中央環境審議会動物愛護部会 第57回議事録

1.日時

 令和2年10月7日(水)14:00~16:00

2.場所

 三田共用会議所 講堂

(東京都港区三田2-1-8)

3.出席者

 新美 育文  中央環境審議会動物愛護部会長

 松本 吉郎  委員

 浅野 明子  臨時委員    打越 綾子  臨時委員

 近藤 寛伸  臨時委員    佐伯  潤  臨時委員    

 永井  清  臨時委員    武内 ゆかり 臨時委員

 西村 亮平  臨時委員    藤井 立哉  臨時委員

 水越 美奈  臨時委員    山口 千津子 臨時委員 

 山﨑 恵子  臨時委員    脇田 亮治  臨時委員    

4.議題

(1)動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等の在り方について(第3次答申案。「適正な飼養管理基準の具体化」に係るもの)

(2)その他

5.配付資料

資料1   動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会について

資料2-1 適正な飼養管理の基準の具体化について(動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会とりまとめ報告)

資料2-2 適正な飼養管理の基準の具体化について(説明資料)

資料2-3 犬と猫の動物福祉に配慮した、より良い飼養形態の提案に向けて

(動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会座長提言)

資料3-1 第3次答申案の概要 ①省令案のポイントと構成 ②省令に定める規定の案

資料3-2 動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等の在り方について(第3次答申案。「適正な飼養管理基準の具体化」に係るもの)

資料3-3 今後の検討スケジュール(予定)について

資料4   第6回ペットフード小委員会の結果(報告)

資料5   愛玩動物看護師カリキュラム等検討会の検討状況(報告)

資料6   マイクロチップ義務化に伴う指定登録機関の指定要件の設定(基本的考え方)(報告)

参考資料1 動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等の在り方について(諮問)

6.議事

【事務局】 それでは定刻となりましたので、第57回中央環境審議会動物愛護部会を開催させていただきます。

 本日司会をいたします、環境省動物愛護管理室の野村と申します。よろしくお願いいたします。

 まず、定足数の確認をさせていただきます。本日は部会の委員、臨時委員17名のうち、14名のご出席をいただいております。

 なお、佐藤委員、稲垣委員、太田委員からご欠席の連絡をいただいております。過半数の定足数を満たしておりますので、規定により本部会は成立していることを御報告申し上げます。

 この7月に、環境省の人事異動がございましたので、紹介させていただきます。大臣官房審議官の大森は遅れてまいりますので、現在座っておりません。

 自然環境局総務課長の奥山です。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、開会に当たりまして、自然環境局長の鳥居よりご挨拶を申し上げます。局長、お願いいたします。

【鳥居自然環境局長】 皆さん、こんにちは。ご紹介を預かりました自然環境局長の鳥居でございます。引き続きよろしくお願いいたします。

 前回、この本部会は3月に新型コロナウィルス感染症の関係で、WEBで会議を開催させていただきましたけれども、本日はこういう形で、広い会場をご用意できましたので、リアルで会議を進めていきたいというふうに思っております。ご不便をお掛けするところもあるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

 今日の大きな議題は、飼養管理基準ということでございますけれども、これにつきましては、動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会、これを累次にわたり開いていただきました。そこには、この部会から武内委員と水越委員にもご参画いただきまして、特に武内委員におかれましては座長をお引き受けいただきまして、報告を取りまとめていただきまして、本当にありがとうございました。

 後ほど武内委員からも、その件についてはご報告があると思いますけれども、今日はこれを基にした環境省令の案についてご審議をいただきたいというふうに思っています。

 検討会の報告の取りまとめに当たりましては、法の精神にのっとって不適切な事業者に対し、毅然とした対応を取っていくということを念頭に、踏み込んだ内容としていただくことができたと、私どもは思っております。

 環境省といたしましてはこれに加えまして、この省令を補足するような解説書の作成や、迅速な行政処分等を行うための相談窓口の設置などを行いまして、自治体の取組を支え、そして基準の実効性を確保していきたいというふうに考えているところでございます。

 この基準は業の適正化と、動物のよりよい状態の確保につながるだけでなく、これからの人と動物の共生する社会の実現に向けて、その大きな前進に資するものというふうに考えてございます。本日は限られた時間ではございますけれども、ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

【事務局】 続きまして、本日の資料でございますが、議事次第の裏面に配付資料一覧がございます。読み上げての確認はいたしませんので、過不足がございましたら事務局のほうにお申し出いただければと思います。それ以外に、机上に青いファイルをご用意してございます。閲覧用でございますので、こちらは終わった後は席に置いていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 本部会の議事録は後日、環境省ホームページで公開されますので、議事録の確認をお願いしたいと思います。

 本日は傍聴の皆様が多数おられます。新型コロナウィルス感染防止の観点を中心に、お願い事項を申し上げます。

 まず、マスクの着用をお願いいたします。ソーシャルディスタンス確保のため、席の間を離した配置としておりますが、携帯電話の使用や傍聴者同士の会話はお控えください。部会終了後、三つの密の状態が発生しないように、会場から速やかに退席をお願いいたします。

 続きまして、一般的なお願い事項でございます。携帯電話の電源をお切りください。

 本部会では、傍聴者からの発言等は認められておりませんので、お席のほうで静かに傍聴いただきますようお願いいたします。その他、事務局の指示に従っていただきまして、円滑な会議運営にご協力をお願いいたします。

 最後に、委員の皆様に机上のマイク操作についてご説明いたします。ご発言の際は、手前の真ん中のボタンを押していただきまして、マイクの赤いランプがつきましたらご発言をお願いいたします。ご発言が終わりましたらスイッチを押して、マイクをオフにしていただければと思います。

 それでは、この後の議事進行につきましては、新美部会長にお願いいたします。部会開催の報道発表であらかじめご案内しておりましたとおり、カメラ撮りは冒頭のみでお願いしておりますので、カメラマンの方は退席をお願いいたします。

 それでは部会長、よろしくお願いいたします。

【新美部会長】 はい。新美でございます。

 これより、司会進行役をさせていただきますので、どうぞよろしくご協力いただきたいと思います。

 本日の審議内容でございますが、議事次第をご覧になっていただきたいと思います。

 議事(1)が先ほど局長からもございましたように、今日の会合の一つの大きなテーマになります。本部会に託されております第3次答申の内容といたしまして、適正な飼養管理基準の具体化についての案をまとめて、パブリックコメントにかける段階まで持っていきたいということでございます。

 それから議事(2)におきましては、報告案件として3件ございますので、これも中身についてはかなり重要な点についての報告でございますので、よろしく御質問等をお願いしたいと思います。

 早速議事(1)に入りますが、議事(1)は三つのまとまりで進行させていただきたいと思います。まず、一つとしては、動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会からのご報告、それから2番目が答申案についてのご議論、そして3番目が今後のスケジュールということになっております。

 まず、資料1-1によりまして検討会の経緯について、事務局からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【長田動物愛護管理室長】 資料1につきまして、事務局のほうから簡潔にご説明をさせていただきます。検討会の検討経緯でございます。

 まず、目的でございます。この検討会を設立いただいたのが2年半前ぐらいになりますけれども、平成30年3月に動物取扱業に関する飼養管理基準、登録の基準や遵守基準について、現行の基準が定性的な基準であるということで、その円滑な運用に資するために、ガイドラインの作成や数値の設定などによる明確化を図っていくことが必要ではないかという観点を踏まえて、設置されたものでございます。

 その後、その検討会設置の1年以上後でございますが、昨年の6月に議員立法によりまして動物愛護管理法の改正が行われ、その中で遵守基準に定める事項も明確化されるということがございました。

 こういったことも踏まえまして、この検討会の中で科学的知見に基づく基準やガイドラインの在り方について、検討を行ってきたところでございます。

 検討委員の先生方は、動物行動学や法学の専門の先生方等でございます。第1回目、平成30年3月に立ち上げをいたしまして、まずは現行制度についての確認をして、今後の進め方についてのディスカッションをいただきまして、海外における各種の飼養管理の基準について、その制度や運用の実態についても事務局からご報告をさせていただき、ご指導、ご助言をいただくという形で検討を進めてきたところでございます。

 裏面にまいりまして、昨年の6月には改正動物愛護管理法が公布をされまして、その後改正法の制度も踏まえて、継続的な検討をしていただいたということでございます。

 2月には、関係団体のヒアリングといたしまして動物愛護関係団体2団体、それから動物の取扱業関係の団体1団体からヒアリングもさせていただきました。また、自治体からの意見聴取の結果等も報告をさせていただいたところでございます。

 さらに4月になりますと、改正法の検討に当たって中心的な役割を果たした動物愛護議員連盟から具体的な基準案というものが環境大臣に対して、要望として提出されるということがございました。こういったことも踏まえて、その後のまた検討を継続していただいたというところでございます。

 7月には動物取扱業の実態調査というものも、3月等に行ったものを報告もさせていただいております。現地調査やヒアリング等で第一種、第二種の事業者の実態ですとか、事業者に関する問題事例などのご紹介など、あるいは繁殖に係る専門家についての繁殖に関するヒアリング結果等も、ご報告をしたところでございます。

 最終的に、第7回の検討会の中で適正な飼養管理の基準の具体化について、内容をおおむねお取りまとめをいただきまして、8月31日付けで必要な修正を行った上で公表をいただいたというところでございます。

 事務局からは以上でございます。

【新美部会長】 ご説明ありがとうございました。

 それでは続きまして、検討会の座長を務められた武内委員から、検討会報告の内容についてご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【武内委員】 簡単に検討会とりまとめ報告、適正な飼養管理の基準の具体化について、座長を務めてきた武内のほうから説明します。

 検討会報告の内容については資料の2-1、Word版になっていますけれども、これをご覧ください。

 基本的な視点としては、動物の健康・安全と生活環境保全の両面から、現行の定性的な基準をできる限り具体化するとともに、必要な項目を追加すること。

 自治体職員にも事業者にも理解しやすい明確な基準を設定し、規制の実効性を担保すること。

 対象は犬猫を取り扱う事業者全般とし、第一種動物取扱業に限らず、第二種動物取扱業のいわゆる譲渡団体等にも準用すること。

 理想的な飼養管理の在り方や基準を満たす状態を分かりやすく示すために、併せて基準の解説書、今の時点では仮称ですけれども、これを作成することということです。

 基準は、改正法の条文に合わせた7項目となっていまして、具体的な内容はこの後、事務局から説明があるため、私からは項目ごとの具体化の方針や考え方を中心に簡単に説明します。

 資料2-2にあります概要版のスライド版の説明資料をご覧いただきたいと思います。

 6ページ目ぐらいからになりますけれども、各基準の内容として、一つ目の施設・設備に関する事項については、まず、閉じ込め型の飼養を防ぐことを重視し、個体のサイズに違いがあっても、統一的な考え方で自治体がチェックしやすいこと、事業者側も必要な設備について理解しやすいことを重視し、体長と体高を用いた基準としました。

 7ページになりますけれども、施設の状況に応じ、寝床や休息場所となるケージと運動させるスペースを分離するタイプを運動スペース分離型として、もう一つ、休息場所と寝床と運動スペースを含む飼養設備のタイプを運動スペース一体型として、それぞれの基準を示すこととしました。

 また、16ページになりますけれども、設備の構造としては、床材やケージに着目して、動物が傷害を負うおそれがない構造や材質とすることを具体化したということになります。

 18ページになりますけれども、二つ目の従業者の員数に関する事項については、清掃や給餌、運動やふれあい等の日常の世話に時間を確保するために、1頭当たりの飼養管理に要する作業時間を基に一応従業員数を具体化することとしました。

 犬と猫で管理方法が異なること、繁殖を行う場合は、子の世話なども必要であることを考慮し、犬猫及び繁殖を行う場合で頭数は異なると考えました。

 20ページになりますけれども、三つ目の環境の管理に関する事項については、温度・湿度の管理、臭気、照明等の日照サイクル関する内容を定めました。ただし、外的な要因があることや一律の数値規定はかえって悪質や事業者への指導が困難になることを考慮して、具体的な数値は基準の解説で例示することとしました。

 23ページになりますけれども、四つ目の疾病等に関する事項については、日常的な健康管理の観点から、獣医師の健康診断を具体的に盛り込むこととしました。

 24ページですけれども、五つ目の展示または輸送の方法に関する事項については、展示の際の休息時間の確保、輸送後の状態確認について、現行基準で不足する点を少し具体化することとしました。

 26ページですけれども、六つ目の繁殖に関する事項です。犬と猫、それぞれの繁殖生理の違いや個体ごとの繁殖生理を考慮した基準とし、繁殖年齢の上限や繁殖回数に係る規定を具体化し、併せて30ページに獣医師の関与も具体化しました。

 32ページになりますけれども、七つ目のその他動物の管理に関する事項については、不適正事業者に厳格に対応するために、ネグレクトのおそれがある状態などを直接規制し、現場で速やかな指導が行える必要があることを踏まえ、特に検討会で重視してきた動物の状態に着目した、いわゆるアニマルベースメジャーの観点から動物の不適切な状態を直接的に禁止することと、犬猫は、人とのふれあい等のエンリッチメントの確保が重要であることから、それらの動物の管理に係る基準を具体化しました。

 以上が検討会の内容です。今回の検討会委員の皆様や関係者のご尽力のもと、取りまとめたこの報告書というのは、動物取扱業における飼養管理の一層の向上につながるものと思いますし、基準の具体化が重要である一方で、それだけではなく制度の効果的な運用を図り、社会全体においてよりよい飼養管理を実現していくために、様々な取組が必要と私は考えております。

 こういった観点から、検討会報告に加えて、私から検討会の座長の立場としての「座長提言」というものを提案させていただきました。

 パワーポイントのスライドの次につけましたが、資料2-3座長提言の資料をご覧ください。

 タイトルは「犬と猫の動物福祉に配慮した、より良い飼養形態の提案に向けて」としています。

 今回、取りまとめた基準は、事業者向けをメインにしておりますが、検討会に求められていることはそれだけではなく、一般の飼い主をも含めて、皆さんが動物を飼うに当たってよりよい飼養形態を模索していきたいという感覚のもと、座長提言をつくりました。私自身が科学者の立場として、ここに参加しておりますので、科学的根拠というものをどう考えていくべきかということも、最後に参考として付してあります。

 座長提言1ページ目は、「はじめに」ということでありますけれども、座長提言の主なものとしては具体化に当たって、数値化というものは重要な要素であるものの、数値のみが独り歩きをしても困ったことが生じるというのは理解してもらいたいということ、数値のみにとらわれてしまうと、本質的な福祉が損なわれてしまう可能性も考えておかなくてはいけないということを、提言として入れさせていただいております。

 これは、今般のコロナウィルス感染拡大に際して求められた数値基準のことを思い起こしていただければ、理解していただけるのではないかと思っております。

 また、この遵守基準が実際に徐々に動いていくことになりますと、事業者が破たんや廃業に向かう可能性が高くなってきますので、結果として不適切に飼養される動物がさらに増えてしまうという可能性を今から考えて、国としては適切な経過措置、準備期間というものを設けてほしいと思っております。

 現時点でも、そういった動物を受け入れる保健所や受入れボランティアの体制というのは、十分とは言えない状況にあります。ましてや、保健所はコロナ対策のほうでかなり力をとられている状態ですので、なかなか財政的にもいろいろ問題が出てくるのではないかと思います。

 経過措置準備期間中に事業者、自治体も含めて予防策、対応策をしっかり考えてほしいと思っております。特に自治体におかれましては、何かが起きたら全ての動物を受け入れなくてはならなくなります。しっかりと対応策を考えていただきたいと思っております。当然のことながら、自治体だけに責を負わせるのではなくて、国がそれを十分にサポートしなければならないことは、言うまでもないと思っております。各関係主体に対してお願いした具体的な内容については、座長提言のその2ページ以降に列挙しましたので、ご確認してください。

 もう一つ、特にこの中央環境審議会動物愛護部会で注意をしていただきたい点として、検討会で諸外国の例を調べた中で数値基準を設定する際には社会的な合意というものが重要視されることも、分かっております。これは各国に問い合わせたなかで分かってきたことですけれども、この部会においては社会的な影響の評価という点も含めた、丁寧な審議をお願いしたいと思っております。

 以上です。

【新美部会長】 どうもありがとうございました。

 ただいま、検討会の取りまとめと、それから貴重な座長からのご提言をいただきました。

 本動物愛護部会の役割といたしましては、この報告と提言を踏まえまして、部会としての議論を深めることが求められているというふうに考えております。

 したがいまして、この報告と提言を前提にして、実は答申案の原案が作成されておりますので、その概要につきまして資料3-1、3-2によって、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【長田動物愛護管理室長】 それでは事務局から、今座長からご説明をいただきました、検討会取りまとめを受けて作成をしました新しい省令案、つまり答申案でございますけれども、これについて資料3-1、3-2を用いてご説明をさせていただきたいと思います。

 まず、資料の構成でございますけれども、資料3-1には3-1①と3-1②というものがございます。①はA4の横長のカラーの資料でございます。3-1②はA3の横長の白黒の資料でございます。これに加えまして、答申本体に当たります資料3-2、少し厚めの資料ですけれども、この3点がございます。主にこの3-1①と3-1②を使ってご説明をさせていただきたいと思います。

 まず、3-1①でございます。今回、答申案として整理をいたしました新たな省令案のポイントということでございます。

 まず、省令の対象範囲でございますけれども、犬猫を取り扱う事業者全般というふうにいたしております。昨年6月の法改正では、犬猫等販売業者に係る法第21条第1項の基準ですけれども、これはできる限り具体的なものでなければならないという法改正が行われたところでございますけれども、犬猫等販売業に限らず保管業、つまりペットホテル等、それから展示業、例えば猫カフェ、こういったものも含めて犬猫を取り扱う第1種動物取扱業全般に係る基準として、検討をしたものでございます。

 それから第2種動物取扱事業者、非営利の例えば譲渡業などでございますけれども、こういった事業者にも、もともと準用規定がございますが、今回の新たな基準につきましても準用するということでございます。

 それから、犬猫以外の動物につきましては、現行の定性的な基準が適用されているわけでございますけれども、先ほど申し上げました犬猫に係る具体化の規定に関する法改正を受けての対応としましては、これまで検討会で犬猫を対象として検討をしてまいりましたので、今回の答申案には入っておりません。

 ただ、これらの動物につきましても、今後検討を進めていくということを答申案に盛り込んでいただきたいと思っております。

 それから、基準そのものだけではなくて、その基準の解説書というものを併せて策定をするということでございます。

 例えばちょうどご説明しますが、体長や体高を基に定めたケージのサイズ等につきましても、具体的な代表的な犬種であればこれぐらいのサイズだというようなことを分かりやすく示していくというのは、自治体の職員にとっても事業者にとっても重要であるというふうに考えております。また、そういった基準の具体化だけではなくて、必ず満たさなければ罰則や取消しの対象になるという遵守基準以外にも、よりよい飼養管理を実現するための具体的な情報というのも、必要になってくるというふうに考えておりまして、より理想的な飼養管理の考え方を示すものも、この基準の解説書の中に盛り込んでいきたいということでございます。

 さらに、基準が絵に描いた餅にならないようにしなければならないということでございまして、自治体の取組を環境省としても支援をしていきたいということでございます。

 レッドカード基準として、というふうに書いてございます。基準を遵守する意思のない、あるいは速やかな改善が行われない事業者に対しては、法律上、位置付けられている勧告や命令、そして取消処分といったものが速やかに行えるようにするということが非常に重要ではないかというふうに考えていますが、必ずしも自治体がこういった行政手続に慣れているというわけではございませんので、自治体の迅速な対応を支えるための相談窓口を設置しまして、具体的な対応事例等の蓄積やフィードバック等も進めていきたいと考えているところでございます。

 それから経過措置について、先ほど座長提言にもございましたけれども、今回の基準全体に関する規定の施行につきましては、法に基づいて政令で定めました来年の6月1日を予定しております。

 一方で、例えば飼養管理の基準のうち、飼養する設備の規模、つまりケージのサイズ、こういったものについては当然、ケージの買い換えが必要になってきたり、従業者の員数に関する規定であれば、新たに従業者を雇用したり、あるいは譲渡等によって、飼養する犬猫の頭数を減らしたりということが必要になってくるということがございます。繁殖につきましても、既に次の繁殖の準備が行われているということがあったり、あるいは現行の規定の中では年齢や繁殖回数の確認をすることが、現実的に困難だということもございます。

 こういったことを踏まえまして、これらの項目につきましては経過措置について今後、検討してまいりたいということを考えております。

 また、こういった経過措置を検討するだけではなく、これに併せまして、現在飼養管理されている犬猫について、基準の適用に伴って遺棄されたり、あるいは殺処分されてしまったり、もちろん殺処分は法律上認められておりませんけれども、それから不適正な形で飼養されるというようなことが生じないように、繁殖を引退した犬猫、あるいは保護犬、保護猫、こういったものの譲渡が促進されるような環境づくりというのを、関係者と連携を図りながら進めてまいりたいというふうに考えております。

 このためには、様々な関係者が一堂に会して議論をする場等も設置をしながら、どのような工夫ができるのかということを一緒に考えていけたらというふうに考えております。

 また、国民的な議論の推進の最後のところにございますけれども、犬猫の品種の多様性や人の動物への関わり方について、今後、幅広い視点から国民的な議論を進めていくことが必要というふうに書いてございます。

 具体的なことを申し上げますと、例えば繁殖に関する基準の検討に当たっては、帝王切開の在り方等について議論がございました。犬種によっては帝王切開でしかほとんど産むことができない、安全に産むことができないというような犬種もいるということは、一般の国民の方々には余り知られているというふうには言えないと思っております。こういうものの在り方をそもそもどうするのか、あるいは基準の強化に伴って当然、その犬猫についての、様々な社会的な変化が生じることが予想されるわけですけれども、例えばその人が動物を飼うということで、様々な効果も生じますし、様々な問題も生じると。そういうことについて、その社会として、どういうふうに考えていくのかといったことも、すぐに答えは出ないと思いますけれども、議論をしていくということが必要ではないかということでございます。

 こういったことも整理をしつつ、具体的な省令案については答申案の形でまとめさせていただいていますけれども、先にその答申案の構造をご説明させていただくために、今の資料の裏面をご覧いただければと思います。

 省令案の構成というものでございますけれども、右側に緑色を使って現行の規定の構造をお示ししております。

 現在は、この動物の愛護及び管理に関する法律施行規則という省令の第8条に第一種動物取扱業者の基準が、第10条の9に第二種動物取扱業者の基準が規定されておりまして、さらに、それぞれについて環境大臣の告示という形で細目が整理をされておりまして、その中で具体的な基準が規定をされているところでございます。

 今回、犬・猫に関する基準の具体化を行うに当たって、これらの規定を1本化した新たな新規省令、これが左側の絵になりますけれども、それをつくりたいということでございます。

 細目につきましては二つとも廃止、そして、現行の環境省令の中で基準を定めた条文については削除ということで、新しく第一種、第二種、犬猫以外の動物も含めた全体の飼養管理の基準を省令として定めることにしております。

 また、このペーパーの一番下に赤字で書いてございますけれども、飼養管理基準と一言で言うものの中には、遵守基準に加えまして、登録の際の基準というのがございます。こういう基準を満たしていなければ登録を認めないというものでございますが、ケージのサイズ、あるいは員数については今後の雇用の見込みということになると思いますけれども、これらについては登録の基準の中にも位置付けて、事業を開始する際にも自治体がチェックをしていくという形を想定しているところでございます。

 続きまして、具体的な基準の案について、資料3-1②でご説明をさせていただきたいと思います。

 まず先に、この基準の見方をご説明させていただきます。

 3段の表になっておりますけれども、一番左側が現行の規定、先ほど申しました動物愛護管理法施行規則と告示であります基準の細目の中に書かれている基準でございます。ほとんどの基準が犬猫以外の動物と犬猫を同列に取り扱った基準ということになります。

 そして、真ん中の列が先ほど、武内先生からご説明をいただきました検討会で取りまとめをいただきました基準でございまして、さらに右側が今回新たな省令を規定するにあたって、基準を具体的にどのような形で環境省令に表現するかということでございますけれども、環境省令は大変煩雑な記述になっておりますので、必要に応じてご説明いたしますけれども、基本的にはこの真ん中の検討会報告をベースに説明をさせていただきたいと思います。

 なお、一番右側のその条文案につきましては、代表的に第一種動物取扱業のものを例として記載しておりますが、第二種につきましてもほぼ同様の形で規定することを想定しております。具体的には例えば、第一種では販売業というふうに規定されているものについては、第二種の場合には譲渡業というふうに書かれるというところで、基本的には同様というふうにお考えいただいてよろしいかと思います。

 それでは、真ん中の列を中心にご説明をさせていただきたいと思います。

 まず、飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造規模並びに設備の管理に関する事項としまして、端的に申し上げますと飼育するケージのサイズについて今回、具体化をしたということでございます。

二つにまず、列が分かれておりますけれども、上半分が分離型と書いております。寝床や休息場所として利用するケージと運動させる場所を分けて飼養管理をする場合の基準でございます。こちらについては、ケージのサイズを体長を基に縦体長の2倍、横体長の1.5倍、高さは体高の2倍、猫については上下運動をするということを前提といたしまして、高さについては体高の3倍とし、棚を設けて2段以上のケージにするということ。複数を飼養する場合には当然ながら、各個体についてここに定めたような広さを確保するということを規定したものでございまして、左側にあります現行基準では、自然な姿勢で立ち上がる、横たわる、羽ばたくといったことが書いておりますが、これを犬猫について具体化したものでございます。

 さらに、運動させる場所としましてはこの後ご説明します、一体型の基準と同じだけの面積を確保した場所で運動をさせると、これを1日3時間以上させるということも規定をいたします。これはケージサイズの基準ではないので、別項に規定をすることになるということ。

 さらには、言い逃れをして閉じ込め型の飼養をして、この休息場所の狭いケージの中に1日中閉じ込めておくということがないように、運動スペースでの運動時間を定めるだけではなく、その空間を常に運動できる状態で維持管理するということも、基準に定めるということを想定しております。

 下の一体型の基準というのは、一般的に犬であれば平飼いと言われるような飼い方でございますけれども、柵で囲った空間等によって飼養をするものでございます。この場合には、先ほどご説明したケージの床面積に対しまして、6倍の面積を確保するということを犬については規定をし、猫につきましては面積については2倍、高さは体高の4倍ということで、3段以上の構造にするということ。

 それから、複数飼養する場合は、分離型のケージサイズの頭数分の床面積を確保するということを書いておりますけれども、親子で同居をする場合というのは、2頭入れられる空間にも親しか入れられないというようなことも規定をしたいということでございます。また、闘争等がある場合には、そういう組合せでの飼養は認めないということでございます。

 次にまいりまして、ケージの中の構造でございます。特にその不適正飼養の事例においては、金網の床材を使用していることで、足の肉球が傷んでしまうというようなケースがよく知られているところでございまして、金網の床材としての使用を原則として禁止するということ、それからケージについては管理不行き届きによる、さびや割れや破れ等の破損がないということも、新たに規定をしたいということでございます。

 次のページをご覧ください。

 次は、動物の飼養または保管に従事する従業者の員数に関する事項ということでございまして、犬、猫それぞれについて繁殖用の犬を飼っている場合、繁殖用の猫を飼っている場合、それから販売などその他の犬や猫を飼っている場合、それぞれに数値を規定しております。

 座長からご説明いただきましたように、1頭当たりの飼養管理に要する時間を基に、基準として定めたものでございます。特に繁殖用の犬や猫については、繁殖している子犬・子猫の世話にも時間を要するということで、販売等より小さい数字、すなわち厳しい基準になっているということでございます。

 また、犬と猫両方を飼養する場合等についても細かくなりますけれども、それぞれの基準として、具体的な規定を定めなければならないということで、これについては本体のほうの資料の別表という形で定めさせていただいております。

 検討会報告の中では、ここに米印(※)がございますけれども、課題のある事業者の上限値強化と、優良な事業者の上限値緩和を検討するということがございました。検討した結果を率直に申し上げますと、どちらについても規定をしないということでございます。

 まず、課題のある事業者の上限値強化でございますが、環境省令の中で具体的な数字を定めて、その数字を遵守している事業者に対して他の不適切な事項がある場合に、その数字をさらに縮めてそれを遵守させるというのが、他の事例等でもなかなかそういう制度はないということ。あるいは他の基準を満たさなければ当然、その他の基準を満たさないことによって、勧告や命令を速やかに出していくというのが、今回の基本的な考え方であるということ。こういったことを考えますと、課題のある事業者の上限値強化というのは法制的にも無理があるというふうに考えております。

 また、優良な事業者の上限値緩和につきましても、どういった客観的な基準で上限値を緩和するのかと、これも自治体に委ねられるということになれば、自治体ごとに判断が分かれて、地域間の公平性が損なわれるというような課題も生じる可能性がある、あるいは自治体がこの判断をするために相当な負担が伴うということも考えますと、基本的にはこの15頭、20頭というもの、25頭、30頭というものは維持しつつ、先ほどご説明しました経過措置を適用をする形で、基準に対応していただくということを基本的な考え方としております。

 また、ここは少し条文のほうも見ていただければと思うのですけれども、員数といったときに、例えばパートタイム、非常勤の被用者、こういった方のカウントをどうするかということでございますけれども、パートタイムについても計算の中には入れますと。ただ、短時間労働を単純に一人カウントにはしませんということで、こういった点については、例えば現行の制度でいいますと、特別養護老人ホーム等で働く職員さんが入所者何人に対して一人というようなものがございますので、こういったものも参考にしながら規定をさせていただいておりまして、具体的な運用については基準の解説の中で示していきたいというふうに考えているところでございます。

 続きまして3番、動物の飼養または保管をする環境の管理に関する事項でございます。

 ここにつきましては、動物の健康に支障が出るおそれがある状態で低温や高温で管理するということを禁止、そして温度・湿度計の設置等を義務付ける、臭気についても環境を損なわないようにする、あるいは照明等については自然による日照サイクルの確保を義務付けるということでございます。

 ここについて、具体的な温度を定めるべきではないかというような声もあるわけでございますけれども、様々な犬種や品種等がある中で、具体的な数字を定めるとすれば、それ相当の幅を持って定めるしかないわけですが、これが逆に不適正な管理のお墨付きを与えてしまうという課題もあると。臭気については、例えば悪臭防止法というような現行の制度もございます。こういったことも勘案しまして、基準としましてはこのような定性的な基準にしまして、必要な事項については解説の中でも、具体的に説明をしていくという形にしたいというふうに考えております。

 また、照明については特に猫については、人工照明の照明時間を長くすると繁殖周期が短くなる、つまり冬でも発情をするということがございますので、こういったことを規制するという趣旨で自然による日照サイクルと、冬場は照明時間を短くするといったことも義務付けたいということでございます。

 4番の疾病に係る措置でございますけれども、犬と猫については年1回以上の獣医師の健康診断を義務付けたいということでございます。1年飼養する個体については、健康診断をするということ。繁殖個体を健康診断する際には、繁殖に関する診断も受けるということでございます。

 5番、展示または輸送の方法でございます。展示につきましては、長時間連続して展示を行う場合には、休息ができる設備に自由に移動することが可能となる状態を確保する。例えば休息場所と展示場所がつながっていて、展示される場所で動物がストレスを感じた場合には、自分の意思で休息場所まで移動できる、これを原則としまして、ただこのような形態の設備の確保が困難な場合につきましては、少なくとも6時間おきには休憩の時間を設けるということを規定したいということでございます。

 次は輸送でございますけれども、輸送につきましては今まで、状態観察に関する規定がございませんでした。2日以上その状態を観察してから販売や貸出しをしなさいというのは、左にありますように現行規定にあるんですが、これと輸送の関係が紐付けられていなかったということでございますが、例えば同じ事業者の飼養施設の中でも、別の事業所に輸送したという場合には、その場所で2日間様子を見てからでないと販売等ができないということになります。

 続きまして、1枚おめくりいただきまして、3ページでございます。繁殖についてでございます。犬と猫それぞれについて定めております。

 犬につきましては、生涯の出産回数と交配年齢の上限の双方を定めるということといたしております。生涯出産回数は6回、そして交配は6歳までということでございますけれども、7歳になった時点で出産をする回数が6回未満、5回までである場合にはその7歳の間は交配を認めるということにしております。

 猫につきましても、交配の年齢上限は犬と同様6歳まで、ただし書きとして、猫の場合は犬の6回としていたところを10回未満の場合には7歳の間は交配可能というふうにしておりますけれども、年齢や出産回数に係らず繁殖に適さない個体、先ほどの健康診断の結果等で繁殖に適さないとされたものについては、交配を認めないということでございます。

 犬について出産回数を規定し、猫について規定しなかったということでございますが、猫について出産回数というのを規定するにはその健康等、例えば出産回数の関係というものに関する知見がないかということも検討したのですけれども、様々な専門家の中でもそういったものを見つけることができなかったということ。猫につきましては野良猫でも、ものによっては年に3回繁殖するという中で、飼養管理をされて人に給餌をされている猫について仮に回数を定めるとして、それより厳しい基準を定める根拠が得られるだろうかといったことも総合的に勘案をしまして、猫につきましては年齢の上限を定めることで間接的に繁殖回数を規制していくということを考えているものでございます。またあわせて、健康診断によって今後の繁殖の可否について獣医師の所見を得て、それは守らなければいけないという形にさせていただきました。

 さらに、その下に帝王切開に関する規定がございます。帝王切開につきましては、まず、行う場合は獣医師でなければならない。そして、実施した獣医師に出生証明書と母体の状態に関する診断書を交付してもらうということを義務付けるということでございます。これも次回の繁殖についての所見を得ることになりますので、帝王切開をした結果として今後繁殖させてはならないとなれば、繁殖をさせてはならないということになりますし、帝王切開は、次回はさせるべきではないということになれば、帝王切開はさせられないということになるわけでございます。

 これについても、様々なご意見がございましたけれども、帝王切開につきましては、特に回数そのものの健康影響というよりは、適切な手技を持った人が従事をすることが重要だと。それから、個体によっては帝王切開をすることが適切でないものがいるということも制度上、担保する必要があるということになりまして、このように回数ではなく獣医師の関与を明確化するという形で規定をしたところでございます。

 様々な意見が届いておりますけれども、このような形でまとめていただきました。

 7番でございますけれども、その他というところに1から6以外の事項をまとめて記載をしております。座長からもご説明がありましたけれども、検討会で当初から重視をしてまいりましたアニマルベースメジャー、動物の状態に着目した基準としまして、不適切事例としてよく取り上げられます管理が適切にできていないことによって生じている、動物の状態として、例えば不適切な被毛、爪の状態、爪が異常に伸びているとか、体表が毛玉で覆われているとか、こういった状態で管理していること自体を禁止事項にしていくということでございます。それから併せて、人とのふれあいの実施として散歩や遊具を用いた活動等を義務付けていく。

 最初に申し上げたように、分離型のケージの場合には1日3時間以上運動スペースに出すということ。それから、清潔な給水の確保というのも義務付けるということがございます。

 それから、ちょっとこの表に書いておりませんけれども、後ほどご説明しますけれどもマイクロチップの装着、登録というのが事業者に対して、令和4年6月から義務付けられることになります。このマイクロチップの装着規定そのものには、罰則規定等がございません。

 したがいまして、この飼養管理の基準の中にも、マイクロチップの装着義務の履行というのを規定することによって、間接的に義務に対して罰則や取消しが係ってくるというような形で規定をしたいと思っておりますけれども、これらについては今後、具体化していきます。マイクロチップ関係省令の規定を定めるのに合わせて、条文化を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 ご説明が長くなりましたけれども、事務局からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いします。

【新美部会長】 説明ありがとうございました。

 本日は、ただいま説明をいただいた案につきまして練り上げて、パブリックコメントの手続に入るということにしたいと思いますので、どうぞ、委員の皆様から修正点なども含めまして、ご意見を賜りたいと思います。よろしくお願いします。

 発言を希望される方は名札を立てていただいて、それで順次指名させていただきたいと思いますが、ちょっと広いものですから。

 じゃあ、浅野委員から。まず、発言をお願いします。

【浅野委員】 すみません、浅野です。

 座長の説明というところで、ちょっと確認でお聞きしたいんですけれども、資料2-2のスライドでいうと19ページ辺りだと思うんですが、イギリスとかフランス、ドイツの数値が出ているところがあるんですが、この数字についてお伺いします。

 この数値、例えばドイツで繁殖犬10頭というような数値、これは罰則を伴う規制値という理解でよろしいでしょうか。それとも、基準値ということなのでしょうか。

【新美部会長】 では、武内委員お願いします。

【武内委員】 個々については記憶が確実ではないですけれども、基本的には罰則を伴わない規定となっております。

【浅野委員】 分かりました、ありがとうございます。

【新美部会長】 ほかに。脇田委員、よろしくお願いします。

【脇田委員】 初めに、検討委員の武内座長から数値基準の設定において、科学的根拠は見つからなかったということも含め、だからこそ社会的な合意形成が重要だという提言がされています。

 今回、この部会、私どもの事業の実情を知っていただく最後の場所だと考えております。なので、発言が少々長くなるかもしれないですけれども、ちょっとご了承いただきまして質疑、質問のほうをさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、初めに社会的合意形成が重要という観点から、全体を通して主に規制を受ける当事者となるブリーダーについての調査が圧倒的に不足しているという感じを受けます。第一種取扱業は登録制で管理をされています。広く実態調査をいただくことは可能ではないでしょうかという点と、座長提言にもありますとおり、数値基準の設定は急激な変革で破たん、廃業を引き起こす可能性が高いものであります。影響が大きいものであるからこそ、しっかりとした調査をしていただき、継続して審議をしていただくことを強く求めたいと思います。その理由を踏まえまして資料の2-2、それを基にお話をさせていただきます。

 まず、ページで言うと18にあります。始めの従業員の員数関係についてお伺いいたします。

 初めに、この15頭の根拠の説明を求めるに理由があります。皆様の元にたくさんのはがき、要望書が届けられたと思いますけれども、先日私宛にも段ボールで要望書が届けられました。見ると、ブリーダーさんからだけで集められた要望書でした。おおよそ1万2,700事業所がブリーダーとして登録されていますが、その中の3,000通、3,000枚の要望書が集まっていました。

 内容としては、自分たちブリーダーについて調査もせず、大切な数値を決めないでほしいというメッセージです。この員数制限に関しての要望書です。広く実態を調べ、その上で決められた数値でならば、厳しくてもブリーダーは守るということが、ここにまとめられてありました。

 そもそも、この1人に当たり15頭という数字はどこから来たのでしょうかということです。

 それに対して、2-2の資料の19ページ右下の緑のところです。

 要望書には海外の情報、いろいろな数値が挙げられています。海外の事例では、ドイツは1人当たり10頭、イギリスは参考ということで20頭となっております。

 基準案の1人当たり15とは、この数字の間を取ったということなのでしょうか。ここに記載がありませんが、私どもの調べではアメリカは50頭、州令には75頭という数値があります。他国の明確な基準はありません。

 もし参考にするのであれば、世界で一番多くの犬猫を飼養しているというアメリカの数値も、勘案すべきではないでしょうか。

 ドイツ、それにドイツの欧州では、特に趣味、副業で繁殖されている方々が8割とされております。これは調査結果も出ております。日本の専業、プロとして登録している方は、日本の場合は8割がプロとして繁殖をしておられるということです。アメリカも日本同様に、プロのブリーダーさんも多く存在する国です。どちらが日本のその実情に一番近いかというと、やっぱりアメリカのほうだと私は思います。

 このような点を踏まえて、この1人当たり15頭という数字がどこから出てきた数値なのか、これをご説明いただきたいことを考えております。

 また、その2-2の18ページにあります1頭当たりの平均作業時間、これは分刻みで掲載されておりますが、この数値の根拠、どのような調査に基づいて数字になったか。お聞かせいただきたいということがあります。

 あと、各地でブリーダーさんの声が荒立たしくなっているというのは、2-2の3ページにある基準案のポイントとあります。その一つ目に、悪質な事業者を排除するためと書かれているからであります。ペットパークの会員さんを対象にアンケート調査を行ったところ、1人当たり繁殖犬を15頭までとする基準案について、約65%以上がオーバーしている、そういった回答でした。65%の人たちが全て悪質と理解していいということなのでしょうかということです。

 例えば、先ほどスライドのページでいうと2-2の19ページを見ると、環境省が現地調査で訪問したブリーダーの違反となりますが、それらの施設も現状では悪質であるという判断なのでしょうか。1人当たり繁殖の15頭以上の飼育している事業者に、優良事業者は一人もいないということなのでしょうか。仮にそうだったとすれば、行政は登録事業者の半数以上が悪質になるというところを、ずっと放置していたということにはならないでしょうか。

 また、このペットパークの会員を対象にしたアンケートの調査では、一人15頭を超過する繁殖者は全国でおおよそ、繁殖者から出るわんちゃんが全国でおよそ10万以上にのぼるとされております。この行きどころのない、超過した犬猫はどのようになるのでしょうか。

 事業者が譲渡を進めて、私たちが頑張っていくということであったにしても、余りにも規模が大き過ぎます。この基準も超過してしまう犬猫の処遇も来年6月1日に解決していなければならないということなのでしょうか。

 対応策として譲渡も視野に入れているのであれば、譲渡先もすぐに決まらないということに備え、行政は事業者に取組の支援、体制を整備することも想定されているかをお聞かせいただきたいと思います。

 次に、もし、少しでもということで、これも2-2の7ページです。飼養施設の設備構造、規模、管理関係で1点お伺いいたします。ここに犬猫の1日3時間以上の運動を義務付けるとありますが、その根拠は何でしょうか。

 閉じ込め型の管理禁止ということの思いはとても理解できると思います。ですが、この記載で成犬・子犬の違いも触れられていませんし、成犬・子犬等の必要な運動量も違いがあります。例えば英国で、ケネルクラブが子犬の過剰な運動は疲労を招き、発育期にある程度の関節を痛める可能性がある、子犬の運動時間の目安として月齢掛ける5分ということで指導している文面、資料があります。

 我々の経験でも、子犬は1日の3分の2は寝ております。環境の変化に気を配り、安静に保つことが大切だと考えております。子犬と成犬、子猫と生猫の必要な運動量の違いについても調査し、慎重に検討いただきたいという、かえって動物に悪影響を及ぼす可能性があると考えております。

 最後にケージのサイズでございますが、規制にあるように設備の入替え、必要なものについてお伺いいたします。

 これらの基準は、今現時点で飼養している設備について適用されると考えてよろしいのでしょうか。

 イギリスのガイドラインでは、既存の設備ではなく、新しく導入する設備に対して基準が適用されると聞いています。車の排ガス規制や建築基準も新しく購入や建築するものに対して適用されるのは皆さんご存知かと思います。どれだけの入替えが必要になるかという調査をしていただく必要があろうかと思いますが、現時点の問題として短時間で対応するのは難しいと思っております。

 例えばケージなどの耐久性、耐久年数も勘案にしていただいて、変更のタイミングやスピードに考えるということはできないでしょうか。

 このとおり規制できなければ動物の苦しむことがあってはならないんですけれども、例えばメディアの報道にあったように、劣悪な状況で2-2の32ページに示されたような不適切な紐、爪等の状態の直接的には禁止することや、ボディコンディションのコンディションスコアの考え方に基づき排除することは可能ですよね。

 このようなことを考えてご返答いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【新美部会長】 はい、ありがとうございます。

 それじゃあ、まずこの点について環境省のほうからどうぞ、ご回答をお願いします。

【長田動物愛護管理室長】 非常に重要なご指摘ですので、回答のほうもちょっとお時間をいただくかもしれませんけど丁寧に回答させていただきたいと思います。

 まずは、一人15頭の根拠としまして私ども、先ほどの件とか、取りまとめの資料にございますように、1頭当たりの管理に要する時間というのを根拠にしたわけでございますが、検討に当たって、一つ重要な前提としましたのは、やはり今回の法改正自体が議員立法で行われ、その中で犬猫についてはできる限り具体的なものとするということが規定され、さらに従業者の員数というのが法律の第21条2項の2号で明示的に示されたということがございます。

 こうなりますと、基本的には員数を規定するというのを最大限努力しなければならないという認識でございます。

 また、この規定自体は条文どおり環境省令に委任されているわけでございますけれども、立法者である国会議員の側から議員連盟の提案として具体的な員数の提案が出てきたということも、当然ながら最大限尊重して検討しなければいけないということでございました。

 ただ、私どもは海外で10頭とか20頭という数値が示されているからですとか、議連が15頭を示してきたからということで単純に規定をしたわけではなく、具体的に1頭当たりのお世話に要する時間、清掃、給餌、そして個体の健康チェックや運動、さらには繁殖については繁殖した子犬、子猫の世話まで含めて考えたときに、どの程度時間がかかるのかということを積み上げた上で、やはり1頭当たり最低限これぐらいの時間は必要だろうということで、ご議論をいただいたものでございます。

 具体的な規定として、最終的には犬であれば、繁殖犬15頭というような数字になったわけでございますけれども、やはり1頭当たりの世話には、例えば仮に複数頭同時にケアをするような飼養形態であっても、この程度の時間が必要だろうということでございます。

 検討化の過程の中では、むしろより厳しい数字にすべきではないかという声もございました。あるいは国民の声としましては、私ども10万通を超えるメールが来ています。その中では、この員数についてはご意見があるものについては、皆一人10頭にせよとか、より厳しいものを求めております。

 具体的に中身を見てみますと、やはり繁殖だけではなく、その適切に管理をできるんだというふうにおっしゃっている事業者の多くの方々がある程度、衛生的な管理ができていたとしても、やはり運動等、ケージの中に入って犬と触れ合ったり、あるいは散歩をしている事業者というのは統計的にはほとんど、サンプルが必ずしも多いわけではないですが、ほとんどいないというようなデータもございます。

 そういった中で、やはり社会化を進めていくということが、先ほどの繁殖の基準一つを見ても、譲渡された先で、ちゃんと譲渡された一般家庭で、普通の暮らしを新たな飼い主と営めるか、こういったことを考えても、社会化にも一定の時間が必要だろうというふうに考えているところでございますので、そういったことも含めて、今回の法改正を踏まえて、こういった基準を定めていく必要があるというふうに考えたところでございます。

 行政は、悪質な事業者を放置してきたことがこういうことに繋がっているのではないかということについては確かに、ご指摘のとおり行政としても反省しなければならない部分があると思っております。そのこと自体が法改正や国民の多くの声につながっているということも、私ども行政も自覚しなければならないと思いますし、事業者の皆さんにも、そこはご理解をいただきたいというふうに考えているところでございます。

 一方で、急激な規制の適用が行き場を失う犬や猫の存在につながってくるということについては、環境省としても真剣に考えなければならない課題だというふうに考えておりますので、こういった中でどういった経過措置を適用するのが現実的で、こういった問題を避けられるのかということについては、しっかり考えていきたいと思っていますし、また一方で、単なる経過措置の適用だけではなくて、やはりブリーダーの下で飼われていた犬や猫が一般家庭に譲渡されやすい社会的な仕組みをつくっていくですとか、そういったことについて、多くの国民の皆さんに認識をしていただいて、犬や猫を飼う際の選択肢の一つとして、そういうことに気がついていただくというようなこと。あるいは、さらに一般家庭以外の場で犬や猫が活躍できる場というのをどうやってつくっていけるかといったことも含めて、環境省としても努力はしていきたいというふうに考えているところでございます。

 運動につきましては、先ほど子犬の運動についてのご指摘ございました。たしかに子犬の段階で運動を無理にさせるということについては、子犬の健康に影響があるというようなことも認識はしているところでございますけれども、それは必ずしも子犬を狭いところに入れておいたほうがいいということではなくて、子犬が自分の意思できょうだいの犬とじゃれあったり、あるいはある程度広さのあるケージの中で、ときには運動したりときには休んだりというような行動をするということについては、ある程度必要性があるのではないかというふうに考えておりまして、そういったことを前提として3時間という時間、そういった広い場所に出しておくということは、決して過大な基準ではないというふうに考えているところでございます。

 ケージのサイズにつきましては、たしかに設備の入れ替え等の課題が出てくるということは承知をしております。設備を大きなものに取り替えていくのか、あるいは飼養している犬をより小さい犬にしていくのか、数を減らすのか、いずれにしても期間が必要になるというふうに思いますので、どういった経過措置が現実的でよりよい飼養管理を速やかに実現することにつながるのかということについては、十分考えながら経過措置の検討をしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

【新美部会長】 はい、ありがとうございます。

 どうぞ。

【脇田委員】 ご説明のほう、どうもありがとうございます。

 ただ、説明を聞いている限り、やはり実態調査が足らないと感じます。どのくらいのデータをお持ちであって、提示できるものがもし、あるのであればしていただきたいと思います。

 事業者にとっては、あるいは犬・猫にとってはこれだけの大きな影響を及ぼすということでありますから、広範囲な調査と慎重審議が必要だと考えております。調査の上、継続して審議していただくことを強く願いたいと、そう信じております。

 また、私たちこのペット業界も死活問題ぐらいの考えでおります。この業界の家族をみんな養わなければいけないということを考えますと、67万人の家族の保証がやっぱり必要となってきます。それに対しての、やはり十分な調査、審議がされないまま、このまま継続が打ち切られるということであれば、やはり再審議していただくなり、継続をもう少ししっかりしていただいて、今日決める、年内に決めるということではなくて、5年先でもいいではないかと私は考えております。

 やはり生き物扱う以上、それだけの責任はある。それだけの資料も必要だと思います。やはり実態調査をしていただく事例をもう少ししっかり踏んでいただいて、せめて1/3ぐらいは事業所を見るとか、そういうものを各自治体に指示していただき、多分、自治体はそれなりに調査できるはずなんですね、それだけの登録をしておりますから。

 その辺をしっかり考えて、今回のご回答いただけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 どうもすいません。以上です。

【長田動物愛護管理室長】 ご指摘、ありがとうございます。

 実態調査について、どの程度の事業者をどのような手法でどれだけ網羅的に調べるべきかというところについては、いろんな議論があるというふうには認識をしております。

 先ほどご説明をさせていただきましたように、今回の基準の具体化にあたりましてはさかのぼってみますと、まず動物愛護管理基本指針の策定の際に犬猫適正飼養推進協議会さんに昨年11月にヒアリングをさせていただいた後、検討会の中でも飼養管理基準についてのヒアリングをさせていただいております。

 さらに、また同じく犬猫適正飼養推進協議会さんのご協力をいただきまして、脇田委員にもご協力いただきまして、実際の優良ブリーダーと言われているようなところについて、飼養管理の実態を確認させていただく、現地調査を検討会としてもやらせていただきました。

 ヒアリングの中では3団体からヒアリングをいたしましたけれども、動物保護団体、2団体からは具体的な数値についての提案がございましたけれども、残念ながら犬猫適正飼養推進協議会さんからは、基準の具体化に対する懸念についてはご説明がございましたけれども、対案としての具体的なご提案をいただくことができなかったということは残念だったというふうにも思っております。

 今回、検討会で取りまとめをいただきました前後に、例えばブリーダーさん160数者の方々からは、私どものところにファックスが届いております。1人15頭という基準が、こんな厳しい基準ではやっていけないという観点からのファックスでございました。そういうふうに思っている方々からのファックスでございますが、実際に先ほど、私どももご説明をいたしました基準に当てはめてみますと、そのファックスの中には飼養している家族と、それから雇われている方の人数、そして雇われているパートさん等の労働時間が書いてありました。それを基に計算してみますと、これではやっていけないとおっしゃっている方の中でも、半分ぐらいは現在の基準を満たしているというようなこともございます。経営的に厳しくなるという声も確かに少なからず届いていますけれども、それでも実際に現行の基準に基づいて経営をされておる事業者も一定の割合おるということであろうかというふうに思っております。

 ほかにも、私どもは幼齢犬猫の販売規制に係る調査をした際にも、これも事業者団体の皆様にご協力いただいて、各ブリーダーの飼養頭数や職員数等についても調べさせていただいておりますけれども、ほとんどの事業者が満たさないということではなかったというふうに考えております。

 不適切事業者をなくしていくというのが今回の基準の最も重要な目的でございます。特に不適切事業者というふうに私どもは考えているのは、現行状態で基準を満たさず、かつその基準を改善していく意思がない、よりよい飼養管理を実現していこうとする意志のない事業者でございます。実際には各自治体の職員が、そういった事業者の方々の指導に大変苦労しているという声はたくさん届いています。決して、割合として非常に少ない、極々一握りの事業者というふうには言い切れないのではないかというふうに考えております。

 事業者の皆様からも、プレスリリース等で行き場を失う犬が13万頭とも出てしまうというような話も出ていますけれども、この13万頭というのは仮に基準の具体化が行われて、現在、ご提案をしている基準が適用されたとしても、誰一人、譲渡に向けて努力をしたり、雇用している人を増やしたりすることをしなかった場合として出ているわけでございます。

 販売される犬・猫は年間50万頭ぐらい、日本で飼養されている犬の数が推定で900万頭程度いると。行政が譲渡している犬の数は限られております。3万頭前後ということですけれども、飼い主から民間の譲渡団体の手を通って一般の方に譲渡される犬も、それをはるかにしのぐ数がいるというふうに推定するのが妥当だというふうに思っています。

 そういった中でも、今の形で何も問題なく速やかに、新しい行き場を犬たち、猫たちが獲得できるというふうには考えておりませんので、そういった環境整備については努力をしていく必要があるというふうには考えておりますけれども、今回、5年おき、7年おきぐらいになりましたけれども、行われた改正法の中で、犬・猫についてはできる限り具体的にと。そして、従業者の員数についても定めよという規定が置かれたということは、これは速やかに対応すべきという立法者からのメッセージだというふうに思っておりますし、その施行時期が公布から2年以内、来年6月までということになっていますので、来年6月までに一定の答えを出さなければいけないというふうに考えているわけでございます。

 本来であれば来年6月に適用されるというのが、最も適切な改正法への答えなわけでございますけれども、それには、あまりにも事業者の皆さんに対する準備期間が少なすぎるということも考えますと、やはりそこについては経過措置が不可欠だというふうに考えております。経過措置の中身についても、今いただいたご意見等も踏まえてしっかり検討してまいりたいと考えていますので、ご理解をいただければというふうに思っております。

【新美部会長】 はい、ありがとうございます。

 ほかにコメント、ご意見ございましたら。

 どうぞ、山口委員ですね。お願いします。

【山口委員】 移動販売についてお尋ねしたいんですけれども、先ほど輸送のところで、輸送2日以上その状態を目視によって観察すること、これは別の事業所に輸送したときもそうするというふうにご説明あったと思うんですけれど、ということは、移動して販売する販売先をこの事業所とみなしてよいということでしょうか。

 そうしますと、検討会のほうで本当にご苦労なさってつくってくださった基準をこの移動先で販売するところの施設に対しても適用するということになると思うんですけれども。

【新美部会長】 それでは、ご説明お願いします。

【長田動物愛護管理室長】 今、ご指摘をいただいたのはおそらく移動販売等に関することではないかと思います。

 この規定自体は、ある場所からある場所に動物を輸送した場合には、輸送した先で2日間はその状態を確認しなければならないということでございまして、例えばその移動販売について、様々な問題があるということございます。改正法の中で、移動販売につきましては、販売時の説明責任について、その事業所においてという規定が今回の改正で入っておりますので、動物取扱業の登録を受けた事業所でなければ販売ができなくなったということがございます。移動販売は、これまで運用上登録を受けずに24時間以内であれば販売ができるということがございましたが、今回の法改正とこの規定によってしっかりした設備がない場合には、販売が実質上できなくなるというふうには考えてはおります。

 ただ、これ自体は移動販売そのものと言いますよりは、輸送による動物の負担、輸送後の状態確認というのを前提とすることで、より適切な管理を目的とさせるということを目的としたものでございます。

【山口委員】 そうしますと、実際に移動販売をもしもやった場合、移動先の設備については、事業所の設備と同じものでなければならないということですよね。

【長田動物愛護管理室長】 例えば、先ほどご説明しました、飼養するケージのサイズ等々、様々な基準がどんな形であっても適用されることになりますし、そこに自治体側の登録の審査の目が入るということになりますので、これまでとは大幅に変わってくるというふうに考えています。

【山口委員】 はい、ありがとうございます。

【新美部会長】 ほかにご発言。

 じゃあ、どうぞ。山崎委員。

【山崎委員】 幾つかございますけど、今の移動販売のところからちょっと繋げてお聞きしたいんですけれど、2日間その状態を観察すること。これは要するに一つの例えば、企業体がここからここへ移して、ここで2日間観察をするという義務を担うということなんですか。

 例えば、販売という形でかなり長い距離を移動しますし第二種に当てはめるとしたら、今、SNSで非常に譲渡が進んでおりますので、私が知っているケースでも山口県から栃木県まで犬が来たとかっていうことも実はあったりしますよね。そういうときの、この観察をする義務っていうのは誰にあってどのような報告にそれが繋がるのかというあたりをちょっとお聞きしたいなと思って。

 第二種と第一種の境界線がちょっと、このいただきました資料を昨日から読んでいて思うことがあります。先ほど来からちょっと脇田委員が問題にされている1人当たりの犬の数もこの資料では繁殖犬、販売犬となっていますけれど、第二種の場合はかなり抱えてらっしゃる団体さんもいらっしゃいますから、それの一人のスタッフあたりの抱えることができる犬や猫の数というのも、やはりこれと同じように定められるのか、その辺り第一種、第二種の区別をどういうふうにやっていくのかということにちょっと疑問がございますので、ちょっと明確にしていただきたいと思います。

 もう一つ、先ほど室長が13万頭浮いてしまう犬・猫がおっしゃいましたけれど、恐らく委員の方、皆さんネットでも脇田委員のところを初めとして、幾つかブリーダーに関する調査のデータが、私は読売デジタルで見ましたけど、朝日デジタルとか共同ニュースにも出ていると思うんですね。そこで数えてみたら、廃業するという方から出てくる犬や猫、それから減らさなきゃいけないから出しますとおっしゃった方々の数を足してみると、何か30万頭近いような数になってしまうというちょっと肌感あったんですけれど、それは逆に脇田さんに伺ったほうがいいのかもしれないと思うので、その辺をちょっと申し訳ありません。何かばらばらと幾つもよろしくお願いいたします。

【新美部会長】 まず、環境省のほうからお願いします。

 まず、移動の件でございますけれども、移動についてはA3の横長資料の2ページの一番下のところにございますが、その飼養施設に輸送された犬または猫についてはという規定にしていますので、義務がかかるのは移動先の施設を管理している管理者であります。事業者が変わっても変わらなくても、到着した先の事業者は2日以上、その状態を見なければ、さらに譲渡や販売をしてはいけないということになります。ここは第二種であれば譲渡業者ということになります。

 それから員数についても同様にかかります。日数規定は飼養または保管する動物の犬・猫の数ということでして、それを繁殖する場合と繁殖する場合以外に分けているだけでございますので、ここの員数規定については第二種事業者にもかかってまいります。

【新美部会長】 後者の点は脇田委員に聞いたほうがいいのかな。

【山崎委員】 すみません。ちょっと脇田委員に確認したかったので、ブリーダーさんたちの実施されたリサーチがちょっとネットで出ていて、実際に概算してみると、先ほど室長が13万とおっしゃいましたけれど、なんか30万頭近い犬や猫が宙に浮くような肌感があったのですが、それは脇田委員のほうで何か数字的な確認をしていただきたいのですが。この場で教えていただければ教えていただきたいと思います。

【新美部会長】 何か情報を持っていらしたらどうぞ、お教えいただきたいということです。

【脇田委員】 情報というか、今回の頭数をどこまで頭数と、ブリーダーさんとか数を数えている、例えば扶養家族でも老犬でかわいそうで飼っているという方たちが結構多いですね、高齢者のブリーダーさんだと。それを数に入れて数えていくかどうかというのが、一つの数字の違いというか。総数でいけば多分、おっしゃるぐらいになるぐらいの可能性ってあるんですけども、実質、業として私たちがやって、今繁殖ができる子たちからすると13万とぐらいだという試算ですね。

 だから、扶養家族の部分を考えると多分、先生がおっしゃったような数字にはなると思います。

【新美部会長】 よろしいでしょうか。

 あと、ほかにコメントを何か。

【山崎委員】 ちょっと疑問というか、環境省がその辺りはどのように考えておられるのか、例えば、引退した犬などの継続飼育をするという形は、この中では認められるのか、認められないのか。どこに落としどころがあるのかをちょっと教えいただけますでしょうか。

【長田動物愛護管理室長】 重要なご指摘ありがとうございます。

 ちょっと定かではありませんが、先ほどの13万頭と30万頭の差というのは、例えば事業者さんで一人、例えば繁殖犬15頭というキャップが適用されたときにそこからはみ出す分を積み上げると13万頭で、その事業者が飼っているものを全部足すと30万頭とか、そういうことである可能性もあるかなと思いますけれども、引退犬について、すみません。説明を端折っておりまして失礼しました。

 今回の員数規定は、先ほどのA3横長資料の2ページにございますけれども、繁殖の用に供することをやめた犬または猫は除くとしています。親と同居している子犬、子猫も除くとしています。子犬、子猫を除くのは当然生まれる前から数のコントロールができないということもございますし、親と一緒に管理するということで、先ほどの員数規定の算出の根拠にもうまく子犬・子猫分が入っているということございます。

 引退につきましては本来、動物取扱業としてみたときに、繁殖業が引退した犬を飼うことが業であるかどうかという本質的な課題がございます。

 具体的に申し上げますと、現場で起きる可能性がある問題は、引退したものについては、これは頭数規制に入れるとなれば、飼養施設からはじき出されるということになります。見えないところで飼われてしまうとか、当然違法ですけれども、そこで処分されてしまうというようなことも起こり得るということで、引退した犬・猫については、今回の飼養頭数の基準の中には、算出には含めないというのになっております。

 実際には、いろいろな形で繁殖に取り組んでいる方がかなりの割合の引退した犬や猫を手元に置いておくという方もいれば、5歳ぐらいで全て引退させたものは譲渡に出すという方もいらっしゃいます。少なくとも平均年齢が14歳、15歳といったものについて、今回のような原則として7歳というような繁殖年齢を適用した場合に、やはり残りの半分の生活をブリーダーの元で、全くそのブリーダーにとっては利益にもならないわけですけども、過ごすということが基本形であるかということについては、様々な見方があるのかなと思っています。

 法律では平成24年の改正の中で、事業者に終生飼養の義務が課されましたので、これは終生飼養の義務が課されながら一人15頭なりの基準を満たしてくのは並大抵のことではないというふうに思っております。

 一方で、実際に繁殖を引退している犬を全て抱えている事業者というのは基本的にはいないというふうに考えておりますし、全体として考えたときにはやはりそういった犬についても、最終的には一般の家庭に譲渡されて残りの暮らしを、人にも幸せを与えながら過ごしていくというのが一つのあるべき姿なのかなというふうに思っていますので、そういったことも含めて総合的に考えたのが今の案という形になっているところでございます。

【新美部会長】 はい、ありがとうございます。

 それじゃあ、佐伯委員、その後、打越委員という順でご発言をお願いします。

【佐伯委員】 佐伯です。

 まず、今回かなり数値基準を出すに当たりましては、様々なご苦労があったと思います。検討会の武内委員長を初め、委員の先生方に敬意を表したいと思います。

 私、臨床獣医師でありますので、まずその観点から二つ質問をさせていただきたいと思います。

 一つは、6番の繁殖に関わるところ、特に帝王切開に関する記述のところで、帝王切開を行うに当たっては獣医師に行わせること書いてありますけども、一般の方からすればそれは当たり前ではないかということだとは思うんですけれども、現状としては多くはないとは思いますけれども、私も経験はありますけれども、業者の方がやられるということが実際にあるということを踏まえて、この記述だと思います。

 その問題としましては、獣医師法上の問題があると思います。自己所有のもので、緊急性があるということを盾にしているんだと思いますけれども、やはりこの帝王切開の回数制限について、今回は見送った理由の一つとして、私も同意見ではありますが、これは純然たる医療処置でありますので、獣医療措置でありますので、術者の経験や技量、それから術後の管理によって適当だと思われる回数が異なってきます。また、母体と胎児を救うための緊急治療でありますので、回数を設けるというのは、一律に回数を設けるのはどうかと思うところがあります。

 そういった中で、この問題は先ほど申し上げたように獣医師法との絡みがありますので、農林水産省とのすり合わせは行ったのかどうか。それについての見解をお伺いしたいというのが一つです。

 それから、もう一つが、様々な獣医師が診断書を書いたりとか、健康診断を行ったりと、あるいは出産に関しても様々な判断をするということが記載されておりまして、私どもとしては、責任を感じるところであり、襟を正さなければいけないというところではあるんですけれども、ただ、今までも繁殖業者さん、販売業者さん、いろんな犬たちを見てきましたけれども実際、私どもが指導させていただいても、それに従っていただけないケースはいろいろありました。それから、値引きなどの交渉をされたりすることもありました。

 ですので、そういった獣医師に対する対応というのも問題があるのかというふうには感じます。

 そんな中で、不当な要求をされたりとか、あるいは私どもの指導に従わなかった例に対して、行政の獣医師は指導する権利があったとしても、私たちには口頭で注意するとか、指導するしかないわけで、そういった今回の事例では、おそらく臨床獣医師が、そういった違反事例を目にするということは多々考えられる中で、臨床獣医師がどのようにその違反事例に対して対応したらいいのかということをちょっと今日、お教えいただきたいと思います。

 この2点、お願いいたします。

【新美部会長】 それじゃあ、どうぞ。事務局のほうからお願いします。

【長田動物愛護管理室長】 はい、ご指摘ありがとうございます。

 まず、その今回の基準案の検討に当たって、農林水産省とのすり合わせということでございますけれども、当然、獣医師法の所管をされておりますので、農林水産省には案を検討していただく段階で、こういう議論が検討会の中でございまして、こういったことを動物愛護管理法の遵守基準の中に定めていく方向で検討していますという情報提供はさせていただいておりまして、農林水産省からは特に、それについてのご異論はいただいてはいないというところがあります。

 少し補足をさせていただきますと、獣医師以外の人が帝王切開をやるということの、動物愛護管理法全体としての受け止めというものが重要ではないかというふうに考えております。

 と申しますのは、獣医師以外のものが本来、帝王切開をやろうとしたときに一体どういうふうに、どういうものを使ってやるのかということを考えますと、麻酔はどうやって使うのだろうと。麻酔薬はどうやって入手するのかというようなことも総合的に考えてまいりますと、麻酔を使うとなれば本来、麻酔薬、例えばケタミン等であれば、獣医師以外は使えないということになりますので、それは薬機法なり獣医師法なりの違反になる可能性がございますし、仮に麻酔を使わないで帝王切開をするとなれば、これは動物に対してみだりに苦痛を与える行為として、動物愛護管理法44条で規制をしている動物の虐待に当たる、みだりな殺傷に当たるというふうに言える可能性は十分にあるというふうには考えております。

 こういったことを総合的に考えますと、動物に対する虐待のおそれがあった場合には、この部会でも佐伯委員からご指摘をいただいて、その判断をどうやってやるのかと。現場ではかなり難しいというご指摘もいただいていますけれども、そういったことを具体化していくという作業の中で、事業者において不適切な動物の取り扱いが行われている場合についても、虐待のおそれの通報義務と合わせて、獣医師の皆さんから情報提供をいただく仕組みというのも考えていただかないといけないのかもしれないというふうに思っております。

 いずれにしましても、その虐待についても、こういった課題があるものですから、来年度、環境省としては虐待について、通報のスキームですとか、通報を受けた場合の行政の対応の仕組み、こういったものをガイドラインとして整理をしていきたいというふうに考えておりますので、そこでまた、いろいろと具体的な情報も教えていただきながら実効性のある対策の仕組みというものを一緒に考えていただけたらというふうに思っております。

【新美部会長】 よろしいでしょうか。

【佐伯委員】 はい、ありがとうございます。

 それでは、もしそういった指導に従わないとか、例えば自らの判断で治療されているとか、何かそういう不適切な事例があれば、獣医師に課せられたその虐待の通報義務のところで行政に通報するというようなことでよろしいでしょうか。

【長田動物愛護管理室長】 必ずしも虐待に当たらないケースもあると思いますので、その虐待の通報スキームをうまく活用しながら、その他の不適切事例についても、先ほど申しましたような行政によるレッドカード運用というか、厳格な対応というのを総合的に進めていく中で、また獣医師の先生方のご協力をいただくような工夫ができないかなというふうに考えております。

【佐伯委員】 ぜひ、そういった制度かも含めて、法律ができる以上は公平に適用されるようにということは制度上もお願いをしたいところです。

 ありがとうございました。以上です。

【新美部会長】 はい、ありがとうございます。

 今の点に関連してきますと、獣医師の資格のない人が手術をしたら、これはもう格別の事情がない限り、虐待にあたるというふうに理解していいんじゃないかと思います。これは通常の人の医療でも、医師の資格のない人が手術したら傷害罪になるわけですから、そういう類推をするだけでも虐待以外はあり得ないというくらいに考えてもいいんじゃないかと思います。

 それを踏まえた上での手続きというのは今後、整備していく必要があるだろうというふうには思います。

 それじゃあ、打越委員、どうぞ。

【打越委員】 まず、今回の検討会の資料、それから検討会の議事録なども何度も拝読させていただきまして、専門家の先生方が動物の体の負担や衛生面のことを考え抜いて基準をつくられたということに、まず本当に心から敬意を表したいと思います。

 そういう中で、幾つか申し上げたいことがあるんですけれども、先ほどの脇田委員のご意見の中で、その不適正な事業者が残ってきてしまったのは、行政の放置にも責任があるのではないかというご発言があったことについて、それは幾ら何でも言うに事欠いてではないかと思うので、一言申し上げたいと思います。

 この動物の取扱業者の問題というのは別に、この1年、2年で始まったことではなくて、2005年の法改正の時に登録制になり、2012年のときに様々な、そのときにも数値基準という話があったわけですけれども、そのたびに自主努力、自主規制というふうに業界側が発言なさるのを信じようということで、ここまで来たところだと思います。

 ですので、もし自主規制、自主努力ということであれば、劣悪なブリーダー崩壊などがあったときには、まず真っ先に業界団体の長が記者会見を開いて釈明するぐらいの覚悟と誠意が欲しかったと思いますけれども、そのブリーダーの崩壊があるたびに、批判を受けるのは自治体の職員で、なんでいつまでも対応しないというふうに言われてきて、本当に自治体の担当者というのは苦労してきたところだと思うんですね。そうでありながら、それは行政が放置した責任だというふうに発言なされてしまうと、全国の自治体の獣医師職員から見れば、やはり許しがたいという気持ちになってしまうと思いますので、行政の責任ということは、ちょっとなと感じました。

 また、実態の調査をしていただきたいというのも、業者のニーズ、声を聞くだけはなくて、もし、そうであるならば、ブリーダーの施設を全て、自治体の担当者がもう本当にすぐ行ったときに、すぐに中へ入らせていただいて、写真を撮らせていただいて、その写真を全てインターネットに載せさせていただいて、国民的な議論ができるように協力していただけるのであれば、ブリーダーというのはこういう施設なんだということで、思ったよりきれいだねとか、こんな業者もあるんだねということで、国民的議論もできると思いますが、その情報提供をしてこなかったのは、私は業界団体の側ではないかと感じていますので、脇田委員のご発言に対して、少し違和感があったというところを申し上げさせていただきました。

 その上で、あらかじめ環境省の側が用意してきた基準案について幾つかリクエストと、そして、今後の課題について申し上げさせていただきますと、基本的に基準に異論はありませんので、時間短縮のために余計なことは言いませんが、健康診断は年に1回受けさせるという、この健康診断とは何だろうというのが気がかりでした。目視だけで、毛並みもいいね、痩せてないねで終わりではなくて、私は年に1回なら、必ず血液検査をすべきだと感じます。肝臓とか腎臓とか、様々なものが分かるのはやっぱり血液検査ですので、血液検査を健康診断のところに入れてほしいなというのが環境省へのお願いです。具体的すぎて省令に入れるのかどうか分かりませんけれども、入るか分かりませんけれども、私は血液検査が大事だと思っています。

 その上で、行政学の研究者として今後の検討課題について3点ございます。

 まず一点目は、やっぱり経過期間の設定は必要だろうというところでございます。やっぱり、すぐに変革に対応できない業者さんへの指導、あるいは相談に乗る体制というのが必要であります。

 今回、私のところに動物愛好家だけでなく、やっぱり繁殖業者さんから多数の要望書が届いております。多くのその要望書の中には、やりすぎだとか、収入がなくなるということで、基準の導入に反対する意見が多い中で、一つ心に残ったファックスがありまして、少しずつ手放すために猶予期間をくださいと書いてきて、それ以外のことは書いてない業者さんがおりました。要は、基準の導入については納得していると。その上で少しずつ減らすための猶予期間をくださいというふうに書いてきた方がいて、それはとても誠実な要望だなというふうに私は感じました。この経過期間の間、動物を配慮するというのが大切な時代の価値ではありますけれども、その間、全ての動物の販売業やブリーダー業を全て否定して、蔑視するような発言をしてはならない。それは私たちも気をつけなければいけないと考えました。

 経過期間に関しては、自治体側の体制整備もあると思いますので、既に環境省の説明があったとおり、経過期間に何を検討していくのかというものこそ、待ったなしで考えなきゃいけないところかなと思っておりますので、私も知恵を出したいと思います。

 2点目は、私は業界の構造全体も意識していくことが大事だというふうに思っています。ブリーダーさんから犬や猫の数を制限されたら、もう生活の糧が成り立たない、廃業する、困っているという声は届くんですけれども、それは1頭当たりの価格が低いからではないかと。今後、もしも市場に出回る犬や猫の数が減るならば価格が上がっていくはずで、努力をした良好なブリーダーが報われる、利益を得られるような市場構造にしていかなければならないと思うんですね。

 ところが、現実にはそう簡単にいかない可能性があって、というのは結局、ペットオークションとか、ペットショップのバイヤーが犬や猫を商品として値付けをする。安く買いたたく、あるいはこれが小さいほうが人気が出るとか、毛並みの色がかわいいからと言って、大切に育てられた犬や猫の価格があるんではなくって、売れ筋であるもの、つまり本当に商品として、ものとして価格をつける。この流通構造、取引構造まで考えていかなければ、努力をしたブリーダーが報われないことになります。数が減ったとしても、いい育て方をしている犬は、例えば新しい飼い主さんが直接かなり高い値段でも買って、喜んで出してくださる、そういうような卸売業者、ペットオークション、そしてペットショップのバイヤーですね、店員さんではなくて、バイヤーの問題。そういったところまで私たちは考えていかなければいけない、そういう段階に入っているんじゃないかなと思います。ですので、ブリーダーだけを放置、取り残してしまうべきではないと思っています。

 そして、第3の課題として、やはり消費者教育というものがあると思います。1度、犬や猫を飼えば、いろんなこと勉強して優れた流通のことも考えようという人になるんですけれども、本当に初めてペットを飼うという人は、これから先も社会に生まれ続ける。若い人とか、若いファミリーという方々はいると思いますので、そういうその犬や猫を飼いたいという人にどういう流通経路で、あなたのお家のわんちゃん、ねこちゃん、あるいはそのあなたのお家の犬や猫のお父さん、お母さんがどんな状況で育てられているのかを考えてくださいというような情報発信も、私たちはしていくべきだと思っています。そして、数値基準ができれば、それを全国の自治体のホームページで、こういうブリーダーがいいブリーダーですと、正々堂々を書けるようになってくると思います。そうすることで消費者がペットを飼おうと思ったときに、うちの、ここのショーケースに入っている犬や猫のお父さんやお母さんはどういう状況にあるんだろうと思いをはせられるような、そんな情報発信、消費者教育をあわせて自治体の側にもお願いしていきたいと、環境省などにも願いしていきたいと思います。

 いずれにせよ、この基準をどこまで徹底できるかは行政側の体制整備とか、業界の自主努力であるとか、そして消費者の姿勢など多面的な要素が関わってきます。悪質な業者は淘汰する、良質な業者を守る、それらが動物の愛護の気風を守ることと、きちんと管理することだと思いますので、本当に議論を続けていかなければいけない課題だと思っております。

 本当に、こういう議論のきっかけを与えてくださるほどの基準を作ってくれた検討会に改めて敬意を表したいと思います。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 ほかに、ご意見はございますでしょうか。

【藤井委員】 藤井です。

 今日は最後のほうの議論で、ペットフードの砒素の件もあるんですけれども、私自身はペットフードの安全法の規格基準という案の作成に10年以上関わってきたという経験があります。

 食品安全のルールづくりというのは、根拠をなくして政策立案とまできないというような、そういう世界ではあるんですけれども、今回の法律の改正で基本指針のところに、証拠に基づく政策立案ということで、Evidence Based Policy Makingということが入りました。

 ということで、今回の基準案の作成において、それがどういうような形で反映されて、この基準ができてきたのかなというところについて、少し明らかにしていただければなというふうに思います。

 例えば、その食品の対比ということで私自身はこう考えたんですけども、食品の場合、最初に専門家の人を中心に例えば、今回の砒素の件であれば、その毒性とかの健康への影響なんかを科学的に評価します。このリスク評価というのは、今回の飼養基準のことで言えば、検討会が行ってくださった作業ということになると思います。

 例えば、砒素の例で言いますと、自然界に広く存在している物質なので、実際に流通する魚や米などを使って製造や管理が可能なのかということが本当の意味での管理という、ルールづくりということになってくると思います。成分によっては食品の場合も例えば、毒性が知られていても即禁止になるとは限りません。

 例えば、国際機関の分類でもアルコール類というのは発がん性が高いというふうに認められていますけれども、それが禁止された場合、やっぱり人々の生活への影響とか、それから社会への影響とかということからリスクのトレードオフということが検討されるケースもあると思います。

 このルールづくりの部分については、リスク管理とも言われているんですけれども、ペットフードであれば、担当省庁のほうで原案をまとめて審議会でチェックをするというふうになります。

 ですので、どういう影響があるかということをそれなりに検討してから基準案というものができるということになるのかなというふうには思うんですけれども、今日の場合は基準案が出てから、世の中でこんなことが起こりますというふうになっちゃっているので、その基準案を出すまでの間に、何を練っているのかということについては少し課題があるのかなというふうにも感じました。

 ということで、今回の飼養基準で言えば、動物福祉の改善というところについては、もう検討会が出ていると思いますが、事業者とか社会全般に対する効果とか影響ということについて、事前にどういう調査をされたかということに関して、少し開示をしていただければなというふうに思います。

 今日は時間がないので、一個一個聞くことは難しいので、こんなことを聞きたいというものを私自身、今日は書き出して持ってきましたので、後でお渡しをしたいと思います。

 あとは、なるべく定量的に書けるような質問にはしてあるんですけれども、省内で調査検討されたことを書いていただきたいというのが一つと、あとは今回の基準案はでは、議員立法という原点があって、そこからもいろんな情報提供なんかがあってできた基準案だというふうにご理解をしておりますので、もし、私のほうでこういう情報があったらということについて、議員立法ということで、議員さんのほうからも情報提供とか、調べたものがあればそこに書いていただきたいなというふうに思います。

 以上です。よろしくお願いします。

【新美部会長】 ありがとうございます。これは要望ということで。

 ほかにはございませんか。

 どうぞ、お願いします。

【永井委員】 ちょっと時間なので簡単に確認だけをさせていただきたいんですけど、今回の数値基準が非常に具体的に出てきてすばらしいなというふうに思ったのが、まず最初の感想なんですが、この基準についておそらくもっと厳しくすべきだという人もいますし、もっと緩やかにしてほしいという人も多分いると思います。

 そういった中で、この基準が本当に正しいのかどうかということを見直す機会が必要なのかなというふうに思います。

 PDCAという言葉があるように、やはり初めてこういう数字が出た中で、この数字が正しいのかどうかを見直す機会がどこかにあればなというふうに思って、その検証をするような場があるのかどうか。

 基準を作ってこれからやろうというときに、最初から見直しという言い方はおかしいんですけれど、何かしらこれを検証する場を、機会を与えてもらえないのかなというふうに思いますので、その辺りは基準省令等どこかに入れられるようなところがあるんでしょうか。お聞きしたいと思います。

【新美部会長】 環境省のほうから何かありましたら。

【長田動物愛護管理室長】 先ほどの藤井委員のご指摘と永井委員のご指摘と重なるところがあると思うんですけれども、データに基づく政策立案というのが政府全体の大きな、これから目指していくべき方向ということにもなっております。

 今回も武内座長からもご指摘がありましたけれども、やはりこういった検討する際に必要な関連するデータ等が、例えば自治体が事業者の指導や登録事務を行う中で、デジタルデータとして蓄積されていれば様々なことにも活用が出来るのだけれどもというのが、座長提言にもそういった趣旨のことが入っておりますけれども、私どももここが今後、改善すべき課題となっているという認識はありますので、どういう形で整理をさせていただくのがいいのかについては、また検討させていただきたいと思いますけれども、ちょっとご指摘は宿題として受け止めさせていただきたいと思います。

【新美部会長】 ほかにはよろしいでしょうか。

【西村委員】 西村でございます。

 今回の答申というか検討の中で、すごく重要な部分が1つ欠けていると思います。これは犬種とか猫の種類によっては、非常に病気が多いとか、寿命が非常に短いというものがあります。臨床的に見ているとケージの大きさよりも、そっちを何とかしてほしいという気持ちは非常に強いですね。

 今回の中に入れ込むことは難しいのでしょうけど、将来的にそこの部分をやっぱりしっかり考えていかないと、わんちゃんとか、ねこちゃんは本当に生きているだけで大変みたいな子もいますので、その点についてはこの場で十分検討していただきたいと思います。

【新美部会長】 何か環境省のほうでありますか。

【長田動物愛護管理室長】 重要なご指摘だと思います。先ほど、省令案のポイントのところでも、犬・猫の品種の多様性や人の動物への関わり方について幅広い視点から国民的な議論が必要ということを入れさせていただいていますけれども、そこには本当に多分、獣医学的な知見であったり、事業者側の主張だったり、大変重要な情報があるんだと思います。先ほどのデータに基づくという話にも重なると思いますが、帝王切開でしか維持できない犬種というものを日本でどう考えていくべきなのかというようなことです。

 本来、欧米等では、やはりそういうことの議論はケネルクラブ等が主導しているケースが多いというふうにも聞いておりますけれども、事業者の皆さんとか獣医学的な知見をお持ちの方とか、あるいはこの問題に関心のある市民の方々とか、いろんな方々の意見を集めて議論していくということも必要なのかなというふうに考えておりますので、ぜひ、またそのときはご協力をよろしくお願いします。

【新美部会長】 ほかにはよろしいでしょうか。

 時間もあれですので、まだ、発言が。じゃあ、浅野委員。最後にします。

【浅野委員】 ごめんなさい、手短に2点です。

 資料3-2の施行規則のケージのところなのですけれど、飼養期間が長期間にわたる場合とあるのですけど、長期間というのがどれぐらいを意図しているのか。

 一週間、一カ月、一年、それぞれ主観があると思いますので、むしろこれは一時的でない場合というようなことが大事かなというふうに思います。

 資料3-2の8ページの飼養施設のところです。長期間にわたる場合は、ということで飼養施設の基準があるようなのですが、長期間というのは一時的でない場合というふうに直すほうがいいのではないかということです。なぜそう思ったかというのは、施設で、よくそのブリーダーの飼育崩壊というので、屋外の広いところで風を遮らないようなところに犬がたくさんいて、そういう場合は、施設がなくて、運動スペース一体型でいいのか、という、その辺の今後ガイドラインをつくるときに意識することになると思うのですけれど、そことちょっと絡めて思いました。

 あと、もう一点だけすみません。室長からは今後という話があったんですが、法律的に見ると今回、第21条1項の改定、2項になりますけれども、それは共通基準があって、さらに3項で犬猫については、それはより具体的でなければならないとあります。

 だけど、今回は時間もあって犬・猫だけが先にきたと。今後、後から犬・猫以外の共通基準もやりますというんですけれども、やはり犬・猫以外の、特にエキゾチックペットは再三申し上げているんですけど、獣医師の協力も簡単に得られないで生理・習性に沿う、飼養方法をきちんとしたところで飼育されていないものが多いです。私がまちを歩いみても、フクロウカフェとか動物園といっても、適正じゃない動物園もあります。

 そういうところで、犬・猫に比べてより個体の保護とか、公衆衛生保護という面、いずれの面からも規制の必要性が高いので、早急に作業を進めていただきたいと思いますし、せめて、捕食動物と被捕食動物を混在で展示、保管をするのはやめるとか、冬眠時以外で水を要する場合、清潔なものを置くとか、そういうことぐらいは今回、犬・猫のほうでも錆とかそういうものがない施設を使うとかというのがありますので、そういうものを入れるだけでも、改正をなるべく早くしていただきたいということがあります。

 以上です。

【新美部会長】 ご要望ということで伺っておきます。

 時間も司会の不手際で大分押していますので、ご議論は以上にしたいと思いますが、先ほど永井委員がPDCAを回すということを考えていったらどうかということですが、これは命のある動物について、その環境をどうするかということですが、大きな目で見れば品質管理の問題でありますので、これはPDCAという考え方には馴染むというふうに思います。

 今回、検討会から出てきた案というのは、最初のPの原案をつくっていただいたということだと思いますので、科学的な知見に基づいて取りあえず犬・猫に関しては、こういう成育環境というものをまずやってみようではないかというご提案だというふうに理解しました。それについては委員の皆様から様々なご意見をいただきましたし、これはここで原案としつくるというときにも申し上げましたけれども、社会的な合意ないし社会的な認識というものが、それを支えるのに重要になると思いますので、これらのパブコメにかけて世の中の皆様がどう思っているのかを踏まえた上で原案といいますか、答申案をつくるということが必要かというふうに考えております。

 ですから、様々なご意見を踏まえた上でパブコメに書ける案というのをつくっていきますが、修正すべき点は修正するということは今日の考え方を承った上で行いますが、取りあえずはパブコメにかける原案について、座長の一任ということで事務局との相談の上でパブリックコメントの案を作成するということにしたいと思いますが、いかがでしょうか。そのような扱いでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【新美部会長】 ありがとうございます。

 それでは、そのような方法で進めてまいりたいと思います。

 それでは、次に今度、スケジュールについてご案内よろしくお願いします。

【事務局】 それでは、事務局のほうからご説明いたします。

 資料3-3をご覧ください。

 今後のスケジュール、予定についてでございます。ここまでの予定については省略させていただきます。本日が10月7日、第57回動物愛護部会ということで、第3次答申案についてご議論いただきました。

 この後、1カ月程度パブリックコメントを行いまして、12月頃に次回の部会を開催させていただきたいと思っております。年明け、令和3年の1月から2月頃に省令の公布を予定してございます。6月1日の省令の施行日はもう既に決まっておりますので、それに向けて、省令の公布を行うという予定でございます。

 また、改正動物愛護管理法につきましては、令和4年の6月施行部分、マイクロチップの義務化等ございますので、それに向けた審議も継続していただくという流れで考えております。

 以上です。

【新美部会長】 はい、ありがとうございます。

 それでは今後のスケジュールご了承、ご了解いただきたいと思います。

 それでは、続きまして議事(2)に入りたいと思います。

 既に予定の時間が過ぎておりますができるだけ要領よく、事務局からご説明いただきたいと思います。

 まず、ペットフード小委員会の結果についてでございますが、環境省のほうからよろしくご説明をお願いします。

【事務局】 私のほうから資料4の第6回ペットフード小員会の結果について報告させていただきます。

 このペットフード小委員会の位置づけですけれども、中央環境審議会動物愛護部会の下にペットフード小委員会というものを設けてございます。

 本日、新美部会長にもご参加いただいておりますが、この小委員会についても委員長をお願いしているものでございます。

 このペットフード安全法についてなんですけれども、こちらはいわゆるでありまして、正式名称は愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律でございます。こちらの法律は農林水産省と環境省の2省で所管をしている法律でございます。

 この第6回の合同部会は、この2省が所管している法律という下で合同部会を開催させていただいた次第でございます。

 その概要を報告させていただきます。

 議論の内容としましては、先ほど藤井委員からも言及をいただいたものでございますが、愛玩動物用飼料の砒素の成分規格の見直しについてでございます。

 資料4で原案の総砒素の成分規格と記載させていただいておりますが、こちら省令で規定されているものですので、「現行の」の間違いです。訂正させていただきます。

 こちらの議論ですけれども、平成30年の3月26日に開催しております第47回審議会において諮問の報告をさせていただいています。総砒素15㎍/gというものが省令で規定されておりますが、実際、砒素の中で無機砒素のほうが有機砒素よりも毒性が高いと言われております。また、当時報告させていただいた内容としてですが、無機砒素の基準を検討するに当たっては、無機砒素の分析法が普及した段階で検討する必要がある、その分析法策定のめどが立ったということをご報告させていただいております。

 それ以降、農林水産省の部会において、この審議がなされておりまして、結論に至った現行の総砒素の成分規格の削除、そして新しい成分規格の見直し案の議論がなされ、結論をいただきましたので、このたび、環境省と農林水産省の合同部会において審議いただいたものです。

 その審議の結果ですけれども、こちらの案のとおり、新しく無機砒素の成分規格を設定することで差支えないということの結論をいただいております。

 次に、スケジュールですけれども、今後、この審議会後にその旨の答申をいただき、パブリックコメント、そしてSPS通報など必要な手続きを行い、来年の1月、2月をめどに公布、半年程度の施行という形でスケジュールを考えております。

 以上、ご報告させていただきます。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 ただいまの報告につきまして、ご質問がございましたらお願いします。よろしいでしょうか。

 ご了承いただいたということで、次に移りたいと思います。

 第2点目といたしましては、愛玩動物看護師カリキュラム等検討会の検討状況についてという報告につきまして、事務局から説明をお願いします。

【事務局】 事務局でございます。資料5をご覧ください。愛玩動物看護師カリキュラム等検討会開催要綱というタイトルの資料でございます。

 愛玩動物看護師の国家資格化を定める法律が令和元年6月28日に公布されたところでございますが、公布から3年後の施行に向けて、共管省庁である農林水産省と連携して、ただいま施行準備を進めているところでございます。

 今回はカリキュラム検討会というものを立ち上げたということのご報告でございますけれども、第1回は8月24日に開催をしております。

 本検討会の開催要綱はご覧のとおりでございますけれども、この動物愛護部会の委員に所属しております西村委員が、この検討会の座長として検討を進めていただいております。

 また、浅野委員、佐伯委員、水越委員のほうもこの検討会の委員としてご協力いただいております。

 3ページ目の愛玩動物の愛護及び適正飼養分野に関する基本的な考え方というところは、今、この検討会で環境省として基本的な考え方として、資料として提供したものの一部でございますけれども、ポイントとしては二つ言及したいと思います。

 まずは3ポツにあります、今回、愛玩動物看護師という国家資格が確立することによって、動物愛護管理行政分野で指導的立場を有する動物愛護管理担当職員として、今後、愛玩動物看護師の職域の確立やその拡充が期待されること、そして一番最後のポツにございますけれども、改正動物愛護管理法によって、動物取扱責任者の要件にこの愛玩動物看護師が位置付けられましたので、今後は動物取扱業分野で愛玩動物看護師の活躍が期待され、事業者の適正飼養の促進が図られることが期待されるということについて言及しておきたいと思います。

 この検討会自体は、今年度中に報告書を取りまとめる予定でございます。今後も節目、節目でこの部会の機をとらえてご報告させていただきたいと思います。

 資料5のご説明は以上でございます。

【新美部会長】 はい、ありがとうございます。

 このご報告について、何か質問がありましたらお願いします。

 何かコメントございますか。よろしいですか。特にご質問等ございませんでしょうか。

 いよいよもって動き出すという、カリキュラムができるということですので、期待をしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、この件についてのご質問は特にないということで手続きを終わらせていただきます。

 それでは、その他の3番目のマイクロチップの義務化に伴う件について、基本的な考え方、ご報告をよろしくお願いします。

【事務局】 資料6をご覧ください。

 時間が限られていることから、最終ページについてご説明させていただきます。

 マイクロチップにつきましては、令和4年6月の施行に向けて検討を進めておるところですけれども、今後、登録等を担う指定登録機関の指定を行う必要がございます。

 現在のスケジュールでは、来年の令和3年度の上半期、第1四半期に指定等を行う予定で進めております。

 その指定に当たってですが、今後、指定登録機関の指定要件に関しまして、具体的にどういった要件を定めるかということの考え方を示したものになります。

 まず大きく四つ記載をさせていただいております。

 一つ目が、まず一番重要な登録に関し、各利用者の利便性を考慮し、滞りなくすることとして、1から5の体制を整備することとしております。①オンラインでの対応をとすること。②一般の利用者が利用するものであることから、高い使い勝手がいいものとすること。③情報セキュリティ等について客観的な保証をすること。④行政機関からの問い合わせに対して、指定登録機関がきちんと適切に対応すること。⑤マイクロチップの登録手数料の収納を実際に適切に行うこと、そして規定された狂犬病予防法上の特例措置についても収納代行を行うことを記載させていただいております。

 二つ目に関しては、国が整備する共通DBシステムがございますけれども、令和5年以降、実際に運用した後にあたっては、指定登録機関が保守・運用業務を実施すること、そして、その負担は指定登録機関が負担することを記載させていただいております。

 下から二つ目に関しましては、仮に指定登録機関が複数の者とされた場合を記載させていただいております。登録の収入ですとか、システムの保守・運用に関して、指定登録機関自らが調整をすることを入れ込んでおります。

 最後に、マイクロチップ装着義務化にあたっては、利用者の普及啓発ですとか、マイクロチップリーダーの配備等、必要な環境設備を行う必要があるとさせていただいております。

 こちらの基本的な考え方を基に今後、指定要件に関しては検討してまいります。

 以上です。

【新美部会長】 はい、ありがとうございました。

 それでは、ただいまの報告につきまして、ご質問がございましたらよろしくお願いします。

 はい、どうぞ。

【水越委員】 すみません、水越です。

 指定登録機関の指定をすることについて現在、マイクロチップの登録は複数箇所の登録機関があったと思うんですが、これを一本化するということでよろしいんでしょうか。

【事務局】 法律上は複数あった場合は、連携することという規定がございますので、複数になるということも前提で検討しているものになります。

【新美部会長】 特に一本化は考えていないということです。

 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、今日、ご審議いただく事項は全て終わらせていただきました。どうも熱心なご議論をありがとうございます。

 それでは、進行を事務局のほうにお返ししますので、よろしくお願いします。

【事務局】 座長、大変ありがとうございました。

 委員の皆様方におかれましては、長時間にわたってご審議、誠にありがとうございました。

 本日ご議論いただきました点を踏まえて、パブリックコメントの手続きに入らせていただきたいと思います。また、次回の58回の部会の日程につきましては、改めて事務局から委員の皆様に調整をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上もちまして、本日の部会を閉会とさせていただきます。本日はありがとうございました。