第10回環境省独立行政法人評価委員会会議録

日時

平成15年9月10日(水)10:00~11:58

場所

環境省第一会議室22階

議題

1. 平成14年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価結果について
2. 平成14年度独立行政法人国立環境研究所財務諸表について
  (1) 通則法38条に基づく評価委員会の意見について
  (2) 通則法44条に基づく積立金に関する評価委員会の意見について
3. その他

配布資料

資料1 平成14年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価書
資料2 平成14年度独立行政法人国立環境研究所業務実績に係る業務実績の評価結果一覧
資料3 平成14年度財務諸表等
資料4 独立行政法人環境再生保全機構の設立に伴う今後の評価委員会の運営について
資料4-1 環境省関係特殊法人(2法人)の改革について
資料4-2 「環境省独立行政法人評価委員会令」一部改正(案)要旨について
資料4-3 「独立行政法人環境再生保全機構」設立スケジュール(案)
参考資料1 環境省独立行政法人評価委員会名簿
参考資料2 環境省独立行政法人評価委員会の運営方針について
参考資料3 平成14年度業務実績報告書
参考資料4 平成14年度業務実績報告書資料編
参考資料5 平成13年度、平成14年度財務諸表比較対照表

参考資料6

独立行政法人国立環境研究所中期計画〈平成13年度~平成17年度)
参考資料7 独立行政法人通則法
参考資料8 環境省独立行政法人委員会令
参考資料9 その他
参考資料9-1 環境事業団パンフレット
参考資料9-2 公害健康被害補償予防協会パンフレット

出席者

委員: 石井紫郎委員、松野太郎委員、櫻井治彦委員、
佐野角夫委員、鷲谷いづみ委員
坂本和彦臨時委員、佐和隆光臨時委員、高月紘臨時委員、
加藤三郎臨時委員
環境省: 総合環境政策局 竹本大臣官房審議官
齊藤環境研究技術室長
山崎総合環境政策局総務課長
苦瀬環境計画課計画官
平田環境保健部調査官
国立環境研究所 合志理事長
西岡理事
飯島理事
高木主任研究企画官
竹内総務部長

議事

【齊藤環境研究技術室長】 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより第10回の環境省独立行政法人評価委員会を開催いたします。
 開会に入ります前に、環境省大臣官房審議官の竹本よりごあいさつ申し上げます。

【竹本官房審議官】 おはようございます。官房審議官の竹本でございます。本日は委員の皆様方におかれましては、大変ご多用のところ本委員会にご出席をいただきまして、まことにありがとうございます。平成14年度の独立行政法人国立環境研究所の業務実績の評価につきましては、大変ご多用のところ、結果の取りまとめにご尽力をいただきまして、まことにありがとうございます。事務局の環境省を代表いたしまして、御礼を申し上げたいと思います。
 さて、平成16年度の環境省概算要求でございます。8月の末に財務省に概算要求を行ったところでございますが、環境省全体で3,103億円。前年度比18%増ということで要求をしたところでございます。
この中で、とりわけ国立環境研究所に関する概算要求額中期目標の達成に向けまして、中期計画に位置づけられましたルールに基づきまして、所要額を要求することといたしたところでございまして、前年度比5.1%増、合計103億円、概算要求をしているところでございます。環境省としましては、この国立環境研究所、地球温暖化問題、化学物質問題等、環境研究分野における我が国の中核機関として位置づけておりまして、今後とも先生方のご指導を引き続き賜りますよう、この場をおかりしましてお願いを申し上げまして、私のごあいさつにさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【齊藤環境研究技術室長】 それでは、議事に入ります前に、お手元の配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 評価委員会の議題を書いた1枚紙をごらんいただきたいと思いますが、そこに資料と参考資料のリストがございます。本日の資料は1として、平成14年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価書ということで、A4の資料がございます。
 それから、資料2といたしましてはA3縦長の表ですが、各委員からの評価シートの結果を一覧にしたもの、これを資料2としております。
それから資料3といたしまして、平成14年度財務諸表等というのがございます。
 それから資料4、独立行政法人環境再生保全機構の設立に伴う今後の評価委員会の運営についてという事項の関連資料が(1)から(3)ということでご用意させていただいています
 それから参考資料としては、そこに記載の1から9までということで、9はその他パンフレットでございますが、ご確認をいただければと思いますけれども、このうち特に冊子になっている国環研の業務実績報告等につきましては、前回ともダブりますので、ご不要であればその場に残してお帰りいただければと存じます。もし足りないもの等あれば、事務局までお願いをいたします。
それでは、次に定足数の確認ということなんですが、本日は委員16名のうち9名がご出席になっておられますので、環境省独立行政法人委員会令第5条1項の規定により、定足数を満たしていることをご報告申し上げます。
 それでは、これ以降の議事進行につきましては、石井委員長の方にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 それでは、議題の1にまず取りかかりたいと思います。最初の議題は平成14年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価結果についてでございます。
 この評価書の取りまとめに関しましては、大変先生方にご迷惑をおかけしたわけでございますが、そのことについてはまた後に触れるといたしまして、この経緯につきまして事務局からまずご説明を申し上げます。

【齊藤環境研究技術室長】 平成14年度の業務実績評価につきましては、概算要求前の取りまとめが重要との観点から、評価シートの早期提出、あるいは急遽8月26日に議論の場としての懇談会を招集させていただくなど、非常にご迷惑をおかけいたしました。偏に事務局の認識不足に基づくものでございまして、今後このようなことがないように改めて考えております。この場をかりて改めておわびを申し上げます。
 急遽招集させていただいた8月26日の懇談会でございますが、これにつきましては現在、会議録を取りまとめ中でございます。結果として10名の委員会の方にご出席いただき議論をすることができました。その場では、それまでに提出をいただいた評価シート、あるいは個別に伺った意見なども含めましてご議論をいただきました。その結果を受けまして、石井委員長とあと松野委員長代理の方で鋭意作業を進めていただきまして、委員長案というものを作成いたし、事務局より各委員の方々にお送りをいたしました。
 そして全委員に対し、賛否あるいは意見の聴取ということを文書的にやらせていただき、結果といたしまして、全委員より了解の確認と一部から修文案等のご意見をいただきまして、それを踏まえまして委員長による修正を行い、きょうお手元に資料1として配付してございます、独立行政法人国立環境研究所における平成14年度業務実績評価結果として、8月29日付で独立行政法人通則法32条第3項に基づきまして、総務省の政策評価独立行政法人評価委員会及び独立行政法人国立環境研究所に対しまして、通知の手続をとらせていただきました。とりまとめに際しまして、多大なご尽力をいただき、厚く御礼申し上げます。
 以上でございます。

【石井委員長】 業務実績評価結果の取りまとめについては、ただいま事務局からの説明どおりでございますが、委員長としてその辺のことをもうちょっと補足させていただきたいと存じます。
 この評価結果の取りまとめというのは言うまでもなく、本来ですと本日のこの委員会においてご審議をいただき、できれば本日付、しかし、もしご議論がまとまらない場合には、さらに1週間後ぐらいにというようなことまで想定して、ずっと日程を組んでまいったわけでございますが、8月の中旬以降におきまして、急遽、今月いっぱいに取りまとめてほしいということになったわけでございます。これは一重に概算要求にこの法人の評価、業務実績の評価を年々反映させるべきであるという理由によるものでありますが、これは独立行政法人通則法の中にも、その趣旨のことが書いてあるわけでございます。
 昨年度については最初の年であるということもございまして、それが必ずしも実行されなかったという事実はございますけれども、まさにそれゆえに今年度から、つまり2年目の年からは、この法律の趣旨どおりにやりましょうよという内閣、それから総務省あたりの意思表示というものが、もちろん極めてソフトな表現であったことは事実でございますけれども、出されたということ。それを勘案いたしますと、概算要求を提出いたしますのは、8月末日以前でございますので、この評価の取りまとめも、それに平仄を合わせなければならないという事情がございまして、これをいかにして、それまで予定されていた日程との間で調整をとるのかという、大変難問にぶち当たったわけでございます。
 むろん、できないものはできないんだと。実質評価が後からついていけばいいじゃないかということも、もちろん言っていけないことはないわけでございますけれども、仮にこの評価の取りまとめがおくれたために、国立環境研究所の概算要求に関しまして、不利な取り扱いが万一なされることがあったとすれば、それは評価委員会としてのやはり責めを問われることになるのではないだろうか。この際、事務局とか環境省のことは一切申し上げません。この委員会の立場として、そういうことをきちんと考慮して仕事をする必要があるのではないかということを、私自身は考えたわけでございました。
その結果、懇談会を開き、そこでの議論に臨んだわけでございますが、果たしてこの辺についての非常に鋭いご指摘、あるいは厳しいご叱正が委員の先生方の中から出てまいりました。それは当然のことであり、まさにこの環境省のこの法人評価の仕事が重要であるというふうに先生方が認識していらっしゃるからこそ、そういうご批判も開陳されたんだというふうに私は受け取りまして、果たしていかなる解決策をとったらいいのかということについて、まさにぎりぎりの決断に、その時点で迫られたわけでございます。結局のところ、先生方のお手元に、参考資料の2という表示がついておりますもの、環境省独立行政法人評価の運営方針についてというものをご覧いただきたいと思いますが、これの1、会議の招集の[2]で「委員長は、事案の内容が軽微であり、やむを得ない理由により会議を開く時間的余裕がないと判断する場合は、会議の開催に代えて事案の内容を記載した書面を委員等に送付し、その意見を徴し、又は賛否を問い、その結果をもって会議の議決とすることができる」という形で、いわばいわゆる持ち回りによる決議の可能性が開かれているということを踏まえまして、これを活用させていただいたらどうかということで、その懇談会の席上で委員の方々にお諮りをしたわけでございます。
 むろん、これは文字通り読んでまいりますと、「やむを得ない理由」があるという、そういう要件につきましては、今お話ししたとおりのことが十分やむを得ない理由としてご理解いただけるものだと思いますが、何せ問題はその前に書いてございます「事案の内容が軽微であり」という点でございました。
 国立環境研究所の事業実績の評価という事案の内容が「軽微」であるなどということは毛頭言えないはずでございまして、果たしてこの条項を活用することが適当であるかどうかということが、そこで問題になるわけでございます。そこで、その懇談会の席上で私が申し上げましたのは、次のようなことでございます。
 その懇談会は16人の委員のうち10人のご出席をいただいておりまして、本委員会の定足数を満たすという、その要件をこの懇談会自身がその点を満たしていたということ。そして非常に長時間にわたって、予定をオーバーして実質的にご議論をいただきました。つまり、本来ですと本日この委員会でご議論をいただくべき議論が、この8月26日の懇談会において、形式はともかくといたしまして、実質的にはなされたと私は実感したわけでございます。この、定足数を満たし、かつ実質的な審議が満たされたということを前提にいたしまして考えますと、1―[2]、つまり持ち回りの手続にかけたとしても、これはもしかすると許されるのではないだろうかというふうに考えました。つまり「内容が軽微」だというのは、国環研の評価の仕事が「軽微」だというのではなくて、この評価の取りまとめ、本日の資料1としてまとまっております、この取りまとめに当たりまして、その日付を9月10日ではなくて8月29日にするという、その日付の点のみに着目する限り、これは「軽微」であると言って言えなくもないのではないかと。そういうご説明をいたしました。
そして委員の先生方に、この条項によって持ち回りの形式手続によって進めていく。そして日付は8月の末日以前のものとして出していく。むろん、懇談会の議論だけで仕事が済むわけではございません、議論が済むわけではございませんので、委員長の責任において、松野代理にお助けをいただきまして、委員長案というものを取りまとめ、先生方にお送りしてご意見を承るという、まさにこの1―[2]のとおりの作業を綿密に進めるという、かような私の原案をご承認いただけるものかどうかということをお諮りしたわけでございます。幸いにして委員の先生方のご理解をいただきまして、それでよろしいということになりました。
 ただ、これは懇談会の話でございますので、幾ら定足数に達していると言いましても、欠席なさった先生方のご意見も、もちろん伺わなければなりませんので、事務局の方から当日ご欠席の委員の方々には、この辺についてのご説明を申し上げ、そしてご理解を賜るようにお願いをいたしましたところ、全員の先生方が、結論としてはそれでよろしいというふうに承認してくださいましたので、それに従ってこの仕事を進めました結果、資料の1にございますような8月29日付の文書ができ上がったと、こういうわけでございます。
しかも懇談会のときに、私がこのような措置をとったことについて、この9月10日の委員会において改めてお諮りし、ご承認をいただく手続をとりたいということを申し上げました。ということでございますので、本日この点についてご承認をいただけるかどうかということを、まず委員長からお諮り申し上げたいというふうに存じます。どうぞ忌憚のないご意見をいただきまして議論したいというふうに思います。いかがでしょうか。
 なお、一つつけ加えますと、懇談会のときには十分意識していなかったのでございますが、この参考資料の2―1の[1]会議は原則として公開とするとこういうことでございました。懇談会は公開ではなかったはずですね、たしか。ということで、その辺が問題になるのかどうかということがございます。
 2つの考え方がございまして、1つは当日会議そのものは公開にしませんでしたけれども、議事録はきちんとつくって公開しましょうということにいたしましたので、その辺で公開性が保たれていると、保障されていると、私は言って差し支えないだろうというふうに思います。
 もう一つの考え方は、ただし書きの方、ただし公開することにより云々という、中立的な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合にはという、このただし書きを活用することによって、公開性は必ずしも厳格に守らなくても構わないんだと、こういう言い方もできるかと思います。私は、現在では第一の考え方、議事録の公開をきちんとすることによって、公開性をきちんと担保すると。こういう進め方でやっていきたいというふうに思っておりますが、この辺も含めてご議論をいただければというふうに思います。

【加藤委員】 私8月29日の会議をどうしても避けられない所用がございまして、欠席をいたしました。ただいま石井委員長から大変ご丁寧なご説明をいただき、まことに恐縮いたしております。
 委員長のお話にございましたように、私も事務局から詳しい説明を別途受けまして、今、委員長からるるご説明がございましたような、やむを得ない事情だというふうに思いまして、委員長がおとりになられましたご判断に、私は全く賛成をいたしております。
 ただ、来年度以降につきましては、これは言うまでもなく委員長ご自身も、委員の先生方もみんなおそらくご同感だと思いますけれども、こういうばたばたがないように、十分な時間的な余裕を持ってお取り計らいいただきたいなというふうにはもちろん思いますが、今回の措置につきましては、なれないということもあって、やむを得ないことで、その中でも最善のご努力を委員長初め皆様方がされたものと私は思っております。どうもありがとうございました。

【石井委員長】 ありがとうございました。ほかにご意見いかがでしょうか。
 それでは、私がお諮りいたしましたように、この非常、異例の措置を運営方針についての1の[2]に従って進めたということについて、ここで事後承認といいますか、ご承認をいただいたというふうにさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)

【石井委員長】 それから公開性の問題は、先ほど申し上げた第一の理解で進めたいというふうに思っております。ありがとうございました。
 委員長として目配りが十分でなかったということを大変遺憾に思っております。委員の先生方におわびを私から申し上げたいというふうに存じます。来年度から、今、加藤委員からもご指摘ございましたが、そういうことのないように、委員長としての目配りもきちんとしていきたいというふうに考えております。どうぞよろしく、また先生方のご支援、ご叱正引き続きお願い申し上げたいというふうに思っています。
 もちろん事務局に対しては今、加藤先生がおっしゃったとおりでありまして、来年度は絶対にこういうことがないようにお願いをしたいと思います。私もその点、気をつけますけれども、事務局においてこのようなことが起きますと、やはり大変困りますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 なお、懇談会の会議録、それから議決録等については、今ご了承いただきました手続にとって非常に重要な要となるものでありますから、早急に、かつ的確に進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 審議官から何かご感想ございませんか。

【竹本官房審議官】 委員長初め各委員の先生方の大変寛大なご理解をいただき、また先ほどいろいろお話がございました、大変私ども事務局の至らぬところ多々ございまして、大変先生方にご迷惑をおかけいたしました。大変私どもも反省をしておりまして、遺憾に思っておるところでございまして、今後の対応につきましては、私ども遺漏のないように一生懸命やらせていただきたいと思っています。今後ともどうぞよろしくご指導いただけますよう、お願い申し上げます。

【石井委員長】 それでは、この評価書について、事務局の方から説明をお願いいたします。

【齊藤環境研究技術室長】 それでは、お手元の資料1をご用意いただきたいと思います。座って説明をさせていただきます。資料1につきましては、先ほど経緯の中で説明をいたしました、8月29日付での総務省の中に置かれました政策評価独立行政法人評価委員会委員長あての通知文。それから、その裏に国立環境研究所理事長あての通知文がございます。本日はこの評価結果の中身のポイント、及び先ほど経緯の中で委員長案をお配りして、一部委員から意見等をいただき、それをできるだけ反映をさせたというあたりに絞りまして、説明をさせていただければと思います。
 1ページに総合評価Aというのがありまして、その後、幾つかの文書が並んでおりますが、まず説明の都合上4ページの事項別評価のポイントのみ一通りご説明をいたしたいと思います。
 この事項別評価につきましては、中期計画の項立てに従いまして、1、業務運営の効率化に関する事項から、順次中期計画の項目ごとに、評価S、A、B、C、Dのランク付と、それに関する簡単なコメントと、あと今後に向けて要望、期待、留意点、そういった事項をまとめておるものでございます。業務運営の効率化に関する事項は、全体として総合的に判断し、A評価とするという結果をいただきましたが、ちなみに前年度につきましても、この部分はAということでございました。中身なんですけれども、1から6まであります。
このうち、まず1番の効率的な組織の編成につきましては、後ほど総合評価の文章でも出てまいりますが、基盤的調査研究と重点特別研究などとのマトリックス構造というものは、委員会の場でも昨年も今年も高い評価を得ていたわけでございますけれども、果たしてそれが効率性という観点から見た場合どうだろうかという点について、かなりご議論がございました。なかなかこれは尺度が難しいのではないか、そういったご議論もあったわけでありましたけれども、今後に向けて効率性というのは何かというものをより明確にしながら進めていったらどうだろうかというご意見を踏まえまして、最後に期待するということで、その旨書いてございます。
それから、2の人材の効率的な活用につきましては、おおむね昨年と同様の評価でございましたけれども、特に研究者の将来に対するご議論がございました。それで(キャリアパスなど)ということで、いろいろな選択肢があるわけでございますけれども、そういったあたりにも配慮をしながら、より一層の効率的な活用を図っていっていただければということも、期待事項で書かれております。
それから、3番目の財務の効率化でございますが、これは評価Bということでございますが、ちなみに昨年度13年度におきましてもBでございます。この辺もいろいろご議論がありました。一つは国立環境研究所が交付金だけでなく、外部からの受託等による、あるいは競争的資金の獲得等による自己収入という部分が非常に伸びているということ自体は高く評価できるんですが、研究所本来の業務とのバランスはどうかといったあたりが、今後、大きな問題にもなり得る。そういったあたりのバランスの問題。
それから、支出削減の努力、あるいは会計事務処理の効率化も一部なされておりますけれども、まだ、より競争入札を活用する等の取り組みが可能ではないか。あるいは、間接部門の一層の効率化という点についても、昨年に引き続きご意見がございました。この辺の努力を望んでいるということです。
それから、委員長案に対しまして、委員長の判断で追加した部分がございます。なお書きでございます。財務関係につきましては、特にきょうご欠席でございますが、公認会計士協会の理事であります高木委員より追加的なご質問等ありまして、そもそも実績報告書段階で、その辺も少し記述をきちんとすべできではなかっただろうかというご指摘もありました。この辺、事務局としての努力不足もあったとは思うんですけれども、この評価書の中で、次年度以降改善を要望するという形で今回追加をさせていただきました。
それから、4番、効率的な施設運営につきましては、主にスペース課金制度が話題といいますか、議論になりましたけれども、その趣旨そのものは十分ご賛同を得ているわけですけれども、その実際の機能なり、あるいはそれを実施することによる影響といったものについて、今後点検が必要であろうということを記載されております。
それから、5の業務における環境配慮。これは評価Bでございます。これも昨年13年度も評価Bでございました。特にエネルギーの関係については、新規の大型施設ができるなど、またそれらが体面積当たりで見ますとエネルギー消費量が若干高いということもあって、やむを得ないような事情もあるかもしれないけれども、国立環境研究所という環境を主題とする研究所であるからこそ、より高い目標を持って、よりきっちりと取り組むべきだというご意見が非常に多かったところでございます。その旨を記載しております。
それから、委員長案に加えましても若干記載の追加をしておりまして、「とりわけ」以降の、とりわけエネルギー消費に関しては等々の記述を多少追加しております。
それから、大きな6ということで、5ページの方になりますけれども、業務運営の進行管理。これに関しましては前年同様のご評価になっております。
それから大きなくくりのII、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項ということで、国環研の中核的業務の中身の話でございます。これも総合的に判断しAということでいただいておりますけれども、中身的にはこれが非常に多岐にわたっておりまして、7ページの中断まで続いております。
簡単に説明をいたしますと、1の環境研究に関する業務。これに関しましては、ほぼ昨年と同様の評価であり、また委員長案についても特段の修正をしておりません。全体としてA評価の事項が主でございます。
ただ、この中で特に議論となったのは、あるいはご意見を踏まえて記述されておりますのは、1の(1)環境研究の充実につきまして、その最後の方でございますけれども、国際的あるいは国内的に共同研究の推進というものは、やはりどんどんやるべきであろうということのご意見もあったわけですが、その目標というものが必ずしも明確でないということもあって、今後より計画的にといいますか、目標を明確にしながら取り組みを充実すべきではないか、そういうことを期待事項として書いてあるということです。
それから、5ページの一番下でございますけれども、政策対応型調査研究につきましては、外部評価の結果の中で、循環型社会形成促進廃棄物管理に関する調査研究については、一部厳しいご評価をいただいている部分もございました。これはここに書いてありますように、その研究に関しては政策的に見てプライオリティーが非常に高いという中で、特に今後、社会経済システムにかかわる取り組みの強化が必要という指摘も受けているということで、そういった多少厳しい評価も踏まえて、そういった点を重視した検討を今後きっちりと計画、見直し等に反映をさせてほしいということが記述されております。
それから、6ページに移っていただきまして、少し飛ばしながらいきますけれども、一番上から2つ目、エの知的研究基盤、これにつきましては非常に高い評価、かつ今後の充実が期待できるということで、委員長案に比べまして、2行目から、我が国唯一の体系的といっていい研究基盤整備事業であるという点を明記といいますか、きっちり書いておくべきであろうということで、この部分を追加しております。
それから、(4)研究課題の評価反映につきましては、昨年同様でございます。特に高い評価を得た研究課題の代表者への賞の授与、あるいは研究奨励金の配分など、昨年の評価を踏まえた対応もなされているという点に注目が集まったと記憶しております。
それから、(5)の研究成果の普及成果の活用促進につきましてですが、これは総じて評価Aということではございますが、国立環境研究所には一般の国民の方々から、もちろん非常に高度な研究者レベルの方々まで、幅広い層を対象とした研究制度の普及活用促進、これは広報とはまた別の切り口かと思いますけれども、そういうものが求められるという議論がかなりありました。ということで、例えば[1]の最後に書いてあるように、一般の方々に、そういったものをわかりやすく伝えていくための取り組みの充実等々のご意見があったことを踏まえた記述になっております。
また、[2]の研究成果の活用促進。これは評価Bということでございます。これは実は昨年度につきましては評価Aというところが若干ランク下げになった部分でございますが、これも中身云々というよりは、特に研究成果が世の中に役立つという観点から、産業化への取り組み。これは実は昨年の段階では、そういう事例がふえることを期待するというようなご評価でございましたけれども、そこはもうちょっと充実を期待すると。若干表現がきつくなったのもありますし、将来の期待を込めてもう少し取り組みをということでBになったものと理解をしております。 
それから、6ページ一番下。環境情報の収集・整理・提供に関する業務でございますが、これは評価Aですけれども、昨年度はこの2というくくりで評価Bでございました。その主たる理由は、7ページの上の方(2)にあります環境国勢データ地理情報システムの環境GISでございますが、これは13年度においては未実施であったと。この早期実施を求めるという観点も含めてBとなっていたんですが、14年度にスタートを切っているということで、この部分がAになった。それらに伴いまして、総合的にもAということでランクアップがされておるところです。
それから、研究情報の提供業務につきましては、「環境儀」を初めとする各種刊行物の閲覧について、ホームページを活用した大幅な改善が図られたことは高く評価できると。ただ細かくは、ここには記載をしませんでした。例えば環境儀一つとってみても、果たして広く有用なところに配付し切っているかという点から若干ご意見もあったということで、全体としては7ページ一番上の文章にありますように、より幅広い層へのわかりやすい情報の提供に関する取り組みを充実するよう、強く要望するということで、この辺はもっともっと努力していいのではないかということでの評価になっております。
それから、IIIのその他業務運営に関する重要事項につきましては、総合的にA評価でございます。
それから、(2)人事に関する計画については、なかなか昨年もいろいろご議論があり、ご指摘もあった部分で、昨年もBでございましたけれども、文章に書いてありますとおり、昨年度、具体的に指摘のあった「管理部門の業務の進め方」、「高齢者の処遇のあり方」及び「高級技術要員の養成」については、残念ながら具体的にすぐに14年度で対応したというものが明確に見えなかったということもあって、それは引き続き着実に進めてくださいということも含めてBという評価になっていると理解しております。
最初の総合評価のところに戻っていただきまして、1ページでございますけれども、まず概評というのがございます。本来ですと読み上げるべきかもしれませんが、時間の都合でそれは割愛いたしますけれども、概評の第1パラグラフで言っておりますのは、1年目、13年度は好スタートであって、14年度も引き続き順調に行っているという評価を受けております。この中で3行目の後半から、前回委員会で若干ご議論があり、なかなか結論というのは出ないとは思うんですが、大学等の学術研究機関に比べて、かなり恵まれた状況にあることに対してのご意見、ご議論があったことを踏まえて、若干の文言の挿入という形ではございますが、委員長案に比べてそこを変えているということがあります。
それから第2段落目は、我が国におけるセンター・オブ・エクセレンス、いわば日本の顔という使命感をきっちり持って、引き続きやってくださいということは書いてあるんですけれども、最後のところで、やはり既定の中期計画というものの達成というのは独法の一つの柱の仕組みではありますけれども、その吟味、再点検も辞さないという積極的姿勢を求めているものでございます。
それから、最後に「特に」ということで、やはり定員の研究者に比べまして、人数的には客員外研究者等々の人数の方が上回っている。もちろん時間的な問題はありますけれども、上回っている。そういったいろいろな形の研究者のバランスのとれた事業推進について、必ずしも明確に形ができ上がっているということではないという点に触れられたのが総論でございます。
以下、1ページの下、ここでは13年度にご議論いただいて、この総合評価では、まず研究活動についてきっちり問題点を整理しようということで、研究活動の点について幾つか先ほどの事項別評価から導き出される、あるいは特に今後留意してほしいという事項をまとめてございます。
1つ目の○が、形としてはいい形でしょうということを言っているんですけれども、2つ目の○におきまして、先ほど事項別でも触れましたとおり、「循環型社会形成推進・廃棄物管理に関する調査・研究」については、やや改善が必要というこの指摘をきっちり受けとめるということを特記事項として、ここに掲げております。
それから、2ページに行っていただきますと、基礎研究について、やはりこれも国立環境研究所の重要な使命であろうということ。その中で、特に若手個人の所内公募制度による研究資金を「奨励研究」ということで、これが増えているという点が評価できるということで、特記をされております。
その次の○につきましては、ここは幾つか書いてあるんですけれども、結論的には、先ほども触れましたが、外部資金の導入による研究等々のバランスの問題。これを再度研究活動という側面からも適切なバランスを求めているものでございます。
次は知的研究基盤につきまして、これは我が国における重要な使命という意味での認識を求めているものと理解しております。
それから、研究の広報・普及に関しましては、実は昨年度に広報のプロを起用してはどうか等のご意見もあったところですが、そういったあたりがまだ積極的には取り組まれていないという点が指摘されております。
それから、次の大きなくくりの環境情報の収集・整理・提供につきましては、個別に環境GISの話、あるいは委員長案で関東地方ということになっておりましたが、今、全国的に展開をしております「そらまめ君」、この辺も非常に好評であるということで、環境省の要求と国民ニーズを満たすシステム構築の基本的役割というものを、今後とも情報センターが担っていくということの期待が述べられております。
それから、最後に研究所の運営につきまして、やはり先程来、いい評価を得ているというマトリックス構造による研究体制。これは確かにいいということなんですが、見方によれば、3ページ上から5行目ぐらいに、このシステムは人材の効率的活用をぎりぎりまで高めるものであるということで、そういった面も含めて自己点検が必要であろうということで、このシステムも必要によっては見直しが要るのではないかというご指摘を得ております。
次に財務の効率化の話。これは委員長案に比しまして、先ほど事項別でも触れましたように、実績報告書における記述の不十分さ等の表現を入れております。
それから、自己資金につきまして、やはり本来業務とのバランス、これについて財務面からもご指摘のあったところでございます。それから最後の○、ここでは先ほども触れましたが、主としてエネルギーの面を念頭に置いたことでありますけれども、環境研究所の名に悖るところはないかというと、やや不満が残るという指摘も少なくなかったということで、その辺の努力を求めているところでございます。
最後に結論といたしまして、14年度業務につきましては、中期目標達成に向け、十分な成果を上げていると判断し、総合評価Aとするという結論で結ばれております。
以上、資料1の説明でございます。
それから、続きまして、資料2についてもちょっと触れておきたいと思います。資料2、A3縦長の表でございます。これは各委員よりご提出いただきました評価シートにつきまして、先ほど話に出た懇談会の場では、作業途中のものも含めまして議論用のペーパーとしてまとめておりましたけれども、これにつきましては評価結果一覧ということで委員会の正式な資料として、このような形で確定をさせていただきと思います。先週から転記によるミス等がないか、ご確認を依頼して、その結果を踏まえて必要な修正を行わせていただいております。問題がなければ最終的に一覧として確定させていただきたいと思います。
ちなみに13年度も、この形で公表資料としてまとめておりますので、連続性の観点からも、こういった形で整理をいたしたいということでございます。
以上でございます。

【石井委員長】 どうもありがとうございました。
 何かご質問、あるいは資料の2につきまして、各委員のお書きになったコメント等について、訂正を施すべき箇所がございましたらば、ご指摘をいただきたいと思います。資料の説明についてのご質問、ご指摘はなさそうでございますので、何か、どうぞ。

【加藤委員】 この資料1につきましてもちろんこのとおり結構だというわけですが、この評価書が書かれた後、非常に私どもにとって大変不幸なことに、森田恒幸さんという非常に優れた研究者が、私たちの目から見ると急逝をされたと。たしか53歳という非常に若い、しかも脂の乗り切った、研究者としても非常に乗り切った、非常に若いときに亡くなられてしまった。これはおそらく理事長初め所員の皆様にとっても大変なショックだったと思うわけですが、私個人にとっても彼は若いときから存じ上げておりまして、今でも私が今やっておりますNPO活動にボランティアとして並々ならぬ協力をしてくれておりまして、大変ありがたかったわけですが、この評価書の3ページの上から2つ目のパラグラフをちょっと見てみますと、研究所の運営のところに、問題があるとすれば、このシステムが人材の「効率的活用」をギリギリまで高めるものであるため、研究所が組織全体として、いわば伸びきったゴムのような緊張状態にあるのではないかということであり、この点の自己点検も必要であろうと書かれています。これは改めて今の時点でこの文書を読みますと、なるほどこういうこともあったのかなという感じがしまして、もちろん森田さんのご逝去が、この文書とは何の関係、直接的には関係はないと思いますけれども、ぜひ理事長におかれましても、所員の健康管理、もちろんやっていらっしゃると思いますけれども、そういったこともやっていただきたいと。大変惜しい人材をああいう若さで失うというのは、我々にとっても大変な打撃だというふうに思っておりまして、ぜひいろんな意味で伸び切ったゴムのようにならないように、心身ともに健康で研究に邁進していただきたいなというのが率直な希望であります。研究者に勉強するなというのは無理だと思います。お相撲さんにけがするといけないから相撲とるなというのと同じくらいに不可能なことだと思いますけれども、ただ、研究者もサステーナブルでなくてはいけない。そういうことでぜひ自己点検も必要という部分の中で、健康管理という点も含めて、今後ともやっていただきたいなと改めてお願いを申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

【石井委員長】 大変適切なご指摘、ご忠告だったと思います。ただ、私個人としては森田さんについては大変いろいろ思い出もあるわけですし、特に総合科学技術会議の仕事を手伝っていただいたということがございまして、このぎりぎりに伸び切ったゴムをまたさらに引っ張ってしまった結果ではないかというような、内心忸怩たる気持ちもないわけではないのでございまして、この席で適切かどうかわかりませんけれども、心から哀悼の意を表したいというふうに思います。
 そのほか、どうぞ。

【佐和委員】 この資料1、今、加藤さんがおっしゃったことも多少関連しているわけですけれども、概要のところの3行目から4行目にかけて、大学等に比べて恵まれた状況にあるということは、おそらくこれは研究費の面、あるいは設備の面だと思うんです。ところが、その反面人員の不足等ということですね。ですから、これはいわゆる昔流に言えば、国研の一つの特徴なのかどうか知りませんけれども、もしその辺についてご存じであれば教えていただきたいんですけれども、要するに研究費は大学なんかに比べると破格に多いと。にもかかわらず人員が少ないと。そういうお金の配分の仕方といいますか、人と設備、あるいは人といわゆる経常的な研究費のバランスがとれていないんじゃないかと。お金だけいっぱいあって人が少ない。大学の場合は、大学院生なんかでいう事実上無給のいわば助手的な役割を果たす人がかなりいるから、割合人員的には恵まれているけれども、逆にお金は途方もなく少ないということで、どうも国全体として見たときに、そういうアンバランスが生じているのではないかなというふうに思うんですけれども、いかがでございましょうか。

【石井委員長】 合志理事長、何かお答えありますか。

【合志理事長】 国研といいましょうか、現場におり、またかつて大学にいた人間としては、今のご指摘はまさにそのとおりであると痛切に感じております。いろいろな業務というものは、非常に大量の資金が投入されているように見えますけれども、多くの業務は外部に委託するという格好で行われているわけでありまして、そのときには人件費は表には出てこないけれども、中に含まれてくるわけであります。一つ一つの仕事を考えてみますと、やはり人一人ということは、現在の我々が必要としている研究者レベルからいいますと、単純な給与レベルでおそらく平均して年間1,000万円近く。さらにその他の社会的な給付を考えますと、それの1.5倍から2倍近い費用がかかっていると思います。そういうことが目に見えない格好で動いてしまっている現状は、やはりいろんな意味で不健全といいましょうか、もう少し合理的によく見える格好で議論される状態になっていくことが望ましいと思っております。

【櫻井委員】 私もかつて国立の研究機関の所長を3年ほど務めまして、今のようなことは十分理解できる問題点だと思っております。国立の研究機関、今は独立行政法人ですが、やはり研究資金を提供する国が、緊急であるとか、あるいは優先順位が高いと認識している研究課題を一定の期限つきで任されるということ、まさに先生がこの間おっしゃいましたミッションオリエンティッドであるということになります。研究機関の側ではコンスタントにやっていた研究の延長ではなくて、改めて対処して、比較的短期間できちんとした成果を上げなければならないという課題を背負うわけで、そういう意味では大学などと違った難しさがあると認識しています。
 これだけの費用を投入して、その結果研究論文がどれだけ出たかというようなバランスで評価しようとすると、低い評価になってしまうおそれもあるわけです。
 研究成果をきちんと論文としてパブリッシュすることがやはり望ましいし、一番わかりやすいことではありますが、それだけを評価の基準とするのでは誤解を招くと考えます。こういう研究機関を評価するときには、現実にどの程度、短期的あるいは中期的に、国ないし公共的なニーズに対応する研究成果が出たのかということを、わかりやすい資料を用意して評価するのが、適切ではないかなと思っております。
 今回、環境研のお仕事を拝見して、今の段階では十分にそのニーズにこたえていると評価しておりますが、しかし、国民の皆さんにもわかりやすい形で、将来その点を明示できるといいなというふうに考えております。
 なお、それと関連して、自己収入を競争的資金等でかなり多額に取っているということは非常に立派なことだと思っております。この競争的資金は、ある意味でやはり国民の目から見た評価が、そこに反映していると思うんです。それプラス研究者個人に対する評価と、両方がそこで働いておりますので、これをたくさんとれるということは非常に結構なことであって、バランスということは確かにあるし、余り無理に外からとるなということもあるかもしれませんが、これは研究者個人のやる気の問題ですから、私は大いに今後もどんどんアップライしていただいて、その面でも成果を上げていただくように期待しております。
 以上です。

【松野委員】 もう今、何人かの方からお話のあったことですけれども、大学との比較ということで、たしか10年ぐらい前に、日本の基礎科学についてネーチャーとサイエンスが特集を組んでいろいろ分析した話がありましたが、そのときに国立研究機関はお金がたくさんあって、大学に人材がいて、その2つを結びつけることが大事だというようなことがあって、まさにそのとおりだと思いますが、さっきお話がありました一つ違う点は、大学は確かに研究費は少ないですけれども学生がいて、学生がかなりいい仕事をすると。国立研究機関から、東大の理学部に移られた方が何か書いておられましたけれども、その点を大学院生の給料を払ったと思って計算してみると、非常に多額の研究費を持っているのと同じことで、研究費あたりの論文とかそういうことで見れば、決してそんなに国立研究機関は悪いわけではないというようなことを書いておられたのを読んだことあります。そういうことがあって、なかなか比較は容易でありません。
 一つ、大学では人手として大学院生がいて、ただ彼らは学生ですから、必ず出ていくものだと思っていますが、今起こっている変化は、国立研究機関でお金がたくさんあって人が少ない。それは定員の人が少ないので、さっきちょっとお話がありましたように、前は本当にアルバイトしか許されなかったのが、最近はこのニーズフェローとか、いわゆる流動研究員という形で人を雇えるようになったので、そういう人が非常にふえてきて、今やその定員より多い人が働けるようになった。前のときも理事長からお話がありましたけれども、もう今はそれ抜きにしては研究は成り立たないということで、その間どういうふうにして、それを運営していくかということが問題になろうかと思います。
 今、大学と比較しますと、学生はもう出ていくものだと思っていますから、これは問題ないんですけれども、今度の流動研究員はそれが仕事なわけで、卒業してどこかほかにパーマネントのポジションが別にあって行ってくれるならいいんですけれども、そういうわけにいかないと思うので、その点よほどそのシステムをうまくつくっていかなければいけないのではないかなというふうに思います。
西岡理事には、私がおります地球フロンティアの評価をしていただいているので、悩みはよくわかっていただけるかと思いますが、我々地球フロンティアというのはポスドクと流動研究員ばかりでできていまして、それだけに何年もたってパーマネントのポジションのどこかつけるのかという計算をしてみると、その専門的なポジションとして絶対そういう計算は成り立たなくて、結局それをそのまま続けていかざるを得ないと。それは従来の定員という形で保障された仕事と処遇が違うわけです。ですから、非常にいろいろ悩みはあるんですが、逆に言うと我々のところはそれ一色だから、一つだからいいんですけれども、国立環境研は2つが併存していて、これからだんだん流動研究員にたくさん仕事をしてもらわなければいけないと。そのときに、その間のバランスというのは随分難しいのではないかなというふうに思いまして。実際問題として、だんだん既に定員枠を減らす方向にあるわけですよね。とすると、どうなっていくのかな。逆に言うと、いわゆる流動研究員みたいな人に責任ある仕事をやらせるようにしておられるのかどうか。場所によっては、責任があることは定員の人がやらなければいけないと。有能な人でも流動研究員の人には余りそういうことをさせないというところもあると聞いていますけれども、そういうことでは多分だめなので、その辺のことを随分考えていかなければいけないのではないかと思っております。

【合志理事長】 その点は我々も、流動研究員であるから、あるいは期限つきの方であるから、余り重要なことは任せられないというようなゆとりは全くありませんので、どんどんお願いをしているというのが現状であります。重要な仕事についても。これはやはり人事システムに関することでありますので、余り軽々しく発言はできないのでありますけれども、やはりストラテジーとしてどうしていくかということと、それからタクティクスとしてどうしていくかという、この2つの面があると思います。
ストラテジーの方としては、やはりパーマネントな人がふえるようにしていかなければいけない。これは研究機関としての必要性から、広く世間の理解を得るようにしなければいけないと思いますが、タクティクスの方としては、いろいろな立場を流動的に変えられる、しかしトータルとしては保障していくというようなシステムですね。これを何とか発動させたいと思っております。
 先ほど森田恒幸さんが亡くなられたということで、私どもも非常にショックを受けているわけでありますけれども、皆さんに非常に過度の負荷がかかっていることは否めない事実であります。何とかしなければいけないわけでありますけれども、その場合にやはり有能な方を流動という形で確保することは事実上不可能でありまして、やはりパーマネントという形で確保しなければならないことであります。そうしますと、そこにどういう工夫の余地があるか、大変悩むところでありますけれども、決してソリューションが現在ないと私は思っておりませんので、何とか対処をさせていただきたいと思います。要は流動あるいは期限つきの身分と、パーマネントの身分をかなりフレキシブルに運用できるようにすることではないかと思っております。しかし、これは次善の策でありまして、あくまでもタクティクスのレベルであります。

【西岡理事】 ちょっと私的な話になってしまうかもしれませんけれども、実は昨日、森田のやっていた書類の整理をしておりましたら、これほどいろんな面でやらなければいけないことがあるんだなということがわかりました。まさに私も今日の評価を見ておりまして、多くのやらなければいけないことが残っている。それに対して、いかに人が足りないかなということが見ていてわかったところです。例えば、その書類の中には人事の評価の話で、これは30人の人を面接して、数日かかってやるわけですけれども、そういう書類が出てきたり、それから、IPCCの関係でいろんなワークショップを開くわけですけれども、それに対する計画書を自分できちんと書いて、それに対してお金をどう当てはめて、だれを呼んでどういう手続でやるか、自分で書いているんです。なぜ自分で書かなければいけないかという話になるんですけれども、研究所の一つの使命として、人を育てるということ、それから外に向かってきちんとやるということで、そのインターフェースが非常に重要です。今の若手の研究員の話にしましても、若手の研究員にきちんとした研究テーマをまとめて与えるというプロセスは長のやることで、非常に大切です。研究として責任あることはやらせますけれども、それではそれに対するお金の手配はどうするんだとか、こういう話は全部マネージメントにかかってくるわけです。
ですから、多くの受託、なぜ受託があるかというと、それだけ世間の要請があるわけですけれども、それを全部うまく配分して、そこまで持っていく、そして若手を育てるという、研究所のもう一つの使命についても対応しなければいけない。一方では、今の話にありました短期のものにも対応しなければいけない。領域長クラスはこれらに全面的に対応している。
 それから私ども方では、大学との連携を非常に強く進めているというのはこの委員会でも話しました。ご承知のように彼は東工大学の教授も併任しておりまして、そこでの指導も週に1回きちんとやって、もうテレビシステムを入れなければなんて言っていたわけです。領域長クラスになりますとそういう仕事はほとんど併任ということで、大学との連携。これは人を育てるという意味もありますし、それから我々の使命として、環境ということについて自負あるいは自信ということもありまして、なるだけ若い人に環境に関心を持ってもらいという気持ちがありますので、積極的にやっているわけです。
 それから、幾つか委員会の招集の紙が出てきました。これにつきましても多くの領域長クラスの人は20ぐらいの委員会に出るのが普通になっている。みんな東京への往復を毎日毎日やっているという状況になっている。もちろん学会の発表にも、森田が亡くなった後だれか出してくれないかという要請が、いっぱい私の方に来ている。そういうことも含めて、PRもやらなければいけない。仕事ももちろんしなければいけない、若手も育てなければいけない。ここに大体書かれていることに精いっぱい対応しているというのが状況です。非常に反省しておりますけれども、人が制限されているという状況については考えていきたいし、またいろいろ考えていただきたいと思っております。

【佐和委員】 例えばアメリカなんかの、この研究所とほぼ同じようなことをやっているような外国の研究所といろんな分野で比較すると、人の数は圧倒的に多いですよね。だから、なぜこんなに、例えば研究の分野で人をふやさないという国の方針がいつごろから出てきて、なぜそれがずっとサステインされているのか、非常にいぶかしく思いますね。

【佐野委員】 何か同情論ばかり出ているようなので、独立行政法人評価委員として、逆の方もやはり言う必要があると思うので。今おっしゃったように、そういう状況が何で続いているか。私ども民間からは非常に不思議なんです。これほど高い評価を得て、国策としてやる以上は、当然人員はどうだというのは、皆様方にきちんと出すべきだと思うんです。それを環境省がサポートして、概算要求等で事前に出すべきだと。だから、今年のこの評価で、この前、非常に酷評して、非常におそいやり方ですよね。今のような意見をきちんと出せるような体制を組んでやるべきだと思うんです。でないと、今の枠の中で同情論が出たり、皆様方のそれに対して非常にエスクキューズをするという、余り前進する会議ではなくなるわけなので、この際ぜひ前向きにどうしたらいいかということを、皆様もお悩みがいろいろあるわけなので、それも非常に建設的な意見として、皆さんの方から積極的に環境省、あるいはその他必要なところにアプローチをすべきだと私は思うんです。
 一方、今、民間のことで言いますと、皆様方も大変なご苦労がありますけれども、新聞等は来年の3月期、15%経常利益増益だとは言っていますけれども、これはすべてほとんど合理化、リストラの影響なんです。各社とも定年60歳というのは頭にありませんし、その前の職場探し、他社への移転等、さらに厳しく毎日のようにやっていまして、部によっては人を育てるなんて余地はないんです。むしろ、自分の部門がどういう仕事をこれから探すべきか。その理念に対して必要な人材はどういう人たちか。余った人たちはどうすべきかというような、逆の前向きと後処理を、両方一緒くたにやっているという状況で、非常に厳しい状況がますます進んでいると。
もう一つ、そこまでやりますと、新聞等にあるように大事故がこのごろ続いていますよね、新日鉄初めブリジストンでも。ぎりぎりでやっているわけです、命をかけて。それでも人手不足で、安全性とか信頼性に対してはどうしてもおくれてしまうというのも現実の姿として出てきていますので、これは産業界の実態だと思いますので、その辺もぜひ頭に置いてやっていただきたいと思っております。

【石井委員長】 ほかに何か、ご指摘ございますでしょうか。

【坂本委員】 先ほどの国研と大学と比べて、ああいうお話がございましたけれども、実は大学もかなり今変わりつつあるというふうにご理解いただかなければいけない部分は、日本の場合、大学院は非常に研究にウエートを置いてやっているけれども、やはり教育のオブリゲーションが今後ますますふえてくる状況にあって、国研と比べた場合には確かにマンパワーはあるけれども、特に従来のような研究だけをやるという形の大学院生の眺め方はできない。そういう状況があるからこそ、科研費についてもポスドクがつけられる予算ができてくるとか、いろいろな形で任期つきの研究員が雇えるような研究がふえているのは、諸外国の状況を見た場合、日本の大学の大学院のシステムがややある部分に偏っていたということがあって、そういう方向になっているということで、従来とはそういう比較をする場合には、その辺も考慮に入れる必要があるかなという気がいたします。
 あと、大学においても非常にシステムが硬直化してきて、イナーシャが非常に大きいために、非常に業務過多になっているところへ、適切な人員配置がなかなかできない構造が従来あって、今後どうなるのか、独法化との絡みもありますけれども、おそらく国研においても、いわば廃止する部分というのがなかなかできにくくて、新たな部分をつくるのは比較的やりやすいんですけれども、その辺のところをやはり見ていかないと、あくまで人員がふえなければ何かができないのかといったら、そうではない部分を考えていく必要が大学にしろ、国研にしろ同様にあるのではないかという認識をしてございます。ちょっと申し上げました。ありがとうございました。

【石井委員長】 先ほど佐和委員、大学院には人がたくさんいるとおっしゃったんですが、要するにただ働きのスタッフをたくさん抱えているということで、それ自身矛盾を内蔵しているわけであります。今度、文部科学省ではポスドクだけではなくて、DC、博士の学生に対しても、優秀な者には自分でお金を持って、いわば教授から独立した研究が行えるようなスカラシップといいますか、手当をする、そういう概算要求をすると言っておりますので、ある意味では、どんどんそれが自立していきますと、逆に言うとできないやつだけが教授の手元に残るという、理屈から言うとそうなるわけです。大学だってお金はないけど人はいるという構造もいつまで続くのか、これも問題があるんだろうなと思います。とにかく研究機関についてのさまざまな矛盾というのは、やはりお互いに情報を交換しながら、きっちり分析し、そして訴えるべきは訴えるという必要があるんじゃないか。それをやらないで効率化なんてやると、もう目も当てられないことになるわけでありまして、だからこそ冗談半分に、悪法も法であるから頑張りましょうって最初に言ったんですけれども、本当に悪法が悪法としての働きをするようになったらおしまいでございますので、お互いにこの問題は今後十分に考えていきたいなと、いかなければならないんだなというふうに思っております。
 実は議題がもう一つございますので、この議題についてはこれぐらいにしたいと存じます。合志理事長、特にこの評価書に対して一言何か、全般的に何かございましたらば、おっしゃってください。

【合志理事長】 今までのご議論の中で二、三発言をさせていただきましたけれども、それはぜひきょうの場でお伝えしたいと思っていたことでございます。この全体の評価をいただきまして、非常にご苦労をいただいたということと同時に、そのご指摘の正確さというものについて、私たちとしては襟を正すような気持ちでおります。そして、そのようなことに関連すると思われるような事態さえも起こったということが、私にとっては大変重い荷だと思っております。しかし、必ずこのことを解決しなければなりませんので、思い切った、とりわけ人事的なシステムについて一歩をぜひ踏み出したいと思っております。どうも大変貴重な評価をいただきまして、大変ありがとうございました。

【石井委員長】 それでは、議題の2に入ります。平成14年度独立行政法人国立環境研究所の財務諸表についてという議題でございますが、アジェンダに書いてございますように、細かく言うと2つに分かれておりますが、まず独立行政法人通則法第38条第3項の規定によりまして、財務諸表について大臣が承認しようとするときは、あらかじめ評価委員会の意見を聞かなければならないというふうになっております。8月6日の評価委員会でご審議いただきましたが、引き続き審議するということになっております。そのときにご指摘いただきましたこの13年度と14年度の比較対照も可能な、そのときにご指摘いただきました、そういう資料も準備されたということもございますので、それに基づきご説明をまず研究所の方からお願いしたいと思います。では、どうぞよろしくお願いします。

【竹内国環研総務部長】 それでは、資料3でございます。財務諸表といたしましては、この資料3に5つの表がございます。1ページでは貸借対照表、2ページに損益計算書、3ページにキャッシュフロー計算書、4ページに利益の処分に関する書類案、5ページに行政サービス実施コスト計算書、7ページ、8ページと重要な会計方針及び財務諸表注記と。9ページ以降、付属明細書ということで成り立っているわけでございます。これらにつきましては、監査法人の監査証明書、それから監事の監査意見書を付しまして、6月末に環境大臣に提出しているところでございます。
 それから、参考資料の5といたしまして、前回8月6日のこの委員会でご指摘がございました、13年度と14年度の財務諸表が比較対照ができるようなものが必要ではないかということでございました。その資料を参考資料5といたしまして用意させていただいております。
 それでは、資料3に基づきましてご説明をいたしたいと思います。まず1ページ、貸借対照表でございます。これは独立行政法人の財務状況を明らかにするために、3月31日の資産、負債、資本、これを記載いたしまして国民に示すものでございます。まず左側の資産の部分のところでございますけれども、最初の流動資産のところでは合計51億円。主なものは現金及び預金ということで40億円。これは地元の常陽銀行の普通口座で管理をしております。
その2つ下の未収益金が9億4,000万円ございますが、これは環境省などからの受託収入に関するものでございます。
 その下に未収還付消費税ということで、1億7,000万円ほどございますが、これは14年度に政府から約55億円の現物出資を受けたわけですが、これが課税仕入れの控除に該当するため、消費税が還付されるという扱いになるものでございます。
 その下に大きな2番で、固定資産合計で390億円ございます。
 以上が資産の部でございます。
 右側の上の負債の部でございますが、まず流動負債といたしまして、運営費交付金債務ということで、8億9,000万円ほどございます。これは翌年度に繰り越していく交付金ということでございます。8ページをごらんいただけますでしょうか。7ページから、先ほど申し上げましたように、重要な会計方針及び注記ということになっておりますが、8ページの重要な債務負担行為というのが載っておりますが、これは資産の合計額の0.1%を超えるものについて、注記としてここで記載しているものでございまして、ここにありますように0.1%超えるものが5件ございます。全体といたしましては、工事研究基盤整備、あるいは研究機器整備など合計44件。それから、業務の予定変更に関するものが5件という内容となっております。
 それで、これらが翌年に繰り越した理由でございますけれども、大きく3種類ございまして、まずここにございますようなエネルギー対策工事のように、工期が長期に及ぶものというのが一つの分類でございます。それから、2つ目に研究機器の中には外国での受注生産のものがありまして、その政策が長期に及ぶというのが2つ目の分類でございます。
 それから3つ目に、衛星搭載センサーの打ち上げの時期の延期でございますとか、あるいは観測の現地調査の天候不順による延期などによりまして、研究業務そのものを翌年に繰り越さざるを得なかったといったのが3つ目の分類でございまして、こういった理由により、先ほど1ページの上にありますように、合計8億9,000万円の繰り越しがあったということでございます。
 それから、また1ページでございますが、その流動負債の中で未払い金が37億円ございます。これは年間の請負契約で3月末をもって業務を完了するものでございますが、実際の支払いは4月に発生するということでございまして、3月末の現在では37億円ということでございます。
 それから、固定負債のうち、長期借入金が5億3,000万円ございます。これは13年度の政府の補正予算によります、産投会計からの無利子借入金でございまして、環境試料タイムカプセル棟と、それから底質シミュレーター、これの整備を行っているものでございます。
 それから、下の資本の部でございますけれども、大部分が政府から現物出資されました土地、建物であります政府出資金、これが386億円ございます。このうち14年度に現物出資を受けたものが廃棄物循環棟と環境生物保存棟でございまして、合計55億円ございました。
 次に資産と負債、資本の差額であります当期の利益といたしまして4億1,000万円ございますが、これの主な内訳でございますが、まず先ほどの流動資産にありました未収還付消費税の1億7,000万円。それから大きなものといたしまして、2億2,000万円が14年度のさまざま受託事業で購入いたしました固定資産物品、これの先々の減価償却費、会計上これを当期の利益として計上しているところでございます。この利益の処分につきましては、また後で利益処分の表が出てまいります。
 これが貸借対照表の主な内容でございます。
 次に2ページ、損益計算書でございます。14年度の独立行政法人の運営状況を明らかにするために、すべての費用とこれに対応する収益を明らかにしたものでございまして、経常利益と当期総利益4億1,356万円でございまして、先ほどの貸借対照表の利益額と合致いたします。
 次に3ページのキャッシュフロー計算書でございますが、これは1会計期間におきます資金の残高に変動をもたらす資金の収入または支出の状況を業務活動、投資活動、財務活動の別に明らかにしたものということでございまして、資金期末残高は40億2,862万円ということでございまして、この額は貸借対照表の現金及び預金の額と合致をしております。
 次の4ページ、利益処分に関する書類案でございます。これは先ほどありましたように、当期利益が4億1,356万円でございます。主なものは還付消費税が1億7,633円、それから受託で取得した未償却資産が2億2,021万円ございます。それから、外部への施設貸付料が688万円ございます。そこで、この利益処分といたしましては、まず今申し上げました還付消費税、それから受託で取得した未償却資産など4億667万円は一般の積立金と。それから次に、外部への施設貸付料688万円でございますが、これは中期計画に基づきます剰余金の使途として、研究設備等積立金ということにしたいということでございます。この利益の処分に関する書類案につきましては、次の議題でさらに詳しくご説明申し上げたいと思います。
 5ページ、行政サービス実施コスト計算書でございます。これは独立行政法人であります研究所の活動という行政サービスに関しまして、どのぐらい国民が負担しているかということをあらわしているものでございます。
 まず、損益計算書上の費用から研究所の自己努力で収入を上げた額を引いた業務費用。それに損益外の減価償却相当額、それから引当外退職手当増加見込額、それから機会費用と。この機会費用の中では、政府出資などの機会費用は政府出資額に国債の利回り0.7%を乗じて算定しておりますけれども、こういったものを合計して113億1,057万円ということで、この額が14年度の国民の負担になるわけでございます。
 それから7ページ、8ページは、先ほど申し上げましたように、貸借対照表などを作成する際に対しての重要な会計方針や注記でございます。
 9ページから11ページは、これを補足する付属明細書でございます。
 以上でございます。

【石井委員長】 ありがとうございました。ただいまのご説明に対して、ご質問、ご意見等ございましたらばどうぞ。
 特にございませんようでしたらば、当委員会としては特に意見なしという、そういう答申をすることになりますが、それでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)

【石井委員長】 それでは、そういう扱いにさせていただきます。
それでは引き続いて、先ほどちょっと説明が既にございましたが、積立金の問題について事務局から説明をお願いいたします。

【齊藤環境研究技術室長】 先ほどの国立環境研究所からの説明にもございましたとおり、本議題につきましては、通則法第44条に基づいた手続でございます。財務諸表の4ページに記載のありますとおり、利益を生じた場合は残余の額を積立金として整理するというのが原則ではございますけれども、そのうち中期計画に定められている剰余金の使途に、一部を主務大臣の承認の受けて充てることができるということになっておりまして、その承認を得ようとする額が4ページ記載の688万余円でございます。
 大臣が承認をするに際して、あらかじめ評価委員会の意見を聞かなければならないとされておりますので、この件につきましてお諮りをさせていただきたいということでございます。それでは、国立環境研究所の方から説明をさせていただきます。

【石井委員長】 お願いします。

【竹内国環研総務部長】 財務諸表の4ページのところで、合計4億1,000万の利益があるということでございまして、この内訳につきましては、繰り返しでございますが、未収還付消費税1億7,000万円。それから14年度の受託で取得いたしました、さまざまな物品などの未償却資産、これは会計上利益ということで2億2,000万円。それから、財産貸付収入ということで1,200万円が主なものでございます。
 そのうち、財産貸付収入のうち、風洞施設、研究所で持っているわけでございますが、これの賃貸収入が688万円ございます。これを通則法第44条第3項の主務大臣の承認を受けて、中期計画に定める剰余金に充てる経費として利益処分したらどうかということでございます。
 この研究設備等積立金は14年度に初めて発生したものでございまして、大気圏研究領域におけます大気拡散風洞施設。これについて一定期間外部に貸し付けたことに伴う利益だということでございまして、大気拡散風洞施設は都市部における自動車沿道の公害実験、あるいはPM2.5、DEPなどの大気中の粒子状物質などの研究に使用しておりますが、14年度の研究計画を勘案いたいまして、一定期間外部に貸し付けを行ったものでございます。
 14年度におきましては4件の貸し付けで、合計19日間行いました。これにつきましては年間を通じた維持管理経費というものを予算措置しております。そこで貸し付けに伴いまして、この支出額を上回る収入が発生いたしました。そこでこれを利益として研究設備等積立金として処分をしたいというのが、この4ページにあります書類案の積立金の内容でございます。
 以上でございます。

【石井委員長】 法律の規定に基づきまして、本来積み立てるべきものを今ご説明がありましたような条件のもとに一定の使途に充てることができるということになっております。これについて何かご意見ございますでしょうか。あるいはご質問ございますでしょうか。
 特にご意見がございませんようでしたらば、当委員会としては特に意見なしという答えをさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)

【石井委員長】 では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、議題の3、その他でございます。事務局からお願いします。

【齊藤環境研究技術室長】 その他でございますが、本年第156回国会に提出をしておりました独立行政法人環境再生保全機構法が5月9日に成立をいたし、平成16年4月1日に新たな独立行政法人が設立されることとなりました。
これに伴いまして、環境省が所管する独立行政法人が国立環境研究所とあわせて2法人となりますので、今後の評価委員会におきましては、国立環境研究所の実績評価等とともに、当面、環境再生保全機構の中期目標や中期計画等の審議をお願いすることとなります。その委員会等の今後の予定等につきまして、ご説明をいたしたいという内容でございます。
つきましては、総合環境政策局総務課苦瀬新機関設立推進室長からご説明をさせていただきたいと思います。

【苦瀬環境計画課計画官】 それでは、ただいま斉藤室長から説明がありましたように、今般の特殊法人改革法律の制定によりまして、来年4月1日に新たに独立行政法人環境再生保全機構が設立されることになりまして、これに伴い本評価委員会におきまして同機構につきましても、中期目標や中期計画をご審議をお願いいたしたいと考えておりますので、資料4に沿いまして、同機構の設立とそれに伴う今後の評価委員会の運営に関しまして、ご説明申し上げたいと思います。
 まずは資料4(1)、1ページでございます。こちら環境省関係特殊法人の改革についてということでございますが、ここで簡単にまず独立行政法人の設立の経過と概要を申し上げます。
 ここにございますように、現在2つの特殊法人、1つは公害健康被害補償予防協会というものがございます。これは公害健康被害の補償と予防に関する業務をしております。
 もう一つは環境事業団という特殊法人がございまして、これは公害の防止施設を財投の資金を使って建設して、これを譲渡するというようなこととか、PCB廃棄物処理事業、地球環境基金によるNGOの活動への助成といった業務を行っておりますが、平成13年の12月に特殊法人等整理合理化計画というものができまして、そこでいろいろな見直しが決められまして、それを受けて本年5月に法律の改正ということになりまして、その特殊法人改革での要請では、地方と民間の役割分担、あるいは効率的な事業の実施というような観点で、いろいろな見直しが行われたわけでございますが、特殊法人等整理合理化計画に基づきまして今般成立しました法律では、下の四角い枠の中の[1]建設譲渡事業を廃止するということで、ただし現在、緩衝緑地ですとか、それから緑地関係の事業で継続中のものがございますが、そういったものの既着手事業は完成まで続けるということになりました。
それから、2つ目にPCB廃棄物処理事業等については、これは特殊会社を設立してそちらで実施することになりました。
それから、3つ目に公害健康被害の補償等の公害健康被害補償予防協会関係の業務と、現在の環境事業団関係の業務のうち地球環境基金という事業、その他公的に行う必要があって収益事業でないもの。これは独立行政法人が実施するという考えでの整備がなされまして、その結果、1つの独立行政法人と1つの特殊会社に再編するということになりました。
 次に2ページを御覧いただきたいのですが、こちらにその業務がどのように移管され、承継されていくかということを簡単に図式化してございます。左側に現在の状況がございまして、環境事業団の方では、今申しましたような公害防止のための建設譲渡事業といったものが行われており、それからPCB廃棄物処理事業、地球環境基金事業、PCB廃棄物処理事業への助成のための基金において助成をする事業が行われております。
 それに対して、公害健康被害補償予防協会は被害の補償の業務、それから被害の予防の業務を行っておりますが、右側の平成16年4月1日以降、PCB廃棄物処理事業は特殊会社に移りまして、今度お願いすることになります独立行政法人環境再生保全機構の方では、建設譲渡事業のうちの継続した分が残りますのと、あとさらに継続的に残りますのは地球環境基金事業、それからPCB廃棄物処理基金からの助成の事業、それから廃棄物処理法に基づきます廃棄物最終処分場の維持管理積立金の管理。それから、これまでの環境事業団で持っております、まだ施設を譲渡して代金を長期の割賦で回収している段階でございますので、そういった債権の管理、回収業務、これが環境事業団の方から独立行政法人に移ります。
 それから、公害健康被害補償予防協会の業務につきましては、すべて新たな独立行政法人の方に移るということになっております。
 それが、今度の独立行政法人の概要でございますが、3ページ、4ページ、5ページにさらに概要が書いてございますが、説明を省略させていただきます。
 6ページに資料4(2)ということで、「環境省独立行政法人評価委員会令」一部改正(案)要旨についてとございます。今度新たに環境再生保全機構ができるということで、独立行政法人通則法に基づきまして、この機構につきましても評価委員会のご審議をいろいろといただくということをお願いしなければなりませんので、そのためにこのような案での委員会令の改正を今検討しておりますということでございます。
改正趣旨のところですが、現在は環境省所管の独立行政法人は国立環境研究所一つでございますが、今お話ししましたように来年4月に環境再生保全機構が設立されますので、そのための体制を整える必要があると。現在は1法人のみが対象であるということが前提でございますので、今度の状況に対応する所要の改正ということでございます。
 (一部改正(追加規定)要旨)と下の方にございますが、[1]委員会に部会を置くことができる旨の規定。これは趣旨としましては、2つの独立行政法人に対応いたしまして、2つの部会を置きたいということを念頭に置いているということでございます。
それから、[2]部会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は委員長が指名することができる旨の規定。[3]部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任することができる旨の規定。[4]委員会は、その定めるところにより、部会の決議をもって委員会の決議とすることができる旨の規定ということでございまして、これは複数の独立行政法人を有している他の省の規定なども参考にしまして、あるいは審議会でも似たようなことがございますので、そのような内容でどうかと考えているところでございます。
 それから、7ページ、資料4(3)でございますが、今言ったようなことになっていきますと、どういうスケジュールが想定されるかというのが、この独立行政法人環境再生保全機構設立スケジュール(案)でございます。
独立行政法人の設立に関しまして、その他さまざまな委員会令を整備する必要がございますので、それにあわせまして11月下旬までには、この委員会令の改正を行いたいと考えております。
 評価委員会の委員は任命が済んでいらっしゃいますが、新たな法人を対象とすることに伴いまして、必要があれば若干の臨時委員の追加の任命があり得るということで、その場合には11月下旬、委員会令改正後に任命があろうかと思います。
 その後、12月に評価委員会を開催いたしまして、その際に新たな委員会令を受けまして部会の設置を行います。そして、機構部会につきましても部会を開催したいと考えております。
 実質的な審議につきましては、当面その設立に当たりましての中期目標、中期計画などの審議が必要でございますので、16年に入りましてから、ここにございます中期目標、中期計画などについてご審議をお願いすると、多くて4回程度と思われますが、時期については若干変動はあるかとは思います。そして、来年4月1日に設立ということでございます。
 以上でございます。

【石井委員長】 要するに、2つの特殊法人が合併して1つの独立行政法人になるということでございますが、そのうち環境事業団系の事業の中から2つ仕事が抜けるということで、それについてはお手元の参考資料として、この環境事業団という青空と菜の花の載っている表紙の4ページと、それから6ページ、この辺に抜けるものが書いてございますが、それ以外の残りの業務を独立行政法人が行うということでございまして、これについての中期目標、中期計画について、当委員会がいずれ審議を求められると、こういうことでございます。ただ、今の環境省独立行政法人評価委員会令におきましては、部会を設ける旨の規定がございませんので、今、仮にこれをやるといたしますと、この委員会全体で何かやらなければならないということになるのかもしれません。それは必ずしも適切ではないということで、委員会令の改正を行い、そして部会を設けることができるというような状態になりましてからこの仕事がやってくると、そういう運びになるわけでございます。
そういうことでございますので、おそらく今年の11月以降ぐらいに、新しい部会を設けることをご審議いただき、またさらに、それぞれの部会に委員の方々に分属していただく。場合によると両方に属していただく委員も出てくるのかもしれませんが、いずれにしても部会に分かれていくという、その組織づくりをしなければならないわけでございます。その節はいろいろまたご相談に上がりたいというふうに事務局の方で申しておりますので、その節はよろしくお願いを申し上げたいと。そのことをご披露申し上げるために、この議題の3と申しますか、その他で、新法人のご説明、それから委員会令の改正についてご説明を申し上げた次第でございます。
 ということで、何かご質問、あるいは特に注意すべき点についてのご指摘があれば承ります。どうぞ。

【加藤委員】 事務局にご質問いたしますけれども、資料4の(3)のところに、今年の12月上旬に評価委員会を開催して、そこで機構部会の設置及び部会の開催というふうに書いてあるんですが、今の委員長の説明だと、おそらく今までの流れから当然だと思うんですが、部会は2つできるというふうに考えていいんでしょうか。この機構部会だけをつくるという意味ですか。

【苦瀬環境計画課計画官】 失礼いたしました。2つということでございます。

【加藤委員】 もう一つの名称は仮にどんな名称が考えられるんでしょうか。国立環境部会とか、そういう環境所研究所部会とか。

【齊藤環境研究技術室長】 はい、そんなようなイメージで思っております。この資料4の7ページにつきまして、新しい機構の視点でしか記述をしておりません。ちょっとこの場をかりまして、国環研の方の動きといたしましては、当然15年度評価に向けての中間報告なり、あるいは今後、総務省からも昨年度同様意見が出てくる、そういった取り扱いについての場を年内ぐらいのタイミングで一度考えたいと考えております。国環研の関連で、ここの予定をきょう紙でお示ししなくて申しわけないんですが、事務局としてはそう考えております。

【加藤委員】 委員長、この関連でもう1点いいですか。そうすると、評価委員の人数とか、臨時委員の人数とか、そういうのは現行の人数なんでしょうか。それとも当然、部会が2つになるから、ふえるということを想定していらっしゃるんでしょうか。

【苦瀬環境計画課計画官】 評価委員会の委員ということでは今、法定の上限の人数かと思いますので、このままでございます。臨時委員につきましては、法定の制限がございませんので、部会ごとに必要があれば必要な人数をということです。今のところ念頭に置いておりますのは、若干のみ臨時委員の追加をお願いすることがあり得るかなというところでございます。

【石井委員長】 これは環境大臣が任命するということでございまして、その任命されたメンバーを見て委員長がどの部会に属していただくか指名すると、そういう趣旨の改正も含まれているということでございますので、その節はよろしくお願い申し上げます。
 ほかに何かございますでしょうか。
(「なし」と呼ぶ者あり)

【石井委員長】 それでは、この議題もこれで終わりまして、めでたく時間どおり全部の議題を処理できたわけでございます。どうもありがとうございました。本日の委員会はこれで終了させていただきます。