第41回有明海・八代海等総合調査評価委員会 会議録

1.日時

平成29年3月23日(木)15:30~17:30

2.場所

環境省第1会議室

3.出席者

委員長 岡田光正委員長
委員

岩渕光伸委員、久場隆広委員、古賀秀昭委員、小松利光委員、滝川清委員、樽谷賢治委員、中田薫委員、中田英昭委員、西村修委員、速水祐一委員、山口啓子委員、山田真知子委員、山本智子委員

臨時委員

小林政広委員

15時30分 開会

○束原閉鎖性海域対策室長補佐 ただいまから第41回有明海・八代海等総合調査評価委員会を開催いたします。

 最初に、本委員会は公開の会議となっておりますことを申しあげます。

 本日の委員の出席状況ですが、欠席の連絡を秋山委員、上田委員、清野委員、内藤委員、中村委員、山口敦子委員よりいただいております。本日は15名が御出席ですので、有明海・八代海等総合調査評価委員会令第6条に基づく会議の定足数を満たしていることを報告いたします。

 続きまして、配付資料を確認させていただきます。

 まず、ダブルクリップどめで座席表が一番上にとじられているものですけれども、議事次第、資料1としまして委員名簿、資料2といたしまして第40回評価委員会における委員意見及び対応(案)、資料3として委員会報告案に対する意見募集(パブリックコメント)の結果について、資料5として有明海・八代海等総合調査評価委員会委員会報告まとめ集の構成案。紙ファイルで資料4として有明海・八代海等総合調査評価委員会委員会報告(案)ということで配付してございます。不足の資料がございましたら、事務局までお申しつけください。

 報道、取材の皆様、これ以降のカメラ撮影はお控えいただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、これ以降の進行は岡田委員長、よろしくお願いいたします。

○岡田委員長 かしこまりました。年度末のお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。早速議事を始めさせていただきます。

 本日の議題につきましては、お手元の議事次第にございますように、委員会報告について、その他の2つの議題となっています。委員会報告の取りまとめに向けて関係資料も多く、時間も限られておりますので、議事進行に御協力いただきますようお願い申しあげます。

 それでは、早速議題に入りたいと思います。

 最初、委員会報告について、議題1でございますが、パブリックコメントの結果と委員会報告の修正案について事務局からまず御説明いただき、最終とりまとめの案について委員の皆様より御意見をいただきたいというふうに思います。分量が多いということもございますので、1章から3章まで、それから、4章、5章の3つに分けて進めさせていただきたいというふうに思います。

 では、まず、1章から3章まで事務局から御説明をお願いいたします。

○根木閉鎖性海域対策室長 それでは、クリップどめの資料の中に資料2、資料3というものがありますので、それを横のほうにお出しいただいて、まず、1章から3章まで資料2から御説明をいたします。資料2は前回評価委員会における委員の御意見、それに対する対応案であります。

 早速でありますが、1番ですけれども、パブコメ用に概要版を作成すべきではないかと。これに対しましては、対応案として、正確性を期すため、パブコメでは報告案で行いました。なお、別冊としてまとめ集を作成することではどうかということであります。クリップどめの最後の資料で、資料5というものがありますので、そちらをご覧ください。まとめ集の構成案ということで用意をしております。

 なお、表紙の下のほうに評価委員会のクレジットがございますが、前回の報告案の表紙では環境省と連名でございました。中央環境審議会の答申も環境省の名前は入っておりませんので、その並びでこのようにしております。

 おめくりいただいて、まとめ集の位置づけでありますが、評価委員会報告のうち、1章、2章、3章の「まとめ」、4章の「まとめ」、5章の「本編」を抜粋し、「まとめ集」としたと記載しております。また、1点ここで御相談させていただきたいことがございまして、少し資料は飛びますが、資料4の210ページをお開きください。

 210ページがいわゆる連関図の関係のコーナーになっております。この210ページの文章の中で、パラグラフでいうと、2つ目のパラグラフの5行と、あと、211ページ、212ページの部分を、この報告の4章のまとめのページでいきますと、482ページからの続きで、本日の資料にまだ入っておりませんが、先ほどの連関図関連のところをこの483ページの続きで入れ込むことではいかがかと。連関図について重要だという御意見をこれまでもいただいておりましたので、そのようにすることではいかがかと考えておるところでございます。このまとめ集については、100ページ弱のものになるということでございます。

 いろいろ資料が飛んで恐縮ですが、もとに戻っていただいて、資料2の2番でございます。生物多様性等の観点からラムサール条約で指定された湿地等について記載すべきと。これに対しては、3章の藻場・干潟等の節で御意見の内容を記載するとしております。ここまでが1から3章関係でありますので、続きはまた後ほど説明をいたしまして、資料がまた飛びますが、資料3のほうをご覧いただければと思います。これも横紙のものになっております。

 パブリックコメントの結果についてという資料であります。まず、表紙、概要については記載のとおりであります。意見の提出状況は、意見提出者が23個人及び団体と。意見数にすると、214件ということでございます。

 それでは、おめくりいただいて、早速中身のほうの説明をいたします。

 まず、表の見方でありますが、一番左が通し番号、その横が意見をいただいた部分の該当ページ、そして、御意見の概要、その同旨の意見数、一番右側が御意見に対する考え方ということで、評価委員会としての対応案ということでございます。これは通し番号で170までありますので、一つ一つ説明いたしますが、時間が限られているためポイントのみの説明とさせていただきます。

 では、早速1番からでございます。これは全体に係る意見ということであります。本報告書の内容は膨大であると。別冊で要約版を作成していただきたい。これに対しては、まとめを作成しております。あと、5章の体裁をわかりやすく、海域の図を追加するとか小見出しを挿入するなど工夫しますということとしております。

 2番、報告書に通しページを掲載すべきと。御意見を踏まえ修正しますとしております。

 3番、要約の作成や5章の全体方策を先に置くなど検討すべきと。これに対しては、構成に対してはナンバー1のとおりであります。5章の構成でありますが、これについては、本報告全体の整理を踏まえて、まず、個別海域ごとの再生方策を示して、その後に海域全体に係る方策を示していますとしております。

 おめくりいただいて、4番は目次をより細かく記載すべきと。御指摘を踏まえて追記しますとしております。

 5番は、想定される報告書の読み手が不明であると。これに対しましては、評価委員会の所掌事務は有八特措法に基づいて関係行政機関の長及び関係県の知事に意見を述べることであり、本報告書はこれに該当しますとしております。

 次に、6番でありますが、2016年度末発行にこだわらないでほしいと。これについては、予定どおり平成28年度末目途で取りまとめるべきと考えます。なお、評価委員会は、報告書取りまとめ後も引き続き再生に係る評価を行うとしております。

 7番、可能性のあるものも課題を示しつつ再生方策集を別冊でまとめていただきたいと。これに対しては、報告書においては、効果が見込まれるものまたは期待されるものを記載していますとしております。

 8番でありますが、現在実施しているカキやアサリの養殖等の漁業振興に関する取組について、その評価や必要性について記述すべきと。これについては、例えば4章のA6海域において、カキやアサリの養殖等の取組を記載していますとしております。

 次に、9番であります。水質や底質なども主なテーマとして評価すべきと。この御意見に対しては、本検討では生物の4項目を取り上げることとしています。水質や底質についても、この4項目に係る問題点の原因や要因になっているのかという観点から整理をしていますとしております。

 10番、本報告書は潮受け堤防に関する記述がほとんど見られないが、適切ではないという御意見でありますが、これに対しては、潮受け堤防の排水門からの汚濁負荷量、干拓事業が潮汐や潮流に与える影響、干潟の減少について評価を行っています。加えて、諫早湾の水質などの変化について評価を行っていますとしております。

 次に、3章、まずは汚濁負荷の節に関する御意見でありますが、11番であります。流入負荷量について、算定方法の異なる本明川の負荷量と他の河川と同列に記載されている。調査方法など統一された資料を改めて提出すべきと。これに対しては、有明海への流入負荷量は、表に記載の方法により算定しています。本明川からの1998年度以降の流入負荷については、同表の注意書きに記載の方法により算定しています。両者の値は算定方法が異なるため、単純に比較できない旨、留意点を記載していますとしております。

 続いて、ページをおめくりいただきまして、12番であります。本明川からの汚濁負荷量は全体の6から10%、調整池からの流入負荷の増大が問題であることを報告書に記載すべきと。これに対しては、まず、この報告案では有明海への流入負荷量の経年変化を示していますということ、そして、本明川からの流入負荷量については、先ほどの11番の回答のとおりということであります。また、5章において、今後の調査・研究課題として流域からの流入物質の移流拡散・堆積過程の解明を記載していますとしております。

 次に、河川からの土砂流入の節に関する御意見でありますが、有明海湾奥部の浅海化は100年で1キロ海岸線が前進していると。こういったことで議論されなかった理由を明記すべきという御意見に対しては、有明海湾奥部の浅海化については、かつては浅海化を踏まえて干拓が進められたとの歴史がある。本報告においては、過去の干拓の歴史、干拓の面積などの情報を記載していますとしております。

 続きまして、14番でございます。ここからは潮流・潮汐関係の節に関する御意見であります。

 14番は、諫早湾湾奥に継続的な流入fluxを与えた場合の図を追加して、長期的には有明海奥部への影響が大きくなることを明記すべきと。この御意見に対しては、欄の下のほうでありますが、この同論文は流入fluxの何%が有明海奥部に影響するのかなどについて定量的な評価を行っていないため、本報告に引用することは適当でないとしております。

 15番、これは潮流・潮汐の長期変化要因に関する文章でありますが、「月の昇交点位置変化以外の変化については」というくだりでありますが、各種要因の影響の程度が明らかになっていないと。この一文を「長期的には有明海の潮流・潮汐は減少傾向となっていることが明らかとなっている」に変更すべきと。この御意見に対しては、ここには潮流・潮汐の変化要因について整理した内容を記載するべきと。また、経年的な変化傾向については、わかったことについてはまとめ、本文で正確に記載していますと。なお、文の意味をわかりやすくする観点から、御指摘の箇所について括弧書きの「及ぼす」とアンダーラインのついた言葉を追記いたしますとしております。

 おめくりいただきまして、16番であります。この御意見の括弧書き部分でありますが、このアンダーラインの部分を追記すべきという御意見であります。これに対しては、現在公表されている全てのシミュレーションかどうかについて、本委員会報告で強調する必要性はないと考えますとしております。

 次に、水質の節に関する御意見ですが、17番、諫早湾のある調査地点における有機態窒素と無機態窒素の濃度の推移の図を追加して、諫早湾締め切り以降の変化として明記すべきと。この御意見に対しては、御意見を踏まえて、水質の動向の本文に「本報告では、窒素については全窒素の経年変化を整理しているが、形態別の割合が変化しているとの指摘があり、今後の課題である」と追記するとともに、参考文献として、御意見いただいたものを追記するとしております。

 次に、底質の節に関する御意見でありますが、18番、1950年代から現在までの有明海全域の底質の粒度組成の図を追加すべきと。これに対しては、御意見のあった年代ごとの図がないので、可能な限りの底質のデータを掲載していますとしております。

 次に、19番ですね。諫早湾の潮受け堤防における締め切り前と締め切り後の底質のCOD濃度の図を追加すべきと。この御意見に対しては、御意見の図の引用元である論文では、御指摘の内容は確認できないと考えますとしております。

 20番、間隙水から検出された微量の乳酸について、その由来の考察を記載すべきと。これに対しては、報告書の本文中に「極めて微量の乳酸が確認されたが、酸処理期間中には全地点で有機酸は定量下限未満であった。」と記述されており、考察の記述は不要と考えますとしております。

 次に、貧酸素水塊関係でありますが、21番、底層溶存酸素量について、A3海域の点とA1海域の点でございますが、これの水塊がお互いに影響を及ぼしている可能性があると考えられると。この御指摘に対しては、水塊が相互に影響を及ぼしている旨を示す根拠がないため、委員会報告に盛り込むことは難しいと考えますとしております。

 次のページになりますが、22番であります。諫早湾口から移動した貧酸素水塊が湾奥部に達することが推察できる雨量と下層の溶存酸素との関係の図を追加すべきと。この御意見に対しては、御意見の図の引用元である論文では、このパラの下のほうになりますが、降水量や水質等の経年変化をどのような方法で三次曲線に近似したのかが明らかとされていません。下のパラは、さらにこれに加えて論文の気になる点を3つほど挙げておりますが、最後に問題をクリアにすべきと考えますと記載しております。

 次に、23番であります。貧酸素水塊の議論は、本質は二枚貝のへい死であり、発生持続期間を重視した考察が必要と。これに対しては、底層溶存酸素量の連続観測結果の経年変化や日平均値が3.0mg/L未満になった日数の推移について記載しています。また、5章の今後の研究課題で関連の課題を記載していますとしております。

 24番、佐賀県の1地点で、最近10年間で貧酸素水塊が多くなっている。2004年以前の直近の原因として何が考えられるか検討すべきと。これに対しては、有明海湾奥西部での底層溶存酸素量の経年変化については、数値実験での知見を掲載していると。これ以上の原因解明は難しいと考えますとしております。

 次に、次のページ、藻場・干潟関係の御意見でありますが、25番であります。3章の節の順番を藻場・干潟等、貧酸素水塊、赤潮の順番としてはどうかと。これについては、基本的には陸域からの負荷、水環境、生物という順番で構成しております。今の順番が適当と考えますとしております。

 次に、赤潮関係でありますが、26番であります。有明海の赤潮が1998年頃から増加傾向が見られる。1998年以前の直近の原因として何が考えられるか検討すべきと。これに対しては、赤潮年間発生件数は、1998年から2000年以降は過去と比較する場合、発生件数が多く計上されている可能性があることに留意が必要であるなど報告書案に記載しているとしております。

 なお、今後の調査・研究課題として、関連の課題を掲載していますとしております。

 次に、27番、近年のノリの色落ち被害を出している冬期のスケレトネマやアカシオ・サンギニアの発生等のメカニズムを研究課題として取り上げていただきたいと。これについては、答えは先ほどの26番の後段と同様の対応案を記載しております。

 続きまして、10ページ、生物に関する御意見でありますが、まず、28番、固有種・希少種に富んだ生物多様性がどの程度失われたのか考察がない。種の減少のモニタリング報告が必要と。これに対しては、本報告では、有明海・八代海等の特有な希少生物の一覧を掲載するとともに、定量的な推移のデータのあるムツゴロウについて記載しています。また、5章の今後の研究課題として、関連の課題を記載していますとしております。

 次に、29番、現在ある希少な生息域や環境の保全を優先すべきと。これに対しては、5章、再生への取組において、生物生息場の基盤となる沿岸域の環境の保全・再生に係る再生方策を記載していますとしております。

 次に、30番、潮受け堤防締め切り後の継続的なベントス調査結果として図を追加すべきと。これに対しては、御意見でいただいた図を3章9、生物のところに追記します。これについては、報告案の資料4の174ページをご覧ください。

 174ページの下の図3.9.8を追記しますとしております。ただし、御意見いただいた図は年によって調査地点が異なっている。このため、「ただし、この調査では、年によって調査地点が異なっており、異なるデータを平均化している点に留意が必要である」との留意事項を付していますとしております。

 31番でありますが、八代海の魚類漁獲量に関して「回復」という言葉が用いられているが、「増加」とすべきと。御意見を踏まえて修正しますとしております。

 3章についてはここまでであります。念のため申しあげますが、今説明している資料はもちろん、全体が案でございまして、この評価委員会で確定いただきたいという趣旨のものであります。

 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からの御説明、1章から3章の案について御意見、御質問等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。

 最初に事務局から御提案のあった連関図を入れるというのは、これはよろしいですね。特段問題ないと思いますので、そのほうがわかりやすくなりますので、これは事務局の御提案を御了承いただいたということにさせていただきます。

 今の1から3章で何かございますでしょうか。よろしいですか。

 多分たくさんあって、すぐにはなかなか意見をおっしゃりにくいことは承知しておるんですが、2巡というのは変な言い方ですが、一旦進ませていただいて、また前後の矛盾─と言うと事務局に叱られるかもしれませんが─そのようなこともあるかもしれませんので、もう一度お聞きしますので、一旦御説明を先に進ませていただきたいと思います。

 それでは、事務局は、今度は4章ですね。4章の御説明をお願いいたします。

○根木閉鎖性海域対策室長 そうしましたら、また資料2をまずご覧いただければと思います。

 資料2で4章関係は2つでありますが、まず、3番であります。全1地点という表現について見直すべきと。これについては、御指摘を踏まえて「1地点(海域内の全調査地点)」と修正するとしております。

 4番、底質の泥化について、泥化を示した場所がわかるようにすべきと。これについては、御指摘を踏まえて、この対応案のところのアンダーラインを付している部分、ここを追加記載することでいかがと考えています。

 それでは、資料3のほうをご覧ください。先ほどの続きになります。11ページからになります。

 まず、4章全体関係でありますが、32番であります。御意見としては、現場の今の状況が生態系に影響を及ぼしていないかについて評価していただきたいと。これに対しましては、現在の状況についても4章において収集されたデータ、文献から各種評価を行っておりますとしております。

 33番、ベントスについては干潟域の地盤高の上昇やなぎさ線の減少についても検討していただきたいと。これに対しましては、本報告で検討したベントスの変化については、その調査地点において地盤高の変化による影響が確認されず、また、ベントスのモニタリングポイントについて干潟の減少との関連づけるデータは得られていませんとしております。

 おめくりいただいて、34番、「底質の改善などの対策が有効な場合もあると考えられる」との文言が報告書にあるが、「底質改善対策が有効と考えられる」とすべきと御意見をいただきました。これに対しては、例えばA1海域では、底質のデータから泥化等の単調な変化は見られなかったものの、覆砂によってアサリ等の有用二枚貝が増大するとの報告があることから、「底質改善が有効な場合があると考えられる」と記載しておりますとしております。

 次に、35番、タイラギの問題は、報告書の海域区分ではなくて漁獲量データのある県別で検討すべきと。これに対しましては、対応案の下のほうでありますが、海域区分ごとに再生に係る適切な評価をしておりますとの趣旨で記載しております。

 36番でありますが、大型公共事業やノリの養殖による酸処理・施肥等の要因について整理すべきと。これについて、筑後堰、熊本新港建設、諫早湾干拓事業、ノリ酸処理剤・施肥についてそれぞれ記載していますとしております。

 続きまして、13ページでありますが、基本的な考え方と再生目標の節に対する御意見が37番からであります。現在、有明海・八代海は高い生産性を有しているとは言えない状況に置かれていると。「有している」を「有していた」とすべきと。これに対しては、有八特措法の第1条の記述を踏まえて、有明海・八代海が豊かであることを述べたものだと。同一海域における経年的な変化を比較しているものではありませんとしております。

 38番、有明海の希少種について、いかなる種を保全するのか記述願いたいと。これについては、有明海・八代海等の特有の希少生物の一覧については、3章、生物の節で記載していますとしております。

 39番、再生目標の水産資源等の持続的・安定的な確保とは何をもって安定的とするのか定量的な記述がなされていないと。これに対しましては、再生目標(全体目標)については、有八特措法の目的規定と、3章で整理した環境等の変化を勘案して設定した基本的な方向性を示す目標ですと。5章の継続的な評価の記載に書いてあるような評価により、定量的な検討が推進できるものと考えますとしております。

 続きまして、ページをおめくりいただいて40番であります。基本的な考え方の中の一文で、「原因・要因の考察については、その特定自体が目的ではなく」と記載されているが、評価委員会の目標は原因の特定も含まれるのではないかと。この御意見に対しては、本記載は基本的なスタンスを述べているものですとしております。

 次に、海域区分に関する御意見でありますが、41番、クラスター解析について海域区分の結果は用いたデータにより大きく変わるため慎重に検討すべきとの御意見であります。これについては、対応案のところでは、報告案に記載している海域区分の実施方法をまとめたものを記載しております。

 続きまして、42番でありますが、クラスター解析による海域区分を用いたデータとして、記載箇所によって表層のデータと書いてあったり5m層と書いてあったりするが、どちらが正しいのかと。また、干潟域のデータを用いて評価すべきとの御指摘であります。これに対して、前段については、御意見を踏まえて記載を「海面下5m(透明度以外)の水質データ」と修正しますとしております。また、本報告のクラスター解析では、時空間的に同じ項目が長期間存在しているデータを用いていると。干潟については、このようなデータがなかったので使用していませんとしております。

 43番、クラスター解析に用いている水質項目の設定がここに書いてある3点の理由から不適切ではないかとの御指摘でございます。これに対しては、先ほどの42番の後段での回答と同趣旨の長期間存在しているデータを用いていますという趣旨のことを書いております。

 続きまして、44番、クラスター解析についてグループ数を4つとした根拠や手法について明記すべきと。これについて真ん中のパラグラフでありますが、いただいた御意見の趣旨を踏まえて、参考文献として第33回の評価委員会の資料2、こちらに具体的にいろいろ書いてありますので、これを追記して詳細な手法の掲載資料がわかるようにしますとしております。

 次に45番、水質による海域区分の図に解析に用いた地点、底質による海域区分の図の凡例をそれぞれ示すべきと。これに対しては、御意見のとおり修正しますとしております。

 46番、海域区分に用いた二枚貝の生息状況などが何を示すかわからないため、具体的に記述していただきたいと。この御指摘に対しては、御指摘の二枚貝の生息状況などとは、1970年以降、各二枚貝の生息が確認された主な地域を示したものですと。また、海域区分図については、例えば有明海湾奥干潟域などの説明を付しますと。御指摘を踏まえて修正しますとしております。

 47番、八代海の水質による海域区分は調査地点が少なく妥当性が不明であると。これに対しては、解析に支障はありませんでしたとしております。

 次に、問題点とその原因・要因との関連というコーナーに対する御意見が48番からであります。これは先ほどの連関図、211ページをお開きいただいたほうがよろしいかと思います。連関図をご覧ください。

 まず、48番は、有明海の連関図にベントスの変化から魚類資源の減少へ矢印を追加すべきと。これの対応案としましては、矢印を追加しますと。

 次に、49番、有明海の連関図に干潟・埋立てから有機物の流入への矢印を追加すべきと。これに対しては、有機物の流入に影響を与える因子まで連関図に記載する必要はないと考えますとしております。

 続きまして、50番、有明海の連関図に藻場・干潟の減少からベントスの変化へ矢印を追加すべきと。これに対しては、ベントスは海底にて定点モニタリングをしていると。その種組成の変化等を見ていますが、干潟の減少は海域の環境の変化を直接表すものであると。矢印を追加することは適当でないと考えますとしております。

 次に、51番、有明海の連関図にサメ類等の減少を新設し、エイ類による食害へ矢印を追加すべきと。また、二枚貝の減少からエイ類による食害へも矢印を追加すべきと。前段については、2000年以降、サメ類、エイ類ともに減少傾向であるため、御意見の矢印を追加することは適当でないと考えますと。また、2つ目の御意見については、二枚貝の減少によってエイ類の食害が増えるということになり、矛盾が生じるため追記は適当でないとしております。

 次に、52番であります。八代海の連関図ですが、河川を通じた土砂流入の減少を追加すべきと。これに対しては、八代海では具体的な知見がないことから記載は適当でないと考えますとしております。

 続きまして、次のページからがA1海域に対する御意見であります。

 53番と54番はベントスの種名の記載の適正化に関する御意見でありまして、御意見のとおり修正しますとしております。

 55番はイトゴカイ科とMediomastus sp.、Heteromastus sp.が混在しているとの御意見、これについては、対応案の「なお」というところでありますが、御意見の趣旨を踏まえて、ベントスの主要出現種の推移の表の横に記載している主要出現種の選定方法というコーナーがありますが、ここに「なお、種まで特定できなかった生物については、『種名』の欄に同定可能なレベルまで記載している。」と注意書きを追記しますとしております。

 56番、底質の動向とベントスの生息に明確な関係は確認されなかったとあるが、根拠が不明と。これに対しては、底質の経年的な変化傾向とベントスの変化傾向に関連が見られないことから、明確な関係が確認されなかったとしていますとしております。

 57番、A1海域で過去に漁獲があったアゲマキについても記載する必要があると。これについては、御意見を踏まえて「本海域では1992年頃までアゲマキの漁獲が見られたが、現在ではほとんど生息していない。」と追記しますとしております。

 次に、58番であります。有明海における覆砂事業は、生物多様性を損ねる危険性があると。この御指摘に対しては、事業の実施に当たり、総合的に検討されるものと考えますとしております。

 52番、優占種の増減に関するデータは適切に評価すべきと。これは少しデータの話ですので、220ページをご覧いただいたほうがよろしいかもしれません。カワグチツボやトライミズゴマツボも動態の変動に寄与する種であり、取り扱うべきという御指摘でありますが、これに対しては、ベントスの個体数が大きく変動する要因として、ドロクダムシ類等の特定の優占種の増減が見られたことから記載しているものですと文章の趣旨を説明しております。

 次に、A2海域関係であります。

 60番、A2海域のベントス優占種について1地点のみ参照するのは不適切と。これに対しては、A2海域についてはモニタリングポイントが1点のみであることから、その結果を記載しているものですとしております。

 61番、タイラギについてでありますが、稚貝と成貝の定義を示すべきと。これに対応しまして、稚貝の定義を追加しますとしております。

 次に、62番はA3海域関係であります。貧酸素化の原因を考察すべきと。諫早湾潮受け堤防締め切りとの関連を考察すべきと。これに対しましては、貧酸素水塊について、A3海域においては1972年以降、有意な減少傾向が見られていますが、その明確な原因の特定は難しいと考えますとしております。

 次に、A4海域関係、63番であります。タイラギの立ち枯れへい死に関する記載でございますが、記載の年に間違いがあるのではないかと。これは修正しますということでございます。

 64番、アサリ漁獲量の減少要因については、秋元らの文献で底質の経年変化も挙げられていると。この御指摘に対しては、秋元らは熊本市沖の有明海において柱状堆積物試料を採取して、表層からの深度による堆積物の含泥率等の変化を示していますと。そして、堆積速度を一定とみなして年代を推定していると思われることなどから、底質の経年変化を定量的に議論することは難しいと考えますとしております。

 ページをおめくりいただきまして、A5海域関係でありますが、65番であります。タイラギの漁獲量や資源量の統計データについて、諫早湾漁場調査結果報告書などを踏まえた検討を行うべきと。これに対しましては、A5海域において御意見をいただいた報告書も含め資源量に関する情報がないことから、評価は困難と考えますとしております。

 次に、A6海域関係であります。66番、潮受け堤防締め切りにより、本明川からの排水負荷が増大しているが、考察につながっていないと。これに対しては、3章の汚濁負荷の節で12番の対応案と概ね同様の内容を記載しております。

 次に、67番であります。有毒のシアノバクテリアが海域に排出されておると。調整池からのミクロシスチンの有明海への流入を示すため、その図を追加すべきと。これに対しましては、Microcystisは海域へ流入した場合はたちまち死滅分解し、毒素は速やかに分解されるとされていますと。その後に諫早湾の底泥のデータを2つ示しておりますが、最後の行で、ヒトへの健康被害は想定されませんとしております。

 68番、A6海域にもタイラギ漁獲量減少について問題点として追記すべきと。これについては、御意見を踏まえてA6海域におけるタイラギの減少について追記しますと。これは348ページをご覧ください。A6海域について、a)タイラギとして、①現状と問題点の特定、②原因・要因の考察、ここの部分について御指摘を踏まえて追加することでいかがかということであります。

 続きまして、69番でありますが、図を追加してA6海域にてタイラギ漁が行われなくなった原因を考察すべきとの意見であります。これに対しては、1993年以降、ほとんどのタイラギの漁獲が認められないことと海砂の採取との関連を示す根拠がないため、御意見のあった図を追加することは適当でないと考えますとしております。

 次に、70番であります。A6海域において、潮受け堤防による締め切りとその影響、特にCOD、窒素、リン、懸濁物の濃度と排出量について記載すべきと。これについては、本報告では、潮受け堤防の排水門からの汚濁負荷量など評価を行っていますと。加えて、諫早湾の水質などの評価を行っていますとしております。

 次に、71番、これは3章、水質の節の17番と同様の意見、対応案であります。

 72番は、3章、底質の節の関連の19番と同様の意見、対応案であります。

 73番は、潮受け堤防締め切りによるベントス死滅及び短期開門調査時の変化について言及すべきと。これについては、3章の生物の節の関連の御意見、30番と同趣旨の御意見でありますが、御意見の図からは御指摘の内容が確認できないと考えられますとしております。

 続きまして、74番であります。タイラギの幼生と二枚貝類幼生の水平分布の資料を追加すべきと。これについては、御意見で言及された情報は既に示していますとしております。

 75番は、有害赤潮によるアサリの被害がないという根拠の妥当性が不明確なため、室内実験では確認されていないとすべきと。これについては、御意見いただいた室内試験は、天然海域で観測される赤潮の最大密度と同程度の濃度でChattonellaだけをアサリに暴露し云々ということでありまして、記載は適当と考えますとしております。

 76番は、アサリ減少の要因として、潮受け堤防締め切りに伴う貧酸素水塊発生につながっていることを明記すべきと。これに対しては、A6海域では2001年以前の底層溶存酸素量のデータがなく、御指摘の関係は確認できないと考えますとしております。

 次に、A7海域でございます。A7海域は、魚類の減少が漁業者に深刻な影響を与えていると。この御指摘については、魚類等の変化については、有明海全体のコーナーで整理していますとしております。

 次に、78番でございます。有明海湾口部、天草灘の環境について、環境研究総合推進費の報告を参考にしてはどうかと。また、別途提供する関連文献をもとにアサリ資源への影響を検討いただきたいとの御意見をいただいています。対応案としては、御指摘の追記は難しいという旨を記載しております。

 次に、有明海全体の有用二枚貝の減少の節に関する御意見、79番からであります。これは367ページのグラフを見ていただくとよろしいかと思いますが、二枚貝漁獲量とナルトビエイによる食害量推定値の経年変化の図でありますが、示された食害量は漁獲対象ではない二枚貝も含まれていることを記述すべきと。これについては、図にはタイラギ、サルボウ、アサリ以外の二枚貝はその他の区分で記載されていますとしております。

 続きまして、80番であります。これは373ページをお開きいただくとよろしいかと思いますが、この図の上の一番下の一文でありますが、漁場以外に生息する天然アサリ個体群の存在が示唆されるとは言えないのではないか、削除すべきと。この意見に対しては、いただいた御意見について、カキ礁内部や島原半島等の漁場以外の場所にもアサリの親貝は分布しており、記載は適当と考えますとしております。

 次に、ノリ養殖や魚類等に関する御意見であります。81番からでございます。ノリ養殖による窒素の取り上げと施肥の関連が明らかになっていないのではないかと。これについて、御指摘の関係は3章の底質の節で記載をしています。また、5章の今後の研究課題として関連の課題を記載していますとしております。

 次に、82番、ノリ養殖・色落ちについて、異なる視点で網羅的な研究事例を示すべきと。これに対しては、文献については網羅的に収集、記載していますと。なお、御指摘の中にシリカのことがありますが、シリカ関係は今後の調査が必要と考えており、今後の調査・研究課題に関連の課題を追記しますと。また、幼芽期の水温が生育に影響すること、これも御指摘いただいておりますが、これは記載済みでありますとしております。

 次に、83番、ノリの色落ちは植物プランクトンの発生だけでは説明できないため、収支についても検討すべきと。これについては、今後の調査・研究課題において赤潮発生等の要因解明を記載していると。また、栄養塩の関連の課題を追記しますとしております。

 84番、ノリの色落ち現象について、ここに書いてあるアンダーラインの部分を追加すべきとの御指摘でありますが、これは御意見を踏まえて追記、修正しますとしております。

 次に、85番であります。近年、汚濁負荷量に大きな変化がないにもかかわらず、赤潮が発生しやすくなった原因について記述すべきと。これについては、5章の今後の研究課題に赤潮の発生の解明関連について記載していますとしております。

 86番、実際は海域ごとに問題となる魚種や時期・程度は異なるはずである。より具体的な記載を行うべきと。これに対しては、本報告では有明海全体で魚類等の変化について検討を行っています。また、シログチ、デンベエシタビラメの初期減耗など関連内容を考察していますとしております。

 87番は、これは4章全体に関する御意見の36番と同様の内容であります。

 88番、有明海の魚類漁獲量について、1990年代後半以前の直近の原因として何が考えられるかを検討すべきと。これについては、有明海の魚類漁獲量は1987年をピークに減少傾向を示しています。本報告では、その要因として藻場・干潟等の生息場の縮小や貧酸素水塊の発生等の生息環境の変化などを記載していますとしております。

 89番、底生魚類の初期減耗の要因とされている輸送経路の環境変化について、より具体的に検討すべきと。これに対しましては、有明海の主要な魚類等の減少要因の特定には至っていないものの、魚類等の減少要因についてはということで、先ほどの88番と同様の内容を記載しております。

 90番、シログチの資源減少について諫早湾干拓事業に伴う干潟浅海域の喪失の影響を記載すべきと。これについても、88番と同様の対応案を記載しております。

 91番、二枚貝がアカエイに全く摂食されていないとは言えないが、ナルトビエイと並んで二枚貝を摂食しているというような表現は適さないと。この御指摘に対しては、いただいた御意見の趣旨を踏まえて、環境省の2013年の報告書にあわせまして、アカエイが入っていないような表現に修正をしてはいかがかと考えております。

 続きまして、92番であります。これは397ページのグラフを見ていただいたほうがよろしいかと思いますが、このグラフのサメ類はベントス食が主体で、小型のサメであると思われると。トップダウン効果の説明にはならないのではないかとの御指摘についてでありますが、かつて長崎県などで大型のシュモクザメ等を水揚げしていました。また、サメ類の漁獲データでは、エイ類を捕食する中型のサメも含まれていますとしております。

 93番は、これ3章の赤潮の節で、26番のやりとりと同様でございます。

 94番、有明海ではヘテロシグマ属の赤潮は5月に発生することが多いため、記載ぶりを修正すべきと。これに対しては、御指摘を踏まえて修正しますとしております。

 95番はこの記載のアンダーラインの部分を追記すべきということでありますが、これに対しては、現在の記載が適当と考えますとしております。

 次に、八代海であります。Y1海域に対する御意見でありますが、96番、Ykm-2というモニタリングポイントの底質は粘土・シルト分が100%に近い値で推移していると。単調な泥化傾向は見られなかったという文言を削るべきと。これについては、御意見を踏まえて修正しますとしております。

 次に、4章のまとめ関係に対する御意見であります。

 97番は、各海域の最後にまとめがあるため、5節のまとめは不要ではないかと。これについては、まとめがある原案が適当と考えますとしております。

 98番、人文科学的な調査の提言を行うべきと。これについては、5章の今後の調査・研究課題の中で関連の内容を記載していますとしております。

 99番、A3海域、A5海域の水質項目の現状と変化について、他海域と同様にCOD、窒素、リンに関する記載をすべきと。これについては、御意見いただいた箇所については、公共用水域水質測定データのモニタリングポイントが存在しないことから記載できませんでしたとしております。

 100番、A3海域において底層溶存酸素量の低下した原因について松川らの文献を参考にすべきと。これについては、同文献の問題点はナンバー22に指摘のとおりですとしております。

 101番は窒素、リンの減少は漁獲量の減少につながるため、その関連性について記載すべきと。これについては、御指摘を踏まえて今後の研究課題にアンダーラインの部分、栄養塩や基礎生産量と水産資源量との関係の解明を追記しますとしております。

 102番、漁獲量のデータを見ると、佐賀県では1997年以降に漁獲量が急激に減少しており、潮受け堤防締め切りが影響している可能性を検討すべきと。これについては、対応案の中ほど下ぐらいですが、本報告では、主要な魚類等の減少要因を考察し、貧酸素水塊の発生等の生息環境の変化や生息場の縮小などの可能性を挙げているところですとしております。

 103番、これについては、26番や93番と同様の内容になっております。

 4章については、ここまででございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの4章について御質問、御意見がございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。第3章のほうでももちろん結構でございます。

 はい、どうぞ。

○岩渕委員 まず、ちょっと気になったのは93番ですけれども、パブコメで指摘が上がっているのは、夏期の赤潮というところで赤潮発生件数が増えているということについて記述すべきであると書いてあるのですが、回答のほうで、前半の部分の、有明海においては2000年代の云々・・過去に比べて発生件数が多く計上されている、というこの文章は、基本的には冬期の珪藻赤潮についての記述というふうに考えていいのではないかと思います。関連性はあるのですが、直接的には93番の御意見の回答としてはちょっとずれがあるのかなというふうに思います。

○岡田委員長 すみません。確認しますが、93番のところで、夏期の赤潮と御質問には明示されていないようにまとめには挙がっておりますけれども。

○岩渕委員 4-4.(9)-23、398ページに対する意見ということで、これは夏期の赤潮の項目なので。

○根木閉鎖性海域対策室長 1つ説明をし忘れておりました。今93番で括弧して398とあるのは、今の資料4の報告案での通し番号のページでありまして、コーナーとしては御指摘のとおりであります。

○岡田委員長 では、事務局から今の御指摘に対してちょっと御説明いただけますか。

○根木閉鎖性海域対策室長 この辺りは、3章の例えば147ページの赤潮の記載がありますが、この上のほうが有明海に関して記載して内容は冬期だけとか夏期とか書き分けたということでは必ずしもないのかなというところがありまして、ここの記載は夏冬共通で書いておるので、そこの記載を用いて対応案としてはどうかと考えた次第ではございます。

○岡田委員長 多分まだ話が通じていないと思うんですが。

○岩渕委員 147ページの「なお」文に関しては、着色をしていないけれど、ノリの色落ちをしているから赤潮があったということでカウントとして挙げていると。だから、件数としてこれ以降増えているんだという記述です。ノリの色落ちに関するということですから、冬場の赤潮のことを述べていて、こちらの398ページは夏場の渦鞭毛藻に関する赤潮のことを述べているので、ちょっとこの回答ではそぐわないのではないかということなんですが。

○根木閉鎖性海域対策室長 そうしましたら……

○岡田委員長 回答ですから。

○根木閉鎖性海域対策室長 回答の1つ目のパラグラフのところがそぐわないという御意見だと思いますので、そこをとるような形で、少しほかの類似のところも確認させていただきますが、もしよろしければその方向で整理を進めたいと思います。

○岡田委員長 今の御指摘の点は、少なくとも93番の回答は違うことを言っているので、この回答は直していただくということで趣旨は通じましたね、今。

○根木閉鎖性海域対策室長 はい、理解しております。

○岡田委員長 相互理解しないと事務局も書きかえるのが大変だと思いますから、夏期の赤潮についていろいろコメントいただいたので、それに合うように書き直していただくということにさせていただきます。これはよろしいですね。岩渕先生、いいですね。

○岩渕委員 はい。

○岡田委員長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 はい、どうぞ。

○古賀委員 すみません。資料3の19ページ、57番ですね。A1海域での……

○岡田委員長 すみません、何番。

○古賀委員 19ページの57番、アゲマキについても記載する必要があるという御意見に対して追記をされています。基本的にはこの文章で概ね間違いないんですけれども、正確ではない。どうしてかというと、この二、三年、有明海湾奥西部で天然の貝が出現し始めています。だから、そういった部分もできたら記載をしていただけたらなというふうに思います。

○岡田委員長 どうぞ。

○根木閉鎖性海域対策室長 もしよろしければ、その方向で修正したいと思います。

○岡田委員長 古賀委員、では、これどういうふうに書いたほうがいいですかね。現在はほとんど生息していないという……。

○古賀委員 生息していないということではないんですよね。

○岡田委員長 ではないので……。

○古賀委員 確かに実際的にはもう1990年代ぐらいからもう全く漁獲がなかったけれども、近年、再生産の兆しがあるとか、そういう表現のほうがいいのかなと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 もしよろしければ、何かデータとか兆しの根拠がいただけると、よりその線に即して記載もできるかと思います。

○岡田委員長 今おっしゃったことでいいんですよね。

○古賀委員 そういったことでいいかと思いますけれども、根拠データは送付したいと思います。

○岡田委員長 それをぜひお願いします。では、根拠データをいただいて、これは事務局で持っていればいい話だと思いますが、記述ぶりについては、すみません。では、今の話と一緒に書いていただいて、事務局はそれに従ってこれは書き直す、追記するということですから、文章の228ページのところを追記するということでよろしくお願いいたします。

○根木閉鎖性海域対策室長 はい、かしこまりました。

○古賀委員 もう一点いいですか。

○岡田委員長 どうぞ、続けて。

○古賀委員 資料3の28ページの80番ですね。報告書では373ページなんですけれども、前回委員会のときの資料なんですけれども、確認なんですけれども、今回の報告書の文章と何か違うような感じがするんですが、最後の文章ですね。漁場以外に生息する天然アサリ個体群の存在が示唆されるという文章が前回報告書ではなかったような気がしたんですけれども、ちょっと確認をさせていただければと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 前回資料において、この記載はございます。

○岡田委員長 記載するかしないかじゃなくて、事実関係としてよろしいですかというほうが多分重要だと思いますので、いいですか。

○古賀委員 というか、僕がこの意見のほうと基本的には同じ意見なんですけれども、佐賀2とか佐賀3とかいうところは、もうほとんどアサリが生息しない海域なので、そこに漁場以外に生息する存在が示唆されたというのは非常に違和感があるものですから、だから、その辺がちょっと私としては、この意見のほうに賛同する、そういう感じです。

○岡田委員長 一致しないというところでとめるべきであるというふうに賛成すると。

○古賀委員 そうですね。

○岡田委員長 事務局としては何か根拠等ございますか。

○根木閉鎖性海域対策室長 ここは373ページの記載ですが、示唆されるという表現でありますので、この評価委員会でどう扱っていただくかということなのかもしれないと思っております。

○古賀委員 基本的には前回の委員会に記載をされていたら、それはそれで構わないというふうに思います。

○岡田委員長 では、その前に事務局の今、回答がカキ礁内部や島原半島等の漁場以外の場所にもアサリの親貝が分布しているという、これは事実があるわけですね。

○根木閉鎖性海域対策室長 そこは問題ないかと思います。

○岡田委員長 ということで書いたということでいいですか。ありがとうございます。

 では、小松先生、どうぞ。

○小松委員 3章なんですが、5ページの15番、この御意見の概要のほうで、長期的には有明海の潮流・潮汐は減少傾向となっていることが明らかとなっているというのを追加すべきだということなんですが、これすごくもっともだと思うんですね。というのは、潮流に影響を与えるのは海水面積、これは間違いなく減っているわけです。これがもうもろに入退潮流に関係してきて、入退潮流が減っている。それから、平均潮位はだんだん上がってきている。それから、潮汐振幅、特にM2潮が長期的に今だんだん小さくなっている。結局潮流に影響を与える要因が全て平均的には潮流を減少させる方向に働いているんですね。

 各種要因の影響の程度は明らかとなっていないというのは、これはこれでいい。どの程度効いているか確かに明確じゃないんですが、長期的には潮汐・潮流は減少傾向になっているというのは、これは間違いなく言えると思うので、できるだけ言えることは言ったほうがいいと思うので、これはぜひ追加をお願いしたいと思います。

○岡田委員長 事務局、いかがでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 ここは71ページのところに対する御意見でございますが、例えば潮流の変化、この辺りはやはりなるべく正確に書こうというところでこれまで議論を進めてきていただいたところだと思っておりまして、例えばということでありますが、72ページのところで、箇条書きで3つほど代表的なデータなども記載しているということでもあります。

 例えば1つ目は、諫早湾内の潮流について堤防締め切り後に潮流流速が低下する傾向が見られたとか、島原半島沿岸部の観測結果では、潮流流速が2割ぐらい減少していたと。ただ、ここにも「ただし」ということで、これらについては流れの分布の変化が影響した可能性も無視できないですとか、その次には、湾奥部に関してはシミュレーションによると影響が小さいのではないかと。例えばここに書いてある辺りがこれまで御議論いただいてきたところかなと思います。ファクトとして整理されたところを正確に書いたほうがここはいいのかなとも感じているところでありますが、委員の皆様の御意見もお伺いしたいところでございます。

○岡田委員長 どうぞ。

○小松委員 そういう個別の話は確かに細かく書かれていていいんですが、その結果、要因の程度がわからない、それはいいと思うんですよ、そこまでは。ただ、全体的には全ての要因が潮流を減少させる方向に働いているのはもう間違いないので、全体的には減少傾向であるというのは言っていいと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 あとは、御指摘のところについては、潮流の変化の71ページになりますが、例えば3行目、4行目ぐらいのところでしょうか。流体力学の基本原理である云々から、潮汐振幅が減少すると潮流流速が減少していなければならないことに起因すると、こういった基本原理的なところ、あと、その数行下のところで「前述のとおり」というところもありまして、過去40年間で減少が見られるという一文もあったりして、整理してきていただいたところは記載をしているのかなと。御指摘の点は、この辺りの表現で御理解いただける部分かなというところはございます。

○小松委員 個別の要因はいいんですけれども、だから、潮汐振幅が減少すると体積保存則から減少しなければならないとか、それから、とにかく水面が上昇していると。その結果、長期的にはこういうことが言えるんだというのをぜひ書いてほしいなということです。

○根木閉鎖性海域対策室長 評価委員会として記載すべきだということであれば、記載するというのももちろん考えられると思います。

○岡田委員長 あと、ほかの御意見ございますでしょうか。

 今、先生のおっしゃった例えば71ページの一番下の3行のところは、潮流流速、これは干拓によるだけが書いてあるんですね。そうか。上のまとめのところに……。

 どうぞ。

○中田(英)委員 この71ページの上の5行目、6行目の辺りに今の長期的な減少傾向というふうなことを加えるということですよね。

○小松委員 ええ、そうです。

○岡田委員長 そうしましょうか。よろしいですか。

○小松委員 だから、どちらかといえば、今、中田先生が言われたところの最後のところで「影響の程度は明らかとなっていないが」どうのこうの、長期的には減少していることは明らかとなっている。

○岡田委員長 事実としてですね。いいですか。

○根木閉鎖性海域対策室長 それでは、そのようにさせていただければと思います。

○岡田委員長 ほかの委員、何か御指摘ございますか、今の点につきまして。

 よろしければ、今、小松先生が御指摘のように最後のところ、71ページのまとめのところの6行目から7行目の最後のところに「影響の程度は明らかとなっていないが、長期的には減少」というような文章を追加していただくということでいいですか。

 どうぞ。

○早水大臣官房審議官 「明らかとなっている」のような表現が2つ続きますので、「減少傾向となっている。」でもいいかなと思いますけれども。

○岡田委員長 もちろんそうです。長期的には減少傾向になっているというふうに修正させていただきます。

 ありがとうございました。

 そうすると、御意見に対する考え方のところも同時に修正しておいてください。当たり前のことですが、よろしくお願いします。

○根木閉鎖性海域対策室長 承知しました。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 はい、どうぞ。

○岩渕委員 すみません。やはりちょっと気になるのが、20番です。微量に検出された乳酸についての記述ですけれども、非常にこの問題、地元ではセンシティブな話なので、ちょっとこの部分はできれば丁寧に書いていただいたほうがいいのかなという気がします。「極めて微量の乳酸が確認されたが」の前にやはり「微生物代謝により生じたと考えられる極めて微量の乳酸が確認されたが」等の形容詞じゃないですけれども、修飾語をできれば入れていただいたほうがというふうに思います。

○岡田委員長 これは論文に事実として書かれていることですから、そのまま引用してほしいと。全文というか、もう少し詳しく引用してほしいということ。事務局、いかがですか。よろしいですか。

○根木閉鎖性海域対策室長 はい。委員の皆様がそれでよろしいということであれば、そのようにさせていただきます。

○岡田委員長 今の御指摘はよろしいですね。

 ありがとうございます。では、今御意見のとおりに「微生物代謝により」云々というところを加筆していただければと思います。ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 それでは、またもう一度今と同じように3章、4章、お気づきの御意見をいただくという前提で、5章のほうについて一旦説明させていただきます。

 それでは、5章について事務局から御説明をお願いいたします。

○根木閉鎖性海域対策室長 それでは、また資料2からご覧ください。

 早速ですが、5番からになります。まず、1点目はタイラギの再生方策に関してですが、作澪をこちらにも追記すべきと御意見をいただきました。これについては、追記するとしております。

 次に、6番であります。ここに記載のとおり、文の適正化に関する御意見をいただきまして、修正をしましたとしております。

 次に、7番でございます。底質の改善等の対策が有効な場合もあると考えられると。これについて複数の御意見をいただいたところでございます。ここは御議論を踏まえてということで、「底質改善が有効な場合もあると考えられる。」を「底質改善が有効な場合があると考えられる。」と少し修正してはいかがかとしております。

 次に、8番であります。5章の中で例えばアサリについて海域全体を統合した解決策を記載してほしいと。これについては実際にご覧いただいたほうがいいかと思いますが、まず、547ページをお開きください。

 547ページが全体方策で、イ)有用二枚貝に係る方策というものがあります。これの上から3行目ぐらいですけれども、もともとの文章に3行目の中ほどにありますが、「及び海域間の相互関係(浮遊幼生の輸送等のネットワーク)を把握」と、この一文を御指摘を踏まえてつけ加えてはいかがかと。

 もう一点、同類の趣旨でありますが、551ページをご覧ください。今後の研究課題のところでございますが、551ページの②水産資源関係の2つ目のポツでありますが、アサリの浮遊幼生の移動ルートの解明、ここまでは前回までございましたが、括弧して広域的な母貝集団ネットワークの形成に関する検討というものをつけ加えてはいかがかとしております。

 次に、9番でありますが、御意見としましては、社会制度、法制度、ガバナンスの観点が入っていないと。これについては、同じ5章の中で関係者による連携の強化というコーナーがありますが、ここに括弧書きのアンダーラインのところを追加してはどうかと。「関係者の連携」の後に「合意形成を図っていくこと」という言葉をつけ加えて「が重要である。」と、このように修正してはいかがかということであります。

 次に、10番であります。これはアサリの浮遊幼生ネットワーク関連の文の適正化に関する御指摘でありまして、文を適正化しましたとしております。

 次に、11番はケアレスミスに関する御指摘でありまして、修正をいたしました。

 あと、12番は「おわりに」を作成すべきと。これについては、本日の資料4の583ページにつけております。

 それでは、続きまして、資料3を先ほどの続きからになりますが、ページ数でいきますと、36ページをお開きいただければと思います。

 まず、104番であります。まず、5章全体に対する御意見でありますが、再生に係る手順やその目標について具体的な内容を示すべきと。これについて、再生手順については5章の再生に向けた方策等の考え方において、この括弧書きの部分の内容を示しております。「再生目標について、」としたほうでありますが、現時点の知見でより具体的に設定することは困難と考えます。今後の評価委員会で再生目標の達成状況などを定期的に確認すると記載しているところですとしております。

 次に、105番であります。A6、A7海域について、覆砂など現在各海区で実施している取組、効果等に関する記述が不十分であると。これについては、本報告において5章に記載している再生方策は、評価委員会として一定の効果が認められると評価するものを記載していますとしております。

 次に、106番、対象種、特に魚類、甲殻類等ごとの海域別に、効率的かつ現実的な手順を明示すべきと。これについては、本報告では、生物に係る問題点及びその原因・要因を評価した上で、これに対応する総合的な再生方策を示しているものですと、まず基本的な考え方を示しております。「再生手順については」ということで、これは104番と同様の内容を記載しております。

 おめくりいただきまして、107番であります。真ん中ほどになりますが、底質改善のための事業、アサリに対する効果は持続せず、漁場の劣化が起こったのではないかとの御指摘であります。これに対しては、アサリの再生方策として今回総合的な再生方策を記載していますとしております。

 次に、108番、再生方策の優先順位をつけていただきたいと。これに対して、まず基本的な考え方として、本報告では総合的な再生方策を示しているのですと。優先順位づけは、再生方策の実施に当たり検討すべきものと考えますとしております。

 109番、開門調査についても提起すべきと。これについては、対応案の下のほうになりますが、評価委員会は有八特措法において国及び関係県が行う総合的な調査の結果に基づき、有明海及び八代海等の再生に係る評価を行うことと規定されていることから、潮受け堤防排水門の開門是非の評価は行わないこととしていますとしております。

 次に、110番ですね。再生方策の設定と本章の構成というところの節に対する御意見であります。110番は新たなデータを今後取得していきましょうというようなところに関連する一文についてですが、「必要に応じて」という文言は削除すべきと。「また」ということで、再生方策の実施体制や各主体の責務についても言及すべきといただいております。これに対しては、御意見を踏まえて「必要に応じて」の文言を削除しますとしております。「また」ということで、再生方策の実施体制や各主体の責務については、評価委員会で示すものではなく、再生方策の実施段階で実施主体により検討すべきものと考えますとしております。

 次に、再生方策の考え方の節に関する御意見が111からであります。

 111は、二枚貝の減少の原因究明の継続と覆砂等の現在の対応も継続して行う必要があると。これについては、二枚貝の関係の再生方策等をいろいろ示していますとしております。

 112番、クルマエビやヒラメ、マダイ等を引き続き放流していく必要があると。これについては、種苗放流を推進すると記載していますとしております。

 おめくりいただいて、次が全体に係る再生目標の節に関する御意見であります。

 113番であります。10年後の定量的な目標値を示すべきと。これについては、104番の対応案と同様の内容を記載しています。

 114番、2006年報告書で提言された調査のマスタープラン及びその成果活用について触れるべきと。これについては、調査のマスタープランについて環境省において検討されましたが、評価委員会として議論されたものはありませんとなっております。

 次に、有明海の個別海域に対する再生目標と再生方策に関する御意見が115番からであります。

 115番は、アサリやタイラギの資源回復とノリの生産の競合について記載が不足していると。これに対しては、A1海域、A4海域は有明海再生のため両者の共生は重要と、再生目標として共生の確保を記載していますとしております。

 次の116番、アゲマキでありますが、アゲマキの再生に関する取組も記載する必要があると。これについては、種苗放流を記載していますと。アゲマキについても必要に応じて実施が検討されるものと考えますとしております。

 次に117番、これは貧酸素水塊の改善対策に関する御意見でありますが、再生方策として汚濁負荷量の削減は適さない、削除すべきと。これに対しては、汚濁負荷量の減少によって貧酸素水塊の容積が減少することがケーススタディでも検証されていますと。なお、御意見を踏まえて、今後の調査・研究課題に栄養塩や基礎生産量と水産資源量との関係の解明を追記しますとしております。

 118番、貧酸素水塊の軽減策として二枚貝の再生が挙げられているが、再生方策とはならないのではないかと。これについては、二枚貝の生息量の増加によって貧酸素水塊の容積が減少することがケーススタディでも検証されていますと。再生方策の一つとして適当と考えますとしております。

 119番、カキ礁再生の前提となる環境条件の回復をどのように実現するのかと。これに対しては、カキ礁は環境条件の変化に比較的強いと考えています。具体的には、再生事業を実施するためさまざまな条件を検討するため、例えばカキ礁再生のための実証事業を行うと記載していますとしております。

 120番、貧酸素水塊の改善対策としてシャトネラと競合する珪藻プランクトンの発生を促す方策を検討することを追記すべきと。これに対しては、今後の調査・研究課題で関連の課題を記載していますとしております。

 次に121番、成層化を緩和できる装置とは何か具体的に記述すべきと。これについては、例えば湧昇流を発生させる人工構造物が想定されますとしております。

 122番、アサリ資源の母貝生息適地とは具体的にどこかと。これについては、例えば従来のアサリ漁場がこれに該当するとしております。

 123番、底質悪化の根本原因を抑制する対策を記述すべきと。これについては、例えばA1海域の底質については、2001年から2015年データからは単調な変化傾向は見られなかったと評価しておりますとしております。

 124番、海底耕うんは効果が疑問視されているが、再生方策の一例として挙げてよいのかと。これについては、留意事項として効果が継続しにくい水域があることなどを記載しており、実施に当たってはこれらの点に留意すべきと考えますとしております。

 125番、ベントス群集の保全・再生に関する具体的な方策を提言すべきと。これについては、例えばA2海域の再生方策としては、ベントス群集の変化・変動要因の解析調査などを記載していますと。また、全体方策として底質の改善を実施するという旨も記載していますとしております。

 126番は109番と同様の内容でございます。

 127番、タイラギ資源をどの程度回復させるのか数値目標を挙げるべきと。これについての回答は113番の対応案と同様でございます。

 おめくりいただきまして、128番、これはタイラギの再生方策についての御意見ですが、母貝集団ネットワーク形成の前に母貝の生息環境を整える対策を記載すべきと。これについては、ネットワークの形成を図るとの記載の中には、母貝生息適地の保全・再生も具体の対策として含まれていますとしております。

 129番、タイラギの立ち枯れへい死の原因解明、その手法について具体的に記述すべきと。これについては、今後の研究課題の中で幅広く取り組めるように記載をしていますとしております。

 130番、再生方策について、タイラギの餌料環境に言及すべきと。これについては、今後の研究課題のところで下線部の部分を追記しております。下線部の1つ目が「アサリ」の後に「等」を入れまして、タイラギも読めるようにしてはどうかということであります。2つ目のアンダーラインのところは、何回か説明した一文になっております。

 131番、A4海域の環境モニタリングと改善策を再生方策に記載していただきたいと。これについては、環境モニタリングについては、今後の調査・研究課題のデータ蓄積の項目において記載しておりますとしております。

 132番、A6海域の現況として、1993年からタイラギ漁が行われていない。この原因として諫早湾干拓事業の影響が強く疑われる、これなどを記載すべきと。これについては、68番での回答のとおり、A6海域において再生目標としてタイラギの資源回復を追記したところですと。再生方策については、長期的な資源の減少と貧酸素水塊や底質との関係が不明であるため、「減少要因の解明を進め、その結果を踏まえた再生方策を検討する。」、これを追記することでいかがかということであります。

 次に、133番は、104番、113番と同様でございます。

 134番、貧酸素水塊の軽減のためには、A6海域では再生方策として調整池からの負荷量削減を記載すべきと。これについては、A6海域において魚類資源の回復等の観点から、貧酸素水塊の軽減を図ると記載しており、軽減方策の一つとして汚濁負荷量の軽減を図ると位置づけておりますとしております。

 135番、ベントスについて、1997年からのデータが存在すること、潮受け堤防締め切りや短期開門調査時のベントス変化について記述すべきと。これについて、御指摘のデータは個別地点のデータが公表されていないため、御意見いただいた記載は難しいと考えますと。ここは事例で見ていただいたほうがいいかもしれません。539ページをお開きいただけますでしょうか。

 539ページの上から2つ目の段落でありますが、御指摘を踏まえて、「ベントスについては、2004年以前のデータがなく」というところに「海域ごとの」という文言を追加しますとしております。この扱いは、ほかの海域でも同様の修正をしてはいかがかと考えております。

 次に、おめくりいただきまして、136番ですが、これは109番や126番と同様でございます。

 次からが八代海関係になります。

 137番、八代海湾奥部は不知火干拓が張り出す特異な地形から土砂が堆積し浅海化が進行していると。浅海化に対する具体的な方策を挙げていただきたいという御意見であります。これに対しては、本報告の取りまとめに当たっては、有用二枚貝の減少などの4項目を取り上げて何が問題点か検討したと。不知火干拓地北部の海域においては、前述の4項目について問題点の確認には至らなかったとしております。

 続きまして、138番であります。Y1、Y2海域は再生目標や再生方策としてベントスの関連を追記していただきたいと。これに対しては、Y1、Y2海域においては、ベントスについて問題点の明確な特定には至らなかったので再生目標は設定していませんが、Y1、Y2海域も含めた全体方策として、ベントス群集や底質のモニタリングなどを記載していますとしております。

 139番、Y2海域におけるアサリ資源の再生方策を強力に推進していただきたいと。これについては、総合的な再生方策を記載していますとしております。

 次からが全体方策関係の御意見であります。

 140番は、4章の90番と同様であります。

 141番は、諫早干拓事業に関して109番と同様の趣旨の記載になっております。

 続きまして、142番は130番と同様の記載になっております。

 143番でありますが、現在取り組んでいる新たな漁業振興策(カキ・アサリ養殖など)に関する評価や必要性についても具体的に記載すべきと。これについては、5章の再生への取組は、3、4章で整理した問題点は何か、その原因・要因は何かを踏まえて、これを解決するための方策を記載していると。これに該当しない漁業振興策の記載は適当でないと考えますとしております。

 続きまして、おめくりいただいて、144番であります。「漁業者の協力を得た適切な漁場利用により漁場環境を改善し、高品質・高付加価値のノリ生産を推進する」を削除していただきたいと。この御意見については、本部分では、例えばノリ網の配置改善等による潮通しの改善、二枚貝を活用した珪藻類の増殖抑制等が考えられますと。方策として適当であると考えますとしております。

 145番「環境負荷の軽減に配慮したノリ養殖技術を確立する。」を削除していただきたいと。これについては、例えば酸処理剤や施肥剤の適正使用に配慮したノリ養殖技術の確立について述べたものであり、記載は適当と考えますとしております。

 146番は、130番、142番と同様の内容でございます。

 147番も117番と同様の内容でございます。

 148番は、クルマエビ漁獲量と潮受け堤防締め切りの因果関係を検討すべきと。クルマエビの放流事業を行っても無意味ではないかとの御指摘です。これについて、前段については89番と同様の対応案を記載しております。後段については、クルマエビについて種苗放流が有効な手段の一つとして考えられますが、より効果的に実施できるように、有明海関係4県が連携して放流技術の開発が行われているところですとしております。

 続きまして、149番でございます。底質の改善として例示されている方策は効果が見られないとの意見があると。このような対症療法的な事業ではなく、環境と漁業の悪化の原因を明らかにすることに全力を傾注すべきと。これについては、底質については多くの地点においてデータを有する期間おいて単調な変化傾向は見られなかったところですが、場所により一定期間泥化を示した地点があることや、例えば覆砂によって有用二枚貝の資源回復が確認されていることなどから、底質改善が有効な場合があると考えられるとしていますとしております。

 150番、覆砂は有効期間が短いと。費用対効果の観点で追記をしていただきたいと。これについては、各事業での費用対効果については、継続的な評価の欄において個別対策事業を所管する者において、効果と費用を適切に評価することが重要と記載しておりますとしております。

 続いて151番、覆砂の効果について水域によっては効果の継続が乏しいとされているが、実際に覆砂漁場でアサリの大幅な増加が見られていると。したがって、この下の括弧書きのように表現を修正すべきとの御意見であります。これに対しては、覆砂については効果が認められることから進める対策の一つとして示していますが、効果が継続しにくい水域があることから、その点を留意点として記載しているところです。なお、表現適正化の観点から、留意事項の表現をこの括弧書きの表現「底質改善の対策の実施に当たっては、効果が継続しにくい水域があること」云々に留意する必要があると、この表現に修正をしてはいかがかということであります。

 152番、「海砂採取が海域環境に影響を及ぼすおそれがあることに留意する必要がある。」との記述があるが、当該箇所は削除すべきと。これに対しては、本留意点は有明海の再生事業に関連する内容として記載したものであり、削除する必要はないと考えますと。また、有明海において、今後も採取の可能性があることなどから記載は適当と考えますとしております。

 153番、漂流・漂着・海底ごみについて環境省主導でこの対策を推進していただきたいと。これに対しては、今後も関係者の連携により取り組まれるものと考えますとしております。

 次に、取組の実施に当たっての留意点のパートに関する御意見が154番からであります。優先的に取り組むべき対策等について具体的に記載すべきと。これに対しては、本報告では総合的な再生方策を示しているものですとしております。

 155番、再生のためには国が主体となって取り組んでいただきたいと。これについては、まず、前段の回答は110番と同様でございます。「また」ということで、5章の関係者による連携の強化という記載がある旨を「また」のところで示しております。

 次に、55ページ、継続的な評価のパートに対する御意見であります。

 156番、再生方策の実施に当たっての具体的なスキームを示していただきたいと。これについては、継続的な評価の欄で、評価委員会は「再生目標の達成状況や再生方策の実施状況等を定期的に確認し、有明海・八代海等の再生に係る評価を適切に実施する。」旨を記載していますと。再生方策の実施体制や各主体の責務について、これ以降は155番と同様の内容になっております。

 次が今後の調査・研究課題に対する御意見であります。

 157番、水質と底質はセットで考えられると。「水質項目をはじめ」ではなく「水質・底質項目をはじめ」としていただきたいと。これについては、御意見を踏まえて修正しますとしております。

 続いて158番、ここに記載の内容を研究課題として追記すべきとの御意見でありますが、関連項目は既に記載していますとの趣旨で書いております。

 159番、クルマエビやガザミなどの甲殻類は水産業上重要な種類であると。「魚類等」という表現を「魚類、甲殻類の」云々としていただきたいと。これについては、御意見を踏まえということでありますが、この魚類等の表現は最初のほうに出てくる4章のところで「(甲殻類を含む。以下同じ)」と追記をしますとしております。

 続いて、160番と161番は記載の研究課題を追記すべきとの御意見でありますが、既に記載をしていますとの趣旨で対応案としております。

 162番は、159番と同様でございます。

 163番は、餌料環境条件の解明を追加していただきたいと。これについては、先ほど何回か御紹介した一文でありますが、追記しますとの対応案でございます。

 164番、これも記載を加えるべきとの御意見でありますが、既に含まれていますとの趣旨で対応案としております。

 165番は、底質等という言葉が何を指しているのかわかりづらいと。これについては、底質等は直上水等も含まれますとしております。

 166番は、栄養塩類や有害赤潮に対する研究開発についての意見でありますが、栄養塩類についてはこれまでの回答のとおりでありまして、有害赤潮については、関連の調査・研究課題を既に記載しているところであります。

 次に、ケーススタディに対する御意見であります。

 167番は、ケーススタディは今後の具体的な対策につながるものであるため、新たな知見が得られた時点で随時追加、更新をしていただきたいと。これに対しては、御意見を踏まえて今後の評価を行っていきますとしております。

 168番、今後のシミュレーション結果を踏まえた事業化に期待すると。これについては、各種取組が行われることを期待しますとしております。

 その他の意見であります。

 169番、評価委員会は本報告書の内容をもとに再生の主体に対しレクチャー・議論をすべきと。これに対しては、評価委員会の所掌事務は、有八特措法に基づいて、有明海・八代海等の再生に係る評価に関し、関係行政機関の長及び関係県の知事に意見を述べることであり、その後は関係機関等が再生方策を具体化していくものと考えますとしております。

 170番、自然環境の保全に係る評価がないのではないかとの趣旨の御意見でありますが、本報告の3章、4章、5章に記載している内容の多くは、自然環境に関係するものと考えますとしております。

 このほか、委員、関係者の意見を踏まえて事務局にて修正案を記載した部分がありますので、少し説明をいたします。資料4の534ページをお開きください。

 534ページの一番上のほうにアサリの資源回復というのがございます。これの上から2つ目のポツでありますが、底質改善と類似の方策として採苗器の設置等を追加してはどうかということであります。

 次に、3つ目のポツでありますが、資源の回復期における資源管理方法の早急な確立、これの例示を入れることによって記載の明確化を図ってはどうかという観点で、括弧で「(例えば、採捕の制限、保護区の設定等を含む)」と、これを加えてはどうかということであります。

 次のページ、535ページの1つ目のポツでありますが、タイラギの資源回復関係で、稚貝放流と類似の施策である移植を加えてはどうかということであります。

 次に、少し飛びまして、547ページをお開きください。

 全体方策関係でありますが、イ)で有用二枚貝に係る方策ということであります。ここのポツの1つ目でありますが、資源量の底上げの施策でありますが、よりきめ細やかに表現するこという観点から、まず、1行目の「種苗生産」の後に「・育成」を加えてはどうかと。そして、次の行になりますが、「人工種苗の量産化」を加えてはどうかと。そして、先ほどと同趣旨になりますが、種苗放流の並びで「・移植」を加えてはどうかと。このような修正を付しております。

 次に、次のページでありますけれども、548ページ、エ)の魚類等に関する方策の2つ目のポツであります。ここの魚類等の種苗放流の推進のところに「広域的な連携も含めた」という文言を加えてはどうかということであります。

 次に、次のページ、549ページであります。一番上の2行目を見ていただくと、先ほどのパブリックコメントでも触れさせていただいた部分でもございますが、底質改善対策の留意事項関係でありますが、もともとの文は「覆砂等の」となっておりましたが、ほかの底質改善対策でも当てはまるところがありますので、「底質改善の対策の実施に当たっては」と用語を変えてはどうかと。その次の行で海砂採取は覆砂が該当すると思いますので、ここはその文意を明らかにするのに「覆砂のため海砂採取」と、「覆砂のための」という言葉をつけてはどうかということであります。

 そして、そこからポツでいうと3つほど下にいったところに藻場・干潟の保全・再生の一文がありますが、ここの文頭に機能面の表現を追加、「水質浄化機能を有し」という言葉を、このような機能が3章で書いてありますので、これも追加してはどうかと。

 もう一つ、干潟と同様の機能が期待できるカキ礁を分布状況の把握や保全・再生に加えてはどうかということでございます。

 説明は以上であります。

○岡田委員長 どうも御苦労さまでした。

 それでは、ただいま御説明いただいた5章の案について御質問、御意見等をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○小松委員 今、事務局のほうからパブコメ以外の話があったんですが、実はパブコメに間に合わなかったのが1つありまして、できたらここで提案をさせていただきたいと思います。

 549ページの上から6行目、ダム堆砂の海域への還元等を検討する。これは国交省が重要な役割を果たすと思うので、国交省とも実は相談したんですが、砂の還元は非常に大事なんですけれども、ここで「ダム堆砂並びに河川改修に伴う掘削土砂」というのを入れて、「並びに河川改修に伴う掘削土砂の海域への還元等を検討する。」としたいと思います。結局砂のソースがダム堆砂だけではなくて河川改修等で掘削するので、その土砂も有効利用しようという非常に前向きなコメントです。

○岡田委員長 ありがとうございます。今の御指摘はよろしいですね。多分問題ないと思います。

 いかがですか、事務局でもし御意見あればどうぞ。

○早水大臣官房審議官 すみません。細かいところですが、「並びに」は言葉として今回の文で使うには正確ではないと思いますので、「ダム堆砂及び」とするか「ダム堆砂や」とするか、どちらかだと思います。役所言葉で恐縮ですけれども、そういうことです。

○岡田委員長 全然構いませんね。

○小松委員 本質が変わらなければいいです。

○岡田委員長 本質は変わらないですから。では、今、小松先生がおっしゃったように、ここを追加してください。お願いいたします。ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 どうぞ。

○中田(薫)委員 私もちょっと新たな話なんですけれども、これまでの回答ぶりの中で、赤潮に関して2000年代に入って2倍に増えたということに関しては、ちょっと解釈に注意が必要だという表現がありました。ただ、この一文があるがために、実際に増えているのか増えていないのか、減っているのか、そういうことが本当に受け取り手はわからなくなっていると思うんですね。

 それで御提案ですけれども、550ページのデータの蓄積というところがありますけれども、過去の長期データを現在のデータにつなげられるような、そういう工夫を今後施していくという一文を入れていただければいいかなと思いました。

○岡田委員長 おっしゃる趣旨はわかったんですが、どこにしましょうか。550ページのデータの蓄積の最初の4行くらいのところですかね。

○中田(薫)委員 はい、その辺に入れていただければ。

○根木閉鎖性海域対策室長 今後の話だけじゃなくて過去の部分も含みますよと。そこは赤潮だけじゃなくて全体に係る話としてということですね。

○中田(薫)委員 赤潮がわかりやすい例だと思ったんです。

○岡田委員長 過去のデータをもう一度再確認もしくは再検討して、今のデータにつながるようなことを試みる、そういうことですね。

○中田(薫)委員 はい。

○岡田委員長 よろしいですか。

○根木閉鎖性海域対策室長 委員の皆様がよろしければ、その方向で趣旨のところを1節加えることでいかがかと思います。

○岡田委員長 はい。では、よろしくお願いいたします。多分よろしいかと思いますから。結構大変だとは思うんですが、試みる価値はあると、そういうことでいいですね。

○中田(薫)委員 はい。

○岡田委員長 おっしゃるとおりだと思います。では、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 どうぞ。

○古賀委員 資料3の50ページの144番です。多分今も5章に載っているんですけれども、ずっと前から多分この文章は載っていたと思います。見逃していたんですけれども、高品質はわかりますけれども、高付加価値のノリ生産は具体的にどういう意味なんでしょうか。多分この質問者の人は、漁場環境を変えても高付加価値のノリとは関係ないというような言い方だろうと思うんですね。だから、基本的には高品質のノリ生産を推進するということであれば何ら問題ないんですけれども、高付加価値というのはちょっと検討がなかったものですから。

○岡田委員長 では、事務局、わかりますか、今。

○根木閉鎖性海域対策室長 御指摘を踏まえて、高品質だけにすることではいかがかなと思いますが。

○岡田委員長 私も今、直感的には思いますが、今の御指摘を踏まえてもう一度検討していただいて、ちゃんと説明できる高付加価値というのがあれば残してもいいですよね。今はむしろ御質問ですから。だから、ここで変えるよりも一応事務局で確認していただいて、残すか消すかは、これはいいですね。内容がわかればいいと、そういう意識……

○根木閉鎖性海域対策室長 失礼しました。ありがとうございます。

○岡田委員長 多分、直感では皆さん、とってもいいんじゃないかと思うと思うんです。

 どうぞ、滝川先生。

○滝川委員 36ページのナンバー104です。回答欄のところでちょっと気になるので御質問ですが、再生目標についてという云々がありまして、この前段の文が「現時点の知見でより具体的に設定することは困難と考えます」と書いてあります。その後、「今後の評価委員会で再生目標の達成状況や方策の実施状況等を定期的に確認する」と書いてあるんですが、これは矛盾していませんか。要するに具体的な目標を設定するのは非常に難しいと。にもかかわらず、その後、達成状況を確認するというのは、目標が定まっていないのにそういう実施状況を確認するという言い回しは、非常に僕は矛盾しているように受け取るんですが、いかがでしょうか。

 要するに何を言いたいのかというと、目標設定が難しいので、今後も含めて再生目標の設定とか具体的な方策については今後とも検討を重ねていく必要があるとか、そういうことで、これをどこまで進んだかをチェックしますよという文章そのものはおかしいんじゃないのかなというふうに非常に矛盾を感じるんですが、いかがでしょうか。

○岡田委員長 これは継続的な評価のところの文章でも書いてあるわけですね。ですから、ちょっとそれを確認したほうがよろしいと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 549ページの下のほうにあります。ここに記載しているのは「継続的な評価」の節の上の段のものでありまして、趣旨としましては記載のとおりでありますが、きちっと今後その状況を確認することによって具体の評価、さらなるきめ細かな評価にもつながっていくのではないかと、そのような趣旨であります。今の時点で目標をより具体的にというのは、知見の関係もあり現実的でないけれども、今後そのような評価をしていく必要があるという趣旨のことであります。

○岡田委員長 いいんですが、多分ここで書かれている再生目標の達成状況というのは定性的な話であって、定量的な話ではないということだと思うんですが、その辺、事務局いかがですか。

○根木閉鎖性海域対策室長 そうですね。そこは目標が定量的なものでないので、確かにおっしゃるとおりだと思います。

○滝川委員 ちょっとそこのところを御検討いただかないと、要するに目標が定まっていないのにどうやってチェックしますかという話です。進捗状況をチェックするためには、ある程度定量的な目標が定められていないとチェックのしようがありませんよね。そのところを今御説明の意図はわかるんですが、そこは誤解のないようにしておかないと、目標を設定していくこと、あるいはそれを今後どういうふうに実施していくのかということを検討していかないと目標も定まっていない。だから、そういう意図の文章に変えていただきたいというふうに思っております。

○岡田委員長 ここの表現は、再生目標の達成状況というのはあくまでも定量的なものではなくて定性的なものであると、こういう理解だったらよろしいですか。だから、それはもちろん定量的、具体的にすべきですが、今のところは、それはなかなか難しいと、こういう趣旨かなというふうに理解したんですが。

○根木閉鎖性海域対策室長 例えばアサリの資源回復状況を数字で見ていくということは、まず大事かなと。それがおっしゃるとおり、目標がアサリの資源回復を図るという目標ですので、それを数字でチェックしたものを定量的にというのは確かに少し論理的におかしいということだと思いますので、そこは定性的な比較になると思いますが、継続的な評価としてきちんとなるべくデータで見ていくというところは……

○滝川委員 なぜ申しあげているかというと、これ今、ここのところの議論はアサリの資源回復を図るというのが目標と書いてあるんですが、ほかのところの質問項目にありますように底質環境改善、覆砂とか何とかという抽象的なことは書いてあるけれども、具体的なもの、そういった方策は効果が本当にあるのかよくわからないようなところもありますよと書いてありますよね。その底質環境改善をするという目標も含めて、アサリの資源回復を図るという目標も含めて、具体的な海域環境の改善というものに対する目標が十分に定める、要するにここは生物資源に対する目標設定がずっと書いてあるわけですね。

 ここで書かれている目標というのがここの印象と言ったらおかしいんですけれども、アサリの資源回復を図るという目標にしても、具体的なそのためにはどういうことをやりますよということの再生目標が記されていないと書かれているわけですね。そしたら、それを定まっていない目標のどういう物差しで実施できているか、再生できているかというのを調べるのか、そこがちょっとよく見えないところです。そこをどう考えられているのかなということです。

 僕の感覚からしますと、要するに再生目標そのものを具体的に方策も含めてどう定めていくのかということを検討しなきゃいけない。それが課題だろうというふうに思っているんですけれども、要するにそういうことなんです。

○早水大臣官房審議官 御指摘ありがとうございます。

 もともとの文章の意図は、549ページがまさしくそうですが、本章で掲げた再生目標の達成状況を確認ということになっています。ここで掲げているのは、こういったアサリの資源回復を図るといった、抽象的と言ったら語弊がありますが、方向性みたいな、「タイラギの資源回復を図る」とか、そういった目標になっております。

 この御意見は、もう少し具体的にということであれば、例えば何トンから何トンに増やすとか、そういうことを場合によっては書くのか、あるいは手順とか目標をもっと具体的に、ということだと考えます。ただ、そういった具体的なアサリの資源回復をどの程度までみたいなことは多分書きにくく、現時点でより具体的に設定することは困難だと思います。ただ、ここの549ページにあるように、本章で掲げた再生目標の達成状況、定性的な目標の達成状況については、できるだけ確認していきたいと思います。

 ですから、資源がどのぐらい回復していったかということについては、多分そういうデータがとれればとっていくということですけれども、それをどこまで回復すれば回復したことになるのかみたいな話は多分ちょっと難しいという趣旨です。

○滝川委員 わかりました。そういった意味からすると、「本章で掲げた」というのを入れていただきたいということです。本章で掲げた目標を実施、どこまで進んだかという、その本章で掲げた目標と海域全体の目標とが少しごちゃごちゃになってずれているので、そこを明確にしていただきたいということです。

○根木閉鎖性海域対策室長 はい、表現を修正します。

○岡田委員長 よろしいですか。ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 どうぞ。では、山口先生のほうから。

○山口(啓)委員 最後の今後の課題と、それから、ちょっと前になりますけれども、3章の21番ですね、7ページに関わることなんですけれども、21番の中で酸素量が水域の何地点かでは類似しているということが書いてあります。要は水域間での水塊の移動というものは当然あるだろうし、物質の移動、酸素消費をするような物質の移動というものもあると思うんです。それをここに盛り込むことは難しいというのは理解しますが、今回の全体的なところに関わるんですけれども、水域間の相互作用とか物質移動についてはあまり言及できていないといえます。これは今回の進め方がまず水域ごとに特徴をしっかりとしていきましょうと、それがないとさらに水域間のことはもちろん議論できないので、まず第一段階として水域間のまとめをしたので、本当はこれ次のステップとして水域間の物質移動とか、いろんなことを当然考えていかないといけない、というのが本当はあると思うんです。

 なので、ここでこんなふうにすぱっと回答のように言ってしまうよりは、むしろ最後の今後の課題のところに実際にはいろいろ出てきていることを重視すべきですよ。物質の動態に関する研究とか、あるいは水域の広域的なネットワークとか、要するに広域的に考えるべきだということがここにニュアンスとしては書いているんですけれども、むしろそれならいっそのこと、今後の課題の中に、そういう水域間の物質の移動や水域同士のつながりについては、今後もっと調べていく必要があるというふうなニュアンスのことを入れるとよいのではないでしょうか。今回解決し切れなかったかもしれないけれども、当然将来考えるべき課題あるいはケーススタディのような形でそういうシミュレーションにつなげていくとか、そういう課題、次のステップにつながると思いますので、何かそういう書き方に変えることはできませんでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 21番のところについて、おっしゃるとおりに551ページの今後の研究課題でも関連する内容は貧酸素水塊の発生・消滅機構の把握とかいろいろ入っておりますので、まず、そこを21番の回答に入れる……。

○岡田委員長 それはいいんですが、それはもういいと。先生がおっしゃりたいのは、550ページか551ページの今後の課題の中に水域間の関連について今後検討すべきであるというのまで……

○根木閉鎖性海域対策室長 本文の……

○岡田委員長 本文のほうがいいかもしれないですね。

○根木閉鎖性海域対策室長 どれか1つの項目ではないと思いますので、本文の適当なところに御趣旨のところを含めて、水塊のところも含めというのを入れてはいかがかと思います。

○岡田委員長 文章は事務局にお任せしてよろしいかと思いますから、趣旨は伝わっていると思いますので、追加をお願いします。多分データの蓄積・研究開発をどっちかに入れるのはおかしいので、全体でいいですね。

○山口(啓)委員 どこかにそのような趣旨のことを入れていただければいいと思います。

○岡田委員長 わかりました。ありがとうございます、御指摘。重要な御指摘だと思いますので、ぜひ入れておいてください。

 では、速水先生、どうぞ。

○速水委員 パブリックコメントの155と、それから、156の回答なんですけれども、これどちらも再生方策の実施体制や各主体の責務については評価委員会が示すべきではなくというふうに書かれているんですけれども、各主体の責務に関してはもっともなんですけれども、再生方策の実施体制に関しては、これは必ずしも評価委員会で示すべきではないものかどうか。そこはこれまで検討もしていないんだと思うんですね。

 だから、正確に言うと、こうした実施体制に関しては、評価委員会でこれまでに全く議論できていないから今回は入れていないと言ったほうが正確なんじゃないかと思うんですけれども、その辺りの回答の書き方についていかがでしょうか。

○根木閉鎖性海域対策室長 例えば549ページのところでここにも書いてありますが、関係者による連携の強化という記載がございまして、基本的な方向性についてはここで触れているということであります。より具体の実施体制ということになると、ステークホルダーを含めた議論になると思いますので、このような書き方をさせていただいたということでございます。

○岡田委員長 ちょっと速水先生、よろしいですか。いいですか、それで。

○速水委員 私の言いたかったことは、このパブリックコメントへの回答の書き方で、ここで委員会の扱える内容として再生方策の体制に関しては触れないというふうに書いてしまうと、ちょっとまずいんじゃないかと。

○根木閉鎖性海域対策室長 わかりました。そうしましたら、「また」というところで今申しあげたことを触れておりますので、そちらを少しメーンに出すような形の回答、対応案にしてはいかがかと、今の御指摘を踏まえますと。もしよろしければそのようにさせていただきます。

○岡田委員長 では、よろしいですね。ありがとうございました。

 ほかによろしいでしょうか。

 はい、どうぞ。

○滝川委員 52ページの149の項目の回答なんです。回答の書き方ですが、ここに書いてあるように底質環境の改善というのが抽象的とかいうふうな質問なんですが、それに対する回答で、一番最後のほうというか、今後の研究の課題ということで、551ページの一番最後に書かれているんですけれども、底質改善技術の改善や新たな手法の開発というふうに書かれているので、ここのところをちょっと記載されたほうがより明確かなというふうに思います。新たに技術開発もしなきゃだめなんですよという、そういう回答にされたほうがいいかなと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 御示唆を踏まえて回答ぶりを追記、修正をしたいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。今のは149番ですね。

○滝川委員 そうです。

○岡田委員長 そうですね。その回答について追記をお願いいたします。ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 今、5章について御質問をずっといただいたんですが、もう一度、3章、4章、改めて5章についてさらなる御意見がございましたら、申し訳ありません、予定の時間は若干過ぎていますが、本日がこの報告書の最後になりますので、多少のお時間をいただければありがたいと思います。申し訳ありません。

 何かほかにございますか。よろしいですか。

 はい、どうぞ。

○山田委員 ちょっと教えてもらいたいんですけれども、548ページです。548ページのエ)のところにずっときて一番下の矢印なんですけれども、「2016年3月に」と書いてあります。548ページのエ)の一番下の矢印のところです。水質環境基準で溶存酸素の類型指定が昨年なされたと書かれているんですけれども、ここで適切な類型指定を進めると書かれています。適切とは一体どういうふうなことか、もし可能ならば教えていただければと思います。

○根木閉鎖性海域対策室長 底層溶存酸素量の環境基準が新しくできたということであります。これについては新しい環境基準でありまして、保全対象種はどのような海の水生生物を設定するかということから、新しい環境基準の考え方に沿って有明海ではどのような具体的な基準が適切かという議論が今後必要になるということでありまして、その具体的な基準値を有明海でも当てはめていくというところを適切に進めていきましょうということをここで書かせていただいております。

○山田委員 では、まだまだ現在検討の段階というふうに受け取ってよろしいですか。

○根木閉鎖性海域対策室長 はい、今後の話になります。

○山田委員 わかりました。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 ほかによろしいですか。

 それでは、本日たくさん御意見をいただきまして、ありがとうございました。もう一度繰り返すことはちょっと時間の関係でいたしませんが、今いただいた御意見を踏まえて、私と事務局で最終版を作成するという作業に移らせていただきます。本日御議論いただいた内容で回答についてもそれほど複雑なものはないというふうに理解しております。そういう意味におきまして、修正等は私に御一任いただいて、それを本委員会報告として関係大臣等に提出させていただきたいというふうに思いますが、よろしいでしょうか。

 どうもありがとうございます。

 それでは、この件はお認めいただいたということで、事務局は必要な作業等を進めていただければと思います。

 事務局から今後の予定について御説明をお願いいたします。

○根木閉鎖性海域対策室長 本報告について年度内を目途に取りまとめということで進めていただいており、本日いただいた御意見の修正作業を行って、報告として取りまとめ次第、委員長名で関係主務大臣と関係県知事宛てに委員会報告を提出、送付するということとさせていただければと思います。あわせてプレスリリースも行いまして、環境省ホームページにも掲載することとしたいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございます。

 委員会全体を通じて何かございますでしょうか。よろしいですか。

 本日予定されていた議事は全て終了いたしました。今、事務局が最後のところで若干戸惑ったように、事務局はたくさんのコメントに対して答えたことについて本当にお疲れさまでした。その前に、たくさんのコメントをいただいた方々に深く感謝を申しあげたいと思います。それから、当然のことながら本日までさまざまな御意見を委員の皆様方からいただき、御議論いただいたことに関しまして深く感謝を申しあげます。本当にありがとうございました。

 それでは、進行を事務局のほうにお返しいたします。

○束原閉鎖性海域対策室長補佐 ありがとうございました。

 最後に、環境省水・大気環境局長の高橋より御挨拶申しあげます。

○高橋水・大気環境局長 それでは、事務局を代表いたしまして、私のほうからも一言お礼を申しあげたいと思います。

 今日、年度末のお忙しいところでございますけれども、熱心な御議論ありがとうございました。

 この委員会は平成23年の法律改正によって再開されまして、これまで御議論いただきました。この委員会だけでも14回、それから、この資料の別表にもございますが、2つの作業小委員会はそれぞれ17回と長期にわたっていますので、委員の中には交代された方もたくさんいらっしゃいます。その方も含めて別表に載せさせていただきましたが、本当に多くの先生方にお世話になりました。これまでの熱心な御議論に改めて厚く御礼を申しあげます。

 この委員会報告は、先ほど事務局からも説明いたしましたように、法律に基づきまして、評価委員会の委員長から関係大臣、関係県知事に提言として送付をされることになってございます。また、ホームページでも公表いたします。

 今日もいろいろ御指摘がございましたとおり、まだまだ残された課題もたくさんあるわけでございまして、これからのいろんな事業の進捗に伴って、また明らかになってくる点もあるかと思います。いずれにしましても、この評価委員会は前回の法律改正で特に終期はなくなりましたので、継続的に評価をしていただくというたてつけになってございます。

 今後とも環境省といたしまして、評価委員会の事務局として、また、今回の提言を踏まえまして、関係省庁あるいは関係県と連携をして、有明海・八代海等の再生に向けて継続的に取組を行っていきたいと思っておりますので、ぜひ引き続きこの評価委員会でさまざまな御意見、御指摘、御助言をいただければと、重ねてお願いをするところでございます。

 これまでの長期間にわたる御審議、御指導に対して改めて厚く御礼を申しあげるとともに、このレポートがまた有明海・八代海等の再生につながるように祈念をいたしまして、私からの御礼の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○束原閉鎖性海域対策室長補佐 それでは、事務局から連絡がございます。

 後日、事務局より議事録の確認依頼を行いますので、よろしくお願いいたします。内容確認後、環境省ホームページで公表させていただきます。

 なお、次回の評価委員会についてですが、29年度の開催となりますが、委員長とも相談の上、開催日の調整等をさせていただきますので、その際にはよろしくお願いいたします。

 これにて第41回有明海・八代海等総合調査評価委員会を閉会いたします。どうもありがとうございました。

17時30分 閉会