野生生物小委員会(令和6年度 第35回) 議事録

開催日時

令和7年2月4日(火) 15:30~17:30

開催場所

AP虎ノ門3階I・Jルーム(Web会議システム併用)

出席者

委員長 石井  実    
委員 小泉 透 勢一 智子  
臨時委員 五箇 公一 水田 拓  
専門委員 青野 光子  白山 義久 寺田 佐恵子
  桝  太一 三谷 曜子 宮本 旬子
  森本 淳子 八代田 千鶴  
環境省 植田自然環境局長 飯田官房審議官  
  中澤野生生物課長 佐藤鳥獣保護管理室室長代理 荒牧希少種保全推進室長
  松本外来生物対策室長 七目木野生生物課長補佐 福島希少種保全推進室室長補佐
  北海道地方環境事務所
西野野生生物課長
えりも自然保護官事務所
熊谷自然保護官
 

議事録

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会(第35回)を開会いたします。
 本日はお忙しい中、ご出席ありがとうございます。会議に先立ちまして、出席委員数のご報告です。
 本委員会は、全委員16名のうち、委員・臨時委員6名中、この会場に対面及びWeb会議システムによる参加人数は5名のご出席であり定足数を満たしておりますので、本委員会は成立しております。
 次に、本日の会議運営についてご説明いたします。本会議の傍聴につきましては会場での傍聴は行わずYouTubeにてライブ配信を行っております。ご了承ください。
 Web会議システムでご参加されている委員の皆様におかれましては、可能な限り常時ビデオボタンをオンにしていただいて、各委員のお顔が表示されている状態にしてください。なお、マイクは発言時以外を除き、ミュートにしてください。ご発言を希望される際は、画面下部の手のひらマークをクリックしていただきますと、黄色モードにて挙手状態となります。委員長からご指名を受けご発言が終わりましたら、再度、手のひらマークをクリックして無色モードに戻してください。
 本日、会議室に対面でご参加の委員の皆様におかれましては、ご発言の際は名札を立てていただいて、委員長からのご指名後、お手元のマイクをオンにしてご発言願います。発言終了後はマイクをオフ及び名札を元に戻してください。
 資料につきましては、あらかじめ委員の皆様には電子データを送付しております。また、環境省ホームページの野生生物小委員会のページにアップロードもしております。なお、会場にお越しの委員の皆様には、資料一式ご用意しております。各資料は、議事次第2ページに記載の資料となっております。過不足等がございましたら、事務局にお声がけください。
 それでは、ここで自然環境局長、植田よりご挨拶を申し上げます。
【植田自然環境局長】 皆さん、こんにちは。自然環境局長、植田でございます。
 本日もお忙しい中、委員の皆さんお集まりいただきまして、ありがとうございます。リアルでご参画をいただいております先生方、そして、オンラインでご参画をいただいている委員の皆様もありがとうございます。本日の議論もよろしくお願い申し上げます。
 本日は、いろいろと広く多分野にわたった議論をお願いしたいと思っております。諮問案件は二つありますけれども、一つ目は、えりも地域のゼニガタアザラシの希少鳥獣管理計画の変更でありますけれども、これについては、現場からも北海道地方環境事務所、えりもの保護官が参っておりますので、ぜひ実態を聞いていただければと思います。
 それから、二つ目は保護増殖事業計画ということで、イヌワシや南西諸島の陸産貝類のご議論をいただければと思っております。
 あとは、報告事項が幾つかございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 最近の話題で申し上げますと、野生生物関係は、本当に多岐にわたっていろいろやっておりますけれども、今国会では、市街地でのクマの銃猟が安全確保の上でできるような緊急銃猟の制度を、ぜひ今国会に提出をしたいという気持ちで、今、調整をしているところであります。その辺りも、また追ってご報告申し上げます。
 いずれにしましても、先生方の今の任期の最後の委員会になると思います。どうぞよろしくお願い申し上げてご挨拶とします。ありがとうございます。
【事務局】 ありがとうございます。
 これからの議事進行につきましては、石井実委員長にお願いすることといたします。石井委員長、どうぞよろしくお願いいたします。
【石井委員長】 承知しました。皆さん、こんにちは。石井でございます。
 前回は9月ということで、5か月ぶりということになります。今回は、かなり議題が多く、諮問事項が2件、それから報告案件、そしてその他ということになっています。要領よく進めたいと思います。議事進行に、いつものように協力お願いします。またいつものように、皆様方には活発なご議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 本日の委員会ですけれども、YouTubeチャンネルにおいてライブ配信していますので、報道関係者や一般の方もご覧になっています。
 なお、議事録につきましては、後ほど事務局が作成し、本日ご出席の委員のご確認を受けた後、私、委員長が了承した上で公開することをご了解いただきたいと思います。
 また、会議資料につきましても、公開となります。
 それでは、早速ですけれども、最初の議題です。諮問事項「えりも地域ゼニガタアザラシ特定希少鳥獣管理計画(第3期)の策定について」ということで、事務局からご説明をお願いいたします。
【北海道地方環境事務所】 北海道地方環境事務所野生生物課の西野と申します。
 えりも地域のゼニガタアザラシの希少鳥獣管理計画について、ご説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
 諮問事項は、資料1-1のとおりでございます。
 資料1-2の概要資料を使いまして、計画の概要につきましてご説明をさせていただきます。
 まず、背景情報としまして、ゼニガタアザラシについて簡単にご紹介をさせていただきます。
 分類としましては、鰭脚目のアザラシ科ということで、環境省レッドリストの準絶滅危惧種となってございます。
 1年を通じて沿岸域に生息しておりまして、春に岩礁上で出産をします。
 食性としましては、タコやイカ、それから魚を食べるということでございます。
 国内の分布でございますが、襟裳岬周辺のほかに、道東の沖合にも上陸場、あるいは繁殖場がございます。
 襟裳地域の個体群に関しましては、この道東とは遺伝的に独立傾向があるということが過去の研究で分かっております。また、襟裳岬は分布の南限であり、国内最大の上陸場となってございます。
 この計画の目的の一つに漁業との共存がありまして、関連する情報として、被害の状況についてまとめたものでございます。この棒グラフが、秋の定置網のサケの捕獲尾数でございます。オレンジ色になっているのが、そのうちの被害を受けている尾数でございます。また、被害割合を折れ線で示しております。
 ご覧になって分かるとおり、2015年以降、極端に不漁が続いているということで、漁獲自体がかなり減っているということでございます。被害の状況も、数としては少なくなってきていますが、これは全体の漁獲もかなり下がっているということも影響しているかなと思います。後ほどご説明する被害対策の効果ももちろん出ているとは思いますが、漁獲がかなり下がっているという状況も考慮する必要があるかなと考えてございます。
 現行の2期計画の評価の概要についてご説明いたします。
 まず、取組として、被害防除ということで、2点取組をしてきました。
 一つは、定置網にアザラシの侵入を防ぐための格子網というものを設置してございます。
 また、もう一つとして、音響によりアザラシを近づけない忌避装置というものを試行しました。
 結果でございますが、格子網につきましてはアザラシの侵入を防ぐということに関して効果が見られました。ただ、少し課題もありまして、改良が必要だということでございます。
 忌避装置につきましては、試行したのですが、ちょっと機材が、船の上で使うには大き過ぎるということもありまして、明確な効果というのを得ることができませんでした。
 格子網のご紹介でございます。
 この定置網の魚が入ってくる入り口のところにアザラシが入れない、かつ魚が通れるという格子網を設置して、アザラシの侵入を防ぐというものでございます。
 アザラシの侵入を防ぐこと自体はかなり効果が見られるんですが、これに海藻等が付着してしまって魚も入れなくなるというような状況も漁師さんから報告いただいていまして、これを常につけ続けるというのはなかなか難しく、万能ではないかなというようなご意見をいただいております。
 次に、個体数の管理、捕獲でございます。
 定置網に捕獲用の網を設置するなどして、計画的にアザラシの捕獲を行いました。頭数としては、概ね毎年50頭を5年間捕獲してきたということでございます。
 このグラフは、アザラシの個体数の推定に使っております襟裳岬の岩礁に上陸しているアザラシのその年の確認された最大の個体数というのをグラフで示しております。青線が、長年調査を継続されているゼニガタアザラシ研究グループの目視によるデータでございまして、オレンジのものは同じ目視調査ですが、東京農業大学さんのデータをいただいたものでございます。また、近年ドローンによる調査も環境省のほうで行っておりまして、そのデータも載せております。
 いずれも少しピークの位置が変わっておりますが、近年減少傾向が出ておりまして、このデータを基に個体数推定を行いましたところ、2期計画では、計画開始時、1,000頭の8割に減らすという目標を立ててやってきましたが、その8割程度というのは達成できたということで、個体数については8割を下回る数まで減少しているということを評価いただいています。
 個体数推定について、後ほどもう少し詳しくご説明いたします。
 この調査ですが、年度によって、調査の頻度が異なることですとか天候による影響も受けますので、ある程度誤差も含むということをご承知おきいただければと思います。
 続いて、第3期計画(案)の概要について、ご説明いたします。
 名称は、えりも地域ゼニガタアザラシ特定鳥獣管理計画(第3期)でございます。
 計画期間は、2025年4月から5年間を考えております。
 計画期間中には中間評価を実施すること、また、毎年の事業の内容につきましては、毎年実施計画というのを別につくりまして、評価を行い、翌年度の事業に反映させるというプロセスを踏むことで考えております。
 2期計画からの主な変更点について、ご説明いたします。
 まず、背景の記載に関しましては、アザラシが昆布などの栄養塩供給に寄与している可能性が示唆される論文が発表されましたので、そのことについて触れている。また、観光資源として活用されているということも背景情報として記載をしております。
 また、目標ですが、2期計画では、絶滅確率10%未満を確保しつつ、計画開始時の8割程度へ低減するということを目標としておりましたが、3期計画では、この水準を維持して、引き続き絶滅確率10%未満を確保ということで、個体数を低減するという2期計画の目標から、維持をするというところに切り替わっているというところが、大きなところかと思います。
 そのほか被害防除、それから地域社会の将来との共存というところも記載をしております。
 また、これまでも同様に、順応的な管理ということをやりましょうということでうたってきたんですが、改めて、この図示した順応的な管理をやりますということを明記しておるということでございます。
 それから、具体的な目標についてご説明いたします。
 まず、アザラシの持続可能な個体群レベルの維持ということで、「100年以内に絶滅する確率が10%未満であること」を確保するということを前提といたしまして、2期計画で80%程度に低減させることができていますので、これを維持しましょうということ。
 それから、漁業被害等の状況、あるいは自然災害等において不測の事態が起こった場合には、中間評価などを行いながら見直しも行いますということ。
 それから、生息個体数の推定や評価等につきまして、さらなる改良手法の確立等へ向けて取り組むということを目標としております。
 漁業被害の軽減につきましては、これまで開発してきた格子網等の改良ですとか、後ほど説明しますけど、音響装置についてもよりよい方法がないかということで、さらに改良、普及を務めていきたいということでございます。
 また、その効果を検証して、地域にフィードバックしていくということをやりたいということを記載しております。
 また、地域社会との将来にわたる共存に向けた取組の推進ということで、地域の関係者に入っていただいた保護管理協議会というものがございますので、そういう協議会を通じて、いろんな知見、あるいは合意形成を図っていきたいというふうに考えております。
 こちら、地域との関係の例示ということで写真を紹介させていただいていますが、今日は現場のほうからも保護官が来ておりますが、保護官が出前授業をしたりとか、学習観察会を行ったりとか、そういうことをやっておりますし、漁業者の方も入っていただいた協議会というものも地元で開催して、毎年の事業計画等を議論させていただいております。また、観光での活用という意味では、アザラシを観察する昆布ボートクルーズというものを地元で実施されているということを承知しております。
 個体数調整につきましては、現状、格子網や防除手法だけでは、なかなか完全に被害を避けられないという状況も踏まえまして、捕獲は実施しますということです。
 また、捕獲については、順応的な管理の観点や病気等の不測の事態への対応を可能とするため、毎年、実施計画において具体的に定めていくということを書いております。
 また、捕獲技術の開発や確立により、定置網に、特に被害に直結する定置網に執着している個体を優先的に捕獲するということを考えてございます。
 また、捕獲した個体から、管理に資するためのデータの収集や研究利用に努めるということ、それから、可能な場合は動物園や水族館への譲渡など、有効活用もしっかりやっていきたいということでございます。
 また、致死させる場合は、苦痛を与えない方法で実施を行う。これまでもやってきましたけども、引き続きそのように行いますということでございます。
 それから、個体数推定のことでございます。これは毎年行っていただいているんですけども、先ほどご説明した最大上陸数のデータや捕獲の結果等を基に、個体数の動態モデルをシミュレーションしていただいております。
 表示しているのは、今後、毎年20頭ずつ捕獲していった場合にどうなるかというものでございます。
 最新のデータで個体数推定を行いますと、大体600頭弱ぐらいという算出がされております。
 今後も上陸数のデータとかが変動してきますので、毎年この推定モデルを行いながら、絶滅確率が上がらない、減少傾向にならないように捕獲数の設定を行っていくということで、来年度はかなり大幅に捕獲数を減らして、被害を及ぼしている個体の捕獲を、20頭を上限として行うということで、今、地元と調整をしておるところでございます。
 それから、被害防除対策についてでございますが、アザラシの行動特性を踏まえて、これまでの防除格子網の改良を進めていきますということを、まず書いております。
 それから、音響装置について、2期計画で1回試したんですけれども、そのときはちょっと機械の大きさ等でなかなか取り回しがうまくいかないということもあって成果が得られなかったんですけども、最近、海外の文献を調べますと、より小型で海外では成果を出している事例があるということが確認できましたので、3期計画の間に、このような、よりよい忌避装置というものを試行したいと考えてございます。
 次に、モニタリングにつきましては、これら各項目について、これまでもデータを収集し、管理に役立ててきたところですけども、引き続きしっかりとデータを取っていきたいというふうに考えてございます。
 また、実施にかかる体制につきましては、地元の漁業者さん、あるいは役場等に入っていただいたゼニガタアザラシ保護管理協議会というものをつくっておりますので、そこで事業の結果の評価ですとか合意形成、連絡調整等を図っていきます。
 また、科学的なモニタリングデータの評価ですとか先ほどのシミュレーションにつきましては、別途、ゼニガタアザラシ科学委員会というものを構成しておりまして、有識者の方々に助言をいただきながら、その結果も協議会に報告しながら管理を進めていきたいというふうに考えてございます。
 最後に、改定案に関する意見聴取の結果でございます。
 まず、保護管理協議会につきましては、1月28日に行った会で、漁業関係者含め、参加者からの賛意を得ることができております。
 また、北海道、それからえりも町には文書でも照会を行いまして、賛成ということでいただいております。
 ご説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【石井委員長】 どうもご説明ありがとうございました。
 資料の1-2でご説明いただきましたけれども、本体は1-3ということだと思います。
 実は、私も10年前に北海道事務所の方と石井信夫先生と一緒に、えりもの漁協に行ったことがあります。アザラシが、いわゆる金庫網というトラップ上の漁網の中に入って、漁船が近づくと逃げていく。そして食べ方がよくなくて、パクッと全部食べてしまうのではなく、食い散らかすという形なんですね。それで、かなりお困りかつお怒りというような雰囲気でした。
 一方で、「風の館」といいましたかね。観光施設があって、襟裳岬は物すごく風が強いところで、私も体験しましたけども、この施設では強風の体験ができるとともに、大きな展望スペースがあって、そこから岩礁にゼニガタアザラシが上陸している様子がよく見えるんですね。このアザラシは地域の観光資源でもあるわけです。それで、第1期の計画が策定されたという経緯になっています。初めての方もおられると思うので、ちょっと余計なことを言いましたけども。
 それでは、この計画が第3期に更新されるわけですけれども、ご提案のような内容でよろしいかどうか、ご意見を伺いたいと思います。
 それでは、会場の方は名札を立てていただいて、それから、オンラインでご出席の皆さんは手のひらボタンを押すという形でお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 では、小泉委員。
【小泉委員】 ありがとうございます。2点教えてください。
 一つは、資料1-2のスライド15ですね。個体群動態モデルが示されていますけれども、自然増加率がどのぐらいなのか。それと、自然増加率は経年的に安定しているのか、それとも年によって大きく変動するのかというのが1点です。
 それから、もう一点が4枚目のスライドですね。漁獲量が大きく減少する中、協議会の中で、漁業者の方の意見というのはどんな意見が出ているのか教えていただけますでしょうか。
 以上です。
【石井委員長】 では、事務局、お願いします。
【北海道地方環境事務所】 まず、協議会での漁業者さんの状況でございますが、やはり漁獲は減っていますが、その中で、やっぱりかなり厳しい状況の中で、やっぱり多少なりとも被害があるということで、そのことはしっかりと認識して管理を行ってほしいということをご意見としていただいています。
 一方で、漁師さんたちも、アザラシを絶滅させたいと思っていらっしゃるわけではございません。やはり共存ということを漁師さんたちも思っていただいているかなと認識しております。
 ただ、この厳しい状況の中、やはり被害があるということも十分受け止めてほしいというご意見をいただいています。
 続いて、個体数動態シミュレーションですけども、年増加率はたしか、すみません、5%ぐらいだったかと思います。それで、毎年の出産の状況がどうかというところですが。
【北海道地方環境事務所】 ちょっと出産した個体数を数えるというのがなかなか難しく、その個体を数えているわけではないのですが、目視調査によれば。
【石井委員長】 マイクが入っていないかもしれません。オンラインの参加者は聞こえていないかも。
【北海道地方環境事務所】 毎年、ドローンと目視で個体数の調査はしているんですけれども、出産した数というのを追った調査ではないために、正確な数は捉えられていないかもしれませんが、毎年、約200頭ぐらい生まれているだろうと言われていたのですが、ここ一、二年は100頭未満ではないかなというふうに見ています。それは、目視調査で大体そのような数が出ているということです。ドローンが天候の状況でそのときに飛ばせないことが多かったですので、正確とは言い切れませんけれども、最新のデータとしてはそのような状況です。
【北海道地方環境事務所】 補足しますと、子どもの状況とかも、やはり、より正確に把握できるように、ドローンの調査とかを活用して、今後も引き続き、ちょっとデータの改良には取り組んでいきたいと考えております。
 以上です。
【小泉委員】 ありがとうございます。
【石井委員長】 小泉委員、よろしいですか。
【小泉委員】 はい。
【石井委員長】 それでは、桝委員、お願いします。
【桝委員】 ありがとうございます。一般市民の理解醸成という視点からのちょっとコメントというか、質問なんですけども、拝見していて本当に、各所によく配慮されたすごい適切な管理計画をされているんだなということが伝わってきたんですが、もしこれが、仮に今メディアで報道とかになった場合に、もしかすると引っかかるかもなと思った部分が、捕獲個体の多くがどうしても一歳以下、幼獣になってしまうという事情があるというのは、もちろんそこにすごく事情があるということはよく理解しているんですけども、そこの部分が、もしかすると一般市民の理解という点で引っかかってしまうかなと思うので、その理由も、改めて丁寧に恐らく説明したほうがいいと思いますし、あるいは、幼獣ではなく、なるべく成獣のほうを、より割合を多くするというような工夫もこれからされていくのかなというところをちょっと伺いたく、コメントしました。
【石井委員長】 では、事務局お願いします。
【北海道地方環境事務所】 2期計画までは、捕獲方法として、定置網に設置する捕獲網と、それから、それだけだとなかなか予定の数が不足するということで、刺し網の捕獲というのも行ってきました。どちらかというと、刺し網のほうが幼獣は獲れやすいという傾向にあったのですが、先ほどご説明したとおり、3期計画は捕獲数も大分減らしますので、刺し網のほうは当面使用せずに、やっぱり加害個体、成獣の個体を中心に捕獲をするという、今までもそのつもりではあったんですが、よりそちらの方向にシフトしていくということで、改良ができるかと考えております。
【桝委員】 ありがとうございます。丁寧に説明すれば、きっと理解してもらえると思いますので、ぜひよろしくお願いします。
【石井委員長】 桝委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 では、オンラインで白山委員、お願いします。
【白山委員】 白山です。
 この地域、日高山脈、襟裳、十勝、国立公園になったわけですが、国立公園になって、ゼニガタアザラシの存在意義というのは、多分少しは上がっているんじゃないかと思うし、また、利活用、観光資源になっているという先ほどお話もありましたけれども、先ほどの桝委員の一般市民の理解という話から言うと、多くの人に見てもらうというのにとか、どういう問題があって、どういうふうな個体数の管理をしているかみたいなことを一般の方に丁寧に説明する、あれは展望台みたいなものがあったと思いますけれども、そこをもっと積極的に活用するというようなコメントがあってもよかったかなと思いまして、どういうふうに施設を使うご予定かを教えてください。よろしくお願いします。
【石井委員長】 事務局のほうからお願いします。
【北海道地方環境事務所】 確かに、襟裳岬のところも国立公園に指定されまして、アザラシも重要な構成要素でございますので、国立公園化もきっかけとして、よりアザラシのことについて多くの方に知ってもらうようにしていきたいというふうに考えてございます。
 また、風の館という施設がございまして、そこでも、今でもアザラシについて観察会をしていただいたり、学習会もそこの場でやっていただいたりしているんですけども、引き続き連携をして、訪れた方にもアザラシのことを理解していただくように努めていきたいと考えております。
【石井委員長】 白山委員、よろしいでしょうか。
【白山委員】 はい、結構です。ありがとうございました。
【石井委員長】 では、オンラインの委員を続けていきますね。
 勢一委員、お願いします。
【勢一委員】 ありがとうございます。勢一です。私、専門が法律なものですから、あまり科学的なことを存じ上げなくて、せっかくなので一つ教えてください。
 今回の管理計画の個体数管理の目標ということで、第3期になりますけれども、第2期のものを維持してということで、100年以内の絶滅確率10%未満を確保しつつということで、計画開始時の8割程度へ個体数低減ということをお示しいただいています。この8割程度の基準といいますか、どういう算定で8割になっているのかというところを少し教えていただければと思います。
 一般市民の認知という意味でも、どういう形で順応的管理をされているのかというところを勉強したいとも思いますので、よろしくお願いいたします。
【石井委員長】 では、事務局お願いします。
【北海道地方環境事務所】 8割の基になっているのは、2016年、計画をつくったときに、大体1,000頭ぐらいいるのではないかという推定値がありまして、そこから8割に減らしたとしても絶滅確率が10%を下回ることはないというところを、当時計画をつくっていくときにシミュレーションを行いまして、大丈夫だという確認をいただいているところでございます。
 実際には、8割以下でも大丈夫ではあるんですけど、安全を見てということで、当時この設定になっております。この水準であれば、100年たっても、数がどんどん減っていくというような状況にはならないというシミュレーションの結果を基に、この目標をつくったものでございます。
【石井委員長】 勢一委員、よろしいですか。
【勢一委員】 ありがとうございます。シミュレーションというご説明でしたので、ちょっとそれ以上は私も理解が及ばないところではあるのですが、やはり法制度の観点からいくと、この順応的管理でどのような目標を維持していくのかを制度的に担保するのは非常に悩ましいところがあります。
 現場でデータを持って、しっかり取り組んでいただくしかないわけですけれども、やはりエビデンスが大事だと思いますので、そういうところは市井の専門家にも見ていただけるような形でお示しいただけるとありがたいなと思いました。
 以上です。ありがとうございます。
【石井委員長】 では、続けて森本委員、お願いします。
【森本委員】 ご説明ありがとうございました。
 先ほど、一番初めに質問があったところだと思うのですが、4ページのところで、漁業被害の状況を示していただいたグラフについて、もう一度教えていただきたいのですけれども、漁獲尾数そのものが減っている5番の青い棒グラフなのですけれども、その理由、原因について、何かしらの因果関係の解析をされているのであれば、その状況を教えていただきたいと思いました。
 海そのものの環境の変化、海水温の変化で、例えばサケ、その他の魚が減っているという状況もあり得るかなとは思ったので、その点について教えてください。
【石井委員長】 では、事務局、お願いします。
【北海道地方環境事務所】 なぜサケの漁獲が減っているかというところ、このアザラシのプロジェクトで全てが分かっているわけではないんですが、少なくとも海水温のデータを拝見すると、えりも地域でも近年かなり高くなっているということは情報として持ってございます。
 サケの不漁は、えりもに限らず道内各地で起こっていますので、えりもだけの問題ではないかなと思いますし、海水温がかなり高いというのは影響しているというふうに、漁業者の方、漁協さんからも伺っているところでございます。
 以上でございます。
【石井委員長】 森本委員、よろしいですか。
【森本委員】 分かりました。被害尾数の割合そのものは減っているらしくて、受け入れられている状況のレベルの被害なのでしょうか。ちょっとアザラシだけに(漁獲尾数減少の)責任を負わせるというのはおかしいかなと思ったので、その点ちょっとご指摘させていただきました。
 以上です。
【石井委員長】 事務局、何かありますか。
【北海道地方環境事務所】 被害尾数自体は、数としては減っているのですけれども、ただ、漁獲がそれ以上に減っているということで、漁師の皆様からすると、少ない魚の中で被害が出ているということで、心理的にもなかなか納得できるというものではないというお話は受けています。
 漁獲が少ないことは、すぐにどうにかできる問題ではなさそうですので、この対策の意義みたいなものを漁業者の方にはご説明をして、ご理解いただいているというような状況です。
 以上です。
【石井委員長】 よろしいでしょうか。
【森本委員】 分かりました。
【石井委員長】 では、会場に戻ります。水田委員、お願いします。
【水田委員】 ありがとうございます。
 絶滅確率のところですが、100年以内の絶滅確率は10%未満ということですけれども、これはゼニガタアザラシの種全体の確率なのか、それとも、えりも個体群の確率なのかというのを教えていただけますか。
【石井委員長】 事務局、お願いします。
【北海道地方環境事務所】 当時計算したときは、種全体で計算をしたと聞いております。
【水田委員】 遺伝的に独立傾向があるというのをどう判断するかというところだと思うのですけれども、「絶滅のおそれのある地域個体群」という言葉もありますが、えりも個体群だけで絶滅確率を計算するという必要性はないのでしょうか。
【北海道地方環境事務所】 この10%未満というところは、当時は全体でということで計算をしていますが、先ほどのシミュレーション自体はえりもの個体群で行っておりますので、これを見ながら、これ自体もゼロにならないように、維持できるようにということで管理を続けておりますので、そういう意味では、えりもの個体群の絶滅に向かわないように、ちゃんと計算をしながらやっているということでございます。
【石井委員長】 よろしいですか。
【水田委員】 分かりました。ありがとうございます。
【石井委員長】 ありがとうございます。では、三谷委員、お願いします。
【三谷委員】 ありがとうございます。ゼニガタアザラシについて、私も科学委員会なのでいろいろと中身を知っているのですけれども、やはりモニタリングが重要ということで、順応的管理に関しては。
 モニタリングについては、過去何回か発言をしているのですけれども、やはり長くやっていらっしゃるゼニガタアザラシの研究グループについては、学生を中心としたボランティアベースのものであり、コロナのときなどはなかなかそれができなくて大変だったとか、そういうことがあります。
 なので、ほかの種に関しても、モニタリング個体数センサスなどのモニタリングは全てボランティアベースだということを聞いていますけれども、こういうふうに人間が管理しているようなものに関しては、モニタリングのデータというものが致命傷になりがちなので、モニタリングはなるべくちゃんと国が手を入れるというか、お金のベースがないとできないものであるならば、ちゃんと政策としてモニタリングを重要視してやっていただきたいなというふうに思っています。
 また、合意形成の面に関しては、こちらの場合、やはりアザラシは環境省、けれども、サケとかそういうものは水産庁ということで別々になってしまうのですけれども、やはり、えりも岬とか、ほかに同種がいる根室の方面とかは、北海道でも端っこのほうであって、もうそろそろ漁業なども、その地域全体がかなり高齢化とか、そういう問題がありますので、本来はまちおこしなどと一緒にちゃんと生態系を保全するという取組がなければいけないと私は考えていまして、それは環境省だけの問題ではないんですけれども、やはりサケが減っている、それは人間活動が乱獲をし過ぎてしまったわけでもなく、恐らく環境変動によるものであろうという中で、でも、その少ない資源をアザラシと奪い合ってしまうことになってしまうと、やはり人間のほうもあまり幸せではないということがありますので、もうちょっと生態系全体のこととして、保全したり、あるいはもう省庁を超えて何らかの活動をしていかないといけないかなと私は思っていますので、前線に立っている環境省の方たちはとても苦労されていると思うんですけれども、ぜひとも、そういう取組に関しても、もうちょっとほかの省庁も巻き込んだ形でやっていくほうがいいかなと私は考えています。
 以上です。
【石井委員長】 コメントに近いのですが、何か事務局、ありますでしょうか。
【北海道地方環境事務所】 まずモニタリングに関しましては、おっしゃるとおり、ボランタリーベースで長年活動されているゼニガタアザラシ研究グループをはじめ、データを活用させていただいています。
 ただ、我々も、ドローンの調査は環境省自ら行っておりますので、引き続き、提供いただいているデータも活用させていただきながら、我々もしっかりモニタリングについて行っていきたいと思ってございます。
 あと、他省庁、いろんなところとの連携に関しましては、協議会には道庁の水産担当の方とか役場の方も加わっておりますので、現場レベルでも、そういうところから連携をしっかり引き続きやっていきたいと考えております。
 以上でございます。
【石井委員長】 よろしいでしょうか。
 それでは、またオンラインに戻りますね。
 八代田委員、お願いします。
【八代田委員】 八代田です。ご説明ありがとうございました。
 今回の計画の改定ということで、捕獲頭数の上限を減らして個体群の維持に方針を切り替えるというようなご説明だったのですけれども、そのことを担保するためには、非致死的被害防除対策というのが非常に重要になってくるかと思います。
 どうしても被害が増えてきますと、捕獲してほしいという声が大きくなってくるというのが現状でありますので、防除対策についても、今回の計画期間では力を入れていただければと考えております。
 ここにお示しいただいたように、この忌避装置というのをもう一度効果を検証されるということなのですけれども、忌避効果というのが継続的に使用を続けると効果が小さくなるということは、シカのほうでも指摘されております。それ以外にもう一つ、前回の計画期間でも実施されていた定置網の格子網を改良するなどといった被害防除対策も重要と考えられます。前期でも一定の効果があったということですので、こちらも力を入れて改良を加えていただいて、捕獲だけに頼らず、被害防除しながら個体数を維持できる管理を進めていただければと思っております。コメントになります。
 私からは、以上です。
【石井委員長】 コメントということですけど、何かございますか。
【北海道地方環境事務所】 コメントありがとうございます。
 おっしゃるとおり、忌避装置は、また新しい技術を検証していきたいと思っていますし、格子網についても引き続き改良を続けながら、漁師さんに使ってもらいやすくしていきたいと考えております。
 これらの非致死的な防除手法を拡充することで、捕獲に頼らないふうになっていくといいなと我々としても考えていますので、ご指摘のとおり、防除手法の改良につきましては、引き続き、第3期においてもしっかり取り組んでいきます。
 以上です。
【石井委員長】 よろしいでしょうか。
 ほかはよろしいですか。たくさんのご意見、どうもありがとうございました。
 特に反対ということではなく、コメントはいただいたと思いますけれども。それでは特にほかにはご意見がないようですので、本件についてお諮りしたいと思います。
 事務局案のとおり、適当と認めてよろしいでしょうか。
 それでは、石井流のやり方で。オンラインの方はちょっと見えにくいので手で丸を作って、会場の方は挙手でお願いしたいと思います。
 それでは、異議が特にないという委員の方は挙手、それからオンラインの方は、すみません、手で丸をお願いします。
 それでは、お認めいただいたということにさせていただきます。
 どうも皆さん、ありがとうございました。
西野課長、どうもありがとうございました。
【北海道地方環境事務所】 ありがとうございました。
【石井委員長】 では、続きまして、諮問事項の2件目でございます。
 保護増殖計画のうち、①南西諸島陸産貝類(計画策定)、それから、②イヌワシ(計画変更)についてということで、2件続けてですけれども、事務局からご説明をお願いします。
 これは、福島室長補佐でよろしいですか。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 環境省希少種保全推進室の福島です。
 私のほうから、保護増殖事業計画の策定及び変更についてご説明させていただきます。
 まず、資料の確認になります。計画の策定を予定しております南西諸島陸産貝類に関するものが、資料2-1のシリーズになります。
 計画の変更を予定していますイヌワシに関するものが、資料2-2のシリーズになっております。
 それぞれ諮問に関する文書、種の概要、計画案をつけております。
 イヌワシについては計画変更になりますので、資料2-2-4で新旧対照表もつけておりますので併せてご確認いただければと思います。
 説明は資料2-3を使って行いますので、そちらをご覧いただければと思います。
 また、本件につきましては、環境大臣等から中央環境審議会への諮問となりますが、中央環境審議会から自然環境部会に付議されております。本日はご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、資料2-3をご覧ください。
 2ページ目になります。種の保存法に基づく保護増殖事業計画についてご説明いたします。種の保存法に基づき、国内希少野生動植物種に指定されますと、捕獲、譲渡し等が規制されます。現在、国内希少野生動植物種に指定されております種は448種となっております。
 このうち、生息地の保護が必要なものについては、生息地等保護区を指定して保護を図る。また、積極的な保護、例えば個体数の回復のために繁殖の促進や生息地の環境改善などが必要な種については、保護増殖事業計画を策定して保護を図っていくということになっております。
 3ページ目をご覧ください。上段に記載のとおり、保護増殖事業計画については審議会の意見を聞いて定めるとなっており、計画の変更についても同様に審議会の意見を聴くこととなっております。
 計画には、目標、区域、事業内容について定めることとなっております。
 下段にございますとおり、希少野生動植物種保存基本方針において、保護増殖事業は、国内希少野生動植物種のうち、その個体の繁殖の促進、生息地等の整備等の事業を推進することが必要な種を対象として計画を策定、実施するというふうになっております。
 4ページ目は、保護増殖事業計画の策定状況でございます。
 これまで76種を対象に57の計画が策定されております。ここで、対象種の数と計画数が異なっておりますが、これにつきましては、小笠原の陸産貝類について、一計画で20種を対象に策定しているということで、計画数と対象種数が異なっているということになっております。
 続いて、5ページ目から16ページ目までが、南西諸島陸産貝類の保護増殖事業計画(案)に関する内容になってございます。
 6ページ目をご覧ください。
 南西諸島陸産貝類のうち、今回計画の対象としている種は、ここにありますアマノヤマタカマイマイ、ヘソアキアツマイマイ、オオアガリマイマイの3種になります。
 アマノヤマタカマイマイは沖縄島の南部、それからヘソアキアツマイマイは北大東島、オオアガリマイマイは南大東島に生息している種になります。
 一計画で複数種を扱う計画は、先ほども触れましたとおり、小笠原の陸産貝類で事例があり、今回の南西諸島の陸産貝類についても、一計画で3種扱う形で計画策定を予定しております。
 7ページ目をご覧ください。対象種3種の特徴などをまとめております。
 アマノヤマタカマイマイは、写真のとおり、白くて貝殻が高円錐形の形をしております。樹上性で、湿潤な林の常緑広葉樹を利用しております。
 ヘソアキアツマイマイとオオアガリマイマイは、いずれもアツマイマイ属で、亜種関係ということもありまして、形態等はよく似ています。また、いずれもビロウの優占する林の林床を利用している種になってございます。
 3種とも、環境省レッドリスト2020で絶滅危惧ⅠA類となっております。
 続いて、3種の減少要因についてご説明いたします。
 8ページ目は、アマノヤマタカマイマイの減少要因となっております。アマノヤマタカマイマイは、以前は沖縄島の中部から南部にかけて生息していたというふうに考えられておりますが、土地造成等の開発で生息適地が減少し、また、さらに近年、沖縄島に侵入しました国内外来種のヤエヤママドボタルの捕食によって急激に数を減らしているという状況です。
 ヤエヤママドボタルは、八重山諸島に生息する陸生のホテルで、恐らく非意図的に土壌や資材等に紛れて持ち込まれたものと思われますが、下の図に示しておりますとおり、ヤエヤママドボタルが確認されたアマノヤマタカマイマイの生息地は、その数年後にはアマノヤマタカマイマイが確認されなくなっているというような状況でして、既に土俵際まで追い詰められているといったような状況でございます。
 9ページ目をご覧ください。
 ヘソアキアツマイマイとオオアガリマイマイの減少要因になります。
 こちらも、開墾や開発によって生息適地が減っているところに、小笠原と同様、ニューギニアヤリガタリクウズムシ等の外来種が入っておりまして、その捕食圧によって急激に減少しております。
 下の図は、継続的に生息調査をしている調査地点の確認個体数の推移になりますけれども、確認個体数だけでなく、確認地点そのものも減っているというような状況でして、こちらも既に野生下ではぎりぎりの状況というふうになってございます。
 続いて、10ページ目をご覧ください。
 これまでの3種の保全の状況を簡単にまとめております。アマノヤマタカマイマイは、2017年に国内希少野生動植物種に指定しております。
 翌年には、ヘソアキアツマイマイとオオアガリマイマイについても指定しております。
 2019年から、環境省において、3種の生息状況調査と生息域外保全の技術開発を開始しておりまして、また2022年からは生息環境の条件等についても調査を開始しております。
 2023年には、生息域外保全に参画する施設が5施設まで拡大しておりまして、3種の分散飼育が可能な状況となっております。現在、これらの施設では繁殖にも取り組んでいただいているというような状況でございます。
 2024年度からは、環境研究総合推進費による研究も始まっておりまして、この中で、小規模面積での野生復帰に向けた技術検討も始まっているというような状況でございます。
 このように、3種の保全に向けた体制構築、それから技術開発が一定程度進んできた状況なども踏まえまして、また、今後は野生復帰に向けた様々な検討も始まるということから、このタイミングで保護増殖事業計画を策定し、効果的に事業を実施できればというふうに考えているところでございます。
 11ページ目をお願いします。
 それでは、計画(案)の概要のご説明に移ります。
 策定省庁は、環境省単独での策定を予定しております。
 事業の目標は、自然状態、これは二次的自然を含むとしておりますが、それで存続できる状態とすることとしております。
 事業の区域につきましては、南西諸島における各対象種の分布域、これについては、かつて生息地であった地域を含むとしております。これに加えて飼育下繁殖及び野生復帰を行う区域としております。
 事業の内容につきましてはここに挙げているとおりで、詳しくは次のページからのところでご説明いたします。
 それでは、12ページ目のほうをご覧ください。
 事業の内容1は、生息状況等の把握としております。
 対象種の分布、個体数のモニタリングを実施するほか、対象種の生息環境、生活史、繁殖様式、遺伝的構造などについても把握し、保全単位の検討も進められたらというふうに考えております。
 また、影響要因の把握につきましては、特に対象種を捕食する外来種の侵入状況について、関係機関とも連携して情報収集に努めることとしております。
 13ページ目になります。
 事業内容の2は、生息地における生息環境の維持及び改善等としております。
 一つ目は生息地の維持及び改善等としておりますが、現在の生息地だけでなく、かつての生息地においても、個体の再導入等による個体群の再構築を視野に、生息に適した環境の維持、改善、再生を図っていくこととしております。
 二つ目は外来種対策としておりまして、防除技術については研究開発中というところでございますが、まずは技術開発を推進しまして、さらに関係機関等とも協力して、防除や拡散防止に努めていくこととしております。
 続きまして、14ページになります。
 事業内容の3は、飼育下繁殖、野生復帰等の実施ということになります。
 飼育下繁殖の実施では、野生復帰可能な資質を保つような飼育繁殖技術の確立を目指すこととしております。また、遺伝的多様性に配慮しつつ、複数施設において個体群を維持していくことを目指します。
 二つ目の野生復帰につきましては、必要性や具体的手法等を十分に検討し、細心の注意を払って実施することとしております。
 続きまして、15ページになります。
 事業の内容4につきましては、生息地における違法な捕獲の防止としております。
 対象の3種のうち、特にアマノヤマタカマイマイなどは白くて美しい貝殻を持つ種ということもありますので、必要に応じて監視や普及啓発を関係機関等と協力して行うこととしております。
 それから、事業の内容5の普及啓発の推進につきましては、3種を通して外来種問題に関する普及啓発なども進められたらというふうに考えております。
 沖縄県では、県事業として、ヤエヤママドボタルの防除や拡散防止にも取り組んでおりまして、意図的、非意図的にかかわらず、外来種等を生息地等に持ち込む可能性のある関係者に対しても普及啓発を図っていくことが必要というふうに考えております。
 16ページ目、最後に事業内容の六つ目としまして、効果的な事業の推進のための連携の確保ということを挙げております。
 本事業の実施に当たりましては、国、関係地方公共団体、専門家、保全団体、関係地域の住民等、関係者間の連携を図って、効果的に事業が実施されるよう努めることとしております。
 既に、関係機関や専門家による会合なども開催しておりまして、今後も関係各機関の取組や情報を共有しながら、連携して事業を実施してまいりたいというふうに考えております。
 ちょっと駆け足になっておりますが、南西諸島陸産貝類保護増殖事業計画(案)については、以上のような内容となっております。
 続きまして、17ページ目からは、イヌワシ保護増殖事業計画変更(案)の説明のほうに移ります。
 18ページ目、まずイヌワシの概要についてご説明させていただきます。
 イヌワシは、留鳥で北海道、本州、四国、九州に分布しておりますが、本州では特に東北地方や中部地方、北陸地方の山地帯を中心に生息している種となっております。北海道、四国、九州では、一応生息は確認されているものの、ごく僅かに見られるといったような状況になってございます。
 翼を広げると2mほどになる大型の猛禽類でして、つがいごとに広い行動圏を持っていて、その中に営巣場所や採餌場所を含んでいます。
 主にノウサギやヤマドリ、ヘビなどを捕食しているということでございます。
 国の天然記念物に指定されておりまして、環境省レッドリスト2020では、絶滅危惧ⅠB類になっております。
 続いて、19ページ目に移ります。
 イヌワシの生息状況等についてご説明いたします。生息個体数につきましては、少し古い情報になりますが、2004年に、希少猛禽類調査の結果から、環境省のほうで最大650羽と推定をしております。その後、2014年に日本イヌワシ研究会が公表している情報では、約500羽となっております。
 繁殖成功率につきましては、こちらも日本イヌワシ研究会が最近公表した資料になりますが、2021年で19.7%となっておりまして、年によって変動はあるものの、10年単位で見ていきますと低下の一途をたどっているといったような状況でございます。
 また、地域によっても状況は異なっておりまして、東北地方では2022年の繁殖成功率が7.8%と、かなり厳しい状況にあるということが言えます。
 イヌワシの生息に影響を与えている要因としては、森林や草原の手入れ不足による狩り場適地や餌動物の減少、それから開発やレジャー等での不用意な接近による営巣放棄などの攪乱、また、近年では風力発電施設建設などの影響も指摘されているというところでございます。
 次のページをお願いします。
 イヌワシ保護増殖事業の経緯を簡単にまとめておりますので、ご覧いただけたらと思います。
 イヌワシにつきましては、国内希少野生動植物種の指定が1993年、その後、1996年に保護増殖事業計画を策定しております。
 保全の取組のほうを見ていただきますと、動物園における保護個体の飼育が1960年代に始まっておりまして、飼育下での繁殖や人工育雛などにも成功しているということで、様々な技術開発によって、飼育下においては一定の個体数が維持されているというような状況です。
 保護増殖事業計画の策定後には、環境省と関係者等で雛移入事業を実施していた時期もありますが、これにつきましては技術的な課題、それから作業上のリスクなどもあって現在は中止しているというような状況です。
 また、東北地方では、繁殖状況調査や営巣地補修等の事業を実施してきております。
 2015年にはイヌワシ保護増殖事業マスタープランも策定しておりまして、その後、2019年には将来的な野生復帰に備えたイヌワシ飼育下個体群の管理方針を策定しております。また、2021年にはイヌワシ生息地拡大・改善に向けた全体目標を公表しております。
 現在、イヌワシの保護増殖事業はマスタープランを踏まえて実施しておりますので、このマスタープランについても簡単にご紹介させていただきます。
 21ページ目になります。
 イヌワシ保護増殖事業マスタープランは、法定計画のイヌワシ保護増殖事業計画の下位計画に当たるものになっておりまして、具体的な事業内容とその進め方、関係者間の役割分担等を取りまとめたものになってございます。
 策定の方針としましては、採餌環境の改善、特に森林施業に焦点を当てまして、着実に対策を実施していくことを重視したものになっております。
 マスタープラン策定時点では知見が不十分だったため、具体的な数値目標の設定というのは見送っておりますが、10年後には具体的な数値目標を設定できるよう検討を進めることとしておりまして、これを踏まえ、令和3年には生息地拡大・改善に向けた全体目標を公表しております。
 22ページ目になります。
 全体目標になりますが、目標とするつがい数と繁殖成功率を全国と地域ブロックそれぞれで算出しております。
 全国目標につきましては、ここにありますとおり、206つがい、目標繁殖成功率は36.17%となっておりまして、この全体目標の達成に向けた取組を効果的に進めるためのツールとしまして、生息環境改善促進候補地を抽出しております。
 イヌワシの生息数増加につながる取組を全国で推進するための目指すべき目標については、このような形になってございます。
 マスタープランを踏まえまして、環境省では二つの事務所でイヌワシの保護増殖事業を実施しております。
 まず、東北地方環境事務所の取組をご紹介させていただきます。先ほども少し触れましたとおり、繁殖状況調査、営巣環境改善のほか、山形県にあります猛禽類保護センターにおいて普及啓発などにも取り組んできております。
 また、採餌環境の改善については、国有林との連携だけでなく、民有林においても森林施業推進のための取組を始めたというところでございます。
 24ページのほうに移ります。もう一つ、信越自然環境事務所における取組もご紹介いたします。
 信越事務所では、「浅間山イヌワシ復活プロジェクト」と称しまして、令和4年に中部森林管理局と共同で、浅間山におけるイヌワシ保護増殖事業実施計画を策定しております。
 国指定浅間鳥獣保護区周辺においてイヌワシ一つがいが安定的に生息すること、生息つがいの繁殖成功率40%以上を目指して取組を実施しているというところでございます。
 主な実施内容として、人工林の伐採等は林野庁、それから餌動物の調査等は環境省、営巣地の調査は長野イヌワシ研究会といったような形で、役割分担しながら連携して実施をしているというふうに聞いております。
 少し長くなりましたが、以上がイヌワシの状況と保全の取組の状況ということになります。
 見てきましたとおり、イヌワシは、計画策定時と比べましても全国的に繁殖成功率が低下してきておりまして、地域によっては著しい低下も見られております。また、つがい数の減少・消失も確認されているような状況でございます。
 分布域が大変広く、そして行動圏も広いイヌワシの保全に向けては、民間団体等も含め、多様な主体が協力・連携して、生息環境の改善、それから、地域やつがいの状況に応じた、繁殖成功率を向上させる取組やつがい数の増加に向けた取組を実施していくことが必要というふうに考えております。
 また、来年には計画策定から30年になるということで、新たに得られた知見や本種を取り巻く状況等も踏まえまして、計画の見直しを行うことといたしました。
 主な変更点は、こちらに挙げているとおりでございまして、策定主体として文部科学省を追加、それから、保全手法の技術開発を進め、必要なタイミングで必要な保全手法が選択できるよう、今まで明記されていなかった野生復帰の検討を追加しております。
 それから、本種を取り巻く現状等を踏まえ、事業内容の見直しをしておりまして、用語等の整理もしているところでございます。
 ここから、計画の変更(案)の概要になります。
 左が現計画で、右が変更案を示しております。
 事業内容については項目のみ書き出しております。先ほどご説明したとおり、策定者として文部科学省を追加しております。
 イヌワシが国の天然記念物に指定されているということから、文部科学省に共同策定の意思確認をさせていただきまして、今回から策定者として入っていただくということになっております。
 それから、第3の事業の内容の4のところで、野生復帰の検討を追加しております。
 その他、用語整理に伴う修正は、適宜入れております。
 28ページから、事業の内容についての説明となります。
 ここに挙げておりますとおり、事業内容の1として、生息・繁殖状況等の把握・モニタリングとしております。特に、個体の移動、分散等に関する実態は分かっていないことも大変多くて、個体追跡などについても今後、技術開発を進めていく必要があるというふうに考えております。
 29ページをお願いします。
 事業内容2として、営巣場所周辺における環境の把握と維持・改善としています。
 これにつきましては、特に、つがいごとの状況把握とそれを踏まえた必要な対策によって、繁殖成功率の向上を図っていくというふうにしております。
 既に東北のほうで実施しております営巣場所の補修や採餌環境改善に向けた取組のほか、緊急的な対応として、人工給餌等についても今後、検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
 30ページ、事業内容3になります。
 卵及び雛等の移入を挙げております。先ほど、少し経緯のところでも触れましたとおり、現在、雛の移入事業は中止しておりますが、技術的な課題やリスク等を勘案した上で、実施可能となった場合には、保全手法として選択する可能性もあるということから、計画上は残しておくこととしております。
 また、下線部のとおり、生息域外保全や傷病救護の取組と連携して、技術の確立に努めるというふうにしております。
 続きまして、31ページになります。
 事業内容4では、飼育下での繁殖及び野生復帰の検討を挙げております。下線部のところは、現状や新たな知見を踏まえて変更した部分になってございます。
 飼育下での取組につきましては、遺伝的多様性を保持した飼育下個体群の確立と維持を目指すこととしております。
 また、野生復帰につきましては、三つ目に記載しておりますとおり、必要に応じて、本種の生息適地または継続して生息環境整備に取り組んでいる地域において、飼育下で繁殖させた個体の放鳥による野生復帰の取組を検討するというふうにしております。
 最後、32ページになります。
 その他として三つ挙げております。
 営巣場所周辺における監視、それから普及啓発の推進、三つ目が、効果的な事業の推進のための連携の確保としております。
 特に最後、三つ目の、効果的な事業の推進のための連携の確保につきましては、本種の保全につきましては、保全活動に参画する民間団体や農林業団体など関係者との連携も非常に重要と考えておりますので、今後一層、関係者間の連携を図って、効果的に事業が推進されるよう努めてまいりたいと考えております。
 ちょっと長くなってすみませんが、計画の説明については以上となります。
 ご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
【石井委員長】 ご説明、どうもお疲れさまでした。
 それでは、委員の皆さんから、ご意見、ご質問を受けたいと思います。
 会場の皆さんは、また名札を立てていただいて、それから、オンラインの方は挙手ボタンということでお願いいたします。
 それでは、宮本委員、オンラインですね、お願いします。
【宮本委員】 宮本でございます。聞こえますでしょうか。
【石井委員長】 はい、大丈夫です。
【宮本委員】 資料の24ページ、イヌワシについてなんですけれども、最近、狩猟用の鉛玉の規制ということがちょっとニュースなどで報道されていましたが、例えば、今回取組の対象になっている東北地方とか信越辺りのところで、鉛玉の規制の現状とか、あるいは今後の見通しが、もしありましたらお教えいただきたいと思います。
 それと、二つ目になりますけれども、やはりイヌワシ関係で、31ページなのですが、飼育個体という文言が時々出てまいりますけれども、現在、その飼育下での個体数というのがどのくらいなのか、数十羽なのか、数百羽なのか、あるいは数羽なのかというざっくりした数字で結構ですが、教えていただけたらありがたいと思います。
よろしくお願いいたします。
【石井委員長】 2点です。よろしくお願いします。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 まず、飼育個体になります。
 オーダーとしては数十というところでして、50前後だったと思います。
 鉛規制の状況につきましては、すみません、鳥獣保護管理室のほうから回答させていただければと思います。
【佐藤鳥獣保護管理室室長代理】 鳥獣保護管理室の佐藤と申します。
 鉛玉規制に関しては、ご存じかと思いますが、北海道のほうでは規制がもうされていると。それで、現在、本州のほうでも進めていくというのを、現段階でいつというのはちょっとまだあれなんですけど、状況証拠とか、そういったものをちょっと集めて、専門家の方にご意見を伺いながら、情報収集だったりとか、今後の方策とかを検討しているというような、そんな段階でございます。
 以上です。
【宮本委員】 ありがとうございました。
【石井委員長】 よろしいですね。
 では、続いて寺田委員、お願いします。
【寺田委員】 ありがとうございます。聞こえますでしょうか。
【石井委員長】 はい、聞こえます。
【寺田委員】 ありがとうございます。質問が2点ございまして、2点とも南西諸島陸産貝類のマイマイのほうです。
 1点目は、ちょっとジェネラルな、一般的なことになるんですけれども、ご説明の冒頭4ページにございました、種ごとではなく、ある程度の種をまとめて計画を策定されるというものが、小笠原陸産に続いて2件目かと思うんですけれども、恐らく、ある程度の地理的な分布ですとか分類群が同じようなものをまとめてということかと思うんですけれど、今回の3種ですと、中には捕獲が要因になっているものもあったりなかったりということですけど、1点目の質問は、どのようなものをまとめて計画を策定するという、何らかのもし方針がございましたら、今後に向けてお聞かせいただければと思います。
 2点目は、貝類の活動の中に、アマノヤマタカマイマイが採取対象、違法捕獲の対象になるからだと思うんですけど、事業の中で、生息状況把握などの保護増殖事業計画ならではの一歩進む活動もあれば、生息地における違法な捕獲の防止というのは、通常の種の保存法の国内希少種の規制行為の取締り徹底みたいなもので、ここはほかの保護増対象種以外でも各事務所で行われているものかと思うんですけれども、この保護増の中に、違法な捕獲の防止というのが入ることによって、何か現場でよりアクションが増えるのか、あるいは、やはり計画の中で必要ということで、忘れないように、増やすためにはこの徹底が大事だということで掲げていらっしゃるのか、具体的に、どのようなアクションになるのかをお教えいただければと思います。
【石井委員長】 事務局、お願いします。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 ご質問ありがとうございます。
 計画を複数種で一計画にまとめるときの特段の指針というものは定めてはございませんが、基本的には同じような、今回で言いますと、島しょ部に生息する、それから外来種の影響が主な減少要因として大きいといったような、幾つか共通項があるもの、それから、もしかすると今後も同様の理由で対象種を増やしていかないといけない可能性があるものというふうに考えておりまして、小笠原と同様、南西諸島につきましても、そういった状況から一計画にまとめているということでございます。
 もう一つ、保護増殖事業計画の中で密猟監視をあえて入れているということについて、効果につきましては、おっしゃるとおり、国内希少野生動植物種に指定されますと、そもそも捕獲等が違法な行為になりますので、基本的には同様の対応が必要にはなるんですけれども、特に、生息地で調査等もしますので、異変等に気づきやすいと。そういったときに、関係者で、特に連携をして密猟監視に当たっていくというところも含めまして、計画のほうにもきっちり書き込んで、何かあった際には速やかに対策を取っていこうということで記載しているところでございます。
【寺田委員】 ありがとうございます。以前もお伝えしたかもしれないんですけど、入れていただいているのは、すごくしっかりお考えになっているのがよく伝わりました。
 ありがとうございます。
【石井委員長】 よろしいでしょうか。
 それでは、勢一委員、お願いします。
【勢一委員】 ご説明ありがとうございます。勢一です。
 なかなか難しい分野、一生懸命取り組んでおられてというところ、勉強させていただきました。ありがとうございます。
 では、私からイヌワシのほうについて、3点ほど質問とコメントをさせてください。
 まず一つは、制度の話なんですけれども、この保護増殖事業計画は、どういう状況になったときに計画の変更をするというルールというか運用になっているんでしょうかというところを一つ教えてください。
 現行計画は、まだ組織は「環境庁」になっていますし、これは省庁再編から20年以上も経っているので、組織名の変更は重要じゃないのかどうかよく分からないのですが、計画変更の契機というか、そういうところはどういう運用になっているのかというのが気になったので、教えてほしいです。
 また、今回から文部科学省が入るということで、天然記念物なので、これ自体、望ましいことだと思っているのですが、なぜこれまでは加わっていなかったのかというところを教えてください。
 天然記念物の指定は1965年で相当古いわけですので、これまでの経緯、何かあったら教えてくださいというのが1点目です。
 2点目は、計画体系の話で、今回、保護増殖事業計画の下位計画として保護増殖事業マスタープランを定めているということで、21ページでしたか、詳細にご紹介いただきました。これは、つまり法定外の計画になるのかなと理解をしたのですが、違っていたらご指摘ください。
 そして、そういう点で、このマスタープランを見ますと、管理方針であるとか具体的な数値目標を検討した全体計画がここに定められているように、ご説明を伺って理解をしました。こういうものは、保護増殖に関する基本的、本質的な部分であって、これは事業計画を改定して、その都度、入れなくてよかったのかどうかというのが分からないので教えてくださいというのが2点目です。
 3点目はコメントなんですけれども、今回、文部科学省が加わったということですけれども、やはり文化財保護法との連携を強化していただきたいと思います。
 地方公共団体では、恐らく環境部局と教育委員会と所管が違ってくる形になるので、地域レベルでも連携をうまく組んでいくためには、やはり国のレベルで連携していただきたい、それを強化していただきたいというのが希望です。最後はコメントです。
 以上です。
【石井委員長】 事務局、お願いします。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 ご質問とコメント、ありがとうございます。
 まず、保護増殖事業計画はどういうタイミングで変更するかという点、運用面に関するご質問がございました。特に、変更のタイミング等について、例えば基本方針等には特段そういったことは示されてはおりません。例えばトキの変更の際には、全国に分散をしていくといったようなタイミングで計画変更されているといったタイミングになっております。
 何か大きく事業が動くタイミングですとか、もう一つは、数年前に何種かまとめて計画変更していた時期もありまして、これに関しましては、新たな知見とか、状況が変わってきたことを踏まえてやっていたと。
 ただ、イヌワシにつきましては、そのタイミングで一緒に計画変更がされていなかったということで、それは特段の何か事情があったのかもしれないのですが、すみません、そこについてはちょっと分かりかねるというような状況でございます。
 それから、文部科学省がこの機会に共同策定者に加わったということで、なぜこれまで入ってこなかったのかというところなのですが、当初、計画策定時に何らかの理由で入らなかったということは言えるかと思いますが、その後、変更の機会がなかったということで、そのまま入らずに来たということかと思います。
 この度、お声がけをさせていただきましたら、入りますというふうにお答えいただきましたので、何か複雑な事情があったかどうかというのは、もう過去のことになりまして、こちらでは把握できておりません。
 それから、計画体系について、下位計画と申しましたが、先生ご指摘のとおり、法定外の計画になっております。ただ、保護増殖事業計画という法定計画のほうではなかなか具体的な数値等の目標を定め切れないということもありまして、具体的なところを法定外の計画の中で示しながら、新たな知見がまた増えたら適宜見直しもできるよう、早いタイミングで変えていけるような、そういった形で運用しているような状況でございます。
 それから、まさに目標ですね、全体目標を令和3年に公表しております。これについても、法定計画のほうに盛り込めたらそれはそれでいいのですが、一方で、この目標自体も、新たな知見を踏まえてどんどん見直しをしていかないといけないということもありますので、そこはちょっと切り離してというような対応を今はしてございます。
 それから、文化財との連携、まさにご指摘のとおりでして、やはり保全の現場においては、手続一つ取っても、いろいろと手間も含めてかかっているという部分がありまして、これにつきましては、本省間でも担当者で状況等の確認とか共有は進めているというところでございます。
 なかなか先方の文化財保護法の改定には至ってはいませんが、引き続き課題等は共有してまいりたいというふうに思っております。
 以上でございます。
【石井委員長】 よろしいでしょうか。
【勢一委員】 丁寧なご説明、ありがとうございました。
 運用レベルのご苦労は察するところですけれども、やはり、この法定計画の重みとか位置づけは非常に重要だと思っていまして、法定計画の場合には中環審の意見を聞いてしっかり定めるという意味では、ここにいらっしゃる主に科学的な専門家の方々が十分にチェックをする、そういう場をつくるという点では重要だと思いますので、ぜひ法定計画の制度が期待する活用をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
【石井委員長】 ありがとうございました。
 それでは、続けて五箇委員、お願いします。
【五箇委員】 私のほうからは、例の沖縄のほうでのマイマイ類に対する影響管理ということで、特に私自身も沖縄県の外来種対策の検討委員のほうを務めさせてもらっていて、今このヤエヤママドボタル、これの影響が非常に重大視されていて、実際問題、ここに記されている地図以上にどんどん広がっているという状況になっている。
 ほぼそれが全て非意図的な形で移動、分散しているという状況で、困ったことに、これがいわゆる国内外来種ということになりますから、現状の外来生物法では基本的にカバーできていないところもあって、正直、県としても対応に苦慮しているところは大きいわけですね。国としてのバックアップがない状況になっていますので。
 特にこちら、スライドの13枚目でも、外来種対策として、外来の捕食圧を防ぐために木の幹に遮蔽板をつけてということで、木の幹の上にいるマイマイを守ろうというのですけど、マイマイ自体も、木を登ったり下りたりしないと生活として成り立たないわけであって、これ自体が根本的な外来種対策にならないんですね。
 もう急場しのぎにすぎず、我々としても、現在、沖縄県のほうで、化学防除、本当に薬剤防除を投入してでも、今まだ拡散し切っていない段階で、小集団でいるヤエヤママドボタルを全滅させないことには、これは延々と多分増え続けて、多分もう手後れになるだろうということも議論している。ただ、それにしても、やはり法律の担保がないという中では、県としては、なかなかそこまで踏み込むこともできないというジレンマに陥っている。
 ある意味、今回これは沖縄島という非常に自然の希少価値の高いところで起こっていることで、こういった国内外来種に対してもクローズアップしていることですが、こういったことは、ほかの離島や、あるいは内地であっても起こり得ることであり、あるいは起こっていることであって、この部分に対して法律の対応という部分をやっぱり急いでいかなきゃいけないし、同時に防除手法、それそのものにも革新的な技術というものを取り入れていかなくてはならない。
 個人的には、もう本当に、こういった緊急事態には、緊急防除という、厚生労働省にもある感染症予防という部分で適用される、場合によっては、その場合、ある程度の環境影響があってでも非常に強い形での防除が必要ということで、やはり薬剤防除というものにもしっかりと踏み込むことが重要であろうということで、この部分に関しては、ちょっと生態学的な観点からも、いかんせん、やっぱり化学物質を使うということに対してのアレルギーが強くて進んでいないこともありますが、正直なところ、この状況だと、このホタルの拡散は防げないだろうということを懸念しているということで、この点に関しては、環境省の自然環境局としても、強く、しっかりと、水・大気環境局などの情報や知見といったものも共有して、しっかりと対策を立てるということをちょっと前向きに検討していただきたいというふうに考えているところです。
 以上です。
【石井委員長】 それでは、事務局からお願いします。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 ご指摘ありがとうございます。
 保護増殖事業の文脈の中でできることは、沖縄県と連携をして、防除のほうも取組を進めていく、それから、推進費のほうの技術開発も、ちょっとずつですが進んでいると思いますので、そういったところの支援をまずはしていくということで考えております。ほかの課室からコメントがございましたら、すみません、お願いいたします。
【石井委員長】 外来室長、よろしいですか。
【松本外来生物対策室長】 五箇委員、ご意見、コメントありがとうございます。
 まず、外来種問題という観点に関して、国内由来の外来種問題というところに関しては、外来生物法の中では、その構造・立てつけ上、規制対象になっていない中、それに対応する施策として、外来種被害防止行動計画というものを策定しており、ちょうど今、見直しを進めております。
 その中で、しっかりと各主体、例えば自治体や関係団体を含め、国内由来の外来種に対する問題に対しても、どう対応していくかというアクションプラン的な内容になりますが、整理をして示していく方向性で、また、ご指摘いただいた防除の技術開発という観点についてもその中で示してございます。それから、保護増殖事業の観点と、それから環境研究総合推進費の中でも、科学技術防除も含めた技術開発を進めておりますので、そういった、総合的な枠組みの中で対応を進めているところであり、また、今後、進めていく方向性でございます。
【石井委員長】 五箇委員、よろしいでしょうか。
【五箇委員】 一応、推進費等についても、私も検討委員をやらせてもらっているので状況は知っているんですが、そこで検討されているのはフェロモントラップであったりといった具合に、あくまでやっぱりエコフレンドリーな手法で進めようという作戦は、そこは、むしろその技術自体が早くできればいいんですが、相当にやはり時間がかかるだろうということをちょっと懸念しているということで、肝腎なのは、やっぱり本当に小規模なうちにしっかりと押さえるという、どれだけ早くゼロにするかが肝腎であって、このヤエヤママドボタルに関しては、はっきり言ってマングースよりも防除は難しくなります、完全に広がってしまえば。もしくは森の中に入っていますので。そういった部分では、できるだけ早い対策というものが望まれる。もうちょっとその部分では危機感というものをしっかりと共有していく必要があり、ぜひ普及啓発もしっかりとしていっていただきたい。
 この小委員会でも、こういった形でこのトピックを取り上げていただいているので、ぜひこういったことを皆さんに広く知っていただいた上で、対策の必要性と早急性といったものを共有いただければというふうに思っております。
 以上です。
【石井委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、続いて、八代田委員、お願いします。
【八代田委員】 八代田です。ご説明ありがとうございます。
 私から、イヌワシのほうでご質問があります。
 22ページ、目標繁殖成功率というのを設定して取組をされているということなんですけれども、こちらについては、卵からかえった雛が成鳥になった割合という理解でよろしいでしょうか。
 その後、成鳥になって、独り立ちした後の生存年数について、そちらも重要になってくるかと思いますけれども、そちらの追跡調査をされているかどうかという点をお聞かせいただきたいと思います。
 もう一つが、その前のページの21ページのほうの、優先して実施する事業ということで、森林施業モデル事業の実施による採餌環境の改善ということがあげられておりますけれども、この事業は成鳥になった後の生存率に非常に大きく関わってくるかと思いますので、こちらについて検証されている結果などがありましたら教えていただければと思います。
 以上です。
【石井委員長】 では、事務局お願いします。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 ご質問ありがとうございます。
 ここの繁殖成功率の算出に当たっては、個体群存続可能性分析ということで、様々なパラメータを入れて生存確率のほうを出しながらやっているというふうに聞いているんですが、申し訳ありません、ちょっと中身の詳しい部分までは把握できておりません。基本的には、パラメータとして、死亡率とか、その辺は入っているというふうに聞いておりますけれども、ちょっといつ時点の死亡率等を入れているかという詳しいところまでは、すぐ出せる情報を持っておりませんで、申し訳ございません。
 それから、幼鳥が巣立って、それから分散をしてというところ、この辺がまさに情報が取れていないところでして、様々、追跡機器をつけての調査等が、イヌワシについては今のところほとんどできていない、そういった状況になっておりまして、まさに、今後、繁殖成功率向上に向けて、また、つがい数を増やしていく上では必要な情報になってくるのですが、そこについては、まだ今後というところでございます。
 それから、優先して実施する事業ということで、森林施業のモデル事業、これにつきましては、東北地方の置賜地域というところで国有林と連携してやっていた事業がございます。
 ただ、実際に、餌場を森林施業によって創出して、その後、どれぐらいそこの餌場をイヌワシが利用したかといったところまでは、実はきっちりデータを取り切れていないというふうに聞いておりまして、ちょっとそこについてはまだ十分に知見が得られていないというところでございます。
【石井委員長】 少しまだデータが明らかでないのはあるのですけれども、これが明らかにできたら、委員に後でお知らせいただけますでしょうか。よろしくお願いします。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 はい。重要な部分であるという一方で、やはりモニタリングについて、なかなかきっちり手当ができていないというところは課題でございますので、今後、こういった森林施業をしながら、回復しているところにつきましては、ちゃんとデータを取りながらやっていくというところは気をつけて進めていきたいというふうに考えております。
【石井委員長】 よろしいでしょうか。
 それでは、会場に戻りたいと思います。
 まず、水田委員からいきましょうか。お願いします。
【水田委員】 ありがとうございます。
 イヌワシのほうで、資料の新旧対照表からご質問します。
 資料2-2-4ですね。
 2ページなんですけれども、2ページの第3の2のところで、「繁殖地」という言葉が「営巣場所周辺」という言葉に置き換えられていて、これは事業計画の文章全体の統一性をつけるためにそうしておられるのかなと思うのですけれども、一方で、「営巣場所」と言ってしまうと、過去に繁殖されていた場所、あるいは現在繁殖されている場所というのに限定されるような気がするんですね。
 ここで言いたいのは、過去においても現在においても営巣は確認されていないけれども潜在的に繁殖の可能性のある場所を守る、そういう環境を把握する、維持・改善するというところが必要なのかなと思いますので、全て「繁殖地」を「営巣場所周辺」というのに置き換える必要があるのかなというのはちょっと気になりました。それが1点です。
 もう一つが、同じ資料の4ページなんですけども、飼育下での繁殖のところで、「傷病鳥等のうち野外への復帰が不可能な個体等を活用し」と「等」が二つ並んでいて非常に曖昧ですが、これは具体的にどういう個体を想定されているものなのかということを教えていただきたいと思います。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 ご質問、前後表のほうと、資料の2-2-4ですか。
【水田委員】 2-2-4です。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 すみません、「営巣場所」という表現につきまして、ご指摘ありがとうございます。
 現在、イヌワシは、一つのつがいがずっと同じ場所で営巣しているわけではなくて、場所を変えながら使っているというような状況がありまして、そういった形で把握できている部分に関しては「営巣場所」という表現をしておりますので、過去というか、ポテンシャルがある部分に関しては、「営巣場所」という表現にしております。ちょっと分かりにくかった点があるかもしれませんが、一応、そういう整理で考えております。
 それから、傷病鳥のところ、すみません、事業でいうと、4のところではなく、雛の移入のほうですか。申し訳ありません。
【水田委員】 4の飼育下での繁殖です。
 現行のほうでは「傷病鳥等のうち野外への復帰が不可能な個体を活用し」となっていますが、改定案では「野外への復帰が不可能な個体「等」」がついているんですね、これはどういう個体を想定しているのかということをお聞きしたい。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 ありがとうございます。
 「傷病鳥等のうち野外への復帰が不可能な個体等を活用し」について、この説明資料では詳しく説明をしていない部分になるんですけれども、マスタープランをつくった後に、「将来的な野生復帰に備えたイヌワシ飼育下個体群の管理方針」を策定しておりまして、この中で、遺伝的な多様性等を考えながら飼育下個体群を維持するためには、10年に何羽ぐらいといったような目安、いわゆる野生下から入れるべき個体数の目安というのが示されておりまして、完全に傷病鳥だけに頼るとなると、特に放鳥が困難なものだけに頼るということになると、なかなかそういった個体の確保が難しいということで、場合によっては、例えば幼鳥で弱って保護された個体が確保できた場合には、それを、場合によっては域外保全のほうに入れていくといったようなことも想定されますので、「等」というような形にしているというところでございます。
【水田委員】 分かりました。ありがとうございます。
 ただ、ちょっと分かりにくいので、もう少し詳しく説明したほうがいいのかなと思いました。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 失礼いたしました。
【石井委員長】 特に修文等が必要ということではないですか。
【水田委員】 どうでしょうかね。どのように取られるかというところだと思うので、ちょっと曖昧過ぎて、何か裏にあるのかなというふうに思ってしまうので、別に傷病鳥だけではなくて、野外で捕獲した個体であるとかを飼育に回すというのは悪いことではないと思うんですね、個体群全体を考えたときに。ただ、それを隠しているような雰囲気を受けてしまうので、もうちょっとはっきり書いてもいいのかなというふうには思いました。
【石井委員長】 では、これは検討ということでよろしいですか。
 事務局、考えておいてくださいね。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 はい、ありがとうございます。
【石井委員長】 そうしたら、続いて三谷委員。
【三谷委員】 ありがとうございます。
 3件ほどあるので、1件ずつお願いしたいんですけれども、先ほどありました南西諸島の外来種に関しまして、やはり防除が必要だということだったのですけれども、持ち込まない、結局、今いるやつを防除して駆除したとしても、また持ち込んでしまったら同じことが起きると思うんですけれども、持ち込まない、入らせないようにするような、何か取組、あるいは、持ち込んでしまった経路をちゃんと特定するとか、あるいは検査を強化するなどの仕組みについてはどのようにお考えでしょうか。
【石井委員長】 よろしいですか。事務局、お願いします。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 ご指摘のとおりでして、例えば小笠原諸島におきましても、そこが一番の課題というふうに認識をしております。
 沖縄県の特にヤエヤママドボタルなどに関しましては、県のほうも一応気をつけて、事業者さん等にも普及啓発を進めていると。環境省においても、そこは県と一緒に普及啓発はまずやっていかないといけないと考えております。
 一方で、資材等が動いている状況の中で、防疫体制をきっちりできるかというと、なかなか難しい面もございますので、先ほど五箇委員のご指摘のとおり、見つかった後の早期防除というところをまずはしっかりやっていかないといけないと。あわせて、こういった問題があるということの普及啓発はしっかり、事業者、それから一般市民の皆様に向けてもやっていくというところで考えてございます。
【石井委員長】 よろしいでしょうか。
【三谷委員】 はい、ちょっと普及啓発だけだと、結局、下請になっていくと、それがどんどん意識が薄くなっていってしまったりするようなことはよくあることなので、そこはもう少し、何か抜き打ちで検査するとか、そういうようなことは、本当はやったほうがいいのかなと思いました。
 あと、次の点なんですけれども、イヌワシの影響について、風力発電の影響について書かれていたのですけれども、風力発電は恐らく環境影響評価をやっているはずなんですけれども、それより以前に建てられたものが影響しているのか、それとも環境影響評価をやった上だったのに、もっと大きな影響が実はあったのかなど、何かありますでしょうか。
【石井委員長】 事務局、何かありますか。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 現状、バードストライクでイヌワシが何か被害に遭っているといった情報が、年間、何個体もというような状況はもちろんないということではございます。
 東北地方はかなり風発も建っているという状況で、アセスをして事業を実施しているというところではあるのですけれども、やはりつがいがどんどん消失していっている中で、つがいが確認されないということで、生息適地であったろう場所に風発が建っていくといったことで、影響も、もしかすると、ちょっとずつ出始めているのではないかなというふうにも考えております。
 アセスの関係については、アセスはしつつも、様々なところで影響は、ちょっとずつは出ているのではないかというところで、指摘が出ているというようなところでございます。
【三谷委員】 それに関しては、今後のアセスで、実は従来の環境影響評価よりももうちょっと踏み込んで、この生息範囲内だとやはりもっと影響があるので、かなりそこは避けるように建てなきゃいけないみたいな、ガイドラインみたいなものは作成されているんですか。
 結局、各都道府県で環境アセスをやっているわけで、そこにちゃんと情報が落ちていないと、イヌワシがいたけど、従来はこれが通ったからもういいんじゃないかみたいなことになってしまうと思うんですけれども。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 風力発電につきましては、法アセスの対象になっているものがありますので、それに関しましては、生息情報等、把握しているものは、具体的に示せるもの、示せないもの、あるんですけれども、国のほうからも意見はもちろん出して調整等はしているといったような状況です。
 それから、ちょっと古いんですが、猛禽類保護の進め方という、アセスの際の調査方法とか、どういったところに気をつけて工事をしないといけないといったようなガイドラインは出しておりますので、そういったところは踏まえて実施をしていただいているというふうな状況です。
【石井委員長】 よろしいですか。
【三谷委員】 ありがとうございます。
 最後なんですけれども、飼育下での希少種の増殖に関して、やってもらっている動物園・水族館は、飼育できるスペースがあり、技術があり、人がいて、それに認可をしてやっていると思うんですけども、そのことに関しての予算措置みたいなものは何かあるんですか。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 ご質問の点、まさに予算のところは課題になっております。一応、イヌワシにつきましては、動物園の主体的な取組ということで今まで実施をしてきていただいていると。環境省のほうでは、生物多様性保全推進支援事業という交付金がございまして、この中に、一応、域外保全の取組に使っていただける交付金メニューがございますので、予算措置としては、そういうものは一応ございますというところですが、ほかは、外部資金等をご紹介するなどして、ご相談があれば対応していきたいというふうに考えているところです。
【石井委員長】 よろしいでしょうか。
【三谷委員】 ありがとうございます。それに関してなんですけれども、やはり、今、認可を受けている動物園・水族館を見てみると、体力がある動物園・水族館で認可を受けているなという印象を受けていまして、やはり動物園・水族館もいろんなものが高騰していて、結構存続が危ぶまれているようなところもあるんですけれども、あとは動物福祉、愛護の面からも、その飼育下で生き物が閉じ込められているんじゃないかみたいな意見もあります。
 なんですけれども、そうやって営業している動物園・水族館があるからこそ希少種も保全ができるわけで、域外保全などができるわけで、もうちょっと環境省のほうからも、その動物園・水族館に協力してもらってやっているというようなことをアピールして、ちょっと動物園・水族館のほうにもうまくWin-Winの関係ができるといいなと思うんですけれども、普及啓発活動に関して、環境省と動物園・水族館で、もう少し、かなり協働してやるというような取組があるかどうか。それから、もしなければ、今後やっていく予定はあるかなどを聞かせてください。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 ありがとうございます。
 動物園をうまく支援していかないといけないという点は、実は先日の種の保存法の施行状況評価会議でも扱ったところですが、前の法改正のときに認定希少種保全動植物園等制度という認定制度ができておりまして、そういった制度もなかなか認知されていないというところで、環境省としても、もうちょっと一般への周知も含め、それから、そういった取組を動物園がしているということもどんどん周知をしていかないといけないというふうに考えているというのが、まず1点目ですね。
 それから、実際に動物園でも、イヌワシといったような種については野生下でなかなか見ることができないということで、飼育個体を一般の方に見てもらうことで、イヌワシが置かれている状況、保全の必要性についてもどんどん発信をしていきたいというふうな思いを持たれておりまして、ここについては、もっと連携をして、発信のほうをしていかないといけないかなというふうには感じております。
 普及啓発は、まだまだ足りていない部分が多いというのは認識としてございますので、今後、引き続きやっていかないといけないというふうに思っております。
【石井委員長】 中澤課長。
【中澤野生生物課長】 普及啓発の関係ですけれども、JAZAと環境省が生物多様性保全に関して協定を結んでおりまして、これが10周年を迎えています。そのことを記念するシンポジウムを2月16日に国立科学博物館で開催します。そういったところでも、動物園・水族館との協力をアピールしてまいります。
【石井委員長】 ありがとうございました。
 それでは、小泉委員、お願いします。お待たせしました。
【小泉委員】 いえいえ、ありがとうございます。
 もう既に、鉛と風発のほうが出てきておりますけれども、コメントとして、19枚目のスライドに示されている影響要因について、どのように対策を進めていくか、この事業計画ないしはマスタープランの中で明確に書いてほしいなというふうに思います。
 一番上のほうについては随分詳しくご説明いただきましたけれども、特に一番下の再生可能エネルギーの事業計画とどういうふうに折り合いをつけていくのか、イヌワシの保護事業計画の中で、風力発電の計画に対する指導ないしは配慮事項というものがあってよいのではないかというふうに感じているところです。
 それは書かなくて、個別ケースの中で、環境アセスの枠組みの中で対応してもらうんだということであれば、その衝突可能性の推定を含める猛禽類の保護の進め方のテキストも見直すというのが、この事業計画の中で考慮されていいのではないかというふうに思います。
 以上です。
【石井委員長】 いかがでしょうか。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 ご指摘ありがとうございます。
 保護増殖事業については、広い意味で捉えると、かなりいろんなものが含まれる。一方で、事業として実施をしていくということになると、餌場環境の整備とか餌資源といったようなところ、本当に人工的に、人の手で直接できる保護対策といったものがメインになってくるということで、ちょっと分かりにくい部分もあります。
 今ご指摘いただいたような開発とのあつれきといったところは、また別途、おっしゃられたとおり、猛禽類保護の進め方を環境省もつくっておりまして、これにつきましては、また今後、見直しをしていくということで考えておりますので、そちらのほうで対応していけたらというふうに思っております。
【石井委員長】 よろしいでしょうか。
 それでは、1点、水田委員からご指摘の部分ですけど、これは修文するかしないか、どういうふうに考えましょうか。
 では、荒牧室長、お願いします。
【荒牧希少種保全推進室長】 希少種保全推進室の荒牧でございます。
 今、少し、すみません、検討させていただいたんですけれども、ちょっと野生下個体のファウンダーにつきましては、可能性はゼロではないのですが、それを実際に獲得しようと思うと、いろいろな制約の中で、それが適切かどうか随分考えていかないといけないということになってきますので、現時点では比較的、例外的な措置になろうかなというふうに考えております。
 この計画上では、すみません、「等」のまま行かせていただいて、本日のご意見はしっかり記録して、中でこの「等」を何にするのか、それはどのように考えていくのかというのは、別途、整理させていただければと考えております。いかがでしょうか。
【石井委員長】 水田委員、いかがでしょうか。
【水田委員】 分かりました。ありがとうございます。
 説明を求められたときに、きちんと説明できるということが必要だと思いますので、きちんと、この「等」の中に何が含まれるかということを議論していただいて、決めていただければと、修文までは必要ないと思います。
【荒牧希少種保全推進室長】 すみません。ありがとうございます。
【石井委員長】 ありがとうございました。
 実は、進行が悪くて時間がオーバーしてしまいましたが、たくさんのご意見、どうもありがとうございました。
 事務局から明確にお答えしていただいていると思います。修文の件についても、水田委員としては特に求めないということでございますので、それではお諮りしたいと思います。
 2件の内容でございました。南西諸島陸産貝類の、これは計画の策定で、もう一つのほうはイヌワシの計画変更ということでございました。
 この2件に関しまして、特に反対意見がなかったということで、皆様、先ほどと同じようなルールでやらせていただきますので、会場の方は挙手で、それからオンラインのほうは手で丸を作っていただきまして、賛同いただけますでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、お認めいただけたということにさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
【福島希少種保全推進室室長補佐】 ありがとうございました。
【石井委員長】 ちょっと時間がタイトになってまいりましたけれども、続きまして、3番目の議題、報告でございます。
 ラムサール条約湿地の新規登録についてということで、七目木課長補佐からお願いします。
 すみません、実は17時30分までで、たしかお約束していたと思いますけども、少しオーバーいたしますので、ご了解いただければと思います。
 では、お願いします。
【七目木野生生物課課長補佐】 野生生物課の七目木と申します。よろしくお願いします。
 本日は、ラムサール条約に登録する湿地の候補地について説明させていただきたいと思います。
 資料の3を使用して説明させていただきます。
 ラムサール条約湿地の登録は、3年に一度開催されるラムサール条約の条約締約国会議に合わせて行われています。今回の登録も、今年7月に開催予定のCOP15に合わせて準備を進めております。
 まず、ラムサール条約と我が国の状況について、簡単に説明いたします。
 ラムサール条約は、正式名称を「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」としまして、水鳥を中心とした生き物の生息地として国際的に重要な湿地と、そこに生息する動植物の保全、そして、その湿地の賢明な利用(ワイズ・ユース)を促進することを目的とした条約です。各締約国は、国際的に重要な湿地を条約の登録簿に登録して、湿地の保全と活用を進めます。
 続いて、4枚目です。
 国際的に重要な湿地の基準としては、ご覧いただいている表のとおりなのですが、生物地理区内で固有な湿地とか水鳥に関する基準など、九つの基準が決められており、一つでも該当すれば登録の資質があるということになっております。
 続いて、5枚目です。
 登録するための我が国の要件を定めておりまして、それは、今投影しているこの三つになります。
 一つ目は、先ほど説明をしましたが、基準を満たす国際的に重要な湿地であること。
 二つ目が、鳥獣保護区、国立公園など、国の関与によって、将来にわたって、自然環境の保全が図られること。
 三つ目が、地元の賛意が得られていること。
 この三つの全てを満たしていることが必要であるとしております。
 続いて、6枚目です。
 現在の湿地の登録状況は、ご覧いただいている地図のとおりで、我が国では53か所、登録しております。
 続いて、7枚目になります。
 ラムサール条約では、湿地を広い概念で定義していますので、様々なタイプのものを対象としています。もともと豊富な水により様々な生態系を有する我が国では、条約の趣旨も踏まえて、湿原、干潟、水田、海域など、様々な湿地を登録しております。
 続いて、登録候補の湿地の紹介になります。
 9枚目です。
 今回、新規登録候補地としていますのは、福島県郡山市、会津若松市及び猪苗代町にまたがる猪苗代湖です。この登録がなされれば、日本の登録湿地数は54か所となります。
 10枚目です。
 猪苗代湖は、福島県の中央部、磐梯山麓に位置する湖です。法的保護担保措置としては、磐梯朝日国立公園第二種特別地域を適用しまして、ラムサール条約湿地への登録区域は、この図の赤線で示しております国立公園の第二種特別地域を全て登録するよう作業を進めております。
 続いて、11枚目です。
 猪苗代湖は、先ほど最初に説明しました国際的に重要な湿地の基準のうち、1、3、6の三つの基準が該当するものと考えております。
 まず、基準1では、代表的希少または固有な湿地タイプであることを基準としています。
 断層に伴う陥没による湖盆の形成、盆地ですね、盆地の形成と、磐梯山などの火山噴出物や泥流によってせき止められた湖であること。
 pHの酸性の河川と中性の河川の合流によって、化学的中和作用によって水質が良好に保たれていることなどが該当していると考えております。
 続いて、12枚目です。
 基準の3については、生物多様性の維持のために重要な湿地であることを基準としています。
 猪苗代湖及びその周辺では、猪苗代湖を中心として作り出す豊かな自然環境によって様々な生物の生息・生育が確認されていることから、この基準に該当すると考えております。
 続いて、13枚目です。
 基準の6については、水鳥の種または亜種の個体群において、個体数の1%を支える湿地であることを基準としております。
 コハクチョウの日本/朝鮮非繁殖個体群の1%基準が450羽であるところ、本サイトでは、直近5年のうち4年でそれを超えていることを確認できます。このことによって基準に該当していると考えております。
 続いて、14枚目です。
 猪苗代湖では、地域を支える重要な湖として、学校教育や環境学習会が開催されるなど、湖を保全する教育、普及啓発活動が活発に行われています。
 また、湖の環境保全のための取組として、ヨシ刈り、ヒシ刈りなど、市民活動も活発に行われ、湿地保全のための意識が高く保たれています。
 さらに、猪苗代湖や周辺の野鳥については、野鳥の会の地元の支部によって、水鳥を含めた野鳥の飛来モニタリング、環境省も行っているんですけども、こういったものの飛来モニタリングが行われています。
 以上の猪苗代湖について、ラムサール情報シート(RIS)を取りまとめて、ラムサール条約事務局に湿地の登録について通報し、その後、ラムサール条約湿地リストに登録されるよう、地元自治体とともに作業を進めてまいりたいと思っております。
 以上、猪苗代湖の登録についてお伝えしたんですけれども、続いて、ラムサール条約関係の最近の動きについて、ちょっと紹介をしたいと思っております。
 16枚目です。
 今年7月に、ジンバブエ共和国のビクトリア・フォールズにおいて、ラムサール条約第15回締約国会議、COP15が開催されます。
 環境省では毎回サイドイベントをCOPにおいて主催しているんですけれども、このほかに、国内条約湿地の取組を紹介するための展示ブースも今回出展する予定にしております。
 続いて、17枚目です。
 ちょっと話が変わるんですけれども、ラムサール条約では、決議によって、湿地の保全・再生、普及啓発などの国際基準を満たす自治体を認証する制度ができております。
 我が国では、今年1月に名古屋市が国内3例目の自治体として認証を受けて、COP15において証書の授与が行われる予定です。
 以上、猪苗代湖の条約湿地登録に向けた動きと名古屋市の自治体認証について報告いたします。
【石井委員長】 ありがとうございました。
 ここは報告なんですけれども、せっかくですので、ご意見、ご質問があったら受けたいと思います。今回は、一問一答でなくて、まとめていきたいと思いますので、とにかく何かありましたら挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。
 
【石井委員長】 特にないでしょうか。
ありがとうございました。
 では、続けて、その他のところに参りたいと思います。
 この部分では、二つ、国内希少野生動植物種の追加指定についてということで、希少室のほうから、それから、「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」の改正についてということで、これは外来室のほうからということで、では、続けてご説明をお願いいたします。
【荒牧希少種保全推進室長】 希少種保全推進室長の荒牧でございます。
 本日は、保護増殖事業計画のほうをご審議いただきましたけれども、それに関わる種の保存法の国内希少野生動植物種の指定のほうで、今年度の指定についてご紹介をさせていただきます。
 令和7年1月17日に施行令を改正いたしまして、捕獲等により絶滅が危惧されている10種を新たに国内希少野生動植物に追加するということといたしました。
 この施行令につきましては、本年2月12日に施行予定でございます。
 詳細は割愛させていただきますけれども、動物6種、植物4種の10種を新たに国内種とするものでございます。
 簡単でございますが、ご紹介は以上でございます。
【石井委員長】 では、続けてお願いします。
【松本外来生物対策室長】 外来生物対策室長の松本でございます。
 資料4-2をご覧ください。
 まず、タイトルを読ませていただきますが、「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」の改正について、ご報告いたします。手短に報告いたします。
 本件、昨年9月の野生小委員会で検討状況を報告させていただきました。
 Ⅰ.の三つ目の白丸を中心に、見直しの趣旨・背景を書いてございます。
 こちらについては、前回の小委員会でも報告いたしましたので、ご覧いただければと存じます。
 そして、1ページ目のⅡ.に改正案のポイントをまとめてございます。
 これまでの研究範囲の中でリスク評価が定まっていないものについては、予防原則の観点から、都度、拡散防止措置について大臣確認を受ける必要がございます。
 今般、カルタヘナ法の施行から20年の運用実績等に照らしまして、講ずべき拡散防止措置が明らかになってきたものについて、そのリスクの程度に応じて、適正かつ合理的な範囲で行われるように整理しようとするものです。
 つまり、低リスクと評価されたものは、省令であらかじめ定められた、外に出さないための拡散防止措置を執ることで大臣確認の手続を不要にできることとし、引き続き、それ以外のものについては大臣確認を必要とする案でございます。
 次のページをご覧ください。
 前回も例示しましたが、上段に表の形でポイントを示してございます。先ほど説明した内容を例示的に整理したものでございますので、ご参照ください。
 そして、4ページ目以降に、別添参考として、今般の省令改正の新旧表と改正概要も付してございますので、適宜ご参照いただければ幸いでございます。
 2ページ目の後段から、検討経緯と今後の予定について示してございますが、検討経緯はご覧いただくとしまして、3ページ目に移っていただきまして、昨年9月12日の野生生物小委員会の後、11月19日に文部科学省遺伝子組換え技術等専門委員会でこの省令改正(案)をご審議いただきました。
 その後、パブリックコメントを経て、1月30日にも組換え委員会、文部科学省の委員会を開催しまして、必要な検討を経てきた案でございます。
 今後の予定としましては、明日2月5日に文部科学省の科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会において省令改正案の報告がなされ、3月下旬を目処に改正省令の公布と施行を予定してございます。
 以上、簡単ではございますが、報告とさせていただきます。
【石井委員長】 ありがとうございました。
 2件の短い報告ということでございました。この部分についても、何かご意見、ご質問等があったらお受けしますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 では、青野委員、お願いします。
【青野委員】 すみません。コメントだけなんですけれども、遺伝子組換えのほうで、拡散防止措置という、その生物多様性影響に対する対策を変えずに、これまでにリスクがある程度評価がなされてきたものについて、手続を合理化して研究開発を促進していくということで、非常に妥当な改正だというふうに思っております。
 以上です。ありがとうございました。
【石井委員長】 どうもありがとうございました。
 では、寺田委員、お願いします。
【寺田委員】 すみません、お時間が押している中、一言ですけど。
私は、前半の種の保存法追加指定につきまして、この指定は動物を特定第一種に初めて指定されたものかと存じますが、私もこれに関して、一歩踏み出されて、いろいろご検討も大変だったかと思いますけれど、前向きな一歩ではないかと思っております。
 あわせて、種の保存法は、ワシントン条約国際取引規制もそうですけれども、野外捕獲と飼育繁殖を区別して細やかな枠組みができている制度だと理解しています。その辺りが、これを機に、国民にうまく伝わるといいなと思っています。
 もう一点は、今後、まさに一歩踏み出されたからこそ、この累代飼育とか飼育繁殖個体がどのように流通しているのかと、ますます繁殖流通の実態のモニタリングが重要になり、かつ非常にテクニカルにも難しいところだと思いますので、今ちょうど法改正の検討もあるかと思いますが、引き続き、その枠組みのあるべき姿と、それをどのように運用していく必要があるのかというところを、私も一緒に考えていきたいなと思っております。
 すみません、前向きな評価というコメントです。
 以上です。
【石井委員長】 どうもコメントありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。
 特にないようですね。
 それでは、本当に議事進行がまずくてすみません。15分ほどオーバーしてしまいましたけれども、これで、予定していました議題については終了ということですので、事務局に進行をお返しいたします。
【事務局】 
 石井委員長、議事進行、どうもありがとうございました。委員の皆様におかれましても、長い時間にわたるご審議、ありがとうございました。
 本日は時間超過してしまいましたが、最後ではありますが、自然環境局長、植田より閉会のご挨拶をいたします。
【植田自然環境局長】 重ねて、長時間にわたり、ご審議ありがとうございました。
 それぞれ諮問案件等々でいただいたご意見につきましては受け止めまして、今後の対応を前向きに行っていきたいと思います。ありがとうございました。
 そして、あえて今回、冒頭で申し上げましたとおり、今の先生方の任期における野生小委員会は今回で最終回になります。そして、石井実委員長におかれましては、今回、区切りの会になると推察しているところであります。
 石井委員長におかれては、実は20年間にわたり、この野生小委員会の委員として就任をいただき、本当にお世話になりました。
 特に、2013年からですから、ちょうど12年前に部会が小委員会になったときからずっと野生小委員長として就任いただいて、野生生物関係の議題、話題、担当者は次々変わっておりますけれども、まさに委員長は変わらずご指導をいただいてきたわけであります。この場をお借りして、石井先生にあえてお礼を申し上げます。
 毎回、丁寧な議事の進行をいただいておりまして、我々としてもありがたく、いつも思っておりました。石井先生自体は、野生小委員会においてこれで終了となりますが、今後もいろんな場でお世話になると思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げて、私からお礼、また、環境省全体からのお礼の言葉にさせていただきます。
 本当にお世話になりました、ありがとうございました。
 先生から最後に一言いただければありがたいと思っております。
【石井委員長】 時間が押しているのに恐縮でございます。
 私も20年と聞いてびっくりしたんですけれども。野生生物部会時代からです。12年前、平成25年ですけれども、野生生物小委員会になってから委員長を務めさせていただきました。本当に長い間、勉強にもなりましたし、私自身、光栄にも思っております。
 大過なく、そう思っているんですけれど、やってこられたのは、歴代の委員の皆さん、それから事務局、環境省の皆様のサポートがあったからと思っております。この場を借りて御礼申し上げたいと思います。
 最後に、野生生物の状況は厳しいと思います。生物多様性、全体の状況もそうなんですけれども。この野生生物小委員会が、日本の中でその課題解決の中核にあると思っています。今後もネイチャーポジティブの実現に向けて、この小委員会の活躍を祈念して、私は卒業させていただくということにしたいと思います。
 環境省の様々な検討委員などはまだ続きますので、皆様方にはいろんなところでまたお会いすることになると思います。今後ともよろしくお願いします。
 本当に皆さん、長い間ありがとうございました。
(拍手)
【事務局】 どうもありがとうございました。
これをもちまして、本会は閉会といたします。皆様、どうもありがとうございました。