中央環境審議会動物愛護部会動物愛護管理のあり方検討小委員会(第4回)議事録

1.日時

平成22年10月19日(火)午後4時02分~午後6時14分

2.場所

環境省第一会議室
(千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館22階)

3.出席者

林委員長、青木委員、井本委員、打越委員、浦野委員、太田委員、小方委員、加隈委員、斉藤委員、渋谷委員、野上委員、水越委員、山口委員、渡辺委員、田中総務課長、西山動物愛護管理室長ほか

4.議題

(1)
動物取扱業の適正化
(2)
その他

5.配付資料

資料1
深夜販売・販売時間について
資料2
移動販売・インターネット販売・オークション市場について
資料3
犬猫幼齢動物の販売日齢について
資料4
繁殖制限措置について
資料5
飼養施設について
参考資料1
第2回・第3回動物愛護管理のあり方検討小委員会ヒアリング結果の概要
参考資料2
行政に寄せられる苦情・相談
参考資料3
全国ペットパーク流通協議会規約
(委員限り)

6.議事

【事務局】 定刻となりましたので、第4回動物愛護管理のあり方検討小委員会を始めたいと思います。
 本日は磯部委員、臼井委員、永村委員、山崎委員がご欠席です。18名中14名の方が出席でございますので、規定によりまして小委員会は成立いたしております。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
 配付資料は、資料1番から5番、参考資料1番から3番まであります。
 あわせて、委員限りの資料といたしまして、文献資料1-1~1-5、文献資料2番は欠番になっています。文献資料3-1~3-23、文献資料4-1~4-5、同じく文献資料5-1~5-3があります。
 開会直前にお配りしました追加資料としまして、こちらも委員限りです。ナンバーは振ってありませんが、3枚の資料がお手元にあるかと思います。
 資料に不備な点がございましたら、事務局までよろしくお願いいたします。
 それでは、林委員長、よろしくお願いいたします。

【林委員長】 ただいまから第4回動物愛護管理のあり方検討小委員会を開催いたします。
 議事に先立ちまして、自然環境局の田中総務課長からごあいさついただきます。

【田中総務課長】 自然局の総務課長をしております田中でございます。よろしくお願いいたします。本日ご出席いただきました委員の皆様方におかれましては、日ごろから、この動物愛護の問題について、格別のご支援、ご協力をいただいております。この場をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。
 昨日から、愛知県名古屋市におきまして生物多様性条約の第10回締約国会議が開催されているところでございます。
 今回の会議では、さまざまな重要な議題があるわけですが、ポスト2010年目標も含めて、戦略計画の策定ですとか、ABSの問題、それから、もう一つカルタヘナのMOPもあったわけですが、こちらの方は補足議定書の採択ということで、少しずつ成果が表に出始めているところでございます。
 今週、来週と、世界中の政府と関係者のみならず、NGOの皆さん、それから業界の皆さん、自治体の皆さん、たくさんの方が、話によりますと1万2,000とか、1万5,000人もの方が名古屋に集まっていただき、自然との共生、人と生き物の共生、動物との共生も含み、2週間で議論いただくということになっております。
 大変申し訳ないことですが、自然環境局の方からも局長、審議官をはじめとして幹部がそちらに出席しております。そのため、今日の委員会にも欠席をさせていただくということで、くれぐれもよろしくお伝えくださいということです。
 本日、明日と立て続けに2日間、小委員会の開催をお願いしておりますが、前回、前々回と、動物愛護団体の方々、それからペット業界関係の方々の皆様からヒアリングをさせていただきました。
 この結果を踏まえ、動物取扱業の適正化という問題につきまして、本日は、事務局の方でこれまで先生方のサジェスチョンもいただきながら、科学的知見を集めて整理をし、検討に当たっての課題や論点につきましても提示させていただきます。
 本日と明日、時間が限られておりますが、委員の皆様から忌憚のないご意見を賜れば幸いに存じます。それでは、よろしくお願いいたします。

【林委員長】 ありがとうございました。それでは、早速議事を進めてまいりますが、今日と明日、2日間連続で行われます。そこで、議題を二つに分けて論議を行っていただきたいと思います。本日は動物取扱業の適正化の課題のうち、深夜販売、販売時間、移動販売及びインターネット販売について、まずご説明いただいた後、論議を行いたいと思います。明日は午後2時から予定されておりますが、幼齢動物の販売日齢、繁殖制限措置、飼養施設等について話し合うという予定でございます。
 本日の論議の進め方は、深夜販売と販売時間で1時間、それから移動販売とインターネット販売で1時間。それぞれ、最初に事務局から現状や課題などについて、10分ぐらい説明し、その後、十分な論議を進めたいと思います。それでは、深夜販売と販売時間についてご説明いただきたいと思います。

【事務局】まず、資料1をご覧ください。
 資料1、深夜販売・販売時間についてです。1番、現状ですが、動物取扱業の関係は、法の第21条で、動物取扱業は環境省令で定める基準を準拠しなければならないとなっていて、その環境省令で定める基準を、次の規則第8条で定めております。一号から八号までありますが、八号に、「前号に掲げるもののほか、動物の管理の方法等に関し環境大臣が定める細目を遵守すること」ということで、環境大臣が定める細目を、次の細目(告示)第5条で、この時間の関係が若干記載されています。
 ただ、深夜販売の時間などは、特に規定は現在ございません。販売する時間に関しましては、そのうちのリとヌで、「必要に応じ運動の時間を設けること、あるいは展示する場合にも、その途中において展示を行わない時間を設けること」ということで、数値的な規制は特にございません。
 次に2番、主な論点。まず1番、現在は深夜の販売規制はないが、規制の必要性はあるか。2番、深夜販売について、深夜の販売の規制とするのか、もしくは深夜の生体展示の規制とするのか。つまりお店自体開いているのを規制するのか、あるいはお店は開いていてもいいけれども、そのうち生体の展示を規制するのか。
 3番、規制の対象動物はペット全体か、犬猫か。そしてその理由。4番、具体的数値。夜は何時までが適当か、朝は何時からか。1日の総展示時間、展示中の休息時間、成熟個体と幼齢個体で分ける必要があるかどうか。
 5番、法律本文そのもので規制をかけていくのか、施行規則、細目などのところで規制をしていくのか。あるいは、法律ではないガイドラインというもので規制をしていくのか。
 6番、施行までの経過期間は必要か、どのくらい必要か。
 大きな3番は、深夜販売・販売時間の問題点等ということで、大きな問題点としては1点、生体へのストレス等の健康影響に配慮は必要ということです。
 それから4番、主な意見。これは前回ヒアリングを行ったところです。多くの意見が出されたところですが、キーポイントとなるところは、例えば(1)愛護団体の方々の、「深夜販売は禁止。販売時間も例えば1日8時間まで、途中に休息を設けることが必要だ」というご意見です。
 (2)業界団体等からは禁止に肯定的なご意見と否定的なご意見があり、肯定的なご意見として「深夜販売は禁止」。否定的な意見としては「自主規制が行われているので、その自主規制に任せるべきではないか」「深夜販売が犬猫の生体にとって特に悪いという認識はない」というご意見です。
 5番、科学的知見。主にホルモンの分泌の関係を五つほど挙げています。
 6番、海外の規制。ドイツと米国と二つほど挙げています。海外の規制ですが、現在、例えば動物愛護管理法の中で、法律ではない規則や細則に当たる部分がなかなか調べられないということもあり、外交ルートを通じて幾つかの国に照会をかける手続を進めているところです。そのようなものができ上がってくれば、またこの小委員会の中でお示ししたいと考えています。
 7番、国内の類似規制の法令。時間の関係の規制について、代表的なところとしては風営法の規制で午前0時まで、それから日の出からというような内容の規制になっています。
 それから、次のページの「労働基準法」の規制。
 32条で、「1週間について40時間まで。休息時間を除き1日について8時間を超えて労働させてはならない」という規制が設けられています。34条では、休息の規制が設けられています。61条で「満十八歳に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。」といった規制があります。
 最後、5ページ目。
 深夜営業による動物の販売の考え方について、一般の方を対象にインターネット調査をした結果です。その中で、「販売してもよい」、「どちらかというと販売してもよい」、「どちらともいえない」、「どちらかというと販売しない方がよい」、「販売しない方がよい」という五つに分かれていますが、「どちらかというと販売しない方がよい」と「販売しない方がよい」という白と緑のところを足し合わせると、およそ6割程度になります。
 事務局からは以上でございます。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、どんな点でも結構ですので、ただいまのご説明に対するご質問、ご意見をいただければと思います。太田委員、お願いします。

【太田委員】 前回ヒアリングで深夜営業に関しては、野上委員から、五つ六つの質問事項があったと思いますが、それに関して答えは来ていますでしょうか。

【事務局】 前回質問事項、五つ六つございましたが、現在まだ調査中ということで、前回ヒアリングに来ていただいた岸さんに現在つくっていただいているところです。昨日も確認したのですが、まだでき上がっていないということで、でき上がり次第、ご連絡いただけることになっております。

【林委員長】 よろしいですか。

【太田委員】 前回の随分核心的な疑問があったと思いますが、それに対してこれだけ時間がかかって答えが出てこないというのは非常に残念です。私も動物取扱業の一人として、深夜営業が私たちの動物取扱業のイメージを非常に下げているというのは事実です。命あるものを夜中に販売するということは、私たちも望むところではありませんので、ぜひこれに関しては、禁止を決めてほしいと思います。以上です。

【林委員長】 渡辺委員、どうぞ。

【渡辺委員】 私は深夜販売をしているお店の地域住民です。6~7年前ですか、初めてお店ができたときに非常に驚きました。今の場所に40年ぐらい住んでいるんですけれど、町は変わりますし、風景も変わる、それは私も地域住民もわかっています。けれどやはり深夜販売のお店をこの数年間見続けていて、どうしても違和感がぬぐえません。
 夜の遅い時間帯にも何回か行ってみました。そうするとヒアリングでいらしてくださった方がおっしゃるように、確かに8時以降でもとてもにぎわってはいるのです。そこで動物を買ってしまうということは便利だと言えば便利なのかもしれませんが、動物の飼育には、家族が我慢しなければいけないこととか、大変なことがたくさんあります。便利さだけを求めるのではなく、どういう動物が欲しいのか家族でよく話し合って、そのためには時間をつくり、日の明るいうちにお店でもブリーダーでも行っていただくのが、正しいあり方なのではないかと強く思っています。

【林委員長】 規制はすべきだということですね。打越委員、どうぞ。

【打越委員】 私も規制の必要あり、また太田委員と同じように深夜販売は禁止すべき、という意見であります。
 その根拠ですけれども、先ほど太田委員から野上委員の質問の回答が戻ってきているかというのがありましたけれど、その質問の中身は、返品率がどのぐらいであるのかとか、訴訟になったケースはどのぐらいであるかとか、死亡率そのものが出ていますが、その死亡原因として伝染病の比率はどのぐらいであるのかというような、まさに核心に触れるような質問だったというふうに思います。
 今ちょっと議事録を見ているんですけれども、ハルズコーポレーションの岸さんのヒアリングの際に、死亡率の話が出ていたと思います。店全体としては数%というような話で、深夜午前3時までやっているお店の六本木店では死亡率が8%、愛媛の松山では11%というような数字が出ていました。この数字に対して、同じくヒアリングを受けた獣医師、ケネルクラブの中澤先生の方から、かなり驚くべき数字であり死亡の比率が高いというようなお話がありました。
 岸さんのお話によれば、「それが深夜販売に因果関係があるとは思っていない、スタッフ一同誠実に犬や猫の世話をしている」というお話でしたが、やはりその比率が非常に高いというのは気になるところであります。太田委員のおっしゃるとおり、イメージが云々というだけではなくて、因果関係が調査ではっきり出たとは限らないにせよ、やはりかなり危険な販売のあり方ではないかというふうに思いますので、禁止すべきであるということを、私の意見としてお伝えしておきたいと思います。
 それに関連しまして、具体的な時間については、同じくヒアリングでその前の日にありました青木貢一先生から夜7時から朝9時までは販売すべきではないというようなご意見が出ていたと思います。私はそれに全面的に賛成であります。

【林委員長】 ありがとうございました。浦野委員、どうぞ。

【浦野委員】 資料を説明していただいた中で、2の主な論点の中の(5)法律、施行規則、細目、ガイドライン、どれで規制するかということなのですが、具体的に何が違うのか。例えば法律だと罰則規定があるとか、それ以外だと努力目標であるとか、いろいろな違いがあると思うんですけど、そのそれぞれの違いがわかるような、何か一覧表を示していただけると大変ありがたいのですが。よろしくお願いします。

【林委員長】 これは口頭でも言えるかとは思いますが、何が違うのでしょうか。

【事務局】 1ページ目に法の主要部分が載っているんですが、すべて施行規則や細目も、最終的には法を引っ張っています。ですので、法のこの21条にも当然罰則なり勧告・命令規定なりがかかりますので、そういう意味では、どこで規定してもある程度法の網にはかかってくるということです。規定する場所は、それぞれの重さのようなものがあります。法そのもので規定していくのか、それとも今規定しているような時間などはある程度細かい話なので、法律には載せずに施行規則などで細かく決めている、というような状況です。

【打越委員】 今の話について追加です。法律で制定する場合には、国会を通すということになりますので、国民の意思を完全に反映したという大きな力を持つことになると思います。それから閣議決定に基づく政令で規制する場合にも、ある程度力を持つと思うんですが、施行規則、環境省令等ですと、ある意味行政側が官僚制組織内部で決めたものを大臣決裁だけで決めるということになってしまいますので、国民の総意を得て決めたという力を持たないことになると思います。

【林委員長】 総務課長、どうぞ。

【田中総務課長】 今の点で情報提供ということかもしれませんが、法制度の1(1)を見ていただきますと、今の法律の条文で言うと、省令にゆだねている部分がございます。その省令というのは取り扱う動物の管理の方法「等」がついていますが、「等」に関し、環境省令で定める基準ですので、省令に授権をしています。省令に委任をしている範囲というのは、動物の管理の方法が基本的なものであって、「等」はあるにせよ、幾ら何でも「等」でまったく違うものをいきなり省令で書くというのはいかがなものかというような議論が、恐らく出てくると思います。
 ですから、この条文で委任されている範囲であれば省令で書けるし、省令からさらに告示に落としている部分にも書けますが、まったくこれにそぐわないような内容になってくると、例えば販売方法というようなものが、果たしてここに当たるのか。法的には検討が必要になってくる部分だろうと思いますので、そういう意味で委任されていれば、もちろん環境省令で書けますが、委任されていない分野であれば法改正が必要だということは、一般論としては言えるのではないかと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。青木委員、どうぞ。

【青木委員】 今のご説明に触発されての発言になりますが、資料上も、今までご発言になった方々も、「販売の禁止」という言い方をなさっていて、「販売」という概念をどういうふうに定義するかということを、もうちょっと緻密に考えた方がいいと思います。
 例えば、法的な契約を結ぶことは、そこに動物がいなくてもできるわけです。それは販売と言えば販売で、深夜に契約を結んだら販売はしたことになるのかというような論点があって、恐らく多くの方は、生きた動物を例えばケージの明るい中で展示をしているという状態で売り買いすることを「販売」とおっしゃっていると思うんです。
 そこで重要なのは、この動物愛護管理法の観点から言えば、別に売買契約を結ぶことではなくて、当然動物の福祉とか保護という観点です。ですからもうちょっと何が規制対象にするべきことなのかを詰めて議論した方がいいと思います。私は「販売」というと広過ぎるよう気がします。

【林委員長】 今、「販売」とおっしゃっているのは、私の理解では「生体展示の期間」だと思っています。そういう理解でいいですか。販売契約するのは夜中でも、売り主と買い主の関係で行うことだってあり得るかもしれませんけれども、動物が生体展示される時間についておっしゃっているということでよろしいでしょうか。

【青木委員】 補足で言いますと、先ほどおふた方の委員の中から、業界のイメージという、生き物をないがしろにしているような感じを与えるというところと、もうちょっと科学主義的に、実際に、そこで販売されると死亡率が高いという客観的な因果関係の問題で、福祉を害しているという根拠があるということがでました。恐らくこれは、法律の書きぶりからすると、どちらも含んでいいんじゃないかという気がするのです。
 そして、太田委員が最初におっしゃった、前者の「命をないがしろにしているようなイメージというのは、業界としても困る」というご趣旨だったと思うのですが、そういう場合だったら、例えば夜中に動物を売っていること自体でも、イメージが下がるという議論が行われる可能性もあると思うのです。
 「生体展示」ということを恐らく中心に置いていらっしゃるだろうけれど、その周辺は、どこまで含むのかということを確認した方がいいという趣旨の発言です。
 以上です。

【林委員長】 今の論議は「生体展示」という旨で話されているという認識でいましたが、「展示販売」とすれば、もっとはっきりするわけですね。そのご意見はいただきます。
 今、「7時から」という声もありましたが、前に「夜8時から」という声もありましたので、ご意見のときに時間も具体的なことまでいっていただくと、後からまとめやすくなるということがあります。
 それともう一つは、法律そのものを変えるのか、それとも他の施行規則等、いろいろなところで変えるのか。これは、先ほども打越委員と青木委員から、お話しいただきましたが、この場合にはどれが適切かというのはございますか、青木委員。

【青木委員】 主な論点というか、浦野委員がおっしゃったことについてのお答えとして私が思いつくことは、大体事務局と打越委員から述べられたことだと思うのです。
 ただ、確かに法律からの授権関係がきれいにストレートに来ているのか、法律の条文を動かさなくても、下の規則とか告示にはみ出しているんじゃないかという疑問を抱かせないかどうかという配慮は、必要かと思います。繰り返しになりますが。

【林委員長】 ありがとうございました。渋谷委員。

【渋谷委員】 確認したいのですが、先ほど事務局から、動物愛護管理法21条に罰則規定があるような表現がなされたかと思うんですが、あるのでしょうか、ないのでしょうか。
 私の理解だと、21条に関して罰則はないと読んでいたんですが、いかがでしょうか。

【林委員長】 事務局からお答えいただきます。
 調べていただいている間、青木委員、もしご意見ありましたら、どうぞ。

【青木委員】 恐らく、渋谷委員もご承知の上でおっしゃっていることかと思います。
 23条に、21条のことが書いてありますよね。23条が、21条を受けて基準を遵守していないときは、期限を定めて改善勧告ができるということになっています。だから、そういう意味のサンクションはここである。そして、その勧告に従わない場合はどうでしたか。それが罰則にあるかどうかということですが、23条についてはいかがですか。

【渋谷委員】 罰則の方だと、46条の第4項で、「23条第3項または」とありますが。

【青木委員】 そうですね。でも、これは3項ですよね。

【渋谷委員】 3項だけです。

【青木委員】 ええ。勧告ではなく命令への違反です。
 その勧告に従わないときにさらに命令があって、その命令に従わないと、という2ステップ踏む。その根拠は、「行政の命令に従わない」というところに重点が移っていて、「この基準を守っていないから動物の福祉を害している」というニュアンスが弱くなると、多分そういうことだと思います。

【林委員長】 そういうことでよろしいですか。

【渋谷委員】 結構です。それを前提といたしましても、時間制限などをするとしたら、国民がよりわかりやすいように動物愛護法の中に独立の条文を設けて、独立の罰則規定を設けるぐらいじゃないと、なかなか取り締まりはできないのではないかと考えております。

【林委員長】 ありがとうございました。山口委員、どうぞ。

【山口委員】 私も深夜販売は禁止していただきたいと思っております。
 今の「販売」というのは展示販売ということで、深夜販売というのは夜7時頃から朝9時頃までということを、私の方では考えているのですけれども、それが健康にどのように影響するかというのは、まだはっきりしたものは出ていないということでしたが。先日のヒアリングのときに、夜遅い時間、11時ぐらいでも家族の方が買いに来られるみたいなことをおっしゃっていたように思うのですが、夜11時、12時、1時、2時という時間帯に、本当に家族と相談して、犬という家族、猫という家族を迎え入れようというたぐいの方々が、夜中、特に繁華街を歩いていらっしゃるとは思えません。
 飼い主になられる方々が、おひとり暮らしであったり、そういう方々だからきちんと飼育管理できないといっているわけではないのですけれど、不安定な方々も中にはいらっしゃるということです。飼われた後の子たちが適切に飼育管理されているかを考えますと、深夜販売というのは危険を伴うと思っております。
 それから、法律か細則かというところですけれども、今まで、私たちの方にはたくさん苦情が入っています。店舗の飼育管理状況を見ても、どう見ても、この細則には合っていない、飼養管理の基準にはどう見ても合っていないということがあっても、なかなか指導がきちんと行き渡りにくい。そして、自治体の方々も、どうもそれをストレートに適用されにくいところがあると伺っております。法律で細則というよりも、きちんと自治体の方々が適用できるところに規定を設けていただけたらというふうに思います。

【林委員長】 ありがとうございました。小方委員、浦野委員、井本委員といきましょう。

【小方委員】 科学的知見のところですが、これは動物の睡眠不足との関係で成長ホルモンを挙げられたと思うのですが、なぜこれは成長ホルモンだけ挙げられたのか。あるいは、たまたま成長ホルモンを挙げられたのか。実際にはほかのホルモンも、いろいろと生体には影響を及ぼしていると思うのですが。その辺をお尋ねしたいのですが。

【林委員長】 いかがでしょうか。

【事務局】 これだけを挙げたというよりは、探した中でこのようなデータしか見つからなかったという方が正解かもしれません。いろいろな先生方からいただいたデータも含まれています。

【林委員長】 ほかに、こういう状況で飼育されたもののデータがないということですね。
 よろしいですか。それでは浦野委員、どうぞ。

【浦野委員】 本格的な議論に入る前に、もう1点確認したいのですが。
 法の第10条で、「動物の取扱業は、都道府県知事の登録を受けなければならない」となっていると思うのですが、「ねばならない」だとすると、動物を取り扱おうとする人は、必ずその登録を受けなければならない。すなわち、登録を受けていない人は動物を取り扱ってはいけないのか、あるいは、届け出たけど何らかの理由で受け付けられなかったという人が動物を取り扱いしていいのかということです。この点についてはどうでしょうか。

【林委員長】 ご承知だと思うのですが、動物の登録をしていない人は動物を取り扱ってはいけません。「取り扱う」というのは「取扱業を営んではいけません」ということです。

【事務局】 この10条の規定の中で、動物の販売・保管・貸出し・訓練・展示という言葉がありまして、こういったものに当たるか当たらないかによってもまた違います。ですから愛護団体のやっている譲渡活動みたいなものは、現状では、この販売・保管などにも当たってこないということになります。業として見られていないということです。
 それから、10条の中で、実験動物の関係や畜産動物の関係は、この条文から外されているということになります。

【浦野委員】 そうすると、登録していない人が取り扱いをやった時点で何らかの罰則規定があって、法の網がかかってくるわけですね。

【事務局】 46条です。

【浦野委員】 46条ですね。わかりました。

【林委員長】 じゃあ、井本委員、どうぞ。

【井本委員】 最初の議論は、どちらかというと犬猫を念頭に置かれてお話しされていると思うのですが、ここはペット全体とするのか、犬猫にするのか、前段階としてはっきりしておいた方がいいと思います。今は全部、犬猫を前提にしていますけれども、ご意見をいわれるときは、ほかの動物までも広げた方がいいか悪いかを同時におっしゃっていただければ、それでいいと思います。
 4、主な意見の動物愛護団体の「成熟個体1日8時間まで」という中でも、犬猫を前提とするのか、ほかのペットを前提とするのかによって随分話が変わってくるわけです。例えば、ヘビだったら1日8時間以上だって悪くないんじゃないかみたいな意見になってきますし、販売されるのはほとんどが成熟個体でしょう。よくわかりませんけど、恐らく、そういうことだと思うのです。
 ですから、できる限りそれを言っていただいて、どうするかという議論を進めていただきたいと思います。

【林委員長】 現時点での論議は、犬と猫で、夜の深夜販売の時間の制限を話しているというふうに思ってください。それで、今は夜7時からという意見しか出ていないです。ほかに、例えば8時でいいとか9時でいいというご意見もあればおっしゃってください。それから、ほかの動物も含めてお話しいただいても結構です。加隈委員、どうぞ。

【加隈委員】 事務局の方から問い合わせをいただき、文献を当たらせていただいたんですけれども、今回、2回にわたる議題に関しての文献や科学的知見は非常に少ないというのが全般的な印象です。これが関係するんじゃないかということで、重箱の隅を突くような文献をそこに出してみたのですが。
 犬と猫を中心に調べてきているんですけれども、その中で、深夜ということに関しては、調べた範囲では、最後に委員限りでお配りしたコピーに一部載っております。
 2ページ目に当たりますけれども、子犬は8週齢までには大人並みの睡眠サイクルになります。ただ、その睡眠サイクルというのは12時間の昼夜で、実験犬での条件の場合には夜間の21時から朝の4時までに睡眠のピークが来たり、もう一つ軽いピークが昼間にも来ます。昼過ぎに犬はよく寝ていると思うのですが、犬も猫も睡眠時間そのものがかなり長いということで、そのまま、それをペットショップに適用すると、どの程度、睡眠を確保してやるべきなのかといったことになります。
 成長ホルモンの部分も含め、ぴたっと来るような知見は特にこの部分に関しては少なかったのですが、犬猫のストレスは長時間販売とかも関係はしてくるので、私はある程度の規制は必要かと思います。むしろ購入する方が、夜間に例えばお酒を飲んだ帰り、周りも華やいでいたりとかで、心の準備ができていない状態で何となくぱっと買ってしまうという部分も重視した方がいいのかなというのが、動物側を調べていて逆に感じた印象です。ですので、販売に関しても、もし規制をするのでしたら、あわせて考えた方がいいのかなと思います。
 さらに、科学的な知見だけではストレスとしては深夜に関してはまだ少ないというところが実際のところでした。

【林委員長】 ありがとうございます。これに関する科学的な知見は、なかなか十分なものはないということですね。今後こういう科学的な知見が増えることを望みますけれども、現時点では、科学的な犬のストレスあるいは猫のストレスといったような観点よりも、別のファクターで規制した方がいいのか、悪いのか。
 恐らく、科学的知見が少なかろうと多かろうと、これについては例えば業界からの考え方もありますし、多くの人たちがまったく逆のことを言うのであれば別ですけれども、完全に科学的に解明されないと法律で動けないというものではないと、私は理解しています。
 今回は残念ながら科学的なことでの裏づけは余り多くないから、論議になったとき、もっと別のことでいろいろな主張をされたらいかがと思います

【井本委員】 犬猫が長時間睡眠を要するというのは皆さん知っていることで、それが唯一のよりどころだと思います。8時間販売となると、8時間連続して起きているわけじゃないけども、常に起きていなきゃいけないような雰囲気を与えているわけです。1日16時間寝ているとすると、それぐらいの時間は寝かせてやろうよということになり、あのくらいの時間になるわけです。6時間だったり、あるいは幼齢動物だったらもうちょっと短かったりという。それが根拠でよろしいんじゃないかと私は思います。

【林委員長】 ありがとうございました。どうぞ、打越委員。

【打越委員】 規制の根拠の話もしたいんですけれども。座長は犬猫前提として議論していたと仰いましたが、私はペット全体のつもりでした。
 確かに、例えば魚は水槽にずっと入っていて動かせないということはあると思うんですけど、同じ哺乳類でもウサギでとかモルモットとかハムスターであれば、十分、犬や猫と同じぐらいの法律でも大切に扱ってやっていいのではないか。また、飼い方のきめ細やかさに関しても、同等の考慮が必要ではないかと思います。
 線引きは難しいかもしれないですが、犬と猫の2種に限定しなくてもいいのではないか。少なくとも、哺乳類ぐらいまでは入れていいのではないかと思います。
 それから、先ほどの深夜展示の規制についての根拠ですけれども、幾つか自分で考えていることがあるのでお伝えします。
 先ほど山口委員、加隈委員から、夜に買いにくるようなタイプの飼い主さんだと、十分に面倒を見てあげられないのではないか、その結果トラブルも起きるのではないかというご意見がありました。ペットを買うというのは結構大きなお金も動くことですし、その後の生活を縛ることですので、非常に重要な契約の場だと思うのですけど、そういう重要な日でさえ深夜でないと店に来られない方というのは、逆に言うと日常的にいつも深夜でないと動けない。せめてペットを買うときぐらいは普通の昼間に買いに来るならばまだしも、それができないのであれば、飼い始めた後も、いつもペットに深夜しか会えない方ということになると思います。
 もちろん、一生懸命働いているOLの人たちが、帰りが遅くなって家に帰ったときにペットにいてほしいという気持ちはあるかもしれないですけど、せめて最初に買うときとか、あるいは病院に連れていくときぐらい昼間に一緒に過ごす時間をつくるぐらいの覚悟のある人でないと困ります。逆に言うと動物病院は夜中にやっていませんので、ほかの業も昼間に動物を対応するというのが前提でつくられていると思いますので、そういう仕組みに合わないのではないかということで、深夜に販売するというのはいかがなものかというのが1点ございます。
 それから実際に、もしこれを禁止した場合には行政側が取り締まりをする体制に入ってくると思うのですけれど、行政が取り締まるときに、その取り締まりが複雑だったり難しかったりするものを、つまり、「証拠がないとわからない」とか、解釈を巡る議論が重なるようなものを法律で禁止すると、結果としてザル法になってしまうことがあるとは思うのです。
 しかし、深夜の展示に関しては言い逃れができない。誰が見ても非常にはっきりしていますので、禁止とした場合、行政側の取り締まりも非常に簡単にできる。逆に言うと、今現在は法的な根拠がないために毅然とした行動がとれないというのであれば、それは法律で定めれば、言い逃れのない証拠が目の前に転がるということになりますので、法的に規制するのは、技術的に難しくないだろうと思います。
 それと、もう1点。3点目は、業者側の体制ですけれども、当初岸さんは「深夜で販売しているものが非常に会社にとっては重要な収入源になっている。ですので自主規制に任せておいてください」と仰っていました。しかし、私の方から「深夜販売に対する批判というのは世論的に強まりつつある。そういった中で、収入の大きな部分を得ていると反論なさるだけではなくて、世論に合わせて体制を変えていく準備はございますか」と質問したところ、「法律が決まったら、その旨、気をつけて法律に合わせて対処していく」とご本人の口から発言が出ております。つまり、業者側もそういったものに向けて準備なり努力なりはできているのではないかということで、規制をかけていいのではないかと思います。以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。私の意見です。
 犬猫に限ることなく、哺乳類まで広げた方がいいのではないかというご提案だったと思いますが、それでよろしいですね。
 水越委員とそして野上委員、どうぞ。

【野上委員】 私も深夜営業には反対ですが、この業者の登録状況について情報開示請求をして、全国の店舗について調べてみました。そうしますと、実際のところ深夜3時までやっている店舗は数えるほどしかないようです。実際に、地方都市ではそんなに深夜に人が出歩くような場所がありませんので店舗を開いていても儲からないという事実があります。非常に目立っているところは六本木や歌舞伎町など、深夜遅くまで人がにぎわっている場所に限定されているわけです。そのほかの店舗ではそんな深夜までやっていません。そういう意味では、規制してもよいと思います。特殊な地域のみで開いているという実態がありますから。
 もう一つは、種類についてですが、私も犬や猫に限らず、ほかの動物も原則として展示時間や販売時間を定めた方がいいだろうと思います。例えば、ショッピングセンターとかショッピングモールのような深夜11時まで開いているようなお店で、ペットショップが入っているところもあります。そういうところでペット用品を買うことは構わないと思うのですが、生体販売をしている部分は、囲うとか隔離するとか別途扱うようにして、生体販売についてはきちんと時間を守ってもらうようにするべきではないかと思います。
 それから、法律全体の問題ですけれども、営業停止が一番業者にとっては効果があると思います。しかし、政令、それから告示(細目)に違反はしているけれども、なかなか営業停止にできないという大きな問題があります。ですので、こういう点で、政令、細目を守らなければ営業停止措置に至りますという規制を、より明確にすれば、非常に大きな効果があると思います。
 深夜営業のみの罰則を設けるというのは、法律全体の中でのバランスを欠くように思いますので、動物の取り扱い全体についての基準が強化されるような形、実効性を持つような形で組み立てていく必要があるのではないかというふうに思います。以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。犬猫に限ることなく動物全体ということになると、哺乳類を超えて、動物愛護管理法が対象としての爬虫類までありますが、全体ということでよろしいですか。
 もう一つは、特に法律改正ではなくてどの段階でもいいけれども、実効性のある、つまり登録が抹消されてしまうような形を考えておられるわけですね、そういう罰則の方が、効果があるのではないかと。罰金100万円を払えとかそういう話ではなくてですね。
 水越委員、どうぞ。

【水越委員】 先ほどの動物種という話ですけども、それこそ、動物種または月齢によっても睡眠サイクル等は違いますので、すべてを科学的にどうということは、なかなか難しいと思うんです。ただ、ここにありますように成長ホルモンとか、睡眠後にあらわれるストレスホルモンとか、睡眠が必要だというのは、どの動物に対しても同じだと思います。
 私は、犬猫に限らず、すべての動物を対象にしていただきたい。私の考える根拠というのは、基本的にこの法律は、まず頭に終生飼育であるとか、そういうことをうたっております。そういうことを考えますと、何人かの委員さんからあったように、できるだけ安易に動物を入手するというようなことがないような規則があってもしかるべきではないか。
 終生飼育を言っておきながら安易に入手できるということをそのままにしておく、というのは何かおかしい感じがするということがあり、私の個人の意見としては、すべての動物に対して適用していただきたい、というふうに思っております。

【林委員長】 ありがとうございます。すべての動物というのは、この動物の愛護及び管理に関する法律の対応する動物ということですね。どうぞ、太田委員。

【太田委員】 動物に関して、小動物でも夜行性のものがあるんです。
 今回の業の見直しの中に「監視を受け」という話も入っていますね。「監視を受け」というと、大体同じペットでも時間が12時に開店して夜11時に終わるとか、そういう問題も起きてくるのです。
 確かに、すべての動物に適用するのが理想かもしれませんが、私は、まず犬猫に関して絞っていただいてした方が、実効性があるのかなというような気がします。
 それと深夜営業というのは、この5~6年で始まったまだ最近の業態です。販売時間で規制すれば深夜営業も当然できなくなりますので、販売時間を午後8時までにするというのはいかがでしょうか。
 私たちの業界では、今回自主規制ということで、午後8時ということを打ち出しました。私のお店もショッピングセンターに入っていますので、一部午後9時までやっているお店があります。それでも私たちは午後8時で閉めようということになり、カーテンを閉めて、「動物愛護のために午後8時で閉めます」としたところ、お客さんの反響もすごくいいのです。そういう点で、時間を午後8時と決めれば、深夜営業は当然規制できると思います。

【林委員長】 ありがとうございます。そろそろ1時間になりますが、室長からどうぞ。

【西山動物愛護管理室長】 ご参考までに情報提供ですけれども、ペットフード安全法が去年施行されているのですが、そのときにも対象をどうしようという話になって、結局政令で定めることにして、今のところ犬と猫に限っているのです。その理由の一つは、飼っている世帯数が圧倒的に多い。3位以下を大きく引き離しているというのと、あともう一つが、ある程度、健康被害のデータ実績があるということ。どういうふうな規制をしたらいいかという情報がある程度あるので、将来的にはともかく、当面は犬と猫に限りましょうということにしています。
 それから、もう一つ別な話ですが、法律で変えるのか、告示で変えるのか、あるいは、動物愛護管理法の中でどこまでできるのかというのは、少し慎重に考えなくてはいけないと思っていて、今、適法にやられている業態の一部を規制するというのは、実はすごく技術的に大変な話です。ですので、これが動物だからそうなのか、あるいは、実は動物に限らず一般的な話なのかという辺りも含めて検討した上で、結局、方向性が見えてきたら我々の方で法制局なりにご相談して、これが日本の法律の仕組みで規制ができるのか、できるとしたら法律か、告示かという相談をするつもりです。ここの小委員会には法律の専門家の方も何人もご参画いただいていますので、その辺の実現可能性もにらみながら、ご議論いただけるとありがたいと思います。

【林委員長】 ありがとうございます。私は、必ずしも科学的なデータに基づかないものも、それなりの合理性があれば、変える必要があるというふうに思うのですが、爬虫類以上のすべての動物となりますと、ほとんどの動物はデータがないですよね。さっきの夜行性の動物はどうするんだという話だってあり得るわけです。
 犬は人間と一緒に暮らすようになって昼間寝ていますけれども、哺乳類の多くは基本的には夜行性だったわけです。今ペットショップで売られているものの中でほかの動物はどうなのかと考えると、犬猫から始めていったらどうだろうかというのが私個人の意見です。
 犬猫については、井本委員もおっしゃいましたけれども、ものすごく寝る。あのくらい寝る動物なら子どものときはもっと寝るんじゃないか、という一般的な常識が日本に広く行き渡っているので、それを妨げるような販売はいかがなものかという一種のコモンセンスがあるのかなという感じがします。皆さんのご意見をお聞きします。

【打越委員】 確かにデータがあるのは犬猫だけなのかもしれないですけれども、動物愛護管理法で対象としている動物は、基本的にすべてというふうにして、逆に、夜行性であるとか、こういう動物は例外としてそれを認めるというふうな手続のやり方でもありだと思います。
 主に置いているのが犬猫だとしても、法律の条文なり規則なりで「犬猫のみ」というふうに書くぐらいなら、「すべて」と書く。ただし、お店の側も例えば夜8時まで犬猫は置いているけれども夜11時までほかの動物は出しているというのは、それはまた逆に面倒くさい話であり、犬猫に限定するのはいかがなものかなというふうに思います。
 それから、先ほどの西山室長からのご意見で、法律でやるのか、それとももう少し下のものでやるのかというふうなお話があって、私もそれをずっと意識していたので、自分でパソコンに労働基準法を出してそれでやってきたら、事務局から送られてきた資料に労働基準法が入っていたので、「同じことを考えるんだな」というふうに思ったんですけども、業を営業時間まで法律で縛るというのは、なかなかない話だと思いました。もちろん、周辺の近隣の騒音その他を考えてというようなことはあるにしてもです。
 地域ごとによって生活スタイルが違う中で、条例によってではなく法律でがつんというのは、普通ならあり得ないというふうには思っています。
 ただ、労働基準法を持ってくるのは、労働者の権利、若い子ども、未成年者の健康を考えてということで、これはそもそも対象が人間の権利を守るための法律ですけれども、犬や猫についても、これだけ議論が深まってきている中で、数字を入れちゃいけないというものでは決してない。そういうふうにしないと、もはや守れない法的な利益、社会的な利益がある(閣法でいくということでしたので、内閣法制局との戦いになるのかと思うんですけど、頑張っていただきたい)というふうに私は思っております。

【林委員長】 ありがとうございます。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 今の「すべての種を」という問題ですが、犬猫以外にも、例えば売られている動物で気になるのは猛禽類とか、コモン・マーモセットなどの霊長類、野生動物です。そういう動物については種ごとに扱いが異なります。猛禽類は夜行性でありながら夜こうこうとした照明のもとで売られているわけですし、昼間は昼間で明るいところにいるというわけですから、動物の種ごとに別途ガイドラインなりで細かく規定をして、それを守るようにしていくという仕組みは必要かなというふうに思います。

【林委員長】 ありがとうございます。
 非常に貴重な意見です。私も猛禽類のことはある程度知っているのですが、昼間の明るさも問題だし、夜行性ですけども夜はあの状態がいいのかといったようなことがありますし、そもそも猛禽類は野生動物ですので、どうなのかということもあります。それを言っていくと本題から外れますので、ご意見があるということは確かに承りました。

【野上委員】 動物園は1日8時間の展示時間を守っているわけです。それは動物のストレスのことを考えてやっているわけですから、展示販売の場合は、もっと騒々しいところで常にストレスにさらされているということは言えるんじゃないかと思います。

【林委員長】 8時間というと、例えば、正午から午後8時まで展示したいというお店が出てきて、8時間を守っていますという、そういう販売時間でいくのか、それとも夜7時なら7時、8時なら8時というふうに、きちんと切った方がいいのか、どちらのご意見でしょうか。

【野上委員】 原則としては、人が常識的に働く8時ごろまでだと思いますが、その間に休憩時間を入れるということが今でも定められていますので、その休憩時間にはシャッターを閉めるとか、動物の生体の部分だけを閉じて一般の人の目に触れないようにするという形でやることは可能だと思います。一般に、ペットフードを買いたいという人は夜でもいるわけなので、そういうお店まで閉めろという必要はないと思います。

【林委員長】 いろいろな意見をいただきました。
 全体としては、深夜営業はやめるべきで、販売時間も決してある一定時間を超えてはいけないということですね。

【山口委員】 販売時間のことですけれども、私は夜7時と言いましたけれども、7時以降はだめで、それ以外だったら朝9時から8時間の間で、また休憩を持ちながら全部で8時間とか、11時ぐらいから7時というふうなことです。その中で8時間ということで、時間帯はずれてもよいということ。今でも休憩時間を入れていらっしゃるところもあるのですけれども、必ず休憩はつくるということも規定の中に入れておいていただければというふうに思います。

【林委員長】 今、幾つかの意見が出ていますけれども、スタートについては、夜7時という意見と8時の意見と両方あります。何時にスタートされてもいいですけれども、もし朝9時からスタートしたら、もっと短くなりますね。
 法律そのものを変えるのか省令なのか、施行規則なのか、いろいろな方法があっていいということですが、法律そのものを変えてその項目のところだけで罰則規定もはっきりしておいた方がいいという、一番最初に渋谷委員からおっしゃった方向と、営業ができなくなるような形の罰則が望ましいという野上委員のご意見ありました。

【青木委員】 犬猫に限るべきかどうかという問題については、私自身、動物の専門家でもないこともあって、なかなか自分の意見をはっきり言いづらいなと思って聞いておりました。そして皆さんが、少なくとも、今日この場で出た議論の中で共有した考えとしては、データとしては犬猫ぐらいしかなさそうだということです。犬猫についても動物学のご専門の方からは、必ずしも十分とは言えないんじゃないかということだったかと思います
 これは一番最初の会で問題になったことだと思いますけど、この改正の趣旨は、何をもって論点とするのかというご発言が浦野委員からあって、法律が十分に機能しているかどうかを見直すという見地ではないかということで、私が発言申し上げたわけです。
 要するに基本原則が法律に書いてあって、それが十分実現したかどうかを点検することが基本的な出発点だと考えると、例えば基本原則の第2条に「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も動物をみだりに殺し、傷つけ、または苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない」とある。恐らくこういう基本原則の変更は、我々に求められている任務ではなくて、大原則のもとで細かな規制とかが十分に働いているだろうか、それが働いていないとしたらどうしたらいいだろうか、ということだと思うのです。
 そうしますと、どうも今の基本原則は、「習性」とか、実際に「苦しむ」かという、比較的科学主義的な書きぶりをしているように私には思えるところがございます。そして基本的には、「そう思わない」と言われてしまう議論は普遍性を欠く。「あなたはそう思うかもしれないけど、私はそう思わない」と言われてしまうのでは説得力がありません。
 例えば、深夜出歩いている人は飼う資格がない人ではないか。確かにそうかなと思うけど、「いや、そうじゃない」という人には何の説得力もないわけです。私は、なるべくなら科学主義的に行けるものは行った方がいいかなという気がしておりますので、今の時点では、暫定的に犬猫からスタートするというのも、法律の趣旨からすると穏当かもしれないという感じを持っております。以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。これについては、そうでない考えの方もおられますので、ここでは結論が出ませんけれども、この小委員会の役割については、今まさに青木委員がおっしゃったとおりだと思うのです。
 法律の枠を超えて、教育的な観点からこういうことをやった方がいいというのは、私たちの役割を超えているのではないでしょうか。あくまでこの前文にあるところを踏まえて、それがうまく機能しているかどうか、機能していないのならば、どこをどう変えたら機能するようになるかということが、この小委員会に求められているのだろうと思います。
 それでは、先ほど申し上げましたように、二つ目の話を、また事務局の方からお願いいたします。

【事務局】 それでは資料2をご覧ください。移動販売・インターネット販売・オークション市場についてです。
 まず現状ですが、法制度として法第10条で販売。そのほかに保管、貸出し等がありますが、販売というのが規定されています。
 現状では、インターネット販売、オークション販売の場だけを提供する方々というのは、この販売の中から規制対象としていない、外れているということです。実際に販売をするにしても、インターネットで売買する当事者はもちろん販売業に関わってくるわけですが、「場だけ」というものはかかってきていません。
 次のページにまいりまして、先ほどと同じように規則で細かいことが書かれていますが、規則の上の方、四、まず契約に当たっては動物の特性、状態に関する情報を顧客に対して文書を交付して説明する。そして、顧客に署名等による確認を行わせる。
 五、ワクチン接種を行った場合には、その動物に関する接種の証明書を顧客に交付するということの規定があります。
 次に3ページ目、主な論点が三つに分けてあります。
 一つ目、(1)移動販売。[1]規制する必要はあるのかどうか。[2]何を規制するのか。
 固定店舗でないと生体販売は不可とするのか、またそれはできるのか。
 4ページ目、拠点となる固定店舗を持っていなくてもよいか。
 トレーサビリティーとアフターフォローをどのように確保し、どのように規制するのか。
 輸送、保管、これらの方法は現行法令以上に強化する必要があるか。そして、それは移動販売だけを規制強化することはできるのか。それから、感染症対策です。
 [3]、[4]、[5]は先ほどと同じ観点です。
 (2)インターネット販売。[1]規制の必要はあるか、[2]何を規制するのか。
 四つあります。インターネットを利用した生体販売を禁止するのか、それはできるのか。
 対面での説明を義務化するのか。つまり、インターネットでの販売は認めたまま、やり方を工夫する。必ず販売するときは対面でということを義務化するのか、また義務化した場合には、説明する場所を店舗のみとするのか、どこでもいいということにするのか。
 生体そのものを目視で確認しなくてもインターネット配信情報だけで購入してよいか。
 それから、輸送、保管の方法は現行法令以上規制する必要があるか、インターネット販売だけ規制強化することはできるのか。
 (3)オークション市場。[1]規制の必要性はあるか。
 現在、オークション市場とインターネット市場の管理者は、規制対象となっていません。
 それから、[2]何を規制するのか。オークション市場そのものを禁止にするのか。
 禁止にはせずにトレーサビリティーを確保したり、感染症対策を担保したりといったことで規制していくのか。
 5ページ目、3番、主な問題点。これも移動販売、インターネット販売、オークション市場、とそれぞれ書いてあります。
 (1)移動販売は、動物の十分な説明がなされていないことが想定される。それから動物が狭いケージ内でストレスがかかるのではないか。アフターフォローが困難。
 (2)インターネット販売では、動物の十分な説明がなされていないのではないか。生体を目視で確認することなく購入しやすいのではないか。
 (3)オークション市場はトレーサビリティーが困難。感染症対策。
 それから、病気の動物の売買が仮に成立した場合にも、それを実際に店頭で販売するときに、その説明を十分なされないまま販売されるおそれもある。
 4、主な意見。
 (1)動物愛護団体の方はインターネット販売、移動販売は禁止すべき。オークション市場も禁止すべき。または、市場自体は禁止しなくても、今、業に含まれていない市場を、ここを業に含めていくという考え方。
 (2)業界団体。禁止に肯定の意見と否定の意見があり、禁止にすべきという意見。
 否定のご意見として6ページ目。むしろ店頭に生体を展示するよりも、動物にとっては優しい販売と言えるのではないか。
 移動販売が店頭販売に比べて悪い影響があるとは認識がない。オークション市場は動物取扱業に含めて監視すべき。それから海外の規制を英国、フランスを例示で出しています。
 次が7ページ目、参考資料ですが、通信販売に関する特定商取引法による規制について。
 参考データといたしまして、9ページ以降に幾つかデータをつけてあります。そのうち、全部関連ありますが、重要な部分を一つご説明申し上げます。
 11ページは一般の方にアンケートをしたのですが、犬と猫を購入した人に聞いております。平成14年からありますが、一番下の21年1月が直近になります。一番下を見ていただきたいのですが、赤がペット販売業者、ショップなどで購入。オレンジがブリーダーから購入、黄色が通信販売で購入、インターネットオークションで購入を示しています。
 この通信販売とインターネットオークションが、ネットを使った購入になります。
 一番下の平成21年ですと、それらをあわせて3%と4%ですので、約7%がネットを使って購入した方になります。猫も下同様の、似ているグラフになっています。
 今度は23ページですが、23ページは、国民生活センターの公表資料をもとに環境省が作成したもので、真ん中の一番に表が出ています。
 「ペット動物」というところが濃くなっていますが、2005年から2010年まで、10年は途中経過です。9年まで見ていただくと、ペット動物で消費生活相談内容の件数は、それほど変動がないかなといったところです。
 続きまして、次の24ページですが、今申し上げましたペット動物に限定して相談内容の内訳を示しているものです。
 そのうちの「販売方法」というところを少し濃い目に示してあります。その中で、店舗購入278、通信販売216という、苦情なども含めました相談があります。いずれも200から300の中ですが、先ほどデータでお示ししましたアンケート調査によると、インターネット販売はパーセンテージ的にはそれほど多くない。ところが苦情となるとそれほど店舗販売と差がなく、ここで言っている販売方法は、必ずしも購入したわけではない。購入しようと思って相談したけど、やめたという方も、この販売方法の中には含まれます。
 ですから、直接比較というのは非常に難しいかもしれませんが、一つの参考になり得るのかなというふうに考えています。以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。それではこの内容、この問題について自由に意見あるいはご質問がありましたらどうぞ。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 まず、移動販売ですが、当会にも移動販売について問題があるという情報がたくさん寄せられます。
 一つは、移動のストレスに加えて給餌・給水が困難ですとか、病気になっているのに手当てされていないとか、さまざまな日常的なケアが困難で、動物の健康と安全に支障が出ているという実態があります。ですので、移動販売については厳しく規制する必要があると思います。
 もう一つの理由として、行政が監視できないという問題があります。移動販売においても、その場所において動物取扱業の登録をしなければいけないのですけれども、開催期間が1日から1週間程度という場合には、前日になって施設を設営する。しかも、大体、連休が多いので、行政が事前に立入調査をするということはほとんどできません。また、問題が起こっていても連休中であるので行政が休みになっていて見に行けないというところがあります。そういう意味で、実際に行政の監視や審査ができないという物理的な問題もあります。
 また、現行の法律では24時間以内の営業については登録が要らないことになっているわけですが、連休中に転々と場所を変えて移動展示販売するような業者もいます。現実的に、行政がきちんと動物取扱業に対する監視ができないという観点から、移動展示販売は厳しく規制するか、やめていただきたいと考えています。

【林委員長】 ありがとうございました。ほかにご意見あるいはご質問でも結構です。
 山口委員、どうぞ。

【山口委員】 私も移動展示販売は禁止していただけたらと思います。
 野上委員と同じように、私どもの協会にもたくさん、移動展示販売で購入した方々からの苦情もありますし、展示販売のストレスを思わせる内容もたくさんあります。
 そして、大きな会場で展示販売した場合、その翌日から周りの開業獣医さんが「明日から来るぞ」と心の準備をしておかなければならないほど、嘔吐とか下痢という症状の動物が動物病院に持ち込まれるということも聞いております。
 そもそも、その会場は、たくさんの方々がいらっしゃるところです。店舗でもたくさんの方はいらっしゃいますけれども、イベントという形でやられることが多いですので、そこの会場での騒音、人がさわりまくるということもあって、音、音楽、光、そういうものすべてが動物にとってストレスになるということです。動物がそこにいられる状態ではない、動物がいる場所ではないところで展示販売されているということで、動物が翌日から嘔吐、下痢が始まっても当たり前のような状況だと思っておりますので、ぜひこの移動販売は禁止していただきたいというふうに思います。

【林委員長】 ありがとうございました。2件続けて移動販売は禁止すべきだということでした。渡辺委員、どうぞ。

【渡辺委員】 私も、ぜひ禁止の方向で決まってほしいと思っています。
 移動も、もろちんストレスでしょうが、移動販売のイベントなどが終了間際のときは、業者さんとしては、ここで決めてしまいたいという気持ちが強く働きます。それで、その時点で迷っていた人が、「そんなに安くしてくれるんだったら」とか軽い気持ちで最後の一線を踏み越えて、「じゃあ買ってしまおうか」と思うことがある。心の準備も、家の準備も、家族との話し合いもならないうちに買ってしまうこともあります。ですので、ぜひ廃止の方向で行っていただきたいと思います。

【林委員長】 ありがとうございます。打越委員、どうぞ。

【打越委員】 意見ではなくて質問ですけれども。
 移動販売といいますと、例えば大きな会場で「ペットキャンペーン」みたいに、新聞に折り込みチラシが入ってくるようなものがイメージされるところですけども、前回のヒアリングで、移動販売そのものをやっていらっしゃる方のヒアリングはなかったわけですよね。なので、実際に、どういう形で興業されて、どういう業者が出ていって、どうやっているのかというのが、実は、イメージでしかわからない。私も基本的に、そういう場で販売することに関しては非常に強い懸念を持っているので、禁止することに反対するために質問しているのではなくて、むしろ実態がどうなっていて、誰がどう責任をとっているのかを知りたいのです。
 もし、太田委員がいろんなことをご存じだったら伺いたいと思いました。

【林委員長】 そうですね。これまでは1例でも、その業界の方が報告しています。あれが全体ではないのですけれど、まったくイメージがつかめないというのも論議するときに、つらいものですね。太田委員。

【太田委員】 業界の恥をさらすようで恥ずかしいのですが、前回のヒアリングで、深夜営業の方が移動販売のヒアリングだったのです。しかし時間がなくてそこまで行かなかったのです。それが、説明がなかった原因です。
 移動販売は、昔は相当たくさん行われておりまして、デパートが、夏休みに人を集めるために、8月のお盆のころや、人集めの企画として犬の移動販売を行っていました。日本でも、今まで一番大きなペットのお祭り「ペット博」というのがありました。幕張メッセ等の大きな会場を借りて、もう15年ぐらい続いていますが、そこで昨年まで移動販売が実際行われていました。
 しかし、業界関係者や愛護団体の皆さんなど、15団体が移動販売禁止、ネット販売禁止のキャンペーンを行い、10年前に比べると移動販売の数は約10分の1くらいに減っております。今現在、移動販売をやっているのは業界の中のほんの一部の人です。やめようと思って皆さんやめています。ただ、それを守らないでやっている人もいるのです。
 移動販売の目的が最近変わってきまして、売れ残りの犬を移動販売で処分する。「処分」といったら失礼な言い方ですけど、例えば、未成犬の犬を1万円で売るとか2万円で売る。そういう形で売れ残りの大きな犬を販売する場所になっています。
 そして、買った人に聞きますと、1万円で犬は買ったけども、ワクチンが3回打ってあって、保険をつけて、マイクロチップもつけて保障をつけたら7万円で、合計8万円になっちゃったとか。そういう犬の安売りは、すべきではないと思うのです。5カ月も6カ月もたった犬を買うということ自体が、現在、社会化ということで話題になっています。しつけができない時期にきちゃっている。
 その点では、もちろん小さい犬を売るべきではないですが、売れ残ったあまり大きな犬を売るということは、飼い主も買った後、しつけができない。困って保健所に持っていくということにも相当ありますので、そういう面から移動販売はすべきじゃないというのが業界の、私たちの会の方針です。

【打越委員】 確認です。第2回のヒアリングのとき、青木貢一先生が一般社団法人全国ペット協会と協力して、移動販売のストップキャンペーンをやっているというお話がありました。良質な業者から見れば、そういったものには参加しないような場であり、業界自主規制にあまり乗っかってこないような業者さんたちが開催している場であると思います。
 またその場が、本当に言葉は汚いのですけれども、まるで売り残りのものを処分するような場として利用されている傾向があるということで、太田委員のお話をきいて、なるほどというふうに思います。ありがとうございました。

【林委員長】 ありがとうございました。
 移動販売がかなりよくないという現状をおっしゃっていただいたのでよくわかりましたが、私から事務局に質問です。先ほどの深夜営業ですが、例えば風俗業だって規制があるわけで、「何時以降は、したらいけない」というのは、法律で既にありますよね。つまり、営業時間の規制をかけているわけですね。
 これまで、移動販売で規制をかけられているものは何ですか。法律で、移動販売をしてはいけないものは何かありますか。
 つまり、物を販売したり、流通されたりするときは、かなり自由度が高いと思うんです。先ほども話がありましたけど、そこに対して何かの規制をかけていくときに、相当な覚悟がなければいけないですけど、既に何かほかのところであれば、こちらはこちらで一つの理屈をつけてやっていけると思うのですが、移動販売という販売方式そのものについて、どこの業種も規制がかかっていないとすれば、これはなかなか突破する壁が高いのではないかと思うのですが、その辺はどうでしょう。
 移動販売をしてはいけないものをご存じの方はいますか。また調べておいてください。

【西山動物愛護管理室長】 むしろ次のネット販売の方と関係するかもしれないですけれども、薬事法の一番新しい改正のときに、通信販売は第三類医薬品しかだめ、一類と二類はだめですよということになったらしいんです。そのときに、憲法違反ではないかという提訴があった。要するに、営業の自由というのは憲法で保障されているのに、法律で規制していいのかという話もあったように聞いています。

【林委員長】 インターネット販売は、フェイス・トゥー・フェイスの販売をしていないということが、また後から問題になるのですが、移動販売は、当然フェイス・トゥー・フェイスをやっているんですよね。だから、これはどうやって規制できるのですか。

【井本委員】 もちろん私も移動販売は好ましくないと思っているのです。だけど、例えば「猫をもらってください」というのは、中には転々と場所を変わる人たちもいるわけです。網のケージを積み上げている場合もあるわけです。
 そこと、形態は、どこが違うんだというふうに開き直られても困るというとこです。ですから形態で縛るということは、実は難しいかもしれません。むしろ、販売形式の場合には今おっしゃったように難しいということになると、では、どこでということになっていきますね。ですから私も、禁止はしたいけど、どうやってやるのだろうというのが正直なところです。

【林委員長】 だから、禁止はできないけれども、固定的な店ではないから、後の追跡、トレーサビリティーなどが、移動販売の場合は保障できていないということです。
 それがきちっと担保できるのだったら、移動販売もあり得るとかというようなイメージを持っています。もちろん移動販売はやめてもらいたい。そういうことを前提にしていますけど、実質上、動物だけが、ほかの業界とまったく切り離されて、過激な法律をつくってしまうというのもいかがなものかという思いもあります。
 世間全体の常識とそれなりに照らし合わせていかないとまずいのではないかということからすると、どうしたらいいか。委員の皆様のお知恵を借りたいのですが。
 水越委員、次に斉藤委員、そして野上委員。

【水越委員】 私も、基本的にあまり移動販売というのは好ましくないと思っているのですけども、まず、今、委員長がお話しされたとおり、トレーサビリティーがしっかり担保できるかというのは大きなところだと思うのです。
 あともう一つ、今、井本委員から、いわゆる譲渡等が難しいという意見もあったのですが、保管、輸送というところでは、こういう移動販売はイベント等でやられていることが多い。それなのに、ごく簡易な保管というか、プラスチックとかダンボールとか、そういうようなところに入れられている。
 そうすると、結局、音響などをもろに受けてしまったりする。保管の状況やそこまでの輸送などが細目には実際にあるのですけども、具体的なところではないので、その辺りを移動販売に限らずしっかりするというのが一番いいのではないかと思っております。

【林委員長】 ありがとうございます。斉藤委員、どうぞ。

【斉藤委員】 先ほど、ほかの法令でということがでました。例えば食品衛生法でも移動販売はあるのです。食品の場合は、すべて禁止されておりますので、例えば、施設がお魚を売るというときには車で移動販売というのがあります。それは、なぜできるかというと、車の中にきちっとした基準どおりのものができていて、衛生が担保できるから、その部分は許可できますよという形でなっています。
 今回の動物の関係も、移動販売は確かに好ましくないとは思うのです。登録をさせるときに登録基準というのがあって、施設的なものを考えながら基準に合っているから登録できるということですね。現状で非常に不備であるとか、何か問題があるということになると、それを改善させることは必要だと思うのです。
 例えば、移動販売でも、先ほどお話があったように室内でやることもございますし、基準がきちっとクリアできて、対応ができれば、それをだめだというのは非常に難しいかなという感じがします。
 それから、行政が指導できないからというのは、私たちは、必ず土曜日、日曜日でも、もちろんずっとそこにいるわけではありませんけど、登録するには現場へ行って、その確認をして、土曜日であろうが日曜日であろうが、見てから登録するということです。その部分は、なかなか理由にはならないかなと思います。

【林委員長】 どうぞ、野上委員。

【野上委員】 長野県では、土日も対応してくださるということで、ありがたいですが、ほかの自治体で、私が「行ってください」といっても、「土日は休みですので、行けません」という回答をいただくことが多いので、実質的に、できないのではないかというふうに思っていたわけです。
 先ほどの話のように、食品衛生法もそうですが、基準がきちんと守られる仕組みであれば、それは規制できないと思いますけれども、いろんな点で、例えば感染症の対策ですとか、トレーサビリティーですとか、そういうものが物理的にできないからこそ、それを規制すべきではないか。基準を遵守できない体制、こういう営業の仕組み自体が基準を守れないようにできているから、禁止すべきではないかという考えなんですけれども。

【林委員長】 逆にいえば、もし本当に基準が守れたら、移動販売はいいということになりますね。

【野上委員】 そういう理想的な形であれば、可能だと思います。

【林委員長】 この法律の上位には憲法があるわけで、憲法に保障されている種々の活動の自由を侵すような決まりは、法律では基本的にはできないだろう思うのです。
 前例主義じゃないけど、何かほかのところで前例があると随分やりやすくなりますのでお聞きしたのです。食品も移動販売していて、食品の方がより国民の生活を直接脅かす可能性があるわけですが、それが移動販売できてなぜペットの移動販売できないのか。トレーサビリティーをしてきちんとした店舗もあり、この間、発表していただいた人はちゃんと店があって、岡山かどこかに移動販売に出かけているという話じゃなかったですか。
 トレーサビリティーは、あの方にいかがなものかと思うところありましたけど、トレーサビリティー、アフターケア、それから感染症の問題は非常に重要です。感染症の問題も移動販売の場合は大変問題になる可能性があるので、そういうことがきちんと守られた場合はどうなんでしょう。青木委員、どうぞ。

【青木委員】 私も、打越委員が先ほどご質問をされたように、業の詳細がよくわからないので今まで黙っていたのですが、業として登録ができているということは、法が第10条に定める申請所在地とか構造とか、管理の仕方などを届け出て、それで登録が認められるということになると思うのですが、基本的に、移動しない固定した施設に対して許可がなされているのではないかと私は理解しています。
 つまり、ただ移動しているだけという業者さんは、そもそも登録が受けられないものなのか、それとも例えばトラックか何かで、それ自体が登録対象になっている例があるのか、その辺、わかる方がいたら教えていただきたい。

【林委員長】 それは、いかがでしょうか。
 どうぞ、野上委員。

【野上委員】 移動販売であっても、施設を持って販売している場合は、露天商などもそうですが、登録をすれば登録業者になるのです。ただ、実質的に、登録をするための施設の基準にかなっているか等の審査ができないということが問題だという意味です。
 移動展示販売で、その期間だけ、例えば3日間イベントでやりますという場合も、すべて、その移動先の自治体に登録する必要があると思います。

【青木委員】 つまり、事実上、脱法行為になってしまう。そういうご議論ということになりますね。

【野上委員】 そうです。

【太田委員】 前回、法改正のときに、移動販売とインターネットに関することが議論の中心となりました。そのときには「実質禁止に近い規制をする」という話でまとまったと思います。しかし「実質禁止に近い規制」が現状では守られていません。
 移動販売の一番の欠点は、子犬が疲れるということ。例えば1週間ここで開催し、次に違う場所でまた1週間、あちこち転々と開催する。2年ほど前にもありましたが、石川県で移動販売をやった直後、その地域にパルボウィルスが蔓延したそうです。石川県の獣医師会では、今後、移動販売は許可しないでくれと県の方に申し入れをしたそうです。
 営業の自由があるから子犬を販売してもいいというのではなくて、移動販売の欠点は子犬が疲れる。あと、しっかりとした設備があればいいですが、仮設の店舗のために空調も定かでない。ひどいときには真夏の暑いときにテントを張って移動販売をやっている。これが現状です。
 行政の方からも、本来は許可をしてもらわなければいいのですが、行政サイドとしても、ほかの県で、この書類でオーケーが出たので、うちの県では断れないというのも現状です。
 そういう点では、営業の自由があるので、もっと厳しい内容に、例えば「子犬が疲れるから、1日やったら1日休みなさい」とか、そういう規制の仕方をしたい。あと、犬小屋に関しても、ダンボールか何かで売られているのです。非常に衛生的によくないし、夏は暑く、だったら移動販売も犬小屋をしっかりと固定する。固定をするということは移動販売そのものができないわけですから、そういう運用面での厳しい規制をつける。実際には、移動販売をしても儲からないというようになってくればいいと思います。
 移動販売は、10年前に比べると約1割に減りました。今やっているのは本当に一部の業者です。ぜひ、私たち業界としてもやめてほしいと思います。以上です。

【林委員長】 一部の業者であっても、これは少数だから禁止していいというものではないのです。つまり、この法律がきちんと守られているかどうかということが大問題であって、そこが実際には守られていないということは、放置できないわけですから、何らかの措置は、今度の法改正でできるのか、できないのか検討するというのは正しいことだというふうに思います。青木委員どうぞ。

【青木委員】 今のお答え、どうもありがとうございました。
 それから、林委員長と事務局がおっしゃったことで、営業の自由という憲法的な人権との関係という問題があったと思います。その点は恐らく移動販売だけではなくて、ペットショップの深夜営業の禁止とか、長時間営業の禁止とか、そういうことも法的な論点としては同じですから、人権に対抗し得る、それを制限し得るだけの合理的な根拠があるということを説明しなければいけないので、なるべく科学主義的にやった方がいいと申し上げたのは、そういった観点もございます。以上です。

【林委員長】 どうぞ、打越委員。

【打越委員】 法律の条文そのもので「禁止する」と書くのは、最もきついやり方で、先ほどから事務局がお話しになっている通り、業の取り締まりとして、どこまでできるのかという話になります。法律の条文で絶対にやってはいけないというふうに禁止としての条文を入れれば100%そうであり、行政側も、それを100%守らせる形になるわけで、野上委員がさっきおっしゃったとおり、そうするのが一番強力であるという話になってくると思うのです。
 ただ、先ほどの深夜展示というのが、科学的に見て100%根拠があるかどうかわからないにせよ、かなりストレスになるのではないか、あるいは深夜でないと買っていけない人が、どういうふうにして、その後犬や猫たちを扱うのかということを考えると、深夜の展示は、科学的に見てもかなり危険な、望ましくない行為だというのが、委員の中で一致していたと思うのです。
 ところが、移動販売の場合には、その場での管理の仕方がひどいとか、トレーサビリティーがないとか、その後の衛生面でパルボウィルスが蔓延したとか、実はきっちり正しくやれば、100%悪とは限らないところが難しいのかなと思います。
 前回の議事録を見てみますと、岸さんは確かに移動販売のこともおっしゃっていて、ご本人も「売れ残り」と仰っているのですけども、ただ、その売れ残りを安く買いたたくという意味で本人が言っているのではなくて、どうしても売れない子を何カ月もペットショップの狭いケージの中に入れておくぐらいならば、どこかで売って、新しい家族を得た方がいいんじゃないかというような意図で売っているとのこと。
 彼の発言を信じる、信じないは人によってそれぞれだと思いますけれども、確かに狭いケージの中でずっと閉じ込められているよりは、どこかで新しい飼い主が見つかった方がいいというのも、ある意味で事実であろうと思うんです。
 そうなりますと、移動販売そのものを法律の条文で100%規制して禁止してしまうのがいいのか、それとも移動販売としての「ペット博」とか「ペット云々」といったイベントの運用を、本当に厳しくチェックしていくのが筋なのか、難しいと思います。一つ一つあらかじめ事前に書類を出してもらって、例えば、当日の朝に取り締まりの担当者が行って、ダンボールに入れて売っていないかとか、プラスチックケースに入れたままにしていないか、音響がうるさ過ぎないか、照明が明る過ぎないか、もし、それが見て好ましくないと思ったら、その場で、当日の朝、「ここでやってはいけません。禁止です」と言えるような、つまり行政側が望ましい指導を行っていく方法で、きっちり規制するやり方もありだと思うんです。
 そうなったときに一番問題になるのは、自治体の行政担当職員の体制ということになります。法律の条文で100%禁止してしまえば、もうできませんので、行政職員としてみれば簡単に「だめです」と言えば済むのですけれども、トレーサビリティーや衛生面や、犬猫の福祉などをきっちり守っていき、販売の場を犬や猫にとって新しい飼い主を探す場として認めていくのであるならば、自治体の担当職員さんが土日出勤する例もでてくる。
 長野県が特別なのは私もよく存じ上げておりますが、行政担当者はある意味では普通の労働者であり、何でもかんでも無理難題を行政担当者に言うわけにいかないと思います。ただでさえ行政の現場は、致死処分の問題や近隣紛争の苦情処理など、いろいろなものを抱えているわけですから。
 ですので、行政の各自治体の現場でこういった業に対して毅然とチェックして、いざとなれば当日に開催停止というような判断ができるようなものであるならば、法律で禁止しなくてもいいし、そういう考え方もあるのではないかと思います。

【林委員長】 自治体が、本当にこれからいろんなことを用意するときに、「いや、そんなことできないよ」ということがたくさん出てくるかもしれないです。
 今、斉藤委員が出ていらっしゃいますけれども、全国のいろんな自治体からのご意見はぜひお伺いしたいと思います。
 ある程度、論議が煮詰まってきました。移動販売についてはご意見をたくさんいただいたのですが、インターネットについてはいかがでしょうか。移動販売は曲がりなりにも対面販売をやっているのですが、インターネットは対面販売を基本的にはやっていないという問題があります。
 これについてはいかがでしょうか。ご意見、どうぞ。

【井本委員】 インターネットの、どういう流れの中で規制できるのかというのが疑問として残ります。といいますのは、私の患者さんでも犬を飼いたいからということで、その人たちは何をするかというと、まずインターネットの画面上でブリーダーならブリーダーを調べて、そこで何匹かの子どもをチェックするわけです。そういうところで相談してくれますから、私は、「必ずそのブリーダーのところへ行って、実際に見てきなさい」とは言うのですが、それが省かれる可能性はあります。
 そうやって見てきて、実際に「この子を買います」ということになって、購入する手続をブリーダーさんの目の前でやりとりすれば問題はないのでしょうが、おうちに帰ってインターネットの画面上で契約しましょうという話になったときには、どうするんだろうというようなこともあります。
 今度は輸送されるという手段ですが、飛行機に子犬を乗せるのは余りよろしくない。確かにそうなんですが、車だったらいいのかとかそういう話になってくる。その辺はどういうところで規制をかけることができるのか、技術的に難しいのかなというふうに思えて仕方がない。その辺を解決できるような知恵がある方は教えていただければと思います。

【林委員長】 どなたかご意見ありますか。小方委員、どうぞ。

【小方委員】 今の輸送の部分、例えば飛行機に乗せるといった分は、以前、私も、ある程度携わってみたのですが非常にデータが乏しいのです。科学的な根拠をすべて求めてはいけない。ただし、ある程度は必要だと思うのです。そういったものをこれから蓄積していくことが必要ではないかなと思っております。
 それから、インターネットで販売される犬の件です、その前の段階で5ページのオークション市場のところで、想定ですが「病気の動物の売買が成立し、後の店頭販売等においてその旨を購入希望者に十分な説明がなされないまま」とある。これは極めてまれな例だと思うんですが、例えば、こういうオークションのときに、健康の確認はどうなさっているのか、もしもおわかりだったら教えていただけば。それがベースになると思うのです。

【林委員長】 これについてはどなたかございますか。健康の確認をどうしているか。
 これは、太田委員からお願いします。

【太田委員】 私は、毎週オークションを利用しています。オークションは悪だという意見が、前回のヒアリングでも大分あったのですが、今現在、日本のオークションは流通の4割ぐらいを占めているのです。非常に大きな影響を与えています。
 オークションも、以前と違いまして相当勉強をしてレベルを上げる努力をしています。さっきの欠点の問題にしても、出す前に十何項目かのチェックをしています。病気の件に関しても、現在は、ほとんどのお店は売りっ放しではなくて保障をしています。売った後、もし1カ月以内に死んだら代金を出しますとか、ほとんどのお店はそういう形で病気に対する対応をしています。
 前回のヒアリングでも話題になったのですが、子犬の死亡率が随分高いという認識があると思うのです。それが8週齢の問題にも影響していると思う。前回のヒアリングの中で8%、11%という話があり、これは高いのか低いのかという議論がありました。うちの会の事務局が説明しましたけれども、そういう資料が今までありませんでした。環境省も、実際には、「死亡率」というのは今まで聞いてはいけない質問だったのか、アンケートで聞きづらかったのか、また業者も実際のことを答えづらかったというのがあると思うのです。前回、ブリーダーの中澤さんがおっしゃっていましたけども、近年すごく子犬の発育がよくなっています。
 私もこの間のヒアリングの後、うちのお店で、過去20年間にわたって死亡率がどのくらいか調べてみました。うちの店で、これは恥ずかしい話ですが、里親を含めて、この4~5年で死亡率が2.5%くらいです。この数字は、私は決していい数字だとは思っていません。恐らく業界の大体平均くらいでしょう。
 私も、その後、何人かの同業者に聞いてみましたが、「そんなに死なないよ」という人もいますし、「そんなものじゃない」という人もいます。もちろん0%であればいいのでしょうが、生き物ですから、たまには死にます。
 ある面で言えば、子犬は死なないのです。発育もいいです。そういう中で、私は環境省で、できれば子犬の死亡率をはっきりとアンケートで事実を確認してほしいと思います。
 前回言いましたが、どうぶつ基金の佐上さんから、15万頭の流通のうち、7万頭が死んでいるという話がありました。びっくりしたので聞き直したのですが、農水の資料だという話がありました。翌日、佐上さんからファクスが来まして、「これは環境省の資料だ」という話があったんです。私もびっくりして環境省の資料を引っ張り出してみたら、10年前にそういう資料が残っているのです。ああいう資料を見てしまうと、本当にこんなに死んでいるのかなと思う。昔はそうだったかもしれませんが、今はそんなに死んでいません。そんなに死んだらお店が成り立ちません。
 そういう中でオークションも努力しています。オークションは現在いろんな面で規制をして、努力をしていることが、死亡率の減少にもつながってきていると思います。しかし、もっともっと努力しなくてはいけません。ですから私は、一番にオークションを直さなくてはいけないと、オークション関係者に言っているのです。オークションが悪い業者に犬を提供しているのではないか、目先の利益でそういうことはやめよう、と。移動販売、ネット販売、深夜営業をやっている業者はオークション全員から除名するくらいのことをやっていかないと、今後、自分で自分の首を絞めるという話もしていますしています。
 それでも、以前と比べオークションは大分進化しましたし、病気で死んでいません。そういう資料が今、手元にありますので、お配りすることもできます。

【林委員長】 これは、明日もありますので、ぜひ資料としていただきたいと思います。ほかにどうぞ、野上委員。

【野上委員】 インターネット販売やオークションの問題は、合法性を確認する方法に乏しいというところにあると思うのです。ヒアリングでもおっしゃっていましたが、オークションに参加するブリーダーさんが、果たして登録業者であるのかどうか、あるいはブリーダーの施設がきちんと動物取扱業の基準を遵守しているのかどうかという確認ができていないと思います。おそらくそのせいで、ペットショップから買った子犬が感染症にかかっていたとか、翌日にすぐ死んでしまったという苦情がたくさんあるわけです。ですので、合法性を確認する仕組みをまずつくらないと、これを認めることはできないのではないかなと思います。
 それから、特にインターネット・オークションでは野生動物の売買が盛んに行われています。素人のような人たちも売っているわけですが、基本的に、インターネットであっても動物取扱業の登録をしなければいけませんし、広告に動物取扱業の旨である表示をしなければいけないのですけれども、そういうものがほとんど見当たらないわけです。これもまた合法性を疑わせる取引になっているわけです。ですので、そういうことがきちんとできない限りは、原則認めてはいけないものだと思います。
 特に外来生物の問題では、それこそ生物多様性の問題ですけれども、生物多様性を破壊する大きな原因が外来生物で、そのかなりの部分がペットの由来であるということを言われているわけです。そういう時代に、外来生物を野放しでインターネット・オークションでやりとりしていいのかということは、環境省としてぜひ本腰を入れてやっていただきたいと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 ほぼ予定した時間に近づいてきたのですが、打越委員、そして加隈委員、そして山口委員。短くお願いします。

【打越委員】 できれば議事録に残すために発言します。インターネット販売における対面説明の義務化を法律レベルで規定することが難しいにしても、公的な文書の形で示していくことが望ましいと思っています。
 それから動物たちのオークション市場についてですが、現在、法の規制対象となっていないことが問題ではないかと思います。業として法律の体系の中に入れて、きっちり見張り、きっちり立入検査をして、基準をつくっていくことが大事ではないかと思います。
 ヒアリングの中で藤村さんから「オークションを業として認めるべきではない」というご意見があったんですけれども、そうではなくて、業の中に取り込んで、きっちり見張る仕組みをつくる。ましてや、プロとプロが取引する場ですから、普通のペットショップ以上の基準を求めていくのが筋かなと思っています。
 もう一つだけ。オークション市場は、なかなか取材に行こうと思っても難しいのかなということがあります。渡辺眞子さんのご意見で、なかなか(難しい)というお話しだったのですけれども、例えば、この委員のメンバーで、環境省の意向をもって、みんなで見学に行くとか、そういうことができないのだろうかと考えています。

【林委員長】 この間のヒアリングで、太田委員からは、どんどん紹介しますという話がありましたので、これは見に行けます。それで、今の打越委員のお話の趣旨は、動物取扱業としてオークションそのものを非常に厳しく見張る仕組みをつくったらどうかというご意見ですね。ありがとうございました。
 では、加隈委員。

【加隈委員】 先ほどから出ているように、科学的根拠の少なさというところは、調査研究の推進が計画には出ていると思うんですけれども、具体的にそれをどうするということが余り進んでいないように思います。例えば、予算だけのことではありませんが、研究者としては現場に入りづらいというところも正直ありますし、加えて予算のこともあるのですけれども、具体的に何か形のある政策なりをつくっていただけたらいいなと、研究者としては思ったりもしました。
 あと一つ。インターネットの販売の中で、今まではブリーダーさんが直接販売という形式をとりながらも、実際には、ほとんど事前に見るとかいうこともなかったり、繁殖現場を見せてもらえなかったとか、そういう話はインターネットがここまで広まる前にも実際に聞きました。
 単純にインターネット販売がすべて悪いということではないのかなとか、何を私たちはすごく気にしているのかをよく考えると、オークションの中で一般の人たちが値段をつけていくときに、1円とか1,000円とか、1万円というものがいる一方で、非常に高くというか、標準的な価格がある。
 普通に考えると、子犬たちを生産して世話をするためには経費としてそんな値段ではあり得ないだろうというところがあっても、ただ安ければいいということで飛びついてしまう人もいる。購入の部分で「命あるもの」という法の理念に対して、あり得ない値段を許容しないという、購入側に対して規制みたいなものができないのかなと思いつきました。多分、そこが皆さん懸念しているところではないかと思いました。そういう行為はそもそも倫理的なのかとか、少し考えてみてもいいかなと思いました。

【太田委員】 ネット販売の一番の問題は、販売者も飼い主も現物を確認しないということです。法律では、販売に関しては2日間の目視をしなさいとありますが、実際には、なされていません。飼い主も、飼う前には現物確認しなさいという項目がありますが、それもなされていません。
 現物確認をしてから販売するのであれば、私はネット販売に賛成します。
 あともう一つ、ネット販売もそうですが、オークションの問題点として、トレーサビリティーがあげられています。現在、オークションの市場の伝票には繁殖者名という項目がありますから、繁殖者名を公表しようと思えばできます。ブリーダーが自分の繁殖した犬に対して責任を持つという点では、今後、繁殖者名を公表することは、私は可能だと思っていますので、そういう努力をしたいと思います。以上です。

【林委員長】 インターネット販売のことですけど、業者は飼い主に対して、ペットをお渡しするときにきちんとした説明をしなければならないということになっていますよね。インターネット上で説明するのは説明したことにならないというみなしはできるのですか。つまり、会わないでも説明になるのかならないのかと思ったのです。

【太田委員】 今の法律では、なっています。

【林委員長】 会わなくてもいいのですか。

【太田委員】 文書でします。

【林委員長】 文書でもって説明する。

【太田委員】 それを出せばオーケーなんです。その辺はインターネット販売の、前回の法改正のときの一番の問題点です。きちっと現物確認する、目視する、1時間説明をするということができれば、相当改善すると思います。

【山口委員】 今インターネット販売のことでお話を聞いていますと、インターネット販売の中でも、ネットで見るけれども、売買のときには対面だということまで含んでお話しされている方もいらっしゃるように思えました。私は、インターネット販売は、対面はなしですべてネット及び電話でやりとりをして、実際に手元あるいは空港まで動物が送られてくるものだと理解しております。

【林委員長】 今、そういう前提で話をしているのです。私が聞いているのは、今の法律では、対面で説明しないと説明したことにならないのですかということです。
 もし対面していないとしたら、今の法律違反になっているのかということなのです。だけど、説明しなくても、会わなくてもいいということであれば、今のところは法律違反ではない。

【山口委員】 今インターネット販売されているのは、大体、電話で結構聞いていらっしゃるのです。

【林委員長】 だから、それが法律違反かどうかということを今、確認しているわけです。

【山口委員】 インターネット販売というのは、私は、まったく対面なしにということを思っておりますので、そうしますと、本当に苦情の内容からいいますと、出ている写真すら、その動物の写真かどうかもわからない。来たら、どういう飼育管理されているかわからないですから、病気だらけの子であったということもある。ましてやオークションも、場所を設けてのオークションではなくて、ネットでのオークション。それもまったく顔を合わさないオークションで、値段をつり上げるといいますか、どんどん行ってしまう。
 でも、値段が1円から行って100円止まりで、100円で競り落としてしまったという方がいらっしゃって、その方は、来てみたら老齢の繁殖を終わった動物で、要はブリーダーさんが処分したかった。そういう犬も平気で売られてしまうということですから、会わないということは購入者にも危険はありますし、売る方は、これはよい厄介払いとなってしまいますので、必ず対面販売、対面説明ということが必要だと思います。

【林委員長】 今日お話ししたのは、ほとんどインターネットが中心でしたけど、オークションとインターネットは別で、インターネット上でオークションをやられるかどうかというのは、これはインターネットの話で、オークションは、先ほどからの話では、そこは対面でやっているオークションなんです。
 それが問題あるかどうかということについてのご意見も今日いただいたわけですが、今日の主たる内容は、インターネットの話が主体でした。
 ただ、最後に打越委員はオークションについてもかなり触れられて、オークションは認めて、きちんとコントロールした方がいいというような、それに近いご意見だったろうと理解していますが、そういうことでよろしいですね。

【打越委員】 自治体側の規制取り締まりの実行可能性についても、検討をお願いします。

【林委員長】 ほかに、ご意見はよろしいでしょうか。明日また引き続きでやりますので。
 今日は、どこまで合意ができて、どこまで合意できていないのか、まとめられないのですが、かなり具体的な話が進んだかと思います。特に深夜販売、営業時間、そして移動販売、インターネットについて、幾つかの貴重なご意見をいただいております。
 まとめは明日にずらしたいと思います。今日はほとんどの委員から本当に有益なご意見をいただいて感謝申し上げたいということだけを申し上げ、審議を終わりたいと思います。

【田中総務課長】 では、本日は大変長時間ありがとうございました。
 だんだんと話がかなり実務的なところに入ってきていると思います。科学的な点もそうだと思いますし、公的な点もそうだと思います。そうした議論を積み重ねの上に、我々としても制度的な準備を進めるべく、そのために必要な材料とかも用意していきたいと思いますので、当面また明日よろしくお願いいたします。ありがとうございました。