第12回環境省独立行政法人評価委員会会議録

日時

平成16年8月18日(水)14:10~16:14

場所

環境省第一会議室

議題

(1) 独立行政法人国立環境研究所中期目標期間終了時見直しの前倒しについて
(2) その他

配付資料

資料1 独立行政法人の中期目標期間見直しの前倒し等について
資料2 独立行政法人国立環境研究所中期目標期間終了時の見直し素案について
資料3 平成15年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価書
資料4 今後の予定
参考資料1 環境省独立行政法人評価委員会名簿
参考資料2 中期目標期間終了時における組織・業務全般の見直しに係る検討事項ごとの環境省の見解等
参考資料3 中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて
参考資料4 独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組の方針
参考資料5 研究開発関係法人の評価に関する関心事項(抜粋)

出席者

委員: 石井紫郎委員長、加藤三郎委員、桑野園子委員、坂本和彦委員
櫻井治彦委員、高木勇三委員、高月紘委員、柘植綾夫委員、
藤井絢子委員、松野太郎委員、鷲谷いづみ委員
環境省: 大臣官房 桜井審議官
総合環境政策局 齊藤環境研究技術室長
今井環境研究技術室長補佐
国環研: 合志理事長
西岡理事
飯島理事
松村主任研究企画官
柏木総務部長
 

議事

【齊藤総政局環境研究技術室長】 それでは、予定の時間がまいりまして、委員の方々もおそろいですので、ただいまより第12回環境省独立行政法人評価委員会を開催させていただきます。
議事に入ります前に、お手元の配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の紙の議題の下に資料が四つ、参考資料が五つあります。資料といたしましては、1番が独立行政法人の中期目標期間見直しの前倒し等についてでございます。それから資料2が独立行政法人国立環境研究所中期目標期間終了時の見直し素案についてということで、資料名と資料の一番上の表題が一致しておりませんが、この中身が3種類入ったものを資料2としてホチキスどめをしております。資料3につきましては、この直前に開催いたしました国立環境研究所部会におきまして確定をいたしました平成15年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価書でございます。それから、資料4につきましては1枚紙でございますが、今後の予定でございます。
それから参考資料といたしましては、参考資料1の委員名簿の次にホチキスどめをしました多少ぶ厚い参考資料2、それから参考資料3、4、5とそれぞれございます。またご確認いただきまして必要があればお申し出ください。
それから、次に定足数の確認でございますが、本日委員17名のうち11名のご出席をいただいておりますので、評価委員会令第5条1項の規定によりまして、定足数を満たしておりますことをご報告申し上げます。また、先ほど資料確認のところで資料3ということでご説明いたしましたが、平成15年度の評価結果につきましては部会の議決でもって、委員会の議決とするということでございます。これにつきましては通則法にのっとりまして、この評価委員会名で国立環境研究所並びに総務省に置かれております政策評価独立行政法人評価委員会に対して通知をいたすことといたしておりますので、事務局において必要な手続をとることを、この場をかりましてご報告させていただきます。
それでは、議事に移らせていただきます。石井委員長、よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 それでは、議事に入らせていただきます。部会の先生方には引き続きで、長丁場にわたりますが、よろしくお願いを申し上げます。
 本日の主な議題は、掲げてございますように「独立行政法人国立環境研究所中期目標期間終了時見直しの前倒しについて」でございます。独立行政法人の通則法第35条におきましては、主務大臣は独立行政法人の中期目標の期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織のあり方その他、その組織及び業務全般にわたる検討を行い、その結果に基づき所要の措置を講ずるものとするということになっております。そして、その35条2項におきましては、主務大臣は前項の規定による検討を行うに当たっては、評価委員会の意見を聴かなければならないとされております。ということで、本日の委員会におきましてはこれからお示しいたしますような素案について、本委員会として意見を申し上げるという、そういう場になるわけでございます。ただ今回は通常のスケジュールよりも早目に、前倒しという形で行うものでございますので、まずその前倒しなるもの、あるいはそれをすることになった経緯等につきまして、事務局から説明をいたします。ではよろしくお願いします。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 それでは、資料1をごらんいただきたいと思います。
 この資料1につきましては、実は先般7月29日の国立環境研究所部会の最後に説明を1度いたしましたが、いらっしゃらなかった委員の方も多かったということもありますので、改めて説明をさせていただきます。
 この資料1ですが、説明の都合上後ろの方から行かせていただきたいと思います。下に番号がありますが、5ページをお開きいただきたいと思います。この独立行政法人制度におきましては、中期計画期間というのを3年から5年の間で設けることとされておりまして、国立環境研究所の場合5年でございます。これが終了したときには、その5年間なら5年間全体のパフォーマンスについて評価を行って、次の中期計画期間、存続するかあるいは業務の内容を見直すか等々を踏まえて新しく移行するわけですが、どうしても年度をまたがる移行時期というのが難しいことになるわけです。
 この5ページに示してありますのは、昨年そういう移行期間についてどういう手順で手続がなされるかというのを書いたものです。当然一番下の4月以降が新しい期間ということになりますと、そこに向けて予算要求を前の年の8月に行うことになりますので、8月の段階で評価委員会の意見を聞いた上で組織業務全般の見直し(案)というのをまず作成し、予算を要求いたします。その後、総務省のサイドで各法人についての見直し(案)に対して勧告、これも法律に基づく正式な勧告ということではなく、勧告の方向性という言葉を使っておりますが、実質的に勧告がされます。この勧告を踏まえて、さらに見直し内容を検討した上で、予算の政府案決定の前の12月末には行革推進本部の了解を得て、次の中期計画期間の業務実施についての決定をすると、実はこういう手順になります。新しい中期目標、中期計画は翌年度に入る直前、1月から3月につくるということになります。これが移行期間の手順となるわけです。
 次に1ページ戻っていただきまして4ページに、これが中期計画目標期間終了時別の独立行政法人のリストでございます。これを見ていただきますと、国立環境研究所は上から三つ目の大きな四角の中に入っております。真ん中の列の一番下に書いておりますが、53法人、この塊といいますか集団があります。先ほど申し上げた移行時期の手順にのっとってやりますと、来年の夏以降にこの53法人全部について、見直しのための、総務省からすれば勧告を細かく出していくという事情になります。この辺が現実的に物理的にも対応が難しい等々の理由がございます。
 恐縮ですが3ページにいっていただきまして、さきのいわゆる骨太方針というのが毎年出ますけれども、その中でもことしの夏からこの見直しについて着手をし、それから今年中にできるだけ相当数について、見直しの方向について結論を得ると、こういう方針が示されたわけです。そこで、今回見直しを今年から着手するすなわち前倒しということになりますけれども、2ページに戻っていただきまして、前倒しをするとした場合のスケジュールがここにあります。上の方は今までの経緯になりますけれども、真ん中より下に8月末目途に各府省が見直し素案を策定するというのがあります。これが今日の議題の事項になるわけです。
ですから今月中に、先ほど表にありました53法人、及び1年前の3法人足して、56法人すべてについてまず見直しの素案というのをつくって総務省に出すことになります。その後ヒアリングを経まして、実際にどの法人を前倒しの対象とするか、ことし勧告等を受ける作業の流れに乗せるかというのが、ヒアリングの結果を受けて9月末までに決まるということで、前倒しの対象になれば、その後勧告の方向性というのが、実質勧告を受けて12月末までに決定されます。実際の移行は再来年からということになりますけれども、その冒頭のフローで、申し上げた作業が1年間前倒しされるということになります。なお、これは5年間の計画期間が4年間になるということではなくて、5年間の計画期間はあくまでもそのままで、来年やるべき作業の約半分の法人を前倒しの対象にするということで、ご理解いただきたいと思います。
 最後に資料1の1ページ表紙が、そういったことについて、これは各部署担当課長会議申し合わせと、こういう場で約半数を目途に前倒しをする。先ほど2ページで説明したようなフローで、今後各省検討するということで申し合わせがございました。石井委員長の方からもありましたように、この検討は通則法の規定の準用で評価委員会の意見を聞きながら主務大臣が検討するということになっておりますので、今日お諮りすることになりました。
 以上でございます。

【石井委員長】 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、何かご質問等ございますでしょうか。どうぞ。

【高木委員】 参考の意味でということで教えていただければと思うんですが、2ページの、8月末目途として「総務省の政策評価・独法評価委員会等によるヒアリング」のところなんですが、この「等」のところに「参与会議」というふうになっていますですね。参与会議は特殊法人及び特殊法人から独法化したところについてを称するということからしまして、これ有識者会議のことをおっしゃっているのかなというふうに思うところなんですが、ちょっと参考の意味で確認させていただきたいと思います。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 大変失礼しました。これは本来手書きのメモですので、消しておくべきでした。これは総務省からの説明によりますと、参与会議の協力を得てというスタートを切っております。実質はご指摘ありました有識者会議というのを同じメンバーで組織をしたもの。そこに協力をお願いするということですので、高木委員ご指摘のような結果にはなっております。この時点では参与会議しか存在していなかったときの手書きメモでして、大変失礼いたしました。

【石井委員長】 松野先生、質問どうぞ。

【松野委員】 3ページの行政改革の最後の文章ですが、「独立行政法人の運営交付金について、透明性を向上させ、説明責任を確保する。」とありますが、これは今回運営交付金が妥当か否かなんていう議論をするということでしょうか。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 この点につきましては、独法が例えば従来の直轄機関主体から特殊法人、もろもろふえてきています。そんな中でまだまだ運営交付金についての情報開示等々、あるいは予算要求段階での情報公開等が足りないという一般的な指摘から、このような記述がされているものと理解をしています。特にこの部分に関して具体的な指示は今のところ来てはおりません。

【石井委員長】 先ほどの高木委員のご質問に関連してですが、閣議決定自身が「参与会議」という言葉を使っているわけですよね。その後その組織を少し変えたという、そういういきさつですか。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 はい、そういうことでございます。骨太方針ではこのような表現になっているんですが、高木委員から指摘のありましたように、ストレートにこれを使うわけにはいかないので、協力を得るという形で、その仕組みというか枠組みは別の名称を持った会議を設置したということで、参与会議としては協力を果たしたということです。実際に協力していただけるのは参与会議とほぼ同じメンバー、会議構成になります。

【石井委員長】 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。なければ先へ進ませていただきます。
 それでは、見直しの素案について、事務局から説明をしてもらいます。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 資料2をまずご覧いただきたいと思うんですが、「見直しの素案」というのは今回初めて出てきた言葉であり、どういう形でつくるかということですけれども、実は総務省の方から一つのひな形として様式が示されております。このご用意いたしました資料の中身はきちんと説明いたしますが、構成としては中期計画期間終了時の、素案整理表とされている、この様式が一つあります。これがページ番号を振っていなくて申しわけないんですが、3ページ目までになります。それから4ページ目、5ページ目が事務及び事業の見直しに関する素案。ここの部分は「事務及び事業名」「事務及び事業の概要」の後に、「事務及び事業の改廃に係る具体的措置」。ここで方針としては要約するとこういう方針ですというのを明示いたしまして、次のページの「上記措置を講ずる理由」という欄のところで、その理由についてできるだけ簡潔に記述せよということで指定されたものです。それから最後の5ページ目には、「組織形態の見直しに係る素案」とありまして、これは具体的措置とその理由という構成でなっています。これをこれから説明し、ご議論いただこうと考えているわけですが、そもそも見直しとは何か等々の趣旨について、解説をしたいと思います。
 まず参考資料の3というのがございます。参考資料3、4、5と参照していただくことになりますが、まず参考資料の3が、これは昨年の夏に閣議決定されました「中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて」ということです。これがまず前半の方の文章で、例えば1ページの下の方からある「審議会の勧告と見直し内容の予算への反映」、この辺については先ほど経緯のところで最初に見ていただいたフローのことが文書で書かれているものでございます。この資料におきましては3ページ目に「別紙」というのがございまして、ここで「中期目標期間終了時における組織・業務全般の見直しに係る基準」というのが示されております。ですから見直しの基本的な視点なり、見直し内容というのは、まずこの基準に沿ったものということが条件になります。ここの別紙の1番に「独立行政法人の業務全般にわたる見直しの視点」ということで、(1)から(4)まで、またそれが分かれて細かい事項があります。こういう視点でまず見てくださいということです。これが一つ。
 それと、その下に2とありますが、ここでは事務事業の改廃に係る具体的措置はどういう種類のものがあるかということで、例えば廃止ですとか民間への移管、それから4ページ目に移りまして自主財源への移行ですとか、いろいろ書いてあるわけです。ここは先ほどの素案の様式の2番目に出てまいりました事務事業の見直しに関する具体的措置、それに対応するところになります。
 それから3として、組織形態に関する見直しにかかる具体的措置、これが素案のところで最後の紙ということで、組織形態に対応する部分です。ここについて若干説明をいたしますと、(1)から(3)までありまして、独立行政法人制度において見直しという趣旨は、廃止できるものはできるだけ廃止する。廃止できなくても業務はできるだけスリム化するというのが1点。それから廃止ということではなくても、業務が例えば採算性があって民営化できる、あるいはこれはもう地方に任せていい、そういうものは民間あるいは地方公共団体に移管をするという、非常に厳しいことになるわけです。基本的考え方としては、そういうことです。それが(1)(2)に書いてあることです。
それから(3)、ここのところが後でまた素案のところで説明いたしますが、独立行政法人の職員身分を公務員とするか、非公務員とするかということで、実は二つの種類がございます。ちょっと資料に戻っていただいて恐縮ですが、冒頭使いました本資料1の4ページに、独立行政法人の一覧表がございます。これを見ていただきますと、この表で二重丸がついているのが非公務員型です。何もついていないのが公務員型になります。ご覧いただくとわかりますように、国立環境研究所を含む旧直轄の研究系機関につきましては、ほとんどの法人が公務員型ということで現在やっております。ただし、その上の四角の一番右に独立行政法人産業技術総合研究所というのがございますが、この研究所につきましては先の通常国会で非公務員型への移行ということで法改正をしております。平成17年4月から、この産総研には二重丸がつくということでご理解いただければと思います。
参考資料3の方の説明は以上ですが、参考資料4につきましては、総務省サイドから勧告を出すに当たっての考え方、視点というものがまとめてありまして、内容的にはかなり閣議決定の基準とダブります。閣議決定の基準、見直しの視点をさらに具体に書いたものというご理解をいただければと思います。
それから最後に参考資料5ということで1枚紙がありますが、これが実は先般、6月30日に総務省の独立行政法人評価分科会の中の研究会から出されました研究系法人について、中期目標期間終了時の見直しに当たっては、こういう視点を踏まえなさいということで、これが研究開発関係法人の評価に関する関心事項ということで出されています。したがいまして、まず素案づくりに際しては、これらの基準を踏まえた検討を行って、その結果を資料2に示しましたような様式に沿ってできるだけ簡潔にまとめると、そういう責務を負っているわけです。
飛び飛びで申しわけございませんが、参考資料2というのをご覧いただきたいと思います。先ほど申し上げた閣議決定文書、あるいは関心事項などのいろいろな多数の検討項目があります。それぞれについてある程度まとめて書いてあるものもありますが、例えば参考資料2の1ページで、ここで閣議決定の見直しの視点を受けた項目が左側にありまして、事務事業のあり方に関する視点として国が関与する事務及び事業としての必要性・有効性はどうかの中の内訳で、政策目的の達成状況がどうかということで、また小事項になっていますが、それらについて環境省としてはどう考えるかという見解が右に書いてあるという紙です。これがずっと続きますので、この個々の説明はいたしませんけれども、先ほどの関心事項についても後ろの方に関連した記述がございます。これは素案のご議論の際のご質問等のときにお答えする資料として準備をさせていただきましたので、また適宜お目通しいただいてももちろん結構ですけれども、必要に応じ使わせていただきたいと考えております。
以上、ちょっと前置き的なことが長くなりましたけれども、資料2のご意見をいただく素案、正確には素案の(案)ということになりますが、これを説明させていただきます。まず、大変恐縮ですがちょっとページ数が振っていませんので、この場で振らせていただけたらとは思うんですけれども、1ページから7ページまでということになりますが、1ページから3ページにつきましては一つ目の様式ということになります。これは整理表ということでございまして、各法人の沿革、役員数、職員数、国からの財政支出の推移ということで、淡々と事実関係を記述しています。それから次の欄の中期目標の達成状況、ここの欄につきましては、基本的には現在研究所については直前の部会で上がりましたが、並行してやっております年度評価のうち、最新の15年度分を例として、特に業務運営の効率化に関する事項、あるいは数値目標に絡むものについてできるだけ簡潔に記述せよという様式でございまして、基本的にはさきに報告いたしました業務実績評価書から数値目標含みの部分を中心に、淡々と事実関係を書いているというご理解をいただければ幸いです。
実際にご意見をいただきますのは4ページ以降、4ページ、5ページ、6ページのところでございます。まず4ページの「事務及び事業の見直しに係る素案」でございます。まず国立環境研究所の事務及び事業というものは何かということですが、これは国立環境研究所法という個別法の中に業務が書いてあるわけですが、1号業務、2号業務とありまして、言葉はちょっと簡略化しておりますけれども、環境研究に関する業務と、それから環境情報の収集・整理・提供に関する業務、この2種類が法律上の業務分類となっております。したがいまして、ここではまず事務事業の概要のところで、この二つの業務の概要をごく簡単に記述をしているのが4ページの真ん中の欄でございます。「事務及び事業の改廃に係る具体的措置(又は見直しの方向性)」ということで今回案としてまとめました方向性は、4ページから5ページにわたります点でございます。
まず三つの段落に分かれておりますけれども、最初の段落につきましては、国立環境研究所が我が国の環境行政の基盤を支える機関として、また国際的にも環境分野における中核的機関としての役割を果たしてきていますと。加えて信頼性の高い有用な情報を提供するということを通じまして、環境保全の具体的な活動の支援にもつながっていますし、事業者国民の取り組みの推進にも大きな役割を担ってきているということを踏まえまして、結論としては事務及び事業についての大幅な改廃は困難であるということです。引き続き現在の事業を続ける必要があるということを述べております。
次の5ページに移りまして、「ただし」というところですが、そうはいっても5年間の計画期間、中期目標を持って業務を遂行している中で、当然社会情勢等の変化がございます。特に社会的ニーズを踏まえたテーマを設定して取り組んでおります重点特別研究プロジェクト、あるいは政策的ニーズに対応します政策対応型調査研究につきましては、現在六つの重点プロジェクトと二つのセンターでやっているわけですけれども、これはできるだけ次の移行時期の直前といいますか、その時点でそれまでのパフォーマンスを踏まえて、あるいは社会的ニーズ等を踏まえて見直さないといけないという事情があると思いますので、ここの点につきましては必要な見直しを行いますということにしております。
それから最後の「また」以下の文章ですが、「限られた予算、人員のもとで、民間や地方研究機関等とも連携しつつ、民営化等になじまない業務を主体として実施している」ということなので、「民間又は地方公共団体への移管等は困難である。」としております。この「連携しつつ」という言葉はちょっと舌足らずかもしれませんが、趣旨としては既に民間でできる部分、あるいは地方公共団体でできる部分はわざわざ国環研でやらずに、そういうところで役割分担をきちんとしてやっていますということで、今、国環研がやっている部分からさらに民間なり地方公共団体へ移管というようなことは考えられないということを、このような文章で表現をしております。
次の「事務及び事業について上記措置を講ずる理由」のところで、今ごく簡単に三つの段落で書いたことの理由をちょっと羅列的にはなっておりますけれども書いております。5ページのところがまず事務及び事業を改廃するという観点からの理由。それから次の6ページは、「民間及び地方公共団体への移管等について」で、移管は困難ということの理由が述べてあります。まず5ページでございますけれども、ちょっと読むと長くなりますので各段落の趣旨だけ申し上げますと、まず最初の国立環境研究所の根幹的な業務である調査研究の目的はというところから、4段落は調査研究についてとあります。まず1番目の段落はまず不可欠であるということと、今後さらに多様化、深刻化する中で必要性、有効性はますます高まっているということ。それから次の段落では、国民の生活や健康や生活環境と安定に直接的に寄与するということです。さらに3番目の段落では、日本国内だけではなく、国際的にも協調するという中で、我が国の中核的な機関としての役割を担っています。またそれから世界をリードする研究成果を今後も上げていく必要があるということです。最後に「なお」で書きましたのは、方向性のところで書きましたことと同じく、必要な見直しを行いますということです。
それから5ページの一番最後の段落につきましては、環境情報の収集・整理・提供の業務につきましては、これも方向性のところとおおむね同じことが書いてございまして、この事務は必要な事務であり、役割はますます重要になっておりますということで、総じて大幅な廃止と改廃というのは困難だとしております。
さらに6ページに移りまして、ここでは民間及び地方公共団体への移管等についてということで、その理由を五つほどに整理しております。まず環境問題の研究調査等をやっていくに当たって、中立、公正かつ正確な科学的知見が不可欠であるということ。さらに先端性、継続性に加え、政策ニーズに対応した迅速性を具備する必要がある。このような機関がそもそも我が国においてはもう30年の歴史を持ってトップクラスでやってきた国環研以外にはないと、その国環研の絶対的重要性、位置づけというのをまず述べております。
それから次に「業務の性格上」というところですが、これが特に基礎的研究が多い、あるいは当然基準等の設定に対して重要かつ不可欠ということ。さらにいろいろ書いてありますけれども、長期的な取り組みも必要である。また加えて特に実験系設備ですけれども、特殊かつ大型の施設・設備が安定的、継続的に維持・管理できる体制が必要であるということで、この業務の抱える性質上、要するに民間あるいは地方公共団体でできないというような理由になるようなものをここで書いているわけです。
それからもう一つ「さらに」のところの段落でございますけれども、情報の提供につきましては環境基本法においても国がこのための努力を行うべき旨、定められていることを書いてあります。次に地方公共団体、民間団体等でもそういう情報を扱うような機関がありますけれども、それぞれ役割はあるものの、国全体として有用な情報を幅広く効率的に収集し、適切に活用に供することができるというのは、国環研をおいてほかはないということが書いてあります。
以上の業務について、総じて採算性がないか、または低いものが主体であると。それから特定の地域の問題のみを対象とするものでもないということで、民間、地方公共団体への移管は困難ということです。なお書きのところで、先ほど方向性のところで若干補足しましたが、民間・地方公共団体等とはこれも適宜役割分担を図りながら実施しておりますと、民間、地方公共団体と全く離れてやっているということが理由ではなくて、必要な役割分担は図りながらやっていますということが書いてあります。
それから説明の最後に、7ページの「組織形態の見直しに係る素案」でございます。これは先ほどの閣議決定の見直しの基準のところで、廃止あるいは民営化ということが、この組織形態の見直しの1番目、2番目にありましたが、国環研の場合についてはこの部分は該当がないという判断で、3番目にありました公務員型、非公務員型の話を書いております。現在公務員型で法律が定められているわけですけれども、ここではまず具体的措置として争議権の付与に伴い生ずる恐れのある業務停滞及び業務の適切かつ確実な遂行の観点から、職員の身分については引き続き公務員型とすることが適当ということにしております。これは世の中の流れといいますか、独立行政法人をめぐるいろいろなご意見、流れというのは、特に昨今できるだけ非公務員型へ移行させていこうということにはなっているわけですけれども、独立行政法人制度がスタートして、公務員型のままにするか、非公務員型にするかという議論が当初からもちろんありました。そのときにやはり一つは、これは争議権との裏腹になりますが、業務の停滞が国民に著しい影響を及ぼすかどうかというのが一つの判断基準になっておりまして、そこで国立環境研究所を含め研究所系のかなりの法人は公務員型ということで、個別に法律で定められた経緯がございます。
この理由としては、当時と変わっておりません。ここで書いてあります三つの段落でございますが、一番上の段落は地球環境問題もありますけれども、化学物質による環境汚染の調査研究等々、不断の取り組み、継続的な取り組みが必要であり、それが停滞すると未然防止対策がおくれたり、あるいはタイムリーな対策実施の支障になったりという懸念があります。こういうことでもって将来において国民生活や社会経済の安定に直接かつ著しい支障を引き起こすのではないかということが一つの理由です。それから「また」のところに書いてありますように、やはりダイオキシンを始め、緊急に新たな規制をやる、あるいは調査をやる、そういう場合にすぐに対応できないということになると、これは例示ですけれども、これも直接かつ著しい支障を引き起こすことが懸念される材料になるというふうに判断しております。
最後に職員身分ですけれども、ここでは現在公務員型で実施しているメリットを逆に考えますと、行政・企業・住民、言葉を変えれば利害関係者がいろいろいる中での調査・検討なども、環境分野の場合非常に多くあるわけですけれども、こういう業務を適切かつ確実に実行していく、例えば公務員の身分というのは非常にいいのではないかということが挙げられると思います。それから、情報の提供業務についても、公的機関、公的というか公務員の身分を持った者が集めるということは一つのプラス面でのメリットではないかということで、現在そういう形で順調にやっている業務に、非公務員型に移った場合支障があるのではないかという懸念を理由として挙げております。
以上が、この素案についての説明でございます。

【石井委員長】 ただいまの説明を受けました素案の(案)ですが、これにつきまして質問やご意見を承りたいと思いますが、いかがいたしましょうか。これは大体中身は三つの部分から成り立っておりまして、まず改廃です。つまり事務及び事業の改廃という部分がございまして、2番目が6ページの民間または地方公共団体への移管等、それから3番目が公務員型か非公務員型かと、こういう問題、この三つの部分から成り立っております。
 ということで、一緒に全部やってしまってもよいのですが、大きく二つに分けまして最初の二つ、改廃及び移管という、この問題を一つにまとめましてご議論をいただく。そしてそれが一段落したらば、次の公務員型か非公務員型かという論点についてご議論をいただくと。そういうふうに一応段落を分けてやらせていただこうかと思いますが、無論相互に関係がないわけではございませんので、話題が相互に入り組むことは一向に差し支えないと思いますが、一応そのように整理させていただきたいと思います。
 それでは、業務及び事務の改廃、それから民間等への移管の問題、これをまとめて議論したいと存じます。それでは質問、ご意見等、どうぞご遠慮なく。

【柘植委員】 よろしいですか。ベネフィットな意見じゃなくて、こういう見方で、今回は間に合わないかもしれないんですけれども、もうちょっと諸外国のベンチマーキングをした上での判断をしたいなというのがあります。例えばアメリカの国立研究所なんかは、私の知っているところで、例えばリッチランドにあるようなパシフィック・ノースウェスト・ラボですか、ああいうもののオペレーションについてはバテル・メモリアネンスがオペレーションとして請け負っているわけです。ただ、それは多分施設のオペレーションであって、研究者というのは多分違うと思うんです。
そういう目で、諸外国の国立研究所のベンチマーキングというのはやはり並行してやって、その上でここの判断を照らしてみて、もちろん全部まねる必要はないわけですけれども、そういう少し立体的な見方というのがありたいなというふうに思っております。ただ、本来はやはり先ほど私が総括で申し上げたような、研究の質を落とさずに、かつリサーチャーに対するサービスもある意味ではレベルアップしながらも、総経費は減るというような経済原理が働いているように想像しておりまして、余り私自身も研究していないんですけれども、きょうのこの案に対して、ちょっとそういう印象を持っています。

【石井委員長】 何かコメントを事務局の方からお伺いいたします。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 ご指摘の諸外国の視点は、正直なところ入れてはおりません。一応、先ほどちょっと触れました参考資料2というところで、いろいろな視点から国際的な科学的・技術的水準をチェックせよという中で、国際社会との連携とか国際社会におけるこの研究所の重要性、そういったところは整理した部分はございますけれども、理由にはなりませんが、特にこの視点では諸外国の比較というのは挙げられていなかったこともあって、ご指摘の点は踏まえてないというのが正直なところです。
ただ、今後ヒアリング等で説明をしていくときに、当然一つはEPA関係の環境研究機関がどういうものか、その辺はかなり有力な説明材料になるのではないかなということで、あそこは現在もちろん直轄ですけれども、規模的に見ても職員数でも予算規模でも大体国環研の10倍という規模になっています。それと比較しても国環研がいかに少ない人とお金でたくさん仕事をやっているかという説明材料になるかなと、その辺の調べまでは行っていますが、委員のご指摘を踏まえてもう少しその辺勉強してみたいと思います。

【石井委員長】 これはまずこれからの調査研究をよろしくお願いしたい。これは国環研の方でも、ほかの国の体制とか、そういうことについての比較とか、実際の調査研究はやっていらっしゃるんでしょうか。

【合志国環研理事長】 システマティックにやっているわけではございませんが、先ほどのEPAの例などは、我々も調べたりしております。
EUでは、EU全体として環境の研究のアクティビティが幾つかございますし、それから各国はそれをまた分担して持っているというような問題があります。EUに関しては10倍ではきかない規模だろうと思います。ただ、それを国一つ一つとして勘定するのか、それとも全体で勘定するかというと難しいところであります。例えば単なる水だけの研究所ということでドイツで持っている研究所でも百数十人ですから現在の環境研の3分の2ぐらいの規模を持っているわけです。これは海洋とかそういうものを含めないで、単なる水の研究だけです。それぐらいでありますので、そういう意味の規模は常に驚くほどの差があるというのが実情であります。ただシステマティックにはとらえておりませんので、将来に備えて我々としても数値的に表現できるようにしたいと思っております。

【柘植委員】 ぜひEPAですか、そこの組織・規模はもうけたが違うでしょうけれども、そこのいわゆるリサーチとそれから施設のメンテナンス・オペレーションといいますか、そういうものの経営がどうなっているかというのは、ぜひ調べられて我々も参考にしたいなと。

【松野委員】 今のに関連してあれですけれども、この独立行政法人化が始まるときに、何か国立環境研のあり方検討会とかって、たしかありましたですね。私も参加させていただきました。近藤先生が座長だったかな。あのときに何かいろいろ議論があったんじゃないでしょうか。それで今のEPAの研究所が3,000人だか何とか、そういう話も出て、あのころの資料が残っていないでしょうか。

【合志国環研理事長】 そのころに調査したのが、その数字でありまして、2,800くらいでした。ただし、いわゆるお役所自体(EPA)の規模が(環境研の)1けたぐらい上でありまして、そういう意味で取り組み方は大分違っているというのが現実ですね。

【松野委員】 今おっしゃったことに対して、あのころのはそんなに古くなっていないと思うので、それをもとに柘植委員が言われたようなことができないかなという、そういう質問なんですけれども。

【合志国環研理事長】 実はあの調査というのは結構大変でして、EPAの場合、当時は全員で何人だというデータが出てこないんです。それで、インターネットでメンバーを全部引っ張り出しまして、熱心な人がいて数えました。いずれにしても、調査しておくべきことであると思っております。

【石井委員長】 サイズそのものの比較はもちろん大事なことだと思うのですが、柘植先生がおっしゃったのは、多分EPAならEPA自身、プロパーでやっている仕事とその外側にどういう形であるのか、委託なのか連携なのか、そこのところがよくわからないんですが、メンテナンスの仕事というのは一応その外側に出ているのかもしれない。それを国環研がEPAよりはるかに小さいサイズで全部まとめてやっているということの問題性が、もしかしてあるのかもしれないというようなことだろうと思いますが。

【柘植委員】 まさにそうでございますね。正規職員という形と、それから同じ設備にいてもちろん身分証明書も持ちながらも、実はメンテナンス・オペレーションをやっているのは民間籍、それが一つの国立環境研究所としてオペレーションしているのではないかと。ほかの研究所ではそういうような事例を見ていまして、そういう面で今まさに委員長がおっしゃった面で、1度ベンチマーキングをされるといいなと思うんです。

【石井委員長】 これは諸刃の剣になるかもしれないけれども、例えばあとで議論する第2の公務員、非公務員の問題とも関係すると思うんですが、コアだけはこれはどうしても公務員でないとまずいよが、その外側は別の考え方もあり得るというようなことで、逆にその理論武装を固めることになるのかもしれないし、全部が民間でもいいじゃないのという話になってしまうおそれもないわけではないんで、難しいことだと思うんですが、一応やはりきちんと、それこそ公正・中立な調査研究に基づいて議論をしていかないと、結局どこかで足をすくわれるということにもなりかねないので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】 今、柘植先生からご提起あった問題に関連するんですが、私自身今ご説明のあった素案整理表をちゃんと読んでいないからあれなんですが、ただ印象としては、どうしてもこうならざるを得ないと思うんですが、かなりディフェンシブに書いてあるんですね。どういう意味かというと「改廃は無理である」とか、私はディフェンシブどころかオフェンシブであるべきだというふうに思っているわけです。
これはかねてから、私自身若いときからそういうふうに思っているわけですが、例えば先ほど齊藤室長の方からご説明があった参考資料1の中に、日本政府に関連する独立行政法人はこんなにありますよと、50だか60だかありますと。これをさっと見ていますと、多くの部分がいわば生産にかかわる機関なんです。産業技術総合研究所を初めとして農業工学研究所とか、通信情報研究所とか原子力だとか科学技術振興だとか、国際機構だとか畜産振興とか、非常に乱暴な言い方をしますと、つまり日本国としてどこに重点を置いてきたかというと、簡単に言えば非常に荒っぽい言い方をすれば、いかにして生産を効率的に高めるかというところに非常にウエートを置いてきたと。これは独立行政法人だけじゃなくて、役所の機構を見たって、経済産業省、国土交通省等を初めとして、ありていに言えば日本の生産力を増強するための役所であり、またそれを技術的にサポートする研究機関があったと。
それでその結果として環境問題、地球環境問題を引き起こし、その結果としてというのはまた語弊があるかもしれませんが、結果としてそういう時代になり、環境問題が非常に重大な問題だと。ただ、環境問題重大だとは思わなければ、別に日本政府が持っている50~60ある独立行政法人の一つで、ちょぼちょぼとやっていなさいよと、280人程度でちょぼちょぼやっていればいいですよと、ほかに日本には50も60も問題があって、何も環境問題だけが大問題でも何でもないんで、まあほどほどに死なぬように適当にやっていなさいというのが、ありていに言えば今までの姿じゃなかったかなと、こう言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういう印象さえこの表を見ていると改めて思うわけです。
 私自身、多分ここにいらっしゃる先生方、多くの方はそうだと思うんですが、地球温暖化を初めとするさまざまな環境問題というのは、人類の将来にとって重大だと。しかもそれはもう100年も1000年も先の話ではなくて、恐らく数十年ぐらいの非常に近々の課題であるというふうに多分ご理解していらっしゃるんだと思うんですが、そういう観点から見て、果たして今までの国立環境研究所のこの組織・体制というのがよかったのかということです。私ははっきり言って、むしろこれを10倍ぐらいに、数を言ったってしようがありませんが、また大言壮語したって日本政府の中でそういうことが認められるかという問題もありますので、大言壮語するつもりはありませんが、私は少なくとももっともっと改廃する必要はないというんじゃなくて、むしろ大いに増強すべきであると書くべきじゃないかと。少なくともそういうスピリットで文章を書くべきじゃないかと強調したいわけです。
 多分、そう言ったって日本政府の全体的な、それこそ三位一体改革とか行財政改革とかいろいろな中で難しいことは百も承知です。この評価委員の一員である私自身としては、国立環境研究所の果たすべき役割というのは非常に大きい。ですから語尾が、例えば先ほど齊藤室長からご説明のあった「事務及び事業についての大幅な改廃は困難である」という表現、ディフェンシブな表現ですが、むしろ「大幅に増強すべきである」というふうに少なくとも重大性及び使命から見て書かなくてはいけない。本当にそれがそんなに重大なんですかという議論はあり得ると思います。地球温暖化なんて何騒いでいるのと、そんなものは大した問題じゃないんじゃないですかという人も世の中にたくさんいますので、大いに議論したらいいと思うんですが、私は「大幅な改廃は困難である」という語尾ではなくて、先ほど言ったようなことにすべきだと。
 それから同様に、そういうことを主張する以上は、新しいニーズが一体どういうものかというものも、少しやはり書いておくべきじゃないかなと。何か抽象的に、新しいニーズに応じて適当に変えていくみたいなことが書いてある。恐らくここは大論文を書く場ではないから、こういう表現にならざるを得ないと思うんですが、ニーズについてもうちょっと何がニーズになろうとしているのかということについて、例示的にでもいいから書くべきじゃないかなというふうに思っております。私自身は、何かくどいようで恐縮ですが、これから先はやはり適用型技術といいますか、要するにもう温暖化は避けられないという前提で、どうやってその中で被害を最小限に食いとめていくか、またどうやって産業構造とか都市構造とか、ライフスタイルとか、そういったものを改変していくか、そういう方向もぜひ増強の中で入れてもらいたいというふうに思っているわけですが、その議論はさておいて、一応スピリットだけは、委員長、そういうスピリットで書いてほしいなというのが私の意見でございます。

【石井委員長】 私も「大幅な改廃は困難である」というのは余りいい表現ではないなと思って聞いていたんですが、全体のサイズは、例えば内閣の情報セキュリティのスタッフの数なんていうのは、アメリカの何百分の1ぐらいしかいないとか、もうどこもかしこも日本はチープ・ガバメントなんですけれども、それは別にして、国立環境研究所が国際的にも中核機関として役割を果たしてきている、というよりはもう一つトーンが高くてもいいのかなと。つまり環境問題についての日本の国際的責任や役割の大きさ、これがもうちょっと前面に出ると、全体がもうちょっとトーン・アップしていくんじゃないかなという気がいたします。室長どうぞ。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 大変ありがたい貴重なご意見ですので、できる限り努力いたしたいと思います。
 少し言いわけだけさせていただきますと、先ほど経緯のところで説明したように、閣議決定の見直しの基準等々、例えば民間に移管した場合どういう問題が生ずるのか等々の設問というか視点がありまして、それに一つ一つ検討を加えた上で、それを要約して書くという流れになっているものですから、どうしてもディフェンシブになっているというのが否めないところで、表現上の工夫はご趣旨を踏まえまして、検討させていただきたいと思います。
 また、一つ国立環境研究所の置かれた状況というのは、ほかの省庁の法人と若干違うのではないかというところだけご承知おきいただきたいのは、例えば固別名を挙げて恐縮ですが、農水省系ですとか国交省系ですとか、七つ八つの研究機関を独法として持っているところで、当然のごとく新聞記事にも若干載りましたが、統廃合という、もっともっと大きな問題から実はこの議論が始まっていまして、そこのところのハードルが国環研の場合はないので、いきなり中身の議論に入れるということで、ある意味恵まれている状況なのかもしれませんけれども、そういうことで、今こういう素案も各省それぞれのステップを踏んで、一斉に8月末までにそろうわけですが、なかなか並びがそろうのかどうか、これで本当に十分なのか物足りないのかという、その辺まだちょっと読めないものですから、もう少し日がたてばその辺の情報も、こういった委員会資料ということでどんどんわかりますので、そういう状況を見ながら今の趣旨についても十分検討していきたいと思っております。

【石井委員長】 鷲谷委員どうぞ。

【鷲谷委員】 守りの表現よりも攻めの表現にした方がいいということでは、ちょっと気がついた部分があるんですけれども、6ページの一番下のパラグラフですが、「以上の業務については、採算性がないまたは低いものが主体であり」という表現があるんですけれども、この採算性というのはコスト・ベネフィットとかコスト・パフォーマンスということだとすれば、環境研究というのは長期的・社会的視点から見ればコスト・ベネフィット、コスト・パフォーマンスが非常に大きいものだと思うんです。ですから例えば修飾もつけて、短期的に見れば経済的再生がないか、または低いものであるが、長期的には公益性の高いとかいうような表現にした方が、前向き。これだとすごく後ろ向きな印象になりますので、何か工夫をしていただけたらと思います。

【石井委員長】 貴重なご意見、ありがとうございました。それでは桜井委員どうぞ。

【櫻井委員】 このあたりなんですが、高度の専門研究者集団を安定的に維持する必要があると思うんです。それが一番基本なんじゃないかなというふうに感じておりますので。そうしますと民間にすべて移管することは当然できないので、数のバランスの問題になろうかとは思いますが、いずれにしても利益に直結しない研究について、高度の専門研究者集団を安定的に維持することが民間に移管した場合は困難になると。そういうことは、もうちょっとはっきり書いた方がいいのではないかという感じがいたしました。
 地方公共団体に移管することは当然無理なわけですが、では日本がなぜこういう環境研究をやる必要があるのかという点ですが、国の環境政策上必要であると。いろいろ特殊な問題、国としての問題もあるでしょうし、地球全体の環境政策に国際的に貢献するということもあるでしょうし、地球全体の環境が国にも直結しているという面もありますので、日本が研究しなければならないという点も重要ではないかというふうに感じます。
 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございました。高木委員どうぞ。

【高木委員】 ディフェンシブからもうちょっと攻撃的にという観点ということは、私も全く賛成でありまして、ちょっと加える観点としまして一つ申し上げておきたいと思うんですけれども、私は、国環研は国家戦略のところからして戦略的領域を担えるというふうに思っておりまして、経済・社会、ひいては政治に関して戦略的な部分を十分担い得るというふうに思っていますので、そのような観点もいかがかというようなことを1点つけ加えさせていただきます。
それから、公務員型か非公務員型かとのあれで、特定か非特定かという話ですけれども、現状任期付研究員及び流動研究員がかなりの数に上っているというところを踏まえた記述にされておかないと、というか、そこのところをきちんと整理しておかないと、ちょっとそこのところを突かれたときになかなか難しい対応になってくるのではないかなというふうに思われますので、現状この素案を読みますと、その辺のところについての言及がほとんどされていないというようなことが言えますので、その辺のご対応をもう少し考えていただいた方がよろしいのかなと。
私も国環研について公務員型か非公務員型かというのはなかなか難しい問題だなというふうには思うんですが、ただ、先ほど申し上げたような国家戦略的な活動を行うということから考えますと、国家公務員型かなというふうにも思うところであるんですけれども。ご参考までに意見として申し上げさせていただきます。

【石井委員長】 ありがとうございました。では松野委員。

【松野委員】 今お話が出たところで、公務員型である必要がなぜなのかというのは、国環研は必ずしもわからないです。まさにお話にあったように、僕も同じ点を考えていまして、現に研究に携わっている人は非常勤の人の方が多くなっているんですから、公務員じゃない人が多いんで、研究をするのに公務員である必要はない。それから国家戦略に携わるといっても、これは知識とか知恵を通じてなので、それと公務員とはそう直結するものでもないと思いますし、そういう意味では産総研だって重要な日本の産業技術の政策というか、そういうことに関連してリーディングな技術開発をリードしていくとか、そういう役割を持っているんで、そこは公務員型でなくなっているわけですから、なぜ国環研は公務員型でなきゃいけないかというのは、私自身もよくわかりません。その辺どういうふうに考えるのか教えていただきたいと思います。

【石井委員長】 問題が第2の課題の方にシフトしてきましたが、当然そうなるだろうというふうに私も考えていましたので、この流れに乗ることにしましょう。今の点について高木委員からも問題提起があって、コアの部分が研究というよりも国家戦略という、そっちのキーワードで説明した方がわかりやすいんじゃないかというご意見もあったわけですし、今の松野委員の方もつづまるところそういうことで、それを裏から見ると研究プロパーについてなぜ非公務員はだめなのかということについて、きちんと説明をしなければいけないんじゃないかということですが、いかがですか。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 先ほども7ページで理由のところを、多少苦し目に説明をさせていただきました。
 確かにどちらの形態でも、それなりのパフォーマンスというのは当然可能であるという世の中であると思いますし、公務員で法律に基づいて保障なり規定をされている部分と同等のものが法人ごとに定められるというふうになるわけですから、同等のものが定められれば実質的に変化というのは余り起きないという世界であることは確かです。
 現段階で所管省として公務員型引き続きという方針にしたいという理由は、一つはここに書いた、法律制定時と業務停滞の影響の観点はそう変化はないのではないかと。一応法律ですから特段の変化があれば変えることはやぶさかではないんですが、そこの状況変化がないという判断が一つです。それともう一つは、まだ国環研の組織自体から特に要望等々出ていませんが、推測するところ積極的に今公務員型であるものを非公務員にしようという要望というのは今のところないなということがあると思います。
だとすれば、特に働いている研究者の方々では今まで産総研でもありましたし、国立大学の独法化のときにも議論があったように、やはり公務員として就職をしてずっと研究をしているということが変わることに対する懸念というのは非常に大きいと思うんです。先ほど申し上げた理由とあわせて総合的に考えると、公務員型維持が可能であれば維持して全く問題ないし、あえて非公務員型へ移行する特段の理由は今のところ見当たらないのではという、逆のアプローチで考え、こういうことにさせていただいています。ただ今後、当然国環研サイドでも中での情報交換等を踏まえた、いろいろなご意見もあろうかと思います。またその辺の状況も見ながら、当然素案がこうだからこのまま通るというものでもなく、総務省からの勧告等々いろいろな動きがあって、我々も説明していかないといけませんので、先ほど高木委員からも戦略絡みの話もありました。そういう点で少し理論武装できるのであればして、この形で行きたいなというふうに考えています。

【石井委員長】 藤井委員どうぞ。

【藤井委員】 公務員型とすることが適当のこの一番上の2行ですが、「争議権の付与に伴い生ずる恐れのある業務停滞及び業務の適切かつ確実な遂行の観点から、職員の身分については、引き続き公務員型とすることが適当。」とありますが、具体的にイメージをつかむために、例えばこんなケースということで、ちょっと例示いただけませんか。あ、なるほどこれだったら公務員型という非常にポジティブなことが言えるのか、そこのところがこの2行では非常にわかりにくい。このままでは「ゆえに公務員型とすることが適当」とつながらないのです。ですから、つながるのだという、そのイメージをちょっとつかませていただけたらと思うんですが。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 上のところというよりは、理由のところでもうちょっと具体的にきちんと書けということなのかもしれません。上の文章は確かに要約なら要約ということで、もうちょっとちゃんと書かないといけないなという気がします。
 下の例では、「また」の真ん中のところにダイオキシンのことを例に挙げていますけれども、例えば我々説明のときに使うとすれば、先般ありました神栖町で毒ガスの問題が発生したときに、いち早くプロジェクトチームを組んですぐ分析法を開発してという対応が実際になされたわけです。そういうときにストライキ等でそういう部分が動かないということになれば、これは非常に問題解決をおくらせることにもなる。そういうような事例が過去にも幾つかありました。例えばナホトカ号の事故のときの環境汚染のモニタリングから収束までをきちんと対応したとか、そういう緊急時の対応というのが、環境分野では予想がつかないことも含めて想定されるという観点が、恐らく一番説明しやすいのかなと思っております。

【石井委員長】 加藤委員どうぞ。

【加藤委員】 どうもたびたびで恐縮です。ただ委員長がもう第2の公務員の問題について触れてよろしいということなものですから、ちょっと今の点で。私も藤井さんと同じように、どうもこの「争議権の付与に伴い」というのが、一体これでいいのかなと。要するに簡単に言うとストライキをやられては困るから公務員がいいですよと言っているわけですね。だけど本当かなということです。そもそも公務員自体にそういった争議権を与えようという議論も起こってきているわけで、そうなったときは一体どうなるのかという問題です。
 それから、では民間だったらそういうことが起こらないのかというと、民間は民間なりに苦労していろいろな対応をしているわけです。今室長が挙げられた例でいくと、要するに危機管理体制という問題で、急遽人が動くとき業務命令みたいなものがちゃんと発生できるかとか何とかという、そういう話だと思うんで、私は先ほども申し上げた国立環境研究所が日本における役割の大きさ、環境問題の重大さ。ですから、それはもう国内外であれ、何かそういった環境に関する一種のエマージェンシーが起こったときに、職員が派遣できるような体制というのは別途つくってやるべきで、公務員であろうがなかろうが、そういうことじゃないかなと。それこそ今民間でも国境を越える医師団なんていうのは、どこかで地震が起こればパアッと出かけていくわけです。それは公務員ならできるけれども民間ではできませんよということにはならないんじゃないかということが一つです。
だからといって、私は別に公務員型とすることが適当というのは、恐らくいろいろな問題があると思うんです。これをやめてくださいという主張をしているわけではありません。ただ理由が、ストライキが起こってはかなわないから公務員だというのは、いかにも次元が低いなというか、それから例に挙げたのも適当ではないのではないかということです。
 それから二つ目は、これはちょっと言葉のあやで恐縮ですが、私もかつて公務員をやっており、公務員を離れて11年、一応株式会社の研究所を経営し、NPO活動をやっている人間から見て、このページの最後の下、「公平・中立の立場から行うことが大前提となるが、公務員身分が付与されない場合、本業務に支障が生ずる」と、ここが非常に抵抗を感ずるわけです。むしろ世間は公務員の方が公平・中立ではないんじゃないかというふうに思っているわけです。障壁にとらわれて。我田引水をすると。すべての人がそう思っているとは思いませんけれども、世間の人はむしろそういうふうに思っている人が多いんじゃないかと思うんです。
ですから、何か官尊民卑みたいな思想がここに残っていて、公務員は厳正・公正・中立ですよと、だから公務員がいいんですよ、民間に渡すと何をやるかわからないと、こういう思想だと思うんですが、それはちょっとおかしいと。これを理由にするのは、もうこれが通用する時代ではないんじゃないかなというふうに思うわけです。恐らくこれはどこかにこういう回答のひな形があって、こういう「争議云々」という文章が出てくるんだと思うんですが、私はもうそろそろそれを脱却しないといかんじゃないかなというふうに思います。

【石井委員長】 何か今の国環研の方でご感想ございますか。

【合志国環研理事長】 率直に申し上げますと、我々は研究所のアクティビティが上がることであれば、何法人であろうと構わんということでございます。あえてそこに一条件を入れるとすれば、極力公正・中立性というものが見える格好で組織されていたいということであります。もうそれに尽きるといってよろしいと思います。ただ、その両方を満足するような、天国みたいな組織があり得るかというと、そんなに簡単ではないと思います。

【石井委員長】 国立大学の教員が非公務員になっている。だけど、そこの大学の先生がやっていることが公正でも中立でもないんだなんて、だれも考えていないはずだろうと思うと、やはり少なくとも表現は一工夫も二工夫も要るのかなという感じはするわけですけれども。
ただ、一つ先ほど高木委員のおっしゃったことの繰り返しになりますけれども、国家戦略との関係で、もし公務員でなければならないというリーズニングができるんだとすれば、それはそれで十分考えていただきたいと思いますし、何も私たちみんなが無理やり非公務員型にするべきだと考えているわけではないと思うんですが、少なくともここに書かれている限り、ちょっと根拠づけが弱いのではないかなと。そういうご心配がここにあらわれているんだと、こういうふうに受けとめていただきたいわけで、ただぼろくそにけなしているわけではない。

【加藤委員】 ええ。そういう意味じゃありません。敬意を持ってコメントしております。

【松野委員】 そうすると、これの位置づけですけれども、これはこの評価委員会がコメントすることなのか、それとも何か原案があって、それに我々がコメントすることなのか、どっちでしょうか。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 冒頭委員長からも説明がありましたが、補足をさせていただきますと、これはあくまでも主務省、主務大臣が作成する素案です。素案の検討に当たっては評価委員会の意見を聞かなければならないという法律の準用をいたしますので、基本的には例えば違った方向の意見が幾つか出たら、それはいただいた意見として整理もしますし、当然集約できるご意見についてはこの素案づくりに反映をするということになります。ですからスケジュールを先に言うべきだったかもしれませんが、次回の委員会が30日、期限ぎりぎりなんですが、予定されておりまして、今日いただいたご議論なりご意見を踏まえて反映すべきものはしますし、あと意見として幾つか整理できるものはします。その上で、ご欠席の委員がきょう6名ほどいらっしゃいますので、また個別にも説明をしてご意見をいただくなりして、次回までに新しいバージョンを用意するということになりますので、きょうの段階ではこの素案の(案)に対してご意見をいただくなり、自由なご議論をいただければということになります。

【石井委員長】 法律上「意見を聴かなければならない」という表現になっている。これは中期目標期間が終わった段階でどういう措置をとるかということについての法律の規定でございまして、それをいわば準用して前倒しの素案についても同じ手続を踏みましょうということです。法律上「前倒しの素案」なんていうものは、どこにも書いてあるわけではないのですが、実際の実務上そういう準用の精神でいきましょうということです。ただ、法律で「意見を聴かなければならない」と書かれてある趣旨は、相当強い意味だろうと私は思っております。意見を聴きました、しかし私の方はこう行きますと、環境大臣がおっしゃるわけには、私はそう簡単にはいかない話だと思っております。どうぞお待たせしました。

【坂本委員】 先ほど来、国として非常に環境政策が重要だというような話が出てございます。先ほどの評価書の方で、政策関係でやっている人は少ないから、文章で先ほど語句は除いたわけですよね。今回今出ている文章には、まだそれが整合性のない形で入っているわけです。むしろそれは、今後そういう方向を充実させてやっていくのがこの研究所にとってもいいし、それから国としても重要なんだということを主張する意味では、先ほど除いた政策面の研究が、人が少ないからという形で除いたわけですけれども、むしろそうではなくて、入れてそういう部分を増強する必要があるんだという主張をした方が全体としての整合性も合うという形になって、先ほどあれでいいでしょうという形でまとめられたわけですけれども、またむしろそれは復活して、その辺も考慮した文章にするべきではないかというふうに思います。
 今ここに出されているものですと、3行目に政策科学等々と書いてある。この辺の文章も、少しそういう意味では今後の環境研をどういうふうにやっていくか、従来の部分に加えてより増強するべき部分を何か考えた形の文章にされ、先ほどの評価書の中でもそういう言葉を入れた方がいいというふうに思います。

【石井委員長】 ちょっと質問ですが、それは公務員に関する部分についてでしょうか。

【坂本委員】 じゃなくて、最初の方の部分です。

【石井委員長】 直接的には関係はないご議論ということで。

【坂本委員】 はい。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 今の点につきまして再度補足をさせていただきます。
 資料3をご覧いただきたいんですが、特に石井委員長は先ほどの経緯を知りませんので、ちょっと補足をさせていただきますと、1ページの概評の1段落目の後段に、「その基礎となる学問分野も」というところで、「物理学、化学等理学、工学、農学、医学から経済学等までまたがり」という表現になっておりますけれども、この部会長原案では実は経済学のところが「経済学・政策科学等社会科学までまたがり」と書いてありました。ここの部分は坂本委員のご指摘もわかるんですけれども、現在こういう学問分野の人たちがたくさん幅広くいますよという事実関係を記述するに当たっては、国環研側の考えとして、政策科学と呼べる専門家集団というよりは、まだ物理学なり経済学なりほかの社会科学分野の人たちが、法学とかまだいると。政策科学というくくりの表現はちょっとまだ難しいのかなというご事情を聞いたものですから、経済学等。一番文科系の研究者で多いのは経済学の方々。全体の研究者から見ますと、パーセンテージにすると0.5%ということになるんですが、次いで法学が0.5%ということで、なかなか政策科学とくくれないんじゃないかということで、こういうような表現にさせていただいたということです。今ご指摘の観点はよく理解はいたしております。

【石井委員長】 坂本委員のご意見は、先ほどの評価書の表現を少し考え直した方がいいんじゃないかという意見でしょうか。

【坂本委員】 資料2のところに今冒頭に中期目標の達成状況という形で、評価書からのものが入っているということですね。そういうものとの整合性を考え、かつそれが非常に我々、この委員の方々がおっしゃっている、それから環境研の方々もそういうものが国の戦略的に考えても環境政策は重要なんだと、そういうことをやはり主張した方が、この後の見直しに対して無理ではない形でいろいろなものができて、かつそれは皆さん重要だと思っていらっしゃるわけで、そういうふうに書き方を整合させた方がいいのではなかろうか。今人数は少ないけれども、そういう方向での重要性を認識させる形に使えないだろうかということです。

【石井委員長】 私そのいきさつよくわからないんですが、この資料2の1ページ目の3行目というか、この文章全体は「専門知識を必要とする多様性に満ちた研究所である」ということで、現在この条件を満足しているとは書いていないんですね。如何ですか部会長、ここで部会にまた差し戻すというのもちょっとかなわんですが。何とか資料2の中で政策科学ないし社会科学という言葉を残す形にしていただけないでしょうか。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 先ほど部会でこういう表現になったことは確かですが、こちらの素案との整合性はとりたいと思います。もしこの場でこういう表現に戻すべきだということであれば、それはそういうふうにした方がいいと思います。

【松野委員】 これはもう本当に幅広いということをわかりやすくするために具体名を挙げていることですから、そのわかりやすさの問題ですし、社会科学というとちょっと漠とするという気はしますが、ただどっちかというとやはり当初理工系の研究機関であったし、今もまだその傾向が強いという意味では、「社会科学」という言葉で全部表現してしまうというのも、一つの手かなと思うんですけれども。

【西岡国環研理事】 先ほどのお話と別に矛盾するわけじゃないんですけれども、もう一度事実を述べさせていただきますと、社会環境システム部等では、出身からいいますと農業経済学、経済学、それから国際政治学、法学のメンバーがおりまして、さらにそれにいわゆる社会工学の分野の者が数人作業していると。その中で私もさっき申し上げたんですけれども、私なんか中途半端な者を含めて、いわゆる政策学というものは、そういうものの総合として成り立っているんじゃないかと思います。ですからこういう形で書くとしたら、物理学、化学と理学、工学、農学という形でいきますと、これは社会科学と一括して言っておいた方が幅広いなという気はいたします。

【石井委員長】 それではどうでしょうか。資料3の評価書をちょうだいしているわけでございますが、「経済学」というところは誤植だったという部会長からのご発言を頂けますか。

【松野部会長】 はい、そうさせていただきたいと思います。

【石井委員長】 ではそういうふうにさせて頂きます。それを踏まえて元の議論に戻りますと、公務員型が望ましいという議論をきちんと書けるかどうかということで、とにかく出してみよう、それでやられたらじゃ切りかえましょうという、もしそういうことだとちょっと困るんで、つまりこうこうこういう理由でこうなんだと、こう言ったのを簡単にひっくり返すわけにも本当はいかないはずでありまして、そこをどこまで腹を据えていくのかというのが、一番伺いたいところでもあるんです。そこなんですよ、問題は。

【桜井大臣官房審議官】 きょうは環境省として見直しの素案という形でご意見をお聞きするという意味での資料をお出ししておるわけですが、当然今までご指摘をいただきましたような点を踏まえて、もう一度書き直しといいますか、修正をいたしたいと思います。いずれにしても、8月末までに環境省としての見直しの素案を提出するようにということでございますので、ここでの論点を環境省としてはこういう論点であると考えるということを、この理由のところにはっきりわかるように整理をし直しまして、その論点が果たしてこれからの情勢の中で全体の見直しを議論する中で、通るものかどうかということだろうと思います。仮に通らないということがあれば、その時点でまた再検討するということもあり得るかなとは思いますが、いずれにいたしましても国立大学の場合も多分そうだろうと思いますが、先に研究所で、例えば非公務員型に移行しました産総研にいたしましても、そういうふうに移行することについての、やはり身分上の問題についてはその組織内での議論がかなりきちんとなされておるというふうに理解しておりますので、そういった意味でまだ国環研の方では議論をしていただいておりません。そういう意味では方向性といいますか、論点をはっきりさせた上で総務省なりと議論をした上で、方向性が仮にそうなれば、またそのような方向での議論をしていただかなければいけませんから、私どもとしては8月末までに提出するものとしては、その環境省の考える論点をもっと明確にした上で、9月からの議論に臨みたいというふうに考えております。

【松野委員】 先ほどのまたこの素案と我々の立場との関係のことなんですが、そもそも先ほど加藤委員が言われたみたいに全体がディフェンシブに書かれているということについては、我々は必ずしも全然そう思っていないと。その関係ですが、評価委員会というのは意見を聞かれて、それは我々は意見があるんですけれども、これは環境大臣が素案をつくったとすると、大臣がどこか総務省なり総理大臣から何か言われて、なるべく小さくしろとか、なるべく改廃の余地がないか聞きたいと言われたために、こういう形になっているのかどうかということです。そこが、もともとがそういうものであれば、それはそういうふうにならざるを得ない。これをやめる余地はないのかと質問されたのなら、そうなるわけですが、その辺はどういうふうな立場。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 再度参考資料3を見ていただきたいと思うんですが、そもそも昨年8月の組織業務全般の見直しについてで、参考資料3の閣議決定が出たときに、3ページ以降に見直しに係る基準があり、最後に4ページ、基準の3というところに具体的措置というのがあります。この全体のトーンとしてはできる限り縮小・スリム化というトーンが明らかにされておりまして、かつ参考資料4でそれがもう少しブレークダウンをされて、勧告の方向性という紙になっておりますけれども、これにも例えば国が関与しない場合にどういう障害があるのかと。要するにネガティブチェック的な検討項目が提示されております。この流れからディフェンシブな表現になったと、言いわけは先ほどさせていただいたんですが、ただそこは書き方の問題で、いろいろなご意見のご趣旨を踏まえて、少しポジティブに書かないといけないなと思っておりますので、それは努力いたします。

【松野委員】 そうすると、我々はその意見を言えるというんですが、意見はどうやって言えるかということなんですが、今回評価に関しては先ほどの資料3というのは我々が主体的に評価の意見を我々の責任でまとめたものですから、これはいいんですけれども、今度はこういうものはなくて、今のディフェンシブな、そういう書類に対してここでこうやって直すしかないのかという、その関係は。

【石井委員長】 いや、意見はもう一度言う機会があるわけです。

【松野委員】 我々も積極的に、この紙は一つしかないのかと。これの中身をこういうふうに直してくださいというのか、そこの辺で先ほど委員長が言われた、それを十分尊重するぐらいの重みがあるというのだったら、やはりこれ自体のトーンが変わるぐらい書いてもらってもいい、もともと求められたのが大変改廃というチープ・ガバメントということを盛んに言ってきても、それをこっちが強くそういった形で書いてしまうぐらいであってもいいのかどうか、その辺です。

【石井委員長】 いや、ですから意見を言うべきことは言っていいんだと思うんです。それがどこまで最終的に受けとめられたかということについては、意見を聴かれたんだけれども聴かれてなかった、という結果になったとすれば、我々はやめると。そういうものなんだと思うんです。あけすけに申しますとそういうことなんで、拘束力はないはずです。しかし「意見を聴かなければならない」という法律の文言は、相当な重みがあるはずだと思う。したがって、我々発言する方もそれはわきまえなければいけないということだろうと思うんです。きょうは1回目ですから、それはディフェンシブであるとか、これじゃもたないよとかと、相当勝手なことを言っていますけれども、それを踏まえて今度30日に予定されているようですが、そのときに出された紙に対しては、我々はそれなりの覚悟を持って意見を言うということになるのかなと。そういうふうに私は理解しております。

【柘植委員】 30日どうしても来られないもので、ただいま委員長の言われた意見だけ、最後のチャンスとして。
 基本的に私は、国立環境研究所の研究者あるいは研究をマネジメントされる方は公務員であるべきだと思うんです。ここに書いてあるとおりであります。一方、恐らくこのスモール・ガバメント、そういう今の方向の中で現実問題、今後独立法人の中で起こってくるのは、先ほど私が申し上げたことの繰り返しですけれども、もう一回真意を申し上げたいのは、研究所の機能はリサーチ機能、当然リサーチのマネジメントという機能と、それからファシリティのメンテナンス・アンド・オペレーションというものと分かれてきて、私が知っていますアメリカの国立研究所の動きというのは、前者は国立、いわゆる政府の公務員で、後者はある経済原理のもとでとった、当然入札がされているんでしょうけれども、一括のオペレーションのメンテナンスというものの中で、結果的に国立研究所というのができ上がっている。多分これが一番国民の税金を使って、かつ最大の研究成果を上げるし、あるいはリサーチャーの研究環境というものがさらによくなるという、そういうメカニズムの進化の道だろうと私はにらんでいるわけで、それで先ほど米国のEPAをベンチマーキングされて、そういう目でごらんになるといいと思う。
 ただ、今度は社会学というか、今回のこの見直しという命題のもとで、そこをどこまできちんと受けてこれに書くのか。後ではこの7ページの組織形態に関する見直しという、この文書を見ると、この文書は明らかにリサーチ機能、リサーチのマネジメントの機能を縦にしているわけです。そういう目で見ると、ここでは設備のオペレーションのメンテナンスという面については触れていないわけでございます。ですから、今の段階では触れる必要ないかもしれないです。これはもう理事長の責任と権限の中でのマネジメントの中で、今のように二つの機能をそれぞれうまく分けていくということであるので、ここで触れる必要はないかもしれないんですけれども、ただ想定せねばならないのは、今後いわゆる独立法人の評価のときに、こういう組織形態の見直しにかかわる具体的な措置という、こういう命題でとらまえたときに、私と同じように、いやこういう形でやはりあるんだぞと。非公務員か公務員かという1対0の話ではないと、そういう話が出てくる可能性があると思います。これに対してやはり研究所の方も少しスタディをしていただくし、我々評価側ももう少し勉強しないといかんなと、そんなふうに思っておるわけです。
 だから結論は、私はこの方向は、表現はいろいろ先ほど先生方のおっしゃった表現でブラッシュアップされるようにお勧めしますが、結論は正しいと思うんです。ただ見方が、機能が二つに分かれているアメリカなんかでは1対0じゃなくて0.5みたいなやり方で、投資に対して最大の効果が出てくるような、結果的にそれは国力につながっていくと思うんですけれども、そういう見方がここにはまだ出ていないなというふうにコメントを申し上げます。

【石井委員長】 ありがとうございました。公務員というのは英語で言えばパブリック・サーバントなんで、先ほど国立大学とどう違うのかという疑問を出しましたけれども、違うはずです。国立大学の先生は自分の知的好奇心で研究をしていいんです。しかし国立環境研は恐らく違うんだと思うんです。やはり環境研のミッションというものがあって、それはまさに国の政策と裏腹の関係にあるわけでして、それを担っていく研究者というのはパブリック・サーバントであった方がいいという理屈は、私は立ち得るのかなというふうに思っておりますし、パブリック・サーバントとしてのモラルと使命感に支えられて仕事をするということが大事なんだよという説明はできるはずです。少なくとも今、柘植委員のおっしゃいましたコアの部分については、それは絶対言っていいのかなと思うんです。ただ、先ほどのお話に出ましたように、ストやられては困るよとか、そういう現象面をとらえて話を組み立てますと、ちょっとひっかかりがあるなと、そんなようなことだろうという感じがいたしますので、ぜひ意見をよくお聴きいただきたいなと、こういうふうに思っておりますが。どうぞ。

【桑野委員】 1の方に関連してなんですけれども、見直すときに次の中期計画、中期目標があると、よりもっとポジティブな、具体的なことが言えるんじゃないかと思いますけれども、その関係はどうなっているんでしょうか。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 手順からいきますと、仮に見直しの前倒しをしたとしても、次期中期計画づくりまではいきません。次期中期目標、中期計画づくりは来年末から年度末にかけてということになります。一つの理由は、個々の業務についてこれを継続すべきか廃止すべきか、あるいは新しいものを追加すべきかということが中期計画の方に必ず、環境省としては中期目標をつくるわけですけれども、そこを議論するのに今はちょっとタイミングが早過ぎるのではないかと。
研究が今4年目に入ったばかりで、5年計画の3年までの評価しか出ていなくて、果たして例えば重点のこのプロジェクトは引き続き継続すべきか、あるいはほかにもっと重要なものを追加すべきか。追加すると全体の制約が入りますから、どこか削らないといけないと。そういう議論をするのは、できるだけ中期計画期間終了に近い時点がいいと我々判断しておりますし、あと国環研の方でも、実は内部的にはそれに向けた検討を始めていただいているんですが、まだとても結論を得るところまでは行っておりませんので、もう少し時間がたってからと考えております。ですから、そういう状況の中でこの素案づくりをしなければいけないということで、いろいろご迷惑といいますか、判断しにくい面もあるかと思いますけれども、そういう事情でございます。

【石井委員長】 しかし、前倒しというのはやはり前倒しなのであって、あくまでも中期目標、計画の期間が済んだ段階でどうするかというのを、今から考えるという、一応理屈、建前から言うとそうですよね。そうするとやはり順調に計画が進行して目標が達成されたということを前提にして、じゃ次にどうするのかということについての何か見通しのようなものが、どこまで書くかは別にしまして、腹の中にないと、やはり文章に迫力がないという話になるのかなと。それがディフェンシブに、もっぱら何か採点項目がいっぱいあって、これに一々答えているということになっては困るわけで、日本の環境政策をどういうふうに持っていくのか、そのために国環研は何が期待されているのか、何をしてもらわなければいけないんだという、何かその辺が環境省の方から出されるというか、それを前提にして文章が書かれなければならない。今から中期計画、中期目標を言いなさいと言ったって、それは無理に決まっているんです。それはそうなんだけど、一応達成度、期待どおりということを前提にして次にどうするんだというのは、この文章を書く前提としてやはり持っていた方が、パワーのある文章が書けるのかなという、それはそういう感じがするんです。

【加藤委員】 そのとおりだと思います。まさに今委員長がおっしゃられたとおりだと思います。私も先ほどちょっとそれに関連して発言をさせていただきましたが、まさにそういうことでございます。
具体的に言うと、例えば今我々が見ている素案の4ページのところに、もう最初の丸で、「環境研究に関する業務」というところで、「○○○○を学際的かつ総合的に環境研究を推進する。この際、長期的視点に立った基盤的な研究や先行先導的な研究の推進に留意するとともに、社会情勢やニーズの変化に即応した研究等にも適切に対応する。」と、こう書いてあるわけです。私はこれだと先ほど抽象的だと言ったのは、まさにそういうことで、何だか当たり前のことを言っているんでということ。
ではどういう社会情勢やニーズの変化というの、少なくとも今現時点で先ほど齊藤室長がおっしゃったようなどの部分を廃止するとか、どの部分はふやすとか、そんなことは言う必要が全然ないわけです。現時点ではまさにそれは室長がおっしゃったとおりで、今後じっくり検討すべきことだと思うんですが、ただ社会情勢やニーズの変化に即応したという表現だけでは、何が社会的情勢やニーズの変化とあなたたち思っているのというところが出てこない。ですから、それは例示にならざるを得ないんですけれども、重要な変化だと思うもの、それが皆さんで意見が一致するかどうかは別として、少なくとも私は重大な変化があると思っていて、例えば私個人の文章だったら、ここへ例示を書けるわけです。だけど諸先生方がご同意いただけるか、まして環境省がご同意いただけるかどうかは別として、そういうものの案をちょっと出してみてくださいませということでございます。ですから、具体的に言えばこの行数でいったらあと2~3行、どういうのが今後さらに重要な問題となるかというふうに見ているかと。だから、ますます環境研は仕事がどんどんふえるんだから縮小どころか増強だと、こういう話になっていくんだろうと思うんです。どうも蛇足を申し上げまして。

【石井委員長】 貴重なご意見、ありがとうございました。松野委員どうぞ。

【松野委員】 同じことを繰り返すようでもあるんですが、どうもよくわからない。先ほど来の温暖化とか環境ホルモンとかみんな社会全体としてのパブリックとしても大事なことですが、それと国家公務員とどういうふうにつながるか。国の環境行政なり環境政策につながることで、これはだからパブリックのインタレストにつながっているけれども、公務員という身分というか、それとどうつながるかというのは必ずしも明瞭でなくて、むしろ直結した、例えば今の環境ホルモンにしても温暖化にしてもある場合には、政策にニュートラルな知識を提供することの方が大事で、そういう観点からいったら、むしろ公務員というのはちょっと不自由な気もするので、さっきのパブリック・サーバントであるということ、パブリックのインタレストのためにやっているということと、公務員の身分ということと、必ずしも結びつかないというふうに思うんですが、ちょっとその辺を。

【石井委員長】 原理論としてはそうかもしれませんですが、制度論、政策論としては別の議論があり得るのではないか。とにかく公務員型であるべきだという議論を立てるとするならば、もうちょっと書きようがあるでしょうという助言を、していたわけで、ですから結局政策のためにということですよね。政策のために必要なデータは客観的に中立でなければいけないんですけれども、こういう方向で日本の環境省は仕事をやるんだというのがあって、だから独立行政法人国立環境研究所にはこういう目標を持って研究してもらいたいんだという政策というのがあるはずです。その政策にきちんと沿って仕事をすると。それは厳正・中立・公正なデータを提供する研究成果を出すということですけれども、その仕事の目的というのは何かといったら、その環境省のポリシー・オリエンテッドな研究なんだと思います。そのために、国立大学の先生みたいに自分が好きな何とかをやって、それでノーベル賞をもらえればいいんだと、これではやはり困る。幾らカミオカンデの研究成果が立派だといっても、あれじゃ環境政策には関係ないですね。
ですから、そこがやはり国立大学の先生と違うんだよと。そこはやはり国民のサーバントとして、きちんと環境省の政策形成に役立つ研究をやってほしいと、環境省のポリシーをわきまえて研究をして下さい、そういうものなんだと思うんです。ただ、実際に研究をやるその事業の計画は自分の方できちんと立てる。これが独法の建前なんですよ。私それが国環研のためにいいかどうかということは別にして、理論的には独法という仕組みはそういうものなんだから、それを前提にして理屈を書いたらどうなりますか。その模範答案を書いていただきたいというお願いをしたいわけです。私が言ったことは、国環研の先生方にとっては余り好ましくないことだと思うんです。研究目標を環境省によって指示されて、なんていうのは。でも制度はそうなっているんです。そういう制度になっているところで、いかにしてもし公務員型が好ましいんだという議論を立てるとすれば、どういう立て方しかないとか、こういう立て方があるだろうという、そういう意見を今言っているわけです。
ですから、委員長独断で申しわけないんですが、差し当たりきょうはそれで問題を投げ返すということで、いかがでしょうか。それで30日に何が出てくるか。やはりこれでは説明になってないよというんだったら、もう一回書き直してもらう以外にない。私はそう思っています。しかし、そのときは30日から8月の末を目途に仕事をしなければならないという日程で、環境省も国環研の方々も仕事をやっていらっしゃるという事実を踏まえて、我々は慎重にというか、きちんとした責任を持って意見を述べる。きょうはまだフリートーキングに近いということですから、いろいろ話が出ました。だけど私が強引に取りまとめるとすれば、今申し上げたようなスタンスで、きょうは意見が出されたというふうにご理解いただきたいというふうに思うわけです。

【加藤委員】 法律家でない私からちょっと。私も、先ほどいみじくも桜井審議官がおっしゃったことだろうと思うんです。何が言いたいかというと、職員にとって公務員だというふうにずっと思ってきて、身分上公務員というのはとってもいいものだというふうに思っていらして、それをいきなり公務員じゃないというのは、もう今いろいろな関係でできないという事情はあると思うんです。そういう議論をしているところもあるから、現に非公務員型を選んだところもあるわけです。
だから、私も委員長がおっしゃったあれでいいんですが、ただ公務員でなかったら研究ができないんだというふうに今度は書き過ぎてしまうと、将来自縄自縛になるんじゃないかという心配があるんです。そもそも公務員制度自体が動いているわけですから。ですから、私は先ほど柘植委員がおっしゃった0・1の世界じゃないよと、0.5もあると。ある部分は国家公務員という身分をどうしても付与すると。国際交渉に臨むとか、そういうところはあっていいし、それからそうでない人がいても一向構わないと思うんです。ですからあえて言えば、私自身は公務員でなければならないというがんじがらめで一生懸命書き過ぎてしまった結果、後で自縄自縛にならないようにという、つまらないことをまた申し上げておきます。ただ、そうすると迫力のない文章になってしまって、問題がまた生じるのかもしれません。それは、委員長は法律家ですから法律家らしくうまくご指導いただきたいと思いますが、法律家でない私としては、その点がちょっと気になります。やはり0.5というのもあるんじゃないかというふうに思っております。

【石井委員長】 私も実は同じことを考えていたわけで、つまりちゃんと勝てる議論というんですかね、負けない議論を組み立てませんといけないんで。

【加藤委員】 そうですね。

【石井委員長】 ええ。ですから、それはオール・オア・ナッシングではなくて、この部分だけはどうしてもというような考え方もあるでしょうし、これについてはこうだとか、いろいろ限定なり留保みたいなものがあって、そうすれば負けないで済む議論になるんだろうなという感じがするんです。
 どうも私が一人でしゃべっていまして申しわけないんですが、もう一応時間がまいりましたが、何かぜひ。

【高月委員】 模範解答になるかどうかわからないんですけれども、少し参考に。今まで国環研さんでいろいろやっておられた、例えばある環境基準を決めるようなときの参考の資料になるようなデータというのは、やはり非常に重要な研究だろうと思いますし、またいろいろなものの測定の技術をちゃんと統一化するようなことなんかも、やはり環境研のデータがもとになってきているということもありますので、そういう意味では私はパブリック・サーバント的なものがコアとして必要になるんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、そういう意味で私も0・1ではないというふうに思いますので。ただしコアになる人はやはりそういう国民の税金でやって、中立というとまたいろいろ語弊があるかもしれませんが、中立な立場の研究成果をもとにした国のいろいろな政策のデータを出すというところは、非常に重要であろうというふうに思いますけれども。

【石井委員長】 現在ある組織のうちの一部分だけ公務員で残って、それで外側の部分が非公務員になるなんていうのは、現実的にはなかなかやりにくい話だろうということは私もわかります。しかし、この点についてはきちんと公務員型が望ましいんだと、あるいはあるべきだという議論が立つんだったら、少なくともそういう努力はしていただきたいなと、こういうことでございまして、一生懸命みんな応援しているつもりでございます。きょうはそういう意味で自由に意見を申し上げたというふうにご理解いただきたいと思います。
もしほかにご発言なければ、これで終わりにしたいと思います。それでは何かあと。

【齊藤総政局環境研究技術室長】 どうも貴重なご意見等、ありがとうございました。
それではその他ということで、お手元に資料4として次回の予定を掲げております。次回が8月30日の14時から16時、同じこの場所でということでございます。今日いただいたご意見を踏まえまして、恐らくかなりこの素案については書きかえたものを次回ご提示することになると思いますが、内部的にも相談いたしまして、できる限り例えば事前に1度見ていただくということで、30日に破算してしまいますと、31日に提出できなくなるおそれがありますので、その辺はできる限りの努力をさせていただくという前提で考えております。よろしくお願いいたします。
どうも今日はありがとうございました。

【石井委員長】 委員会の側もその重みはしっかり理解しているということは、先ほど申し上げたつもりです。だからこそ、しっかりよろしくリライトをお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。時間を超過いたしまして申し訳ありませんでした。