第8回環境省独立行政法人評価委員会会議録
日時
平成14年12月11日(水)15:34~18:05
場所
環境省第1会議室
議題
(1) | 環境省独立行政法人評価委員会の評価結果に対する政策評価・独立行政法人評価委員会の意見について |
(2) | 独立行政法人国立環境研究所役員報酬支給基準の改定について |
(3) | 平成14年度独立行政法人国立環境研究所業務の中間報告について |
配布資料
資料1 | 平成13年度における環境省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果についての第1次意見について |
資料2 | 独立行政法人国立環境研究所役員報酬支給基準の改定について |
資料3 | 平成14年度業務の状況(中間報告) |
資料4 | 各研究領域における研究活動の状況 |
参考資料1 | 環境省独立行政法人評価委員会委員名簿 |
参考資料2 | 独立行政法人通則法(抄) |
参考資料3 | 独立行政法人国立環境研究所中期計画 |
参考資料4 | 平成14年度独立行政法人国立環境研究所年度計画 |
参考資料5 | 平成13年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価書 |
参考資料6 | 研究施設案内(リーフレット) |
出席者
委員: | 松野太郎委員長 遠藤實委員佐野角夫委員 佐和隆光委員 柘植綾夫委員 森下郁子委員 大沢雅彦臨時委員 加藤三郎臨時委員 坂本和彦臨時委員 鈴木継美臨時委員 高月紘臨時委員 土屋隆夫臨時委員 |
環境省: | 炭谷茂総合環境政策局長 村尾信尚総合環境政策局総務課長 德田博保総合環境政策局総務課環境研究技術室長 石塚文彦総合環境政策局総務課環境研究技術室長補佐 |
独立行政法人国立環境研究所: | 合志陽一理事長 西岡秀三理事 浜田康敬理事 高木宏明主任研究企画官 小沢典夫総務部長 |
総務省: | 讃岐建行政評価局評価監視官 |
議事
【德田環境研究技術室長】
それでは定刻となりましたので、ただいまより第8回環境省独立行政法人評価委員会を開催いたします。
議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。
まず資料1、平成13年度における環境省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果についての第1次意見について。資料2、独立行政法人国立環境研究所役員報酬支給基準の改定について。資料3、平成14年度業務の状況(中間報告)。資料4、各研究領域における研究活動の状況。そして参考資料1として、環境省独立行政法人評価委員会委員名簿。参考資料2、独立行政法人通則法。資料番号振っておりませんが、次は冊子になっておりまして、独立行政法人国立環境研究所中期計画。その次も資料番号が振っておりませんが、独立行政法人国立環境研究所の年度計画。参考資料5、平成13年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価書。次が研究施設案内(リーフレット)。そして最後に、これも資料番号振っておりませんけれども、独立行政法人の平成13年度業務実績に関する評価の結果についての政策評価・独立行法法人評価委員会の第1次意見についてでございます。
配付資料に不備はございませんでしょうか。
それでは、本日は委員18名のうち既に12名がご出席になっておられますので、環境省独立行政法人評価委員会例第5条第1項の規定により、定足数に満たしておりますことをご報告申し上げます。
それでは、これ以降の議事進行につきましては松野委員長にお願いいたします。
【松野委員長】
それでは、議事に入りたいと思います。
本日はもう年末に近くなってお忙しいところ、どうもありがとうございました。
前回は、評価をとにかくまとめるということで、かなり急ピッチの作業をお願いいたしましたが、おかげさまでまとまりまして、きょうは幾つかの議題がありますが、一つはまとめた評価に対して政策評価・独立行政法人評価委員会と、いろいろな独立行政法人が評価するのをまたそれを評価するというか、見ていると、そのところからのコメントがありましたので、それについてのご報告、それが1点。
それからもう一つは、先ほどの役員報酬の基準の改定というものがあります。
あと、その2点のほかに今回はちょうどこの時期ですので、評価には至りませんが中間報告というか、国立環境研究所の活動状況の今の段階の中間報告をいただくということで、できれば最初の2つの議題30分ぐらいにして、残りの時間をなるべくその中間報告を伺うということに充てたいと思っております。
それでは、まず最初のことですが、今の独立行政法人委員会の評価結果に関する云々かんぬんというのがあります。これのことについて、まずどういう仕組みであるか、この資料1のところに村松委員長からいただいたものがあります。集まりが2回ほどありまして、この村松委員長にはお目にかかったこともありますが、この位置づけですね、さっきお話ししたようなものだと思いますが、できればちょっとそのことも含めて事務局の方からご説明願えればと思いますが。
【石塚環境研究技術室長補佐】
それでは、事務局よりご報告等をさせていただきたいと思います。
国立環境研究所の平成13年度の業務実績の評価につきましては、9月18日開催の第7回評価委員会におきまして評価結果を取りまとめていただきました。その評価結果でございますが、独立行政法人通則法第32条第3項におきまして、評価委員会は事業年度における業務の実績について評価を行ったときは、遅滞なく当該独立行政法人及び政令で定める審議会、これは総務省におかれております政策評価・独立行政法人評価委員会でございますが、この委員会に対してその評価結果を通知しなければならないとされております。
この規定に基づきまして、評価結果を9月26日付をもって国立環境研究所及び総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に対してそれぞれ通知を行いました。
さらに通則法の第32条第5項におきまして、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会は、通知された評価結果について必要があると認めるときは当該評価委員会に対して意見を述べることができるとされております。このため、政策評価・独立行政法人評価委員会におきましては通知を受けまして、評価結果について審議を行ってまいりましたが、今般、11月19日付をもって資料1にありますとおり第1次意見が出されました。
本日は総務省行政評価局より讃岐評価監視官にご出席いただいておりますので、評価監視官から今般の意見についてご説明をさせていただきたいと思います。
【讃岐評価監視官】
総務省の讃岐です。よろしくお願いします。本日はこのような場を設けていただきましてありがとうございます。総務省の政策評価・独立行政評価委員会の事務局を務めさせていただいております私から今回、環境省の評価委員会の評価結果について申し上げた意見について簡単にご説明したいと思いますけれども、まず全体の流れ、そして全体像というものをご理解いただくということがより深いご理解になるかと思います。
「政策評価・独立行政法人評価委員会第1次意見について」という3ページの資料を用意させていただきました。
まず、これに基づいて全体を概観していただければということでございますけれども、1といたしまして背景、これは制度の趣旨というものが書いてございます。
独立行政法人通則法に基づいて各府省の評価委員会が行った評価結果は、全政府レベルの評価機関と位置づけられている総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会に結果が通知され、その結果の通知を受けて総務省の委員会は必要があると認めるときには各府省の評価委員会に対して意見を述べるという、そういう制度になってございます。
2といたしまして、今年度の評価の経緯でございますけれども、6月末までに業務実績報告書が上がってきて、それに基づいて各府省の評価委員会で評価を行っていただいた。その間、7月9日には小泉総理大臣が各府省評価委員会の委員長を官邸に集めて、初めての評価であるので厳格かつ迅速な評価を行うようにとの要請をされ、また8月30日には政策評価・独立行政法人評価委員会及び各府省評価委員会の委員長の間での懇談の場というものが設けられたところでございます。
その後、8月から10月にかけて各府省の評価結果が通知、公表されたわけですけれども、環境省については9月26日に当委員会に対して通知がありました。
通知を受けた当委員会での評価の作業の進め方ですけれども、次の2ページでございます。独立行政法人評価分科会というものがございまして、分科会長は野村総研の富田俊基本先生にお願いしております。委員長は政策評価もあわせて統括しておりますけれども、京都大学の村松岐夫先生にお願いしてございます。57法人という膨大な評価結果でございますので、効率的に評価を進めなければいけないということで、分科会の委員に4人ずつに分かれていただきまして、3つのワーキンググループを設けて各府省別に担当をしていただきました。
ちなみに環境省の評価結果を担当していただいたのは4人の委員の方でございますけれども、一人が公認会計士でいらっしゃる樫谷隆夫委員、二人目が総合科学技術会議の委員も務められていらっしゃる黒田玲子委員、三人目が行政学の専門家でいらっしゃる東京大学の田辺国昭委員、それから四人目が、UFJ総研の武田尚仁委員、この4人の方に担当をしていただき、11月19日に第1次意見として各府省評価委員会一斉にということでございますけれども、通知をさせていただきました。
内容でございますけれども、57法人の評価結果は内容、ボリュームがございましたので、すべての内容について、全般について一度に意見を述べるというのではなくて、少なくとも予算に反映するということを総理から要請されたわけですけれども、そういったことを考えて、できる限り早期に反映されるものをということで、次のページにございますけれども、95項目について第1次意見を11月19日に取りまとめさせていただきました。
評価の観点、その下の丸に[1][2][3]ございますけれども、通則法に書いてあるサービスの向上、財務の改善、効率化等のコストの削減、そういったことを重点に評価結果について評価をさせていただいたということでございます。
次のページが第1次意見の主な概要ということでございまして、環境省の評価委員会に対する2つの項目を含めて95項目、57法人中51法人の評価結果について何らかの意見を述べたものとなってございます。
このうち、環境省の評価委員会に対する意見がどこに該当するのかということについてもコメントをしながら、全体についてご説明させていただければと思います。
まず、一番上の方に「問題点、改善の余地等の指摘」というのがございます。もう少し下、下から4分の3ぐらいを見ていただきますと同じく括弧書きで「優れた評価事例の指摘」ということで、こういうことで今後評価をしていただきたいという問題と、それからこういった評価はぜひ今後とも進めていただきたい、各府省評価委員会でも共有していただければ、そういうつもりで述べた意見でございます。
まず、「問題点、改善の余地等の指摘」の一番一つ目のポツでございますけれども、今後、有効な評価を行い得るようにする視点から、法人の年度計画や予算の在り方等に言及するものということで、実際に独立行政法人は事前に計画とか予算を定めて、それに基づいて執行し、その実施状況について評価をするということですけれども、業務の実績を見て、実はもともとの例えば予算の見積もりが甘かったとか、あるいは計画が余り具体的でなくて予算が計画の実施状況を十分に対比して評価することが余りにもこれではできなかった。もちろん予算が残るということ自体が悪いというわけではないですし、それは効率的な執行によるものかもしれませんけれども、余りにも相当多額の予算が余っていたとか、見積もりがやはり不十分であったというようなときには、その予算の在り方などについても適切に見直しを行ってもらうという旨の意見を述べたものでございます。これは環境省の評価委員会は個別には該当しておりません。
次の2つ目のポツですけれども、重要な観点や項目の付加の余地等を指摘するもの。こういう点については評価の視点からやはり抜け落ちていたのではないか、これをやはり付加して評価をしてもらいたいということで、ある研究機関において個々の研究の進捗状況自体を十分に評価していなかったとか、一部の業務の効率性の向上についてしか評価をされていなかった、そういったものについて意見を述べているものです。
次の3つ目のポツですけれども、この中の個別事項が環境省の評価委員会の意見に該当するものでございます。より厳格、あるいは突っ込んだ評価の余地を指摘するものということで、例えば人員・人件費の効率化余地に及ぶ評価の実施とか、次ですけれども、業務の重点化・効率化の方向性ということでございますが、例えば政府全体のある行革の方針の中で、この組織については将来的に効率化を図って民間委託をもっと推進すべきであるという方針があったり、あるいは政府の経済財政諮問会議の中での大きな方針として何らかの業務の重点化などに触れられているような場合、そういう観点を踏まえて評価を行なっていただくことが適切であろうと、そういう意見を述べさせていただいたものでございまして、これが環境省の評価結果、これは資料1と書いてあるものの1ページ、別紙というところをごらんいただければと思いますけれども、この2つ目の意見でございます。バイオマス資源の利用技術の開発に関する評価については、政府全体としてとございますけれども、この「政府全体として」の意味は、平成14年6月25日に経済財政諮問会議で決められた今後の経済財政運営の方針、その中で、農林水産資源の活用に向けたバイオマス戦略を推進することとされていることを踏まえ、当該技術開発への重点化、関係機関の連携等の促進が図られることを考慮した評価を行なうことを期待するという意見でございます。
実際にこれに該当する法人は環境省、それから農林水産省が複数法人ございます、それから経済産業省の産業技術総合研究所にもございます。このようなバイオマスに関連した研究を行っている、独法である試験研究機関に対しては共通的にこのような意見を述べさせていただいた。当該技術開発への重点化とか、あるいはいろいろな関連分野で同じような研究を推進していくということになると思いますけれども、その場合、関係機関の連携等の促進というものが必要であろうと、そういうことを考慮して、そういうふうに重点化なり連携等が図られているのかということを十分踏まえて評価を行なっていただくということが適切な業務の推進にも資するものであるという、政府の方針にも資するものである、そういう観点からの意見でございます。
先にまいります。もとの3ページものの紙ですけれども、次の例で地方組織毎の業務、財務内容の分析を踏まえた評価の実施、これは規模の大きな組織ではそれぞれごとにセグメントのような形できちんと財務と業務を見てもらいたいと、そういう意見でございます。
それから最後に外部委託による効率化効果を厳格に捉えた評価の実施ということで、これが環境省の評価委員会に対する意見等の先ほどの別紙と書いてある紙の一つ目の意見でございます。
ここは、「その他業務運営に関する評価において」という項目にある評価の中でということでございますけれども、外部委託に関する評価を行う場合は、委託の実施の有無やその規模の評価にとどまらず、委託を実施したかということだけではなくて、あわせて本当に真に効率化が図られていたかという観点から、新規に外部委託をする場合と、法人が直接実施する場合との人件費を含めた総コストの適正な比較、委託先の選定に当たっての競争的条件の付与の有無、特定の委託先との契約の継続状況、受託業務の成果の品質管理の状況等にも着眼した評価を可能な限り行なうこととすべきであるということで、実際にアウトソーシングをした場合、本当にそれがコストの削減など有効な業務運営の効率化に本当の意味で役立っているのか、そういう観点から点検をしていただきたいということで、これに該当する法人、大変たくさんございましたけれども、共通的に述べさせていただいたものでございます。
ちなみにこの1ページのもう一つ、3つ目に、別紙に書いてある一番下には、フォローアップという言葉がございまして、これも各評価委員会共通ですけれども、一応読み上げさせていただきますと、平成13年度業務実績に関する環境省独立行政法人評価委員会の評価結果及びそれに対する政策評価・独立行政法人評価委員会の意見について、14年度の業務実績に関する評価と合わせて、その反映状況のフォローアップを行っていただきたいというお願いをしているものでございます。
最後にもう1回、あちこち飛んで恐縮ですが3枚ものの紙の残りのところでございます。簡単にコメントさせていただければと思います。
優れた評価事例の指摘ということで、これは7項目7法人について意見を述べさせていただいたんですけれども、具体的には例えば業務の重点化ということで、例えば国と地方との役割分担を踏まえた本当に国の試験研究機関でやるような研究に重点化が図られているのかどうかという観点から評価を行なっている例とか、あるいは学生の定員そのもの、就職率であるとか、あるいは充足率であるとかを見て、本当に今の定員規模そのものが適切であるのか、より縮減の余地があるのではないか、そういった業務の見直しなど、法人における今後の業務運営の効率化の方向性にも言及しているような評価、場合によれば、そもそもの目標とか計画にもかかわるような観点から、業務運営の方向性について評価を行っているような、そういう評価についてはぜひそのような評価を進めていただきたいという意見を述べさせていただいたものです。
最後に、今回は1次意見ということでございまして、これから各府省評価委員会の評価に共通するような課題を中心に2次意見を今取りまとめているところですけれども、これにつきましては、回資料1の一番最後の紙が委員長談話というものになってございます。
委員長談話の前半はこれまで私が説明したことが要約的に書いてございますけれども、一番最後の紙の後ろをめくっていただきますと、下から2番目のパラグラフですけれども、11月19日の段階での今後の審議ということでコメントさせていただいているのが、当委員会としては、今後、全体的な意見の取りまとめに向けて、必要な論点につき議論を深めることはもとより、実効ある評価の推進の観点から、分析・評価の手法、理由・根拠データの記述、法人の経営戦略等の考慮状況等について57法人の評価結果を見ると、精粗がある、ばらつきがある、幅があるということが見られましたので、これについて適切な水準に合わせレベルアップを図っていけるような、そういう方向でのご意見、それから評価結果の横断的比較を踏まえたベストプラクティスの共有等について引き続き議論を深め、2次意見を述べていくこととしたいということでございます。
なお、追加的に申し上げますと、昨日の読売新聞などでも独立行政法人の評価自体の問題がいろいろ触れられておりましたし、また、これから特殊法人になる独立行政法人についての国会審議というものがほぼ終わりましたけれども、昨日までに1カ月間、国会の各委員会で繰り広げられまして、その中でやはり独立行政法人制度においては、評価が非常に重要であるという議論がありました。新聞などでは役員の報酬の問題等いろいろ言われておりますけれども、報酬については業務の実績を反映するということは独立行政法人通則法にも規定されており、業務実績をより適切に評価することによって改善が図られることが重要であろうと。そのための評価に対する期待というものが非常に高まっていると、そういうことも踏まえまして、ぜひ包括的な2次意見というものをまとめていきたいというのが今の総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会での審議の状況でございましたので、蛇足ながらつけ加えさせていただきました。
どうかよろしくお願いいたします。
【松野委員長】
どうもありがとうございました。
今、この評価に対してのコメントですね、評価自体を横から見ている委員会についてのご説明、大変丁寧にしていただきましてどうもありがとうございました。
今ので手順とか趣旨とかその辺はよくわかったと思いますので、特にご質問なければあれですが、何か今ので。非常によくわかりやすくしていただいたのでありがたくと思っていますが。できれば今度は中身の……。ありますか。
【柘植委員】
この別紙のバイオマスのこの2番目のパラグラフですね……。
【松野委員長】
ちょっとそれは中身のことですね。今の説明でわからないことがなければ、中身の方でいきたいと思います。わかりました。
それでは中身の方ですね。ではこちらの全体の指摘と、それから個別に我が評価委員会で出した評価に対しての意見というのがありますので、それについてでは今もう柘植委員からお話がありましたように、ちょっとどうぞ何か問題点ありましたら、私ももちろんあれですけれども、委員の方々から。
【柘植委員】
多分、ひとつ委員の皆さん方はこのバイオマスの話も各省庁にまたがるものの研究がされていることに対して、ほかの省庁も見て考慮しなさい、考えなさいと言われているように理解されるわけですけれども、これはそうすると今までの評価委員会の報告書の中にこういう観点のものをどうできたのかと。我々が終わらせてしまったのか、それともそういう見方をしていなかったという、データベースとして省庁の研究にまたがっているもの、製造とれているかとか、集中されているかというのはできたのでしょうか。
【松野委員長】
まずその前に、この意味が必ずしも明確でないので、私自身としてはここに書いてあるのがバイオマス資源の利用技術と表現があって、農林水産資源の活用に向けた部門ということで、まさにバイオマスを資源としての利用というのは木材とか食べ物とかいろいろあると思いますが、これは国立環境研とどうかかわってくるかということで、考えてみますと温暖化問題にとって森林の吸収というのは非常に大きなポイントですが、それは同時に森林の有効利用というか、そういうリニューアブルな燃料とか木材ですか、そういうものというのは地球環境問題の一環でもあるわけですから、そこを農林水産省との計画と何かうまくよく合わせてここの知見を向こうに反映して、向こうのそういうのということならわかるんですが、バイオマスの利用という、文字どおり利用というふうになるとちょっと我が国立環境研の研究テーマとは違うのかなと思っています。
そこで、もし環境研の方からこういう表現の指摘に対して、ああそういえばこういうことがあったというようなことがございましたらお願いしたいんですが。
【西岡国環研理事】
バイオマスといいますと森林系のバイオマス、それからいわゆる食糧系のバイオマスとございまして、最終的にこれは廃棄物となります。ですから、我々の方の所掌であります。バイオマス系廃棄物の処理に関しましては、当事務所は非常に関連がある。正直言って、もともとこちらの方でやってきたものなのですが、それをどう調整とるかにつきましてはまだこの時点では十分できていません。
といいますのは、バイオマス・ニッポンというのはたしか去年ぐらいから農林水産省の方を中心として国のプロジェクトになってきたもので、中期計画との調整が十分できていないのではないかなとは思っておりますが。酒井センター長、補足することございますか。
【酒井センター長】
今おっしゃっていただいたとおりです。
【德田環境研究技術室長】
この記述に関してバイオマス・ニッポンとの関係が今出てまいりましたけれども、バイオマス・ニッポン自体はまだできていない状況でございます。したがって、ここで書いてあることは、表現をごらんいただくと「期待する」というふうに最後になっていまして、13年度における環境省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果についての第1次意見とはなってはおりますが、ここの部分は私の理解は13年度についてというよりは、次回以降の評価においてこういった観点を考慮して評価をすることを期待すると、こういう意見なのかなというふうに理解をしておるのですが。
【松野委員長】
はい、わかりました。委員の方よろしいでしょうか。そういうことで、とりわけ廃棄物は独立行政法人になったときに新しくたしかつけ加わったものなのですね。ですから製造は始まったばかりだけれども、それは今のように他と関係があって、この中でちゃんとお互いに調整をとりながらこれから進めていくということで、次回にはその問題についての報告がなされるということです。ということで、これについてはそうだと思います。
では、ほかは何かありますでしょうか。内容に関して。ご意見というか。
私自身としては、この第1の項目に関しては、そもそも今回の評価自身は初めてのことだったので、まず全体大きな我々として一番大事と思われるところから大きくとらえていくと。国立環境研については、独立行政法人の云々かんぬんの言葉で言えば国民に対するサービスの質の向上ですか、要するに研究として何をやってもらいたいかということが一番大事というふうな観点で、国立環境研が我々が期待する研究を実際に行なっているか、それが有効に行なわれているかなんていうところを第一に見たつもりでおります。さらにそれのための仕組みとか、研究員の評価の仕組みとか、それから組織のいろいろなやり方、その中の一つにはアウトソーシングなんかもあったと思いますが、そういう大きなところから見ていきたいと思いましたし、それから研究所の方からもそういう大きな枠組みについてのご報告をいただいたと思います。
その中で、今のアウトソーシングに関してはちゃんと勉強されておりましたが、これほどまでには我々はまだやらなかったと思いますし、研究所の方でもこの仕事はこちらのアウトソーシングの方が安く上がるんだから、それをやめて研究所では外へ出して、そこの定義は別のことにしましょうとか、何かそういうような議論というのは多分まだされていないんだろうと思います。今後はそういうことまで考えるべしというのがここの意見だと思うんですが。
これについて何か委員の方からご意見ありますでしょうか。
【佐野委員】
私、逆に質問ですけれども、私がここで申し上げたのは間接部門が非常に多いものですから、効率的にやるためにはアウトソーシングも含めて、各独立行政法人の共通のプラットホームとして管理部門は全部集約する。そういう新しい発想でやるべきではないかということも提案したのですが、この点についてはほかの独立行政法人からのご意見等はあったんですか。
【讃岐評価監視官】
そこまで具体的なプラットホームについてどのように進めるのかというところまでの議論はなされていないというところでございます。
【佐野委員】
でも、環境省だけでは無理だと思うんですが、こちらの方でリーダーシップをとって考える、あるいはチャレンジするべき時期だと思います。今、県とか市とかがそういう方向でやっているのが既にありますし、この際ぜひこういう意見も上部の評価委員の皆さんにインプットしておいていただきたいと私は思います。
【讃岐評価監視官】
このようなご意見あったという旨、私の頭の中へテイクノートさせていただいて、必ずしも制度設計のようなことになるとこれは評価の枠を超えるようなところもあるかもしれません。よくどのように評価で取り組むことができるのか、それについて考えさせていただくということにしたいと思います。
【柘植委員】
ちょっとすみません、補足なんですけれども。今のこれでちょっと何かすれ違いがあると思うんですよ。やはり今佐野委員がおっしゃったことは、産業界の中である会社組織の中で、例えば資材のまとめ買いとか、そういう形で資材費が物すごい安くなっていると。それは環境省、あるいは環境研究所だけではできない話なわけですよね。しかしここはそういう目でも見なさいよと言っているわけで、これはある意味では国というレベルではもうちょっとやはり企業がやっているまとめ買いのような、あるいは資材の単価の適正かどうかというのも、各独立法人がその適正かどうかとやる、それの認定プレイションのロス、これが一つの例えばまとめ買いができるとしたら、企業の場合ですとある一つの全組織の資材というのがコントロールできますね。それが結果的に税金を安く使える、国の予算が合理的に使えるということにつながりますので、重大な佐野委員の提案だと思うんですね。それはここの評価委員会に投げかけられていますけれども、逆に投げかけ返したいというように私は思います。
【松野委員長】
今のやりとりにつきましては、佐野委員は強くそういうことをご主張いただきまして、私もそのご意見はわかっていましたけれども、内容的にその重要性、それから時期的な問題等含めて十分理解できずにこの評価報告書に盛り込むことができませんでした。
これ、そこに何らかの格好でコメントの形で、コメントといいますか、盛り込んであれば今回のキャッチボールがまずこちらから投げたという格好で受けとめられたんだと思うんですが。その点に関してはどうも佐野委員に対してはせっかくのご指摘に対して生かし切れませんで申しわけありませんでした。
そういう意見は出ておりますので、改めて次回機会があれば我々の方からもそういうことを佐野委員の意見を踏まえて出したいと思いますが。今、直接たまたまこういう機会がありましたので、そういう考え方ですね……。
【讃岐評価監視官】
独立行政法人に限らず大きな国レベルの問題なのかもしれないんですけれども、そこはちょっとこの場で私限りでお答えするというレベルの問題でもないかもしれませんが。
【佐野委員】
しつこいようですけれども、やはりこういう研究機関というのは効率性というとそこしかないと思うんです。やはり人手も物すごく削減されますし、今言ったようにまとめ買いによるコストの削減もできますし、大きな効率性が図られると思うんです。
【加藤委員】
先ほど柘植委員が最初にご提起された、例えばバイオマスのようにいろいろなところでまたがって研究などをされている。これはバイオマスは多分目立ったと思うんですが、考えてみれば地球の温暖化だって国立環境研究所もやっているし、気象研究所もやっているし、あるいはその他の技術系の研究所も温暖化についてやっているし、オゾン層だって酸性雨だっていろいろなところにまたがってやっているわけですね。それを内閣といいますか、そういう立場から見ると何だかダブっているねと。重点化して調整したらどうだとか、連携したらどうだとかという、そういう発想になるのが役所の常として当然だと思うんですが、ただ重点化といっても同じ例えば酸性雨であれ、バイオマスであれ、温暖化であれ、視点を違ったところでやっているわけですね。気象研究所の温暖化に対する視点と、多分国立環境研究所の温暖化に対する視点も違うし、酸性雨にしたって全然違った、例えば影響の方に非常に重点を置いて土壌とか生態系に対する影響を酸性雨で非常に、例えば恐らく農水省関係等の研究所はそういうふうにされるし、環境省関係はどちらかというと酸性雨のメカニズムだとか、そういったことにダブってはいますけれども、それこそ違うと。
それをここの評価委員会で関係省庁が何をやっているかというのを全部知った上で評価するということは、これは不可能に近いのではないかなと。それをもうこの文章によると「関係機関の連携等の促進が図られることを考慮した評価を行なうことを期待する」と。つまり、どこの研究機関が何をやっているかということを全部知った上で評価しなさいという意味だとすると、そういう意味かどうかはっきりは。これはなかなか大変なことで、そのこと自体が既に評価のあり方といいますか、もう基本にかかわる問題ではないかなということで、柘植委員の最初の指摘は非常に重要な指摘だなと思います。
私すぐに答えはありませんが、そういうことはちょっと不可能に近いのではないかなというのが、私のとりあえずの印象です。
【松野委員長】
先ほどの説明をいただいたところでは、6月25日ですか、の骨太の方針第2弾とかというところで、そこでバイオマス何とかという、政府全体としての取り組みというか推進戦略みたいなものは非常に大まかなものは決まったんだろうと思います。それを各関係のところでブレークダウンして、多分こういうことをやるよというようなことを議論されたんだろうと思いますので、そういうものリファーしながらちょうどいい、自分たちの守備位置というか、分担をやっているかどうかと、そういうのを見ればいいんだろうと思うんですが。どうでしょうか、環境研の方でそういう何かバイオマスに関する総合的なポリシーみたいなものの当然ご存じと思うですが、そういうものは来てあるんでしょうか。
【西岡国環研理事】
総合科学技術会議など種々の報告書等につきましては、私どもも入手して、勉強しております。
【松野委員長】
そういうものはリファーして計画を立て、そして実行していただければいいわけですね。
【西岡国環研理事】
その努力は最大限にしております。特に総合科学技術会議につきましては、ご承知のように研究所からも参事官が出ておりますし、温暖化等々につきましてそういう横の連携をどんどん進めていくという方向で私ども仕事しております。政府の方針につきましては十分な情報ソースをもち、それに対応するつもりでおります。
【松野委員長】
わかりました。
【鈴木委員】
今の議論の問題点は、評価をするという立場からいけば計画に何が書いてあったかということにまず問題があるんだろうと思うんですね。計画の段階で、例えばバイオマスに関連する問題をきっちり取り上げて、出ていれば我々それが達成されたかされなかったかを評価するという形で議論ができたわけなんですが、今回の場合にはそこのところは後から重要な何か重たい荷物が降ってきたみたいな形になっているわけですから、中期計画、年次計画というものを弾力的に見直していかなければならないようなことにしばしばなるのではたまったものではないと、逆に言えば。やらなければいけないことはわかりますけれども、そこら辺のところの運営の仕方の問題でもあるわけで、それは後から評価せいと言われてもできることではないのではないでしょうか。
【柘植委員】
ちょっとすみません。私も業界でいろいろな仕事を各省庁にまたがってやっていますけれども、この2番目の「関係機関の連携との促進を図れることを考慮して」なんていうのは、我々に投げかけられる問題ではないと思うんですよね。各省庁間が率先して連携すべきで、それを事業計画に出していただいて我々が評価すると。この上部機関の何とかというのは、そういうところは一体どう見ているんですか。こういう言い方というのは実態を理解していないと思いますよ。
【讃岐評価監視官】
まさにおっしゃったように、本来その実施機関、あるいは関係府省間での連携が図られているかどうかということについてを評価していただくのが評価委員会だと思いますし、そこをどのように書くかということで連携が図られているということを考慮した評価を行ってもらいたい、今後の評価としてですね、そのように行っていだきたい。
ちなみに政府全体の方針としては、そのバイオマスについては関係府省一体となって推進するということが大きな方針として示されていて、その恐らく実施方策の中ではそれぞれごとの役割分担を踏まえて適切に連携を図って推進するということに当然なるんだと思いますし、その具体策は当然決められるはずだと思います。その具体策を踏まえて、そこが適切であったのかどうか。そういう問題意識を持って今後評価に取り組んでいただくことを期待するという意見を出させていただいているところでございます。
【松野委員長】
どうでしょうか。ここの委員会としての逆にこのコメントへのコメントとしてはちょっと時間の差も含めて見当外れというか、言い方、極端に言えばですね、そんな批判ではないかというのが全体かと思います。ということでご考慮いただきたいと思います。
要するに、こんなものは既にちゃんとあらかじめなっているし、それから連携を図るような、ここで連携を見ることができないので、もとのところにちゃんと具体的な戦略があって、それにのっとって適切な守備位置について環境研が適切なことをやっているかどうか、それを我々見るということはできると思いますけれども。そういうものがまだまだちゃんとでき上がっていないものをその段階で平成13年度の研究の評価の中に盛り込んでくれと言われても、ちょっとそれは難しい、無理な話だと。
【讃岐評価監視官】
あくまでも14年度に定められた方針を踏まえて、今後の評価のプロセスの中で評価委員会と、それから環境研究所、あるいは環境本省とのその評価のプロセスの中でのやりとりの中でこのようなことが適切に図られているのかということを評価委員会としてもぜひご注視いただきたい。我々が意見を述べるのはあくまでも評価委員会に対してということでございますので、このような意見の述べ方になっているということについてもご理解いただければというふうに思います。
【松野委員長】
というわけで、今後ということで理解していきたいと思います。
ほかに。
次はフォローアップということですので、この機会に、また今度来年の5月、6月になって始めるときにまたもう1回、我々の経験、今回の経験を生かしてさあどういうふうにやりましょうかということを当然ディスカッションしたいと思いますが。
初めてだったので、何としてもいろいろ難しい点があったと思うんです。今回、一度経験しましたので、次回はこういうことも含めて上手にやっていきたいと思っております。
ということで、またさらにさっきのお話ですけれども、2次意見が来る可能性はあるんですね。
【讃岐評価監視官】
2次意見、早急にまとめるべく今、評価作業を行っているところでございます。
【松野委員長】
1点ご報告申し上げますと、さっきお話のありました9月26日という日付ですが、9月25日にこれは口頭でまず、正式な文書は26日付で打ったんだと思いますが、事務局の方と一緒に委員長とお話を30分ぐらいだったでしょうか、お話しして、報告書をお渡ししてこんなものを我々つくりましたとお見せするという手続をとりました。それで公式にあった文書ができたと思います。
その後、電話か何かで意見を求めた、比較的最近ですね、これが始まる直前に委員長の方から電話で連絡いただきまして、そのときどう思ったか、感想みたいなことを僕は話しました。そこで話したのは、どうしても独立行政法人、これ最初のときから佐和委員なんかずっと言っておられましたけれども、業務の効率化とかがどんと最初に出てくると。それが何だかよくわからないと。これは研究機関に当てはまることだろうかと。僕もしょっちゅう言っているわけですけれども。そのために独立行政法人通則法というのが何か、必ずしも研究機関でない、非常に広いものを対象にしたためにそれを解釈するのが大変難しくて、初めに生の解釈をして、業務の効率化に関してどういうことを研究所でやっているかとか、サービスの質の向上であると、そんなものの項目でやってきたがために多少混乱したと。むしろ最終的には研究所の評価をやるんだったら、一たん通則法の言葉遣いとか忘れて、普通、国際的に研究機関の評価をするときに評価するというようなつもりで1枚紙の評価の案を私自身つくりましたが、そういうふうにやってみれば、それなりに対応関係、法律の文書で書いてあるものの対応関係はつくわけですから、それをもっと早くそういう形に直しておけばよかったなというふうに私は思っております。
そういうようなことを評価委員長に電話でお話しして、向こうは特に、レスポンスはそうですかというような話だったと思います。そういうことがありました。
ということです。2次意見というのが今度より具体的に来ればまたそれで評価委員会の評価をしていらっしゃるところのコミュニケーションをまた図れると思います。
それでは前回の評価についてのことはこれで終わりたいと思います。
それでは次の議題ですね。国立環境研究所役員報酬基準の改定ということについての議事に入りたいと思います。
事務局の方からお願いします。
【德田環境研究技術室長】
それでは参考資料2と、それから資料2と、両方ごらんいただけますでしょうか。
参考資料2、後ろの方に入っておりますが、独立行政法人通則法でございます。
その裏側、2ページとページ数打ってありますけれども、そこをごらんいただけますでしょうか。
第52条におきまして、「特定独立行政法人は、その役員に対する報酬等の支給の基準を定め、これを主務大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも同様とする。」と52条の2項にそう書いてございますが、この規定に基づきまして、今般資料2にありますように、12月2日付で国立環境研究所から役員報酬支給基準の改正の届け出が環境大臣あてにございました。
また、通則法の53条第1項におきまして、「主務大臣は、届出があったときはその届出に係る報酬等の支給の基準を評価委員会に通知するものとする。」とされておりまして、第2項において「評価委員会は、通知を受けたときは、その通知に係る報酬等の支給の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、主務大臣に対し、意見を申し出ることができる。」とされております。
そこで、今般先ほど申し上げましたように国立環境研究所から届け出がございましたので、本日評価委員会にお諮りをさせていただくということになったわけでございます。
それでは役員報酬基準の改定内容について、国立環境研究所から説明をお願いいたします。
【小沢国環研総務部長】
国立環境研総務部長です。説明させていただきます。
資料の2でありますが、資料2の1ページあけていただきまして、別紙で今回の改正内容の概要を書いております。
一つ目は役員報酬規定の一部改正でありますが、ご案内のとおりことしの夏、人事院の給与勧告がありまして、先月国家公務員の給与法が改正されています。ここではわかりやすく言えば給与の2%引き下げが行われているわけでありますが、当研究所の役員報酬規定は公務員給与法に準拠して定められていまして、具体的には指定職の6号俸、7号俸の給与を横に借りてくるような格好で設定されております。それが、今ごらんいただきました通則法の中でも役員報酬の支給基準は公務員の給与、民間企業の役員報酬等を考慮して各法人が定めなさいと規定されておるわけですが、今回のものは公務員の給与が変わったということに加えて、人事院勧告自体が官民給与の格差是正という見地から行なわれているということがございまして、今回、我々職員も同じなんですけれども、公務員給与並みに引き下げをするということで、役員報酬の分についてもごらんいただいておりますような月額、あるいは日額でございますけれど、改定をすると。あわせて、期末手当の支給月が新年度から変わるというようなことがありますので、この点も準拠するという形で改正をしたいというふうに考えております。
これが1点目であります。
次に、次の裏のページでありますが、2点目で業績評価の役員報酬への反映に関する事柄であります。
現在の私どもの役員報酬規定の中では、期末特別手当について定めている規定の中で、環境省独立行政法人評価委員会、つまりこの委員会でありますが、の研究所に対する業績評価の結果を勘案して、この期末手当の額を増減することができるというふうに書いてあります。
これまでも増減というのはどういうことなのかということについては、本委員会でも若干ご議論いただいているところでありますが、私どもとしてこの運用基準を明らかにするという必要があるだろうということで、今回この運用基準を定めさせていただきました。
運用基準の中身でありますが、評価委員会の研究所に対する業績評価がなされた直近の期末特別手当、通常ですと秋に前年度の評価がなされていたと思いますので、その場合は12月の期末手当ということになります、において、給与月額、月給の1.8カ月分を対象にして、Sの場合は5割増し以内、Aの場合は25%以内、Bの場合は同じ額、Cの場合は半分、Dの場合はゼロにすると、なしにすると、これを基本にすることとしたい。
ただし、その時点における社会経済状況、当該役員の責任に係る研究所の業務実態等について適切な考慮を行なう。
社会経済実態ありますし、前年度の評価結果に反映されない実態というのもございまして、これは私どもの方の役員会で議論になったんですが、例えば評価はいい結果が出たんだけれども、新年度に入ってから何か例えば災害のような事故が起きてしまったようなケースとか、そういったこともあるだろうということで、こういった考慮事項も書かせていただいております。
注のところでありますが、この運用基準は、実はありていに言えば他の独法はどうなんだろうかということを調べまして、ほとんどの独法はまだこれを決めておりません。ごく少数のところは決めておられまして、最も早く決められましたのは産業技術総合研究所、産総研の例であります。これと同じような対象範囲とか、増減率、実は同じようにしております。
また、これを採用しましたもう一つの理由は、私どもの所内の職員について個人業績評価というものを行ないまして、これを業績手当に反映しているわけですが、その反映の対象額であるとか、対象の率といいますか、ある程度役員は責任が重いわけですので、少し過重するという意味で、そのバランスをとる必要があるというふうに考えております。
ここに書いてありますユニット長クラスの場合は6月の業績手当についてやることにしていますが、ちょうどその対象額は役員の上にかけました案は役員はその2倍のものを対象にしてやられるということ。それから、職員の場合にはABCの3段階評価でありまして、AとかCの場合は平たく言えば普通のものに対して2割程度の増減があるということであります。役員の場合には、ですからAの場合はほぼ2割でありますが、Sという評価があるということ。
それから、悪い場合には責任をとってもらうといいますか、そういう厳しくするということで、ハイリスク・ハイリターンといいますか、ハイハイリスク・ハイリターンといいますか、そういうようなバランスをとったというような考え方のものでございます。
それから2つ目の丸、14年度における取り扱いでありますが、前年度の業績評価の結果はさきにもAということでいただいておりますけれども、現下の社会経済情勢、先ほども言いましたのは公務員給与の改正なども行なわれた経済的な事情というようなことなども考慮して、私ども理事会でもご議論いただきまして、今回の期末手当についての増減はしないということを決めさせていただいております。
以上であります。
【松野委員長】
どうもありがとうございました。
ちょっとまずクリアにしておかなければいけないのは、まず最初のところは規定の一部改正ということで、既に報酬、もう発足しているわけだから決めたわけですよね。その改正ということで、次に評価結果の反映のこの運用のことですが、これはまだ決めていなかったものを今回新たに決めたということですね。これは今後、年度にかかわらずこれを使っていきたいと、そういうものですね。
最後のは平成14年だけにかかわることで、これは別なわけですね。
そうすると、今のさっきの公務員に準じた変更、これは改正になって、この新たに報酬への反映という運用のルールを今後ずっと使うというか、ある程度の期間使うものとしてここで提案というか、そういうふうにお決めになったことに対して意見を求めておられるということですね。
ということですので、最後の平成14年度云々も、これは我々意見を言う必要がありますけれども、まず一般ルールの部分について……。本当は前のもあるんですね。では順に行きましょう、すみません。
では戻りまして、改正ということでもう既に公務員に準じて普通の給与のそのものを、ボーナスではない部分に関しての規定がつくってあるんですが、今の公務員の給与の改定にならって改定する。これは実は下げるということですが、こういうことを研究所の方で決めておられる。これについて何かここで適当であるから、あるいはこういうふうにした方がいいよというような意見がありましたらそれを出したいと思いますので。何か委員の方からご意見ございますでしょうか。
考え方としてどうするかですが、公務員型の独立行政法人になりましたけれども、身分に関しては公務員型ということをうたっていましたので、公務員に準じるという考え方はそれなりにいいかなと僕は思います。これは個人的ですが、独立行政法人というのは今までの本当の行政の一部として研究なんかやるのは不便なところがいっぱいあって、それはお金の使い方とか、年度越しのお金の使い方とか、人の雇い方、ポスドクなんかも自分で自由に雇えなくて物がみしみし細かく決まっているとか、いろいろなことがあって、そういうところが非常にフレキシブルになってよくなったと。それから組織の改変とか何とかですね、そういう意味では独立行政法人は非常によかったと思いますが。
この部分ですね。この給与への範囲、ここのところは一体どうするかということで、これもやはり独立行政法人になった一つのポイントなんですが、どうなんでしょうか。ここに関してどれぐらい我々としてもこういろいろ意見を言ったりしていくのがいいのか。
最初のときあれでしたね。お祝いのときに近藤先生が月給上がりましたかと、こう聞いたことがあるので、そこが一つの違いではあるんですけれども。評価によって決めることができるというのが独立行政法人の一つの特質でもありますが、今、私個人としてはやはり研究内容とか、そういうところでのフレキシビリティとか、のが一番大事かなと思っているので、まず何でも横並びでと……。
【佐野委員】
その前に、ここの理事長の月額の報酬ですね。これは他の独立行政法人に比べると上中下とか、ABCぐらいだとどの程度になっているのか、その辺をまずお聞きしたいと思うんですけれども。
【合志国環研理事長】
みずからのことでございますので明確な認識を持っていなければいけないのですが、いわゆる横並びということだと思っております。
要するに、大変規模の大きいところ、それから機構というような表現をとっているところはちょっと違いまして、少し高い報酬となっておりますし、非常に小規模のところはまたそれなりにちょっと下げておりますけれども、我々のところは標準ということであります。
【松野委員長】
やはり規模に応じて違うということですね。
【合志国環研理事長】
やや違っております。
【松野委員長】
では予算規模とか研究者の数とか。
【合志国環研理事長】
私の承知している範囲では4段階ぐらいであります。私どもはそのうちの上から3番目だと思っています。
【佐野委員】
規模で言っているのはおかしいですよね、やはり。パフォーマンスで決まるべきではないでしょうか。
【松野委員長】
わかりました。よろしいでしょうか。
今、資料が十分でなくてすみません。4段階ぐらいに分かれて3番目というお話ぐらいで、具体的にどういう研究所でどういうことをやっていてどのぐらいの予算規模でどうのと、そういうのがわからない状況で何とも言えないんですね。
さっき、ちょっと僕の個人的な考え言いましたけれども、独立行政法人化に伴う幾つかの変化のうちで、これも大事なことではあるんですが、我々評価委員会としては研究の実行の仕方とか、経費の内容とかについて随分やってきましたので、次にはやはりさっきのアウトソーシングもありますように、こういう問題も考えなければいけないのですが。ちょっとそのための資料とか考えとか、私個人は用意できておりません。
【佐和委員】
ちょっと私、聞き損じたのかもしれませんが、業績評価結果の反映に関する運用基準というところですけれども、ボーナスを云々というのがございますね。これは業績評価というのは、つまり一番14年度における取り扱いというところに明記されているように、要するに国立環境研究所に対する評価がAであればここであると、何%増し、Bであれば同額、このままというような、そういう意味ですね。全員についてというわけですね。
【松野委員長】
これは役員ですね。
【佐和委員】
役員の前にですか。
【松野委員長】
役員報酬への反映と。
【佐和委員】
役員報酬について高い評価を受けたというのが役員の業績であるというふうな認識のもとにというわけですね。
一般の研究者といいますか、については例えば個々人の研究評価というものはやはりこういうふうな形で反映されるということは、内部的にはおやりになるわけですか。
【浜田国環研理事】
はい。職務業績評価ということを制度として独立行政法人になりまして導入いたしまして、昨年度の実績報告書の際にお話しいたしましたが、個々人の面接をしてその事前事後の評価を上司3名を選んでしてもらった上で、その結果を見てボーナスの業績相当部分へ、さっきも言いましたように最大20%ぐらいかさ上げするというような制度、あるいは特別昇給にそれを勘案するという制度を職員に対しては導入して……。
【佐和委員】
そのときに実際に査定を受けて減額された人、あるいはもう少し上がると思ったのに同額のレベルに置かれたとか。つまり、要するに自分の期待を下回る昇給しかなかったといったような場合に、クレームを言っていくような制度というのはあるわけですか。
【浜田国環研理事】
理事長に直接、不満な場合はクレームを言う仕組みにしております。
ただ、昨年度の実施の際には1件も幸いにしてございませんでした。
【佐和委員】
このことは別にお答えいただく必要はないといいますか、不都合だったらお答えいただかなくて結構なんですが、SABCDの分布といいますか……。
【松野委員長】
これはここですね。
【佐和委員】
いえ、そうではなくて。
【松野委員長】
一般のですか。研究員の。
【佐和委員】
所内でのそういう。
【浜田国環研理事】
昨年の実績では、ABCの3段階でありましたけれども、Cというのは減額対象になるんですが、それに相当する者は基本的にいませんでした。
それから、AとBではたしかAが3分の1で、その他多くがBで、通常のボーナスの支給率であったということでございます。
【佐和委員】
わかりました。どうも。
【松野委員長】
研究員に対する評価というのはいつごろ行われるんですか。
【浜田国環研理事】
年度当初に行うことにしておりまして、4月から5月にかけて。
【松野委員長】
仕組みについては今回、新しくつくられたんで評価のときにいろいろなだれか評価書はだれと、直属何とかにするとかいろいろなルール、それから今のアピール制度とかご説明いただいて、大変よく考えられているというようなこと。あるいは、佐野委員あたりからは随分甘いねというお話もあったかと思いますけれども。具体的にどうなったという、今のそれはお話はたしかなかった……。ありましたか。何%がAで何%がBだったというお話は。
【浜田国環研理事】
そこは、今申し上げたように3分の1がAで。全職員の3分の1がAです。
【松野委員長】
というのは、今回の評価のときにはまだなかった。我々が評価するときに。5月か6月に評価したときにはもうそれは行われていたんだけれども、結果は。制度はご説明いただきましたが、その結果として今回こうなっていました、こうなりましたというのはなかったと。評価内容ですよね。
【浜田国環研理事】
ぎりぎり最後の段階でお話できたかと思いましたが。
【松野委員長】
もしあればそれに対してそれなりのコメントをしたかもしれないんですけれども。次回からそれではまた今のような。今回については今いただきましたから。
【佐和委員】
細かい点ですが、さっきの同じところですけれども、Sの場合は150%以内、これは暗黙のうちに125%以上ということになっているわけですか。
【松野委員長】
それちょっと、それは今のコメントとして意見を言えばエクスプリストにこれがあいまいであると。
【佐和委員】
あいまいですね。それでたしかAの場合125%以内でBが同額だったら、125%以内100%以上ということになって、今回の評価がAだけれども据え置くというのは納得できるんですね。
【松野委員長】
ではすみません。今の1枚目と、それからこの運用の部分と次が移っていますので、もう1枚目についてはご了承いただいて、横並び、公務員並みということで、今回は行きますということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【松野委員長】
では今の佐和委員から問題提起のあった評価のボーナスへの反映というところの中身についてディスカッション、お願いします。
まず今の、一つは不明確ということですね。これでは150%ですね、おっしゃるのは。仮に幅を持たせるとしても120%以上150%までとかという方がいいでしょうと。125ですか。そうでないと大変わかりにくいですね、一緒になってしまっては。
【浜田国環研理事】
この趣旨でございますが、以内というのはまさに文字どおり以内でありまして、実は理事会でもこの表現をもっと明確にすべきではないかという意見もありましたのですが、結局上げる場合は社会経済情勢等々の配慮事項がきいてまいりますので、場合によってはSをいただいても125にも達しない場合もあるかもしれないという意味での以内。
【松野委員長】
その下に「ただし」というのがあります。
【浜田国環研理事】
ただし書きの配慮の仕方が。
【松野委員長】
ありますので、それはどうなんでしょうか。基準だから……。
【浜田国環研理事】
上限を決めているだけということでして、これ以上は上げませんという。
【松野委員長】
それでその以内でもって極端に言ってゼロにしてしまうことも。予算足りないからボーナスゼロということもあるんでしょうけれども、それはその時点における社会経済状況とか全部入るのと違うのでしょうか。この基準自身は今佐和委員の言われたように、びしっと決めておいていけないんですか。
【浜田国環研理事】
具体的に申し上げれば14年度がまさにそういうことなわけでありまして、事前に決めていなかったということもありますけれども、本来Aをいただいたのに125ということもあり得たのかもしれませんが、やはりいろいろ社会経済状況があるので。
【松野委員長】
したがって、別途に一つ、これ後のディスカッションの討議事項として別途ありますが。その前の運用ルールは、ただし以下があれば。だめでしょうか。どうですか。
【加藤委員】
まさに委員長おっしゃるとおりではないかなと思います。佐和委員のご指摘や委員長が今おっしゃったとおりではないかなと思います。
浜田理事がご心配なさっている点は、まさに繰り返しご説明あるように、ただしその時点における云々という、そこで読めばいいのかなというふうに思います。
ただし、全然別のことなんですが、私自身はその現下の経済状況等を考慮して期末手当の増減等を行うものとするというのは14年度の扱いになっていますけれども、せっかくこういう基準を決めておきながら、現下の経済状況というのは安易に、安易にという言葉が適当かどうかわかりませんが、実は安易ではないとは思いますけれども、極めて深刻だと思いますが、これをやっておくと将来、しばらくの間日本の経済というのはそうすごく財政状況がよくなる見通しというのは極めて難しいですよね。国のそれこそ繰り返し繰り返し言われているような経済状況、財政状況が悪いわけですから。そうすると、せっかくこういうAをとったら180%ですよと、こう言っておきながら、実は全然これが適用されないということが考えられるわけで、先ほど佐野委員がおっしゃるパフォーマンスで考えろというのと、本当に問題がある。ただし、私は今ここでこれはそういうことを将来しっかり考えてみてくださいということです。
【松野委員長】
その以前に、評価委員会の監視員としては、こういう2番目のありますね、平成14年度についてはと、これは必ずあれでしょうか。まず運用基準をつくれば、これは基準ですからいろいろ参考にするわけです、参考というか大体原則ですよね。具体的には毎回毎回こう決めて、それはここに出てくるわけでしょうか。
仮に、それではさっきの佐和委員というのがあって150以内とか125から150としたときに、今回はこうしますというのをここでコメントを求められるのでしょうか。
【浜田国環研理事】
手続といたしましては、さっきの通則にもありましたように、これで言いますと最初のページの規定の改正につきましては、これは必ず届出事項になっておりますので、委員会でご審議いただくことになろうかと思いますけれども、運用基準につきましては所内の、つまり理事長の判断をこういうよりどころにしてこれから運用していきたいということでございますので、特段のことがなければこれでずっと運用していくということになろうかと思いますが。
【松野委員長】
その都度ですね……。
【浜田国環研理事】
ただ、評価委員会からあれについてちょっとどうなったのとか、ちょっとおかしいのではないかというようなことがあれば、もちろんそういったことをお伺いしながら運用基準を見直していくということは当然必要であろうかと思います。
【松野委員長】
それでは、ここでの一つの評価委員会における約束事というか、慣例としてお願いするということになるかと思いますが、せっかく評価をして、それは役員の報酬に反映されるということで基準つくったんだけれども、実行されていなかったらやはり困るので、例えば150%以内、仮にそっちをとったとします、以内としたんだけれども予算が足りないから、結局Sをつけたんだけれども100%しかしなかったですよということは必ずご報告いただくと。事前にですね。そして、できればこちらの同意を前提として実行していただくとか何か、そういうことをどこかで決めておく。それしかないということですよね。
【德田環境研究技術室長】
それは評価委員会の権限を少し越えているような気がいたしますが。その事後に報告を求めるということは業務実績報告をするということになっていますからいいと思うんですけれども、事前にというのは役員報酬規定に定めるのは理事長の権限でございますので、それはいかがなものかと思います。
【松野委員長】
その実際の運用ですね。我々せっかく一生懸命、仮にAかSかBというのをかんかんがくがく議論した結果が生きないと、こっちとしても困ると、そういうことです。
【德田環境研究技術室長】
ここでご議論いただくということだけであれば。参考にしていただくと。
【松野委員長】
結果が生きてこないと困る、そういう問題ですけれども。そのことをやはりずっと見ていたいと。
【佐野委員】
私、今の役員の皆さんはそれでいいでしょうけれども、次に役員になる人たちがこういうのを前例にしてやっていくということは余りいい人材が集まらないと思うんですよね。そういうやはり継続性が必要な、持続的な発展ですよね、当研究所の。そういうこともぜひ頭に入れていただきたいと思っております。
【松野委員長】
何か……、それから今度数字自体についてのご意見も同時にいただきたいと思いますが。
ちょっと見て気がついたことは、Cは50%、Dはゼロということで、こちらは刻みが50%刻みですが上の方は25、50と刻みが細かい、小さいんですね、ステップが。上の方も150、200という方がわかりやすいかなというふうに思うんですが。
あとさっきちょっと計算してみたんですが、これ1年間ボーナスが要するに3.6カ月分と思ってよろしいんですか、1.8と1.8で。これ正しいですか。
【小沢国環研総務部長】
おおよそそうです。
【松野委員長】
それの例えば4分の1ですと、25%ですと4分の1ですが、0.9カ月分なので、0.9カ月分というのは年俸に対するパーセントでいうと6%なんですね。上は6%、12%があり、下はマイナス12%とマイナス24%があると。Sの場合がプラス12%というのが妥当かどうかですね。これの表現でいけば、150、200とすれば年俸でプラス12%、プラス24%というぐらいまでなるんですが、マイナスの方はそういったものがあって、プラスの方がその半分刻みになっているというのは何か……。
予算と全く別の観点ですね。お金が苦しいからそれをどうにもならんというならそこで多少。ですから、この刻みをつくるのはどなたか。佐野委員なんか何かご経験おありですか。
【佐野委員】
いや、私も人事等やりましたが、こういうものはないですよね。非常にマイナスの評価を強くするというのは。
【松野委員長】
逆にこっちを変えた方がいい。マイナス25、マイナス50と。
【佐野委員】
何か事故とかペナルティとかそういうのがあればこういうふうになるんでしょうけれども、急激ですよね、下げが。
【加藤委員】
CDということはあり得ないという。そうであってはならないということだと思いますが。そんなことになってはならないという。あり得ないね。
【浜田国環研理事】
正直申し上げれば、産総研がこうなっておりますので、その意を対すれば、今加藤委員がおっしゃったようなことなのかなと。つまり、CとかDをいただくということはあり得ないと。もしそんなことがもらえるのであれば、やはりそれぐらいの覚悟が必要だというふうに我々は理解をしてお示ししているところでございます。
【松野委員長】
そういう意味で、わざと自身の引き締めのために、引き締めというのは変ですけれども、そういうふうに……。
【加藤委員】
そういうふうに。
【佐和委員】
ちょっとついでにお伺いしたいんですけれども、さっき個人の個々の研究者についてはABCDでのやはりCはいなかったと。それでAが3分の1、Bが3分の2とおっしゃいましたけども、ここには要するにいわゆる賞与というか、ボーナスに……、期末手当にAかBかということの評価結果というのは反映されたんですか。個人には。どのぐらいの差があるんですか。
【浜田国環研理事】
6月のボーナスの中の業務手当て相当分にAとBを勘案して……。
【佐和委員】
勘案という場合ルールがあるわけですか、AとB。
【浜田国環研理事】
約2割ですね。約2割をAの場合に加算したということです。
【佐和委員】
つまり1.2倍になるということですね。
【浜田国環研理事】
そうですね。そこのボーナスの基礎部分と業績部分というのが分けられることになっていまして、その業績部分について1.2倍、Aの評価がついたものについてそういう支給をしたということです。
【佐和委員】
それは現時点における社会経済状況を反映したかしなかったかということ。
【浜田国環研理事】
そうですね。そこはやはり人件費の範囲内で理事長が判断して支給できるということで対処したということでございます。
【松野委員長】
どうしましょうか。実は当初、30分で議題1、2でいきたいということでしたが、逆転しまして議題1、2で1時間半ぐらいになりつつあるので。せっかくなのに横並びとか何かというのも嫌だという気もしますけれども、また難しい問題で、大体こういうところを参考にしてつくられた案に対して、非常にはっきりしたものでないコメントというのはやはり難しいかと思うんですが。どうでしょうか、何か。
【加藤委員】
私は先ほども申し上げましたように、現状では今この案で私個人は賛成でございます。ただし、繰り返し、他の先生方もおっしゃられたと思うんですが、せっかくこういう基準をつくっていながら安易に現下の経済状況等を考慮してということで、なしにしようとか、そういうことというのはこれから先は少し慎重に考えていく。それは非常に難しい問題もありますけれども、民間企業だと利益が出れば、黒になればボーナスぼんとつけると、マイナスになればがんと下げると、これは当たり前なんですが、国立環境研究所のところはそういう黒になったとか赤になったとかということが多分ないと思いますので、そういうときの非常に難しいと。
そうすると、現下の経済状況という、そういうようなことにあいまいなことで、せっかくAがついたんだけれども、ゼロにしておこうとかという話になってしまう。そうすると何のためにつくったんだと、こういうことになるわけですね、この基準は。ですから、とりあえずこれでいいと思うんですけれども、将来に向けては研究課題ではないかなというのがあります。
【松野委員長】
わかりました。ということで、佐和委員の観点もありますが、またかえって難しくなるかと思いますので、この「以内」の表現をそのまま残して、やはりお願いとしてはこの実際にどうしておられるかをお知らせいただくということで、それで我々のいろいろな問題提起には答えていただきたいと思います。
そこで、基準に関しては今書かれている形での基準に関しては特にコメントなしというよりか、ぜひこのいろいろな「以内」の表現とか、それからただし以下のことがあるので毎回実施の状況をお知らせ願いたいというコメントをつけて、これは何かどこかに大臣に言うコメントではないのだと思いますけれども、ここでのコメントとしてこれで結構でしょうということにしたいと思います。
そこらもあるので、次の平成14年度、これどうですか。平成14年度にコメント。我々Aつけたわけですけれども、増額は行なわないというのが100%、ここでいう125以内というのを125以内の中を100としますと、そういうことを考えておられるようですが。
これはだれにコメントするんですか。これは規定ですね、やはり。主務大臣に何か言うのは。ですからこれはしようがないですね。
【合志国環研理事長】
この数字を具体的にどういうふうに運用するかということについては、理事会の中で合意としてやっておりますので、こういうことでお願いできれば大変ありがたいと思います。
【松野委員長】
わかりました。というわけで、あくまで基準や何かに関して通知を受けたりすると、主務大臣に意見を申しているのは基準か何かだから、これは何というんですか、この平成14年度のこれというのは。基準ではないですよね。
【浜田国環研理事】
これは理事長の判断による運用方針です。基準は基準として勘案することができるという基準を定めさせていただいて、それについてはこちらのご意見を賜った上で大臣に報告しております。
【松野委員長】
そうですね。報告されて一応……。
【浜田国環研理事】
運用方針ですから。
【松野委員長】
相談されている。
【浜田国環研理事】
ご意見を伺った上で理事長が最終的に判断することでお願いしたいのです。
【松野委員長】
するわけですね。
【合志国環研理事長】
このことは、評価委員の皆様方にご苦労いただき、それが結果にどういうふうに生かされているかという具体的な一つのあかしではございますので、十分に責任を感じております。
【松野委員長】
これはだけど実際には余り予算が足りないとかそういうことがあればわかるんですが、現下の社会経済状況というのはやはり世の中一般がそういう経済状況よくないのにボーナスをAだからといって標準額よりふやすのは余り望ましくないという判断をしましたと、そういうことでしょうか。
【合志国環研理事長】
さまざまな議論がありまして、その結果としてそう考えたということです。
【松野委員長】
すみませんが、一応一般基準の話とここは僕は切ったつもりですので、今のところについて今のような、世の中の状況によってそういう判断されたということにコメントありました。これは大臣に行くコメントではないので、相手にコメントするというんですけれども。本当にこの辺の仕組みは非常に。何か委員の方からご意見ありましたら。
【加藤委員】
特に何もありません。
【松野委員長】
もう研究所の判断を尊重すると。そういうことでいいですか。せっかくAつけたのにという……。
【佐野委員】
不思議な感じですけれどもね。
【松野委員長】
ええ、何のためにAつけたんだというのが、僕は絶対におかしいと思うんですけれども。予算が足りないならわかりますけれども。
【佐野委員】
こんなの遠慮してもしようがないと思いますよ。良い評価があるときは堂々と威張ってやった方が私は今後のためにもいいと思うんです。
【松野委員長】
というわけで、これは大臣にコメントできないので、ここで相手に言うしかないんですが、今の佐野委員のご意見に賛成される方。僕は賛成です。何か世の中こうだからというのではなくて。でなければ我々の評価の価値が、意味が出てこなくなるので。
【佐和委員】
今、委員長のおっしゃるとおりだと思います。何のために評価したのかということと、それから、ただしあえて一言つけ加えるとすれば、やはりこのこういう制度は日本には向かないんだなという感じがします。言い得て妙だと思います。
【松野委員長】
はい。ということですので、ここの課題の中の一人一人のご意見は特に伺っておりませんが、反対という方はいらっしゃいますか、そうではない。なければ、強い意見はもうそれでいこうと。少なくとも最低限のニュートラルならばそういうこととか考慮に入れて何かご判断いただきたいと思います。
ということで、大分時間とっちゃいましたけれども、確かにこれせっかく評価したことのどうなるかという問題だったので、時間をとってやりました。
それではさっき、当初は残りの時間をこれに使いたいといった中間報告の方に移りたいと思います。
【浜田国環研理事】
よろしゅうございますでしょうか。理事の浜田でございます。
予定の時間が大分狂ってきておるようでございますので、本来1時間ぐらいご説明する予定でございましたが、かなりはしょった説明にさせていただくことをお許しいただきたいと思います。
お手元の資料3に則しまして、まず業務実施の状況をごくかいつまんで私からご説明いたします。
組織につきましては、基本的には中期計画の中のとおりでございますが、一つ温室効果ガスインベントリーオフィスというものを地球環境研究センターに設けたというようなことがございました。
それから人員の状況は、これは本年11月末と昨年度末との状況で申し上げておりますが、研究者数で2人ふえたということでございます。この後、今年度中に2人採用予定でありますし、また10人を募集中であります。できるだけ採用を進めていきたいということでございます。
それから流動研究員、言葉がわかりにくいというお話ございましたが、いわゆる契約研究員-1年度ごとに契約更新していく契約研究員-と言いかえた方がわかりやすいと思いますが、流動研究員につきましては昨年度より38人ほど多い85人という状況になってきております。後ほど申し上げます予算増をこうした人員でカバーしているといってもよろしいかと思います。
それから職務業績評価は先ほどお話がございましたが、今年度につきましては14年度分の目標面接ということで、昨年度の評価面接というのと同時に行っておりまして、昨年度分につきましては6月のボーナスに反映させたということでございます。
それから収入の見込み状況でございますが、一番後ろに表をつけております。それでごらんいただきたいと思います。一つクリップを外していただいた一番後ろでございますが、14年度のところをごらんいただきますと、13年度対比で特に運営費交付金が約3億円弱ふえることになっておりますし、それから、政府受託収入というところにおきまして、6億2,000万円ほどふえることになっております。それらが主たる増要因でございまして、合計の欄では27億円ほどふえる格好になっておりますが、これはその2行目、3行目の施設整備費補助金でありますとか、その施設整備資金貸付金といったことが予算執行上13年度から14年度にずれ込んでいるために生じている差でございますので、そこを除外して考えますと、対前年度9億円弱ぐらいの増加が今年度実増として見込まれております。
それから、もとに戻っていただきまして2ページでございます。
施設の状況でございますが、今年度から循環・廃棄物研究棟、あるいは環境生物保存棟、バイオ・エコエンジニアリング研究棟というものが竣工いたしまして、こうした研究が本格的に動き出しました。研究面ではプラスでありますけれども、後ほど申し上げますようにエネルギー消費という意味では悩みが出てきているというのも実態でございます。
それから経費の使い方を見直そうという一環といたしまして、重要なポイントであります大型施設の管理運営方法の見直しというのを行いました。年末に所内に設けました委員会から報告書が出されまして、来年度からそれに向けて効率的な施設運営を行いますとともに、浮いてくる財源を計画的に施設整備に充てていこうという考え方で進めたいと思いますが、詳しくはまた後日ご報告したいと思います。
それからスペース課金は昨年度導入した制度で、今年度も有効に機能してスペースの再配分などが行われております。
それから5番目の研究所の環境配慮でございます。これにつきましては、温室効果ガスという観点も踏まえて対応しなければならないという状況にあるわけですが、残念ながら昨年度同期比7%増という状況に、これは床面積当たりに直して7%増という状況になります。恐らくこれは夏の猛暑、それから先ほどご紹介した新施設の稼動といったことが背景にあるんだろうと分析しておりますが、これをこういう状況ではまずいということで省エネルギー計画の見直しをしております。その一環といたしましては、その下に書いておりますように、従来コジェネレーションの導入を考えておりましたが、いろいろ分析した結果、高効率ターボ冷凍機と、3ページ目の上でございますけれども、こういったものを新設中のタイムカプセル棟に導入することで省エネ効果を発揮させたいということでございます。
あと冬季の暖房の自粛等にも努めております。
それから研究につきましては、後ほど領域の研究についてご紹介申し上げますが、重点特別研究プロジェクトについては順調に進んでおりまして、そのほかにも受託費等が、先ほどごらんいただいたようにふえておりまして、そうした競争的資金等による研究課題の実施を幅広く行っております。
それから、所内の中規模プロジェクト研究と言えると思いますが、特別研究につきまして1課題、今年度新しく追加して実施をしておりますし、来年度さらに3課題を追加すべく外部研究評価委員会での事前評価も12月2日にやっていただいたばかりでございます。
ほかに個々の研究者の着想とか熱意を鼓舞していこうという所内公募研究であります奨励研究、(3)でございますが、これにつきましては昨年度に比べて倍増に近い、14課題プラス後半にも26課題を採択いたしまして、合計約1億円ということで、こうした基盤的研究の推進に力を入れているというところでございます。
それから研究評価につきましては、外部評価委員会が2回にわたって開催されておりまして、事前事後の評価を実施をしていただいております。
それから(5)でございますが、研究基盤の整備ということが大事でございまして、研究施設、あるいは機器等のインフラの更新・整備を交付金等を活用しながらできる範囲で進めていっております。
それから、各国内の研究機関等との連携といたしましては、大学との連携をより拡大しようということで努力しておりまして、近く、東京大学との共催のフォーラムなどをやるというようなことで、さらに前進させるということでありますとか、企業との共同研究、特に来年度に向けましてナノ粒子の生体影響のための研究を日本自動車工業会と一緒に進めていこうではないかということでほぼ合意に達しております。
それから、国際的な活動につきましても、そこに記しましたワークショップ、あるいは炭素循環に関する国際オフィスの設立、ヨハネスブルグの際のサイドイベントの実施などなど、積極的に進めてきております。
それから研究成果の普及・活用、この委員会でももっと精力的に進めろというご指摘がありまして、私どもも一生懸命取り組もうとしております。環境儀は従来どおり4回発行するということで進めております。
公開シンポジウムは今年度、「環境
温故知新」ということで開かせていただきました。
それから知的所有権の活用といたしまして、特許等の取得をもう少し力を入れていこうではないかということにしております。5件の新規の特許申請がなされておりますが、さらに促進を図るべく5ページの上にありますようにセミナーを開いたり、あるいは相談会ということを開催して、職員の関心を高めていきたいということでございます。
それから、研究活動全般につきましては、研究所ニュース、センターニュースなどを出しておりますし、所内に訪れます視察をされる方々のためにビデオを作成いたしましたり、それからお手元に小さいパンフレットをお配りしておりますが、これは施設見学者用にわかりやすく今年度初めてつくってみたものでございます。
こうした工夫をしながら、できるだけ視察を円滑に受け入れて、よりよく研究所を理解していただこうという努力を続けたいと思います。
また、研究所友の会の活動も今後とも経常的に支援していくということも大事だと思っております。
それから、環境情報の提供業務。これは研究業務と並んで我が研究所の任務とされておりますが、これにつきまして特にホームページの充実を、このクリップどめの最後に1枚カラーで付しておりますが、このようなイメージでお酌み取りいただければと思いますが、トップページを改善してより内容を見やすくしたり、8件の新規コンテンツを追加公開をいたしました。
また、EICネットのホームページ、これは環境情報を一般に提供する、あるいは一般の方々の情報交流の場として、国環研ホームページとは別に続けてきておるものでございます。これにつきましても検討会を設置いたしまして、アンケート、あるいは有識者ヒアリングなどを経て報告書をまとめていただき、さらなる改善に向けた見直しを行うことにしております。
それからデータベースにつきましては、先ほど申し上げた中にも触れましたが、できるだけ研究者にみずからの研究成果を、ただ結果として持っているのではなくて、所外に発信していこうということで、そういうものを発掘するための作業も精力的に行っております。
GISにつきましては、6ページの(4)でございますが、昨年度末で提供できなかったということがありましたが、幸いことしの9月から本格運用が開始できておりまして、これを安定稼動させますとともに、さらなる改善が必要であれば検討していくということでございます。
最後に業務運営のトピック的な話題がございますが、情報管理部門に専門要員というものを雇って、その業務のレベルアップを図れるようにしようということで、これも契約職員ということになるわけですが、高度技能専門員という制度を設けております。
それから、業務の見直しも進めておりまして、できるだけ総務部門の業務をむだな部分を省き、先ほどご議論もありました、適切なものはアウトソーシングをしていくという方向で進めております。
以上、非常に簡単でございますし、随分はしょってしまいましたが、冒頭の業務の実施状況の説明とさせていただきます。
【松野委員長】
どうもありがとうございました。不手際で大変時間が短くなり、申しわけございません。もうこういう感じですので、ここのところについてお諮りしたいのは、定足数が必要な議題は終わっておりますので、この後、各研究グループによる各研究活動の状況のご報告をいただいて、最終的に一応30分延ばして6時まで延ばすという目安で進めたいと思います。それで多分、既に別の約束の方だとかご退席いただくということで。せっかく各研究領域長の方もお見えになっていますので、申しわけありませんけれども、そういうことでさせていただきたいと思います。
【佐野委員】
新幹線の方も。
【松野委員長】
ということで、そういう方とか不手際は本当に申しわけございませんけれども、そういう運営をさせていただきたいと思います。
それでは、今まず全体のポリシーについて、浜田理事の方からお話が……、ご説明ありました。それに対して何かご質問。
【坂本委員】
平成14年度というより、もしかするともう13年度にやっていらっしゃるかもしれないんですけれども、独法化に備えて労働安全衛生法の関係で今相当な経費がかかっているかと思うんですけれども、本年度はそれをやらなくて済んだのか。
それから、あともう1点は、電気使用料で床面積が7%、絶対量はかなりふえているのではないのかなと。先ほど収入がずれ込んだものの50億円ぐらいの増収でそのパーセンテージからすると10%、もしくはそれぐらいの増はある意味ではあってもいいんだけれども、全体からするとやはり相当ふえていて、かつての同じような使用方法をしているところあたりで見た場合に、ふえているかふえていないかと、その辺いかがですか。
【浜田国環研理事】
まず、労働安全衛生法の適用は全面的に独立行政法人になったことによって受けておりまして、具体的なコストはやはり相当かかっております。例えば、作業環境測定というものを定期的に、いろいろな部屋で化学物質を使って研究しておりますので、数十に及ぶ部屋の測定をしなければならないということで、たしかちょっとアバウトな数次で申しわけないのですが、何百万という測定経費が必要になってきていると。その他もろもろございますけれども、具体的な例を申し上げればそんなところでございます。
【坂本委員】
あと各いろいろな高圧ガスだとかいろいろなものの管理者をこちらへ相当ふやさないといけなかったと思うんですが、これについてどういう対応で。例えば一事業所としてしまうとほとんど取り扱い量は限られてしまって、結果的には何事業所かという認定を受けるための工夫をされたんだと思うんですけれども。
【浜田国環研理事】
高圧ガス等につきましては、既にいわゆる一種のアウトソーシングになりますけれども、委託業者に管理をゆだねております関係で、そうしたところに資格者が入ってもらっていると。むしろばらばらになっているのをもう少し統合化して経費節減ができないかというようなことを議論はしております。ですけれども、資格者がいなくて困っているということは現在のところございません。
それから、エネルギーの使用でございますけれども、20%ぐらいの増加だったと思います。床面積はさっき申し上げたように新棟ができて、その分ふえておりますので、床面積当たりにすると7%増という状況であります。それだけ先生おっしゃるようにコストがかかってきているわけですので、光熱水費ですね、たしか今年度末占めて7億ぐらいの電気・ガス料になるのではないかと見込まれておりますが、それをいかに節減していくかというのが重要な課題になっておりまして、今、省エネルギー計画の見直しなどを積極的に進めております。
【坂本委員】
今度は大学がその平成16年になりますので、まさにメーターをつけてやるとか、先行投資をしたりとか、それから先ほどの労働安全衛生法の関係もいろいろ出てきますので、ちょっと参考にまた今後も教えていただきたいのでよろしくお願いします。
【松野委員長】
ほかに。今の大きな方針等についての質問ありますか。
【加藤委員】
簡単に。温室効果ガスインベントリーオフィスというものができたと、これで定員がふえたのでしょうか。医師等は何人ぐらいここに張りついているのかというのが1点。
それからもう一つは、今坂本委員のコメントにもあれなんですが、私自身国立環境研究所で床面積当たり7%ふえたというのは、いわゆる民生業務という部分がふえていると、温暖化対策で、まさに非常に国立環境研究所においてもふえたというのは、これはまさにそのこと自体が研究の対象になるぐらいの話かなというふうには思っていますけれども、一般論としていえば前回も申し上げましたようにやはり国立環境研究所の環境配慮はしっかりしているというのは非常に大事なことで、環境省の足元ですから民生業務がふえている、ふえているといっているわけですから、民間は物すごく今やっているわけですから頑張っていただきたいなと。研究しつつ頑張っていただきたいと思います。
【浜田国環研理事】
心して取り組みをします。
それからインベントリーオフィスのことは高木の方から。
【高木国環研主任研究企画官】
インベントリーオフィスでございますが、一応これは基本的に環境省の業務を受託するという形でやっておりまして、研究所の方はこのオフィスのヘッドといいますか、ここは一人併任で張りつけてございまして、あとその受託費で一人はずっとやっておられているUFJ総研の方が一人来ていただいて、あと二人ほど補助的な職員を雇用して4人の体制でとりあえず始めております。
【松野委員長】
ほかに何か。ちょっと一つ簡単に、この国際活動の中に「炭素循環研究に関する国際研究計画(GCP)」グローバルカーボンプログラム論となるんですか、これは世界で何箇所かあるうちの一つ……。
【西岡国環研理事】
IGBP、IHDP、WCRP等々が集まりカーボンプロジェクトを進めておりまして、オフィスは世界で4カ所ございます。アメリカ、ヨーロッパ、それからオーストラリア、日本でして、そのどこが全体のリードするかというのはまだ十分決まっておりませんけれども、当研究所ではできればリードする立場に立ってやっていこうかなと思っております。
【松野委員長】
具体的にはここでは支持者の活動の一つに。
【西岡国環研理事】
支持者の中に入っております。
【松野理事長】
何人ぐらい入っていますか。
【西岡国環研理事】
これ全部です。まずヘッドになります事務局長は世界から公募をしようと進めています。外国人が来るかもしれません。もちろん日本人でも構わないんですけれども、要するに世界に開かれております。それからアジアフラックス担当で一人所内からの併任でついておりますし、秘書を入れてあと二人、全部で今のところ4人を予定しています。
【松野委員長】
ほかにご意見ありますでしょうか。
いろいろあるかと思うんですが、時間がかなり押していますので、予算なんかに関してはわずかに増ということですね。競争的資金の話もありましたが。38億というのは……。30億でしたか。
【松野委員長】
20%増ということですね。わかりました。
【浜田国環研理事】
表にございます。30億ですね。
【松野委員長】
かなりふえていると。競争的資金が割とここは多いというのは、この前の評価、これをさらに評価していると。
それでは全体の話よければ、きょうは研究領域の中間報告をいただくように準備をしておりますので、それではこれからの時間、6つの領域がありますので割り算するとお一人6分で、5分のプレゼンテーション、1分の質問というのは、大変忙しい学会の発表みたいですけれども、申しわけありません。よろしくお願いいたします。
【西岡国環研理事】
今説明がありましたように各領域からの発表は5分でお願いしたいということを第一に申し上げておきます。
領域といいますのは、ほとんどすべての研究者がそこに籍を置いて活動しているということで、きょうのお話で大体70%ぐらいの活動がご紹介できるのではないかなと思っております。
それぞれの領域の責任といたしましては、研究を遂行するのが基本的でございますけれども、さらに人を育成することも含めています。この領域という単位に研究全体の運営は任せてある。全部任せているわけではありませんけれども、かなり委譲して運営をしております。
最初でございますけれども、社会環境システム研究領域、領域長は森田恒幸でございますが、海外出張のため、田村正行上席研究官から説明ございます。
【田村上席】
社会環境システム研究領域の研究概要ということで、今、西岡先生からありましたように森田はきょう海外出張中ですので、田村の方から説明させていただきます。
社会環境システム研究領域には主な3つの主要なテーマがありまして、これらを柱として研究を進めております。
一つが政策統合評価研究、もう一つが社会科学研究、そして第3が情報解析研究ということでやっております。
それで5つの研究室がありまして、環境経済研究室、資源管理研究室、環境計画研究室、情報解析研究室、統合評価モデル研究室、これらの5つの研究室、総勢約30名が有機的に連携をして研究を進めております。
きょうは時間もありませんので、この3つのテーマ、それぞれについて独法以来の主要な成果の概略を話させていただきたいと思います。
まず、政策統合評価研究の第一番目の主要な成果ですが、統合政策評価フレームの構築ということを行っております。これは社会経済的な発展と環境変化の関係を分析するために計量経済モデルを使いまして、アジアを主要な対象といたしましてアジア全域42カ国、ここに掲げました42カ国についてGDP、人口なんかの基礎的な変数の変化値などに基づいて環境変化を予測するようなモデルを作成しております。
これは一つのその成果の例ですが、左上にありますのが各地域のGDPのグロスを予測した結果です。これを見ますとアジア・太平洋地域が非常に経済成長大きいという予測になっているわけです。その結果に基づきまして、CO2の排出量、一人当たり年間どれぐらいの排出量が今後2032年までにどういうふうに変化するかといったのを予測したのが右下の結果であります。これはシンガポールから一番大きな変化があるということで、あとバングラデシュまでを掲げております。
2番目の成果としてありますのが、マテリアルフローの解析モデルを作成したということが挙げられます。これは循環型社会の可能性を分析するということで、お金の流れと、それから物の流れ、化石燃料とか鉄鋼、それから建設用の資材、こういったものについて投入もとと投入算出先の間でマトリックスをつくりまして、こういうデータベースに基づいて環境効率指標といったものを算定できるようなデータベースであります。環境効率指標というのは、産業別の付加価値が環境それぞれのユニット当たりの環境負荷に対してどれぐらいの付加価値が生み出されるかという指標でありまして、例えばCO2の単位当たりの排出量についてどれぐらいの産業別の付加価値があるかといったものとか、あるいは産業廃棄物のユニット当たりに対してどのぐらいの付加価値が見出せるかといった、そういう予測を、これは国内についてでありますけれども、できるようなモデルを作成しております。
このデータベースは、さらにライフサイクルアセスメント、つまり各個々の工業製品がその製品の寿命であったり、トータルどれぐらいの環境負荷を発生するかといったことの計算にも使えるモデルであります。
時間がありませんので、すみませんが飛ばしていかせていただきます。
これは第2番目の社会科学研究の結果でありまして、環境保全と経済活動の相互関係を分析するモデルによりまして、CO2の排出制約、それから廃棄物の排出制約のもとにGDPはどれぐらい落ちるかと。それに対して環境施策を講じた場合にどれぐらいそれが緩和できるかということを示したものであります。
次に、社会科学研究の第2番目ですが、これは意識調査に基づきまして、諸外国及び日本の企業、それから市民の環境とか環境高度に対する国際的な比較を行っております。これはドイツと日本の間で比較した結果であります。
次に情報解析研究ですが、これは東アジアを主な対象といたしまして、森林火災のモニタリング等をやっております。
あと、時間がありませんのではしょってお知らせします。これは渡り鳥の移動経路等湿地の環境の解析を衛星トラッキングとリモート先進部でやった結果であります。さらに都市環境のデータベースというものを作成いたしまして、全世界10万人以上の都市について、各いろいろなデータを収集しまして、そのデータベースの作成を行なっております。
以上、こういう3つの主な研究分野について5つの研究室で連携して研究を進めているところであります。
以上でございます。
【西岡国環研理事】
どうもありがとうございました。時間も押しておりますので、このまま発表させていただきます。
続きまして化学環境研究領域の領域長、森田昌敏の方から報告があります。
【森田領域長】
お手元の資料でまず大体をご説明させていただきたいと思います。
化学環境研究領域は主に計測の技術の開発と応用、それから分析の精度管理、それをベースといたしまして、その上にいろいろな物質の地球化学的な循環、あるいは有害化学物質の環境分布、リスク評価、あるいは修復技術などにも目配りをしながら研究を展開しています。
領域独自の研究プログラムとあわせまして重点プロジェクトの各種プログラムにも参加して運営しているという状況にあります。
研究室は全部で4つございまして、研究員の数は私を含めまして職員が15名、それからポスドクのフェローが5名ほど参加しておるという状況でありまして、年間の予算が大体2億2,500万円ぐらいですので、1研究員当たり1,500万円ぐらいで動いているということであります。
研究室の一つ目は計測技術研究室でありまして、ここでは主に分析の技術、新しい技術を開発する、それからそれを含めていろいろなモニタリングをやる、仕組みをつくっていくというところであります。幾つか出ていますが、例えばディーゼルの排ガス粒子でよく有名になっておりますPM2.5の連続的な計測装置、あるいはそのトータルなエアロゾルを分析する装置、あるいは広域の高密度の環境モニター、これは今計画中でありますけれども、人が持ち運びできるようなセンサーの開発、それから地球環境と対応いたしまして、黄砂の自動連続測定装置なども用意いたしまして、計測技術、それからそれを使ったモニタリング手法の開発をやっているというところであります。
それから計測管理の研究室は、モニタリングの方法の評価、あるいはそれにかかわる分析の精度管理をどのようにやるかということを主要な研究テーマとしておりまして、あわせて各種の環境省のモニタリング業務の支援をやっているという状況にあります。
例えば、ダイオキシンにつきましては機関認証なども始まりましたけれども、そういったことに貢献をしておりますし、またいろいろな測定装置の検証、それからGCマスを使った大気中の揮発性有機化合物のモニタリングの精度管理をやるということをやっております。
それから動態化学研究室、これは地球的な意味を含めまして、いろいろな物質が元素、あるいは物質がどのように循環しているかというのを知ろうという、そういう研究室であります。一部は重点特別研究プロジェクトであります例えば環境ホルモンといった、そういった分野にも手伝っておりますが、そのほかに表面分析、あるいは元素分析を介して、主に重金属類の移動、それから表面の状態、その他を計測する指標をつくると同時に、その動きを追いかけているということでございます。
なお、このグループの一番大きなツールになっておりますのは加速器質量分析でありまして、これを使ってバイオジェニックな循環している炭素と化石燃料由来の古い炭素、それを区別して現状を含め、どのようにそれが移動しているかを調べるということをやり始めております。
またあわせて、環境省からの請負でスペシメンバンキングの基本的な部分を基盤ラボと共同して開始し始めていると、そういう状況にあります。
最後に生態化学研究室です。これは比較的立ち上がって間もないので、研究成果がそれほど大きくは出ておりませんが、幾つかのことを始めておりまして、化学物質の生態影響の評価指標に関する研究、あるいは分子間相互作用で化学物質の持つ意味を知ろうとする研究をやっております。
そのほかに主任研究官の方では、一人おりますけれども、天然起源のハロカーボンの地球化学的な分布、あるいはそのほかにバイカル湖の研究、その他の研究を全体としてやっております。
以上が概略説明で、これが加速器マスです。この加速器マスは日本におきましては環境用に使われるマスとしては多分うちが一番先行しておりまして、循環型の炭素と化石燃料炭素が大気中、水中、海水を含めて、それをどういうふうに現況を分布しているかを調べているというところであります。
これは一つの例ですけれども、大気中の粒子状物質と言われる物、その中にどの程度含まれているかということを調べてみますと、基本的に約半分が天然で循環しているもの、半分が化石燃料起源だということでありました。
まだ少しありますけれども、一応こういう研究をやっているというご紹介であります。
【西岡国環研理事】
どうもありがとうございました。
それでは次に移らせていただきまして、環境健康研究領域、領域長の遠山千春の方から報告があります。
【遠山領域長】
遠山です。先ほどホームページの立ち上げの話がありましたが、これホームページのところから環境健康研究領域のところをクリックして中に入っていただきますとこのページに入ります。
私たちのところは研究員が、職員が16人、それであとポスドク、技術員、共同研究員、あるいは秘書の方々含めて学生30人近くが仕事をしております。予算が約2億円、自分たちが使っている額が2億2,000万円、人件費、ポスドク等の費用ももちろんその中に入っていますが、その程度であります。
部屋は分子細胞毒性研究室、生体防御研究室、健康指標研究室、疫学・国際保健研究室と4つございます。
この環境健康研究領域ですが、環境有害因子、窒素酸化物、ディーゼル排気ガス、あるいはダイオキシン環境ホルモンなどの有害化学物質、重金属、花粉、紫外線などが人の健康に及ぼす影響に関して実験的及び疫学的な研究を行っています。これらの研究は基礎研究から社会的、行政的ニーズの幅の中で国際的に高い水準の研究を目指すということで、それを意図して行っています。
基本的には健康リスクアセスメントに使えるようなデータを出していこうということを意図しております。
特にシニアの研究員は、こうした健康リスク評価のために重金属や大気汚染物質などの文献レビューとか、あるいは国際動向のとりまとめ、あるいは国内外の関係の専門家会合、WHO、その他の専門家会合にも出ております。
私及び上席はダイオキシン、環境ホルモン及びPM2.5のプロジェクトの方の併任しておりまして、そちらの方も領域の方からサポートしています。
これは分子細胞毒性研究室ですが、分子細胞毒性研究室というのは主に今現在はダイオキシン、あるいは一部重金属、その他の健康に及ぼす影響を主に遺伝子、たんぱく質のレベルで解析をするということで仕事をしてまいりました。例えば、ダイオキシンに関しては右の上のところに出ていますが、簡単に言いますとペニスの長さですが、それが非常に低用量のダイオキシンで短くなるということで、WHO、食糧機関等のリスク評価文書にも我々の文献が用いられているということであります。
そのほか、トランスジェニックマウスの作製ということで、特定の免疫を担う細胞に対するダイオキシンそのほかの影響を調べるために特定の遺伝子を発現するような、あるいはつぶしてその影響を見るような、そのような仕事をしております。
生体防御研究室は主に大気汚染物質、ディーゼル排ガスなどの生体に及ぼす影響を主に免疫系の観点から調べています。それと同時に、最近では脳神経系及び免疫系との相互の連関を踏まえながら、化学物質の過敏症などを含めて大気中の有害化学物質の免疫系及び行動に及ぼす影響に関しての仕事をしてきております。
特に免疫系に関しましては、T細胞というリンパ球の一つでありますが、その細胞が出すある種のサイトカインが非常に重要な役割をしているということを明らかにしてまいりました。
そのほか肺胞の実験のモデルというものを構築して特許申請なども行ってまいりました。
健康指標研究室はこうしたたんぱく質や遺伝子、これらの生体内の物質をマーカーにして、実際にどのくらい物質に暴露をし、それがどのぐらいの影響をもたらしているかということを評価するための研究をしています。特に現在は、中国のヒ素地域の住民を対象に、ヒ素による発がんの疫学マーカーというものを検討し、また実験的な検討も行っております。
最後に疫学・国際保健研究室ですが、ここは主に人の集団を対象に温暖化の健康影響、紫外線の健康影響、都市の沿道汚染についての研究をしております。また、中国において北京市を中心とした子供たちの大気汚染への影響についての検討をしております。
以上です。
【西岡国環研理事】
どうもありがとうございました。
続きまして、大気圏環境研究領域の領域長は笹野でございますが、笹野は総合科学技術会議の方の環境担当の参事官に出ておりますので、領域長の代理といたしまして中根英昭上席研究官の方から報告があります。
【中根領域長補佐】
中根です。今ご紹介のように、領域長は総合科学技術会議に出向中ですので、補佐代理としてご紹介させていただきます。
大気圏環境研究領域には、大気物理研究室、大気反応研究室、遠隔計測研究室、大気動態研究室のほかに酸性雨研究チームと主任研究官及びポスドク、合わせて22名プラス5名で研究をやっております。
この領域全体としましては、大気環境の研究、数値モデル、フィールド観測、衛星データ解析、遠隔計測等を用いて実施していることが特徴であります。それぞれの研究室で行っていますが、そのほか温暖化、成層圏オゾン、PM2.5などの重点プロジェクトや地球環境研究センターのモニタリング事業等にも貢献しています。
専任としてオゾン4名、PM2.5に3名、それから温暖化4名、オゾン3名、PM2.5が3名、このほか地球環境研究センターにも5名が併任ないし専任で貢献しております。
これから全般的な説明、特にホームページにないような最近の成果を主にご紹介します。超伝導の素子を用いた遠隔計測や、大気物理研究室は温暖化の予測のためにプロジェクト研究に非常に貢献が大きいんですけれども、その基礎となるような雲のシミュレーションや衛星データを利用したエアロゾルタイプの識別を行っています。
その一つの成果ですが、エアロゾルタイプを土壌起源炭素性、硫酸塩というふうに分けられます。例えば、三宅島から出ているこの緑色で表された硫酸エアロゾルがはっきりと衛星からわかるというような成果も上げております。
大気反応研究室では、大型の光化学チャンバーを使っての実験的研究と中国で航空機観測を行ったのですけれど、こういうフィールド研究をあわせて大気化学的な研究をやっております。
これは中国の大気汚染物質の航空機観測の例です。国内ではなかなかないような高い濃度のSO2が出ている、硫酸、アンモニアによって中和されているというような、こんなこともわかっております。
遠隔計測研究室は、ライダー、レーザーレーダーを中心に黄砂や大気汚染の研究を行っているのですが、中国と日本を合わせたの無人の連続観測ライダーのネットワークでエアロゾルを測り、それとモデルの結果を比較しています。また、かつての原子力商船を改造した観測船「みらい」を活用したエアロゾルの分布の観測を戦略基礎研究等を用いて実施しております。エアロゾルの緯度分布については、北半球の高緯度ほど大きいということをはっきりととらえるというような成果を上げています。
大気動態研究室では、ここには酸素のことだけ取り上げていますけれども、CO2の同位体やシベリアや国内のCO2の航空機観測などもやっております。一つトピックとしまして、CO2がふえるだけではなく酸素が減っているということをガスクロだけでの組み合わせでは世界でも初めてという成果を上げています。
波照間や落石のステーションでこのようにCO2が増えていることはこれまでもご紹介があったと思いますが、同時に、化石燃料を燃やした時に減ると期待される酸素が実際に減っているということもわかっております。
研究予算としましては、競争的資金も含めてとっております。研究面だけをご紹介しましたけれども、先ほどの資料3の後ろにあるホームページ3つですが、こういうことにも大気の研究者が貢献して成果の普及、広報にも力を入れております。
【西岡国環研理事】
どうもありがとうございました。
それでは、次に水土壌圏環境研究領域の渡辺正孝領域長から報告いたします。
【渡辺領域長】
では説明させていただきます。
水土壌圏におきましては、ここにございますようにスフェアを対象として研究室がございまして、海洋、それから湖沼、それから地下環境、それから土壌、そしてそういったスフェアとは少し横断的な考え方で水環境室という研究室がございます。
この全体の流れとしましては、研究室の活動は重点研究領域であります統合的なアプローチをいたします流域圏というプロジェクトと非常に深く密接にリンクをいたしておりまして、そういったところの基礎的な研究をこれらの基盤領域であります領域研究室が受け持っているという形になっております。したがいまして、そのプロジェクトと、それから基盤領域とのインタラクションというものも積極的に行っているところでございます。
一言で言いますと、それぞれのスフェアにおきます水、それからエネルギー、それからいろいろな物質循環の機構を解明するということが、それぞれのスフェアにおいて課せられた任務でありまして、かつその中でちょっと異質なところがこの水環境室でございまして、ここは基本的なツールといたしましては、バクテリアを中心といたします微生物生態というものを中心として、こういったスフェアにおいて人為的に汚染された環境に対して、いろいろな工学的な環境修復を図ることによって、どれぐらい修復が行われるか、またその結果として微生物生態にどういう環境影響を与えるかといったような、横断的な研究及び技術的な開発をするというミッションもここでは持っております。
時間の関係で非常に簡単にご説明をいたしますと、海洋環境というのは非常に広いところではあるわけですが、特にここで行っておりますのはいわゆる定期航路の船に観測機器を設置いたしまして、アジアの縁辺海域、すなわち東シナ海及び南シナ海を通行する船の中でいろいろな海洋環境のモニタリングを行っているというのが1点です。
それからもう一つは、ことしからスタートいたしました有明海において冬場、ちょうど今ごろ珪藻の赤潮を発生することに伴うのりの色落ちが起こるわけでありますが、そういったものの原因解明のための海洋物質循環の研究を現在現場を通じて行なっております。
また、地下環境研究室におきましては、従来から上越市でありますとか、それから佐賀平野において雪を溶かすための地下水のくみ上げ、それから工業用水のくみ上げ、そういったものに伴います地下水の変動と地盤沈下といったものを問題とする。また、近年では外房において天然ガスの採掘に伴います地下水の変動といったものと地盤沈下といった、そういったものを統合的に表現できるようなモデルを開発いたしておりまして、そういったものを使ったシミュレーションを行っております。
また、一部上席研究官におきましては、そういった手法を用いて、中国における華北系平野において地下水の動態を解明しようということで研究を行っておりまして、現状の取水を続けていく限りにおいては30年ぐらいでほぼその中国の地下水が枯渇してしまうだろうといった、そういった結果をもたらしております。
次に湖沼につきましてはもう少し詳しく、といっても1分ぐらいですが、お話ししたいと思いますが。ここはいろいろな湖沼保全の手段を講じてきたにもかかわらず、問題意識といたしましては溶存体の有機物が依然としてふえているということに対しまして、機構解明を行ったということで、結論から言いますと、親水性の酸がこの難分解性の溶存体の原因であるということを明らかにしたということと、それが塩素処理を受けることによってトリハロメタンの原因にもなるということを明らかにいたしました。発生インベントリー等を用いて明らかにしていこうというふうにやっているところであります。
それから土壌におきましては、この過去2年間、我々開発をしてきた部分がございまして、それはいろいろな生態系における土壌を不攪乱で採集するという技術を開発いたしまして、日本のいろいろなところでございます土をとってきて、それをここに設置することによって非常に短い期間で土壌生態系に対してどういう影響を与えるかということを解明することをできるような装置を開発したということが第1点。
それから第2点は、特に次世代の技術利用としてのはんだフリーの金属というものが土壌にどれだけ影響を与えるかということを現在明らかにしようとしているところであります。
あと最後に、水環境質研究室におきまして、特に油の汚染につきましていろいろなバイオレメディエーションをかけることによってどのぐらい効果的に石油分解が行えるかということで、現在、日立市で発生いたしました油の流出事故に対しまして、こういったものがどのぐらい有効にきくかということを現在検討しているところであります。
以上であります。
【西岡国環研理事】
最後になりますが、生物圏環境研究領域の渡邉信領域長から報告いたします。
【渡邉領域長】
それでは生物圏環境研究領域の研究活動の紹介をいたします。
組織といたしましては領域長、上席研究官、ほか4つの研究室から成り立っておりまして、職員が17名、ポスドク等流動研究員の11名、合計28名で成り立っております。
研究予算といたしましては、運営交付金、それから競争資金、受託経費合わせますと約2億2,500万円程度でございます。
領域全体の研究活動といたしましては、環境の汚染、生息環境の変化、生物の種類や量の変化が生態系全体に及ぼす影響等に関して基礎的な調査研究を行っております。
まず生態系機構研究室では、生態系機能評価による環境アセスメント手法の開発研究、底生生物や植物による環境の汚染指標性や生態系の自然浄化機能に関する研究を行っております。
主な成果といたしましては、干潟に関しまして、干潟の持つ機能、有機物の分解機能とか対応性を保持する機能とか体積作用等を解析評価いたしまして、それが開発によってどう変わるかを評価することによって、干潟開発に関するアセスメント手法を開発していくというところの研究を行い、JHGM評価手法と我々申していますが、そのような評価手法を開発したところでございます。
次の研究室といたしまして、系統・多様性研究室ですが、これは微生物や底生動物の系統と多様性及びその環境指標性や生態系における機能に関しての研究を行っております。
主要な研究成果といたしましては、有毒アオコの毒素の遺伝子を解析し明らかにしたこと、それから藻類のバイオリソースとしての研究をもう長年やってきたんですが、今年文部科学省がナショナルバイオリソースプロジェクトをスタートいたしました。それに関しては各重要な生物ごとに研究拠点を設けるというプロジェクトなんですが、それに関して、藻類に関してこの国立環境研が研究拠点の機関として選択されまして、8つぐらいの大学、研究機関をサブ機関として進めていくことになりました。旧国研では国立環境研だけが選ばれたわけでございます。
そのほかに地衣類、これは菌類と藻類の共生体なんですが、その多様性をDNAレベルで解析する手法を開発したとか、ユスリカに関しては幼虫段階で分類する手法を開発するとか、幾つか成果は出ております。
熱帯生態系保全研究室に関しましては、熱帯林や草原の持つ機能をサービス機能と申しますが、それの総合的な評価を行うという研究を行っております。
これは草原の光合成を見たものであります。中国の草原を対象としていますが、季節的な変動は行いつつも常に二酸化炭素を吸収しているというのがわかります。したがって、草原はCO2のシンクだということがわかりました。
この草原に関しまして、種類の多様さとバイオマスの関係を見ますと非常に正の直線関係にあることがわかりました。中国全土の草原を調べてみても同じような関係があります。したがって、草原に関しては種が1種類減るとバイオマスも減っていくというような関係にあるのではないかということがわかります。
最後に分子生態毒性研究室ですが、環境不適切の植物影響のゲノム間不適が強化指標を開発し、指標にDNAマイクロアレイ法という方法でもって植物ストレス状態の診断趣向の開発研究を行なっております。
特にマイクロアレイ法に関しては主要なストレス、誘導遺伝子の断片を取り出して、種々のストレスにある植物のDNAと交雑いたしまして、その発酵で見るわけなんですが、紫外線等オゾンのあらわれるやり方、ほとんど同じなんですが、下にあります乾燥、傷害で出てくるDNAの発酵状態は上のと比べると非常に違うということがわかります。このような違いがそれぞれのストレスで明らかにしつつ、このDNAを解析することによって、今どんなストレス状態にあるのかを診断していく手法を今後より完璧なものにしていこうと思っております。
以上でございます。
【西岡国環研理事】
どうもありがとうございました。
領域といいますのは、先ほど申しましたようにそれぞれの専門領域ごとに、それに対応する問題についての研究をやっているということでございます。
このほかに廃棄物の話が抜けておりますが、これは循環社会形成推進廃棄物研究センターというのが別にございますし、それから化学物質のリスクにつきましては、化学物質環境リスク研究センター、地球環境につきましては地球環境研究センター、基盤的な機能としては環境基盤技術ラボラトリーというものがございます。そういうところでやっておりますことを考えると、今日の発表で当研究所の70~80%をカバーしていると言えます。
さらに、こうした領域がみんなで協力いたしまして、6つの重点プロジェクトを進めていますが、これはそれぞれ専門の評価委員会の方で評価していただいています。
【松野委員長】
どうもありがとうございました。
前回の評価のときに全体の構造を伺ったわけですが、基盤の部分については必ずしもよくわからなかったとかあったかと思いますが、きょう本当は時間をとればもっとよかったんですが、ご説明いただきどうもありがとうございました。
全体で今あったように、重点プロジェクトですか、それはこの前お話がありました。何か195名の研究員というのが全体あったんですが、今6領域の大体お話伺っていると、1領域当たり職員15とかそのぐらいの数ですが、そうすると残りの仮に15、6人とすると、100人ぐらいが一番この領域にいて、さっきのセンターに残りの方がおられるということになりますか。
【西岡国環研理事】
そうですね。120人ほどがこうした基盤におります。1領域当たり15人ほどになります。プロジェクト専任は80人くらいです。
【松野委員長】
それからプロジェクトのこのお金足してもやはり平均すると2.5億ぐらいかと思って、そうすると15億になるので、トータルほかに重点プロジェクトがあるということですね。
【西岡国環研理事】
そうですね。全体としていわゆる研究費というのが、交付金30億円プラス受託・競争的資金40億円、合計70億円ぐらいあります。そのうち今発表のありました基盤部門でカバーをしているのは足しますと20億円ぐらいです。重点特別研究プロジェクトの方にかなりのお金がいっています。そのほかに奨励研究等に数億円のお金がいっているという構図です。
【松野委員長】
ということで、やはりこれはあくまで基盤と思っていればいいんですね。
【西岡国環研理事】
基本的には基盤なんですけれども、実際は社会のニーズに対応する研究のほうがここでやられております。
【松野委員長】
そうすると競争的資金みんなとってきておられますよね。
【西岡国環研理事】
広い範囲でカバーするという意味で、必ずしも基盤という見方だけではなくて、それぞれの専門において問題が起きたところは大体カバーしている状況です。
【松野委員長】
基盤自身がプロジェクト的な性格を持ち……。したがって、重点特別研究プロジェクトのもっと大きいと。
【西岡国環研理事】
そうですね。
【松野委員長】
よろしいでしょうか。本当は倍ぐらいの時間でご説明をいただくところ、どうも不手際で大変、委員の方にも、また領域長の方もご準備いただいたのに申しわけありませんでした。
特にご質問なければ閉じたいと思いますがよろしいでしょうか。
では事務局の方、次回はどうなるんでしょうか。
【德田環境研究技術室長】
次回は来年の6月ごろ、業務実績報告をいただくということになると思います。
【松野委員長】
それではどうも本当に不手際で時間を超過し、かつ領域長の方、どうも申しわけございませんでした。
どうもありがとうございました。