挙がりませんので、次の議題に移らせていただきます。

 それでは、中間取りまとめ第3章案と第4章案ということで、事務局から御説明をお願いしたいと思います。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 それでは、続きまして、資料3-4を御覧ください。中間取りまとめの第3章、第4章の案になります。

 第3章、再生方策等の実施状況等と課題の整理です。第3章では、再生方策等の実施状況等と課題を整理しております。まず、平成28年度委員会報告では、盛り込まれました再生目標として、希有な生態系、生物多様性及び水質浄化機能の保全・回復、二枚貝等の生息環境の保全・回復と持続的な水産資源の確保が盛り込まれております。これらの目標は、独立しているものではなく、共に達成されるべきものとして、各種再生方策が取り組まれているところです。また、有明海・八代海等は、希有な生態系を持ち、高い生物多様性と豊かな生物生産性を有していることから、環境の保全・再生に当たっては、この点に特に留意して、科学的知見及び社会的背景に基づき対策を実施する必要があるとされております。

 2ページを御覧ください。平成28年度委員会報告において示された有明海・八代海等の再生に向けた方策等の表を載せております。

 3ページを御覧ください。平成28年度委員会報告では、有明海・八代海における問題点と原因・要因との関連の可能性を示した図、いわゆる連関図が整理されており、中間取りまとめの第1章の案に載せております。図1では、連関図と関係事業等との関係を整理しております。これ以降、この図1も踏まえ、再生方策等に関して得られた主要な知見や特筆すべき知見等を記載しております。

 なお、この図1は有明海のもののみですが、今後、八代海のものも追加する予定です。

 4ページを御覧ください。これ以降、3章の中では、まず、平成28年度委員会報告により記載された問題点などのポイントを記載し、続いて、再生方策の実施状況や、それらにより明らかになったことなどと課題を記載しています。

 なお、今の案では、問題点と実施状況等は箇条書で記載しておりますが、11月の小委員会において、速水委員から、箇条書では論理構成が分かりにくいという御意見を頂いており、現在、1月の小委員会に向けて、箇条書から文章の形に変えるべく作業を進めているところです。次回の評価委員会では、その点を修正した案をお示ししたいと思います。

 また、これ以降の記載の順ですが、これまでに御意見として、まず、主要4項目とされているベントス、有用二枚貝等を先にして、最後に生物の生息環境の確保を記載すべきではないかという御指摘や、タイラギなどで項目をまとめてはという御意見もありましたが、委員長、小委員長と御相談し、記述の順については、再生目標がある環境の視点、続いて水産資源の視点となっておりますので、その順としております。また、項目でまとめることにつきましては、先にお話ししました論理構成を明確にするための作業をしていたところで、全体を見据え、検討させていただきたいと考えております。

 それでは、再生方策等の実施状況等と課題をざっと御紹介したいと思います。

 3.1生物の生息環境の確保です。

 3.1.1底質の改善、河川からの土砂流入量の把握、28年度報告では、有明海・八代海では、河川からの土砂流入の減少が、海域の泥化の要因となる可能性が指摘されております。底質中の有機物・硫化物等に関する調査、底質改善の取組等が実施されていること、課題として、底質の改善は、局所的な対策となるため、有明海・八代海全体の生物生息環境の対策としては適用が難しいことに留意しつつ進める必要があることなどが記載されております。

 河川からの土砂流出状況の把握、森林との関わりに関する調査等が実施されていることなどを記載しております。この部分では、小委員会で、弓削委員をはじめ多くの委員から頂いており、課題として、河道内の土砂堆積状況を確認する必要があることや、河川下流や海域への土砂流出と底質や生物との関連性等について確認することや引き続きの調査、検討が必要であることなどを記載しております。

 3.1.2藻場・干潟の分布状況等の把握、漂流・漂着・海底ごみ対策では、藻場・干潟の分布状況等の調査に加え、水産多面的機能発揮対策事業等を活用し、藻場・干潟の保全等の取組に対して支援が実施されたことを記載しております。課題としては、最新技術を用いた定期的な藻場・干潟の分布状況の把握と要因分析が必要であることや、取組の支援は引き続き進める必要があることなどを記載しております。

 5ページを御覧ください。漂流・漂着・海底ごみの回収や処理等の支援が実施されたことなどを記載しております。課題としては、漂流物の発生量は、その年の豪雨等の有無に影響を受け、今後の気候変動により豪雨の頻度が上がる可能性があることに留意が必要であることなどを記載しております。

 6ページを御覧ください。3.1.3水質(貧酸素水塊の軽減対策、赤潮対策)では、貧酸素水塊のモニタリング調査、赤潮の発生状況調査、赤潮被害防止対策技術の開発などや、下水道、農業・漁業集落排水施設、浄化槽等の整備への支援が実施されたことなどを記載しております。課題としては、両海域の双方向からの赤潮の移入状況を把握することが必要であること、赤潮発生予測技術の高度化に向けた調査研究を進める必要があること、赤潮が発生する要因の解析を進め、発生機構の明確化と発生予察技術の開発が必要であることなどを記載しております。

 3.2ベントスの変化です。

 3.2.1ベントス群集・底質の継続的なモニタリングでは、各海域のベントス群集(種類数、種組成、個体数等)及び底質の継続的なモニタリングが実施されたことなどを記載しております。

 7ページを御覧ください。課題としては、今後もベントス群集及び底質について継続的なモニタリングを行うことが必要であることなどを記載しております。

 3.2.2ベントス群集の変化・変動要因の解析では、ベントス群集と底質との関連性について解析が行われたことなどを記載しております。課題としては、底質以外の要因である貧酸素化、長期的な水温上昇等との関連性についても解析を進める必要があることや、長期的な変動解析を実施することが必要であることなどを記載しております。

 3.3有用二枚貝の減少では、タイラギ、アサリについては、浮遊幼生の調査、母貝団地の造成、稚貝育成、移植等の資源再生の取組が行われております。タイラギでは、特に立ち枯れへい死の原因調査等の実施、アサリでは、浮遊幼生の挙動を推定するシミュレーションモデルの構築が実施されたことを記載しております。

 3.3.1では、タイラギの生息状況や浮遊幼生の出現状況を記載しております。

 8ページを御覧ください。課題としては、今後も資源の現状を把握するため、浮遊幼生調査を引き続き行うことが必要であることや、親貝の分布についても調査を行うとともに、数値モデル等を用いたタイラギ浮遊幼生の移流拡散の実態把握についても検討が必要であることなどを記載しております。

 3.3.2では、タイラギの立ち枯れへい死の原因解明として、調査等が実施されたことを記載しております。課題としては、要因解明に向けた現地調査及び室内実験等による検証が必要であることなどを記載しております。

 9ページを御覧ください。3.3.3では、タイラギの母貝団地の造成、稚貝育成・移植等が実施されたこと、タイラギの種苗生産・放流・移植技術の開発等が実施されたことなどを記載しております。課題としては、母貝団地へ移植したタイラギの生残率を高めるため、エイ類等の食害防止策、低塩分や貧酸素等のへい死リスクを踏まえ、数値モデル等を活用した適地選定、生息に適した底質の改善、広域的な浮遊幼生供給ネットワークの形成に向けた母貝団地の造成場所や方法に関する評価等を継続的に実施する必要があること、タイラギの種苗生産・放流・移植技術の開発等について、今後も技術開発を続ける必要があることを記載しております。

 3.3.4アサリ浮遊幼生の出現状況では、アサリの浮遊幼生調査、アサリ浮遊幼生の挙動を推定するシミュレーションモデルの構築等が実施されたことなどを記載しております。課題としては、今後、アサリ浮遊幼生のシミュレーション結果も活用し、母貝団地の造成等を行うことが重要であることなどを記載しております。

 10ページを御覧ください。3.3.5アサリの資源再生、母貝生息適地の保全・再生では、アサリの母貝生息地の造成、稚貝育成・移植等が実施されたことなどを記載しております。課題としては、取組の有効性、効率性の向上につながる技術等について、引き続き検討する必要があることなどを記載しております。

 3.3.6エイ類等の食害生物の駆除・食害防止策では、ナルトビエイの状況調査、生態把握調査、駆除・食害防止策等が実施されたことなどを記載しております。課題としては、小型捕食者を含めたエイ類等による食害は、引き続きその影響等について、調査等によって定量的に解明していく必要があることなどを記載しております。

 11ページを御覧ください。3.4ノリ養殖の問題です。

 3.4.1ノリの色落ちでは、栄養塩のモニタリング調査、赤潮の発生状況調査、赤潮被害防止対策技術の開発等が実施されたことなどを記載しております。課題としては、赤潮の発生、増殖終息の予察技術の開発が必要であることなどを記載しております。

 3.4.2環境負荷の軽減に配慮したノリ養殖技術の確立には、二枚貝等の増養殖を組み合わせたノリ色落ち軽減技術の開発等が実施されたことなどを記載しております。課題としては、二枚貝による色落ち原因プランクトンの除去量とノリの品質向上効果との関係性について定量的な評価を行う必要があることなどを記載しております。

 12ページを御覧ください。3.4.3水温上昇等に対応したノリ養殖技術の開発では、水温上昇等に対応したノリ養殖技術の開発、適切な漁場利用によるノリ漁場環境の改善等が実施されたことなどを記載しております。課題としては、水温上昇等に対応したノリ養殖技術の開発が必要であることなどを記載しております。

 3.5魚類等の変化です。3.5.1魚類漁獲量等の状況では、魚類等の資源量や再生産機構、仔稚魚の成育場等に関する調査・研究が実施されたことなどを記載しております。課題としては、有明海・八代海の環境や海洋構造の違いなどを含めて、魚類生態系構造と機能の解明、生態系構造がそれぞれ異なる要因を解明することが必要であること、干潟の有する摂餌、繁殖、成育場としての機能を明らかにする必要があること、生態系全体を俯瞰的に捉えた視点での今後の取組が必要であること、八代海の魚類に関する基礎情報は不足しており、サメ・エイ類の生息状況、生態、生態系への影響等について研究を継続する必要があること、魚類の成育場の有無を調査するとともに、その成育機構を明らかにする必要があることなどを記載しております。

 第3章の案については以上になります。

 続きまして、第4章になります。

 次のページを御覧ください。

 第4章再生方策に共通する今後の課題では、今後、関係機関が適切かつ効果的な再生方策等を進めるための共通する課題を整理しております。

 4.1には、平成28年度委員会報告のデータの蓄積に関する技術を踏まえつつ、11月の小委員会における東委員、古川委員の意見も踏まえ、気候変動等による長期的・短期的な影響について調査・研究が重要である点、蓄積したデータを活用し、データの分析・解析や数値モデルの有効活用により、原因・要因の解明や有効な取組の検討に役立てることが重要である点を記載しております。

 4.2関係者による連携強化と情報の発信・共有の推進では、再生方策の推進に当たり、多様な主体が有機的に連携し、総合的かつ順応的に取り組むことの重要性、合意形成を図りつつ、取組状況等の情報を発信・共有すること、地域への普及・啓発を行うこと、研究者を養成することの重要性について記載しております。

 次のページを御覧ください。

 4.3再生目標と再生事業等との関連性の明確化と他事業等との連携強化では、評価委員会においては、再生目標の達成状況や再生方策の実施状況等を定期的に確認し、これも踏まえて有明海・八代海等の再生に係る評価を適切に実施することと、3章で連関図と事業等との関連を明確に整理しておりますが、このような関係性も踏まえ、関係性の大小を明らかにすること、いわば連関図のアップデートを行うことを通じて、適切かつ効果的な再生事業等の推進と、他事業と効率的連携を強化しつつ、事業実施後に適切かつ科学的に評価することが重要であるということなどを記載しております。

 4.4令和8年度委員会報告に向けた取組では、令和8年度に委員会報告を行うこと、委員会報告に向けて、様々な状況、情勢の変化を踏まえつつ、本中間取りまとめにおいて整理された課題の解決に向けて取り組むことが求められていることが述べられております。このため、平成28年度委員会報告に掲げられた再生目標の達成状況や再生方策の実施状況等の定期的な確認とともに、課題の解決に向けた取組について検証し、これらも踏まえて有明海・八代海等の再生に係る評価を適切に実施していくことを記載しております。

 第3章案と第4章の案の説明は以上になります。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 今、第3章と第4章の案の説明がありましたが、質疑は、第3章と第4章、それぞれ分けて行いたいと思います。

 まず、第3章に関しまして、御質問、御意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 それでは、山室委員、お願いいたします。

○山室委員 山室です。

 まず、2ページの表1が(1)と(2)と分かれている理由がよく分かりませんでした。これにこだわる理由は、先ほど、その説明の順番を委員長などが御検討の上、変えないことにされたと御説明いただいたのですが、この表では、生物の生息環境の確保というのは一番下になっていて、一方、説明では最初になっています。なので、これを一番上にして、その後、ベントスの変化、有用二枚貝の減少、ノリ養殖の問題と続くので、(1)と(2)を統合して順番を合わせたほうが分かりやすいかと思いました。

 また生物の生息環境の確保について、この表の中では、底質改善のところに河川から、ダム堆砂及び河道掘削土砂の海域への還元の検討と書かれていますが、それについて、説明の方では何も書かれていません。さらに言うと、第(2)表で、この豪雨によって、川から土砂が入ったことによってCODが増えたと記載されているので、そもそもこの表に書かれていることには矛盾があると思いました。

 それから、この表に「水質浄化機能を有し」いうところでカキ礁の分布状況の把握と再生という記載がありますが、下の説明のほうでは、カキ礁のカの字も出てこないので、これも一致していないなと思いました。逆に下の説明では、3.1.3のその水質(貧酸素水塊の軽減対策、赤潮対策)とありますが、これは表のほうにはありません。

 ですので、まず、第1点は表の書き換え、それから表の今度は項目と下の説明との一致をどう図っているのかについて教えてください。

○古米委員長 事務局、いかがでしょうか。2ページ目のところの表の(1)、(2)の点に絡んで、後の書かれている項目の整理の仕方ということですが。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木でございます。

 御指摘ありがとうございました。この資料の、第3章のところの表(1)に記載しておりますものは、平成28年度の委員会報告に載せられたものを持ってきております。そこで、書かれている内容に関しましては、28年度報告の時点でこのように整理されていることでございますので、変えるとは、ここでは適切ではないと思いますが、ここ、表(1)と(2)に分かれておりますが、確かに、分ける必要はなく、資料医系債の際の便宜的に、そのページに分かれる、分かれないとか、そのような観点で二つに分かれていたように記憶しておりますので、表をまとめることは検討させていただきたいと思います。

 それから、その後の、この表の以降に書かれていることについて、この再生方策に書かれている部分で言及がない部分についての御指摘がございました。その点、御指摘も踏まえまして、記載すべきことが漏れていないかどうかということを改めて確認させていただきまして、この時点で、進捗として書けることがあれば追記をし、それに関連する知見や取組が、今の段階だとまだかける段階でないというようなことでありましたら、引き続きの課題というような形で整理をして記載をするということで対応させていただきたいと思います。

 御指摘、どうもありがとうございました。

○古米委員長 山室委員、よろしいでしょうか。

○山室委員 そうすると、平成28年度にこのようにまとめられたものに基づいて、いろんな対策をしてきたはずです。例えばこの水質、3.1.3の水質ということで書かれているものは、平成28年度時点ではどこにあったのでしょうか。

○古米委員長 例えば、有用二枚貝と魚類の再生方策のところに貧酸素水塊の軽減対策がありますが、3.1.3の水質という項目で実施状況が記載されています。3.1以降にベントス、主要な有用二枚貝とノリと魚類と項目立てされていますが、重複する対策などはこの報告に関連する中に書いてあるものをまとめて記載しているというように御理解いただくといいかなと。この表とぴったり一致して書くことがいいのか、重複されている場合にはまとめて書いているという、水質という項目で記述するのがいいかどうか分かりませんが、そういったまとめ方なのかと思いますが、何か問題がありますでしょうか。

○山室委員 だとすると、この表を出す意義がよく分からないので。

○古米委員長 表を出すことは、やはり平成28年度を受けて、いろいろな再生方策が出てきているということですので、その時点でどういうものがあり、方策としてどう出され、どこで実施されているのかということをまず概観する。そして、連関図の中で、実際、どの省庁がどういうことをやっているかという図をつけていると。そして、この5年間の間に、どんなことが課題として認識されたものについてどうやっているのかということをまとめている。表のとおりの順番ではありませんが、大まかにカバーしていると思います。先ほど指摘があったように、抜けているところや追記すべきものがあれば追記いただくというような対応が考えられるかなと思います。また、この項目立ても統合したほうがいいということであれば統合すると、3.1.1と3.1.2でしたか、そういったものも統合することも考えていただければと思いますが。

○山室委員 はい、分かりました。読者が分かりやすくなるように、御検討いただければと思います。ありがとうございました。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 続いて、藤井委員でお願いします。

○藤井委員 今年度から委員をしております藤井です。よろしくお願いいたします。

 私も、今のノリ養殖というところで発言をさせていただきます。6ページの再生方策等の実施状況と課題というところのポツの二つ目の汚濁負荷量の削減対策というところがあります。環境面から見れば、汚濁負荷と言われる窒素・リンですが、これらは海域での基礎生産に必要なものでありますし、ノリ養殖に不可欠なものですが、これらの削減対策というのが進むということは、藻類養殖には、とても厳しいような状況になってしまうというところになります。

 それに関連してですが、資料の11ページにノリ養殖の問題というところがあります。当然、ノリを養殖するためには窒素・リンが必要というところで、瀬戸内辺りでは施肥がされておりまして、有明の湾奥部でも施肥がされています。当然、湾奥部、閉鎖性のところで窒素の添加等を行う場合ですが、かなり慎重にやらないと、どうしても珪藻プランクトンが先に窒素を吸収してしまって、ノリの色調低下の改善にはつながらないという場合が多々あると思われます。単純に施肥をすればいいというわけではなくて、やはりタイミングを選ばないと、珪藻プランクトンが逆に増殖して、ノリ養殖に対してマイナスの面が出てしまったり、あとは、その増殖したプランクトンが海底に沈降してしまえば、当然、貧酸素の原因になることもあると思われますので、再生方策のところを、より具体的な記述というところが必要かなというところで、発言をさせていただきました。

 以上です。

○古米委員長 ありがとうございました。

 事務局、いかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木でございます。

 御指摘、どうもありがとうございました。冒頭、事務局からの説明でも説明をさせていただいたところですが、この資料3.1のところにつきましては、今は、その箇条書で簡潔に書いておりますが、論理構成などが分かりやすくなるように、今後、文章で、もう少しつながりが分かるような工夫をしようと思っているところでございます。今、御指摘のありました汚濁負荷量としましてCOD、窒素、リンとありますが、その窒素、リンは栄養塩として植物の成長に必要なものであるという側面も当然あるわけでございますが、ノリ養殖に関しましては、栄養塩の低下によって色落ちにつながるというような知見も出てきているところもあります。ノリ養殖に必要な冬の時期、それから、水質の悪化しやすい夏の時期などでは、必要な配慮もいろいろ違ってくるというところもございます。

 今、先生のお話のところでも、その辺りの赤潮や貧酸素水塊につながるところにも御指摘があったわけですが、そのような様々な要因も関わっているところでございまして、今後、その文章化していく際に、御指摘も踏まえまして、そういった汚濁負荷のところでの取組、それから、このノリの色落ちに関連するところの取組や留意しなければいけないことなど、もう少し具体的に、より分かりやすくなるように工夫をさせていただきたいと思います。

 御指摘ありがとうございました。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、西村委員、お願いいたします。

○西村委員 はい、ありがとうございます。

 私、第4章の再生方策に共通する今後の課題のところで、少しコメントさせていただくのですが、やはり、今後の課題の中で、再生方策に関しましても、脱炭素ということが強く求められるのかなと思います。第4章では、気候変動等に対しての適応策的なところでは書かれていますが、併せて、再生の施策についても緩和策的な対策があると思うので、そこまで具体的に書いていただかなくても結構ですが、脱炭素というキーワードをどこかに書き込めないか、検討していただければと思います。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 4章に対する御意見ですが、今からは、もう3章4章に関わらず、まとめて御意見頂けたら思います。

 今の点については、日本政府としても、カーボンニュートラルということで表明していますので、そういったことを受けた形の表現が入るのはしかるべきだと思います。ぜひ表現を工夫していただければと思います。

 それでは、大嶋委員、お願いいたします。

○大嶋委員 これは全体というか、問題提起と捉えていただいて結構です。一つ再生ということが目標となっていますが、再生が果たして本当に可能なのかと、再生を掲げていていいのだろうかと、実現可能だろうかと。そして、地球温暖化とか、いろいろ環境は変わっていますし、また、諫早湾の干潟も、もう開けることはありませんので、再生という言葉を、どこかの時点で、少し考え直すというか、何かそういうことが必要で、再生を幾ら唱えても、実際には再生は恐らく、いや、これは私の考えですが、この現状では不可能だろうと思います。ですから、再生よりもよりいい環境を、何か適当な言葉で変えていくような、将来ですね、そういう考え方が必要ではないかと思っています。もちろん今すぐにこれを変えろとか、そういうことではございませんが、いかがでしょうか。

○古米委員長 では、事務局から。

○行木閉鎖性海域対策室長 非常に大きな視点での御発言をいただきました。この評価委員会は、有明海・八代海を再生するための特別措置に関する法律に基づいて設置されているものでございますので、頂きました御意見、この委員会の範疇を超える、もっと大きなところかなと思いまして、御意見として承りますが、この委員会とは、また違う階層でのお話かと理解しております。

○大嶋委員 すみません。いや、再生という言葉でやっているのは分かりますが、なかなか現状がすごく、もうこのままいっても追いつかないというところは、何かよく考えたほうがいいのではないかなと日頃から、少しは有明海をやっているのですが、思います。ですから、もちろん大枠を変えろとかそういうことではありませんが、そこの辺り、皆さんのお考えもいかがなのかなと思った次第です。

○古米委員長 御意見に対して私が個人的に感じたことは、何となく元に戻す復元という意味ではなくて、再生というのはもう少し創生というのでしょうか、新たに創り出すというようなイメージも少し入った形で再生を考えていると思います。要は、気候変動の影響があり、社会経済状況が変わった上で、持続的な再生を進めるという意味での再生を目指しましょうという形で位置づけることが、言葉としてはいいのかなと思います。言い換えると、再生という用語をどう捉えるのかというところも、何か整理できるといいかなと私は感じました。ぜひ、御意見の趣旨は、私も分かりましたので、そういったところでうまく反映できればと思います。

 では、続きまして林委員、お願いします。

○林委員 林です。

 図1の(1)の図というのが、先ほどから私が伺っている、これまで緑色で表しているその生物水産資源で起こっていることの原因が、どのように還流しているかを表現して、まとめた図だと理解しています。それで、この図とそれ以降のところの説明ですが、これが基になって、で、どう関係しているか、その原因がどうで、何をどう実施しているかという説明だと思いますが、その説明の順序が、ここからは、その根元、根本といいますか、そこからこうしていったほうがいいのかなと少し思いまして。

 例えば、まず、その有用二枚貝の減少という、そこについては、それ自身の生活史だとかが関係してきていて、その図の中の右側、赤括弧で囲んである、そういうことを実施しているわけですね。その二枚貝自身の問題以外に、例えば、すぐ横にあるエイの食害というのが外的な要因でと。さらには、その硫化物だとか底質だとか、そういう周辺状況が関係してきて、どんどん、そのいろんな周辺状況は広がっていくわけです。

 そうすると、その次のページからの、4ページ目からのところの説明の順序としては、例えば、最初にその、ここですと、例えばベントスの低下ですとか、3.3の有用二枚貝の減少という、その今、話の中心になるもののその直接的なことを先に述べてから周辺環境というように広げていくほうが、この図との関係が分かりやすいのかなと少し思いましたが、いかがでしょうか。

○古米委員長 なかなか回答は難しいですが、この絵は、もともと私から連関図の中で再生方策が、どういう部分について行われているのかを一覧できるようなものを作ったらいかがですかということで準備いただきました。お分かりのように、まだ八代海はできていないというのは、発展途上の図です。そのような段階で、3章の最初に図を出して、そのあとに課題だとか、今後の再生方策の評価が記述されているので、読む側としては、表1の平成28年度で提示された方策や、連関図に示された方策を見ながら、それについて課題や評価が書かれるのかなというようにお考えになるかもしれません。うまく書ければいいとは思いますが、なかなか大変なところがあります。したがって、可能性としては、この図の中か、本文に図の位置づけの説明等を入れながら、それを踏まえて、3.1以降の書きぶりについて再考する必要はあるかなと。

 先ほどの山室委員の御指摘もあったように、読者はこういった表がまず出てくるから、その表の対応で本文が記載されていると思う可能性がある。しかし、貧酸素対策も幾つかの項目で出るとか、汚濁負荷削減対策は底層DO対策だとか赤潮対策となるが、一方で栄養塩は必要ですよというようなこともある。必ずしも表一つでは統合して再生策が整理できていません。後ろのまとめ方次第ですか、追加の説明を入れていただくことが現段階では可能です。5年後になると、さらに精査された形でまとまっていくということになろうかと感じましたが、林委員、何かいいアイデアがあれば。

○林委員 はい、そうですね。最初の表と、それからその次の図ですね。特に私が申し上げているのは図ですが、これも過去の報告書に書いてあるということでだと思いますが、その次の3から、3.1以降は、その項目も、もう過去の報告書に書いてある項目を、基本的には番号どおりに、今、踏襲をするという意味合いなのでしょうか。

○古米委員長 そこら辺はいかがでしょうか。

○行木閉鎖性海域対策室長 閉鎖性海域対策室、行木です。

 今のところは、平成28年度報告の整理された再生方策、あるいはここ、図(1)で紹介されている、連関図のようなこと、それから、28年度報告のときにどのようにまとめられていたということを念頭に置きつつ、この後、4ページからの整理を行っております。完全に28年度報告と一体ということではありませんで、例えば、藻場・干潟の分布のところと漂流・漂着・海底ごみは、28年度報告の中では分かれておりましたが、リンケージがあるのでまとめるとか、そういったことはしております。その作業の基としては、平成28年度報告書を意識してまとめているというところでございます。

 古米座長からのお話もございましたが、この後、その文章化をするときに、山室委員、林委員からの御指摘も踏まえまして、その再生方策について、表ですとか連関図などのそのリンケージというのでしょうか、どことの関わりで、こう書いてあるのかということが分かりやすくなるような工夫も、できるだけ、してみたいと思います。

 御指摘ありがとうございました。

○古米委員長 はい、よろしいでしょうか。

○林委員 私が申し上げているのはかなりシンプルで、まず、今、緑色に塗ってあるところの項目から先に書いて、次に、このブルーで色づけてあるところが次に入るというような、そういう外側にだんだん広がっていくような順番でという、それぐらいのシンプルなことです。また、御検討ください。

 ありがとうございました。

○古米委員長 整理の仕方として読む側にとって分かりやすいというのは、まず、問題が起きているところはどこかということで、それから、上位のほうに行くというお考えを御提示いただいたと思います。そういった形で整理できるかどうかというものも、今後、少し考えていただければと思います。

 それでは、川原委員、お願いします。

○川原委員 大きなお話の後に、細かいことで申し訳ないのですが、8ページの「タイラギの稚貝・成貝の生息調査等が実施された。」という下の文章ですが、立ち枯れへい死の発生時期について、ここでは初夏から晩秋にかけてというような表記になっています。しかし、第2章の95ページ、タイラギ成貝・稚貝の生息状況の部分ですが、ここでは春季から夏季にかけてが立ち枯れへい死の大量減耗期間と書いてあります。各地方水試とかの研究報告等で発生時期は報告が出されているかと思いますので、確認をしていただいたほうがいいかなと思います。

○古米委員長 ぜひ御指摘の不整合とか、整合性が取れるような形で精査していただきたいと思います。どうも御指摘ありがとうございました。

 それでは、続いて、山西委員、山口敦子委員の順番で御発言をいただきたいと思います。

○山西委員 山西です。

 3章のところをずっとまとめていただいて、眺めていたときに、やはり、どうしても2章のところのどこと対になっているのかというのが、すぐ分からなくて、飛んだりしているような。その確認ができないので、もしよければ、今までの議論の中でもありましたが、例えば4ページの中の文章の、その根拠となるその2.1だとか、2.2だとか、何かそういうのが、どこかに少し書いていただけると突き合わせもできるなと思ったのですが、いかがでしょうか。

○古米委員長 関連づけですよね。

○山西委員 そうです。その文章の中に、2.1とか、2.2とかが。

○古米委員長 関連しているものについては、ここの2章のここで書かれていますよという、関連づけについては私が事前に言ったと思いますが。

○古米委員長 この文章化をまだしていなくて、箇条書の段階なので、きっと、その文章化する段階で、その関連づけというのも。

○古米委員長 今の段階では入ってないというように御理解いただければいいかなと思います。

○山西委員 分かりました。○古米委員長 そんな感じでよろしいですか。

○行木閉鎖性海域対策室長 はい、そうですね。ここまで御説明させていただきましたとおり、まだ、その2章のパートでしたり、作業中のところもございまして、私どもといたしましては、まずは、その今、まだ作業中のところを仕上げて、で、その後、分かりやすさの観点の作業をさせていただきたいと思っておりまして、御指摘の点、その最終的に中間取りまとめとして公表する段階では、そのような、参考になるようなリンクづけなどもさせていただきたいと思いますが、次回の委員会では間に合わないかもしれません。できるだけ検討させていただきたいと思います。 大事な御指摘、ありがとうございました。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、山口敦子委員、お願いいたします。

○山口(敦)委員 今のお話と、それから、先ほどの林委員でしょうか、その御指摘と、それから、行木室長が御説明くださったこととも関連してくるのですが、やはり今の図1の連関図のところ、分かりやすくしたほうがいいという御指摘もすごくよく分かります。しかし、全てが対応していないので、分かりやすく全てまとめて対応させてしまうよりは、正しく載せるほうが先ではないかなと思います。

 例えばですが、この図1に載せられているその連関図ですね。委員会の当初からずっと、これに基づき整理をされてきたという経緯を踏まえますと、この図に、今、国と県の再生事業がどこに対応しているかということを載せてしまうというのは、少々違和感があります。この委員会では、その再生事業の評価を行わないというスタンスだったと思います。評価を経ていないものをここに、連関図に載せているということですので、これまでの連関図の使い方と少し変わってきていると思います。特に平成28年ですか、前回の報告ぐらいまでは、大学等の研究成果もかなり加えながら議論してきたのですが、なので、これまでの研究を含めた、この議論の土台に基づくものの上に、今回のようにその評価を加えていない最近の再生事業、全てですね、集中して議論するという方向性と変わってきているということです。

 ただ、どういう事業が行われているかというところを見せていきたいという意図も分かりますので、事業に限って載せていきたいということであれば、ここに大学の研究といいますか、ほぼ大学でしょうか、大学等の研究が入っていないということで、混乱を避けるために、この後、次の委員会報告以降、この図を基に進んでいくということがないように、しっかりと明記しておくべきだと思います。

 といいますのは、この後の3.1項の説明ですと、これまで、その再生事以外のものもベースに議論してきて、そのベースの上に3.1からの説明があるので、必ずしもこの再生事業と明確に分けられていないということですね。だから、この連関図でいくと、この後につながってくる3.1からの説明は、この再生事業に関するものを基にした御説明のように見えますが、必ずしもそうではないですよね。だから、2章との兼ね合いもそうですが、必ずしもきれいに対応しないのは、ある程度は致し方ないかと思います。それよりも、多くの皆さんが混乱してしまったわけですから、混乱を避けるような書きぶりということに注意をしたほうがいいのではないかと思います。

 例えば、私の、自分の研究を例に出せば10ページのところですが、ナルトビエイの再生方策等の事業状況と課題についてという記述がありましたが、これはさっきの流れでいくと、再生事業としての話だと思うのですが、この中に、私の、2001年以降の胃内容物組成等の調査に関しては、私が個人的にやってきたものなので、再生事業とはまた別のものだと思います。このように、両方がごっちゃになってしまっていると、結局たどっていくと、何が基だったのか分からないという事態が起こってしまいますので、意図は分からなくはないので、その点を留意して、もう一度整理すべきかと思いました。

 以上です。

○古米委員長 どうもありがとうございました。

 この絵を描いてくださいと言ったのは私ですが、この絵を描く意義は、どういった事業が、どういう部分に関わっているのかを示すことです。また、特に省庁を超えて、同じような目的のところで、他の省庁もやっているということを示すことは役立つものと思います。きっと御指摘は、先ほど申し上げたように、この図が前に出てきて、その後に3.1が出てきて、説明しているので、皆さん、それと関連づけて、どうなっているのという、出てこないものもあるよねという御指摘だと思います。この図の挿入場所であるとか、その使い方みたいなものは、改めて有明海と八代海のものができた段階で考えるべきかと思います。先ほど言ったように事業も、省庁が実施しているもの以外の研究プロジェクトも入れ込むとなると、また大変だと思うので、そういった制約条件の中で、この図をどう使うか、あるいは、載せないのか、あるいは、リンクづけの線は除いて、固まりとして類似のプロジェクトがあることを示すかなどが考えられます。連関図の趣旨、もともとの趣旨から逸脱されて、誤解されるような使い方がないような記述方法、あるいは見せ方、追加の説明というのは私も必要かなと思います。山口委員からの御指摘を受けて検討をさせていただきたいと思います。

 よろしいでしょうか。

○山口(敦)委員 はい、ありがとうございです。

○古米委員長 それでは、少し予定の時刻を過ぎておりますが、何かほかに、全体を通じてあればお聞きして、もしなければ、その他に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、4章の案まで行きましたので、本日、頂いた意見を参考にしていただいて、各関係省庁におかれましては、再生に向けた取組と評価に必要なデータ等の提供をお願いしたいと思います。

 事務局におかれましては、本日の意見を基に、中間取りまとめの作業を進めていただくということです。幾つか重要な御指摘もありましたので、反映いただきたいと思います。

 本日、厚い文書として用意いただいた資料を非常に上手に、簡潔に、説明いただきましたが、内容が非常に多いので、もし追加の御意見等がございましたら、短いですが、12月27日、来週の月曜日中でお願いします。23時59分まで受け付けるそうなので、事務局にお寄せください。その後、修正内容については、私、委員長にご一任いただくということでお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 反対をされてしまうと少し困りますが、このまま進みたいと思いますがよろしいですね。

 それでは、最後の議題、その他ですが、事務局から何かありましたらお願いします。

○横内閉鎖性海域対策室室長補佐 事務局から、今後のスケジュールについてお知らせします。

 1月24日に、第9回の有・八の小委員会を開催し、中間取りまとめの案の審議をいただき、2月に評価委員会を開催し、中間取りまとめの案の審議をいただきます。それから、その後、パブリックコメントを行いまして、3月に評価委員会を開催してパブリックコメントの結果を報告し、頂いた意見を踏まえて、中間取りまとめの案について審議いただきたいと考えています。

 昨日、日程の調整表をお送りしました。お手数ですが、速やかに御回答いただければと思います。中間取りまとめについては、その後、事務的な手続を経て公表を予定しております。

 よろしくお願いします。

○古米委員長 はい、どうもありがとうございました。

 それでは、本日の委員会全体を通して何か御発言があればお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 はい、どうもありがとうございました。それでは、本日、予定しておりました議事については全て終了いたしました。

 議事進行、非常に、新委員の方々からも多くの御意見を頂きましてありがとうございます。お礼を申し上げます。

 それでは、進行を事務局にお返しします。

○冨永閉鎖性海域対策室主査 古米委員、ありがとうございました。

 事務局からの連絡です。先ほど、委員長からのお話がありましたが、資料への追加の意見は12月27日中に事務局まで御提出をいただきたいと思います。また、本日の議事録ですが、後日、事務局より確認を行いますので、よろしくお願いいたします。内容確認後、議事録は環境省ホームページで公開をさせていただきます。

 次回の評価委員会の開催日につきましては、古米委員長とも御相談の上、後日、日程調整等をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、以上をもちまして、第47回有明海・八代海等総合調査評価委員会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午前12時17分閉会