中央環境審議会動物愛護部会第40回議事録

1.日時

平成25年8月2日(金)午後2時00分~午後3時30分

2.場所

環境省 第一会議室

3.出席者

  • 浅野 直人 部会長
  • 青木 人志 委員
  • 臼井 玲子 委員
  • 太田 勝典 委員
  • 太田 光明 委員
  • 北村 喜宣 委員
  • 木村 芳之 委員
  • 齊藤 富士雄 委員
  • 佐良 直美 委員
  • 田畑 直樹 委員
  • 山﨑 薫 委員
  • 星野 自然環境局長
  • 奥主 審議官
  • 江口 総務課長
  • 田邉 動物愛護管理室長

4.議題

  1. (1)パブリックコメントの実施結果概要について
  2. (2)動物愛護管理基本指針、各種基準等の改正案(第2次答申案)について
  3. (3)その他

5.配付資料

資料1
パブリックコメントの意見概要とそれに対する考え方について
資料2
動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正(答申案)【諮問9.関係】
資料3
家庭動物等の飼養及び保管に関する基準の改正(答申案)【諮問13.関係】
資料4
展示動物の飼養及び保管に関する基準の改正(答申案)【諮問10.関係】
資料5
実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準の改正(答申案)【諮問11.関係】
資料6
産業動物の飼養及び保管に関する基準の改正(答申案)【諮問12.関係】
資料7
動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置について改正案
資料8
犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置についての改正(答申案)【諮問14.関係】
参考資料1
動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第79号)に基づく基準等の設定について(諮問)
参考資料2
「動物の愛護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令」の閣議決定及び意見募集(パブリックコメント)の結果について(お知らせ)

6.議事

【事務局】 定刻になりましたので、第40回動物愛護部会を開催させていただきます。
 しばらくの間、事務局で進行を務めさせていただきます。
本部会委員の出欠状況のご報告の前に委員退任の連絡が入っていますので、ご報告させていただきます。
 これまで委員を務められておりました、新潟県の副知事でいらっしゃいました北島智子委員、ご退任の連絡がございました。
 このため、動物愛護部会は、1名欠、11人の委員構成になります。
 本日は委員全員のご出席をいただいておりますので、規定により本部会は成立していることをご報告申し上げます。
 続きまして、事務局から、1点、ご報告をさせていただきます。環境省幹部の人事異動の報告です。
 自然環境局長と担当審議官の人事異動がありました。自然環境局長には、前の担当審議官の星野が異動になりました。また、新しい審議官には奥主が就任しております。
 ただいま、急用で席を外しておりますが、所用が済み次第、本部会に出席いたしますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 資料1番から8番、参考資料が1番、2番になります。委員限りの資料としまして、資料1から7になります。
 資料の不備がございましたら、事務局までお申しつけ下さい。
 また、本日お配りしました資料並びに議事録につきましては、環境省のホームページで公表されますことを申し添えます。
 また、カメラ撮りされる方は、議事が始まりましたら、ご遠慮いただきますようにお願い申し上げます。
 それでは、これからの審議につきましては、浅野部会長に進行をお願いします。

【浅野部会長】 それでは、第40回目の動物愛護部会を始めたいと思います。
 本日の審議内容でございますが、前段にありますように、パブリックコメントの実施状況についての概要のご報告をいただくことと、それから、私どもに託されております、第2次答申の内容となる、動物愛護管理基本指針と各種基準の改正案について、ご審議をいただきたいと思います。
 パブリックコメントを受けて、本日は答申をまとめるという段階でございますので、パブリックコメントのご説明と、それから、それを受けた修正を含めた今日議論するべき答申の内容についての説明を一括していただいたほうが分かりやすいと思いますので、これより資料の1から8について、あわせてご説明いただきます。

【事務局】 それでは、議事1と議事2を合わせてご説明します。
 資料1は、パブリックコメントの意見概要と、それに対する考え方についてまとめております。
 パブリックコメントは6月13日から7月12日の1カ月間募集しました。その結果、電子メール442通、ファクス48通、郵送57通の合計547通の意見をいただきました。
 いただいた1通1通の中には、基本指針や各種基準に対してさまざまな意見が記載されておりまして、この資料1では、それらの意見の中でも特に多く寄せられた意見ですとか、反映すべきと思われる意見を取りまとめております。
 最終的な取りまとめ結果は、これらの基準の告示と同時にホームページに掲載する予定でおります。
 続きまして、いただいた意見の概要とそれに対する環境省の考え方を説明します。 
 まず、資料1の動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針につきまして、第1、基本的考え方の改正案で、「ペットが伴侶動物(コンパニオンアニマル)として生活に欠かせない存在となる」という案に対して、「生活に欠かせない存在と断言するまでには至っていないのではないか」というようなご意見をいただきました。そういったご意見を踏まえまして、「生活に欠かせない存在になりつつある一方」という修正をしたいと考えています。
 続いて、その第1について、全体を通して、より動物の立場に立った記述に文言を修正すべきじゃないか、というようなご意見をいただいております。それにつきましては、この基本指針というものが、国として動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するために策定するものということでございますので、それを踏まえた記載内容ということになっています。
 次に、4ページに参りまして、第2、今後の施策展開の方向というところでいただいたご意見ですが、施策の対象となる動物について、(2)で、展示動物、家庭動物、実験動物等は記載があるのですが、それ以外に野生動物や水生動物も含まれるという記述をすべきではないか、というようなご意見をいただいております。これにつきましては、施策の対象となる動物というのは、人の所有している、占有している動物が対象と考えていまして、野生動物は含まれない。水生動物につきましては、人が所有または占有していれば施策の対象となると考えています。
 続きまして、2の施策別の取組で、6ページの一番上、改正案に、「平成35年度までに」という記述がございます。それにつきまして、「速やかに」ですとか、「平成29年度までに」のままとすべき、というご意見をいただいています。これにつきましては、この指針は概ね10年間という一定の期間の中で施策を推進していくということでございまして、それを概ね5年ごとに見直しをするという規定になっていますので、計画期間も新たな10年間ということで見直すこととしております。
 続いて、(1)の普及啓発についてですが、7ページのイとしまして、動物のふれあい事業について、動物のストレスを減らすだけではなくて、苦痛の軽減も追加すべきというご意見をいただいています。ご指摘の点については、「適正な飼養管理や動物のストレスを減らす配慮」という記述の中に含まれているものと考えています。
 また、その下の学校飼育動物の飼養につきまして、学校飼育動物は動物へのストレスが大きいため、今後廃止する方向性を記述すべき、といったご意見をいただいております。これにつきましても、「適正な管理が行われるように検討する」と考えております。
 続いて、(2)の適正飼養の推進による動物の健康と安全の確保についてですが、こちらは犬猫の引取り数を平成35年度には10万頭を目指すという記述が8ページの右上のほうにございます。この目標につきまして、「平成35年度」ではなくて、「平成29年度」にすべきというようなご意見をいただいております。こちらも先ほどご説明しました、施策の目標年を今後の10年間ということで「平成35年度」としておりますので、それに合わせるような形で、こちらも「平成35年度」としたいと考えております。
 また、目標値10万頭につきまして、犬と猫の数値を分けて記載すべきではないかというようなご意見をいただいております。国としましては、犬猫合わせた全体として引取り数の削減を進めていくという考えのもとに、「犬及び猫の引取り数」ということで合わせた形で記載したいと考えております。
 続いて、(3)動物による危害や迷惑問題の防止につきまして、9ページのア、地域猫対策の部分の記述ですが、もともとの案では、「地域住民の合意の下に」という案でしたが、飼い主のいない猫を減らすための取組というのはボランティアで行われているようなことが多くて、合意形成ということであるとちょっとハードルが高いのではないか、というご意見がございまして、これにつきましては、ご意見を踏まえて、「地域住民の十分な理解の下に」というように修正をしたいと考えています。
 続いて、地域猫対策について、国の支援を明記すべきといったご意見をいただいております。これにつきましては、今のアのところにございますが、国としても、「地域の実情を踏まえた計画づくり等への支援」ということで推進していきたいと考えております。
 また、イの部分で、特定動物についての記述がございますが、特定動物については「原則飼養すべきでない」という旨の記述を追加すべきといったご意見をいただいております。これにつきましては、部会でも意見をいただいていますが、法改正に関わる事項かと思いますので、いただいたご意見については今後の参考にさせていただきたいと考えております。
 続きまして、(4)の所有明示措置の推進ですが、販売する犬猫だけでなく、飼養する犬猫へのマイクロチップの義務化を検討すべきといったご意見をいただいております。また、マイクロチップの義務化は検討すべきでないといったご意見もいただいております。その理由としましては、現状ではマイクロチップ以外の所有者明示措置すらも努力義務になっていて、マイクロチップだけを義務化するというのはおかしいのではないか、というようなご意見です。ここにこういった記載をした理由は、改正法の附則において、「国は、販売の用に供せられる犬、猫等にマイクロチップの装着を義務づけることに向けて検討すること」といった規定がありまして、そういった取組を進めていく必要があることから、こういった記載になっています。
 続きまして、(5)動物取扱業の適正化です。動物取扱業に対する監視指導にあたり、幼齢の犬猫だけでなく、繁殖に供される親についても適正飼養がなされているか監視すべきといったご意見をいただいております。それにつきましては、既に動物取扱業が遵守すべき動物の管理の方法等の細目が定められておりまして、その細目の第5条第3号において、動物の繁殖方法について、適切に扱うようにといった規定がされているほか、今回の改正法におきましても、犬猫等販売業者は、犬猫等健康安全計画の作成に当たりまして、繁殖の用に供される犬猫についての健康及び安全を保持するための体制の整備を記載して、それを遵守するということになっています。そういったことも含めての監視指導というものを、国、自治体のほうで行っていくということになろうかと思います。
 (6)の実験動物の適正な取扱いの推進ですが、動物を科学上の利用に供することは必要不可欠なものという表現は削除すべき、といったご意見をいただいております。こちらにつきましては、動物を科学上の利用に供することは必要不可欠なものと、その上で、「3Rの原則」を踏まえた適切な措置を講ずること等が必要」と考えております。
 また、国や自治体は実験動物施設の把握を行うことといった文言を追加すべきといった意見ですとか、基準の遵守状況について、インターネット等により公表することについての文言を追加すべきといったご意見をいただいています。これにつきましては、12ページのイの部分にございますが、「国は、実験動物の飼養保管等基準の遵守状況について緊急時に対応するための計画作成状況も含め、定期的な実態把握を行うこと」といった施策を上げさせていただいておりまして、これを踏まえて、これまでも基準の遵守状況については、毎年、アンケート調査を実施して、その結果を当動物愛護部会でも報告させていただくとともに、環境省のホームページにも掲載しているところでして、今後ともそうしたことを続けていきたいと考えてございます。
 続きまして、(7)産業動物の適正な取扱いの推進の部分ですが、産業動物の福祉により配慮した表現に修正すべきという意見をいただいております。それにつきましては、講ずべき施策のアの部分におきまして、「国は、国際的な動向も踏まえながら動物の愛護及び管理に配慮した産業動物の飼養等のあり方を検討し、産業動物の飼養及び保管に関する基準に反映すること」といった記述がございまして、それを踏まえて、取り扱っていきたいと考えております。
 続いて、(8)災害時対策についてですが、13ページ②のアのところで、「放浪動物等の救護等」という文言がございますが、救護すべき動物の対象を、実験動物や産業動物、水生動物等も含めた記述とすべきといったご意見をいただいております。これにつきましては、救護等をすべき動物の対象については、少なくとも家庭動物、犬や猫などは含めていただきたいと考えておりますが、その範囲については、地域の実情ですとか、災害の種類に応じて、自治体ごとに判断されるものと考えております。
 続きまして、(9)人材育成でございますが、国や自治体職員に対するアニマルウェルフェアの知識の習得に対する支援等を記載すべきというご意見がありました。この点につきましては、14ページ②のアに、「国は、動物愛護管理行政の担当者の専門的な知識や技術の習得に対する支援を行うこと」といった部分で対応していきたいと考えております。
 (10)の調査研究の推進ですが、産業動物や実験動物等の福祉や保護体制についても調査研究を推進する記述を追加すべきというご意見をいただいております。この点につきまして、②の講ずべき施策のウに、関係機関が協力して、諸外国の制度、科学的知見に関する文献等の情報収集を行うこと、といった内容の記述がございまして、こちらにその趣旨は含まれていると考えております。
 最後に、第3の動物愛護管理推進計画の策定に関する事項についてですが、17ページの「必要に応じてパブリックコメント等を行うものとする」といった部分について、パブリックコメントだけではなくて、タウンミーティングの開催等も追加すべきといったご意見をいただいております。ご指摘の点につきましては、既に「等」ということで含まれておりますし、具体的な取組については、各都道府県において検討されるものと考えています。
 続きまして、資料3、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準についてです。
 第1の一般原則の部分ですが、終生飼養の責務だけでなくて、適正飼養の責務を追加すべきといったご意見をいただいております。これにつきましては、1ページの第1の1の一番最後の部分になりますが、「家庭動物がその命を終えるまで適切に飼養(以下「終生飼養」という。)」ということで、適正飼養も終生飼養の中に含まれると考えております。
 続きまして、第3の共通基準ですが、2ページの改正案の(2)の中央ですが、「虐待のおそれ」を「虐待」であると修正すべきというご意見をいただいております。この規定につきましては、法律の第44条に規定する愛護動物だけでなくて、「家庭動物等」ということで、人に所有または占有されている動物を含めて、もう少し広く定義しておりますことから、「おそれがある」という原案どおりの表現としたいと考えています。
 また、改正案の中に、「みだりに、疾病にかかり」といった文言がありますが、この「みだりに」というのは不要ではないかというようなご意見もいただいております。「みだりに」をとって、単に「疾病にかかったものの保護」や、「負傷したものの保護」を行わないことが、そのまますぐに虐待に当たるおそれがある行為ということではなくて、みだりにそうしたことを行わないことが虐待となるおそれのある行為ということのため、原文のままとしたいと考えております。
 続いて、第4、犬の飼養及び保管に関する基準についてですが、6ページの第4の部分ですが、飼養施設や飼養環境の基準について、より具体的な数値を記述すべきといったご意見をいただいております。現状では特にそういった数値としての記述はしておりません。今後、解説書等において、必要に応じてそういった基準についても明らかにしていきたいと考えております。
 第5の猫の飼養及び保管に関する基準につきまして、8ページの6としまして、飼い主のいない猫についての、地域猫対策の部分ですが、こちらは先ほどの基本指針と同様で、「地域の住民の合意のもとに」を「地域の住民の十分な理解の下に」という表現に修正させていただいております。
 続いて、第6、学校、福祉施設等における飼養及び保管につきまして、原則として学校では動物を飼養すべきではないというご意見をいただいております。これにつきましては、この基準というのは基本的に努力義務規定ということで規定されており、強制力のある規制というのは制度上課すことはできないといったことから、適正な飼養につながるような努力義務規定を設けたいと考えております。
 続きまして、その他の意見としまして、野良猫へ餌を与えている人を飼い主と位置づけて、責任を明確化すべきといったご意見をいただきました。これにつきましては、所有者かどうかの判断については、個別の事案ごとに判断されることになると考えています。
 続きまして、資料4、展示動物の飼養及び保管に関する基準につきまして、ご説明いたします。
 第1の一般原則の部分ですが、2ページの4、終生飼養等の最後のほうに、「できる限り、苦痛を与えない適切な方法」といった文言がございますが、それにつきまして、「できる限り」は削除すべきというご意見をいただいております。これにつきましては、動物愛護管理法の第40条におきまして、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってという定義がございますので、それを踏まえた記述とさせていただいております。
 また、第2の定義の部分ですが、「動物」というところで、「哺乳類、鳥類又は爬虫類に属する動物をいう」という定義がございますが、こちらを全ての脊椎動物等とすべきといったご意見をいただきました。これにつきましては、動物愛護管理法に基づく動物取扱業の対象としている動物との整合性ですとか、動物の飼養保管の実態等を考慮して、「哺乳類、鳥類又は爬虫類」というものを対象動物としております。
 第3の共通基準の部分ですが、7ページの(4)緊急事態対策といったところで、いただいたご意見としまして、自家発電装置の設置や消火設備の整備等の記述を追加すべきと、緊急時にこういった設備が必要ではないかといったご意見をいただきました。これにつきましては、解説書等において、今後、必要に応じて明らかにすることとしたいと考えております。
 続きまして、8ページの改正案の7の施設廃止時の取扱いの最後の部分ですが、「殺処分をしなければならない場合は、獣医師等によって行われるように努めること」という文言ですが、こちらにつきまして、殺処分は獣医師によって行われるようにすることを規定すべきといったご意見をいただきました。これにつきましては、獣医師によって行われることが望ましいことと考えておりますが、獣医師以外の者が行わざるを得ない場合もあると想定されることから、「等」をつけています。また、本基準は努力規定ということになっておりまして、強制力のある規制というのを課すことは制度上できないということになっています。
 続いて、第4の個別基準の部分で、9ページのウの改正案で、「動物に演芸をさせる場合には」につきまして、「動物に演芸をさせてはならない」とすべきとのご意見をいただいております。こちらにつきましても、本基準が努力義務規定ということでもありますので、やはりそういった強制力のある規制というのは課すことはできないと考えております。
 最後に、11ページの2の販売の(1)展示方法の部分ですが、「過度の苦痛を与えないように」といった文言がございます。こちらにつきまして、「過度の」というのを削除すべきというご意見をいただいております。これにつきましては、動物の健康及び安全の確保を図る上では、著しい支障が生じるおそれがある苦痛の防止策を講ずることで十分であると考えています。
 続きまして、資料5、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準について、ご説明いたします。
 まず、第1の一般原則で、現行の基準の一番上に「動物を科学上の利用に供することは、生命科学の進展、医療技術等の開発等のために必要不可欠なものであるが」という文章ですが、こちらについて削除すべきといったご意見をいただいております。それにつきましては、動物を科学上の利用に供するということは必要不可欠であるということから、削除の必要はないものと考えています。
 次に、2ページの4、その他の最後の部分、「可能な限り、外部の機関等による検証を行うよう努めること」という部分につきまして、必ず検証を行うべきと修正すべき、というご意見をいただいております。これにつきましても、本基準が努力義務規定ということですので、これを踏まえた表現としております。
 第2の定義の部分につきまして、先ほどもご意見としてありましたが、実験動物の定義の「哺乳類、鳥類又は爬虫類に属する動物」を全ての脊椎動物等とすべきというご意見をいただいておりますが、現時点では追加する必要はないものと考えております。
 第3の共通基準の部分ですが、3ページの左側のエの部分ですが、「異種又は複数の実験動物を同一施設内で飼養及び保管する場合には、実験等の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で」という部分について、「実験等の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で」は削除すべきといったご意見をいただいております。これにつきましては、動物愛護管理法の第41条に、科学上の利用の目的を達することができる範囲においてと規定されておりますから、今回、その「実験等の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で」という規定は、それに沿った形で規定するものであると考えております。
 続いて、第4の個別基準ですが、7ページの第4の1の(1)に「できる限り実験動物に苦痛を与えないようにする」といった文言ですが、動物が耐えることのできないような痛みを与えてはならないといった文言を追加すべき、というご意見をいただいております。これにつきましては、やはり先ほどもご説明しましたように、動物愛護管理法の第41条の規定の趣旨を踏まえて、苦痛の軽減を図るものであると考えています。
 続いて、第5の適用除外ですが、8ページの実験動物の基準について、「畜産に関する飼養管理の教育若しくは試験研究又は育種改良等を目的として保管をする管理者等には適用しない」といった記述がございます。これにつきまして、それらの管理者についても本基準を適用させるべきといったご意見をいただいています。それにつきましては、畜産目的で飼養及び保管をされる動物には、産業動物の飼養保管基準が適用されることから、この適用除外は必要であると考えています。
 続きまして、資料6、産業動物の飼養及び保管に関する基準について、ご説明いたします。
 第1の一般原則の部分ですが、アニマルウェルフェアへの配慮といった文言を追加すべきというご意見をいただいております。ご指摘の趣旨については、第3の産業動物の衛生管理及び安全の保持における改正の部分、2ページの右上ですが、「産業動物の安全の保持に努めるとともに産業動物に対する虐待を防止すること」といった部分に含まれていると考えております。
 また、定義の部分で、こちらも同じような意見ですが、全ての脊椎動物等とすべき、この基準に魚類も含めるべきといったご意見をいただいています。こちらにつきましても、現時点では、ほかの動物を追加するという必要はないものと考えています。
 また、1ページの第3につきまして、飼養管理者は5つの自由を飼養動物に対して保証しなければならないという文言を追加すべき、というご意見をいただきました。ご指摘の趣旨については、第1の一般原則の部分で、改正案の下線部分にその考え方が含まれています。
 また、第4、導入・輸送に当たっての配慮ということで、2ページになりますが、産業動物を生きたまま輸出入することを禁止すべきといったご意見をいただきました。これにつきましても、本基準というのは努力義務規定の基準になるものですから、輸出入の禁止といった強制力のある規制を課すということは制度上できないということになっています。
 第5の危害防止の部分の災害時の対策について、実験動物と同じようにあらかじめ計画を策定等させるべきというご意見をいただきました。これにつきましては、第5の3の部分で、現行の基準の中に、「管理者は、地震、火災等の非常災害が発生したときは、速やかに産業動物を保護し、及び産業動物による事故の防止に努めること」といった基準もございまして、現時点では、それ以上追加をする必要はないと考えています。
  続いて、資料7、動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置についてです。
 まず、所有明示措置の中で、「入れ墨」は削除するべきといったご意見をいただいております。これにつきましては、入れ墨は一部の犬の識別方法として行われているものと考えておりますので、削除はしないと考えております。
 また、4ページの、右側の最後の部分で、「更新が必要であることについて、購入者への周知に努めること」について、「周知すること」と修正すべきというご意見をいただきました。これにつきましても、本基準が努力義務規定ということで、このような記載にしています。
 続いて、資料8、犬及び猫の引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置につきまして、第1、犬及び猫の引取りの部分ですが、1ページの第1の2の「引取りを拒否するよう努めること」の後に、「引取りの拒否を行った場合は、該当動物がその後、どのような飼養が行われているかを定期的に確認と指導をしなくてはならない」といった文言を追加すべきというご意見をいただきました。ご意見の趣旨を踏まえまして、その部分につきましては、「引取りを行わない理由を十分説明した上で」といった文言を追加したいと考えています。
 また、第1の1の部分に戻りますが、上から3行目の辺りに、「犬又は猫の引取りの場所等の指定に当たっては」という表現がございますが、引取り場所を保健所及び動物管理センター等に限定する記述を追加すべき、というご意見をいただきました。ここにつきまして、引取り場所については、地域の実情に応じて多様であることから、原文どおりの表現が適当であると考えています。
 また、所有者が判明しない犬猫の引取りに当たっては、都道府県知事等が都道府県警察との間で遺失物を預かるという前提で協力体制を構築することといった文言とすべきというご意見をいただきました。その点については、1ページの一番下の部分に盛り込まれていると考えています。
 続いて、第4の処分の部分ですが、3ページの第4の「保管動物の処分は、所有者への返還、飼養を希望する者への譲渡し及び殺処分とする」という部分の後に、「ただし、できるだけ生存の機会を与えなければならない」という文言を追加すべきといったご意見をいただきました。ご指摘の趣旨につきましては、3ページの第3の3の一番最後に、「できるだけ生存の機会を与えるように努めること」というのがございますので、そちらで趣旨は含まれていると考えております。
 また、4ページの第5の「ただし、化製その他の経済的利用に供しようとする者へ払い下げる場合は、この限りではない」という部分につきまして、その文言を削除すべきというご意見をいただきました。これにつきましては、現時点では、当該規定を削除する必要はないと考えています。
 また、今回の意見募集とは直接関係しない意見もたくさんいただきました。これにつきましては、今後の施策の参考にさせていただきたいと考えています。
 以上、資料1から資料8まで、ご説明いたしました。最後に、参考資料の1をつけていますが、こちらは昨年10月に諮問をさせていただいた諮問書になります。今ご説明いたしました答申案が、諮問事項の9から14になります。資料7の所有明示措置については、審議会で諮問する事項には含まれていないものですから、答申という形ではありませんが、今回改正するということで、審議をいただければと思っております。
 以上、簡単ではございますが、ご説明を終わります。

【浅野部会長】 それでは、ただいま、パブリックコメントに寄せられた意見と、それに対する事務局としての対応案、すなわち、それを含めた原案の修正箇所ということでご説明をいただきました。
 それでは、これから、ただいまのご説明につきまして、委員の先生方からのご意見を伺いたいと思います。ご質問でも、ご意見でも結構です。
 青木委員、どうぞ。

【青木委員】 どうもありがとうございました。
 パブリックコメントを受けて、どのように指針等を直すかということが今日の課題だと思うので、その点をまず意識しながら申し上げたいと思います。パブリックコメントの中に、学校飼育動物について、今後、廃止する方向性を記述すべきだというものがあって、それに対しては適正な管理が今後行われるように検討していくこととすると、回答されています。政策判断として私も異論はないのですが、そのような判断を受けて、どのように基本的な指針を文章として書くかということになると思いますね。
 今ご説明があったように、資料2の7ページの右上のイというところの後段に「また、情操の涵養等を目的とした学校飼育動物の飼養についても適正な管理が行われるよう検討すること」と、原案がなっている訳ですが、この基本指針の前半のほうに、第1というところで、「動物の管理」という言葉がかなり詳しく説明をされていて、ここの部分、つまり前半に出てくる「管理」は「愛護」と対比をした管理なので、どちらかというと、他者への侵害を防止するという観点が非常に言葉として登場するのですね。しかし、恐らくこのコメントを出した方は、むしろ愛護の観点を重視されているのだと思われるので、それに対して管理を強化しますというような感じの答え方は、やや言葉の使い方としてどうかという気がします。
 実際、適正飼育管理という言葉が、どうもよく見ると、この基本指針の中でもニュアンスの置きどころが場所によってずれているし、ほかの基準等との関係でもどうも使い方がいろいろなされているようなのですね。
 例えば、今申し上げた7ページのイの前段では、「動物との触れ合い事業の推進に当たっては、適正な飼養管理や動物のストレスを減らす配慮」となっています。「動物のストレスを減らす配慮」ということをわざわざつけ加えているということは、どちらかというと、「適正な飼養管理」というのは被害防止という意味合いが強いと思うのですよね。そうだとすると、ますます、その直後に出てくる「管理」という言葉の重点の置きどころが、パブリックコメントを寄せられた方の意図とずれるような気がいたします。
 もう一つは、今の言葉のずれの問題が、資料3の家庭動物等の飼養及び保管に関する基準の答申案に実はあることに気づきました。9ページの第6の4、右側のやや上のほうですが、「管理者は、動物の所有者等としての責務を十分に自覚し」と始まる文章がございますが、その最後のほうに、「本基準の各項に基づく適切な動物の飼養及び保管並びに動物による事故の防止に努めること」とあります。ここでは、「適切な動物の飼養及び保管」というのは、愛護に重点を置いたニュアンスで使われています。適正飼育管理とか飼養保管という言葉が、一つの文書の中でもちょっとニュアンスがずれているし、違う文書の間でも愛護と管理のどっちに重点があるかというのが違うというのがあまり望ましくないことだなという印象を持ちました。

【浅野部会長】 ありがとうございました。
 おっしゃることは一々もっともだと思います。特に学校の部分は影響も大きいと思いますので、ここは適正な管理だけというのはよくないという、今のご趣旨はよくわかりましたので、例えば、飼養管理に修正するとかということですか。

【青木委員】 そうですね。ですから、上のほうのものと変える理由がわからないと言ってもいいですね。

【浅野部会長】 そうですね。たしか上のほうで適正な飼養管理が……ですから、ここには適正な飼養管理や動物のストレスを減らす配慮が必要であるということ全部を書けばいいわけですね。だから、この前の部分全部を受けるとしたら、学校飼育動物の飼養についても適正に行われるようにといっておけば、前のほうの記述を全部受けたことになりますか。

【青木委員】 ここ、前回と直っていますよね。わざわざこういうふうにした理由が何かあるかを確認したいです。前回はたしか飼養管理となっていたのですよ。

【浅野部会長】 あんまり深い理由はないと私は思ったのですが、単なる書き落としではないかと思います。積極的に何か、ここは管理だけを表に出す理由があるかという質問ですが、事務局からのお答えがありますか。
 資料2の7ページの一番上のところの傍線が引っ張ってある最後です。管理というのは、どちらかというと、第三者に対する被害防止というニュアンスが強いのではないか。それなら、飼養管理でなぜ悪いのかと、こういうご質問です。
 どうぞ。

【田邉動物愛護管理室長】 飼養管理という言葉を前段に入れたということで重ならないようにしました。今、部会長からご指摘のありました、適正な飼養管理という意味で、前回とは変わりがないと考えます。

【浅野部会長】 前もここは適正な管理だけだったということですか。

【田邉動物愛護管理室長】 前回の案では適正な飼養管理となっていたのですが、今回の案では、飼養管理という言葉を前段に入れたという形になっています。

【浅野部会長】 触れ合い事業の推進について、それから、後のほうが学校飼育動物ですね。

【田邉動物愛護管理室長】 委員限りの資料1になりますが、6ページの一番上の段落イになりますが、この赤くした部分が、今回、前回の部会からパブリックコメント案、直した部分です。

【浅野部会長】 学校飼育動物の飼養についてもというのが上にあるので、そこでもう言っているから、適正な管理でよかろうと、こういうことですか。

【田邉動物愛護管理室長】 単純な考え方だったかもしれませんがそのとおりです。

【浅野部会長】 青木委員は、管理という言葉がほかで出てくるときには、どちらかというと、愛護の趣旨よりも危害防止という観点が中心になって使われているので、そうすると、ここは危害防止だけを言っていることになりはしないかと、だから、適当ではないのではないかというご指摘です。
 私も確かに言葉の使い方として、そういう使い方をしているのであれば、言われたとおりだなと思ったのですが。

【青木委員】 前段のほうに問題がないのであれば、例えば、情操の涵養等を目的とした学校飼育動物についても、適正な飼養管理や動物のストレスを減らす配慮が必要だという書き方をもう1回繰り返したらいいのではないかと私は思っています。
 以上です。

【浅野部会長】 ここは私もそう考えますので、ただ今の青木委員のご意見を受け入れることにいたします。
 ほかにございますか。どうぞ。

【太田光委員】 資料の8ですけど、1ページ目の第1の2のところですね。犬及び猫の引取りの右側の改正案の2のところの、「引取りを求める相当の事由がないと認められる場合にあっては、引取りを行わない理由を十分説明した上で、引取りを拒否するように努めること」と、これは大変わかりやすい。その最後の文章ですけど、今度は引き取る場合ですけれども、「引取りを行うように努めること」という、この努めるのは引き取る人ですよね、引き取る施設というか。片側は所有者で、これは努力するということで、努めること、引き取りは拒否するように努めるというので、引き取るように努めるというのは引き取ることではないのですね。ここはちょっと曖昧かなと思います。

【浅野部会長】 資料8の第1の2ですね、ご指摘の点です。これは、事務局、お答えいただけますか。法文がそもそもそうなっていって、それでこうなってしまったのだと思うので、そのあたりをご説明ください。

【田邉動物愛護管理室長】 今、ご指摘の点は、拒否するように努めることという部分でしょうか。

【太田光委員】 後ろのほうです。「助言を行った上で引取りを行うように努めること」という。

【田邉動物愛護管理室長】 今回の引き取り拒否の規定は、拒否ができるということで前段を書いているということがありまして、そういう事由に当たる場合は、拒否するように努めること、ただし、引き取る場合もございますので、そういう場合については、必要な助言を行った上でその引き取りを行うという形になっています。

【太田光委員】 何となくですが、引き取りを行うことにするのはまずいかということを言いたいのかと思います。

【田邉動物愛護管理室長】 引き取りを行うこと自体は、引き取りを行うことという条文になっておりますので、それを行う場合にはということで、助言を行うということが重要であろうという内容になっております。

【太田光委員】 いや、違和感がなければ、別に全然問題ないです。私は違和感があったので、質問しているのです。

【浅野部会長】 多分、委員ご指摘の点は、ただしで、どうしても必要があると認められる場合には、引き取らざるを得ないというようなことであるならば、その前提のもとでのお話なら、あえてここでは「努める」という表現になるのかという、こういうご質問、ご意見ですね。

【太田光委員】 そのとおりです。

【浅野部会長】 そうですね。前半のほうは、引き取り拒否についても、ちゃんと単に拒否しますなんていうことを言ったら、今度はまた遺棄につながる可能性があるから、そうならないように、実際、現場でも随分苦労しておられて、引き取りをしないときには随分時間をかけて説得をしておられるというような実績があるので、そのことを我々は大事にしてほしいと書いた。それがちゃんと努めてくださいということで、しかし、そうは言っても、やっぱりどうしても引き取らざるを得ないというような場合があるときは、それはしょうがないから、引き取るということになるでしょう。であるなら、そこは努めるということはなくて、助言を言って引き取れと言ったほうが強いだろうというご意見ですね。
 自治体の現場から見た場合は、いかがですか。そう言われたら困る事情がありますか。それとも、そのときそのときの説得で、いやどうしても引き取らなきゃいけないときでもちゃんと助言してくださいというのは、努めるというほうがいいですか。そのときは説得というか、ちゃんと助言してくださいでいいですね。

【齊藤委員】 引き取らざるを得ないときには、きちっと助言をしていくということでいいのではないかと思います。

【浅野部会長】 それでいいですね。それでは、あまり自治体に遠慮しないで、後のほうの「努める」は削るということでよろしいですか。
 ほかにご意見がございますか。北村委員、どうぞ。

【北村委員】 今の論点に関係するのですが、ここの資料1の考え方の中にも、努力規定だから、強制力がある規制を課すことはそれ以上できないという、こういうフレーズが何カ所かにおいて用いられておりますよね。これは確認なのですが、そもそもこの基準が努力規定であるということは、動物愛護管理法本則で決まっているのか、この措置で決まっているのか、この措置の個別の規定で決まっているのか、これは多分はっきりとすべきですね。そもそも本則でこの措置が全て努力規定ならば、議論する必要は全くない話ですね。私はこの整理のところでやや混乱しているところであります。
 例えば、この資料1の中の4ページのところで、上のほうに、第4、個別基準というものが書いています。これは展示動物の飼養及び保管に関する基準のところで規定されているのですね。ここでは、パブリックコメントのご提案は、演芸をさせてはならないということを入れろと言ったところ、これに対しては、本基準は努力規定なのだから、そもそもそういうものは入らないのだと、こういうお返しをされているのですね。ところが、資料4の第4の該当箇所、これは9ページになる訳でありますけども、ここでは、例えば、左側のコラムの現行の基準のところで、例えば、イのところで、「施術、着色、拘束等をして展示しないこと」と、これは合意としては強制力がある姿勢的に書いておりますから、書き振りの問題ではなくて、内容の問題だと思うのですね。そうすると、この求めていることが何々すべきとはならないとか、こういうことを言っているから、ここの努力義務とはバッティングするのだという整理は論理的におかしいことになります。ここはきちんと回答しておかないと、ちょっとはずれた回答をなさっていることになろうかと私は思うのですね。
 これは数カ所にわたってそういう規定がございまして、この際、先ほどの質問からの継続ですけれども、努力義務であることということの意味をもう一度クリアにして議論したほうが全体の議論がよりうまくいくのではないかと思いまして、確認でございます。

【浅野部会長】 要するに、努力規定というのだったら、全部何々すべきであるということはすべて書けなくなるはずなのに、都合のいいところでは何々すべきであると、何々してはいけないと書いておいて、都合が悪くなると努力規定だからそれは言えませんというのでは説明になっていないだろうと、こういうご趣旨ですね。

【北村委員】 ご賢察でございまして、結果、やや強い努力義務と、やや弱い努力義務と、非常に軽い努力義務と、何かうまいこと三枚舌ぐらい使い分けているのではないかというふうな流れですね。ちょっと感想でございます。

【浅野部会長】 わかりました。要は、動物で演芸をさせるべきではないという意見に対して、いや、そうとも言えませんねということを言いたいだけのことだから、何もこれを殊更努力規定だと言わなくても、現実には展示動物の主たる目的は演芸をさせるという場合があり、それを禁止することは必ずしも適当でないと考えられるから、禁止しろと言われても、それはのめませんと正直に書けばいいわけですね。

【田邉動物愛護管理室長】 全般的に申し上げますと、この各種飼養保管基準につきましては、法律の第7条第7項で、環境大臣は動物の飼養及び保管に関し、よるべき基準を定めることができるという部分で定められております。ここが努力義務規定の根拠になります。同時に、この各種飼養保管基準の中では、例えば、省令などで具体的に規制をされている部分も再度書かなければいけない部分がございますので、そういう部分については、省令等の義務規定を受けて、義務規定として書いている部分もございます。このため、表現がまちまちになっているところがあります。

【浅野部会長】 わかりました。いずれにせよ、同じ表現で違う場面について説明をするのではよろしくないだろう、という点は北村委員のご指摘どおりですので、これは規定や、今度決めるガイドラインの中身の問題ではなく、パブリックコメントに対する回答・説明の書き振りについてのご指摘ですので、そこはもう1回よく精査をしましょう。一般に公開するときに、後で北村委員のみならず、ほかの法律家が見てもおかしいではないかと言われる可能性がありますから、そうならないように修正することにします。
 ご指摘ありがとうございました。
 ほかにございますか。山﨑委員、どうぞ。

【山﨑委員】 質問ですけれども、お願いいたします。
 実は私のところに公益財団法人神奈川県動物愛護協会から、猫の遺棄に関して、警察と環境省の考え方について、文章をいただいているのですが、あまり私は詳しくないので。第36回の動物愛護部会に、残念ながら、所用があって遅れてきたので、そのときに話題になった部分ではないかと考えますので、遺棄をされた猫について何回か、それはパブリックコメントに掲載されていて、それに対する回答がここにないということなので、そういうご要望書をいただいたと理解したらいいのでしょうか。

【浅野部会長】 ちょっと申し訳ないです。私宛てにはまだ届いておりませんので、ちょっとよくわからない面もあるのですが。パブリックコメントのご意見として、遺棄について、どこかからご指摘がありましたでしょうか。

【田邉動物愛護管理室長】 見落としでなければですが、意見提出者を見たところ、確認ができていないようです。

【浅野部会長】 どうもこれは、委員に対して意見を寄せられたということのようですね。ですから、それは委員として、それをどう受け止められるかということになろうと思います。あるいは内容について、ここでそのご趣旨にそったご発言があれば、それに対しては事務局から答える、あるいは部会でそれについて議論しなければいけないなら議論するということになるのだろうと思います。パブリックコメントとは関係なしに、審議会の委員としての先生方にそういうご意見が寄せられたと理解をされたらいかがでしょうか。
 私のところにも時々お褒めの言葉やお叱りの言葉やいろいろいただきますので、いちいちお返事を差し上げてはおりませんけど、拝見した上で、なるほどと思われることはできるかぎりご趣旨にそうよう努力しておるつもりにいたしております。
 そういうことでよろしいですか。取り上げるべきことがあるというふうに先生のご判断でしたら、おっしゃっていただければ、取り上げますが。

【山﨑委員】 環境省とほかの委員の先生方にも届いているのかなと思ったので、委員長が取り上げられるのなら、一任いたします。

【浅野部会長】 どなたか委員で何かございますか。よろしゅうございますか。
 要するに、こういうことを審議してほしいというご意見をいただいたということですね。とりあえず、この指針と、基準を考える上で、ぜひとも必要であるということかどうかということですが、一般的なお話でしたら、またその他のところで取り上げて議論をすることにいたします。
 では、とりあえず指針と、基準に関して、今、事務局から出されたものについて、北村委員からはどちらかというとパブリックコメントに対する答え方に問題がある、もっとよく整理せよということです。このご指摘はもっともでございますので、そのようにいたします。それから、青木委員と太田委員、お二方からは、原案について修正をすべきであるというご意見がございましたので、これにつきましてはご意見をとりいれて修正するということにいたしました。
 ほかに何かございますか。どうぞ、太田光委員。

【太田光委員】 先ほどの努力目標ということの中で、ちょっと気になるところがありますので、発言させていただきます。
 パブリックコメントの4ページの上の部分ですね、「殺処分は獣医師等によって行われるように努めること」を、コメントは獣医師によってと、「等」を取れという話で、それに対して、その考え方を書いてありますけど、これは動物を殺す訳ですので、ある種、ほかのこととは違うと。そういう意味では、これは外してはまずいのではないかと私は思うのですけど、木村先生、いかがですか。
 資料の4にも該当します、展示動物、パブリックコメントもその部分ですけど、資料4の展示動物の2ページ目ですね。「やむを得ず殺処分をしなければならないときであっても、できる限り、苦痛を与えない適切な方法を採るとともに、獣医師等によって」と、そこに「等」があるのですね。それに対して、パブリックコメントの4ページの一番上のところですけども、「等」を取れという、そういう御指摘ですけど、これは動物を殺して、なおかつ苦痛を与えないと、その処置を考えたときに、獣医師以外にできると私は思わないのですが、ここにありますように、状況によってはそういう状況もあるだろうと。でも、努力目標であるならば、やっぱり獣医師であるべきだと私は思うのですね。これはいかがですか、木村委員。

【木村委員】 基本的には、やむを得ない場合の殺処分は、適切な方法が選択できる獣医師によって行われるべきと思います。家庭での飼育動物あるいは人の手がかけられた状況下にある動物であれば、獣医師によってで、「等」の文言は要らないと思います。今、頭に浮かんだのは、野生動物等の場合、例えば、捕獲され再起不能の状態で発見された場合、獣医師が現場にいない、獣医師の到着を待てばより長い時間苦痛を与えてしまう状況、危険度から一般の臨床獣医師で対応できない場合、銃殺というケースもあるのではないかと思いました。特殊なケースを踏まえて、「等」と記載したのかと思いました。いかがでしょうか。

【浅野部会長】 事務局、いかがですか。

【田邉動物愛護管理室長】 今、木村委員から御指摘いただいたとおり、例えば、特定動物が逃げ出したときなどに、緊急措置として、今ご指摘の射殺等もあるということで、そういう場合があるということが想定されるという書き方をさせていただいております。

【浅野部会長】 よろしゅうございましょうか。
 ほかにございますか。どうぞ。

【齊藤委員】 指針の3ページの上のところで、パブリックコメントによって修正されたということで、「生活に欠かせない存在となりつつある」という表現に変えたところです。そうかなと納得するところもありますが、私は、生活に欠かせない存在だと思っています。パブリックコメントでは、例えば、動物を嫌いな方もいらっしゃるし、いろんな迷惑がかかっている方もいるし、全ての方が、100人のうち100人が必要なあるいは欠かせない存在であると思っているとは思えない。
 例えば、犬については、長野県では4から5世帯ぐらいにいる、それから、猫について合わせればもっと飼育されています。では、欠かせない存在であると言うにはどのぐらいになったら言えるのかですね。私はそう思っているのですけれど、いろいろな方への配慮の中で、「なりつつある」という表現にされたのではないかと思います。ここに至る事務局としてのお考えとか、存在であると断定できない状況といいますか、理由がありましたら、ご説明いただければと思います。

【浅野部会長】 事務局、ご説明頂けますか。

【田邉動物愛護管理室長】 今、委員御指摘のとおりだと思います。私どもも、当初案としてはこういう状況であるというふうに案は作成したのですが、やはり今回のパブリックコメントを受けて、全員が全員、そういう御考えを持っている訳ではないということから、修文をしたということでございます。

【浅野部会長】 言葉のあやといってはやや問題があるのですが、今回は、ペットを飼っておられる人の世界の中だけの話であれば、もう当然おっしゃるとおりだと思うのですけれども、災害時に避難をさせて、連れていかなきゃいけないとかといったようなことを新たに視野に入れて議論をしようということになっているので、そういう意味では、嫌だなという人がおられることもむげには言えないし、それから、地域猫の会の場合でも、いろいろご議論もあるところです。けれども、私もペット大好き人間ですから、おっしゃることはよくわかるのですけども、新しい提案をいろいろやっているということもあって、ここはちょっと引きましょうという、事務局の配慮が最終的にはあったということだと思っております。

【齊藤委員】 わかりました。終生飼養だとか、災害の問題だとか、地域猫の問題とか、新たな問題に積極的に取り組むという内容には今回なっていると思います。そういう意味で、いわゆる動物の嫌いな方、ペットの犬や猫を嫌いな方についても、欠かせない存在であるということをこの次には言い切れるようになりたいと思います。

【浅野部会長】 ありがとうございます。
 ほかにございますか。どうぞ、青木委員。

【青木委員】 大変申し訳ないです。話をちょっともとに戻していただいても、よろしゅうございますか。
 先ほど、太田委員ご発言の獣医師等の「等」が変じゃないかというのを私も今考えていたのですけど、私もないほうがいいような気がしてきましたので、ちょっと後出しで恐縮ですが、申し上げます。
 というのは、獣医師何とかかんとか以下獣医師等というというような、例えば、そういうのであれば、限定がかかるのでいいのですが、「等」だとどこまで入るのかがよくわからないし、確かに努力規定だから、それを入れていないと非常に困った事態が起こるということは現実にもあんまり、事態として起こらないのみならず、恐らく法理論的にも、当然、そういう猟友会の方が、例えば、やむを得ず、その場で射殺をしなきゃいけないというようなものが違法性を帯びるとはとても思えないので、取ってもいいのではないかと今思いましたので、発言させていただきます。
 以上です。

【浅野部会長】 ちょっとここはほかにも似たような場所があって、殺処分の場合、やむを得ずというのがあるのね。それとの並びを考えると、展示動物だけは獣医師じゃなきゃいけないといって断定できるかという問題もありそうです。それから、展示動物の、ちょっと書き振りは確かにひっかかる面もあって、廃止のときだけ言っているように読めてしまうのですが、どうもそのつもりで書いてないようです。だから、ちょっとそこら辺の書き振りの整理をさせてください。

【青木委員】 お任せします。

【浅野部会長】 臼井委員、何かございますか。よろしゅうございますか。いいですか。
 それでは、指針と、それから、基準に関しては、先ほど、2点は直しましょうということで、それから、今、1点、ちょっと私がお預かりをするということを申し上げましたが、全体的に、今日いただいたご意見をもとに、パブリックコメントに対するお答えのお答え振りも含めて、細かい表現についてはご一任いただけますか。よろしゅうございますか。
 では、ご一任をいただいた上で、第2次の答申案をまとめて、審議会の武内会長にはご報告申し上げることにいたしたいと思います。その上で、武内会長を通じて、これを環境大臣に答申としてお出しいただく。さらにそれを受けて、9月には改正法が施行されますので、そのために必要な事務的な準備を進めていただくことになりますから、ただ今申し上げた手直しについては、できるだけ早く、私が事務局と相談をして、確定版にまとめたいと考えます。
 どうもありがとうございました。
 それでは、その他について、事務局から説明いただきます。

【事務局】 それでは、参考資料2をご覧ください。 
 こちらは、先日、7月30日に閣議決定された政令になりまして、本日、その政令が公布されました。
 内容としましては、政令の概要の(1)の部分でございますけれども、特定動物に、ボネリークマタカほか、ソウゲンワシ、モモジロクマタカ、サンショクウミワシ、クマタカという、大型の猛禽類になりますけれども、全部で5種を追加するというのが一番大きな目的になっております。さらに、政令の別表に指定されている特定動物について、最新の知見に基づいた目名、科名、属名、種名の見直しや、種、属の並び順、記載方法についての見直しを行っています。
 また、(2)としまして、改正動物愛護管理法の施行に伴いまして、規定の整理を行うことと、第一種動物取扱業の登録にあたり、9月1日の施行をまたいで、犬猫等販売業の登録を受けられる方について、安全計画の提出についての経過措置を設けたり、今追加しました5種類の特定動物についての経過措置を定めています。
 参考までにご説明させていただきました。

【浅野部会長】 よろしゅうございますか。
 それでは、ただいま、本日、公布された政令について、ご説明いただきました。何かご質問がございますか。
 要するに、特定動物が増えたということと、学問的にその動物の名前が整然と整理されて、素人にはわかりにくくなったと、こういうことですね。
 よろしゅうございましょうか。
 それでは、この点については、ご報告を受けたということにさせていただきます。
 それでは、局長と審議官が遅れて来られましたので、ご挨拶をいただくことといたします。

【奥主審議官】 先月の7月2日から、自然環境局の担当になりました、奥主と申します。4年前は自然局の担当におりまして、そのときはペットフード安全法の制定等に関与させていただきました。また引き続きよろしくお願いいたしたいと思います。

【星野局長】 7月2日付で自然環境局長になりました、星野でございます。その前は1年間、自然環境局担当の審議官として大変お世話になりました。ありがとうございます。
 本日はお忙しい中、長時間ご議論いただきまして、誠にありがとうございます。
 昨年の法改正を踏まえた第2次答申、これについて、これまで長期間にわたり、活発なご議論をいただいたところでございます。本日、幾つかの点については、浅野部会長と事務局でご相談させていただいて、部会長のご了解のもとに、必要な修正を加えさせていただきたいと思います。
 環境省といたしましては、本日おまとめいただいた答申案を踏まえて、今後、法制的な検討や必要な手続を進めて、できるだけ速やかに告示に結びつけたいと考えております。
 また、改正法の施行が1カ月後に迫っております。環境省といたしましては、引き続き、地方公共団体、関係団体と連携をして、改正法や、これまでに公布しました改正政省令の周知徹底を図って、新たな制度の適正な執行に努めてまいりたいと考えております。
 今後とも委員の皆様方には、引き続き、ご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

【浅野部会長】 それでは、ほかに特にご意見、ご発言ございませんでしょうか。
 よろしゅうございますか。

 

【齊藤委員】 
 この改正で、9月から、特に拒否することとか、新たな規定が入って、各自治体で対応するということになっている訳でありますけれど、地域の住民の方にどう周知されているか、それぞれの自治体でやるべきことだとは思いますけれど、法改正の中身について、環境省で広報するようなことを現在考えられているか、教えていただきたいと思います。

【浅野部会長】 動物虐待についても規定が変わったりしていて、広く国民にもう一度知っていただくための機会をつくる必要があるだろうというご発言でもあると思います。
 どうぞ。

【田邉動物愛護管理室長】 一般の方への周知という点では、若干作成が遅れてしまっておりますが、普及用のパンフレットを作成して、配付をしたいと考えております。これは一般の方向けと動物取扱業者向けに別々に作っておりまして、それぞれの立場からよくわかるような形に作成するように努めているというところでございます。
 また、動物愛護週間が9月にございます。環境省が主に関わって行う中央行事というものがございますが、そこの中でも改正法の周知を図っていきたいと考えております。
 また、例えば、環境省の動物愛護関係のWEBサイトがございますので、今回の改正法を踏まえて修正し、これを活用していただきながら、各自治体の皆さんにも周知にご協力をお願いできればと考えております。

【浅野部会長】 よろしゅうございましょうか。
 それでは、くれぐれもその点についてはよろしくというのが委員からのご要望でございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日はこれで散会いたします。ありがとうございました。