第1回環境省独立行政法人評価委員会会議録
日時
平成13年2月26日(月)10:00~12:15
場所
KKRホテル東京11階「孔雀の間」
議題
(1) | 委員長の選任 |
(2) | 環境省独立行政法人評価委員会の運営方針について |
(3) | 国立環境研究所の独立行政法人化及び環境省独立行政法人評価委員会の事務等について |
(4) | 国立環境研究所が目指す方向性について |
(5) | 独立行政法人国立環境研究所に係る中期目標等について |
(6) | その他 |
配布資料
(1) | 環境省独立行政法人評価委員会委員名簿 |
(2) | 環境省独立行政法人評価委員会の運営方針について(案) |
(3) | 国立環境研究所の独立行政法人化及び環境省独立行政法人評価委員会の事務等について |
(4) | 独立行政法人国立環境研究所に係る中期目標等について |
(5) | 独立行政法人国立環境研究所に関する中期目標案 |
(6) | 独立行政法人国立環境研究所に関する中期計画案 |
(7) | 中期目標(案)、中期計画(案)に係る意見・質問表 |
(8) | 国立環境研究所の基礎データ |
(9) | 国立環境研究所関連法規 |
出席者
委員: | 松野太郎委員長、遠藤實委員、佐野角夫委員 佐和隆光委員、柘植綾夫委員、森下郁子委員 大塚直臨時委員、角田禮子臨時委員、加藤三郎臨時委員 北野大臨時委員、坂本和彦臨時委員、清水誠臨時委員 鈴木継美臨時委員、土屋隆夫臨時委員 |
環境省: | 環境事務次官太田事務次官 総合環境政策局中川局長 青山総務課長 松井総務課環境研究技術室長 大臣官房山田審議官 国立環境研究所大井所長 合志副所長 高木主任研究企画官 斉藤総務部長 |
議事
【松井環境研究技術室長】 定刻となりましたので、ただ今から第1回環境省独立行政法人評価委員会を開会いたします。
開会に当たりまして、太田義武環境事務次官より御挨拶申し上げます。
【太田環境事務次官】 おはようございます。環境事務次官の太田でございます。本日は大変お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。第1回目の環境省独立行政法人評価委員会の開催に当たりまして、大臣に代わりまして一言御挨拶を申し上げたいと思います。
私たちは、現在、地球温暖化、廃棄物の大量発生や不適正処理の増加あるいはダイオキシン類や環境ホルモン類などによる人の健康や生態系への影響、生物多様性の減少など、複雑、多様かつ深刻な環境問題を抱えております。人類が将来にわたり地球上で生存していくために、21世紀を文字どおり「環境の世紀」とすべく努力していかなければなりません。昨年12月に閣議決定をみました環境基本計画は、「環境の世紀への道しるべ」というタイトルとして出されましたが、21世紀の環境問題の解決のための方向性を定めたところでございます。
この新しい環境基本計画におきましては、環境の変化の機構解明や影響の予測等の調査研究、監視・観測等の充実、環境保全の取組を支える適正な技術の振興等を持続可能な社会の基盤として推進していくことの重要性が指摘されておるところでございます。このため、環境省といたしましても、環境研究・環境技術に対する取組を更に充実させることとしております。
さて、御案内のとおり、国立環境研究所は、来る4月1日には独立行政法人となります。昭和49年に国立公害研究所として発足して以来、国の機関として、組織・定員管理や予算管理に係る細かな制約を受けてまいりました。今回、独立行政法人化することによりまして自由度が大幅に増加いたします。また、業務の実績、財務諸表等幅広い事項を公表することなどにより透明性も向上いたします。これらにより、高い自立性のもとに、機動的・弾力的な業務運営が可能となりますが、一方、自らの責任も強く問われることになるかと思います。
環境省に置かれますこの独立行政法人評価委員会は、独立行政法人国立環境研究所の中期目標の設定、中期計画の認可に際して意見を述べていただくとともに、各事業年度、さらには中期目標期間全体での研究所の業務実績について、分析・検討を行い、業務の質、運営の効率性、財務内容といった幅広い観点からの評価を実施していただくものでございます。
本日の委員会の開催に当たりまして、川口大臣は所用のため参れませんが、川口大臣からは、国立環境研究所がその独自性を発揮しつつ、柔軟で効率的な運営を行うことにより、国内におきましても、また国際的にも高い評価をいただく研究機関として存続していくために、皆様方の忌憚のない御意見をいただくようにと、また、企業経営に直接携わっておられる委員の皆様方からはその御経験に基づくアドバイスを頂戴するようにという御指示がございました。このことを御報告させていただきまして、簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
【松井環境研究技術室長】 引き続き環境省の幹部を御紹介いたします。
(環境省幹部の紹介)次に、本日御出席の委員の方々を御紹介いたします。資料1を御覧ください。
(委員の紹介)それでは議事に移ります。
委員18名のうち、本日は13名の委員が御出席になっておられますので、環境省独立行政法人評価委員会令第5条第1項の規定によりまして、本委員会は定足数を満たしておりますことをまず御報告申し上げます。
本日の委員会は、第1回目の会議でございますので、委員長が選任されるまでの間、僣越ではございますが、事務局において議事の進行を務めさせていただきます。申し遅れましたが、私、環境省総合環境政策局総務課環境研究技術室長の松井でございます。どうかよろしくお願いいたします。
まず資料の確認をさせていただきます。
(配布資料の確認)もし抜けているものがありましたら、事務局の方にお申し出ください。
それでは、早速でございますが、委員長の選出に移りたいと思います。
お手元の冊子の後ろから2枚目を開けていただきますと、環境省独立行政法人評価委員会令の第4条、「委員会に委員長を置き、委員の互選により選任する。」という規定となっております。
つきましては、委員長の候補者につきまして、御意見のある方はございませんでしょうか。
【森下委員】 多分一番長い付き合いをしているのではないかと自分勝手に想像しているのですが、水濁法を経済企画庁から頼まれて作るときから環境庁に関わってきましたので、大体の日本の環境の取組の流れの中にいたのではないかなと思いながら、どういうふうにこれから変わっていったらいいかというのを踏まえた上で、多分、取り締まりの時代から環境に関する技術を開発するような時代に変わっていくのではないかというような予測のもとに、委員長はぜひ松野先生にお願いしたいと考えております。意見として申し上げたいと思います。
【松井環境研究技術室長】 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、松野委員に委員長をお願いするということでよろしゅうございますでしょうか。
〔「異議なし」との声あり〕【松井環境研究技術室長】 御異議ございませんので、松野委員が委員長に選任されました。
それでは、松野先生、委員長席にお移りいただきまして、これからの進行をお願いしたいと思います。
〔松野委員、委員長席に着く〕【松野委員長】 松野でございます。どうかよろしくお願いいたします。
思いがけずこういう新しくできる独立行政法人国立環境研究所の運営に関していろいろな意見を出していくという仕事の、しかもまとめ役ということで、非常に大変だなという思いがしておりますが、どうか皆様のお力をお借りして務めていきたいと思います。
私はもともと大学で気象学を研究しておりまして、簡単にいえば、天気予報のもとになる大気現象の研究ですが、それでだんだんと地球規模の成層圏の力学とか、エルニーニョ現象に関係する大気と海洋、そしてその長期の気候の問題、そういうことを研究するうちに、地球温暖化という問題がこの十数年前頃から社会的に大きな問題になるようになりまして、先ほど森下委員がお話しくださいましたように、だんだん環境庁あるいは国立環境研究所の中身というものもそういう地球規模の問題に対して人類全体としてどういうふうに取り組むかというような時代になってまいりましたときに、今まで全く知らなかった、研究と違った世界のことに関して、いろいろなこういう委員会等でも仕事をさせていただくようになりました。そういうわけで、大変経験不足でこういうことができるかどうか自信はないのですが、今お話ししましたようなところがありますので、今までも過去10年ぐらいは国立環境研のいろいろなプロジェクトの企画とか評価とか、そういうことには携わってまいりましたので、その範囲でできるだけ努力していきたいと思います。
今のようなバックグラウンドですので、地球温暖化などの地球規模の現象の方はほとんど自然の研究とあまり違わないところがありまして、それに対して、先ほどの次官のお話にもありました、廃棄物とか環境ホルモンなど社会とか生命と直結した、あるいは行政上の問題と直結したような問題は私はわかりませんし、社会に関わる社会科学的な面についても全くわかりませんので、委員の中にはたくさんの専門家の方がいらっしゃいますので、ぜひお力添えいただきたいと存じます。不十分ですが、これからやっていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、議事に移らせていただきたいと思います。
今日は第1回ということですので、そもそもこの会の我々の役目は何かということも自分自身でもよくわかっておりませんので、その辺から勉強していかなければいけないと思います。
その前に、この委員会のルールで、委員長代理を決めることになっているというふうに聞いております。それをまず最初にしなければいけないのですが、私、今のようないきさつから、あまりなれませんので、大変勝手でございますけれども、全然違ったバックグラウンドの方としまして、柘植委員に委員長代理をお願いできればありがたいと思っているのですが、よろしいでしょうか。
では、どうかよろしくお願いいたします。
次に、この委員会そのものの進め方についての一般的な議論から、まず事務局から御説明いただければと思います。
【松井環境研究技術室長】 資料2を御覧ください。「環境省独立行政法人評価委員会の運営方針について(案)」。その裏を見ていただきますと、「審議会等の透明化、見直し等について」、平成7年9月29日閣議決定でございますが、その4の(1)のアンダーラインが引いてあるところでございますが、「一般の審議会は、原則として、会議の公開、議事録の公開などを行うことにより、運営の透明性の確保に努める。」、このような閣議決定がございます。これを受けまして、おもてでございますが、御異論がなければ、これで御決定いただきたいという案をお示しさせていただきました。
なお、この案につきましては、既に設立いたしております中央環境審議会の運営方針と基本的に同じでございます。
1が「会議の招集」ということで、「委員長は、環境省独立行政法人評価委員会を招集しようとするときは、あらかじめ、期日、場所及び議案を、委員、臨時及び専門委員に通知するものとする。」。
2として「会議の公開及び出席者について」。(1)会議の公開について。「会議は、公開とする。」。[2]は省略させていただきます。
(2)代理出席について。「代理出席は認めない。欠席した委員等については、事務局からの資料送付等により、会議の状況を伝えるものとする。」。
3、「会議録等について」。(1)会議録の内容について。[1]、「会議録は、発言内容を精確に記載するものとする。」。[2]、「会議録の調整に当たっては、当該会議出席委員の了承を得るものとする。」。
(2)会議録の配布について。「会議録は、当該会議に属する委員等に配布するものとする。」。
(3)会議録及び議事要旨の公開について。[1]、「会議の会議録及び議事要旨は、公開するものとする。」。
[2]、「会議の会議録及び議事要旨の公開は、環境省ホームページへの掲載及び環境省閲覧窓口への備え付けにより行うものとする。」。
4、「その他」。「上記に規定するもののほか、会議の運営に関し必要な事項は、委員長が定めることができるものとする。」。
以上でございます。
【松野委員長】 この会議の公開の問題に関して、今のような案を作らせていただきました。お話によりますと、ほとんど多くの会議で共通の方針でやっているようですので、特にこの会として付け加えることがありますでしょうか。なければ、一般的なものに従っていけばいいと思うのですが、御意見がありましたらお願いいたします。
よろしいでしょうか。
それでは、公開の問題に関しては、原案の形に沿ったいき方でいきたいと思います。
次に、この委員会は、何のために、何をするのかという点について、自分たちでもよくわかっておりませんので、事務局の方から規則などについて説明していただきたいと思います。
【青山総務課長】 かなり法律上の話とかさせていただきたいものですから、資料3をお開きいただきたいと思います。「国立環境研究所の独立行政法人化及び環境省独立行政法人評価委員会の事務等について」という紙でございます。
先ほど次官からの御挨拶にもございましたように、経緯・概要等でございますが、(1)にございます、平成9年12月、行政改革会議の最終報告において、国の事務・事業の自律的・効率的な実施を図るために、新たに、独立した法人格を有する「独立行政法人」を設立することにされたわけでございます。
こういう中で、具体的にどうするのかということでございますが、平成11年4月、「中央省庁等改革の推進に関する方針」ということで本部決定がなされまして、試験研究機関などが平成13年4月、今年の4月から独立行政法人に移行することになったわけでございます。
この法人の数でございますが、全体で59ございます。内閣府で2、総務省で3、財務省で1、文部科学省で15、厚生労働省で3、農林水産省が17、経済産業省が5、国土交通省が12、環境省が1つということでございます。こういう中で、国立環境研究所も独立行政法人化することとされたわけでございます。
お手元に「国立環境研究所関連法規」という白表紙のものがございます。これをお開きいただきますと、法律の文言なので大変恐縮なのでございますが、最初の通則のところでございますが、「定義」というところを御覧いただきたいと思います。3ページの第2条でございますが、「この法律において『独立行政法人』とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は1の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として」つくりましたということでございます。いわば国が直接やるということではなく、しかし民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないということに限りまして、新たに設立する法人という、いわば国と民間の中間的な部分、そういう定義でございます。
さらに、(3)に「職員の身分は、国家公務員の身分を与える法人とされた。」と書いてございますが、これがこの法律の中でいっております「特定独立行政法人」というものでございます。これは第2条の第2項に書いてございます。独立行政法人もいくつか段階があると思うわけでありますが、そのうち、「業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他当該独立行政法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して、その役員及び職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められるものとして個別法で定めるものをいう。」となっております。この個別法がまた別途付いてございますが、その中で、独立行政法人国立環境研究所は特定独立行政法人となっている。こういう構成になっているわけでございます。
そういう中で、法律自体は、この通則法がございまして、それから「独立行政法人国立環境研究所法」というものがございます。
環境庁時代、私ども環境庁の中におきまして、国立環境研究所の組織に属しました環境研修センター(所沢市)につきましては、行政職員を対象とするということだったものですから、引き続き、私どもの一部局として継続する方針でございます。
また、水俣病の研究ということで、国立水俣病総合研究センターというのがございますが、これは国が自ら主体となって行うということでございますので、これにつきましては独立行政法人化しておりません。
では、独立行政法人制度とは何かというのが次のところでございますが、「独立した組織として、運営面を自己責任化し、結果を評価・公表することにより、自主的・自律的で透明な事業の実施を図るもの」となっております。通則法の12条に、皆様方にお願いいたしましたこの独立行政法人評価委員会の定義がございます。通則法の6ページをお開けいただきたいと思います。12条、「独立行政法人の主務省に、その所管に係る独立行政法人に関する事務を処理させるため、独立行政法人評価委員会を置く。」と。
何をやるかというのがその次に書いてございます。「独立行政法人の業務の実績に関する評価に関すること。」「その他この法律又は個別法によりその権限を属させられた事項を処理すること。」ということになってございます。
具体的には何かということでございますが、それが資料3の2の(1)から出てまいります。「明確な目標・計画の設定と評価の仕組み」ということでございます。まず、やり方でありますが、主務大臣が中期目標を定めます。さらに独立行政法人がそれを達成するための中期計画を作成し、計画的に業務を遂行する、こういうシナリオになっております。第3者機関である独立行政法人評価会が定期的に評価及び勧告するということになっているわけでございます。
次のページでございますが、(2)弾力的・自律的な財務運営、組織・人事管理でございますが、今までは、先ほどの次官からの話にもありましたように、まさに国の職員でございますので、事細かに国の予算統制を受けるわけでございます。しかしながら今後は、国から交付される運営費交付金等によりまして、柔軟性・弾力性のある財務運営が可能となります。そういう中で、企業会計的な手法を導入いたしまして、財務諸表を作成・公表するというところでございます。さらに、定員管理の自由度が向上するということでございまして、業績が反映される給与の仕組みも導入が可能。ここがまさに今回のポイントになっているわけであります。結局、今までですと、予算統制でございますから、個々の費目について予算書に載せるという形になっております。で、国会の承認を受けるということでございますが、その過程においては、私ども環境庁の方が大蔵省に要求し、査定という行為を受ける。それをまた予算書に載せます。さらにそれを今度は国会で通すという形になっているわけでありますが、今後は運営費交付金ということで、柔軟性・弾力性のある財務運営が可能になるということでございますし、さらに、国の一般会計の予算ではございませんので、企業会計的な手法が導入できるということでございます。財務諸表も作成・公表することになるわけでございます。
定員管理でございますが、役所の中でいいますと、定員管理というのは大体常識になっているのでありますが、企業の方々等、定員とは何だろうということでございます。総定員法等で決まっておりますが、いずれにしても、予算書の中で何人というふうに決まっているわけでございますが、これの自由度が向上するということになるわけでございます。(3)業務や実績等の公開ということでございますが、透明性の向上のため、中期目標・中期計画、財務諸表、業務の実績、評価委員会の評価結果等幅広く公開する、そういう中身になってございます。
次のページでございますが、3の「環境省独立行政法人評価委員会の組織及び事務について」というところでございます。これはこういうところで説明するのは細かくて恐縮なんですが、環境省独立行政法人評価委員会令というものを作らせていただきました。そこで規定させていただいております。
委員は、7人以内で構成でございますが、その他に臨時委員、専門委員を置くことができるということになっておりまして、皆様にお願いしているところでございます。
任期は2年でございます。
実際の事務は何かということでございます。それがこの表にあるようなことでございます。まず1つは、中期目標・中期計画に関する事項。これは後ほど説明させていただきますが、1つは、大臣が中期目標を定め又はこれを変更しようとするときは、意見を言っていただくということになっております。これも規定を条文で見ますと、通則法の13ページ、14ページに第29条がございます。「主務大臣は、3年以上5年以下の期間において独立行政法人が達成すべき業務運営に関する目標を定め、これを当該独立行政法人に指示するとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。」となっております。期間、業務運営の効率化に関する事項、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項等々がございますが、3項で、「主務大臣は、中期目標を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。」となっております。
2番目は、大臣が中期計画の認可をしようとするとき。これも、次の第30条でございますが、同じように「意見を聴かなければならない」ということになっております。
3番目は、大臣が中期目標の期間終了時の検討を行おうとするとき。これも同じように35条で「意見を聴かなければならない」となっております。
第2番目の業務方法書でございますが、「大臣が業務方法書の認可をしようとするとき」というところでございますが、これは第28条に基づきまして、「意見を聴かなければならない」となっております。
3番目の業務実績の評価でございますが、[1]、各事業年度における業務の実績の評価、各事業年度の評価結果の審議会への通知、必要があると認めるときの業務運営の改善その他の勧告通知、勧告内容の公表ということでございます。
[2]が中期目標の期間における業務実績の評価、各事業年度の評価結果の審議会への通知、必要があると認めるときの業務運営の改善その他の勧告通知、勧告内容の公表等、業務実績の評価の手続が載せられてございます。
4番目の財務に関する事項でございますが、これらにつきましては、いずれも大臣が財務諸表を承認しようとするときは、意見を言っていただく等々がございます。この中で、[5]の大臣から役員報酬等の支給基準の通知をうけたときは、意見の申し出をしていただくことになっております。これらの点で諸々御意見を賜るという形になっております。
いずれにしても、こういう形でいろいろやっていただくことになるわけでございますが、当面、後ほど出てまいりますが、立ち上げという段階で、今日1回開かせていただきまして、もう一度年度内に開かせていただきます。来年度につきましては、業績の評価ということで、恐らく年度が終わりました直近の春、4月か5月にお願いするという段取りになるということでございます。
以上でございます。
【松野委員長】 どうもありがとうございました。
非常にたくさんの内容ですので、すぐにはつかみかねるかと思いますが、今の説明に対して質問等がございましたら、御遠慮なくお願いいたします。
【佐和委員】 2ページの(2)の「弾力的・自律的な財務運営、組織・人事管理」、ここはある意味で最も重要な点かと思うのですが、これは極めて単純化していえば、例えば国立環境研究所であれ、国立大学であれ、予算が何億円か下りてくる。それについては、人件費にいくら使うとか、旅費にいくら使うとか、そういうことが全く自由になるということなんでしょうか。
【青山総務課長】 まさにおっしゃるとおりでございます。
【佐和委員】 そうしますと、その他経費を節減して人を増やす。例えば大学の場合なら教官の数を増やすということも自由なんですか。
【青山総務課長】 それぞれにあると思うのですが、中期計画なり中期目標ということでありますが、全体のこの何年間かで定員がどれぐらいからどれぐらいかになるということはセットするということであります。
【佐和委員】 中期、例えば5年とかの間は定員は動かさないということですか。
【青山総務課長】 変動があっても構わないわけです。
【佐和委員】 金額が決まっているのですか。
【青山総務課長】 金額も決まっております。
【佐和委員】 金額が決まっていて、給与の格差をつけてもいいということですね。
【青山総務課長】 おっしゃるとおりです。
【佐和委員】 そうしますと、人の数は自由に動かせるというふうに解釈できるのですが。【青山総務課長】 そういう意味では動かせるということです。
【佐和委員】 大学の場合、特に旧帝国大学は、事務職員が大変多いんですね。これは昭和40年の数字なんですが、教官が助手も含めて1800人に対して、なんと事務職員が2300人いたんです。それでも忙しいといって、500人ぐらい非常勤職員を雇って、2800人の事務体制だった。学生より多かったんです。事務員が一番多くて、その次が学生で、その次が先生というような状況だった。京都大学の場合、かつては2300人ぐらいが、今、依然として1300人いるわけです。本当に必要なことをやっているかどうかというと、極めて疑問とせざるを得ない面もございます。これからはそういうところも全く自由になるわけですか。
【青山総務課長】 各法人の主体の自主性にお任せすると。ただし、実績については、評価委員会というのがそれぞれございますので、そこでみていただくという形になるわけです。予算統制としては、運営費交付金という形でやりますということであります。
【佐和委員】 評価委員会が認める範囲内では何をしてもいいと。
【青山総務課長】 結果的にはそれぞれそういうような御判断になろうかと思います。
【鈴木臨時委員】 関連法規の16ページに、評価委員会が評価をしたときに、「独立行政法人及び政令で定める審議会に対して、その評価の結果を通知しなければならない。」と書いてあるのですが、この「審議会」というのはいかなるものなのか。今までの話だと、主務大臣がいて、独立行政法人があって、評価委員会があると、その3者の関係しかお話がなかったように思うのですが。
【松井環境研究技術室長】 独立行政法人の評価委員会は各省にできるわけですが、それが各独立行政法人に対して下した評価など全体を、審議会、これは総務省にできるものですが、そこに報告するという形になっております。すべての各省の評価委員会から報告がいくという形になります。中央でのものということになります。
【鈴木臨時委員】 それはまだできていないのですか。
【松井環境研究技術室長】 もう既にできております。
【松野委員長】 今の鈴木委員の御質問は、「審議会」というのが横から入ってきているので、大臣と研究所と評価委員会とがどういう位置づけになるのかという御質問だったと思いますが。
【松井環境研究技術室長】 この評価委員会につきましては、評価結果をそれぞれの省に報告していただきますが、併せてこの審議会にも、先ほど鈴木委員から御指摘がありました第32条の第3項のところでございますが、「審議会に対して、その評価の結果を通知しなければならない。」というものでございまして、それぞれの省庁につくりました評価委員会は、この審議会に結果を通知するというものでございます。
【松野委員長】 というと、今の一連のプロセスの横に、単に報告しておくということか、そういう御質問だと思いますが。
【松井環境研究技術室長】 多分ここのところでは、それぞれ各省の評価委員会から報告があったものを、横並び的なものをみて、さらにいろいろと御判断されるものだと思います。
【松野委員長】 よろしいでしょうか。もうひとつよくわからないところがありますが。
【青山総務課長】 まだ全体の制度がそれぞれ動いておりませんので、そのうちにだんだんとみえてくると思います。
【松野委員長】 ほかにございますか。
【坂本臨時委員】 今回の評価制度というよりは、今回の評価委員会ができて、独立行政法人化を定めたところの経緯の(5)のところで、「国が自ら主体となって直接実施する必要がある」というのは、水俣病総合研究センターでやる内容だけよりはもっとあるのかなという印象もあるのですが、現在の組織の中で判断した場合にこうなったという理解でよろしいでしょうか。
【青山総務課長】 おっしゃるとおりでございます。
【坂本臨時委員】 ですから、この後は、場合によると、こういうようなものが、恐らくある分類によって、国が自らやるべきものがまたできてくるケースもあるだろうし、逆にある程度のところまで進行して、あと別のところへ移っていくということがあってもいい、そういう理解でよろしいでしょうか。
【青山総務課長】 さようでございます。
【加藤臨時委員】 私も、独立行政法人というのは、名前だとか、国立環境研究所がそうなるということだけは存じ上げておりましたけれども、今日初めて、この法律によって、どういうものかというのは一応理解したと思うんです。ただ、これは私の単なるコメントで、別にお答えいただく必要はないですが、まず、関連法規集の3ページによりますと、「『独立行政法人』とは、……国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、……」とありまして、さらに「『特定独立行政法人』とは、……その業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他……」と書いてあって、先ほどの御説明では、国立環境研究所は特定独立行政法人となったということなんですが、そもそも国立環境研究所がやっているような極めて基礎的な調査、温暖化であれ、環境ホルモンのようなものであれ、その他、これがどうして「国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもの」という位置づけになったのかというのは、はなはだ疑問であります。それはそうなってしまったということで、今さら言ってもしょうがないと思うのですが、私に言わせれば、これこそまさに国が直接主体となってやるべき最も大事な仕事ではないかと思うんです。もし御答弁があれば、それはそういう理屈で説明せざるを得ないわけでしょうけれども、私の理解に過ちにあるのかどうかということがコメントです。
今のはいわずもがなのコメントだったかもしれませんが、質問は、国立環境研究所法の役員で、第7条、「研究所に、役員として、その長である理事長及び監事二人を置く。」云々と書いてあります。「その長である」というのは、今までは国立環境研究所長さんが長であるというふうに私どもは理解しているんですが、所長さんが理事長になるという理解でよろしいのかどうか。それから、ここにある「役員」というのは、株式会社のようなものでいえば、取締役に相当するようなものになるのかどうか。そうすると、この評価委員というのはどういうことになるのか。もう一度御説明いただけますか。
【青山総務課長】 役員は、おっしゃるとおり、取締役と同じようなものでございます。
この評価委員会は、逆にいえば、それぞれの法人の社外取締役会的なものというイメージが一番わかりやすいのではないかという感じがいたします。
一番最初の御意見でありますが、先ほど私が長々と文部科学省で15あるとか、いろいろ申し上げたのは、まさにそういうことでございまして、例えば文部科学省所管の航空宇宙科学技術研究所とか、これらにつきましても独立行政法人化していくということでございますし、農林水産省の法人しかり、国土交通省もしかりでございます。そういうことで、行革全体の中でこういう判断をさせていただいたということでございます。
【加藤臨時委員】 その判断はよく理解できるのですが、もちろん、こういうふうになったということを今さら何とかと言うわけではないのですが、「国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもの」、もちろんそういうものはあると思いますが、こういうベーシックな研究こそ、国がやらなくて一体だれがやるのだろうか。温暖化の問題にしても、環境ホルモンにしても、その他何でもいいです。だけど、法文上の位置づけは、本当は国が自ら主体となってやらなくてもいいんだよという位置づけになっているというその認識自体がはなはだ問題ではないかと私自身は思っております。ただ、それは私自身のコメントです。
【山田審議官】 そうではなくて、国がやる業務なんです。この法文の2条も最初の3行を読んでいただくと、国がやる事務だと書いてあります。ただ、やり方として、むしろポイントは、「直接に実施」という文言です。ですから、国立環境研究所に係る経費も平成12年度は92億だったのですが、平成13年度はむしろ約3億増額して、国の資源投入を拡大しているんです。ただ、やり方として、従来、予算制約なり機構・定員制約のある中で直接実施するのがいいのか、少し弾力的・柔軟性をもってやったらいいか、そういう政策判断の問題で、しかも柔軟性の対応の仕方というのは、個別立法でそれぞれの法人にふさわしい対応でやっていくということでございます。
もう1つ、評価委員会も、国立環境研究所の中にも、所長なり理事長の諮問機関として研究を評価するというのは、また別途置かれるんです。ここの場はむしろ、環境大臣の諮問機関ということで、これはしかも行革後に原則、各省庁1つの審議機関を置くということと、横並びでもう1つ別途評価委員会が置かれて、大変格の高い位置づけになっておりまして、そういう大臣が判断する行政判断に対してアドバイザリー機関になるのです。一方で自由にするのと、併せて評価、責任を問う、こういう仕組みにしているということでございます。
【松野委員長】 よろしいでしょうか。
今のことに関しては、私もそういうふうに思っていまして、国が責任をもつということと、私も長く国立大学におりましたので、研究していると、何かのときに、これは役所のやり方だからこうなっちゃうんだなということで、非常に不便なこともありましたが、そうではなくて、研究などはいわゆる役所のやり方ではない。資金的には国が責任をもってやることかもしれないけれども、そういう問題に対しての回答なんだろうと思っております。その点では、果たしてそれがうまくいくかどうかというのは、これからみながら努力していかなければいけないことだと思います。
今日は第1回ということで、大臣に対して中期目標を進言するということと、それに対応して、新しくできる独立行政法人国立環境研究所から、それに対する計画が提示される。それについての意見を大臣に述べる。そういうのがここの評価委員会の仕事というふうに理解しておりますが、最初どこから始まるか、しかも非常に短時間ですけれども、繰り返すようにしてだんだん勉強していくというか、固めていかざるを得ないと思います。そこで、今のような問題について、まだ十分わからないというのも、私自身もそうですが、やむを得ないことなのですが、今のような宿題がありますので、今の問題はとりあえずここまでのところにとどめまして、次に、国立環境研究所の方から、今度、独立行政法人化したときにどういう方向でやっていきたい、いこうかということについての御説明を大井所長からお願いできればと思います。
【大井国立環境研究所長】 独立行政法人化後の国立環境研究所が目指す方向といえば、当然、研究所の理念とか目標とか、あるいは構造的・機能的な特性がどのように他の研究機関と違うのかとか、あるいはまた、今後の環境省との関係はどうなっていくのか、そして、独法化後に具体的にどういうことを考えているのかということが問題になるかと存じます。時間の都合もございますので、ごくかいつまんでその点について触れさせていただきたいと思います。
地域あるいは地球の環境保全に役立つ研究を行うという点で、当研究所は、大学や企業などの研究機関と志をともにしております。しかしながら、今までの歴史的な経緯もあり、構造的あるいは機能的な特徴は他の大学あるいは企業の研究機関とは相当違っております。
まず第1に構造についてでございますが、御存じのとおり、環境省は、国の内外を問わず、環境全般の問題についていろいろな社会的な要請を受けます。
【佐和委員】 すみません。どの資料を見ながらお聴きすればよろしいでしょうか。
【大井国立環境研究所長】 資料はございません。
当研究所は、その要請スペクトルに対応した研究を行うような組織構造を構築してまいりました。つまり、社会科学から自然科学に至るまで、自然科学の中においても、健康関連から例えば地球科学に至るまでのすべて、つまり全方向的に対応可能な環境研究機関を志してまいりました。しかしながら最近になりまして、厚生省の廃棄物研究部門がこちらの方に移ってまいりましたし、それ以外の特徴、例えば循環型社会形成あるいは廃棄物研究ということに対応する構造をつくっております。
機能的な特性でございますが、これは先ほど加藤委員からも御指摘になりましたように、環境保全というのは、国家がその国民に対して当然保障すべき社会サービス的な性格が強うございます。当研究所は、その一端を担うため、行う研究により得られた知見、データのようなものは常に中立的であるし、公正である。研究活動は社会に開かれていく必要がございます。したがいまして、今後、企業と共同研究を行う可能性は大きくなりますが、一般に利潤追求のために市場で企業と露骨な競争を行うということは困難でございます。このカテゴリーに属するような研究活動として、例えば環境ホルモンの分析は非常に難しいものですが、そういうような高度分析技術を開発し、それを伝え、広めるということがございます。また、生物多様性に関する情報を蓄えて、それを研究者たちに頒布するということがございます。
第2番目に、環境科学は、有効な政策策定にまで結びついて初めてその価値が明らかになることが多いのでございます。環境破壊的な人間活動の増大により、地球環境が総体的に極めて危険な規模にまで縮小しているこの時点におきまして、人間活動を変容させる政策形成とその遂行は、言うまでもなく、私たちの将来を左右することでございます。この意味におきまして、当研究所は、より直接的な貢献をすることが要請されております。このカテゴリーに属するものとしては、例えば気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第3次報告で、地球温暖化について6つの世界発展パターンを提示しておりますが、そのうち、当研究所と東大のモデルで計算しました、いわゆる高度成長化石燃料型パターンによれば、2100年に平均5.8℃の気温上昇がある可能性があるというようなことを示唆しております。つまり、それは日本のみならず、世界の政策決定者による選択を迫るものと私たちは解釈しております。
3番目に、国際共同研究における研究遂行責任というようなものを私たちは持っていると理解しております。御存じのとおり、アジア地域での環境劣化は、主として水資源の枯渇や砒素などによる汚染が非常に深刻になってきております。例えば1997年の黄河の断流が200数日であったとか、揚子江の水を黄河の方にまでもっていくということも言われておりますが、私たちの研究所は、そのような長江の水文学的研究、生態学的な影響がどういうふうに出てくるかということに関与してまいりました。新たに、今、砂漠化が非常に憂慮されております中国の西北部地区の生態系と環境修復に関して、中国科学院と共同研究を行うということにしています。当研究所の任務は、生態系・土地劣化診断システムと水管理モデルを作成するというものでございます。
では、環境省とどのような関係になるのか。今まで申し上げましたことは、基本的に環境政策策定を担う環境省とその前提となる科学的研究を行う当研究所との間には、ほぼ完璧な補完関係が存在するということでございます。これを私は、終生分離できないようなシャム双生児の関係だと言っておりますが、つまり双方とも栄えなければならない、ウィン・ウィン・ゲームでなければならないということでございます。中期目標と中期計画遂行を通じて新たな緊張関係が生じますが、そしてまた、研究資金をこれからいろいろな方向からとってくるということが要請されておりますが、環境省が当研究所にとってただ単なるワン・オブ・ゼムになるということは決してあり得ないということを申し上げたいと思います。
次に、独法化後にどのような変化が期待されるか。御存じのとおり、構造上、理事長の権限というのは非常に強くなりまして、トップダウン型の指示がより多くなるだろう。しかしながら私は、もし効果的なトップダウン型の指令が遂行されるためには、研究者との非常に密接な意思疎通が成り立っていなければ可能ではないと考えております。
研究につきましては、環境に関わる基盤研究をもちろん持続させて行います。それと同時に、社会的・行政的要請の強い研究をやる重点プロジェクトあるいは政策対応型研究として行いますし、また、特に廃棄物部門においては非常に強い要請がありますが、技術開発的な研究も行わなければならないと思っております。
研究の推進・管理・評価につきましては、当委員会においての評価を受けまして、着実な研究成果をつくっていきたいと思っております。また、企業会計原則を導入いたしますので、そのような財務運営など民間企業の運営法の導入による、相対として研究所の研究活動を効率化する必要があると思っております。しかしながら最も重要なのは、センター・オブ・エクセレンス、すなわち中核的環境研究機関としての最低必要な規模まで成長させることが一番大切だと思います。この11年間に予算は約2倍に増え、プロジェクトの数は約3~4倍に増えましたが、人数は全く変わっておりません。よく比較されることですが、アメリカにおいては、EPAは2万人の人員を擁していて、研究者は3000人。
我々の状況は御存じのとおりの状態でございますが、ニュージーランドでは行政改革を既に1985年に断行しまして、行政機構あるいは研究機構の簡素化を行っております。しかし、人口380万人のニュージーランドでも、自然保護に関わる公務員の数は1300人いますし、国立大気・水研究所でも560人。我々の研究所ではそのような任務にあたる者はその約10分の1であります。したがいまして、どのようにして規模を増大させるかということでありますが、内部的には、競争的資金によるプロジェクト研究や委託研究の研究主導者が任期付き研究員を採用できるようなシステムをとりたいと思います。つまり、競争的関係を通じた研究者の増加でございます。しかしながら、それだけではなかなか人は増えないのであります。したがいまして、お互いに特色が異なるリソースをもつ研究機関との緩やかな連合(コンソーシアム)というものも当然検討されるべきであります。これは現在、会議、相談というようなことが、通信技術が非常に発達したために、いわゆるバーチャルなセンター・オブ・エクセレンスをつくることも可能になってまいりました。
今までのことを要約させていただきますと、当研究所は、環境保全のための研究を行う意味では、大学・企業の環境研究機関と同様の目的を持つものの、環境省の政策形成遂行責任に表裏一体となって支えるというユニークな機能を維持するため、私たちは、独法化後は、民間企業の運営方法を取り入れて研究効率化を図るということになりますが、今申しましたような環境省との関係は変わらないと思っております。
以上でございます。
【松野委員長】 どうもありがとうございました。
今、大井所長からお話がございましたが、質問等がございましたらお願いいたします。
【佐和委員】 今、所長の方から、ニュージーランド、アメリカ等と比較されて、研究者の数がそもそも少ないと。私もその点については大変同感ですし、御同情も申し上げる次第でございます。ここに円グラフがございますが、研究職員は186人ということで非常に少ない。それプラス客員研究員が575人と書いてありますね。この客員研究員はどういう方か。つまり本職はどういう方々なのかということを教えていただきたいのです。
【大井国立環境研究所長】 客員研究員は非常にバラエティのあるバックグラウンドを持っておりますが、基本的には大学の研究者あるいは他の研究機関における研究者が一番多いということです。客員研究員が多いということは、当然、一面においては、我々の研究活動を支えてくれるというような側面もございますが、これもある時点まではそういうような機能が大きくなっても、例えばプロジェクトの数などがあまり多くなりますと、客員研究員は存在するけれども、それに専任して事に当たるというよう意味においての当研究所の研究者が非常に少なくなってしまう。例えば1人だけでプロジェクトを維持していくという場合には、いろいろな雑用がたくさんありまして、そのために自分の時間はすべて費やされてしまって、客員研究員あるいは他の下請け、孫請けの研究者たちはいろいろ働いてくださいますけれども、その研究者自体は研究者としての特質を失うというような傾向も見当たりまして、ここら辺のところは私は善し悪しであると考えております。
【松野委員長】 今の佐和委員の御質問は、客員という名前で、中身は、協定を結んでいる大学の大学院生とかだということでよろしいのでしょうか。
【佐和委員】 共同研究プロジェクトに参加されている方々ということですね。
【大井国立環境研究所長】 そうです。
【松野委員長】 いわゆる契約研究員制度というのは、科学技術庁系統、今は文部科学省ですが、たくさんありまして、私自身もそういう形で海洋科学技術センターの契約研究員ということで研究に携わっておりますが、そういうのが、先ほどお話になりました競争的資金による任期付き研究員はこれからできる話で、今まであったのはみんな、協定を結んでいる大学の大学院生と考えてよろしいんですね。
【大井国立環境研究所長】 そういう大学等の研究員の方々が大部分でございますが、そのほかに流動研究員的なものも。
【松野委員長】 専任でいらっしゃる方も少しあるということですか。
【大井国立環境研究所長】 ちょっとですね。
【佐和委員】 一言付け加えさせていただければ、日本とアメリカのいろいろな就業構造を比較しますと、圧倒的な違いがあるのは、医療と教育と研究なんです。日本は公務員の就業者比率は6%弱なんですが、アメリカは18%も公務員がいるんです。何をしているかといったら、別に軍隊をやっているのではなくて、大部分は地方公務員で学校の先生なんです。15人学級でやっているということから、先生の数がものすごくいる。アメリカの場合は、医療でも、1ベッド当たり7人の医療従事者がいる。医者、看護婦だけではなくて、介護とか。ヨーロッパ諸国でも5~6人いる。ところが日本は1人なんです。だから、薬と検査にばかりお金を使って、人を雇わない。雇用を節約して、それで公共事業によって余った人を使っているというのが独特の構造なんですね。ですから、そういうところから改めていただかないと、研究の分野とか教育の分野で人を減らすなんてことは考えてほしくないと私は常日頃から思っております。
【大井国立環境研究所長】 ありがとうございます。私は医療出身でございますが、100ベッド当たりの医療従事者は、アメリカでは350人、EUでは180人、日本では約80人でございます。まさに先生のおっしゃったとおりの実情でございます。
【松野委員長】 国立環境研究所を今度、独立行政法人化するに当たって、どういう性格のものというか、ポリシーについてのお考えを今お聞きしたわけですが、そういう研究所に対してどういう目標を設定したらいいのかという議論をして、それを受けて、研究所の方から計画の御提案というような手順で、目標の設定と計画を決めていくという作業を進めていくことになるかと思います。そこで、大変短い時間でいろいろなことをやらなければいけないものですから、まだいろいろと一般原則についての御意見や御質問があるかと思いますが、次に進ませていただきます。
中期目標は、ここの委員会がアドバイスして大臣が決めるというような位置づけになっていると思います。条文どおりだったら、我々はここで議論して、国立環境研究所にどういう目標を与えるべきかという議論をするべきなんですが、そういうことも難しいので、まず原案を事務局の方から出していただいて、それについて意見を言って、大臣に提言する目標を決めていきたいと思います。では、よろしくお願いします。
【松井環境研究技術室長】 それでは、資料4を御覧いただきたいと思います。「独立行政法人国立環境研究所に係る中期目標等について」。
最初に、通則法の第29条に中期目標の規定がございまして、期間としては、3年以上5年以下。第29条の第2項で「中期目標においては、次に掲げる事項について定める」ということで、1として、中期目標の期間、2として、業務運営の効率化に関する事項、3として、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項、4、財務内容の改善に関する事項、5、その他業務運営に関する重要事項。これを定めるときには評価委員会の意見を聴くということで、この事項立てについては、こういう形で立てるというのが行政改革の本部からの指示になっておりまして、各独立行政法人に対する中期目標については、このような項立てをすることが必要になっております。
第30条で中期計画でございますが、独立行政法人は、中期目標に基づき、主務省令で定めるところにより、中期目標を達成するための計画(中期計画)を作成し、主務大臣の認可を受けなければならないと。その主務省令の部分はその下に掲げておりますけれども、何日以内に作りなさいといったような規定を置いているところでございます。
中期計画に何を定めるかということでございますが、括弧で囲ったところの一~七、中期目標を受けて、このような形で計画を定めていくというものでございます。
1枚お開きいただきますと、まず、中期目標について、何を記述していくかというごく大ざっぱな骨子を掲げてございます。本来ですと、これを提示させていただきまして、先生方から御自由な御意見をお伺いした上で、目標を定め、かつ、それを受けて中期計画を作るというのが順序でございますが、これは事務方でもう少し早くやるべきでございましたが、スタートが遅れてしまったこともあり、かつ、4月になりますと、すぐに独立行政法人国立環境研究所が動いていく。そうしますと、4月の段階ですぐに目標をお示しし、かつ、それを受けて計画を直ちに作っていただくということで、私どもの希望といたしましては、次回3月19日におきまして、基本的なところでは目標と計画についてこの評価委員会における先生方の御意見を頂戴して、大筋で固まったものにしたいと考えております。そういうわけで、本来ですと、きちんと手順を踏んで御議論いただくところでございますが、私どもの方で中期目標の現段階の案と、これを受けた形での中期計画の案を国立環境研究所の方で用意しておりますので、早速これに基づきまして御説明させていただきまして、御意見を伺いたいと考えております。
もう1ページお開きいただきますが、左右対称になっておりまして、左が中期目標の案、右が中期計画の案でございます。
まず、左の目標でございますが、第1、目標の期間は、平成13年度から17年度までの5年間。研究の期間というのは大体3~5年ということで計画しております。そういうことで、1つの研究が終わり、成果が出るのには5年が必要かなということで、目標の期間につきましては、5年間とさせていただきました。
第2の「業務運営の効率化に関する事項」でございますが、1として「効率的な業務運営体制の整備」。ここでは、独立行政法人化の要請である効率化と環境研究等の充実・強化の両立を図るために、効率的な体制の確立を図っていく。
なお、体制については、絶えず検討を行い、必要に応じ見直しを行う。
(1)として、当該体制は、第3(国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項)に掲げた目標を確実に達成できるものとすること。
(2)として、理事長の指導のもと、独立行政法人としての自立した運営が可能な組織とすること。
次のページでございますが、2として「人材の効率的な活用」。先ほど大井所長からもお話がございましたが、国内外の学界、産業界等から幅広く優れた研究者の登用を可能とするよう、職員の公募、任期付き研究者の採用、フェロー制度の活用等について検討を行い、既存の人材の活性化・有効活用を含め、流動的で活性化された研究環境の実現に留意した人事管理を行い、人材の効率的活用を図る。
また、職員の業績の評価とその処遇等への反映が確保される制度を導入する。
以上が2でございます。
3として「効率的な施設運用」。施設等の活用状況を的確に把握し、稼働状況に余裕のある施設等については、その有効活用を図るなど適切な措置を講じるとともに、計画的な施設の保守管理を行う。
4として、これは国立環境研究所は環境省との密接に関係する独立行政法人でございますので、特にここで「業務における環境配慮」という項を起こさせていただいております。業務に当たっては、物品及びサービスの購入・使用並びに施設の整備及び維持管理に際しての環境配慮を徹底するために、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく政府の事務及び事業に関する温室効果ガスの排出の抑制等のための実行計画、これは現在、環境省を中心に策定作業を進めているところでございまして、6月にはその成案がまとまるようでございます。この実行計画に定められる目標に準じて、その達成を図ることなどにより、電気・ガス等の資源・エネルギー使用の削減、廃棄物の適正処理及びリサイクルの徹底、化学物質管理の強化に努めるなど自主的な環境管理に積極的に取り組み、その状況について毎年公表を行う。
5として「業務運営の進行管理」。研究所内の業務進行管理体制を強化し、各年度の研究計画を作成、公表するとともに、外部の専門家の評価・助言を得つつ、業務の進行状況を組織的かつ定期的に点検し、業務の効率的かつ円滑な実施のために必要な措置を適時に実施する。
以上が第1と第2の部分でございます。
これを受けた計画の書きぶりにつきましては、高木主任より御説明していただきます。
【高木国環研主任研究企画官】 国立環境研究所の主任研究企画官の高木でございます。
今、松井室長から御説明のありました中期目標に対応した形で御説明させていただきたいと思います。
中期計画の1ページ目の第1、「業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置」。その第1項として「効率的な組織の編成」ということでございます。これにつきましては、本中期計画の達成に向けて、最初に組織があるのも変な感じなんですが、構成上こういうふうになっております。効率的かつ機動的に実施する観点から、適切な研究組織及び支援体制の編成を行う。この観点から、次の点を踏まえた組織体制を確立するということで、現在検討しております組織体制をイメージして書いてございます。
まず、基盤的調査・研究を推進するため、コアラボラトリーとして必要な「研究領域」を置くということでございます。これは現在、組織に基盤研究部というのが6つございます。その6つにほぼ対応する形で、若手の育成とか基盤的な調査・研究を行うというものを置く予定にしております。
重点化した研究プロジェクトを確実に実施するための体制を整備するということで、後ほど出てまいりますが、重点特別研究プロジェクトというのを6つ立ち上げることにしておりまして、それに対応したグループをつくっていく。
3番目は、環境行政の新たなニーズに対応した政策の立案及び実施を、研究面から支援できる体制を整備するということで、「政策対応型調査・研究」と呼んでおりますけれども、循環型社会形成・廃棄物の研究、化学物質の環境リスクに関する研究を実施するためのセンターを2つ設ける予定にしております。
それから、地球環境のモニタリング、地球環境研究の総合化及び支援等を行う体制を整備するということで、これは現行の「地球環境研究センター」がそれに相当するものでございます。
それから、環境保全に関する国内及び国外の情報の収集、整理及び提供を行う体制を整備するということで、独立行政法人国立環境研究所の業務の2本柱の1つが環境情報の収集、整理、提供ということになっておりますので、それに対応する形で現行の環境情報センターを存続させるということでございます。
研究所の活動を効率的に運営するための管理体制を整備する。
2ページでございますが、組織のあり方については、絶えず検討を行い、必要に応じて、適宜見直しを行う。組織につきましては、理事長の権限でやりやすい形に変えていくことが可能でございますので、適宜見直しをしていきたいと考えております。
2番目の「人材の効率的な活用」でございますが、「下記により人材の効率的な活用を図る」ということで、先ほどもございましたが、トップダウンによるプロジェクトグループの戦略的な編成を含め、研究者の適切な配置を図るとともに、流動性を高め人材の活性化に努める。プロジェクトグループというものをつくりますけれども、1つの組織の形態になりますが、そこに人の出入りは流動的にできるような形にするということでございます。
2番目は、公募等により、適切な処遇に配慮しつつ、国内外の学界、産業界等から幅広く優れた研究者の登用を図るということで、国家公務員の採用は原則試験採用でございますが、当研究所の場合、人事院との協議で、公募による選考採用を広く行っておりますので、それを継続しまして、いろいろな分野から優れた研究者の登用を図っていくようにしたいと考えております。
3番目は、より効率的で活力に富む研究環境の実現のため、流動的な研究員の活用等により、柔軟な人事運営に努めるということでございます。これは先ほど佐和委員からの御質問にちょっと補足させていただきますと、資料8の「国立環境研究所の基礎データ」の4ページのところに客員研究員、共同研究員、研究生の構成が出ております。客員研究員等につきましては、環境研究所の職員ではなくて、委嘱しまして、いろいろな面のアドバイスをお願いしたり、共同で研究したりということでやっております。それから、旧科学技術庁のSTAフェローとか環境省のエコフェローとか、そういったことで来ていただいている方もここに含まれております。ですから、正式な意味での研究所の職員ではございませんが、今度、独法になりました後には、任期付き研究員を採用してまいりたいと思いますし、それに加えまして、研究所の研究費の中から研究員を雇用できるという形で、流動研究員制度というのも新たに設けようと考えております。
4番目は、面接による目標管理方式を基本とした職務業績評価を導入し、本人の職務能力向上を図るとともに、その結果を処遇に反映させるということで、そういう制度を導入することにしております。考え方としては、年度当初に各研究者に目標設定をしてもらって、年度末にその達成度を評価ということで、そのほか、いろいろな委員とか社会的貢献とかも含めた形で評価をして、その後のボーナスとか処遇に反映していこうという制度を今考えております。
4番の「効率的な施設運用」でございますが、1番目は、研究体制の規模や研究成果等に見合った研究施設のスペース再配分などを含め、研究施設の一層効率的な利用等の推進を図るということで、スペースの再配分を今検討しておりまして、それに合わせて少し経済的な観点も入れようということで、スペース課金ということも今検討しております。
2番目は、大型実験施設等について、他機関との共同利用や受託業務での利用等、効率的な利用を推進するということで、大型実験施設についてできるだけ利用をあげていこうと。
それから、研究施設の重点的な改修を含めた計画的な保守管理を行う。老朽化している部分もございますので、順次、計画的に保守管理を行っていくということでございます。
5番の「業務における環境配慮」でございますが、大きく分けて4つございます。1つは、物品及びサービスの購入・使用に当たっては、環境配慮を徹底するということで、いわばグリーン購入的な部分。
2番目のポツと3番目のポツでございますが、先ほど目標にございました、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づいて、温室効果ガスの排出の抑制等のための実行計画で目標が出てくる予定でございますが、とりあえずこの法律の目標は独法には直接かからないということでございますので、その目標に準じて達成を図る。
ただ、目標自体は6月か7月ぐらいになるということで。今現在ございませんので、当分の間は、環境負荷の削減のための資源・エネルギー利用の節約を図るために、研究所の延べ床面積当たりの電気・ガスなどの高熱水量を、平成12年度比で概ね90%以下に維持していこうということで、大型実験施設が一番大きなユーザーでございますけれども、その計画的・効率的な利用や研究棟における節電を図るということで、節電の計画を作っていただこうと、あるいは少額ですが、エネルギー課金みたいなものを導入していくことを検討しております。
4番目は、廃棄物の減量化、リユース、リサイクルを徹底する。国立環境研究所自ら廃棄物の処理施設を持っておりますので、その適正処理を行うということと、減量化、リユース、リサイクルを徹底していこうということでございます。
次は、施設整備や維持管理に際しての環境負荷の低減の観点からの取組や、化学物質の管理の強化など自主的な環境管理の推進に努めるということでございまして、化学物質の管理について一層強化していって、排出をできるだけ少なくしていくということでございます。
こういったことをやっていくために体制を整備するということで、環境管理委員会みたいなものの設置を検討しております。また、措置状況については、毎年とりまとめて、こういう状況にあるということを公表していこうと考えております。
6番の「業務運営の進行管理」でございますが、まず第1は、研究の実施の進行管理でございますが、毎年度、各いろいろな研究の研究計画をまとめて公表させていただこうということでございます。
次のところに「第2.1(2)の重点研究分野」と出てきますが、それぞれの重点研究分野の各主要研究課題ごとにリーダーを置いて、研究内容の調整、進行管理を行っていこうと。
それから、先ほど少し触れました重点特別研究プロジェクトとか政策対応型調査研究-これは後ほどまた出てきますが--については、研究所内部での進行管理に加えて、研究所が設置する外部の専門家で構成する研究評価委員会に、前年度の成果と研究計画を提出して、評価・助言を受けながら実施するということが研究の管理でございます。
2番目としては、所内の業務運営の的確かつ円滑な調整、推進を図るための委員会等を設置して、業務運営の実施状況をモニターしながら、的確な実施を図るということでございます。
最後に、研究所の運営全体についてでございますが、理事長の諮問により助言を行う外部有識者で構成する機関を設置して、いろいろ御意見を伺いながら運営していきたいと考えております。
【松井環境研究技術室長】 時間の関係もございますので、このまま続けて全部御説明させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
【松野委員長】 今のところは、最初にお話のあった組織とか運営とかに関することで、この次は内容に関することですが、引き続き説明を伺いたいと思いますが、よろしいでしょうか。
では、お願いします。
【松井環境研究技術室長】 その前に、資料9の真ん中より後段の、2枚目の青紙が独立行政法人国立環境研究所法でございますが、それの4ページのところに第10条として、研究所の業務の範囲の規定がございます。先ほど高木主任の方から2本の柱と申し上げましたが、それはこの第10条の書きぶりがそうなっておりまして、「研究所は、第3条の目的を達成するため、次の業務を行う。」。1として、「環境の状況の把握に関する研究、人の活動が環境に及ぼす影響に関する研究、人の活動による環境の変化が人の健康に及ぼす影響に関する研究、環境への負荷を低減するための方策に関する研究その他環境の保全に関する調査及び研究を行うこと。」。2として、「環境の保全に関する国内及び国外の情報の収集、整理及び提供を行うこと。」。これが2本の柱でございます。
それでは、資料4に戻っていただきまして、4ページでございますが、この2本の柱のうちのまず第1の「環境研究に関する業務」ということで、(1)として「環境研究の充実」でございます。中核的環境研究機関として環境研究の一層の充実を図り、もって、環境問題の解決及び未然防止に貢献する。国立環境研究所の研究は、環境問題の現象とか機構解明が中心かと思いますが、そうは申しましても、「特に、」としまして、その下のところで[1]として「環境行政・政策に対応した調査・研究」をやっていただくということと、[2]として「循環型社会の形成等に必要な環境技術の開発・普及に関する調査・研究の充実を図る。」、この部分を特記させていただいております。
「また、」としまして、ここは競争的研究環境の構築に留意する。
次の「さらに、」のところでございますが、職員の国内外の学会、シンポジウム等への参加を奨励する。ちその下の「また、」のところは、他の研究機関等とのネットワークを構築し、その中核となるセンターとして機能していく。そのために、一番下のところでございますが、情報提供や交流のためのフォーラムの開催、連絡会議の開催など必要な措置を講じるということを書かせていただいております。
次のページでございますが、「さらに、」ということで、環境省が開催する会議等に参画させること等、その他助言等により、可能な限り、行政支援に努める。
(2)として「重点研究分野」。ここでは、重点研究分野としてここに掲げた7つを挙げさせていただいております。[1]が地球温暖化を始めとする地球環境問題への取り組み。
[2]が廃棄物の総合管理と環境低負荷型・循環型社会の構築。[3]が化学物質等の環境リスクの評価と管理。[4]が多様な自然環境の保全と持続可能な利用。[5]が環境の総合的管理。[6]開発途上国の環境問題。[7]環境問題の解明・対策のための監視観測。これらの重点研究分野については、各分野ごとに別表1、これは資料5の一番後ろに掲載させていただいております。それぞれ何項目か主要研究課題として掲げさせていただいております。別表1に掲げる主要研究課題について、それぞれ研究の方向を定め、これに沿って研究を実施する。
次のページでございますが、(3)研究の構成ということで、重点課題。先ほどの[1]~[7]の重点研究分野のうち、特に重要な下記の課題については、研究資源の重点的配分を行い、重点研究プロジェクトを形成することにより各課題毎に記述した目標の達成を図る。
ここでは、この重点研究分野のうちの重点課題を特記いたしまして、ここでどのようなことを行って、どのような成果をあげていただくかということをそれぞれ書かせていただいております。本来ですと、これを御説明させていただくところでございますが、時間の関係もありますので割愛させていただきますが、[1]の地球温暖化の影響評価と対策効果、ここのところで、例えば影響を統合的に評価するモデルを用いて、地球規模の気候変動及びその地域的影響のシナリオ並びに対応方策のあり方を、アジア地域の持続可能な発展との関係で明らかにする。さらに、こういったものにより、変動要因を解明する。このような記述ぶりになっておりまして、「……を解明する。」とか「……を開発する。」というような形で、具体的に何をしていくかということをそれぞれについて書き込んでございます。[2]が成層圏オゾン層変動のモニタリングと機構解明、[3]が内分泌かく乱化学物質及びダイオキシン類のリスク評価と管理。[4]が生物多様性の減少機構の解明と保全、[5]が東アジアの流域圏における生態系機能のモデル化と持続可能な環境管理、次のページでございますが、[6]が大気中微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価。以上が重点課題でございます。
また、イとして「政策対応型調査・研究」ということで、重点研究分野のうち、循環型社会形成推進・廃棄物管理及び化学物質環境リスク管理については、相次いで新法が制定されるなど、新たな行政ニーズが生じていることから、研究資源の重点的配分及び研究体制の整備を行い、下記の課題について政策対応型調査・研究を行うことにより各課題毎に記述した目標の達成を図るということで、[1]が循環型社会形成推進・廃棄物管理ということで、a、b、c、dという形で、それぞれさらに項目を分けて記載させていただいております。
[2]として「化学物質環境リスクに関する調査・研究」ということで、化学物質環境リスク管理に資するための手法の高精度化、簡便化等を図り、また、住民に化学物質のリスクを適切に伝えるコミュニケーションを促進する手法を開発する。このような記述をさせていただいております。
ここまでが政策対応型調査・研究でございます。
ウとして「基盤的調査・研究」。ここでは、重点研究分野として位置づけられた研究と、この基盤的調査・研究により、基本的には研究所における研究はすべてカバーされる、そのようなものとなっております。ここでは、「国内外に環境研究の共通の基盤となる研究成果を提供するとともに、研究所の研究能力の維持向上を図るため、基盤的研究の充実に努める。また、重点研究分野に係る研究及び創造的、先進的な調査・研究の充実に努める。」。
「基盤的調査・研究の実施に当たっては、創造的、先進的な調査・研究を充実させるよう、課題の選定を行う。」と記述させていただいております。
エとして「知的研究基盤」。これは研究所内における各種研究の効率的な実施や研究ネットワークの形成のために、環境標準試料等の作製、有用な環境微生物の探索、地球環境の戦略的モニタリング、そのような知的研究基盤の整備を行っていく。
そのほか、必要に応じてクロスチェックなどを実施する、そのような記述となっております。
(4)として「研究評価」でございますが、原則として、外部専門家を評価者として選任し、評価方法を定めた実施要領に基づいて適正に研究評価を実施し、その結果を公表する。また、評価結果を、研究資源の配分など業務運営に的確に反映させる。
(5)として「成果の普及」。ここでは、研究所の年報の発行をいつまでにするとか、研究成果報告書の発行は6ケ月以内といったようなこと、成果の発表会、公開シンポジウムの開催などにより公開・提供するほか、インターネットを介して国民に広く普及する。
また、個別の研究成果については、関連の学会での発表、学会誌等への投稿を通じて普及を図ることとし、研究所全体として、中期目標期間中に誌上発表件数を2,500以上、口頭発表件数を4,000以上とする。実はこのような数値目標を置くことについては、多分、異論もあるかと思います。数値よりも質が問題というような御意見もあろうかと思いますが、ここではあえて記述させていただいております。これは論文数を競うということではなくて、成果を普及させていく、そのようなことを念頭としてこのような目標をここでは書かせていただきました。
次のページの2でございますが、これは2本目の柱の「環境情報の収集・整理・提供に関する業務」でございます。環境研究に関する情報、環境行政に関する情報その他環境に関する国内外の情報を収集・整理し、国民にわかりやすく伝える、いわば、情報の収集・発信基地としての機能を果たす。このため、国内外の関係機関等との連携を確保しつつ、体制及び業務の充実を図るということで、具体的には、インターネットを介した環境情報提供システムの運用、これは既に行っているところでございますが、それを引き続き行うとともに、その充実を図る。また、環境国勢データ地理情報システム(環境GIS)を構築・運営することによって、広く国民に提供していく。さらに、インターネットを介して研究成果を国民が入手できるシステムを整備し、運営する。
以上が中期目標の第3の「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」の内容でございます。
【高木国環研主任研究企画官】 中期計画の方を御説明させていただきます。
4ページでございます。第2の「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置」ということで、1として「環境研究に関する業務」。(1)環境研究の充実というのが総論的でございます。ここは、1つは、持続可能な社会の実現を目指して、地球環境の保全、公害の防止、自然環境の保全及び良好な環境の創出の視点に立って、環境政策立案に資する科学的知見の取得に配慮しつつ、学際的かつ総合的に環境分野の研究を進める。学際的・総合的というのが環境研の特色でもございます。
研究の実施に当たりましては、競争的環境を醸成するとともに、年度計画を作成するということで、計画的な業務実施をする。また、環境技術の開発・普及についても重点的に取り組むということで、廃棄物処理・資源化技術、環境測定分析技術等の調査研究を進めて、環境省に技術開発・評価に関する知見の提供等を行っていこうと。
また、他の機関との協力を進めて、ネットワークを構築していこうということで、国際研究プログラムや国際的役割分担を踏まえた研究を実施するとか、二国間協定(科学技術協力協定や環境保護協力協定等)に基づいて、開発途上国を含めた国際的な共同研究を実施していこうと。それから、環境研だけでやっているわけではなくて、先ほど所長のお話にもございましたが、大学、民間、地方公共団体など国内の他の研究機関との有機的な連携のもとに共同研究を実施する。研究者等の受入・派遣、ワークショップの開催、研究者間の情報提供や交流のためのフォーラムの開催等、他機関との研究交流を進めるというのが全体に係る分野でございます。
(2)の重点研究分野でございますが、下の[1]~[7]に挙げてある研究の項目につきましては、中期目標をそれぞれ受けたものでございます。資料6の中期計画(案)の後ろに別紙1というのがございまして、ここに各重点研究分野の研究について、今後5年間の研究の方向をまとめてございます。この重点研究分野につきましては、研究所が今後5年間に重点的に取り組んでいく分野の枠組みを提供しているということで、こういった研究を5年間でやっていきますという一種のデクラレーションみたいな形になろうかと思います。
もちろんこの分野以外の研究をやってはいけないということではございませんので、重点的に取り組んでいく分野ということでございます。
6ページでございますが、(3)の「研究の構成」の中の「重点特別研究プロジェクト」というのは、この重点研究分野のうち、社会的要請も強く、研究の観点からも大きな課題を有している研究を重点特別研究プロジェクトとして実施するということで、先ほど組織のところにございましたが、5年間を継続期間とするプロジェクトグループを編成して、研究の方向及び到達目標を先ほどの中期計画(案)の別紙2のとおり、目標の方で示された6つの重点プロジェクト--[1]と[3]は中身が2つに分かれてございますが--について、より詳細な研究の方向と到達目標という形で記載させていただいております。こういったような研究をやっていきたいということで、それに重点的に予算配分を行って、達成を図るということでございます。ここに書いてある到達目標などは、5年間の研究として、あるいは専門家の方々からみられたときに、ちょっと目標が低すぎるのではないかとか、こんなことが本当にできるの?というようなことを言われないように、そこら辺のちょうどはざまぐらいのものを設定してほしいということで、各プロジェクトの主査の方にお願いしてございますけれども、またこれにつきましては、専門的な目から御覧になって、御意見がありましたら、伺わさせていただきたいと思います。
次は8ページの「政策対応型調査・研究」でございますが、これは、環境行政の新たなニーズに対応した政策の立案及び実施に必要な調査・研究を、政策対応型調査・研究として実施するということで、先ほど所長からの話にもございましたように、環境行政と環境研究とはいつも表裏一体の関係にあるということで、みなある程度の政策に対応しているわけですが、その中でもとりわけ最近の問題ということで、循環型社会形成推進・廃棄物管理に関する調査・研究と、化学物質環境リスクに関する調査・研究の2つを取り上げまして、それについて、到達目標は、別紙3というのが先ほどの重点特別研究プロジェクトの後ろにございまして、そこにも詳細な中身が書いてございますが、そういう目標を設定して、重点的な予算配分と、2つのセンターを設けることにしておりますので、体制整備を行って、その達成を図っていきたいということでございます。
9ページでございますが、ウの「基盤的調査・研究」。重点特別研究プロジェクトと政策対応型調査・研究で重点研究分野の7割ぐらいはカバーされるのですが、そのほかそういうプロジェクトに入らない研究もございます。それから、そもそもそういう重点研究分野とは関係なく、環境研究の基盤となるような研究というのも必要となっておりますので、それを研究所の研究能力の維持向上を図るため、創造的、先導的な調査・研究の充実に努めるということで考えております。
そのために、所内で経常研究費みたいなものでやる研究もございますが、それとは別途、所内でも競争的環境をつくっていくため、所内の公募と評価に基づき運営される所内公募研究制度を導入するなど、研究環境の整備を図っていきたいということで、若手がやる基礎的な研究あるいは長期的なモニタリングなどを対象としたような奨励研究制度と、小さなプロジェクト型の研究を対象とした特別研究制度という2つの制度を導入するように今検討しております。
エの「知的研究基盤の整備」でございますが、所内のさまざまな研究の効率的な実施や研究ネットワークの形成に資するため、別紙4が中期計画(案)の一番最後にございますが、ここで目標を定めておりますが、こういった目標に基づいて、下のような4項目の知的基盤の整備を行っていこうということで、整備されたものについては、可能な範囲で、所内外の関係機関を始めとして、広く一般の利用に供していこうということでございます。
1番目としては、環境標準試料とか分析用標準物質の作製、環境試料の長期保存という分野でございます。
2番目は、環境測定等に関する標準機関としての機能を確保していこうと。
3番目は、環境保全に有用な環境微生物の探索、収集及び保存、試験用生物等の開発及び飼育・栽培のための基本業務体制の整備、並びに絶滅の危機に瀕する野生生物種の細胞・遺伝子保存という分野でございます。
この3つにつきましては、組織的には環境研究基盤技術ラボラトリーというのをつくって一元的にやっていこうということで、外部からの依頼によって、試料を頒布したり、リファランス・ラボラトリーとして、受託で非常に高度な分析をやったりとか、そういったようなことを進めていこうと考えております。
4番目の地球環境の戦略的モニタリングの実施、地球環境データベースの整備、地球環境研究の総合化及び支援。これは地球環境研究センターの業務ということで、前の重点研究分野にも地球環境のモニタリングというのがございましたが、全体としては知的基盤ということに位置づけさせていただいております。
(4)の「研究課題の評価・反映」でございますが、研究課題については、研究評価を実施するための要領を作成し、これに基づいて研究所内及び外部専門家による評価を行って、その結果を研究活動に適切にフィードバックするということで、研究課題ごとについての研究所自らの内部評価、外部評価の仕組みをつくって、きちっとやっていこうということでございます。
(5)の「研究成果の普及、成果の活用促進等」ということで、研究成果の普及におきましては、下記により研究成果の幅広い普及に努める。その際、環境研究の専門的知識を持たない主体に対しても、研究成果やその活用可能性をわかりやすく正確に説明できるよう、インタープリテーション機能の強化に努めていこうということでございます。
普及の方法としては、学会、ジャーナル等での研究論文の発表ということで、先ほど目標の方で誌上発表件数2,500、口頭発表件数4,000という数字がございましたが、これはお手元にある年報の272ページから誌上発表、297ページからは口頭発表ということで、こういう発表をやっていますというのを毎年まとめておりまして、必ずしもレフリー付きの論文みたいなものだけではなくて、もっと成果を普及するという観点から、いろいろな媒体に投稿したりとか、そういったものも含まれておりまして、研究活動と普及活動という研究所の活動総体をとらえる数として、2,500、4,000というものを挙げているところでございます。
それから、わかりやすい研究成果報告書の作成とか、研究成果のインターネットでの提供、今ありましたような研究所年報の作成、研究成果発表会を毎年開催しております。また、テーマに応じたシンポジウム、ワークショップ等の開催又はそれらへの参加ということでございます。
11ページの[2]の「研究成果の活用促進」。知的所有権の獲得・実用化促進、特許などもいくつか持っておりますけれども、できればお金になるようなものを獲得していければと思います。それから、産学官の交流の促進、環境省が開催する各種諮問会議への職員の委員としての参画、これもたくさんやっておりますが、それを一層やっていこうということで、研究成果の活用促進に努める。
それから、「研究活動に関する広報・啓発」ということで、わかりやすい紹介パンフレットの作成、研究所の一般公開とか、個人、NPO、企業などとの幅広いネットワークづくり等を通じて、研究所の活動について国民の理解向上を図っていきたいということでございます。
2番の「環境情報の収集、整理及び提供に関する業務」でございますが、基本的には目標に書いてあることをそのまま受けたような形でございますが、(2)の本業務の目標を次のとおり設定するということで、環境情報提供システム整備運用業務ということで、国民の環境保全活動の推進のため、様々なセクターが提供する環境情報を収集して、広く案内、提供する情報システムを整備・充実し、運用するということで、次のパラグラフはそれを更に具体的に書いたものでありますし、環境情報への照会というのがたくさんございますので、それに適切に対応していくサービスを充実しようと。
[2]は「環境国勢データ地理情報システム(環境GIS)整備運用業務」ということで、今のいろいろなモニタリングデータなどを、環境省と連携しながら、地理情報システムの上に落としていって、いろいろな形で加工して、わかりやすい形で提供していこうということでございます。
[3]は「研究情報の提供業務」ということで、先ほどの成果の普及のところと関係しますが、研究成果について、いろいろな形で提供していきたいということでございます。
【松井環境研究技術室長】 駆け足になって恐縮でございますが、13ページでございます。第4「財務内容の改善に関する事項」。1として「交付金の効率的使用及び受託収入等の確保」。ここのところは、受託収入(競争的資金及び受託業務収入)等の確保に努める。そのための体制整備等の措置を講じることとする。
特に、中期目標期間に平均年率4%台の増額を見込んだ収支計画のもとに、着実な運営に努めるということで、具体的な数値として入れさせていただいております。これは3月に科学技術基本計画が閣議決定されることになっておりますが、そこで競争的経費を倍増する、そのような記述が既になされることが確定となっておりまして、そういったものも踏まえて、ここでは4%というような数値を置かさせていただいております。
2として「物品等購入及び会計事務の合理化」ということで、ここでは、電子決済システムの段階的な導入等情報技術の活用を進めること等により、業務運営の効率化に努める。
3として「施設等の効率的利用」でございます。
次に第5「その他の業務運営に関する重要事項」。ここでは「施設・整備の整備及び維持管理」と「人事に関する計画」ということで、このような記述をしたいと考えております。
【高木国環研主任研究企画官】 続きまして中期計画の方でございます。駆け足になって大変申し訳ございませんが、13ページに戻っていただきまして、3番の「財務の効率化」ということですが、これは中期目標と中期計画で記載する事項という法律で決められた事項がちょっと違っておりまして、中期計画で財務の関係を書くところが事項としてはございませんので、第1の中の参考として入っているものをこちらに取り出しております。
財務の効率化としては、これから独立行政法人になりますと、運営費交付金をいただくだけではなくて、競争的資金とか、いろいろなところからの受託ということを積極的に取り入れていかなければいけない。競争的資金の方は従来からかなりの額がございますが、それを平成13年度見込額から、毎年平均4%台の増加を図るよう、その確保を促進するためのインセンティブを付与するような体制を整備して、自己収入の確保に努める。
研究所には大型施設などがたくさんございますし、いろいろな知的な財産もございます。そういった能力を、業務に支障のない範囲で、所外の関係機関に対して有償で提供して収入を得ることによって、円滑な財務運営の確保に努めていこうと。
物品及びサービスの一括的な購入及び管理並びに効率的な使用など、予算の効率的失効により、支出の削減に努めていく。
会計事務への電子決済システムの段階的な導入等IT化を進めることにより、事務処理の迅速化・効率化に努めていこうということでございます。
次の第3、第4、第5、第6という資金計画や借入金の部分がございますが、今まだ検討中でございますので、次回には確実にお出しできると思いますけれども、今回は省かせていただきました。
第7でございますが、(1)の「施設・設備に関する計画」も、前の第6までのものと同様に、まだ検討中でございますので、こちらは次回に出させていただきたいと思います。
(2)の「人事に関する計画」でございますが、方針としましては、重点特別研究プロジェクトの業務に対応するため、テーマに応じて5年の期限を定めたプロジェクトグループを置いて、卓越した研究者をそのリーダーに指名する等、弾力的な研究者の配置を図る。
また、新たな政策対応型調査・研究業務の充実に対応するため、これまでこういう業務はなかったということで、既存部門からの配置転換を行うとともに所要の増員を図る。
さらに、弾力的な研究推進に対応するため、任期付研究員の積極的な活用を図る。
プロジェクトの推進のため、グループの人員のほか環境研究のネットワークを通じて他の研究機関と緊密な関係を確保することに努める。これは客員研究員とか共同研究員とか、そういった分野だと思います。
「人員に係る指標」というのを一応出すことになっておりまして、研究部門については、任期付研究員の採用に努めることとし、中期計画期間中に研究部門中の任期付研究員が占める割合を13%程度とする。また、管理・支援部門については、職員の増加を抑制しつつ、研究支援の質の低下を招かないよう配慮し、アウトソーシング可能なものは外部委託に努めるということで、参考で職員数がございますが、期初の常勤職員数は277名で、現在よりも25名ほど増えた形で出発することになると思います。期末の常勤職員数、そのほとんどは任期付研究員でございますので、期末にはその任期付研究員の方がいなくなるということで、その分と多少減ってきますが、249名ということでございます。期初の任期付研究員数は28名、期末の任期付研究員数の見込みは2名でございます。
その他、NIESリサーチアシスタント制度による大学院生等の受入により、研究体制の強化とともに若手研究者の養成とか優秀な研究者の採用に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
【松野委員長】 どうもありがとうございました。
大変な分量ですので、個別のいろいろな質問等に関しては、紙が配られていて、それぞれ後で書面で出していただくことになると思いますが、いろいろなことで御質問が多いかと思います。予定の時間はあと5分ぐらいですが、10分ぐらい延長してもよろしいでしょうか。
それでは、そういうつもりで質問等がありましたら、どんどん出していただきたいと思います。
【佐野委員】 遅れてきたので聞き漏らしたかもしれませんが、職員の業績評価をするということをうたっていますが、理事長さん以下役員の方々も含まれるのですか。これは職員のみですか。
【斉藤国環研総務部長】 通則法上、役員の評価につきましては、この委員会で業績をレビューしまして、その評価も反映して賞与とかを決めていくということになっております。
ここで書いておりますのは職員の評価でございまして、役員については、大臣並びにこの委員会で業績をきちんとみていただくという整理になっております。
【佐野委員】 もう1点は、「理事長の諮問により助言を行う外部有識者で構成する機関を設置する」と書いてありますが、これは具体的にはどういう面でしょうか。
【高木国環研主任研究企画官】 現在も研究所には評議委員会という形で外部の有識者の方々の御意見をいただく会を設けておりまして、それで一応、機関全体の評価というより、全体の運営について御意見をいただいているということでございますので、独立行政法人になりました後もそれと同等の機能を持った委員会を設立していきたいと考えている次第でございます。
【佐野委員】 もう1点は、企業の研究機関とは違うということは十分わかりますけれども、民間の場合ですと、当然、研究所はアウトプット、パフォーマンスは、知的所有権をどこまでとったかということが非常に大きなウエートになります。しかし、「知的所有権の獲得」と一言あるのみで、大きな項目としてはうたっていませんけれども、その辺の戦略、この研究所の政策といいましょうか、その辺はどうなっているでしょうか。
【合志国環研副所長】 その点は、我々の研究所が果たすべき本来の任務というものは、知的所有権の獲得になじまない部分がほとんどであるという事実がございます。ただし、技術的な開発研究をしなければならない部分がありまして、これはまさにそれに適合するものであります。そういうことでありますので、それを非常に高い順位には現在はあげていないということであります。主として現象解明という部分が大変多いということに起因していることであろうかと思います。
【北野臨時委員】 質問ではなくて意見なんですが、先ほど大井先生がおっしゃったように、環境省と表裏一体の関係にあるというのは、そのとおりだと思いますので、現在でも環境研究所の先生方がいろいろな審議会に出てこられていますけれども、将来さらに一歩進めて、可能かどうかわかりませんけれども、環境省の職員と国環研の職員との入れ替えまで進めるべきではないかと私は考えております。この資料には国環研の研究員の平均年齢が書いてありませんのでわかりませんが、恐らくかなり高齢化してきているのではないか。そうすると、まさにその辺のところを、将来は期限付き研究員ということで活性化を図っていくことになるのだと思うのですが、特に、高齢者対策みたいなことも考えると、ぜひ人事の交流というところまで一歩踏み出すべきではないかと思っております。
もう1点は、国環研のやっていることを皆さんに理解していただくということで随分いろいろなことが書いてあります。でも私は、研究者はすばらしい研究をしているし、それだけの知識、経験がある方ですから、ぜひマスコミ対応という形で、こういう問題については国環研のこの人に相談しろ、だれだれに聞けと、積極的にマスコミに研究者の方々をPRして、名前を登録でもしてもらって、何かあれば、すぐその先生にお伺いするという形で、そういう意味での社会的な貢献というものも考えていくべきではないかと思っております。
【加藤臨時委員】 私が冒頭に質問した独立行政法人の性格、つまり国立環境研究所が独立行政法人になったということとの絡みもあるのですが、今お伺いしていますと、効率化ということが、もちろん効率化というのは、一般的には重要なことだと思いますし、例えば公共事業の効率化とか、そういうのは非常によくわかるのですが、国立環境研究所が担っているようなベーシックな研究の効率化というのは一体どういうことを意味するのか、私は正直いってあまりイメージがわかないのです。効率化の名の下に、研究がかえって締めつけられる。研究者が所内のいろいろな効率化会議に出て、そのために文章をたくさん書かなくてはいけないと、それこそ効率化に反することになりはしないか。詳細な説明を聞いておりますと、私は研究所にいなくてよかったなと、研究所にいたら大変だと、こんな文章を作らされて、研究の時間をとられて、というような感じを受けるわけです。それは3の国民に提供するサービスなんですね。国立環境研究所に期待されている国民に提供するサービスというのは、大きくいうと2つあって、1つは、極めて最先端の研究をやるということです。わかりやすくいえば、ノーベル賞をもらう程度の研究をやってくれということです。それをやってくれれば、お金をいくら使ったって国民は怒らないと思うんです。どうでもいいような、重箱の隅をつついているようなつまらないペーパーを書いてもらうよりは、国際学会で評価される研究をやってくれということが1つです。
もう1つは、北野先生も今おっしゃいましたけれども、国民にわかることです。例えば地球の温暖化というのは一体どういう状況にあるのか。フロン対策をとったけれども、オゾン層がどんどん拡大しているのはなぜなのか。このまま酸性雨が降り続いたらどうなるのか。国民はそういう素朴な疑問を持っているわけです。研究者の間ではこんなことは当たり前の話だとは思うのですが、国民にはわからないわけです。そういうわかるサービスを一方でやってもらう。これは、研究所にそういう広報担当の専門家がいて、研究所とは違ったタレントが必要だと思うんです。つまり、片一方ではノーベル賞をもらうような研究と、もう一方では国民に今起こっている環境上の異変が一体どういう意味を持っているのかということを伝える広報。むしろそういうことをやってもらうことが大事で、効率化で、床面積90%何とかかんとかと聞いていると、いなくてよかったなという感じになるわけです。だから、どうか効率化の名の下で変な悪しき効率化をやらないでほしいということだけを申し上げておきたいと思います。
【松野委員長】 どうもありがとうございました。
ところで、北野委員と加藤委員の御意見は、ここで目標に関してコメントして、それを必要によっては改定していくということになると思いますが、目標あるいは計画についての意見は、後でもし具体化できるものであれば、コメント用紙がありますので、よろしくお願いします。
【佐和委員】 簡単なことなんですが、重要なことでもあると思います。先ほど御説明になった中にも「効率的」という言葉が盛んに登場しますね。通則法の2条にも「効率的」という言葉が出てきます。もともとこの言葉は何なのかというと、「効率」という言葉は、「エフィシェンシー」という言葉があるわけです。つまり物理とかそういうところで使われるわけですね。ところが「エフィシェント」というのは経済学の言葉なんです。経済学ではきちんとウェルディファインされているわけですが、通俗的に使われる意味とは全然違うんです。つまり、自分がベターオフになろうとすると、必ずだれか別の人の足を引っ張る、そういう状況をパレート最適といって、それがエフィシェントだというわけです。それは置くとして、法律の中に「効率的」という言葉が使われると、言葉というのはウェルディファインドでないといけないはずですよね。しかし、お話を伺っていても、非常に曖昧なんですね。「業務の効率化」とか「人事の効率化」とか。ですから、そういう意味で、特に研究における効率とは何なのかということを、今日は時間がございませんので、次回ぐらいにどういうふうにお考えになっているかということを教えていただきたいと思います。
【松野委員長】 ほかにありますでしょうか。
【柘植委員】 企業の研究と国の研究とは当然違ってくるわけですが、入口管理と出口管理というのは、今、佐和先生のおっしゃった「効率」という話とは矛盾するものが出てくるということは当然なんですが、入口管理と出口管理という面をどういう面でしていこうか。この10ページの「研究課題の評価・反映」の中に「研究評価を実施するための要領を作成し」と書いてございます。このあたりが、これは出口管理の方だと思うのですが、かなり詰めたものが必要ではないか。同時に、入口のときの評価を実施するための要領というものも必要ではないかと思います。ただ、避けねばならないのは、価値のない研究ほど後で紙がたくさん出てくるわけですが、現場での紙作りをいかに減らすかということも配慮が必要だと思います。コメントでございます。
【松野委員長】 今の紙作りを減らすようなことは具体化できますか。これはまさに効率化というか、研究を実施するために必要なことですが。
【柘植委員】 要領のところでそのあたりを一種のフォーマット化という形ですれば、無駄な紙作りが要らなくなるのではないか。非常に簡潔なクライテリアといいますかね。
【松野委員長】 研究所側で出された計画案に対してコメントというか、改定案という格好でできれば大変ありがたいのですが。よろしくお願いします。
ほかに御意見ありますでしょうか。
【坂本臨時委員】 研究所の中期目標に、適切な研究組織及びその支援体制等の編成を行うということ、それから最後の方に、いろいろなテクニシャン等アウトソーシングでという形で書いてございますが、これはかつてある程度の技官がいたわけですが、その待遇改善のためにほとんど研究員にしてしまって、今回、外部といろいろなことをやる場合に、研究員そのものがそういったことを扱わなくてもいいような体制にしないと、いかに外部からアウトソーシングで具体的な労働をする人がいても、管理する部分、研究とそういう業務とをつなぐ部分、そういう人が果たして今の体制の中に考えられているのかどうかという点が非常に疑問がございます。
もう1つ、研究の評価というところですが、先ほど北野委員、加藤委員からお話がございましたが、大学でかつて教官を求めるときに、研究業績だけをみて採用したがために、実は教育能力があまりなかったような人がいてしまって困っているというようなこともあるわけです。今回の場合でも、研究能力と行政能力、先ほどの広報だとか、そういった評価体制の中に異なる部分をあらかじめ入れておいた形で、その中のどこでだれは最も評価すべきなのか、そういったことをぜひお考えいただきたいと思います。
【松野委員長】 ほかに御意見あるいは御質問等がありますでしょうか。
【大塚臨時委員】 次回所用で欠席させていただきますので一言だけ申しておきます。補足的なことで、それほど重要なことではないかもしれませんが、全体の研究を見ていると、非常に自然科学的な色彩が強くて、これはこの研究所の性格だということもありますので、致し方ない面があるかと思いますけれども、経済全体に関わるようなプロジェクトというのが、先ほどの別表などを見ますと、少しありましたけれども、もう少しあってもいいかなという感じもいたします。ただ、これは予算との関係もありますので、いろいろな問題があるかなという感じがいたします。社会科学的な面ももう少しあってもいいかなという感じもするわけです。
もう1つは、先ほど知的財産との関係の御議論もありましたので、かなり微妙な問題かもしれませんけれども、例えば温暖化といえば、1つの問題としては、例えば炭素の固定化とか、そういう研究もあってもいいのかなという感じもしなくもないわけで、環境省さんがそれについてどうお考えなのかはよくわかりませんが、あるいはもっと別のところでやるべきことかもしれませんし、企業とのタイアップなども必要なのかもしれないので、かなり微妙な問題もあるのかもしれません。けれども、いわゆる基礎的な研究の中でももう少し色彩の違うものもあるのかなという感じもいたしておりますので、コメントさせていただきました。
【松野委員長】 今いくつか質問的な面もあったと思いますが、環境研究所側で何かお答えいただけますか。1つは社会科学的な面と、もう1つはCO2の排気とかというお話がありましたが。
【大井国立環境研究所長】 当然、社会科学的研究にも重点を置くべきだと思っておりますが、先ほどお話しいたしましたように、この十数年間、全くそういうような人員的な余裕がなかったということが一番大きなものでございます。しかしながら、より政策決定に関与するというような意味においては、そのような研究をするべきだということを痛感しております。
【遠藤委員】 今のお話とちょっと関係があるのですが、中期目標のスタートに当たって、こういうことをやりますよというのは、かなり御説明いただいて、わかったような気がするのですが、5年間の間にはいろいろなことが起こってきますので、独立行政法人としては新しいことに対して即応的にどういう体制にあり得るのか。どこかに、人員を削ってそちらの方に向けるというようなことが一言書いてありましたけれども、それが本当に可能なのか、その辺が大変気になっております。
【大井国立環境研究所長】 確かに表面的にはそういうことをうたっておりませんが、緊急事態に対して対応しなければいけないということは、絶対に必要な対策でございます。
今までみてみますと、例えばナホトカ号の問題とか、東海村の問題とか、このようなことについて、私たちは、そのときにできる限りの人員を割いております。その点についてきちんとした表明をするだけの体制が常時あるというわけではございませんので、このような表現にさせていただきました。
【松野委員長】 ありがとうございました。
ほかにありませんか。よろしいでしょうか。
では、だいぶ時間が過ぎてしまいましたので、今日の質問等はここで終わりにしたいと思います。
不手際で時間が足りなくなって申し訳ございません。
これからのことについて御説明願います。
【松井環境研究技術室長】 お手元に資料7がございます。本日御意見を頂戴したわけでございますが、十分説明もできませんで、大変恐縮でございますが、お時間がありますれば、再度御確認いただきまして、質問でも結構でございますし、追加の御意見、この様式にこだわる必要もございません。ワープロで打ったものをそのまま送っていただいても結構でございますし、見え消しで記述したものでも結構でございますので、お気づきの点をお書きいただきまして、3月6日までに私どもの方にファックスをいただきたいという提案をさせていただきます。
【松野委員長】 3月6日ということでちょっと忙しいのですが、よろしくお願いします。
今日は非常にたくさんで、皆さん大変だったのではないかと思いますが、どんな点でも結構ですから、よろしくお願いします。
次回の予定についてお願いします。
【松井環境研究技術室長】 次回、第2回目でございますが、場所は同じKKRホテル東京の10階の瑞宝の間を予定いたしております。3月19日の午後2時からでございます。連休の合間となって大変恐縮でございますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
引き続き、中期目標案、中期計画案の御審議、業務方法書案などについて議題とさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【松野委員長】 今日は本当に時間が足りなくて十分な議論ができませんでしたので、まず第一弾は、書いて出していただく。次の3月19日の委員会でまた中期目標、中期計画についての議論をしたいと思います。
それでは、特にございませんでしたら、これで今日の会を閉じたいと思います。どうもありがとうございました。
--了--