中央環境審議会動物愛護部会 第60回議事録

1.日時

令和4年2月24日(木)15:00~17:00

2.場所

フクラシア東京ステーション 会議室A

(東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル6F)

3.出席者

西村 亮平  中央環境審議会動物愛護部会長

松本 吉郎  委員      

浅野 明子  臨時委員    磯部  哲  臨時委員

打越 綾子  臨時委員    黄田 玲子  臨時委員

佐伯  潤  臨時委員    下薗 惠子  臨時委員

武内 ゆかり 臨時委員    遠山  潤  臨時委員

永井  清  臨時委員    藤井 立哉  臨時委員

町屋  奈  臨時委員    水越 美奈  臨時委員 

山崎 恵子  臨時委員    脇田 亮治  臨時委員

4.議題

(1)動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等の在り方について(第4次答申案。「適正な飼養管理基準の具体化(マイクロチップ)」に係る基準省令の改正等)

(2)その他

動物虐待等に関する対応ガイドライン案について(報告)

5.配付資料

議題1関係

資料1-1 動物の愛護及び管理に関する法律施行規則の一部を改正する省令案等に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果

資料1-2 第4次答申案の概要

資料1-3 動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律等の施行等の在り方について(第4次答申案。「適正な飼養管理基準の具体化(マイクロチップ)」に係る基準省令の改正)(マイクロチップ)」に係る基準省令の改正)

資料1-4 マイクロチップの装着等の義務化に伴う動物愛護管理法施行規則の改正(案)の概要

資料1-5 動物の愛護及び管理に関する法律施行規則の改正(案)について

資料1-6 マイクロチップ制度の施行スケジュール

資料1-7 今後の検討スケジュール(予定)について

議題2関係

資料2-1 動物虐待等に関する対応ガイドライン案の概要について

資料2-2 動物虐待等に関する対応ガイドライン案

6.議事

【事務局】 定刻になりましたので、それでは、第60回中央環境審議会動物部会を開催させていただきます。

 本日進行させていただきます動物愛護管理室の田村と申します。よろしくお願いします。

 最初に、出欠の確認をさせていただきます。本日は、部会の委員、臨時委員、17名いますが、17名のうち16名のご出席をいただいております。会場には西村部会長がご臨席いただきまして、委員15名はオンラインによりご出席いただいております。1名の大曲委員につきましては、本日は所用によりご欠席となっております。

 以上のことから、部会委員17名のうち16名が出席しておりますので、過半数の定足数を満たしているということで、規定によりまして本部会は成立していることをご報告申し上げます。

 なお、事務局としましては、本日、奥田自然環境局長がちょっと遅れまして、現在の会場には松本大臣官房審議官が出席しております。

 また、オンラインで自然環境局総務課長の関谷課長が、ここ会場には事務局員として動物愛護管理室員が参加しております。

 なお、委員のうち、松本委員、浅野委員は途中からの出席になると聞いておりますので、よろしくお願いします。

 二つ目、資料についてご案内いたします。

 本日の会議資料につきましては、オンライン会議上で共有いたしますが、同じものを委員には事前に郵送及び電子メールで送らせていただいておりますので、そちらの方をご覧いただくようお願いいたします。

 また、本部会の議事録は、後日環境省ホームページにおいて公表されることを申し添えいたします。

 さらに、コロナ感染防止のことについてお知らせします。

 本日は、新型コロナウイルスの感染防止の観点から、傍聴席を設けず、議事進行の様子をライブ配信で視聴できるようになっております。会場ではマスク着用等のコロナ感染防止対策をしておりますが、さらに発言時以外はマスクの着用をいたします。

 さらに、ライブ配信という形をとらせていただいておりますけれども、視聴される方へのお願いが1点あります。本部会の配信動画につきましては、録画、録音をしないようお願い申し上げます。

 最後に、議事進行についてご説明いたします。

 今回のオンライン会議の進行についてですけれども、会場は常時カメラオン、マイクオンしております。オンライン参加の委員におかれましては、カメラは常時オンで結構です。ただ、マイクは発言時のみオンにしていただくようお願いします。

 また、座長が発言を求めた際に、発言される委員におかれましては、画面に向かって手を上げていただくか、チャットで発言したい旨等をお知らせいただいて、その後、座長から発言者を指名いたしますので、それで発言いただくようお願いします。

 なお、本部会では視聴者様からのコメントの書き込み等もできなくなっておりますので、あらかじめご了承ください。

 それでは、この後の議事進行につきましては、西村部会長にお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。

【西村部会長】 皆さん、こんにちは。会場に委員の方が一人もおられないという、ちょっと寂しい状況です。こういう経験は初めてですが、このような状況ですから致し方ないかなと思います。委員の方々には積極的なご発言をお願いできればと思います。

 それでは、これから座長として議事進行させていただきます。

 本日は、本部会に託されております議事(1)第4次答申案「適正な飼養管理基準の具体化(マイクロチップ)」に係る基準省令の改正及びマイクロチップ装着等の義務化に伴う動物愛護管理法施行規則の改正が審議内容となります。

 また、議事の(2)その他として、動物虐待等に関する対応ガイドライン案の1件を報告してもらいます。

 それでは早速議事(1)に入りますが、議事(1)に関連する資料は資料1-1から1-7までありますが、まずは資料1-1の省令改正案に関わるパブリックコメントの集計結果について、事務局から説明をお願いいたします。

【野村動物愛護管理室長】 部会長、ありがとうございます。動物愛護管理室長の野村です。皆様、いつもお世話になっております。

 それでは、お手元に資料1-1をご用意いただければと思います。

 まず、資料の説明に入る前に、ちょっと口頭で幾つか、前回の部会の後の経緯についてご説明させていただきます。

 前回の部会でお示ししました、資料を今画面に投影いたしますので、少しお待ちください。

 前回、資料1-1というものでお示ししました、施行日時点で事業者が現に所有している犬猫について、6月1日から30日以内にマイクロチップの装着・登録を義務づけるという案をお示ししました。この案に関して、委員からのご指摘を踏まえて修正が必要となりましたため、部会長に一任いただいて、修正した案をパブリックコメントにかけさせていただきました。その経緯についてご説明いたします。

 委員のご指摘は、「法第39条の2第1項が、施行日以降に犬または猫を取得したときにマイクロチップ装着義務を課している。」一方で、「施行日6月1日時点で所有する犬または猫に対してマイクロチップの装着の義務を課すことは、法の委任を超えているのではないか」という点でございました。

 次に、パブコメにかけた資料を画面でご覧いただければと思いますが、2ポツのところ、これについてご説明いたします。

 前回の部会の後に検討を行った結果、やはり法の委任を超えていると考えられるため、2ポツに示すとおり、施行日時点で所有している犬または猫については、マイクロチップの装着と登録を努力義務とする案に変更いたしました。また、施行日から30日以内に装着・登録するということについても、その親の犬猫から生まれた子どもを譲り渡す日までということに変更いたしまして、繁殖に用いた場合に、装着と登録の努力義務を課すという案に変更いたしました。この案で部会長にご了解いただきまして、パブリックコメントにかけたということでございます。

 なお、施行日の6月1日以降に犬または猫を取得したときに、マイクロチップの装着と登録を義務づける案についても、法第21条、飼養管理基準を定める法の条文ですけれども、これに基づく規制にかからしめることの妥当性についてのご議論がありました。

 環境省としては、法21条は、動物の健康及び安全を保持するために取り扱う動物の管理の方法等に関して遵守すべき基準を定めることを求めていると考えておりまして、昨年6月から施行された飼養管理基準では、犬猫の繁殖の上限年齢が定められておりますため、この基準の遵守を個体ごとに確実に確認する手段として、繁殖実施状況記録台帳への記載だけでなく、マイクロチップによる個体ごとの年齢確認が非常に有効であるため、法21条に基づく飼養管理基準で、装着と登録を義務とする案にいたしました。こちらは、前回部会でお示しした案から変わってございません。それらの案でパブリックコメントにかけたという経緯でございました。

 ここまでが前回の部会からの経緯の話でございましたので、ここから、資料1-1についてご説明いたします。パブリックコメントで出されたご意見の内容を、全てについて今日ご説明は難しいですが、かいつまんでお話をさせていただきます。

 まず、頭紙のところをご覧いただきまして、施行規則の改正案と飼養管理基準の省令案について、12月から1月にかけてパブリックコメントを行いました。意見提出者は207名、有効意見数は411件でした。

 施行規則へのご意見は、(1)から(10)の事項ごとに整理しております。飼養管理基準へのご意見は一つの事項ということで整理いたしております。

 一つのご意見のようであっても複数の事項にまたがっていたりしたため、事項ごとの意見の件数を数えることが難しく、同一の意見はまとめさせていただきましたので、この下の表の意見の種類の数というところでご覧いただければと思います。

 ここから、事項ごとに資料の3ページ目からご説明いたしますので、そちらをご覧いただければと思います。

 まず最初の事項が、マイクロチップの装着に関するご意見ということでございます。

 番号でいきますと、1から4の辺りのご意見ですけれども、例えば、マイクロチップを装着する者をどうするかということについてですが、省令では獣医師と愛玩動物看護師を規定しようとしておりましたが、愛玩動物看護師を外して獣医師限定としてほしいというご意見ですとか、繁殖施設の近隣に勤務する獣医師にしてほしい、あるいは環境省が指定した獣医師にしてほしいといったような、さらに限定をかけるご意見がございました。

 これにつきましては、国家資格を有する獣医師と愛玩動物看護師は、マイクロチップ装着に必要な知識と技術を習得しているということでございますので、さらなる限定をかける必要はないと考えております。

 次に、4ページのNo.6のご意見でございますが、薬機法に基づく動物用医療機器として承認されたもの、あるいは製造販売承認を受けたものということを施行規則に規定してほしいというご意見ですが、薬機法に基づいて管理用医療機器として承認されたマイクロチップが国内で正規に流通しているものであるため、改めて環境省令で規定する必要はないと考えております。装着する獣医師は、これらの承認を受けたマイクロチップを入手して装着することになります。

 その同じページのNo.9、規格外のマイクロチップが既に入っている場合に、個体への負担を減らすため二重に装着させないようにすべきというご意見でございます。

 規格外のマイクロチップでは、省令で定める規格のリーダーで読むことができないということでございますので、規格に適合するマイクロチップを新たに装着してもらう必要がございます。

 続きまして、No.12、取得したときというのが一意に定まるようにすべきというご意見でございます。例えば所有権が移転せず個体の管理が移行する代理販売、書類上の所有権の移転、共同所有などは、取得したときが不明確ではないかというご意見でございましたが、取得に際して様々な形態が想定されますけれども、所有権が移転された日を指すというふうに解しております。いただいたご意見については参考にさせていただきます。

 次の事項、(2)のマイクロチップの装着証明書についてのご意見ということで、No.13、14の辺りでございます。繁殖に関わったブリーダーの名前、住所、電話番号、メールアドレス、登録番号、両親の識別番号、出生方法、自然分娩か帝王切開か、管轄する保健所の名称、不妊去勢手術の経験の有無などをマイクロチップ装着証明書に記載することというご意見ですが、装着証明書自体は、その個体に確かにマイクロチップが装着されたということを獣医師が証明する書類でありますので、ご指摘の事項については必須ではないと考えております。

 また、ブリーダーは、自分が所有者として登録する際に、名前とか住所とか電話番号、こういったものは登録することとなります。

 なお、No.13のところに、最後に少し書かせていただきましたが、ブリーダーの次の所有者、あるいはペットショップの次の所有者ということで、変更登録を経ていった場合には、現時点の所有者の方は、当該犬猫の識別番号によって、それ以前の所有者が誰であったかをたどれるシステムにはなっておりません。繁殖したブリーダーが誰であるかについては、販売時に説明する18項目が定められておりますので、ペットショップは飼い主にしっかり説明していただく必要がございます。

 続きまして、次のページのNo.19でございますが、犬猫の生年月日については自己申告なので、幾らでもごまかせるのではないかというご意見でございます。

 各個体にマイクロチップを装着した獣医師が個体を確認して装着証明書を発行するので、信頼性は担保されるというふうに考えております。大幅な週齢の偽りは難しいというふうに思ってございます。

 同じく、No.23のご意見ですが、海外でマイクロチップを装着された犬猫は、輸入検疫証明書を装着証明書の代わりとしてほしいというご意見でございます。

 こちらは、法39条の5第3項の方で、装着証明書を添付しなければならないものが規定されております。これが同じ条の第1項第1号に該当するものということで、すなわち、国内法に基づいて国内で装着された場合には装着証明書の添付が必要ということになっております。そうではないものについては、そもそも装着証明書の添付が求められていないので、輸入検疫証明書をみなすという必要がないということでございます。

 (3)取外しの禁止に関することで、8ページでございます。

 No.25で、遺棄の証拠隠滅のために取り外す行為は法第44条の殺傷を適用してほしいというご意見ですが、正当な理由なく傷つけてマイクロチップを取り外した場合は44条に該当する可能性があるということでございます。

 次のNo.26でございますが、MRI撮影はやむを得ない事由に該当するか。そのほかのケースも例示してほしいというご意見でしたが、MRI撮影が全てやむを得ない事由に当たるかどうかは、その疾病のある患部によるものでありますので、一概に言うことは難しいですが、専門的な知識を有する獣医師の判断によって決めていただくのが望ましいと考えてございます。

 (4)、9ページから登録等に関するご意見ですが、No.27、本人確認のため身分証明書を添付させるというご意見でございます。

こちらのお答えとしましては、所有者自らが登録の申請をするということが前提でありまして、その身分証明書の提出まで求める必要はないと考えてございます。登録することで犬猫の所有権がこの方にあるということを法律上担保する仕組みではございません。犬猫の所有者が誰であるかという情報を紐付けておくために登録していただくというものでございます。

 続きまして、登録申請の事項についてのご意見ですが、No.31のところでございます。両親の識別番号、生年月日、出生方法、出産回数、帝王切開の回数、出産後の雌、雄の繁殖の適否、雄の交配の回数、繁殖を引退した年齢、健康診断の有無、ワクチンの接種の有無、子の識別番号、不妊去勢手術の経験の有無、譲渡元情報、獣医師の氏名及び住所などを、マイクロチップの情報を登録するときに申請事項として含めてほしいというご意見でございますが、こちらは、マイクロチップの登録の主な目的が、盗難や迷子、災害時に離れてしまった犬猫の返還の促進、また、遺棄の未然防止といった目的でありますので、ご指摘の事項については必須ではないというふうに考えてございます。

 今般の情報登録システムは、ご指摘のようなヘルスケア全般の情報を紐付けることは想定しておりませんので、そういう運用をしていくということで考えてございます。

 なお、両親の識別番号や出生方法、出産回数、出産後の繁殖の適否、繁殖を引退した年月日、獣医師の氏名や住所については、別途、繁殖実施状況記録台帳に記録されるというものでございます。

 次のページに行きまして、No.35のご意見ですが、所有者を明らかにすることが目的のマイクロチップにおいて、母子関係の証明は目的を超えるので、親の雌犬・猫の識別番号を登録項目から削除してほしいというご意見です。

 交配時の年齢を個体ごとに確実に確認するため、親の雌犬、雌猫に装着されている識別番号との紐付けが不可欠と考えておりますので、飼養管理基準の遵守を確認するために必要な事項として削除はできないというふうに考えてございます。

 (5)の変更登録の項目については、本日は説明の方は少し省略いたしまして、(6)の狂犬病予防法の特例のところに入ります。

 No.51で、ワンストップサービスで飼い主の情報が届くとしても、飼い主が役場の窓口に来なくなるので、狂犬病予防法に基づく登録手数料が取れなくなるのではないかというご意見でございます。

 こちらは、ワンストップで情報が届いた後に、各市町村が定める条例に基づいて登録手数料を徴収していただくことになると考えてございます。

 続きまして、No.53の販売ルートからの犬とそれ以外の犬で画一的な対応が取れないのであれば、通知を登録とみなして、マイクロチップを鑑札とみなすことは困難ではないかというご意見でございます。窓口での登録も鑑札の交付も残るため、制度設計を見直していただきたいというご意見かと思いました。

 現に飼育している飼い主の努力義務の部分についても、今回、全て統一した制度とすることは現時点では難しいと考えておりまして、今後の参考としてご意見を頂戴するということにさせていただきたいと思います。

 次のNo.54につきまして、求めをしなかった市町村の犬の所有者、こちらは、別途狂犬病予防法に基づく登録をしなくてはならないということで、市町村の政策の違いによって、住民の対応が異なってくるのは不平等ではないかというご意見でございました。

 可能な限り、市町村長の求めをしていただくのが望ましいと考えております。引き続き、必要な措置を、関係省庁や自治体と調整していきたいと考えております。

 (7)の死亡等の届出に関するご意見のところですが、No.60のご意見は、行方不明になって一定の期間を過ぎても不明な場合は、死亡届出が出せるようにしてほしいというご意見でございます。

 万が一見つかることもあると考えられますので、登録状況を消去することはいたしませんというお答えでございます。ただし、環境省令で定める期間というのが40年間でございますので、40年経ったら抹消されるということでございます。

 (8)情報の提供に関する意見でございます。

 No.64を見ていただければと思いますが、日本獣医師会に所属する獣医師であれば閲覧可能かというご意見でございます。

 こちらは、行政機関の保有する個人情報保護法によりまして、原則、自治体、警察、環境省の方で情報にアクセスするということでございますので、獣医師会の所属の獣医師であっても登録データの閲覧はできないということでございます。

 その他、次の、18ページから、今回の施行規則の改正について、直接関わらないご意見、あるいはその他幅広く寄せられたご意見というものにつきましては、回答はいたしておりませんが、ここで紹介させていただいております。18ページから19ページにかけてまとめてございます。

 続きまして、20ページからが、飼養管理基準についての改正内容へのご意見ということでございます。

 No.85は、法21条の目的から逸脱しているので、施行日以降に取得した犬猫にマイクロチップ装着・登録を義務づける内容を削除してほしいというご意見でございます。

 法の21条では、動物の健康及び安全を保持するために、第一種動物取扱業者が扱う動物の管理の方法として遵守すべき基準を定めることを求めております。繁殖の方法に関する基準の遵守を個体ごとに確認する必要があるため、義務づけることは目的にかなっているというふうに考えております。

 次のページのNo.94でございます。

 施行日時点で、現に所有する犬猫へのマイクロチップの装着・登録は、努力義務ではなく義務としてほしいというご意見でございます。

 先ほど少しお話ししましたとおり、前回の部会でご指摘がありまして、法の委任の範囲を超えているので義務づけは困難ですということでございます。

 No.96のご意見は、犬猫等販売業者がマイクロチップの装着を怠った場合、罰則規定はあるのかということでございます。

 飼養管理基準に違反している場合には、勧告、命令、取消等の対象となってまいります。

 最後に、22ページに、同じく、直接飼養管理基準そのものの改正内容についてのご意見ではない部分でございましたが、幅広く寄せられたご意見を掲載させていただきました。

 資料1-1については、以上でご説明を終わります。

【西村部会長】 ありがとうございます。それでは、ただいまのパブリックコメントに関する説明につきまして、委員からご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。ここから見えにくいので、手を振ってくださいね。ございませんでしょうか。どなたかな。

【藤井臨時委員】 藤井です。

【西村部会長】 藤井委員、お願いします。

【藤井臨時委員】 パブコメのNo.3のところなんですけれども、まずマイクロチップの装着というのが診療行為に該当するのかどうかということの確認。その場合、診療施設を開設していない獣医師、もしくは勤務していない獣医師が、診療行為を業として行うことは問題ないのかという点。それから、診療施設を開設していない獣医師に対して、医療機器であるマイクロチップを販売することも問題ないのか。この点に関してご確認させてください。

【西村部会長】 はい。事務局の方、いかがでしょうか。これは獣医師法にも関係することだと思いますが。

【野村動物愛護管理室長】 ご意見、ありがとうございます。2点あったかと思いました。まず、マイクロチップの装着は診療行為に当たるのかということと、診療施設の開設をしていない獣医師にマイクロチップを販売できるのかというお話でしたので、法律上の規定をしっかり確認してお答えしないといけない部分ですので、確認が取れましたら委員の皆様にお答えするということで、この場での即答を控えさせていただきます。申し訳ございません。

※部会後に委員へ回答した内容

・犬又は猫に対するマイクロチップの装着は、獣医師法第17条に規定する「診療」に該当します。

・マイクロチップの装着を業として行う者は、診療施設を開設している獣医師のほか、往診のみによって診療の業務を行う獣医師なども想定されます。

・医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)では、動物用管理医療機器販売・貸与業者が動物用管理医療機器を販売・貸与する相手方を制限していないため、診療施設を開設していない獣医師に対してマイクロチップを販売することは可能です。

【藤井臨時委員】 分かりました。ありがとうございます。

【西村部会長】 はい。環境省では判断できないところもあると思いますので。

 ほかにございますでしょうか。はい、下薗委員、どうぞ。

【下薗臨時委員】 全国動物教育協会の下薗です。

【西村部会長】 もうちょっと大きな声でお願いします。

【下薗臨時委員】 はい。大丈夫でしょうか。全国動物教育協会の下薗です。声、小さいですか。はい、ありがとうございます。

 今の説明の中でもしっかりご説明いただいたのですが、1番のところで、愛玩動物看護師がこのマイクロチップ挿入に対して携わるということのご心配がこのご意見の中にありました。愛玩動物看護師法の施行はこの5月1日からですので、これから先に進んでいって安心していただける状況をつくっていくということになりますが、カリキュラムの中でも、内科動物看護学で知識を学んで、また実習のところで実技のところを習得することが到達目標になっていますので、我々教育機関といたしましては、しっかりそこを教育させていただいて、社会に輩出していくことになります。

 また、愛玩動物看護師の免許を取得いたしましても、獣医師の指示がないと、診療の補助はできないということになっておりますので、獣医師の先生方の的確なご指導をいただきながら携わるということで、改めてご心配のない状況をつくっていけるのではないかと考えております。

 また、その養成につきましては、獣医師の先生方のご指導を賜ることと思いますので、お願いとともに発言させていただきました。よろしくお願い申し上げます。

 以上です。

【西村部会長】 ご意見、ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 法の立てつけの問題とか、いろいろあるので、全てパーフェクトというわけではないとは思いますが、これから、2年、3年、4年たっていくと、全体としてはすごくよくなっていくのではないかなと期待しておりますので、今後も委員の先生方にご協力をお願いできればと思います。

 それでは、次に、第4次答申案。「適正な飼養管理基準の具体化(マイクロチップ)」に係る基準省令の改正について、資料1-2及び1-3の説明を事務局からお願いいたします。

【野村動物愛護管理室長】 引き続きまして、野村の方からご説明いたします。

 お手元の資料1-2をご覧いただければと思います。

 飼養管理基準の省令、ここでは基準省令と記載しておりますが、これに3点追加するという改正を行うことが、今回の答申の案となってございます。

 下半分に絵が入っておりますが、下の絵の上段、6月1日以降に、施行後に取得した犬猫についての話ですが、犬猫等販売業者が所有する犬猫については、マイクロチップの装着・登録を義務とするという規定を入れます。これが上の文章でいきますと、一つ目の白丸のところでございます。

 それから、下の絵ですね。施行前から所有している犬猫については、6月1日時点で現に所有しているものとして、その子犬、子猫を譲り渡す、要するに販売するまでに親の犬猫にマイクロチップを装着して登録することを努力義務とするものです。これが二つ目の白丸でございます。

 また、犬猫等販売業者が他の業者に譲り渡す際は、繁殖実施状況記録台帳の写しを一緒に渡すということにいたします。これが三つ目の白丸の事項でございます。

 冒頭でご説明した点の繰り返しとなりますが、法の第21条において、動物の健康及び安全を保持するため、取り扱う動物の管理の方法に関して、省令で定める基準を遵守しなくてはならないという規定がございます。マイクロチップが装着されていれば、個々の個体を確実に見分けることができますし、一頭一頭の年齢の確認も確実に行えるということでございます。

 こうしたマイクロチップの効果を担保するため、この基準の7項目にある、その他の動物の愛護及び適正な飼養に関し必要な事項において、犬猫等販売業者がマイクロチップを装着して登録することを義務づけるということが妥当であるというふうに考えました。よって、今回の答申案となってございます。

 資料1-3の方をご覧いただけますでしょうか。

 今、概要のスライドの絵でご説明したものを文章に落としたものでございます。

 1ページ目の中段辺りにありますとおり、前回の第3次答申においては、飼養管理基準の本体について答申をいただきました。

 今回は、この省令の中にマイクロチップの装着・登録を義務化することについて検討を行っていただきましたので、追加的な対応として、4次答申を取りまとめていただいたという記載になっております。これが案ということでお示ししておりますので、今日、ご了解いただけましたら案が取れるということでございます。

 2ページ目に、2ポツのところがございますけれども、実際に条文に書き下していくとこのようになりますということでございます。

 基準省令の条項の順番に並んでおりますので、先ほどのスライドの絵とはちょっと順番が変わりますが、一つ目の白丸が、台帳の写しを併せて譲り渡す規定でございます。二つ目の白丸が、施行日以降に取得した場合の装着・登録を義務とする規定。それから三つ目の白丸が、施行日に現に所有している場合の努力義務の規定を設けるという項目になります。

 赤字にしてある部分は、前回部会でお示しした答申の案から修正した、あるいは追記した部分ということで、少し分かるように色をつけてございます。

 資料1-2、1-3の説明は以上でございます。

【西村部会長】 ありがとうございます。ただいまの飼養管理基準の答申案に関する説明につきまして、委員からのご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。

 なお、本日はこの答申案をまとめることが部会としての役割になりますので、ご審議のほどよろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。

【浅野臨時委員】 すみません、浅野です。よろしいでしょうか。

【西村部会長】 浅野委員、お願いします。

【浅野臨時委員】 はい、すみません。ちょっと形式というか、よく分からないのでお聞きしたいのですけれど。今の最後のものを、附則において規定するとあるのですが、省令の附則ということだと思うのですけれども、何となく附則といいますと、経過措置とか施行期日とか、法令の附随的な内容を規定するものだと思うのですが、これは何故附則に規定することになったのかというのが、ちょっと私からすると分からないんですけれども。形式的にこれは附則で問題はないのでしょうか。

【事務局】 動物愛護管理室の鈴木です。

 ご指摘の点の、附則において規定というふうにした部分ですけれども、資料1-3の2ポツ、三つの白丸の内容については、施行の際の犬猫の取扱いということで、経過措置的な内容ということで、本則ではなくて附則において措置することとしております。

【浅野臨時委員】 はい。一応分かりました。

【西村部会長】 はい。よろしいでしょうか。

 ほかにございますでしょうか。

 はい、磯部委員、お願いします。

【磯部臨時委員】 磯部です。

 今回の議題の一つ目のマイクロチップの装着に関する基準の改定について、先ほどのパブコメのところの説明と今のところ、一体どこで発言すればいいのかと、ちょっと切れ目が分からなくて、今でいいのかあれなんですけれども、一応一言だけコメントをやはりしておきたいと思います。

 前回の議論を経てパブコメにかける案の中に、やはり販売業者については、マイクロチップの装着等について、基準省令の中で義務づけるという方針を採用したわけですけれども、やはりそれは法律の観点からすると懸念がないではないということは、よくよく指摘しておきたいというふうに思いました。

 本来、法律の方では、マイクロチップの装着ということについて、そちらの世界では全体として勧告命令とか罰則なしという制度になっていて、マイクロチップの装着については39条の9で指導及び助言をする仕組みになっているわけですね。法23条が考えているような改善とか勧告とか命令というような規制的なものではない。そもそも法律はそう立てつけてある中で、しかしこの基準の中に取り込むことで、結局改善命令という世界に引き込んでしまっていることが法の趣旨に合致するのかということは、やはり問われなければならないと思います。

 ただ、いろいろご議論を伺った中で、法律の方があまりよく考えていないんじゃないかというふうな気もいたしまして、法律の欠缺、書けている部分を何とかして現場で埋めるための一つの工夫として、ぎりぎり、どうなんだろうなと思いつつ、この間のパブコメを眺めていたところです。

 でも例えば、パブコメの、すみません、さっきの1-1に戻りますけれども、販売業者がマイクロチップの装着を怠る等の違反があったら罰則規定はあるのかと、21ページの96番に書いてあるのに対して、基準省令遵守違反で勧告、命令、取消の対象となるとだけ書いてあるのです。

 実際、今回このようにやればそういう対応は可能にはなるのですが、しかし、本来の法律の趣旨は、指導、助言が主なんだろうと思います。制度的には勧告や命令が可能であるとしても、まずもってきちんと指導、助言をすることでマイクロチップの装着と登録を促していくという手法をやはり優先するべきなんだということを、よく制度運用に当たっては留意していただくことが必要なのではないか。そして、今後法律の方を改正するときに、立法府がもうちょっときちんと先を見通して考えるべきなんじゃないかということを、ちょっとコメントまでということでお許しください。

 以上です。

【西村部会長】 ありがとうございます。これはずっと議論が続いてきたところで、最初から磯部委員にご指摘いただいていたところかと思います。法の立てつけというところに若干問題があるのかなというところもあると思いますので、今、アドバイスをいただいたような感じでできるだけ運用していくということで環境省にお願いするということでよろしいでしょうか。

【野村動物愛護管理室長】 はい。環境省から一言、では。

 先生、ご指摘ありがとうございます。現場への運用は、もちろん業者への指導をした上で、指導に従わなければ行政処分の方に移行していくという運用になろうかと思いますので、そこのところはしっかりそのように運用していくものと思ってございます。ありがとうございます。

【西村部会長】 ほかにございますでしょうか。

 はい、佐伯委員、お願いします。その後、藤井委員、お願いします。

【佐伯臨時委員】 佐伯です。聞こえますでしょうか。

 一応、ここで発言する内容かなというのは私も思ったんですけれども、全体を通じて、やはりいろいろと、現場に比較的近い人間としましては、これが運用されたときに、動物病院でマイクロチップを装着する現場、あるいは行政で対応する現場というところで、様々、実際にやってみるとうまくいかないところがたくさん出るのではないかと、今現在でも思われます。

 また、獣医師会の会員も含めまして、まだ十分な周知がなされていない状況ですので、そしてもう6月には施行ということで、非常に不安感というものも現場に広がっている状況ですので、あくまでもこれは、広く周知されて、装着が徹底される、あるいは飼い主の変更がきちんと手続をされるというところがやはり重要な点だと思いますので、環境省におかれましては、十分に周知に努めていただきまして、よく理解できないところも一般の方にはあるかと思いますので、そこは周知というのは一番重要だと思いますので、周知と説明というのを十分に配慮していただくように、ちょっと要請という形でお願いさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【野村動物愛護管理室長】 先生、ありがとうございます。環境省の方でもしっかり国民の皆様にこの制度をご理解いただいて、装着・登録の義務はまずその事業所にかかるわけですけれども、その装着された犬猫を買ってきて飼うのは実際飼い主ということになりますので、その方たちがこのマイクロチップのことをしっかり理解して、その効果を自分のメリットとして受け止めていただけるように広報していきたいと思っておりますし、最終的に正確な情報が登録されないと、持ち主に返還するということが果たせませんので、そこについても、皆さん、しっかりやってくださいねということを訴えていきたいと思っております。ありがとうございます。

【西村部会長】 ありがとうございます。これから啓蒙ということは非常に重要なことになると思いますので、獣医師会にもできるだけご協力いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは藤井委員、お願いします。藤井委員も手を挙げられていましたよね。

【藤井臨時委員】 はい、すみません、藤井です。

 今回の省令改正案なんですけれども、繁殖に関連して、所有者の移転を伴うような場合に、マイクロチップの装着・登録をどうするかとか、あと、台帳の写しの移転について定めたものというふうに理解しているんですけれども、これは第一種を対象に書かれていますけれども、第二種なんですが、第二種の主体は譲渡活動ではあるとは思うんですけれども、基準省令の第3条の第6号を見ると、貸出業を対象に繁殖制限に関する事項というのが第二種でも書かれているんですね。この場合には、今回の二つの改正案が出ていますけれども、これは第二種の貸出業には同様の措置というのはかからないのかどうかという点について確認させてください。お願いします。

【野村動物愛護管理室長】 今回、ここの基準省令につきましては、犬猫等販売業者ということで法第39条に書かれておりますので、これを第一種、第二種に当てはめたときには、第一種動物取扱業者が該当すると考えておりますので、そのように省令の案を作ってございます。

【西村部会長】 はい。よろしいでしょうか。

【藤井臨時委員】 そうですね。同じようなことが行われていて、片方だけかかるというのは、ちょっと気にかかるところではあります。

 以上です。

【西村部会長】 ありがとうございました。

 それでは、打越委員、お願いします。

【打越臨時委員】 はい、ありがとうございます。先ほど磯部委員がおっしゃったとおり、法律上は罰則がない。しかし、環境省の基準省令で業者の義務として入れてしまったということで、こういう結果になったということに関して、磯部委員がおっしゃっていた意見に全面的に賛同したいと思います。

 そういった中で、対業者だけではなくて、やはり自治体に対して、さっきのパブコメで言いますと、資料1-1の53番、自治体さんの方から画一的な対応ができないのであれば運用が難しいというコメントをいただいています。自治体に関しては、本当にこのコメントがそのとおりなんじゃないかなと感じております。

 今回、狂犬病予防法に関して、自治体の側から難しいとか平等性を欠くとか、困難であるとか、できないという声がわっと並んでいるのを見たときに、狂犬病予防法関係で愛護団体の方々が意見を出すことはあまりないんですけれども、しかし、自治体が何かあったときにできないと言うと、何となく、やる気がないんでしょうというような言われ方をしてしまうというのは、非常に残念なところでありまして、実際に実務運用上できないとか、あるいは混乱を招いてどうしたらいいのか分からないまま足踏みで時間だけがたっていってしまうというような状況というのは、本当に自治体にとって、今やらねばならない業務が多い中で苦しい状況だと思うんですよね。

 ですので、例えば自治体の側がやっぱりできないとか難しいというのを言っている、発言なさっている場合には、そこには必ず理由があると心得て、今後、法律を作っていくときに、やっぱり実施段階、法律の運用段階のことを十二分に聞き取ってから法改正をするという姿勢が問われてくるんじゃないかと私は思います。

 議員立法というのは価値観のブレークスルーをするという点では一つの強みのある手法かもしれませんけれども、やはり執行過程、インプリメンテーションといわれる段階を大切にするということも非常に今後重要になってくるということを事務局の側も肝に銘じていただきたいと思いました。

 大した意見ではありませんが、磯部先生のご意見に賛同の意を示して、ここまでとしたいと思います。

【野村動物愛護管理室長】 先生、ありがとうございます。私どもの思いといいますか、認識を少しだけお話しさせていただければと思いました。

 確かに、今回の法律改正を踏まえて、その実際の制度に落とし込むところで悩んできた部分がございました。現場で自治体の方たちが運用するのに苦労されるということについては、私どももまさに自治体とやり取りをしているので、共有させていただいております。

 ですので、この法改正を受けて、実際に今後施行に移って、もう完全に施行されていくわけですけれども、次期の法改正がいつかということは、私どもから申し上げる話でもございませんが、その前には、この施行状況というのをしっかり確認した上で、次の改正に向けてどのようなことが必要になるかというのを把握していく過程がございます。

 そういった中で、自治体の方で困っておられること、もちろん事業者やほかの方々の意見も踏まえて、施行状況を確認した上でということになってまいりますので、そういった中で、今ご指摘のあったようなことをしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。ありがとうございます。

【西村部会長】 ありがとうございます。スタート時点では、正直、若干混乱するところもあるのかなとは思うのですが、ぜひいろいろ知恵を出し合って、それをシェアすること、皆さんで意見を出し合って、それを共有化するというプロセスが非常に重要じゃないかなと思いますので、重ねてですけれども、委員の先生方には、ご意見を続けていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【打越臨時委員】 先生、一つだけ。

 要は、飼い主の、所有者の明示をするというのがマイクロチップの原点のはずで、それをきちんとしていくということは間違っていない方向だと思うんですよね。だから、都道府県の協力を得ながら、市町村にきちんと登録をしていく、その仕組みとして新しい技術が根づいているということを一緒に発信していけばいいのかなと、そんなふうに思っております。余計な一言をすみませんでした。

【西村部会長】 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

【浅野臨時委員】 すみません。浅野です。

【西村部会長】 浅野委員、お願いします。

【浅野臨時委員】 いいでしょうか。すみません。

 マイクロチップのところがちょっと分かっていないので教えていただきたいんですけど、マイクロチップに登録される事項の中には、氏名とか住所、所有者の氏名、住所は載らなくて、個人または法人の別かという辺りだけなんですかね。

 というのは、今回のパブリックコメントの6ページの13に対する回答のところで、所有者の変更登録がされた後に、繁殖業者、販売業者が誰であったかたどれるものではありませんとあるんですけど、これはデータを持っている国もたどれないという趣旨なんですかね。

 それと絡んで、資料1-5にマイクロチップの登録される事項というのがあるんですけど、そこを見ていくと、3ページの登録事項変更届出書というんですかね、届出に記載する事項には氏名、住所があり、変更した事項の新旧の対照を明示するというのが、7の⑦で書かれているんですけど、これでたどっていけるのか。それで、あとは新旧という場合に、一つ前のものは残るけれども、その前のものはもう消されてしまうのか、データとしてどこまで国として保管されていくのかというのが、ちょっとすみません、今さらなのかもしれないですけれども、分からないので教えていただけますか。

【野村動物愛護管理室長】 ご質問ありがとうございます。資料1-1のNo.13ですね、パブリックコメントのところに書かせていただいた答えは、ご意見の趣旨として、繁殖に関わったブリーダーの情報が見たいというように読み取りましたので、装着証明書に記載することとしてくださいというご意見に対しては、装着証明書はそういう目的じゃないですよというふうに答えておりますけれども、それだけではちょっと片手落ちかなと思いまして、仮にマイクロチップの識別番号を手元で持っていたとしても、その15桁の番号だけで販売事業者が誰であったか、あるいは繁殖したブリーダーが誰であったかということは、システムにアクセスしていただいてもたどることはできませんということだけをお答えした趣旨でございました。

 環境省の側では、その時点時点の所有者の情報は、全て持っておりますので、仮に、例えば捜査機関から何かたどれる情報を欲しいというふうに尋ねられましたら、法律に基づいて、必要な事務としてそういった情報を提供する場面はあろうかと思いますけれども、個人個人の方が、前の所有者が誰であったかということをサイトの中で確認することはできませんという趣旨でございました。

【浅野臨時委員】 ありがとうございました。

【西村部会長】 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 そうしましたら、続いて、マイクロチップの装着等の義務化に伴う動物愛護管理法施行規則の改正について、資料1-4から1-7までの説明を、事務局からお願いいたします。

【野村動物愛護管理室長】 お手元に資料1-4をご用意いただければと思います。

 マイクロチップの制度を動かすために、様々な細かい規定を環境省令で定めることとなっておりまして、法律の方では、第39条の中に、何か所も環境省令で定めるということがありますので、それらをこの施行規則において手当てするということでございます。

 前回お示しした施行規則の案から変更した点のみ、今日はご説明いたします。

 先ほどの飼養管理基準についても、こちらの施行規則についても、両方パブリックコメントにかけたわけでございますが、それを踏まえて修正した箇所というのはございません。こちらの内部の検討ですとか、あるいは関係省庁からのご意見を踏まえての修正ということでございます。

 資料1-4の1ページ目が施行規則の全体の構成ということで、こういった①から⑦までの項目を、今回、施行規則の中に入れてまいりますということでございます。マイクロチップを装着する者は誰かということ、マイクロチップの規格はどういうものかということ、装着証明書や登録証明書に記載する事項や、それに必要な様式、あるいは狂犬病予防法の特例として市町村長に通知される事項、そういったことを定めるものとなります。

 2ページ目でございますが、まず、マイクロチップの装着証明書に獣医師の名前を記載していただくことになりますが、この獣医師の名前といったときに幾つかのパターンがありますので、書き足しております。赤いところが今回追加したところでございます。

 まず、獣医師本人が一人しかいなくて、その方が装着したのであればその方の名前を書けばいいわけですけれども、指示をした獣医師がいる場合にあっては当該獣医師の名前を、それから、愛玩動物看護師がマイクロチップを装着した場合にあっては、その愛玩動物看護師に対して指示した獣医師、これらの獣医師の方も名前を書いていただくということでございますので、そういった場合分けを少し記載したということでございます。

 愛玩動物看護師の方が装着した場合には、愛玩動物看護師の方の名前を書けということではなくて、それを指示した獣医師の名前を書くということになります。

 下の、登録等のところでございます。

 これはちょっとこちらのミスの部分なんですが、第二種動物取扱業者は届出制のため、登録番号が付与されていないので、登録事項からは消したということでございます。

 次のページ、狂犬病予防法の特例について、こちらも新設の事項でございますが、狂犬病予防法施行規則では、変更した事項がある場合は、その新旧の情報を届け出ることとされております。下の参考1のところに狂犬病予防法施行規則で、3号のところですね、変更した事項について、新旧の対照を明示することとされておりまして、動物愛護管理法の施行規則でも、この市町村に通知される情報として、これに対応しなくてはいけないということがございますので、新旧の対照を明示することというふうにいたしました。

 次の4ページのところでございますが、情報の提供について、先ほど、情報の提供先は自治体あるいは警察、あとは環境省が自ら使うということが、行政機関の個人情報保護法で規定されているので、その範囲でというふうにご説明いたしましたが、厚生労働大臣の方で狂犬病予防法に基づく事務を行っておりますので、厚生労働大臣に対しても、必要な範囲において情報提供を行うという規定を設けさせていただきます。

 次の、犬猫等販売業者以外の者によるみなし登録についてのご説明は、5ページ目の絵をご覧いただきながらご説明いたします。

 まず、この資料の中身に入る前に、ちょっとこの資料に記載がない部分なんですが、口頭でご説明いたしますと、今回の改正法の附則の第5条というところで、法の施行前にマイクロチップが装着された犬猫を所有している犬猫等販売業者においては、施行日の6月1日から30日以内にマイクロチップの情報登録をすることが義務となっております。

 また、業者以外の飼い主の方に対しては、登録を受けることができるという規定がございます。これが附則の5条にございまして、これと連動してといいますか、これを踏まえて、今度、法施行後にマイクロチップを装着された犬猫についてはどうなるのかということでございます。

 この黒丸の一つ目ですね。上段にありますとおり、法第39条の5の第1項第2号、下線の部分ですが、犬猫等販売業者については、マイクロチップは装着されていて、情報は登録されていない犬猫を取得したときは、30日以内にマイクロチップの情報登録をしなければならないというふうになっております。一方で、二つ目の黒丸の販売業者以外の者、一般の飼い主の方については、登録ができるという規定がないということで、法第39条の26で、マイクロチップの装着・登録に関して必要な事項を環境省令で定めるということがございますので、これを用いまして、今回、省令で規定するということにいたしました。

 この下に、ちょっと時系列の絵を描いているのですが、例えば、施行日の6月1日以降に海外でマイクロチップを装着して日本に持ち込んだ場合、犬猫等販売業者にはその時点で取得したとみなして、30日以内に登録の義務が課されております。

 一般の飼い主の方は、登録したくてもできない状況ということでございましたので、登録ができる措置をしてあげるということでございます。こちらについては期限がございません。

 以上で、今回施行規則に位置づける内容について、前回からの変更点をご説明いたしました。

 資料1-5は、今ご説明した点も含めて、施行規則に定める内容を全て項目として入れてございます。こちらについては、説明は省略させていただきますが、先ほど浅野委員の方から、この資料1-5の(4)の登録等の2ポツのところで、個人の名前とかはないんですかというご質問がございましたが。こちらは、法律の条文の方に事項としてもう既に入っているので、施行規則の方では特にうたっておりません。法第39条の5の第2項のところ、ここで、氏名、住所、マイクロチップの識別番号というのは、例示がされているので、施行規則上は項目として上がっていないということでございます。

 ご説明は以上となります。

【西村部会長】 ありがとうございます。施行スケジュールとかはどうしますか。

【野村動物愛護管理室長】 一旦ここで切ってよろしいですか。すみません。

【西村部会長】 ただいまの施行規則の改正案に関する説明について、委員の方からご質問とかご意見がありましたらお願いいたします。

 打越委員、お願いします。

【打越臨時委員】 私、打越ですけれども、いいですか。じゃあ、発言させていただきます。

 資料1-4の施行規則の1ページ目のところで、今回、赤い文字の部分が主な修正箇所というふうになっているんですけど、その赤い修正箇所ではないところで、恐縮ながら伺いたいことがありまして、それは、③のマイクロチップの取り外しができる例外事例のところと、それから⑥の死亡等の届出のところで、まさに修正のないところなんですが、それに関連して、資料1-5の4ページの(7)のところなんですけれども、1-5の4ページの(7)死亡等の届出のところなんですが、確かに犬や猫が死亡してしまった場合には、そのマイクロチップが登録されていたとしても、もうその犬や猫はいないし、そのマイクロチップは使われていないものなんだよということのために、死亡等の届出という仕組みがあると思うんですけれども、「等」というふうになっているものの「等」の死亡以外ですと、1の②健康、安全の保持上支障が生じるおそれがあるからということで、獣医師がマイクロチップを外したときというのが入っています。

 「死亡等」というふうなものと一緒に、これは要は、治療で何か、MRIを撮るときだから外したというような場合には、まだ普通に犬や猫は生きて治療を続けているかもしれないというような状況で、それがここにそのまま「死亡等」で一緒に入っているというのがすごく分かりにくくて、もしそうであるならば、この(7)を、「死亡等の届出」じゃなくて、多分「マイクロチップの廃棄」になるのかなと。1回取り出したものは、衛生面とかそういうものを考えると、もしももう一度入れるときには新しいものを使うとか、そういう意味なのかなと。あるいは、それとももう一度使うのであれば、ちょっとよけておいて保管してあるというような状況になるのかもしれませんけれども、死亡等のところだけで、「等」に、治療のためにたまたま外しているか、あるいは廃棄したというのを一緒に入れるのはすごく分かりにくいので、「死亡や廃棄等の届出」というふうに(7)をするか、それとも、支障が生じる、治療上意味があるから獣医師がマイクロチップを取り外したときというような話題は、むしろ資料1-5の2ページの(3)取外しの禁止と書いてありますけれども、これは取り外しの禁止の例外事例という小見出しにしておくべきなんじゃないかと思うんですが、例外事例として、そういう場合には取り外してよくて、ただし、取り外した場合には届出をするというふうに、(3)の方に取り外した場合の話はまとめてしまったほうが分かりやすいのかなというような気がいたします。

 というわけで、死亡等の届出に治療のために取り外したりしたことを「等」だけで入れていく、ほかのところは全部死亡の話なので、分かりにくいので、届出に関して、治療等のために外すのであれば(3)に移すか、逆に(7)のタイトルというか、実際に施行規則にするときに少し分かりやすい表現にしたほうがいいのかなと思いました。

 細かい点ですが、以上です。

【野村動物愛護管理室長】 先生、ご意見、ありがとうございます。

 まず、法律の条文上の整理ですけれども、もちろん読んでいただいていると思うので恐縮ですが、死亡等の届出の第39条の8、ここの条項でしか登録していただいた情報を消去するステージがなくて、やむなく我々も、他の条項では例えば登録して、変更登録してということで情報が残っていく行為しか規定がなくて、情報を消す条項はここしかなかったので、やむなく省令上は環境省令で定めるところによりという、この39条の8を根拠に省令に落とし込んだということでございまして、従って、取り外しの禁止の方に場所を移すということではなくて、(7)の死亡等の届出のところの表題を少し工夫することができるか、省内で検討させていただければと思います。ありがとうございます。

【西村部会長】 よろしいでしょうか。

 それでは、脇田委員、お願いします。

【脇田臨時委員】 よろしくお願いいたします。

 3点ほど、お聞きしたいこととお願いということで、あれなんですけれども、狂犬病予防のワンストップ化が、この後、出てくるとは思いますけれども、多少前後して申し訳ありません。狂犬病予防のワンストップ化というものが、自治体の方が手をあまり挙げられていないという、進んでいないというようにお聞きするんですけれども、資料1-6ですね、まだこれからご説明があるかもしれないんですけれども、6月1日以降の特例への参加確認やシステムの進め方、6月1日時点でどのような状況になっているかということがお聞きしたいことと。

 ショップやブリーダーなどの現場では、運用を考えると、市町村の参加がばらばらになると対応が極めて煩雑になってしまう可能性があるように思います。狂犬病予防法による犬の登録料も、マイクロチップの登録手数料と一括して支払いができるような制度が望ましいのではないかと。別々に納めるということであれば、自治体によっては徴収方法が異なったりとかする可能性もあるということで、現場での混乱が容易に想像できるように思います。自治体等の参加と関連手続の一本化を進めていただけるようにお願いしたいということが、まず1点と。

 マイクロチップのことなんですけれども、マイクロチップの所有者の情報の登録について、実際にはお客様の所有者情報の変更登録をショップなどが積極的に代行しないと、多分、登録が進まないのではないかという可能性を高く感じています。これまでにマイクロチップの登録や狂犬病予防法に基づく登録の状況を見ると、そう感じざるを得ないところもあるということで、手数料を含め、代行を積極的に後押しできるような制度が必要に感じている次第でございます。

 あと、努力義務の範囲なんですけれども、取扱業の方の努力義務ということで、現時点で犬猫の販売業者が管理をしている犬猫への努力義務の範囲について、事業者に誤解のないように早急に啓発していく必要があると感じています。例えば、事業者が管理している犬猫の中に、マイクロチップを事前に自己管理のために装着されている方も多々あります。誤解をしそうなポイントについては、できるだけ具体的な方法を示す必要があると感じております。

以上です。

【野村動物愛護管理室長】 ありがとうございます。3点、ご意見をいただきました。

 ワンストップに参加するかどうかということにつきましては、これから、まだ自治体に意向を確認してまいりますので、今時点ではっきりしたことが分かっている状況ではございませんが、委員のご指摘のとおり、今回のマイクロチップの登録の手数料、1回当たり300円と、あと狂犬病予防法に基づく登録料、概ね3,000円、これを一括して収納するという仕組みが、もちろん実現できればよかったところでございますが、様々な法令の中で、どこまでできるかということを検討してきた中では、指定登録機関の事務として直接、市町村の条例に基づく手数料を代行して収納するということが難しいというふうに考えてございます。

 その一方で、6月から実際はこの制度をスタートさせなきゃいけないということもございまして、現場で混乱が生じないように、こういう場合にはこの対応をしてくださいといったようなことが、しっかり市町村にも事業者の皆さんにも伝わるように手を打っていきたいというふうに思ってございます。

 先ほどパブコメの回答の中でも、自治体が条例に基づいて手数料を取るということは妨げられないということですけれども、購入しに来たお客さんがどこの市町村に住んでいるかによって対応が異なってきてしまうので、どのようにお客さんに案内したらいいかというところで迷いが生じるというご指摘かと思いましたので、そこら辺り、この市町村は参加している、していないといったような情報は、いつも出しておかないといけないと思いますし、他にも何か情報としてお示ししておいた方がいいものがあれば、しっかり対応していきたいというふうに思います。

 2点目でございますが、マイクロチップの所有者情報を店頭で、ショップの方が登録するということが、できた方がいいんじゃないかというご意見でしたけれども、ここにつきましては、まず、今回、今までの民間での登録制度とは全く違う国の方で登録制度を用意するということでご認識いただきたいというのがございます。

 と言いますのは、これまでについて、仮に手数料を別途取った上で、ある意味、有償で登録事務が行われていたということでございます、実態としては。国の制度となったので、今度は官公署の方に申請書を提出するということになりますので、これを報酬を得て行う場合には行政書士の業という扱いになってまいります。ですが、一方で、店頭の方たちが行政書士であるということではないと思いますので、法に触れない範囲でやはり対応していかざるを得ないということがございます。こういったことをしっかり事業者の皆様にも分かるように伝えていきたいというふうに考えてございます。

 また、3点目につきまして、努力義務の範囲、これを分かりやすく示してほしいということでございましたので、こちら、環境省のホームページでもマイクロチップ制度のQAなども示していますので、そういった中で、また新しい情報も付け加えていきたいというふうに思います。

 一応、こちらからの回答は以上となります。

【脇田臨時委員】 1点、マイクロチップの手数料ですか。私もちょっと又聞きの状態でお聞きしたんですけれども、車とかバイクとか、いろいろ登録するのを代行でやっていますよね。あれも、そういう事例をお聞きしたときに、やはり本来は行政書士が登録をしなきゃいけないのを、一部的に法律を、法律ではないのかな、省令で適用除外とし事業所自体で登録が、ナンバー取得ができるように今なっていると思いますけれども、そのような同じような方式が取れるのではないかという感じもちょっと受けましたので、ご意見としてお話しさせていただきました。

【西村部会長】 よろしいでしょうか。

 そうしましたら、佐伯委員。

【佐伯臨時委員】 ありがとうございます。

 先ほどのご質問にも関係することと、私がお願いしたこととも関係があるんですけれども、現在、特に狂犬病の登録関係の特例と関係することでいいますと、やはり動物病院の窓口では現在、狂犬病の登録の代行というのを行っているところはたくさんあるんですね。それは、注射を打った際の済票発行の代行とか、既にそういった地方自治体の事務の一部を代行している状態の中にこれが入ってきますので、やはり、かなり。あとは、複数の市の対応をしている地域もあります。ちょうど市の境界付近にある病院などは、異なる複数の市の対応をしている中では、非常に対応をする市としない市が出てくる中ではかなりの混乱が起こるというふうに予想されます。

 また、飼い主さんの中には、この制度が理解できていないと、マイクロチップは装着・登録するのはいいけれども、狂犬病の登録まで一緒に頼んだ覚えはないとかというトラブルも出てくるかもしれませんので、そういったところ。もちろん環境省が逐一説明していただけるとは思うんですけれども、やはり地方自治体がどこまでそれを理解してくれるのかというのと、飼い主に対する具体的な説明の義務というほどではないですけれども、責任は一体どこにあるのかというところも一応、確認をしておきたいと思います。よろしくお願いします。

【野村動物愛護管理室長】 ありがとうございます。まさに、現場の動物病院では狂犬病予防法の方の登録事務、あるいは手数料の徴収もされている場合があるということでございますので、そこでマイクロチップの方の仕組みがどのように説明すればいいのかというご質問かと思いました。

 まず、説明をする主体としましては、マイクロチップの登録制度の方は、今回、環境省が運営をして指定登録機関とともに動かしていくということでございますので、ご不明な点がありましたら、この指定登録機関が設けるコールセンターの方にお問合せいただければというふうに思ってございます。

 一方で、狂犬病予防法の方、こちらはやはり条例に基づいて登録ですとか手数料の徴収ということがされておりますので、こちらは各自治体の方に問合せいただくということで、そこがそれぞれ責任を持って運用する話だということでございます。

 獣医師の皆さんがそれぞれの制度に対応するときに、どう流していったらいいのかということについては、このパターンだったらこう、このパターンだったらこうといったことをまとめたものを作らないと混乱してしまうというご懸念かと思いましたので、その辺りについては、今からでは遅いと言われるかも分かりませんが、できる限り対応していきたいというふうに思います。ありがとうございます。

【佐伯臨時委員】 ありがとうございました。そういったチャートのようなものとか、そういったものを指定登録機関と協議しながら作っていただくとかを検討いただきたいと思います。やはり目的は、広く、これがきちっと活用されるものでなければいけないと思いますので、利用する側の飼い主さんの利便性というのも、法律的な正しさも、もちろんのことなんですけれども、利便性というのも十分に考えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 以上です。

【西村部会長】 ありがとうございます。

 それでは、遠山委員、お願いいたします。

【遠山臨時委員】 私の方からは、皆さんの話と重なってしまうんですけれども、狂犬病予防法の特例の部分ですが、環境省と厚生労働省で各市町村に対してオンラインでの説明会を先日開かれたと思います。その中で質問事項をたしかメールとかで受け付けることになっていたかと思うんですが、市町村の方々からはどのようなご要望が上がっているのか、分かる範囲でお聞かせ願いたいです。

 マイクロチップについてもう一点が、一般の飼い主さんも当然、マイクロチップが入っているワンちゃんを受け取ったときに、狂犬病予防法の特例での市町村への届出もしなきゃいけなくなったり、マイクロチップの登録自体は飼い主さんの義務になるわけですけれども、その辺の周知は本当に難しいんだろうなと思っています。春になると「狂犬病予防注射の季節ですよ、ワンワン」というコマーシャルが、どこの自治体でも流れると思うんですけれども、あれぐらいのことはやっていかないと、マイクロチップがみんな、ワンちゃん、猫ちゃんに入りますよ、それは飼い主さんが登録しないと、義務なんですよということは、なかなか周知されていかないし、定着していかないんだろうなと思っております。

 ですので、市町村の方の狂犬病の話とリンクさせて登録制度をうまく転がしていくのはもちろんですけれども、飼い主さんへの周知について環境省には十分やっていただきたいということで私からの要望と、あと自治体さんからの声がどんなのがあったかをお聞かせ願いたいと思います。

【野村動物愛護管理室長】 遠山委員、ありがとうございます。

 各自治体からのご質問の中身につきましては、まだ取りまとめ中でございまして、今日、ご紹介できる状況になくて申し訳ございません。質問について回答をしっかり作成した上で、また自治体の方の担当の方にしっかりフィードバックしたいというふうに思います。

 それから、飼い主への周知につきましては、まさにおっしゃるとおりでございまして、今日の資料の中でも、まだ第一弾的な話ですが、ポスターを作ってございましたので、そちらで動物病院ですとかペットショップですとか、そういったところで使っていただけるように、まず周知していきますし、様々な機会を捉えて飼い主の皆さんに「あなた自身が登録する必要があるんですよ」ということを広報してまいりたいと考えてございます。ありがとうございます。

【西村部会長】 よろしいでしょうか。

 ほかに、ございますでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。

 そうしましたら、先にこっちに行きますか。

【事務局】 環境省動物愛護管理室、浅利と申します。マイクロチップの担当をしております。

 それでは、資料1-6について簡単にご説明いたします。

今後のマイクロチップ制度の施行スケジュールを、こちらは示しております。白抜きの矢羽根が環境省と厚生労働省の対応する部分、黄色の矢羽根については自治体の方に対応していただく部分という形になっております。

 横軸が年月日ということなんですけれども、一番左の上から確認していきますと、まず、マイクロチップ関係の法令制度については、3月中を目処に、今回お示しした省令案、それから、それに関連する告示について公布をしていくことを想定しております。4月中を目処に施行通知を各自治体の方々等に通知をしまして、5月中を目処に自治体の方々から関係各所に周知をしていただくことを考えております。

 続きまして、マイクロチップシステムの構築というところでございまして、こちらは3月中、もう、あと1週間程度だと思いますが、全体リハーサルというところを今、準備しているところでございます。それと併せて、自治体の方々には、システムの操作確認をしていただくということを想定しております。全体リハーサルを経て、4月、5月に指定登録機関と調整しつつシステムの最終調整を考えております。それを経て、6月1日に円滑にシステムが稼働できるように調整をしてまいります。

 続きまして、マイクロチップシステムの運用ということで、こちらは3月中を目処に各マニュアル類、いわゆるシステムの説明書のようなものを自治体の方々に配布いたします。4月は、異動の時期ということで人員体制も新しくなるというところもございますので、個別に各自治体の端末で操作ができるのか確認いただくとともに、担当者のシステムの理解というところをマニュアルで進めていただきたいと考えております。

 続きまして、狂犬病予防法の特例に関しましては、先ほど遠山委員からもお話があったとおり、まさに今現在、質問の受付を28日締めで行っております。それを踏まえて3月中を目処に狂犬病予防法の特例のQAという形で更新しまして、自治体の方々にお示ししていくことを考えております。4月中を目処に、まずは狂犬病予防法の特例の参加の意向を確認させていただいて、意向がある自治体に対しては環境省、厚生労働省が個別に、都道府県の方にも参加いただいて、自治体の方にヒアリングをして問題ないかというところを確認していきたいと考えております。それを踏まえてシステム等の調整をお願いしていくことを考えております。

 続きまして、所有者へのマイクロチップ制度の周知ということでございまして、こちらも先ほどご発言があったと思いますが、ポスター・リーフレットの配布を3月中を目処に行う予定でございます。先週、ポスターのデータについては既に自治体の方々に送付しておりますので、今からでも随時、活用していただければと考えております。新年度、まさに先ほどおっしゃられたとおり狂犬病予防法の予防注射ということもございますので、そういったところに関係づけて犬猫販売業者、あるいは管内の住民の方への周知をしていただきたいと考えております。

 マイクロチップの今後の施行スケジュールについては、以上になります。

【野村動物愛護管理室長】 では、1-7も、ざっとご説明いたします。

 こちらは、いつも部会でお示しさせていただいておりますけれども、最後の第60回の動愛部会の後、3月中に今回のご審議いただいた省令について公布をいたしまして、6月1日から、それが施行されるというスケジュールで今のところ予定してございます。

 事務局からは以上でございます。

【西村部会長】 先ほどの答申案につきまして、いろいろご議論いただいたという状況でございます。答申案について部会として了承して、速やかに中央環境審議会に提出、報告するというところが今日の義務というか仕事でございます。もし、軽微なところの修正は座長一任ということにさせていただいて答申案としてまとめたいと、本日、まとめたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

 脇田委員。

【脇田臨時委員】 賛成ということで。すみません。

【西村部会長】 分かりました。ありがとうございます。

 それでは、お認めいただいたということで、よろしいでしょうか。

 磯部委員、お願いいたします。

【磯部臨時委員】 細かいところの修正は座長に一任ということも含めて、答申案について賛成ということで、そこには何ら異論はございません。

 ちょっと油断していて1-6とか7とかに行ってしまったので、1-4で、すみません、ちょっと一言だけ言っておきたいことがあったので、すごく間が抜けたコメントで申し訳ありません。

 施行規則の改正のところに、4ページで、新設と書いてあるところがありましたね。犬猫等販売業者以外の者によるみなし登録を受けることができるという規定を置くもので、内容についてはよいのかなと思ったのですけれども、今回のパブコメの後にこういう話になったということを伺いました。内容面では全然、問題なく、登録を受ける際に根拠が曖昧なところを位置づけるということで、むしろ妥当かなとは思ったのですけれども、パブリックコメント手続をスキップしてしまった部分があるということ自体は、やはり遺憾なことではあるはずで、ここの点で何か重大な意見が出てくるような気もしないのではあるのですけれども、できれば、今後、仮に何らか意見が出てきた場合には、きちんと耳を傾け、柔軟に対応するといったことは必要なのかなという気がしました。一応、内容面ではいいんですけど、手続という点では、今後こういうことがないように留意されたいということも含めて、気がついているけれどもよしとしたということは議事録に残してもよいと思ったので、間が抜けていましたがコメントまで。ごめんなさい。

【野村動物愛護管理室長】 磯部委員、ありがとうございます。おっしゃるところ、よくよく気をつけて今後対応したいと思います。ありがとうございました。

【西村部会長】 どうもありがとうございました。

 答申を受けましたら、環境省におかれましては、施行に向けて速やかに省令の公布手続を行い、マイクロチップの装着・登録の義務化が円滑に始まるよう準備を行ってください。皆さんのご協力というのがすごく大切だと思いますので、ぜひ、よろしくお願いいたします。

 続いて、議事(2)その他ですが、報告事項が1点あります。動物虐待等に関する対応ガイドライン案について、資料2により事務局から説明をお願いいたします。

【事務局】 動物愛護管理室の坂本と申します。よろしくお願いいたします。

 本日、動物虐待等に関する対応ガイドライン案ということで、お手元に資料2-1としてガイドライン案の概要について、資料2-2としてガイドライン案をお配りしております。

 ガイドライン案の方は115ページあまりと非常にボリュームが大きくなりますので、資料2-1の概要の方を用いまして、簡単にですが中身のご報告をさせていただきます。

 それでは、資料2-1の1ページをご覧ください。動物虐待等に関する対応ガイドラインの策定の背景としましては、動物愛護管理法の令和元年改正により愛護動物虐待等罪に係る罰則が大幅に強化をされたということがございます。この法定刑の引上げを契機に、改め動物虐待等に関する対応について整理をして、現場でより円滑な対応ができるようにということで、ガイドラインとして取りまとめることとしたものでございます。

 従って、2ポツに移りますけれども、ガイドラインの役割としましては、地方自治体が動物虐待等に関する通報を受けた場合に、通報に係る行為が動物虐待等に該当するか否かの判断が難しく、また、通報を受けた後に、どのように警察等と連携をして対応していくべきかというような体系的な整理がなされてこなかったというところを解決して、円滑な対応を行う上で必要となるような基本的な考え方や基礎的な知識、それらを踏まえた対応の流れなどを整理して、現場で適切な対応を取るための一助となることを目的として、このガイドラインを策定するものでございます。

 このガイドラインを活用いただく対象の方としては、主に地方自治体の動物愛護管理担当職員ということを想定はしておりますが、動物虐待等に対応するに当たっては、都道府県のその他の公衆衛生ですとか畜産といった動物関係の部局、警察や獣医師会の方々といった関係機関等とも連携が必要になってくると思いますので、そういった皆様においても参考にしていただける内容にしております。

 ガイドラインの実際の検討につきましては、まず、動物愛護管理法の前身である動物の保護及び管理に関する法律の時代から現在までに通知や疑義照会等で示された見解等を一括して整理をするということと、あとは令和2年度に地方自治体の動物愛護管理部局の皆様を対象に動物虐待のおそれ等への対応に係るアンケート調査を実施しまして、実際にご対応されたご知見の中から、ヒアリングをさせていただく地方自治体を抽出し、そういったアンケート調査結果やヒアリング結果を基に環境省、事務局の方でガイドラインを執筆したという形です。

 また、執筆に当たっては、審議会の委員をされている浅野先生、磯部先生、佐伯先生、遠山先生、町屋先生だけではなく、日本獣医生命科学大学の田中亜紀先生や愛知学院大学の三上正隆先生といった、この表にございます有識者の皆様にヒアリング、グループヒアリングといったことをさせていただいて執筆を重ねてございます。

 また、環境省だけで定めたのではなく、法務省、警察庁をはじめ、農林水産省や厚生労働省、文部科学省、総務省、消費者庁といった7省庁の方々にもご協力をいただいて執筆を進めてございます。

 続きまして、中身のご説明をしたいと思います。2ページ目をご覧ください。

 4ポツにございますとおり、ガイドラインの構成としましては三つのパートから構成しています。第一章では動物虐待等に関する基本事項ということで、動物愛護管理法における動物虐待等に関する対応の位置づけ、虐待、行政が対応する虐待を受けるおそれがある事態ですとか、動物虐待等罪、それらの対象となる動物等について、基本的な考え方や関連して知っておくべき情報といったことを整理しています。

 第二章では、動物虐待等に関する対応としまして、具体的に虐待のおそれがある事態、疑い事案があったときや動物虐待事案を探知したときに、どのように動くかということを中心に、行政指導や行政処分等の対応手順や警察への情報提供、告発に必要な情報が何なのかといったことを整理しています。

 三つ目のパートとしましては、参考資料としまして、日本獣医生命科学大学の田中先生の方に「動物虐待に対する獣医学的評価」ということで、獣医学的見地から判断する際の要点をまとめていただいております。やはり警察が対応するに当たって行政獣医師の方に動物の専門家として動物虐待に対する判断について、動物の状態がどうなのかという見知からのご意見を求められることが多いですから、こういったことの参考にしていただくために参考資料として入れ込んでおります。

 また、巻末資料も手厚めに入れており、これは動物虐待等に関する過去の通知ですとか疑義照会等を一括に、ここで整理して取りまとめてございます。

 5ポツ目、ガイドラインの内容をざっとご紹介いたします。

 第一章につきましては、まず、法の目的における動物虐待等に関する対応の位置づけ。こちらにつきましては、法の1条、目的、2条、基本原則の第1行目から動物の虐待、遺棄の防止ですとか、何人も動物をみだりに殺し、傷つけ、または苦しめることのないようにすることといったような位置づけがなされているとおり、動物虐待に対する対応というのが動物の愛護の根幹を担保する重要なものでありますよということを、ここでピン留めしております。

 ガイドラインの対象となる動物について次にご説明をしており、動物虐待というのは虐待と虐待を受けるおそれがある事態、虐待の以前の状態の境目がきちっと区別するのが難しいことから、警察と行政が連携して対応することが必要となってきますが、対象となる動物も概ね重なっているところがありまして、どういった動物が虐待を受けるおそれがある事態ですとか、動物虐待等罪の愛護動物に位置づけられているのかということを、こちらでご説明をさせていただいております。

 (3)では、法第25条に規定される虐待を受けるおそれがある事態とは、どういうものなのかということを解説しています。先ほど申し上げたとおり、適正な飼養から不適正な飼養、虐待を受けるおそれがある事態、動物虐待事案というのは、なかなか明確な線引きが難しく、状況は刻々と変化するグラデーション的なものですから、不適正な飼養や虐待を受けるおそれがある事態、虐待に至る前の段階で適切な行政指導等を行って、虐待に発展するということを防止するというのが非常に重要な行政の役割ですよということに重きを置いて記載をしております。そのために行政としてどういったことが取り得るのかということを簡単にご説明しています。

 (4)では、法第44条に位置づけられております動物虐待等事案がどんなものなのかということを解説しております。みだりな殺傷の定義、虐待の定義、遺棄の定義というのを、これまでの通知等を基に位置づけて、条文を分解する形で解説を加えております。

 第一章の最後、(5)の動物虐待等に関するその他の罰則となっておりますが、これに関しては、法第25条で行政が措置命令をした場合の命令違反や、虚偽の報告や立入検査の拒否等に係る罰則、あとは虐待事案に関して法人等に科される両罰規定が存在するということをご紹介してございます。

 続きまして、4ページ目の第二章、動物虐待等に関する対応のところでございます。

 まず、この章の冒頭で対応の流れとしまして、動物虐待等に関する対応フロー図を取りまとめて俯瞰的に眺められる形としております。このフロー図というのが、5ページ目にございますフロー図です。まず、通報を受けた段階から事案に応じて警察や地方自治体、また地方自治体の動物愛護管理部局以外の市区町村といったところとの情報共有を図りながら、法第44条対応ですと、法第25条対応として、どういう流れで動いていくのかということを、こちらのフローを基に簡単に解説をしています。

 (2)では関係主体の役割としまして、地方自治体の動物愛護管理部局の役割だけではなく、農政部局や公衆衛生部局、社会福祉部局でどういった役割を担っているのか、また、市町村や獣医療に係る知見を有する獣医学部等を持つ大学等の専門機関の役割などについても解説をしています。

 いよいよ(3)以降がこのフロー図の対応の流れの中身に入っていきますが、相談・通報ということで、動物虐待等事案の可能性が高ければ、通報を受けた段階で速やかに警察に相談や情報提供を行うこと、情報提供者や行為者の個人情報を取り扱う場合の留意点なども、こちらに記載をさせていただいております。

 また、一般からの相談・通報だけでなく、令和元年法改正では獣医師による通報が義務化されたことも受けまして、獣医師からの通報を受けた場合の留意点ですとか、行政獣医師の場合は告発義務につながる可能性が高いので、相応の対応が必要であるというようなことも、こちらで記載しております。

 (4)は、通報を受けて現場確認に行き、虐待を受けるおそれがある事態であろうとなった場合の行政指導や行政処分の流れについて、また、その事態をより細かく把握するために報告聴取や立入検査、どういったことができるのかといったこと、また、勧告と命令をするに至っては、どれぐらいの、どの程度の具体的な、かつ明確にした勧告書や措置命令書が求められるのか、どういった内容を記載することが可能なのかといったようなことについても記載をしてございます。

 虐待を受けるおそれがある事態、ここで改善をすればよいのですけれども、そこで改善がなされなかった場合や命令違反、立入検査拒否等が起きた場合は、次の(5)の刑事告発等というところに参ります。この場合は、刑事告発に当たって、どのような情報提供や告発をなすべきなのか、そのときの注意点としてはどういうことがあるのかということを警察庁とも確認をし合いながら記載しています。

 最後に、動物虐待等事案の対応としまして、法第44条、もう動物虐待であるとして警察が捜査に入るに当たって、行政の役割としてはどういうことが求められるのかということを書いてございます。まずは、これまでの行政指導の経緯や内容等について適切に警察に情報提供することとか、警察が押収した動物に関して、警察はなかなか保管する場所もないものですから、必要に応じて動物愛護管理センターの方で協力してお引受けをするなどの体制構築も重要であるというようなことを記載しています。

 簡単でございますが、ガイドライン、第一章、第二章の内容を中心にご説明をさせていただきました。当方からの報告は以上となります。

【西村部会長】 ありがとうございました。

 委員の先生方、このガイドライン、全部ご覧になったかどうかは分かりませんが、なかなかの大作で、ご苦労はたくさんあったのかなと思います。この部会からも5名、ご協力いただいているということで、本当にご苦労さまでございました。多分、このガイドラインは、施行して運用していって、やっぱり、ちょっと、こういうところはこうした方がいいのではないかというようなところというのは出てくるかなと思いますので、それは適宜変えていくというところは必要なのかなと思います。ただいまの報告について、ご質問、ご意見がありましたらお願いします。打越委員、お願いいたします。

【打越臨時委員】 ありがとうございます。虐待事案に関しては、事例数が決して多くはなくて、また、参考となる、こういうふうにやって解決しましたというような事例も多くない中でガイドラインを作るのは大変だっただろうと思いますし、今日は報告ということですので、あまり踏み込み過ぎてもいけないんだろうとは思うのですが、しかし、どうしても気がかりなところがありましたので指摘させていただきます。

 それは動物殺傷罪と虐待罪の区分の話に関わってくるところなんですけれども、先ほど事務局からの説明で殺傷罪と虐待罪はグラデーションであると。時系列的に刻々と変化をするので、虐待になる前に防止するのが大事というような話があったと思うんですが、つまり、それはネグレクト問題にかなり引きずられたガイドラインなのかなと感じています。ネグレクトを虐待とみなしたいというか、英米型の保護団体の主張に少し引きずられているのかなというふうに感じまして。むしろ、日本でよく動物殺傷で問題になるというのは、毒入りの餌などを公園にまいたりして、それを犬や猫が食べてしまって死体が落ちているというような問題があったときに、本当にかわいそうだということでやっぱり世論が沸騰するんですよね。この場合、ガイドラインを見ますと、毒物の中毒の話というのは、田中亜紀先生の獣医学的所見のところで中毒の話はある程度、出てくるんですけれども、毒物を飲ませた場合の判断をどうするのかといったときに、それで死んでしまえば殺傷罪、間違いなく、殺(さつ)になると思うんですけれど、致死量に至らない毒を飲ませた場合に、それが殺傷罪なのか虐待罪なのか。法44条も、外傷云々と例を44条の2項、上げているんですけれども、毒物の餌をばらまいたことによって野良犬、野良猫が被害にあう、あるいは隣近所の外で飼っている猫を憎らしいと思っている人が餌をまいてしまったなんていうような問題をどう扱うのかというのが、あまり触れられていないなと思いました。

 そういう致死量に至らなかった毒物は殺傷なのか虐待なのかと疑問に思いますし、これ、皆さん、見ていただかなくてもいいんですが、ガイドラインの21ページに殴る、蹴る、熱湯をかけるという例が虐待罪に入っています。熱湯をかけて外傷が生じないなんてことは、あるのかと。あるいは、殴る、蹴るというのも、それは勢いにもよりますけれども、露骨な外傷がなくたって、やっぱり、むしろ殺傷、傷つけた、殺さなくても傷つけたということになるものも多いんじゃないかなと思いますと、ネグレクトの問題よりも、本当に殺傷の問題をもっと深刻に考えるべきではないかと。犯人を捜すのがすごく難しいんですけど、そこを深刻に捉えていかないといけないんじゃないかなと思ったのが1点です。

 なぜかといいますと、もともと動物虐待というのは、神戸市の児童殺傷事件であるとか、あるいは女子大生が近所の女性を斧で殺害した事件があったと思いますけれども、人への犯罪につながっていくという非常に危険なものだという認識が、私たち、大事だと思うんですよね。そう思うと、ネグレクトは虐待だということ、時系列的に刻々と変化するから線引きが難しいという問題よりも、やはり積極的な殺傷罪を今後、踏み込んでいっていただきたいと感じました。

 そのためには、やはり予防的アプローチ、異様な死体があったときとか、あるいは動物を虐待するようなことがあってはならないということを積極的にアプローチしていくことが大事だと思います。今回のガイドラインは、本当に事例の少ない中で、委員の先生方、本当に力を入れて作られたとは思うんですが、殺傷罪の問題にいかに向き合っていくのかを引き続き議論していただきたいと、そのように思いました。

 以上です。

【西村部会長】 ありがとうございました。

【事務局】 打越委員、ご意見、ありがとうございます。こちら、なかなか難しいところでして、動物愛護管理法の第25条第4項に規定される虐待を受けるおそれがある事態というのは、施行規則第12条の2に規定されているんですけれども、やはり不適正な飼養から成るネグレクトを中心に規定をされてございます。もう殺傷までいくと、未然防止というよりは起きてしまったこととなりますので、法第44条の殺傷対応になるということで、もちろん主には警察の対応になってまいります。なので、自治体のヒアリングを重ねた場合も、死体が見つかったり明らかに積極的に害されたような動物がいる場合は、警察に対する協力という形になっていきますという状況でございます。なので……。

【打越臨時委員】 それは分かっているんですけど、ガイドラインの21ページには44条の第2項の虐待罪の話として熱湯をかけるとかという話が入ってきていますし、毒餌の話についてはやっぱり44条に入ってくると思いますので、そういう意味で、25条の話をしたいわけではないということをご理解いただきたいと思います。

【事務局】 ありがとうございます。また、こちらも、ここ1年、2年で警察の動きも非常に活発になってきておりますので、事案を積み重ねて、そういった裁判事例等を基に、ガイドラインもアップデートしてまいりたいというふうに思っております。ご意見、ありがとうございます。

【西村部会長】 ありがとうございました。

 大分時間が押しております。黄田委員、手短にお願いいたします。

【黄田臨時委員】 すみません。虐待の相談・通報に関してなんですけれども、先ほど相談というところ、通報のところをQRコードで見せていただきましたら、お電話で動物愛護センターですとか、あとは保健所などに通報するような形になっておりました。例えばインターネットでの情報提供とか、そういった形での情報提供というのは、されるのかなというところがちょっと気になりました。

 というのは、コロナ禍で保健所さんなども、ほかにも作業などもお忙しい部分もあるのかなと思いまして、例えばなんですが、景品表示法を所管する消費者庁では、広く消費者、誰でもなんですが、何人でも被疑情報提供フォームというのがございまして、疑わしいというような、そういった情報がありましたら、行政からは一切、それに対しての回答はしないという条件付で情報提供を広く求めていて、その中から恐らく大事と思われるところを拾っていくというような被疑情報提供フォームなども用意されておりますので、そういったような形での情報提供というのも、もしインターネットでされていないということであれば、受け付けられるというのも一つかなと思いました。

 虐待事例にかかわらず、例えば、一般の消費者の方から購入した犬猫に遺伝性疾患があったというふうに獣医師さんから言われたとかというような、そういった事例に関しても、虐待とは別に、そういった何らかの被疑情報提供フォームのようなものがありますと、例えば、繁殖回数の制限などが法令に義務づけられたかと思うのですけれども、そういったものの何か端緒になるような場合もあると思うので、広く、そういった情報を集めるという方法もご検討いただけたらなと思いまして、よろしくお願いいたします。

 以上です。

【西村部会長】 ご意見、ありがとうございます。

 そうしましたら、山崎委員、これもちょっと手短にお願いします。

【山﨑臨時委員】 すみません。もう時間がフルになってしまったので手短に申し上げますが、ここに関しましては、ようやく話の流れというのが、少し犬猫外の動物に向く流れができてきたかなと思って少しほっとしております。

 というのは、座長もご存じのとおり、田中亜紀先生は昨今、野生動物カフェに関する調査をかなり幅広くおやりになっておられまして、実際に、ご存じのとおり、お隣の韓国では、もう本当に今年になってから野生動物カフェを法的に排除するというか、禁止しようという、そういった決定が政府レベルで下されております。ここには1号動物、2号動物とありますが、明らかに2号動物に関連して、こういった野生動物カフェ、展示、触れ合い施設等に関しては、明らかに虐待と明記できるようなものもたくさんございますので、そういったことに関して、もう少し環境省も目を向けていただきたいなというふうに思います。

 もう一つは、実際に行政の獣医師の先生方が虐待の査察をするに当たりましての問題点というのはございます。というのは、それが刑事告訴につながるというようなレベルでございますと、実質的に写真の撮り方、それから調書の取り方云々というのには、かなり法的ないわゆる決まりというのがございます。米国などでのそういった虐待査察をやるピースキーピングオフィサーのタイトルを持っている方々というのは、実は、バージニアの警察大学校でそういった教育を受けます。RSPCAの査察官も、実質的には、そういった警察当局などから指示を受けて調書の取り方等をしっかりと学んでからやるわけですね。それがないと、最終的には実際に刑事告発につなげるということが非常に難しくなってくるということで、その辺りも考えていただかなければいけない。

 そして、もう一つは、ただ虐待がいけないということだけではなくて、虐待を誰が見たかということが昨今、世界的には非常に問題視されております。先ほど打越先生が神戸の事例のお話をされましたけれど、人間に対する暴力と動物に対する暴力の関連性のリンクというのは、もう世界的には心理学の世界では非常に、特に犯罪心理学の世界では非常に注目されている分野でございまして、その中で一つ、18歳未満の子ども、いわゆる未成年者の前で虐待が行われた場合には、未成年者の目撃があったということが立証されれば、例えば、オレゴン州の法律などでは、軽犯罪から重犯罪に自動的に動物虐待行為が持ち上がるというような法律もできております。それは、なぜかというと、虐待に暴露された子どもが将来的に自分も虐待をするという、そういった確率が高くなっているという可能性が科学的にも調査で立証されているからなんですね。

 ですから、虐待というのは単純に扱うことができないことだということを踏まえた上で、あらゆる動物に関する視野を広げるということと、それから、実質的に虐待を立証していくためには、どのような手続が必要かということを、ぜひ、これからじっくりと検討いただきたいと思います。

すみません。長くなりました。ありがとうございました。

【西村部会長】 どうもありがとうございます。

 委員の先生方、もう時間がなくなってしまったのですが、おっしゃりたいことがいっぱいある方もいらっしゃるかと思います。ぜひ、ご意見を今後も出していただいて、ここはこういうふうにした方がいいんじゃないかというところは出していただいて、ぜひ、このガイドラインがよりよいものになるように皆で協力するというようなところをお願いできればと思います。

 それから、もう一つ、今、山崎委員から野生動物カフェのお話が出ましたが、たまたま昨日か一昨日の新聞に載っていましたけど、韓国では完全に禁止にして、収容する施設も国で作るというようなことまで踏み込んでいるということでした。その理由としては、動物福祉の問題と公衆衛生上の問題、野生動物からの感染症の問題がかなり懸念されるということ。それから、密輸を助長するという問題もあるということで、そういうふうに踏み込んだというようなニュースが流れておりました。この問題も、やっぱりかなり大きな問題かなというふうに思いますので、ぜひ環境省としても議論をやっていただければいいかなと思いました。

 そういうことで、議事2、その他については、これでおしまいにしたいと思います。

 そのほか、本日の議事全体を通じて何かご意見、ご確認がありましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 令和元年の動物愛護管理法の改正事項は非常に多岐にわたりまして、動物管理基本指針の改定、それから犬猫の飼養管理基準の新規制定や、その他の基準類の見直し、今回のマイクロチップの義務化など、本当にたくさんのことを扱いましたけれども、今後の動物愛護管理行政に関わる非常に重要な改正内容をご審議いただいたというふうに理解しております。これを踏まえまして、しっかり、これ、どうやって運用を施行していくかというのが次のステップとして非常に重要だということになりますので、改正法の趣旨を踏まえた運用がなされるように、部会としても、その点を環境省に期待しておるということで私の最後の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【事務局】 西村先生、円滑な議事進行、どうもありがとうございました。

 また、委員の皆様におかれましても、長時間にわたりまして熱心なご議論をいただきまして誠にありがとうございます。また、オンラインという形式でご不便をおかけしたことをお詫び申し上げます。

 最後に、閉会に当たりまして自然環境局長、奥田よりご挨拶を申し上げたいと思います。よろしくお願いします。

【奥田自然環境局長】 環境省の自然環境局長の奥田でございます。

 本日も熱心なご議論をいただきまして、ちょっと国会の都合で私も遅参しましたけれども、非常に貴重なご意見をいただいたというふうに、誠に感謝を申し上げたいと思います。

 また、西村部会長におかれましては、ここまでの取りまとめ、進行、大役をお務めいただきまして、改めて感謝を申し上げます。

 本日、答申を取りまとめいただき、まだ細かい部分では修正が必要かと思いますけれども、ありがとうございました。動物愛護管理法施行規則の改正につきまして、それと併せて速やかに制定への手続を進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

 また、動物虐待等に関する対応ガイドライン、これについてもいろいろご意見をいただきましたけれども、本日の意見を踏まえて、関係者がより使いやすいものとなるものにまとめさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、動物愛護管理法、令和元年の改正で3年をかけて施行に向けて準備を進めてまいりましたけれども、今回議論いただいたマイクロチップの義務化に関する省令等の改正の施行をもって全ての部分の施行が完了するということになります。まだ手続的には、もう少し作業が必要となりますけれども、振り返りますと、この3年間、基本指針、飼養管理基準、マイクロチップ義務化等の本当に動物愛護管理に関わる枢要な、重要な事項をご審議いただいてまいりました。これまでの3年間、改めて心より御礼を申し上げたいと思います。

 今日の議論をお聞きしましても、まだまだ細かい部分、特に運用のところでは非常に課題が多く残されているというふうに感じております。まず、ここまでの3年間で令和元年改正の、これは施行するわけですから、これを着実に運用すると、適切に運用するということが重要かと我々も思っておりまして、これが適切な運用が図れるよう職員一同、力を尽くしてまいりたいと思いますので、また、ご指導を引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 本当に委員の皆様におかれても言葉を尽くせない感謝を申し上げたいと思いますけれども、今後も動物愛護管理行政を適切に推進していくため、ますますのご助言、ご協力をお願い申し上げて、私からの本日の閉会のご挨拶とさせていただきます。本日は、どうもありがとうございました。

【事務局】 奥田自然環境局長、ありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして第60回中央環境審議会動物愛護部会を閉会いたします。

 本日は、ありがとうございました。