中央環境審議会動物愛護部会ペットフード小委員会・農業資材審議会飼料分科会及び同安全性部会合同会合(第1回)議事録

1.日時:

平成20年8月26日(火)午前10時00分~午前11時45分

2.場所:

虎ノ門パストラルホテル アジュール(新館6階)

3.出席者:

【中央環境審議会動物愛護部会ペットフード小委員会】
林委員(座長)、青木委員、太田委員、菅谷委員、永村委員、兵藤委員、前島委員、会田委員、渋谷委員、細井戸委員、山﨑委員
【農業資材審議会飼料分科会及び同安全性部会】
矢野委員(座長)、荒川委員、有田委員、石綿委員、植松委員、鬼武委員、小西委員、高溝委員、武政委員、寺田委員、渡部委員
【環境省】
柏木審議官、奥主総務課長、植田動物愛護管理室長ほか
【農林水産省】
山田審議官、堺畜水産安全管理課長ほか

4.議 題

(1)
審議事項及びスケジュールについて
(2)
愛がん動物用飼料の基準及び規格の設定に関する基本的な考え方
(3)
その他

5.配付資料

資料 1-1愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律の概要
資料 1-2愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(抄)
資料 1-3諮問文
資料 1-4基準規格の設定等に関する審議の体制
資料 1-5ペットフード安全法の施行までの検討スケジュール(想定)
資料 2-1愛がん動物用飼料(ペットフード)の安全確保に関する基本的な考え方(案)
資料 2-2ペットフード関連資料
資料 2-3第1回愛がん動物用飼料委員会の概要
参考資料1愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律
参考資料2愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律施行令(案)に対する意見の募集(パブリックコメント)について
参考資料3愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律の施行期日を定める政令(案)
参考資料4飼養動物の安全・健康保持推進事業について

6.議事

【司会】 皆さん、おはようございます。委員の方が1名お見えになっていませんが、定刻となりましたので、中央環境審議会動物愛護部会ペットフード小委員会並びに農業資材審議会飼料分科会及び同安全性部会の第1回合同会合を始めます。
 二つの審議会の合同会合でございますので、事務局も環境省と農林水産省の合同事務局という形になります。業務につきましては、今回は環境省において務めさせていただきますが、次回は農林水産省というように交互に務めますので、よろしくお願いいたします。
 また、会議の座長につきましては、それぞれの審議会に林委員長様と矢野委員長分科会長様がいらっしゃいますので、お二方、合同座長でございますが、議事進行につきましては、交互に座長をお願いできればと思っております。今回は林委員長にお願いいたします。
 では、本日の委員の皆様方のご出席についてご報告申し上げます。
 まず、中央環境審議会動物愛護部会ペットフード小委員会では、奥澤委員がご欠席でございまして、12名中、今のところ10名、後ほど1名の方が出席されるという予定になっております。
 また、農業資材審議会飼料分科会及び安全性部会では、渋谷委員、渋谷委員、竹内委員、中澤委員がご欠席で、15名中11名が出席いただいております。それぞれの会の規定によりまして、各会成立いたしております。
 続きまして、お手元にお配りしました資料の確認をさせていただきます。
 まず、本議事次第、委員の方々の名簿。資料に入りまして、資料1-1、資料1-2、資料1-3、資料1-4、資料1-5、資料2-1、資料2-2、資料2-3、参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4。資料に不備がございましたら事務局までお申しつけいただければと思います。
 また、本日の会議資料及び議事録につきましては、後日、両省のホームページにおいて公表されることになっております。
 それでは、林座長よろしくお願いいたします。

【林座長】 承知しました。
 合同会合の座長を務めさせていただきます林でございます。今後、私の隣におられます矢野分科会長とご相談しながら議事を進めてまいりたいと思いますので、皆様のご協力をお願いいたします。
 それでは、中央環境審議会動物愛護部会ペットフード小委員会並びに農業資材審議会飼料分科会及び安全性部会の第1回合同会合を開催いたします。
 議事に先立ちまして、環境省柏木審議官からご挨拶をいただきます。

【柏木審議官】 おはようございます。自然環境局担当の審議官をしております柏木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局を代表しまして、会議の開催に当たりまして一言ご挨拶を申し上げます。
 中央環境審議会動物愛護部会ペットフード小委員会の皆様、また、農業資材審議会飼料分科会及び安全性部会の皆様方におかれましては、ご多忙のところ、本合同会合にご出席をいただき、まことにありがとうございます。
 ペットフードの安全性の確保に関しましては、ご承知のように、昨年3月の米国における犬、ねこの死亡事件等から社会的な懸念が広がっているということでありまして、そういう状況を受けまして、ことしの6月に農林水産省と環境省が共同で所管します「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」いわゆるペットフード安全法が成立をしております。現在、両省におきまして、この法律の施行に向けて種々準備を進めているところでございますが、法律では、対象となる動物あるいは施行期日につきましては、政令で定めることとなっております。また、規制に必要な基準・規格等につきましては省令で定めることになっております。
 このうち政令につきましては、対象となる動物をとりあえず犬及びねこといたしまして、昨日よりパブリックコメントを開始したところでございます。また、法律の施行期日は、来年6月1日を予定しているところでございます。
 それから、省令でございますが、ペットフードの基準・規格の内容をどうするかということが極めて重要な事項でございます。これにつきましては、法律において中央環境審議会及び農業資材審議会、両審議会のご意見を伺いながら設定していくこととされておりますので、本合同会合を開催させていただき、具体的なご議論をお願いすることとなった次第でございます。
 法律施行まで時間は限られておりますが、皆様のご指導、ご協力を賜りまして、基準・規格を設定してまいりたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 簡単ではありますが、冒頭のご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【林座長】 ありがとうございました。
 今回は第1回目の合同会合でございますので、委員の皆様から一言ずつ自己紹介をお願いいたします。

<各委員自己紹介(略)>

【林座長】 それでは、議事に入りたいと思います。
 議題の一つ目は、審議事項及びスケジュールについてです。事務局からご説明をいただきます。

【事務局】 それでは、これまでの経緯と今後の審議のスケジュールということで、資料1-1から1-5までと、参考資料1から4を使いまして、ご説明をさせていただきます。先生方には既にご承知の方が多くいらっしゃると思いますので、ごく簡単にご説明させていただきます。
 まず、愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律について、資料1-1でございます。冒頭、審議官よりお話させていただきましたように、昨年3月アメリカにおいて多数の犬、ねこがペットフードに起因して死亡するという事件が発生いたしました。同様のペットフードが国内にも流通したということが判明いたしまして、昨年8月、ペットフードの安全性確保に関する研究会を開催し、きょうご出席の委員の中の何名かの先生方にもご参加いただいてご議論いただいたところです。その中で、法的な規制が必要であるというご指摘、ご提言をいただきまして、本年3月、第169回国会に法律案を提出いたしまして、6月11日に成立、18日には公布となっております。
 簡単に法律の概要を申し上げます。資料1-1の裏面を見ていただければと思います。目的としましては、愛がん動物用飼料(ペットフード)の製造等に関する規制を行うことにより、愛がん動物用飼料の安全性の確保を図り、もって愛がん動物(ペット)の健康を保護し、動物の愛護に寄与することとなっております。
 具体的な内容につきましては、これからご審議いただきます製造方法ですとか、あるいは表示の基準及び成分の規格について設定をし、それにそぐわないものについては製造、輸入、販売を禁止するということ。それ以外につきましても、有害な物質を含むペットフード、メラミンのように想定していないものがあらわれた場合には、国が廃棄、回収の命令をすることができるということになっております。これに加えまして、製造業者、輸入業者の皆様には国に業としての届け出をしていただく。これは、何かがあったときには情報提供が可能なように業の実態を把握しておくということです。また、輸入業者・製造業者・販売業者の方には流通の状況を把握していただくため、帳簿の備えつけということを義務付けています。
 資料1-2をごらんください。この法律を抜き出したものでございます。第5条は、規格及び基準についてですが、農林水産大臣及び環境大臣は、このような規格・基準を定めることができるとしております。同条第2項では、規格または基準を設定し、改正し、又は廃止しようとするときは、農業資材審議会及び中央環境審議会の意見を聴かなければならないということになっています。同様に、第7条で、有害な物質を含む愛がん動物用飼料の製造等を禁止する場合には、農業資材審議会及び中央環境審議会の意見を聴いて禁止をするということになっています。
 資料1-3でございます。こちらが国より両審議会に対して諮問をさせていただいたものでございます。表側、環境大臣から中央環境審議会会長あてに規格・基準の設定についての意見を求める文書、裏面に農林水産大臣から農業資材審議会会長あてに同様の意見を求める諮問が提出されています。
 これを踏まえまして、資料1-4審議の体制でございますが、農業資材審議会におかれましては飼料分科会及び安全性部会の15名の先生方に、中央環境審議会では動物愛護部会に新たにペットフード小委員会を設置していただきまして、この合同会合ということで、具体的な審議をお願いしていくことになっております。図の中で、農業資材審議会の下に愛がん動物用飼料委員会がございますが、こちらは合同会合に提出する原案を作成していただくために技術的な検討を行っていくための委員会でございます。
 全体のスケジュール、資料1-5をごらんください。法律の施行までに政令、省令を幾つか用意をしていく必要がございますが、先ほど審議官からご紹介いたしましたように、政令につきましては、ペットの種類等を定めまして、昨日よりパブリックコメントを開始しているところでございます。施行日につきましても、6月1日ということで考えているところでございます。
 具体的な規格・基準の省令につきましては、一番下のマスになっています。本日8月26日の第1回会合を開催する前に一度、愛がん動物用飼料委員会を開催いたしまして、本日の原案をご用意させていただきました。次回の合同会合の前には、2回ほど同委員会で具体的な中身を詰めまして、次回には具体的な規格・基準の中身をお示しできればいいと思っております。全体としまして、年度内には大体の手順、手続を踏まえ、6月1日の施行前に余裕を持って公布ができるという形を目指しています。
 参考資料のご紹介をさせていただきます。参考資料1で法律の全文をつけていますので、何かございましたら、こちらをご参照いただければと思います。
 参考資料2は、パブリックコメントにかけております政令でございます。具体的には、先ほども申しましたように、犬とねこの愛がん動物用飼料を対象にするということと、この法律は国内の流通を規制するものでございますので、輸出用の飼料については、この規格・基準を適用しないという、適用除外を設けているものでございます。
 参考資料3につきましては、これはパブリックコメントの対象とはなっておりませんが、この法律の施行期日を来年6月1日とするということを定めるもので、事務局方の案として考えているところでございます。
 最後に参考資料4でございます。こちらは法律とは直接の関係はないのですが、業者さんを規制するのとあわせて、一般の飼養者の方、飼い主の方への普及啓発も大事であるということは、法律の国会審議の中でもご指摘を受けたところでございます。そのため、本年から一般飼養者向け、飼い主向けのペットフードの与え方ですとか、ペットに異常があった場合の見分け方といったものを示したガイドラインの作成をスタートしています。本年と来年も引き続きこれをもちまして一般飼養者に普及啓発を図っていきたいと考えております。
 私の方からは以上でございます。

【林座長】 ありがとうございました。
 ただいまのご説明につきまして、何かご質問、ご意見はありませんでしょうか。スケジュール、及び審議事項案についてご説明いただきました。よろしいでしょうか。
(なし)

【林座長】 それでは、このような審議事項について、お示ししていただいたスケジュールに従って進めてまいりたいと思います。
 それでは、議事次第の2、愛がん動物用飼料の基準及び規格の設定に関する基本的な考え方に移りたいと思います。
 事務局からご説明をいただきます。

【事務局】 農林水産省消費・安全局でペットフードの安全関係を担当しております藁田でございます。お手元の資料2-1、2-2、2-3についてご説明申し上げます。
 資料2-1「愛がん動物用飼料の安全確保に関する基本的な考え方(案)」からご説明申し上げます。先ほどご説明申しましたように、農業資材審議会のもとに愛がん動物用飼料委員会を設置しており、ペットフードの安全確保のために具体的な原案を検討していただいております。こちらは、8月7日開催の委員会で、これからのペットフードの安全確保に関する基本的な考え方をご議論いただき、まとめた案でございます。
 資料の1枚目の目次のとおり、ペットフードの安全確保のために大きく分けて三つの要素を考えております。一つが基準・規格の設定、これがペットフードの安全確保に関する今後の検討・議論の核になる部分でございます。さらに表示事項、これについては消費者の関心も非常に高く、また、ペットフードの安全確保上も非常に重要な要素だと考えています。3番目が、基準・規格を作って、さらにそれを検査していく体制、これも非常に大切かと思っておりまして、この三つをコアに今後ご審議賜りたいと思います。
 まず、「はじめに」でございます。これは、先ほど柏木審議官のご挨拶にもありましたように、これまでの経緯について書いてあります。次の4ページの5をごらんいただけますでしょうか。先ほど来、ご説明していますように、来年6月、本法の施行を予定しておりまして、その中で審議会の意見を伺うのが[1]、[2]、さらに[3]についてもご意見を伺いたいと考えています。
 次に、具体的な基準・規格の設定でございますが、6ページをごらんいただけますでしょうか。基準・規格設定に当たっては、ペットに対する健康影響要因を特定するため、[1]から[4]を考慮しながら検討したいと考えております。
 [1]は、ペットフードによるペットへの被害事例の有無。過去にペットフードに起因する事故が起きたか起きていないかということが、非常に重要だと考えています。[2]は、ペットフードに使われる原料の汚染状況。例えば、ペットフードにさまざまな農作物が使われておりますが、こういうものに一般的な農薬も使われています。これらについては、適正に使われていれば問題はないのですが、例えば農薬についての汚染状況が、今後の検討に当たって非常に重要だと考えております。[3]は、物質によって大きく異なりますが、個々の物質のペットに対する健康影響の強さが大きな要素になると思っております。[4]は諸外国における規制状況であり、幸いEU、米国はペットフードの安全関係でかなり知見を有しており、既に基準・規格を持っております。こういうものを参考に検討していこうと考えております。
 次のページでございます。当然ながら、ペットに対する健康影響の強さを計るために我々は必要な科学的知見、データを集めた上で、基準・規格を設定すべきと考えています。ただ、前回の愛がん動物用飼料委員会で、現状ペットフードの安全関係は何ら基準がないので、スピード感をもって設定すべきでないかというご意見を賜りました。また、特に影響が大きいと考えられるものについては、本法の施行までの間に、可能な限り基準・規格を設定すべきというご意見を頂戴しておりまして、諸外国における状況とか、そういうものを勘案しながら、事務局として今後検討していきたいと考えています。ただ、やはりどうしてもデータがそろわないというものも幾つかございます。そういうものについては、来年以降、計画的に基準・規格の検討を進めていきたいと考えております。
 以上が、基本的な考え方でございまして、次の8ページをごらんください。今のような基本的な考えに基づいて、今後、検討していく健康影響要因について、大きく分けて五つのカテゴリーを考えています。一番左が残留農薬でございます。次のカテゴリーはかび毒でございます。かび毒につきましては、家畜用飼料でもアフラトキシンといったものの基準を設けておりますが、こういうものについては具体的に検討していこうと考えております。
 それから重金属でございます。重金属も幾つかペットへの健康影響が懸念されるものがございます。ただ、これについてはどうしても調査データが必要と考えておりまして、今年はなかなか難しいかもしれませんが、来年以降は重金属についても具体的に検討するという方向で考えています。
 それから、有害微生物でございます。通常、適正な製造管理が行われていれば特段の問題は生じないのですが、製造管理が適正でないと微生物が繁殖しペットへの健康影響が懸念されるということで、これについても何らかの基準・規格を考えていくべきだと考えております。
 最後は添加物でございます。添加物は元来、適正に使用すれば安全と考えておりますが、一部にはペットへの健康影響が懸念されるものがございますので、これらについては上限値を設定するといったようなことを考えていこうと思っております。
 個々の物質について概略を説明いたします。9ページ以降でございます。まず、最初に農薬でございます。農薬は、農作物の生産に当たり広く使われていまして、適正に使用されている限り安全性は確保されるという考えですが、ただ、ペットへの健康影響が懸念されるようなものについては許容量、すなわち上限値の設定を検討していくことを考えております。その際、どういう農薬を対象にするかということに関しては、下に枠で囲んでおりますが、原料中の残留性が高く、注意が必要な物質かどうかということ。それから、食品や飼料についてはこれまで多くの検査を行っておりますので、検査結果や実態調査を踏まえて、よく検出されるか、また食衛法なり、飼料安全法に関する違反が多いか否かというようなことを参考にしながら、対象とする農薬を考えていくべきだと思っております。
 次のページは環境由来の汚染物質でございまして、これには、先ほど冒頭説明しました5つのカテゴリーの中で農薬の一部、かび毒、重金属などが分類されるのではないかと考えております。環境由来の汚染物質は、常に環境中に広く存在する一般的な物質でございまして、これは必ずしも人為的に完全なコントロールができるものではないということでございます。これらについては実態を調査して、その上で具体的な基準・規格を考えていきたいと思っております。具体的な考慮すべき要素としましては、枠で囲んでおります1から3でございます。ペットフードが原因で健康被害が生じたことがある物質か否か、食品や飼料の検査や実態調査において、検出頻度や違反が多い物質か否か、ペットへの健康被害の懸念がある物質かどうか、こういうことを総合的に勘案して対象となる物質を決めていきたいと考えております。
 次が11ページ、添加物でございます。添加物についてはご承知のとおり、食品でも飼料でも広く使われています。その目的としては、栄養成分の補給や品質の保持であり、通常であれば、その使用に先立って安全性が確認されております。ただ、一部の添加物については、適正な量を超えるとペットへの健康影響が懸念されるということがございまして、そのような物質については、使用に当たっての上限値を設定するということです。幸いペットフードに関する法規制を既に実施しているEUや米国では、特に注意が必要な添加物の幾つかについては上限値を設定しております。この辺りも参考にしながら、添加物についても、必要なものについては上限値を設定することを検討していきたいと思っております。
 次が12ページ、有害微生物でございます。ご承知のとおり、ペットフードはいろいろな原材料が使われております。その中には適正な加工が行われないと微生物が繁殖しやすいようなものも含まれております。また、動物性たんぱく質については、異常型プリオンたんぱく質による汚染があった場合には、健康影響の要因になりえます。また、食品安全で一般的に問題になる微生物としては、サルモネラ菌、ボツリヌス菌、ウィルスなどがございます。また、ボツリヌス菌のように毒素を産生するものもあります。そのため、ペットフードにおける汚染実態やこれまでの被害状況などを確認した上で、必要なものについては一定の基準を設定するということを検討したいと考えております。
 以上が、基準・規格の設定に関する検討の課題でございまして、次に表示事項でございます。表示事項につきましては14ページをごらんください。あわせて、お手元の資料2-2「ペットフード関連資料」の8ページ、9ページもお開きいただけるでしょうか。
 まず、基本的な考え方の14ページ、1番をごらんください。表示については、現在、「不当景品類及び不当表示防止法」という法律があります。略して景表法と申しますが、これは公正取引委員会の所管する法律であり、これに基づいて、産業界のさまざまな物品について業界の自主ルールが作られていまして、「公正競争規約」といわれております。公正競争規約は、ペットフードについても作られておりまして、製造・流通の現場で広く普及して、安全確保の観点からも非常に重要な役割を担っていると考えております。
 公正競争規約を作っている団体が、ペットフード公正取引協議会でございます。この団体がペットフードの表示に関して、昭和49年からルールを作っており、何回か改正も行われています。現在では国内の販売量の90%以上を会員46社によってカバーしており、さまざまな取組みが行われています。
 公正競争規約の内容につきましては、関連資料の9ページをご覧ください。具体的にどのような形の表示かと申しますと、9ページの右側、赤枠で囲んでいるところ、これがまさに市販されているペットフードについての表示の例でございます。ドッグフードかキャットフードか、そこはわかるように書いてありまして、さらに内容量とか与え方、賞味期限、それから栄養成分でございますね。それから、原材料も書かれています。原材料の表示については、公正競争規約が改正されて、現在、経過期間中でございますが、添加物についてもこのような形で表示されています。さらに原産国名、それから発売元、このようなことが実際にペットフードについて表示されております。
 メインペーパーの15ページをごらんください。公正競争規約は90%以上カバーしているのですが、会員外には適用されません。今回、ペットフード安全法によって、強制力を持った形で表示を義務づける事項を幾つか考えていきたいと思っております。
 それで、表示すべき項目については、特に15ページの(1)から(3)を念頭に置きながら検討していきたいと思っております。(1)ペットフード安全法は、安全確保を目的としていますので、表示項目についても安全確保の観点から必要な情報であるということでございます。(2)消費者にとってなるべくわかりやすい形、かつ事業者にとって不必要なコスト増を強いるものではないということです。事業者にとってのコスト増は最終的には消費者価格に転化されます。このことも留意しながら検討していきたいと考えています。(3)ペットフードの表示に関しては、既に景表法に基づく公正競争規約、これがルールとして機能しています。この規約との関係についても十分注意をしながら検討したいと考えております。
 次の16ページでございます。今後、具体的に検討していくべきではないかということで、前回の愛がん動物用飼料委員会でもご議論いただいた表示事項でございます。二つの観点から表示を考えていくということで、具体的には五つの項目について表示を行う方向で考えています。二つの観点については、一つは健康被害の防止、もう一つは製品を特定するための情報ということです。何かペットフードについて事件が起き、製品を回収しなければいけない場合、その製品が特定できることや、消費者の方が回収対象になっている危険な商品をすぐに見極めてペットに与えないことが非常に大切でございます。その観点からも表示していくべき事項を検討しております。
 具体的には、名称、原材料、期限表示、この三つは健康被害の防止の観点から必要だということです。それから、製品を特定するための情報としては当然ながら事業者名と所在地。さらに、製品を特定するために非常に有効な情報になり得ますので原産国も必要であると考えています。また、期限表示、この期限表示というのは製品のロットを特定するために非常に重要な情報になります。製品名と賞味期限、原産国を組み合わせて消費者の方に情報提供することによって、例えばペットフードがリコールの対象になったときには、非常に特定しやすくなりますので、このような情報を今後表示していくべきと考えております。
 既に機能している公正競争規約との比較につきましては、17ページに書いてあります。公正競争規約は、[1]から[9]、9つについて表示をルール化しております。そのうち[1]から[5]、これについては安全確保に必要な情報といたしまして、ペットフード安全法によって表示を義務化する方向で考えております。すなわち、公正競争規約は会員に対したルールでございますが、今後は会員以外に対しても[1]から[5]については表示が義務化されるということでございます。
 次に18ページでございます。表示に関して今後検討していくべき五つの項目については、おおむね委員会でも意見の一致を見たわけでございますが、具体的にどのような形で表示をルール化するかということについては、検討していく必要があります。その際には、先ほどの公正競争規約、さらに食品衛生法や飼料安全法などで、どういう形で表示方法を決めているのかということも参考にしながら検討していきたいと思っています。その主な検討課題としては、賞味期限、事業者名及び住所・所在地をどうしたらわかりやすく消費者の方に情報提供できるか、また、原材料名については、具体的にどういう形で表示していくのか、ということになると思います。
 それから、最後のパーツでございますが、分析法の開発及び検査体制の確立でございます。実際に法律ができて基準・規格が設定されても、これを実際に守っていただくために、検査が不可欠だと考えています。この検査に関して実務的に非常に重要な役割を果たすのがFAMICというところです。FAMICというのは農業資材審議会の先生方はもうご承知かと思うのですが、改めてご紹介させていただきますと、農林水産消費安全技術センターでございます。英語でいうとFood and Agricultural Materials Inspection Centerということで、この頭文字をとってFAMICと呼んでおります。食品や飼料の分析調査を行っておりますが、ペットフードの実際の検査等について携わっていただくという方向で検討しております。
 それが20ページからでございます。まず、基準・規格を作りますが、実際にそれを測定するための分析法の開発が非常に重要でございます。実際の分析法については、先ほどご説明したFAMICが、事業者に対して立入検査を行う際の検査で使いますし、事業者みずからが普段の品質管理でも使います。こういうことも想定しながら、一定の技術を持ったところがいつでもどこでも同様な結果を出せる、こういうことを我々は担保しなくてはいけないと考えております。
 このように、基準・規格について具体的な案ができましたら、個々の対象物質について分析法を速やかに開発していきたいと考えております。さらに、分析法の開発だけではなくサンプリング、ちょっと言葉として聞き慣れないかもしれませんが、検査対象からどのような試料を採取したら正しい分析結果になるかということを、手法として確立しなければならないと考えております。具体的なイメージとして21ページの中ほどに簡単なポンチ絵を示しておりますが、例えば一つのペットフードからどういうところを採取するかによって結果が変わってまいります。我々は、法に基づいて検査する限り、きっちりした分析方法を開発し、さらにちゃんとしたサンプリング手法を確立して、正確に検査ができる体制を整える必要があります。
 さらに、実際に検査する組織としましては、来年6月までに体制を整備したいと考えております。具体的なイメージとしては22ページに示しております。一番右の方に飼い主の絵が出ておりますが、飼い主からの情報提供、こういうものが非常に重要かと考えております。当然ながら、ペットフードに何か問題があったということであれば、販売業者の方、また、販売業者を通じて製造業者、まずこういうところに情報を提供していくことが大切でございます。また、都道府県に相談される方、獣医師に相談される方、また直接、国、関連機関に相談することもあろうかと思いますが、このような飼い主さんからの情報が、情報交換なり、適切なリスク管理措置に結びつけられるような体制を考えていくべきであると思っております。
 実際の事業者に対する検査については、大きく分けて二つの機関を考えております。一つが、環境省と当省の出先機関である環境事務所と農政局でございます。出先機関からの立入検査というものが一つでございます。それから、先ほど申しましたFAMICからの立入検査です。FAMICは、実際に関連の事業者から製品を持ち帰って、内容の分析を行います。それで、こういった結果について当省、あるいは環境省に報告したあと、当省からFAMICに必要な指示をすると、このような仕組みによってペットフードの検査を行っていきたいと思っております。
 FAMICの立入検査に関する基本方針、23ページでございます。FAMICの立入検査は、原則として「無通告」。つまり、事前に通告せず立ち入り、帳簿、製造設備、品質管理、保管状況を検査し、さらにペットフードを持ち帰り分析を行い、その結果についてはホームページに掲載する。さらには、農林水産省に対しても定期的に報告し、重大な違反事例については当省からプレリリースする。こういうことを通じて必要な検査、さらに情報提供、リスク管理措置を考えていきたいと思っております。
 以上が、基本的な考え方の説明でございます。
 それから、関連資料、資料2-2でございます。こちらについての説明は割愛させていただきますが、1ページ開いていただくと、目次のところに書いてありますようにペットの飼育の動向、ペットフードの種類、さらに表示のルール、6、7、8ですね。それからあと、世界貿易機関、WTOに基づく諸外国への通報、こういうものの概要を示しているところでございます。
 それから、資料2-3、縦の2枚紙でございますが、愛がん動物用飼料委員会の概要ということでございます。8月7日に第1回の委員会を開催しました。その中で出てきた主な意見などをまとめております。それで、1番が基準・規格の設定に関する基本的な考え方。まず、(1)基準・規格を設定する物質でございます。それで、科学的知見に基づいて設定すべきだが、EUや米国などのこういうものを参考にして、なるべく早く基準値等を設定することが大切ではないかというご意見。すべての物質について行うのは無理かと思うが、来年以降も引き続き作業を進めるべきだといったようなご意見をいただいています。
 それから、(2)添加物でございます。添加物も、安全性に関して懸念される添加物に関しては、諸外国の例なども参考にしてルールを作っていくべきではないかというご意見です。
 それから、(3)その他でございますが、タマネギなどは人間に対して影響はないのですが、ペットに対しては健康上の影響を示すものなので、こういうものについては飼い主の皆様への普及が必要だということです。
 次の2ページでございます。2番が「表示事項」でございます。「検討していくべき表示事項」については、原材料名を表示すべき、添加物も全部表示すべき、というようなご意見をいただいています。
 それから、「原材料名の表示」につきましては、原則としてすべて表示させるべきではないかといったご意見。また、原材料の使用料の多い順に表示するというのが公正競争規約のルールでございますが、ペットフードの安全確保ではあまり関係ないのではないかというご意見も出ています。
 それから、「その他」でございますが、表示に当たり、小さな製品については表示に使える面積が限られるので、食品の例などを参考にして特例を認めるべきといったようなことをご意見としていただいております。
 今回、ご説明した基本的考え方について本審議会でご了解いただければ、次回の愛がん動物用飼料委員会で基準・規格の具体的な案について検討していただくというように考えております。
 事務局からの説明は以上でございます。

【林座長】 ありがとうございました。
 ただいまのご説明に何かご意見、ご質問はありませんでしょうか。
 資料の2-1がほとんどですけれども、2-2、2-3も含めて、ご質問、ご意見がありましたらどうぞ。

【渋谷委員】 質問ですけれども、資料2-1、8ページ、今後、検討していく要因として5つほどマークがありますけれども、昨年3月アメリカを中心として問題になったメラミンという物質は、この中のどこに分類されるのでしょうか。

【事務局】 昨年問題になったメラミンは、いわゆるプラスチックの原料でございます。これについては、本来ペットフードの原料として決して使ってはならないものというように考えています。そこで、我々がこれについて何か基準を設けると、逆に使っていいのではないかという議論になりかねないと思っております。したがって、この分類にそもそも入るべきではないと考えております。
 なお、我々としては、去年のメラミンのように何か特段の問題があれば、この法律の7条を使って対応するということを基本方針として考えていきたいと思っております。7条は、愛がん動物の健康が害されることを防止するために必要があると認めるときは、農業資材審議会及び中央環境審議会の意見を聴いて、関連する業者に対して、製造、輸入、販売を禁止することができます。

【渋谷委員】 ちょっと細かくなってしまいますが、そうしますと、今の回答というのは、第7条の例示の1のところで有害物質を含むと、有害物質が含まれるから製造等の禁止ができるという考え方でよろしいのでしょうか。

【事務局】 結構でございます。

【渋谷委員】 そうしますと、今ここで議論しているのは、第5条で製造の方法の基準を定めるということと、成分についての規格を定めるということになっておりますが、そこで対象としている物質よりも7条の方が範囲は広いと考えることになるのでしょうか。

【事務局】 ペットフードの製造上、通常、リスクが高いと考えるものについては、前もって基準なり規格を定めるということを考えております。ただ、メラミンのようにとても想定できないような物質が入っていた場合は、7条によって広くカバーができるというように考えております。

【渋谷委員】 わかりました。

【林座長】 メラミンは、青酸カリとかダイオキシンを入れていけないというぐらい、むちゃくちゃな物質だったということですね。

【有田委員】 資料2-1の10ページですが、環境由来の汚染物質ということで、枠の中の1番で、「ペットフードが原因で、ペットに健康被害が生じたことがある物質か」と書いてありますが、今までそれほどデータをとってないのではないかと思っています。過去のデータ、例えば水銀であれば水俣病の原因をしらべるために、ねこで実験していますよね、ですからデータがあると思うのです。集めるにしても今からということですね。 それと、ペットが突然死んだ場合、原因がわからないので獣医に行っても、「突然死だから。」と言って、何ら処理がされてこなかった。もしかしたら、飼料が原因だったかもしれないですね。そういうデータは獣医師のところから上がってきてないと思うのですが、そのようなデータがあるのかというのをお聞きしたいと思います。

【動物愛護管理室長】 環境省動物愛護管理室長でございます。
 現段階において、ペット関係が人や家畜よりもいろいろな被害の状況、原因についてデータが少ないというのは、残念ながら事実であります。そのような中で、ペットフードの問題に起因する事件、事故というのが起こってきたので、これは何とかしないといけないということで法律を作り、その基準をということですから、なかなか難しい状況で第一歩を踏み出したということはご認識をいただけると思います。
 それではどうするかということですが、もちろんこれまでのデータを洗うということもやりますけれども、なかなか難しい問題だと思っております。資料2-1の22ページにありますように、これから将来に向けてきちんとやっていくということが大事ですので、獣医師会の皆さんと我々環境省、農水省、あるいは都道府県の方とか両省の出先機関と、いろいろな情報をとにかく共有し合う形をまず作り、それから、積み上げていくことが必要です。
 まずはそういう情報共有ということから始めていきましょうということを獣医師会の皆さんにもお願いをしていて、了解を得られているのかなとは思っております。

【有田委員】 ねこと犬では、感受性が違うと思うのです。ねこだとBSEの影響を受けやすいとかいうようなこともあって、一応そういうのが入らないというのは当然ですが、輸入の現状を見ますと、心配になります。国内で製造し流通したものしか対象にならないのですよね、この法律は。違いますか、じゃあそこは勘違いでした。基準を作るのに犬とねこの感受性、感受性の高い方に合わせて作っていくのでしょうか。

【事務局】 委員ご指摘のとおり、犬とねこでは同じ物質に対しても感受性が違います。我々、基本的には犬とねこを別個に考えていくべきだと思っています。ですから、犬、ねこごとになるべく科学的知見を集めて、個々に基準値を作っていきたいというように考えております。

【林座長】 実際にドッグフードであれ、キャットフードであれ、一つの製品で両方に使えますなんていう製品はあるんですか、私の知る限りないと思いますけれども。犬とねこはきちんとあらかじめ分けてあるということですね。

【有田委員】 法律で何か枠として一つとりあえず作っておくのかと思いましたので。

【事務局】 ほかにいかがでしょう。

【鬼武委員】 資料2-1の23ページのところをお尋ねしたいのですが、これはFAMICと農水省が立ち入りということなのですが、環境省は分析するところを持ってないのですが、立ち入りとか基本的な考え方は一緒になるのでしょうか。その辺ちょっと説明をお願いします。

【動物愛護管理室長】 これはFAMICによる立入検査のところのFAMICと農水省との関係にスポットを当てたので、こういう図になっておりますけれども、22ページでも書かれておりますように、農水省と環境省が、それぞれ立ち入りですとか、報告徴収ができることになっております。FAMICから情報、報告を受けた農林水産省と我々環境省は、情報を共有するということが法律にも定められておりますので、一体となってやるという形が担保されております。

【林座長】 よろしいですか。

【兵藤委員】 腐敗とか、いわゆる酸化防止という点で。かなり時間を置くと油が出てきて酸化して体調に変調を来たすということがあります。現状、これらは酸化防止剤とか腐敗防止の添加物を加え、おさえていますが、添加物の上限を決めると、品質にどのような影響が出てくるのかと思います。外国から来るのに船積みをして赤道あたりの非常に環境の悪い中を来た場合の基準と、国内の品質劣化を防止するための添加物、それをおさえたときの保管、このあたりをちょっとご説明していただきたいと思います。

【事務局】 添加物については、それぞれ使用する目的があろうかと思います。酸化防止剤についても、脂肪の劣化による品質の低下を防げると。また、脂肪の劣化を防止することで、ペットの健康被害を防ぐという効果があろうかと思っております。ただ、使用方法を適正にしなければ、場合によってはペットへの健康影響が懸念される、そういうような物質もあろうかと思っています。このようなものについては、しかるべき使用基準、上限等を設定して適正に使っていただくと。適正に使った中で、賞味期限というか、製品の賞味期限というのも決まってくるのではないかと考えております。

【兵藤委員】 いかにも半生タイプのフードがありますね。あれは普通の室温で長い間ショップ等で販売していますが、我々から見ますと非常に奇異に感じます。人間の食品でしたらあり得ないことなのですが、相当な酸化防止とか腐敗防止の添加物が入っているのではないかと。そのあたりはきちっとした上限を今回のもので考えていただきたいなと思っております。お願いいたします。

【林座長】 よろしいですね、そこは。ほかに。

【会田委員】 資料2-1の22ページでございます。ちょっとお尋ねでございますが、先ほどご説明にもありましたが、飼い主からの情報というのは非常に貴重ではないかというご指摘がありましたし、そのとおりだと思います。ただ、飼い主さんご自身は、基準とか規格などというのがフードからなかなか見えないですね。むしろ動物愛護の観点から、私どもに来る飼い主さんのクレームで一番多いのは異物の混入です。だから、虫の死体が入っていたとか、くぎが入っていたとか、はたまた原材料に全く表示されてないものが入っているというような指摘があるのです。
 動物愛護の観点から、飼い主がこういう貴重な情報をもたらした場合、これについてはFAMICなのか、農政局のどこでどなたが検査をしていただく体制と理解したらいいのでしょうか。

【動物愛護管理室長】 これはまだ事務局で相談していませんが、このような情報の共有の方法、それからどういうふうに生かしていくかというのは、今後、詰めていかないといけないことだと思っています。ご指摘のあった、まさに本来入らないであろう異物のようなものについては、メーカー側の過失といいますか、注意不足によって入ってくるようなものが多いと思います。
 そういう場合は、最終的には、メーカーあるいはペットフード工業会にきちんと情報がいくというのが正しいルートであろうと思っております。もちろん、異物が安全上の基準とか規格に反映をされるべきものであれば、我々としても集積していく必要があろうかと思います。

【会田委員】 そうですね、いずれにしましても情報を重視するのであれば、何らかの救いあげるシステムが必要なのかなと思いますね。というのは、飼い主さんとメーカーとさしで交渉したって、飼い主さんは負けるに決まっているのですよ。そういう意味では、何らかのどこかでサジェストできるような体制があったらいいなと思います。

【動物愛護管理室長】 おっしゃるとおり、飼い主側からどこに言ったらいいのかわかるように、情報のルートについては、今後、検討していく必要があるとは思っています。

【林座長】 22ページの右側の下にある飼い主というのは、この飼い主が直接、あるいは飼い主の代理人として獣医さんが言ってもいいし、それから愛護関係の協会から言ったり、消費者センターから言ったりするという、そういう意味でここに関しては非常に広い概念を含んでいるというふうに考えていいですかね。

【事務局】 今、ご指摘のとおり、獣医師さんというのはペットのオーナーにとっては、非常に重要な相談相手になり得ると思っています。そこで、ここについては特に獣医師会との連携についても、今後ぜひ検討したいと考えています。

【林座長】 ありがとうございました。

【菅谷委員】 資料2-1の17ページ、公正規約との兼ね合いの部分についてです。公正規約の6番以降についてはペットフード法には入らず、ペット工業会、またはフード工業会46社については適用するけれども、入ってない社には適用されないということのようですね。安全性に直接関係ないからということですが、目的とか給与方法については、健康という面から非常に重要視されなければいけないのではないかと思います。
 それと、安全性の担保というのなら、賞味期限ではなく消費期限であるべきと考えました。以上でございます。

【事務局】 ご指摘にありましたように、確かに表示についてはいろいろなご意見があろうかと思っています。それで、先ほどの賞味期限も、実は我々も大変悩んでいるところでございまして、消費にすべきでないかとの意見についても今後検討してまいりたいと思います。
 ただ、我々、法規制の対象としては、やはり安全性に直接関連するものに限るというふうに考えておりますが、いずれにしろ、今後、検討してまいりたいと思います。

【有田委員】 消費期限というのは、要するに生ものというか、例えば、1週間という期限ならばそれ以内に食べないといけないものについて付けるということ。一方、賞味期限は消費する1.5倍ぐらいの安全率を掛けて作ってあり、おいしく食べられるというような感じです。犬が、おいしいとかおいしくないということについては、私もちょっと違和感はあったのですが、「おいしいですよ」と宣伝しているので、賞味期限でいいのかなとは思ったのですが、安全とはまた別の表示だと思っています。

【林座長】 そうですね。これについては、誤解が生じないような形で論議をいただきたいと思います。

【山﨑委員】 私がちょっとお伺いしたかったのは、会田さんがさっきおっしゃったことと関連しているのですが、異物混入などの問題に関しては私のところにもいろいろと情報が入ってきます。残念なことに人間の食品と違って、特に工業会などに入っていないメーカーさんなどに逆切れされるケースが非常に多いです。
 要するに、「ラーメンに毛が浮いているのは、おまえが入れたんじゃないか」というやくざ的な発想を、逆にメーカーさんから突きつけられるという事例がございます。残念なことに、こういう事例は、むしろ犬、ねこよりもマーケットの小さな小動物に多いです。実際に私のところに、干し草の袋の中に野ネズミの死体が入っているのを写真で送ってくれた人もいますし。
 そういったときに、やはり相談窓口は一体どこかということですね。獣医師の方に相談をして、あるいはショップに相談するのか。基本的に人間の食品であれば、当然のことながら、安全性できちんと相談する窓口もあり、かつ人間の食品のメーカーさんであれば、こちらが仮にゴキブリを入れたとしても、多分、電話をして文句を言えば向こうから謝りに来るというのが流れだと思うのです。ペットの食品に関しては、どうしてもやはり動物の命というと軽んじられているケースもあろうかと思うので、そういった対応ができないメーカーさんが実はかなり多いです。そういうメーカーさんに対する、例えば何か罰則とか、あるいはクレームをきちっと吸い上げて対応する機関があるのかどうかというのは、消費者にとっては、実はペットフードの安全性の中でも最も優先順位が高いのではないかということなのです。
 それに続いて、私は農水の方の小動物の医療の検討会にも出させていただいていますが、どうしてもマーケットが小さいということで、フードに関しても、犬、ねこ以外の動物というのはどんどん眼中から外れてしまっています。当然のことながら、ここでウサギやモルモットのフードのことも考えてくれという主張は、今の段階ではいたしませんが、とりあえず犬、ねこから始まるのであるが、コンパニオン・アニマルの世界というのがかなり広がりつつある中で、妥当な家畜をコンパニオン・アニマルとするというふうに、犬、ねこからかなり広がっていますので、今後どのように眼中に入れていくのかということも、ペンディングであっても構いませんから、この委員会の1つの方向性としてお考えいただきたいと思います。
 もう1つの点は、上質とかプレミアムということに関して、これは今まで人間の食べ物でもオーガニックをどう表示するか、果たしてその定義は何かというようなことがいろいろ話題になってきましたけれども、ペットフードに関しても、プレミアムフードというのが一体何であるかを考えたい。
メラミンの事件に戻りますけれど、私ども消費者にとって、メラミンの事件で一番ショッキングであったのは、棚から引き上げられた商品の中には、本当に栄養も足りないのではないかというぐらい粗悪な商品と、プレミアムフードとうたわれているものの引き上げが両方で起こったということです。つまり、とどのつまり、原材料は同じだったのかというところが消費者にとっては一番こわい事実だったのです。プレミアムという表示をする場合には、特別なものを意味するのか、また、これは業界任せになるのか。そういったあたりも消費者としては一番関心のある事項です。

【林座長】 ありがとうございました。これについてはぜひ、今ここで何かお答えを。

【動物愛護管理室長】 どれも大事な問題だと認識はしております。
 一つ、犬、ねこを当面の対象とすることにつきましては、先生方のうち何人かにご参加をいただきました昨年のペットフード検討会の中でもご議論をいただいていた分野でございます。今回、当面とりあえずということで、犬、ねこを政令で指定をさせていただいて、それの基準・規格を進めようという考え方です。それ以外のものは全く対象としないということではなく、今後のデータの積み重ねでありますとか、あるいは事故の状況、こういったところを積み上げていくということによって、今後の検討の対象として議論をしていくというつもりです。
 今後その必要性が出てきたということになりましたら、この審議会の中でもご議論をいただければと思っております。
 いずれにしましても、まずは犬・ねこの対象のフードが9割程度を占めているという現状にあって、あるいはデータもそれなりに蓄積されているという現状にあって、まずは犬、ねこ対象のペットフードの基準・規格から進めさせていただきたいと思っております。

【林座長】 ほかにいかがでしょうか。

【石綿委員】 ちょっと一つ最初に確認しておきたいのは、ここで今、議論をしている安全、法律関係では、第7条に沿って市販品の規制ということで考えてよろしいですね。自分で作って、自分の家の動物に与えるというのは、今ここでの対象外であるという、市販のための規制をするのだということでよろしいですね。
 それからもう一つ、言葉なのですが、先ほどから何回か添加物とか農薬とかというのが出てくるのですが、今この範囲の中では言葉の定義がまだできてないのではないかなという感じを受けました。それはもう既に動物用飼料の添加物とか、あるいはそちらで規制している農薬とかという前提があるのかないのか。それによって、例えば添加物といっても、人間の添加物と飼料用の添加物で全く違ってきますし。この法律で新たにポジティブリストを作るのかどうかという問題があろうかと思います。その辺をちょっと確認しておきたいのです。
 それから、もう一つは、ここでは安全性の確保ということですが、説明資料の方には健康影響という言葉が何カ所か出ております。健康影響というのは、もちろん安全性も入ってくるのですが、それ以外に例えば過剰栄養とか。安全性というのは、もう少し狭い意味での規格・基準という範囲で出てきますので、少し言葉の整理か、あるいは検討した上で、あえて健康影響ということを使うか。その辺のところをちょっと注意する、あるいは検討してみる必要があるのかなというふうに感じました。
 以上です。

【林座長】 ありがとうございました。いかがですか。

【事務局】 まず、対象とするペットフードでございますが、これについては市販品で考えております。
 それから農薬、添加物、こういうものは言葉の定義なのですが、農薬については農薬取締法の中で農薬の定義がございます。農薬については飼料安全法でも基準値を設定しているものがありますが、こういうものが一つ参考になるだろうと考えます。ただ、添加物については、実を言うと、ペットフード安全法では添加物の指定ということを想定しておりません。したがって、ペットフードの添加物について厳密な定義は行われておりませんが、現状としましては食品添加物、あるいは飼料添加物に使われたものが対象かと考えていまして、これらのうち、特にペットに対する安全性が懸念されるものについては成分規格の形で上限値を設定すると。すなわち農薬なんかと一緒でございますね。特に危ないものについては上限値を設けると。こういうような形を考えていきたいと思っております。
 それから、健康影響、これは確かに言われるように、定義とまではなってないのですが、今回は、有害な物質をターゲットに考えておりまして、確かにペットの世界にも、若干、肥満体型とか、そういうものが実際出ておりますが、これについては、ペットのオーナーの飼い方の問題かと思っておりまして、環境省なども普及啓蒙の形で事業を考えておりますので、ペットの飼い主の方に正しい知識を持っていただくということが大切ではないかなというように考えております。

【石綿委員】 私が言いたいのは、ここでの説明資料として、その健康影響という言葉が適当かどうかということです。

【山田審議官】 この資料は法律の関係だということで、ご承知のように、人の食については食品安全基本法というのがございます。その中に使われているのが健康影響という言葉でございますので、それのパラレルで使っているということでございます。

【林座長】 よろしいですね。ほかにいかがでしょうか。

【兵藤委員】 資料2-2の4ページ、ペットフードの種類というのがございます。総合栄養食、これは私たちが普通、消費者として使うときに、お水とこれだけをやっていけば過不足なく発育するという製品です。間食というのはおやつということですが、その他の目的食の中で、私たちが療法食、以前は処方食と呼んでいたのですが、今は療法食と呼んでいるものがあります。これは獣医師の先生方の診断のもとに出しています。与え方を間違えますと、大変な健康被害が出るフードでございます。これが一般のところに出ますと、かなり健康被害が出てくる予想があるのですが、諸外国ではこのあたりもきちっと整理がされているような様子です。このあたりも視野に入れて少し考えていただきたいなと思っています。つまり、ペットの健康を維持するための療法食の取り扱いについてということをご検討の中に入れておいてほしいなと思っております。
 以上です。

【畜水産安全管理課長】 今の処方食、療法食というものについては、薬事法との絡みが出ております。当然、薬事法の中で疾病の診断、治療、予防を目的とするもの、あるいは生体の構造、機能に影響を与えることを目的とするものは、医薬品に相当することになっております。したがいまして、現在、私どもは動物医薬品の立場から、薬事法に基づいて、そういった処方食、療法食が医薬品的な効能、効果を標榜するということを規制するため、ガイドラインを業界にお示しをしております。
 当然、その中に医薬成分とか入っていれば、表示にかかわらず成分面からも薬事法の規制がかかるということですので、そういったいわゆる消費者を惑わすようなものについては、薬事法の方から規制があるということをご理解いただきたいと思います。

【兵藤委員】 現実には、ねこが膀胱なり尿道に石を詰まらせたとき、治療の後、我々は中にできた石を溶かすという療法食を食べさせています。これをずっとフードとして食べさせていると健康被害が出てきます。そこで、現在、使われているペットフードの中で、使い方によっては健康被害が出てくる恐れがあるものは、専門職のもとで販売をしていただくようにしてほしいなと思っております。

【林座長】 それは総合食ではありませんので、療法食があるということ、つまりおやつと同じような食品ではないということは消費者にちゃんと周知していただくようにしていただければと思います。マニュアルでちょっと加えていただくというぐらいでしょうか。

【荒川委員】 少し教えていただきたいのですが、品質管理には、完成品の品質の管理に重点を置くような場合と、製造行程の管理に重点が置かれる場合がありますが、やはり製造行程の管理がより重要だということで、多くの製造業で工程管理がより重視されてきています。
 それで、やはり一番問題になるのはペットフードの原料です。使用する原料の規格の管理をきちっとする。それから、製造するステップで衛生管理等を重視しなければいけない。この法律で言いますと、でき上がったものについての規格をきちっとするというところに重点を置いたような印象がありました。原材料の規格など、製造行程での管理についてはちょっと法律的に弱いのかなという気がします。
 この前のメラミンの場合はかなり甚大な影響が出たので、表に出てきましたけれども、散発的なものであれば多分なかなか表に出てこない。だから、そういう観点からもう少し原料規格と原料のトレーサビリティをきちっと法律で管理できるようにしていかないと、結局、法律がうまく機能しないのではないかという印象があります。
 もう一つは、メラミンのときは動物がたくさん亡くなりましたね。人の場合は、例えば医師が変死体とか、あるいは不審死確認した場合は届け出なければいけない。それによって、何か問題がある場合は行政が把握できる。獣医師法の中でどうなっているか私は知りませんが、獣医師とか、飼っている人が獣医師の診察を受けて、何か不審な死に方をした場合は、これを行政がきちっと把握できる体制があるのかどうかということですね。それがもしあれば、メラミンの大規模な事例でなくても、散発事例的なものも把握できるので、それに基づいて今後は立入検査をして問題点を明らかにしていくと。
 その立入検査をしたときに、多分、政令とか省令とか、そういうところで定めがあるのだと思いますが、記帳したもの、要するに業者が持っている帳簿にどういうことを記載しておかなければいけないかというところを、つまり細かく決めておかないと、どういう材料を、どこからいつ輸入したどういう材料を使っているのかと、そういうことがわからなければ立入検査の目的が達成できません。ですから、何か問題があったときに、きちっと調査できるように資料を各製造業者に常日ごろ整備させておくということをきちっとしておかないと、法律は作ったけれどなかなか機能しませんということになるのではないかなという懸念があります。それを少し教えていただけますか。

【事務局】 大変ごもっともな指摘と思います。確かにこの法律、成分規格の方で実際の最新製品をターゲットにした形の安全基準を考える。ただ、基準の中で製造に関する基準というのも規定できるようになっており、製品に関する基準についてもあわせて今後検討していただきます。
 ただ、法律でどこまで縛れるかという問題もございまして、それについては、別途、ペットフード工業会で、最近、製造行程における基準、マニュアルみたいなものを、具体的に検討しています。そういう中で原料についてどういう形で、どういう点を留意しながら原料を調達すればいいか、実際の製造過程でどういうことについて注意すればいいかと、こういうことを業界としてのマニュアルで、今、検討しております。こういうものを会員に対して広く周知し、さらに、できれば工業会の会員さん以外にも、もう少しカバーをする範囲を広げていただいて、業界全体としてそういうものを周知していく体制を今後検討したいと思っております。

【林座長】 あとは獣医師法のお話について。

【畜水産安全管理課長】 獣医療におけるそういった事故等があった場合の届け出については、法的には薬事法における副作用の報告というものがあるだけでございます。
 そういう意味では、副作用以外の事故が起こった場合には、その獣医師のご判断で私どもに県を通じてなり、直接ご報告という形になっています。
 医薬品ですから、当然いろいろ副作用があり得るものですので、そういった規定になっているわけですが、ペットフードの場合は基本的に食品と同様ということですので、そういった獣医師とか飼い主に対しての届け出義務というのは課していないわけです。ただ、製造業者とか、輸入業者に対しては、製品に関する記帳義務を課し、記帳すべき事項を別途省令で定める形になっておりますので、何か事故が起こった場合には、それを見て検査をするという体制を構築することにしております。

【林座長】 よろしいですか。
 それでは、そろそろ終了したいと思いますが、どうしてもというご意見ございますか、よろしいですか。

(なし)

【林座長】 それでは、事務局におかれましては、本日も貴重なご意見たくさん出ておりますので、その論理を踏まえて、基本的な考え方を修正していただき、それに基づきまして具体的な基準・規格の案の作成をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 そのほか、事務局から何かありますでしょうか、ありませんか。
 それでは、以上をもちまして、本日の合同会議の議事を終了いたします。
 委員の皆様、ご協力ありがとうございました。それでは、事務局にお返しいたします。

【司会】 林座長をはじめまして、委員の皆様方にはご多忙のところご出席いただきまして、まことにありがとうございました。
 最後に、農林水産省の山田審議官からご挨拶をお願いいたします。

【山田審議官】 閉会に当たりまして一言申し上げます。
 本日は、天候も悪いところお越しいただきまして、貴重なご意見をいただき、また、熱心にご議論をいただきましてありがとうございました。
 最初に、柏木審議官のお話にもありましたように、ペットフードについて法律とかを考えるようになったのはごく新しいことでございまして、かれこれ1年ほどしかたっておりません。したがいまして、お話にありましたように、データもあまりなく、試験もこれから行わないといけないものもございます。私どもも、ペットフードの安全確保をするために、これからデータを作らないといけないものもあります。それから、いろいろなところからデータをいただかないといけないということもございまして、本日、ご議論いただきました基本的な考え方というものにご意見を取り入れながら、データに基づいて基準・規格を作っていきたいと考えております。
 今の予定といたしましては、具体的な規格とか基準につきまして、原案を次の合同審議会で審議していただきまして、年内には具体的な案を取りまとめたいと思っております。それから、SPS協定というのがございますが、それにのっとりまして通報をいたします。これはコメント期間というのもあわせてさかのぼって時間を考えていかないといけなくて、それを考えるとそのタイミングでしないといけないわけですけれども、皆様にもご審議の協力をしていただきたいと思います。
 最後に、本日の審議会におきまして、皆様のご意見、それからご審議ありがとうございました。感謝申し上げたいと思います。引き続き、ご協力を賜りますようにお願い申し上げます。ありがとうございました。

【司会】 それでは、これをもちまして本日の合同会議を閉会させていただきます。
 どうもありがとうございました。