中央環境審議会動物愛護部会 第49回議事録

1.日時

 平成30年7月30日(月)14:00~16:00

2.場所

 航空会館7階 701+702会議室

(東京都港区新橋1-18-8)

3.出席者

 新美 育文  中央環境審議会動物愛護部会長

 松本 吉郎  委員      浅野 明子  臨時委員

 打越 綾子  臨時委員    太田 光明  臨時委員

 金谷 和明  臨時委員    木村 芳之  臨時委員

 武内ゆかり  臨時委員    田畑 直樹  臨時委員 

 西村 亮平  臨時委員    藤井 立哉  臨時委員

 水越 美奈  臨時委員    山口 千津子 臨時委員

 山﨑 恵子  臨時委員    脇田 亮治  臨時委員

4.議題

(1)動物愛護管理をめぐる主な課題への対応について

(2)その他

5.配付資料

資料1   動物愛護管理をめぐる主な課題検討スケジュール(予定)について

資料2   動物愛護管理をめぐる主な課題への対応について

参考資料1  第47回中央環境審議会動物愛護部会(資料3-1)

参考資料2  動物愛護管理をめぐる主な課題への対応について(第48回資料2)

参考資料3  平成29年度訪独調査結果

参考資料4  平成29年度訪英調査結果

6.議事

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、第49回中央環境審議会動物愛護部会を開催させていただきます。よろしくお願いいたします。

 本日、当該部会の委員、臨時委員16名のうち、現在、ご出席予定の水越委員が遅れてはおりますが、現時点で14名のご出席をいただいておりますので、規定の定足数を満たしており、本部会は成立しております。

 まず、お手元の配付資料の確認をさせていただきます。お手元の配付資料、議事次第の2枚目の裏のほうに配付資料一覧というのがございます。こちら、資料をご覧いただきながら確認させていただきます。

 まず、資料1として、1枚紙のスケジュール、検討課題スケジュール(予定)について。

 それから、資料2として、ホチキスどめで、本日の議題の主になります、動物愛護管理をめぐる主な課題への対応について。

 それから、あとは参考資料として、第47回の部会で配付しました資料3-1となる論点整理の案。

 それから、参考資料2として、前回の部会に対するご意見ということで、金谷委員からのご意見。

 それから、大部になりますが、平成29年度に行いましたドイツとイギリスの調査結果を配付してございます。

 それから、当日配付してございますが、1枚紙で資料の表に、平成307月豪雨に係る被災ペット関連の対応状況という1枚紙。

 そして、あと委員の皆様には、その他に参考資料として、前回、第48回の部会の議事録と、動物愛護管理法の関連法令基準等をまとめました青い冊子をお配りしてございます。

 なお、本部会の資料及び議事録は、後日、環境省のホームページにおいて公表されますことを申し添えます。

 それから、参考資料として委員の皆様にお配りしております資料3と資料4につきましては、ちょっと大部でございますので、会場のほうには配付しておりませんが、環境省のホームページからダウンロードできますので、こちらについてもご説明、補足をいたします。

 それでは、次に委員と、それから事務局の変更についてお知らせいたします。

 臨時委員を務めていただいておりました滋賀県副知事の池永肇恵様が、今般、副知事を退任されたことに伴いまして、委員を辞任されたのでご報告いたします。

 それから、また事務局に異動がありましたのでご紹介いたします。

 新たに自然環境局長となりました、正田でございます。

【正田自然環境局長】 正田でございます。よろしくお願いいたします。

【事務局】 同じく、大臣官房審議官の鳥居でございます。

【鳥居審議官】 鳥居でございます。よろしくお願いします。

【事務局】 続きまして、動物愛護管理室室長の長田でございます。

【長田動物愛護管理室長】 長田でございます。よろしくお願いいたします。

【事務局】 そして、動物愛護管理室の前室長で、環境再生・資源循環局参事官の則久でございます。

【則久参事官】 則久です。今日だけ出席させていただきます。

【事務局】 則久につきましては、自然環境局の併任となっておりますのでよろしくお願いいたします。

 なお、自然環境局総務課長の永島でございますが、本日、災害対応のため欠席となっております。よろしくお願いいたします。

 それでは、開会に当たり、自然環境局長の正田よりご挨拶を申し上げます。

【正田自然環境局長】 改めまして、正田でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、中央環境審議会動物愛護部会にご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。

 また、平成307月豪雨への対応により、急遽、日程の変更をすることになりました。急な変更をお願いしましたことを改めてお詫び申し上げます。後ほど、ご説明いたしますが、この災害対応につきまして、環境省では職員を現地に派遣するなど、現地の実情を把握して、ペット連れで被災された方々に寄り添った対応が進められるよう今、努めておるところでございます。

 さて、本日でございますが、前回に引き続き動物愛護管理をめぐる主な課題への対応について、ご議論いただきたいと考えております。論点として設定しておりました五つのテーマのうち、前回の部会で飼い主責任のあり方、行政機関が果たすべき役割等について、ご議論をいただいたところでございます。本日は、これに引き続きまして、動物取扱業に求められる役割を初めとする残りのテーマについてご議論いただきまして、次回の部会において論点整理の取りまとめをしてまいりたいと考えております。

 一連のご議論を経て、取りまとめました主な課題の論点整理につきましては、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正等に向けて、活用してまいりたいと考えております。

 動物愛護管理法の目的でございます、人と動物の共生する社会の実現を図るためには、多くの関係者との協働により、多方面からの取組みを進めていくことが重要だと考えております。本日は、限られた時間ではございますが、忌憚のないご意見と、活発なご議論を賜りますことをお願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【事務局】 それでは、この後の議事進行につきましては、新美部会長にお願いいたします。

 では、新美部会長、よろしくお願いします。

【新美部会長】 はい。了解いたしました。それでは、これより後、議事進行役を務めさせていただきます。

 まず最初に、先ほどの局長からも話がありましたが、報告事項といたしまして、配付資料の平成30年7月豪雨への対応についてということで事務局からご報告をよろしくお願いいたします。

【長田動物愛護管理室長】 それでは、お配りしました1枚紙、平成30年7月豪雨に係る被災ペット関連の対応状況を用いまして、私、長田からご説明をさせていただきます。座って説明させていただきます。

 まず、主な対応として、(1)にございますように、現状把握・現地調整でございますけれども、冒頭、局長のご挨拶にもございましたけれども、まず発災直後の7月10日から13日にかけて、その後、ある程度、現地の状況が落ちついてきた7月19日から24日にかけて、広島、岡山、愛媛の3県に職員を交代で動物愛護管理室からと、あわせて現地の中国四国地方環境事務所職員と一緒になりまして、10日間、派遣をいたしまして、各地の避難所の中、あるいは外におけるペット飼養者の方々の状況を確認してまいったところでございます。

 さまざまな形がございましたけれども、当初は、報道等でも一部、避難所での受け入れを断られたというような報道も出ていましたが、全体としては、避難所の受け入れ情報等が共有されるに従って、ペットを連れた飼い主の方が、概ね集約をされるような形で避難所の中に入っているというような状況が、直近の現地調整・把握では確認ができたところでございます。

 対応としまして、(2)の周知の強化というところにございますけれども、まず、環境省、それから各自治体さんのホームページの比較的目立つところに災害対応ポータルサイト等がございますので、ここで各自治体におけるペット相談窓口の周知等を行ったところでございます。

 また、避難所等にポスターを掲示したりしておりましたけれども、避難所の外におられて、ペットと過ごされている被災者もいるということが想定されましたので、ペットの飼養者、あるいはペットの飼養者を知っているそれ以外の方、双方を意識しまして、相談所への連絡等を呼びかけるポスターのひな形を環境省のほうで作成をいたしまして、各自治体に送付して掲示等を依頼したところでございます。

 3番にございますけれども、支援物資の調整、一時預かりの強化といたしまして、今年の3月に策定をいたしました人とペットの災害対策ガイドラインを参考にいたしまして、各県の動物救護本部等とございますけれども、この被害が大きかった3県のうちでは、広島県、岡山県さんは、比較的早い段階で動物救護本部を設置されました。愛媛県さんは、動物救護本部自体は設置をされていませんけれども、ペット担当の窓口については明確化がされているという状況でしたけれども、それぞれ被災ペット対策への支援ということで、ペット災害対策協議会と連絡調整を行いまして、初動の段階でペット資材、ペットシーツ、ペットフード等の提供等を対応していただいたというような状況でございました。職員が現場確認に行ったときにも、資材の不足というのは、割と早い段階で見られなくっておりまして、それぞれの避難所にもペットフード等が配付されているという状況は、比較的早い段階で実現できたのではないかというふうに考えているところでございます。

 (4)ですけれども、仮設住宅への配慮要請ということでございます。特に、19日から24日の後半の現地確認の中では、避難所に入っておられる被災者の方等から、今後、当面の避難は落ちついたんだけれども、自宅自体は浸水被害を受けていたりして、建て替えが必要になったり、あるいは当面、家に戻れないという情報の中で、仮設住宅に入居できるのかということについて、不安を感じておられる方もいたというような状況でございます。

 環境省からは、各県、それから政令市、中核市に対して、仮設住宅の準備段階でペットを飼養している方に対する配慮というのを考えていただくように通知を発出して協力を要請したところでございます。

 一部、例えば倉敷市等におきましては、すぐに入居できる、みなし仮設と言われるような既存の空き家を提供する場合におきましても、ペットの対応の可否について獣医師会さんのほうで確認をされて、受け入れが可能なものについて、リスト化してウエブサイトに掲載するというような取組みもしていただいているところですけれども、今後の建設される仮設住宅につきましても、各県のほうでペット対応について、今の段階から十分な検討をしていただいているというふうに聞いているところでございます。

 今後も、災害の状況の変化に応じて、ペット飼養者のニーズというのが変わってくるというふうに考えております。長期預かり等への対応というのも出てくるかと思っておりますので、各県、政令市、中核市と連携しながら状況を注視し、環境省としてできる対応をとってまいりたいというふうに考えております。

 説明は以上でございます。

【新美部会長】 どうも、説明ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明について、ご質問等がございましたらよろしくお願いします。よろしいでしょうか。長期的な展望も必要だということですので、今後また、どんな対応をなさったのか、逐次ご報告があるかと思いますので、この件については、これくらいにさせていただきたいと思います。

 それでは、続きまして、本日の議事に入らせていただきます。本日の議事でございますが、前回、第48回に続きまして、動物愛護管理をめぐる主な課題への対応についてをお諮りしたいと思っています。

 この議題につきましては、それまでの第44回から第47回の部会を通じて検討・議論してきた結果や、あるいは、それに対するご指摘等を踏まえまして、今後の動物愛護管理基本方針の改定作業に反映していくことなどを念頭に置きまして、今後、9月まで3回の部会において大きなテーマごとに集中的に論点整理や対応の基本的な考えについて、ご議論いただく予定でございます。本日は、その3回のシリーズの第2回目と位置づけております。よろしくご審議していただきたいというふうに思っております。

 なお、最初の議事につきましては、動物愛護管理をめぐる主な課題への対応についてということになりますが、資料1につきましては、前回と同じ内容でございますので、説明は省かせていただきたいと存じますが、今後のスケジュールや本日の進め方、あるいはテーマについて、改めてご質問、ご確認などがございましたら、まずご発言をいただきたいと存じます。よろしいでしょうか。

 それでは、資料2からということになります。「はじめに」と、「テーマⅢ、動物取扱業に求められる役割と今後のあり方」につきまして、事務局からご説明をよろしくお願いいたします。

【長田動物愛護管理室長】 資料2に基づきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。

 まず、表紙を1枚おめくりいただいて、目次をご覧いただければと思います。「はじめに」と書いてあって、その後にローマ数字のⅢから始まっておりますけれども、前回Ⅰの行政機関が果たすべき役割と、それからⅡの「飼い主の責任について」、「管理責任のあり方について」について議論をいただきましたので、残りのⅢ、Ⅳ、Ⅴの部分についてご説明をさせていただきたいと思っております。ボリュームがございますので、少し駆け足になるかもしれませんけども、まず、Ⅲについて、ご説明をさせていただきたいと思っております。

 1枚めくっていただけますでしょうか。1ページというところには、少し、前回と今回、何を議論したかというところがございますけれども、真ん中のところに丸数字が五つ並んでおりまして、前回、①と③について、ご議論をいただいたということで、今回、②④⑤について、資料をご用意させていただいております。なお、最後のところにございますけれども、前回、③のうち、災害対応と学校飼育動物についてはご議論をいただいておりません。今回、一部、それについての考え方について、別の部分で触れさせていただいております。十分な整理と言えないかもしれませんけれども、最終的には、これらの問題についても、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

 1枚おめくりいただきまして、本文でございます。3ページからです。動物取扱業に求められる役割と今後のあり方として、まず、1、適正な飼養管理の基準のあり方についてでございます。

 動物取扱業者が確保すべき飼養管理のあり方というのが、現在の飼養管理基準として示されておりますけれども、この円滑な運用に資するためにガイドラインを作成したり、あるいは数値を設定するなど、具体化、明確化を図っていくということが求められているところでございます。参考のところには、平成23年にまとめられた動物愛護管理のあり方検討報告書のことが触れられておりますけれども、特に、動物を繁殖させて販売する行為については、非常に関心が高いと。繁殖に係る定性的な基準が現在は置かれているということですけれども、より、その業種、業態、生物の種類等に応じて細分化、明確化が望ましいというご指摘があるところでございます。

 さらに、その下の参考のところには、現在の第一種動物取扱業として、営利を目的として動物の取扱いをする業者についての管理方法の細目の抜粋のうち、繁殖に係る部分の記述を抜き出しておりますけれども、現在、こういった規定になっているわけでございますが、より細分化、明確化が必要ではないかという指摘があるということでございます。

 繁殖につきましては、下のほう、下から数行目のところに括弧書きで「なお、繁殖を行う販売業については」とありますけれども、犬猫については、ご承知のとおり、幼齢規制等が置かれていると。犬猫以外の哺乳類、鳥類、爬虫類については、今のところ、特別な規定はないというところでございます。

 それから、前々回、少しご説明申し上げたと思いますけれども、今年の3月に、動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会、武内先生に座長をお願いしておりますけれども、これを発足させまして、基準の明確化に向けた検討に着手をしたところでございますけれども、検討会の中では、産業動物等で提起されておりますアニマルベースドメジャーという考え方、単純な飼育環境の要件ではなくて、動物そのものの状態から動物の健康や安全の保持を判断するというような考え方を導入すべきではないかという指摘もあったところでございます。必ずしも、これは数値基準や基準の明確化を否定する考え方ではなくて、動物そのものの状態から考えるという基本的な姿勢が、アニマルベースドメジャーということでございます。

 ここで、これまで提起された論点を2点挙げておりますけれども、1点目については、行政、事業者、消費者等が施設や飼養管理基準について客観的に判断できる内容とすべきではないかというご指摘をいただいています。

 また、動物取扱業は多様な業態であるので統一的な基準では対応できないのではないかというご指摘もございます。数値基準がなければ、監督や指導ができないということであれば、指導を行う自治体においては何らかのガイドラインとして、基準の内容をわかりやすく、例えば図解等によって示すということも有効ではないかと、事務局としては考えております。

 論点の2点目、飼養管理基準の中に新たに取り入れるべき事項はあるかということでございますけれども、委員からは、幼齢規制に関して、例えば週齢を決めるときには、抱き合わせで、ブリーダーの飼育管理、それから人との社会化の関係、それから動物との関係、それぞれを入れ込んだものにすべきではないかということ。

 それから、世界小動物獣医師会のワクチンガイドラインというところの中には、移行抗体、母子免疫ですね、が切れる時期を考えて、ワクチンを7週から8週ぐらいの時期に打つことがいいというのが出ていると。こういうことを考えると、ちょうどブリーダーのところで打つのか、ペットショップに行ったところで打つのかというようなことと関係するんではないか、こういうことを考えなくてよいのかという指摘もいただいているところでございます。また、災害の発生を想定して何か考えるべきことがあるかというようなことも考えなければいけないということでございます。(参考)のところには、現行の管理方法等の細目、告示を引用しております。

 対応の方向性といたしましては、まず、論点①、さらなる細分化、明確化については、昨年度設置をしました適正な飼養管理方法等に関する検討会において、まず科学的根拠に基づいて、基準の検討を進めてまいりたいと考えております。その際に、平成23年に指摘された数値基準を検討すべきという問題意識は踏まえて検討を進めるものでございますけれども、アニマルベースドメジャーの考え方等も含めて、適切な基準のあり方を検討してまいりたいと。

 また、海外の法規制、運用方法や対策の実効性に関する情報を収集することも重要だというふうに考えておりまして、こういった検討の結果を踏まえて、最終的には、環境省において適正な飼養管理方法について、基準、例えば省令、告示にするのか、ガイドラインにするのかということのあり方も検討していきたいと考えております。

 論点②新たに取り入れるべき事項については、以下の視点に着目しながら検討を進めたいということで3点ほど挙げております。犬猫の幼齢期における人間との社会化の促進。現行の幼齢規制は、犬同士、猫同士の社会化を想定しているものですけども、人間との社会化という観点をどう考えるか。それから、免疫のことを考えたワクチネーションについて。そして、大規模災害に備えて、動物取扱業者が講じておくべき措置ですけれども、これについては、ほかの業種において、災害に備えて事業者がどこまで求められているのかといったことも考慮をすべきではないかということでございます。

 6ページは、参考でございますが、今の第一種動物取扱業についてご承知かとは思いますが、これだけ多様な業種が規定をされているということを示しております。7ページは、第二種でございます。

 11ページ、すみません、9ページ、10ページに白い紙が入っておりますが、皆さん入っていますので、ご容赦ください。11ページから、これは移動販売、インターネット販売についてでございます。前回の動物愛護管理法改正において、販売業者に対して現物確認、対面の情報提供というのが義務づけられたところでございます。ただ、移動販売やインターネット販売というのは現在も存在しておりまして、まず、インターネット販売としましては、ここに書いてありますようにインターネットで注文をした購入希望者が最寄りの空港等で説明の代行業者から説明を受けるというような業態が、実際に存在しているということでございます。これについて、どう取り扱うかということが1点。

 それから、イベントなどの場で販売事業者が移動しながら販売をするという、いわゆる移動販売、これについてどう扱うかという点でございます。

 論点の①としまして、インターネット販売の課題に触れておりますけれども、対面販売を代行業者がやるということ、これ自体は法律上、規制をされておりません。違法行為がないかを確認すべきではないかというご指摘をいただいています。

 移動販売、②につきましては、衛生面、それから法の目的等の観点から一律に禁止すべきではないかというご指摘もいただいているところでございます。具体的な対応の方向性を12ページの下段のほうに書かせていただいております。

 まず、論点①インターネット販売の問題でございますけれども、代行説明が行われているということによって引き起こされる問題が何なのかということを整理した上で、必要な対応を検討していきたいということでございます。動物を輸送業者に託して移動させる、その移動そのものによる動物の健康・安全への問題が、その代行説明の問題なのか。あるいは、代行説明を行う者がその販売する個体のことを十分知らないということによって、何らかの問題が生じているのか。それによって必要な対応が異なってくるだろうというふうに考えているところでございます。

 論点②、移動販売でございますけれども、こちらにつきましても、移動販売自体にどのような課題があるのかというのを、しっかり分析をしていくことが重要であるというふうに考えております。代行説明の話、ネット販売と同様、移動による問題が重大なのか、あるいは、その販売をした者が移動してしまうことによって連絡がとれなくなったりすることで、アフターケアがなされないというような、そういった問題なのかですね。アフターケア自体も、必ずしも移動業者でなくても法的な規制はないわけですけれども、どういった問題が生じているのかということについて、明らかにした上で可能な対応、例えばアフターケアであれば、規則や細目によって、そういった情報を標識の提示義務の中に含めるとか、そういうことも検討の対象になり得るというふうに考えているところでございます。

 飛ばしまして、17ページをご覧いただければと思います。犬猫繁殖業のあり方でございます。第一種動物取扱業のうち、販売業の中でも犬猫の繁殖業のあり方については、従前から大きな関心が寄せられているところでございますけれども、前回、平成24年の改正で、犬猫の健康安全計画、個体ごとの帳簿の備付け等の制度が設けられ、幼齢規制も設けられたということ。

 それから、17年の登録制度の開始以降、小規模な繁殖者、いわゆるホビーブリーダーが大きく減少したということがございますけれども、一方で、100頭単位で繁殖犬を飼育する大規模繁殖業者、これも増えているわけではございませんけれども、これに対する批判が強まる傾向というのがございます。

 ここ、(参考)のところは、先ほどご紹介をした管理方法の細目の繁殖の部分でございますけれども、論点としましては、大規模繁殖業者と小規模繁殖業者、ホビーブリーダー、それぞれについて整理をしておりますが、大規模であることによって、どういった特別な課題があり得るのかということを整理していくということが必要であろうということ。

 それから、繁殖を引退した犬猫の終生飼養の確保、あるいはブリーダー崩壊を防止するために適切な方策というのが考えられるかというのがポイントになるということでございます。小規模のホビーブリーダーについては、環境省では、Q&Aで年2回以上、または2頭以上というのが、頻度や取扱量に関する一つの線引きとして示されているところでございますけれども、例えば海外では、年間の出産回数や繁殖用のメス犬の保有数というような数値的な基準で定められているものがありまして、これを日本でも細目によって規定すべきというご指摘もいただいているところでございます。

 対応の方向性としましては、まずは、国内外の知見の充実に努めたいということでございますが、そのブリーダーの規模の違いに応じて、取扱いを変える必要があるかということについても検討をしてまいりたいと思っております。例えば小規模のブリーダーを「業」の対象から外すということをした場合にどのような影響があるかということについては丁寧に検討が必要ではないかということでございます。例えば、ブリーダーについても、欧米では厳しい自主規制がある例もあるということでございますが、日本における自主規制の有無、内容、実効性等についても留意をしてまいりたいと考えております。

 19ページのところに、ジャパンケネルクラブの繁殖指針、それから、海外で繁殖業の規模の要件をどのようにしているかというのがあります。ちょっと簡単にドイツとイギリスのところをご紹介しますとドイツについては、犬についても猫についても、妊娠できるメスの数、それから年間出産回数を明確に規定しておりますし、イギリスについては、法律の中では、こういった明示規定はされていないということでございます。

 先へ進ませていただきまして、21ページでございます。動物園や動物ふれあい施設など展示業のあり方についても、動物取扱業に求められる役割ではありますけれども、今日の後半でご説明をさせていただきます社会規範としての動物の愛護及び管理の考え方と共通する部分がございますので、説明はここではちょっと省略をさせていただきたいと思います。

 23ページでございます。動物取扱責任者ですけれども、動物取扱責任者につきましては、環境省令で定めるところにより第一種動物取扱業者の選任を義務づけているところでございます。また、都道府県知事が行う動物取扱責任者研修を受講させなければならないということがございます。この動物取扱責任者の要件自体は、施行規則の規定によりまして、下のイ・ロ・ハというところがありますが、イにありますように、半年間以上の実務経験、ロにあります教育機関を卒業している、ハにあります客観的な試験、これらのいずれかに該当するということのほか、必要な能力等が規定をされています。あわせて、その研修でございますが、研修については、施行規則10条の規定で、この漢数字の一、二、三、一年に一回、一回当たり3時間、そして、イ・ロ・ハ・ニに掲げるような内容を受講させるということになっております。

 この動物取扱責任者として必要な知識や能力というのが、まさにその資格の認定要件と研修の内容が関係してくるわけですけれども、論点①資格要件としましては、先ほど、ご説明した客観的な試験、これについては、各自治体で認めている資格要件というのは、平成28年度だけでもほとんど民間資格でございますが、90程度に上っているということでございます。それぞれの資格試験が対象とする動物の種類や取扱方法、求める知識レベルは多様になっております。

 それから、この半年の実務経験というのがありますけど、半年の経験で十分な知識が得られるかというのも業種や業態によって変わってくるのではないかということも考えられるわけでございます。

 論点②は、研修内容そのものでございますが、この1年に1回行うことを定めている研修の内容ですけれども、全ての業種、全ての動物種を取り扱う事業者に対して、同一内容の研修が行われるというのが一般的でございます。そうしますと、例えば、爬虫類の販売業者が犬猫の説明を研修の中で長時間聞くというようなことも、実際には起きてくるということで受講者の中から不満の声が一部あるというような指摘もございます。

 それから、論点②の二つ目のポツにございますけれども、研修の中身がマンネリ化しているということで、関西広域連合から地方分権の観点からの提案というのが、環境省に提出されております。自らの判断で研修の実施回数や講義内容を設定可能することができないかということでございまして、これに対して政府の閣議決定の中では、必要な検討を行って、平成31年度中に結論を得るということが決定をしております。

 研修の実施については、自治体の負担が大きいということで、例えば国による研修資料の作成、研修の外部委託、それから通知や立入検査の際の資料配布など、代替的な手法による簡素化等が議論に上っているところでございます。

 少し先を急がせていただきまして、対応の方向性でございますけれども、今の二つ、資格のお話と研修のお話でございますけれども、資格要件と研修受講、それぞれ関連があるというふうに考えておりまして、それぞれの知識・能力の水準というのを確保するための果たすべき役割というのを整理する必要があるということでございまして、資格要件でどういうことを担保し、研修によってどういうことを担保するかというのを、それぞれ整理をする必要があるというふうに考えているところでございます。例えば資格要件、研修というのは、時事更新されるような制度の変化、新たな知見、そういうものをフォローアップしていくものだというふうに考えれば、その動物の種や業種ごとに特化した内容というのは研修で担保するものではないということになりますが、その場合は、今度は資格要件のほうで、それについて、整理をしていくということになってくるかというふうに思っております。また、自治体による裁量というのをどこまで認めるかというのも、これらと関連して検討が必要だと考えております。

 もう一点、重要になると考えておりますが、26ページの最後のほうに書いておりますけれども、この研修というのが、自治体職員にとっては、第一種動物取扱業者と接する重要な機会の一つになっているということでございます。少し、28ページをご覧いただければと思うんですけれども、自治体による第一種動物取扱業者への立入検査の割合を整理したものでございます。少し言葉がわかりにくくて恐縮でございますが、1業者当たり自治体が年間に何回、どれぐらいの割合で立入検査できているかというグラフでございます。平均すると、二、三年に1回の頻度で立入検査をしているということで、事業者の数が増えれば増えるほど、当然、その立入検査できる頻度は落ちていくということになるわけですけれども、こういったことも考慮して研修の意味というのを考えていく必要もあると考えております。

 29ページでございます。第一種動物取扱業と第二種動物取扱業という項目でございますが、特に、その営利を目的としていない保護施設、シェルターや広域的な譲渡活動を行っている動物保護団体の方々という、第二種動物取扱業について、書かせていただいております。こういった団体が自治体の犬猫の譲渡を促進して、殺処分数を減らしているということに大きく貢献しているという事実がある一方で、例えば、引き取られた犬猫による咬傷事故が発生をするというような懸念もないわけではないということで、いずれも、その動物を取り扱って他者に引き渡すという性格を持っている動物取扱業の中で、第一種より第二種の規制が緩やかであることが妥当かどうかという指摘もございます。

 論点①にございますように、委員の中からは、自治体の殺処分を減らすことに貢献をしている事業者については、自治体は厳しく指導できないと。これをどうしていくのかと。

 論点②としては、第二種事業者が遵守すべき基準その他において、実態を踏まえた考え方の整理が必要ではないかということで、現状で問題がないかどうかということになります。多様な方向性といたしまして、論点①につきましては、これはやはり、実態の把握というのが、まず重要ではないかと考えております。もし問題が生じているのであれば、犬猫の譲渡適正を厳密に自治体が見極めるといったこと、あるいは、譲渡先の第二種動物取扱業者に対する指導をより的確に行う必要があるというふうに考えているところでございます。

 論点②のところにございますけれども、説明が前後してしまいましたが、第二種動物取扱業者は届出制で、登録制ではないということでございますが、社会的な役割というのは、非常に期待をされているところでありますし、クラウドファンディグなどのインターネットを活用した寄附の仕組みなども拡大していくということで、この社会的な役割、公益の拡大の見通しというのを考慮して、どういう対策が必要になっていくかというのを考えなければいけないのではないかということでございます。

 30ページの下のところには、第一種と第二種の業者の登録届出件数がございますが、数としては圧倒的に第一種のほうが多いということでございます。

 33ページをご覧ください。動物取扱業者や業界団体の主体的な取組みの促進ということでございます。動物取扱業者のうち、販売業者に対しては購入しようとする動物についての説明義務が課されておりまして、さらに努力義務として、理解される方法で説明を行うよう努めなければならないというのがございます。ここに法8条を引用しておりますけれども、こういった中で中段からですけれども、都道府県からの聞き取りでは、総じてみれば登録制の導入、平成17年からすると、販売業者における飼育管理水準は大きく向上していると。特にペットショップについては、消費者の目に直接触れるということで、大きく改善されているけれども、ブリーダーについては、相対的には、なお課題を抱えている業者が存在するという指摘がございます。欧米では、厳しい自主規制などもあるというふうに言われていますけれども、日本においては、そういう自主規制などが脆弱ではないかという指摘もございます。

 行政としましては、業界の自主的な取組みを促進して優良事業者を育成していく、業界全体をレベルアップするというようなことを考えると、経済的な手法や情報的手法、必要な情報を適切に提供するというようなことによる取組みが十分ではないという指摘もございます。

 一方、大規模災害対応につきましては、ペット災害対策協会のコーディネートによる取組が今日、冒頭もご説明しましたように進められているところでございます。

 論点①としまして、この動物取扱業者が果たすべき社会における役割は何かということが書いてございます。

 34ページにございますけれども、営利、非営利、つまり第一種、第二種を問わず、業界による主体的な取組みというのを強く期待されるところではありますけれども、あわせて、そういった主体的な取組みが社会的に評価をされる環境づくりというのも大事ではないかと。ほかの業種、あるいはほかの行政分野における政策の例を参考にしながら、中長期的な観点に立って業界全体の健全育成というのを考えることが重要ではないかということでございます。

 関連データとしましては、例えば、資格として家庭動物管理士資格の例、それから、ガイドラインとして、犬猫適正飼養推進協議会が求めている「動物の快適性に配慮した適正飼養指針」を紹介させていただいております。

 長くなりましたけれども、前半のご説明は以上に、すみません、1点だけ、修正をさせていただきたいのですが、私がご説明したうち、19ページでございます。19ページで、ドイツとイギリスの繁殖業の規模要件のご説明をいたしまして、資料にありますとおり、イギリスでは法律で明示されていないというふうにご説明をいたしましたが、ここについては、まだ精査が不十分でして、正確でない可能性がございますので、今後、精査をしたいということで資料につきましても、ここは不明確ということで削除をさせていただきたいと思います。

 すみません。以上でございます。

【新美部会長】 ご説明ありがとうございます。

 それでは、ただいまの説明で、動物取扱業者に関する論点でございますが、ご質問、あるいはご意見ございましたら、どうぞよろしくお願いします。

 じゃあ山﨑委員、どうぞ。

【山﨑臨時委員】 多分、私、たびたび申し上げていると思うのですが、この数価基準という言葉が、結構、何回も登場しておりますけれど、これは、恐らく環境省ではなくて、いろいろな業界から数価基準がないと、例えばフォローできないのではないかという疑問が出されている結果、こういう言葉が使われるようになったかもしれませんが、数値基準というのは、恐らく不可能なんですね。犬だけを考えても1.5キロのチワワから、70キロのニューファンドランドまでいると。そうすると何百通りの犬種とか体格、体重に合わせて何センチ幅等々と書いていくのかというと、これは不可能です。

 以前、環境省にも、動物との共生を考える連合、連絡会という愛護団体の連合会から、いわゆるたたき台としての飼養管理基準という文書を提出させていただきましたけれど、基本的には、例えば立ったときに頭がぶつからないとか、寝転がったときに足がつっかえないとか、複数入れる場合には体高の一番高いものに合わせるとか、そういった要するに、動物のあり方、方向転換ができる、そういった形で基準を設けるべきではないかと思うのです。だから、数値基準というのは何を目指して、皆さんがおっしゃっているのか、私もよくわからないんですけれど、この辺はそろそろ、そういった具体的な考え方を検討されるべきではないかなというふうに思います。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 ほかにご意見、ご質疑ございましたら。

 それじゃあ太田委員、お願いします。

【太田臨時委員】 18ページに関連データ類というのがあって、JKCのデータが出ていますけれども、ホビーブリーダーが減っていると。これは動物取扱いの登録のせいですか、というのを知りたいんですけど。これは、環境省、答えられますか。

【新美部会長】 環境省のほうで。減少した理由ですね。登録のある方の。

【太田臨時委員】 はい。

【事務局】 すみません。じゃあ、私のほうからちょっとご説明させていただきます。この数字については、JKCの方からは登録制度が始まったことによって、零細事業者の方にも等しく、大規模の方も同じ規制がかかることによって、だんだんなくなっていかれたというようなご説明を聞いておりますが、これ、以前の審議会でも、ちょっとご回答したかと思うんですが、我々のやっている、環境省として、それだけが理由かどうか、まだ断定はしておりません。これは、むしろ社会的ないろんな、若い方の可処分所得の問題ですとか、ペットを飼いやすい環境かどうかですとか、いろんな状況が関わってきていると思いますので、そういう説明はよくお聞きをするんですけども、ただ、現状として減っているという事実はあるというふうに聞いております。

【太田臨時委員】 極端に減っていますよね。それはJKCのデータだけですか。

【事務局】 動物取扱業のうち、犬猫販売業、さらに、そのうちの繁殖をする業者の数については、平成25年から統計をとるようになってきておりますけども、実は、動物取扱業者の数全体はどんどん増えている中で犬猫販売業者と犬猫の繁殖業者の登録数は減少してきております。緩やかでありますけど、だんだん減ってきているという傾向はありますので。ただ、ここまで急激なというところでいきますと、多分、減ってしまった後の段階で犬猫繁殖業ってできているとか、そういう大きな変化が捉えられていないのかもしれません。

【太田臨時委員】 わかりました。

 それから、もう一点あるんですけど、5ページの対応の方向性というので論点①の対応策、対応案。この検討会の結果を踏まえて、環境省の言う適正な飼養管理の方法についての基準やガイドライン等のあり方を検討するというのはわかりにくいんだか、何をするんですか、これ。

【長田動物愛護管理室長】 基準を明確化するという方向でいろいろと議論をしていくわけですけれども、例えば省令等の規制によって飼養管理方法を規定していくのがいいのか、ガイドラインで規定していくほうがいいのかというのは、その内容と深く関連すると思っていまして、例えば、守らなければ行けない最低基準みたいなものを、明確に根拠をもって示すということが全体としての飼養管理の質の向上に資するかどうかということでいうと、さまざまな手段をその内容に応じて使い分ける必要があるというふうに考えておりますので、そういった点をここでは表現をさせていただいているところでございます。

【太田臨時委員】 わかりました。

【新美部会長】 よろしいでしょうか。

 ほかにご質問、ご意見ございましたらどうぞ。

 じゃあ浅野委員、お願いします。

【浅野臨時委員】 まず、代行業の問題についてなんですけど、ちょっと実質的な話と形式的な話をさせてください。形式的な問題としては、事業所外での営業には識別票をつけると。資料で言うと13ページの辺りかと思うんですけれども。識別票をつけた職員による説明が必要ということになっていまして、その職員というのは、あらかじめ登録した人じゃなきゃいけないということになっています。そうすると、恐らくですけれど、代行業の問題というのは、登録していないであろう人にされているという意味では、ここに違反しているということになります。

 職員というのは、定義は法律では書いていないですけれども、一般的な意味では、職員といったら従業員を指すことですし、通常、委任関係にあるような役員は含まないですし、業務委託先も含まないということになると、形式的には、やはりこれに違反した者による説明が行われているということにはなります。ただ、それを実際に取り締まれないという現状があるわけで、それをどうするかという、そういう問題が一つあるかなと思っています。

 もともとの、実質的な話としては、このあらかじめの現物確認義務と対面説明の義務を課している理由は、先ほど、事務局の説明にもありましたけれども、動物の健康・保護ということで考えるのか、消費者の保護というかそういうことで考えるのかはあるんですけど、一つは、必ず、8条2項ができた趣旨にありますように、消費者の衝動買いを防止して、契約前に説明をさせて現物を確認することで、契約しない自由を確保するということがあるわけです。そうすると代行業で、例えば飛行場、空港などでペットが来て、それを代行業者が説明したときに、消費者は当然、買わないという選択ができるわけです。買わない選択をさせるために、あらかじめの説明と現物確認が必要です。そうしますとそのペットは、断られた場合は、また再輸送されるわけですね。だから行きだけじゃなくて帰りも、当然、輸送されるわけですから、まずペットの健康ということから考慮すると、何というんでしょう、移動販売というのは、客がペットを見に行って、買う、買わないを決めるかわりにペットが移動するわけですよね。そういう移動販売の業態があるということを考えると、まず、輸送の基準とか、そういうものをもうちょっと厳しい数値化する必要があるのではないかと。ドイツなんかも厳しいというふうにありますけれども。今、現行法ですと、輸送については、ちょっとこう定性的な基準はありますけど、特に輸送業が許可制になっているわけでもないので、そこが気になります。

 もう一つ、実質的なところで、当該ペットの個体を熟知している事業者自身によって説明を受けなきゃいけないというところに意味があると思うんですね。これを代行業で行うという場合は、その個体は熟知していない。で、同腹子の状態ですとか、遺伝性の問題、ブリーダーの情報も知らないと。単にその動物種一般に詳しいという事業者になるということになります。

 これでいいのかというところが問題になるかと思います。いいというんであれば、今度、消費者保護という面からは、代行説明であるということを明示する必要があると思います。

 現在の施行規則も、8条の2項の15号で所有者が自分じゃない場合は、その明示をする必要があるということなので、形式的には代行説明の場合はここを説明しているはずなので、それで本来、形式的には担保されているんですけど、多分、実質は担保されていない。そういう課題があるということを、ちょっとお知らせさせていただきたいと思いました。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。この点は、インターネットの販売というのは、そういう意味では、説明義務という観点からいくと消費者保護一般から言っても、非常に大きな問題がありますので、今のご指摘は十分に受け止めなければいけないんじゃないかというふうに思います。

 ほかにご質問、ご意見、どうぞ水越委員。

【水越臨時委員】 移動販売のところなんですが、懸念のところで輸送とアフターケアが書かれているのですが、それだけでなく、移動販売や移動動物園もそうだと思いますが、設備がどうしても簡易なものになってしまいがちです。そうなってくると、説明の中にも災害対応というのが、たびたび出てきましたが、そういうようなときにしっかりと動物の管理や逸走を予防することができるのかであるとか、設備に対しても、やはり何かしらの規制あるいは基準が必要ではないかというふうに思います。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 じゃあ、打越委員どうぞ。

【打越臨時委員】 3点あります。まず、1点目は、やっぱり移動販売なんですけれども、その中で14ページ、自治体から集まっている移動販売等の課題に関してのところなんですが、これもよく自治体の担当者の中で話題になるんですけれども、例えば、大きなスペースで移動販売のイベントなんかをやるときに、24時間以上で2日間にわたるんだったら、自分たちの自治体での登録があるんだけど、1日だけだと仕組みがないんだよねというような逃げ口上をよく聞くことがあります。

 それが14ページの小さな点線で囲まれた箱の中の、文章中にあるんですけれども、本来登録を受けているところ以外で動物取扱業をする場合には一定の時間、24時間を超える場合には、独立した事業体として、改めて登録が必要とみなされる云々というふうに書いてあります。例えば新潟県で登録している業者が、長野県の体育館でイベント行事をやる場合に、1日限りの場合には新潟県で登録しているから長野県の登録は要らないですよねというと、長野県としてみれば、24時間以内なので、新潟県で登録されているからいいですよねというふうに、話になってしまうんですね。しかし、1日であっても、その業が開催される場所の担当行政職員が指導や立ち入りできない、あるいは、そこで厳しいことが言えないというのは、やはり、非常に隔靴掻痒(かっかそうよう)の感があるかなと思います。

  今の多くの自治体は、今言ったとおり、1日の場合には、登録を、手続を求めないというふうにしているようです。その根拠になっているのが、この改正動物愛護管理Q&A、愛護動物研究会編著の、昔、もしかしたら、これ何かの本だったかなというふうにも思うんですけれども、これは環境省の告示でもないものでありまして、そこでの考え方の整理が24時間以上という、それに従って自治体が、だから、できないというのは、やっぱりあまりにも弱腰ではないかと。もし本当に2日以上ということであれば、環境省の告示があるならば、まだそれは法令に従っているんだという形になると思うので、この曖昧なルールによって、各自治体が1日だけ販売するときには、県を越えたとしても登録が必要ないというのが許されてしまっている状況は、ここは、私は厳しく規制を上げたほうがいいんではないかと考えるのが1点目です。この14ページのところですね。

 それから、次に18ページでありますけれども、18ページの中ほどに、ブリーダーに対しては、ケネルクラブ等による厳しい自主規制が行われているとの指摘もありという、引用の根拠がないまま、非常にこう曖昧な文章になっていると思うんですけれども、一体この厳しい自主規制というのは何かと。隣に、19ページに、ちょっとだけ繁殖指針というふうに載っているんですが、ほかにももっといっぱいあるんでしょうけれども、交配できる月齢はせめて9カ月齢以上とか、親子の交配は、基本的にはだめとか、これが厳しい自主規制とは私には思えなくて、もう本当に当たり前の規制を書いているだけなのではないか。そうすると厳しい自主規制が何なのかを、まず、ここに資料として載せていただいて、それを私たち見ないことには、指摘もあるだけではやっぱり納得できないかと。他方で、33ページには、自主規制が脆弱だというふうな記述もありましたので、もし、本当にケネルクラブの自主規制が厳しいものであるなら、それが守られていることの立証責任まで含めて、ケネルクラブはどこまできちんと自主規制しているのか、示していただかないと、と思います。

 最後に、27ページから28ページ、動物取扱責任者への研修の件は、関西連合さんからの申し入れというのは、私はおっしゃるとおりだなと思います。もちろん、きちんと集めて研修していただきたいという部分もありますけれども、単に数値で何回やってという、同じようなテーマの内容の研修を会議室でやるぐらいなら28ページ以降のところで、自治体の担当者がむしろ業者の立ち入りが増えているというデータが出ているならば、会議室に集める研修を形式的に義務化するよりは、むしろ、立ち入りを積極的にしようとしている自治体の努力を認めるべきだと思います。ただし、ナショナルミニマム的な基準はつくってくれというのが関西連合さんからの二つ目の申し入れで、つまり国が教材をつくってくれというところはそのとおりだと思いますので、この27ページ、28ページの動物取扱責任者への研修について、もう少し自治体の裁量を認めるとともに、決して後退することのないように基準をきちんと、基準というか、教える内容を定めるとともに、立ち入りをむしろ増やしていくということであれば、賛成であります。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 ほかにご意見ございましたら、よろしくお願いします。

 どうぞ、藤井委員。

【藤井臨時委員】 インターネット販売の件なんですけれども、背景には衝動買いのことがあるということで、現物確認と対面販売を義務づけているというところがあるという皆さんのご説明だったかと思いますが、現在、ペットショップでは、7週齢以上の子犬・子猫が販売をされているという実態があるのに対して、インターネット販売ですと、販売可能な日齢に達していない、生まれて1週間とか、そういう子犬・子猫の写真を掲示して、そして値段をつけてということが行われています。

 そういったことが果たして現行のルールにおいて適切なのかどうかということも、どこかではっきりさせておいたほうがいいのではないかなというふうに思います。

【新美部会長】 どうもありがとうございます。

【浅野臨時委員】 ちょっと追加というか、34ページで、先ほど、業界としての自主規制の導入やガイドラインの作成を促進することは可能かというのがあるんですけど、今のご発言とこれも関係すると思うんですけど、きちんとやっている事業者とそうでない事業者というのはやっぱりあるわけですね。実際、先ほど、私が話した事業所外での説明についても、きちんとやっているところと、きちんとやっていないところ。きちんとやっていないところを、なかなか行政として把握して指導するということができない現状があると。

 そうしますと、きちんとやっている事業者を評価するという仕組みが何か必要かと思うんです。それは、やはり事業者、第一種に関しては営利性があるわけですから、消費者へのアピールに使えるような、何か事業者を評価できる仕組みというのが必要かなと思います。

 もちろん、きちんとやっていなくて、非常に違法なことをやっているところは、行政指導なり、刑事罰なりを加えていくというのも当然必要なんですけれども、それと並行して、きちんとやっているところを優良事業者として評価するのか、ちょっとそういう仕組みはわかりませんけれども、そういうことが必要だということは思います。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 山口委員、お願いします。

【山口臨時委員】 私も移動販売のところなんです。既にほかの委員の方もおっしゃいましたが、1日とか2日で売って、その翌日には、周りの獣医師の先生方のところに嘔吐・下痢の症状で来るということが、実際、あちらこちらの県であります。確かに業の自由、形態の自由というのはあるのかもしれませんけれども、自由の裏には責任があるということで、売った動物に対しての責任が全くとれていないということですので。同じ県内なら、そのお店に行くことはできても、かなり離れたところであれば、もうその責任すらとれないで放置するということが実際行われております。やはり、この移動販売という形態は、もうやめにする時期ではないかと思います。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 今の移動販売は、確かに問題で、一般の消費者取引だと訪問販売とかなんとかというのは、かなり厳しくやっているわけですので、それよりも、もう少しきつくてもいいのかなという気はいたしますので、販売形態について、動物取扱業はどうあるべきかというのは、きちんと議論したほうがいいんじゃないかと思います。

 それから、もう一つは、自主規制というのは、盛んに、今、皆さん、問題にしていると思うんですが、行政が自主規制として認めるものは一体何なのかというのは、やっぱり明確にしておく必要があると思うんです。何か取り決めをやっていればいいんだというんじゃ、これは自主規制の意味はないんで。いろんなところで日本流で言うと、枠組規制といいますかね、あるいは外国でいうと、ハイブリッド規制と言いますけれども、事業者に自主規制をつくらせておいて、それを行政が是認して、それで全体のコントロールをしていくというのはしばしばありますけれども。ヨーロッパでもアメリカでも自主規制として行政がオーソライズするのは、きちんとしたペナルティー制度が動いているかどうか、自主規制に違反した場合にはペナルティーが課されていくか、あるいは課すだけのシステムがあるのかというのが自主規制を行政が認める場合のキーポイントになっているということですので、あまり自主規制があるからとか、自主規制、自主規制ということで、それに全部おんぶでだっこというのは、ちょっと行政としては無責任になるんじゃないかというふうに思います。

 これは私の意見ですが、ほかにどうぞご意見、ご質問ございましたら。

 じゃあ、どうぞ。

【打越臨時委員】 後ろのほうで動物取扱業のうち優良な業者をむしろきちんと認めてあげる仕組みも必要ではないかという話が書いてあったと思います。ページ番号は33ページ辺りですかね。私は、これは本当にそのとおりだと思います。劣悪な業者を淘汰していくためにも、優良な業者を認めるというのは大事なことだと思います。その場合も、今、座長がおっしゃったとおり、これはきちんとしている施設なんだということを、例えば、行政とか獣医師会とかがそろって認証するような仕組みが必要だと思いますし、そのときに、現在の業をやっている人たち全員が協力し合って、みんな優良な業者として認めてもらうという話ではないと思うんです。みんなが協力して、全員が生き残ることが目的ではなくて、業は業として、やはり競争の中にあって、レベルの低いものは淘汰されていくべきだと思いますので、もし、優良な業者として認定するのであれば、そこに、あの業者はだめであると、不合格という団体が、あるいは組織が出るようなきちんとラインを引かなきゃいけない。そこは全員が生き残るための底上げの話とは違うと思いますので、優良業者を認めるということは、そこに差別を、格差を生むということを覚悟の上で業界はやっていってほしいと思います。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 それでは、まだまだこれを論じる時間が本来は必要かと思いますが、とりあえず、時間の都合もございますので、次のテーマに移りたいと思います。

 テーマ4、社会規範としての動物の愛護及び管理の考え方と、テーマ5、人と動物が共生する社会の将来ビジョンについて、二つあわせて事務局からご説明をお願いします。

【長田動物愛護管理室長】 それでは残りの資料について、まとめてご説明をさせていただきたいと思います。

 その前に1点だけ、先ほどの説明の中で訂正をさせてください。打越委員からご指摘のあった18ページの部分、19ページの部分に関連するんですが、「ケネルクラブ等による厳しい自主規制」というところを、私、「日本では」というふうにご説明をいたしましたが、文章で言いますと、18ページの中段のところで、海外のお話で年間の繁殖回数により裾切りを行っている、要は規制としてコントロールしている例が見られる、一方で、ブリーダーもケネルクラブ等による厳しい自主規制が行われているという指摘もありということで、これは海外の例でしたので、私の説明が不適切だったということで訂正をさせていただきたいと思います。申し訳ありませんでした。

 それでは、すみません、35ページからになりますけれども、ご説明をさせていただきます。

 社会的規範としての動物の愛護及び管理の考え方ということで、社会的規範となる動物の愛護と管理の考え方をどう形成していくかという難しいテーマでございますが、1ポツのところにありますけれども、現行の動物愛護管理基本指針の中では、括弧書きの中にございますように動物の愛護と管理の考え方は多様であって然るべきものであろうと書いてあります。ここで社会的規範としての動物の愛護及び管理の考え方は、普遍性及び客観性の高いものでなければならないと。この考え方を国民的な合意の下に形成していくことが必要としております。

 一方で、この考え方をどう形成していくかということは、指針の中では示されてはいないところでございます。

 この社会的規範はどうあるべきかというのが論点の①でございますけれども、動物愛護に関する法が制定されて40年以上が経過をしているわけでございますが、必ずしも国民的な合意形成というのは規範としてできているかというと、そうは言えないというふうに考えているところでございます。

 ここで日本人の動物観という石田戢さんという方が中心になってまとめられた本での考え方に触れておりますけれども、欧米との違いがはっきりしていると。動物と人間との関係に何らかの原理を求めるとか、論理や普遍性を求めるというようなことがなくて、経験的で個人的だというような、石田さんのお考えですけれども、こういったことが書かれているわけでございます。

 これが事実かどうかはさておきまして、実態上、法制定から40年以上経過しても、明確な社会規範というのが自動的に形成をされるわけではないということは、直視する必要があるというふうに考えております。

 36ページに行きまして、冒頭、上の2行に書きましたけれども、将来にわたって、人々の動物に対する考え方というのは多様であり続けるというふうに考えたほうが適当ではないかとも考えられるわけでございます。

 こういったことにどう対応していくかということでございますけれども、その国民の考え方自体は多様であるということを認めた場合に、じゃあ、多様であるから何をしてもいいということではなくて、論点①の三つ目の黒ポチのところにございますけれども、考え方の相違が具体的な行為になってきた場合に、法の目的として存在している動物を愛護するという気風という公序良俗を侵害するおそれがあれば、それは当然一定の制約を課していく必要があるということになってまいります。つまり侵害される公益と制約を受ける行為の性質や制約の程度について、客観的な検討・評価を行った上で、科学的知見に基づいて行為規範の内容を規定するということ。あるいは、これが罰則を伴うような法規制とすべきものなのか、それともマナーや自主ルールとして世の中に浸透させていくべきものなのかということも含めて、これは中長期に検討していくことが必要ではないかということでございます。

 関連データとして示しましたのは、昨年の2月に開催いたしました「動物の愛護と管理と科学の関わり」というシンポジウムの中で、2名の基調講演者と4名のパネルディスカッションで、それぞれご議論をいただいたときの一つの資料でございますけれども、動物の愛護管理の考え方について、科学、法律、それから道徳・倫理・生命観・動物観、そして生活・経済、こういった切り口で検討をしていくということが重要ではないかということでございます。

 39ページをご確認ください。動物愛護とアニマルウェルフェアの関係でございます。

 動物愛護管理法の中で第2条に基本原則というのが規定されておりまして、前回の法改正でアニマルウェルフェアのいわゆる五つの自由の考え方というのが条文の中に基本原則第2条というところを引用していますけれども、具体的に示されているところでございます。

 法体系としては、ここでも何度か議論になったことがあると思いますけれども、動物の生命、身体を保護するということを保護法益、つまり、動物自体を権利の主体として捉えている法体系にはなっていないということですけれども、こういうアニマルウェルフェアの考え方が基本原則として位置づけられているということでございます。

 アニマルウェルフェアにつきましては、1960年代にイギリスの産業動物の扱いから始まって、39ページから40ページにかけて書いてありますようにEUの中で特に重点的に議論をされてきた考え方でございます。

 40ページの中段には、農水省の資料から引きました「五つの自由」を引用しておりますけれども、餓えと渇きからの自由、恐怖から自由、不快からの自由、苦痛からの自由、それから行動の自由という、こういったものを位置づけているところでございますけれども、当然、EUから始まったとは言いましても、もう国際獣疫事務局の規定等の中にも盛り込まれてきて、それが国際的な基準にまでなっているということでございます。

 一方で、動物愛護というのは、じゃあどういう考え方で、どこから始まったのかということで言いますと、欧米の先進国には動物愛護という概念は存在しないのではないか、あるいは英語の適訳というのがないのではないかというような議論もあるところでございます。

 論点①としまして、「アニマルウェルフェア」とはどのような概念かということを触れていますけれども、さまざまな方々によって、さまざまに受け止められているアニマルウェルフェアという概念について、正確な理解というか、正確な認識の共有がないままにそれが広がっていったときに、動物愛護及び管理の考え方の形成・普及に支障を及ぼすおそれはないのかということでございます。その歴史や理念、制度、運用に等に加えまして、背景となった考え方を踏まえて、正確に理解していくことが大事ではないかということでございます。

 41ページのところに、これまでの委員のご指摘も紹介していますが、グローバルスタンダードとしての動物福祉について、正しい理解をした上で、日本に導入していくことが必要だというご指摘もありましたし、西洋と日本の動物観の違いを整理して議論することは賛成です。あるいは、理解不足のまま片仮名言葉がひとり歩きすることは問題であって、広く関係者を巻き込んでシンポジウム等を開催すべきというご指摘もありました。

 論点②としましては、仮にアニマルウェルフェアの概念が明確になり、共有された場合に、それはそのまま日本に導入するべきものかどうかということでございます。

 ここで事例として書いておりますのは治癒の見込みのない病気になった個体等について、介護しながら飼い続けるということは、日本にとってはよいことと受け止められることが多く、他方でイギリス等においては、動物虐待に当たるとされることもあるという指摘もございます。

 こういったことについて、日本におけるアニマルウェルフェアに基づく取扱いというのを、どのように考えるのか。受け入れられるものなのかということについて、十分議論をしていくということが重要ではないかということで、一つのテーマとしましては、愛玩動物分野のアニマルウェルフェアについて、安楽殺に対する寛容性というものが求められるのではないかというようなこともあるわけでございます。

 論点の③としましては、「アニマルウェルフェア」と日本語の「動物福祉」は同義なのかということでございますが、委員からは日本語で動物福祉というべきで、それを定着させていくべきだというご指摘もあります。

 なかなか、定義の明確化というのは簡単ではないと考えておりますけれども、認識を共有するということは重要ではないかとも考えておりまして、動物愛護そのものの用語についても明確な定義が法律上規定されているわけではありませんので、これについては、論点①、②、③への対応案としまして、考え方、それから各国や国際機関における制度・運用について、情報収集・整理を行いたいというふうに考えているところでございます。その上で文化的背景、社会的背景、価値観の違い等を含めて把握をした上で、日本においての扱いを整理・検討していきたいと考えております。

 43ページをご覧いただければと思いますけれども、動物を展示に利用することについての考え方の整理という、ちょっと先ほどとお話が大分変わりますことでございますけれども、動物園を初めとしまして、さまざまなところで動物の展示が行われているということで、ここで「ふれあい」という言葉がたくさん出てくるので、少しだけ補足をしたいんですが、今、「ふれあい」というのを平仮名と漢字がまざり合って使わせていただいていますが、便宜的に、物理的接触を前提とするものを漢字で書かせていただいて、例えば自然とのふれあいとか、見て親しむというようなものを含むものについて、平仮名にしていますが、こういう決まり事があるわけではございませんので、今、あくまで便宜的にそういった使い分けをさせていただいているところでございます。

 動物に「ふれあう」機会というのは歴史的に少なくなってきていて、さまざまな新しい形での「ふれあい」というのが業として提供されるようになってきていると。一方で、公衆衛生上の問題や動物の健康・安全の観点から問題が指摘もされているということでございます。

 44ページに、まず、動物園における展示の考え方について書いておりますけれども、委員からは、例えば動物園を動物取扱業として規制するのには限界があると。他の展示業とは差別化を図るべきというご指摘ですとか、動物園の適正飼養ガイドラインを検討すべきというご指摘もいただいているところでございます。

 環境省で平成25年度から27年度にかけて動物園の公的機能推進方策のあり方という検討をしたことがございますけれども、ここでも動物園の専門性を考慮した規制や指導のあり方の検討が必要というようなことも指摘をされている一方で、「ふれあい」というのが、動物福祉に反するという指摘もあり、動物愛護管理行政の中で対応を検討すべきだということがまとめられているところでございます。

 論点としましては、動物園において動物を展示することの意義、社会的な、公益的な意義は何かということを整理する必要があるだろうと。

 それから、動物の「ふれあい」利用、これは動物園以外のものも含めてですけれども、「ふれあい」のための展示というのを適正化していくということ。動物カフェのようなものについては厳しく見ていく必要があると。動物福祉の観点からも問題が大きいとか、それから学校飼育動物等についても、子どもたちに優しい心を教えるということにつながらないのではないかというような、さまざまなご指摘を課題としていただいている一方で、学習指導要領の中で、動物を飼う行為を通じて生物への親しみを持ち、大切にしようとすることを目指しているというようなこと、あるいは小学校、動物園等で飼育動物関係の理解者が増えるとさまざまな問題解決につながるんではないかとか、やはり動物に命があることというのをちゃんと子どもたちに理解してもらうことが大事だというようなご指摘もいただいているところでございますので、動物と触れ合うことの意義をどのように位置づけるかということも重要だというふうに考えております。

 また、動物や人間の健康・安全の問題というのも整理をしていく必要があると考えておりまして、46ページに対応の方向性をまとめて書いておりますけれども、業態区分ごとに意義を整理する、そして展示利用における動物の取扱いについて基本的な考え方を整理するということが必要だと考えておりますけれども、当面の対応としては、立ち上げました動物の適正な飼養管理方法に関する検討会の中でも展示動物も含めて飼養管理基準のあり方については検討をしてまいりたいというふうに考えております。

 次に、49ページでございます。実験動物、産業動物への考え方・取扱いでございます。

 主として致死的利用を行うという書き方を行うという書き方をしておりますけれども、産業動物については、最後は命を奪うというのが一般的ということもございますけれども、こういったものについては、飼養・保管基準については、他の形態同様定められているわけですけれども、実験動物については、(1)のところにありますように、三つのRの原則、3Rの原則について触れておりますがちょっと時間がないので急ぎますけれども、使用数の削減、Reduction、苦痛の軽減、Refinement、代替法の利用、Replacementのうち、苦痛の削減について、もともと動物愛護管理法の中では規定をされていたと。その他については、今、配慮事項として規定をされておりまして、実態上は動物実験等に関わる関係省庁がそれぞれ基本指針等を定めて運用しているということでございます。

 50ページにありますように、実験動物の健康・安全の保持をどう図っていくかということについては、機関管理や外部認証という仕組みで進められているわけですけれども、これを促進していくということ、そして市民に向けた普及啓発等をしっかり実施していくということが重要だということで整理をさせていただいております。

 産業動物につきましても、52ページに記述されておりますように、責務規定が定められているので、産業動物の飼養及び保管に関する基準が定められているところでございますので、関係省庁と連携しながら飼養管理の向上に向けて対応していくということが重要だということで考えているところでございます。

 55ページをご覧ください。「人と動物の共生する社会」の将来ビジョンの中で、人と動物の共生する社会の具体像の提示ということについてでございます。

 法第1条の目的には、「人と動物の共生する社会の実現を図る」という規定が追加されたわけでございますけれども、人と動物の共生する社会というのが、具体的にどのような社会なのかという、その社会像を提示し、共有をしていくということが重要ではないかということを考えております。

 環境行政の分野でも「自然共生型社会」、「循環型社会」、「低炭素型社会」といった形成すべき社会の姿を目標像として、それに向けて個々の政策を進めていくという手法がとられているところでございます。

 論点としては、動物全般についての「人と動物の共生」というのをどう捉えるかということを書いておりますけれども、産業動物や実験動物なども含めて「人と動物の共生する社会」の動物の中には含まれていくということで、委員からは、動物愛護管理法のバランスが少しペットのほうに行き過ぎている感があるというような指摘もあったところでございます。

 56ページのほうに論点②がございますけれども、将来ビジョンをどう検討していくのかということで、例えば「自然と共生する社会」の例であれば、閣議決定をしました生物多様性国家戦略というのが、中央環境審議会の自然環境部会でご議論をいただいたものですけれども、50年後や100年後の具体的な国土の姿というものを提示しております。こういった議論は必要ないのかということでございます。

 論点③として、将来ビジョンを考える上で、人と動物の関わりを検討する上で留意すべき新たな視点というのは何だろうということでございまして、幾つかここに書かせていただいております。

 対応の方向性として、「人と動物の共生する社会」というのが、動物愛護管理法の中でどういうことを意味しているのかというのを整理し、その将来ビジョンを中長期的に検討することが必要ではないかということでございます。

 二つ目のポツのところにございますが、言葉の定義を明確にして議論をするということが大事であろう。それから社会的・文化的背景から尊重すべき行為というのがあることにも留意が必要だと。その上で科学的・法制的知見に基づく議論を、これは簡単にできるものではないと思いますけれども、積み重ねていくべきではないかということでございます。

 最後ですけれども、59ページ、60ページでございますが、今後、動物愛護管理施策を進めていくための留意事項、留意すべき視点として、多様な主体との連携と証拠に基づいた政策立案という2点について、書かせていただいております。

 今後の施策展開の方向性としましては、現行の基本指針においても関係者の協働や関係の構築の必要性というのを示しているところでございまして、一方でどうやって関係者の協働を進めていくかというのは課題になっているというふうに考えております。

 また、政府全体の取組としまして、EBPMEvidence BasedPolicy Makingという考え方が導入をされてきておりまして、科学的根拠に基づいて、政策目的を明らかにし、効果がある行政手段は何かというのを明確にしながら、政策を進めましょうという考え方でございます。こういったことが重要ではないかと考えておりまして、論点①、多様な主体の連携につきましては、委員からも自治体職員の協働に関するコーディネート能力の向上が必要である。あるいは、保護団体の横のつながりがないので公的な団体が音頭取りをやっていかないといけないと、60ページでございますが、それから、ステークホルダーミーティングみたいなことを実施して、愛護団体、繁殖業者、売る側、自治体、皆さんが議論をしていくということも大事だろうと。環境省のようなところが音頭を取ってやらないといけないのではないかということが指摘をされております。

 EBPMにつきましては、科学的知見に基づいた政策立案が重要だということについては、あまり議論はないと思いますけれども、それでは、科学的知見や重要なデータというのは何なのか、それをどのように収集すべきなのか、政策に反映するための仕組みはどうあるべきかといったことについては、今後、検討していく必要があるということで、これも中長期課題として、整理をさせていただいたところでございます。

 少し説明が長くなりましたけれども、以上でございます。

【新美部会長】 どうもありがとうございました。

 非常に多岐にわたる論点をさらに説明をしていただきましたが、ご質問、ご意見ございましたら、よろしく。

 はい、どうぞ。

【松本委員】 49ページの実験動物のところなんですけれども、まず実験動物は、この数年間、かなり減少しているとは思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。マウスとかラットとかはどうなんでしょうか。

【長田動物愛護管理室長】 網羅的な数字はないんですけれども、実験動物協会ということなんですよね。

【事務局】 実験動物協会です。

【長田動物愛護管理室長】 協会がですね、アンケートをとった関連事業者の統計等によりますと、小動物の実験動物についてはここ数年で減少傾向にあるというようなことがわかっております。

 一方で、サル等については、横ばいか少し増えているというような状況です。

【松本委員】 その上で減っているから十分ということはないのかもしれませんけれども、さっきの3Rの原則へ取組みというのは、例えば諸外国と比べて、我が国では、まだまだ不十分という認識なんでしょうか。その辺はいかがなんでしょうか。

【事務局】 お答えさせていただきます。

 諸外国と比べてというか、前々回の資料に日本とほかの国の比較表というのを実験動物で1枚紙、すみません、4回前の資料につけさせていただいていて、全体的に見て、日本とそれぞれ欧米はやり方はもちろん違うんですけれども、日本は日本独自のやり方でやりながらやっているというところと。あとはスキームの見方、行政が管轄するのか、団体が自主的にガイドラインを出しているのか、そういう違いはあると思うんですけれども、一般的に、今、日本のやり方としては、例えば大学であれば文部科学省が管轄をして、年に1回調査などをしたりしていまして、環境省につきましても、環境省管轄の機関について調査をしたりして、その中で3Rの状況についても確認したり、先ほど言っていた外部検証とか、そういう話というのも確認している状態でございます。

【松本委員】 それでは、それは50ページの対応案のところにある外部検証というのは、実際的にかなりきちんと行われているということでよろしいんでしょうか。

【事務局】 そうですね。かなりという言い方がいいのかわからないですけれども、51ページにありますとおり、例えば団体さんで公益社団法人日本実験動物学会さんとかは、外部検証促進のために、まず人材、外部検証を見る人材を育てなきゃいけないということで、3年計画でこういうような人材育成事業をして、少しずつではありますけれども行っているところです。今はまだ、この規定は実は義務規定になっていなくて、外部検証をやっていきましょうというふうに努力規定として基本指針に書いてありますので、まずはこういう外部検証があるというのを実際に普及させていくと同時に、外部検証ができる人というのをどんどん育てていこうということで、まだ、どちらかというと動き始めている段階という認識でおります。

【松本委員】 ありがとうございます。

【新美部会長】 よろしいでしょうか。

 はい、どうぞ。

【打越臨時委員】 動物実験に関わるところですので、私としてみれば、日本の動物実験施設というのは、かなりのレベルに至ってきていて、国際的な認証を得ているところ、また、国内の認証を得ているところも含めて、この10年間で、恐らく最も進歩した分野なのではないかと思います。大学の動物実験施設も三つ見学、中を見させていただきましたし、製薬企業も大手から中堅まで見学させていただいて、それこそ悪質なブリーダーや移動動物園に、我が猫を託すぐらいなら、AAALACの認証をとっている動物実験施設のほうがよほど動物福祉に配慮していると断言できると思っております。

 それは置いておきまして、中学校、高校の理科や生物の授業における動物を用いた観察教育について、一言触れたいと思います。

 動物実験に関しては、環境省のほうで実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関わる基準をつくり、また解説書もつくり、本当に微に入り細をうがつような、こうあるべきというものをつくってきていると思うんですけれども、実験動物を殺してしまうタイプの動物実験ではなくて、例えば飼育し続けて、その行動であるとか、快適性を観察するようなものも動物実験として位置づけられて、きちんと倫理委員会などにもかけられていると思います。大学の理学部や農学部で動物を飼育している、その手経過観察実験というものも動物実験として位置づけられて、大学であれば、きちんと対処されていると思うんです。

 他方で、子どもたちにとっても、アニマルウェルフェアや動物福祉を学ぶのは大切だと思います。単に命を大切にしましょう、動物の命は大事ねというのが、例えば幼稚園や小学校の低学年の教育であれば、それで十分だと思うんですけれども、中学校や高校で理科や生物の授業を行うときには、単に命は大切というのを越えて、例えば動物の取扱いはきちんとしなければならない、その動物の習性に応じた対応をしなければならない、そして動物実験の世界では、最後、殺処分するときも苦痛を最大限に軽減するというような話がなされていることを教育していくべきだと思うんです。

 ところが文部科学省のほうに、前回の法改正のときに聞いたときに……。

【新美部会長】 少し手短にお願いします。

【打越臨時委員】 はい。中高の授業では、そうした基準や教育のマニュアル等もないということでしたので、ある意味、子どもたちに動物福祉を教える最初の場面として、文部科学省のほうでも考えていただくよう環境省として、本当は申し入れしていただきたいと、そんなふうに思っております。

 以上です。

【新美部会長】 ほかにございますでしょうか。

 じゃあ、水越委員のほうから。

【水越臨時委員】 「ふれあい」の部分なんですが、先ほど説明の中でも言葉の定義を明確にして議論をする必要があるという発言がありましたが、この部分の話を聞いていると、「ふれあい」という定義というのが、きっちりしていない。例えば人間がペットと触れ合うことの効用について書いてありますが、これは触ることではないですよね。イコール物理的な触るということではない。だけども、猛禽カフェなどの触れ合いなどについては物理的な触るということを示しているように思います。確かに、先ほど言った広域な意味合いである「ふれあう」という意味での効用というのは確かにあると思うんですけど、物理的に触ることで効用が生まれるか、それとは全く違うと思います。

 なので、この「ふれあい」というところを議論するときに、それが同一のように書かれてしまうと、かなり変なことになるのかなというふうに思います。例えば、先ほど打越委員の指摘とも近いところでもあると思うんですが、学校飼育動物などに関しても、これも物理的に触ることで命の大切さであるとか、動物福祉を学ぶわけではないわけですよね。

 ですので、ちょっとここの部分、不適切なふれあい動物園や猛禽カフェ等は、これは物理的な触るという話、人間がペットと触れ合うことによる効用というのは、これは触るという話ではなくて、触るということ、触れ合うということも含まれるかもしれませんけども、これは人と動物の関係の話であるので、そこをしっかりと分けて、議論をすべきだと思います。

【新美部会長】 それでは、田畑委員。その後、お願いいたします。

【田畑臨時委員】 動物園ですので、ふれあいについてだけ意見を言っておきたいと思います。単に、先ほど水越委員がおっしゃったように触るという行為に対して、効用があるかどうかということについては、私はあまり何も申し上げられないのですが、ただ、そこにふれあいの中で人を介在するかどうかで、私は大分違うだろうなと。ただ単に触るだけではなくて、人を介在することによって、その触れ合う行為をどうちゃんと導くかみたいなところの効用というのはある。ある意味、教育的効果をどう上げるかというようなところは、私は確実にあるなと思います。

 動物園というところは、そういう意味では、かなりふれあいについては、動物福祉の問題もあって、いろいろ考慮しながら人が介在して正しく丁寧に、それから効用について、ちゃんと解説をしながら触れているということだけは申し上げたい。

 それから動物園が持っている目的というのは、まだふれあいだけではないですから、ほかにたくさん持っているわけで、そういう意味ではフクロウカフェとか、そういったところとは、全然違うということだけは認識しておいていただきたいと思います。

 それから、あと1点、よろしいですか、すみませんね。

 アニマルウェルフェア。それから五つの自由というところで、ちょっと意見を申し上げますと、日本と西洋の考え方は違うということは確かにあるか思いますけれども、私は、その間というのは、かなりグラデーションがあるだろうなというふうに思っています。

 デンマークでキリンを淘汰した事件がありましたが、あれは少しセンセーショナルで、欧米の人たちが全てあれを肯定しているわけではないというのは事実でして、非常に反対意見も出ている。じゃあ、日本にはそういうことはないのかといったら、日本には片一方ではそういう意見もあるというようなことで、かなり、僕はオブラートというか、グラデーションがあるだろうなと。だから、そういう意味ではアニマルウェルフェア、動物愛護、動物福祉、非常に難しいというのが実感で、やっぱりもっともっといろんなシンポジウムとか、いろんな専門家の意見とか、いろいろ聞いて、ちゃんと固めていく必要があるだろうなというふうに思います。

【新美部会長】 どうもありがとうございます。

 それでは、山﨑委員、お願いします。

【山﨑臨時委員】 先ほどのふれあいとかアニマルウェルフェアという言葉に関しても、いろいろ意見はあるのですが、先ほど、松本委員が実験動物のことを少しお聞きになられたので、最初はそっちのほうのコメントをさせていただきたいと思います。あとのものはまた追って、皆さんのディスカッションの合間に入れさせていただきます。

 実験動物に関しましては、基本的に、先ほど、松本委員が数のお話とか、頭数のお話をなさっていましたけれども、例えば、各国から遅れているのかということに関しては、まず、代替法に関しましては、代替法というのは、ただ、これでとってかわれるよ、できたよだけでは使えない。これはちゃんと認証する機関がございます。ヨーロッパのECVAM、それから、アメリカのICCVAM、それから、韓国のKoCVAM、そして、日本のJaCVAM、日本ではJaCVAMというのは厚生労働省の管轄で代替法の認証センターとして機能しています。

 この四つの中で日本のJaCVAMは桁が違うほど予算も人員もございません。すなわち、代替法の開発云々に関して、例えばモチベーションをどこに持っていくかということを考えると、動物実験に関して、やはり、どういうふうにリノベーションとか、改革をしていくかということに関しては、日本は残念ながら遅れているとしか申し上げることはできないと思います。

 また、基本的に、例えば代替法をきちっと探すべきというルールに関しましても、これは、一応あるのですが、任意でございます。ですから、実験をするときに代替法をいろいろ探しましたけど、なかったですと言えば、ちょっと極端な言い方かもしれませんが、ある程度それで許されてしまうというような実際のあり方というのが、まだまだ問題視されております。

 それから、もう一つ、先ほど始まる前に全国ペット協会の脇田委員にも、私、申し上げたのですが、数としては、ウサギとかモルモットの繁殖というのは、実験動物業者のほうがはるかに多いわけです。ペット業者は規制をかけられているのにどうして実験動物のためにウサギを繁殖して販売する人には規制はかかっていないのか。その辺に関しましても、一律に動物を守る法律ということを考えれば、フェアな法律ではなくなっているという感がございますので、動物実験、実験動物に関しましても、いろいろと考えなければいけないと思います。

 それから、動物実験と実験動物は分けて考えていただきたいと思います。動物実験はプロセスでございますので、科学者でない私はそのプロセスは要らんということは申し上げられません。必要だと言われれば、それは仕方がない。実験動物に関しては、個体の管理です。個体の管理がいいか悪いかに関しましては動物園、愛護団体、動物飼養管理のスペシャリスト、そういった方がどんどん声をあげていただきたいというふうに考えております。

【新美部会長】 どうもありがとうございます。

 ほかに。どうぞ山口委員、お願いします。

【山口臨時委員】 環境省のほうのご説明の中で、かなり日本ではと、日本においてはという言葉が出てきました。日本人の考え方という言葉も出てきました。ただ、日本においても世界においても、犬は犬、猫は猫、牛は牛、豚は豚ということで、苦痛を感じることも、恐怖を感じることも、ストレスを感じることも、みんな一緒であって、日本の動物だけが感じないというわけではありませんので、やはり、ここは日本だからではなく、人の都合というか、人側のことだけを考えるのではなく、動物の視点に立ってということも必要だと思うんです。日本の法律の中には、人と動物の共生ということをうたっているわけですけれども、人の思いとかだけを重視して、動物のニーズを顧みない状態では、共生ということは言えないだろうというふうに思います。あまりにも日本ではと、日本は特別だというふうに考えるのは動物の視点から立てば、違うのではないかなというふうに思います。

【新美部会長】 はい、どうぞ。

【浅野臨時委員】 今の点にも関係するんですけれども、国民的な合意が四十数年経ても、いまだにないというような話なんですけれども、私はそうは思わなくて、昭和48年の法ができる前の裁判例ですと、例えばこれは一例ですけど、トラック輸送という経済効率が犬畜生の命を上回るという裁判所の評価でトラックの運転手が飼い犬を轢死したのについて、責任がないというのがあるんですけれども、今でしたら、これはとんでもないという話だと思うんです。

 そういう四十数年経て、大分変わってきたと。それが、権利性が高くなったということではなくて、動物が身近になり、ともに生きるという存在だということを認めて、尊敬の念を持つということに至ったんだと思います。

 日本人としての特質というのは、自然に対する意識に近いというのは確かで、生命、命あるから尊重するのか、感覚あるということを尊重というか、重視するのかだけだと、だけというか、そういう違いはあるんですけど、そんなに大きな差ではないと思うんです。極限的な事例で安楽死が許されるかとか、そういう話になってくると、確かに違ってくるんですけれども、ともに生きる存在として動物の生理・習性に沿った適正な扱いをしましょうという第2条の基本原則、これに関してフィクションとしての合理的な日本人、動物に無関心、嫌いな人とか、個々のことではなくて、法をつくる上での、いわゆるフィクションとしての国民一般がそういうことに反対をするということ、意識は、今もう持っていないと思います。だから、生命が大事か、感覚が大事かというところをクリアしないと進まないということにはならないと思うんです。

 その上で、言いたいなと思っている意見は、そういう極限的な事例は、これからも出てきます。感覚あるとか、アニマルウェルフェアの定義がはっきりしたとしても、当然出てきます。そういう社会通念に沿った判断でぎりぎりのものというのは、やはり委員会などを定めて、虐待かどうかというのをチェックする、その手続体制をむしろ整えるべきではないかと思います。

 ドイツの視察が入っていて、ここには資料として入っていないんですけど、行った方であれば、事務局でも、ある程度わかるかもしれないんですけど、ドイツではそういう虐待に当たるかを諮問する委員会の委員の属性を決めているんです。何が虐待かというよりも、それは、その時代特性で、個別で決めると。だけど委員の属性としては、例えば、消費者団体からは何名、一般飼い主何名、愛護団体何名というような、そういう形で決められているので、むしろ、私としては、そういう極限的な事例は手続を何か決めることでいいんじゃないかと思います。

 ちょっと繰り返しなんですけど、生命か感覚あるかというところで、それをクリアしないと、全く適正扱いが進まないということはないというふうに思っています。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 はい、どうぞ。

【打越臨時委員】 先ほどの山﨑委員のご指摘に賛成と反対があるので。

まず、代替法が遅れているというのはそのとおりだと思うんですけれども、実験動物の飼養管理と動物実験上の行為を分けて考えるというのは、今、逆になくなりつつある状態です。昔は専門家のほうが動物実験について、一般市民がとやかく言われるのは困るということで、線引きして、実験動物の飼育管理は別で、動物実験は、素人は口出さないでという感じであったと思うんですけれども、今、一般市民のかわいそうという声を何とか聞こうという努力をしているということと、むしろ、動物実験をしながら動物の苦痛を減らすということが大きな課題になっています。

 というのは、例えば、投薬するとか、採血をするというときに、いかに苦痛を与えないか、いかに恐怖心を与えないかということを考えるようになっている。つまり、動物実験上の行為ですね、投薬も採血も。そこで福祉を考える、最低限の福祉を考える。あるいは。データをとるにしても、どこまでもとろうとするのではなくて、必ず、もう最後死んでしまうのであれば、どこで人道的エンドポイントの線引きをするか、これは動物実験上の判断になります。餌や水をやらないことが動物実験であることもあります。また、手術の前の麻酔、また手術後の痛みの緩和というのも全て実験動物の飼養保管というレベルを越えて、動物実験行為の一環になっているわけです。

 ですので、実験動物の飼養管理と動物実験の行為を分けて、実験動物の飼養管理については、動物を飼っている人は誰でも声をあげるべきという議論ではなくて、動物実験をしながらも、その苦痛を減らすために研究者が本当に努力しているということは認めてあげたいと思います。むしろ、動物実験に関わる研究者が、そのことを十分に情報発信していないことが問題だと思いますが、かわりに私のほうから反論させていただきたいと思います。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 動物実験に関して言うならば、今、ペーパーがちゃんとアップセットされるかどうかは、きちんと動物の生命倫理の一環として守っているかどうかでチェックされておりますので、その辺も踏まえて、今後、議論していったほうがよろしいかと。

 どうぞ。

【山﨑臨時委員】 私があえて極論を申し上げたのは、実験動物に関わる業界の方々は、どうしても動物愛護管理法に対して懸念とか警戒心を非常に強く持っておられます。動物実験は必要であるというのがそういった方々の議論の常套手段という言い方は少し失礼かもしれませんけれど、これは必要なんだという、そういった議論がかなりあがってくるのです。ですから、それは一つの逃げであって、その中で改革を考えるのであれば一番入りやすいところはどこかと、愛護、あるいは福祉の観点から考えてみると、一般の飼育のところであれば、実験のプロセスは関係なく、飼育体制に関していかようにでもすることができるであろうと思います。そういう論点を押していくということが一番、今、効果的であると考えております。

 動物実験に反対するやつらが動物愛護団体だという方程式が、まだまだ一般の実験者の中には非常に強うございます。そういったところに対しては、それには反対しませんと、ただ、動物の飼育管理をちゃんとしてくださいということに関して声をあげていくことのほうが扉の中に入りやすいというふうに思っております。着手しやすいということ。それと、あとは繁殖及び販売に関しては、実験動物の繁殖・販売に規制がかかっていないということは、非常に不思議だなと思います。

 加えて、もう一つ、アニマルウェルフェアという言葉に関しまして、環境省が平成19年度と21年度に出されました動物の遺棄・虐待事例等調査報告書の中には、動物の虐待とはという定義と、それから動物の福祉とはという章立てがちゃんとなされております。動物の福祉の定義は、動物の福祉とはそれぞれの動物の一生の基本的ニーズを満たすことである云々と書かれております。両方とも環境省ご自身が動物の福祉の定義をしておられているので、今回、この資料をいただいたときに、「アニマルウェルフェア」という言葉があまりにも散乱していることに関して、少し私は違和感を感じざるを得ませんでした。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 それでは、ほかに。

【打越臨時委員】 すみません、一つだけどうしても。

 先ほど、浅野委員や山口委員がおっしゃったところとも関連しますけれども、資料で言うと39ページ、冒頭に入るところで動物愛護管理法の保護法益が動物愛護の気風であるというところの議論であります。確かに動物は民法的な概念から所有権の主体になれるわけでもないし、刑法の犯罪被害を訴える主体になれないものである、そういう点では客体である、物であるということは間違いないというふうに思います。けれども、前回、浅野委員がおっしゃったとおり、例えば41条の2で、みだりに殺傷された動物を見たら、獣医師は通報の義務があるとか、44条で、みだりに殺傷したら罰金があると、懲役があるというのは、別に見つけた当事者が傷ついたからということを条文の中に書いてあるわけではないんですよね。そういう意味では、保護法益は愛護の気風というのは、もちろんそうなんですけれども、ただ、それを禁欲的に資料に書くのではなくて、また、法律学者の議論がいろいろなされているのをここに環境省の資料として出すのであれば、やはり、どの学者がどの論文、あるいはどの研究を書いて、どう発言したと、きちんと出典を載せていただきたいと思うのです。

 というのは、動物観に関して、石田戢先生の名前も、本のタイトルまで書いてあるのに、法律のところは出典がありません。行政法の何先生が何と言った、民法の何先生が何と言ったといえば、例えば私だって勉強してきて、読むこともできるし、反論することもできます。ただ、法律では一般的にこうなんだってと抽象的に書かれてしまうと、一体、誰が言っているのか分からない。環境省の中でもそれほどの法律の専門家がいるわけではないと思いますので、やはり出典を明記した上で法律論は出すべきではないかと思っております。

【新美部会長】 ほかにご意見がございませんようでしたら、時間もありますので、この45については以上にしまして、最後に全体にわたってご質問、ご意見ございましたら、ご発言をいただきたいと思います。

 それでは藤井委員、お願いします。

【藤井臨時委員】 前半の説明の部分とちょっとかぶるところもあるんですけれども、動物の取扱業者に関して、Q&A2頭ないし2回というのが出ていたと思うんですね。これは、実態として、どういうことかというと、例えば自宅で犬を飼っていて、子犬が3頭生まれて、1頭家に残して、2頭譲り渡しをするとレベルとしては動物取扱業にひっかかるレベルということになると思います。

 これは実態として、ご家庭では繁殖ができないというレベルで、今、管理をされていることになりますので、生産繁殖はプロでそこから商業的なルートに乗ってきて、そして、一般の飼い主のところに来るということになりますので、一般のご家庭で犬や猫の子犬、子猫が誕生することはほとんど見かけないというような世の中に、今はなっているということだと思います。

 これがいいのかどうかということは、人それぞれの意見があると思いますけれども、生命の誕生に接しないよりは接するほうが何となく温かい心地で人は生きていけるんじゃないかなということも含めて、どの辺で線引きをするか。もちろん、事務局のほうからご指摘があったホビーブリーダーを野放しにすることは問題があるというところも含めて、議論が今後できてくればいいかなというふうに思います。

【新美部会長】 ほかにご意見、ご質問。

 それでは、山口委員、お願いいたします。

【山口臨時委員】 すみません。今の繁殖のところなんですけれども、いろいろな議論があるでしょうけれども、繁殖する犬についても猫についても生む機械ではございませんので、まずは母体の保護という観点から法律を考えるという必要があるのではないかなというふうに思います。それが一番の基礎で、そこから生まれた子たちが、順次、人との共生に入っていくわけですけれども、ここの原点を忘れては人との共生も、うまく社会でともに暮らすということについても、壊れていくということになると思います。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 ほかに、ご質問、ご意見。じゃあ、山﨑委員。

【山﨑臨時委員】 すみません。最後に二つだけ指摘したいこと。一つは、39ページのアニマル・マシーンで始まったというアニマルウェルフェアの概念ですが、実はそうではなくて、動物福祉という概念というのは、1800年代に、それまでは人間が利用するだけの動物が、ベンサムという英国人の哲学者が「Can they suffer?」という言葉を使いました。これは要するに、痛いと感じるものに痛いことをしてはいかんよという、非常にシンプルな考え方なんです。ベンサムの「Can they suffer?」というところから産業革命でさまざまな家畜が虐待されていた英国の実情がどんどんと別の方向に開けていくというきっかけがあったと思います。

 ですから、国民的合意とか、より難しい言葉もございましたけれども、単純に動物のことを考えると、「Can they suffer?」、彼らは苦しむことができるのか、「yes or no」というところがベースになるべきかなというふうに考えております。

 もう一つに関しましては、ふれあいのことで、子どもたち云々ということがたくさん書かれておりましたけれども、基本的には、これはもう論文がたくさん発達心理の世界でございます。特に有名なゲイル・メルソン氏などは、子どもが動物に対してどういう価値観を持つかというのは、大人がどういう背中を見せるかということで多分に決まってしまうということをはっきり言われておりますので、それに鑑みて、じゃあ、大人がどういう背中を見せているか。私が教えている学生で小学校のころ飼育員をしていた子はと聞いてみると「している」という手を挙げる子が何十名もいます。その学生たちに、じゃあ、その間、飼育の間に、先生とか大人のボランティアとかがついていたというところは何件あるかというと、手が一つも挙がりませんでした。

 ですから、大人の背中を見せるということがなければ、単純なふれあいというのは全く意味がないということを申し上げることができると思います。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 ほかにございませんでしょうか。

 非常に多岐にわたる論点について深い議論をいただいたかと思います。ただ、その議論を伺っていて、つい最近読んだ哲学の本に書かれていたことを思い出しました。我々はウェルフェアとか、グッドとか、バッドという言葉を使うけれども、誰もそれについて、基準を持っていないんだと。そのことをどういうふうに政策なりなんなりに生かしていくのかというのはもう少し丁寧に議論しなきゃだめでしょうという、哲学者だから、非常に無責任な言い方ですけれども、非常に言葉としてはわかるけれども、中身をどうやってはかるんだと。人によって全然イメージするところは違うんじゃないかという指摘をしたおもしろい論文がありました。それをちょっと思い浮かべながら皆さんのご意見を伺っておりました。

 そういう意味では、動物愛護というのは、そういう問題に直面するところは、多々あるかと思いますので、それも意識しながら議論をしていきたいというふうに思います。

 じゃあ一応、テーマ、1、2、3、4、5と全体について、非常に駆け足でご議論いただきましたけれども、それぞれ非常に蘊蓄のある議論をしていただいたかと思います。

 それでも時間が足らないということもおありかと思いますので、8月20日を目処にお気づきの点がございましたら、あるいは思いついた、後になって思い出した点がございましたら、適宜、事務局までメール等でお知らせいただければというふうに存じております。

 なお、冒頭でも少し触れましたけれども、前回と今回、部会での検討、ご議論の結果を踏まえまして、次回の第50回の部会で主な課題の論点整理を予定しております。このため、前回部会以降に出された委員の意見として、金谷委員からの意見を既に配付してございますが、前回と今回部会の2回を通じて、お気づきの点がありましたら皆さんのほうも意見という形で出していただければというふうに思います。

 それでは、私の司会進行は以上にいたしまして、あとは事務局にお返しいたします。

【事務局】 委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところ、長時間にわたりご議論、ありがとうございました。

 それから、先ほど、新美部会長からありましたが、既に木村委員のほうからも、本日、ご意見をいただいておりますので事務局のほうから改めまして、今回、それから前回の2回を通じてお気づきの点等ございましたら、2回をあわせてという形でご意見を8月20日までを目処に事務局のほうに、メール等で構いませんので、いただければ幸いでございます。

 以上をもちまして、本日の部会は閉会といたします。本日はどうもありがとうございました。