令和5年度第1回獣医事審議会免許部会中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会(合同会合)議事録

1.日時

令和5年7月21日(金)14:00~17:00

2.場所

環境省第1会議室(東京都千代田区霞が関1-2-2)

3.出席者

構成員(50音順、敬称略):浅野明子、磯部哲、佐伯潤、中山裕之、長田三紀、西村亮平、村中志朗、山﨑薫、横田淳子
外部委員(敬称略):赤間絵美
事務局:農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課、環境省自然環境局総務課動物愛護管理室

4.議事

(1)愛玩動物看護師法第4条第1号に該当する者への愛玩動物看護師免許の付与の考え方について(非公開)
(2)第2回愛玩動物看護師国家試験等について(公開)
(3)獣医療現場における愛玩動物看護師の職責・役割について(公開)
(4)その他

5.配付資料

資 料2   第2回愛玩動物看護師国家試験及び予備試験の実施について
資 料3   愛玩動物看護師制度推進に向けた検討事項
参考資料1  獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師⼩委員会(合同会合)の開催について
別紙 構成員名簿
参考資料2  愛玩動物看護師法条文
参考資料3  愛玩動物看護師法附帯決議
参考資料4  愛玩動物看護師に対する行政処分に関する基本的な考え方(令和5年3月30日)
参考資料5  獣医師に対する行政処分の考え方(平成27年10月30日 獣医事審議会免許部会)
※資料1は席上配付のみ。
 

6.議事要旨

(1)愛玩動物看護師法第4条第1号に該当する者への愛玩動物看護師免許の付与の考え方について審議した(非公開)。
(2)第2回愛玩動物看護師国家試験等について報告した(公開)。
(3)獣医療現場における愛玩動物看護師の職責・役割についてヒアリングを実施し、審議した(公開)。
(4)その他
  議事の公開について、議事(1)は議事要旨のみ、議事(2)及び(3)は議事録を公開することとされた。
 

7.議事概要

【西村座長】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから令和5年度第1回獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会(合同会合)を開催させていただきます。
 まず、開催に当たりまして、農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長、星野課長からご挨拶をお願いいたします。
【事務局(農水省・星野)】 皆さん、初めまして。星野でございます。この7月に農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課に着任しました。どうぞよろしくお願いいたします。
 会の開催に先立ちしまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 まずは本日、令和5年度第1回の、獣医事審議会免許部会、それから中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会の先生方にお集まりいただきまして、合同委員会ということで開催をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 各先生方におかれましては、本日も大変お暑い中、こちらにお集まりいただきまして誠にありがとうございます。また、日頃から愛玩動物看護師制度の推進にご指導と、それからご助言をいただきまして、誠に感謝を申し上げます。改めて御礼申し上げます。
 愛玩動物看護師制度につきましては、もう先生方ご存じのように、環境省と農林水産省が一体となって準備を進めまして、ご報告となりますけども、昨年度、第1回国家試験がおかげさまで無事に実施されたところでございます。1万8,481名という、かなりの数の方が合格をされまして、その後、合格者の中から免許申請をされて、7月1日の時点で1万6,518名という方が愛玩動物看護師免許証を交付されているところでございます。
 愛玩動物看護師法につきましては、その目的に、獣医療の普及と向上が定められております。獣医師と愛玩動物看護師が緊密な連携の下で、適正な獣医療が提供されることが重要と考えておりますので、これから、まさに愛玩動物看護師の方々のご活躍が期待をされるところだと考えております。
 本日は、まず、愛玩動物看護師法第4条第1号に該当します方々の愛玩動物看護師免許の付与の考え方についてご審議をいただきます。また、4月に愛玩動物看護師免許を取得した看護師の方にお越しいただきまして、獣医療現場における愛玩動物看護師の方の職責、あるいは役割につきまして、お話しいただくこととしております。
 新たに国家資格として誕生しました愛玩動物看護師につきまして、信頼性をしっかり確保しながら、また獣医療分野、さらには動物愛護・適正飼養分野、両方の側面でしっかりと愛玩動物看護師制度を広く普及していって、皆様のご議論を闊達にさせていただきながら、この制度を広めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、簡単ではございますが、私からのご挨拶とさせていただきます。本日は、どうぞよろしくお願いします。
【西村座長】 星野課長、ありがとうございました。
 それでは、委員の出欠状況について、事務局からご報告をお願いいたします。
【事務局(環境省・後藤)】 事務局の環境省の後藤です。よろしくお願いします。
 本日の委員のご出席について、ご報告させていただきます。
 本合同会合は、獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会の委員9名からの構成となっております。皆様全員、本日は出席されていますので、獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会のそれぞれの定足数の要件を満たしております。このことから、本日の合同会合につきましては、会議として成立していることをご報告申し上げます。
 なお、磯部委員は少し遅れてのご参加となります。
 また本日、議事2の(3)の獣医療現場における愛玩動物看護師の職責・役割においてのところで、獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会の開催についての、参考資料1についておりますが、2の合同会合の構成員の後段により、外部の委員として苅谷動物病院グループ江東総合病院、看護師長の赤間絵美様にご参加いただきますので、ご報告いたします。
 では、続いて配付資料の確認をさせていただきます。資料一覧の紙をご覧ください。一番上の紙になります。
 議事次第、座席表、出席者名簿とありまして、資料は1から3、参考資料1から5の構成となっております。資料1は、1から6までありますけれども、資料1-1には、別紙がついております。この資料1-1から資料1-6までは非公表資料となりますので、会合後、回収させていただきます。資料の落丁・不足等ございましたら、事務局にお申しつけください。
 資料につきましては、以上になります。
 そのまま議事の次第のお話をさせていただきます。
 2枚目が議事次第になりまして、今日の議事として(1)愛玩動物看護師法第4条第1号に該当する者への愛玩動物看護師免許付与の考え方について、(2)第2回愛玩動物看護師国家試験等について、(3)獣医療現場における愛玩動物看護師の職責・役割についてとなっています。このうち、議事2の(1)の愛玩動物看護師免許付与の考え方については非公開、それ以外の議事は公開とさせていただきたいと考えております。
 事務局からは以上です。
【西村座長】 ありがとうございました。
 
※議事2(1)は非公開。

【西村座長】 それでは、公開部分の議事を進めたいと思います。
 議事2、(2)第2回愛玩動物看護師国家試験予備試験及び第2回愛玩動物看護師国家試験について、事務局から報告をお願いいたします。
【事務局(環境省・後藤)】 では、お手元の資料2をご覧ください。第2回愛玩動物看護師国家試験及び予備試験の実施についてご説明します。
 第2回愛玩動物看護師国家試験予備試験を令和5年10月1日日曜日に、第2回愛玩動物看護師国家試験を令和6年2月18日日曜日に実施予定です。
 実施地は、予備試験、国家試験どちらも同じところで、北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県の全国7か所を予定しております。
 受験申込みですけれども、予備試験が令和5年7月3日月曜日から8月2日木曜日、国家試験が令和5年11月6日月曜日から11月30日木曜日となっております。
 合格発表についてですが、予備試験が令和5年10月30日月曜日、国家試験が令和6年3月15日金曜日です。
 予備試験の申込者数については、7月20日時点で1,585人となっております。
 今回も、主務省と機構とで連携して対応していきたいと考えております。
 備考として、予備試験は、実務経験のある現任者等が講習会を受講した上で、国家試験前に受験いたします。国家試験は、学校等、必要な知識・技能を習得した者と予備試験に合格した現任者が受験することとなっております。
 以上です。
【西村座長】 それでは、事務局からの説明につきまして、ご意見、ご質問等ございますでしょうか。
 最初に、今、1,585名というお話ですが、去年は何名申し込まれたのですか。この数字、途中経過でしょうけど。
【事務局(農水省・大倉)】 事務局です。
 まだ申込みが終わっていなくて、予備試験も、まだあと1週間で伸びるかなと思っていますけれども、予備試験の前回の合格者自体は9,794人で、申込みは1万人ちょっといましたという状況です。そのため、もうちょっと伸びるとは思いますけれども、一応参考までに前回の数字でございます。
【西村座長】 倍になっています。3分の1ぐらいということですかね。
【事務局(農水省・大倉)】 そうですね。はい。
【西村座長】 何かご意見、ご質問ございますでしょうか。どうぞ。
【横田委員】 第1回目の予備試験よりも1か月ほど早い実施になっていると思います。今後、まだ、経過措置の間に予備試験を行われると思いますけれども、例年、この時期に行うと考えてよろしいですか。
【事務局(農水省・大倉)】 機構と相談してまいりますけれども、基本的には同じ時期かなと考えてございます。
【横田委員】 同じく国家試験のほうは、昨年と同様の2月中旬というところですけど、これも変わらずと考えてよろしいですね。
【事務局(農水省・大倉)】 はい。
【横田委員】 ありがとうございます。
【西村座長】 ほかにございますでしょうか。
 中山委員、いかがでしょうか。何かご意見、ご質問等ございますか。
【中山委員】 別にございません。
【西村座長】 よろしいでしょうかね。ありがとうございました。
それでは、議事を進めます。議事2、(3)獣医療現場における愛玩動物看護師の職責・役割についてです。資料3をご用意ください。
 昨年度、第1回の本会合におきまして、制度の推進のために、諸課題を四つの柱に整理し、計画的に審議するものといたしました。国家資格の信頼確保について、昨年度は第1回国家試験の実施状況についてご報告いただき、また、愛玩動物看護師に対する行政処分に関する基本的な考え方について検討を行いました。
 左から二つ目の獣医療現場における職責・役割については、昨年度、事務局から獣医療現場における愛玩動物看護師の業務のイメージが提案され、委員から、獣医療のタスクシェアの考え方について意見がありました。また、愛玩動物看護師の就業状況について、調査をしたほうがよいのではないかという意見があり、事務局で検討することとなっております。
 以上が昨年までの状況でございます。
 今年度について、事務局と相談いたしまして、大体このような感じということでお示ししているということで、追記をいたしました。
 国家試験の信頼確保のところは、今年度は、引き続き国家試験について検証を続けるとともに、行政処分について検討していくこととなります。
 獣医療現場のところにつきましては、前回、現場で働いている愛玩動物看護師にヒアリングをしてはどうかというご意見がございました。それで、先ほど申し上げましたように、獣医療現場における愛玩動物看護師の職責・役割について、現場のお話をお伺いするために、本日は、苅谷動物病院グループ江東総合病院の赤間絵美様にお越しいただいております。
 赤間様は、2006年に学校法人東北動物看護学院を卒業されて、その後、動物病院を経て、2011年に株式会社苅谷動物病院グループに入社されました。2018年からは、同グループの江東総合病院で看護師長を務められております。
 お話に際して、獣医療現場における愛玩動物看護師の職責・役割ということで、愛玩動物看護師になって変わったことについて、あとは職務内容といいますか、どこまでできるのかとか、獣医師の指示や獣医師との連帯、あるいは愛玩動物看護師の職責・倫理という点で、お話をいただこうと思います。
 それでは、赤間様、よろしくお願いいたします。
【赤間外部委員】 ただいまご紹介いただきました、苅谷動物病院グループ江東総合病院の看護師長をしております赤間と申します。よろしくお願いいたします。
 この度は、このような機会をいただきまして、大変うれしく思います。初めてのことですので、ちょっと私自身もお話がうまくできるかどうか甚だ不安なところがございますが、お聞き苦しいところがございましたら、ご指摘・ご質問いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 当院の愛玩動物看護師の取組についてお話しさせていただきたいと思います。まず取組の内容として、大まかにではありますが、このような形で進めさせていただきたいと思います。
 まずは、愛玩動物看護師の業務について、お話しさせていただければと思います。
 愛玩動物看護師の業務というのは、多岐にわたるかと思いますけれども、大まかにこのような形でお示しさせていただきました。
 まずは、一番変わったところというのが、採血やカテーテル採尿、静脈留置、経口投与、投薬が大きく変わった点、愛玩動物看護師がまずやっていいよと許可を得られた点というところが大きいかなと思います。こちらに関しては、獣医師のほうでもやはり意識が変わってきている点だと思っております。
 そのほかに、獣医師による治療計画に基づいた治療補助という形で、獣医師が治療の計画を立てます。投薬であったり、あとは食事(給餌)に関してだったり、そこに基づいて、看護師自身が行っていくように現在進んでおります。また、患者さんから採取された検体の各種検査というものも行っております。
 一つずつスライドでお示ししていきますので、詳しくお伝えできればと思います。
 まず、採血、カテーテル採尿、静脈留置、経口投与、マイクロチップ挿入に関してです。有資格者が誕生したということで、その直後から、愛玩動物看護師の専門職として行えるように、当院では、事前に講義や実地の学習というのを獣医師の指導の下に行ってまいりました。
 現在、全員というわけではありませんが、採血や、カテーテル採尿、静脈留置、マイクロチップ挿入などが行える看護師が大体半数から6割ぐらいはいるかと思われます。
 国家資格保有者が勤務しているということで、獣医師側の意識も大分変わってきております。処置の指示や、診療の計画という、そこに基づいた指示がかなり増えております。特に入院動物に関しての指示が増えたかなというような意識があります。
 獣医師といっても人間ですので、やはり投薬の時間の違いや、あとは量の記載のミスなど、看護師側からミスを発見できるようなところも増えてまいりました。
 また、看護記録というところも、獣医師のほうが意識を持って考えてくださるようになりまして、入院動物に関しては、特に大きいですけれども、看護記録を獣医師が確認して、自分が不在のときの動物の状態というのを確認してくれるようになったり、獣医師と看護師のつながりというのが、より深くなったりしたように感じております。
 治療に関しては、各獣医師がそれぞれの愛玩動物看護師個人個人のスキル、技術を把握した上で依頼する治療内容というのを変えていただいているような状況です。
 次に、患者さんから採取された検体の各種検査です。お示ししてあるような検査を主に行っております。基本的には動物から採取されたものというもので検査を行って、その結果を獣医師にお渡しして、確認して治療に当たっていただくという形になっております。
 後ほどご紹介させていただきますが、当院では献血プロジェクトというのがございまして、献血と輸血を行っております。その際に行う交差適合試験や、輸血の補助、あとは献血の補助、どちらもマニュアルがございまして、そちらに基づいて治療を行っております。
 あとは栄養検討です。給餌補助、カテーテル給餌など、この辺りは特に愛玩動物看護師が活躍できるところではないかと思っていますが、獣医師の指示の下、入院動物への給餌内容の検討、あとは栄養状態の把握、確認というところを獣医師と一緒に話していくカンファレンスなどがございます。
 また、自力採食が困難な動物、現在、動物のほうも高齢化が進んでおりまして、なかなか自力で食事をするということが難しい子も多くなっております。当院の給餌補助というのが入院動物ではよくあって、外来のほうでも飼い主様からのご質問に答えることも多くなっております。
 消化管カテーテル設置後の給餌補助、これに関しては、ご自宅でも行っていただく場合がありますので、そちらも含めて飼い主様への指導なども併せて看護師が行っております。
 あとは、看護過程に基づいた看護です。
 現在、当院では入院時に入院ケアシートというものを飼い主様にご記入いただいております。そこでご自宅での過ごし方や、お食事の内容、お食事の仕方、あとは好きなもの、嫌いなもの、様々なことを聞かせていただいて、できるだけ動物にストレスがないような入院環境をつくるというのを目的に行っております。
 また、QOLを向上するために、治療ももちろん必要ですけれども、動物がどれぐらい治療に協力できるか、リラックスして過ごすことができるかというのを獣医師と話しております。
 看護師のみのカンファレンスも行っておりまして、病状の把握を全看護師ができるように、今以上にできる看護の検討を行っています。また、飼い主様も高齢の方であったり、お体が不自由な方もいらっしゃいますので、飼い主様の対応での注意点であったり、あとは退院後の再診察のときの状況、その子がどのように生活できているかというのを話し合うカンファレンスも行っております。
 次に、エマージェンシー対応についてです。
 こちらも簡単ではありますが、マニュアルがありまして、そちらに基づいてエマージェンシー対応に当たっております。
 また、緊急対応ですので、定期的に練習を行うことで、すぐにベテランの看護師でも新人の看護師でも動けるようにという練習を定期的に行っております。
 あとは、飼い主様への看護指導になります。
 こちらも看護師がかなり時間を割いているところかなと思いますが、お示ししましたとおりの内容です。退院時の自宅看護、高齢動物への自宅介護指導、先ほどもお話ししました自力採食が困難な動物への給餌指導、子犬子猫へ対しての社会化、こちらに関してはパピーパークラス等も行っております。今は、苅谷動物病院の中にありますシステムで、ファントレーニングという子犬子猫に向けた病院に慣れましょうというようなシステムもございます。
 それから、疾患動物への栄養指導です。療法食を食べていただかなければいけない動物もたくさんいますので、その際にご自宅でどういった切替えを行うのか、どのようなお食事だったら食べやすいかというのを飼い主様に指導させていただいたり、お話を一緒にする上で、どういった形状のものがいいかというのを探していったりするようになっております。
 また、問題行動に対する相談指導もしております。しつけ指導というような形にはなりますけれども、場合によっては、獣医師と相談しながら、行動診療に進む場合もございます。
 疾患動物への自宅補液指導です。腎臓病の子などが特に多いですけれども、自宅で皮下点滴を行っていただく場合や、糖尿病の子は自宅でインスリンを打っていただくこともありますので、こちらの指導も看護師が行う場合がございます。
あとは、歯磨き指導です。歯磨き教室というものも当院で行っておりまして、飼い主様に歯磨きの重要性や、そのやり方、動物がどのようにすれば受け入れられるかということをお話しさせていただいております。
ここまでが、当院で愛玩動物看護師の業務として行っているところになります。
続いて、当院にありますプロジェクトについてです。プロジェクトの中でも特に六つ挙げさせていただいたところが、特に愛玩動物看護師が携わるところが多いものを挙げさせていただきました。
まずは、血液療法プロジェクトになります。こちらでは、供血犬というものは当院にはおりませんので、ドナーさんの患者様の中から募らせていただいて、献血していただいて、輸血で治療が必要な動物へ血液を提供していただくようなシステムになっております。特にドナーさんの献血の日程の調整や、あとは献血後の製剤の処理というところが、看護師が特に業務として当たっている部分になっております。
次に、消化器科プロジェクトですけれども、こちらに関しては、内視鏡を使用した際が一番多いかなと思いますが、内視鏡の外側での操作や、あとは内視鏡は精密機械になりますので、その取扱いについて、洗浄については、愛玩動物看護師が主に行っておりますので、人間でも資格がございますけれども、内視鏡取扱認定資格というのを院内資格として策定しております。そちらを毎年行っておりまして、内視鏡の取扱いが正しくできる看護師を教育しております。
また、胃ろうチューブを入れることもよくありますので、そちらのやり方のマニュアルや、飼い主様の指導にも当たっております。
続きまして、細胞治療プロジェクトです。こちらに関しては、目的にも書いてありますが、治療のための免疫療法や、椎間板ヘルニアなどの再生療法を導入しております。その際の細胞培養というところを看護師が関わっているところではありますけれども、培養には時間も繊細な部分も出ておりますので、そこを看護師が担っております。
続きまして、リハビリテーションプロジェクトです。ここに関しては、シニア動物であったり、外科で骨折や椎間板ヘルニアなどの治療をした後のリハビリというところで、実際の施術を看護師が担うところが多いです。
また、飼い主様へのご自宅でのケアの方法というところも看護師からお話しさせていただいて、ご自宅でできるケアを行っていただいております。
続きまして、しつけプロジェクトです。主に犬になりますけれども、各病院、5病院ございますけれども、全ての病院でパピーパーティーを行っております。また、その中でも3病院では、しつけに力を入れておりまして、パピークラスの開催も行っております。
社会化に重要な2か月から4か月齢の子犬を対象に開催しておりまして、こちらで、人間社会で生きていく上で不都合がないように、飼い主様と楽しく過ごせるように、というところを目的にさせていただいております。
また、トレーナーも在籍しておりますので、成犬に対してのトレーニングというものも行っております。行動診療に関してもトレーナーさん、または各病院でしつけプロジェクトに参加している看護師と一緒に行動診療にあたらせていただいております。
最後に栄養プロジェクトです。こちらは栄養マイスターというものを当院の院内資格でつくっております。飼い主様に向けての栄養指導、それから、スタッフに向けての栄養上の知識の周知や、新製品の使い方、そのようなことを周知してもらうような形にしております。
栄養マイスターに関しては、飼い主様に向けての栄養指導、手作り食の指導や、そういったところまで組成を考えた上でのレシピを作ったり、というところまでできるように教育しております。
以上が当院で行っております、看護師が多く携わっているプロジェクトのご案内になります。
続きまして、教育制度についてです。
新人研修に関しては、月に2回、終日、新人を各病院に集めまして、座学が多くなりますけれども、当院のシステムや、看護師が行うべき業務、または獣医師と合同の研修もございまして、疾患に関しての学習などを行っていきます。
また、新人に対してですけれども、トレーナー制度というのを設けておりまして、新人に対しての教育プランを一任しております。各病院、獣医師大体1~2名、看護師2~3名ぐらいでトレーナーが在籍するようになっております。そこで研修内容などを毎年検討していただいて、内容を組み替えながら進めております。
看護師の勉強会に関しては、全体の看護師の勉強会は月に1回ございます。また、各病院で、そのほかにも1、2回行っているような現状です。
また、外部講師をお招きして講義をしていただくこともございます。
病院の制度としましては、外部セミナーに関しては積極的に参加をあっせんするような形式を設けております。
そのほかに、先ほどお話ししました栄養マイスターの養成講座や内視鏡取扱認定資格というものを設けております。
学会発表も、国家資格化したことによって、どんどん行っていきましょうという流れになってきております。
最後になりますけれども、社会貢献として、当院では30年以上前からホストファミリー制度といいまして、子猫の里親探しを行っております。
また、一般財団法人ちよだニャンとなる会さんと提携させていただいておりまして、子猫の里親探し、それから、成猫がシェルターへ移動するまでの治療の預かり、おととしですかね、東京都の飼い主のいない猫の一時保護事業というものにも参加させていただいておりました。
また、ネコリパブリックという団体様とも提携させていただいておりまして、葛西橋にあります病院では1部屋、ネコリパブリックさんの猫ちゃんが里親探しをするお部屋というものを設けております。
また、小中学校での職場体験の受入れも行っておりまして、コロナの時期はできなかったのですけれども、今年からまた再開させていただいております。そういった小学校、幼稚園、教育機関で飼育されている動物の治療の受入れも行っております。
また、動物看護科がございます大学の学生さんの卒業研究にも協力させていただいている現状でございます。
最後に、まとめとさせていただきました。
国家資格化したことによって、以前よりも業務に対する責任を愛玩動物看護師自身が強く感じているように私自身は思っております。
獣医師からの指示や依頼もかなり以前より増えてきて、難易度というか、少し治療に踏み込んだようなことも増えてきているように思います。それによって、愛玩動物看護師自身のモチベーションが上がっているように思っております。
また、愛玩動物看護師として、より知識や技術を身につけるようという意識も増えておりまして、以前よりも勉強会に参加したいという声も多くなってきました。
今後への期待としましては、調剤業務というところは獣医師が大変になっているところでもありますので、そのところと、在宅療法や教育の場、そういったところで愛玩動物看護師という活躍の場がどんどん増えていければと期待されるという点で締めさせていただきたいと思います。
ご清聴、ありがとうございました。
【西村座長】 ありがとうございました。
 今、江東総合病院さんでは、看護師さんは何人ぐらいいらっしゃるのでしょうか。
【赤間外部委員】 愛玩動物看護師が20名ほどで、現在まだ資格を取得していない者が2名ほどおりますので、22名と、あとアシスタントが1名おります。
【西村座長】 獣医師は何名ぐらいですか。
【赤間外部委員】 獣医師は16名になります。
【西村座長】 苅谷グループさん全体では、看護師さんは何人ぐらいいるのでしょうか。
【赤間外部委員】 現在、100名ちょっとおります。
【西村座長】 なるほど、分かりました。ありがとうございます。
 それでは、今、いろいろ教えていただきましたけれども、委員から何かご質問とかがありましたらお願いいたします。
【佐伯委員】 佐伯と申します。よろしくお願いします。
 今日は本当にありがとうございます。興味深く拝聴いたしました。
 先ほど、座長からのご質問で、愛玩動物看護師資格を持たれていないスタッフや、アシスタント的なスタッフもいらっしゃるということでしたけれども、よくある問題だと思うのですが、業務分担は、資格を持たれている方とそうでない方と、どのように分けられている感じでしょうか。
【赤間外部委員】 やはり採血や採尿というところは資格を持っている者だけという形にしております。そのほか、問診を取ったり、保定に関してというところには、同じように当たっております。
【佐伯委員】 やはり、有資格者の補助的な業務という感じになりますかね。
【赤間外部委員】 そういう面も多いところではあります。
【佐伯委員】 すみません、もう一つだけ。いろいろと採血やカテーテル採尿、静脈留置などということで、かなり資格化でできるようになった業務を積極的に取り組まれている印象を持ったのですが、どれも獣医師の指示に基づいてということになるかと思います。
 関連して二点教えていただきたいのですが、その指示の内容というのは、例えば口頭で行っているのか、それとも、業務によるとは思うものの、何か指示書のような書面で行うものもあるのかというところが一つです。
 もう一点が、その指示を受ける側の愛玩動物看護師の技術という個々の能力というのも把握した上で行っているということでご説明いただきましたけれども、獣医師がそれをどのように把握するのか、ぱっと見て、何々さんはこれだけできるなどというのは、これだけの人数がいたら、恐らく私なら分からなくなっちゃうかなと思うので、何かできることが書かれているのかとか、恐らく院内で幾つかそういう資格制度をつくっていただいているので、それは今後大事になるのかなと思いまして、もし何か工夫されていることがあれば、教えていただけますと助かります。
【赤間外部委員】 ありがとうございます。
 まず、一つ目ですけれども、指示については、口頭と、あとは書面、カルテに記載されていること、入院に関しては入院処置記録がございますので、そちらに記載があります。それを基に、これをやっておいてくださいというような指示がありますので、それに従って行っております。
 愛玩動物看護師の個々のスキルという点に関してですけれども、やはり3年目以下の看護師にはあまり多くは頼まないという形で先生方は判断しているように感じます。
 あとは、当院はセクション分けしておりまして、入院に当たる看護師、外来の看護師、検査の看護師、手術の看護師という形で細かに分けていますので、月の大半をそちらのセクションに入る看護師となると、かなり絞られてきますので、そちらで先生方は判断しているかなと思います。その中でも、ベテランの看護師、5年目、6年目以上の看護師のほうがいろいろと頼まれ事というか、依頼は多くなってまいります。
【佐伯委員】 ありがとうございます。やはりキャリアというところが一つというのと、そのセクションで経験できたことから、ある程度分けているという感じですね。
 個人の技術的な向き不向きはあるかと思いますし、今後、そういうところは、広く適用させていくのには、何か判断する材料がないかなというところで考えていたところなので、参考になりました。ありがとうございます。
【西村座長】 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ。
【横田委員】 発表、ありがとうございます。
 愛玩動物看護師になって診療の補助としてできる部分での技術的なことに関しては、先ほどの発表でも、院内で事前学習や技術研修を行っているということでしたが、そういうことを行うに当たって、不安など、そういうものはありませんでしたか。
【赤間外部委員】 やはり不安に思うスタッフもおりました。自分がやっていいのかという点や、やはり動物に針を刺すということが大きくありますので、自信がないという話もありましたが、大きく変わった点として、私たちが誇りを持ってできる業務の一つにもなりますので、練習する上で慣れというのもありまして、そういうふうに不安を話していたスタッフも、現在ではそんなに不安はなく頑張ってやってくれていますので、そこまで大きな障害にはなっていなかったように感じます。
【横田委員】 ありがとうございます。
 本当にこれだけ大人数で、大きな病院だと、院内での研修というのが充実しているのかもしれないですけども、動物看護師全体を考えると、まだまだ技術研修という点では必要な部分かなと、職能団体としては思っています。
今後、そういうようなことを広めていくに当たっては、何かこういうことがあったらいいのではないかというのが、もしあれば、教えていただければと思います。
【赤間外部委員】 やはり実地での研修というのが、コロナの時期もありまして、セミナー等も全てオンラインという状況でしたので、実際に自分の手を動かすようなセミナーや講義というのがあるといいのかなとは思います。
 あとは、今は実際の動物を使わなくてもモデルを使っての研修など、性能のいいモデルを業者さんでつくってくださっているところもありますので、そういったもので練習がどんどんできていければ、実際に、生体にあたるときに不安が少しでも減るのかなと思っております。
【横田委員】 ありがとうございました。
【西村座長】 ほかにいかがでしょうか。お願いします。
【佐伯委員】 すみません、また続けて申し訳ないです。
 いろいろ各種臨床検査も担われているということですけれども、その中で、どうしても検査の結果を出すところが、定量的に数字が出てくるものと細胞を見て判断するような定性的なものがあるかと思います。
 それで獣医師だけができる業務としては診断がありますので、獣医師が行う診断というところと、特に定性的な部分で判断に迷われている部分とか、病院の中でトラブルというほどでなくても、ちょっと困ったことがあったなど、そういうご経験がもしあったら教えていただけたらと思います。
【赤間外部委員】 定性に関しては、そこもどうしても看護師の年数や経験によって左右されるところが大きいので、基本的には最終的には獣医師に鏡検などを行っていただいて診断はつけていただいております。
 ただ、国家資格の試験の中にもありますけれども、尿石であったりとか、虫卵であったりを見分けるのは看護師自身にも必要な知識かなと思いますので、ここに関しては、現在、先ほどもセクションで勤務しているとお話しさせていただきましたけれども、検査担当の看護師もそういったところは経験値も高いので、できることが多くなっていますが、若手の看護師に対して、そういったところを看護師同士で教え合うようなシステムを行っております。
 その中でも、鏡検に関しての小テストみたいなことを実地でさせていただいておりまして、どれぐらいの精度で、今、鏡検ができるのかというのを確認させていただいているような状況です。
【佐伯委員】 そうしますと、やはり、先ほどの診療の補助業務の指示のところと同じで、やはり獣医師との日頃からのコミュニケーションや信頼関係のところで、ある程度、自然と業務分担ができているようなイメージだと思いますが、そんな感じで理解してよろしいでしょうか。
【赤間外部委員】 大丈夫だと思います。
【佐伯委員】 ありがとうございます。
【西村座長】 ありがとうございます。
 今の佐伯先生のご質問、ちょっと追加でお聞きしたいのですが、検査か診断かどうかという線引きは難しいところがあると思います。例えば、超音波検査は診断なしにあり得ないですよね。超音波検査も看護師さんにやってもらうというのは、なかなか難しい話だろうなと思いますが、その辺の線引きというか、病院でここはマル、ここはバツみたいな決まりみたいなというのはありますか。
【赤間外部委員】 超音波検査に関しては、やはり看護師が行ってはおりませんので、そこに関しては獣医師のみになっておりますが、スライドでお話ししたような各種検査に関してというところでは、顕微鏡を使った検査に関して、こういったものが出ていますよというようなことをお伝えして、それを獣医師が自分の目で鏡検するというところになりますので、線引きとなると、私たちが、これがありますといったところを獣医師がどこまで信用するかといったらあれですけれども、考えて、自分自身が鏡検に当てているかというところにはなります。どうしても、若手の先生よりはベテランの看護師のほうが、鏡検スキルが高い場合も出てきてしまいますので、そちらに関しては、トレーナーになっている獣医師が最終確認をするというような形にはなっていますけれども、そのような形で診断はつけていただくようになっています。
【西村座長】 では今の段階では、まだはっきりした基準というか、決まり、ルールというのは決まっているわけではないということですね。
【赤間外部委員】 そうですね、最終的には獣医師に鏡検していただくという形になります。
【西村座長】 あと、多分、苅谷さんのところはかなり大きくて、看護師さんとしてもかなり特殊な状況にあると思うのですけど、以前、個人の病院にも勤められていたことがありますよね。2011年に入られて、その前は小さな病院だったのですか。
【赤間外部委員】 卒業した学校の大本が仙都動物病院で、そこが先で、その後に東北動物看護学院が出来上がっているのですけれども、卒業した後に仙都動物病院に勤めて、看護師をしながら、隣にあります学校の講師などもして、その後に苅谷動物病院に就職しております。
【西村座長】 小さな病院の場合に教育やトレーニング、役割分担などは、こういうふうにしたらいいのではないかなど、何かご意見があればお聞きしたいなと思います。
【赤間外部委員】 そうですね。規模としましては、目が見える範囲、見渡せる範囲というのは小さな病院のほうがあるかなと思います。どこで誰が何をしているかというのがよく分かる状況だと思うので、逆に先輩たちは新人たちが何をしているか、何をできるかというのを把握しやすいのかなと思うのですが、一つ一つ項目をつくって、何ができるか、OJTシートのようなものを作っていただくのがいいのかなとは思います。
 やはり、シフト制で勤務しているところも多いかと思いますので、そこで、この先輩は言った、この先輩は言わないみたいな形がないように、誰がどこまでできるのかが全員把握できるように、それは獣医師も含めてですけれども、小さな病院であればあるほど、先生からもここまでこの人はできますよというのが分かるようなシステムがあるといいのかなとは思います。
【西村座長】 ありがとうございます。
 ほかに、どうぞ。
【長田委員】 ありがとうございます。
こういう制度になって、いろいろなお仕事の範囲が広がったことを飼い主さんたちはどういうふうに理解されているのかなと。どういうふうに変わりますというのを説明されたとか、何かそういうことがありましたら教えていただければと思います。
【赤間外部委員】 飼い主様から何かお声をかけていただいたということはなかったですけれども、昨年度、国家資格の試験の日に、ほぼほぼ看護師が不在になっておりますので、それに当たっての告知という形で、この日は病院の業務を制限しますよというようなポスターなどのご案内をさせていただきました。
 そのときに飼い主様の方から頑張ってねというようなお声がけをいただいたりしていましたので、少し飼い主様たちにもそういう国家資格になったよということが伝わってはいるのかなと思います。
【長田委員】 そうすると、例えば、今までは獣医師さんがやっていらした様々なことを、今まではなさっていなかった方々がやるということについては、特にご説明とか、そういうことはなく、自然に移行していったという感じでしょうか。
【赤間外部委員】 そうですね。飼い主様の前で採血というのは、当院ではまだしておらず、お預かりしてという形でさせていただいているので、飼い主様から、そういった面でのご指摘やお話はないのですが、退院時のお話やケアなどは以前から看護師がさせていただいている部分でもありますので、そこに関して何か大きく飼い主様側からお声がけがあったというところは、特に今はない状況です。
【西村座長】 ありがとうございます。
 どうぞ。
【磯部委員】 ありがとうございました。お話が大変興味深くて、いろいろ伺いたいとは思うのですが、新人として入ってくる人は、今後は資格を取った人だけになるのか、という辺りはどうなのでしょう。
【赤間外部委員】 現在は基本的に有資格者のみになっておりますけれども、病院の規模であったりとか、外来数、入院数に合わせて、国家資格を持っていないスタッフでも、保定であったり、そのほかの業務、補充関係など、そういったところを担っていただくスタッフが必要という場合であれば、資格がないスタッフも募集をかけるような形で、臨機応変にといいますか、その時々に合わせて募集をかけているというようになっております。
【磯部委員】 院内ではお客さんや飼い主の方は、これは国家資格の人で、これはそうではないスタッフだということは一見して分かるような感じになっていますか。
【赤間外部委員】 看護師とアシスタントのユニフォームが異なり、着ているもので全く変わっていますので、そこで見分けはつくようになっております。
【磯部委員】 なるほど。
 あと1個は、看護師というのは国家資格になり、専門職として自己研鑽の機会があって、知識や技能を高めていく、維持していくという営みがどのようにあるのだろうかという観点からの質問なのですが、例えば、お医者さんだったら、出身の局からの先輩などのつながりもあるし、外の学会に行けば、いろいろな大学の同じ専門の先生とも会う、そして、今、勤めている病院でもいろいろなやり取りがあるという感じだと思うのですが、こちらは、比較的内部の勉強会は充実しているというお話でしたけれども、外に行く勉強会というか、学会などですかね、そういうのはどのぐらい豊かにあるものなのでしょうか。参加のあっせんというのはありますけれども、それがどのぐらい活用されているのかというところはいかがですか。
【赤間外部委員】 やはり獣医師に比べると、そういった学会なども多くはなく、看護師自身がどうしても内向的なところが多いので、外側に向けてマネジメントするのは、私であったり、師長職の看護師がこういうセミナーがあるから行ってごらんというような形であっせんをしたり、あとは、栄養マイスターのスタッフであったりというのは、外部にセミナーがたくさんありますので、そちらに行ってというような形で、個々の差が大きくはなってはおります。
 ですので、どうしても外に向けての力が湧かないようなスタッフもおりますので、まずは内側で少し技術を高めたり知識を高めたりしつつ、大体3、4年してくると、何となく自分の進むというか、やりたいことというのが見えてきますので、それが見えてきたところで、外部のセミナーを勧めていってという形になっております。
 「認定こいぬこねこ教育アドバイザー」というような、実際にそこに赴いて取るような資格というところでは、全国から集まる動物病院のスタッフが集まりますので、そこで結構つながりができていることが多いかなと。私自身はそのように感じております。
【磯部委員】 ありがとうございました。
【西村座長】 ほかにございますか。
 院内セミナーとかは業務時間内にやるのですか。
【赤間外部委員】 院内セミナーに関しては、例えば、新製品の紹介のようなものを含んだものに関しては、お昼の時間をもって行ったりしますが、先ほどスライドにお示ししたような院内のセミナー、看護師の全体勉強会であったりとか、院内の勉強会というのは、基本的には業務外の時間で行っております。
【西村座長】 残業代は出るのですか。
【赤間外部委員】 残業代はそこに関しては出ていません。ですので、強制ではない状態です。
【西村座長】 ほかに。どうぞ。
【佐伯委員】 すみません、何度も。
 看護師長という立場でいらっしゃいますので、マネジメント的なところというのを教えていただきたいので、お答えできる範囲で構わないのですけれども、一つは今、お教えいただいた中で、栄養マイスター養成講座ということで栄養マイスターというような院内資格を取られたり、あと、内視鏡取扱認定資格という、これも院内資格を取られたりということで、そういったスタッフの方は、例えば、給与面、待遇面で、上にプラスされるとか、そういうのがあるのかとか。例えば、採血なども一人で普通にできる方とか、単なる年功序列的な年齢だけはなくて、そういった院内資格や、できる技術が多ければ、例えば待遇面でよくなるなど、そういうような制度というのは、今はあるのでしょうか。また、それを誰が評価するのかというのも合わせて、もしあればお教えください。
【赤間外部委員】 獣医師は総合臨床医であったり、内科認定医であったり、そういった職に関して獣医師の場合は手当が出ますが、看護師については出ておりません。現在、私も直接社長にお話しさせていただいたりもしているのですけれども、そういった面で資格手当が出れば、もっと看護師が活気づくかなというような面でお話はさせていただいています。
 スキルに関してですけれども、定期的に技術スキルのアンケートのようなものを取っております。その採血も、どこの部位からの採血ができるか、できないか、あとは検査に関しても、どこまでできるか、できないか、かなり細かく項目を設けてアンケートを取るような形で、大体年に3回ぐらい行っていまして、それを師長が全て見られるようなデータ化をしておりまして、誰がどこまでできるのかというのを把握しております。
 また、そこに一緒に取りたい資格や、やりたいことというのを書けるようなスペースもありまして、そこにどんなことをやってみたいのか、どんな資格を取りたいのかというのを書いてもらって、それに沿って、あとはいろいろなあっせんというか提案をこちらから行うようになっています。
 そこを踏まえて、年に2回ですけれども、評価制度というものを設けておりまして、まずは自己評価という形で、挨拶など、そういった社会人的な面、あとは技術的な面、入院、外来、保定などの項目もございまして、そこで自己評価をつけてもらって、その後に師長が実際のスタッフの働き方、動き、スキル、能力というのを判断して、数字をつけていくような形で、評価制度を用いて、院長が最終的に評価をし、ボーナスなどに反映するようなシステムになっております。
【佐伯委員】 ありがとうございます。
 では、院内のそういう資格については、今のところプラスはないけれども、人事的なところで賞与にはもしかしたら反映されているかもしれないというところですね。
 それに関連して、一つだけ追加で、栄養プロジェクトやしつけプロジェクトなど、いろいろなプロジェクトに積極的に愛玩動物看護師は関わっているということを教えていただきましたけれども、愛玩動物看護師の待遇をよくするためには、やはり、病院自体の収入アップというところも当然必須になってくるかと思います。こういったプロジェクト関係で、飼い主さんから何か愛玩動物看護師が指導したことについて、費用を頂くような、そういったシステムはあるのでしょうか。
【赤間外部委員】 栄養マイスターの栄養相談に関しては、飼い主様から費用を頂いております。しつけ相談に関しても、場合によっては費用を頂いております。看護師自身が飼い主様から費用を頂くような形で病院に貢献するようなシステムになっていますので、そこに関してや、あとは内視鏡の取扱いに関しても、主にほとんど看護師が行っておりますので、資格に対して給与面での反映はお願いしている状況ではあります。
【佐伯委員】 なるほど。やはりそこもプロフェッショナルの意識につながると思いますが、そういうところも費用を頂いているというのはすばらしいなと思います。
【西村座長】 愛玩動物看護師としての何か手当というのはあるのですか。
【赤間外部委員】 有資格者と無資格者での給与の差は設けておりますので、手当というよりも、基本給というところで差が出ております。
【西村座長】 どうぞ。
【山﨑委員】 まず、苅谷先生の動物病院では多くの動物看護師が勤められております。本学園の卒業生も採用していただき、ありがとうございます。愛玩動物看護師の法制化に携わった者といたしましては、看護師本人にも、飼い主にも、そして獣医の先生にも愛玩動物看護師を取得してよかったと思っていただけるようにしたいという、とても熱い想いを抱いています。それは、きっと皆さんも同じだと思います。
 そのような中で、苅谷動物病院での動物看護師における男女比率は、どの程度でしょうか。
【赤間外部委員】 やはり圧倒的に女性が多くて、大体9割ぐらいは女性ですね。1割、男性はおります。男性もかなり長いスタッフもおりますので、20年ぐらい勤めている男性看護師もおります。
【山﨑委員】 第1回目の予備試験・国家試験の試験会場を準備した際にも、おおよその男女比は9対1でした。近頃では女性の獣医師が増えており、今後、愛玩動物看護師の処遇や職場環境の改善を行うことで、男性の愛玩動物看護師が増え、男女比率にも変化が現れるのではないでしょうか。
 今はまだ国家試験に合格して間がないですから、国家試験に合格した方と、未受験な方と、不合格になった方の差は現場においては、それ程出ていないと思います。愛玩動物看護師だけではなくて、今までの動物看護師も女性が多く一番希望しているのは職場環境の改善だと思われます。
それに加え、現在では、男性でも産休や育休を取得しますし、また、高齢社会になりますと、介護休暇も取得します。
国家資格となり、より一層職場環境の整備が進むと思われます。このような職場環境の整備について、愛玩動物看護師はどのようにお考えでしょうか。
 また、3年や5年での離職が多いですが、苅谷先生の動物病院では、本学園の卒業生は数十年と永く勤めさせていただいています。皆さんの憧れの職場、また永く働きたいと思われる病院の一つだと思いますので、ご意見を聞かせていただけますか。
【赤間外部委員】 やはり、女性が全体的に多い職場ではありますので、どうしても産休・育休、あとは結婚に伴ってという離職もあると思うのですが、当院では産休・育休は比較的取りやすいかなと思っています。
 現在も、江東総合病院では、時短で勤務している看護師が3名、育休中の看護師が1名おりますので、あとはヤングケアラーではないですけれども、23歳のスタッフがご自宅の介護で、昨年1か月ほど介護休業という形で取らせていただいたり、そういった公的なものは問題なく取れるようにはできていますので、獣医師も1名、今、時短で勤務していたりというところがあって、戻ってきてくれる看護師さんがすごく多いなと思っています。産休中のスタッフも二人目ですけれども、育休が終わったらまた戻ってくると話は進んでおりますので、それに関して当院の中では比較的勤務がしやすいような環境をつくれているのかなと思っています。
【山﨑委員】 ありがとうございます。
 処遇の改善につきましては、現在、愛玩動物看護師に対する需要と供給のバランスもありますが、実際には求人票のお給料等は、随分変わってきています。何年も変わらなかったのですが、やはり、国家資格化をきっかけに少しずつ変わり始め、いい傾向だと感じています。
 資格手当につきまして、本学園の場合は動物病院経営ではなく教育機関ですので、全員が同じ職務規定で勤めています。愛玩動物看護師国家資格を取得した者に、資格手当を支給するところまでは、現状至っておりません。国家資格取得者に資格手当を支給し、処遇の改善に繋げることを目標にしたいとは考えますが、責任も伴う国家資格ですので、その責任をしっかり持てるようにならないと、手当てを支給することは難しいのではないかとも感じております。
最後の質問になりますが、試験日は1日でしたが、貴院では希望者が全員受験できましたでしょうか。また、資格手当はまだにしても、講習会や、予備試験、国家試験において、特別休暇の付与や、費用の一部もしくは全額負担など、サポートはありましたでしょうか。
【赤間外部委員】 講習会に関しては、病院からテキストを含め費用を負担していただいております。試験、予備試験と、あとは本試験に関しては個人での負担になりましたけども、その日のお休みというのは公休として扱っていただいておりますので、そういった面での病院側からのフォロー、会社側のフォローというのは当院ではありました。
【山﨑委員】 試験の日に、動物看護師が一人も出勤しなければ、病院はクローズしなくてはならないというようなお話もいくつか伺いました。
頑張ってください。細かいことまでいろいろお答えいただき、ありがとうございます。参考にさせていただきます。
【西村座長】 ありがとうございました。
 いろいろご意見をいただきまして、ありがとうございました。多分、これからの愛玩動物看護師がより活躍するためには、病院の中での職域というか、やることをはっきり分担するという方向性がすごく重要だろうと思うので、ここは看護師さんに任せてみたいところというのを、より明確にしていくというのは方向性かなと思います。ぜひ、これからもご活躍いただければと思います。
 本日はご足労いただきまして、本当にありがとうございました。
【赤間外部委員】 ありがとうございました。
【西村座長】 
 それでは、次の議事に移ります。議事2(3)のその他です。事務局、何かあればお願いします。
【事務局(農水省・大倉)】 事務局からです。先ほど話題に出ました就業状況調査に関しては、今、環境省と一緒に準備を進めていまして、秋口ぐらいですかね、学校のほうにアンケート用紙を送るべき準備を進めておりますので、また、結果等、取りまとまりましたら、こちらでご報告をさせていただきたいと思っております。
 事務局からは以上です。
【西村座長】 就業状況実態調査ということで、この需給・処遇調査というのも併せてやる予定でしょうか。
【事務局(農水省・大倉)】 そうですね。まずは学校さんへのアンケートというのをさせていただきまして、処遇などは、またその次の段階で準備をさせていただきたいと思ってございます。
【西村座長】 需給バランスというのは、結構これは時間がかかると思います。かなりデータを集めないといけないと思いますが、早くやらないと、10年後には、動物病院は、3分の1は多分なくなっていると思うので、相当需要が減っていると思います。下手すると半分ぐらいになっているかもしれないので、そこは明確にしておかないと、どんどん看護師さんを作ったのに、あれ、みたいな状況になる可能性が高いなと思うので、それも早めにやっていただいたほうがいいのではないかと危惧しております。
【事務局(農水省・大倉)】 ありがとうございます。まず就業状況調査をやって、着々と進めていきたいと思っております。ありがとうございます。
【西村座長】 今のことに関して何かご意見やご質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局は調査が終わりましたら、報告、よろしくお願いいたします。
 ほかに何か事務局からございますでしょうか。
【事務局(環境省・後藤)】 では、今後のスケジュールについてご連絡させていただきたいと思います。
 本日、7月21日に令和5年度第1回の合同会合をさせていただきました。本年度第2回も開催したいと考えておりますので、また日程調整等はご連絡させていただきたいと思っております。引き続き、ご協力をよろしくお願いいたします。
 もう一点ですが、本日の資料について、紙ファイルの資料はお戻しいただいて、そのほかはお持ち帰り可能となっております。
 続きまして、議事録の確認と公開についてご説明いたします。本会合の議事のうち、2の(1)、すなわち本日非公開とさせていただいたものについては、個人のプライバシーを侵害するおそれがあるほか、特定の方に不当な不利益をもたらすおそれ等がありますので、議事録は非公開とし、議事要旨のみの公開としたいと考えております。
 また、そのほかの議事につきましては、議事録を後日公開と考えております。
 議事要旨は座長に、議事録は委員の皆様にご確認いただいた後に農水省と環境省のWebサイトに掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上となります。
【西村座長】 それでは、本日の合同会議を通しまして、そのほか、何かご意見、全体的なご質問等がございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 どうぞ。
【佐伯委員】 すみません。先ほど言えばよかったのかもしれませんが、今後の検討事項のところで、獣医療に関する左側の二つは、ある程度、ご説明があったのですが、右側の環境省に関わる二つについても環境省と農水省の共同所管の資格ですので、ぜひ、特に動物愛護管理分野における職域の拡大というのは非常に重要なところでもあると思いますので、また環境省側からの進捗状況等もぜひご報告をいただけたらと思います。
【西村座長】 よろしくお願いいたします。
 ほかにございますか。
(なし)
【西村座長】 それでは、おかげさまで本日の合同会議の議事を全て終了することができました。議事の円滑な進行にご協力いただき、誠にありがとうございました。
 これをもちまして、令和5年度第1回獣医事審議会免許部会・中央環境審議会動物愛護部会愛玩動物看護師小委員会(合同会合)を閉会といたします。
 事務局にお戻しします。
【事務局(環境省・松下)】 西村座長、ありがとうございました。
 私、環境省の担当課でございます自然環境局総務課長をしております松下でございます。
 閉会に当たりまして、一言だけ御礼のご挨拶を申し上げます。
 本日、ご多忙の中、また暑い中お集まりいただきまして、大変長時間にわたりまして様々な観点から丁寧にご審議を賜りましたこと、誠にありがとうございました。
 本日、前半では、愛玩動物看護師法第4条の該当者に対する免許の付与の考え方につきまして、皆様方からいろいろとご指摘をいただきました。弁明の機会の付与についてや、また、判断に当たっての情報の提示について、磯部委員からご指摘を賜りました。ご指摘を踏まえまして、今後、法第4条該当者への免許交付について、公平また円滑に判断が行われますよう、両省において適切な運用を図ってまいりたいと考えております。
 また、後半では、愛玩動物看護師の赤間様にお話を伺いまして、国家資格化による変化を含めて、現場の臨床の貴重なお話を賜りました。改めまして感謝を申し上げます。ありがとうございます。
 愛玩動物看護師の今後のさらなる活躍に向けまして、現場からのニーズも適切に踏まえまして、課題の解決に取り組んでまいりたいと考えております。
 皆様、ご案内のとおり、愛玩動物看護師はこの4月に誕生しております。直近の7月1日現在の名簿登録者数は、1万6,518名に上ってございます。愛玩動物看護師になられる方が獣医療と、そして愛護適正飼養の両方の現場において、しっかりと職責を全うしていただけますよう、そして飼い主さん、獣医師さんを含めて、国民の皆様方から頼られる存在となっていただけるよう、主務省として制度の適正な運用を含めて愛玩動物看護師の活動を後押ししてまいります。
 委員の皆様方におかれましては、愛玩動物看護師制度のさらなる発展に向けまして、今後ともますますのお力添え、ご助言を賜りたく、引き続きよろしくお願いをいたします。
 本日はどうもありがとうございました。
 
(以上)