中央環境審議会動物愛護部会(第8回)議事録
日時
平成16年3月29日(月)午後2時00分~午後3時51分
場所
環境省 第一会議室
出席者
竹内 啓 | 部会長 | ||
今泉 忠明 | 委員 | 大槻 幸一郎 | 委員 |
小川 益男 | 委員 | 菅谷 博 | 委員 |
杉山 公宏 | 委員 | 中川 志郎 | 委員 |
中川 李枝子 | 委員 | 兵藤 哲夫 | 委員 |
前島 一淑 | 委員 | 松下 倶子 | 委員 |
丸山 務 | 委員 | 山下 喜弘 | 委員 |
小野寺 自然環境局長 | 小沢 審議官 | ||
盛山 総務課長 | 東海林 動物愛護管理室長 | ||
上杉 生物多様性企画官 |
議 題
(1) |
パプリックコメントの実施結果について |
(2) |
展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しの答申案について |
(3) |
その他 |
配布資料
資料1 | 展示動物の飼養及び保管に関する基準(見直し素案)に対するパブリッ クコメントの実施結果の概要について | |
資料2 | 展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直し(答申案) |
参考資料1 | 展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直し素案(第7回部会資料) と答申案との対照版 | |
参考資料2 | 展示動物の飼養及び保管に関する基準(現行) | |
参考資料3 | 中央環境審議会議事運営規則(抜粋) | |
参考資料4 | 「動物の愛護管理のあり方」検討会について | |
参考資料5 | 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案の概要 | |
参考資料6 | 「移入種対策に関する措置の在り方について」の概要 | |
参考資料7 | 鳥インフルエンザ緊急総合対策等について |
議事
【東海林動物愛護管理室長】 定刻となりましたので、中央環境審議会動物愛護部会を始めたいと思います。
まず、本日の委員の皆様のご出欠についてご報告いたします。
本日は、委員15名のうち13名の方が出席しておりますので、規定により部会は成立しております。なお、欠席してございますのは藏内委員、関委員の2名となっております。それでは竹内部会長、よろしくお願いいたします。
【竹内部会長】 部会長を仰せつかっております竹内でございます。文字どおり年度末になりまして、本当にお忙しいと思いますが、その中をこの会議のために時間を割いていただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
ご案内のように、展示動物の基準です。これもパブリック・コメントが滞りなく終わりまして、きょうは最終案をご審議いただいて、そして答申にこぎつけたいという次第でございます。限られた時間でございますけれども、どうぞよろしくご審議を賜わりますように、お願い申し上げます。
それでは最初に、きょうは小野寺自然環境局長がお見えでございますので、ごあいさつをいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【小野寺自然環境局長】 小野寺でございます。きょうは、お忙しいところ、本当にありがとうございました。昨年の暮れから、手がけました展示動物のきょうの審議会がうまくいけば、答申をいただけるというふうに聞いております。30年近くたったものの基準の改正ですから、急ピッチでやっているところでありますが、よろしくお願いしたいと思います。
また、先週も自民党の環境部会の動物愛護関係の小委員会というのが開かれましたし、私どもの方で、動物愛護関係の検討会を年が明けてから始めたことは、もうご承知、ご協力いただいているとおりであります。
きょうも、一部ちょっと説明があるかもしれませんが、来月になったら、外来種法の我々が出している法律の審議というのが、いよいよ本格的に始まる、上旬に間違いなく審議が始まるということになっております。日程はまだ細かいことは決めていませんけれど、始まるということになっていまして、そこの一部でペット関係などが変わるという状況になっております。
これまでの国会の中でも、外来種法の審議が始まるまでは、私もそんなに出番はないかなというふうに、実は勝手に考えておりましたけれども、予算委員会その他、必ずしも鳥インフルエンザだけではなくて、自然環境局に関する質問が極めて多いという状況になっています。それも、環境委員会だけではなくて行政委員会初め、他の委員会も含めて、質問が多いということで、世の中全体のこの分野に対する関心が、相当本格的になってきているなということを、我々仕事をしながら感じているところであります。
そういう意味では、基準の見直しというのを精力的にお願いしてやっていただいている一方、もっと根本的なこともやらなければならないのではないかと、徐々に感じているところであります。この動物の愛護及び管理に関する法律がありますし、また、鳥獣保護法というのも、いつ改正するかというのが、レビューを含めてあります。また、種の保存法について一部改正というのはやりましたけれども、根本的な部分がある。そうなると、ほかの法律も含めて自然環境の保全ないし、その先に進めたものをどういう手順で、どういう内容でやっていくかということが、全体が今迫られているし、また、やらなければいけないということになっていると私は思っています。
ところで、この動物愛護法の我々にとっての難しさは、環境庁が30年前に発足してから、どちらかというと自然環境、それも原生的なものを扱う、また野生生物についても、どちらかというと、野生のものを扱うということで、いろんな意味で考え悩んで、それなりにまとめてきたという経緯があります。総理府でおやりになっていたこの動物愛護の法律を、2年前に環境省が発足したときに自然環境局で引き受けて以来、ペットという愛玩的なものと野生生物の保護保全というものを、どう理念的にも、あるいは行政の実務体系の中で整理をするかということは、実はなかなか言うべくして難しいテーマであると思っています。
完全にできるかどうかは別にして、我々がこれから何年間のうちに、冒頭で申し上げましたようなことを、皆やらなければいけないというふうに思っていますが、さらに本当に深い意味で、どう整理していくかというのはなかなか大変だなという気持ちも、一方で持っていることも事実でございます。
そういった中で、基準の議論をしながら、折に触れ、委員の皆様の謦咳に接することができると思います。我々はそういう意識を持って、今後ともやるつもりでおりますので、どうか、きょうのご審議だけではなくて、あわせて全体の議論なり、ご協力をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【竹内部会長】 どうもありがとうございました。今、局長がおっしゃいましたように、確かに動物を含めた自然環境全体についての法体系というものは、最初からあるビジョンがあってつくられたものでは多分ないと思いますので、今の時代になってみれば、これからこの21世紀を考えたときに、どうするかという非常に体系的な考え方のもとに整理する必要があるのだろうと思っておりました。そういう意識を環境省はきちんとお持ちで、これからその法体系の整備にまで踏み込むことは、大変難しいことだということはよくわかっているだけに、動物愛護に関心を持つ我々といたしましては、大変心強いエールだったと思います。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
それでは、議事を進めることにいたしまして、最初に資料の確認を事務局の方から、お願いいたします。
【事務局】 配付資料の確認をさせていただきます。ちょっと見づらいかもしれないのですが、資料は1冊にまとめさせていただいております。下の方に資料の種類名と、資料のページを個別につけてございますので、そちらの方で参照をしていただければというふうに考えております。落丁等ありましたら、事務局の方までお申しつけください。
【竹内部会長】 いかがでございましょうか。全部そろっていますでしょうか。
では、よろしいようですから、進めさせていただきます。
それでは、議事の1番目にまいります。パブリック・コメントを実施したわけですが、そのパブリック・コメントの実施結果の概要についてということと、議事の2番目に展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しの答申案についてというのがございますが、これは両方大いに関係しておりますので、事務局から一括してご説明をお願いしたいと思います。それでは、よろしく。
【東海林動物愛護管理室長】 それでは、パブリック・コメントの実施結果と基準の見直し概要の説明をさせていただきます。失礼して座って説明させていただきます。
まず、お手元の資料の資料1.パブリック・コメントの実施結果の概要についてというページをお開きいただきたいと思います。前回第7回の審議会で、展示基準の見直し案の素案をご議論いただきました。いろいろなご意見をいただきまして、ありがとうございました。それを公表いたしまして、国民の皆様から広く意見を聞くというパブリック・コメントというのを1月26日から1カ月間実施いたしました。1カ月間で多数のご意見が寄せられましたので、それを集約しまして、そのうち、反映できる意見は反映することとして展示基準の見直し素案というのを改正してございます。
まず、意見の募集期間ですが、1月26日から1カ月間ということで募集をいたしました。告知方法としては、環境省のホームページあるいは記者発表という形でございます。
意見の提出方法ですが、電子メール、ファクスあるいは郵送でご意見をいただいておりまして、合計276通、つまり276人からご意見をいただいております。内訳は電子メールが239通、ファクス・郵送が合計37通ということになっております。
一昨年ご審議いただきました家庭動物等の飼養保管基準、これと比べて今回の状況がどうかということを簡単に申し上げますと、家庭動物のときには、意見数が227通、227人ということになっております。
それから、1通の意見でも、複数の箇所を直すといいますか、修正意見を言っておられる方もいらっしゃいますので、今回の場合は276人で、1,254件の意見があったということです。家庭動物のときには227通で、627件のご意見でございました。人数的にも、意見の件数としても、今回の方が家庭動物のときよりも多くなっております。
では、意見の概要ですけれども、全般的に、基準の各項目、共通基準からペット販売店、それから動物園、そういったものを限らずに、基準の各項目にわたって多くの意見がございました。ただし、その中でもあえて申し上げれば、特に販売動物、ペットショップですとか、繁殖、ブリーダー、こういったものに関するものが多かった傾向にございます。
それから、ちょっとある意味残念なことだったのですが、この展示基準の見直しを動物愛護管理法の改正と勘違いされたのかよくわからないのですけれども、意見を寄せられた方が多数おいででした。本日の参考資料4に掲げましたとおり、あるいは局長のあいさつでもご案内しましたとおり、本年2月から「動物の愛護管理のあり方検討会」というものを、自然環境局で開催しております。
これは、平成11年に改正された動物愛護管理法につけられた、「施行後5年を目途として、施行状況をレビューすべきである。」との附則を踏まえて、政府なりにもといいますか、環境省なりにも、施行状況について勉強をしなければいけないということで、局長の私的な懇談会という形で設けさせていただいておる検討会でございます。こちらの方とパブリック・コメントの実施時期が多少重複しておりましたので、この辺をちょっと勘違いされた方がいたのではないかなというように思っております。
それから、この検討会ですが、法律の改正案といったものを検討するような性格・目的の検討会ではございません。あくまでも、平成11年の改正法の附則に基づいて、改正法の取組み状況といいますか、施行状況をレビューするといったところを主眼に据えた検討会ということになっております。
それから、各項目に寄せられた意見数の内訳ですけれども、目次ごとに整理してみますと、資料1のようになってございます。基準全体が118件、第1一般原則が130件というようになっておりまして、この比較で見ますと先ほど申し上げましたように、販売に対する意見数が比較的多いような傾向にあったかと思います。
それから、1枚めくっていだきますと、それぞれのいただいた276人、1,254件の意見を表の形で整理してございます。向かって左欄がいただいた意見の概要、これはポイントのみを記載しております。それから向かって右欄が意見に対する考え方、これは今回の環境省の考え方といいますか、展示動物の基準の見直し案に対して、この意見をどういうふうに考えたかということでございます。それから一番左の右側の欄です。数字が入ってございますけれども、これが意見の件数ということになってございます。
せっかくいただいたご意見でございますので、縷々ご説明したい気持ちはやまやまなのですが、何分多数の意見が寄せられておりますので、ここではこの表のご説明は省略させていただきたいと思います。ただし、この中で、ご参考にさせていただきたい意見というのは、展示基準の見直し案、これに反映してございます。この後で、見直し案を説明させていただきますが、そこで主なご意見と、それに対してどういうように見直し案を修正したかというのを、ご説明させていただきたいと思っております。
意見の表をずっとめくっていただきますと、次に資料2としまして、展示基準の見直し(答申案)がございます。こちらが前回ご審議いただいた素案、それに対する委員の皆様方からのご意見、それからパブリック・コメントで出されましたご意見、それから改めて環境省の内部での法令用語のチェックをしました結果、それを踏まえて、最終的にこういう形がいいのではないかということで修正したものでございます。きょうはこの資料をご審議いただきまして、できれば答申案という形でおまとめいただきたいと考えております。
これは答申案でございますので、前回の第7回動物愛護部会からどこをどういうように直したというのが書いてございません。この資料2の次に参考資料1というものがございまして、委員の皆様のお手元には、赤字と黒字で見え消し版になっている資料があるかと思います。こちらが、前回の第7回動物愛護部会から変えた部分を見え消しで説明しているものでございます。きょうは、この参考資料1に従いまして、パブリック・コメントのご意見、あるいは前回先生方からいただいたご意見を踏まえて、どこをどのように直したかというのを説明させていただきたいと考えております。
前回も同じようなものをお付けしましたが、最初に簡単に説明させていただきますと、下線部分、先生方の資料の方は、赤字で書いてございますけれども、これは前回の案に追加した部分でございます。それから、二重線で消した部分、これは前回の案から削除した部分ということになっております。
目次は、ちょっと説明を省略させていただきまして、2ページ目から説明をさせていただきます。まず、参考資料1の2ページ目、第1一般原則でございますが、最初の3行目、基本的な考え方としまして、「管理者及び飼養保管者は~」というふうに直してございます。これは、以前は「飼養者」と申し上げていたのですけれども、法律の表現が、「飼養及び保管」になっているため、こちらの表現の方が法令上は妥当であるということで、「飼養保管者」に直させていただいたものでございます。
これにつきましては、生きている動物に保管という用語を余り使い過ぎるのはいかがなものかというご意見もあろうかと思いますけれども、基本的に動物愛護管理法では、飼養と保管というのを分けて表現しておりまして、飼養と申しますのは、給餌給水など動物の生存や繁殖に必要な世話をすること、これを飼養というような意味合いで使っております。
対して保管と言いますのは、生息施設の提供など、動物を一定の施設や場所で飼養することを保管というように考えております。人間の場合、衣食住という言葉がありますけれども、動物の場合衣がありませんので、食と住に分けて食中心の飼う方を飼養といい、住む方を保管というふうに言いあらわしているというようにお考えいだければよろしいかと思います。
こういった意味では、一般社会で使われている用語とはちょっと違うところがあるかもしれませんけれども、動物愛護管理法が飼養及び保管ということで使っておりますので、その辺はご容赦いただきたいと考えております。
それから、2行目で「~飼養及び保管の環境に配慮しつつ、~」として、「質」を削ってございます。これは「質」だけではなくて、環境の中には量も入れば、いろんな特性も入るということで、すべてを言いあらわすということで、「質」という文言を削ってございます。
それから、2動物の選定の段落の4行目ですが、「保護増殖事業」の「事業」、これを削っております。「保護増殖事業」といいますと、種の保存法の固有名詞のようなニュアンスが出ますので、これを削ったものでございます。
それから3行ほど下にいきまして、「人への危害及び環境保全上の問題等」とありますけれども、これは基準全体について用語を見直してございます。人への危害、環境保全上の問題、これは動物愛護管理法の目的から照らして、両方ともセットで使うべきであろうということで、全体についてこの表現を見直してございます。
それから3計画的な繁殖等ですが、後方の3行目「さらに、遺伝性疾患が生じるおそれのある動物を繁殖の用に供さないように努めるとともに、遺伝性疾患が生じるおそれが高いことから、過度な近親交配を行わないように努めること。」を、パブリック・コメントのご意見を踏まえまして入れたところでございます。こういった近親交配を含めました遺伝性疾患の防止措置というのは、基本的に基準の中に盛り込んでおったつもりなのですけれども、より明確にわかるようにという形で書いてございます。
それから4終生飼養等でございますけれども、終生飼養の段落の最後「~を与えない適切な方法を採るともに、獣医師等によって行われるように努めること。」とし、「獣医師等によって」を追加してございます。これは、やむを得ない場合の安楽殺処分でございますけれども、安楽殺処分の場合には、専門的な知見が必要、あるいは専門的な特殊な薬剤も使用するため、専門家によるところがまず基本であろうということで、獣医師等ということになっております。「等」の中には、畜産関係の専門家の方もいらっしゃいますので、獣医師だけではないということで「等」となっております。
それから、3ページに移りまして、第2定義の(2)展示のところ、これは前回小川先生と関先生から、陳列という用語は生きている動物にとってはいかがなものかというご意見をいただきましたので、「見せる」と直してございます。
それから(5)管理者でございますけれども、(販売動物の販売を仲介する者を含む。)というのを追加してございます。これはパブリック・コメントの意見を踏まえまして直したところでございまして、施設を持たないインターネット販売のようなものを念頭においています。こういったものをきちんと含んでいることが、より明確にわかるように修正、修文をしてございます。
それから、第3共通基準の1(1)アでございますけれども、「及び給水」を追加し「給餌及び給水方法」としてございます。これは、全体を通じて、給餌と給水について片方だけ出てくるというように整っておりませんでしたので、前回の杉山先生のご意見を踏まえまして、全体に修正をさせていただきました。
それから、次のイの2行目の「若しくは負傷し」の追加でございますけれども、これはパブリック・コメントの意見を踏まえて直したところでございます。健康管理が必要なのは、あるいはその予防が必要なのは、疾病に限らず当然けがもあるだろうということで、「負傷」を追加しているものでございます。
それから、次の4ページに移りまして、(2)施設の構造等でございます。上から10行目になりますけれども、「次に掲げる要件を満たす施設の整備に努めること。」など、全体的に表現を整理してございます。これは、前回の部会で、中川先生からご指摘いただいたところで、この基準がミニマム基準であるようなニュアンスがより出るように直した方がいいというご指摘を受けて、まだ不十分かもしれませんけれども、直させていただいた部分でございます。
それから4ページの下の方にいきまして、下から8行目ですが、2生活環境の保全から「人の」を削ってございます。これは前回の小川先生のご指摘を踏まえまして、生活環境の保全というのは、人の生活環境だけではなく、動物の生息環境、生活環境というのも十分に気をつけるべきというご指摘をいただきましたので、この生活環境の保全は、人と動物の両方の生活環境の保全という意味になるように修正をさせていただきました。
それから、5ページの下の方、4動物に起因する感染性の疾病に係る知識の習得等でございます。これは前回丸山先生からご指摘をいただいたのですが、感染症対策の目的をはっきりするとともに、その内容として排せつ物についても考えるべきというご意見をいただきましたので、だれのための感染症対策であるかが明確になるように、「飼養保管者は、~、自らの感染のみならず、観覧者への感染を防止するため、」というところを追加しましたのと、「~、排せつ物等を適切に処理するように努めること。」として排せつ物の処理について追加いたしております。
それから、6ページの下の方、7施設廃止時の取扱いの段落の下から2行目になりますけれども、「やむを得ず、展示動物を殺処分しなければならない場合は、できる限り苦痛を与えない適切な方法を採るとともに、獣医師等によって行われるように努めること。」としてございます。これは、パブリック・コメントを踏まえて修正したところでございまして、「できる限り」としましたのは、全く苦痛を与えないというのは現実的に無理なことでありますが、その人にとってできる限りという意味ではなく、現時点の技術水準でできる限りという意味で、「できる限り」という文言を追加してございます。
それから「獣医師等によって行われるよう」と明確にしましたのは、先ほどの安楽殺処分と同じで専門家の手によって行われることが妥当であるというように考えたものでございます。これもパブリック・コメントの意見を踏まえて修正したものでございます。
それから、7ページ目に移りますけれども、下の方、3分の1ぐらいの(3)観覧場所の構造等のイでございます。「自動車を用いて人に危害を加えるおそれのある動物園動物を観覧させる場合は、~必要な措置を講ずること。」というところでございますけれども、これはパブリック・コメントの意見を踏まえて修正したところでございます。前回の案ですと、たとえどんな動物であっても、自動車を動物園の中に入れる場合には、危険防止の措置を講じる、ということになってしまうのですが、ライオンやトラなど危険な動物だけを対象にしているわけではありませんで、ごく安全な動物を対象にして自動車を入れる場合もあるというご指摘がございましたので、これもパブリック・コメントの意見を踏まえまして、人に危害を加えるおそれのある動物園動物、この場合には細心の注意を払ってくださいというニュアンスになるように、表現を修正してございます。
それから8ページの1行目でございます。「~又は自然生態系に移入された場合に環境保全上の問題等を引き起こすおそれのある展示動物については、~」というふうに、外来種問題もパブリック・コメントの意見を踏まえてつけ加えてございます。これは展示場所を移動する移動動物園などの場合には、動物の逸走という心配があるわけですが、ライオンなどの危険動物が逃げ出して人に危害を加えるおそれだけではなく、当然このような外来種問題の発生も懸念されますので、パブリック・コメントの意見を踏まえて追加したというところでございます。
それから8ページの2販売でございますけれども、これは9ページの3撮影とともに「施設」をとってございます。これは、先ほどもご説明しましたように、明らかに施設を伴わない場合、例えば、インターネット販売のようなもの、あるいは路上で販売しているような場合ですとか、そのような場合もありますので、施設における留意事項、配慮事項ということに限らず、販売・撮影に当たっての留意事項、配慮事項というように直してございます。
それから、8ページの一番下から9ページになりますけれども、オとしまして「必要に応じて、ワクチンの接種後に販売するとともに、その健康管理並びに健全な育成及び社会化に関する情報を購入者に提供すること。また、ワクチン接種済みの動物を販売する場合には、獣医師が発行した証明書類を添付すること。」という一文を追加してございます。これはパブリック・コメントの意見を踏まえまして、ワクチンの接種に関する規定が、なかなか読みづらい、弱いじゃないかというご指摘をいただきましたので、追加したものでございます。
以上が、前回の第7回動物愛護部会から今回答申案に至るまでの主な修正点でございます。説明を省略させていただきました細かいところ、赤字版で見ますと、まだ結構ありますが、基本的に内容が変わりませんで、表現ぶり字句修正のレベルにとどまっているものというところになってございます。
今、見え消し版で、かなり端折って説明をさせていただきましたので、全体の流れといいますか、意味、内容が非常にとりにくかったかなと思います。ちょっと時間をいただきまして、資料2の展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しの答申案、これを朗読させていただきたいと思います。
【事務局】 それでは、資料2に基づきまして、朗読をさせていただきます。
展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直し(答申案)、目次については割愛をさせていただきます。資料2の2ページをおあけください。
(以下、資料2を朗読)
【東海林動物愛護管理室長】 以上でございます。1点だけ読み方で訂正させていただきます。5ページ目の上の(2)有毒動物の飼養及び保管ですが、毒蛇(どくじゃ)とお読みしましたが、毒蛇(どくへび)でございます。固有名詞ではなく、毒を持った蛇、一般名詞ということで使わせていただいております。
以上でございます。
【竹内部会長】 ありがとうございました。大変細かくご説明いただきました。ただいまご説明のあった展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直し(答申案)につきまして、パブリック・コメントの実施結果も含めまして、ご意見、ご質問をいただきたいと思います。ちょっと時間が予定よりおくれておりますので、できるだけ簡単に要点を絞ってご質問いただければ幸いでございます。いかがでございましょうか。
大変細かいご説明があったので、大部分の方は、おわかりいただけたのではないかと思います。先ほど、事務局からもご説明がありましたように、この答申案は、既に前回のこの部会で、皆様方からいただいたご意見を踏まえ、さらには、そのパブリック・コメントのいろいろな反応も含めながら、修正をしながらつくり上げたものでございます。
このパブリック・コメントは、細かいところまで、まだお目を通しになる時間がなかったかもしれませんが、大変たくさんございました。私はこれに目を通してみまして、個人的に非常に印象深かったのは、批判のための批判というものも中にはございましたけれども、そうではなくて、かなり建設的なご意見が、小さい言葉の修正に至るまで非常に多かったということだと思います。そういうこともありまして、随分たくさんのご意見を、そのままということではありませんけれども、この答申案をつくるに当たって利用をさせていただいたと思います。全体で何カ所ぐらいありましたか。
【東海林動物愛護管理室長】 意見が重複しておりますので、おそらく延べ数で百数十件にはなろうかと思います。
【竹内部会長】 そういうご意見を踏まえてつくりましたのが、答申案というところでございまして、これは非常にいいことじゃないかと思うのですね。パブリック・コメントの意味もございます。もちろん、先ほど事務局からご紹介がございましたように、このパブリック・コメントを動愛法の改正と勘違いをされたり、あるいは、今回は基本的に法第5条を踏まえての基準の見直しなのですが、例えば罰則であるとか、法律本文にまで踏み込んだご意見もありました。これは、この前の家庭動物のときも同様でございまして、皆さんの熱心の余りの多少のフライングであろうかというふうに思っております。
今回もいろいろご意見があって、事務局が回答しておりますが、その中にはいずれ作成する解説書の中で、この点については触れたいというお答えが随分たくさんあったかと思います。これについては、これから解説書をつくられる段階で、事務局でもよくご検討をいただいて、そういうご希望に添えるような解説書ができればいいのではないかと思っております。それから、この基準の枠を超えている分につきましては、また、いずれ動愛法の改正を検討する段階で、考えることができるのではないかと思っております。
ちょっと違うことになりますが、このご意見の中で非常に多かったのが、野生動物を広く保護する話とか、いろいろな問題が随分たくさん出てまいりまして、今回は対象外のご意見ではあったものの、やはりそれに対してのご関心が非常に強いのだなということを感じました。
さて、広くご意見を入れながらつくり上げた答申案でございますが、いかがでございましょうか。何かご質問、ご意見ございますでしょうか。
どうぞ、お願いします。今泉委員。
【今泉委員】 幾つかあるのですが、最初の一般原則のところの最後に終生飼養等とあります。
【竹内部会長】 すみません、どの資料で何ページとおっしゃってくださいますか。
【今泉委員】 資料は、見直しの答申案ですね。それの2ページの一番下です。4終生飼養等とありますね。この中で、動物を遺棄してはいけないとか、そういうことを言わなくてもいいのでしょうか。つまり、できるだけ生存の機会を与えるように努めることとありますと、例えば飼いウサギを殺すのは忍びないので野に放す、生存の機会を与えるのだという人が結構いるのですね。ウサギとか猫ですね。殺すよりは山に放して生かした方がいいという人もいまして、捨ててはいけないということをどこかで触れた方がいいかなと思ったのですがね。
【竹内部会長】 では、一つ一ついきましょうか。東海林室長よろしいですか。
【東海林動物愛護管理室長】 動物を捨ててはいけないという趣旨のところは、2動物の選定ですとか、もちろん4終生飼養等、あるいは後ろの方にいきますと、第3の3(3)逸走時対策ですとか、そういうところで書き込んでございます。動物愛護管理法で、動物の虐待と動物を捨てること、これは禁止になっておりまして、逆に言えば、余り明々白々なことを基準にストレートに書き込むのはどうかといいますか、当然のことでございますので、むしろ虐待をしてはいけない趣旨や内容、遺棄をしてはいけない趣旨や内容など、それをかみ砕いて展示の基準では書かせていただいたという整理になってございます。
【竹内部会長】 よろしゅうございますか。では、次をどうぞ。
【今泉委員】 それと次に、3ページ目の第2定義の(1)、ここに「動物」という定義で哺乳類、鳥類又は爬虫類に加え、最近は両生類まで含めた方がいいかなという気がするのですが、いかがでしょうか。
【竹内部会長】 これにつきましては、この部会でもご討議いただいたところですが、東海林室長、では整理をお願いします。
【東海林動物愛護管理室長】 すみません。前々回、前回とご討議いただいたのですが、基本的には哺乳類、鳥類、爬虫類、これにさせていただきたいというふうに思っております。その理由は二つございまして、まず一つは、法律に定めのある動物取扱業、これは届出規制なのですけれども、これとの整合性を図るというところでございます。平成11年の法改正で、動物取扱業の届出が規制として盛り込まれましたけれども、こちらの方が哺乳類、鳥類、爬虫類というところになってございます。
もう一つの理由は、平成11年の法改正の前後も含めまして、動物の種類ごとの取扱い量というものを調べましたところ、これは前々回資料をお示ししましてご議論いただいたんですが、哺乳類、鳥類、爬虫類以外のものについては、量的にも全体的に見て僅少であって、年次的な変化というものが余りないというところで、哺乳類、鳥類、爬虫類、現時点ではこれが適当であるというように判断させていただいたものでございます。
【竹内部会長】 よろしゅうございますか。
【今泉委員】 もう一つだけいいですか。最近新聞によると、鹿の害を防ぐためにライオンのふんをまく、ふん尿ですね。最近、和歌山と静岡でやっていますが、排せつ物をそうやって野原にまくということをどうするかというか、ここで触れるべきなのかということなのですが。
【竹内部会長】 これはなかなか難しい話になりそうですが。どうぞ、総務課長、お願いします。
【盛山総務課長】 有害鳥獣対策ということで、我々鹿ですとかイノシシですとか、そういうことをやっております。それで、ここでご議論いただいている動物愛護管理法の対象とはちょっと違うというふうに思っています。また、特に本日お諮りをしております展示動物の基準ということではないと考えております。
いずれにしろ、有害鳥獣対策については、いろいろご議論がございまして、野生生物の保護という観点と、あるいは農産物その他の被害の防止という両方の観点その他からの検討は、今それなりにやってもおりますところでございますので、鳥獣法の体系、別の法の体系その他で、対策を講じていくということで、ご理解いただきたいと思います。
【竹内部会長】 よろしゅうございます。展示動物とは直接関係が少ないというところでご了承いただきたいと思いますが。
そのほかいかがでございましょうか。どうぞ、兵藤委員。
【兵藤委員】 本当に前向きな小気味よい解説で本当にありがとうございます。ちょっと僕が聞き落としたかどうかわかりませんが、いわゆる管理者と保管者ですね。飼育保管者、もう一度ちょっと解説していただきたいのですけれども。
【東海林動物愛護管理室長】 動物愛護管理法では、動物は飼養及び保管するというところで、基本的に飼養と保管ということをセットにして表現してございます。それぞれの飼養あるいは保管という言葉の意味なのですが、簡単に申しますと、その飼養は食べること、餌を上げることを中心の世話、それから保管につきましては、住環境といいますか、生息環境を整えることを中心の世話という意味で使い分けております。飼養といいますのは、給餌給水などによって、動物の生存や繁殖に必要な世話をすることという意味合いになりますし、保管と申しますのは、生息施設の提供など、動物を一定の施設や場所で飼養することといったような意味内容になってございます。
【兵藤委員】 そうしますと具体的に、そこで飼っている動物の飼養者に責任を持たせるわけなのですけれども、管理者というのはオーナーという意味なんでしょうか。いわゆる実際にいわゆるスタッフがいまして飼育をしている人とオーナーとの関係、どちらが上なのか。これ両方セットして使わないと、責任がどちらかに逃げてしまうというところもあるのですが、そのあたりちょっとお話を進めてください。
【東海林動物愛護管理室長】 ご指摘のとおり、管理者はわかりやすく言えばオーナーということで、飼養保管者というのは、動物の実際の世話に従事する従業員ということになるかと思います。ただし、小規模の例えばペットショップですと、管理者、オーナーと実際に動物の世話をする人が同一になりますので、同一人物が管理者であり、あるいはまた飼養保管者であるという二面性を持つことになります。
それで、ご指摘の管理者、飼養保管者、それぞれにその責任ですとか、業務の範囲が、役割分担が違うのではないかというところでございますけれども、基本的にそこに注意いたしまして、管理者、オーナーといいますか管理・監督者が注意すべきところ、それから管理者と飼養保管者が注意するところ、それは内容によって使い分けてございます。ですから、ずっといきますと「管理者は」というふうに主語が管理者のところだけもあれば、飼養保管者というところだけもあれば、両方、飼養保管者と管理者が主語になっているところということで使い分けてございます。
【竹内部会長】 どうして使い分けているかなと実は不思議だったのですけれども、常に併記すれば、もっと捕捉ができるのではないかという感じを受けたのです。ほかによろしいでしょうか。
【兵藤委員】 餌となる動物の苦痛を軽減させるという言葉が出てきたんですけれども、これは現実的にどういうものかなということです。観覧者の前で生きた動物を餌として与えてはいけないというのが、どこか頭の中に残っているのですけれども、そのあたりの関係は、いかがなものでしょうか。
それからもう一つ、交尾をさせて観覧者に見せているという実例があるとの情報がある。僕も確認をとっていませんけれども、週刊誌等でこういう施設があると紹介されていたと思うのですけれども、こういう考え方はどうなのでしょうか。あれは習性だと言えば習性なのでしょうけれども、習性に合わないと言えば、無理やりに交尾をさせるような状況の中で観覧をするということについては、どのあたりで捕捉できるんでしょうかね。
【竹内部会長】 今のお話は、雄、雌がいて、あるシーズンになれば交尾のシーンというのも観覧者に見られることがありますよね。そういう場合も含めてのご質問ですか。
【兵藤委員】 一つの施設の中で、それを呼び物にしてやっているということですね。いわゆる博物館みたいな状況の中で、それをセットしているという意味。
【竹内部会長】 それは、通年そういうことをしているということですか。
【兵藤委員】 そうらしいですね。
【竹内部会長】 わかりました。いかがでしょうか。先ほどの生餌の問題、それからただいまの問題を含めて、既に実際的には検討委員会の方で検討されたと思いますが、菅谷委員に伺ってもよろしいですか。特に生餌の問題は既に討議をしたように覚えておりますが。
【菅谷委員】 生餌につきましては、実際上はウサギ等を肉食獣に与えるというようなことがございますが、それを観客の前で与えるというのは、私の知っている限り日本ではまずないのではないかなと思います。すべてを把握しているわけではございません。当然健康保持のため必要に応じて、内部的にはそういうことがございますけれども、お客さんの目の前でやるというのは、ないものと思います。
【竹内部会長】 それから、ただいまの交尾の問題というのは、そういうようなことを、何というか目玉にしている施設というのはあるのでしょうか。
【菅谷委員】 いや、私は博物館については詳しくないのですけれども、動物園で、展示中に自然の形でそういうことが起こるということはございますが、この時代ですから、それが売り物というのはちょっと聞いたことがないです。
【竹内部会長】 水族園だとか、そういうところで自然にはありますよね。これは自然の姿ですから。ちょっとそこまでは踏み込んでおりませんし、事実もつかんでおりません。
【兵藤委員】 わかりました。報道等で私が感じたものですから、実際にあるのではないかと僕も感じているのですけれども、非常に少ない部分であって、問題にすることはないというようなことで解釈させていただきます。
【竹内部会長】 また、そういう問題が大きくなれば、それは対処法を考えなければいけないかもしれませんけれども。ありがとうございました。いかがでございますか。
【兵藤委員】 もう一つ、よろしいでしょうか。
【竹内部会長】 では、短時間にお願いいたします。
【兵藤委員】 闘犬、いわゆる動物を戦わせて展示するのだと思いますけれども、動物を戦わせる問題というのは、展示動物に入るのではないかとも思われるのですけれども、文化という背景があります。そういうものについての展示については、今検討している見直しのなかで、どのあたりどういうふうな解釈をすればいいのかという解説をしていただけますでしょうか。
【竹内部会長】 これもどうでしょうか。検討委員会で何か出ましたでしょうか。
【菅谷委員】 闘牛、闘犬、闘牛も同じようなことで議論がございましたけれども、ちょっと余り細かな説明は私できません。すみません。何か文化的な背景があったと思いますが。
【竹内部会長】 室長からどうぞ、お願いします。
【東海林動物愛護管理室長】 闘犬や闘牛と言いましても、いろいろなパターンがありまして、ケースバイケースの対応になろうかと思います。もし、動物園的なところで、闘犬を見せるということになれば、この基準が適用になるかと思います。場合によっては、演芸の扱いになりますので、「動物に演芸をさせる場合には、演芸及びその訓練は動物の生態、習性、生理等に配慮し、過酷なものとならないようにすること」という基準がございますけれども、これに則って適正にされるべきものではないかと思います。
【兵藤委員】 そこに当てはめて解釈すればよろしいわけですね。わかりました。
【竹内部会長】 よろしゅうございますか。杉山委員どうぞ。
【杉山委員】 2点ございます。まず、第1点は資料2の7ページです。(3)観覧場所の構造等のイ、自動車を用いて云々とありますが、将来、例えば小さな汽車とか電車、あるいは船などを用いて、観覧するようなことが起きないんでしょうか。もし、起きるということも考えられれば、自動車の次になどと加えたらどうかとこう思います。
【竹内部会長】 いかがですか。東海林室長。
【東海林動物愛護管理室長】 現時点では、動物園というところに限りましては、基本的に自動車という実態しかございませんけれども、もし将来的にそういうものが出てきた場合には、この基準は定期的に見直しをしていく所存でございますので、必要に応じて改正していきたいと考えております。
【竹内部会長】 はい。ありがとうございます。
【杉山委員】 もう一点は、これは質問ではありません。3ページ、第2定義の(3)展示動物のウです。「販売または販売を目的」の次に括弧がありますけれども、これは削除ですね。
【東海林動物愛護管理室長】 申しわけございません。これはミスでございますので削除します。失礼いたしました。
【杉山委員】 以上です。
【竹内部会長】 ありがとうございました。そのほかいかがでございますか。
中川委員どうぞ。
【中川(志)委員】 これも検討した結果で、多少気になっていたのですけれども、今もう一回見直してやはり気になったのですが、6ページの7施設廃止時の取扱いのところです。これは基本的にふれあい動物というのと、動物園の展示動物との間に、恐らく開きがあるだろうと思うのですね。例えば、動物園動物というふうに考えて限定して読むと、いささか尋常ではないのですよ。要するに、動物園を閉園して、そこでできるだけ生存の機会を与える。それで、やむを得ない場合は苦痛を与えない方法で殺処分するというふうに読めてしまうのです。実際に動物園というものを考える場合、従来閉鎖された動物園も幾つかあるのですけれども、そのときに「努める」という部分ができないので、やむを得ず例えばトラを殺処分したとか、象を殺処分したとか、そういう例は寡聞にして知らないのです。ただ、この表現でいくと、何か生存の機会を与えることが努力目標で、やむを得ず展示動物を殺処分しなければならないというときは、こういう方法でしなさいというふうになっている。これはふれあい動物と展示動物園動物とはカテゴリーが違うので、感じ方も違うという気はするのですけれども、できるだけ生存の機会を与えるように「努める」のが努力目標なのか原則なのかというのは、少なくとも動物園動物に限って言うと、かなり問題という気がしています。
それから、同じようなことですが、これも前にミニマム・スタンダードということでお話ししたので、そのときはそれでいいかなとも思ったのですけれども。4ページの(2)施設の構造等のアですが、これも30年前に、私たちが動物園の展示動物を中心にして、具体的なスタンダード、例えばライオンは広さ何平米、高さはこれぐらい、材料はこういうものでつくるというようなことを事細かに決めて一覧表にした。それは、我々としては動物たちを守るために定めたと思ったのだけれども、結果的にそれがミニマム・スタンダードではなくて、マキシマム・スタンダードになってしまった。結果として、動物たちを苦しめることになったということで、今回そういう具体的な定量的基準というものを廃止して全体的なフレームワークをつくった、この点については非常に良かったと受け取っています。
ただ、数的には見えるのだけれども、それに近い、例えばこれも動物園動物と考えてみると特に問題なのですが、自然な形で立ち上がって、横たわって、羽ばたく、泳ぐという、言うならば人間でも起きて半畳、寝て一畳というのがありますが、そういう感じのスタンダードになってしまって、これがマキシマム、これでいいのだということになってしまうと、せっかくの例示がマイナス効果しか与えないと、非常に残念な気がしたのです。この基準全体を貫いているのは、そういうものでは決してないし、よく読むとそうでないことも書いてあるのですが。
冒頭にも、「特に動物園動物については、当該施設が動物本来の習性の発現を促すことができる~」という、ただし書きがしてあるくらいで、かなり配慮されているのですが、この基準で「起きて半畳、寝て一畳」という、そういう表現が問題かと思います。これは先ほど申し上げた施設廃止時の対応と、とてもよく似ているのですけれども、このあたりが若干気になりました。
以上です。
【竹内部会長】 ありがとうございました。恐らくおっしゃるところは、まだほかにも同じようにミニマムをマキシマムにとろうと思えば、とれてしまうという表現は決して少なくないと思うのですね。というのは、これご承知のように、「ねばならぬ」とは書けないので、結局「努めること」という努力目標の指示になるのです。そうすると、とり方によっては甘いというふうにならざるを得ない。そのところは起案するに当たっては、事務局は苦労されたと思うのですが、いかがですか。何かコメントございますか。
【東海林動物愛護管理室長】 2点ございましたけれども、まず後段の具体的な基準でございます。竹内部会長がおっしゃられましたように、こういうように具体的な基準といいますか、数値のような表現が、できれば必要なところというのは全体を通して多々あるかと思います。これにつきましては、中川先生のご意見を踏まえまして、いわゆるそれさえ満たせばいいんだということにならないように、解説書を来年度いっぱいかけて作業して進めてまいりたいと思っております。
前回のように、檻はこれぐらいの大きさというふうに、ある意味固定的に出してしまうと、そういったニュアンスが非常に出ようかと思いますので、その辺は例えば優良事例の紹介ですとか、ある一例としてとか、そういったような形で工夫をしてまいりたいと思っております。
それから、廃止動物園の取扱いなのですけれども、やはりこの基準が努力規定だというところで限界はあるのですが、限界がある中で、やはり理念としては、原理原則としては、命あるものである動物、それは飼ったからには終生飼養する、所有者が変わっても、できるだけその終生飼養が確保されるように努力をするというのがこの展示基準の大原則であり、動物愛護管理法の精神であるかと思われますので、そこはなかなか現実的には難しいところがあろうかと思いますけれども、目標としていきたいと考えているところです。
【竹内部会長】 ありがとうございました。基本的には終生飼養を謳ってあるわけで、処分をするのは最後の最後というのは当たり前なのですが、今の6ページの7施設廃止時の部分というのは、あるいは法令の専門家によるとそういう表現になるかもしれません。中川委員がご指摘になりました3行目の、「~譲り渡すように努めること。また、やむを得ず展示動物を殺処分しなければならない場合は、~」となる、「また」だから並列しているととられてしまう。一般的によくある文章は、恐らく「なお」がつくだろうかなと思うのですよね。そうすれば、かなりそこのところは殺処分の方が弱くなるのです。どうですか。
【東海林動物愛護管理室長】 そうですね。「また、」この3文字を削除させていただきまして、修正したらいかがかなというように考えます。「~譲り渡すように努めること。」それから改行しまして1字下げて、「やむを得ず展示動物を殺処分しなければならない場合は~」というように修正させていただいてはいかがと思っておりますが。
【竹内部会長】 よろしゅうございますか。中川委員のご指摘のニュアンスが少しは出るんではないかと思いますが。
(異議なし)
【竹内部会長】 ありがとうございました。
そのほか、いかがでございますか。よろしければ、時間がちょっと過ぎておりますので、答申案のご審議をこれで終了させていただきたいと思います。ただいまいただきましたご意見なども踏まえまして、若干の修正をした上で、中央審議会の会長に答申案として提出したいと思いますが、その修正につきましては、わずかな部分でもございますので、事務局と私部会長にお任せいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(異議なし)
【竹内部会長】 ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして審議を終了しまして、この答申案を中央環境審議会の会長に報告することにしたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、その先へ参りますが、ただいまご承認いただきました案でございますが、今後、どういう流れで進んでいくかというところを、事務局からご説明いただきたいと思います。
【東海林動物愛護管理室長】 答申案のご報告をいただきまして、どうもありがとうございました。今後のスケジュールにつきましては、参考資料3、中央環境審議会議事運営規則の第6条に基づきますと、「部会の決議は、会長の同意を得て審議会の決議とすることができる。」と定められております。よって、この後、竹内部会長から森嶌中央環境審議会会長に基準の答申案をご報告いただきまして、森嶌会長の同意を得た後、中央環境審議会会長から環境大臣に答申という形でいただくことになります。
その後のスケジュールですが、環境省としましては、この答申をいただきました後に、環境省告示という手続に入るわけでございまして、できれば4月下旬を目途に、この告示を行いたいと考えております。それから、告示とあわせまして、地方公共団体あるいは関係団体への周知徹底を図るために、説明会ですとか、連絡通知というものをやってまいりたいと考えております。
【竹内部会長】 ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。
それでは、ただいまご説明いただきましたように、展示動物の基準の見直しに関する当部会での審議は、これで終了ということになります。これまでに、委員の皆様はもちろんのことでございますが、専門の方々あるいは関連の方々、これは随分いろいろとご意見をいただき、またご支援をいただきました。こういう方々のお力によりまして、そして、さらに加えてパブリック・コメントにいろいろ意見をお寄せいただいた国民の皆様方、そういうご支援を得て、この答申案ができたと思います。心からお礼を申し上げたいと思います。
それでは、次に議事の3その他についてでございます。外来種対策については昨年の2月に開催いたしましたこの部会におきまして、環境省から移入種対策の検討内容等ということについてご説明をいただいたところでございます。その後、法律の制定等新たな展開も出ているようでございますので、外来種対策に関する現在の状況ということにつきまして、改めてご説明をいただくことにいたしました。
また、現在ご承知のように、鳥インフルエンザが大きな問題になっておりますが、今月中旬に国が出しました鳥インフルエンザ緊急総合対策等というのがございますが、それにつきましても、あわせてご説明をいただきたいと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
【上杉生物多様性企画官】 それでは、まず外来種法案を担当しております生物多様性企画官の上杉でございます。座ったまま失礼をさせていただきます。
お手元の資料の参考資料5をもとにご説明をしたいと思います。これは法律案の概要ということで、簡単な紙がございますが、その裏にこれまでの経緯を簡単に書いてございます。時間もございませんので、簡単に説明をさせていただきますけれども、昨年の1月に中央環境審議会に、「移入種対策に関する措置の在り方について」諮問がなされまして、移入種対策小委員会というところで、1年間くらいかけて議論をしていただきました。それで、昨年12月に中央環境審議会から答申をいただいたところでございます。
答申の概要につきましては、参考資料6にイメージということでつけてございまして、外来種による被害というのは、生物多様性への影響、農林水産業への影響、生命・身体への影響ということで、いろいろ顕在化してきているという問題がございまして、これに対して侵入予防ですとか早期発見、あるいは防除というふうな考え方に沿って措置をとるようにとの答申をいただいているところでございます。
答申の概要につきましては、さらにこの参考資料6の2ページ以降、2枚紙にまとめた版がございます。例えば、参考資料6の3ページに外来種対策に関する措置の在り方ということで、具体的な内容が書いてございますが、例えば動物愛護に関連するような観点といたしまして、(3)制度化及び対策の実施に当たって配慮すべき事項の[3]に書いてございますように、影響を緩和するために、どうしても防除しなければいけないようなケースが出てくるわけですけれども、本来管理下にあれば失われない生命であるということを十分配慮して進めるべきだというご指摘もいただいているところでございます。
参考資料5に戻っていただきたいと思います。法案の概要でございます。この法律につきましては、今の審議会の答申を踏まえまして、法律案の策定を進めてまいりまして、3月9日に閣議決定をし、3月10日に国会に提出をしたという状況にございます。法律の目的でございますけれども、特定外来生物による生態系、人の生命若しくは身体又は農林水産業に係る被害を防止するということを目的としております。
まず、法律で具体的にどういう措置をとっていくかということにつきまして、特定外来生物被害防止基本方針というものを閣議決定し、公表するということになっております。これに沿って、個別の措置をとっていくことになります。
その下に三つの枠に分かれておりますけれども、一番左側に特定外来生物という枠がございます。これは、目的のところで言いました生態系、人の生命身体又は農林水産業に被害を及ぼすような外来生物、海外からやってくる外来生物について、政令で指定をしまして、具体的に規制をかけていくという中身になっております。
規制の内容につきましては、その真ん中の段でございますけれども、飼養、栽培、保管又は運搬については、主務大臣の許可を受けた場合以外は禁止になるということになっております。この許可を受けてなければ輸入ができないという形になっております。また、許可を受けた者も適切に管理がされていることをしっかり確認できるようにということで、個体識別措置等を講じる義務を課すということになっております。
また、特定外来生物の場合は、野外に出てしまいますと、被害を及ぼすということになってしまいますので、野外へ放つこと等について禁止をするということにしております。
現実に外来生物のうちには、既に野外に出てしまっているものがございます。例えば、沖縄や奄美大島でハブ退治のために導入されたマングースが、希少な在来の生物を捕食している、絶滅に向けて非常に深刻な状況にあるという事態が生じております。そういうケースなどについては、国のほか地方公共団体あるいは関連するような民間の団体の方にも参加をいただきまして、防除を推進すると、そういう枠組みを定めております。
それから、真中の欄になりますけれども、非常に多種多様な生物が地球上にはいっぱい住んでおります。そういう意味では、どういうものが被害を及ぼすおそれがあるのか、よくわからないということでございますので、そういうものについては、未判定外来生物として指定をいたしまして、新たに輸入をしようという人には届出をしてもらい、主務大臣の方で、特定外来生物に該当するのかしないのかという判定をするということにしております。判定が終わるまでの間は、輸入が制限されることになります。
問題があるという判定をされますと、先ほどの特定外来生物という指定をされるということになりまして、同じように規制がかかる。ただし、問題がないという判定をされれば特に規制がかからないものになるというふうな中身になってございます。あと、何点か関連する規定を整備するという中身にしてございます。
以上が、法律案の概要でございます。
【竹内部会長】 どうもありがとうございました。大変、簡潔に大事なところを説明していただきましたが、資料もついておりますので、何かご質問がございましたら、あるいはご意見でも結構ですが、いただきたいと思います。どうぞ、丸山委員。
【丸山委員】 ちょっと筋違いかもわかりませんが、この生物といった場合に、微生物というのは入るんでしょうか。というのは、この法律の提案の中で、私ども微生物を扱っている学術団体では、このことについてかなりその関心があって、学術会議の中で検討しているということもあるんですが、基本的な姿勢としては、この生物というのは、どういう範囲の中をお考えになっていらっしゃるのか。ちょっとこの場では筋違いかもわかりませんが、簡単に教えていただけるとありがたいんですが。
【上杉生物多様性企画官】 言葉、用語的な観念論ではもちろん生物でございますので、微生物を含んでしまうわけですが、実態的に外見上非常に区別がしにくい、分類も非常に難しいということがございまして、今回の法律上では、微生物は直接想定していないという位置づけになっております。その点につきましては、この基本方針の中で、対象とする特定外来生物の考え方を明らかにすることになっておりまして、そういう中で明らかになってくると。
【丸山委員】 後ほど、その基本方針の中で具体的に明示されていくと。
【上杉生物多様性企画官】 そういうことになります。
【丸山委員】 こういうことですか。ありがとうございました。
【竹内部会長】 よろしゅうございますか。そのほかいかがでしょうか。どうぞ菅谷委員。
【菅谷委員】 動物園は大分影響を受けるのではないかと思っているのですけれども、既存の、今現在飼育しているものも遡及的に適用されて、全部届出や許可という話になるのでしょうか。
【上杉生物多様性企画官】 基本的に特定外来生物に指定されますと、今飼っているものについても法律が適用されるようになります。ただし、経過期間といいましょうか、直ちに罰則がかかるわけではなくて、一定の経過期間内に手続をとっていただくような措置になっていくかと思います。
【竹内部会長】 そうすると、菅谷委員が副会長をしていらっしゃる日本動物園水族館協会では全国会員に連絡する等対応を考えられるわけですね。ありがとうございました。そのほかは、いかがでしょうか。関連で中川委員どうぞ。
【中川(志)委員】 まだ決まっていないかもしれませんが、とりあえずこの法が制定されて公布されるときに、実際にこの法律の対象となる動物というのは何種ぐらいのめどで考えているのでしょうか。
【上杉生物多様性企画官】 既に日本に入ってきている外来の生物、動植物だけでも相当数に上がっております。これのうち、特に緊急性の高いようなものから順次やっていかなければいけないのではないかと考えております。当初で言いますと、そういう意味では、数十単位ということで考えていけばいいのかなというようなことでございます。
【中川(志)委員】 これは一覧表みたいなもので、とりあえずということですね。
【上杉生物多様性企画官】 はい。対象となる特定外来生物というのは、政令でリストができてくるということになります。
【竹内部会長】 ありがとうございました。
そのほかはいかがでございましょうか。どうぞ、兵藤委員。
【兵藤委員】 すみません。簡単なことなのですけれども、当初移入種という言葉を使っていまして、外来種に直ったのですけれども、人に教えるときにこの理由でこう変わったと、うまく教えるポイントを一、二挙げていただけませんでしょうか。
【上杉生物多様性企画官】 お手元に答申の資料も用意をさせていただいております。冊子になりますけれども、実は審議会の中で相当議論をしていただきまして、外来種なのか、移入種なのか、結果として外来種という用語を使っていきましょうということになっております。この「移入種対策に関する措置の在り方について(答申)」という冊子の3ページ目になりますけれども、1.現状と問題(1)問題に係る基本認識で、用語をなぜこういうふうにしたのかということについて記述をしてございます。
基本的には、移入という言葉自体が生物学用語で言うと、自ら入ってくるようなものを含めてしまう、そうすると本来対処すべきは人間が持ち込むようなものなので混乱をしてしまう、よって用語としては「移入」ではなく「外来」というものを使った方がいいでしょうというのが、審議会の中での議論です。
【兵藤委員】 よくわかりました。これからそういうような教え方をしていきたいと思います。
【竹内部会長】 ありがとうございます。関連でございますけれども、私からちょっと、おわかりでしたら伺いたいのですが、そういう意味で、外来種というときには、どういう英語をお使いになるのですか。
【上杉生物多様性企画官】 生物多様性条約という中で、この外来種問題についての位置づけがございますが、その中ではインベイシィブ・エイリアン・スピーシーズと、特に侵略的なものでエイリアンであるという言い方をしておりますが、ただ、例えばイギリスなんかですと、ノンネイティブ・スピーシーズという言い方をしておりますし、ちょっと英語圏でも言い方が若干違うようであります。ただ、国際条約上はインベイシィブ・エイリアン・スピーシーズです。
【竹内部会長】 それでかなりよくわかります。ありがとうございました。
そのほか、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
それでは、ご説明本当にありがとうございました。また、大変関係のあることでもございますので、今後ともまたよろしくご一緒に進めていきたいと思います。ありがとうございました。
それでは続きまして、鳥インフルエンザの関係のご説明をお願いいたします。
【盛山総務課長】 お手元に参考資料7として関係閣僚会議の合意その他がつけてあります。ご案内のとおり、鳥インフルエンザにつきましては、本年に入り山口でまず発生をいたしまして、その後、大分、そして京都というふうに広がったわけでございます。どういう理由でこういうふうな鳥インフルエンザが持ち込まれて、それが鶏舎等に入って広がったのかということにつきまして、農林水産省、厚生労働省ほかと協力をしながら、いろいろ感染ルートの解明その他に努めてきたところでございます。お手元には、蔓延防止対策その他、いろいろ資料がつけてありますけれども、これまで環境省は、野鳥の部分を中心に担当しております。つまり鶏その他の畜産関係については農林水産省、人への感染その他につきましては厚生労働省、そして、例えばそのキャリアではないかと言われておりますカモその他の水鳥、カラス、こういう野鳥については我々ということす。野鳥が原因となったのかどうか、あるいは野鳥から鶏にうつしたのか、こういうことを中心にして、我々で対処してまいりました。
結論から言いますと、これまでに山口あるいは大分、そして京都、京都はまだ最終ではございません。カラスの糞の一部の調査がまだ終わっておりませんが、その3カ所で調査いたしました鳥そのものと水鳥、カラス等の糞につきましては、これまで高病原性鳥インフルエンザウィルスは発見されておりません。そういう点では、サンプル調査でございますので、ここで出なかったら絶対に野鳥から鶏への感染はなかったのかと言われますと、論理的にはなかなかゼロであるということを言うわけにはいきませんが、それなりに野鳥から鶏等へ感染した可能性は下がったのではないのかなと我々は考えております。
そうは言いましても、何がわかったのか、あるいは、どうして高病原性鳥インフルエンザが中国、韓国その他で発生して、日本でも発生することになったのか、そのあたりにつきましては、まだまだわからないことだらけでございます。本日5時から農林水産省の方で、この閣議決定に基づきます特別のチームが発足いたしますけれども、これまでに得た調査その他の知見を持って、今後の原因その他ルート解明に、我々としても協力をしていきたいと考えております。簡単ですが以上です。
【竹内部会長】 ありがとうございました。この件につきましては、この中にも直接間接ご関係のある方々、あるいはご関心の高い方もいらっしゃるかと思いますが、何かご質問ございますでしょうか。どうぞ。
【大槻委員】 千葉県は非常に鶏の産業的な役割が大きいものですから、対策をとっているところでございますが、今の報告の中のサンプル、どのような鳥をどこで採集したとか、そういう基本的なデータはホームページか何かに公開されているかどうかお伺いします。
【盛山総務課長】 先々週の金曜日と先週の水曜日にデータも含めて公表しておりまして、現在ホームページに掲載されたかどうかは、今ちょっと定かではございませんが、いずれにしましても、どういう鳥を何羽どこでとったかということはすべて公表してございます。
【竹内部会長】 よろしゅうございますか。大槻委員。
ただいまのデータの公表は、韓国での調査の結果も全部されているのですか。
【盛山総務課長】 韓国での調査についても公表しておりますが、これは韓国の政府そのものの発表ということではなくて、我々が韓国の担当者から聞いて、その模様をお伝えする形になります。そういう点では、内容その他の差がございます。
【竹内部会長】 ありがとうございました。そのほかはいかがでございますか。丸山委員は、ご関係も深いと思いますが。よろしゅうございますか。そのほかはよろしゅうございますか。
(な し)
【竹内部会長】 ありがとうございました。この件もこれで終了させていただきます。
そのほかはありますか。よろしゅうございますね。ありがとうございました。
そろそろ予定の時間も近づいてまいりました。それでは、おかげさまで以上をもちまして、本日の動物愛護部会の議事を終了したいと存じます。
最後に、小沢大臣官房審議官からご挨拶いただきたいと思います。どうぞ、お願いします。
【小沢自然環境局担当審議官】 自然環境局担当審議官の小沢です。本日は、展示動物の飼養保管基準の見直しにつきまして、答申案をおまとめいただきまして、ありがとうございました。先ほど事務局から報告をいたしましたように、中央環境審議会から正式の答申をいただきましたら、速やかに環境省告示の改正を行っていきます。それから、あわせて告示だけではなく関係団体及び地方公共団体の皆様の力をおかりしながら、関係事業者に対する普及啓発というのを強力に進めていきたいと考えております。
また、今回は展示動物の飼養保管基準でありますけれども、「動物の愛護管理のあり方」については、いろいろ課題がございますので、別途検討を進めております。早晩、この部会に持ち上がってくるということ、あるいは検討の段階で先生方にいろいろご指導、ご鞭撻をいただくという機会があると思います。今後とも引き続きまして、格別のご支援をお願い申し上げましてお礼のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。
【竹内部会長】 ありがとうございました。それでは、これをもちまして、本日の動物愛護部会を終了させていただきます。ご協力まことにありがとうございました。