中央環境審議会動物愛護部会(第6回)議事録

日 時

  

平成15年12月11日(木)午前10時00分~午後12時00分

場 所

  

経済産業省別館 1111号会議室

出席者

竹内 啓 部会長  
今泉 忠明 委員  小川 益男 委員
藏内 勇夫 委員  菅谷  博 委員
杉山 公宏 委員  中川 志郎 委員
中川 李枝子 委員  兵藤 哲夫 委員
前島 一淑 委員  松下 倶子 委員
丸山   務  委員  山下 喜弘  委員
小野寺 自然環境局長   盛山 総務課長
東海林 動物愛護管理室長   岡部 室長補佐
    
  

議 題

(1)
展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しの諮問について
(2)
展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しに当たっての基本方針案について
(3)
その他

配布資料

動物愛護部会名簿

資料1 諮問文書、付議文書
資料2 検討スケジュール案
資料3 展示動物の飼養及び保管に関する基準(現行)
資料4 展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しに当たっての基本方針(案)
参考資料1 動物の愛護及び管理に関する法律(関連条文抜粋)
参考資料2 家庭動物等の飼養及び保管に関する基準の解説
 

議 事

【東海林動物愛護管理室長】 おはようございます。定刻となりましたので、これから中央環境審議会動物愛護部会を始めたいと思います。
  すこし丸山先生、おくれているようでございます。
  まず、本日の委員の皆様のご出席についてご報告いたします。
  本日は、動物愛護部会委員15名のうち現在12名、丸山先生を入れますと13名の方が出席しておりますので、規定により部会は成立しております。欠席しておりますのは大槻委員と関委員の2名ということになっております。
  それでは、竹内部会長、よろしくお願いいたします。

【竹内部会長】 おはようございます。お忙しい中を大勢お集まりいただきまして、まことにありがとうございました。
  それでは、年も迫ってまいりましたけれども、こちらの方も詰まっておりまして、これからかなり日程が込むかとは思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
  それでは、ただいまから第6回の動物愛護部会を開催させていただきます。
  議事に先立ちまして、きょうはこの前の私どもの審議会の後、今日までの間に自然環境局長に就任されました小野寺局長がご出席でございますので、ごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【小野寺自然環境局長】 おはようございます。自然環境局長の小野寺でございます。動物愛護部会の皆様には、日ごろ大変お世話になっております。ありがとうございます。
  また、きょうは展示動物関係の基準の見直しについて、相当年月がたっておるものを変えるべく議論をいただくことになっております。その件についても、よろしくお願いいたします。
  平成13年の1月に環境庁から省になったときに、総理府からこの動物愛護管理法というのが来まして、実は最初、かなり戸惑いの気持ちがありました。我々は自然環境行政、野生生物行政、鳥獣保護行政というのは、経験をそれなりに持ってきたわけでありますけれど、ペット・愛玩動物については何となく我々の分野ではないという気持ちがちょっと強くて、生き物だから自然環境局にとにかく入れるんだと言われて、そう言われればそうという気もしましたけど、一体どうやっていくんだろうかということを、正直、戸惑いと、若干迷惑だなという気持ちもなかったとは言えません。しかしながら、その後2年近くたちまして、いろんな意味で仕事をして、また動物愛護関係のいろいろな団体の方、あるいは現場も見させていただいて感じるのは、やっぱりこれは霞が関のどこかの役所に置くとしたら、我々のところに置いて本当によかったなという気持ちを、実は持っております。
  今、我々が一番ちょっと急いでおりますのは、外来種関係の対策法というのをつくって、来年の年明けの国会のそう遅くない時期にかけようと思って議論をしているところでありますし、ここ三、四年は鳥獣法の改正その他ということで、いろんな議論をしつつ、法律その他の作業をやってきているところでありますけれども、やって調べたり、感じたり、あるいはご意見を伺えば伺うほど、やっぱりその生き物に関するものをいろんな意味で一元化して、その上で行政施策の展開というものを、これは行政だけではなくて、民間も含めて行っていくということが非常に大事だなというふうに思っております。いろんな議論、一方では非常に哲学的な、思想的なものも、愛護なり保護なりというのは含むわけでありますけれども、何かいろいろな局面で、ペットと野生動物と、絶滅とそうではない普通の動物・生物の存在のありようみたいなものを、我々はいつもぶつかって悩むわけでありますけれども、そういうことを整理しながら、今後の愛護動物だけにかかわらず、野生生物保護の仕事もしていきたいとそういうふうに思っております。
  今、竹内部会長とはご相談させていただいているわけでありますけれども、この動物愛護法についても根本的に少し考えを改めるというか、若者も含めて議論をするということも、できれば年明け早々から少し勉強を、審議会の皆さんのご協力も得ながら勉強してみたいと思っております。先ほど申し上げた問題意識を私は持っておりますので、何か個別のばらばらの法律をやるのではなくて、どこかでは全部一体の体系の中で行って、その部分部分を詰めていっているのだと。そう遠くない時期に、全体をもう一回整理し直す時期が必ず来ると私は思っておりますので、そういうことも含めまして、とりあえずきょうの審議会、それから年明け早々に考えて、また、ご相談を申し上げますけれど、いろんな仕事にご協力いただきたいと思います。
  なかなか走り回って、私、しょっちゅうこうやって出られなくてまことに申しわけないと思っているんですが、きょうはせっかくの機会でありますので、私の考えを申し上げました。どうぞよろしくお願いいたします。
  ありがとうございました。

【竹内部会長】 ありがとうございました。
  ただいま局長がおっしゃいましたように、この2年間でございますか、環境省の動物愛護に対するお考えが随分変わったといいますか、変えてくださったというか、それは私も、おそばにおりまして大変実感しております。総理府から環境省に移管されました最初の中央環境審議会の総会でも私は憎まれ口をきいたのですけれども、やはりこれは皆様方ご異論がないと思いますが、人間と動物の接触があるところ、それは環境省の中でもいろいろあるわけですが、そこにはもう影のように動物愛護というのはついて回るもので、動物愛護というものだけが独立してあるものじゃないと、まあ思っているんですが、そういうことをお考え、大分ご理解いただいて、今のように一体となった動物行政といいますか、そういうものを考えてくださっているというのは、大変心強いと思います。その応援というか、本当は我々が応援になるかもしれませんが、それをバックにいたしまして、今回は展示動物の基準に関する見直しでございますが、これからどうぞ実のあるご討議をしてくださいますように、お願いを申し上げたいと思います。
  それでは、議事に入りますが、その前に、事務局から配付資料について確認をお願いしたいと思います。

【東海林動物愛護管理室長】 はい。配布資料の説明をさせていただきますが、その前に幹部職員に異動がありましたので、ご紹介をさせていただきたいと思います。
  ただいまごあいさつ申し上げました自然環境局長の小野寺でございます。

【小野寺自然環境局長】 よろしくお願いいたします。

【東海林動物愛護管理室長】 それから、小沢大臣官房審議官ですが、本日はほかの会議がありまして、あいにくと欠席いたしております。
  次に、総務課長の盛山でございます。

【盛山総務課長】 よろしくお願いいたします。

【東海林動物愛護管理室長】 では、配付資料の確認をさせていただきます。

【岡部室長補佐】 お手元の資料をごらん願います。
  まず、資料1ですけれども、環境大臣から中央環境審議会会長への諮問文書をつけてございます。その裏側に中央環境審議会会長から動物愛護部会長への付議がつけてございます。資料2が検討スケジュールとなってございます。きょうの部会以降、基準の告示までのスケジュールをお示ししてございます。資料3が展示動物の飼養及び保管に関する基準、これは現行の基準を添付してございます。資料4といたしまして、展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しに当たっての基本方針(案)とそれの説明資料を添付してございます。参考資料といたしまして、参考資料1、動物の愛護及び管理に関する法律の関連条文の抜粋を添付してございます。参考資料2といたしまして、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準の解説を添付してございます。
  資料としては、以上でございます。資料に不備がございましたら、事務局の方までお申しつけ願います。

【竹内部会長】 ありがとうございました。いかがでございますでしょうか。何か過不足ございますでしょうか。
  では、ないようでございますので、議事を進めさせていただきます。
  それでは、まず議事の1に入りますが、展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しの諮問についてでございます。
  これにつきましては、11月25日に環境大臣より中央環境審議会会長に対して諮問がなされました。また、これを受けまして、27日付で中央環境審議会の会長から動物愛護部会長に付議されたものであるということを、まずご報告をさせていただきます。
  また、この諮問は、覚えていらっしゃると思いますが、2月に開催をいたしましたこの部会でご了承をいただいたことをもとにしております。すなわち、その事項が2つありましたかと思いますが、1つは展示動物の基準の見直し作業に着手するということですね。それから2つ目が、この作業の進め方としては、事務局で専門家の意見を聞きながら検討を進め、要所要所で部会の審議を行っていく。この2つが一応了解されておりまして、これを踏まえて行われた諮問であるというように考えております。
  それでは、この諮問内容につきまして、事務局からご説明をお願いします。また、あわせて今後の見直しの進め方、これにつきましても事務局からご説明があると思います。では、よろしくお願いします。

【東海林動物愛護管理室長】 はい。資料1の諮問書をお開きいただきたいと思います。読み上げさせていただきます。
  諮問第103号、平成15年11月25日、中央環境審議会会長森嶌昭夫殿、環境大臣小池百合子殿。展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しについて。動物の愛護及び管理に関する法律第26条の規定に基づき、次のとおり諮問する。「動物の愛護及び管理に関する法律第5条第4項の規定に基づく展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しをすることについて、貴審議会の意見を求める」。
  次は、裏になります。今度は付議になります。
  中環審第159号、平成15年11月27日、中央環境審議会動物愛護部会部会長竹内啓殿、中央環境審議会会長森嶌昭夫殿。展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しについて。平成15年11月25日付け環自総発第031125002号をもって、環境大臣より当審議会に対してなされた標記諮問については、中央環境審議会議事運営規則第5条の規定に基づき、動物愛護部会に付議する、ということになっております。
  次のページに、参考としまして、この運営規則の抄録をつけてございます。第5条によりまして、諮問を適当な部会に付議することができるということになっております。
  それから、飛びまして、紙1枚ぺらになるんですが、参考資料1に動物愛護管理法の抜粋をつけてございますけれども、基準を定めようとするときは審議会の意見を聞かなければならない、という規定がございます。この諮問及び付議は、この両規定に基づいて行われたものでございます。
  それから、続きまして、資料2をお開きいただきたいと思います。検討スケジュール(案)でございます。前回ご審議いただきました家庭動物の基準のときと同じような手順で進めてまいりたいというように考えております。きょうは、諮問と基本方針案の検討をいただきまして、次回、と既にご内議をお伺いしておりますけれども、1月14日に開催の愛護部会では、基準の素案を検討していただきたいというように考えております。次いでパブリックコメント、これは1カ月間やりますけれども、これを経まして3月下旬に、できれば基準の見直し案の答申をいただきたいというように考えております。
  以上でございます。

【竹内部会長】 ありがとうございました。大分、かなり早いピッチで進むということがおわかりいただけたかと思いますが、これは昨年、当部会でご審議いただきました家庭動物などの飼養及び保管に関する基準の検討がございましたが、この検討スケジュールと大体同じようなスケジュールになっているかと思います。
  さて、ただいまご説明がありました内容につきまして、スケジュールを含めまして、ご意見、ご質問があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。特段ございませんでしょうか。
(な し)

【竹内部会長】 ありがとうございました。それでは、ご了承いただいたことにさせていただきます。
  それでは、これから、先ほどのスケジュールに沿って審議を進めていきたいと思います。
  続きまして、議事の2に入ります。議事の2は展示動物の飼養及び保管に関する基準の見直しに当たっての基本方針案についてでございます。
  これは、まず細部を決める前に基本方針を本日ここで議論いただいて、それで確認をしていただいて、次回の間に、その実際の基準の案を事務局の方でつくるという作業過程でございます。したがいまして、この基本方針をきょう確認していただくということが大変大事でございますので、どうぞご説明のあった後で、忌憚のないご意見を伺いたいというように思います。
  それでは、事務局からご説明をお願いします。

【東海林動物愛護管理室長】 はい。それでは、お手元の資料3と4に基づきまして、基本方針案の説明をさせていただきたいと思います。失礼しまして、座って説明をさせていただきます。
  まず、資料3ですが、現行の展示動物の飼養及び保管に関する基準でございます。これは、今から約27年前に策定されたもので、実質的な内容の変更はこれまで行われてございません。平成14年の改正は、家庭動物の基準の策定に基づきます形式的な変更になってます。詳細な説明は省略させていただきますが、第1・一般原則から第2、第3と、7項目から、全体は構成されてございます。
  第1の一般原則は、展示動物の習性、生理、生態等を理解し、愛情をもってこれを飼養する、といったようなことが定められております。それから、第2の定義は、用語の意義を定めてございます。ここでこの展示動物の定義をしまして、展示動物とは動物園の動物、ペットショップの動物、撮影に使われる動物である、というように定義されてございます。
  2ページ目に移りまして、第3、健康及び安全の保持では、展示動物に必要な運動ですとか休息あるいは睡眠といったようなものを確保する、といったようなことが定められてございます。
  それから、第4の危害防止ですが、人に危害を加えるおそれのある動物が逃げたときの措置について、あらかじめ対策を講じること、といったようなことが定められております。
  それから3ページの中ほど、第5、適正な展示につきましては、動物に過酷な訓練を伴う演芸、ショーなどをさせないこと、といったようなことが定められております。
  それから第6・生活環境の保全では、飼養、保管する施設を常に清潔にして、悪臭等の発生防止を図る、といったようなことが定められております。
  それから、最後になりますが、第7・飼養展示等の補則では、動物の輸送方法の配慮事項、といったようなものが定められてございます。
  続きまして、資料4の説明に移りたいと思います。この資料3に提示させていただきました現行の基準を、どのような方針、考え方で見直していくかといったような大枠を、資料4の1ページ目と2ページ目で示してございます。
  まず、1.対象動物の種類を何にするか、2.対象施設をどういったものにするか、3.構成はどういうものにするかといった基本的な枠組み、これを基本方針の案として示してございます。
  それから、4.内容としまして、現行の基準をどういう点に気をつけながら拡充していったらいいのか、修正していったらいいのかといった改正内容のポイントを示してございます。(1)から(4)まで、大きく4つのポイントを、内容的には示してございます。
  (1)としまして、展示動物の福祉の向上。動物福祉に配慮してより豊かな環境にする。それから、(2)としまして、ペット等の販売、ペットショップ、それから繁殖施設等における飼養等の適正化。これはソフトとハードと両方の面を含みます。それから、2ページ目にいきまして、(3)動物の愛護、愛護の考え方ですとか、思想及び適正な管理方法の普及啓発。動物愛護に関する環境教育といったようなものでございます。それから、(4)としまして、動物による人への危害等の防止。これは感染症の予防ですとか、逸走、脱出時対策でございます。それから、その他ということになっております。
  詳細につきましては、以降るる説明させていただきたいと思うのですが、説明に入ります前に、3ページをごらんいただきたいと思います。これから説明させていただきますこの基本方針案なんですが、展示動物の飼養及び保管に関する基準検討会(アドバイザリーグループ)ということで、7名の専門家の方に検討会を開催していただいて、取りまとめたものでございます。ここにいらっしゃいます菅谷委員を座長にお願いしまして、中川李枝子委員にも参加していただきまして、検討作業を実施したものでございます。
  それから、その下段になりますけれども、この検討の途中では、広くいろんな方の意見を聞くために、関係者にヒアリングをしてございます。地球生物会議の野上氏、市民ZOOネットワークの牧氏、全国ペット小売業協会の末松氏、動物との共生を考える連絡会の青木氏、日本愛玩動物協会の大矢氏、日本動物愛護協会の吉野氏ということで、6名の方にヒアリングを実施しております。
  それでは、以下、1ページ、2ページ目に示しました基本方針案の内容につきまして、各項目ごとに説明をさせていただきたいと思います。
  5ページといいますか、ちょっと6ページを開いていただきたいんですが、6ページ以降が基本方針案の説明資料になってございます。まず、この説明資料がどういう構成になっているのかというのを、すこし簡単にご説明させていただきたいと思うんですが、6ページの頭に、1.対象動物の種類として四角囲みの文語がございます。これが、1ページ、2ページ目に示しました基本方針案の項目になっております。その下段に示しました図表が、この基本方針案の説明資料、参考資料ということになっておりまして、以下、7ページ、8ページというように続いております。
  では、この6ページ以降の資料に従いまして、説明をさせていただきます。
  まず初めに、対象動物の種類ですが、動物園における飼育動物種の割合は、動水協加盟の92施設を対象にしました調査で、調査結果によりますと、哺乳類・鳥類・爬虫類で約89%を占めております。
  それから目を転じまして、ペット小売業。これの施設を調べましたところ、これは小売業・生産業・卸売業、1,397社に対して調べたものなんですが、哺乳類・鳥類・爬虫類を扱っている施設が非常に多い。1,397社のうち魚類を扱っているものが22%、その他、両生類などを扱っているものが5%ということになっております。このように哺乳類・鳥類・爬虫類までで、ほぼ、大方の施設を網羅できること。また、平成11年の改正動愛法、これで動物取扱業の規制が導入されましたけれども、この取扱業の規制の対象範囲が哺乳類・鳥類・爬虫類までになっておりまして、これとの整合性を図る必要があることから、冒頭の四角囲みの基準に戻りますけれども、哺乳類・鳥類及び爬虫類に属する動物を対象とする、という案を提示しております。
  それから7ページに移ります。次に対象施設ですけれども、現行の基準が対象としている施設は、動物園・動物サーカス・動物対象の撮影施設、それからペットの販売施設といったものになっております。人前に動物が出る、または人と動物との接触があるといった意味で展示される動物をこれらの施設はカバーしておりまして、追加変更を考える必要はないと考えられますことから、基本方針案に戻りますが、現行の基準と同様に、動物園、水族館、動物サーカス等の興業・客寄せ施設、動物等のふれあい施設、ペットの販売・繁殖施設、動物対象の撮影施設などを人前に出るまたは接触がある動物の飼養・保管する施設を対象とする、という案を提示しております。
  次に、構成ですが、各展示動物施設の数でございますけれども、円グラフに示しましたとおり、展示施設が929、販売施設が1万0,568、貸出し施設が481となっております。これは、実は法第8条に基づく動物取扱業の届出施設数でございますので、展示動物の基準になじまないものも、若干でございますが入っております。ですが、おおよその傾向を示していると考えられます。このように、30年前、約27年前と違いまして、販売施設がかなりの割合を占めている。社会的影響力を強くしているということができると思いますけれども、ということを考慮しまして、現在の基準、これが動物園中心になってございますので、各種展示動物施設ごとに整理されていないということで、わかりやすさというものを第一に考えて、共通基準と個別基準に大別して整理する、という案を提示してございます。この共通基準と個別基準に大別するというイメージは、8ページに示してございます。
  さらに、左の欄に現行基準の目次構成、右の欄に改訂――案でございますが――基準の目次構成を示してございます。このように、動物園施設・販売施設・撮影施設に共通の基準と、それぞれの施設に固有の個別基準ということで、分けて構成を整理したいというように考えております。
  それから、9ページに移ります。これからは、内容の話、説明をさせていただきます。内外の状況の変化を踏まえた変更が、基本的には必要であると考えております。
  「展示動物」が策定されて以来、27年が経過しております。この間、下の年表に示しましたとおり、法改正による動物園・ペット販売店等の動物取扱業に関する届出規制の導入、それから動物園に関するEU指令の発令など、いろいろな変化が生じてございます。ということで、こういったことを考慮しながら推進を図るべき事項というものを検討してまいりました。図るべき事項の各ポイントについては、次ページ以降、説明をしたいと思います。
  10ページをお開きいただきたいと思います。
  まず、展示動物の福祉の向上ですけれども、最近、「環境エンリッチメント」という言葉がよく使われるようになっております。環境エンリッチメントとは、動物園等における物理的な環境、それから社会的な環境、これを動物本来の生活に近づけることにより、飼育動物の生活の質の向上を図ろうとするものです。1990年代の初めにアメリカにおいて始められたもので、日本の動物園に取り入れられるようになったのは1990年代後半のことです。現在では、多くの動物園で積極的に環境エンリッチメントを導入しようという試みが行われるようになっております。
  下の方の写真は、よこはま動物園ズーラシアのものなのですが、本来の生息環境にできるだけ近づけるとともに、遊び場をつくったり、人の視線、観覧者の視線が気にならないような工夫をした例でございます。
  このような状況を踏まえまして、基本方針案、四角囲みの中に戻りますけれども、展示動物の健康と安全の確保に加えて、単純で単調になりがちな飼養保管環境を、動物福祉上、より豊かなものにすることを推進するため、具体的には黒ぽつになりますけれども、生活の質の向上、高齢、幼齢、妊娠中又は疾病動物等に対する適切な対応の推進、動物が有する社会性等の確保・育成への配慮、計画的な繁殖及び繁殖制限措置の実施と終生飼養の徹底が図られるように、基準を拡充すべきと考えております。
  それから11ページに移ります。ペット等の販売・繁殖施設等における飼養の適正化でございますが、ペットショップでは、飼い方、施設の構造はもちろんなのですが、社会化の確保といったソフト面のことが課題になっております。この社会化とは、「社会的行動の学習によって社会集団のメンバーとして適当な行動ができるようになること」で、動物が、ペットが過剰な反応なしに正常な行動がとれる能力の獲得することをいいます。犬やねこなどにつきましては社会化が必要な動物なのですが、数週間から十数週間にわたる親子一緒の飼育などにより、社会性の確保を促すための措置期間――いわゆる社会化期と言われているやつですけれども――が必要であるというふうに指摘されております。
  12ページを開いていただきますと、写真がございます。これは同胎犬――同じ親から生まれたきょうだい犬、一緒の展示販売の例でございます。約9週齢のミニチュアダックスフンドでございますが、白黒で見づらいのですが、写真後方といいますか奥の方に転がっているのが、おもちゃとして入れてあるクマのぬいぐるみでございます。
  それから、改正動物愛護管理法では、新たにペット販売店等の動物販売業者の責務としまして、動物の購入者に対して適正な飼養方法等の説明を行い、理解させるように務める、といった旨の規定が設けられてございます。これは、説明が不十分で購入者の理解がないまま飼養されている実態、ペットが飼われている実態が、そのまま不適切な飼養などの一因になっていると考えられたことによっているものでございます。
  このような状況の変化を踏まえまして、11ページの四角囲みの基本方針に戻りますけれども、改正動愛法の趣旨等を徹底し、ペット等の販売・繁殖施設等における飼養及び保管方法の適正化を推進するため、具体的には、黒ぽつになりますが、生体展示の適正化。これは施設及び適切な規模構造、衛生状態にすることを含みます。親子一緒の飼育など、幼齢動物における社会性の確保措置の実施、適正な繁殖方法の推進(遺伝性疾患や過重な妊娠の防止)、購入者に対する十分な説明の実施、動物本来の習性に関して誤解を与えるおそれのない形態での撮影の実施、移動動物園等における飼養方法の適正化などが図られるように、基準を拡充すべきではないかというふうに考えた次第です。
  それから、13ページに移ります。
  動物の愛護思想及び愛護の考え方及び適正管理方法の普及啓発ですが、最近、動物とのふれあいあるいは体験学習ニーズの高まりが見られます。動物園等において実施していますいろんなプログラムのうち、「動物とのふれあい」を取り入れたものは約4割を占める。あるいは、「飼育体験」ですとか「観察会・実験」を取り入れたものが約3割を占めているという調査がございます。また、このほかにも観光牧場ですとか、犬・ねことのふれあい活動ができる施設などのレクリエーション施設も出現してきております。1例を下段の写真の方でお示ししました。
  それから14ページになりますが、動物園の意義とか役割も、時代とともに変化してきております。
  下の図に示しましたように、我が国の動物園は、19世紀末に商業性・娯楽性の強い施設として始まりましたが、第二次大戦後は、教育・レクリエーション・自然保護・研究の社会的機能を持つとされてきました。最近は、世界的な生物多様性保全のニーズの高まり等を受けまして、「教育」とくに環境教育、「自然保護」とくに種の保存――ズーストックというような計画もございますけれども――が大きな役割となりつつあります。
  このような状況の変化を踏まえまして、13ページの四角の方の基本方針の案文に戻りますが、展示の意義・役割等に対する社会的要請の多様化に適切に対応すべく、動物に関する正しい知識と動物愛護思想の普及啓発を推進するため、具体的には、動物の生態等に関する情報の提供による環境教育の推進、ふれあい施設における展示動物との接触方法の適正化、教育訓練された飼養者等による普及啓発の推進等が図れるように基準を拡充すべきだというように考えております。
  それから、15ページに移ります。
  動物による人への危害等の防止でございますが、最近、動物由来感染症が問題となっております。SARSなんかもその疑いがありということになっておりますけれども。動物由来感染症とは、ペットなどの動物から人に感染する感染症の総称です。感染症の種類としましては、150種類以上あります。主なものとしては、狂犬病・ペスト・オウム病・Q熱などがございます。これに罹患した場合、重症になるものから軽症になるものまで、いろいろなものがございます。
  最近の発生事例としましては、3例ほど例示的に挙げましたけれども、ふれあい牧場で腸管出血性大腸菌O157の感染、動物園でのオウム病の発生、鳥の展示施設でのオウム病の発生などがございます。
  それから、ちょっとすみません、急ぐようで申しわけないんですが、飛びますが19ページになります。
  それから、災害時における動物の逸走対策も重要な課題となってございます。自治体では、大地震等の災害時に備え、地域防災計画というものを策定しています。が、東京都などの一部の自治体では、その計画の中で、災害時の動物の逸走防止あるいは保護対策についても規定しております。具体的に言いますと、上野動物園では、このほかにも猛獣等の脱出対策計画、こういったものを策定いたしまして、猛獣等の脱出の予防並びに脱出等の際の安全確保のための対策を講じてございます。
  それから、この災害対策とも関係することなんですが、改正動愛法では、新たにペット等の動物の所有者の責務として、所有を明示する措置を講ずる旨の規定が設けられました。これは、逃げ出した動物の飼い主の発見の促進、それから飼養する動物の遺棄の防止の徹底、これを図っていこうというものです。識別方法としましては、名札、脚環、マイクロチップ、刺青、耳票などがございますが、海外ではマイクロチップ、ペットに関しましては、あるいは動物園の動物に関しましては、が主たる個体識別の方法として導入されております。しかし、我が国におけるマイクロチップの普及率は低く、多く見積もっても数万個体にすぎないと言われておりまして、その普及に向けた各種取組みがAIPOという組織により、行われ始めております。
  このような状況を踏まえまして、ページが飛んで申しわけないんですが、15ページの基本方針案に戻りますけれども、動物による人への危害等の未然防止を徹底するため、災害時等における動物の逸走対策及び感染症予防対策等の充実を推進するため、具体的には、感染症予防への適切な対応、点検等の励行による逸走対策等の充実、展示動物の飼養保管記録台帳の整備や個体識別措置の推進、あるいは関係行政機関との連携のもとでの対策計画の策定が図れるように、基準を拡充すべきと考えております。
  それから、説明は省略させていただきますが、16・17・18の表は、主な動物由来感染症のリストをつけさせていただきました。
  それから、20ページになりますが、マイクロチップの概略説明と、これの普及を進めておりますAIPOの概略説明でございます。
  それから、21から22ページが東京都の地域防災計画、この中での動物の救護に関する部分の抜粋でございます。あらかじめ平時からこういう準備をしておくということが肝要のようでございます。
  それから、23ページから26ページまでが、上野動物園の園長の菅谷委員がいらっしゃいますけれども、恩賜上野動物園で策定されております猛獣等の脱出対策計画でございます。
  それから、すみません、27ページに移ります。
  その他としまして、外来種問題。局長のあいさつでも申し上げさせていただきましたところですが、世論調査で外国産野生動物のペット飼育の是非に対する考え方を聞きましたところ、「ペットとして飼うべきではない」と答えた者の割合が約半分、49.7%を占めております。何らかのやはり管理が必要、「規制により問題ないものに限定すれば飼っても良い」と答えた者の割合が29.4%、約3割ということになってございます。
  外来種問題、いろんな問題がございますけれども、その問題の事例、どんな種ごとにどんな問題があるのかというのを28ページ。それから、その外来種はどんな導入経緯で持ち込まれたものなのか、ペット由来の外来種も少なくないという状況でございますけれども、その表を29ページにつけさせていただいております。
  それから、30ページになりますが、施設廃止時の動物の取扱いということになるんですが、動物園の入園者数については、グラフに示しましたとおり、動物園等の施設数に大きな増減が見られないにもかかわらず、平成3年をピークにしまして減少基調を示してございます。このため最近、幾つかの大型動物園が廃園を余儀なくされておりまして、動物の移籍が、あるいはその後の処置というものが課題となっております。最近廃園した、とある動物園の事例を、移籍の実態を31ページにつけさせていただきましたが、廃止動物園におけるこの動物――残念ながら哺乳類と鳥類についてのデータしかございませんでしたけれども、他の動物園等に移籍が約89%、それも北海道から中国・四国まで広範囲にわたっております。動物の輸入販売業者に約11%という形で移籍されておりました。
  このような状況を踏まえまして、その他の内容の変更事項としましては、27ページの四角囲みに戻りますけれども、野生動物や飼育困難動物に係る安易な愛玩目的飼養等の抑制、施設廃止時の動物の取扱いの適正化、あるいは、この基準ができ上がりましたときの話なのですが、改訂基準の趣旨・内容等についての普及啓発の推進が図られるように基準を拡充すべきというように考えてございます。
  それから、すみません、33ページになります。参考といたしまして、展示動物の飼養及び保管に関する基準と他の関連基準、内外でいろんな関連基準が策定されてございます。これとの対照表を参考までにおつけしました。
  きょうの部会で基本方針案をご審議いただくわけですけれども、この結果を踏まえまして、あるいはこういった内外の関連基準を勉強しながら、次回1月14日の部会には見直し案の素案というものをまとめていく考えでございます。
  それから最後になりますが、参考資料2、冊子になります。これが昨年ご審議いただきました、ご答申いただきました家庭動物の飼養及び保管に関する基準、これを解説したものでございます。基準の趣旨内容の普及啓発を図るために解説書を作成しまして、関係機関に配付したものでございます。
  今回の展示動物の飼養・保管基準も、3月を予定しておりますけれども、ご答申をいただけましたら、同様の方法で解説書をつくって普及啓発をしていただきたいという予定でおります。ご参考までに補足説明をさせていただきました。
  以上で、基本方針案の説明を終わらせていただきます。

【竹内部会長】 ありがとうございました。
  ただいま事務局から基本方針の案についてご説明いただいたわけでございますが、先ほどもご説明がありましたけれども、この作成に当たりましては、きょうご出席の菅谷委員それから中川李枝子委員にも大変お世話になりました。この場をかりまして、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
  それでは、ただいまのご説明の内容につきまして、ご意見をいろいろちょうだいしたいというように思います。
  全体としてといいましても、ぼやっとしてしまいますので、ちょっと2つぐらいに区切ってご意見をいただこうかと思います。先ほどの、1番最初の1ページをごらんいただきまして、1番、2番、3番、4番とございますが、最初の1番目の対象動物の種類、2番目の対象施設、3番目の構成というところをまずご議論をいただきたいと思います。それから、細かいことになりますから4番の方に入っていきたいと思います。
  いかがでございましょうか。対象動物それから対象施設、そしてこの見直しをする基準の構成の案ですね。それにつきまして、ご意見がございましたら伺いたいと思いますが。
  どうぞ。

【今泉委員】 ちょっと確認なんですが、犬・ねこは別に基準がございますね。ペットショップにいるときは、売れた瞬間から家庭動物になるのですね。そうですね。

【東海林動物愛護管理室長】 お答えさせていただきます。ちょっと複雑なようなんですが、今泉委員ご指摘のようなことになります。
  飼養保管基準というのは、動物の種類ごとに全部で4種類定めてございます。家庭動物、それから今回の展示動物、それから実験動物、それから産業動物。ある意味、すべての動物について共通の飼養保管基準をつくることが難しいということで、便宜的にこの4つの動物のカテゴリーに分けまして基準をつくってございます。それで、展示動物の場合、犬・ねこの場合にはペットショップにいるときには展示動物として扱われ、基準が適用され、家庭に入ったときには家庭動物の基準が適用されることになるという、ちょっとわかりにくい状況にはなるんですけれども、便宜的に動物を区分しないと基準がつくれないということからそうしてしまったということで、ご容赦いただきたいと思います。

【竹内部会長】 よろしゅうございますか。これは一番最初のころの議論にあったかと思いますが、結局、基本的にこの動物愛護法というのは、人間と動物の接触のあるところで起こるので、その接触のパターンでやはりそこはいろいろ変わってくるだろうというので、そういうふうにして仕分けをしたわけですね。ですから犬やねこも、例えば実験動物の場合は実験動物の方の基準にということになるでしょうし、そこにはある程度共通のコンセンサスが当然なきゃいけないんでしょうけども。というような形で、たしか仕分けをさせていただいたのを覚えておりますが。よろしゅうございますか。
  そのほかは、いかがでございましょうか。どうぞ。

【兵藤委員】 対象動物の中には、魚類、これはどうなっているんでしょうか。

【竹内部会長】 いかがですか。

【東海林動物愛護管理室長】 魚でございますけれども、現行の展示動物の基準と同じように、対象としないということで整理させていただきたいというように思っております。
  これは端的に申しますと、法律に定めのある動物取扱業の規制――これは平成11年の法改正で導入されたものなんですけれども、これの動物取扱業の届出規制の対象動物との整合性を図ったものでございます。動物園ですとかペットッショップなのですが、これはこの動物取扱業になるために届け出が必要とされております。この法律に基づきまして、哺乳類・鳥類・爬虫類ということにされている関係上、本基準の展示動物の基準の対象動物も爬虫類までとさせていただいたらどうかなというように考えた次第です。
  それから、説明資料で補足させていただきましたように、魚類とかに関するその展示の実態、ある意味、量的な割合と言ってもいいんですけれども、これにつきましても、展示動物の基準が策定されました27年前と余り大きな状況の変化がない。逆に言えば、少し減り気味だということもございますので、こういうことも考慮させていただいたものでございます。

【兵藤委員】 そうすると、その下に出てきます対象の施設なんですが、そこに水族館というのがありますけれども、これは水族館は何を展示するところなんでしょうか。

【前島委員】 魚じゃないのですか。

【兵藤委員】 大半は魚と、僕は理解しているんですけれども。

【東海林動物愛護管理室長】 水族館の方で、爬虫類ですとか海棲哺乳類も飼ってございます。それから、今の施設のパターンとして、動物園と申しましても、一部水族館を附帯していたり、つまり総合的な動物園といいますか、あるいは、場合によってはペットショップまで附帯している動物園もあるようですけれども、そういった施設もございますので、全部含めて考えるということで、水族館というところも対象施設にしてございます。

【兵藤委員】 町の中には民間の水族館というようなお店等がたくさん、映画「ファインディングニモ」で魚類が注目を浴びています。町の中でも相当数、民間の魚を対象にしている職業の方、水族館や熱帯魚屋さんと称するものが幾つも見受けられるんですけれども、その点はいかがなものでしょうか。これも対象にはならないというわけですね。

【東海林動物愛護管理室長】 はい、今の基準の案でいけば、対象とならないという方向で整理していきたいというように考えております。

【竹内部会長】 よろしゅうございますか。基本的には、今ご説明がありましたように愛護法の中で規定されている、いわゆる愛護動物というところに、今回は絞った基準にしようというところだと思います。一般論で言えば、さらにそれを広げるとかいうことはあろうかと思いますが、それは先ほど局長もおっしゃいました法律の見直しのところで、必要があればその辺は討議しなきゃいけないかもしれませんけれども、今のところは一応、この愛護法のもとでという基準であるということを考えて整理をされたんだと思います。
  どうぞ、お願いします。

【山下委員】 よろしいですか。対象施設の部分なのでございますけれども、この動物とのふれあい施設というのが載っているわけですね。そういうものも当然、展示という意味ではやっているわけですから、当たり前の話でございます。ところが、これは畜産の分野の中で、通常の活動の一環として、動物もそれ自体の展示動物としてやっているんじゃないものから、いろいろ、非常に範囲が広いというのでしょうか、そういう場合にこれはどう考えていくべきなのかということについて、何か方針がありましたら。

【竹内部会長】 いかがでございますか。

【東海林動物愛護管理室長】 観光牧場とか、牧場の中でふれあい活動をやっている場合の、畜産業本体との切り分け方というようなご指摘かなというように思っておりますけれども、基本的に、牧場ですとか畜産業に係る動物の飼養保管に関しましては、産業動物の飼養管理に関する基準、これを適用してまいりたいというように考えてございます。ただ、最近の傾向としまして、牧場の一部で区画を区切って観光牧場といったものをやっておったりするような施設がふえてきておるものですから、そういう部分に関しましては、人とのふれあいといいますか、展示といいますかということをやるということで、そういう部分に関しましては、この展示動物の飼養保管基準を適用してまいりたいというように考えている次第です。

【山下委員】 その際は、動物で区切れる、区分をするということなんでしょうか。

【東海林動物愛護管理室長】 はい。何のために飼われているか、どういうように使われるかという、その……。

【山下委員】 いわゆる家畜は産業動物の扱いで考えるんだと。

【東海林動物愛護管理室長】 それは産業の目的に使われていればそれは産業動物で、同じ家畜で、牛であろうとヤギであろうと、あるいはポニーであろうと、観光なりあるいは子供たちとの接触を目的にそういう企画が組まれているという場合は、恐らくこの中に入ってくるという理解からだと思いますけれど。

【竹内部会長】 どうぞ。

【藏内委員】 いいですか。今の山下委員の質疑、わかるんですね。一番問題なのは、その産業動物が、例えば乳だとか、あるいは肉だとか、そういった目的で、それを産出する目的で飼われているのですけれども、ある一定の年齢にいくともう、人間で言えばもうOBになりますね。だから、このOBを始末してやるかといえば、決してそうじゃない。こういった動物は、やはりそういうふれあいの場とかで利用している部分があるわけですね。だから、そういった、何のためにこの産業動物が飼われているのかというところで僕は線引きをした方がいいんじゃないかと思うのですけれどもね。

【山下委員】 ただ、昨今例えば試験場みたいな、研究所みたいなところでも、特に大都市周辺の都道府県の水産試験場なんかは、家畜のふれあいというのが大きなウエートというんですか、だんだん、かつては畜産の研究に邁進していたわけですが、やっぱり施設があり動物を飼っているというようなことから、やっぱり市民にそういうふれあいの場を提供するというんですか、そういうような機能というか、そういう部分のあれがだんだん高まってきているところがあるわけですね。だからその動物も、あるときは産業動物で、あるとき一時期に展示動物になっているというようなケースもあるというように思うんですね。ずっと展示動物じゃなくて。例えば子供の、赤ん坊の小さいときは展示動物、その後産業動物に戻っていくというような、そういう非常に微妙なところがあるものだから、もう、そういうものは産業動物の分野、範疇なんだというように。

【竹内部会長】 これについては、先ほど今泉委員が最初にご発言になった犬やねこについても同じでして、展示動物だったものがオーナーが決まりますと、今度は家庭動物になるわけですね。ですから、産業動物も先ほどご説明があったこの基準の体系の基本的な考え方からしますと、本来産業動物であるものにしても、具体的に言えば、牛とか豚とかヤギであっても、それがその産業の目的ではなくて、今、藏内委員がおっしゃったようにOBということもあるかもしれませんが、リタイヤして、そして子供たちのふれあいに使われるとか、あるいは、このごろよくございますよね、乳搾りの体験だとか。そういうときは、やはりこの基準に照らし合わせて動物たちに余計なストレスが加わらないような形でやってもらいたいというのが、多分事務局で用意をされたというか整理をされた骨子ではないかと思いますけど。
  事務局、いかがですか。

【東海林動物愛護管理室長】 はい、そのとおりでございます。

【今泉委員】あと、貸し出しなんていうのが最近ありますよね。あれは猛烈なストレスですよね。

【東海林動物愛護管理室長】 貸し出しにつきましても、この展示動物の基準では、撮影用に貸し出すというものを対象として基準をつくっているということで整理させていただいております。

【竹内部会長】 これは恐らく、もし、菅谷委員、中川(李)委員もご発言があったら、検討をしていただいたのでご意見をいただけるといいのですが。
  基本的に展示動物は何なんだというところから始まったと思いますけれども、一応さきほどご説明があったように、人前に出る、あるいは接触するということであったわけですから、そこで、貸し出しの場合も人前に出るとは限らないというのもあるでしょうし、ちょっと一概に言いにくいところがありますよね。その辺はどういうふうに整理されましたか。

【東海林動物愛護管理室長】 人数の多寡にかかわらず、不特定多数の者との接触、あるいはその面前といいますか人前に出るというところで一応の整理はさせていただいたつもりですが、今泉委員それから山下委員からご指摘がありましたように、この展示動物・家庭動物・産業動物・実験動物という4種類のその基準の区分けというものがある意味便宜的なものでございますので、確かに多少その境界領域で疑義が生じる場合もあるんではないかなと思われます。ただし、どちらを適用するかというところはケース・バイ・ケースで、藏内委員からご指摘がありましたように、基本的にその動物が何の目的で使われているかというところで判断ができるものというように考えております。

【竹内部会長】 どうぞ。

【前島委員】 実験動物も山下先生と同じような問題を抱えておりまして、特に科学知識の啓蒙といいましょうか、小学生とか中学生に実は動物施設で見せることがあるんですよ。そのときは、私はやはりそれは実験動物ではなくて展示動物の扱いとしていいと思うんですね。これ、やっぱり考えていくとわけがわからなくなってしまいます。それで、よく雲みたいなものと言うんですね。遠くから見ると明らかに境があるんだけど、そばへ行ってくるとどこからが雲かわからない、霧なんだかということで。やっぱりこれは東海林さんが言うように、ケース・バイ・ケースで判断していく以外ないように、私は思うのですが。

【竹内部会長】 ありがとうございました。大体そんな線に落ちつくのではないかと思うのですが。
  どうぞ。

【兵藤委員】 2つばかり実際に調査したのもあるのですが、1つは鎌倉の神社で飼われていたシカ。もう一つは、三重県で神馬と言われまして、神様に仕える馬のところがありまして、見に行きましたら、馬の場合には両張りと言いまして、両方からつられた、寄って、ハエが来ても追えないとか、ちょっと休みたくても寝られないというような、これも、両方とも展示動物として解釈してよろしいんでしょうかね。神様ですよ。相手が神様ですから。

【東海林動物愛護管理室長】 場所によって、神社仏閣でも飼い方が多少違う神社の動物もあるみたいなんですけれども、そういう、基本的には展示動物という整理が基本になると思います。

【兵藤委員】 僕は愛護動物をとらえまして、習性に合わない、両方につっているのはどうも動物にとっては、24時間そうですから。関東軍はこうであったというような、関東軍の軍馬を扱っていた方が扱っていたような状況でこうだというのです。どうぞひとつ馬が自由になるような両張りを少し外してくれませんかというようなことでお話しして、理解は得られたんですけれども。案外、神社等で飼っている動物も比較的管理が悪いところがあったものですから。これも展示動物なんでしょう。もちろんですね。

【竹内部会長】 そうですね、展示動物だと思いますが、特に神社なんかの場合は、伝統的な儀式だとか文化的なものだとかいう関係もあるでしょうから、余り単純にはいかない部分もあるかもしれませんね。ただ、だからといってやっぱりこの愛護問題は十分留意してもらうという立場をとらなきゃならない。そこはお具体的には互いの妥協的な妥協線というのがあるんだろうと思いますけれどもね。
  どうぞ。

【前島委員】 いいですか。ちょっと対象施設のことで伺いたいのですが、この資料をもらって、しげしげ、届いて勉強をしてこいというので延々眺めていたんですけれども、最近ドッグラン――ドッグランって犬を運動させるところなのですが、それがひとつ自治体のようなところが公園を開放するというようなところが、片方にはお金をとって運動をさせる。さらにペットを売るための、多分ペットを売るところが本来の目的であって、そこにさらに運動場を併設させるようなところが、都会の中にはないんですが、ちょっと田舎へ行くと二、三、私も知っているところがあるので。そういうものは、客寄せとか動物のふれあい施設なのかということなんです。というのは、連れてこられた動物は間違いなく家庭動物等といいますか、伴侶動物だろうと思うのですよ。ところが、施設としては、どうも、いわゆる一部は金儲けのために使っているんじゃないかと。それはどう考えればいいのですか。

【東海林動物愛護管理室長】 最近、公営の公園あるいはプライベートな公園とかでドッグランというものが整備されてきているようですけれども、前島委員からお話がありましたように、それぞれの施設ごとに、微妙にその目的ですとか、あるいはその供用の形態ですとか、施設の構造が違っております。一概にそのドッグランというものを総称して、どの基準を対象とするんだというのは、この場ではちょっと申し上げられないんですけれど、状況に応じまして、家庭動物の基準枠を適用するなり、それからこの展示動物の基準を適用するなりということで、適正な飼養保管方法といいますか施設になりますように、指導といいますか、いろいろと考えていきたいと思っております。

【竹内部会長】 確かにドッグランは、本人が連れていって、放して、運動するところもありますし、いろいろあるので。また、場合によっては、訓練の一環としてやっているところであれば、訓練士の方はたしか取扱業者の部類に入りますし、なかなかちょっと難しい。こういうところでぽんと入れてしまうのは、今の段階では難しいかもしれませんね。
  ありがとうございました。そのほか、どうぞ。

【杉山委員】 質問ではございません。先ほど話題になりました産業動物、実験動物、家庭動物などと展示動物とのかかわりですね。これは、考えてみますと、そのような動物は各方面で人に貢献しているということですばらしいことだと思うんですね。でありますので、ケース・バイ・ケースという発言も出ました。ということを、今度は、例えば後日示される解説などに、そういうところをうまく網羅していただければよいんじゃないかと、このように思います。

【竹内部会長】 ありがとうございました。解説書は恐らく、いつものことでございますけど、この基準の見直しが終わりますと、その後作業に取りかかるということになろうかと思います。その内容としては、きょうお示ししました、いろんな細かい資料がここについてございますが、この辺がかなり使えるのではないかなと私は思っておりますけれども。ありがとうございました。
  中川(志)委員。

【中川(志)委員】 今の問題とも絡むんですけれども、同一種、同一個体の動物がその飼養目的によって扱いが変わるというのは、これはある意味で、この法律の基本的な部分に関与すると思うのですね。これは当然、展示動物として家畜が飼われた場合に、その展示動物の側に立った上で一番いい状態で飼養するということが、展示動物なら展示動物では掲げられているし、それが例えば実験動物になった場合に実験動物としてのカテゴリーの中で、その動物にとって最もいい状態というのが示されている。それが家庭に入った場合は、家庭動物としてその動物を飼う場合に最低限度、これは守らなくてはいけないというふうに、それぞれ変わってくる。したがって、それは同一種、同一個体であっても、その飼養されている場、飼養されているシチュエーションによってその動物にとって最もいい状態をキープすることが義務づけられているのだろうと思うのですね。
  したがって、どんなことを言おうとしているかというと、例えば展示動物としての飼養目的がありながら、それを同じ種であるからといって、産業動物のカテゴリーをそこに該当させるということは、その動物にとって必ずしも幸福な状況にはならない。それと同じようなことが、あらゆるシチュエーションで起こり得るのですね。ですから、このカテゴリーによってケース・バイ・ケースで判断するというのは極めて重要だけれども、その場合は、あくまでも展示目的に飼っていたら、同一種、同一個体であっても、その目的に応じた基準に従うということをどこかできちんと言っておかないと、基本的に展示動物だといいながら、時に実験動物ではこう言っているからいいではないかという形になってしまうと、恣意的な解釈をする者がいると、そこの部分が、皆さんが極めてご心配になっているようなことが起こり得るんですね。ですから、今度の基準ではその部分をやっぱり明確に、その飼養目的に応じたカテゴリー別の基準というものを遵守していかなければならないということがうたわれている方がいいかなという感じがしますけれども。

【竹内部会長】 基本的には、その線を、それぞれの基準がございますから、動物種別でというか目的別の基準がありますから、そこの線というのはきちんとしなくてはいけないのは、もうおっしゃるとおりなのですが、実際にはなかなか、そうはいいながら、ちょっとぼやっとしなきゃならない部分が出てきてしまうのですね。それは、例えば今おっしゃった産業動物にしても、産業動物を触らせるというときに関しては、まさに本来の産業動物の扱いというものから離れて考えてもいいかもしれませんが、産業動物としての牛を展示する、牛とはどういうふうにして飼われているのだということになれば、それはやはり産業動物というのは経済性を考えないといけないわけで、その経済性と両立する形で飼われている形態で見せないと本当の展示の目的というのが達成できないというようなことがあるでしょうから、展示動物だからといって、産業動物とその経済性をかなり無視した非常に贅沢な状態で飼って見せていいかというと、そこにまた展示する側の意図というものがあるでしょうから、今、中川(志)委員がおっしゃったのは、基本的にはそのとおりなのですが、具体的にはやはりその辺は適当に勘案をしながらやっていかないと、その展示の意図が生きないという場合もあるのかなという印象はいたしましたけどもね。

【前島委員】 いいですか。中川(志)先生が言われたとおりだと思いますし、竹内先生が言われたとおりだと思うのですが、むしろ私がこの、きょうのテーマではないのですが、一番の問題はその4つのカテゴリーに分けたのはいいのです。あるとき突然、おまえはきょうから実験動物だとか、あるとき実験が終わったから、これは豚を使っていたのに、非常に、きょうから産業動物に移っていけというようなことをどこにも、実は法律では決めていないのですね。ところが社会全体から見ると、例えばついこの間までペットで飼われた犬が自治体を通って実験の場に持ち込まれるのは非常にけしからんことである。というようなことが、やっぱり研究者から見ると、本当にそれはいかなる法律根拠によるか、あるいはどんな基準によってそういうことが起こるのか。だからこういうことがはっきりしていないのが、実は私は、もしかしたら動物愛護管理法の一番の問題じゃないかと。それを4つに分けるのはいい。分けたときの後、どうして分けたかと、どう移行するのかということを、私は本当は問題だと思っております。

【竹内部会長】 そうですね。それは一番基本的で、分けたのもいろいろ悩んだ末に、とりあえずはこういうように分けないと動きがとれないということで分けたのですが、所属が変わるときに、だれが所属変更をお伝えするかというのは大変難しい話なのですが、それはきょうのこの基準の見直しのところでは、ちょっと論議するのは大き過ぎますので、むしろ機会があったときに、法律そのものをもう一度考え直すときに、この辺をどう整理するかというのはいい整理法があるかどうかはわかりませんが、検討してみる余地はあるところかもしれませんね。ありがとうございました。
  いかがでございましょうか。まだ、ございますか。どうぞ。まだあるのですかなんて、申しわけないですけれど、その次へいかなきゃいけないものですから。

【小川委員】 対象施設にペットの繁殖施設というのがありますね。これは、ほかの動物の基準でも出てくるのでしょうけども、どういう絡みでここに出てきているのでしょうか。

【東海林動物愛護管理室長】 今回、これも便宜的にということなのですが、ペットの販売施設と一緒に展示動物の基準の対象施設に含めたらどうかと。現行の基準もそうなっているのですが、ということで考えております。
  これの理由といたしましては、今でこそ、ペット販売店とブリーダー、繁殖施設が分かれている施設が量的に多くなってまいりましたけれども、基本的には、繁殖から販売まで、1つのお店といいますか組織でやるといったのが当初の基本形態であったというように聞いております。その実態を見ましても、まだまだそういう施設が少なくないですし、それから逆に、いったん販売と繁殖施設に分かれたものが総合的に多角経営をするということで、逆に、またその繁殖・販売施設が一緒になって営業されるというような新しい形態の店も最近出始めております。そういった状況を踏まえまして、現行の基準どおり、ペットの販売施設・繁殖施設、これを一体的に展示動物の基準に対象施設とするということで整理させていただきたいと思っております。

【小川委員】 最近はむしろ分かれるような、何といいますか、いわゆる産業的な意味でブリードしていくというようなケースもあって、その辺でちょっと抑え切れるのかなという気がするんですけれども、その辺は大丈夫ですかね。

【東海林動物愛護管理室長】 便宜的に対象とさせていただいたというのは先ほど説明させていただきましたけれども、今、繁殖施設・販売施設に関しまして、いろんな業界がそれぞれに何かいい動きをしていこうということで、組合をつくったり団体をつくったりというようなことで活動されております。それから、基本的に繁殖施設については動物取扱業の届け出の対象施設になっておりまして、地方公共団体でその所在をすべて把握しているということになっております。ですから、この展示動物の基準の見直しが答申をいただけました暁には、そういった地方公共団体を通じて、あるいはその業界の団体、組合を通じて、この展示動物の基準の趣旨、内容、これは徹底してまいりたいといいますか、普及啓発してまいりたいというふうに考えております。

【竹内部会長】 よろしゅうございますか。ありがとうございました。
  そのほかは、よろしゅうございますでしょうか。大体、この今の1番、2番、3番ですね。構成の方は先ほどご説明がありましたように、従来の基準ではこういうふうな分け方になっておりませんでしたけれども、やはり同じ展示動物といっても幾つか分けて考える必要があるので、その共通の部分とそれぞれ個別の部分というふうに分けるという骨子にしているわけですが、それを含めまして、大体この対象動物・対象施設、それから基準の構成、この事務局で用意させていただきましたこの案で、あと、肉をつけていくということでよろしゅうございますでしょうか。
(異議なし)

【竹内部会長】 ありがとうございました。
  それでは、その先の4の内容に入りたいと思います。それぞれ(1)(2)(3)(4)とございまして、その中に小さい黒ぽつで、いろいろございます。
  先ほどご説明があったとおりなんですが、それぞれを大体ご承認いただければ、それについて今度は具体的な基準をつくっていくということでございますので、これに例えば、それぞれの黒ぽつについてのご注文があればご注文も伺いたいと思いますし、あるいは、もう一つ黒ぽつを追加しろというお考えがあればそれはまた承りたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。
  どうぞ。

【前島委員】 すみません。環境エンリッチメントのというか、注文なのですが、実験動物の方でも、環境エンリッチメントというのはもうこのごろは大変非常に重視しておりまして、やっています。ここで見ますと、同種の動物と人ということを書いてあるのですが、実験動物の場合ですと、むしろ異種の動物、よく犬の横にねこを置いていいのかというようなところから始まって、それで展示動物の場合には異種動物というのは余り考えなくていいということでこうなっているのでしょうか。そうじゃなくて、書いていないだけでしょうか。

【竹内部会長】 いかがでしょうか。

【東海林動物愛護管理室長】 はい、書いていないだけでございます。今の現行基準でも、種間の競合みたいなものに配慮すべきといったような趣旨の表現は、既にあるところでございます。

【竹内部会長】 菅谷委員、何かご発言がありますか、今の問題。よろしいですか。
  余計なことになってしまいますが、犬やねこも、昔は確かにおっしゃったように一緒にしない方がいいというので、私も大学の病院を設計するときに待合室を分けたのですが、今の犬やねこは仲がいいのが多いみたいですね。余り、昔とは話が変わっちゃったなと思っていますが。ちょっと余計な話ですけれど。
  どうぞ。

【兵藤委員】 ペットショップさんの様変わりができればいいかなというふうに希望しているのですけれど。というのは、睡眠と習性、十分、福祉を考えて、ショーケージの中で今は睡眠中ですという、視線から外してあげる。これが出ると子供の教育にはとてもいい面がでます。今ねんねしているのよと子供に親が教えて、そして、また開けてあげる。こういうのが世の中に出ていただくと、とても心が温かく。動物についてですけど。このあたりは睡眠時間と習性、福祉の面でどういうふうに変わっていくかなと、とても興味深いところなのです。

【竹内部会長】 その辺は、場合によっては解説書の中で具体的に触れるというような部分になるのかもしれませんね。見た子供が、ねこはいいな、昼寝ができて、と言うかもしれませんけれど。

【兵藤委員】 それから、もう一つ調教の面なのですけれども、お猿のいわゆる芝居小屋みたいなのがたくさん出てきまして、あれは習性に合っていないような芸を相当やらせなければあそこまでいかないのでございます。私もあれを見ますと大変ほほ笑ましく感じます。国民の中では、無理して、そういうものを見るのが正しくないんだよというような方向づけを何かでしないと、裏では相当の調教をしない限りあそこまではいくわけはないのです。現実、親子連れ立ってあれを見に行く風習があるのですけれども、動物ってああいうものではないんだよというものを何かどこかで押さえておかないと動物福祉が進まないのではないかという観点があるのですけれども。動物の訓練についていかがですか。

【竹内部会長】 いかがでしょうか。
  どうぞ。

【東海林動物愛護管理室長】 実は、検討会でも、この動物の演芸といいますかショーについては、議論の俎上に上りました。アシカのショーですとか猿回しのようなもの、あるいは神社でのヤマガラのおみくじのようなものとか、いろんな動物の演芸というかショーがございますけれども、ある意味、娯楽性の強いものから伝統文化芸能的なものまで、そういうものに指定されているものまで、いろんな形態のものがあるかと思います。押しなべて言いますと、まだ現時点ではそういった動物種というのは社会的に一定の評価を受けて実施されている状況ではないかと思います。このようなことから、兵藤委員のご指摘の意見は意見として十分にご理解できるのですが、一定の評価を社会的にはまだ受けている現状の方が強いものですから、動物の演芸ですとかショーそのものを否定するのではなくて、適正にやっていただく。つまり、動物に過酷な訓練とか演芸をさせないといった観点で、適正に管理するという観点から、その現行基準の拡充といいますか見直しというものを進めてまいったらどうかなというふうに考えさせていただいた次第です。

【竹内部会長】 よろしゅうございますか。芸の域までは、なかなか書き込めないというところかもしれないのですが、猿でなくても、さっき話題にも出ましたけれど、イルカにしても、もともとジャンプはしますけれども、あんなに高いところの風船をやるようなあれは、もともと持っている習性とは非常に言いにくいのですが、しかし、世の中は非常にそれを喜んでいるといいますか、みんなに受けていますので、なかなかどこまでの芸が福祉に沿うものかという評価は、しなくてはいけないのかもしれませんが、ちょっと今回は難しかったというところかもしれません。
  どうぞ。

【小川委員】 よろしいですか。今、福祉の話が大分出たんですけれども、ここに展示動物の福祉の向上ということで項目が大きく設けられたのですが、この「福祉」という言葉は、動愛法そのものには全く出てこない言葉なんですね。家庭動物のときにも全く出てきてないわけですけれども。そういう意味では、非常に画期的といいますか、これは国際的にもいい方向のような気もするんですけれども、ここで福祉という言葉が、突然出てきたということは、この展示動物の特性にのっとってこれが出てきたということなのか、それとも、ほかの動物も含めて、今後そっちの方向に広げていくべきだというような気持ちがあってのことなのか、その辺をお聞かせいただけたらと思います。

【竹内部会長】 これ、ちょっとよろしいですか。菅谷委員にちょっと伺いたいのですけれど、その検討会の場でも愛護か福祉かというので大分論議をされたと伺っておりますが、その辺ちょっとお話をいただけませんか。なかなか整理のしにくいところではあるんですが。

【菅谷委員】 福祉・愛護と言う用語は、国際的には「愛護」という言葉よりも「福祉」の方が、動物関係の中では広く使われており、より具体性ももった言葉だと思います。愛護という言葉は、日本では非常に定着しています。けれども、心の動きを表す用語として限定的な面が強いのではないか等の意見も多くあり、何回かのご論議の中でやはり福祉という言葉の方が、いろいろの意味で今の時代に合っているのではないだろうかということで取り入れた。ほかとの関連云々ということなので、すみませんけれど、その辺のところはよろしくお願いします。

【竹内部会長】 ありますか。

【東海林動物愛護管理室長】 詳細につきましてはまた勉強をさせていただきまして、次回の愛護部会でご説明をさせていただきたいと思うのですが、基本的には、その動物の愛護というものと動物の福祉というものは、動物愛護管理法の世界では、同義の内容のものを指しているというように考えてよろしいもののようです。ただ、その用語の使い方として、平成11年の法改正で「動物の保護及び管理に関する法律」が、名称が変わりまして「動物の愛護及び管理に関する法律」ということになったんですが、ここで使われた「愛護」というものは、その意図・内容といいますか目的としましては、動物の福祉、海外で言われているそのアニマル・ウェルフェアみたいなものですね、そういったものを意図したものであって、内容的には何ら差があるものではないと。ただ、法律の用語としてのなじみの度合いですとか適切さですとか、そういったものを考えながら、最終的な判断といいますか、決断として、「動物の愛護及び管理に関する法律」という名称になったというように聞いております。

【竹内部会長】 今の件につきましては、この法律、「保護と管理に関する法律」を「愛護と管理に関する法律」に変えるときに、審議会で審議をしていただいた方々も中にたくさんいらっしゃるのですが、多分覚えてらっしゃると思いますが、いろいろ議論がございました、実際は。
  それで、実際は「愛護」というのは――そのときに申し上げたこととちょっと重なるかもしれませんが、日本の広辞苑でも何でも、辞書を引いてみますと、これは必ず事例に「動物の」というのが出てくるのですね。ですから、日本独特の言葉で、「動物を非常に大事にして、いい環境で飼っていくということ」というふうに書いてあって、事例として必ず「動物愛護」というのが出てくるという言葉なので、動物に使うのにはふさわしい言葉だろうという理解も1つあったかと思いますね。
  したがいまして、動物愛護は非常に困るのは、愛護法の英訳でも困るのですが、英語がないのですよね。それで苦労して、人道的な取扱いとかいって、ヒューマン・トリートメントとか、非常に逃げているのですけれど、非常に困ってしまうのですよ。ですけど、一方この「福祉」というのは、ウェルフェアとか、あるいはウェル・ビーイングとかいう言葉がそれに対応するものです。
  ところが、海外で非常に悩んでいるのは、ウェルフェアというと、まさに我々が感じる福祉を感じるのですが、福祉というのはあるいはウェルフェアというのは、人間に使われる言葉なのだと。そうすると、動物の福祉と人間の福祉は同じだという理解があっていろいろな誤解を招くおそれがある。できれば、そこは命も大事にするけれども、そこは少し分けていかないといけない。例えば、人間の福祉に伴う権利ですね。それは動物側の福祉に伴う権利と同じだというふうにされると、非常にこれはやりにくいというような、理解がされにくい。理解される方もあるでしょうけれど、理解されにくいと一般には言われています。
  そういうこともあって、世界の動物の方の会議で出ましたのは、できたらウェルフェアという言葉、アニマル・ウェルフェアという言葉にかわるいい言葉はないだろうかというふうな議論がされたけれど、実際はないということがありますので、日本の愛護という言葉は、そういう意味では動物に適用されるという意味で、そう非難する話でもないので、いい言葉ではないかなと私個人は思っておりますし、内容的には、今、東海林室長がご説明しましたように、ほとんど同義語というふうに考えている。
  「愛護」というと、どちらかというと精神論的な部分が入ってきて、「福祉」というと、福祉行政というふうに、具体的な施術といいますか、そういうものを考えるというような意味かなとは思っておりますけれども、そう明確な定義があるわけではないかと思います。

【小川委員】 そうしますと、今後、「愛護」という言葉と「福祉」という言葉がどんどん法体系の中で一緒に使われてくるということになっていくのでしょうか。

【竹内部会長】 今回そこまで議論はしていらっしゃらないと思いますが、ここで「福祉」という言葉が使われたということで、次の法律の見直しのときにどういうふうにするかというのは、やっぱり検討すべき事項の1つかなとは思いますけれども。

【前島委員】 基準の中に初めて出てきたと、先生言われましたが、実は実験動物のうち、昭和55年にできた、総理府で、私、委員をしていたのですが、その実験動物の基準のときは、ずっともう、実験動物の福祉ということで議論がされていました。少なくとも解説の方には、「実験動物の愛護」でなくて「実験動物の福祉」ということで書かれている。そういう意味では、私は愛護と福祉がどういいとか、そういう、そんなに法律上問題になっていないと思います。ただ、記憶が定かじゃないんですが、内閣法制局かほかのどこかの省から、いわゆる動管法に「福祉」という言葉がないのに、実験動物の基準の解説でなぜ「福祉」という言葉を使っているのかという意見が出ましたが、確かに法律の方はそう言うではないかと思います。しかし、実際に実験動物の基準の解説には、たしか「福祉」で通っております。

【竹内部会長】 ありがとうございました。福祉というのは、要するに一般用語でもあるわけですから、動物の愛護法のもとでも動物の福祉を考えるといって何も悪いことではないんじゃないかなというふうに、私はかなりいいかげんな性格かもしれませんが、そう思いますけれども。

【小川委員】 いや、私はそれは全然問題ないです。ただ、両方あったときに、全体として、こういう審議会として何かやるときに、国全体の、国民全体のことを考えて整理しておかなくていいかどうかということを気にしているわけです。

【竹内部会長】 ありがとうございました。ここへ出てまいりますからね。

【兵藤委員】 「動物愛護協会」と「動物福祉協会」とあって……。

【竹内部会長】 統一しようといっても、困りますね。

【兵藤委員】 困るでしょうね。「愛護」というのはやはり人間の一方的なもので、「福祉」というのは相手方のものを重んじてというふうに僕は理解しているものですから、まあ、同じ意味で使っているのでしょうけども、いずれか、どちらか主になってくるだろうと、時間で多分整理されてくるのではないかと、僕は思っています。

【竹内部会長】 そうですね。ありがとうございました。この議論はこれぐらいにさせておいていただきたいのですが。これはもう、始めると際限がないのですが。
  それで、さて、実際、中に入ってご議論いただきたいのですが、いかがでございましょうか。どうぞお願いします。

【丸山委員】 先へ行っていいですか。

【竹内部会長】 どうぞ、何番でも、内容に関して結構でございます。

【丸山委員】 4の危害の防止というところの中の感染症のその予防ということが、出てまいるのですが、これは大変、こういうことが盛り込まれるということは、当然だし、いいことだと思うんですが、ちょっとこれだけではわからないのですが、これは具体的にはどういうことをここで言っているのでしょうか。ちょっとそのあたりをお聞かせいただきたいのですが。

【東海林動物愛護管理室長】 感染症の予防でございますけれども、基本的に人の健康を、これは厚生労働省と環境省の話になってしまうのですが、人の健康ですとか安全を予防する観点からの施策は、厚生労働省が感染予防法に基づいていろいろなその対策を講じているところでございます。環境省といいますか、動物愛護管理法の世界では、動物同士といいますか、動物そのものが感染症にならないようにということで、動物の健康と安全を保持するためというところが、まず1つ仕事になりますし、あともう一つは、改正動愛法の新しい規定にもございますけれども、実際の予防対策は感染症予防法でやることになるんですが、動物由来の感染症に関する正しい知識といいますか、そういったものを動物を飼っている人は身につけるようにしましょうということが、平成11年の改正動愛法で盛り込まれたいのですけれども、そういう普及啓発に関しましては、この動愛法の体系の中でやっていくという整理になっているのでございます。
  そういうことを踏まえまして、これは基準でございますので、ほとんど大綱的なことしか定められないと思うんですが、動物が病気にならないように健康と安全に注意しましょうというような趣旨のこと。それから、動物の病気に関する知識、あるいは、動物から人に移る動物由来感染症の知識というのに関しての知識を身につけましょうといった趣旨の規定を設けるべきじゃないかというように考えております。

【丸山委員】 ありがとうございます。
  ここに、「動物による人への危害防止」と、こうなっているものですから、特に展示動物の場合は、家庭動物と違って、飼育者が受ける危害というのは、私は実際にはかなり多いのだろうと。菅谷さんがいらっしゃいますけれども、動物園の中での飼育者とか、あるいは獣医さんとかの、動物から受けるその感染症の危害というのは、実際には余り表には多分出ないのでしょうけれども、結構大きな問題だと私は思ってます。ここの例にも、15ページにもありますように、3例のうち2例ともこれはその職員がかかっている。こういうあたりの視点は、この法律の中でどうとらえているのだということがちょっと気になっているんですが。そのあたりはどうなのでしょうか。

【竹内部会長】 それはいかがですか。菅谷委員、ございますか。

【菅谷委員】 他の動物園で実際に昨年、一昨年と発生していまして、大変問題が大きいわけですけれども、動物園での過去の事例で社会的な問題になったような感染症というのでは、私は動物園の経験は浅いのですけれども、そんなにはないのではないかと思います。ただ、それが公表されていないという部分はあるのかなという気はします。私どもも専門家の先生方をお招きして研修会をやったり、来園者対策としましては、消毒設備を設け、手を洗いましょうとか、一般的なことはしています。年間300万人ものお客様に対して、具体的にどのような手段を用いてその安全確保を図っていくかという事は大きな課題です。今回のSARSの発生は、原因の解明も進まず、風評被害的なものもあり、混乱もあるようですが、多くの野生動物を展示飼育する立場の責任者として、大変心配を致しております。東京都としてもその対策を実施致しておりますので、家畜保健所等各方面との連携を密にして対応を図ってまいりたいと思います。

【竹内部会長】 どうでしょうか。
  どうぞ。

【丸山委員】 菅谷さんの今お答えのところもそうなのですが、私がもう一つ申し上げたいことは、その施設における飼育者の動物から来る感染予防というものをもう少し考えておく必要があるのではないか。家庭動物と違って、接触が非常に大きい。プロでそれをやっているわけなので、そういうことをやはりここで考えておく必要があるんではないかと、こういう意見でございます。

【竹内部会長】 どうぞ。

【東海林動物愛護管理室長】 非常に重要なご指摘をどうもありがとうございました。
  先ほど、環境省と厚労省の関係をご説明させていただきましたけれども、感染症対策、これに国として取り組まなければいけないことは、取り組むということが非常に重要なことであると考えております。厚生労働省さん、あるいは場合によっては農水省さんにも絡んでくる場合があるかと思うのですけれども、特にかかわりの深い厚生労働省さんの結核感染症課の方とは我が環境省の動物愛護管理室なのですが、常日ごろから密接な連絡調整をとりながら、この感染症対策について国としてやらなければいけないこと、これについて、やってきておるところでございます。今後とも、引き続き関係省庁と連携しながらやるべきことをやるということで、対応してまいりたいと思います。
  具体的には厚生労働省さんの方のお話になるのですが、こういった飼育者の衛生状態の管理方法ですとか安全の保持方法ですとか、そういったところは、感染症予防法の関係でいろんなガイドラインとかマニュアルをつくりまして、関係機関に配付して示しているところというように聞いております。

【丸山委員】 ありがとうございます。
  もう一つ、ちょっと細かいことなのですが、15ページのWHOの定義で、「脊椎動物と人の間で」ということは、ちょっとこれは違うので、「人と人以外の脊椎動物」というふうになっておりますので、そのあたりは後で訂正しておいていただきたいと思います。

【東海林動物愛護管理室長】 はい、わかりました。

【竹内部会長】 どうぞ。

【藏内委員】 2番目のペット等の販売の項目の4番目、「購入者の対する十分な説明の実施」とありますが、これは取扱業もそれなりの勉強をしなければならんと、こういうことを動管法改正のときに我々が審議して答申をしているのですけれども、取扱業の方がいろいろな教育、講習等を受けられたにしましても、実際、次の飼い手の方に説明をするときに、差があると思うのですね。言わんでいいようなことを言ったりするかもわからんし、大切なことを抜かしたりするかもわからん。また、ある特定の地域では、その伝統、風土といったようなもので動物の飼い方を指導していると。それが、最初に飼い主がそういったことを聞くと、後で獣医師の先生のところに行ってもそちらの方を頭の中に入れていまして、なかなか考え方を変えられないということがあるわけなんですね。ですから、今の話ではありませんが、やはり基本的、最小限度これとこれだけはちゃんと説明しなければいけませんよと、指導しなきゃいけませんといったようなものを、マニュアルなんですけれど、パンフレット1枚でもつくって、それだけはやはり次の飼い主にきちっと手渡す、指導するといったものが必要ではないかと思います。

【竹内部会長】 ありがとうございました。この辺、環境省が少しやっていらっしゃるんでしょう。どうぞ。

【東海林動物愛護管理室長】 販売店におけるその説明のマニュアルみたいなものを整備するということ、これは非常に重要なことだと思われます。昨年度からなのですが、販売説明マニュアルの策定事業というのを環境省の方で進めておりまして、哺乳類ですとか鳥類ですとか爬虫類といったような動物種ごとに、そのマニュアルの整備を進めてきているところでございます。まだ、ちょっと、昨年度からの事業でございますので、完成していないといいますか、まだ実際のペット業者の方に示しできるような段階になっておらないのですけれども、作業の方を早急に進めまして、そういったマニュアルを各ペット販売店に示しできるようにしてまいたいというように思っております。

【藏内委員】 そういった取り組みをされておるのは私も知っておりますけれども、できれば、必ずそれをやらなきゃいかんというような、一歩踏み込んだ指導といいますか、といったものが私は必要だと思いますので、ぜひ今後、考慮いただきたいと思います。

【竹内部会長】 ありがとうございました。
  どうぞ。

【松下委員】 この内容から申しますと3番にかかわっているかと思うのですが、今いろいろな動物とのふれあいとか体験学習のニーズが高まっているというふうに書いてございますが、そのふれあいとか、動物を知るというよりも、もう少し違った意味で療育の媒体といいますか、問題を持っている子供たちを、例えばポニーを世話するといったようなことを通して、人間の心を少し豊かに教育するといったような団体とかプログラムが随分出てきているのではないかと思うのですね。これは、4つの動物のカテゴリーになりますと、やはり家庭動物ではないと思うので、展示の中に入るのかなと思いますが、ここに、11ページの3のところにありますのは、何か動物について情報を提供するとか、あるいは動物との接触の方法というようなことが書かれておりますけれども、療育とか療法の媒体みたいなものについては、どのように、何か協議会、討論のところで触れられておりましたのでしょうか。

【竹内部会長】 違いですね。例えば、乗馬療法であるとかそういうようなものを含めての話ですね。これは展示動物だったので、これも展示動物の中に位置づけるかどうかという点についてはどうでしょう。
  菅谷委員、お願いします。

【菅谷委員】 あくまでも展示動物の基準であり、医療に使うとか、いろいろなケアに使うというところまで立ち入るのは、この展示の基準に見合うかどうか。それを利用してどのように活用していくかということは、それは、例えば動物園なら動物園で仕事の内容として動物の活用とその際の適正な取扱いと考えることではないかと思います。今回の基準改正にはそぐわないと考えます。

【竹内部会長】 そうですね。これはご承知のように、最近、補助犬法案などが通りまして、ますます動物を、人間の広い意味の補助に使うということが盛んになっていくわけですね。それは個人が使うわけで、人に見せるというものではない。目的から言えばですね。ですから、ちょっと今回はこの対象の中には、恐らくお入れにならなかったんだろうというふうに想像しますけれども、全体として、人間と動物との絡みを考えたときには、そこの愛護問題をどうするかというのは当然ございますよね。

【松下委員】 はい、わかりました。ただ、最初に展示動物は見せるということが一番の目的でということでしたが、いろいろな対象施設のお話のときに、ふれあいパークとか、あるいは、貸し出しというところで、貸し出しは撮影のためのみが主なというお話がありましたが、私どもの教育施設の方では、長期ではありませんけど、貸し出してもらってそういう教育の媒体みたいに使う場合があるのですね。そうしますと、これが展示されているものが、貸し出されてくる。でも、見るだけではなくて、ふれあいという中にそういうものを入れればいいのかどうかというのを、ちょっと私どもの立場から位置づける必要があるなというふうに思いましたものですから。

【竹内部会長】 ありがとうございました。その点については、いわゆる広い意味の学校で飼う動物というふうに考えますと、これは既に出ております家庭動物の飼養と保管に関する基準、その中に位置づけております。あれは、家庭動物の延長というふうに一応考えて、したがってこれは国会でも附帯事項といいますか、附則としてそのことを検討するようにとついておりましたので、家庭動物の中ではその章が1つございまして、基本的には学校、教育の目的――教育といっても実験ではございません、そういう情操教育などを含めたそういう目的で飼う場合には、この家庭動物の基準に基本的には沿うこととなっておりますし、対象特有の部分だけについてはその章の中でも触れてあるということですので、仕分けとしては恐らくそこへいくのかなという気がいたします。

【松下委員】 どうもありがとうございました。

【竹内部会長】 ありがとうございました。
そのほかは、いかがでございますか。どうぞ。

【小川委員】 (1)の「展示動物の福祉の向上」のところに、「展示動物の健康と安全の確保に加えて」ということが書かれているだけで、健康と安全のことがここには項目としてはないのですけれども。これらの動物は、非常にストレスの多い、病気になりやすい動物だと思います。健康も福祉の1つには違いないのでしょうが、健康のことを項目として立てなくてよろしいのでしょうか。そこをお伺いしたいと思います。

【竹内部会長】 どうぞ、お願いします。

【東海林動物愛護管理室長】 非常に言葉足らずで、申しわけございません。基本的に、修正すべき、拡充すべきポイントのみをこの基本方針に掲載させていただきましたので、いわゆるその施設の構造・規模については、その健康と安全を確保する観点からの施設の単純な規模と構造の件につきましては、健康基準で十分であろうと。というふうに判断いたしました関係上、「加えて」ということで、そのほかにこういったものをつけ加えたり、書いておいた方がいいですよとという表現にさせていただいたものです。当然、小川委員ご指摘のとおり、施設の規模・構造というのは健康と安全が確保されるように基準というものを考えていきたいというように思っております。

【竹内部会長】 よろしゅうございますか。
  そのほかはいかがでしょうか。どうぞ。杉山委員の方から。

【杉山委員】 先ほどの藏内委員のご発言と重複いたします。この基準が16年4月下旬ですか、告示されます。結局はこの内容がいかに徹底されるかと、これがポイントだと思います。
  それで、私はこの部会で常々申しておりまして、ああまたかとお笑いになるかもしれませんが、非常にこの辺のところを気にしておるんですね。幸いこの基本方針には、(5)の最後のところにも書かれております。全体を含めてのものだと思いますね。「改訂基準の趣旨・内容等についての普及啓発の推進」と、このところを主に強調していただきたいと思います。
  以上です。

【竹内部会長】 ありがとうございました。おっしゃるとおりでございまして、毎度いろいろ基準をつくっても、それが守られなければしょうがないわけでして、それの広報を含めて実際にどうやって周知徹底させるかというところが基本で、これはひとつ環境省の方にぜひお願いをしたいところだということだと思います。
  どうぞ。

【兵藤委員】 移動動物園についてなのですけれども、比較的、移動動物園を零細の業者がやっている例があります。地方の動物愛護週間行事の中でも、このふれあいコーナー、業者に頼んで持ってこさせるのですけども、その場合に非常に管理が悪い動物が実は来てしまうことがあるものです。今年の動物愛護週間も、あるところで僕が関わり合って、出してくる動物の健康チェックを事前にしておいてくださいということで、事前に行っていただいたのです。それで、たまたま今年は雨が降りまして流れてしまったのですけれど、移動動物園にかかわる業者さんが、もちろん危険動物を含めて、危険動物はきちんと管理しなければいけないことに決まっているのですけれど、移動動物園というのは、管理が簡素化してくるわけなんです。危険動物まで、移動動物園で扱うことについては、何か1つ考えておいてほしいなというふうに思いますので、ひとつ検討の1つの中に入れておいていただければと思っています。

【竹内部会長】 ありがとうございました。
  よろしゅうございますか、今の提案は。どうぞ。

【中川(志)委員】 項目は非常によく整理されていて、すべて網羅していると思うのですね。基本的に27年前にこういうものをつくるときにも同じような問題が出たわけですけれども、非常に悩ましい問題というのは、実際にこの(1)の福祉の向上のうちの高齢、幼齢、妊娠中という、こういう動物に対してどういうケアをするかという、これは非常に大きな問題ですね。それから、計画的な繁殖及び繁殖制限措置等の実施という、それから終生飼養の徹底というふうに書いてあるわけですが、文言としては成立するわけですけども、実際にこれを実施していくときにどうしたらいいかというのは、実にさまざまな課題がこの裏にありまして、今後検討会の中で具体的にこれらの問題がいい方向で提示されるということを非常に期待をしております。
  それから、(2)の黒ぽつの1のこの「生体」の「体」は、これでいいのでしょうか。これはわざわざこういうふうに書いているのかな、「生体展示」の「体」は。

【東海林動物愛護管理室長】 1ページの……。

【中川(志)委員】 じゃなくて。

【竹内部会長】 1ページをごらんになっているのでしょう。

【東海林動物愛護管理室長】 にんべんの「体」で結構でございます。

【中川(志)委員】 「生」きた「体」でいいのですか。

【東海林動物愛護管理室長】 例えばイギリスなんかのペットショップですと、犬・ねこをケージに入れて、個体そのものを展示しないところが多いというように聞いております。ところが、日本では、ある意味商品ということで、ケージに生体である犬・ねこを展示しているということで、いろいろと管理みたいなものが必要になってくるわけですけれども、こういった意味での生体、つまり生きた個体の展示という意味で使わさせていただいております。

【中川(志)委員】 わかりました。それなら結構です。
  それからもう一つ、基本的に今申し上げたような老齢動物を加えて、よく動物園なんかの最近の事業の中で、これは環境省のお仕事に大いに関係するわけですけども、野生鳥獣の保護というのをやりますよね。そういう動物は保護動物なのですけども、実際にそれをその、先ほどの松下先生の話ではありませんが、こういう結果こういう動物がこうなっているというようなことの展示も教育上必要だという論もあるのですよね。それは、要するに人間の余り思慮深くない行為によってそういうようになってしまう動物たちが野生で随分いて、それらが最近は動物園で保護されるという例もかなり多い。それがある程度、実際に展示というか飼育可能なものであるというような場合に、これを展示動物として使うかどうかという問題は1つ大きな問題で、クリアされていないことが多いのですね。ですから、これはやはりどれがいいかというのは、僕も結論を持っていませんけども、やはり一度検討しておく必要があるのじゃないかと。
  それからもう一つは、先ほどの丸山先生ご指摘の感染症と同時に、有毒動物をどうするかという問題はこの前も大きな問題になったのですけれども、これは飼育者もそうですし、それに関与するお客さんもそうなのですけども、やはり有毒動物についてどうするかという。感染症と同時にですね。これもやはりどこかで、基準の中ですとうたっておかないといけないのではないかなというような気がいたします。
  それからもう一つ、ついでで申しわけないのですけれども、日本の動物園で割と少ないのですけれども、今は1カ所か2カ所しかないと思うのですけれども、展示動物なんだけども、それを繁殖のために、繁殖のための独自の施設を持っていて――ツシマヤマネコなんかもそうなのですが、それからズーラシアもそうなのですが――お客さんには見せないと。だけれども、それは希少動物の繁殖のためにある施設を持って、そこで飼っているという動物が実際にいるわけですね。こういう動物も大きな意味では展示動物なのですけれども、恐らく海外ではそういうものがどんどん今ふえてきて、面積も非常に広くなりつつあるという状況もありなので、そういうその展示することのない展示動物というか、展示予備軍と言ってもいいと思うのですが、そういう施設が今後出てくる可能性があるので、それらのことについても若干考えておかれた方がいいかなという感じがいたします。
  ちょっとまとまりがなかったと……。

【竹内部会長】 ありがとうございました。裏の方にもちゃんと目をつけろというご意見だと思いますが。ありがとうございました。
  いろいろご意見いただきまして、まことにありがとうございましたけれども、実は時間が、そろそろ予定の時間を越えてしまうのですが、もし、もう一つどうしてもというお話が、ご要望があれば承りますが。よろしゅうございますか。
(な し)

【竹内部会長】 大体いろいろと、本当に、期待していた以上にたくさんご意見をいただきまして、ありがとうございました。ただ、いろいろいただきましたけれど、基本的にはどうでしょうか、事務局がご提案いたしましたこの基本路線というものはご承認いただけますでしょうか。
(異議なし)

【竹内部会長】 では、それにきょういろいろいただきましたご意見を加えながら、今度の基準案を作成するという作業に入らせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。では、そのような線で進めさせていただきます。まことにありがとうございました。
  それでは、議事の3でその他というところがございますので、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

【東海林動物愛護管理室長】 どうもありがとうございました。竹内部会長を初め委員の皆様方におかれましては、長時間にわたりご審議いただきまして、どうもありがとうございました。
  次回の日程ですけれども、既にご内議をお伺いしておりますとおり、1月14日の午後2時から4時までということで予定しております。詳細につきましては、追ってご連絡をいたします。
  なお、次回の部会では、きょうのご審議を踏まえまして、基準の見直し素案を提示できるように検討を進めてまいりたいというように考えております。
  本日はどうもありがとうございました。

【竹内部会長】 それでは、以上をもちまして本日の部会を終わらせていただきますけれども、委員の先生方には本当に年末のお忙しい中を、長時間にわたりまして、また非常に熱心に、それからまた、いろいろ貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。心から御礼を申し上げます。
  それからまた、関係の省庁の方々、お忙しい中に長時間ご一緒いただきまして、まことにありがとうございました。先ほどの議論の中にもございましたように、環境省だけで処理できる問題ではございませんので、今後またいろいろとご協力をいただかなければならないことが多かろうと思いますので、どうぞ、よろしくご支援を賜りますようお願いいたします。
  それでは、本日は、これで閉会といたします。ありがとうございました。