第13回環境省独立行政法人評価委員会会議録
日時
平成16年8月30日(月)14:02~15:45
場所
環境省第一会議室
議題
(1) | 独立行政法人国立環境研究所中期目標期間終了時見直し素案について | |
(2) | その他 |
配付資料
資料1 | 中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しの素案整理表 | |
資料2 | 今後の予定 | |
参考資料1 | 環境省独立行政法人評価委員会名簿 | |
参考資料2 | 中期目標期間終了時における組織・業務全般の見直しに係る検討事項ごとの環境省の見解等 | |
参考資料3 | 独立行政法人の見直しの前倒し等について | |
参考資料4 | 中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて | |
参考資料5 | 独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組の方針 | |
参考資料6 | 研究開発関係法人の評価に関する関心事項(抜粋) | |
参考資料7 | 独立行政法人国立環境研究所中期計画 | |
参考資料8 | 平成13、14、15年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価書 | |
参考資料9 | 独立行政法人国立環境研究所関連法規 |
出席者
委員: | 石井紫郎委員長、加藤三郎委員、坂本和彦委員、櫻井治彦委員 佐野角夫委員、佐和隆光委員、高木勇三委員、高月紘委員 松野太郎委員、鷲谷いづみ委員 |
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環境省: | 大臣官房 | 桜井審議官 |
総合環境政策局 | 齊藤環境研究技術室長 今井環境研究技術室長補佐 |
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国環研: | 志理事長 西岡理事 飯島理事 松村主任研究企画官 柏木総務部長 |
議事
【齊藤総政局環境研究技術室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第13回環境省独立行政法人評価委員会を開催いたします。
議事に入ります前に、お手元の配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第のところに資料とございまして、資料1が中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しの素案整理表という、A4横書きホチキスどめの資料です。それから資料2が1枚紙で今後の予定というものです。
それから参考資料といたしまして、そこに掲げてございます参考資料1から9までご用意しております。またその中で参考資料8で、平成13、14、15年度の評価実績をお配りしておりますが、平成13、14の2カ年分につきましては、一覧できる形で横に並べて縮小で用意しておりますが、15年度につきましては単独で別とじで用意させていただいております。配付漏れ等ございましたら、お申しつけください。
それから、次に定足数の確認でございますが、本日委員17名のうち10名のご出席をいただいておりますので、評価委員会令第5条1項の規定によりまして、定足数を満たしておりますことをご報告申し上げます。また、さきの委員会でもご紹介いたしましたが、18日に開催されました国立環境研究所部会におきまして、議決いただきました15年度評価結果につきましては、その後総務省に置かれております政策評価独立行政法人評価委員会、並びに独立行政法人国立環境研究所に対してまして、既に通知をさせていただいておりますので、この場をおかりしてご報告いたします。
それでは、議事に移らせていただきます。石井委員長、よろしくお願いいたします。
【石井委員長】 それでは、議事に入ります。
本日の主たる議題は、申すまでもなくこの見直し素案の策定でございます。お手元の資料2にございますように、周囲との関係で16年8月末までに、この素案を策定しなければならないということでございまして、泣いても笑っても明日までということでございますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。前回の会議におきまして、非常に密度の高いご議論をちょうだいいたしまして、それを踏まえて事務局の方でこの資料1の整理表、案の部分でございますが、大幅に書きかえたものを用意しておりますので、まずそれの説明を聞きまして、そしてさらにこれに即してご議論をいただきたいと存じます。
それでは説明をしてください。
【齊藤総政局環境研究技術室長】 それでは、資料1に基づきまして説明をいたします。
今資料1の1ページ目、素案の整理表という、これは全体の資料の見出しということでご理解をいただければと思います。そして1ページ目から3ページ目まで、これは専ら事実関係を淡々と記述するということでございますが、沿革、役員数、それから予算の関係、役員数の隣は職員数も載っております。その下に中期目標の達成状況として、1ページ目の下から3ページ目までわたっております。ここの部分は最新の、すなわち先ほどご紹介いたしました15年度の年度評価結果をもとに記述をするということと、行革の流れの資料でございますので、主として業務運営の効率化に関する事項のところ、並びに数値目標に関係するところを中心に、できるだけ簡潔にという条件のもとに記述いたしております。内容的には15年度評価報告書の要約というふうにお考えいただければありがたいと思います。
ちなみに、1ページ目の出だしの段落の部分でございますが、ここは年度評価の記述式の創設のところを引用した部分でございますが、2行目から終わりの方が「物理学、化学等理学、工学、農学、医学から」、その次は「社会科学にまでまたがり」ということで、ここ最終的に年度評価報告書で直した部分と整合させております。
それでは、3ページ目まではそういうことでご理解をいただきたいと思いますが、4ページ目以降は少し細か目に説明をさせていただきます。多少時間はかかるかと思います。まず4ページから7ページにわたります部分、ここが事務及び事業の見直しに係る素案。それから8ページ、9ページの2ページが組織形態の見直しに係る素案ということでございます。まず4ページの事務及び事業の見直しに係る素案ですが、4ページ目につきましては事務及び事業名、ここは法律での1号業務、2号業務を列記しているのと、それの概要ということで大まかな中身がわかる記述をするという条件でしたので、4ページのようにまとめさせていただいています。5ページの上3分の1ぐらいにこの事務事業の改廃に係る具体的措置、これを基本的な方針というのはここに簡潔に書きまして、5ページの真ん中以降はその理由を書くという構成になっております。
まず事務事業の改廃に係る具体的措置の記述でございます。ここの部分は前回の委員会資料では第1段落目のトーンといたしましては、「大幅な改廃は困難」という表現ぶりでございましたが、後ほど理由のところで順を追って説明いたしますが、「事務及び事業について廃止する要素は見あたらない」という表現ぶりにしてございます。それからその次に、「なお具体的な進め方については適切な見直しを行うことが必要」と、これも前回資料では重点特別研究プロジェクト等、具体名を列記はいたしておりましたが、ほかにもいろいろ考えられることもあるので、総括的な表現にさせていただいたということです。それから、最後に「また」のところですが、ここもなかなか民営化、地方公共団体への移管の理由を例示しながら書くのも長くなってしまうということで、ここでは結論だけ、「民営化になじむものではなく、地方公共団体等への移管にもなじまない」という記述にいたしました。
次に、これらの理由について事務及び事業の改廃について、それから6ページの下あたりから民営化について、それから7ページに入りまして地方公共団体等への移管等についてということで、三つに分けてその理由を書いております。まず事務及び事業の改廃についてのところ、段落ごとに少し間をあけておりますが、上の三つの段落、これは前回の案になかった部分で、主として今までの環境問題に係る経緯において、国環研がどういう役割を果たしてきたかという、総論的なものをここで今回新たに追加をいたしております。最初の段落でございますが、これは言うまでもなく環境問題の重要性というのをまずここで記述をしております。その次に「国立環境研究所は、環境行政の科学的、技術的基盤を提供する目的を持って、幅広い環境研究に学際的かつ総合的に取り組む唯一の研究所」ちょっと長いフレーズでございますが、国立環境研究所の特異性といいますか、独自性といいますか、それを環境行政とのかかわりを強調しつつ記述しております。それから「昭和49年の発足以来、重要な役割を果たしてきている」ということを記述しております。
それからもう一つ、特に独法制度と同時に第2次科学技術基本計画がスタートしたわけですが、その中の重点4分野に環境が位置づけられておりますので、そのかかわりということで、国全体としても研究の充実を推進する、その中での当研究所の重要性が格段に高まっているという記述をいたしました。
次の段落からは、第1の業務として4ページの上で二つ、1号業務、2号業務を紹介いたしましたが、まず環境保全に係る研究についての記述がございます。これが5ページの下から2番目の段落からですが、まず環境問題自体が多面的な、非常に複雑な事象である等々から、まず科学的な検討の必要性というのをうたった上で、その次「また」以下は、少しここで具体的にどういう検討がどういう政策に結びついたかというのを、ちょっと分野的にはいろいろ入れ込んでしまいましたが、5ページの一番下から6ページ目にかけて、例示を含めて記述をしております。
その中では当然「京都議定書」の取りまとめにかかわる部分、また「京都議定書」自体国際的な取り決めですけれども、国内につきましては「地球温暖化対策大綱」、それから「生物多様性国家戦略」、並びに「循環型社会形成推進基本法」の制定の際などに、国環研の成果というのが活用されてきたということで、すなわち「我が国の国家戦略及び国際戦略にとって極めて重要な役割を果たしてきている」ということを記述しております。この意味におきまして、ますます環境問題が複雑化、多様化する中、国内のみならず国際的にもその使命が、より一層重要性が増してきているという記述にしました。
次の段落で、2号業務であります「環境情報の収集・整理・提供」の関係を記述しております。これにつきましては前回の記述とほぼ同じ記述になっておりますが、要約すると2号業務につきましても一層広い国民の理解と適切な対応を求めていくという中で、「本業務の役割はますます重要になっている」という記述にしております。
これらを総括いたしまして、ここは読みますと、「以上のように、地球温暖化を始めとする地球環境問題への取組、循環型社会形成の推進など、広域化・深刻化する環境問題に対応するため、国際的協調のもと、長期的にわたり進めていくことが必要な分野については、引き続き我が国の中核的機関としての役割を担い、世界をリードする研究成果を上げていく必要があり、今後、国立環境研究所がそのような機能を果たしていくためには、機能の一層の充実を図る必要がある」今後の一層の充実を図る必要性について、少し踏み込んだ記述をさせていただいております。これらを総括いたしまして、「したがって、これら事務及び事業について廃止する要素はどこにも見あたらない」というのが、理由としてまず書いております。
「むろん」以下ですが、先ほど少し触れました見直しの話についても、当然そうは言っても今の形、あるいはプロジェクト構成を全く変えないということは全然考えていなくて、当然評価機関や組織における評価結果、あるいは科学的研究の進展や社会的、政策的ニーズの変化を踏まえた適切な見直しを行うことは必要です。「例えば」のところで、ここでは何を切るか、何を足すかという具体的な議論がまだ展開できる段階にないと判断しておりまして、ここでは一般論的に「今後生ずる、社会や政策のニーズに対応した研究について、重点的なプロジェクトを立ち上げてその推進を図る必要がある。」ということを、例示として挙げております。以上が事務事業の改廃という視点です。
次の丸で民営化についてでございますが、ここのところはまず二つの段落になっておりますけれども、「環境問題の解決及び未然防止は国が行うべき重要な施策であり、その政策の形成・立案を適切に行うために不可欠な科学的知見を先端性、継続性、迅速性をもって提供する研究を国立環境研究所は行ってきており」そもそも民営化にはなじまないんだということをまず記述をし、さらに実際の方法論としていろいろ民間ではできないという理由づけが前回の資料でもいたしておりましたが、ちょっと長い文章で読みにくいかと思いますが、例えば基礎的研究が多いとか、環境政策を支える幅広い専門家集団や、あるいは必要な施設を安定的に維持するということは、そもそも国の役割であり、かつこういった公共性、公益性のもと、短期の市場原理によらない長期的かつ広域的な視点のもと、地道な研究を進めることを通じて、国民に奉仕することを目的として環境政策に貢献するということは、民間には担いがたい役割であろうということで、民営化についての理由づけとしております。
それから7ページの上よりちょっと下に、地方公共団体等への移管等についてということで記述がございますが、これは前回書き込んでいたことに多少加えておりますが、まず第1段落目では幅広い分野、これはほかの部分と若干繰り返し的なところもありますけれども、「政策研究機関的性格を有している」ということをまず言った上で、「総合的かつ分野横断的に環境研究に取り組んでいる」と、そういう前提のもとにやっているということをまず書いております。次の段落では逆に、まずほかの地方公共団体や機関では、地域や個別分野特有の環境問題や、モニタリングなどを中心業務とした取り組みを行っていると。環境研究はもちろんさまざまな主体が関与しているわけですが、当然科学的知見を充実したり、あるいは技術をお互いに融合したり、あるいは発想を転換する、そういった促進効果の観点からは、当然共同の取り組みの推進などによる連携や交流というのが図られていると。そういう中で当研究所が国内外の環境関連研究機関との横断的共同研究やネットワーク化の推進という場において、先導的かつ中心的な役割を果たしていますと。
次の「さらに」の段落は、これは主として情報の管理・提供というのを念頭に置いておりますけれども、「様々な情報を一元的かつ適切に整理し提供するうえで」現在もパフォーマンスとして非常に高いものがあるということを、「当研究所において初めて可能な業務である」という表現でしております。これらを総括いたしまして、先導的かつ中心的役割を担う中核機関として機能していまして、地方公共団体や他機関に移管というのは、そもそもなじまないのであろうという理由づけをしております。
以上が事務事業の見直しについての素案の内容でございます。
それから次の8ページ、9ページの組織形態の見直しに係る素案です。これにつきましては、かなり大幅に見直しております。前回の資料では、今日前回の分をお配りはしておりませんけれども、例えば具体的措置の欄でございますけれども、前回では「争議権の付与に伴い生ずるおそれのある業務停滞及び業務の適切かつ確実な遂行の観点から、職員の身分については引き続き公務員型とすることが適当」ということで、非公務員型でスト権を付与された場合に、その行使によって生ずる業務停滞ということだけを理由に掲げておりましたが、前回委員会でかなり多数のご意見があった部分でございますが、そもそもなぜ国家公務員の身分を有する者がやっているのかという部分は、国家戦略なりあるいは別の言葉でいいますと政策研究ということをまずうたうべきだ。それからあとアウトソーシングの話もご指摘がございました。それからデータのやり取りに関しては、前回「公平・中立」という言葉遣いをしておりまして、必ずしもそうではないというご意見もございました。
そういったことを勘案いたしまして、まず8ページの措置の欄でございます。全体のサマリーになる部分ですが、ここはまず「国立環境研究所は、政策研究機関的性格を有しており」ということで、まずこの部分を第1に挙げまして、「また、緊急時等における業務の停滞が、国民の生活等に著しい支障を生じさせる懸念があること等から」ということで、業務停滞ももちろん理由の一つにはなるかと思いますので、残っておりますけれども、それに多少プラスアルファした部分がありまして、「等から」としておりますが、「職員の身分については、引き続き公務員とすることが適当」という、見直し素案の具体的措置の案としております。
その下からが理由で、これも幾つかの段落に分かれておりますけれども、まず最初の段落でございますが、この辺はすべて新しく書いたのをつけ加えたというふうにご理解いただければいいかと思いますけれども、まず第1段落目は今まで特に独法になってからも着実に我が国の中核を担う調査研究機関として歩んできているということを書いております。その中身として、「国立環境研究所は」という段落ですけれども、先ほども出きましたフレーズの繰り返し部分もありますが、幅広い環境研究に学際的かつ総合的に取り組む唯一の研究所として研究成果を挙げている。
それから、将来予測や必要な政策提言を行うとともに、汚染の調査研究などの取り組み等々、我が国の環境政策の企画立案、各種基準の設定に当たって必要となる科学的基盤を提供する重要な役割を担っていると。このことが政策研究機関的ということなんですが、現在多くの府省が直轄機関として独法にせずに、こういった政策研究所ということで残っている機関が多数あります。それを少し加えまして、「多くの府省が直轄機関として設置している政策研究機関と共通の性格を有している」と、ここは、当然「性格を有している」ということで、国立環境研究所全体がこうであると言い切っているわけではございません。そこは誤解ないようにお願いしたいと思うんですが、そういうコアは確かに言えるだろうということです。
それから、次の段落で前回の委員会でもご意見等が出ました、公務員としての使命感なりモラル、この辺がどういう理由づけで書けるのか。これはなかなかいろいろ議論のあるところだと思いますが、きょうお示ししている中で、まず「環境行政は、場合によっては国民や関係事業者等に何らかの犠牲を強いる場合もあり、このような行政施策の企画・立案と深い関わりを持ちつつ国家的役割を十分に発揮するためには、国の機関としての公共性・公益性を堅持し、短期の市場原理によらない長期的かつ広域的な視点のもと、適切な環境政策形成のために研究するという」ちょっとこれも長くて読みにくいんですが、そういう研究をするという「高い使命感と基礎的基盤的で地道な研究をも尊重することを通じて国民に奉仕するという、公務員としての高いモラル、使命感に裏打ちされた組織形態が不可欠である」としております。この辺は後でいろいろ文言を入れたために、文章として少し整理が悪いので、もう少し読みやすくする必要があるかなとは感じております。
それから次の段落で、ここのところはそうは言ってもアウトソーシングできる部分はまだあるのではないか、そういうご意見もあろうかと思います。この辺は実は前回ご指摘いただいた外国の事例等、今並行して調査には着手しておりますけれども、なかなか時間がかかりそうだという事情もございまして、特にそういう具体的な比較のもとの記述ではございません。ただ書いてありますように、既に外部委託等進められる部分は進めてきております。今後も業務の効率化の観点を含め、さらに進めることとしておりますということです。
次の9ページに入っていますが、「また、緊急時における対応」のところでは、前回に比べて多少さらっとした書き方になっておりますけれども、同趣旨のことを盛り込んでおります。それから次の段落で、調査研究におけるデータの関係ですけれども、当研究所の業務において「住民の健康被害や企業等の利害に直接つながる事項を扱う場合も多いため、その知見等の収集にあたっての提供者にとっての安心感やその成果としての信頼感など、国家公務員としての身分を有する者が行うことが適当である」この辺非常に難しい判断かとは思うんですが、非公務員でも当然何らかの縛りをかけてきちんとやっていけばできる部分ではあるのですけれども、今までの国立環境研究所がこういった業務を順調に遂行できた一つの理由には、公務員たる者がやっていたということは、かなり大きく日本の社会であるがために効いている部分があるんじゃないかということで、ここの部分は「公務員の身分を有する者が行うことが適当である」という表現にしてみました。
これらを総合して、そこの文章を読みますと、「以上のことから、独立行政法人国立環境研究所の職員には、引き続き、国家に貢献する高い使命感とその職務にふさわしい高い能力をもって公正かつ継続・安定的に職務を遂行する「国民全体の奉仕者」として業務を行わせる必要があるため、国家公務員の身分を付与することが適当である。」と結んでおります。
以上が、今日お示しいたしました素案の内容です。
なお、実は前回の委員会のときも、前回ご欠席の委員の方々にはまず事前に説明はすると、それから前回も今回もご欠席の委員の方、実は4名いらっしゃるんですが、そういった方々にはできるだけ事前にご意見を伺うということで、事務局の方で作業といいますか、先生方に直接お会いをしてまいりました。前回も今日もご欠席の4名の委員の方々には、ほぼこれと同じバージョンでご説明をいたしております。前回の委員会の意見を踏まえて修正をしたという段階のものでまずご説明をして、結果から具体的に申し上げますと、大沢委員、北野委員、桝井委員、三橋委員の4名ですが、4方ともこれで了解ですというご意見をいただきました。
ただ、北野委員につきましては、ぜひ委員会の場で私の意見として言ってほしいということがございまして、文章ではいただいておりませんが、要旨を申し上げますと、国立環境研究所は今までも多大な貢献をしてきていて、国際貢献という意味でもますます重要になっていく中で、例えば業務の縮小ですとか民営化ですとか、地方移管、こういうものはあってはいけないと強く思っているということを、あえて委員会の場で言ってほしいという要請がありましたので、この場をかりて紹介をさせていただきます。
以上でございます。
【石井委員長】 ありがとうございました。ただいまの北野委員のご意見、これは程度の差こそあれ、皆さん共通してお持ちのことだろうと思いますが、問題はこういう紙にどこまでそれを表現するかということで、むしろほかの省庁で言えば直轄研であるような仕事をやっているのだから、直轄研に戻せという書き方も論理的にはできないわけではないとは思いますが、そういうことをするのが得策なのか、あるいは意味があるのかというようなことは別に、やはり問題としてございますので、要求された、つまり総務省の方から要請されているフォーマットに乗せて淡々と書いていくと。そのかわりガードはかっちり固めていくという姿勢しか、多分具体的にはないんだろうなというふうに思いますけれども。
いずれにいたしましても、前回に比べますと、申すまでもないことではございますが、先生方のご意見を承って一生懸命直したわけですので、かなりよくなっているとは思いますけれども、まだまだいろいろ問題も残っていると思いますし、どうぞ忌憚のないご意見をちょうだいできればというふうに存じます。どうぞご遠慮なく。
【佐和委員】 「民営化」なんていう言葉がなぜ出てくるのか、僕もよくわからないんですけれども、民営化ということは、これはもう一切国は関与せずに、委託研究を受けてそれでお金を稼ぎなさいということですね。つまりたとえて言えば何とか総合研究所という民間のシンクタンクのようになりなさいという、それも環境に特化したものになりなさいというようなことだと思うんですけれども、実際問題として民間のシンクタンクでやられていることというのは、結局最初から、主としてそれは官庁が多いわけですけれども、注文主の意向に従った結論を出さなければならないという、そういうことであって、その辺やっていることは事実上厳密なといいますか、狭義の研究とは言えないわけです。ですからそういう意味で、民営化なんていうようなことは、これは論外だというふうに私は思います。
と同時に、ここの8ページから9ページのところに書かれているところですけれども、二つ目のパラグラフのところに、「多くの府省が直轄機関として設置している政策研究機関」ということが確かにあるわけです。例えば郵政研究所とか、それから財務省は総合財政研究所でしたっけ、経済産業研究所は独立行政法人にしたみたいですけれども、いずれにせよ私自身もかつて、昔の大蔵省時代の財政金融研究所、それから経済企画庁時代の経済企画庁経済研究所と言ったんですかね、そこの客員主任研究官みたいなことを何年かずつ勤めたことがあるんですけれども、ああいう場合も、特にそこがサイエンス、いわゆる実践科学と経済学絡みっぽい分野との違いがございまして、結局役割は何なのかというと、弁護士事務所なんです。
それぞれの省庁の意図する政策目標といいますか、むしろ初めに政策ありきでして、その政策を正当化するような研究をする。それを研究というかどうかは別にして、そういう役割を与えられていると。そういう意味ではまさしく各省庁が競って、もともと経済研究所なんていうのは実は経済企画庁にしかなかったんですけれども、ある時期以降、80年代になってからだと思うんですけれども、日本銀行もつくる、大蔵省もつくる、通産省もつくる、郵政省もつくるということで、それぞれが弁護士事務所のような役割を研究所に与えているということで、そういうのとはやはり性格が全然違うんだということでして、ですからそういう意味でいわゆる直轄というんでしょうか各府省が直轄機関として設置しているようなものとは、やはり一線を画しておいた方がいいと思うんです。
それで、ただし身分が公務員であるというところで、若干論理的に苦しいところがあるわけですけれども、個人的には公務員であったって、非公務員であったっていいと思うんですが、実はそこである程度公務員であることは適当ということをあえてジャスティファイする、へ理屈を一つ申し上げると、先週金曜日、環境基本問題懇談会というのが、小池大臣出席のもとでこの部屋で行われたわけですけれども、そのときにどういう文脈であったかということは必ずしも正確には記憶していないんですが、いずれでき上がる議事録をごらんいただければいいと思うんですが、ある委員から国立環境研究所にもっと戦略的な構想を、つまり国家戦略としての環境政策、もっともっと戦略的な研究をやらせたらどうかというような意見が、今申し上げたのは極めて不正確ですが、そういう意見があったので、そういうふうなのもぜひ議事録をごらんの上で参考になさればいいと思います。
それからもう1点、これやや細かいことなんですけれども、2カ所に短期の市場原理によらないというふうな表現が出ていますが、市場原理というのは、やはりあくまでマイオピックというか、近視眼的なんです。これはもう本来的にそうなんで、ただし、ここで短期のものを除いて、市場原理によらない長期的かつ広域的なというふうに言ってしまうとなかなか意味を解してもらいにくいので、短期の市場原理というと市場原理には長期の市場原理と短期の市場原理があるのかということになるので、この辺は僕もどう変えたらいいのかというのはよくわからないですけれども、多少の修文の必要があるんじゃないかなというふうに思いました。
とりあえず、以上でございます。
【石井委員長】 ありがとうございました。私も長期の市場原理というのはあるのかなという質問をしたいくらいと思っていたところです。どうぞ。
【松野委員】 やや一般的になるかと思いますが、まず一つ目は改廃に関してですが、6ページの第3番目のパラグラフですか、最後のところを読みますと、「今後、国立環境研究所がそのような機能を果たしていくためには、機能の一層の充実を図る必要性がある。したがって、これらを廃止する要素は何もない。」と。一層の充実、最初に細かい言葉遣いでいいますと、「機能を果たしていくためには、機能の一層の充実を図る」というの、これはちょっとわかりにくいので、例えば「役割を果たしていく」とかなんかかなと思いますが。
【石井委員長】 いや、これは前半の文章に主語がないことが問題なのです。中核的研究機関としての役割を担い、世界をリードする研究成果を上げていくような研究機関が不可欠であるとか必要であるという客観的な事実といいますか、一般的な必要性を述べて、国環研がそれを担うのだというふうに書いたつもりなのが、どこかで抜けてしまったのではないかなと私は思っているんですが、事務局そうではありませんか。つまりリードする研究成果を上げていく必要がありというふうな文章と、中核的研究機関としての役割を担いというのは、これは一つの具体的な研究、国環研を想定した文章ではないはずなんで、こういうものが必要だという文章なんだろうと思うんです。そのつもりだったんじゃないですかね。ですからそこのところを整理して。
【松野委員】 今のは文章的なところ。それともうちょっと前回ディフェンシブではなくて、積極的にというお話がありましたし、それからこの15年度の評価でもって今後新しい時代に対応して、もっと仕事をちゃんと温暖化抑制のための仕事など広げてくださいということを申し上げましたが、それはこの見直しの機会に、次期の中期計画でという話があったので、より具体的な何かというと、今のところ機能の一層の充実ということですが、そこのところに新規の業務を含めとか何とか、要するに新しいこともやるんだというぐらいのことは何とか入らないかと。この前の15年度の評価でもって今までの中期計画の見直しをして、もっと新しい業務を展開できるようにしてくださいということを申し上げたのに対して、それは今度の次の中期計画のときに入れ込むようにという形で直しましたが、それに対応してここで、一層の充実という以上に必要となる新規の業務の何とかを含めとか何とか、積極的に入らないでしょうかというのが第1の点であります。
次は、公務員云々に関することで、これは先ほど来公務員型でなければいけないという話はいろいろあるんですが、一体公務員としての定員がふやせる見通しがあるんでしょうかということです。これは一般的に言って、こういう独立行政法人化等は、公務員の数を抑制するということが一つの大きな眼目であると思っていますし、実際に総定員はやはり減っているんだと思うんです。一方、毎回私個人的にも強く感じて言っていますが、非常勤職員をどんどん増やして、それで研究の充実を図っていく。これは今後さらに増えていくと思います。この前の中間評価で比べると、非常勤で70人ぐらい増えているんです。年々増えていけば、今もう既に300何十人かいて、これからさらに5年間そういう調子でふえていったら、圧倒的に非常勤研究員が多い研究所にならざるを得ない。そうしないと本当に新しい仕事にも対応できない。
それで将来、では公務員の定員と二つをどういうふうにやっていくのか、それについてはっきりした見通しがないと、定員部分は絶対公務員だといって頑張ることは難しいと思います。その間に非常に格差ができたらおかしいし、今のような理由でもって政策に直結するところは公務員でなければいけないんだからという、公務員の身分を持っている人だけが何かちょっとほかと違うというようなことが、一体できるのかどうか。その辺のところの見通しがちゃんとあればいいんですけれども、少しその点は心配なので、お考えをお聞かせいただきたいと思うんです。
【石井委員長】 私から申し上げるのは適当かどうかは知りませんが、第1の問題は、これは修文上可能だろうというふうに思います。つまり当然環境問題について国環研で研究をしなければならない、するべきだというふうに国際的にも国内的にも求められる使命は、これから果たしていかなければならないわけですから。ただそれをどういうふうに、とにかく独立行政法人という制度の枠に乗っかった組織を将来どうするかという問いに対する回答の中に、どうそれを盛り込むかというのはまた別の問題だと思いますけれども、それは文章の書き方の工夫で何とかなるだろうと。
それからもう一つ、2番目におっしゃった話ですね。これは公務員型であるという、公務員の身分を有するということかどうかがここで問題なのであって、それをすると当然公務員の定員の問題にかかわるということにはならないのです。つまり独立行政法人の内部組織は行政法人内部で理事長が決められるということになっているわけです。無論概算要求上いろいろ制約がありますけれども。国家公務員の定員の問題と、この公務員の身分を持つかどうかということとは次元の違うことで、少なくとも直結はしない。公務員の身分を維持しろと主張することが、国環研の組織が拡大していくときの妨げになるというわけでは、私はないだろうというふうに理解しております。
【松野委員】 わかりました。原理的には数を増やすことは可能だということの上に、石井先生の理論は成り立っている。現実に財務省が認めるかどうかは置いておいて、公務員の身分を持った人も仕事上必要ならばどんどん増やしていくということですよね。それが可能であるから僕が言ったような心配は必要ない。原理的にはそうである。そういうお話。
【石井委員長】 そうですね。
【佐和委員】 今のに関連してですけれども、国立大学の場合は非公務員化されたわけですけれども、とにかく運営費交付金というお金がどんどん来ますね。それは人件費と物件費の区別はないわけです。だから物件費をがんがん節約して、人をどんどん増やしてもいいわけです。それで、独立行政法人で公務員型の場合はどうなんですか。人件費と物件費の区別をなされてお金は来るんですか。
【齊藤総政局環境研究技術室長】 基本的には区別はないと考えていただいていいです。ただ財務省に要求する段階の、中期計画にも載っておりますけれども、算定式というのがあって、そこで積算の目安に人件費分、あるいは退職金分、あるいは業務費というのが基礎としてなっていますが、一旦その全体の交付金額が決まれば、おっしゃるように人件費にどんどん回す、あるいは人を削ってまで業務費用を増やさないといけない、そういう対応は可能な制度になっているはずですので、そこは事情は同じだと思います。
【石井委員長】 つまり、公務員であるかどうかということと、独立行政法人の組織の内部的可変性ということは関係ないのですね。
【佐和委員】 ですから、いわゆる定削というのはもはや適用されなくなるわけですね。
【石井委員長】 そのかわり運営交付金に自動的に効率化係数がかかる、そういう仕組みになります。これは公務員であれ、非公務員であれ、同じ話だろうと思いますが。
【齊藤総政局環境研究技術室長】 一つ違うのは、定員とは呼んでいなくて、常勤職員数、非常勤職員数。常勤職員数は公務員型の場合は国会への報告の義務がかかります。非公務員型であればその義務がない。これの意味するところは、国会の方で報告を受けて何か問題ありそうだと言ったらつくということですから、その内容が何らかの事情でふえたり減ったりすることは前提としていると私は考えます。
【佐野委員】 私、前回欠席で、その後説明を受けていますが、大変前向きというかポジティブで、すべて現状を肯定して先に進もうというので、これは大変いいと思うんですが、表現の問題で3ページに上からパラグラフ4の評価で、外部評価ABCDEとあって、全体で見るとB以上の評価が8割以上となっているとありますが、やはりこれは環境省の評価と将来あわせた方がいいんじゃないですかね。Bというと、私なんかはちょっと見るとB程度かということを思いますので、B(すぐれている)とか、この文章では何かそういうことも入れないと。
【石井委員長】 入っています。
【佐野委員】 前に入っていますけれども、ここの「全体でみると」という表現が、この文章全体のトーンと比べて、B以上というのがちょっと読んだ感じではひっかかってくるという簡単なコメントですけれども。
それから、6ページの第1パラグラフの中で、真ん中に「我が国の国家戦略及び国際戦略にとって極めて重要な役割を果たしてきている」と、堂々とうたっていまして、私はこういうところ不勉強でよくわかりません。具体的に何がそうだというものは指摘を受けてあるわけですね。第三者的にも国際的にも個々の研究成果として、こういう表現に沿うものがきちんとあるかどうかということの質問が一つあります。
それからもう1点は、8ページの国家公務員というのは高いモラルとか使命感できちんとやっていくということは大変結構で、それはそれでいいと思うんですが、最後のパラグラフで、「公務員が自ら行う必要のない業務」というような表現がありますが、地方公務員等はその前にある業務等やっているところも多いと思うんです。だからこれはこれでいいかなと。私の最初から言ったのは、研究機関としてはこういうものは付属的なものなので、アウトソーシングしたらどうですかということを申し上げてきておるので、ここまで強く言っていいかどうかということは疑問が残ります。
それから、ホームページの作成等、外部のアドバイスを受けていると思うんですが、情報の収集・整理、こういう面についても外部の専門家にお任せするというような方がはるかにコストパフォーマンスもいいし、結果もいいというものが多いと思うんで、そういうところも今後入れるべきではないかなというふうに考えておりますので、その辺もお考えいただきたいと。なおそこの表現に、2行目に「今後も業務の効率化の観点を含め、さらに進める必要がある」といいますが、「今後も業務の効率化」ということではないかなと。観点も含めという意味が私にはよくわかりませんので、その辺の説明もいただきたいと思っております。
以上です。
【齊藤総政局環境研究技術室長】 まず研究成果がどのように役立っているかというのは、この場でお出しするものは用意しておりませんが、具体的に説明できる材料はございます。一つは文書の中でも、国環研の研究成果が、例えば「京都議定書」ですとか、「温暖化防止大綱」ですとか、多少例示はさせていただきました。それを個々にもっとブレイクダウンをして、あるいは身近なといいますか、水・大気環境に対する各種基準づくり等にブレイクダウンして少し一覧表にしてきちんとまとめておこうという作業もやっておりますので、そこは十分説明できる。
それから国際貢献につきましては、評価のときの参考資料編でも幾つか触れておりましたが、今、対外的に端的に言えるとすれば、IPCCのレポートづくりを全世界挙げて研究者がやっている中で、執筆者の数が着実に国環研はふえておりますし、日本の中でも相当な、ほとんどと言っていいぐらいのウエートを占めている。世界的に見ても日本として十分な貢献に寄与しているというのが一番説明しやすいかと思うんですが、当然各分野、分野で例えば国際シンポジウムを主催したり、あるいは国際会議に出かける回数、そういったものも数値的なデータとして、この場で具体的にお示しできないのは申しわけないんですが、材料としては十分あると考えております。
それから、ご指摘いただきました「公務員が自ら」、8ページの一番下のところにありますが、確かにご指摘の趣旨も理解できますし、文章的にも直す必要があると考えております。検討をいたしたいと思います。それから、情報収集・整理の部分ですが、これはできましたら国環研から実態上の話がもしあれば、補足していただければと思うんですが、現在でも例えばホームページに落とす部分とか、当然みずから職員というよりは、外部に委託してやっていると認識しておりますが、ただ多様な情報をきちんとスクリーニングして整理をする、その部分には恐らく外部に出し切れない部分もあるんだろうと思います。そういった中で、情報の業務も数値目標を決めてやっている部分もありますけれども、それらを遂行するに当たって当然外部委託の方が効率的な部分があれば、今後もどんどんやっていただけるものだというふうに思っております。またその辺はもし補足があれば後ほどお願いしたいと思います。それから効率化の観点を含めという、先ほどの「公務員が自ら行う必要のない」の部分に続いたところですが、これも確かにご指摘のとおりだと思いますので、もう少し文章としてきちんとしたいと思います。
それから、ついでで申しわけないんですが、先ほど松野委員からのご質問で、石井委員長からもご指摘ありました新規の業務の記述が入らないのかという部分でございますが、6ページの民営化についてというところのすぐ上のところに、その趣旨を何とか出そうということで入れ込んでおります。これなかなか内部でも悩んだところなんですが、この行革の事務事業の見直しは、とにかく廃止するものがあれば廃止しろ、なくてもできるだけ縮小しろということに対して、まず反論といいますか、その要素はないということを上の方では述べてきていまして、したがって「廃止する要素はどこにも見あたらない」というところで、ここは実はとめまして、次のただ中身は見直しますよという中に、あえて今後生ずるものについて新たに重点的プロジェクトを立ち上げて、その推進を図るという、プラス要素を少し控え目に記述するぐらいが適当かなという判断で、多少まだ引けている感じを持たれるかもしれませんが、そのような考えでここに入れております。
以上です。
【飯島理事】 「環境情報の収集・整理・提供」部分ですが、今事務局からお話ありましたように、実際にEICネットのホームページとかをご紹介したところなんですが、これは民間にその情報の収集・整理等についてはアウトソーシングをして行っているところでありまして、今の段階でできるところは相当部分アウトソーシングされておりますが、当然これから収集する情報の範囲も増えてまいると思いますので、そういったものについても適切な形で外注をしていきたいと思います。ただ、全体のホームページのデザインを決めたり、そういったところは、やはり研究所の職員が中心になってやっているということでございます。
【加藤委員】 私も前回の案では少しディフェンシブに過ぎるんじゃないかと、環境研究の重要性といったものをもっと主張すべきじゃないかということを申し上げた委員の一人でありますが、今回いただきましたのを読んだところ、大変よくできていてよかったなというふうに思っております。おおむねこれでいいんじゃないかなというのが私の感想ですが、ただ3点ほどこういうことがあり得ないかということを申し上げておきたいと思います。
まず第1点は、5ページ目に出てくる事務の改廃の具体的措置というところの最初のところの「廃止する要素は見あたらない」という文章です。これは前回に比べて、多分室長のご説明に多分あったと思うんですが、いわば強化したと。ディフェンシブからむしろオフェンシブに転じたということだと思うんですが、ただそれにしてもその前の文章を見ますと、「使命はより一層その重要性が増してきているといえることから」ということで、「廃止する要素は見あたらない」と、ちょっと落差があるなと。もう一つ、私がもし文章を書くとすれば「増強する必要こそあれ、廃止する要素は見あたらない」と、こういう気分になるのではないかというのが私の意見で、できたらそういうふうにしていただければというのが1点。
それから2点目は、6ページの「環境情報の収集・整理・提供」の部分なんですが、これは書き出しの文章にありますように、当研究所の業務のもう一つの柱と、これはいつも繰り返し、繰り返し同じことを言っていますけれども、ここが非常に重要だというふうに思っておりまして、ただもう一つの柱といいながら、何が書いてあるかなと思ってもう少し読んでみると、「国内外の研究に資するとともに国民及びもろもろの事業者が、自らの意志で主体的に活動の重要性を認識し、その目的や方法を定め、具体的な行動をとっていけるよう支援することである」と、こういうふうに書いてあるわけです。情報の収集・提供というのは果たしてこれだけだろうかと。むしろもっとその前段として環境の情報について適切に国民に知らせる、例えばCO2が今どういう状況にあるのか、それからこのまま行ったら温度が何度ぐらい上がっていくのか、そういう要するに科学に基づいた情報を適切に提供していくということがまずあって、その上で何か事業をやる人から見れば活動の方針を定めるとか目的を定めるとか、それは当然あると思うんですが、そういうことはあっていいと思うんですが、この書きぶりだと国民及びもろもろの事業者が何か行動する指針をつくるための情報だというふうになってしまうのではないか。もうちょっともう1行ぐらい丁寧に実際環境研がやっていらっしゃることをお書きになった方がいいのではないかというのが2点目です。
それから3点目は、小さな問題かもしれませんが、8ページの本文中に三つのパラグラフがありますが、その三つ目のところに「環境行政は、場合によっては国民や関係事業者等に何らかの犠牲を強いる場合もある」と、この「犠牲」という言葉が適当なのかなと。確かに例えばフロンはもうつくってはいけませんよとか、PCBはやめなさいよということを言うわけですが、もちろんそのフロンをつくっていた人、PCBを使っていた人にとっては、犠牲になってしまうのかもしれませんが、それは正当な理由があって要求するわけですから、「犠牲」という表現がちょっと適切なのかなと思います。多分犠牲ではないのではないかと。何らかの規制なり何らかの強制なり、要するに犠牲というのはどうもおかしいのなと。この3点であります。
いずれにしても繰り返しになりますが、前に比べるとはるかに格段によくなったというふうに思っております。
【石井委員長】 ありがとうございました。私自身も「廃止する要素は見あたらない」の前に、積極的に「拡大あるいは増強の必要こそあれ」と書き込みたいという、その気持ちは全く同じなのですが、ここのところはどうしますかね。環境省がどこまでオフェンシブに総務省に打って出るかということにかかっているわけで、気持ちは当然含意としては入っているということであろうと思います。
それから今の「犠牲を強いる」というのは、実を言うと私がちょっとサジェストした言葉でありまして、確かに伺ってみるとやはりマイナスイメージが大き過ぎるかなと。当然やるべきことなんだと、それはそうなんです。ただつまり公務員であることの必要性を説明するときには、嫌がることもやらせる必要があるという、少なくともそのデータをきちんと出すんだという、その気持ちを表現したかったんですが、そのニュアンスを何か「犠牲」より適切な言葉があるかどうか、私自身も考えてみたいというふうに思っています。何か室長の方からありますか。
【齊藤総政局環境研究技術室長】 それぞれ十分趣旨は理解しておりますので、前向きに検討させていただきます。
【佐和委員】 2点申し上げたいんですが、まず5ページあたりに事務及び事業の改廃について云々。よく似たようなところは全部合併して一緒になった方がいいんじゃないかというような基本的な考え方が総務省等々にありますよね。そういうのに対してディフェンドするための話で、恐らく何となく名称等から推察するにやっていることが近いんじゃないかと思われるのが、もともと文部省の直轄研、いわゆる共同利用研で、現在総合地球環境研究所という、京都にあるやつですね。私はあそこの外部評価委員もやっていまして知っているんですけれども、あそこはほとんどの研究は生態学的研究なんです。だからその辺はどこかで具体的に触れてもいいし、つまりかなり違うというふうに私には思えます。
それからもう一つは、今度大学に例えば京都大学に地球環境研究学舎という、学堂とか学舎とか変な名前をつけているんですけれども、要するに実質的には研究科なんです。ですからそういうところとの差別化といいますか、差異化の問題なんですが、そこなんかも恐らく事業的にもよく似ている面もあると思うんです。たしかつい最近まで国環研の任期付の研究員をやっていた松本泰子さんなんかがあそこの助教授で行かれているとか、そういう意味で何か他の組織との補完関係とか、差異化を明らかにすると同時に、何か補完関係みたいなものをやはりむしろポジティブに今後進めていくというようなことも、何かあっていいんじゃないかなと。ここを見ているとそういうの全然知らぬ存ぜぬのようなふうに読めるんですね。それが1点。
それからその次のページの6ページのところで、これは事実問題として私はちょっと間違っているんじゃないかなと思うんですけれども、「京都議定書」の取りまとめの際に多大の貢献をしたと書いていますが、「京都議定書」というのは、私は日本の政府は何のコントリビューションもしていないと思うんです。蚊帳の外に置かれていたんじゃなかったかと。例えばCO2ばかりでなくて6種類のガスが規制対象になるということも日本の政府は環境省も経済産業省も事前には予測していなかったと。それから排出権取引とか、CDMとかJIとかいう、ああいう京都メカニズムが導入されることすら日本政府は全く予想していなかったと。それから6、7、8といいますか、日本が6%削減というものを押しつけられるということも全く予想していなかったと。それからいわゆる吸収源というものがマイナス分としてカウントされるということも予想していなかったということで、全く予想外の結果だったわけです。
それから、例えば経済産業省、通産省なんかの場合は、京都会議が始まってからもEUバブルはけしからん、EUバブルはけしからんと言い続けていたんですけれども、実は結局一緒になってやるという、つまりジョイント・イニシアチブというものがちゃんと議定書の中に盛り込まれたとか、そういうふうなことで全く予想外で、蚊帳の外に置かれていたと思うんです。だからとても国立環境研究所の研究が、「京都議定書」の取りまとめの際に大いなる貢献をしたというのは、ちょっと言い過ぎじゃないかなと。むしろ「生物多様性国家戦略」なんかはそうかもしれませんし、「地球温暖化対策大綱」これ、「推進大綱」じゃなかったでしたっけ。「推進」が抜けていますね。この「推進大綱」なんかを策定する際には、当然多大の貢献をしたでしょうけれども、「京都議定書」ではもう完全に日本政府そのものが蚊帳の外だったわけですから、国立環境研究所も全く蚊帳の外の外だったんじゃなかったかなというように思うんですけれども。
【石井委員長】 ありがとうございました。わきは十分に固めておかないといけませんから、そこはしっかり調べてきちんとした書き方にしてください。
佐和委員最初にご指摘の、ほかの機関なり組織との関係の問題は、明示的には書いていないのだけれども、かなりそれは意識しているんです。それを最も端的に表現するのが政策研究機関であるという、こういう性格規定です。総合地球環境研究所は政策研究ではないですね。政策研究をやっている人もいますけれども、つまり国の政策の根幹にかかわる政策のための研究機関といいますか、あるいはまさに行政にかかわる政策形成のための研究機関というのはここしかないということは、はっきり書いている。
それは、一つは非公務員化したわけです。それと違ってこちらは公務員でなければならないという理屈を言うために、その差別化の論理はやはりかなり強く入っている。私はこの文章でパッサブルではないかと思っていたんですけど、いかがでしょうか。
【佐和委員】 特に国立大学法人の中の、そういう最近どんどんつくられる環境関係の研究科などとの差異化というのは、差別があって初めて補完ということになるわけですから。
【石井委員長】 もちろんそうです。だから、あちらが公務員でなくなっているわけです。
【佐和委員】 ええそうですね。
【石井委員長】 それであってこちらがとにかく公務員の身分は保つべきだということを言うためには、やはり研究機関としての性格の違いを表に出すということに、どうも文章の構成としてはなってしまうんですけれども、もっとうまい方法があるかどうか、そこはもっと考えてみます。どうぞ。
【松野委員】 またさ先程の繰り返しになりますけれども、具体的に言いますと、公務員問題、8ページのところのちょうどページの9との分かれ目のところに、「なお、施設の運転管理業務、所内の警備、清掃業務等、公務員が自ら行う必要のない業務」はほかの人にやらせているということですけれども、繰り返ししつこく言いますが、ニースフェローとか、ニースポスドクフェローとか、非常勤研究職員、それは公務員がみずから行う必要がないことはそういう人たちに任せているという考え方なのでしょうか。今後またいろいろ研究が盛んになってきますが、僕の一番近い地球温暖化の予測研究なんかで、公務員がやる必要がある仕事とそれからそういうポスドクフェローにやらせればいい仕事というのがわかっていて、そういうふうな対応策を今後ともやっていくつもりであるのかどうか、お伺いしたいと思います。
【高月委員】 関連して。我々評価員が勝手に周りから公務員の身分でいた方がいいと言っていますけれども、そもそも国環研の方々はどういうふうに考えておられるんでしょうか。聞いておかないと、余り勝手にわあわあ言ってもいかんかなと思うんですけれども、その辺もあわせて聞かせていただけたらと思いますが。
【合志国環研理事長】 たしか前回にも中立公正さを疑わせるようなことがないようにとお話ししたかと記憶しておりますけれども、公務員型か非公務員型かということは、我々のアクティビティを高める上でより適している方をとりたいというふうに考えております。ただそれが一人一人の構成員の著しい不利益を招くような形でそうしたいとは思っておりません。そういうことを所員とも話し合ったばかりのところであります。現実の問題としては、例えば先ほど国家公務員型であっても、独立行政法人であれば定員の縛りはないということですが、しかし積算根拠で要求され、そして報告義務があるというと、事実上縛られているという、負担感を持つわけであります。厳密にこれが縛られているわけではないけれども。そういう現実の法の運用上の問題がたくさんあります。現実のケースを離れてはっきりここでお答えするのはとても私としては難しいのですが、昔、黒猫でも白猫でもネズミをとる猫は・・・・・という話がありました。我々が活躍しやすければ何制度であろうと来いと、こういうところが実際のところであります。
【石井委員長】 確かに非公務員化型にしようと思えば、いつでもできるみたいな風潮で、今の世の中でそれに口さす人はいないわけです。だから、まさに今、合志理事長がおっしゃったように、どれがいいのかということはもっときちんと議論を内部で、あるいは環境省ともお詰めになって、じっくり検討してからそれはやるべきであって、1年前倒しにしてすぐこの9月までに素案を持ってこいという理不尽なこの要求の中で、強いて今と違う方に行きますと、あるいは行く用意があるなどと言う必要は、私はないんじゃないか。事の本質は別にいたしましてですね。こういう状態に追い込まれるということ自体がおかしいんで、ですからちゃんと議論をし、考えて問題は次の機会にというか、あるいはそれが固まったら行くという、そういうスタンスだというふうに私は思っているわけで、しかしだからといって、もうちょっと待ってくれという書き方はできないものですから、書き方としてはやはり少し力んで書かなくてはいけないと、こういうことではないかなと思っていますが。どうぞ。
【齊藤総政局環境研究技術室長】 先ほど松野委員からのご質問にもお答えしていなかった部分がありますけれども、流動研究員なり客員研究員なり、いろいろな形の形態の研究員が常勤職員数の2倍以上あるというこの実態というのが、本当はもっと正確にきちんとした数字を出さないといけないんですが、ほかの研究所では余り見られない現象なんです。これはとりもなおさずとにかくそういう人たちの力をかりてやらないとできないという物理的な条件もあれば、やはりもっと自由にいろいろな人事交流をやりながらやるという、先程来強調している政策研究よりは少し離れた部分のもの、そういうバリエーションが国環研の場合相当程度もう進んでいるという実態があって、そのコアの部分では今公務員であることについて弊害は恐らくないんだと思うんです。
個人的な意見になりますが、産総研の場合はいろいろな文章を見ていますと、研究所として公務員のメリット、非公務員のメリットを比較して、やはり産業界との人事交流ですとか、兼職をより一層フレキシブルにできるようにすることが研究所にとってメリットがある、こういう研究所側にとって非常に積極的に非公務員型に移行するインセンティブみたいなのが、少なくとも当初経営陣にあって、最終的には研究所として自主決定されたと。国環研の場合はまだ、先ほど委員長からもご指摘がありましたように、現段階で特に積極的に非公務員型に移行すべきだというものは、我々から見てもありませんし、研究所側からも聞いていないということと、今回のこの素案見直しの、これからもまだステップありますが、その中での現段階での判断としては、こういう形で非公務員型維持というのが所管省としては適当かなという判断を下しているということです。
【石井委員長】 この例示は削ってしまった方がよくないんですか、どうですか。
【佐野委員】 非常に低俗な文章ですね。
【石井委員長】 それで、「公務員自ら行う」というのも何かちょっと変なんで、その担い手が公務員身分を持つ必要のない業務というふうにお書きになれば、多分例示は要らないのかなという感じがするんですがね。例示するにしては、ちょっと適切でないのが目立ってしまっているという感じがします。「既に外部委託を進めているところであり」という文章で十分もう足りてしまうような気がしますよね。
【西岡国環研理事】 松野先生のご質問で、ポスドクをどういう気分で使っているかということがありましたが、私ども研究者は一体となってやっていることを申し上げたい奨励研究にも参加してもらっていますし、我々の力の一つだと思っている。
それからもう一つ、佐和先生のお話のところで、「京都議定書」の話がございました。確かにここに書かれている「京都議定書」の「取りまとめ」というところに佐和先生はご意見おっしゃったと思うんです。しかしながら「京都議定書」の論議のときに、私どもの研究所は非常にそのまっただ中に貢献したということは知っておいていただきたいと思います。
【佐和委員】 IPCCのような場でという意味ですか。
【西岡国環研理事】 いえそうじゃなくて、「京都議定書」で何%減らせるかということについては、森田が7日間徹夜してモデルを回して、できるかどうかの計算をした。
【佐和委員】 それは国内で、ですね。
【西岡国環研理事】 国内です。ですから取りまとめというところにもし異議をおっしゃっているのであれば、それは私はそうかもしれないと言わざるを得ないんですけれども、その論議においてはうちの研究所は非常に役に立った。私自身も6%どころかもうちょっと減らせなんていうことを、いろいろな審議の場で言っていた覚えがありますし、そういうことはちょっと考えておいていただきたい。
【石井委員長】 適切な表現でそこは生かしていただくとしましょう。
【佐和委員】 「取りまとめの際」というところがあれなんですね。
【松野委員】 西岡さんにまた意地悪でもないけれども、さっきの公務員ということで質問したので、そういう公務員である必要があるとかないとか、そういう議論をしているので、ではポスドクの人で例えば具体的に知っていますけれども、野沢さんは公務員型の範囲に入っているんだと思いますが、そのほかにポスドク、中島君なんかどっちなのか知らないけれども、ポスドクもしていますね。こっちの彼は公務員である必要があって、こっちの人は公務員でなくてもいいとか、そんなのは全然その中には入ってこないわけですね。しかし、ここでこういう論法が一体そういうときに通用するのか、今後どんどんふえていくときに大丈夫でしょうかというのが、先程来の質問なんですけれども。
【石井委員長】身分保障の問題ですか。
【松野委員】 公務員型が必要であるという理由は、核になる部分とかそれからポスドクとか、いわゆる流動研究員、それから非常勤研究員、そういう人たちがたくさんいて重要な役割をしている。それどんどんふえていくと。ではそのときにこの今の制度を守って、これは公務員でないとできないからこの仕事は公務員型の人にやってもらうなんていうことはできないんじゃないでしょうかということを言っていたんです。
【柏木国環研総務部長】 ちょっとよろしゅうございますか。松野委員のおっしゃっている点でありますけれども、流動研究員、ポスドクだとかニースフェローだとか、基本的にはこれは国家公務員としての身分でありまして、国家公務員外の者ではないという位置づけであります。更に申し上げると、アルバイト、臨時職員で雇うような者も、身分的には国家公務員であります。ですから流動研究員は国家公務員外だということではなくて、まさに国家公務員として行うべき研究の一部を担ってやっていただいているというのが実態というふうに私ども思っております。
【石井委員長】 ポスドクもそうですか。
【柏木国環研総務部長】 はい。
【松野委員】 そうなんですか。それではフェローも結局は国家公務員の身分を有するということですね。
【石井委員長】 いわゆる支援職員も公務員であることは確かです。つまり公の官庁の仕事をやっている人は、定員の外であれ公務員になるわけですから。
【合志国環研理事長】 それは非公務員でも、日常の行動においては公務員として振る舞うことが要求されており、そしてまた周囲も同じように扱っているというのが現実です。
【松野委員】 ここで言う公務員型というのは、そういう範囲ですか。したがって先ほど8ページの最後のところで書き直した方がいいということだったんですけれども、これはアウトソーシングなんでしょうけれども、仮に中でやってしまったときに所内の警備や清掃業務は、これはやはり中で。
【石井委員長】 それは公務員ではありません。それは違います。アウトソーシングをして業者から派遣してきた人です。
【松野委員】 アウトソーシングをしてしまえばそうですけれども、昔というと変ですけれども、大学なんかでも上がれば公務員として雇っていたときもあったんですね。
【石井委員長】 昔の用務員さんは公務員です。それがいなくなった。
【松野委員】 アウトソーシングが問題なので、ポスドクはみんな公務員で、それならわかる。今それを主張していると。ポスドクなんかも、それから非常勤の研究職員も公務員型であるということを言っているんだと。そうである必要があるということを主張しているのならわかります。
【合志国環研理事長】 定員の中ではないということから、あるレベルの身分保障というのがないという意味で、ご本人にとっては大きな違いがあると思うのです。
【佐和委員】 関連してお伺いします。職員数272人とありますね。このうちいわゆる研究員と事務職員といいましょうか、あるいは技術職員も含めて、それは大体どのぐらいの割合といいますか、数になるのでしょうか。
【齊藤総政局環境研究技術室長】 役職員の構成でいいますと、272名のうち研究部門に198名、約200名弱ですが、管理部門が52名です。それからあと環境情報センターと地球環境研究センター、こういう情報センターみたいなところ、それぞれに12名、10名という構成になっております。
【佐和委員】 その12名、10名といったのは技術職員ですか。
【齊藤総政局環境研究技術室長】 環境情報センター、地球環境センターの内訳はわかりますか。事務・技術の。
【柏木国環研総務部長】 部門別ではなく、研究系と行政系というふうに区分した場合、研究系209名、行政系63人ということになります。
【坂本委員】 きょうのいろいろな議論で国立環境研は非常に政策研究機関だという形で、公務員型というようなものを今主張されているわけですけれども、その場合に先ほどの職員の、いわばポスドクも含めた認識というものがどの程度浸透しているのかなという気がするんですが、その辺は全体として考えた場合いかがでしょうか。
【石井委員長】 政策研究に。
【坂本委員】 政策研究機関だという、要するに国の戦略とか政策とかいろいろなものに貢献をするというような形で、普通の研究機関とは違っていわば唯一の研究機関としてそういう環境の部門になっているんだということを、強く今ここで主張をしているわけですけれども、それとの関係でいった場合に、現在の職員、それからポスドク等を含めて、そういった方々がそういう認識を共通に深く持っているのかどうかという点を考えた場合、どうなのかなというような部分をもう少し私自身、特にポスドクだとかそういったところについてはあるわけですけれども。
【西岡国環研理事】 正直言って7・3で7の方が目的をきちんと理解している。3のところにつきましては、必ずしも全部が全部政策に向いていなくても、研究機関としてはそれの方が健全かなということもございますので、あえてそれほど言うこともないと思います。しかしながら、我々いろいろ奨励研究などで評価会議を開きます。我々が研究がどういう役に立つのということは一つのポイントとして必ず入れるようにしております。もちろんそれを目指して考える方も提案する方も、そういう意識を常に持って提案してきている。提案してきていないのもありますが、よほどブレイクスルーでおもしろそうだったら、我々はいい点数をつけます。そういう項目としては役に立つか先進性があるか等々の三つぐらいがありますけれども、最初に来るのはやはり役に立つかということになってございます。そういう意識は所員の中にも、少なくとも定員の所員については間違いなく浸透していると私は思っております。
【合志国環研理事長】 誤解を招かないようにつけ加えますと、政策に役立つということと、政策に賛同するということは全く別でございまして、サイエンスをやっているということに徹してはいるところです。
【石井委員長】 これは先ほども申し上げたことですけれども、公務員型がいいか非公務員型がいいかということは、とにかくこれから議論する話だと。差し当たり公務員型でというペーパーを書くための一つの強調点だというふうにご理解いただいた方が、むしろ環境研における研究の健全性にとって良いのかもしれない。議論した末にこうするんだということが中できっちり議論が固まってくれば、それはそれでいいと思うんですが、これはやはり差し当たってとにかくある目的を持ったペーパーのための一つの表現だと、あるいはキーワードとして使われているものだと、こういうふうに理解していただいた方が、今のところは無難ではないかなというふうに私は思っております。どうぞ。
【櫻井委員】 特別新しいことを申し上げるわけではないんですが、やはり今回のまとめは、私は前回に比べて大変改善されていて、このままで結構だと思っております。人材を集めるという意味で、もし国家公務員型でなくなった場合に不利になる可能性というのは、やはりちょっと懸念されるなと、率直なところ心理的な面もあって。ですから今の段階で国家公務員型を捨てるということはリスクを冒すことになるのではないか。もう少し時間を稼いでよく見きわめた方がいいのかなという感じがしております。
それからもう一つは、それほど環境研究の人材が日本全体の中で多くない中で民営化したとすると、むしろ研究を委託する際に余分の費用がかかってくるのではないかなというような、これはよくわからないんですが、どこかの研究機関が環境研究所の研究員をみんな引き受けて、比較的高い金額でその仕事を引き受けるというようなことにもなりかねないのかなという気持ちもいたしまして、やはり国家公務員型でしかも独立行政法人として安定した仕事をしっかりやっていただくというのが、効率の上でもむしろいいんじゃないかなというような気もしております。
以上です。
【石井委員長】 ありがとうございました。ほかに。今までご発言のない鷲谷委員。
【鷲谷委員】 前回意見を言わせていただいたことについては、ほとんど取り入れていただいて、内容についてはこれでいいのではないかと思うんですけれども、文章表現、幾つかもう既にご意見があった点もありますが、8ページの「場合によっては場合もあり」という文章はやはりちょっと何度読んでもそこで目がとまってしまいますので、例えば前の「場合によっては」を取って、「国民や関係事業者等に何らかの犠牲を強いることが避けられない場合もあり」というふうにすれば、趣旨が入って「場合によっては場合もあり」ではなくなるのではないかなと思います。
【石井委員長】 ありがとうございました。今「犠牲」という言葉を残すのがいいかどうかはちょっと。
【鷲谷委員】 「犠牲」は「負担」でもいいかもしれないですけれども。
【石井委員長】 わかりました。それではどうぞ。
【松野委員】 同じように今の8ページで、この前の評価書の文章を引用されているところがありますが、引用しているとすると最初の1行目が「地球温暖化、内分泌撹乱化学物質」の間に生物多様性が入っていますので、それが落ちている。前後、後の方でも関連する記述が皆入るんで、それは入れていただいていた方がいいんじゃないかと思います。
【石井委員長】 生物多様性は、後の方には出てくるんですね。ほかにないでしょうか。高木委員、何かきょうはないですか。
【高木委員】 先程来いろいろ話題になっておりますが、国家公務員かどうかというような点につきまして、ちょっと私見を述べさせていただこうかと思います。前回申し上げましたけれども、私は研究機関が国家公務員型かどうかというのは、恐らく政策それから戦略、こちらの方に絡めての話ではないのか。そうでなければ余り公務員型である必要はないのかなという感想は持っております。ただ、今の総務省あるいは有識者会議の方の公務員型から非公務員型にしろという、強い何かヒステリックとも言えるような意見というのは、私は疑問を持っております。
といいますのは、独法の存在というものを考えてみますと、その存廃そのものが独法自身で判断できないというものであるわけです。かつというふうなことで申し上げますと、トップマネジメントである理事長の任命そのものも、職員とは関係ないところで任命されるというふうなわけでありまして、そういう組織に構成する職員の身分的な安定がないとしますと、そこにおいて働く方々のロイヤリティというのはどこまで持ち得るのかなという疑問を私持っていまして、そういった意味でヒステリックなというふうに申し上げたんですけれども、そういうふうな組織論、マネジメント論的な観点から考えていくことも必要であろうなというふうに思っていますし、先ほどどなたかがおっしゃいましたけれども、今ここであえて身分を変更する必要があるのかというようにも私は思っておるというふうなところを感想めいたものとして述べさせていただきました。
【石井委員長】 ありがとうございました。全くそのとおりだと思います。
一通り議論は出ましたが、特にほかにございませんようでしたら、この素案、細かい文章の手直しというのは必要かと思いますが、これは私と事務局にお任せいただくということで、本日のいろいろ具体的な修正のご提案もございましたが、そういうものも含めまして、一応この原案をご承認いただいたというふうに扱わせていただいてよろしゅうございますでしょうか。
(異議なし)
【石井委員長】 ありがとうございました。
それでは、あとお願いします。
【齊藤総政局環境研究技術室長】 議題2のその他ということで、資料2に今後のスケジュールに関連して、今後の予定という資料がございます。これは今まで今回の見直しの前倒しの背景ですとか、そういう説明の中で出てきました手順をかなり簡略化した図で今日お出ししています。左側の8月末というのがまさに明日になるわけですが、これから総務省のヒアリングが9月に入ってすぐにありまして、9月末までに前倒しの対象法人が決まります。これは全体50数法人のうち約半分ぐらいをことし前倒し作業をやろうということになるんですが、ここで申し上げたいのは、前倒しの対象になれば当然それが今度本格的なフローに載ってくるわけですが、10月に総務省審議会による勧告、これも法律の正式な勧告ではなくて「方向性等の指摘」という文言を総務省は使っておりますが、実質勧告です。これが出ましたら、おそらく各省は見直しの素案について再検討をすることになります。
したがいまして、これも通則法の準用でいくならば、再検討する際に再度この評価委員会のご意見を伺うということになろうかと思っております。したがいまして、9月末の段階で今年の11月ごろにまた本件についてご意見を伺うこともあり得るということですし、仮に見直しの対象にならなければ、波線で真ん中区切ってありますけれども、来年の7月以降、また今年と同じように年度評価をいただきまして、かつここでまた概算要求に向けての見直し案ということで、素案よりももう少し具体的なものを固める必要があります。またそこで今年と同じようなスケジューリングでご意見を伺うなり、また秋には年末に向けまして勧告を受けての見直しの再検討についてご意見をいただく、こんな感じで今後この評価委員会にご審議、ご議論をいただくことになろうかと思います。その点をあらかじめご承知おきいただければということでございます。
以上です。
【石井委員長】 どっちへ行くかはまだ何ともわからない。
【齊藤総政局環境研究技術室長】 事務ベースでは、前回にもご説明しましたが、今回研究所系が非常に多いということがあって、類似の機関を一括して今年の前倒し対象にしたいというような意向は、少し漏れては聞こえてきておりますが、仮にそれをやりますと、恐らく半分よりずっと多くなってしまうということもありますので、具体的にどの法人が本当に前倒しの対象になるのかまだちょっと見えてこない。ただ可能性は今、五分五分よりは少し高いのかなという感触は持っていますけれども。
【石井委員長】 どうも前倒しにされそうということのようでございますが、そうなりますとまた10月からいろいろお働きいただかなければならないのだろうと思いますが、とにかく見直しの素案を8月末までにつくるという仕事を、一応達成いたしました。委員各位に厚く御礼申し上げます。
それでは、本日の委員会はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。
【齊藤総政局環境研究技術室長】 どうもありがとうございました。