令和6年度第1回獣医事審議会免許部会中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会(合同会合)議事録
1.日時
令和6年7月5日(金)午後1時55分~午後3時35分
2.場所
農林水産省三番町共用会議所大会議室
3.出席者
構成員(50音順、敬称略):浅野明子、磯部哲、長田三紀、中山裕之、西村亮平、村中志朗、山﨑薫、横田淳子
事務局:農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課、環境省自然環境局総務課動物愛護管理室
4.議事
(1)第3回愛玩動物看護師国家試験の実施について(公開)
(2)令和6年度愛玩動物看護師制度推進に向けた検討事項(公開)
(3)愛玩動物看護師法第4条第1号に該当する者への愛玩動物看護師免許の付与について(非公開)
(4)その他
5.配付資料
資 料1-1 第3回愛玩動物看護師国家試験及び予備試験の実施について
資 料1-2 第2回愛玩動物看護師国家試験の合格者について((補足資料)
資 料2-1 令和6年度愛玩動物看護師制度推進に向けた検討事項
資 料2-2 愛玩動物看護師就職状況等調査について
資 料3 愛玩動物看護師法第4条第1号に該当する者への愛玩動物看護師免許の付与について(非公開)
参考資料1 獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会(合同会合)の開催について
別紙 構成員名簿
参考資料2 愛玩動物看護師法条文
参考資料3 愛玩動物看護師法附帯決議
6.議事概要
【西村座長】
皆様お集まりということで、定刻より少し前ですけれども、ただいまから令和6年度第1回獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会(合同会合)を開催させていただきます。
開会に当たり、環境省自然環境局総務課、松下課長から挨拶をお願いいたします。
【事務局(環境省・松下)】 令和6年度第1回獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ、また今日は大変暑い中、御足労、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
日頃から、愛玩動物看護師制度の推進に御指導、御助言をいただいておりますことに、改めて御礼を申し上げます。
この愛玩動物看護師制度につきまして、昨年度の第2回国家試験を経まして、7月1日現在で、愛玩動物看護師の名簿登載者数は21,561名と、順調に増加をしているところでございまして、多くの愛玩動物看護師が社会で活躍をされております。
今年度は、第3回の予備試験を10月6日、そして国家試験を来年の2月16日に予定をしてございまして、主務省と関係団体が連携して準備を進めているところでございます。
私どもといたしましては、愛玩動物看護師が獣医療分野及び動物愛護・適正飼養分野において活躍をされ、社会からますます信頼される存在となっていくことを目指しまして、そのために推進していきます施策につきまして、委員の皆様方の御意見を賜りたいと考えております。
本日でございますが、第3回愛玩動物看護師国家試験、そして令和6年度愛玩動物看護師制度の推進に向けた検討事項につきまして、また、今年度の免許登録の開始に際しまして、昨年度に引き続きでございますけれども、愛玩動物看護師法第4条に規定をします欠格事由に該当する者への免許の付与についての議事を予定してございます。
大変限られた時間ではございますが、今後の愛玩動物看護師の活躍、発展に向けた取組につきまして、忌憚のない御意見をお願いしたいと考えてございます。本日、どうぞよろしくお願いいたします。
【西村座長】 会議冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、委員の出欠状況について、事務局から報告をお願いいたします。
【事務局(環境省・後藤)】 本日の委員の御出席について、御報告させていただきます。
本合同会合は、獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会の委員9名からの構成となっております。
本日は、佐伯委員は御欠席となっております。
獣医事審議会免許部会及び中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会のそれぞれの定足数の要件を満たしております。このことから、本日の合同会合につきましては、会議として成立していることを御報告申し上げます。
次に、議事録についてですが、後日、公開と考えております。議事録は、委員の皆様に御確認いただいた後、農水省と環境省のウェブサイトに掲載させていただきますので、よろしくお願いします。
では、次に、配付資料を確認させていただきます。資料一覧の紙を御覧ください。議事次第、座席表、出席者名簿、資料自体は1から3、参考資料が1から3の構成となっております。もし資料の落丁や不足等ございましたら、事務局にお申しつけください。
次に、議事次第に移ります。本日の議事は、(1)第3回愛玩動物看護師国家試験の実施について、(2)令和6年度愛玩動物看護師制度推進に向けた検討事項について、(3)愛玩動物看護師法第4条第1号に該当する者への愛玩動物看護師免許の付与について、(4)その他となっております。
(3)の議事は非公開となっております。議事(2)と議事(3)の間に休憩を挟みますので、傍聴者の方々は、その間に御退席をお願いいたします。
事務局からは以上です。
【西村座長】 議事2(1)第3回愛玩動物看護師国家試験の実施について、事務局から報告があります。
事務局から説明をお願いいたします。
【事務局(環境省・後藤)】 資料1-1を御覧ください。第3回愛玩動物看護師国家試験及び予備試験の実施について御説明します。
第3回愛玩動物看護師国家試験予備試験を令和6年10月6日日曜日に、第3回愛玩動物看護師国家試験を令和7年2月16日の日曜日に実施の予定です。
実施地は、予備試験・国家試験、どちらも同じで、北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県の全国7か所を予定しております。
受験申込みは、予備試験が令和6年7月1日から7月31日、国家試験が令和6年11月5日から11月28日で申込期間になっております。
合格発表は、予備試験が令和6年10月29日の火曜日、国家試験が令和7年3月14日の金曜です。
今回も主務省と動物看護師統一認定機構(以下「機構」という。)が連携して対応していきたいと考えております。
備考としまして、予備試験は、実務経験がある現任者が講習会を受講した上で国家試験前に受験します。国家試験は、学校等において必要な知識・技能を習得した者と予備試験に合格した現任者が受験することになっております。
次に、資料1-2を御覧ください。
前回の令和6年3月の合同会合におきまして、第2回国家試験結果公表の形式について、令和6年度卒業者のうち、新卒ごとの合格率の発表をという御要望があったことを受け、機構が本資料を作成し、機構のウェブサイト上に公開しています。
第2回愛玩動物看護師国家試験の合格者については、令和6年3月15日に公表しております。合格者のうち、在学者の区分には、愛玩動物看護師法附則第2条第1号ロ及びニに規定する、「法施行時に法に定める大学又は養成所に在学中であった者」が該当するため、在学者2,183名には、令和5年卒業者51名及び令和6年卒業者2,132名が含まれています。
この在学者の内訳及び令和6年卒業者の学校別試験結果が公表されております。
1では、3月15日に公表されている試験結果のうち、法施行時の在学者について、次の2で、その内訳、令和5年卒業者、令和6年卒業者に分けて示しております。
法施行時の在学者について正確に言いますと、令和5年卒業者のうち、何らかの理由で新卒時に試験を受けなかった者の合格率と、令和6年卒業者の合格率を表している表になります。
裏面を御覧ください。3におきましては、さらに令和6年卒業者の学校別試験結果を示しております。
以上になります。
【西村座長】 事務局からの説明について、御質問がございましたらお願いいたします。
【横田委員】 ただいまの学校別の試験結果というところで、かなり受験者数が10名以下というところの学校が見受けられますが、これは3年制に移行のために卒業者が大変少なかったのか、もともとこの人数での募集なのか、もし分かりましたらば教えていただければと思います。
【事務局(農水省・大倉)】 学校にもよるかと思いますが、当然、3年制に移行しているので人数が少ないというところもありますし、あとは、もともと専門学校によっては割と規模が小さくて、定員そのものが少ないという学校もあるということにはなります。
【横田委員】 重ねてになりますけれども、もともと10名以下であっても、カリキュラム等、また学校設備が整っていると、許可が出ていると考えればよろしいでしょうか。
【事務局(農水省・大倉)】 はい。定員についての規定は特にございませんので、養成所の指定規則に従って申請が上がってきたところは、都道府県知事のほうで認定をしているというところでございます。
【横田委員】 ありがとうございます。
【西村座長】 ほかにいかがでしょうか。
これ既卒、在学者の、新卒者の合格率が80%は結構低いと思うんですが、これに関してはいかがなのでしょうかね。どれぐらいと皆さん予想していたのかなと。数字的にこれぐらいと考えていたのか、あるいは、これはちょっと低いと考えているのか。もし低いのだったら、試験問題に問題があるのか、教育システムに問題があるのかどっちかになると思うのですが、この辺りどんな捉えぶりなのでしょうか。
【事務局(農水省・大倉)】 第2回ということになりますので、80%がいいのか悪いのかというと、ちょっと何とも申し上げられないところではあるんですけども、第1回の試験結果になりますけれども、第1回ですと、大体新卒、やっぱり在学のところは大体80%になっていましたので、在学者の合格率が、第2回がすごく悪かったというところではないのかなと思っています。
【西村座長】 この間、獣医師会雑誌の記事を見たら、獣医師国家試験は、以前は90何%という予想でずっとやってきたと書いてあり、最近ちょっと低いんじゃないかみたいなことが書いてありました。需要はこれぐらいという予想を会議でやったということが書いてあったので、ああ、こういうこともやるんだと思いまして。看護師さんも何かそういうのがあるのかなと思ったものですから。
【中山委員】 作るほうの立場から申し上げますと、大体、こんなものかなと思います。今、ちょっと大倉さんからお話があったように、1回目の、いわゆる在学者の方、それも前回、前々回ぐらいですので、今、令和5年の卒業の方になりますかね。もう大体このぐらいなんですよ。80%。ちょっとよかったですけど。ですから、卒業者、いわゆる現役卒業者の合格率は、そんなに変わらない。1回目と2回目で。むしろ1回目のほうは、いわゆる現任者と言われる方々が物すごく頑張って、そこが引き上げていたというふうに考えておりますし、感覚からいきますと、1回目より2回目のほうが国家試験は多少難しかった。我々としては、2回目は85%ぐらいに思っていたんだけど、現役の方のあれが悪かったですかね。ちょっと難しかったのかなという気はしますけれども、1回目とそんなに大きく差があるというものではない。したがって、問題が悪いというわけではないというふうに考えています。
【西村座長】 この点、ほかによろしいでしょうか。
【磯部委員】 今回、第3回の国家試験を実施するに当たって、基本的な作りは前回までと同様ということなんだろうと思います。大体、合格は何点以上なのかとか、試験の難易度とかは、そうそういじるものではないだろうと思うんですけれども、例えば、いや、試験の実施に際して、障害者の方に対する対応とか、何かそれなりに用意していらっしゃるんですよね。今まで2回しかないにしても、何か御要望があったりして、実施要領のところ、ウェブサイトの1枚しかないので、実施要領の詳しいこととかはちょっと見ていないものですから、何か変えたりしているものがあるのかどうかということを伺いたいと思いました。
【事務局(環境省・後藤)】 試験を実施する際、申請時に配慮申請というものを設けております。妊娠されている方や持病をお持ちの方、四肢の不自由な方などには、別で配慮申請期間というものが設けられておりますので、そこで申請していただいて審査をして、必要な措置を会場等で実施するというのがあります。
もう一つ、去年から行っている統計調査「愛玩動物看護師就職状況等調査」があって、愛玩動物看護師の養成課程のある学校においての就職先の調査と在学者数の調査ですけども、その際に、配慮が必要な方が在籍しているかを報告していただいて、それを把握して、試験の実施等に生かしていければということで、行っているものになります。
【西村座長】 ほかにございますでしょうか。
次回試験の実施状況等については、今後の合同会合について改めて報告をお願いいたします。
それでは、次の議事に移ります。議事2(2)令和6年度愛玩動物看護師制度推進に向けた検討事項についてです。
事務局は説明をお願いいたします。
【事務局(農水省・大倉)】 資料2-1、令和6年度愛玩動物看護師制度推進に向けた検討事項案を御用意ください。こちらは昨年度まで実施したものを更新した資料となってございます。
左から国家資格の信頼確保、獣医療での職責・役割、動物愛護・適正飼養分野における活躍推進、養成・資質向上の四つの柱に分けて、令和4年度から検討をしてきております。
昨年度までは、国家資格の信頼確保に関しては、昨年度も国家試験の検証と、あと行政処分の基本的な考え方を取りまとめて、あとは免許の付与の検討も、この分野でやっているものでございます。
それから、獣医療分野の職責・役割については、昨年度、愛玩動物看護師の業務の在り方に関する中間取りまとめという形で、チーム獣医療での愛玩動物看護師の役割について報告をしていただきました。あとは卒業生の就職先状況調査というのも行っております。
動物愛護・適正飼養分野、後ほど御説明がありますけれども、ヒアリング等をしておりまして、養成・資質向上については、昨年度までは、関係団体のほうで卒後研修を検討しているという状況でございました。令和6年度、真ん中の青いところでございます。令和6年度は、先ほど説明・報告をさせていただいたとおり、第3回国家試験の実施ですとか、また、もしあればですけれども、行政処分の実施について行っていきたいというところでございます。
それから、獣医療での職責・役割に関しては、昨年度、愛玩動物看護師のチーム獣医療の役割を検討したときに、愛玩動物看護師に対する信頼ですとか、あと、獣医療弱者に対する獣医療提供というワードが出てきたということがございまして、この分野を少し飼養者との信頼関係構築ですとか、獣医療弱者への獣医療提供について、少し掘り下げて検討させていただければと思っております。
あと就業実態調査、こちらもちょっと昨年から、愛玩動物看護師資格を取られた方々がどういうお仕事をされているのか、または愛玩動物看護師の仕事はされていないのかということも、調査が必要じゃないかという御指摘もいただいていますので、引き続き検討させていただきたいと思っております。
あと、少し飛びまして、養成・資質向上のところでございます。こちらは先ほど申し上げたとおり、機構ですとか、日本動物看護職協会のほうで、生涯教育講座とか、資格取得者へのワークショップ等を実施しているというお話も頂戴していますので、この分野も皆さんにお話をお伺いしながら、どういった活動がなされているか、卒後研修の在り方についての検討ということで、今年も検討させていただきたいというふうに考えております。
1枚おめくりいただきまして、資料2-2でございます。
先ほど御説明した愛玩動物看護師の就職状況等調査、昨年3月に第1回の結果を御報告しましたけれども、今年も大学及び養成所に向けて、養成校における新卒者の就職状況ですとか、在籍状況を把握するための調査を行っております。既に大学・養成所からは結果を頂戴しておりまして、現在、取りまとめをしておりますので、次回の会合で、またこちらで結果を共有させていただければと思っております。
【事務局(環境省・後藤)】 資料2-1に戻っていただきまして、左から3本目の柱、動物愛護・適正飼養分野における活躍推進について御説明します。
こちらは令和4年から5年度には、資格取得による職域拡大等調査や、主に動物愛護管理行政での登用可能性調査をヒアリングなどを通して実施していきました。今年度は、引き続き動物愛護管理行政での登用可能性調査を継続で、もう少し深掘りして実施できればと考えております。
具体的には、自治体での登用に向けた状況の把握や愛護・適正飼養分野での社会ニーズの把握を考えております。状況把握としましては、実際に登用に動いている自治体にモデル自治体として御協力いただいたり、動物愛護行政において、獣医師でなければならない業務や、そうではない業務等の把握ですとか、業務内容や配属先の検討、また、その検討において、愛玩動物看護師のカリキュラム内容等の点検の必要性など、現状の把握を行いたいと思っております。
動物愛護・適正飼養分野での、社会でどのようなニーズがあるのか、例えば動物介在教育であったり、災害時の活躍、命の授業であったり、学校飼育動物などの分野について把握したいと思っております。
それらを踏まえて、最終的に自治体への愛玩動物看護師の活躍の推進について、通知等を出すなどの検討をできればと考えております。
以上です。
【西村座長】 ただいま事務局からの説明につきまして、愛玩動物看護師制度推進に向けた検討事項について、今年度の案を説明していただきました。
就職状況調査についても説明がありましたが、日本動物看護師協会でも愛玩動物看護師の調査をされたとお聞きしております。参考情報として、横田委員、この場で共有していただけますでしょうか。
【横田委員】 資料の愛玩動物看護師国家資格を取り巻く現状調査2024というところであります。
ここに関しましては、当協会が行ったというよりは、企業でありますロイヤルカナンが主となり行い、当協会は協力をさせていただいたという形になります。
この時期ですけれども、2023年12月から調査をしておりますので、1回目の愛玩動物看護師試験が終わった後、2回目が終わっていないという状況で調査をしていることを御承知おきいただければと思います。
サンプル数といたしましては、動物看護職に関しましては1,991名、獣医師500名というところで、動物看護職、獣医師ともにアンケートをしております。
結果の主なところをお話ししたいと思いますけれども、これまで動物看護職であった者は、やはり長期的な勤務であったり、またスキルアップを考えての国家資格を取得している者が既に80%、今後、また取得予定というものが17%という結果になっております。この取得予定の者が第2回を受けたかというところでありますけれども、恐らく取得した者が増えているのではないかと考えております。
また、今後、愛玩動物看護師になって、キャリアアップというものを勤務しております動物病院から受けているかというと、なかなか、そこには、動物看護師、また施設ともに至っていないというように考えております。
国家試験を受けまして、約半数に関しましては、意欲的に学習を今後も継続する、また、セミナーに参加していきたいという者がおり、その中でも38%程度は学習を開始しているというところになっております。
目指す姿と現状へのギャップを感じている愛玩動物看護師が多いというのは、この後にも出てきますけれども、ロールモデルとして愛玩動物看護師を意識できているかどうかというところですけれども、そこに対しては、自分と目指すものと現状というものへのギャップというものは感じている者が多いというところになっております。
愛玩動物看護師資格を取得して、仕事への意識の変化というものがどうかというところに関しましては、責任感が向上している、また知識・技術の向上というところに重きが置かれているものであります。
獣医師も期待はしているものの、実際の業務分担は大幅には変わっていないというところが出ております。給与の変化というところにありますけれども、給与の変化は半数程度、一方で、変化がないという者が4割はいるというところになっております。
獣医師と愛玩動物看護師の業務分担というところですけれども、やはり獣医師のほうが愛玩動物看護師のスキルレベルというものを量りかねている。そのようなところで、どのレベルに達したら業務を任せてよいのかというところに、まだ判断しかねているのではないかという結果が出ております。タスクシフトが進んでいくと、より業務分担が進み、愛玩動物看護師が行える診療補助の部分というのも増えていくのではないかと考えております。
少し詳しく見ていただきますと、これに回答している年代といたしましては、30代が42%、続きまして20代、40代という年代が回答しております。
また、先ほどお給料面のお話をしましたけれども、国家資格を持っている者と国家資格を持っていない者というところでの調査もなされておりますけれども、正社員の月給については、有資格者は54%が21万以上と回答したのに対し、無資格者では36%というように、やはりここでも愛玩動物看護師と資格を持っていない者との差というものは、結果でも表れているというところでもあります。
待遇というところで、なかなか一律での手当という形で増額というところがされているというところがあるかと思います。今後につきましては基本給の増額というところにシフトしていくのかどうかというところは、見ていきたいと思っております。
実際に、現在の待遇であったり、また将来性、環境にどれだけ満足をしているかという問いがありますけれども、そこにつきましては、職場の人間関係については、ほぼほぼ満足しているという方が60%を超えてますけれども、それ以外の項目については、満足していると答えた方が50%を切っているというところであります。ここでの満足度と申しますか、満足している方を今後増やしていくということが必要になってくるのではないかと考えております。
なかなかやはりキャリアサポートがない、スタッフの人数が足りていない、また周囲の向上心等もなかなか見受けられない、やはり当然給与、また昇給、労働時間というものも出てきていますけれども、こういう点が、愛玩動物看護師のみならず、獣医療を担っている中での課題ということでもあるかなと思っております。
最後に、じゃあ、実際にどのぐらいのお給料を望んでいるのかというところもお伺いしていますけれども、給与に関しましては、最低でも手取りで月給20万円以上、また年収で400万円以上を希望するという方が1番に来ておりますので、なるべく早い段階でそこに達していくということを、この業界を挙げて行っていかなければならないのかなと。決して、現在、月給20万というのが、夢のような数字を皆さんが書いているとは思っていなくて、大変現実的な金額を希望されているを把握しております。
本当に、この調査をしていただきましたロイヤルカナンさんには感謝しております。なかなか、ここまでの調査が、協会本体で全ての費用を賄ってということが大変難しいものですから、こういうように、毎年とは言いませんけれども、年を重ねて実態調査をしていくということが、現場の把握につながるものと考えております。
以上になります。
【西村座長】 この資料は日本動物看護職協会のウェブページでも公開されているとのことなので、必要があれば御覧いただければと思います。
横田委員からの説明事項、または四つの柱の今年度の検討事項について、就職状況調査も含めて、まず委員の方々から御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
【長田委員】 事務局の御説明と加えて、今のアンケートの中身を伺っていて思ったんですけれども、この2-1のほうの資料の養成・資質向上のところ、卒後研修という言葉が使われているんですが、これは学校を卒業した後という意味ですよね。むしろ、資格を取得した後の愛玩動物看護師に対しての研修という考え方のほうも、また必要なんじゃないかなというのは、とても伺っていて思いました。
アンケート調査のほうでも、状況が変わったばかりですので、まだあれだとは思いますけれども、獣医師さんたちが、いろんなその専門の、何ですか、科目というか、そういうのをいろいろ考えておられますみたいなアンケート調査があったと思うんですけれども、愛玩動物看護師、個人的なことですけども、うちの娘も1回目で取得をして、やっぱり病院からの、もうプログラムの中で研修を受けているんですけれども、少し外での研修も参加させたりしていただいて、そういうことが多分すごく必要になってくるんじゃないかなというふうに思っていますので、卒後、この会議においての検討事項が、本当に卒後でいいのかというところは、ちょっと思いました。
以上です。
【西村座長】 卒後教育とは、一般に継続教育という意味で使っていると思いますので、今おっしゃられたような内容というふうに理解していただいていいかなと思います。
ほかにございますでしょうか。
【山﨑委員】 動物看護師統一認定機構でも生涯教育を始めておりますので、内容等を検討しながら、成果が出るようにもう少し待っていただければと存じます。
【西村座長】 ほかにいかがでしょうか。
【浅野委員】 ちょっとアンケートについてお聞きしたいんですけれども、愛玩動物看護師のアンケートで言うとQ17が、回答者の82%が1次診療病院、獣医師さんのほうで言うとQ10が、回答者の9割以上が1次診療ということなんですけど、この1次診療と高度医療施設、2次診療あるいは1.5次ですかね、この割合というのは、実際のもともと全国にある割合と同じぐらいなんでしょうか。それとも、もし違うのであれば、高度医療施設においては、どれぐらいのアンケート結果が取れたのかというのをちょっと知りたくて、割合が大体こんなものなのかお聞きしたいんですけど、分かりますでしょうか。
【横田委員】 ここで実数をお答えすることはできませんけれども、ほぼほぼ、そんなにかけ離れてはいないと思っております。また、施設での獣医師数というところも鑑みながら、結果を獣医師数区分ごとに係数を設定して調整済みと表紙のところに書かせていただいておりますけれども、そういうところでも調整はしております。やはり2次診療等になりますと、獣医師数も増えていたりなどするところから、このような形になっております。
実際の1次診療、2次診療の数に関しましては、恐らく農水さんのほうで公表していましたかね。ごめんなさい。
【事務局(農水省・大倉)】 農水省のほうは、飼育動物診療施設で小動物・産業動物は分けているんですけども、あと、その中でエックス線施設があるところは別にカウントしているんですけども、2次診療とか、そういう形での、すみません、統計は取ってはいないです。
【西村座長】 人では1次病院、2次病院、3次病院はっきり分かれていますけど、獣医療では1.5次とかというのもあったりして、なかなか混沌としており、なかなか答えは難しいかなと思います。
ほかはいかがでしょうか。
【磯部委員】 2-1の卒後研修については、確かに生涯にわたっての自己研さんということなんだろうと思うのですが、結局、それは誰が担うのか。出身校が担うのか、学会がやるのかということが、いま一つ見えないなというふうな感想を持ったということと、アンケートも興味深く拝見しまして、ありがとうございました。
横田先生に伺いたいのは、Q26、27の辺りなんですけども、免許のことだとすると、業務の話に関心があるわけです。まず、Q25のところで、どう決定したかというと、院長が決めた、個人のスキルを評価して任せるとありますが、しかし、看護師としてできる業務というのは、一応、一律に決まっているはずで、この方にはまだ無理だというふうなことが現場ではあるというのは、ある程度は理解するのですが、Q26、27の辺りになりますと、26で、まだスキルを取得できていないという方が3番目、一定数いるのは分かりますが、資格の有無によって任せるべき業務は変わらないというのは、別に昔と変わらず、資格がなくてもできることをやらせているだけだというところなのか、資格がなくても、やっちゃいけないことをやっていたのかということは、ないだろうと思いたいですけれども、それは分からないですよね。
ただ、いや、伺いたいのは、2番目の、どこまでの業務を任せるか、どの範囲を任せていいか判断に迷うというのが、次のQ27の業務範囲の不明確さ、統一性の不足というのがあって、看護師だから、今までできなかった、何ができるのかということが、なお明確じゃないということなのでしょうか。ちょっと、そこのできるだけ具体的に記入くださいの100文字までのが、その先がちょっと分からないのです。
場合によっては、例えばそういうときこそ環境省、農水省などが、通知などで、こういう業務は看護師業務ですよというふうなことをさらに具体的に示すような形で、現場の不安とか不統一さを解消するということができるのかなというふうに思ったものですから、ちょっと伺ってみたかった次第です。
【横田委員】 やはり診療の補助として何ができるかというところでしょうけれども、施設によっても、愛玩動物看護師が行う業務の需要というものが違ったりもしています。確かに愛玩動物看護師ができる業務というのは、例示はされていますけれども、全てを個々として挙げられているわけでは当然ないんですね。そこのところは獣医師の裁量に任せられているというのが現状で、獣医師の先生方は、どういう形で指示を出すかというと、愛玩動物看護師本人のスキルがどれだけあるのか、知識がどれだけあるのかというのを、共に働きながら、恐らく現状では判断して任せていると。ただ、そこのところが、判断基準が、なかなか現状としてはかなり厳しく見ているのかなと考えております。その中で、なかなか役割分担の業務の引渡しというのが進んでいない。これは第1回の試験が終わった段階でのアンケートですから、あれですけれども、そこがまだまだ進んでいないということが、この結果でも見てとれるのかなというところではあります。
この例示に挙げられているようなものは、本来は、もっともっとパーセントが上がってきていいものと思っていますけれども、なかなか100に近いところがまだまだ出てきていないと思っています。お答えになっていますでしょうか。
【磯部委員】 例示とおっしゃったのは、この中で。
【横田委員】 農水省等から出されている愛玩動物看護師法に関するものに関してのできる例示というのが何個か、業務として例えば採血であったりとか、マイクロチップの挿入だとかというのは出されていますけども、一つ一つが記載されているわけではないのでということでした。
【磯部委員】 ちょっとよろしいですか。その例示って、Q&Aみたいなのが出ていますよね、確かに。採血とかマイクロチップの装着と。あのレベルのことしかないということで、それだとちょっと判断に困るということでしょうか。
それは知恵の出しどころのような気もして、人間の場合でも、例えば介護現場で、これは医行為じゃないかということで、爪切りとか体温を取るのだって、なかなか介護の人ができないといって、巻き爪じゃなかったら爪は切っていいとか、そういう、こういうのは委ねていいことですよというふうなことを、例示を具体的に通知で出すというふうなことはしているものですから、何かちょっと工夫の余地があるのかなという感想を持ちました。
【西村座長】 私、3月まで大学病院にいましたが、4月から、あちこちの民間病院に行っています。大学病院の看護師さんの動き方って、民間病院と全く違うんですよね。今は臨床の一番ホットなところにずっといるという感じなんです。それでちょっと御説明すると、病院によって、獣医師さん優位型の病院というのがあって、そこは看護師さんは本当に補助。一方で、看護師さんをかなりフル活用して、獣医師さんは少ないという病院もあって、そこは看護師さんがやっていることがすごく多いんですよね。
だから、病院によってカラーが全然違うということが一つと、もう一つは、例えば採血も、もう2年ぐらいたっていますけど、看護師さんで上手な人はいないんですよね。看護師さんがどういうときに採血ができるかというと、ちょっと時間的に余裕があるとき、あるいは飼い主さんがうるさくない人。これ、すごく大きなファクターなんですよね。そういうのがあると、じゃあ、ちょっとやってみるみたいな感じで、それでやるから、なかなか上手になる、スキルアップは、スピードはちょっと遅いなというふうには見えていますね。ただ、もう留置針とかも入れる人もいるので、ばらばらではあるんですけど、ちょっと時間がかかるなという感じはありますね。
あとは、看護師さん優位のところでは、もう看護師さんがいないと病院が全く回らないですよね。そういう点では、看護師さんの需要って、すごく高いと思うんですよね。これから動物病院って、もうそろそろピークで、どんどん減ってくると思いますけど、看護師さんは多分需要は残ると思うんですよね。だから、そういう点でも看護師さんは重要かなと。前回の愛護部会のときにも、やっぱりこういうところ活躍できるんじゃないのみたいな話もあって、そういう点では、愛玩動物看護師さんの可能性は結構あるなというふうに最近思っているというところです。
あと、今、磯部先生が言われた点は、どこまでできるかというところですけど、これ、何回か、この合同部会のときに話が何回か出ましたが、結局、リストがないんですよね。明確なリストがないんですよ。だから現場はすごく混沌としています。これやっていいという人もいれば、これは駄目という人もいるので、そこは本当にもうばらばらですね。だから、基準がないので、それはいいんだという人もいれば、それは駄目だという人もいるという点は、たくさんありますね。
だから、僕もやっぱり磯部先生の御意見と同じで、やっぱりある程度、少なくともホワイトリストは出したほうがいいんじゃないかなというふうに思うんですよね。そうすれば、そこは看護師さん、どんどんやってねということができるので、今、やっぱりそこもちょっと及び腰になっているというところは、獣医師さんの中には結構多いように見えるので、その辺もちょっと今後検討していくといいのかなというのは、個人的な意見ということですね。
【山﨑委員】 先生方のお話を拝聴しておりました。例えばマイクロチップ挿入や、尿道カテーテル挿入は、国家試験の教育内容に入っておりますが、愛玩動物看護師の1回目の受験をした人たちは、大学にしろ専門学校にしろ、マイクロチップ挿入等の実習授業は具体的に行われておりません。犬や猫の代替教材で練習したとか、あるいは学校で飼育している犬を使用したといっても限度がありますから、実際には今後お勤めした現場で、先輩や獣医の先生の御指導を受けながら育っていく部分があると思います。
「大学および養成所において履修すべき31科目」で定められている、講義と実習を修了していなければ受験資格がありませんが、理想的なことを申し上げるより、まだ現場と一致していない部分を、これから検討していくことが大事だと思います。西村先生がおっしゃったように、病院によって全く違うと存じます。また地域によっても違います。もう一つ、病院によって患畜の内容が違うということがあるのではないでしょうか。
ですから、移行期間の間に、もう少し愛玩動物看護師に何をしてもらいたい、何をさせたいのか、そのための教育はどういうふうにしていくべきなのか、方向性を決めながら検討していくことが重要ではないかと考えております。
以上です。
【西村座長】ほかにいかがでしょうか。
方向性としては、結構いい方向に向かっているんじゃないかなと思ってはいるんですけど、もっともっとという感じでしょうかね。
よろしいでしょうか。
それでは、国家試験の信頼確保につきましては、引き続き、国家試験等の検証及び行政処分の実施について、それから獣医療現場での職責・役割については、飼養者との信頼関係構築や獣医療弱者への獣医療提供について、動物愛護・適正飼養用分野における活躍推進については、動物愛護管理行政での登用可能性調査、養成・資質向上については、卒後研修についての実態調査について、事務局で今年度の対応をお願いいたします。
それから、もう一つ、先ほど就職状況調査というのがありましたけど、この結果にもありますが、30代ぐらいの多分真ん中ぐらいで辞めちゃう人がいっぱいいると思うんですよね。卒後のときにやった調査と、10年後にやった調査では全然違うんじゃないかなと思います。その辺も加味して、1回やってみるといいんじゃないのかなというふうには思いました。以上です。
*議事2(3)は非公開
次、議事2(4)その他です。事務局、何かあればお願いいたします。
【事務局(環境省・後藤)】 今後のスケジュールについて御連絡させていただきたいと思います。
本日、令和6年度第1回の合同会合を開催させていただきました。次回の合同会合は、12月頃を予定しておりますので、追って日程調整等を御連絡させていただこうと思っております。
また、遅くなりましたが、昨年度の第2回、第3回の合同会合についての議事録が確定しましたので、本日中にホームページに掲載いたします。
事務局からは以上です。
【西村座長】 本日の合同会議を通じまして、そのほか何か御意見、御質問などございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、おかげさまで本日の合同会議の議事を全て終了することができました。議事の円滑な進行に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
閉会に当たり、事務局より御挨拶をお願いいたします。
【事務局(農水省・星野)】 西村先生、座長をありがとうございました。
私、農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課の星野でございます。日頃より、先生方に多大なる御指導、御支援をいただきましてありがとうございます。また本日、大変御多用中のところ、御出席賜りまして、また大変暑い中、こちらのほうに足を運んでいただき、大変ありがとうございました。
大変な、御熱心な御意見と御議論をいただきました。我々もしっかりと真摯に対応していきたいというふうに思います。
確認ですが、本日3点ほど御議論をいただいたというふうに思っております。
まず一つ目、第3回国家試験につきましての日程について、それから、前回ですかね、山﨑委員のほうから御意見をいただきました、第2回国家試験の新卒者の合格者のこと、それについても、機構のほうから公表された旨、御報告をさせていただきました。その点、2回の国家試験を経て、直近の7月1日現在で、冒頭、環境省さんのほうからの御挨拶にもありましたけども、現在2万1,561名ということで、かなりの愛玩動物の看護師の方が今活躍されているという状況でございます。
また、2点目につきましては、今年度の愛玩動物看護師制度推進に向けまして、検討事項ということで御議論をいただきました。
それから最後、三つ目、愛玩動物看護師法第4条の該当者に関する免許の付与ということで、こちらのほうもしっかり御議論いただきましたので、引き続き、特に3点目につきましては、我々のほうでも、的確に免許が交付されますよう、引き続き環境省のほうとも連携を取りながら、しっかりとした運用をしていきたいというふうに思っております。
最後に、先生方におかれましては、今年度もどうぞ引き続きいろいろな御事案で御意見、御助言を賜りたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。