中央環境審議会動物愛護部会(第1回)議事録
日時
平成13年3月19日(月)午後2時~午後4時10分
場所
KKRホテル東京 11階 白鳥の間
出席者
竹内 啓部会長 今泉 忠明委員 藏内 勇夫委員 関 哲夫委員 中川 李枝子委員 松下 倶子委員 山下 喜弘委員 西尾 自然環境局長 塩田 総務課長 阿部 動物愛護管理室長 |
小川 益男委員 杉山 公宏委員 中川 志郎委員 前島 一淑委員 丸山 務委員 小林 審議官 黒田 調査官 岡部 室長補佐 |
議題
- (1)部会長代理の選任について
- (2)中央環境審議会関係法令等について
- (3)動物の愛護及び管理に関する法律の施行状況等について
- (4)動物愛護部会の今後の検討事項について
- (5)その他
配布資料
資料1 | 中央環境審議会委員及び動物愛護部会委員名簿 | |
資料2 | 中央環境審議会の関係法令等 | |
資料3 | 資料3 都道府県等における動物愛護管理法施行状況 | |
資料4 | 平成13年度動物愛護管理関係予算 | |
資料5 | 動物保護審議会の検討経過及び動物愛護部会の今後の検討事項 |
議事
【阿部動物愛護管理室長】 お待たせいたしました。定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会動物愛護部会の開催をお願いしたいと思いますが、開会の前に、委員の皆様のご出欠についてご報告いたします。委員総数15名中、出席者12名、欠席者3名でありまして、出席者が委員総数の過半数を上回っておりますので、本日の会議は成立いたします。
続きまして、去る1月15日に中央環境審議会の総会が開催されまして、中央環境審議会の会議の運営などにつきまして、幾つかの決定がなされました。その中で、中央環境審議会に設置される各部会の部会長につきましては、会長が指名するということになっておりまして、1月15日の総会におきまして、動物愛護部会の部会長に竹内委員が指名されましたことをご報告いたします。
それでは、竹内部会長、よろしくお願い申し上げます。
【竹内部会長】 ご紹介いただきました竹内でございます。
ただいまから動物愛護部会を開催させていただきます。
まず、議事に先立ちまして、西尾自然環境局長からごあいさつをお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
【西尾自然環境局長】 環境省自然環境局長の西尾でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、竹内部会長をはじめとしまして委員の皆様方にはご多用中ご出席を賜りまして、厚く御礼申し上げます。また、平素から動物の愛護、管理に関しまして、格別のご指導、ご支援を賜りまして、また今般、委員にご就任いただきましたことに、まずもって感謝を申し上げます。
ご案内のとおり、ことしの1月6日の中央省庁再編に伴いまして、動物の愛護及び管理に関する行政を環境省自然環境局で担当させていただくことになりました。
あわせて、審議会につきましても整理・統合が行われまして、従来、総理府に設置されておりました動物愛護審議会の仕事が中央環境審議会の動物愛護部会に引き継がれるということになりました。本日はその新しいスタートの第1回目の会合となるわけでございますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
先日も、中央環境審議会の総会が発足するに当たりまして、竹内委員から、この動物愛護というものは命あるものをどう大切にしていくかということでやってきた、そういう精神のもとでやってきた行政でありますが、そのことが従来の環境保全あるいは自然保護といった行政とどう違和感なく調和してやっていけるのだろうかということでお尋ねがあったわけでございます。
私からは、専門の先生方を前にして、具体的にきちんと語る言葉は現在持ち合わせていませんけれども、しかしながら、せっかくこの動物愛護という分野が合流いたしましたわけでございます。この出会いが非常にハッピーなものになるように、あるいはそういうハッピーなものにならなければいけないという気持ちで精いっぱい取り組ませていただきますのでよろしくお願いしますということを申し上げたところです。
そういう気持ちで私ども自然環境局は取り組んでまいりたいと思いますけれども、そのためには、やはりこれまで動物愛護の分野で専門の方々あるいは愛護団体の方々、一生懸命取り組んでこられましたこれまでの経緯や蓄積というものを大切にして、私どももそれを大いに勉強をさせていただいて、そういった方々と一緒になって新しい発展を目指していくことが必要だと考えております。
川口大臣も環境省の発足に当たりまして、環境省は従来は規制調整官庁でしたけれどこれからはその政策をどんどん実現していく行動官庁にならなくてはいけないということをいつも言っておられるとともに、この役所は国民にもいろいろな方にも一番身近な役所として一緒にやっていくという、パートナーシップということを行政のスタイルとしてやるべきだということをいつも言っておられるわけでございますが、そういう面で皆さんと一緒になってということで、私どももまさにそのように取り組んでいきたいと思っております。
この動物愛護管理の分野の当面の主要課題ということになりますと、何といっても12月に施行されました改正動物愛護管理法の実施をしっかりやっていかなければいけないということだと思います。その中でも推進員でございますとか協議会の制度でございますとか、やはりこれからのいわば一種のパートナーシップということの上に築いていく仕事が非常に大切にされていると思っているわけでございまして、そういうパートナーシップを基礎にする中で、新しい動物愛護管理行政のスタートを切ってまいりたいと考えています。そのためにも、何よりもここでの専門の先生方のご議論、ご指導といいましたものを私どもの行政のバックボーンとしていくことが不可欠でございます。先生方の高い識見に基づきますご指導が不可欠と思いますので、何とぞその点、委員の皆様方に格別のご指導をお願いしたいということを再度申し上げまして、あいさつとさせていただきたいと思います。ひとつよろしくお願いを申し上げます。
【竹内部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、私から一言、ごあいさつを申し上げます。
本日は年度末で大変お忙しい中を各委員にはご出席いただき、まことにありがとうございます。動物保護審議会のときからの方々に大勢加わっていただきましたし、新たにいろいろな分野から新しい委員をお迎えすることができました。
ただいま局長からごあいさつがありましたように、環境省としても心を新たにしてこの我々の活動に取り組もうと考えてくださっているようですので、大変心強いお言葉をいただいたと思っております。したがいまして、皆様方のご協力を得ながら、新しい愛護法の精神を生かして、その実をとるといいますか、実効があがるように、お互いに努力をさせていただきたいと思います。
ただいま局長からご披露があったのですが、実は中央環境審議会の総会でちょっと不安な部分がございましたので、先ほどご紹介のあったようなことを伺いました。大臣、副大臣の前で伺うのはちょっと失礼かなと思ったのですが、大変心強いお答えをいただきましたので、私も安心をいたしました。
確かに環境省は、野生生物ということで動物を今までも扱っていらっしゃいますが、観点がやはり自然保護という立場であったと思います。私どもの方は愛護です。「保護」と「愛護」というのは一字違いで大変よく似ておりますが、中に盛り込まれているものには、申し上げるまでもなく大変違う部分があります。そういう意味では、環境省としてもまだ戸惑われる部分もあろうかと思います。しかし、このところ、環境省の担当の方々といろいろとお話をしておりますと、大変、皆さん、この問題に熱意を燃やして勉強してくださっているようでございますので、きっといい部会活動ができるのではないかと思っております。どうぞ、今後ともよろしくお願いします。
それでは、続きまして事務局から、動物愛護部会の委員並びに環境省の自然環境局の幹部職員のご紹介をお願いしたいと思います。
【阿部動物愛護管理室長】 お手元の資料1の2枚目に動物愛護部会の委員名簿が入ってございますので、ご参照いただけたらと思います。
各委員の皆様方におかれましては、2月8日付で中央環境審議会臨時委員ということでご就任をお願いいたしたところでございます。
私の方からお名前を順に読み上げてご紹介させていただきますので、よろしくお願いします。
まず、本日ご欠席でございますけれども、池田委員。次に今泉委員。それから、小川委員。それから、本日ご欠席ですが、北井委員。それから、藏内委員。杉山委員。関委員。中川李枝子委員。中川志郎委員。それから、本日ご欠席ですが、兵藤委員。次に丸山委員。前島委員。松下委員。山下委員。どうぞよろしくお願いいたします。
以上、ご欠席の方も含めて15名の委員の方々で動物愛護部会の審議をお願いいたすということになります。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、環境省自然環境局の幹部をご紹介させていただきます。
まず、小林審議官。
それから、塩田総務課長。
それから、黒田調査官。
最後、私、動物愛護管理室長の阿部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【竹内部会長】 ありがとうございました。
それでは、議事に入るわけですが、その前に事務局から配付資料について確認をお願いします。
【岡部室長補佐】 それでは、皆様お手元にございます、「中央環境審議会動物愛護部会第1回会議」と表題のついております資料を見ていただきたいと思います。
まず、開けていただきますと、資料1となっております。資料1に中央環境審議会委員、2枚目に動物愛護部会委員の名簿が載っております。
次に、資料2といたしまして、中央環境審議会関係法令等ということで、1ページから6ページまでに、環境基本法中央環境審議会令、それと中央環境審議会議事運営規則が載っております。あと、7ページから中央環境審議会の運営方針についてということで9ページまでございます。
次に、資料3といたしまして、都道府県等における動物愛護管理法施行状況ということで、2ページございます。
次に、資料4といたしまして、平成13年度動物愛護管理関係予算の資料が1ページございます。
最後に、資料5といたしまして、動物保護審議会の検討経過及び動物愛護部会における今後の検討事項(案)ということで載っております。
以上が本日の資料となっております。もし資料に不備がございましたら、事務局にお申しつけいただければ整えますので、よろしくお願いします。
【竹内部会長】 ありがとうございました。
いかがでございましょうか、何か過不足はございませんでしょうか。ないようですが、もしございましたら、どうぞ事務局にお申しつけください。
それでは、議事に入ります。
まず、議事1ですが、部会長代理の選任についてでございます。これは中央環境審議会令の第6条第5項によりまして、部会長代理を部会長が指名するということになっております。
私といたしましては、中川志郎委員にお願いをしたいと存じます。と申しますのは、中川(志)委員は、動物保護審議会のときからといいますか、実際は私がその審議会に入れていただく前から長年にわたってこの分野でご活躍でございます。大変この分野の事情にお詳しいので、もしご賛同いただけましたら、中川志郎委員にお願いしたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
( 異議なし )
【竹内部会長】 ありがとうございました。
それでは、中川(志)委員、恐縮でございますが、ごあいさつがございましたらどうぞよろしくお願いいたします。
【中川(志)部会長代理】 わかりました。
この動物愛護の問題というのは、私も取り組んでからちょうど28年ぐらいになるのではないかと思いますが、ただ、今回は新しい法律で新しい世紀に新しい展開が期待できるという意味では、非常に先が見えるような感じがいたしますので、私としましては竹内部会長をお助けして実のある会議にしていきたいなと考えております。よろしくお願いいたします。
【竹内部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、議事の2に進みます。中央環境審議会関係法令等につきまして、事務局からご説明をお願いします。
【阿部動物愛護管理室長】 座ったままで失礼いたします。
お手元の資料2に基づきご説明する予定なのですが、その前に、皆様、これまで自然環境局というところに余りなじみもないと思いますので、自然環境局でどんな仕事をしているのかということをお手元の『環境省』という印刷した冊子で少しご説明させていただきたいと思います。
15ページの見開き部分が自然環境局で現在行っている業務の主なものでございます。
左側に四角で幾つかの大きな項目がありますけれども、生物多様性の保全、自然を守る取り組み、自然とのふれあいの推進、右のページで、野生生物の保護・管理、それからペット動物の愛護・管理、これは今回新たに入ったものでございますが、それと国際協力の推進という大きな項目がございます。一つずつ簡単にご説明したいと思います。
まず、左側のページの上の生物多様性の保全でございますけれども、これは自然環境局の施策の基本となるものの一つということでありまして、平成5年12月に発効した生物多様性条約に基づきまして、生物多様性国家戦略というものを定めて、それに従う形でいろいろな取り組みを進めているところであります。この生物多様性国家戦略、平成7年に策定されたものですが、ほぼ5年間を経過したということで、来年度にかけて見直しの作業をするということになっております。
それから、緑の国勢調査(自然環境保全基礎調査)というものがございます。これは自然環境に関するいろいろな施策をやっていくための基盤となるいろいろな情報を調査して集めるというものであります。動植物ですとか、生態系の全国的な状況を把握するというもので、植生ですとか身近な生き物、あるいは湿地、あるいは干潟、サンゴ礁など、海の自然とか、いろいろなものを網羅的に、おおむね5年置きに繰り返し調べていくというものでございます。
それから、自然を守る取り組みですが、これはさまざまな具体的な場所の保全の仕組みでございます。
その一つは、自然環境保全地域という制度でありまして、原生の状態あるいは人為の影響の少ないすぐれた自然を維持している場所を「原生自然環境保全地域」でありますとか「自然環境保全地域」に指定して、守っていくというものでございます。
それから、次に自然公園というのがございますけれども、これはすぐれた自然の風景を有している場所を「国立公園」でありますとか「国定公園」という地域に指定して、そこの自然を保護するということと同時に、国民の自然とのふれ合いの場として活用していく、利用していくという制度でございます。
先ほどの自然環境保全地域が、人為の影響の少ないところを純粋に保全していくという傾向が強いのに対して、自然公園の方は、保護すると同時に、観光なり保健なり休養の場として利用していくものです。そのためにいろいろな整備もしていくということで、若干性格が違っております。
それから三つ目は、身近な自然環境の保全ということで、割と都市に近い里地などの野鳥とかトンボなど、多様な生き物が生息する空間の回復・復元を行う事業です。これは地方公共団体が行うというのが中心ですけれども、それに対する支援をしたり、いろいろな調査をしたりということでございます。
それから、自然とのふれあいの推進ということで、国民がよりよく、より多く自然と触れ合うように、ハード面、ソフト面の施策を進めております。
その一つが自然公園における施設整備ということで、先ほどの国立・国定公園などで、自然と楽しくふれ合い、理解してもらうために、自然観察路でありますとかキャンプ場でありますとかトイレ、あるいはビジターセンターといった施設の整備を進めております。 それから、ソフト面ということで、ふれ合いの機会の提供をするためのプログラムなどの行事をしたり、人材の育成をしております。
それから、右側のページに移りまして、野生生物の保護・管理ということで、一つは希少な野生動植物の保護ですが、絶滅のおそれのある野生動植物の捕獲や譲り渡しの規制、あるいは生息地・生育地の保全、あるいは保護増殖のための事業などをやっております。もう一つは野生鳥獣の保護管理ということで、鳥獣保護区の設定でありますとか狩猟の管理といったことをしております。
この分野に関しましては、例えばアライグマでありますとか、ワニ、カミツキガメとか、いろいろ問題になったことがありますけれども、ペットで遺棄されたものが、移入種ということで生態系とか人間の生活に影響を与えるということで、この部会とも若干かかわりがあることだと思います。そしてペット動物の愛護・管理、これはまさに本部会で検討いただくお話でございます。
それから、それ以外に国際協力ということで、渡り鳥の条約・協定、あるいはラムサール条約、ワシントン条約等のいろいろな国際的な取り組みを進めております。
それで自然環境局の組織でありますけれども、23ページをお開きいただきたいと思います。これは環境省全体の組織でありますけれども、その右側の方に自然環境局ということで、本省89人のスタッフで5課3室、総務課の中に自然ふれあい推進室、動物愛護管理室、それから、自然環境計画課、国立公園課、自然環境整備課、野生生物課、その中に鳥獣保護業務室。あと、その下にございますけれども管理事務所等ということで、国民公園管理事務所、自然保護事務所あるいは生物多様性センターといった現場の機関に268名おりまして、局全体で357人という体制でやっております。自然環境局以外は、官房が一つ、あと自然環境局を含めて4局ございまして、大臣官房、総合環境政策局、地球環境局、環境管理局ということで、このような体制で環境省の組織が成り立っております。
環境省に関しては以上でございます。
続きまして、資料2をごらんいただきたいと思います。これも、皆様が動物保護審議会、動物愛護審議会から中央環境審議会に移ってこられて初めてということですので、基本的なことも含めてちょっとご説明させていただきたいと思います。
まず、中央環境審議会の一番の根っこは、環境基本法の第41条というところに、「環境省に、中央環境審議会を置く」ということがありまして、その第2項で審議会がつかさどる事務の規定がございます。その2番目にありますが、「環境大臣又は関係大臣の諮問に応じ、環境の保全に関する重要事項を調査審議すること」というのが第一の使命ということになると規定されています。
それから、第3号のところでいろいろ法律の名前が書いてありますけれども、この部会に関しましては3行目のところに、動物の愛護及び管理に関する法律、その段落の最後ですけれども、「……その権限に属させられた事項を処理すること」ということで、動物愛護管理法の第26条に、審議会の意見の聴取をしなければならない事項ということで定められております、例えば動物の飼養保管の基準でありますとか取扱業者の施設の構造、保管方法の基準でありますとか、多数の飼育により生活環境が損なわれている事態の定めでありますとか、そのようないろいろなことに関しての決定、あるいは見直しのときには審議会の意見を聞かなければならないとされ、それに対して意見を述べるということでございます。
それから、今申し上げた、諮問に応じ重要事項を調査審議すること、あるいは法律によりその権限に属させられた事項を処理することということ以外に、第3号のところで、「中央環境審議会は、前項に規定する事項に関し、環境大臣又は関係大臣に意見を述べることができる」という規定がございます。これは諮問に応じということでなくても、審議会の中から自発的な審議といいますか、そういうことが出てきて、大臣に対して意見具申という形で述べることができるということを定めているものであります。
その次、中央環境審議会令というものがございます。その中で1枚ページをめくっていただきまして、その次の2ページ目の中ほどに部会のことが定められております。第6条に「審議会はその定めるところにより、部会を置くことができる」となっておりまして、「部会に属すべき臨時・専門委員は会長が指名する」、と。それから、「部会に部会長を置き、会長の指名する委員がこれに当たる」。それから、第6番のところですけれども、「審議会は、その定めるところにより、部会の決議をもって審議会の決議とすることができる」と、部会で決定したことが審議会の決定になるものがあるということでございます。
それから、2枚めくっていただきますともう少し細かな規則として、中央環境審議会議事運営規則というものがございます。その第4条に、「審議会に、次に掲げる13部会を置く」ということで、13の部会が列記してあります。そのうち自然環境局にかかわるものは11番目の自然環境部会、12番目の野生生物部会、それから、13番目の動物愛護部会というこの三つになります。
それで第2号のところに、「部会の所掌事務は、別表に定めるところによる」となっておりまして、2枚めくっていただきますと各部会の所掌事務の一覧表がございまして、動物愛護部会に関しましては、「動物の愛護及び管理に係る重要な事項に関すること」と定められております。
それから、また2枚戻っていただきますが、4ページの第5条に、諮問の付議ということで、「会長は、環境大臣又は関係大臣の諮問を適当な部会に付議することができる」となっておりまして、先ほどの所掌事務に応じて環境大臣から諮問があった場合に、適切な部会に会長が付議をするということになっております。
その第6条に「部会の決議は、会長の同意を得て審議会の決議とすることができる」ということであります。
それから、1枚めくっていただきまして、5ページ目の第10条のところで会議録というのがございまして、「総会、部会、小委員会、専門委員会の議事については、会議の概要を記載した会議録を調製しなければならない」とされ、その作成とか公開という話が後ほど出てまいります。
最後に雑則のところで、「部会の運営に必要な事項は、部会長が定める」となっております。
2枚めくっていただきまして、今度はA4の横書きの資料がございますが、中央環境審議会の運営方針についてということで、去る1月15日に開催されました中央環境審議会の総会で決定された事項がこれでございます。中身を少しご説明しますと、一つは会議の公開及び出席者についてという非常に重要なことが決められております。会議の公開につきましては、総会は必ず公開ということであります。それから、「部会については原則として公開するものとし、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、特定な者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合又は特定の野生動植物の保護に著しい支障を及ぼすおそれのある場合には、部会長は、部会を非公開とすることができる」と定められております。
ですから、原則公開ではありますけれども、何か問題がある場合、特別な場合には部会長が非公開とすることができるということであります。例えば個人のプライバシーにかかわる情報が資料として出てくる場合、あるいは企業秘密にかかわること。自然環境局で言いますと、特定の動植物、非常に希少な鳥などの生息地が資料として出て、それが一般に知れるとマニアが集まって、生息に非常に重大な影響を及ぼすおそれがあるというようなことでありますが、非常に限定した場合に非公開ということになっております。
それから、公開する場合ですが、「会長又は部会長は、会議の公開に当たり、会議の円滑かつ静穏な進行を確保する観点から、入室人数の制限その他必要な制限を課することができる」というようなこともございます。
それから、1ページめくっていただきまして、次のページに会議録等についてと、先ほどの決まりでは会議の概要を記載した会議録を調製するとありましたが、ここではもうちょっと具体的に書いてあります。すなわち「会議録は、発言内容を精確に記載するものとする」、「会議録の調製に当たっては、当該会議出席委員の了承を得るものとする」ということで、ご確認いただいた上で、できるだけ精確なものをつくるということになっておりまして、つくりました会議録は当該会議に属する委員等に配付するということにされております。
それから、会議録及び議事要旨の公開についてということがその次にございまして、公開した会議の会議録は公開するというのが原則になります。また、非公開とした会議の会議録であっても部会が認めたときは公開するものとするということであります。
それから、2番目に、総会及びすべての部会の会議について、議事要旨を公開する、と。
非公開の部会等であっても議事要旨は公開するということになります。その次に、公開の仕方としては、ホームページへの掲載あるいは閲覧窓口への備えつけということによって行うことが書いてございます。
あと一般の意見の反映とか、総会と部会の関係等とか、委員の構成等がございますけれども、一番最後のその他のところに、これらに規定するもののほかに、総会、部会、小委員会、専門委員会の公開その他、議事の運営に関して必要な事項は、会長または部会長が定めることができるものとするということがありまして、ここに定めない事項につきましては部会長が定めるということになっております。
少し長くなりましたが以上がご説明でございます。
【竹内部会長】 ありがとうこざいました。
ただいまのご説明につきまして、どうぞいろいろとご質問を、あるいはご意見をいただきたいと思います。
先ほどから繰り返されておりますように、衣がえをいたしましてから第1回目の会議でございます。最初に基本的なことはよくご理解いただいた方がよろしいかと思いますので、どうぞご遠慮なくご発言をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
ご質問がないようでございますので、ちょっと余計なことかもしれませんが、先ほどの環境省のパンフレットの16ページのところに、ペット動物云々とございますが、環境省が扱うのはペット動物だけではないですね。動物愛護法を所管する省ですから。そうすると、今回の改正の主眼こそペット動物に絞られたわけですが、これからは各基準の見直しもあるし、結局は愛護動物全般になるので、これは誤解を与えないかなと拝聴しながら感じていたのですけれども、いかがでしょうか。
【阿部動物愛護管理室長】 おっしゃるようなことだと思います。これをつくったときに、できるだけ、一般の人が見てすぐにわかるようにということで、このような書き方をしたんだと思いますが。新しいものをまたつくりかけているところですので、その点に注意しながら、もう一度確認したいと思います。
【竹内部会長】 「ペット」という言葉は、もちろん一般の多くの市民には親しみやすいのですが、これだとちょっと、環境省を理解してもらう上では不十分かなと思いましたので、次のバージョンのときにご検討ください。
ほかにございませんでしょうか。
それではちょっと確認させていただきますが、資料の中央環境審議会関係法令等の2ページになりますけれども、この部会というところ、ちょうど真ん中のところです。第6条の4項のところに、「審議会は、その定めるところにより、部会の決議をもって審議会の決議とすることができる」というのは、部会の決定が審議会の決定になると理解してよろしいんでしょうか。
【小林審議官】 この4ページをごらんいただきたいと思いますけれども、運営規則の一番左に第6条がありまして、「部会の決議は、会長の同意を得て審議会の決議とすることができる」というところにかかってきます。ですから、大体は、部会で決定したことは審議会の会長に決裁をいただいて審議会の決議としますので、部会の決定がそのまま、会長の了解を得て審議会の決定になります。
【竹内部会長】 実際のところは、審議会の総会は年1回ぐらいですね。ですから、そういう意味では、システムは変わりましたけれども、実質的にはこの部会の活動は、以前の動物保護審議会あるいはその後、短期間でございましたが動物愛護審議会、そのときと基本的には余り変わらないということですね。ですから、そのおつもりでぜひ活発なご討議、ご協議をいただきたいと思います。
【竹内部会長】 私一人でしゃべってしまいましたが、ほかに何かございませんでしょうか。ほかによろしゅうございますか。
( なし )
【竹内部会長】 それでは、先ほどのご紹介にもございましたように、会議の運営にかかわる事項で、今ご説明のあった中に定められていない事項については部会長が定めることができるとなっております。したがいまして、これからも必要に応じて皆様方にお諮りをしながら決定をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
では続きまして、議事の3番目に入ります。皆様ご存じのとおり、昨年の12月1日に法律が施行され、既に3カ月ほどが経過いたしました。現在の都道府県などの取り組み状況等について、事務局からご説明をお願いいたします。どうぞ。
【岡部室長補佐】 それでは、事務局の方から説明させていただきます。
資料3を見ていただきたいと思います。先ほど竹内部会長からご説明がありましたように、この法律は、皆様よくご存じのように昭和48年10月に制定されました動物の保護及び管理に関する法律を改正しましたもので、平成11年12月22日に公布されまして、平成12年12月1日に施行されております。公布後、国におきましては、この改正法の内容等の周知を図るため、法の施行主体である都道府県等に対して、改正法の解釈あるいは運用などに関する説明会を複数回開催するとともに、また改正法のあらましについてわかりやすく解説をしたパンフレットや、その内容を掲載した動物愛護週間ポスターの作成、あるいは政府広報等を活用して、法律の内容や施行日の周知徹底を行ってきているところでございます。
施行主体である都道府県等におきましても、この法律改正を受けまして、改正法の周知や条例の改正など、その円滑な施行に向けて取り組んでいるところです。
今回の改正法の主な改正点としましては、一つには、動物取扱業者に対して都道府県知事等への届出が義務づけられるなどの規制が新たに設けられたこと、2点目に動物保護審議会の提案により取り入れられたものですが、地域における動物の愛護と適正な飼養の推進を図るため、都道府県等におきまして、動物愛護推進員の委嘱や協議会を組織化することができること等になりました。また、さらに罰則が強化されまして、愛護動物を虐待した場合、これまで3万円以下の罰金でありましたものが、最高1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられることになりました。こういった改正、法律の名称も含めて大幅に改正されておりまして、その施行につきましては、社会的な関心もかなり高いものがあると感じているところでございます。
そういったことから、環境省といたしましても、施行後約3カ月が経過したことから、都道府県等において、改正された内容について各種の取り組み状況を把握するために、今回、全国47の都道府県と12の政令指定都市に対しまして、本年2月20日現在における施行状況についてアンケート調査を行いました。
なお、今回は動物取扱業の施行主体ではない中核市につきましては調査対象に含めておりませんので、ご承知おき願います。
取りまとめた内容が、資料3でございます。
まず、1の条例改正等についてですが、既に改正済みというところが、28の都道府県等、今後改正等を予定しておりますのが20都道府県等、未定のところが11となっております。今回は条例の改正の有無や今後の条例改正予定等の調査のみで、改正した内容までは踏み込んだ調査はしておりませんが、これまでに都道府県等から聞いているところでは、その改正の中身としては、これまで危険動物の飼養保管条例だったものを動物愛護管理条例にするなど、全面的な見直しをしたところから、動物愛護監視員や動物取扱主任者など独自の規定を盛り込んだところ、あるいは保護を愛護に変えるなどの名称変更、さらには条ずれの改正のみのところなど、その改正内容は多岐にわたっているところでございます。
次に2の動物取扱業の届出についてごらんいただきたいのですが、届出がありました総施設数は、2月20日現在で全国で約9,000となっております。業種別内訳について見ますと、販売業が約6,800、保管業が約4,100、貸出業が約300、訓練業が約700、展示業が約600、業種計が約1万2,000となっております。届出の総施設と業種の計が一致しておりませんが、これは一つの施設で複数の業種を兼ねている場合、それぞれの業種ごとに届出を行っているため、業種数が多くなっていることによるものです。
届出状況について都道府県等からお聞きしているところでは、ほぼ順調に届出は進められているようですが、まだ届出がすべて出されているという状況ではないようですので、今後その数字はもう少しふえるのではないかと考えております。
次に、3の協議会についてごらんいただきたいのですが、(1)の組織化状況を見ていただきますと、組織化済みが2、組織化予定ありが21、未定が36となっています。その組織化予定あり21のうち、13年度から組織化を予定しているところが9ございます。14年度から予定しておりますのが5、その他、これは15年度以降あるいはまだ時期が未定というものを含めてですがこれは7、合計21となっております。
次に、2ページ目を見ていただきたいのですが、動物愛護推進員の施行状況についてですが、まず(1)の委嘱状況について、既に委嘱済みというのが1ございます。委嘱予定というのが21、未定が37、合計59となっております。
次に委嘱予定ありという21の予定時期を見てみますと、(2)ですが13年度から委嘱予定というのが8、14年度から予定が6、その他未定とかいうのが7、合計21となっております。その委嘱規模についてですが、(3)を見ていただきますと、未定あるいは検討中というところがほとんどで、今後は計画が具体化するにつれ、委嘱規模もある程度明らかになってくるものと考えているところです。
今回回答のありましたものを見ますと、少ないものでは50人程度から、多いところでは300人程度までございまして、その内訳を見ますと、100人未満が2自治体、100人以上200人未満が2自治体、200人以上が2自治体となっております。以上が合計6自治体について今の段階で明らかになっているところでございます。
以上、改正後、施行後の実施状況につきまして、都道府県等に対するアンケート調査を取りまとめました内容についてご報告いたしました。
今回は取り急ぎ調査をしたため、十分満足いただける内容ではなかったかと思います。また、都道府県におきましても施行後間もないということもございまして、協議会や動物愛護推進員に関する取り組みはまだ始まったばかりという状況でございます。そういうことから、今後も引き続き都道府県等における動物の愛護及び管理に関する各種の取り組み状況や法律の施行状況等につきまして、適宜把握したいと考えております。
最後に、資料4の平成13年度動物愛護管理関係予算について少しご説明させていただきたいと思います。
環境省といたしましても、都道府県等の動物愛護管理の取り組みを支援するために、これまで動物愛護週間や動物適正飼養推進など、動物愛護管理の普及啓発に取り組んでいるところでございます。
平成13年度は、これに加えまして新たに動物愛護推進のためのモデル協議会活動推進事業と、ペット動物流通販売実態調査事業を実施することといたしております。
このモデル事業といいますのは、簡単に言いますと、協議会活動に関心を持ち類似の経験を持つなど、先進的に取り組んでいる都道府県等に対しまして、全国のモデルとなるような協議会の立ち上げと活動の推進について事業委託を行うとともに、国において設置した検討会において、そのモデル事業の経験を踏まえ、全国の都道府県等における協議会の立ち上げとその活動の推進を促していくような指針を検討しようというものでございます。
また、調査事業についてですが、これについては、今回、動物取扱業の届出制度が規定されたことから、都道府県等における届出情報や立入検査などの情報収集あるいは流通経路の実地調査や流通販売にかかわる関係者や専門家からの聞き取り調査などを実施することとしているところでございます。
以上、改正法の施行状況及び動物愛護管理関係予算について、簡単にご説明させていただきました。
【竹内部会長】 ありがとうございました。
新しい法律が施行されてから、まだ3カ月ですね。どのように動くかなという不安も持っていたわけですが、まだまだ数は少ないとはいいながら、一応この時期としては、どうでしょうか、着実に協議会なりあるいは推進員システムがスタートしたと考えていいのではないかと思うような数字でございました。
それからまた、予算に関しましても今ご報告がございましたように、これからの協議会の活動を推進するためのモデル協議会の活動の推進事業というのが始まるようでございまして、この点は大変時宜を得た事業費ではないかと思います。と申しますのは、前の審議会のときの委員の先生方はご存じのように、動物の愛護法ができ上がるとき、自民党の作業部会、小委員会が作業していたわけですが、私どもは新メンバーとしてこの審議会に加わって、初めて自民党でつくり上げておられる原案を見せていただいて、これはやはりちょっと足りないのではないかというところを幾つかご指摘させていただきました。
その中の一つが協議会組織をつくって草の根運動を広げていかなければ法律は実際に動かないということだったと思います。この考えを、実際には法律で定めていただき、またこうやってモデル事業の予算をつけてくださったというのは、大変、当を得ていると思いますので、これについてもご意見をいただきながら、ぜひ有効にこの予算を使わせていただけるといいのではないかと思います。
そこで、予算に関しまして中川(志)委員からどうぞお願いいたします。
【中川(志)部会長代理】 基本的には、部会長の方からお話のありましたモデル推進事業というのは、これからの運動を進めていく上ではそのベースになるものなので、おっしゃるとおり非常に重要だと思います。この新しい事業は重要で、これをやらなければ前に進めないところがあります。
もう一つ、この中に盛られていないけれども今現実に起こっている問題として、例の阪神大震災から有珠山から今回の三宅島まで続いている災害問題がこの問題などと関連しながら動ければいいなと思います。
【竹内部会長】 ありがとうございました。実は災害時の問題につきましては、この前の最後の審議会のときに、私も発言をさせていただいたと思います。
それで、きょうはその他のところで、国としてどういうことをしたらいいのだろうかということを考える方向で話題を提供させていただこうかと考えておりますので、そのときに、ご議論いただきたいと思います。
予算が足りないではないかというお話はあんまり強く出てこないですけれど。
【中川(志)部会長代理】 いや、本当に余りにも、省の予算としては。ただ、来年度からだろうと思いますので、それに期待をします。
【竹内部会長】 ありがとうございます。大変期待が大きいようでございますから、来年大変でございますがよろしくお願いをしたいと思います。この点については、皆様方もご異論は多分ないのではないかと思いますが、ただ、予算をとることの難しさ、現在の経済事情を考えても、これはよくわかります。これは何をするかということが先でございますので、これから何をするかというご議論を進めていただきながら、来年度予算編成に反映していただけたら大変いいのではないかなと思います。
そのほか、どうぞご質問がございましたら。
【杉山委員】 一言要望しておきたいのです。と申しますのは、資料3の協議会についてでございます。各都道府県などにおきましてはいろいろ事情はおありのことと、これは十分わかりますが、この協議会の重要性を再認識いただきまして、早期に、しかも充実した組織化を図っていただきたい。この表を見ますと、未定というのが計36ございます。早期の組織化を強く要望しておきたいと思います。
以上です。
【竹内部会長】 ありがとうございます。それについて、環境省の方ではお考えはございますか。
【阿部動物愛護管理室長】 協議会に関しましては、地方公共団体の都道府県なりがみずからそういうことを組織することができるというのが法律の書きぶりであります。国として強制できるものではないとは思うのですが、もちろん非常に重要なことでありますので、今年度、来年度、協議会に関してモデル事業などの予算もありますし、今回、各県の取り組み状況などもお聞きしたところであります。まずはこれだけもう取り組んでいるところがあるという情報を広く周知することと、先進的にやっておられるところがどのような方法で実施しているのかと。そういう情報をまた広く都道府県へ提供するということで、そうであれば自分のところも実施したいとか、うまくいきそうだというような機運が広がるように、環境省としても努力をしたいと思っております。
【竹内部会長】 ありがとうございました。よろしゅうございますか。
【杉山委員】 わかりました。よろしくお願いします。
【竹内部会長】 では藏内委員、どうぞ。
【藏内委員】 同じ協議会に関してですが、この協議会を設置をしなければ、法律がうまく国民の間に啓蒙できないのではないかと唱えた張本人でございます。一千万何がしかの予算をつけていただいているわけでありますが、十分でないという意見もありますが、厳しい情勢下、スタートしたばかりの、時間的にも非常に忙しかった中でよくつけていただいたと、お礼を申し上げたいと思います。
一つ質問ですが、この協議会で3の(1)の都道府県で2カ所組織化済みとなっていますが、もし都道府県名が公表できれば名前を教えていただきたいというのが1点と、もう一つはその中身ですね。どういう組織化がなされたのか。わかる範囲で説明いただければと思うのですが。
【竹内部会長】 いかがでございますか。何か資料、持ち合わせがありますか。
【阿部動物愛護管理室長】 既に組織化されているのは、埼玉県とそれから大分県の2県であります。
【岡部室長補佐】 中身につきまして、聞き取りした内容なのですが、埼玉県につきましては、今年度については構成メンバーへの委嘱を実施したということでそこまででとどまっているような状況で、本格的に動き始めるのは13年度からと聞いております。
あと、大分県につきましては平成11年度から独自に取り組んだということで、当初、動物愛護普及推進協議会といったものを結成しまして、これにつきましては、行政とか県の獣医師会とか、そういったところが構成メンバーとなっているようです。活動内容としましては、動物愛護センターが現在ないため、その設立に向けてソフト面、ハード面からの検討をやっていく、あるいはその他動物愛護に関するソフト面の活動というようなことを聞いております。
【藏内委員】 ありがとうございました。
【竹内部会長】 よろしゅうございますか。そのほかはいかがでしょうか。
これも前の動物保護審議会で出たご意見だったと思うのですが、各地方自治体でこの協議会ができるわけですが、その協議会でいろいろな問題が出てきたときに、やはりそれに対してアドバイスをするとか、問題提起をするような組織が中央に、つまり環境省になければおかしいのではないかと。そして地域性というものはありますけれども、大筋では同じような方針で各地方が向かっていくというふうに調整をしていく機関も必要ではないか。あるいは情報を収集し、また情報を提供していく機関も必要ではないかというお話があったと思うのです。これは確かに大事なことで、事務局とも詰めたのですが、これは今のモデル事業の中での検討事項の一つとして、ぜひモデル事業をやってくださるところで検討をしていただきたい。その上でこの部会でもご意見をいただきながら、そういうものが必要であればこの環境省の中に設け、場合によっては予算化というものもある程度は必要なのかもしれませんが、そういう組織をつくる方向で検討をしていただこうかと今のところ考えております。何かこの件についてもご意見がございましたらいただきたいと思いますが。
【中川(志)部会長代理】 基本的には、今、部会長がおっしゃったとおりだと思うのですけれども、環境省という一つの行政の中で、協議会に対してのバックアップというか、そういうものは一本の線として都道府県には県の中の組織でそういうものがあって、管理者ですけれども、もう一つ協議会というものがあって、それが車の両輪になって進めていくというのは自明の理なのですけれども、ただ、国レベルで考えると、二つの輪ができるような形には、法制上はなっていないんです。ですから、そういう意味では、環境省と一緒に肩を並べながら一緒に協力してやっていくような、全国レベルでの組織が、やはりでき得れば必要かなという感じがしておりますけれども。
【竹内部会長】 そのとおりですね。どういう形式の組織がいいかというのをこれから考えていかなければならないわけです。国が上で地方が下という話ではありませんけれども。
【中川(志)部会長代理】 そうです。
【竹内部会長】 ただ、あくまでも環境省としては、この法律を所管し、その法律のもとに協議会が置かれているものですから、それを地方の方は知らないと、任せきりというのも少しおかしなものかなという気もします。
そのほかはいかがでございますか。余りまだご意見がございませんようですが。
( なし )
【竹内部会長】 それでは、ないようでございますので、次の議事の4番目に移りたいと思います。
この動物愛護部会で、今後どういう事項を審議していくかということについて、事務局からご説明をお願いいたします。
【阿部動物愛護管理室長】 お手元の資料5という横の1枚紙でございますけれども、この紙は、前回、総理府における動物保護審議会の最終の会合のときに、事務局の方から今回の法改正以降、法の施行に向けて審議会でご検討いただいた事項と、施行後、おおむね5年後に見直しをというようなことも附則にございますので、そういうのをにらみながら、中長期的な検討をすべき事項としてどのようなものがあるだろうかということで、これまでの審議会で出たご意見などを踏まえて整理したものです。昨年11月30日の総会で、これまでにやったところにつきましてのご報告まではしておりますけれども、今後、中長期的な検討事項としてどう取り上げていくかということに関しては、年度内にもう一度、環境省に移ってから会議を開いて、もう一度方向性についてご議論をいただくということで11月30日の時点で終わっているものであります。それを少し事実関係などを整理しましたものでございます。
レビューという意味で、法改正以後が右側の大きな枠の中でございます。ここを見てまいりますと、2000年2月ごろから審議会においていろいろなことに関する審議を始めて、まず、6月に動物取扱業者に係る飼養施設及び取扱動物の管理方法等に関する基準案に関する諮問・答申が行われて公布されました。9月には政令で指定する危険な動物の範囲について、審議会からの意見聴取をして、さらに多数の動物の飼養に係り生活環境が損なわれていると認められる事態案の諮問・答申がなされております。
その後11月に、これは最後の総会だったと思いますけれども、動物愛護推進員及び協議会に係る事項ということで、法施行のための中間取りまとめということで専門委員会の方から報告されたということでございまして、ここまで法の施行に向けての審議をしていただいたということでございます。
それで左側の小さな枠の中に、中長期的検討事項というものがございますけれども、一つは、幾つかの基準が大分古くなっているということがございます。
一番右に、犬・ねこの飼養保管に関する基準。これは昭和50年7月に定められたもので、基準の中で一番古いものであります。この見直しをして犬・ねこ以外も含めたペット動物の飼養及び保管基準ができないかという検討であります。
それからその次に、動物愛護推進員及び協議会に係る事項ということで、これは審議会の中でも先生方の関心の特に深い事項ということで、昨年11月に中間取りまとめということで出されているのです。今後5年といいますか、その法律が施行されて、各県の取り組み等が進む中で、再度もう一度、見直すということが必要になる可能性があるということであります。
それから、その次が展示動物等の飼養保管に関する基準。これは昭和51年2月に決められたものであります。それから、実験動物の飼養及び保管に関する基準の見直し。これは昭和55年3月に決められたものでございます。それから、産業動物の飼養及び保管に関する基準。これは昭和62年10月ということで、犬・ねこが一番古いのですけれども、ほかの基準についても相当古くなってきているものがあるということで、見直しが必要ではないかということでございます。
それから、一番左側に、委員会決議及び附帯決議事項についての検討ということがございますけれど、具体的には今回の法改正のときの衆議院の委員会あるいは参議院の委員会の附帯決議等で、5年後の見直しに向けて検討すべき事項というのが幾つか挙げられております。
具体的に申し上げますと、一つは、動物取扱業者の届出制に関して、施行状況を見ながら有効性の評価をすること。それから、届出制だけでなく、登録制などの措置についても実施可能性、有効性も含めて検討するというようなことがございます。
それから、2点目としましては、規制対象となる動物取扱業の範囲が今のままでいいのかということも見直す対象にすること。
それから、3番目ですが、規制の内容、届出と立入調査、あるいは勧告、改善命令がございますけれども、その規制の内容に営業停止命令等の措置を加えることについても必要性あるいは有効性を含めて検討をする必要があるということがあります。この3点が、取扱業の規制に関する見直しであります。
それから、それ以外に4番目として、罰則の対象となる虐待の定義につきましても、見直しの必要性も含めて、今後もまた検討すること。
それから、5番目といたしまして、愛護動物の範囲ということで、観賞用の熱帯魚などもふえているという実態も踏まえて、今の愛護動物の範囲はこれでいいのかということについて、必要に応じて見直しを検討すること。このようなことがありまして、附帯決議等によりまして、幾つかの見直すべき事項が、もちろんすべてを変えるという前提ではないと思いますけれども、そういう視点でもって施行状況を見ながら必要な対応をとりなさいという理解でいいと思いますが、そういう指示がございます。
以上が今後数年ないし5、6年というスパンで、この審議会においてご検討いただく項目の大きなものかなということで挙げさせていただきました。
【竹内部会長】 ありがとうございました。
ご承知のように、今回の愛護法、昔の動物の保護と管理に関する法律と比較しますと、根本的な考え方、総論部分を含めまして非常に大きく変わったわけですから、やはりもとの法律にのっとってつくられたこの基準というものが、法律を見たときにもそぐわない部分があると思います。それからもう一つ、その間の長い間の時の流れというのがありまして、社会の変化もあります。そういうことを考えますと、確かにこの基準の見直しということが必要であろうというのはだれもが理解するところだと思うのですが。加えて、一番最後にありました附帯決議事項についての検討など、なかなか検討事項はたくさんございますが、これをどんな順番でやっていくかということになると思います。どれも要らないということはないと思うのですが。実際に、5年間なら5年間の間にどこまでできるかという時間的な制約もございます。
そういう意味で、とりあえずどこから手をつけたらいいだろうか。そういうような点について、もし事務局でお考えがあれば伺いたいと思います。
【阿部動物愛護管理室長】 事務局の考え方をちょっと申し上げさせていただきますけれども、まず一番右側にございました犬・ねこの飼養保管基準の見直しを含めたペット動物の飼養保管基準の検討・策定ということから手がけていきたいと考えております。
理由が三つほどございまして、まず第一は、今回の法律改正の中心が、動物取扱業の規制でありますとか、多頭飼育による周囲の生活環境への悪影響の問題の防止でありますとか動物愛護推進員協議会制度の導入、あるいは虐待に対する罰則の強化といったようなペット動物、飼養動物の適正な取扱と愛護のより一層の推進ということが大きな眼目であります。したがって、幾つかの基準の中で、この犬・ねこの基準の見直しというのが、一番今回の改正の趣旨というものに大きくかかわるものであろうと考えられることがあります。
それから、2点目としまして、この基準が既存の基準の中で最も古いということで、つくられてから四半世紀がたっておりまして、犬やねこ、そのほかの動物が実際に飼われている状況でありますとか、正しい、適正な飼い方に対する知見みたいなものも、最初に制定した当時とは相当変わってきている部分があるのではないかということであります。
それから、3点目としまして、今回の法律改正で、愛護動物の中に爬虫類も加えられたということで、ペット動物、飼われている動物の対象というものも大きく広がってきておりますけれども、現在の基準は、犬・ねこというその中でも一部の部分しかカバーされていないということがあります。実際にやってみて、哺乳類、鳥類、爬虫類、すべての基準ができるのかどうかというのはこれから検討しなくてはいけないのですが、一応そういうことを視野に入れてやっていくということで、この犬・ねこの基準の見直しからまず手がけていただきたいなというのが私ども担当の考え方でございます。
【竹内部会長】 ありがとうございました。
ご説明のあったとおりでして、確かに一番古い基準であるということと、今回の法律改正の、とりあえずのターゲットであったわけですから、その動物についてきちんとした飼養あるいは保管基準というものは、やはり現代にマッチしたものでなければいけないというのは、多分非常に理解されやすいところではないかなと思うのですが。今のところのご説明並びに今のご提案、それにつきまして引き続きご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
しかし、犬とねこだけではなくて、爬虫類とかいろいろありますと、これは大変な作業になりそうですね。犬及びねこのときも、昔のことで私は存じませんが、多分中川(志)委員が関係していらっしゃったかと思いますが、大分時間がかかったのではないかと思うのですけれども。さらに爬虫類も入る、そのほかのも少し入れなければならないとなりますと、これは作業内容としてはなかなか多いのではないかと思いますが、どうでしょう。
【中川(志)部会長代理】 やはり、事務局がおっしゃったように、犬とねこから手をつけるのが一番、今度の法律の改正とはマッチしているような感じがします。これをやると、あとがずっと続いてくるような、そういう気がします。
【竹内部会長】 そうですね。これを一応やりながら、いろいろ細かいところまで検討しておいて、そしてほかの動物についてはその動物による特殊事情などに配慮しながら検討する、そういうやり方も作業がしやすいかもしれません。いかがでしょうか。
【小川委員】 大変結構なことだと思うのですが、実際に犬・ねこのことを進めるに当たって、今度の改正で動物取扱業者のことが加わったわけですが、そのことについて、動物を買った人に今度は適正飼養などを普及するよう努力しなければならないということになっていますね。それに必要なことを取扱業者は当然自分で勉強するなり、そういう知識を持った人を配置するなりしていかなければいけないと思うのですけれども。このあたりの具体策については、この前の改正の中で議論が出たのか、あるいは今後考えていくのかよくわかりませんけれども、十分考慮しておく必要があるという気がします。
ただ基準ができただけで、実際にその基準を満たすための活動ができる人がいないと、いろいろ問題が起こってしまうと思うんですね。
【竹内部会長】 そうですね。ありがとうございました。この点につきましては前の審議会でもいろいろご議論があったんです。いろいろご意見が出ました。皆さんのお考えとしては、これは当然、今おっしゃったとおりなんですね。したがって、取扱業者に十分な教育をしなければならない。マニュアルが必要かもしれないし、あるいは講習会を開くとか研修会を開くとかというようなことをしなくては難しいだろうという話になっておりましたが、これを、環境省としては取り上げられるかどうか。あるいは、これは地方自治体に任せる問題という視点をおとりになるかですね。
【小川委員】 地方自治体に任せるにしても、大もとの考え方として何かを示していかないと。
【竹内部会長】 それが必要だという考え方はこの審議会としては持っていたと思うのですが。その先のことはまだ詰めておりません。今のご意見はそういうことがやはり必要ではないかというお考えですが、いかがでしょう。
【阿部動物愛護管理室長】 実は適正な飼養、飼い方を学んだりする学校があったり、そういう資格制度をお持ちの団体があったりとか、いろいろなところがいろいろなことをやっておられるということぐらいまでは承知をしているんですけれども、詳しく、実態がすべてわかっているわけではありません。それから、総理府時代にも、総理府の予算で地方公共団体に対する適正飼養講習会的なものを何カ所かで、団体に委託する方法でやっていたということがございます。
ですから、そういういろいろな取り組み、これまでの取り組みなどもちゃんと整理をして、この審議会のこれまでの議論の中でも、業者が消費者に対してしっかり飼い方を説明するようなやり方についても検討すべきではないかというようなご意見もあったということをお聞きしております。犬・ねこの飼養保管基準の見直しというものを手がける中で、そういうこともちょっと視野に入れながら、環境省としてどういうことができるのか、あるいは都道府県と協力してどのようにやっていったらいいのかということも含めて検討していければと考えております。
【小川委員】 先ほどマニュアルということが出ましたけれども、末端にいきますとかなり差が出ると思うのですね。ですから、何か、基準のようなもので示せたらいいのではないかなと思いますのでよろしくお願いします。
【竹内部会長】 ありがとうございました。
そのほかはいかがですか。どうぞ、杉山委員。
【杉山委員】 先ほど協議会の重要性を強調しました。当然のことながら、愛護推進員も含まれます。しかし、これらの活動の基本は、事務局でおっしゃったように、動物の飼養及び保管基準の検討・策定、これに大いにかかわってくると私は思いますので、まずはこの事項から作業を開始されるのがよろしいのではないかと私は思います。
【竹内部会長】 ありがとうございました。
それでは、山下委員、どうぞ。
【山下委員】 私も同じ意見ですが、附帯決議で幾つかのことについて言われていることというのは、この見直しの基準とか、基準の検討に重なってくるというか、含められてくるというか、そういうことになるのでしょうか。附帯決議は附帯決議で別の問題として検討するということなのでしょうか。
【竹内部会長】 これは事務局からお答え願えますか。
【阿部動物愛護管理室長】 犬・ねこの基準の見直しというものと、先ほど少しご説明した附帯決議に関しての5年後の法律の見直しの検討ということはちょっと切り離した方がいいのだろうと考えておりまして、附帯決議にかかわる事項の方は、法律の施行状況なりを見ながら事務的に検討しつつ、必要なときにまた審議会にお諮りをするなりしたいと思っております。
【竹内部会長】 附帯決議事項というのは、ある程度この法律が動いて、少し時間がたってみないと判断しにくいところもあるでしょう。基準の見直しの方はかなり早くからスタートしなければいけない部分がありますね。当然、関係はあるのでしょうけれど、一応別個にというつもりのようですが、よろしゅうございますか。
そのほかはいかがでしょうか。
【中川(志)部会長代理】 ちょっといいですか。実際に法律が施行されたときにそれを技術的に担保していく方法が必要だということで、今、事務局の方が幾つかのそういうことを従来やってきた経緯があるというお話がありました。
実際に、今のところ、例えば動物園、水族館などでは、動物飼育技師というような資格を与えています。それから、前島委員の方では、実験動物技術者という資格を与えているんです。それから、動物飼養管理士というのも、小川委員のところである。それから、いろいろなそういう動物の専門学校でも、アニマル・ヘルス・テクニシャンをつくっているとか、それぞれの団体がそれぞれの資格を付与している、あるいはその学校を卒業したらある資格を付与するということが、ある意味で無関係に行われているわけですね。これはやはりある程度この法律を実効あらしめるためには、どこかでレベルがキープできるような仕掛けが必要ではないかという気がするんですね。
ただ、行政がそういうことをしっかり法的にやるということがいいのかどうか、よくわかりません。しかし、それがない限り、法律は空文になってしまうということがあるので、今、方々でそれぞれにやっているものを、何かゼネラライズできるような仕掛けがどうしても必要になるという気がします。
【竹内部会長】 ありがとうございます。確かにおっしゃるとおりで、いろいろな資格がありますが、それらはそれぞれの違う思惑でできている部分があるわけです。ただ、共通のものとして、確かにどれも動物を扱う資格ですので、愛護精神の高揚とか、そういうことは当然うたっていらっしゃる。
しかし、実際の愛護活動という段になると、それについてどれぐらいの重さを置いていらっしゃるかは大分違うのでしょう。ですから、愛護活動を推進する人、あるいは愛護活動の見地からの資格として、きちんとした知識なり考えを持っていらっしゃる方を、何か証明するというか、称する方法があればいいのでしょうが、どうでしょうか。そういうご提案だと思うのですが。確かに私も個人的には必要かと思うのですが。
一方では、よくそういうことを考えますときに、行政から時々言われますのは、今、規制緩和の時代なので新たに規制をするというのはなかなか難しいということです。決して規制という精神構造ではないのですが、そういう最低限の要件として何かを要求して、それを満たしている方というのが愛護活動の中心になるような、そういうものができると確かにいいかもしれませんが。
いかがでございますか。そういうご意見だと思いますが。
【丸山委員】 それに関連してですけれども、役所というのがどれだけ関与するかというのは大変難しいことだとは思うのですが、この法律に「動物愛護管理員等」という表現がございますね。いわゆる監視員的なもの。やはりこれが一つは中心になるだろうと私は思うのですね。その人たちにどういう知識、一定以上のレベルを持っていただくかということが、一つは私、大変大事なファクターだろうと思っています。そのあとの推進員とか、あるいはその協議会の組織というのも、そのあたりから働きかけがあるといいのではないかなと。かえってそういう方がうまくいくのではないかと。
したがって、動物愛護管理員という資格をどうやってある程度のレベルでキープしていくかというところがポイントでないかなというふうに私は考えるのですけれども、いかがでしょうか。
【竹内部会長】 丸山委員のおっしゃるのは、各都道府県で職員をしてそういう任に当たらせるという、その職員ですね。確かにおっしゃるとおりで、その辺がしっかりしていないと、それがかなめになるわけですから、その自分の知識にのっとって、推進員なりあるいは協議会なりというものと一緒に動いていかなければならないのですが。
これについてはどうでしょう。もし考えるとしたら、やはりこれは国が各都道府県に働きかけて、そういう職員等に対しての研修をきちんとやっていくというのはどうでしょうか。
【阿部動物愛護管理室長】 都道府県などで動物愛護行政にかかわっておられる担当の方というのは、ついこの間、2月にも環境省になってから初めての担当課長会議ということで環境省で開きまして、100人以上の方に集まっていただいたのですけれども、大体、獣医さんの資格を持っておられる方が多くて、専門的な知見もお持ちの方が多いのだと理解しております。
環境省でも今後やっていこうと考えておりますのは、年に何度かのいろいろな制度的なものをしっかり環境省から地方公共団体に伝える担当課長会議や、担当者の会議、それから、技術的な動物の飼い方の新しい知見などをお伝えする実務者研修会といいますか、検討会というような、そういうようなものも組み合わせて、お互いにレベルアップが図れるように努力していきたいと考えております。
先日の担当課長会議にも、竹内部会長にご講演をいただいたりして、地方の方に新しい知識をできるだけ持っていただこうということはやっておりますので、そういうことをさらに進めていきたいと思っております。
【竹内部会長】 丸山委員のおっしゃるのは、そういうようなことをもっと積極的にやってもらえればそれでいいのではないかということでしょうか。
【丸山委員】 実際、実務を担当しておられるのは、動物愛護センターとか、そういうところの方がやはり中心になるわけですよね、自治体では。ですから、そこのレベルをきちんとするということが一番中心だろう、と。そこから、その県なら県の中で普及し、人を育てていくということが一つのやり方としていいのではないかなと私は考えました。
【小林審議官】 ちょっとよろしいですか。今の資格制度のことで、今、部会長からもご紹介がありましたように、国が新しい資格制度をつくって、その資格を持っていないと何かできないという、そういう規制をかけていくことに関しては、今、ものすごく制限がされています。ほとんど、国の機関が新しい資格制度をつくるのは難しいと、我々は今のところ理解をしております。
それで一つの一定レベルの飼育に関する資格を、レベルをそろえるというような観点で、ちょっと別の資格制度をつくっていたところがあるのでご紹介します。環境教育に関係するいろいろな資格制度、それぞれの団体がいろいろ研修会をやったり講習会をやったりして、参加者とか合格者に資格を与えている団体が自然保護関係で幾つかありました。そこではある一定のカリキュラムを決めて、この水準に当たるカリキュラムをこなしてきた人には1級あるいは2級という資格を与え、それぞれの団体の資格制度はそれぞれ認めつつ、統一的なある一定水準に達したものには統一的な称号というか、資格制度を与えるというようなことを、幾つもの団体が議論を積み重ねてやってきたということがあります。
現在、動物の飼育に関してどのくらいの制度があるのか、私も存じ上げないで申し上げるのもちょっと恐縮なのですけれども、多分レベルをそろえるという観点からすると、そういう作業をやらないといけないと、そんな印象をお話した次第でございます。
【竹内部会長】 ありがとうございました。資格を与えるのは、それは各団体が本来の資格に加えて、付加価値的に、これをクリアしているから、こういうものをあげますという形ですか。
【小林審議官】 団体の協議会をつくって、多くの団体が入る協議会が、このカリキュラム、例えば野鳥に関するウオッチングについては、こういうカリキュラムをやってきた人は自然観察1級にしましょうとか、自然教育の1級の資格を名乗ってもいいですというようなことです。
別の団体が、例えば野鳥ではなくて、単なる普通の一般の広いジェネラルの自然観察をやってきても、例えば週3日の講習会を経て、こういう項目について講習を受けた人は同じタイトルの自然観察・自然教育1級を名乗れると、自然教育1級で私は野鳥の分野が得意ですとか、そのような仕組みをつくった。大分大変だったらしいですけれど、そういうことです。
【中川(志)部会長代理】 それはいいですね。
【竹内部会長】 そうですね。何かそういうものができ上がるとよろしいですね。国が今動く必要はないわけですから、業界でまとまってやってくださればいいと思いますが。ありがとうございました。
【阿部動物愛護管理室長】 都道府県の先ほどの丸山委員のお話も、私どもはよく実態をしっかりまだ把握できていない部分がございますし、いろいろ勉強して、またご相談なりここでご議論いただくというようなことで、少し時間をかけて進めたいと思っておりますので、ぜひまたご指導をお願いいたします。
【藏内委員】 今の件に関連してなんですけれど、大体、生活衛生課がこの担当所管課になっているわけですね。そこの出先機関として、動物保護管理センター等を設置していく都道府県がございますが、そこの課長だとかそこのセンター長というのはほぼ同じようでございますね。たまに事務職で交互にされることもありますけれども。
今回の動愛法の、いわゆる動物愛護、いわゆる指導員とか管理者は、恐らく経験のある県職員の獣医さんたちが就任されるのではなかろうかと思うのですが。今回の環境省の組織の説明を先ほど聞きましたが、動物愛護管理室には、恐らく余り専門の経験のある方がいらっしゃらないのではないかと思うんです。もし間違っていたらすみませんけれども。
そこで、昔、厚生省で狂犬病予防法を所管していたときに、都道府県から交流というか、都道府県の経験豊かな職員をその課に派遣をするという交流をやっていたんですね。今の国の行革の縛りの中からいくと、ここの管理室にそういった人間を新たに雇ってもらうのはなかなか難しい話だろうと思います。そこで、例えば都道府県のそういった経験のある人たちを管理室の方に出向していただくとか、何らかの形で交流するようなことはできるんですか。
【竹内部会長】 ただいまのは管理室の陣容についてということかと思いますが、実情をご紹介いただければ幸いですが。お願いします。
【阿部動物愛護管理室長】 現に総理府時代からそうでしたけれども、今、動物愛護管理室、総勢5名おりますが、東京都から一人、主査ということで総理府時代から続いて、非常にこの分野に詳しい獣医さんに来てもらっておりますのと、それから、日本獣医師会の方からシニアといいますか、今まで非常に経験があって、行政にも携わってきた方に専門員という形で来ていただいております。そのほかの人間は獣医師の資格はありませんので専門ではございませんけれど、5人中2人がそういう専門分野の経験ないしは知見を相当持っている人間でやっておりまして、できればそのような体制を続けていければと、内部の者としては思っています。
【藏内委員】 動物愛護指導員が都道府県に任命されますね。そうすると、どうしても全国的にそういった方に1回お集まりいただいて、どういう実情なのかと。各県のレベルはどうなのだとかいうことを当然、年に一、二回、そういった会議で調査をされるのが必要になってくるだろうと思うんですね。
そういうことを考えますと、実際、担当している都道府県の職員さんあたりが取り組んでいかれるということは重要なことではないかなと、そういうふうに考えるわけでございますので、ぜひご検討をお願いしたいと思います。
【竹内部会長】 ありがとうございました。よろしゅうございますか。
そのほかはいかがでございましょうか。
( なし )
【竹内部会長】 ないようでございましたら、先ほどお諮りいたしました件で、どの基準から手をつけようかということに関してですが、多くのご賛同をいただいたと思いますので、犬・ねこの飼養保管基準の見直しを取り上げることにして、これはいろいろなペットを広く含めるわけですが、そちらの方から始めさせていただくということでよろしゅうございましょうか。
( 異議なし )
【竹内部会長】 ありがとうございました。では、そのように進めさせていただきたいと思います。
きょうもいろいろとご意見をいただきましたけれども、まだ多少の時間がございますので、せっかくの機会でございます、初めての会議でもございますので、どうぞご発言をいただきたいと思います。どうぞまだ発言をしていらっしゃらない委員からまず、何でも結構ですので。
【阿部動物愛護管理室長】 部会長。1点だけよろしいでしょうか。
犬・ねこの基準ということでご了解いただいたということで、どうもありがとうございます。
それで、今後の進め方についてこちらの考えを簡単に述べさせていただいてご了承いただけたらと思いますので、この犬・ねこの基準を含めた動物の飼養保管基準の見直しの進め方についての考え方ということで申し上げます。
まずは動物愛護行政が、総理府から環境省に移ってまだ間もなくて、データや資料の蓄積も環境省としては不十分でありますし、不慣れな点も多くあるということもありまして、まずは事務局、私どもの方の責任でいろいろな基礎的なデータ、資料の収集とか現行の基準でどのようなところが見直すべき点、もしくは足りないところがあるのかということを整理したいと思います。もちろん自分たちだけでは不十分でありますので、審議会の委員の方々あるいはこの分野に関する専門的な知見をお持ちの方々などにご相談をして、アドバイスを得ながら、事務局としての作業、検討・整理をするということから着手していきたいと考えております。
その上である程度この作業がまとまった段階でまた部会を開催していただくということで、その場でご報告をし、新しい基準としてはどういうふうなものがいいのかというあり方などについてご議論いただいた上で、またさらに事務局側に引き取って、専門家の意見をまた聞きながら、新たな基準のたたき台をつくる。そのようにして、またたたき台ができた時点で部会にご報告してご意見をいただくと。そのような手順を何度か繰り返しながら、その間に必要に応じて、例えば愛護団体でありますとか業界の方々からのヒアリングをとか、そのような手順を踏みながら進めていければと考えておりますので、とりあえず事務局の資料収集、データ収集、あるいは整理の作業から始めるということでご了解いただけたらと思います。
【竹内部会長】 事務局の方でデータ収集をしながら、必要に応じて専門家の意見を伺いながら作業を進めていくと。これにはかなりの作業が必要と思いますが、そのような作業の要所要所でこの部会を開催させていただきながら、皆さんのご意見をいただきたいという進め方ということだと思いますが、よろしゅうございましょうか。
( 異議なし )
【竹内部会長】 ありがとうございました。では、そのように進めさせていただきたいと思います。
それでは、先ほどちょっと言いかけましたけれども、少しずつでもご意見をと思いますので、今まで静かにしていらっしゃった委員の方々からまず伺いたいと思います。
それでは、こちらの方から今泉委員、いかがでございますか。何かございましたら。
【今泉委員】 これは大変な仕事だなという感じがします。
ペット動物の範囲というのが、今、非常に広がっていると思います。極端な話、ワシントン条約のリスト以外のものすべてが当たるような気がするのですが、猛毒動物も飼っている人がいますよね。タランチュラとかヤドクガエルもいるし。だから、そういうものまで全部含めてやっていくというのはこれは大変なことだなという気がするのです。
それと、あともう一つは子供たちが飼っていますよね、いろいろ。そういう動物好きな子供たちをもっと育てたいというか、芽を伸ばしたいというか。そういう気もするので、とても大変な仕事だなと思っています。
【竹内部会長】 そうなんですね。まず、対象動物をどうするかというのもかなり悩みがありまして、とても全部網羅するわけには多分いかないだろうと思います。やはり数が多いものとか、それから、飼養基準といいますか、飼養するのが難しいものだとかというようなところに絞っていかなければいけないかと思うのですが。この辺もこれから情報を集めながら、事務局でまとめてくださることだろうと思います。また、その都度いろいろな、ご専門の先生方に個人的にご意見を伺うかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
何か、今の件については事務局からございますか。
【阿部動物愛護管理室長】 勉強させていただきます。よろしくお願いいたします。
【竹内部会長】 なかなかこれは難しいですね。
それでは関委員、いかがでございますか。ほかの先生方は大体おしゃべりになりましたが。
【関委員】 きょう伺っていましてちょっと感じたことなんですけれども、いろいろご発言が出たように、これから動物愛護行政というのをどう進めていくかというような組織の問題も非常に重要ではないかと。
地方公共団体が実働部隊という位置づけだと思うんですけれども、ご承知のように、地方分権一括法が施行されて、国と自治体の関係が大きく変わってきました。私自身も少し勉強しなければいけないと思っていますが、これは一つ動物愛護行政の具体的な課題ではないかと思います。
特にこれは法律、旧法の時代からいろいろ問題があったかと思うのですけれども、新しい時代に入って、それをうまくきちんと位置づけないと、ちぐはぐな動きになってくるのではないかと思います。いろいろご指摘もありましたけれども、私自身、勉強をさせていただきたいと思います。
【竹内部会長】 ぜひご専門の立場から、関委員にはその辺を整理していただいて我々に整理された結果をお教えいただけると、我々も大変勉強になるのではないかと思います。
ただいまの本質的な整理については、何か事務局の方ではございますでしょうか。
【西尾自然環境局長】 多分、いろいろ教えていただかなければいけないのだと思うのですけれども、恐らくこの動物愛護の行政のところというのは、地域で解決していただくという要素がかなりあって、しかし、なかなかそうはうまくいかない問題がだんだん新しく出てきている。また、国が何かできないかという問題提起があると、そういう中で動いてきた仕事だと思うんです。ですから、これからも多分そういう中で進展していくことになると思います。
ただ、少しだけ話が変わりますけれども、ほかの環境行政そのものも地方団体、あるいは地方それぞれの取り組み、あるいは関係の団体の取り組みということがかなり大きく比重を占めております。予算と権限を持って、自分たちだけで上から下まで統制してやるという、そういう組織で今まで仕事をしてきたことはありません。そういう関係の中で悩んだり、それからいろいろな地方団体とか関係の方と連携しながら今までも仕事をやってきたつもりですけれど、多分何かそういう中での仕掛けなど、これからつくれるのではないかと思いますので、ご指導を賜ればと思います。
【竹内部会長】 ありがとうございました。
それでは中川(李)委員、いかがでございますか。
【中川(李)委員】 私も竹内部会長がおっしゃったように、「ペット動物」という枠を決めてしまうのはとても不満です。人のために働いている、生活面で働いている動物、例えば介助犬とか盲導犬とか、そういう犬の社会的な地位をみんなで認めて、ペットより少し高くしてほしいんです。そういうことなどもいろいろやっていただけたらばありがたいと思います。何かあのような犬に特権を与えてもらいたいのです。
冷たく扱われているんです。本当に皆さん、認識の低い人が結構いましてね。
【竹内部会長】 そうですね、「ペット」という言葉は、私も個人的にはなるべく早く消えてほしいなと思います。
【中川(李)委員】 安っぽいんです。
【竹内部会長】 そうですね。ベストな表現かどうかわかりませんが、今のように人間と一緒に暮らしていくという意味では、コンパニオンアニマルという方が良いのですが、良い日本語がありませんね。ペットも日本語ではありませんけれども。何かもう少し広く動物をとらえていきたい、一緒に共生する相手として。そういう表現をぜひ環境省としても、折に触れ、時に応じて使っていただけると、国民の意識の改革には役立つのではないかと思います。ありがとうございました。
それでは、松下委員、いかがですか。
【松下委員】 ただいま問題になりました共生、ともに生きる動物なのですけれど、犬・ねこを初めとしていろいろな動物の飼育が盛んになっていますけれども、一つは、その相手の動物の習性とか生き方にふさわしい飼い方をしているかというと、そうでもなく人間本位というか、動物を理解するのではなくて、本当に道具として、いろいろ過剰な保護をしたり、いろいろなことが行われているように思うんです。ですから、その動物が本来持っている性質と働きのようなものを理解して、そこに人間の方から近づいていくという方向の教育も必要ではないかと思います。
先ほど今泉委員の方から動物好きの子供を育てるというお話が出まして、私も適切な愛護の仕方が社会的な風土として広がっていくことが大事だと思うのです。そういったときに、やはり人間本位でない動物理解というものを、先ほど動物愛護担当職員の方々が各自治体に配置されているというお話がありましたけれども、学校教育、あるいは学校外の社会教育の場で、そういった方たちがご指導くださって、正しい理解というものを子供たちの時代から進めていくというようなことが大事かなと思います。そのような面でどんなことができるか。私がこの会に参加させていただいたのはこんなようなところで考えさせていただく立場かなと思っております。
【竹内部会長】 ありがとうございました。これは環境省の方もいろいろ考えていらっしゃることだろうと思いますので、そういう方向に向けて、我々としてはぜひ具体的な施策の立案のお手伝いができたらと思っております。またどうぞよろしくお願いしたいと思います。
山下委員は先ほどもちょっとおっしゃいましたけれど、何かそのほかにございますか。
【山下委員】 一つ、このペット動物の定義の話、これは皆さんからいろいろご議論が出ておるわけでございます。
例えばヤギにしても、ウサギにしても、こういうものは家畜でもあり、ペット動物でもありという問題があるものですから、そこらはどういうことを念頭に置いて考えていかなければいけないのかなと思っております。
【竹内部会長】 ありがとうございます。恐らくこのペット動物は、犬・ねこだけではないよという意味で使われたのだと思うのですが。したがって、この基準はどうでしょう、現段階では。これから詰められるでしょうけれど、環境省として考えていらっしゃるのも、犬・ねこ中心だけど今度はそれだけではなくてもう少し加えていこう、と。それ以外に産業動物の基準も見直すということにもなるでしょうから、産業動物として使われているヤギとか羊とか、あるいは最近、豚もペットとして飼う人もいるようですが、これらの動物は一応は産業動物の飼い方としてはこういうふうにするのが良いという基準に譲って、ペットとして飼われるときもその基準は守ってほしいというようなところになるのかなと思うのですが、どうでしょうか。
【阿部動物愛護管理室長】 その産業動物の飼養保管基準というのは別にございますが、それと今回、犬・ねこの飼養保管基準見直しをという、多分重なるところはきっと基準の中身としてはあるのだと思うのですけれども、見方を変えながら、重なっているところも認識しながらというようなことではないかと考えております。
【竹内部会長】 この辺もこれからだんだんと、機会のあるごとにお互いに詰めていきたいと思います。
それで、図らずもということになりますが、このようにペットとして飼う動物、あるいは産業動物というお話も今出てまいりましたが、ここで先ほど中川(志)委員からもご発言がありました災害時の動物の救護というのをどのように考えるのかという問題、きょうの最後になろうかと思いますが、少しご意見をいただければと思います。
と申しますのは、このところ、困ったことに日本は災害天国でありまして、世界のほかの国々に劣らず、日本もいろいろな災害続きであります。そのたびごとに、犬やねこについてはむしろ民間団体が活発に動かれて救護活動を展開しておられ、余り悲惨な事件が起こらないで済んでいるというのは大変ありがたいことだと思います。しかし、現場の方々に伺いますと、ただ、それぞれがボランティア精神で集まるわけですから、全体を統括する、あるいはできるだけ効率よく全体が動くようにするということについては一体だれが旗を振るんだというところでなかなか問題が多いということです。
一方、それは民間レベルだけではできない、もう少し国としていろいろと便宜を図ってもらわないとやりにくいという部分も少なくないようです。その点に関しては、産業動物については、いずれも国がある程度きちんとしたマニュアルを持っておりまして、それによって、例えば産業動物を避難させるときは、国の依頼によってJRは全部無料にするとか、いろいろなそういう方式ができていると聞いております。しかし、共生する、共生すると言っておきながら、一緒に住むペット動物の方は、人間の方が先に逃げてしまうというような……、人間が逃げたいのではなくて、後ろ髪を引かれながらも逃げざるを得ないといいますか、強制避難になってしまえばそうなります。そんな現状を考えたときに、一体どうしたらいいだろうかということになると思うんですね。これは皆様方も多分悩んでいらっしゃる。人間の命がもちろん大事だと。それはわかるんですが、しかし、その人間にとって動物は自分の命と同じぐらいに大事だと思っている人も決して少なくないのが現状です。
そうしますと、結局、そんなことを踏まえまして、ご承知のようにいろいろな団体で、この間の三つ続きました災害の救助活動をもとにマニュアルをつくろうとかいうような動きが出ておりますけれども、それはあくまでも民間レベルでのマニュアルなのですが、一体その中で国がやはりしなければならないことは何かあるだろうか、あるとしたら何だろうかということがもしあれば、これはここでご議論いただいて、環境省として動かれる部分があるのであればそのようなことをしていただけると、実際のマニュアルが生きてくるということにもなると考えました。これは前の審議会でも一度発言させていただいたこともございますけれども、その後でまた、いろいろと災害が起こったりしておりますので、この問題を、きょうはもう余り時間がございませんけれども、ちょっとご意見をいただいて、これは私が独断でこういうことを言うと、環境省とは打ち合わせが済んでおりませんのでしかられるかもしれませんが、皆さんがいいとおっしゃれば、三つの災害の救護活動をなさった方々にこういう場に来ていただいて、国としてこのようなことをやってくれていたら非常によかったというような、ヒアリングといいますか、それほど大げさなことではないのですがご意見を伺いながら、この部会として、何か国としての方針といいますか、手だてというものを検討させていただくことを考えているのですが。いかがでございましょうか、自由にご意見をいただけたらと思いますが。中川(志)委員からまず。
【中川(志)部会長代理】 そうですね、この三つは非常に不幸なことだったんですけれども、ペット動物を災害のときにどう扱うかという、そういう実際の例としては、教材的な意味ではすごくいろいろな積み上げができてきたと思うんですね。
実際にその場に立ち会った人たち、今、部会長がおっしゃったとおりなんですけれども、こうであればいいなというのが、だんだん積み上がってきたんですよね。それでやってみてすごくわかったことは、やはり民間だけではだめなんですね。行政だけでもだめなんです。両方ががっちり組んだところがうまくいくという、そういうのが非常にはっきりしてきたんですね。ですから、これはやはりこの部会である程度行政と民間がどう手を組んだら災害動物がうまく処理できるかという、そのようなものをつくり上げていくと、それがまた、地方公共団体等にうまく反映できるのではないかという気がするので、今、部会長がおっしゃったとおり、これはぜひ取り上げてそういう方向づけをできれば非常にいいのではないかと思います。現に有珠山もまだ続いていますし、今の三宅もまだ終息しないという状況の中ですので、そういう意味では、実際に悩んでいる人が非常に多いということも含めて、この部会でぜひ討議したい内容だと思います。
【竹内部会長】 ありがとうございました。
そのほかにいかがでございますか。どうぞ、杉山委員。
【杉山委員】 今回発足しました全国動物愛護推進協議会につきまして、その概略を述べさせていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
【竹内部会長】 ちょっとお待ちください。ただいま災害の方の話について何かコメントはございますか。ないようでしたら、杉山委員からのご提案の方に移りたいと思いますが。
そうすると、今、中川(志)委員がフォローしてくださいましたけれども、先ほどお諮りしましたような点で環境省の方で少し考えていただいて、この部会として、少しこれを積極的に討議をしていくという方向でよろしゅうございましょうか。
【小川委員】 民間でそれだけやっているのに、国にはいろいろ制約があるにしても、こういう審議の場があって、何にもかかわりなく見ているということは、許されないことだと思います。これはぜひやっていただきたいと思います。
【竹内部会長】 ありがとうございました。
【西尾自然環境局長】 議論していただくことは結構だと思います。あとはそれをうまく議論した成果を災害対策当局で、あるいは自治体にうまく入れる手段も考えて、あわせてそういうところによく理解をしていただくというような手法も含めて、どうやっていったらいいのだろうと。そういうところからひとつよろしくご指導を賜りたいと思います。
【竹内部会長】 当然でしょうね。環境省だけで解決すべき問題ではないですね。ただ、ここがやはり音頭を取らないと、小動物である犬やねこに関してはほかの省庁は動きませんので、そこはひとつよろしくお願いします。
よろしいようでしたら、杉山委員、どうぞ。
【杉山委員】 それでは、今回発足いたしました全国動物愛護推進協議会につきまして、その概略を述べさせていただきたいと、このように思います。恐れ入りますが、資料をお配りいただきたいと思います。
( 資料配付 )
【杉山委員】 ご存じのとおり、この動物愛護管理法に基づいて動物愛護活動を展開いたしますには、先ほど丸山委員からの話にありましたように、地方公共団体における動物愛護担当職員、これはもちろんでありますが、さらに動物愛護推進員、またそれを支援いたします協議会の役割は非常に大きいと思うわけであります。
そこで、資料にも記載してありますが、今回、動物愛護活動を長年行ってまいりました四つの公益法人が、さらにこの活動の充実・発展を図り、お互いに結束して、全国的なネットワークづくりも必要だと、このように考えました結果、この協議会の発足と相なったわけでございます。
時間の関係もございますので、目的それから事業につきましては若干触れました。
次は5の構成でありますが、四つの公益法人が記載されております。今回はまず、これらの4法人で発足しましょう、将来はいろいろまた話し合って考えましょうということでございます。
委員の方々には、後刻で結構ですが、この協議会の規約を熟読していただきましてどうぞご理解いただきたいと、このように思います。
なお、この推進協議会の会長には中川志郎委員が決定しております。
以上でございますが、何かご質問がありますれば承りたいと思います。
【竹内部会長】 ありがとうございました。いかかでございましょうか。
それぞれ発足の動機というのは各団体とも違うのでしょうけれども、実際の活動では非常に関連していらっしゃるというところで、お互いの連絡機関といいますか、協議機関ができたというのは、一般論としては大変結構なことではないのかなというふうには思いますが。何かご意見ございますか。
ただ、これはもうおつくりになったことですから、決してこれはいちゃもんをつけているわけではないのですが、この動物愛護推進協議会の名前ですが、今度各県でできるのは動物愛護協議会でしたか。
【阿部動物愛護管理室長】 協議会という名前になっております。
【竹内部会長】 動物愛護はついていないのですか。
【阿部動物愛護管理室長】 「愛護」というふうに、固定的な名前としてはついておりません。
【竹内部会長】 協議会だけですか。しかし各自治体で動物愛護のための協議会ができ、推進員ができるという全国的情勢にあるだけに、他方では動物愛護推進協議会ができるという、何かちょっと紛らわしい感があるなという気がいたしましたけれども。本質的なことではないかもしれませんが。関係者がきちんと区別すればいいのでしょう。「推進」という言葉と「協議」という言葉が共通して使われているので、ちょっと誤解といいますか、間違われるのではないのかなという懸念がないでもないのですが。
【杉山委員】 そういった懸念もございますが、ここでしっかりとこの名称をご認識いただきましてよろしくお願いしたいと、こう思います。
【竹内部会長】 ありがとうございました。
そのほか、特にございませんか。どうぞ、藏内委員。
【藏内委員】 一つだけちょっと要望をさせていただきたいのですが、先ほど松下委員が教育の話に少しかかわることを申されましたが、この法律はやはり、教育の中でもある程度いろいろなかかわりを持っていかなければならないと思います。
特に学校で、学校飼育動物等があって動物愛護の教育の場になっているわけなのですけれども、そのあり方についていろいろ問題があるというのは皆さんご承知のとおりだと思います。
文部科学省が平成14年度の指導要領で、動物とのふれ合いというのを推進するようにということをこの要領の中に明記をして、随分、各県で動物ふれ合い事業、あるいは学校獣医制度等が試みられているところです。しかしここ最近、どうも文部科学省の中で、体験学習に余り時間をかけるといわゆる学力低下につながるという論議がまた出てきたそうでございまして、若干この動きがとまっておるという報告を実は受けたわけでございます。 ぜひ、きょうは局長もお見えでございますので、機会があれば、文部科学省の方にもいろいろ法律というものをここで持っているわけでありますから、動物愛護というものを本当に推進していくには学校教育の問題というのは非常に大きいものがあるということをお伝えいただきたいと思いますので、要望させていただきたいと思います。
【竹内部会長】 ありがとうございました。局長どうぞ。
【西尾自然環境局長】 先般の予算委員会でも子供の情操教育のためにということで質問も出ましたので、文部科学省当局もご理解をしておられると思いますけれど、私からもまた、機会があれば連絡します。
【藏内委員】 よろしくお願いします。
【竹内部会長】 そのほかはございますでしょうか。
( なし )
【竹内部会長】 ないようでございます。おかげさまで、少し時間を過ぎてしまいましたが、活発なご議論をいただきましてありがとうございました。予定をいたしましたこと、それからプラスアルファもございましたが、いろいろ内容の濃いご議論をいただきました。
以上をもちまして、本日の動物愛護部会を閉会させていただきたいと思います。皆さんお忙しい中を、長時間にわたりまして本当にありがとうございました。また、ご参加いただきました各省庁の方々も、ずっと私はおしりを向けておりましたけれども、どうもありがとうございました。これからもどうぞよろしくご協力のほどをお願い申し上げます。
それでは、これをもちまして閉会いたします。ありがとうございました。