中央環境審議会動物愛護部会動物愛護管理のあり方検討小委員会(第10回)議事録

1.日時

平成23年1月24日(月)午前10時01分~午後0時15分

2.場所

環境省第一会議室

3.出席者

林委員長、青木委員、磯部委員、井本委員、臼井委員、打越委員、浦野委員、太田委員、小方委員、加隈委員、斉藤委員、渋谷委員、永村委員、野上委員、水越委員、山口委員、渡辺委員、渡邉自然環境局長、森本審議官、田中総務課長、西山動物愛護管理室長ほか

4.議題

(1)
動物取扱業の適正化
(2)
その他

5.配付資料

資料1
「動物取扱業の適正化」におけるこれまでの主な意見
参考資料1
制度の見直しに向けたスケジュール
参考資料2
新聞記事

6.議事

【事務局】 皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、第10回動物愛護管理のあり方検討小委員会を始めたいと思います。
 まずは、本日の委員の皆さんのご出欠状況についてご案内申し上げます。
 本日は山崎委員がご欠席でして、17名の出席です。規定により、小委員会は成立しております。
 なお、この度、1月7日付けで環境省幹部の人事異動がございました。自然環境局長に審議官でありました渡邉綱男が、後任の審議官に森本英香が新しく就任しております。ご報告申し上げます。
 なお、渡邉局長及び森本審議官は、現在、別の会議に出席しております。途中から出席の予定でございます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。資料1、参考資料1、参考資料2となっております。資料に不備がございましたら、事務局までお申しつけください。
 なお、本小委員会の資料と議事録につきましては、後日、環境省のホームページにおいて公表されますことをお伝え申し上げます。
 それでは、林委員長、よろしくお願いいたします。

【林委員長】 それでは、これから第10回動物愛護管理のあり方検討小委員会を開催いたします。
 渡邉局長のごあいさつを最後ということですね。
 それでは、資料1にございますように、本日の小委員会の進め方は動物取扱業の適正化に関する16の課題、これを一つ一つ簡単に事務局からご説明いただいた後に、議論を進めたいと思います。16という大変多い数ですので、今日の小委員会だけで論議を終えることはおそらくできないと思います。できるところまで論議していただいて、残りは次回に持ち越したいというふうに思います。どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。

【事務局】 資料1をご覧ください。資料1は、これまでご議論いただいた動物取扱業の適正化の中で、我々のほうで議事録から主なご意見を引っ張っております。議事録すべてを資料に掲載するというのは困難でしたので、「主な意見」ということでご理解いただきたいと思っております。
 それでは、まず動物愛護管理法全体に関わる意見というのを若干ご紹介しつつ、個別の議題の説明に入りたいと思います。
 1ページ目。全体に関する主な意見として、ア)からコ)まで記載しています。
 ア)「動物」の定義をはっきりさせるべき。死体をフォローするかどうかも含める。
 イ)「福祉」の概念をもう少し入れるべき。ウ)仮に規制を強化する場合、それを支えるだけの人員体制、予算なども考えるべき。エ)同じく規制強化する場合は、人材育成、議論の場、こういったものを少し強化する必要がある。オ)法の見直しに当たっては、施行状況を十分踏まえながら行う必要がある。カ)深夜販売、移動販売、インターネット販売等の規制については、憲法に保障されているようなさまざまな活動の自由を侵すような決まりは、基本的には難しい。キ)不適正な飼育、飼養を何度も繰り返す人については、飼育禁止が適用されるとよい。ク)動物愛護管理基本指針には、「調査研究の推進」という項目があるので、科学的根拠が少ないということを踏まえると何らかの形で政策なりをつくっていただくといいのではないか。ケ)仮に今回強化する必要があるのであれば、監視体制を配慮する必要がある。現在の登録制だけではなく、届出制というカテゴリーも必要かもしれない。コ)法の目的の中に「生物多様性の保全」を入れることも必要と考える。
 2ページ目。ここからが個別の議論になります。委員の皆様方のお手元にある大きなファイルの中では、第4回・5回と書いてある付箋がありますが、10枚ぐらいめくっていただくと、第4回・第5回の小委員会の資料1が出てまいります。その資料1が深夜販売、販売時間についてという資料ですので、あわせて資料をご覧いただくと、わかりやすいかもしれません。
 では本日の資料の資料1に戻っていただきまして、2ページ目、<2>-1。深夜販売と販売時間について。(1)主な論点、(2)深夜販売・販売時間に係る主な問題点等、(3)ヒアリング等における主な意見。この辺は先ほど申しましたファイルの方の資料1からほぼ同じように引っ張り、若干変えている部分がありますが、基本的には既にご提示してあるものです。
 資料の3ページ目。(4)小委員会における主な意見。[1]深夜の販売規制の必要性について。ア)「命あるもの」は基本的には夜中に販売することは禁止、規制すべき。科学的にまだ知見がないこともありますが、やはり科学的に解明されていないと法律で規定できないということでは必ずしもないのではないかということで、やはり禁止すべき、規制すべきというようなご意見です。
 [2]深夜の販売規制か生体展示規制か。主には、やはり生体展示規制ということが中心になるのではないかということです。
 [3]規制の対象動物について。主に犬猫を中心に考えていくべきではないか。動物全般というご意見もあるのですが、爬虫類以上の動物というと、なかなかデータがないということもあり、段階的にまず犬猫からスタートするということもよいのではないかというご意見です。
 [4]規制の具体的数値について。夜7時ないし8時ぐらいまでで終わりにして翌朝9時ぐらいまでがいいのではないか。総展示時間としては6時間なり8時間なり、間に休息時間を設けるのがいいのではないか。
 [5]法律上の規制の位置付けについて。基本的には政令、細目などを守るように、それを明確にするということですが、例えばア)のように、法の中に独立した罰則規定を設けるぐらいでないと、なかなか規制は難しいのではないかといったご意見が、今出ております。
 以上でございます。

【林委員長】 ありがとうございました。それでは、この課題について、これまでの論議も踏まえて、お手元にあります資料1をご覧になりながら、どうぞどこからでも結構ですのでご意見をお願いします。打越委員、どうぞ。

【打越委員】 深夜販売のところから議論していくということで、規制の対象動物について、犬猫からスタートというふうなお話があったんですけれども、私は犬猫に限定せず、哺乳類全部を入れていいのではないかというふうに思っています。ウサギとかハムスターも、深夜販売に関しては、私は反対です。

【林委員長】 どうぞ、野上委員。

【野上委員】 今日は、動物取扱業者以外の法律全体についての意見も可能なのでしょうか。

【事務局】 はい。

【野上委員】 それでは、法律の目的について。動物の管理に関する事項の中に、「動物による人の生命、身体、財産に対する侵害を防止する」というところがありますが、この中に、例えば生物多様性ですとか、環境という概念を入れてもいいのではないかという意見です。実際、第25条に周辺の生活環境の保全に関する措置というのがありますので、環境の部分はある程度は入っていると考えられます。
 次に、基本原則ですが、「動物が命あるものである」ということになりますと、当然、命ある動物には昆虫なども含まれると思います。この法律には動物の定義がなくて、第44条の罰則の項目の中に、愛護動物の定義はあるのですが、動物そのものについては定義がないわけです。生命尊重を理念として、すべての生き物を対象とするということが今までの解釈だったと思いますけれども、遺棄と虐待について処罰の対象となるのは、こういう動物だというふうに定義されています。この法律の動物の定義としては、やはり諸外国の法律のように、脊椎動物とまでとすることが妥当ではないかと思います。それによって二つの効果が得られるのではないでしょうか。
 一つは、両生類や魚類の遺棄の禁止ということで、外来生物対策の一助となります。もう一つは特定動物について、最近は外見が美しいということで、ヤドクガエルですとか、ピラニア等がペットとして飼育されています。こういう動物は毒があったり、あるいは人が咬まれるといった危険な側面もありますが、現状では魚類と両生類が除外されているために規制できないという問題があります。ですので、そういう意味でも、脊椎動物まで、としたほうがいいのではないかと思います。
 さらに、基本原則には動物の習性を考慮して、適正に取り扱うということが書かれています。現在の家庭動物、展示動物、実験動物、産業動物の基準の中に、すべてに動物の生理、生態、習性に考慮して、理解して適正に飼育するということが規定されており、これは実質的に動物福祉の概念そのものであると思います。ですので、現行基準の根拠として、基本原則の中に、動物福祉の国際原則である「5つの自由」ということを書き入れることについては、何の問題もないのではないかと思います。

【林委員長】 ほかにいかがですか。

【小方委員】 「科学的な知見」という表現がいろいろなところに出ているのですが、内容的にはかなり幅が広く、その知見を取り入れるには、かなり時間がかかる部分があるように思います。したがって、今後、的をどの程度絞るか。そしてもう一つは、日本での状況も加味しながら検討していくということが必要なのではないかなと思っております。

【林委員長】 どうぞ、加隈委員。

【加隈委員】 動物愛護管理法というか、動物関係の法律の全体に関して追加する意見としましては、度々、議論の中でも他省庁の所管する法律との関連ということで、わからない部分とか、規制が及びにくい部分というのがありましたので、これもすぐにできることではないのですが、将来的に、おそらく5年や10年以上のことかもしれませんが、諸外国で見られるように、動物に関連する法律の大きな枠組みを全体として見直すということ。これは、諸外国では農水省の管轄としての「動物福祉法」というものが一般的のように見受けられますので、農水省とか獣医療との部分でかなり重複が多いので整備していくということを、将来的に計画的にやっていただけたらと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。ほかによろしいですか。どうぞ、青木委員。

【青木委員】 仮に深夜販売であるとか販売時間を規制する場合に、犬猫だけから始めたほうがいいのかどうかという問題については、私自身が発言をしたことであるので、少し補足をしておきます。
 この整理にもありますが、当初、皆さんがおっしゃられた意見で、「買う側の問題」ということをおっしゃられた委員の方もかなりいらしたように思います。それに対して、科学的に完全に解明された部分は「必ずしも多くない」というご発言もあったと思います。その二つを踏まえて、このように憲法的な意味での営業の自由をある程度制限するというのは、かなり客観的に納得できる根拠がないと難しいだろうというふうに発想しまして、なるべく科学主義的にやるほうがいいだろうという発言をしました。
 そして、同じときにまた別の委員の方からは、その科学主義的というところに関連して、「犬猫はよく寝ることはみんなわかっているぐらいのレベルでもいいのではないか」というようなお話もあったように思います。
 ですから、科学的知見というものを本当に専門家的なレベルでとらえるか、ある程度みんな納得できるレベルで大体合意ができるというレベルでとらえるかという問題と、それから人、買う側といいましょうか、犬、猫、あるいは哺乳動物の生理学的な福祉を害するかどうかという自然科学的な意味とは別の「動物愛護の気風を涵養する」という目的が確かに法の中に入っているので、仮にそこを重視するのであれば、そういう売り方をすると、動物愛護の気風が害されるというところをはっきりとした根拠として、説明できる必要があるというふうに思います。
 華やいだ雰囲気の中で買ってしまう人は確かにいると思うんですけれども、そういう人ばかりかどうかということを因果関係で証明しろというのは、なかなか難しいかなという気がしたので、科学主義的なものは捨てないほうがいいというふうに発言したわけです。
 ただ、私も専門家的な意味の完全な証明が必要だというつもりではなくて、犬猫だったらある程度、みんなよく寝ることは合意できるというのであれば、単にかわいそうだといったような感情的・直観的な言葉とは違う言葉で説明できるように思いまして、そのように発言しました。以上、補足です。

【林委員長】 どうぞ、磯部委員。

【磯部委員】 今、青木委員が言われたような法の基本的なあり方に関しての基本問題がありますので、この1番の法律全体に関する意見として、今、各論的なことも含めてここで全部言えと言われると、いろいろなことを言わなければならないので、そういう各論的なものが一通り済んだ段階でまた、ということでいかがでしょう。

【林委員長】 もう一度、また各論のところでおっしゃっていただいても結構ですし、最後、また全体を振り返ってということでも結構です。今のは本当に今日のこの原則についておっしゃっていますので、それはそれで結構だと思います。

【磯部委員】 はい、わかりました。基本的なことを申し上げれば、この憲法に関わる問題であるかどうかということも、すべてはこの法律を、どういう性格の法律にするかということに関わっているわけです。世の中に存在している非常におかしな対象に関して必要最小限的な規制を可能にする立法にしようということであるなら、比較的問題はわかりやすく、ある意味で甚だ法技術的な、法政策的な選択の問題になります。この法律に特有の問題というよりは、ほかに幾つもある各種の規制法と足並みを揃える形で、現行法の延長線上に必要な規制を付加していけばできると思いますが、そうではなく、もっとあらゆる動物に及ぶ法制度、つまり農水省所管の家畜であるとか大学などで使う実験用動物なども含めての包括的な動物愛護の理念とか福祉とかという話になりますと、これはちょっと話が大ごとになります。
 まだ一つの法律の中に、基本法的な部分と個別規制法的なものを同居させている法律もないではないですけど、便利ではあるがデメリットとしてちょっとわかりにくくなるという面もあります。
 私も今の段階ではどちらがいいのか、どうするつもりかということに決断がつかないので、そういう問題の所在だけ指摘しておきたいと思います。

【林委員長】 大変重要なポイントをおっしゃっていただいたのですが、これまでも基本法的な側面と、個別規制法的な側面と、両方をやはり考えながら来ていると思います。
 例えば昨年COP10がございましたが、環境問題は環境省だけではなくて農林水産省も国土交通省も、もちろん外務省も絡むのですけれども、環境省のように大胆に基本を打ち出しながら省庁が連携してやっていくというような枠組みがどんどん進んでいます。
 残念ながら家畜については、日本の場合は先進国で見たら世界的に遅れている側面がある中で、環境省でこれをかなりあがなっていますから、理念として基本法的なところで打ち出しておくことの必要性は、国際的に見てもあり得るというふうに考えてはおります。
 それから、野上委員がおっしゃった生物多様性は、これまでもこの動物愛護部会で生物多様性までいくのかと取り上げられてきました。あまり抱え込みたくないのは単にわがままですけれども、環境省の中にはもう一つ、野生生物部会という部会がありまして、そこでは生物多様性について非常によく考えられています。
 論議の中でこの二つは絡むわけですが、縦割りの考え方ではもうそろそろいけないのではないかと思います。特にこの法律の規制について、青木委員がおっしゃった「広く国民に広める役割」ということを考えますと、例えば動物取扱業というのは悪ではなくて、実際には例えば社会教育に貢献しているところもあり、家庭の中で家庭動物と一緒に暮らすことについての貢献度というのは、業界としては非常に高いわけですから、動物取扱業になることを進んで業界が求めてくるというようなインセンティブが働くような仕組みを考えますと、動物愛護部会の中だけで閉じこもっている必要はないだろうというふうな気持ちも、少しずつ強まってまいります。
 まず個別に論議してまいりますけれど、どうか最後にまた全体的なことをお話しいただければと思います。太田委員、どうぞ。

【太田委員】 深夜営業に関してですが、業界団体としては動物の負担を考えて、深夜営業は禁止すべきと考えています。時間的には夜8時くらい以降は禁止としてほしい。法律の実効性を考えますと、すべての動物にわたったほうがいいのかと思いますが、実際には夜行性等の動物もおりますので、せめて哺乳類くらいまで規制していただいたらと思います。以上です。

【林委員長】 ほかにご意見はありますか。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 前回でも申し上げたのですが、この深夜営業をしている業者は、特殊で数が少ないということです。ここで売られている動物は、犬猫以外にも、エキゾチックアニマル、特にサル類が多く売られています。サルなどは明らかに夜は眠っている動物ですし、サル、犬猫だけに限定するのではなく、一応はすべての動物としたほうがいいと思います。

【林委員長】 打越委員、どうぞ。

【打越委員】 先ほどは時間のことがあるので短く話したのですけれども、根拠等についてお伝えします。犬猫に限定せず、せめてすべての哺乳類というふうに思うのは、先ほど青木委員もおっしゃったとおり、やはり買う側の気風というものを考えたときに、犬や猫は規制が厳しいけれど、ウサギやハムスターだったら深夜に気楽な気持ちで買って帰っていいというようなものでは決してないと思います。
 同じように温かい体温を持って、家に帰って面倒見ることによって癒しを得るような存在の動物に関しては、深夜営業というような過酷な環境に置くのは望ましくないという意味でも、飼う側の心構えという点で深夜販売に反対するのは犬猫に限定しないということになります。
 それで、この議論にあわせて、中間の取りまとめを持っていくのにあわせて話を一歩進めた場合に、4ページ[5](小委員会のおける主な意見)の法律上の規制の位置付けについて、というところが気にかかります。というのは、深夜販売を禁止するというか、できなくするということに私は大いに賛成なのですけれど、それを一体どこに書くのかというのがとても悩ましいというふうに思います。動物愛護管理法の法律の条文の中に、8時までというふうな時間を書くというのは、そういう詳細な部分に関しては政令とか省令とか規則レベルで書くことになっていくのが、大体相場だというふうに思うんですけれども、政令とか省令などのレベルで厳しい規制をして罰則を設けるのは、なかなか訴訟上も難しい部分があるのではないかなというのが、とても心配なところであります。
 もしも、法律の条文に直接入れて強力に規制していくことができないとか、政令等で営業停止措置にすることができないなら、深夜営業は大変に動物にとって好ましくないというようなメッセージを非常に明示的にアピールし、そういう営業をしている業者は悪質な業者であるとアピールしていく。法規制ができないならば、絶対にそれを根絶していくような世論を喚起するというようなことが必要だと思います。もちろん、法律上で規制する条文を入れられるとしても、よろしくないということを外部にアピールしていくべきだと思います。

【林委員長】 この問題は深夜営業に限らずほかの項目でも起きる問題で、最後に事務局からご説明があると思うのですが、法技術的な点についてはまた別に論議したいと思います。今の法律でも、例えば動物愛護週間などは、法律の中にこのときにやると決めている。最初に見たときにはちょっと不思議に思ったのですが、そういうこともできないわけではございません。

【井本委員】 深夜営業は、私も禁止したほうがいいと思います。あとはどういう動物種かということになりますが、夜行性だからいいだろうということはないんです。夜行性の動物は暗いところで動いているわけで、煌々としたところで動くわけでないのです。そうすると、販売店が真っ暗にするかという話になりますが、そんなことはあり得ないわけですから。夜行性の動物を考えたとしても、販売はすべきではないというふうに思います。

【林委員長】 どうぞ、永村委員。

【永村委員】 基本的に私も動物の深夜販売というものに対しては反対でありますけれども、その対象動物の範囲を含め、なぜ8時なのかということを一体誰がどうやって証明できるか。いろいろな動物が含まれる中で、一律になぜ8時なのか。9時ではどうしていけないのか。非常に劣悪な展示をしている業者もあれば、きちんと動物に配慮した業者もあると思うのです。その辺のところを一切抜きにして、また動物の範囲も極めて多種多様なものがある中で、表現は悪いのですけれども、「情緒的に8時だ」というような法律の決め方が本当に通るのであれば、深夜販売自体は反対ですけれども、いささかそこに疑念があるということだけ意見を申し上げておきたいと思います。

【林委員長】 渡辺委員、どうぞ。

【渡辺委員】 一般的な感覚として、これから長い年月、家族として寿命が尽きるときまで一緒に暮らそうという生き物を迎えるに当たり、どうして購入するのが深夜でなければいけないのかと思います。
 それから、どうして8時なのかという今の永村委員のご意見ですけれども、ではなぜ8時以降でなければいけないのか。8時以降でなければ自由時間がとれない人でも、命の責任を負うという契約をするときには無理をしてでも、普通の営業時間内に行くべきではないかと思います。

【林委員長】 打越委員、どうぞ。

【打越委員】 今の7時、8時という科学的な根拠がなかなか難しいというお話についてなんですけれども、例えば道路のスピード違反を考えてみましょう。ここまでは法定速度60キロだとか、ここは40キロというふうな規制や取り締まりがたくさん全国にあるわけですけれども、それについて一つ一つものすごく科学的な根拠で、例えば、この道路を40キロ以上のスピードで走ったら必ず事故が起きるとか、道路構造を壊すとか、そういったことまで判断して数値を決めているわけでは決してなくて、全体的な社会通念上で、このぐらいのスピードだったら問題がないのではないかというところで、道路の一つ一つのところまで決まっているわけで、全部をすべて実験して数字を決めたわけではないわけですよね。もちろん道路の幅とか、そういうのもあるわけですけれど。
 そういった意味で社会通念上、時間の目安というのが夜7時、8時ということで、ある程度、委員の間で合意が得られ、しかもそこに世論も含まれるのであれば、100%科学的に8時じゃないとだめとか、9時じゃないとだめというような根拠がないからといって、販売時間を規制できないということはないと思います。

【林委員長】 野上委員、どうぞ。

【野上委員】 現在の施行規則の中に、業の形態についての条文がないと思われます。これが不備になっていますが、例えば業の形態として、深夜営業や長時間営業等は移動販売も含めて動物に与えるストレスやダメージが大きい。そういうことを避けるようにということを施行規則の中に明記して、さらにその具体的な数値については告示の中に、例えば展示時間は8時間とするとか、休憩時間を2時間入れるとかというふうに入れることによって、解決できるのではないかというふうに思います。

【林委員長】 そろそろこの論議を終わりたいのですが、いかがでしょう。
 どうぞ、渋谷委員。

【渋谷委員】 営業等に関する規制を行う場合は、憲法上、営業の自由というものがありますので、それを規制していくことになるわけですね。営業時間などにしても、それから全面禁止にしても。それを禁止する理由というのはしっかり考えていかないといけないのではないかと思いますが、動物自体が苦しんでいる、だから制限できるという理由が通用するかどうかですね。
 もう一つの理由として、国民の動物に対する愛護感情が侵害されているから、それに基づいて規制していくという考え方があると思います、後者のほうであれば実現性はあると思うのですけど、動物自身が苦しんでいるからそれを対立利益として規制していくのは、今の憲法上はちょっと難しいかなという気がしています。
 後者のほうの国民の動物に対する愛護感情を利益として規制していくという前提で、どこまで規制が許されるかというのを考えていかなければいけないと思っております。

【林委員長】 そうですね。先ほど打越委員がおっしゃった点は、非常に重要なポイントではあるのですが、時速が20キロ、30キロに制限されていても通れないということではないんですね。ですから、例えば深夜営業をする場合にルクスをここまで下げたらいいというようなこともあり得るわけです。例示されたスピードは、明るさ基準に似ている感じがします。今、渋谷委員がおっしゃった、この自由をどこまで制限できるのかということについては、きちんと論議すべきであろうというふうに思います。
 それでは、次に移ってよろしいでしょうか。

【事務局】 続きまして、5ページ目。2番、移動販売(特定な店舗を持たない販売形態規制の検討)。(1)、(2)、(3)は先ほどと同じです。
 6ページ目(4)小委員会における主な意見。移動販売について。[1]規制の必要性については、厳しく規制、もしくは禁止にする必要があるのではないか。[2]規制の内容についてはア)からカ)までとなっています
 ア)販売方式そのものの禁止については、憲法で保障されている営業の自由に抵触するおそれもある。イ)移動販売でも基準をきっちりクリアして対応していれば、それをダメとするのは非常に難しいと考える。ウ)基準を守られる仕組みがあれば規制できないと考えるが、感染症対策、トレーサビリティー等で難しい。エ)トレーサビリティー、アフターケア、感染症問題が担保できるということであれば、禁止が困難であっても担保が必要なのではないか、等。
 [3]規制の対象動物については、これまでのところ主なご意見はございません。
 7ページ目、[4]法律上の規制の位置付けについて。主には、細目のあたりで規制するのがいいのではないか。以上でございます。

【林委員長】 いかがでしょうか、ご意見、ご質問ございませんか。大体これまでの論議を非常に短くまとめていただきました。特に追加すべき点、あるいは深める点がございますか。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 細目の中にきちんと、例えば固定店舗と同様の説明責任があるとか、行政が必ず立入審査をしなければ開業できないとか、あるいは感染症が発生した場合には業者が損害賠償責任を持つとか、トレーサビリティーやアフターケアの補償契約をするとか、さまざまなことをきちんと定めていきますと、恐らく移動販売のメリットというのがなくなってきて、衰退していくのではないかなと思います。ですので、この事業形態についてきちんと定義していくことが必要ではないかと思っています。

【林委員長】 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、この移動販売については、ここまでとしたいと思います。

【事務局】 続いて7ページ目。3番、インターネット販売について。8ページ目です。
 (4)小委員会における主な意見 [1]規制の必要性について。苦情などの問題も多く規制が必要。[2]規制の内容について。ア)インターネット販売そのものは憲法上の理由から禁止規制にするのは非常に難しいのではないか。イ)輸送の手段も同じような考え方で難しいのではないか。ウ)とエ)は、対面販売それから対面説明の規制をする必要があるのではないか。オ)自治体の取締規制の実行可能性について検討が必要。[3]規制の対象動物について。主な議論はございません。[4]法律上の規制の位置づけについて。法律上きっちり規定する、法律レベルで規定するのは難しいにしても、施行規則や細目などの公的な文書の形で示していくことが必要ではないか。以上でございます。

【林委員長】 それでは、インターネット販売につきまして、打越委員、どうぞ。

【打越委員】 インターネット販売、直接動物を見ない、あるいは直接新しく飼い主になる人に会わない、つまり対面販売、対面説明をしないインターネット販売というのは本当に危険であり、衛生面という点でも、消費者保護というのでしょうか契約のトラブルという点でも、動物の福祉という点でも、深夜販売と同じぐらいのリスクがあると思います。ですので、本当は規制したいと思うのですが、8ページ[2](小委員会における主な意見・規制の内容について)のエ)とオ)のバランスが一番の問題だと思います。対面販売、対面説明を必ずすること。それであるならば、例えばインターネット上で画像を載せて、それを見てそのブリーダーさんのところに行くという仕組みであれば、別にそれは問題ないわけです。
 ところがそれをどうやって取り締まるかというと、こんなに難しいものはない。インターネットは世界中どこでもつながっていますし、どこでやりとりしているかというのを自治体なり何なりが押さえることが非常に難しい。だからそれを取締の実行可能性のある何か手段が見つかるならば徹底的に規制して、必ず対面でという仕組みにしたいのです。
 自分でも今、どうやってこれを取り締まったらいいのかというのが難しいなと思っていて、例えばこういう規制の方法があるならば、このインターネット販売を取り締まれる等、何かアイデアがあったら、他の委員の皆さんに聞いてみたいというふうに思います。

【林委員長】 いかがでしょうか。どうぞ、野上委員。

【野上委員】 それは簡単ではないかと思うのですが。現在でも販売する側には、説明をして、納得をして、同意をしてサインをするという習慣になっていますので、対面をして、サインをしなければ契約は成立しないという形にすれば、いいのではないかと思います。
 現在、医薬品については厚労省がインターネット通販を禁止しまして、業界が裁判を起こしたんですけれども、1審では業界側が敗訴しています。これはやはり薬の副作用ですとか、きちんと説明をしないと危険であるということから、そういう規制が行われているわけですので、動物についても対面をし、あるいは自分が直接動物を見て買う。今後のペット文化として定着させていくためにも、対面をしてきちんと同意をして、サインをするという習慣を根づかせていく必要が、あるのではないかと思います。

【林委員長】 打越委員、どうぞ。

【打越委員】 つまり今の野上委員の考え方というのは、悪いことやそのルールに違反したときがあったときに、それを取り締まって罰則を与えるというところから規制を考えるというよりも、ルールを明示してそれを広く知らせていく。そうすることで、それをやらない業者というのは危険な業者なんだよということを多くの人に知らせる。
 つまり公権力によって規制するやり方ではなくて、規制を明記することによって、ルールを根づかせていくという効果があるのではないという発想かと思います。いざ何かがあったときに捕まえるということを前提にした規制というよりも、それを明記することに意味があるというようなご意見と理解してよいでしょうか。

【林委員長】 どうぞ。

【野上委員】 それは両方の側面がありまして、やはり規制がなければルールはできないので、どちらかというよりも両方で相まっていくものだと思っています。

【山口委員】 私もインターネット販売は禁止していただいて、対面販売をお願いしたいと思っています。今、野上委員が両面とおっしゃいましたけれども、今までも相当インターネット販売のことで私どものところに苦情が来ておりますし、実際、相当な事例もあります。動物の命に関わっていて、かつこれは刑事事件になると思うのですが、クリックしてお金を振り込んだ途端に画面が全部消えてしまって、動物も来ない、お金も戻ってこないという完全に詐欺のような事件も起こっております。ホームページで写真を載せるのはどこのホームページもしておられるのでそれはいいのですけれども、購入するときには写真を見て、そこに行って対面販売することが義務づけられなければいけないと思います。
 そして、それに違反して直接見ないでネットで直接売買ということをしてしまった場合には、それなりの罰則規定を設けていただけないと、日本の場合、罰則規定がないとなかなか物事が浸透しないように思いますので、ぜひそれはお願いしたいと思います。

【林委員長】 加隈委員、どうぞ。

【加隈委員】 ちょっと確認をさせていただきたいなと思ったのですが、インターネット販売という言葉に限定してしまうと、例えば北海道でブリーディングをされている方がいて、東京の方がそれを買いたいといったときには、直接自分が行くかブリーダーさんが直接持ってくるか。もしくは東京にあるどこか、例えばペットショップなどが空輸して入れたものであればそこから買えるということになって、むしろブリーダーさんから直接買うことがかなり困難なのかと思ったりします。特に希少な犬種などは、そうやってでも(インターネットでも)買いたいという方もいらっしゃるかと思います。
 インターネットを必ずしも使っていなくても、例えば広告があって電話をしてとか、そういうやりとりもあり得ると思うのですけど、それも含めて、対面をとにかくどこかでちゃんとしなければいけないという形にもっていくべきかどうか。今の議論を伺っているとちょっとそうなのかなと思ったんですけれども。

【林委員長】 今の議論は、例えば別にインターネットでなくても、ファクスで知らせることだってあり得るわけですが。最後に契約を成立させるというときは、絶対、対面でなければならないと、こういうことですね。そういう論議で今まで全部進んできていますが、そういうことでよろしいですか。どうぞ、太田委員。

【太田委員】 インターネット販売と移動販売に関してはあまりにも問題が多過ぎるということで、業界全団体、愛護団体、それから獣医師会を含めて15の団体で、移動販売、インターネット販売は禁止してほしいというキャンペーンを現在、行っております。
 前回の法改正のときにおいても、インターネット販売については問題があるということでしたが、前回は禁止に近い規制をするということで、具体的に決まらなかったかと思います。買う方も売る方も現物を確認して犬を買うというのが原則ですから、前回のヒアリングにおいても、インターネット仲介業者がブリーダーから直接犬を飛行機で送って、販売するという形がありました。ブリーダーが直接送るということは、販売者が確認をしていないわけです。前回の法律では、ブリーダーが現物を確認するのを代行するというような形の法律も認められていたような気がしますので、ぜひ今回は、現物を確認しない取引は禁止してほしいと思います。

【林委員長】 磯部委員、どうぞ。

【磯部委員】 打越さんが最初に言われたように、この問題は大変難しいと思いますし、専門的な検討も必要だろうと思います。確かに、通信販売のように、郵便を用いた販売のような非対面販売は昔からあったわけですが、インターネット販売はさらに容易過ぎるので、いろいろな問題が生じているということだろうと思います。これはほかの業種にも、同じ共通の問題があろうかと思います。単発的な販売行為ではなく、それを業として行うことを規制する問題を抱えているものは、たくさんあるわけです。
 動物でも、うちの犬が子犬を産みましたから欲しい方に差し上げますみたいなことを個人と個人がインターネットを使ってやりとりすることは、別に業としてやっているわけではない。仮に対価の支払いを伴ったとしても、単に1回限りの契約をするという行為まで規制できるかというと、これはなかなかできないのだろうと思います。
 規制の対象として、さきほど薬の通販の話が出ましたが、これはやはり商品として危険なものであって、人間の生命、健康に直接、危害を加える可能性があるということが、非常に大きかったと思います。漢方薬などの業界では、非常に問題を生じているというふうにも承知しております。そういう規制による被侵害利益の明確さ、深刻さというものが前提になったと思います。
 それから、古物営業法とか質屋営業法ですね、これは要するに盗品でもインターネットオークションなどで容易に販売できてしまう。これはやはり現物の対面販売で、しかも誰が何を持ってきたということの記帳義務が業者には課せられているわけですから、もっぱらそういう公共の安全秩序の維持ならびに犯罪捜査の便宜という観点から、贓物という犯罪に使われたようなものが取引されないように、明確な保護法益というか被侵害法益があるわけですね。
 それでは動物の通販の場合はどうなのかということですが、結局だまされることが多いではないかという一種の消費者保護的な話をしているのか、もっと進んで、取引されるものが動物という命あるものであるのだから、その尊厳を確保しなければならないという観点なのか、問題はやはりそこにかかってきて、最初の論点に戻るのかと思います。したがいまして、深夜販売も、移動販売も、インターネットオークションも、こういったものは全部、買いやすくなる、便利になるというメリットでは共通しているのかもしれません。しかしそこで失われている法益の大きさ、深刻さ、重大さというものをしっかり把握できれば、基本的にはほぼ共通の論理で規制をすることはできるかもしれません。
 ついでに言えば、そういう基本原則から由来する規制である以上は、深夜に関しては時間の規制が必要だということについても、やはり政令ではなく、基本的には法律に書いておくべきでしょう。
 何時から規制するべきかということに関して、もし地域性があるということなら、六本木なら9時でいいけれど田舎なら夜が早いから7時で十分というような地域差を設けることに合理性があるのかどうか。あまりないのでしたら法律で一律に書いておく。例外の余地を何か残しておく方が安心なような気がしますけれど、いずれにせよいきなり政令で定めるとなると、そもそも政令に委任できることなのかというとちょっと疑義があるかもしれません。移動販売の規制なども、やはり基本原則はなるべく法律に書くというのは、この際基本だろうと思います。

【林委員長】 制限を加えるということに共通の一つの考え方をもって行うというのは、おっしゃるとおりだと思います。
 どうぞ、水越委員と山口委員。

【水越委員】 個人的には本当にインターネット販売も移動販売も禁止していただきたいなとは思っているんですけれども、非常に規制が難しいということもよくわかりました。移動販売とインターネット販売に関して、共通するのは移動の問題だと思うんですね。やはり生きているものを輸送するというような問題を、いわゆる細目でも構わないので、きっちりそこで規制をするということは可能なのではないかと思います。幼齢動物を、本当に生きているものを輸送するというようなところで何か加えていただければなというふうに思います。

【林委員長】 ありがとうございました。山口委員、どうぞ。

【山口委員】 私は、深夜販売も移動販売もネット販売も禁止すべきと思っているんですけれども、先ほど磯部委員がおっしゃった共通の根拠になるようなものということについて、やはりこれは動物愛護及び管理に関する法律ということから言いますと、動物の福祉が確保されないといけないということで、その動物福祉の確保ということを共通の根拠にすることはできないのでしょうか。

【林委員長】 どうぞ、磯部委員。

【磯部委員】 今のご意見は非常に明解です。例えばそういうふうに説明するならば、それを基本的な理念レベルで明確化すると同時に、具体的な規制として条文化すればいいわけです。ただ、動物の福祉という概念自体に本当に違和感を感じるという方もまだおられるかもしれないので、断固として基本法的なレベルで明確化する方針でいくか、もっと実をとる形で、他のよくある規制法の一種としてかということだろうと思います。
 それから念のため、誤解のないように、原則として禁止した上で、相対的に禁止を解除する場合もあり得るということです。つまり禁止といっても、絶対的な禁止と相対的な禁止が法律にはあり得るわけでして、未成年の喫煙、禁酒などは絶対的な禁止であって、この子はませているから18歳で飲んでもいいという例外許可はあり得ないわけです。運転免許もそうであって、無免許で運転するということは絶対禁止ですが、運転の技能があり法令知識があるという場合には、この車種ならば禁止を解除してやるというのが許可で、それが運転免許制度です。ちょっと教科書的なことを言って恐縮です。
 だから原則は禁止だけれど、条件が満たされれば例外的に許容する、許可制度でしっかり監督する。もし違反があったら直ちに取り消すという仕組みも十分あり得るだろうと思います。そういうのが合理的なのかどうかは、ちょっとわかりませんけれど、手法としてはあり得ると思います。

【林委員長】 また次のオークションが出てまいりますが、このインターネットについては、これでよろしいですか。次に4番目、オークションについてのご説明をいただきます。

【事務局】 8ページ目の4.オークション市場。9ページ目の下にある(4)小委員会における主な意見です。[1]規制の必要性について。現在、法律の規制対象からは外れており、それが問題という観点から、動物取扱業として法律の体系の中に入れて基準をつくり、監視する仕組みをつくることが必要。[2]規制の内容について。ア)オークションに参加するブリーダーが果たして登録業者であるかどうか、確認が困難であり、この確認ができる仕組み、合法性を確認する仕組みをつくることが必要。イ)トレーサビリティーについて、ブリーダーが自分の繁殖した犬に対して責任を持つという点で、繁殖業者名を公表することは今後可能と考える。ウ)インターネットオークションがすべて悪いということではないが、あり得ない値段を許容しないという規制ができないか。エ)自治体側の実行可能性についても検討は必要。以上です。

【林委員長】 それではご意見、ご質問いただきたいと思います。渡辺委員。

【渡辺委員】 太田委員にお伺いしたいのですけれども、動物と暮らす方たちの多くが、インターネット上であれ実際の生体市場であれ、その生き物を競る、オークションするということに対して、非常に違和感とか不安とか嫌悪感とかを持っています。
 先ほどから、憲法で保障されている営業の自由は守られるべきということでお話が何度も出ていますが、例えば今あるオークションをもっと私たちが受け入れやすい、好ましい形に変更していくことはできないのでしょうか。そういう可能性がないのか、あるいはそういうことを考えておられるのかお聞きしたいです。
 そうした方向へと、徐々にでもシフトしていけないだろうかという希望があるんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

【林委員長】 太田委員、どうぞ。

【太田委員】 命あるものを競りにかけるというのは、いかがなものかというご意見、愛護団体の方にあるのは承知しています。しかし現在、日本では同じ生き物で牛や馬においても競りがありますね。犬だけどうしていけないのかというのもちょっと私たちはひっかかるのですけれども、確かにオークションに関しては、いい面と悪い面というのがあると思います。オークションの歴史は日本で約30年くらい前から発生しまして、現在、全国で15くらいの団体がオークションをしています。年々その比率が高くなっております。それだけオークションのよさが、ある面では業界の中で認識されてきた結果かなと私は思っています。
 以前の小委員会の参考資料の中に約60ページの全国ペットパーク流通協議会の資料が添付されておりますけれど、オークションそのものも現在、一生懸命、業界のレベルアップに努力をしております。
 またオークションに参加する人は全員が動物取扱業者ですので、毎週一度会うことによって、現在ではその場を通して業界の研修、勉強、レベルアップをするようになっています。そういう点では、オークションはすべて悪というわけではなく、オークションにも努力しているいい面があるということへのご理解をお願いしたい。

【林委員長】 永村委員、どうぞ。

【永村委員】 今、太田委員からもございましたけれども、一度、子牛の競りとか、競走馬の子馬の競りをご覧になればわかると思いますけれども、これは買い手も売り手も大変なお祭り騒ぎで、非常に明るい雰囲気でやられているわけです。
 犬がどうして非常に嫌悪感を持たれるのか、その辺のところは私はよくわかりませんけれども、恐らくその競り場の雰囲気なり、そういうものをご覧になって何か非常に違和感を持たれたのが原因なのかもしれません。
 この競りをそもそも何のためにやるかということですけれども、牛とか競走馬、あるいは畜産の場合は、昔は非常に悪質な業者が農家の庭先に行って買い叩いたというところから発生しているわけです。要は、売り手は買い手に適正な価格をきちんとつけてもらいたい。そこから競りというものが起きているわけで、あくまでも、経済的な一つの売買の方式として成り立ってきています。
 ですから、子犬が現在かなりの比率で競りを通して取引されているというのは、一つは非常に経済的な、あるいは適正な価格の売買という面がまず非常に大きな理由だと思っています。そこに動物愛護の観点からどう見るかというのも、また一つの別の問題として今、提起されているわけです。まずそこのところを十分理解していただかないといけません。子犬が非常にかわいそうだという観点からだけになりますと、ペットを取り扱っている業態全体がまさに沈没しかねないような話になる、こういうことだと私は思っています。

【林委員長】 どうぞ、打越委員。

【打越委員】 渡辺委員が嫌悪感を感じると言ったのには、もしかしたら二つの要素があるのではないかと思っています。一つめとして思うのは、子犬や子猫が、「はい、幾らだ、幾らだ」といって、値付けされていく、そのこと自体に対する嫌悪感。経済的に合理的な仕組みだというのは渡辺委員も多分お分かりであるとは思うんですけれども、同じ猫でも、例えばアメリカンショートヘアであってもこの子は形がどうだ、この子は形がどうだとか、顔つきがどうだというので変わる。「はい、幾らだ、幾らだ」と言って勢いよく、明るい雰囲気だというふうに今おっしゃられたんですけど、そこに勢いよく値付け、値踏みをされていくということが、多分、犬や猫を分け隔てなく愛している人から見ると本当に心が傷つき、嫌悪感を持つというところだと思います。
 それに関しては、永村委員がどんなに明るい雰囲気で清潔にやっているよというふうに言っても、それはきっと渡辺委員にとっては乗り越えられない感覚なのではないかというふうに思います。
 その渡辺委員のお気持ちを十分に理解した上ですが、経済的取引としてブリーダーとの直接販売というやり方が日本に根づいていない中でそれを全部シャットアウトしてしまうと、ペット業界に関する知識はないけれども家族で犬を飼ってみたい、猫を飼ってみたいと思う人たちがペットを飼う機会がなくなってしまう。だから、こういう形で取引の場が必要だということをもし認めるのであれば、プロ同士の取引の場なのですから、本当に衛生面とかトレーサビリティーの面などをきちんとやっているということを証明して見せてほしいと思います。
 何度も言うとおり、ショップと消費者というのはプロと素人の場ですが、市場、取引の場というのはプロ同士の関係なのですから、それこそプロフェッショナルとして、一般以上の高い倫理や基準が求められるのではないでしょうか。そういった意味では、保管している間の犬や猫の状況はどうなっているのか、例えば競りで明るい雰囲気だといっても、ものすごい大きな音がわんわん鳴り響いているようなところに置いていないか、感染症対策などきちんとしているか。それを常に常に日の元に照らす覚悟があるか、いつでも自治体の担当者の査察を、しかも抜き打ちで入れることを認めるだけの覚悟があるか、それから、先ほど太田委員がおっしゃったとおり、研修など努力しているか。そういう取引の場であるならば基準はしっかり守ってもらう。でも最終的にそういう取引の場以外のブリーーダーと飼い主の直接的なペットの受け渡しのほうが望ましいというのであれば、そういう方向に向けて世論を喚起していく。今の段階では、そういうところなのかなと思っています。
 でも、渡辺委員が値づけをすること自体に本当に嫌悪感を感じるということは、業界の人にも理解していただきたい、そういう感覚なんじゃないかと私は思います。

【林委員長】 どうぞ、永村委員。

【永村委員】 一つだけ、これはご理解いただきたいんですけれども、牛に限らず、馬に限らず、豚に限らず、犬についても同じだと思いますけれども、犬種の改良というものは、全く金銭的、経済的要因抜きでやっているブリーダーというのは世界中どこもいないと思います。ですからどんな子犬であろうと、子豚であろうと、馬であろうと、個体差、価格の差があるのが当然で、そこに初めて家畜の改良というものが成り立つわけです。子犬・子猫に値段の差がつけられることが見ていられないというような話とは、ちょっと次元が別なのです。これだけはご理解いただきたいと思います。

【水越委員】 私は、打越委員とほぼ似ている考えです。永村委員が馬と比べられましたけれども、おそらくこの犬猫に関するオークションで嫌悪感を感じられている方が多い理由は、今の段階では犬猫の競りに関しては非常にブラックボックスだからだと思うんです。馬の競りは見に行けば見に行けます。非常にびっくりするぐらい安い値段で落とされる馬もいるし、非常にびっくりするぐらい高い値段で落とされる馬もいる。本当に永村委員がおっしゃったとおりだと思います。
 馬の競り市は公開をしているけれど、犬猫に関してはおそらくブラックボックスで、どうやっているのかわかっている人自体がほとんどいない。そこがやはり、やっていらっしゃる方以上にすごく嫌悪感を感じるところではないかと思います。そう考えれば、打越委員がおっしゃったようにそこをクリアにしていく。行政の立ち入りもそうですし、どういうふうにやっているかというようなことを一般の方々にもわかりやすくしていくことが、とても大事なのではないかというふうに思っています。

【林委員長】 オークション市場はあっていいけれども、それを徹底して公開にするということですね。後から幼齢動物の販売日齢についてもお話ししますけれど、オークション市場があることによって、それがきっちり公開された場合、より監視しやすくなりますね。

【水越委員】 そうですね。おそらくほかのいろいろな競りがありますよね。家畜もそうですしお魚もそうだと思うのですけれど、どういうふうにやられているかということを割と皆さんはわかっているから許容できると思うんです。犬や猫は、何もかも、どうやられているか自体あまりにもわからないことが問題ではないかというふうに思います。

【林委員長】 ありがとうございます。野上委員、そして加隈委員。

【野上委員】 犬種等をつくり出してきた欧米諸国、特にヨーロッパではどういう販売形態をしているかといいますと、やはりあるべき姿は、直接ブリーダーのもとに飼い主が買いにいく。産地直送といいますか、そういう関係があってこそ問題があった場合にすぐ対処できるわけですね。この前から議論されているのは、トレーサビリティーができない、あるいは感染症があったり、遺伝的疾患を持っていたりする個体が多いにも関わらず、そのブラックボックスであるオークション市場を通ってしまうために追跡もできないし、消費者が一方的に不利益を被っているという状態が指摘されていたかと思います。
 もともとオークション市場は取次ぎとか仲介業なので、本来、動物取扱業者の中に入っているべきものが今まで入っていなかったこと自体が問題であったわけです。そのためにますますブラックボックス化したのではないかというふうに思われます。
 ですので、きちんとこの業を動物取扱業の中に入れるとともに、先ほどから議論がありますように、取引の登録業者の名簿を公開するとか、産地を公開する、感染症、遺伝的疾患等の対策ができる等の透明性を確保していくということが今現在必要ではないかと思っています。

【加隈委員】 一部意見は水越委員と同じで、公的な関与、特に巡視を必ずするとか何かもう少し現場への関わりを持つような規制をつけるためには、やっぱり動物取扱業もしくはもう少し別の、それ以上の枠組みというものが必要なのかと思いました。
 あと、動物の福祉という観点からこの問題点を改めて指摘すると、確かに牛・馬など家畜も競りにかかるのですが、成長した動物であることも多いわけです。犬猫のような肉食の多胎の動物の方は割と発達が遅いので、生まれてきたときにまだまだ歩けない、目もあかない。でも馬とか牛は生まれてすぐに立ち上がる動物であることから、印象としてすごくいたいけという感じはしない。確かに子どもだったらかわいらしいのですけども。そこが感情的に子犬、子猫の影響は大丈夫かなという思いを一般の方が持ちやすいということと、動物学的に見てもまだ未発達の動物をそういう場所に持ってくるということの問題点が、販売の問題と併せてあると思います。例えばオークションに関しても、日齢とかの規制を販売と同じようにかけていく必要があるかなと思います。

【林委員長】 永村委員、どうぞ。

【永村委員】 誤解を招いてはいけないので最後に申し上げたいのですけども、私はこのオークション市場は、ちゃんと法律の規制のもとに監視すべきだと思っているのです。
 むしろ、さっき座長からも話がございましたように、皆さん方が感じておられるブラックブックスと言われる部分、これはむしろ表に出したほうがいいので、より自主規制をきちっとやらせるべきだとは思っています。
 ただ一つ、オークション市場の中で幾つか出てくるのですが、トレーサビリティーとの関連につきましては、オークション市場をどれだけきちっと運営を監視するにしても、犬が最終的にどのブリーダーの子犬であるかがわかるかどうかという点に関しては、このオークションを通るかどうかという問題とは、ちょっとまた別のような気がするのです。
 トレーサビリティーは、例えばマイクロチップを法律で義務化するとかそういった問題ではないかとむしろ思うので、この部分でトレーサビリティー云々を議論するのは、いささか方向が違うのではないかという気はしています。以上です。

【林委員長】 ご意見は出揃っているかと思いますが、どうぞ、小方委員。

【小方委員】 先ほどからお話が出ておりますように、感染症のようなものは非常に重要な部分だと思いますので、きちんとその場で裏づけをとって、第三者に誤解のないような形で表現するような方法が必要です。非常に重要だと思いますのは、今回の資料の中にもございますが、遺伝的因子、遺伝的な疾患ですね。これはますますこれから関わりが多くなるのではないかと思います。今いろいろ研究でこの遺伝的な判断をしていこうということもございます。ある部分はクリアにわかるのですが、ある部分はまだほとんどわからないという部分もございます。そういったところをクリアにしていくということが必要です。
 それからもう一つは、トラブルとして、子犬のときに遺伝的な異常というのが出るわけではなくて、ある時期、成長した後に出てくるということで、現場でいろいろな混乱を起こすということがございますので、その辺を渡すときに、あるいはオークションのときに、どういうふうに判断するかということをさらにクリアにしていくことが、今後、必要ではないかなと思っております。

【林委員長】 よろしいですか。
 これまでオークション市場が非常に不人気だった原因は、狂犬病の集合注射もそうですけども、小方委員もおっしゃいましたようにそこに犬が集まることによって起こる感染症の問題にあります。衛生管理がきっちりしていない。これは大問題で、そこでパルボをもらってくるとか、いろいろな問題がこれまであったことは事実で、ある意味ではオークション市場の存続を認めるとすれば、徹底した規制というか監視が必要で、それによって逆によくなる面も出てくるかなという感じを私は個人的には持っています。またこれについてもご意見がほかにございましたら、お願いします。

【山口委員】 トレーサビリティーは今の問題とは切り離して考えるべきというふうに永村委員はおっしゃったのですけれど、もちろんすべての動物のトレーサビリティーは別に考えなければならないと思います。現状で今オークションがありますので、その中でのトレーサビリティーの確保は最低でも必ずするということ。今、小方先生がおっしゃったように、購入者のところへ来てから遺伝性疾患が出るというのは結構ございますので、疾患が出た後にペットショップに言っても、ブリーダーさんにはその問題が伝わらないというところがございます。全体としてのトレーサビリティーはもちろんですが、オークションの中でのトレーサビリティーは、最低でも確保していただきたいということがあります。

【林委員長】 次は5番目、犬猫幼齢動物の販売日齢についてお話しいただきます。これも先ほどのオークションで話がありましたが、オークションが一種の販売だというふうに考え、最終的に飼い主に渡すのが販売だということであれば飼い主の面から理解できるのですが、子犬の販売、子犬があるあまりにも若齢のところでやりとりされるということについて問題であるとすれば、販売日齢というのはどこを指すのかも含めて論議いただきたいと思います。
 それでは、事務局からご説明いただきます。

【事務局】 資料の10ページ、5番、犬猫幼齢動物の販売日齢について。11ページ目の(4)が、小委員会における主な意見です。
 [1]具体的な数値規制の必要性について。ア)からク)まで記載していますが、議論の大きな部分としては、まず何らかの数値規制は必要ではないかといったご意見と、それからもう一方、数値規制ではなく全体的な大枠の規制をつくってそこを担保していくべきじゃないのかといったご意見がございます。
 規制をすべきといった中ではア)、イ)あたりです。親兄弟と離す週齢なのか、それとも販売の規定なのか。イ)親兄弟と一緒にいることと、どのくらい人間に慣れるかという社会化二つが重要だが、それ以外にも何人の人数で動物の世話をしているのかという観点。
 カ)とキ)では、トレーサビリティーの仕組みをまずつくり、その中で数値規制を設ける。一般市民のためにも数値は入れたほうがよいということ。
 11ページに戻って、ウ)何日齢、何週齢かを議論するより、全般的に繁殖をする場合は、こことここを守りなさい、繁殖の場合はこういったことをやりなさいといった規定をオレゴン州法のようにつくっていくことも必要なのではないかということ。
 ク)現在、業界が非常によく機能している傾向にあるので、もう少し自主規制を充実させて、次回の法改正で見直すというのも一つの考えと思われること。
 それから、[2]具体的数値について。現在出ている目標は45日。大体6週半ぐらいですが、7週か8週かということ。科学的に考えた場合には7週以降、ただし7週か8週か9週かというのは、現時点では科学的には難しいのではないかといったご意見。
 現在、諸外国では8週齢という規定ですが、そのものを科学的根拠と見ることは困難だが、今までずっと諸外国はそれでやってきた実績を考えると非常に強い実績ということが考えられるのではないか、というご意見です。
 [3]規制の対象動物については、これまでのところ、犬と猫ということ。
 [4]ワクチン接種については、これまでのところまだ議論はございません。
 [5]法律上の規制の位置付けについて。やはり政省令で規定すると考えられ、現在適切な期間という書きぶりのところを、例えば7週齢を超えるまでとか、8週齢を超えるまでという記載で済むのではないかと考えられるということ。以上です。

【林委員長】 それでは、どうぞ。永村委員。

【永村委員】 私は、8週齢ときちんと書くことには賛成しかねる立場でございます。まずその理由の一つは、犬種のバラエティーというのは非常に大きいということ。要するに、どんな家畜をとりましても、犬の場合は犬種、いわゆる品種ですね。牛なら牛、馬なら馬、いろんな品種がございますが、品種が成り立つということは、ほかの品種の馬や牛と違う家畜だということです。太る能力、走る能力あるいは気質、いろいろな経済形質において明らかに他の品種、他の犬種と区別ができるようになって初めて犬種というものが成立するわけでして、裏を返せば、個々の犬種というのは非常にいろいろな形質面での違いが明確である。これが犬種の成り立つ意味なのです。数百もある犬種を一律の8という数字で区切るということ自体、非常に動物に適応する数字として不適切だというのが、家畜の育種改良の観点からの一つの意見です。
 それから、もう一つは、委員会の事務方にお尋ねをしたのですけれども、8週齢を法律として規制している国で、それに違反をして罰金を払ったりあるいは訴訟を起こしたりした例というものがあるかないか。要するに、この8週齢の確認、実効性を担保するのかという事例があればぜひ調べていただきたいというお願いしたのですが、いまだにまだそのお答えをいただいていないので、これは事務局からお願いをしたいと思います。
 それから最後、どうしてもその数値というようなものを目安として入れなければならないという場合にあっても、例えば、一定の幅を持たせる数値が法律論的に可能かどうなのか、これは専門家の委員の方にお聞きしたい。以上三点でございます。

【林委員長】 それでは、一つ目について私のほうから逆に永村委員にお聞きしたいのですが、確かに犬は数百の犬種があって非常に多様な動物ですが、8週齢以下で、つまり8週齢とか6週齢とか週齢を言っているのは、親や兄弟と十分な関係を結んできた後ということを言っているわけです。JKCとしてはいろいろな犬種については御存じですから、これはこの犬種は絶対もう6週齢からでも、8週齢からでもオーケーだよという犬種があれば、逆に教えてもらいたいなと思います。次回で結構です。 臼井委員、どうぞ。

【臼井委員】 私は、ペンシルバニア大学のジェームス・サーペル先生が大変たくさんの数で、品種を超えて結果を出しておられるので、7週齢を支持したいと思います。

【林委員長】 明解な例ですね。どうぞ、渡辺委員。

【渡辺委員】 日本はよく海外と比べて動物愛護後進国というふうに言われます。でも、きちんと動物を最後まで愛し慈しんで死の瞬間まで看取る飼い主さんはたくさんいらっしゃいますし、誠意を持ってお仕事に従事される動物取扱業者の方もおられます。
 ですので、やはりここは動物愛護精神の底上げということも考えて8週齢。ちょっと高い目標かもしれませんけれども、動物取扱業者とそれから一般市民と連携しながら力を合わせて8週齢を目指していきたいと思います。

【林委員長】 山口委員、どうぞ。

【山口委員】 私はやはり、8という週齢にこだわりたいと思います。科学的根拠ということで、今、臼井先生がサーペル先生のデータをお示しになられて、そのデータでは7から9ということで、科学的根拠の上に海外での諸外国の規定がほとんど8という数字になっている。それがもう長年続いてきて、そこで動物の福祉の確保ができてきているというその両方を考えて、やはり8ということでよいのではないかなという意見です
 それから、かつ犬種ごとということであれば、本当に犬種の専門家の科学的データを、林先生がおっしゃったように見たいと思います。

【林委員長】 水越委員、どうぞ。

【水越委員】 私は、まず数値は入れるべきだと思っています。というのは、適切な期間というのは、誰が見ても適切な期間だというような今の法律ですね。あまりにも小さな子犬や子猫を売っている。あまりにも小さなというようなときにも、人によって違うというのはよろしくない。やはり基準というところで、数値は入れるべきだと思います。
 じゃあ7週か8週かというようなところでは、やはり一番初めの[1]のところで親兄弟から離す週齢なのか、販売なのかというところで変わってくると思います。
 おそらく、サーペル先生や、それ以外の文献などで7週と出ているのは、親から離している週齢なわけです。販売週齢ということになると、もしかしたら検疫期間などを考えるとプラスアルファになるかもしれない。なので、私は何週というのは言葉にはしませんけども、数値を入れるべきだという意見です。
 そして数値に関しては、どこの数値なのかということがやはりないと、変わってくるのではないかというふうに思います。

【林委員長】 ほかにご意見はございますか。磯部委員、臼井委員、打越委員、どうぞ。

【磯部委員】 先ほど規制数値に幅を設けることは法理論上可能かというご質問がありましたが、これは原則として難しいことなんですよね。規制の基準というのはそれ以下だったら、直ちに何らかの制裁を受けるという意味があるわけであって、基準となるべき数値そのものに幅があると、どうしても一番下の低いところに張りついてしまうでしょうから、ほとんど意味がなくなるだろうと思います。
 ただ、AからBの間で犬種ごとに定めるとかいうことで、個別の品種ごとに一つの数値が決まってくるというならば、規制として十分あり得るだろうと思います。
 それから、たとえば5年以内に、ここまで持っていく。しかし当面すぐそれで規制するとなると大変だろうから、まずは実現可能な数値を決めておくというやり方もあると思います。目標値としてはこうだが、規制基準としてはこうだという決め方などはほかの環境行政にもあるわけなので、一つのテクニックとしては十分あり得るだろうと思います。

【臼井委員】 私は母親と離すのを7週齢というふうに考えております。8週齢まで持っていきますと、1頭を生んだ場合は構わないのですが、多頭数を生んだ場合は、8週まで置いたら非常に母体に負担がかかると思います。

【林委員長】 そのポイントも非常に重要ですね。次に、打越委員。

【打越委員】 動物自体の成長の段階で、科学的にどう判断するかということに基づいて規制の数値を考えるというのもありだと思うのですが、ほかにも経済的利益というか、取引をある程度配慮するのもまた必要かと思います。
 それから、実際の実行可能性は、どのぐらい法律で規制したときに守られ得るのかということも、配慮しなければならないわけです。私は動物の専門家ではありませんので、科学的根拠から見たら7週がいいとか8週がいいというのが判断できる立場ではないのですけれども、動物のこと、経済的な利益の問題、それから実行可能性などを考えたときに、これは第4回の委員会のときにも私は実はかなり少ない数字を言ったので、場合によっては委員の皆様にお怒りを買ったかもしれません。先ほど磯部委員がおっしゃったとおり、絶対にこれは守る、これ以下は絶対に許さないなど、8週齢がいいと思うということはいつでも言えるわけですけれども、それ以下だったら必ず違反というふうに取り締まるだけの体制を8週齢のところで今持っていけるかどうか。8週齢に持っていくと、今は9割方のものが全部違法取引になってしまうという状況で、今すぐに8週齢あるいは7週齢を持っていくのは、実行可能性という点では難しいのではないかというふうに考えます。
 そういった意味では、これも第4回のときに指摘したのですけれども、時間がないので見ていただかなくても結構なんですけども、議事録に残すために申し上げます。第4回で配付された犬猫の流通、販売日齢についてという資料の12ページに、生産業者から例えば小売業者にいくのは、大体今、平均どのぐらいかとか、オークション市場に出されるのは大体何日齢ぐらいかというものの棒グラフが載っております。
 それを見たときに、一番流通の数が多い生産業者から直接飼い主に、というのは全体としては非常に数が少なくて、それよりも圧倒的に多くを占めているのが、ブリーダーからショップ、オークション市場です。そこの棒グラフを見たときに、44日齢までに親から引き離されている子たちが、実は半分もいるんですよね。そう思うと、まずはここをなくしたい。45日未満のときに親から離される子が、全体の数の中から見たらオークション市場においても半分を占めている、ここをまずは絶対に禁止していくところからが、第一歩なんじゃないかなと思います。
 目安となる理想としての数字を法律においても、実際には何の力も持たないわけで、本当に法律に入れて力を持たせるなら、ここが絶対禁止条項であると入れるのであれば、今、実態を考えたときに45日齢。これはほかの委員の皆様から見れば非常に少ないとおしかりを受けるのかもしれないのですけれど、そのかわり絶対に45日以下のものは許さないという仕組みをつくることで、そのかわり、例えば法政策的に8週齢が望ましいよとか、犬によっては12週齢のほうが望ましいとか、そういうことを積極的に情報提供していくという二段構えかなというふうに私は考えています。

【林委員長】 この法律をザル法にしないためにも、実現可能性をしっかり考えながらいきたい。つまり、上れる階段をつくらないと意味がないということをおっしゃったのだろうと思います。
 もう1点、8週齢が望ましいということはこれまで大体多くの方の委員がおっしゃっているのですが、今日、臼井委員がおっしゃったように、8週齢になって引き離すのは母体にとってよくないこともある。こういう論点はやはりもう少しちゃんと考えないと、子犬だけのことを考えて話を進めてはいけないということもありますね。
 ありがとうございました。ほかに。どうぞ、野上委員。

【野上委員】 私も8週齢がいいとは思っているのですが、それは親から引き離す週齢の規定であるべきと考えています。子犬の生年月日等は今でも表示しなければいけないことになっていますけれども、同時に、親兄弟から離した年月日も表示することによって、流通の段階でどのぐらい日数がたっているかということを飼い主が判断できるようになるのではないかと思います。
 全国ペット協会が飼い主向けに、「わんわんにゃんにゃん母子手帳」というのを配布しています。人間の母子手帳を手本にしたとも思われるのですけれども、その手帳の中に必ず生年月日とか、同時に生まれた兄弟の数とか、母体の何回目の出産とか、生産者の氏名とか、連絡先とか、購入したペットショップとか、トレーサビリティーができるような項目をつくっていただくと、買い主にとっても後々便利ではないかというふうに思います。
 さらに法律上の位置づけですけれども、現行の施行規則の第8条第1項に、成体と同様のエサを自力で食べることができるようになった動物を販売するとありますので、犬猫については、ここに生後8週齢まで親兄弟とともに過ごした個体を販売することという規定を入れたらどうかというふうに思います。

【林委員長】 大体ご意見は出尽くしたのではないかなと思います。どうぞ、渋谷委員。

【渋谷委員】 意見というほどの意見ではないのですけれど、数値の表現の仕方が外国ですと週単位で、日本の場合だと日の単位になってくると思います。なぜかというと、動物愛護管理法も30日とかという日を単位にしてあらわしているので、もしこれを法律で規定するとしたら、おそらく8週とか7週とかという表現じゃなくて、何十何日とかという日単位の表現にされてしまうのではないかなと思うんです。
 逆に言うと、週単位ですと7日ごとの差がありますけど、日単位であれば、1日ごとにもっときめ細かい決め方ができるのでないかと、そういうふうに思っております。

【林委員長】 ありがとうございました。日のほうが厳密になりますね。
 それでは、この論議はここまでにしたいと思います。あと一つか二つはぜひいきたいのですが、次は繁殖制限措置です。

【事務局】 繁殖制限措置の前に、先ほど永村委員のおっしゃられた2番目の諸外国の規制に当たっての実態、実行上はどうかというご質問なんですけれども、申しわけございません。ちょっとまだここにお示しできるほど取りまとまっておりませんので、まとまりしだいご提示したいと申し上げます。
 それでは、続きまして、13ページ目をご覧ください。6、繁殖制限措置のところです。
 14ページ目の(4)小委員会における主な意見。[1]規制の必要性について。ア)どこの繁殖場にどういう繁殖犬がいるのか把握できるような仕組みが必要なのではないか。イ)母体を守るという観点から、繁殖制限に関する数値は必要。ウ)連続繁殖では決していい子は生まれないという概念から、血統書を出すのは連続2腹までというような、一種の自主規制かもしれないけれど、例えばジャパンケンネルクラブなどにご協力いただくという道も非常に有効なのではないかということ。
 [2]規制の対象動物について。これまでのところ主な議論はございません。
 [3]規制の内容について。オレゴン州法が一つの参考になるのではないかと考える。
 それから、母体を守るという観点から繁殖制限に関する数値は必要であるが、回数、最初の繁殖可能年齢、最終の年齢ぐらいは入れていただきたい。
 [4]法律上の規制の位置付けについて。これまでのところ主な議論はなし。
 以上でございます。

【林委員長】 ご意見、ご質問いただきたいと思います。どうぞ、永村委員。

【永村委員】 また、とんでもないことを言うなという印象を持たれるかもしれませんが、犬以外のいわゆる産業動物では、繁殖性という能力は非常に重要な経済形質なんですね。これ自体、遺伝率はさほど高くはありませんけれども、個体の強健性、丈夫だということと、それから繁殖能力、これは非常に密接にリンクをしています。ですから、畜産の現場では、連産性、多産性ということを重視して改良してきているわけです。この犬というものが連産をさせると非常に母体に悪い影響があると、これはひとえに飼育管理の方法に問題があるのではないかと、むしろ私は思うんです。
 当然、犬であっても強健性のある犬、あるいは子孫をよりたくさん残せる形質を遺伝的に持っているほうがはるかに重要であるべきだと考えるのが普通の、私どもの常識なので、おしかりを受けるかもしれませんけれども、あえて非常に過保護的な規制をつくることによって、本来犬あるいは系統が持っている遺伝的にいい部分を、おそらくこういった項目をつくれば摘み取っていく可能性が、全く否定できないという気がします。
 これは繁殖に関しては、犬、家畜の分娩後の栄養と非常に密接な関係があるわけでありまして、そこは飼養管理の問題とこういった規制で繁殖制限をするという問題は、全く私は別次元の問題じゃないかと考えております。以上です。

【林委員長】 水越委員、どうぞ。

【水越委員】 私の意見としては、私もいわゆる繁殖上の飼養管理ということについて、やっぱりもうちょっと規制があってもいいのかなというふうに考えております。
 飼養管理、特に繁殖犬を何頭抱えているかというようなことに関して、例えば、取扱業を更新する際に、例えばオスが何頭、メスが何頭であるとかを届け出することは不可能なのかな、可能なのかなというふうに考えております。
 というのはやはり昨今、繁殖場の崩壊とか、おそらく繁殖に使っていたであろうというような犬の遺棄が非常に大きな話題になっております。そのときにも、繁殖場でないかというのがわからないですね。永村委員がおっしゃるように、最高年齢であるとかいうのは本当に科学的な根拠などもないので、そこを制限するのは恐らく難しいだろうと思います。
 ただ、例えば、現在扱っているような犬はどれぐらいいるのかというようなことを、やっぱりまず把握をするということが大事なのではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。

【林委員長】 どうでしょう、このことについてご意見はないですか。よろしいですか。
 またこれについてまた後ほどお話しいたしますが、14ページの小委員会における意見、(4)[1]のウ)ですけど、「法律の中で繁殖制限をすべきでないという意見ではないが、オーストラリアのケンネルクラブのように、連続繁殖では決していい子は生まれないという概念から血統書を出すのは連続2腹まで・・」とあります。これは永村委員にお聞きしたいのですが、こういうデータがあって、ケンネルクラブもあるということですよね。

【永村委員】 これに関しては、私は存じ上げておりません。また、ちょっとフォローしてみたいと思います。

【林委員長】 最低限、めちゃくちゃな連続繁殖はよくないというのもどこかにあるのだろう思うんですね。それがきちんと数字で出せるかどうかという問題があります。
 永村委員、水越委員がおっしゃったように、飼育施設や飼育条件、飼育環境というのは繁殖と同時に、あるいはそれ以上に重要なことかもしれませんが、そこはそこでお話しいたします。次の検討事項として、繁殖制限についてはいかがでしょうか。何かご意見ありますか。加隈委員、そして野上委員。

【加隈委員】 繁殖制限はある程度はしたいのですけれど、ただやっぱり根拠というのが難しい部分もあります。水越委員と同じように、繁殖現場の把握ということで5年に1回の登録のときだと既にその間に問題が大きくなっていることもあると思います。だから、可能かどうかは別としまして、本当に生産している規模が大きいところは別のところで多分10頭以上の多頭飼育というところがあったと思うんですけれども、それとあわせ、特に業者に関しては毎年なりのフォローができるといいなと、それが理想的だとは思います。
 あと、ウ)のJKCなど、確かにご協力いただくというのはあると思いますが、実際にJKCに関わっているようなきちんとされているブリーダーさんであれば、そんなに問題のある動物を生産するような状態ではないと思うんですね。やはりいい犬種をつくろうとされるときには、必ずその動物がいい状態で飼われているという前提がなければできてこないと思います。ただ、やはりすべての犬がJKCに系統登録されている犬ではありませんし、そういう部分を拾うということは必要ではないかと思います。

【林委員長】 野上委員、そして山口委員、どうぞ。

【野上委員】 この問題は、パピーミルといいますか、大量繁殖施設の倒産等から起こってきているわけです。とにかく大量生産して、産めよ、増やせよ、たくさん売ればたくさんもうかるということで、母体の健康も省みず狭いところで、とにかくひたすら繁殖させるということを規制したいという考えから来ていると思います。
 例えば、さまざまな犬種をつくり出してきたイギリスですとかドイツではどういう規定をしているかといいますと、最初の繁殖可能年齢ですとか、一生の間に最大でも5回、6回というふうに規制されているわけです。それはやはりそういう国々が伝統的に経験からつくり出してきたものであるので、参考にしていったらいいのではないかと思います。
 あとは、飼育施設の問題と関係して、飼育の実態把握と飼育可能な上限というもの、繁殖可能な上限というものをどこかで規制する必要があるというふうに思います。

【山口委員】 私も、繁殖は何らかの制限をしなければならないであろうというふうに思います。パピーミルと言われるところももちろんそうなんですけれども、実際小型犬で繁殖をさせるのに普通では生まれなくて、帝王切開で、それも連続して帝王切開というちょっと普通では考えられないような方法で生産されているブリーダーさんもいらっしゃる。実際にきちんとされているブリーダーさんもいらっしゃることは私も十分承知しておりますし、その方々は、発情ごとにかけることはいたしませんというふうにおっしゃいます。
 であれば、何らかのやはり基準といいますか規制を設けない限り、きちんとしている人はきちんとしている、でもできない人は規制を設けない限りはそのまま放置して、さらにとんでもない繁殖をして、子犬にも親犬にもかなりの負担を強いるというふうになると思いますので、規制を入れていただきたいと思います。

【林委員長】 ほかにご意見ございますか。どうぞ、小方委員。

【小方委員】 一つは、資料P14のオーストラリアケンネルクラブですね。ここで「いい子は生まれない」、この「いい子」というのがどういう表現なのかちょっとこの次でも教えていただくといろいろ参考になるのではないかなと思います。
 それからもう1点、この連続繁殖の中でさっき言いましたような帝王切開、この中で犬種としては帝王切開が盛んに行われるブルドックは多分、帝王切開の代表的な犬種だと思うのですが、この場合には何かそういう申し合わせみたいなものがあるかどうか、永村委員でも何かおわかりでしたらお教えいただけませんでしょうか。

【林委員長】 帝王切開で生ませることが一般的になっている犬種についてどなたか御存じの方はいますか。どうぞ、永村委員。

【永村委員】 一つの情報ですけれども、一昨年イギリスでBBC放送のスタンダードに関する報道がなされて、ケネルクラブ自体がいわゆる短吻種を中心とした犬種のスタンダードの修正をいたしました。ですから、現場のブリーダーはどう反応するかは別として、やはりブルドックみたいなものもだんだん帝王切開が少なくなるような方向に改良の目標が修正されているということだけは、今の段階で言えると思います。

【林委員長】 おそらくこの論議はブルドックのような犬種もそうですし、それから、豚などもすごく多産になってきているわけですけど、ここまで人間が手を加えていいのかどうか、それは経済的理由あるいは飼育者の、例えば愛玩動物の場合は好みですけれども、人間の好みと経済性でここまで動物を改良していっていいのかという、一種の疑問がやっぱり避けられない問題ではないかなというふうには思います。
 だから、どういう形になるのかわかりませんけれど、ある程度この繁殖制限についても業界の自主規制なのか、それとも法律できちんとしていくのかはともかく、何らかの措置が必要かなという気がいたします。
 ほかに何かご意見ありますか。渡辺委員どうぞ。

【渡辺委員】 数字はぜひ入れていただきたいと思います。先ほど水越委員もおっしゃったように、今行政の施設には、明らかに繁殖で酷使されてきたような雌犬でお乳も垂れ下がり、歯もぼろぼろの犬が数多く捨てられ収容されています。そういうことを考えますと、やはり行政の方たちも数値を入れていただいたほうが取り締まりしやすいのではないでしょうか。以上です。

【林委員長】 青木委員、どうぞ。

【青木委員】 簡単に申し上げます。先ほど来、いろいろな議論でいろんな観点からの根拠が並列的に出て、ご発言になる方それぞれ力点の置きどころが違うと思うんですね。
 この議論についても、現在のこの法の運用上、これが落ちているために今日本の社会でとても困ったこういう問題が起きているから、これをこう規制するとより有効に法の目的が達成できるのかどうか。こういう議論をするのが筋だと思います。そういった現状のうち何が問題でどこを根拠にしてどういう手段をとるのかということを、今後、話し合いの中で明確にしないと、それを批判する側もどこを批判していいかわからないということになるので、それだけちょっと意識したほうがいいという気がします。
 以上です。

【林委員長】 青木委員のおっしゃるとおりなのですが、なかなか実態がわからないものもあるのですね。
 さきほど渡辺委員がおっしゃったように、あまりにも過度な繁殖をすると母体がカルシウムを奪われるし、いろんな面で大変な状況になるのを、限界を超えた形でやっているような個体を見て知っておられる方が非常に心を痛めているというところがあります。ではこれは広く国民の前でわかることかどうかといいますと、一般的にはなかなかわからないことなのですね、数字的にも。これが難しいところです。
 実態がどうなっているかということから物事がなかなかわかないので、もう少しはあるかなという感じはいたします。できる限り情報を出していただく必要があると思うんですけど。よろしいでしょうか。もう一つ、行ってよろしいですか。12時までもう残り10分切ったのですが、少しそれと関係した飼養施設についてご説明いただきます。

【事務局】 その前に先ほど小方委員からありました、ウ)のオーストラリアンケンネルクラブの「いい子」のところですが、この部分は山崎委員のご発言を議事録からそのまま掲載してございまして、事務局のほうではオーストラリアケンネルクラブの細かい規制が今わかりませんもので、申し訳ございません。
 次は14ページ一番下、7の飼養施設でございます。15ページ目をご覧ください。
 (4)小委員会における主な意見。[1]規制の必要性について。ア)ケージの大きさ等に数値を入れるということが自治体の監視の現場の混乱をなくすならばそれを明記するのがいと考える。ウ)最低ラインのほかに推奨ラインというものを別途必要と考える。エ)数値を入れるのは賛成だが、いわゆる展示と繁殖とを分けたほうがいいのではないか。
 オ)適正なケージサイズに関する科学的根拠はないと考えられるので、規制のことだけを考えて数値を出してしまうのは問題があると考える。
 [2]規制の対象動物について。すべての動物というところと、主に犬猫が考えられる。犬猫の場合にも他の動物に共通するところで、ガイドラインをつくる必要があると考える。
 [3]規制の内容について。適正な数値基準をつくる必要があると考えられるが、例えば、騒音とか悪臭とか飼育頭数の制限、こういったものを設ける必要があると考える。
 それから、規制に当たってはオレゴン州法がかなり参考になるのではないかということ。 [4]法律上の規制の位置付けについて。先ほどの再掲でございますが、主に犬猫と考えられるが、その他の動物でもガイドラインが必要なのではないかということです。
 以上でございます。

【林委員長】 この飼養施設について何かご意見、ご質問はありますか。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 この飼養施設をよくするということは、動物福祉の観点から最も重要な事項の一つだと思います。ですので、具体的に規制をしていく必要があると思いますが、現在の施行規則の第3条第2項の8に、構造及び規模が取り扱う動物の種類及び数に鑑み、著しく不適切なものでないと書いてあるのですけれども、なぜ「著しく」という言葉が入っているのか、よっぽど極端なことでない限りはいいですよというような言い方なので、まずこの「著しく」は削除してもらいたいというふうに思っています。
 では、具体的にどういう施設がいいかということは、細目の中に数字を入れて行政が具体的に改善指導できるようにする。例えば、ケージを広くすることは、母体を健康にしたり感染症にかかりにくくする等によって、最終的には業者にとってもメリットはあるわけです。現在、家畜についても農水省所轄の委員会で家畜福祉の検討が長年行われていますけれども、その中でもそのように家畜、動物を健康的に飼うことは業界にとってもメリットになるということが強調されています。ですので、これについては、ぜひ業界の側の方々も理解していただきたいと思います。
 また、犬については、多頭飼育というものが非常に問題になっていますので、例えば犬について、職員とか世話をする人は「1人当たり成犬10頭」をめどにするというような具体的な数値。それから飼養面積について、この面積で飼える頭数は何頭というふうに例示していくことがよいと思われます。

【林委員長】 明解におっしゃっていただきました。ほかにご意見ありますか。山口委員。

【山口委員】 野上委員がおっしゃったことを繰り返さないですけれども、私も飼養施設の具体的な数値、できれば1頭当たりの面積については、できれば細かくあるほうが示しやすいし改善指導もさせやすいだろうというふうには思います。ただ、その辺の具体的な数値はまた別に考えるということです。それプラス、今でも一応基準はあるわけですが、今実際に飼養管理されている場所にそれを本当に適用されているかどうか、それをもって改善指導がなされていないように思うんです。ですから、せっかくつくっても、それをどうやって適用させるか、そのシステムを一緒に考えていただきたいなというふうに思います。

【林委員長】 斉藤委員、そして永村委員。

【斉藤委員】 行政の立場から言いましても、この辺を具体的に数字化されるということは非常に仕事がしやすい、指導しやすいというふうに思っております。今の細目の中でも、かなり自然な姿で立ち上がるとか、横たわるとか、羽ばたくとか、具体的には書いてあるんですけども、もう少し具体的な数字的なものを法の中で入れないにしても、ガイドラインのようなものを通知で出すのかよくわかりませんが、そういうものだけでも出てくれば、非常にありがたいなというふうに考えています。

【林委員長】 永村委員、どうぞ。

【永村委員】 1名当たり何頭とか、平米当たり何頭という問題の考え方はわかるんですけれども、例えば、飼い主によって飼育状況、飼育環境というのは、千差万別であるわけで、1人で20頭きちんと飼える方もおれば、5頭でも非常にずさんな飼い方をする方もおられると思います。
 先ほどもご意見が山口委員からありましたけれども、規則をつくっても実効性があるかどうかという問題を考えませんと、特にこの飼養施設については、考え方として現場に立ち入ることができて、明らかに動物虐待が行われているような飼養環境だということが認められれば摘発すればいいわけです。例えば11頭飼っていたら、非常にいい環境で飼っているものも摘発するということになるわけですけれども、少し問題が混乱しているのではないかという気がします。
 換気、明るさ、温度、湿度、こういったところまで数値化をして飼わなければいけないとなれば、それはもうめちゃくちゃなコストもかかるでしょうし、経済的な要因からして成り立たないということも考えられますので、あまりたくさんの数値の規制化というのは、私はあまり賛成ではありません。むしろ虐待の現場をきちっと把握して規制していく、そちらのほうが本質だと思います。

【林委員長】 ほかにご意見ありますか。打越委員。

【打越委員】 私もできれば取り締まりのために数値等を明確にするというのに賛成します、というふうに前回の委員会のときに言って、それで、たしか早退したというふうに思うんですけれども。取り締まりの観点から見れば数字があったほうがいいというふうに思うんです。ただ、今の永村委員がおっしゃったとおり、例えば猫のブリーダーさんは、ふだんは部屋の中である程度自由にさせてあげている、そのかわり、その子たちが寝るケージは小さい。ずっとケージの中に入れているのだったらケージは少し大きくしておいてあげるとか、ブリーダーの飼育環境というのは非常に違ってくるだろうと思うので、数字は入れたほうがいいとは思うんですけど、取り締まり上、すごく難しくて可能なのかなというのが気になるところです。
 それから、湿度、明るさ、換気云々全部数値化するというよりも、良質なブリーダーであると、良質なブリーダーであるという何か象徴になるものが一つあって、全部数値化するのが無理ならば、何か象徴のあるものを一つベンチマークのような形で設定できたらもう少しやりやすくなるのかなと思います。
 例えば、アンモニア濃度、悪臭。これは設備の大きさとかそういうのとは違って、どれだけ大切に飼っているかという本当に象徴になるのかと思います。虐待とか不衛生だというのを象徴的に考えれば、悪臭はありかもしれないなと思います。ひどい臭いだったら、これだけ機械でとったらこれだけ臭いですね、これは不衛生ですねということで、営業停止などのときに根拠として出しやすいのかもしれないなと思いました。

【林委員長】 ほかはございますか。浦野委員、どうぞ。

【浦野委員】 私も数値を示すことによって、取り締まりがしやすくなるという観点だけで規制するというのは、やめたほうがいいと思います。
 先ほど野上委員あるいは山口委員がおっしゃられた、動物のためにいい、例えばケージの大きさ、臭気、明るさが一体本当に動物にとっていいのかということを何らかの根拠に基づいてそれで進めるならばまだしもと思うのですが、そういう根拠があっての発言なのでしょうか。それをちょっと伺いたいのですけれど。

【林委員長】 それでは、野上委員どうぞ。

【野上委員】 なぜこの議論をしているかといいますと、やはりこの何年、10年、20年、悪質動物業者の施設が崩壊したりして、非常に社会問題化しているという事実から発しているわけです。そういうところは、一般常識からしてもあまりにもひどくて、どうにもならない。しかし、こんなにひどいところを規制もできなければ改善もさせられないという、問題意識が出ているわけです。
 ですから、いいところを全部一律に規制しろと言っているのではなくて、悪いところをどうやって底上げさせていけるか、改善させていけるかということを議論しているわけです。ですので、「最低限のライン」はやはりないと行政が指導するにも難しいでしょうということを、申し上げています。

【浦野委員】 私の言いたいのは、悪質とかいいとか悪いというそういうぼんやりした表現だけで数値化するというのはいかがなのかということです。だから数値化するという場合は、何らかの根拠に基づくべきだろうと思うのですが、その根拠があるのでしょうかということと、あるのならば、それを教えてくださいという意味です。

【野上委員】 例えば、環境省が飼育怠慢の事例集をつくっていますよね。動物の適切な世話ができずに非常に感染症が蔓延しているとか、皮膚病が広がっているとか、汚水の中にいるとか、そういうような状態はもう事例としてはたくさん出ているのです。

【林委員長】 そういうことです。あまりにもひどいという事例は、私もたくさんあると思います。どうぞ、井本委員。

【井本委員】 この問題はやはり、業界の方が自分たちがどういう目標を持っているかということも非常に重要だと思いますね。ですから、現在だけじゃなくて、将来的、5年後、10年後に自分たちの業態をどういうふうに持っていきたいかというのも、この規制のところにはかかってくると思います。
 それから、見た目で非常に虐待だというのは誰にもわかるのですが、例えば、私は臨床医ですけれども、高いところでふだん飼育されている子犬が、我々のところにくると高さを怖がらないという現象が起きます。診察台の上に置いても、スタスタスタと歩いて高いのを全然怖がらない。具体的に言いますと、最近トイドッグが多いですが、例えば高いところからポーンと飛び下りると、そういう犬たちは前腕の遠位3分の1、要するに、手に近いところから3分の1の骨折が非常に多いわけです。ですから、そういう原因はやはり、何段重ねかなにか、高いところで飼育されているということも原因となっているのではないかというふうに思ったりもします。
 ですから、業界の方がそういう情報を入れながら、自分たちでどうやって規制しているかというのが一方にないと、これは具体的な数字を示していくのもなかなか難しいかなというふうに思います。

【林委員長】 そうですね。先ほど野上委員が言われたように、今論議している16の中のかなり重要なポイントです。非常に幅広い話で、例えば動物取扱業だけじゃなくて、一般の飼い主がどんな飼い方をしているかも大問題な人がいっぱいいるわけです。
 そうすると、それまでも指針で縛っていくのかどうかということまで考えると、少し論議としては広い問題だろうと思います。
 ただ、そうは言っていても話は進みませんので、最低限、何を今しなければいけないのかということを詰めていく必要があるだろうと思いますが、今日はこの辺までの論議で終わらせていただいてよろしいですか。加隈委員、どうぞ。

【加隈委員】 一番やっぱり気になっていたのが、ブリーダーのところでの「ブリーダーをされる方の責任者としての要件」というものはもう少しハードルを上げることはできないのかなということを、指摘というか、提案としてさせていただければと思います。やはりかなり幅広く知識が必要なところで、責任者の要件の中には「実務半年以上」という項目が入っているところはどうかなと私はずっと思っているので、少し検討課題に入れていただけたらと思います。

【林委員長】 承知しました。打越委員、どうぞ。

【打越委員】 次回どこから再開なのかなというのが気になるんですけれど。今、野上委員が本当に最悪の状況で飼われている動物たちをどうやって救うかというのが一番の検討課題なんだとおっしゃって、そこを何とかやっぱり私たちも考えていきたいなと思います。次回はペットの死体火葬業のところからスタートではなくて、ぜひここからスタートしていただきたいなというふうに思います。
 それで、さっきもお伝えしたのですけれども、明るさから温度から全部の数値化基準にするというのは、やっぱりどう考えても今の時点で非常に厳しいので、実際数字にしようと思ったら、ある程度実験するとかデータをとるとかで数字を決めていかなければいけないと思うのです。これまでの研究蓄積とか、動物福祉協会とか、アライブさんなどで集めた事件の情報というのを次回ここに出していただいて、どこまでいくとひどいというようなことを議論していくためのデータを完全じゃなくても出して、そこから議論していっていただきたいなというふうに思います。
 そうした中で、先ほども言ったとおり、臭い、悪臭というのはかなり象徴的であり、何時間締め切った状態で臭いを調べたら何、というようなのがはっきり出ると思うので、そういうようなことを今回の法改正に向けて調査したりするのが間に合うかどうか。それから環境省がそうしたものに対して予算を持てるかどうというところに関わってくると思うんですね。いわゆる動物実験という意味ではなくて、調査・実験の可能性、それができるのかということも含めて、次回検討してほしいと思います。

【林委員長】 承知しました。
 それでは、今日の論議はそろそろこの辺で終わりたいと思うんですが、今日の議論のまとめはなかなかできないものですからまた次回も含め、16までやるのでしたでしょうか。

【事務局】 場合によっては、その次も続けます。

【林委員長】 わかりました。なるべくたくさんのことを迅速に進めてまいりたいと思いますので、次回も協力をお願いしたいと思います。
 小委員会は今日で10回目です。後からご説明があると思いますけども、参考資料1を見ますと、小委員会は全部で24回行うことになっていますので、まだ折り返し地点に来ていません。どうか委員の皆様よろしくお願いいたします。それでは議事の終了に当たりまして、渡邉局長からごあいさつをいただきたいと思います。

【渡邉自然環境局長】 どうもありがとうございました。1月7日付けで自然環境局長になりました渡邉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、私の隣、自然環境担当審議官の森本でございます。あわせて、よろしくお願いいたします。
 本日を含めて、これまでに10回、本当に多岐にわたる点についてご議論を重ねてきていただきました。今回から3月末を目指してということで、中間取りまとめに向けての議論に入っていただきました。テーマは、動物取扱業の適正化というテーマで中間取りまとめに向けた議論をお願いしているわけですけれども、このテーマは、立場によって意見の隔たりもあるテーマではないかというふうに思っています。
 今日の議論の中でもありました科学的な根拠を、どこまでおさえられているのかというようなことをしっかり整理しながら、実際の実態はどうか、社会の意識がどう変化してきているのか、あるいは規制の効果や影響について今日もたくさん出ていました、現場で取り締まりなどの実行可能性はどうなのだろうか、そうしたことも考慮に入れていただきながら、今回の見直しの中でどこまで、どのような水準まで持っていったらいいのかというようなことで、今後中間取りまとめに向けて大きな方向を見出していただけるようなことで、議論を進めていっていただけたらというふうに願っております。
 事務局のほうも必要な検討材料、追加的な材料を用意しながら、ご議論をお願いしていけるようにしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

【林委員長】 渡邉局長、ありがとうございました。
 それでは、それ以外に何か事務局からございますか。

【事務局】 すみません、参考資料1で、ただいま委員長からも若干ご連絡がございましたけれども、制度の見直しに向けたスケジュールがございますので、ちょっとご覧いただきたいと思います。
 1ページ目の一番下です。本日は1月24日ですが、次回は2月8日でございます。それから、次のページ2ページにまいりまして、2月22日、3月2日と進んでございます。次回それから場合によってはその次ぐらいまでかかるかもしれませんが、今のご議論をまた行っていただきまして、次回その次ぐらいのご意見も踏まえて、事務局のほうで取りまとめの素案というものを作成し、ご提示できればいいかなというふうに考えております。
 その後、3月15日動物愛護部会に現状の報告をしつつ、また3月24日に小委員会を行い、3月29日に部会を行いまして、このあたりで可能であれば、中間取りまとめの案というのを大体作成していければというスケジュールでございます。
 その後、その中間取りまとめ案は、パブリックコメントなどにも付しながら進めていきたいというふうに考えております。まだたくさんございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、私のほうもこれで終了させていただいて、事務局にお返しいたします。

【事務局】 林委員長を初め、委員の皆様方におかれましては、ご多忙なところ、熱心にご審議していただきまして、ありがとうございます。これをもちまして、本日の動物愛護管理のあり方検討小委員会を閉会させていただきます。ありがとうございました。