第19回環境省独立行政法人評価委員会 環境再生保全機構部会 会議録

日時

平成21年8月11日(火)9:59~11:17

場所

合同庁舎5号館環境省第1会議室(22F)

議題

(1)独立行政法人環境再生保全機構の平成20事業年度に係る業務実績評価等について
(2)その他

配付資料

資料1平成20年度独立行政法人環境再生保全機構業務実績に係る各委員の評価結果一覧
資料2平成20年度独立行政法人環境再生保全機構業務実績の評価書(案)
資料3平成20年度独立行政法人環境再生保全機構業務実績評価表(案)
資料4独立行政法人環境再生保全機構に係る積立金の繰越承認について
参考資料1独立行政法人環境再生保全機構の業務実績評価に係る基本方針
参考資料2平成20年度業務実績報告書
参考資料3平成20年度業務実績報告書(資料編)
参考資料4平成20事業年度財務諸表等
参考資料5平成20事業年度事業報告書
参考資料6環境省独立行政法人評価委員会環境再生保全機構部会委員名簿
参考資料7関連法規

出席者

委員: 佐野角夫部会長、有田芳子委員、磯部 力委員、桑野園子委員
髙木勇三委員、西間三馨委員、松尾友矩委員
環境省 大臣官房 三好審議官
総合環境政策局 橋本調査官
種瀬課長補佐
環境保健部 水野調査官
環境再生保全機構 湊理事長
冨岡理事

議事

【佐野部会長】 おはようございます。皆様おそろいですので、定刻でもありますし、ただいまより環境省独立行政法人評価委員会第19回環境再生保全機構部会を開催いたします。
本日は、委員8名のうち7名がご出席になっておりますので、環境省独立行政法人評価委員会令第6条第1項の規定により、定足数を満たしております。
議事に入ります前に、事務局から事務的な内容につきまして説明をお願いします。

【橋本調査官】 まず、7月に環境省の人事異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 私の右手でございますが、小林審議官の後任で三好審議官でございます。

【三好審議官】 ただいまご紹介いただきました審議官の三好でございます。一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
 本日は委員の皆様方、ご多忙の中ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。環境再生保全機構につきましては、第一期の中期目標期間の最終年度、平成20年度が終了いたしまして、本日、その評価をご審議いただく運びとなりました。ここまで参りましたのも、これまで環境再生保全機構の業務に関しまして、委員の皆様から貴重なご意見をいただけたおかげでございまして、これまでのご指導に感謝を申し上げますとともに、今後とも改めてよろしくお願い申し上げたいと考えております。ご案内のとおりでございますけれども、今年度の評価に関しましては、6月24日に開催いたしました委員会におきまして、総務省からの政策評価・独立行政法人評価委員会から通知されております独立行政法人の業務の実績に関する評価の視点というものを踏まえまして、評価項目を追加するとともに、評価比率を勘案した総合評価方式により行うこととされ、6月26日の部会におきまして、この評価比率を決定していただいております。おかげさまで、より一層の客観性が確保された評価に向けた取り組みに進むことができたものと考えております。この考え方を踏まえまして、この後、平成20年度の業務実績評価の各項目につきまして、ご審議をいただくことになっておりますけれども、これに先立ちまして私から、昨年来の審議におきましてご指摘をいただいております非常勤監事のあり方につきまして、一言申し上げます。
 非常勤監事のあり方につきましては、その勤務体制でありますとか、あるいは報酬のあり方を含めまして、ご指摘をいただいているところでございます。この点、ご指摘を踏まえまして、見直しをする方向で現在、鋭意検討を進めさせていただいているところでございます。検討に時間を頂戴いたしておりまして、この場でご報告できない点、誠に恐縮でございますけれども、早急に成案を得て、ご報告を申し上げたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 簡単ではございますけれども、開会に当たりまして一言ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

【橋本調査官】 続きまして、私、前任、吉井の後任といたしまして調査官に着任いたしました橋本でございます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、お手元の資料の確認をお願いいたします。A4判のものとA3判のものとありまして、資料順がやや区々になっておりますけれども、よろしくお願いいたします。
 まず、1枚目、議事次第、議題、資料、参考資料と書いてあるものでございます。2枚目に座席表がございまして、資料1はA3判でございますので、下の方、大きいものがあるかと思います。資料2はA4判に戻りますので上の方にございまして、こちらが評価書でありまして、今回のご議論いただく本体となっております。それから、資料3、また申しわけございません、A3判でございますので一番下の方に評価表というものがございます。資料1の下の方に置かさせていただいております。資料4は資料2の下でございます、A4判の1枚紙になっておりますけれども、独立行政法人環境再生保全機構に係る積立金の繰越承認についてでございます。
 資料は以上でございまして、あとは、参考資料でございます。参考資料1、独立行政法人環境再生保全機構の業務実績評価に係る基本方針、参考資料2、業務実績報告書、3がその資料編でございまして、4が財務諸表、5が事業報告書、6、1枚紙で当部会の委員名簿でございまして、7ということでありますけれども、お手元にあります、このファイルでございます。関連法規等ということで資料全体となっております。
 もし万一、配付漏れ等ございましたら事務局の方にお申し出ください。よろしゅうございますでしょうか。

【佐野部会長】 それでは、本日の議事に入ります。最初の議題は、環境再生保全機構の平成20事業年度に係る業務実績評価等についてであります。これにつきましては、各委員からの評価シートを事務局で取りまとめまして、評価書として部会長案を作成いたしました。これについて各委員からご意見をお願いしたいと思います。
 この案につきましては、まず最初に事務局から説明をお願いします。

【橋本調査官】 部会長案の説明に先立ちまして、1点ご報告をさせていただきます。まず初めに、一昨年の12月に閣議決定されました独立行政法人整理合理化計画の中において、「独立行政法人の評価の際、業務・マネジメント等に係る国民の意見募集を行い」とされており、今年初めて機構の業務実績報告書を環境省のホームページに掲載し、7月6日から16日の間、意見募集を行いましたが、特に意見は寄せられませんでしたので、ここにご報告させていただきます。
 なお、掲載及び結果については、既に委員各位にメールにて連絡させていただいているところですが、改めてご報告させていただきます。
 それでは、資料1をごらんください。これは各委員よりご提出いただきました評価シートを一覧の形で取りまとめたものでございます。この資料1につきましては、後ほど転記による誤謬等がないかどうか各委員にご確認いただき、必要があれば事務局において訂正等をし、最終的に一覧として確定させたいと考えております。最終ページに参考として評価の部分をまとめ、参考資料1としております。機構の業務実績評価に係る基本方針に基づき、総合評価における評価比率を勘案したものを整理したものでございます。
 続きまして、資料2をご覧ください。こちらは平成20年度独立行政法人環境再生保全機構の業務実績の評価につきまして、各委員からご提出いただきました評価シートを踏まえ、平成20年度独立行政法人環境再生保全機構の評価書(案)として作成したものです。部会長からご案内のあった部会長案でございます。
 次に資料3、資料1の下の方についておりますが、これにつきましては資料2と同じ内容を一番右側のコメントという欄に書いてございまして、これを中期目標、中期計画、20年度業務実績と対比する形で一表にしたものでございますので、ご議論の際のご参考にしていただければと思います。
 それでは、資料2に戻りまして、こちらでご説明をさせていただきたいと思います。こちらの紙、つくりといたしまして、最初の1ページから5ページ目において総合的な評価が掲げられておりまして、6ページ以降に事項別評価を記載させていただく体裁になっておりますので、まずは6ページ以降の事項別評価についてご議論いただき、その後に1ページから5ページの総合的な評価の部分についてご議論いただければと考えておりますので、まず、資料2の6ページをご覧下さい。
 事項別評価のところです。I.業務運営の効率化に関する事項、その全体につきまして、まず、私の方から読み上げさせていただきます。こちらも個別の項目を読み上げさせていただいた後、最後、上の総論的なところを読まさせていただきます。
 1.組織運営の効率化(評価:B)となっております。年度計画どおりに6名の職員の削減を行うとともに、職員の役割と課題を明確にし、業務計画を設定するなど、職員が主体的に業務を遂行できるように意識の向上に向けて取り組むなど、効果的な組織運営に努めた。また、内部統制機能の強化を目的とした、監査室やコンプライアンス推進委員会を設置したことは評価できる。しかしながら、効率的な業務遂行のための組織体制の整備が十分とは言えず、今後は、組織全体の見直しを行うことにより、組織運営の一層の効率化を図るとともに、内部統制体制の強化に向けた取り組みを強力に推進する必要がある。
 2.業務運営の効率化(評価:A)。業務の自己点検・自己評価の実施結果と「機構業務点検・助言委員会」の助言・提言を業務運営に反映した。随意契約の見直しについては、随意契約見直し計画の達成に向けた取組の推進による競争性のある契約が増加したことや、契約に係る情報公開、監事による監査について適切に行われている。あわせて、契約に関する包括的随意契約の規定を削除するなど適正な契約事務の実施に取り組んでいることは評価できる。また、文書共有システムを導入し、情報共有化システムの機能強化を図るとともに、ファイルサーバー群の統合を行うことにより、運用管理の一元化・簡素化が図られ、よって情報伝達の迅速化及び経費の削減が図られたこと、さらに、情報セキュリティ体制の整備が図られたことは評価できる。今後は、業務運営の効率化を推進していく上で、引き続き、オンライン申請の推進や、サービサーによる債権回収の更なる活用についての検討が必要である。なお、機構自らが行った自己点検・自己評価の記述が抽象的であり、成果が不明確な点や、「機構業務点検・助言委員会」の運用を改善すべき点も見られた。
 3.経費の効率化・削減(評価:A)。一般管理費、事業費及び運営費交付金を充当する事業費は、競争性のある契約の推進による調達コストの削減効果等により、いずれも計画目標を上回る実績を上げている。また、前年度の実績より増加している経費を含め、その増減内容を明らかにしていることは評価できる。今後は、これらの削減が事業の質に影響しないよう配慮し、効率化・削減の具体的な内容を示しつつ、引き続き推進されることを期待するとともに、実績報告書に記載されている数値が財務諸表と照合できるようにする必要がある。
 4.業務における環境配慮(評価:A)。「環境配慮に関する基本方針」を策定し、あらゆる業務について環境配慮が進められた。また、「環境物品等の調達の推進を図るための方針」を策定し、内部での周知徹底を図り、特定調達品目等の購入について目標を達成するとともに、「環境配慮のための実行計画」に基づく用紙類の使用量削減及び電気使用量の削減について、目標を上回る成果を上げた。さらに、環境報告書を作成し公表するなど、業務における環境配慮が推進された。
 前に戻っていただきまして、業務運営の効率化に関する事項。以下に示すとおり、組織運営の効率化、業務運営の効率化、経費の効率化・削減及び業務における環境配慮について、適切に成果を上げていると判断し、A評価とする。

【佐野部会長】 それでは、ただいまのI.業務運営の効率化に関する事項について、委員の皆様からご意見がありましたら、よろしくお願いします。
 では、桑野委員、どうぞ。

【桑野委員】 全般にわたることなんですけれども、最終的にここの項目についてA評価ということを出されたときに、個々の評価をどのような段階、委員の全員がAとかBとか評価していますね、それを点数化して、どこで平均化して最終的にこのような結論の計算をされているのか、ちょっとそのプロセスをお教えください。

【佐野部会長】 それでは、説明をよろしくお願いします。

【橋本調査官】 基本的に、委員の方々の平均的な点数を評価とするということでさせていただいたつもりでございまして、何と申しましょうか、例えばAが8名の委員中5名あったらAにするとか、そういうことを基本にして案を作成したところであります。

【桑野委員】 すみません、どこで平均化するかによって最終的な平均が違ってくると思うんですけれども、じゃあ個々の項目のところで、もうAとかBとかという、その人数で多いもので決められて、ずっとここの評価が決まって、そして、総合的にも同じやり方で最終的な総合評価が決まってくると、そう思ってよろしいでしょうか。

【橋本調査官】 総合的な評価につきましては配点を決めていただいていますので、個別の項目が決まりますと、その配点に従ったような形で総合の評価の方になってくるわけです。

【桑野委員】 ごめんなさい、総合という言葉を使ったのがいけなかったのかもしれませんけど、例えば今の業務運営の効率化に関する事項につきましても幾つかの項目がありますね。それぞれのところでAとかBとかというのがもう評価委員の結果で、Aが多数を占めていればA、Bが多数を占めていればBという形で決まって、そして、最後の一番上にありますA評価というのをAとかBとかの数だけで決まったのか、それとも点数化したものを平均されたのか、そこをお尋ねしたいんですが。

【橋本調査官】 個別の項目につきましては、各委員から出されたものの平均的なものをとって部会長とご相談して決めさせていただいて、その細かい項目を積み上げて1.全体のところにつきましては、表で見ていただくとすれば、この資料2の一番後ろに15ページにつけさせていただいておりますけれども、Bでしたら3、Aでしたら4というような点がつくわけですけれども、それにその評価比率を掛けますと、その横の小数点の数字、例えばIの1、組織運営の効率化でございましたらBとなれば、その6%で3点でございますので、0.18というこの点数がつきまして、これらを集計しますと、この大の項目のところで0.54という点がつくという、そのような形になっております。

【佐野部会長】 よろしいですか。ほかにご質問等ありますでしょうか。
 それでは、ほかには特にご意見がないということで、ここに記載のとおりの案で確定とさせていただきます。
 引き続きまして、事務局から説明をお願いします。

【橋本調査官】 それでは、II.国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項について、読み上げさせていただきます。ここはちょっと長いのですけれども、よろしくお願いいたします。
 まず、〔公害健康被害の補償及び予防業務〕(評価:A)となっております。
 1.汚染負荷量賦課金の徴収(評価:A)。納付義務者への効果的な説明会を開催するとともに、問い合わせへの的確な対応に努め、徴収率・収納率ともに適切に目標を達成している。また、説明会資料や賦課金専用ホームページの改善や普及活動を行ったことにより、ホームページのアクセス件数が大幅に増加する等、納付義務者へのサービス向上にも務めていることは評価できる。なお、商工会議所との随意契約において実施していた委託業務については、競争入札による契約としたことにより、透明性、公平性の確保が図られた。
 2.都道府県等に対する納付金の納付(評価:A)。納付システムの改修やオンライン申請の本格稼働など、効率的な業務の推進に務め、事務処理日数は中期目標期間の削減目標である25%減を過年度において既に達成しているが、引き続きこれを維持することができた。今後は、さらに効率化を図る観点から、オンライン申請の利用を引き続き、強力に推進する必要がある。
 3.公害健康被害予防事業(評価:A)。公害健康被害予防基金の運用については、安全かつ可能な限り有利な運用を行い、あわせて、自立支援型公害健康被害予防事業補助金を受け入れ、収入の安定化を図るとともに、助成事業の重点化・効率化が適切に推進されている。また、前年度実施の事業参加者アンケートに基づき、満足度やニーズを把握して事業内容に反映させるなどの事業の改善が進められている。調査研究課題の重点化を推進し、研究費総額は平成15年度比で20%以上削減するとの目標が達成・維持されている。ホームページへのアクセス件数、研修事業の受講者アンケートの調査結果、事務処理削減日数については、いずれも中期目標を達成し、優れた成果を上げている。今後とも、運用収入の減少見込みに対して重点化・効率化に努力することを期待する。なお、研究成果について、実務にどのように反映されたか、具体的に明らかにするとともに、知識の普及及び情報提供の実施に係る、既存パンレットの改訂のためのアンケート調査については、長期的な利用実態の把握に努めることも必要である。
 〔地球環境基金業務〕(評価:A)。
 1.助成事業に係る事項(評価:A)。助成事業の継続年数について、3年を限度とすることにより事業の固定化を回避するとともに、対象分野及び対象地域の重点化が適切に推進されている。第三者による評価専門委員会において、平成18年度の事後評価結果をとりまとめ、評価対象団体に伝えるとともにホームページで公表し、平成19年度の事後評価を適切に実施し、平成20年度募集から過去に地球環境基金の助成を受けたことのない団体を対象とした「発展助成」を新設したことは評価できる。また、処理期間の短縮及び募集期間の早期化、並びにホームページの拡充等助成対象事業者の利便性向上に向けた取組が推進されている。今後とも、助成対象分野及び対象地域の重点化を図り、あわせて事後評価結果を活用した助成事業の成果報告を期待するとともに、引き続き事務処理の効率化を図り、助成対象事業者の利便性向上を図られることを期待する。なお、「発展助成」の実績や国の政策目標等の実績報告書へ記載することや、第三者委員会の評価結果の公表時期を早める必要がある。
 2.振興事業に係る事項(評価:A)。重点施策等国の政策目標に沿った調査研究事業の重点化が図られ、環境保全に関する事業を廃止している。研修事業については、研修ニーズの把握に務め、一部講座の廃止や、研修講座の内容に反映させるなど質の向上を図り、アンケート調査の結果において高い評価を得ている。また、研修事業の全てにおいて企画競争による契約を行い、透明性・公平性の確保を図った。今後とも、アンケート調査を踏まえた研修内容の一層の充実を期待する。
 3.地球環境基金の運用等について(評価:A)。地球環境基金については、中期計画に基づき適切な規模の業務が実施されているが、基金の運用状況等を踏まえれば、民間寄付金の受入れの努力は重要である。民間寄付金の受入れについては、募金活動を積極的に実施したことにより、基金創設以降最大であった前年度の実績を再び上回る寄付金額となり、中期計画に定められた金額を大きく上回り、優れた成果が上がったと評価できる。
 〔ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金による助成業務〕(評価:B)。助成業務を円滑に遂行し、業務の実施状況についてホームページで公表を行うなど、業務の透明性の確保を図っている。
 〔維持管理積立金の管理業務〕(評価:B)。資金運用を含め、積立金の適正な管理を行うとともに、積立者に対する運用利息額等の通知をこれまでと同様に実行している。
 〔石綿健康被害救済業務〕(評価:A)。
 1.制度に関する情報提供(評価:A)。広報実施計画を策定して多種多様な媒体を活用することにより、救済制度について確実かつ広範な広報活動を実施し、適切な成果を上げたと評価できる。また、法律改正に伴い、被害者及び遺族等が速やかに手続を行えるように、パンフレットやホームページの更新、フリーダイヤルの回線増設、説明会の開催等、情報提供の拡充に努めるなど、着実に成果を上げたと評価できる。
 2.石綿健康被害者の認定(評価:A)。執務マニュアルに基づき、迅速な処理に努め、平成18年度からの累計認定申請7,424件に対し、9割弱の認定等の処理を行い、成果を上げたと評価できる。
 3.救済給付の支給(評価:A)。救済給付金の支給が適正かつ迅速に行われた。また、被認定患者等に対して、認定申請等のアンケート調査を実施し、この結果を業務に反映したことは評価できる。
 4.申請者、請求者情報の管理(評価:A)。申請者、請求者等の個人情報の管理については、十分留意し適正な管理を実施したと評価できる。
 5.救済給付費用の徴収(評価:A)。拠出金については、適正かつ円滑に徴収・収納されているものと認められる。また、制度への理解を深めるために、ホームページの充実を図るとともに、申告書に関する手引きとパンフレットを作成し、申告書、納付書に同封した等、制度の周知に努めたと評価できる。
 前に戻っていただきまして、8ページ、以下に示すとおり、各業務において適正な運営が図られ、それぞれの業務について、適切に成果を上げていると判断し、A評価とする。

【佐野部会長】 ありがとうございました。ただいまのII.国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項について、委員の皆様からのご意見等ありましたら、よろしくお願いします。
 よろしいですか。きょうは極めて順調に来ておりまして、ソー・ファー・ベリーナイスです。それでは、特に意見がないということで、これで確定とさせていきます。
 引き続きまして、事務局に説明をお願いします。

【橋本調査官】 III、財務内容の改善に関する事項でございます。個別の項目から始めさせていただきます。
 1.財務の状況(評価:A)。平成20年度末における総利益は、51億5百万円であり、前年度末の18億6千9百万円から大きく増加し、その主な要因は、公害健康被害補償予防業務勘定における、投資有価証券の売却益(7千9百万円)、承継勘定における利息の収支差(12億7千9百万円)と第一期中期目標期間の最終年度に当たり、運営費交付金の精算収益化(30億円)によるものであった。運営費交付金債務については、精算収益化の処理を行ったことにより20年度末での残額はない。また、当期末の利益剰余金については、この総利益相当分が増加している。資金運用については、定期的に開催される資金管理委員会での決定事項を基に、各資金の運用方針が定められ、安全かつ効率的な運用が図られており、その運用状況については、該当する業務の実績報告の中に記載されている。なお、公害健康被害補償業務の特定賦課金に係る、破産更生債権の会計処理については、環境省令に基づき、相手方が確定していない賦課金を収益計上することとされており、これを時効の概念により、償却処理することはできないと判断する。
 2.承継業務に係る債権・債務の適切な処理(評価:A)。破産更生債権等の償却処理が迅速に実行されるとともに、正常債権以外の債権の回収額が、年度計画を大きく上回って回収できた。他方、貸倒引当金の引当率について、細分化するとともに引き上げる必要がある。
 3.短期借入金の限度額(評価:A)。資金管理を適切に行い、短期借入金を限度内に抑え、財投借入金等の償還を円滑に実行した。
 4.保有資産の見直し(評価:-)。保有資産の見直しについては、独立行政法人整理合理化計画に基づき、戸塚宿舎の土地を第二期中期目標期間中に売却することとされており、評価の対象とする実績はない。
 前に戻っていただきまして、以下に示すとおり、財務の状況、承継業務に係る債権・債務の適切な処理、短期借入金の限度額について、適切に成果を上げていると判断し、A評価とする。

【佐野部会長】 ありがとうございました。ただいまのIII.財務内容の改善に関する事項について、質問がありましたらよろしくお願いします。
 では、松尾委員から何かあるそうなので、どうぞ。

【松尾委員】 先ほど、桑野委員の言われた最終的なA・B・Cが、どういう基準で決まるかについて気になっているのですが、その中身じゃなくてちょっと恐縮なんですけれども、26ページの最後の合計の欄のところがありますよね。Sが幾つで、Aが幾つで、Bが幾つという数字になっていると思うんですが、これを見ると大体予測できるわけですか。先ほど、部会長と相談して決めましたと言われたら、それはそれでいいと思っていますけれども、ここの欄が資料として検討されたということですかね。

【橋本調査官】 もちろんこちら縦横両方とも見てはおりましたけれども、具体的な作業としては各項目ごとに各委員の評価というのを一つずつ当てはめたという。

【松尾委員】 例えば一番上だと、Aが7でBが1だから圧倒的にAだと、こういうのでAになるということですか。

【橋本調査官】 はい。

【松尾委員】 次は、Aが6でBが1でCが1だから、これはBになるということなのか、それとも点数化して、さっきの桑野委員の話は、僕の理解としてはS何点、A何点、B何点、C何点とやって足し合わせて、それで平均をとれば数字が出てきて、だからAだというふうにすると、もう少しわかりやすいかなと思ったんですけれども、そうじゃないふうに理解したものだから今、聞いているんですけれどもね、ちょっとそこだけ確かめさせてほしいと思う。Aが多ければAでいこう、Aが7までいっていればAでいいと、こういうことなのか、じゃあその上のところはSが2でAが6だから、やっぱりこれはAなのかなと思うけど、Aよりも少し上なのかなという気もしてきますよね。その辺がどういうふうにできるのかということで、多分、桑野委員は聞かれたというふうに思うんですが、ちょっと違いますか。

【佐野部会長】 桑野委員、追加か何かありますか。

【桑野委員】 今、具体的な表でのお話がございましたのであれですけど、例えば上から2段目のところで、Aが6名、Bが1、Cが1となっていると、それを点数化して平均値が何点と出てきますね。そこの段階では、もうそれをAとしてしまったのか、それのAだと4.5点、その次は4.3点とか、そういうもので平均されたのか、どこの段階で平均されたのか、私は確認させていただきたかったんです。

【橋本調査官】 では、より詳細にご説明させていただきます。個別の項目、今、26ページを見ていただいておりますけれども、あわせて、この資料2の15ページも横に並べていただくと、あるいは見やすいのかなと思っております。この26ページは個別の委員の方の評価を一覧にしていまして、15ページのところに、このアグリゲートされた案の数字が書いております。一番初めに26ページの合計のところを見ていただくと、各委員ごとのS・A・B・Cの配点があろうかと思います。ごらんいただくとおわかりいただけるように、ほとんどの項目において意見が一致している項目が多うございまして、8対0とか7対1とか、そういう項目が多いということでございますので、こういったところは私ども、ほとんど迷いもなく多いところで選ばせていただいたということでございます。少し部会長と相談して数字をというのがありましたのは、例えばIの1の組織運営の効率化のところ、ここは人数的にはA6名ということで多かったわけですけれども、Cの評価もいただいていることもありまして、そうすると、人数の多いAにするべきなのか、少しCがついたことを勘案してBにするべきなのかというようなこともありましたので、いただいた各意見の個別に書かれていた項目も見させていただきながら部会長と相談いたしまして、ここについては、そういう個別に改善すべき事項もあるということが明示されている部分もあったと思いましたので、Bではいかがかということで案を作成させていただいたところでございます。あと例えば、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金による助成業務、ここはAの方が4名、Bの方が4名と拮抗していたわけですけれども、これもまた文章に返らせていただいて、A評価を付けるに値するだけの十分な具体的な内容があるかどうかというのを見させていただいたところ、いただいたご意見の中ではそこまでの記述というのがなかったということで、ではB評価でどうかということで案として示させていただいたということでございます。維持管理積立金の管理業務、逆にここはAの方が6名でBの方が2名ということで、形式的にとればAということなのかもしれないと思ったんですけれども、ここも部会長とご相談させていただいたところ、やはりAとするべき具体的な内容というのが委員の方々の個別の評価の中で見られなかったものですから、そうだとすればBでも達成しているという評価でありますので、B評価ではいかがかということで、案を示させていただいたということでございまして、個別の項目、基本的には委員の方々の意見の多いところということでさせていただいておりますけれども、一部にはその内容、記載していただいた文言ということも勘案させていただいて、案を作成させていただいたという部分はあろうかと思います。

【松尾委員】 そうすると、6対2というのでもAが6でBが2でも、あるときはBになったり、あるときはAになっているというのが数字出ていますよね。それはそういう中身まで判断した結果だということですね。わかりました。では、そう言っていただければ、ある種の判断が加わった上でそうなっているということだというふうに思いますから、結構だと思います。

【佐野部会長】 特にさっきの維持管理金の積立については、事務局から説明したとおりで、当該年度においても特に大きな成果というか進捗もないということで、前年度もB評価でもありましたし、継続性という点からも私の独断というか、Bの方が適正であるということで皆さんのご意見を十分よく理解した上で修正をさせてもらって、本日ここに提示しているということであります。
 磯部委員、どうぞ。

【磯部委員】 今のご説明とやりとりで、その点はよくわかりましたし、異論はございませんが、そういういろいろなことを踏まえて、これらの文章表現になっているということですね。しかし、例えばポリ塩化ビフェニルのところですが、委員の評価は4対4であったが、最終的にBになったというようなニュアンスは、こちら10ページのところですけど、ここに書かれている2行の文章だけでは読んでもわからないですよね。それはそれで構わないということなのでしょうか。この維持管理金のところも、これまでと同様に実行しているだけということで、特段ほめるべきこともないからBというニュアンスを、ここから読み取れということなのかもしれませんけれど、世間には最終の結果だけが出るわけですから、これでいいのかなとちょっと心配になります。とりわけ最初の組織効率化のところで評価がBになっている箇所についてですが、ちゃんと内部統制機能の強化などはやってきたというポジティブな表現の文章の後に、しかしながら効率的な業務遂行のための組織体制の整備が十分とは言えずという文章が続きますものですから、もし私がこの部分だけ読まされたら、いったいどうすればいいんだという感じになるのではないかなと思ったりもした次第です。ここはあえてそういう表現が選ばれているということなのでしょうか。

【橋本調査官】 こういう申し上げ方をして、まことに恐縮ではございますけれども、事務局しては、委員の方々からいただいたご意見を超えて作文をすることは極力しないようにしておりまして、例えばポリ塩化ビフェニルのところでしたら、各委員のご意見というのが資料1の16ページにまとめさせていただいているんですけれども、余りご意見がなかったものですから、そういったものを取りまとめた形として現在の案になっているということでございまして、もちろん委員の方々からこういうような形で書くようにというご指示を頂ければ、その点、事務局として直させていただくということですけれども。

【磯部委員】 そうですね、これは事務局に対する質問ではないはずですね。我々委員として、これはどうなのかという問題です。

【佐野部会長】 ポリ塩化ビフェニルと維持管理積立金については、なかなかこれ書きようが難しいんですね。前回同様の非常にシンプルなこの程度の表現になって、Bなので、先ほどご指摘のように組織運営の効率化、何かつけ加える文章があるかどうかということですが、その辺については何かご意見ありますでしょうか。磯部委員の方から何かありましたら。

【磯部委員】 私も確たる意見がないままに申し上げていて大変恐縮なんですけれども、いま申し上げた組織運営効率化のところが、評価がAではなくて、Bになっているというあたりは、資料1を拝見すると、たしかにBとかCをおつけになった委員のコメント欄を拝見すると、なるほどそういうちょっと辛い評価があるんだなということがわかるわけですね。ですから、この「しかしながら」のあたりに、その辛口の評価の点を端的に一言、二言書いてあったら、よりわかりやすいかなとは思うのです。もっとも管理部門が相変わらず大きいとか、そういう話については、ちょっと簡単には書きにくいのですかね。

【佐野部会長】 前年度も指摘してありますし、私からの部会長としてのコメントも伝えてありますので、ここを微に入り細に言っても、この全体のバランスが狂うということもありまして、この程度の表現にしたらどうかということで組織運営の効率化については、「しかしながら」以降はまとめた次第です。

【磯部委員】 そういう部会長のご判断なら、それで結構でございます。
 別の点の質問ですが、12ページで、財務内容のところの1番、財務の状況の三つパラグラフがございまして、最後の「なお」のところの文章が、この話は私はちょっと気がつかなかったものですから、これはどこに出ていたんでしょうか。私が聞き落としていたのだろうと思うんですけれども。

【佐野部会長】 これは、政独委からの指摘があった事項ですね。

【橋本調査官】 資料で申し上げれば、この20年度業務実績報告整理合理化計画への対応状況と、今回の参考資料2にとじ込んだような形になって入っている小冊子でございますけれども、こちらの3ページ目の一番下の欄のところに指摘事項要旨、対応状況ということで載っておる内容でございます。

【磯部委員】 わかりました。前回欠席したもので、ちょっと気がつきませんでした。

【松尾委員】 そうすると、こちらのコメントの方には入っているんですか。よくわからないんです。入っていますか。

【佐野部会長】 これは私の方で入っています。

【松尾委員】 こちらは大丈夫ですね。わかりました。

【佐野部会長】 ここを指摘を受けたものですから、当方は当方としての意見がありますがということで、ここへ記載いたしました。

【橋本調査官】 こちらの資料1で言えば、19ページのところに。

【松尾委員】 だったらいいんですよね。だれも書いていない形でこちらにあったら、この辺がちょっとまずいと。

【佐野部会長】 そういうインチキはやっておりませんので。
 ほかにご意見。はい、松尾委員、どうぞ。

【松尾委員】 それから、ちょっとまた余計なことかもしれませんけど、やっぱり先ほど、磯部先生が話していらっしゃるようにBとつけるときは、やっぱり何か問題があるということを指摘するような要素がないと、ちょっとまずいんじゃないかなという感じも受けて、余り問題ないんだけどBだというのは、ちょっとさっきの2行だけのやつがありましたよね。それはどうなのかなという印象は、今の話を聞きながら、特にこの維持管理積立金のですか、これまでと同様に実行しているのに何でBなのかというのがね。そこが前も問題だったと、そこが改善されていないからBだというならまだ話はわかるんですが、今までと同じだったからBだというのは、どうもちょっと何か筋としてどうかなという印象を受けますけれども、どうでしょうか。

【橋本調査官】 評価基準を決めていただいておりまして、Bの評価基準は中期目標をおおむね達成しているということでございまして、Aですと十分達成していると、Sですと大きく上回って達成しているということでございます。お手元資料といたしましては……。

【松尾委員】 十分というのは、でも大体十分だというふうには。

【橋本調査官】 参考資料1でございます。

【松尾委員】 わかりました。そうですか。

【佐野部会長】 これは特に理由は説明していないけど、先ほど言ったようになかなかここを追加するとしても、皆さんのご意見の中にもなかったものですから、ポリ塩化ビフェニルについてもこの程度で、ここでは記載していない。もし何か特にこういうのがつけ加えていいのというご意見があったら、ぜひこの場でお願いしたいと思います。

【松尾委員】 ほぼよければAとしているところがあってですね。そういう意味ではちょっと、去年だったら……。

【佐野部会長】 いい質問だけど、昨年もBだったし、その前だったかな、ちょっと忘れましたけれども、改善しているというあれもないんですね。

【松尾委員】 それじゃ改善の余地が、指摘したにもかかわらず改善されていないときは何か少し書くことはどうなんですか。私はちょっと状況をフォローできていないけど。磯部先生のおっしゃっていることは、そういうことにつながるのかなと思いながら。

【佐野部会長】 これはポリ塩化の方も、PCBを処理する事業会社の業務進捗状況とも絡むし、なかなか表現は難しくなる点があると思うんで、私はこの程度で今回やっておこうと思っていますが。

【松尾委員】 わかりました。それなら結構ですが。

【佐野部会長】 三好審議官、何かありますか。

【三好審議官】 今、部会長がおっしゃっていただいて、機構としては基金を預かって、それを適切に執行していくということでございます。事業を実施している側の進捗状況の問題もありまして、なかなかはかばかしくないというのは、必ずしも機構側の問題ということでもないのでございますが、制度全体として見た場合には、今の松尾委員のお話はむしろ温かく評価していただける方向の議論でございますので、事務局側があれこれ申し上げるべきではないのでございますけれども、今、部会長のお話もございましたように、ここは特に改善したという状況もないということでBというご判断をいただいているのかなというふうに私どもとしては考えているところでございます。

【佐野部会長】 では、先ほど既にここは済んでいますけれども、改めてこのポリ塩化ビフェニル並びに維持管理積立金の表現についてはこれでいくということでご了承いただけたものと思いますので、先に参りたいと思います。特に財務の点はこれでよろしいですか。
 では、特にほかに意見がないということなので、これで確定させていただきます。
 引き続きまして、事務局より説明をお願いします。

【橋本調査官】 IV.その他業務運営に関する重要事項でございます。
 1.人事に関する計画(評価:A)。職員の意向調査や新人事評価制度による評価、管理職とのヒアリング等により、適材適所の人員配置と職員の意識向上を推進し、業績評価を賞与に反映させた。また、研修を積極的に実施し、職員の能力開発に努めている。今後とも、適材適所の人員配置と職員の意識向上・能力開発のための方策について積極的に推進されることを期待する。
 2.役職員の給与水準等(評価:B)。国家公務員よりも高い給与水準となっている理由として、職員の学歴構成と管理職割合が高いこと及び、国の要請により事務所を都内から川崎市に移したことが要因とのことであるが、管理部門の縮減、管理職員の削減、給与体系の見直しなどに積極的に取り組み、給与水準の適正化を図る必要がある。なお、事務所が都内に所在していると仮定すると、ラスパイレス指数は100程度との試算である。また、福利厚生費については、法定外福利費の一部見直しにより、レクリエーション行事への支出を廃止したことは評価できる。今後は、その他の法定外福利費についても、見直しをする必要がある。
 3.その他の中期目標を達成するために必要な事項(評価:A)。東京大気汚染訴訟の和解条項に基づき、東京都に対し、公害健康被害予防基金から、東京都公害健康被害予防基金の造成に必要な基金として、60億円を助成した。
 上に戻りまして、以下に示すとおり、人事に関する計画、役職員の給与水準、その他の中期目標を達成するために必要な事項について、適切に成果を上げていると判断し、A評価とする。

【佐野部会長】 ありがとうございました。ただいまのIV.その他業務運営に関する重要事項について、委員の皆様からご意見等がありましたらよろしくお願いします。よろしいですか。
 それでは、特に意見がないということで、これで確定とさせていただきます。
 引き続き、事務局より説明をお願いします。

【橋本調査官】 個別の項目につきまして、最後まで参りましたので、最初に戻っていただきまして、概評について読み上げさせていただきます。
 総合評価:Aでございまして、概評。独立行政法人環境再生保全機構は、平成16年4月に旧公害健康被害補償予防協会と旧環境事業団を統合し、公害に係る健康被害の補償及び予防、民間団体が行う環境の保全に関する活動の支援、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理の円滑な実施の支援、維持管理積立金の管理等の業務を行うことにより、良好な環境の創出その他の環境の保全を図ることを目的として設立された。その後、平成18年2月に成立した石綿による健康被害の救済に関する法律の施行に伴い、同年3月から石綿健康被害救済業務が新たに追加された。
 第一期中期目標期間の最終年度となる、平成20年度においては、中期計画に沿って、業務運営の効率化、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上、財務内容の改善、その他の業務運営に関する重要事項については、十分な成果を上げており、総合的にみて中期目標の達成に向け、適切な業務運営を行っているといえる。
 2ページに参りまして、機構の組織・業務の運営に関する事項。
 平成20年度は、中期計画を踏まえた職員の削減が行われるとともに新人事評価制度に基づき、各部門の目標と個々の職員の業務計画を作成し、職員が主体的に業務を遂行できるように意識の向上に向けて取り組むなど、効果的な組織運営に努めているとともに、内部統制機能の強化を目的に、監査室やコンプライアンス推進委員会を設置した。しかしながら、効率的な業務遂行のための組織体制の整備は十分とは言えず、今後は、組織全体の見直しを行うことにより、組織運営の一層の効率化を図るとともに、内部統制体制の強化に向けた取り組みを強力に推進する必要がある。
 組織・業務運営の効率化や業務の質の向上については、自己点検・自己評価を実施するとともに、外部有識者による「機構点検・助言委員会」の助言・提言を業務運営に反映させるなど、業務の効率化やサービスの向上に努めている。
 事務処理の簡素化・迅速化については、情報共有化システムの機能強化のために、文書共有システムを導入するとともに、ファイルサーバー群の統合を行い、運用管理の一元化をしたことにより、経費節減が図られた。今後は、オンライン申請等の業務のシステム化を一層推進するとともに、債権回収における債権回収専門会社(以下「サービサー」という。)の更なる活用の検討など、一層のアウトソーシングの活用に取り組む必要がある。
 経費の効率化・削減については、一般管理費及び事業費ともに目標を上回る削減が行われており、前年度の実績より増加している経費を含め、その増減内容を明らかにしている。今後は、これらの削減が事業の質に影響しないよう配慮し、効率化・削減の具体的な内容を示しつつ、引き続き推進されることを期待する。また、随意契約見直しについては、随意契約見直し計画を策定し、その達成に向けて競争性のある契約が増加したことや監事による監査が適切に行われている。あわせて、契約に関する包括的随意契約の規定を削除するなど適正な契約事務に取り組んでいる。
 業務における環境配慮については、「環境配慮に関する基本方針」の策定、「環境物品の調達の推進を図るための方針」の策定などにより、特定調達品目の購入について目標を達成するとともに、「環境配慮のための実行計画」に基づき、用紙類の使用量及びエネルギーの使用量の削減について目標を上回る成果が認められ、これらの取組については、十分に評価できる。
 業務の質の向上に関する事項。
 公害健康被害補償業務については、補償等に必要な汚染負荷量賦課金の徴収を計画どおり行うことができたこと、並びに納付義務者や都道府県等に対する的確な指導や利便性の向上への取組、及び事務処理の効率化を行ったことなどについて評価できる。
 公害健康被害予防事業については、事業の重点化・効率化を適切に推進するとともに、前年度実施の事業参加者アンケートに基づいた満足度やニーズの把握が事業内容に反映されており、事業の改善が進められていると評価できる。
 地球環境基金業務については、国の政策目標等に沿った調査研究事業の重点化への取組や、利用者の利便性向上のための努力が認められる。また、助成事業における事後評価を適切に実施したことは評価できる。さらに、募金活動を積極的に実施したことにより、民間寄付金の受入れについて、基金創設以降最大の寄付金額となった。
 ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金業務については、助成事業の実施状況についてホームページで公表を行うなど、中期計画を踏まえた事業の実施に努めている。
 維持管理積立金の管理業務については、資金運用を含め、積立金の管理を適正に行うとともに、積立者に対する運用利息額等の通知を適切に実施している。
 石綿健康被害救済業務については、救済制度について確実かつ広範な広報活動を実施するとともに、被害者の認定について迅速な処理に努めたことは評価できる。また、救済給付対応への準備が進められ、適正かつ迅速に給付を行うなど、着実な成果を上げたと評価できる。
 財務内容の改善に関する事項。
 財務の状況については、平成20年度末における総利益は、51億5百万円であり、前年度末の18億6千9百万円から大きく増加し、その主な要因は、公害健康被害補償予防業務勘定における、投資有価証券の売却益、承継勘定における利息の収支差と第一期中期目標期間の最終年度の運営費交付金の精算収益化によるものであった。資金運用については、資金運営委員会での決定事項を基に、各資金の運用方針を定め、これに基づき、安全かつ効率的な運用が図れている。また、承継業務に係る債権・債務の適切な処理については、破産更生債権等の償却処理を迅速に実行するとともに、正常債権以外の債権回収についても目標を上回る実績を上げたことなどについて評価できる。さらに、短期借入金の限度額についても、資金管理を適正に行い、限度内に押さえ、財投借入金等の償還を円滑に行った。
 その他の業務運営に関する重要事項。
 新人事評価制度による評価結果を賞与に反映させるとともに、常勤職員数を削減するなど人事に関する計画の目標達成に向けて着実な取り組みがなされているが、役職員の給与水準等においては、国家公務員よりも給与水準が高いことについて、管理部門及び管理職員の削減に取り組む必要がある。また、福利厚生費については、レクリエーション行事への支出を廃止した。さらに、東京大気汚染訴訟の和解条項に基づき、東京都に対し、60億円を助成した。
 なお、昨年度と同様の指摘にはなるが、評価の基となる「業務実績報告書」について、「何を、どのように行ったか、その結果は何か」「数値分析の結果はどうであったのか」「自己評価として訴えるべき事項は何か」等の点で具体性・明瞭性に欠け、分かり難いものとなっており、改善の必要がある。

【佐野部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対しまして、概評について、委員の皆様からのご意見がありましたらよろしくお願いします。
 西間委員、どうぞ。

【西間委員】 この総論の一番最後の四つの5行のことです。全般的な今までの説明と、1ページ、2ページ、3ページ、4ページにわたるもののずっとの流れからいうと、この5行というのは相当違和感が私はあるんですけれども。もう少し表現としては、全般的にここまで見るといいわけだから、以下のことを少し婉曲に・・・。追記事項にしては相当強い雰囲気があります。全部を読んでいて、ここの5行で何か腰が砕けるような感じがありちょっと違和感があります、私には。

【佐野部会長】 ほかの委員の皆様、その点についてはいかがですか。有田委員、どうぞ。

【有田委員】 同じことを、もっとわかりやすいものとなるとか、評価がしやすくなるというような表現に変えれば、別にこの5行は違和感がないものになるんではないでしょうか。だから、こういう点をさらに改善すればよいというようなとか、改善の必要があるではなくて、こういう点を次年度、「さらに改善をしていただきたい」というようなことではだめですか。
 それから、先ほどB評価のところの二つの点について言えば、概評をよく読んでいけば確かにB評価というので全然問題ないなと。つまり、例えばポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理の円滑な実施の支援という処理の円滑なというのが、個別のところでは処理というのではなくて、助成事業の実施状況についてというような形になっているので、それを両方読み比べれば、さらりとおおむね適切に実施されているということが理解できるので、先ほどの二つの点についてのB評価の表現については、私の意見としては先ほどのでいいと思います。という意見と、それから、最後のところをもう一度申し上げますと、「この同じものを昨年も同様の指摘を行いましたが、さらにこのような点を改善されればわかりやすいものとなると思います」ということでいいと思います。

【佐野部会長】 ほかにご意見は。この「なお」以下については、特に私のコメントがそのまま出たので、きょう、皆さんの意見を伺ってから最終決定されればいいかなと思って本日ここに提示されていると思いますので、今までお二人の意見がありましたけれども、それも十分考えて修正した方がいいという感じを私は持っておりますので、事務局ともその点については、今後よく相談して詰めていきます。しかしながら、この業務実績報告書を私なりに経営をやってきた専門的な立場から見て、非常にわかりにくいところは何回言っても機構の方に理解されていないのかなという思いが非常に強くしております。特にこの評価というのは、企業もそうですけれども中期目標に対して、今、どういう点にあるのかと。それから、当年度の計画に対して実績はどうだったか、それから前年度の実績に対してどうだったかと、それを数値で示さないことには、今の企業というのは全く評価されないんですね。独立行政法人としてもそういうところはきちんとやるべきだということを、ずっと私も含めて何人かの委員の皆様方は指摘しているけれども、改善はほとんどありません。だから、私は次年度から新しい中期が始まるので、もう全くゼロベースで、我々評価委員の立場でこの報告書を各理事の皆さんを含めて見直して、よりよいものに本当にしてほしいと思います。業務内容については私も十分評価しております。多分、委員の皆様方もこの評価書でコメントを書くというのは大変苦労すると思います。私自身も報告書を読み、資料を読み、財務諸表を読み、なかなか整合性がとれない部分も随分出てくるんですね、細部に入っていきますと。だから、せっかくいい業務運営をし、実績を上げているので、さらにそれをブラッシュアップして評価という点でもいいものにしてほしいという思いを込めて、こういうコメントを私の生のものを事務局が加えてくれたので、これをさらに形を変えたものにしていきたいと思っております。それでよろしいですか。西間委員、よろしいでしょうか。

【西間委員】 はい、わかりました。

【佐野部会長】 磯部委員、どうぞ。

【磯部委員】 ご趣旨はよくわかりますので、あとは表現の問題だけですが、これは単に「わかりにくい」ところがあるという程度の意味なのか、それとも「書いてあることが理解しがたい」というか、本当に理解が難しいという意味だとすると、それでは評価することも困難になってしまうということにもなりかねないので、わかりにくい箇所があることは確かなので、多少表現を、結果的に和らげることになるのかもしれませんけれど、趣旨は部会長が言われたとおりだろうと思います。
 他の箇所ですが、まだ文章表現を多少いじる余地があるのならば、ちょっと細かいんですが、言ってよろしいでしょうか。例えば、3ページの一番上の数行の文章、「随意契約見直しについては」、2行目からありますね。これについては見直し計画を策定して、その達成に向けて競争性のある契約が増加したことはいいんですが、「したことや監事による監査が適切に行われている」というのは、日本語の文章としてもちょっと異質のもの、「したこと」という表現と、「監査」という体言止めと言えばそうですけど、ちょっと文章としてもよくないし、監事による監査が適切に行われるということと、随意契約の増加ということとは直結する話なのか、ちょっと別なんじゃないか。その次の文章がむしろ包括的随意契約の規定の削除など、論理的には先に来た方がいいのかなと思いましたけれど、ちょっとそういう感じがしました。
 もう一カ所、恐縮ですが、3ページの下から二つ目の○で、公害健康被害予防事業について、2行目の「前年度実施の事業参加者アンケートに基づいた満足度やニーズの把握が事業内容に反映されており」という文章も、気持ちはわからないでもないんですけど、日本語として何かちょっと正確でないというか、満足度が反映されるというのもちょっとよくわからないんですけどね。アンケートの結果として、どんなニーズがあるかということが把握されて、それが事業内容に反映されるというのはわかるんですけど、満足度も結局そういうことなんですか。この事業は満足度が高いとか低いとかということの結果を踏まえて、それが事業内容に反映されていると、そういうことを一気にこの短い文章で言ってしまっているのかなと思うんですけど、ちょっと日本語的にもやや問題があるかなと思いました。
 以上、2点だけ、まことに細かい話で恐縮です。

【佐野部会長】 今の点については、では、事務局と相談して私にご一任させていただくということでよろしいですか。貴重なご意見、ありがとうございました。
 ほかにご意見ございますでしょうか。
 それでは、ただいまのご指摘の磯部委員からの2点と、最後に追加してある5ページの5行については表現を改めるということで、私にご一任いただきたいと思っております。よろしくお願いします。
 それでは、特にご意見がないということで、平成20年度独立行政法人環境再生保全機構業務実績の評価につきましては案のとおりとして、評価書としてはひとまず確定をいたしたいと思います。修正点にあった点は先ほど説明したとおりで、表現を一部変えるということが前提となります。
 それでは、本日審議いただきました評価結果につきまして、独立行政法人通則法第32条第3項に基づきまして、独立行政法人環境再生保全機構及び総務省に置かれている政策評価・独立行政法人評価委員会に対し通知することとされておりますので、評価確定後、事務局に必要な手続を行わせたいと思います。
 今から機構の理事長以下がご入場で、評価結果をお伝えするということになっておりますが、しばらくお待ちください。

(機構理事長等入室)

【佐野部会長】 それでは、機構から代表者が参りましたので、評価結果についてお伝えをいたします。
 本年度の総合評価としましては、A評価ということになりました。しかしながら、昨年度も指摘しましたけれども、組織運営の効率化や役職員の給与水準が高いことなど、組織全体の見直しを行って、より効率的な組織に改めるとともに、特に給与水準については指摘事項も総務省経由で来ておりますので、ぜひ適正化を早急に図っていただきたいと考えております。
 また、これも昨年も申し上げたことですけれども、ぜひ業務報告書を、内容についてはゼロから再検討していただいて、具体的に明確に記載していただきたいと思っております。特に次年度からは次の中期が始まりますので、よろしくお願いしたいと思います。特に理事長は民間出身なのでおわかりと思いますけれども、企業同様、中期計画に対して当年度はどうであったかという点、それから、中期目標に対して当年度はどうであったかという点、それから、当年度の事業計画について実績はどうであったかと、それから当然、前年度で比較するとどうであったかということを数値としてきちんとわかりやすく記載をしていただきたいと私は思っております。皆様、評価委員の側に立って、この評価書を読んで評価すると、現在の評価書だけではとても評価できません。財務諸表との整合性はどうだとか、資料と整合性がとれているかどうか等、かなりの苦労というか、ハードワーク的なことを評価委員としてやらざるを得ないということも多々ありますので、ぜひそういう点を改めていただいて、よろしくお願いしたいと思っています。皆様の業務は政策実行型の独法として、極めて地味でご苦労の多いことは十分承知しておりまして、評価もAということに全員で決めたわけなので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 何か一言。

【湊機構理事長】 大変ありがとうございます。委員の皆様、大変お忙しい中、当機構の平成20年度の業務実績につきましてご審議いただきまして、本当にありがとうございました。ただいま部会長から、非常に私どもにとっても重要なご指摘をいただきました。真摯に受けとめまして、私ども役職員、精いっぱいこれから頑張っていきたいというふうに思います。委員の皆様には、これからも引き続きご指導いただければというふうに思います。本当にありがとうございます。

【佐野部会長】 大変強いコミットメントをいただきまして、私も安心いたしました。
 それでは、議題の2、その他ですが、事務局から何かありますか。

【橋本調査官】 ご報告事項1件ございます。前回の部会でご審議いただきました機構の第一期中期目標期間における積立金の承認手続についてご報告させていただきます。資料で申し上げますと、資料4でございます。先の部会の時点におきましては、この内容、現在全く変わっておりませんけれども、前回では案ということでご審議いただき、ご意見なしということで頂戴いたしたところでございますが、前回お示しした案のとおり、変更なしの状態で確定いたしました。併せまして、国庫納付が必要な金額につきましても、期限までに手続を完了したというふうに機構から報告をいただいております。これらのことについて、ご報告をさせていただきました。

【佐野部会長】 ありがとうございました。前回の部会で審議済みの内容について、確定の報告ということですが、特に委員の皆様から何かございましたらお願いします。
 それでは、これで部会は終了となりますが、引き続き事務局から追加事項がありましたらよろしくお願いします。

【橋本調査官】本日、この後、午後2時から第24回環境省独立行政法人評価委員会を開催し、環境再生保全機構の第一期中期目標期間の評価をお願いするということといたしておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【佐野部会長】 ありがとうございました。
 それでは、以上で議事は終了しましたので、本日の会議を終了します。皆様、ご協力ありがとうございました。