中央環境審議会動物愛護部会第38回議事録

1.日時

平成25年4月17日(水)午後1時00分~午後2時45分

2.場所

環境省 第一会議室 (東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)

3.出席者

浅野部会長、青木委員、臼井委員、太田(勝)委員、太田(光)委員、
北島委員、北村委員、木村委員、齊藤委員、佐良委員、田畑委員、山﨑委員、
伊藤自然環境局長、星野審議官、田中総務課長、岡本調査官、田邉動物愛護管理室長ほか

4.議題

(1)
動物愛護管理基本指針の骨子案について
(2)
各種基準の見直しについて
(3)
その他

5.配付資料

資料1-1
動物愛護管理基本指針の点検及びヒアリング結果
資料1-2
動物愛護管理基本指針の改正について(骨子案)
資料2-1
家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(平成14年環境省告示第37号)の見直し
資料2-2
展示動物の飼養及び保管に関する基準(平成16年環境省告示第33号)の見直し
資料2-3
動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置について(平成18年環境省告示第23号)の見直し
資料2-4
犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置(平成18年環境省告示第26号)の見直し
一覧資料
動物愛護管理法の法令・基準等(委員限り)

6.議事

【事務局】 第38回中央環境審議会動物愛護部会を開催します。
 しばらくの間、事務局が進行を務めさせていただきます。 
 まず、本日の委員の出欠について、御報告をさせていただきます。本日は、太田光明委員が若干遅れるという連絡をいただいています。委員12名中11名の出席で、本部会は成立しておりますことを、ここで御報告申し上げます。
 続きまして、本日の会議資料につきまして、確認をさせていただきます。資料に不備がございましたら、事務局までお申しつけ願います。また、本日の資料並びに議事録は、後日環境省のホームページで公表されますことを申し添えます。
 カメラ撮りされる方は、議事が始まるまでということで、よろしくお願いいたします。
 これからは浅野部会長に進行をお願いいたします。

【浅野部会長】 それでは、お集まりをいただきましてありがとうございます。第38回動物愛護部会を開催いたします。前回まで2回にわたってヒアリングを行い、ヒアリングに御参加くださった方々との意見交換をしてまいりましたが、本日は動物愛護管理基本指針の骨子案について、事務局から御説明いただきます。事前に打ち合わせの時に拝見しましたら、骨子案にしては随分詳しく書いてあるなという印象をもったのですが、いや、大事だと思うところは詳しく書きました。ということでございました。そういうわけで、割合に粗っぽい部分と、相当詳しい部分とが混在している骨子案ではございますが、よろしくお願いいたします。
 それから、これまでのヒアリングでお出しいただいた御意見の主なものは、中に盛り込まれているようでございますので、それについては資料1-1という形でまとめられており、これについても事務局から御説明をいただけると思います。では資料1-1についての説明の後、続けて改正動物愛護管理基本指針の骨子案について御説明をいただきます。

【事務局】 それでは資料1-1を御覧ください。1枚めくっていただきまして、左側に現行の動物愛護管理基本指針、右側に講じた施策など点検結果と前回までのヒアリングでいただいた御意見を掲げさせていただいております。
 (1)普及啓発につきましては、講ずべき施策として、動物愛護週間行事や適正飼養講習会等の実施、各種普及啓発資料の作成・配布等により、教育活動や広報活動等を実施することとされておりまして、これまでに講じてきた施策として右側に動物愛護週間行事の実施状況ですとか、普及啓発資料の作成状況を掲げております。ヒアリングでは動物との触れ合いの実施に当たっては、動物に与えるストレスを考慮すべき。関連行事等に参加しない国民への広報活動等が必要といった御意見をいただいております。
 続きまして、2ページ目の(2)適正飼養の推進による動物の健康と安全の確保ですが、講ずべき施策として、不妊去勢措置の推進、終生飼養の徹底等により引取り数を半減するとともに、返還または譲渡を進めることにより、殺処分率の減少を図ることとされておりまして、これを受けて、適正飼養講習会ですとか適正譲渡講習会を実施してきたところでございます。また講ずべき施策として、遺棄及び虐待の防止を図ることといったものがございまして、遺棄・虐待の実際の事例等について、調査を行って取りまとめた冊子を平成19年度と21年度、2回にわたって発行しております。
 1枚めくっていただきまして、3ページ目に引取り数など、達成状況がございますが、引取り数につきましては、平成16年度の約42万頭から23年度の22万頭にかけて約47%減少しております。殺処分についても平成16年度は約94%でしたが、23年度は約79%、15ポイント減少ということになっております。
ヒアリングでいただいた意見としましては、これまで引取り数を減少させる取組や、返還・譲渡を推進してきた、これらに早くから取り組んできた自治体では引取り数の減少が下げ止まりの傾向にある、攻撃性が強いなど、譲渡が困難な動物について一定量の殺処分が存在することを認識する必要がある、獣医師による虐待の通報規定が機能するよう、関係機関の連携を強化することは非常に重要である、特に、警察との連携はより一層強化する必要がある、一方で、獣医師が診療において虐待などを明確に識別することは困難な場合があるとの御意見をいただいたところでございます。
 続きまして(3)動物による危害や迷惑問題の防止につきましては、講ずべき施策として、集合住宅での家庭動物の飼養等での犬や猫の管理の方法、所有者のいない猫の適正管理のあり方等を検討し、ガイドラインを作成することとされておりまして、これを受けて、「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」を平成22年2月に策定しております。また、講ずべき施策として、特定動物の選定基準の在り方を検討することとされておりまして、昨年有識者等による検討会を開催し、特定動物の選定基準やリストについて見直しが必要か、検討を行ったところでございます。
ヒアリングでは、地域猫対策について、地域差があることを認識することが必要、この活動に関する国民の正しい理解を得ることが必要、不妊去勢措置の推進が必要といった御意見をいただいたところでございます。
(4)所有明示措置の推進につきましては、所有明示の実施率の倍増を図ること、個体識別手段の普及のための基盤整備を図ることが講ずべき施策としてされておりました。これを受け講じた施策としては、マイクロチップに関する普及啓発資料を作成して、所有明示措置の必要性に関する普及啓発を行ってまいりました。
達成状況としましては、世論調査によりますと、犬は約36%、猫は約20%ということで、所有明示措置の実施率については若干増えた程度にとどまっているというのが現状でございます。
続きまして、5ページ目の動物ID普及推進会議のマイクロチップの登録数が約71万件に増加しております。また、自治体が保有するマイクロチップリーダーは、平成22年597台であったのが、24年には881台に増えております。ヒアリングではマイクロチップの情報管理機関が複数存在しており、これの統一化が必要、所有情報が更新されていない場合もあるといった御意見をいただきました。
(5)動物取扱業の適正化につきまして、講ずべき施策として、事前説明の実施等が義務づけられたことについての周知徹底を図ること、業界全体の資質の向上を図ること、幼齢な犬及び猫の販売制限の在り方を検討することされておりまして、これまで動物販売業者に対してアンケート調査を実施することにより、制度の周知徹底等を図っておりまして、事前説明については、平成23年度のアンケート結果では81%の事業者が実施しておりました。また、これまでの環境省の取組としては動物取扱業として「競りあっせん業」「譲受飼養業」を追加、販売業者、貸出業者及び展示業者による犬猫の夜間展示を禁止してまいりました。幼齢な犬猫の販売制限の在り方については、動物愛護管理のあり方検討小委員会で検討をしたとともに、改正法にその規定が盛り込まれました。
ヒアリングでは、業界としても法をより一層遵守するための取組や、インターネット販売や幼齢の犬猫の販売日齢に関する自主規制を実施してきたところ、飼養管理が不適切な繁殖業者が依然として見られる、移動販売に対する規制を検討すべきといった御意見をいただきました。
(6)実験動物につきましては、講ずべき施策として、「3Rの原則」や実験動物の飼養保管等基準の周知、また、国は実験動物の飼養保管基準等の遵守状況について定期的な実態把握を行うこととされておりまして、これまで文部科学省、厚生労働省、農林水産省で所管する研究機関等に対して統一的な基本指針を策定し、本指針に基づき動物実験の適正な実施を図っております。環境省では「実験動物の適正な飼養保管等を推進するために」といったパンフレットを作成し、「3Rの原則」や実験動物の飼養保管基準等の周知を実施してまいりました。
達成状況としましては、飼養保管基準等の遵守状況について、環境省のアンケート結果では、約76%の施設で基準内容に即した指針や要綱等を作成しておりました。一方、文部科学省実施のアンケート、所管の1,656機関を対象に実施したアンケートでは、平成24年3月末までに基本指針に基づく全ての対応を行っているとの報告を受けたとのことです。
ヒアリングでいただいた御意見としては、実験動物関係団体により、実験動物の使用数と販売数の実態把握や外部検証が実施されてきた、国際的規制の動向や科学的知見は、関係者が収集して会誌等を通じて共有化を図っている、東日本大震災の影響を受けた施設においては、危機管理にかかる手順書を各施設が自主的に作成していたことが功を奏し、不明動物や逸走動物は認められなかった、基本指針の見直しは不要ではないか、実験動物の飼養保管等基準の解説書を作成して普及することが、同基準の普及に有効ではないかといった御意見をいただいております。
続きまして、(7)産業動物の適正な取扱いの推進ですが、講ずべき施策として、産業動物の飼養等の在り方を検討し、産業動物の飼養・保管に関する基準に反映すること、産業動物の性格に応じた動物の愛護及び管理の必要性に関する普及啓発を推進することとされておりまして、これまでに講じた施策としましては、農林水産省として検討会が立ち上げられまして、畜種ごとの飼養管理指針が作成されました。達成状況として、環境省で実施した一般市民を対象としたアンケートでは、アニマルウェルフェアの認知度は2割以下でしたが、考え方の賛否については約42%が概ね賛成、約40%がわからないとの回答を得ております。
ヒアリングでいただいた御意見としては、平成19年~22年度に検討会を設け、アニマルウェルフェアを「家畜の快適性に配慮した飼養管理」と定義して、各畜種毎の飼養管理指針を作成して、普及啓発を図っている、OIE(国際獣疫事務局)では、現在、畜種毎の飼養基準について検討されているところであり、まず「ブロイラー」「肉用牛」について策定、その他の畜種についても今後検討されていく、OIEコード案と我が国の指針の内容は、ほぼ同様となっているとの御意見をいただきました。
続きまして、(8)災害時対策ですけれども、講ずべき施策として、地域防災計画等における動物の取扱い等に関する位置付けの明確化、また動物の救護等が円滑に進むように、逸走防止や所有明示等の所有者の責任の徹底に関する措置の実施を推進とされておりまして、これまで地域防災計画等における動物の取扱い等に関する位置づけの明確化については、地方公共団体の対応が進展してきたところでございます。また震災対応につきましては、この動物愛護部会で家畜への対応も含めてこれまで議論していただいたところでございます。また、動物愛護週間行事でパンフレット「見つめ直して 人と動物の絆」を作成、配布するなどといった取組を実施してきております。
ヒアリングでは、地域防災計画に動物救護について明記されていたことで、救護活動が円滑に進んだ、災害時の動物救護に係る協定を関係団体と締結していたことが動物救護対策において非常に有用であるといったような御意見をいただいております。
(9)人材育成につきまして、講ずべき施策として、動物愛護管理行政の担当者の専門的な知識や技術の習得に対する支援を行うこと、関係地方公共団体等における協議会の設置や動物愛護推進員等の委嘱を推進すること、官民の連携事業を推進することされておりまして、これまで講じた施策としましては、環境省として動物愛護管理研修を動物愛護管理行政の担当者、実際の担当者の方を対象として実施しております。
また、動物愛護推進協議会ですが、着実に増加しておりまして、全国で49協議会が設置されて、80の自治体が参画とありますが、これは都道府県が中心の協議会に、指定都市ですとか中核市が参画しているという意味でございます。動物愛護推進員は着実に増加し、60の自治体で計2,915名が委嘱されております。
ヒアリングでは、動物愛護推進員に関する対応状況は、自治体によって差があり、委嘱していても十分に機能していない事例もあるといった御意見をいただいております。
続きまして、(10)調査研究の推進ですが、全国及び地域の各レベルにおいて連絡協議会を設置すること等により、連絡体制の整備を図ること、関係機関が協力して、調査研究成果等に係る目録の作成を行うことが、講ずべき施策とされておりまして、これまで各種文献の収集・管理を動物愛護管理のあり方検討小委員会を通して実施、また、自治体では全国動物管理関係事業所協議会においてブロック会議や全国大会などを開催しておりまして、これを通じて自治体間の連携が推進されてきました。
ヒアリングでは、動物福祉を推進する根拠となる科学的研究を行政機関や学術調査研究機関等が連携して実施すると共に、情報を共有すべきとの御意見をいただいております。
続きまして、資料1-2を御覧いただきまして、動物愛護管理基本指針の改正について、これまでの点検結果ですとか、ヒアリングでいただいた御意見を踏まえて、骨子案を事務局で作成しましたので、その説明に入ってまいりたいと思います。
1と2につきましてはこれまでとほぼ変わったところはございませんが、2の計画期間の中の動物愛護管理推進計画の期間として、最後に、必要に応じて中間目標を定めることができるということを加えております。これは自治体より現行の推進期間の目標を変えるのは困難であるというような御意見もいただいたことを踏まえまして、このような記載を加えさせていただいております。
続きまして施策別の取組の部分に入ってまいります。[1]普及啓発につきましては、教育活動や広報活動の実施について、継続、その中でも特に、改正法に所有者の責務として終生飼養や適切な繁殖に係る努力義務が明記されたことは、適正飼養の推進や引取り数の削減にも資することから、積極的に広報すること。また、触れ合い事業のあり方について、ヒアリングで御意見をいただきましたので、ここで検討することとさせていただいております。
[2]適正飼養の推進による動物の健康と安全の確保につきまして、飼い主に対する適正飼養を推進するためには、飼い主に対する教育が重要でございまして、これまでも国としてさまざまな施策を実施しておりますが、これらの取組をさらに推進するとともに、動物取扱業者から販売時における説明・指導等が適切に行われるようにすること。また、引取りを拒否することができる規定を設けられたことを踏まえて、新たな引取り数及び殺処分率又は数の削減目標を設定することということで、具体的な数値につきましては、現在自治体の方にアンケートなどをとっておりまして、それを踏まえて事務局としても示していきたいと考えておりますが、本日は、数にしたらよいのか、また殺処分率にしたらよいのかとか、そのようなことにつきまして、是非御意見をいただきたいと考えております。
続きまして三つ目の丸ですけれども、譲渡の機会を増やすための取組をインターネットなどを活用などして推進していくこと。また、遺棄及び虐待の防止に向けた取組強化、警察の連携をより一層推進することというようにさせていただきました。
続きまして、[3]動物による危害や迷惑問題の防止。猫についても、所有者責任に基づく飼い主による管理が原則ではございますけれども、所有者が不明の猫の引取りのうち、幼齢個体が多くを占めている現状を踏まえると、住宅密集地等において飼い主のいない猫に不妊去勢手術を施して、地域住民の合意の下に管理する地域猫対策を含め、所有者不明の幼齢猫の引取り数の削減の推進を図ること。その場合には、地域猫活動に対する正しい理解を得るための取組や、地域差を考慮することが必要である。
特定動物につきましては、それを販売する動物取扱業者において、販売先に対して特定動物の許可の有無について確認するだけではなく、飼養保管方法に対する適切な説明を実施すること。また、特定動物によってさまざまな事故が起きましたので、それを踏まえ、関連の法令遵守をより一層推進する取組を行っていくこと。
[4]所有明示措置の推進でございますけれども、引き取った犬猫の返還及び譲渡に関する努力義務規定が明記されたという観点からも、返還を容易にする所有明示措置の推進は、より重要であると考えられます。引き続き、その意識啓発や研究開発を行うことなどにより、犬猫に関する所有明示の実施率倍増を図ること。また、販売される犬猫へのマイクロチップ装着の義務化に向けた検討、これは改正法の附則第14条に規定されてございますけれども、その検討を行うこと。特にマイクロチップの番号に関連づけられる情報管理体制の整備については、早急に取り組むこと。
続きまして、[5]動物取扱業の適正化でございますけれども、平成18年6月に施行された現行登録制度の遵守、これを引き続き推進していくことに加えて今回の法改正では、犬猫等販売業に係る特例が追加されたところでございますけれども、その特例だけではなくて、片括弧に並べてありますように、幼齢の犬猫の販売のための引渡し・展示動物の展示の禁止規定、現物確認・対面説明義務化、第二種動物取扱業の届出制度などといった新たな規制の着実な運用を図ること。動物取扱業の適正化を図るためには、業界全体の更なる資質向上や地方自治体による動物取扱業者に対する監視の強化等が必要であり、国はこれらに対する支援を検討することとさせていただいております。
続きまして、[6]実験動物の適正な取扱いの推進です。文部科学省所管の施設では、100%という結果が出ておりますけれども、環境省が実施した調査では、まだ100%ではございませんでしたので、引き続き、これらの機関に対する「3Rの原則」や実験動物の飼養保管等基準の周知を、この基準の解説書の作成などを通して効果的かつ効率的に行っていく。また、実態把握の継続も行っていく。
また震災対応につきまして、現行の飼養保管等基準において管理者が関係行政機関との連携の下で緊急時にとるべき措置に関する計画をあらかじめ作成することとされていることを踏まえまして、各施設におけるこの緊急時の計画の策定状況についても、実態を把握する必要があろうかということで、これはこれまで環境省の実施しているアンケート結果に、こういった項目を加えてはどうかと考えております。また、これまでも国際的な規制の動向や科学的知見に関する情報の収集が行われておりますが、引き続き、これらの情報収集に努めていくこと。
[7]産業動物の適正な取扱いの推進ですけれども、OIEなどの国際的な動向や科学的知見に関する情報の収集を踏まえ、産業動物の飼養等の在り方を検討し、産業動物の飼養・保管に関する基準に反映すること。また、普及啓発、環境省による調査結果では認知度が低かったものですから、引き続き普及啓発を実施していくこと。また、災害時における産業動物の取扱いについても情報共有を図るなど、関係省庁間で協力していくこと。
続きまして[8]災害時対策につきましては、動物愛護管理推進計画に定める事項として、災害時の適正な飼養保管が追加されたことを踏まえまして、地域性・災害の種類に応じた平常時の準備等、適切な動物救護体制の整備を推進すること。また、地域防災計画等における動物の取扱い等に関する位置づけの明確化も引き続き推進。また、動物愛護推進員の活動としても、災害時の動物の避難、保護等に対する協力が追加されましたので、民間団体との災害時応援協定の締結を推進すること。また、自治体間で協力して広域的に対応する体制の整備を推進すること。
[9]人材育成につきまして、協議会の設置ですとか、動物愛護推進員の委嘱を引き続き推進。また、動物愛護推進員、被災動物の対応や動物取扱業者による不適正飼養等の事案への積極的な関与を検討すること。なかなかこれは実施が難しいところかもしれませんけども、これについて検討していくと。国は、地方公共団体に対し、動物愛護推進員の委嘱及び資質の向上に資する研修会の実施に関する情報提供、技術的助言を着実に実施すること。適正飼養に関する知識及び技能を保持する人材データベースを関係者間で共有する仕組みについて検討すること。
[10]調査研究の推進につきましては、親等から引き離す理想的な時期について科学的知見を充実させること。また、販売の用に供せられる犬猫等にマイクロチップを装着させるための方策についての調査研究を実施すること。諸外国の制度及び科学的知見に関する文献を収集することとさせていただいております。
法改正関係としては動物愛護管理推進計画への記載の項目として、「災害時における動物の適正な飼養及び保管を図るために定めた事項」を追加するということで、これは法律に書かれておりますので、推進計画に入れ込んでいただくということで書いてございます。
説明は以上になります。

【浅野部会長】 それでは、ただいま説明をいただきました資料1-1と1-2、両方について、どちらも関連することですから、ばらばらに議論をしてもしようがないと思いますので、一括して議論をしたいと思います。書かれている順番に次々に「どうですか。」というやり方は、私の趣味ではありません。ここを発言したいと思っている人がなかなか発言できないということも望ましいことではありませんので、どこからでも構いません、ご自由に御発言をいただいて、あとで記録を整理をしていけばつながりますので、あまり心配しなくていいと思います。
この点は特に、と思われる点がありましたら、どうぞ御意見をお出しください。できれば今日は、全ての委員に御発言いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。では、青木委員どうぞ。

【青木委員】 一番後ろの方からで恐縮ですが、[10]の調査研究の推進というところで、最後の方に諸外国の制度及び科学的知見に関する文献を収集することと、こういうことがあって、それ自体大変結構なことで、是非やっていただきたいと思うのですが、私自身は常々思っていることがあり、かつそれは以前環境省の会議でも申し上げたことで、議事録を見ると繰り返しの発言になりますが、日本の司法の運用実態が、いまだによくわからないというところがあるように思います。
例えば、動物虐待罪の構成要件を非常に大きく今回変えたわけですが、以前の構成要件の運用上、どういう解釈が裁判所でとられていたのかとか、どういう解釈問題が生じていたのかということが、どうも判然としないというところがございます。それで先ほど御説明の中にあった虐待事例集等、確かによく集めてくださって、私も頂戴をいたして勉強させていただきましたが、大体新聞記事等の情報をもとにしていています。新聞記事は大体捜査が始まったとか、逮捕された、あるいはせいぜい起訴されたということだけ書かれており、判決がどうなったかがわからないケースも多いですし、ましてや判決文がよくわからない。外国のことを調べると同時に、日本の司法の実態をもう少し緻密に調べていただくと良いとおもいます。今は立法が非常に先行していて、法学は全然追いついていないというか、研究できていないと思うのですが、そういった将来に向けての法律学の発展のための基礎資料も、若干集めていただければよりよいのではないかという意見です。
以上です。

【浅野部会長】 ありがとうございました。事務局からのコメント等は、後でまとめていただきますので、とりあえず御意見を一わたりいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。どうぞほかの委員から。では山﨑委員どうぞ。

【山﨑委員】 マイクロチップのところが書いてあった5ページの、[10]調査研究の推進の中で、マイクロチップの装着について現状の把握、調査がなされたことは大変意味があることだと存じます。
ただし、この件について、例えば、これからの中長期計画の中で、何年でどのレベルまで装着を目標とするかということを決めていかないと、犬が15歳、18歳で亡くなるにしても、5年計画で例えば15年かけるのか。また、例えば欧米とかオーストラリア等の調査をしていただくと、クイーンズランド州などでは3年間という目標を持って飼育されているイヌのマイクロチップの装着目標をつくったというような記事が見つかると思います。犬や猫の寿命というのは、どんなに長くても大体15年から20年という現状を踏まえた中で、マイクロチップのことは何回か話題にはなっておりますので、法改正の中で必ず出てはくるのですけれども、もうそろそろ5年計画なのか10年計画なのか、目標をきちんと想定されるのがいいのではないかと思います。あるいはマイクロチップリーダーの設置等に関して補助金が出る等、具体的な中長期計画を是非お願いしたいと思います。

【浅野部会長】 ありがとうございました。では田畑委員どうぞお願いします。

【田畑委員】 2点について意見として申し上げたいと思います。一つは普及啓発事業の動物との触れ合い事業というところが、2ページの上段の方にございますが、私動物園の園長をやっておりまして、動物園というところはこの触れ合いを結構重視しているところがございます。この辺については是非、従来から行っている関係団体の意見も聞いていただきたいというのが一つ。
 それから、先ほど山﨑委員もおっしゃられましたけれども、所有者明示についてマイクロチップの導入ということについては賛成でありまして、動物園もほぼ先駆的に個体識別をするために、マイクロチップ導入しております。ただ、いろんな問題があるということだけは、少し御理解いただきたい。例えば取れることもあります。。それから皮膚下で移動をしてしまって、読み取れなくなるようなこともございますし、そういったところをやはり十分検討されて、導入に向けて努力していただければと思います。
以上です。

【浅野部会長】 ありがとうございます。もうおひとりぐらいご意見をうかがいましょう。それでは斉藤委員、どうぞ。

【齊藤委員】 2ページの、今のお話と同じ部分ですけれども、触れ合い事業について、日本では一般的に「アニマルセラピー」という言い方をしていますけれども、動物の人に対するよい影響ということで、訪問活動が始まってもう20数年になります。ストレスについて検討するということは、もちろん大事なことですが、そういう事業をさらに推進していくんだということについて、ここまでかなり進めているわけですから、先ほど関係団体の御意見を聞きながらということは、そのとおりだと思うのですが、もう少し位置づけをはっきりさせていただくことと、それプラスその事業を推進するためには各動物の習性だとか、生態だとか、行動とか、そういうものを考えながら実施していくというようになればありがたいと思います。
 それからもう一つ、飼い主のいない猫についての記述ですが、2ページの下の方にございますけれども、地域猫について地方自治体でも、いろいろな団体と協同しながら実施をしてきています。その定義だとか活動の内容、方法についての具体的な検討、そういうものも是非指針の中で「地域猫」という言葉を入れるかどうか、できれば入れていただきたいと思いますが、猫の地域での問題を解決するためには必要なんだということを、明記していただき、ではそのための方法としてはどうしたらいいかというような方法についてのガイドラインも検討していくということにしていただきたいと思います。

【浅野部会長】 ありがとうございました。ではここまでの御発言について、事務局の方から何かコメントがありましたらお願いいたします。室長どうぞ。

【動物愛護管理室長】 まず初めに青木委員からの御意見ですが、ここは不足な点だと認識しておりますので、外国の事例だけではなく、我が国の状況についてもいろいろな機会を通して情報の収集をしていきたいと考えております。
 次に、具体的なマイクロチップなどの導入に関する計画というところでございますが、ここは何年以内に導入というよりは、今回は義務化に向けた検討ということで附則に定められているということもありますので、その中で今後実際に導入していくに当たっての計画を考えることになるのかなと考えております。
 次に触れ合いの関係でございますが、ここで触れ合いを推進するということは、当然普及啓発にも資するということで、触れ合いを推進する方向というのは間違いがないことかと思います。その中での動物の取扱いということで、先日御意見をいただいたところですので、それを踏まえて検討していくということだと思います。また、所有者のいない猫の扱いということでございますけれども、地域猫についての議論というのは、国会の議論でも多く取り上げられているところでもございますので、今後、引取り数の減少に向けて、どのようにこの方法を使っていったらいいかということを具体的に検討していく必要があるのではないかと思っております。定義ですとかその進め方については、明確にする方向になるかと思います。

【浅野部会長】 先ほどの田畑委員のお話あるいは齊藤委員のお話を考えると、ただ単純に「推進」というフレーズを入れるということよりも、より具体的に例えば動物園事業を通じてとか、アニマルセラピーのような働きを通じてというような、もう少し具体的に入れた方がいいのではないかという御意見だと私は思ったのですが。その方が具体性があって、ただ単なる推進、何でもいいというわけではないということのようでありますので。実際に動物園には、既に組織がちゃんとあるわけですから、そこでどういうような触れ合い事業が行われているかという情報が入りますし、アニマルセラピーについてはどうでしょうか、同じように何か全国組織みたいなものがありますか。

【齊藤委員】 そうですね、私が先ほどの意見の中で申し上げたかったのは、まさにそのことなのですが、今の指針の中でも子どもの成長に対して、動物と触れ合うことが非常に大切だという表現は、啓発の中に書かれています。ただそれ以上に、例えば今は健康面でもプラスであり、太田(光)委員によれば、この間お話を聞いたのですが、我々が生きていく上での健康のためにも動物と一緒にいることはプラスである、それからお年寄りも生活するためには大事なんだという、もっと広い意味での動物と人との関係ということが明らかになりつつあると思います。ですから、そのところをもう少し明確にしながら、この部分を応用していくとか、活用しながら、もっといくんだというような明確な方向づけを、まずしていただきたいと思います。

【浅野部会長】 私も今の齊藤委員御指摘のとおりだろうと思いますし、環境基本法14条にも「人と自然との豊かな触れ合いが保たれること」という指針があるわけですから、それを振りかざして物が言える世界がありそうな気がします。
太田委員、今ちょっとお手が挙がりましたが、何か御意見がございますでしょうか。

【太田(光)委員】 遅れてきたものですから、状況が把握できませんけど、動物との触れ合いが、人々に大変良い影響を及ぼすという、さまざまな、しっかりした研究がございます。ただこのときに非常に大事なことは、どんな犬でもどんな猫でもいいわけではないということです。まさに適正に飼育されている犬、猫が必要なんです。そういった意味では、基本指針の中にありますように、適正に飼育するという、その適正が、いまひとつ具体的でないので、もう1段階具体的にここを表現していただけるとより良い結果を呼ぶであろうと思います。

【浅野部会長】 ありがとうございます。臼井委員、適正にセラピーに役に立つ犬や猫の育て方、どんなことがポイントとなるのでしょうか。

【臼井委員】 まず動物を虐待しないということから始まってくるかと思います。

【浅野部会長】 田畑委員、どうぞ。

【田畑委員】 紙一重ですね。触れ合うということは人にとって非常にいいことなのですが、動物にとっては当然ストレスになるわけで、どうバランスをとり、やっていくことが必要かと思います。動物にとってはストレスになってしまうということは絶対あるわけですから。動物園の中でも試行錯誤の中でようやっと今確立しているみたいなところは確かにございます。

【浅野部会長】 ありがとうございました。それでは別の観点からの御意見ございますでしょうか。特に事務局から今日是非御意見をと言われておりますのが、[2]の部分で、今後の目標の設定に当たって率で表すのか、それから削減目標を数値で表すのかと、この点が「または」ということで事務局としてはまだ腹が据わっていないということで、御意見を伺いたいということでありました。
 それからもう一つは、ヒアリングの中で下げ止まり傾向ということもありました。これをどう扱うかということです。この下げ止まり傾向については、要は基準年を複数設定しておいて、どの基準でどう比較すると、早くから取り組んでいるのか、基準年が古ければ古いほど、ちゃんと合理的に反映するわけですから、基準年の設定の仕方も問題だろうなという気がするのですが、あまり極端なことをやると、今度はわけがわからなくなりますから、複数の基準年を設定しておけば、その辺のギャップは解決できると思います。しかしそれにしても、どっちかと今の基準年というような発想は、率の話に結びつきそうな気もするんですけれども、一体どっちがいいのかご意見を伺いたい、という希望が事務局から出ております。
この辺についても是非委員の皆様方から御意見を出していただければと思いますし、それから産業動物については、ほとんどまだ今まで議論していないのですが、これについても何か御意見がありませんでしょうか。
私前に聞いて気になっていましたのが、最近獣医師の方々が産業動物の領域にはなかなか手を出さなくなっているという問題があって、意外とこの分野は、産業動物に対する獣医的なケアが不足ぎみであるという話も聞いていますが、この辺りはいかがでございましょうか。
あるいは実験動物についても、あまり議論がないのですけれども、私はヒアリングのときにお聞きすればよかったのですが、失礼かなと思って黙っていたのですけれど、ちゃんとやっていますというのですが、実験動物を扱う研究機関の組織のカバー率が100%であればいいのですが、全然組織に加わっていないところで何が行われているのかなという心配も少ししたのですが、青木委員は以前から研究しておられますが、その辺りについて何か情報をお持ちでしょうか。

【青木委員】 私のもちあわせている具体的な情報は、残念ながらないです。私自身も前回のヒアリングで質問させていただいたのは、そういう趣旨でして、実態が私にもよくわからないので、実態の事実認識自体が前回と変わらないという趣旨なのか、実態も変わっているということをおっしゃりたいのかということを、鍵山さんに確認をしたわけです。
私が申し上げるのは以上です。

【浅野部会長】 それではどうぞ齊藤委員。

【齊藤委員】 処分率のお話ですが、全国の都道府県の殺処分率、これを調べたことがあって、かなり差があります。十数%から、70%とか80%の処分率のところもあります。環境省のデータを調べるとすぐ出てくるのですが、かなりの差があるので、目標を設定する場合に処分率については難しいのではないかと思います。例えば私の県だと14~15%だと思いますが、それをもう少し低くするんだという目標設定はできると思います。それが一律にすることは非常に難しいだろうということです。ですから、全部の処分頭数の中で、半減を目標とするとか、20万頭のうちこのぐらいにするんだとか、犬がどのぐらい、猫がどのぐらいなんだということは、全体としてはいけるかもしれません。
 それから、実験動物についてですが、この前のヒアリングで、自主管理ができているからいいんだという言い方をされました。確かに自主管理一生懸命やられているんだろうと思います。ただ、私も内容的には十分なものを把握しているわけではありませんが、一国民の一人として、自主管理ができているから、では私たちは絶対大丈夫なんだという言葉に対して、「はい、そうですか。」ということは、私は言えないと思いました。自主管理ができていて当たり前です。食品衛生でも企業の中で大きな企業も小さな企業もありますが、みんな自主管理をやります。ですが、間違いはあるのです。人がやったり、それから予期せぬ事故というのは必ずあるのです。そういうことがちゃんとできているかなということで、少し疑問に思いました。
ですから、情報の収集をするのだけれども、実態把握する、プラスそれをしっかりと公表をしていくというシステムにしていただきたいということと、それから業界の中で、まだ一部不備があるというお話もありましたので、自主管理をさらに徹底して、業界の中でも推進をしていくんだということをお願いしたいということと、できたら外部評価をしておりますから、そういう外部評価も広げていくんだという業界の中で、方向づけをしていただければと思います。

【浅野部会長】 ありがとうございました。
どうぞ、臼井委員。

【臼井委員】 実験動物に関してなんですけれども、私もあまり詳しくはないのですが、あまり厳しく規制をかけてしまうと、実はその実験を海外に持っていって、特に第三国のところでお金で解決してしまって、実はいろんな危ないものが世間に出回ったら、またこれも大変怖いなと思っております。

【浅野部会長】 大事な御指摘ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。木村委員、いかがですか、何か。

【木村委員】 骨子案の動物触れ合いのところで考えていただくとすれば、獣医師会では全国で小学校に獣医師を派遣して、児童と動物との触れ合い教室や飼育動物の管理指導をしています。まだ不適切な管理をしている小学校等がございます。学校の「管理者」は適正に飼養するようにという文言がございますが、適正な飼育をもう少し強調して記載をお願いします。全国で約8割の地方獣医師会が小学校を訪問して飼育動物の飼育指導や動物との触れ合い教室で、子どもたちに動物を思う優しい心が育まれる事を目的として活動しています。学校動物飼育支援事業で獣医師が学校を訪問して一番つらいのは、学校で飼われている動物が適切に飼育されていない学校を担当した時です。一生懸命指導してくるのですが、校長先生や担当の先生がかわったりすることで、不適切な飼育管理状態になってしまうこともありますし、動物の愛護福祉に理解のある先生が担当するとどんどん飼育状態がよくなって真の学校飼育動物の姿を実感できることもあります。適正飼育については文部科学省にもお願いしなくてはいけないことなのですが、環境省の方も学校飼育動物について適正飼育管理の明記をお願いします。
 それからもう一点は、処分される犬猫の統計数の下げ止まりについてです。動物愛護福祉の社会啓発活動は効果を奏してきていると、20年以上処分頭数の削減問題に関わってきた中で感じます。処分される犬猫の頭数を更に削減させるためには、無責任な飼育者をどのように取り扱うかを考えなければいけません。全く動物を飼育する知識がない人達、動物飼育の知識に無関心な人達、動物を飼える状態でない人達をどのように扱うべきなのでしょうか。多頭飼育や野放し状態の繁殖などの無責任な動物飼育を行っている人たちへの指導が必要と思います。このような人たちを指導するのに、今の行政のやり方だけでは恐らく難しいかと思います。警察による取り締まり、地方の公職の方が何らかの権限を持って指導することが必要と思います。また、獣医師による虐待の通報という記載が告示の中にありますが、通報を受けた後、管轄の市町村は有効な指導をする必要があると思います。

【浅野部会長】 ありがとうございました。警察との連携の強化みたいなところが、もう少し広い範囲の課題をカバーできるようにという御趣旨の御発言だろうと思います。
北村委員、どうぞ。

【北村委員】 大小ありまして、よろしくお願いいたします。先ほどの引取り数殺処分の話がありましたが、引き取る根拠というのは法律の第35条が根拠になっておりますが、殺処分をする根拠法というのは、どこにあるのでしたでしょうか。

【浅野部会長】 それは誰が答えますか。

【北村委員】 ないですか。なければないで結構なのですけれども。

【浅野部会長】 それでは、事務局どうぞ。

【事務局】 犬およびねこの引取り並びに負傷動物の収容に関する措置についてというものが設けられておりまして、引き取った後どのように措置するべきかというものを、環境省で告示を出しているところでありますけれども、その中で「処分」という項目がございまして、基本的には元の飼い主さんに戻すか、あとは譲渡するというものをできるだけ積極的に進めていただきたいところではございますが、なかなか自治体で全部を管理するという形にはいかないものですから、最終的には処分の一つの方法として殺処分を挙げているところです。

【北村委員】 わかりました。では法的には引き取るという文言に、処分も含めて解釈しているということですね。それは解釈ですね。

【事務局】 はい。

【北村委員】 わかりました。それから別の観点なのですが、私この部会では新人なものですから、全体的なことで恐縮でございます。私たちは今、これ見直しをやっているのは、基本指針なのですが、基本指針というのは総合的な観点からつなぐと書いてございまして、これを定めたら都道府県は基本指針に即して区域で計画を定めなければならないという義務になっているわけですね。となりますと、この「総合的」という言葉なのですが、都道府県は当然地方公共団体ですから、自分たちのところ、施策を総合的にやる権限がございます。これは別に環境省とか内閣の分担管理ではなくて、自治体がまさに総合的に分担管理を逆に排して考えると、これが地方自治法の解釈でございます。そうすると、理屈では環境省の動物愛護管理行政から横出し的になるのは、行政部分が理論的にはあることになります。しかし、ここでは基本的に即して定めろと書いてあるので、その限りでしか定められないことになります。
そうすると都道府県にはいわゆる横出し的な自由な動物愛護管理行政の部分というのがあるはずなのですが、そういうのはしかし理屈だけの話であって、現実にはあまりそういうものは考えられないから、もうこれで完結していると考えていいのかどうか、これは議論の大前提でございますので、整理が必要かと思いました。この時代、基本指針に沿って定めろなんていう拘束というようなことができるはずがありませんし、この事務というのは法定受託事務でもなく、自治事務になっておりますから、物事の言い方とは違って、拘束力というのはさほどないというのが、普通の常識的な解釈だろうと思うのですが、そういう御認識で議論がされていいのかどうか、これは今スタートラインになりますから、はっきりした方がいいかなということでございます。
 せっかくの機会ですので、先ほど青木委員がおっしゃった、直罰のところの扱い、私非常に関心ございます。警察が検挙した後は、あと起訴か不起訴かというふうになるわけですが、不起訴の場合起訴猶予なのか、嫌疑不十分なのかというのがあるわけです。大体警察というのは検事さんと相談をしながら捜査を進めますから、嫌疑不十分ということはなかなかないとは思うのですが、しかし万が一、嫌疑不十分になってしまって不起訴になったら、これはなかなかつらいものがありますから、実態をお調べくださいという話がありまして、青木委員も恐らくそういうことお考えになっていたと思うのですけれども、私たちも、あとはどうなったかということがあります。これは100万円までですので、恐らく略式命令で刑がつけられているのがかなりあるようにも思うのですが、相手が自白しているということです。自白したらいいというものでもなくて、かなり危ないやつでも自白しているからあいつは悪いということもないわけでもないので、その辺りも可能ならば触れていただければ、よりよい基準づくり等々に反映できるのではないかと考えております。

【浅野部会長】 ありがとうございました。それではまだ御発言のない委員、いかがでございましょうか。北島委員、何かありましたらどうぞ。

【北島委員】 この骨子案に特に意見というわけではないのですけれども、[8]の災害時対策なのですが、実際問題、地域防災計画等に位置づけることは容認できるのですけれども、実際に原子力施設、原発などを持っている新潟などにおいて、対策を講じようとしたときに、平常時からの飼い主の管理ですとか、災害への準備とか、それから実際に予行演習、防災の訓練などをやるときに、動物を真っ先に連れて逃げるところまで訓練ができるかというと、なかなか遠い道筋だなということを感じております。
県レベルでも、もちろん市町村と連携しまして、飼い主さんたちの啓発はしていかなければならないと思っておりますが、防災時の飼い主の責任みたいなものをもう少し国レベルでもアピールしていただきたいということと、それから災害時の対策は行政だけではなくて、消防とか警察とかいろいろなところが関与して、みんなで対策を講じていきますので、県レベルでもそういった関係機関にこういったことが新たに盛り込まれるということを周知していきたいと思いますけれども、国レベルでも関係省庁にこういった対応が必要なんだということを、是非啓発していただいて、もう少し防災対策の中でも動物の管理というところをアピールしていかないと、なかなか実際問題としてこれ準備をするということが難しいと感じております。

【浅野部会長】 ありがとうございました。
佐良委員、何かございましたらどうぞ。

【佐良委員】 いろいろ骨子案ですからということで伺っておりますけれども、私思いますに、1-2の[9]人財育成というのがございますけれども、これをもう少し細かくしていただければと思います。いろいろ項目ございますけれども、何が一番大切って人財育成を一番最初にしないと、どんないい目標であっても、できない人ばかりでは何もできませんので、この人材育成をもう少し細かく、こういう条件であるとか、いろんなことをもっと細かくして、教育をできるだけ早くするということをお願いしたいと思います。
あと、これを伺いたい。ただ、これ骨子案とは直接関係ないかもしれませんが。伺いたいのは、各県の動物管理センター等で、年末になるとみんな殺処分してしまうと、お正月休みの前にみんな殺してしまうという話をよく聞きますが、そういうことは私は許されるべきではないと思うんです。ですから、やはり人財育成になってくるのかなとか思います。とにかくこの中でたくさんのことがございますが、問題は全て人間から生まれますので、何とぞいち早く人材育成、細かい人材育成にも手がけていただきたいと思います。

【浅野部会長】 ありがとうございました。太田勝典委員からお願いします。

【太田(勝)委員】 動物取扱業の適正化の件についてなんですが、今回の法改正の中で、不適切な販売方法が三つあるというお話がありました。一つは深夜販売、これに関しては昨年6月から規制されましたので、よかったと思います。もう一つはネット販売、これに関しても対面、現物確認ということで、恐らくクリアできるのかなと考えています。あともう一つは移動販売ということで、これはヒアリングの中でも出たのですが、本来骨子案ですから、あまり細かいことは言う必要はないのかもしれませんが、前回の法改正でも移動販売については手をつけようということでしたけれども、具体的なものが提示されていないために問題が残ってしまいました。
私、現場の人間が考えるところですと、施行規則第3条第2項第7号二の飼養施設の構造にこのような項目があります。「飼養施設は床等に確実に固定する等、衝撃による転倒を防止するために必要な措置を講ずること」という項目がありますので、この項目をもう少し補足しまして、例えば「床等にくぎで固定する」という一文が入りますと、実際にはイベント会場が借りられなくなるんです。そうすると移動販売もできなくなると思います。
あともう一つ、これも管理する地方自治体が、書類がそろっていれば許可してしまうというのが現状です。これをもう一歩進めて、設備の点でちゃんと床等に固定されているかというのを、例えば3日前に検査するということになってくると、3日前に営業許可をとらなくてはいけないということになってきますと、恐らく移動販売はできなくなると思いますので、細かいことはこの骨子案では必要ないかもしれませんが、その辺も踏まえた細かい点の骨子案を追加していただくと、効果があるのかなと考えています。
以上です。

【浅野部会長】 ありがとうございました。いろいろと御意見、御提言あるいは審査すべき点について御意見賜りましたので、以上の御意見を踏まえた上で、さらに次回にはもう少し詳細な内容のことを示すということにしたいと思いますが、今の段階で事務局は何か特に答えることがありますか。どうぞ。

【事務局】 先ほど北村委員からいただいた質問に少し補足させていただきますと、先ほどの告示の件でございますけれども、法第35条第5項で、引取りを求められた場合の措置に関し必要な事項を定めることができる。という規定がございまして、そこの「措置」につきまして、その措置が何かということで、告示において引取り、収容、譲渡・返還及び処分というものを掲げておりまして、その処分の中に殺処分というものが定義づけられているという形でございますので、解釈というよりは法に基づく措置の内容として、環境省が告示で殺処分ということを定義をしているというものでございます。

【北村委員】 ありがとうございました。その告示が法の解釈として無理だという感じが私、ちょっとしていまして、というのは、やはりそこまで考えているかというと、それは一線を越えているのではないか、財産ですから、というのが私の法的な観点の直感でございます。

【浅野部会長】 青木委員、どうぞ。

【青木委員】 今の解釈論争について、私自身一つ観点をつけ加えたいのですが。確かに現行法の条文を前提とすると、明確に殺処分の根拠あるかというと、微妙な感じが、私もしています。ただ最新の改正法には、第35条の4項に「都道府県知事等は、第一項本文の規定により引取りを行つた犬又は猫について、殺処分がなくなることを目指して」と、こういう表現が入ったんです。ここは直接殺処分の権限を与えるとか、そういうことではないけれども、法の解釈としては、殺処分という言葉がここに入ったことで解釈論的状況、前提が変わるのかどうかということも考えなくてはいけないかなという気がしています。
つまり、極端な話をすれば、そもそも何の根拠もないのだから違法だという主張がありえます。今までたくさんやっていた殺処分はすべて違法だったのだという極端な立場です。もし仮にその立場をとりたいというのであれば、この規定は今後、やはり非常に大きなネックになるのではないか。つまり、今まで自治体が違法行為をやってきていたが、今後はそれがなくなることを目指せということは、ありえないとおもいます。少なくともこれまでの殺処分も違法行為ではない、という前提でないと、こういう表現は出てこないと思うので、そこも細かい話ですが、少し考えなくてはいけないかなという気がいたしました。

【浅野部会長】 わかりました。これ以上ここでシンポジウムの議論を始めるとややこしくなりますので、このぐらいにしておきましょう。
 それでは、あとありますけれども、次回さらにただいままでの御発言を踏まえた原案ができる中で、お答えをしていただくということにしたいと思います。
 それでは今日はまだほかの議題がございますので、先の議題に進ませていただきたいと思います。関連することですから、また同様の御発言が重なって出ても一向に構いません。
 それでは次は、各種基準の見直しについてということでございまして、これは動物愛護管理法に基づいて各種動物の飼育及び保管基準でありますとか、あるいは自治体による引取り措置なども定められておりますけれども、今回の法改正に伴って見直しが必要となっている基準があるということでございます。
 そこで、まず事務局から一通り説明をいただいた上で、質疑応答をしていきたいと思いますので説明をお願いいたします。

【事務局】 それでは資料2-1を御覧ください。それと委員の皆様にはお手元に分厚いクリップどめの資料で、動物愛護管理法の法令・基準等の一覧資料を御用意しておりますので、それとあわせて御説明させていただきたいと思います。
 まず、今回の法改正に伴いまして、見直しの必要な基準ということで、今回事務局から4点ほど資料をおつけしております。まず資料2-1になりますが、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準の見直しについてでございます。こちらはお手元の一覧資料の方の81ページに、その基準の全文がございます。この基準の根拠条文につきましては、動物愛護管理法第7条第4項、改正法では第7項になっておりますが、それに基づいて定められておりまして、見直しの必要性としまして、この基準について、もともとは昭和50年の7月に策定されました「犬及びねこの飼養及び保管に関する基準」をもとにして、その後平成14年5月に全面的に見直しがされ、その後平成18年1月と平成19年1月に細かい見直しがされてございます。今般、改正法の趣旨ですとか、昨今の飼養状況等を踏まえた所要の見直しが必要であると考えてございます。
 見直しに当たって考慮すべき点として、資料に掲げさせていただいておりますが、まず第1の一般原則につきまして、現行の一般原則の本文にも、「終生飼養」という言葉が記載されておりますが、今回改正法の第7条第4項に終生飼養の考え方がきちんと明記されておりますので、それを改めて明記にしてはどうかと考えてございます。
 続いて第3の共通基準の部分についてですが、1番の健康及び安全の保持というところで、虐待の定義について明確化するということが必要かと。これについては今回の改正法第44条に、虐待についての記述が明確化されたものが加わっていますので、それを参考にして追加を検討してはどうかということと、あと改正法第25条第3項に規定された、多数の動物を飼養している場合に、虐待のおそれがある場合ということが、省令の方でさらにその場合を今回規定しておりますので、例えば鳴き声が継続しているですとか、ふん尿が放置された状態で悪臭がしているとか、そういった事態についての記述の追加というのも検討してはどうかと考えてございます。
 続いて7番目の逸走防止等につきまして、改正法の附則に販売時のマイクロチップ装着の義務化に向けた記述ですとか、マイクロチップの装着に努めることというような記述が追加されておりますので、この家庭動物等の飼養及び保管に関する基準の方でも、それについての記述の追加を、逸走防止等のところに盛り込んだらどうかとに考えてございます。
 続いて8番目の危害防止につきまして、この部分、既に特定動物の関係で、事故等があったということもありまして、今回の改正法に基づいて特定動物の飼養又は保管の方法の細目ですとか、特定飼養施設の構造及び規模に関する基準の細目が一部見直しをされておりますので、それについて記述の追加を検討してはどうかと考えてございます。
 9番目の緊急時対策については、やはり東日本大震災で被災動物の対策というのが非常に重要だということになっておりますので、それを踏まえた記述の追加ができないかという検討をしたいと考えてございます。
 第4の犬の飼養及び保管に関する基準につきましては、こちらもやはり改正法で終生飼養の努力義務ですとか、引取り拒否できる規定、あるいは8週齢規制等の記述がございますので、そういった新たな規定等について、この家庭動物の基準の中に盛り込んではどうかというふうに考えてございます。
また、人に危害を加えるおそれが高い犬の所有者の責務について、これ「危険犬」と書いてございますが、そういった犬の事故というのがいまだにあるということもありまして、より詳細な記述の追加を検討してはどうかと考えております。特に事故を起こした場合に、犬の所有者は被害者に対して民事責任ですとか、刑事責任を問われるという事例もございますので、そういったことが起きないようにするために、これらの記述の追加も含めて、検討してはどうかと考えてございます。
 最後、第5番目のねこの飼養及び保管に関する基準ですが、こちらも犬の基準と同様に、終生飼養の努力義務ですとか、引取り拒否できる規定、8週齢規制を踏まえた記述の見直しの追加ということと、所有者の判明しない猫への餌やり等について、何らかの記述の追加を検討してはどうかと考えてございます。
 続いて資料2-2、こちら一覧資料では87ページになりますが、展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しについてでございます。こちらも根拠条文としましては、法の第7条第4項になってございます。
見直しの必要性としまして、この基準についても昭和51年に策定された基準をもとに、平成16年4月に全面的な見直しがされておりまして、その後、平成18年に一部改正されております。既に昨年の6月1日から施行されておりますが、夜間展示規制や今回の改正法の趣旨等を踏まえた所要の見直しが必要と考えてございます。
見直しに当たって考慮すべき点としましては、まず第1の一般原則の部分ですが、動物の選定で、特に、特定動物ですとか大型動物の展示を検討する際に、その飼養というのは大型であるということもあって、困難であるということですとか、施設整備や維持管理等にも多額の費用が必要となるというようなことを示して、選定した動物の終生飼養の確保が可能かどうかというのを、慎重に検討する必要がある旨の記述の追加を検討してはどうか。要は、安易に展示動物として飼養を始めて、飼養ができなくなるというようなことがないような普及啓発みたいなものが必要ではないかと考えてございます。
第3の共通基準につきまして、1の動物の健康及び安全の保持についてですが、今回の夜間展示規制が導入されたことを踏まえた記述の追加というのが必要というふうに考えてございます。
3番目の危害等の防止については、特定動物などの危険な動物を展示する際の施設基準、飼養保管基準について、先ほどの家庭動物と同様ですが、今回新たに基準が追加されたりしておりますので、そういった基準に基づいた記述の追加というのが必要ではないかと考えてございます。
第4の個別基準で、2の販売の部分につきまして、改正動愛法に規定された8週齢規制を踏まえた基準の追加というのを検討してはどうかと考えております。
3の撮影につきまして、撮影にあたって、幼齢動物の健康への影響に配慮する旨等の記述の追加というのを検討してはどうかと考えております。
続いて資料2-3、参考でつけております一覧資料では103ページになりますが、動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置についての見直しについてでございます。こちらの根拠条文は、法の第7条第3項ということになっておりまして、もともとは平成17年の法改正により、環境大臣が所有者明示措置の要領を策定するという措置が新たに盛り込まれたことを受けて、平成18年に策定されたものでございます。今般の法改正やマイクロチップの番号に関連づけられる情報を管理する体制の整備等のために、見直しが必要と考えてございます。
見直しに当たって考慮すべき点としまして、改正法に、マイクロチップの装着等の推進及び販売時のマイクロチップ装着を義務付けることに向けての検討に関する規定が、これは附則の第14条に設けられておりますが、そういったことを踏まえまして、マイクロチップの措置についての記述を検討してはどうかと考えてございます。附則や附帯決議には、マイクロチップの義務化に向けて、データ管理体制を一元化することが必要であり、官民協働でこれを目指すということがありますので、そういったことの記述も追加してはどうかと考えております。
犬猫等販売業者の責務としても、データ管理体制一元化やマイクロチップ装着後の飼い主情報の登録・更新の推進への協力について、記述の追加を検討してはどうかと考えております。
続いて、資料2-4です。一覧資料では107ページになりますが、犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置についての見直しについてでございます。根拠条文としては、法の第35条第5項になります。当該措置は、最初は昭和50年に「犬及びねこの引取り並びに負傷動物の収容に関する措置要領」として定められておりまして、平成18年1月に見直しが行われております。動物愛護管理法第35条第1項及び第2項、改正法では第3項になっておりますが、この規定により、自治体が行う犬又は猫の引取り並びに第36条第2項の規定による負傷動物の収容に関する努力義務規定を定めたものでありますが、見直しの必要性としまして、今回の改正法の趣旨ですとか、昨今の自治体の取組状況等を踏まえた所要の見直しが必要であると考えております。
見直しに当たって考慮すべき点としまして、(1)犬及びねこの引取りについてですが、今般の改正法の中に、引取りを拒否することができる旨の規定が設けられたことを踏まえまして、現行措置の第1の「犬及びねこの引取り」において、引取りを求める事由についての詳細な聞き取りを行ってもらうというようなことですとか、引取りを拒否することができる場合に関する事項の記述の追加を検討してはどうかと考えております。
2番目としまして、遺失物法との整合性というところがあります。当該措置の第1「犬及びねこの引取り」の3に遺失物法第12条の規定に基づく措置が規定されてございます。平成18年の当時は、遺失物法第12条に基づいて、犬やねこが逸走の家畜と認められる場合に、警察署長に差し出すようにということで規定されておりましたが、遺失物法が平成19年に改正されて施行されたということで、その中では逸走した家畜については第4条に規定がございまして、第4条第1項ではまず警察署長に差し出す旨、第2項においては施設占有者に交付する旨というのが規定されております。第3項では所有者不明の犬猫については、この規定は適用しないというのがありますので、改正遺失物法と齟齬が生じないような形での記述の変更をしたいと考えてございます。
3番目、保管、返還及び譲渡しにつきまして、改正法の第35条第4項に、引き取った犬猫の返還及び譲渡に関する努力義務規定が明記されたことを踏まえまして、当該措置の第3の「保管、返還及び譲渡し」において、努力義務規定に準じた記述の追加を検討したらどうかと考えてございます。また、改正法に新たに第二種動物取扱業の届出制が規定されました。自治体からの譲渡しに当たって、その譲り渡す相手が第二種動物取扱業に該当するかどうかということの確認も必要ではないかと考えておりまして、それについての記述の追加を検討したいと考えております。
(4)処分につきまして、保管動物の処分方法について、試験研究用若しくは生物学的製剤の製造の用に供する者への譲渡しの記述についてでございますが、現在法第35条に基づく引取り措置を実施している自治体全てにおいて、毎年どのような処分方法をしていますかということを聞いている中で、既にそうした試験研究用等の目的での処分はしていないということがわかっておりますので、それを踏まえた当該記述の削除について検討してはどうかと考えてございます。
最後に、別記様式というのがこの措置の中にはございまして、今般の改正法等を踏まえて、今の様式では四半期ごとに報告をしていただくような様式になっているのですが、実態としましては1年度分をまとめて毎年報告をしていただいていることもありますので、そういった実態等も踏まえて、様式の修正をしたいと考えております。
また、今回資料としてはつけておりませんが、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準、産業動物の飼養及び保管に関する基準についても、諮問事項になっておりまして、今後に向けてということで各委員から御意見等がございましたらいただければと考えております。
以上でございます。

【浅野部会長】 それでは、ただいま資料2-1から2-4まで御説明をいただきました。これはそれぞれ法文に基づいて環境大臣が定めるべき基準について、所要の見直しについて、この点についての見直しの必要があるという御提案でございますが、これについてどうぞ御意見あればお聞かせください。いかがでございましょうか。特にこれまた先ほどと同じように順番はこだわらずに、どこからでも。田畑委員どうぞ。

【田畑委員】 家庭動物等の飼養及び保管に関する基準と、それから展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しというところで、何項目か出されていますが、家庭動物の共通基準の8の危害防止、特定動物の施設基準等を踏まえた記述を検討する、あるいは展示動物の飼養及び保管に関する基準の一般原則の動物の選定の中で、より詳細に記述の追加を検討するということになっていますが、私の意見を言わせてもらえれば、家庭動物として特定動物を飼うとか、施設の整っていないところで特定動物を飼うとか大型動物を飼うということ自体がおかしいと思います。だから、詳細に飼養基準を規定しても、外れてくるところは外れてきてしまうので、この辺はもう少し明確に飼養しないというような方針もあってもいいのではないかと思います。私の個人的な意見として申し上げます。

【浅野部会長】 わかりました。ここはとりあえず御意見として承っておきましょう。いろいろ議論があるところです。むしろそれこそ展示動物業としてやられる方にこんなことを言うよりも、家庭の人に言った方がいいかもしれないという気もするぐらいなのですが、どうぞほかにございますか。
先ほどの山﨑委員が御指摘になった御発言との関連で、私が気になっていますのが資料2-3の措置に関してのシナリオというか、どうやってこれから進めていくのかという点についての事務局としての心づもりがはっきりわからない点です。この資料では、何となくその場しのぎ的に書かれているような印象が強いのですが、今後これどうやって進めていくのか、進め方の道筋をある程度考えているから、それが確実に実行できるようなことを書いた方がいいのではないかと思われます。このままだとヒアリングで御指摘を受けたように、業者がばらばらにマイクロチップのシステムを導入しているというようなことでしょが、そういう事態に対して何も対応できないのではないかという心配もあるのですが、その辺は事務局としてはどう考えていくのですか。もちろんこれから研究すると書いてあれば、それはそれでいいのだろうけれども、でもこれだと全く白紙の状態みたいな感じがしてしまいます。
先ほど山﨑委員は何年間か、ちゃんと目標年次を決めてやれという御意見ですが、事務局としてそれはちょっと勘弁してくださいというのであれば、それはそれとして一応理解はしますけれども、どうやってこれを進めていくのかという点は、とりあえず緊急にここまでは押さえておかなくてはいけないとか、そういう見通しのようなものがさっぱり見えてこないのですが、いかがでしょうか。今すぐ答えろというのが無理ならば、宿題にしておきますから、考えていただきたい。
どうぞ、木村委員。

【木村委員】 2点発言させていただきます。まず、販売のところで8週齢の規制に関してです。これはもちろん歓迎されることなのですが、ペットショップに並ぶ時点での8週齢と解釈してよろしいでしょうか。ペットショップなどで販売行為が行われる時点での8週齢でしょうか。
なぜこのようなことを聞いているかというと、繁殖業を営んでいる人たちの飼養環境は、動物愛護の精神からほど遠いものを感じる事が多いと思います。私の知るところでは、8週令まで子犬・子猫を適切に飼育できるのは少数の繁殖施設であり、多くの繁殖施設がかなり悲惨な飼育状態であると思います。8週齢までの販売規制は勿論賛成ですが、動物取扱業の方々の指導は非常に難しい問題があると思います。8週齢まで繁殖施設で子犬・子猫を飼育した場合、かえって動物虐待に近い状態を生み出してしまう事もあることを考慮する必要があるかもしれません。厳しい指導を行った時、飼育されている動物たちが遺棄されるという事例は実際にあるお話です。このような状況に対処できるような方法を、8週齢規制を明記するからゆえに、細かな指導等を明記していく必要があると思います。
 それからもう1点は、マイクロチップでの個体管理についてです。日本では犬の個体管理方法で狂犬病予防法の登録鑑札がございます。日本は飼育犬の個体管理をマイクロチップでいくのか、鑑札でいくのかということをはっきり国として意思統一をする必要があると思います。また、マイクロチップを挿入する施術は、獣医療です。マイクロチップを挿入する場合、必ず挿入した獣医師が登録をするべきと思います。マイクロチップがあっても所有者がわからないケースがないように登録確実に行う必要があります。飼い主さん全員が登録をするとは限らないので、飼い主さんに登録を任せるのではなく、マイクロチップでの個体管理は、施術をする獣医師に責務を負わせるということが必要なのではないかと考えます。
 また管理方法の一元化は必要です。登録団体の一元化を今から取り組まないと大変な混乱を招くことになると思います。

【浅野部会長】 ありがとうございます。最初の木村委員の御指摘については、この基準の中でどこまで仕分けができるのか、改正法第7条第7項に基づいての飼養及び保管に関する基準というわけですが、名宛て人は必ずしも販売をする者とは限らない。およそその所有者、占有者ですから、販売前であろうと販売後であろうと、みんな同じということになるわけですね。

【事務局】 家庭動物等の基準に関しては、名宛て人は全ての販売業者も含めて全て対象になるのですが、先ほど木村委員がおっしゃっていた、いわゆる繁殖業者の部分につきましては、まさに動物取扱業者という形で、別に重複的にというより、かなり厳しい規制を課しております。
今回の改正で、特に繁殖業者をターゲットに置いた犬猫等販売業者という制度を設けまして、そこでは飼養状況の報告ですとか、台帳記載も義務づけましたし、また今後議論していただく形になると思いますが、繁殖のあり方、いわゆる繁殖回数ですとか、あとは繁殖の状況については、現行では動物取扱業者に対する基準という形で、別に省令や告示で定めているところでありまして、そこでどのような基準を設けるべきかという議論がございますものですから、また改めてそこで議論いただければと思います。家庭動物等の基準は、全て、一般家庭での繁殖についても対象と成るということで、業者だけではなくて、そういう部分もかかってくる基準になりますので、業をやっている者については、別に厳しい形の取扱いが必要になっているという構造になっております。

【浅野部会長】 わかりました。そうすると一般規定というか、一般法、特別法の関係になるわけですが、こちらは一般法であるとすると、そこのところで8週齢規制等を踏まえた記述の追加についていろいろ工夫をしてほしいという御意見だったもので、何となくそこだけが販売が絡んでくるでしょう。だから仕分けがやや混乱するかなという感じがしたのですが。

【事務局】 どちらかというと、ここで書きましております8週齢という部分は、一般的にもやはり親と一般家庭で繁殖する場合や、例えば動物園等で繁殖をする場合にも、そういった特に犬猫については一定程度親と飼養してくださいねということを記載するという趣旨になります。

【浅野部会長】 わかりました。それの点が読み取りにくかったのですね。そうであれば、今度は特別法的に犬猫販売業の方に、さらに厳しい基準がかかってくるということで、先ほどの木村委員の御指摘については、ある程度は考えられていると言えると思います。よろしゅうございますか。

【木村委員】 実際問題としてお聞きしたいのですが、犬猫の繁殖現場を見たことがありますか。不適切な飼育形態が多いと思います。動物愛護管理法にのっとっている飼育状態の施設は少ないと思います。犬猫の繁殖現場を指導して改善させていかなくてはいけないと思いますが、しっかりした指導をする役割を担う部署が必要と思います。私の経験したケースでも、目に余るものがありました。

【浅野部会長】 わかりました。これ、もう一つ次のステップの議論の中でも出てくるかもしれませんので、こういう御発言があったことを踏まえて、作業を進めてください。ほかに御意見ございますか。
山﨑委員、どうぞ。

【山﨑委員】 この緊急時対策について発言させていただきます。見直しに当たって是非考慮をしていただきたい部分なのですが、東日本大震災の経験、教訓を踏まえて、具体的に同行避難した場合の経済的な効果とか、その後の経過処置が、例えば具体的に幾らほどかかって、何が問題になったのか、また、あるいは今回のように同行避難しなかった場合にどのくらい費用がかかって、その後の経過処置及び最後の完結までに、どんな問題が生じたかなどということを、諸外国の制度ですとかあるいは法律なども参考の上、是非、追加検討の中に同行避難というのはどういうものか、可能なのかあるいはそのためには何が必要なのかというようなことをご検討していただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

【浅野部会長】 わかりました。御要望として承っておきます。
ほかに御意見ございますか。

【北村委員】 資料、共通するんですけど、2-2のところの確認であります。共通基準の1と3のところに、文言として「遵守」という言葉が使ってありまして、商売柄どうしてもこういうのって気になるのですが、遵守について云々、基準遵守を明確にした云々と書いて、これ遵守というのは、どういうお気持ちでここでは使われておるのでありましょうか。

【浅野部会長】 お答えはいかがですか。

【事務局】 基本的には、法の基準というものは法律に基づいて定められた基準のものでございますから、当たり前と言えば当たり前なのですが、守らなければ違反で、場合によって勧告命令までいくものについて、当然守ってくださいねという趣旨のものなので、かなり入念的と言えば入念的なものでございます。

【北村委員】 今の発言は、ちょっと支離滅裂だと思うのですが、ではこの基準について「守らなければならない」という規定は本則にあるということですね。

【事務局】 あるということです。

【北村委員】 それは何条でございますか。

【事務局】 これは展示動物の部分でございますので、まずは本則でいきますと、法の第21条に、動物取扱業者は、動物の健康及び安全を保持するとともに、生活環境の保全上の支障が生じることを防止するため、その取り扱う動物の管理の方法等に関し環境省で定める基準を遵守しなければならない。と書いております。

【北村委員】 この省令基準が、ここの告示だということですか。

【事務局】 いや、省令基準は別にございまして、既に基準があるので、この展示動物基準においては、あえて入念的に書かなくてもいいと言えば書かなくてもいいのですが、展示業者は当然ながらそういった省令基準をちゃんと守るということ必要であるということについて、正直言って入念的なものでございますけれども、記載しているということであります。

【北村委員】 省令基準の解説をしているということですか。

【事務局】 そういうことです。

【北村委員】 それがこの告示だということですか。

【事務局】 いや、告示で示されている事項は、省令基準以外にもあるのですが、省令基準もありますよということを明記しているだけです。そういう意味では、「基準を遵守」としている部分については、既に省令基準で定められているものですので、ここで書いたから別に何か変わるというものではないものです。

【北村委員】 そうですか。でもこの告示にはいろんな機能があって、単なる7条4項のよるべき基準にとどまるものもあれば、それにとどまるのでなくて、御説明は省令の具体化したようなものもあるというのが、いろいろ入っているということですか。

【事務局】 ここに基準の遵守と書いてある部分については、確かに既にもう基準として定められているものでございますので、具体化するというよりは、その内容について改めて記載しているのに過ぎず、屋上屋を課している部分はあります。

【北村委員】 遵守しているのは法規だという御案内ですね。

【事務局】 そうです。

【北村委員】 それ以外は、あとは努めるものとするとか。

【事務局】 そうですね。

【北村委員】 いわゆる努力義務だとか、そういう区別ということですね。

【事務局】 そういうことでございます。

【北村委員】 わかりました。

【浅野部会長】 ほかに御意見がございますか。いかがでございますか。よろしゅうございますか。どうぞ。

【齊藤委員】 資料2-4。犬猫の引取りの関係です。最後に、環境省への報告の様式については見直しをしていくということが書いてあるのですけれども、どんな形の見直しでいくのかということが質問です。今回拒否できるようになり項目が増えているわけですが、犬や猫を引き取るときに引取りの理由については各自治体でも情報収集をしています。そういうのを全国、できれば同じ項目で収集して、そしてそれが次に生かせるような形に持っていければいいと思います。そういうことが生かせるような報告を考えているのかというところを、お聞きしたいと思います。

【浅野部会長】 現段階でどうだといって、なかなか答えにくいのでしょうけど、むしろ今の御発言は御要望ということでお聞きしておいてよろしいですか。そういうものがある方がいいだろうというアドバイスをいただいたということにしておきましょうか。今の段階では、多分聞いても答えが返ってこないと思うのですね。
 ほかの委員から御意見がございますか。青木委員、何かありますか。

【青木委員】 いえ、特に。

【浅野部会長】 よろしいですか。臼井委員いかがですか。よろしゅうございますか。
それでは、どうぞ佐良委員、お願いします。

【佐良委員】 すみません、もしピントが外れていたら申し訳ございません。こちらの一覧資料の89ページの展示動物の飼養及び保管に関する基準の第3共通基準の1動物の健康及び安全の保持 (1)飼養及び保管の方法のカに、「幼齢時に社会化が必要な動物については、一定の期間内、親子等を共に飼養すること。」とあるのですが、それと、こちらの資料2-2の第4 個別基準の2 販売、改正動物愛護管理法に規定された8週齢規制、これを重複したとしてもくっつけていただけないでしょうか。
特に犬の場合は、一定期間内をもう少し細かく、ブリーダーのひどさによって一定期間が変わってくると思いますので、8週齢や、何日間とか、何週間とか書いていただきたい。私もあまりブリーダーのところを見にいったことはないのですが、ブリーダーは意外と早く親と子を離して、お乳をやるときだけ一緒にするんです。お乳を飲み終わるとまた離してしまって、結局、パピーミル状態になってしまっているようなところがありますので、新しく飼い主になった人が非常に迷惑をこうむることが多い行動が出てくる可能性が高いので、ここら辺を明確に書いていただければと思います。

【浅野部会長】 これも御要望ということで、伺っておきます。
ほかにございますか。

【北村委員】 要望でよかったら一つ。

【浅野部会長】 どうぞ。

【北村委員】 恐れ入ります。指針は当然のことながら、基本的な事項、重要な事項というように厳しく限定されておりますよね。ですから、書かれる内容というのはまさに基本的な事項、重要な事項であるはずなのであって、それ以上のものを書けば恐らくやり過ぎになって、それは計画で決めてくださいというのが、多分この時代のあり方、役割分担だと思うのです。さはさりながら、オールジャパンで決めた方がいいものも当然あるわけですし、その辺りをきちんと仕分けをして、環境省と重要だから書くんだというような理屈がないと、なかなか今の時代もたないと私は思っておりますので、これも要望でございますが、お願いいたします。

【浅野部会長】 ほかの委員から何かございますか。

(なし)

【浅野部会長】 それでは、特に委員から資料2-1から2-4までについて特段の御発言がないようでございます。次回はさらにこの見直しに基づいて作業を進めていただくことになろうかと思います。次回は改正の素案を御提示いただくということになろうかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、まだ予定の時間まで15分ほどございますけれども、このあたりで討議をおえたいと考えます。それではその他ありましたらどうぞお願いいたします。

【事務局】 それでは、事務局から1点、御連絡申し上げます。次回の部会のスケジュールです。次回の部会は5月17日金曜日、2時半から5時、環境省の第一会議室を予定しております。以上です。

【浅野部会長】 では、次回の予定について、今御説明がございました。17日金曜日の2時半からでございます。場所はこの場所ということでございますので、よろしくお願いいたします。
 ほかに何か特に御発言ございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。

(なし)

【浅野部会長】 それでは、御発言がないようでございます。本日の議事はこれで終わらせていただきます。どうも御協力ありがとうございました。