中央環境審議会 自然環境部会 遺伝子組換え生物等専門委員会(平成27年度 第1回) 議事要旨

1.開催日時

  平成27119日(月)13:0015:00

2.開催場所

  経済産業省別館1115会議室(19階)

3.議題

(1)検討の枠組みについて

(2)法施行後5年の検討以降のカルタヘナ法の施行状況の検討について

(3)カルタヘナ法を取り巻く国内外の動向について

(4)その他

4.議事要旨

議題1 検討の枠組みについて

◇事務局から【資料1】について説明

◆委員意見

○(特になし)

議題2 法施行後5年の検討以降のカルタヘナ法の施行状況の検討について

◇事務局から【資料2】~【資料6】について説明

◆委員意見

■カルタヘナ議定書の担保

○カルタヘナ法の施行状況の検討ということで、国内法の話になりがちだが、カルタヘナ法の第1条の目的にもあるように、カルタヘナ議定書を担保する法律であるので、常に国際的な状況を勘案すべき。

○カルタヘナ議定書第7条4項において「事前の情報に基づく合意の手続きは、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議の決定により、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響(人の健康に対する危険も考慮したもの)を及ぼすおそれがないものとして特定された改変された生物の意図的な国境を越える移動については、適用しない」とされており、また、カルタヘナ法第4条第1項においても「ただし、その性状等からみて第一種使用等による生物多様性影響が生じないことが明らかな生物として主務大臣が指定する遺伝子組換え生物等(以下「特定遺伝子組換え生物等」という。)の第一種使用等をしようとする場合」などには「この限りでない」とされているが、これらに該当する事例はこれまでにあったのか。また、締約国会議に日本から提案するといった動きはこれまであったのか。

(事務局)承知する範囲で該当する事例はないが、正式には次回専門委員会で回答する。

○カルタヘナ議定書第6条2項では「輸入締約国の基準に従って行われる拡散防止措置の下での利用を目的とする改変された生物の国境を越える移動については、適用しない」とされており、第二種使用等に係る遺伝子組換え生物等の輸入については事前通告をしなくて良いことになっているが、第二種使用等が行われている遺伝子組換え生物等が海外由来のものであるかは把握はしているのか。また、公表されているデータにより海外由来のものであるか知ることは可能か。第二種使用等を前提に輸入されたものが第一種使用等される場合も考えられ、今後、由来を把握しておく必要が生ずることもあるのではないか。

(関係省庁)申請書に入手方法などの記載があるため、把握は可能である。ただし、研究や企業の内部情報であるため、公表はしておらず、今後も公表する予定はない。

○資料3-4「承認されていない遺伝子組換え生物等の第一種使用事例」について、もう少し詳しい情報を知りたい。次回の専門委員会で示してもらった上で議論したい。

■審査に係る申請等

○審査において、1イベントにつき1審査が通常だが、文部科学省では複数のイベントについて一括で申請ができるようになったと理解している。これについても資料5「審査等に係る法の運用改善や情報提供の実績の事例」に含めるべきではないか。

○農作物の育種の場合、フィールド試験をしないと選抜過程におけるイベントごとの能力の違いが分からない。イベントを特定しないで実施する研究開発段階のような隔離ほ場試験を、産業利用段階でも実施できないか。

○研究段階と実用化の段階で切り分けられているようだが、ここが上手くつなげられるようにできないかといった指摘だと思う。

○環境影響評価をする上で、近縁野生種との交雑種についてデータを得たい場合に、承認されているものと近縁野生種との交雑体をどのように取扱うのか考えられないか。

■生物多様性影響評価の対象種

○パブリックコメントの特に多く寄せられている意見に、「交雑を防ぐ対象として栽培種・外来種も含めた評価が必要」とされているが、このことについて議論をする必要はないか。

(事務局)在来の野生動植物を対象とすることで整理がされており、法の枠組みを変えるには大きな議論が必要。

○生物多様性影響評価の対象種については、生物多様性条約でもカルタヘナ議定書でも、ある程度各国の判断が認められている部分であり、国際的にも議論になっていない。我が国では生物多様性条約の枠内においてカルタヘナ法第4条第5項にある「野生動植物の種又は個体群」としているところである。現在の定義では生物多様性影響評価に何かしら問題があるといった具体的な事例があって初めて議論できるのではないか。

○農林水産省と環境省がナタネの生育状況等の調査を十数年間続けているが、遺伝子組換えナタネの生育範囲の拡大等は見られていない。ナタネは外来種として取扱われているが、こういった調査を通じて生物多様性影響が起きていないということを事実として積み重ねておけばよいと考える。生物多様性影響評価の対象種については国際的な動きがあった場合に、初めて検討すべき。

議題3 カルタヘナ法を取り巻く国内外の動向について

◇事務局から【資料7】及び【資料8】について説明

◆委員意見

■合成生物学

○合成生物学は大部分が遺伝子組換え技術に含まれるものであるとの認識。既に1990年代後半から企業において開発が進められている。遺伝子組換え生物として既に承認されているものでも、合成生物学の範囲とされる可能性があるものが多数ある。まずは合成生物の定義をしっかりとしてもらいたい。その際には、既に承認が得られているものに新たな規制がなされないようにすべきである。

○合成生物学の定義は重要である。また、合成生物学に含まれるかどうかも含め、ゲノム編集についても資料7「前回検討以降のCOP・MOPの議題等について」に示しておく必要があるのではないか。

○合成生物学について、どのような定義の下、COP・MOPで議論がされたのか。

(事務局)まだMOPでは議題とされていない。COPでは新規課題にすべきか議論され、最終的には新規課題とはならないこととなった。COP12の結果と先頃行われたSBSTTAで議論があればそれも含めて次回報告したい。

○カルタヘナ法の根幹に関わる話であり、この場で議論するのは難しい。何か遺伝子組換え生物に関わる事例があるのであれば、具体例を基に議論すべき。

○合成生物学についてはまだMOPで議論されていないものであり、本委員会で議論すべきではない。

■名古屋・クアラルンプール補足議定書(以下「補足議定書」という。)

○補足議定書は我が国が望むべき方向で採択された。我が国は既に署名をしており、署名しているだけでも補足議定書が発効すると国際法上の一定の義務を負うことになる。2016年のMOPまでに発効している可能性もあるので、締結に向けて是非積極的に準備をしてもらいたい。

(事務局)11月11日(水)に中央環境審議会自然環境部会があり、補足議定書に対応した国内措置のあり方についての諮問が議題とされている。同部会の議論を踏まえ、本専門委員会において議論していただくことが想定される。

■その他

○欠席の専門委員から意見はあったのか。

(事務局)現時点では特になかった。

○カルタヘナ法の施行状況について、特に問題はないと考える。

議題4 その他

◇事務局から、追加の意見があれば11月18日(火)までに事務局まで報告いただけるよう依頼。また、次回の専門委員会の開催についてはおって文書により案内する旨連絡。

◆委員意見

○なるべく早く次回の開催日を連絡してもらいたい。

※今回指摘のあった内容について、資料を準備すべき部分については、次回の専門委員会において引き続き議論することとなった。