中央環境審議会動物愛護部会 第56回議事録

1.日時

 令和2年3月25日(水)13:00~14:20

2.場所

 環境省 第1会議室

(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館 22階)

3.出席者

 新美 育文  中央環境審議会動物愛護部会長

 浅野 明子  臨時委員    打越 綾子  臨時委員

 太田 光明  臨時委員    近藤 寛伸  臨時委員    

 佐伯  潤  臨時委員    武内 ゆかり 臨時委員

 西村 亮平  臨時委員    藤井 立哉  臨時委員

 水越 美奈  臨時委員    山口 千津子 臨時委員 

 山﨑 恵子  臨時委員    脇田 亮治  臨時委員    

4.議題

(1)動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等の在り方について(第2次答申案。「動物の愛護管理基本指針」の改正に係るもの)

(2)今後の検討スケジュール(予定)について

(3)その他

5.配付資料

資料1-1 動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等の在り方について(第2次答申案。「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」の改正に係るもの)

資料1-2 パブリックコメントとして掲載した改正動物愛護管理基本指針(素案)からの主な変更点とその理由(第2次答申案)

資料1-3 パブリックコメントの意見概要とそれに対する考え方について

資料2   今後の検討スケジュール(予定)について

参考資料1 動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律の施行等の在り方について(諮問)

参考資料2 改正動物愛護管理基本方針(素案)(第55回部会資料2-1)

参考資料3 動物の愛護及び管理に関する法律施行規則の一部を改正する省令等の公布について(令和2年228日報道発表)

6.議事

【事務局】 定刻を少し過ぎておりますが、これより第56回中央環境審議会動物愛護部会を開催させていただきます。

 本日は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、Web会議システムにより開催しております。

本部会では初めての試みであり、操作等の点で、また議事を進める上でお手間をいただきますが、事前にご説明しました操作内容等をご確認いただきながら、円滑な議事の運営にご理解とご協力のほどをよろしくお願いいたします。

 なお、会議の様子につきましてはインターネット上でライブ配信をしておりますので、ご承知おきください。一般傍聴者、報道関係者含めまして、こちらを通じてご覧いただくよう、事前に報道発表等でご案内しております。

 本日は当該部会の委員、臨時委員の17名のうち、現時点で12名の出席をいただいておりますこと、Web会議システムを通じ確認しております。

なお、松本委員、佐藤委員、稲垣委員、永井委員におかれては、ご欠席の連絡を受けております。また、近藤委員におかれては遅れるとのご連絡をいただいております。過半数の定足数を満たしておりますので、規定に則り本部会は成立していますこと、ご報告申し上げます。

 それでは開会に当たり、自然環境局長の鳥居よりご挨拶を申し上げます。

【鳥居自然環境局長】 自然環境局長の鳥居でございます。

 年度末の本当にお忙しい中、新美座長を初め皆様方にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

 また本日は先ほど司会からも話がありましたけれども、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、このWeb会議システム、私も審議会でこういう形で審議会に臨むのは初めてでございます。うまくいくことを祈念しておりますけれども、とにかく今日は、前回、1月23日の部会で改正動物愛護管理基本指針の素案につきまして、ご審議いただきました。そこでいただいたご意見を踏まえて、修正したものを委員の各先生にご確認いただきまして、パブリックコメントに付しました。

 今日はそのパブリックコメントのご意見を踏まえて作成した答申案について、後ほど事務方から説明をさせていただきますので、限られた時間ではございますが、審議をいただければと思います。いろいろご不便をおかけいたしますけれども、どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

【事務局】 続きまして、本日の資料についてですが、既に環境省ホームページに掲載してございます。なお、委員の皆様におかれては、いつも閲覧用にお配りしております参照資料も含めまして、お手元にご用意いただいていることと存じます。確認のほど、よろしくお願いいたします。

 なお、本部会の議事録につきましては、後日環境省ホームページにおいて公表されますことを申し添えます。

 それではこの後の議事進行につきましては、新美部会長にお願いいたします。

【新美部会長】 はい。皆様こんにちは。

 ただいまから座長として議事進行役を務めさせていただきます。

 先ほど来申し上げておりますように、Web会議のシステムで初めて開催するということになります。

 まだまだ慣れないところがございますが、スムーズな議事運営に何とぞご協力いただきますよう、お願いいたします。

 そのために簡単なルールを二つほど確認しておきたいと存じます。

 まず第1ですが、挙手マークをONにしていただいた方について、一通り確認した後、私から順番に「何々委員どうぞ」というふうに指名をさせていただきますので、事務局がマイクをONにしたことを確認してから、ご発言をお願いしたいと存じます。それが第1点でございます。

 第2点でございますが、発言が終わりましたら最後に必ず「以上です。」ということで発言の締めくくりをお願いしたいと存じます。この後はこの繰り返しになってまいりますので、よろしくお願いしたいと存じます。

 本日の審議内容でございますが、先ほど局長からもありましたように、議事1にありますように、本部会に託されております第2次答申の内容としまして、動物愛護管理基本指針の改正についてが主たる議事ということになります。パブリックコメントを受けまして本日は答申をまとめるという段階になります。本日議論していただく答申の内容について、まずは一括してご説明いただいたほうがわかりやすいというふうに存じますので、資料1-1、資料1-2、それから資料1-3について、あわせて事務局からご説明を申し上げたいと思います。

 それでは、まず事務局のほうから説明、よろしくお願いいたします。

【長田動物愛護管理室長】 それでは事務局の私のほうからご説明をさせていただきたいと思います。

 今資料、部会長からお話がありましたように3点ございますけれども、主に横長の資料1-1を用いて説明をさせていただきたいと思います。

 まず、簡単に経緯を確認をさせていただきます。

 まず、この動物愛護管理基本指針につきましては、10月8日付で関係する環境省令の改正とあわせて諮問をさせていただいたところでございます。10月には基本的な考え方を、11月には関係団体の皆様からのヒアリングを行いまして、12月には骨子案の議論。そして1月にはパブリックコメントにかける素案についてご審議をいただいたというところでございます。1ヶ月のパブリックコメントを経た結果を踏まえまして、最終案をこのような形で提示をさせていただきました。

 資料1-1の見方でございますけれども、現行の平成25年に改正されました基本指針が右側に、今回の改正案が左側に記載をされております。修正された部分、変更された部分につきましては基本的には下線を付しているところでございます。また、ごく一部ではございますけれども、パブリックコメントの結果を受けまして、修正をさせていただいたところにつきましては、赤で見え消しの修正をさせていただいているところでございます。最終の確認でございますので、少し長目にお時間をいただきますけれども、全体を通してご説明をさせていただきたいと思います。

 まず1ページ目でございますけれども、目次がございます。本基本指針の構成でございますが、動物の愛護及び管理の基本的考え方と今後の施策展開の方向、そして都道府県が策定する推進計画に関する事項、点検及び見直しという、大きく四つのパートに分かれております。

メインになりますのは第2の今後の施策展開の方向でございますが、こちらにつきましては基本的視点として4項目、そして施策別の取組として10項目が定められているところでございます。

 それでは2ページ目から順にかいつまんでご説明をさせていただきたいと思います。

 第1、動物の愛護及び管理の基本的考え方でございます。動物についてそれをみだりに殺したり傷つけたりすることはよくない。生理、生態、習性等を考慮して適正に取り扱う。またその動物の命に対して感謝や畏敬の念を抱き、その取扱いに反映させるといったことが書いてあるところでございます。

 また、動物の利用等についても厳粛に受け止めることが必要だ。優しいまなざしを向ける態度が望まれる。まずこういった動物の愛護に係る視点が書かれた上で、次に3ページの後半ですが、動物の管理に関する事項であります。動物の所有者、占有者が社会的責任を十分自覚をして、支障を防止するような管理をしていくことが重要である。また、みだりな繁殖の防止など、行動に一定の制約を課す必要がある場合がある。それから恣意的な餌やり行為等が、好ましくない事態を引き起こしてしまう場合があるということにも留意が必要だということです。

 前回の審議会の中で、この動物の行動等に一定の制約を課すものの例としまして、動物の係留というものを掲げていたんですけれども、係留につきましては問題のある係留も多いので、あえて例示する必要はないのではないかというご指摘もあったことを受けまして、その点については削除をさせていただいているところでございます。

 さらに我が国全体では約3割の国民がペットを飼育しており、生活に欠かせない存在になっている一方で、さまざまな問題があります。世論調査の例も引きまして、否定的な回答というものも一定数存在する。加害者になり得るということへの意識が十分でない場合もある、適正な飼養に努めなければならないことを動物の管理のところで説明をしております。

 さらに次の5ページ目からですけれども、合意形成という観点につきましては、さまざまな動物の利用について例として掲げまして、こういったものが正当な理由をもって適切に行われる場合には、これは動物愛護管理法の精神に抵触するものではないということを触れております。

 また世論調査の例を引きまして、例えばけがや病気で回復の見込みのない場合に殺処分を許容できるという回答が4割というふうに、さまざまな考え方を国民が持っているところで、考え方そのものは多様であってしかるべきだということを触れながら、5ページの下のほうですけれども、動物が社会や自然環境に及ぼす正と負の双方の側面に関する知見の集積等が求められるということを指摘しています。

 ここでもともと「人間の営みが動物の世界に与える影響」という記載をしておりましたけれども、倫理的な消費等についてもこの基本指針の中で触れるべきではないかという指摘もございましたので、少し人間の営みというものをかみ砕きまして、消費行動等の個人や社会の活動というふうにさせていただきました。

 その上で社会的規範としての動物愛護及び管理の考え方は、やはり個人の考え方は多様でありつつも、普遍性・客観性の高いものでなければならないということで、丁寧な議論の積み重ねが必要だということについても触れています。

 第2が今後の施策展開の方向でございます。

 まず基本的な視点、1点目ですけれども、国民的な動物の愛護及び管理に関する取組の推進としまして、目指す社会の姿、行為規範の在り方等について、中長期的に検討していく必要があるということを述べているところでございます。

 7ページにいきまして、(2)でございますが、長期的視点からの総合的・体系的なアプローチとして、例えば科学的・客観的な知見の収集、Evidence Based Policy Markingといった考え方による施策の推進が、多角的な視点からも動物の取扱いの検討等が必要だということです。

 3点目は関係者間の協働関係の構築でございまして、動物愛護管理行政を所管している都道府県や政令指定都市、中核市以外のほかの市町村、あるいは地域のボランティアの方々や動物愛護推進員、こういった方々との連携というのも重要だという視点。それからさまざまな社会課題を同時解決を図っていくというのが、動物の愛護と管理の中でも意識する必要があることを触れているところでございます。

 4点目が施策の実行を支える基盤の整備でございますが、地域の拠点としての動物愛護管理センターの役割、あるいは国としての調査研究や研修会の開催等を通じた役割を果たしていく。こういうことを述べています。

 9ページの後半から施策別の取組、10項目を掲げております。動物愛護管理基本指針は10年計画でございますので、令和12年までにその実施が図られるように努めるというふうに規定した上で、10項目それぞれについて基本的な考え方を書いております。

 まず(1)普及啓発・多様な主体との相互理解の醸成でございます。

 それぞれの項目について、①として現状と課題、②に講ずべき施策というものを掲げておりますけれども、まずこの項目につきましては現状と課題としまして、動物の愛護管理の意義に対する国民の理解をさらに推進していく必要があるということ。

 また10ページの下のほうですが、さまざまな機会を捉えて教育活動や広報活動に取り組むことが必要。

 また講ずべき施策としましては、アに所有者等の責務についても積極的な広報。イにつきましては、今後の動物愛護・管理に関する考え方や行為規範について、中長期的に検討をしていく必要がある。それからウにつきましては、展示動物や学校飼育動物についてさまざまな問題点、効果、双方の観点から検討をして、以下、整理・検討することを書いております。

 2番目は12ページからですが、適正飼養の推進による動物の健康及び安全の確保並びに返還・譲渡の促進として、現在の犬・猫の引取り数や殺処分の状況等を踏まえまして、今後の課題について触れてございます。

 特に12ページの後半部分でございますが、地方公共団体が今回の法改正によって、所有者不明の犬や猫の引取りを拒否できる場合が規定され、それから早くから対策を進めてきた地方公共団体もあるというような、こういったことを踏まえながら、動物の適正飼養を推進しつつ、殺処分を減らしていくことが重要だということでございます。

 ここで1カ所赤字で見え消し修正が入っているところがございます。これについてはパブリックコメントでご指摘があったところでございますが、もともとが、殺処分を減らしつつ、動物の適正飼養を推進するという書きぶりでございましたけれども、ここは適正飼養を推進することによって、殺処分も減っていくということから、書き方は逆にしたほうがよろしいのではないかという指摘がございまして、そのご指摘を踏まえて修正したということでございます。

 講ずべき施策としましては、ここに販売時等における適切な説明ですとか、不妊去勢、所有明示措置の推進、地方公共団体における犬・猫の引取りの減少を図るということをしております。

 イにつきましては、殺処分を透明性をもって戦略的に減らしていくことが重要だということで、まずは譲渡の対象になる動物を減らしていく。それ以外の動物についても飼い主責任の徹底や無責任な餌やり防止によって数を減らしていくというところが重要だということでございまして、①~③の、今後はこの三つの区分に分けて、各地方公共団体における引取りや処分について整理をし、それぞれの実情に応じて、特に②の部分を優先的に戦略的に減らしていくということを規定をしたところでございますけれども、ここで1点、②の部分の定義ですが、もともと「愛がん動物、伴侶動物として家庭で飼養できる動物」と表現しておりましたけれども、実態上この部分の集計を行う際の実態把握の方法ですとか、これまでご議論いただきましたこの審議会の論点整理の3区分との整合、それからここも含めて幾つかご意見ございました。

 中には、例えば攻撃性がある個体であるから、譲渡する必要はないと判断をすべきでないといった意見もございましたけれども、基本的にはここは三つに区分した上で、最も計画的に減らす可能性が高い②の部分を戦略的に減らしていくという趣旨でございますので、その趣旨を踏まえつつ、これまでに行った実態把握の方法との整合性を図るために、②のところについて譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難という表現にさせていただいたということでございます。

 ウにつきましては、こういったことを踏まえて、中長期的な視点に立って地域の実情に応じて殺処分の考え方を整理をしていく。それからエにつきましては一定の団体譲渡の推進に向けてということ。オとしましては地域の拠点としての動物愛護管理センターの整備、それから15ページですけれども、カにつきましては虐待等についての通報への対応についての明確化、あわせて必要な体制の構築について検討すること、また警察との連携のより一層の推進等を規定しているところでございます。

 キにつきましては、終生飼養の趣旨の適正な理解が進む普及啓発に努めること。クにつきましては、不適正飼養に対する報告徴収・立入検査等が法改正で可能になったということに触れまして、地方公共団体の指導、監督強化に向けた環境整備について述べております。

 (3)でございますけれども、周辺の生活環境の保全と動物による危害の防止としまして、不適切な飼養あるいは法改正のことも触れておりますが、給餌・給水によって生活環境が損なわれるというような問題が発生しており、苦情等も依然として多い地域の実情にあわせた対策等が必要。

 また、いわゆる危険動物、特定動物については、愛玩飼養の禁止と規制強化が行われてございまして、さらなる厳格な法令遵守が求められるということを、現状と課題の中で触れまして、講ずべき施策としましては、まずアでございますが、住宅密集地等における地域住民の十分な理解のもとに行う猫の不妊去勢の徹底、給餌・排せつ物の管理などを実施する、いわゆる地域猫活動の在り方について検討を加え、適切な情報発信を行っていく。

 イにつきましては、生活環境被害防止、適正飼養の観点から、所有者等のいない犬やまた猫に対する後先を考えない無責任な餌やり行為は望ましくないということについて、普及啓発を強化するということを書いていたわけでございますが、ここにつきましてもパブリックコメントで多数のご意見がございました。適切な管理を行うことを前提とする猫への餌やりというのは、不適切ではないのだという趣旨の意見が多数出されております。当然私どもも同じ理解でございますので、アのところにも地域猫活動について検討を加えて情報発信を進めていくということを規定をしたわけでございますけれども、ここだけを見ると、猫に餌をやることそのものがよくないことだというふうに受け止められてしまうというご指摘も多数ございました。

 こういったことを踏まえまして、無責任な餌やり行為が望ましくないということはしっかりと確認をした上で、地域猫活動に対する理解の促進等を通じ、所有者等のいない子犬・子猫の発生を防止するための取組を推進するというふうに書かせていただいたところでございます。

 さらに17ページでございます。ウのところ。飼育問題につきましては、ガイドラインの作成について、それからエは特定動物の愛玩目的での飼養禁止の周知・遵守の推進。オにつきましてはその特定動物について、販売者に対する適切な説明に関する指導。カにつきましては、法令遵守に関する特定動物のための人材育成について支援するということでございます。

 (4)は所有明示措置の推進でございます。18ページのほうに参りますけれども、マイクロチップの販売される犬猫に対する装着の義務化等がございます。これを含めて、所有明示措置の推進の必要性について言及してございます。

講ずべき施策としましては、まずアとしましてこの法改正を踏まえた効果的な制度運用に向けた検討を行う。イにつきましては、現在は販売される猫に対する義務化がなされたと示しているわけですけれども、その義務化対象外につきましても普及啓発を進めながら、その範囲について検討をすることを改正法の附則を踏まえた施策として入れてあります。

 19ページでございます。動物取扱業の適正化としまして、さまざまな動物取扱業者の規制強化で、新たな制度の着実な運用を図る必要があるということに触れております。

 講ずべき施策として、ア、イ、ウ、3点、掲げています。動物取扱責任者要件の厳格化とさまざまな規制の着実な運用を図る。それからイにつきましては、地方公共団体による指導・監督の強化に対する国としての支援。それからウにつきましては優良な動物取扱業者の育成は、業界全体の資質の向上を図るような事業者の主体的な取組の促進ということ規定しています。

 (6)は実験動物でございます。この点につきましては、現状と課題の中で現在の仕組みでございます実験動物の飼養保管等の基準、それから基準の解説、そして「3Rの原則」等に触れまして、講ずべき施策としてア、イの2点を書いております。

 アにつきましては団体等と連携しながら、実験動物を取り扱う関係機関、関係者に対して「3Rの原則」、それから飼養保管基準の周知・遵守の徹底を進める。遵守状況については定期的な実態把握を行い、適切な方法により公表する。イにつきましては改正法の附則を踏まえまして、実験動物の飼養保管状況を勘案して、適正な施策の在り方について検討を加える。代替法の活用や使用数の削減等による適正な利用の在り方についての検討を加えることが規定をされていまして、関係省庁と連携をしまして、現行の機関管理体制の仕組みについてレビューを行い、その結果を踏まえて、必要な検討を行う。

 パブリックコメントの中では、この現行の機関管理体制を維持すべきだという意見があったり、逆にこのレビューの仕方に関する具体的な意見や現行制度が適切ではないという意見もありましたが、ここでは附則の規定ぶりをを踏まえて、記載させていただきました。

 22ページからは、産業動物の適正な取扱いの推進でございます。こちらについても現状と課題としまして、現在の産業動物の飼養保管基準の位置づけ、それを見直す必要があるということに触れた上で、講ずべき施策としまして今回法改正において畜産部局と公衆衛生部局の連携強化が盛り込まれておりますので、この具体的な在り方について検討を行うこと、それから基準の内容について周知をし、遵守の徹底をする。効果的な方法を検討し、実施することを記載しました。

 災害対策につきましては、23ページでございますが、現状と課題としまして、さまざまな活動が活発に行われているということに触れた上で、避難所や仮設住宅などでの受け入れが依然として課題となっているということを記載しております。

 この中でご指摘としましては、獣医師会や災害対策本部の活動についても触れ、明示すべきではないかということで、獣医師会については追記をさせていただき、災害対策本部は行政あるいは行政や獣医師会が中心となっているため、あえて明示はしていませんけれども、そのような趣旨で修正をしています。

 講ずべき施策として23ページから24ページにかけてでございますが、災害時の動物の取扱いが防災計画等で明確化されるということを含む必要な体制整備の推進。イとしましては、環境省令でも触れました「人とペットの災害対策ガイドライン」等に基づいて、必要な体制整備を推進すること。それからウにつきましては、広域的な協力体制。エにつきましてはペット以外の動物の災害対策の推進についてでございます。

 さらに(9)人材育成でございますけれども、人材育成の必要性について、改正法の規定等も踏まえてでございます。少し記述の前後関係等は、前回の部会のご指摘も踏まえて整理をしましたけれども、基本的には記載の内容は規定のとおりでございまして、また人材育成の対象として行政の担当職員や動物愛護推進員を設けまして、行政の担当職員のと明記させていただきます。

 講ずべき施策としましては、国が行うこととしまして、担当者の専門的な知識、技術の習得に対する支援や、そういったことをア、イ、ウの中で分野ごとに掲げています。

 26ページから最後の(10)調査研究の推進でございますけれども、科学的な知見に基づいた施策の展開が重要であるという観点から、具体的には②のほうでアからオまで5項目の取組を推進すべきものとして規定をしているものでございます。

 まずアにつきましては、虐待の該当性が、科学的知見という言葉はしっかり入れたほうがいいというご指摘もございましたので、ここに記載をした上で、その分析・評価を進めるということ。イにつきましてはアニマルウェルフェア。ウにつきましては動物の苦痛の感受性に関すること。エにつきましては殺処分の方法。そしてオにつきましては、ペットの飼育による社会的な効用や新たな社会需要等、あるいは飼養保管の実態ということについて情報収集を行うということを記載しています。

 第3は都道府県が策定をします動物愛護管理推進計画に関する事項でございます。目的、それから計画期間、対象地域、計画の記載項目というものを掲げています。計画期間につきましては、令和3年4月1日から10年ということでございます。

 5の策定及び実行というところにつきましては、多様な意見の集約、合意形成の確保、それから関係地方公共団体との協議として、都道府県と市町村との関係。

 (3)に計画の公表等。あと(4)に実施計画の作成。(5)には点検の見直しについて。

 最後の第4では、この基本指針そのものの点検及び見直しについても規定がございますが、これまで同様、おおむね5年目に当たる時期を目途として、見直しを行うということで、規定をしているところでございます。

 こういった内容についてご了承をいただけましたら、順次公布に向けた手続に進んでまいりたいと考えております。一部法制的な文言の使い方等に係る技術的な修正があるかもしれませんけれども、基本的にはこれを基本として、最終案としてお示しをさせていただいております。

 少し駆け足でご説明しましたけれども、後は1-2というのは、横長の1枚紙でございますけれども、先ほど中身のほうでご説明をさせていただきました。パブリックコメントの中で修正をすべきと判断させていただいた3点について、どこをどういうふうに修正したかということを抜き出したものでございます。

 それから資料1-3は、パブリックコメントそのものでございます。1枚目に意見の提出件数等について書いております。延べ意見数が1万6,516ということでございました。この中には複数の方が同じ意見を出しているというものが、もちろん含まれますので、実際にはこの資料全体を見ますと、約260の意見が出されたということになります。

 今日は時間も限られていますので、一つ一つご説明することができません。ただ委員の皆様には事前にお送りした資料、非常に文字が小さくて見にくいところがあったことをお詫びを申し上げたいと思いますけれども、さまざまなご意見、いただきました。具体的な施策の進め方に関するご意見等については、今後の取組の参考にさせていただきたいと思っておりますし、また、制度そのものに対するご意見、基本指針の守備範囲を超えるものについては、もちろんその基本指針の中に反映するということは困難だというふうに思っておりますけれども、さまざまなご意見がございましたので、事務局としてはできるだけ丁寧に対応して、考え方をお示ししたつもりでございます。後ほどお目通しをいただければというふうに考えております。

 説明長くなりましたけれども、以上でございます。

【新美部会長】 ご説明ありがとうございます。

 ここまでの説明につきましてご意見、ご質問がありましたら、挙手のマークをONにしていただきたいと存じます。ONの状態になったかどうかは、アイコンの手のマークが青色になりますので、ご確認をいただけたらと思います。

 それではどうぞ、挙手のマークをONにしていただきたいと思います。第1ラウンドで、まず一通り皆さんから挙手していただいた方をとりあえず皆さん、確認させていただいて、順番に発言をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは第1ラウンドということで、現時点で挙手をいただいた方に順番にご発言をお願いいたします。では、まず最初に打越委員からご発言をお願いしたいと思います。どうぞお願いします。

【打越委員】 打越です。

 聞こえていますでしょうか。

【新美部会長】 はい、聞こえております。

【打越委員】 それでは発言させていただきます。

 まず前回から修正を検討していただけないかというふうにお願いしたところ、資料をめくらなくても結構なんですが、多頭飼育に関して、多頭飼育による不適切飼養は迷惑問題だとされていたのを、「迷惑問題」というラベルを外していただいたことが、ありがたいなと思っています。

 また、人材育成のところ、行政職員の人材育成と、それから動物愛護推進員や民間人の人材育成の説明の順序がちぐはぐになっていたのが整理されていたのも、よかったところだと思います。

 その他基本的に異存はないんですけども、3点質問があります。まず1点目は5ページであります。

 5ページの中ほど、合意形成のところの中ほどなんですけれども、ペットの殺処分に対する意識を聞いた令和元年度の世論調査の質問では、けがや病気で回復の見込みのない場合に殺処分を希望できるとする回答は、全体の4割であったという記述があります。このペットの殺処分というのが、飼い主がいるペットであって、飼い主が大切にしているんだけれども、けがや病気で回復の見込みがない場合に、例えば臨床の動物病院で安楽死をするということを意味しているのか、それとも飼い主不明、あるいは所有権を放棄された犬や猫などに対して、行政で行う殺処分、今どきは行政も苦しまないように安楽死の形ができるような処分をしていると思いますけれども、行政施設における殺処分のことを指しているのかがわかりにくいなと思いました。

 大事なペットであっても、飼い主が安楽死を選択するということを賛同する人が4割なのか、それとも行政施設で殺処分することも仕方がない場合もあると思っているのか、ペットの殺処分というのが、飼い主のいるペットの安楽死か行政で殺処分かを明確にしたほうがいいのではないかというのが1点です。

 2点目は6ページになります。6ページの一番上のところです。消費行動等の個人や社会の活動が動物に影響を与えるというところで、例えば畜産動物などの倫理的消費なども含むことを具体的に示したということで、大いに結構だと思うんですけれども、その活動が動物の世界に与えている、と書かれています。動物の世界、「世界」という言葉が随分抽象的かなと思いましたので、例えば動物の飼育環境とか生息環境という表現のほうがいいのかなと思ったのが2点目になります。

 3点目は、うんと飛びまして26ページになります。26ページの(10)調査研究の推進のところで、②講ずべき施策としてア、動物虐待の問題についての研究、それからイ、アニマルウェルフェアについての研究、ウ、苦痛の感受性についての研究、エ、動物の殺処分の方法についての研究というふうにあり、いずれも中長期的検討が必要な課題だと思いますが、これを具体的に環境省としてみれば、何かまた時間をかけて検討会を立ち上げるなどの具体的対策について考えておられるのかをお聞きしたいと思います。

 私からの質問は、以上です。

【新美部会長】 後ほどまとめていただきますので、続きまして武内ゆかり委員、よろしくお願いします。

【武内委員】 武内です。すみません。

 大したことではなくて、ちょっと気になった文言なんですけども、4ページ目のちょっと下のほうになります。下から5行目ぐらいの「ほえ癖」という言葉があるんですけども、一般的にもあまり使わないのと、行動診療科でも使っていないので、過剰咆哮に変更していただいたほうがいいかなというふうに思ったので、ここを挙げました。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。これもまた後ほど回答させていただきます。

 それでは続きまして西村委員、よろしくお願いします。

【西村委員】 西村です。

 この5ページのところの合意形成というところですが、国民がいろんな意見を持っているというところはよくわかるんですが、どうやって合意形成をするのかという点が疑問です。これだと意見が四方八方に行ってしまって、合意形成が難しいのではないかと思うので、どういう方法で合意形成をするのかという考え方は、示したほうがいいのではないかと思いました。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 それでは、続きまして山口委員、よろしくお願いします。

【山口委員】 では、私のほうからも数点、お願いしたいことがございます。

 一つは、前のことを蒸し返すようで、しつこいなと思われるようにも感じるんですが、3ページの上から3行目のその考え方、科学的な知見を「考え方」という書きぶりに変えたことで、ほわんとしたものになり、動物の愛護、福祉というのは世界的にも科学的知見に基づいてということになっておりますので、やはりこれはもとの科学的知見を復活させたほうがよいように思います。

 それと、その下の行の「動物の命に対して感謝及び畏敬の念」という、命に対して感謝というよりも、もっと具体的に動物は苦しみや痛みを感じ得る感覚ある命であることを理解して、動物に対して共感や責任の念を抱くとともにとしたほうが、はっきりと基本指針の意味がわかるというふうに感じます。

 それからその下の段落、動物、「命を犠牲にしなければ生きていけない存在である。」というところを「存在であるが、動物の利用や殺処分を行うときには、動物は感覚ある生き物であることに鑑み」というふうに入れていただければということを思います。

 それから打越委員のほうからも出ていたんですが、5ページのところで、真ん中辺、下線部分です。「ペットの殺処分に対する意識を聞いた令和元年度の世論調査」というところですが、ここは必要ではないのではないかと思います。

 これを書くことによって、殺処分と安楽死というのは、受け止めが一般的には違うんですが、殺処分と書いてあることによって、安楽死もひっくるめて飼い主がけがや病気で回復の見込みがなく、獣医師とも相談の上での安楽死についても世の中は否定的であり、それを遂行することも否定されるような流れになっていかないかということを、心配してしまいます。

 今でも開業されている先生の中には、安楽死を否定的にとり、どうしてもそういうことをお願いするのなら、保健所に連れていってくださいと、センターへ連れていってくださいという先生がいて、実際にセンターに持ち込まれる飼い主さんもいらっしゃいます。そうしますとその流れが、そのままページ13の1、2、3と飼い主さんが持ち込むことについて書いてある、ここにそのままはね返ってくると、引取り数の増加及び引き取ってすぐ動物が死んでしまうということにつながっていくような気がするんです。ここはこれを書くことで、逆の結果が生まれるように思います。

 それから、ちょっと長くてすみません。もう一つ11ページのウのところ。前のには入っていたんですが、利用することについて、ウの5行目、「感染性の疾病の予防」という前に、動物をさわらせたりすることで一番の問題はストレスですので、ストレスの軽減というものを復活させていただければというふうに思います。

 以上です。

【新美部会長】 それでは続きまして山﨑委員、よろしくお願いします。

【山﨑委員】 このまま発言して大丈夫ですか。聞こえていますか。

【新美部会長】 はい。結構です。よろしくお願いします。

【山﨑委員】 少し山口委員のとかぶる部分もあるので、それを省きまして2点だけ申し上げます。

 まず一つ具体的なところでは17ページで、「特定動物を販売する動物取扱業者に対し」という点なんですけれど、締めくくりが「指導すること。」というふうになっておりますが、販売先の「飼養保管許可の有無について確認する」という部分に関しましては、これは車を売る業者の車庫証明と同じぐらい重要なポイントだと思いますので、これは販売業者に、その有無について確認することは義務づけるという位置づけのほうが正しいのではないかというふうに思います。

 もう一つは、最後のほうでたくさん出てきます「アニマルウェルフェア」という言葉。私もしつこく何度もこれに関して指摘をして大変申し訳ないんですけれど、アニマルウェルフェアという言葉は、もう環境省でも動物福祉ではなくて、その言葉に取ってかわって定着させるというご意向なのかどうかということを伺いたいと思います。

 以上です。

【新美部会長】 それでは一通りのご発言いただきましたので、まずご質問等がありましたので、事務局からお答え、よろしくお願いいたします。長田室長、ではよろしくお願いします。

【長田動物愛護管理室長】 それではご指摘いただいた順番に、お答えを申し上げたいと思います。

 まず打越委員のご指摘ですけれども、5ページのところで、まず世論調査の部分でございます。

 ご指摘の点は、この質問をするのは飼い主がいるものについての殺処分を指しているのか、行政における殺処分のことを指しているのかということでありますけれども、これについては世論調査の設問の表現そのものを引いてきておりますので、回答者自身が、自らが飼っているペットだったり、いわゆる人に飼われている状態のもののことをイメージしている場合と、中には行政の施設における殺処分をイメージしている場合と両方おられると思います。これについて、こちら側でその質問の意図に手を加えてしまうのは、事実関係を加工してしまうことになりますので、質問の表記そのままで記載をさせていただいているところでございます。

 山口委員のご指摘にも関連するので、趣旨についてご説明申し上げますけれども、ここはさまざまな方のご質問に対する考え方がありますということを、一つの例として引いているものでございます。例えば同じ設問の中の回答では、いかなる場合も人間の判断でペットの命を奪うべきではないというふうに書かれた方が、全体の4分の1おられるという結果もございました。世論調査でございますので、全ての回答について具体的に数字をどなたも確認することができるということもありますので、ここでは一つの例を引いた。

 山口委員のご指摘と関連するので、ここでご説明いたします。科学的知見が非常に重要だということは、まさにご指摘のとおりだと思いますし、この基本指針の中でも随所に規定をさせていただいているところでございますけれども、一方で科学的知見だけで判断をすれば、あるいは科学としての動物福祉、アニマルウェルフェアの考え方であれば、今、けがや病気で回復の見込みがないものは、一般的には安楽死をさせることによって苦痛から解放すべきだという考えになるわけですけれどもは、4割の方がそれを許容している一方で、それを許容しない方も一定の割合おられるというような多様性があるということ自体は、やはりその政策を具体化していく上では、どちらが正しい、どちらが間違っているというふうに単純に割り切るだけではなくて、ある意味正面から受け取めていく必要があるのではないかというふうに考えておりまして、多様性というのを一定程度認めつつ、時間をかけてまた合意形成をする必要があることを、一連の合意形成のことを述べる部分の中で安楽死というのが一つの例として、それを象徴的に示しているというふうに考えたわけでございます。

 ご指摘のように、仮に獣医師が本来安楽死すべき動物の安楽死を拒否すれば、それは行政が引き取らざるを得なくなる。行政に行ったときに安楽死ということになるというケースもあるわけでして、それは本来は望ましくないかと思いますけれども、そういったことも含めて科学と国民の感情とは、それぞれをしっかりと見詰めながら、また時間をかけて議論をしていくべきなのではないかというふうに思います。

 打越委員のご発言に戻りまして6ページのところで、「動物の世界」という表現、やや違和感があるということだろうと思います。自覚がございます。なぜここで動物の世界という表現を使ったかと申し上げますと、動物愛護管理法そのものは人の飼養、管理に係る動物を基本的なターゲットとしているわけでございます。

 この動物の適正な飼養や管理、あるいは動物の愛護というものが、場合によっては野生動物も含めた動物全体の存在する環境や、動物自体に対して影響を与えることがあるということ。ただ一方で野生動物というのを特出しして強調するのも動物愛護管理法の趣旨からは逸脱していってしまうということで、非常に行政文書では扱わない表現だとは思いますけれども、ここは基本指針でございますので、あえて「動物の世界」というような概念的な表現をしたほうが、誤解されずに済むのではないかという考えのもとに、「動物の世界」とういう言葉を使わせていただいております。

 3点目の調査研究について、それぞれの調査研究の項目について、具体的にどのように進めていこうと考えているのかというところでございます。

 端的に申しますと、まだ改正法の施行もされていない段階でございますので、施行を受けて具体化を行う方向で進めていきたいと思っておりますけれども、物によってはまずは情報収集というところから専門的な委託業務等も活用しまして、知見の集積を図るというようなことも考えたいと思っております。学術団体等と連携をさせていただいて、現在の最新の知見や議論という部分についてご協力をいただきながら研究をいただいて、検討していく方法もあろうかというふうに思っております。また政策判断が必要な重要事項等については、今後の動物愛護部会のご議論の中で、委員の先生方のご意見も伺いながら進めていきたいというふうに思っておりまして、今後ご相談をしながら進めてまいります。

 それから武内委員のご指摘の「ほえ癖」という言葉、過剰咆哮というような言い方でよいのではないかということでございます。

 ここは動物の飼養に伴うトラブルの例として記載をさせていただいたところでございまして、特に飼い主自身が問題だと思っていないものが、本来は動物の不適切の飼養そのものなのだという例示として示したいということで、例えば犬というものはほえるものだという理解自体は、本来やはり不適切であって、適切なしつけ等を行うことによって、例えば継続反復して犬がほえるというような行動をさせないということが、飼い主の側の責務だということを、特にわかりやすく示したいということがございましたので、あえて一般の方が読んでもわかる、そういった表現を使わせていただきました。

 西村委員からご指摘の合意形成でございますけれども、合意形成の手法そのものについては大変悩ましいというふうには思っております。

 具体的に、どういうふうに議論を進めていくかということについて、なかなか今の段階で具体化するのが難しいというところがございまして、この点についてもまた部会にも方針等についてご報告をしながら、取組を進めていきたいというふうに思っておりますけれども、まず関係機関のご協力をいただく必要があるというふうにも思っておりますので、愛護団体の方々、あるいは事業者団体の方々、研究者の方々、さまざまな立場で動物の愛護と管理に関わる方が、一堂に会して意見を交換していくような場というのを設定していくということが必要なのではないかと思いますが、最終的に議論が拡散をして、どうしてもすり合わせができないというようなこともあり得るとは思っております。

 基本指針の中でも人の動物に対する考え方は多様であるということを書いておりますので、ある程度さまざまな情報が共有をできることで方向性が絞り込めれていくものもあれば、価値観に直結する問題で議論を深めていこうとしても、それが定まらないかもしれないと思っています。そのことによって議論を避けるべきではなく、やはりこういった部分について意見を交わしていく。ただ今の段階で、基本指針の中で書ける最大の事だと思っております。

 さらに山﨑委員からのご指摘の中で、科学的知見という表現ですとか、畏敬の念という表現、これについては前々回の部会でご指摘をいただきまして、前回その考え方についてお答えさせていただいたものでございます。「人と動物は生命的に連続した存在である」というところについては、科学的知見、例えば食物連鎖ですとか進化、そういったものは科学的知見ということですし、やはり人と動物を同じように命あるものととらえる、これは宗教的なということに限定をする意図はありませんけれども、日本人の中にはそういうことを感じ取られている人も少なからずおられて、さまざまな考えがある、その一つ一つの考え方が正しい、間違っているだということではなく、いわゆるそういう意識があるということは認めていかざるを得ないことで、現行の表現とさせていただいています。

 特定動物についてストレスに関する記述を削除したということですけども、ご指摘のとおりストレスも重要な要素ではあると思います。今回の基本指針の中では、動物の種類や習性も考慮して適正に取り扱うということも書かせていただいておりますので、ここでは特に例としては省略させていただいています。

 山﨑委員からご指摘のありました特定動物の販売時の飼養先が許可を取っているか確認をするということでございますけれども、これについては今指導するという部分になっています。法律上義務がかかっていない部分でございますけれども、どういう形でこの対策が徹底できるかについては、継続的に見ていく必要があると思います。現行制度下では難しい現在の規定が適切かと考えております。

 最後にアニマルウェルフェアなのか、動物福祉なのかということでございます。前回用語についてもこの部会でご議論いただきました。今回準備が整わなかったこともありまして、今回の議題の中には入れておりませんけれども、用語につきましては引き続きこの部会の重要な議題として、継続的にご審議をいただきたいというふうに考えております。今回「ウェルフェア」という横文字を使ったことにつきましては、これは前回ご説明しましたが、動物福祉という言葉にさまざまな受け止めがあるとございましたけれども、現在は動物愛護管理法の中には福祉もウェルフェアも規定をされていないということと、動物愛護管理法改正の附帯決議の中ではアニマルウェルフェアという横文字が使われたということで、ひとまずこのアニマルウェルフェアという横文字を使わせていただきましたけれども、今後これも環境省がアニマルウェルフェアに決めた、とか動物福祉ではいかないということを、今の段階で決断したという意思表示ではございませんので、ここについては引き続きご意見をいただきます。

 長くなりましたが、以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 これで一旦第1ラウンドについてはご発言とご回答いただきましたので、まずは挙手マークをOFFにしてください。

 西村委員、お願いします。よろしいですか。西村委員、挙手マークをOFFにしてください。はい、ありがとうございます。

 それでは第1ラウンドで皆様からご意見いただき、事務局からそれに対する考え方を示していただきましたが、それを踏まえて、改めてご意見等がございましたら、ご発言をよろしくお願いします。挙手マークをONにしていただきたいと思います。

 じゃあ、まずは佐伯委員からご発言をお願いいたします。

【佐伯委員】 ありがとうございます。

 先ほど5ページのペットの殺処分に対する意向のところなんですけれども、やはり説明をお伺いすると、余計に誤解を得やすいといいますか、これだけ読んだだけではいろんなとり方が感じてしまいます。

 むしろ室長からのご説明の中であった、もし入れるとすれば、どんな理由であっても命を奪うのはよくないと考えている人の数字のほうが、かえってわかりやすいように思います。ですので、もしこのままの結果を使うとすれば、もう少し中を工夫していただいたほうがいいのではないかというふうに思います。

 それからもう1点なんですけれども、小さなことなんですが、12ページの下から8行目ぐらいのところにあるんですけども、この「こう傷」という字なんですけれども、「個体の譲渡によるこう傷」、「こう」という字が平仮名になっているんですけれども、これは漢字ではいけないのでしょうか。逆に平仮名にすると、ちょっと意味がわかりにくいように感じました。

 以上です。

【新美部会長】 それでは打越委員、お願いします。

【打越委員】 2点あります。

 先ほどの山口委員がおっしゃった、冒頭の生命的に連続した存在であるというところなんですけれども、生命的に連続した存在という議論に関しては、先ほど室長がおっしゃったとおり、進化のことを示しているのか、それとも、例えば肉食のために牛や豚を殺すことも、ある意味殺人だというような議論なのか。後者になってしまってはいけないと思うので、生命的に連続した存在云々というところは、私は考え方という表現のままでよいのではないかと思います。

 ただし、その前の行の「生理、生態、習性等を考慮して」というところ。これは実は一番山口委員のおっしゃりたいところで、心や知能を持つ科学的な知見から考慮してというふうに入れるのであれば、山口委員と環境省案の折衷案になるかなと思ったのでお伝えするのが1点です。

 もう1点は既に山口委員、佐伯委員がおっしゃっているとおりですが、5ページの殺処分に対する賛否のデータですけれども、なるべく現状のデータを基本指針に、公的な調査の結果をもとに書いている気持ちはわかるんですけれども、やはり誤解を招きかねない、あるいは今後の方針に影響を与えかねない少し曖昧な、中途半端な表現を冒頭に入れるのはリスキーかなと思っています。もし入れるとするならば、後ろのほうの先ほどの調査研究の推進、26ページ、殺処分の方法に関しては27ページに入っていますけれども、講ずべき施策の27ページのエ、動物の殺処分の方法について考えるというところに、行政における殺処分であるとか、飼い主が重篤なペットに対して、動物病院で安楽死をお願いするであるとか、そうしたことに関しての段取りであるとか合意形成であるとか、あるいはいざというときの殺処分対応のことであるとか、そういうことも含めて、検討が必要かと思います。その際には、殺処分の方法を自然科学的な観点から議論するだけでなくて、社会の世論であるとか、その辺りを人文科学、社会科学の観点からも研究をするということを入れるのはいかがかと。無理やりデータを基本指針の冒頭のほうに入れないほうが無難ではないかと思いました。

 以上2点です。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 それでは、続きまして西村委員、お願いします。

【西村委員】 不適切な餌やりというところがありましたが、この不適切なという定義をもう少し明確にしておかないと、今後また延々ともめることになるのではないかなと思います。具体的な例まで出す必要はないと思いますが、何をもって不適切と考えるかという例示はあったほうがいいと思います。

 以上です。

【新美部会長】 お願いします。

【山口委員】 「恣意的な餌やり」という、餌やり行為ですけれども、後ろのほうで「無責任な」という言葉を使っていますので、無責任に合わせたらどうでしょうということです。

 2点目、6ページの真ん中辺りですけれども、「日本人の動物観の特質や海外との違いを踏まえ」というところですが、その前に「我が国の風土や社会の実情」ということで、日本のことはということが書かれておりますので、ここで「日本人の動物観の特質」というものを入れる必要はないと思いますし、それよりも先ほどから何回も私が言っておりますように、科学的知見及び海外との違いを踏まえということにしたほうがよいのではないかなというふうに思います。

 前から読みますと、「我が国の風土や社会の実情、科学的知見及び海外との違いを踏まえ」というふうにしたほうが、もっとグローバルな考え方が出るのではないかなというふうに思います。

 それからページ7の一番上のところなんですけれども、3行目の行為規範のところに、しっかりと半分以上は世界的な動物福祉の基本である五つの自由を言葉を変えて、この法律の中には部分的には入っているんですけれども、ここではやはり行為規範ということを入れるときに、ここに一緒にこの五つの自由をしっかりと書き込んだほうが、何が行為規範かということがはっきりわかり、かつ世界的にも日本の法律はこうなんですよということを示すことができるのではないかなというふうに思います。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 第2ラウンドでさらにご意見を賜りましたが、この議論については前向きなご指摘と修正等ございますけれども、本日ここでこうなりましたということは、ちょっと一概には言えないと思いますので、この辺のご議論、いただいたご意見は部会長にご一任いただいて、素案をつくった上で、皆様方に一応お目通しをいただくと思いますが、速やかに中央環境審議会のほうに会長にご報告して、答申をいただくというふうに考えておりますが、そのような取扱いでよろしいでしょうか。

 もしも今のような扱いについてご意見がございましたら、挙手をONにしていただきたいと思います。もしもなければ、了承されたものとして扱わさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 よろしいでしょうか。それでは、ただいまいただいたご意見、非常に重要な点もございますし、さらに課題として残しておくべきものもございますので、それを踏まえた上で答申案を作成させていただきますので、その点ご了承いただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは答申を受けましたら、環境省におかれましては施行に向けて、速やかに公布の手続を行っていただき、基本指針に基づいた総合的な施策の推進に努めていただくよう、お願いしたいと存じます。

 それでは議事の2番目に移りたいと思います。今後の検討スケジュール(予定)について、ご説明を事務局からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【事務局】 議事2、今後の検討スケジュールについて説明させていただきます。資料2をご覧ください。

 1枚紙になります。資料の上段のほう、6月19日に改正動物愛護管理法が公布されて以降の動きを示してございます。本部会でご議論を進めてきた経緯は資料掲載のとおりですが、10月8日に環境大臣から中央環境審議会へ諮問をいたしまして、本日3月25日、改正動物愛護管理基本指針の答申案についてご議論をいただいているところでございます。

 先ほど新美座長からありましたが、本答申案で取りまとめという形になりましたら、中央環境審議会会長にご報告いたしまして、答申を得ましたのち、スケジュールにあります4月末の公布を予定して、速やかに必要な手続を進めてまいりたいと考えてはおります。その後、6月1日には、1年以内施行に関わる規定について改正動物愛護法の施行となります。

 来年度につきましては、6月以降、2年以内の施行に関わる改正動物愛護管理法の規定の施行に伴う省令等の施行に向け、関係する諮問事項についてご審議をいただく予定にしておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 それではただいまのスケジュールの説明につきまして、ご質問、ご意見がございましたらご発言をお願いします。発言のある方は挙手マークをONにしてください。

 特にないですね。よろしいでしょうか。特にご発言ないようでございますが、このスケジュール、ご承認いただくということで進めさせていただきたいと思いますが、よろしいですね。特にご発言ないようですので、以上にしたいと思います。

 それでは議事の3、その他について事務局から何かございますでしょうか。

【事務局】 では、その他といたしまして、動物の愛護及び管理に関する法律施行規則の一部を改正する省令等の公布について、この場でご報告させていただきます。

 参考資料3をご覧ください。令和2年2月28日に報道発表しました公布の資料をつけてございます。

先ほど、今後の検討スケジュール予定でもお示しいたしましたが、昨年10月8日に環境大臣からあった諮問に対し、1年以内の施行に関わる部分について、当該部会においてご審議をいただき、1月23日、前回の部会で1次答申案として取りまとめをいただきました。これを受け、1月24日に中央環境審議会から1次答申がなされ、2月28日に公布されたところでございます。

 施行日につきましては6月1日となります。詳細につきましては参考資料に一式をつけさせていただいておりますので、後ほどご覧いただければと思います。

 省令等の公布について、事務局から報告させていただきました。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 ただいまご報告いただきました件について、何かご質問等がございましたら、ご発言をお願いします。ございましたら挙手マークをONにしてください。ないですね。

 ありがとうございます。この報告については粛々と進めていただくということになると思いますので、よろしくお願いします。

さて、用意した議題は以上でございますが、最後に本日の全体を通じて何かご意見、ご質問等ございましたら、ご発言いただきたいと思います。どうぞ挙手マークをONにしていただけたらと思います。よろしいですね。

 それでは室長のほうからご発言があるようですので、よろしくお願いします。

【長田動物愛護管理室長】 すみません。先ほどの議題の山﨑委員の意見の中で、私1点説明を誤っていた部分がございますので、訂正させていただきます。

 特定動物を販売する際の説明で、今、基本指針の資料のうちの17ページなんですけれども、販売をする際に、「販売先の飼養保管許可の有無について確認するだけではなく、飼養保管方法等に関する適切な説明を実施するよう指導すること。」ということでございますが、この飼養保管許可の有無について確認するというところについては、実は動物取扱業者が遵守すべき基準として環境省令で定めておりますので、義務になっております。ですからそれは義務として、それだけではなくて、飼養保管方法等に関する適切な説明を実施するよう指導するというのが、ここの趣旨でございますので、訂正させていただきたいと思います。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 ほかにご発言の挙手のマークをつけた方がいらっしゃらないと思いますので、本日の議事、全て終了というふうに扱わさせていただきたいと思います。

 なお、今日の議論の中で「アニマルウェルフェア」という言葉について、皆さん非常に深い関心を持っているというふうに伺いましたが、前回、前々回以来出てきている議論で、私もちょっと「ウェルフェア」という言葉を哲学分野とか、あるいは経済学分野でどういうふうに使われているのかを調べてみましたが、実は共通認識はほとんどありません。共通認識として言えるのは「ウェルフェア」というのは「よきことであること」という、グッドネスという言葉でしか言えないということしか出てこないので、皆さんそれぞれがいろんな意味を持ち込んで議論されているので、共通項がないような状況だといっていいかと思います。

 というのは、これはあまり長くなるとあれですが、もともとウェルフェアというのは権利義務の関係で議論されてきたんです。いわば哲学で言うと義務論ないしは権利論の領域で言われてきておりましたが、これが実は経済学のようないわゆる帰結主義といいますか、義務とか権利ということを言わないところでも「ウェルフェア」という言葉が使われるようになってきて、従来、経済学は富のことは物は言わないんじゃないかという批判を受けて、金目の話だけじゃないですよと。ウェルフェアも考えますよということで、経済学の領域でもウェルフェアという言葉が一般化してきております。

 ここで同じウェルフェアと言いながらも、視点が全然違うところで、それぞれがそれぞれの思いを持って議論をしているのが実情ですので、このアニマルウェルフェアというのが一体何なのかというのは、やはり動物愛護管理法から見てどうなのかという議論をしていくしかないのかなというふうに思っておりますので、研究課題、調査の課題として取り上げられておりますので、さらにこの部会でもって、あるいは関係の団体でもってご議論いただけたらというふうに思っておる次第でございます。

 一応簡単には答えが出ない問題だなと思って、つくづく考えさせられた問題だというふうに思います。今日の議論、所感として述べさせていただきましたが、本日の議論は以上で終了させていただきたいと思います。長時間ご協力いただきまして、ありがとうございました。

 それでは進行を事務局にお返しいたします。

【事務局】 委員の皆様におかれましては、年度末のご多忙なところ、また初めてのWeb会議システムにもかかわらず、活発にご議論をいただきありがとうございました。

 環境省といたしまして、本日最終的にいただいたご意見を踏まえ、新美座長と相談の上答申案として取りまとめをさせていただき、今後必要な手続を進め、できるだけ速やかに告示に結びつけたいと考えております。

 以上をもちまして、本日の部会は閉会といたします。どうもありがとうございました。