中央環境審議会動物愛護部会(第24回)議事録

1.日時

平成21年6月15日(月)午前10時02分~午前11時46分

2.場所

環境省第1会議室(中央合同庁舎5号館22階)

3.出席者

林部会長、青木委員、伊藤委員、臼井委員、太田委員、奥澤委員、  藏内委員、佐良委員、永村委員、兵藤委員、山崎委員*正字(﨑)、 黒田自然環境局長、柏木審議官、奥主総務課長、安田動物愛護管理室長 ほか

4.議題

  1. (1)愛がん動物用飼料の基準・規格の設定(報告)
  2. (2)動物愛護管理基本指針の点検(報告)
  3. (3)その他

5.配付資料

資料1-1
愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律について
資料1-2
愛がん動物用飼料の基準及び規格の設定
資料1-3
愛がん動物用飼料の基準・規格の概要
資料2-1
動物の愛護及び管理に関する法律について
資料2-2
動物愛護管理基本指針の点検(第2回)について
資料2-3
動物愛護管理基本指針の点検(第2回)について 参考資料
参考資料1
中央環境審議会議事運営規則
参考資料2
愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(平成20年法律第83号)に基づく基準及び規格の設定について(答申)
参考資料3
愛がん動物用飼料の成分規格等に関する省令
参考資料4
動物愛護管理基本指針
参考資料5
飼い主のためのペットフード・ガイドライン

6.議事

【事務局】 定刻となりましたので、中央環境審議会動物愛護部会を始めます。
 まず、委員のご出席について、ご報告いたします。
 本日は、菅谷委員がご欠席ですが、全委員数12名のうち11名がご出席ですので、規定により部会は成立しています。
 それでは、林部会長、よろしくお願いいたします。

【林部会長】 承知しました。
 それでは、ただいまから第24回動物愛護部会を開催いたします。
 議事に先立ちまして、黒田自然環境局長からご挨拶をいただきます。

【黒田自然環境局長】 おはようございます。ご紹介いただきました自然環境局長の黒田でございます。
 きょうは動物愛護部会ということで、お忙しい中、ほぼ全員ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。また、常日ごろから、動物愛護管理行政そして自然環境行政、広くは環境行政に、いろいろご助力、ご支援をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。
 きょうの部会では、二つの報告をさせていただきたいと思っています。
 初めに、ペットフード法の関係でございます。昨年、農林水産省と環境省の共管の法律として、ペットフード法が制定されたところでございます。そして、その後の検討を経て、6月1日に施行となりました。
 この制度の中身につきましては、前回の部会においてご報告し、この法律のかなめというべき基準・規格につきまして、中央環境審議会と農業資材審議会の意見を伺いながら設定作業を進めてきたところでございます。具体的に申し上げますと、この部会の中にペットフード小委員会を設置していただき、農業資材審議会の飼料分科会それから同安全性部会と一緒に審議をしていただいて成案を取りまとめ、WTOの手続なども経まして、それらの手続が済んだということで、告示を政省令として制定したというところでございます。
 本日は、この基準・規格についてご報告をさせていただきます。また、動物の飼養者に対し、ペットフードに関するさらなる普及啓発を図っていきたいと思いますし、今後ともペットフードの安全性がしっかり保たれるように努力をしていきたいと考えております。
 二つ目のご報告としては、動物愛護管理基本指針の点検につきまして、これも昨年の本部会におきまして1回目のご報告をさせていただいたところですが、2回目のご報告をさせていただきたいと思います。
 限られた時間ではございますが、どうぞ忌憚のないご意見をちょうだいしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 ありがとうございました。

【林部会長】 ありがとうございました。
 それでは、これから会議を始めますが、最初に事務局から、委員のご紹介と配付資料の確認をお願いします。

【事務局】 それでは、委員の皆様方のご紹介をさせていただきます。
 正面に向かいまして右側の先生から、反時計回りにご紹介申し上げます。
 まず、青木委員でございます。
 伊藤委員でございます。
 臼井委員でございます。
 太田委員でございます。
 奥澤委員でございます。
 林部会長でございます。
 藏内委員でございます。
 佐良委員でございます。
 永村委員でございます。
 兵藤委員でございます。
 山崎委員でございます。
 よろしくお願いいたします。
 引き続き、資料の確認をいたします。
 資料1-1が愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律について。資料1-2が愛がん動物用飼料の基準及び規格の設定。資料1-3が愛がん動物用飼料の基準・規格の概要。資料2-1が動物の愛護及び管理に関する法律について。資料2-2が動物愛護管理基本指針の点検(第2回)について。資料2-3が動物愛護管理基本指針の点検(第2回)についての参考資料です。
 参考資料1が中央環境審議会議事運営規則。参考資料2が愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律に基づく基準及び規格の設定について(答申)。参考資料3が愛がん動物用飼料の成分規格等に関する省令。参考資料4が動物愛護管理基本指針。参考資料5が飼い主のためのペットフード・ガイドラインです。
 もし、資料に不備がございましたら、お申しつけください。よろしいでしょうか。
 では、よろしくお願いいたします。

【林部会長】 はい、ありがとうございました。
 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。議事次第の1、愛がん動物用飼料の基準及び規格の設定について、事務局から報告いただきます。

【事務局】 はい。事務局から説明させていただきます。
 資料1-1をご覧ください。愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律、通称、ペットフード安全法の、概要につきましてご説明いたします。
 経緯としましては、平成19年3月に、アメリカにおいて有害物質であるメラミンが混入したペットフードが原因となり、多数の犬・ねこに健康被害が発生いたしました。そのメラミンが混入したペットフードが日本国内にも流通しているということがわかったことを受けまして、農林水産省と環境省の合同による有識者の研究会を設置し、ペットフードの安全性の確保に緊急に取り組むべきということで、平成20年3月、第169回国会において、愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律案が提出され、6月11日に成立、そして、本年6月1日に施行されました。
 法律の概要としまして、その目的は、愛がん動物用飼料の製造等に関する規制を行うことにより愛がん動物用飼料の安全性の確保を図り、もって愛がん動物の健康を保護し動物の愛護に寄与するということです。
 具体的な中身は、ペットフードの基準または規格の設定をして、その基準・規格に合わないペットフードは、その製造や輸入、販売を禁止いたします。また、そのようなペットフードが流通している場合は、廃棄・回収等の必要な措置を業者に命ずることができます。また、ペットフードの製造業者または輸入業者は、氏名や事業場の名称等を環境大臣及び農林水産大臣に届け出なければならないとともに、それらの流通体制を把握するために、帳簿等を備付けなければならないことになっています。また、製造業者等は、農林水産大臣又は環境大臣の求めに応じて各種報告を義務づけられるとともに、農林水産大臣又は環境大臣による製造業者等への立入検査等を定めております。
 続きまして、資料1-2をご覧ください。具体的に愛がん動物用飼料の基準・規格の中身についてご報告させていただきます。
 基準・規格設定の経緯につきましては、本法律の第5条におきまして、製造方法若しくは表示につき基準を定め、又は愛がん動物用飼料の成分につき規格を定める際には、農業資材審議会及び中央環境審議会の意見を聴かなければならないということとされております。
 2ページ目をご覧ください。本動物愛護部会のもとにペットフード小委員会が設けられまして、農業資材審議会のもとに飼料分科会及び安全性部会がございます。この二つの小委員会、部会をあわせた合同会合によって、基準・規格の設定が議論されました。また、技術的な検討を行うため専門家から構成されている愛がん動物用飼料委員会の意見を参考にしながら、この合同会合は進められました。昨年の8月から3月にかけてこの合同会合が開催され、今年4月28日に成分・規格を定めた省令が公布され、6月1日から法律と同時に施行されております。
 3ページをご覧ください。この法律施行後も引き続き検討を行うこととされている成分・規格につきましては、今後も引き続き実態調査等を実施しまして、科学的知見を収集し、両審議会で基準・規格の設定が審議されます。また、成分規格・製造方法基準の追加等が必要な場合は、パブリックコメントやWTO-SPS通報等の必要な手続を行い、省令を改正します。そして、新しい規制については、事業者への周知徹底、必要な準備期間の確保、消費者への広報を行うこととしています。
 基準・規格の設定の基本方針としましては、ペットに対する健康影響要因を特定するため、次のような事項を考慮しております。[1]ペットフードによるペットの被害事例、[2]ペットに対する健康影響の強さ、[3]ペットフードに使われる原料の汚染状況、[4]諸外国における規制状況。また、動物の生命及び健康の保護のための措置をとる場合は、科学的な原則に基づくことが国際的なルールですので、関連する科学的データに基づいて、健康に影響を与える可能性の高い要因を特定いたします。
 ペットフードの安全性を損なう問題等を考慮し、有害微生物、重金属、かび毒、残留農薬、使用上の注意が必要な添加物という5つのカテゴリーについて、基準・規格を設定します。製品のタイプごとに水分含量が異なりますが、基準値の水分含量は、最も一般的なドライタイプの値を参考にして、10%として設定しています。国内の科学的データが十分でない場合は、特にアメリカ、EUで設定・運用されている基準値等を参考に、暫定基準の設定などで対応していきます。基準・規格の設定後も、科学的知見の収集に努め、新たな知見が得られた場合は、専門家の意見を聴きながら、見直し等を、今後、検討していく予定になっております。
 具体的に、今回、成分規格省令で定められた規制する物質につきましては、かび毒についてはアフラトキシンB1、農薬につきましてはグリホサート、クロルピリホスメチル、マラチオン、メタミドホスの5種類、添加物につきましてはエトキシキン・BHA・BHTとなっています。
 また、製造方法基準の設定につきましては、有害微生物全般について、適正な加熱処理、水分調整等を行うよう製造基準が設けられています。また、プロピレングリコールにつきましては、猫用に用いてはならないとされています。ちなみに、このプロピレングリコールにつきましては、保湿剤として一般的に使用されておりますが、猫の赤血球を減少させるため、猫用には用いてはならないとしています。また、その他の有害物質を含むような製造方法を用いてはならないとしております。
 今年度以降に検討する物質等として、有機塩素系化合物については、汚染実態調査を実施した上で平成21年度中を目途に基準値を設定しますが、米国及びEUですでに基準値が設定されているものについては、これらの基準値を参考に暫定的な指導基準を設定する予定となっております。
 また、重金属やかび毒、添加物につきましても、本年度、汚染実態等のデータを収集した上で、本年度以降に基準値を設定していく予定です。
 表示の基準につきましては、安全性の確保の観点から必要な情報ということで設定しておりまして、消費者にとってなるべくわかりやすく、また、事業者にとってもなるべく負担にならない項目ということで選定しております。
 具体的に表示を義務付ける項目としましては次の5項目です。[1]名称[2]原材料名、この原材料名につきましては、原則すべての原材料を記載することとしています。[3]賞味期限[4]事業者名及び住所・所在地[5]原産国名。原産国名は最終加工工程を完了した国を指します。
 また、業界団体による公正競争規約におきまして既存のルールがありましたが、業界団体と調整の上、7月中にこの規約を現在の法律にあわせて改定する予定になっております。
 ペットフードの安全確保の体制につきましては、この図にありますとおり、都道府県や環境省、農林水産省が、飼い主や獣医師といった方々の情報を幅広く収集し、それを関係機関で情報共有しながら、安全確保に努めていきます。もし、問題のあるペットフードが流通されているということがわかりましたら、環境省、農林水産省の出先機関である地方環境事務所、地方農政局、または、農林水産省の外郭団体である独立行政法人農林水産消費安全技術センター、通称FAMICにより、輸入業者、製造業者、販売業者、それぞれの段階で立入検査を行います。この立入検査の進め方につきましては、原則、無通告で立ち入ることとし、それぞれの業者で備付けを義務づけている帳簿等を確認するとともに、製造設備や品質管理状況、保管状況等を確認いたします。また、その場でペットフードの一部を回収いたしまして、それをFAMICの方で分析することとしております。また、問題がなくても、定期的にFAMICによる立入検査を行っていく予定となっております。
 ペットフード関係者との連携ということでは、さまざまな団体と連携していきたいと考えております。具体的には、地方自治体(保健所)、事業者からなる業界団体、ペットの健康の相談等を受ける獣医師、動物愛護団体、具体的にペットの飼養者から相談を受ける消費者センター、これらの団体と環境省や農林水産省本省が中心となる中央の連絡会議と、各全国ブロックごとの連絡会議を、今年度開催していく予定です。この連絡会議は、もし問題等が発生したときに、円滑に情報のやりとりをするとともに、円滑に必要な措置を行うための体制を確保するために開催する予定となっております。
 また、普及啓発の取組としましては、ペットフードの安全確保を図るために、一般の飼養者がペットフードの与え方などについて正しい知識を持つことが大切と考えておりまして、昨年度は環境省でペットフードの与え方や保存方法等についてガイドライン等を作成しました。このガイドラインにつきましては、参考資料5として付けておりますので、ご参照ください。また、環境省、農林水産省等のホームページにおきまして、一般向けにわかりやすくこの法律を解説するQ&Aなどの情報を発信しておりますし、平成21年度以降につきましても、法律の普及啓発を図るリーフレットを作成する予定です。
 また、資料1-3につきましては、この基準・規格の概要を取りまとめたものですので、先ほど説明した内容と同じですけれども、これもご参照ください。
 以上です。

【林部会長】 ありがとうございました。
 それでは、これまでのご説明につきまして、何かご意見、ご質問がございましたら、遠慮なくおっしゃってください。1-1、2、3と三つの資料で、愛がん動物用飼料、ペットフードの安全性についてご説明いただきました。いかがでしょうか。
 はい、藏内委員、どうぞ。

【藏内委員】 「基準・規格で規制する物質等」のところで、農薬が5種類あがっていますが、この農薬というのは、いわゆる農業に使っていい農薬でしょうか。使っていけない農薬も結構あり、それを使っている人が結構多いのですが、その種別はどうなのか、もしわかれば教えていただきたいです。

【安田動物愛護管理室長】 これは、一般的に海外なども含めて使われているものということでございます。この基準を計算するに当たっては、大体その原料の中にどのぐらい含まれる可能性があるかということを考えて、それと、ペットの体重、1日当たりの消費量とかを含めて出した値でございます。現在、農薬として使われているものを想定しています。

【林部会長】 はい。これは国内だけではなくて、国外も含めてということですね。
 また、これらの毒物は、例えば青酸カリのように、ペットフードに絶対に入れるべきではないものは書いていないということですね。

【安田動物愛護管理室長】 使用禁止になっているものは、農薬取締法とか、別の法律の体系がございますから、そちらで取り締まっていくことになると思います。

【林部会長】 はい。
 ほかに。太田委員、どうぞ。

【太田委員】 私も小さなお店をやっていまして、ペットフードを実際に現場で販売しております。現場の声を少しお話しします。
 今まで、ペットフードは雑貨ということで規制がなかったために、販売をしている中でいろいろ問題点もありました。販売したフードは、ほとんど6割が輸入品ですので、流通に時間がかかるため、販売して袋を開けてみたら虫がわいていたとか、かびが生えていたとか。特に、最近、価格競争が厳しいために、アメリカ製の並行輸入の比率が年々高くなっています。特に並行輸入に関しては、すべて日本語で明示されておりませんので、いつ作られたのか、賞味期限はいつなのか、その辺もはっきりしていないために、販売した後、いろいろ苦情が多かったわけです。けれども、今回この法律が整備されることによって、そういう問題点がなくなるということは、飼育者にとっても、また、犬・ねこの安全確保に関してもレベルアップになったと思います。また、販売する方でも安心して販売できるというのが現場の声でございます。

【林部会長】 ありがとうございました。
 兵藤委員、どうぞ。

【兵藤委員】 この間、ペットフード小委員会に出席させていただきましたが、最後に発言の時間がなくなってしまったもので一言。農水省の部会の方から、この「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」についていろいろ注文がありましたが、僕は非常によくできていると思います。非常にわかりやすいですし、これから学ぶ学生のガイドラインとしても、利用できるのではないかという意見を持っています。

【林部会長】 ありがとうございます。
 臼井委員、どうぞ。

【臼井委員】 兵藤先生に追加なのですが、お役所がつくる割には、本当にすばらしい、いいものができて、飼い主さんのためになるのではないかと思います。
 ただ、1点、少し気になりましたのは、14ページの下から2行目に、「肉や魚は、寄生虫や細菌性中毒などを防ぐためには」というくだりがございますが、これが本当に、たった2行なのです。獣医師といたしましては、この次に改訂していただくときに、この部分をもう少しボリュームを増やしていただければうれしいなと思います。よろしくお願いいたします。

【林部会長】 どうぞ、山崎委員。

【山崎委員】 山崎でございます。
 この小冊子、本当に、表紙から始まって、とてもわかりやすく、きれいにできていると思います。
 実は、犬のドッグフードを猫が食べてもいいですかとか、猫のキャットフードを犬が食べてもいいですかという質問がありますが、人間が食べてもいいですかというのはないのですか。わからないで食べてしまう人がいるのではないかということが心配になったものですから。アメリカでは、字の読めない方が食べてしまうとか、たくさん種類がありとても成分が細かく書いてあるので人間のダイエットのためにわざわざキャットフードやドッグフードを食べてしまうというお話を聞いたことがあります。余計だったらすみません。でも、教えていただけませんか。

【安田動物愛護管理室長】 多分、食品の扱いにはなっていないので、公的に言ったら、食べていいということではないと思います。食品として売るとか、それを食品として流通させるということはできないと思います。

【林部会長】 
 よろしいですか、ほかに。
 委員の皆様からお話があったように、飼い主の方たちにもとてもわかりやすい形で出していただいたことはすばらしいことです。ぜひとも、配付方法や部数などについても検討し、一人でも多くの飼い主の方に読んでいただけるようにしてほしいと思います。
 それから、飼い主さんはいろいろな情報を見て判断されますが、添加物が一切ないものがいいと思っている方がいる。この高温多湿の日本で、添加物を全く加えない方がいいという誤解がどこかにあるのではないかと思います。このように、ペットの健康・安全を守るために、これは適切なことかどうかということを、飼い主の方はかなり勘違いされている面があるので、そこもわかりやすく、どこかで言っていただいた方がいいのかなと思います。
 委員の方、他によろしいでしょうか。

(なし)

【林部会長】 それでは、議事次第の2の動物愛護管理基本指針の点検について、事務局からご報告いただきます。

【安田動物愛護管理室長】 最初に、背景をご説明させていただきます。
 参考資料の4をご覧ください。「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」が平成18年に出されています。平成17年に法律改正があり、国がこういう基本的な指針をつくり、それに基づいて各地方公共団体が推進計画をつくるということになっております。この基本指針の中に、具体的にこれからどういう取組を行うべきかということが、5ページから書かれています。
 5ページ、2番目の「施策別の取組」というところで、(1)普及啓発、(2)適正飼養の推進による動物の健康と安全の確保、次の6ページへ行きまして、(3)動物による危害や迷惑問題の防止、それから、7ページへ行って、(4)所有明示措置の推進、(5)動物取扱業の適正化、それから、8ページ目、(6)実験動物の適正な取扱いの推進、(7)産業動物の適正な取扱いの推進、(8)災害時対策、(9)人材育成、最後に10ページ、(10)調査研究の推進となっています。
 この基本指針の第4として基本指針の点検及び見直しということが書かれています。この中で、「毎年度、基本方針の達成状況を点検し、その結果を施策に反映させることとする。なお、その点検結果については、概要を公表するものとする」となっています。さらに、最終的には、「策定後概ね5年目に当たる平成24年を目途として、その見直しを行うこととする」というようになっています。今回は、2回目の点検ということで、これから、資料2についてご説明させていただきます。

【事務局】 それでは、資料2-2と2-3を主に使用しながらご説明いたします。
 まず、参考資料4の基本指針の5ページ目、2の施策別の取組というところですが、平成29年度までに、これらの取組を行うことになっております。
 一番目の普及啓発について、資料2-2をご覧ください。環境省の取組としまして、ポスター、パンフレット、リーフレットを作成し、自治体や関係団体等に配布しております。例えばポスターでは、動物愛護週間、マイクロチップの普及、それから、年度末に、「遺棄、虐待は犯罪です」といったポスターを作成しております。
 毎年9月20日から26日が動物愛護週間ですが、期間中にはシンポジウムや屋外イベントを行うほか、全国101の関係自治体で関連の地方行事を行っております。
 「現状・進捗状況」ですが、環境省による一般市民を対象としたアンケート調査、これはインターネットによる無作為抽出調査になりますけれども、これによると「動物愛護管理法」の認知度が、昨年度、同じ集計方法で71%だったのが、今は79%になっております。ちなみに、平成15年の内閣府調査では53%でした。
 次に2番、適正飼養の推進による動物の健康と安全の確保についてです。これは基本指針の中では、(2)適正飼養の推進による動物の健康と安全確保です。講ずべき施策としまして、平成16年当時で都道府県、指定都市、中核市における犬・ねこの引取り数が42万匹だったのですが、犬・ねこの引取り数を半減することを目標として掲げております。それを踏まえて、譲渡も含めて殺処分率の減少を図るということであります。
 この進捗状況等については、資料2-2の1ページ目の下の段です。環境省の取組としまして、関係自治体の担当者あるいは動物愛護推進員などを対象にして、「動物適正飼養講習会」を全国4カ所で開催いたしました。また、平成20年度の地方交付税にエサ代・ワクチン代として3.5億円を計上しています。地方交付税につきましては、地方自治体毎の基準財政需要額よりも、その県の収入が下回った場合に交付されます。ですから、収入が多い自治体、例えば、東京都などは地方交付税の対象にはなりません。交付税の対象となっているのは、47都道府県のうち、平成20年度は45道府県です。
 これらの地方交付税につきまして、それぞれの地方自治体で、どのように使用していくのかというのを、平成20年度、21年度で考えていただいているところですが、20年度については、動物愛護管理関連の経費として、45の道府県のうち30自治体、それから、21年度は45のうち36の自治体で地方交付税を動物愛護管理関連経費として反映させているということでございます。
 それから、現状と進捗状況です。環境省による一般市民を対象としたアンケート調査によりますと、犬・ねこの不妊、去勢の実施率が、犬で45%、ねこで84%に増加しております。資料2-3の3ページ目に犬・ねこの不妊去勢措置という図がありますのでご覧ください。上の段が犬で下の段がねこです。それぞれ、一番下の21年度調査というところを見ていただくと、黄色の部分がどんどん減っていく、つまり、不妊去勢が進んでいることがわかります。ねこは、手術を受けている、あるいは、一部のねこで手術をしている、というのを合計すると大体8割以上が不妊去勢の措置を講じているという状況になります。
 それからまた、文章の2ページ目に戻ってください。(2)犬・ねこの引取り数・殺処分数の減少というところですが、現状と進捗状況といたしましては、まず、関係自治体の収容施設における犬・ねこの引取り数が、平成16年度に比べて約20%減少しています。具体的には、16年度は約42万頭だったのが、19年度で約34万頭となっております。
 それから、譲渡の推進ですが、平成16年度の約2.9万頭から、19年度は約3.6万頭と、譲渡が約25%増えております。
 殺処分数については、引取り数の減少や返還・譲渡の増加で、平成16年度の約39万頭から19年度は約30万頭になっております。図の方の4ページ目、犬・ねこの引取り数、返還・譲渡数のグラフをご覧ください。上の図が全国の犬・ねこの引取り数の推移、下の図が返還・譲渡率の推移です。上の図の徐々に減ってきている棒グラフの方が、犬・ねこのそれぞれの引取り数です。平成19年度をみると、犬・ねこ両方あわせて約34万頭です。それから、折れ線グラフは殺処分率ですが、平成19年度は89%になっています。それから、下の図、犬・ねこの返還・譲渡率の推移ですが、折れ線グラフの返還・譲渡率は10.7%になっています。棒グラフは実際の数で、犬・ねこあわせて3.6万頭です。
 続きまして、文章の3ページ目(3)適正譲渡の推進。環境省のホームページに迷子の動物や譲渡動物を検索できるサイトがあり、現在60自治体がそれに参画している状況です。それから、動物適正譲渡講習会を全国4カ所で開催し、関係自治体の担当者など合計176名が参加しております。
 現状と進捗状況につきましては、先ほどご説明しましたように、返還・譲渡数は25%増加しているということです。
 続きまして、同じく3ページ目の(4)ペットフードの安全性の確保、これは先ほどご説明いたしましたので、省略させていただきます。
 3ページ目、下の方、3番、動物による危害や迷惑問題の防止についてです。参考資料4の基本指針の中では6ページ目と7ページ目に当たります。基本指針の中で、6ページ目に「講ずべき施策」というのがありますが、地域における環境の相違を踏まえながら、集合住宅での家庭動物の飼養や都市部等での犬やねこの管理の方法、所有者のいないねこの適正管理の在り方等を検討し、動物の愛護と管理の両立を目指すことのできるガイドラインを作成するということが最終的な目標になっています。
 それから、特定動物の選定基準のあり方を検討することになっています。
 文章の3ページ目に戻ります。犬・ねこの多頭飼育の実態を把握する必要があると考えておりまして、平成18年度から19年度の2カ年間で、多頭飼育に関する苦情及び対策の現状について、自治体にアンケート調査を行っております。
 それから、特定動物の選定基準のあり方の検討のための情報収集、有識者ヒアリング等を行いました。
 同じく特定動物の関係ですが、特に爬虫類について「特定動物の取扱いマニュアル」を作成して関係自治体に配付しております。
 次の4ページ目の一番上、特定動物のリスト、これは政令で決まっておりますが、最新の科学的知見の分類学に沿って変更される可能性もありますので、その検討に着手しています。
 現状と進捗状況につきましては、具体的にグラフを見ながらご説明します。
 図の方の5ページ目をご覧ください。多頭飼育の現状、これは都道府県にアンケートしたものです。まず、平成19年度は都道府県、政令指定都市、中核市あわせて103自治体について、18年度、19年度の2カ年において、多頭飼育の苦情などのアンケートを行いました。2頭以上の犬・ねこについて、問題があった事例を集計しています。合計1,775件の事例がございます。概要としましては、その囲みに書いてあるとおり、飼育頭数20頭未満の例が全件数の7割ぐらいです。中ほどの表でご覧いただくように、飼育頭数2から9が916、10から19が378となっております。これで全体の7割ぐらいです。ただ、50から99とか、50以上の事例も結構ございます。これは、一般飼養者による場合と動物取扱業者による場合がありまして、下の円グラフでわかるように、飼育の主体は一般飼養者が1,469件と、大体8割ぐらいを占めている状況です。
 それから、苦情の具体的な内容については一番下の棒グラフをご覧ください。一番は、主に不衛生・悪臭についての苦情です。それから、鳴き声や騒音といった周辺の生活環境の悪化というものがかなりの割合を占めています。また、逸走や徘徊といった、人の生命、身体、財産への危害のおそれが生じるような苦情が多くなっております。
 次に、図の方の6ページ目。多頭飼育に対する行政指導の対応についてです。口頭指導が1,441と一番多いです。ついで、文書による指導。それ以外では、勧告、命令、刑事告発というものが少しずつございます。「その他」に含まれるものは、これら五つに分類できないようなもの、例えば、始末書を出してもらったとか、警察署と一緒に指導しているとか、そういったものになります。「不明」について、対応はしているものの、18年時点と少し古いこともあり、詳細が不明だということが幾つかございました。「対応なし」は、これも古いということもあり、記録がそもそもないとか、対応したかどうか不明であるといったものをここに分類いたしました。
 それから、下の円グラフ、対応後の状況です。一番多いのは「改善」で、「一部改善」「改善中」も含めて、7割から8割ぐらいになっています。ただ、不適切な状態が継続中、調査・検討中というものも、まだ、若干あります。
 それから、図の方の7ページ目「多頭飼育に関連した新聞報道事例」です。これは、個別の事例になりますので、それぞれの事例の説明は省略させていただきます。
 次に、資料2-2の4ページ目の上から三つ目の丸。特定動物として、現在、全国で約4万頭の飼育飼養許可が出ております。それから、次の丸、全国における犬の咬傷事故件数については、近年増加傾向にありますが、平成16年度と比較すると9%減少しております。
 それから次、マイクロチップ等による所有明示措置についてです。指針の方でも、マイクロチップ等を含め所有明示措置の実施率を上げるということがうたわれております。環境省の取組としまして、自治体あるいは獣医師会それから愛護団体の方々にご協力いただき、譲渡動物へのマイクロチップの埋込みですとかマイクロチップリーダーの実証実験等、幾つかのモデル事業と所有明示措置の普及・啓発等を行いました。それから、冒頭でも申し上げましたが、マイクロチップの普及啓発にかかるポスターを作成しております。現状と進捗状況ですけれども、犬・ねこの所有明示措置は、犬で54%、ねこでは32%。5ページ目の一番上に表がありますけれども、20年度と比較して、犬もねこも増加しております。それから、マイクロチップの登録件数については、19年度末の約13万件から、平成20年度末の約22万件に増加しております。
 次に、動物取扱業の適正化です。参考資料4の指針で言いますと、7ページ目から8ページ目にかけてでございます。指針の8ページ目をご覧ください。講ずべき施策といたしまして、動物取扱業者に対して標識等の掲示あるいは販売時における動物の特性、状態を事前説明することになっておりますけれども、その周知徹底を図ること。それから、業界全体の資質の向上を図る。それから、幼齢な犬及びねこの販売制限のあり方を検討するとなっております。
 資料2-2の5ページ目、動物取扱業の適正化。これは、まずアンケート調査を行いました。全国ペット小売業協会などのご協力もいただきながら行っております。
 具体的には、資料2-3の10ページ目、動物取扱業の登録状況をご覧ください。下の表の方を見ていただきますと、動物取扱業の総施設数は、平成20年度で約34,000施設が登録されております。
 続きまして、11ページ目。これはインターネット等における動物の通信販売についてです。図が二つありまして、上の方の図につきましては購入後のトラブルを示しているものです。ピンク色が通信販売によるもの、緑色が対面販売によるもの。通信販売は326頭を対象にしていまして、対面販売は99頭を対象にしています。大きく見ていくと、「特に問題はなかった」というところが、両方とも多いのですが、「ペットの健康状態が良くないことが判明した」については通信販売では11.7%、対面販売では5.1%と、ちょっと差が開いています。そのほか、購入後の問い合わせの対応が悪くなったとか、ワクチンの表示や費用についての事前説明と異なっていた等、幾つか項目がありますが、傾向としては通信販売の方が多くなっております。「その他」については、例えば、犬の性格そのものに問題があったとか、病気とは言えないかもしれないけれど回虫がいたとか、血統書の交付が遅かった等、ここには分類されないようなことを一括りにしています。
 それから、通信販売を利用して購入した理由については「店舗の数や犬・ねこの種類などの選択肢が多い」と、「時間を選ばずに購入できる」が多いです。
 次に12ページ目の、犬・ねこの流通販売に関する推計です。四角囲みの下をご覧ください。平成21年の2月から3月にかけて全国ペット小売業協会会員、1,200業者を対象に実施したアンケート調査。全国ペットパーク流通協議会様にご協力いただき、会員15業者と非会員1業者を対象にした犬・ねこオークション調査。一般飼養者を対象とした犬・ねこの通信販売調査。それから、全国ペットデータ年鑑2009掲載の各種データをもとに、これらを総括して推計値を出しています。その推計値は、オークション市場については十分な回答数は得られていると考えられるのですが、それ以外の、業界なり一般飼養者を対象としたアンケートについては、数が少ないという部分もありますし、あるいは、犬・ねこの流通形態が多様化していて、必ずしも、下の分類図のとおりには分類できない部分もあるといったことがございます。このため、今回の結果だけをもって、必ずしも全国の流通実態を客観的に示していると言えるものではないのかもしれませんが、今回行ったデータの客観的事実ということで、ご説明させていただきます。
 一般飼養者へ販売された犬・ねこの総数は、平成20年1月から12月で、約64万頭から72万頭と推計しております。
 流通・販売経路のパターンとしては、下の図に書いたとおり、「生産業者(ブリーダー)」から直で一般飼養者に行くのもございますし、間に卸売業者と小売業者を介して販売されるといったものもございます。先ほども少しご説明しましたが、例えば、この卸売業者さんは小売業者さんと兼ねていたり、あるいは、生産業者さんと区別がつかなかったりするところもたくさんございます。従って、純粋に卸売業者と考えられるかどうかというのは、なかなか難しい問題もあるのですが、あえて図をわかりやすくするために、一応、卸売業者というものも書いております。このように推計で64万頭から72万頭が一般飼養者に販売されています。販売日齢については、この図の中で、[1][2][3][4][5]と付けた流通量10%以上のルートについて見ています。10%に満たないものは、グラフにしても余り意味をもたないということもあり、10%を超えているものについて、次の13ページ目の帯グラフに販売日齢を掲載しております。
 犬を例にしますと、[5]のオークション市場は、nが約22万ですが、一番多いのが59%の40日から44日齢ということになります。隣の16%というのが45から49日齢。それから、その隣の16%が50から55日齢ということになります。39日齢以下も若干ですがございます。それから、[4]の卸売業者から小売業者です。50から55日齢が97%あります。オークションと差がありますが、これはnがオークションより少ないこともありますし、卸売業者、小売業者、生産業者というものが、区別しきれない部分がどうしてもありますので、もしかしたら、この[3]と[4]あたりを足した方が、もう少しオークションに近い数字になるのかもしれません。ここでは分けていますけれども、そういった集計上の違いがどうしてもございますので、ご理解いただければと思います。下の図はねこです。ねこも、全体的に見て39日齢以下というのが若干ございます。
 それから、13ページの下の図「流通外動物の取扱いについて」ですが、流通外動物というのは、一般飼養者に販売しなかった、あるいは、できなかったというものになります。それが主にその後どうなったか、流通ルートに乗らなかった動物がどのように取り扱われたかというのが、その円グラフになります。犬とねこで分かれておりまして、例えば犬の方ですと、赤色が一番大きいですが、これは生産業者に返却、譲渡されたもの。次にオレンジ色の、その他の動物業者に譲渡されたもので18.3%です。それから、12.2%が無償で譲渡したもの。この無償で譲渡した先の内訳は、一般個人の方が97%ぐらいを占めていまして、従業員の方が3%ぐらいです。
 資料2-2の5ページ目の一番下、6.実験動物の適正な取扱いの推進をご覧ください。実験動物については、平成17年の法改正のときに、いわゆる3Rと呼ばれる、苦痛の軽減、これはもともと法律の中に規定されていたものですが、その他に、代替法の活用それから使用数の削減の2つを法律に盛り込みまして、18年4月に「実験動物の飼養並びに苦痛の軽減に関する基準」を環境省で告示しております。それを踏まえ、文部科学省、厚生労働省、農林水産省が策定した基本指針や日本学術会議がガイドラインをつくって、これらの遵守を推進している状況でございます。
 それから、6ページ目の7.産業動物の適正な取扱いの推進です。現状・進捗状況としましては、平成19年4月に農林水産省が検討会を立ち上げ、採卵鶏、豚、ブロイラー、乳用牛の分科会を設置して、アニマルウェルフェアに対応した家畜別の飼養管理指針作成の検討を実施しているところです。これらの検討の実施状況も踏まえ、環境省において昭和62年に告示しております「産業動物の飼養及び保管に関する基準」の見直しについて検討を行っていく予定です。
 次に8.災害時対策。これは、災害時に動物の救護や特定動物の逸走の防止のために、マイクロチップなどの所有明示措置の実施及び普及啓発を推進していくというものです。現在79自治体で、災害対策基本法に基づく地域防災計画の中でこういった負傷動物の救護あるいは迷子動物の捜索といった事項を明記しております。
 9.人材育成について。環境省の取組としては、関係自治体の担当職員を対象に動物愛護管理研修を開催し、68名が参加しています。それから、関係自治体の職員あるいは動物愛護推進員、開業獣医師さん等を対象とした各種講習会を開催しております。
 現状、動物愛護推進員につきましては、45の関係自治体で2,317名が委嘱されております。それから、法律の第39条で設置、組織することができるとなっている「動物愛護推進協議会」につきましては、現在42の協議会が設置されておりまして、52の関係自治体が参画をしています。
 10.調査研究の推進ですが、引き続き関係団体とも協力して、科学的知見に基づく施策の展開を推進しております。
 11.動物愛護管理推進計画の策定については、21年3月までに47都道府県の全てで、パブリックコメント等を実施した上で「動物愛護管理推進計画」の策定が終わっております。それぞれの計画は、動物愛護管理基本指針に即して、普及啓発や適正飼養の推進、動物取扱業の適正化、実験動物・産業動物の適正な取扱い、こういったものを地域の実情に踏まえて目標・取組を明記しております。犬・ねこの引取り数や殺処分数の減少につきましては、45の都道府県が具体的な数値目標を明記しております。それから、動物愛護推進協議会につきましては、昨年度末で30の都道府県が設置済みで、今後、さらに9の県が設置を予定している状況でございます。
 私からは以上です。

【林部会長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご報告に、ご意見あるいはご質問はありませんか。
 佐良委員、どうぞ。

【佐良委員】 意見とか質問とかではなく、9番の人材育成に関してお願いを申し上げたいのですが。
 ある県の動物管理センターでは、譲渡された犬たちと飼い主さんとの関係が良くなるように、譲渡した犬たちの飼い主さんを集めて、職員の方がしつけ教室をやっておられます。これはすばらしいことだと思っています。また、事前に、うちに職員の方が見えて、いろいろなトレーニングの方法などを勉強されることもすばらしいので、ぜひ続けていただきたいと思っておりますが、毎年、見える職員の方が違います。年々年々、やる気のない人が回されてきます。やる気のある人たちは、苦情の電話番しかやらせてもらっていないそうです。ぜひ、やる気のある職員の方たちをこれの専門職にしていただきたい。しつけの指導は向き、不向きがありますので、たらい回しの仕事ではないと思うのです。その専門職に一生懸命やる気のある人たちが、電話番しかしていなくて、どんどんやる気を失っています。また、やる気のない人がインストラクターとしてしつけの指導とかをやると、間違った指導方法でも堂々と通ってしまいます。私も年に一遍、しつけ教室の最後のときに伺って、犬たちがどうなっているかというのを見せていただきますけど、えっ、どうしてこうなっちゃうの、というようなことがたくさんございます。
 それと、チョークチェーンやピンチカラーの使用不可であるとか、犬具やトレーニングの方法に関して、きちんとした指針をぜひ提示していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【林部会長】 臼井委員、どうぞ。

【臼井委員】 資料の2-3、13ページに、「流通・販売日齢について」というグラフがございます。生産業者から小売業者に渡る、要するに、犬が産まれてから一般消費者の手元に行く日齢についてですが、50日未満のものが非常に多いなということを改めて感じております。50日未満で母犬と別れた犬は、その後、不安傾向が非常に強いというデータや論文が世界的にたくさん出ております。それにもかかわらず、約90%以上がそのような子たちだと、その後、いくら適正飼養で皆さんがすごく頑張られても非能率的なことであるとしみじみと感じたわけであります。この点をもう少しうまくすると、もっと楽になるのではないか、引取りも少なくなるのではないかなと感じました。

【林部会長】 はい。青木委員。

【青木委員】 事実の確認を一つ、それから、質問を一つしたいと思います。
 今、文章で説明していただいた6ページと7ページで、6ページの一番下に、動物愛護推進協議会は、全国で42協議会が設置されているというご説明がありました。それから、7ページの一番下には、動物愛護推進協議会については、平成21年3月末現在30都道府県が設置済みとあります。前者の42協議会というのは、この30を含んでいて、中核市とかそういったものを足すと42になるという意味でしょうか。

【事務局】 6ページ目の下の42というのは、内訳としては都道府県が30、そのほかの自治体が12ということになっております。

【青木委員】 含めてですね。わかりました。
 それから、もう一つは質問ですが、グラフの方の13ページに円グラフがございますが、そこで一番下に、「流通外動物の取扱いについて」というのがございます。そして、大変大きなパーセンテージを占めているのが、「生産業者に返却・譲渡した」、あるいは、「その他の動物業者に譲渡した」ということで終わっているかのように読めるわけですが、この譲渡あるいは返却された後どうなるのだろうという素朴な疑問が生じました。これはもう一回販売される可能性があるとしたら、今、別途説明なさった販売の頭数に入っているのか、あるいは、ここから先はとにかく追跡不能なのかということについて、もしわかったらお教えいただきたいと思います。

【事務局】 実は、この返却・譲渡した後どうなっているのかということまでは、今回の調査ではわかりません。今回の調査を踏まえ、今後、検討していくところでございます。

【青木委員】 ありがとうございます。

【林部会長】 それでは、太田委員、そして、永村委員。

【太田委員】 今の流通外の後の部分で、犬に関しては46.8%が生産業者に返却・譲渡したという項目ですが、お店で販売されずに大きくなってしまうと、ほとんどの雌は繁殖用としてブリーダーの方に行っているのが現状です。雄については、ほとんどお店で無償でお客さんに譲渡するのが現状です。よくマスコミ等で、大きくなった犬は保健所へ持っていくというようなことが記事になりますが、ペットショップで大きくなった犬を保健所へ持っていくということは、店員たちも、みな犬が好きで働いていますので、そんなことをしたら、店員たちはすぐに辞めてしまいます。経営者としてもそういうことを絶対すべきではありませんし、実際に、大きくなって残ってしまった犬を保健所へ持っていくというのは、ほとんどあり得ません。100%とは言いませんけども。

【林部会長】 それでは、永村委員、どうぞ。

【永村委員】 平成20年度の地方交付税の算出、積算基礎に、動物の収容等に要する経費が算入されたことは、大変画期的なことではないかと私は評価します。恐らく、地方交付税の積算基礎に追加するかどうかを巡っては、国がこういうものに助成をしていくべきかどうかを含め、財政当局との間でいろいろご議論があったことと思います。ただ、20年度を拝見しますと、45の道府県および13の指定都市等々に、交付実績があるわけであります。これらの自治体でどのような形で交付税が使われたかということを、できれば個別具体的にお聞かせ願いたいと、これがまず1点であります。
 それから、2点目として、こういった事業に対する需要が各自治体で大変強いということが徐々に明らかになってきた場合に、3.5億円はばらまいてしまえば個々の自治体に行く額としては、そう大きくないわけでございますけれども、環境省として、先々さらに一歩踏み込んだ特定の補助事業とか、そういったものまで考えておられるのでしょうか。
 それから、三つ目に、エサ代とワクチン代というのは積算基礎だと思いますが、ほかに使える用途としてどういうものがあるか。この3点について、ご質問をしたいと思います。よろしくお願いします。

【林部会長】 それでは、答えていただけますか。

【安田動物愛護管理室長】 実際に何に使われているかについては、後ほど事務局から説明しますが、メニューとして、ワクチンとエサ代となっているので、ほとんどそれに限られていると思います。
 補助事業をこれからどうしていくかということですが、今年度からの事業として、譲渡推進のための施設の補助というのが始まっています。これは各地にある、いわゆる動物愛護センターなどで譲渡を推進していくためにふれあいの場をつくるようなところに、事業規模としては2億円になりますけれども、2分の1補助で1億円の補助をするということです。今のところ、そのぐらいの予算を考えています。

【事務局】 私の方から、用途についてご説明いたします。
 これについては、20年度の実績と21年度の予定ということで、各自治体に協力いただきました。用途といたしましては、室長からご説明いたしましたとおり、エサ代・ワクチン代がほとんどということになっています。ワクチン以外の薬品に使ってるところもありますが、大多数はエサ代とワクチン代ということになっています。

【林部会長】 ありがとうございました。
 よろしいですか。では、兵藤委員。

【兵藤委員】 交付税の使い方を聞きたかったのですが。エサとワクチン代なんて、大した金額じゃないのです。ですから、収容中、つまり殺処分される前の福祉に、ぜひ、お金を使っていただきたいです。たとえば、コンクリートの冷たい床で死を待つという状況がありますので、床暖房にするためにお金を使わせてほしいなと思います。
 それから、多頭飼育の件です。これはマスコミで取り上げられてから各自治体が動くということがよく見受けられますが、なるべく早く自治体が入っていただきたいと思います。また、動物取扱業者であるブリーダーさんが倒産したことがあります。感情に負けて動物を集め過ぎてしまうことが原因の一つだと思いますが、これには全くの規制がないのです。多頭飼育に登録を課せるとか、何か立ち入り検査がしやすい状況をつくらなければ、いつまでたっても不適切な多頭飼育は無くならないと思います。
 それから、不適切な動物取扱業者の中に、獣医師という文言が出ています。動物病院が倒産するということは余りないのではないかと思うのですが、そこから出てくる動物が不適切だったのか、そこのところを説明していただきたいことと、それから、幼齢動物につきましては、以前、検討会を設けてというようなお約束がなされていたのですが、そのあたりは今後どのように展開していくかについてお示しください。

【林部会長】 はい。

【安田動物愛護管理室長】 まず、最後の多頭飼育についてです。今の法律の枠組みの中でも、都道府県が必要に応じてそこに行って、命令などをかけられるようになっています。ですから、何か問題が生じるあるいは生じそうになっているというときの対応はできるようにはなっていると考えています。けれども、今おっしゃったのは、その前の段階のことだと思います。今回、こういうアンケートをとってみたのは、現状を把握しようということです。法施行後5年を目途に必要な見直しをするというようになっていますので、現状を把握した上で、検討会なりをやっていきたいと思っています。

【兵藤委員】 不適切な動物取扱業の中に、「獣医師」という文言がどこかに出ていたんですけれども。

【太田委員】 「多頭飼育の現状」の一番下のところですね、この。

【兵藤委員】 それ、どこにありましたか。

【永村委員】 ここの5ページ。

【安田動物愛護管理室長】 はい、調べてからお答えします。

【林部会長】 ほかにございますか。よろしいですか。どうぞ。

【佐良委員】 多頭飼育に関してのお願いというか、あるご提案をさせていただきます。
 私も多頭飼育をしております。ねこが70と、犬が大分高齢化して減ってまいりましたけど、それでも40はおります。
 誰かの尻ぬぐいのために、その犬がかわいそうだから拾うわけです。けれども、これに狂犬病の注射を打って登録まで全部すると多大なお金がかかります。うちは繁殖はしておりませんが、保護するだけでもどんどん増えていきます。こういう事例は少なくはないと思います。
 そこで、例えば、犬を保護した場合、それを役所なり保健所なりに報告をしたならば、1年なり2年なり期間を決めてワクチンを無料で打ってあげるなど、拾った方の負担を軽減するというような法律でもあればいいなと思います。 

【林部会長】 はい。大変難しい問題ではありますが、先ほど永村委員も話していましたように、どこまで国が面倒を見るのかという問題があります。
 今は地方自治体の自主性を非常に尊重する行政体系になっています、この中で、国が指針をつくり、その指針に基づいて各都道府県、地方自治体が計画をつくっています。それについては、資料2の最後で、全部の都道府県の計画が一覧表で添付されています。こういうものが出てくるというのは10年前には全く信じられなかったことです。一覧表というのは、それぞれの都道府県の取組を比較できるところがすばらしい。
 動物愛護管理行政に携わっている職員の方は、大変苦労されておられる中で、一日でも長く、飼い主が見つかるまで置いておけないのかという要望が高まる中で、国がエサ代とワクチン代を出したということです。これについては、そんなにまでする必要はないという意見はまだ出てきていないので、これは成功したのではないかと思います。
 それから、置かれている場所あるいは新しい飼い主と引き合わせる場所に使う建物の整備に対し、1億円ですか、国が半額を出すということについても、恐らく、そんなに国が出す必要があるのかというようなクレームは来ないだろうと思っています。このように、何もしないのではなく、どんどんやっていきながら、今、佐良委員がおっしゃったような、多頭飼育を、個人のレベルでしなきゃいけないということがないような状況に持っていきたいわけです。けれども、すぐさまできるわけでもないことが残念なところではないかと思います。
 私からもお聞きしたいのですが、資料2-2のところやグラフにも書いてありますが、内閣府の調査で、平成15年度で50%以上の人が動物愛護管理法を認知していて、平成21年度は79.3%、ほぼ80%の人が認知しています。これは、憲法第9条よりも認知しているようで、本当かなという感じがするぐらいなのですが、このアンケートのとり方は正しいのですよね。この数字が本当であってもらいたいという願いです。

【安田動物愛護管理室長】 やり方としては無作為抽出でやっていますので、データ自体が作為的なものではないと思いますが、名前だけしか聞いたことがないという人や、中身まで十分把握していないがそういう法律があるということは知っている、というような人もかなりいる可能性はあると思います。

【兵藤委員】 ちょっといいですか。法律ができる前は、メディアは新聞でもテレビでも、みんな器物損壊でした。今は、各新聞もテレビもみんな、動物愛護法違反というふうに出していただいているものですから、これによって、国民の間には認識が高まったのではないかと僕は思っているのですが。

【林部会長】 青木委員、どうぞ。

【青木委員】 認知度の高まりということについては、私自身も、個人としては感じているところで、今、兵藤先生がおっしゃったようなことは、確かに影響していると思いますね。
 それから、法学部で私は教師をしておりまして、法律の認知度を上げるすべについて申し上げますと、一つには、六法に載っているかどうかが大きいのです。法学部の学生が使うコンパクトな六法がいろいろな出版社から各種出ております。それに、日本中の法令を載せるわけにはとてもいかないので、非常に重要、あるいは、生活に密着していると思われる法令を編集者が選んで載せています。そして、六法には、今後載せてほしいと思う法令について教えてくれ、などというアンケートのはがきが入っていたりします。つまりそれは、毎年、取捨選択をして、新しい重要な法律は載せるし、もう余り重要度がないものはわざわざ六法には載せないということです。ですから、例えば、環境省の方で、こういうのをぜひ載せてくれというような働きかけを編集者にするとか、あるいは、環境省がやるのではなく、思いついた方がそういう要望をするというのも一つの手かなと思います。ちなみに、私の同僚で、法哲学の教授で、毎年、動物愛護管理法を載せろと言っている方もいます。

【林部会長】 それは大変貴重な情報をありがとうございました。
 どうぞ、奥澤委員。

【奥澤委員】 今の関連で、確認というか、もしわかったら教えてください。
 今、話題になっている認知度のところの、無作為抽出ですが、サンプル数2,468というのは回答数ですか。そもそも無作為抽出した母数があって、そのうちの、回答してきたものが2,468で、認知度がこれだけ高かったという理解でよいのですか。そうすると、無作為抽出の段階ではバイアスはかかっていないと思うのですが、回答してきたところがある程度バイアスがかかった集団でのサンプル数になっていると、また評価の仕方も変わってくるかと思うのです。その辺について、もしわかりましたら。

【事務局】 この具体的なやり方は、大手のインターネット会社のホームページの中に、アンケート調査のページがありまして、そこに載せると閲覧した方が独自にアクセスしていきます。その際、日本の地区のあるブロックは何件まで、あるブロックは何件までというように全国での数と年齢層等、偏りが少なくなるように決めまして、大体2,000以上が集まるように最初にセットしています。つまり、閲覧者がアクセスしていって、ここでは約2,500ですが、この数に達したところで締め切っています。ですから、確かに数値自体は8割ぐらい認知しているとはいえ、実は全く興味のない方はアクセス自体しないかもしれませんが、そこはわかりません。いろいろな集計方法があると思いますけれども、今回はそういうやり方で集計しているデータです。

【林部会長】 ありがとうございました。
 ただ、もう一つ重要なのは、これは図の方ですけど、認知度が年々上がってきているという図がどこかにありましたよね。これは資料の2-3の2ページ目の最初の図です。平成12年からずっと連続して上がり、79.3%にまでなっています。これは相対的に言えば、やっぱり関心度の高まりを、ある程度反映していると考えていいのでしょうね。
 佐良委員、どうぞ。

【佐良委員】 2-2の資料の1番のところで、普及啓発というのがございました。その中でご説明いただきましたが、パンフレットとかの中に、あるいはポスターの中に、動物を捨てるということは犯罪ですよ、というふうなのもお出しになるということを伺いました。ブリーダーの罰則というのはございますか。例えば、食堂で食中毒を出したら、何日間の営業停止とかございますよね。悪い質の、例えば、ひどい股関節形成不全のラブを出してしまったなどブリーダーさんに対する罰則はないのでしょうか。

【安田動物愛護管理室長】 自治体が動物取扱業者に対して命令をかけた後で、それに従わなかった場合については、罰則はあります。

【佐良委員】 動物を捨てる人に対しての罰があるのであれば、クオリティーの低い動物を世に出さないために、ブリーダーさんにもう少し厳しい措置をつくっていただきたいと思います。

【林部会長】 はい。ありがとうございました。
 これから動物愛護管理法そのものも、それに基づくいろんな施策についても、まだまだ発展途上でありますので、この部会でも論議してまいりたいと思います。

【安田動物愛護管理室長】 先ほどご質問があった獣医師の件ですが、1件で、苦情内容は鳴き声とか悪臭。10頭以上飼育していた獣医師がいたらしいということです。

【兵藤委員】 はい。

【林部会長】 ほかにございますか。大体の論議は出尽くしたかと思うんですが。

(なし)

【林部会長】 それでは、この辺で審議を終えたいと思います。
 最後に、その他ということで、事務局から何かございますか。

【安田動物愛護管理室長】 特段、ございません。

【林部会長】 はい。委員の皆様から、何かその他でありますか。

(なし)

【林部会長】 よろしいですか。
 それでは、これをもちまして、本日の動物愛護部会の議事をすべて終了いたします。ご協力ありがとうございました。
 事務局にお返しいたします。

【事務局】 委員の皆様方におかれましては、本日はご多忙のところ、おいでいただきましてありがとうございます。
 これをもちまして、動物愛護部会を終了させていただきます。
 本日はどうもありがとうございました。