野生生物小委員会(令和7年度 第36回) 議事録
開催日時
令和7年10月3日(金) 15:30~17:47
開催場所
AP赤坂グリーンクロス4階Eルーム(Web会議システム併用)
出席者
| 委員長 | 小泉 透 | ||
| 委員 | 勢一 智子 | ||
| 臨時委員 | 原 久美子 | 日向野義幸 | 水田 拓 |
| 湯本 貴和 | |||
| 専門委員 | 青野 光子 | 岩井 紀子 | 白山 義久 |
| 寺田佐恵子 | 桝 太一 | 三谷 曜子 | |
| 宮本 旬子 | 八代田千鶴 | ||
| 環境省 | 堀上自然環境局長 | 近藤総務課長 | |
| 川越野生生物課長 | 佐々木鳥獣保護管理室長 | 北橋希少種保全推進室長 | |
| 中島外来生物対策室長 | 笹渕野生生物課課長補佐 | 守野生生物課課長補佐 | |
| 佐藤鳥獣保護管理室室長補佐 | 髙瀬鳥獣保護管理室室長補佐 | 本田希少種保全推進室室長補佐 | |
| 杉山野生生物課専門官 | 境野生生物課主査 |
議事録
【事務局】 それでは定刻となりましたので、中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会を開会します。
本日はお忙しい中、ご出席ありがとうございます。会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。本日は、全委員18名のうち委員・臨時委員8名中、会議システムでの参加を含め、6名が出席され、定足数を満たしておりますので、本委員会は成立しております。
また、この度、中央環境審議会委員等の改選に伴い、野生生物小委員会の所属委員に変更がございました。今回、石井実委員、高橋佳孝委員がご退任され、新たに原久美子委員、湯本貴和委員、岩井紀子委員、平井規央委員にご就任いただきましたことを報告いたします。また、森本淳子委員は今回から臨時委員としてご参加いただいています。
次に、本日の会議運営についてご説明いたします。
本会議につきましては、会場での傍聴は行わず、YouTubeにてライブ配信をしておりますので、ご了承ください。
また、Web会議システムでご参加されている委員の皆様におかれましては、差し支えない範囲で結構ですので、常時ビデオボタンはオンにしていただき、お顔が見られる状態にしてください。なお、発言時を除き、マイクはミュート設定にしてください。
Web会議システムで参加の皆様でご発言を希望される場合は、画面にある手のひらマークをクリックして、挙手状態にしてください。委員長からのご指名を受けましたら、ご発言いただき、ご発言が終わりましたら、再度手のひらマークをクリックしてください。
本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を机の上に立てていただき、委員長からのご指名後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後はマイクをオフにしていただくようお願いいたします。
資料については、あらかじめ委員の皆様には電子データを送付しております。また、環境省ホームページの野生生物小委員会のページにアップロードしております。こちらで表示がされない場合は、一度更新ボタンを押してください。
なお、会場にお越しの委員の皆様には、お手元のタブレットで資料をご覧いただくこととしております。
最後に、環境省職員の異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
自然環境局長の堀上でございます。
【堀上自然環境局長】 堀上です。よろしくお願いします。
【事務局】 続いて、総務課長の近藤でございます。
【近藤総務課長】 近藤でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】 野生生物課長の川越でございます。
【川越野生生物課長】 川越です。よろしくお願いいたします。
【事務局】 鳥獣保護管理室長の佐々木でございます。
【佐々木鳥獣保護管理室長】 佐々木です。よろしくお願いします。
【事務局】 希少種保全推進室長の北橋でございます。
【北橋希少種保全推進室長】 北橋です。よろしくお願いします。
【事務局】 外来生物対策室長の中島でございます。
【中島外来生物対策室長】 中島でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】 それでは本委員会の開催に当たり、自然環境局長の堀上よりご挨拶を申し上げます。
【堀上自然環境局長】 開会に当たりましてご挨拶を申し上げます。
委員の皆様におかれましては、大変ご多忙のところ、ご出席くださいましてありがとうございます。
また、日頃から自然環境行政にご協力、ご理解賜りまして、ここをお借りしまして厚く御礼を申し上げます。
今年度から新たにご就任された委員の方も大変多いということで、今後ともどうぞよろしくお願いします。また、小泉先生におかれましては、委員長就任ということで、これからどうぞよろしくお願いいたします。
環境省も今、ご紹介したとおり、今年度から大分変わりまして、私を含め、総務課長も、それから野生生物課は課長以下、室長が全部変わっております。ただ、これまでもそれなりにいろいろ経験してきたメンバーですので、何とかやっていけると思いますので、皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題でありますけれども、諮問案件が1件、それから報告事項が3件ございます。
一つ目の諮問案件につきましては、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定ということで、野付半島・野付湾、宍道湖、湯湾岳、この3件についてお諮りをいたします。この特別保護地区の指定につきましては、これまで公聴会、パブリックコメントをやってきておりまして、その後で事務局案を作って、今お諮りするという段階でございます。
報告事項につきましては3件ございますけれども、種の保存法の在り方に関する検討について、それからラムサール条約の第15回締約国会議がありましたので、そのことについてのご報告、そして鳥獣法の改正、これについては昨今のクマの関係とかございますので、そのことについてご報告をいたします。あと、その他といたしまして、案件がございます。
野生生物行政は非常に国民の関心が最近も高いということで、クマについてもそうですし、あるいは希少種についてもそうですが、大変関心の高いところでございますので、委員の皆様におかれましては、忌憚のないご意見を賜ることができれば幸いでございます。どうぞご審議のほど、よろしくお願いいたします。
【事務局】 報道機関の皆様におかれましては、冒頭の撮影はここまでとし、以降は傍聴のみとさせていただきます。
それでは、これより議事進行につきましては、新たに野生生物小委員会委員長にご就任されました、小泉透委員長にお願いすることといたします。小泉委員長、どうぞよろしくお願いいたします。
【小泉委員長】 委員の皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
石井委員長の後任として、今回から委員長を務めさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
それから、また、今回から委員としてご参加いただいた皆様、これからよろしくお願いいたします。
この小委員会は実に多種多様な問題を審議する委員会でございまして、ただ私自身としては、野生生物のことを扱っていながら、実は、私たち人間社会にいろいろ問いかけがあるのではないかということで、これまで参加してきました。本日も熱心なご審議をよろしくお願いいたします。
先ほど事務局からも説明がありましたが、本日の委員会はYouTubeチャンネルにおいてライブ配信をしておりますので、報道関係者、一般の方、傍聴されている方もいらっしゃいますけれども、ご覧になっております。
なお、議事録につきましては、後ほど事務局が作成し、本日ご出席の委員のご確認を受けた後、委員長である私が了承した上で公開することをご了承いただきたいと思います。
また、会議資料につきましても公開となります。
それでは、本日の1番目の議事、諮問事項でございます。国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定について、事務局から説明をお願いいたします。
【杉山野生生物課専門官】 鳥獣保護管理室の杉山と申します。よろしくお願いします。座って失礼します。
私から、鳥獣保護区特別保護地区の指定について、説明をさせていただきます。資料一覧は、資料1-1から1-5と、資料1-参考資料という構成になっております。資料1-1は自然環境部会に付議しますという資料でして、資料1-2は概要、1-3から1-5は対象の特別保護地区の指定計画書の案となっております。今回は参考資料1のスライドにより説明をいたします。皆様におかれましては、こちらの資料をご参照ください。
それでは、時間が限られることから、適宜省略しつつですが、説明をいたします。
タイトルには特別保護地区の指定とありますが、実情は鳥獣保護区の期限が切れるための更新になります。法律上、特別保護地区は更新することができなくて、指定をするということになりますので、再度の指定をするということになります。
次のページをお願いします。
まず、国指定鳥獣保護区の特別保護地区について、制度の概要を説明いたします。
次、お願いします。
こちらが鳥獣保護区の制度の概要となります。国指定の鳥獣保護区は国際的とか、全国的な鳥獣の保護の見地から、重要と認められる区域を環境大臣が指定するものとなります。鳥獣保護区内では狩猟が禁止されます。鳥獣保護区は時限の保護区でして、存続期間が最大で20年となります。
次に、真ん中の段ですが、鳥獣保護区の中でも、特に鳥獣の保護または生息地の保護を図るために必要があると認められる区域を、特別保護地区として指定することができます。特別保護地区内では、狩猟の禁止に加えて、ここに例示してございますような行為が規制されます。今回の諮問させていただくものは、この特別保護地区の指定に関するものとなります。
次のページをお願いします。
国指定の鳥獣保護区につきましては、全国的、国際的に重要な場所という観点で、ここに示す四つの区分によって指定をされまして、区分ごとに指定の基準が定められているというものになります。
次、お願いします。
こちらは特別保護地区の指定のおよその流れとなります。現在はここに示しております公聴会までが終了しているという状況です。今回、中央環境審議会への諮問と、あと答申をいただいた後、官報告示をすることによって効力が生じるという流れとなります。
次のページをお願いします。
今回諮問する特別保護地区ですが、次、お願いします。
こちらが国指定鳥獣保護区の位置図になりまして、今回諮問の対象になりますのが、赤枠で囲った3か所、北海道の野付半島・野付湾と島根県の宍道湖と、鹿児島県奄美大島の湯湾岳となります。
次、お願いします。
この3件ですが、先ほど四つの区分をご説明さしあげましたが、野付半島と宍道湖は集団渡来地の区分、湯湾岳は希少鳥獣生息地の区分で指定をするものとなります。3か所のうち、宍道湖は今後10年の存続期間で再指定をするものとなります。ほかの2か所は20年の存続期間で再指定となります。全て区域の変更は伴わず、鳥獣保護区の期限が切れるための再指定となります。
次、お願いします。
ここからは指定対象の鳥獣保護区特別保護地区について、ご説明をいたします。
まず、野付半島・野付湾ですが、この図の区域の斜線の部分、大部分ですけれども、こちらが特別保護地区となります。
次、お願いします。
こちらの写真が航空写真と、野付半島の中の景観の例となります。詳細は割愛します。
次、お願いします。
野付半島・野付湾は、先ほど申し上げたとおりで、集団渡来地の指定区分となります。渡り鳥の中継地として重要な場所でして、毎年2万羽以上の渡り鳥が渡来している地域となります。
次、お願いします。
こちらは鳥獣保護区の管理方針となります。鳥獣のモニタリング調査等を通じて、区域内の鳥獣の生息状況の把握に努めるというのが一つあります。もう一つ、関係機関等と連携して、巡視ですとか、普及啓発活動などを実施することとしております。
次、お願いします。
こちらは上段が管理状況です。国指定鳥獣保護区管理員、北海道から委嘱を受けている自然保護監視員さんと鳥獣保護監視員さん、また、別海町が設置していますビジターセンターであります、野付半島ネイチャーセンターというものがございまして、こちらの職員による巡視などを行っております。
下段については、次のスライドで説明します。次、お願いします。
対象の鳥獣の変化になります。オオハクチョウとスズガモの渡来数は、地域個体群の1%を超えてはおりますが、渡来数は減少傾向にあるという状況です。また、グラフはありませんが、ヒシクイやキョウジシギ、いずれも鳥類ですけども、これらが新たに地域個体群の1%が渡来しているということが確認されております。
次、お願いします。
公聴会の実施結果になります。全員賛成ではございましたが、意見としまして、エゾシカの悪影響を懸念する意見と、あと、半島の先端部分が鳥獣保護区になっていないのですが、そちらを含めた鳥獣保護区の指定が望ましいといった旨の意見がございました。
次、お願いします。
野付半島は以上でして、次に宍道湖鳥獣保護区の特別地域について、説明をいたします。
こちらのとおりで、湖の開水面のほぼ全域が鳥獣保護区の特別保護地区となっております。この斜線の部分です。
次、お願いします。
こちらは代表的な景観で、漁業が盛んな場所であるというのと、松江市と出雲市の都市域に接しているような場所になっております。
次、お願いします。
宍道湖鳥獣保護区の特徴といたしまして、宍道湖が汽水湖であるということが挙げられます。また、宍道湖鳥獣保護区特別保護地区も集団渡来地の区分での指定でございまして、特にガンカモ類につきましては、例年3万羽程度が渡来しております。
次、お願いします。
鳥獣保護区の管理方針です。こちらも鳥獣保護区管理員によるモニタリングですとか、現場の巡視を行うことですとか、あと関係機関等と連携した普及啓発活動などを実施することとしております。
次、お願いします。
上段は管理状況です。環境省職員ですとか、国指定鳥獣保護管理員による巡視を行っておりまして、現在のところ、密猟など、鳥獣の生息に悪影響を及ぼす事象は見られていないということです。
次、お願いします。
対象の鳥獣の変化です。集団渡来地の区分で指定されている鳥獣保護区ですが、特に重要である鳥類が、マガンとか、スズガモとか、キンクロハジロです。状況としましては、マガンはほぼ横ばいですが、スズガモとキンクロハジロはばらつきがあるものの、長期的には渡来数が減少しているという状況です。
次、お願いします。
公聴会の実施結果です。こちらも全員が賛成でした。意見は2点ほど出ておりますが、いずれも特別保護地区指定計画書の書き方に関するものでありまして、既に両方とも修正が完了しているという状況です。
次、お願いします。
宍道湖は以上で、最後に湯湾岳鳥獣保護区の特別保護地区について、説明をいたします。
場所としては鹿児島県の奄美大島でして、湯湾岳は奄美大島の最高峰です。こちらの山頂付近が鳥獣保護区と特別保護地区に指定されております。
次、お願いします。
こちらの写真は湯湾岳の景観でして、下側の赤丸の辺り、この辺りが特別保護地区に指定されている地域です。
次、お願いします。
湯湾岳鳥獣保護区は希少鳥獣生息地の区分で指定をされております。対象の鳥獣の例がこちらとなります。いずれも奄美群島ですとか、南西諸島に固有の種となります。
次をお願いします。
管理方針です。区域内の渓流ですとか森林を、希少鳥獣の繁殖の場として、現状のまま維持されるように保全に努めるという方針としております。また、区域内に林道や歩道がございまして、こちらを改修する場合には、鳥獣の生息環境の保全のために調整をすることとしております。
次、お願いします。
こちらは管理状況ですが、こちらも環境省職員及び国指定鳥獣保護区管理員等による巡視を行っておりますほか、世界遺産などの枠組も含めた動植物の定期的なモニタリングなどを実施しております。
次、お願いします。
対象の鳥獣の変化です。奄美大島はマングース及びノネコの捕獲事業の成果が出ておりまして、特にここに示すような、地上にいる種については増加傾向にございます。
次、お願いします。
公聴会の実施結果です。こちらも全員賛成でした。こちらは特に意見はございませんでした。
続きまして、次、お願いします。
こちらは最後に説明を回しますが、パブリックコメントにつきましては、3件意見がございました。うち1件は本件に関するものではありませんで、2件が本件に関するというものでした。ただ、特定の鳥獣保護区に関する意見というものはございませんでした。2件とも賛成するものでした。
以上となります。
【小泉委員長】 報告ありがとうございます。
それでは、本件につきまして、ご意見、ご質問をお願いします。
会場にお集まりの委員の皆様は、いつものように名札を立てて合図をしてください。それから、Webでご参加の委員の皆様は、手のひらマークをクリックして、挙手ボタンを押して、合図いただけますか。申し訳ありませんけれども、会場のほうの委員のほうから指名させていただきますのでご了解ください。
それでは、ご意見、ご質問がある方、合図をお願いします。
それでは、勢一委員、お願いします。
【勢一委員】 ご説明ありがとうございました。勢一です。
私は法制度が専門ですので、少し分からないことがありますので、教えてください。
何点かあるんですけれども、まず1点目で、特別保護地区は更新ができないので、改めて指定をするというご説明がありました。そういう法の立てつけになっているということなんですけれども、そのような法の制度設計になった理由というのを少し教えてください。鳥獣保護区内で指定をするというような構成ですので、当然、鳥獣保護区の存続期間に整合させる趣旨はあるのかと思うのですが、しかし、それと制度は指定の仕組みが違っているというところを教えてくださいという質問が1点目です。
2点目なんですけれども、指定の期間で3件あって、宍道湖だけ10年という指定になっています。これはやはり20年の指定をするにしても、10年の指定をするにしても、どうしてその期間になるのかというところは、何かご説明をいただくほうが制度としても望ましいのかなと思います。この点は前にも言ったような記憶はあるのですけれども、今回については期間も違いますし、それぞれの期間の指定理由を教えてくださいというのが2点目です。
あと、3点目は形式的な確認なのですけれども、公聴会をそれぞれ開催していただいて、全ての公述人が賛成というご紹介がありました。ただ、出席している方と代理出席の方は分かるんですけど、欠席の方もいらっしゃるので、恐らく書面で賛成の旨を提出されたのかなと思いますが、この辺りの手続的な確認をお願いします。
あと最後、もう一点なんですけれども、野付半島について、これは公聴会で意見が二つ出されていました。先端部が指定されていないが、指定するのが望ましいというような意見があり、これについて、環境省さんの示されている原案を見ますと、先端部分は指定しないになっているようです。
この公聴会の意見に対して、どういう理由で指定をしない案にしたのかというところの理由のご説明と、あともう一点の意見、エゾシカによる悪影響の懸念について、私、実は野付半島は何度も行っていて、現地のエゾシカが大量にいて、車が来ても堂々と道路を渡ってくる様子を何度も見ているものですから、現地の方の懸念というのは非常によく分かるんですけれども、この部分については、環境省としては、どのような対応をして、特別保護地区として維持していくというお考えなのかというところを教えてください。
以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、一問一答ということで進めさせていただきますので、ただいまのご意見、ご質問について、回答をお願いします。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。それでは、一つずつ回答を差し上げます。
まず一つ目の特別保護地区はなぜ更新の仕組みがないのか。こちらは申し訳ないんですけども、かなり古くからそういう形になっていまして、経緯までは追えておりません。おそらく鳥獣保護区は事実上、鳥獣の捕獲が禁止されるという規制がかかるところで、特別保護地区になりますと、土地に対する行為規制がかかってくるんです。工作物の新築が制限されるとかですね。そういった土地に対する規制内容が強いものになりますので、更新という形ではなく、新たに指定という形しかできないようにしてあるんじゃないかなと想像しております。
二つ目の最長20年という指定の期間ですが、こちらも申し訳ないですが、どうして20年なのかというところまでは、すみません、追えておりません。鳥獣保護区は対象の鳥獣の保全をすることが目的の制度でして、鳥獣の状況も長い目で見ると、例えば集団渡来する場所が変わったりですとか、繁殖する場所が変わったりすることもございますので、その状況により更新しないこともあり得るので、時限にしているものと考えております。
今回、宍道湖だけ上限でない、10年にする理由ですけれども、こちらは平成17年に宍道湖鳥獣保護区は最初に指定をしたのですが、そのときの、端的に言えば、行政機関同士の調整の結果によります。具体的には、都市域に宍道湖はございまして、湖岸に親水公園のようなものもあるんです。鳥獣保護区は、例えば湖岸線ですとか、ランドマークを基に区域を設定しているわけなんですけども、親水公園などの作り方によっては湖岸線が変わってしまうこともあり得るので、少し短い10年での期間で更新していきましょうということになったと聞いております。
続きまして、公聴会の手続の話ですね。欠席している方もいらっしゃいますが、そこをどうやって賛成を取ったのか。こちらは公聴会をやる前に、利害関係者に書面で確認を行いまして、それで賛成または反対、今回反対はいなかったですが、を聴取しております。その上で、公聴会を実施しているという流れになります。
続きまして、野付半島の公聴会で挙がった意見についてですね。こちらはスライドの9ページ目をお願いできますか。このような形で、斜線部分が特別保護地区で、薄く上側にある、細い線のようにある部分が鳥獣保護区になりますが、先端がこのように抜けています。こちら、まず、当初に指定をしたときに、鳥獣保護区は土地への規制がかかるものなので、利害関係人と調整した上で指定をしていくことになりますが、その際に猟友会から、半島の先端部の指定は反対を受けたという経緯がございます。それで先端部を除いて指定をしたのですが、今回も猟友会については引き続き利害関係者ですので、広げることを念頭に調整を行いましたが、今回も半島の先端はまだ猟場なのでやめてほしいということで意見をいただいたと聞いていまして、その関係でそのままの形で更新をしております。
あと最後にエゾシカの対策ですね。こちらは環境省が直轄でやっているというわけではないのですが、農業被害防止の観点で、地元自治体の一つの別海町が囲い込みわなでエゾシカの捕獲をやっております。それを許可の中で内容を審査して、鳥獣の生息にもできるだけ影響がないようにという形で、許可を迅速に出すように心がけて許可をして、別海町が実施をしていると、そういう形でやっております。
以上でよろしいでしょうか。
【勢一委員】 はい。丁寧なご説明、ありがとうございました。せっかくご説明いただいたので、少しだけコメントさせてください。
特別保護地区が更新できない理由というので、おそらくということで、土地規制への配慮ということだったと思います。確かにこの法律ができた当初は、そういう理由もあったのかなと思いますけれども、ただ、今の時代の環境配慮へのニーズであるとか、地域の調整の重要性というようなことも踏まえますと、場合によっては、制度自体をもう少し整合的に運用できるような形にしてもいいのかなと思いました。
何度か手続を拝見していますけれども、実質的に更新と変わらないような形の手続になっているような感じもいたしますので、この辺りは、ぜひ次の改正などのタイミングでご検討いただくほうがいいのかなと思ったというところです。
指定の期間については、宍道湖がなぜ10年かというのは、今、ご説明いただいて理解をいたしました。通常のこういう審議の場でもそういう理由はあまりお示しにならないのが一般的みたいですし、指定書などにも書かれていないので、ただ、やっぱり期間が、なぜその期間が望ましいのかというところは、指定という行為にとっては重要な部分、本質的な部分の一つになろうかと思いますので、何らかの形でフォーマルに示すというような仕組み、指定書のどこかに書くとかでも構わないと思いますが、何らかの形を残すほうがこれも望ましいのかなと思いましたので、手続等、ご検討いただけるとありがたいです。
公聴会の公述人の賛否というところも説明をいただいて、理解をいたしました。ただ、これは会議の資料ですけれども、この資料の見方ですと、公聴会で公述人が賛否を表明したように見えてしまうので、そうした事前にもう賛否を表明しているのであれば、そういうのが分かるような書きぶりにしたほうがいいのかなと思いましたということです。
最後、野付半島の部分についても、ご説明いただいて理由等は理解いたしました。利害関係者との調整の結果ということで、これもご説明いただいて理解できましたけれども、多分指定のタイミング、鳥獣保護区のほうの指定もそうだと思うんですけど、そのタイミングで理由もご説明いただいて、こういう意見が出た場合には理由をご説明いただくとクリアかなと思いましたので、この辺りのご配慮をご検討いただけるとありがたいと思います。
以上です。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。
【小泉委員長】 ありがとうございます。事務局のほう、何か回答はありますか。
お願いします。
【川越野生生物課長】 勢一委員、ありがとうございました。説明の仕方はさらによくなるように工夫をさせていただければと思います。
あと、特別保護地区の話が途中でございましたが、鳥獣保護区の特別保護地区は鳥獣の生息状況の変化ですとか、その他事情の変化を踏まえて、その要件がなくなった場合は解除しなくてはいけないという規定が別にあり、それから考えると、やはり鳥獣の動態を踏まえて、特別保護地区を指定する、そのような制度設計になっています。
一方で、自然公園などは、やはり資質があれば、それを指定して規制することにより、永遠とは言いませんが、資質を担保できるので、ずっと指定していけるのですが、動的なものに対して特別保護地区をかけるという制度設計にしているので、こういった1回切って、状況を見ながらというような形になっているのではないかというように、規定を裏読みするような形で考えると、解釈されるものと思います。
ただし、引き続き同じようなところを指定しているというのは事実ですので、その辺はしっかり我々としてもデータを分析した上で、必要なものをやっていく、もしくは足りないのであればちゃんとやっていくということはやっていければと思います。ありがとうございます。
【小泉委員長】 お願いします。
【佐々木鳥獣保護管理室長】 鳥獣室の佐々木です。
先ほど、野付半島の先端部が入っていないことについて、猟友会から反対意見が出たということですが、その理由として、もちろん猟場としてというものもあるのですけど、地元の猟友会としては、若手ハンターの育成の場としても非常に重要な場になっているのだということがあったそうですので、申し添えたいと思います。
以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、会場のほうから、水田委員、桝委員の順でお願いします。
【水田委員】 水田です。ご説明ありがとうございました。
今回の再指定に当たりまして、計画書を作成していただいていますが、この中に生息する鳥獣のリストというのがあります。これはざっと見ましたけれども、その地域の生物のインベントリを示す、すごいいい資料だと思います。これが各鳥獣保護区にあるということは、日本の自然保護を考える上で非常に重要なことであるというふうに思っています。
ただ一方で、細かく見ていくと、本当に細かいことですけれども、ちょっと現実にそぐわない部分もあったりすることもあります。今回、私は湯湾岳の鳥獣保護区特別保護地区の計画書作成の際に、地元の保護団体の一員として、内容のチェックに当たったんですけれども、少し抜けているものがあったり、文言にちょっと現実とそぐわない部分があったりしたんですね。なので、こういう再指定はすごくいいタイミングだと思いますので、こういうタイミングを見て、鳥獣のリストを更新していくと、ますますすばらしいものになっていくのかなというふうに感じました。
以上です。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。
差し支えなければですが、湯湾岳の鳥獣保護区の計画書に抜けていた部分というのがどの部分なのかを教えていただけますと助かります。
【水田委員】 本当に細かいことなんですけれども、実際には生息しているのに、名前がリストに挙がっていなかったりであるとか、そういったことが地元の有識者に聞いたときに出てきたわけなんですね。それ以外にも私、最近別件で、全国の鳥獣保護区の生息する鳥獣のリストを眺める機会があったんですけれども、やはり全体を見てみると、ちょっと現実に合わないなというところがありました。本当に細かいことなんですが、普通に見られる種というのに丸がついているんですけど、それがついていなかったりであるとか、そういった本当に細かなところで、地元の人が見ると、えっと思うようなところがあるのかなと思いました。
なので、そういったところを、せっかくに地元に有識者がたくさんいらっしゃると思いますので、確認しながら、新たないいものを作っていけばいいのかなというふうに思います。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。
【小泉委員長】 具体的に湯湾岳で足りなかったものがありましたら、後ほどまたご連絡いただいて、お知らせいただいたらどうかと思いますけれども。
【水田委員】 既に計画書作成の際に、それは伝えてあります。
【小泉委員長】 そうですか。
【杉山野生生物課専門官】 事前にいただいたものは、既に修正済みです。
【小泉委員長】 分かりました。ありがとうございます。
それでは、桝委員、お願いします。
【桝委員】 丁寧なご説明、ありがとうございます。
私自身は大学で、一般社会との接続、科学コミュニケーションをテーマに研究していることと、あと某テレビ局のほうで、海草海藻藻場の保全プロジェクトを立ち上げているという立場から、野付について素朴な質問一つと、意見を一つ申し上げます。
野付の保護地区は本当に鳥獣という点ではもちろんですけども、日本有数の海草藻場、アマモ場で、大変貴重な場所でして、個人的に関心が高いんですけども、最近メディアで随分取り上げられるようになってきましたが、全国的な藻場の減少というのは本当に指摘されていて、単純に野付の現状って僕は把握していなかったので、どういう感じなのかなというのが、もし把握されている情報がありましたら、差し支えない範囲で伺いたいなと思ったことと、それと直接関連させるというわけじゃないんですけども、先ほど野鳥の到来数が減っているという話がありましたが、その原因って、もし何か現時点で見当がついているのであれば、そこは伺いたいなという、素朴な、これが質問一つです。
まず1回、この答えから伺ったほうがいいですか。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。まず、こちらで答えられることを答えまして、それで現地に一部振りたいと思っています。
まず、海草の話ですが、大変申し訳ないですけど、今回海草の話は、こちらでは把握していないので。
【桝委員】 本来は、すみません。対象外だと思います。すみません。
【杉山野生生物課専門官】 すみません。後ほど現地に振って、現地で答えられる範囲で答えていただこうと思います。
次に、二つ目の野鳥の減少の話ですね。スライドの14をお願いします。
この中で、こちらで把握しているものが、特にスズガモです。スズガモは世界で大体、IUCNレッドリストでは500万程度という個体数が出ている状況ですが、野付半島でも減っていまして、宍道湖のほうでも減っているという状況です。
こちらは、世界的にまだ絶滅のおそれがあるという状況までいかないものの、減っているという状況がIUCNレッドリストの中では書かれています。原因は、温暖化によって、生息地の質が変わっているんじゃないかということが推測されているという状況です。
オオハクチョウについては、後ほど現地に聞きたいと思います。
では、釧路自然環境事務所の方、こちらについて答えられる範囲でお願いします。
【釧路自然環境事務所】 釧路自然環境事務所の百瀬と申します。音声、届いてますでしょうか。
【桝委員】 はい、聞こえております。ありがとうございます。
【釧路自然環境事務所】 ご質問ありがとうございます。
先ほど、2点ご質問がありましたが、アマモ場の減少については、やはりこちらとしても、原因については把握していないところでございます。申し訳ございません。
野鳥の渡来数の減少についても、やはりそこは推測の域といいますか、なかなかはっきりとした原因が分かっていない状況でありまして、こちらは全国的にも、シギチドリも含め、減っている傾向にあります。その辺は今後また文献等を通じて調べていきたいと思っています。
以上です。
【桝委員】 ありがとうございます。
こういった再指定というきっかけに、そういう現状も一緒に発信していけるといいのかなというふうに、私としては感じております。
もう一つ最後、本当に単純な意見なんですけども、野付を見ていて思い出したんですけど、ちょっと離れた場所にある霧多布高校が、学校近くの干潟とか海草藻場の調査を実施していて、最近ベントス調査も始めたと聞いたんですけども、それを年に一度、全国の高校生アマモサミットというものがあるんですけども、そこで発表していまして、そのおかげで私みたいな人間も企業さんとかも、霧多布にそんな藻場があって、若い世代が頑張っているんだということを知るきっかけになっていますので、この辺りだと多分士別高校さんがもう既に幾つかされていると思うんですけれども、再指定というのは10年、20年に一度ということで、多分いいきっかけというか、節目、機会になるのかなというふうに思っていますので、ぜひこの再指定を機に、地元の若い世代との接続なんかも意識してもらえると、とてもいいのかなというふうに思っておりますし、これはほかの保護地区に関しても再指定のタイミングということで、同じことが言えるかなというふうな意見でございます。
はい、以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
事務局のほう、何かありますか。
【杉山野生生物課専門官】 承知いたしました。ありがとうございます。
【小泉委員長】 それでは、八代田委員、お願いします。
【八代田委員】 ご説明ありがとうございました。
私のほうからは、湯湾岳のほうについてご質問させていただきたいと思います。27ページに、保護管理方針に基づく管理状況ということで、現在の鳥獣の生息環境、生息状況の変化というところに挙げられておりますけれども、マングースの根絶宣言というのは非常に大きなニュースにもなっておりましたし、非常に皆さんのご尽力のおかげで達成されたと思います。そのおかげで希少鳥獣の生息環境が大きく改善したということで、大変喜ばしいことではあるんですけれども、その下の段に、外来鳥獣であるノヤギが増加しているというところをご指摘されております。これについては、やはりそのまま放置しておくと、どんどん増えていって、ここに書いてあるとおり、植生の被害等が発生しまして、また希少鳥獣に対する影響というのが大きくなっていくかと思いますけれども、これについて、今後何らかの対策を検討されるのかというところがもしありましたら、教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【小泉委員長】 それでは、事務局のほうから回答をお願いします。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。こちらでまず答えられる部分を答えて、先ほど同様に、現地の事務所に回答をお願いしたいと思います。
ノヤギにつきましては、鳥獣保護区の中でも、自動撮影カメラに写ったことは確認できているという状況です。対策については、現地事務所のほうから答えられる範囲でお答えいただこうと思います。
沖縄奄美事務所から回答をお願いできますでしょうか。
【沖縄奄美自然環境事務所】 奄美群島国立公園管理事務所からでよろしいでしょうか。
【杉山野生生物課専門官】 大丈夫です。
【沖縄奄美自然環境事務所】 現地の奄美事務所の広野と申します。
ノヤギにつきましては、先ほどおっしゃったように、鳥獣保護区内に設置されているカメラのほうに、実際に生息しているヤギの画像が写っているような状況がございまして、奄美大島は非常に大きな島ですので、なかなか全体像がつかみ切れていないというのが実情でございます。
鹿児島県ですとか、地元の5市町村とも問題認識は共有をしている状況でございまして、鹿児島県が一部行動圏の調査とかを今、着手されている状況で、これから全島的な個体数推計などを進めていこうということで、連携を図っている状況でございます。
もともとは家畜として飼われていたヤギが野生化して、島内、割と広い範囲に定着している状況がございますので、もちろん環境省の役割をどう位置づけて、関係機関と一緒にやっていけるかということは、これから具体的な対策を検討していきたいという状況でございます。
以上です。
【小泉委員長】 はい。お願いします。
【北橋希少種保全推進室長】 希少種室長の北橋です。私はこの9月にこちらに来るまでは、沖縄奄美事務所の所長として、奄美を含めて見ておりましたので、ちょっと補足します。今、いろんなモニタリングとか、生息状況の把握を進めているという話がありましたけども、それ以前からも、いわゆる狩猟の延長線上で、各市町村が主体となったノヤギの捕獲が行われております。
ただ、それだけではなかなか追いつかない、特に奄美大島は大きな山で、山が深いところでございますので、山中のほうまではなかなか行き届かないということで、現状の取組に加えて、さらに強化が必要だろうということで、先ほど申しましたような関係機関との協議を進めているというところでございます。引き続き頑張っていきたいと思っております。
【八代田委員】 ありがとうございました。
もう既に対策されているということで、ぜひ今後も継続して、やはり放置しておくと、非常に増えてきてからでは対策が非常にまた大変になってきますので、現在頑張って対策をしていただければと思います。ありがとうございました。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
原委員からも挙がっておりますが、申し訳ありません。湯本委員がずっとお待ちですので、湯本委員のほうから先にご意見いただきたいと思います。
どうもお待たせしました、湯本委員、お願いします。
【湯本委員】 今回から委員に参加させていただきます、湯本でございます。よろしくお願いします。
私、専門は生態学で、質問は野付なんですけれども、4年ほど前、私が生態学会会長だったときに、再エネのプラントについて、いろいろ経緯があって生態学会会員向けのメッセージとしたのですが、日本生態学会としては再エネ推進自体に対して反対するものではないですが、立地には生物多様性、具体的にはそこに生息する生物への影響を配慮してほしいという文章を作ったことがあります。
後のほうで釧路の話も出てきますけれども、野付半島・野付湾については、もともとあんまり風況がいいところではないです。風が常に安定して強いわけではなく、砂州なのでプラントを建てる条件としてもよくなく、実際に野付半島・野付湾に対しては風力発電所の計画はいまのところ聞いてはいないのですが、今回の特別保護区では渡り鳥の中継地ということもあって、周辺部に渡り鳥への脅威と考えられる再エネ発電所の計画はあるんでしょうかという質問が1点。
もう一点というのは、もちろん鳥獣保護区が特別保護区にしても、指定範囲の土地利用に関する規制でしかないというのは重々分かっているんですけれども、ただ、ここが渡り鳥の中継地として重要な場所であることを根拠にして、周りの脅威に対して、何か意見を言うベースというのがあるものでしょうか。あくまでお願いベースになるんでしょうか。
以上、2点です。よろしくお願いします。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、事務局のほうから回答をお願いします。
【杉山野生生物課専門官】 まず、1点目ですが、すみません。風力の発電が周辺で計画されているかどうかは、本省では把握していない状況です。後ほど現地事務所に答えられる範囲で依頼をしたいと思います。
もう一つ、鳥獣保護区の周りのところを規制できるかどうかというところですが、鳥獣保護区につきましては、特に特別保護地区の中は、鳥獣の生息に悪影響を及ぼさないようにという観点で、行為規制がございますが、あくまで保護区の中しかその規制はできませんので、周りを規制することはできません。
ただ、環境アセスメントの基準にかかる事業でしたら、環境アセスメントの手続の中で、事業者に対して、悪影響ができるだけ起こらないようにということを指導するということはできると考えております。
一つ目の風力などの計画につきまして、釧路自然環境事務所から、把握されている範囲で回答をお願いできますでしょうか。
【釧路自然環境事務所】 釧路自然環境事務所の百瀬と申します。ご質問ありがとうございます。
周辺の風力発電とか、太陽光関係も含めてですが、今のところ、こちらの事務所では計画等は聞いておりません。
鳥獣保護区周辺の開発に対する規制については、計画がもし仮にあった場合ですが、野付半島に集まる鳥類に対して、非常に悪影響があると考えられる場合には、私が以前、別の事務所にいたときの事例ですが、事業者にはお願いベースで、こういう鳥がいるので、何とかならないかという形でお願いをしたことはあります。鳥獣法上はなかなか規制できない状況です。
以上でございます。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
湯本委員、よろしいでしょうか。
【湯本委員】 ありがとうございます。
【小泉委員長】 それでは、原委員、お願いします。
【原委員】 ありがとうございます。日動水の原と申します。
この3区域、区域を変更せずということですけれども、湯湾岳につきましては、希少種の生息域、ほかの二つは渡来地ということで、これまでどおりということかと理解しますが、3番目の湯湾岳は、希少種が生息する地域ということで、区域を変更しなくてもよいというふうに判断されたところについて、お聞きできればと思います。
多分マングースの根絶とか、そういったことで十分に個体数が増えつつあるということなのかなと思いますが、ほかにも何かございましたら、お聞かせください。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。
湯湾岳鳥獣保護区ですが、歴史としては、湯湾岳鳥獣保護区の辺りは国立公園に指定されていますけども、国立公園指定前は、より狭い区域で国定公園が指定されていて、そのときの特別保護地区がベースになっております。
変更しなかった理由ですが、鳥獣保護区特別保護地区の場合は行為規制がございまして、鳥獣保護区の場合は狩猟が規制されるということになりますが、まず行為規制については、今となってはより広い範囲に、周辺に国立公園の特別保護地区が指定されていまして、そちらのほうが規制も強いことになりますので、広げる必要も特にはないという状況です。
そのほかに希少な鳥獣に、狩猟によって悪影響がある場合には、鳥獣保護区そのものの区域拡大も検討ということにはなるとは思うんですけども、今のところ、奄美大島において、狩猟によって希少種が脅威を受けているという状況ではございませんので、そこも現状どおりとしております。
【原委員】 ありがとうございました。
【小泉委員長】 それでは三谷委員、お願いします。Webから三谷委員、お願いします。
【三谷委員】 ありがとうございます。
野付のところなんですけれども、野付のほうは結構海岸の浸食が多発しているということで、調べたところ、結構外側のほうには護岸を今、建設しているということだったんですけれども、そのように今、重要な保護地域を守るための何らかの対策という、この保護区なんですけれども、結局規制はしているけど、守るために何かをするということに関しては、この枠組に対しては何もなってないということでいいですか。ただ何かを作ることは駄目、守るために何かをするというのは別なんですか。何かをしようとか、そういうふうな計画を立てるとか。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。
まず、制度面では、鳥獣保護区の指定の根拠になっている法律である鳥獣保護管理法のメニューとしては、浸食の対策ということをやろうとする場合には、この法律の制度の中では、鳥獣保護区保全事業というものがございます。
ただ、実際は、浸食が問題の場合には、浸食を止められればよいわけで、必ずしも環境省の鳥獣保護区保全事業のメニューを使わなくても、別のメニュー、別の省庁ですとか、北海道さんですとか、市町村さんですとか、そういった方々の土木的なメニューによって対策されるということもあり得るのかなと考えています。
【三谷委員】 ありがとうございます。
あと、これは海域にも結構かかっているんですけれども、左端のほうの四角の部分、あれは漁港があるからあそこだけないということですよね。漁港を何らか、例えば拡張する予定とかがあるから、そういうふうになっているのか、どうしてその部分がないのかというのと、あと上のほうもかかってない部分があるんですけど、そこの辺りはなぜかかっていないのか、教えていただけますか。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。
こちらにつきましては、恐れ入りますけど、釧路自然環境事務所から答えられる範囲で、お願いできますでしょうか。
【釧路自然環境事務所】 釧路自然環境事務所の百瀬でございます。ご質問ありがとうございます。
まず、港の部分ですね。四角く抜けているところは、まさにおっしゃるとおりです。こちらは港湾の維持管理関係で、例えば少し掘ったりとか、様々な工事の予定があり、港湾管理者のほうからの要望で、四角く抜いているものかと思います。
左上のほうの指定されていない部分は、農地になっていまして、農業関係者との調整の中で、抜いている部分と思います。
以上です。
【三谷委員】 ありがとうございます。
先ほど、保全という話をしたんですけども、アマモ場の保全とかも多分あると思うんですけど、保護しただけじゃ、多分これから温暖化とかもあって、増えてはいかないと思ったので、保護だけではなくて、増やす方法の何か枠組があったらと思って話しました。ありがとうございます。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは勢一委員から、再度ご意見がありますので、お願いします。
【勢一委員】 2回目で申し訳ありません。先ほど再エネの議論が出たので、1点だけと思いまして、2回目の発言をさせていただきます。私も個別具体的な例は承知していないのですけれども、野付半島は、今、道立自然公園ですけれども、これを国定公園に格上げしようという候補の一つになっています。何年か前ですけれども、その候補に挙がったときのタイミングで、地域では、国定になる前に再エネの開発をしないと、できなくなるんじゃないかというような話が割と出ていて、地元自治体は結構心配をしていました。その後どうなったかまでは、私は把握していないのですけれども、こういう状況の中で、再エネと自然の生態系の場所をどうやって両立していくのかというのは、大きな課題だと思います。
鳥獣保護法の仕組みの中で、どれだけやれるのかというのは、恐らく限界がある、そういうようなスキームになっていないわけで。ただ他方で、野生生物の保護は生息域を守っていくことをやらないと、多分居場所がなくなってしまい、当然数は減ってしまうわけなので、生息域をどうやって守っていくかも併せて考える必要があると思います。 やはり、例えばですけれども、自然公園法が公園区域に指定しているようなところであれば、その地域をそちらの法律で守るということもできるわけで、まさに、もし国定公園になれば、野付半島は自然公園法の仕組みの中で併せて守っていくというようなことをやれるんだろうと思います。それ以外にも関連する法律で、地域全体として守れるようなことを環境省としても考えていくことが必要で、公園についてはここの小委員会ではありませんけれども、もう少し幅広の法律を、うまくレイヤーを重ねていく工夫をしていきながら、指定をしていただけるとよろしいかなと思いましたので、ぜひ内部での連携をお願いしたいと思います。
以上です。
【小泉委員長】 ご意見ということですが、よろしくお願いします。
それでは、ほか、ご意見はないようですので、本件審議事項ですので、事務局案のとおり適当と認めてよいか、委員の皆様のご意見を伺いたいと思います。
会場の皆様は、恐れ入りますが、挙手をお願いします。それからWebでご参加の皆様も、挙手ボタンで合図をいただけますでしょうか。よろしくお願いします。皆さんの顔が見えないもので、挙手ボタンでご連絡いただけると助かります。よろしくお願いします。
それでは、ご異議ない方は挙手をお願いいたします。
(異議なし)
【小泉委員長】 はい、ありがとうございます。
それでは、ご異議ないということで、本件事務局案のとおり、適当と認めさせていただきます。どうもありがとうございます。
では、次に、以下報告事項として、まず、絶滅のおそれのある野生動植物種の保存に関する法律の在り方に関する検討について、事務局から説明をお願いします。
【本田希少種保全推進室室長補佐】 ありがとうございます。希少種保全推進室の本田と申します。よろしくお願いします。
本日午前中に報道発表もしておりますが、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、通称種の保存法の在り方検討会の開催について、私のほうからご報告させていただきます。資料2-1をご覧ください。
種の保存法は前回、平成29年に改正をされておりまして、前回改正では、特定第二種国内希少野生動植物種の制度や、認定希少種保全動植物園制度の創設、国際希少野生動植物種の登録制度の強化などを行ったところです。
そして、前回の改正法の施行から5年を経過したことも踏まえまして、令和5年度から6年度にかけて、法律の施行状況評価会議を開催しまして、有識者の皆様に議論いただきつつ、種の保存法をめぐる現状を踏まえ、今後取り組むべき課題を取りまとめたところです。
その施行状況評価の結果を踏まえて、今後の課題解決の方向性について詳細な検討を行うため、今月以降、来年度にかけて、種の保存法の在り方検討会を開催させていただきます。
検討会の具体的なスケジュールはお示ししているとおりでして、第1回目の検討会は10月14日に開催する予定です。なお、2回目以降のスケジュールは、委員の皆様のご都合等も踏まえて、変更され得る旨、ご承知おきください。
検討委員につきましても、資料でお示ししているとおりでして、野生生物小委員会からは勢一委員、寺田委員、原委員の3名の方にご参加をいただく予定になっております。
資料2-1の2ページ目に、今年の6月末に公表しました、施行状況評価の結果の概要を添付しております。今後の検討会での中心的な議題になると思われますので、ごく簡単にご紹介させていただきます。
施行状況評価会議は希少種の保全と流通に分けて議論をしたところでございますが、まず希少種の保全に関する課題と検討の方向性として、国内希少野生動植物種の指定に関しては、法律の附帯決議で定められた指定数の目標などもありまして、指定がかなり進んできているところでして、捕獲や採取圧に対する対応には進捗が見られる一方で、今後は希少種の生息地や生育地の保全を重要視した施策の検討や、多様な主体を取り込んだ保全活動の拡大、保全活動を促進するインセンティブの形成や阻害となる規制の緩和というものを進めていく必要があるというふうに指摘をしていただいているところでございます。
続けて、流通分野での議論を紹介させていただきます。
【守野生生物課課長補佐】 野生生物課の守でございます。
私のほうから、流通のほうについて、ご説明させていただきます。
流通のほうについては、平成29年の法改正において、先ほどお話しした個体等登録の基準の厳格化ですとか、そういう流通の規制の厳格化について図ってきたところでして、その成果はしっかり出ているというところではありますけれども、それに付随して、厳格な流通の規制と、保全活動のバランスをどう取るのかというような形で、課題が多く出されているという状況です。
例えば、平成29年の法改正で必要となりました、国際種の個体等登録制度における個体識別措置ですね。つまりマイクロチップの埋め込みなんかについて、例えば幼少だとか老齢だとかで、生体に負荷がかかるのでなかなかマイクロチップが埋められないといったような事例が出ているので、そういったのにどう対応するかということですとか、あとは個体等登録がなかなかできないような個体について、例えば所有者の入院ですとか、逝去等によって、一時的に個体を預けなければいけないといったような状況になったときに、なかなかその個体の行き場がなくなってしまうというような事例が生じていますよということ。さらに、国内種についても、例えば保護増殖計画が策定されていないような種については、保全活動に伴う個体等の譲渡しには許可が必要になるので、そういったものが保全活動の負担になっているのではないかというようなお話が出てきております。
こういった運用面の具体的な課題というのも、改善策も検討しながら、今後、令和8年度にかけて、保全、流通両方の制度の在り方について、先ほどご説明させていただいた検討会において、議論をしてまいりたいというふうに思っております。
私のほうからもう一点、流通のほうについては、既に運用面の改善の検討を進めているものもありまして、ここでご報告をさせていただきたいと思います。資料2-2をお願いします。
国内希少野生動植物種の昆虫標本の個人間の譲渡しについてということでございます。
国内希少野生動植物種の昆虫の標本というものについては、これまで規制の適用除外ですとか、あとは許可という形で、原則として博物館ですとか研究機関等の公益が認められる施設への譲渡しというものを認めていたところですけれども、こういった施設の収蔵庫のキャパシティがいっぱいであるとか、そういった理由から全てを引き取ることが難しいといったような状況も生じていまして、個人所有をしていて学術的に価値のある標本というものをどこにも譲渡しができないというような状況が起こってきているところです。
そのため、一定の要件を満たす国内希少野生動植物種の昆虫の標本の個人間の譲渡しについては、許可の対象とできるように検討を進めているところでございます。具体的な要件は資料の1から5に書いてあるような形ですけれども、こういった要件を満たすものについて認めていこうという検討を進めているところでございます。
こういった事例も含めまして、流通の面は適正な流通の在り方について検討してまいりたいというふうに思っています。
私からの説明は以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、ただいまの報告事項につきまして、ご意見、ご質問のある方は先ほどと同じように、会場の方は名札を立て、Web参加の方は挙手ボタンを押していただきたいと思います。
また、報告事項に関しましては、一問一答ではなくて、2問ないしは3問まとめて事務局のほうに回答いただくというふうにさせていただきたいと思いますので、この点ご了承ください。
それでは、会場のほうからご意見、ご質問がありましたらお願いします。
Webのほうから、それでは湯本委員、お願いします。
【湯本委員】 湯本です。私は現在、京都市や京都府が設置した、きょうと生物多様性センター長を拝命しています。京都市や京都府でも個人所有の標本の話というのは、必ず話題に出ていたので、今回のご検討には感謝を申し上げます。
生物標本を大量に収集されてきた世代が引退の時期を迎えており、まさしく個人所有の標本に関する譲渡の処置が必要だと思っています。ある時期に採集された標本は、二度再びその時代に戻って採集はできないわけで、非常に貴重な標本です。それが失われていくので、今回の処置はとてもありがたいと思っています。
もう一点は希少種の商取引目的の流通なんですけれども、私たちの間でよく話題になるのは、やっぱり罰則規定が弱いんじゃないか、つまり罪が軽いんじゃなかろうかということです。もっと厳罰化が必要なのじゃないでしょうか。もちろん環境省さんだけが決めることじゃなくて、ほかの罰則違反とのバランスというのもあるんでしょうけれども、厳罰化というのはどうお考えでしょうか。
以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして寺田委員、お願いします。
【寺田委員】 ありがとうございます。寺田です。
私自身も種の保存法の検討委員会に入っておりまして、一部繰り返しになりますが、まず1点コメントです。2点目が昆虫のほうにつきまして質問です。
1点目ですけれども、やはり保全と流通という分け方に当初から違和感がありまして、流通規制というのは保全のための流通規制です、と。詳しい方とか、事務局の方はよくご存じですけれども、そして文書上も、国内種の保全、国際種を含む流通となっていて、間違ってはいないんですけれども、国内種と国際種があり、国内種は生息地保全や保護増殖や流通規制があり、国際種については流通があると。野生生物課の中の業務も、希少種保全室は主に国内種を担当されていて、流通の部分は国内・国際合わせて、別の方が担当しているという状況もあって、このような分かれ方になりやすいかとは思うんですけれども、やはり一般の方に「流通規制を何のためにやるのか」と。どのような種を規制対象種として、どのような厳しさで何を規制するのかは、保全のために検討するものであるということが、なかなかワシントン条約も含めて浸透していない中、そこの部分は情報の伝え方をぜひご注意いただきたいなと思うところであります。
以上、コメントです。
そして、今回ご提案いただいた昆虫の制度、運用の変更につきましては、私も高く評価したいと思います。実際にこれがまさに国内希少種の保全に資する流通制度の改善でありまして、このような運用を細かく検討していくためには、各分類群の状況、保全、生息地を含めた種の情報、また、制度設計をする流通の制度に詳しい者が共に議論して初めて生まれてくるものだと思いますので、今後の在り方検討会につきましても、その点は非常に大事なポイントかなと思っています。
戻ってしまいますけど、施行状況評価のときも、このようなコメントを踏まえて、保全と流通の合同会議をしていただいたことも高く評価したいと思いますし、実際に今回生まれてきた昆虫の運用のような事例をいかに増やしていくのか、専門家だけではなく、実際に採取される方ですとか、愛好家の方ですとか、ショップの方ですとか、また、SNSでいろいろご意見をいただく国民の方にも、何のための流通規制なのかというところをしっかり伝えていくということを、ワシントン条約のCOPも近いので、ぜひ事務局、環境省には、改めてリマインドさせていただきたいと思います。
すみません。質問というのは、昆虫の制度につきまして、差し支えない範囲でいいんですけれども、どのような検討過程を踏まえて、ここまでたどり着かれたのかというところをお聞かせいただけますと幸いです。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、質問と意見がありましたけれども、事務局のほうから回答をお願いします。
【守野生生物課課長補佐】 野生生物課の守でございます。ありがとうございます。
1点目、湯本先生から、罰則が軽過ぎるのではというお話をいただきました。罰則については、再三、法改正の際に罰則を強化してきているところではあります。今、一番重い許可なく譲渡しや捕獲をしてしまったという場合には、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金ということになっているので、それが妥当かどうかというのはまたあるんですけれども、ある程度の抑止効果にはなっているのかなと思ってはおります。この点も含めて、検討はしていかなきゃいけないのかなというふうに思ってはいますが、現状はそういう状況ですというところです。
寺田先生からのご質問について、どのような検討過程で昆虫の制度をしてきたかというところですけれども、数年前から、やはり昆虫標本の個人間の譲渡しということについてはご意見をいただいていたところです。それについて、昆虫の学会の皆様、各種学会があると思うんですけれども、つながりのある学会の皆様とか、研究の先生方とか、そういったところと意見交換をさせていただいて、どういった要件が必要なのかと、どういったことを皆様が望んでいるのかというところも含めて、ご意見を伺いながら要件を検討してきたところでございます。
なので、先ほど寺田委員からお話をいただいたように、専門家だけではなく、アマチュアの方ですとか、そういった昆虫の標本の移動に携わる皆さんのご意見を聞いてというところは、まさにそういうところかなと思っておりますので、引き続き、ほかの具体例を検討していく際にも、例えばNPOですとか、そういったその事情に携わっている現場の皆様のご意見も伺いながら検討してまいりたいというふうに思います。
以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは会場から、八代田委員、水田委員の順でお願いします。
【八代田委員】 ご説明ありがとうございました。
私のほうからは、今後の検討の方向性の一番最後、気候変動適応策がさらに重要になるという部分なんですけれども、こちらのほうが今後非常に重要な課題になってくると思っております。
保全といった場合に、先ほどの審議で、三谷委員からもありましたけれども、ただ守るというようなイメージというか、そういった対応が多いかと思いますけれども、今後、気候変動が進んでいけば、生息地域自体が変わってくる可能性もあるかと思います。そういったときに、人が手を入れるのかどうか、それともただ守るだけなのかというところについても、やはり今後整理をして、方針を決めていく必要があるかと思いますので、それについても、今後の検討会で検討していただければと考えております。
意見でした。以上です。
【小泉委員長】 それでは、水田委員、お願いします。
【水田委員】 ご説明ありがとうございます。
私も、今後の検討の方向性のところからですけれども、一番上の保全の部分です。生息・生育の場(ハビタット)保全のより一層の重視と書かれていて、これはまさにそのとおりだと思います。もちろん個々の種を保全する施策を立てるというのも重要だと思うんですけれども、その種が生息・生育する場を守っていくというのがとても重要なことだと思います。
個々の種に対しては保護増殖事業などのメニューがありますけれども、では具体的に生育の場、ハビタットを保全するということに関して、何かしら新たな事業というのが立ち上がるのか、それとも今まで行われている様々なメニューを組み合わせて、その保全をより一層進めていくのか、そういった点を確認したいと思います。
【小泉委員長】 Webから三谷委員の手が挙がっておりますが、ご発言、お願いします。
【三谷委員】 ありがとうございます。
種の保存法の対象種については、ここで取り上げるのか分からなかったんですけれども、例えば国際ではなっているけれども、日本にいるのに、国内希少種になっていないのは、例えばラッコとかジュゴンとかって、どういうふうな選定基準なのかなということが一つありました。特にジュゴンは、もうほぼ沖縄にはいなくなっていて、たまに流れ着いてくるとは思うんですけども、もう今、フィリピンの辺りにいるジュゴンたちが流れ着いてきて、そこにとどまってもらうぐらいしか、もう日本の中のジュゴンを守る術がないわけですけれども、そこにアマモ場がちゃんとないと、そこに居着いてくれないわけで、アマモ場をちゃんと生息地を保全するというところを準備しておくというところが重要なんですよね。なので、種の保存法で、これから生息地の保全などについてもやるということであれば、国内の中にジュゴンとかを入れておかないといけないと思うので、それについてお伺いしたいと思いました。
以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
質問と意見とありましたけれども、ご回答いただけますか。
【本田希少種保全推進室室長補佐】 ご質問、ご意見、ありがとうございます。
まず、水田委員からいただきました、生息・生育地の保全に関して、今後新たな事業を立ち上げるという話なのか、既存事業の組合せという話なのかという点ですけれども、まず、この在り方検討会は種の保存法のまさに在り方全体の話なので、結果として、制度改正に至るというようなものもあり得るところですし、むしろ先ほど流通の場面で昆虫標本の話がありましたけれども、既存事業の運用改善だったり、既存事業の組合せで、新たな、これまでやってきてないようなことをやっていくというようなことも考え得ると思います。そこら辺は広く視野に入れた上で、今後の検討は進めていくということになるかと思います。
また、三谷委員からは、国内希少種の選定の基準ですとか、どういった種を選定していくのかという点について、今、例示としてジュゴンをいただきましたけれども、まず国内希少種の選定の基準は法律に位置づけられております、希少野生動植物保存基本方針で基本的には整理をされておりまして、その上で、国内希少種の指定による効果ですとか、そういったことを踏まえて指定をしていくということになっております。
種の保存法で、まず指定することによって規制がかかるのは、捕獲圧に対する規制ですので、まずは捕獲圧によって減少しているものというのは、一般的には指定の候補に挙がりやすいものになってくるんですけれども、一方で、哺乳類ですとか鳥類についても、保護増殖事業ですとか、生息地等保護区の指定によって守るというような法律上の制度はございますし、現状、哺乳類、鳥類に関しては保護増殖事業もやれているところです。ですので、一般的な話としては、今後、生息地の保全の在り方を見直していった結果、国内希少種の指定の在り方の見直しにも影響してくるということは考えられると思っております。
以上です。
【小泉委員長】 あと、また気候変動、温暖化の影響でというところも、ハビタットの保全、よろしくお願いします。
ほか、ご意見、ご質問、水田さんもよろしいですか。
それでは、本件はこのぐらいにしまして、続きまして、ラムサール条約第15回締約国会議の結果報告をお願いします。
【境野生生物課主査】 野生生物課でラムサール条約、渡り鳥などの担当しております、境と申します。よろしくお願いします。着座にて失礼いたします。
私からは本年7月23日から31日に、ジンバブエ共和国、ビクトリアフォールズで開催されました、ラムサール条約、正式には特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約の第15回締約国会議に出席してまいりましたので、簡単にご報告させていただきます。
世界172か国から、1,284名の参加者がありまして、合計25の決議が採択されました。1枚目のスライドには、主要議題のみ記載しています。議題一覧は次のスライドでお示ししています。後ほど、これらの議題についてご説明いたします。
それから国内自治体への認証などについては、本年2月に湿地都市認証を受けた名古屋市への認定証授与、国内54番目の湿地として新規登録された猪苗代湖関係自治体への条約事務局長からの登録証授与がございました。
それぞれの地域における取組については、サイドイベントで各自治体から発表しています。
2枚目のスライドをお願いします。
こちらが今回のCOPの採択議題、決議の一覧です。この後ご説明する主要議題を赤い文字で目立たせております。
なお、15.24の決議は、提案国であるアルジェリアが取り下げておりますので、先ほど計25の決議がなされたと申しましたが、こちらの議題を決議に含めていないことが、最後に26までありますけれども、マイナス1で、計25の決議となっている理由です。
次の3枚目のスライドをお願いします。
少し具体的に主要な決議についてご紹介します。こちらの戦略計画については、10年に一度改定されるもので、四つの目標及びターゲットを追求するように各国に要請されています。
また議論の末、今回の戦略計画においては、既存の国際間条約、特に生物多様性条約や持続可能な開発目標への貢献について、決議に反映されることとなりました。
次のスライドをお願いします。
こちらの内容は、今、申し上げたところです。
では、次のスライドでお願いします。
水鳥個体数推定についてですけれども、2012年以来、更新が途絶えていた水鳥個体数推定の再開に向けて、世界水鳥推定パートナーシップの設立が決定されました。水鳥個体数推定は国際的に重要な湿地、ラムサール条約湿地指定の基準の6である水鳥個体数の1%基準というものの科学的裏づけを提供する重要な指標でありまして、新たな世界水鳥推定パートナーシップは、締約国、国際機関、渡り鳥条約、地域モニタリング団体などを結ぶ連携ネットワークとして機能して、各国データを統合しつつ、2027年度版の水鳥個体数推定の作成を進めることが期待されています。
次のスライドをお願いします。
それから、今回のCOP15で採択された決議で注目されたものとして、OECMによる湿地保全を求めるものがございます。日本国の場合は、ラムサール条約湿地登録に際して、国の法律、自然公園法、鳥獣保護管理法などによって、将来にわたって自然環境の保全が図られることを条件としていますが、一方で、国によっては、法整備や政治的意思が異なりまして、また、制度を維持するための資金やデータが不十分な場所もあり、そうした国ではOECMの活用が期待されるところです。
7枚目以降のスライドは、サイドイベント及び展示ブースについて紹介しているものですので、時間の都合上、割愛させていただきます。
最後に、スライドには残しておりませんが、2点補足を申し上げます。
ロシアのウクライナ侵攻によるラムサール湿地への攻撃を非難する延長決議案の採択が、投票によって行われました。日本を含む40か国が最終的に共同提案国となり、可決となりましたが、途上国の多くは棄権するなど、国際情勢を反映した決議となりました。ロシアは当該決議案が政治的であるとして、会合冒頭に、条約からの脱退を表明し、退出して、正式には12月に脱退することとなっております。
また、アメリカ合衆国は30日、会議の後半に米国の代表、在ジンバブエ米国大使館からの参加の方が来まして、レッドラインとして、気候変動への言及、多様性、包摂性の言及、ジェンダーへの言及、SDGsへの言及などについて、レッドラインを読み上げまして、ただしCOPのコンセンサスはブロックしないという発言をしたところです。
私からの発表は以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
ただいまの報告に関しまして、ご意見、ご質問がありましたら、また同じように名札を立てる、それから挙手ボタンを押すで合図をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
今回のラムサール条約で持ち帰って、日本政府ないしは環境省が新たに何かアクションを起こさなければいけなくなったというようなことはありますか。
【境野生生物課主査】 特段、新たにというところはないですけれども、今回申し上げたとおり、多国間の条約、ほかの条約との連携について強調されていたところから、例えば昆明・モントリオール生物多様性枠組の達成に貢献するために、ほかの多国間協定と協調した横断的な取組を地域と連携して進めるということは、引き続き行っていくというところです。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、白山委員、お願いします。
【白山委員】 説明、非常に興味深く拝聴いたしました。
ロシアがラムサールから脱退してというお話と、世界の鳥のデータベースをきちっと、27年版で作るということなんですけれども、ロシアなしでそれを作って、科学的な信頼性のあるデータが取れるのかというのが非常に疑問なんですけれども、パートナーシップへの参加もやめたのか、パートナーシップについては、つまりこの個体数の推定の事業に関しては貢献するということになっているのか、そこと、それから、もしそうでないとしたときに、このパートナーシップの活動というのはどのくらい意味が毀損されるのか、あるいは十分な意味がまだそれでもあるのか、その辺りについて、少し現状での認識を教えていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
【小泉委員長】 それでは、よろしくお願いします。
【境野生生物課主査】 ご質問いただきありがとうございます。
ラムサール条約からは確かにロシアは脱退、正式には12月に脱退する予定ですけれども、このパートナーシップにロシアが入っているかどうかというのは、今すぐ申し上げられませんが、この世界水鳥推定パートナーシップへ情報提供するという意味では、地球上で九つあるフライウェイネットワークのうち東アジア・オーストラリア地域フライウェイネットワークにはロシアも入っておりまして、その中で提供されるデータが間接的にラムサール条約のこのパートナーシップに提供されると認識しておりますので、ロシア地域で得られるデータがラムサール条約に完全に入らなくなるということはないと認識しています。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは続きまして、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律の施行について、報告をお願いいたします。
【佐藤鳥獣保護管理室室長補佐】 鳥獣保護管理室の佐藤と申します。私からは資料4について、ご説明を申し上げます。
資料4は鳥獣保護管理法の改正に関する資料になりまして、本件については昨年9月の本委員会においても、鳥獣保護管理法の改正に向けた検討についてというタイトルでご報告したところでございます。
今回はその後の鳥獣保護管理法の改正や、改正内容の施行状況だったり、あと今年のクマの状況とか、そういったものをご報告したいと思います。
では、資料1ページ目をお願いいたします。
まず、鳥獣保護管理法の改正に至った背景を少し振り返りたいと思います。近年、クマ類の分布については、非常に分布域が拡大しているということでございまして、北海道に生息するヒグマでは、平成15年度と30年度の比較で、分布域は約1.3倍に拡大していると。令和2年度の推定個体数の中央値は1万1,700頭となりまして、30年間で約2倍以上に増加しているという状況でございます。ツキノワグマでも平成15年度と30年度の比較では、分布域は約1.4倍に拡大し、四国は分布域が縮小しているものの、本州の多くの地域で推定個体数は増加または安定化しているという状況でございます。
左下の図は、秋田県のクマの分布域の推移を表した図でございます。秋田県では、クマの第二種特定鳥獣管理計画を更新する際に、ツキノワグマの分布域を表した図を出しているところでございますが、この図では灰色が前の計画時点でのクマの分布域を示していたメッシュでございまして、ピンクが新規の拡大メッシュで、黄色が推定分布のメッシュとなりまして、つまり色がついているところが管理計画を作成した時点でのクマの分布域となります。
一番左が平成19年の第2次計画時点の分布域で、真ん中の図が第5次計画時点の令和4年で、右が第6次計画を策定した今年、令和7年になりまして、分布域が拡大していることがよく分かる。特に令和4年から7年という、3年間の分布メッシュ数が1,148メッシュから1,215メッシュとなっているところでございまして、分布域が広がっていることが分かると思います。
右下のグラフのほうについては、クマの人身被害の件数を表したものでございます。特に令和5年度、特に東北地方で堅果類、ドングリが凶作だったということでございまして、クマによる人身被害が過去最多の198件、219名の方が被害に遭われたという記録をしたところでございます。
なお、令和6年度については、事故の件数は82件、被害に遭われた方は85名ということでございました。各年の事故件数の推移についてはグラフのとおりでございます。
特に本年度の状況について、次のスライドで詳細をご報告したいと思います。次のスライドをお願いいたします。
令和7年度のクマの出没や被害状況をまとめたスライドでございます。上部にある表が令和7年度に入ってからの4月から8月の出没件数、人身被害件数、被害者数、あと死亡者数、これをまとめた表でございまして、同じ期間の令和6年度、令和5年度の情報も記載しているところでございます。
令和7年度のこれまでの出没件数は1万5,893件で、人身被害件数は62件、人身被害者数は69名、うち亡くなられた方が5名となっております。
左下の出没件数のグラフをご覧いただけると分かるとおり、本年7月、8月の出没件数が例年に比べ、比較的高く推移しているというところでございます。
右下の人身被害件数のグラフからは、例年と比べて顕著に事故が増えているという状況では、今のところないんですが、ただ、死亡者数は比較的多いという状況になっております。
次のスライドをお願いいたします。
こちらは本年度に入って、今まで発生したクマ類による死亡事故の概要でございます。6月には、長野県でタケノコ取りの男性が事故に遭われたということでございます。7月には3件の死亡事故が発生しまして、いずれも市街地だったり、住宅近傍で発生したというところでございます。7月4日の岩手県の事例では、被害者の方が自宅内で事故に遭われたと。7月12日は北海道で新聞配達中の方が市街地で被害に遭われたと。7月31日の秋田県の事例でも、市街地で事故が発生したとなっております。8月は北海道の羅臼岳登山中に事故が発生したという状況になっております。
では、次のスライドをお願いいたします。
こちらは鳥獣保護管理法の改正事項の概要になります。これまで紹介してきたとおり、近年、クマが人の日常生活圏に出没しまして、人身被害が発生するなど、生活環境の保全上の支障が生じる事例が増加してきました。
これまでの鳥獣保護管理法では、住居集合地域等における銃猟だったり、人や建物に向かってする銃猟等を禁止していたところでございます。なので、出没したクマ等が建物に立て籠もるなど、膠着状態がある場合において、なかなか迅速な対応が困難であるというケースが発生しておりました。
このような背景を踏まえて、クマ等の危険鳥獣の銃猟に関する制度を見直しまして、人の日常生活圏にクマ等が出没した場合に、地域住民の安全の確保の下で銃猟可能としました。
具体的には、真ん中の主な改正内容と記載した部分にあるとおりでございますが、クマやイノシシといった危険鳥獣が人の日常生活圏に侵入し、危険鳥獣による人の生命または身体への危害を防止する措置が緊急に必要であり、銃猟以外の方法では的確かつ迅速に危険鳥獣の捕獲等をすることが困難であり、避難等によって地域住民に弾丸が到達するおそれがない場合において、市町村長が危険鳥獣の銃猟を捕獲者に委託して実施させること、すなわち緊急銃猟ができるということにしました。
また、緊急銃猟を使用する場合において、安全確保のための通行制限だったりとか、避難指示ができることとしまして、また、都道府県知事に応援を要請することが可能である、また、市町村長は緊急銃猟の実施に伴って損失を受けたものに対しまして、通常生ずべき損失を補償するものとしました。
この改正内容の施行は本年9月1日でございまして、施行から約1か月ほどたったところでございます。
改正法の円滑な施行に向けて実施していた、準備をいろいろしてきたのですが、それを次のページから紹介したいと思います。次のスライドをお願いします。
主に対応してきたことを4点にまとめております。
1点目は緊急銃猟の手順を示した緊急銃猟ガイドラインを本年7月8日に公表いたしました。
2点目は緊急銃猟ガイドラインについて、自治体の職員の方向けに緊急銃猟ガイドラインのオンラインの説明会を7月24、25、29と3日間開催したところでございまして、1,500人以上の自治体職員の方に参加いただいたところでございます。
3点目は全国5か所で現地研修会を実施することとしておりまして、北海道では8月21日に、秋田県では9月22日に実施しまして、今後、福島県、長野県、島根県で実施していきます。
4点目は緊急銃猟に対応できる射撃技術を持ち、緊急銃猟実施時の委託が想定されるハンターさんを事前に登録しまして、自治体間で共有することで、体制確保に役立てるクマ人材データバンクを8月7日から運用開始したところでございます。
資料では、全国約180名のハンターが登録となっておりますが、まさに昨日、新たな登録状況が判明しまして、最新では193名の方が登録しているというところでございまして、随時アップデートしている状況にあります。
次のスライドからは、これらの施行に向けた準備を説明する参考資料になります。ちょっと簡単ですが、紹介したいと思います。
まず今、映っているものが、緊急銃猟ガイドラインの概要でございます。ガイドラインでは、制度説明から平時における準備だったり、緊急銃猟の実施時の留意事項、自治体や警察などの関係機関の役割分担や連携のあり方、また、参考となる事例を想定して、図面を用いて解説をしているところでございます。
ガイドライン自体は自治体職員向けに作成したものでございますが、環境省サイトで公開しており、どなたでも見ることができるような形になっています。
次のスライドをお願いします。
こちらは緊急銃猟に係る現地研修会の様子でございます。既に北海道の下川町と秋田県の横手市の2か所で開催したところでございます。いずれの場所でも、開催地の市町の職員のほか、地元猟友会の方、警察の方、北海道庁や秋田県庁の県庁職員さんが参加して、また、周辺の県だったり、市町村の職員が見学をされる形で開催いたしました。
研修は屋内において、講義形式で机上訓練を実施して、その後に屋外でクマが出没したということを想定した実地訓練を行ったところでございます。
次のページをお願いします。
こちらはクマの人材データバンクの紹介になります。このデータバンクは市町村が緊急銃猟の発生に備えて、平時からの体制整備に活用いただこうということで、緊急銃猟の対応可能な銃猟の技術と、あと協力の意志を持った、緊急銃猟の委託候補者の情報を人材データバンクとして蓄積し、情報交換を行えるようなスキームになります。
実際に活用される際には、人材紹介を希望する自治体が、派遣を希望する委託候補者が住む自治体担当者にコンタクトを取って、委託協力者に協力の打診だったりとか、協力の条件などを調整して、事前に緊急銃猟の体制を整えていただくような流れになります。
次のスライドをお願いいたします。
こちらは鳥獣保護管理の基本的な指針を改正していくというものでございまして、今後の動きを紹介するような資料になります。
まず、鳥獣保護管理の基本的な指針は、鳥獣保護管理法第3条に基づき、環境大臣が定めるものでございまして、野生鳥獣の保護と管理に関する国全体の施策の方向性を示すものでございます。この指針に基づいて、都道府県は鳥獣保護管理事業計画などを定めることになります。基本方針は5年ごとに見直しを実施しておりまして、現行指針の計画期間は令和8年度末まででありまして、本年度から改正を見据えて検討を開始するという予定となっております。
1ポツ目に点検のポイントを例示してありますが、鳥獣保護管理法の改正内容を含め、危険鳥獣の管理に関する事項、改正鳥獣保護管理法の附帯決議で対応を求められた鉛中毒対策だったり、錯誤捕獲の防止だったり、あるいは人材確保、そういうことだったり、あと高病原性鳥インフルエンザを中心とする野生鳥獣由来の感染症等について検討するということになっております。
2ポツ目には基本指針改正の検討スケジュール(案)でございまして、本年度内に検討を開始しまして、中環審の自然環境部会に諮問を行い、年度が明けて、鳥獣保護管理小委員会にて具体的な検討作業を進め、また、パブリックコメントを行いまして、来年8月頃に自然環境部会に答申をいただき、その後告示をするというようなスケジュールを想定しているところでございます。
資料4の報告は以上になります。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
緊急事態に対応するために、大変短い期間で緊急的な対応をいただいたということで、ご苦労さまでした。
それでは、ただいまの報告に関しまして、ご意見、ご質問がありましたら、挙手または挙手ボタンで合図いただけますでしょうか。
それでは、八代田委員からお願いします。
【八代田委員】 ご説明ありがとうございました。
最近、やはりクマの出没がかなり話題になっておりまして、それに対応した形で改正されたということで、今後、実際に実践的に実施されていくことになるかと思います。
私からご質問が1点ありますけれども、人材データバンクの件です。こちらは現在190名以上が登録されているということなんですけれども、登録する際の基準といいますか、登録要件というのは決まっているのかどうかというのをお聞きしたいと思っております。
やっぱりクマの捕獲に関しましては、かなり経験が必要になってくるかと思いますので、市町村の方からそういった技術を持っている方を紹介していただくような形にされているかと思うんですけれども、何らかの基準といいますか、それがあるかどうかというところと、登録されたら、そのままずっと登録され続けるのか、もしくはご本人様がもうやめるというか、できないのでということで外れていくのかというところについての運用ですね。そちらの方法について教えていただければと思います。
もう一点、現地研修会の件なんですけれども、5か所でされているということなんですが、近畿地方の辺りが抜けているなと思っておりまして、現在、クマの個体数自体はそんなに多くはないんですけれども、やはり個体数が増えてきているということで、対策は県の方たちが今、特定計画を立てたりといった、計画を立てていらっしゃる状況です。そういった、今まで少なくて、これから増えてくるであろう地域は、クマに対する対応というのが経験されている方が非常に少ないので、もし万が一、クマが急に市街地に出てくると対応できる方が今、ほぼいないというような状況になりますので、そういった地域でそういった人材を育成していくのかということについても、ご検討いただければと思います。
こちらについては意見になります。よろしくお願いいたします。
【小泉委員長】 それでは、勢一委員からご発言いただきまして、事務局のほうから回答をお願いします。
【勢一委員】 ご説明ありがとうございます。勢一です。
1点確認的な質問なんですけれども、今回、クマ対策で法改正をしていただいてということだったんですけれども、今後の予定として、基本的な指針の改正が行われるというご説明が最後にありました。これは鳥獣保護管理法の中で、都道府県知事の次の計画的な対応を求めるための基本的な考え方を示すもので、かなり骨格部分になると思うのですが、先行して改正された今回のクマ対策のスキームは、多分この基本指針は把握していないのが今の現行の指針だと思うんですけれども、次の改正では、当然そこはフォローアップすると思いますが、その改正までの間の対応で、基本的指針がフォローしていない部分で、何か支障があり得ることというのはないでしょうかという点を確認したいんですけれども、よろしいでしょうか。
【小泉委員長】 はい、ありがとうございます。
質問とご意見がありましたけれども、事務局のほうから回答いただけますか。
【髙瀬鳥獣保護管理室室長補佐】 ご質問ありがとうございます。環境省の髙瀬です。
まず1点目、人材バンクについて回答いたします。要件についてはございまして、もともと緊急銃猟を実施する者の要件を鳥獣保護管理法の施行令で定めておりまして、ご指摘のように経験等の要件を設けてございます。この人材バンクについては、自治体において、その要件を満たしていると考えている方を推薦いただいて、登録をするという形を取っております。
ただ、その自治体において、法律上のその要件を満たしているかの確認までは行っておらず、このバンクはおそらく要件を満たしているであろうというような方を登録いただいて、実際に要件を満たしているかどうかの確認自体は、実際に緊急銃猟、この人材バンクで紹介された方に緊急銃猟の実施の委託または指示をして、実施をしようとする自治体が緊急銃猟の実施の委託等をする前に確認をするということにしております。
それから、緊急銃猟の研修の候補地に関して、こちらはご意見だったかと思いますけども、回答させていただきますと、こちらについては全国の都道府県に希望するかどうかというところを、希望の調査をさせていただいて、その中から今年度5か所開催するという枠自体は決定していたところ、その中でも、希望をいただいたところの中でも、よりクマの出没の状況が多いというようなところを総合的に判断して、また、なるべく全国でバランスよくできるように選定をして、今回の5か所になっているというところでございます。
ただ、今年度で環境省直轄のこうした研修会は終わりということではなくて、予算が許す限りは、先、数年もこうした直轄の研修会は実施したいと思っておりまして、例えば来年に近畿で実施するということはあり得るのかなと思ってございます。
それから基本指針についてのご質問ですけれども、基本指針の改正がまだ行われていないことによる緊急銃猟への影響はないというふうに考えています。
これは少し分かりにくいのですけれども、緊急銃猟に関して、この点検の中で見直したいと考えておりますのは、緊急銃猟の考え方そのものを基本指針に入れるということではなく、緊急銃猟はあくまで最終手段であり、むしろ山野での必要な捕獲だとか、山野から人の日常生活圏に出さないための侵入防止の取組、こうした対策が平時から行われることが必要であるということを、むしろ自治体における政策の中に考えとして入れるべきであろうということを書き込むということであります。
これ自体は令和9年4月1日に施行することになっている鳥獣保護管理法の改正事項の中に入っておりまして、これを踏まえて、令和9年4月1日の施行に向けて、まずは基本指針を改正し、この基本指針を基に都道府県が作成する鳥獣保護管理事業計画にもこうした考えを入れていただくということになります。
緊急銃猟自体は法律上、実施の条件が明確になっておりますので、特にこうした基本指針において考え方を示すまでもなく、実施ができるということで、この基本指針の改正を待たずに、実際に運用を開始しているというところでございます。
回答は以上でございます。
【小泉委員長】 それでは、Webから日向野委員、それから宮本委員、お願いします。
【日向野委員】 大日本猟友会の日向野でございます。ご説明、大変ありがとうございました。
既に緊急銃猟が9月1日から実施されて1か月がたちますが、全国の各市町村では大変混乱をしておりまして、一つは実施主体となるところが各市町村、実施権者が市町村なんですが、各市町村の鳥獣被害の対策業務に関わる職員の数が非常に少ないという状況の中で、緊急銃猟を実施できるその4条件、これをしっかり確認ができる、そういった職員がいないということです。
銃猟経験がない、そういった職員がクマの行動特性に加えて、銃器の扱い、さらには発射させた場合の弾道、銃を向けた先の安全確保、そういった安全確保が経験のない職員が果たしてできるのかというふうなことで、非常に混乱をしています。
人材育成に関しましては、一定の方針が出されましたが、来年度の国の概算要求に関しましては、専門人材の雇用・育成、さらには体制構築の支援ということが来年度の概算要求で盛り込まれています。もう既に実施がされているのに、人材育成に関してはなぜ来年度なのかと。9月の補正、または今後の補正でも、そういった対応ができなかったのかというふうなことで、非常に心配をしています。
それと、9月20日、いわゆる緊急銃猟が初めて、法施行後初めて実施をされました。多分、山形県の鶴岡市だったと思いますが、当該市長が発砲許可をしましたけれど、結果として、現場に指示が行き渡る前にクマが動いてしまったと。いわゆる待機をしていた猟友会の会員に向かってきたので、警察官が職務執行法に基づいて、発砲許可を命じて許可をされたということです。まさしくその現場の確認がしっかりできていないと、時間がかかって、初動体制が対応できないというふうなこと、これは緊急銃猟に携わる従事者の危険性にも及ぶところなので、そういったところを制度的にはしっかり見直す必要があるのではないかというふうに考えています。行政機関の中で、判断を順次的にやっていくタイムラグ、そういったものが現場の実態にそぐわないというふうなことで、非常に危惧しています。
それと、先ほどお示しをされました、クマハンターバンクですけども、クマの人材ハンターバンクですけども、各市町村の従事者に対しては基準があまり明確になっていません。これはもう少ししっかりとした基準を明確にして、緊急銃猟に対応できるような、そういうふうな体制整備をしていただきたいというふうに考えています。
既にスタートしている中で、現場の対応も待ったなしの状況ですので、早急な、それぞれの対応についてはご検討いただければというふうに思っております。
以上です。
【小泉委員長】 それでは、宮本委員、お願いします。
【宮本委員】 ご丁寧なご説明、ありがとうございました。質問が一つと、多少意見がございます。
質問は危険鳥獣、クマ等となっているんですが、これはヒグマとか、ツキノワグマ、イノシシだけではなくて、例えば私用施設から逃げ出した特定動物等も緊急銃猟の対象となり得るということかどうかについて、ご教示いただきたいと思います。
ここからは意見なんですけれども、直接対応に当たる方々とか、中山間地の方々だけではなくて、市街地、都市部とか都市近郊の住民も含めて、野生動物にどう向き合っていくかという議論を改めてするような機会とか、全国的に意識を高める施策等を環境省としてぜひ進めていただきたいというふうに考えます。
私は植物の調査で結構一人で山に入ることが多いので、野生動物と遭遇するというのは日常的なんですけれども、積極的に攻撃されなかったというのは、多分、中山間地の地域の住民の方々が何らかの形で野生動物に圧力をかけてくださっていたので、私に対しても人間の一人だということで、見過ごしてくれていたという面があるかと思うんですけども、都市部で野生生物の存在を全く意識せずに生活できるようになったというのは、せいぜい多分この数十年ぐらいにすぎないと思います。
一方では、教育の面なんですけども、小学校の理科の指導要領に、自然を愛する心情を育てるとか、生物を愛護する態度を育てるという目標があるんですが、じゃあ、愛護するというのは具体的にどういうことなのかというのは、これはなかなか教えにくいと。結果的には、情緒的な、道徳的な教育ということをしていく、まさかヒグマにパンを投げることが愛護だというふうに思っている方がいらっしゃるとは思わないですけれども、そういう考え方があったり、あるいは、野生生物を殺すということに非常に抵抗感を覚える方がいらっしゃるというのもまた事実だと思いますので、科学的な根拠とか施行方法で対応していくということを教育の場とか、それから一般市民の方々への広報的な意味も含めて全国的に、何ていったらいいんでしょうかね、野生生物と共存とか共生というのは、かなり広域では正しいことだと思うんですが、こういう事態になってくると合理的なすみ分けみたいなことが重要になるかと思いますので、そういう意味も含めて、ちょうどメディアでかなり報道され、注目が集まっているのは、こういう機会を捉えて少し全国的なコンセンサスを醸成するような機会というのを環境省としておつくりいただけないかというふうに考えます。
以上でございます。ありがとうございました。
【小泉委員長】 ご意見とご質問、それから現場からのご指摘とありましたけれども、事務局のほうから回答いただけますでしょうか。
【髙瀬鳥獣保護管理室室長補佐】 ご質問に回答させていただきます。
危険鳥獣の中に動物園から逃げ出したものが含まれるかどうかということですが、含まれません。鳥獣保護管理法では野生鳥獣が対象となっておりまして、動物園から逃げた動物については飼われている動物、野生鳥獣ではないというふうに把握されるので、こうした鳥獣については危険鳥獣にはならないというふうになります。
それから、現場からのご指摘ということのご指摘をいただきましたけれども、まず鳥獣保護管理法の緊急銃猟については、何ていうか、クマが柿の木に執着していて全く動かない状態ですとか、あるいは河川敷にいてじっとしているとか、こうした状況において、安全確保をして、または、そのための必要な手続を行った上で実施をするというような制度となっています。ある種、クマが襲いかかってくるような生々しい状況で対応するような法制にはなっておりませんで、こうした状況については警察官職務執行法による命令によって対応するという想定でございます。こうした点についてはガイドラインに記載をして自治体にご案内をしているところでありまして、鶴岡市の例では、まさに連携体制を取って、ガイドラインに沿って対応いただいたものというふうに理解をしています。
それから法改正の経緯として、もともと、特に秋田だとか北海道の自治体においては、先ほど申し上げたような膠着状態で、本当は今なら技術的には撃てるのにというようなことを自治体の方あるいはハンターの方が考えていたときに、当時の法制では警察官職務執行法も含めて、そうした膠着状態では銃による対応ができないということになっておりました。今回の緊急銃猟については、まさに、要は、実力はあるけれども法律上できなかったような自治体、ハンターの方に対応いただけるものというふうに理解しておりまして、現に鶴岡市のほうでは、最終的に発砲こそなかったわけですけれども、緊急銃猟の実施の判断自体は行われているというところであるかと思います。
こうした実力を持っている自治体については今申し上げたとおりなんですが、そうではない自治体で緊急銃猟による対応を目指している自治体については、先ほどの資料でもご案内しましたけれども、我々としても説明会だとか研修会を重ねているところでありまして、こうした取組については、もう施行したら終わりということではなく、これからも引き続き丁寧に取り組んで支援をしていきたいというふうに考えております。
私からは以上でございます。
【佐藤鳥獣保護管理室室長補佐】 すみません、補足になります。
日向野委員から、自治体への支援というか、緊急銃猟に対するいろんな支援が来年からなのかというお話がありました。確かに、来年度要求で人材の雇用とか、そういったものを要求したのは事実でございます。また、決して来年度からというわけではなく、今年度からも一部交付金等で留保しまして、緊急銃猟の対応に必要な訓練の実施、自治体さんがやる訓練の実施を支援したりとか、必要な物品を買うとか、そういったことは支援を開始しているところでございます。
以上、補足でございます。
【小泉委員長】 佐々木室長、お願いします。
【佐々木鳥獣保護管理室長】 はい、ありがとうございます。
ちょっと繰り返し的なところもあるかもしれませんが、先ほど申し上げたとおり、緊急銃猟の制度は万能なものではないと思っております。膠着状態であるとか、かなり限られた状態でしか使えないという部分もございます。なので、そこの制度のことをよく理解していただいて、従来の警察官職務執行法と合わせていくとか、もしくは、許可での捕獲ですね、おりを使って捕獲するとか、そういう様々な手法を組み合わせて現場は対処していくものというふうなことで、ガイドラインにもそういったことは書かせていただいているところでございます。
やっぱり対応に時間がかかるとか、そういった声も報道とかでございます。そのためには日頃の訓練が大事じゃないかと思っていて、環境省でも直轄の訓練をやっているのですけど、先ほど申し上げたその交付金を9月から追加で配付しまして、都道府県においてもそういう市町村の訓練の支援をやれるようにしていて、実際にそういう訓練が各地で始まっていたりもしておりますので、引き続き円滑な制度の執行ができるように努力してまいりたいと思います。
【小泉委員長】 はい、よろしくお願いします。
それでは、時間が参りましたけれども、もう一件、その他として、釧路地域における太陽光発電施設の開発について報告がございますので、もう少しお付き合いいただきたいと思います。
また、勢一委員はちょっと移動の件がありまして、中座させていただきますので、ご了解ください。
それでは、報告をお願いします。
【笹渕野生生物課課長補佐】 野生生物課の笹渕と申します。私のほうからご報告をさせていただきます。
報道等でも皆さん関心を持ってご覧になっている方も多いと思いますが、釧路地域における太陽光発電施設の開発についてということで、その他の報告事項としてご説明をさせていただきたいと思います。
なぜこの野生生物小委員会でこの件を報告するかというところを最初に簡単に補足をしておきたいと思います。今、報道等でいろいろと釧路の太陽光発電の問題を取り上げられていますが、その発端になったのがオジロワシ、それからタンチョウといった希少種への影響を懸念する声が地域からが上がってきて、だんだん問題が大きくなってきたというふうに、発端として野生生物の問題があったというところがございます。本件、野生生物の問題に限らない、再生可能エネルギーと地域の共生の大きな問題ではありますけれども、そうした経緯もあること、また、委員の先生方もご関心が高いというふうに思われることから、その他の報告事項の中で報告をさせていただきます。
では、スライド、次のページをお願いします。
1枚目の内容は、今問題になっている太陽光発電施設の概況について。下のほうに経緯がたくさん並んでいますけど、ちょっと時間も限られますので、細かくはご説明しませんが、上のボックスの中にございますように、釧路湿原国立公園の周辺の地域において、近年、太陽光発電の施設が増えてきており、釧路市においてもそういったメガソーラーを抑制するような動きが始まっていたということがございます。特に、昨年以降、国立公園の外ではありますけれども、大阪を本社とする事業者が実施するメガソーラーの案件が地元とのあつれきを生んでいたということで、いろいろと報道等で取り上げられてきたというところでございます。2件あって、昭和地区と北斗地区がございますが、後ほど北斗地区のほうについては説明をさせていただきますけれども、こちらの工事の様子がSNS等で取り上げられて、著名人らも関心を持つというような動きになっているというところでございます。
先に3ページ目ですけれども、釧路のメガソーラー、太陽光発電施設が増えているという話をしましたが、左側の表を見ていただきますと、釧路市や周辺の4市町村の状況を釧路のメガソーラーの、太陽光発電施設の設置数の推移を書いておりますが、約10年前は、釧路市は96件ということで100件弱だったところが、2025年、最近ですと600件を超えるようになってきている。下のほうにグラフもつけていますけども、右肩上がりに増えてきた状況です。
右側の図は、実際にどういう場所に設置されているかというのを示しておりますけれども、釧路湿原の国立公園の中でたくさん増えているという状況ではありませんが、その周辺の海岸線沿いですとか、市街地、あるいは、その道路沿いに太陽光が増えてきているという状況がこの図を見てもご覧いただけると思います。
次のスライドをお願いします。
実際、報道等で取り上げられている事業の概要ですけれども、釧路市の北斗地区というところでやられている事業でございます。発電規模は1,937kWということで約2MW弱です。6月から工事を開始しています。環境省の所管法令との関係を整理していますが、地図でもお示ししているとおり、国立公園の区域の外での案件、近い場所ではあるんですが、外での案件であるということです。種の保存法の関係で申し上げますと、先ほど冒頭に紹介しましたオジロワシ、タンチョウというのは国内希少野生動植物種にはなりますが、個体の捕獲ですとか損傷などを伴うような工事ではないので、そうしたその規制の対象とはならないと。それから環境影響評価法の関係で申し上げますと、法律で定められているアセスの規模要件というのがございまして、太陽光発電ですと、必ずそのアセスを実施しないといけない第1種事業で4万kW、第2種事業でも3万kW、それから北海道の条例でも、第2種事業で2万kW以上というふうな定めがあって、今回の規模はそういった北海道の条例の第2種の規模よりも10分の1程度ということで、なかなか既存の法律では対応できないというような状況になってございます。
少しスライドを戻っていただいて、経緯のところです。現在、この経緯のところで並べていますけど、釧路市のほうでガイドラインを策定したりですとか、ノーモアメガソーラー宣言をされたり、それから最近ですと、その条例を策定して、こうした動きを抑制していこうということで、先月9月17日に議会で条例が可決されたという状況になっています。環境省、国のほうでも、関係省庁連絡会議を立ち上げて、釧路の案件に限らず、再生可能エネルギーと地域の共生の課題をこうした関係省庁連絡会議の中でそれぞれ共有をして議論しているということです。経緯の中にもございますけれども、例えば文化財保護法ですとか、森林法といった、こうした再生可能エネルギーとその地域との共生については、関連する法律が多岐にわたるものですから、関係省庁と連携しながらこうした対応を検討していくということになってございます。
それから、本日の報告事項の最初に、種の保存法の在り方検討を今後進めていきますという説明をしましたけれども、この在り方検討の中でも再生可能エネルギーと希少種保全の課題については議題の一つとして取り上げていきたいと考えているところでございます。
私の説明は以上となります。
【小泉委員長】 はい、ありがとうございます。
それでは、委員の皆さんからご意見、ご質問をお受けしたいと思いますが、時間も限られますことから、この件に関して事を正すというよりは、この件は今後、種の保存法、再エネと野生生物との保存の在り方について別の検討委員会で審議されるということですので、これからこういった問題をどういうふうに審議していったらいいかという視点からご発言いただければというふうに思いますので、この点、お含みおきいただきますようお願いいたします。
それでは、会場は名札を立てて、それからWebは挙手ボタンでお願いします。
それでは、宮本委員、お願いします。
【宮本委員】 はい。手短に申し上げます。
この件に関連して、2022年に再エネ施設に関するポジティブゾーニングのハンドブックというのが出されているんですけれども、これは自治体主体でゾーニングを行うものというふうに私は理解しているんですが、全国的にゾーニングがうまく進むかどうかというような観点から、ぜひその環境省のほうの助言とかご指導が必要ではないかなというふうに思います。
というのは、2023年辺りからなんですけれども、私とか、それからほかの研究者に希少植物の分布の地点を全部教えてくれというような要請がかなり来るようになりまして、これは自治体の方もそうなんですが、どちらかというと建設関係のコンサルティング会社などから直接いただくことがあって、もちろんマル秘ですから出してはいないんですけれども、どうもゾーニングの件で太陽光発電を計画している、あるいは、ここなら作れますよというような提案をするための基礎資料にするという傾向がちょっと見られますので、そういうことも含めて、ちょっとご注視いただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
【小泉委員長】 はい、ありがとうございます。
ほか、ご意見、今のところありませんので、事務局のほうから回答をお願いします。
【笹渕野生生物課課長補佐】 はい。ご意見、ありがとうございます。
やはり野生生物の保全という観点だけじゃなくて、今おっしゃっていただいたとおり、ゾーニングの中で適正な再生可能エネルギーを進めていくところでは進めていくし、抑制するところでは抑制していく、そうしたゾーニングの考え方は非常に重要だと思いますので、この野生生物と再エネの在り方の中でもきちんと検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
【小泉委員長】 ほか、ご意見ないようですので、本件についてはこのぐらいとしたいと思います。
それでは、時間を若干、若干というか結構オーバーしてしまいましたけれども、本日の審議はこれまでとしまして、以降、進行を事務局のほうにお返しいたします。
どうも皆さん、ご協力いただきましてありがとうございます。
【事務局】 小泉委員長、議事進行、ありがとうございました。
委員の皆様におかれましても、長時間にわたるご審議、どうもありがとうございました。
本会はこれで閉会といたします。皆様、ありがとうございました。
本日はお忙しい中、ご出席ありがとうございます。会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。本日は、全委員18名のうち委員・臨時委員8名中、会議システムでの参加を含め、6名が出席され、定足数を満たしておりますので、本委員会は成立しております。
また、この度、中央環境審議会委員等の改選に伴い、野生生物小委員会の所属委員に変更がございました。今回、石井実委員、高橋佳孝委員がご退任され、新たに原久美子委員、湯本貴和委員、岩井紀子委員、平井規央委員にご就任いただきましたことを報告いたします。また、森本淳子委員は今回から臨時委員としてご参加いただいています。
次に、本日の会議運営についてご説明いたします。
本会議につきましては、会場での傍聴は行わず、YouTubeにてライブ配信をしておりますので、ご了承ください。
また、Web会議システムでご参加されている委員の皆様におかれましては、差し支えない範囲で結構ですので、常時ビデオボタンはオンにしていただき、お顔が見られる状態にしてください。なお、発言時を除き、マイクはミュート設定にしてください。
Web会議システムで参加の皆様でご発言を希望される場合は、画面にある手のひらマークをクリックして、挙手状態にしてください。委員長からのご指名を受けましたら、ご発言いただき、ご発言が終わりましたら、再度手のひらマークをクリックしてください。
本日、会議室でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を机の上に立てていただき、委員長からのご指名後、マイクをオンにしてご発言ください。発言終了後はマイクをオフにしていただくようお願いいたします。
資料については、あらかじめ委員の皆様には電子データを送付しております。また、環境省ホームページの野生生物小委員会のページにアップロードしております。こちらで表示がされない場合は、一度更新ボタンを押してください。
なお、会場にお越しの委員の皆様には、お手元のタブレットで資料をご覧いただくこととしております。
最後に、環境省職員の異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
自然環境局長の堀上でございます。
【堀上自然環境局長】 堀上です。よろしくお願いします。
【事務局】 続いて、総務課長の近藤でございます。
【近藤総務課長】 近藤でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】 野生生物課長の川越でございます。
【川越野生生物課長】 川越です。よろしくお願いいたします。
【事務局】 鳥獣保護管理室長の佐々木でございます。
【佐々木鳥獣保護管理室長】 佐々木です。よろしくお願いします。
【事務局】 希少種保全推進室長の北橋でございます。
【北橋希少種保全推進室長】 北橋です。よろしくお願いします。
【事務局】 外来生物対策室長の中島でございます。
【中島外来生物対策室長】 中島でございます。よろしくお願いいたします。
【事務局】 それでは本委員会の開催に当たり、自然環境局長の堀上よりご挨拶を申し上げます。
【堀上自然環境局長】 開会に当たりましてご挨拶を申し上げます。
委員の皆様におかれましては、大変ご多忙のところ、ご出席くださいましてありがとうございます。
また、日頃から自然環境行政にご協力、ご理解賜りまして、ここをお借りしまして厚く御礼を申し上げます。
今年度から新たにご就任された委員の方も大変多いということで、今後ともどうぞよろしくお願いします。また、小泉先生におかれましては、委員長就任ということで、これからどうぞよろしくお願いいたします。
環境省も今、ご紹介したとおり、今年度から大分変わりまして、私を含め、総務課長も、それから野生生物課は課長以下、室長が全部変わっております。ただ、これまでもそれなりにいろいろ経験してきたメンバーですので、何とかやっていけると思いますので、皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題でありますけれども、諮問案件が1件、それから報告事項が3件ございます。
一つ目の諮問案件につきましては、国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定ということで、野付半島・野付湾、宍道湖、湯湾岳、この3件についてお諮りをいたします。この特別保護地区の指定につきましては、これまで公聴会、パブリックコメントをやってきておりまして、その後で事務局案を作って、今お諮りするという段階でございます。
報告事項につきましては3件ございますけれども、種の保存法の在り方に関する検討について、それからラムサール条約の第15回締約国会議がありましたので、そのことについてのご報告、そして鳥獣法の改正、これについては昨今のクマの関係とかございますので、そのことについてご報告をいたします。あと、その他といたしまして、案件がございます。
野生生物行政は非常に国民の関心が最近も高いということで、クマについてもそうですし、あるいは希少種についてもそうですが、大変関心の高いところでございますので、委員の皆様におかれましては、忌憚のないご意見を賜ることができれば幸いでございます。どうぞご審議のほど、よろしくお願いいたします。
【事務局】 報道機関の皆様におかれましては、冒頭の撮影はここまでとし、以降は傍聴のみとさせていただきます。
それでは、これより議事進行につきましては、新たに野生生物小委員会委員長にご就任されました、小泉透委員長にお願いすることといたします。小泉委員長、どうぞよろしくお願いいたします。
【小泉委員長】 委員の皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
石井委員長の後任として、今回から委員長を務めさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
それから、また、今回から委員としてご参加いただいた皆様、これからよろしくお願いいたします。
この小委員会は実に多種多様な問題を審議する委員会でございまして、ただ私自身としては、野生生物のことを扱っていながら、実は、私たち人間社会にいろいろ問いかけがあるのではないかということで、これまで参加してきました。本日も熱心なご審議をよろしくお願いいたします。
先ほど事務局からも説明がありましたが、本日の委員会はYouTubeチャンネルにおいてライブ配信をしておりますので、報道関係者、一般の方、傍聴されている方もいらっしゃいますけれども、ご覧になっております。
なお、議事録につきましては、後ほど事務局が作成し、本日ご出席の委員のご確認を受けた後、委員長である私が了承した上で公開することをご了承いただきたいと思います。
また、会議資料につきましても公開となります。
それでは、本日の1番目の議事、諮問事項でございます。国指定鳥獣保護区特別保護地区の指定について、事務局から説明をお願いいたします。
【杉山野生生物課専門官】 鳥獣保護管理室の杉山と申します。よろしくお願いします。座って失礼します。
私から、鳥獣保護区特別保護地区の指定について、説明をさせていただきます。資料一覧は、資料1-1から1-5と、資料1-参考資料という構成になっております。資料1-1は自然環境部会に付議しますという資料でして、資料1-2は概要、1-3から1-5は対象の特別保護地区の指定計画書の案となっております。今回は参考資料1のスライドにより説明をいたします。皆様におかれましては、こちらの資料をご参照ください。
それでは、時間が限られることから、適宜省略しつつですが、説明をいたします。
タイトルには特別保護地区の指定とありますが、実情は鳥獣保護区の期限が切れるための更新になります。法律上、特別保護地区は更新することができなくて、指定をするということになりますので、再度の指定をするということになります。
次のページをお願いします。
まず、国指定鳥獣保護区の特別保護地区について、制度の概要を説明いたします。
次、お願いします。
こちらが鳥獣保護区の制度の概要となります。国指定の鳥獣保護区は国際的とか、全国的な鳥獣の保護の見地から、重要と認められる区域を環境大臣が指定するものとなります。鳥獣保護区内では狩猟が禁止されます。鳥獣保護区は時限の保護区でして、存続期間が最大で20年となります。
次に、真ん中の段ですが、鳥獣保護区の中でも、特に鳥獣の保護または生息地の保護を図るために必要があると認められる区域を、特別保護地区として指定することができます。特別保護地区内では、狩猟の禁止に加えて、ここに例示してございますような行為が規制されます。今回の諮問させていただくものは、この特別保護地区の指定に関するものとなります。
次のページをお願いします。
国指定の鳥獣保護区につきましては、全国的、国際的に重要な場所という観点で、ここに示す四つの区分によって指定をされまして、区分ごとに指定の基準が定められているというものになります。
次、お願いします。
こちらは特別保護地区の指定のおよその流れとなります。現在はここに示しております公聴会までが終了しているという状況です。今回、中央環境審議会への諮問と、あと答申をいただいた後、官報告示をすることによって効力が生じるという流れとなります。
次のページをお願いします。
今回諮問する特別保護地区ですが、次、お願いします。
こちらが国指定鳥獣保護区の位置図になりまして、今回諮問の対象になりますのが、赤枠で囲った3か所、北海道の野付半島・野付湾と島根県の宍道湖と、鹿児島県奄美大島の湯湾岳となります。
次、お願いします。
この3件ですが、先ほど四つの区分をご説明さしあげましたが、野付半島と宍道湖は集団渡来地の区分、湯湾岳は希少鳥獣生息地の区分で指定をするものとなります。3か所のうち、宍道湖は今後10年の存続期間で再指定をするものとなります。ほかの2か所は20年の存続期間で再指定となります。全て区域の変更は伴わず、鳥獣保護区の期限が切れるための再指定となります。
次、お願いします。
ここからは指定対象の鳥獣保護区特別保護地区について、ご説明をいたします。
まず、野付半島・野付湾ですが、この図の区域の斜線の部分、大部分ですけれども、こちらが特別保護地区となります。
次、お願いします。
こちらの写真が航空写真と、野付半島の中の景観の例となります。詳細は割愛します。
次、お願いします。
野付半島・野付湾は、先ほど申し上げたとおりで、集団渡来地の指定区分となります。渡り鳥の中継地として重要な場所でして、毎年2万羽以上の渡り鳥が渡来している地域となります。
次、お願いします。
こちらは鳥獣保護区の管理方針となります。鳥獣のモニタリング調査等を通じて、区域内の鳥獣の生息状況の把握に努めるというのが一つあります。もう一つ、関係機関等と連携して、巡視ですとか、普及啓発活動などを実施することとしております。
次、お願いします。
こちらは上段が管理状況です。国指定鳥獣保護区管理員、北海道から委嘱を受けている自然保護監視員さんと鳥獣保護監視員さん、また、別海町が設置していますビジターセンターであります、野付半島ネイチャーセンターというものがございまして、こちらの職員による巡視などを行っております。
下段については、次のスライドで説明します。次、お願いします。
対象の鳥獣の変化になります。オオハクチョウとスズガモの渡来数は、地域個体群の1%を超えてはおりますが、渡来数は減少傾向にあるという状況です。また、グラフはありませんが、ヒシクイやキョウジシギ、いずれも鳥類ですけども、これらが新たに地域個体群の1%が渡来しているということが確認されております。
次、お願いします。
公聴会の実施結果になります。全員賛成ではございましたが、意見としまして、エゾシカの悪影響を懸念する意見と、あと、半島の先端部分が鳥獣保護区になっていないのですが、そちらを含めた鳥獣保護区の指定が望ましいといった旨の意見がございました。
次、お願いします。
野付半島は以上でして、次に宍道湖鳥獣保護区の特別地域について、説明をいたします。
こちらのとおりで、湖の開水面のほぼ全域が鳥獣保護区の特別保護地区となっております。この斜線の部分です。
次、お願いします。
こちらは代表的な景観で、漁業が盛んな場所であるというのと、松江市と出雲市の都市域に接しているような場所になっております。
次、お願いします。
宍道湖鳥獣保護区の特徴といたしまして、宍道湖が汽水湖であるということが挙げられます。また、宍道湖鳥獣保護区特別保護地区も集団渡来地の区分での指定でございまして、特にガンカモ類につきましては、例年3万羽程度が渡来しております。
次、お願いします。
鳥獣保護区の管理方針です。こちらも鳥獣保護区管理員によるモニタリングですとか、現場の巡視を行うことですとか、あと関係機関等と連携した普及啓発活動などを実施することとしております。
次、お願いします。
上段は管理状況です。環境省職員ですとか、国指定鳥獣保護管理員による巡視を行っておりまして、現在のところ、密猟など、鳥獣の生息に悪影響を及ぼす事象は見られていないということです。
次、お願いします。
対象の鳥獣の変化です。集団渡来地の区分で指定されている鳥獣保護区ですが、特に重要である鳥類が、マガンとか、スズガモとか、キンクロハジロです。状況としましては、マガンはほぼ横ばいですが、スズガモとキンクロハジロはばらつきがあるものの、長期的には渡来数が減少しているという状況です。
次、お願いします。
公聴会の実施結果です。こちらも全員が賛成でした。意見は2点ほど出ておりますが、いずれも特別保護地区指定計画書の書き方に関するものでありまして、既に両方とも修正が完了しているという状況です。
次、お願いします。
宍道湖は以上で、最後に湯湾岳鳥獣保護区の特別保護地区について、説明をいたします。
場所としては鹿児島県の奄美大島でして、湯湾岳は奄美大島の最高峰です。こちらの山頂付近が鳥獣保護区と特別保護地区に指定されております。
次、お願いします。
こちらの写真は湯湾岳の景観でして、下側の赤丸の辺り、この辺りが特別保護地区に指定されている地域です。
次、お願いします。
湯湾岳鳥獣保護区は希少鳥獣生息地の区分で指定をされております。対象の鳥獣の例がこちらとなります。いずれも奄美群島ですとか、南西諸島に固有の種となります。
次をお願いします。
管理方針です。区域内の渓流ですとか森林を、希少鳥獣の繁殖の場として、現状のまま維持されるように保全に努めるという方針としております。また、区域内に林道や歩道がございまして、こちらを改修する場合には、鳥獣の生息環境の保全のために調整をすることとしております。
次、お願いします。
こちらは管理状況ですが、こちらも環境省職員及び国指定鳥獣保護区管理員等による巡視を行っておりますほか、世界遺産などの枠組も含めた動植物の定期的なモニタリングなどを実施しております。
次、お願いします。
対象の鳥獣の変化です。奄美大島はマングース及びノネコの捕獲事業の成果が出ておりまして、特にここに示すような、地上にいる種については増加傾向にございます。
次、お願いします。
公聴会の実施結果です。こちらも全員賛成でした。こちらは特に意見はございませんでした。
続きまして、次、お願いします。
こちらは最後に説明を回しますが、パブリックコメントにつきましては、3件意見がございました。うち1件は本件に関するものではありませんで、2件が本件に関するというものでした。ただ、特定の鳥獣保護区に関する意見というものはございませんでした。2件とも賛成するものでした。
以上となります。
【小泉委員長】 報告ありがとうございます。
それでは、本件につきまして、ご意見、ご質問をお願いします。
会場にお集まりの委員の皆様は、いつものように名札を立てて合図をしてください。それから、Webでご参加の委員の皆様は、手のひらマークをクリックして、挙手ボタンを押して、合図いただけますか。申し訳ありませんけれども、会場のほうの委員のほうから指名させていただきますのでご了解ください。
それでは、ご意見、ご質問がある方、合図をお願いします。
それでは、勢一委員、お願いします。
【勢一委員】 ご説明ありがとうございました。勢一です。
私は法制度が専門ですので、少し分からないことがありますので、教えてください。
何点かあるんですけれども、まず1点目で、特別保護地区は更新ができないので、改めて指定をするというご説明がありました。そういう法の立てつけになっているということなんですけれども、そのような法の制度設計になった理由というのを少し教えてください。鳥獣保護区内で指定をするというような構成ですので、当然、鳥獣保護区の存続期間に整合させる趣旨はあるのかと思うのですが、しかし、それと制度は指定の仕組みが違っているというところを教えてくださいという質問が1点目です。
2点目なんですけれども、指定の期間で3件あって、宍道湖だけ10年という指定になっています。これはやはり20年の指定をするにしても、10年の指定をするにしても、どうしてその期間になるのかというところは、何かご説明をいただくほうが制度としても望ましいのかなと思います。この点は前にも言ったような記憶はあるのですけれども、今回については期間も違いますし、それぞれの期間の指定理由を教えてくださいというのが2点目です。
あと、3点目は形式的な確認なのですけれども、公聴会をそれぞれ開催していただいて、全ての公述人が賛成というご紹介がありました。ただ、出席している方と代理出席の方は分かるんですけど、欠席の方もいらっしゃるので、恐らく書面で賛成の旨を提出されたのかなと思いますが、この辺りの手続的な確認をお願いします。
あと最後、もう一点なんですけれども、野付半島について、これは公聴会で意見が二つ出されていました。先端部が指定されていないが、指定するのが望ましいというような意見があり、これについて、環境省さんの示されている原案を見ますと、先端部分は指定しないになっているようです。
この公聴会の意見に対して、どういう理由で指定をしない案にしたのかというところの理由のご説明と、あともう一点の意見、エゾシカによる悪影響の懸念について、私、実は野付半島は何度も行っていて、現地のエゾシカが大量にいて、車が来ても堂々と道路を渡ってくる様子を何度も見ているものですから、現地の方の懸念というのは非常によく分かるんですけれども、この部分については、環境省としては、どのような対応をして、特別保護地区として維持していくというお考えなのかというところを教えてください。
以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、一問一答ということで進めさせていただきますので、ただいまのご意見、ご質問について、回答をお願いします。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。それでは、一つずつ回答を差し上げます。
まず一つ目の特別保護地区はなぜ更新の仕組みがないのか。こちらは申し訳ないんですけども、かなり古くからそういう形になっていまして、経緯までは追えておりません。おそらく鳥獣保護区は事実上、鳥獣の捕獲が禁止されるという規制がかかるところで、特別保護地区になりますと、土地に対する行為規制がかかってくるんです。工作物の新築が制限されるとかですね。そういった土地に対する規制内容が強いものになりますので、更新という形ではなく、新たに指定という形しかできないようにしてあるんじゃないかなと想像しております。
二つ目の最長20年という指定の期間ですが、こちらも申し訳ないですが、どうして20年なのかというところまでは、すみません、追えておりません。鳥獣保護区は対象の鳥獣の保全をすることが目的の制度でして、鳥獣の状況も長い目で見ると、例えば集団渡来する場所が変わったりですとか、繁殖する場所が変わったりすることもございますので、その状況により更新しないこともあり得るので、時限にしているものと考えております。
今回、宍道湖だけ上限でない、10年にする理由ですけれども、こちらは平成17年に宍道湖鳥獣保護区は最初に指定をしたのですが、そのときの、端的に言えば、行政機関同士の調整の結果によります。具体的には、都市域に宍道湖はございまして、湖岸に親水公園のようなものもあるんです。鳥獣保護区は、例えば湖岸線ですとか、ランドマークを基に区域を設定しているわけなんですけども、親水公園などの作り方によっては湖岸線が変わってしまうこともあり得るので、少し短い10年での期間で更新していきましょうということになったと聞いております。
続きまして、公聴会の手続の話ですね。欠席している方もいらっしゃいますが、そこをどうやって賛成を取ったのか。こちらは公聴会をやる前に、利害関係者に書面で確認を行いまして、それで賛成または反対、今回反対はいなかったですが、を聴取しております。その上で、公聴会を実施しているという流れになります。
続きまして、野付半島の公聴会で挙がった意見についてですね。こちらはスライドの9ページ目をお願いできますか。このような形で、斜線部分が特別保護地区で、薄く上側にある、細い線のようにある部分が鳥獣保護区になりますが、先端がこのように抜けています。こちら、まず、当初に指定をしたときに、鳥獣保護区は土地への規制がかかるものなので、利害関係人と調整した上で指定をしていくことになりますが、その際に猟友会から、半島の先端部の指定は反対を受けたという経緯がございます。それで先端部を除いて指定をしたのですが、今回も猟友会については引き続き利害関係者ですので、広げることを念頭に調整を行いましたが、今回も半島の先端はまだ猟場なのでやめてほしいということで意見をいただいたと聞いていまして、その関係でそのままの形で更新をしております。
あと最後にエゾシカの対策ですね。こちらは環境省が直轄でやっているというわけではないのですが、農業被害防止の観点で、地元自治体の一つの別海町が囲い込みわなでエゾシカの捕獲をやっております。それを許可の中で内容を審査して、鳥獣の生息にもできるだけ影響がないようにという形で、許可を迅速に出すように心がけて許可をして、別海町が実施をしていると、そういう形でやっております。
以上でよろしいでしょうか。
【勢一委員】 はい。丁寧なご説明、ありがとうございました。せっかくご説明いただいたので、少しだけコメントさせてください。
特別保護地区が更新できない理由というので、おそらくということで、土地規制への配慮ということだったと思います。確かにこの法律ができた当初は、そういう理由もあったのかなと思いますけれども、ただ、今の時代の環境配慮へのニーズであるとか、地域の調整の重要性というようなことも踏まえますと、場合によっては、制度自体をもう少し整合的に運用できるような形にしてもいいのかなと思いました。
何度か手続を拝見していますけれども、実質的に更新と変わらないような形の手続になっているような感じもいたしますので、この辺りは、ぜひ次の改正などのタイミングでご検討いただくほうがいいのかなと思ったというところです。
指定の期間については、宍道湖がなぜ10年かというのは、今、ご説明いただいて理解をいたしました。通常のこういう審議の場でもそういう理由はあまりお示しにならないのが一般的みたいですし、指定書などにも書かれていないので、ただ、やっぱり期間が、なぜその期間が望ましいのかというところは、指定という行為にとっては重要な部分、本質的な部分の一つになろうかと思いますので、何らかの形でフォーマルに示すというような仕組み、指定書のどこかに書くとかでも構わないと思いますが、何らかの形を残すほうがこれも望ましいのかなと思いましたので、手続等、ご検討いただけるとありがたいです。
公聴会の公述人の賛否というところも説明をいただいて、理解をいたしました。ただ、これは会議の資料ですけれども、この資料の見方ですと、公聴会で公述人が賛否を表明したように見えてしまうので、そうした事前にもう賛否を表明しているのであれば、そういうのが分かるような書きぶりにしたほうがいいのかなと思いましたということです。
最後、野付半島の部分についても、ご説明いただいて理由等は理解いたしました。利害関係者との調整の結果ということで、これもご説明いただいて理解できましたけれども、多分指定のタイミング、鳥獣保護区のほうの指定もそうだと思うんですけど、そのタイミングで理由もご説明いただいて、こういう意見が出た場合には理由をご説明いただくとクリアかなと思いましたので、この辺りのご配慮をご検討いただけるとありがたいと思います。
以上です。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。
【小泉委員長】 ありがとうございます。事務局のほう、何か回答はありますか。
お願いします。
【川越野生生物課長】 勢一委員、ありがとうございました。説明の仕方はさらによくなるように工夫をさせていただければと思います。
あと、特別保護地区の話が途中でございましたが、鳥獣保護区の特別保護地区は鳥獣の生息状況の変化ですとか、その他事情の変化を踏まえて、その要件がなくなった場合は解除しなくてはいけないという規定が別にあり、それから考えると、やはり鳥獣の動態を踏まえて、特別保護地区を指定する、そのような制度設計になっています。
一方で、自然公園などは、やはり資質があれば、それを指定して規制することにより、永遠とは言いませんが、資質を担保できるので、ずっと指定していけるのですが、動的なものに対して特別保護地区をかけるという制度設計にしているので、こういった1回切って、状況を見ながらというような形になっているのではないかというように、規定を裏読みするような形で考えると、解釈されるものと思います。
ただし、引き続き同じようなところを指定しているというのは事実ですので、その辺はしっかり我々としてもデータを分析した上で、必要なものをやっていく、もしくは足りないのであればちゃんとやっていくということはやっていければと思います。ありがとうございます。
【小泉委員長】 お願いします。
【佐々木鳥獣保護管理室長】 鳥獣室の佐々木です。
先ほど、野付半島の先端部が入っていないことについて、猟友会から反対意見が出たということですが、その理由として、もちろん猟場としてというものもあるのですけど、地元の猟友会としては、若手ハンターの育成の場としても非常に重要な場になっているのだということがあったそうですので、申し添えたいと思います。
以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、会場のほうから、水田委員、桝委員の順でお願いします。
【水田委員】 水田です。ご説明ありがとうございました。
今回の再指定に当たりまして、計画書を作成していただいていますが、この中に生息する鳥獣のリストというのがあります。これはざっと見ましたけれども、その地域の生物のインベントリを示す、すごいいい資料だと思います。これが各鳥獣保護区にあるということは、日本の自然保護を考える上で非常に重要なことであるというふうに思っています。
ただ一方で、細かく見ていくと、本当に細かいことですけれども、ちょっと現実にそぐわない部分もあったりすることもあります。今回、私は湯湾岳の鳥獣保護区特別保護地区の計画書作成の際に、地元の保護団体の一員として、内容のチェックに当たったんですけれども、少し抜けているものがあったり、文言にちょっと現実とそぐわない部分があったりしたんですね。なので、こういう再指定はすごくいいタイミングだと思いますので、こういうタイミングを見て、鳥獣のリストを更新していくと、ますますすばらしいものになっていくのかなというふうに感じました。
以上です。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。
差し支えなければですが、湯湾岳の鳥獣保護区の計画書に抜けていた部分というのがどの部分なのかを教えていただけますと助かります。
【水田委員】 本当に細かいことなんですけれども、実際には生息しているのに、名前がリストに挙がっていなかったりであるとか、そういったことが地元の有識者に聞いたときに出てきたわけなんですね。それ以外にも私、最近別件で、全国の鳥獣保護区の生息する鳥獣のリストを眺める機会があったんですけれども、やはり全体を見てみると、ちょっと現実に合わないなというところがありました。本当に細かいことなんですが、普通に見られる種というのに丸がついているんですけど、それがついていなかったりであるとか、そういった本当に細かなところで、地元の人が見ると、えっと思うようなところがあるのかなと思いました。
なので、そういったところを、せっかくに地元に有識者がたくさんいらっしゃると思いますので、確認しながら、新たないいものを作っていけばいいのかなというふうに思います。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。
【小泉委員長】 具体的に湯湾岳で足りなかったものがありましたら、後ほどまたご連絡いただいて、お知らせいただいたらどうかと思いますけれども。
【水田委員】 既に計画書作成の際に、それは伝えてあります。
【小泉委員長】 そうですか。
【杉山野生生物課専門官】 事前にいただいたものは、既に修正済みです。
【小泉委員長】 分かりました。ありがとうございます。
それでは、桝委員、お願いします。
【桝委員】 丁寧なご説明、ありがとうございます。
私自身は大学で、一般社会との接続、科学コミュニケーションをテーマに研究していることと、あと某テレビ局のほうで、海草海藻藻場の保全プロジェクトを立ち上げているという立場から、野付について素朴な質問一つと、意見を一つ申し上げます。
野付の保護地区は本当に鳥獣という点ではもちろんですけども、日本有数の海草藻場、アマモ場で、大変貴重な場所でして、個人的に関心が高いんですけども、最近メディアで随分取り上げられるようになってきましたが、全国的な藻場の減少というのは本当に指摘されていて、単純に野付の現状って僕は把握していなかったので、どういう感じなのかなというのが、もし把握されている情報がありましたら、差し支えない範囲で伺いたいなと思ったことと、それと直接関連させるというわけじゃないんですけども、先ほど野鳥の到来数が減っているという話がありましたが、その原因って、もし何か現時点で見当がついているのであれば、そこは伺いたいなという、素朴な、これが質問一つです。
まず1回、この答えから伺ったほうがいいですか。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。まず、こちらで答えられることを答えまして、それで現地に一部振りたいと思っています。
まず、海草の話ですが、大変申し訳ないですけど、今回海草の話は、こちらでは把握していないので。
【桝委員】 本来は、すみません。対象外だと思います。すみません。
【杉山野生生物課専門官】 すみません。後ほど現地に振って、現地で答えられる範囲で答えていただこうと思います。
次に、二つ目の野鳥の減少の話ですね。スライドの14をお願いします。
この中で、こちらで把握しているものが、特にスズガモです。スズガモは世界で大体、IUCNレッドリストでは500万程度という個体数が出ている状況ですが、野付半島でも減っていまして、宍道湖のほうでも減っているという状況です。
こちらは、世界的にまだ絶滅のおそれがあるという状況までいかないものの、減っているという状況がIUCNレッドリストの中では書かれています。原因は、温暖化によって、生息地の質が変わっているんじゃないかということが推測されているという状況です。
オオハクチョウについては、後ほど現地に聞きたいと思います。
では、釧路自然環境事務所の方、こちらについて答えられる範囲でお願いします。
【釧路自然環境事務所】 釧路自然環境事務所の百瀬と申します。音声、届いてますでしょうか。
【桝委員】 はい、聞こえております。ありがとうございます。
【釧路自然環境事務所】 ご質問ありがとうございます。
先ほど、2点ご質問がありましたが、アマモ場の減少については、やはりこちらとしても、原因については把握していないところでございます。申し訳ございません。
野鳥の渡来数の減少についても、やはりそこは推測の域といいますか、なかなかはっきりとした原因が分かっていない状況でありまして、こちらは全国的にも、シギチドリも含め、減っている傾向にあります。その辺は今後また文献等を通じて調べていきたいと思っています。
以上です。
【桝委員】 ありがとうございます。
こういった再指定というきっかけに、そういう現状も一緒に発信していけるといいのかなというふうに、私としては感じております。
もう一つ最後、本当に単純な意見なんですけども、野付を見ていて思い出したんですけど、ちょっと離れた場所にある霧多布高校が、学校近くの干潟とか海草藻場の調査を実施していて、最近ベントス調査も始めたと聞いたんですけども、それを年に一度、全国の高校生アマモサミットというものがあるんですけども、そこで発表していまして、そのおかげで私みたいな人間も企業さんとかも、霧多布にそんな藻場があって、若い世代が頑張っているんだということを知るきっかけになっていますので、この辺りだと多分士別高校さんがもう既に幾つかされていると思うんですけれども、再指定というのは10年、20年に一度ということで、多分いいきっかけというか、節目、機会になるのかなというふうに思っていますので、ぜひこの再指定を機に、地元の若い世代との接続なんかも意識してもらえると、とてもいいのかなというふうに思っておりますし、これはほかの保護地区に関しても再指定のタイミングということで、同じことが言えるかなというふうな意見でございます。
はい、以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
事務局のほう、何かありますか。
【杉山野生生物課専門官】 承知いたしました。ありがとうございます。
【小泉委員長】 それでは、八代田委員、お願いします。
【八代田委員】 ご説明ありがとうございました。
私のほうからは、湯湾岳のほうについてご質問させていただきたいと思います。27ページに、保護管理方針に基づく管理状況ということで、現在の鳥獣の生息環境、生息状況の変化というところに挙げられておりますけれども、マングースの根絶宣言というのは非常に大きなニュースにもなっておりましたし、非常に皆さんのご尽力のおかげで達成されたと思います。そのおかげで希少鳥獣の生息環境が大きく改善したということで、大変喜ばしいことではあるんですけれども、その下の段に、外来鳥獣であるノヤギが増加しているというところをご指摘されております。これについては、やはりそのまま放置しておくと、どんどん増えていって、ここに書いてあるとおり、植生の被害等が発生しまして、また希少鳥獣に対する影響というのが大きくなっていくかと思いますけれども、これについて、今後何らかの対策を検討されるのかというところがもしありましたら、教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【小泉委員長】 それでは、事務局のほうから回答をお願いします。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。こちらでまず答えられる部分を答えて、先ほど同様に、現地の事務所に回答をお願いしたいと思います。
ノヤギにつきましては、鳥獣保護区の中でも、自動撮影カメラに写ったことは確認できているという状況です。対策については、現地事務所のほうから答えられる範囲でお答えいただこうと思います。
沖縄奄美事務所から回答をお願いできますでしょうか。
【沖縄奄美自然環境事務所】 奄美群島国立公園管理事務所からでよろしいでしょうか。
【杉山野生生物課専門官】 大丈夫です。
【沖縄奄美自然環境事務所】 現地の奄美事務所の広野と申します。
ノヤギにつきましては、先ほどおっしゃったように、鳥獣保護区内に設置されているカメラのほうに、実際に生息しているヤギの画像が写っているような状況がございまして、奄美大島は非常に大きな島ですので、なかなか全体像がつかみ切れていないというのが実情でございます。
鹿児島県ですとか、地元の5市町村とも問題認識は共有をしている状況でございまして、鹿児島県が一部行動圏の調査とかを今、着手されている状況で、これから全島的な個体数推計などを進めていこうということで、連携を図っている状況でございます。
もともとは家畜として飼われていたヤギが野生化して、島内、割と広い範囲に定着している状況がございますので、もちろん環境省の役割をどう位置づけて、関係機関と一緒にやっていけるかということは、これから具体的な対策を検討していきたいという状況でございます。
以上です。
【小泉委員長】 はい。お願いします。
【北橋希少種保全推進室長】 希少種室長の北橋です。私はこの9月にこちらに来るまでは、沖縄奄美事務所の所長として、奄美を含めて見ておりましたので、ちょっと補足します。今、いろんなモニタリングとか、生息状況の把握を進めているという話がありましたけども、それ以前からも、いわゆる狩猟の延長線上で、各市町村が主体となったノヤギの捕獲が行われております。
ただ、それだけではなかなか追いつかない、特に奄美大島は大きな山で、山が深いところでございますので、山中のほうまではなかなか行き届かないということで、現状の取組に加えて、さらに強化が必要だろうということで、先ほど申しましたような関係機関との協議を進めているというところでございます。引き続き頑張っていきたいと思っております。
【八代田委員】 ありがとうございました。
もう既に対策されているということで、ぜひ今後も継続して、やはり放置しておくと、非常に増えてきてからでは対策が非常にまた大変になってきますので、現在頑張って対策をしていただければと思います。ありがとうございました。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
原委員からも挙がっておりますが、申し訳ありません。湯本委員がずっとお待ちですので、湯本委員のほうから先にご意見いただきたいと思います。
どうもお待たせしました、湯本委員、お願いします。
【湯本委員】 今回から委員に参加させていただきます、湯本でございます。よろしくお願いします。
私、専門は生態学で、質問は野付なんですけれども、4年ほど前、私が生態学会会長だったときに、再エネのプラントについて、いろいろ経緯があって生態学会会員向けのメッセージとしたのですが、日本生態学会としては再エネ推進自体に対して反対するものではないですが、立地には生物多様性、具体的にはそこに生息する生物への影響を配慮してほしいという文章を作ったことがあります。
後のほうで釧路の話も出てきますけれども、野付半島・野付湾については、もともとあんまり風況がいいところではないです。風が常に安定して強いわけではなく、砂州なのでプラントを建てる条件としてもよくなく、実際に野付半島・野付湾に対しては風力発電所の計画はいまのところ聞いてはいないのですが、今回の特別保護区では渡り鳥の中継地ということもあって、周辺部に渡り鳥への脅威と考えられる再エネ発電所の計画はあるんでしょうかという質問が1点。
もう一点というのは、もちろん鳥獣保護区が特別保護区にしても、指定範囲の土地利用に関する規制でしかないというのは重々分かっているんですけれども、ただ、ここが渡り鳥の中継地として重要な場所であることを根拠にして、周りの脅威に対して、何か意見を言うベースというのがあるものでしょうか。あくまでお願いベースになるんでしょうか。
以上、2点です。よろしくお願いします。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、事務局のほうから回答をお願いします。
【杉山野生生物課専門官】 まず、1点目ですが、すみません。風力の発電が周辺で計画されているかどうかは、本省では把握していない状況です。後ほど現地事務所に答えられる範囲で依頼をしたいと思います。
もう一つ、鳥獣保護区の周りのところを規制できるかどうかというところですが、鳥獣保護区につきましては、特に特別保護地区の中は、鳥獣の生息に悪影響を及ぼさないようにという観点で、行為規制がございますが、あくまで保護区の中しかその規制はできませんので、周りを規制することはできません。
ただ、環境アセスメントの基準にかかる事業でしたら、環境アセスメントの手続の中で、事業者に対して、悪影響ができるだけ起こらないようにということを指導するということはできると考えております。
一つ目の風力などの計画につきまして、釧路自然環境事務所から、把握されている範囲で回答をお願いできますでしょうか。
【釧路自然環境事務所】 釧路自然環境事務所の百瀬と申します。ご質問ありがとうございます。
周辺の風力発電とか、太陽光関係も含めてですが、今のところ、こちらの事務所では計画等は聞いておりません。
鳥獣保護区周辺の開発に対する規制については、計画がもし仮にあった場合ですが、野付半島に集まる鳥類に対して、非常に悪影響があると考えられる場合には、私が以前、別の事務所にいたときの事例ですが、事業者にはお願いベースで、こういう鳥がいるので、何とかならないかという形でお願いをしたことはあります。鳥獣法上はなかなか規制できない状況です。
以上でございます。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
湯本委員、よろしいでしょうか。
【湯本委員】 ありがとうございます。
【小泉委員長】 それでは、原委員、お願いします。
【原委員】 ありがとうございます。日動水の原と申します。
この3区域、区域を変更せずということですけれども、湯湾岳につきましては、希少種の生息域、ほかの二つは渡来地ということで、これまでどおりということかと理解しますが、3番目の湯湾岳は、希少種が生息する地域ということで、区域を変更しなくてもよいというふうに判断されたところについて、お聞きできればと思います。
多分マングースの根絶とか、そういったことで十分に個体数が増えつつあるということなのかなと思いますが、ほかにも何かございましたら、お聞かせください。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。
湯湾岳鳥獣保護区ですが、歴史としては、湯湾岳鳥獣保護区の辺りは国立公園に指定されていますけども、国立公園指定前は、より狭い区域で国定公園が指定されていて、そのときの特別保護地区がベースになっております。
変更しなかった理由ですが、鳥獣保護区特別保護地区の場合は行為規制がございまして、鳥獣保護区の場合は狩猟が規制されるということになりますが、まず行為規制については、今となってはより広い範囲に、周辺に国立公園の特別保護地区が指定されていまして、そちらのほうが規制も強いことになりますので、広げる必要も特にはないという状況です。
そのほかに希少な鳥獣に、狩猟によって悪影響がある場合には、鳥獣保護区そのものの区域拡大も検討ということにはなるとは思うんですけども、今のところ、奄美大島において、狩猟によって希少種が脅威を受けているという状況ではございませんので、そこも現状どおりとしております。
【原委員】 ありがとうございました。
【小泉委員長】 それでは三谷委員、お願いします。Webから三谷委員、お願いします。
【三谷委員】 ありがとうございます。
野付のところなんですけれども、野付のほうは結構海岸の浸食が多発しているということで、調べたところ、結構外側のほうには護岸を今、建設しているということだったんですけれども、そのように今、重要な保護地域を守るための何らかの対策という、この保護区なんですけれども、結局規制はしているけど、守るために何かをするということに関しては、この枠組に対しては何もなってないということでいいですか。ただ何かを作ることは駄目、守るために何かをするというのは別なんですか。何かをしようとか、そういうふうな計画を立てるとか。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。
まず、制度面では、鳥獣保護区の指定の根拠になっている法律である鳥獣保護管理法のメニューとしては、浸食の対策ということをやろうとする場合には、この法律の制度の中では、鳥獣保護区保全事業というものがございます。
ただ、実際は、浸食が問題の場合には、浸食を止められればよいわけで、必ずしも環境省の鳥獣保護区保全事業のメニューを使わなくても、別のメニュー、別の省庁ですとか、北海道さんですとか、市町村さんですとか、そういった方々の土木的なメニューによって対策されるということもあり得るのかなと考えています。
【三谷委員】 ありがとうございます。
あと、これは海域にも結構かかっているんですけれども、左端のほうの四角の部分、あれは漁港があるからあそこだけないということですよね。漁港を何らか、例えば拡張する予定とかがあるから、そういうふうになっているのか、どうしてその部分がないのかというのと、あと上のほうもかかってない部分があるんですけど、そこの辺りはなぜかかっていないのか、教えていただけますか。
【杉山野生生物課専門官】 ありがとうございます。
こちらにつきましては、恐れ入りますけど、釧路自然環境事務所から答えられる範囲で、お願いできますでしょうか。
【釧路自然環境事務所】 釧路自然環境事務所の百瀬でございます。ご質問ありがとうございます。
まず、港の部分ですね。四角く抜けているところは、まさにおっしゃるとおりです。こちらは港湾の維持管理関係で、例えば少し掘ったりとか、様々な工事の予定があり、港湾管理者のほうからの要望で、四角く抜いているものかと思います。
左上のほうの指定されていない部分は、農地になっていまして、農業関係者との調整の中で、抜いている部分と思います。
以上です。
【三谷委員】 ありがとうございます。
先ほど、保全という話をしたんですけども、アマモ場の保全とかも多分あると思うんですけど、保護しただけじゃ、多分これから温暖化とかもあって、増えてはいかないと思ったので、保護だけではなくて、増やす方法の何か枠組があったらと思って話しました。ありがとうございます。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは勢一委員から、再度ご意見がありますので、お願いします。
【勢一委員】 2回目で申し訳ありません。先ほど再エネの議論が出たので、1点だけと思いまして、2回目の発言をさせていただきます。私も個別具体的な例は承知していないのですけれども、野付半島は、今、道立自然公園ですけれども、これを国定公園に格上げしようという候補の一つになっています。何年か前ですけれども、その候補に挙がったときのタイミングで、地域では、国定になる前に再エネの開発をしないと、できなくなるんじゃないかというような話が割と出ていて、地元自治体は結構心配をしていました。その後どうなったかまでは、私は把握していないのですけれども、こういう状況の中で、再エネと自然の生態系の場所をどうやって両立していくのかというのは、大きな課題だと思います。
鳥獣保護法の仕組みの中で、どれだけやれるのかというのは、恐らく限界がある、そういうようなスキームになっていないわけで。ただ他方で、野生生物の保護は生息域を守っていくことをやらないと、多分居場所がなくなってしまい、当然数は減ってしまうわけなので、生息域をどうやって守っていくかも併せて考える必要があると思います。 やはり、例えばですけれども、自然公園法が公園区域に指定しているようなところであれば、その地域をそちらの法律で守るということもできるわけで、まさに、もし国定公園になれば、野付半島は自然公園法の仕組みの中で併せて守っていくというようなことをやれるんだろうと思います。それ以外にも関連する法律で、地域全体として守れるようなことを環境省としても考えていくことが必要で、公園についてはここの小委員会ではありませんけれども、もう少し幅広の法律を、うまくレイヤーを重ねていく工夫をしていきながら、指定をしていただけるとよろしいかなと思いましたので、ぜひ内部での連携をお願いしたいと思います。
以上です。
【小泉委員長】 ご意見ということですが、よろしくお願いします。
それでは、ほか、ご意見はないようですので、本件審議事項ですので、事務局案のとおり適当と認めてよいか、委員の皆様のご意見を伺いたいと思います。
会場の皆様は、恐れ入りますが、挙手をお願いします。それからWebでご参加の皆様も、挙手ボタンで合図をいただけますでしょうか。よろしくお願いします。皆さんの顔が見えないもので、挙手ボタンでご連絡いただけると助かります。よろしくお願いします。
それでは、ご異議ない方は挙手をお願いいたします。
(異議なし)
【小泉委員長】 はい、ありがとうございます。
それでは、ご異議ないということで、本件事務局案のとおり、適当と認めさせていただきます。どうもありがとうございます。
では、次に、以下報告事項として、まず、絶滅のおそれのある野生動植物種の保存に関する法律の在り方に関する検討について、事務局から説明をお願いします。
【本田希少種保全推進室室長補佐】 ありがとうございます。希少種保全推進室の本田と申します。よろしくお願いします。
本日午前中に報道発表もしておりますが、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、通称種の保存法の在り方検討会の開催について、私のほうからご報告させていただきます。資料2-1をご覧ください。
種の保存法は前回、平成29年に改正をされておりまして、前回改正では、特定第二種国内希少野生動植物種の制度や、認定希少種保全動植物園制度の創設、国際希少野生動植物種の登録制度の強化などを行ったところです。
そして、前回の改正法の施行から5年を経過したことも踏まえまして、令和5年度から6年度にかけて、法律の施行状況評価会議を開催しまして、有識者の皆様に議論いただきつつ、種の保存法をめぐる現状を踏まえ、今後取り組むべき課題を取りまとめたところです。
その施行状況評価の結果を踏まえて、今後の課題解決の方向性について詳細な検討を行うため、今月以降、来年度にかけて、種の保存法の在り方検討会を開催させていただきます。
検討会の具体的なスケジュールはお示ししているとおりでして、第1回目の検討会は10月14日に開催する予定です。なお、2回目以降のスケジュールは、委員の皆様のご都合等も踏まえて、変更され得る旨、ご承知おきください。
検討委員につきましても、資料でお示ししているとおりでして、野生生物小委員会からは勢一委員、寺田委員、原委員の3名の方にご参加をいただく予定になっております。
資料2-1の2ページ目に、今年の6月末に公表しました、施行状況評価の結果の概要を添付しております。今後の検討会での中心的な議題になると思われますので、ごく簡単にご紹介させていただきます。
施行状況評価会議は希少種の保全と流通に分けて議論をしたところでございますが、まず希少種の保全に関する課題と検討の方向性として、国内希少野生動植物種の指定に関しては、法律の附帯決議で定められた指定数の目標などもありまして、指定がかなり進んできているところでして、捕獲や採取圧に対する対応には進捗が見られる一方で、今後は希少種の生息地や生育地の保全を重要視した施策の検討や、多様な主体を取り込んだ保全活動の拡大、保全活動を促進するインセンティブの形成や阻害となる規制の緩和というものを進めていく必要があるというふうに指摘をしていただいているところでございます。
続けて、流通分野での議論を紹介させていただきます。
【守野生生物課課長補佐】 野生生物課の守でございます。
私のほうから、流通のほうについて、ご説明させていただきます。
流通のほうについては、平成29年の法改正において、先ほどお話しした個体等登録の基準の厳格化ですとか、そういう流通の規制の厳格化について図ってきたところでして、その成果はしっかり出ているというところではありますけれども、それに付随して、厳格な流通の規制と、保全活動のバランスをどう取るのかというような形で、課題が多く出されているという状況です。
例えば、平成29年の法改正で必要となりました、国際種の個体等登録制度における個体識別措置ですね。つまりマイクロチップの埋め込みなんかについて、例えば幼少だとか老齢だとかで、生体に負荷がかかるのでなかなかマイクロチップが埋められないといったような事例が出ているので、そういったのにどう対応するかということですとか、あとは個体等登録がなかなかできないような個体について、例えば所有者の入院ですとか、逝去等によって、一時的に個体を預けなければいけないといったような状況になったときに、なかなかその個体の行き場がなくなってしまうというような事例が生じていますよということ。さらに、国内種についても、例えば保護増殖計画が策定されていないような種については、保全活動に伴う個体等の譲渡しには許可が必要になるので、そういったものが保全活動の負担になっているのではないかというようなお話が出てきております。
こういった運用面の具体的な課題というのも、改善策も検討しながら、今後、令和8年度にかけて、保全、流通両方の制度の在り方について、先ほどご説明させていただいた検討会において、議論をしてまいりたいというふうに思っております。
私のほうからもう一点、流通のほうについては、既に運用面の改善の検討を進めているものもありまして、ここでご報告をさせていただきたいと思います。資料2-2をお願いします。
国内希少野生動植物種の昆虫標本の個人間の譲渡しについてということでございます。
国内希少野生動植物種の昆虫の標本というものについては、これまで規制の適用除外ですとか、あとは許可という形で、原則として博物館ですとか研究機関等の公益が認められる施設への譲渡しというものを認めていたところですけれども、こういった施設の収蔵庫のキャパシティがいっぱいであるとか、そういった理由から全てを引き取ることが難しいといったような状況も生じていまして、個人所有をしていて学術的に価値のある標本というものをどこにも譲渡しができないというような状況が起こってきているところです。
そのため、一定の要件を満たす国内希少野生動植物種の昆虫の標本の個人間の譲渡しについては、許可の対象とできるように検討を進めているところでございます。具体的な要件は資料の1から5に書いてあるような形ですけれども、こういった要件を満たすものについて認めていこうという検討を進めているところでございます。
こういった事例も含めまして、流通の面は適正な流通の在り方について検討してまいりたいというふうに思っています。
私からの説明は以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、ただいまの報告事項につきまして、ご意見、ご質問のある方は先ほどと同じように、会場の方は名札を立て、Web参加の方は挙手ボタンを押していただきたいと思います。
また、報告事項に関しましては、一問一答ではなくて、2問ないしは3問まとめて事務局のほうに回答いただくというふうにさせていただきたいと思いますので、この点ご了承ください。
それでは、会場のほうからご意見、ご質問がありましたらお願いします。
Webのほうから、それでは湯本委員、お願いします。
【湯本委員】 湯本です。私は現在、京都市や京都府が設置した、きょうと生物多様性センター長を拝命しています。京都市や京都府でも個人所有の標本の話というのは、必ず話題に出ていたので、今回のご検討には感謝を申し上げます。
生物標本を大量に収集されてきた世代が引退の時期を迎えており、まさしく個人所有の標本に関する譲渡の処置が必要だと思っています。ある時期に採集された標本は、二度再びその時代に戻って採集はできないわけで、非常に貴重な標本です。それが失われていくので、今回の処置はとてもありがたいと思っています。
もう一点は希少種の商取引目的の流通なんですけれども、私たちの間でよく話題になるのは、やっぱり罰則規定が弱いんじゃないか、つまり罪が軽いんじゃなかろうかということです。もっと厳罰化が必要なのじゃないでしょうか。もちろん環境省さんだけが決めることじゃなくて、ほかの罰則違反とのバランスというのもあるんでしょうけれども、厳罰化というのはどうお考えでしょうか。
以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして寺田委員、お願いします。
【寺田委員】 ありがとうございます。寺田です。
私自身も種の保存法の検討委員会に入っておりまして、一部繰り返しになりますが、まず1点コメントです。2点目が昆虫のほうにつきまして質問です。
1点目ですけれども、やはり保全と流通という分け方に当初から違和感がありまして、流通規制というのは保全のための流通規制です、と。詳しい方とか、事務局の方はよくご存じですけれども、そして文書上も、国内種の保全、国際種を含む流通となっていて、間違ってはいないんですけれども、国内種と国際種があり、国内種は生息地保全や保護増殖や流通規制があり、国際種については流通があると。野生生物課の中の業務も、希少種保全室は主に国内種を担当されていて、流通の部分は国内・国際合わせて、別の方が担当しているという状況もあって、このような分かれ方になりやすいかとは思うんですけれども、やはり一般の方に「流通規制を何のためにやるのか」と。どのような種を規制対象種として、どのような厳しさで何を規制するのかは、保全のために検討するものであるということが、なかなかワシントン条約も含めて浸透していない中、そこの部分は情報の伝え方をぜひご注意いただきたいなと思うところであります。
以上、コメントです。
そして、今回ご提案いただいた昆虫の制度、運用の変更につきましては、私も高く評価したいと思います。実際にこれがまさに国内希少種の保全に資する流通制度の改善でありまして、このような運用を細かく検討していくためには、各分類群の状況、保全、生息地を含めた種の情報、また、制度設計をする流通の制度に詳しい者が共に議論して初めて生まれてくるものだと思いますので、今後の在り方検討会につきましても、その点は非常に大事なポイントかなと思っています。
戻ってしまいますけど、施行状況評価のときも、このようなコメントを踏まえて、保全と流通の合同会議をしていただいたことも高く評価したいと思いますし、実際に今回生まれてきた昆虫の運用のような事例をいかに増やしていくのか、専門家だけではなく、実際に採取される方ですとか、愛好家の方ですとか、ショップの方ですとか、また、SNSでいろいろご意見をいただく国民の方にも、何のための流通規制なのかというところをしっかり伝えていくということを、ワシントン条約のCOPも近いので、ぜひ事務局、環境省には、改めてリマインドさせていただきたいと思います。
すみません。質問というのは、昆虫の制度につきまして、差し支えない範囲でいいんですけれども、どのような検討過程を踏まえて、ここまでたどり着かれたのかというところをお聞かせいただけますと幸いです。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、質問と意見がありましたけれども、事務局のほうから回答をお願いします。
【守野生生物課課長補佐】 野生生物課の守でございます。ありがとうございます。
1点目、湯本先生から、罰則が軽過ぎるのではというお話をいただきました。罰則については、再三、法改正の際に罰則を強化してきているところではあります。今、一番重い許可なく譲渡しや捕獲をしてしまったという場合には、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金ということになっているので、それが妥当かどうかというのはまたあるんですけれども、ある程度の抑止効果にはなっているのかなと思ってはおります。この点も含めて、検討はしていかなきゃいけないのかなというふうに思ってはいますが、現状はそういう状況ですというところです。
寺田先生からのご質問について、どのような検討過程で昆虫の制度をしてきたかというところですけれども、数年前から、やはり昆虫標本の個人間の譲渡しということについてはご意見をいただいていたところです。それについて、昆虫の学会の皆様、各種学会があると思うんですけれども、つながりのある学会の皆様とか、研究の先生方とか、そういったところと意見交換をさせていただいて、どういった要件が必要なのかと、どういったことを皆様が望んでいるのかというところも含めて、ご意見を伺いながら要件を検討してきたところでございます。
なので、先ほど寺田委員からお話をいただいたように、専門家だけではなく、アマチュアの方ですとか、そういった昆虫の標本の移動に携わる皆さんのご意見を聞いてというところは、まさにそういうところかなと思っておりますので、引き続き、ほかの具体例を検討していく際にも、例えばNPOですとか、そういったその事情に携わっている現場の皆様のご意見も伺いながら検討してまいりたいというふうに思います。
以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは会場から、八代田委員、水田委員の順でお願いします。
【八代田委員】 ご説明ありがとうございました。
私のほうからは、今後の検討の方向性の一番最後、気候変動適応策がさらに重要になるという部分なんですけれども、こちらのほうが今後非常に重要な課題になってくると思っております。
保全といった場合に、先ほどの審議で、三谷委員からもありましたけれども、ただ守るというようなイメージというか、そういった対応が多いかと思いますけれども、今後、気候変動が進んでいけば、生息地域自体が変わってくる可能性もあるかと思います。そういったときに、人が手を入れるのかどうか、それともただ守るだけなのかというところについても、やはり今後整理をして、方針を決めていく必要があるかと思いますので、それについても、今後の検討会で検討していただければと考えております。
意見でした。以上です。
【小泉委員長】 それでは、水田委員、お願いします。
【水田委員】 ご説明ありがとうございます。
私も、今後の検討の方向性のところからですけれども、一番上の保全の部分です。生息・生育の場(ハビタット)保全のより一層の重視と書かれていて、これはまさにそのとおりだと思います。もちろん個々の種を保全する施策を立てるというのも重要だと思うんですけれども、その種が生息・生育する場を守っていくというのがとても重要なことだと思います。
個々の種に対しては保護増殖事業などのメニューがありますけれども、では具体的に生育の場、ハビタットを保全するということに関して、何かしら新たな事業というのが立ち上がるのか、それとも今まで行われている様々なメニューを組み合わせて、その保全をより一層進めていくのか、そういった点を確認したいと思います。
【小泉委員長】 Webから三谷委員の手が挙がっておりますが、ご発言、お願いします。
【三谷委員】 ありがとうございます。
種の保存法の対象種については、ここで取り上げるのか分からなかったんですけれども、例えば国際ではなっているけれども、日本にいるのに、国内希少種になっていないのは、例えばラッコとかジュゴンとかって、どういうふうな選定基準なのかなということが一つありました。特にジュゴンは、もうほぼ沖縄にはいなくなっていて、たまに流れ着いてくるとは思うんですけども、もう今、フィリピンの辺りにいるジュゴンたちが流れ着いてきて、そこにとどまってもらうぐらいしか、もう日本の中のジュゴンを守る術がないわけですけれども、そこにアマモ場がちゃんとないと、そこに居着いてくれないわけで、アマモ場をちゃんと生息地を保全するというところを準備しておくというところが重要なんですよね。なので、種の保存法で、これから生息地の保全などについてもやるということであれば、国内の中にジュゴンとかを入れておかないといけないと思うので、それについてお伺いしたいと思いました。
以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
質問と意見とありましたけれども、ご回答いただけますか。
【本田希少種保全推進室室長補佐】 ご質問、ご意見、ありがとうございます。
まず、水田委員からいただきました、生息・生育地の保全に関して、今後新たな事業を立ち上げるという話なのか、既存事業の組合せという話なのかという点ですけれども、まず、この在り方検討会は種の保存法のまさに在り方全体の話なので、結果として、制度改正に至るというようなものもあり得るところですし、むしろ先ほど流通の場面で昆虫標本の話がありましたけれども、既存事業の運用改善だったり、既存事業の組合せで、新たな、これまでやってきてないようなことをやっていくというようなことも考え得ると思います。そこら辺は広く視野に入れた上で、今後の検討は進めていくということになるかと思います。
また、三谷委員からは、国内希少種の選定の基準ですとか、どういった種を選定していくのかという点について、今、例示としてジュゴンをいただきましたけれども、まず国内希少種の選定の基準は法律に位置づけられております、希少野生動植物保存基本方針で基本的には整理をされておりまして、その上で、国内希少種の指定による効果ですとか、そういったことを踏まえて指定をしていくということになっております。
種の保存法で、まず指定することによって規制がかかるのは、捕獲圧に対する規制ですので、まずは捕獲圧によって減少しているものというのは、一般的には指定の候補に挙がりやすいものになってくるんですけれども、一方で、哺乳類ですとか鳥類についても、保護増殖事業ですとか、生息地等保護区の指定によって守るというような法律上の制度はございますし、現状、哺乳類、鳥類に関しては保護増殖事業もやれているところです。ですので、一般的な話としては、今後、生息地の保全の在り方を見直していった結果、国内希少種の指定の在り方の見直しにも影響してくるということは考えられると思っております。
以上です。
【小泉委員長】 あと、また気候変動、温暖化の影響でというところも、ハビタットの保全、よろしくお願いします。
ほか、ご意見、ご質問、水田さんもよろしいですか。
それでは、本件はこのぐらいにしまして、続きまして、ラムサール条約第15回締約国会議の結果報告をお願いします。
【境野生生物課主査】 野生生物課でラムサール条約、渡り鳥などの担当しております、境と申します。よろしくお願いします。着座にて失礼いたします。
私からは本年7月23日から31日に、ジンバブエ共和国、ビクトリアフォールズで開催されました、ラムサール条約、正式には特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約の第15回締約国会議に出席してまいりましたので、簡単にご報告させていただきます。
世界172か国から、1,284名の参加者がありまして、合計25の決議が採択されました。1枚目のスライドには、主要議題のみ記載しています。議題一覧は次のスライドでお示ししています。後ほど、これらの議題についてご説明いたします。
それから国内自治体への認証などについては、本年2月に湿地都市認証を受けた名古屋市への認定証授与、国内54番目の湿地として新規登録された猪苗代湖関係自治体への条約事務局長からの登録証授与がございました。
それぞれの地域における取組については、サイドイベントで各自治体から発表しています。
2枚目のスライドをお願いします。
こちらが今回のCOPの採択議題、決議の一覧です。この後ご説明する主要議題を赤い文字で目立たせております。
なお、15.24の決議は、提案国であるアルジェリアが取り下げておりますので、先ほど計25の決議がなされたと申しましたが、こちらの議題を決議に含めていないことが、最後に26までありますけれども、マイナス1で、計25の決議となっている理由です。
次の3枚目のスライドをお願いします。
少し具体的に主要な決議についてご紹介します。こちらの戦略計画については、10年に一度改定されるもので、四つの目標及びターゲットを追求するように各国に要請されています。
また議論の末、今回の戦略計画においては、既存の国際間条約、特に生物多様性条約や持続可能な開発目標への貢献について、決議に反映されることとなりました。
次のスライドをお願いします。
こちらの内容は、今、申し上げたところです。
では、次のスライドでお願いします。
水鳥個体数推定についてですけれども、2012年以来、更新が途絶えていた水鳥個体数推定の再開に向けて、世界水鳥推定パートナーシップの設立が決定されました。水鳥個体数推定は国際的に重要な湿地、ラムサール条約湿地指定の基準の6である水鳥個体数の1%基準というものの科学的裏づけを提供する重要な指標でありまして、新たな世界水鳥推定パートナーシップは、締約国、国際機関、渡り鳥条約、地域モニタリング団体などを結ぶ連携ネットワークとして機能して、各国データを統合しつつ、2027年度版の水鳥個体数推定の作成を進めることが期待されています。
次のスライドをお願いします。
それから、今回のCOP15で採択された決議で注目されたものとして、OECMによる湿地保全を求めるものがございます。日本国の場合は、ラムサール条約湿地登録に際して、国の法律、自然公園法、鳥獣保護管理法などによって、将来にわたって自然環境の保全が図られることを条件としていますが、一方で、国によっては、法整備や政治的意思が異なりまして、また、制度を維持するための資金やデータが不十分な場所もあり、そうした国ではOECMの活用が期待されるところです。
7枚目以降のスライドは、サイドイベント及び展示ブースについて紹介しているものですので、時間の都合上、割愛させていただきます。
最後に、スライドには残しておりませんが、2点補足を申し上げます。
ロシアのウクライナ侵攻によるラムサール湿地への攻撃を非難する延長決議案の採択が、投票によって行われました。日本を含む40か国が最終的に共同提案国となり、可決となりましたが、途上国の多くは棄権するなど、国際情勢を反映した決議となりました。ロシアは当該決議案が政治的であるとして、会合冒頭に、条約からの脱退を表明し、退出して、正式には12月に脱退することとなっております。
また、アメリカ合衆国は30日、会議の後半に米国の代表、在ジンバブエ米国大使館からの参加の方が来まして、レッドラインとして、気候変動への言及、多様性、包摂性の言及、ジェンダーへの言及、SDGsへの言及などについて、レッドラインを読み上げまして、ただしCOPのコンセンサスはブロックしないという発言をしたところです。
私からの発表は以上です。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
ただいまの報告に関しまして、ご意見、ご質問がありましたら、また同じように名札を立てる、それから挙手ボタンを押すで合図をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
今回のラムサール条約で持ち帰って、日本政府ないしは環境省が新たに何かアクションを起こさなければいけなくなったというようなことはありますか。
【境野生生物課主査】 特段、新たにというところはないですけれども、今回申し上げたとおり、多国間の条約、ほかの条約との連携について強調されていたところから、例えば昆明・モントリオール生物多様性枠組の達成に貢献するために、ほかの多国間協定と協調した横断的な取組を地域と連携して進めるということは、引き続き行っていくというところです。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは、白山委員、お願いします。
【白山委員】 説明、非常に興味深く拝聴いたしました。
ロシアがラムサールから脱退してというお話と、世界の鳥のデータベースをきちっと、27年版で作るということなんですけれども、ロシアなしでそれを作って、科学的な信頼性のあるデータが取れるのかというのが非常に疑問なんですけれども、パートナーシップへの参加もやめたのか、パートナーシップについては、つまりこの個体数の推定の事業に関しては貢献するということになっているのか、そこと、それから、もしそうでないとしたときに、このパートナーシップの活動というのはどのくらい意味が毀損されるのか、あるいは十分な意味がまだそれでもあるのか、その辺りについて、少し現状での認識を教えていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
【小泉委員長】 それでは、よろしくお願いします。
【境野生生物課主査】 ご質問いただきありがとうございます。
ラムサール条約からは確かにロシアは脱退、正式には12月に脱退する予定ですけれども、このパートナーシップにロシアが入っているかどうかというのは、今すぐ申し上げられませんが、この世界水鳥推定パートナーシップへ情報提供するという意味では、地球上で九つあるフライウェイネットワークのうち東アジア・オーストラリア地域フライウェイネットワークにはロシアも入っておりまして、その中で提供されるデータが間接的にラムサール条約のこのパートナーシップに提供されると認識しておりますので、ロシア地域で得られるデータがラムサール条約に完全に入らなくなるということはないと認識しています。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
それでは続きまして、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律の施行について、報告をお願いいたします。
【佐藤鳥獣保護管理室室長補佐】 鳥獣保護管理室の佐藤と申します。私からは資料4について、ご説明を申し上げます。
資料4は鳥獣保護管理法の改正に関する資料になりまして、本件については昨年9月の本委員会においても、鳥獣保護管理法の改正に向けた検討についてというタイトルでご報告したところでございます。
今回はその後の鳥獣保護管理法の改正や、改正内容の施行状況だったり、あと今年のクマの状況とか、そういったものをご報告したいと思います。
では、資料1ページ目をお願いいたします。
まず、鳥獣保護管理法の改正に至った背景を少し振り返りたいと思います。近年、クマ類の分布については、非常に分布域が拡大しているということでございまして、北海道に生息するヒグマでは、平成15年度と30年度の比較で、分布域は約1.3倍に拡大していると。令和2年度の推定個体数の中央値は1万1,700頭となりまして、30年間で約2倍以上に増加しているという状況でございます。ツキノワグマでも平成15年度と30年度の比較では、分布域は約1.4倍に拡大し、四国は分布域が縮小しているものの、本州の多くの地域で推定個体数は増加または安定化しているという状況でございます。
左下の図は、秋田県のクマの分布域の推移を表した図でございます。秋田県では、クマの第二種特定鳥獣管理計画を更新する際に、ツキノワグマの分布域を表した図を出しているところでございますが、この図では灰色が前の計画時点でのクマの分布域を示していたメッシュでございまして、ピンクが新規の拡大メッシュで、黄色が推定分布のメッシュとなりまして、つまり色がついているところが管理計画を作成した時点でのクマの分布域となります。
一番左が平成19年の第2次計画時点の分布域で、真ん中の図が第5次計画時点の令和4年で、右が第6次計画を策定した今年、令和7年になりまして、分布域が拡大していることがよく分かる。特に令和4年から7年という、3年間の分布メッシュ数が1,148メッシュから1,215メッシュとなっているところでございまして、分布域が広がっていることが分かると思います。
右下のグラフのほうについては、クマの人身被害の件数を表したものでございます。特に令和5年度、特に東北地方で堅果類、ドングリが凶作だったということでございまして、クマによる人身被害が過去最多の198件、219名の方が被害に遭われたという記録をしたところでございます。
なお、令和6年度については、事故の件数は82件、被害に遭われた方は85名ということでございました。各年の事故件数の推移についてはグラフのとおりでございます。
特に本年度の状況について、次のスライドで詳細をご報告したいと思います。次のスライドをお願いいたします。
令和7年度のクマの出没や被害状況をまとめたスライドでございます。上部にある表が令和7年度に入ってからの4月から8月の出没件数、人身被害件数、被害者数、あと死亡者数、これをまとめた表でございまして、同じ期間の令和6年度、令和5年度の情報も記載しているところでございます。
令和7年度のこれまでの出没件数は1万5,893件で、人身被害件数は62件、人身被害者数は69名、うち亡くなられた方が5名となっております。
左下の出没件数のグラフをご覧いただけると分かるとおり、本年7月、8月の出没件数が例年に比べ、比較的高く推移しているというところでございます。
右下の人身被害件数のグラフからは、例年と比べて顕著に事故が増えているという状況では、今のところないんですが、ただ、死亡者数は比較的多いという状況になっております。
次のスライドをお願いいたします。
こちらは本年度に入って、今まで発生したクマ類による死亡事故の概要でございます。6月には、長野県でタケノコ取りの男性が事故に遭われたということでございます。7月には3件の死亡事故が発生しまして、いずれも市街地だったり、住宅近傍で発生したというところでございます。7月4日の岩手県の事例では、被害者の方が自宅内で事故に遭われたと。7月12日は北海道で新聞配達中の方が市街地で被害に遭われたと。7月31日の秋田県の事例でも、市街地で事故が発生したとなっております。8月は北海道の羅臼岳登山中に事故が発生したという状況になっております。
では、次のスライドをお願いいたします。
こちらは鳥獣保護管理法の改正事項の概要になります。これまで紹介してきたとおり、近年、クマが人の日常生活圏に出没しまして、人身被害が発生するなど、生活環境の保全上の支障が生じる事例が増加してきました。
これまでの鳥獣保護管理法では、住居集合地域等における銃猟だったり、人や建物に向かってする銃猟等を禁止していたところでございます。なので、出没したクマ等が建物に立て籠もるなど、膠着状態がある場合において、なかなか迅速な対応が困難であるというケースが発生しておりました。
このような背景を踏まえて、クマ等の危険鳥獣の銃猟に関する制度を見直しまして、人の日常生活圏にクマ等が出没した場合に、地域住民の安全の確保の下で銃猟可能としました。
具体的には、真ん中の主な改正内容と記載した部分にあるとおりでございますが、クマやイノシシといった危険鳥獣が人の日常生活圏に侵入し、危険鳥獣による人の生命または身体への危害を防止する措置が緊急に必要であり、銃猟以外の方法では的確かつ迅速に危険鳥獣の捕獲等をすることが困難であり、避難等によって地域住民に弾丸が到達するおそれがない場合において、市町村長が危険鳥獣の銃猟を捕獲者に委託して実施させること、すなわち緊急銃猟ができるということにしました。
また、緊急銃猟を使用する場合において、安全確保のための通行制限だったりとか、避難指示ができることとしまして、また、都道府県知事に応援を要請することが可能である、また、市町村長は緊急銃猟の実施に伴って損失を受けたものに対しまして、通常生ずべき損失を補償するものとしました。
この改正内容の施行は本年9月1日でございまして、施行から約1か月ほどたったところでございます。
改正法の円滑な施行に向けて実施していた、準備をいろいろしてきたのですが、それを次のページから紹介したいと思います。次のスライドをお願いします。
主に対応してきたことを4点にまとめております。
1点目は緊急銃猟の手順を示した緊急銃猟ガイドラインを本年7月8日に公表いたしました。
2点目は緊急銃猟ガイドラインについて、自治体の職員の方向けに緊急銃猟ガイドラインのオンラインの説明会を7月24、25、29と3日間開催したところでございまして、1,500人以上の自治体職員の方に参加いただいたところでございます。
3点目は全国5か所で現地研修会を実施することとしておりまして、北海道では8月21日に、秋田県では9月22日に実施しまして、今後、福島県、長野県、島根県で実施していきます。
4点目は緊急銃猟に対応できる射撃技術を持ち、緊急銃猟実施時の委託が想定されるハンターさんを事前に登録しまして、自治体間で共有することで、体制確保に役立てるクマ人材データバンクを8月7日から運用開始したところでございます。
資料では、全国約180名のハンターが登録となっておりますが、まさに昨日、新たな登録状況が判明しまして、最新では193名の方が登録しているというところでございまして、随時アップデートしている状況にあります。
次のスライドからは、これらの施行に向けた準備を説明する参考資料になります。ちょっと簡単ですが、紹介したいと思います。
まず今、映っているものが、緊急銃猟ガイドラインの概要でございます。ガイドラインでは、制度説明から平時における準備だったり、緊急銃猟の実施時の留意事項、自治体や警察などの関係機関の役割分担や連携のあり方、また、参考となる事例を想定して、図面を用いて解説をしているところでございます。
ガイドライン自体は自治体職員向けに作成したものでございますが、環境省サイトで公開しており、どなたでも見ることができるような形になっています。
次のスライドをお願いします。
こちらは緊急銃猟に係る現地研修会の様子でございます。既に北海道の下川町と秋田県の横手市の2か所で開催したところでございます。いずれの場所でも、開催地の市町の職員のほか、地元猟友会の方、警察の方、北海道庁や秋田県庁の県庁職員さんが参加して、また、周辺の県だったり、市町村の職員が見学をされる形で開催いたしました。
研修は屋内において、講義形式で机上訓練を実施して、その後に屋外でクマが出没したということを想定した実地訓練を行ったところでございます。
次のページをお願いします。
こちらはクマの人材データバンクの紹介になります。このデータバンクは市町村が緊急銃猟の発生に備えて、平時からの体制整備に活用いただこうということで、緊急銃猟の対応可能な銃猟の技術と、あと協力の意志を持った、緊急銃猟の委託候補者の情報を人材データバンクとして蓄積し、情報交換を行えるようなスキームになります。
実際に活用される際には、人材紹介を希望する自治体が、派遣を希望する委託候補者が住む自治体担当者にコンタクトを取って、委託協力者に協力の打診だったりとか、協力の条件などを調整して、事前に緊急銃猟の体制を整えていただくような流れになります。
次のスライドをお願いいたします。
こちらは鳥獣保護管理の基本的な指針を改正していくというものでございまして、今後の動きを紹介するような資料になります。
まず、鳥獣保護管理の基本的な指針は、鳥獣保護管理法第3条に基づき、環境大臣が定めるものでございまして、野生鳥獣の保護と管理に関する国全体の施策の方向性を示すものでございます。この指針に基づいて、都道府県は鳥獣保護管理事業計画などを定めることになります。基本方針は5年ごとに見直しを実施しておりまして、現行指針の計画期間は令和8年度末まででありまして、本年度から改正を見据えて検討を開始するという予定となっております。
1ポツ目に点検のポイントを例示してありますが、鳥獣保護管理法の改正内容を含め、危険鳥獣の管理に関する事項、改正鳥獣保護管理法の附帯決議で対応を求められた鉛中毒対策だったり、錯誤捕獲の防止だったり、あるいは人材確保、そういうことだったり、あと高病原性鳥インフルエンザを中心とする野生鳥獣由来の感染症等について検討するということになっております。
2ポツ目には基本指針改正の検討スケジュール(案)でございまして、本年度内に検討を開始しまして、中環審の自然環境部会に諮問を行い、年度が明けて、鳥獣保護管理小委員会にて具体的な検討作業を進め、また、パブリックコメントを行いまして、来年8月頃に自然環境部会に答申をいただき、その後告示をするというようなスケジュールを想定しているところでございます。
資料4の報告は以上になります。
【小泉委員長】 ありがとうございます。
緊急事態に対応するために、大変短い期間で緊急的な対応をいただいたということで、ご苦労さまでした。
それでは、ただいまの報告に関しまして、ご意見、ご質問がありましたら、挙手または挙手ボタンで合図いただけますでしょうか。
それでは、八代田委員からお願いします。
【八代田委員】 ご説明ありがとうございました。
最近、やはりクマの出没がかなり話題になっておりまして、それに対応した形で改正されたということで、今後、実際に実践的に実施されていくことになるかと思います。
私からご質問が1点ありますけれども、人材データバンクの件です。こちらは現在190名以上が登録されているということなんですけれども、登録する際の基準といいますか、登録要件というのは決まっているのかどうかというのをお聞きしたいと思っております。
やっぱりクマの捕獲に関しましては、かなり経験が必要になってくるかと思いますので、市町村の方からそういった技術を持っている方を紹介していただくような形にされているかと思うんですけれども、何らかの基準といいますか、それがあるかどうかというところと、登録されたら、そのままずっと登録され続けるのか、もしくはご本人様がもうやめるというか、できないのでということで外れていくのかというところについての運用ですね。そちらの方法について教えていただければと思います。
もう一点、現地研修会の件なんですけれども、5か所でされているということなんですが、近畿地方の辺りが抜けているなと思っておりまして、現在、クマの個体数自体はそんなに多くはないんですけれども、やはり個体数が増えてきているということで、対策は県の方たちが今、特定計画を立てたりといった、計画を立てていらっしゃる状況です。そういった、今まで少なくて、これから増えてくるであろう地域は、クマに対する対応というのが経験されている方が非常に少ないので、もし万が一、クマが急に市街地に出てくると対応できる方が今、ほぼいないというような状況になりますので、そういった地域でそういった人材を育成していくのかということについても、ご検討いただければと思います。
こちらについては意見になります。よろしくお願いいたします。
【小泉委員長】 それでは、勢一委員からご発言いただきまして、事務局のほうから回答をお願いします。
【勢一委員】 ご説明ありがとうございます。勢一です。
1点確認的な質問なんですけれども、今回、クマ対策で法改正をしていただいてということだったんですけれども、今後の予定として、基本的な指針の改正が行われるというご説明が最後にありました。これは鳥獣保護管理法の中で、都道府県知事の次の計画的な対応を求めるための基本的な考え方を示すもので、かなり骨格部分になると思うのですが、先行して改正された今回のクマ対策のスキームは、多分この基本指針は把握していないのが今の現行の指針だと思うんですけれども、次の改正では、当然そこはフォローアップすると思いますが、その改正までの間の対応で、基本的指針がフォローしていない部分で、何か支障があり得ることというのはないでしょうかという点を確認したいんですけれども、よろしいでしょうか。
【小泉委員長】 はい、ありがとうございます。
質問とご意見がありましたけれども、事務局のほうから回答いただけますか。
【髙瀬鳥獣保護管理室室長補佐】 ご質問ありがとうございます。環境省の髙瀬です。
まず1点目、人材バンクについて回答いたします。要件についてはございまして、もともと緊急銃猟を実施する者の要件を鳥獣保護管理法の施行令で定めておりまして、ご指摘のように経験等の要件を設けてございます。この人材バンクについては、自治体において、その要件を満たしていると考えている方を推薦いただいて、登録をするという形を取っております。
ただ、その自治体において、法律上のその要件を満たしているかの確認までは行っておらず、このバンクはおそらく要件を満たしているであろうというような方を登録いただいて、実際に要件を満たしているかどうかの確認自体は、実際に緊急銃猟、この人材バンクで紹介された方に緊急銃猟の実施の委託または指示をして、実施をしようとする自治体が緊急銃猟の実施の委託等をする前に確認をするということにしております。
それから、緊急銃猟の研修の候補地に関して、こちらはご意見だったかと思いますけども、回答させていただきますと、こちらについては全国の都道府県に希望するかどうかというところを、希望の調査をさせていただいて、その中から今年度5か所開催するという枠自体は決定していたところ、その中でも、希望をいただいたところの中でも、よりクマの出没の状況が多いというようなところを総合的に判断して、また、なるべく全国でバランスよくできるように選定をして、今回の5か所になっているというところでございます。
ただ、今年度で環境省直轄のこうした研修会は終わりということではなくて、予算が許す限りは、先、数年もこうした直轄の研修会は実施したいと思っておりまして、例えば来年に近畿で実施するということはあり得るのかなと思ってございます。
それから基本指針についてのご質問ですけれども、基本指針の改正がまだ行われていないことによる緊急銃猟への影響はないというふうに考えています。
これは少し分かりにくいのですけれども、緊急銃猟に関して、この点検の中で見直したいと考えておりますのは、緊急銃猟の考え方そのものを基本指針に入れるということではなく、緊急銃猟はあくまで最終手段であり、むしろ山野での必要な捕獲だとか、山野から人の日常生活圏に出さないための侵入防止の取組、こうした対策が平時から行われることが必要であるということを、むしろ自治体における政策の中に考えとして入れるべきであろうということを書き込むということであります。
これ自体は令和9年4月1日に施行することになっている鳥獣保護管理法の改正事項の中に入っておりまして、これを踏まえて、令和9年4月1日の施行に向けて、まずは基本指針を改正し、この基本指針を基に都道府県が作成する鳥獣保護管理事業計画にもこうした考えを入れていただくということになります。
緊急銃猟自体は法律上、実施の条件が明確になっておりますので、特にこうした基本指針において考え方を示すまでもなく、実施ができるということで、この基本指針の改正を待たずに、実際に運用を開始しているというところでございます。
回答は以上でございます。
【小泉委員長】 それでは、Webから日向野委員、それから宮本委員、お願いします。
【日向野委員】 大日本猟友会の日向野でございます。ご説明、大変ありがとうございました。
既に緊急銃猟が9月1日から実施されて1か月がたちますが、全国の各市町村では大変混乱をしておりまして、一つは実施主体となるところが各市町村、実施権者が市町村なんですが、各市町村の鳥獣被害の対策業務に関わる職員の数が非常に少ないという状況の中で、緊急銃猟を実施できるその4条件、これをしっかり確認ができる、そういった職員がいないということです。
銃猟経験がない、そういった職員がクマの行動特性に加えて、銃器の扱い、さらには発射させた場合の弾道、銃を向けた先の安全確保、そういった安全確保が経験のない職員が果たしてできるのかというふうなことで、非常に混乱をしています。
人材育成に関しましては、一定の方針が出されましたが、来年度の国の概算要求に関しましては、専門人材の雇用・育成、さらには体制構築の支援ということが来年度の概算要求で盛り込まれています。もう既に実施がされているのに、人材育成に関してはなぜ来年度なのかと。9月の補正、または今後の補正でも、そういった対応ができなかったのかというふうなことで、非常に心配をしています。
それと、9月20日、いわゆる緊急銃猟が初めて、法施行後初めて実施をされました。多分、山形県の鶴岡市だったと思いますが、当該市長が発砲許可をしましたけれど、結果として、現場に指示が行き渡る前にクマが動いてしまったと。いわゆる待機をしていた猟友会の会員に向かってきたので、警察官が職務執行法に基づいて、発砲許可を命じて許可をされたということです。まさしくその現場の確認がしっかりできていないと、時間がかかって、初動体制が対応できないというふうなこと、これは緊急銃猟に携わる従事者の危険性にも及ぶところなので、そういったところを制度的にはしっかり見直す必要があるのではないかというふうに考えています。行政機関の中で、判断を順次的にやっていくタイムラグ、そういったものが現場の実態にそぐわないというふうなことで、非常に危惧しています。
それと、先ほどお示しをされました、クマハンターバンクですけども、クマの人材ハンターバンクですけども、各市町村の従事者に対しては基準があまり明確になっていません。これはもう少ししっかりとした基準を明確にして、緊急銃猟に対応できるような、そういうふうな体制整備をしていただきたいというふうに考えています。
既にスタートしている中で、現場の対応も待ったなしの状況ですので、早急な、それぞれの対応についてはご検討いただければというふうに思っております。
以上です。
【小泉委員長】 それでは、宮本委員、お願いします。
【宮本委員】 ご丁寧なご説明、ありがとうございました。質問が一つと、多少意見がございます。
質問は危険鳥獣、クマ等となっているんですが、これはヒグマとか、ツキノワグマ、イノシシだけではなくて、例えば私用施設から逃げ出した特定動物等も緊急銃猟の対象となり得るということかどうかについて、ご教示いただきたいと思います。
ここからは意見なんですけれども、直接対応に当たる方々とか、中山間地の方々だけではなくて、市街地、都市部とか都市近郊の住民も含めて、野生動物にどう向き合っていくかという議論を改めてするような機会とか、全国的に意識を高める施策等を環境省としてぜひ進めていただきたいというふうに考えます。
私は植物の調査で結構一人で山に入ることが多いので、野生動物と遭遇するというのは日常的なんですけれども、積極的に攻撃されなかったというのは、多分、中山間地の地域の住民の方々が何らかの形で野生動物に圧力をかけてくださっていたので、私に対しても人間の一人だということで、見過ごしてくれていたという面があるかと思うんですけども、都市部で野生生物の存在を全く意識せずに生活できるようになったというのは、せいぜい多分この数十年ぐらいにすぎないと思います。
一方では、教育の面なんですけども、小学校の理科の指導要領に、自然を愛する心情を育てるとか、生物を愛護する態度を育てるという目標があるんですが、じゃあ、愛護するというのは具体的にどういうことなのかというのは、これはなかなか教えにくいと。結果的には、情緒的な、道徳的な教育ということをしていく、まさかヒグマにパンを投げることが愛護だというふうに思っている方がいらっしゃるとは思わないですけれども、そういう考え方があったり、あるいは、野生生物を殺すということに非常に抵抗感を覚える方がいらっしゃるというのもまた事実だと思いますので、科学的な根拠とか施行方法で対応していくということを教育の場とか、それから一般市民の方々への広報的な意味も含めて全国的に、何ていったらいいんでしょうかね、野生生物と共存とか共生というのは、かなり広域では正しいことだと思うんですが、こういう事態になってくると合理的なすみ分けみたいなことが重要になるかと思いますので、そういう意味も含めて、ちょうどメディアでかなり報道され、注目が集まっているのは、こういう機会を捉えて少し全国的なコンセンサスを醸成するような機会というのを環境省としておつくりいただけないかというふうに考えます。
以上でございます。ありがとうございました。
【小泉委員長】 ご意見とご質問、それから現場からのご指摘とありましたけれども、事務局のほうから回答いただけますでしょうか。
【髙瀬鳥獣保護管理室室長補佐】 ご質問に回答させていただきます。
危険鳥獣の中に動物園から逃げ出したものが含まれるかどうかということですが、含まれません。鳥獣保護管理法では野生鳥獣が対象となっておりまして、動物園から逃げた動物については飼われている動物、野生鳥獣ではないというふうに把握されるので、こうした鳥獣については危険鳥獣にはならないというふうになります。
それから、現場からのご指摘ということのご指摘をいただきましたけれども、まず鳥獣保護管理法の緊急銃猟については、何ていうか、クマが柿の木に執着していて全く動かない状態ですとか、あるいは河川敷にいてじっとしているとか、こうした状況において、安全確保をして、または、そのための必要な手続を行った上で実施をするというような制度となっています。ある種、クマが襲いかかってくるような生々しい状況で対応するような法制にはなっておりませんで、こうした状況については警察官職務執行法による命令によって対応するという想定でございます。こうした点についてはガイドラインに記載をして自治体にご案内をしているところでありまして、鶴岡市の例では、まさに連携体制を取って、ガイドラインに沿って対応いただいたものというふうに理解をしています。
それから法改正の経緯として、もともと、特に秋田だとか北海道の自治体においては、先ほど申し上げたような膠着状態で、本当は今なら技術的には撃てるのにというようなことを自治体の方あるいはハンターの方が考えていたときに、当時の法制では警察官職務執行法も含めて、そうした膠着状態では銃による対応ができないということになっておりました。今回の緊急銃猟については、まさに、要は、実力はあるけれども法律上できなかったような自治体、ハンターの方に対応いただけるものというふうに理解しておりまして、現に鶴岡市のほうでは、最終的に発砲こそなかったわけですけれども、緊急銃猟の実施の判断自体は行われているというところであるかと思います。
こうした実力を持っている自治体については今申し上げたとおりなんですが、そうではない自治体で緊急銃猟による対応を目指している自治体については、先ほどの資料でもご案内しましたけれども、我々としても説明会だとか研修会を重ねているところでありまして、こうした取組については、もう施行したら終わりということではなく、これからも引き続き丁寧に取り組んで支援をしていきたいというふうに考えております。
私からは以上でございます。
【佐藤鳥獣保護管理室室長補佐】 すみません、補足になります。
日向野委員から、自治体への支援というか、緊急銃猟に対するいろんな支援が来年からなのかというお話がありました。確かに、来年度要求で人材の雇用とか、そういったものを要求したのは事実でございます。また、決して来年度からというわけではなく、今年度からも一部交付金等で留保しまして、緊急銃猟の対応に必要な訓練の実施、自治体さんがやる訓練の実施を支援したりとか、必要な物品を買うとか、そういったことは支援を開始しているところでございます。
以上、補足でございます。
【小泉委員長】 佐々木室長、お願いします。
【佐々木鳥獣保護管理室長】 はい、ありがとうございます。
ちょっと繰り返し的なところもあるかもしれませんが、先ほど申し上げたとおり、緊急銃猟の制度は万能なものではないと思っております。膠着状態であるとか、かなり限られた状態でしか使えないという部分もございます。なので、そこの制度のことをよく理解していただいて、従来の警察官職務執行法と合わせていくとか、もしくは、許可での捕獲ですね、おりを使って捕獲するとか、そういう様々な手法を組み合わせて現場は対処していくものというふうなことで、ガイドラインにもそういったことは書かせていただいているところでございます。
やっぱり対応に時間がかかるとか、そういった声も報道とかでございます。そのためには日頃の訓練が大事じゃないかと思っていて、環境省でも直轄の訓練をやっているのですけど、先ほど申し上げたその交付金を9月から追加で配付しまして、都道府県においてもそういう市町村の訓練の支援をやれるようにしていて、実際にそういう訓練が各地で始まっていたりもしておりますので、引き続き円滑な制度の執行ができるように努力してまいりたいと思います。
【小泉委員長】 はい、よろしくお願いします。
それでは、時間が参りましたけれども、もう一件、その他として、釧路地域における太陽光発電施設の開発について報告がございますので、もう少しお付き合いいただきたいと思います。
また、勢一委員はちょっと移動の件がありまして、中座させていただきますので、ご了解ください。
それでは、報告をお願いします。
【笹渕野生生物課課長補佐】 野生生物課の笹渕と申します。私のほうからご報告をさせていただきます。
報道等でも皆さん関心を持ってご覧になっている方も多いと思いますが、釧路地域における太陽光発電施設の開発についてということで、その他の報告事項としてご説明をさせていただきたいと思います。
なぜこの野生生物小委員会でこの件を報告するかというところを最初に簡単に補足をしておきたいと思います。今、報道等でいろいろと釧路の太陽光発電の問題を取り上げられていますが、その発端になったのがオジロワシ、それからタンチョウといった希少種への影響を懸念する声が地域からが上がってきて、だんだん問題が大きくなってきたというふうに、発端として野生生物の問題があったというところがございます。本件、野生生物の問題に限らない、再生可能エネルギーと地域の共生の大きな問題ではありますけれども、そうした経緯もあること、また、委員の先生方もご関心が高いというふうに思われることから、その他の報告事項の中で報告をさせていただきます。
では、スライド、次のページをお願いします。
1枚目の内容は、今問題になっている太陽光発電施設の概況について。下のほうに経緯がたくさん並んでいますけど、ちょっと時間も限られますので、細かくはご説明しませんが、上のボックスの中にございますように、釧路湿原国立公園の周辺の地域において、近年、太陽光発電の施設が増えてきており、釧路市においてもそういったメガソーラーを抑制するような動きが始まっていたということがございます。特に、昨年以降、国立公園の外ではありますけれども、大阪を本社とする事業者が実施するメガソーラーの案件が地元とのあつれきを生んでいたということで、いろいろと報道等で取り上げられてきたというところでございます。2件あって、昭和地区と北斗地区がございますが、後ほど北斗地区のほうについては説明をさせていただきますけれども、こちらの工事の様子がSNS等で取り上げられて、著名人らも関心を持つというような動きになっているというところでございます。
先に3ページ目ですけれども、釧路のメガソーラー、太陽光発電施設が増えているという話をしましたが、左側の表を見ていただきますと、釧路市や周辺の4市町村の状況を釧路のメガソーラーの、太陽光発電施設の設置数の推移を書いておりますが、約10年前は、釧路市は96件ということで100件弱だったところが、2025年、最近ですと600件を超えるようになってきている。下のほうにグラフもつけていますけども、右肩上がりに増えてきた状況です。
右側の図は、実際にどういう場所に設置されているかというのを示しておりますけれども、釧路湿原の国立公園の中でたくさん増えているという状況ではありませんが、その周辺の海岸線沿いですとか、市街地、あるいは、その道路沿いに太陽光が増えてきているという状況がこの図を見てもご覧いただけると思います。
次のスライドをお願いします。
実際、報道等で取り上げられている事業の概要ですけれども、釧路市の北斗地区というところでやられている事業でございます。発電規模は1,937kWということで約2MW弱です。6月から工事を開始しています。環境省の所管法令との関係を整理していますが、地図でもお示ししているとおり、国立公園の区域の外での案件、近い場所ではあるんですが、外での案件であるということです。種の保存法の関係で申し上げますと、先ほど冒頭に紹介しましたオジロワシ、タンチョウというのは国内希少野生動植物種にはなりますが、個体の捕獲ですとか損傷などを伴うような工事ではないので、そうしたその規制の対象とはならないと。それから環境影響評価法の関係で申し上げますと、法律で定められているアセスの規模要件というのがございまして、太陽光発電ですと、必ずそのアセスを実施しないといけない第1種事業で4万kW、第2種事業でも3万kW、それから北海道の条例でも、第2種事業で2万kW以上というふうな定めがあって、今回の規模はそういった北海道の条例の第2種の規模よりも10分の1程度ということで、なかなか既存の法律では対応できないというような状況になってございます。
少しスライドを戻っていただいて、経緯のところです。現在、この経緯のところで並べていますけど、釧路市のほうでガイドラインを策定したりですとか、ノーモアメガソーラー宣言をされたり、それから最近ですと、その条例を策定して、こうした動きを抑制していこうということで、先月9月17日に議会で条例が可決されたという状況になっています。環境省、国のほうでも、関係省庁連絡会議を立ち上げて、釧路の案件に限らず、再生可能エネルギーと地域の共生の課題をこうした関係省庁連絡会議の中でそれぞれ共有をして議論しているということです。経緯の中にもございますけれども、例えば文化財保護法ですとか、森林法といった、こうした再生可能エネルギーとその地域との共生については、関連する法律が多岐にわたるものですから、関係省庁と連携しながらこうした対応を検討していくということになってございます。
それから、本日の報告事項の最初に、種の保存法の在り方検討を今後進めていきますという説明をしましたけれども、この在り方検討の中でも再生可能エネルギーと希少種保全の課題については議題の一つとして取り上げていきたいと考えているところでございます。
私の説明は以上となります。
【小泉委員長】 はい、ありがとうございます。
それでは、委員の皆さんからご意見、ご質問をお受けしたいと思いますが、時間も限られますことから、この件に関して事を正すというよりは、この件は今後、種の保存法、再エネと野生生物との保存の在り方について別の検討委員会で審議されるということですので、これからこういった問題をどういうふうに審議していったらいいかという視点からご発言いただければというふうに思いますので、この点、お含みおきいただきますようお願いいたします。
それでは、会場は名札を立てて、それからWebは挙手ボタンでお願いします。
それでは、宮本委員、お願いします。
【宮本委員】 はい。手短に申し上げます。
この件に関連して、2022年に再エネ施設に関するポジティブゾーニングのハンドブックというのが出されているんですけれども、これは自治体主体でゾーニングを行うものというふうに私は理解しているんですが、全国的にゾーニングがうまく進むかどうかというような観点から、ぜひその環境省のほうの助言とかご指導が必要ではないかなというふうに思います。
というのは、2023年辺りからなんですけれども、私とか、それからほかの研究者に希少植物の分布の地点を全部教えてくれというような要請がかなり来るようになりまして、これは自治体の方もそうなんですが、どちらかというと建設関係のコンサルティング会社などから直接いただくことがあって、もちろんマル秘ですから出してはいないんですけれども、どうもゾーニングの件で太陽光発電を計画している、あるいは、ここなら作れますよというような提案をするための基礎資料にするという傾向がちょっと見られますので、そういうことも含めて、ちょっとご注視いただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
【小泉委員長】 はい、ありがとうございます。
ほか、ご意見、今のところありませんので、事務局のほうから回答をお願いします。
【笹渕野生生物課課長補佐】 はい。ご意見、ありがとうございます。
やはり野生生物の保全という観点だけじゃなくて、今おっしゃっていただいたとおり、ゾーニングの中で適正な再生可能エネルギーを進めていくところでは進めていくし、抑制するところでは抑制していく、そうしたゾーニングの考え方は非常に重要だと思いますので、この野生生物と再エネの在り方の中でもきちんと検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
【小泉委員長】 ほか、ご意見ないようですので、本件についてはこのぐらいとしたいと思います。
それでは、時間を若干、若干というか結構オーバーしてしまいましたけれども、本日の審議はこれまでとしまして、以降、進行を事務局のほうにお返しいたします。
どうも皆さん、ご協力いただきましてありがとうございます。
【事務局】 小泉委員長、議事進行、ありがとうございました。
委員の皆様におかれましても、長時間にわたるご審議、どうもありがとうございました。
本会はこれで閉会といたします。皆様、ありがとうございました。