中央環境審議会動物愛護部会動物愛護管理のあり方検討小委員会(第12回)議事録

1.日時

平成23年2月22日(火)午後1時01分~午後3時11分

2.場所

環境省第一会議室

3.出席者

林委員長、青木委員、磯部委員、井本委員、臼井委員、打越委員、
浦野委員、太田委員、加隈委員、斉藤委員、渋谷委員、永村委員、
野上委員、水越委員、山口委員、山崎委員、渡辺委員、渡邉自然環境局長、
森本審議官、田中総務課長、西山動物愛護管理室長ほか

4.議題

  1. (1)動物取扱業の適正化
  2. (2)その他

5.配付資料

参考資料1
新聞記事
〈委員限り〉
野上委員提出資料
自治体における動物取扱業者に関する苦情例

6.議事

【事務局】 定刻となりましたので、第12回動物愛護管理のあり方検討小委員会を始めたいと思います。まず、本日の委員の皆様のご出欠についてご報告いたします。
 本日は小方委員がご欠席です。あと渋谷委員が事情により少々遅れるというご連絡をいただいております。したがいまして、16名の委員の方が出席していただいておりますので、規定によりまして小委員会は成立しております。
 配付資料は参考資料1、委員限りの資料は、野上委員から提出していただきました資料、もう一つ、本日の新聞の記事がございます。
 なお、本小委員会の委員限りとしている資料以外の資料及び議事録につきましては、後日、環境省のホームページにおいて公表されますことを申し添えます。
 それでは、林委員長、よろしくお願いいたします。

【林委員長】 ただいまから、第12回動物愛護管理のあり方検討小委員会を開催いたします。渡邉局長はあとからお見えになるので、最後にご挨拶をいただく予定です。
 前回の小委員会では、動物取扱業の適正化に関する16の課題のうち9番目まで検討が進みました。本日の小委員会は、業種追加の検討です。老犬・老猫ホーム、それから動物愛護団体から始めたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 まだまだ検討課題がありますので、極力皆様には、ある一定の方向が出るような形のご発言をいただきたいと思います。
 また議事に入る前に、野上委員から、提出のございました資料について、ご意見があるということですので、ご説明をお願いしたいと思います。

【野上委員】 ありがとうございます。今日お配りしているこの資料について、簡単にご説明させていただきます。
 1月24日の委員会で、打越委員と浦野委員から、「実際に、どのような事例をもって劣悪、悪質とするのか」というご質問がありましたので、それに答える形でこの資料を作成いたしました。ここに示している資料は、大阪府に対して、動物取扱業の苦情相談届け出書類というものを情報開示請求して得たものの一部です。悪質、ひどいものの例と考えます。2009年4月から2010年8月までの間に、96件の苦情書類があり、そのうち、臭い、騒音、不衛生、多頭・過密飼育等、飼育状況が劣悪であるという苦情が68件で、約71%にのぼっています。これは動物の飼育状況が悪いということなのですが、同時に、近隣に非常な迷惑をかけているということでもあります。
 また、購入した動物に遺伝的疾患があったとか、死んでしまった等の販売トラブルが12件もありました。
 商取引上の苦情は、実際には動物行政ではなくて消費者センターなどに寄せられるのですけれども、行政に寄せられている苦情は、「このような悪質業者をなぜ営業停止にできないのか」という、どちらかというと怒りの声という印象を受けています。行政が指導に行っても改善されずに、再度、何回も行くというケースですとか、複数の人からの苦情が寄せられているものが23件ありました。同一の業者に何回改善指導を行っているかはわかりませんでしたが、それを入れると、延べ回数はもっと増えます。
 苦情は、直接大阪府に行くばかりではなくて、市町村や他県からですとか、消費者センター、警察、保健所などを由来して来るものが3分の1を占めています。それらの機関で苦情がおさまっている場合もあると考えられますので、実際の苦情件数はさらに多くなります。大阪府ではこのほかに、動物取扱業に対して多頭飼育の調査や、継続的に監視している問題施設等の立ち入りもしていて、それは平成21年度で181件あったということです。月換算で約15件です。
 本日配られている新聞の記事でも、栃木県は20回以上の立入調査をしたと言っています。このように、繰り返し行政が行かなければいけないということは、この法律の規制がきちんと機能していないからであると思われます。この規制の適正強化によって改善されれば、行政の負担が軽減されることになりますので、行政の改善指導を容易にさせるため、法令に数値基準といった具体性が必要だと申し上げています。それは動物のためのみならず、地域住民や消費者の保護のためでもあるという観点があると思います。以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。ただいまの野上委員からのお話に、何かご質問やご意見はございますか。よろしいですか。
 それでは、先ほど申し上げましたように、第10回小委員会の資料1に基づいて、今日の説明を事務局からお願いいたします。

【事務局】 資料1の21ページからになります。10、業種追加の検討(老犬・老猫ホーム、動物愛護団体)というところです。
 以前の小委員会の資料については、大きなファイルの第8回小委員会の資料3が老犬・老猫ホーム。資料4が動物取扱業になっておりますので、あわせて参考にしてください。
 それではもとの資料の22ページをお願いします。
 (4)小委員会における主な意見。[1]規制の必要性について、ア)現行の動物取扱業の登録制に含めるかどうかは議論が必要であるが、何らかの規制は必要。イ)動物取扱業の中にきちんと入れて、法律の周知徹底、基準の遵守を守ってもらう必要がある。ウ)例えば、動物愛護団体を業として規制するのではなく、あくまでも協力団体として協力者を各地自体で集め、リストアップしていく。善良な動物愛護団体、保護団体をアピールしていくという、法的な根拠をつくらない方法もあると考える。第7条の所有者、占有者の規定にも絡められるのではないか。エ)米国のシェルター法も参考になるかもしれない。オ)動物愛護団体に関しては、譲渡といっても実費をとるところが多く、販売に近い状態といっていいかもしれないことから、それも含めて業務に近い形で入れたほうがよい。
 [2]規制の業態について。ア)所有権が移転しない場合は、現状でも動物取扱業(保管)が必要と考えられるが、所有権が移転する場合や、預かりや保管は分離上無理。イ)「譲り受ける」か「保管している」かの違いはあれ、どちらも犬猫を預かっているという行動は同じ。「保管業」ではないにしても一つの状態にまとめていくかということが重要になる。ウ)所有権がどちらに行くかで決めるほうが明確になる。「預かる業」と「それ以外の業」というふうにもう一つ業をつくり、老犬・老猫ホームであろうがボランティア、動物愛護団体であろうがどちらかに入れる。
 23ページ、[3]現行の登録制での規制について。ア)の真ん中辺りから。登録制という一種の許可制度の規制の仕組みは既にあるわけであり、それよりも弱い程度の規制として「届出制」という制度をつくることが必要か、その意義は検討が必要。また、弱い規制だけではなく、今よりもっと強い規制ができるような仕組みが必要という話もあるように感じる。イ)規制の対象を広げる部分と規制の程度(届出制や登録制)について、法体系の問題としてきちんと整理し、検討することが必要である。
 これらが今、小委員会の中で出てきている議論です。

【林委員長】 それでは、本件についてご意見、ご質問をいただきたいと思います。

【山崎委員】 追加業種の検討というところで、括弧で老犬・老猫ホーム、動物愛護団体となっていますけれど、その他の追加業種は今回検討しないことになるのでしょうか。
 というのは、連絡会で出てきた要望書の中には、今は免除されています身体障害者補助犬の育成施設、それから動物関連の技術を教える専門学校もあります。特に専門学校は本当にブリーダーと同じかあるいはそれ以上の犬をかなり少ない人間で保管し、管理をしているところもたくさんございますし、動物園と見まちがうような、野生種をたくさん保管しているような学校もたくさんあります。そういった専門学校等も、動物を飼育保管する業者として何らかの形で検討が必要だと思います。
 それから、いわゆる警察犬などやっている訓練所も登録業種になっておりますので、身体障害者補助犬法のもとで第二次社会福祉事業として届出をしております育成施設までこの登録制検討の中に入っていくのではと思うのですが、いかがでしょうか。

【林委員長】 動物園、水族館等とよく似た感じになりますよね。いわゆる専門家がいて保管している。ここの動物愛護団体、老犬・老猫ホームとは違った扱いになるのかなという感じはしますが、これは事務局としてはいかがですか。

【西山動物愛護管理室長】 入れるか入れないか、どこに入れるかについての検討の対象には、ぜひ、していただきたいと思います。

【林委員長】 私の提案ですけれども、今、山崎委員からお話のあった類の施設は、動物園、水族館と割とよく似た立場にあって、専門家がそこにいるという前提があり、ただし動物を保管している状況があるということです。そう時間はありませんけれども、検討するということでいかがですか。

【山崎委員】 身体障害者補助犬法のもとで認められている育成団体の中には、リタイア犬を引き取って生涯飼育をするような老犬ホームをやっているところもございます。そういったケースをここではどういうふうに扱うのかという、ややこしい問題も出てくるかと思います。

【林委員長】 そうですね。一つの施設が、幾つか、いろいろなことをやっているという場合は、どうするかということですね。

【野上委員】 老犬・老猫ホームと動物愛護団体は、一緒にできないのではないかと思います。老犬・老猫ホームは営利事業で、この前のヒアリングの方も株式会社にされていました。動物愛護団体というのは、非営利が原則だと思います。
 前回の時に、私は別のカテゴリーを設けた方がいいのではないかという提案をしたのですが、教育、または公益目的で動物を飼養・保管する施設というカテゴリーを設けたらどうかと考えます。この中には例えば、今、山崎委員がおっしゃった動物専門学校が入ります。社会福祉施設等でも動物を飼っているところがありますし、動物専門学校は教育目的で飼っているということです。特に動物専門学校は、動物取扱業者を育成する場所ですので、ここに全く規制がないというのはかなり矛盾している状態だと思います。この場合の目的は、あくまで適正飼育のための教育ということであるので、公益ですとか教育を目的とした施設について、別カテゴリーとして設けるのがいいのではないかと思います。
 動物を実際に取り扱っている施設があるところは規制をきちんとする必要があるので、すべて登録制にする。動物愛護団体等でも譲渡のあっせんのみで、実際に動物を扱う施設がないところもあり、動物専門学校でも、動物を飼育していない学校もあるかもしれません。そういうところは届出制とし、実際に動物を飼育している施設はきちんと登録制にしていくように分けたらいいのではないかと思います。
 それから、さらに多頭飼育というものが問題になっていますので、多頭飼育については、これから別途議論される多頭飼育の規制のところでもカバーできるようにしていくことがいいのではないかと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。動物を飼育しているところと飼育していないところが同じカテゴリーに入ったとしても、それは分けて考えていくというお考えでした。また、公益的であるかないかをどこで判断するかということですけれども、例えば、「動物愛護団体」という名前をつけていても全然公益でないところがありますが、どう考えたらよいでしょう。名前がそうであればいいということになりますか。

【野上委員】 団体を名乗る以上は、定款があり、規則があり、会計等も明瞭にしなければいけない。そういう、公にされているものを対象にするという考えです。
 多くの実際に譲渡活動をしている団体はNPO団体等にもなっていますし、それなりに社会的認知がされるような団体が、評価されるような仕組みをつくっていくべきだと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。

【打越委員】 山崎委員、野上委員の意見に全く異論のないところで、どうやって法制度、仕組みをつくっていくかということを考えたときに、今日の論点の10のところに入っております老犬・老猫ホーム、動物愛護団体が、現行の法律の枠組みに当てはまるのか当てはまらないのかが問題だと思います。現行の法律では、動物取扱業として、販売、保管、貸出し、訓練、展示と書いてあり、例えば警察犬の訓練所とか専門学校などは、保管というカテゴリーに入れると環境省側が力強く判断し、それで自治体の側もこれを保管業とみなすとすれば、法の規制の対象にしていけるのではないでしょうか。そこは行政の運営の姿勢を強く求めたいと思うのですけれども、老犬・老猫ホームのときに問題になったのは、もう少し複雑であったと思います。というのは、飼い主様がいて、「たまたま飼育し切れないので我々が預かります」という事業であれば、保管業という位置づけで登録することができるわけですが、ヒアリングのときにいらした猫の森さんは所有権を譲渡してもらって、「責任を持って最後まで私たちが面倒を見ます」という、ある意味とても良質な活動をしていらっしゃる方々でした。譲渡されますと保管業ではない。所有者自身が飼っているということでは、ある意味、一般の飼い主ではないのですけれども、自分が所有権を持っている犬・猫を飼っているという状況ですので、それをどうするかというのが、あのときに問題になったのだと思います。
 その場合、良質な団体であればあるほど社会的信用が欲しいところでしょうから、取扱業として登録をしてもらうことに何ら異論はないのではないでしょうか。そういった場合、ここに書いてある販売、保管、貸出し、訓練、展示以外の新たなカテゴリーを設けるかどうかというところがポイントになってくるのですけれども、先ほど山崎委員や野上委員がおっしゃったとおり、そこで飼育しているのであれば、すべて私は規制の対象にすべきだと思います。
 登録と届出の難しさの差をつけるかどうかというのは、この後の細かいところだと思います。むしろ条文を変えていくとするならば、法律の第10条で「その他、政令で定める取扱い」云々と書いてあるものを「その他、飼育をしている」という形にし、逆に規制の対象にしないならばどこかで例外規定を設けるようにする方がいいのではないでしょうか。今は、「全部挙げていったものでないと規制の対象ではない」という位置づけにしているから新たなカテゴリーが出てくると法改正が大変なのであり、基本的に、飼育していれば規制の対象とするのもありだと思います。それは、ペットオークションといったものもすべてです。ただし例外規定として、合理的な根拠のあるものはその規制の対象から外すというようなものを政令で設けていけばいいのではないかなと思います。
 そういう意味では、老犬・老猫ホームが譲渡してあったとしても、飼育しているその他の業ということで、基本的に登録の扱いとするようにできないかなと思いました。
 もう一つ、動物愛護団体を加えるか否かというところで問題になっているのは、同じく法律の10条の「その他、政令で定める取扱いを業として行う」かどうか。「業として行う」という単語が問題になっているのだと思います。この「業として行う」というのは、いわゆる業者であるとか営業という意味で、それで経済的な利益を得ているというニュアンスがついて回る単語ではあるのですけれども、そうすると動物愛護団体の中には、「業じゃない。金儲けでやっているわけではない」というご反論があるかもしれません。業として行うということは、別に、それで金銭が云々とここに明記されているわけでもありません。「一定の社会的責任を持って業務を行っている」という点では、動物愛護団体をこの中に含めることに法律上の問題はないのではないか。それも現場行政の担当者の判断と、環境省の判断、法解釈次第かと思うので、ここは強気にいってほしいと思っています。
 ただ、動物愛護団体をそういう形で業に加えた場合に、今日の資料の21ページに書いてあるとおり、きちんとすることで社会的信頼を高めるけれども、逆に団体名が公表されることによって、無責任な動物の遺棄などが寄せられる危険性があって、あまり表に名前を出したくないという、法的な問題ではなく社会的な問題があるというのであれば、そこは工夫して考えていかなければいけないのではないかと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

【加隈委員】 今、打越委員からご指摘のあった、前の議論のときに出ていたデメリットの部分ですけれども、公表されることで遺棄が増えるのではないかということです。確かにその可能性は大いにあるとは思いますし、海外ではシェルターが機能している分、持ち込まれる動物もある程度多いかなという部分もあり得ると思うのですが、逆に現状を見ておりますと、一般の方がどこに持っていっていいのかわからない。保健所に持っていくと殺されてしまう。では、どこなら引き取ってもらえるのかがわからないという部分がありますので、これは逆に、公になることは全体的な殺処分を減らす方針に貢献できるメリットとしてとらえてもいいのかなと思いました。
 そして、あまりいろいろ違うシステムを設けますと、規制や監督の部分で難しくなってくると思います。学校などほかの法律的な縛りのもとでやっているようなところは、ある程度、別枠として除外などもできる可能性があるかなと思うのですけれども、譲渡しとか譲受けみたいな形での別のカテゴリーをつくるのは、どうかと思います。
 飼育は確かに重要視するべきだと思いますけれども、譲り渡すことが販売だというと、動物愛護団体になじまないとは思うのですが、かなり高額な金銭が絡むケースが少なくないと思うのです。また、金額的には安いかもしれないけれど金銭を取っての譲り渡し、譲り受けというのも見られますので、そこを規制するという意味で、なじみやすい言葉を入れたらいいかなと思いました。
 もう一つだけつけ加えますと、例えば、うちで生まれてしまったのでそれをあげたいということは往々にしてあるかもしれません。前に販売のところでもお話が出たかと思いますが、「年に2回、3回以上行っている場合は」といった除外を設けることができればと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。確かにいろいろなことが、カテゴリーをつくっていくとややこしいという問題があります。例えば一括して「動物取扱業」という中で登録してもらうけれど、公益性の高いものについては、例外にするという形です。今、加隈委員がおっしゃったのは、この間の委員会で永村委員から話があった動物取扱業の定義かと思います。例えば、おじいちゃんおばあちゃんが子犬を産ませて、小遣い程でそれを知人にあげたりしてお金のやりとりがあった場合でも動物取扱業になるのかどうか。私の知る限りでも非常にボーダーの面があるので、どこから動物取扱業と言うかということです。1円でもお金が動いたら動物取扱業になるのか。そういうことではないと思っていますが、何かご提案はありますか。

【永村委員】 前回私のほうから「例えば」という形でお話を申し上げたのは、アメリカのオレゴン州の州法で、ペットディーラーの定義は年間5腹だということです。5匹の子犬が生まれ、これを販売した者がペットディーラーとなる。それから、ブリーダー、ブリーディングといいましょうか、繁殖をする行為、あるいは繁殖をする者は、年間3胎、3腹以上だという一つの例があるのです。
 ですから、例えばオレゴン州でそういう数字があるのであれば、今、加隈さんがおっしゃいましたけれども、2回とか3回というのは、全く意味がない数字です。何をもって1回とするのかということです。
 それから、何回、何頭という規定をしますと、犬種によって生まれる子犬の数が大変ばらつきが多くなりますから、犬種に対して差別を持ち込む。そうであれば腹の数、何産かということです。ですから年間2産以下の繁殖であれば、「除外をする」と定義をしていただければいいと私は思っています。

【林委員長】 ほかにご意見ありますか。

【太田委員】 今の件について、動物取扱業の、業の緩和の件かなと思ったのですけれども、ほぼ同じ意見です。現行法では、年間2頭以上継続して繁殖する場合は、動物取扱業の登録が義務づけられています。前回の法改正では、これを決めた大きな目的の一つとしては日本では繁殖の現状が現在つかめていない。ブリーダーを全部あぶり出すことによって日本の繁殖の業界の現状を知りたいということで、すべての繁殖者に登録の義務づけをしたと思います。
 ご存じのように、犬の繁殖は、鶏や豚のような多頭飼育は不向きです。今日傍聴席に来られております元JKCの神里さんが先日このようなことを話されていました。
 現在、繁殖はブリーダーという名のもとに一緒くたにされておりますが、繁殖の数の多少によって、ブリーダーは大きく3つに分類できるそうです。
 1つ目は、初めて産ませる繁殖者、いわゆる初心者です。2つ目は、自分で管理できる数を繁殖する繁殖家。毎日の散歩ができて、産まれた子犬の個別の対応ができる、子犬と一緒に遊んでやれる、社会化された質のよい子犬は、主にこの繁殖家から育ちます。3つ目は、多頭飼育の繁殖業です。現在法律は年間2頭以上産ませた時は業の登録をせねばなりません。これにより一般家庭では子犬を産ませることができなくなり、結果として、繁殖者が大幅に減りました。繁殖者から繁殖家が育つわけですが、2つ目の、質のよい子犬を産ませる繁殖家が現在大幅に減っています。
 最近のいろいろなニュースによりまして、繁殖業の人たちも自信を失っており、家業を継ぐ人が減っています。2代目が跡を継ぎません。3年前の法改正以降、日本では犬猫の数が初めて減りました。特に純粋犬は、この数年で3割以上減っています。現在年間2頭までの縛りを、せめて2腹以上という業の登録の緩和を、現場の一人として要望します。以上です。

【野上委員】 今、2頭以上ということをおっしゃっていましたが、本当に2頭以上を繁殖しているホームブリーダーのような方々が登録しているかどうかというのが、そもそも疑問です。していないのではないかと思います。
 今回の大阪府の苦情にも、繁殖業者が、登録していない施設で生まれた子犬をオークションに出しているという例が報告されていますし、実際は、規定はあっても守られていないのではないかと思われます。
 また、子犬の販売数が減っているのは、今まであまりに過剰生産しすぎて、大量生産したからであって、永久に消費が伸びていくことは考えられないので、頭打ちになったことと無関係ではないと思います。

【林委員長】 頭数がどうなっているかということは、確かにここで論議すべきことでもないし、それはそのとおりです。
 ただ、前にも言ったかもしれませんが、農林水産省で、「農業者」というのは、ある一定の金額以上の農業で収入を得ている者で、家庭菜園をやっている人を「農業者」とは言わない。明らかに同じことをやっているわけですけれど、一定の業として認めるときには、何か一つの基準が必要だと私は思いますが、これについて何かご意見どうぞ。

【打越委員】 一般の家庭で繁殖してしまう飼い主と、ブリーダーの相違を議論するのは、この10番の論点ではないと思うのです。
 加隈委員から「一般の飼い主との差を設けて登録すべきだ」という話があったのですが、それで論点を広げるべきではなくて、様々に動物の飼育している活動を、この法改正の解釈の中に踏み込むか否かというところに論点を戻さないと、繁殖業の話はいつまでも続くと思います。それで、もう一度意見を申し上げさせていただきます。

【林委員長】 老犬・老猫ホームにしろ、動物愛護団体にしろ、団体を名乗ったから既にそのカテゴリーなのかということではなくて、広く動物を取り扱っている者をまずターゲットにする。どこかの時点で例外規定をきちんと設けてそれをやるという中で、この問題を今申し上げているわけです。例外規定の中にそれを入れたほうがいいという、前回の永村委員からの提案がありましたので、そこで触れただけです。

【打越委員】 了解です。今現在こういう問題を抱えている、これが法律の改正の対応に入っていないという問題は、今までヒアリングで幾つも出てきたと思います。それを一つずつ挙げていき、例外規定として扱うか否かという形で議論すべきではないかと思います。そういった点ではこの後、水族館、動物園の話が出てきますし、悪質な業者の話になりますと、業者登録の取消しの話が出てきますので、そのあたりは、次でお願いできればと思います。

【林委員長】 そこでまた整理したいと思います。確かに、例外規定をどうするかというのは、一覧表みたいなものをつくる必要がありますね。

【打越委員】 そうです。それで、例外規定を認めるか否かという形の法改正の議論に、環境省なり現場の自治体の担当者が、この法解釈を変えていく場合、つまり今までは登録とみなしたものを、飼育しているものはすべて業とみなしてそれに例外を認めるか否かという法解釈で議論を進める場合には、政策の流れが変わってくると思うのです。
 今は関わっていない人たち、今回の法改正の中では団体の名がターゲットとして挙げられていないと思っている人たちも、逆に言うと、全員関わってくる。自動的に全部取扱業の中に含められてきます。
 すると「うちは、そういうのに入れてほしくないから、こういう理由で外してください」という陳情などが一斉に集まってくるようになるかもしれません。今は、動物愛護団体の人たちが一生懸命署名を集めたりして、「入れるべき」という意見が集まってくるのですけれど、「うちは範疇に入れないでください」という陳情書が集まってくるぐらい、こちらも強気で発想の転換を、変えていかなければいけないのではないかと思います。

【林委員長】 「動物に関わりのあるものすべて」がいいかどうかというのは、飼い主も同時に関わっているので、ある程度、動物取扱業とは何かということを、どこかで論議していく必要があるだろうと思います。

【野上委員】 この法律の冒頭に、用語の定義がないのが一番の問題です。すべて、いろいろな法律は、最初に定義が置かれていますので、まず動物取扱業の定義をしたらいいと思います。
 それから、動物園、水族館については、動物取扱業と一緒にされることに対する反対であって、登録そのものを拒否しているわけではないと思います。
 つまり、動物園や水族館は、教育的な目的とか公益的な、広く自然保護や生物多様性を普及啓発する場であって、営利目的ではないということが主な論点だと思います。ですので、既に実験動物や、産業動物や、特定動物等の特定の動物の取り扱いについては、規定が別になっているわけですので、そこで教育、公益目的の動物飼育というものを設けて、そちらに動物園とか動物専門学校とか動物愛護団体で、社会的に認知されている、組織としてしっかりしているところを含めていったらいいのではないかというのが私の提案です。

【林委員長】 ありがとうございました。水越委員、どうぞ。

【水越委員】 「動物の飼育をすべて業に入れればどうか」という意見があったのですけれども、私はそれに賛成です。今、林委員長から、飼育者はどうなんだというような話もあったのですけれど、家庭の飼育者も入れて構わないと思います。
 こういう規定は、例えば頭数で決めるというのもありなのではないでしょうか。例えば、10頭以上であれば一般に飼育されている人ももう含めてしまう。例えば今のホームとか専門学校等も、10頭以下であれば含めないとか、頭数で規定する方法論はどうでしょうか。

【林委員長】 割り振り方としては、先ほどの野上委員のほうがいいと思いますが。

【山口委員】 「動物愛護団体等、非営利で公益目的と教育目的の場合は」とおっしゃっていたのですが、動物愛護団体もNPOをとっているからと名前だけで判断するのはとても危険だと思います。
 公益の名前がついているからここは登録じゃなくてもよいとかではなく、分けるときに実質を見て分けていただけるような規定を敷いていただければと思います。

【林委員長】 大変難しいことですけれども、そのほうが本当はいいでしょうね。

【磯部委員】 縦割りの論点に沿って議論が進行しているので申し上げにくいのですけれど、法的な仕組みに関しては一度、設計をきちっと考える必要があろうかと思います。
 動物愛護管理法の射程のことですが、単なる個別規制法という性格だけでなく、基本法的な意味を持っているとするならば、すべからく動物を飼う者は守るべきだという理念的な規範として、一般の家庭での動物愛護も当然に射程に入るような理念的規定を設けるという方策もあるかもしれません。しかし、実質的な規制対象という議論になれば、普通の常識からすると、一般家庭ではなく、「業として」動物に関わる者が対象になるでしょう。この「業として」という表現が非常にあいまいで問題があるように思われるかもしれません。しかしこの言葉づかい自体は、法の世界ではかなり熟した言葉であって、それほどあいまいすぎて困るということでもなかろうと思います。
 一度や二度、単発的・偶然的に関わる者は、「業として」には入らない。しかし反復的に何度も繰り返してやっている場合には、営利目的かどうかとか、実際にお金を取ったかとかそういう基準ではなく、反復性があるという点に着目して、「業」であることが明確なわけです。例えばネットオークションなどで、自分の持ち物を1回だけ販売するのは、古物営業にはならないですけれど、最初からオークションで売るつもりで、新品が売られたときにある程度買い占めて、それをだんだんに売っていくというやり方であれば、たとえ専門店の古物商ではないという意味では素人さんがやっているにしても、それは十分に「業として」やっているという解釈ができるわけです。
 売買を何回やれば「業」になるというような客観的基準が書かれていないという点で、曖昧な感じがするとしても、かえって脱法行為を防止し、ケースごとの合理的な判断が可能になるわけで、それは、そうあいまいな話ではなく、合理的な法解釈の常識でいけるだろうと思います。
 また、業としての規制の中身としても、基本的な法技術として、対物的規制、人としての能力、資格などに着目しての対人的規制もありますし、飼養施設はどういう基準を持っていなければならないかという物理的な施設に着目しての対物的規制もあるわけで、これらをうまく組み合わせていくことで、過不足のない規制ができることになるはずです。人に対する規制も、全体に対して一律の規制をかけることも可能でしょうが、そこに<1>種とか、<2>種というような段階というか、資格や規制強度の区別を設けることも考えられるでしょう。つまり、広く業として動物に携わる者にはすべてかかってくる規制もあれば、とりわけブリーダーのように反復して業としてやる人間に対しては、特別に重い規制がかかるようにするという具合です。
 また、業であるか否かとは次元が異なるものとして、目的が公共的な場合についても、檻に入れて動物を保管しているという以上は、物理的に一定規模以上でなければいけない、いくら公共目的、公益目的だといっても、対物的規制は客観的に関わってくるという仕組みもあり得るわけだろうと思います。その辺は一度、縦割り各論ではなく、全体にわたって専門的な検討が十分可能だろうと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 この老犬・老猫ホーム、動物愛護団体から、かなり横に広がった論議をしていただいて、この後の論議が少し楽になったかなという感じがいたします。
 ほかにいかがでしょうか。

【山崎委員】 さらに論点を広げると怒られてしまうかもしれませんが、登録を取り上げていくに当たってどこまでを業とするかを考えないといけません。新しい形態の動物を使った商売というのが、最近、本当に増えてきております。
 猫カフェ、ウサギカフェもたくさん出てきている状況で、それに追いついていくべき法律が常にそれを追いかけていくというのは、非常にしんどい気がいたします。
 どこかでボーダーラインを切ってしまうというのも、ひとつの方法です。業の定義は、その範囲外、例えば動物愛護団体や教育施設などはもう入らないとしてしまう手もありますが、同時にそれをするのであれば、英国法のようなデューティ・オブ・ケア、つまり、使用管理義務を使用管理責任者が必ず追及できるような法律にしておけば、動物園だろうと学校動物だろうと、どこでも踏み込めるわけです。それから、登録あるいは届出にするのか、そこのあたりをどうまく合致させていくかということです。
 そうしますと、一般的な飼い主からプロフェッショナルまで、みんな同等の土俵に立って取り締まることができる。だから、登録とデューティ・オブ・ケアを、二本立てでどうやって強化していくかということをしないと、毎回毎回、開催の度に切りがない議論になっていくのではないかという気がします。

【林委員長】 ありがとうございました。確かに、その2つを頭の中で分けておくことは非常に重要なことですね。大体、皆さんの意見は出揃ったように思いますので、次の議論にいきたいと思います。
 それでは、次、11番目についてご説明いただけますか。

【事務局】 23ページ、11. 関連法令違反時の扱い(動物関連法令に違反した際の登録拒否等の検討)です。
 同ページの一番下、(4)小委員会における主な意見。[1]規制の必要性について。
 ア)動物関連の関連法で違反した場合には、動物取扱業の営業停止等ができるような規定をぜひ入れてほしい。あわせて、罰則の強化も必要である。罰則が重いと規制がよく守られる。イ)ウ)と若干関連して、エ)は裁判になって判決がおりることは取り消しの要件であると考える。その場合、自治体間の情報共有の観点から、判決で有罪になったら氏名や事業者名の公表が必要と考えられる。自治体間で情報共有しないと、それを知らない自治体に移って、また営業を再開する恐れもある。
 [2]規定する条文について。例えば法の第12条、今の登録の拒否の要件。それから法の第19条、登録の取消し、あるいは一時停止の要件。この両条文を規定する必要性があるかどうか。ア)他法令で違反した者の登録の取消し、それから登録を認めないものにしてもらいたい。イ)同じ動物愛護管理法の中でも、虐待をしたら登録を取り消されるといったことも入れてもらいたい。
 [3]対象となる法律について。サ)金融商品取引法のように、海外での法律に違反した者も入れてもらいたい。シ)処分の量や強さの問題とともに質の問題がある。例えば、金融商品取引法で列挙されている法律は、一読しただけで金融商品取引に関する法令であることがわかる。動物愛護の気風を育てる観点から、関連法は何かいうことも考えるべきで、一概に入れ言えるべきだとは現時点では申し上げづらい。ス)生物多様性の保全そのものを直接の根拠にするのには少し無理があると今の段階では思うが、その個体が極めて異常な状態に置かれる、動物の状況を極めて悪くしている、ヒアリングでもありましたが、例えば種の保存法に反して、持ってきてはいけない動物を小さな袋に入れて持ってくるといった、極めて異常な状態を加える。そういった愛護的な面を重視すれば、野生動物も取り込める可能性はあると考えるといった意見がある。以上です。

【林委員長】 12番の登録取消し強化も同じことですので、あわせてこれを論議いたしましょうか。

【事務局】 それでは25ページ目、12番、登録取り消し強化(登録取り消しを現状より容易にできる取消制度の強化の検討)
 26ページ目、(4)小委員会における主な意見。[1]規制強化の必要性について。
 ア)現行法で登録の取消し、業務停止などの規制がどれだけされているか、また業者が基準をどれだけ守っているか。立入検査を抜き打ちでやっているか、通告後やっているかなどを検証し、判断する必要がある。
 イ)現行法では登録業者に対する立入検査はできるが、業登録の必要がない一般飼養者は立入検査できないことから、悪質な業者がいても取り消してしまうと立ち入りができなくなるということで、停止を目標に指導等せざるを得ない。エ)(一時保護規制罰則の引き上げは別途議論するのでそれ以外に)規制を強化しなければならないものはないと思われる。違反していれば取り消すことができる条文になっており、あとは運用の問題と考える。カ)法律の書きぶりに問題があるというよりは運用に問題があると考える。強化という観点では罰則を引き上げることが有効。キ)環境省令で定める基準を見直すことも必要。ク)警察もなかなか判断できない虐待の判断を獣医師等の専門家が行うという方法論もある。ケ)現行の法律や政省令等をきっちり守らなければ業を営めなくなるほどの緊張感を持たせるなど、現行法を生きた法にすべきである。
 エ)と、カ)キ)ク)ケ)は非常に似ていて、現行法は十分だが運用で基準などを強化していくべきではないか、あるいは運用を強化していくべきであるという意見。
 以上でございます。

【林委員長】 ありがとうございました。
 登録拒否、あるいは登録の取消しについて、これまでいただいたご意見をおまとめいただいております。新たにつけ加えるような論点等はございますか。

【野上委員】 登録の拒否と取消しの要件を、法律第12条と第19条に書き込むべきであると思います。施行規則の第3条に「飼養施設の建物並びに土地に対して正当な権限を有すること」というのがあります。この大阪府の苦情でも、飼育禁止のマンションで繁殖業を行っていた業者がいました。あるいは、市街化調整区域の営業してはいけないところでペットショップを営業していた事例もあります。
 このように、最初に登録の際に正当な権限を有していることの証明として、例えば化製場法や消防法に違反していない、また市街化調整区域ではないとか飼育禁止のマンションではないとか、そういうことを登録者から証明書を出してもらうということが一つのやり方であると思います。関連法の観点からはそういうやり方があります。
 それから、外為法、関税法、種の保存法等については、現在動物愛護法では哺乳類と鳥類と爬虫類までとなっているので、今後観賞魚まで含めるかどうかは別として、それに関しての種の保存法違反とか、関税法違反というものに限定されて適用されるべきであると思います。また狂犬病予防法については犬の登録・注射をしているかの確認ということになると思います。明らかに感染症にかかっている動物を販売したというような場合には、むしろ詐欺になったり、民法上の損害賠償責任が生ずるということをどこかで明記したらいいのではないかと思います。
 また、取消しの強化については、取消しを受けた事業者を公表することが必要であると思います。今回の新聞の記事にも、廃業届を出してから、すぐに別に新たに再登録をするとか、取り消し処分が出ても2年たてば登録申請ができると書かれています。ですので、営業停止期間を2年ではなくて、もう少し長く、5年にするという案も考えられますし、本当に悪質な場合には営業停止を無期限にすることもできるようにすべきではないかと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。ほかにご意見はありますか。

【山崎委員】 二つほどございます。
 一つは、「判決で有罪になったら氏名や事業者名の公表が必要と考える」という部分に関してです。当然のことながら、有罪判決を受けた人間が下に潜ることは十分に考えられますので、例えば共同出資者としても認めない、その人の名前が動物取扱業の登録事業の中に登場することを許可しないというぐらいの罰則が必要になってくるのではないかと思います。過去にも動物系の団体で、訴えられてからそこの理事長が降り、でも関わり続けたというケースがたくさんございますので、そういう意味では、そこを防止する必要があると思います。
 もう一つは、幾つかの動物愛護団体の陳情にもずっと前回の改正から積み残しになっている件でございます。登録取消しとか登録拒否に加えて、さらに罰則としては罰金刑や実刑というものを引き伸ばしていくよりも、今後飼育禁止というふうにする。個人の飼い主に対してもそうですが、虐待罪そのものがかなり重篤であれば、一生涯飼育禁止、あるいは向こう10年間犬は飼育禁止。これは今の英国法に習って申し上げているのですけれど、それが最も効果的であるということが、実はさまざまなほかの国で言われているケースでございます。
 これは何年も改正のたびに持ち出されて、でも日本の今の制度の中では、そういった権利を奪うことはできないというお返事がお役所から常に戻ってきております。この委員会で本当に検討すべきは、例えば多頭飼育者とか悪質な繁殖者とか、あるいは自治体が注意をしても、どうしても同じような飼い方を続ける飼い主などに関しては、例えば三振アウト法でも何でも結構ですが、重篤なケースに関しては裁判所がしっかりとそれを命令できるというような法律が、今回の改正では無理でも、我々が目標とするべきところに置かれるべきであると思っております。

【林委員長】 ありがとうございました。

【磯部委員】 先ほどから山崎委員のお話を伺っていて、基本的な発想がアングロ・アメリカ的という感じがしました。英米法の国であればまさにそれでいけるのだろうと思うのですけれども、残念ながら我が国の法体系はというか法カルチャーにおいては、条文がどうこう以前の一番原理的な物の考え方のレベルにおいて、物事を規制しようとするならば、それを一つ一つきちんと法律に書いて規制していくのでなければいけない。反対に、条文に書いていないことは自由なのであって、それが基本的な自由として大事なことだという原理になっているわけですね。しかもそれが、一つ一つ縦割りの法律の中に書いてなければならない。
 風俗営業の規制が典型的だと思うのですが、立法当時は想定もしていなかった新たな営業形態が出てきて、これは取締りが必要だということになり、ようやくその条文ができるころには、もう一段新しい次の業種を業者が必死に開発していて、せっかくの新法もすぐ時代遅れになってしまう。いわゆるいたちごっこというものに近いわけで、常に大きな限界を抱えているわけですが、だからといってあきらめてしまうわけにもいかないのであって、次から次へまた法改正をして継ぎ足していくようなことになる。ある種の風俗営業については、そもそもこの社会になくていいものなので、規制強化によってその業態がこの世から消えてなくなったらなくなったでいいという前提で規制ができるならば、これは非常に強い規制ができていいのですけれど、おそらく動物取扱業というのは、それとは相当に違うわけでしょうから、直接の規制法規ではなく、関連する別の法規に違反した行為があったからこちらの方も取り消すとか、登録や更新を認めないというような解釈運用をやれるかというと、なかなか難しい。違法性の判断もどうしても縦割りですから、そういうことを当然のようにやると、ひょっとして裁判で争われた場合に、裁判所から違法な行政だと判断される可能性は、やはりリスクがかなりあります。
 やっぱり具体的に個別の判断の根拠を示さなければならないわけで、形式的に他の法律に違反した場合でも規制できるということがはっきり条文に書いてあれば別ですけれど、解釈運用の問題としてやろうとしたらとても難しいところに入ってしまう。こういうようなハードルは幾つもあろうかと思います。
 しかも、夫が捕まったら奥さんを社長にして営業を続けるというような脱法行為はいくらでもできるわけで、風俗営業とか、廃棄物処理業などではよくあることです。
 そういう意味ではいたちごっこですけれど、あきらめずにこちらも追いかけていく、そして追いかけやすい仕組みを極力つくっていくというスタンスでいくしかない。英米法的に、実質的に考えて、「この人は信頼できないから、永久追放だ」みたいなことは、なかなか日本の法システムの中では急にはなじまないという答になってしまうわけです。

【林委員長】 ありがとうございました。

【打越委員】 山崎委員のご発言について、私も磯部委員と同じで、なかなか難しいだろうと思っていたのですけれども、例えば罰則の強化、それから登録停止期間の延長を2年ではなくて5年、それから氏名の公表についてはできることではないかと思うので、少しでも粘り強く押さえていくところかなと思います。
 そもそも二つの論点がここに入っていましたので、ほかの種の保存法とか外来生物法違反のもので登録取り消し云々というところは、これまで何度もヒアリングのときにも言っているとおり、私は入れるべきだと思いますので、野上委員と同じ考えであります。
 それから後半の業者登録の取り消しについてですけれども、例えば徳島県の事例のときも立ち入り検査を20回ぐらい行って、それでやっと何々してというようなお話でしたが、私はもう少し勧告を積極的に出していいのではないかと思っています。
 多分、こういう場合の犬や猫の多頭飼育の崩壊であるとか悪質な業者の事例は、日の下に照らせば、国民一般の良識に反してかなりひどいものです。狭い檻に入れて、日も当たらなくて、風も当たらなくて、糞尿まみれという、かなりひどい事例が多いけれども、なかなか動けていないことが関係者の本当に強い怒りを生んでいるわけでして、そうであるならば立入検査で、「またよろしくね」という行政指導で済まさないで、きちんとその状況の写真を撮ってくるとか、根拠をきちんとつくれば、比較的早い段階で、勧告という形で出せるのではないでしょうか。
 勧告という形で出せば、その勧告に従わない場合には命令を出せる。命令違反だとしたら、この業者は問題があると、法的に理詰めで根拠をつけていけますので、20回も立入検査をしてから勧告ではなくて、もう少し早い段階で勧告を出す姿勢を持ってもいいのではないかと思います。
 もし相手の業者や相手の多頭飼育者に不服があるならば、行政の勧告や命令に対して不服の申し立てをすればいい。あるいは行政の処分に対して「違法だ」と向こうが訴訟を起こせばいい。それを、行政担当者側が、公権力の行使をすると訴えられるのではないか、公的な権力を強化しすぎではないかとおびえて出さないのではないでしょうか。さきほども言ったとおり、犬猫行政に関して問題となる事例は、ひどい事例が多いわけですから、逆に勧告、命令の処分を出してから、向こうに文句があるなら訴訟を起こせというぐらいでも、私はいいのではないかと思っています。
 ただその場合、そこの多頭飼育なり、業者が崩壊したときの犬猫の保護が問題になるというのが徳島県の事例の話でもありまして、ただ業者をつぶせば済むというものではないのでしょう。勧告や命令の間に、何とかして所有権を放棄させて、安全な形で動物を避難させる必要があります。そのために時間をかけるのであればわかりますけれども、立入検査を続けるのではないやり方もあるのではないかと思います。

【林委員長】 そのやり方は、この法律の問題ではなくて、実際に法律を執行していくときの立場のやり方で、それはまた環境省から各地方自治体等に、今のご意見を参考にしながらご指導あるいはご相談をいただいたらいいのではないかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。

【斉藤委員】 今、勧告のお話が出ましたけれど、この前の環境省からの資料を見て、各自治体で勧告をする事例がだんだん増えていると私も思いました。
 確かに、現行法の中でも別に勧告ができないわけではありませんし、十分に内容に問題があってという場合には勧告をし、措置命令を出して命令をかけていくことは、現行の流れの中でも決してできないことではないと思います。
 いろいろな事例が出てきた中で、何年かたっていくうちに取り消しなども増えていくのではないかと思います。
 それから前の委員会のときでしたか、頭数だとか、いろいろなものを数値化していくことが何かの形で必要だというお話がありましたけれど、勧告する以上は、当然根拠などをしっかり検討しながら勧告をしていくわけで、そういう裏づけができればやりやすいと思っています。
 行政のやり方として、交通規制などのように罰則はもちろん最後にあるのですけれど、あくまでも、回数を重ねながら、相手にも納得させながらどのように現状を改善していくかを考え、何回も現場へ行くことは当然必要なことであり、私たちの仕事は、1、2回やってすぐ何かの措置ができるかということではないかと考えています。

【林委員長】 ありがとうございました。それでは、この法律以外の種の保存法から外来生物法等を違反した者も、動物愛護管理法で罰することができるかというご意見についてお願いします。

【青木委員】 最初にまず委員長が、「違反した者をこの法律で罰することができる」という言葉を使われましたが、それはミスリーディングな言い方で、直接刑罰を規定することではなくて、それを根拠に動物取扱業者としての登録を拒否したり、取り消したりすることができるかどうかというのが論点だと思います。
 そして、この問題については、野上委員が何度も詳しい議論をなさって、すでにおっしゃったことかもしれません。私自身は、なるべく現行法を内在的に議論するのがいいだろうと思っております。すべてをこの法律で解決できるような理想的なものを作れるかというと、先ほど磯部委員のご発言からもわかるように、法学関係者はむしろ法律の限界を最初から感じ、皆さん以上に諦観を持って見ているところがございますので、なるべく内在的にやるほうが説得的だと思うし、いいと思います。
 そして、その点に関して一つ申し上げておきたいのは、動物愛護管理法の法律に違反する、あるいは動物愛護管理法の施行規則に違反すると取消し事由になるとなっている。そして、法律、施行規則の中には「動物取扱責任者が動物の管理方法に関して環境大臣が定める細目を遵守しろ」と書いてある。だから、細目を遵守しないと命令、つまりこの施行規則違反になり、そこを根拠に法律上は取り消しができる。こういう二重の間接的な規制になっている。これは磯部委員が前回もおっしゃったことだと思います。
 具体的に言いますと、細目の第6条の第5号に「動物の仕入れ、販売等、動物の取引を行うに当たっては、その相手方が動物の取引に関する関連法令に違反していないこと及び違反するおそれがないことを聴取し、違反が確認された場合にあっては動物の取引を行わないこと」とあります。つまり、販売業者は、相手方が法令違反をするような相手ではないということを確かめる義務が、細目上あるということになっています。
 そこを考えますと、相手方に確かめないと、法形式論理上はそれをもって細目違反、すなわち細目を守らなかったという規則違反になる。したがって、規則違反だから、いわゆる法律のいう命令違反になるので、取り消しにまでなり得る。一応、論理的には、こういうふうになっているのです。
 相手方が動物に関する取引の法令違反をしていないか確認する義務を持つのに、自分が同じ法令に違反しても何のサンクションもないというのは、確かに矛盾が内在していると感じてはいます。前に議論になったときも、規定の方法としていきなり関税法とかの法令名を列挙するのは、動物に関係していない問題で違反する場合だってあるのだからどうか、という意見を述べましたが、動物の取引に関する法令違反、あるいはそれに際しての法令違反というように、法令名より、むしろそれがひっかかる部分、取引の形態などのところをとらえて規制をするほうがいいような気がします。
 ですから、広げることについては、私はこの点については原則として賛成です。以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。青木委員がおっしゃるとおり、他の法律で違反した場合に取消し、あるいは登録拒否等を行うかどうかという問題です。
 もう一つの観点は広げるということと、先ほどの磯部委員、今の青木委員がおっしゃったことの中で言いますと、例えば2年を5年に延長するというようなことは、日本の法律としてもおかしくはないということになりますか。

【青木委員】 欠格事由をもっと厳しくするということですね。それは、立法政策として合理的な範囲内ならば、十分可能だろうと思います。

【林委員長】 では、野上委員からどうぞ。

【野上委員】 今お話のあった施行規則第6条は、前回の法改正時でもこの関連法の件が議論になってここに入れられた経緯があるのですが、ここに入れられてもなおかつ違法な取引が後を絶たず、ペットショップが堂々と違法な取引を継続して営業停止にならないという社会問題を踏まえ、前回の法改正よりもさらに一歩進まないとこの問題は解決できないのではないかという問題意識があるわけです。ですから、法律の現状というよりも、問題に対していかに解決をするかという観点で考えていきたいと思うのです。
 それで、今の青木委員のおっしゃっていることは、条文に書かずに細目に書き入れることができるということでしょうか。

【青木委員】 細目に書くべきか、施行規則に書くべきか、法律そのものに書くべきかということについては、今の発言では特に何も言わなかったつもりです。形式論理的には間接的に2回経由して法律違反ということに今でもなっていますが、間接的過ぎてよくないのであれば、例えば、施行規則に挙げることは判断としてはあり得ると思います。
 私の発言の主な点は、すでに細目にある「動物の取引に関する関連法令に違反していないこと」という部分をもう少し生かせないかということ。ここが一番言いたかったことです。

【林委員長】 その生かし方は、幾通りかあるということですね。山崎委員、どうぞ。

【山崎委員】 関連法の違反に関して、確かに金融商品取引法と同じようなレベルではいかないかもしれませんが、現実問題として、オーストラリアの刑務所に入って以後、また帰ってきて日本で行商している方などがおられるわけです。海外の、例えば希少生物輸出法などに違反した方々は、アフリカ、オーストラリア、アメリカ等に相当数おられるので、実態を探っていくのは多分難しいかもしれませんが、その辺をどう扱うかというのはかなり大きな課題ではないかと私は思っているのです。
 どうやってやるかというのは私もわかりませんし、可能かどうかはわかりませんが、現実問題としては野上さんがおっしゃったように違法性のあるものがかなり横行しています。この間もお話ししましたけど、つい最近もアメリカ西海岸を出国しようとした日本人の大阪の業者が2人、カメ50匹を連れていたので捕まったという事例があります。それをどう扱うか、この法律で関連性を持たせることは、かなり難しいのでしょうか。

【林委員長】 いかがでしょうか。この間も論議になった点ではあるのですが、特にこの法律は、種の多様性保全というよりも、動物の愛護というか虐待防止の観点から論議することが大切だろうと思うのです。
 そういった事例を、動物愛護管理法でどういう形で扱い得るかということについて、事務局で何かお考えはありますか。総務課長、どうぞ。

【田中総務課長】 端的に言って、実効性の面でそういった情報を整理して実際に役立てるのが難しいのは間違いないのですが、それ以上に、法的に海外の違法性を、我が国の法令違反と同等に評価して許認可に当たって活用することができるかどうか。かなり難しいのでないかという直観がありますが、少し調べてみたいと思います。

【林委員長】 お願いいたします。登録拒否あるいは登録の抹消について、論議はよろしいでしょうか。大体皆様のお考えは一定の方向で論議いただいたのではないかなと思います。次は13番目の業種緩和の検討です。動物園・水族館から始まって、動物取扱責任者研修の緩和が14番目。そして15番目は販売時説明義務の緩和。これは、すべて緩和についての問題ですが、一括してご説明いただいて、論議いたしましょうか。

【事務局】 27ページ目、13番、業種緩和の検討の、動物園・水族館の緩和検討です。
 27ページ下の(4)小委員会における主な意見。[1]業から外す必要性について。ア)緩和しないで現状のままとすべき。違法行為等がある動物園がまだ存在する等。「動物園とは」という定義等が定まった後の議論とすべき。次の28ページ、キ)社団法人日本動物園・水族館協会は、さまざまな業界の話を聞いた限りではしっかりとした組織体であり、この分野でのリーダーシップを発揮し得る可能性のある組織体と認識している。さらにこの組織を強化して、不適当な動物園等を指導助言する組織体になってほしい。必ずしも規制強化が我が国のこの分野に対し、発展につながるとは思いがたい部分がある。ケ)外す(緩和する)べきと考える。これから動物愛護管理法の規制を強めていかなければならないときに、安心できるところはなるべく外していく現実的な対応のほうが、全体として能率よく動物愛護管理法を貫徹させることができると考える。
 ク)日本に動物園法がない以上、ここから外すことはできないが、現行の動物愛護管理法の中に「生物多様性の保全」という言葉を入れることによって動物園の活動も評価され、またより認知度が高まっていくように思う。
 [2]現行の登録制での規制について。登録制のままなのか、届出制にするのか、これまでのところで議論はない。
 [3]外す(緩和する)基準について。仮に外す場合、どのような基準に基づき外すのか。ア)登録を外せるところはなるべく外してもいい。イ)外すとしたら、「国公立かつ博物館かつ協会会員」など規定が考えられるのではないか。
 14、動物取扱責任者研修の緩和(回数や動物園水族館・動物病院の扱い検討)。
 29ページ(4)小委員会における主な意見。観点は二つ。
 [1]責任者の選任規定について。動物取扱業者は必ずこの責任者を選任しなければいけないという規定がある。例えば、動物園・水族館協会の加盟園、あるいは動物病院について、この選任の義務規定を外すことができるのではないかといった観点。ア)動物病院の義務規定は外してほしい。ペットホテルを併設しているところは当然動物病院で入院もやっているので、それと同等レベルでペットホテルも管理しているはずだという観点。イ)動物病院を経営する獣医師がペットホテルやカフェを経営する場合、病院併設する場合のみ不要とするか、別の場所にこれを設置する場合も不要とするかなど議論が必要。ウ)併設した場合には外すことが可能と思われる。
 [2]の観点は、仮に責任者の選任規定を外せないにしても、例えば動物園や動物病院に限らないが、研修の受講義務などを外すことができるかどうか。ア)動物園・水族館協会の加盟園館は動物取扱責任者研修の受講は不要。イ)研修の受講義務を外すか外さないかとか、この義務規定をどうするかということよりも、内容とその内容を誰が決め、誰が話すか、そしてその現場に行くときには何を知らないといけないのかというあたりが課題と考える。動物園関係者も含め動物の世界でプロと語っても、そのレベルに達していない人も多いのではないか。
 ウ)動物病院の獣医師に対し、ペットショップの方と同じ内容を同時に伝える必要があるかというのは、緩和するやり方の一つとして、例えば獣医師会等の公益法人を通じてその講習をやるとすると、情報の密度が全然違ってくるわけで、その辺の工夫があるとよい。一律であれば反対である。エ)農水省や獣医師会等と連携し、その分野のプロに講師をやっていただくことも必要ではないか。オ)業界全体のレベルが規制緩和できる状態ではないと認識している。動物病院については、本質的に動物の病気を治すところで、法令とか動物の福祉等に詳しいわけではないので、外すことに反対という意見だが、外すというよりは、希望者はいつでも受けられるという形にしておいたほうがいい。
 [3]研修回数の緩和について。現在は年に1回の受講義務がかかっているが、緩和が可能か。ア)自治体の回数の負担が大きい。手弁当でやっているところがある。例えば、この小委員会の専門委員の方々も積極的に講師として関わって、自治体の担当者の精神的な企画立案の負担を軽減することは受講者も増えていくのではないか。イ)3年に1回などに減らせば、行政の負担はかなり楽になる。ウ)乗馬クラブや動物園の方などいろいろな立場の受講生がいるので、講習テーマの選び方も必要ではないか。エ)受講頻度は減らしてもいいが、法改正時など新たな規制などになった場合には全員受講させる。
 [4]研修の緩和に当たっての代替措置について。[3]の緩和が可能な場合、代替措置は必要か。ア)法改正したときには全員受講する、筆記試験で一定の知識を得られると認められる者は2年に1回の受講でいいなどの緩和が考えられるのではないか。
 15、販売時説明義務の緩和(犬猫以外の小動物での説明義務事項の緩和の検討)。
 31ページ、(4)小委員会における主な意見。[1]販売時説明義務の緩和の必要性について。ア)基本的に説明義務の緩和は必要ない。説明義務は強化すべきで、緩和はないと考える。イ)も緩和できる部分は少ないと考える。ウ)「生産地等」の表記について。外国か国内か。外国であれば国名を明記することや、捕獲されたものなのかどうかを明記してあればよいかもしれない。エ)生産地の部分は非常に重要なところだと考える。野生の小鳥、鳥類の場合には、原産国、国内繁殖の有無をきちんと明記させるべき。オ)時間をかけなくてもよいので、場合によっては口頭説明を省略して文書だけでもいいと思う。記されていることが飼い主にきちんと情報として伝わることが重要。
 カ)18項目のうち、小鳥、小動物、爬虫類に関しては説明が少ない部分があってもいいと考える。台帳など今は5年保存だが、2年保存に短縮してもいいのではないか。キ)ハムスターの肥満が問題になることがあり、標準体重の説明を省略すべきではないのではないか。ク)カとは逆の意見として、「2年保存に短縮」という発言があったが、それにはまだ反対であるといったご意見。
 以上でございます。

【林委員長】 ありがとうございました。ここに載っていない問題も論議しなければいけない点があるのですが、3つをまとめてご説明いただきました。
 ともに緩和の方向で検討する必要があるかどうかということですが、中には、緩和と同時に、もっとこういうところを追加したほうがいいのではないかというご意見も入っていました。追加のご意見、ご質問はありますか。野上委員どうぞ。

【野上委員】 動物園を動物取扱業から外す件につきましては、先ほど言いましたように、教育、公益目的等の業を別途つくり、そちらに移していく案を提案したいと思います。それから、動物取扱責任者研修の緩和ですが、動物愛護管理法の第22条に法律上、責任者を置かなければならないということが定められていて、これは非常に重い規定だと思います。特にこの条文が明記された根拠、理由について、これは動物取扱のプロを育てていくということ。そこから広く社会に啓発普及を図ることを目的として設けられた規定だと理解しています。ですので、これを緩和するのは逆戻りになってしまいます。
 講習のあり方を工夫すればいいのであって、責任者の選任規定そのものに除外を設けるべきではありませんし、どんな施設であっても責任者を置くのは当然のことですから、責任者を置かなくてもよいというのは問題外ではないかと思います。講習会を行う自治体の負担が大変だということは、別途考えるべきことだと思います。
 もう一つ、販売時説明責任の緩和ということですけれども、これも動物愛護管理法第8条で、「動物の販売者は購入者に対して必要な説明を行い、理解させるように努めなければならない」ということがありまして、現在どんな商品であっても、その商品について細かく顧客に説明をして同意を得るという方向に、社会全体としてなってきているわけです。ですから、ここの部分を緩和することもあり得ないと思います。
 話は戻りますが、動物取扱責任者というのは、受けてきた講習を自分の同僚や同じ職場の人たちに伝えていかなければいけないということも法律で書かれています。動物取扱責任者というものがそのくらい重視されているわけですので、この部分を規制緩和することは妥当ではないと思います。以上です。

【林委員長】 まず最初に、動物園・水族館のほうからお話ししたいと思います。
 先ほどから出ている動物福祉、あるいは動物の教育施設を、どういうふうにまとめたらいいですか。まとめたような形でカテゴリーをつくるとすれば、例えば後ろの73ページに載っていますが、国は基本的な指針をつくるという義務があります。その基本的な指針の中に、実験動物の適切な取り扱いの推進があります。
 産業動物の適正な取り扱いの推進という形で実験動物、あるいは産業動物という形の書き方をしているので、もう一つ、例えば動物園から言えば展示動物ということになるのですが、教育施設だと何動物というのでしょうか?

【山崎委員】 展示だけではないと思うのです。昨今、動物園の方々は、存在意義として教育目的ということを非常に前面にお出しになっておられます。専門学校も教育機関で、動物のプロ、少なくとも動物の愛護と管理に関する法律を実際に現場で伝えていく責任者を育てる場所ですから、公共の利益のために動物のことを展示したり教えたりしている施設という分類にすれば、学校、動物園、場合によっては愛護団体も含まれます。
 愛護団体というのは、譲渡する犬や猫などに関する適正飼養管理を行く先に対して教育する非常に大きな機関です。検討課題ではまだかなり下のほうになっていますけれど、可能であれば今現在、小学校等で飼われている学校施設の動物も、教育目的ということであればこの中に一括して入れてしまう。さらに別のカテゴリーにして、そのカテゴリーでは社会の規範となるべく行動を促していくということで、むしろ普通の業としてやっている方々よりも厳しい規制があってしかるべきだと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。確かに、動物園・水族館は展示動物というよりも、最近は生物多様性の域外保全施設というような役割もありますから、そのようにして新しいものをつくり、そこに入れていくというお考えですね。野上委員と山崎委員、よろしいですか、そういう考えで。ほかに別のお考えはありますでしょうか。

【林委員長】 それでは、今度は責任者及び、販売時の説明の緩和というところです。
 3時間ぐらい説明しなければいけないということが、どこかに書かれていました。3時間ではなくて3分でもいいのですか?3時間と一律に決めなければいけないというのもおかしな話ですが。先ほどの野上委員のお話にあったように、動物愛護管理法の条文は変える必要がなく、毎回3時間も本当に説明が必要かということについては、いかがなものか。そういう細かいところまで決めなければいけないものなのでしょうか。

【事務局】 法律のまとめの24ページに、施行規則第9条と第10条がございまして、第9条が責任者の選任で、第10条が研修について書かれています。その研修の中に、1年に1回以上受けさせること、1回当たり3時間以上受けさせること。その項目について、幾つかの項目を受講することという規定がございます。

【林委員長】 その辺は考えようがあるのではないかと思います。必要とあれば6時間でも9時間でも10時間でもやっていただいていいのですが、3時間も必要でしょうか。3時間と書けば絶対に3時間以上必要ですから、いかがなものか。これが一つです。
 それから販売時の説明について、消費者に対する説明責任は大切ですが、問題はやり方です。何分間で説明しなければいけないというようなことも、書いてあります。普通の商品は大体そうですが、これを読んでおいてくださいという形で、きちんとした説明書を渡すことが多いと思います。

【事務局】 皆様のお手元の冊子23ページに、施行規則第8条というのがございます。その第4号に、イロハニホヘトチリヌルヲ・・とあり、18項目について販売時に説明しなさいという義務がかかっております。これを販売するときに説明できれば、3分でも1時間でも、特に時間規定はありません。

【太田委員】 犬猫、ハムスター・小鳥で、同じ18項目をすべて説明するというのも大変難しいかなというのが現場の意見です。ハムスターにしても、説明はするべきことはしなくてはいけないと思いますので、種類によっては文章で補充するという形です。犬猫に関しては、18項目のすべてを説明すると小1時間はかかります。それ以外の小動物については、文書でするなどして緩和をお願いしたいと思います。
 動物取扱業の講習についてですが、現在、動物病院がすべて年1度の講習を受けています。私たちペットショップと同じ講習を受けるのは、レベルからいっても私は必要ないと思います。地方自治体担当者はこの時間を動物取扱業の指導に費やしてほしいと思います。動物園に関しましても同じような理由で、年1度の講習会は何らかの形でもって緩和すべきと思います。以上です。

【林委員長】 水越委員、どうぞ。

【水越委員】 まず小動物の説明緩和について、今も太田委員からご説明がありましたが、「犬猫はいいけど、小動物は大変」というのがよくわかりません。ヒアリングのときにもありましたけど、500円、1000円のものに何十分もかけるのかということ。500、1000円だから説明が大変なのであれば、例えば値段を高くするという、そちらのほうに行かないのが不思議だなと思います。
 当然、説明で費用がかかり値段が高くなるというのは、商品的に考えればそちらのほうが合理的ではないかと思ってしまい、説明義務の緩和については、私は反対です。
 取扱責任者研修の緩和につきましては、今、緩和の話をしているので別な話になってしまうかもしれないのですが、私はこの取扱責任者研修の講師を何度かしたことがあります。義務になっているのですが受講しない人がいる。先ほどの話に戻りますが、今の現状では、その取り消しもできないという話を聞いたことがあります。
 緩和できるところは緩和しても構わないとは思うのですが、義務ならばしっかりと義務を守るというようなところも、もう一つの部分で何か規定が必要かと思います。義務研修であるので、その年と次の年の2年間行かなかったら取り消しとか、3年間行かなかったら取り消しであるとか、そういう規定も必要ではないかと思います。以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。山口委員、どうぞ。

【山口委員】 取扱責任者研修の件ですけれども、業種がいろいろありますので、本来的には業種で分けて、それぞれにメリットがあるような講習会にすれば、3時間でも座っていられるのではないかと思います。寝ていても、判子をもらえるというのではなくて、何らかきちんと聞いていたという担保をしていただければと思います。
 それから、小動物の説明の緩和ですけれども、ハムスターであれ、モルモットであれ、必要な説明はしなければならないと思います。

【林委員長】 おっしゃるとおりで、「必要な説明をする」と私も書いたほうがいいと思います。「18項目全部」とは言わず、本当にその動物にとって必要な項目を説明しなければならないということにしたほうがいいのではと思いますが、いかがですか。

【太田委員】 今の意見と一緒ですけれども、ハムスターだから説明時間が短くていいということでは決してなくて、ハムスターにはハムスターの特別な説明が必要ですから、それは文書などでする。前の委員会で項目別にハムスターはこれとこれを説明する、小鳥はこれとこれを説明するというような一つの案が出ましたが、あの案で私はいいと思います。

【林委員長】 渡辺委員どうぞ。

【渡辺委員】 飼い主というのは、得てして飼い始めのとき、最初に「こういうふうに飼うんですよ」とインストラクトを受けた相手の言うことをすごく信じます。それは、ペットショップの販売員であり、それから獣医師であると思います。特に、簡単に安く買える動物は粗雑に扱われがちですから、そこでしっかり説明するための時間は30分、1時間かかってもしかるべきだと思います。
 要望案を拝見したところ、アンケートをとっていらっしゃる方たちがいらして、店員さんの知識のあるなしによってペットの飼い方に差が出るのは数字にも出ていますし、ここは、緩和はないのではないかと思っています。以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 販売時の説明を、むしろ強化しなければいけない部分があると思います。先日も観賞魚と両生類の話がありましたが、とにかく、たくさんの動物が野外に捨てられるということが大きな問題になっていますし、日本中の池がミドリガメで一杯になるような現状を変えていかなければいけないと思います。
 そのときに、販売するときの責任の一つとして、決して野外に捨てないということ、生態系に悪影響を与えないようにすることを販売責任者や店員が十分知っていて、そのことをお客に伝えていくことが、この外来種対策では非常に効果があると思いますので、その部分はもっと強化しなければいけないと思います。

【林委員長】 おっしゃるとおりですね。例えば熱帯魚であれば、業者が「もし不要になられたら引き取りますから、持ってきてください」ということを最初にきちんと説明するなど、そういうことが今後ますます必要になるだろうという気がします。
 加隈委員、臼井委員、お願いします。

【加隈委員】 責任者研修のことですけれども、もしも緩和をするのであれば、有資格者としての獣医師ですとか、ある程度の教育を受けた専門家に関しては一定の基準で切ることができるのかなと思っております。
 そういう方は必ずちゃんと知っているからではなくて、行政での負担を減らすのであれば、別のルートで獣医師なり、専門家の専門的な知識が行き渡る機会を設けることができるのではないかという意見です。
 逆に、責任者の選任が変わる場合とか、法律等が変更される場合には必ず受けなければいけないなど、今まで幾つもお話が出ているところもそのとおりだと思っております。
 もう一つ、前から何度か申し上げていることですが、責任者の資格要件に関してはできればもう少し、現行よりも厳しくしていただきたい。渡辺委員からお話が出ましたように、売っている方の知識のレベルが非常に問われると思います。ですが現状は、ペットショップではアルバイトの方が多いと思います。
 アルバイトが悪いというわけではないのですけれども、それなりの知識を持った専門的な裏づけのある方が、説明責任者であるか、販売を責任者がやっているかというと、現状ではそうでもないのかなと思っております。販売する方が責任者ではなかったとしても、責任者は説明するような方にはきちんと研修で受けたことを必ず教えてあげていなければいけないと思うのですが、前に少し調査したときにも、ほとんどそういうことが行われていないようなところもあるようでした。ですので、もう少し責任者を重要な位置づけにする。そして知識を持った専門性のある方として、もう少し格上げをすることも提案したいと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。臼井委員、どうぞ。

【臼井委員】 研修受講義務につきまして、お手元の資料30ページ、ホ)で、獣医師は本質的には動物の病気を治すということで、法令とか動物の福祉等に詳しいわけではないという表現がございますが、動物の病気を治すこと、これはすなわち動物の福祉でして、この表現は厳しいかなと感じております。
 そして、獣医師はここから外していただきたいと思います。

【林委員長】 ここに書かれているのは、事務局として正しいと思ったから書いたのではなくて、こういうご意見があったというだけの話です。

【臼井委員】 わかっております。

【林委員長】 井本委員どうぞ。

【井本委員】 研修の緩和ですが、回数を入れていったらいかがでしょうか。これは不動産業や、あるいはお金の業者などもあるかもしれませんが、年度ごとに1、2、3、4みたいな数字で、見ただけで「この業者は長くやっている」というのがわかったりする業があると思いますので、それと同じように、講習を何回受けていれば次はいいかとか、非常に重要な法改正があった場合には全員受けてくださいというふうに、実際に合うような形にしていただければ緩和にもつながるだろうと思います。
 それから、前から言っておりますように、業種別に必要とする情報が、そのとき、そのときで違いますので、それを細かく分けていく必要もあるだろうと思います。

【林委員長】 ですから、私は、法律の上位のところで時間とか回数は定めないほうがいいだろうと思っているのです。回数に関して言えば、登録されてから何年目かというのはわかりますから、どのぐらいこの方は経験があるかなということはわかるわけです。この講習を受けた回数ではなくて、登録からの年限で周知の事実になる。
 なぜこういうことを申し上げているかというと、運転免許の更新時の説明は、5年なら5年に一回しかやらないわけです。もっと優良であれば10年に一回でしたか。なおかつ講習時間は1時間ぐらいです。自動車の運転の免許は人を殺すかもしれない。それと比べてこの3時間は、ちゃんと社会的なバランスがとれているのか疑問です。
 ただ、もちろん短ければいいというものではないので、十分に必要な時間をかけることについては大いに賛成ですが、定まった時間を書くのはどうかということがあります。
 もう一つ、提案ですけれども、動物愛護及び管理に関しては、今後ますますいろいろな仕事が増えていくと思うのです。例えば、獣医師の団体として各都道府県・政令都市に獣医師会がありますので、そういうきちんとした団体に講習などを任せるというやり方はいかがでしょうか。地方自治体はそうした団体をきっちり監視していればいいわけです。つまり、直接統治じゃなくて間接統治的なほうが実際の活動は広がるような気がするのです。
 その他に動物園・水族館であれば日本動物園・水族館協会があります。ペット小売業であれば全国ペット協会がある。そこが責任を持ってやる。さきほどから話が出ています業種ごとに必要な講習の内容は、その業界がわかっているわけです。獣医師に対しては、獣医師会がどんなことを話したらいいかわかっている。動物園・水族館協会については、当然動物園・水族館がわかっているでしょう。
 いろいろなことを検討していろいろなことを法律に盛り込んでいくと、パンクするのはないかという気がするので、そういう提案をしたいと思っています。
 山崎委員と、そして野上委員、どうぞ。

【山崎委員】 今、先生がおっしゃったことは、非常に重要なポイントだと思います。
 加隈委員がおっしゃったように、行政の負担をこれ以上増やすということも非常に大変なことになると思います。それから、井本委員がおっしゃった、全部一律というのは非常に難しい。例えば2年ごとにして、業種別という程度の負担であれば行政が担っていただけるのか、プランニングとか運営に関して、どの程度の負担が可能かどうかということと見合った講習会をしていただかないといけない。日進月歩の情報ですから、免除はなるべくしないほうがいいと考えております。
 というのは、私は最近、免除されている業種の動物関係者の講習会で、最後にチェックのテストをやるというかなり厳しい講習会を担当したのですが、3分の1ぐらいの出席者の方々が、試験の答案の中で「動物愛護法に関しては、所轄官庁が農林水産省と厚生労働省」と答えています。そういう意味においては、確かに獣医師やその他の方々、動物の専門家の方々で、いろいろな意味で動物を専門にお勉強しておられる方でも総合的に、法律のこととか動物に関して、今、何が重要視されているかということの勉強は継続的にしていく必要性はあると思います。
 説明義務に関して言えば、私も実はペットショップで時折グッズなどを買って、「このペットを飼うにはどうしたらいいか」と聞いて歩いていたりするようなことをやっています。しっかり説明される場合もあれば、本当にわからない、いや、どうなのだろう、この説明は、というのを受けることもございます。
 販売業種ではございませんが、昨今、ウサギカフェを査察に行ったものに関して言えば、そこの店員さんにウサギの抱き方を聞いたら、「私もウサギは、よく知らないんです」とはっきり言ったという事例もございます。少なくとも、その業種に関わっていることであれば説明義務がきちっと遂行できるような確認をどうやってするかということはしなければいけないと思います。
 ハムスターとか小鳥とか特殊な魚、ウサギなどに関して説明義務は、果たして短くていいのかどうかということに関しては、いいか悪いかというよりも、絶対的に考えれば、これはあらゆる専門業種の中でおそらく犬猫よりも情報が少ないと思うのです。情報が少ないということは、それだけ勉強している人が少ないということなので、むしろちゃんと説明できない人が多いので説明義務を回避しようとなってしまっては困るなと、私は感じております。

【林委員長】 野上委員、そして太田委員。

【野上委員】 先ほど来、規制のあり方に強弱をつけるといいますか、例えば届出制というものを設けた場合には、それはより緩い規制になるので、講習の内容も緩くてもいいということになるかと思います。
 また一方、もっと厳しい規制が必要である。例えば、犬猫の販売業者ですとか繁殖業者については、もっと厳しくやらなければいけないということであれば、この講習ももっと強化しなければいけないと思うのです。そういうふうに、規制のあり方に応じて講習のあり方を変えていくのがいいのではないかと思います。
 それから、常に業者の方々に最新の情報を知っていただくための必要性があります。動物取扱業界というのは、業界としてあまり組織されておらず、業界団体に入っている方のほうが少ないわけです。そうしますと、そういう個人の業者にどうやって情報を伝えていくかということが大変大きな課題になります。ですので、講習会に来ていただいて、その後、常に連絡をとれるようにして、法例改正ですとか新しい規則ができたとか、社会がこういうことを求めているということを、常に行政が情報発信できるようにするような仕組みをつくることで業界の底上げをしていくことが必要ではないかと思います。

【林委員長】 ありがとうございます。太田委員、どうぞ。

【太田委員】 私も野上委員と意見は一緒です。
 今回、動物取扱業の規制強化という面からしても、私は講習会を年1度はしなくてはいけないと思います。自治体の負担が大きくなるからといって3年に1回というのは、本末転倒かなと思います。私たちの会の役員も、最近お陰様で地方の講習会に講師として呼ばれるようになりました。現在当会としては、そのマニュアルづくりをしまして、多くの人が講師としてできるような準備をしております。
 先日、地方自治体の方から、「講習会の講師のチームを作って派遣してくれないか」という話がありました。そういう講師専門のチームをつくって、その人に地方自治体を講習していただく形をとれば、地方自治体の負担も少なくなると思います。ぜひ動物取扱業のレベル向上のために年1度の講習は続けていただきたい。以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。水越委員、どうぞ。

【水越委員】 今話しています取扱業責任者の講習につきましては、おっしゃるとおり業種別というか、業種が本当に非常にさまざまなので、そこの部分は、例えば2年に一遍、3年に一遍で業種を変えてという形でもいいのかなと思います。
 ただし、法律的なところは同じところが関わっているわけですから、その部分については1年に一遍にする。3時間の中で法律の話などをするわけですから、講習会で何をやるか毎年悩んでいる都道府県が、非常に多いと思うのです。そこの部分は、確かに3時間というのは大変なのかなと思います。
 でも、その法律的な部分にすべてが関わる部分というところでは、今、太田委員がおっしゃったように1年に1回全員が集まるのは必要ではないかと個人的に考えています。

【林委員長】 どうぞ、永村委員。

【永村委員】 具体的に、この講習でどういうことを教わるのか知らないで発言するのも大変失礼ですけれども、年に1回の講習でどれだけの知識が得られるか、ということではないかと思うのです。
 さきほど林委員長から運転免許証の話が出ましたけど、成績優秀者が5年に1回、駐車違反ぐらい何かやると3年に1回になりますが、確かにあの講習も非常に形式的です。唯一役に立つのは、この何年間でこことここの法律が変わりましたよ、だから運転に注意してくださいということです。それ以外は、きちんと運転して基本的な運転マナーが守られれば、講習は基本的に必要ない。そういったことじゃないかと思うのです。
 ですから、この講習というものを、1回やらなければ業としてやっていけないようなものでもないと思います。ペット関係の情報は山ほどあふれています。本当に勉強したい人はいろいろなルートからいろいろな情報を手に入れられるので、私は個人的には、この1回の講習を受けなければ全く業として役に立たないような単純なものではないという気がします。ですから、ある程度の緩和は大いにやったほうがいいのではないかという気がしています。

【林委員長】 打越委員どうぞ。

【打越委員】 幾つかあるのですけれども、まず研修の緩和はすべきではないという立場です。ただし、研修の負担は、研修を受ける側にとっての負担以上に主催者側への負担になっているという観点から、意見を2つ言いたいと思います。
 まず、例えば研修業務の外部委託とか、先ほど太田委員がおっしゃったようなチームのようなものをつくるというのは、とても興味深いと思います。そういった点では、環境省の所管だったか農水省の所管だったか、それぞれが持っていたかもしれないのですが、野生鳥獣の被害対策のようなものに関しては、野生鳥獣の専門家を登録する仕組みがあると思います。もしかしたら農水省か、環境省か、正確なところはわからず共管だったのかもしれないですけれども、多分、特定鳥獣保護管理計画の計画策定のマネジメントができるとか、現場での被害対策ができるとか、3種類に分けて専門家を登録する。そのために名前、連絡先から何が得意であるか、どんなことなら話ができるかというのを全国の人に公募する形で集めて、100人ぐらい登録している仕組みがあって、有害鳥獣対策が必要だったときにそこが見られるようにという一覧表を、つくっておられたと思います。
 犬猫動物愛護管理行政に関しても、そういう仕組みをつくってみるのもいいのかなと思います。別に野生鳥獣に限らずということです。私は手続ミスで任期が切れてしまったのですが、地域づくりとか、まちづくりの専門員というのを内閣府で登録している仕組みもあったりしましたので、これは非常に積極的に考える余地があると思います。
 それから、もう一つは、研修主催者側の負担ということです。3時間やったとしても大した知識がつかないのではないかという話があったんですけれども、先生が来て、ずっとテーブルに座っていて話を教わるだけの研修は実際になかなか効果がないだろうと思います。だからこそ、ワークショップのような手法で、業者の方々に集まってもらう。こういう表現をしてしまうとよくないのかもしれませんが、比較的穏当な動物愛護団体の方とか一般の飼い主の人にも来てもらって、先生の話をただ聞く研修会ではなくてワークショップ形式、テーマを与えてグループディスカッションをするようなものをする。ある意味、教わることよりも話し合うことから私たちは気がつくものがあるわけですから、そういう形式であるならば3時間あっても足りないし、1年に1回でも業者が初心に返るきっかけになるのではないかという点では、3時間は十分持つでしょうし、1年に1回でちょうどいいぐらいの頻度ではないかと思います。
 それから、研修に出ない人たちをどうするかという問題があったと思いますが、動物愛護管理法の第23条によれば、動物取扱責任者がその研修に何度も来ないというのに達していれば勧告をすることができるというのが入っていますので、例えば、担当者の体調のこととか会社のいろいろな事情もあるでしょうから、たった1年来なかっただけで、「はい取り消し」という話にはならないと思うのですが。例えば、自治体が主催する研修会に3年連続出ないということがあれば勧告を出す。勧告を出しても、まだ2年、3年出てこないようであれば命令を出すという形で、研修に参加する義務も強化していくことは、運用上できるのではないかと思います。
 それと、もう一つ、水族館・動物園の研修に関しては、確かに、自治体で犬や猫などの小動物を扱っている保健所の職員の方が実施する研修会に出てこいというのは気の毒だと思うのですが、動物園・水族館の協会を見ますと、しばしば総会であるとか研究大会ということで、全国レベルの大会で集まっているようであり、資料を見ますと、全員参加ではないにしてもかなりの参加率を誇っているようです。
 例えば、動物園・水族館の研修に関しては各自治体に任せるのではなくて、そういった協会の総会のときに、その中で3時間をもらって研修会を入れる。その際には協会に入っていない動物園運営の民間団体も、そこにオープンに参加できることにするとすれば動物園業界、水族館業界の情報共有や専門家を招いての研修ができるのではないかと思いました。こちらもワークショップでもいいと思います。以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 この研修には、現実には動物愛護団体の方々が受講する場合もあるわけです。ですから、しなければいけないもののほかに、受けたい人は受けられるとしている自治体もあります。愛護団体の方々も、法律を知ったり、いろいろな知識を身につけたいという機会になっていますので、こういう場所を広く提供して、希望者には受講できるとしていくのも必要かと思います。
 先ほど運転免許のお話がありましたが、免許の場合は試験があって、試験に受からないとどのみち運転免許、ライセンスを得られないので、研修を受けなくても試験は受けなければいけない。ただ、この動物取扱業の研修には試験がありませんので、もっと厳しくしないといけないのではないかと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。

【浦野委員】 打越委員も少し触れましたけど、動物園・水族館協会の辺りのことについては、28ページのキ)で私が発言しましたけど、要は専門性の高い領域であること、それから、きちっとした指導できる母体がある。しかも、それは歴史的にきちっとやってきているという実績がある。
 中身を実際に見てみますと、教育から始まって種の保存委員会を組織したり、あるいは飼育する人の認定試験にまで至っている。それから情報も世界的なレベルで集めて、先ほど打越委員が言ったように、学術的な集まりもやって広く周知徹底させているというもろもろの実績があることを実際に僕は見聞きして確認しています。このような専門性が高い、母体がある、歴史がある、実績がある領域については規制を緩和する方向でやっていくべきだとは思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 大体予定していた時間がやってまいりましたが、実は16番目に、許可制にすべきかどうかという論議が残っていて、16番目は、これまで全く論議していないことです。
 論議していないことでいうと、実験動物生産者についても論議していませんが、これはいつ論議することになりますか。

【事務局】 許可制、登録制の話のところで若干出ているご意見としては、届出制に緩和するような業態があってもいい、それから、許可制という話は出ていないのかもしれませんが、さらに強い規制があってもいいのではないかというご意見が出ております。
 16番の前までの議論の中で、それぞれ強化・緩和というご意見が出てきましたので、それも相対して、今の登録制一本で規制をしていくのかどうかということの議論が、今後必要になってくるかなと思っております。

【林委員長】 この論議は時間をかけたほうがいいと思いますので、今日は、ここで終わらせていただくことにしたいと思います。必要なことはもっときちんとやっていきましょう、緩和すべきものは緩和しましょうという点では、ほとんどの方が一致した意見を持っていらっしゃるという気がいたします。
 登録制から許可制、あるいは届出制といった論議も、そういう脈絡で今後検討されると思いますが、今日はここまでのところで終わりにしたいと思います。
 それでは、この後、10回の小委員会は、予定では3月2日になります。ここで大体、集約する形で中間取りまとめの案、素案が出ると理解しておけばよろしいですか。

【事務局】 そのあたりは、また林委員長ともご相談したいと思っています。この間、自治体の意見も聞くべきだというお話もございましたので、素案をつくる前に、自治体の皆様方に幾つか何件かお越しいただくことも考えなければいけませんし、その辺はまたご相談いたしたいと思います。

【林委員長】 3月2日の予定は変わらないということですね。承知いたしました。
 先ほどから渡邉局長が来られておりますので、ごあいさつをいただきたいと思います。

【渡邉自然環境局長】 ありがとうございました。今日は12回目の小委員会ということで、本当に熱心なご議論、またいろいろな立場、いろいろな角度からのご意見をいただきましてありがとうございました。
 3回にわたり、動物取扱業の適正化に向けて中間取りまとめを行うための議論をし、16項目のうち15項目までの議論を一巡していただきました。16項目目も、それぞれの項目の中で、既にいろいろ意見として出た面もあるんじゃないかなと思います。
 多岐にわたる項目ですが、方向性がおおむね一致してきたという項目もありますし、項目によっては意見の隔たりが大きいものもあるのではないかと思います。
 今後の議論にもよるのですが、4月までに中間取りまとめに至りたいということで今までお願いをしてきました。この3回の中間取りまとめに向けて、いただいた意見を受けて、どんな形の中間取りまとめにしていったらいいかというのを、事務局でも少し検討させていただいて、3月2日をどう使うかは座長ともご相談してみたいと思います。4月までの中間取りまとめに向けて、さらに議論を深めてもらう材料を、この3回の議論を整理する形で、論点を整理する形で事務局のほうで用意する作業を進めていきたいと思います。
 4月までの取りまとめの過程で、小委員会で12回議論を重ねていただき、さらに小委員会の議論を続けていただくわけですが、動物愛護管理部会の開催もその間に挟み、部会としてのご議論もしていただければと思います。先ほど事務局からも申し上げましたが、実際にこの法律の現場を支えている都道府県でどういうご意見を持っているのかということも、今までも事務局のほうで都道府県との意見交換は進めてきています。ここまで議論が進んできたことを受けて、都道府県の意見も何らかの形で聞いて、中間取りまとめに生かしていけるような工夫も考えていければと思っています。
 そういう意味で、4月の中間取りまとめに向けて、さらに皆さんにお世話になりますが、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、事務局から次回以降のご連絡をいただきたいと思います。

【事務局】 次回の小委員会につきましては、3月2日水曜日、2時からになります。場所は、ここ環境省第1会議室となります。

【林委員長】 ありがとうございました。それではお返しいたします。

【事務局】 林委員長を初め、委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところご出席いただきまして、ありがとうございます。
 これをもちまして、本日の動物愛護管理のあり方検討小委員会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。